○
千葉景子君 私は、
民主党・新緑風会を代表し、
小泉総理大臣の
所信表明演説に対して、
総理及び
関係大臣に質問いたします。
質問に先立ち、二十六日未明に発生した
北海道十勝沖地震で被災された多くの方々に心よりお見舞い申し上げます。
政府は、被害の復旧とともに、今後の
震災対策に万全を期すよう強く求めます。
さて、去る二十日、
小泉総理は
自民党総裁に再選され、引き続き新しい
小泉改造内閣が誕生しました。
振り返れば、一昨年春、
自民党をぶっつぶすという奇抜な
宣伝文句で
国民の耳目を集め、
自民党の総裁に就任し、そして
総理の座に着いた
小泉総理がこの二年半の間に一体何をしたんでしょうか。
改革断行内閣、
改革なくして成長なし、官から民へ等々、
スローガンだけは次から次へと打ち出しましたが、実態は空っぽで、何の成果も上げず、ぶっつぶしたのは
自民党ではなく
国民生活ではないですか。
完全失業者は過去最高の三百六十万人になり、
失業率は五・三%に跳ね上がったまま高止まり、個人の
自己破産は七万五千件も急増し、二十一万四千件を突破しました。
弁護士である私の元にも、しばしば
中小企業を営む方あるいは
ローンを抱えながらリストラに遭ったサラリーマンの方々などが相談に来られます。また、将来を悲観して生きる勇気と希望を失い、自ら命を絶つ人が五年連続で三万人を超えていることは
異常事態です。加えて、昨今の治安の悪化も
国民の不安を増大させています。
確かに、最近明るい兆しが見え始めたと言われ、その
代表例として株価の上昇が言われますが、これも行き過ぎた
悲観的見方が修正され、世界的な
金余りから
外国投資家による買いが多少広がったにすぎないもので、自律的、本格的な
景気回復によるものではないことは多くのエコノミストが指摘しているところです。
小泉総理、今回の
総裁選で再選されたことで
小泉政治が
国民から支持されたとまさか勘違いされているのではないでしょうね。
総裁選はあくまで
自民党というコップの中の
選挙です。しかも、こうかつにも解散・総
選挙をちらつかせ、
選挙の顔としてだけの選択を迫り、
反対勢力の支持を固めて勝利を収めたにすぎません。
その間の経緯は、やれ
毒まんじゅうを食わせたとか食らったとか、聞くだにおぞましい言葉が飛び交い、
政策などはそっちのけ。
政策運営の
大幅転換と
国会議員を中心とした
内閣改造を要求し、一札取るなどと言いながら
小泉再選を支持した
参議院自民党青木幹事長の行動に至っては、すべての
国民が次の
参議院選挙の
票集めのためだけであることを見抜いています。良識の府である
参議院の一員として全く情けない思いです。
若い安倍氏を
幹事長に起用したのも
選挙目当てであることは明白であり、実質的な
幹事長が別にいることは衆目の一致するところです。
また、
内閣改造も一体何を目指していくのか全く分かりません。一方では、若く知名度が高い
大臣を並べ
国民受けをねらっているようですが、他方では、批判の多い
竹中金融・
経済財政大臣、
川口外務大臣は留任されました。
竹中大臣は、不況を深刻化させ、
国家財政を
借金漬けにし、
金融破綻を加速させた張本人であり、
川口大臣は、
官僚の言うがままの外交で厳しい批判を受けている
大臣です。国政のかなめである
経済、外交で失政を続けている
大臣は留任し、
記者会見で、初めてのことなので一から勉強しますなどと言う
大臣を任命する。
総理は、
改造に当たって、もはや派閥の時代ではないとか派閥は壊れたと述べながら、
小泉派閥という新しい体制を築こうとしているのではないでしょうか。仇敵の
田中派の流れをくむ派閥を筆頭に、敵対する派閥には巧妙にくさびを打ち込みばらばらにし、
徳川幕府の親藩、外様よろしく
支配体制を構築し、
民間人の
川口外務大臣、
竹中大臣を留任させ、表向きは外交の
継続性や揺るぎない
改革への意思を示したように見せ掛けながら、その実、これらの
ポストを正しくおのが天領、
直轄支配にする。
徳川幕府ではありませんが、正に
自民党小泉親藩体制の構築ではありませんか。
