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2003-05-22 第156回国会 参議院 武力攻撃事態への対処に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年五月二十二日(木曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任      久世 公堯君     荒井 正吾君      直嶋 正行君     岡崎トミ子君  五月二十一日     辞任         補欠選任      小林  元君     広中和歌子君  ツルネン マルテイ君     若林 秀樹君      筆坂 秀世君     岩佐 恵美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山崎 正昭君     理 事                 阿部 正俊君                 国井 正幸君                 中川 義雄君                 山本 一太君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君                 山口那津男君                 小泉 親司君                 平野 達男君     委 員                 愛知 治郎君                 荒井 正吾君                 泉  信也君                 加治屋義人君                 木村  仁君                 北岡 秀二君                 近藤  剛君                 椎名 一保君                 田村耕太郎君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 月原 茂皓君                 福島啓史郎君                 舛添 要一君                 松山 政司君                 山下 善彦君                 吉田 博美君                 池口 修次君                 岩本  司君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君                 広中和歌子君                 松井 孝治君                 若林 秀樹君                 遠山 清彦君                 山本 香苗君                 山本  保君                 池田 幹幸君                 岩佐 恵美君                 吉岡 吉典君                 田名部匡省君                 田村 秀昭君                 田  英夫君    衆議院議員        修正案提出者   久間 章生君        修正案提出者   中谷  元君        修正案提出者   前原 誠司君        修正案提出者   渡辺  周君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        防衛庁長官   赤城 徳彦君        外務大臣    矢野 哲朗君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        佐藤 昭郎君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        警察庁長官官房        審議官      矢代 隆義君        警察庁警備局長  奥村萬壽雄君        防衛庁長官官房        長        山中 昭栄君        防衛庁防衛局長  守屋 武昌君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        消防庁長官    石井 隆一君        外務大臣官房審        議官       小田部陽一君        外務大臣官房参        事官       長嶺 安政君        国土交通省政策        統括官      鷲頭  誠君        海上保安庁長官  深谷 憲一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○安全保障会議設置法の一部を改正する法律案(  第百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会  衆議院送付) ○武力攻撃事態における我が国の平和と独立並び  に国及び国民の安全の確保に関する法律案(第  百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会衆  議院送付) ○自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法  律の一部を改正する法律案(第百五十四回国会  内閣提出、第百五十六回国会衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件     ─────────────
  2. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) ただいまから武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  去る二十日、直嶋正行君及び久世公堯君委員辞任され、その補欠として岡崎トミ子君及び荒井正吾君が選任されました。  また、昨日、ツルネンマルテイ君、小林元君及び筆坂秀世君が委員辞任され、その補欠として若林秀樹君、広中和歌子君及び岩佐恵美君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 若林秀樹

    若林秀樹君 おはようございます。民主党・新緑風会の若林でございます。  本法案質疑に入る前に一点だけ、昨日から今日に流れた、北朝鮮ミサイル部品に関してちょっとお伺いしたいと思います。  今日から小泉総理が訪米されるということで、その一つ議題はやはり北朝鮮への対応をどうするかということがあろうかというふうに思います。この米上院公聴会での発言でありますが、北朝鮮ミサイル部品の九〇%が日本から運ばれてきたという事実に対しまして、私も非常に愕然としました。ある程度は予想はしていましたけれども、まさか九〇%までその部品が流れているというふうに思いませんでした。  私は、やはり武器輸出原則というのはあるわけですが、武器という形での規制というのは余り意味がなくなってきつつある、やはりキーとなる部品、それをどうやって手に入れるかというのが非常にやっぱりクルーシャルじゃないかなという感じはしているわけでございますが、官房長官は、厳しい規制をしているから大丈夫だというようなお話も昨日の記者会見でされたわけでありますけれども、私は、やはりその外為法による資金の規制というのも大事ですが、お金があって物が入るかどうか、買えるかどうかが非常にやっぱり重要ではないかなと。  どこの国もゼロからすべて武器を作るということは今はほとんどあり得ない状況では、我が国が非常に、部品に対する非常に先鋭的な技術を持っているということに対してやっぱり思いを致し、やっぱりこの規制に対して昨年からキャッチオール規制等をやっているみたいですけれども、更に私はその部分においての対策が必要ではないかなというふうに思いますので、官房長官にその辺の認識と、これからどういう対応を取ることを考えておられるのか、あるいは万景峰入港規制等考えているのか、その辺についての現状の考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
  5. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 報道でもって、米国で北朝鮮の元技師という人がいろいろ言っているという、そういうことは承知をいたしております。しかしながら、その証言している中身が本当なのかどうかということについては、これは確認しているわけではございません。  そういうことを前提としてお話しするわけでございますけれども我が国として、大量破壊兵器等の開発に用いられるおそれのある物品の北朝鮮向け輸出につきましては、現在キャッチオール規制というものを導入いたしておりまして、そういう制度的な昔と違う対応をしておるということでございます。それから、それに加えまして、税関とかそれから取締り当局が連携いたしまして厳しい監視取締りを行っております。  また、今朝も、失礼しました、今もお話ありました万景峰号を含めまして日本に寄港する北朝鮮船籍船舶に対しまして、これは北朝鮮船籍船舶、数相当あるんです、一千隻以上、年間という、大小を含めまして、ということでございますけれども、これに対しましては、税関とか入管、それから海上保安庁、また警察などの関係当局が連携をして厳正な監視取締りをまた実行いたしております。  そういうようなことで、情報というものも大変大事なものでございますけれども、その情報収集ということにもこれは力を入れながら、その不法な違法行為が起こらないように、また違法行為があれば摘発をしようという、そういうことで、これは委員が今、完全にというような感じの私が申したというふうに今おっしゃいましたけれども、完全になるべく努力をしていると、こういうことでございます。  今後もそういうような体制で取り組んでまいりたいと思っております。
  6. 若林秀樹

    若林秀樹君 ありがとうございました。  転用可能な民生部品規制するというのは、やっぱりかなりこれは難しいことであるというのはもちろん承知の上でございますので、日本だけじゃなくて、各国との協調体制等が私はやっぱり必要ではないかなというふうに思っているところでございます。  いよいよ本題に入りたいというふうに思っております。  衆議院では、民主党賛成によって八割ぐらいの国会議員賛成し、通過したということでございます。そういう立場で、基本的にはもちろん賛成立場ではありますけれども参議院参議院二院制としての独立性意義がありますので、不備なところ、あるいはあいまいなところについては厳しくまた質問させていただきたいと思いますし、是非とも緊張感を持って対応していただきたいというふうに思っているところでございます。  先週来、私の事務所にもファクス、メール、あるいは電話、郵便物、様々な人からこの有事法制に反対してほしいという陳情が来ております。ちょっと見ると組織的にされているなという感じもありますけれども、私は、確かに八割の賛成は得たとはいえども、まだ国民とのギャップはそれはそれなりにあるんではないかなというふうに思っております。  そういう意味では、そのギャップを埋めるのがこの場ではないかなというふうに思いますが、まず、なぜまだ多くの国民武力攻撃事態というともう、すぐ有事法制戦争だというふうにイメージを直結させるのか、あるいはアメリカ戦略における巻き込まれ論等についてまだされるのかということに対して、率直な今の御感想、認識について、まず官房長官からお伺いしたいと思います。
  7. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) この有事関連法案は、これはあくまでも我が国に対する武力攻撃あったときに、そういうような事態において国と国民の安全を確保するためと、こういう趣旨のものでございまして、そういうときに国全体として的確に対応できるような枠組みと申しますか態勢を構築しようと、こういう趣旨でございます。  この有事法制というのは、また武力攻撃事態対処なんといいますと、名前がいかにも武力攻撃中心とした、また日本が積極的に仕掛けるような、そういうふうな感じがするんでありますけれども、そういうことではない。あくまでも、相手国から武力攻撃を受けたときといったときにどういう対応を取って、そして最終的に国民の安全を確保し、そして国家国民のために奉仕するかという、そういうような国としての枠組みを作るわけでございまして、そのことは、今までそういうことについていろいろ考えはあったけれども、それに手を付けていなかったという、そういう私は個人的に申し上げれば政治の怠慢もあったのではないかというように思っておるところでございますので、是非御理解をいただき、御協力をいただきたいと思います。そして、一日も早く成立することを願っているところでございます。  また、防衛庁長官もいろいろ御意見をお持ちでございますから、お尋ねください。
  8. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今、官房長官から御答弁あったとおりだと思います。  私もそのことは去年、随分考えてみました。私も去年、衆議院有事法制委員でございました。  どうしてこういうことになるのかということを考えてみたときに、今までPKO法というのがあった、周辺事態法というのがあった、テロ特措法というのがあった。どれにしても、自衛隊が海外において、憲法に許された範囲において、もちろん自衛権行使ではないけれども、外国において自衛隊が活動しますよと、こういう法案でした。ところが、今度の法案というのはそうではないのだと。武力攻撃予測事態にしても、武力攻撃事態にしても、まさしく我が国にということで、今までとは違うものがあるのだろう、そこは私は国民皆様方に御不安というか御懸念というか、そういうものが出る最大の理由なのだろうというふうに去年、自分自分なりに結論付けたことでございます。  そして、巻き込まれ論というのがあって、この話は実は安保のときもあった話で、安全保障条約を結んだとき、そして改定したとき、そのときも巻き込まれる、巻き込まれるというお話がありました。やっぱり懸念は共通したものなのだと思っています。  でも、安保条約があって本当に巻き込まれたかというと、それは違う。安全保障条約があって、自衛隊があって日本の平和と独立は守られてきたということはありますので、そこのところはもう一度きちんと御説明する必要はございますし、今官房長官から御答弁ありましたように、国民保護法制というものをきちんとするんだということ、どうやって国民が安全に避難をするのかということを一日も早く明確にいたしまして、国民皆様方に御理解をいただく、まさしく備えあれば憂いなしということがきちんとした形で国民皆様方に提示されるということが肝要だというふうに思っておる次第でございます。
  9. 若林秀樹

    若林秀樹君 ありがとうございました。  今のお言葉の中でちょっと触れさせていただきたいとすれば、やっぱり政治の怠慢というお言葉がありましたけれども、私はそういうこともあったんではないか。やっぱり二度と戦争を起こしたくはないという気持ち、それ自体私はやっぱり尊重したいと思いますし、私も戦後生まれですから、そういう気持ちに対して自分の心の中で風化させないようにやっぱり努力したいなというふうに思っていますし、我々もやっぱりそういう気持ちにあえてさせてきたんではないかという、そういう責任もあるんじゃないかと、そういうことをこれからの中でほぐしていくことが必要ではないかなというふうに思っております。  その上で、簡単にちょっとお伺いしたいと思いますが、今回の武力攻撃事態法の、法は憲法のどこの部分に依拠しているのか、そのお考えについてまず官房長官からお伺いしたいと思います。
  10. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 確かに、我が国憲法の中に、有事に対して備える必要あるとかいったような、そういうような具体的な記述はございません。そういう規定はございません。しかしながら、平和主義の理想を掲げます日本国憲法でありますけれども、それは、といって我が国独立国であるという以上、その主権国家としての固有の自衛権を否定しているものではありません。独立国家として、自衛権というものは、これは内在する根本的な課題だというふうに思っております。  そういうことでございますので、こういう憲法の下でもって外部からの一たび武力攻撃事態があった場合に的確に対応できる態勢を構築するということを目的とした法体系を整備するということは、これは憲法の特定の条項を根拠に行うものではございませんが、しかし必要欠くべからざることであるというふうに思っております。  また、今後、事態対処法の整備及び武力攻撃事態等への対処についても、これはもうすべて憲法範囲内で行うということが、これが基本でございます。
  11. 若林秀樹

    若林秀樹君 ありがとうございました。  私も、憲法の条文見てみますと、やはり非常事態なり有事ということを想定した憲法に私はなっていないんだろうというふうに思います。そういう意味では、民主党がそれを補う意味で、やっぱり基本法が必要ではないかという観点から修正をさせて、お話をさせていただいたということで、もう既にその意義については十分お分かりだというふうに、思いませんのであえて聞きませんけれども、いち早い、真摯に検討し速やかな必要な措置を取っていただければ有り難いなというふうに思っているところでございます。  次に、武力攻撃事態法案実効性確保に向けての整理すべき課題として三点お伺いしたいなと思います。これは直接法案には関係ないにもかかわらず、私はこれが一番重要ではないかなということが三点あります。  一つは、やはり集団的自衛権をどう整理していくのか、そしてそれに基づく日米安保日米同盟意義をどうやってやっぱり再確認していくのか、そして最終的には集団的、国連中心主義我が国安全保障との関係をどう整理していくのか、この三つというのは実は余り触れられていないんですけれども、私はそこをきっちりやらないとこの法案実効性自体が問われるんではないかという感じはしているところでございます。  客観的な事実として申し上げたいんですけれども、本当に今の憲法解釈として集団的自衛権解釈世界において主流なのかどうかということでいえば、私はそうではないんではないかというふうに思っております。これは憲法九条と武力行使の問題、これはPKO法に絡んでずっと続くわけでありますけれども、私は、やはりその解釈というのはあの時点においては国際社会の中で生き抜いていく日本の知恵だというふうに思っております。  それ自体は評価しているんですけれども、今この時点において、やはりそれを触らずしてどんどん国際安全保障への関与を深めていきますと、どんどん乖離が生じちゃうんですね。気が付くと、法案そのものが動かなくなる可能性は非常に高いんではないかなという感じはしております。  既にPKO法においても、武器使用の基準とか、あるいは五原則の問題で壁にぶち当たっているような感じはありますので、この辺についてまず石破長官から、この集団的自衛権の問題について、昨日はそれには抵触しないんだということをはっきりおっしゃっていましたけれども、でも一方でこの問題について課題があるのかどうか、お伺いしたいなというふうに思っております。
  12. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 世界の主流かどうかというお尋ねがありました。何をもって主流か、何をもってこれが定説かということは、これはいろんな議論があることでございます。ただ、日本集団的自衛権に関する考え方が、こういう言葉を使うかどうか分かりませんが、私、以前聞いたことがあるんですが、ユニークなものである。ということは、私、以前そういう質問をしたときに、政府の方、どなたかから御答弁をいただいて、なるほどそういう言い方があるかというふうに思ったことでございました。  その集団的自衛権というものを議論しないとこの法案は動かないのかと、こういうふうにお尋ねをいただきますと、動きます。動くように運用をしていくということだと思っています。それは、周辺事態法にいたしましてもテロ特措法にいたしましても、そのことはぎりぎり考えたことでございまして、法案を作ってもそれが動かなければ何のために作った法案だか分からない。じゃ、その集団的自衛権というものは行使しない、できないということでこの法案は本当に動くのかということは常に検証してまいったことでございます。  確かに、非常に精密なガラス細工のような論理の組立てはいたしております。しかし、それが運用において本当にできるかできないかということは、私ども立場といたしましても十分に検討し、吟味し、議論した上でこの法案を出させていただいておるわけでございます。それは、例えて言いますと、武力行使一体化論とかそういうことが出てくるのだろうと思いますが、私どもとして、現在、集団的自衛権行使するということは、自衛必要最小限度を超えるのでこれは許されないという立場を維持しておるところでございます。  委員御指摘のように、そういうことがなければ動かないということがないように、きちんきちんと運用できるように検証してまいる、そういうのが私ども立場だと思います。
  13. 若林秀樹

    若林秀樹君 そういう答弁かなというふうには思いますけれども、実際の自衛隊のオペレーションになったときに、これは後ほどちょっとお伺いしたいんですが、本当にそういうことを仕分けしてきちっと抵触しないようにやれるのかどうかということについては、だれもやったことがないわけで、やっぱりその検証というのは必要で、私は集団自衛権を、解釈を見直せということを言っているんじゃなくて、客観的な事実としてどうなのかということをお伺いしたいわけでございます。  もう一つ、私は、日ごろから感じて、アメリカをある部分ちょっと長く見ている人間としては、恐らくアメリカ一般国民はほとんどの方が日米同盟に基づいて日本集団的自衛権行使できないと思っている人はいないと思います。そしてまた、多くの国会議員も多分そうだと思います。これは、日米同盟に基づいて、仮に武力事態攻撃予測事態になって、ある程度やっぱり警備行動に走っているときに、第三国から組織的、計画的に攻撃されたときに日本がそれに対して報復できないということは、アメリカ国民にとってはほとんどやっぱり考えられないことだと思う。これは常識的に、私もいろんな人の話を聞いて。そうした瞬間、日米関係というのは崩壊します。そして、経済も含めて、私は大混乱を起こすんじゃないかと。  こういう当たり前のことに対してどうなのかということを、私は問題を先送りするべきじゃないと思うんですよ。これはやっぱり立法府、行政府ともある意味じゃ不作為になりかねないということですから、確かに憲法上の解釈もちろん重要でございますんで、そういう問題も現実問題として私はあるんではないかというふうに思っております。  そういう意味では、私は、この集団的自衛権が抱える問題とか、憲法九条から武力行使の問題、これはPKO法に絡む問題です、こういうことについて、内閣として少しそういうことを議論するような協議機関みたいなものをどうなのかというふうには思います。確かに、内閣法制局というのはありますけれども法制局解釈内閣責任においてそれをある部分やっぱり決めるわけですから、そういう部分について少しずつやっぱり議論する必要があるんじゃないか、機は熟しつつあるんではないかという認識もないわけじゃありませんので、もしそういうことについて何かあればお伺いしたいと思います。
  14. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 内閣立場でと、こういうお話でございましたので私からお答え申し上げますけれども、今、防衛庁長官答弁いたしましたけれども、正に憲法九条の問題なんですね。憲法九条の問題というか、憲法九条があるからこの集団的自衛権の論議というのは日本では非常に大きな議論の対象になっていると、こういうことだと思います。このことについては、正に憲法の問題であるということになりますので、長い間、憲法の在り方というもの、九条も含めましていろんな議論があります。今でも両院に憲法調査会ございまして、そこで真摯な議論が行われているというふうに承知しております。  そういうことで、やはりこれは、一内閣ということだけでない、やはり国民、全国民国会全体の問題であるということでございますから、やはり国会における議論というものをもう少し進めていかなければいけないというように思います。そういうような状況を見ながら、内閣としてもこれから判断をするときが来るのかなというふうに思います。いつの内閣になるか分かりませんけれどもね。しかし、そういう時期の早からんことを祈っております。
  15. 若林秀樹

    若林秀樹君 ありがとうございました。  やっぱり問題の本質を知っている人間が変えるということが私は必要なことだというふうに思っております。一昨日のような、まあある某党とのお話を聞いていると、ある部分、お互いに限界を知りながらやっぱり言葉の遊びをしているなという感じは非常に感じつつありますんで、是非ともそれぞれの責任ある立場の人がやっぱり問題を先送りすることなく一歩進むということも必要ではないかということを申し上げたいというふうに思います。  二番目に、日米同盟意義の確認というんでしょうか、それについて石破長官にお伺いしたいなというふうに思っております。  物事には常にプラスの面とやっぱりマイナスの面があろうかと思います。やっぱり日米同盟に基づいて武力の攻撃に対する抑止力があるんだという認識はあるんだと思いますけれども、一方でそれによるマイナスがあるのかどうか。これは当然アメリカとの関係がありますんで、アメリカがほかの国とどういう関係があるかによってその影響を日本が受けるというリスクも、さっきの巻き込まれ論というのはここに依拠している部分がやっぱりあるんじゃないか。だれも巻き込まれたくない、リスクは取りたくないというのはありますけれども、一方、同盟関係というのは何だったということがあれば、プラスマイナスで初めて同盟関係というのは私は成り立つんではないか。その辺についての、後者の部分に対して私は政府は余りメッセージを発していないんではないかというふうに思いますんで、その辺についての御意見があればお伺いしたいと思います。
  16. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 基本的に私は委員のおっしゃるとおりなんだと思っています。昨日、アメリカのあるテレビが取材に参りまして、やはりそんな議論をいたしておりました。  私は、リスクのない、ノーリスク・ハイリターンみたいな、そんな世界があればとても幸せなことだと思いますが、リスクが全くないということはないんだろうと私は思っています。もちろん、そのリスクが生じないように最大限の努力をするわけですが、それはない、そんなうまい話は世の中に存在すると思う方がおかしいと考えています。  そして、もう一つ申し上げたのは、どれだけ利益を共有するかということなんだと思っています。同盟というものは、お互いが共有する利益の部分が多くなければ、それは維持しないものなのだろうというふうに思っています。  日米安全保障条約、よく片務的な条約だとおっしゃる方がありますが、私は決してそうは思っておりません。非対称的双務条約と呼ぶのが一番正しいのだろうというふうに思っております。それはすなわち、アメリカ日本を防衛をするのだ、日本は基地を提供するのだという意味において。提供するものは違いますが、決して片務条約ではない。  そして、日本が置かれている地理的な位置、そしてまた日本が有しております工業力、それを支える人的な技術力、そういうものを考えてみましたときに、これはアメリカ合衆国の利益にも十分かなうものだというふうに思っております。お互いが国益をどれだけ共有するかということをきちんと考えないと同盟を維持するということは極めて難しかろう。日米安全保障条約というのは天から降ってきたものでも何でもないのであって、本当にその国益というものを共有するための努力というものを一生懸命やっていくのだということ。  そして、非対称的脅威というものが現出をするようになったときに、日米同盟というのはどういうふうに在り方を変えていくのかという議論はしなければいけないのだろうと思っています。つまり、力のバランスの上に抑止が成り立っていた、こういう冷戦期と、非対称的脅威というものを考えなければいけなくなった今の時代において、日米安全保障条約基本的な枠組み、これはもう維持していかなければいけないわけですが、そういう非対称的脅威というものに対して日米同盟がどう有効にワークしていくかという議論はきちんと詰めていかねばいけないことだと思っております。
  17. 若林秀樹

    若林秀樹君 ありがとうございました。  同盟関係というのは、結ぶんであれば、これはプラスマイナスありますから、それを生かしていかないと。それはやっぱり日米の信頼関係に基づくんではないかなと。関係があればあれこそやはり逆にアメリカ日本に対しての耳を傾けるということに私はなりますんで、そういう意味で、そこに対してきちっとやっぱり、時としてリスクがあるんであれば、それに逃げずに向き合うやっぱりある意味での尊厳ある国家というんでしょうか、そういうこともやっぱり必要ではないかという感じはしております。  次に、国連中心主義安全保障との関係であります。  これまた、今回のイラクへの対応を見ますと、我が国においてその辺が少し、まだまだ整理されていないんではないかという感じがします。私も仕事柄国連を見てきましたけれども、すべての事態に対して万能では必ずしもないという事実もあるわけです。一方、いまだにやっぱり戦勝国が常任理事国、なおかつ拒否権を持った国がやっぱりあるということでございますから。  これからも我が国の外交の基本国連中心主義であると、あるべきだと私は思います。ですから、できる限り一致点を探す努力も必要ですけれども、最後の場面における我が国安全保障を見たときに、必ずしも、国連の動きに対して、そこに対してやっぱり主権国家として留保をする場面もあるのかなという感じがしていますけれども、それについての御見解を、外務大臣でよろしいんでしょうか、もしよろしければお伺いしたいと思います。
  18. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 冒頭でありますけれども外務大臣、G8の外相会議に出席ということで、その重要性をかんがみて外務大臣欠席のままこの委員会が開かれたことに対しまして、関係者各位に心から感謝を申し上げたいと思います。  今御指摘の点でありますけれども、今回のイラクに対する軍事行動開始前に安保理決議採択をめぐって国際社会の中で残念ながら亀裂が生じてしまったという事実があったことは、本当に改めて遺憾だなというような思いをいたしております。しかしながら、今、委員御指摘のとおり、国連、唯一普遍的、包括的な国際機関としまして二十一世紀の直面している諸課題への取組において引き続き重要な役割を果たしていくことには変わりはないと考えておりますし、我が国としても、国連がこれらの期待にこたえるべく成果を上げていくためにも積極的に参加をしたいというふうな基本的な考え方、そして他方、日米安保条約に基づく日米安保体制はアジア太平洋地域における安定と発展のための基本的な枠組みとして有効に機能していると考えております。ですから、日米同盟関係は引き続き我が国の外交の基軸というふうに考えております。  ですから、政府としましても、今後とも日米安全保障日米安保体制を堅持しつつ国連を中心とした国際協調を遵守する我が国の外交方針に基づき諸課題に当たっていこうという思いでありますけれども、今御指摘のとおり、国連決議と、決定と異なる行動をすることがあり得る等々の思いでありますけれども、ふくそうする国際社会の中で我が国いかに対応していくかというような政府としての方針でありますけれども、これは、具体的な外交案件に対する我が国対応として、そのときの状況に照らしてやっぱり個別個別として判断していかなければいけないということだと思います。
  19. 若林秀樹

    若林秀樹君 答弁も非常に難しいというのは分かりますけれども、これからも国連中心主義に対して我が国はできる限りコミットしていくという努力はやっぱり忘れてはならないと思いますが、一方で安全保障ということも含めた総合的な判断というのもやっぱり必要なんだろうというふうに思っております。国連に対する過度な思い入れというんでしょうか、それはひょっとするとやっぱり危険な部分もありかねない部分もありますので、これは決して軽視しているという意味では全くありませんので、その辺は御理解をいただけると思うんですけれども、そういう思いもあるわけでございます。  続きまして、時間がありませんので次の質問に移りたいと思いますが、武力攻撃事態の認定でありまして、これまでの答弁、過去の答弁いろいろ聞いて、ややちょっと、揺れ動いてはいないものの、国民が不安に思うところは、相手国領土における自衛権の発動をどう憲法として読むかという話でありまして、もう既に御答弁いただいてはいるんですけれども、そこに対してきちっとしたやっぱり答弁をしていただきたいなと。私は、これは石破長官に見て言ったんですが、官房長官に対する御質問だというふうに思いますけれども。  過去の答弁で、あるいは今回の一連の協議の中で、憲法上の理論上は自衛権発動の三要件が満たされればあり得ると、しかし我が国は例えば敵基地攻撃能力云々という話はアメリカにそれはゆだねるということなんで、そこに憲法上、一方の答弁見ますと、自衛のための必要最小限度を超えるものであって許されないという答弁と、いや、それはゆだねている、アメリカにゆだねているんで権利としてはあるんだという、少し、幾らかぶれている部分があるんじゃないかなというふうに思いますので、この辺はちょっと整理してお答えいただければ有り難いんですけれども官房長官にお願いします。
  20. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) じゃ、私がまず答弁いたします。それで、補足ございますれば防衛庁長官がいたします。  「武力攻撃事態等」というように法案に書いてございますけれども、これは我が国に対します外部からの武力攻撃が発生した事態等を申しますが、その認定は、その時点における国際情勢、相手国の意図、それから軍事的行動の内容、攻撃の手段、態様、そういうものを総合的に勘案して判断されるものと考えております。そういう事態認定というのは、これは閣議決定とかそれから国会承認と、こういう手続を経ることになっております。  我が国武力攻撃の発生に際して自衛権行使として我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することのできる地理的な範囲ということ、これはいろいろ議論ございましたけれども、このことについては、必ずしも我が国の領土、領海、領空に限られるものではないと、そしてまた公海及び公空にも及び得ることがあるということであります。  武力行使の目的を持って自衛隊を他国の領土、領海、領空に派遣すること、これは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであるということでありまして、憲法上は許されていないというように考えております。ただし、他国の領域における武力行動で自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないと、こういう考え方をしているわけでございます。
  21. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 結局こういうことだと思うんですね。例えば、海外でPKOが活動している、あるいはテロ特措法はまだ他国の領土には入っていませんが、そういうような活動をしておる自衛隊の部隊があったといたします。それがまず、そのどちらにいたしましてもそういう事態にならないように、もちろん武力を行使しに行っているわけではありませんし、PKOの場合にはそういうことがありましたら撤収をいたしますし、そして、周辺事態法におきましてもテロ特措法におきましても、現に戦闘が行われておらず、そして戦闘が行われることが予測されない地域において活動するわけですから、そういうことが起こるとは極めて極めて考えにくいことであるということがまずあります。それは、我々がテロ特措法を作るときも周辺事態法を作るときもPKO法を作るときも、そういうことが起こらないように起こらないようにというふうに作ってまいりました。  しかし、不幸にしてそういうことが起こってしまったというふうにいたします。我が国に対する組織的、計画的な武力の行使と評価されるものがその場で仮に起こったとします。しかし、他国の施政下にある地域ですから、それは、私どもが行くというよりも、その国を治めておるそういう政府によってそれは取り除かれるのが通常であろうと。しかしそれが、政府そのものがやってきちゃったということになりますと、これはなかなか難しい場面が生じますね。そういたしますと、今度は必要最小限度かどうなのかということにもなりましょう。そしてまた、ほかに手段がないか、我が国が出なければほかに手段がないのかということもその場その場で吟味され、検討されることでありましょう。  そういうことで、まず考えられない事態ではあるけれども、それが我が国に対する組織的、計画的な武力の行使であると認められ、ほかに手段が何もなくて必要最小限のものにとどめる。そこは、必要最小限ということは、ちょっとその前二者とは論理がというか位置付けが違うのですけれども、それはずっと将来においてもそうなるべきものですが、そういうことが仮に現出をした場合には、憲法上、法理上それは認められるということだと思っています。  そして、敵基地攻撃云々かんぬんの話でございますが、これも一緒の話でございまして、急迫不正の我が国に対する組織的、計画的な武力の行使があった、ほかに取るべき手段がないと、そして必要最小限ということですね。そうしますと、じゃほかに取るべき手段があるではないかということになりますと、それはそちらの方へ行くわけです。それが日米安全保障条約なのかもしれない。  そういうことでありまして、しかし、論理上ほかに取るべき手段が何もなくなっちゃったということが絶無かといえば、それはそうではないであろう。そして、必要最小限ということは、例えばある国が日本に対してミサイルを撃とうとする、そうするとピンポイントでそこの基地だけをたたくということであって、その国土全体に対して攻撃を加えるようなことでは全くございません。  したがって、法理上そういうことはあり得ないとは言わないが、しかしながら現在においては、日米安全保障条約そして防衛協力のための指針によって、北朝鮮のそういうミサイル攻撃に対してはアメリカ合衆国の打撃力にゆだねるということになっておるわけでございますから、現在そういうことは起こり得ないということでございます。  法理上はあり得るが現在はそれはあり得ないし、そしてそれが日米安全保障条約の実効性を高めるように更に私どもは努力をしていくということでございまして、国民皆様方に対しましてこの辺りをきちんと御説明をしていく責務は我々にはあろうと考えておるところでございます。
  22. 若林秀樹

