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櫻井充君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま
議題となりました
保険業法の一部を改正する
法律案について、
竹中金融担当大臣及び
関係大臣に
質問いたします。
今日は再
質問いたしません。その代わり、
原稿なしで
質問させていただきたいと思います。
もう
一つ、議運の
先生方にちょっとおわびを申し上げますが、
外交というものが
日本の
経済に大きく影響をしてまいります。
株価にもいろいろ影響してまいりまして、そのために
生保の
危機というのが起こっているという実態もございますので、あえて
川口外務大臣にも
質問させていただくことにいたします。
まず
最初に、今回の
イラクの
戦争において、
関係のない本当に多くの
市民の
方々が
犠牲になりました。このことに対して、心からお悔やみ申し上げたいと思っております。
そして、今回のこの
イラク戦争ですが、元々、
大量破壊兵器、そして
生物化学兵器を破棄するんだということが大義であったはずです。しかし、今のところ、そういう
兵器は全く見付かっておりません。一方、じゃ
アメリカ軍はどうかというと、
劣化ウラン弾を使用したり、そして
クラスター爆弾を使用するなど、果たして人道的に認められるのかどうか。そして、そのために多くの
市民の
方々が
犠牲になってきています。
これだけの
市民の
方々を
犠牲にして、そして
破壊兵器も見付かってこなかったということを考えても、まだ今のところ見付かってこなかったということを考えてみると、我が党が従来から主張していたように、査察の継続を行っていけば実際は
戦争を回避できたんじゃないだろうかと、そういうふうにも考えることができるかと思います。
現時点において、
川口大臣にお伺いしたいんですが、果たして
日本が今回のこの
戦争を支援したということ、このことは、この判断は正しかったのかどうか。私は、
日米安保条約というのは極めて重要な
役割を果たしていると思いますが、例えばですよ、
皆さん、ドラえもんに出てくる
スネ夫のように、いつもジャイアンにこびを売っているような、そういう
アメリカ一辺倒のそういう
外交の
やり方で本当にいいのかどうか、私は
川口大臣にこの姿勢を問いたいと思っております。
それでは、
保険業法の
法律の
内容について
質問いたします。
今回のこの
法律の
内容は、
平成十五年から
平成十七年において
生命保険会社が
破綻した際に、その
破綻したときにどういうふうな形でその
セーフティーネットを
整備するかという
内容です。
しかし、これは元々、
平成十二年から
平成十四年度まで
破綻した
生命保険会社のために
セーフティーネットが
整備されたわけであって、要するに三年間の
時限立法だったわけですから、恐らく三年間で
金融危機が回避されるんだろうということを考えていたんだろうと思います。しかしながら、三年間では
金融危機が回避できなかった。そのためにまた新たなる
セーフティーネットを
構築しなければいけなくなっています。
ただ、
小泉総理は何と言っているかというと、
生保危機はないんだと、あおるな、あおるなというふうにおっしゃっているわけです。現状はどちらが正しいんでしょうか。つまり、
税金を投入してまで
セーフティーネットをつくらなきゃいけないぐらい本当に今
危機的な
状況にあるのか、それとも
危機的な
状況にないのか、そのことについてまず
竹中金融担当大臣の
答弁を求めたいと思います。
その上で、もし今
危機的な
状況にあるんだとすると、つまり三年間で
セーフティーネットを
整備を終わらすことができなかった、これはやはり
政府の
政策に大きな問題があったからだと思います。
この国は
バブル期に
土地本位制になりました。
土地の価格が
下落したことによって
多額の
不良債権が生まれました。今度、
アメリカと同じように
株本位制になって、お互いに
金融機関同士が互助会的に株を持ち合っています。そういう
状況の中で、
株価が
下落してくるから、今度は
金融危機がまた再燃するというような
状況になってきています。
この
株価の
下落の
原因は一体何でしょうかと
竹中大臣にお伺いすると、これは市場がお決めになることと、いつも
評論家のようにおっしゃっていますが、やはり大事なことは、きちんとした
分析をして、そして
政府として対応ができることはきちんと対応していく、このことが極めて重要なことだと思っています。
そこの中で、私は、一番大事なことは、結局この国の明確な
ビジョンというのを打ち出せてこなかった、このことが
最大の問題だと思います。なぜそんなことを申し上げるかといいますと、要するに
小泉さんが
総理になったときは、たしか
株価が一万三千九百七十三円ぐらいだったかと思います。
現時点では七千八百七十二円まで下がっています。
あの当時、
小泉さんの前の
森総理ですが、あのサメの脳みそとやゆされて、
政策がまともに打てなかった。そういう方のときでさえ一万一千四百三十四円であって、あのときに
総理が辞めることが
最大の
株価対策だと言われたわけです。要するに、何かというと、明確な
ビジョンをずっと打ち出してこなかったということが一番大きな問題なわけです。
そこで、
