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2003-06-12 第156回国会 参議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年六月十二日(木曜日)    午前九時三十分開会     ─────────────    委員異動  六月十一日     辞任         補欠選任      池田 幹幸君     市田 忠義君  六月十二日     辞任         補欠選任      市田 忠義君     宮本 岳志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         三浦 一水君     理 事                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 岩永 浩美君                 太田 豊秋君                 加治屋義人君                 小斉平敏文君                 松山 政司君                 郡司  彰君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 本田 良一君                 日笠 勝之君                 渡辺 孝男君                 宮本 岳志君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  太田 豊秋君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       渡辺 孝男君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        農林水産省総合        食料局長     西藤 久三君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        食糧庁長官    石原  葵君    参考人        東京大学大学院        農学生命科学研        究科教授     生源寺眞一君        那須野農業協同        組合理事     高根沢市夫君        東京農工大学大        学院農学研究科        助教授      矢口 芳生君        農民運動全国連        合会会長    白石 淳一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○主要食糧需給及び価格の安定に関する法律等  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十一日、池田幹幸君が委員辞任され、その補欠として市田忠義君が選任されました。  また、本日、市田忠義君が委員辞任され、その補欠として宮本岳志君が選任されました。     ─────────────
  3. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 主要食糧需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  本日は、参考人として東京大学大学院農学生命科学研究科教授生源寺眞一君、那須野農業協同組合理事高根沢市夫君、東京農工大学大学院農学研究科助教授矢口芳生君、農民運動全国連合会会長白石淳一君に御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございました。──失礼しました。ちょっともう一言、もう一言しゃべらせていただきます。  今日議題となっております法律案につきましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をいただくことになっております。どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方について御説明をいたします。  まず、生源寺参考人高根沢参考人矢口参考人白石参考人の順でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、生源寺参考人からお願いいたします。生源寺参考人
  4. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 着席のままで失礼いたします。生源寺でございます。  こういう形で意見を述べさせていただく機会をいただきまして、大変ありがとうございます。  私は、食糧法改正案と、これと併せて提起されております米政策改革の全体像につきまして、生産調整に関する研究会座長を務めた者として、現時点で基本的に妥当な方向であるという、こういう見地から所見を述べさせていただきたいと、こう思います。  改革中身に入る前に、一年余り研究会での検討を通じまして、私ども研究会として心掛けてまいりました幾つかの点に触れさせていただきたいと思います。  一つは、米政策をめぐる様々な課題について、問題の根本に立ち返って検討を行うとともに、視野を生産調整に狭く限定することなく、米政策全体の、あるいは水田農業政策全体のオーバーホールを心掛けたことがございます。その結果、従来の施策問題点についてもかなり率直な指摘を行い、転換すべきその方向を指し示すことができたのではないかと考えております。  もう一つは、研究会をすべて公開とし、ガラス張り運営を心掛けた点でございます。  研究会は、政策改革方向性を提案する言わば地ならしの役割を負っていたと、こう考えているわけでございますが、この段階についても透明度の高い議論の場を確保することが非常に大切であると、こう考えていたわけでございます。  最近、食の安全をめぐってトレーサビリティーシステム導入が注目されておりますけれども、私は、政策形成プロセスに関しても事後的な検証が可能であるという意味トレーサビリティーシステムを確保することが非常に大事だと、こう考えております。この点で、ガラス張り運営とその正確な記録という点が決定的に重要だろうと、こう考えているわけでございます。  また、これは九回と記憶しておりますけれども現地検討会などの機会を通じまして、水田農業の現場の声はもちろんでございますけれども流通加工消費あるいは地方行政の各方面から幅広く意見をお聴きするように努めたつもりでございます。  もとより、研究会メンバー自体農業界あるいは地方公共団体流通経済界消費者、こういった多様な委員から構成されているわけでございまして、私どもは、水田農業の実態を踏まえながらも国民的な視点に立った検討を心掛けてまいったつもりでございます。  改革中身でございますけれどもポイント幾つか絞ってお話しさせていただきたいと思います。  最初に、需給調整仕組みについてでございますけれども平成二十年度までに農業者農業者団体主役となるシステムを構築する、こういう方向が打ち出されているわけでございます。主役交代の時期が明示されたわけであります。ここは研究会の中でも大きな争点になったわけでございます。最後最後まで言わば決着が延びたといいますか、わけでございますが。  ただ、私の見るところ、この主役交代もさることながら、生産調整方式そのもの転換、この方がより本質的な問題ではないかと、こう思っているわけでございます。その意味では、主役交代は二十年度を想定しているわけでございますけれども、むしろ平成十六年度、来年度に行われる制度転換、これが今始まろうとしております米政策改革の成否のかぎを握るのではないかと、こう考えております。  制度転換ということでございますけれども、少なくとも次の二つの点が変わるわけでございます。そういう方向が提起されているわけであります。  一つは、強制感の伴う方式からメリット措置の全面的な組替えと、それから地域ごと需給状況を正確にお伝えするということを前提として、納得の下で生産調整に参加していただく仕組みを提起しているわけでございます。また、提起されているわけでございます。加えまして、後に触れますけれども、いわゆる産地づくり対策にも関連いたしますけれどもメリット措置そのものの組立て、これも地域で考えていただくと、こういう形を提起しているわけでございます。  もう一つ、二番目の制度転換ポイントでございますけれども、これは私なりの表現を使わせていただきますと、米の生産目標数量について事後決定的な配分原理導入しようとしているわけでございます。  つまり、売れた実績に応じてその次の生産目標数量、その地域地域生産目標数量配分される、こうなりますと配分という言葉自体が適切かどうかということも多少議論があろうかと思いますが、いずれにせよ、この下で、品質価格条件あるいは取引先との結び付き、こういった米作り総合力の違いが地域目標数量となって反映されていくわけでございます。このプロセスが毎年繰り返されることで、稲作の立地につきましてもいわゆる適地適作方向に少しずつ変化が生じるということを考えているわけでございます。  上意下達の、これまでの方式上意下達と言っていいかと思います、そういった減反配分ではなく、言わば売れる米づくりとマーケティング、この成果が目標数量の設定につながっていくというわけでございますので、ここは農業者あるいは農業者団体主役となり、行政は言わば脇役に回ることがむしろ自然であろうと考えているわけであります。  減反生産調整につきましては、生産者農業者皆さんの中にも、もう即座に廃止すべきである、こういう意見もございます。減反三十数年がもたらしたいろいろな深刻な弊害を考えますと、こういった気持ちはよく分かるわけでございます。  ただ、今回、研究会として提起をし、今回の法改正中心とする制度改革の枠組みとして提起されている、これはハードランディングを避けながら、しかし生産調整の副作用を思い切って除去する、こういう方向であろうと考えているわけであります。新しい方式の下では、農業者間の不公平感、あるいは、私は不幸と表現していいと思っておりますけれども、不幸なあつれきの根本を取り除く、また、これも言葉はちょっと悪いかもしれませんけれども減反という後ろ向きの仕事に言わば翻弄されてきた市町村あるいは農協の職員の方の負担を軽減し、これまでのエネルギー、そこに注がれてきたエネルギーをむしろ前向きの地域農業づくり仕事に注いでいただく、こういう基盤づくりを目指しているわけでございます。  また、地域水田農業の振興をバックアップするという観点から産地づくり対策という名称で新しい助成仕組みが提起されております。これは、地域創意工夫を重視し、支給対象あるいは支給の方法、これを基本的には地域判断にゆだねようということでございます。これまでの転作助成金が言わば全国一律、南北に長いこの国でありながら全国一律であったことに対する反省が新しい仕組みの提案につながっているわけであります。  これまでの転作助成の反省すべき点には、事実上面積で単価が固定されてきたといったような点もあろうかと思います。現在、品質の差が的確に価格に反映されるような、こういう仕組み政策転換の流れとして進んでいるわけでございますけれども、言わばそれに逆行するような、品質にもあるいは収量にも無関係に面積当たり幾らで払うという、こういう仕組みがあったわけでございますけれども、これもやはり転換していく必要があるだろうということでございます。こういったことも含めて地域創意を引き出すようなことを考えているわけでございます。  もう一つ改革の大きな柱は流通制度改革でございますけれども、ここはごく簡単に触れるにとどめたいと思います。基本的には計画流通米といわゆる計画外流通米の区別を廃止し、同じ制度的な条件の下で特色のある流通が切磋琢磨する、こういう環境が整えられるわけでございますし、また緊急時への備え、これまでのところこれは計画流通米のみが対象になっていたところ、これが非常に非現実的な状況になっているわけでございますけれども、これを米全体をカバーする形に再編するといった点、いずれにつきましても無理のない改革方向だろうと考えております。  改革には大変なエネルギーが必要だと思います。これ、座長として務めさせていただいた研究会の一年余りの経過を振り返っての実感でございます。ただ、今のところ、過去三十年の負の遺産を清算するための改革という色彩もやはり強いと言わざるを得ない面がございます。水田農業本当意味で活性化し、ということは、若い人を引き付けることのできるような水田農業に生まれ変わっていくとすれば、過去の負の遺産の清算という、こういう場所にとどまっていることは私はできないだろうと、こう思うわけでございます。  更に進むとして何が考えられるかということについて、最後に申し上げまして、私の冒頭の意見陳述に代えたいと思います。  一つは、水田農業を、水田をマクロ的に考えた場合に、米の消費、需要の減少というのは、残念ながらなかなか押しとどめることができない状況にあるわけでございますが、そうなりますと、ほかの品目ということになるわけです。そのときに、やはり面積として大きな地域をカバーできるとすれば、これはえさをやはり重要視する必要があるだろうと、こう思うわけでございます。  ただ、これは、畜産そのもの、日本の畜産そのものの在り方ともかかわって、残念ながら、今のところ十分に議論は尽くされていないように思うわけでございます。自給飼料生産の定着ということは、環境保全型の農業という観点からも極めて重要でございますけれども、今回の研究会では、言わば取っ掛かりのところまでは行き着いたような気がいたしますけれども、本格的な検討にはまだ至っていないと言わざるを得ないわけでございます。  それからもう一点、これは、米政策の抜本的な改革に今正に着手せんとしているわけでございますけれども、ここに至って私は、経営単位所得安定対策導入を真剣に考えるべきときが到来したと、こう判断をしております。  今回の改革のプログラムの中には、米の収入に限定された経営安定対策は盛り込まれているわけでございます。この点、曲がりなりにも、曲がりなりにも、経営安定対策、特に農業への所得依存度の高い方に言わば集中する形で支援する、こういうメッセージが発せられた点、ここは私、高く評価してよいと思うわけでございますけれども、しかし、これはまだワンステップでございまして、今後は経営全体をカバーするような経営所得安定対策検討に入るべきだろうと、こう思っております。もちろん、現行の施策からその次の施策に移るとすれば、いろいろ検討すべきことがあるわけでございます。したがいまして、そう簡単に移行できるわけではないとは思いますが、であれば、なおさらのこと、早期に検討を開始すべきだろうと、こう思っているわけでございます。  時間でございますので、以上で私の発言を終わらせていただきます。
  5. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ありがとうございました。  次に、高根沢参考人お願いいたします。高根沢参考人
  6. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) 私は、栃木県の那須御用邸皆さん御存じだと思いますが、その玄関口の黒磯で四十数年間、米一筋百姓をやっている者でございます。  私がこんなところへ来て発言する機会を与えてくれました皆様方に、厚く感謝を申し上げたいと思います。また、常日ごろから皆様方は、我々百姓のために頭を絞って、我々に合う法律を作っていただきまして、陰ながら厚く御礼を申し上げる次第でございます。  そんな中で、私は中学校しか出ておりません。そんな中で、当時、昭和三十四年の卒業でございます。その当時は、私の地方は、畑作、オカボとヒエ、たばこ、そんな中で、科学の発達によって、井戸掘り、揚水ポンプ水田を造ることが県からいろいろな形で推進されまして、やはりそれをやっていくべきだろうということであれしたわけですが、なかなか資金面がございませんでしたので、農協あるいは政府資金を借りて開田をし、当時は百俵売れば生活できました。しかし、その後、増産、そういう運動がございまして、今度は、何といいますか、農家目標は一日一俵売れば暮らせるだろうと、こんな考え方で一生懸命やってきたわけですが、それがどういうはずみか、数量が多くなりまして、消費が伸び悩み、さあどうするんだということで、四十五年だったと思いますが、今の生産調整が始まったわけでございます。そんな中で、我々、現在は、当地方におきましては、水田、酪農、野菜を中心として何とかこの制度の中でどのようにして生きていけばいいんだということで、それぞれが知恵を絞り、頑張っているわけでございます。  特に、どの分野においても政府助成金が入ってございます。確かに消費者から見れば過保護じゃないかと、こんなふうに言われますが、実際問題として、本当国際水準の物の値段が我々が再生産できる値段ではないのは皆さん御存じだと思います。そんな中で、私は、主食である米は、やはり税金を投入して我々が再生産できる値段を保障してくれなければ、本当に今度は農家は倒産をいたします。そんなことで、これからの新しい米政策について、本当に我々のことを考えて作るものなのか、大変不信感を抱いているところでございます。  そんな中で、一つを申し上げるならば、産地づくり交付金でございます。今まで三十数年間やって、麦、大豆飼料作物ということで国から指定を受けまして、それぞれ頑張ってやってきたわけでございます。そろそろ本格化しろと、こういうことだと思います。しかし、今の値段では米と同じ所得が得られますか。最低だって、今の値段を保障してくれなければ本作は当然農家側にとってはできませんよ。  今、大豆にしろ、八千円の補助金が入っています。これは、財源がなければいつでも打ち切られる制度だと私は感じております。そうしたら、五千円の大豆作る。合いませんよ。だって、これは、どんなことしたって現在の値段を、価格を維持していただきたいと、こんなふうに委員皆様方にはお願いをする次第でございます。  さらに、その中で、参加者全員メリット担い手対策、それから高品質な麦、大豆。我々は経費を掛けないでいかに安全な物、いい物を作って消費者に好まれるかと、消費者にそっぽを向かれたんでは終わりですから、我々ね。そんなことで、できるだけ、生産費掛ければもうけ少なくなるわけですから、これは掛けたくないですよ、我々だって。そこのところ、よくお考えいただいて、間違いのない政策を作っていただきたいと、こんなふうに思います。  それから、下落対策ですね。米は下がります、先ほども言っていましたように、先生がですね。もう生産調整、今年で終わりだから全部作れるんだという農家の間違った考えもございます。そんな中、そういうことのないようにするのは、やはり今、今年で打切りではございますが、稲作安定資金ですね。これを見ると、一対一でもって出し合ってやるような、新聞報道などを見ますと、同じ八割でも財源が少ないわけですから、農家の手取りは今までの半分でしょう。やっていけますか。そして、後継者育成担い手。  先ほども言ったように、集落型の今度は営農でしょう。経理まで一元化。農家は、隣に蔵が建てば腹が立つということでお互いに頑張ってきたから伸びてきたんですよ。やはり、そのいい面は、努力をしようといういい面は残さなくちゃ。一緒だったらば本気になんないよ、実際の話。やっぱり、お互いに競争心があって、いい物を作って、おれは隣に負けないで消費者に好まれる物を売るんだよと、そういうことがここでは失われるような気がいたしますので、もっと我々がやりやすい集落型の営農を考えていただきたいと、こんなふうに思います。  それで、他産業で働いた場合には生涯所得は二億何千万と言っていますよね。そんな中で、その生涯所得農家で取るのには米が幾らならばいいのかと。政府では四ヘクタールと言っていますが、土地、地方は貸し借りも進んでいますから、六町歩ぐらいが多い方の部類で、これは大事だと思うんですが、その場合に、暗算をしてみますと大体十アール、八・五俵。そうすると、それを生涯所得に合わせるのには、一万九千二百円の米価じゃなくちゃ取れないんですよ。他産業と同じ給料をくれなくちゃ、後継者いろ、いろと言ったって、いなかんべ、これ。そこらのところ、よく考えてくれなくちゃ困るんだよね。  それは、市場原理だっていいですよ。しかし、先ほど先生がおっしゃっていたように、環境保全役割は、おれらがいっから、田んぼ作ってっから、水害も何もないんでしょう、一時、雨降ったって蓄えているんだから、ダムの役割果たして。連休に来て、景色いいなんて、おれら土手、草刈りやってっから、きれいなところへ来て、それは余暇を楽しんで休養していけるんでしょう。その代金はどこに入っているのと、おれ、言いたいんだよ。  米価市場原理だっていいですよ。そういうことを忘れたんでは、この新しい政策が出てきたときには、どういうふうに皆さんは考えてくるか分かりませんが、倒産します。特に大型、私も大型でやっていますが、一番響きますから。本当食糧を大事だと思うならば、先生方本当考え方を盛り込んで新しい政策に打ち出してもらいたいと、こんなふうに考えるわけです。  その中で、特にその生産調整がやはり大事になってくると思いますよ。これは、自由に作れると思っているような人いるかもしれぬけど、量が取れれば当然安くなるわけだから、政府だって、一杯取れれば、出し分がこれ、余り米に三千円どうとか。三千円ぐらいで米作れねえや。八千円くれなくちゃ駄目だ、最低だって。加工米値段が八千円なんだからね、余った分はね。  で、やはり生産調整を、金を出してそっちへ移行するようにすれば、政府の思っている数量に行きますよ。これが行かないと、全部、米作っちゃうね。そうしておきゃ、一万円割っちゃうよ。どうですか皆さん。そうしたら、おれはやめるしかない、つぶれるんだから。そんだけ言ったが、おれらは田んぼあっから、二反歩ぐらい作れば一年食っていられっから、構わないよ、おれは。  だって、それをやるのが先生方でしょう。だって、生きていくのには一番先は食糧でしょうや。それも、米だよ米。主食だけは、それは税金投入しなくちゃ駄目だよ、どんなことしたって。つぶれるよ、おれはそう思いますよ。  市場原理市場原理、それはいいですよ。だから、さっきも言った、環境保全代はどんな形でおれらに払ってくれるのかということ、そうならないようにやるのが先生方仕事と思いますので、どうぞ、本当に苦しいことでございますから、これからの米政策のいかんによっては倒産いたしますので、どうぞ、先生方の絶大なる御審議をお願いをいたしまして、十五分になりますので、私の意見を述べさせて、終わらせていただきます。  大変御清聴ありがとうございました。
  7. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 高根沢参考人に対し申し上げますが、あと発言時間、二分残っております。よろしゅうございますか。
  8. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) いいでしょう。二分じゃまとまりませんから、いいです。
  9. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ありがとうございました。  次に、矢口参考人お願いいたします。矢口参考人
  10. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) 東京農工大学矢口でございます。  食糧法の一部改正に関しまして、私の意見を述べさせていただきたいと思います。  今回の改正の内容は、流通上の規制を大幅に緩和し、そして市場メカニズムを大幅に取り入れ、食糧安全保障法とでも表現できるような内容を持っているのではないでしょうか。ただし、幾つかの課題、問題点も見受けられます。限られた時間でありますので、ここでは三点、指摘したいと思います。  第一に、法律の条文上の問題であります。すなわち、法の目的を実現するための担保措置が明記されているかどうかという点であります。  現行法も改正法も、ともに食糧法の「目的」は、「措置を総合的に講ずることにより、主要食糧需給及び価格の安定を図り、もって国民生活と国民経済の安定に資する」とあります。  現在の米過剰基調の下では、需給及び価格の安定には何らかの数量の管理、すなわち生産調整が不可欠であり、その点、生産者の自主性にゆだねたとはいえ、第二条一項及び二項で生産調整の実施と必要な措置を明記したことは評価できると考えます。  また、第二十九条のように、備蓄概念としては極めて不十分な部分もありますけれども、第三十七条から第四十条のように、一九九三年の米騒動などの緊急時に対応する措置を明記したことは、食糧安全保障法としての性格を持たせたとも評価できると思います。このような措置は、正に国民生活と国民経済の安定に資することにつながると思います。  しかしながら、法の目的を現場で担う生産者農業経営者に対する担保措置は明記されていないと言っていいのではないでしょうか。第二条二項で、「生産調整の円滑な推進に関する施策を講ずる」とありますけれども生産者農業経営者にとっての最大の担保である経営の再生産が可能となるような所得の実現については書き込みがありません。生産者農業経営者は極めてあいまいな措置の下で市場に投げ込まれることになります。  私がこの点を危惧しております理由は、米価余りにも急激に下落し、本来育てなければならない生産者農業経営者が撤退せざるを得ない現実を見ているからであります。  御承知のとおり、一九九七年から二〇〇一年の五年間だけでも、農林統計によりますれば、農産物平均が七%の下落の中、米はその二倍の下落率を示しております。他方、農業生産資材は二%の下落、消費者物価は一%の下落という中での一四%もの下落です。  これは、大規模経営ほど所得は減少することになりますし、育てるべき生産者農業経営者が育ちません。確かに、稲作経営安定対策米価下落影響緩和対策などが実施されることになっているようでありますが、生産者農業経営者の拠出負担が大きくなる問題、また短期融資制度にしましても、余りにも低い融資単価という大きな問題があります。産地づくり推進交付金にしましても、予算規模が不明な状況です。  ともかく、このままの条文では、確かに国は措置を講じてはいても、安定供給の一翼を担う生産者農業経営者には適切な措置が明示されない片手落ちの法律との指摘を免れないと思います。生産者農業経営者が腹を据えて食糧の安定供給を担い切れるような担保措置の条文としての明示が必要であると私は考えます。  第二に、第一の問題とも密接に関連する経済政策上の問題です。  通常、外部効果や公共財などは、市場メカニズムにゆだねると資源配分の最適性が保証されないいわゆる市場の失敗をもたらし、これを是正ないしは補完する政府の介入が必要になります。すなわち、生産、流通の現場に市場メカニズムを大幅に導入することに対する担保措置が必要になります。  具体的には、所得補償の措置です。その措置も、これまでのような価格支持のような間接的なものではなく、WTO農業協定でも明確に認知されているような直接的なものであります。価格支持は市場を歪曲し、市場メカニズムを活用しようとする今回の改正方向にも逆行します。直接的な所得支持が必要だと思います。  この政策手法のメリットは、政策の目的に沿って特定の生産者農業経営者に効率良く納税者からの所得を移転することができることです。市場や価格を歪曲する価格支持政策は、保護や支持を必要としないかもしれない生産者農業経営者に余分な援助を与えてしまったり、農業部門以外にも漏れる可能性があります。しかし、直接的なそれは所得を移転すべき生産者農業経営者を特定するため、他に漏れることもなく、しかも援助を必要とする生産者農業経営者に効率良くかつ透明性を持って意図された所得が移転されます。  ただ、反対に、生産者農業者にとってはメリットばかりではありません。自己責任が問われることになります。例えば、政策意図から外れて適正な生産や地域資源管理から逸脱すれば直ちに納税者の目に明らかとなり、助成金の打切りの原因ともなります。  お分かりのとおり、この政策手法は、生産者農業経営者と納税者とが契約を結ぶような性格を持つものです。両者の間を国が責任を持って仲介に入り、食糧の安定供給や多面的機能の供給などの責任を生産者に果たしてもらうというものです。これは、生産者農業経営者を地域に置き換えても適用できる政策です。  このように、直接所得支持政策は、環境政策、構造政策地域政策としての役割も果たすことができます。  市場メカニズム導入により、生産者農業経営者の経済的インパクトを緩和して所得を補償し、公共財の供給、環境資源の保全にも役立てることができます。また、公共財を供給するその担い手地域の確定、確定された担い手地域へのハンディキャップの是正、また担い手地域の自己責任の明確化、そして助成金の透明化と簡素化などにも役立てることができます。既に中山間地域政策としてこの直接支払が実施されておりますのは御存じのとおりです。  こうした政策はOECDやWTO農業協定でも認められており、むしろ推奨されている政策であります。今後のWTO農業交渉の結果次第では、一層の市場メカニズム導入が予想されます。担い手が破壊される前に、そうした政策導入により担い手を育成しなければならないと考えます。  現在の財政事情を考慮すれば、農業予算執行の在り方、すなわち公共事業からのシフトなども検討する必要があると考えます。  さて、最後に、政策方向性に関する問題であります。  法律やその条文に関する問題ではなく、様々な政策がどこに向かってのものなのか、その政策的意図を明確に示す課題であります。日本農業をこのまま後退させるのではなく、育成するのだという我が国の政治的意思の明確化も極めて重要であると思いますが、それと同じくらい重要なのが政策的意図の明確化だと思います。  既に明らかになっております法案関連施策を見てみますと、稲作経営安定対策米価下落影響緩和対策、そして短期融資制度などのアメリカ型のものと、産地づくり推進交付金などのEU型のものとが入り交じっているように見受けられます。  アメリカ型の施策は往々にして価格補てん的で、これを織り込んだ価格形成に結び付き、現実には必要以上の米価下落をもたらす可能性を含んでいます。我が国は、アメリカのような輸出国でもなければ国際価格形成国でもないため、アメリカ型の施策を無批判に導入すれば我が国の農業展開にとって矛盾が極めて大きいものとなる可能性があります。その予想される大きな矛盾を、産地づくり交付金産地づくり推進交付金といったフランスのTCE型の施策によってカバーしようとする意図を読み取ることができますし、また政策立案者の御苦労を感じ取ることができます。  しかし、我が国の水田農業及び社会の特質を考慮し、かつ国際的に主張し、食料・農業・農村基本法にも明記している農業の多面的機能を維持向上し、それを発揮させるためには、むしろEU型の施策を参考にした方が我が国の農業展開により大きな可能性を見出せるのではないでしょうか。  すなわち、産地づくり交付金を基軸に、日本型のCTEとして充実させ、あるいはかつてのふるさと創生型の、日本、ふるさと創生型の農業農村活性化交付金として発展させ、補完的にアメリカ型の施策を講じるという方向が我が国では望ましいのではないでしょうか。各地域の独特な農業展開を目指すことが、いろいろな意味と可能性を作り出していくものと思います。直接所得支持政策もこうした枠組みの中で具体化していくことが大切だと考えます。  繰り返しますが、地域政策の充実を基軸とし、併せてEU型の構造政策環境政策を創造的に統合し、さらにアメリカ型の施策で補完することによって、生産者農業経営者を育成し、また地域資源の保全を図るという意志を施策に明確に反映させることが重要であると考えます。  以上、三点指摘しました。時代の流れからいって、規制の緩和や市場メカニズム導入は必要であるに違いありません。しかしながら、自然を相手にした生物生産である農業は、工業とは異なる側面も考慮しなければなりません。我が国の水田農業の現実を見たとき、地域の中で個別や集団が重層的に存在して活躍でき、食糧の安定供給を担い、また地域全体として農業資源や環境を適正に保全できるような担保措置も、規制緩和や市場原理導入と同じくらいに必要であります。  私が指摘しました三つの点が法律の条文あるいは今後の施策ににじませることができるならば、生産者農業経営者に勇気を与え、食糧安全保障や多面的機能の維持向上につながり、食料・農業・農村基本法の精神も酌み取った改正法になるものと考えます。  以上で私の意見陳述を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
  11. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ありがとうございました。  次に、白石参考人お願いいたします。白石参考人
  12. 白石淳一