    若林秀樹君 今の答弁国民が聞かれて本当に分かる人はほとんどいないんじゃないかなという感じはしております。私は分かりますけれども。  その微妙な違いの違いも今分かったんですが、ただ一般的に、憲法の理論上あり得るけれども長官は今、必要最小限度を超えるんで許されないとおっしゃっていますね、どっちかというと。でも、長官は理論上許されないけれども、その判断として許されないわけじゃないけれども、それを今、例えばアメリカ軍にゆだねているという部分については多少ちょっと……
  23. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 同じですよ、全然同じ。
  24. 若林秀樹

    若林秀樹君 憲法上許されないということでよろしいですか、じゃ。  理論上、だから過去の答弁を見ますと法理論上はあり得ることだけれども、最小限度の武器が、限度を超えるものであっては許されないという答弁と、そこはちょっと微妙に私は、一緒ですか。いや、ここは分からないんですよ、やっぱり理論上あり得るけれども憲法上許されないということ、考え方なりとらえ方。
  25. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私は、誤解があったらごめんなさい、私が考え違いしているのかもしれませんが、憲法上許されないが法理上あり得るという概念は存在しないんだと思っています。法理上あり得るということは当然憲法上許されておることでありまして、そういうような倒錯した議論と取られるような答弁をしたとしたらば、それはおわびを申し上げます。  憲法上も許されるし法理上も許される、しかしながら、それは最小限度を超えるということではなくて、ほかに取るべき手段があるのだということでもございましょう。それは、最小限度を超えるか超えないかというお話はそのときそのときの判断でございますが、それは私ども考えておりますのは、最小限度というのは本当に我が国に対する急迫不正の攻撃というものを避けるために最小限度ということでございまして、先ほど申し述べましたように、そこの国全体に攻撃を加えると、そのようなことではない、我が国に対する攻撃だけが止められればそれでよいのだということだと思います。最小限度にはほかにもいろんな要素はございますが、仮に今の場合に限局して申し上げればそういうことだと思います。  ほかに取るべき手段があるということであれば、当然のことですが、自衛権発動の三要件というものを充足しないわけでございます。それがない、ない場合が、本当に日本国がずっと続くとして、憲法もずっと続くとしてそんなことが本当に絶無かと、こう問われたら、絶無ですということは私、予言者ではございませんから、そんなことは言えないということだと思います。
  26. 若林秀樹

    若林秀樹君 私はそれなりに理解して、そういう意味ではとらえ方というのは私は自然だなというふうに思います。ただ、過去の答弁ですと、理論上、法理上あっても憲法上許されないということを言っているんです、ここは、私が見まして。だから、これはちょっと矛盾しているんですよ、どう見ても。これは、多少、集団的自衛権解釈と、あっても、権利があっても行使されないということはできないというのとちょっと似ている部分があります、ちょっと性格違うんですが。いずれにせよ、お考えは分かったところでございます。  時間の関係もありますけれども、少し一つ、一問飛ばさせていただいて、周辺事態法武力攻撃事態法案関係でありまして、もし可能であれば飛ばさないでちょっと長官にお伺いしたいんですけれども周辺事態法武力攻撃事態法案における武力攻撃事態武力攻撃──行かれるわけですね、残念ながら、ということでありますので、武力攻撃予測事態の認定の違い、一番いいところに来たんですが、行かれるということでございますので、認定の判断の根拠、事例というのを分かりやすく何か説明していただけると有り難いなというふうに思いますが、内閣官房でだれが答弁していただけるんでしょうか。これは一応、これは通告していますし、いない場合にはだれか答えてくださいというふうには言ってありますので、もちろんいいですけれども内閣官房
  27. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 内閣官房増田内閣審議官、おりますか。増田さんですね。
  28. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) 失礼いたしました。  武力攻撃予測事態武力攻撃事態は、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態等のことでございまして、他方、周辺事態我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態でございます。  このように、これらの事態はそれぞれ別個の法律上の判断に基づくものでございまして、状況によっては両者が併存することはあり得ると考えられますが、周辺事態と認定されるような事態が生起した場合に、それが必ず武力攻撃事態武力攻撃予測事態に該当することとなるわけではないというふうに考えておるところでございます。
  29. 若林秀樹

    若林秀樹君 お願いしていたのは、今の話はもう元々の話でありまして、どういう状況であれば周辺事態法を認定し、どういう状況であれば武力攻撃事態法における武力攻撃事態、予測事態事態というのを何か国民に分かりやすく、どういうふうにしたら判定するのかという何か一つの事例を取って説明していただくのは非常に難しいんですけれども、もし可能であれば、じゃ石破長官にお願いします。
  30. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 重なる場合もありますし、ただ、周辺事態というのは、どちらにしても我が国武力攻撃が加えられていないという点においては一致しているんです。予測事態であれ周辺事態であれ、共通していることは、いまだ我が国に対する武力攻撃はないということでございます。それが武力攻撃事態と違うところですね。そこは共通しているのだと。  周辺事態というのは、そのまま放置すれば我が国の平和と安全に影響を与えるような事態だと思います。そうすると、そのまま放置すれば、つまり我が国にそういうようなことが来るということはまだそんなには考えられない、しかしそのまま放置をし、それが拡大をするということになれば我が国にそういうことが及ぶかもしれない、そういう事態なのだと思います。  これが武力攻撃予測事態我が国に対する武力攻撃というものが予測されるということになりますと、そこの交えられている戦火というものの一方の相手方が、相手方が日本に対して何らかの意思の表明があるとか、あるいは日本に向けてのそういう部隊を集結をさせているとか、まだ武力攻撃には至っていないけれどもそれが日本に向けて、我が国に向けてそういう意思の表明があるとか、あるいは部隊が集結をしているとか、そういう事実が起こったときには、一般的に武力攻撃予測事態というものになるのではないだろうか。  それは時系列的に周辺事態があって武力攻撃事態になるということもありますが、しかし今、増田審議官の方からお答えをいたしましたように、それは別の法律によってそれぞれ主体的に判断される事態ですから、今私が申し上げましたのは、時系列的につながっているという場合に限ってあえて分かりやすく御説明をしたものでございます。それは別々の法律によって別の認定がなされる別の事態ということも理論的にはあり得ることでございます。(「全然分からないよ」と呼ぶ者あり)
  31. 若林秀樹

    若林秀樹君 分からないという声もありましたけれども、概念上の違いがあるというのは何となく分かりますし、その時系列上の深刻さの度合いがどんどん変わっていって認定が変わっていくという感じもあるのかなというふうに思います。重なっている部分もやっぱり当然あるなというふうに思います。個別の法律に基づいて判断をするということになるんでしょうけれども、私はやっぱりちょっとここは、理論では分かるんですけれども、私は言葉の遊びじゃないかなと。  ただ、現実に自衛隊立場に立ったときに、オペレーションの問題として、そういうふうに急に切り替わってどんどんできるのかなという疑問は、私は自衛隊に入ったことないですから分かりませんけれども、そういう懸念を生じます。ですから、周辺事態法であれば、当然後方支援ですからアメリカに対する後方支援をやっていく、違うエリアでやる。急にそれが予測事態になったら、今度は防衛出動の待機命令なり出動に当たる方向に行きますと、今度主体的にこうやって動かなきゃいけない。そうすると日米の共同対処になってくる。  こういうことが、言葉では言うのは簡単ですが、オペレーション上で本当に問題なく対応できるんですかね。
  32. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それはできなければいけないわけでありまして、つまり、申し上げておりますのは、先ほどの前提で申し上げましたように、どちらも我が国に対する武力攻撃はないわけです。したがいまして、私どもとしては自衛権行使ということがあり得るはずがない。自衛権行使としての武力行使ということがあり得るはずがない。そして、それは当然、我が国に対する武力攻撃あったとしても使えるものというのは個別的自衛権しか使えないわけでありまして、どちらの場面におきましても、憲法によって定められた行動しかできない。  そして、何が違ってくるんだろうということは、これから先、例えば米軍に対する法制みたいなところで議論をされることでございますけれども、先日、一昨日の委員会でもお答えをいたしましたように、私どもとしては、周辺事態法でできること、そしてまた今度の武力攻撃予測事態でできること、そこにおいて掛かる憲法上の制約に差はないというふうに考えておる次第でございます。
  33. 若林秀樹

    若林秀樹君 分かるような分からないような部分はやっぱりどうしても出てくるんですけれども、やっぱりそういう部分も含めて一度整理する必要がありますので、やっぱり緊迫感の中でのオペレーションですから、混乱がないように、当然のことながらそれは対応されるんだというふうに思いますが、その辺も含めてお願いしたいなというふうに思いますし、最終的には両法の合体というんですかね、整理した形でのあれというのは可能性としてはあり得るんじゃないかなというふうには思いますので、お願いしておきたいと思います。  それから次に、認定、事後承認、国会の関与についてお伺いしたいなというふうに思っております。  対処基本方針は、基本的には閣議決定をしなきゃいけないんですよね。これは、官房長官ということでお伺いしたいと思いますが、基本的には全会一致、いないときには持ち回り等をやっていますので、全員の確認をしなきゃいけないというのが閣議決定ですから。いざ、例えば土日にそれぞれ地元に帰っているとか、これはあってはならないんですが、万が一攻撃を受けて亡くなられるときがあるとか、様々な事態考えますと、本当に閣議決定で本当に基本計画を承認できるのかというふうに思いますと、そこに対してどういうふうに考えているのかお伺いしたいなと思います。
  34. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) 武力攻撃事態等への対処に際しまして、政府としては総合的な意思決定を行いまして、各種の対処措置の総合的な推進を図る必要がございます。このため、法案においては、対処基本方針の策定を閣議決定にかからしめることとしております。  対処基本方針を特定の閣僚のみの合意により決定することとすることは考えておりませんけれども武力攻撃事態等への的確かつ迅速な対処という観点から、法案に定める制度の運用についての検討は平素から怠りなく進めることとしておりまして、対処基本方針を迅速に閣議決定するための手順等についても、今後適切に検討してまいりたいと考えておるところでございます。  なお、大規模テロ等への対処に関しましては、自衛隊の治安出動等が必要な場合における閣議決定につきまして、国務大臣全員が参集しての速やかな臨時閣議の開催が困難であるときには、内閣総理大臣の主宰によりまして、電話等により各国務大臣の了解を得て閣議決定を行うこととするとともに、連絡を取ることができなかった国務大臣に対しては、事後速やかに連絡を行うこととしておりまして、このような手続も参考にして今御指摘の点を今後検討してまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  35. 若林秀樹

    若林秀樹君 今のは自衛隊法による運用の話ですよね。最後の電話連絡なり事後でもいいというその運用規定みたいな、済みません、その辺だけちょっと確認します。
  36. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) 今、私が申しましたのは、迅速な閣議の手続ということで、治安出動ということを念頭に置いて発言させていただきました。
  37. 若林秀樹

    若林秀樹君 ということは、この武力攻撃事態法においてはそういうことは想定をしていないということになります、と私は理解して、まだそういうことは余り考えていないということでしょうから、やっぱり緊急事態ですから、いざというときにどういう対応を取るべきかということについてきちっとした補う点が私はあるんではないかなというふうに思っております。法案にのっとればそういうことになっていますから、そういうことをきちっとやっぱりやってほしいなということでございます。  それから、国会の関与であります。やっぱりここは非常に私は重要な点ではないかなというふうに思いますが、緊急事態ですから、事後承認ということもやむを得ない部分もやっぱりあるんではないかというふうに思います。ただ、一方では速やかに、迅速に国会の手続をしなければいけませんので、政府はこの辺についてどう担保しようとしているのか、お考えを伺いたいというふうに思います。
  38. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) お答えいたします。  武力攻撃事態等への対処につきましては、行政府と立法府の統一的な意思の下で行っていくことが重要と考えておりまして、このため、法案では、対処基本方針を閣議で決定した後、直ちに国会の承認を求めなければならないこととしております。  政府といたしましては、対処基本方針の閣議決定後、可能な限り早急に国会の承認を求める考えでございまして、例えば、当該閣議における決定後、同日中に国会に対し承認を求めるための手続を取るといった運用を想定しております。さらに、対処基本方針の承認に係る国会の御審議に資するため、事態の認定等に係る情報を可能な範囲で開示してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  また、国会を開会できないような事態があってはならないと考えておりますけれども、万一そのような事態が生じた場合には、政府としては、適時適切な国会の関与の確保という観点から、立法府と調整を図りながら適切に対応してまいりたいと考えておりますが、国会の機能が回復次第、直ちに国会の承認を求めることとなるものと考えております。
  39. 若林秀樹

    若林秀樹君 最後の部分は私の次の質問の回答だったというふうに思いますのでお聞きもしませんけれども、万が一国会が開催できない状況ということで、例えば三分の一まで集まれないという状況は憲法上これ問題がありますので、そのときには国会の機能が回復したときに速やかにするということですから、万が一何かがあった場合には、今の機能回復というのは、例えば今ですと、補欠選挙をすれば、半年に一回ですから半年後ということになりかねない部分もありますので、そういうときへの対応というのも一方きちっと考えておく必要があるんではないかなというふうに思います。いざというときのいろんなことを考えますといろんなイメージがどんどんわいてきて、本当に大丈夫かということで、意見ですが、そういうことも考える必要があるんじゃないかと思います。  次に、これも非常に重要だと思うんですが、情報収集体制とその分析能力であります。  今ですと、内閣情報集約センターですか、そこに情報が行って、それから事態対処の専門委員会で検討し、安全保障会議の方に行ってというような流れになるんだなというふうには思いますけれども、やっぱりこれが本当に正しい情報なのか、政治的な思惑によってゆがめられて伝わってはいないのか、様々なチェックというものも必要ではないかなと思います。既に過去、北朝鮮がミサイルを発射したというような、ある部分誤報で、某国務大臣記者会見で発表し、それが後で取り消したというようなことがあります。  例えば、そういうことが基に判断されたらこれ大変なことになりますので、これについてどういうふうに、日ごろからの情報ルートの点検とかあるいは連絡網の整備あるいはその情報が確かかどうかのダブルチェックをどういう仕組みでやっていくかということは、私はこれは非常に重要だと思いますし、一方、アメリカとの関係で、これはやっぱりかなりの部分アメリカに依存しなきゃいけないというような話もありまして、今日午前中に、朝、アメリカの大使館の方にその情報収集体制のことについてお伺いしまして、アメリカはやっぱりかなり九月十一日以降で情報収集体制についてきちっとやれるようになったというふうな話もありましたけれども、その辺について、官房長官いらっしゃらないので、もし、聞いていなかったですか。はい、分かりました。じゃ、お答えいただきたいと思います。
  40. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) お答えさせていただきます。  武力攻撃事態等におきまして、政府としては事態の認定等の重大な判断を極めて限られた時間的制約の中で的確に行うことが必要となるわけでございますけれども、かかる意思決定につきましては、安全保障会議の果たす役割は重要であると考えておりまして、法案においては同会、安全保障会議事態対処専門委員会というものを設置いたしまして、事態発生時に迅速かつ的確に対応できるよう平素から専門的な調査分析を行い、安全保障会議への進言を行わせることとしております。  また、現在のところ、この委員会の委員につきましては、内閣官房及び関係省庁の中から局長級以上の関係者を任命することを想定しております。具体的なことは今後定めていくこととなりますけれども、御指摘の情報の分析評価につきましても、的確に実施し得る者を委員に含めることを考えておりまして、的確な事実、事態認定がなされるものと考えているところでございます。
  41. 若林秀樹

    若林秀樹君 そういう通り一遍の答えというのは余りこちらも期待はしていませんので、今言ったことの質問に対してどうしていくのかということを、やっぱりそれなりに受け止めて答えていただきたいなという感じはしていますので、その辺は無理なのかもしれませんけれども、これ非常に重要な問題だというふうに思っているところでございます。  その上で、その対処基本方針に当該認定の前提となった事実を記載することになりました。これについて情報源等の開示はどの程度されるのか、それについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  42. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) お答えいたします。  武力攻撃事態等への対処につきまして、国民の協力を得て実施していくことが必要という観点から、情勢認識等を対処基本方針に記載をすることが大変重要と考えております。政府としては、かかる衆議院における修正趣旨を踏まえて、誠実に対応してまいりたいと考えております。対処基本方針の当該認定の前提となった事実としては、認定に当たっての情勢認識を記載することを考えております。また、法案において、対処基本方針を公示してその周知を図ることとされており、公表することにより国の安全を害するような内容を含めることは考えておりません。
  43. 若林秀樹

    若林秀樹君 要は、だから基本的な姿勢を聞きたいんです。できる限り基本的に開示していく方向をいうのか、その上でも、軍事秘密上、それできないのは分かっていますから、その姿勢について聞いているんで、今の答弁ではちょっと分かりにくいけれども基本的にはできる限り情報源も含めて可能な限りで開示していくということでよろしいんでしょうか。
  44. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 増田内閣審議官、質問に的確に答えてください。
  45. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) 失礼いたしました。  できる限り、可能な限り開示していくということで考えております。
  46. 若林秀樹

    若林秀樹君 ありがとうございます。  続いて、外務大臣にお伺いしたいなというふうに思います。  やはり今回の武力事態法は、備えあれば憂いなしということで、基本的には使わなければ使わないにこしたことはもちろんないわけですから、そのために外交努力というんでしょうか、予防外交というのは私は必要じゃないかなと。ですから、やっぱり対外的にも、こういう法整備はすればするほど逆にソフト面での外交努力というのをやっぱりアピールしていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。そういう意味では、これを契機に我が国の外交・安全保障の総合戦略というんでしょうか、そういうものもきちっとやっぱり作り直してアピールするぐらいの努力が必要だなというふうに思いますけれども、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
  47. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 委員御指摘の点、私も同感でありまして、我が国としても予防外交展開のために積極的に国際社会の中の平和、安定、繁栄を確保する、実現化するということに努力をさせていただかなければいけないというふうに考えております。そのためにODA等々の手段を最大限生かそうというふうな中で、紛争の予防の視点を積極的に取り入れて貧困対策やら能力開発支援等々行っているところでありますけれども、残念ながら今回の、一例でありますけれども、アチェの問題も含めまして、積極的に我が国としても予防外交の展開をさせていただいているわけでありますけれども、現実なかなかそれが結果として功を奏すというようなことも難しいことを今正に実感しておりまして、しかしながら、さりとて飽くなき努力を今後も展開していこうと考えております。
  48. 若林秀樹

    若林秀樹君 それでは、私、最後の質問をさせていただきたいと思います。防衛長官にお伺いしたいと思います。  今回の武力事態攻撃法を契機に、これまでの答弁は、じゃその防衛政策、基本的に変えるかというと、そうじゃないというお話もありましたけれども我が国の新しい防衛大綱の制定も含めて、我が国の防衛政策も含めて、何か今後、どう、これを契機にどういうことをやっぱり検討し、変えていくのか、あるいはいろんなこれまでの御議論の部分を含めて、お考えあれば最後にお伺いしたいなというふうに思います。  最終的には、私は今回の法案がきちっと実行されるためには、やっぱり防衛庁の信頼感というのが必要ではないかなというふうに思います、国民から見たときの。これまでの個人情報漏えいの問題とか、あるいは入札の問題、あるいは過剰見積り等もありましたし、残念なことに昨日でしたっけ、お亡くなりになられた方もいますので、是非ともその辺の決意も含めて、今のお話も含めて最終的に御答弁いただいて私の質問を終わりたいと思います。
  49. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私どもの防衛力整備というのは防衛計画の大綱に基づいてやらせていただいております。今、平成七年のものに基づいてやっております。今回の有事関連三法案とこの防衛力整備というのは直接の関係はございません。  この有事法制関連三法案というのは正式にはといいますか、政府の中で検討し始めたのは昭和五十二年のことでございますから、冷戦真っただ中の、これが直接的に連関をしておるというものでは決してございません。  問題は、要するに今変わっている、一つは冷戦が終わりましたよということ、今はもう冷戦後という言葉を使ってもいけないんで、九・一一後という言葉を使わなければ本当は正しくないんだろうと私は思っていますが、要するに非対称的脅威というものに対して防衛力は本当に今のままでいいんだろうか、そして、その前提にある冷戦後の社会、世界において今のままでいいんだろうかということなのだろうと思っています。そういうことに対応できるような新しい防衛力の在り方とは何かということで今省内で検討をいたしておるところでございます。  そして、それは私ども五兆円の予算をいただいて、かなりの部分が人件費ですが、やっているわけです。それが本当に納税者の御期待に沿うものなのかどうなのかということはきちんと検証いたしませんと、これは納税者に対して失礼な話であるという認識は強く持っています。  そして、国民皆様方から本当に信頼される自衛隊であるのかということは、リストの問題の御指摘もございました。私どもがきちんとその法律というものを熟知してそれに対応できるような体制というものを更に万全にしていかねばならない、そのことにつきまして全力で取り組みたいと思っておりますので、今後とも御教示賜りますようお願いを申し上げます。
  50. 池口修次

    ○池口修次君 民主党・新緑風会の池口修次でございます。残された時間で何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず冒頭ですけれども小泉総理は今回の立法目的について、備えあれば憂いなしということで非常に短い言葉で説明がなされましたけれども、私はそう簡単には説明できないんで、やはり一つ日本からの戦争を起こさないということを明確にした上で、さらに万一緊急事態が起きたときにもその混乱を最小限に食い止めるという意味での法整備は必要であるというふうに思っております。それを明確にした上で、武力攻撃事態の以外の対応について何点かお聞きしたいというふうに思います。  具体的にいうと、テロなり不審船の対応ということでございますが、私はどちらかというと正規軍が日本に上陸して戦闘行為が起こるというよりも、こちらの方が可能性があるんじゃないかというふうに思っていますので、この中身については今回の法律でも今後いろいろな措置を取っていくということで明確になっておりませんので、この点を少しお聞きしたいというふうに思います。  まず不審船の対応ですけれども、これは既に一昨年になりますか、不審船が来て海上保安庁がこれはうまく対応したというふうに思っていますが、当時は、もう今は明確になっていますからいいと思いますけれども北朝鮮の方もまさかそれほどの対応をするとかいう、思っていない、油断もあったというふうに思っておりまして、これからもしそういう事件があればそう前回みたいなうまくはいかないんじゃないかというふうには思っておりますし、例えば多数の不審船が日本領海に出現した場合にどういった対応になるのか、海上保安庁が主体的に対応するということかなというふうには思っていますが、この点をまず確認したいというふうに思います。
  51. 深谷憲一

    政府参考人(深谷憲一君) 御説明を申し上げます。  先生御指摘のいわゆる不審船、これが出現した場合の対応につきましてでございますが、政府といたしましては、早い段階から内閣官房防衛庁と私どもも含めまして、関係機関におきましてその情報を共有化しようというふうに考えておりまして、そうした関係のところと連携の上で対応をしていくというふうなことが基本でございますが、不審船への具体的な対処、これにつきましては、政府基本的な方針といたしまして、警察機関でございます海上保安庁はまず第一次的に対処するということといたしておりまして、海上保安庁といたしましては総力を挙げて万全を期したいというふうに考えてございます。  御指摘のように多数の不審船が出現したというような場合であっても、仮に当庁では対処することが不可能だとか、あるいは著しく困難だというふうな状況だというふうに認められる場合も想定されるわけでございますけれども、そういう場合には、機を失することなく自衛隊法に基づく海上警備行動が発令されて自衛隊対処するというふうなことに整理がされておりまして、政府全体として、いずれにいたしましても連携の下で適切に対処してまいりたいと、かように考えております。
  52. 池口修次

    ○池口修次君 この点については、本当にどの程度の不審船が、その不審船も武装をしているかどうかというのも分からない段階で対応しなきゃいけないということで非常に難しいと思いますが、情報収集が一番大事だと思いますので、早期の情報収集をお願いしたい。  二点目に、テロの対応ですけれども、仮に日本においてアメリカで起きた九・一一のようなテロが発生したときにどういう対応になるのかということで、これについては、その具体的な被害に対する対応と、そのテロがある目的を持っているということが明確になったときに、じゃ日本対応する手段を持っているのかどうかという点をお聞きをしたいというように思いますが。これはどこに聞いたらいいかというのはちょっと分からないんですけれども内閣なのか。
  53. 上野公成

    内閣官房長官(上野公成君) テロ、九月十一日のようなテロが日本に起こった場合ということでございましょうけれども、まず第一に、テロが起こらないようなそういう事態にならないように防止に努めるということが第一だと思います。  これ今、入管の方ですね、それから、情報収集もしっかりとやってテロを防止をしておりますし、それからハイジャックについても、空港の警戒でありますとか搭乗者のチェックだとか、それからコックピットに入れないような強化もいたしまして努めているわけでございますけれども、万が一発生した場合には、やはり被害を極限、なるべく小さくとどめるということが大事だと思っておりまして、これは政府全体として重大事案として取り組まなきゃいけないと思っておりますけれども、平成十年に重大テロ事案が発生した場合の政府の初動措置、これを閣議決定をしておりまして、どういうふうに初動するか、また本部を設けるとかいろんなことを決めておりますし、それから対処マニュアルというのをこれは、危機管理監の方でこれは平成十三年に決めてございますので、そういったものに従って内閣主導の下で各省庁とも連携をして、被害者の救助、それから被害の拡大防止、犯人の検挙等に全力を挙げていきたいと思っております。
  54. 池口修次

    ○池口修次君 冒頭申し上げましたように、私は武力攻撃事態というのがどういう形で起きてくるのかというふうに考えますと、ミサイルの攻撃であればある程度、どこが撃ってきたかというのはある程度特定できますけれども、不審船なりテロというのは相手がだれかというのが非常に難しい理由で、いきなりそれじゃ不審船なりテロが出てきたから武力攻撃事態なり予測事態ということにはならないというふうに思いますが、ただ、可能性としては非常にそれに発展することが相当予測される事態だというふうに思いますが、不審船なりテロの案件が武力攻撃事態なり予測事態というふうに変わるということであるとすると、どういう段階で変わるのかどうかということと、それと、変わる可能性があるということからすると、やはり情報が時系列的に同じところで管理しているということが私は必要ではないかというふうに思っておりまして、民主党は、そういう意味で危機管理庁というのを設置すべきであるというふうに提案はしたわけですけれども、どういう段階で今回の法律である武力攻撃事態というふうに認定されるのか、若しくは、そういういろんな事態によって主管するところが違いますから、情報伝達というのは今で十分なのか、それともこれからどういう形で整備をしていくのかということをお聞きしたいと思います。
  55. 上野公成

    内閣官房長官(上野公成君) 御指摘のように、そういったテロだとか不審船とか、それからミサイル攻撃ですね、こういったことは武力攻撃事態又は武力攻撃予測事態に認定されるということはあり得ることでございます。そしたら、それであればどういうときに認定するかということにつきましては、そのときの国際情勢も考慮に入れなければいけませんし、それから相手国がどういう意図を持っているとか、それから軍事的な行動がどういうことか、そういうことを総合的に判断して認定をするということになろうかと思います。  そういう認定をしない場合については、先ほど海上保安庁長官答弁をいたしましたように、海上保安庁なり、それから警察なり自衛隊対応すると、こういうことになっておると思います。そのときの状況に応じて判断をしていくということであります。
  56. 池口修次

    ○池口修次君 それと、今回の法律案ですと、武装工作船事案や大規模テロなどの新たな脅威への対処に取り組むということをこれからやっていくことの中に入っているわけですけれども、その中で、北朝鮮との間で拉致があったわけですけれども、大規模テロということで形容詞が付いておりますが、私はテロ、拉致もテロだというふうに思っている一人ですけれども、これをこれからいろいろ検討するに当たって、この拉致問題というのの速やかに必要な施策を講ずるべき中身に入っているのかどうかという点を、できれば拉致がテロなのかどうかという見解を含めてお聞きしたいというふうに思います。
  57. 上野公成

    内閣官房長官(上野公成君) 拉致というのは、他国によって拉致をされるわけで、我が国国民の生命と安全にかかわる重大な問題でございます。これは疑いようのない事実でございまして、更に事実関係を解明する必要があるわけでありますけれども我が国の主権の侵害とか人権侵害であって国際上許せない行為でございますので、これは一般通念上は、拉致もテロ、拉致もテロ行為に当たると、こういうふうに考えております。  具体的に北朝鮮の拉致問題がどういうことかということだと思いますけれども、今これいろいろ事実関係北朝鮮に強く求めている具合でございますので、引き続き強く求め、あるいはまた、五人の被害者の家族の帰国についても早期実現に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  58. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 大変深刻な問題と理解をさせていただいております。  今、委員言及のとおり、拉致はテロかというふうな一つの判断でありますけれども、米国のようにテロ支援国家認定等々の法的整備がなされていない我が国の現状であります。ですから、その認定等がどういうふうな影響があるか判断しかねるところでありますけれども、家族、拉致被害者家族の方々の思いを十分我々酌み取りながら、事態の早期解決、なおかつ、五人の拉致被害者の方々の家族はいまだ北朝鮮にいるわけでありますから、早期帰国というようなことに対して最大限の努力をしていこうと考えております。
  59. 池口修次

