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2003-06-05 第156回国会 参議院 武力攻撃事態への対処に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年六月五日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  六月四日     辞任         補欠選任      齋藤  勁君     和田ひろ子君      辻  泰弘君     大塚 耕平君      田名部匡省君     大江 康弘君      福島 瑞穂君     田  英夫君  六月五日     辞任         補欠選任      田村耕太郎君     大仁田 厚君      大塚 耕平君     鈴木  寛君      林  紀子君     吉岡 吉典君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山崎 正昭君     理 事                 阿部 正俊君                 国井 正幸君                 中川 義雄君                 山本 一太君                 川橋 幸子君                 榛葉賀津也君                 山口那津男君                 小泉 親司君                 平野 達男君     委 員                 愛知 治郎君                 荒井 正吾君                 泉  信也君                 大仁田 厚君                 加治屋義人君                 木村  仁君                 北岡 秀二君                 近藤  剛君                 椎名 一保君                 田村耕太郎君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 月原 茂皓君                 福島啓史郎君                 舛添 要一君                 松山 政司君                 山下 善彦君                 吉田 博美君                 池口 修次君                 岩本  司君                 大塚 耕平君                 岡崎トミ子君                 佐藤 雄平君                 鈴木  寛君                 谷林 正昭君                 広中和歌子君                 松井 孝治君                 和田ひろ子君                 遠山 清彦君                 山本 香苗君                 山本  保君                 池田 幹幸君                 岩佐 恵美君                 吉岡 吉典君                 大江 康弘君                 田村 秀昭君                 田  英夫君    衆議院議員        修正案提出者   久間 章生君        修正案提出者   中谷  元君        修正案提出者   浜田 靖一君        修正案提出者   前原 誠司君        修正案提出者   渡辺  周君        修正案提出者   赤松 正雄君        修正案提出者   井上 喜一君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (構造改革特区        担当大臣)        (防災担当大臣) 鴻池 祥肇君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        防衛庁長官   赤城 徳彦君        外務大臣    矢野 哲朗君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        佐藤 昭郎君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣法制局第一        部長       宮崎 礼壹君        内閣府政策統括        官        山本繁太郎君        防衛庁長官官房        長        山中 昭栄君        防衛庁防衛局長  守屋 武昌君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛庁管理局長  北原 巖男君        法務大臣官房審        議官       河村  博君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     石川  薫君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省条約局長  林  景一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○安全保障会議設置法の一部を改正する法律案(  第百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会  衆議院送付) ○武力攻撃事態における我が国の平和と独立並び  に国及び国民の安全の確保に関する法律案(第  百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会衆  議院送付) ○自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法  律の一部を改正する法律案(第百五十四回国会  内閣提出、第百五十六回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) ただいまから武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、辻泰弘君、齋藤勁君田名部匡省君及び福島瑞穂君が委員辞任され、その補欠として大塚耕平君、和田ひろ子君、大江康弘君及び田英夫君が選任されました。  また、本日、林紀子君が委員辞任され、その補欠として吉岡吉典君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事川橋幸子君を指名いたします。     ─────────────
  5. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 大江康弘

    大江康弘君 おはようございます。国会改革連絡会(自由党)の大江康弘でございます。  この大事な法案の審議もいよいよ今日が最後質疑、午後からは、総理も見えられまして総括の締めくくりの質疑が行われます。それだけに、この法案に際して、衆参通しまして、時間が長いか短いかといういろんな判断もあろうかと思いますけれども、やはり事ここに至っては、取りあえず早く成立をさせて、後また、足らざるところはお互いがまた知恵を出して、次の環境づくりに向けていくということが大事ではなかろうかというふうに思う一人であります。  そういう意味で、最後でありますから、通称、国会改革連絡会、いわゆる国連最後の調整に出てきたというような、そんな思いもありまして、頑張って、先般お聞きができなかった部分を少し残しておりますので、そのことをお聞かせをいただきたいと思います。  まず、川口大臣、これはちょっと質問予定にはなかったんですけれども、私はかねがね、独立国家日本というのは本当に独立国家かなと。この独立国家の定義というのを自分なりに考えてみますと、やっぱりそこに土地があって、その土地に人が住んでおる、そして三番目に、やっぱり一番大事なのは主権を持つということ。主権を持つということはやっぱりどういうことかといいますと、敵が攻めてきたときにしっかり守るということがやっぱり主権ではないか。土地、いわゆる領土、そしてそこに住む国民、そして主権、これがやっぱり三位一体となって私はやっぱり独立国家という形を作り上げていくというふうに思っておるんですけれども、それはどうでしょうか。
  7. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 基本的に、おっしゃったとおりではないかと思います。
  8. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。もう少し長いお答えをいただけるかなと。次の質問に非常に戸惑うわけでありますけれども。  それだけに、前回も申し上げましたけれども、やはりこういう流れになってきたということは、ある意味ではパラドックスでありまして、北朝鮮に感謝をしなきゃいかぬ部分があるのかなと、そういう意識を高めてくれたという部分は。  それだけに、あの拉致問題も含めて不審船等々、日本海で行われておる我が国への主権の侵害、そして、国内には何人おるか分からないという北朝鮮工作員の存在、それだけに、やはりアメリカが一朝事あれば、そういう工作員が大使館を攻めてきたり、あるいは日本国内にあるアメリカ基地を攻めてきたりというような、その危機感を持っておるというようなことであるそうでありますけれども。それだけに、私はやはり、この独立国家というものにまだまだ日本がなり得ていない。いわゆる世界が本当にこの日本を真の独立国家として評価をしておるのかなと言えば、非常に怪しい部分もあるんではないかな、口ではいろいろ言ってくれますけれども、心の底ではやはりどうかなと。やっぱりその努力は我々がしていかなきゃいかぬわけであります。  それだけに、先般、官房長官が盛んにやはり外交努力をしなきゃいかぬということを言われました。正にそうであります。  取りあえず、今の日本は、日米安保、この日米同盟というものをどう強力に推し進める中でその外交努力をするかと、これはもう異論のないところであります。それだけに私は、外交努力というのはいろんなことがあるんでしょうけれども川口大臣はこの外交努力ということに関してどんなことを、いろいろされておられますからあれですけれども、ちょっと簡単に、外交努力というのは簡単に言えばどんなことがあるか教えていただけますか。
  9. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、私は、我が国世界に冠たる独立国家であると思っております。ほかの国からそこについて懸念を持たれているようなことというのは一切ないと私は考えております。そういうことを考えている国は外国にはないと思います。  ただ、おっしゃるように、例えば有事法制がまだないとか、独立国家として当然に備えていなければいけないものということの整備が遅れているという部分は確かにあるということでございまして、そういう意味で、今回、国会の中で大勢の方の御支持をいただいてこの議論がなされているということは、私は、日本国民として非常に喜ばしいことだと思います。  それから、その外交努力ですけれども我が国外交の目標といいますのは、当然に、我が国の及び国民の安全、そして繁栄ということであると思います。これのためには、我が国の置かれた地政学的あるいはその他の条件からいって、国際社会が平和であって安全で、そして繁栄をしているということが重要である。これをどうやってこういう事態を作り上げるか、このための努力我が国外交努力であると考えております。
  10. 大江康弘

    大江康弘君 大ざっぱに言えば、今大臣が言われたとおりなんですね。その中で、やはり日本が今までその外交努力の中で足らなかった部分、それはやはり、PKOの協力法ができまして十年余り、やっと自衛隊がいろんな、満足な形ではなくてもいわゆる海外に行ってそういう活動もできるようになった。それは、私はやはり、いろんな日本の国に対しての脅威を覚えておるという東南アジアの方にあっても、それは私は評価をされておるように思うんです。  前回も申し上げましたけれども、私は、もうそろそろお互いがもうこの内閣法制局のあの解釈を乗り越えない限り、我々は本当にしっかりとした国家としての運営はできないという、そういう思いであります。それだけに、いつまでも憲法九条の下に、この狭い範囲自衛隊を閉じ込めておくということも、これはいかがかな。  そういう中で、私は、外務省というのはこの外交努力というのを前線でやっていただいて、いわゆるその法的な根拠というのは、いわゆる憲法の七十三条にこの内閣機能というのがあります。この内閣機能の二番目に、いわゆる外交関係を処理する。それだけに、この外交関係を処理するというこの部分においては、私は、集団的自衛権というのは、これはもう憲法で当然認められておる、しかし今の政府解釈は、それは行使をしないということでありますから、これはまた別なところに議論を譲りますけれども、いわゆる集団的自衛権集団安全保障というのは、僕は別個のものだというふうに思うんです。  それだけに、外交努力の中で集団安全保障というものを我が国はやっぱり真剣に考えて、そして自衛隊というものをあの九条の中で狭い範囲に閉じ込めておかないで、やっぱり三百六十度使っていく、日本国家のために、いわゆる国際協調のために。こういうことを私は思う一人なんですけれども、私はやっぱり、この七十三条の二項というものの憲法の裏付けがあればそれは十分できるというふうに解釈をする一人なんですけれども、これは大臣、どうでしょうか。
  11. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 御質問意味がちょっとはっきり私理解しているかどうか分かりませんけれども、集団的な安全保障ということでおっしゃっていらっしゃることが、狭い、狭義の意味での自衛隊あるいは軍を使っての安全保障ということでおっしゃっているのか、あるいはもう少し広く、自衛隊その他の軍関係以外のことも含めて、隣の国あるいは近隣の国、国際社会の中の国といい関係を持っていくということは要するに基本でございますから、そういうことも含めていらっしゃるのか、そこがよく分かりませんけれども。  広い意味でおっしゃっていらっしゃるということであれば、当然に、先ほど申しましたように、国際社会の中で、我が国国際社会の平和と安全、繁栄、これを確保していくための努力というのは外交努力として行っていることでございますから、そういったベースを作っていくということに外務省としてかかわっている、そういうために外交努力を行っていると、そういうことであるかと思います。
  12. 大江康弘

    大江康弘君 私のこの質問の仕方で言葉足らずであったところはお許しをいただきたいと思うんですけれども、いわゆる集団的自衛権というのは、これは自衛のためというふうに解釈できますよね。しかし、集団安全保障ということは、僕は、いわゆる外交機能というものの一面があって、それだけに、例えば、我が党の主張はこれ、国連軍を作ってということの主張ですけれども、もしそれが今の政府のいろんな考えの中でかなわなければ、いわゆる、例えば国連軍ができたときにそこに参加をしたりとか、そして、多国籍軍とよく言われますけれども、そういうものが国連において作られたときにやっぱりそれに参加をするということは、これは僕は集団安全保障という広い枠の中の一環考えられるのではないかという。  だから、そういうこともこの七十三条の二項の中のいわゆる外交関係を処理するということであるんですから、いろんな枝葉の法律を作ることも大事ですけれども、しかし私はこの根拠があれば出れるんではないかと。しっかりと自衛隊が外に出ていけるんではないか、こんなふうに実は解釈をしておる一人であるんです。  そういう意味でお聞きをさせていただいたんですけれども、もうちょっと今日は時間がありませんので、今後、この自衛隊をしっかりと使うという部分は、私はこの七十三条の二項というものをこれを生かしてほしいし、それと同時に、私はこの憲法前文を見てみますと、いわゆる真ん中において、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」というこの部分がある。これは、ある意味においては法的な根拠にもなり得るんですけれども、これは願望を言っておるわけですね、占めたいと思うんだと。しかし最後に、我らは、いずれの国家も、自国のことのみに専念をして他国を無視してはならないのであって、政治道徳法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国主権を維持し、他国と対等に関係に立とうとする各国の責務であると信じているという、これは、ある意味では僕は実体法的な根拠になり得るんではないか。  だから、憲法前文でこういうこともうたっている、そして憲法の七十三条の二項においてやっぱりこういう外交関係を処理するという、我が日本国憲法においてはこういうことを述べておるわけですから、十分行けるんではないかということを実は申し上げたかったわけであります。今日はもうこれ以上の御答弁は時間の関係で結構でありますので、私はやっぱりこれだけの根拠があればもっともっと自衛隊にしっかりとした行動をしていただけると思いますので、何とかやっぱりここを生かしてほしいなということをお願いをさせていただきたいと思います。  それで、これは官房長官、今日は私、御予定がなかったんですけれども、今日お越しになっておられますけれども防衛庁長官に聞かせていただきます。  長官防衛意識というものをやっぱりどう高めていくか、防衛意識ですね。いわゆる幕末にあの吉田松陰佐久間象山の下でいわゆる近代兵制を学んだ、その学んだときに吉田松陰が、やはりこの国を守るということは、備えとは艦や筒とは謂ならず、いわゆる船を持ったりとか大砲を持ったりということではないと。一番大事なのは我が敷島の大和魂ということを言っているんですね。  やっぱり、国民意識、精神が大事だと。これがなかったらやはり本当の国防というものにはつながっていかないんだ、立派な武器を持ったって、立派な備えをしたって、やはり国民一人一人が自分の国を何かあったときに国民の一人として責任を果たしていかにゃいかぬという、私はそういう意識だと思うんですけれども。やっぱりこういう防衛意識というものをどう高めていくのかということが、これはある意味においては自衛隊の大きな理解にもつながっていく、そういうふうに考える一人なんですけれども、ちょっとこの辺は考え方というのは、防衛庁長官のお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  13. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 大変難しい質問で、私の身に余るところがございますが、基本的に私どもの国は四面環海で、島国で外敵と隔絶をされておったということがあって、その意識をしなくても日本国という一つの一体性があったのだろうと思います。アメリカのように人工的に作った国家というのは、国のために国のために国のためにということを意識的にやっていかなければ国家意識というのができなかった。でも、日本の場合にはそれがなくてもふわふわっとした国家というものの意識があったので、それが逆に言えば防衛意識というものに、やや欠けると言ってはいけませんけれども、乏しいような面はあったのだと思います。それはそれでとても幸せなことだったのだろうというふうに思っています。  しかしながら、冷戦が終結して何が起こったかといえば、冷戦が終結して民族紛争であるとか領土紛争であるとかあるいは宗教紛争であるとか、そういういろんな紛争の要因になるものは顕在化をして、まさしく冷戦の間、日本人の夢みたいな、そういうような意識というのでもっていたところがもたなくなった。  そこで、我々はどうやってきちんとした防衛意識というものを持つべきなのかということは、我々政治の側も能動的にお願いをしていかねばならぬ。それは決して侵略戦争をする、そういうことではない。他国から攻められたときに、どうやって我々の独立を守り、国民を守るかということなんだと。そこのところに、あの悲惨な戦争があって敗戦があって、そして冷戦が終わってからの今日までの間にぽんと抜け落ちてしまった時間があるのだろうと思っています。  この有事法制でもいろんな御議論をいただきました。私どもといたしましても、きちんとその辺を問い直して、国民皆様方に国を守る、侵略することではなくて国を守るということはどういうことなのだ、ハードだけではないそういうものも必要なのだということをよく議論をしてまいりたいと思います。
  14. 大江康弘

    大江康弘君 これは、本来は官房長官にやっぱり政府として、国としての意思の中でお答えをしていただくべきであったかと思いますが、長官にお聞きをさしていただきました。ありがとうございます。  そこで、私は、やっぱり今回のこの有事法制法案というのは、いわゆる国民の権利というものと国家行動というものをどう調整するかという部分のある意味では法案ではなかろうかなと、こんなふうに思います。それだけに、自衛隊が一朝事あれば、有事のときに本当に戦いやすい状況、本当に頑張ってくれる環境を作るという、そういう私は目的でもあろうかと思いますが、ややもすれば、何か自衛隊が、これは我々がもっと国民に説明しなけりゃいけない、これから理解を求めなければいけない部分でありますけれども、そういうふうに取られがちになっておるかも分かりません。  自衛隊行動を制約するこの不合理をどう取っていくのかというようなことが本来の目的ではなく、やっぱり国を守る、国民を守る、財産を守っていくという、やはりそういう目的でもあるし、それで戦った後はどう被害を最小限に食い止めるかという、やっぱりそういう一連の法案であるというふうに実は考えておる一人であります。それだけに、今後、そういう中でいろいろと不備な部分をどうしていくかということは今後の課題でありますけれども。  私は、取りあえず長官防衛庁長官、今の我々が国の中に内在をしておる危機あるいは外の正に今そこにある危機に対して取りあえず国民に対して安心感を与える、そして、そういう日本に対して何かあれば行ってやろうというように思っておる国に対してやっぱり強いメッセージを送るという意味において、私はある意味では、もうこういう今国の状況考えたときに、自衛隊のこの中に警備区分というのがありますよね。いわゆるどこを守るとか、どこを、いわゆる警護活動一環警備区分ということでありますけれども、それが今、自衛隊の場合は、いわゆる自衛隊基地と、そして在日の米軍基地ということに限定をされておると思うんですけれども、私は先般、山崎委員長に前段申し上げ、前回申し上げましたけれども、福井へ連れていっていただいて、やっぱりあの原発の施設を見せていただいたときとか、やはりある意味では警察が守ることに対してもう非常に限界が来ておるのではないかと、場所、場所的に。  そういうことを考えたときに、やっぱりこの警備区分というものをもうそろそろ見直していかなければいけない時期だというふうに思うんですけれども、この点は長官、いかがでしょうか。
  15. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員の御指摘なのは、私ども自衛隊法第八十一条二に定めております警護出動範囲をどこにするか、対象をどこにするかという御質問であろうかと存じます。  これも法を作りますときにいろんな議論はございました。原発を加えるべきではないかとか、そのほか重要施設を加えるべきではないかと、そういうような議論も随分と与党の中でもいたしました。結果といたしまして、自衛隊の施設でありますとか在日米軍の施設は、防衛施設であって、まさしく防衛をするために用いる施設であるということで、そのほかのものとはまた性質が違うのではないか、重要施設ということで一くくりにするのではなくて、まさしく一朝事があったときに、あるいはそれが起こらないために用いる防衛の施設であるということで切り分けをいたしまして、自衛隊による警護ということをいたしております。  この委員会の中でも公安委員長からも御答弁がございましたが、例えば原発でありますとか大使館でありますとか、そういうものはいわゆる警察あるいは海上保安庁、そういうものによってきちんとした警護がなされておる。そしてまた、何かあった場合には、それが治安出動なり、そういうような防衛庁の、自衛隊が持っております法律によって出動すべく、そこで間断ない、間隙のない連携を図っておる、こういうことを私ども今立場といたしております。これについてどうするべきかということは国会でもいろんな御論議があります。また、私どもとしてはこの御論議を拝聴してまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
  16. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  防衛庁長官最後にちょっと一点、武器使用の制限に対してちょっとお聞きをしますけれども、イラクの今後これどうなるかということの中で、これはいろいろ、あそこが戦争が終了しておるのか、あるいは戦闘地域ということがあろうかと思います。私はやっぱり、これは一番どこにこの原因があるのかといえば、やはり内閣法制局自衛隊行動というものを、武力行使を必要最小限というような形にとどめておる。この必要最小限という言葉が非常に分かりにくい。必要最小限という解釈がはっきりしないものですから、戦闘地域だとか非戦闘だとか、あるいは戦闘と一体だとか一体でないだとか、やはりこういう武器を、何を使え、これは駄目だというような議論を私は生んでいる原因であるんじゃないかなと、こう思う一人でありますけれども。  やはりこれは、今の私は武器使用ということに関しては一貫して申し上げておりますけれども、現場において使うものに関しては、これはシビリアンコントロールということではなくて、やはり武力行使という段階までこれはシビリアンコントロールをしっかり働かせて、そしていったん出たということになれば、これはもう現場がしっかりと我々国民の高い信頼の下の中で判断をさせてやるべきだというふうに思うんですけれども、このことは長官、どうでしょうか。
  17. 石破茂

    国務大臣石破茂君) もちろんPKOでも一般の国内における活動においてもそうでございますが、武器の使用の判断を、それぞれの判断自体は確かに個々の隊員がいたします。個々が判断しなければその現場に対応できませんので。しかしながら、その行動というものをどういうふうに評価をするといえば、それは内閣総理大臣を頂点といたします一連の指揮命令系統の中においてそれは撃つのです。行動するのです。それは個人個人が勝手にばらばらにやる、個人の責任においてやるというような形を取っておりません。  そういうような形で考えてみましたときに、武器の使用権限をどうするのだと、緩和をすべきだ、いろんな御議論があることも私よく承知をいたしております。これは、例えばPKO法の改正のときに、今までと比べて新しい例えば自己の管理の下に入った者とか、そういう概念を作りました。もう一度、私どもは今ある法律でどこまできちんとできるのかということをちゃんと検証したいと思っております。  併せまして、私どもは海外において武力の行使をいたしません。そしてまた、それと一体化となるようなこともしてはならない。したがいまして、安全なところ、安全なところというのは自分たちだけが傷付かなきゃいいとかそういうことではないのです。安全なところ、戦闘が行われておらず、戦闘が行われることが予想されない地域ということを選んでおりますのは、どうやってきちんと任務を遂行するか、国際社会から与えられた任務を遂行するか、そういう観点で行わせていただいております。  それと今の基準、これできちんとどこまでできるか、まずそれを検証し、日本国として国際社会の責任を果たせるような、そういうことであるべきだと。  武器の使用の基準の緩和につきましては、私がここで答弁をするべきことだとは考えておりません。
  18. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。
  19. 田英夫

    田英夫君 韓国の盧武鉉大統領が明日、来日をされます。  もう言うまでもありませんが、金大中前大統領と同様に、北朝鮮に対しては太陽政策を取り続ける、そういうことで、日本に対してもいろいろ配慮をされて、もう過去の歴史のことについては改めて触れないというようなことも言われていたようでありますが、そのやさきに麻生発言が出てくると、触れないわけにはいかなくなってきているというようなことも韓国の報道機関から伝えられております。この今審議中の法案というものも、韓国の側からすれば、北朝鮮との間の緊張を高めるのではないかという意味で余り好ましいものではないと、こう考えざるを得ないのではないかとも思います。  そういう点で、盧武鉉大統領と小泉総理との間では当然共同声明というようなことになってくるんでしょうが、これは官房長官の領域かと思いますが、その辺の日本側の盧武鉉大統領を迎えられる姿勢というものをお聞かせいただきたいと思います。
  20. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本と韓国の関係は、金大中大統領の大統領でいらした五年間非常に大きく強いものに発展をしたというふうに思います。一番端的な例は昨年のワールドカップのサッカーの共催でございまして、その過程を通じまして、日本と韓国の国民のレベルでも連帯感というのが生まれたというふうに思います。  盧武鉉大統領が明日いらっしゃいまして、総理との間でこの日韓二国間関係をますます強固なものにしていくということについて当然お話しをいただく。そして、北朝鮮、これも両国にとってこの問題は重要な問題でございますから、それについてもかなりの時間を割いてお話しをいただくということではないかと思います。
  21. 田英夫