    参考人白石淳一君) 白石でございます。  こうした形で意見を述べる機会を作っていただいたことに感謝申し上げたいというふうに思います。  私は、北海道岩見沢市で水田中心にタマネギ、小麦、野菜などを作営している生産農民でございます。  まず最初に、農村の現状をお話しさせていただきたいと思います。  水田地帯の農村の現状、大変厳しいものがあります。離農が相次ぎ、自ら命を絶つという大変悲惨な事例も後を絶ちません。実は、私の高校以来の友人が、今年の春、夫婦で自殺をしてしまいました。ともに農業を志して、水田中心に十ヘクタールを経営して、有機・無農薬農業、これを実践していた、そして後継者夫妻もいて、はたから見ると大変順風満帆に見える、そういう状況でしたけれども、負債の重圧で自らの命を絶ってしまいました。生命保険で負債の返済に充てたということであります。  こうしたことの原因は、稲作農家の今の収入の大部分である米価の下落であります。  資料に私の稲作収入の推移をまとめてみました。米価の下落がどれほど農家経営を直撃しているか、お分かりいただけるというふうに思います。この資料は、「わが家の稲作収入の推移」という資料ですけれども稲作部門を抜き出して表にしたものであります。生数字です。ただ、品質や、私も直接消費者の人方に販売もしておりますので、価格の面では若干高めに出ているかと、単価は高めに出ているかというふうに思います。米価の減収と比例して収入が減るということがお分かりいただけるのではないかというふうに思います。  今年の北海道産米の価格形成センターの水準、これは一俵一万三千円ほどでありますけれども、恐らく今年の農家の手取り額、一万二千円を切るんではないかというふうに予想されます。仮に一万二千円としても、十アール当たりの収入は十万二千円であります。そこから肥料代だの経費、物財費、約六万五千円ほど掛かります。それから、稲作経営安定対策、これらへの拠出金一万円ほど掛かりますから、これらを差し引くと、実際に手元に残る収入は二万七千円、十ヘクタール作っても二百七十万円、ここから借入金の返済などを行わなければならない、そういう現状であります。現在の米価の水準では、農機具が壊れても買い換えることができず、農機具の寿命が農家の寿命ということになりかねない、そういう事態であります。  経営を継続するのには稲作収入は当てにできない水準にまで落ち込んでおりまして、農家は減収分を他産業に働きに出て何とか補い、経営を続けているのが現状であります。  だからこそ、今度の米改革議論が出てきたときに、今よりは米価も保障されるんではないだろうか、転作条件の整備も進むだろう、そのように多くの農民は改革に期待をいたしました。しかし、今回の主要食糧法の改正、その前提となる米政策大綱、改革大綱の方向は多くの農民のこうした期待を裏切るものと、それだけではなくて、大多数の農民を生産現場から締め出すものだというふうに言わざるを得ないと思います。  次に、なぜそうしたふうに考えるのかという点を申し上げたいと思います。  法案では、生産調整について、生産者の自主的な努力を言っております。生産者団体等が方針を定め、そしてそれを国が認定するというふうに言います。このことは、国民の主食である米の需給調整からの国の撤退を意味するものであります。  現在の低米価は、国民が食べもしないミニマムアクセス米による過剰感が大きな要因であります。ミニマムアクセス米の在庫は九十五万トンに達しており、大変なお荷物になっております。  SBS米は、二〇〇一年度までは輸入枠を一〇〇%達成しておりましたけれども、二〇〇二年度は輸入枠九万トンに対し四万トンという数字であります。私の資料の左側の真ん中の資料であります。  今年に入っても外米離れは続いております。右側のちょうど真ん中の資料です。二〇〇二年度第一期の落札数量は契約予定数量の七〇%でありました。二〇〇三年度第一期では、これが四七%になっております。しかも、モチ米の国内の不作、これがありまして、このことを反映してモチ米の落札が多くなっております。ウルチ米の落札は昨年の半分であります。  国民の圧倒的多数の方々は輸入米は嫌だと、右下の表にありますけれども、言っております。業者も外米離れが進んでいるのが実態であります。  生産調整ということを言うのであれば、まずはこうした輸入米を削減することが先決だというふうに思います。生産調整数量配分、こうしたことを無視しておりまして、輸入が増えれば生産調整が増えるという、こういう方向を一層拍車を掛ける、このようになるというふうに思います。  次に、米価の回復が稲作農民の経営を支えるという意味では最大の保障であるということは先ほど述べたとおりでございますけれども米価価格下落影響緩和対策、これは現行の稲作経営安定対策の補てん水準を下回ることが予定されておりますし、過剰米の短期融資制度、これでは加工用米そして飼料用、輸入米の価格水準を想定しているものであり、到底、農家経営を安定させることに寄与するとは思えません。さらには、備蓄米の政府買入れ価格を入札によって決めるというふうに言っておりますけれども、再生産の確保という米の生産費に配慮した現行食糧法の規定、これをほごにして、米を一層市場原理にゆだねるものであります。したがって、今回の改正で一層の米価下落が懸念をされます。  また、担い手経営安定対策についてでありますけれども、農村は、小さな農家も大きな農家も、兼業も専業も、それぞれの役割を果たして地域集落営農を維持しております。水田に欠かせない用水路、これを維持する上でも様々な人の努力で成り立っております。一部の農家施策を集中するということは、農村での集落の機能を失わせてしまいます。結果的に、米作りができない、そういう環境を作り上げてしまう危険性があります。  次に、法案では、計画流通制度を廃止し、自主流通米形成センターを改称し、取引方法を多様化するというふうに言っております。販売業者も登録制から届出制に変更するといいます。このことは、農民に対する買いたたきを野放しにして、中小米卸、小売店の淘汰が一層進むことが危惧されます。大阪では四千軒あった米屋さんが現在二千軒になって、更に五百軒減るのではというふうに心配をされております。生産者消費者を結ぶ懸け橋の役割を果たしてきた中小の米卸、小売店にとって大変大きな問題となっております。  以上のことから、今回の法案は、国民の主食である米の需給価格安定に対する責任を全面的に放棄をして、米流通を一部の流通資本に明け渡すものということを言わざるを得ません。したがって、私は改正案には反対であります。  次に、私は、生産者が安心して米作りに励み、消費者には安定的に供給できる制度とするために、次のことを提案し、その実現を強く求めるものであります。  一つ目は、米の需給価格安定に国が責任を持つこと。二つ目は、ミニマムアクセス米を削減、廃止して、生産調整面積を大幅に減らすこと。三つ目は、転作奨励金の助成水準の大幅カットはしないこと。四つ目は、自給率向上は圧倒的な国民の願いであります。自給率の異常に低い麦、大豆などの増産を図ること。五つ目は、諸外国でも価格保障の改善によって農家経営安定を図っております。稲作経営安定対策を抜本的に改善をして、生産費を償う米価を実現していただきたい。六つ目は、備蓄は、たった一年しかもたない回転備蓄、これをやめて、棚上げ備蓄に切り替えて、用済みの米は主食用以外に回すこと。六つ目は、計画流通制度の廃止、これをやめて、大企業の流通支配を抑え、農協や中小小売店の役割を尊重したシステムに改善すること。  以上申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。  ありがとうございます。
  13. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 田中直紀