    ○池口修次君 前段の内閣の見解としては、やっぱり拉致はテロだというふうにお聞きをしたというふうに確認をしたいと思いますが、若干、外務省の今までの見解とは少し変わったのかなという認識もしておりますが、拉致はテロであるという認識の下に、やっぱりこの法律における速やかに必要な施策を講ずるということで、是非突っ込んだ検討をこれからお願いをしたいというふうに言っておきたいというふうに思います。  副長官、ちょっと忙しいようですが、もう一点だけちょっと付き合っていただきたいんですけれども。  ひとつ、今、SARSの問題で非常に世界的に混乱が起きております。このSARSの原因は、単純に、いろんな厚生省の管轄する部類のものだというふうに思いますが、ただ、アメリカでは一時期、炭疽菌が送り付けられたとかいう話がありまして、これから、生物テロ等も予測されている中で同じような事案というのが起きる可能性がありますので、この生物テロ等への対応に対して今どういう用意がされているのかという点を確認をしたいというふうに思います。
  60. 上野公成

    内閣官房長官(上野公成君) 先ほどお答えいたしましたように、生物兵器といいますか、のテロに、テロといいますか、につきましても、危機管理監のところで対処マニュアルというのができております。SARSについてもそういうことはあり得るわけでございますから、そういうマニュアルができておりますから、それに従ってきちっとした対応をしていくということであろうと思います。
  61. 池口修次

    ○池口修次君 ちょっと時間の関係がありまして、非常に飛ばさせてもらいまして、申し訳ありませんが。これ以降、直接、上野副長官には質問をする予定はありませんので、都合があるそうですから退席していただいて結構です。  あと十二分ですので、ちょっと順番を変えさせていただきたいと思います。  お聞きをしたいのは、これから世界の安全若しくは平和をどう構築していくかという、若林さんも、若干質問がダブりますけれども、重要な問題ですのでお聞きをしたいというふうに思います。  私は、世界の平和ということの恩恵を最も受けるのは私は日本ではないかというふうに思っております。日本は資源がない国ですから、食糧を含めて輸入に頼らざるを得ないというように思いますし、その代金を何で払うかということですと、輸出若しくは海外での活動で得たお金でそれを払うということからいくと、これが成り立つというのは、世界が平和であるということが前提だというように思っております。  そういう意味で、これが崩れますと、やっぱり私は日本の今の生活水準、生活環境というのは維持できないというふうに思っていまして、そういう意味で、今回の日本における危機対応をどうするかということと同時に、やっぱり世界の安全をどう構築していくかということは、日本が積極的に考えなきゃいけない大きなテーマだというふうに思っております。  そういう意味で、まずお聞きをしたいのは、世界の平和なり安全というのを、一つは、やっぱりアメリカ中心になってこれを構築していくんだという考えもある、言っている人もいるというふうに思います。大多数は、やはりこれは国連が中心となって世界の安全を構築すべきだというのが大多数だというふうに思いますが、日本として、この世界の平和の体制というのをどこがイニシアチブを取ってやるべきかということについてまずお聞きをしたいというふうに思います。外務省ではないかというふうに思いますが。
  62. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 先ほども答弁をさせていただきましたけれども、正に国連を中心とした一つ世界国際社会の中の平和、安全を確保すると。また、我が国として、日米安全保障条約、このことが我が国及び極東の平和と安全を維持すること、正に功を奏していると考えております。  そして、この二つの考え方はお互いに私は排除するものではなくて、それが重層的に、その行動、目的が重なり合って、地域並びに国際社会の平和と安全が確保されるというふうに考えているところであります。
  63. 池口修次

    ○池口修次君 私も、やっぱり世界の平和の体制というのをアメリカだけの判断で考えるということは非常に危険なことだというふうに思いますし、やっぱり国連の枠組みの中で話し合われるべきだというふうに思いますが、ただ、今回のイラクへの攻撃の決議をめぐって、国連の安保理が機能するのかしないのか、今のままでいいのかどうかということが言われております。  先ほども言いましたように、やはり日本が積極的にこの分野については発言しなくてはいけないというふうに私は思っているんですが、この安保理の機能回復というか、人によっては安保理の改革というような言い方もしている人がいるようですが、これに対して日本として何をすべきか、若しくはしようとしているのか、この点をお聞きしたいというふうに思います。
  64. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 御指摘のとおり、先般のイラクに対する軍事行動開始前に決議採択をめぐって国際社会の中で亀裂が生じたこと、大変残念なことだと私も考えております。  しかしながら、今後とも、安保理が国際社会の平和と安全の維持に主要な役割を果たしていく、そのことについては変わりがないというふうに考えたいと思いますし、我が国としましても、さきの総理並びに外務大臣の訪欧の際、様々な機会をとらえて関係国との意見交換を行い、その重要性を訴えてきたところであります。
  65. 池口修次

    ○池口修次君 いろいろ努力はしているということを否定はしませんけれども、私は、世界の安全をどう確保するか、そして場合によって、今、国連で許されているのは、自衛のための戦争と国連の安保理が認めたときの戦争というのがあるわけですけれども、やっぱり安保理の中で日本がどういう発言ができるのかできないのかというところが、非常に世界の、国連を中心と、重視していくということでいえば大変重要なことだというふうに思っております。  ただ、この点でいろいろな議論がある中で、やっぱり日本安保理に入るべきじゃないかという議論があるのは承知しているわけですけれども、ただ日本憲法上、国際紛争の解決には武力を行使しないということをうたっているわけで、では安保理で武力行使の容認決議が出た場合に、日本はどういう主体的な行動なり発言ができるのかということについては非常に難しい問題ですし、だと思いますが、ただやっぱりそこで何も発言できない、主体的に発言できないということになると、やっぱり日本が本当に安全ということについて積極的な役割を果たしたということには私はならないというふうに思っておりますが、この点について答弁をお願いをしたいというふうに思います。
  66. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 安保理改革の論議が既にスタートして十年経過しておるわけでありますけれども、拡大後の安保理の規模、いわゆる数でありますね、それから新常任理事国の選出方法、そして拒否権の扱い等々についていまだ各国の意見が分かれているということで、大変厳しい状況にあると言わざるを得ないと思うのであります。  なお、決議等々の対応でありますけれども、これまで過去において八回ほど、非常任理事国でもってPKOに関する決議の表決や、いわゆる多国籍軍に関する決議の表決に主体的に参加をさせていただきました。また、今般のイラク問題に関しましても、我が国安保理メンバー国ではありませんけれども、主体的に判断し、米英等の武力行使に支持を表明もさせていただきました。  我が国としては、今後も、安保理のメンバー、メンバーではないということにもとらわれず、憲法の枠内で国際の、国際間の平和と安全を維持するということを目的とする国連の諸活動に積極的に貢献していくという考えであります。
  67. 池口修次

    ○池口修次君 私が言いたいのは、米英の行動を支持するかしないかということ自体はできるというふうに思うんですけれども武力行使を容認するかどうかというのは安保理で決めるわけです。今回は、日本安保理に入っていなかったから、そういうことを明確にする必要はなかったわけですけれども、やっぱり安保理に入るということですと、やっぱりそこで明確に言えるようなものを、これは非常に微妙な問題がありますけれども、やっぱりそういう問題をある程度正面からとらえて議論をしていかないと、日本世界の安全について積極的に発言できるというふうには私は思わないということを申し述べさしていただきたいというふうに思いますが、もし何かありましたら、お聞きしますが。──ないようですから、じゃ。  それと、それに関連してですけれども小泉総理は、イラク攻撃の日本の態度を説明するときに、アメリカの攻撃は支持するけれども日本戦争に参加しない、だから、だからいいんだというふうには言ったかどうか分かりませんけれども、という趣旨の発言をされたというふうに私は思っております。私は、非常にこの発言というのは無責任ではないかというふうに思っております。日本は参加しないんだから、ほかのところがやるということ自体はいいんだということはちょっとどうかというふうに思っておりまして、やっぱりこのような説明を日本のトップリーダーがして、それで納得している人も多くいるというふうに思うんですが、やっぱりそれで納得をしてしまうということは日本にとって大変不幸なことだというふうに思っております。  これを続けていきますと、やはり世界の中でこういう問題に対して日本の発言力というのはますますなくなっていくんではないかというふうに私は思っております。答弁は結構でございます。  最後、一点だけ。自衛隊の行動について一点だけお聞きしたいというふうに思います。  今回、自衛隊法の改正で、いろいろ個人の持っている土地なり家屋を変更をするということができる法律になっております。それに対する補償についても明文化されているわけですけれども、例えば家屋を使用したときに、その補償というのはどこまでされるのか。法案なり事前の説明から言うと、公用令書に基づいたところしか補償がされないというようなことですけれども、ただ、やっぱり自衛隊が何かの目的で使うためにその家屋を使用するわけですから、ある意味、攻撃対象に最もなりやすいもので、自衛隊が壊した以外に攻撃によって壊された部分もあるということで、そういうときにはどこまで今回の法律によって補償をされるのか、若しくは今回の法律じゃなくても、どういう形で私的財産に対する補償がされるのかという点を最後にお聞きをしまして、時間が来ておりますので、今日はこれで終わりたいというように思います。
  68. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これをどうやって補償しようかということを今から法律によって定めることは非常に難しいんだと思っています。  それはどういうことかといいますと、どういう形で終わるのかというのが分からない。その敵の武力攻撃というのは物すごいもので、我が国の経済がすごく疲弊をしてしまって、これなかなかその補償するのが難しい場合もあり得るだろうと。これは、やらないとかそういうことを申し上げているわけではございません。ただ、どういう国情になっているか、そしてどれぐらいの被害が起こっているかということは、そのときに判断をする部分というのが私は意外と多いんだろうと思っています。  もちろん、そういう国民が受けた損害については補償することは必要です。ただ、これ戦前にも戦時災害保護法といったかな、そういうような法律がございまして、これは補償という概念ではなくて給付という概念を使っておりました。  ですから、それを完全に補償するというわけではなくて、家がなくなってしまった、学校が壊れてしまった、あるいは食べ物がなくなってしまった、それに対する補償という形ではなくて、国が給付するという形を取っております。
  69. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 防衛庁長官、時間が来ていますので、簡潔に。
  70. 石破茂

    国務大臣石破茂君) したがって、このことは、これから先いろんな議論をしていくことになろうかと思っております。
  71. 池口修次

    ○池口修次君 どうもありがとうございました。  終わります。
  72. 山本保

    山本保君 公明党の山本保です。  今日は、これから議論がいろいろされていくだろうということで、私も何回も質問さしていただくということですので、ちょっと法案の中身には、入れれば入りたいと思っていますが、ざくっとしたと言ったらおかしいですけれども、できれば専門の副大臣、副大臣、また官僚の方からいろいろ勉強したいと思いましてお聞きいたします。  最初は、自分のは、問題関心にちょっと言いますと、私は、やはり日本憲法に書いてある戦争放棄そして世界から戦争をなくするということをあくまで追求すべきだと私は思っておりますので、ただそれを夢のように言うのではなくて、何とかそれを実際に動かしていきたいと思っています。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕  ですから、そういうことで、この今回の法案というのはその中にきちんと位置付けていかなくちゃいけないと思っておりますので、そういう問題関心からお聞きするわけでございます。  最初に、外務大臣、矢野副大臣にお聞きいたします。  日本の現在の外交の基本方針というようなもの、先ほどから少しお話にも出たと思いますので、例えば冷戦という言葉は使わないんだとおっしゃいましたが、そういうときからそれがなくなった、そして今テロとか地域紛争になってきた。こういう状況の中で、どういう日本は今大きな外交方針を持っているのか、その中でこの今回の法案というのはどういうふうに位置付くものと考えればいいのか、この辺について御所見を聞きたいと思っております。矢野副大臣
  73. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 先ほど来質問いただいておりますけれども、繰り返しになって恐縮でありますけれども、やはり外交の一つの目的というのは、我が国並びに我が国国民の安定と繁栄を実現化することだというふうに考えておりまして、その構築のためには国際社会全体の平和、安定、そして繁栄の実現に取り組むことが不可欠だというふうなことだと思います。  この目的については、冷戦並びに冷戦終結後も私は不変のことだと考えておりまして、なお、現在の国際情勢でありますけれども、本当にふくそうする状況の中でというふうなことからして、より一層国際協調が重要となってきている現実があろうと思います。我が国としては、平和的な国際社会の構築に向けてより一層貢献していきたい、基本的な姿勢であります。
  74. 山本保

    山本保君 もう少し、では、ちょっとそれについて、審議官でも結構でございますので、もう少し教えていただきたい。  よく聞きますのは、日本の外交というのは日米関係を基軸としてというんですか、しつつ国際協調を重視していくというような、よくそういう言葉で整理されていると思うんです。日米関係、まあ日米同盟なんという言葉も今回の戦闘でよく、のときに使われたと思うんですが、こういうものと国際協調と、しかもこの中で今国連の安保理のことが出ました。私なども安保理はどうも本当に動かなかったんじゃないか。もちろん、日本としては、いやちゃんと安保理に従ってということで、法律的にはそういうことは分かるんです。しかし、実際論としていけば、安保理というのがまとまっていくのには時間も掛かるし、いろんな大国の権益等を考えますと、日本が何かあるときに、日本の利益ということを考えるときに、安保理が間に合うようにはどうも思えないのも実際でございます。  ただ、国際協調というと安保理だけではないだろうと。後からASEANのことをお聞きするわけでございますが、私も本当に今までこういう分野は苦手で勉強しなかったんですが、国連というとすぐ安保理と考えていましたが、いやどうもそうでもなくて、正にそういう新しいファクターが出てきているのがこの冷戦の終わった後の構造なのかなという気もするんですけれども。  さてそこで、日米関係ということと国際協調ということはこれはちゃんと両立するものなんでございましょうか。そのようなことに絞ってちょっとお聞きしたいんですが。
  75. 小田部陽一

    政府参考人小田部陽一君) 委員御質問の点でございますが、先ほど矢野副大臣の方からも答えさせていただきましたけれども、国連の活動あるいは日米の活動はともに、相伴いまして我が国のやはり平和と安全の確保に寄与していくというふうに考えておりますし、またそうさせていくべきだと思っております。  さらに、委員御指摘になりましたように、国際協調と言いましたときには国連だけではございませんで、委員御指摘のアジアにおける様々な枠組みもございます。さらには、G8という枠組みもございます。したがいまして、我が国といたしましては日米関係、あるいは国連、G8、いろんな場を使いまして、我が国の平和と安全を確保していくということが必要だろうというふうに考えております。
  76. 山本保

    山本保君 それでは、もう少しこの議論を深めるために、防衛庁長官に、今度は非常に深くそれと関連しております日本安全保障基本方針、これまでの流れ、そしてその中で変わったのか変わっていないのか、先ほど少しお触れにもなったのでもう一度お聞きしたいわけでございますが、現在においてどういう今ことが重要になっておるのか、そしてその中で今回の有事法制というのはどういうふうに位置付くのか、これについて御所見をお願いいたします。
  77. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほどもお答え申し上げましたが、今回の武力攻撃事態法あるいは自衛隊法の一部を改正する法律案とは直接結び付くものではございません。今回の法案、もう何十年も前から議論をしておることでございます。  そういうことを前提に置いて申し上げますと、やはり冷戦が終わったということと非対称的脅威が出てきたということが一番大きな変化だろうと思っております。専守防衛、そしてまた自衛権行使の三要件というものを堅持しながら、この冷戦後の事態というものに、そして非対称的な脅威というものにどうやってこたえるかということをきちんと答えを出さなければいけないものだというふうに考えております。
  78. 山本保

    山本保君 防衛庁長官、この点は非常に詳しいと思いますので、じゃちょっと踏み込んでお聞きしますが、今おっしゃったことは、そうすると今回の法律というのは、何か差し迫った危険が我が国にあるから作ったというのではなくして、何だと、一体どうなんだと、その辺をじゃ教えてください。
  79. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 全くおっしゃるとおりであって、差し迫った危険があったので今回のこういう法律ができたというものではございません。これはもう昭和五十二年来議論のあることでございまして、私どもはもっともっと早くにやらなければいけなかった、官房長官から政治の怠慢というお話がございましたが、それは私ども反省をしなければいけないことだったと思っております。
  80. 山本保

    山本保君 そうしますと、先ほど防衛計画の大綱というんですか、それが平成八年でしたか、そういうものがもう既にできていると。こういうものと、この中には例えばテロであるとか今の非対称的脅威というんですか、こういうものは余りまだ表に出ていなかったわけですね。何かこの法案を作り、もちろん危機があるから法案を作ったわけではないとおっしゃいましたけれども法案を作れば当然そういう状況変化が出てくると思うんですけれども、何か防衛力の大綱などについても、計画ですか、これから変更があるのであろうと、どういうふうな方向が考えられるのかということについて、もしよろしければお伺いします。
  81. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今の大綱は七年のものでございます。そこには、非対称的脅威という言葉があったかどうか、ちょっと私、記憶が定かではありませんが、テロというものがあるんだと、そういうもの、つまり正規戦の着上陸侵攻みたいなものではない、そういうものには対処していかなければいけないんだということは今の大綱にも書いてございます。  ただ、そのときに平成七年、今から八年ぐらい前ですか、テロとかゲリラとか、そういうものが我々の頭に本当に現実としてあったかというと、まだはっきりとした形は取っていなかった。九・一一みたいなものも起こっていなかった。だとしますと、それをさらに、今の装備で十分対応できるものなのか、そしてあのときは工作船事案ってまだ起こっていなかったのですよね。能登半島沖工作船事案があった。そして、東シナ海の工作船事案があった。やっぱりそういう新たに出てきたものに対して我々の陸上、海上、航空の防衛力はこれで本当に十分なのかという検証は常に行っていかねばならないことだと思っております。  そういう観点から、今在り方検討というものを庁内において行っておりますが、これが大綱の変更になるかどうかということは防衛庁ではなくて政府全体として決するものでございますので、私が今答弁する立場にはございません。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
  82. 山本保

    山本保君 これは外務省なのか防衛庁なのかちょっと質問してからあれですが、今のお話にも絡むわけですけれども、先ほどからあります、まあ総理がよくいつも言われる、備えあれば憂いなしと、防衛庁長官も、今回のものは本来あるべきことをしたものであって、決して何か今差し迫った脅威に対して対応したものではない。とはいえ、今までなかったものを作るわけですから、当然、備えと言えばいいんだが、相手側といいますか、そういう意図をする国があるとすれば、向こうからしてみれば当然何らかの意味が、日本というものが変わったわけですから、変わったと見るだろうというような気もするんですね。つまり、今回のこの法案が諸外国ではどのように取り、どんな反応といいますか、これは外務省でしょうかね、これ、この辺についてお聞きしたいんですが。
  83. 小田部陽一

    政府参考人小田部陽一君) 今回の法案につきましては、相当長い間国会で御議論いただいているわけでございますが、外務省といたしましては、早い段階から諸外国、特にアジア諸国に対しましては、正にこの法律の目的、意図、それから具体的仕組みというのを説明してきておりまして、万が一にもそういう諸国から誤解のないように努めてきているところでございます。  したがいまして、今のところ諸外国の方からこの法案自体についての大きな懸念というのは出ていないというふうに理解しております。
  84. 山本保

    山本保君 それでは、問題をちょっとまた外交の方に少し戻しまして、先ほど私もちょっと申し上げましたASEANというんですか、東南アジアなど日本の近辺というのがやはり外交で一番重要だという気がします。  何か起これば、日本に攻めてこられるとか有事だとかいう、また周辺有事というような、周辺事態というようなことではなかっても日本には非常にいろんな意味で影響があると思うわけでございますが、ASEANの、ARFというんですか、ASEAN地域フォーラムというような、こういう非常に地域協力というものが、やはり冷戦構造が終わってじゃないかなと私なども思うわけでございますけれども、特に日本の非常に関係するものとして、まだほかにあるかもしれません、申し訳ありません、私は今そこだけまずちょっと勉強しましたので。この辺は日本としてどういうふうに位置付けているのか、どんな取組をしておられるのかについて、まずお聞きしたいと思います。
  85. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) アジアでありますけれども、依然緊張関係並びに不透明、不確定な要素が多く存在していることは、議員御承知のとおりであります。  同地域においては、米国を中核とした日米、米韓等々、安全保障の取組がありますけれども、そのことを基軸として地域の安定が維持されてきていると考えております。  なお、こういうふうな、このような安全保障環境の下、二国間の取組と同時に、ASEAN地域フォーラム等の多国間の対話の枠組みを重層的に整備していくことが肝要だと考え、域内諸国間の相互信頼関係を高めるための安全保障対話や防衛交流を進展させることに、我が国を取り巻く安定した安全保障環境の向上というふうなところに重要な位置付けとして取り組ませていただいているところであります。  加えまして、私も八か国、ASEAN地域を十か国のうち八か国を訪問させていただきましたけれども、私の実感としまして、ただ経済的のみならず政治や治安も含めて、なおかつ東アジアの広く安全保障についての問題意識を共有し、ともに協力していこうというような考え方が醸成されているということをひしひしと感じたことも事実であります。そのことについて、我が国としての今後の貢献ということも積極的に取り組まなければいけないというふうに考えております。
  86. 山本保

    山本保君 ASEANというのは、この地域フォーラムですか、見て、お聞きして驚いたんですが、北朝鮮もメンバーに入っておるそうでありますね。しかも、今、矢野副大臣もおっしゃいましたように、経済的なことをするのかなと思っていましたら、そうではなくて、正に外交、安全保障的なところを中心に武力を使わずに、予防外交というんですか、そういうことが今このASEANの一番中心だと、中心といいますか、今の一つ課題だというふうにも聞いているんですけれども。  これはもっと積極的に日本は取り組むべきではないかなと思うんですけれども、特に北朝鮮というのが入っておるとなれば、唯一といいますか、もちろん二国間で話が進めばいいんですけれども、やっぱりお互い自分の御近所でも直接言えないことというのは一杯あるわけだし、こういう多国間の枠組みというものがあるのであればもっと積極的に活用すべきではないかなと。  矢野副大臣、今八か国も行かれてということでありましたので、一層この辺については重視すべきではないかと思いますけれども、現状と今後の取組についてお聞きしたいと思うんですが。
  87. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) ARFの件でありますけれども、ASEANの諸国にプラスすることの、欧州委員会、インド、モンゴル、北朝鮮、ロシア、そして米国、カナダが加わり、このARFの組織が形成されていることは御承知のとおりであります。  率直な考え方を申し上げますけれども、より一層積極的な展開が期待したいなという思いの中でこの取組、着実な進展が図られておるというふうな現状認識をさせていただいております。ですから、当然、面的な対応としてのその場での議論ということも必要性があろうと思いますけれども、余りにもネットする範囲が広いがためにというふうな一部障害も私としては感じております。しかしながらという思いの中で、今御指摘の問題を解決するための問題提起等々、今後も我々としても積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  88. 山本保

    山本保君 矢野副大臣にもう少し今度は先輩の政治家として御意見を伺いたいと思っているんですけれども、そういうふうに外国と日本が今交渉してきちんとやっていますよということなんですが、実は今回、この外交青書でございますか、これを見せていただいたりしまして、本当にもう急いで読んでいるので詳しく見ておりませんけれども、最初に私申し上げました夢のようなかもしれない、しかし、我が国憲法にはやはり世界の恒久の平和というものを念願する、そしてその理想と目的を達成することを誓うんだということが書いてあるわけですね。私は日本の国是だと思うんです、世界から戦争をなくする。例えば、そういうことは、片方の防衛のどうだこうだというときにはそれはもうそんなことを言っている余裕はないよというのが正に現実、リアルリスクということだと思うんですけれども、しかし外交というのはやはりいつも理念を掲げて持っていくべきではないかと思うんですけれども、今回見せていただいて初めて外交というものを読ませていただきましたら、何か日本がそういう戦争をなくするということを国是にしているんだと、例えばそれを世界に訴えていくんだというようなことは書いていないんですね、どうも見ていまして。  そんなことはもう当たり前のことなのか、それとももうあほらしくて、この前もある外交の専門家のお話を、講義を伺いましたら、何かもうそういうことをプロの世界で言うことはもう恥ずかしいような状況なんだというような、これは半分皮肉を込めて言われたのかもしれませんが、言葉も聞いてちょっと私も驚いたんですけれどもね。  もっと日本は、この青書にしましても、またASEANに対するこちらからの提案等にしましても、我が国基本的な立場というものをもっと打ち出すべきではないかなという気がしてならないんですけれども、矢野大臣政治家としてどうお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。
  89. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 委員御指摘のとおり、我が国の外交展開でありますけれども、平和憲法の理念を前提として展開されていくことは当然のことだと思いますね。ですから、その思いでもって一年間るる外交展開の結果を青書に記述させていただいたという一つの事柄でありますけれども、なおかつその中には、平和の定着等々、予防外交等の積極姿勢なども積極的に記述をさせていただいている内容でありますから、そのことについては広く私は国際化社会の中でも御理解を賜っているという前提の下での報告というふうに考えておりますけれども、今指摘のような考え方をより徹底させるという必要性がもしあるならば、貴重な御意見として今後検討させていただきたいと思います。
  90. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  こんな素人っぽい議論をして笑われるのかと思いましたら、いや、少し積極的に考えてみましょうということなんで、ちょっと私も驚いておりますけれども。  しかし、もう一つ、ただそれを言うだけではもちろんいけないんだろうと思うんです。先ほどからお話ありますように、もう戦後五十年以上、正に憲法はとっくにあるわけですけれども、しかし実際にはその憲法はほとんど何も機能してこなかったと思います。しかし、この今の理想などといっても、とてもできるところになかったと思うんです。両方の両大国といいますか、の下に、言うなら、言葉は悪いですが、親分の下にひっ付いていなければ生きていけないという時代だったわけですから。しかし、それが終わった。  しかも、先ほどからお話ありますように、地域ごとにその国やその地域の安定と平和若しくは国益、その地域の利益のために具体的に話が始まってきているとなれば、今までの外交方針ではなくて、一歩も二歩ももっと具体的に、例えば東南アジアに非核の地域を作ろうとか、何かよく竹中さんが出す工程表ということで、はやりになっておりますが、私は本当にこの地域を、五十年掛かるか百年掛かるか分からないけれども、しかしその間に日本は絶対に戦争をなくするために努力する、そういう国である、そしてそれを是非皆さん分かってくださいよという、その目標をきちんと決めていくようなことをすべきではないか。  具体的にもう一つお聞きしたいのは、であるならば、今回のこういう法律を作るんであれば、バランス感覚からいっても、やはり、決して攻めたりするんじゃない、戸締まりだと、おっしゃるとおり、備えなんだと。しかし、しかしそういうものをやった以上、やっぱりちょっと普通の国に近付いたわけですから、しかし、私は普通の国じゃない国だという気もするんです、やっぱり日本は。もう一つの方を踏み込むべきじゃないか。ならば、そのことを、つまり世界の戦略、何かストラテジーというと、何か言葉のおかしな、平和の戦略って変ですけれども、それをやる役所といいますか担当部局というものを、例えば内閣に、官房などにきちんと作っていくべきではないかと思うんですけれども、この辺についてはどちらにお聞きすればいいのか、官房長官なのか、官房長官、せっかくおいでですから、お願いします。
  91. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 内閣でというお話でしたから私からお答えをいたしますけれども、今、外務省を中心といたしまして、平和の構築と申しますか、戦争をする前の、また戦争終わった後のいろいろな処理ということよりも、その前の段階の、例えば、いろいろな紛争が起こる原因は例えば貧困にあるんだとかいったようなことがあれば、貧困の撲滅にどうしたらいいか、そのためにODAをどう使うべきかといったようなことも配慮しながら平和の構築というものにも取り組んでいるわけです。  ですから、委員のおっしゃるような、平和に向けての日本としての考え方、それを発露するような場面というのはこれはもう既にあるわけで、戦後、一貫して我が国は平和外交を続けてきたわけですから、そういう中で平和問題に取り組んできた、これからも取り組んでいかなければいけない大きな課題である。特に、経済力も世界第二位といいながらも、核も保有しない、そして攻撃的な兵器というものは極力持たないようにするとか、そういう配慮もしながらやってきたわけでありまして、その方針は今後も貫いていくのではなかろうかなというふうに私は思っております。  そういうことで、これは外交方針ではありますが、もう一つは、国の大きな命題だという意味におきまして、これは内閣総理大臣がそういう考え方を常に持った上で、いろいろと目配り、気配りをしながらその時々の外交を進めていくということになろうかと思いますので、それを補佐する部署がどこにあるべきかといったようなことになった場合に、じゃ、総理大臣を補佐するという意味において、そのそばにそういう専門部局があったらいいのではないかと、こういう御議論、これはよく分かります。  ただ、これは外交方針そのものに関することでございますから、今、外務省が中心になってそういう対応をしているということでございます。内閣府にも国際平和協力室というものがございます。その一翼は担っております。また、戦後処理問題、例えば中国の遺棄化学兵器の処理、そういったようなことも、これも大事な平和外交のツールだというふうに私は思っておりますけれども、そういうことも全力を挙げてやっておるということでございますので、それは内閣府と、それからまた、総理の下で内閣府と、それから外務省が分担してその仕事に従事していると、携わっていると、こういうようにお考えいただきたいと思います。  それを更に政策として強化するかどうか、それは今後日本がどういうふうな外交政策を取り、またそれをもっと強く打ち出す必要があるというようなことであるならば、またそれはそれで対応する部署を作るということも一案かとは思っております。
  92. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) ただいま官房長官からも答弁がありましたけれども、特に外務省内部でということを私からも答弁をさせていただきたいと思うんでありますけれども、その目的をより内外に明確にするためにもということで、関係部局が集まりまして、平成十六年度に機構改革の一つとして、外務省内部に関係部局、外交審議官、総合外政、総政局ですね、それから経済協力局、国際社会協力部、地域局等々の関係者から成る平和構築調整委員会を立ち上げるというふうな機構改革も考えております。
  93. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  私が申し上げましたのは、もう、まず一つは単純なことなんです。つまり、官房長官もおっしゃいましたけれども、今、いろんな問題がある。貧困がある、教育の問題がある、そして過去の日本の犯したものについての清算もある、いろんなことがある。こういうものをきちんとしていけばいいんだというのは正にそのとおりなんですが、もう一つの発想を私、申し上げたんですね。  つまり、我が国の目標はもうはっきりしているんです。目標は、この地球から核兵器もなくし戦争もなくし、人が国の名前で殺し合うようなことはなくすということなんです。であるならば、その目標の方から逆算していくということをしたらどうですかということを申し上げているわけです。  小泉政権になって、私も経済などを勉強しまして、やはり一つ面白い発想だなと思うのは、まず目標を設定してからその間を詰めていく。私も官僚でしたが、官僚というのはなかなか、そういうことを頭の中でやっているが、外には言いません。現実、ここだけ直すんですよという顔をしながら、実際、ねらいはあるんですが言わない。正にねらいを言うのが政治家の仕事だと思っております。  ですから、先ほどから無い物ねだりのようなお話をしましたのは、この青書を読ませていただいても、そういう発想ではないなと。日本というのは本来世界を平和にするための仕事をする、誓ったんですから、こういうものを持っている国だということから逆に発想していったらどうなんだろうかということを少し申し上げたということでございます。  できれば、じゃ、官房長官、もう一言いただけますでしょうか。
  94. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 目標を設定して、その道程を明らかにする、工程表というふうにさっき例を挙げられましたけれども、それはそれで、その考え方はよろしいんだろうと思いますよ。  しかし、これは我が国だけでどうこうできるものでないということがございます。国際間の協調と申しますか、我が国だけがそう考えても、ほかの国がどうしても付いてこないというような状況の中で我が国はどうするかと。あくまでもそれはもう平和平和というふうに言い続けるかどうか、それよりも、そういう国際情勢を、そういう現実を直視した上で、それを少しでも改善するような現実的な解決方法はないかどうかといったようなことも視野に入れなければいけない。  先ほど来、国連のお話ございました。国連というのは、それは私はある意味においては、表現は悪いかもしれませんけれども、理想の姿を追い求めているものだと。今度の実際の米英を中心とするイラクの攻撃、これは現実の社会だと、こういうふうに思うんです。これが、現実と理想が一致すればこれに越したことないんです。そのことを我が国も目指していかなければいけない、これはもう当然のことでございまして、ただ、その間において、いろいろな現実は、それも国際間においては各国の利益を最大限膨脹させるというか、最大限に国の力を活用して国の存在を大きくしようという、そういうような働きもあるわけでございますので、そういう中で、理想だけ掲げて、理想でなければ、理想に到達する一直線でなければそれ以外は排除するというのは現実的には難しいこともあるということは、これは御理解のとおりでございます。
  95. 山本保