    田英夫君 私は、冒頭にこのことを取り上げましたのは、韓国の現政権は北朝鮮に対していわゆる太陽政策、融和政策を取っているわけでありますが、同時に、アメリカとの関係で苦慮しているということも事実ですね。  さきの日米会談、首脳会談では、北に対してより強い、より強硬な措置を取る可能性を残していると、より強い措置という。ところが、韓国の、米韓会談の、首脳会談の結果では、追加的措置とか一層の措置とかいうようなややソフトな、まあこれはアメリカの配慮かもしれませんけれども、そこに非常に微妙なものがあります。  これから先、この法案というものが、やはりずばり言ってしまえば北朝鮮というものをみんな意識していることは事実であります。北朝鮮との関係を、やはりこの法案が動き出すようなものにしてはならない、平和なものにしていくということが大切だと私は思うんですが、いずれにしても、今、北朝鮮との関係をどう進めていくのか全く見えないんですよ、今の政府のやり方では。  今、中東問題でロードマップという言葉がしきりに使われていますから、そういう意味でいうと、対北朝鮮外交のロードマップをお示しいただきたい、こう思いますね。本当にこれは一番重要なことになってきたんじゃないか。もちろん、ロードマップも非常に詳しいものから、あるいはただ方向を付けるだけというマップもあるでしょうが、そういうことを政府はお考えになっているかどうか、まず伺いたいと思います。
  22. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、北朝鮮との間で政府がどのようにこの問題を解決したいかということについての考え方、これは今まで様々な折に明確にお話をさせていただいているところでございまして、これは、日朝平壌宣言に従いまして、交渉によって核の問題を含む安保問題、拉致問題といった日朝間の諸懸案を包括的に解決をする、そして北東アジア地域の平和と安定に資する形で日朝国交正常化を実現をすると、そういう方針でございます。これが北朝鮮自身にとって利益となるということを北朝鮮理解をさせるということが重要であるというふうに考えています。  それで、政府としては、今後、米韓とも引き続き緊密に連携をし、そしてまた中国やロシアといった近隣の関係を持っている国、あるいはIAEAのような関係の国際機関、こういったところと協力をしながら、引き続き外交努力を傾注をする考えでおります。そして、北朝鮮国際社会の一員として行動するように求めていくということでございます。平和的に外交努力により解決をしていくということについては、これは先般の日米の首脳会談の折にもこのことについては一致をしているところでございます。
  23. 田英夫

    田英夫君 ロードマップでその行き先は、最後の到達点というのは、やはり日朝国交正常化だということをまずはっきりさせる必要がある。今、包括的というふうに言われて、拉致問題もある、核の問題もある、いろいろ日朝間に問題があるというそういうことで、包括的にというと、いかにもソフトでいいようですけれども、だから国民は分からないんですね、何から解決していくのか、どういう段取りで解決していくのか。政府の中には拉致問題を解決しなけりゃ一切先に進まないということを公言してはばからない方もおられる。そういう、外務省の中も意見が一致していないと。既に昨日も自民党議員からも指摘がありました。  そういうことではいけないんであって、本当に北朝鮮との間に平和的な話合いで問題を解決していくというロードマップを作っていただきたいということを、お示しいただきたいということを強く要求をしておきます。  一体、北朝鮮との関係を今サミットでいろいろな国の方に総理から訴えをして、拉致問題についても理解を深めたと、いかにもそれが成果のごとく報道されておりますけれども、本当にそれは成果になるんだろうか。拉致問題あるいは核の問題を、分かった、あそこはそういうことをしているんだなと各国が、G8のうちの日本を除く各国が理解したとしても、それは力になりますか。多国間の理解を得たと、それが力になるでしょうか。圧力にはなるかもしれません、じわっとした。しかし、それは北朝鮮が不快感を高めるだけであって、だからといって日本と北との間の問題が解決することにはつながらないと思いますよ。もっと日本自身が独自に、水面下も含めていいですから、北と本当に話を始めることが大事じゃないですか。  今、拉致問題の問題に対する対応を誤りましたから、止まってしまって糸口がない、話合いを始める糸口がない。まず、どうやって話合いを始めるのか、それだけでいいですから、外務大臣、どう考えておられますか。
  24. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 正に、昨年の九月十七日に総理が自ら決断をなさり、北朝鮮に行かれ、そして話合いの糸口を作られたわけでございます。そして、日朝平壌宣言に署名をなさって、先ほど申しましたように、これにのっとってやっていくというのが我が国考え方であって、これについては北朝鮮側も金正日総書記が署名をしているわけですから、そのように思っているという考え方はきちんとしているわけでございます。  現時点で、国交正常化交渉を再開をするということについては、残念ながらめどは立っていないということでありますけれども委員が先ほどロードマップとおっしゃっていらっしゃいますけれども、どのようにこれを進めていくかという考え方、これについてはきちんと御説明をし、また北朝鮮側とも考え方については、そういった日朝平壌宣言という形で一致はしているということでございます。
  25. 田英夫

    田英夫君 北京で行われましたアメリカと中国と北朝鮮の三者会談、これを行われたこと自体は歓迎すべきことでしょうけれども、そこはやっぱり北朝鮮は、日本と韓国は意識的に入れていない。日本と韓国はそれに入ることを希望していることは事実ですけれども、入れない。中国が説得をしても、北朝鮮は私は入れないと思いますよ。  あそこを一つの打開策にすると、北京の三者会談を打開策にするということはなかなか難しいと。問題は、日本と北との関係をどう打開するかという、本当にこっちの主体的な姿勢というものをきちんとしない限り、周りの国々を頼っても駄目だ、こう言わざるを得ない。  それには、そのかぎは一体何なんだという、やはり過去の問題もありますよ、そして拉致問題もあります。そういうことをどう対応するかというのをもっと明快に積極的に出していくべきじゃないでしょうか、北に対して。それこそ水面下でもいいんですから、接触はできないわけではない。もう一つ、そこを進んで、外務大臣からお述べいただきたい。
  26. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、三者会談に日本と韓国の両方が入るべきであるということを我が国も韓国も主張をしていますけれども、それについては先般の、例えば日本と、小泉総理と胡錦濤主席との会談においても中国側から理解を示されているわけでございます。  それで、何をロードマップと呼ぶかということは別にいたしまして、どのように北朝鮮との間で対応していくかということについては、これは米国及び韓国と緊密に連携をし、また北朝鮮の動向も注視をしながら、北朝鮮による更なる事態の悪化、これを防止し、そして北朝鮮に対して前向きの行動を取らせるための方策を米国、韓国とは連携をし、議論をしてきているわけでございます。その具体的な内容が何かということについては、これは相手もある話でございますので差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、我が国としては、日朝関係も含めて今後の北朝鮮政策については常に考え、常に検討をしてきているということでございます。
  27. 田英夫

    田英夫君 依然として全く、霧が掛かっているどころか、道が全く見えませんね。これでは全く前へ進まない。  そこへ、この今日審議をして上げようという声が出ているこの法案ができますと、相手側の立場に立ってみればすぐ分かるんですよ。北から見れば、こういうものが日本で用意されたということは大変好ましくない。そういう中でロードを進んでいこうとしても無理ですね。  時間が来てしまいました。それだけ申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  28. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  昨日、私の尊敬する山本一太先生が、防衛庁長官が正に適材適所ですばらしいという発言がありました。私は、長官もすばらしいですけれども、今ロードマップの話もありましたが、とりわけ中東問題に関しますと、川口大臣の今日までの御努力というものは、非常に過去の日本外交考えますと多大な貢献をなさってくださっていると思っております。  今朝の新聞でも、イスラエルがパレスチナの独立国家容認という記事が早速載りまして、聖地エルサレムを共有してもいいんじゃないかというような話があったり、パレスチナはテロをやめる、そしてイスラエルは無認可の住居建設を、植民をやめるという報道がありました。  冒頭、この古くて新しい今の展開について、大臣の見解を求めたいと思います。
  29. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 中東和平についても、カルテットのロードマップということで、二国家、二つの国家が併存をして平和的に共存をするということについてそれを認め、そして三年にわたってステップを踏んでそこまで到達をするということが道筋が描かれているわけでございまして、その第一歩は、武力の行使あるいはテロ等の暴力をやめるということが第一歩、パレスチナ側が行うということであり、イスラエル側が植民をしたところから撤退をするという話があるわけでして、こういった形で今、中東和平が一歩前進をしているということは非常にうれしいことであります。  私は、先般中東に行きまして、正にその日、アブ・マーゼン内閣がPLCという議会によって認められたわけでございますけれども、そういったタイミングを使って、我が国としても中東の和平の前進についてはロードマップによって働き掛けてきたということでございます。これはあくまで第一歩でございます。簡単に物事がすらすらと進むということにはなかなかならない、難しいことでございますけれども、これについて忍耐強く関係者が努力をしていくということが重要であると思いますし、我が国も引き続きこれを支援していくという考え方でおります。  具体的には、例えば先般、信頼醸成会議、これは両者の間で信頼を作っていくことが非常に大事でございますので、それを東京で開催をしたということもやっております。改革についての支援も日本は今まで行っておりますし、今後引き続き行っていくということについても、先般私が訪問したときに言っております。我が国も側面から努力をし、この中東和平の問題が引き続き前進をしていくということについて期待をいたしているわけでございます。
  30. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 有事法制を語るときに欠かせないのが、その反対側にある外交努力、とりわけ信頼醸成や予防外交といったものなんだろうというふうに思います。よくこの有事法制を語りますときに、九・一一であるとか、イラク情勢であるとか、北朝鮮の脅威からこの有事法制が急に今国会で上程されてきたというような錯覚が国内にございますけれども、全くそういうわけではございません。九・一一以降の時点でも、二〇〇〇年の三月で与党三党が法制化を政府にも要請している、そして二〇〇一年の一月には、当時の森首相がこれを検討するということを施政方針でも述べられている。  野党におりますと、様々な問題が政局中心で動くことが間々あるということを私、国会議員になって学びました。しかし、外交であるとか防衛であるとか安全保障の問題という問題は、私はなるべくこういった政局に左右されずにしっかりと委員会の場で審議をする姿勢が大事だというふうに考えております。  そこで、私が呼んだわけではないんですけれども、前原委員、先生にお伺いするんですけれども、どうしてこの有事法制の整備というものが今日まで遅れてしまったんでしょうか。同世代をリードする政治家として御意見を願いたいと思います。
  31. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 私は、主権国家として、平和を追求して、そして自国戦争のふちに追いやらない、そういった外交努力が徹頭徹尾されるべきだというふうに認識をしております。  ただ、その努力はあらゆる限り行ったとしても、万々が一の事態においてそういった法律がないということは、やはり主権国家として、最終的には国民の生命、財産を守る責務を負う国政の私は一番大事なポイントとして、有事法制が整備されていなかったというのは極めて問題であったし、この状況に至ってようやく第一歩が踏み出されるということについては遅きに失したという感じがいたしております。  今までいろんな国会の論議というものを見てまいりましたけれども、例えば法制化を前提としないで検討するとか、訳の分からない議論がまかり通っていた国政自体、私は大きな問題だと思いますし、そういった議論がようやくできるようになったことというのは極めて大事だと思います。  しかしながら、改めて付け加えますけれども、セーフティーネットとしてのこの法律というものが使われない法律になるように、国政にある者としてはみんな外交努力、平和への努力というものをやっていかなくてはいけないという思いを改めて感じていることを申し上げたいと思います。
  32. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次の質問に入るには最高の前振りをしていただきまして、ありがとうございました。  ジュネーブ条約に関してお伺いしたいんですけれども日本は一九五三年、いわゆる陸の条約、海の条約、捕虜の条約、そして文民の条約といういわゆるジュネーブ四条約に、五一年のサンフランシスコ講和条約を受けまして加入をしました。いわゆる第一議定書、第二議定書というものには未批准なんですけれども。そして、それを適用する国内の法整備も全くと言っていいほどされていないというのが現状です。だからこそ、先日の川口大臣が、同僚の岡崎トミ子委員質問に対しまして、事態対処に関する諸法制の整備と同時に、同じくして追加議定書を締結していくということをはっきりと御答弁してくださいました。私もそのとおりなんだろうと思います。  しかし、この問題は、いわゆる有事というものは我々の法整備を待ってくれません。もし、今このジュネーブの条約に対する国内整備ができていない段階で、この国内において捕虜が発生する事態が起こることは容易に想像することができるわけでございますけれども、このときの所管というのは一体どこになるんでしょうか。
  33. 石川薫

    政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、現在、我が国はジュネーブ諸条約の追加議定書を締結しておりませんけれども事態対処に関する諸法制の整備全体と時期を同じくして締結する方向で正に現在詳細な検討を行っております。  捕虜の取扱いに関する法制については現在関係省庁間で検討をさせていただいていることを御承知かと存じますが、その上で、あくまで仮定の問題として、我が国による同追加議定書の締結前に、我が国に対する武力攻撃事態が発生し、相手国の捕虜が生じた場合について申し上げますと、我が国としては、既に締結済みである捕虜の待遇に関するジュネーブ条約、いわゆる第三条約でございますけれども、の規定に従って捕虜を取り扱うことになるものと考えられます。  今後整備される捕虜の取扱いに関する法制は、現時点におきましては、防衛庁を中心としてその所管になるということで検討が進められております。  他方、外務省といたしましても、捕虜の取扱いに関する我が国の法制の内容や実際の捕虜の取扱いがジュネーブ第三条約等の国際法の規定に合致したものとなるよう適切な役割を果たしていくことになると、このように考えております。
  34. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 じゃ、外務省が所管ということでいいんですね。
  35. 石川薫

    政府参考人(石川薫君) 現時点では、この捕虜の取扱いに関する法制は防衛庁が所管するということで検討を進めております。  ただ、第三条約につきましては、海外との連絡等々がございます。その意味におきまして、外務省も適切な役割を果たしていくと、こういうことでございます。
  36. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 防衛庁が所管なら防衛庁の方が御答弁してくださればいいと思うんですけれども。  では、もし捕虜が発生した場合、その捕虜はどこに収容されるんですか。
  37. 石破茂

    国務大臣石破茂君) うちだと決まったわけではありません。  ただ、今の外務省お答えになりましたのは、ジュネーブ第三条約第三十九条第一項にこう書いてあります。抑留国の正規の軍隊に属する責任のある将校の直接の指揮下の下に捕虜収容所は置かなければいけないと、こういうことになっております。ここでまた、じゃまた軍隊とは何だみたいな話になるわけですが、抑留国の正規の軍隊に属する責任のある将校の直接の指揮下ということは何かと言えば、我が国の場合には防衛庁自衛隊しかあり得ない、こういうことで御答弁をなさったというふうに考えております。  私どもといたしましては、それじゃどこに収容をするのというような取扱組織、そして捕虜の資格の認定をどのようにするのか、そして捕虜となる前の行為がいわゆる戦争犯罪に該当する場合にはどういう刑事諸手続を取るかというような関係も含めまして、どういうような待遇をしていくかということになりますが、そういうこと等々です。そしてまた、ジュネーブ諸条約の規定を受けて具体的な取扱いをどうするか、そのようなことをまさしくこれから先、議論をしていくことになるわけでございます。この対処法の二十二条第二号におきまして、今後整備すべき事態対処法制におきまして、捕虜の取扱いに関する措置が適切かつ効果的に実施されるようにするものとされているというのはそういう意味でございます。  戦前は、例えば日露戦争におきまして、ロシアの捕虜というものを大変人道的に我が国は処遇をいたしました。そういうような戦前のいろんなことはあるのですが、戦後のジュネーブ条約を受けてどのようにやるのか。例えば、捕虜が作業をいたします。それに対してはお給料というのか何というのか、そういうのを払わねばなりません。捕虜が手紙を出す場合にはその切手も支給をしなければいけません。そういうことまで事細かにずらっとございます。そういうことについて、この事態対処法を受けましてきちんと取り組んでまいりたい。各省庁、連携していたします。
  38. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私、国会議員になって二年なんですけれども、いろいろなことが分かってまいりました。難しい質問というか分かりにくい質問になると答弁長くなるんですね。だんだん、私、ばかなものですから、聞いている方も分からなくなってきて、何を聞いているのかも分からなくなってくる。これ今、どこで収容されるのですかと言ったんですから、あくまで仮定の話で結構ですから、どこに収容されますと端的に答えていただくと、後から議事録を読む方も大変分かりやすいということになりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  収容されます。恐らく留置所とか収容されるんでしょう、収容するところないんですから。その辺の体育館に収容するわけにはいかない。これ、収容した捕虜は、捕まえるということは、何か日本に侵略したり、日本に好ましくないことをするから捕捉するなり捕まえるわけですよね。この方々の裁判というか、裁きというものは一体どうやるんでしょうか。
  39. 石川薫

    政府参考人(石川薫君) まず、捕虜の待遇についてでございますけれども、国際法の観点から一言申し上げたいと存じます。  ジュネーブ第三条約は既に百九十一か国によって締結されており、これらの締約国はこの条約の規定に従って捕虜を取り扱うということになっています。また、捕虜の人道的な待遇を含め、この条約に示されている一般原則は既に国際慣習法として確立していると、このように考えられます。  したがいまして、この国際法の観点から申し上げますと、各国は、ジュネーブ諸条約は、ジュネーブ諸条約の追加議定書の締結とかかわりなく、武力紛争に際して捕虜を人道的に待遇する義務を負っているということをまずお答え申し上げたいと存じます。
  40. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 その第一議定書にはまだ批准してないんですから……(発言する者あり)追加議定書ですね、してませんから、いろいろな問題もあると思うんですけれども。  もう一度聞きます。端的に、捕虜はどこに収容されますか。石川さん、お願いします。
  41. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 石川部長。──指名されていますよ、石川部長
  42. 石川薫

    政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。  先ほど来お答え申し上げておりますように、第三議定書の規定に従って捕虜を人道的に扱うということから判断されるというふうに考えております。
  43. 林景一

    政府参考人(林景一君) 石川同僚の方から国際法上の観点の御説明をしておりますけれども、先生のお尋ねに正面から答えることは非常に難しいのは、正に国際法のレベルにおきまして、我が国は一定の義務、これは国際慣習法化している部分もあると思いますし、我が国が締結済みでございますハーグの陸戦規則でありますとか、あるいはジュネーブ第三条約、この中にも既に捕虜の取扱いの規定はあるわけでございますので、第一追加議定書そのもので捕虜の要件を緩和したところはございますけれども、捕虜の待遇そのものについて大幅に目新しい規定を追加しているということはないんです。  基本的には捕虜の待遇というのは、今、世界の規範として申しますと、第三条約で決められておるというふうにお考えいただいていいかと思うのでございますけれども、その第三条約を、御指摘があったサンフランシスコ平和条約を締結しますときに一年以内ということで急遽入って、そのときに国内法を整備してこなかった、しておらなかった、これは極めて異例な事態でございます。  その後において、これが正に有事法制そのものだということで、これだけ有事法制の中の部分を特記して整備するということがなされてこずに、正に今回、有事法制ということで整備されるということで、初めて、場所がどうだとか、具体的な司法関係の取扱いをどうするんだということが初めて決まってくるわけで、これが整備されてない以上、整備されてない状況でどうするんだと、こう言われても、なかなか正面からお答えできないというのが今の状況でございます。
  44. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 同僚の松井議員が決算の場において、また様々な場において、この縦割り行政の弊害というものを事あるごとに訴えてきてまいりました。いわゆる縄張意識の問題。しかし、この問題はその逆で、非常に消極的な縄張意識質問取りをやっているときも、これは私のところではと言ったり、非常にだれがどの答弁するかもはっきりしない。これはやむを得ないと思うんです。こういう歴史にあり、こういう現状にあるんですから。  私、問題は、イラクに行って様々な人道的支援をします、復興支援しますということも大事でしょう。世界の方々を助けます、国際平和を作っていきます、人権考えますということも大事でしょう。しかし、我が国は、日本で起こり得る捕虜の人権さえも確保することがままならない、捕虜の人権さえも、捕虜の問題さえもきっちりと法律的に整備されていなかったというのが現状なんです。私は、まず足下からきっちりやっていく、その必要があると思うんですけれども、この点は是非コメントをしておきたいというふうに思います。  次に、事態対処専門委員会のことについてお伺いしたいんですけれども、時間がなくなってまいりましたので少し飛ばして質問をしたいと思いますけれども官房長官にお伺いしますけれども、この専門委員会の前の安全保障会議ですね、この安全保障会議の諮問内容であるとか議論の内容というものは、これは公表されるんでしょうか、公開されるんでしょうか。
  45. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 安全保障会議における議論につきましては、事柄の性質上、この安全保障会議議事運営規則等によりまして非公開と、こういうことになっております。  具体的な内容を公表しておりませんが、安全保障会議における決定事項については、これはこれまでどおり公表していくことになります。また──ということですね。よろしいですね、それで。
  46. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 はい、いいです。  ただ、私、いろんな情報をあちこちから、専門委員会も安全保障会議も取るんだろうというふうに思います。情報というのはえてして恣意的なものもありますし、何が客観的な情報かというものも難しい、不確実な情報もあるでしょう。イラクの状況考えましても、大量破壊兵器があるという確かな情報があると言いながら、いまだに大量破壊兵器は見付かってこないという現実もあるわけでございます。  私は、そのオペレーション上公開できないと、理由はよく分かります。しかし、こういった情報は事後的に検証する意味も含めまして、事後から、情報を後に開示して事後検証システムというものをきっちりと構築する必要があると思うんですけれども、その観点から、後に情報公開を考えるということはないんでしょうか。
  47. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) このことは、外交上のいろいろなことについても同様の扱いされております、ておると思いますけれども、一定期間公表できないものもあるし、それからもっと長い期間、若しくは公表できないというようなこともあるものもあるんではなかろうかと思います。ですから、それは公開できるものは公開すべきというように思います。  また、国会でもっていろいろ御審議をいただくということもございますから、その内容そのものでないかもしれぬけれども、よく国会でも御認識いただき、又は御理解いただけるような情報公開というか、そういうものには努めなければいけないというようには思っております。
  48. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、一九三一年の満州事変の後の三三年のリットン調査団、そういう例もありますし、また実際に、この有事というものは、例えば原発の問題なんかを考えると、外からの武力行使による有事よりも、比較的、災害であるとか人的ミスであるとか国内のトラブルによって起こる問題もたくさんあると思います。しかし、そういった問題が実は外からの武力攻撃ではなかったんですよという証明をきっちりとしていくためにも、これ少なくとも事後の情報公開制度というのは極めて有用だと思うんですけれども、どうでしょうか、長官
  49. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 現在行われていることについての情報公開ということは、これは相手の国との関係もあります。また、じゃ、その将来すべて公開できるかどうか。これはやはり、相手の国のこともあるということも考えますと、すべて公開できるかどうか、それはその案件ごとに判断すべき問題だと思います。  例えば、柳条溝のことですね。柳条溝事件について、この外務省筋の第一報が、現地からの第一報は、これは電報であるわけです、本部に来ているわけです、日本に来ているわけです。そういうようなことについては、今、アジア歴史資料センターというのがございまして、そこでその電報を、電文見れることになっているんですよ。  そういうような形で、やはり歴史の資料としてこれは努めて公開すべき義務があるというように私は思っております。
  50. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 様々な問題の透明性や説明責任を考える、そういった点で私は民主党の提案者はですね、この問題に判断の根拠というものを主張されたんだろうと思います。  最後に、この問題について民主党の提案者の御意見を聞いて、私の質問を松井委員に替わりたいと思います。
  51. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) この事態認定というものについては、初めの原案は、おそれ、予測というものも含めて、極めてその境目も分かりにくかったというものもありますし、一体どういう根拠をベースにして認定をするのかということについては、私は、おそれがなくなって予測と武力攻撃事態という二つになったとしても、これはグレーゾーンというのは残るんだと思います。  したがって、認定については、恣意的なものが入らない、そして国民から見て客観的な判断基準がやっぱり示されることが、私は、国民に協力を求め、そして何よりも自衛隊を動かすということにおいては必要なんだろうという観点から、できる限りの情報公開を政府に課すという意味でこういったものを修正点として求め、そして盛り込んだということであります。
  52. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございました。
  53. 松井孝治