竹中大臣にお伺いしたいのは、要するにこの国はどういう方向に向かおうとしているのか、どういう
やり方で
経済を活性化しようと考えていらっしゃるのか、その点について御
答弁いただきたいと思います。
次に、もう
一つ、
逆ざやの問題があるかと思います。
竹中大臣は、要するにゼロ
金利政策を支持され、更なる
金融緩和政策だというふうにおっしゃっておられますけれども、しかし、一方でこうやって
生保の
逆ざやだという問題も起こってきている、これも現実でございます。そのなぜ
逆ざやが今言われてきているのかといいますと、
生命保険会社には三つの利益の源がございます。それは、
費差益、
死差益、そして
利差益と呼ばれているものです。その
利差益というのは、
予定利回りの運用と、そしてそれと今配当しなければいけないというものの差でありまして、今、一兆五千億円の
利差損だということになっています。ところが、
費差益と
死差益に関していいますと、これは三兆五千億円のプラスですから、本当に
逆ざやがあるのかどうかは分かりません。
一昨年行われた
金融審議会の
保険基本問題ワーキングチームの中で、ある
オブザーバーの方がこうおっしゃっているんです。今の
逆ざやというのの
計算方法は実はうそなんだと、
基準配当利回りというのを使っているから、実際はもっともっと
逆ざやが多いはずなんだと、そういうお話をされている一方で、この
金融環境が続いてくると、
あと五年後にはもう大変なことになってとても
数字をお見せすることができないと、これは
オブザーバーの方がはっきり申されているわけです。
そうすると、本当に一体
逆ざやというのがあるのかどうか、あるとすると一体
幾らぐらいなのか。もう
一つは、この
オブザーバーの方が言っているぐらい、この
金利の
状況が続いてくると本当に
生保の
破綻が起こってくるのかどうか。その点について明確に御
答弁いただきたいことと、今度は国の
税金を四千億円使うわけですから、はっきりした
利源別の今の
状況というものが一体どうなっているのかということをきちんとお示しいただかなければいけないと思っていますし、現在の四十三社が難しいのであるとすれば、ここ数年間で六社
破綻しておりますから、この
破綻した六社のせめて
利源別の損益というものを私は情報公開すべきではないのだろうかと、そういうふうに思っております。
竹中大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
もう
一つ、その
生保を圧迫している問題として、何といっても
簡保を挙げなければいけないと思っています。
簡保は、現在、総資産として百二十六兆円です。そして、一方、
民間の四十三社を合わせても百八十四兆円でしかないということを見てくると、
簡保というのは極めて大きな存在になってきています。
今、
生保が
危機的状況にあるというのは、
予定利回りが高かったということになっている。その
予定利回りについてですが、実は
簡保の方が二回、
民間生保よりも先に
予定利回りを引き上げているというような問題もございます。
もう
一つ、
環境的にいうと、
簡保と
生保を比較した場合には、
簡保の方が恵まれている部分が多々ございます。例えば、
責任準備金というのがありますが、これは
民間の
生保は有税で積まなければいけないのに、
簡保は無税で積むことができる。
準備金というのは、
責任準備金以外一杯ございます。その
準備金に関していうと、
簡保は全く積まなくていい、
生保は積まなきゃいけないんです。
それだけではありません。今回の
セーフティーネットに
多額の拠出をしているわけですが、そういったものも拠出しなくていいというようなことがございまして、本来、
競争原理というものが働くのかどうか分からない。これは
アメリカの
商工会議所からも
指摘されてきていることです。
そこで、今回の
生保危機に関して、
簡保は全く問題なかったと考えられるのかどうか、
片山総務大臣、そして
竹中金融担当大臣にお伺いさせていただきたい。そして、今後の
簡保のあるべき像は一体どういうものなのか、その点について
片山総務大臣にお伺いさせていただきたいと思います。
次に、今回の
早期処理のことについてお伺いしたいんですが、というのは、今回の
セーフティーネットというのは、
破綻する
生保があったから今回の
セーフティーネットの
構築、
整備になりました。しかし、ここ数年で六社
破綻しています。
東邦生命、それから第百と、それから
大正生命、ここはこの
セーフティーネットから
資金援助を受けています。
幾ら受けているのかといいますと、三千六百六十三億円、それから千四百五十億円、二百六十七億円で、五千三百八十億円の
資金援助を受けております。その
資金援助を受けている
生命保険会社があるかと思えば、
千代田、
協栄、東京のように全く
資金援助を受けていないところもあるんです。
この差は一体どこにあるかというと、
財務状況が悪くなってから
破綻しているところと、
破綻していない、つまり
早期処理が実現できると、こういう
セーフティーネットから
資金援助を受けなくて済むことになってきています。要するに、病気でいえば、軽いうちに病院に行っていただけばほとんど治療しなくて済むのに、重病になってしまうとかなり
医療費が掛かるというのと全く同じです。そうしてくると、
早期処理というものがきちんとできるかどうか。これは