    山本保君 本当にまじめに答えていただきまして、ありがとうございます。  私が申し上げていますのは、正に、冷戦構造の中ではそんなことを言っても本当に、私どもも学生時代から含めて、野党としていたときからと言ってもいいんですが、ただ理想を言うだけであったんじゃないか。ただ、今になってきますと、内閣にも入れていただきましたし、与党にも入れていただきましたし、それから世界状況が確かに変わってきているだろう。先ほどASEANというのを出しましたのは、そういう持ちごまが出てきたじゃないですか、いよいよ日本の理想を追求するための持ちごまが出てきているんじゃないですか。なのに、どうも見ていまして、今までと同じ形で外交、安全保障が動いていませんかという、ちょっとそんな気がしたものですから申し上げました。  それでは、またこの話はもう少し勉強させていただいて詰めていきたいと思っておりますので、少し残った時間、ちょっと法案にも絡むことでございますが、そうですね、それでもう一つは、ここで、正にこういう法案はできた。防衛庁長官は、いやこれは決してそんな攻撃のためのものでない、それは読めば分かります。  しかし、例えば、今日、昨日も問題になっていますように、一体攻めてきたのか攻めてきたのでないのか、武力攻撃か、その前段階ですか、などといったとき、非常に危惧いたしますのは、本当に幅広い、そして外交的なとか、いろんな情報を頭に入れたそういう、政治家と言ってもいいですし、何というんですか、全体的な感覚に立った方がきちんとそれを判断したり、そこでその次の指示を出したりするような、そういう仕組みというか、ものをきちんと持っていなくちゃいけない。文民統制とかシビリアンコントロールということだと思うんですけれども、これが一番大事だと思っておりまして、これについてお聞きしたいんです。  今度、ちょっと話、問題が通知したのとちょっと変わるかもしれませんが、安全保障会議ですか、その中に事態対処専門委員会というのができると。ここで実質的に、その後にまた会議があり、そして内閣の閣議がありということではありますけれども、お聞きしますと、ここでの判断というのが一番重要な判断になるだろうと思いますので、この辺の、この委員会についてちょっとお聞きいたします。  まず、この委員会というのは、まだこれからだと思いますけれども、どういう体制で作られることを計画されておりますか。
  96. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 事態対処専門委員会は、これは安全保障会議設置法第九条に基づいて、内閣官房において処理し、命を受けた内閣官房長官補が掌理すると、こういうことになっております。  この委員会に係る事務の体制は、現在検討中ではございますが、事態対処における安全保障会議の役割の重要性にかんがみまして、平素から専門的な調査分析を行い、安全保障会議への進言を行うことのできるよう体制の整備に取り組んでまいりたいと思っております。  イメージといたしましては、官房副長官補がリーダーになりまして、各省、関係各省ですね、安全保障に関する、の局長級の人を集めようと。これは常時と申しますか、平時においてもそういう会議は随時行って情報の連絡等々を行うと、こういう考え方をしておるところでございます。
  97. 山本保

    山本保君 今おっしゃいましたように、局長クラスの方と、そして、先ほどは民間の専門家も入れてというようなお返事があったと思います。  そうなりますと、これはやはり判断をされる側の人ですから、そこに出す情報がいかに、その中の選択肢とか、又は、当然、今回のイラクのを見ていましても、戦争状況みたいなものになったときの国の情報なんというのは本当に当てにならないわけでありまして、しかしそのときにいかに多角的な情報、そしてそれ以外の、もしもの場合であったとしてももっと別の選択肢がないのかとか、こういうところを作る、何というんですか、事務局というんですか、内部部局というんですか、この辺が一番重要だと思うわけですね。  そうしますと、今、官房長官からも、官房副長官補ですか、それから先ほどから危機管理監というような言葉も出ておりましたし、それから首相補佐官というのもたしかおられて、こういう専門の方がいるんじゃなかったかなという気がするわけですけれども、こういう現状のものと、そして今度作られるものとどうも話ダブっているような気もしてしようがないんですけれども、強力なスタッフをそろえるということが大事だと思うんですが、その辺はどんな考えでございましょう。
  98. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 現在の危機管理体制は、危機管理監を置いて、そしてそこで危機管理を統括すると、こういう形になっております。その下に情報官というのがおりまして、また、危機管理センター、情報集約センターというものがございまして、そこが内閣官房において情報を集約、そしてそれを的確に上に上げていく、危機管理監にまで上げていくと、こういうふうな体制になっております。  この今の有事関連法が成立した暁にその関係をどうするかということについては、これは考えていかなければいけない問題だと思います。確かにそういう面がございますので、それはそれで対応については考えますけれども、今の体制は今の体制として、これは有効活用できるような状況でございます。  この有事法制に基づく、この先ほど申しました事態対処専門委員会ですね、対処専門委員会は、中心課題有事ということでございますから、これを中心とした情報収集、また分析評価と、こういったようなことになろうかと思っておりますので、共存することは可能だというふうに思っております。
  99. 山本保

    山本保君 今の状況をお聞きしましたら、首相補佐官とか、民間の方を入れるということで、たしか前に作ったのかなと思っておりましたけれども、どうも民間の方は入っていないというふうにも聞いておるんですね。今後の、今、官房長官言われたものの中に民間の方なども積極的に登用されていった方がいいんじゃないかなという気がするんですが、いかがでしょう。
  100. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 今、中央官庁におきましても民間人材を登用すべきではないかというような意見がございまして、それはそれで今一生懸命努力をしておるところでございます。  問題は、そういう知見を備えた方でなければ困るということ、そしてまた、こういう組織を活用できる能力を持つ人でなければ困る、そういうこともございますので、そういう観点からの人材を求めていかなければいけない。  これから、そういうことも含めて考えるべきことだろうというふうに思いますので、本当に有能な、そして危機に対して的確な対処ができる、判断ができる、そういうような人材はそれは内外に求めていきたいというように考えております。
  101. 山本保

    山本保君 時間もありませんので、一つだけ、じゃ最後にあとはお聞きしたいと思います。  これはまた話がちょっと別なんですが、いよいよその自衛隊というものの意味でございます。万が一ということですから、万が一ということは、あと九千九百九十九のときはないわけですね。ただし、それでは余りにももったいないし、その間何もないことが一番いいわけですから、もちろん何もないために備えていただいている、そのためにもういつも訓練していただいている、本当に私は有り難いことだと思っておりますけれども、しかしそれをもっと国民の方にも知っていただいて、そして、今地域では、例えば具体的に言いますと、私のおるところでも非常に犯罪などが増えたりして心配しております。例えば治安活動という中に、警察とのもっと協力で、今、地元の警察署長などに聞きますと本当に今もう大変でございまして、もう非番も取れないぐらいで、もう倒れる寸前で頑張っているということもお聞きしているし、本当にそうだなと思っているんです。例えばそんなことだとか、もっと地域で自衛隊というものがもっと普通に考えられるような、ですが、もちろん当然何かのときには頑張っていただくわけですから、それは普通の公務員とは違うでしょうけれども、何かそういうことで平素から地域住民とかと、やっておられると思うんですけれども、これをもっと進めていただきたいなという気がいたします。  ついでにもう一つ言いますと、自衛隊の駐屯地というんですか基地へ行きますと、自動小銃かなんか持った方が、そして正にそういう格好でおられますけれども、あんなこと必要なんでしょうかね。私は、正に有事にでもなったときはそれはそうすればよろしいんで、大体、万が一のことなんですから、もっと普通の格好で別にふだんからきちんと対応できるんじゃないか。何か昔の軍隊のやはりそういうイメージがあって、いつもぴしっとしていなくちゃいけないんだ、一般人近寄るべからずと、こういうのがあるような気もしてしようがないんですが、これは余分なことですけれども。  それはそれとしまして、地域住民、また地方の団体との関係というのをもっと進めていただきたいと思うんですが、これについて御所見を伺います。
  102. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おっしゃるように、更に努めてまいりたいと思います。  ただ、今なかなか、警察官の方が足りないと、その分の代わりを自衛官というのは、これはちょっとなかなかできないのでありまして、私ども、海上警備行動でありますとか治安出動でありますとか、警察力の限界を超えたときに自衛隊が出るという法律の仕組みになってございます。ですから、やはり自衛隊というのは大変な強力な武装を持った集団でございますので、これが警察力の補完をいたします場合は、警察力をもってしては対応できないという事態が生じた場合に限りやるのだと。それは国家資源として無駄ではないかという御指摘をいただければ、それはそういうところはあるだろうと思います。ただ、実力部隊というのはそうあるべきものだというふうに私どもは今考えておるところでございます。  地域との交流ということは私どもも非常に心掛けておるところでございます。更に進めていきたいと思いますが、委員もよく御理解いただいていることと思いますが、例えば札幌の雪祭り、あれはほとんどの雪像は自衛官が作らせていただいております。テレビには自衛官が作っているところは映りません。でも、一生懸命作っているのは自衛官たちです。そして、温度が少し上がれば、解けるんじゃないかといって真夜中でも見に行く。雪が積もったら、つぶれるんじゃないかということで真夜中でも補修に行く。人に見えないところで一生懸命やっておるというところもございます。  今後、更に努めてまいりますが、どうか御理解を今後とも賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  103. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  私、一つ、もう一つついでに言いますと、前に実は、二年、三年前ですか、あの東海地方の豪雨のときに自衛隊の方に本当にお世話になりました。私もその船に乗せていただいて水の中へ行ったことがあるんですが、そのときちょっと感じましたし、まずそういう声も聞いたのは、本当に若い元気な人がたくさん食料だとか持ってきてくれたけれども、どこへ持っていくかが分からない。あのときは、ちょうどその地域は区役所、役所がもう全滅でございまして、実は、本当に欲しい独り暮らしのお年寄りや障害のある方のところへ持っていかなくちゃいけないのに自衛隊の方はそれはできない。命令、言っても、上から聞かなくちゃ駄目ですよとなる。結局、声の大きいところへ行ってしまう。  これはやはり、その地域から、ふだんからいないから仕方がないことだと思いますけれども、何か、できれば地域の方ともう少しきちんと連携が取れるような体制を取っておかないと、こういう、いったん、万が一のときに慌ててはいけないなと思ったものですから余分なことを申し上げました。  以上で結構でございます。ちょっと早いですが、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  104. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 午後二時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ─────・─────    午後二時三十分開会
  105. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) ただいまから武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を再開いたします。  委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案につき、現地において意見を聴取するため、来る五月二十九日に委員派遣を行うこととし、派遣委員、派遣地等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  106. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 多数と認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────
  107. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 休憩前に引き続き、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  108. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。  有事法案について質問をさせていただきます。  まず私が質問したいのは、今回の法律案と日米ガイドライン、いわゆる日米防衛協力の指針、この関係でございます。  私は、今回の法案は備えあれば憂いなしで、どっかの国が日本を攻めてくる、そうした有事に備えるんだと言っておりますが、私は日米ガイドラインを読む限り、アメリカがアジア太平洋の各地で周辺事態を起こす、この戦争に協力する、それによって日本戦争に巻き込まれる、これがやはり私は日本有事の最大の脅威だというふうに思います。  そこで、私、幾つかお聞きしますが、日米ガイドライン、今度の新しい九六年に進められたガイドラインは、周辺事態アメリカ戦争が起こして、日本自衛隊ばかりじゃなくて自治体や民間が協力する、それによって日本有事が、周辺事態が波及して起こる、こういう大変具体的で詳細な私は計画が書かれていると思います。  この問題について、例えば今、国務副長官のアーミテージ氏は、アメリカの国防大学の関係でのレポート、通称アーミテージ・レポートと言っている中で何と言っているかというと、日米同盟を米英同盟、アメリカとイギリスの同盟に近づけるためには何が必要かというところで、危機管理法、すなわち私は有事立法のことだと思いますが、危機管理法などの立法処置を含む日米ガイドラインの完全な実施、これが大変重要だということを指摘しております。  私、まず防衛庁長官お尋ねしたいのは、今回の有事法制はこの新ガイドラインと大変密接な関係があると思いますが、長官はいかがお考えでございますか。
  109. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今回の有事法制というのは、再三答弁申し上げておりますように、昭和五十二年から研究を始めておるものでございます。むしろ、これは自衛隊法ができたときから、本来、例えば百三条の政令なぞというものは自衛隊法ができたときからの問題でございます。  そういたしますと、この有事法制の研究あるいはその結実としての部分もありますが、今回の武力事態法というものとガイドラインというものは直接の連関があるものではございません。それぞれが事態として、それは共通想定のようなこともあるのかもしれませんが、これは本来別個のものでございます。  アーミテージ・レポートについてのお話がございましたが、これはアーミテージ氏が政権に入る前にいわゆる民間人の立場でまとめたレポートでございますから、アーミテージ・レポートに沿いましてあれこれ申し上げることはいかがなものかというふうに私は思っております。
  110. 小泉親司

    小泉親司君 長官は、今度の有事法制法案と、有事法制法案と日米ガイドラインが全く関係ないと、こうおっしゃるんですか。
  111. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは結果として関係がある場面もございますでしょう。それは、武力攻撃予測事態というものと周辺事態というものがどうなるのだという御議論は参議院においても承っておるところでございます。しかしながら、それは別々の法律でございますし、これが周辺事態であるとか予測事態であるとかいうことは別々の法律に基づいて決まるものでございますから、それが論理的に連関をするとは思っていないということを申し上げておるだけのことでございます。
  112. 小泉親司

    小泉親司君 防衛庁長官は日米ガイドラインをよく読んでおられない。なぜ読んでおられないかというと、日米新ガイドラインの中には、(発言する者あり)ちょっと聞きなさいよ、新ガイドラインの中には、周辺事態法でフォローされたもの、そうですね、それと周辺事態ではフォローされていないもの、これも存在するんですよ。それはお認めになりますね。ということは、実際に今度の有事法制法案と日米ガイドラインがある局面では極めて密接な関係がある、このことはお認めになっていると思います。  そこで、私、お聞きしたいのは、新ガイドラインの中に日本武力攻撃が差し迫った場合という項目がございます。このことについて、私、防衛庁お尋ねしましたら、これは言わば基本的には武力攻撃予測事態を指すんだと、こういう御説明でありましたが、この点だけ長官にまず確認しておきたいと思います。
  113. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 基本的にという文言をどういうふうにその説明した者が申し上げたかどうかは私は存じませんけれども、そういう場合というのはございます。それは当然あります。差し迫った場合というものと武力攻撃予測事態、それが、しかしながら、先ほど来申し上げておりますように別々の法律に基づいて別々の認定を行うものでございますから、結果的に同じという場合は、それは結果としてございます。  しかしながら、どういう例か、なかなかこう思い浮かべるというか、想定するのは、前提がいろいろございますから、ここでこういう場合というのを申し上げるのはいかがなものかと思いますが、それが全く重ならない場合というのも当然あり得ることでございまして、それがそのまま論理的に重なるものだということにはならないということを申し上げておるわけでございます。
  114. 小泉親司

    小泉親司君 私は、あり得るかあり得ないかといえば、それは様々な問題があると、これはもう私も認めます。しかし、これは長官も一致するという場合があるということもおっしゃっているわけですから。  私、そこでちょっと確認しておきたいんですが、ガイドラインというのは日米の両政府の合意なんですよ。このうち周辺事態でフォローされているものがあるんです。しかし、フォローされていないものもたくさんあるんです。それはお認めになると思いますので、私、次に進みたいのは、この日本武力攻撃が差し迫った場合、つまり武力攻撃の予測事態となる場合があるということをお認めになりましたのでお尋ねしますが、今回の法案の中には、武力攻撃の予測事態で何をやるかということについては具体的じゃないんですよ。例えば対処本部を作る、それから総理大臣がそういう権限を持った行動を行う、このことは確かに書かれております。しかし、それはみんな二年後だと、こういう話ですね。  私、日米ガイドライン読みますと、武力攻撃予測事態が、つまり日本武力攻撃が差し迫った場合について大変具体的に書いてある。四つやると書いてあるんです。よろしいですか。今ちょっとあれですから確認しますと、一つは、調整メカニズムを立ち上げる。うなずいておられるからそうだということは間違いないと思います。二番目は、よろしいですか、二番目は、日米両政府が合意された準備行動を取る。三つ目は、警戒監視体制を強化する。もう一つは、アメリカが来援してくる、つまり部隊を日本に展開してくる、そういう場合の備えを行う。この四つ言っているわけですね。よろしいですか。  その四つの問題について、私、一つまずお聞きしますが、武力攻撃予測事態になったら調整メカニズムを立ち上げる、これ、ガイドラインの合意であります。調整メカニズムというのは何か。これは、日本外務省、防衛庁アメリカは国務省、国防省、アメリカ大使館、それから在日米軍、自衛隊、これが一つのメカニズムを立ち上げる、よろしいですね。その点について今度の法律を見ると、今度は武力攻撃予測事態では今度の法律対処本部を作る、総理大臣を筆頭とした。じゃ、武力攻撃予測事態が起きた。日本武力攻撃が差し迫った場合に、日米ガイドラインの調整メカニズムと、この法律で定めるいわゆる対処本部、この関係というのはどういうふうになるんですか。
  115. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 調整メカニズムと対処本部はどういう関係に立つかという御質問かと思います。  この対処本部というのは、結局、日本武力攻撃予測事態なり武力攻撃事態なりが起こったときにどのように対処すべきかということを政府の中において検討すると、そういう仕組みでございます。調整メカニズムというものは、この武力攻撃事態法に基づいているものではございません。それぞれは別個のものでございます。  しかしながら、日本に対する武力攻撃が発生したような場合、その場合にはどうしてそれを排除するかということについて連絡ということが行われることになるでありましょう。そして、予測事態の場合には、これは日本に対して武力攻撃が加えられているわけではございませんので、そのようなことは当然生じないということでございます。  予測事態において日本が米国のために何ができるかということにつきましては、これから検討をしてまいることでございます。したがいまして、予測事態においてどうなのかということは、その範囲においては今の時点においてお答えをすることは難しいと思います。
  116. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、日米ガイドラインの流れで調整メカニズムがある、この法律に基づいて総理大臣の筆頭とする対処本部ができる、これはお認めになりました。それから、この二つの組織が連関すると。  ということは、調整メカニズムでやられる、いわゆるこれは中心は日米軍事協議ですな。この軍事協議の問題で中身は、中身はあなたはこれからだと言っておられるからそれを問うているんじゃなくて、ということは、つまりアメリカの要望というのは、この調整メカニズムを通じて日本の総理大臣がやる対処本部の方針、これに反映される、これは間違いないですね。
  117. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、アメリカ合衆国の例えば政治的なニーズというものもございましょう。あるいは、外交的なニーズというものもあります。軍事的なものというのもあります。それはこの調整メカニズムのみを通じて日本政府に伝えられるのかということをお尋ねになりますと、これはある意味、別に逃げるわけではありませんが、外務省の所掌に係る部分も大きゅうございますので、私がここで責任を持った答弁というものはいたしかねます。しかし、それのみが日本対処本部に伝えることになるのかと言われれば、ほかにもいろんなルートはあるのだろうというふうには思っております。
  118. 小泉親司

    小泉親司君 私は別にそういうことを聞いているんじゃなくて、防衛庁長官自衛隊の言わば最高責任者じゃないけれども責任者であられるから、自衛隊のいわゆる軍事計画を米軍と一緒に調整メカニズムで組んでいるわけですよ。それはお認めになるでしょう。そのときに、アメリカ軍の意向が、軍事面の意向が対処方針に反映されるのかと私は聞いているんです。これは極めて単純な話です。
  119. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ここは何をお意図なさっての御質問か、ちょっと私の理解力が不足でよく分からなくて恐縮なのでありますけれどもアメリカの軍事的な要請というものが反映をされることがあるのかということでございます。  それは、武力攻撃予測事態とあるいは武力攻撃事態と全く局面はこれは違う。何が違うかといえば、武力攻撃を受けているかいないかということによって違うわけでございます。  米軍の軍事的なニーズというものがどのように反映をされるか。その場合に、対処本部というものが責任を持たねばならない部分と調整メカニズムにおいて完結する部分と、いろんなものがあるのだろうと思っております。それが対処本部において議論をされねばならないというものを含む場合には、それは可能性として排除されることはないのではないかと、私は現在のところそのように考えておりますが、所掌の大臣ではございませんので、そのことにつきましては外務省の方が責任のあるお答えができようかというふうには思っております。
  120. 小泉親司

    小泉親司君 余り私は意図して聞いておりませんので、余り。  その次に、二番目に私お聞きしたいのは、「日米両国政府は、適切に協力しつつ、合意によって選択された準備段階に従い、整合のとれた対応確保するために必要な準備を行う。」と書いてあります。これは武力攻撃予測事態で、米軍と自衛隊が合意された準備段階を持つんだということを書いてあります。どういう準備段階を持つんですか。
  121. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そこに書いてあるのは実に当たり前のことが書いてあると私は思っておりますが、準備段階としてどうなのかということをお尋ねになりますと、それは周辺事態等々におきまして、私どもが輸送等々定められたことを行うわけでございますが、それを実施するためにいかなることが準備段階として必要なのであろうかと。それはもう個々具体的なニーズに従って決められることだと思っております。
  122. 小泉親司

    小泉親司君 私は、周辺事態のことを言っておりません。  日本有事なのに、あなたは今、日本有事武力攻撃予測事態のときに周辺事態対応をするとおっしゃった。これは重大な答弁ですよ。よろしいですか。武力攻撃予測事態のときに周辺事態をあなたはやるとおっしゃっている。あなたは周辺事態のことをやると今おっしゃったじゃないですか。そんなごまかしちゃ駄目ですよ。  よろしいですか。武力攻撃予測事態のときに準備段階を取ると。どういう準備段階というふうに私はお聞きしたら、あなたは周辺事態のときに輸送のニーズだとか補給のニーズにこたえる行動を自衛隊がやるんだ、こうおっしゃったんですよ。違うんですか。
  123. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほどから申し上げておりますように、武力攻撃予測事態であるとか武力攻撃事態であるとか、そういう場合に何を行うのかということはこれから決めることでございます。それは国会の御承認をいただいて決まることでございまして、あるいは私がその委員の御質問を混同して答弁を申し上げたのかもしれません。おまえはそう言って重大なことを言ったのだと、こう言われれば、それはごめんなさい、聞き違いですと、こういうことになろうかと思います……
  124. 小泉親司

    小泉親司君 いや、聞き違いじゃないよ、言い違いだよ。
  125. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 言い違い、失礼。聞き間違いと言い違いの合成みたいなものでございますが。  つまり、予測事態において何ができるかということは、当然その周辺事態法に基づいて行うということではございません。それは武力攻撃予測事態というものが起こったとして、それにどういうような支援ができるか、武力攻撃予測事態に基づいて行う場合にはどうするのかということは、これから決まってくることだということでございます。
  126. 小泉親司

    小泉親司君 私、これから決めることだと言う防衛庁長官のことについては、別にそのことは否定をいたしません。  ただ、あなたは初めに、この法律に基づくものの武力攻撃予測事態の話、ちょっと聞いてくださいよ、よく。のものと、よろしいですか、それから日米ガイドラインの話は別々だと一番初めにおっしゃった。だから、別々なんであれば、その準備段階を取るということは、この法律に基づかないで準備行動を米軍と自衛隊が取るんですよ、武力攻撃予測事態から。違うんですか。だから、その準備段階というのは具体的にどういうふうな準備段階を取っていくのかと。  これは、長官、私、問題にしているのは、どういうことを言っているかというと、周辺事態が起きる、今さっきおっしゃったから。その上で、間に武力攻撃予測事態がある。これは法律対応長官言われるように違うかもしれない。しかし、例えば波及してくる場合があるわけで、波及してきて武力攻撃の予測事態になる。それから、そこから準備行動を取って武力攻撃事態が、武力攻撃が起きる可能性がある。この法案はそういうことを言っているんですよ。  となると、武力攻撃予測事態を判定した後、ガイドラインに基づいて米軍と自衛隊が準備行動を取るんだとガイドラインでは言っておる。法律では何も言っていないんですから、よろしいですか、具体的にその準備段階はどういうことを取るんだと。あなた方は日本有事に備えが大事だと言うのであれば、どういう準備段階になっているか、具体的に言ってください。
  127. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、事態が周辺事態から武力攻撃予測事態になり、武力攻撃事態になるということがあり得るというのはそうなのだろうと思います。  できれば、武力攻撃事態にならないように武力攻撃予測事態の段階で止めるということが大事ですし、そのために日米協力というのは行われるわけであって、これが周辺事態から必ず予測事態になり、予測事態から必ず武力攻撃事態になるのだということではなくて、周辺事態から武力攻撃予測事態のところは少し差があることではございます。ちょっと質的な差が生ずることもございますし、必ずしも同一の事象が推移するとは限りません。  しかしながら、そのときにおいて、じゃ、武力攻撃予測事態においても周辺事態法というものを使ってやるのかどうなのかということにつきましては、これはそれぞれ別個の法律に基づく別個の判断でございますから、周辺事態法によって行うのだというようなことには論理的には必ずしもならないということだと思います。  いずれにいたしましても、予測事態あるいは武力攻撃事態において米軍との関係をどのようにしていくかという法律を、これからそういうような委員の御議論も踏まえた上で、きちんと整理をして私どもとしては立法し、国会の御審議をいただく、そういうことになろうかと思います。
  128. 小泉親司

    小泉親司君 だから、先ほども言うように、準備行動は、日米ガイドラインで定められた準備行動というのは今度の法律のどこに入っているんですか、じゃ、長官。これは法律と違うんです。もう既に米軍と自衛隊の準備行動の段階が合意されているんじゃないんですか。
  129. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これ、書いてあるもの読みまして恐縮でございますが、こういうことを御理解をいただきたいと思っておるのですね。  「準備のための共通の基準の確立」というものがございます。それは、「日米両国政府は、日本の防衛のための準備に関し、共通の基準を平素から確立する。この基準は、各々の準備段階における情報活動、部隊の活動、移動、後方支援その他の事項を明らかにするものである。日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合には、日米両国政府の合意により共通の準備段階が選択され、これが、自衛隊、米軍その他の関係機関による日本の防衛のための準備のレベルに反映される。」、何か直訳調で恐縮でございますけれども、こういうことになるわけでございます。
  130. 小泉親司

