○中川(正)
委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、
政府提出の
テロ対策特別措置法の一部改正案に反対し、民主党
提出の
修正案に賛成の立場から討論を行います。
二〇〇一年九月十一日に米国で発生した
同時多発テロは、
日本人を含む多くの罪なき人々を巻き込んだ卑劣かつ残虐な行為であります。このような
テロに対して、国際社会は毅然と一致団結して取り組み、
テロリストに対するすきを与えてはなりません。
しかし、もう一方で、我々は今日、複雑かつ多様な
脅威に直面しており、このような新たな社会にあって、
世界に平和と安定をもたらす新秩序をつくっていくための重大局面に差しかかっています。残念ながら、我々は、
テロとの闘いへの有効な方策を依然として見つけ出したとは言えません。
専門家の中には、アルカイダの国際ネットワークは広がっており、
国際テロもグローバル化しているとの
指摘があります。多面的な取り組みが今ほど必要なときはありません。
しかし、そのような中ではあっても、
テロとの闘いという名のもとに、実力組織である
自衛隊が
政府の恣意的な判断で無原則に海外に派遣されるべきものではありません。
民主党は、
同時多発テロを受けた
テロ特別委員会の審議でも、
国会によるシビリアンコントロールの重要性を主張し、海外の
自衛隊の
活動を認める内容である場合、PKO
協力法に準じ、原則
国会の事前承認であるとの立場から
修正案を
提出いたしましたが、与党はこれに反対をいたしました。
同法成立後、二〇〇一年十一月に
政府が示した
自衛隊の
活動に係る対応
措置については、期間、
活動範囲等が妥当と判断し承認しましたが、その後、
政府は、二〇〇二年五月、十一月、二〇〇三年五月の三度にわたって半年ごとの
基本計画の期間を
延長するとともに、十二月四日、イージス艦の派遣をも
決定いたしました。この間、
政府は、派遣継続の必要性や、
イラク攻撃に加わった米空母キティーホークへの給油問題など、
イラク戦争との関係もうやむやにしたまま、オペレーションにかかわる内容はつまびらかにはできませんを繰り返すのみです。
特に、今回、二年間の時限立法が期限を迎えるに当たり、この二年間、アフガニスタン周辺における
テロとの闘いがいかなる成果を上げ、今後いかなる課題が残しているか、また、いかなる目的を達成すれば
自衛隊の任務が終了すると考えているか等について、明確な説明を行ってはいません。これは、シビリアンコントロールの観点から非常に問題であるということは言うまでもないことであります。
本法による特別
措置を定めた当時からすれば、
アフガンの
状況は
地域紛争地の懸念も
指摘される等、
地域、国際情勢は変化しているのであります。また、
我が国の近隣の
安全保障は、北朝鮮の瀬戸際政策がエスカレートしてこの一年悪化していることを考慮すると、
我が国近海における
自衛隊の運用面の不安もぬぐい切れません。時限立法とした期限を迎えるに当たり、改めて
国会の承認に付すことが必要であると考えます。
民主党
修正案では、
基本計画に定められた
自衛隊の
部隊などが実施する
協力支援活動、捜索救助
活動または被災民救援
活動については、
内閣総理大臣は、これらの対応
措置については、
自衛隊の海外派遣の重要性にかんがみ、原則
国会の事前承認を得なければならないとしております。また、今回、二年間の期限を迎えるに当たり、現在既に実施されている対応
措置を今後の二年間も継続することも、改めて
国会に諮り直さなければならないとしております。加えて、
政府案は、必要であればさらなる
延長を可能にしていますが、特別
措置としての本法を漫然と更新することには反対であり、
テロ対策特別措置法を今回限りで打ち切るべきと考えております。
我が国自衛隊が
外国で
活動するに当たり、過去の過ちを二度と繰り返さないためにも、
国民を代表する
国会が責任を持って
自衛隊を送り出すことが必要であり、
国会による事前承認を盛り込むべきであることを重ねて主張し、私の
政府案に対する反対討論、そして民主党
修正案に対する賛成討論を終わります。
以上であります。(拍手)