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2004-01-15 第158回国会 参議院 財政金融委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年一月十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十二月五日     辞任         補欠選任      矢野 哲朗君     若林 正俊君      谷  博之君     峰崎 直樹君  十二月十一日     辞任         補欠選任      山口那津男君     荒木 清寛君  十二月十六日     辞任         補欠選任      荒木 清寛君     山口那津男君  一月十三日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     矢野 哲朗君      田村耕太郎君     野沢 太三君  一月十四日     辞任         補欠選任      野沢 太三君     愛知 治郎君      峰崎 直樹君     谷  博之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         平野 貞夫君     理 事                 清水 達雄君                 野上浩太郎君                 森山  裕君                 大塚 耕平君                 続  訓弘君     委 員                 愛知 治郎君                 入澤  肇君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 溝手 顕正君                 矢野 哲朗君                 山下 英利君                 若林 正俊君                 大渕 絹子君                 櫻井  充君                 谷  博之君                 平野 達男君                 円 より子君                 山根 隆治君                 山口那津男君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 椎名 素夫君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    参考人        株式会社足利銀        行元取締役頭取  日向野善明君        日本公認会計士        協会会長     奥山 章雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (足利銀行に関する件)     ─────────────
  2. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、尾辻秀久君及び田村耕太郎君が委員辞任され、その補欠として愛知治郎君及び若林正俊君が選任されました。     ─────────────
  3. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りします。  財政及び金融等に関する調査のうち、足利銀行に関する件の調査のため、本日の委員会参考人として株式会社足利銀行取締役頭取日向野善明君及び日本公認会計士協会会長奥山章雄君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 財政及び金融等に関する調査のうち、足利銀行に関する件を議題といたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  当委員会におきましては財政及び金融等に関する調査を進めておりますが、本日は特に参考人方々から足利銀行に関する件について御意見を伺いまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 自由民主党の矢野でございます。  今日は、当委員会奥山参考人日向野参考人、御出席を賜りまして、感謝申し上げます。  早速、質問に入らせていただきます。  今回の足銀破綻処理でありますけれども平成十五年九月、中間決算債務超過が問題とされまして、預金保険法百二条一項三号の適用ということになったわけであります。九月期の債務超過については、繰延税金資産評価平成十五年三月決算期のときから大変大きく解釈が変わりまして、そのことが今回の破綻処理の大きな原因だと評価をされております。  そこで、九月期の繰延税金資産評価についてお伺いしますけれども、九月中旬ころから、昨日の衆議院審議ですと、十一月の二十六日の朝までは、監査法人にるる調査のさなか相談をし、その段階では繰延税金資産が一千二百八億計上することができるという見通しであったというふうに発言をされているけれども、その確認をさせていただきたいと存じます。日向野参考人、お願いします。
  7. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 今、先生の言われたとおり、十一月の二十六日までは、九月の中旬以降、繰延税金資産計上額について、監査法人のチームと私ども銀行に来ていただいている方含めて十名余りの方とずっと検討を続けてまいりました。そして、検討段階で、最終的に、九月末は、九月末の繰延税金資産は千二百八億で計上しようというふうに合意に達して、その日までその資料のやり取りをずっと続けていたわけでございます。
  8. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 繰延税金資産につきましては、日本公認会計士協会会計制度委員会報告第十号、また検査委員会報告第六十六号などで実務指針が出ているわけであります。この件については、竹中大臣からも実務指針に基づいてというようなことで、その基準たるや度々この委員会でも指摘されておるわけでありますけれども、三月期決算時点でも、この実務指針に従って繰延税金資産を一千四百億円程度計上したわけであります。九月中間期についても、十一月の二十六日の朝まで、今申し上げたように、一千二百八億は計上できるという見通しだったというようでありますけれども、これは銀行側としても、当然監査法人の意向としてそうだ、銀行側としても、単なる意見の具申のみならず、銀行側としても当然そのことは可能性があるんだぞという根拠があったはずだと思うんでありますけれども、その根拠をお示しいただきたいと思います。
  9. 日向野善明

    参考人日向野善明君) それは、我々一番大きなポイントとしては、繰延税金資産の回収ができるかどうかということに懸かっているかと思っております。そこで、我々、監査法人と五年間の収益見込みをいろいろ打ち合わせて、すり合わせてきました。  当行では、リストラ、人員の削減、給与の削減、ボーナスのゼロ回答、いろんなことでリストラを続けまして、OHR、経費率が、この十五年三月期は五二%、十五年九月期は四八%という数字で、この高い経費率でもってある程度の収益を確保し、さらに業務純益では、この十五年三月期は四百八十五億、一年間で五百億近い業務純益を上げることができました。さらに、半年後の九月期では二百七十二億という、更に五百億を超えようとする業務純益を上げることができました。これをもってして、我々は収益右肩上がりだということ、かつ、三月期の繰延税金資産千三百八十七億を更に減らして千二百八億にする、収益は上がるけれども繰延税金資産は下がると、こういうような見通しの下で公認会計士と調整を続けたわけでございます。
  10. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 昨日もやり取りがされておりましたけれども業務改善命令に基づく一つの今後の改善計画銀行として打ち出されたと。そのことについて、甚だ達成が不可能というふうな判断もされたがためにというような発言もあったわけでありますけれども銀行側としては、昨年の三月、ましてや昨年の九月に至るまで、そういった意味では企業努力も相当された、リストラもしたと、それでもって業績がかなり好転をしたというふうな一つ意見だったということで間違いありませんよね。
  11. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 今お話し申し上げたとおり、収益改善傾向にありました。しかしながら、十五年三月期におきましては、株の減損処理によりまして最終的な利益は七百十億の赤字となりましたが、その手前の実質業務純益では、今申したとおり、確実に、着実に上がってきておりました。
  12. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 昨年の三月から去年の九月です。今申し上げたのは、昨年の三月までも相当頑張られたと、昨年の三月から昨年の九月までの推移はどうだったんですかと、かなり好転されましたよねと。で、この業務改善指針の、結果、銀行としても一つの今後の改善計画を立てられた。そのことについて、大変難しいというふうな監査法人一つ意見もあったようでありますけれども、その辺は業務改善命令に対して銀行として一つの立てられた改善計画が、今後五年間でしたっけ、その改善計画に従って順次順調に推移しているという考え方で間違いありませんか。
  13. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 今まで申したとおり、株の影響等では影響があったわけでございますが、実質業務純益では、例えば十四年九月は二百六十二億、十五年九月は二百七十二億と、着実に上げているわけでございます。これでもってして繰延税金資産を回収できる見込みが十分あると、こういうふうに判断したわけでございます。
  14. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 しかしながら、現実は九月中間決算時点繰延税金資産が一切認められないというふうなことに至ったわけであります。結果的に大幅な債務超過という報告金融庁になされたわけですね。  三月—九月という六か月の間で一つ基準が一変する。これ、大変無理な解釈通常では理解し難い解釈というふうに私は思うんでありますけれども、この原因として、銀行監査法人が何かの原因をもってして著しく信頼関係を損ねたと、等々のことがもしあったならばというふうなことは、原因を他に見るわけでありますけれども、例えば一例であります。銀行側として監査法人に虚偽の事実を報告したとか、そういうふうな関係はあったんですか。
  15. 日向野善明

    参考人日向野善明君) そのようなことは一切ございません。逐一、銀行状況、それから金融検査が入っておりましたから検査状況、いろんな点で逐一報告をさせていただいておりました。これは正確に報告をさせていただいたわけでございます。
  16. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 監査法人報告は、会計上の先ほど指摘申し上げた実務指針という基準に従ったそうでありますけれども、その基準自体監査法人の裁量次第で大きく結論が変わってしまうというような今のやり取りだったと思います。  今回、金融庁は、そのように不安定な監査法人報告結果を実質的にそのまま受け入れ、預金保険法百二条一項三号による破綻処理というドラスチック決定をされた、一連の経過であります。このような監査法人金融庁判断について、やむを得ない判断だったのかなというふうな、その辺での考え方をお示しいただきたい。  また、今回のように、もし破綻に至らなければ、足利銀行経営状態はその後どうなっていたのかなという御意見もちょうだいしたいと思います。
  17. 日向野善明