    小泉親司君 そんなことは私、分かって言っているんです。  あなたね、先ほど、何遍も言っているように、日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合、この場合が武力攻撃予測事態だということを防衛庁も認めておられる。その武力攻撃予測事態のときに、四つあるうちのその一つが今、防衛庁長官が述べたことが、やるんだと書いてあるじゃないですか。それは、あなたが読んだところは、一番最後に書いてある準備段階のまとめた話をあなたは読んでいるだけなんですよ。僕が読んでいるのは、この武力攻撃予測事態との関係で読んでいるんですよ。  だから、私、この点については大変、この準備行動の問題について、私、引き続きこの問題やりますが、私、もう一つお尋ねしたいのは、私、この問題について質問主意書を政府に出しました。この質問主意書の中で何というふうに言ったかといいますと、これ、今日は中谷前防衛庁長官がいないので残念ですが、中谷長官防衛庁長官のときに、私は日米共同作戦計画及びこの日米ガイドラインに基づく周辺事態の相互協力計画はまとまったのかという質問をいたしました。そのときに、今度の政府答弁書というのは、日米共同作戦計画と相互協力計画の検討というものがまとまって、昨年、日米安全保障協議委員会に報告された。つまり、これは防衛庁長官も出ておられる協議委員会で報告をされたというふうに書かれております。  そのときに、私、お尋ねしたいんですが、この日米でまとめた日米ガイドラインに基づく日米共同作戦計画、この中に、この準備段階に関する行動というのは入っているんですか入っていないんですか、どっちですか。
  131. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これ、委員、既に御案内のことかと思いますが、共同作戦計画でありますとか相互協力計画ということを指針において我が国及び米国政府が行うとしているわけではございません。これは、お読みになってもお分かりになるとおりでございます。両国政府が行いますのは、共同作戦計画についての検討でございますし、相互協力計画についての検討ということをやるんだということが書かれておるわけでございます。  したがいまして、委員がおっしゃいますように、じゃ、共同作戦計画の中にそのようなものは入っているのかと、こういうふうにお尋ねかと思いますけれども、そのようなものができ上がっておるわけではございませんで、その検討というのを行っておるということでございます。  この検討というのは常に、エンドレスという言葉を使っていいのかどうか知りませんが、常に従属的に、常態的になされるものでございまして、これから先も、日米間で調整をしていくということになっておるわけでございます。  その共同計画の検討ということと共同作戦計画というものは別個のものであるということは、委員、既に御案内のとおりでございます。
  132. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、一定まとまっておるものがあるということはお認めになっていると思います。一定まとまっているものですよ、エンドレスに進むかもしれないけれども、一定まとまっているもの。じゃ、日米安保協議委員会でそういうことをやっているんですから、あなた方は。それはもうあなた方の報告に出ている。  しかし私は、ここで私、指摘したいのは、今度の武力攻撃事態法案の中のどういう、いわゆる武力攻撃予測事態から武力攻撃事態武力攻撃に及ぶ一連の手順、手続、こういうふうなものは私は既に日米の両政府でガイドラインに基づいて協議されている、これは私は間違いないと思うんです。ところが、その問題について大変具体的にもかかわらず、法律の方では全く具体的じゃない。先ほど言いましたガイドラインだけ読んでも、私、四つの問題で大変具体的なことが書いてあると思います。  私、こういう日米共同作戦計画の検討、こういう問題については私はきちんと国民にこれ、公表すべきだと思いますが、防衛庁長官、いかがですか。  それから、時間がないので私、お聞きしますが、官房長官、その日米共同作戦計画の検討、相互協力計画の検討というのがこの政府の質問主意書の中に載っておりますが、これはあなたはお読みになっているんですか、法案責任者として。
  133. 石破茂

    国務大臣石破茂君) お答え申し上げます。  今申し上げたとおりのお話でございまして、何をやるかというと、検討をやるのだということでありまして、それは常に見直しが行われているものでございます。  これがどういう段階にあるかといいますと、平成十三年の九月に、日米軍副司令官及び米軍関係者から成る共同計画検討委員会、BPCというものの存在は委員も御案内のとおりでございますが、そのレベルにおいて、それまでの作業の進捗というのを確認をいたしておるところでございます。  それでは、その中身は何なのだねということでございますが、それはもう、具体的な内容に入りますと、これまさしく我が国が、そしてまた米国がどのように行動するのかということの内容に直接かかわるものでございます。  しかしながら、そのガイドラインの指針には、日米すべての行為は、その時々にあって適用のある国内法令に従うということになっております。その時々にあって、例えば我が国におきましては、我が国において適用されている法律範囲内において行うということになっておるわけでございまして、具体的な内容、検討の内容というものが明らかにならなければ議論にならぬのではないかということは、それは私は当たらないものだというふうに考えておるところでございます。
  134. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) その話合いの進捗状況について、節目節目で報告を受けているということでございます。
  135. 小泉親司

    小泉親司君 私は、この武力攻撃予測事態とは一体どういうものだという議論が盛んにありますが、私は、もう既に米軍と自衛隊の間でガイドラインに基づいて様々な日米の軍事協議が行われている。これは私は、もう歴史的にずっと自衛隊がやっていることだけれども、一九九六年のガイドライン以来、非常に密接になって、しかも私が質問して、質問主意書でも出しましたように、既にこの一定のまとまったものがあるということは、これは政府も私の質問主意書の中で認めていることであります。こういう具体的な計画がありながら、実際、例えば武力攻撃予測事態なんというと、何か訳の分からないような話が進んでしまう。私は、もしあなた方が備えだと言うのならば、今アメリカ軍と自衛隊がこういう協議をやっている、こういう危険があるんだという、もしあなた方がそういうことを示せるのであれば、私はそういう点はきちんと国民に私は公表すべきだということを要求しておきたいと思います。  次に、私、周辺事態武力攻撃予測事態関係についてお聞きをします。  今回の法案は、私は武力攻撃予測事態というのが大変重要な核心だというふうに思います。もう既に防衛庁長官も、周辺事態武力攻撃予測事態が重なり合うこと、このことはもうお認めになっていますので、まず私、福田官房長官お尋ねしますが、この法律法案二条七項では、自治体や指定公共機関などが自衛隊の軍事行動や米軍の軍事行動を支援する、このことが定められておりますが、これは当然、武力攻撃の予測事態からこれらの支援を行うことになると思いますが、長官、いかがですか。
  136. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 武力攻撃事態等におきましては、米軍が我が国を防衛するために行う行動が円滑かつ効果的に行われるように物品、役務を提供することなどを想定をいたしております。そういうような措置が適切かつ効果的に実施されるようにするため必要となる法制については、この法案に示されました枠組みに基づいて事態対処法制の整備の中で検討をしていくと、こういうことになっております。
  137. 小泉親司

    小泉親司君 ちょっと私の質問に答えていただいていないと思うんですが、その支援は武力攻撃予測事態、この事態から適用されるんですかとお聞きしているんです。ちょっと後ろしっかりしてよ。
  138. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) この、先ほども委員おっしゃられた法案第二条第七号、これは対処措置の定義を定めた規定でございます。対処措置とは、対処基本方針が定められてから廃止されるまでの間実施する措置でございまして、第二条第七号のイの(1)、(1)及び(2)に定める対処措置には武力攻撃予測事態における対処措置も含まれるということであります。
  139. 小泉親司

    小泉親司君 まだ日本武力攻撃がない、日本武力攻撃予測事態から、つまり自治体や指定公共機関が米軍に対して支援も行うことができる、これはこのことに、これは二条七項イの(2)でありますけれども、それが私、できるということを長官はお認めになったものだと思いますが、じゃ周辺、そのときに具体的にはどういう支援をするのか。これは周辺事態法でも、この支援については日本がまだ戦争起きていない事態で、例えば施設の提供、補給、輸送、整備、こういうことができるということが取り決められておりますが、ほぼおおむねこの周辺事態法での支援と同じようなものになるんですか。
  140. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ただいま答弁したとおりでございまして、この対処措置の具体的内容、実施手続等について、それぞれの法令の規定に従うということになりまして、まだこれからそういう整備をするということでございます。
  141. 小泉親司

    小泉親司君 整備内容について、つまり、どういうふうな具体的な武力攻撃予測事態という、まだ日本武力攻撃がない段階から、どのような米軍の支援を行うかというのが具体的に分からないというのは、私はこれは重要な問題だと思うんですよ。  そこで、私、周辺事態法でいわゆる表である、別表という形で行われている、こういう支援というのはやらないんですか、やるんですか、こういう中身は。長官、どうですか。いや、官房長官
  142. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これから検討することになるわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、るる、周辺事態にいたしましても予測事態におきましても、我が国に対する武力攻撃というのは発生をしていない状況でございます。ただ、それが周辺事態である場合と武力攻撃予測事態ということは、我が国ということに着目をしました場合には、より緊迫度が高いということは当然起こり得ることなのだろうと思っています。つまり、周辺事態というのはそのまま放置すれば我が国の安全に影響を与える、そういう事態でございますし、予測事態というのは我が国に対する攻撃ということが予測される事態ですから、そこに差はあるということでございます。いずれにいたしましても、両者に共通しますものは、我が国に対する武力攻撃は行われていないということになるわけであります。  じゃ、どういうふうに対応をするのかということは、周辺事態は確かに御指摘のように別表というものはございます。武力攻撃予測事態はこれから作ることになります。しかし、どういう場合におきましても、私どもが今、武力攻撃を受けているわけではないということから考えまして、そしてまた、我が国武力攻撃を受けているわけではないわけですから、アメリカ軍もそのための武力行動というものをやっているわけではないということも事実でございます。そうしますと、そこの共通点を踏まえながら、私どもとしてはその両者がきちんと整合するように、そしてまた、武力攻撃予測事態武力攻撃事態にならないように考えてまいりたいと思っているわけでございます。
  143. 小泉親司

    小泉親司君 それでは福田官房長官にお聞きしますが、先ほど長官は、武力攻撃予測事態で自治体や指定公共機関が米軍に対して支援ができるということを答弁されましたが、これ、具体的に言いますと、指定公共機関というのは、例えばということでいわゆる災害対策基本法の指定六十機関、これを示されておりますけれども、例えば、そうなりますと、この武力攻撃予測事態で、自治体ですとかそれから新東京国際空港公団、関西空港公団、JR、日本通運株式会社、こういうものが具体的に米軍の支援を行うことがこの法律によってできることがあるということ、この点は間違いございませんね。
  144. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ただいまの指定公共機関等につきまして、具体的にその指定公共機関、どういうことが求められるか、そういうことも含めまして今後この法制の中で整備をしていくと、こういう考え方でございます。
  145. 小泉親司

    小泉親司君 いや、そうじゃなくてですね、武力攻撃予測事態でやると言っているんだから。指定公共機関がこれは六十機関あるけれども、具体的にあなた方は災害対策基本法の六十機関のものを示しているじゃないですか、そういうものに準ずるんだということを。それであれば、そういうことも想定されるんだなということをお尋ねしているんですよ。そんな、指定公共機関はこれから決めるなんてそんな、そんなことは当たり前の話で、どっちですか。
  146. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 指定公共機関にはそれぞれの特性があるわけでございます。したがいまして、そういう特性の中で米軍を支援するとかいったような、そういうことについてはこれからよく検討した上で判断をしていく、そういう問題だと思っております。
  147. 小泉親司

    小泉親司君 この点については、これはお認めになっている、なるんですか、ならないんですか。含めているんですね、そうですね。それは、だからできるということですね。でき得るということですね。  ちゃんとはっきりさせてくださいよ、それ、そんなの。──いやいや、官房長官。これは防衛長官の話じゃないですよ、これ。
  148. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私ども政府の中で議論をいたしておりますのは、そういうことも含めて検討をしていくということになるわけでございます。  そういう可能性もあるのかと言われれば、それも含めて検討するということでありまして、それが絶無でございますというわけでもございませんので、それを含めて検討するというふうに申し上げておるわけでございます。
  149. 小泉親司

    小泉親司君 そうなりますと、先ほど周辺事態武力攻撃予測事態の場合に、いわゆる米軍に対する支援、この点については周辺事態法の場合もいわゆる自治体、民間、これが協力できるようになっていますね。これは周辺事態法九条でそうなっております。  その際、政府は何て答弁してきたかといいますと、この場合については、周辺事態法九条で、自治体の場合については一般的協力義務であると。つまり、これは拒否もできると。民間の場合については、これは依頼だから、これも拒否する場合が、できると。じゃ、今回の場合については、自治体や指定公共機関というのは、これは内容について聞いているんじゃないですよ。これは拒否できるんですか。そこをお聞きしたいと思います。官房長官官房長官なんだよ、これ担当は。
  150. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 先ほど来御答弁申し上げておるんですけれども、そういう、どの、例えば指定公共機関、そういう中でどういうものがそういう米軍の支援とかそういうことに関係があるのか、またそれが役に立つのかどうか、そういうことも含めて検討をするんですよ。ですから、これからの検討の中でまたいろいろと議論をしていかなければいけない問題だと思っております。
  151. 小泉親司

    小泉親司君 だから、これから検討するというのは分かっていると言っているじゃないですか。  私が言っているのは、周辺事態法のときには民間と自治体は拒否することができるということになっているけれども、この法律で、いわゆる自治体や指定公共機関がもし、じゃもし万々が一やる場合について、それじゃ長官、これは拒否することができるのかどうなのかということをお聞きしているんですよ。そこをはっきりさせてください。
  152. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ですから、それはそのニーズとか必要度、そういうものも勘案しなきゃいかぬわけですけれども、そういうものが本当に必要なのかどうか、そういうことも含めて検討をするということです。
  153. 小泉親司

    小泉親司君 そんな無責任な私、話ないと思いますよ。武力攻撃予測事態、つまり日本がまだ武力攻撃を受けていない段階に対して米軍に協力する、自治体が米軍に協力するんですよ。指定公共機関、言わば日本通運みたいな民間も含めて協力するんですよ。そのときにこれ何が何だか分からないというんじゃおかしい。しかも、拒否できるのかというのが明確にならないのもおかしい。  私、今度の法律の中ではこれは十五条で、つまり、もしこれ拒否した場合については総理大臣が自治体に対して指示をすることができる。もし指示が、これを従わない場合については政府が代わって直接執行することができる。この点ではいわゆる強制的な形で自治体や指定公共機関に協力させるという仕組みが、この中で長官、書いてあるじゃないですか。そういうことをなぜあなたは言えないんですか。
  154. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) そういう問題につきまして、国民の保護法制も含めまして、この法案が成立して直ちに作業に入ろうと、こういうことでございます。まずはこの法案の早期成立を是非お願いしたいと思います。  今御質問のことにつきましては、そういうことが、そういう指示ができるかどうか、指示をするかどうかということも含めて検討をするということなんです。だからこれから検討しようと言っているんですよ。
  155. 小泉親司

    小泉親司君 官房長官、そんな申し訳ないですがでたらめなことでよろしいんですか。じゃ、この法律というのは、十五条というのは、そういう何ですか、指示権を出すとか直接執行することもこれから検討すると。できると書いてあるじゃないですか、十五条で、長官。だったら、防衛庁長官はうなずいているよ、防衛庁長官官房長官、違うじゃないですか、見解が。そんなでたらめなことを言っちゃ駄目ですよ。
  156. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 何も違いません。そこの条文にそう書いてあることと、そしてまた米軍に何の支援ができるかということをこれから考えるということは別の話でございまして、それが、こちらにはそういうことができると書いてあるじゃないか、じゃこちらの方で、じゃ指定公共機関とか自治体とかそういうものに強制できるのかできないのか書いていないのはおかしいじゃないかというのは、別にそれはちっともおかしいことではないのであります。それはこれから検討するのでありまして、そうでなければこれはプログラム法というのは成り立ちません。そこまで書いているんだったらもう法律はできてしまうわけでございまして、この事態法というものがプログラム法になっているというのはそういうことなのでございます。  私どもがこれから先、当然憲法範囲内におきまして法律を作ります。しかし、そこにおいて考えなければいけないことは何なのかと言えば、どうすれば、予測事態においてはどうすれば武力攻撃事態にならないようにすることができるかということだと思っています。委員も私も、日本がとにかく武力攻撃事態ということになる前にどうすればそういう事態を避けることができるか、そのために国は何をするべきなのか、自治体は何をするべきなのか、指定公共機関は何をするべきなのか、そこがやりますことは、委員のお説によりますと戦争協力というお話になるんでございましょうけれども、私ども考えからすれば、日本武力攻撃事態にならないためにそれぞれが何をできるかという観点で議論するものだと考えております。
  157. 小泉親司

    小泉親司君 防衛庁長官として、官房長官がよく法律分からないようだから、防衛庁長官、じゃお聞きしますが。  周辺事態法のときに私が申し上げたように、九条で、よろしいですか、要するに自治体は一般協力、義務付けじゃない、民間は義務付けじゃない。しかし今度の、いわゆる武力攻撃予測事態になる、いわゆる周辺事態が波及して予測事態になる。そうすると、米軍に対する自治体や指定公共機関などの支援行動は明確に強制的になる。このことはお認めになるんですか。そういう仕組みになっているじゃないですか、法律的に。
  158. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そのようなことを私ども申し上げておるわけではございません。  なお、十五条におきまして、内閣総理大臣の指示及び自ら又は大臣を指揮しての対処措置を実施する、このように書いてございますが、これは「別に法律で定めるところにより、」というふうに規定をしておるわけでございます。すなわち、この内閣総理大臣の指示等につきましては、今後の対処法制の整備におきまして具体的な対処措置の内容と併せまして、官房長官からもお話がございましたが、必要性を検討の上定めるということになるわけでございます。すべて必要なことであれば、必要性があれば、憲法範囲内においてやります。しかし、必要性のないことまでやる必要もございません。  いずれにいたしましても、どうやってそういう事態を早急に解消するか、そして事態が発展をしないようにするか、そのことの一点において私ども考えてまいりたい。そして、法律を作った上で国会の御判断を仰ぐ、御審議を仰ぐ、それがプログラム法というものでございます。
  159. 小泉親司

    小泉親司君 私、この法律は、例えば武力攻撃予測事態で米軍と自衛隊がどういうことを動くんだと質問すれば、いや、これからだと、そして今度は、いわゆる米軍に対して自治体や民間がどういう協力するんだと、これからだと。これ全く中身がない。プログラム法、プログラム法と言いますけれども、日米ガイドラインの方でどんどんどんどん話が進みながら具体的には何にも国会に明らかにしないというのは、これは私は非常に重大な問題だと思います。  その点で長官はお答えになっていない。周辺事態での協力と、よろしいですか、自治体と指定公共機関の協力と、武力攻撃予測事態での自治体、指定公共機関の協力というのは、私は、一方はいわゆる極めて拒否ができる、つまり強制的な面が、政府答弁によって担保されている、しかし、非強制的な問題が担保されている、政府答弁によってですよ、法律じゃないですよ。しかし、こちらの方については担保がない。つまり、強制的な言わば仕組みも取り得る余地がこれはあると。当然なんじゃないですか、防衛庁長官、この点もお認めにならないんですか、法律の仕組みとして。
  160. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私の言い方が悪くて再三の答弁委員のお時間をお使いさせて申し訳ないのですが、その点も含めまして検討ということなのでございます。  ですから、どうすれば一番武力攻撃事態にならずに済むかということを考えましょう。国、地方公共団体、指定公共機関、それが各々何をすれば武力攻撃事態というものが避け得るのかという点において私ども考えてまいりたい。したがって、委員がおっしゃることも含めまして今後検討してまいるということでございます。
  161. 小泉親司

    小泉親司君 私は、先ほども言いましたように、こういう中身を明確に示さないで、しかもその違いも明確に示さないでやはり進めるというのは、私は非常に重大な問題だというふうに思います。  ですから、この法律自体ではどういうことがこれ言えるかといえば、実際に周辺事態法では、何遍も私繰り返しますが、これはいわゆる拒否することができる。しかし、今度の法律の仕組みでは、いわゆる自治体や指定公共機関が武力攻撃予測事態で米軍に支援する場合については、これは十五条を中心としたものを使えば十分強制的にこれは支援をさせることができる。こういう私は仕組みを作るものだということを、私、この法案の点では大変周辺事態法と違う中身があると。この点はどうなんですか。今、うなずいておられるけれども、お認めになるんですか。
  162. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 別にうなずいたわけではございませんで、同意をしてうなずいているわけではございません。今後、不動の姿勢で委員お話は聞かねばならないと思っております。  ですから、そういうことも含めて検討中と申し上げましたのは、それは周辺事態というものと武力攻撃予測事態というものは、それはおのずと違う判断がある場合があるということだと思っています。それは重なることもございましょうが、違う判断をすることもございます。  つまり、もう何度も繰り返しませんが、日本に対する攻撃というものが予測されるということにおいて、どうすればそれが最悪の日本に対する武力攻撃にならないかということをまず考えなければいけない。私どもにとって一番大事なことは、国民の生命、財産、国の独立と安全を守ることでございますから、そのために何が一番いいのだろうかということは考えてまいります。  その点も含めまして、これから先、検討をするということになります。当然、憲法範囲内で行うことでございますし、そしてまた国会の御審議をいただくことでございますから、その時々にまたいろんな御指摘をいただきながら、誤りなきを期してまいるのは当然のことだと考えております。
  163. 小泉親司

    小泉親司君 私は、この具体的な中身が、法案審議したって、中身がなくて何審議をするのか、これ全然分からないじゃないですか。私は、この点では、私が言っている周辺事態法の違いと今度の武力攻撃予測事態での違いというのは私は明確だと思います。  ですから、その点で、この仕組みを使えば大変強制的に、まだ日本武力攻撃が起こる前から米軍に対する支援が強制的に行われる中身を持ったものだということを強く指摘をして、私は周辺事態と、まだ先制攻撃の問題もやっていませんし、その他やっていませんので、これ、もう一度改めて質問をさせていただきます。  今日はこれで終わります。
  164. 田英夫

    ○田英夫君 この戦争にまつわる安全保障という問題は、大変デリケートといいましょうか、国際情勢とも密接に関連しますし、難しい問題でありますが、これを議論するとき、考えるときには、やはりこの六十年近く戦後の国会の中で我々の先輩が議論してこられた、そのことを学んで、学びながら現状を考えていかなければならないと、そういうことを痛感しております。その意味で、二つの例を挙げてみたいんですが、一つ政治的な問題、もう一つは兵器の問題ですが、もちろんたくさんの事例がありますが、その中から二つ取り上げてみたんです。  一つは、これは今日は残念ながら小泉総理も川口外務大臣もおられませんけれども、このお二人が特にしばしば日米同盟という言葉を使われます。今、官房長官も会見の中で言われるかもしれませんが、私の気が付いたのは、やはりそのお二人が非常にしばしば安易に使っておられるといいますか。  しかし、この日米同盟という言葉をめぐって時の外務大臣辞任されるということがありました。それは鈴木善幸総理のときでありまして、一九八一年五月、鈴木総理が訪米をされて、日米共同声明を出された。その共同声明の中に、日米は同盟関係にあるという文言がありました。これに対して、帰国されてからの国会で、野党側から、それは軍事同盟を含むのかという質問が出まして、これに対して、鈴木さんは大変正直な方といいますか、今息子さんが閣内におられるわけですが、軍事同盟は含みませんという答弁をされたんですね。専ら民主主義と自由を共有する関係だと。これに対して外務省は、それを代表された伊東外務大臣は、日米同盟は当然、安保条約に絡んで軍事的な関係もあると、こういう答弁をされ、閣内不統一ということになりました。当時はこの日米同盟という言葉にも大変気を遣っておられたんですね、先輩の皆さんは。結局、伊東外務大臣責任を取って辞任されるということに発展をしたわけです。  その根源をたどってみると、まず憲法がありますよ。戦争をしない、軍隊は持たないという憲法がある。一方で、日本日米安保条約というものを結んでいる。これは率直に言えば矛盾するんですよ。その矛盾をずっと引きずってきている。そこで、どっちに重点を置くかというようなことで歴代政府がある意味でいえば悩んだ。  私は、昭和三十七年ですから一九六二年、ちょうど安保条約、サンフランシスコ平和条約が結ばれてから十年たったときに、もう引退しておられた吉田茂総理を大磯のお宅に訪ねて、新聞記者として、十年を回顧してというお話を聞いたことがあります。そのときに、吉田さんは率直に、今世界は米ソの鋭い対立の中にあるじゃないかと。当時は、もっとそのことが日本にとっては、ようやく国際社会に復帰しようというときに非常に重要な問題だったと。私は自由主義者だから自由陣営選んだんですよと。そして、憲法があるから、それをどう対処するかということで安保条約を結んだ、私の責任で。御承知のとおりあの安保条約は最初のときには同行された方はだれも署名していないんですね、吉田茂さん一人署名している。責任を持ってやりましたと、こういうことを言われました。  考えてみると非常な決断だったと思います。しかし同時に、そこからこの憲法安保条約の矛盾というものが出てきたんじゃないでしょうか。  そういう意味で、これは官房長官に伺いたいんですけれども、今その矛盾というのを感じられますか。いかがでしょう。
  165. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 昔の懐かしいお話も伺いまして、あのころと今といろいろな国際情勢も変わってきていると。  私は、国際情勢的に言えば、昔の冷戦状態と比べて、大きな紛争が起こる、国際的な紛争が起こる、それはなくなったんじゃないのかなというふうに思います。そういう中で、意識もだんだんと変わってきている、特に我が国国民の意識も変わってきているんじゃないかなというように思います。  ですから、確かにその同盟という、日米同盟で問題になったという、そういうときもございました。今から二十数年前になりますね。そしてまた、十年ちょっと前にはPKO法案で自衛隊が海外で活躍することについて物すごい議論があったわけでございまして、そういうことを経て今の状態になってきたと。  そして、今回、有事法制というものもお出ししたわけでございまして、今御審議いただいておりますけれども、そういうことも、今から二十五年ぐらい前に、これは検討するということで、その後、今申しましたような国民の意識の変化ということも踏まえまして、ここ数年、この有事法制、法制化をすべきでないか、そういうような議論が高まってきた、国会の中でもそういうような議論が多かったというふうに承知しておりますし、そしてまた、与党の方でも、十二年だったと思いますけれども、平成十二年だったと思いますけれども、法制化を目指した検討を政府に要請するという、そういうような与党としての考え方、これも出てきた。こういうことでございまして、それ以来、その時々の総理大臣の施政方針などにも有事法制の法制化というような課題が出てきた、こういうふうに記憶いたしております。  同盟という意味においても、この間に随分考え方が変わっているんじゃないかなというように思います。しかし、この同盟があるからこそ我が国の安全とそして繁栄が保たれてきたんだという、そのことについては私は日本国民共通の意識は持っているんではないかと思っておりますので、今後も同盟という言葉を正確に把握し、そしてその同盟関係国際社会の中で有益に行使していく、行使していかなければいけない、そんなふうな感じをいたしておるところでございます。
  166. 田英夫

    ○田英夫君 私は、今度のいわゆる有事法制というものを見るにつけて、考えるにつけて、やはり憲法という基本を大事にする、そして日米安保条約という一つの当時の国際情勢、東西対立、冷戦構造という中で、米ソが鋭く対立している中で作られたその条約の方は流動的に考える、これが自然な考え方だと思っているんです。したがって、あくまでも大切にするのは憲法だと。  もう一つ、兵器のことで気に入らぬことは、空中給油機ですね。これは、やはり長年先輩の人たちがここで議論してきた。一九七三年、田中角栄内閣のときに、この部屋で、予算委員会でしたけれども、私は傍聴をしていたんですが、この空中給油機の問題が初めて本格的に議論された。そこで田中総理は極めて明快にその場で総理の責任においてはっきり言われたのを覚えていますが、「第一点、空中給油はいたしません。 第二点、空中給油機は保持しません。 第三点、空中給油に対する演習、訓練その他もいたしません。」、こういうことを答弁をされて、そのとき既にF4ファントムを導入をして空中給油のためのアダプターを付けるという作業を始めようとしていた、自衛隊は。それを全部中止したんですね、総理の一言で。これが発端だと思います。  その後、随分度々いろんな形で議論を続けてきて、一歩一歩、例えば三原防衛庁長官のときに、将来とも絶対に持たないとは言わないというようなところに一つ進んで、一歩一歩、元防衛庁長官二人ちょうどおられますけれども、進んできて、ついに持つと、予算まで付けましたね。この問題ももう少し先輩の議論をよく検討をしていただきたかったなと思っているんです。  それで、確かに簡単に考えれば空中給油で足が長くなれば、F4でも、F15が足が長くなって攻撃できるという、これは私の方の先輩が指摘した。ところが、いや、今はもう情勢が違って、それは空中待機のための、相手が来るのを空中で待機してすぐ対応できるようにするんだ、こういう説明に変わってきておりますけれども、やはりこの問題もそう簡単に北朝鮮がというようなことで考えていいかどうかという気がいたします。  防衛庁長官、どうですか。
  167. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 本当に私どもの世代は、先輩の方々のいろんな御経験や御見識というのを虚心坦懐に承らねばならないというふうに思っておるところでございます。  この空中給油・輸送機、私どもは空中給油機という言い方はいたしておりません、空中給油・輸送機という言い方をさせていただいております。これはKCという言葉を使うことになりますが、空中給油も行いますが輸送も行う。今私どもが持っておりますのは政府専用機の747、プロペラ四発のC130、ジェット双発のC1でございます。それぞれ大き過ぎるということ、あるいは遅過ぎる、足が短過ぎる、そういうふうな短所を持っております。これを補う飛行機はないだろうかということ、そして空中給油も兼ねられるものはないだろうかということで、ケロシンカーゴという空中給油・輸送機の導入を検討してまいったところでございます。  当時、私、防衛庁の副長官をいたしておりましたが、まさしく今先生御指摘のとおり、空中警戒、コンバット・エア・パトロールというものを行いませんと、非常に戦闘機のスピードが速くなった。F4は第二世代の戦闘機でございますが、F15という第三戦闘機の世代が入ってきた。そしてまた、ほかの国もミグ21とか25であったものが27になり、スホーイ27になり、ミグ30になり、そういうふうに物すごく速いスピードになってきたということ。そして、空対地ミサイルというものが発射されれば、本当にわずかの期間で日本本土まで到達し得るというようないろんな戦略上、戦術上の変化が生じてきた。  それじゃ、今までのままでいいだろうかということを考えましたときに、やはり空中警戒というか、コンバット・エア・パトロールということをやっておかなければ日本にミサイルが到達をするということもあり得るだろう。そういうことが一つございます。もう一つは、輸送機というものがそういうニーズに合ったものがなかったということもありました。  もう一つは、これも先生御案内のことでございますが、私どもは訓練空域というものは非常に狭うございます。そして、それは海の上に設定をされております。例えば、小松からジェット機が、F15でもいいのですけれども、これが訓練に行きます。しかしながら、そこまで行って少し訓練をしたらまた帰ってこなければいかぬ。本当にそれで乗員の練度は上がるだろうかということもあります。騒音の問題もございます。  それやこれやいろんなことを勘案をいたしまして、過去の議論もよく存じておりますが、私どもは空中給油・輸送機を入れたからといって決して他国を侵略をするということはあり得ない、このことさえきちんとしておけば、空中給油・輸送機の有用性は当然十分にあるものだというふうに私ども考えておる次第でございます。
  168. 田英夫