    ○田中直紀君 おはようございます。自由民主党の田中直紀でございます。  今日は、主要食糧法の一部改正案につきまして、参考人の方々にわざわざお出掛けをいただきまして、心から御礼を申し上げたいと思います。  それぞれの立場で、今、農業の抱える大変重要な問題について御指摘をいただきまして、大変参考になってきておるわけでございますし、特に生源寺先生高根沢参考人に質問をいたしたいと思っております。  生源寺先生におきましては、この法案の骨子になります諸制度につきまして大変御熱心に座長として検討されてきたわけでありますので、食糧法改正の中で、意を尽くしているかどうかと、こういうことを若干お伺いをいたしたいと思います。  米政策の再構築の基本方針は、広く国民の理解を得られるものでなければならない、農業者を始めとする水田農業、米経済にかかわる人々の創意と工夫を引き出し、かつまた、これを尊重するものでなければならないという、こういう精神でスタートされているわけでありますが、米の収入につきましては、この四、五年で二兆九千億のものが一兆九千億に低下をしておると。農業農家の収入が非常に減ってきておるという、そういう危機感と、担い手の不足というようなことが指摘されておりますが、最も指摘をされてきておりましたのは、生産調整に参加をされておる方々から、限界感、生産調整に対する限界感あるいは不信感、不平等感、こういうものが大変指摘をされたわけでございます。  農業者が新しい制度、特に生産調整に参加をして、そしてまた意欲を持って取り組んでいこうという制度であるかというものが、なかなか浸透してきていないのではないかというふうに思うわけでありますが、先生が言われるように、納得済みで農業者皆さん方が参加をしていただけるような制度を考えていただいたと、こういう御説明でありますが、農業者が納得するところの、二、三、代表的な形でまず御説明をお願いしたいと思っております。
  15. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) まず、農業者に納得していただいた上で参加していただくということ、いろんな意味があるわけでございますけれども一つは、そもそも生産調整が何のためにあって、だれのためのものであるかという、この根本のところをまず御理解いただくということがあるかと思います。これだけ生産調整に関する議論が行われておりますので、今こういうことを問い掛けても、当たり前ではないかというふうに反応が返ってくるかもしれませんけれども、実は、こういう議論が始まる前は、生産調整が何のためかということに関して、必ずしもきちんとした理解が浸透していなかったということがあろうかと思います。  もう一つは、これまでの生産調整仕組みが非常に複雑であったということ、それから全国画一的であって、地域によっては必ずしもぴんとこないような、こういうものもあった。ここをいったん整理いたしまして、地域ごと施策地域版で作っていただくと、こういうことを考えているわけでございます。  ここで大事なことは、この地域版の施策作りは、これまでのように上から下りてくる、あるいは全国どこも金太郎あめ式に同じということではなしに、その地域で作っていただくと。更に申し上げますと、そこにはもちろん農協も関与するわけでございますけれども担い手農家の方にもこの施策作り、そのプロセスそのものに関与していただくと、こういうことになるわけでございます。  したがいまして、納得のいく形でということの第二番目ということになるわけでございますけれども、これはそのルール作りのところから農家の方が深い関心を寄せていただき、また意見を反映していただく、こういう形を考えているわけでございます。  それから、もう一つあえて挙げるとすれば、私ども研究会の報告の中で幾つかの助成のパッケージを提示しているわけでございますけれども、これについても、めり張りの利いた、ああ、これならば十分経済的にメリットがあるなというような形で判断ができるような水準というものがきちんと確保されることを期待したいと、こういうことでございます。
  16. 田中直紀

    ○田中直紀君 新しいシステムの下での助成措置ということで、産地づくり推進交付金、そしてまた米価下落影響緩和対策、こういう制度を考えていただいたわけでありますが、この制度生産調整に参加する方々のメリットというものを得られるものにしていくし、まあ実際にしていかなければ農業者の納得が得られないんではないかと、こういうことでパッケージで提示をされているわけであります。  この産地づくりあるいは米価下落影響緩和対策のいわゆるメリットといいますか、これを具体的に御提示をいただきたいと思います。
  17. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 基本的には、これは生産調整に参加した方がいろいろな助成措置を受けるという形で地域でセットされるということになるかと思います。そのことが一目瞭然分かるような形で提示していただいて、これならば、なるほど、趣旨も分かるし経済的なメリット措置もあるという形で参加していただくと、こういうことになろうかと思います。  現在の転作助成の水準を考えますと、これ実はかなりの高い水準の支払が行われておりまして、その限りで申しますと、麦、大豆、あるいはえさであれば稲作と、地域によりますけれども、近郊、あるいはむしろ転作作物の方が単純な収益性でいうとオーバーしているような、こういう状況でございます。  現在の水準と今度の新しい施策での水準の間に完全な同等性が成立するかどうか、ここはこれからの御検討いただくことかと思いますけれども、ただ、そこから極端に減らないということであれば、これは相当な転換のための助成が現在行われているわけでございます、それを更に効果的に仕組むということであれば、十分、稲作以外といいますか、生産調整に参加していただくメリットを組むことは可能だろうと、こう考えております。  米価下落影響緩和対策につきましては、基本的には、私の理解では、その生産調整を行うことによって米価がそれほど極端に下がらないと。下がった場合には経営安定対策というバックアップを設けているわけでございますけれども、基本的には下がらないと。また、これは矢口参考人もおっしゃいましたけれども、一種の不足払型の補てんをいたしますと、そこの部分が言わばビジネスにいろんな形で吸い上げられてしまって、一種、納税者からそのビジネスの方に移転が生じてしまって実際の価格はどんどんどんどん下がっていくと。その間をどんどんどんどん埋めなければならないということが起こりかねないということもございまして、そこはむしろやや控え目な施策になっていると、こう言ってよろしいかと思います。
  18. 田中直紀

    ○田中直紀君 米価下落影響緩和対策については、主業農家や副業的農家といった農業者の性格の違いによって扱いを区分することはしないと、生産調整に参加する農業者であればひとしくその利益を享受することができると、こういうことになっておりますし、この固定部分、六十キロ当たりで固定部分二百円のプラス変動部分と、こういう制度で説明をされておりますが、その辺、ちょっと分かりやすく解説していただくと有り難いんですが。
  19. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 後段から申し上げますと、固定部分を設けているということは、比較的米価の下落の幅が小さい場合にはその補てんが相対的に厚くなるような、こういう仕組みでございます。余りにも大きくなっていきますと、もうこの部分ではなかなか難しかろうと。したがって、米価下落の影響を非常に強く受けると考えられます担い手等については別途の施策を用意していると、こういうことでございます。  前段でございますけれども、実はこれは一昨年になろうかと思いますけれども食糧庁の方から、この稲作経営安定対策について、その運用について、これは主業農家に絞るんだと、こういう問題提起があったと記憶しております。これは随分議論があってそういう形で導入が断念されたと、こういうことがあるわけでございます。研究会としては、これは生産調整への参加のメリット措置であるということであれば、これは主業農家あるいは副業的農家、こういう農家の性格によって区別するということはいかがなものだろうかと。施策の目的が生産調整への参加を促すということであれば、これは参加者全員に、これは農家の性格とはかかわりなく支払うというのが筋であろうと。したがいまして、施策の目的に合った支払の仕方という、こういう原則にのっとるならば、このメリット措置についても性格によって区別することなく、参加、不参加、ここで区別しようと。  更に申し上げますと、経営安定対策はこれまた別の性格の意義を持つわけでございますので、これはまたその対象をその目的に即してきちんとセットすべきだと、こういう考え方でございます。
  20. 田中直紀

    ○田中直紀君 担い手経営安定対策のことも触れていただきましたので、今回は、さきに、二〇〇〇年の秋に急浮上した経営全体を対象とする経営所得安定対策の構想とは異なっているんだと。今回の経営安定対策は米の収入に限定された政策である、こういうふうに述べておられるわけでありますが、しかし移行期であるということから考えれば、これを基に将来、全般的にわたった農家経営安定対策というものも視野に入れておられると、こういうことなんですが、最近ちょっと、農林水産省はこれはもう別なんだと、今からいわゆる直接補償の所得補償を考えているわけではないんだと、こういう見解も出しておりますが、その辺、ちょっと御見解をお願いいたしたいと思います。
  21. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 二〇〇〇年の秋口から経営所得安定対策議論が急浮上してまいったわけでございます。このときの背景は、稲経に対する限界感とそれから野菜の輸入の急増だったと、こういうふうに考えております。元々、経営所得安定対策そのものは、今の基本法を作る議論の中である程度議論された経過がございます。したがいまして、全く新しいアイデアということではなかったわけでございます。  ただ、これがお米の問題と絡んで出てきた点で、私はこれは実現という点でなかなか難しいなと、こういう印象を率直に持ちました。つまり、減反によるいろいろな縛りがあり、先ほども申し上げましたけれども転作助成金の支払にもいろんな問題があると。価格問題もあると。そういう中で、いろんな問題を残したままですべての問題を経営所得安定対策に、丸投げと言うとちょっと言葉は悪いわけでございますけれども、預ければすべて解決するようなことをもしお考えになっているようなところがあるとすれば、これはちょっと困ると。水田農業稲作には随分いろいろな問題がおりのように重なっているわけでございます。そこを相当きちんと整理すれば、整理すれば農家もある意味では冒険をするというようなこともできるような、そういう条件が整ってくれば、これは当然その経営所得安定対策、これまでと違ったような形の所得対策というものが考えられてしかるべきだろうと。  私、冒頭の意見陳述でも申し上げましたけれども、今正にその検討の機が熟したと、つまりその前にあるいろいろな障害を相当一つずつ取り除くことができてきているんではないかと、こういう認識でございます。
  22. 田中直紀

    ○田中直紀君 いろいろ制度のことをありがとうございました。  一番心配されますのは、過剰米の処理対策ということだと思います。丸投げの話がありましたが、余剰なものはそちらで処理してくれと、こういう、若干、小泉内閣でもなかなか苦労している手法じゃないかと、こういうふうに思いますが。これ、買取りで回収できるのかという値段の問題もございますし、どの程度という、豊作でという前提が付いておりますが、しかし、この制度の中にあって当然その余剰をどう認定するか。あるいは相当、研究会では非常に細かく、これ猫の目農政を脱却しようと、こういうことなんですが、大変苦労されて御研究をされたんですが、どうも農家の方々、これを見ても理解するに至らないと。私もまだ全部理解しておりませんが、本当にこの制度が機能するのか、そういう面では値段の設定が納得されれば本当に機能するのかということも大変危惧されるわけでありますので、まずその辺、御見解をお願いいたしたいと思います。
  23. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 御指摘のとおり、この過剰米処理対策につきましては、私がというよりも研究会としては大変苦労をした点でございます。食糧庁は食糧庁で、短期融資制度を軸とするプランを御提示されたわけです。全中は全中で、これは区分出荷を柱とする、しかし全体の一つのパッケージを提案されて、それについて相当研究会議論をいたしまして、最後は私の方から全中、全農、食糧庁で共同の原案を作ってくれと、こういう形になったわけでございます。  三千円云々ということがございます。ここから私個人の見解も含めて申し上げます。  それで、過剰米の処理で三千円か八千円か、実は、水準の問題もさることながら、主食用よりも安い形で過剰米の処理の口が用意されているということになると、これは当然主食用のマーケットに向くわけであります。  したがって、その中で、ある程度あるいは相当程度低いところに処理の形で持ってくるためには一種の共同行動を当然前提とせざるを得ないだろう、これは農業者団体が主体となるという、こういうことになるわけでございますけれども、さはさりながら、そのためにはそれなりのメリット措置も必要だろうと。その三千円そのものもそうなわけでありますけれども。そこで、農業者団体の共同行動をバックアップするという形で、じゃ、今度はその三千円、その部分もさることながら、生産調整の実施とのリンクをどうするかということがまた研究会あるいはワーキングチームの中で議論になったわけでございます。  ここは非常にデリケートでありまして、生産者団体の共同行動をサポートする、その部分を厚くすればするほど結果は良くなるというふうにも考えられなくもないわけでありますけれども、そのサポートが逆に、ちょっと言葉は非常にきついわけでありますけれども、共同行動のサボタージュにつながるようなことになると、これはこれでまた納税者の立場からもいろいろ困ったことになる、その極めて微妙なバランスを取っているのが今の制度と。  農業者団体も、相当、区分出荷なり共同行動の体制については用意、準備をされてきているように、こう考えております。したがいまして、いいバランスのところをヒットできるような状況になってきているのではないかと、こう思います。  長くなりまして済みません。
  24. 田中直紀

    ○田中直紀君 どうもありがとうございました。  時間も終わりに近づきましたので、高根沢組合理事最後にお伺いをいたします。  先ほど発言がありましたように、来年度に向けて産地づくりの推進交付金あるいは米価下落影響緩和対策、従来の制度に基づく予算に比較して劣らないような予算を我々は要求をし、獲得をしていかなければいけないわけでありますし、担い手経営安定対策につきましても、補てん、助成割合の問題も伺っておりますが、今、生源寺参考人からお話がありましたが、組合理事として何かこの制度で、先ほど大変いろいろお話がありましたが、納得されたかどうかということを最後にお伺いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  25. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) 我々農民は、頭は大して良くないから百姓やっているので、いろいろ難しいことはいいです。手取りがどれだけあるのか、今より多いのか少ないのか、それが分かれ目なんですよ。それは、消費者皆さんの税金を使うからいろいろな方策をするんだと思いますが、我々は歩留りなんだよね。何もくれぬのに、自分たちも金出してお互いにやる。そうじゃなく、くれたらいいでしょうよ。そういう制度にしてもらいたい。分かりやすく。  要は、歩留り。おれらが来年また作って生活できるのかできないのか。そうしなくちゃ、農家にだって後継者いないですよ。中身はどうだっていいですよ、おれらがそれ分からないんだから。中学校しか出ていないんだから。農家やっているのは多いんだから、そういうのが。  だから、机の上でごまかさないで、本当に手取りがどれだけあるのか。これでサラリーマンと同じく生活できるのか。できないところに安定対策なんと言ったって掛け声だけでしょうや。安定というのは、安心して生活おれらができることでしょうや、米を作ったらば。そこらのところ、先生方、考えてくださいよ。  よろしくお願いいたします。
  26. 田中直紀

    ○田中直紀君 終わります。
  27. 本田良一

    ○本田良一君 民主党・緑風会の本田良一です。  今日はもう本当参考人の四方の皆さん、御苦労さまでございます。  私どもも、この主要食糧法の改正が今回この国会に提案をされましたので、そのことで毎日質問をやっておりますが、その肉付けをするため、また判断をするために今日は参考人皆様方に御足労願っております。  そこで、私は、単刀直入に質問を一つ、私の意見をまず言わないで、意見というか、私の注釈を付けずに四方にお伺いをいたします。  まず、日本は農業先進国でしょうか、それとも後進国でしょうか。そして、この決め手となるものは何か。これをお伺いします、四方に。簡単にお願いします。
  28. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) なかなか難しい質問でございますけれども、端的に答えれば先進国だと思います。
  29. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) 私も先進国だと思っております。
  30. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) 私も同じように先進国だと考えております。
  31. 白石淳一

    参考人白石淳一君) 農業技術の面では大変高いレベルにあるというふうに思っております。先進国だと思います。
  32. 本田良一

    ○本田良一君 もう一つ、決め手となるものは。決め手、決め手です。  それでは、どういう、何を基準に言っておられますか。
  33. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 今、白石参考人がおっしゃいましたけれども農業技術の面、特に土地生産性という観点からいいますと、これは世界でも指折りのレベルに達していると、こういうふうに考えております。その意味で、いろんな切り口があるかもしれませんけれども先進国、こう言っていいと、こう考えております。  それから、農業の生産物そのものもいろいろな豊富なものができており、またそれがいろいろな形で加工されている、つまりこれはかなり成熟した消費者を相手にする産業になっていると、この意味でも先進国の農業と、こう言ってよろしいかと思います。
  34. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) その決め手は、私、考えますには、収量の問題、これはどこから見てもやはり日本以上に十アール当たりの収量は上がらないと思います。  もう一つは、安全性、これもやはりどこの世界各国においても日本は一番進んでいますし、安全であります。それは自信を持って言えます。  以上です。
  35. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) 二点あると思いますけれども一つは、各参考人がおっしゃっているように、農業技術がやはり非常にすばらしいものがあって、その農業技術を駆使すれば様々な農業生産が可能であるし、かなり生産性の高い生産が可能であるという点。それともう一点は、やはり経済そのものが先進国の経済的枠組みの中に我が国は置かれているという点。そういった側面からくる消費構造という面との関連で見ても、生産と消費がある意味で一体化しているという点で先進国という判断ができるのではないかと思います。
  36. 白石淳一

    参考人白石淳一君) 私、先ほど技術の問題を言いましたけれども、その技術が高いということに裏打ちをされて、日本は大変生産力、面積当たりの生産力の高い国になっております。私の手元に資料がありますけれども、一ヘクタールで何人の人方を養えるかという試算がございます。例えば、アメリカなどは〇・八人であります。韓国で七・五人。フランスなどでは二・九人であります。日本は十・五人であります。  ですから、こういう高い技術に裏打ちされて大変高い単位当たりの生産力を誇っているという意味では、非常に大事な、そして貴重な農業ではないかというふうに思います。  以上です。
  37. 本田良一