ビジョンなし、
政策なし、
責任なしの
三位一体の
小泉親藩内閣が今後も続くようであれば、
日本社会の将来展望はありません。
総理、今回の
内閣改造にはどんな大義名分があるのでしょうか。森前首相でさえ、今回の
改造について、
手品師みたいだとやゆしています。うまい、でもずるいと論評したマスコミもありますが、こうした批判にどうこたえるのか、
答弁をいただきたい。
民主党は、この国会を、日本をつぶす
小泉総理の退陣、
自民党長期政権の終えん、
我が国の未来を展望するための
民主党中心の
政治への
政権交代の幕開けにすべく全力を尽くす決意であることを冒頭申し上げておきます。
さて、
民主党は、次期総
選挙に向けて
民主党政権公約、
マニフェストをまとめました。私たち、そして
次世代が生きる
日本社会の
ビジョンを示すとともに、それに向かって、まず
民主党政権誕生後の四年間に必ず実現する公約を具体的な
数値目標、期限、財源とともに示しております。
総理、キャッチフレーズや
スローガンだけの
選挙戦は終わりにしませんか。
政策中心の
選挙が行われない限り、
国民にとって何が実現されたのか検証もできず、
政治家は結局
口利きだの利権で左右されるものだという
政治不信が強まるばかりです。
議会制民主主義の発展も
経済社会の再生もありません。
お互いに
責任ある
政策論争を正々堂々と競い合いましょう。
スローガンやあやふやな
政策ではなく、
数値目標、期限、財源、
達成手順をしっかり示した
政策を掲げることが重要です。
民主党の
政権政策か
自民党の
政権政策か、そのどちらを選択するのか、有権者の判断を仰ぐ
選挙といたしましょう。
当然、
小泉総理は、私たちの提言を受けて立っていただけますね。はっきりこの場で約束していただきたい。
以下、
民主党の
政権公約を提示しながら質問を行わせていただきます。
まず、
経済政策についてお尋ねします。
政府は、景気は持ち直しに向けた動きが見られると
経済認識を上方修正していますが、
小泉デフレ大不況によって
日本経済が落ちるところまで落ちてしまったからこそ良くなる
経済指標もあるのだということを
総理は自覚しておられますか。
冒頭指摘したように、
小泉内閣発足時に比較して、
完全失業者は三十九万人から過去最悪の三百六十万人になり、
失業率は四・七%から五・三%、何より
自殺者が五年連続で三万人を超えていることが深刻です。株価も、一時のどん底からはい上がったとはいえ、
小泉内閣発足時の一万三千九百七十三円には遠く及ばない状況です。
このようなすさまじい
小泉デフレ大不況を招いたことについて、
総理はまず自らの
責任をどう感じているのですか、反省の弁を求めます。
さて、一部
企業に
業績改善の動きが見えるものの、多くの
中小企業は依然として厳しい状況です。最大の原因は
金融健全化の先送りであり、
小泉内閣による
金融行政の無策が今日の悪状況を生み出しているのです。
先日、二兆円の
公的資金を投入したりそな銀行が、実は
債務超過であったことが明らかになりました。新
経営陣による資産再査定で、今年三月
期決算で一兆円の
引き当て不足があったことが判明したのです。五月に発表されたりそなグループの
自己資本は五千億円余りですから、実際には差引き五千億円の
債務超過だったことになります。
預金保険法では、
債務超過銀行には
資本注入はできません。
公的資金投入を強行したことが正に
法律違反であったことが明白になったわけです。
総理はその事実を認めるべきではありませんか、
答弁を求めます。
さて、
我が国経済を支えてきたのは
中小企業です。
中小企業が立ち直らなければ
日本経済の再生もあり得ません。
民主党は、
中小企業の再生、
地場産業と
商店街に元気を取り戻すため、
中小企業向け予算を七倍増にする
年次計画を作り、十六年度
予算での倍増を掲げております。また、
中小企業金融は大
企業向けとの区別が不可欠であり、
金融検査マニュアルを大
企業向けとは別に作り、貸し渋り、貸しはがしの解消、そして
