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2003-12-05 第158回国会 参議院 財政金融委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年十二月五日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十二月四日     辞任         補欠選任      若林 正俊君     矢野 哲朗君      峰崎 直樹君     谷  博之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         平野 貞夫君     理 事                 清水 達雄君                 野上浩太郎君                 森山  裕君                 大塚 耕平君                 続  訓弘君     委 員                 入澤  肇君                 尾辻 秀久君                 田村耕太郎君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 溝手 顕正君                 矢野 哲朗君                 山下 英利君                 大渕 絹子君                 櫻井  充君                 谷  博之君                 平野 達男君                 円 より子君                 山根 隆治君                 山口那津男君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        財務大臣    石井 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        金融庁検査局長  佐藤 隆文君        金融庁監督局長  五味 廣文君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (金融危機対応するための措置必要性の認  定に関する報告に関する件)  (足利銀行に対する預金保険法第百二条第一項  第三号に基づく特別危機管理に関する件)  (足利銀行決算内容に関する件)     ─────────────
  2. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、若林正俊君及び峰崎直樹君が委員を辞任され、その補欠として矢野哲朗君及び谷博之君が選任されました。     ─────────────
  3. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁検査局長佐藤隆文君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 異議なしと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 財政及び金融等に関する調査を議題といたします。  金融危機対応するための措置必要性認定に関する報告に関する件について政府から説明を聴取いたします。竹中内閣特命担当大臣
  6. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 十二月二日、預金保険法第百二条第六項に基づき、株式会社足利銀行に対する同条第一項第三号に定める措置必要性認定内容に関する報告書国会に提出申し上げました。  本日、本報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、本報告を提出するに至った経緯及び本報告内容等について御説明申し上げます。  株式会社足利銀行については、十一月二十九日、同行から金融庁に対して、平成十五年九月期決算において債務超過となる旨の報告があり、あわせて、預金保険法第七十四条第五項に基づき、その財産をもって債務を完済することができず、その業務若しくは財産状況に照らして預金等払戻しを停止するおそれがある旨の申出がなされました。かかる状況を踏まえ、同日、金融危機対応会議の議を経て、同行について同法第百二条第一項の第三号措置を講ずる必要がある旨の認定を行うとともに、預金保険機構同行株式を取得することの決定を行いました。  今回の認定等につきましては、同行栃木県を中心とする地域において果たしている金融機能維持が必要不可欠であることなどを総合的に勘案し、第三号措置を講ずることとしたものであります。  同行においては、今後選任される新経営陣の下で、預金保険機構が全株式を所有する特別危機管理銀行として適切な業務運営を確保しつつ、健全化に向けて経営改革を進めることとなります。  今回の特別危機管理開始決定後も、同行においては引き続き通常の営業が行われ、預金等負債については種類を問わず全額保護され、期日どおり支障なく支払われます。また、融資面については、今後年末の金融繁忙期を迎えることにも配慮し、同行において、善意かつ健全な借り手への融資についてきめ細やかな対応が図られることとなっています。  さらに、同行業務を行っている地域金融及び経済の安定に万全を期すため、直ちに政府において関係省庁等連絡会議を設置し、十二月二日に第一回会議開催しているところであります。  ただいま御説明申し上げましたとおり、今回の株式会社足利銀行に対する必要性認定は、金融危機未然に防ぐための万全の措置として講じたものであります。政府としては、今後とも、金融システムの安定を確保していくとともに、日本銀行とも緊密な連携を取りつつ、預金者の保護、信用秩序維持に万全を期してまいる所存であります。  御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
  7. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 自由民主党矢野哲朗であります。  今回、理事の御了解をいただきまして、私、質問に立たせていただくわけでありますけれども、今回、足利銀行破綻処理におきまして、今報告があったような残念ながら国有化になってしまったということでありますから、現時点からは国有化ということで国の責任は大変重大だと、万全を期してもらいたい、そして年末における資金需要期というふうなことも迫っておるわけでありますから、万が一も支障がないような対応をひとつお願いしたいという今後の展開については希望を述べたいと思うんでありますけれども。  昨日も衆議院で栃木選出渡辺喜美同僚議員国会議員代表して、県民銀行等々の今後の具現性、なおかつ新しい経営陣によっての栃木県の経済再興等々の質問があったわけでありますけれども、私は、この足利銀行破綻処理に至るまでの経過、このことはまだ十分に今日に至っても金融庁から説明がなされていない。栃木県においてその点での疑問が余りにもあいまいもことされるがためにいろんな憶測を呼んでいることは事実なんであります。あくまでも三号処理ありきということで恣意的に展開された一連展開ではないか。もっと俗な話も出ております。今回、総選挙で我が自由民主党栃木県内で圧勝をさせていただきました。余りにも野党勢力が弱体がために政府与党一体となってこの政策を推し進めることができたんではないか、もう少し野党に力を付けておけばよかったんじゃないかなんというような話も出ている状況でもあります。  ですから、そういうふうな憶測を呼ぶ状況を何としてでも、今回の決断、厳しい決断だけれども、五年後、十年後には、あのときあの決断が良かったんだという一つ展開を期待がしたいがためにあえて、今までの経過、私も疑問と思います。どうしても疑問がまだ晴れない。疑問が晴れないというのは、私どもの、二百万県民の私はそれぞれの思い代表というふうに私も理解させていただきます。ですから、是非とも、今日の質疑でありますけれども、私は、大臣始め関係各位、私に対する答弁ではなくて、二百万県民がいまだに晴れない疑問を持っている、その疑問を晴らすがための答弁なんだということを十分認識して御答弁をいただきたいと思います。  足利銀行でありますけれども県内預金の四〇%を扱っていただく、なおかつ総融資額の約五〇%弱を担当いただく、特に中小企業以下、全貸付高の六〇%にも及んでいる足利銀行のシェアであります。当然のことながら、県並びに四十九市町村すべての指定金融機関になっているということでありますから、正に県民生活に密着した実態があった、これが足利銀行状況だと思います。その足利銀行、今回の措置によって大変栃木県の地域経済影響を及ぼしている。今申し上げたように、それぞれの客観的な事実、明確にしない限り、今後事がそのままでもって推移されるということになりますれば、より一層混乱が拡大する危険性がある、こう思うわけであります。  その足利銀行実態から考えまして、二回ほど、平成十一年の八月、平成十四年の一月、資金増強展開がありました。増資を行ったわけであります。これについて、この協力をいただいた大宗の方は、地元足利銀行なんだ、みんなの力で支えようじゃないか、こんな思いで七百二十七億ですかの増資がなされたというふうに私は判断しております。  ですから、こういった正に栃木経済のかなめ、足利銀行、当初の一連展開でありますと、あくまでも穏やかな処理である預金保険法の百二条一項の一号の処理がなされるのではないかと我々は考えておりました。しかしながら、三号の処理をやむなくに至ったという決断がなされたわけでありますけれども、改めてその経緯について説明をいただきたいと思います。
  9. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 御説明申し上げます。  足利銀行は、三月決算を経ました後、この九月の二日から当庁の立入検査開始をされました。この三月末の決算基準日とする立入検査でございます。そして、十一月十一日まで立入りが続きまして、十一月十一日立入検査終了。そして、同じく二十七日に検査結果が通知をされ、また、その通知内容についての認識及びそれを踏まえた今九月期の決算状況はどうかということについて金融庁から銀行法二十四条に基づく報告徴求命令を発出をいたしました。  その翌日でございますけれども、一部の報道あしぎんフィナンシャルグループ株売買、一部の報道がございました関係東京証券取引所あしぎんフィナンシャルグループ株式売買一時停止がございました。  十一月の二十九日、この日に当局が求めました二十四条報告徴求命令に対する回答報告書が提出をされました。この報告書によれば、今九月期の決算では足利銀行債務超過に陥っていると、こういった報告でございます。同時に、預金保険法に基づきます破綻の申出がございました。これは、財産をもって債務を完済することができない、そして預金等払戻しを停止するおそれがあるといった、こうした破綻の申出が同時にございました。この二十四条報告におきましては債務超過に陥っておりますけれども銀行側報告によりますと、大幅な債務超過の中、自己資本の充実を図ることは難しい状況であるということが併せて報告をされております。  こうした状況を受けまして、政府は、まず財産保全命令足利銀行に対して出しました上で、この同じ二十九日の夜、金融危機対応会議開催をいたしまして、金融危機未然に防止するために預金保険法百二条を適用する必要があるということで百二条の第三号措置必要性認定を行い、同時に特別危機管理開始決定を行いました。これを受けまして、当局業務適正化命令銀行に出し、経営監視チームを設置をし、銀行に派遣する手はずを整えたところでございます。  その後、十二月一日、月曜日に官報公告が行われまして、預金保険機構による足利銀行株式全量取得が行われまして、十二月二日、こうした事態を受けまして、地元への経済的な影響その他に対して万全の措置を取るために関係省庁連絡会議開催をした。  経過を申しますと、こういったような流れで特別危機管理が行われることになりました。
  10. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 冒頭竹中大臣からの報告に準じた一つ経過説明だったと思いますね。ごく整然と執り行われたような一つ報告なんでありますけれども、三月の決算時において、同じく中央青山監査法人監査の下に決算報告されました。当時の報告書ですと、自己資本比率四・五%というふうな位置でもってというふうな一つ決算報告がなされておるわけであります。  今回の九月期の決算においても、当初は、繰延税金資産認定、正にこのことがすべてを左右したわけでありますけれども監査法人代表社員は、三月期と同様、足利銀行に対して繰延税金資産計上が可能だというふうな一つ見解を述べていた。にもかかわらず、突然計上が困難だという意見に変更されて、残念ながら足利銀行としては債務超過報告をせざるを得ないという一つ経過があったようでありますけれども、その点での事実関係承知をしておるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
  11. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 銀行監査法人の具体的なやり取りは、銀行側から伺った範囲でしか私どもは分かりません。監査独立性がございますので監査法人には聞くことができないわけですが、監査法人繰延税金資産計上を認めないといった結論、これは検査結果通知を受けた後の二十四条の報告で九月期の決算状況報告する際の協議で示されたというふうに聞いておりますが、したがいまして、二十七日の検査結果報告より後の話で、検査結果通知より後の話でございますが、監査法人が九月期において繰延税金資産計上を認めることができないとした理由は、銀行中間決算発表時における説明によりますと、九月期において繰延税金資産計上してもなお自己資本比率は極めて低い状況にある、また繰延税金資産変動によって債務超過となる可能性がある、そして今後の収益見込みの一部が過大に計上されている、こうした理由で九月期の決算中間決算を組む過程繰延税金資産計上が認められないという意見監査法人から伝えられたと、こう聞いております。
  12. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 その点での事実関係でありますけれども、正に今話がありましたように、一つは、二十九日、対応会議の後、足利銀行記者会見が行われました。その中でのやり取りでありますけれども記者会見の一部抜粋であります。  質問繰延税金資産全額を取り崩した経緯について教えていただきたい。当行は、五年間の収益見積りにおいて繰延税金資産を一千二百億円程度にする意向監査法人協議を重ねてきた。ある程度了解を取れているとの感触だったが、十一月二十七日になっていきなり全額計上できない旨の報告監査法人からあったもの、監査法人内部で検討して決まったものであると言われた。  また質問でありますけれども繰延税金資産が予定どおり承認されているならば債務超過ではないと思われるところ、監査法人の裏切りとも取れる対応により債務超過を余儀なくされた、本当に納得できるのか、訴訟等は考えていないのかという質問に対して、これまで認めていた繰延税金資産をここに来て認めないとの監査法人の方針は遺憾に思う、繰延税金資産は圧縮すべきと考えており、今回は三月期に比して二百億円程度圧縮する方向で考えていた、裁判等については今後検討するというふうな一連記者会見やり取りであります。  また、今答弁をいただきましたけれども、私も再度銀行に詳細の確認をさせていただきました。  平成十五年九月期における繰延税金資産認定過程がどんな過程だったかというふうな確認でありますけれども、ほぼ一か月前から監査法人と詰めて作成をした、最終的には監査法人社員三名のチェックを受けたと。ほぼ一か月前でありますから、九月、十月、十月の半ばぐらいからこの監査法人との九月期の決算処理に入ったと、こういうことだと思うんですけれどもね。その間、今後の銀行実質業務純益見積りについてもやり取りがあったが、一時差異三千億円、繰延税金資産約一千二百億円でいけるとの感触を得ていた。  十一月二十七日午前十時に監査法人代表社員三名が突然、しかも全く予期せぬ次の回答があった。その回答を頭取並びに二人の常務で報告を受けたようでありますけれども、今御指摘のとおり、以下を考慮すると十五年九月期の繰延税金資産計上は困難であると。一つ自己資本比率が一%を割り込む結果、企業継続性に疑義がある、将来のぶれによる繰延税金資産変動によって債務超過可能性がある、将来の収益計画の達成に懸念がある、したがって繰延税金資産計上は困難であるという一つ見解が示されたわけですね。  銀行側としては、なぜ突然こんなに考え方が変えられざるを得なかったのか。今、先ほどの理由一つ一つ紹介しても、極端に自己資本比率が割り込む、これは少なくとも最終段階監査法人でもって審査会が行われたその最終段階で限りなくゼロに近い自己資本比率になると初めて分かったわけじゃないでしょう。少なくとも検査に入った段階で、いや、少なくとも一連のこの推移の中で十分それは判断でき得た。なおかつ、将来のぶれによる繰延税金資産変動によっては債務超過可能性がある、これについても十分事前指摘を得た話だと思うんですね。それをもってして審査会、さあ、二日前にその考え方は適用できません、ゼロ査定だと。こういうことは余りにも私は奇々怪々と判断せざるを得ないんですね。  要するに、こうあるべし、三月期の決算一つ検査金融庁として入った、なおかつそれ以前に、少なからずとも会計監査の下にこの決算報告をする、業務改善命令が八月に出ている等々一連経過の中で、少なからずとも改善措置を求めるというような一つの指導は十分でき得たと思うんですね。それに基づいて銀行は、例えば親銀行であります東京三菱との資本関係がある等々、いろんなそういう中で合併等々努力もできた。人事を尽くして、しからばどういうふうな結果になるのかという一つ判断は当然のことだろうけれども、今回は突然のこの通告に基づいて、何の手当てもせずに対応せざるを得なかったと、こういう一連経過なんですよ。  私は、決して検査に手心を加えろなんというような私は思いは毛頭ありません。厳正な検査をもってしてひとつ健全化がより一層確立されるというこの一つ指向性は十分我々も応援したい。しかしながら、この一連経過を考えたときに、これは余りにも不自然だ、恣意的だ、こう言われても致し方ないような一つ展開だと私は考えるんですよね。この辺での見解を求めます。
  13. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 先ほど大臣やあるいは監督局長からお話をさせていただいている一連の事実関係については御説明をさせていただいたと思います。  この監査法人の問題につきましては、先ほどから御説明をさせていただいているように、監査法人独立性の問題がございますので、その経過、いろいろな話合いについて私どもから確認をするということはできません。  監査法人というものは、その監査基準に基づいて、そして独立した立場から厳格な監査に努められていると私ども承知をいたしておりますし、今回の足利銀行の問題につきましても、足利銀行が選んだ監査人が、そして監査基準に沿って、そして経営者から提供された情報に基づき監査人として独立した立場で厳格に判断したものと考えております。  この交渉については、それぞれの立場でいろいろなことがあったんだろうと思いますが、最終的には銀行監査法人が相談をして、そして決算内容を確定をして、その中身が債務超過であったと、そして破綻申請をするということでありましたので、私どもはそれに基づいて今回の三号措置を取って地域の方々に対する影響を最小限に抑えていくと。そして、先生からも御指摘がございましたように、地域の不安というものを解消して、何としてもこの趣旨に基づいた、三号措置趣旨に基づいた形で万全な対策をしていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  14. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 今の答弁は私は了としません。  少なからずとも、こういう事実関係がいろんなところから指摘されているわけでありますね。我々自由民主党栃木選出国会議員、同様な問題意識を持ったがために、対処会議の以前に竹中大臣に面会を求め、二十九日の七時半から栃木選出自由民主党国会議員全員出席をして、ただいまの問題提起をさせていただいたわけでありますね。少なくともそれなりの重みは相当あろうと思うんですよ。それを、銀行監査法人とのやり取りだけで、それは向こう側の話ですよと、これで済みますか。  少なからずとも、これだけの大きな社会的経済的影響のある足利銀行を、どういうふうな結論を出すんだという重大な一つの場面において、少なくともそういう問題提起が改めて国会議員全員から提起された。いや、それは向こう側の話ですよ、そんなことで、一法人、一監査法人に基づいて、その判断だけで少なくともこれだけの重大な決定が粛々となされる。我々は事前にその問題提起をしているわけですよ。それを全く無視しながら一連のこの結論に至ったと。これは私はどうしても容認できない。その点での僕は大臣見解を求めます。
  15. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 矢野委員冒頭におっしゃいましたように、今回、県民の皆さん、そして県民の意を背負っておられる選出先生方の皆様の御意向、御無念、御懸念、我々も痛み入って感じるものがあります。このような結果になったということは、これは我々にとっても極めて遺憾なことであって、その点で金融当局として一体何ができるのか、何をすべきなのか、これはもう金融庁を挙げて取り組まなければいけないという思いで私たちもおります。  同時に、今、矢野委員が御指摘くださいました記者会見ですね、銀行関係者記者会見、我々もその要旨を入手して存じ上げております。銀行経営者の言葉の端々にいろんな意味での無念思いがやはりにじみ出ているということもこれまた事実であろうかと思います。  これはしかしなかなか、我々として、金融庁として何ができるか、何をすべきかということに関して言いますと、同時に前国会で、この委員会でも御審議をいただきました公認会計士法改正、その公認会計士法改正趣旨というのは、まさしく監査法人独立性をより強化しようと、世界的な傾向の中で監査法人独立性は、この独立性というのは特定の利害からも独立であって国の権力からも独立であると、それが大変重要であるということもこれまた同時に我々としては考えなければいけない問題であると思っております。  一般論として、これは監査人というのは監査契約に基づいて厳正に監査する責任を負っております。これ、例えば証取法上の責任とかいろんな観点、我々も今検討しておりますけれども、これも刑事、民事、行政上の責任をこれ財務諸表を作成した経営者がまず負っている。それで、虚偽のある財務諸表を故意又は過失によって虚偽ないものとして証明した監査法人についても同じような責任を負っている。そういう観点で我々は監査法人を見る立場にあるわけでございますけれども監査法人銀行の間の契約に基づいて当事者の話合いに対して、とりわけそれを事前に介入するということは、これはやはりあってはならないことなんだというふうに思っております。  繰り返し申し上げますが、恐らく監査の非常に微妙な判断でございますから、銀行経営者監査法人の間では様々なやり取りがあったのだと思っております。ここはしかし、銀行にも責任がありますし監査法人にも責任があります。非常に社会の中で責任を負っているその当事者でまずしっかりと問題の所在を確認をしていただいて、それで社会に対してお互いが説明責任を果たしていくということがまず少なくとも今の法律の枠組みの中では求められていることではないかというふうに思っております。  万が一にも証取法上の何か問題があるということでありましたら、これは我々としても対応しなければいけないわけでありますから、現時点で、しかしながらそういった問題についてあるかどうかということについての言及は、これは一方で差し控えなければいけないというふうに思っております。  委員冒頭でおっしゃいましたように、こういう結果になったことについては、これは大変遺憾であるというふうに思っておりますし、県民に負担が少しでも掛からないように、その後の対策については我々も万全を期したいというふうに思っております。
  16. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 責任を求めるということではなくて、あるべき姿としての見解をお聞きしたいんだけれども。  今までの一連経過をもってして、私は、足利銀行健全化ということだけをまた視点を置いて、このあるべき姿がどうであるべきかというふうな見解から御意見をお伺いしたいと思うんだが、その点ではいかがですか。
  17. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 足利銀行健全化という視点からということでございますか。健全化という視点で、どのように私たちが今後を見ているかということでございますか。申し訳ありません。
  18. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 今申し上げた一連経過、ですから、人事を尽くして、最大限努力して、健全化に努力した、しかしながら結果的に事至らずして今回の処理になったという話だったらまだ納得が付くわけですよね。しかし、そうじゃない経過があったということからして、あるべき姿はどういうふうな思いですかというふうな質問であります。
  19. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 足利銀行地域にとって非常に大きなウエートを持っていて大変重要な銀行である、それは先生方からも御指摘をいただいている。我々も、この銀行、極めて重要であるという思いでいろんな監督上の指導はしてまいったつもりでございます。そういう過程で……
  20. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 ちょっと済みません。意味が違う。  私が質問しているのは、要するに、最終段階になって何の余裕もなく、銀行としてもそれなりの努力がされたという余裕もなく要するに勧告を受け、それでゼロ査定になってしまって債務超過になったと、この経過ですよ。その経過が私は問題ありと思うんです。しかしながら、責任はいずれにせよ、あるべき姿というものはどうあるべきかという一つ大臣としての思いはいかがですか。
  21. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 大変申し訳ありません。ちょっと私まだちゃんと理解していないかもしれませんが、委員の御指摘は、ここに至るまで銀行にとって十分な対応をするようなプロセスは取れなかったのではないだろうか、どういうふうであるべきだったのかという御指摘かと思います。  それに関しては、これは足利銀行自身がまず、委員も御承知のように、実はこれ繰延税金資産の問題というのは大変大きな問題でありますが、私は、まず銀行経営者繰延税金資産がどのように監査法人によって評価されるかについて、当然のことながら物すごく問題意識と危機意識を持っていたと思います。その理由は、地方銀行の中でも繰延税金資産に対する依存度がこの銀行は異常に高かったわけです。平均してティア1に対する比率が二十数%であると、平均でですね。この銀行は一八〇%なんですね。私は、当然のことながら、そういう、平均が二六に対してこの銀行は一八六%です。そういうことで、私は、銀行経営者は、これはある程度の了解を得られている感触を持っていたという御紹介を先ほど記者会見でされましたですけれども、私は、銀行経営者としては当然のことながらいろんな可能性を考えて対処をやはり私はしておられたのではないかと思います。  最終的に監査法人がどのような判断を下すかというのは、これは微妙な判断でございましょうから、これは銀行経営者にもなかなか予見がしづらかったのかもしれません。そうした中で、私たちは業務改善命令も出しています。これは、しっかりと収益力を高めないと大変問題ですよということは申し上げている。そういう中で、銀行がいろんな可能性を考えて努力をしていただく。監査法人とのそういった観点、危機感を踏まえてしっかりとした意思疎通を持っていただく。そういう中で、委員おっしゃっておられるように、万が一これが否認されてもいろんな対応策を取っておくとか、そういうことは私はやはりしていただきたかったなというふうに思っております。  もちろん、これは予見が難しい問題でありますし、繰り返し言いますが、これは当事者の話でありますから、実際にどういうお話合いがなされたのか私たちにはよく分かりません。したがって、先ほど申し上げましたように、まず当事者においてそこをしっかりとやはり社会的な説明責任を果たしていただきたいというふうに思っているわけでございます。
  22. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 金融審議会、金融庁の下にある審議会だと思うんでありますけれども、そこで自己資本比率規制に関するワーキングチームの経過報告があります。  この報告の中で、あくまでもこの繰延税金資産は低い方のがいいですよ、しかしながら上限についてのいろんな議論は意見が多々あるものだから整理し切れない。一年がいいのか、五年までこの猶予が利くのか等々いろんな議論があるようですよ。しかし、それについてはいずれにしろ結論が出なかった。しかしながら、透明性を期そうというふうなことについては一致を見たという一つの、一連一つ経過報告があるようであります。  ですから、今、大臣が言われたように、これは高いんじゃないかと。しかし、高くて、今回の三月期の決算はそれでパスしているわけですよね。そのときに何らかの問題提起、改善指導があるならば努力もされたでしょう。しかし、何の指摘も受けずして三月期の決算がパスしていた。この事実関係、なおかつ、こういう一つ経過報告からしてなかなか基準を設けるのは難しい。そうでしょう。  だから、今の期待値からしてというふうなこと、それは当然そういうふうな問題意識は持っているかもしらぬけれども、この三月期パスしたんならこの九月期だってそうされるべきだというふうに思うのは当然の話じゃないかと思うんだな。
  23. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員はよく御承知だと思いますが、繰延税金資産につきましては、どのような基準でこれを計上するかということに関して公認会計士協会の実務指針がございます。その意味では、今でも既に基準はございます。この基準が、しかし、もう少し外形的な形を導入すればよいのではないかという意見もあって、今様々な形での審議をしております。繰り返し言いますが、今でも会計士協会による基準があるわけです。この基準に基づいて今までも計上してきたし、今回も判断をなされたと思っております。  指導云々でありますけれども金融庁としては、先ほど申し上げましたように、この銀行に関しては、財務状況、いろんな意味で指摘されるべき問題がありましたものですから、これまで十四回の報告徴求を求め、業務改善命令も今年になって出している。その意味での指導、我々のできる範囲でやってきた中で今回のことが起きた。その意味では、繰り返し申し上げますが、大変遺憾なことであるという思い、我々は非常に強く持っておりまして、互いの銀行監査法人説明責任を果たしていただく中で、行政としては県下に大きな影響が及ばないように最大限の努力をさせていただきたいというふうに思っております。
  24. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 もう時間が来ております。  大臣、今のやり取りでまだ私は県民総意が十分理解したというまでは至っていないと思うんだな。だから、是非とも、それぞれが疑問を持っているんですよ。だから、向こうの話、銀行監査法人との話合いということじゃなく、監督官庁として、あるべき姿も踏まえて要するにこの事実関係の私は説明責任を求めたいと思います。  そして、最後になりますけれども、二回の増資、これもみんなで支えていこうというような増資のときは、特に平成十一年の八月に行われた優先株の増資でありますね、これについては、性格上、市場性もない、なおかつ五年間の猶予期間をもってして、あくまでも発行側の意向でもっての処分というふうな一つの在り方。つまり、表現は株だというふうな表現だろうけれども実態は債権だというふうなことと間違いないと思うんですね。それでもって、劣後ローン、劣後債については全額保証される、いや優先株は駄目だという一つの形式上の一つ判断ではなくて、是非とも同様な内容、同趣旨の在り方ということも踏まえて何らかの対応を是非考えてもらいたいな、このことを最後に要望しておきたいと思います。
  25. 谷博之

    谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。地元栃木選出でございまして、今日、委員会におきまして質問の機会をいただきましたこと、厚くお礼申し上げたいと思います。  冒頭、今、私の先輩の矢野委員からいろいろお話ございましたけれども冒頭、過日の衆議院選挙の話がございました。一つだけ言わせていただきたいと思っておりますが、自民党の議席が一議席増えたことは事実でございますが、これが圧勝であったかどうかは皆様の御判断を仰ぎたい。  そして、もう一つは、今県民の中にはこういうふうな話がございまして、自民党の議席は増えたけれども足利銀行は倒産をした、これではやはり政権を替えないと我が地元金融機関は生き残れないと、こういう声が大分沸き上がっていることをひとつ御理解をいただきたいというふうに思っております。  早速ですが、それでは質問に入りたいと思います。  まず一つ竹中大臣に単刀直入にお伺いいたします。  大臣は、十二月の一日、具体的な報道機関を出して恐縮ですが、NHKのテレビで、債務超過というのは足利銀行自身の判断であり、金融庁は事後的に申入れに対応したものである、このように発言をされておられますが、これは事実でしょうか。
  26. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 正確な表現は今ちょっと定かではありませんが、これは、銀行が自ら債務超過であるという報告を行って破綻の申出を行ったという、そういうような趣旨のことを、それに対して我々は事後的な行政を行う立場にありますので、事前介入をしないで事後的なチェックをする立場でありますので、しっかりと対応していくんだ、そういった趣旨のことをお話ししたと思っております。
  27. 谷博之

    谷博之君 預金保険法の第七十四条第五項、これに従って銀行が自主的に申出をしたと、こういうことだろうと思いますけれども、これまた単刀直入にお伺いしますけれども銀行側にとっては不満は残らなかったんでしょうか。
  28. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 経営がこのような形で行き詰まったわけでありますから、銀行経営者にとって無念思い、不満、そういったものがないということはあり得ないと思います。これは今回の場合に限らず、これまでこういった事態に至った経営、銀行に限らずすべての企業において、経営者というのはいろんな意味での無念思いや不満や、そういうものは当然にある。今回も経営者にはそういう思いがあるのではないかと思います。
  29. 谷博之

    谷博之君 金融庁は、今日までも、金融検査において、特に足銀に対して過重な引き当てを要請したり、あるいはまた監査法人監査に厳格性を要求したり、こういうことをずっとされてきておられたということを私たちは聞いております。  そして、話はちょっと次元変わりますけれども栃木県の福田知事、あるいは足銀の日向野頭取、こういう方々が、竹中大臣やあるいは出席いただいている谷垣大臣、さらには福田官房長官、そして小泉総理にまで、昔で言うところの直訴までしていろいろと要請をしたということはもう御案内のとおりであります。そういういろんな経過の中で、にもかかわらずこういう結論を出したことについて、この間の金融庁並びに政府対応というのは、正に、極端なことを言えば木で鼻をくくったような対応でしかなかったというふうに私たちは言わざるを得ないんであります。  そこで、これはもう是非、私はこういうふうな事実経過、お互いに当事者、銀行金融庁、そして監査法人、そしてそれに影響を受けるところの直接的には我が栃木県民のそういう将来の経済危機の問題、こういうことを考えたときに、当委員会竹中大臣見解なり御答弁を求めることはもちろん必要でありますけれども、片一方の当事者、こういう方々の、今無念思いとおっしゃいましたけれども、いろんな言い分もあろうと思うんですよ。こういうものをやはり私はオープンにして議論をしない限り、こういったこの問題に対する事実の確認、あるいはそれに基づく結論が良かったのか、こういうことに対する私は判断というのはできないと思うんですね。  したがって、これは委員長に是非私は要求したいんでありますが、次回の委員会にこういう足利銀行関係者、できれば、あるいは自治体の代表等も含めて、こういう方々の、参考人として呼んでいただくことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  30. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) お申出の件につきましては理事会で検討させていただきたいと思います。
  31. 谷博之

