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河村国務大臣 ゆとり教育、
ゆとり教育、こう言われます。
ゆとり教育という
言葉をきちっと
文部科学省が定義づけたことは一度もないのでありますが、今まさにとろうとしている、土曜日を休みにしながら、そして学ぶ上において心にゆとりを持って、
意欲をもっと増すような
教育をしようという、かつての詰め込み
教育と言われたものの
一つの反省からこういう
言葉が生まれ、またこういう仕組みといいますか、そういうふうな
方向になってきたと思います。
しかし、あくまでも、あの新しい
学習指導要領の中で言っていることは、
基礎的、
基本的なといいますか、そういうものをしっかり徹底しながら、その上に、学ぶ
意欲とか考える力、判断力、そういうものを増すように、確かな
学力という言い方をしておりますが、身についた力、
学力、そういうものを求めて、その育成を目的とした、こういうことであります。
それは当然、土曜日を休みにする、これはこれに至るまでにはいろいろな経過があることは御承知のとおりでありますが、そうなると、その時間をどうやって、もっと効率を上げるためには、ダブって学ぶところを
一つに集約していくとか、それから共通に学ばなきゃいけないところをきちっと引っ張り出すとか、こういうことを厳選して、そこに時間的な余裕をつくる、精神的な余裕もつくる、そうした中で、考えるゆとりといいますか、やはりちょっと考えながら進むということが必要ではないか。どんどん詰め込みだけではいかぬ、こう言われてきたわけであります。
ただ、もちろん、
子供の脳のやわらかいときにしっかりたたき込んで覚えることは覚えなきゃいかぬ。どうしても必要なことはあります。昔から言われたいわゆる読み書きそろばん的なもの、これはやはりきちっとやるということであって、それをないがしろにして次へ進んだって、うまくいきません。さっきちょっと御
指摘があったように、イロハのイの字、辞書の引き方がわからないとか分数ができないとか、これはやはりスタート時点の教え方のところに
一つの問題がある。またそういうことも考えながらきちっとやらなきゃいけない。そういうことが
教育現場で行われているかどうかということは、これはやはり反省材料にしなきゃいかぬことであります。
しかし、それはきちっとやりながら、その上にどうやって乗っけていくかということだろうと思います。そのためには、当然、個々に応じた習熟度別少人数
学級というのも必要です。
しかし、
人間力、考える力、あるいは対人関係とか、そういうものをつけようとすれば、やはりゆとりを持って、机上、単なる机の上での読み書きだけじゃなくて、
社会現象に応じた、いわゆる
総合学習というんですが、外に出ながら、また
現実の事象を見て、そしてみずからそれを体験する、そういう学習もやはりどうしても必要になってきますから、そういう
意味での体験的な、問題解決的な学習もその中に入れている。そういうものを総じて言うならば、それが
ゆとり教育と言われるものであろうかなと思います。
だからといって、そのゆとりが緩みになって、学ばなくていいんだということにとられたらこれは大変ですから、途中で遠山
大臣の当時に「学びのすすめ」というようなアピールをされた。これがまた、何か
もとへ戻ると言われましたけれども、そういう
意味ではなくて、
基礎、
基本のことはきっかりやってくださいよ、それがやはり根底ですよということを強調してそういうものが出てきたと私は思っております。
しかし、
現実に、兵庫県のトライやる・ウイークとか、ああいう体験学習をやっていると不登校の
子供たちもその中に参加してくるとか、そういう
意味がありますし、学ぶ方法とか、そういうものを見出して勉強が好きになったとか、こういう報告もあるわけでありますから、やはりそういう学習というのはそれなりに効果を上げておる、私はこう思っております。
みずから学びみずから考える力を養うということが、
社会へ出てみてそういうことがやはり必要なわけですから、そういう力をどうやってつけさせようか、それは単なる読み書きそろばんだけではないもの、プラスアルファが要るんだ、これだけの複雑な
社会の中でそういうものをつけさせようということ。そういうことで、思考力、判断力、表現力、こういうことを身につけさせる
意味で今やっておる
教育というものは効果があるものだ、私はこう思っております。
そのことと、だからといって、
学力低下がそれによって起きるということを言われないように、これは
教育現場も努力して頑張ってもらわなければいかぬと思いますよ。
学校現場で、それがために
学力低下と言われないように、
基礎をきちっとつけていかなければなりません。そういう
意味で、
学校もなかなか大変だ、こう言われることも、私もわからないことはありませんけれども、それはやはりきちっと
教育現場も受けて立ってもらってやっていただくということが必要だろうと思います。
そういう
意味で、やはりつとに、あらゆる、今の
学習指導要領についても
教科書の問題についても絶えず
改革思考で見ていく、それは私は必要であろう、こう思っております。私は、今の
ゆとり教育という
言葉が、ややもするとすぐそれが緩み
教育にとられるような
感じがするので、余り
ゆとり教育、
ゆとり教育と言うと、何かもう学ばなくていいんじゃないかというようなイメージがありますから、こういうふうにとられると困るわけでありますが、総合的に考えたときに、やはり心に余裕を持って、学ぶ余裕を持って、
意欲を持たせるような
教育が今は求められているんだ、そういう
方向で今やっているんだということですね。
これは、おっしゃるように、もっと
文部科学省も自信を持ってきちっとやるべきことはやっていかなきゃいかぬし、私は、その
方向は間違いないと思っておりますから、
教育現場もその
方向でさらに努力をしてもらわなきゃいかぬ、こう思っております。