政府系金融機関融資における
個人保証を五年間で撤廃することを公約といたします。さらに、
民主党が従来から取り組む
地域金融円滑化法案を十六年度中に国会提出します。こうした大胆な
政策なくして
中小企業の再生はあり得ません。
総理は、
民主党の提言を率直に受け止め、実現する意思がおありか、それともこれに代わる実効性ある施策を講じられる
おつもりか、
答弁を求めます。
次に、
財政政策について伺います。
まず、来年度
予算編成に対する考え方を伺います。
既に
概算要求では、
一般歳出が今年度比一・一%増の四十八兆一千二百億円、
一般会計全体で五・七%増の八十六兆四千五百億円となっております。
小泉内閣は、これを実質今年度以下に抑制する方針としていますが、今後どのような方針で切り込んでいくのか、
総理に伺います。
仮に抑制が実現しても、当初
予算における
国債発行額が四十兆円を超えることが予想されます。
総理が国債三十兆円枠を掲げたことを考えると、わずか二年間でよくもここまで
財政を悪化させたと驚きを禁じ得ませんが、せめて
国債発行を四十兆円以内に抑えるなど、
財政に関する何らかの目標が必要ではないかと考えますが、この点、
総理の
見解を伺います。
次に、税制に対する
基本認識とともに、来年度改正に向け何に取り組むのか伺います。
民主党は、
緊急対策として、住宅や自動車に関する
ローン利子控除制度の創設を提唱していますが、
政府はこうした施策に踏み切る考えはないか、
総理及び
財務大臣の
答弁を求めます。
加えて、
総理の
総裁選公約にある二〇一〇年代初頭の
プライマリーバランス黒字化に対する認識、またどんな手段でこれを実現するのか、
総理及び
財務大臣の
見解を伺います。
雇用問題についてお尋ねします。
総理は、
サービス分野の
規制改革などにより五百三十万人の
雇用創出を目指し、
新規雇用の創出を図るとの発言を繰り返すばかりです。確かに、
サービス業の
就業者は
増加傾向にありますが、
建設業、
製造業では急激に
雇用が失われ、
就業者数全体では百十六万人も減っています。
完全失業率は先ほど申し上げたように五・三%と深刻で、一向に明るい展望すら見えてきません。これが
小泉総理の語る痛みの実態なのです。
特に昨今、
若年層の失業が問題になっています。働くことに希望が持てなければ、
モラル崩壊や治安の悪化にも直結し、
社会全体の崩壊という事態にもなりかねません。
総理は、現在の
雇用情勢についてどのような認識をお持ちか、
答弁を求めます。
雇用創出のかぎは、
少子高齢化や
雇用の
多様化に対応しつつ、
働き方を大胆に変革し、
社会全体で幅広く
雇用を維持、創出することにあります。
民主党は、
地域の実情に即した
雇用創出に取り組み、安定した
雇用確保のためのワークシェアリング、
労働条件の
均等待遇、募集と採用における
年齢差別禁止など、新時代にふさわしい公平、公正な
働き方の
ルール作りを進めることが重要だと考えていますが、この点、
総理の
見解を伺いたい。
総理は、
改革改革と呪文のように唱えれば
国民は付いてくると思っておられるようですが、
国民が望む実態の伴った真の
改革が何であるのか分かっておられるのでしょうか。
国民が望む真の
改革とは、無駄が多い
歳出構造を根本から改め、まじめに働く者が適正に評価される公正な
社会を築くとともに、いざというときに不安のない、将来へ希望が持てる、生きがいのある
社会にこの日本を変えていくことです。
日本経済低迷も、
国民の将来不安がその原因の一つです。
社会保障を柱とする
セーフティーネットの充実は不可欠です。そこで、
社会保障について質問いたします。
まず、
高齢者のみならず、若者も強い関心を持つ年金問題です。
年金改革をめぐるこの間の
政府・与党の議論は、
財務省対
厚生労働省の構図ばかり目立ち、
政治家の明確な意思が感じられません。
小泉総理に至っては、在任中は
消費税率の
引上げは行わないと言う以外はだんまりを決め込むだけで、何ら
改革の方針を示していません。まずは、