    谷博之君 続きまして、金融危機対応会議の問題についてお伺いしたいと思いますが、私の手元に十一月二十九日付けの金融危機対応会議の諮問に対する答申というのがございます。これにつきましては、この答申の中を見ておりますと、足利銀行から債務超過となる旨の申出があったことはここに記載がされております。そして、しかしこの会議で足銀が債務超過であると認定した記述はここには入っておりません。先ほどの大臣の概要説明の中にはこのことは触れられておりますけれども、この答申の中にはこれが触れられていない。そして、いきなり国有化必要性、つまり預金保険法第百二条の第三号、この措置を適用する、このように判断をするというふうに書かれております。  それで、この百二条の仕組みについてでございますけれども、システミックリスクのおそれというものが出てきたときに、それを過少資本なのかあるいは債務超過なのか、このまず判断をして、その後にいわゆる一号から三号の適用をどうするかという、こういう仕組みになっていくと思うんですけれども、この少なくとも二十九日の会議では、それがこの文面からは確認されたことが出てこない、この辺の経過について説明していただきたいと思うんです。
  32. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 足利銀行に対しましては、十一月の二十七日、十五年三月末を基準日とした検査結果の通知を行うとともに、あわせて銀行法二十四条に基づいて検査結果を踏まえた十五年九月末時点の財務状況等について報告を求めました。これに対して、十一月二十九日、同行から金融庁に対して十五年九月期決算について債務超過となる旨の報告があり、あわせて預金保険法第七十四条第五項に基づいて破綻の申出がなされたわけであります。そして、私どもとしては、当該二十四条報告及び当該申出の内容確認をいたしました。この中で、債務超過であるということを確認をしたわけであります。  そして、私どもとしましては、同行がその財産をもって債務を完済することができない債務超過の状態にあるということを確認をし判断をして、そして危機対応会議開催をされ、そして同会議においても私どもから同行が十五年九月期決算において債務超過となる旨の報告を行ったところでございます。
  33. 谷博之

    谷博之君 私が申し上げたいのは、この二十九日の金融危機対応会議の中で、百二条に規定されているその認定を行うというこの文言がここに入っていない。つまり、これは手続上の瑕疵があるんじゃないかということを私たちは強く求めているわけでありますけれども、この点についてはどのように考えますか。
  34. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 金融危機対応会議というのは、ここでは三号措置必要性認定を行うわけであります。なぜ三号措置が必要か、これについては、今、副大臣からもお話がありましたように、金融庁として手続を経て、先方からの申出の内容確認をして債務超過であるということを金融庁として判断をしている。その判断をするのは金融庁でありますし、この金融危機対応会議の目的は三号措置必要性認定なのでありまして、金融庁がまずその以前に債務超過であるということを判断をしております。その上で、対応会議では、繰り返しますが、三号措置必要性認定を行う、それが会議の目的でございます。
  35. 谷博之

    谷博之君 大臣の今答弁と私は若干認識を異にしておりまして、つまりシステミックリスクのそういうおそれがある、その場合に、その金融機関が要するに経営の内容が過少資本なのか債務超過なのか、ここのところをこの会議認定をするというのが法第一〇二条の内容じゃないですか。
  36. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 金融危機対応会議にはメンバーといたしまして金融担当大臣あるいは金融庁長官が加わっておりまして、こうした議員が、その職責に基づいて、銀行から出てまいりました報告書を添付書類などで職員に確認をさせながら債務超過であるということを確認をし、その上で会議必要性ということを判断して会議の招集をお願いするということであります。  金融危機対応会議はそうした銀行財務状況の詳細を点検することが任務ではございませんで、そのメンバーが確認をしております銀行財務状況ですとか、あるいは銀行の流動性の状況、これは日銀総裁も議員でございます。こういったような材料を基にいたしまして、この状況金融危機を生ずるおそれがあるのかどうか、そうであるとすれば百二条の適用の是非、また百二条を適用する場合どの条項の適用になるのか、こういったことを審議決定をするということで、その決定案がこの答申であるわけでございます。
  37. 谷博之

    谷博之君 時間がありませんので、この問題は次の機会にまた譲るといたしまして、次に、一番問題となりました債務超過の定義のことなんですけれども、要するに会計上自己資本と同時に、いわゆる企業の営業価値、昔で言うならばのれんですよね。そういうものが正に私は大きいというふうに思いまして、特にこれは、いわゆる預金保険機構の前室長の佐々木さんもこういうことを指摘しておりますけれども、こういういわゆる無形資産といいますか、こういうものに対する考え方というものが、残念ながら今回の足銀の問題ではこの営業価値というものをほとんどゼロとして見ているというふうに私たちは言わざるを得ません。これについてはどのように考えておりますか。
  38. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 債務超過と申しますのは、お話ありますように、財産をもって債務を完済することができない状況、で、その際には貸借対照表を基にいたしまして、預金保険法上の判定をいたしますときは、こうした貸借対照表上の計数に、必要に応じ、有価証券などの含み損など、こういった資産の時価も勘案をして債務超過かどうかを判断するということになります。  お話のありましたのれんでございますけれども足利銀行から提出されております貸借対照表にはこののれんというのは計上されておりません。商法あるいは企業会計原則におきましてのれんというのを貸借対照表に計上できますのは、有償で譲受けをした場合又は合併により取得した場合、こういうものに限られるわけでございます。  いずれにしましても、十五年九月期の足利銀行の貸借対照表にはこののれんというのは計上はされていないということでございます。
  39. 谷博之

    谷博之君 そうしますと、今後この銀行が新たな引受先に移っていった場合に、そうしたいわゆる営業価値といいますか、のれんといったものは継承されるんでしょうか、それじゃ。
  40. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 特別危機管理銀行、一時国有化の後、受皿に譲渡されていきます。いろいろな形態がありますが、譲渡をされます。そのときに預金保険機構資金援助を行って債務超過を解消をするということですが、今ののれんというお話はその譲渡の際の対価がどうなるかということになるわけですが、これはその時点で当事者間で協議されるものですので、現時点では何とも申し上げられないわけです。  ただ、のれんというものがこの譲渡の際にどういう扱いになり得るのかということですが、受皿金融機関が特別危機管理銀行すなわち足利銀行を合併する、あるいは営業の譲受けということで受け入れる、こういう場合は預金保険機構と受皿金融機関との間で決められます対価の水準いかんによりましてはこののれんというものが計上されてくるということはあり得ます。  ただ、いずれにしても、この譲渡の方式とか対価の水準は両者の協議で決まるものでございます。ですから、今からのれんの計上の有無があらかじめ決まるというものではございません。その時点での譲渡しに関する協議、対価の結果であるというふうに申し上げることになります。
  41. 谷博之

    谷博之君 質問項目がたくさんありますので、次に移りたいと思いますので。  実は、昨日、栃木選出国会議員の皆さん方のところに、社団法人栃木県観光協会、そして栃木県旅館生活衛生同業組合、こういう団体から要望書が出てまいりました。これは、県内のいろんな団体、この団体に限らずたくさんの団体から今度の問題について要望、要請を受けております。  谷垣大臣にお伺いしたいと思いますが、その質問の前に若干大臣に一言触れておきたいんですが、大臣はこの前の小泉内閣、第二次内閣から財務大臣に御就任されましたが、残念ながら本会議委員会等で所信をまだ一度もお聞かせいただいておりません。そして、今日は御答弁をいただくということでありまして、これは一日も早く所信をしっかりとお述べいただきたいということを強く求めておきたいと思いますが。  そういう中で、申し上げましたこの団体からの要望の一番の柱は融資の継続、そして少なくとも緊急融資制度を更に充実してほしいと、こういうことでありますね。政府は今回ハードランディング策というものを取って正に大なたを振ったわけでありますけれども、例えば栃木県の場合も緊急に三百億の融資制度を創設をしたというようなこともありますけれども、国の対応ですね、少なくとも政府金融機関に相談窓口を置いて、そしてそういう当事者の相談に応ずるということ、これはごく当然のことだと思うんですけれども、それだけで対応がいいんだろうかというふうに思うんですね。  だから、例えば特別な融資枠とかあるいは信用保証枠というものを設定をして、そして対応に当たる。ましてや、県内の企業県民の皆さん方のそうした将来の不安感というものを解消するためにも、地域経済安定策というものを政府自らも取っていかなきゃいけないと思うんですけれども、これらについてのお考えをお聞かせいただきたい。  そして、もう一点、続けて聞きます。そして、もう一つあしぎんフィナンシャルグループの発行済みの株式の問題でありますけれども、これについても、ほとんどその価値がなくなってきているということ。この株を保有している企業がたくさんございます。こういう企業に対するいわゆるその損失の軽減を、軽減策をどうするか、こういう点についても非常に今大きな問題になっているわけでありますけれども、この二つについてお伺いしたいと思います。
  42. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) お答えいたします。  今回の足利銀行特別危機管理開始に伴いまして、同行業務を行っている地域金融それから経済の安定に迅速かつ適切に対応していくということは一番大事なことではないかと考えております。こういう認識の下で政府としては関係省庁連絡会議を十二月の二日に設置をいたしました。  それから、足銀が営業しておられた地域の信用供与の円滑化、これを図るために、政策投資銀行、それから国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、この四行では、特別危機管理決定の翌日の三十日、日曜日ですが、午前九時から特別相談窓口を開きまして、取引先の企業等からの資金繰りの相談に応じているところでございます。特に、相談件数の多い窓口では営業時間を延長して対応しておりますほか、明日、それからあさっての土日にも対応する予定で、今仕事をしております。  それから、先ほどその資金繰り、十分配慮する何か考えるべきだという御意見でございましたけれども、正にこういうときのために作られておりますのがいわゆるセーフティーネット融資制度、金融環境変化対応資金でございますので、これを、こうした制度の積極的な活用を通じて事業者の資金需要にきめ細かく適切な対応がなされていくものと考えているわけでございます。今後とも、政策金融機関を通じて地域における中堅中小企業等に対する円滑な資金供給の確保と、努めていきたいと考えております。  それから二番目にあしぎんフィナンシャルグループ株式を保有していた方への対応ということをおっしゃいましたけれども、大変、出資をされて、この特別公的管理が開始した結果、持っておられた株式がほとんど無価値になってしまったと、これはもう大変当事者の心情を察するに余りあるというだけではなくて、いろんな問題がこれは生じてくる可能性はあるのかと思っておりますが、株式が無価値となったということだけでそれを救済していくというのはもう仕組みの上で極めて難しいことでございまして、先ほど申し上げたようなセーフティーネット、そのほかの政策金融機関の持っている措置株式が無価値化したことによっていろいろ問題を抱えておられる方々にはこういう仕組みを活用していただいて、円滑な資金供給を行うなりきめ細かな対応を取っていくと、いこうと、こう考えているところでございます。
  43. 谷博之

    谷博之君 いろいろその後の話も具体的に聞きたいところなんですけれども、課題がたくさんありますので、次に善意の個人株主の話をといいますか、その問題をお伺いしたいと思っております。  足銀は平成十四年の一月に第三者割当て増資ということで多くの県民から民間の方々の資金調達というものを行いました。これが残念ながら結局損害を受けたということであります。  先ほど、劣後債の話が、劣後債務の話が出ましたけれども、やっぱり私たちは損害を受けた個人株主に対する救済措置というものも何か考えなきゃいけないんではないかというふうに思っているんですが、この点についての御見解を重ねてお伺いしたいと思います。
  44. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 損害を受けた善意の個人株主に対する対応の問題でございますけれども、先ほどからもお話がございましたように、県民挙げて足利銀行を立て直していきたいということで多くの方々がそれに御協力をされたという実情を私ども承知をいたしておりますし、そうした中で株主の皆様方の心情を考えますと、極めて遺憾なことだというふうに思っております。  しかしながら、債務超過によって株式が無価値化をしたということでございまして、今回の百二条の三号措置の発動によって足利銀行の、預金を預けられている方々、こういう方々に対しては債務を全額保護するということはできますが、これはやはり株式でありますので、それを預金と同じように扱っていくというのは、今の制度上その対応をすることは、これはなかなか困難であると。財務大臣がお話をさせていただいたとおりであります。  私どもといたしましては、保有株式が無価値化することによってその資金繰りに困難を来していく、あるいは借入金の返済に大変困る事情がある、そうしたことに対しては関係省庁連絡会議というものを設置をいたしておりますので、その中で検討をさせていただいて、何らかの対応ができないかということを考えて対応していきたいというふうに思っております。
  45. 谷博之

    谷博之君 こういう善意の個人株主がその株を取得する際に、足銀の銀行関係者から二年間売買は控えてほしいとか、あるいはつなぎ融資を受けたときに、要するに優越的な立場から株のいわゆる増資に応じてほしいと、こんなようなことが言われて応じた方々もたくさんおられます。  これは、私たちの関係者の中でも随分そういうことをメールやファクスで送ってきておりますけれども、そういう方々に対して旧経営陣といいますか、今日までの経営陣に対する民事、刑事上のやっぱり責任も出てくるんだろうというふうに思うんです。この銀行国有化をしていったときに、一時国有化をしたときに、新しい経営陣の中でこういう問題についてどこまで踏み込んで調査をされ、取組をされようとしているか、この点も関連してお伺いしたいと思います。
  46. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 先生指摘のように、特別危機管理銀行の場合には、法律に基づいて新しい経営陣等が旧経営陣の民事、刑事上の責任追及を行うということが規定をされておりますので、新しい経営陣が着任をいたしましたら、民事、刑事上において問題があればこうした対応をしていく、その中で責任というものを明確にしていくということになろうかと思います。
  47. 谷博之