    ○本田良一君 大変ありがとうございました。  私も、実を言いますと、先進国だと、こういうふうに思っておりました、昨日までね、実は。ところが、信田議員とたまたまこの参考人質疑に当たって意見を聞いたわけですね。信田議員は、もう自称自分は百姓だと言っておられますから、自信を持って言っておられますから、意見を聞いたわけです。  ところが、今、四人の方がおっしゃったとおりのことを私も頭の中に置いていたんです。過去、私はこういう意見で質問をしたことがあるんですね。  アメリカは工業国だ、そして農業国だと。日本は工業国だ、しかし農業においては日本は後進国だと。やっぱり先進国という国であれば、必ず農業と工業、この二つを持ち合わせたのが私は先進国だと。そういう意味では日本は農業において後進国だから、私は本当にサミットに参加すべき先進国とは言えないと、こういうことを私は熊本の県議会で質問をしたことがあります。  しかし、今ここに至りまして、やっぱり本当に先進国かどうかということを考えると、技術力とか一人当たりの生産能力とかそういうことなど、流通とか、そういうことを考えると、やっぱり先進国の中に入るのかなと、こういうことを最近までまた改めて考え直しておったんですね。ところが、信田さんがずばり昨日言われた。それによって私は頭をがんと打たれて、なるほどそうか、ということになったわけです。  信田さんは後進国だと言われました。そして、その基本は自給率、これを言われたですね。これを言われて、なるほど、そうかと。自給率を四人おっしゃらなかったですね。だから、自給率があって初めてやっぱり先進国に、私は、と言えるんではないかと、こういうことなのですね。  それで、私は、今回のこの参考人質疑に、今回提案をされた主要食糧法の改正、これの中身を私が参考人にお尋ねをすると、特に生源寺先生など、実際にこの法案にかかわる参考の要点をまとめられた方でありますから尊敬をして本当は言うべきことでありますが、言うべきことでありますが、私はやっぱり、先ほど負の部分もあるとおっしゃいましたね。だから、日本農政はずっと是正是正、負の是正をずっと繰り返してきて今日まで来て、今回の法案もやっぱり是正にすぎないと、こう思いまして、このことを取り上げて参考人に質問すれば将来の日本の農政の大きな転換とすべき国会の論議にはならないと、こう思いまして、全然違った形で参考人意見を申し上げたいと、で、意見を聞かせていただきたいと、こういうことなんです。  それは、自給率というのは次の幾つかが入ると思います。まず、国民に食料を安定供給すること。それから、世界の恒常的な食糧危機の国にいかにグローバルの中で対応するか。それともう一つ食糧援助は日本はやっておりますが、緊急食糧支援、これに自給率が入ってくると思う。それから、戦略的な自給率が一つあると思います。それはアメリカなどがやっておる流通ですね。そして、農民が自力で生きていくと。それからもう一つ、いつも言われる国土の保全。このことを含めて自給率というのを考えて、自給率をどう高めるかということになろうと思います。  ところが、日本の自給率はあくまでも日本国の、またここで、論議をしている国会で、あくまでも日本だけの農政の私は論議だけをずっとやっているなと。それはなぜかといえば、一方では、この自給率の問題にいつも影響をしてくるのは、全然、まるきり違った流通機構がありますね。その流通機構が、例えば中国とかいろんな安い生産のできる国から日本に運んでくる食料供給があるんですね。だから、この食料供給は農民の自給率とは全然、全く関係ない。そこで運ばれてくる食料があります。これに対して、今回の主要食糧法も今までの論議もこの流通に対する、日本の中に持ってくる食料安定供給、これには何ら触れていないですね。  だから、私は全然そういう意味では片肺だと思いますので次のことを聞きますが、なぜ日本では自給率を高めることができないか。  それからもう一つ、アメリカ農政と日本の農政の根本的な違いですね。国家戦略がアメリカにはあるでしょうし、日本には国家戦略がそういう流通に対してないですね。だから、流通と外交の国家戦略、これについて。  それからもう一つ、国の財政支援ですね。確かに日本は買い上げて米価を決めて財政的な支援もしてきたでしょうね。しかし、アメリカも輸出をする戦略の中には補助金を出しているんですね。WTOでこれはぴしゃっと日本はやってもらいたいと言うんだけれどもまだやっていない。訴訟まで起こしていいと思うんだけれども、提訴までやって、していいんだけれども、それをまだやっていないですね。補助金を出して安く価格を、輸出価格をやって世界に戦略物資としてやっているわけですから。  そういう、今私が申し上げました二つの点にいかにお考えでしょうか。特に、生源寺先生矢口先生にお尋ねをいたします。
  38. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) まず最初の自給率の問題でございますけれども、私の認識では、八〇年代の半ばぐらいまでは主として日本人の食生活の方の変化によって自給率が低下するという、こういうことだったかと思います。しかし、問題はその後でありまして、八〇年代の半ば以降は食生活の方はほぼ横ばいになっている中で農業そのものの力がだんだんだんだん落ちてきていると、こういう状況かと思います。これについてはいろんな要素があるかと思いますけれども、やはり自給率というか力というか、結局、人と土地をきちんと大事にするような、そういうような姿勢の施策がきちんと取られてこなかったということが一言で言えばあるんだろうと、こういうふうに考えております。  なお、先ほどの御質問との関連でもう一点だけ、日本の農業が先進国であるということに関連しまして申し上げますと、日本は水田農業をバックボーンに持つ国として初めて先進国になった国であります。今、韓国が先進国の仲間入りしているかどうか、まだやや微妙なところはあるわけでございますけれども、一番最初になったところでありまして、それだけある意味では悩みが深いということが言えるかと思います。また、日本と同じような症状が出てきている国も近隣にあると、こういうこともちょっと申し上げておきたいと思います。  それから、アメリカと日本の違い、あるいは国家の戦略としてどうかと、こういうことでございますけれども農業の違いということを申し上げますと、一つは、畑作中心という農法と水田中心という、こういう違いがございます。  それとも絡みますけれども、アメリカは新しい国であるわけであります。したがって、資源についてはまだ開発の余地があるような、こういう国であります。オーストラリアもそうでありますし、ニュージーランド、カナダ、こういう新しく開発された国であると、こういうことがあるわけでありますけれども、日本はヨーロッパと同じように古い国でありますので、資源はある意味ではもう開発し尽くしているような、それをいろいろ多目的に使っていると。人は住むし、農業もやるし、そこはレクリエーションの場でもあると。こういう言わば込み合った形で土地を使っているような、こういうところがあるわけであります。したがいまして、例えば同じ米であっても、これは日本にアメリカ並みの生産性のお米作りを求めても、これはもうむちゃな話であります。ただ、日本の国の中でベストを尽くしたときにどういう状態があるかと、その姿と今の状態の間にはまだギャップがあるなと、こういうことを考えております。  それから、戦略の問題につきましては、私、それほど多くを述べることはできないわけでございますけれども、確かに、アメリカの対外的な戦略というのは戦略らしき形になっていて、日本はある意味では行き当たりばったりだという、こういうところもあるようにも思いますけれども、同時に、アメリカも、最近の特に農業政策に関して見ますと行き当たりばったり、一度やめてみたものをもう一度復活してみたり、WTOのルール上もおかしいことは自明であるものをおかしくないと議会が言ってみたり、かなりダッチロール状態になってきているというふうに思いますので、学ぶべきところは学ぶ必要があるかと思いますけれども、おかしなところまで学ぶ必要はないだろうと、こういうふうに思っております。
  39. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) 重複しない限りで私の意見を述べたいと思うんですが、なぜ自給率が上がらないのかという点についてのみ私の意見を申し述べたいと思うんですが、やはり、特に最近自給率が下がってきたというのは、とりわけ八五年の九月のプラザ合意以降、我が国の経済そのものがやっぱり国際経済の中に完全にビルトインされたと。そういう中で、農産物も含めてやはり市場メカニズムによって農業も行わざるを得ないということですよね。  そういう枠組みが、八六年には前川リポートという形でそれがもっと鮮明に出てきて、更にそれを確定するような形でウルグアイ・ラウンドがあり、九三年には合意をすると。もう完全にこれで、我が国の農業というのは、国内で問題にするというよりも国際的なレベルで問題にせざるを得ないという段階に今は来たと思うんですね。  そういう段階が更に今度のウルグアイ・ラウンドではもう一段高い、新交渉ではですね、ウルグアイ・ラウンドではなくて、今実際に行われているラウンドでは、更にもう一段高い多分市場メカニズムが貫徹するような農業がかなり世界各国に強いられるし、我が国にとっても同じような状況が恐らく来るんだろうというふうに思うんですね。  そう考えていきますと、それでは我が国の国内の農業というのが国際水準に可能な状態かと。つまり、米価、一万八千円の米価を三千円ぐらいの米価に可能なのかと、簡単に言えば。これはもう完全に不可能と言わざるを得ないと思うんですね。じゃ、だからといって我が国農業は必要ないかといえば、やはり必要だと思うんですね。これは、やっぱり人間の必要な食糧をある程度自国の国で生産するというのは、これは国家の一つの義務といいますか、そういう面を持っていると思うんですね。そういう点からいえば、自給率ゼロということにはやはりならない。  そうすると、どういうふうな形で自給率を上げることが可能かといえば、はっきり言って、もう農業生産する農家の方々がきちっと所得が補償されて生産ができるという状態をどういうレベルで確保するかということを国家がきちっと出すかどうか、また地域もどのようにその問題に対して対応するかと、この一点に尽きると思うんですね。その政治的意思と、あるいは政策的意思が明確にない限り、自給率は下がり続けるというふうに私は思います。
  40. 本田良一

    ○本田良一君 非常に、実感ありがとうございます。  しかし、私は、今の御意見、お二人、なぜ学者の皆さんに聞いたかといえば、この主要食糧法の、特に生源寺先生が、この法案の前にそういう国際的なことも含めてやっぱり頭に置いて実はこれを論議をしてこられたかどうか、そういうことをちょっと裏打ちしたかったわけであります。  それで、例えば自給率を上げるためとか戦略とか、そういう場合に、アメリカは過去、先般は岩本先生が質問をされましたが、ララ物資四〇三号というのがありまして、最貧国に、日本、食糧を無償で提供をして、この子供たちに今パン食を食べさせておけば将来必ず、人間というのは十二歳まで食べた食料の味というのは必ず忘れないということで、将来はパン食を食べるようになるだろうということで、そういう戦略でアメリカは日本にララ物資四〇三号で、そういう将来への戦略である面やったとも言われておりますが、そういう、米食において恒常的な食糧国にそういう戦略を置いてまでしなくてもいいけれども、そういうことをやることによって自給率を高めるとか、そういうことが頭にあってもいいんではないかと思います。  それから、日本は食料の輸入国ですね。ここも、だから日本だけの農政の論議をやっていると思いますが、世界の環境をどれくらい食料輸入をすることによって破壊をしているか、これをひとつお二人の学者にお尋ねしたいということと、時間がありませんから、WTO農業交渉が厳しい情勢の中で、民主党は農民の所得補償をするために直接支払制度を提案をしておりますが、どのようにお考えでしょうか。特に、これは矢口先生に。だから、お二人の、まず前段をお二人と、矢口先生お願いします。
  41. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 援助に関連いたしまして、アメリカのララ物資あるいはPL四八〇、いろいろな戦略的な、かなり長期的な戦略、後から見てですね、だったというようなところもあるわけでございますけれども、これは日本の立場からしますと、やはりもう少し援助の理念をきちっと持つべきだろうと、こう思っております。これは、日本だけではありませんけれども、過剰になると援助が増えるというのは、残念ながら世界の流れであります。過剰がなくなると援助が減ると。言わば援助の側の都合でやっているという、こういうことがあるわけでございます。  それから、今も少しお触れになりましたけれども、元々の土着の食生活とは違うものを持ち込むようなことが果たしていいかどうか。その点も含めて、日本というよりも、日本と仲間の国の間で、どういう理念の下でどういう途上国に本当に喜んでいただける援助があるかということをきちんと議論すべきだろうと、こう思います。自給率と余り直結させる議論は、やはり国の事情でどうのこうのという話にもなりかねない面がありますので、そこはかなり慎重に検討する必要があるかなと、こう思います。  それから、世界の環境と日本の食料の貿易の関係でございますけれども、ここは非常に大きな問題でございますので一点だけ申し上げます。  日本は水田農業の国というふうに申し上げましたけれども水田以外も随分水を使っている農業はあるわけであります。これは三月の世界水フォーラム、私も何か所かの分科会に参加したわけでございますけれども、その中でもクローズアップされたいわゆる農産物あるいは加工されたものの形でもって輸入されている水が国内のかんがい用水と肩を並べる程度の量に達しているということでございます。  貿易なり経済というのは、貨幣と物のやり取りだけで済んでいるわけでございますけれども、そこしかカバーできないわけでございますけれども、そこからこぼれ落ちるいろいろな非経済的といいますか、非市場的なファクターがあるわけであります。それに関しては、市場は定義的には何もできないわけであります。そこをきちんと補正するなり、あるいは改めるというのが国内でいえば政府であり、本当は世界にもそれに相当する政府があればいいと思うわけでございますけれども、そこの役割だろうと、こういうふうに考えております。
  42. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) パン食の話出ましたけれども、援助の。これはマクドナルドの藤田田さんの多分持論じゃないかと思いますが、十二歳まで自分の舌で覚えた味は一生持っていくというマクドナルドの戦略だったように記憶しておりますけれども。  ただ、パン食ばかりでなく、我が国の援助は最近、何というんでしょうか、農業協力で水田の開発ですか、そういったところでかなり行われている。米そのものが小麦に比べてアミノ酸スコアも高いし、単位当たりのエネルギー供給量も高い、あと単位面積当たりの収量も高いようなこともあって、人口扶養力が非常に高いと。飢餓の国々にとっては非常に水田農業というのが魅力になってきているというのが最近の流れではないかというふうに思うんですね。そういう意味では、かなりの程度農業協力でもってそういった我が国の農業技術等を供給するという点では、国際協力という点では非常に重要なことだろうと思います。  それと、環境の問題ですけれども、これは先生方御承知のとおり、九二年の新政策の中で、何ですか、余りにも輸入に依存することは外国の表土を輸入するようなものであるというような部分があったかと思いますけれども、ああいった新政策で書かれた内容をもっと政策の中で具体化していくということが大事なんだと思うんですね。  先ほどの先進国の話ありましたけれども、やはり物の豊かさを超えた豊かさをそろそろ考える必要があると。それはやっぱり、環境であるとか、あるいは地域の暮らし方だとかライフスタイルの見直しであるとか、そういったものに関連してこの環境問題も考えていく必要が私はあると思いますし、いま一度新政策に書かれた環境のくだり、輸出、輸入の関係のくだりをもう一度思い起こしていくことが大事なんではないかなという気がいたします。そういった延長線上の中で、実はその直接支払の問題も私はあるんだろうと思います。  同時に、今回の改正法が、私冒頭でも申し上げましたけれども市場メカニズムを大幅に取り入れているし、流通上の規制の緩和もかなりの程度行っているということですね。ですから、農家の方々がそういった市場の中に投げ込まれるわけですから、それと同じくらいに直接的な所得補償なり、あるいは市場メカニズムによって出てくる負の遺産といいますか、市場の失敗といいますか、こういったものをどういう形で改善していくのか、補完措置がどうしても私は必要になってくるのではないかと。  繰り返しになりますけれども、現在行われているラウンド交渉……
  43. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 答弁は簡潔にお願いいたします。時間が超過をいたしております。
  44. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) はい。  ラウンド交渉等を考えますと、更にその点は考える必要があるというふうに思います。
  45. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。  四人の参考人の方々には、公私ともにお忙しい中を貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。  簡潔に御質問いたしますので簡潔にお答えいただければと思うわけでございますが、まず生源寺先生にお伺いをしたいと思います。  先生の「水田農業政策の将来像」というレポートを読ませていただきました。今日も先生は、えさの重要性というか、このことにも触れられましたけれども、時間がないということで相当省略をされたと思うんですけれども先生のレポートを見ますと、「日本の水田水田として維持・保全する観点から重要なのは飼料生産である。」、こういうふうにおっしゃっていますですね。問題は、日本の畜産の在り方の明確なビジョンが描き切れていないからだという旨のことをレポートでお書きになっておられます。  先生が考えられる畜産のビジョン、骨格程度でお時間がありませんので結構なんでございますが、もし頭に描くものがございますれば御披瀝をいただきたいと思います。耕畜連携だとか、こういうようなことも最近は言われておりますので、是非御意見をいただければと思いますが。
  46. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 日本の畜産は土地離れがある意味では極限まで進んでいる、こう言ってよろしいかと思います。  中小家畜、豚、鶏等に関しましては、ある程度これはやむを得ない面があるかと思います。日本の国内にそういう農業を持っておくということは、いろんな意味で必要な面があるかと思います。しかし、元々草食家畜である牛等の大家畜についても、言わばほとんど外からの輸入された飼料に依存している。中小家畜にももちろん問題がないわけではございませんけれども、特に大家畜ですら土地から離れてしまった。それで、極論をいたしますと、これは消費者の目から見ても、向こうで穀物を作って、外国で、それで日本に持ってきてそれを日本でたんぱくに替えているということであれば、最終の行程まで向こうでやって持ってきた方がいいだろうと、窒素の循環というようなことからいっても。これは、そういう厳しい目が注がれることも私は考えておく必要があるんだろうと思うんですね。  それで、水田が残念ながらお米ではカバーできないということであれば、当然それに代わるものとして飼料生産は強調されていいだろうと。これは循環型といいますか、窒素の問題ということも含めてでございますし、また日本の土地でできたえさを多く使って、それでもって畜産物ができているということを例えば表示といったようないろんな情報でもって消費者に伝えて、日本の畜産を言わば川下からサポートすることも含めて体質改善を図っていくということが必要ではないか、こういうことでございます。  もちろん耕畜連携等ありますけれども、やや、もう一けたぐらい大きく頑張っていただくようなことがないとなかなか難しいかな、こう思っております。
  47. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 おっしゃるとおり、食料自給率は四〇%ぐらいですが、家畜の飼料となれば二〇%少々ということで、おっしゃるようにこのところが大きな問題かということも我々も認識しておるわけでございます。  続きまして、デカップリング政策、直接所得補償と言った方がいいかもしれませんが、このことにつきましていろいろと御意見がございました。生源寺先生高根沢参考人白石参考人にお伺いしたいんですけれども矢口先生はおっしゃったもんですからね。どういうふうな直接所得補償政策を考えられるか、また望ましいのか。  問題は財源なんですけれども、昨日も民主党の菅代表がマニフェストということで、政策はこれからは三点セットが必要だと。いつまでにどういうふうにどういう財源でやるかという、そういうものがなければ駄目なんだというようなことを昨日おっしゃっておられましたですね。  そういう意味では、直接所得補償政策というのは私ども公明党も実は考えておりますが、悩んでおるのは、実は財源という面もあるわけですね。一部公共事業をシフトさせればいいというお話もございましたが、もしこの直接所得補償の制度を日本でやるとすればどういう方式が望ましいか。もし財源でもお考えがあれば、お教えいただければと思いますが。
  48. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 財源について私に知恵をと言われましてもなかなか難しいところがあるわけでございますけれども一つはやはりどの枠の中で考えるかということで、農政の枠の中なのか、あるいは、私すぐ後で申し上げますけれども、もう少し幅広い中での財源の言わば組替えというようなこと等も考える必要がある面が私はあるというふうに思っております。  それで、直接支払的なものとして私の頭に今浮かぶものとしては、少なくとも三つあるというふうに思います。  一つ条件不利地域に対する支払で、これは中山間地域という形でスタートしております。しかし、これは米政策が変わる等々で当然見直しが必要になるかと思います。問題は、今前段で申し上げましたことにかかわるわけでございますけれども、中山間地政策は恐らく、狭い意味での農業への財源の投入だけでは、地域社会を守るという意味では残念ながら十分ではないだろうと思います。その意味で少し視野を広げる必要があるかな、こういうふうに考えております。  それからもう一つは、今日も話題になっております経営としての言わばリスクを負っているようなそういう経営、つまり農業所得への依存度の高い経営について経営所得安定対策というのも取る、こういうことでございます。これは品目別にやりますと、先ほど言いましたようにそれを吸い取られてしまうようなこういうメカニズムが働きかねない、ここの欠点を経営全体としていろんな品目をプールすることによって緩和できるというような意味合いもあるかと思います。  もう一つは、やはり環境支払だろうというふうに思っております。これは、私は、農業環境にフレンドリーであるかというと必ずしも、残念ながらそうではない部分もあるわけであります。日本の農業水田でありますので比較的その分は小さいかと言っていいかと思いますが、しかしゼロではないわけであります。問題は、やはり最低限の環境遵守ということは、これはやはり私はある意味では義務付けるようなこともあっていいだろうと。しかし、それを超えるようなレベルの例えば有機農業ですとか減農薬あるいは減肥料とか、こういうものに対しては逆にインセンティブを与えるようなことがあっていいだろう。ここは非常に微妙なところなんですけれども、構造政策的な要素と環境政策的な要素が衝突するんではないかと。  アメリカなんかですと、多分そういう要素は私は否定し切れないと思いますけれども、今のところ日本の場合には、日本の基準ででございますけれども、大規模農家あるいは法人農家ほど環境保全農業への取組が進んでおります。ですから、そこを応援するということは、ある意味では農業所得への依存度の高い方を応援するという政策にもつながるような、こういう面があると思っております。
  49. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) やはり直接所得方式の場合、一俵当たりに上乗せするのがいいんじゃないか。というのは、やはり面積当たりですと、怠けてたってもらえるわけですよね。やっぱりそういうことでは消費者の納得は得られないと思います。やはりいいものを一杯取った人に上乗せをしてやるべきだ、こんなふうに考えております。  その財源はやはり別な形で、農林予算じゃなく別な形で。というのは、生きていく上には第一番目に大事な主食でしょう。その部分はやっぱり国全体で、農林予算以外からやはり持ってくるべきだ、私はこういうふうに考えます。なぜならば、一番大事なやつですよ、生きていく上にね。それは消費者に理解得られると思いますよ。  以上です。
  50. 白石淳一

