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須之内参考人 おはようございます。自治労の須之内と申します。
私自身、二十一年間、
現場で改良普及員をしてきたということもありまして、きょうは
現場の普及員の代表という形で
意見を述べさせていただきたいと思っております。
今回、三つの
法律があわせて御
審議されているということでございますけれ
ども、私自身は、普及員ということで、
農業改良助長法にかかわっての
意見を述べさせていただきたいと
思いますけれ
ども、
担い手育成につきましても、また
農地に
関係する部分につきましても、私
どもに深くかかわってくることでございますので、冒頭、簡単に
担い手育成あるいは
農業委員会のことに関しまして
意見を述べさせていただいた上で、
農業改良助長法に関する
意見を
中心にお話をさせていただきたいと
思います。
まず、現在の
農業について、
担い手の
育成あるいは
優良農地を
確保するということについては、非常に重要なことであるというのは全く異論のないところであると
思います。このような状況のもとでこの法
改正がなされるということにつきまして、簡単に
意見を述べさせていただきます。
まず、
担い手育成という中での
一つの法人の
役割というものを我々も非常に期待をしているところでございますけれ
ども、
普及事業としましても、後継者
育成という部分については三本柱の非常に重要な一本ということで、これまでずっと取り組んできたところでございます。
ただ、ここに来まして、やはり
一つの
役割分担という中で、例えば、指導
農業士というような
農村のリーダー的な
方々に対して、
担い手育成の一翼を担っていただこうというようなことで、具体的にそのような
取り組みがされているわけですけれ
ども、いかんせん、すべてがボランティアという形で行われておりますので、やはりそこには限界があるでしょうということを感じております。
そういう点でいきますと、法人という経営の中で
一つの後継者
育成というものがなされていくということは、
一定のリスクはございますけれ
ども、非常に有効な形ではないかというように考えます。そして、今回の法
改正によって、その
一定のリスクという部分についても改善されるということであれば、我々も、今後の後継者
育成、
担い手育成の
一つの形として非常に期待をしているところでございます。
また、
農業委員会のあり方ということにつきましては、なかなか私
どもも深い部分については
理解をいたしていないところではございますけれ
ども、
一定の仲間内での議論の中で感じることは、今回の
農業委員会の
関係する
法律の
改正につきまして、やはり
普及事業と同様に、
一つには補助金の問題、それから人数の問題、この
スリム化ということが
一つ前面に出ての議論が進められているという感がありまして、やはり十分に、
農業委員会がどうあるべきか、これからの
農地の
管理、活用についてどうあるべきかというところの深い議論がもっとなされてしかるべきではないかなというようなことを感じているところでございます。
そういう中で、我々仲間内の議論は、むしろ
農業委員会の権限というものを
強化して、しっかりと、
地域の
農地の
管理にとどまらず、活用の部分も含めて
地域のセンター的な
役割を担ってもらうべきじゃないかというようなことが
一つの
意見として出てきております。
今後、多様な
担い手を求めるという中で、例えば株式会社の参入ということについて議論がございます。その参入についての是非は別にしましても、今後の
農家あるいは
農業経営の
内容として、株式会社的にやはり利潤が上がらなければすぐに撤退というような、そういう感覚での経営というものが出てくることは明らかであろうというように感じているところです。そういうところへの
対応としましても、やはり
農業委員会にしっかりとしたそういう
農地管理なり利活用なりという部分について権限を付与して、活躍をしていただくことがいいのではないかというようなことを感じているところです。
優良な
農地を
確保していくということについては、都市部であれあるいは
農村部であれ、非常に重要なことであるというように考えます。
例えば、
農村部であれば、優良な
農地の
確保、利活用というものが維持されることによって、
農村社会そのものもしっかりと維持されていくというような側面もございます。また、都市部におきましても、身近な
消費者と生産者の接点の場ということもありますし、また、農への
理解を深めていただくというようなこと、それに
対応して生産者サイドからもしっかりと安全な農産物、
食料を提供していく、そういう
関係が生まれてくるということが期待されております。
そういうもろもろの面から考えましても、
農業委員会というものが
一定の広がりを持ってしっかりと
確保されるということがやはり重要であるというように考えております。
続きまして、基本的に
農業改良助長法にかかわる部分でございますけれ
ども、その前提としまして、考えなければならないことは、
一つには、
農業政策における国と
地方の
役割ということについてです。
農業をめぐる
課題というものは、単純に生産
現場のみのものではなくて、例えば国内の
食料需給の問題であるとか、あるいは国民に対する
食料の
確保というものであるとか、そして国土、環境の保全云々、多面的な機能という表現もされておりますけれ
ども、そういったさまざまな
課題が非常に幅広く存在しているということがございます。
最近の事件性を
中心に取り上げられている食の安全、安心という部分につきましては、例えばBSEの問題あるいは鳥インフルエンザの問題、こういう問題につきましても、やはり事件性というものがどうしてもクローズアップされますけれ
ども、その裏に隠されている、隠れている本質的な問題についてしっかり目を向けていかなきゃならないんじゃないかというように考えています。今回の問題、背景には、例えば
食料流通の
グローバル化であるとか、あるいは
農畜産物の生産の工場化であるとか、そういった問題が本質的にあるものと考えています。
また、これについては、やはり
消費者の責任ということも
一つには見逃せないものであろうと
思います。価格に目を奪われて本質的な部分を見てこなかったという部分では、やはり