    谷博之君 ちょっと結論めいた話をして恐縮なんですけれども、国が公的資金を入れたから国も支援しているというふうな考え方に立って、そしてある意味では安心して個人もいわゆるその増資に応じた、こういうことが考えられると思うんですね。  ところが、この足銀の例を見ておりますと、そうではなくて、国がそういう公的資金を入れるとこれはもう黄色信号なんだと。したがって、そういう銀行にはもう銀行側から株を例えば求めてくれと言われても駄目ですよと、こういうふうな雰囲気が全体的に広がっていくというふうに、そういう危険性があるというふうに思うんですね。こういうふうな状況を私は今回のこの事件を通していわゆる作ってしまったのではないかというふうな、そういう感じがいたしております。  したがって、銀行の全体の株そのものが、つまり国民のそういう目からこの足銀の問題を通してますます危ないものだという認識が更に植え付けられてくるということを非常に私は心配をしているんですが、その辺についてのお考えはどうでしょう。
  48. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、委員指摘になったような、そういった思いが広がらないように我々としてはしっかりと正しい情報を伝えていかなければいけないと思っております。  これは、公的資金を注入した銀行というのは、これは結構な数あるわけでありますけれども、そうした中で、実際にその後、経営を立て直して公的資金を返済したところも御承知のようにあるわけです。そういうところの中で株価がしっかりとした動きをしているというところも、これは少なからずあります。  これは、地銀の中でも、地方銀行の中でもそれぞれ経営は様々であります。先ほど申し上げましたように、実はそうした中にあって、足利銀行というのは、やはり大変残念なことでありますが、各種指標で見てやはり非常に特殊な地位にずっと置かれていたというふうに思います。自己資本比率も地銀の中で一番低い。不良債権の比率は地銀の中で上から二番目に多い。先ほど申し上げましたように、ティア1に対する繰延税金資産の比率は平均二六%に対してこの銀行は一八六%ある。そうしたこと等、やはり非常に特殊な状況にあったんだと。  これは、公的資金であれ市場で調達した資金であれ、それに基づいていかに財務基盤を強くして営業を強くしていく、経営を良くしていくかというのは、これは正に経営の話でございますので、その経営をやはりしっかりと我々としても見ていかなければいけない。投資家の方々にもやはり投資家としてのガバナンスを発揮していただきたい。そのようなことを是非我々としてもお伝えをしていきたいと思います。
  49. 谷博之

    谷博之君 それじゃ、先ほど矢野委員から繰延税金資産の話が出ましたので、貸倒引当金の問題についてちょっと一点お聞きしておきたいと思うんですが。  金融庁が三月末時点で足銀の自己資本がマイナスに陥った、その主な要因ということで不良債権への引き当て不足を挙げているわけでありますけれども、そのうちの貸倒引当金、これは将来貸倒れ損失が出たときの見積額ですね。これをあらかじめ見通しして立てておくということだと思うんですけれども、これはいわゆる景気のどん底状態の状況と景気が上向いてきたときの状況によって若干この見通し、その額等も違ってくるんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういう意味での今回のこの貸倒引当金の問題について、足利銀行が最も実態に精通した見通しを立てておられるのと、それから金融庁が見通しを立てた、いわゆるその内容の違い、そこら辺の問題について、特に私たちは、こういう金融検査におけるこういうふうな引き当て額あるいは引き当て率、こういうものに対して適正な基準というものを私はやっぱり作るべきじゃないかというふうに思っているんですけれども、そういう点でのそういうふうな明文化するような作業といいますか、そういうことについての御検討をされておられるでしょうか。
  50. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 委員指摘のとおり、一般的に個々の債務者の状況については融資を行っている銀行自身が一番多くの情報を有しているということであろうかと思います。  金融検査は、こうした銀行側の情報について、銀行側からの説明を受けながら、銀行自身が会計ルール等に沿って適正な債務者区分あるいは償却、引き当てを実施しているかということを言わば共通の物差しでチェックするというものでございます。これは、金融行政の任務であります信用秩序維持であるとか預金者の保護であるとかといったことを図るという目的に照らして個々の銀行財務の健全性をチェックすると、こういう役割であるわけでございます。  検査におきましては、銀行側との議論を経まして、銀行側検査官との間で共通の認識に至ったものを結論として採用するというのが一般的な進め方でございまして、仮に共通の結論に至らなかったというものについては、例えば意見申出の制度といったものがあるわけでございます。  引当金の算定について基準があるのかどうかという御指摘につきましては、これは公認会計士協会の実務指針や、あるいは金融検査マニュアルで標準的な算定の方法というものが定められておりまして、各債務者区分ごとにその回収の危険度に応じてそれぞれ定められた標準的な手法がございまして、これに沿ってチェックをしているということでございます。
  51. 谷博之