    参考人白石淳一君) 私は、所得対策、いわゆるそういうものに関して考える場合に、所得補償ということが言われるわけですけれども価格保障という問題をもっともっと重視すべきじゃないかというふうに思うんですね。  私は今回の、先ほど意見申し上げた中でも価格保障をうんと充実させる必要があるというふうに申し上げたのは、私のそういう思いからなんですけれども、やはりこれがすべての、例えば米であれば農業者に直接の支援に結び付くわけですね、価格をきちっと保障するということが。まず、このことも大事だということを申し上げた上で、直接所得補償についても、これも必要だというふうに思います。特に条件不利地対策、これが大事だなというふうに思いますけれども、現行行われている制度、これではかなり要件がきついわけですよね。もっともっと広げる必要があるというふうに私思っていまして、こういう対策をもっとうんとやるべきだということと、経営全体を見てやはり所得が下がってしまうと、言わば農業所得の補償対策みたいな直接所得補償というものがあると思いますけれども、そういう対策もやはり展望してもいいんじゃないかというふうに思います。  財源についての話がありました。私はやはり今の国の農水予算の使い方、かなり公共事業が多いというふうに思うんです。これをやはり価格保障なり所得補償に振り向けるということでも相当効果があるなと。農家の懐を直接温めて元気が出せる、そういう対策になるんでないかというふうに考えております。
  51. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 おっしゃるように、農業の分野の公共事業というのは一兆四、五千億円あるわけですね。これも、入札改善だとか単価の見直しだということで、農水省もこの数年で一〇%とか一五%減らそうと、こういうふうなことで、事業量はその代わり確保しますよということの中で、おっしゃるようにハードからソフトということでも財源一つもあるのかなとは思っておりますが、また今後ともいろいろと御指導いただければと思います。  さて、矢口先生米価下落についてちょっと触れられました。いわゆる経営の再生産できるためには米価下落というのは非常に重要な問題だという趣旨のことと理解しておりますが。最近の新聞の商品欄のページを見ますと、物によっては、お米、銘柄によっては大変もう高騰して物がないと。最近は表示の問題で、不当表示といいましょうか偽装表示で、もうとにかく消費者が表示がきちっとしたもの、安心できるものを買いたいと、こういうようなことで、検査米ですね。この検査米でなくてはなかなか売れないというのが実態のようでございまして、検査米の価格が上がっているとか、銘柄によっては非常に足らなくて上がっておると、こういうようなこともあるわけでございまして、農水省もそうだと思いますが、ブランド化をしていこうとか、正に売れる米を作ろうと、消費者のニーズに合った米を作る、これは米価下落にはならないで、いわゆる適正な表示にもこれも資していくのだろうと、こういうようなことだと思いますが。  この表示の問題でございますけれども、特にお米の偽装表示とか不正表示とか横行しておるわけでございまして、私も午後からの質疑でこの問題を取り上げようと思っておりますが、昨日のニュースを見ましても、全農の子会社の全農パールライス東日本ですか、正に食を担当する分野の子会社が偽装表示で農水省から改善指示を出されているという、誠にもって恥ずかしいような、昨日、記事が出ておりました。  先生、どうなんでしょうね。この表示ということについて、消費者の側に立ってどうあるべきなのか、もしお考えがございますれば、簡単で結構でございますが、お教えいただきたいと思います。
  52. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) 御質問の件ですけれども、確かに銘柄によっては米価が下がっていないところもあろうかと思うんですよね。ただ、一つ懸念されるのは、現在進んでいるWTOの交渉の結果次第、これやはり一つ考えておかなければならないだろうというのはあります。それと、確かに銘柄米の場合ですと、価格下落に歯止めが掛かるといいますか、物によっては高いものが出てくるというのがあるんですけれども、これはやはり、現在全農が中心になってやっておるんでしょうか、水田でのトレーサビリティーですか、米の、それも行われているようですし、その辺の努力がどういう形で価格に反映されるのかというのは一つあろうかと思います。  ただ、おっしゃるように銘柄によってはかなり安いものと高いもの、産地の振り分けが大分出てきておる。ですから、その辺で産地づくり推進交付金というんでしょうか、この辺をどう利用するかということが非常に地域にとって重要になってくる。つまり、地域地域で産地を作っていけば、単に米について価格を補てんするということをやりますと、それを見込んで価格下落しますから、一律そういう形ではなくて、地域地域によってブランドなりを作っていけば業者も買いたたきというのを全国一律にはできなくなるということもありますので、やはり地域単位のそういう、何というんでしょうか、直接支払といいますかね、そういう枠組みの中で個別個別の農家をどう生かしていくのか、あるいはグループの農業をどう生かしていくのかということを考えながら直接支払を考えていくということが私は大事ではないかなというふうに考えております。
  53. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 高根沢さんにお伺いしたいんですが、後継者、担い手がだんだんなくなっていくよと、こういう旨のことをおっしゃいました。  今回の農水省の担い手育成ということは、集落営農から特定農業団体、いわゆる集落営農集落型の営農ですね、これに持っていってそれから農業生産法人への法人化と、こういう何かステップを考えておるようでございまして、できれば将来的には農業生産法人も千ぐらい全国でと、こういう目標担い手の育成ということで、目標といいましょうか方向性を持っているようでございます。  先ほどの高根沢さんのお話を聞くと、集落営農で一人一人が自覚を持ってやらないと、隣より頑張ろうと、こういうようなことをおっしゃいましたけれども、この農水省の担い手育成のこういうステップですね、こういうことは一体全体どういうお考えをお持ちでしょうか、お伺いしたいと思うんですが。
  54. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) やはりこれからは、集落一つになってやはりやろうということは、確かにこれは必要です。しかし、経理まで全部一緒というのはどうも納得がいかないんだ、やっぱりね。というのは、昔からそういうふうにお互いに競争してここまで来たわけですから、それを全部一緒ということになると、やはり面積も違うし、そうすると当然所得も違うく振り分けなくちゃならないでしょう。そうすることによってやはりトラブルが起きてくる。同等ならいいですよ。でも、土地の出し分は同等じゃないでしょう。そこら辺がやはり本当に理解が出てくるかどうか。同じものでやるんならいいけれども面積が違うから、おれのが多いんだからということで、なかなかこれは、同一経理ということになるとね。ただ、作業とかそういう面についてはやはり能率良くこっちなら、片方からやっていこうと、こういうことで、集団的にそういう面はもう慣れたといいますか、ただ財布まで一つというのがどうもこれは当てはまらない、農民側から言うと。それ以外のやつですと、今の若い人たちの考えは、やはり女房を使わないで男たちでやろうということで頑張っているグループもございますから。だから、そこまでは大事ですが、その経理、この部分をもう少し軟らかくしてもらわないと、この担い手の安定対策は空振りに終わると、こんなふうに考えます。
  55. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 最後生源寺先生、今のお考えの、高根沢さんのお考えに対してはどういうふうに思われますか。
  56. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 水田農業といっても、かなりいろんなケースがあろうかと思います。相当熟度の高い集落営農という、こういう地域もございますし、今、高根沢参考人がおっしゃったような、熟度が低いという言い方をすると失礼になるのかもしれませんけれども、そうじゃない地域もありますので、ここは正にケース・バイ・ケースだろうというふうに思っております。  これは、研究会検討の中でもこういう集団的な営みをとにかく大事にしようという、こういうことまでは合意したわけですけれども、これを全国一律に、じゃこうしましょう、こうしましょうというのは、これはやはり無理だろうということを最終的に結論として得ているわけでございまして、ここはそれぞれの地域に合ったやり方ということが一番だろうと、こう思っております。
  57. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 矢口先生、もう時間がありませんので簡潔にお答えいただければと思うんですが、FTAですね、自由貿易協定。日本はいろいろアジア諸国から早く結びましょうというプロポーズはたくさんあるんですけれども、なかなか農業の分野が邪魔をしているという社説なんかもあるんですけれども、これについて、日本農業とFTAということについてはどういうお考えか、簡潔で結構でございます、最後にお伺いしたいと思います。
  58. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) 一言でといいますと、やはり農業生産の役割分担といいますか、その辺をもう少し考えていく必要があろうかなということだけお答えしておきたいと思います。
  59. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 終わります。  ありがとうございました。
  60. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  参考人皆さん本当に貴重なお時間、こうしておいでくださいまして、ありがとうございます。  それで、私は最初に、直接生産にかかわっておられる参考人皆さんからお聞きしたいと思います。    〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕  それで、白石参考人からお願いします。  先ほど詳しい資料も非常に、我が家の実態ということで出していただきまして、いろいろお話がありました。それで、今度の米政策改革大綱ですね、この中で「米づくりの本来あるべき姿」ということで、その実現を目指すというふうになっているわけですけれども、例えばここで、北海道では二十一ヘクタール以上の効率的、安定的な経営体が耕地面積の九割を占めることを目指すというふうにしているんですね。先ほどもお話がありましたけれども、そういうことなんですけれども、農産物の価格がずっと下がってきていると。そういうことが大規模な経営にも大きな打撃になっていて、育成するというよりもむしろ離農したりとか、そういうやっぱり実態に追い込まれているという現状があるわけですけれども、この大綱の示した方向で、この後、担い手育成ということで果たして本当にこうなっていけるのだろうかと。それで、北海道は特に大規模とか専業というのが多いわけですけれども、そこに対しての影響ということではどのようにごらんになっているでしょうか。
  61. 白石淳一

    参考人白石淳一君) 今現状、確かにもう二十一ヘクタールという水準を超えている農家というのがたくさん水田地帯でおります。しかし、この二十一ヘクタール、これをやっても今本当に大変だというのが実態なんですね。土地の所有の仕方は賃貸とか買取りとかいろいろあって所有しておりますけれども、しかし、土地もそういうことで確保して、さらに二十一ヘクタールに見合う農機具、これを入れて、そして経営しなきゃならぬということになるわけですから、本当にコスト的にどうなのかと。突き詰めると、米価がどんどんどんどん下がれば、それだけの装備していますからかえって苦しくなるという現象が起きてしまうんですね。実態はそうだと。  それでは、これから目指す姿の方向でいった場合にどうなるかということですけれども、今農家の人方、この水準がよく分からないということですよね。どの程度対策が、まで打たれるのかということがまだ明確になっておりませんから、二十一ヘクタールを作っても果たして経営をやれるかどうかというのは大変不安な目で皆さん見ております。  そういう意味では、まだまだ、そういう目指す姿の形の中でも経営が続けられるかどうかというのはまだまだ不透明だし、すべての対策を使っても、措置されたとしてもまだまだ分からないところがたくさんあるということを申し上げておきたいと思います。
  62. 紙智子

    ○紙智子君 非常に、これから先については未知数的なお話だったかと思います。  それで、そういう大変厳しい中でも、生産者皆さんは、やっぱり安全、安心な今食料に対する関心も高まっている中でも、そういう安全、安心なお米を作って届けるということでは本当に様々な努力をされていると思うんです。  それで、是非そういう努力というのは継続していただきたいわけですけれども、それを進めるためにも、今度の法改正とのかかわりで、いろいろ詳しくお話もされたんですけれども、更に言っておきたいことというか、そういうことがありましたら是非お願いします。
  63. 白石淳一

    参考人白石淳一君) 私の方でも今盛んに、やはり消費者の人方が米離れという問題もありますから、どう日本の米の生産を理解してもらうかということで非常に大事だと思っています。  それで、実は資料も出したわけですけれども、右下の資料で食糧モニター調査というのが私の資料の中にあります。これは食糧庁の数字から表にしたものですけれども、この中で、やはり輸入米についていろいろ国民、消費者の方々が述べているわけですね、考えているわけですね。特に、外国産米を購入したいと思うかというのは、九一%の方が買いたくないと言っていますし、安全性に不安だという方が六二%もおられるわけですね。やはりこの声にこたえるべきだというふうに私は考えております。    〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕  これを保障すると、こういう願いを保障するという意味では国産を残さなきゃならないわけですね。という意味では、やはり国内農業、国内の稲作、これを守ることが大前提だということを申し上げておきたいと思います。
  64. 紙智子

    ○紙智子君 それでは、次、高根沢参考人お願いいたします。  それで、生産者であるとともに農協の理事さんでもありますので、その立場からお願いしたいと思います。  米政策改革大綱は、二〇〇八年までに農業者農業団体が、先ほどもお話ありましたけれども生産調整主役という仕組みを実現するということです。それで、国の役割は助言、指導にとどめると。それで、このお米の需給価格形成にJAがその意味では大きな負担を負うということになるわけですけれども、それについて率直な御意見をお聞かせいただきたいと思うんですね。  私もいろいろ回ってくる中で、農協の方からも、所得補償もなくてメリットも低いと、こういう中で農協に押し付けられてもなという声も聞いてはいるんですけれども、今回の改革で、価格の維持ということになると、これはもう生産調整に懸かっているんだという話がされているわけで、実際に、実効性といいますか、これが本当に有効に機能するのかどうかということについて、農家との関係も恐らくいろいろ、接点というか、いろいろ説得しなきゃいけないところあると思うんですけれども、その辺りについて率直な御意見をお聞かせください。
  65. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) まず最初に、個人的な意見から言いたいと思います。  生産調整については、先ほども言ったように、これはまだまだやらなくちゃ、当然米の安定価格は得られぬのは十分承知でございます。その中で、先ほど言われたように、農協が主体となってやれと。今の農協は、確かに、何といいますか、信頼される部分もございますが、農民側からすれば、なければ困るんですが、やはり農協のいい部分を食べて、そしてまた別なところへ行って有利に生きていこうという農民が多くございます。  そういった中で、実際、それが農協中心となってやれと言われましたらば、実際、半分以上は自由に作るでしょう。今までは、お上がこれだけしなくちゃ駄目だよと言ってるから、こう何とか。もう農協では締め付けはできません、現状では。だから恐らく、その部分が一番私も不安に思っていますが、あらゆる形でやはり生産者の防波堤になり、農民がいかに有利に生きていくかということでいろいろアドバイスはいたしますが、やはり最後は自由ということが組合員は出してきますから、そんな形で恐らく、そういうふうになった場合は本当に混乱が起きるんではないかと、こんなふうに考えております。  農協としてもできるだけその辺は努力をしようといたしますが、努力をしても、今言うように自由に作って自由に売りなさいという法律でしょう、それをお上が管理監督しなくちゃできないでしょう。それがあるから今何とかこれやっている。分かってはいても、価格生産調整をやんなくちゃ下がるんだということが分かっていても、おれだけが作って高く売ろうということで乱れてきます。そんな感じはいたします。  以上です。
  66. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ、担い手経営安定対策というのが出されていて、この要件についてなんですけれども、規模要件について、農協の管内で実際対象になるということになると、どの程度あるでしょうか。そして、負担の割合とか所得の水準とか規模の要件について、もし御意見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  67. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) 規模についてはこのぐらいでいいんじゃないですか。  ただ、要件が、先ほども何度も言われますように、財布は一つじゃ駄目だと。これは栃木県の場合ですと、幾つも当てはまる集団は現在ございません。しかし、そういうふうに改正をするならばやはり考えざるを得ないと思いますが、恐らく今の段階ではそういうことは、我々農協としても進めても、実際、末端の農家自身がその部分は絶対無理であると、こんなふうに私は考えます。  ですから、本当にそんな形で残すならば、やはり段階を踏んで、作業、出荷、そのぐらいから進んでいって、やはり本当に協同でなければ、集落営農でなければ駄目だということが分かればこれは可能でしょうけれども、絶対、今までの進んできた道を考えますと、これは無理だと思います。
  68. 紙智子

    ○紙智子君 端的にお二人に、白石さんと、それから高根沢さんにお聞きしたいんですけれども、今度の米政策の内容というのは、周りの方々見て、生産者の納得と理解ということでは、これは得られていると思いますか。どうでしょうか。お二人、それぞれお答え願います。
  69. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) 納得は得られないと思います。
  70. 白石淳一