    参考人日向野善明君) この検査の結果というのは、金融庁の査定がございまして、引き当て額が増したわけでございます。引き当て額が増したにもかかわらず、九月期の検査が結果が出た段階ではまだ債務超過ではありませんでした。二百億以上の資産をもって債務超過ではないという判断ができましたので、これでもって三号措置はないというふうに我々は考えましたが、そのときに、二十七日になりまして突然千三百八十七億の三月期に計上した繰延税金資産を全額認めないと、こういうことが起きたために債務超過ということで三号措置という状況が起きて、特別危機管理銀行として管理されると、こういうことになったわけでございます。  こういうことがなければ、先ほど来申しておりますとおり、我々の足下はしっかり固まっております、業務純益も出ております、こういう形で着実に地元のお客様にお返しはできる、サービスを提供できると、こういうふうに考えておりました。
  18. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 そもそも足利銀行は、三月時点で、先般も大臣からも答弁がありましたけれどもティア1に対する繰延税金資産の比率が一八〇%以上だということで、ほかの地銀と比べても突出をしているということは事実でありました。その一方で、三月期には、ファイナンシャルグループ、グループとして、持ち株会社としての配当になるのかな、二十三億の利益ありとされているわけであります。  その時点で、足利銀行としても、今後の当然改善計画を立てられて、その改善計画にのっとって銀行健全経営に向けてひとつ努力をしようというふうに踏んでいたわけだと思うんでありますけれども、今回のように、この三号の処理という非常にドラスチック結論が予測されるならば、また何かより一層前向きな一つ努力がなされたと私は想像しているわけでありますけれども、三月時点監査法人から足利銀行に対して何らかのそういった警笛が既に鳴らされていたものなのかどうなのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  19. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 三月時点では監査法人の方から特別に指摘はございませんでした。  しかしながら、我々も、ティア1対比では一八〇%を超す繰延税金資産であることを認識しておりましたし、少しでも減らそうということで、千三百八十七億の三月期から千二百八億に減らしたわけでございます。ピークは千六百億ぐらい繰延税金資産はございました。それよりも順次減らして体質を改善しようと、こういうふうにしていたわけでございます。  さらには、健全化計画を八月に出しまして、その中においては、今年度四百億、来年度四百億、その次の年が二百億の不良債権引き当てをするという健全計画も立てました。これも、業務純益がしっかり上がっているから業務純益の範囲内で計画は遂行できると、こういうふうに考えたからでございます。
  20. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 奥山参考人にお伺いしたいと思うんでありますけれども、今、日向野参考人から九月期中間決算調査段階においても順次協議をしながらある程度の見込みをしっかりつかんでいたというふうな一つの考えが明示されたわけでありますけれども、正に監査法人としても、昨日のやり取りからすると、十一月二十六日の朝までは、それらのやり取りの中から、実務指針に従って繰延税金資産を計上できるという見通しを伝えていたということだと思うんですね。  そうすると、監査法人判断が、二十七日の朝十時に計上できませんという話でありますから、二十九日の朝から、二十九日の、いや、二十七日に行ったんですね。ですから、二十六日の朝まではそういう思いだった。二十七日の朝十時に銀行に行って繰延税金資産は計上できることは不可能ですという、伝える一つの対応があったわけです。ですから、その間に著しく監査法人としての考え方が変わったと。私は手のひらを返すような一つ判断だったというふうに思うんですよ。  ですから、昨日のやり取りの中でも、二十六日の審議会の中でこの決定がなされたということでありますけれども、その二十六日の審議の内容をひとつ御説明いただきたいと思います。
  21. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 私は中央青山監査法人代表社員も兼ねておりますけれども公認会計士協会会長に就任するときに、これは会長としてのやはり判断というものをきちっと持つべく公開会社監査はすべて降りております。それから、一法人の関与はしてはいけないということから、中央青山監査法人審議あるいは運営に関しては一切かかわっておりません。したがって、それを前提としてお話をさせていただきたいと思います。  それから、もう一つ前提としてお話し申し上げておきたいのは、今回の足利銀行事件というのは大変結果としては不幸なことだったと思います。また、ある意味で大変異常な出来事だったと、これは確かだと思います。しかしながら、一個一個その分析をしてみると、結果としてはやむを得なかったと、こういうことだと思います。  そこで、その前提を置いて先生に申し上げたいんですけれども、御質問にお答えしたいんですけれども監査意見というものは最終的にはぎりぎり、結論を出す段階の環境をよく見る中で行われるものだということなんです。つまり、通常、何もなければ、監査を始めた時点から監査を終了する時点でそう大きな問題がなければ、そのまま意見が形成されると思います。しかしながら、その途中で、あるいは結論を出す段階で大きな出来事が発生すれば、これは当然そのことも含めた判断をする、そういう監査意見でなければなりません。  これは、りそな事件でも、りそな銀行事件でもそうでございました。大変ぎりぎりの段階意見表明をして、りそな銀行の前頭取さんも言わば背信的行為だと、このような発言があったかと思いますけれども、今回もやはりぎりぎりの監査意見が出たということは間違いないと思いますけれども、やはりこれは異常な出来事があったという前提でなったものだというふうに思います。つまり、事態の突然の変化ということがなければ、おっしゃるように急に意見が変わるものではありませんけれども事態の突然の変化というものがあれば、これは最終的にそれを含めた監査意見を形成せざるを得ないと。  今回は何が事態の突然の変化かといいますと、やはり金融庁検査結果を銀行決算に含めて処理したということが結果としては大変な損失が出た、こういう損益計算書を出されたのではないかと。これはやはり突然の変化というふうな形でとらえざるを得ないのではないかと、このように思っております。  これは私自身が関与したわけではありませんので、報道等を含めて私が理解した限りでそういうふうに判断をしております。
  22. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 是非、奥山参考人日経ビジネスの十二月十五日号で御意見を述べられている一つ経緯があるわけでありますから、会計士会長という立場以外にもひとつ主観的な立場答弁を願いたいと思います。  ですから、今、大きな変化があった、その大きな変化金融庁検査結果でありますよと、こういうことですよね。
  23. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 金融庁検査結果が原因だと思いますけれども金融庁検査結果を受け入れた決算書が出されたということが大きな変化だと思います。
  24. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 ですね。  金融庁検査結果を出されたのは二十九日の午後五時なんじゃないですか。ですから、それからすると、私、この間も大臣始め関係者と話したときに、特に伊藤副大臣答弁なんだけれども監査法人というのは、その監査基準に基づいて、そして独立した立場から厳格な監査に努められていると私どもは承知をいたしております、今回の足利銀行の問題につきましても、足利銀行が選んだ監査法人が、そして監査基準に沿って、そして経営者から提供された情報に基づき監査人として独立した立場で厳格に判断したものと考えておりますと。これは原則論だけれども、こうやるべきだという話だと思うんですね。  その監査結果が、金融庁検査結果が翌日の、二十九日の午後五時に出るわけですよね。あくまでも独立前提として銀行と一緒にこの検査の、九月時点決算中間決算を協議しているというふうなことが建前ですよと、これ、そういう話だと思うんですけれども、いかがですか。
  25. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) そこの具体的なやり取りは承知しておりませんけれども、昨日の衆議院委員会でのやり取りを聞いておりますと、十一月の二十一日におおむね検査結果が分かったと、それからそれを基にして十一月二十六日に決算書監査法人銀行から提出されたというふうに聞いております。
  26. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 改めて御指摘申し上げたいんだけれども監査法人監査の在り方としての独立性、今回私は相当そういった意味では金融庁の、途中経過、何か話によると四回ほどミーティングをやったという話も聞いております、金融庁監査法人が。そういう中で、経過推移を十分に協議しながら、最終的に十一月二十九日、採用できないという一つ経過があったと私は理解しました。この監査独立性というのは一切担保されなかったと、こう指摘せざるを私は得ないと思うんであります。  また、仮に九月の決算が正に妥当性があるということになりますれば、そもそも繰延税金資産、三月期で一千四百億計上したわけでありますから、その段階監査法人適正意見が述べられているわけですね。その適正意見は過ちだということになりますか。
  27. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 今のお話の中で、まず前段ですけれども、私が昨日のお話等を聞いている限りでは、金融庁監査法人が直接話合いをしたということではなくて、あくまでも金融庁銀行が話された結果を銀行から監査人が聞いていると、こういう経緯だと思います。したがって、監査人金融庁と直接お話をしてどうだこうだということはなかったのではないかというふうに理解をしております。  それから、三月期決算において元々は債務超過でなかったのかと、こういう御指摘でございますけれども、これは、冒頭申し上げましたけれども分析をしてみると必ずしもそう言えないのではないかと。つまり、検査監査ということについてのこの仕組み、システムを理解をよくしてみればみるほど、やはりそれは、三月なら三月で決算が成り立っている、そして九月は九月でまた別の決算が成り立っている、こういうふうに考えざるを得ないのではないかと思います。
  28. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 しかしながらということでありますよね。私は、足利銀行だけでなくて、どんな地銀でも、一千億の、一千四百億の評価が、評価される、ゼロ評価だと、こういうふうな一つの、考え方が一変するようなこの考え方がもし採用されるならば、私は、ほかの地銀だって大変な僕は事態に陥るというふうに考えるんですよ。いかがですか。
  29. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 冒頭申し上げましたけれども足銀のこの事件は大変異常な出来事だというふうに思います。これは幾つかの要因が重なってこうなったんだと思うんです。  その一つは、足銀さん自体が非常に自己資本が脆弱であると、これほど脆弱な銀行はほかにはございません。
  30. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 済みません、端的にお願いします。一千四百の件でちょっと、考え方について。
  31. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) ええ、ですから、自己資本が脆弱だということと、それから検査結果と監査との違いございますけれども、これは常にどこの銀行でもあり得るんですが、その違いは足銀にとっては大変大きなウエートがあったということで、それが繰延税金資産委員会報告六十六号に対しての影響を与えたという見方でございます。
  32. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 私が申し上げたいのは、一千四百億もの評価評価されるのと、ゼロ評価ということになりますればどの銀行だって大変な影響ありますよというふうな話ですよ。  それで、少なからずとも三月時点決算でもって監査の結果、要するに株主並びにその他の方々信頼は、意見を、監査法人意見をもってして適正であるということで、要するに公表されたあの結果を信じるわけですね。今の話じゃ、とてもとてもそういうふうなことができないというような話につながるんじゃないですか、信じられないという話につながってしまうんじゃないですか。
  33. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 監査委員会報告の六十六号といいますのは、繰延税金資産、一挙にゼロにするということを言っているわけではございません。委員会報告をごらんになっていただければ分かりますが、今回は、仮に五年が認められなくても三年で認めるという第一段階としては余地はあったんです。あるいは本則へ戻って一年の繰延税金資産認めるという余地も私はあったと思います。しかし、残念ながら自己資本の脆弱性、つまり五年を認めても〇・何%というふうなことだと、足利銀行じゃなく、りそな銀行は三年認めても三・五だったんですね。足利銀行の場合は三年認めても〇%を割るんですよ。〇%を割るということは債務超過だということなんです。
  34. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 逆に、金融庁検査結果なんだけれども、三月期のこの繰延資産計上、一千三百何億かありましたですね。それでもって検査結果の指摘は二十六億だけ見直しなさいというふうな話だったですよね。要するに、三月時点のこの金融庁検査結果でもって債務超過だと言いながら、繰延税金資産は一千三百何十億という、この申告した中での是正は二十数億にすぎないというふうな一つ経過はどう評価します。
  35. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) これは金融庁に聞いていただきたいと思うんですけれども繰延税金資産の回収可能性については第一義的に監査法人判断を妥当とするというふうに思います。それがよっぽど違っている場合だけ指摘すると。そこは不良債権の償却引き当てについての査定の問題とは違っていると思います。
  36. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 いずれ、時間がないものでありますから。  監査法人意見を出した際、銀行や株主たる栃木県民、ひいては監査制度全体にかかわる問題という意味では国民全体に対する監査法人の責任というものがあろうと思うんであります。ですから、今の一連のやり取りの中で、限界がありますよ、だから致し方ないんですよ、金融庁検査とは全く根本的に違いますよというふうな話をされているけれども、それじゃ進まないんですよ。そういうふうな一つの今の法の、法体制の実態、非常に欠けたところがあるということになれば、そこに問題を持っていかなければいけないんでありますけれども。  あわせまして、今回、整理回収機構が保有する劣後債が全面的に保護される一方、地方自治体始め地元栃木県の中小企業及び個人がほとんど協力して保有しております優先株については、内容的に劣後債とほとんど性格を同じくするというふうに、私、表明してもいいと思うんだけれども、しかしながら一切その優先株は保護されないわけであります。  しかし、私としては、今回、今やり取りをやりながら本当に、この間も冒頭申し上げたんだけれども、三号処理ありきということで何か一連の話が進んだというような感じがいたしてならない。なおかつ、その最後の局面に来て、銀行が九月期の中間決算をするに当たって一両日しか、要するに一つの精査する期間しかなかったと。非常にそういった意味で、株主の自己責任における選択権なんというのはとてもとても判断できるような余裕がない中にこの結論が出てしまった、こういうふうな一つの展開であったというふうに理解します。そうすると、金融庁が一方で株主の自己責任をうたいながら、他方では劣後債、債権者の全面的な保護を認める。余りにも社会的公平さを欠くというふうに私は理解しなければいけない。  この監査法人の、今回の一連の展開について、私は、株主としては対処のしようがなかったというふうに私は判断をするんですけれども日向野参考人、いかがですか。
  37. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 二十七日の結果通知を受けてから、同じ日に金融庁の結果通知を夕方受けました。そして、そのとき併せて二十四条報告がありまして、監査法人と協議、検討した上、速やかに出すことと、こういうふうな指示がございました。  金融庁からの指示で、我々は監査法人と今話合いを続けているから待ってくれというふうに頼みましたが、それも聞き入れてもらえず、監査法人との繰り返しの打合せ協議も、これも監査法人が認めてくれませんでした。この両面から、あわせて窓口の対応、新聞、マスコミ等の対応、いろんな面から私どもは極めて短い期間に結論を出さざるを得なかったと、こういうことでございます。  株主の皆様には本当に申し訳なかったんですが、特に私どもの、足利銀行の株主というのは、投資家、いわゆる投資家、利益を目的とする株主ではありません。足利銀行を良くしよう、足利銀行のためにやってやろうと、こういう株主の皆様でございます。こういう人たちに対して本当に申し訳なく思っております。
  38. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 九月における性急な三号措置決定は、正に初めに三号処理ありきというふうな方針で金融庁主導の下行われたんではないのかなと疑わざるを得ないような一連の展開があるんですね。仮にそうであるとするならば、それは政策的な観点から、日向野参考人から今話もありました。足利銀行を支えてくれた栃木県民を犠牲にしたと言われてもやむを得ないような私は措置だった。このように不明確な手続による措置をもし認めるならば、私は、今後、第二、第三の足利銀行が日本の各地の地銀でも発生する可能性が多分にあるんだというふうな私は心配があってしようがないんであります。  竹中大臣、日ごろ監査法人独立性からその判断を尊重したと言うが、今回それが実態とかなり遊離しているということが今のやり取りで私は明確になったと思うんです。今後、今回の措置によって犠牲となった国民に対する責任の所在、明らかにしていかざるを得ないと思います。  また、三月期の段階で十分な指導性を発揮しないまま一千四百億円余の繰延税金資産の計上を認めておきながら、金融庁の関与があるや三月期とは全く異なる判断をしている。足銀破綻に追い込んだ責任は監査法人にないとは言えないと思います。これは監査制度全体に対する国民の信頼にかかわる問題であり、監査法人の責任についても考える必要があろうという私は強い疑問を持ちました。  また、今回の性急な破綻処理の過程で、株主は対処の方法もないままに有していた株券の価値を失ってしまった。このような実態に即して、理不尽な損害を被った株主の保護を図るための何らかの措置を取るべきだ、かように考えるところであります。  時間、経過いたしましたが、ありがとうございました。
  39. 山根隆治

