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朝日俊弘君 民主党・新緑風会の
朝日でございます。
前回に引き続き、
前回はようやくほんの入口しかできませんでしたので、そろそろ本論に向けて入りたいと思いますが、本題に入ります前に、実は私、是非、
日本精神科病院協会の会長においでいただいて、
参考人として御
出席いただきたいと、こういう
お願いを申し上げました。
理事会の方ではその方向で御検討をいただいたと伺っておりますが、残念ながら今日御
出席をいただいておりません。極めて残念であります。私としては、この場で
ちょうちょうはっし、いろいろと
お尋ねをしたい点がありましたし、提出していただきたい
資料もありましたんですが、そのことをこの場でやることができなくなったことについて極めて残念と申し上げるしかないというふうに思います。むしろ、何となく曇っているかなという雲行きがもっとダーティーになってきたなという感じをぬぐえてなりません。そのことを冒頭申し上げて、具体的な
課題に入りたいと思います。
まず
最初の
課題は、今
皆さんのお手元にも若干の
資料配付をさせていただきました。大きく分けて二種類ございます。その
一つは、
最初の三枚で、
前回でしたか、私も取り上げました
毎日新聞の
報道に関して、それぞれ
警察庁及び
厚生労働省から、一体この
報道の中身についてどうなのかということで調べてほしいという
お願いをいたしました。それに関する
資料が
最初の一枚半載っております。それから、後半については、私がこの
委員会でも
引用をさせていただきました
平成十四年度の
厚生労働科学研究、
分担研究の
報告書、これについてようやく公表できるということで
資料としていただきましたので、早速に
皆さんにもお目通しいただきたいということで用意をさせていただきました。ちなみに、私が
委員会で
引用させていただいた
部分は、一番
最初の「
研究要旨」の四角のところに囲ってある
部分から
引用をさせていただきました。改めて御
確認をいただければというふうに思います。
そこで、
毎日新聞の五月二十二日の
報道を受けて若干の
やり取りをさせていただいた後、押し問答をしていても始まらないので、
厚生労働省と
警察庁の方で一体どういうことになっているのか、
平成十三年度についてそれぞれ
資料を出してほしいという
お願いをしました。そこで出てきたのが二枚目、三枚目の
資料であります。実は、今日この
資料についていろいろと
やり取りをしてもよかったんですが、そもそも
毎日新聞の方からのアンケートにお答えいただいたところは四十件ほどということで、必ずしも
全数調査になっていないということですので、この細かい
数字の
一つ一つの
突き合わせというのは今日はこの場では行いません。ただ、
一つの材料として出てきたということで、まずはこの基本的な点だけごらんいただきたいと思います。
まず、これは現在の
精神保健福祉法の第二十四条に
警察官通報という
制度があって、
警察官通報が行われた場合には
措置入院すべきかどうかという
判断をすると、こういう
制度になっているんです。すべての
警察官通報をここに取り上げたのではなくて、その中でも
殺人とか
放火とか
強盗とか、いわゆる今回の
法案の中で
対象行為に指定されているような言わば重大な他
害行為、こういうことについてそういう事案があって、
措置入院の
通報があって
入院になったかどうかと、こういう
調査であります。
そこで、私は三点ほどどうしても
指摘しておかざるを得ないと思います。
まず第一は、
厚生労働省の方の
措置通報を受けた
件数というのが三百三件になっています。一方、
警察庁の方の
通報数は百七十八件となっています。同じ年度で同じ概念で同じ
通報をした
制度がこれだけ違うというのは一体どうなっているのかと
お尋ねをしました。そうしたら、極めてそれは理由があることでして、
事件の言わば
事件性をきちっと厳格にとらえたのが
警察庁の方の
数字だと。一方、
厚生労働省の方は、必ずしも
警察のように
事件性を厳密に、例えば
放火はかくかくしかじかという定義に合わせて数を挙げていないものですから、例えばごらんいただくと、