    ○松井孝治君 引き続きまして、民主党の松井孝治でございます。  今日は修正案の提案者である前原誠司衆議院議員にも御出席をいただきましたので、前原議員の見解と政府側の見解を比較しながら、将来、本当にこの前原議員を中心とした民主党が政権を担えるのかどうか、それを検証する意味でも御質問をしてまいりたいと思います。  まず、月曜日に、私、この委員会で、福田官房長官石破大臣あるいは鴻池大臣も含めて御質問させていただきました。もし、例えば院内の閣議室で閣議をされている最中に、それこそ万が一の事態があって、首相を始めとして閣僚全員欠けてしまったようなときにどうなるんだというような御質問をいたしました。ある新聞にそれを報道をいただきまして、「首相と全閣僚死亡も 危機管理を検討」というふうに官房長官は言明されたという記事が出ておりました。私の印象は、もう少し、そこまで踏み込んだ御答弁であったかどうか、ちょっと議事録を精査してみないと分からないなという印象を率直に持っておりますが。  修正案の提案者である前原議員にお尋ねしますが、いざ本当に有事という場合に、全閣僚が欠けてしまう場合もあるわけです。その際に、今の内閣の運用は、第五順序まで閣僚を総理大臣の代行としてあらかじめ指定をしておられます。内閣法九条に基づいて指定をしておられます。この運用ですね。  それから、この前も議論をしたんですが、例えば、仮に今の憲法上、この内閣法九条で指定できるのは閣僚までなんですね。そうすると、第十七順位まで仮に指定したとして、もし閣議室で何かあったときにはどうにもならないわけであります。その意味で私は、官房長官に、閣議の運営の在り方を変えなければいけないんではないかということを御提案をいたしまして、新聞報道では、官房長官もそれも検討するというふうにおっしゃったというふうになっているんですが、私ちょっと、議事録の速報版を速記部にお願いして確認をしましたところ、基本的に閣議の運営というのは全会一致でなければいけないのでなかなか難しい、けれども、検討はするというぐらいの答弁だったと思います。  この内閣法九条の総理が欠けたときの代行者の指定、あるいは閣議の在り方ですね。本当に週に二回この院内で閣議やっているわけです、時間もオープンにして。  今日も法制局お見えいただいておりますけれども、法制局の解釈は、憲法上、閣議というのは全員一致でなければいけない。その全員一致の閣議をそう軽々に、例えば鴻池大臣はふだんこの閣議に参加されずに、防災担当大臣は、あるいは石破長官参加されずに、別の形で内閣の意思形成に参画されると。その場に必ずしもいなくてもいいんじゃないかということについてはなかなか難しいという答弁が官房長官からは前回あったわけであります。これについて、本当に危機のときに、この法制、何のためにやっているかというと、本当に考えたくないことが起こってしまったときにどうやってこの国の指揮命令系統を確保するのか、私は、それが我々政府にかかわる、あるいは国会にかかわる人間の責務だと思うんです。そういう最悪の事態にどうやって日本国国民の生命、財産を守るのか、その辺りについて修正案提案者である前原議員の見解をまず伺いたいと思います。
  54. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) まず、内閣法第九条についてお話をしたいと思いますけれども委員御指摘のように、今は運用で五番目までの順位が決まっているということでありますけれどもアメリカはもちろん大統領制で、日本の議院内閣制とは違いますけれども、すべてナンバーが付いているということでありますし、これは議員も御承知のことだと思いますけれども、例えば大統領就任式には副大統領は同席をしないということになっていますし、また、居場所も基本的には伏せておくと、こういう形になって危機管理をしているわけです。そういう意味で、私は、五番までしか運用上決めていないということは、やはり考え直す必要があると思います。それが第一点と。  しかし、すべての閣僚がいなくなるという可能性もあるので、その後の対応策をどう考えるのかということは、議員御指摘のように、これは、難しいけれども検討するじゃなくて、やはり最悪のことを常に考えておくのが危機管理だと思いますので、そこは私は運用なり法律を改正するという前提でやっぱり考え直していかなくてはいけないことだと思います。  それから、閣議についてでございますけれども憲法第六十六条の三項ですか、それに基づいて全会一致でなくてはいけないということに法制局の答弁はなっているわけでありますが、必ずしも私は憲法第六十六条の三項が全会一致を決めているようには読めません。  したがいまして、これは議員が、御自身が橋本内閣のときに行政改革本部の中で取り組まれたことだと思いますけれども、やはり私は、この全会一致のルールというものを、やっぱり慣例としてやられているものだと思いますので、その点はやっぱり変えていくということが必要なんではないかと思います。  少し例が、前提が異なるので例としてはふさわしくないかもしれませんが、私は内閣総理大臣の機能強化というのは必要だと思っていますし、それをやっていかなくてはいけない、時代の変化に対応していくためにはそれは私は必要だと思います。今の全会一致は、何か戦前の、これは一九三六年の広田内閣のときだったと思いますけれども、軍部大臣の現役武官制ということを決めて、そしていわゆる一大臣が決まらないということで内閣そのものが全然機能しなくて、またそれが日本戦争の道へ、泥沼に突っ込んでいったと。そして、広田弘毅氏は文民で唯一、A級戦犯、東京裁判で受けたと。これがよかったかどうかという判断は別として、そういうことが一つの理由とされたということがあります。  私はそういうことから考えても、やはり一人の大臣が絶対に強固に反対したらまとまらないということはやっぱりおかしいと思いますので、そういった全会一致の原則というものは慣例である、憲法はそこまで求めていないということで、私は閣議の在り方そのものを変えていくべきではないかと思います。  もう一言だけ加えさせていただくと、事務次官会議でほとんど決まっているんですね。そして、署名で花押を一生懸命みんなが書いていて、それで終わるという閣議というのは異常だというふうに私は思いますので、まずそこから変えていくことが必要なんではないかと思います。
  55. 松井孝治

    ○松井孝治君 明快な御答弁だったと思います。  ちょっと鴻池大臣に、済みません、急に、鴻池大臣。鴻池大臣国務大臣としてお務めの中で、やっぱり閣議というのは絶対その場に週二回出なければ内閣として連帯責任を負えないと思われますか。個人的見解で結構ですから、お答えください。
  56. 鴻池祥肇

    国務大臣(鴻池祥肇君) 閣僚の一人として現行の状況に身を置かなきゃいかぬというふうに、まず基本的に思っております。  ただ、個人的にどうかと言われれば、今現在も海外へ御出張の閣僚もおられますし、あるいは国内でいわゆるその省の公務のためにおられない閣僚も、時にして閣議、火曜、金曜日にはおられるわけでありますので、そういう運用というものは私は可能であると、このように考えております。
  57. 松井孝治

    ○松井孝治君 個人的見解ということですが、明快な御答弁だったと思います。  石破大臣防衛庁長官ではなくて石破国務大臣、個人的見解でも結構です。同じ質問でございます。
  58. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私もそれはそうだと思っています。鴻池大臣と同じ立場であります。
  59. 松井孝治

    ○松井孝治君 明快な御答弁だったと思います。今、この席にいらっしゃる三人の方が同様の御趣旨であったと思います。  福田官房長官、閣議運営の責任を事実上負われているお立場ですから、なかなかおっしゃりにくいこともあるかもしれません。しかしながら、これは自民党内閣である橋本内閣の下で、これも閣議にかかって決まった行政改革会議の最終報告というのがあります。そこに、こう書いてあるんですよ。「日本国憲法は、転変する政治状況の中で内閣が機敏かつ実効的な意思決定ができるよう、閣議の議事手続等については、基本的に内閣自身の意思にゆだねる趣旨と解される。内閣機能の強化・活性化のため必要であれば、閣議の議決方法について合意形成のプロセスとして多数決の採用も考慮すべきである。」と、明確に書いてあるんです。  しかしながら、委員諸兄は思い出していただきたいんですが、月曜日には明確に内閣法制局は、憲法上の要請により閣議は多数決でなければいけないと答弁をされているわけです。ですから、失礼、全会一致でなければ、失礼しました、全会一致でなければいけないと答弁をされているわけです。  私は、こういう最終報告を閣議でも議論をして、内閣総理大臣の責任の下でこれまとめられて、こういう議論を、このときも随分実は内閣法制局と行政改革会議の間で議論がありました。同じように、内閣機能強化に当たっては、当時の大蔵省が本当にいろんな議論を、内閣機能強化に反対するという意味で陰に陽にされました。しかし、それを乗り越えてこういう意思決定をしているにもかかわらず、内閣法制局はいまだに憲法上の要請だ、全会一致でなければいけない。これは、戦前から戦後に至るまでそういう学説は多数あります、正直申し上げて。しかしながら、そういう学説の対立も乗り越えてこういう成案を得たにもかかわらず、いまだに全会一致ということをおっしゃり続けている。  それで、福田官房長官、それで非常に機動的に意思決定ができているんならいいですよ、ダイナミックな。でも、例えば今の国と地方の関係、三位一体論、あるいは鴻池大臣が別のお立場で御苦労をしておられる規制改革の議論、どう考えても閣内に違う立場の方々がいらっしゃって意思決定がダイナミックに速やかにできないじゃないですか。  私は何でもかんでも閣内不一致を起こせばいいということを言っているわけじゃないんです。この行政改革の最終報告も、最終的にはそれは全会一致が望ましい、しかしそのプロセスにおいて多数決というものを取ってみて、場合によってはその中で総理の意思というものを反映させて、最終的に内閣として意思決定をすればいいじゃないか。それについて内閣の構成員は国会に対して連帯的に責任を負うわけですから、国会に対して私は違う意見言ったというふうに言わなければいいじゃないかと。私はそういうようにこの際、この有事議論をしている際に、官房長官、一歩踏み出されたら、政治的リーダーシップが大変優れた官房長官ということで歴史的に福田官房長官の名が残るんではないかと思いますけれども、御議論を聞いていただいて、官房長官、本当に肉声で、これはもう答弁書ということではなくて御自身のお考えを是非お述べいただきたいんですが、いかがでしょうか。
  60. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは憲法解釈の一つだろうと思いますね。そういう、長年にわたりそういうような考え方でもってやってきていることでございますから、そのルールを変えるというか。  委員のおっしゃることも分かりますよ。分かりますけれども、じゃ、それでもって本当にいいものに、より良い制度になるのかどうかということもよく検証してみなきゃいけないというふうに思いますので、私は、ここでもって私の意見を言ったってしようがないんで、これは大いに委員の、委員を中心に議論を進めていただきたいというふうに思います。大いに議論していただいて、より良い方法は何があるか、また憲法との関係をどうするのかといったようなことを皆さんに是非お考えいただきたいというふうに思っております。
  61. 松井孝治

    ○松井孝治君 人ごとではないんですよね。私は議論が必要だと思っているからこの国会の場で議論を提起しているわけです。その提起した議論について、いや今直ちに結論を出せなんてことは言いませんが、官房長官として、今閣僚お二人も、そういう意思決定があってもいいんじゃないか。あるいは閣議運営で、今は多数決のことをおっしゃったわけじゃないですね、ただ私がお伺いした質問は、少なくとも二人の閣僚にお伺いした質問は、週二回の閣議に常に閣僚が原則として出なければいけない、それは全会一致の閣議運営を担保するためにも全閣僚が出なければいけないということはこの有事の際に考え直した方がいいんじゃないかという、個人的見解ですが、二人の閣僚がそういう発言をされたということを官房長官としてどう受け止められますかということを伺っているんですが、もう一度答弁をお願いします。
  62. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは、今そういうようなやり方をしているわけですね。一つのルールに基づいて運営をしているわけでございまして、新しいルールができればそれに基づいてやる。しかし、要は、こういうやり方の中でいかにより良い方法があるのかどうかというようなことも関係してくるんだろうと思います。  有事の際ということになれば、別に火曜日と金曜日に有事が起こるわけじゃないんです。ですから、それは臨機応変に対応しなければいけない。集まって会議をして決めるということもできないような状況もあるかもしれぬ、そういうような様々なことについては、正に委員御指摘であり御心配のいろいろな態勢というものは、これは我々もよく考えて、いろんなケースを想定して考えていきたいというふうに思っております。
  63. 松井孝治

    ○松井孝治君 それは火曜日と金曜日に有事が起こるとは限らないのは当たり前の話ですよ。いつ起こるか分からない。閣議を開催している途中に閣議室で有事が起こるかもしれないから、私はこういうことを申し上げているわけであります。  存在するルールにはすべて理由があります。ましてや、この問題については長い歴史もあります。法制局から前回御答弁もいただいたように、それは一つの考え方であります、全会一致原則というのは。  しかしながら、政治家が行うべきは、あるルールがあるから、それが存在するから考えなくていいということではなくて、そのルールが本当に正しいかどうか、今のこの現状の国際情勢あるいは国内情勢踏まえてこのルールを見直すかどうか、それを検討するのが政府の役割じゃないですか。  私は、官房長官官房長官に、正に閣議運営についての責任者なんですから、その議論官房長官一人で変えてくださいなんて言っているわけじゃないんですよ。官房長官、これ御議論をされたらどうですか、この際。例えば、閣議において、今後の閣議の運営の在り方を御議論を提起されたらどうですか。いや、これは別に官房長官じゃなくてもいいんですよ、国務大臣はそれぞれ閣議に議案を提起できるわけですから。提起をしてみられたらどうですか。本当に国民の生命、財産を守る観点から今の閣議運営がいいのか、会議体の持ち方としていいのか。それは是非御議論をいただきたい。  今の官房長官の御答弁は、いやいや、委員議論どうぞくださいと。御自分では議論するつもりがないのかと。そういう方がこの国の官房長官をやっておられるのかと思うと、ちょっと私は、今どういう意味でおっしゃったのか分かりませんが、寂しくなります。  前原議員、ちょっとこの議論を聞いておられて、御意見をいただきたいと思います。
  64. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 先ほど申し上げましたように、私は憲法解釈というものを内閣の法制局が行ってそれに縛られているということだと思いますし、内閣法制局長官というのは政治家ではないわけですね。私は内閣の法制局のその考え方は尊重しなきゃいけない部分は多々あると思いますけれども、しかし時代が変わってきて、本当に見直していかなくてはいけない。  今、委員御指摘のように、有事議論をするときに、有事を想定した閣議のやり方が今までおかしかったということであれば、それは私は果断に見直していくべきだというふうに思いますので、先ほど委員に申し上げたとおり、私もその政府解釈というものを変える、そして閣議の在り方を変えるということは、当然考え直すべきであるというふうに思います。
  65. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  この議論ばかりをしておりますとすぐ終わってしまいますので、別の議論を提起させていただきたいと思います。  石破防衛庁長官にお尋ねをしたいと思いますが、これは、いろんな国際情勢が変わっている中で、先日、福島委員から議論が御提起されましたけれども防衛装備の在り方ですね、ここ五年間の数字を福島委員が、自由民主党の福島委員が御質問になられて、陸海空のシェアがほとんど変わっていない。しかし、この五年間で国際情勢もう随分変わっていますし、周辺諸国の武力の装備の状態も随分変わっている。これについて、今後、あのときはミサイル防衛の問題も持ち出されて、今後資源配分を変えていくおつもりはないのかという御質問があったと思います。  石破大臣に御想起いただきたいのは、これは戦前の話ですから全く今同じアナロジーで議論をすべき問題ではありませんけれども日本軍の失敗は、真珠湾攻撃のときにあれだけ空中戦において世界最先端の技術を持ちながら、実は大艦巨砲主義というものを捨て切れずに恐らく戦略上、あの戦争の趣旨はまた別ですよ、ただ戦略上の問題として一つの大きな失敗をしたということがいろんな学者からも指摘をされているわけです。  そのことについて源田参議院議員が振り返られて、なぜあれだけの空軍を持ちながら大艦巨砲主義を捨てられなかったのかということを聞かれて、それは突き詰めれば水兵の問題だったと。要するに、当時の海軍の雇用問題があるから大きな我が国防衛戦略の変更ができなかったんだということを述懐しておられます。これは一つの重みのある言葉であります。  当然、第二次世界大戦と今の我が国の置かれた防衛環境は違いますが、ひょっとしたらこの前同僚の福島議員が御指摘をされた問題というのは、同じことが起こっているんじゃないかと。世界各国のいろんな装備が変わっていて、しかも武力についての戦略が変わっている中で、我が国防衛装備、防衛体制の在り方というのはもっと大きく見直していく必要はないのかどうか、石破防衛庁長官の御見解を承りたいと思います。
  66. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 結局、これは予算の組み方が単年度主義でやっておりますのでどうしても制約が出てくるということなんだと思っています。これを超えるためには、もう結局相当無理して無理して無理してやっているわけですね、延べ払いとか、ごめんなさい、予算の繰延べとか。そういうことまでやって、あるいは一般の方々に御迷惑を掛けている部分もあります。  防衛予算の組み方を抜本的に改めることはできないのかということを、それでは財務省、政府全体でお話をしなければいけないのかなという問題意識は実は私持っておりますが、これは実はとても大変なことであります。先ほど来、委員がおっしゃっておられるような牢固とした慣習みたいなものがあって、これをどう変えるかは大変なことですが、その問題意識は持っています。  しかしながら、例えばミサイル防衛というものを入れるか入れないかは、これから先、いろんな御議論を経て決めることです。しかし、それはそんなに安いものではない。じゃ、どこからそのお金を出すのという話をするときに、削って削って削って、このミサイル防衛のお金を出すために削れという議論が一概に正しいとは私は思っていません。やはり、ミサイル防衛があろうがなかろうが、防衛予算というのは常に納税者の期待にこたえるものでなければいけないし、無駄のないものでなければいけない。その予算を出すために削れということではなくて、不断の見直し、そしてまたミサイル防衛の必要性、それに掛かる経費、そういうものは全体として議論をされるべきものであって、先ほど旧日本帝国海軍のなぜ負けたかというお話をなさいました。そういう問題も私は含んでいるんだろうと思っています。  国民のために防衛庁自衛隊があるのであってというような意識、これは常に私は持っていなければいけないことですが、しかし、日夜命を懸けて戦っている隊員のこともやはり考えていかねばならぬ。国民全体の御理解の問題だと思っています。
  67. 松井孝治

    ○松井孝治君 同じ質問を前原議員にもさせていただきたいと思います。
  68. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 先ほど、五年間陸海空のシェアがほとんど変わっていないという話でしたが、私の調べでは、もっと長い間、この陸海空のシェアは変わっていないというふうに思います。  先ほど石破長官が、財務省との話、単年度主義の話をされましたけれども、私は、議論の組み方が逆なんだろうと思います。つまりは、日本安全保障の体制、この有事法制もそうでありますけれども有事法制はソフトの話で、じゃ、今の危機に対応するためにどういった防衛体制を取るのか、しかも、それが今の危機に対応できるような防衛体制をどう取るのか、また、どういったものが必要なのかといったところをグランドデザインとして描いた上で、そして予算を、陸海空の縦割り主義を排して、政治がリーダーシップを持って、あるいは統合機能を強化する中で、予算というものは決めていくべきなんだろうというふうに私は思います。  その上で、一点だけ、この話をし出すとそれこそ三十分、一時間掛かるかもしれませんので、簡単に申し上げますと、やはり冷戦時代の大規模着上陸侵攻型の防衛体制というものがいまだに払拭し切れていない、そしてテロあるいはミサイル攻撃、そういったものに機敏に対応するものがしっかりと整備されていないといったところがやっぱり根本的な問題なんだろうと思いますし、その上で申し上げると、日米同盟体制の盾と矛の役割分担というものも、もはや機能しなくなっている部分もあるわけで、そういった日米同盟関係も含めて、私はグランドデザイン、今どう防衛庁として、自衛隊として対処すべきかということをもう一度根本から考え直して、そして予算編成というものもしっかり考えていくという、私は逆のやっぱり見方が必要なんではないかということを申し上げたいと思います。
  69. 松井孝治