    参考人白石淳一君) まだほとんど説明がされておりません、現場では。農水省のパンフレット、色刷りのパンフレットがありますが、あれが回ってきた程度です。もちろん農協の職員などが中心になって説明しなきゃならないんですけれども、職員自体も説明できません。ですから、理解はできないというのが今現状ですね。  ただ、本当に不安な目で、果たして自分の経営がどうなるんだろうかという目で今見守っているというのが現状だというふうに思います。納得は、今の提起されているような水準では、なかなか得られないというふうに思います。  もう少し突っ込んでお話ししますと、いろいろ、農村集落の話合いの中でいろいろ聞いていますと、もしも自分が担い手対策から漏れるんであれば、これはもう政府の言うことを聞いているわけにいかないと、自分の身は自分で守らざるを得ないじゃないかという声がかなり強く出ます。現状もそういうことだということを申し上げておきたいと思います。
  71. 紙智子

    ○紙智子君 それでは、次に生源寺参考人にお聞きしたいと思います。  米政策について書かれたものを私も読ませていただきましたけれども、その中で、来年度からスタートをする新たな生産調整仕組みと、生産者が納得の上で参加する方式となるというふうに言っておられます。そして、参加者にはっきりとメリット措置があることを前提として参加する仕組みと、それを目指していると。逆に、リスクがあると承知の上で参加しない農業者もそれは出てくるかもしれないけれども、それも認めようということも書かれています。  今回の改革で、この価格の維持ということになると、これは生産調整の成否に懸かっているということで言われているわけですけれども、ということは、この生産調整に参加しない人が増えると需給のバランスが崩れていくという事態も避けられないということになるんじゃないかと思うんですね。  しかし、今法案が実際出されている今の時点でも、産地づくり交付金ですとか、それから過剰米の融資の単価ですね、この水準というのは明らかにされていないわけですし、いろいろ農水省が示した過剰米の三千円の問題ですとか、批判もずっと出てきているわけですけれども参考人が言われるはっきりとしたメリットの措置と、それぞれの経営判断の結果として多くの農業者がこの生産調整に参加する、参加が有利であるという、そういう助成措置の体系ということで、そうなんだというお考えなのかどうか。
  72. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 生源寺参考人、答弁は簡潔に願います。
  73. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 今おっしゃったのは、私の書いたものを引用をされておりますので、そのとおりでございます。  少し付け加えさせていただきますと、これは最初の意見陳述のところでも申し上げましたけれども、もちろん農家皆さんからいえば不十分ということになるのかもしれませんけれども、現在の生産調整に対して投入されている額というのは結構な額になっているということがあるわけでございます。ただ、それは全国一律で不効率というようなこともありますので、そこを組み直すことによってもっと、何といいますか、効果的なものにするということが一つあるわけでございます。  もう一つは、これは今の高根沢参考人からの御発言とも絡みますけれども、やはり一度その地域の中での相談の広いテーブルに農業者の方に着いていただくということが非常に大事だと、こういうふうに思っております。大変な不信感があるということは私も十分承知しております。十五年間を完全に準備の期間にしたということの意味も、いったんそのテーブルに着いていただいて、ルールを作っていくプロセスでおかしいということがあればそれもきちんと議論していただこうと、こういう趣旨からでございます。
  74. 紙智子

    ○紙智子君 もう一点お聞きしたいんですけれども、WTO交渉の中でも多面的機能という問題や、それから多様な農業の共存ということを我が国としては強く強調してきているわけですけれども、これ、国内政策の中でも生かされていく必要があると思うわけですけれども研究会の中でも恐らく議論があったと思うんですが、今回の生産調整研究会の報告には反映されていないんじゃないかと思うんですね。それ、どんな議論があったのか、なぜなのかということについて、お願いします。
  75. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 中山間地域の問題あるいは環境の問題、多面的機能の問題、この重要性を指摘する議論はかなりございました。ただ、私ども、かなり広く政策の洗い直しをしたつもりではございますけれども、そこにはある程度限界があるということでございまして、環境なり、多少その糸口を付けたところもございますけれども、中山間地域の問題はある意味では研究会議論では残されていると、こう申し上げた方がよろしいかと思います。残されているということは、今後の課題として議論する必要があるだろうと、こういうことでございます。  ただ、一点だけ付け加えさせていただきますと、研究会を通じての議論の中で、これまでの政策の反省ということもあるんですけれども、いろんな政策の目的を一つ政策手段の中にごった煮のように盛り込むことは、結局いずれも中途半端になってしまうと。したがって、今の議論の文脈で言いますと、中山間地域政策はやはり中山間地域固有の観点から政策を組み立てていく必要があり、環境政策はやはりそうだろうと。その間で当然調整の問題が出てきますけれども、最初から一緒に議論をするとなかなか整理できないんだと、こういう議論研究会の中でも随分強くございまして、できなかったことはできなかったと率直に、残していると、こういうふうに言ってよろしいかと思います。
  76. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございました。  それじゃ、最後矢口参考人にお聞きします。  最初のお話の中でも、現場の生産者のサイドから見るならば、やっぱりこの経営の再生産の所得を確保するということで、そのことがちゃんと担保されているかどうかというと、そこがやっぱりあやふやじゃないかという御指摘があって、私もそういうふうに思うわけですけれども、今回の改正所得補償については、これは質問でも実はやっているんですけれども、構造改革を阻害すると、支障になるということが言われているわけなんですけれども、そういうことで否定されているわけなんですけれども、その点について最後にお聞きしたいと思います。
  77. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) やはり所得を実現させるということが、担い手をこれから作るという点では非常に重要なことだと思います。それで、もう既に我が国に残っているその担い手というのは、もう本当に限られた段階まで来ていると。この現実は現実としてきちっと認めないとやっぱりいけないと思うんですね。この問題に対して、どのように政策的な意思を政策の中で反映するのか、あるいはまた政治的な意思を政策にどう反映させるのかということを国民にメッセージとしてやっぱり政策の中で出していくということが何よりも私は大事だろうと思います。その点だけ強調をしておきたいと思います。
  78. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本でございます。  四人の先生方、もう一時間四十分たったのかな、大変いろいろなことを教えていただきまして、大変有り難いと思っております。  私も同じようなことになるかもしれませんが、ちょっと切り口が変わる、変えて質問する、いろいろ教えてもらうつもりですので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  まず、生源寺先生のお話で、今まで手を付けていなかったというか、いろんな面で今度の改革研究会で取り上げられたというのは、これは大変いいことだ、立派なことだと思っております。ただ、内容的に、後でちょっと触れますけれども、触れていないところもちょっとあるような気がいたします。  それと、今度、なるべく農業者農業団体、実際の生産者の方の発意、創意に向けるということも、私はある意味じゃ大切なことだと思っております。といいますのは、私もそういう行政的な面で農業の責任を、責任者であった時期がございますけれども、もう十年以上前でございますけれども、やっぱりそのころの生産調整を見ていても、やっぱり中央型の生産調整の指導だと限界があるといいますか、中央、要するに農林省、全農ですか、そういうところでやりますと、いわゆる最後の収めが最小公倍数になっちゃうんですね。あれも入れ、これも入れということでやるから、どうしても逆にそこで不満が出てきちゃう。  むしろ、もうこれだけ生産力も付き安定したのであれば、そしてまた地域ごとの特性というのが非常に出てきているのであれば、最大公約数といいますか、各地方ごとが発想を持って、それを出せと。極端に言いますと、私は、皆さん米作りたいと、できるだけ、作れるだけ作れと、そういうときに、作ったらいいじゃないかと、責任者でありましたけれども申し上げたことがあるんです。  それで、こういうふうに作るよということを言って、各地方が言って、それが中央に上がったときに、日本の国としてまずければそれを修正すると。最初に全部最小公倍数で指導をすると全責任が来ちゃうわけですよ。地方から出てきたやつは、これは地方はこういう実態なんだと、それを最小限の、あれですね、許される許容範囲内としては国は国家としてこういうふうに認めると、そういう方式じゃなきゃいけないんじゃないかというふうに思っておりますので、そういう意味で、国から地方に、地方といいますか、そういう実際にやっている人に行くということは別に悪いことではないと思うんです。  ただ、そのときに大事なのは、実際に生産している方々の創意工夫なりやる気がどう損なわれないか、どういうふうにくみ上げるかということが大きなポイントになるんじゃないかと。  そういう面で一つ、私、この今回のこの米政策改革大綱のころからよくお聞きして感じるんですけれども、結局、単純に言うと、米も一般作物扱いになったんじゃないのかなという気がしてならないわけです。数量はどうの、余剰米はどうのなどと言いますけれども農家創意で、創意工夫でこういうものを作るぞ、そういうものに任すということは正にほかの作物と一緒ですよね。それで、ほかの作物も、農林省、指導、助言しながら共済制度を作り、いろんな価格支持政策をやっているわけですよね。そういう方向に米を持っていこうとしているんじゃないかなというような印象を持ったんですけれども、この辺をまず、それが一つと。まあ、まとめてお聞きします。  それと、これに載っていないという、この今回の改革検討されていないと思っていますのは、先ほどから出ておりますように、自給率の向上についてとの関連ですね。自給率向上というのは農業基本法のもう大目標なんですよね。もう農林省の、国の、農林省というか国の農政の大目標、これと、この今回の生産調整生産調整のそのやる目的の一つは、やっぱり需給が減少していく、きているからと認めているわけですよね。  それで、参考人先生方じゃないですけれども、前に、これかつて農林省の方にも質問したんですけれども、食わないからしようがないじゃないかというお話であったんですけれども、これは農林省の方針と全然違うのに何でそう簡単に受け入れるのかということがあるのと、その辺のこの方針との連携について先生はどうお考えになっているかということと、それから、これはちょっと感性的なといいますか感情的な問題になりますけれども、やっぱり米というのは日本の国家が成立したときから税金にもなった、租庸調の租ですか、税金にもなったし、お金の代わりを務めたわけですよね。と同時に、文化、伝統のバックボーンがずっと来たわけですね。これは、そういう基本食糧だからということで国が関与してきてずっと来た。それがここでばさっと、二千年来の歴史がばっさりと変わるという、その辺についてその研究会内でどんな御検討をされたのかということと。  それから、もうこれも先ほど出ましたけれども、やっぱり米の消費が減ったのは、先ほど来のお話で八〇年代までだというお話ですけれども、前回の委員会でも僕は申し上げたんですけれども、いわゆるパン食に変わったと。それだけじゃないんですね、アメリカの戦略というのは。欧米食に変えたんですね、小麦を中心として。大豆を持ってきて大豆の油を使えと。今までは油物を余り食べなかった日本食を、何でも油で料理しろというようなふうに根本的に変えた。それによって、原料、食料、その原料はどこから来たかというと、どこから作っているかというと、安いのはみんな海外にあるという、これが現状である。  だから、したがって、これから米の生産調整も結構ですけれども、また日本人らしい日本食の時代に持っていかなきゃいけない。これは農業関係者だけの仕事じゃないかもしれません。厚生省関係の仕事であると思いますし、これはまた別の機会に質問しようと思っているんですけれども、そういう日本食をもっと抜本的に普及させていくということについての御見解がありましたら、お話をいただきたいと思います。  以上四点、ちょっといろいろありますが。
  79. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 第一点と第三点はかなり重なっているというふうに私自身理解させていただきまして申し上げたいわけでありますけれども、また研究会での議論の内容をそのまま引き写すような発言にはならないかもしれませんけれども、お許しいただきたいと思います。  これは、米のみならず、すべての今の日本における食品について言えることかと思いますけれども、飽食の時代と言われておりまして、非常に言わばグルメの対象であり、生活をエンジョイするための、そういう高度に選択的な商品という側面が一つあるわけでございます。同時に、同時に、これなしに生きていけないという意味での絶対的な必需品という側面をもう一方で持っているわけですね。この両極端の性格を併せ持っているのが食料、食品だろうと思うんですね。それで、お米の場合も正にそうだろうと思うんです。  それで、今回の、私の理解するところを申し上げれば、食糧法改正主要食糧のこの法律そのものは残るわけでございますので、その食品、特にお米の持っている絶対的な必需品としての性格、これはきちんと押さえましょうと、しかしこの世の中で高度に選択的な商品である。お米も物によっては倍半分の値段の違いが出るほどいろんなものがあるわけであります。消費者のニーズもいろいろあるわけであります。それにこたえるようなことがないと、実は基礎的な食糧の確保ということも怪しくなるような、やや逆説的な関係があるだろうと。  ですから、今回は市場原理導入というようなこともある面ございますけれども、一方で主要食糧そのものも大事であるという、ここは外さないという、こういう検討の経過になっているかと思います。  それから、自給率につきましてはいろいろ議論がございます。私、ちょっと問題として感じておりますのは、麦、大豆、相当増えているわけでありますけれども、ある意味では、ちょっと言葉は悪いわけですけれども、カンフル剤を連続投与することによって何とか持ちこたえているという、こういう状況が強まりつつあるように思います。むしろ、農業経営として、農業者として、これは面白い、これを作って消費者に届けて消費者に喜んでもらうと、じゃ来年も頑張ろうという、こういう中で言わば人と土地が確保されて自給力。ふだん、私は、花を作っていたって構わないと思うんですね、自給率に何も貢献していない。しかし、いざとなればきちんとこたえることのできるような、そういう、人と土地が確保できるような施策を組む必要があって、その意味でいいますと、今の自給率の目標目標として、この中身をもう少し考えてみる必要があると、こういうふうに思っております。  最後の、四番目の食生活の問題でございます。  これは二〇〇〇年の三月に食生活指針、一番新しいものを作られたわけであります。ところが、私の理解ではこれは余り認知されていないというふうに思います。これだけではございませんけれども、もっと食生活について、元々国がそんなことに口を出すのはいかがなものかという、こういうあれもあるわけですけれども、私はそんなことはないだろうと思います。おかしな生活で国民の健康が損なわれればそれだけ社会の負担も大きくなるということも含めて、自給率の向上ということも含めて、これはもっともっと声を大にしてアピールすべきだと、こういうふうに思っております。
  80. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  先週ちょっと紹介したんですけれども、アメリカの小麦戦略のときには、大学の医学部の先生が米を食うと頭が悪くなるというようなことを本に書いたと、その本が大量に売れたという、そういう総ぐるみの戦略でやって、これで今のパン食といいますか欧米食に移って変わっていったというような分析もありまして、だから本当にそれを反省して、本当の日本食が最近見直されておりますから、その辺をしっかりと農業サイドからも攻めてもらいたいなと思います。  それともう一つ、自給率については先生のお話のとおりだと思いまして、私も盛んに言っているんですけれども先生、潜在的な生産量も言われましたけれども、需要の量にしても、要するに安全保障をしなきゃいけない。緊急時というのはいろんなケースがありますから、何も戦時ばかりじゃなくて、そういうものをしっかりと分析しなきゃいけないということと、この自給率向上というのを我々はみんな言っていますし、農業関係者はみんな言っていますけれども、これ本当に日本国民全体の声かというと必ずしもそういう感じしないですね。感覚的にはそうですよ。だけれども、恐らく外食産業とか中食産業というのは、恐らく一般の人が食べるよりも海外物が入っていると思うんですね。そういうものは安ければ買うというのがずっと続いちゃっているわけですから、その辺もしっかり、じゃ、どうなのかということを知らしめるようなことが農業サイドからもやるべきじゃないかなと私は思っておりますので、参考意見を言っては申し訳ないんですけれども、私の思いを申し上げた次第です。  次に、高根沢参考人、いろいろお話しいただきまして、環境に対する価格を払えと。確かに私もそのとおりだと思います。しかし、そのお話を聞いていて非常に残念に思うのは、昔から農家の人が自分は環境対策やっているんだといってやっていたわけじゃないんですね。やっぱり稲作をやれば、自分で一生懸命稲作をやれば、これ自然が相手だから、非常にいい稲作、いい状態ができると。それが都会の人が見たら、いい環境だな、いい景色だなということで、それでお互いに作る方も見る方も、そんな金を払えとかどうかじゃなくて、それでお互いに認め合ったというのが日本人の今までの気持ちじゃないかなと。そういうものが何も金でぎすぎすするというのはいかがなものかなというような感じもするんです、それは感情的には。  ただ、私、実際現地でいろいろ農業指導、指導ではないですけれども農業行政やっておりまして、農業というのも非常に環境に負荷する、環境の悪化に負荷するところがあるんですね。要するに窒素そのものが、肥料の三要素の一つが窒素ですから、窒素というのは御存じのとおり物すごく環境に負荷させると。それからまた、無農薬農業といいますか、こういうものがなかなかできないと。農薬を使うとまたそういうものもある。したがって、環境ということを農業の方が打ち出すにはその面も考えなきゃいけないと思うんです。その辺についてどういうお考えをお持ちか、そういう自然農業とかそういうように向かうべきなのかどうかということと。  それから、よく言われている地産地消、身土不二とか、これは感覚的にはみんな分かっているはずなんですけれども、これ聞いても、あれですよね、じゃどうしてなのかと。したがって、口で言っても実際に行動に出るかというとなかなか出ないのが現実じゃないかと思うんですけれども、その辺の地産地消についてどんなふうに我々は考えたらいいのか、どういうふうにPRしたらいいのか。その二点についてちょっとお話を伺いたいと思います。
  81. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) 今、環境問題で金を出せと、これは極端に言ったわけですが、実際米の値段が、先ほども言ったように、サラリーマンと同じ所得が得られる金額であればそこに含まっているんだなと私たちも感じて、それは言いません。ただ、そういうことで市場原理で来るならば、じゃこの部分はどうなんだと、こういうことで、おっしゃったわけですので、御理解をお願いいたしたいと思います。  さらに、無農薬、地産地消ですね。これについては私たちも銭は掛けたくない、実際言って手取りが多いわけだから。だけれども、例えばキャベツにしたって、無農薬で穴の空いたキャベツと、薬をみっちり掛けてきれいにぴかぴかに光っている、これを置いたら、こっちのいいやつを買っていくんですよ。こっちは安全なんだよ、こっちは薬掛かっているんだよと言ったって、消費者皆さんはまだまだこっちを買っていく時代ですよ。  だから、なかなかその辺が、消費者皆さんの御理解もないと、絶対無農薬では作れませんから。今の、山の中のぽつんとしたところでは別でしょうが、普通のところでは最低のやはり農薬を使わないとできません。また、そういうことで市場も、形のいい、つやのいい、それをやはり持ってこなくちゃ駄目だよということで、市場もやはり責任があると思いますよ、消費者のほかにも。  だから、その辺を考えていかないと、やはりこれはなかなかいいんだけれども進まない。本当は虫食っているから安全なんだよ、もう賞味済みだから。そういうことで、できるだけ地元で取ったものは地元で消費しようと、こう考えていますが、なかなかその辺のバランスがうまくいかないのが現状です。  できるだけその辺も、私たちも手取りが多いことを考えていますから、当然無農薬のことも考えて、できるだけ安全なもの、薬を使えば私たちの手取りが少なくなるんだから、それは絶対間違いないですよ。で、顔が見えているんですから、どこまで行ったって責任持ちますから、輸入物と違いますから。ただ、そういうふうに消費者も考えているし市場も考えているから、野菜なんかはそういうことでなかなか進まない面もあるということでお願いをします。
  82. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  やっぱり、何といいますか、さっきの日本食と一緒で、PRといいますか、本当のところを教えなきゃいかぬということなんですね。これもやっぱり農業だけの問題じゃないなというような感じがいたします。  次に、矢口参考人一つだけちょっとお願いいたしますが、所得直接支払といいますか、所得補償のお話がございました。私もある意味で、こういうことでできればいいなということは思うんですけれども、かつて、今やっている中山間地域の補償、所得補償ですね、あれ声が上がったときに、私、地元にいて、なかなか賛同する声が逆に地元から起こってこない。よくよく聞きましたら、どうも何か、理解が不十分なせいもあるでしょうけれども、生活保護的な感覚で取られる面があるんですね。そういう面が依然としてまだあるような感じがする。今、団体に上げるようになったことによってそれはかなり解消したと思いますけれども。  それともう一つは、やっぱりこの直接支払というのは受け身の対策ですよね。足らないものに補てんすると。その辺で、逆に言えば地域の人たちは、もっと我々はそういう、もっとやりたいんだ、前向きにやりたいんだ、ほかのこともやりたいんだと。先ほど先生ちょっと言われた、生源寺先生だったですか、中山間ですと確かに農業だけじゃできない、活性化を図るには。ほかのものも取り入れて何かやると。  一つの私、前からこういうアイデアとして言っているんですけれども、ポジティブな所得補償として、中山間地なら、そこでやる人間、何か企業意識を持ってやるときは、やっぱり軌道に乗るまでは一年なり二年なり所得がないかもしらぬ。そういう人たちに一年なり二年なりを所得補償してあげると、ずっと長くやっちゃ駄目ですけれどもね。そういうポジティブな所得補償ということもあるんじゃないかなというような感じを持っているんですが、その辺何かちょっとお知恵がございましたら教えていただきたいと思います。
  83. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) 基本的にはやはり、高根沢参考人も言っておりましたけれども、無償の管理労働を有償化するということに対する、それを明確に評価する市場がないので、それを政府が代わってその不足する部分を補てんをするんだと、市場に代わって政府がそれを補てんすると、こういう考え方ですよね。ですから、確かに生活保護的なというふうな見方もあろうかとは思いますけれども、やっぱり経済学的には必ずしもそういうふうには理解されておらないわけですよね。  あと、もうちょっと、じゃ包括的な直接支払という話ですけれども、私は、ふるさと創生資金がかなり大分ありましたけれども、前に。批判もありますけれども、あの交付金的な性格、一定の要件を作ってそれを満たせば何がしかの地域で自由に使える、そういった交付金制度みたいなものを作るという形で、むしろ地域政策という辺りに重点を置いて、その枠組みの中で、農業をやりたい人であれば、そこでは市町村の裁量でその交付金を自由に使えるというような、そんなふうなイメージの直接支払といいますか、地域政策の在り方もあるんではないかというふうに考えております。
  84. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。
  85. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 中村敦夫でございます。木枯らし紋次郎は農村出身なんですけれども、私は東京出身なものですから、農業の素人でございますけれども。  今回のこの法律なんですけれども一つ法律が出てきたときには、大体方向性、大きな方向性、エッセンスみたいなもの、つかみやすいというか、つかむことによって簡単な分かりやすい略称で呼ぶわけですけれども、なかなか、この内容を読むと、何と呼んでいいのか、人に一言で何と説明していいのか、分かりにくいんですよね。一生懸命考えて、これは果たして、これは減反政策廃止法と呼べば大体分かるのかなと思うけれども、実際には減反せざるを得ないケースもあるだろうし、農水省も指導的な役割というのはあるわけですから、そういうふうにもならないだろう。需給価格規制緩和法なのかというふうに呼べばいいのか、そういうふうに考えても、じゃそれは生産者の活力増強のための積極的な改革としてなのか、それとも、農水省がもう複雑過ぎてお手上げだからとにかく生産者の方へお預けしますという丸投げ的な法律なのか、どうもよく分からないんですよ。  一番よく分からないのは、この法律が施行されたら現実に一体何が起こるのかと。いろいろな問題をはらんでいますから、なかなかやってみないと分からないという部分はありますでしょうが、皆さんはそれぞれの御専門の立場から、この法律が施行されれば、これは良いものでもいいですよ、悪いもの、こういうことは確実に起こるんだというようなことを一点でも二点でも、確実に起こるだろうということを例証していただきたいんですが、お一人ずつ、二、三分ずつでも結構です。
  86. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 確実に一〇〇%というふうに問われますと、私もなかなか将来のことに関しては言いにくいところはあるわけでございますけれども、もう既に起こりつつあるという意味で確実かと思われますのは、市町村で、その地域農業について一度心機一転考え直そうではないかと、こういう動きが出てくることは確実だと思います。また、それを期待しているわけであります。  これまでは、私も申し上げてまいりましたように、減反を含めて、言わば上意下達で、ある意味で枠の中にとにかく押し込める、そのために膨大なエネルギーを使ってきたわけでありますけれども、そこを改めようと。したがいまして、この地域でお米で今度はむしろ拡大していくのか、あるいは別の品目に行くのかということについての話合いが行われる、またそれへの実現へのステップが踏まれる、恐らくそういう地域が出てくるだろうと思います。それがある種のいろんな意味でのモデルとなって、すぐにはそういう状況にならないところもキャッチアップしていくような、そういう一つの動きというものは生まれてくるんではないかと。現に、既にそういう準備が進んでいるところもあるというふうに理解しております。
  87. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) これが実現されますと、半分以上の農家は恐らく倒産すると思います。なぜならば、きつくて付いていけませんから。  以上です。
  88. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) 今出されている農業構造転換計画というのがありますけれども、これがどのように地域できちっと議論されて作られるのかどうか、また、それに基づいて、いまだに不明ですけれども、予算規模がはっきりしませんが、どのような対策が打ち出されるか、政策的意図がどのような形で明確に明示されるのか、それいかんによって将来を決するだろうと思いますけれども、その内容によっては、高根沢参考人が言うように、担い手そのものもいなくなる可能性があるかもしれないということが言えると思います。  それと、思い起こせば、八〇年代前半に地域特対事業というのがありましたけれども、ああいった事業も、数年やって終わりというふうな形にならないで、政策の継続性というものも併せてこの際考えていく必要があるのではないかというふうに思います。転換の時期を十年という形で期間を設けているようですけれども、そういった政策の継続性というのも大事ではないかというふうに私は考えております。
  89. 白石淳一