放火のところは
厚生労働省の
数字は百二十八となっているのに
警察庁の方は四十一と、随分、
数字が違います。そういう
意味では、事実
確認というか、事実をどう認識するかというところがこの
二つの
資料を比べてみても
大変違いがあると。したがって、ある
意味では事実
確認というのはよっぽどきちっとしなきゃいけないなというのがこの表からまず読み取れることだというふうに
一つ思います。
それから
二つ目は、
警察庁の方の
資料は、ずっと読んでいきますと、
通報されて
送致されて
捜査中あるいは
送致しなかったという、言わば
警察及び
刑事手続の方はきちんとフォローしてあります。きちんとフォローしてありますが、
通報されて
入院になったかどうかとか、
入院してその後、退院したかどうかとかということは全然フォローできておりません。これは、ある
意味では仕方がないですね。今の
制度がそれをずっと追い掛けるようにできていないものですから。
警察庁の方は、
通報された、そして
送致された
件数が何件、現在
捜査中が何件、これ、
平成十三年度中ですから随分長いこと
捜査しているなと思うんですが、
捜査中が何件、それから
送致しなかった
件数が何件と、こうなっている。そういう
意味では、
警察庁の方は、
通報まではするけれども
あとはフォローできていない。ちょっときつい言い方をすれば、
あとは知らないよと、こういうこと。
戻っていただいて、今度、
厚生労働省の方の
数字をずっと見ていただくと、
通報を受けた数、そのうち
入院をした数、
医療保護入院になった数、その他というふうに
医療に関してはフォローしてある。追い掛けている。ところが、
通報を受けたけれども、そして
措置入院になったけれども、その後、送検されたかとかいう
刑事手続上のことは全然取っていないんですよ。これは、ある
意味では今の
制度上当たり前といえば当たり前。
だから、そこのところで結局、こういう
事例があったんじゃないか、あんな
事例があったんじゃないかというふうに言われると、
両方とも確かめようがないから、いや、そうであったかもしれないというふうにどうしてもならざるを得ない。そこのところを
毎日新聞の記事はついたんだというふうに私は思います。
そこで、こういう
現行制度上やむを得ざる
統計数字が出てきて、今ここでこれ以上ああしろこうしろと言っても、この
数字そのものが出てくるという
仕組みにはなっていないので、さてそこで
お尋ねしたいのは、両
大臣に
お尋ねしたいんですが、今のように、一方で
警察そして
刑事手続の
流れがあって、一方で
通報されて
措置入院、
医療の
流れがある。こっちからこっちに来るわけですね。ある
意味では、逆に
入院したのにこっちからこっちに行く場合もあるわけですよ、送検されて。
今、議論をしている
法律は、まさしく
司法と
医療の間についてどう整理したらいいかという
法律なわけですよ。そうでしょう。
医療だけの
法律でもない、一方、
司法だけの
法律でもない。とすれば、
警察から
刑事手続にのっとって
裁判というふうに行く
司法の
流れと、それから
通報されて
医療の方に来る
流れとを
突き合わせてみることによって初めてどういう
制度が必要なのかということが検証できると思うんです。逆に、そういうことを検証した上でどういう
制度設計をしたらいいかということがあってしかるべきです。
ところが、残念ながら、残念ながら、今の
仕組みから得られる
データはそういうものを検証するに十分な
データにはなっていない。私は、今からでも遅くはないので、例えば
特別研究班でも作って、実際どういう
事例がどう動いて、その結果としてどんなふうに
社会復帰につながったのかとか、あるいは逆にそううまくいかなかったのかとか、途中で自殺した例はあるんではないかとかいうようなことを
研究班でも作って調べたらいいと思うんですよね。少なくとも私は、今回の新しい
法律を作るに当たって、これまでのこうした両分野にまたがる、あるいは行ったり来たりするような問題をきちんと
実態を検証して、その上で
制度設計をして新しい
法律制度を作るという作業が抜け落ちていたというふうに言わざるを得ません。
この点について、両
大臣の御所見、お考えをまずお聞かせいただきたいと思います。