消費者もしっかり考えていただかなければならないことであろうというように考えています。
食料の、食べるものの安全ということについて考えれば、基本的には
自分でつくって
自分で食べるということになろうかと
思いますけれ
ども、それができなければ、隣のうちから譲ってもらう。そして、その延長に、例えば地産地消という
取り組みであるとか、国内の自給というものが存在するであろうというように考えています。そういう
視点から、やはり
消費者にも、みずからの食に対するしっかりとした目を持っていただく必要があるというように考えています。
このように、
食料、
一つには量をどういうふうに
確保していくか、その上でまた質をどういうふうに
確保していくのかという問題につきましては、これは一義的に国の重要な責任であろうというようにやはり考えられます。一方で、そのように国から示された
一つの方針あるいは仕組みという中で、実際に
地域にあってその目的を達成していくのにはどうしたらいいのかという部分、手法の部分につきましては、やはり
地方として、その
地方の特性に応じて
地方が考え、そして実践をしていくという点で、非常に重要な
地方の、都道府県の
役割であろうというように考えています。
このように、
農政、
農業政策については、重要な国の責任というものもありますけれ
ども、同時にまた身近な
生活課題でもあるということから考えまして、やはり国と
地方の
役割分担のもとでしっかりと今後も実行されていかなければならないというように考えています。
そのような基本的な
考え方に立ちまして、
普及事業としてもどのように進んでいくべきかというところを整理いたしております。国と
地方の
役割分担ということに関しましては、やはり
農業改良助長法の根本でもあるということでございます。
協同農業普及事業という形でこれまで実施されてきました、その国と
地方の
役割分担というもとでの事業の性格というものは、今後もやはり維持されていくべきであろうというように私
どもは考えております。
私
たち現場の普及員としましては、余り大きくこの助長法
改正の中で
制度が変わってほしくないという
思いがある一方で、やはり時代の要請に合った
普及事業にしていかなきゃならないという考えも持っております。そういう中ではありますけれ
ども、やはりこれから考えていく上で、変わらなければならない部分と変わってはいけない部分と一般的にも言われますけれ
ども、やはり変わってはいけない部分というのも貴重な基本の部分であるというように考えています。
その部分について若干整理したものが、きょうお手元に配付させていただいております資料です。簡単な資料で大変恐縮なんですけれ
ども、その資料に基づいてこの後のお話を若干させていただきます。
資料の中にも表現しておりますとおり、重要なのは、やはり国の責任を明らかにしつつも
地方の
自主性を
確保して進めていくということだろうというように思っております。
これまでの国の責任のあらわし方ということで、
一つには、
普及事業交付金というような財源の部分、それから、施設なり人の、職員の設置という部分に関する
必置規制、こういったものが
一つの表現として出されてきています。
まず、財源としての交付金については、ここ数年大幅に減っているという中で、財源としての性格というのは非常に厳しいものはあるんですけれ
ども、国の責任を表現する形としての、国の責任の象徴としての交付金というものについては、今なお重要な位置を占めているというように考えています。
ただ、国の責任の表現の仕方として、この
普及事業交付金というものがベストなのかどうかということについては、我々もこれから研究をしなければならないというように考えておりますけれ
ども、少なくとも現段階にあって、やはりこれをおいてほかにはないというようなことを考えておりますので、そういう観点から、普及
現場の職員の大きな不安を払拭していただくためにも、
制度の維持とあわせて、大幅な交付金の削減という現在の状況に対して、どこかで
一定の歯どめをかけていただきたいということでございます。その上で、
一定の安定した
制度のもとで
現場の職員が働けるようにしていただきたいというのが願いでございます。
それから、
必置規制の部分につきまして、今回の法
改正の中で廃止なり緩和というような形で大きく取り上げられてきているところでございます。
この
必置規制の部分で、特に普及センターの
必置規制の部分で、最近、普及の
現場で、
農家からの見方としまして、
一つの大きな不安が出されてきています。
一つに、普及員がどこにいるのかわからないというような大きな
課題がございます。かつては、合同庁舎の上の方にあって長靴で上っていけないというようなことで不満を言われましたけれ
ども、今は、合同庁舎に入ったけれ
ども、普及がどこにあるのか、普及員がどこにいるのかわからないというような状況が出てきています。
そういった、サービスを受ける
立場の
農家の
人たちからの、サービスを受けにくいような状況が出てきておりますので、それについて、やはり
法案の中で、あるいはこれから県におろす中でしっかりと普及の存在というものがわかるような形にしていただきたいというのが希望でございます。
どうしても
組織が、今、
農政事務所等々の中に普及が組み込まれるというような形になっておりますので、
一つの行政が事業を下におろしていくという流れは非常にスムーズになっていくんですけれ
ども、
現場のニーズあるいは
意見を上に上げていく、あるいは
現場の
課題を把握するという部分では非常に困った状況になってきております。そういうことに対して、改善をできるような形でお願いをしたいということでございます。
時間を超過してしまいましたので、簡単に。
今後、資料を見ていただけるとわかりますように、ちょっとほかの一般行政の職員とは違った形で
仕事をしているという部分をひとつ念頭に置いていただきまして議論をいただきたいということでございます。また、これから普及の高度化等々の議論がされておりますので、そういう中に合った処遇がされるようにということを
最後に希望として述べさせていただきまして、私の
意見を終わらせていただきたいと
思います。
ありがとうございました。(
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