    参考人白石淳一君) 何が確実に起こるかというふうに言われれば、やはり高根沢参考人と私、同意見なんですが、農家がやはり減るということは確実に起こるというふうに思います。  その減る中身ですけれども、もちろん、高根沢さんが言われるように、これじゃとてもできないという方もおられるでしょうし、これじゃ将来とてもじゃないけれども不安でやっていけないという方もおられると思います。見切りを付けるということですね。そういう方も含めて、米作り農家が相当数この法案が通されると減っていく可能性が大だということを申し上げたいと思います。
  90. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 今の四人の方の御意見を伺ったわけですね。確実に起きることは何かというふうな質問に絞ったわけですね。生源寺先生は、根本的に市町村がこの農業問題についてみんなで自主的に語り合う非常にいい機会になるということで、これは大変そうであればいいわけですけれども、ほかの三人の方々、半分以上の農家は倒産するだろう、確実だという話でしたよね。担い手がいなくなるだろうと、これも確実。こちらも農家は減るということで、三人の人たちはとにかく農家がつぶれていくという法律だということを言っているわけですね。  そうすると、生源寺先生、つぶれていってしまうんだったら、みんなで話し合っていてもこれはしようがないなと、話し合うことはいいわけですけれども、どうなんでしょう、これ。
  91. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 数字、細かなところについて不正確なところがあるかもしれませんけれども、今、たしか基幹的農業従事者と言われる方が二〇〇〇年で二百四十万人おられるかと思います。今の人口構成の、また過去の流れをそのままトレンドとして延ばしますと、二十年後には百二十九万といいますか、大体半分ちょっとぐらいになると、こういうことになっております。これは主として、加齢、年齢が上がることによってリタイアするという、こういう形でもって確実に農業担い手というのは減ってまいります。したがいまして、倒産ということとは別に、これはこれとして避けなければならない、そういう手だては用意しなければいけないわけでありますけれども、しかし同時に、今のその農業者の人口構成から見て、特に土地利用型農業の場合の人口構成から見て、ほうっておけばこれはもうどんどんどんどん先細りになるということは間違いないと、こう言ってよろしいかと思います。  したがって、むしろ今大事なことは、担い手の問題というのは、二年や三年、あるいは五年やそこらで解決できる問題ではないと思うんですね。今の人口構成というのは、結局、三十年前、四十年前に後継者になるかどうかということを迷った方の判断によって今の構造があるわけでありますので、今できることは、今から二十年後、三十年後にちゃんとした若い、そのころになればもう若くなくなるんでしょうけれども、今若い人に入っていただいて、それをとにかく全力を尽くすことによって十年、二十年、三十年後にもちゃんと日本の農業を支えていただける方を確保することだと。私、地域の話合いと言った中にはそういうことも含まれているわけであります。若い人が参入するようなそういう形にしなければ、言わばトレンドとして消滅していくというのが今の状況というふうに認識をしております。
  92. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 農業というものが大変難しいのは、これは工業製品ではないということですね。非常に不安定なものだという特徴がありますね。しかも、しかしそれがなくなってしまえば、価格の問題ではないんだということがまず前提にある。これはもう人間は動物ですから、携帯電話がなくても生きていけますけれども、食料がなかったらもたないというほどの違いで、そもそもこれを一緒の価値観で論じること自体がこれはずれているものだと思うんですね。しかも、農業の場合は非常に長期的展望というものを基礎に物事を考えないといけない、そういうジャンルであると思います。  今回の法律なんかは、今までのいろいろな矛盾、複雑さ、そうしたものをもうちょっと整理して見直そうじゃないかという部分はあると思うんですけれども、あくまで、現状のそうした価格の問題だとか、もちろん貿易との格差の問題とか、そうした現状の問題をどういうふうに、びほう策ということではないけれども、対症療法としてやろうかということの整理をするというような法律だと思いますが、もっと長期的に見ると、我々に将来確実に起きてくる、避けられない条件というのがあるわけですね。  それは、人口がだんだん減少していくということですよ。これは少子化社会という言葉で呼ばれていますけれども、厚生省なんかの関係のシンクタンクなんかの発表で、明らかに百年後にはもう大体日本の人口は半分になる、二〇〇六年をピークに下がっていくというきちんとした予測が出ているわけですよね。これは何かの奇跡的なきっかけで増えるというふうには私はならないというふうに思います。ですから、人口そのものが全部減っていくと。だから、需給という問題もそうした想定でもって考えていく必要もありますし、担い手という問題も、そこにも関係していくわけだと思うんですね。  もう一つの要因というのは、石油が地球上にもうあと採掘可能な量が四十年分しかないということで、石油文明というものが今世紀中にどんどんどんどん変わっていくわけです。これは大変な事態なんですね。別の言い方すると、これからは終わりなきオイルショックが始まっていくわけですよ。ところが、大型農業、そして日本の農業もほとんどこの石油に依存した形で進んでいるわけですよね。ですから、そうした条件があると、これはもう価格というものに決定的な影響を与えるわけです。  ですから、人口減少と、それから石油の減少というこの二つのことを考えないで、これから将来の農業というものを考えることは多分不可能だと思うんですね。  この問題について、何か日ごろお考えになっていることがありましたら、一言ずつお答えいただきたいと思います。
  93. 生源寺眞一

    参考人生源寺眞一君) 人口減少とエネルギーの問題は、これは日本の問題と世界の問題ということがあるわけでございますけれども、恐らく三十年、五十年のスパンで見れば、当然そういう問題が言わば前面に制約条件として出てくるというふうに考えてよろしいかと思います。ただ、今現在はそれが目に見えてこないというところに非常に悩みがあるわけでありまして、また、市場のメカニズムだけでいえば、将来のそういうようなことはほとんどむとんちゃくだと、こういうことだと思います。  したがって、特にエネルギーの問題については、やはりもう少し、今、議員御指摘のようなことを、農業についても石油が絶たれたらこうなるよというようなことをかなりドラスチックに示して、将来こういうことが起こるとすれば今何を準備しておくかということをきちんと議論しておくべきかと、こう思います。  それからもう一つ、これは全く私の個人のあれでございますけれども、それに加えて、日本の経済そのものが恐らく極めて低い、ベストで極めて低い成長の時代を恐らくずっと長く続けることになるんだろうと、こう思います。  そうなりますと、成長のない中で一人一人がどういうところに生きがいを見いだしていくかという、ここをもう一度考え直す必要があって、そこが私は、農村なりあるいは農業を見直す、言わば生き方の問題として見直す一つのきっかけになるんではないかと。それは実はオイルの問題にもどこかでつながっているんではないかと、こう思います。
  94. 高根沢市夫

    参考人高根沢市夫君) 今の人口の日本の減少については、これは本当にそうだと思います。そんな中で、確かに、自給率はそうすれば確かに上がってきますが、世界的には増えるんだということで私たちは聞いております。  そんな中で、石油が四、五十年先なくなると、こんなことを今言われましたが、私も勉強不足で、その部分は今の仕事に忙しくて勉強してこなかったんですが、やはりその部分については、今の科学ですから、それに代わるものが出てくると、こんなふうに期待をします。もしそれができなければ、我々は万能で二反歩ぐらい作って自分の食うだけは作れますから、その覚悟はできていますから、そういうふうにならないようにいろいろな面で勉強していただきたいと、私たちもこんなふうに思っております。  とても勉強する暇ない。今の生活に追われて、今日も五時に起きて水回りをしてここへ来たわけですから、もう朝、太陽と一緒に起きて、沈むまでやって、やっとこ支えているような現状ですので、よろしくお願いをいたします。
  95. 矢口芳生

    参考人矢口芳生君) 石油がなくなるという話がありましたけれども、たしか七〇年代にもローマ・クラブが二十年ぐらいで石油尽きるよというような話があったかと思いますけれども、それでもまだ石油ありますよね。ただ、遠い将来見越した場合、エネルギーの大転換が恐らくあるんじゃないかと思うんですね。石炭から石油に代わったように、石油から次の新しいエネルギーに大きく代わる。代わらないとしても、今、石油漬けの農業と言われていますけれども、例えば二〇〇〇年の数字でいいますと、一億三千二百万キロリットルの消費量ですよね、石油。そのうちの八・六%しか農業分野に使っていないわけですよね。  ですから、食糧安保だとかいろいろな議論ありますけれども、今、国家備蓄やっていますから、その優先的使用によって農業は絶えず農業再生産ができるという問題もありますし、そういう意味では、余り石油問題については私は深刻には考えてはおらないんですけれども、いずれエネルギーの大転換が、エネルギー利用の大転換が起こるんではないかと思うんですね。  日ごろ考えているということなんですが、先ほど来ありましたけれども担い手がいない、担い手がいない、少なくなってくると言いながら、担い手対策はどういう担い手対策があったのかということが、もう一度考えてみる必要が私はあると思うんですね。  例えば、EUなんかですと、中山間地域に夫婦で新しく新規に入ってきますと、例えば三百万円程度の新規参入助成金、まあ奨励金みたいなものですけれども、そういうものがあって、それでなおかつヨーロッパの場合には、我が国なんかから比べればはるかに若い世代の農業者がいるわけですけれども、それでも農業者が老齢化して大変だという議論もしているわけですね。しかし、我が国はそういった担い手に対する奨励制度さえもない。それで担い手がいないということを言っていると。  ですから、やはりそういった政策も含めて、また農家の方の側のやっぱり主体的な受け止め方も大事だと思いますけれども、そういう意味では、今度、経営安定対策では農業構造転換計画を地域地域で作るということなんですが、これがどの程度本当に現場に密着する形で地域の方々が本当に作れるのかどうか、ここにやっぱり私は大きな試金石があるし、それに対して、政策的意図がどれだけそれに対してこたえられるのか、それに懸かっているように私は考えています。
  96. 白石淳一