    谷博之君 時間が来ましたので、最後に私のこの問題に対する要望を含めた考えを述べておきたいと思いますけれども。  実は、この足銀の問題の前に、ペイオフ以前に、ペイオフ解禁を前にして、既に栃木県の県内の信金、信組の五行が実はつぶれております。そういうふうな状況の中で、大変県内のまず企業が第一ラウンド、そこで影響を受けた。そして、その後、言うならば今度の足銀のこういう状況が、破綻が生まれてきたということであります。  私は、そういう点のローカルな地域経済というのは、一つ銀行だけではなくて、連動してそういうふうないろんな動きにすべて影響してきているということをすごく感じております。したがって、今後、心配されますのは、この足銀の問題が他の県内の金融機関にどういう影響をまた及ぼしていくのかということが非常に心配でありますし、これは単に栃木県だけの問題ではないと思いますね。そういうすべての地域経済の、あるいは金融状況からすると、そういうことが起き得る、起こり得るということを非常に心配をし、危惧をしているところです。  たまたま私のところにある方からメールをいただきまして、今回のこの足銀のケースをこのようにこの方は言っているんです。病気を治すと言って陰で劇薬を強制的に飲ませ、体力がありません、治りません、こう言って集中治療室で徹底して治療していると、こういうことですね。つまり、治す治すと言いながら、結局、そういうことではなくて、むしろ逆の方向で劇薬を飲ませて、結局体力を弱らせている、こういうふうなことで県民の皆さんはこの足銀問題については見ておられるということですね。  そういう点も、私は非常に鋭い指摘だなというふうに思っておりまして、本当であれば、こうした県内の中小企業の皆さんやあるいは県民の皆さんの生の声を一つ一つこの場で御披露させていただいて、その無念思い、そして厳しい窮状を訴えながら、国やあるいは関係機関の責任を問いたいと、こういう気持ちで実は用意をいたしましたけれども質問項目が多い関係で羅列的な質問になりましたことをお許しをいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  52. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。風邪ぎみで、ちょっと鼻声でございますが、お聞き苦しいのをお許しいただきたいと思います。  先ほど矢野委員と谷委員の間で選挙をめぐっていろいろ意見が交わされておりましたが、お茶を濁すようで恐縮でございますが、私どもの選挙は、何か特定の金融機関や特定の企業を救ったり救わなかったりするために選挙をやっているわけではございませんので、いかなる企業金融機関であろうとも、財務内容に基づいて整々とルールの下で運営、処理されていくことは、これはやむを得ないことだというふうに思っております。  谷委員質疑を聞いていてちょっと疑問になった点がありますので、二、三確認させてください。  五味監督局長にお伺いしますが、のれん代について当事者間で話し合う問題だというふうにおっしゃいましたが、今回の当事者の片方はもう決まっていますが、だれですか。
  53. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 一時国有化されました足利銀行が片側の当事者でございます。
  54. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 国有化されたわけですから、私が申し上げたいのは、国も当事者ですねということをお伺いしているわけですが、それでよろしいですか。
  55. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 株主としての当事者であります。
  56. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そう遠慮なさらずに、当事者としてしっかり監督をしていただきたいんですが、私が申し上げたいのは、恐らく、谷委員の申し上げたかったことをちょっと敷衍いたしますと、足利銀行のみならず、多くの地方銀行というのは、店舗網とかその地域における県民からの信頼感という、これはバランスシートには反映できない無形資産であって、これをしっかりと反映した形で譲渡先との交渉をやっていただきたいということでございます。  例えば、これから譲受人がどういう方になるか分かりませんが、また私は外資系が悪いとは思いませんけれども、外資系の方が出てきたときに、この県民にとっては価格に引き直せないような無形資産を二束三文で渡すようなことのないようにしていただきたいということではないかなと思いますが、この点については竹中大臣からお伺いしたいと思います。
  57. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) ちょっと、答弁修正を。間違ったことを申し上げましたので。
  58. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 じゃ、修正してください。
  59. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 片側の当事者は足利銀行と申しましたが、預金保険機構でございます。申し訳ございませんでした。
  60. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは、当然のことながら、我々がしっかりと管理をして、それで再生をして、それで新しい受皿に引き継ぐということになります。  その際に、我々としても、これは当然のことながら、この企業の価値を更に大きくしてくれる人を受皿に選びたい、その人に当然その価値は大きいんだということを認めていただきたい、そうすることがこの銀行を良くし、県民に納得していただくことであると同時に、財政負担を小さくすることにもなる。そういう観点から、我々は、この一時国有化、大変大きな責任を負っておりますが、御趣旨に沿ってしっかりと管理をしなければいけないと思っております。
  61. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 この件に関して、この件というのは足利銀行の件に関してですが、高木長官が、いつぞやの会見かぶら下がりの記者会見か分かりませんが、半年後もまだこの状態が続いていると思うがというようなニュアンスの発言をされたと思うんですが、私は、今、竹中大臣のおっしゃるような趣旨で、竹中大臣が譲渡先がはっきり決まるまで責任を持ってやっていただけるなら信頼しますけれども、しかし竹中大臣もいつ民間に戻られるかも分からないお立場でありますので、竹中大臣がいなくなったら、こののれん代についてきっちりした議論も行われずに、何だか二束三文でどこかに渡ってしまうようなことのないように、在任中にしっかりと事務当局を御指導いただくなり、コミットメントをさせるなりしていただきたいなということを要望しておきます。  さて、お手元には資料を一枚配らせていただきました。大変、りそなから今日に至るまでいろいろと複雑な事案なものですから、ちょっと私の頭の整理も含めて整理をさせていただきましたが、少し線表のような形で細かい絵のかいてある方を竹中大臣にはごらんいただきながらお話をお伺いしたいんですが。  この破綻行である足利銀行は、三年三月期決算では御承知のとおり自己資本比率は四・五%であったわけであります。そして、金融庁検査によってマイナス〇・七%という結果が出たわけですが、衆議院でも、そして先ほどの矢野委員質問においても、繰延税金資産については、これは監査法人認定の問題であるので自分たちは関与していないというお話でありましたが、そこでお伺いをしたいんですが、金融庁が行った三月期決算において、これは資産査定をしたら債務超過だったと言っておられるわけですので、その時点で繰延税金資産については監査法人の申告のとおりに計上しているという、言わばそこで虚構を作っているわけでありますが、債務超過のものにその時点で繰延税金資産計上するというのもおかしな話でありますので、三月期決算において繰延税金資産もなかりせば、金融庁検査をベンチマークとすると自己資本比率は幾らであったかをお伺いしたいと思います。
  62. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 十五年三月期を対象といたします私ども検査におきましては繰延税金資産を全額否認するというようなことはいたしておりませんので、全くの仮定のお話ということではございますが、そういう意味で全く仮定の、言わば機械的な計算ということでお受け取りいただければと思いますけれども検査後で繰延税金資産は自己査定に対しまして二十八億円減額されて千三百五十九億円でございました。仮にこれをゼロといたしますと、恐らく検査後で自己資本比率マイナス〇・七%というところから更に四・数ポイント低下するということではないかと思われます。
  63. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ということは、おおよそマイナス五%ということかと思います。  仮定の話、仮定の話とおっしゃいましたが、これは昨日の衆議院の私どもの松本委員との質疑にも関連するんですけれども、この足利銀行の三月期の真実の財務状況というものは、足利銀行が公表した決算だけであるのか、それとも監督当局として金融庁検査をした結果の、例えば自己資本比率で申し上げるとマイナス〇・七、そして債務超過であるのでそこで繰延税金資産計上するのがおかしいという仮定の下に考えたとすれば、マイナス五%という自己資本比率に該当する財務状況、このいずれが真実の財務状況なのでありましょうか。大臣にお伺いしたいと思います。いや、大臣です。
  64. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 真実というのをどのように考えるのかという、そういうお問い掛けなんだとも思います。  御承知のように、決算というのは、これはルールに基づいて数字を積み上げていくものであります。そして、正式の手続を経て決算というものになります。そういう意味では、正式の手続を経て、取締役会、株主総会を経て確定したその決算の数字というのは、まさしく足利銀行が作成して公表して監査証明の付けられているもの、それが正式の決算ということになります。
  65. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ということは、決算一つで、自己資本比率四・五%というのが足利銀行の三月の真実の姿だとしたら、禅問答のようでありますが、金融庁のお出しになったマイナス〇・七とか、ある一定の仮定の下に置くとマイナス五・〇というこの自己資本比率財務状況は、これは何なんでしょうか。ちょっと定義をしていただきたいと思うんですが。
  66. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) もう委員承知のように、金融検査というのは、市場の信用を高めるために、金融システムを健全に、強くしていくために、我々金融当局がそうした観点から検査を行うものであります。  これは容易に御想像いただけるように、検査をしますと、現実問題として検査結果と自己査定というのは常に違います。そのどれだけ違うかというのも我々マクロの数値で公表しております。違う場合にはそれをどのようにするかというと、次の決算ないしは中間決算で反映をさせていただいて、それを事後的に決算の中に織り込んでいくというような手続を取っております。  これは、正に今の私たちの金融検査・監督のシステムというのが、先ほどから申し上げているように、事前には民間に責任を持ってやっていただく、民間の独立した公認会計士に監査をしていただく、それを事後的にチェックする、しかし金融市場を強くするために、我々が金融監督・検査当局として得た情報はそれに織り込んでいっていただく、そういう一つ考え方と秩序の中でそれぞれ運営されているというふうに認識をしています。
  67. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、それで結構だと思うんです。  とすると、三月決算は真実は四・五%の決算書しかない、そして九月決算においてもあくまで足利銀行が自主的に決算を行う内容が真実の決算だとすると、金融庁が今回検査をした結果を足利銀行が反映をもししないで、この差を見ると大体五・二%あるわけですから、そうすると一・五%ぐらいの、プラス一・五%ぐらいの九月末の自己資本比率決算書が出てくるとすると、この上の段のりそなの処理でごらんいただくように、前、りそなというのは二・三%で一号措置だったわけですが、もし足利銀行が一・五%という九月の決算結果を打ち出したらどういう対応になったんでしょうか。
  68. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと、個別の銀行に関して仮定に基づく御質問に対してはちょっとお答えのしようがないわけでありますけれども、基本的には、そうした結果は常に検査結果に反映をされ、検査結果は常に我々の指導によって次の中間決算に反映されている、そのように私たちは理解をしております。
  69. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、りそなの場合は二・三という結果が出て、その後、金融庁検査をやっていないわけですよね。この絵は、真ん中の段と足利の段で太い線で囲ってシャドーを掛けてある金融庁経営陣プラス監査法人というこの箱がそれぞれ対応しているわけですが、りそなについては、合併前の大和に対する検査だけをやり、経営陣監査法人が自主的に出した二・三%という決算結果には特に何も検査を行わずに処理を行ったわけですね。一方、足利銀行については、四・五%という彼らの結果に対して金融庁検査をし、その検査を反映して経営陣監査法人がマイナス三・七というものを出してきたわけですから、大臣、そのようにおっしゃるのでしたら、りそなについても検査をして、九月末に例えば債務超過だというりそなの検査結果を待ってもよかったんじゃないんですか。どうしてこの違いが出るんですか。
  70. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 二点申し上げたいと思います。  りそな銀行、そういういわゆる主要行については、通年・専担検査の枠組みの中で毎年しっかりとした検査が行われております。加えて、御承知のように、この二年間は特別検査を実施して、リアルタイムで債務者区分に関してそれぞれの検査決算に直接反映するような仕組みになっております。その意味で非常に強い検査の体制を既に持っているということでございます。  りそな銀行については、そうした中で、主要行に関する通年・専担検査の枠組みの中で、十一月二十九日に我々としても立入検査開始したところでございます。金融機関の業務の健全性と適正性の確保という金融検査の本来の役割にかんがみると、それを実施する時点で把握可能な直近の決算、我々としては九月期を対象として行うことが効果的であると考えております。  もし、委員の御指摘が九月期の決算までちゃんと待てばよかったではないかということであるならば、それはしかし、預金保険法百二条が想定しているような緊急の措置、正に今、まあ今はりそなの状況が落ち着いておりますから、我々あのときの、この春の状況をともすれば忘れがちかもしれませんが、資産規模四十兆円を超える銀行が資本不足になると、そのことだけでやはり大変大きなマーケットには衝撃があったわけです。それを九月の決算になるまで待ってからやろうというような措置は、これは金融当局としては取り得ない措置でございます。預金保険法そのものがそういう意味、百二条そのものがそういう意味での緊急のそういった措置。したがって、その時点で利用可能な最も確度の高い財務諸表に基づいて判断を行うと、これが預金保険法百二条の重要な枠組みであると思っております。
  71. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それは今後、この絵は実は来年の通常国会で出てくるであろう予防的資本注入の、健全行に対して注入するのかどうか知りませんけれども、そのことも想定して三つに分けてあるんですが、来年の法案については概要は分かりませんのでどういう手続になるか分かりませんが、先ほどの質疑でも出てきましたし、これまでの各所での大臣の御発言にもありますように、大手行と地方銀行と査定基準に差はないと、同じように淡々とやるんだということであるとすると、例えばりそなには今おっしゃったように通年検査が入っているからやり方が違うんだ、そして地方銀行は通年検査が入っていないから、たまたま運悪く足利は今回この検査の時期に当たって言わばバッドラックということでありましたねということでは銀行経営者の皆さんは大変混乱をしますので、検査基準も同じようにやるということであるならば、こういう手続についてもきっちり分かりやすく、これは今後預金者や株主にもみんな影響してきますから、分かりやすくしていただきたい。  というのは、例えば足利銀行の投資家、この四月以降に足利銀行株に投資した投資家にしてみれば、決算というのはその銀行が自主的に発表した決算結果だけを見ていては最終的には分からないので、その後金融庁検査がいつ入って、その検査結果が出るまでその銀行に対する投資はやめようという判断になるかもしれませんし、この辺の手続論についてはこの新制度を検討しているというふうに新聞報道もされていますので、もしそうであるとしたら、全体として整合性が取れて、関係者が不透明だと思わないような手続を整備していただきたいということを要望しておきます。  その上でちょっとお伺いしたいんですが、実はこの委員会で、さきの通常国会で、東京海上の問題でいろいろと議論させていただいたわけでありますが、竹中大臣は二度にわたってじっくりと御検討いただいた回答書を御提出いただいて、私は、どこかの委員会の席でも申し上げましたが、本当にこれが竹中大臣でなければ出てこなかったであろうと思われる非常に今後の金融行政を考える上で貴重な答弁をいただいたと思っているんですね。  例えば、最初にいただいた七月一日の委員会に対する、委員会での質疑に対する答弁書の中で、こんなことを二度にわたって言っておられます。「裁量的な事前指導が一切禁じられるべきものではなく、たとえばシステミック・リスクの発生が予想される局面において、仮に金融庁がただ手をこまねいていたとするならば、監督当局は不作為のそしりを免れない」と、こう二度にわたって書いておられるんですよ。私はそのとおりだと思います。  その上で、この今の絵をちょっとごらんいただきたいんですけれども足利銀行というのはもう三年ぐらい前から繰延税金資産の比率が高過ぎて、危ない危ないと言われて、この委員会でも櫻井委員も始め何度も取り上げていたわけでありますが、事こういう事態に至るまで手をこまねいていたのは、これは不作為のそしりを免れないんじゃないですか。  この東京海上のときに高木長官を擁護するために竹中大臣がここに記載された内容足利銀行に対する行政のスタンスとのそごについて御答弁をいただきたいと思います。
  72. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 行政の在り方の一般論として申し上げた、今、大塚委員が御紹介してくださいましたくだりと我々金融庁が行ってきた足利に対する監督との間でそういった意味でのそごはないというふうに認識をしております。  これまで足利銀行に対しては銀行法にのっとって厳正な監督に努めてきたところであります。十一年の九月に早期健全化法に基づく公的資金の増強を行っておりますが、それ以降、経営健全化計画の履行上の、履行状況のフォローアップをずっと実施をしてきました。  先ほども少し申し上げましたけれども、具体的には足利銀行及びその持ち株会社に対してこれまで合計十四回の報告徴求命令を出しております。そして、今年の八月には業務改善命令を発出しております。経営の健全性を確保しろ、抜本的な収益の改善を行え、経営上の様々なリスク、例えば市場リスク、流動性リスク等への対応を促すなど、我々としては監督上必要な対応を適時適切に行ってきたつもりでもございます。  結果的にしかしこういう事態に至ったということは我々としては大変残念、遺憾に思っておりますが、その意味では、我々のルールにのっとって必要な報告徴求命令でありますとか業務改善の命令を行ってきたということも、これは御認識を賜りたいと思います。
  73. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 合計十四回というのは、済みません、足利銀行に対してですか。
  74. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 足利銀行及び持ち株会社に対して、ちょっと詳しいあれはございません、銀行とフィナンシャルグループに対してでございます。
  75. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 東京海上のときの竹中大臣のこの見解のペーパーにはこういうことも書いてあるんです。東京海上があのとき話題になったA生保との合併の検討を撤回したということが公益を害するといって、高木長官は合併せよといって迫ったわけでありますが、それに関して、合意の撤回に関してこういうふうに言っておられました。その「合意の撤回が、」「調査の不十分性に起因しているとすれば、かかる同社の所業を、「公益を害する」行為と認定することもあながち不可能ではない」と。  私が申し上げたいのは、十四回も業務改善命令を出している対象である足利銀行がその業務改善命令を受けている期間において増資を行い、そして今回のこの直近の決算においても自分たちの自主決算では四・五で、検査をしたらマイナス〇・七で、そして繰延税金資産も仮に計上しないと仮定すればマイナス五にもなるという、こういう経営を行ってきた足利銀行、これは調査の不十分性という言葉は該当しませんが、言わば不十分な対応をして、これは公益を害したことになりませんか、足利銀行は。
  76. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) もう一度正確に申し上げますが、十四回の報告徴求命令と一回の業務改善命令でございます。業務改善命令十四ということではございません。  我々としては、我々が持っている手段で、金融行政、監督の手段で精一杯の監督を行ってきたつもりでありますけれども、いずれにしても結果的にこのように債務超過に陥ったということに関しては、繰り返し申し上げますが、極めて遺憾であるというふうに思っております。  この場合に、非常に積極的な何らかの経営者に瑕疵があって、それでこういうような状況になったのか、そうしたことに関して私たちは必ずしもそのようには現時点では考えていないわけでございます。経営者としてもそれなりの対応報告徴求に対してこのようにやるというような報告、その時点で一生懸命やってきたわけでありますけれども、しかし経済状況全体が厳しい中で、加えて、先ほどから何度も申し上げておりますように、そもそもの財務基盤が非常に弱い中での経営であったということでこのような状況に至った。  これは、経営者そのものに何らかの瑕疵なり責任があったということでありますれば、そうした問題に関しては、御承知のように、今の法律の枠組みの中でこの特別公的管理銀行に関しては新経営陣がその経営の責任を民事、刑事にわたって問うことになっておりますので、そうした中で、これは新経営陣に是非しっかりと見ていただく必要があると思っております。
  77. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 竹中大臣答弁のうまさは私も認めておりますので。うまいというのは決して、あれですよ、中身があるという意味ではなくて、先ほどのれんの話が出てきましたが、竹中大臣は幾ら御質問してものれんに腕押しでございますので、なかなかすぱっとお答えいただけないんですが。  いや、せっかく東京海上のことやりそなのことで、まあ我々としても不満はありますが、しかし金融行政が徐々に過去と決別しつつあるのではないかなと私も思っております。そういう中で、間違っていたことは間違っていたというふうに認めていただくということが、実は日本を良くするための最大の、あるいは最後の難関とも言える行政の無謬性というものを打ち破るために必要だと思っているんです。  それは行政だって間違いはあると思います。しかし、過去に間違いはなかったという前提に立っていろんな議論を組み立てるから、うその上にうそを塗り重ねることになっていると、この委員会における審議を通じても私はそう思っているわけであります。  したがって、今回の足利の処理についても、財務内容債務超過であるならば、これはルールに基づいて三号措置決断されたという判断は、これは致し方ないと思っております。ということであれば、きちっとしたルールを構築して、過去において、例えば今の竹中大臣の東京海上の審議におけるこの回答書の中に書いてあること、私は非常にいいこと書いてあると思いますよ、程度の問題として納得できない部分はありますけれども。例えば、足利銀行が過去数年間にわたって繰延税金資産の対自己資本比率の比率が二〇〇%近くになるまで我が社は大丈夫ですと言っていた経営陣の経営姿勢というものは明らかに公益に害するわけです。  そして、金融庁の、今いる人たちじゃないですから、過去とやっぱり決別してほしいですから、その当時担っていた責任者の皆さんは、これは不作為のそしりを免れないと。遡及して責任を問うまでは言わないけれども金融庁は、過去、足利銀行への対応が間違っていたというふうにはっきり言っていただいた方がみんな納得できるんですよ。過去も正しいことをやっていた、今回も正しいことをやります、だれも悪くないですね、そうしたらね。そういう組立てで議論をされているから、矢野先生まで何だか野党みたいになっちゃっているわけですよ。  これは、金融庁に限らず、行政の皆さんはやはりこの日本の行政機関の無謬性というものをそろそろ打ち捨てていただく決意をしていただかないと、いつまでたってもこういう議論をする羽目になってしまうということを申し上げておきます。  そして、さっきも申し上げましたが、竹中大臣には、もちろん私も異論はありますけれども、しかしよくやっていただいている面もあるなというふうに、若輩者がこんなことを言って恐縮でございますが、そう思っております。だから、竹中大臣がずっとやるならいいですけれども、小泉さんもいつ嫌になって辞めちゃうかもしれませんし、竹中さんがお辞めになったらまた元の金融行政に立ち戻っていくということにならないように、今のうちにきっちりと筋道を付けていただきたいということでございます。  それを意見として申し上げた上で、もう一つ質問をさせていただきますけれども、今回の足利銀行のこの預金保険法七十四条に基づく申請は、先ほど谷さんの質問で、本当に自主的なものだったのかというやり取りがありましたが、自主的なもの、一切経営陣関係者には不満がないということでよろしいですか、もう一回聞きます。先ほど大臣は、いや、不満や無念の気持ちはあるとおっしゃいましたけれども、もう一回聞きます。不満はないということでよろしいですか。
  78. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたとおり、これは、経営者としては当然、自分が経営していた会社が破綻に至ったと、これは預金者、それと貸付企業県民、最終的には納税者にまで負担を掛けるわけですから、こうしたことに至ったことに関しては経営者がまず真っ先に極めて無念である、遺憾であるというふうに思っている、これはもうごく自然のことだと思います。自分の思うような結果を出せなかったわけですから、そういうこと、そのプロセス、その結果に対して大いに不満はあるんだと思います。  私が申し上げたのは、そういった意味での不満、無念の気持ちは物すごく強くあると思います。しかし、これは最終的には銀行判断として、銀行判断としてこういうような債務超過であるという報告を行った。銀行判断、これは取締役会でそのように決しているわけでありますので、これは銀行判断として無念思いの中でそのような判断をされたんだろうというふうに思っております。
  79. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 無念までは分かりますけれども、不満というのは一体だれに対して抱いている不満かということですね、自主的に判断したわけですから。あると思うんですよ。その不満は多分過去の金融行政に対する不満です、あえて言えばですよ、あえて言えば。  七十四条に基づいて、その施行規則の二十五条で申出をするときは理由書を付けるということで、足利銀行から理由書が出ていますね。これは委員の皆さん方には配られていないので、必要があれば皆さん方にも配っていただきたいんですけれども。この足利銀行から出てきた理由書、つまり助けてくださいという理由書には、検査通知並びに会計監査人からの指摘による繰延税金資産の全額取崩しを平成十五年九月中間決算に反映した結果、債務超過となるに至りましたというふうに、検査結果による全額取崩しを反映した結果と書いてあるじゃないですか。  だから、自主的、自主的と言わずに、だから、いつも私が申し上げているように、監督当局なんですから、大臣事前裁量まで時と場合によってはあるというふうに東京海上のときに申し上げたわけでありますから、こんな大事な大決断栃木県民に大きな影響を与える大決断をするときに、一切金融庁はその判断においては責任はありませんということを言うと、また、それは形式的には分かりますよ、みんな非常に消化不良になっちゃうんですよ。少なくともこの理由書には、足利銀行から出てきた理由書には、検査通知並びに会計監査人からの指摘による繰延税金資産の全額取崩しを中間決算に反映した結果、債務超過となるに至りましたと書いてあるんだから、今まで言っている答弁と全然違いますよ、それは。  それと、これ慌てて作らせたと思うんですけれども足利銀行に。公的資金のことは千五十億円しか書いていない。千五十億円の優先株を引き受けていただいたのに済みませんでしたと書いてあるんですけれども、三百億円足りないですよ。これは不備ですよ、これ書類の。  だから、最後に答弁を求めたいんですが、自主的、自主的と言わず、これは金融庁がシステミックリスクのおそれがあると判断をして、指導して三号措置を適用すると判断したんだというふうに言っていただいた方がよっぽどすっきりします。そのことを最後にもう一回お伺いして、私の質問を終わります。
  80. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと今のお話は、部分的に大塚委員にしてはちょっと論理がつながらないところがあったような気がいたしますんですが、申し上げたいのは、これは、正に先ほど申し上げましたとおり、我々は検査を三月期に行いました。この検査を九月期に反映しましたということを言っているんです。私たちはこれは反映してもらわなきゃ困ります。それは事後的な行政としてお願いしていることですので、先ほど私が申し上げたとおりのことを彼らがやりましたと。繰延税金資産に関する監査法人認定のことは、これはもう当事者の話である。  それについて、しかしそういう説明ばかりすると、やはり建前は分かるけれども消化不良である、もう少しはっきり言ったらどうかという御指摘ではございますが、我々もそのシステミックリスクが、そういった問題が生じないように百二条を発動したんだと、これははっきりと申し上げております。これは我々の権限のことですから、当然はっきりと申し上げて説明をしなければいけない。しかし、その以前の問題については、それは我々自身も当事者で一体何があったのかもどかしい面はありますが、ここはしかし、やはり我々はその当局として自制も持たなければいけないんだと思います。  ここはもう繰り返し申し上げますが、当事者できっちりといろいろ議論していただいて、最終的に、いろんなやり取りはあったんだと思いますが、最終的には御自身の判断でこうした申出があったと。それに基づいて我々は、今度は自分たちの正に責任と権限の範囲において、危機を起こさないためにしっかりとした百二条の第一項第三号を取らせていただいたと。このことは、御指摘でありますので、できるだけ分かりやすくしっかりと申し上げていきたいと思っております。
  81. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 時間が超過しておりますが、一言だけ。  論理的でないというふうに言われたので黙ってはいられませんけれども、おっしゃるとおり、反映した結果と書いてあるわけですよ。だから、私は先ほど来の質問で、じゃ彼らが反映しない決算結果を出してきたらどうしたんですかというふうに聞いたわけです。しかし、仮定の質問には答えられないというけれども、これは大変興味深い点なんですよ。今後の検査影響力にもかかわるんですよ。検査をしたけれども、いやいや、そんなのは私たちの見解と違うといって反映しない決算結果を出してきたら、決算証取法上それしか本物はないというふうにさっきおっしゃったわけだから、今後も金融庁検査は無視される可能性もあるわけですよね。  そういうこともあるかもしれないということを申し上げて、終わるとまずいですか、まずければ一言どうぞ。
  82. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 済みません、一点だけ。  そうしたことに対しては我々の資産の査定を反映させていただくと。それを守らなければどうなるかということに関して我々はガイドラインを持っておりまして、これはしっかりとそういった方向に導くようないろんな報告徴求や命令を出して、しっかりとそれを反映させていくようにする、そういうシステムを持っているということでございます。
  83. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 与党の皆さん、済みません。建設的なことを一言だけ言わせていただきます。  この資料の裏側には大きな表がありますけれども繰延税金資産には金融庁は関与していないというふうにおっしゃいますけれども、資産査定のところを厳しくやると、優良な資産がなくなれば当然将来の収益に影響が出て、将来の収益に影響が出れば、当然繰延税金資産を何年計上できるかという結果にも影響するわけですから、結局監査法人と同じことをやっているわけですよ。  だから、監査法人金融庁がダブルでチェックされるこの体制のそれぞれの結果の影響力、その後の、おっしゃるようなガイドラインがあるんだとしたら、そういうことについてもうちょっとよく分かるように国民に解説をしていただきたいということをお願い申し上げまして、時間を延長したおわびとともに、終わらせていただきます。
  84. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は公明党の続であります。  先ほど、矢野、谷両委員から、地元状況を踏まえながら御質問がございました。そしてまた、ただいま大塚さんから専門家的な立場でるる御質問がございました。重複を避けながらも、私自身は三十八年間地方行政に携わってまいりました。それだけに、矢野さん、谷さんの質問の言わんとされるような苦しみといいますか、そういうことは理解しているつもりであります。  そこで、何点か、そういう立場と、これから地方、地銀の第二、第三の足利銀行にしてはならないという思いを込めて質問させていただきます。  まず、十二月の二日に栃木県の副知事が監査法人に、中央青山監査法人に出向いて三点にわたる質問を、質問状を提出されたと新聞報道がございました。  その第一点は、三月期決算で認めた繰延税金資産をなぜ九月中間決算で全部取り崩し、債務超過としたのかと、これが第一点。第二点は、その方針を破綻認定二日前の二十七日になって急に銀行側に伝えた理由は何だと。第三点目は、栃木経済に対する悪影響は考慮しなかったのか、こういう三点にわたる公開質問状でありましたけれども、これに対して金融庁としてどんな見解を持っておられるのか。確かに今回の足利銀行破綻経過については私は栃木県民にとっては納得し難いものだと思いますので、是非金融庁としての見解をお聞かせください。
  85. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 栃木県の副知事が中央青山監査法人質問を出したという、そういう報道承知をしております。しかしながら、これは先ほどからお話ししたことと少しダブるんですけれども、独立した監査法人が実施した個別の監査についての考え方とかそのプロセスの話でありますので、これについては当局がコメントする立場にはないと思っております。  ちなみに、繰延税金資産を全額取り崩して債務超過とした理由については、これは先ほど監督局長の方からも話がありましたが、十一月二十九日の決算時の足利銀行説明によれば三つ挙げられている。繰延税金資産計上してもなお自己資本比率は極めて低い。繰延税金資産変動によって債務超過となる可能性がある。三番目として、今後の収益見込みの一部が過大に計上されている。そういう理由が挙げられているというふうに承知をしております。  いずれにしても、これは監査法人が独立して正に行った結果でありますので、当局としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  86. 続訓弘