小泉総理の
年金改革ビジョンを明確にお示しいただきたい。
答弁を求めます。
民主党は、将来にわたって持続可能な
年金制度として、
国民すべてに適用される新たな二階建ての
年金制度を再構築することを目指し、それをベースに
年金改革協議会という場を国会に作り、
官僚任せでなく、
政治家が
責任を持って議論を進めるべきと考えますが、この点、
総理の所見を伺います。
また、現行の
年金法では、来年度から
基礎年金の
国庫負担割合を二分の一に引き上げることになっておりますが、
財務省はいまだに
引上げに慎重な態度、
厚生労働省はその逆との報道があります。一体、
政府としてはどうなさる
おつもりか。
総理、
財務大臣、
厚生労働大臣、それぞれから
答弁をいただきたい。
次に、医療問題です。
民主党は、昨年六月に
医療制度改革案を発表し、
政府がその数項目を実質受け入れた点は評価しますが、全般的に
医療制度の
抜本改革はほとんど進んでいないのが現状ではありませんか。
高齢者医療制度の
改革を始め、
政府は今後どのように取り組むお考えか、
総理の
答弁を求めます。
民主党は
政権公約として、
健保本人の
自己負担を二割に戻すことを始め、
医療制度改革や
高齢者医療制度の
改革をうたっております。また、
小児救急医療体制を整備し、
政権獲得後三年以内には全国で三百五十か所以上の
小児救急センター病院を指定、いざというときの
受入れ体制を確立します。さらに、
次世代育成支援のため、
小児医療の
患者負担を軽減することも掲げております。
政府はこうした問題にどう取り組むお考えか、
答弁を求めます。
さらに、介護問題について、
民主党は待機要介護問題の解消を目指し、
障害者や
高齢者のために平成十六年度から年間八百五十億円の
予算を確保、四年間で
地域の身近な
介護拠点であるグループホームを一万か所、約十万人
分増設を図ることも明らかにしておきます。
さて、
小泉構造改革に関して質問します。
改革といえば郵政と
道路公団の
民営化ばかりの
小泉総理。確かに昨年来、五十以上もの
特殊法人や
認可法人の
見直し法案が審議されましたが、多くが
独立行政法人への
看板掛け替えにすぎないものでした。
独立行政法人に名前を変えただけで
予算や
職員数など中身が焼け太りしているものがあったり、
法人トップの多くが
天下り官僚に占められているなど、
総理の意気込みから大きく後退した内容に終わっています。
これが
小泉改革なんでしょうか。
総理の言う
特殊法人改革とは、つまるところ
特殊法人という名前だけをなくすものだったのですね。今後、
独立行政法人が第二の
特殊法人と言われ、数年後には
独立行政法人改革がまた必要だと言われる始末では全く意味がありません。
総理、あなたは御自身が行った
特殊法人改革をどう総括されていますか、
国民が納得できる
答弁を求めます。
さらに、得意の郵政、
道路公団ともいまだ中身は詰まっておらず、与党、さらに閣内にも反対の声ばかりで取りまとめは難しいと公然と言われている有様です。
その
道路公団民営化ですが、
道路関係四
公団を
借金漬けにし、少なくとも
本四公団の一・三兆円の債務を血税によって処理せざるを得なくなった
自民党の
責任について、
自民党総裁としての
見解を求めます。
この問題、
総理は、
猪瀬直樹氏から、
総理は
第三者の我々に丸投げしてくれて一切口を挟まなかったと論評されるほどで、全く
リーダーシップを発揮しませんでした。そのおかげで、
民営化推進委員会の
意見書は、
公団債務の返済を最優先し、借金による不
採算路線の建設を認めないなど、極めて常識的な
意見書となっています。しかし、
総理はこの
意見書すら骨抜きにするつもりだと言われておりますが、事実でしょうか、お答えいただきたい。
昨年十二月の
閣議決定では、
民営化委員会の
意見を尊重する方針の下、与党とも協議するとされています。しかし一方、
自民党の
道路調査会は、
料金収入による
最大投資可能額については
全額高速道路の建設に充てる、
地域分割は認めない、私