    ○田英夫君 私は、そう思わないんですね。やっぱり根源の憲法ということをもっと重要視する必要があると思いますし、いかにも戦争の準備をしているという、そういうふうに外国からも受け取られる、そのことを配慮すべきですし、既に六月にはアラスカでアメリカの給油機から油を受け取る、給油される訓練をF15を六機持っていってやろうという計画があるようでありますけれども、大変危険なことだと思っています。  そこで、話題が変わるんですが、前原さん、久間さんもわざわざお出掛けいただいて済みません。ありがとうございます。  もっと詳しく実は伺いたいんですが、ずばり言って、衆議院修正をなさったその御本人に伺いたいんですが、民主党側から人権という関係のことを主張されて、それは私もよく理解できます。結果として、憲法の十四条以下こういうものをという修正になったわけですが、基本的な意図といいますか、考え方お話しいただきたいと思います。
  169. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 先生のお話をこの間、そして今日聞かせていただきまして、根本的に戦争を絶対起こしてはいけないという思いは共有をしております。そして、この法律ができても外交的な努力は一切変わるものであってはいけないと思いますし、有事法制ができたとしても、使われない法律にしなければいけないという認識を持っているということは冒頭お伝えをしておきたいというふうに思います。  その前提で、政府案はどういう、原案はどういうものだったかといいますと、私は、有事の際に国がいかに動きやすくするのか、国や地方公共団体に協力を求めるのかといったところが中心に置かれていた、そこに重点が置かれていたのが私は政府原案なんだろうと思います。その結果として、国民保護法制は後回し、そして先生御質問の基本的人権については訓示規定程度のものしか書いていない、そしてまた民主的統制の在り方についても不十分と、こういう私は内容だったんだろうと思います。  確かに、有事になれば、主権国家がなくなったら国民の保護もないわけですから、国が国民や地方公共団体に協力を求めるということは分かりますけれども、じゃ、求められる立場の、正に先ほど先生は憲法は大切だとおっしゃった、憲法に書かれた基本的人権の尊重というものがこの有事の際にもしっかり、公共の福祉という名の下で過剰に侵害されないかどうなのか、そういったことをやはりより詳しい入念的な書きぶりをする中で担保をし、そして修正合意の中では、国民保護法制の中にも基本的人権の個別の内容についてもしっかり書かせていただくと、こういうことで、我々はこの有事においてもそういった憲法趣旨が担保されなければいけないということでこの修正を求めたということであります。
  170. 田英夫

    ○田英夫君 残念ながら時間がなくなってしまいましたが、私は、今言われた考え方は、重ねて申し上げますが、よく理解できます。しかし同時に、こういうことが法律の中に入ったからといって、本当に戦争のときには人権などと言っているものは全部すっ飛ぶんだと。殺すんですから、人を、殺し合いをするんですから、もう人権も何も全部吹っ飛んでしまうんですよ。それは私の戦争体験の中から痛感しています。ということをやっぱり考えておかなければ、やはりその意味からも、絶対に戦争というものをこれから後々の世代に体験させてはならないということを感じながら、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  171. 舛添要一

    ○舛添要一君 まず私は、今回のこの法案衆議院で九割の賛成を得て通過したというのは、大変喜ばしいことだというように思っています。こういう非常に国の根幹にかかわる重要な法律を与党だけでは通すべきではないと思っていましたので、特に野党第一党の民主党の皆さん方の御努力に大変敬意を表しますとともに、今後また、これは新しいシステム始まったばかりなので、もっともっと良くしていくための努力をやっていきたいと、そういうふうに思います。  私は、私の原点は、政治家として日本国民の生命と財産をどう守るのか、日本独立と主権をどうして維持するのかと、このことに尽きるわけでありまして、非常に苦い思い出がございます。阪神大震災のときに、緊急の事態に対するシステムがちゃんとなっていなかったために、どれだけの生命が、失われなくてよかった生命が失われたのか。  それから、お隣の国では核兵器を開発しているという独裁者がいるわけです。そして、アメリカの議会での証言にありますように、麻薬は売るわ、不正な大量殺りく兵器は作るわ、そして海上保安庁の方々、大変御苦労なさって、命の危険を冒してこの不審船の対策に当たらないといけない。隣の国の独裁者である指導者が自分から核兵器を開発しているということを明言しているわけです。そういう状況において、今仮にノドンミサイルの上に核弾頭を積んでこの東京に向かって十分前にその独裁者が撃っていたら、我々は三分以内で死にますよ、全員。ちゃんとした防衛の整備ができていないわけですから。  ですから、そういう観点から、どうすれば国民を守ることができるかということをちゃんとやるのは私は政治家の使命だと思いますから、そういう観点から、今日は大所高所に立って質問をいたしたいと思います。  まず最初に、外務大臣、やっぱり九・一一のテロ以降、国際情勢は大きく変化したと思います。そして、アメリカ一国主義なのか国連協調主義なのかと、こういうことの論点もございます。今の国際情勢、冷戦が終わる、その後またこういう状況になった、この厳しい状況であると思いますけれども、イラクの戦争もございました。それでまた、今申し上げました北朝鮮の金正日体制の大問題がある。これを外務省としてどういうふうにして認識なさっているのか、お答え願いたいと思います。
  172. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 冷戦の終結に伴って、国際テロや大量破壊兵器、ミサイルの拡散等々の問題が新たな安全保障の問題として認識されてきておるということであります。また、近々、サウジアラビア、モロッコ、イスラエル等で相次いで発生したテロ事件に見られるように、国際的なテロの脅威は依然として深刻です。また、弾道ミサイル、四十か国以上が保有するなど、大量破壊兵器とその運搬手段としてのミサイルの拡散は、我が国が位置するアジア太平洋地域においても深刻な脅威となっておることは事実だと思います。さらに、九・一一テロ以降、大量破壊兵器とテロが結び付く危険が強く認識されるようになっております。加えて、アジア太平洋地域では、朝鮮半島における緊張状況、状態を始めとして、国家間の武力紛争や内戦といった長期にわたる不確実、不安定な要素も引き続き各地に存在しているほか、南シナ海における領土問題等の未解決の国家間の問題も残され、現下の国際情勢においては極めて複雑で多様化した安全保障上の問題が存在しておると、かように考えております。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕  しからば、今回の法案でありますけれども、国全体として基本的な危機管理体制の整備を図るという観点から、国の独立と主権、国民の安全を確保するため、平素からこのような法制を整えておくことが国としての責務だというふうに考えております。
  173. 舛添要一

    ○舛添要一君 国連の機能及び機能不全について、私はやっぱり今回のイラク戦争を見て、これは十分機能しているとは思えない。そして、安全保障理事会、いろんな制約が我が国にとってはございます。つまり、先ほど、十分前にミサイル撃たれたらという話をしましたけれども、じゃ、だれがどういう形で、自衛隊の諸君も一生懸命やるんでしょうけれども、救ってくれますかと。安保理緊急理事会を開いて話合いをやっているうちにやられてしまうと。そういうことでありますから、日米関係、日米の同盟関係を機能させないといけないわけですけれども。  私は、国連の機能不全を補うためにも、我が国は国連第二の拠出、国連の分担金の第二の、世界第二の拠出国としてもっと発言力を持ってよろしいと思います。そのためには、第二次大戦で勝った国、つまりアメリカ、今のロシア、中国、イギリス、フランス、全部核兵器を持っています。こういう国が安全保障理事会を独占しているのではなくて、常任理事会です、拒否権を持った。我が国も堂々とそこに入って、核を持たない国として大きな発言力を持っていくということは非常に重要だと考えますけれども外務省は、我が国安全保障理事国になる、常任理事国、P5の中に入るという、そういう政策は持っておられるのか。これはあきらめたのか、もうやる気なくなったのか。どうですか。
  174. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 我が国としての安保理の加盟ということでありますけれども国会改革を前提にしてその思いを遂げようというような一つの経過がございました。既に……(「国連だよ」と呼ぶ者あり)国連、国連、はい国連改革、国連改革であります。済みません。  既にもう十年経過したわけでありますけれども、先ほども答弁申し上げました、改革後の、かつ、そしてどうやって新常任理事国を選んでいくんだ、なおかつ拒否権の扱いを今度どう対応するんだ等々のそれぞれの意見の収れんを見ておりません。ですから、なかなかこの問題、改革という観点からして非常に難しい、まだまだ問題が山積していることは事実であります。  しかしながら、今回のイラクの問題をめぐって、安保理の役割が改めて浮き彫りになったことも事実だと思うんです。ですから、そのことを受けて、今後、従前にも増して国連の場での議論、改革のかぎを握る英国を始めとする関係国との協議を精力的に重ねていくことを通じて、安保理改革の早期実現に向けて改めて積極的に取り組んでいきたい、かように考えております。
  175. 舛添要一

    ○舛添要一君 日本安保理の常任理事国になるという方向での努力はやるということですか、やらないということですか。
  176. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 従来の方針どおり、今後も努力していきたいと考えています。
  177. 舛添要一

    ○舛添要一君 私はやるべきだと思いますけれども、やるための前提として、普通の国家が持っているべきしかるべき制度を持っていなければ、そんなものは幾ら手を挙げたって常任理事国なんかだれも相手にしない。ジュネーブ条約四条、捕虜の人道的扱いについての規約も何にもないんです。だれも戦争をやりたいと思ってやるわけじゃないけれども、万が一そういうふうになったときに、そういう人道的なシステムだってちゃんとやっていない。今回だって、それ間に合っていないんです。  ですから、少なくとも日本国民をそういう武力攻撃事態なんかでちゃんと守れるための必要な最低限の法制、こんなものがないのは我が国だけですよ、恥ずかしいことに。ですから、国連の中で重要な役割を果たそうと、それは日本国民のもう圧倒的多数が大賛成だと思いますけれども、そのためにも今回こういうことが必要だということをちゃんと外務省が位置付けをして国民に説得しなければ、何かもうこの議論聞いていると、技術的な、武力攻撃事態と予想事態とどこが違うんだ、周辺事態とこの法律とどこが違うんだ。そういうこともやるべきですよ、それは法律の審議ですから。ですけれども、前提として、国際社会の中で、日本国憲法の前文に言っているでしょう。国際社会の中で名誉ある地位を占めたいと思うと言っているんだから、そのための制度作りが必要でしょう。どうですか。外務省、しっかり国民の教育をやってくださいよ。
  178. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 先ほど、国際情勢等々の質問がございました。大変複雑多岐にわたっての今の国際情勢の下でというような説明を申し上げたんでありますけれども、その折、やはりこの法案が、そういう現下の国際情勢下の中でこの法整備が必要だというようなことも答弁をさせていただきました。その思いを我々としては、しっかりこの法案が早期に成立されるよう最大限の努力を御期待申し上げたい、こういう思いであります。
  179. 舛添要一

    ○舛添要一君 外務省の今後の努力に期待したいと思いますが、さてそこで、国民立場に立って見たときに、何から我々の生命、財産を守るかといったときに、この国は非常に天然災害が多いですね。地震もあれば風水害もあります。そういうことからも守らないといけないし、先ほど阪神大震災の例を挙げましたけれども、私はサリンのときに現場におりまして、これ私はずっと今でも防衛庁に申し上げているんですが、とにかく化学防護隊が来るのが遅い。要するに、パトカーに先導されて、のんびりとは言わないけれども自分でサイレン付いていなかったんですから。こういう状況で死なないでいい人が死んでいるんですよ。ですから、まず武力攻撃より前に、やっぱりテロの可能性が、特に九・一一以降、みんな心配しています。今、仮に日本の高層ビルにアルカイダのような連中が飛行機で突っ込んだらどうするんですか。  そういうことを考えて、まず国土交通省、特に海上保安庁にお伺いをしたいと思いますけれども、今回、法改正で、特に民主党の皆さん方の御努力でこのテロの問題についてかなり一歩踏み込んだというふうに思いますけれども、今回の法改正を機会に不審船などについてちゃんと対策は取れているのか。やっぱり一番国民が心配しているのは、この前の対応で一生懸命頑張られて、まあ幸いなことに波が高かったのか向こうのロケットが当たらなかったから良かったんですね。後ろ見たら海上自衛隊の護衛艦が来ていないんだから。やられていたら、だれがこれ対応していたんですか。  こういうことについて、海上保安庁、国土交通省、ちゃんとやっているのか。それから、もちろん警察がテロの第一線に立たないといけない。警察庁はどうなのか。それから、その後ろを最後守る防衛庁、どうなのか。今回の法改正との絡みでそういうことがちゃんとならなきゃ、幾ら法律を作ったってもう何にもならないんで、お答え願いたいと思います。
  180. 深谷憲一

    政府参考人(深谷憲一君) 御説明を申し上げたいと思います。  先生今御指摘の不審船の問題あるいはテロの問題でございますけれども、不審船の事案につきましては、政府基本方針といたしまして、海上保安庁は警察機関でございますので、警察機関としてまず第一次的に対処すべきであるという基本方針がございますので、これにのっとって対応するわけでございますが、私どもといたしましては、これまでのいろんな事案がございました。そういった事案を踏まえまして、例えば法制面につきましては、平成十三年の十一月に海上保安庁法を改正していただきました。そういった整備を、制度面の整備をしていただくとともに、他方で装備の問題もございます。  装備面につきましては、御指摘の一昨年の十二月のいわゆる九州南西海域におきます不審船事件がございましたが、こういった事件などを踏まえまして、当庁の海上保安官、その事案におきまして三名が負傷したわけでございますけれども、海上保安官の安全を確保しながら、より一層的確にこういった不審船に対応が取れるようにということで、十四年度補正予算でございますとか十五年度当初予算も含めまして、いろんな装備面の充実強化もおかげさまで図らせていただいている最中でございます。  他方、当然ながら、あとソフト面、運用面の問題があろうかと思っております。運用面につきましても、いわゆる共同対処マニュアル、こういったものを作る、あるいは共同訓練を実施する、あるいは最も基本でございます情報の共有化をきちっとするということによって、一層迅速な連絡の確保等を図る等々によりまして、自衛隊との連携というものを緊密にしていこうということなどで取り組んでおりまして、こうしたことによって不審船の対処についても万全を期したいというふうには考えてございます。  他方、一般的なテロ、一番、テロ対策、テロ攻撃として守るべき大変重要施設として原子力発電所のようなものがございます。こういったことにつきましても、警察との間でホットラインを設定する等の緊密な連携体制を取りながら、私どもといたしましては巡視船艇に機関砲あるいは自動小銃等、こういった所要の武器を搭載し、二十四時間、現在、警備体制をしいております。  いずれにいたしましても、これが現状でございますが、今後とも関係機関と連携を図りながら、不審船あるいはテロの問題、こういうことに対しまして不断の見直しを行いながら、今後ともこれらの事案には的確に対応していきたいというのが海上保安庁考え方でございます。
  181. 奥村萬壽雄

    政府参考人奥村萬壽雄君) 警察といたしましても、テロへの対処は極めて重要であるというふうに考えているところでありますけれども、テロにつきましては、いったん起きますと大変な被害が出るわけでありますので、これを起こさせないのが一番であります。したがいまして、まずテロを未然に防止する、そういう観点と、それから万一起きた場合に的確にこれを鎮圧するという二つの観点からいろいろな対策を推進してきているところであります。  まず、未然防止という点につきましては、各国の治安機関との情報交換を含む情報収集活動の強化を始めといたしまして、入管と連携をいたしまして、テロリストの潜入防止、また国内での不審動向の監視等に努めておりまして、そしてその上で各種の重要施設の警備警戒をやっております。  例えば、原発につきましては、ライフル、サブマシンガンあるいは装甲警備車を配備いたしました銃器対策部隊というのがありますけれども、これを原発に常駐をさせまして、二十四時間体制で警戒警備に万全を期しているところであります。  そして、万々が一テロが発生いたしました場合には、私どもが持っております特殊部隊のSAT、これを投入いたしまして対処することといたしておりますけれども、このSATは外国の特殊部隊とも頻繁に合同訓練を行っておりまして、テロへの対処能力を錬磨しているところであります。  また、関係省庁との連携でありますけれども海上保安庁等々の関係省庁との連携も重要であると考えておりまして、警察庁と海上保安庁の本庁、あるいは現場の警察部隊と原発の沖合で警戒に当たっていただいております巡視船との間で緊密な協力体制を取っているところであります。  さらに、自衛隊との連携でございますけれども、一般の警察力をもっては治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊に治安出動が下令をされまして、警察と自衛隊とが連携して対処することになっております。警察は、そういう場合に備えまして、昨年来、自衛隊との間で共同図上訓練を実施をしてきているところであります。  いずれにしましても、今後とも関係省庁とは緊密に連携を取りながら、テロへの対処に間隙の生じないように全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  182. 舛添要一

    ○舛添要一君 防衛庁
  183. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 防衛庁の方からお答えいたします。  今、海上保安庁と警察の方から、第一義的にはこの手の事案に対しましては警察機関であります両庁でやっていただくという形で、いわゆる後詰めという形で当方が担当しておりますが。  ダブるところはちょっと省略さしていただきまして、不審船につきましては、とりわけ先般の南西海域不審船ですね、この事案をかんがみまして、先ほど海保の方から早い段階での情報の共有をすると、こういう話がございましたが、あの段階で当方といたしましては画像の情報を送るのに相当時間が掛かりました。これを反省いたしまして、現在、それを迅速に送れるような装備を飛行機並びに地上局の方に設けておる。  それから、先ほど来、先ほど話がございました、いわゆるいざというときに海自の船が周りにないという話がちょっとございましたが、先般のその事案の反省で、政府といたしまして不測の事態対応するために、配備、事案の発生の段階から、早い段階から当方の船も一応出ていくと、そして海上警備行動に移った場合には直ちにその不測の事態を招くことなく対応できるような措置をするというふうな形で、いろんな形のものを対応しているところでございますが。  そのほか、警察との関係で、テロの関係につきましても先ほど共同図上訓練等が話にございました。昨年来ということで六回やらしていただきまして、これはお互いに非常にその情報の交換等いたしまして、問題点等把握いたしました。今後ともこの手の訓練を重ねていきたいと思っておりますし、もしチャンスがあれば、更にそれを進めたような形での訓練等もやって連携を図っていきたいと思います。  なお、先生、先ほど化学防護車について……
  184. 舛添要一

    ○舛添要一君 それは後で質問します。
  185. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) そうですか、はい。
  186. 舛添要一

    ○舛添要一君 この前の不審船の事案の反省で是非そういうことをやっていただかないと、今、だって、小学生の子供だってカメラ機能付きの携帯電話で即座にメールで送れるのに。だから、小学生の子供一人乗せておけばあのとき送れたはずですよ、皮肉を言うと。ですから、重装備も結構なんだけれども、これだけの最先端技術を持っている国ですから、早く取り入れるということをやっていただきたいと思います。  それから、この有事法制憲法との絡みを議論したいんですが、今、福田官房長官記者会見で御不在なんで、お帰りになってからそちらをやりたいと思いますので、ちょっと順番、質問の順番を変えたいと思います。  今、防衛庁の方からお話ありましたように、自衛隊車両の緊急車両化、これは精力的に行っていると思いますけれども、いろんなテレビ番組なんかでパロディー化していつも言われているのは、何か起こっても、高速道路を一回一回自衛隊の車は止まって通行料金払っている、赤信号いつも止まって行っている。それで、気が付いたら、瓦れきの下になっている被害者が死んでいたと。  そういうことじゃないなら、ない。要するに、今回のこの法律ができたおかげでそういうことがなくなりましたと言うんだったら、それは国民は、ああ、それは有り難い法律だと言いますね。そんなものなくても元々やれるんだったらこんな法律要らないわけだし、そこをはっきりしないから、何か戦争のためのおどろおどろしい法案だみたいなことのプロパガンダに負けちゃうわけですよ。だから、そこをはっきり言ってください。
  187. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 先ほど来、化学防護車等につきましても相当いろいろな御意見を賜りまして、現在、ちょっと現状から先にお話しさしていただきますと、化学防護車につきましては、今は全車両、緊急自動車の指定をすることができております。  ちょっと、緊急自動車全般の状況についてまずお話しさせていただきたいと思いますが、これは、先般のNBC等始めまして災害派遣等に対する国民の大変な期待の高まりと、こういうものを我々も踏まえまして、この緊急自動車の指定に際する車両所要数がどれだけあるかということを実は検証いたしまして、三つのポイント、三つ原則挙げましてですね、化学防護車は全車緊急指定すると。それから、震災の、災害対策のため初動で出ます部隊、これの部隊の車にそれぞれ複数の必要な数の緊急自動車は行ける。これははっきり申しまして中隊に二台ぐらいですね、普通中隊に二台ぐらいだと、こういうことを考えております。その他、あと、消防用の自動車あるいは緊急用自動車持っております、救急用の自動車持っておりますが、これについてはもう全車両行ける。ということで、実は、十二年で約三千両ございましたが、緊急自動車がですね、十三、十四と来まして三千四百両に増えまして、これだけあればおおむねいけるだろうと、こういう状況でおります。  なお、先ほど、高速道路のお話でございましたが、現在、高速道路につきましては通行料の徴収が一応緊急自動車で走っている場合には免除されておりますので、先ほどの化学防護車の場合はそのままで走らしていただけると、こういうことになろうかと思います。
  188. 舛添要一

    ○舛添要一君 警察の方が、省庁の縄張でもったいぶって、自衛隊ごときにサイレンや赤ランプをそう簡単に上げてたまるかと、そういうような意識はまだありますか。
  189. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) 御安心いただきたいと思いますが、自衛隊車両の緊急自動車、今、防衛庁から御説明のあったとおりでございますが、自衛隊の各駐屯地司令等の申請で各都道府県公安委員会が指定しているわけですが、この指定が迅速かつ円滑に行われますよう、あらかじめ防衛庁と警察庁で調整を図り、各都道府県公安委員会に事前連絡しておるわけでございます。  今お話にありましたように、指定につきましては、消防用自動車等、単独で運用されるものはすべてやるわけでございますし、また、部隊単位で運用される車両につきましては、その部隊活動に必要な台数をということでそれぞれ申請を受けておりまして、今ほどのお話のように、平成十三年に、防衛庁におきましては、近年の自衛隊の災害派遣等に対する国民の期待の高まりを踏まえまして、必要な緊急自動車の車両数について検証されておりまして、指定車両の増加要望がございました。その結果、平成十二年末現在で約三千台でございましたが、平成十四年度末現在では、今ほどのお話のように約三千四百台を指定しているところでございまして、化学防護車もここに入っているわけでございます。  警察庁といたしましては、災害等の発生時に自衛隊がその持てる機能を十全に発揮できますようにするために、引き続き防衛庁と連携協力してまいるところでございます。
  190. 舛添要一

    ○舛添要一君 是非、その言葉だけではなくて、行動で示していただきたいと思います。  さて、そこで、私は実を言うと自民党の中でもむしろ民主党案に近い方で、これは党のいろんな委員会でずっと申し上げてきたことですが、それは、国民立場から立ってみますと、自然災害であれテロであれ武力攻撃であれ、とにかく警察であれ消防であれ自衛隊であれ、命を守ってもらえればいいわけですから、そういう意味ではこれは実はまとめてやる、そのためにこういう緊急事態に対する基本的な法制というのをプログラム的にも作っていくということは一つのやり方だろうと思っていました。今でもそう思っています。  それから、今、警察庁と防衛庁自衛隊、この連携をよくやってくれということを申し上げたのは、やっぱりなかなか現場において対立関係がありまして、先ほどちょっとパロディー化して言ったのは、戦争中は軍隊の方が力持っていて、信号のゴー・ストップ事件というのがあって、兵隊さんが、大日本帝国陸軍の兵隊さんが信号無視して、お巡りさんがピピっと笛吹いて、こら、信号守れと言ったら、大日本帝国陸軍の兵隊に向かって何言うか、無礼者と言って、これは軍隊の方が勝ったんですね。その遺恨試合じゃないけれども、戦後はそんな、警察の方が上だという、まああえてカリカチュア的に言うと、そういう話すら出てくるので、なかなかやっぱりこれは、省庁の縄張争いというのは、これ解消するのは、言うは易しいんですけれども、現実には非常に難しい。  そういう意味では、日本版のFEMAのような緊急事態庁とか緊急危機管理庁というのを作るのも一つの案かなと思っていますので、私は民主党の提案というのはそれなりの意義があるというふうに思っていますけれども、久間委員に、この点について、じゃ、なぜ駄目なのか。
  191. 久間章生

    衆議院議員(久間章生君) 政府案が出てきますときに、与党でいろいろ議論がありましたときに、舛添委員からそのときもいろんな指摘がございました。しかしながら、そのときも、完全なものはできないかもしれないけれども、一歩前進をして次へつなげようということでこういう案になったんだから、それ我慢していただきたいということを私自身が申し上げて与党案を提出したのがこの間のように思いますけれども。  今回、確かに民主党さんから出てまいりました。ただ、さはさりながら、危機管理庁というようなそういう形でやりますときに、アメリカのFEMAを念頭に置いておられますけれども、これはどちらかというと災害を念頭に置いた組織じゃないかなと思います。そして、アメリカの場合はやっぱり州政府がありましてその上に立って連邦が調整するという、そういう役割もございますからあれがそのまま機能したんだと思いますけれども、あのテロなんかをきっかけにしまして、アメリカでもいわゆるFEMAではなくて国土安全省という形で今度格上げされるような形になったわけでございますから、やはりこういう組織の在り方についてはもう少し幅広く世界各国のいろんな例を研究しながら政府において検討してもらった方がいいんじゃないかと。  そういうことで、今度修正に当たって、そのまま取り入れるんじゃなくて検討するということにしたわけでございまして、決してこれに反対とかなんとかということではございません。どうせ作るならば更にいいものをというそういう思いもあって、世界各国の例を検討してもらって、その中で更にいいものを、アメリカのFEMAということにこだわらないでやった方がいいんじゃないかなというふうに思っております。  それと災害、もう今、大災害ももちろんですけれども、いろんな、災害基本法という法律があって、一応それに基づいて今機能しているわけでございます。それで結構慣れている点もございますから、それとの関係なんかもどうしていくのか。  あるいはまた、テロといいましてもサイバーテロみたいな形になったときにこれはどうなのか。今の警察の一番の問題点というのは、都道府県警察になっておる。警察庁は確かに調整機能としてありますけれども、実際、警察法でも、内閣総理大臣をトップにして布告を出す場合、それはもう治安のいわゆる騒擾のときだけでございますから、それ以外のテロみたいなところに同時に多発的になったときに、これを今の警察法で本当にいいのかなという思いもありますので、これから先そういう点も全部踏まえながら研究をしていった方がいいと思って、今回は一応先へ進もうという形であのような形で処理させていただいたわけであります。
  192. 舛添要一

    ○舛添要一君 大変よく分かりました。  ただ、災害救助法や災害対策基本法は今おっしゃいました、それから大規模地震対策特別措置法もございます、それから今回の自衛隊法の百三条の改正と、これ何とか一つにできないかなというときに、これは久間議員でも防衛庁長官でもいいんですけれども、いわゆる災害救助法や災害対策基本法の業務従事命令、これが入るかどうかということは非常に大きゅうございますか、どうですか。それが、業務従事命令が災害対策基本法ありますね、こういうものを、まだ百三条の改正では十分ではないですね。  つまり、私のポイントは、災害対策関係法律とテロないし今度武力攻撃事態、これを一体化して一つ基本法的なものにまとめるに際してのどこに問題が、技術的な問題があるのかと。
  193. 久間章生