    ○松井孝治君 端的でなおかつ本質的な御答弁、ありがとうございました。  石破大臣も前原議員もそれぞれ本当に防衛については専門的知識のあるお二人の若手の政治家がやはりこういう委員会で二人競い合うような形で御答弁いただくというのは、非常に私は結構なことだと思っております。  最後に、お二人に国家観にもつながる御質問をさせていただきたいと思います。  石破防衛庁長官の時代に、ノーブレスオブリージュという言葉を、これは防衛大学の入校式で使っておられます。この言葉の意味、端的に、もう時間もありませんので、石破防衛庁長官、そして前原議員、一言ずつ御答弁をいただけますでしょうか。
  70. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ノーブレスという言葉が合うかどうか分かりません。しかし、私は、それなりの地位にある者はそれなりの責任を果たすべきだということだと思っています。  それは地位が高いとか低いとか、そういうものではありません。自分がどれだけのことが公のためにできるかということを自覚をすべきだということだと私は思っています。
  71. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 公の職にある者は高い意識、義務感を持って物事に当たらなければいけないというのは、今、防衛庁長官がおっしゃったとおりだと思いますが、先般、我が党の谷林議員の質問がありました。質問の中で、お父さんが消防の仕事に携わっておられて、そしてその消防の仕事に携わっていたら自分の家に飛び火して、自分の家はどうすることもできなかったと、こういう話がありました。  私は、もちろん、そのノーブレスオブリージュという言葉も、公務員として、いわゆる公僕として働いている者はその意識を持つことは大変重要でありますけれども、今後この有事法制考えていく上で、私はやはり公助のみに、つまり公の助けのみに頼るというものでは、多分、悲惨な戦争であるとか大規模災害というものはなかなか克服できないというふうに思うんですね。  したがって、共助であるとかあるいは自助であるとか、そういった意識というものを国民に対してもしっかりと訴え掛けていくことが、正に逆に言えば、ノーブレスオブリージュの立場にある人間が私は国民に対して訴え掛けることであると。決して国だけでそういった状況は救えないんだと、自ら助ける、そしてともに助けると、こういう姿勢が必要だということも言えることが極めてその要件なのではないかと思います。
  72. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  終わります。
  73. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。  今日は、憲法の問題からまず官房長官にお伺いします。  私は、この間の論議で安保体制は六〇年安保当時と全く変わったものになってしまったということを取り上げましたが、私は憲法をめぐっても、憲法制定会議で論議された憲法とはもう全く違った憲法として解釈され、運用されているという感じを持ちます。  私は、憲法論議の戦後のすべてを読んではおりません。しかし、今、憲法調査会に所属しておりますので、憲法制定議会の衆議院、参議院及び枢密院の記録だけは目を通しました。そして、この今の周辺事態法から、また武力攻撃事態対処法というもの及びその論議を考えてみますと、今の憲法を制定するときに、こういうことが可能な憲法として考えられていたということは全く出てこないと思います。  例えば、論議しましたように、自衛隊そのものも憲法論議があったわけですが、その自衛隊が武力攻撃を受けていない事態で米軍に周辺で後方地域支援をやるというようなことは、私は憲法制定議会の論議からはとても想像もできない出来事であります。また、その当時の論戦からいって、自衛隊法にも交戦規則は規定できなかったという、その交戦権が事実上認められ、また交戦規則というようなことが堂々と論議されている。こういうことも、私は今の憲法制定当時にはとても想定できなかったことだと思います。  自衛隊法百三条に関連しても、当時、あの自衛隊法の作成に当たった人が後日書いておられるところによれば、例えば罰則は、百三条に罰則は憲法との関係で規定できなかったと。今度の法案を見ますと、非常に限定された形ではありますけれども、やっぱり罰則規定があった。有事法制研究を読んでみますと、罰則規定についてもいろいろ研究が行われております。その規定が今後出てくる可能性も私はあり得るんじゃないかというようなことも考えます。そういうこと。  それで、この特別委員会の論議を見て私はもう一つ感じることは、この論議の一番の受難者は憲法第九条であったと、私はそう思っております。  官房長官にお伺いします。憲法制定当時、こういう周辺事態法から武力攻撃事態対処法、こういうふうなものを、ここで答弁もあった、こういうことは当時、憲法を作るときに、それはでき得るんだと考えられていたと思われますか、どうですか。
  74. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 憲法は昭和二十二年五月三日ですか、公布ということで、もう今から五十何年、五十五年か六年か、もう経過したわけですね。あの五十六年前には日本は一体どういう状況だったかというと、敗戦国ですよ。敗戦国で、そして日本はもう戦争しないんだということをみんなが思い込んでいたというか、そういうような納得をしていた時代ですね。しかし、五十六年たって、我が国もここまで経済的にも発展してきた、米国に次いでの経済大国だというように言われてきたわけでございます。  そういうような経済大国は、海外においても経済の面において非常な大きな活躍もしているわけでございまして、それは、アジアの国々にとってもやはり日本の経済というのはもう欠くことのできないような状況になってきている。そういうような、当時とは想像も付かないような国になってきているということがございます。それはそれだけに、やはり日本日本としての責任というようなものは国際社会に対してもあるんじゃないかというように思います。  今、考えておりますことは、すべてその国際社会に対する最低限の、自衛隊の活用というようなことで国際社会に対して平和的にお役に立とうと、こういうような範囲の中における活動だというように思っておりますので、私はこれは間違いでないと。現行憲法の中で、いろいろな責任、新しい責任というのは出てきていると思います。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕  そういう責任を果たす、これはやはり責務というのはあるんではないかと思っておりますので、そういう範囲においてこの有事法制も整えるということではなかろうかと思っておりますので、その点の御理解を賜りたいと思っております。
  75. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 当時は想定されていなかったけれども、新しい状況でということだったと思います。  例えば、今、自衛隊による国際貢献も可能な限りという答弁でした。その点に関しましても、憲法制定議会の論議を見ますと、たとえ国連の命令があろうと軍事力による協力は拒否するという答弁が行われているわけですね。だから、そういう答弁が行われた国であるということを踏まえて、今の我々の論議も、我々のいろいろな方針も変えていかなくちゃいけない。情勢が大きく変わったわけですから、憲法解釈憲法の運用に私は一定の発展があることは当然だと思います。しかし、守らなくちゃいかぬものと発展させていいものと、いろいろあると思うんです。  私は、そこで、憲法制定会議議論を読んで私が一番頭に残っているものを幾つか紹介しまして、これは一体、守る中に入るのか、もう役立たないものと思われるのか、この点もひとつお伺いします。  一つは、吉田茂首相が答弁されている。これは全部読みますと長いので、私、要約して紹介しますけれども吉田さんは、日本戦争のない国を創造する先駆けとするということを表明しておられます。そのために九条が必要であり、交戦権放棄をうたったと。憲法第九条の精神を世界各国に徹底させるよう機会あるごとに努力すると、こう表明しておられます。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕  それから、幣原喜重郎国務大臣、これは貴族院の本会議で言われたことで、私は非常に感銘を受けた発言の一つですが、文明が戦争を全滅しなければ戦争が必ず文明を全滅することになるでありましょうと、こう訴えて、我が国が全世界中最も徹底的な平和運動の先頭に立って指導的地位を占めると、こう言っておられます。  要するに、戦争が文明を滅ぼさないうちに文明の力で戦争を滅ぼそうと、こういう呼び掛けであり、そのために世界の平和運動の中で指導的地位を占めようという発言です。  もう一つは、これは枢密院本会議での三笠宮崇仁氏の発言です。これはちょっと、全文というかその箇所を読んでみます。  まず、対外的問題として、第一は、満州事変以来、日本の表裏、言行不一致の侵略的行動については、全世界の人心を極度に不安ならしめ、かつ全世界の信頼を失っていることに、大東亜戦争日本が全く孤立したことで明瞭である。したがって、将来国際関係の仲間入りをするためには、日本は、真に平和を愛し、絶対に侵略を行わないという表裏一致した誠心、真心のこもった言動をして、もって世界の信頼を回復せねばならない。もちろん、これには単に憲法の条文だけでは不十分であり、国民の一人一人が徹底した平和主義者にならねばならぬ。とにかく憲法に明記することは確かにその第一歩であると言うことができると、こういう発言です。  これは、九条反対の発言を受けて、それに反対する形で述べられた発言であります。  こういう発言ということを考えてみると、私は戦後日本をどうとらえるかと。私は、論戦を聞きながら感じたことは、戦後の半世紀余がこの憲法九条のために全く無駄な時代になったというように受け取れる発言がかなりあったと思います。  この吉田首相そして幣原国務大臣そして三笠宮の発言、これらは戦後を誤らせた発言であったか、それとも今なお尊重すべきか、あるいは今は尊重する必要のない発言だととらえるか、官房長官、お伺いします。
  76. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) なかなかお答えにくい。  と申しますのは、我が国は戦後一貫して平和主義ですよ、基本的に。ですから、いわゆる軍事力、戦闘地域における軍事力を行使するとかいうことはしていないし、また軍事力をもって脅威とみなされるようなこともしていないというように思います。あくまでも現行憲法の中でもって我が国の平和主義というものを貫こうというような努力をしてきたと思います。今でもそうです。それは今後もそうあるべきだと思うんです。  ですけれども、今回御審議をいただいている有事法制というのは、もし万が一他国から侵略を受けるような行為を受けたときに我が国がどう対処すべきかということを体系として整備しておこうと、こういう趣旨でございますので、これはやはり侵略とか脅威とか、そういうものには当たらないという考え。  あくまでもこの現行憲法、五十六年続いている憲法の中で考えていることでありまして、そういう意味におきまして、そういう理想が将来とも貫かれると、この平和主義という考え方ですね、そういうことであってほしい、そういう日本であってほしい、また世界もそういう世界になってほしいという考え、これは相変わらず不変の考え方であるというふうに思っております。
  77. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 憲法論議の中では、まるで九条で日本が駄目になったと言わんばかりの発言、随分ありました。そういうことも念頭に置きながらの私は今の発言ですけれども、難しいと。答弁が難しくない、非常に明確な答弁だと私は思います。でね、これはかつて今の長官の前に同じことをある防衛庁長官にお伺いしたこともあります。特に幣原さんの発言など、誠に崇高な精神でございますという答弁でありました。  それは別としまして、今の憲法憲法じゃない、この特別委員会での論議を聞いて、日本国憲法をめぐるいろいろな議論について民主党さんはどのようにお考えになったか、一言お伺いしておきます。
  78. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 九条について、文字を読んだ解釈と、そして現在の九条の解釈というのは、その文字を読むんではなくて、主権国家として当然自衛権があるということで、自然権をいわゆる明文化していないものがあるというような解釈の中で自衛隊の保持なんかもその理屈付けになっていると私は認識をしております。そういう意味では、今、委員が御紹介をされたときとは変わった状況になっているのは、私は間違いないんだろうというふうに思います。  我が党といたしましても、九条の精神については極めて大切だと思っておりますし、侵略戦争を二度と起こしてはいけない、そしてまた、先ほど申し上げましたように、この有事法制も万々が一のことを想定しての整備をする法律でありますけれども、二度と、二度とというか、これが絶対に使われない法律として外交努力を行っていく、平和を追求していくというのは憲法の趣旨として当然のことだというふうに認識をしております。
  79. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私は、侵略されて日本自衛することに異を唱えているわけではありません。当然、侵略されたらあらゆる力を総動員して跳ね返さなくちゃなりません。これはもう当たり前のことなんですね。  私がここで言ってきたことは、そういうことでは、なくて、周辺事態法やこういう武力攻撃事態法というようなものが、日本に武力攻撃を招きかねない状態を作るんじゃないかと。そういう日本に武力攻撃を招きかねない、呼び込みかねないようなものを取り除いて、そしてどう日本を安全たらしめるかということについての我々の見解を言っていたわけです。  そして、論議の中で私が気になる一つは、この武力攻撃事態対処法、有事法制がなければ一人前の国でないような論議があります。私はそんなことはないと思います。私、こんな話を聞くと古い時代のことを思い出して、日清戦争のころですが、当時に書かれたものの中には、植民地を保有しない国は一人前の大国と言えないという議論があります。  有事法制を持たない国は一人前でないようなことではなく、自衛隊法の百三条にははっきり有事法制が規定されており、防衛庁は、戦後長い間、これによって大部分日本の安全は確保できると言い続けてきたわけです。それ、私、繰り返し言ってきたことですからここで答弁も求めません、議論もしません。  私は、それと関連して、アジアの声の問題について、昨日もちょっと取り上げました。私は、外務大臣にも昨日お答えを願って、若干心配することがございました。それはアジアの声ですね。それは、アジア諸国で、この今の日本事態日本有事法制などをめぐる動きに対してのいろんな新聞も、いろんな形で表明されている危惧、不安というのが大臣のところへ集中する仕組みになっていないのだろうかな、それでああいう答弁があったんだろうかなというような心配もいたしました。  例えば、私、この間も言いました。有事法案に対する不安は、韓国の国会議員三十人のアピールの中にもこういうふうに例えば言っておりますね。有事法制はその影響が日本国内に限定されるものではない、有事法制が過去のアジア諸国家国民たちに大きな痛みを与えた不幸であった戦争の歴史を再演し得ると深刻な憂慮を表明し、有事法制の通過は直ちにアジアの軍事・安保環境に悪化させる十分な契機となると、こういう懸念も表明され、そしてその上で、平和憲法の精神をもう一度考えてください、一瞬の誤った判断で世界の人々を戦争の苦痛に追いやった不幸であった歴史をもう一度考えてくださいと、こう訴えているわけです。  私は、その彼らの不安がそのまま、あなた方どう考えるかという場合に、同意見であるかどうか、この議論は別としまして、そういうことが日本国会議員に送り届けられているという、そういう事実は御存じであったかどうか、またこういうことにどういうお考えをお持ちか、まずお伺いします。
  80. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 昨日もちょっと申しましたけれども政府でない個人個人のレベルといいますかグループといいますか、そういうレベルで、もちろんアジアの国々に対しては、日本に対して様々な意見が当然にあるというふうに思います。我が国として、もちろんそういった声については十分に注意を払っていかなければいけないと思いますし、それに対して説明をきちんとしていかなければいけないということは、そういうことであると思います。  有事法制というのは、有事に際して我が国国民の安全を守る、そのための法制でございますから、その必要性についてはアジアの国々に、あるいはアジアの国の国民の方々にきちんと説明をしていくということを通じて、そこについては理解をいただけるのではないかと思います。何回か申しましたように、我が国として、これについての説明は今までも申して、やってきておりますし、それから今後とも引き続きこれについて説明をしていくということは重要であると思います。  国会議員団、例えば韓国の国会議員団、あるいは韓国の新聞等においてそういった声が報道され、あるいは国会議員団からの申入れがあったというようなことはございますけれども政府のレベルとしては、これは昨日申しましたように、我が国に対して有事法制反対であるというようなことではなくて、例えば中国は、今後とも専守防衛と平和発展の道を堅持するということを希望していると、そういうようなことを述べているということだと思います。
  81. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私、昨日も申し上げましたように、政府レベルで出るか出ないかと、政府レベルで出るようになれば、これはもう非常に大変なことだと私は思います。  我々、外交する場合、とりわけアジアを重視する外交を行う場合、かつて戦争関係もあったアジア諸国の国民レベルで一つ一つのことがどう論議されているかということにこそ、外交を正確に行おうと思えば目を向けるべきだと思います。  私は、大臣にまで届いているかどうか知りませんけれども、去年の七月、日経新聞社主催の国際会議「アジアの未来」というところで発言したシンガポールの新聞幹部の発言を常に念頭に描きます。この記者の発言はどういうことかというと、長い発言ですけれども、私はどう取ったかというと、アジアが戦後経済を復興する上で日本が協力してくれたことに感謝するということから始まっております。しかし、日本とアジアとの関係が型どおりのものでなく、本当に心の通い合う関係になるためには、二つのことが必要だと。一つは、過去の明確な清算であると、過去の戦争の清算であると。もう一つは、新しい軍事的な欲望を持つな。例えばその中の一つとして、彼らは、中国に対する刺激的な緊張を強めるようなことをするなと。あるいはまた、イラン、イラクと韓国を悪の枢軸としたブッシュ大統領の発言をすぐに、韓国じゃない北朝鮮ですね、間違えました。そういう、小泉首相のような直ちに支持するよう、そういう態度を取ることについての批判を行っております。そういう二つの考慮を持って、アジア諸国との関係が型どおりの関係でなく心の通い合う関係にするようにというのが、私は、長い発言ですが、その趣旨だと思って読みました。  こういう点から見ますと、今、日本で起こっているのは、全くこれと反することがしばしば起こっている。例えば、過去の侵略の問題でいえば、この間の麻生政調会長の創氏改名発言ですね。あれは、私は創氏改名発言がどんなにひどいものかということもさることながら、あの発言で私が感じたことは、これは日本が行った良くない行為の責任を相手の責任にする、相手の要求でやったんだという、それが戦前から、戦前から戦後にも受け継がれた手法であると。  例えば、韓国併合、あれは韓国の国民内部からも出た意見であったということが、話題になりましたあの扶桑社の歴史教科書にもそういう表現があるんですが、あの合邦宣言、韓国の内部から出たと言われる文書はだれが書いたか。これは、黒竜会秘史という上下二冊の大きい本の中にちゃんと書かれています。日本の右翼、国粋団体の連中が作って、それで向こうの一進会の声明として出させた。だれが書いたか。武田何がしが書いたものだということまでこれはもうちゃんと書かれているわけですけれども、しかしそれも韓国の要求にやったように言っている。  それと同じ手法が今も取り上げられて、創氏改名の問題についての発言がある。私は、創氏改名が日本から押し付けられたということに対する怒りとともに、そういう言い方をすることへの怒りというのが付け加わっているだろうと思います。  同じように、私はアジア諸国が今周辺事態法から有事法制、私は昨日の発言に関連して言えば、新ガイドライン体制がどんどん固められつつあることに批判が出ているということも念頭に置かざるを得ません。そういうときだけに、私はアジアの声を、ただ日本の説明するというだけでなく、アジアの声にもっともっと耳を傾けて、それの言わんとするところをよく理解していく、そしてそれを日本外交にも生かしていく努力が求められると思います。  外務大臣にもう一度答弁を求めます。
  82. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アジアというのは我が国の周辺にあって、我が国にとって非常に重要な国々であります。その国が政府のレベルで、あるいは国民のレベルでどういうことを考えているか、我が国に対して考えているかということには、外交をやっていく立場として十分に注意を払っていく必要があるというふうに思っております。
  83. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 民主党さんにもアジアの声をどのように考えておられるか、お伺いします。
  84. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 御指摘のように、アジアの国々からこの有事法制制定の過程あるいは成立後の日本行動に対して不安の声が上がるのだとすれば、それは私はきっちりとした説明が必要なんだろうと思います。あくまでもこの有事法制というのは、我が国が侵略をされたときに我が国主権国家としてどう守り抜くかということであり、他国を侵略する意図の全くないものであると。そして、先ほどお話をしたように、憲法の趣旨、平和主義というものはこれからも貫かれていくべきだということをしっかりと政府に説明を求めていくと同時に、我々国会議員一人一人が議員交流も通じてやっていかなくてはいけないことではないかと思っております。
  85. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 昨日の論議で残された問題について若干取り上げたいと思っていたんですが、もうだんだん時間がなくなってきましたから、私が言いたかったことをもう一度ここで繰り返し言わせていただくにとどめたいと思います。  私は、六〇年安保国会で、日本基地があると、その基地への攻撃は我が国への攻撃であり、当然自衛権の発動してこれに反撃すると、こういう答弁が統一見解としても述べられているということ、そしてその基地への攻撃の危険性というのは、ベトナム戦争のときには実際起こる可能性はないけれども、理論上はもうちょっと具体的に想定し得る事態になったということを申し上げたかったんです。  例えば、当時の椎名外相の答弁では、日本アメリカと安保条約を結んでいるから、両国、北ベトナムとアメリカに対して中立の立場を取っておるというのではないと、こういう答弁があり、そして日米安保条約がある以上、エスカレートしてベトナム戦争の影響が我が国に全然ないとは言えないと、これは当時の福田外務大臣の答弁でそういうのがあり、そして椎名外相の、ベトナム戦争がもう少し近いところで行われているということになるとはっきりするわけである、私は危険がないとは言えないと思う、御指摘のように、一般的に言って安保体制があるがゆえに一種の敵性を持ったと認められて、そして攻撃を受ける、あるいはその他の脅威を受けるというようなことはあり得ると思う、こういう答弁があっております。  もっとも、この椎名外相の答弁は、後日、若干修正が行われておって、そのベトナム戦争からの攻撃の可能性というのは極めてまれな可能性として認められておりますし、私も理論上の可能性だということは繰り返し言っております。また、ここで、安保体制があるゆえの敵性云々というのも訂正をされております。  そういうことを踏まえてですが、しかし六〇年安保国会で言った危険が一層現実的な可能性として想定されるようになった。その場合、私が言いたかったことは、それは、戦時国際法上禁止されないんだ、攻撃してはならないという保護の対象にはならないんだと。戦争の性格それ自体はどういう性格かということは、これはいろいろ国際社会が決めることだと思いますが、一たび戦闘が起こった以上、個々の攻撃はやっちゃいかぬというふうに戦後も決められたものと、そうでないものとがある。そういう点で、私はそういう基地への攻撃、更に後方地域支援に参加している自衛隊の……
  86. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 時間が来ました。
  87. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 はい。  武力攻撃というのを、交戦、一たび交戦中に入った以上、禁止された不法なものだというふうには言えないということを申し上げたかったということを付け加えて、終わります。
  88. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 午後四時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時九分休憩      ─────・─────    午後四時開会
  89. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) ただいまから武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、大塚耕平君が委員辞任され、その補欠として鈴木寛君が選任されました。     ─────────────
  90. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 休憩前に引き続き、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  91. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 自民党の阿部正俊でございます。  総理、どうもお疲れのところ御苦労さまでございます。本当はサミットの話もしたいのでございますが、限られた時間でございますので、法律案についてだけお尋ねをさせていただきたいと存じます。  まず、この場に臨みまして、私、幾つかの感慨を覚えるものでございます。一つは、言うまでもなく、いわゆる有事法制ということの論議が国会で始まりましてからほとんど四半世紀が経過しているんじゃないかなと思います。現在、こうやって公式の場できちっと法律案を論議をし、場合によっては法律案として近く成立する可能性大と、こんなふうな状況の中で論議ができるということは大変意味あるし、言わば二十五年間長く続いたトンネルを今ようやく抜けて、これから本式の有事法制の在り方というのを論議されるんじゃないかと、むしろそんなふうな感慨を持っております。  それからあともう一つは、極めて個人的な思いでございますが、私は自分のこれまでの仕事として、例えば社会保障だとか福祉だとか医療とか、昔、大砲とバターという話がございましたけれども、どちらかというと私はバターの方の仕事なんじゃないかと、こんなふうな思いで働いてきたわけでございますが、どういう御縁かこの委員会に所属し、それなりの仕事をさせていただきまして、改めて、この分野では正に言わば素人であり、向かない分野かもしれませんけれども、なぜかなと思いつつ一生懸命やってまいりました。  でも、よくよく考えますと、社会保障というのは一つのよくセーフティーネットと言われます。でも、この有事法制こそがある意味では国民全体に対する究極のセーフティーネットじゃないか、こんなふうな思いもございまして勉強もさせていただきましたし、これからも関心を持ってそういうような話もしていきたいものだなと、こんなふうに思っているわけでございます。  さて、そこで、今日は改めて自衛隊の問題を少し取り上げてみたいと思っております。と申しますのは、有事のときに、様々な法整備もありましょうけれども、あるいはアメリカ軍との共同がどうだとか、様々な議論がございますけれども、一番頼りに国民がするのはやっぱり自衛隊だと思うんです。この自衛隊に対する信頼と、あと共感というものがどうしても必要なんではないのかな、そういう論議が意外とされておるのかなと率直に、これは素人の意見かもしれませんけれども、するわけでございまして、それからすると是非やはり、まさかのときの頼りになるのは自衛隊であり、この自衛隊が、隊員の方々が命に懸けて国の平和と独立国民の命と財産を守るというふうなことがあって初めて有事のときの備えになるんじゃないのかなと。そういう意味で見ますと、まだちょっと少し、共感ができている、完成しているというふうにはちょっと言いにくい状況があるのではないかなと、率直な感想を持ちますけれども。  今日は、それで改めて、「自衛官の心がまえ」という言わば自衛隊員の方々が身に付けておくべき資料を配付していただきました。それで、ここから少し見てみますと、例えば二ページに「自衛隊はつねに国民とともに存在する。」と書いてございます。あるいは八ページには「国民の負託と信頼を受ける自衛官」と書いてございます。それから十一ページ、「その職務は、危険と困難をかえりみず身を死生の間におくことによって遂行される。」と書いてございます。最後に、一番最後のページでございますが、「国民自衛隊を結ぶ強いきずなとなる」、こういうことがあります。  ということを考えますと、やはり、まあ俗っぽい言い方ですが、命懸けで国土を守り、国民の命と幸せを守るというのが自衛官の責務であろう、こう思いますが。  自衛隊法五十三条ですか、宣誓というのがあるはずです、任官のときの。この辺について、まず官房長官に、心構えと任官のときの在り方とか、言わば命懸けで守るというふうな任務ということについてお話をいただき、あわせて、総理から、その辺のことについての自衛隊国民との共感の作り方といいましょうか、あるべき姿というふうなことについてお答えをちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。
  92. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ただいま先生から御紹介いただきました自衛官の服務の宣誓でございます。その宣誓には、強い責任感を持って専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえる、このようにございます。この宣誓というものを常に胸に持って、そして拳々服膺しながら、今、先生がおっしゃったような、国民のために自分は働くんだと。  そして、死生の間に置くというお話がありました。死生の間に置くというのはすごく重い言葉だと思います。それを御紹介いただきましたこの「心がまえ」の中に書いてあり、この趣旨をきちんと貫徹するように。  私ども国民皆様方に感謝をしていただきたいと思ってやっているわけではございません。しかし、身を死生の間に置くんだと、そしてまた、事に臨んでは身の危険を顧みないんだと、そういう思いでみんなやっておる、そのことを国民皆様方に御理解をいただければ本当に有り難いことだと思っておる次第でございます。
  93. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 総理、ちょっと一言。
  94. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自らの任務を遂行するに当たって、身を挺して行うという献身的な活動をする、その集団が自衛隊であると、しかし、それにふさわしい感謝と敬意が国民から与えられているだろうかという御指摘でございますが、自衛隊の諸君は、そういう感謝とか敬意を受けなくても、日々、一般市民ができないようなつらい訓練に耐え、困難な仕事に自らの能力を発揮できるように日々努力を怠らない人たちが自衛隊の集団であると。  私は、防衛大学の卒業式でも申し上げましたけれども、正に、「人知らずして慍らず、また君子ならずや」、自分が一生懸命努力している、人が自らの仕事に理解されなくても憤りを持たず、自らの任務を遂行するために一生懸命努力している自衛隊諸君の姿、これに対して敬意を表するというような話をいたしました。  むしろ、自衛隊の困難な仕事、これは一般市民ができないことでありますけれども、むしろ感謝されないような状況国民が一番安全なんだと。ああ、自衛隊があってよかったなと思うときは日本国民が危険に瀕しているときです。そういうことを分かっていながら日々つらい訓練をし、自らの任務を立派に果たすよう心掛けている自衛隊に対して、我々は、言葉に表さなくても常に敬意と感謝を持って接するべきであると。また、自衛隊諸君も服務規程にあるように努力をしていただきたいと思っております。
  95. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ありがとうございました。  時間ございませんので端的に申し上げますが、私のところにも、この仕事をやりましてからたくさんのメールが参ります。おまえは戦争に協力するのかと、こういうような感じでございますが、そうじゃないんだということは言い続けておるんですが、なかなか理解していただけません。  その前提として、どうも国民の間に、軍といいましょうか自衛隊といいましょうか、ということに、武装勢力に対して戦前の軍のイメージが非常にあるんじゃないかというのを感ぜざるを得ません。それは、賛成してくれるか、分かってくれるかくれないかということを別にしてそういうイメージがある。というような中で、自衛隊の存在というのはいかにも何か隅っこの方に置かれてきたんではないかなというふうな感じ、自分自身の気持ちを聞いてもそんな感じもしないでもありません。  したがって、これは改めまして、戦前の軍と現在の自衛隊との違い、戦前の軍は、どちらかというと国民を抑圧し間違った道に導いた、こんなイメージがあるというわけで、それが障害になっているんじゃないかという気もするわけでございますので、戦前の軍と現在の自衛隊との違いを明確に防衛庁長官からまずお話しいただき、その後で、総理からこれからの自衛隊の在り方、最高指揮官としての指揮の取り方といいましょうか、導き方ということについての御所見をちょうだいしたいと思います。  以上です。
  96. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 旧軍との違いについてでございます。  その最大の違いは国会の民主的コントロールの下にあるか否かということだと思います。国会が民主的コントロールとして自衛隊をコントロールする、それが一番の大きな違いであります。もう一点は、決して侵略戦争は起こさない、専守防衛に徹するのだと。この二つが私は旧軍と自衛隊の大きな違いだと考えております。
  97. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 総理
  98. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 戦前の旧陸海軍、いわゆる軍隊につきましては、あの戦争による被害、日本においては多くの国民は、日本の帝国軍隊というのは日本国民を解放してくれたという意味よりも抑圧されたという印象を強く持っている方々が多いと思うんです。諸外国の軍隊というのは、やっぱり自国の安全を守ってくれた、あるいは侵略から防いでくれた、侵略者から自分たちを解放してくれたという気持ちを持っている国が多いわけでありますけれども、あの第二次世界大戦におきましては、上官の命令には、屈することできないと。訓練と称しながら、上官のしごき、往復びんたは当たり前だったという理不尽な軍隊のしごきに対して、入隊した新兵の皆さんは手痛い、不満といいますか、何で自分たちがこんな理不尽なことをされるのかという軍隊に対する嫌悪感を持っていた、それが私は今でも後を引いているんじゃないかと思います。  そういう反省から、やっぱり自衛隊というのは国会の監視を受ける、文民優先といいますか、シビリアンコントロール、そういう民主的な自衛隊にならなくてはならないと。そういう中で、日ごろから規律ある行動、命令に服するという中にも、国民とともにある自衛隊でなくてはならないという訓練が私は行き届いていると思います。  二度と戦前のような軍隊であってはならない、訓練においても人権を侵害するようなことがあってはならないと。そういう中での、任務の遂行に当たっては身を挺してやるという、そういう自衛隊諸君の活動に対しましても、やっぱり国民から温かい敬意と感謝を持って接するような環境づくりに努めるのが国会であり、政治の役割だと私は思っております。
  99. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 最後に一言だけ申し上げます。  そういう意味で、今、戦前の軍と現在の自衛隊の違い、明確に御発言いただきました。ありがとうございます。  そういう中で、国民の共感というものをどう得ていくかというのはこれからなんじゃないか、こんなふうな気もいたします。一言で言いますと、言わば天皇の軍隊から国民自衛隊という道筋がこれから始まるんじゃないか、こんなふうに思います。そういう意味で、この平成十五年の今日の日がこれからの国民自衛隊元年というふうな年になるようにしていってもらいたい。そういうふうな、それが一番の我が有事に対する備えの基本じゃないか、こんなふうに思います。  様々な法制的な議論もありましょうけれども、そうした意味での心構えといいましょうか、基本的な国民との連帯というのが国を守るための一番大切な精神的な支柱ではないか、そんなふうなことを思いますが、最後総理の決意を一言聞いて、終わりにしたいと思います。
  100. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もとより、他国の侵略にどのように日本が対応するか、平和と独立を守るかと、その専門的集団が自衛隊でありますから、国民とともにある自衛隊国民から信頼を受ける自衛隊のために、日々自己研さんと訓練を怠らない精強な集団であってほしいと願っております。
  101. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 じゃ、終わります。  ありがとうございました。
  102. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  総理、サミット、本当にお疲れさまでございました。お疲れだと思いますけれども国民が注目をしている大変重要な法案ですので、是非明確な御答弁をお願いをしたいと思います。  冷戦終結後、世界は安定に向かうどころかますます不安定の様相を呈してまいりました。とりわけ九・一一以降はそれが顕著だと思います。実は、世界のほとんどの地域で紛争問題に苦しんだり、あるいはテロに脅かされているというのが現実なんだろうと思います。あのアメリカでさえも、あるときは冷戦構造におびえ、またあるときは無秩序なテロにおびえているというのが現実なんだろうと思います。  こうした世界情勢を考えたときに、誤解を恐れずに申しますと、この日本だけが私はとりわけ恵まれた環境にあったのではないかというふうに実感をいたしております。ある人はこれを平和ぼけと言い、ある人はこれを世界の常識がないとも言います。しかし、私は、ぼけるほどの平和の環境にこの国があるということは、これは実はすばらしいことなんだろうと思います。  問題なのは、その平和が当たり前だというふうに勘違いをしてしまうということなんだろうと思います。国家として一番大切なのは、国民戦争に巻き込まないということだと思います。そのためには、まず国として予防外交をきっちりとやっていく、外交努力をしていく、そしてODAや信頼醸成でしっかりと外交を構築していくということなんだろうと思います。他方、国民レベルにおいても、市民レベルのNGOや市民交流で、市民レベルの予防外交を続けていくということなんだろうと思います。  しかし、と同時に、万が一、日本が武力攻撃を受けてしまった場合に、その被害を最小限に食い止めるということも政治の大きな、そして大切な責務だと私は考えています。ところが、これまで国を守る手段として自衛隊活動が不可欠でございました。そのために、一見、憲法の平和主義とはそぐわないというような印象を与え、法整備が遅々として進んでこなかったという現実があろうかと思います。しかし、平和を希求する世界の国々の中で自衛権を主張しない国はございません。社会主義国家であれ、永世中立国のあのスイスであれ、自衛権を認めております。自国の平和を守れないものが世界の平和に寄与することは私はできないと思っています。こうした意味から私は、一連の有事法制日本憲法の平和主義に背くものではないと考えております。  では、なぜ国民の皆さんがこの法案に不安を感じてしまうのでしょうか。私は、国民が不安、国民が抱いている不安には二つあると思うんです。  まず一つは、本来セットで出されるべき法案が一緒に提示されていない。すなわち、法律が未整備なために先が見えない。このことからくる不安がまず一つあると思うんです。そしてもう一つは、法律の組立てが非常に精緻なために、あるいは説明が足りないために国民に起こっている誤解、この誤解が起こす不安があるんだろうというふうに感じております。  総理、本日はここで、この国民の皆さんが感じている二つの不安について、少しでも私が解消できたらというふうに考えておりますので、総理若しくは関係大臣のお言葉でしっかりと御答弁をいただきたいと思います。  まず最初に、先が見えない、このことからくる不安について数点お伺いをしたいと思います。  そもそも今回は、武力攻撃事態対処関連、関連の三法案だけで、いわゆる事態対処法案がセットで出てまいりませんでした。このことが国民に不安を与え、中には、政府が大枠だけを決めて、後は勝手に米軍に協力したり勝手なことをやるんじゃないかといった懸念が国民の中にあるんだろうというふうに思います。まず、総理に、このように法案がセットに提出されなかった、このような法案の提出の仕方になってしまったことについて、このことが国民の不安を高めている、そのことについて、政府は、総理はどのような御所見をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  103. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 有事に関する法整備がもっと早くからなされていれば今言った不安は解消されていると思います。有事議論をするさえタブーだったでしょう。有事備えをすると憂いが来るんだと、備えあれば憂いなしという逆の考え方がかなり一般的といいますかね、広く言われている。今でもそうですね、有事法案戦争準備法案だということ、我々にはちょっと理解できないような。どの国にも、いざ侵略されたらどういう法的整備を取っていくかというのは外国では常識ですよ。ところが、日本はそういう有事考えることすら、これは戦争を起こすんだ、巻き込まれるんだという考えはいまだに根強い。だから、有事法案を出すことさえもう大反対運動が起こって今日までやってこなかったわけでしょう。研究することすら国会に出ると批判が出る。  政治の一番大事な点は最悪の事態にいかに備えるかを平和のときから考えなきゃならないということですが、それをかなり多くの国民が、最悪の事態考えるのは嫌だと、戦争が起こることさえ考えるのは嫌だという感情がいまだに強い。だから、私は、今日、戦後五十年たってもこの有事法制ができなかった。今回ようやく、野党の民主党も含めてようやく成立に向けて今審議が進んでいる。国家安全保障について、いざ日本が侵略を受けたらどういう法制度の下に国民を保護するか、安全を確保するか、独立を維持するかというのは本来もっと早くやっていなきゃならない問題だったんだと思います。早くやっていれば今言った心配なくなるんです。  この法ができれば、次の法は、国民の保護のためにはどうするか、有事が起こったときには、更に米軍の協力をどうやって求めるのか、国民の基本的人権、財産権をどうやって保護するのかというのはこれから着々準備されていく、そういう一歩が、ようやく与野党合意の下に安全保障に対して認識が共有できたということは大きな前進だと私は評価しております。
  104. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、具体的に不安について官房長官に二つお伺いしたいと思います。  まず一つは、信教の自由についてお伺いしたいと思います。  国民有事の際に懸念している基本的人権の担保についてお伺いするんですけれども、民主党の提案により基本的人権が法案にきっちりと明記された、このことは私大きな前進だと思っています。  しかし、憲法の十四条と十八条と十九条、そして二十一条が明記をされているのに、なぜ二十条の信教の自由が明記をされていないのかといったシンプルな疑問があります。九・一一後も、またイラク戦争でもアメリカ国内のイスラム教徒が差別をされたという事実がございました。日本でも、有事の際に特定の宗教を信じる方々が差別されるようなことがあっては決してならないと私は強く思っております。  官房長官、今日までの審議においてもこの信教の自由というものは再三議論になりまして、保障されるという見解をちょうだいをいたしております。しかし、今後の国民保護法制においても、民主党要求の六項目同様、この信教の自由というものがきっちりと担保できるかどうか、官房長官に確認をしたいと思います。
  105. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この武力攻撃事態におきましても、日本国憲法で保障しております基本的な人権、これは最大限尊重されるということは、これはもう当然のことでございます。衆議院におきます修正後の法案第三条第四項の規定におきまして、憲法の保障する基本的人権の尊重について入念的に規定をいたしたと、こういうようなことになっております。したがいまして、今御指摘の宗教の自由、信教の自由、これは最大限尊重される、当然のことでございます。
  106. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次に、災害との関連についてお伺いしたいと思います。  私は、先日、地方公聴会で原発を十五基有する福井県に行ってまいりました。私の地元の静岡県の浜岡町というところにも原子力発電所があるんですけれども国民にはこの原子力発電所に対する不安が大きく存在しているというのも事実だと思います。  しかし、現行法では、原発の操作ミスという、あくまでも原発側に過失があった場合についての事故の想定しかしていないわけでございますけれども、今後、国民保護法制を含めた有事法制が整備されることによって、武力攻撃によって起こった原子力発電所のトラブル、若しくは武力攻撃が原因となって、直接でなくても、それに何らかの関係があって起こった原子力発電所のトラブルについてもこの法案できっちりと対処されるのかどうか。これも官房長官に確認をしたいと思います。
  107. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 原子力災害というのは、これは非常に大きな災害を、大規模な災害を及ぼす可能性があると、こういうことでございますので、この施設の安全を確保すると、これはもう極めて重要でございます。特に、武力攻撃事態においてこのことについて考えないわけにいかないと、こういうことであります。  国民の保護の法制におきまして、都道府県知事などが原子力施設の管理者に対し警備の強化等の安全確保のための措置を要請して、警察等がその支援を行うこと、また都道府県公安委員会等が立入り制限区域を設け、施設やその周辺への部外者の立入りを制限すること、またさらに必要に応じまして国が施設の管理者に対して危険防止のための原子炉の運転の停止など必要な措置を命ずると、こういうようなことを具体的に国民保護法制の体制の中で考えていきたいというように思っております。また、放射性物質による汚染が生じた場合には、国が汚染の除去等必要な措置を講ずる、こういうふうなことも考えております。  今後検討いたします国民保護法制の中で、こういう点について十分な検討を加えてまいりたいというように思っております。
  108. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 続いて、二つ目の、誤解に基づく不安と、このことについてお伺いしたいんですけれども、これは国民が素朴に抱いている疑問ですので、是非率直にお尋ねをしたいと思います。  まず、官房長官、外部からの武力攻撃に際し、予測やおそれの段階では日本は武力行使をすることはできないのですね。
  109. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 予測の段階では武力攻撃は、武力行使はできません、我が国は。
  110. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 武力攻撃事態が発生したときに、憲法国連憲章の第五十一条のこの自衛権の範囲内で、今、長官がおっしゃった武力行使というものは行われると、そして日本の先制攻撃は決して許すものではないということをここで確認をしたいと思いますけれども長官の答弁をお願いします。
  111. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いわゆる先制攻撃というものは、これはできません。
  112. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 防衛庁長官にお伺いします。  自衛隊が、日本がこの法律を持つことによってアメリカ戦争に巻き込まれるということがあるのでしょうか。
  113. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この法律によって巻き込まれるということはございません。それは、周辺事態であり、予測事態であり、あるいは武力攻撃事態、その事態事態において対応することはございますが、そのような形で巻き込まれるというような御懸念は無用でございます。
  114. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 では、具体的にお伺いしたいと思います。  さきの九・一一後のアフガニスタンへの空爆、そしてイラク攻撃というものは、よくアメリカの無法な戦争の代名詞にされることがよくあります。では、もしその当時、日本がこの有事法制を所有していた場合、日本有事法制が存在した場合、日本の取った行動が異なったこと、異なる可能性がありましたか。
  115. 石破茂