企業による
道路資産の買取りは認めないなどの決議を行っており、全く水と油の内容ではありませんか。
総理は、
自民党道路調査会の決議をどうお考えになっているんですか、
答弁を求めます。また、
委員会意見書のどこを与党と協議される
おつもりなんでしょうか、
答弁をお願いします。
民主党は、
道路公団が
藤井総裁の下、
債務超過と言われる幻の
財務諸表をひそかに作成し、これを隠ぺいしようとした事実を追及してきました。国会での
虚偽答弁や幻の
財務諸表の隠ぺい、問題を指摘した部下の左遷などの事実が明らかになった以上、
公団を私物化する
藤井総裁を即刻更迭すべきと考えますが、
総理の
見解を伺います。
総理、こんな
私利私欲にまみれた
道路公団を
民営化できるのですか。仮に
民営化しても、結局は採算の取れない
道路を造り続け、最後は破綻し、
国民負担になることが余りにも明らかではありませんか。
民営化の目的は、採算の取れない
高速道路は民間には造らせないことではないのでしょうか。
総理の
見解を伺います。
民主党は、このような
道路公団は廃止し、三年以内に
高速道路を原則無料化することこそが合理的な
政策であると考えますが、この点、
総理の
見解をお伺いいたします。
また、郵政の
民営化は
自民党の
マニフェストに具体的に盛り込まれるのでしょうか、明確にお答えください。党内に
反対意見があることを
総理も自ら認めておられます。この
参議院にも
相当数の反対の
意見があると聞いております。それで本当に
マニフェストに具体化できるのでしょうか、明確にお答えをいただきたいと思います。
さて、二十一世紀の国の形を考える上で重要な
改革の柱は
地方分権です。
そこで、お尋ねします。
総理は、この六月、
補助金改革についておおむね四兆円程度をめどに廃止、縮減などの
改革を行うとの指示を出されました。一見、四兆円の
補助金廃止に見えますが、あいまいな表現で逃げ道が用意されており、
公共事業関係の
補助金に至っては
改革するの一言で済ますなど、
抜け道だらけの評価に値しない代物でした。
総理の
総裁選公約は、
三位一体改革を推進するだけで、更にあいまいもこの状況です。
補助金は、
中央官僚や
自民党族議員の利権、
業界談合の源泉です。
総理がこの
改革案を示せないのは、
総理自ら
官僚や
族議員と同じ穴のムジナにすぎないからではありませんか。
特に、
公共事業については、地方に移譲するわけにはいかない、
自分たちが握っておきたいというのが本音ではありませんか。地方に負担だけを押し付け、権限は
官僚や
族議員が握っているのでは
分権改革の名に値しないと考えますが、
総理の
見解を求めます。
これに対し
民主党は、十六年度において
予算措置できる部分から
個別補助金を廃止し、
自治体ごとの判断で使途を決められる
一括交付金化といたします。そして、十八年度には、
ひも付き補助金の廃止を約十八兆円にまで拡大し、全国の
改革派知事や
市町村長と協議して
改革を進めてまいります。同時に、
入札改革など
談合防止や
行財政改革による
経費節減を
自治体に求めてまいります。
民主党案は、
地域のことは
地域で決める
地域主権型社会への
第一歩となるだけでなく、陳情のための
上京費用などを不要にするのに加え、
族議員や
官僚の
利権あさりを排除し、税金の無駄遣いをなくする
第一歩です。
総理、
地方分権に至る道筋をどうお考えですか、
具体案をはっきりお示しください。
次に、
政治改革に対する
総理の姿勢をお尋ねします。
この一年に限っても、
自民党長崎県連の
違法献金事件、大島元
農水大臣の
秘書官口利き疑惑、
坂井隆憲議員の
政治資金規正法違反による逮捕、
松浪衆議院議員の暴力団による
秘書給与肩代わり疑惑など、与党の
政治腐敗ぶりは全く変わっておりません。
政治と金をめぐる問題の一掃なくして
国民の
政治不信の解消はあり得ません。
民主党は、
企業・
団体献金について、現行五万円超の
公開基準を更に引き下げ、全面的な公開を目指すべきだと考えます。この点、