    ○続訓弘君 次に、今回の足利銀行のケースで、金融再生プログラムによって整備された早期警戒制度や早期是正措置といった破綻処理に至る以前の迅速かつ予防的な経営監督手段が実行されなかった理由についてお聞かせください。
  87. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 足利銀行につきましては銀行法にのっとりまして監督をしております。十一年九月の早期健全化法に基づく公的資本の増強以降は、この銀行法の監督に加えまして、経営健全化計画の履行状況のフォローアップという形での監督も加わっておるわけでございます。  具体的には、足利銀行、それから持ち株会社であるあしぎんホールディングスに対しまして、これまでに十四回報告徴求命令を出している。それから、業務改善命令が一度やはり出されております。  こうした報告徴求あるいは業務改善命令の中で、経営の健全性を確保すること、抜本的な収益改善策を取る、そのための計画を提出する、あるいはそれを実行すること、また、市場リスクあるいは流動性リスク、こういったような経営上の様々なリスクへの対応、こういったことを促すなどの監督上必要な対応をその時々の必要に応じて行ってきたところでございます。そうした監督に努めてまいりましたけれども、今回結果的に債務超過ということで破綻に至ったということで、大変遺憾に存じております。  なお、早期是正措置というお話がございましたが、この制度は健全性の基準、自己資本比率が健全性基準を下回った場合に発動される制度でございますが、これまではこの足利銀行は健全性の基準を下回ったことがございませんでしたので、それで早期是正措置は発動していないということでございます。
  88. 続訓弘

    ○続訓弘君 三点目は、足利銀行に対してこれまでの公的資金注入は、先ほども質問がございましたように、平成三年三月に三百億円、平成十一年九月から十一月にかけて千五十億円、合わせまして千三百五十億円の公的資金の注入がなされております。また、地元自治体や取引先企業を引受先として約七百二十七億円の増資も行っています。これら公的支援や破綻回避策が実らなかった理由は何でしょうか。  また、足利銀行破綻を教訓として、他の資本注入行の経営健全化計画の見直し等をこれから取り組まれる考えがあるのかないのか、この辺も併せてお答えください。
  89. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 今回、破綻に至ってしまったということは私どもとして大変遺憾でございますが、今、先生から理由いかんということでございました。  この足利銀行の場合には、やはり昭和六十年代以降、いわゆるバブル経済の下で大幅な融資の拡大を進める、あるいは関連のノンバンクにおいても銀行本体同様に積極的な貸出しを行ってまいりました。それが、いわゆるバブル経済が崩壊をして、そして地価や株価というものが大幅に下落をした、それが継続をした、その中で企業業績の悪化によって多額の不良債権が生じてしまったわけであります。そして、昭和六十年代から平成六年度まで株式の保有を拡大をさせてまいりましたが、そのことが結果的に近年の株価の下落の影響により多額の減損処理が必要になってしまったということを承知をいたしております。  この中で、足利銀行に対しましてはその特殊要因ということがよく言われるわけでありますけれども同行のリスク管理債権の比率が十五年三月期を見ても一三・三%ございます。これは地銀の平均が七・七%ということから見ますと大変高い数字でございますし、また地価の下落、栃木県の地価の下落を十五年、見てみますと、商業地で一一・三%下落をしておりまして、これは全国平均の八%から比べると大変やはり高い下落が起きていた。また、保有株式の対ティア1の比率を見ましても、十五年三月期で地銀の全国平均が四九%でありますが、一六四%にも上っている状況でございます。  同行は、収益性の向上やリストラの推進を努めてまいりましたが、このような多額の不良債権や株式の価格変動リスクがやはり経営上の大きな障害となり今般の事態に至ったものだというふうに承知をいたしているところでございます。  また、もう一つ先生からの御質問でございますが、足利銀行の場合には、当期利益が経営健全化計画を下回るなど計画の履行状況に問題がある資本増強に対しては、更なる追加リストラを含む経営健全化計画の見直しや抜本的な収益改善のための方策を織り込んだ業務改善計画の策定、履行等を求める業務改善命令の発出などにより、先ほども大臣からお話をさせていただいたように、厳正に対応をしてきたところでございます。  足利銀行以外の資本増強行の中間決算を見ますと、現時点においては、足利銀行を除くすべての資本増強行においていわゆる健全性の基準というものを満たしている状況にございます。  こうした中で、繰り返しになりますが、今回の足利銀行破綻は極めて遺憾であるというふうに私どもは感じているところでございます。
  90. 続訓弘

    ○続訓弘君 今の御答弁では、第二、第三の足利銀行は生じないと、こう胸を張っての答弁でございますけれども、国民の皆さんは安心してよろしいんですね。  同時に、いわゆる足利銀行は、地元の預金量の四〇%、そして貸し高、貸付けは四五%のシェアを占めていると。これは足利銀行に限らず、地元の地銀は大なり小なりそんな銀行だと思います。そして同時に、地方公共団体の言わば金庫銀行でもあるわけです。したがって、こういう地銀が破綻に追い込まれたというのは、大変な私は状況にあるんじゃなかろうかと。  そこで、数年前に倒れてはならない北海道拓殖銀行が倒れました。結果、今なおその後遺症が残って北海道の経済がめちゃくちゃになっていると。こういう状況を踏まえるとするならば、今回の足利銀行の問題に対してもやはり挙げて対応策を考える必要があるんじゃなかろうかと。政府としては既に関係省庁会議を立ち上げられたということでありますけれども、そういう意味では万全の策を講じられる必要があると思いますけれども、この辺の取組について是非お聞かせください。
  91. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 先生が御指摘のように、このような事態の中で私どもは万全の対策を講じていかなければいけないわけであります。  今回の足利銀行破綻に至った中で、私どもとしては、地域経済影響を最小限に抑えていくためにも、その一〇二条の三号措置を適用をさせていただいて、そしてこの趣旨を生かしていくために万全な対策をしていく、そしてさらには、総理からも御指示がございまして、関係省庁等連絡会議、こうした事態になって初めてこうした連絡会議というものを今回立ち上げをさせていただいたわけでありますが、地域経済に対して不測の悪影響が生じないようにこの対策会議は設けられ、そして準備会合を十二月一日に開催をし、第一回目の会合を翌二日に開催をさせていただいたところでございます。  今後とも、必要に応じて開催をし、そして政府金融機関を最大限に活用する等、中小企業に対する融資の円滑化を図り、そして総合的かつ機動的な施策の活用において省庁の連携というものを図りながら、地域金融及び経済の安定に万全を期していきたいと考えているところでございます。
  92. 続訓弘

    ○続訓弘君 是非よろしくお願いを申し上げます。  そこで、今述べられましたけれども、第三号措置の終了の時期はいつごろになる予定でしょうか。今後の処理の見通しをお示しください。  また、足利銀行の譲渡先については、実は新聞報道によれば既に複数行が候補者に上っております。しかしながら、栃木経済を重視する立場から、やはりこの受皿銀行に対しては慎重でなければならないと私は考えます。  そこで、具体的な私の提案を申し上げます。  まず、足利銀行の受皿機関は金融機関でなければならないのかどうなのか、この点をまず御質問申し上げます。
  93. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) まず、最初の御質問でございます三号措置の終了時期、今後の処理ということでございますが、足利銀行は、今後選任されます新経営陣の下で健全化に向けた経営改革を進めて、その上で三号措置の終了、すなわち受皿との合併、あるいは受皿への営業譲渡あるいは受皿への株式の譲渡、こういったいずれかの処理へと進んでいく、こういうことになります。  三号措置の終了がいつになるか、またどの形になるかというのは、現時点で確たることを申し上げるというのは困難でございます。新経営陣にまずは立て直しをしていただくということが先決であります。ただ、預金保険法はできる限り早期に第三号措置を終えるものとすると規定しておりますので、この趣旨に沿った対応をするように努めてまいります。  それから、今の二つ目の御質問の受皿は金融機関でなければならないかという点ですが、先ほど出口のところはいろいろな形態があると申しましたが、金融機関と合併する場合、それから同行の営業を譲渡する場合、それから同行株式を譲渡する場合、こういう形になります。この合併の場合、それから営業の譲渡の場合、この場合には受皿は金融機関であることを必要とします。ただ、もう一つ株式の譲渡を受皿に対して行う場合、この場合の譲受け先は必ずしも金融機関に限られるということではございません。  いずれにいたしましても、受皿金融機関ないしは受皿の子会社たる金融機関が銀行法上の要件を満たして十分な自己資本なり経営管理能力を備えていること、こういった条件は必要でございます。  以上でございます。
  94. 続訓弘

    ○続訓弘君 なぜ銀行でなければならないかという御質問を申し上げましたのは、やはり地元が中心になって、地元、県が中心になって公共団体なりあるいは経済団体なりに働き掛けて、自らの力で言わば受皿を作りたいと、そういう熱意が仮にあってとなればどうなんだろうかと、こういう気持ちから御質問申し上げましたけれども、今お答えでは銀行でなければならないと、こういうお話のようでありました。  しからば、資本金はどのくらいがいいのか、その辺のところを伺わせてください。
  95. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 銀行法の五条という条文がございます。この第一項で、「銀行は、資本の額が政令で定める額以上の株式会社でなければならない。」と、こうなっています。したがって、株式会社である必要がございます。政令で定められております資本の額というのは二十億円でございます。したがって、この銀行法五条の規定によりまする規制としては、資本金が二十億円以上で株式会社であるということが銀行免許を申請する要件になります。  もう一つ、この二十億円というのは法律が要求している最低資本金でございますが、実際には健全性の規制が掛かりますから、自己資本比率が国内基準行、今の足利銀行がそうですが、この国内基準行であれば自己資本比率四%を満たすだけの自己資本が必要になります。そうなりますと二十億円では足りません。ケース・バイ・ケースで、これがどの程度になるかというのは一概には申し上げられません。  御参考に、これは全くの御参考に数字を申し上げておきますと、十五年九月期の足利銀行のリスクアセット、これは自己資本比率を計算するときに分母に来る数字でございますが、これが約二・八兆円ございます。したがって、これに対して四%以上の自己資本を持っていないと健全性基準を満たさないということになります。この二・八兆円の四%というのは約〇・一兆円、これが自己資本という形で用意されると四%を満たすということになりますが、これは全くの機械計算でございまして、こうした資本さえあれば銀行の免許が即下りるとか、そういう意味ではございませんので誤解のないように、御参考として申し上げました。
  96. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいま具体的な御答弁をいただきました。  というのは、私がかつて勤めておりました東京都庁においては石原知事が新たな銀行を設立しようと、もう既に発表されております。その銀行が設立するには、時間が掛かる、いろんなうるさい規定もある、だとすれば簡便な方法で他の銀行を買い取った方がいいんじゃないかと。こんなことから、もう既に新聞等で報じられたように、外資系の銀行を買い取って東京都の銀行を発足させるというような構想が打ち出されております。そうだとすれば、今要件を示された銀行を設立する、設立しようとする際には時間的な、要するに具体的に今の要件を満たした形で都市銀が中心になってそういう銀行を設立しようとされるときに、時間的な問題はどうなんでしょうか。その辺のところをお聞かせください。
  97. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 一般論でございますが、新しい銀行を設立するというケースでございますと、銀行免許を新たに受けるという必要が生じます。必要書類を添付して金融庁長官を経由して内閣総理大臣への免許申請、そしてこの申請を受けまして銀行法に規定される審査基準に基づく新規審査という、こういう流れになってまいります。  新銀行設立の手続に要する時間というのは、その申請されます内容等によりまして全くケース・バイ・ケースでありますので一概には申し上げられないというのが実情でございますが、時間を掛けてやることがいいことではありませんから、これはできるだけ、そういう申請がある場合には、これまでも新規の申請というのは異業種参入などでございましたが、できるだけ急ぐようにしております。ただ、ケースによって全くこの辺は違いますので一概には申し上げられません。  例えば異業種参入の場合、最初に予備審査の申請をなさってから正式の免許が下りるまでというのが三か月程度で済んだ銀行もございますが、半年ぐらい掛かった銀行もあるといったようなことで、これもこの異業種参入の銀行のケースでございまして、他の形態の場合どういうことになるかというのは本当のケース・バイ・ケースでございます。
  98. 続訓弘

