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山崎政府参考人 まず、
事件の
範囲の問題、重大な
事件を行うという点も御
質問ございましたけれ
ども、この点につきましては、やはり全部の
事件についてこの
制度を設けるというのは極めて難しい
状況でございます。
そうなりますと、その一部、どこから入れていくかということになるわけでございますが、
国民に
負担をお願いするわけでございますので、では、軽い
事件というふうに
考えたときに、こういう例を出していいのかどうかわかりませんけれ
ども、窃盗を三十件やったという
事件についてといったときに、そういうパターンの
事件にわざわざ御足労いただくということになったときに、
国民の方がそれで
自分が本当に行ってやろうということになるのかどうかなんですね。
それは、やはり
事件として
国民に非常に関心があるもの、あるいは社会的な影響が大きいもの、そういうものだから
自分も
参加をしていきたい、こういうインセンティブになるのではないか。軽い
事件は、
一般の
国民を入れていろいろな
国民感情を反映させないでも、それはそれなりの
量刑になる
可能性もございまして、そこに
一般の
国民の方を入れていって本当に変わり得るのかという点についても、必ずしも
理解が得られないんじゃないか。こういうことから、今回のような
範囲になっているということでございます。
それから、もう
一つの御
質問でございますけれ
ども、本当に
日本の
伝統とか
文化になじむのかという点でございます。
確かに、私も、この
法案に至るまで、
日本の
伝統や
文化に合わないじゃないか、それを守るべきだというふうにいろいろ言われました。ただ、
伝統、
文化というのも変わっていくというものでございます。
基本はありながら、その時代とともに変わっていくということで、必ずしも同じ
あり方であるべき必要はないじゃないかというふうに
考えております。
戦後、ではどういう
制度がいろいろ設けられているかということを見ますと、まず
検察審査会制度でございますが、これは戦後導入されまして、もう五十年を超えるものでございますけれ
ども、これについては、非常に目立たないのでございますけれ
ども、着実に五十年の歩みを経ているということでございまして、
一つの大きな成果であるということでございます。これは、毎年八千人から九千人ぐらいの方が選ばれまして、着実に機能を果たしているというものでございます。
それから、もう御案内のとおり、民事の
関係でございますけれ
ども、
調停委員だとか
司法委員だとか、そういうことに関して、
家庭事件等について
国民の方が
参加をされて
一緒に今
裁判を行っている、
紛争解決を行っているということでございます。
それから、これは、
世界の各国をちょっと見ても、
事情によってその形はいろいろさまざまでございますけれ
ども、諸
外国で、かなりの
先進国がこの
制度を導入しておりまして、G8の中でこのような
国民参加の
制度を持っていないのは、
刑事関係でございますけれ
ども、持っていないのは
日本だけという
状況でございます。
そういう点も
考えまして、また、これから導入していくという場合に、やはり我が国の
裁判制度とかあるいは社会の
あり方、そういうものを踏まえて、なるべく
日本の
文化、
伝統に合うように、また、
国民の方に
理解を得ていただけるようにその
制度をいろいろ構築していった。必ずしも
外国の物まねではなくて
日本に合ったような形で導入をしたという点でございまして、今後、私
どもも、大いに
周知徹底をいたしまして、
国民の方に
理解をいただいて、積極的に
参加していただくように努力をしなければならないというふうに
考えておりますが、私は、
制度としてやっていって
日本の
文化になじんでくるだろうというふうに確信をしているところでございます。