    ○山根隆治君 山根です。  日向野参考人にまずお尋ねいたしますが、その前に、大変心労の重なっている中で今日お出ましをいただきました。非常に見えざるいろいろなプレッシャー等もある中での公述だと思いますけれども、是非、日本の金融行政のためにも思い切ったひとつ御発言をこの際期待をいたしたいというふうに思っております。  まず、北朝鮮への送金の問題でありますけれども、一部マスコミ等で、アメリカから指摘があって、北朝鮮への送金六百億ほど足銀を通じてなされたというふうな報道もございました。この数字の内容についてはつまびらかに私も承知いたしておりませんけれども、御承知いただいている範囲で、いつごろから、どの程度北朝鮮に足銀を通じて送金がされたということを御認識になっていらっしゃるかどうか、お尋ねいたします。
  40. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 私の記憶でございますが、昭和五十四年ごろから送金の取次ぎが始まったかと思っております。その後、五百億という数字は、これはよその銀行も含めた数字でございまして、私どものいわゆる郷里送金と言われる家族や親族に送る送金はそれほどの額ではございません。最近の数字でございますが、平成十一年、十二年、十三年辺りは百万ドル程度でございました。一億ちょっとでございます。こういう数字でございます。  さりながら、私どもは、事務の効率化のために送金の停止を考慮いたしまして、十四年の四月に北朝鮮とのコルレス関係を全部撤廃しまして、その後一切取り扱っておりません。
  41. 山根隆治

    ○山根隆治君 次に、奥山参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど奥山さん御自身からお話ございましたように、中央青山監査法人代表社員ということで、今でも非常に実力者として影響力をお持ちだというふうに承知をいたしているんですけれども、そういう前提でお尋ねいたしたいんですけれども中央青山監査法人には旧大蔵省及び現在の財務省のOBあるいは現職の方々が出向していたり、あるいは社員として雇用されているというふうな実態はございますか。
  42. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 現在はないと思います。元ノンキャリの方が一人採用されていると思いますけれども、キャリアの方はいないと思います。
  43. 山根隆治

    ○山根隆治君 そういたしますと、今まででここの中央青山ではノンキャリの方が一名だけだというふうなことで理解してよろしいんですか。
  44. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) そうだと思います。
  45. 山根隆治

    ○山根隆治君 なぜこのようなことを両参考人にお伺いするかといいますと、昨日の衆議院委員会でのいろいろな御議論を聞いていましても、なかなか理解がちょっとされないところがありました。当委員会で、閉会中の審査で竹中大臣との論議もこの委員会でございましたけれども、どうも政府からの説明によっても、なぜ三号措置であったのかということが非常に合点がいかないことがございました。いろいろと法律上の問題や規約等でそれを棒読みされるような形で、木で鼻をくくったような説明だというふうに私自身は受け取れて仕方なかったわけですけれども、まあ、そんなふうなことでございますが、非常にミステリアスな感じが三号措置についてはいたします。  巷間、いろいろな真相というものは何なのかということが論じられているわけでありますけれども、来年の四月にペイオフが全面解禁になるというようなこと、あるいはまた今度の通常国会で公的資金の予防的注入可能な措置が取られるよう新法を作るというふうな背景等があって、この際、地銀で内容が余り良くないというふうに思われる足利銀行をいけにえにしたのではないかというふうな取りざたもされるわけでございますけれども、これについて、こうした見方に対しては日向野参考人はどのようにお考えになりますか。同意されますか、私の見解に。
  46. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 背景にどういうことがあったのかは私は知るすべもありませんが、いろんな点で、たまたま同じ日に監査法人から通知され、金融庁から通知され、それから時間的にも余裕を持たされない、いろんなことで我々としては納得できない部分がございます。しかしながら、何があるのかは事実以外は分からないわけでございまして、私には知る由もありません。  しかしながら、短期間でこういう結論を出さなくちゃならなかったということ、短期間でこういう状況変化があったということ、これには非常に残念な思いで一杯でございます。
  47. 山根隆治

    ○山根隆治君 ミステリアスだからこそいろいろなことが言われるわけですね。北朝鮮との関係というのをこの際帳簿を全部洗い直して徹底的に調査する、そういう意図があるのではないかというふうなこと等も実はございますので、あえて先ほどああした質問をさせていただきました。  三月期、昨年三月期決算につきましては、中央青山監査法人監査結果、そして金融庁検査ということで、非常に大きな隔たりが結果的にございました。監査法人の方では風邪だというふうな患者さんを見立てたものが、実際にはもうがんの末期症状だというようなことを国から言われたようなもので、非常にこの辺がどうしても私も昨日の議論を聞いていても理解ができません。  そこで、お尋ねをいたしたいんですけれども、もし金融庁のこうした措置というもの、それを形としては足銀の方はそれも認めざるを得なかったということになったわけでございますけれども、しかし結果として認めたということは今回ございます。金融庁の言うように三月期の決算債務超過だったとすると、足銀は私は結果として粉飾をしていたというふうなことになりはしないか、あるいはまた逆に中央青山監査法人の方ではそれに加担していたということも私は言えるかと思います。こうした問題についてはどのようにお考えになりましょうか。両参考人にお尋ねいたします。
  48. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 最初にどちらが。じゃ、日向野参考人
  49. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 三月期の決算につきましては、会計基準にのっとり正しく計上しまして、監査法人によって確認をしていただいたものでございます。粉飾ではないと思っております。
  50. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 三月決算はそれぞれ妥当な決算が出され、妥当な監査が行われて、その結果だと思います。  また後で御質問あれば是非お答えしたいんですけれども監査検査の違いというのがどこにあるかということについては、是非その御認識をいただきたいと思います。それだけ申し上げておきます。
  51. 山根隆治