    衆議院議員(久間章生君) それぞれの態様といいますか内容が非常に違うものですから、そういうやつを一つ基本法でくくってしまうことが果たして技術的にもできるんかなという、そういう思いも実は私自身はいたしました。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕  だから、特に例えば原子力災害特別措置法なんかは、この間のいわゆるウランの放射能漏れのああいう事件であったわけでございますけれども、あのとき一つ取ってみましても、これは知事が避難を勧告しようと思っても、どこまでを避難といいますか、放射能漏れの場合どこまでを引かせたらいいのかと、そういう判断は都道府県知事でもできないわけでありますし、これは原子力の専門家がやらないとできないわけでございます。  だから、それぞれの内容が全然違うもので、それを一つ基本法でくくって一つの対策本部を作ってさっとやれるような形に果たしてできるんかなと。武力攻撃の場合はまた、これまた防衛庁中心になってやらざるを得ないと思いますけれども、そういう意味で、これから先のそういうようなくくり方、そういう法律の作り方、これもやはり非常に真摯に研究しながら各党でいいものを作っていった方がいいんじゃないかと。少なくとも今の段階で、民主党さんが出しておる基本法を、はい、そうですということで認めるには余りにもまだ整理がされていないと、そういうような印象を受けましたので、これも一応衆議院では継続審議にしたまま、これから先その扱いも含めて研究していこうというふうになったわけであります。
  194. 舛添要一

    ○舛添要一君 今度は前原議員の方にお伺いします。  あれだけ多様な意見をお持ちの民主党がここまでまとまって歩み寄られたということには大変な敬意を表しますけれども、特に基本的人権との絡みを非常に強調なさいましたけれども、私は、もちろん公共の福祉という制限がありますけれども日本国憲法はちゃんと基本的人権規定している。しかし、例えばドイツの憲法のように、緊急事態の規定がないんですね。で、いろんな議論の混乱の元がそこにあるんじゃないかと、これまでの有事法制の審議についても。  これ実は参議院で、憲法九条と安全保障についての議論が参議院憲法調査会で始まりました。憲法調査会の中でもこういう議論はいたしておりますし、皆さん自由に濶達に議論を行っていますけれども憲法を少しでもいいものに変えていくという観点から見たときに、かえって緊急事態の規定があった方が、御懸念のように今度の有事法制で十分人権守れないじゃないかと、そういうことがなくなるんじゃないかと思いますが、そこの絡みはどういうふうにお考えでしょうか。
  195. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) おとついですか、答弁をさせていただきましたけれども憲法には、委員御指摘のように緊急事態というか危機管理に関する条文が全くと言っていいほどないと、あえて言うのであれば第五十四条の参議院の緊急集会と、こういうものだと思います。  したがいまして、憲法に緊急事態有事の規定がないために、我が党が基本法にこだわって、そこにしっかりと、有事を余り想定していないんではないかという段階で作られた憲法にそういう規定がないのだから、基本法というものを作って、しっかりと緊急事態有事に対して、憲法にも書かれているような基本的人権の尊重であるとかあるいは民主的統制の在り方というものを基本法にしっかり書くべきだと、こういう思いの中で基本法を出させていただいたのは、今、委員が御指摘のとおりでございます。  したがって、そのスキームは当然ながら最高法規である憲法を前提にしておりますけれども、今御指摘のように、憲法改正の議論のときには当然ながら、ドイツのボン基本法には憲法にそういったことはしっかり書かれていると、ロシアの憲法でもそういったことが書かれているということを考えれば、当然考えられなければいけないポイントであるというふうに私は認識をしております。
  196. 舛添要一

    ○舛添要一君 その絡みでもう一点前原議員にお伺いしたいんですけれども、やっぱり憲法の前文で国際協調主義を高らかにうたっているんですが、憲法の中に国際協調という条項がないんですね。私は章立てで国際協調というようなことをあってもいいと思って、その中で例えば自衛隊を含めて我々が持っている資源を国際協調のために活用するということがあっていい。そういうことがないものですから、PKO法についてとか、まあ周辺事態法もそうですけれども、いろんな国際協調についての法律作りで難儀を来たすということはあると思います。  そういう観点から、私はやっぱりより良い方向に憲法を変えていく、今の緊急事態もそうですけれども、国際協調主義をうたうということを憲法九条に付け加える、ないしこれを新たな章立てする、こういうことが必要だというふうに考えますけれども政治家として前原議員はどういうようにお考えでしょうか。
  197. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 私は、少し間接的にはなりますけれども、今の国際協調というものは私は今の憲法では担保できているんだろうというふうに実は考えております。  どういうことかといいますと、九十八条だったと思いますけれども、条約の遵守義務というのがあります。その条約の遵守義務で最も、条約に濃淡はないという前提でありますけれども、極めて重要な条約、国際取決めの一つは、やはり国連に加盟しているときの国連憲章だろうと。これは、正に委員が御指摘のような国際協調というものをうたっているのが国連憲章でありますし、日本もそれに加盟をするときに、それに批准をしているわけでありますので、丁寧に憲法に書くということは必要なことかもしれませんけれども、そういう、ですから、御意思はあっていいと思います。  ただし、じゃ今の憲法で不十分なのかといえば、私はそうじゃないんだろうと。九十八条と国連憲章において国際協調の精神は我々がしっかり守っていかなくてはいけないものだというふうに一政治家として考えております。
  198. 舛添要一

    ○舛添要一君 さて、これから国民保護法制を一年以内に作っていかないといけない、それから米軍支援法制についても考えないといけない。  今後の課題に移りたいと思いますけれども、まず、防衛庁長官国民保護法制というときに、かつての有事法制研究では第一分類、第二分類、第三分類という言い方をされていましたですね。第二分類的なところまでは大体今度できましたと。で、第三分類、先ほど冒頭にジュネーブ条約四条の話をしましたけれども、この問題も含めてどういう進捗状況でございますか。検討状況、第三分類について。
  199. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは官房長官からお答えになるのがよろしいのですが、済みません、今いらっしゃいませんので。  私が承知しております範囲におきましては、国民保護法制の輪郭というものが出ました。それを更に今、精緻にしたものを出しておるはずでございます。まだ法律案要綱まではいきませんが、法律案要綱までいきますともう法律できるじゃないかという話になりますので、そこのところを今詰めておる段階だと承知をいたしております。  第三分類というのは、要するにどこの省庁の所管だかよく分からぬねと、これが第三分類でございますから、そこのところを内閣官房中心としながら、特に国民保護に関することでございますので、地方公共団体、警察、消防その他いろいろ、そういうところと議論をしながらやっておるところでございます。  この法案におきまして、委員とも党で議論をさせていただいたことでもございますが、何で整備本部というのを作ったのかと、こういいますと、そこにおいてやはりいろんな方の意見が入ってこないといかぬのだろうと、霞が関だけで、永田町だけで全部分かるわけではあるまいと。例えば、地方公共団体はどのように考えるのか、じゃ民間事業者はどのように考えるのか、そういう意見がそこにおいて反映をされて、そこの責任において法律を作る、そしてそれを速やかに出すということで、国民保護法制整備本部というものと、そして二年以内が速やかにというふうに変わったところに私は大きな意義があると思っております。
  200. 舛添要一

    ○舛添要一君 さて、そこで国民保護法制ですけれども、私は民間防衛ということを少し真剣に考えるべきだなと。もっと別の言い方をすると、民間防衛という視点を通じてこの問題にアプローチするのが非常に生産的かというふうに思います。  御承知のように、スイスという国がこれは非常に盛んでありまして、私もこの国に生活していて、全く国防という観点から日本と対極的でありまして、国民皆兵ですし。それから、もう皆さん御承知の、個々に「ディフェンスシビル」という、シビルディフェンスですね、「民間防衛」、これは翻訳もこういうふうに出ています。これは全部スイスに住んでいると各家庭に配られて、ハードからソフトまでいろんなことが書いてあるわけです。こういうことは、これ、ただ単に国民自分の命を守るために権利だけ主張するわけじゃなくて、自分たちでちゃんとやりなさいよと、自分のコミュニティーでしっかりやりなさいよということが書いてあるわけです。  例えば、これ国土交通省にお伺いしますけれども、このスイスでここまでやるのかなと思って、実際、私、訓練をやっているのをしょっちゅう眺めていましたから、これは韓国もそうですけれども、高速道路の中央分離帯が外せるようになっています。そして、これ外すと滑走路になるんです。スイスのミラージュ戦闘機というのは、少々カーブしていたってできる、離発着できるようになっている。じゃ、その真ん中のくいをだれが取り外すかというのは地域の住民が外すわけです。それやこれやいろんなことがありますけれども。  例えば、いわゆる武力攻撃事態のようなことが起こったときに、こういうことが連邦内閣に与えられた非常大権として、公共輸送手段に対する戦時の時刻表の決定、つまり、列車のダイヤが普通のダイヤとぱっと二十四時間以内に変わるわけです。みんな、国民皆兵ですから自分で鉄砲担いで行くわけなんで、じゃ、どこに敵が来たから、どこに陣地作るからみんな行けといったときに、移動の手段、それぞれ車で行くわけにいかないから鉄道に乗って行くわけですね。そうすると、軍隊輸送用に変わると。ここまで徹底してもう既に昔からやっているわけですけれども。  一例ですけれども、国土交通省として、本当に国民を保護しようと思うと、道路渋滞して動きませんと、空からも行くでしょうけれども、鉄道が一番いいというようなときに、例えばそういうことをやる権限を持っておやりになる気はありますか。
  201. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、武力攻撃事態といったような緊急事態が生じました場合に、現行法上、旅客列車優先から軍事輸送優先への切替えという権限は国土交通省、現在持っておりません。  そういうことで、そういう事態、緊急事態が生じた場合に、どのくらいの規模で、どのぐらいの規模でどういう区間で何をどれぐらいの必要性で運ぶかという点につきましては、最も情報を有し、判断できるのは武力攻撃事態対処法案に規定します対策本部だと思います。したがいまして、その対策本部の方で方針を出していただきまして、国土交通省はその方針を受けて、鉄道事業者なりなんなりに私どもの持っております権限で最大限対応すると、こういうことになっていくのではないかと思っております。
  202. 舛添要一

    ○舛添要一君 これは私の感想だと思って聞いておいていただきたいんですけれども、元旦から正月にかけて初もうでする人が一杯いるということで、鉄道会社は全部ダイヤ、そっちに振り替えるわけですね。日本国民の生命と財産が危うくなったときに組み替えないと。どっちがおかしいのか、どっちが国際的な常識にかなうのかと、そういうことの議論もやって、やっぱり国民立場に立った法制ということを考えてもらいたいというふうに思います。  同じ民間防衛絡みで、総務省、これは基本的に地方のみんな自立した自衛の組織で例えばスイスなんかやるわけですね。例えば、言葉がいいかどうかはこれは翻訳ですから、自警団組織とあって、その自警団の団長一名、待避所責任者一名、看護衛生責任者一名、その他少なくとも六名でそういうものを作ると、もう事細かく決まっているわけですね。それから、各家庭もそうだし、公共の建物には、核兵器攻撃にさらされてもいいようなシェルターまで作ることが決まっている。これ、ある一つの極端な例です、スイス。  総務省としては、新しい法制、国民保護法制考えるときに今言ったような観点はどういうようにお考えなのか。これを余り言うと、昔の戦争中の隣組みたいな話になってイメージ余り良くないんですけれども、これ、地域のコミュニティーを再生させるためにも有事のときにどうするかは国民保護ということから考えていいと思いますので、総務省の取組、特にこれは警察よりも消防ですね、消防の役割が非常に大きいと思いますが、そういう点、お話しいただければと思います。
  203. 石井隆一

    政府参考人(石井隆一君) お答え申し上げます。  これから国民保護の法制を考えますときに、地方自治体なりあるいは消防がどういう役割を担うかというのはこれから内閣官房中心に検討していくことでございますので、確定的なことは申し上げられませんけれども基本的には、警報の伝達あるいは避難誘導、救助、それから重症病者の搬送等につきましては、国や都道府県の指示の下、市町村あるいは消防が相当の役割を担うのではないかということを想定しております。この場合、常備の消防機関が中心的な役割を果たすのではないかと考えておりますけれども、消防団につきましても、これと連携をしながら一定の役割を担っていただきたいということを、担っていくことになるんじゃないかと考えております。  また、今お話に出ましたけれども、現在でも災害発生時におきましては、地域の自主防災組織のメンバー等が自分たちの町は自分たちで守るという精神で、避難誘導ですとかあるいは救助等の役割を一部担っていただいている例もございます。そこで、武力攻撃による災害があった場合でも、これらの自主防災組織等が自主的にこういった役割を担おうとしていただける場合には、これを国や地方自治体が支援をしていくといったようなことも検討していいのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  204. 舛添要一

    ○舛添要一君 官房長官、お帰りになりましたんで、早速で恐縮でございますけれども、ちょっと質問し残した部分お話ししたいと思います。  国会の関与に関する件でございますけれども、私、やっぱり本来的にはこういう大事なとき、武力攻撃事態も予想事態も含めて、できれば国会の事前の承認というのはあった方がいいというふうに思います。  ただ、問題は緊急性とのバランスでありまして、もちろん事後での承認ということはあるし、事後で駄目ならこれは撤回することができるという、そういう歯止めは十分付いていますけれども、本来的には事前承認という精神であってほしいと思うんですね。なければ、国会のチェックはそれで十分なのか、政府の暴走という言葉がいいかどうか分からないですけれども、そこを、原則国会承認だけでも、緊急性という、その緊急性とのバランスということで緊張感を持って対処していただきたいということですけれども、その点、防衛庁長官でも官房長官でもお答え願えればと思います。
  205. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 委員の御指摘のとおりだと私も思います。  こういう武力攻撃対応するという、こういう重大決断をするという、そういう内容のことでございますから、国会の関与ということは極めて大事なことであり、そういう意味におきましてこの法案においてもそのような規定を設けておるということでございます。
  206. 舛添要一

    ○舛添要一君 実は、このテロ特措法周辺事態法もPKOも、それから今回の有事法制も、議論をしていてどうしても神学論争的になりがちな面があるし、それはなぜそういうことになるのかといって、やっぱり憲法の問題に行き着くというふうに思います。  私は、先ほど前原さんに申し上げたように、憲法九条が定めている自衛権憲法がなくても自然権として私は国家は自衛権はあると思っています。これは、憲法自衛権を認めていると解釈していいと思います。ただ、第二項の交戦権云々の項目は私は個人的にはなくていいだろうと。むしろ明記して、自衛のための武力の行使とそれから国際協調の下での武力の行使は認めるとはっきりした方が分かりやすいんじゃないかと。そして、そういうことがないものですから、やれ個別的自衛権集団的自衛権だという話になってくるけれども、国際協調をうたうならば集団的自衛権というのは当然であって、国連憲章との絡みであっても当然持っていいし、解釈、私は、だからこれを解釈でやる、解釈変更でやるというのも不可能ではないけれども、それは多数の、三分の二以上が発議して国民の過半数が認めればいいわけですから、そういう形での憲法改正があっていいと思いますけれども、そろそろこういうことを、憲法調査会では議論をし始めています。しかし、国民的観点で議論をすべきときに来ていると思います。  二日前のこの委員会においても、小泉総理もそういう観点でおっしゃったと思いますけれども、これ、福田官房長官と前原議員に、私が今思っているようなもやもやというか、このことを共有するのかしないのか、政府立場でお答えになるのは非常に難しいかとも思いますけれども、そうしないと、今度、国民保護法制をやる、米軍支援体制をちゃんと作る、もう毎回この問題に逢着する。そして、あらゆる種類の世論調査を見ても、どの項目とは言いませんけれども憲法の改正を議論すべきであるという方が過半数を占めている。  私は、明治の不磨の大典じゃありませんけれども日本国憲法は、日本人の生命と財産を守り、日本国の独立を守り、国際協調を守るためのものであって、日本国憲法のために何もかも全部捨てちゃっていいというそういうものではないというふうに思っていますから、そこは政治家として、私の信念として、今言ったような考えを持っています。  この点について、官房長官、前原議員、それから、もし御意見あれば防衛庁長官、よろしくお願いします。
  207. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 憲法我が国法秩序の根幹をなすものでございまして、また我が国の国としての在り方にもかかわることであると思いますので、そういう意味におきまして、この集団的自衛権とのかかわりについて、これは私は極めて大事であるという意味において大いに議論をすべきことだろうというふうに思います。  しかし、今の政府は、これは現行憲法をこれを守る、そしてまた従来からずっと行われてきています憲法のその考え方と申しますか解釈の仕方、そのことについては、これは一定の、委員のよく御存じの考え方になるわけでございまして、それは現内閣としてはきちんと守っていかなければいけないという考え方をしております。  しかし、先ほど申しましたように、議論はこれはいろいろな形で進められる、正に今、国会でも議論をされているということでございますので、大いに議論をすべきであるというようには思っております。
  208. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 政府の人間だとなかなか言われづらい部分があると思いますけれども、一議員として御指名でございますので発言させていただきますが、もやもやは共有しております。  例えば、おっしゃったように、自然権から自衛権はあるという解釈になっておりますね。先ほど議論になった基本的人権というものは、あれも人の自然権というもの、これを明文化していて、なぜ国の自然権である自衛権は明文化していないのかという問題点があると思います。  それと、二つ目は、憲法解釈ですね。つまりは、主権国家として当然集団的自衛権を有しているけれども憲法がその行使を認めていないと。だれが聞いてもよく分からないような政府解釈集団的自衛権を封印をしているということ。  それと、三つ目、あえて申し上げると、日米安保条約は基地を貸し、あるいはお金を、基地の借り上げ賃も含めれば年間六千億以上払っているわけですね。武力行使の一体化ならないんだから、これ自身が集団的自衛権日米安保条約はならないというのは、これは他の国から見ればなかなかやっぱり理解のできないことなんだろうというふうに思います。  したがって、その武力行使の一体化というところで何とかごまかそうとしてきた解釈が、やっぱり有事法制のみならず周辺事態法もそうですし、今後の安全保障の在り方を考えると、ミサイル防衛等で私は必ず壁にぶつかっていくのはもう間違いがないというふうに思いますので、そこは憲法改正なのか解釈変更なのか、そこは国民理解を得てのやはり我々政治の場だと思っておりますので、そういったことを大いに議論して、そして最終的には国民に資するような私は政府解釈というもの、あるいは憲法というものを築き上げていく必要があるのではないかというふうに思っております。
  209. 舛添要一

    ○舛添要一君 民主党の明日の内閣安全保障担当大臣がそういう明確なお答えをいただくということは大変頼もしいことでありまして、今後とも協力、協調していきながら国民的な合意の形成を図りたいと、そういうふうに考えています。  続いて、防衛庁長官及び福田官房長官にお伺いいたしますけれども、米軍支援体制を例えば新たに法制化しないといけないとすれば、つまり今回の有事法制がこれで成立をする、一年以内に国民保護法制を作る、ここまでいいですね。米軍支援の新たなシステム作りをやらないとこの有事法制がうまくいかないのかいくのか、その点、明確にお答え願えますか。
  210. 石破茂

    国務大臣石破茂君) うまくいかないと思います。それはどういうことかというと、日本単独で日本が守れれば結構なことでございますが、どう見たってこれは無理なんだということですね。  我が国として、例えばミサイルが飛んでくると、その場合には米国に打撃をゆだねると、こういうことになっておりますわけで、米軍なしに日本の平和と独立はパーフェクトに守れるか、守れない、我が国はそういう安全保障政策を選択をしておるわけでございます。そのときに、じゃ、有事において米軍を支援をする法制がなくてこれが機能するかといえば、それはしないというのが論理的な帰結になるはずでございます。  また、例えば物品役務提供協定という、ACSAというのがございますが、訓練のときにはそういうことができますと、実戦になったらできませんと、こんなばかな話が世の中にあるのですかねということになるのだろうと思っております。また、米軍は駐留軍でございますから、それじゃ、その地位協定等々ございますけれども、国内において何をやったっていいのかねということになれば、それはそうではないということもございましょう。  そういうことも含めまして、米軍に関する法制というものをきちんとすることが必要だというふうに私は考えております。
  211. 舛添要一

    ○舛添要一君 防衛庁長官、それはあくまでこの有事法制の続きとしてですね。続きというか、有事法制との絡みでですね。──はい。  そこで、お伺いしたいんですが、なかなか具体的なケースで言うのはお答えにくいと思いますが、仮に北朝鮮がノドンミサイルに核弾頭ないし何らかの通常弾頭を積んで、日本に向かって発射の準備をした、いろんな情報、偵察衛星の情報を含めてかなりの蓋然性で日本に標的を向けていると。幸いなことに、液体燃料ですから六時間ぐらい注入するのに掛かりますね。そのときに、これを私は、そこまではっきりしていれば、一九五〇年代の鳩山内閣答弁のように、そういう基地をたたくことは自衛範囲内であると思います。しかし、そのための能力を我々が持っていない。そのときに、例えば三沢に展開しているF16の部隊に頼むのか、それから巡洋艦に来てもらってトマホークミサイルで基地をたたくのか、いろんな軍事的な方法はあると思いますね。  そういうときに、今おっしゃった米軍支援法制というものをしっかりしたときに、我々はどういう形でどういう後方支援をするのか。何かそれはお答えできますか。
  212. 石破茂

    国務大臣石破茂君) まず、これは委員とも随分議論させていただいておることですが、液体燃料ではあるのですが、注入にはもっと短い時間しか掛からないようでございます。これは以前、私も、六時間とか十時間とか、それぐらい掛かるのだから情報衛星でその端緒は分かるであろうというふうな議論をずっとしておったのですけれども、もっとこれは短いらしい、液体燃料であっても短いらしい。したがって、その短い時間でどうやって対処態勢を作るかというのはかなり難しいことだと、法理上は可能であっても、現実問題として極めて難しいということだと思っています。  そのときに何が可能かということですが、それは恐らく、燃料注入を始め、ミサイルを直立させ、日本に向けて撃てと、こういうようなお話があったといたしますと、これは武力攻撃予測事態というよりも、それはもう武力攻撃事態の着手があったということなのだと思います。そして、そのほかに手段がなく云々かんぬんということでございますが、それは我が方が自衛権を、武力攻撃事態であったとしても、私ども自衛権行使しない、つまり防衛出動を下令しないということも理屈の上からあり得ることでございますね。そうしますと、そのときに何ができるのかということは、まさしく武力攻撃事態において私どもが米軍に対して何ができるかという中で議論をされる。これは先ほどと同じ、小泉議員に対するお答えと同じことに相なってしまいますが、それはまさしくこれから議論をされることになるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、憲法範囲内できちんとした法律を作る。そのときに何ができるかということでいろんな可能性考えてみたいと思っておりますが、何をすることが一番有用なのか、そしてそれが憲法範囲なのかということを考えてまいりたいと思っております。
  213. 舛添要一

    ○舛添要一君 防衛計画の大綱以来、日本の防衛政策というのは、当たり前のことですけれども、小規模限定的な攻撃に対しては自らの力でこれを撃退するが、それが不可能な場合には米軍の来援をもって行うということになっているわけですね。そうしますと、そのことが日本国の安全保障の根幹で、日本人の生命と財産を外敵から守る根幹であったにもかかわらず、その米軍が、今言った日本を守るために出動するときに何にも日本ができない、何にもそのことを決めてないということ自体がそもそもおかしくて、有事法制があろうがなかろうが、そういうことをやってこなかったことは、これは歴代政府の怠慢じゃないですか、福田官房長官。どちらでもいいですよ、防衛庁長官でも構わない。
  214. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 怠慢とおしかりをいただければ怠慢だと思います。ですから、さればこそ森内閣のときに有事法制というものを具体的に議論に乗せ、そして小泉内閣において法案の審議を昨年もいただき、今こうしていただいておるわけでございます。  ただ、そのときに何ができるか、つまり米軍の支援に何ができるかということと、あるいはアメリカ集団的自衛権行使している、日本を守るために集団的自衛権行使している、そのときに日本が何ができるかということは、また少し次元が違うお話になってくるのかなと思っております。つまり、日本を守るために、日本武力攻撃が発生しておって、集団的自衛権に基づいて日本を守るために行動しておるアメリカの艦船、これに対して何ができるかという議論は、既に中曽根内閣のときになされておることでございます。  そういうふうな大枠、多分こういうことはできるのだということはありますが、それ以外のどういう支援ができるか、あるいは有事法制というものの考え方の中で米軍をどうとらえるべきか、そういう議論を精緻にしていく。怠慢だとおしかりをいただければ、ごめんなさい。それをこれからきちんと急いでやらせていただくということでございます。
  215. 舛添要一

    ○舛添要一君 つまり、有事法制できたらできたで、そういうこともやらないといけないけれども、本来は有事法制なんかなくたってやっておかないといけないはずですよね。昔、その議論で番犬様議論があったけれども、やっぱり番犬様にはえさぐらいやらないと駄目でしょう。当たり前じゃないですか、そんなものは。有事法制があろうとなかろうが、ちょっと言葉悪いですけれども、そういう議論が国会でありましたことを受けて言うとね。  ですから、有事法制の議論がなければ米軍支援体制も何もできないというのでは、それは日米行政協定からガイドラインからいろいろありますよ。だから、そういう何かパッチワークで継ぎはぎ的なことをやるんじゃなくて、日米安全保障条約というのがちゃんとあるんだったら、それに付随しているシステム作りををやってこなかったことが問題だということを申し上げているんで、どうですか、その認識は。
  216. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それはおっしゃるとおりでございます。  つまり、今回の法律は、ただ、なぜプログラム法的な意味を持っているか、これは党でも随分議論したことですが、そういうことを書かないと政府はきっとサボってやらないのではないかということなのですね。だから、プログラム法部分を入れなければ駄目だということは今まで何回も言ってきた。例えば、第三分類なんてやりますと言ったのは、たしか中曽根内閣の藤波官房長官が、これは内閣においてやります、責任持ってやりますとおっしゃったのはもう今から二十何年も前のことであって、今までずっとそういう話だった。ある意味、消極的権限争いみたいなところもある。米軍の法制だってそうですよね。  ですから、それをプログラム法としてきちんと政府に義務付ける、政府の方も自らこれをやりますというふうに法律によって自らそれを拘束する、そういうことに意味があるのであって、こういうことがなければできなかったのか、ばか者とおしかりを受ければ、ごめんなさいという話ですが、それ以前にやらなければいけなかったことだということはそのとおりだと思います。
  217. 舛添要一

    ○舛添要一君 最後に、やっぱり日本国民にとって、北朝鮮からミサイルが飛んでくる、それが一番の今の頭の痛い、頭痛の種であります。アメリカとの間でのミサイルディフェンス研究、どこまで進んでいますか、防衛庁長官
  218. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはアメリカにおいて、はっきりさせておかなければいけないのは、日米共同研究というのは、これは日本アメリカにおいて、例のロケットモーターでありますとか、ノーズコーンでありますとか、赤外線シーカーですか、そういうことをやっておるものでございます。これがそのまま私どもの弾道ミサイル防衛になっていくのかといえば、それはそれ、これはこれという話でございまして、昨年の十二月にブッシュ大統領が発表いたしましたのは、PAC3とイージス艦搭載のそういうシステムだということでございます。  私どもは、日米共同研究というものは共同研究でやりつつ、アメリカがいよいよ実戦配備をするということに相なりましたこのシステムというものをどのように考えていくか、それは日本の防衛政策全体の中で議論されることですから、日米共同研究とはまた別個のものとして、これの有用性、そしてまた法的議論、費用対効果、そういうものを今議論しておるところでございます。  それも相当、もう現実に配備されるわけですから、技術的な課題も資金的な問題も、議論は相当煮詰まっております。あとは、これをどうやって安保会議で御議論になるか、そういうような御判断かと存じます。
  219. 舛添要一

    ○舛添要一君 終わります。  ありがとうございました。
  220. 平野達男

    ○平野達男君 国会改革連絡会の平野達男でございます。  法律の中身に入ります前に、昨日の審議の中で小泉総理が、いわゆる武力攻撃事態のその定義をめぐって、私も前からおかしく思っていたんだと、そのまま出して国会に審議したら修正になって、私の思ったとおりだという発言をされました。事実、正直に申されたと思います。ただ、今回のこの武力攻撃事態法、この中で総理大臣はその事態になったときに、これを基本方針の中で武力攻撃事態と認めるか、あるいは予測されるという事態に認めるか、この判断に相当悩むはずなんです。その悩まなくちゃならない定義のものについて、その案文を見たときに、私が、うわっ、私はちょっとおかしく思っていたと、それで国会に行ったらやはり修正されて、やはり私の思っていたとおりだというのは、発言として非常に軽いんじゃないかと。私は前から小泉総理の発言については、経済問題とか何かにつきましても発言が軽いじゃないですかということを本会議等あらゆる場で、あらゆる場と言ったら言い過ぎですけれども、ちょくちょく言っていますが、今回もまた非常にその典型だったなというふうに思います。  ただ軽いだけじゃないんです。ここから次に何があるかといったら、本当に有事になったときに、ある政府の高官が、あるいは安全保障会議でもいいですよ、持ってきましたと、見てちょっとおかしいなと、だけれどもまあいいやというようなことをするんじゃないですかというような推測をされても仕方がないような発言であったというふうに私は思いますので、この点に関しましてはまた小泉総理と何かの機会があったときには是非やりたいと思っておりますけれども、是非、官房長官、私の今の発言についての、今の意見について一言御感想をちょっとお伺いして、次の質問に入っていきたいと思います。
  221. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 確かにこの一番最初の条文ですと、「武力攻撃」といたしまして、その中に「おそれのある場合を含む。」と、こういうこと、それから、「事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」、こういう表現をしたものですから、このことについて、それは当初我々は割り切ったつもりでおったんです。ところが、こういう議論をしてきますと、どうもやはり分かりにくい、やはり国民が、広く国民理解を得なければいけないという法案であるという、そういう観点から考えますと、これは修正をした方がいいということでもってこの武力攻撃事態を二分して分かりやすくしたと、こういう趣旨でございまして、私、率直にそれを認めて、自ら認めて修正したということについて御評価をいただきたい、このように思っております。
  222. 平野達男