    ○続訓弘君 これは仮定の話ですから、仮に県民の総意に基づいてそういうことがあったとすれば、受皿銀行が早く設立されて、そして言わば県民の要望に満たすようなそういう仕組みを作る際には、何としてもやはり言わば緊急避難的な形で是非その日限を短縮していただきたいと、こんなふうに思います。  そこで、次に十一月の二十九日に竹中大臣が本件の関連で記者会見をされました。その記者会見の中で、民事、刑事の両面で経営者責任を追及されなければならないというような意味の発言をされたように新聞報道では載っておりますけれども、言わば民事、刑事は一体、特に刑事の場合はこの本件についてどんなことがあるのか、是非その辺のところを御答弁願います。
  99. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先般の記者会見では、実は先ほど一部御答弁させていただいたことになるんでありますけれども、旧経営陣等の責任問題について質問がありましたときに、預金保険法の百十六条で、これは法律の規定があるんだというようなことを申し上げたかったわけであります。特別危機管理銀行の旧経営陣の民事、刑事上の責任を明確にするための措置が取られなければいけない、今後、選任される新経営陣はこのような法律の規定に基づいて所要の調査を行うことになると、それらの趣旨を申し上げたわけでございます。  現時点で具体的に法令違反等の事実は私自身はもちろん承知をしておりませんが、新経営陣にしっかりとやっていただきたいと、そのような趣旨でございます。
  100. 続訓弘

    ○続訓弘君 大臣の発言というのは大変重みのある発言であります。したがって、これを新聞報道で聞いた方々はやはり何かあるんじゃないかという疑問すら私は起こしかねないと、こんなふうに思いますので、あえて御質問申し上げました。  そこで最後に、こういう事態を踏まえて、先ほど大塚委員からの御質問もありましたけれども、予防的資本注入のための法整備を考えておられるようでありますけれども、やはりこういう事態にならないためにも私は万全の法整備は必要だろうと、こんなふうに思います。これに対する取組姿勢の答弁をいただいて、質問を終わらせていただきます。
  101. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 金融担当大臣に就任させていただいて以来、厳格な資産査定と、それと自己資本の充実、そしてガバナンスの強化、これをやはりしっかりと、この三つの道筋をしっかりとやっていくことが日本の金融システムを強化していく、これは唯一の方法といいますか、ほかに方法はないんだろうというふうに思っております。  そうした中で、自己資本の充実に関しまして、先般、七月二十八日に取りまとめられた金融審の報告で、公的資金制度は今の危機対応措置であるところの預金保険法百二条だけで足りるのかどうか。足りるとする考え方が示された一方で、金融機能の強化を目的とする新たな公的資金制度の枠組みも御提言をいただいたところでございます。この審議会の提言を受けて、金融庁として、行政としてどのように対応するかということを今ずっと考えさせていただいているわけですが、私自身は、やはり何らかの枠組みが、新しい枠組みが必要であろうというその必要性を感じているところでございます。  今、与党の中でもいろいろ御審議をいただいておりまして、是非このワーキンググループの提言に基づいて審議、議論を深めていきたいというふうに思っているところでございます。
  102. 続訓弘

    ○続訓弘君 私が、これ要望ですけれども、行政というのは常に公平、透明、そしてまたちゃんとしたルールを作って執行しなければなりません。そのルールを絶対に動かしてはならない、これを是非実行していただくことを要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  103. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  足利銀行での衆参の審議も取りあえず私の質問で最後でございます。大臣、お疲れでしょうけれども、自分でまいた種ですので、もう少し辛抱してもらいたいと思います。  ただ、この問題、まだまだ解明されていない点がたくさんございまして、調査も我が党続けておりますけれども、その点で、今後の調査にかかわりますので、金融庁対応について一点ただしておきたい点がございます。  十二月の三日、午後ですね、我が党の、私がキャップでありましたが、我が党の調査チームが足利銀行の本店にヒアリングに伺いました。ヒアリングそのものは金融庁の窓口紹介によりセットしたものですけれども、ちょうどそのとき、金融庁もガバナンス検査ですかね、全く同じ時刻にありまして、私どもが入っていったら金融庁と間違われまして、金融庁質問検査用の部屋に通されたりしたんですけれども、何で私のことを金融庁検査官と思ったかと、間違われたのかというのがありますが、それぐらい現場が混乱をしていたときです。  そのときに、常務が対応をしてくれました。ただ、開口一番、何も話してはいけないと、何も話してはいけないと金融庁から言われておりますと言われました。  これは、大臣、そういう指示されましたか。
  104. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) いや、そうした指示をした覚えはございませんが、銀行ですから当然外部にお話ししてはならない情報というのはあると思いますが、指示をした覚えがございません。
  105. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうしたら、余り個人名を挙げたくないんですけれども、監督局の職員から朝、電話があったということですけれども
  106. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 具体的にどういうコンテクストで何が言われたのかがちょっと私分かりませんので調べてみないといけないと思いますが、何も言うなという指示をするとはちょっと思えませんので、もちろん言っていけないことというのは別に大門先生が相手でなくてもあるわけでございますから、そこら辺を慎重にということだったろうと思いますが。
  107. 大門実紀史

    大門実紀史君 時間取りたくないんで、厳重に抗議をしておきます。ほとんど何も言うなという指示を受けたということでしたし、後で経過報告していただけますか。
  108. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 御報告申し上げます。
  109. 大門実紀史

    大門実紀史君 確認のために竹中大臣に基本的に伺いますが、この国会審議に対して、言えること言えないことあるのは十分承知しております。個別の問題いろいろあると思います。ただ、これだけの一兆円とも言われる公的資金、あるいは地元経済界がもう大変な心配をしている、たくさんの方々が大変な被害を受けている、これ大問題ですよね。全国的にも衝撃を与えている問題ですので、明らかにすべき点はきちっと明らかにしてもらう。ましてや、国会議員調査に対して、隠ぺい工作と言うときついかも分かりませんが、余り物を言うなとか、そういうことは今後ないように、ちょっと大臣から一言、その基本姿勢、お願いしたいと思います。
  110. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 金融行政を通して法令遵守はもうその重要な基本であるということで、コンプライアンスの対応室も私と副大臣と御相談して作らせていただいております。そういうことがゆめゆめないように、金融庁の諸君はきちっと対応してくれているというふうに思っておりますが、改めてその点は徹底をさせていただきます。  同時に、国会等において、これはもう大変私たちは重要な説明責任を負っていると思いますので、これに当たりましても、今、委員指摘になった趣旨を踏まえてしっかりと対応させていただきます。
  111. 大門実紀史

    大門実紀史君 では、具体的な質問入っていきますけれども、まず聞いておきたいんですけれども、この足利銀行、その体力の中身、私もいいとは思いませんが、この足利銀行が、二〇〇五年にペイオフ予定されておりますけれども、ペイオフを前にして、金融庁にとって、あるいは竹中大臣にとって、この足利銀行の今の状態での存在というのは、やはりペイオフを前にすると不安な存在ですか。
  112. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々としては、基本的な健全行の基準である自己資本比率を満たしているかどうかというのは当然重要な観点になります。同時に、その収益力等々を高めていただいて、自らが出している、公的資金の注入を受けたところは経営健全化計画に従ってしっかりとやっていっているかどうかというのが重要な我々の監督のポイントになります。  ただ、いずれにしても固有の、個別の銀行についてそれがどのような存在であるかと、これは個別の銀行の話であるので、これは個別にはする立場にはないということを御理解いただけると思いますが、自己資本比率を軸に様々な指標で問題がないようにしっかりと健全化に向けて銀行を監督をしているというのが私たちの立場であります。
  113. 大門実紀史

    大門実紀史君 足利銀行は過去に不良債権が多くていろいろありましたけれども、ずっと今努力をしている最中だと思うんですけれどもね、だったんですね。  私が申し上げたいのは、これが例えば今が二〇〇四年の十二月で、来年ペイオフ解禁すると、実施するというふうな時点だったとしたら、金融庁として何も手を打たないで置いておかれるような存在ですかということをお聞きしているわけですけれども
  114. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは御理解いただけると思いますが、個別の銀行に関する仮定の質問であります、信用リスク等々に関連する問題でありますので、ちょっとこれは我々の立場としてはお答えできない問題だと思います。
  115. 大門実紀史

    大門実紀史君 私、この足利問題、調査に入って、地元経済界の方のお話、銀行関係者のお話聞いたんですけれども思い出したのが、柳澤大臣のときでしたけれども、信用金庫、信用組合のあの連続破綻の問題ですね。  あのときは、柳澤大臣は公言して、堂々とペイオフ前に体力のない地域金融機関、信金、信組は整理をすると、こう公言して、この場でもはっきり言われて、なおかつ、私どもはかなり厳しく批判いたしましたが、追い込むような検査を、全部とは言いませんが、かなりのところでやられたので、そのことを非常に思い出したんです。ペイオフとの関係がないわけがないと。  足利銀行が、私はそもそもそういうペイオフ前に追い込むというやり方には一貫してずっと追及して批判してきましたので、金融庁のやり方がもしそうだとしても正しいと思いませんが、足利銀行はやっぱりペイオフを前にしてこのままではほっておけないというふうな姿勢が金融庁にあったんではないですか。
  116. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 柳澤大臣の御発言、ちょっと私は存じ上げませんが、ペイオフの前に追い込む、整理するというようなことは、これは柳澤大臣おっしゃっていないのではないかなというふうに思います。ちょっと今の時点では確認をできませんが、少なくとも金融庁立場として、ペイオフを控えてどこどこを追い込むとか、これは正に事前の介入、しかも露骨な思考を持った介入でありますから、そういうことをする行政ではありません。  私たちは、しっかりとしたガイドラインを作って自主的に頑張っていただく、その上で事後的なチェックはやらさせていただく、これはもう金融行政の一貫した方針でございます。
  117. 大門実紀史

    大門実紀史君 質問、お答えになっていないんですが、実際、追い込むという言葉は、もうやり取り確認されたこともありますが、ペイオフの実施の窓口開いたときには全部大丈夫だと、その前に整理をするというのは当時の金融庁長官まで言われておりますので、それは事実なんです。  私聞いているのは、竹中大臣が今足利銀行を見てペイオフ前に何とかしなければいけないと、そういう意図がなかったのかと、金融庁がなかったのかということを聞いているんですけれども
  118. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私にはそういう意図はありません。
  119. 大門実紀史

    大門実紀史君 いずれいろんなことが明らかになってくるだろうと思いますけれども、ですから今の時点で決め付けるつもりはございませんけれども、この間の経過から、どうしてもそういう体力の弱い、弱体な地域金融機関をペイオフ前に整理しようという流れではないかという疑念が私、払拭できません。というのは、しかもそのやり方が、柳澤大臣の時代に信金、信組を追い込んでいった、私どもは追い込んだと言っているわけですけれども、そのやり方と非常に調べてみると似ているんです。  柳澤大臣のときは信金、信組をぐっともう整理するというときにかなりやった方法が二つありまして、これは何度も何度もこの委員会でも予算委員会でも私追及しましたけれども債務者区分の引下げと不動産評価の引下げです、評価の引下げ。この二つでずっと債務超過になっている信用金庫、信用組合がばっと一遍に出てしまったというふうに思いますけれども、今回、竹中方式というのか、どう言うのか分かりませんけれども、手法は、一つは税の繰延資産の否認すると、もう一つは不動産評価で収益還元法、DCF方式を採用することによって不動産評価を下げると。竹中大臣の方がアメリカ流といいますか、スマートといいますか、はっきりすっきりしているんでしょうけれども、私、やり方は同じところがやられていると。もちろん税効果のところは柳澤大臣のときは信金、信組の場合は焦点にはなりませんでしたけれども、後で申し上げますが、不動産評価のところは非常に同じようなやり方がされていると思います。  税の繰延べの方はもうかなり質問がありましたので、私は一点だけ、どうしても疑問が払拭できないので、今までの質疑を聞いていてですね、お尋ねしますけれども。  要するに、金融庁は、三月期決算検査のときには、債務超過であるにもかかわらず、税の繰延べ、二十八億だけですかね、減額はしたけれども一応認めたと。九月の中間期決算をやっていた中央青山監査法人の方は債務超過だから全額否認したと。これは同じ債務超過でも判断が違っているわけですけれども、これはもう既に質問がありました。公認会計士協会の実務指針のただし書に金融庁の場合は沿って、債務超過だけれども、税の繰延べを若干の減額で認めたと、青山の方はどういうふうに判断したかは青山の考えだろう、監査法人の考えだろうとおっしゃっています。  五味監督局長が青山の、中央青山の監査法人の話として言われているのは、どうしてそういう判断をしたか、金融庁と違う判断をしたかと。一つは、税の繰延べを計上しても自己資本が低いと、繰延税資産の変動債務超過となる可能性がある。もう一つは、今後の収益の一部が過大計上だということで、青山、中央青山の方は税の繰延べを否認しましたというのを、報告を受けているといいますか、聞かれているわけですね。  ところが、それを言うなら、私、そんなに変わらないと思いますよ、足利の三月期決算。三月と九月で、半年でそんなに極端に判断が変わるほど、今言われた青山の言っている内容でしたらそんなに変化ないですよ。ないと思いますよ、ほとんど。それでこれを破綻するまでの、大きな判断を変えるというほどの変化はないと思うんですよね。  これは、それだけの報告金融庁はああそうですかということなんですか。
  120. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 九月期についての監査法人考え方については私どもの所掌ではございませんけれども、三月期の検査結果において繰延税金資産をどうとらえたかということについて念のため説明をさせていただきたいと思いますが。  この三月期の私ども検査で対象といたしました繰延税金資産というのは、いわゆる公認会計士協会の実務指針で六十六号というのがございますけれども、これの第四号ただし書に該当するということで、そこに合理性があるということでそう判断をさせていただきました。
  121. 大門実紀史