    ○山根隆治君 具体的にはどのようなことを言いたいんですか、奥山さん。
  52. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 監査検査というのは、実は数年前から同時並行といいますか、制度が走って、銀行決算を組んで、それを監査人監査をする、それを事後的に金融検査でチェックをしていく、こういうシステムができ上がったわけですね。  私は、前々から、こうなると、検査監査では必ず見方の違い、目線の違い、それから目的の違いから乖離が出ると、そういうふうに申し上げていました。ですから、乖離が出た場合にそれをどう修正するのか。現実に多くの銀行検査でもって監査との違いについて出ております。これは金融庁に確認していただければ分かると思いますけれども、ほとんどの銀行において検査の結果は自己査定あるいは監査と違う、そういう差異が出ております。  これをどう修正するのかというのが当初からの懸念でありまして、私は、あるときは検査監査を同時に行ったらどうかと。そうすると監査検査が違うことが起こり得ない。それは一番決算を固める上でいいのではないか。  しかしながら、これを申し上げたら、金融庁としては、これは事後検査という、事後監督という立場をまた放棄することになる、また、決算に対して金融庁が介入することになる、これはあくまでも監査は証取法のシステムで成り立っていて、検査銀行法の上で成り立っているものだから、これはやはり分けるべきだというそのことは変えないと。ここが一番違うところで、具体的に何が目線が違うか、何が見方が違うかということをまたお尋ねであれば申し上げたいと思います。
  53. 山根隆治

    ○山根隆治君 いろいろと伺いたいんですけれども、時間の制約がありますのでね。  それではお伺いいたしますけれども繰延税金資産についてですけれども繰延税金資産を除いた実質的な、それでは、先ほども御議論ありますが、自己資本比率が四%をクリアしている銀行というのはどれぐらいあるというふうに御認識なさっていますか、奥山さん。
  54. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 四%を繰延税金資産だけで賄っているという意味ですか。
  55. 山根隆治

    ○山根隆治君 いや、除いて。
  56. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 繰延税金資産を除いて四%をクリアしている銀行がどれだけあるか、いや、私はちょっとその計算したことございません。
  57. 山根隆治

    ○山根隆治君 非常に厳しい結果が私は出るんだろうと思うんですね。  今回、繰延税金資産を認めなかったということについて、果たして、それじゃ、他行全部、地銀から都市銀行から全部含めてそういうふうな措置を取った場合には、私は、もう大変な金融恐慌が起こるというような実態というのは、私、あるんだろうというふうに思っております。したがって、本当にこれからも私はこの措置というものが様々な形で悪影響が出てくると思うんですけれども、この繰延税金資産金融庁のさじ加減一つで決められるような、そういう非常に頼りないものだというふうな印象を私は多くの金融関係者は持っただろうというふうに思っております。  したがって、例えばですけれども、行政上の資本にはこれを算入しないというふうな考え方があるわけでございますけれども、これについてどのようにお考えになるか、あるいは会計上、これに代替される措置というものは考えられるかどうか、参考までにお尋ねいたします。
  58. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 確かに、お話のように、繰延税金資産の一部算入規制という形で自己資本比率を算定する方法はあるかと思います。私は、それは監査人繰延税金資産の是非をしなくてもいいという意味では賛成でございますけれども、ただ、これには前提として、やはり今積み上がっている繰延税金資産が余りにも大きい。大きいのは、これは税法で過去に繰戻し還付を認めてないということがあってこういうことになっているわけで、アメリカ等では繰戻し還付を認めた上でこうなっているわけですから、そこはやはり制度上大きな違いがあるので、そこを前提としなければいけないというふうに思います。
  59. 山根隆治

    ○山根隆治君 日向野参考人にお尋ねをいたします。  金融庁は、二〇〇一年以降、二年以上も検査をしておりません。その間、二百九十九億円の第三者割当て増資を容認して持ち株会社の設立も認可してきたわけでございますけれども、この間というのは非常にお互いの信頼関係が確立されていたのかなというふうに私思うんですけれども、こういう認識でよろしいですか、金融庁との関係で。
  60. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 金融庁との間では、以前から公的資金を受けている関係もあり、常に報告を求められ、またこちらから状況報告もするようなことも多々ございました。金融庁との間は特にまずい状態にはなってなかったと私は思っています。
  61. 山根隆治

    ○山根隆治君 そういう御答弁を聞きながら、表現が少し悪くなりますけれども、別の言葉で言うと、甘えが生じていて、なれ合いというふうなことの状況はなかったというふうに理解してよろしいんですか。
  62. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 公的資金を受けて、二度受けていることもありまして、危機対応室が窓口になって、銀行二課と併せて危機対応室が我々の資料を受け取ったり、話を聞いたりしてくれました。危機対応室は非常に厳しい見方で、健全化計画を必ずクリアしろと、これは常に言われておりまして、我々も健全化計画をクリアするのが最大の目標で、剰余金を積み立てて千五十億、公的資金を返すのが一番の目的だと、こういうふうに思って常々敏感な気持ちで対応をしておりました。
  63. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、時間でございますけれども、最後にお尋ねいたします。  受皿作りということでは県民銀行構想というものも地元であるやにも聞いておりますけれども、これについての見解を一つお尋ねします。そしてもう一つ、善意で増資に応じた方々、株主からの様々な、これいろいろな問題が出てくるかと思いますけれども、訴訟の可能性というものは感じておられますか、そういう方々から。この二点だけお尋ねして終わります。
  64. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 県民銀行という話でございますが、これは地元密着とする地方銀行としては非常に好ましい方向だとは思います。ただ、いろんな問題が具体的にございますので難しいことだとは思いますが、県民銀行として認知すると、こういう話は非常に有り難い話でございます。  それから、裁判の話については私は具体的には聞いていないんですが、そういうようなことを言っている方もいらっしゃるという話は仄聞をしております。
  65. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) よろしいですか。
  66. 山根隆治

    ○山根隆治君 結構です。
  67. 平野達男

    平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。  今日はお二人の参考人、どうもありがとうございます。特に日向野参考人におかれましては連日の御出席、本当にありがとうございます。  今回の足利銀行破綻でございますけれども、去年の十五年三月、昨年の三月からの状況を見ますと、まず三つの局面があろうかと思います。要するに、十五年三月期の決算、それから金融庁金融検査、それから中間決算という、この三つの局面がございまして、その三つの局面の中で監査法人金融庁さんが資産評価繰延税金資産について結果として見れば違う判断をしまして、その中で足銀さんが翻弄されてきたというような、そういう感じではなかったかと思います。  そこで、一点目の質問なんですけれども金融庁検査と十五年三月期の決算との比較であります。これは、御承知のように、自己資本比率が一気に四・五%からコンマ七%、五・二%ということでつるべ落としのように落ちているわけですね。これはもう資産評価が全然違っていたということでありましたけれども日向野参考人は昨日の衆議院財政金融委員会では予想以上に厳しい検査であったということを述べておられます。その厳しい検査の中身を聞きますと、どうもDCF法、例えば担保の評価にDCF法を使ってきた、それから資産区分もちょっと考え方が違っていたというような発言であったかと思います。  資産区分の見方が金融庁足利銀行でどのように違っていたのか、ちょっとここで具体的にちょっとお話しいただけないでしょうか。
  68. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 私たちは地元の企業を存続させる、成長させることが目的だと思っております。そのためにできるだけ良い面も評価をしようと、こういう考えで金融検査マニュアルの範囲内で引き当てを積んでおります。特に、私どもの地元では温泉、旅館を背景に持っております。温泉、旅館についてキャッシュフローだけで考えると償還年数が三十年、五十年という形になります。ですから、バランスシートだけじゃなくて、これは、収益還元法を使うのは、プロジェクトファイナンスなどでは一つの単体の収益還元法で計ることができるかと思いますが、我々はコーポレートバンキング、お客様全体を見て与信を計っているわけでございます。  例えば、旅館、温泉につきましても、その旅館の特性とか、単にキャッシュフローだけじゃなくて、それから位置付けとか特異性とか地域における順位とか、いろいろ、いろんな角度から計ってリレーションバンキングを実行しようとしております。これが画一的に評価をされたと、こういうことについて非常に残念に思っております。
  69. 平野達男

    平野達男君 恐らく金融庁の当局と激しいやり取りがあったと思うんですが、最終的にはこれは足利銀行さん、受け入れたわけですね、金融庁考え方をですね。その受け入れた過程の中で、例えば足利銀行さんがいろんなことを主張したけれども金融庁の圧力で受け入れたと。奥山参考人は、日経新聞の中に、地方銀行は圧力に弱い、金融庁の方の圧力に弱いというようなことを発言しておられましたけれども、こういうことというのはやはりありましたか。
  70. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 金融庁とは激しいやり取りをしました。九月二日に入検して以来、十一月十一日まで入っていたわけでございますが、二か月以上にわたりまして、今述べたように、リレーションシップバンキングが反映されていないと、こういうようなことも含めて、収益還元法を全部、全部といいますか、業種によって適用するというのはいかがなものかとか、いろんな考え方について激しく抵抗をしました。  しかし、そして、最終的に十一月十一日に入検が終わりまして、帰る際に意見申立てをしました。その意見申立てを幾つか、今言いました債務者区分のこととか担保評価のこと、例えば担保評価などは、私どもは不動産鑑定士の証明書をもって担保評価をしているんですが、それは認めないと、こういうようなことまで言われました。収益還元法でやってみろと。収益還元法でやってみると、低い方はより保守的だから低い方でやれと。こういうような形で、いや応なしといいますか、やむを得ず受け入れたわけでございますが、いろんな形で今までの検査とは特異性があったと思っております。
  71. 平野達男