行政権の私は
役割だと思っていますが、ここがすごく重要になります。
一方、
生保の体力を表す、
支払余力ですけれども、それを表してくる
ソルベンシーマージン比率というのがございます。その
ソルベンシーマージン比率で見てきたときに、
破綻した
千代田生命というのは二六〇を超えていて、二〇〇以上であれば大丈夫ですよという、そういう
指標なわけです。ところが、それでも
千代田生命が
破綻いたしました。その後、
ソルベンシーマージン比率の
見直しは確かに行われましたけれども、先ほど申しました
金融審議会の
ワーキングチームの中のある
委員の方、これは教授の方ですけれども、この方が
指摘されているのは、もっと厳しい
アメリカの
ソルベンシーマージン比率を使うと、
あと数社が実は
アメリカであれば
早期処理の
対象になるんだと、そういうふうに
指摘されているところもございます。
ですから、
早期処理を実現できるかどうか、そのための
指標を
金融庁としてどのようなものを考えていらっしゃるのか、そして現在用いられている
ソルベンシーマージン比率に問題はないのかどうか、その点について御
答弁いただきたいと思います。
今回の
セーフティーネットの
お金の分担ですけれども、
生保業界が約一千億円、そして
税金が四千億円となっています。あたかも、
生保業界が今回は一千億円拠出するようになっていますが、実はそうではありません。前回、十二年から十四年に
構築された
セーフティーネットのところに二百二十億円、まず
お金が余っています。それだけではなくて、先ほど申しました五千三百八十億円を
資金援助として使っていますけれども、それが
清算法人から一部戻ってくるということがこの間の
記者会見で
生命保険会社の会長の方がおっしゃっていたことで分かってきました。そうすると、その
お金が戻ってくると、果たして
生保業界では一体
幾ら負担するのか、そのことが明確になっておりません。
追加というのは一体
幾らなのか、であったとすると、余り、もしかすると数百億円かもしれないし、ゼロかもしれない。国の方の
セーフティーネットに
税金を投入するのは四千億円、果たしてこの
比率が正しいのかどうか、適切なのかどうか、この点について
竹中大臣の御
答弁をいただきたいと思います。
それから、
予定利率のことについてお伺いさせていただきたいと思います。
予定利率を引き下げるということは、憲法の二十九条の
財産権の侵害に当たるのではないかというふうに
指摘されています。確かに、考えてみますと、
予定利率を引き下げると一体どうなるかというと、
契約者がもちろん損をすることは確かですけれども、そのことによって
会社は
破綻を免れる
可能性はございます。しかし、
会社が
破綻した場合に一体どうなるかというと、企業はもちろん
破綻するから大きな
痛みを伴うわけですけれども、一方で、
契約者も結果的には、
契約者も結果的には
痛みを伴うということになります。そうすると、
予定利率を引き下げるということになってくると、
予定利率を
引き下げようが引き下げまいが、
会社が
破綻しようが、
契約者に損が行くということは全く同じ構図であって、結果的に
予定利率を引き下げるということは
会社のメリットにしかならないんじゃないだろうか、そういう気がいたしております。
考えてみると、思い起こしてみると、
自民党の
方々は
生保業界からこれまで
多額の献金を受けておられました。しかも、
優遇税制というインセンティブを掛けて、そうすると個人の
方々が
生保業界にどんどん、
生命保険にどんどん加入しますから、
業界がもうかったその
お金を、
自民党に
お金が回ってくると。いや、だけど、私は、これは極めて頭のいい
やり方だと思って、常々感心させられております。こういう知恵をほかのところに是非回していただければ、この国は活性化するのではないかなと、そうも思っているんです。
ちょっと話は横道にそれましたけれども、大事なことは、
予定利率の
引下げは行うのかどうか、そしてその
予定利率の
引下げというのは何の目的で今議論されているのか、その点について御
答弁いただきたいと思います。
最後に、
竹中大臣にまず
最初に御礼を申し上げたいのは、リレーションシップバンキングに我々がずっと従来主張しておりました
金融アセスメント法案の
趣旨が盛り込まれました。本当にありがとうございました。
ただ、最近の
竹中大臣を私、見ておりますと、何か少しお疲れになってきたんじゃないなと、そう心配をしております。それは野党の我々に
責任があるのか、本来は支えなきゃいけない
皆さんに
責任があるのか、そこは私は分からないと思っています。しかも、最近、
小泉総理の、何というか
竹中さんに対して、僕はすごく冷たいような気がいたしています。
竹中大臣に、以前、私は、
予算委員会で、
竹中大臣が推し進める
改革によって、一体、
竹中大臣、どういう
痛みが来るんですかと
質問したときに、私は高収入であった道を捨てて
大臣の道を選んだ、私にもそういう
痛みがあるとおっしゃっておられました。
どうでしょうか、
大臣、要するに、今や、
痛みのなくなるような
世界に戻りたいと今や思っていらっしゃらないのかどうか、そのことをお伺いして、私の
質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣竹中平蔵君
登壇、
拍手〕