    国務大臣石破茂君) アメリカ行動評価は別といたしまして、そのときにこの法制があったといたしましても、何ら変わっておりません。
  116. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次に、武力攻撃事態の認定から対処基本方針が策定されるまでの経緯について若干お尋ねをしたいというふうに思います。  事態の認定を行う場合、現実的には米軍の情報に基づいて判断するということが容易に想像できるわけでございますけれども、それゆえ、実際はアメリカに対する攻撃であっても、日本が照準になるという情報を与えられれば、これは結局、アメリカ戦争日本が巻き込まれるんではないかという不安があるわけでございます。だからこそ、民主党は当初から、認定及び判断の根拠をきっちりと書き込むと、そのことによってこれは担保していこうというふうに提案したと思うのですが、民主党の提案者の御意見をお伺いしたいと思います。
  117. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 武力攻撃事態法の中には、予測事態とそしてまた武力攻撃事態というものの二つがございますけれども、何をもって予測事態と認定をするのか、また何をもって武力攻撃事態と認定をするのか、その判断は閣議決定にゆだねられるわけです。つまり、政府が判断をするということでありますが、その判断の基準となった情報あるいは客観情勢というものは一体どんなものなのかと。やはり、それは国民は知る権利、あるいは協力をするわけですから、逆に義務があるというふうに我々は思っております。  したがいまして、政府の恣意的な認定というものを防ぐためには、条文の中にしっかりと認定根拠というものを入れて、そしてそれを国民に示すということが何よりも重要だと考えて、修正に盛り込んだところであります。
  118. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 その民主党の主張に対して、与党はどうしてこれ同意されなかったんでしょうか。
  119. 久間章生

    衆議院議員(久間章生君) 今おっしゃられましたように、認定をした前提となったいろんな事実がございまして、それに基づいて政府が認定するわけですけれども国会が適切に判定するためには、やはりその事実が必要でございます。しかしながら、根拠といいますと、それは主観的な要素が入りますから、前提となった根拠というふうになりますと、根拠根拠でないかという、そういう誤解も出てまいりますから、事実を述べることによって、それで国会の方で判定してもらおうということにしたわけでありまして、そこのところが両者のやり取りの中で若干意見が食い違いましたけれども、最終的には私どものに同調していただいたわけであります。
  120. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、ですからそこで大事になってくるのが、今度はシビリアンコントロール若しくは説明責任、情報公開といったことなんだろうというふうに思っています。  判断をした情報がどこから来たのか、どのような情報だったのか、若しくは安全保障会議議論が、どのような議論をされたのか、シビリアンコントロールをきっちりと確保するためにも、この情報公開というものをきっちりと私は考えていく必要が今後あるんだろうというふうに思います。これは要望をしておきます。  次に、引き続き関連して、民主党の提案者の渡辺議員にお伺いしたいんですけれども、四党共同提出案というものが今回出されて、この民主党の主張がどのように入れられて、どのように法律が改善をされたのか、端的にお答えを、したいと思います。
  121. 渡辺周