    平野達男君 この四・五%からコンマ七%までに低下するというのは、これは今までに例がなかったんだろうと思います、こんな例は。そうしますと、これなぜかというのは、これは徹底的に分析してみる必要があると思うんです。  客観的に見ますと、金融庁が今までの検査と全く違う基準検査をしたか、足利銀行が物すごい甘い査定をしていたか、どっちかなんです。あるいはこの二つのミックス。これ二つしか考えられないんですね。  今までの日向野参考人お話の中では金融庁が豹変したというような観点からお話しされていたと思うんですが、これは今翻って考えますと、足利銀行としての査定も実は甘かったんではないかというような指摘がされた場合に、指摘もこれ当然出てくると思うんですが、今翻って考えてみて、どのような感想をお持ちですか。
  72. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 私ども金融検査マニュアルにのっとった基準でやっておりましたし、決して甘いとは思っておりません。  さらに、ただ、切り口がやはり違うということは確かにあります、キャッシュフローで見るとか。我々はそうじゃなくて、先ほど申しましたとおり、コーポレートバンキングだから、企業を見て、全体を見て反映するんだと、こんなような考え方とか、それから、いろいろな考え方で相違はございましたが、私どもは、引き当てについては確かに大きな差が出ましたけれども、間違ってはいなかったと思っています。  さらには、監査法人検査を、資産査定を受けております。この監査法人資産査定は全部の金額の九〇%を見ております。ですから、監査法人にもチェックをしていただいたと、こういうふうに思っております。
  73. 平野達男

    平野達男君 いずれ、この自己資本率の落下というのは、低下というのは本当に異常でありますので、この原因についてはもう少し金融庁なんかにも聞いてみたいと思っています。  ちなみに、このリレーションシップバンキングという言葉、先ほど日向野参考人も使われましたけれども、これ、竹中大臣も繰り返し使っております。今回の足銀の取扱いをめぐって、どうもこのリレーションシップバンキングというのは言葉だけで中身がないんじゃないかというようなことを、日向野参考人、訴えているように思ったんですが、どのような御見解をお持ちでしょうか。
  74. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 確かに、現実の検査では、引き当て額関係ないような小さな案件については割とリレーションシップバンキングを認めてくれた何件かはあります。しかしながら、金額の多い部分については、先ほど申したとおり、収益還元法などを用い、大きな差が出たことは確かでございます。
  75. 平野達男

    平野達男君 それでは、奥山参考人にお伺いしますけれども奥山参考人は、先ほどから、あるいは日経新聞などの新聞の、マスコミの報道なんかを見ますと、監査検査というのは違うんだということを力説されております。しかし、十五年三月期の監査は、これは青山監査法人がやられまして、資産査定、それも一応オーケーを出したと。しかし、私が先ほど来申し上げておりますように、結果として資産査定は甘かったということで大きな自己資本比率の低下が起こったわけです。これだけの異常な低下が起こったということは、いわゆる監査法人立場からしてやむを得ないという立場なんでしょうか。
  76. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 先ほど申し上げましたように、具体的なことは分かりませんけれども、私の推測で申し上げますと、やはり企業が、特に地方における企業が再建できるかどうかというのは、今の経済の中では大変微妙な立場に立たされているというのは事実だと思います。  私どもは、やはりそれにおいては、民間の一会計士としては、やはり再建できるものはなるべく再建させてあげたい、なるべく明るい方向で見てあげたい、これはやはりあり得ると思います。一方では、金融庁検査では再建できるかどうかは分からぬというものについて一つの客観的な物差しで測ってくると、これもあり得ると思います。  この評価というのは大変難しいんですね。先ほど温泉旅館の話が出ましたけれども、それじゃ栃木県の某温泉旅館が本当につぶれないでやっていけるのかどうかということについて、これは両方の見方がやっぱりあり得ると思うんです。私どもは、こういう改善をして、こういう再生の努力をしたらあり得るんじゃないですかと言われれば、それはそういう方向がいいねと、こういう判断をされると思いますし、一方で、キャッシュフロー等を見たら、とてもそんな長い間回収できないようなことで本当にやっていけるんだろうかという見方を取れば、それもあり得ると。そういう幅は私は確かにあると思います。
  77. 平野達男

    平野達男君 これは評価でありますから、それぞれの立場によって、あるいは見方によって変わってくるというのは、これは十分理解できます。理解できますが、今回の場合は余りにも違いが大き過ぎる。  これが先ほどの奥山参考人お話しの、御説明によりますと、決算後の検査、それから決算前の検査、時期的な違いがありますよと、目的が違いますよという、そういう御説明でした。こういう、これだけの大きな差が出てくるというのは、これは足銀だけの特別な問題だというなら分かりますよ。そうじゃなくて、実は検査の全体の今のこの制度、構造上の問題から出てくる問題なのか。あるいは、この足利銀行、今、先ほど言いましたけれども足利銀行に限ってのこういうような大きな差が出てきたということなのか。この辺についての御判断はどのような判断でしょう。
  78. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 検査監査の違い、もっと言えば自己査定と金融庁検査との違いというのはどの銀行でもあり得ると思いますし、現実にあると思います。足銀が異常だったかと言われると、それほど異常だったかどうかというのは私は分かりませんけれども、こういう結果になったのはやはり自己資本がほかの銀行よりもはるかに低かったと、自己資本比率が低かったということが一つ原因ではないかと。乖離の状況については、私も金額的に、あるいは率の状況というのはよく知りませんけれども、それほど突出して足銀が多かったというふうには聞いておりません。
  79. 平野達男

    平野達男君 いや、私が申し上げているのは、十五年三月期の決算のときには四・五%だったんです。それが金融庁検査で、繰延税金資産にはほとんど触れないまま、資産査定の結果、〇・七%まで一気に落ちているわけです。この差というのは、確かに先ほどのお話の中では資産評価ですから、見方が分かれるというのは、これは分かるんです。分かるんですが、これ足利銀行だけに起こった特異な現象なのか。それとも、今の全体の金融検査監査という中で違いがありますから、違いというか、いわゆる手法、目的、時期の問題、こういったものからこれぐらいの大きな落差が出てきてもやむを得ないというふうに判断されているのかという、そういう御質問なんです。
  80. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 四・五から〇・何か、数%ですね、数%の落ち込みというのは私はどの銀行でもあり得ると思います。現実に主要行でも数%落ちたということは過去にも経緯があると思います。ですから、そういう意味での自己資本比率が四%台にいた場合は、やはりそういう危険性は常にあるというふうに私は思います。
  81. 平野達男

    平野達男君 この場合に、監査法人は企業の決算内容の妥当性を証明して投資家の判断基準となる、そういったものを提供しているわけですね。そうしますと、自己資本比率が低い状態の監査状況というのは金融庁検査が入ってきた段階でいつでも変わり得る可能性があると、こういう理解してよろしいですか。
  82. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 正直申し上げて、今、具体的な何が違ったかということは私も分かりませんので、そこで、そういう問題があり得るかもしれないと今私も認識をしておりまして、早急にその具体的な違いを見ていきたいというふうに思います。
  83. 平野達男

    平野達男君 私はその違いを見ていきたいという発言は非常に大事だと思います。これをこのまま放置しておいたら、監査に対する信頼性が崩れてくる可能性があるんです。これをこのまま放置しては、金融庁もこれは放置しておけないと思うんです。ですから、これに対しては具体的なスケジュールと、なぜこういう違いが起こったかということをはっきり説明していただきたいと思うんですが、これ公認会計士協会立場としてどういった考え方で、どういった方向性で、あるいはどういうスケジュールでというようなことがもし今頭の中にあるとすればちょっと披瀝願いたいんですが。
  84. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) これについては特別の調査チームを設置して、金融庁、それから銀行、それから監査人、それぞれに守秘義務は外さない範囲で結構だからということで調査をしたいと思っておりまして、この結果をなるべく三月の決算のときには反映できるように早くやっていきたいと思っております。既にそういう考え方金融庁にはお伝えをしております。
  85. 平野達男

    平野達男君 そして、それではもう一つ、これは繰延税金資産の問題があります。これは、先ほど繰延税金資産の取扱いについては金融庁監査法人監査を尊重するんだというお話がございました。ただ、結果的に見ますと十五年三月期の決算金融庁検査では繰延税金資産はほとんど手を触れていません。それを踏まえて、中間決算を、中間決算監査では繰延税金資産をゼロにしている。大きなここにも違いがあるわけですね。  そこで、昨日の衆議院財政金融委員会で上野理事長が、なぜ繰延税金資産をゼロにしたんでしょうかという質問に対して三つの要素を挙げております。一つ金融庁検査による不良債権への引き当て増による自己資本比率の低下、二つ目は税効果資本のわずかな変動で債務超過に陥る脆弱性、三番目が将来の利益計画の実現性への疑念というこの三つを挙げておりますが、この三つはもう奥山参考人異議がないと思われますが、それでよろしいですね。  そうしますと、私が非常に気になるのは一番目と二番目なんです。金融庁検査による不良債権引き当て増による自己資本比率の低下、これ、自己資本比率の低下を起こしたのは、起こしたというのは金融庁検査です。これは金融庁は分かっていました、コンマ七%まで落ちているんですから。それから、税効果資本のわずかな変動で債務超過に陥る脆弱性、これも金融庁、分かるはずなんです。この一番と二番目の観点に関する限りにおいては、これは金融庁検査においても、税効果会計繰延税金資産については大幅な減額をしなくちゃおかしいと思うんです。これは金融庁検査、何で、金融庁さんは何でそのような判断をしなかったんでしょうか。
  86. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) その今の件については何とも私にも分かりませんけれども、基本的には繰延税金資産については委員会報告六十六号に基づいて判断するということだというふうに聞いておりますけれども、それ以上の、三月決算について金融庁がどういう判断をしたか私には分かりません。
  87. 平野達男

