○吉井
委員 日本共産党の吉井英勝です。
私は、
消費者保護基本法の一部を
改正する
法律案の
委員長提案について賛成し、あわせて
日本共産党の見解を申し上げたいと思います。
近年、消費者
被害はふえ続ける一方ですが、その
被害は多方面にわたり深刻化しています。
国民生活センターと全国各地の消費
生活センターに寄せられた二〇〇一年度の相談件数は六十六万件に上り、十年前の約三・八倍に達しています。
被害内容も、IT関連や詐欺まがいの不公正取引、金融・保険等の契約に関する
被害など、複雑な案件がふえています。また、BSE汚染牛やO157、雪印の食中毒事件、食品偽装表示、三菱自動車リコール隠しなど、生命や健康にかかわる多種多様で重大な
被害が続発しています。
ところが、国と
地方自治体の消費者行政は、消費者
被害を防止するための事業者に対する有効な
措置を怠ってきた上に、
被害情報を収集している
国民生活センターの統合・独立行政法人化、
被害相談を受けている消費
生活センターの統廃合、業務の民間委託化、食品安全や危害防止安全基準の規制緩和など、大幅に後退しているのが実態です。
今日のこうした消費者を取り巻く現状を踏まえ、消費者の
権利を実現する実効性ある
改正をするために、
日本共産党は三月二十日に修正案大綱を発表いたしました。
そのポイントは、
一つは、
法律の目的に消費者の
権利の実現の確保を明記するとともに、
基本理念に八つの消費者の
権利を明記し、消費者の
権利実現を図るために国、地方公共団体、事業者にその責務を有するということを明記することであります。
その部分の我が党の大綱でお示ししたものは、消費者の
権利の明記として、
一つは、
法律の目的に消費者の
権利実現を明記する。事業
活動に伴う消費者の
被害が増加し、多様化し、深刻化している
状況にかんがみ、消費者の
被害を防止し、消費者の利益の
擁護及び増進を図るため、消費者政策の
基本理念を定め、消費者
施策を総合的に
推進することにより、消費者の
権利の実現を確保するということを法の目的とするということであります。二つ目に、消費者
施策は、消費者の
権利を保障する見地から
策定、実施すべきことを
基本理念に定め、三つ目に、消費者の
権利として、安全が確保されること、必要な情報を得られること、適切な選択を行えること、公正な取引条件により消費者取引を行えること、
被害の救済が受けられること、消費者
教育を受けられること、消費者政策に意見が反映されること、消費者団体を組織し、行動できること、以上の八項目を明記するということであります。
二として、国、地方公共団体、事業者の責務として、
一つは、国、地方公共団体が実効性のある
施策を
策定、実施することにより、消費者の
権利の実現を確保する責務を有する。二つ目に、事業者の責務ということで、商品・役務の安全性の確保及び品質の
向上、商品・役務に関する消費者への適正迅速な情報提供、商品・役務の品質等の
内容の適切な表示、商品・役務の価格、取引条件、リスクの明示等取引における公正の確保、取引に関する苦情、紛争の公正迅速な解決、国、地方公共団体が実施する消費者の
権利の実現を確保する
施策への協力、上記を確保するための自主行動基準の
策定、体制の
整備、従業員
教育、この七つのことなどを実施することにより、消費者の
権利の実現を確保する責務を有する。さらに、三つ目に、事業者団体の責務を新たに
規定して、事業者の責務が適切確実に果たされるよう事業者を
支援する、消費者の苦情、紛争の公正迅速な解決の
仕組みを
整備する。このように、消費者の
権利の実現を確保する具体的な
内容でありました。
第二のポイントは、消費者
参加の
規定を
整備し、消費者、消費者団体の役割を明確にしたことです。
消費者政策の
策定への消費者、消費者団体代表
参加の保障については、
一つは、国、地方公共団体は、消費者政策の企画立案への消費者、消費者代表の
参加、意見を述べる
機会の保障、意見交換の場の設置など、消費者、消費者団体の意見の反映を保障する
仕組みを
整備する。二つ目に、消費者保護
会議の改組、
拡充を図って、名称を消費者
会議と改め、
委員に消費者代表を含む外部
委員の
参加を確保、消費者基本
計画など消費者の
権利を実現するための
施策の企画、立案、
推進の権限を付与すること、
関係省庁の消費者
施策を監視し、
内閣総理大臣に意見を述べる権限を付与する、これを実施するに必要な専門的、継続的な担当部署を設けること。
さらに、第三に、消費者、消費者団体の役割についてですが、消費者は、自主的に情報を収集し、合理的に判断、選択し、必要に応じて意見表明するなど、みずからの
権利実現のために積極的な役割を果たす。消費者団体の役割を新たに
規定すること。そこでは、消費者を自主的に組織し行動する、消費者への情報提供、消費者
教育、消費者
施策への意見の表明、消費者の
視点に立った市場の監視、消費者の
権利を害する事業
活動を是正させるための
活動、団体訴訟制度の活用などによる消費者
被害救済の
支援等に努めるということ。こうして、消費者基本
計画を
策定し、総合的な消費者
施策を
推進することが重要だという考え方であります。
第四は、消費者
施策の
拡充強化です。
安全の確保では、安全を害するおそれのある商品の回収や危害・欠陥情報の収集、公表。消費者
施策に関する情報の積極的な公開。消費者契約の適正化
規定を新設し、不適正勧誘の規制の明示。また、苦情、紛争の迅速公正な解決の体制強化のために、地方公共団体のみならず、国や
国民生活センターの苦情処理、紛争処理機能の強化を図ることなど、これを
内容とするものでありました。
本修正案には、消費者運動が長年求めてきた消費者の
権利が明記されました。しかし、各党の一致点という
法案の性格がありますから、目的への消費者の
権利確保や、国、地方公共団体、事業者の消費者の
権利確保の責務、消費者政策の企画
作成段階の消費者
参加、国の紛争処理義務化や機能強化などが、取り入れることができませんでした。また、本来、消費者の役割とすべきものが、消費者の責務として残りました。
本案を足がかりにして、消費者の皆さんと引き続き協力して、これらの実現のために奮闘していきたいということを申し上げて、私の
発言を終わりたいと思います。