総理の
見解を求めます。
また、
総理が
自民党に指示した
公共事業受注企業の
献金規制は、
民主党がそれを盛り込んだ法案を提出しております。
総理には当然御賛同いただけるものと思いますが、賛否を明らかにしていただきたい。
民主党は、
党本部決算に
外部監査を全面導入し、
政治資金の使途について
第三者チェックを自ら課しています。
自民党の
政治資金決算も全面的に
外部監査を導入したらいかがと思いますが、
自民党総裁としての決意をお示しください。
政治改革と関連し、
公務員制度改革について伺います。
民主党は、
政治の
リーダーシップ確立と
政策責任の
明確化のためには、局長以上の
ポストの
民間等からの登用など、
キャリアシステムを
改革するとともに、
官僚の
天下りを禁止すべきことを提起しています。また、
ILO勧告に基づいて一般の
公務員に
労働基本権を保障する一方、公正な
人事評価システムの確立などを進め、
国民に開かれた
公務員制度を実現することを公約しています。
総理、
天下りの
お手盛り批判や
ILO勧告を踏まえ、
公務員制度改革についてどう対応するつもりか、方針をお伺いしたい。
関連法案の提出時期と併せて
答弁を求めます。
さらに、二十一世紀の国の形を考えるに当たり、忘れてはならない
改革に
司法制度改革があります。
この間、
司法制度改革が着実に進められてはいますが、これは
国民の真摯な努力と取組によるもので、残念ながら、
制度改革の
本部長を務める
小泉総理が
リーダーシップを発揮しているからとは言えません。
司法制度改革の理念は、
民主主義の基本として
国民一人一人が自律的かつ
社会的責任を負う
統治主体であることを確認し、三権の一つである
司法においても
国民の自治、自律の
制度を確立することにあります。
司法における官から民へという
役割分担の
見直しと言ってもよいでしょう。
民主党は、
国民に身近で充実した
司法制度により人権が保障され、安心して暮らせる公平、公正な
社会を目指して取り組んでまいりました。この理念にのっとり、引き続き
国民が
行政をチェックすることができるように
行政訴訟改革などを進めてまいります。
とりわけ、
国民が裁判に参加することによって、
司法における
国民の自治、自律、
社会的責任を実質化する
裁判員制度の導入は重要です。
総理の御認識を伺います。
また、
裁判員制度の趣旨にかんがみ、
裁判員の数は十名前後の相当多数が適当である反面、裁判官の数は、プロの知識、経験を生かし
国民の
責任ある
自律的判断をサポートするという意味で、ベテラン一名で十分だと思われますが、
総理の御
見解を伺います。具体的にお答えください。
次に、現在そして将来、
社会を支える人々にかかわる課題についてお尋ねします。
まず、
教育政策についてお尋ねします。
教育は
我が国の最
重要課題です。青少年、児童をめぐる悲惨な事件の続発、
学力低下の懸念と
学校現場や家庭に与える混乱など、教育を取り巻く問題は枚挙にいとまがありません。戦後、これほどまでに教育の再生が強く望まれた時期はないと言っても過言ではありません。
民主党が
教育政策で最
重要項目として挙げるのは、少
人数学級推進のための
制度改正と
財政措置です。
政府は、少
人数学級を推進するかの姿勢を見せながら、かたくなに一学級の人数を四十人としています。そのため、四十人を下回る
学級編制をする
自治体では、厳しい
財政の中から
人件費などを捻出しているのが実態です。少
人数学級は、
学習面からの効果ばかりではなく、
子供たちの微妙な心の変化にも教師の目配りが利き、きめ細やかな教育現場実現には不可欠な
政策だと考えます。
少
人数学級の推進と
自治体へのバックアップについて、
総理の
見解をお尋ねします。
さらに、
民主党は、教育の
地方分権を柱に掲げております。教育の危機、教育の荒廃を招いた
官僚主導の
教育政策体系が抜本的に見直されることはついぞありませんでした。
総理、教育の
地方分権に関する具体策があればお尋ねしたい。
