○金田(誠)
議員 ただいま議題となりました
平成十六年度における
国民年金法による
年金の
額等の
改定の
特例等に関する
法律案につきまして、
提出者を代表して、その提案の
理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
公的
年金制度及び各種手当制度につきましては、
国民年金法等の定めるところにより、毎年の消費者物価指数の変動に応じた物価スライドを実施することとなっています。
しかしながら、この物価スライドは必ずしも機械的に実施されてきたものではありません。
平成十一年から十三年までの三カ年においては、物価の下落は合計一・七%であったにもかかわらず、公的
年金等の額を据え置く
特例措置が講じられました。
また、
平成十四年においては物価の下落は〇・九%であり、したがって、
平成十一年から四カ年の合計はマイナス二・六%となるにもかかわらず、
平成十四年の比率であるマイナス〇・九%のみの物価スライドという
特例措置が講じられました。
さらに、このたびの政府提案によれば、
平成十五年の物価の下落は〇・三%であり、したがって、
平成十一年から十三年までの三カ年の物価下落分一・七%を加えれば合計マイナス二・〇%となるにもかかわらず、
平成十五年の比率であるマイナス〇・三%のみの物価スライドという
特例措置を講じるとしています。
平成十一年から五年連続で物価が下落するということは前代未聞の異常事態です。このことは、ひとえに小泉総理と竹中
大臣によるデフレ
政策の結果であり、政府は責任を免れることはできません。まず、
国民の前に謝罪すべきものと
考えます。
こうした中で、
厚生労働省も、最初の三年間は、来年は上がるだろうとの思いで我慢してきたものの、それも限界に達して、昨年は〇・九%の引き下げに踏み切り、ことしも引き続き〇・三%の引き下げを行うとしています。民主党としても、昨年までは賛成してきた立場であり、苦渋の選択であることはよくわかります。
しかしながら、政府の提案は矛盾しています。提案
理由によれば、第一に保険料を
負担する現役世代との均衡、第二に高齢者等の
生活への配慮が挙げられているものの、一律の引き下げは高齢者の
生活への配慮を欠いたものと言わざるを得ません。
また、さかのぼって
考えてみれば、
平成十一年から十三年までの一・七%の据え置きは、保険料を
負担する現役世代との均衡を失していたことになります。
今日までの政府の
対応は、一律の据え置きか一律の引き下げしかありませんでした。そうである限り、こうした矛盾は解消されません。
それではどうするか。解決のキーワードは、最低保障
年金という
考え方です。今日、諸外国においても
年金財政が逼迫する中で給付水準が切り下げられていますが、そうした中でも老後の最低
生活を保障するという
観点から、スウェーデンを初めカナダ、イギリス、オーストラリア等では、原則として全額税による最低保障が行われています。民主党も、昨年のマニフェストで同様の
考え方を打ち出したところです。
この最低保障
年金という
考え方を物価スライドに当てはめれば、物価が下落した場合はスライドして引き下げるものの、最低保障
年金の額は保障されるということになります。一律主義からの脱却でございます。
今日、我が国においては、最低保障
年金という制度は存在しません。しかし、近い将来の制度化を展望しながら、その
考え方を物価スライドに当てはめることは十分に可能です。このたびの民主党の対案は、こうした
観点から策定されています。
以下、この
法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、
平成十五年分の物価指数の下落分、マイナス〇・三%の物価スライドを行うこととする一方、最低保障
年金制度の創設を念頭に、
年金受給額が基準額を下回る者については、物価スライドを行わず
年金額を据え置くこととしています。
第二に、その基準額とは、主要なケースで、
平成十六年度における老齢
基礎年金の満額受給者の
年金額、おおむね六・六万円としています。
なお、この
法律の施行日は、
平成十六年四月一日としています。
以上が、この
法律案の提案
理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。