    衆議院議員(渡辺周君) まず、野党なのになぜこの法案に反対しないのかという意見も多々ございます。しかし、私は、こういう国家国民に対する大きな法案については、とにかく賛成か反対かだけではなくて、やはり対案を作ったことによって建設的な議論ができ、そしてその上でよりましなものに近づけたというふうに思っております。  今までの中で、認定の根拠となった具体的事実、それから基本的人権の保障、そして国会承認、特にこの武力攻撃を終わらせる、自分たちの要は戦争行為をどこで終わらせるかということを国会の議決によって対処措置の終了手続を書くことができたと。結果的に、民主的な統制と、もう一つは、国民保護の色合いの強いものになったんだろうと。ただ、完璧とは私どもも、まだまだこれから国民保護法制の部分がございます。ただ、しかしそういう中で、我々は今回の議論を通じて非常に国民の保護の色彩の強いものを何とか作ることができたと、そのように考えているところでございます。
  122. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この法案に対して、有事法制に対して、国民の中には何かいわゆるもやもや感というものがなかなか払拭できないというのが現実なんだろうと思います。  六月三日の同僚の佐藤雄平議員の質問にもございましたが、日本安全保障とこの外交との関係が分かりにくいということもあるのかもしれません。しかし、憲法九条であるとか日米安保であるとかテロ特措法であるとか、この外交安全保障関連の法律の整理も付いていないということもあるのかもしれません。そして、日本は平和憲法を持ちながら、なぜこの有事法制も持たなければいけないんだと。また、様々な法案も、とりわけ昨今のこの安全保障にかかわる法案は、外からのプレッシャーや有事が起こって初めて慌てて法律を構築するというような印象もあるんだろうと思います。  平和憲法がありながら、なぜ有事法制を持つのか、そのことについて、日本外交安全保障関係についても真っすぐな回答を内閣総理大臣小泉純一郎さんから、そして民主党の外交安保の責任者であります前原議員からお答えをしていただきたいと思います。
  123. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 平和憲法があるから日本独立と平和が守られるかということと、平和憲法があったとしても、もし日本以外の外部の勢力が日本を侵略したり、あるいは侵害する意図を計画的に組織的に持ち、現実にそのような勢力が日本にやってきた場合どうするかと。私は両立できると思いますよ。  日本は、平和憲法の下に専守防衛だと。諸国民の信義、公正、これに依拠して平和に徹するという考えも十分理解できますが、中には信頼できない国もあるかもしれない。あるいは、事によって、日本が抵抗しない、侵略した場合には全部手を挙げて降参してくれるんだったらば犠牲を伴わないで日本国を占領できるなと、日本国民の財産を奪うことができるなという気持ちを持てば、大した組織、準備も要らないで日本国民をじゅうりんできると思わせてはならない。  やはりそのような理不尽な侵害行為があったらば、日本国民は身を挺して抵抗するんだという組織が自衛隊でありますから、それに対しては常に準備しておかなきゃならない。そういうことによって、日本を侵害した場合には多大な犠牲を被ると、自分たちも、侵略勢力にとっても無傷では済まない、そういう準備をしておくことが侵略を抑止するために大事なわけだと私は思っております。  そういう点において、私は、平和憲法も大事でありますけれども、常に一朝事あるときに備えをしておく。しかも、その備え様については法律によって、法治国家として法と正義に基づいて国民を保護しなきゃならない、国民の財産を守らなきゃならない、国民の基本的人権を守らなきゃならない。法律がないから勝手に現場の指揮官で超法規的に法を無視してやればいいんだということを考えますと、これは国民の財産権が奪われる場合もあるかもしれない、基本的人権が侵害される場合もあるかもしれない。そういうことがあってはならないから、法にのっとって非常時においても対処できるような整備をしておこうというのがこの有事法案でありますから、また、その辺は是非とも国民理解を得られるように今後も努力していかなきゃならないと思っております。
  124. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 私は、この有事法制ができても、この法律というものは使われない法律にしなくてはいけないというふうに思っています。万々が一のときに備え法律であって、日本は決して戦争に巻き込まれない、ましてや戦争を起こさない、そういう意思を私はこの日本国から海外に伝え続けるということが極めて重要なことなんだろうというふうに思います。  つまりは、平和憲法というのは、自らが侵略戦争を、当然侵さない、そしてまた専守防衛に徹する、その考え方の中で、しかし万々が一自分の国を攻撃されたときには、我々は主権国家を守るために法治国家として当然の法律を作り、それに基づいて粛々と行政が活動をする。その前提なのが私、有事法制だと思いますので、今御指摘をされたような平和憲法有事法制というのは、内容が異なるもの、あるいは相反するものでは決してないと、そういうことをまず申し上げたいと思います。  その上で私は、その外交哲学ということでありますけれども、まず安全保障の面から申し上げると、この有事法制にもかかわってまいりますけれども我が国を何か侵略をしようとか、あるいはちょっかいを出そうとか、そういう国あるいは組織に対しては我々は毅然として実力組織をもってそれに対しては対応すると、そういう意思を持ち続ける、また、それで自衛隊というものがしっかりとそういう訓練をもって、そしてまた、万々が一のときに備えるという部隊であり続けるということは極めて重要だと思います。  それと同時に、外交の面での努力というものを私はきっちりやっていかなくてはいけないんだろうと思います。  この委員会でも私いろいろ議論を聞いていまして、有事法制だからということではなくて、日米同盟関係に対して極めて危惧をしている人たちが一杯いると思うんですね。私は昨日、この場で別の方の委員質問お答えをいたしましたけれども、同盟関係というのはもろ刃の剣だと。つまり、いいことばかりじゃなくて悪いこともある。つまりは、力の強い国と同盟関係を結んでいることは、日本にとってプラスのこともあるけれどもマイナスのこともある。そのことをやはり国民にしっかり示すということが私は必要なんだろうというふうに思います。  その上で、アメリカが今、私ども民主党は、イラク攻撃については国際法の正義というものに照らし合わせてアメリカ、問題あるんじゃないかと、そういうことで反対を声高に申し上げてまいりました。国際協調、力の支配から法の支配へとこの戦後の世界の国際政治を持っていくために、同盟国である日本がもっと声を上げて、アメリカの無法なあるいは法律的に疑義のある戦争に対してしっかり物を言っていくと。そういう姿勢を示すということが、私は、アメリカ戦争に巻き込まれるんじゃないかという疑念を払拭する大きな役割を果たすと思いますし、そういった努力をしっかり行っていくべきだというふうに思います。
  125. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 明快な答弁をありがとうございました。  今、慌てて構築する法律というふうにおっしゃいました、私が申しました。そして、総理、実はこの慌てて構築していると思われている法律の中に、私は、今新聞で報道されているイラク新法というものがあるんだろうと思います。  エビアン・サミットでもイラクの復興について様々な議論がされたという報道を拝見いたしましたが、総理、この一体イラク新法というのはどのような法律なんでしょうか。
  126. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イラク新法というのはまだ提出していないんです。イラク新法が必要かどうかというのをこれからよく意見を聞きながら検討しようという段階であって、国連でも、イラク復興のためには、国際社会国連のメンバーはお互い協力してイラク復興のために持てる力を発揮しようと、協力しようという決議がなされておりますから、日本としては今後、日本の国力にふさわしい、イラク復興のためには何が必要か、そういう点をよく協議して、現行法でできることと、あるいはイラク国民がこれからの国づくりに励むためには新法が必要かどうかというのは、よく状況を見て、国際社会の責任ある一員としてどう支援、協力すべきかを考えながら今後検討していきたいと思います。
  127. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そのとおりなんです。しかし、現実として、このイラク新法の話が有事法制に関する国民のもやもや感というのを増長させているんですよ。  そして、総理正におっしゃったように、イラク新法なんというのはまだ出ていない。にもかかわらず、自民党の山崎幹事長は、イラク新法を作るんだ、自衛隊をイラクへ送るんだと盛んにマスコミにおしゃべりになっていらっしゃる。現場が、どのような今イラクに状態があるのか、そして、イラクを一体戦闘地域と非戦闘地域に分けることなんかできるのか、仮に自衛隊を送った場合、武器使用の基準をこのままで本当に自衛官を送ることができるのか、様々な問題は、現場をまず調べなきゃ分からない。にもかかわらず、政局や政治が先行してこのイラク新法の話が出てくる。  私は、イラクの復興支援に反対をしているのではありません。日本の貢献は大事でしょう。しかし、イラクの現状をしっかりと把握をする、そして日本のできることとできないことをきっちりと明確にする、このことが外交日本の国際貢献についても必要なんだろうというふうに考えています。  総理に御所見をお伺いしたいんですけれども、時間がありませんので、この問題は、川口大臣、火曜日の外交防衛委員会で私きっちりと詰めたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、私は、日本を万が一のときから守るこの法律を少しでも国民の皆さんに納得していただこうと思いまして、三つの提案を総理にさせていただきたいと思います。  まず一つは、政府・与党の皆さんに是非政治的緊張感を持って、危機感を持って当たっていただきたいと思います。  今、北朝鮮状況が緊迫をして、盧武鉉大統領が近日来日をされる、そのような国際状況の中において、いかに国民を守ろうかというこの法案を審議しているときに、先日の自民党の麻生政調会長の創氏改名発言なんというのはあり得ないはずであります。加えて、山崎幹事長の会期延長発言や、参議院のこの事態特の特別委員会の議事日程までも発言するような、こういうことは、議院内閣制において、民主主義においてあってはならない私はことだと思います。  そして最後に、小泉総理、あなた自身であります。  五月二十六日の宮城県沖の地震が発生をいたしました。そのとき総理は、地震が来ているようだが自信を失ってはいけない、会場の皆様からしゃれを言って笑いを取っていらっしゃいました。総理は、恐らく、その場ではそのような笑いを取るつもりでおっしゃったのではないかもしれません。しかし、問題は、国民がテレビを見て、総理が、百名以上の負傷者が出て、がけ崩れや火災が発生をして、新幹線という大動脈がストップをしている。この状況において、正に有事ですよ、このときに総理がしゃれを言っている、後ろの会場の方々がどやどやと笑っている、これは、私は国民に対して非常に不明確なメッセージを送るんだろうと思います。  そして、二つ目の私の提案が、是非、説明責任と情報公開に努力をしていただきたいということであります。  私のところに、議論が十分尽くされていない、国民のサイドに立った議論がされていないというメッセージがたくさん寄せられてまいりました。しかし、現実は、本当に重箱の隅をつつくような議論をこの場によってやってまいりました。報道されない議論もありました。様々な細かい議論を党派を超えてやってまいりました。  アメリカではC—SPANというチャンネルがあります。そして、いつでも国会委員会室にも傍聴できる、テレビを通じて傍聴できる制度が構築されています。是非こういった制度を政府が牽引車となって考えていただきたいというふうに思います。  そして、三つ目の私の提案は、国民の皆さんにお願いがあります。  この有事法制は、国民が何かを強いられてトップダウンで行うものでは決してありません。我々国民一人一人が平和や安全をきっちりと考えていく、そして、我々国民一人一人がどのようにこの日本の安全や世界の平和を考えていくか、そのことを、この委員会の場だけではなくて、地域や職場や家庭においても一人一人が議論をしていく、このことを私自身にも言い締めるために三つの提案をさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  128. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  既にこの委員会では五十時間を超える質疑をしてまいりました。そして、参考人や公述人の方々からも実に貴重な、有益な御意見を賜ったととらえております。そして、我が国は、世界の中でドイツと並んで比較的精密な司法の体系を持つ、そしてまた裁判制度を持つそういう国柄であると、こう言われております。この日本国憲法の精神を守りながら、これからこのいわゆる有事に関する法体系を整備していくということは、世界にモデルがありません。この日本で初めてこういう法体系に今挑もうとしているわけであります。そうした意味で、私はこの日本の国の様々な法体系の中で最も創造的な分野の一つであると、こう考えているわけであります。  そして、これから、この現在審議されている法制というのは言わばその中の一部でありまして、これから広く国民の皆様の理解を得ながら、言わば我々との往復作業の中でこれからの法整備を進めていかなければならないと思います。  そうした中で、私は、公述人、参考人の御意見の中で注目すべき点があったと思われるところを幾つか御質問させていただきたいと思います。  安全保障会議という合議体があります。これは極めて大事なことであります。武力攻撃事態のときに対処する基本的な方針を定める、これを議論する場であります。しかし、この会議が実際に本当に機能するんだろうか、この点について懸念を示す御意見がありました。議論の中では、このメンバーが言わば一堂に会したときに、あるいはその他何らかの事情で一遍に失われる、欠けてしまう、そのときに、代わりにその仕事を行う人がいない、こういう事態が起こってはならない、そういう角度からの御指摘もあったわけであります。  また同時に、私はもう一方で、この合議体のメンバーが、本来であればメンバーとなっている人が全員そろってその衆知を集めるべきであると思います。しかし、過去、この内閣あるいはこの安全保障会議が、そのメンバーが本当に全員そろえるような体制でこれまで来たかどうか。例えば半数以上、常にこの安全保障会議の議員、メンバーでなければならないという大臣が定められているわけでありますが、例えばその中の半数以上の人がこの日本にいなかったというようなことは過去あったかどうか。さかのぼっても大変ですから、例えば今年になってからそういうことがあったかどうか、何日あったかどうか、それをちょっとお述べいただきたいと思います。
  129. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今回の安全保障会議設置法の改正案によりまして、議長及び恒常的に出席する議員の総数、これは十名でございます。  そして、委員質問の、本年一月以降ですね、における恒常的に出席する議員等に該当する国務大臣、この半数以上が日本に不在であった日数、これはございます。二日で、二日ございます。五月二日と三日がそれに該当いたします。  それからまた、改正後の安全保障会議設置法第五条三項に規定いたします「事態の分析及び評価について特に集中して審議する必要があると認める場合」の議長及び議員の総数は七名でございます。本年一月以降におきまして、これに該当する国務大臣の半数以上が日本にいないという日はございませんでした。
  130. 山口那津男

    山口那津男君 これは、立法府の中に議院運営委員会という、この院を運営する重要な委員会がございます。ここでもこの点が議論になったことがありました。  そのときに出された資料によりますと、今、官房長官は十名のメンバーのうち半数、五人がいないときがあった、こういうお話でした。しかし、その中には、議長たる内閣総理大臣と、それから総理が外国へ出張されるというような折に臨時代理を置くという場合がございます、この臨時代理と総理大臣総理国内にいる場合には臨時代理の方はいなくて済むわけですね、選ばなくて済むわけですね。そうすると、頭数で考えるとこのメンバーというのは九名なんですね。ですから、五名は過半数ということになります。  それともう一つ、この事態の分析、評価について特に集中して審議する場合の議員というものも定められているわけですね。これの必要メンバーというのは六名定められているわけであります。このうち半数の三名が不在であったという時期もあったわけですね。  また、もっと広い合議体であります閣議という面から見ますと、十八人の大臣がいる中で十名不在であった、九名不在であったと、こういう日もあったわけですね。ほんの一日、二日のことであるかもしれません。しかし、ここにはルールが何もないんですね。  ですから私は、行政府である内閣として、あるいは安全保障会議として何らかのルールを定める、意思決定のルール、在り方をきちんと定めていくということが重要であると思います。その点について、総理のお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  131. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 委員御指摘のとおりでございまして、非常に正確に御指摘になっておられます。大臣がいない場合には臨時代理を置くということもございます。また、これは病気というようなこともございますし、いろいろなことがございますので、やむを得ないということもあろうかと思います。  また、遠方にいてすぐ帰ってこれない、緊急事態とか、そういうようなことにおきましてどうするか。これは電話で連絡をするとか、何らかの方法でもって意見を聞くと、こういうこともあろうかと思います。  いずれにしましても、この有事態勢においてどうするかということにつきましては、これはそういうことも含めまして、今までのやり方でいいかどうかということも含めまして、これからいろいろと、いろんな事態というものを想定しながら検討してまいりたいと思っております。
  132. 山口那津男

    山口那津男君 離れた場所にいる場合に電話で連絡取ればいいというんじゃ、国民の皆さんは非常に不安を覚えると思うんですね。私は、別に離れていても意思決定をする方法はあると思います。ですから、そういう意思決定の在り方、そしてまた、例えば半数以上は近いところにいなければならないとか、こういうことも一つのルールの方法ではないかと思います。それを併せて、今後、行政府として検討いただきたいと思います。  次に、今度のこの法体系ができ上がってまいりますと、今までなかった分野でありますから、さて、こういった法制度を踏まえた上で、我が国全体の在り方、例えば社会保障、社会資本の整備の在り方とか、あるいはシステムの在り方がこういう法体系を念頭に置いた上で作らなければならないのではないか。高速道路あるいは鉄道一つ取っても、国民の安全な避難のときに大いに役立つ設備でもあるわけです。そういった考え方でこれまでの国づくりはなされてこなかった、こういう御指摘もあったところであります。  今後、この法体系が整備されるにつれて、これを念頭に置いた上での新たな国づくり、あるいは社会づくりということを考えていく必要が私はあるだろうと思うんでありますが、この点について総理のお考えをお述べいただきたい。
  133. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 国民の安全の確保という観点から、委員の御指摘のように、その趣旨に沿ったような形で町づくりをするとか、これは随分そういうことは、災害とか、そういうことを踏まえた上で町づくりというものは考えているところもあると思いますけれども、特に緊急時にどういうふうな交通網の整備をするかといったようなことにつきましても、これからいろいろな観点から、特に公共事業を行うとかいったようなことにおいて特に配慮をしていかなければいけないものだというように考えております。  そういうような緊急事態に十分な体力を発揮できる社会の構築、これが大事なんだろうというふうに思っておりますので、そういうことも念頭に置きながら今後考えていくべきだと思っております。
  134. 山口那津男

    山口那津男君 これまでの経済の発展を重視した考え方ではなくて、やっぱり国民の安全ということを視野に入れた検討が必要だろうと思います。だからといって、こういう事態が起きないこと、起こさないこと、これが本制度の最大の目的でもありますから、その起きないことのために大切な資源をそちらに集中させるというのも、これもまたあるべき姿では、ないだろうと、適切な資源配分ということも考えていかなければならないと思いますので、是非とも御検討をいただきたいと思います。  さて、その上で、起こしてはならないこの武力攻撃事態であります。そのためには、日ごろから国際社会の平和と安定のために我が国が協力、貢献していく、そしてそれが世界の信頼を得ると、こういう在り方でなければならないと思います。  今、イラクは復興の過程に入りました。国連決議におきましても、人道、復旧・復興の支援を加盟国はなすべしと、こういう決議もなされているわけであります。我が国としてもやるべき貢献というのはあると思いますが、総理、せっかくエビアン・サミットその他、外交日程をこなされてこられて、お疲れとは思いますが、直接御体験をされたお立場で、この安保理決議に基づいて、イラクへの今後の国際社会の在り方について何か突っ込んだ具体的な御議論はあったでしょうか。
  135. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) このイラクの問題について、エビアン・サミット前は、国連決議をめぐり武力行使に関して安保理の理事会で意見が対立はしました。そういう中でのエビアン・サミットを控えて、果たして国際協調体制ができるんだろうかと懸念がありましたけれども、始まる前に、イラク復興支援に対しては、国際社会がその国にふさわしい支援、協力をしようという決議が全会一致、シリアが棄権いたしましたけれども、今まで武力行使をめぐって対立した国も協力して全会一致でイラク復興支援に取り組もうという、そういう決議がなされた後のエビアン・サミットでありましたから、懸念された対立の雰囲気ではなくて、過去のことは過去のこと、未来志向で国際社会が協力してイラクの復興にどのような協力ができるかという認識を共有できたと思います。  言われるような冷ややかな会議とか、とげとげしい会議とは打って変わって、非常に各国が未来に向かって、エビアン・サミットメンバーがどうやって協力していくか、また、国連の重要性をどのように認識していくかという建設的な議論が行われまして、日本としても、イラク復興支援国の準備会合をしたらどうかという提案も国連で取り上げられて、国連主催によるイラク復興支援準備会合が開催されるような運びになりました。そういう点から、今後、このサミットのメンバーが、その国々の事情があるだろうけれども、その国の主体的判断によって、イラクの国づくりに、復興支援に協力しようという共通の認識の下にこの会議を終えることができたと。  ブッシュ大統領も、途中で退席して、全部の会合には出席できませんでしたけれども、そのことに対しても、これはイラクの以前から問題になっていた中東和平への積極的な努力、これに期待すると、また、その成功に向けて我々は協力しなきゃならない、そういう意を込めて、ブッシュ大統領が中東に旅立つことを別に異議なく、むしろそれを支えようという雰囲気の下に中東和平への旅に向かったということでありますので、私は、今後も国際協調国連が中心になってこのイラクの復興に向けて努力をする状況になりましたので、日本も、日本としてそのような状況を踏まえながらどのような支援ができるかということを十分に考えていくことが、日本外交として、日ごろから平和的外交日本というのはやっぱり世界に必要だと、自分の国のことばかり考えていないなと、世界のために日本はどうしても必要だという外交努力をこれからも積極的に展開していくことが、日本の平和と独立を維持する意味においても極めて重要なことだと考えております。
  136. 山口那津男

    山口那津男君 是非これからもアメリカとヨーロッパをつなぐ調整役としての役目も期待申し上げまして、質問を終わります。
  137. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。  小泉純一郎総理大臣に御質問をいたします。  まず、私が質問したいのは、アメリカの先制攻撃の問題でございます。  御承知のとおり、アメリカがイラクでの戦争を行いまして、世界日本でも、アメリカが先制攻撃の戦略を取っている、こういう大変懸念の声が広がっております。今回の法案の関連でも、アメリカがこのアジア太平洋で先制攻撃の戦略発動するんじゃないか、これに日本が軍事的に協力、支援を行う、こういうことによって日本戦争に巻き込まれていくんじゃないか、こういう懸念が高まっていることは、先ほどの同僚議員がるる述べられたことでも私は表れていると思います。  総理は、このアメリカの先制攻撃戦略の問題につきまして、我が党の市田忠義書記局長の本会議での質問に答えられまして、先制攻撃には加わらないと答弁された。これは大変、国連憲章上も先制攻撃を認められないわけですから、この点のことでも私はこれは明確なことだと思います。  そこで、私、総理にお聞きしたいんですが、総理が先制攻撃に加わらないということは、たとえ周辺事態アメリカが先制攻撃を発動した、こういう場合については、当然日本はこれに協力もしない、支持もしない、こういう態度であるということになると思いますが、この点、総理、いかがでございますか。
  138. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 周辺事態がどのような事態かは、状況は今の時点で判断はできませんが、日本は先制攻撃には加わりません。
  139. 小泉親司

    小泉親司君 総理はこれまでも、先制攻撃ということに対しては、アメリカが先制攻撃という選択肢を残しているんだということを国会の場でも繰り返し御答弁をされております。この実際ブッシュ政権は、もう総理もよく御存じのように、国家安全保障戦略という国家の基本方針の中に、例えばテロ攻撃に対しては、武力行使を必ずやるというわけではないけれども、手をこまねいているわけではないんだと。つまり、先制攻撃という武力行使を発動する場合があるんだということを明確にしている。そうであるならば、アメリカがアジア太平洋地域の周辺事態でどこかの国を先制的に攻撃することが私は排除されていないと思います。  ですから、私がお聞きしているのは、周辺事態アメリカが先制攻撃をやる、こういうことも当然想定されるんじゃないですか。その場合に、日本政府としてどうなんだと、総理としてどう考えるんだと。これは私、総理が周辺事態がどうなるか分からないと、こういう私は答弁で逃げられるのはまたちょっと違うんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
  140. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そう決め付けるのはどうですか。アメリカは先制攻撃するなんか一言も言っていませんよ、あらゆる選択肢を残していると、自国の安全のために。先制攻撃するという仮定の議論をするんだという前提で議論するからおかしくなっちゃうんですよ。  周辺事態がいかなるものなのか。日本は先制攻撃には加わらないし、第一、日本は武力行使しないんですよ。戦闘行為に加わらないんですよ。先制攻撃なんかしようがないじゃないですか。先制攻撃には加わりません。
  141. 小泉親司

    小泉親司君 私は、総理、そういうことを言っているんじゃないんですよ。  アメリカが、実際に先制攻撃は国家安全保障会議の戦略の中で、米国は、国家安全保障に対する十分な脅威に対抗するため先制行動の選択肢を長く保持してきた。脅威が多いほど行動しない危険は大きく、たとえ敵が攻撃してくる時間と場所に不確かな部分が残っても、我々自身を守るために先制行動を取らざるを得なくなる。敵対勢力によるこのような敵意ある行動の機先を制したり、あるいは防ぐために、米国は必要であれば先制行動を起こす。こういうことをはっきり言っているじゃないですか。  私がお聞きしているのは、アメリカの先制攻撃に日本が後方地域支援、言わば後方支援、これは私は、総理、何か誤解しているようですが、自衛隊が米軍と一緒に武力行使をやるということを言っているんじゃなくて、実際にアメリカがアジア太平洋地域でやったら、日本がこれに兵たん支援をやる。例えばイラク戦争のように、多くの国々がアメリカのイラクの先制攻撃戦略に対して様々な兵たん支援やった、後方支援もやった。これは、日本の場合は後方地域支援ですが、そういう支援をやるということは、これは先制攻撃に加わることになるじゃないかということを言っているんです。その点で総理は、いや、どうなのかと。総理、今までお答えになっているんですから、総理がこの点お答えください。
  142. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先制攻撃と先制行動というのをごっちゃにしないでください。先制行動というのはいろいろあります。危険を抑止するために常に……(発言する者あり)
  143. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 傍聴の方は静かに願います。
  144. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 常に準備をしておく、攻撃をしないまでも行動があるんです。相手に攻撃を加えようという意図を抑止しなきゃならないという先制行動というのはあるんです。抑止行動と言ってもいいかもしれない。  共産党の立場から見れば、日米安保条約があるから、在日米軍基地があるから戦争に巻き込まれるという議論、そういう前提に立てば何もかも危険になっちゃいますよ。共産党の立場は、日米安保条約があるから日本戦争に巻き込まれるという議論でしょう。戦後五十年間その議論を何回もしてきた。しかし現実は、日米安保条約があるから日本戦争に巻き込まれたのかと、違うですよ。逆に、戦争を抑止して平和のうちに繁栄確保することができたんですよ。  そういうことがあるから、それはもう米軍基地があるから戦争に巻き込まれる、日米安保条約があるから戦争に巻き込まれる、先制攻撃理論をアメリカは持っているから日本は先制攻撃するんだ、これは余りにも飛躍ですよ、議論の……(「すり替えだ」と呼ぶ者あり)すり替えているのは共産党の方なんですよ。むしろ、日米安保条約があるから日本を攻撃する国はアメリカと戦わざるを得ないという、これが日本を、安全確保する極めて重要な抑止力になっているんです。(発言する者あり)
  145. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 傍聴の方に申し上げます。傍聴の方は御静粛に願います。
  146. 小泉親司

    小泉親司君 それじゃ総理、先制行動には武力行使を含むものもあるんですね。武力行使を含まないものもあると。  私は、国家安全保障戦略で、アメリカ国家安全保障戦略を紹介して言いました。ということは総理、武力行使を伴う先制行動もあるんですね。総理、いかがですか。
  147. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日本の国に関しては、日本はありませんが、外国のことは外国それ自身が判断するでしょう。日本が、外国がどうしようがと、判断するというような問題じゃない。日本は先制攻撃には加わらないし、武力行使はしないんです。
  148. 小泉親司

