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国務大臣(
遠山敦子君) 私は、この
国立大学の
法人化といいますものは
日本の
大学制度の大転換点になる大変重要なものでございまして、本
法案の
内容について衆議院で民主党の賛成が得られなかったということは大変残念に思っております。
そのときに出されました修正案といいますものが、
中期目標、
中期計画とともに
国立大学法人が作成をして
文部科学大臣への届出にするというような、つまり、これはもう国立ではなくなるわけでございますね。それでは
高等教育全体の
在り方あるいは
財政上の
観点を踏まえた国の
責任ある対応という
観点からは疑問であったというふうに言わざるを得ないわけでございまして、しかし、
有馬先生との応答、あるいは私が心を尽くして答弁しております中で是非とも私
どもの真意をお酌み取りいただきまして、参議院の独自性をもって民主党も参議院で賛成に回っていただきたいと思うわけでございます。
お尋ねの件でございますけれ
ども、現在の
国立大学は、
大学としての
特性を踏まえて様々な特例
措置を講じておりますけれ
ども、基本的には
行政組織の一部として位置付けられているわけでございまして、
予算、
組織、人事などの面で様々な規制を受けて
教育研究の柔軟な展開に制約があるというのは、これはだれも納得しているところではないかと思います。
こうした国の
組織であることに伴う諸規制を緩和をして、
国立大学がより大きな
自主性、
自律性と自己
責任の下でこれまで以上に
創意工夫を重ねながら、
教育研究の高度化あるいは
個性豊かな
大学作りに取り組むということを可能にするために
法人化する必要があったわけでございます。
私は、是非、先生の貴重なお時間をもらって恐縮でございますが、今回の
国立大学の
法人化というのは忽然として出てきたものではございません。そのことについて若干時間を取らせていただいて
説明をさせていただきたいと思います。
日本の
国立大学の設置形態につきましては、国の
行政組織としての位置付けに由来する
制度的な限界を踏まえまして、昭和三十年代の末ごろから各方面で多種多様な
法人化論が提起されるようになったわけでございます。
例えば、
中央教育審議会の昭和四十六年の答申、ここでは
法人化を
国立大学改革の選択肢の一つとして位置付けました。また、昭和六十二年に飛びますけれ
ども、この臨時
教育審議会答申第三次におきましては、
国立大学の
改革手法の一つとして
国立大学の
法人化を検討した上で、将来に向けての検討課題としたのは多くの方が想起していただけると思います。
臨教審以降、
国立大学の
改革は、新たに設置された
大学審議会、私、たまたまこれは
高等教育企画課長として立案をし、そして最初の滑り出しまで担当したわけでございますけれ
ども、その審議会の
議論などを踏まえて、現行設置形態の下での自主自律体制の確立と
教育研究の特質に応じた柔軟、活発な運営の実現を目指して諸規制の緩和、弾力化が進められたわけでございます。その
改革は
大学の
個性化、高度化、
活性化という高い
理念の下に進められておりまして、国公私を通じて今強力な
大学改革が進んでいるところでございます。
その後、
平成八年に発足しました
行政改革会議では
国立大学の民営化が取り上げられたわけでございます。しかし、
平成九年五月の中間整理におきまして民営化を不適切と整理をされまして、続いて
独立行政法人化が検討されたわけでございますが、
平成九年十二月の最終報告において、
大学改革方策の一つの選択肢であるとしながら、長期的な視野に立った検討を行うべき課題であると結論をされたわけでございます。
その後、国による
財政措置を前提とした
独立行政法人制度の詳細が明らかになったことを機に、
平成十一年四月には、
政府として、
国立大学の
独立行政法人化の問題を、単なる行革の
観点ではなく、
大学の
自主性、
自律性を尊重しながら
大学改革の
一環として検討するとの
方針が確認された、これは
閣議決定でございます。
これを踏まえて、
平成十二年の七月に、多くの
国立大学関係者も参画する形で専門の調査検討
会議を発足させまして、
法人格の
国立大学の具体像の検討をその後一年八か月にわたって重ねました。ここには国公私立の
大学関係者その他の有識者がお集まりになって、本当に熱心な御
議論の上この報告書が出たわけでございます。昨年三月にそれが取りまとめられたわけでございますが、今回の
法案は、その最終報告に基づいて法制化を図ったものでございます。
その基本的な
方針としては、
国立大学については、
独立行政法人制度の基本的枠組みを活用しながらも、
国立大学の
自主性、
自律性の尊重、それから
大学の
教育研究の
特性への
配慮の
観点から、
独立行政法人とは異なる仕組みが必要ということで、通則法ではなく、
国立大学法人として
法人化するものでございます。
政府の長い
議論の中で、民営化か
独立行政法人かという二者選択を迫られたときに多くの、中曽根
委員もそうでございますし、
有馬委員もそうでございますし、さきの町村先生もそうでございますが、多くの方の
努力によって、それは
独立行政法人ではなくて、しかし民営化ということもなじまないということで、
国立大学法人という形で今日提案をしているわけでございまして、いかにして、そこのところの
独立行政法人の大きな枠組みを活用しながらも民営化ということをむしろ避けるために、いかにして国の
責任において
大学を維持していくかということにおいて、すべての
法案はやってまいっているわけでございます。
そういう経緯自体、あるいは私
どもの取り組んでいるこの意欲というものについて、十分に御参酌の上、これからの御論議をいただきたいと存じます。