次に、男女共同参画への取組についてお尋ねします。
まず、ドメスティック・バイオレンスについてですが、この問題は多くの女性に深刻な不安を与えており、
政府が果断な対策を打ち出すことが求められております。
民主党は、平成十六年度中にDV防止法を改正し、保護命令対象を元配偶者、子供、親族などに広げること、また脅迫行為や電話による接触の禁止、退去命令や接近禁止命令の期限延長など、保護命令
制度の改善を図るとともに、警察
改革による相談体制等の強化を
政権公約といたします。
今後、
政府はDV問題にどう取り組むお考えか、
総理より
答弁をいただきたい。
賃金や待遇など
雇用における間接差別や家族法、婚外子差別など、依然として女性にかかわる差別が存在します。こうした差別解消へどのように取り組むのか、
総理の考え方をお伺いします。従来のような各党の御議論を見守るというような丸投げ式
答弁ではなく、御自身の言葉でお答えください。
治安の問題について伺います。
凶悪犯罪の検挙率が五年前の八四・一%から四八・六%に低下しています。
国民の間で治安に対する不安が今ほど高まっていることはありません。
民主党は、
政権公約において、凶悪犯罪の検挙率を五年前の水準に戻すことを目標に、四年間で
地域、刑事、生活安全にかかわる警察官を三万人増員し、防犯パトロール体制を強化するとともに、空き交番の解消を図ってまいります。また、凶悪犯罪に対する罰則が軽過ぎるとの指摘も踏まえ、仮釈放のない重無期刑の創設を公約しています。
政府は、凶悪犯罪の防止にどう取り組むお考えか、
総理の
見解を求めます。
外交・安全保障問題についてお尋ねします。
八月三十日、北朝鮮の核開発問題等をめぐって行われていた六か国協議が終了しました。
民主党は、協議の開催にこぎ着け、議長総括において協議継続が合意できたことには一定の評価をいたします。
しかし、北朝鮮の核開発問題では、その全貌が明らかになっていません。中国の仲介の努力にもかかわらず、米朝の溝も埋まったとは言えない状況です。北朝鮮は、九月三日の最高人民会議でも核抑止力を維持するとの強硬路線を確認しており、核実験の可能性についても言及したと報じられています。
政府は、北朝鮮に対し、核開発を交渉の道具とする姿勢を改め、国際
社会の声に真摯に耳を傾けなければ平和的な解決はあり得ないことをしっかりと伝えるべき責務があると考えます。しかし、
川口大臣を始め
政府からはそのような姿勢が伝わってこないのは大変残念です。
政府は、この点、どのような展望を持って北朝鮮外交に臨もうとお考えか、
総理から具体的にお示しいただきたい。
また、日本側の最大の関心事であった拉致事件は、日朝二国間の協議においても具体的な進展は得られておりません。拉致事件は日本の主権の問題であるとともに重大な人道問題でもあり、交渉の道具にされるべきものではなく、早急に解決されなければなりません。
このたび、北朝鮮問題について官邸で影響力を行使されていたと言われる安倍副長官が
自民党の
幹事長に就任されました。総
選挙を意識した人事とも報じられておりますが、今後、官邸でこの問題がよもや後退することはないと考えますが、
総理から拉致事件の解決に向けた具体的な方針をお示しいただきたい。
次に、イラク問題についてお尋ねします。
この六月ごろより、イラクで活動する米軍兵士が米
政府に対する不満をあらわにしています。相次ぐゲリラ型の襲撃に対して、占領米軍から不満の声が公に出るようになってきました。
最新兵器で武装した米軍兵士でさえ、各種の襲撃や攻撃に苦悩しているさなか、
我が国政府は、従来からの懸案となっていた武器使用基準の緩和も行わずに、自衛隊を派遣しようとしております。対米配慮という外交取引なのか、
選挙という
政治的取引に自衛隊員の命を使うという誠にもってゆゆしき行為であります。
一体、現行の武器使用基準によって、重火器で武装する
反対勢力が濶歩する
地域で、自衛官が安全に任務を達成できるとお考えなのでしょうか。
総理からしっかりとした御
答弁をお願いしたい。