    小泉親司君 ですから、私は、アメリカの武力行使を含む先制行動に周辺事態法に定めるような協力支援をあなたはやるんですか、どうですか。──いや、防衛庁長官じゃない、総理
  149. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほど来、総理からお答えがございますように、アメリカ合衆国がそのような国際法無視の行動をするとは私ども考えておりません。  他方、どういう場合にそれが周辺事態であり、どれがそういう場合に武力攻撃予測事態であるか、それは我が国が主体的に判断をすることでございます。しかしながら、アメリカ合衆国が常にそういうような行動を取るというふうな前提に立ってずっと御議論なさっておられますが、私どもはそのようなことは考えておりません。
  150. 小泉親司

    小泉親司君 アメリカはイラクで既に先制攻撃戦略を発動いたしました。そういうことを前提であなた方は考えてはおかしいと、総理思います。  そこで、私、総理に次のお尋ねしますが、イラク戦争のときにアメリカがイラクを攻撃するために周辺国の基地を使いました。周辺事態になったらアメリカ日本基地を使うことは十分想定される。先ほど、基地があるから巻き込まれないと言ったけれども、実際にこの百三十か所の米軍基地世界でもまれ、類例のない強大な基地が存在している。この基地から先制攻撃にアメリカが飛び立つ、こういう場合については、今度は日本の場合は日米安保条約の事前協議がある。このときには総理は、この事前協議に基づいてイエスと言うんですか、ノーと言うんですか。どっちですか。
  151. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それはさっきから言っているでしょう、そう決め付けない方がいいと、仮定の議論で。事態がまだ切迫していないのに、これからどういう状況が起こるか分からないのに、日本危機に瀕した場合に、それはアメリカ日本を守るために準備行動、出るのは当然でしょう。しかし、そうするからそれがすぐ先制攻撃に結び付くんだというのは、これはちょっと早急じゃないですか、飛躍的じゃないですか。  私は、日米安保条約というのは、日本の独自の防衛力では不十分だから、アメリカと協力しながら日本独立と安全を確保するためにあるんですから、日本が侵略するためにあるんじゃないですから、日本他国を侵略するためにアメリカと一緒にやろうというんじゃないんですから。日本が専守防衛日本を守るために日本一国の防衛力では不十分だから、アメリカと協力しながら日本の平和と安全を守るというのが日米安保条約だから、日本が攻撃されたら、アメリカ自分の国が攻撃されたと思って日本を守ると言っている。日本は、アメリカが攻撃されても日本アメリカと一緒に戦わないというのが今の憲法でしょう、日米安保条約でしょう。  しかし、その代わりに、基地を提供して便宜を図ります。
  152. 小泉親司

    小泉親司君 だから、そのときにイエスかノーかを聞いているんです。
  153. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だから、そのときにって、アメリカは先制攻撃しないんですから、周辺事態まだ起こっていないんですから、今そういう、アメリカは必ず先制攻撃するんだという前提で議論しても始まらないというんですよ。
  154. 小泉親司

    小泉親司君 私は、先制攻撃は国連憲章違反であると、よって、それは総理も認めて先制攻撃には加わらないと言っている。それなのに、今度の周辺事態でこれは協力はどうなんだ、ノーなんだろうと言ったら、ノーは言わない。周辺、今度は、日本の場合の基地から出撃するときには、これはノーは言わない。  私は、これでは、総理が先制攻撃に加わらないというこの御答弁は、私、違うと思いますよ。だから、そこはすり替えだ、問題をすり替えているというふうに私は思います。  やはり、先制攻撃と言いながら、日本への武力行使を求めるやはり周辺事態での先制攻撃の協力はノーだと、いや、ノーだということを明確に言えるんですか、どうですか。
  155. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もう何度も言っているんです。先制攻撃は日本はしません。
  156. 小泉親司

    小泉親司君 いや、違うよ、そんなこと聞いていない。  いや、問題ずらしちゃ駄目ですよ。日本が先制攻撃をするかどうかと言っているんじゃない。あなたは先制攻撃に加わらないと言った。つまり、アメリカが先制攻撃をやったことに協力をするのかと私が聞いているのに、それについては何も言わないというのは、私は、先制攻撃に加わらないと言いながら実際には加わる方針を示しているのと同じだと思います。  そこで、私……(発言する者あり)いや、私、次に、時間がありませんから次に私質問をいたしますが、今回の、委員長、今回の法案では武力攻撃予測事態という、まだ日本への武力攻撃が行われる以前から自治体や指定公共機関が米軍に支援を与えることが取り決められております。  総理はこのことを当然知っておられると思いますが、どういう支援をやりますか。いや、総理大臣
  157. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 予測事態においても、例えば陣地の構築とか、いろいろな準備というのはあるわけですよね。ですから、そういうことについて日米間で協力するということはこれはあり得ると思います。しかし、そういう具体的なことについてはこれから準備します法制の中でもって整備をしていきたいというふうに考えております。
  158. 小泉親司

    小泉親司君 私、この指定公共機関について、これまでの審議でもただしてまいりました。政府の福田官房長官の答弁でも、災害対策法の指定公共機関を参考にして指定の対象とする公共機関については検討する考えだという答弁でございました。  これは、私、パネルにしてまいりましたが、これ六十機関、これ指定公共機関がある。(図表掲示)これ、六十書きますとこんなに小さくなっちゃうので、ありますが、例えばこの中では、NHK、日本道路公団始め高速道路管理者、羽田、成田、関西空港、全国のJRなどの鉄道会社、電話会社、日本赤十字、全国の電力会社、ガス会社、輸送会社などでは日本通運、それから国際電話会社、更には携帯電話、いわゆるNTTドコモなどが、これ六十機関、全部入ると。これが米軍の武力攻撃予測事態、まだ日本が武力攻撃にならない段階についてもこの米軍への様々な支援を行うということが今度の法案の中では取り決められている。  これらの公共機関では、これまでの審議の中でも、指定公共機関や会社ばかりではなくて、この労働者もこれに参加するというふうな形がなっている。私は、しかもこの法案の十五条では、総理大臣の権限として指示権、直接執行権などが明記されて、法律上も強制動員の、私、道が開かれていると思います。  そこで、石破防衛庁長官はこの法案十五条について、強制するかしないかも含めて検討するというふうに答弁しておりますが、この十五条は総理の権限を定めたものであります。じゃ、総理もこの石破防衛庁長官の見解と同様の見解なんですか。どうですか、総理。いや、総理
  159. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほど来のお話で強制動員であるとかいろんなお話がございますが、私どもはそのようなことを考えておるわけでは全くございません。  そしてまた、米軍との支援をどのように行うかということは、これから先いろいろと議論をしながら決めていくことでございます。当然、どのような法律になろうとも、国会の御審議を経てそれは決まることでございます。今その内容が明らかにならなければ審議できないというふうにずっと御党は御主張でいらっしゃいますけれども、そのようなことには私は当たらないと思っておる次第でございます。  そしてまた、従業員も強制動員されるんだ、労働者も強制動員されるんだというようなお話をずっとなさっておられますけれども、それは会社と従業員の間の雇用関係の問題でございます。私どもお願いをいたしますのは、あくまでお願いをいたしますのは、企業に対してお願いをしておるのでありまして、労働者の方々までに直接にお願いをするということをやっておりません。そのことは累次お答えをしておるとおりでございまして、いまだに御理解をいただけないのは極めて残念であります。  内閣総理大臣の指示等の権限につきましては、今後、法制の整備の中でその必要も含め具体的に検討してまいる、これも何度も答弁を申し上げておることでございます。
  160. 小泉親司

    小泉親司君 石破防衛庁長官は、私が質問した、法案十五条に基づいて強制するのかという質問に対して、強制するかしないかも含めて検討すると答弁しているんですが、この十五条というのは総理の権限を定めたものなんですね。当然、総理が何をやるかということを定めたものなんですが、ですから総理も、この今後の問題については強制も、強制をするかしないかも含めて検討する、この見解というのは防衛庁長官の見解と共有するんですか。総理大臣です。いや、同じ答弁になっちゃいますから総理大臣
  161. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いずれにしても、国民の基本的人権、最大限尊重しなければならない、そういう前提の下に、この法案が成立した後に、事態対処法案の整備については今後検討していかなきゃならない問題だと思っております。
  162. 小泉親司

    小泉親司君 私がお聞きしているのは、米軍支援法の中身については、私たち、答弁、質問いたしますと、この中身はこれからだと言う。私はそれ自体も問題だと思いますが、検討に当たって、強制するかしないかも含めて検討するのかという質問に対して石破長官、私は石破長官の答弁をねじ曲げているわけじゃないんですよ、これ議事録どおり読んでいるんですが、強制するかしないかも含めて検討するということを御答弁された。これは総理の権限の問題ですから、総理御自身がこの権限を得るわけですから、そういうことも含めてこの検討をされるのかということを総理にお尋ねしているんです。その点をお答えください。おかしいですよ。
  163. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは私が答弁したことにつきましてのお尋ねでございますから、お答えをいたします。  法律の中身はこれから先検討するわけでございます。今から予断を持って、こういうことは決まっている、こういうことは決まっていない、そういうことを申し上げるのはいまだ時期が早いということを申し上げておるだけのことでございます。  しかしながら、事柄の性質上、国民に対してそれを強制するというようなことは恐らくあり得ないことだと考えております。しかしながら、まだ政府法律を出しておりません段階で、これはこうです、ああですということを国会の場でお答えをすることはいかがなものかというふうに私は考えております。強制をするということは、事柄の性質上、それはかなり難しいことであるというふうには考えておりますが、断定的に国会の場で申し上げることはかえって失礼に当たると思っておる次第でございます。
  164. 小泉親司

    小泉親司君 私は大変それはおかしいと思います。今回の答弁で、今回の特別委員会の答弁で、あなたは強制するかしないかも含めて検討するとおっしゃったんですよ。これ違うじゃないですか、答弁が。これ、委員長、おかしいですよ、答弁が。だから、そこを総理総理、そこを総理が、権限に属する問題ですからはっきり言ってください。強制するかしないかも含めて検討されるんですか、どうなんですか。どうですか、総理
  165. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もう一回石破大臣に答弁させてもいいんですが、石破長官の言うとおりでしょう。
  166. 小泉親司

    小泉親司君 私は、こういう答弁をくるくる変えるというのは、私は問題だと思いますよ。  いや、そこで委員長、私は、これは大変おかしい。この答弁、私はねじ曲げて言っているんじゃなくて、これ答弁を読んでいるんだから。あなたはさっき、この前の答弁と全く違うじゃないですか。そんないい加減なことではこの審議はやっていられないですよ。  それから、私は、周辺事態法では自治体や民間の協力ということがあります。ところが、今度の武力攻撃事態法では指定公共機関や日本通運やJRなどの民間会社がしっかりと書いてあって、しかも、今回の米軍支援法では、自治体や民間の同意については、周辺事態法では一般的な協力義務、それから民間については依頼ということだった。ところが、今度はそれがない。  これは大変私疑問とするところでありますが、例えば、この指定公共機関の一つであります新東京国際空港、いわゆる成田空港、この成田空港では開港時に運輸大臣と千葉県知事と新東京国際空港公団との合意がありまして、安保条約及びこれに基づく地位協定の存在にかかわらず、これを軍事的に利用することは絶対に認めないという合意書があるんです。これは当時の丹羽運輸大臣、今井新東京国際空港公団、友納千葉県知事、これらと三里塚奉賛会というところが合意した文書。これは例えば、成田空港を米軍がこれは使用すると、使用したいという要求が来ると、このときに当然のこととして成田空港が指定公共機関になったとき、この場合については、もしこの合意に基づいて指定公共機関が対米支援を拒否した場合については、総理大臣はどのようなことができるというふうにこの法案の中には書いてあるんですか。この法案ですよ、総理
  167. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 武力攻撃事態における米軍支援のためのいろいろな取決めについて、米軍の行動の円滑化ということ、この措置が適切かつ効果的に実施されなきゃいけないという、こういうことの法制については、これは措置の内容、それから自治体の問題も含めまして、法案の成立後にこの法案に定める枠組みの下で事態対処法制の一環として検討をされると。これから検討することになっております。
  168. 小泉親司

    小泉親司君 官房長官は余り法律、具体的にお話しにならないので、私、代わって申し上げますと、法律上、武力攻撃予測事態から、米軍の支援のために地方自治体や指定公共機関に協力を求める。ところが、これが拒否された場合はどうなるかというと、総理大臣は、これは対策本部長、これも総理なんですね、つまり、総理総理に、自分自分に命令して、別に法律で定めるところにより関係する地方公共団体や指定公共機関の長に対して当該対処を実施すべきことを指示することができる。もしこれに従わないと、今度は総理大臣が直接執行権を持つ。これはいわゆる強制する仕組み、こういうふうにならないんですか。総理、いかがですか、総理の権限として。
  169. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは先ほども申しておりますように、米軍の行動を、円滑化のためにどういう法整備が必要かというのは、正にこの法案が成立後、事態対処法制の整備の一環の中で具体的に検討するべきものであって、今、まだ法案も出ていない、法案も成立していない段階で、これから出てくる法案であろうところにああだこうだと言ったって始まらないでしょう、何も。今後、これは、法案成立したら、まだ不十分なところはあるから、より国民保護のためにどのような法整備が必要かというのは今後速やかに検討するということになっていますから、そういう段階でいろいろな御議論を踏まえて対処していくべきものだと私は思っております。
  170. 小泉親司

    小泉親司君 私は、これは、総理法案に書いてあることを御質問しているんですから、これからだなんということ、ごまかしちゃいけません。  私は、今回の法案というのは、この点では、日本を守るということを口実に、自治体や指定公共機関、その傘下で働く労働者や国民全体を米軍の戦争に動員する米軍支援法で、絶対に私は認められないということを申し上げたい。  私は、このような法案の問題点が山積しているにもかかわらず、徹底的な審議のないままに強行するというのは、私は参議院の熟慮の府としての重大な禍根を残すものだと、このことを私、繰り返し理事会で私ども主張してまいりましたが、私は本日の質疑打切りも、当然採決も認められない。この今回の法案は私は廃案にすべきだということを強く要求をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  171. 平野達男

    ○平野達男君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の平野達男でございます。  総理、サミットお疲れさまでございました。  武力事態武力攻撃事態、この状況になりますと、総理はいろんな役割、顔を持つことになります。内閣の長としての総理大臣、内閣府の長としての総理、それから安全保障会議の議長、さらには、武力攻撃事態になりまして基本方針が策定されますと対策本部が設立されます、その長。それから、言うまでもなく自衛隊の最高指揮官です。こういった役を全部こなさなくちゃならない、大変な役割だと思います。  また、武力攻撃事態というのは瞬間瞬間、刻一刻事態が動きますから、逡巡とか間違った判断があってはならない。判断する事柄も非常に重要です。防衛出動の下令、早過ぎれば余計に相手国を刺激することになる、後れれば手後れになってしまう。こういった、あるいは武力行使をいつ判断するか、こういった判断をやらなければならないと思います。  こういった総理の役割につきまして、平素から総理はどういう心構えでおるんでしょうかということを先般本会議質問しましたら、平素から心掛けて取り組みたいと思いますという昼あんどんみたいな答弁しか返ってきませんでした。  改めて総理にお伺いします。こういった非常事態における総理の在り方、緊急事態における総理の在り方、これを冒頭に改めてお伺いしたいと思います。
  172. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 総理大臣に就任して以来、毎日緊張感の連続でございますし、今、有事法案が審議しておりますが、私は毎日が有事だと思って日々生活をしております。緊張感と平常心併せ持って、いかなる事態にも対処していかなきゃならないのが総理大臣の務めだと思っております。
  173. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ、最近の経済財政諮問会議なんかを見ますと、会議は幾ら何回も何回もやる、しかし結論は出ない。間違ってもこういう状況は、武力攻撃事態、そういった状況の中ではあってはならないということだと思いますし、今回の法案の契機をして、法案、仮に成立するとすれば、これは成立させなきゃいけませんが、総理の資質、これまで以上にリーダーシップを発揮するということが求められてくるというふうに思います。  そこで、総理が単独で判断するわけではございません。例えば、基本方針が策定された後、対策本部が設立されます。この対策本部は調整機関というような位置付けになっております。総理がいろんなところで判断をするときに、その判断をする、サポートする仕組みが必要だと思います。安全保障会議では、今回、専門委員会を設けて、これは動くかどうか分かりませんが、一応、体制は作っている。しかし、今回の法案を見ますと、この武力攻撃事態法の中では、この局面局面の判断を総理がどのように判断するかというときのサポートシステム、これは必ずしも明確になっていないんではないかと思います。  このシステムをどのように作るか、この役割は私は官房長官の役割であって、防衛庁長官の役割だというふうに思いますが、改めて官房長官に、その考え方、取組の方針、こういったことをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  174. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 武力攻撃事態等の対策本部、これは対処基本方針が定められたときに閣議でもって決定して設置をいたします。対処基本方針に基づいて指定行政機関、地方公共団体及び指定公共機関が実施する対処措置に関する総合的な推進を行うものでございます。  対策本部は内閣総理大臣が対策本部長となって、そして他の全国務大臣が対策副本部長又は本部員というようになります。また、内閣総理大臣は指定行政機関等の職員を対策本部の職員に任命することができるということになっておりまして、軍事を含め事態対処に必要な専門的知見を有する者を職員として勤務させることができます。  そういうような体制によりまして、対策本部長である内閣総理大臣を適切に補佐することができるものであるというように考えておるところでございます。
  175. 平野達男

    ○平野達男君 是非そういった基本方針をしっかり定めて、総理大臣の判断が誤りのないような体制、これが重要だというふうに思います。  そこで、ちょっと話を変えますけれども、九九年に周辺事態法が作られました。二〇〇一年にはテロ特措法。私ども自由党はテロ特措法には反対をいたしました。なぜ反対をしたか。原理原則のない自衛隊の派遣というのは、これはおかしいじゃないかと。今まで事がある都度に自衛隊の対処方針を決めて、自衛隊を派遣したり派遣しなかったりやってきました。  先ほどの同僚議員の議論の中にもございましたけれども、イラク復興支援法、これは出るのか出ないか分かりません。どうも新聞等によると、自衛隊を派遣するということが検討されているらしいです。  どういう状況、どういう状況のときにどういう理念でもって自衛隊を派遣するか、これはそろそろしっかりとした基本理念、考え方、言わば自衛隊行動原則、こういったものを定める基本法、これが必要ではないかと思います。これが憲法と、今憲法をめぐっていろんな議論があります。憲法と各法をつなぐブリッジ役、その中間的な位置付けを、これをしっかり定める、これが必要じゃないかと思います。  総理は、これについては、国民議論を見守りたいというふうに先般本会議で言っておられます。しかし、これは国民議論を見守る話じゃないと思います。政治の決断で、政治がこのように考えるという案を作って国民に提示する、これが必要だと思いますけれども総理大臣、どのように思われますか。
  176. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今までも、自衛隊の海外派遣については、きちんと法律にのっとって派遣しているわけであります。原理原則がないという御批判は当たらないと思っております。  と同時に、今、議員御指摘の、憲法憲法の理念に合致する平和の定着のために自衛隊がどのように海外で活動すべきかという議論はまた別にあると思います。そういう点について、何か国際社会紛争が起こったときに、その都度国際社会の要請にこたえて日本自衛隊を出すべきか、あるいは出す必要がないかという議論をして、出す理由があったらその事案に対して活動できる法案を作ろうということよりも、平素から一つの基本理念の下に一定の法律を作った方がいいんじゃないかという御議論だと思いますが、それは私も十分理解できます。  国民議論を見守りながらというのは、何もしないということでもないと思います。国民議論をまた十分に見守りながら、かつては平和維持活動、戦闘行為が終わった後でも自衛隊を出すだけでも大反対、大デモが起こった時代があったんです、日本ででもです。それが今平和維持活動には自衛隊を送ってもいいじゃないかと、自衛隊活動を応援してもいいじゃないかという国民議論がなっていますから、こういう点については平素から安全、基本、基本、に対する基本理念を考えた方がいいじゃないかと。法整備も、一定の状況においてはいつでも平和活動のためには自衛隊の海外派遣も考えていいのではないかという御議論だと思いますが、その点については、国会での議論を踏まえ、国民的な議論を見守りながら、政府としては、必要とあらば、そういう時期も来ると判断すれば、そのときにまたやっぱり国会議論しなきゃならない問題だと思っております。
  177. 平野達男

    ○平野達男君 大変よく分かったような、分からないような答弁だったと思います。  十二年前の湾岸戦争のとき、国連は武力行使容認決議を出しました。あのとき、自衛隊を派遣するかどうかについて国民的な議論がございましたが、反対という声でした。  テロ特措法、九・一一テロ事件、これは米国の自衛権の発動でした。自衛権の発動に対して何で自衛隊が行くんですかと、これに対する明確な答えがないままテロ特措法が決まってしまった。これはなし崩し的な派遣じゃないかというふうに私ら思っています。  それから、今、総理もまだ今繰り返しやっぱり国民議論国民議論と言いましたけれども、この原理原則を確立するというのは正に政治の責任だと思います。これを国民議論に、同じことを言いますけれども、待つということではなくて、今こういうふうに今までの経験を積み重ねてきています。この経験の上に基本法をやっぱりしっかり作る、これが大事だということをもう一度申し上げておきたいと思います。  さらに、もう一つ言えば、集団的自衛権あるけれども、これ行使しない、武力行使と一体となるような行動はしないんだと言っていますが、これをねじ曲げてねじ曲げて解釈して、後方地域なるものを設定して、そこで輸送をやっているのが今の法体系です。これは私は、いろんな議論がございますけれども、かなり無理をしている。兵たんを武力行使と一体としないなんていう、こんな話が世界のどこの常識に通じるんでしょうか。こういったことも放置しておけないと思います。本当に今、日本が何をするか、あるべき姿をどう持っていくか、これをやはり政治の主導でしっかり構築して、その考え方を示す時期に来ているということも併せて申し上げておきたいと思います。  それから、次の質問に移りますが、今回の法律は、これはプログラム法という性格もあります。国民保護法制始め、これはこれから官房長官が中心となっていろいろ整備を進めるということになっております。しかし、この議論の中で、今回の委員会の中の議論の中で、この法制以外にもいろいろな整備をしなければならないようなことが出てきたというふうに思っております。  その一つが自衛隊行動規則、ROEという、これは石破長官からのお話にございました。これは、今鋭意やっているというお話でございましたけれども、私は正直言って、これは私の勉強不足もあったかもしれませんが、こういうことがまだ決まっていなかったというのはちょっと意外でした。自衛隊を派遣してどういう考え方で行動するか、それが決まっていない、こういう形で自衛隊が動けるんだろうかということであります。  特に自衛隊が想定しなくちゃならないのは、これはどこかの砂漠地帯に行って戦闘行為するのと違います。国内の中で、これは大変つらいことですけれども、場合によったらその中に逃げ遅れた国民もいるかもしれない、そういうことを想定して自衛隊はいろいろ考えなければならない。そういった中で、本当に自衛隊がどういうふうに行動するか、これをやっぱりしっかり構築しなければならないと思いますし、総理大臣は、内閣総理大臣であると同時に、先ほど言いましたように、自衛隊の最高指揮官であります。  こういったことの整備の必要性、これは石破長官は熱っぽく、これは必ずやりますということで、しっかりやりますということを答えられておりましたけれども、最高指揮官たる総理大臣、その整備の必要性についての考え方をここでお聞かせ願いたいと思います。
  178. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ROEの件は先生から御提起をいただきました。今後、私どもも鋭意進めてまいりたいと思います。  それは、委員質問の中でもかつておっしゃいましたように、それぞれの判断は確かに現場現場で行うものでございます。しかし、それは最高指揮官たる内閣総理大臣を頂点といたします一体の指揮命令系統の中で行うものでありまして、個人の判断というふうに評価をされるものではございません。総理を頂点といたします一体の指揮命令系統の中で行う。ですから、そこでだれが何を行うかということをきちんとするためにルール・オブ・エンゲージメントが必要なのだということでございます。  これを一刻も早く整備すべく、更に作業に拍車を掛けてまいりたい、かように思っております。
  179. 平野達男

