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武正委員 この間、サイバー
条約のとき、
条約の中に留保、留保がいっぱいあったんですよ。私が、
条約局長ですか、これはそれぞれ
一つずつ国会で、
日本が留保するか、認めるかどうか、できないんですかと。今
外務大臣の御
答弁のように、いや、これは留保すべきだ、あるいはこれは留保すべきでないとか、そういったことは国会で幾ら言われても、それは我々の仕事でありますからといったことがあったものですから、今回このことを取り上げたわけでございます。
四月二十二日に憲法調査会で齊藤参考人という方が最高法規に関する小
委員会に来られて、このときに
条約と国内法あるいは
条約と憲法、どっちが優越なのか、こういった
議論をいたしました。
私は、
条約の審議で、過日のサイバー
条約のときの賛成討論の中でも
指摘したように、サイバー
条約の国会での
承認によって、同時並行ですが、
関係の法案がたくさん出ている。
条約を署名、批准して、そして国会の
承認と同時にいろいろな法律を変えなければならない。ですから、
条約の影響というのは、非常に国内法、ある面、ですから
条約は国内法に優越なのかもしれないけれ
ども、そのときには
条件があると。
すなわち、
政府が国内法を整備したいものは
条約を署名、批准する。あるいは、国内法、まだ整備は早いな、あるいはしたくないな、特に、これはILO
関係八十三本あるいは人権
関係三十本といったものが実は未署名であるといったことも含めて、
政府の恣意的な形で
条約の署名、批准がなされて、それによって国内法が影響を受ける。ということは、私はやはり立法権の制約をかなり
条約の署名、批准というものは課してくるということがあるというふうに思います。
そういった
意味で、齊藤参考人からこういった
指摘に対してこのような
答弁があります。ちょっと長いですが、読みます。
ただいまの、
条約の
承認の際に留保を国会で新たにつける、あるいは
政府の原案にある留保を削るといったようなことが可能かということでございますけれ
ども、従来は確かに御
指摘のように、
政府見解としては、国会が留保を付したり、留保を外したり、あるいは修正をつけ加えることはできないという立場をとっておりましたが、これは、国会の立法府としての権限を考えますと、必ずしも正しくないというふうに考えられます。
かつての二国間
条約のように、
政府が相手国と交渉してきまして条文を詰めてきて、それで国会に
承認を諮っているという場合は、国会で留保を新たにふやしましたり修正をいたしましたりしますと、相手国とまた一から交渉をし直すということになってしまいますので、こういった場合に留保や修正ができないということは
一つ理由があり得ますけれ
ども、例えば、既に国際
会議等で
文書がつくられている多国間
条約の場合、これは、
日本国が留保をつけるとかなんとかということによって
条約の本文自体が変更されるということではありませんので、実際にその留保を付すことによって、まさに国内で法律に優位する効力を持って適用される規範の範囲、あるいは適用される規範の
内容といったものが
変化を来たすわけで、
実質的には立法にかかわる問題かと考えられます。
こういったことについて、つまり、御
指摘のような、留保をふやす、あるいは、
政府が留保しようと提案しているところについて、留保せずに国内法の整備を図るべきではないかというふうに提案するというようなことは、国会の権限の範囲内として考えられるというふうに思います。
こういった参考人の
答弁も憲法調査会の小
委員会であったんです。
この齊藤参考人の意見、私はやはり、バイの
条約と多国間の
条約は全くケースが違う、この参考人の
指摘、先ほどのサイバー
条約がまさにそれに当たるわけなんですが、そういった
意味では、この留保について国会が影響を与えられないといった
政府の見解は、私は、少なくとも多国間
条約、しかもその中に留保がいっぱい込められた
条約を
政府が国会に提出する場合には、どの留保を認めるべきであり、あるいはどの留保を認めるべきではない、こういったことが国会が影響を与えられてしかるべきというふうに考えますが、この齊藤参考人の
答弁を経て、
外務大臣はどのようにお考えになりますか、御所見を伺います。