九月二十三日、国連総会でブッシュ米大統領は、イラク復興での国際
社会の協力を求め、現在、多国籍軍の派遣を明示する新決議案が安保理で検討されています。国際
社会の協調した取組が重要なのは言うまでもありませんが、ブッシュ大統領の演説によっても、国連のアナン事務総長やフランス等が主張するイラクの暫定政権に速やかに主権を移して解決を図るという国連主導の解決策に対する決意が全く感じられません。アナン事務総長は、米国の単独主義的行動をいさめる演説をしていますが、この単独主義について
総理はどう向き合うのでしょうか。
ブッシュ大統領が十月十七日に来日されるそうですが、予想される資金提供の要求や混乱するイラクに対し日本としてどのようにかかわっていく
おつもりか、今後予想される総
選挙の際には、
国民にとっても重要な判断基準となる問題です。
総理から具体的な対処方針をお示しいただきたい。
最後に、テロ対策特別措置法の延長問題について質問いたします。
この問題が当初から政局絡みになっていることは非常に残念です。
民主党は、テロとの闘いは重要であり、真に必要であれば国会によるシビリアンコントロールを徹底した上で自衛隊の活用もあり得るとの対応を取ってきましたが、
政府は必要な説明
責任をほとんど果たしてきませんでした。
アメリカのラムズフェルド国防長官は、アフガニスタンでの主要な戦闘が終わったことを表明し、当初の目的がほぼ達成されたとの認識を示しています。しかし、
政府は、掃討作戦が終結していない、各国も諸活動を継続しているなど抽象的に挙げるのみで、具体的な必要性の説明はなく、その隠ぺい体質は目を覆うばかりです。
総理から現地の活動ニーズについて説得力のある御
答弁をいただきたい。
テロの脅威除去の必要性は認めるとしても、九・一一テロに限定した法律の在り方については問題が残ります。いつ終結するのか、だれがどのような基準で判断するのか、全く明らかではありません。特別措置と言いながら、今回の延長のように無原則になされようとするなら、法の趣旨を逸脱するおそれがあります。こうした法律の在り方も含め、最終的な判断権者である
総理から、今後の明確な方針を示していただきたい。
去る七月二十三日、
民主党の菅代表と旧自由党の小沢党首が会談し、両党は小異を残して大同に付く覚悟で合併することで合意し、一回り大きな
民主党に成長いたしました。
参議院民主党・新緑風会も六十九名という数で今国会に臨んでおります。今からちょうど三十一年前、一九七二年九月、日中両国は共同声明を交わし、国交正常化が実現しました。この交渉に当たった周恩来首相は、小異を残して大同に付くことを強調しました。以来、日中関係は大きく発展し、両国の友好関係は揺るぎないものとなっています。私どもの小異を残して大同に付く、すなわち両党の合併も日本一新を進めるための歴史的な転換点になると確信しております。
小泉政権はもはや風前のともしびです。やることなすことすべてが空っぽ、こんな
政治がいつまでも存続するはずがありません。失業、倒産などを理由に
自殺者が毎年三万人を超えるような状況で
国民の支持が続くことなど断じてあり得ません。
小泉総理、あなたは衆議院の解散・総
選挙を仕掛けるためにこの国会を召集したようです。
民主党としては正に望むところでもございます。
総
選挙により、政官業癒着、ばらまき
政治を続けてきた
自民党政権に終止符を打ち、
国民一人一人の能力と適性を引き出し、生きがいある人生を送ることのできる
社会、長期的な安定と繁栄が続く国をつくるため、
民主党中心の政権を樹立することができることを、そして一体として位置付けられる来年の
参議院選挙でも、青木
幹事長の画策には屈することなく、
国民の良識が必ず勝利すると私は固く信じております。
政権交代こそ日本再生のための
第一歩であることを重ねて申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔内閣
総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