    ○平野達男君 それと併せまして、これは対策本部の役割になるかどうか分かりません。こういった有事になりますと、すべてが対策本部で決定してものが下されるわけでは、決定してものが動くわけではない。特に、現場現場の判断がどうしても優先されると思います。  先ほどのROEは自衛隊行動規則ということで、自衛隊がどのように動くかということなんですが、という規則だったと思うんですが、併せて、内閣なり対策本部が、どこからどこまでは対策本部、あるいは内閣で決定をしますと、どこからどこまではどういう方々にこれだけの権限を預けます、責任分担をします、こういった言わば内閣案あるいは対策本部の行動規則といったものの整備が、私もやはり併せて必要じゃないかと思うんですが。  これは総理にお聞きしたいんですが、官房長官でも結構でございますので、どうぞよろしくお願いします。総理、よろしくお願いします。時間がないのでよろしくお願いします。有事のときにこんなことでやり合いなんかしてたら駄目ですよ。しっかり答えてくださいよ。
  180. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ごめんなさい。ちょっと私ほかのことを考えておりましたので、質問の趣旨が分からなかったので、それで今聞いておったのでございます。そういうこともありますよ、はい。  この有事の場合において、内閣における行動基準、これ、行動基準ということですね。これは先般来、ずっと答弁もさせていただいておりますけれども、具体的にどういうふうにするか、これはいろいろな場面が想定できるわけでございます。そういうことについては、今後十分に検討させていただきたいと思っております。
  181. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 答弁者に申し上げます。  時間がございませんので、的確に答弁願います。
  182. 平野達男

    ○平野達男君 これは通告として総理お願いしていましたので、官房長官もちょっとびっくりされたかもしれませんが、是非、この面の整備も必要だと思いますので、しっかりとした整備をお願いしたいというふうに思います。  実は私、今週の日曜日、岩手県の陸上自衛隊駐屯地、これは滝沢というところにあるんですが、その四十六周年の記念式典に行ってまいりました。日ごろの演習ということでデモンストレーションをちょっと見させていただきまして、整然とやっている姿に私なりに感銘を受けました。  ただ、同時にふっと思いましたのは、先ほど言いましたように、有事のときに、武力攻撃事態のときに自衛隊はどういう状況行動するんだろうかといったときに、そこには家があって、そこにあるいは逃げ遅れた人がいて、大変非常に厳しい状況の中で行動しなくちゃならない。その一方で、訓練は、岩手県の場合は岩手山ろくでございまして、何もない原野でやっております。訓練だからこれはしようがないことなんですが、そういった状況の中で本当に有効に対応ができるんだろうかというわずかながらな不安を持ちました。  しかし、かといって、民家のあるところで訓練をしろということ、こんなことはできません。恐らくこれを、この懸念を少しでも払拭するためには、やはり自衛隊と地方公共団体との日ごろからの意思疎通、交流ということが必要かと思うんですが、防衛庁長官にその辺の対応について、簡単でいいですから、結構でございますので。
  183. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おっしゃるとおりでございます。自衛隊と地方公共団体のみならず、警察や海上保安庁や、あるいは国土交通省や有事のときに関連するいろんな団体が、有事になって初めて議論するとかそんなことではいけませんので、日ごろからの連携が必要であります。  是非、岩手県におきましても今後ともよろしくお願いを申し上げます。
  184. 平野達男

    ○平野達男君 岩手県民もきっちり聞いたと思います。  そこで、翻って今回の法制を考えますと、先ほど私が言いましたように、この武力攻撃事態というのは大変もう想像もしたくないような事態を想定してやっぱり作っているんだろうと思います。これは、前原議員がもういみじくも、しかもしっかりと言われましたように、法律は作っても作動しないような状況を作らなくちゃならない、全くそのとおりだと思います。  総理は、備えあれば憂いなしというふうにおっしゃいましたけれども、本当の備えというのは正に平時からで、しかもそれは外交あるいは平和協力、そういったことが本当の備えだと思いますし、備えを、その備えをしっかりすることが本当の憂いなしという状況につながるんではないかというふうに思います。ここに併せて、私どもこの法案の成立を契機に、もう一度やはり平和外交が大事なんだよ、これこそ最大の責務だよということを確認しなければならないと思います。  さらに、そうはいっても、やはり非常事態備えたいろんな体制整備、法律整備、これは必要であります。それをやるのは政府・与党の責任であります。いずれ政権交代が起きると思います。起こさなければなりません。そのときに、我々が内閣に行ったときに、前の与党・政府が必要なものこれだけしかやっていないじゃないかということがないようにしっかりとした整備をするようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  185. 田英夫

    田英夫君 私が最後質問者のようでありますから、この法案と基本である憲法とのかかわりについて考えてみたいと思います。  憲法は、言うまでもなく第九条に、日本戦争はしないと、軍隊を持たないということを明確に規定をしている。そして、その憲法前文の中に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と、こう書いてあります。これが言わば第九条の基になる日本の姿勢の基本であると思います。つまり、世界の国々を信頼して戦争はしないし軍隊も持たないんだと、こういう決意をしたわけです。  ところが、今回の法案は、ずばり言って戦争状態になったときに、あるいは予測されるときにどうするかという話です。戦争をしない国がこういう法律を持つ必要があるのかどうか。  総理は、五月二十日の同僚議員の質問に対して、外国の侵略あるいは危険な勢力が日本国民に侵害しようとするときには断固たる決意を持って抵抗するぞ、戦うぞという決意を形にしたものが自衛隊だと私は思っていますと言われている。これ、憲法と矛盾しませんか。
  186. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは戦後何回も議論されてきたことでありますが、自衛権を日本憲法は否定していないと思います。今でも自衛隊憲法違反だと言っている方があるのは承知しております。しかし、それはもう決着が付いているのではないか。そういう意見はありますが、自衛隊憲法違反ではないというのが大方の国民理解だと思っております。  でありますから、日本としては、日本が侵略を受けた場合、侵害を受けた場合には、戦う決意を持っているんだと、それを形に表したのが自衛隊であると。日本を侵略しようとする勢力に対して、日本は無抵抗で白旗を掲げて、はい降参します、どうぞ人権でも財産でもどうぞ侵害してくださいというわけにはいかぬと。侵略する勢力に対しては日本は激しく抵抗する、そういう決意を持っている、その存在が自衛隊であると。だからこそ、侵略する勢力に対しては、日本を侵略する場合には多大の犠牲を覚悟しなきゃならない、日本だけでは不十分だからアメリカと安保条約を結んで、日本アメリカとともにそういう侵略勢力に対しては断固として戦う、そういう存在が自衛隊であるということを申したわけでありまして、私は今の日本憲法自衛隊を否定するとは思っておりません。合憲だと思っております。
  187. 田英夫

    田英夫君 ところが、総理は同じ日の同じ方に対する答弁の中で、私は、自衛隊というのが将来やはり我が国の平和と独立を守る軍隊であるということが正々堂々と言えるように、将来はやはり憲法を改正するというのが望ましいという気持ちを持っておりますということを言っておられる。  私も、長いこと国会におりますけれども、歴代の総理大臣憲法改正をこれほどはっきり言われた方を私は記憶していない。本当に今言われたことと、このこととどっちが本音かというふうに思いたいのですが。  同時に、先ほど阿部さんが配ってくださった「自衛官の心がまえ」というのを私も初めて拝読しました。この中に憲法ということは一言も書いていない。これは私には驚きであります。  同時に、総理は、やはり同じ日の答弁の中でこういうことを言っておられるんですね。つまり、ああいう憲法ができて、そして戦争をしないということを決めた、そして自衛隊というものにいろいろ批判があるということの中で、特攻隊というような、若き青年たちに非情な要求をしてあのような貴重な命を散らした、これはやはり軍隊を持ったからだという、軍隊に対する反感が他の国よりも非常に強いんだ、こういうことも言っておられる。  正にその特攻隊の体験をした私からすれば、その貴重な体験、あるいは広島、長崎、各地の大空襲で亡くなった人、方々のその無念の思い、尊い犠牲というもの、その結果が、先ほど申し上げた外国諸国民のことを信頼して、日本はもう戦争しない、軍隊も持たない、そういう決意をしたんですね。その重さをもっと考えていただきたい。  だんだん戦争体験者が少なくなってきた。そういう中でもうそろそろ憲法改正していいじゃないかというような気持ちが総理を始め皆さんの中にあるとすれば、私は死ぬわけにいかない。いつまでも生きていかなくちゃいけませんよ。この戦争体験者の、そしてまた戦争犠牲者の貴重な体験というものをもっと大事にしていただきたい。いかがですか。
  188. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 憲法についての議論は、今までも様々なされておりましたし、現在、国会でも憲法調査会で議論をされております。自由民主党も結党以来、自主憲法制定というのを党是にしております。  自衛隊がなく、いかなる戦力も保持しない、非武装だから平和が守れるんだ、独立が守れるんだという考え方もあるのは承知しております。しかし、そういう考え方には私は同調できません。諸国民の公正と信義に信頼して、日本は武力を持たない、自衛隊を持たない、いざ侵略勢力があったら何も戦わないで降参しますということが相手への侵略を防げるかとは思っておりません。  諸国民の公正と信義、その公正と信義のない国もあるのも過去の歴史が証明しております。つい最近、イラクもクウェートを侵略しましたね。あるいは様々な国々はこの歴史の中で何回も侵略を繰り返し、戦争紛争を繰り返しております。だから、日本だけが戦力を持たない、自衛隊を持たない、軍隊を持たなければ相手も安心して何もしないというのは余りにも危険ではないでしょうか。  私は、実験が利かないんです、これ。一度侵略されちゃったら、後どうもできない。かつてのソ連の後の圧制に苦しんだ国々がどれだけあったか。ソ連が今ロシアに変わって民主主義みたいな政界、政体に変わろうとしているのは私も歓迎しておりますが、一たび全体主義、独裁主義に羽交い締めされた国がどれほど自由を失ってきたか。  こういうことを見ると、私は単なる奴隷の平和じゃなくて、平和であったらやっぱり自由に基本的人権を謳歌しながら日本の平和と独立を維持しなきゃならない。戦争は嫌だ、侵略された方がいい。確かに戦争をしなければ侵略されて、その国の独裁に任せれば戦争は起こらないかもしれません。それだったらもう奴隷の平和です。私は奴隷の平和は選ばない。やはり平素から日本の平和と独立を侵そうとする勢力に対しては断固たる決意を持って抵抗するという、その備えがあって初めて戦争は防げるんじゃないでしょうか。
  189. 田英夫

    田英夫君 全くあの戦争犠牲者たちの願いが分かっていない、その尊さが分かっていないと思いますよ。  確かに、残念ながら人間は戦争を本能のようにしてきた。人間の歴史は戦争の歴史ですよ。しかし、ここで違うと、核兵器というものが、原子爆弾というものができた以上、もう戦争に対する考え方を変えなければならないというのが幣原さんの考え方だったということもこの前申し上げました。ここで変えなかったら、特に日本世界の先頭に、人類の先頭に立って変えなければならないという決意をしたんですよ。そのことをもっともっと皆さん大事にしていただきたいということを重ねて申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  190. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 総理大臣、御退席くださって結構でございます。     ─────────────
  191. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 委員異動について御報告いたします。  本日、田村耕太郎君が委員辞任され、その補欠として大仁田厚君が選任されました。     ─────────────
  192. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) お諮りいたします。  安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、以上をもって質疑を終局することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  193. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 多数と認めます。よって、三案の質疑は終局することに決定いたしました。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  194. 小泉親司

    小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、武力攻撃事態法等有事法案に対し反対の討論を行います。  まず指摘したいことは、審議が極めて不十分であるということであります。  私たちは、この法案が二十一世紀の日本にとって極めて重大であることから、中央公聴会の開催を含めて徹底審議を要求をしてまいりました。しかも、政府が、法案の中心的問題である対米支援の内容、地方公共団体や指定公共機関の協力の内容、こうした問題を解明した下で、未解明な問題がいまだ山積しております。こういう状況にもかかわらず、与党三党と民主党などが審議を打ち切り、採決を強行することは、国会の責任を放棄する暴挙と言わなければなりません。  政府はこの法案日本有事備えるためのものだと言ってきましたが、実際には、米軍とともに攻める備えのための法案であることは明らかであります。米軍が海外で先制攻撃の戦争を引き起こした際に、対米支援に当たっている自衛隊が武力攻撃されれば武力を行使する、これが法案の本質であります。  当委員会で、我が党の質疑でも、戦闘地域には行かない、武力行使はしないという周辺事態法の制約を取り払って、米軍の武力行使と一体となって、自衛隊が海外での武力行使を、武力を行使することに道を開くことが明らかとなりました。  さらに、地方自治体や指定公共機関に、アメリカ戦争への協力を強制することが明らかとなりました。我が党の追及に、政府は、今後検討される対米支援法制の中で協力の強制が含まれることを認めました。日本に対する武力攻撃が発生していない段階でも、武力攻撃予測事態政府が認定すれば、地方自治体や指定公共機関を戦争協力に強制的に動員する仕組みとなっていることは今や明白であります。  基本的人権の問題でも、与党と民主党の修正条項が最大限に尊重するとうたってみても、集会、デモなどの基本的人権は制約されるとの政府答弁を変更させるものではありません。しかも、対米支援の内容もどうなるか分からない、地方公共団体や指定公共機関の支援内容も示さないというのでは何の保証にもならないのであります。  政府国民に協力を強制する相手となる米軍は、イラクでの戦争でも明らかなように、国際法違反の無法な先制攻撃の戦争国家戦略の基本としております。しかも、この先制攻撃戦略の矛先はアジア諸国にも向けられているのであります。こんな無法な戦争国民を協力させるために強制動員するなど、絶対に認めるわけにはいかないのであります。  日本は、戦後、憲法九条の下で戦争をしない平和国家の道を歩んできました。しかし、この有事法案は、この憲法九条をじゅうりんし、戦争備える国、戦争をする国に変えるものであります。厳しく非難されるのは当然であります。今アジア諸国で、日本が過去の侵略戦争の歴史を再び繰り返すのではないかという憂慮の声が広がっているのも当然であります。  我が党は、有事法案の発動を許さず、今後検討するとされている米軍支援法制などの成立を許さないために、断固として戦い抜く決意を表明し、反対の討論を終わります。
  195. 池口修次

    ○池口修次君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案等三法案につきまして、賛成の立場から討論を行います。  民主党は、政府より提出された当初の法案では、基本的人権に係る規定があいまいであること、対処基本方針に係る民主的統制が不十分であること、国民保護法制の整備がなされていないことなど、幾つかの不備な点があることを明確にし、衆議院の審議において、その対案として緊急事態における基本法案武力攻撃事態対処法案への修正案を提出しました。  その上で、我が国安全保障の根幹にかかわる極めて重要な法案に対して、与野党が一致して対処すべきことが望ましいとの判断から、与党との修正協議に臨み、基本的人権の尊重、国会の議決に対する対処措置の終了、国民への情報提供、国民保護法制整備までの間、一部措置の施行凍結、事態認定の前提となった事実の明記等、民主党の主張を大幅に反映する修正をすることができました。  この点につきましては、参考人質疑におきましても、参考人の方々より高い評価をいただいたところであります。  また、本委員会での審議においては、良識の府である参議院としての国民の立場に立ち、より適切で効果的な法律内容とすべく、誠実にかつ真摯に取り組んでまいりました。その結果、衆議院の審議で懸案となっていた指定公共機関の指定における日本赤十字社や民間放送事業者の扱い等で一定の前進も見られました。  民主党は結党以来、緊急事態に際する対処に当たって、民主的統制と基本的人権を確保しつつ、国民の生命、身体、財産を保護するためにも、緊急事態法制の整備が必要であるとしてきました。その観点からも、今回、与野党が垣根を越えて安全保障政策の議論を進め、我が国の安全を守るための法整備を大きく前進させたことは、国民に約束された政治の責務を果たすことができたと考えております。  最後に、今後、政府・与党においては、与野党合意に基づき、速やかに危機管理庁を含む組織の在り方を検討すること、緊急事態基本法の検討とその結果に基づき、速やかに必要な措置を取ること、基本的人権の明記は国民保護法制で措置すること等を実現する重大な責務があるとともに、我々民主党には、その主張を実現するために全力で取り組んでいく責務があることを確認して、私の賛成討論を終わります。
  196. 田英夫

    田英夫君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、武力攻撃事態法案自衛隊法改正案、安全保障会議設置法改正案の三法案、与党三党及び民主党による修正案に対し、反対の立場から討論を行います。  日本は悲惨な戦争を体験しました。多くの戦争犠牲者の死を無駄にしないためにも、誤りは二度と繰り返さないとの決意を固め、二度と再び戦争をしないこと、軍隊を持たないことを憲法で定めました。これまで有事法制を持たなかったのは、武力による対応という選択肢を自ら封じた証明であったと思います。今回の有事法制は、この日本の平和国家、不戦の国との決意に背くものであり、絶対に反対であります。  この有事法制を持つことは、近隣諸国に日本の過去の誤りを想起させ、いたずらに緊張を激化させるばかりでなく、現実にはアメリカの軍事行動に追随し、これを支援することにつながります。また、有事法制は、自衛隊行動のために国民生活を規制し、国民戦争協力を義務付け、基本的人権を制限し、地方自治体の主体性を奪うものであり、日本国憲法の基本理念を突き崩すものであり、許せません。  今こそ、日本は改めて過去の誤りを反省し、また、広島、長崎の悲惨な被爆体験を想起し、平和憲法の理念である平和主義、民主主義を守り抜くべきであることを訴えて、反対討論を終わります。
  197. 平野達男

    ○平野達男君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の平野達男でございます。  私は、三法案に賛成の立場から討論を行います。  国民の生命、財産、自由、人権、文化を守り、国民生活を発展させることは国家最大の責務であります。特に、国民生活を根底から覆すような武力攻撃、テロ、自然災害などの非常事態が生じた際には、政府はすべてに優先して迅速かつ的確に対応し、国民の生命、財産等を守らなければなりません。このため、非常事態への対処のための法的枠組みと、国、地方公共団体、地域が相互に連携し、しっかりとした態勢の整備を図ることが必要であります。  本三法案は、専ら対象を武力攻撃事態に限定し、他の非常事態への対処法や国民保護法などが先送りされたこと、さらには、自由党が強く主張する自衛隊行動原理を明確化した安全保障法といった基本法の整備についても先送りされたことなど、十分というにはまだまだ距離がある法案となっています。  しかしながら、本法案は、当初の政府案に対し、民主党が与党側と粘り強く協議した結果、緊急事態に係る基本法案の早急な検討、国民保護法制の一年以内の整備、国会の議決に係る事態対処措置の終了手続追加など、評価すべき修正がなされた法案であり、国家の緊急事態対処法や、あるべき態勢整備の第一歩として賛成するものであります。  今後、プログラム法でもある本法案に基づき、必要な検討、整備が確実に実施されるとともに、これ以外にも自衛隊が地域住民の安全を確保しつつ迅速な行動ができるような行動の基準作りを始め、武力攻撃事態の対処に必要不可欠な態勢整備を早急に行うよう強く要望するものであります。  なお、あわせて、我が国安全保障のために、個別的であれ、集団的であれ、自衛権は極力抑制的に行使する、日米安保体制を堅持し、その信頼性を高める、国連の平和維持活動には積極的に参加するとの三原則を明示した安全保障の原則を確立し、これに基づく自衛隊行動原則を明確にすること、また武力攻撃、テロ、自然災害等のあらゆる非常事態に対応する原則と制度の早急な確立を強く求めるものであります。  最後に、本法案が発動することがない状況を将来にわたって作り続けることに平素から最大限の努力をすることこそが最大の備えであると申し上げ、私の賛成討論といたします。
  198. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  199. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  200. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  201. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、川橋君から発言を求められておりますので、これを許します。川橋幸子君。
  202. 川橋幸子

    川橋幸子君 私は、ただいま可決されました安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、国家のあらゆる緊急事態に対処するための態勢を整備することは極めて重要である。そのため、武力攻撃事態対処法に基づく事態対処法制の整備を早急に進める必要がある。一方で、これらの法制は、国民の自由と権利とも大きく関係を有していることから、その整備や運用に当たっては、国民の基本的人権を最大限尊重することが必要である。   こうしたことを踏まえ、政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。  一、当委員会としては、標記の三法案の審議を踏まえ、今後の事態対処法制の整備に当たり、次の諸点が特に重要であると確認した。政府はこれらに誠実に対応すること。   1 国民の保護のための法制の整備に当たっては、同法制が国民の権利及び義務とも深い関係を有することにかんがみ、すべての国務大臣内閣総理大臣を除く。)で構成する国民保護法制整備本部を活用し、地方公共団体や関係する民間機関を始めとして広く国民の意見を求めること。   2 日本赤十字社に関しては、日本赤十字社が赤十字に関する諸条約等の諸原則にのっとって活動するものであることにかんがみ、その自主性、公平性及び中立性を十分尊重して対処措置の内容を規定すること。   3 放送事業者に関する指定公共機関の規定の整備に当たっては、放送の内容を警報、武力攻撃事態等の状況、避難の指示の内容等最小限にとどめ、かつ、放送の方法等放送機関の編集に影響を及ぼすことのないよう留意し、いやしくも表現・言論の自由を侵すことのないようにすること。   4 国民の保護のための法制の整備については、武力攻撃事態における国民の生命、身体及び財産の保護が極めて重要であることから、武力攻撃事態対処法の施行の日から一年以内を目標として実施すること。  二、政府は、標記の三法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すこと。   1 武力攻撃事態その他の緊急事態にあっては、国会及び国民に対し、正確かつ十分な情報の提供に努めること。   2 我が国及び国民の平和と安全に現実の脅威となっているテロ・不審船等の新たな脅威に対処できる態勢の整備を強力に推進し、国家の緊急事態への対処に万全を期すこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上です。
  203. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) ただいま川橋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  204. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 多数と認めます。よって、川橋君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、福田内閣官房長官及び石破防衛庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。福田内閣官房長官
  205. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま御決議のありましたいわゆる武力攻撃事態対処関連三法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたし、努力してまいります。
  206. 山崎正昭

  207. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ただいま御決議のありましたいわゆる武力攻撃事態対処関連三法案に対する附帯決議につきましては、防衛庁といたしましても、その趣旨を十分尊重いたし、努力してまいります。
  208. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十一分散会