    大門実紀史君 ですから、それに合理性があるという理由がよく分からないんです、その程度の、三項目ぐらいでは。  ですから、これはもう民主党からもありましたけれども、参考人として、銀行関係者はもちろんですけれども、この監査法人呼んでいただくことを、もう検討されているようですので、引き続きお願いしたいと思います。  もう一つは、収益還元法が、現場で調査をいたしますと、今まで言われなかったのに、不動産評価で収益還元法を採用しなさいと言われたという証言があります。これは奥山会長自身も新聞でもそういうことを言われております。私たち、現場で聞いても同じことが言われました。  つまり、そういうことも含めて三月期の金融庁検査の結果が今までより厳しい、厳しかったと。それで債務超過になったと。それを青山が見て税の繰延べを否認したという流れになっていますから、今回の破綻に至るところでは大きな話だったと思うんですけれども、その中で取られたのがこの収益還元法の採用ということです。  これは柳澤大臣のときの、信金、信組の破綻のときには不動産評価の掛け値を下げるというのが、そういうやり方を取られたんですね。これは私、船橋信用金庫の問題でかなり追及をしましたけれども、今度はそういう、言わば掛け値を引き下げるというのは原始的な方法といいますか、それが今度は収益還元法というアメリカ仕込みの方法で厳しくやられたです。  それで、実際には百五十億円、収益還元法の適用によって減額されたというのもお聞きしてきました。もちろん、収益還元法というのは、ちょっと専門的になりますけれども、全部適用したのは一部かも分かりませんが、それを折衷するとか組み合わせるとか、いろんなことでいきますと、いわゆる不動産評価の方法が金融庁に言われて今度変えたと。変えた部分で百五十億減額がされています。  この収益還元法ですけれども、これは竹中大臣竹中プランで言われたDCFと私はほぼ同じだと思いますが、どういう認識ですか。
  122. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 収益還元法でございますけれども、これは、こういう手法でもって評価するのが妥当だというのは、例えば賃貸ビルのように将来の収益に基づいてこの当該物件の価値を量るのが妥当だということでございまして、そういうやり方でございまして、引き当てについてこの三月期から主要行について適用したDCFとはちょっと性格の異なるものだろうと思います。
  123. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 大門委員の御質問の中で、ディスカウント・キャッシュ・フローと収益還元法は非常に同じような厳しいアメリカ流のやり方だという御認識に基づいて今いろいろ御審議をいただいているようでありますが、私の認識はちょっとかなり違っておりまして、ディスカウント・キャッシュ・フローというのは、企業価値を判定するに当たって、比較的そういうものは新しく銀行の作業の中にも入ってきたものだというふうに私自身も思っております。したがって、このディスカウント・キャッシュ・フローについては、金融再生プログラム、大手銀行、主要行を対象にした中で、かつ大口の債務者に限定して今これをやってみるという形になっているわけです。  ただし、収益還元法というのは、私も、これ、元銀行で働いていた人間の当時の経験として申し上げますが、これは担保評価としてはごく普通に銀行の中ではこれまでも、私が銀行員しておりましたのはもう三十年ぐらい前でありますが、三十年ぐらい前でも普通に、比較的普通にやっていた方法で、多分、いわゆる不動産鑑定士の手法が幾つかありますけれども、その中にごく日常的に入っているやり方であるというふうに私は認識をしております。  したがって、ディスカウント・キャッシュ・フローと少しダブらせて、やり方は似ているんですね、それは確かに。将来の、何といいますか、利益の流れを現在価値に戻すという意味では似ているといえば似ているんですが、これは不動産の評価に関しては、これは私の認識ではごく、もうずっと以前から日常的に行われているやり方なのではないかなというふうに思っております。
  124. 大門実紀史

    大門実紀史君 ですから、そう違わないんですよ。  それで、実際には、もうこれは専門的な話で、聞いても面白くないから余り言いませんけれども、要するに、不動産評価方法というのは、収益還元法と原価法と取引事例比較法という三つに分類されまして、これは不動産研究所の解説ですけれども、その収益還元法の中にDCFと直接還元法という二つのやり方があると。だから、収益還元法といえばDCFと直接還元法という区分けになると、大ざっぱに言いますと。  しかも、その直接還元法というのは、今もうDCFに、DCF法に変えようということになっていまして、もう御存じかと思って余り言わないつもりでしたけれども、国土交通省の不動産鑑定評価部会の不動産鑑定評価基準の改定骨子のポイントというのが出ているんですが、このときにもうDCF法に収益還元法の中身を、柱をDCFに移していくというふうに、これ平成十三年の十二月ですけれども、二年前にもうそうなっていて、実際の現場では、不動産鑑定士の方々の協会のホームページにも収益還元法イコールDCF法だというふうな実際の運用になってきているんです。ですから、それは今日の焦点ではないんで、つまり、収益還元法というとDCFとそんなに違わないということを私、申し上げたかっただけのことなんです。  この収益還元法というのは、おっしゃったとおり、簡単に言いますと不動産利回りが基本で、ですから、不動産の証券化とか転売のときをひとつ想定したというのが、これは数式もそうですから、ありますから、当然、中小企業が長年そこで営業していくというような担保評価に合うのかどうかというのがずっと疑問で出されているわけです。出されているわけです。特に、足利銀行みたいに温泉街とか旅館が多いところには、そのまま当てはめると全然数字が出なくなると、収益性が出なくなるということもあるわけです。  ところが、今回の、今まではですから積算法でやっていたものを、今回、三月の、三月分の金融庁調査でそれを、収益還元法を採用しなさいということをやられたという意味を私申し上げているんですね。これ、実は信金、信組の破綻のときもそうでしたけれども、最後のところで不動産の掛け値を低く見ると。同じように、これを収益還元法で破綻懸念先以下を評価すると、大体、評価するとしたら破綻懸念先以下なんですね、この収益還元法というのは。なぜかというと、当たり前ですよ、破綻懸念先以下は競売とか売却の可能性が強まっていると、だから処分可能額を見積もっておく必要があると。だから、破綻懸念先以下の場合は収益還元法で評価するというのが大体やられて、やらない場合もありますけれども、やることがあるんだと思います、あったんだと思います。  ところが今回は、それまでは破綻懸念先以下も積算法でやっていたのを、急に三月に金融庁が来て収益還元法をできるだけ使ってくれと。これは、はっきり言って、足利銀行破綻懸念先以下を、一つはもう処分可能額を見積もるということと、もう一つは、それによって引当金がうんと積み増しされるから、これはもう足利銀行に対してもう最後の、一番最後の、追い込むと言うとまた何か言うかも分かりませんけれども、最後の、何といいますか、引導を渡す方法じゃないですか、収益還元法をわざわざ三月に適用したというのは。
  125. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 一つ是非御理解いただきたいのは、前回の検査以降、この当該足利銀行におきましては担保不動産の評価額が過大であったために引当金の不足というのが出てきておりまして、そういう場合に、引き当てが妥当であるかどうか、その前提として担保評価が妥当であるかどうかという重要な課題であったわけです。それから、銀行自身も一部の物件について収益還元法による評価を行っております。  こういう中で、先ほど御指摘のような、小口についてこういうことをやっているということはございませんで、大口の与信先でかつ破綻懸念先以下の物件について、収益還元法を適用するのが妥当なものについてこの収益還元法による検証を行っているということでございます。その際も、この収益還元法一本やりで、とにかく議論もなしにそれを適用するというやり方はやっておりませんで、種々の方法を、複数の方法で検証する中で、収益還元法が適当なものについてはそういう結論に至ったということでございます。
  126. 大門実紀史

    大門実紀史君 そういう個々の実務的な対応のことを聞いているんじゃないんです。なぜ今回初めて収益還元法を金融庁の方から採用してくれと、よりによってこの三月期分の決算で言ったかを問うているわけです。  ですから、この問題はいろいろ資料がこれからも集まると思いますので引き続き追及していきたいと思いますが、流れでいきますと、私は、もうどう考えても信金、信組のあの流れに非常に似ていると、自分の経験から、ずっと調査して柳澤大臣とやってきた経験から非常に似ていると思います。ペイオフ前に体力の弱いところは何とかしなければいけないと。もう一つは、やり方として、今度は税効果会計、税の繰延べの否認という新しい手法が入りましたけれども、不動産担保評価もやっぱり厳しくしていると、それで破綻していると、破綻一つの要因になっていると。この流れは、私、どう見てもそういうふうに思います。  もう一つは、青山の、中央青山の監査法人がかなり足利銀行と議論になったそうです、最後の最後のところですね。そこで、だからさっき言ったいろんな言い方だと、ああ言えばこう言うでいろいろあるんですよ。最後に殺し文句で監査法人が言ったのは、これは世の流れですと、世の流れですと言ったそうです。何を世の流れと言ったのか、竹中プランの流れなのか何か分かりませんが、世の流れですと言われて足利の首脳陣はあきらめたと、二十八日の夜に覚悟を決めたということです。  ですから、流れをたどると私はどうしてもそういう疑念が払拭できません。私、何でわざわざこんなことをやるのか、そのものが大変疑問です。竹中大臣が、リレーションシップバンキングということで、地域密着と体力、収益力両立しなさいと言われていますよね。おっしゃっていることを私何も全面的に否定しません。ただ、この景気の悪いときに、この不況のときに、地域経済がもう疲弊しているときにそれを地域金融機関に求めるとどうなるのかということです。大臣はその狭い道を歩んでいってくれと言いますけれども、私は、この不況の中でそういうことを、こういう、何というんでしょうか、会計基準が独り歩きするようなことをずっと押し付けていくと、もう狭い道どころか、私、行き止まりになると。  この足利銀行は、一生懸命、地元の人たちも含めてこれを支えよう支えようとやってきたわけですよ。不良債権も随分処理しました。株の減損処理も七百七十億円もやっているんですね。ずっと努力しているその経過なんですよね。これから良くなるだろうとみんな力を合わせてやってきたわけですよね。その中でこういう、それをぶった切るような、その努力をぶった切るようなことをなさったと私は思っているんです。こんなやり方でいったら、本当に地域金融全体が私は本当に行き止まりになる、狭い道なんかだれも歩んでいかないというふうに思います。  だから、何というんですかね、この会計基準が独り歩きしている部分もありますけれども、会計基準を盾にして竹中プランが私、進んでいるというふうに非常に強く思うんです。だから、大臣は、もう会計基準どおりやっただけですと、当てはめたら破綻しちゃったと、そんな言い方ばっかりしていますけれども、これはもっと大きな流れがあるというふうに思います。  こんな方向は私、間違いだと思いますけれども、そろそろ訂正しないと、地域経済、全国で大変なことになると思いますが、いかがですか。
  127. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、私のプログラム、金融再生プログラムのことだと思いますが、これは言うまでもありませんが、これは大手行に対して適用しているものであります。今回の足利銀行に関してこの金融再生プログラムは適用されておりません。それ以前からある公正な妥当な会計慣行に基づいて、これは監査法人にはしっかりとやっていただく、それ以前からある私たちが持っているセーフティーネット、必要があればそれを活用して行政を行っていく、今はそういう仕組みになっております。  一点、そういった地元での努力は、これは当然一生懸命皆さん努力をしてこられたんだと思います。その努力をぶった切るというふうな言い方をされるんですが、ここは是非とも、この三号措置の意味というのを是非とも御理解いただきたいと思います。これは様々なやり取りの中で大変私自身残念だと思うのは、こういう言い方をされた方がいます。一号措置は天国だけれども、三号措置は地獄であると。これは違うと思います。ここはしっかりと、私たちはむしろそういった努力を後押しできるように、地域破綻が本当の意味では起きないように三号措置を適用しているわけで、その趣旨は是非とも御理解を賜りたいと思います。
  128. 大門実紀史

    大門実紀史君 三号措置と言われますが、大量にRCC送りになるんですよ。だって、整理しないと受皿が買うわけないじゃないですか、今の、ちょっとグレーゾーンも含めて。今までそうだったわけでしょう、みんなそうでしょう。そうやってきれいにしてこそ受皿が買って、株で上げてもうけるわけでしょう。そうじゃないと買手なんか付くわけないじゃないですか。そうでなきゃ、また瑕疵担保条項でも付けるんですか、新生銀行みたいに。だから、私が申し上げているのは、これから半年ぐらいに相当の栃木県のあるいは周辺県の中小企業がRCC送りになったり整理に追い込まれるということで、何にもそんないい展望なんかないですよ。三号措置だから何かいいことがある、待っているなんということはないですよ。  最後にちょっと。この問題、追及の方は引き続きさせてもらいますけれども、切実な問題ですから、RCC送りになる方々というのは。  一つは、今県で、私もこの前、商工会議所の会頭とお話ししてきましたけれども、県で再生ファンド、中小企業用の再生ファンドを作ろうという動きがあります。これはもう要望も来ているかも分かりません。私は、是非大臣も閣僚の一員として要望してもらいたいのは、政策投資銀行、政策投資銀行がこのファンドに出資をするように、中小企業に出資するといって予算取っておいて、会計検査院の報告によりますと、中小企業にほとんど貸していなかったというのが明らかになりましたけれども、あれはあれでまた追及いたしますけれども、是非政策投資銀行が全面バックアップして県が考えておられる中小企業再生ファンドに出資をするようにお願いしてもらいたいのと、私はもう一つ中小企業再生ファンドでさえなかなか面倒見切れないような、ほっておくとそのままRCCに行ってしまうと、そういう人たちを、その中でも、景気さえ良くなればやっていけるというところについては別のもう一つスキームが必要だというふうに思っておりますけれども、当面、県が強く要望されている、今、具体的になりつつある中小企業再生ファンドに、お金がないとできませんので、政策投資銀行の出資を具体的に閣僚のメンバーとして働き掛けていただきたいということを最後にお願いして、質問を終わります。
  129. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 答弁、いいんですか。
  130. 大門実紀史

    大門実紀史君 一言、大臣
  131. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) いわゆる不良債権というふうに分類されている企業が即RCC送りではないということを是非我々としては強調させていただきたいと思います。国が管理して、必要な場合には資金援助をするわけでありますから、本業が良くて、しかし本業がいいにもかかわらず悪い債務を背負っているようなところに関しては、それを再生することもこの三号の中では可能になってまいります。そういう方向を我々としては是非模索したい。  その中で、御指摘のような再生ファンド、これはどのようなものかはともかくとして、そうした地域を再生させるスキームは必要だと思っておりますので、固有名詞が挙がりました政府金融機関は谷垣大臣の御担当ではありますが、閣内で何ができるか、これは一生懸命議論をしたいと思っております。
  132. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) よろしいですか。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時五十一分散会