    平野達男君 私はこれは監査法人としても疑義を挟むべきだと思いますよ。こんな大きな話が、しかも、大きな話で、上野理事長は明らかに三つの基準を明確に言ったんです。一番目と二番目の基準はだれが見たって金融庁は分からなければおかしいんです、これは。でなければ、金融庁の担当官は何をやっていたという話なんです。これは金融庁検査官にもお話をしなくちゃならないんですけれども、これだけ明確なというか、考え方としては自己資本比率の低下、これはコンマ七%になりました。それから脆弱性、これは客観的にも分かる話ですから、これで何にもアクションを起こさなかったというのはおかしいということは監査法人も何か言わにゃいかぬと思いますけれども、これはどうですか、これは。
  88. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 金融庁検査の結果といいますのは、決して商法あるいは証取法の決算について直接反映しろという性質のものではありませんので、あくまでも三月決算に振り返ってみればそういう影響を与えるということであって、三月決算そのものがそのときどうだったかという否定をしているものではないというふうに思います。検査の結果はあくまでも九月の決算に織り込むと、こういうことでなされているんだというふうに私は理解しております。
  89. 平野達男

    平野達男君 そういう説明はプロの方の説明としては分かるかもしれませんが、私にはよく分かりません。今までのいろんな説明を聞いていますと、どうしてそういう結論になってしまうのかというのが私よく分かりませんので、よく分かりません。いずれこの点に関しては、また時間、場所、時期を改めてまたいろいろお聞きしたいと思います。  最後に一点。昨日、日向野参考人は、監査法人は説明責任を果たしていなかったということを盛んに、盛んにと言ったらあれですけれども、言っておられました。この説明責任につきまして奥山参考人は、御自身が監査に当たられたわけではないということだと思うんですが、この説明責任ということにつきましては、今回の監査の、足利銀行監査に当たって、青山監査法人はしっかりやっていたという御認識でしょうか。それを最後に奥山参考人にお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  90. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 昨日の答弁を聞いておりますと、それなりに説明をしていたというふうに思いますし、繰延税金資産の回収可能性については疑義があるということはお話ししていたということですので、決算が最終的に出た段階で改めてそれを審議して結論を伝えたとすれば、これは監査法人としてはやむを得なかったのではないかというふうに思いますし、説明はそれなりに行っていたというふうに理解しております。
  91. 続訓弘

    ○続訓弘君 公明党の続でございます。  日向野参考人奥山参考人には何かとお忙しい中に御出席を賜りまして、大変ありがとうございました。  私ども委員会は、昨年十二月の五日、足利銀行破綻の直後に関係大臣お二人、竹中、谷垣両大臣出席を求めて集中審議をいたしました。各党各議員がそれぞれの立場で真摯な質問を申し上げました。本日は、両参考人がせっかくおいででございますので、以下何点かにわたって質問をさせていただきます。  まず、一時国有化の原因について日向野参考人に伺います。  参考人は、「金融財政事情」に、繰延税金資産の全額否認について私が最も強く主張、抵抗したのは金融庁検査結果の通知日、すなわち十一月二十七日になって監査法人が突然繰延税金資産の計上を全額認められないとの意見表明書を出してきたことについてであると、それまで監査法人は毎日のように来ていたが、そうした雰囲気は全くなかったと述べて、監査法人の否認が足利銀行の一時国有化の主な原因だとしておられますが、今もその考え方に変わりはありませんか。  あわせて、経営責任者として、今回の事態に至ったことに対する反省の弁をお聞かせください。
  92. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 一時国有化に至った経緯預金保険法百二条一項三号という適用を受けたこと、これは昨日お話ししたとおりで間違いございません。  これのきっかけになった経緯は、やはり金融庁検査、しかしながら、金融庁検査不良債権引き当てたとしても債務超過にはならなかったわけでございます。ここで千三百八十七億の繰延税金資産の取崩しという、計上を認めないと、こういうことが急に出てきたわけでございまして、これにつきましては非常に疑義があるといいますか、我々は残念に思っております。  これは、先ほど来申しましたとおり、九月の下旬から十一月の下旬までずっと監査法人が駐在をしておりまして、私どもと一緒になって金融庁検査にアドバイスを受けたり対抗したり、また金融庁監査法人との話合いも、先ほど先生の方から話がありましたけれども、四回ほど話合いが持たれ、そのうちの二回は繰延税金資産についても話したというふうに記録に残っております。  こういうような状況の下、十二月の二十六日まで、前日まで千二百八億でいくんだという資料の要求を駐在している監査法人から要求を受けて、前日までこの方向で走るんだと、この計数で計上するんだということを聞かされて、それでその資料作りに前日までやっていたわけでございます。これが突然、一日たって全額否認ということになったのはどういう理由かは私には分かりません。  交渉を続けましたけれども審議会で決めたことだからの一点張りで、今言いましたとおり一%を割るようなこととか、そういうようなこと、いろいろ三つばかり言われましたけれども、これについても事前には一切の話合いもなく、ましてゴーイングコンサーンについては一回も我々とも、我々の監査人とも一回も話合いがなされていないわけでございます。それなので、我々は、課税所得、繰延税金資産を回収できるだけの収入があるということを、これを根拠にして監査法人と一緒に審議会を通るべく話合いを続けてきたわけでございます。これが、検査結果の、金融庁検査結果の引き当てをした後でも債務超過にはなっていないにもかかわらず、この全額否認という形で債務超過になったわけでございます。やむを得ず、時間もなくて、金融庁からはせっつかれ、二十四条報告で早く出すようにということも言われておりましたので、二十九日に取締役会を開きまして、やむなく債務超過で出さざるを得なかったと、こういうのが経緯でございます。  それから、経営責任につきましては非常に重く受け止めております。特に株主の皆様に対して、また国民の皆様、それから地元のお客様、いろんな方に御迷惑を掛けました。私の判断の甘さもあったかもしれません。いずれにしろ、私の責任で、私がみんなと話をして決めたことでございますので、本当に皆様に大変御迷惑掛けて申し訳なく思っております。
  93. 続訓弘

    ○続訓弘君 先ほどいみじくも奥山参考人が、今回の事態は不幸にして、そして異常な事態だと、こういうお話をされました。正にそうだと思います。日向野参考人、並びにおらが銀行だと、こんな思いを持っておられた関係者方々には万感の思いがあったと存じます。  そこで、足利銀行に対する監査法人の対応について奥山参考人に伺います。  監査法人は、二〇〇三年三月期決算では千四百億円の計上を認めていた繰延税金資産を九月中間決算ではゼロにした、この判断の急変が足利銀行破綻の引き金になったと関係者が批判しております。この批判に対して奥山参考人の率直な御見解を承ります。  あわせて、公認会計士及び監査法人は上場企業の財務諸表が適正であるかどうかをチェックするのが本務でありますが、監査を通じて今回の足利銀行のように企業の生殺与奪の権を握る例が多くなっている現状をどのように考えておられるのか、御見解を承りたいと存じます。
  94. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) まず、繰延税金資産の計上について、客観的にといいますか、第三者から見ると急変したという扱いをされたということでございますけれども、私の理解では、監査委員会報告六十六号に準拠した場合にはそうならざるを得なかったという理解でございます。ここは監査委員会報告六十六号がどうなっているのかということを詳しく説明しなければなかなか理解され難いと思うんですけれども、これはやや専門的になりますので省略させていただきますけれども、少なくともこれに従えばそうならざるを得なかったということでございます。  それから、繰延税金資産をそういう判断することによって、銀行が言わば破綻に追い込まれる、一〇二条の適用を受けるような状況になるということについては、私は大変不幸だと、監査人にとっても不幸だと思っております。りそな銀行においても、今回の足利銀行においても当該監査人当事者は大変苦慮して、言わばノイローゼになるぐらいまで現実には追い込まれていたというふうに思います。そういう意味では、監査人も人間ですからそれぐらいの考慮はしていたかとも思います。  しかしながら、これを解決するためには、先ほども申し上げましたけれども、仕組みを変えていただかなければ何ともならない。その仕組みを変えるには自己資本算入規制を客観的に定めるか、あるいはその前に繰り税をなくすための努力として税法を改正して、まずは還付をして、税金を一切、還付をして繰延税金資産をぐっと縮小して改めてフレッシュスタートするか、そういうことをしていただかないと、まだまだこういう問題は今後も起こり得るというふうに思っております。
  95. 続訓弘

    ○続訓弘君 三点目には、地域金融機関の資産査定の在り方について両参考人に伺います。  金融マニュアルでは、中小企業融資の査定に際し、債務者の特性に応じて経営実態を十分勘案することを求めております。しかし、昨年十一月に足利銀行に通知された金融検査に関しては、不良債権の償却、引き当てが従前より厳格となったと指摘されております。  両参考人は、今回の金融検査の厳格性及び適正性についてどのような見解をお持ちか、伺わせていただきます。
  96. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 今回の検査は、従来の検査と違う手法で幅広く、より深く行われたような気をしております。今までよりも厳しい感じがしております。また、債務者区分の考え方においては償還力というキャッシュフローを中心にやっておりますので、リレーションシップバンキングと言われる中小企業においては非常に不利な結果になってきております。  それから、画一的、一律的な考え方で、個々の企業の特性、それから将来性、いろんな面についても説明をしてもなかなか聞いてもらえない、結果が出てからじゃないと判断しないと、こういうような言われ方をしております。  担保評価につきましては、先ほども申しましたとおり、私どもは不動産鑑定士の担保評価を使っておりますが、それも認めずに収益還元法でやるようにと、こういうような言い方をされました。そして、低い方がより保守的だろうということで収益還元法による評価を余儀なくされたわけでございます。  また、引き当て率につきましても、金融検査マニュアルで書かれてある、異常な部分の控除についても引き当て率を算定するに当たってはそれを吟味した上で控除していいということになっておりますが、これも会計士それから中央青山監査法人との話合いの上で今までも計上してきたわけでございますが、これも否認されまして、結局、九百五十億の差異が出たと、こういう形でございます。
  97. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 今回の足銀検査が他の銀行と比べてどうだったかということについては、私は正直言って分かりません。それから、具体的にどうだったかということも分かりません。ただ、私の感想としては、投入した人数、投入した日数等をかんがみると、かなり深掘りした、あるいは深度ある、そういう検査をしたのではないかという感想は持っております。  ただ具体的に、分かりませんが、あと今まで聞いておりますと、やや客観的な一律的な基準をもって判断検査をされたのかなという思いはしております。
  98. 続訓弘

