○渡辺(周)
委員 この
議論は非常に難しいと思うんです。過去にマスメディアがかなり独立性を持って発達、発展をしてきた例えば欧米諸国においても、この戦時報道とか有事報道におけるあり方というのは非常に難しいものがございます。
例えば湾岸戦争のときに、イギリスの国防省とマスメディアが十六項目にわたる報道
協定を結んだ。その中には、例えば
軍隊の数であるとか、まさに今
大臣がおっしゃった、武器は何であるとか、あるいはどういうオペレーションをやって、どういう人たちが指揮官であるか、あらゆることについて規制をしたわけであります。当然のことで、相手国を利するようなこと、あるいは、国に限らず相手の、
我が国に何らかの脅威を与えようとしているところに対して利益を与えるようなことがあってはならないという上で、ぎりぎりの妥協をしてきているわけであります。
そういう中で、私が何でここまでこだわったかといいますと、例えばNHK、我々も海外へ、
大臣と同じように世界各地へ行きます。当然のことながら、外国へ行ってもNHKの衛星放送を見ることができるわけですね。アメリカにいようが、ヨーロッパにいようが、「おはよう
日本」を見ることができる。朝鮮半島では、もう釜山あたりでは
日本のNHKがそのまま入ってくるわけですね。対馬海峡を越えて入ってくる。対馬からNHKが入ってくる。当然、かの国、北朝鮮でも、
国家指導者は
日本の番組を見ている。そうしますと、例えば何らかのことがあった場合に、
我が国の
国民向けの報道というのは世界じゅうに当然流れるわけであります。当然、世界各地にいる邦人は、自分の親族や自分の身内であるとか自分の企業は大丈夫なんだろうかということで、一斉にくぎづけになるわけであります。
そうしますと、テレビメディアのみならず、インターネットなんかも、何らかの形で
情報に一定の、報道に一定の制約があるということは、まさにそのときが起きてみないとわからないわけでありますけれ
ども、この点については、大変この問題、特に昨年のイラク戦争、その前の湾岸戦争、あるいは九・一一テロをめぐってさまざまな、まさに報道と政治のあり方が問われて検証されておるわけでありまして、その点についても恐らく
議論がされると思います。
それと、もう
一つだけ申し上げますと、有事というものを二つのカテゴリーに分けたときに、類似する例として、直近の
我が国におけるいろいろな事例がありました。
それは、
一つには、大規模災害でいうところの阪神大震災がございました。そのときに、阪神大震災の発生からさまざまな教訓を得て、我々は、
一つの危機管理対応というものを学んだわけであります。
もう
一つは、いわゆる東海村の臨界事故であります。これは、見えない、まさに今の想定しているテロでいうところの放射能汚染でありますとかあるいはBC兵器、それが化学兵器であったり生物兵器であったりするわけですけれ
ども、見えない脅威とある意味では戦ったといいましょうか、
我が国が経験したのがこの東海村の臨界事故であります。
そのときに起きたのが、現地と官邸とまさに
情報が錯綜して混乱をした。ちょっとだけ例を挙げますと、臨界事故のときは、当時の科学技術庁の中に対策本部をつくった。そして、現地にも科学技術庁の対策本部をつくった。官邸にも対策本部をつくった。三つの対策本部がそれぞれに機能したことによって、実は
情報が大変混乱したわけですね。特に、現状は現地が一番早いわけですから、現地から入ってくる
情報と時間差で入ってくる中央での
情報とがこれまた全く違う角度でとらえられたりすると、これは何でもそうですけれ
ども、大変な混乱を招いて、しかも、海外に誤報まであのときは流してしまったというようなことも実はあったわけでございます。
その点のいろいろな反省も踏まえて、
国家緊急の
事態には、
政府に頼るだけじゃなくて、我々もいろいろな角度から
議論をしたいなということで、これはまたいずれ
議論させていただきたいと思います。
ここで大分時間をとってしまいまして、予定の時間があと十五分しかなくなってしまったんですが、ちょっと大急ぎでやります。
避難・誘導の部分について、私の地元は静岡県でございまして、静岡県の防災担当者、特に
有事法制を担当しているところにも聞きました。御存じのとおり、静岡県の場合は、来るべき東海地震に備えてもうある程度下地はできているといいましょうか、東海地震が起きるということでさまざまなマニュアルをつくっているわけであります。その静岡県ですら、災害対策基本法をベースにした今回の一連の
法案の中で、担当者も実は困っているのが
避難の問題なんですね。
防衛庁長官は御存じのとおり、鳥取県で、例えば、二万六千人ですか、鳥取県の東部の方々を、図上訓練だか演習だか、隣の兵庫県に
避難させるとしたら、バスで
避難させるだけで、ちょっと名前を忘れましたけれ
ども、三つの町で二万六千人、バスで移動させたら実は十一日間かかるというすごいシミュレーションがあって、それを超えるような住民の
避難なんというのはちょっと想像できないというか想定できない、つまりお手上げだということをもう既に鳥取県の場合は発表しているわけですね。
実は、静岡県の方々にも、静岡県は東海地震の一応マニュアルをずっとつくって防災計画も何回も見直してきているからある程度下地があるんだろうと聞いてみましたら、この
避難に関してだけは正直言って全くお手上げです、ですから国の指針を待っていますと言うんですけれ
ども、実際問題として、国がどういう指針をつくっても、起きたときに地方で膨大な人の流れを規制することは非常に難しいということを言っておりました。そうなると、これは本当にどういうふうにしたらいいのか。
我が党でも、鳥取県の片山知事に来ていただいて
お話を聞いたことが一月ほど前ありましたけれ
ども、例えば静岡県で同じことを当てはめると、国道一号線と国道二百四十六号線が二つ走っています。国道一号線というのは箱根を越えて静岡県から神奈川に行く、国道二百四十六号線というのはもっと北の方の御殿場というところを通って足柄の方に行くんですけれ
ども、例えば、首都圏と結ぶ、隣県と結ぶ幹線道路が二つあったら、片っ方の国道一号線はもし何かあったら
自衛隊が入ってくる進入路にしよう、これは鳥取の知事も言っていましたが、そして、二四六は
避難させる県民のための要は出口にしようというようなことをするしかない。
それにおいても物すごい混乱が起きるけれ
ども、例えばそういうことというのは可能なんでしょうか。その点についてはどうなんですか。あるいは、さまざまな今までの
議論の中で、こういうことについて地方から当然こういう声が多数寄せられていると思うんですが、その点についてはどうなっていますか。