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中村敦夫君 そもそも、米飯給食の拡大をめぐる議論というのには二つの大きな落とし穴があるんですよね。
一つは、総論賛成とスローガンで終わってしまっていると。具体的な
政策や各論にまで議論が及ばないということがあります。なぜならば、米飯給食を増やすということは当然パン給食を減らすことを意味するわけですよね。そうすればパン製造業界に大きな
影響を及ぼすことになるわけですよ。それから、御飯食と牛乳をセットにすると。これはもう本当にいびつな脈絡の食事だと
思いますが、それをやらざるを得なくなる。しかし、米飯給食を増やしていくと、やっぱり牛乳は合わないということで消費は落ちていくわけですね。そうすると、牛乳業界というのは最大の消費先を失ってしまうという産業界の問題というのが
一つあるわけですよ。つまり、米飯給食の拡大というのは、要するに様々な利害関係に
影響を及ぼしてなかなか進まないというのが、これは
一つの
状況があるわけです。だから、これをどう解決するのかということがないと無理だと思うんですね、これ以上は。
それから、もう
一つの落とし穴というのは、米の消費拡大、とにかく消費させてしまうという
観点だけから米飯給食の拡大が言われ続けてきた面があるわけですね。七六年の米飯給食の導入も、要するに余った米を学校給食に押し付けたというところが実の事情なんですね。だから、何か消費、処理というところが強いんです。
しかし、最も大事な点というのは、米飯給食を通じて子供に健康的な食習慣というものを身に付けてもらうということなんです。
アメリカなんかででも、昔はそんなにみんな太っていなかったのにどんどんどんどん太り出したんですよ。そして、ある時期、大変な、もうアメリカ人の健康がおかしいということで、大統領候補になったマクバガンさんという人がいて、議員だったんですけれども、マクバガン
委員会というのがそれを徹底的になぜだということを追求していった。そして最終的に、アメリカ人の健康という膨大な報告書を作ったわけですけれども、この中で、結局アメリカ人の食生活は駄目だと、それで何が理想的かというと、
日本食が理想的なんだということをここで報告して、それから
日本食ブームがアメリカでばあっと広がっていったということがありますよね。
現代人の健康で最も大きな問題というのは、油っこい食事が多いために、がん、肥満、糖尿病、高血圧、生活習慣病、こうしたものが蔓延しているというのが
現状ですよね。
これ、
食糧庁、いいものを作っていますね。配付したこの
食糧庁の資料、「からだと健康ゼミナール」というところの
最後のページでも、非常に科学的に分析して、どれほど
日本食の方が健康的にいいかということを
食糧庁自身ここでちゃんと書いてあるわけですよ。なぜそれを子供にちゃんとやっていかないのかと。要するに、味覚が形成される大事な時期ですね、少年時代。そこにおいて御飯とみそ汁を中心にした食生活というその習慣を身に付けてもらわないと、それが大人になっていくわけですから、大変な要するに習慣的な食生活の
状況というのが生まれてきてしまうわけですね。
そうなりますと、私はやっぱり、今家庭でもなかなか和食作らないと。つまり、もう洋食で育っちゃったようなお母さん、お父さん
たちがいて家庭でも和食食えない。もし食べる機会があるとすると学校給食だけなんですよ。そういうような
状況まで追い込まれてきたので、これは
政策としては週五日間の完全米飯給食というのが望ましいというふうに私は考えるんですね。まずそこをやらないと駄目なんだと。
ここにお配りした実際の学校給食の献立表というのがあるんですね。これ、意地悪しているわけではないですけれども、
亀井大臣のおひざ元である神奈川県伊勢原市の小学校のものなんですよ。ただ、本当に実感していただきたいので、ここのところをちょっともらってみたんですけれども、これはすごいですよ。
これ見てください。六月九日の献立というのをちなみに見ていただきたい。ロールパン、タンメン、ウインナーのパセリ風味揚げ、牛乳。十九日はロールパン、きつねうどん、春巻、果物、牛乳。御飯にみそ汁という普通の和食の組合せというのは二十七日の分しかないんです、これね。しかし、これは野菜が出ていなくて、野菜ジュースが御飯とみそ汁に付いているという。これ何ですか。これ、洋食でもないですよ。和食でもない。雑食ですよ、これ。えさです。こうやって脈絡のないものを子供に食わせていってどんな食育ができるのか、どんな大人になってしまうのかということを具体的にこれ見ると分かるんですね。
要するに、成長期の六年間というのを、教育の名の下に、今こうした無国籍な雑食給食を食べさせられ、そうした子供
たちが
日本の風土に合った和食中心の食生活なんかに慣れるわけないわけですよね。むしろ、この今やっている学校給食というのは米離れ養成所なんです。あるいはファストフード予備校、あるいは輸入食品普及所。全く米の消費拡大とかなんとかという大きな
目的と逆行したことが実態的に行われているというのが
現状です。
現在、
全国平均で二・八回の米飯給食実施率があると言っていますけれども、これはあくまで平均でしょう。それで、五日間完全に食べているところは九百の小中学校がありますよ。だけれども、ほとんどはもう、逆に言えば週二回程度あるいはそれ以下というようなところがあるわけですね。
どうですか
大臣、地元の神奈川県で週当たりの米飯給食の実施回数というのは大体どのぐらいか御存じですか。まあ急に聞いても分からないかな。