    ○平野達男君 評価するかどうかは別として、私の言いたかったのは、ああいった答弁の仕方が問題だということであります。それは、あれを聞いて和やかに取る人と、そんなことでいいのかという人と分かれると思いますが、私は後者でありますということであります。  それから、では質問に入りますけれども、まず武力攻撃事態法の前段として、自衛隊の行動ということ、行動、特に範囲ということに絞って何点か御質問をしたいと思います。  まず、自衛隊の任務でございますけれども、これは三条の中で、平和と独立、安全の確保のために侵略から国を守るというふうに明確に規定してあります。このとおりだと思います。しかし、じゃ具体的にどこでどういった範囲で活動するかということにつきましては、これは時間の経過とともにどんどん変わってきているというのが今までの実態ではないかと思います。  先ほど言いましたように、どこで何をするかという、何についてはこれはまた、今日はちょっと余り触れる時間がないので別の機会に触れさせてもらいますけれども、どこでということに主として観点を絞りたいと思いますが、御承知のように、もう皆さん御承知の、専門家の方ばかりこの席におられますから、今更今までの経過なんていうのを説明してもしようがないかもしれませんが、簡単にちょっと説明をさせていただきますとPKO法が、PKO法が、いわゆるPKO協力法が一九九二年に制定された、これはこれでいいと思います。ACSA、今日の議論の中でも出てきておりましたけれども、一九九六年に出てきて、これは自衛隊と米国軍隊における後方支援、物品又は役務の相互協定に関する協定ということで、これは一九九六年に結ばれました。当初はこれは平時を想定しているものだったと思いますが、次に言う周辺事態法の制定をもってこれは改定されたという経過があります。  問題なのはこの周辺事態法のころからかと思います。このところの、これは一九九九年に制定されまして、我が国の周辺地域ということで、この頭のキャプションに、「放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」というキャプションが付くわけですが、我が国周辺ということで領域から出てきたということで、その範囲の拡大をした法律でありました。その後、テロ特措法というのが二〇〇一年に出ます。これは、このときは我が国周辺からまた更に出ました。出て、要するにその武力攻撃がない、要するに安全なところであったら輸送はいいですよという法律でして、この領海、それから周辺、それから安全なところではどこでもいいという、どんどんどんどんこの範囲が拡大してきている。じゃ、この後一体どこへ行くんだろうかということなんです。  これに対しての考え方、つまり、一つはこういった事々に、その時折時折に応じて、判断によって法律を作って範囲を決めてきたと思うのですが、どんどんどんどん拡大してきているんではないかと。そのときの指標は一体何だったんだろうか。それからもう一つ。最後に、このバウンダリーというか限度というのはどこにあるんだろうか、それが今の日本政府、この国の政府の中には考え方としてないんじゃないかというふうに思うんでありますが、官房長官防衛庁長官にそれぞれお考えをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  223. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私からまずお答えいたしまして、官房長官が御答弁なさると思います。  それは何かと言うと、PKO法はいいとおっしゃいましたが、それぞれ私どもの国が国際的な責任を果たすために何ができるのだろうかということだと思っております。それによってPKOに自衛隊を出し、そしてまたテロ対策特別措置法によって自衛隊を出しているわけでございます。  周辺事態法は少し概念が異なりまして、日米安全保障条約の効果的な運用に資するためというふうに書いてございますが、それは、そのまま放置すれば日本の平和と安全に影響を与える、そういう事態だからやっておるということでございます。いずれにいたしましても、憲法が禁じている武力の行使というものを行うものではございません。  そして、地理的概念というものが広がっておるというふうなおしかりでございますけれども、御指摘でございますが、そのことと我が国がどのような国際的な責任を果たすべきか、そのために自衛隊でなければできないことがあるとするならばそれをどうするべきか、したがってそのために立法を行っているわけでございます。  周辺事態法テロ特措法みたいなことができないかという御議論もございましたが、そういう話をいたしますと、周辺というものが無限定に広がってしまう、どこまでも周辺周辺ということになってしまう。それではやはり駄目なので、テロ対策特別措置法と新たな立法をいたしまして御審議をいただいておる、私どもはそのように考えておるところでございます。
  224. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) そもそも我が国自衛隊の活動というのは国際社会の平和と安定に資するものと、こういう基本的な考え方、そしてその活動は憲法範囲内と、こういうことになっております。  ですから、そこで、その中で、そういう条件の中で活動するということですから、そういう意味におきましては地理的な概念というのはないんだろうと思います。PKO法も、これはどこでもできるんですね、活動は。ですから、今後も国際社会の平和と安定のために、国際社会からの要請もあり、自衛隊が活動するという場合に、それは私はどこの地域までという限定はなくてもいいんではなかろうかというふうに思っております。
  225. 平野達男

    ○平野達男君 私の質問の仕方が悪いのか、どうも質問に対するちょっと答えがなくて、じゃなくて、官房長官は、いや失礼、防衛庁長官は個々の法律の説明をしていただきました。官房長官は、どちらかというとPKO法に、協力法に限定してのお話だったと思うんですが、私が言いたいのは、憲法範囲というのは当たりなんです。これは当たり前ですよね、すべて物事を決めるときに。  そうではなくて、こういうふうに自衛隊の行動の範囲というのが、今までの時系列から見てきてどんどん広がってきたと。その自衛隊の行動規範というのをそろそろ決めるべきじゃないかと。考え方を、どこまでどういう考え方自衛隊の行動というのはここまでなんだと、そしてまた自衛隊というのはここ以上行かないんだという、憲法とは別な、要するに基本法的な考え方です。この基本法的な考え方がどこにもないわけです。そして個別の、個別の考え方、個別の法律を作って、その法律はこうでございますからという形で今までの対応はやってきたと、こういう感じを私は持っています。  防衛庁長官、何か御意見がございますなら、どうぞ。
  226. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、じゃ一くくりにして国際貢献基本法とか、国際責務履行基本法とか、そういう法律を作れば、あるいはそういうことは可能なのかもしれません。ただ、そういう法律はございませんので、それぞれの立法で今対応をいたしております。  ただ、そこにおいてはっきりしておりますのは、我が国は海外において武力の行使というものは一般的に行わないのだということ、そして国際的な平和を確立するために、そしてそれを維持するために、武力の行使ということは行わないけれども自衛隊としてできる限りのことはするのだということで、それはすべて一貫をしておるはずでございます。
  227. 平野達男

    ○平野達男君 それじゃ、例えばテロ特措法が制定されました。このときの議論を今してもしようがないかもしれませんが、これはもう御承知のように、アメリカ自衛権の発動をしたということで、国連は武力行使非難決議は出したけれども武力行使容認決議は出していない。その中で、テロ特措法を作って、輸送はやりましょうということで決めました。  じゃ、あれを踏まえたら、あのアメリカでもう一度同じような事件、どこかの別な組織がアメリカにテロ攻撃を仕掛けたという事態が生じたときに、アメリカがそれに対してまた自衛権の発動をして軍隊を出させたと。じゃ、日本はそれに対して自衛隊を派遣するんだろうかという、そういう問題が突き付けられたとして、このときに、テロ特措法というのは一つの事例を作ったというふうに、これは防衛庁長官、判断されますか、先例となるかどうかという話です。
  228. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 御案内のように、テロ特措法は国連決議に基づくと、こういうことになっております。仮にアメリカがどこからか攻撃を受けたとする、同じようなことが起こったとする、その場合に国連決議があるのかないのか、そういうことにはなりましょうよ。しかしながら、それは我が国集団的自衛権行使してということではなくて、我が国が国際的な責務を果たすために、我が国として主体的に行ったものでございます。先例となるかならないかということは、それはそのときになってみなければ分かりません。  私どもが国際的な責務を果たすときにどういうことが必要か、そういうときにどういうような状況が起こっておるか、そのときそのときで判断をするもので、先例という言葉はなかなか該当しないのではないかと思います。そういうような先例があるべきだとも思いません。
  229. 平野達男

    ○平野達男君 分かりました。  私は、その場その場その場で判断をするということに随分引っ掛かりを覚えます。いずれその場で判断することあるんです。あるんですが、それが一気に憲法範囲内という言葉じゃなくて、その一歩手前で、自衛隊範囲、行動範囲というのはこういう考え方で決めますよ、ここまで限定するんですよというような基本法みたいな制定というのは、やはりこれは制定必要じゃないかというふうに私は思っているものであります。  それで、ちょっと自衛権の、今度は自衛隊の、自衛権の発動としての武力の行使という話にちょっと入っていきますが、これは自衛隊法の中で、まず七十六条で防衛出動というのが命令されます。しかし、防衛出動即武力の行使じゃないよというふうに、これはもう石破長官が何回も説明されています。  じゃ、武力行使は何でやるんだろうかということになりますと、これは三原則ということで、急迫不正、それから他に手段がない、それから何でしたっけ、必要最小限度ですか、という、そういった考え方でやりますよということで言っているんですが、じゃ、しからばだれがこの武力行使をすることを決断するのかというのは、これは自衛隊法の中ではどこで規定されているんでしょうか。これ八十八条の中に第一項で、防衛出動を出された場合、自衛隊は武力を行使ができると書いています。これはもう当たり前の規定なんです。だけれども、だれがどういう判断で、どういう判断というのは、恐らくこれはもうすぐ三原則という話に戻ってくるんでしょうが、だれがそれを判断するのかということがこれはちょっと不明確じゃないかと思うんですが、これは石破長官防衛庁長官はこれどのように思っておられますか。
  230. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは武力攻撃、防衛出動を出すかどうか、下令するかどうかということも含めまして、事態対処基本方針の中で決められるということになるわけでございます。  ですから、そういうようないろんな事態を踏まえまして、防衛出動を出すか出さないか、それも含めまして事態対処の方針を定めるわけでございまして、それは内閣において決するということになるものでございます。
  231. 平野達男

    ○平野達男君 いや、そうしますと、内閣が決めるということですか、今のお答えは。  今、私の質問は、防衛出動を受けましたと、自衛隊が現地に行きますね。どこで武力行使を始めるか、その決断はだれがやるんですかというのをお聞きしているんです。それが今、自衛隊法の中でどういう、どこに規定されているんですかというのをお聞きしているんです。
  232. 石破茂

    国務大臣石破茂君) まず、委員御指摘のように、防衛出動下令ということが、すなわち武力を行使してよいということには相なりません。防衛出動下令をいたしまして、そしてその場で、それぞれの陸海空どこだか分かりませんが、そこで自衛権行使の三要件が充足をされた場合に武力の行使ができるということになるわけでございます。
  233. 平野達男

    ○平野達男君 ですから、だれが判断するんですかとお聞きしているんです。  待ってください、それ答えられないですか、防衛庁長官。それ、問題じゃないですか、そんなの。防衛出動とやって、だれが武力行使するかという決断ができないなんて、すぐできないなんて問題ですよ、それ。
  234. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、結局のところだれの判断なのか、まさか一人一人の隊員の判断ということはあり得ないわけでございます。それをどういう形でだれがやるかということですが、まず、いいですか、防衛出動を下令をする、そしてそれが可能になる。そこで、どういう形で相手方からの三要件を満たしたようなことが起こるかということで、どのレベルでそれを決めるのかというのは、それがまさしくルール・オブ・エンゲージメントの世界になるわけでございます。そこは、だれがどのように決めるかということが答えられないとは何事だというおしかりでございますが、それはまさしくルール・オブ・エンゲージメントをどのように定めていくか、それが文民統制の中におけるルール・オブ・エンゲージメントの意味なのでございます。
  235. 平野達男

    ○平野達男君 全く分かりません、そんな答弁じゃ。  武力を、自衛隊が防衛出動を命令されて現地へ行って、どうやって判断するんですか。そんなルール・オブ・エンゲージメントとか、そんな話で自衛隊が動けるわけないじゃないですか。だから、それはそういった状況の中で、それはケース・バイ・ケースはあるでしょう。だれがどういう形で判断しているか、そのルールみたいなものはあるんですか。それは、その根拠は自衛隊法のどこにあるんですかというのをお聞きしているんですよ。肝心な部分じゃないですか、これは。
  236. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いや、私は、ルール・オブ・エンゲージメントがそんなにいい加減なものだとは思っておりません。それは、それをきちんと定めませんと、まさしく委員がおっしゃるように、だれの責任で何が決まるんだということがはっきりいたしません。  つまり、その場合に何が起こっているか、基本的には防衛庁長官がということになりますですよ。防衛庁長官がということになりますが、じゃ九州で、じゃ北海道で、じゃ青森で何が起こっているのかということを、すべてすべて上げてきて、じゃよしと、武力の行使をしてよろしいということになるのか、それともルール・オブ・エンゲージメントというものを定めて、どの者がどの範囲においてそれを判断するか、それがルール・オブ・エンゲージメントのお話になるわけでございます。
  237. 平野達男

    ○平野達男君 それじゃ、そのルール・オブ・エンゲージメントというのは決まっているということですか。
  238. 石破茂

    国務大臣石破茂君) よろしいですか。防衛出動を命じられた自衛隊は、三要件に該当する場合に限り八十八条、それは委員よろしいかと思います。  そこで、これらの三要件は、第三の要件であるところのこの必要最小限の実力行使にとどまるべきことということになっておりまして、じゃ自衛権を発動した後どのようにするんだということもこれは含んでおることに相なるわけでございます。ですから、最初に要件が満たされていればそれでもう十分だと、あとは何をやってもよろしいということには、これはなりません。これは、日本の場合には相手をせん滅するまでということではなくて、必要最小限になるということでございます。  ですから、その三要件に該当するかどうか、その場合に何ができるかということは、その場その場の判断ということになりまして、一々それを全部一番上部の意思決定機関まで上げてくるということにはならない。それぞれの場面においてだれがどこまでやってよいか、どういう状況に応じてどこまでやってよいかということをきちんと定めるルール・オブ・エンゲージメントというものを今、策定をいたしておるところでございます。それは、ROEそのものを定める必要もない、そういう御議論もございました。しかしながら、このROEというものを定めませんと、まさしく委員がおっしゃるように、どこでだれが何をやるのかさっぱり分からないということになります。そういうことをそれぞれの場においてきちんと定めるという作業をやっておるところでございます。
  239. 平野達男

    ○平野達男君 これは、私、今初めて聞いて、本当かなという感じがちょっとしました。つまり、そういうことが今検討中という話ですね。防衛出動を命ずるというのは、これはルールとしてできているわけです。これは、総理大臣がそれは出します、出したとして、そして自衛隊が現地に行く。自衛隊は現地の状況を一番分かるわけです、場合によっては。敵がどういう、すぐそばに来ているかもしれない、そういうときに、武力攻撃に、向こうは武力行使に着手した段階ですから、着手した段階で、敵弾、被弾したということではなくて、着手した段階で向こうは武力行使したとみなすという言葉ありましたよね。それを一体だれが判断するのか。そして、その判断できる権限というのはだれが持っているのか。今のお話でしたら、とらえようによったら派遣された自衛隊がみんな判断できますよとも取れる。それでいいんですか。そういう話に多分なっていないと思うんですよね。  それからもう一つは、これからあと、次の問題として、次の問題行きません、まず、じゃその答え、ちょっとお答えください。
  240. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、委員、ROEという言葉自体は御存じでいらっしゃいますか。概念そのものは御存じですか。概念そのものを御存じですか。
  241. 平野達男

    ○平野達男君 概念そのものは聞いていない。
  242. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いや、ですから、私どもがずっと議論をしておりますのは、このROEというものをきちんと定めなければそういうことが起こるではないかと。そういうものを諸外国の軍隊というのは全部定めておって、いつ、だれが、どういう状況になったらば、だれがどの責任において何をやるかということをきちんと定めているわけです。最高司令官から始まりまして、今年入った兵隊さんに至るまで、それぞれのROEというものを定めておかないと、勝手にばらばらみんなが勝手なことをやってしまったらば、それは軍として成り立たない。だから、ROEというものを定めることが何よりも大切なことだということを少なくとも与党では議論をいたしてまいりました。そのことが、ROEをきちんと定める、そのことも併せてこの私たちの自衛隊というものを文民統制をする上において大事なことなのでございます。ROEをきちんと定めなければいけないということは安全保障においては当然常識として議論されておることでございます。
  243. 平野達男

    ○平野達男君 その常識をやってこなかったということですね、それじゃ、そうしたら。今のお話では。(「憲法上作れないことになっているんだよ」と呼ぶ者あり)それは、作れない理由というのは何でなんですか。やってこなかった理由というのは、逆に。
  244. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そのルール・オブ・エンゲージメントって何だという議論そのものがなかったことが大変な問題なんだろうと思っています、実は私どもは。そういうことをそれぞれの場において、例えばPKOにおいて、例えばテロ特措法において、いろいろなその都度その都度ROEというのは定めてまいります。そうでなければ、だれが何やっていいかさっぱり分かりませんから。しかし、それを全体的にROEという形で作っていく、それは実は物すごく膨大な作業なのでございます。なぜやってこなかったかと言われれば、それは怠慢だとおしかりをいただけば、先ほどの舛添委員お話ではございませんが、それはそうだということになりましょう。しかし、ROEそのものを作ることは憲法違反だと、そういう議論すらあったわけです。そういうROEそのものを育てることを、作ること自体やってはいかぬというような御議論もございました。それを克服をしてROEそのものを作るということは今コンセンサスとなり、今努力をしておるところでございます。
  245. 平野達男

    ○平野達男君 私は、憲法違反かどうかとか、そんな議論するつもりありません。防衛出動された自衛隊がどういうふうに行動するか。ROEとかなんとか、私は防衛問題については詳しくありませんが、私が自衛隊員になってその現地へ行って、どういうふうなときに応戦すればいいか、そのルールがもし決まっていなかったとすれば、怖くて防衛出動なんか出せないじゃないですか。じゃ、何でこんな法律出すんですか、こんな訳の分からぬ法律、このROEの中で。それが最大の問題だったら、このプログラムの中にそれを規定しないと駄目じゃないですか、これは。  そういう問題を隠しておいて、隠しておいて、隠しているとは言いません、隠しているとは言いません。だけれども、今、石破長官も、そういう問題がやると言っているわけですね。この法律の中でこれ出しておいて、じゃ、それはいつまでにやるんですか、そうしたら、それは。
  246. 石破茂

    国務大臣石破茂君) こういう問題があるということは、少なくとも随分と安全保障委員会では議論をされておることでございます。参議院におきまして、外交防衛委員会におきましても、ROEの必要性というのは随分と議論をされておるというふうに私は承知をいたしております。隠しておるものでも何もなく、国会においてそういうものを定めることは大事だという御議論も賜っておるところでございます。  したがって、こんなでたらめなということを自由党の方から言われますと、大変、どういうことかなというふうにも思いますが、私ども、でたらめな法律を出しておるわけではございません。これは、どういう場合に武力攻撃予測事態となり、武力攻撃事態となり、政府全体として国民の避難も併せてどういうような対処方針を作るかということを作った法律でございます。  当然のことでございますが、ROEそのものは法律ではございません。これは行動基準というべきものでありまして、法律という形で国会の御審議をいただくものではございません。なぜならば、この場合にだれがどのような判断をしてどのように行動するかということは明らかにすべきものではないからであります。そういうことを全部オープンにしておるような国は世界じゅうどこにもございません。こういう場合にだれがどのようにやるかということは、もちろん一部オープンになっているものもございますよ、しかし、それはほとんどの場合において伏されておる。それは軍事合理性からいって当然のことなのでございます。
  247. 平野達男

    ○平野達男君 じゃ、それは内部的には持っているというふうに、じゃ理解しておきましょう。そうでないと防衛出動された自衛隊というのがもう行動できませんから。  それから、私は、こんなむちゃくちゃなと言ったのは、それは取り消させてもらいます、それは。ただ、言った意味は、防衛出動された自衛隊が行動できない、これは有事法律ですから、これは即応するような態勢になっていなくちゃ、ための法律ですよね、即応するための。その中で、防衛出動された自衛隊がどういう形で応戦するんだということのプロセスがはっきりしていなければおかしいということを言いたかっただけです。
  248. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 守屋防衛局長、補足をひとつ。
  249. 平野達男

    ○平野達男君 はい、どうぞ。
  250. 守屋武昌

    政府参考人(守屋武昌君) 今、先生御指摘のは、現場で実際に戦闘行為を行う自衛官が……(発言する者あり)
  251. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 静かに。
  252. 守屋武昌

    政府参考人(守屋武昌君) 国民の権利が不当に侵害されることのないよう、あるいは武力行使に当たってためらうことというか、その基準がないと大変不安じゃないかという御指摘でございまして、武力の行使というものについてどうなっているかという御質問で、基準についてどうなっているかという御質問であると理解しておりますけれども自衛隊の行うその武力の行使は、自衛権発動の三要件と自衛隊法の八十八条という法的制約の下に行われるものでございまして、指揮命令系統に従って個々の戦闘行為が行われることにより適切になされるものと考えております。  自衛隊法八十八条に定める武力の行使については、これは、事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えてはならない、それから国際法規を遵守しなければならないと、こういうことが決められているわけでございますが、これは、自衛隊を、こういう二つの原則につきましては、教育を通じて国際法を習得させ、必要な訓練を通じて技能の向上を図るとともに、先ほど大臣から申し上げましたように、部隊行動基準を定めることによりまして武力の行使が適切に行われるよう努めているところでございます。
  253. 平野達男

    ○平野達男君 次の質問に移ります。  三原則の中に、自衛隊自衛権の発動としての武力の行使、三原則、先ほど来言っています。我が国に対する急迫不正の侵害があること、これを排除するために他の適当な手段がないこと、必要最小限度の実力行使にとどめるべきことというふうに三つ並べてありますけれども、これをやや分析的に見ますと、一番目と二番目は、いわゆる発動していいかどうかという基準、三番目は、必要最小限度ですから、発動するに当たってのその限度のということで、この三つが並べてあるように思います。  そこで、まず第一点目ですけれども、急迫不正というのは、これは具体的にどういう意味を指しているんでしょうか。
  254. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはまさしく読んで字のごとしであって、急迫不正です。
  255. 平野達男

    ○平野達男君 大分、石破長官もかっかきたみたいですから、この質問はこれでいいです。  それじゃ、必要最小限度のこの範囲、この考え方ですが、これは、前から言いましているように、何回も議論になっていますが、まず、これは私どもは、我が国は、先制攻撃というのはこれはないんだと、ないんだけれども、一度向こうが武力攻撃を仕掛けてきた、その事実があって、その後、それが誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのは憲法趣旨ではないということで、これは憲法上認められている、つまり、敵地をたたく能力も場合によったら持てますよというふうに、これはもう石破長官が何回も言っているとおりですね。憲法上これは違反ではないというふうに言っておるんですが、これはこういう理解でよろしいんですね。
  256. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 持てるということと持つということは別の判断でございます。それは、法理上可能であれば憲法上持つことも可能でございましょう。  私どもは、現在それを持つという意思がないということでございます。
  257. 平野達男

    ○平野達男君 憲法上は持つ、持てる可能性があると。完全に、今、出す、持っているというふうな断言は多分されなかったと思うんですが、まず、持てる可能性があるというふうに発言したというふうに取りましょう。  しからば、その持てる可能性があるものを、今この国は専守防衛ということで、例えば敵地をたたく、これは何というんですか、空対地能力というんですか、よく分かりませんが、自衛隊が行って、向こうにミサイルを発射して、向こうの陣地をたたく、こういうやつの能力を何と言うのか分かりませんが、こういった武器はたしか今の我が国では保有していないというふうに聞きました。  保有していない理由というのは、これは、経済的な問題なのか、そこまで武力をしておったらこれは大変だという話なのか、それとも他国に対する配慮なのか、それから日米同盟、日米安全保障条約があって、それにゆだねるから大丈夫という判断なのか、これはどういう考え方で今立っておるんでしょうか。
  258. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、自衛権発動三要件のうちの、ほかの手段が認められない、私どもは日米安全保障条約によってほかの手段というものを持っておるわけでございます。したがいまして、現在のところ、それを持つという必要性がないということかと存じます。
  259. 平野達男

    ○平野達男君 今のお答えは、日米安保条約があるから持つ必要がないというふうなお答えだというふうに取っていいんですか。
  260. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、ほかの手段があるということでございまして、現在の場合は日米安全保障条約のほかにこれはございません。  経済的な理由なのかと言われますと、これは高くて高くてというようなことかと言えば、そういうわけでもございませんが、以前、外交防衛委員会でもお答えをいたしましたが、仮にそういうような能力を持つといたしますと、今の私どもの装備体系というものを根本から見直すことになります。バスやトラックを買ってくるわけじゃありませんので、注文してすぐ届くというものでもございません。これは大変なお金も掛かりますし、大変にほかのものにも影響を及ぼします。  しかし、それが第一の理由だというわけではございませんで、理由は、日米安全保障条約、つまりほかに手段があることというのを私どもは今充足しておるからということになろうかと存じます。
  261. 平野達男

    ○平野達男君 分かりました。  そうしますと、この間、ブッシュ大統領、ブッシュ・ドクトリンということで、先制攻撃ということをアメリカが出しました。この先制攻撃というのは、よく考えると二つあるのかなと。  一つは、とにかく向こうが攻撃してこないのにこっちから攻撃すると。それから、もう一つの概念というか見方とすれば、向こうに行って、相手陣地に行ってそれを攻撃するという、この二つの概念があるかと思います。  一つ目の、向こうが攻撃しないのにこっちから攻撃するというのは、これは日本国憲法で禁止しているし、日本はやらないとこれは言っているんですが、私がちょっと今懸念してるのは、相手陣地に行って相手の陣地を要するにたたくということが概念としてちょっと広がってきつつあるのではないかという、若干、ちょっと抽象的な言い方になるかもしれませんが。  この今回の先制攻撃ということが出てきたことによって、日本の防衛の考え方、特に敵地をたたくということの今までの考え方について、これを否定、日米安保に、日米安保条約があるというお話だったんですが、これに対しての影響というのは、これは、防衛庁長官、ありませんか。
  262. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、私は何らないのだと思っております。  私どもは、先制攻撃というものはしないということは再三申し上げておるとおりでございまして、これは武力攻撃の着手、つまり我が国に対する急迫不正の侵害があったというふうに評価をされなければ自衛権行使としての武力行使はできません。したがいまして、先制攻撃という言葉我が国の現在の概念の中には全くないものでございます。
  263. 平野達男

    ○平野達男君 それでは、研究をされているというふうなこと、いわゆる敵地攻撃のことを研究されているというような発言が前にあったような気がするんですが、それは今されているということですか。
  264. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、例えて言えば、いろんな御議論が世の中にはあります。例えば御党の今回の安全保障基本法によれば、自衛権行使としての、「自衛権の発動としての武力の行使は、我が国に対して直接の武力攻撃があった場合及び我が国周辺の地域においてそのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれがある事態が生じた場合」と、こういうふうに書いてあります。  ですから、例えば御党の基本方針によれば、それは我が国に対して武力攻撃があった場合だけではなくて、おそれがある場合も武力の行使ができるのだというのが御党のお立場でございましょう。それは先制攻撃ということになるのかならないのか、私よく理解ができませんが、そういうような概念もあるわけです。  いろんなお考えがありますが、私どもとしては、政府としては、自由党のような立場は取っていないということでございます。  しかしながら、じゃ、法理論上そういうことがあり得る、法理上はあり得るとしたときに、では持つべきだという議論があったときに、先ほど申し上げましたように、それじゃ、もうすぐお金を出せばそんなものが入るのか、そんなことはございません。これは大変な時間が掛かります。大変な訓練が要ります。そして大変な労力というものが要るわけであって、そういう場合にどうなのだと。  私どもが取っておる政策というものがいかに正しいのかということは、逆に申し上げれば、いかに国民の平和と安全、国家の独立というものを守るのに正しいのかということの検証は必要だということでございます。その検証なしに盲目的にこのままでいいのだということではなりません。  私どもは、政策を変えるとかそういうようなことを申し上げているわけではなくて、常にこれで国の独立と安全、国民の幸せ、これが保たれるんだという検証は行っていく責任があるということを申し上げておるわけでございます。
  265. 平野達男

    ○平野達男君 私は、いずれ日本の防衛というのは、やっぱり日米安保、これは絶対放せないと。それを前提にして、専守防衛ということで、来たらたたきますよということで、それにやっぱり専念すべきだという意味においては石破長官と全く同じだと思います。  それで、じゃ、今日、石破長官はいろんな答弁されていましたけれども、その答弁の中で、いわゆる非対称的双務条約ということを言われましたけれども、この概念も私は非常に賛成です。  そして、日米安保条約があって日本は何もしていないんじゃないかというふうに言われますけれども、本当にしているんです。最大にしているのは、やっぱり防衛庁長官が言われたように基地の提供です。あれだけ沖縄県民あるいはほかの基地のあるところに迷惑を掛けていて、それで基地の提供をしているというのは、これは最大の貢献でありますから、日米安保条約のことを考えるときには、堂々と胸張って、日本は基地提供していますよ、日本は何かあったら防衛をしてください、その代わり日本は専守防衛ということでハリネズミのように、来た場合についてはたたきますよ、応戦しますよというような原則をやっぱりきっちり立てるべきだというふうに思いますし、これはもう絶対踏み外してはいけないというふうに思います。その部分についてはおっしゃるとおりだと思うんです。  ただ、今日お話ししたのは、先ほどの先制攻撃の中でちょっと御質問したのは、どうも、たたく、相手陣営をたたくということで何か一歩前に出掛かっているんじゃないかというような雰囲気が個人的にしたものですから、先ほどのような説明をさせていただきました。  今日はもう時間になりましたので、今日はここで終わりますけれども、時間ありましたら、今度は次回、集団的自衛権その他、法律の中身について御質問をしたいと思います。  終わります。
  266. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時二十九分散会