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小泉内閣総理大臣 イラクの情勢におきましては、不安定な
状況にあるのは事実でございますが、ここで、それでは米軍が撤退した場合どうなのかということを考えますと、さらに混乱を深めるのではないか。
我々の目に映るのは、いわゆる武装勢力といいますか、
テロリストのグループといいますか、何としてでも早く米軍撤退せよ、また外国の
軍隊撤退しろという動きが強く報道されます。しかし、私は、
イラクの全体の
国民を見れば、早く治安を回復して自分たちの手によって
イラクに安定した民主政権をつくるということを考えると、今の時点で米軍が撤退したら困るという人の方が多いんじゃないでしょうか。
今回の
事件におきましても、
自衛隊の諸君は
イラクの
復興支援、人道支援に活動しているんだと
理解して、
自衛隊歓迎だという
方々も
イラクにはたくさんおられます。現に、過日、
イラク統治評議会の
イラク人の
方々が
日本においでになったときも、
自衛隊の活動を歓迎するという
お話を私も聞きましたし、
イラクにおきましてさまざまな考えがあるのは承知しておりますが、必ずしもすべての
国民が、今すぐ米軍は撤退せよとか、
自衛隊撤退しなさいとか言っているとは限らないと思っております。
やはり大事なのは、国際社会が
協力して、
イラク人が希望を持ってみずからの国を再建、復興できる環境を早く整えるということだと思います。開戦時に米軍の
攻撃に対して賛成しなかったロシアにおいても、フランスにおいても、ドイツにおいても、今米軍を撤退しろとは言っておりません。
そういう中で、できるだけ早く政権を移譲しなきゃならない。国際社会の関与、いわば国連の役割をもっと強めていこうということについては、私もかねがね、
ブッシュ大統領のみならず各国の首脳にも
お話ししているとおりであります。先日、チェイニー副大統領が来日したときも、その点を強く私は申し上げました。
今後、できるだけ早く、
イラク人がみずからの国を再建させようとする意欲をどうやってつくり出していくかということも、
イラクの安定を考えると極めて重要なことであると思いまして、
日本政府としても、各方面に、国連の重要性を
認識し、国連の役割をもっと大きくするような方法を働きかけていくと同時に、
イラク人のさまざまなグループに対して、
イラクを復興できるのは
イラク人自身しかありませんよ、
イラクを復興させ、安定した民主的な政権をつくるのは、
アメリカでもない、国連でもない、ましてや
日本でもないと。
イラク人自身が、反米勢力、親米勢力の対立を乗り越えて、自分たちが立ち上がって自分たちの国を復興させていくんだ、そういう意欲を持たない限り、
イラクの安定した民主政権をつくることはできないのではないか。
そういう点についても、
イラク国民全体の、みずからの国はみずからの国で立ち上げようという意欲の重要性、これに対しても、
日本としてこれからもよく
イラクの人々にも
お話しして、
日本の支援は人道支援、
復興支援、
イラクの
国民が歓迎することを、評価していることを、
イラクの
国民が嫌がることは
日本としてもする必要はない。一部のグループが、必ずしも
イラク国民の全体のグループの声とは思っておりません。その辺はよく注意しなきゃならない。
そういう中で、国際社会で、今
イラクの人道
復興支援というのは国連がすべての加盟国に要請しています。その要請にこたえて、
日本は
イラクに
復興支援、人道支援を、資金的支援のみならず人的な支援も行おうということで、
自衛隊の諸君に、厳しい
状況でありますが、
イラクで活動していただいている。
これからも、このような考えのもとで、一日も早く、
イラク人が希望を持って自分たちの国を再建できるような環境づくりにも
日本は
協力していかなきゃならないと思っております。