    ○続訓弘君 十四日、十五日の両日、衆参両院での足利銀行問題の審議に関連して、毎日新聞は十四日付けの社説でこんなふうに書いておりました。昨年は新しい金融安定の筋道が光明を持った年だったとして、りそな銀行処理足利銀行破綻処理を挙げ、そのともしびを消さず、銀行に対し更に確固とした不良債権処理を迫る姿勢が肝要であると指摘しておりました。  私はこの指摘も了としますが、同時に長い間地方行政に携わっていた経験から、地方には大手銀行に相手にしてもらえない中小企業がたくさんおります。しかも、これら中小企業が日本経済を支え雇用を支えている、こういう認識に立ちますと、私は、地方、地域金融機関の問題の取組について、やはり先ほども奥山参考人がおっしゃったように、それぞれ大手と中小とは服が違うと、したがって対応も違うはずだと、こういう指摘もしておられます。  そういう意味で、これからの地域金融経済に対する取組について真剣に会長として考えていただきたいことを御要望申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  99. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。  今日はお二人、御苦労さまでございます。私が最後でございますので、よろしくお願いします。  まず、日向野参考人にお伺いしますけれども、私、昨年十二月に足銀の本店お訪ねしてヒアリングをさせてもらいました。先ほどから述べられている皆さんの無念な気持ちというのは十分承知しているつもりです。  要するに、経営努力の途中だったと、もう少し時間が欲しかったという声を直接お聞きしたところです。また、栃木の中小企業あるいは旅館、ホテルの社長さんにもお会いしました。皆さん足銀を頼りにしてきたと、また足銀を支えようとみんなで努力してきたんだということを異口同音におっしゃっておりました。そういう地元挙げて頑張ってきた努力を途中でぶった切られたような印象を私持っているところでございます。  しかも、会計基準という物差しなんですけれども、言ってしまえば、私ずっとこのことは議論してきましたけれども、ころころ変わるんですね。ころころ変わってきているんです。そんなものでぶった切られたというのが、私も非常に疑問に思っているところです。  それと、この参考人質疑をずっと聞いていますと、足銀の方、旧経営陣の方は監査法人に突然の判断変更をさせられたと、監査法人側は足銀金融庁の三月検査を受け入れたからだと、お互い何か責任をなすり付け合っているようなところがありますが、大本は金融庁だと私は思うんですね。ぶった切ったのも金融庁で、張本人は金融庁で、その執行役を監査法人がりそなに続いて今回もやらされたということではないかと思います。ですから、そういう監査法人足銀が対立しているというのは金融庁が一番喜んでいるんじゃないかなと、自分たちのところに責任が来ないで喜んでいるんじゃないかなというふうにずっと聞いているところです。  その点で、破綻後のいきさつについても、私、金融庁の関与について非常に疑問を幾つか持っていますので、少しその点でお伺いをしたいんですけれども、日向野さんは、先ほどの話でいけば、監査法人についてもう裁判を起こしたいくらいだと、訴訟を起こしたいくらいだということを発言されてきましたけれども、なぜ訴訟を実際に起こされないんですか。
  100. 日向野善明

    参考人日向野善明君) この預金保険法百二条が決定になって、すぐ私は代表権を返上しました。そして、新しい経営陣が来るということになりまして、訴訟を行うとすれば新しい経営陣が行うのが筋だろうと、こういうような話もございまして、私は訴訟をする立場ではない、暫定で新しい経営陣が来るまでのつなぎだということで、それで新しい経営陣にそれでは訴訟の検討をお願いしたいと、こういうふうに思っております。
  101. 大門実紀史

    大門実紀史君 実際に訴訟の準備はされてこられたんですか、日向野さんとして。
  102. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 私のときは物理的にも時間的にも切迫しておりました。それから、十二月一日以降、お客様に謝りに行ったりとか、時間的なものもございませんので、弁護士の見解等は若干聞きましたが、具体的な作業には入れませんでした。
  103. 大門実紀史

    大門実紀史君 弁護士さんと実際に相談されたことがございますね、その中でも、長谷川弁護士さんと。その長谷川弁護士さんの見解は、訴訟の準備まで行かなくても御相談はされたと思うんですが、どういう見解で言われましたか、弁護士さんは。
  104. 日向野善明

    参考人日向野善明君) やはり従前から言っておりますように、弁護士の方も、やっぱり説明義務がなかったと、こういうふうに、善管注意義務違反ではないかと、監査契約を取り交わしているにもかかわらず、前の日まで千二百八億で走るという、同じ方向性を持って一切の説明がなくてこれで来たということに対してやはり責任があるんではないかという見解をいただきました。
  105. 大門実紀史

    大門実紀史君 確認しますが、それは民法の六百四十四条の受任者の注意義務に監査法人が違反する疑いがあるという見解を弁護士さんが示されたんじゃないですか。
  106. 日向野善明

    参考人日向野善明君) そのとおりだと思います。
  107. 大門実紀史

    大門実紀史君 先ほど新経営陣に任した方がいいという話もあったというふうに言われましたけれども、具体的には金融庁の監視チームに訴訟について御相談をされたんじゃないですか。
  108. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 私どもはもう暫定内閣、暫定組織になっておりましたので、新経営陣が来ることが分かっていましたので、監査チームの方にお話を差し上げました。そうすると、やはり今の暫定の経営陣ではやはり今後の長い裁判にもいろいろ影響が出てくるだろうから新経営陣に任せるべきだと、こういうような見解でした。
  109. 大門実紀史

    大門実紀史君 それは十二月十二日に金融庁が示した判断ですか。
  110. 日向野善明

    参考人日向野善明君) ちょっと日にちは覚えておりません。済みません。
  111. 大門実紀史

    大門実紀史君 私が入手した資料によりますと、十二月十二日に皆さんが監視チームに訴訟について相談されたことについての見解として、一つは、足銀は特別管理銀行になっているから訴訟を継続できないと。二つ目に、訴えるかどうかは新経営陣の判断によると。この二つのことを監視チームが皆さんに示されて、ただ、これは監督官庁としての、何といいますか、権限から皆さんに言うわけではないけれどもというふうな言い方も含めてそういうことをお伝えになったと、そういうことじゃないですか、確認の意味で。
  112. 日向野善明

    参考人日向野善明君) そのような経緯だったと覚えております。
  113. 大門実紀史

    大門実紀史君 つまり、この金融庁の監視チームのその判断によって訴訟を取りやめたということになりませんか。
  114. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 監視チームの承認を得ないで暫定の組織として裁判をするわけにはいかない、それから財産保全命令も出ているような状況では裁判費用の問題もあると、こういう判断からやむを得ず引き下がったわけでございます。
  115. 大門実紀史

    大門実紀史君 やむを得ずと言われますけれども、この金融庁判断が、金融庁がそういうことを、要するに訴訟するな、しても続かないよ、あるいは新経営陣がやればいいんだということを金融庁が、これはまた委員会金融庁に聞きますけれども、そういう判断を示して、皆さんが訴訟をやろうと弁護士さんとも相談した、しかし金融庁の監視チームにそう言われて断念したというふうな流れではないかというように思うんです。  これは、要するに新経営陣が訴訟を起こすかどうかなんですけれども、起こすわけがないと私は思うんですよ。これは、金融庁竹中大臣の息の掛かった人たちが新経営陣に入るわけだから、訴訟を起こすわけがないですね、一つはね。ないです。そう思いませんか。
  116. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 私には分からない判断でございます。
  117. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう一つ、皆さんが訴訟まで持ち込もうと思われたのは、私、そんなきれい事ばかりではなくて、二つあると思うんですよね。  一つは、やっぱり監査法人のやり方に憤りを感じて、こんなこと許されるのかと。これは全国のほかの地方銀行にもかかわりますから、そのためにもと思われたのが一つあって、これはそのとおりだと思うんですが、もう一つは、皆さん自身が株主から今度は損害賠償を起こされる可能性もまたあったわけですよね、先ほどもちらっと一部そういうのを仄聞していますと言われていましたけれども。ところが、皆さんが株主から損害賠償責任を、訴訟を起こされるという可能性は実はないということもそのとき金融庁に教えてもらったんじゃないですか。
  118. 日向野善明

    参考人日向野善明君) いや、そういうことはありません。我々はやっぱり経営責任があるものだと思っていますので、株主代表訴訟などあればいろんな形で訴訟の対象にはなり得ると。そしてさらに、新しい経営陣の下で調査委員会が開かれますので、そこにおいても、我々を含め過去の経営陣においてもいろいろ調査が行われるんではないかと。責任はどこまで行っても免れないものだと、そういうふうに思っております。
  119. 大門実紀史

    大門実紀史君 皆さんの覚悟はそれで結構なんですけれども、具体的に言いますと、あしぎんフィナンシャルグループは会社更生法の適用会社になったわけですね。これは株主訴訟を起こそうとしてもその対象ではないわけですよね。かなり株主訴訟を起こすのは困難になると思いますが、その辺は、金融庁から言われたという意味ではなくても結構ですけれども、どういうふうに思われておりますか。
  120. 日向野善明

    参考人日向野善明君) フィナンシャルグループが会社更生法を適用したのは、これは定款の目的とそぐわなくなってきて、フィナンシャルグループは五つの会社を子会社として持っていましたが、その中核を成す足利銀行が、預金保険機構、百二条によって預金保険機構の方に株が移動しました。これによってフィナンシャルグループの大多数を占める足利銀行が抜けたということで、残りの四つの会社では立ち行かなくなってきたということで会社更生法を申請したわけでございます。銀行持ち株会社として銀行若しくは銀行関連会社の経営管理という定款の目的が果たせなくなってきた、そして子会社の四つでは先行き行き着かなくなると、こういうことから別途判断して会社更生法になった次第でございます。
  121. 大門実紀史

    大門実紀史君 その経過は分かるんですけれども、ですから株主訴訟を起こすのは実際には難しいんじゃないですか。そういうことはお聞きになっていませんか。
  122. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 何も聞いておりません。
  123. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、話を戻しますけれども、弁護士さんと相談して訴訟は可能だという、民法の六百四十四条に監査法人は違反する可能性があると。しかし、金融庁の監視チームによれば、あなた方がやることではない、新経営陣が判断することだと。で、皆さんは断念したと。どうしてそこで、そうではなくて旧経営陣として訴訟をやるというふうに判断されなかったんですか。
  124. 日向野善明

    参考人日向野善明君) 先ほど来話しましたとおり、我々としては、新経営陣に判断をゆだねて、それから調査委員会が開かれますので、調査委員会判断をゆだねて、そして新経営陣が長引くであろう裁判を続けるか続けないか、そして裁判をした方がいいのかしない方がいいのか我々とは違う立場判断をして、訴訟をするなら訴訟にする、しないならしないという結論を出してもらうと、こういうふうに判断したわけでございます。
  125. 大門実紀史

    大門実紀史君 この問題はもう終わりますけれども、要するに、あとは金融庁とやりますが、皆さんは、この監査法人のやり方、もう憤りを感じて訴訟まで起こしたいという気持ちあったけれども、そうすると、もうこういう場で物を言うだけで終わるということなんですか。
  126. 日向野善明

    参考人日向野善明君) まだ引き続きどういう形が取れるか考えたいとは思っておりますが、新しい経営陣が経営会議などで検討していることも聞いておりますので、もう少し様子を見たいと思っております。
  127. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、とにかく金融庁が皆さんの訴訟問題までやめろというような、ほとんどもうやめなさいというような指示までしたということを非常にまた後で問題にしたいというふうに思います。  奥山参考人にお伺いいたしますけれども、私、会計基準というのはそもそも企業を生かすためにあるのが会計基準じゃないかというふうに認識をしているんです、素人なりに。例えば、アメリカの不正経理問題ありましたけれども、どちらかというと好況とか、景気のいいときとかバブルのときにこそ厳しい会計基準を当てはめて、浮かれないように、放漫経営に陥らないようにしてこそその企業が生きていける、生き延びられるというふうに思うんですね。  ところが、この今の日本の不況でデフレのときにわざわざ厳しい、資産査定の厳格化、厳しい会計基準を当てはめていくのは、これは全く逆の、逆さまの話で、もうそんな放漫経営する余裕もみんな何もないわけですよ。かつかつでやっている中で厳しい基準をわざわざ当てはめるというのは、これはもう正に企業を殺す物差しになっているんではないかというふうな認識をこの間ずっと持っているんですが、まずその辺の基本的な点、いかがお考えですか。
  128. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 私は会計基準は企業を生かすも殺すもないと思っています。あくまでも企業の実態を正確に示すことができるようにするものが会計基準だと、このように理解しています。
  129. 大門実紀史

    大門実紀史君 そういう実務的な解釈じゃなくて、これだけの問題を起こしているわけですね、もう少し本来の意味といいますか、会計基準そもそもとは何なのかと。そんな技術的に判断して示すことだけなんですか、皆さんの役割というのは。今までそうしてこられたんですか、公認会計士というのは。
  130. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) それでは、もうちょっと原則的なことを申し上げますと、資本主義社会における企業の存在というのは、やはりこれは株主から資本を集めて、それを基にして活動していくと、こういうことが原型であるわけです。そうすると、その活動して集めた株主、あるいは企業が活動していく中で取引先、債権者、こういう方々にその企業の実態をお示しして、その企業がきちんとした活動をしているかどうかということを示すと、これが、その基になるのが会計基準だというふうに思います。
  131. 大門実紀史

    大門実紀史君 分かりました。  りそな銀行足利銀行、両方とも、私、奥山さんにもりそなのときお伺いしましたけれども監査法人がこの間、前面に、矢面に立たされる事態になっているわけですね。  これは、私、ちょっとこの流れをずっと拾ってみると、どうも公認会計士協会あるいは監査法人と竹中プラン、竹中プランというのは元々主要行を対象にしているわけですが、竹中プランの中の資産の厳格化、この流れと、皆さん、監査法人の皆さんのこの役割が、それに沿ってずっと役割を果たされてきているような流れがずっと見えてきてならないんですけれども、その点で、私、奥山会長にお聞きしたいんですが、奥山会長、竹中さんのタスクフォースに入っていらっしゃいますね。  私、どうなんでしょう、ちょっと疑問に思うんですけれども、その竹中プランを進めよう、資産の厳格化を進めようと、かなりそれには世論的には批判もありました。大手行は反発しました。私は竹中プランというのはずっと未来永劫続かないと思っています。  そういうものの、今のたまたまの流れに、そういうタスクフォースに公認会計士協会会長として加わられて、この間、度々こうやって参考人に呼び出されると、これはいかがなものかと思うんですが、どういう認識ですか。
  132. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 竹中大臣がどう思っているか知りませんが、私が自らタスクフォースに頼まれて入った動機は、やはり今銀行問題で会計基準が非常に大きなウエートを占めているという中で、会計士サイドから会計基準というのはこう考えるべきだということをやはり言わないと、やはり一方的になっては困るということで、私自身はかなり客観的に会計基準を守る立場で入っていると、そういう意識でございます。
  133. 大門実紀史

    大門実紀史君 実際のいろんな流れを見ますと、時間ないんで簡潔に言いますけれども、要するに、二〇〇二年の十二月ごろですか、読売新聞で報道されて、私も質問でちょっと取り上げた記憶があるんですけれども、最初に金融庁がこの資産査定の厳格化については公認会計士協会に打診をしたといいますか、そういうやり方について相談をしたということから始まって、この前の参考人、りそなのときにお伺いしましたけれども、例の会長通牒、あれも一応プレスリリースに書いてありますけれども金融庁の要請を受けてそういうものを出されたと。もちろんその前の委員会報告というのがあるのは存じていますけれども、流れがずっと沿ってきて、しかもこの地銀問題は、今年の八月の二十六日ですか、奥山会長地銀と第二地銀監査の担当者を、監査法人をお集めになって、これからは地銀も厳しくなるというのを八月の時点でもうそういう説明会されておりますよね。その後、足銀がこうなったと。  何か金融庁の流れに沿ってといいますか、そういう情報が既にあったのかどうか知りませんが、ちょうどその八月二十六日の、地銀、第二地銀の担当者を集めて、これから地銀は厳しくなるからと奥山さん言われたことについては、そのときの竹中大臣の記者会見見ますと、既に知っていましたというふうに既にやり取りがあって、今度こういう説明会やりますというのも竹中大臣にも伝わっていたと。  何か、二人三脚とは言いませんけれども、何か若干の情報のずれもあるようですからね、ただ流れとして、公認会計士協会はこの竹中プラン、いわゆる金融再生プログラムの資産査定厳格化の流れを、その先導役をやってきているような気がするんですけれども、どういうふうにとらえておられますか。
  134. 奥山章雄

    参考人奥山章雄君) 申し上げておきますけれども、私は竹中大臣の味方でも敵でもないというつもりでおります。  今お話しの件ですけれども、これはよくそこの八月の時点お話の中を聞いていただければ分かると思うんですが、私、二つ言っております。一つは、都銀と、言うなれば主要行と地銀とは服が違う、同じ服で査定をしてはならない、やはり地銀地銀としての服があるんだから、その服に合っているかどうかを見ればいいのであって、都銀のような服を着せろということは必要ない、そのようなことを一つ言っております。ただ、服が違うからといってその服に合わなくていいというふうな査定はおかしい、やっぱり地銀地銀の服があったとしたら、それにぴったり合うような、そういうことはすべきであろうと。  それからもう一つは、繰延税金資産はどこであろうとこれは基準として計上した限りは同じだという意味では、主要行であろうと地銀であろうと、その厳格性においては変わりはないと、この二つをお話ししております。
  135. 大門実紀史

    大門実紀史君 服のサイズ違う話も伺いました。今度の特に足銀の場合は、奥山さんも言われたとおり、あんな厳しい金融庁検査結果出すと思わなかったという面もあったわけですよね。そこは服のサイズが違うと思ったのに、地銀もそういう服を着なきゃいけないのかと。それで今度は実態調査をやられて、その違いをなくす努力をされておるわけですね。そうすると、だんだんだんだん金融庁の厳しい方に、監査法人検査がそれに沿っていくように私なって、これからますます大変になるんじゃないかなという気がしておるんですけれども、要するに公認会計士協会立場としては、これもさっきの訴訟の問題とかかわるわけですが、一定の金融庁の方針に沿った、流れに沿った監査をやっておかないと、今度は監査法人が、今度は損害賠償訴訟を受ける可能性もあると。そのリスクを排除するためには、できるだけ金融庁の流れに沿って、必ずしも金融庁全部情報くれないから、先にちょっと厳しくやり過ぎて、こちら、監査法人が合わせると、そういうことを今やられているんでしょうけれども、そういう流れの中にあるような気がしてならないんですね。これは、私はそれが公認会計士の在り方かなと。そういう何か時の流れに、いつ倒れるか分からない、いつ辞めるか分からない大臣の、そういう流れに沿ってやることがいいことなのかと。もっと本当に企業を生かす方向で考えられるべきじゃないかなということを申し上げて、また来ていただくことあると思いますので、今日は終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  136. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会