    参考人白石淳一君) 日ごろどんなことを考えているのかということですけれども、人口の減少の問題、エネルギーの問題言われましたけれども、私は、食の問題というのは、これは世界的に見れば、確かに日本ではかなり輸入も含めて豊富ですけれども、将来、食糧危機という問題がかなり指摘されているわけですよね。そういう中で、日本が本当の生産できるそういう基盤を失っていいのかという問題をもっともっと真剣に論議する必要があるんじゃないかというふうに思います。  日本が発展途上国の食料を輸入してくるということになると、そこの国民が飢えるわけですよね。それで本当に国際貢献と言えるのかという問題も含めて、大いに考えていく必要があるという問題が一つです。  もう一つは、農業というのは地域経済の守り手だということを私、言いたいと思うんですね。特に、北海道なんかは、第一次産業農業、漁業が柱ですから、これがなくなっちゃうと町そのものが要らなくなっちゃうんですね。人いなくなっちゃいますよ。だから、日本全体を大事にして発展させるという視点から見たら、農業を大いに大事にしていく必要があるということを二つ目として申し上げたいと思います。  もう一つだけ申し上げたいんですが、担い手の話です。  私、私自身もそうですけれども、農村に後継者がいないというふうに言われますが、実は後継者いるんですよ。子供さんいない人の方が少ないですからね、私も息子いますけれども、息子も娘もおりますが。私の場合は、後継者が今実際に農業を継いでいますからなんですけれども、ほかの方々もいるんですよ。ただし、今の現状では、とてもじゃないけれども、息子さんがお嫁さんをもらって飯を食べていけるかということがネックになって、後継者がいないという話になっているんです。  ですから、先ほどから論議になっているように、農家の経済がきちっと確立される、そうなれば、農業に魅力を感じている若い人方はたくさんおりますから、もっともっと後継者が増えるということだけ申し上げておきたいと思います。
  97. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 終わります。
  98. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴させていただきました。誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして、一言御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  午後一時三十分に再開することとし、休憩をいたします。    午後零時三十二分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  99. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  主要食糧需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、農林水産省経営局長川村秀三郎君及び食糧庁長官石原葵君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  101. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 休憩前に引き続き、主要食糧需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  102. 松山政司

    ○松山政司君 自由民主党の松山政司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まずは、我が国における米の位置付けという観点から、正に基本的なお尋ねでございますけれども太田大臣の方にお伺いをさせていただきます。  米は、言われるまでもなく我が国国民にとっては主食であります。また、稲作は我が国農業の礎でもありますし、大変歴史も古く、最近、日本の稲作の始まりは弥生時代ではなくて縄文時代にさかのぼるのではないかと、そこまでお話もあるようですけれども、この米と稲作はいにしえから現在に至るまで長い間日本人の生活に深くかかわってまいりました。日本人の精神、文化の在り方そのものと言ってもいいほどに大きな影響を与えてきたというふうに思います。和をもって貴しとなすという日本人の美風美徳は稲作の共同作業がその由来ではないかと思われるわけですが、我々の祖先から営々と水田を守り続けて、急峻な山よりも芸術的と言えるこの技術と知恵を持って棚田を築き上げてきたわけでありますが、そしてその棚田は日本が世界に誇る文化遺産となったところであります。  そこで、いま一度国民の食糧としての米の位置付け、そして農業における稲作の位置付けというものを基本的にどのようにお考えであるのかを改めてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
  103. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 今、松山委員、正におっしゃるとおり、日本の食文化、あるいはこれはモンスーン地帯における米、稲作というものは、このアジア・モンスーン地帯の中では生産していく中でも一番大事なものではなかろうかなと、こんなふうに、また適地適作という考え方からも米というものは大事な位置を占めていると思っておるわけであります。  そういった中で、消費面では供給熱量の約四分の一を占めるなど、主食として重要な地位を占めておるところでございます。また、生産面では農業粗生産額の約四分の一を占めるとともに、販売農家数の約四分の三が生産するなど、我が国農業中心的な作物でもあるわけでございまして、また生産装置である水田は、国土、自然環境の保全、それから水資源の涵養などの多面的機能を有しており、国民生活や国民経済上重要な役割を果たしておるものと考えております。
  104. 松山政司

    ○松山政司君 ただいま御答弁賜りましたように、米は我が国農業にとって欠くことのできない、農家そのものと言ってもいいほどの作物であると思います。また、水田は、米を生産する場であることに加えて、文化の伝承でありますとか、あるいは日本の環境保全を守っていく多面的機能の発揮という国民にとっても大変重要な役割を果たしているというふうに思います。  しかしながら、この米、稲作をめぐる状況を眺めてみますと、これまでの政府の様々な御努力にもかかわりませず、その米需要は減少傾向が続いている、また一方で、豊作によって在庫の積み上がり等々の原因として米価が下がってきたと。加えて、この米の作り手である農業者については、高齢化や後継者不足の問題が生じている中で耕作放棄地も無視できない状況が生じてきております。  このように、水田農業は今、正に閉塞状況にあると言っても過言ではないかというふうに思いますが、この米政策改革大綱を受けて今回の食糧法改正が提出されているわけでありますが、ここに太田大臣にいま一度お伺いをさせていただきますが、現在の需要量の減少、農家の高齢化等の問題が生じている中で、今までの政策の中で、どこに、何が問題であったか、そしてそれをどのように変えていこうとしているのかということを改めてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
  105. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) これまで、生産調整を始めとして各般の施策を実施をしてまいったわけでございますが、その際に、だれのため、それから何のために生産調整をするのかという、そういったメッセージが農業者に伝わっておらなくて、また、生産調整助成体系が複雑で理解しにくい仕組みとなっておるというふうなことも言われてきたわけでございます。米生産に対して様々な助成を行う一方で、米減産にも多額の財政資金を投入するなど、非効率的な施策となっておるところでございます。  生産調整配分理由やその経緯が、経過が不透明である上、政策効果がきちんと検証されないなど、政策の透明性が確保されていないなどの問題点がありましたので、こうした政策が課題として米の閉塞状況を招いたと認識をいたしておるところでございまして、このため、今回の米改革におきましては、米の閉塞状況を打開いたしまして、水田農業の未来を切り開く観点から、消費者重視、それから市場重視の視点に立ちまして、分かりやすさ、それから効率性、透明性を確保しつつ、需給調整対策、生産構造対策、流通政策などの改革を整合性を持って行うことといたしまして、これにより、生産者が作る喜びを感じられるとともに、消費者の選択の幅が広がるようにしてまいりたいと、このようにしていきたいと思っておるところでございます。
  106. 松山政司

    ○松山政司君 続きまして、米の需給に関する情報提供についてお伺いをさせていただきます。  平成二十年度までに、農業者農業者団体が自主的、主体的に取り組むあるべき需給調整システムを、これを実現するためには、十六年度から直ちに、農業者に的確に需給情報が伝わる体制を構築する必要があるというふうに思います。  その際、この米の需給情報については、例えば全体需給の動向でありますとか、農業者自身では必ずしも十分に集め切れないものがあるというふうに考えます。であれば、農業者需給に、需要に応じた生産をしっかり行えるように、必要な米の需給情報については国が収集をし、そして適切な分析を加えてこれを農業者に対して適時適切に伝えていくと、これは極めて重要なことであると考えております。  そこで、今回の米政策の見直しでは、国はこれまでの基本計画を見直して、基本指針を策定をして、その中で米の需給情報を提供していくこととしていると聞いておりますけれども、具体的にどのような情報をどのように流していくのかということをお尋ねしたいというふうに思います。
  107. 石原葵

    政府参考人(石原葵君) 需要に応じた売れる米づくり、これを実現するためには、それぞれの地域農業者それから農業者団体が米の需給に関する様々な情報を鋭敏に感じ取れるようにしていくことが非常に重要でございます。このため、十六年度以降の生産調整は、生産調整目標面積、これまでの生産調整目標面積を通知して行う方式から、それぞれの地域生産目標数量を通知して行う方式に変更することとしております。そしてまた、適時適切に米に関する情報を、ただいま委員の方からお話ございましたように、基本計画というこれまでの形から基本指針という形で明らかにしまして提供をしていくことにしております。  その基本指針でございますけれども、我々、三つの点をここで明らかにしようと思っております。  一つは、米の生産、流通消費等に関する動向を分析しまして、米に関して幅広く情報を提供することでございます。具体的に申し上げますと、中長期的な動向及び直近の特徴的な動きについての分析を行うという、これとともに、需要に応じた米作りの取組の先進事例、農協によりましては、これが本当農協のやっていることかと驚くような取組をしている事例がございます。そういうビデオもできておりますが、そういう米作りの取組の先進事例、そういうものを積極的に紹介していきたいというふうに考えております。  それから二つ目でございますけれども、国や関係団体等から入手した客観的データ、これを基にしまして見通した需要予測を明らかにするということでございます。具体的には、前年産米の生産数量とそれぞれの産地、銘柄の売行きを反映いたしました在庫量の増減から需要実績を算出しまして、それを基に需要を予測したいというふうに考えております。これが第二点でございます。  第三点が、米の安定供給を図るための基本方針を示すということでございます。具体的には、消費者に端境期におきましても米の安定供給については心配はないんだということを感じ取っていただくために、端境期等における消費者への安定供給を確保するための方策、あるいは備蓄の運営方針を示したいと考えておるところでございます。  以上申し上げました三点が中心となるわけでございますけれども、言わばお米の白書的なものを年に三回策定、公表することで、関係者の皆様に、需要に応じた売れる米づくりに取り組めるようにしていきたいと考えておるところでございます。
  108. 松山政司

    ○松山政司君 これまでの需給調整でありますが、国の主導の下に行われていました。そのために農業者農業者団体においては、自分たちが生産なり販売を工夫をして、そして需要をしっかりとらえて売り先を意識して取り組んでいくという、その意識には必然的に乏しかったと思うわけですが、これが農業全般に対して行政への依存組織あるいは創意工夫が十分でなかった原因の一つになっていると考えます。  一方、ただいま答弁いただきましたように、改正食糧法の下で示される基本指針には需給に関して重要な情報が示されるわけでありますけれども、生産に当たっての情報を有効に生かすには農業者の側がより主体的に情報をとらえて活用していく必要があるというふうに考えます。そう考えると、これからの農業の発展は農業者農業者団体の主体性、自主性に懸かっていると言っても過言ではないのではないかというふうに思いますが。  そこでお聞きをいたしますけれども、この平成二十年度までに農業者農業者団体主役となるシステム、これを構築するために従来のシステムをどのように変えていくのか、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
  109. 石原葵

    政府参考人(石原葵君) 今回の米政策改革におきましては、ただいま委員の方からのお話にございましたように、遅くとも平成二十年度までに、農業者農業者団体が主体的な経営判断によりまして、地域の販売戦略に基づいて需要に応じた生産に取り組む、いわゆる農業者農業者団体主役となるシステム、これを構築したいと考えておるところでございます。このような姿を実現するためには、需要に応じた生産が行われる、そういう姿にしていくことが重要でありますので、十六年度からのいわゆる当面の需給調整におきましては、一つには、従来の生産調整目標面積配分、これから生産目標数量配分転換するということを考えております。それから二つ目には、生産目標数量は前年の需要実績を基礎に客観的な需要予測に基づき設定し配分することとしております。三つ目には、農業者団体等が米の生産目標数量の設定方針や米以外の作物等の生産の指針を内容とする生産調整方針、これを策定することを考えております。以上のような対応で当面の需給調整をきちっとやっていきたいというふうに考えておるところでございます。  このような仕組みで動かすわけでございますけれども、その仕組みの下では、農業者農業者団体におきまして、一つには、自分たちが生産した米がどこにどれだけ、幾ら価格で売れているかというその需要予測、需要動向を的確に把握した上で米作りに取り組むことが経営の安定を図るために重要であるとの意識の醸成を図ることが重要でございます。  二つ目には、どのような銘柄、品質の米をどれくらい作ればいいのかという考え方をベースにした生産販売戦略の構築に取り組むという環境整備を進めることが重要でございます。  実は、この点につきましては、先日ある県の中央会の会長さんとそれから県連の会長さんだった方といいますか、実は福岡県の方でございますけれども、来られまして、お話を伺ったところによりますと、これまでの米作りに比べまして五倍から十倍米作りについて勉強しているというお話がございました。  それからもう一つは、その元県連の会長さんだった方でございますけれども、去年までは必ずしも米を売るということはそれほど、余り意を用いなかったと、要するに、作れば、それを農協に出荷すれば売れたものと考えていたわけでございますので、その点について意を用いることがなかった、今はとにかく自分たちが生産した米がどのように売れるのかということをまず第一に考えるようになったというお話がございました。  我々、そういうような意識の醸成といいますか、意識改革が行われることが今回の米政策改革を成功につなげるものだと思っておりまして、こういう各県の取組、特にJAを中心とする取組、これに期待しているところでございます。そういうことによりまして初めて、農協中心とします自主的、主体的な需給調整が行われる姿、これが実現するものと考えているところでございます。
  110. 松山政司

    ○松山政司君 ありがとうございます。  それでは、農業者団体役割という観点から太田大臣にお伺いしたいと思います。  このような改革が着実に実施されるとすれば、国の目指す平成二十年には農業者農業者団体主役となるシステムが実現されるのではないかと考えますが、このシステムが有効に機能するかどうかは農業者個々が主体的、自主的にこの需給調整に取り組むだけではなくて、農業者団体が新しいシステムにどのようにかかわっていくかということが大変重要だと思います。  そこで、その新しいシステムにおいて農業者団体がどのような役割を果たすことを期待をしておられるのかをお伺いしたいというふうに思います。
  111. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 客観的な需要予測に即しまして農業者農業者団体が主体的経営判断によりまして、地域の販売戦略に基づいて需要に応じた生産に取り組んでいただきたいというふうなことがまず基本でございまして、こうしたシステムにおいて、農業者団体は、それぞれの地域において需要に応じた生産が行われるよう農業者に対する意識改革を促しながら、まず第一には系統米、系統米事業について消費者ニーズを起点とした方向転換すること。  二点目には、こうした事業方式の下で策定される販売戦略を踏まえた形で、地域の特性に応じた水田農業の戦略である地域水田農業ビジョンづくりに積極的に参加をしていただくこと。  また三点目は、農業者が需要に応じた生産に適切に対応できるように、どのような銘柄でどういう品質の米を作るのがいいのかというふうなことを考えていただきまして、そして地域水田農業ビジョンと一体的に米の生産調整方式を、方針を策定していただくこと。  四点目は、需要に応じた生産を実効性あるものとするために実践モデルづくりなどの体制を整備することなどを行っていただきたいと、そんなことを期待いたしておるところでございまして、このような取組が着実に実施されることによりまして、米づくりの本来あるべき姿が私は実現できるものと考えておる次第でございます。
  112. 松山政司

    ○松山政司君 ありがとうございます。  今、お聞きをいたしましたように、今回この生産調整仕組みを抜本的に改革をして、農業者農業者団体が需要に応じた生産に自主的に、また主体的に取り組む体制を構築するということでございますが、そのような体制に円滑に移行するに当たっては、農業者の力ではいかんともし難い豊作による過剰米が発生した場合の対策、これについて十分検討する必要があるのではないかというふうに思います。  この豊作による過剰米が発生した場合、その処理がうまくなされなければ残念ながら米は過剰になる、そうなれば米価は下落をし、せっかく農業者農業者団体が努力をして需要に応じた生産に取り組んでいたとしてもその成果は実感できなくなりますし、今回の改革はとんざしてしまうのではないかというふうに、そんな懸念も聞かれるところでございます。  そこで、今回の改革を実現するためには、この過剰米をきちんと処理することが重要であると考えますが、中でも区分出荷の成否がかぎだと思います。どうやってその実効性を確保をする考えなのか、そしてどのように農業者皆さんがしっかりと取り組んでいけるようにするのかをお伺いしたいというふうに思います。
  113. 石原葵

    政府参考人(石原葵君) 効果的な過剰米対策、これは今回の対策の大きな柱でございますし、農協系統の非常に関心の高かった点でございます。この豊作による過剰米、これにつきましては、何といいましても主食用と区分して出荷してもらうということが重要でございます。その実効性を確保するための措置をきちっと講じていくことが必須の要件というふうに考えております。  このため、一つには、JAの米事業の改革、今、農協系統ではこれに必死に取り組んでおりますけれども、JAの米事業の改革、とにかく需要に基づき売れるものを生産するというそういう取組、そういうことが重要でございます。二つ目には、米需給に関する情報のタイムリーな伝達が重要でございます。三つ目には、生産調整メリット措置とのリンケージ、これがまた重要でございます。  我々、こういう三つの対応、これを通じまして区分出荷の必要性に関する農業者の意識改革を進めまして幅広い農業者の参画を促す、そういうことを通じましてこの実効を上げていきたいと考えているところでございます。
  114. 松山政司

    ○松山政司君 今、お答えをいただきましたけれども、区分出荷については、JAが適切に指導することによってきちんと実施をすることができるというふうに感じました。  しかしながら、現状では、農協が出荷する米は年々減少しておりますし、全生産量の半分程度にしかすぎないというのが現状です。このような状況を踏まえれば、この過剰米対策を効果あるものとするためには、農協に出荷していない農業者の過剰米をどのように区分出荷をしてもらい適切に処理するかというものが課題になってくるというふうに思います。  そこで、どのように、農協に出荷しない農業者がきちんと区分出荷に取り組めるようにしていくのかについてお伺いしたいと思います。
  115. 石原葵

    政府参考人(石原葵君) 過剰米が市場の価格に与える影響を緩和するというそういう効果は、とにかくすべての農業者にひとしく及ぼされます。また、農業者間の公平性の確保、公平、不公平があってはいけません。そういうことから、農業者団体以外に出荷する農業者にもその制度に参加していただくということが重要であると考えております。  それから、案外知られていないんでございますけれども、現在の計画外流通米の出荷農家、こういう農家を見ましても、九割程度は生産調整に参加しております。案外、計画外流通米の方の、出荷している農家生産調整には参加していないんじゃないかという誤解があるわけでございますけれども、我々の調査では九割程度が参加しておられます。そして、その需要に応じた生産が必要であることについてはある程度認識されている状況にあると我々考えておりまして、とにかく幅広い農家にこの制度に参加していただくよう、とにかく周知徹底のための取組を図っていくということが重要であると考えております。  それからまた、今回の制度改正におきまして、農業者団体以外に出荷する農業者につきましても、いわゆる全集連系というのがございます。とにかく、商系の集荷業者でございますけれども、そういう方々や、それから大規模の生産者、こういう方々は消費者への直売をやっておられるわけでございますけれども、こういう大規模の生産者、こういう方にも、生産調整方針を作成いたしまして過剰米の処理方針を定めていただくと、そういうことで制度への参加を可能とするという道も開いているところでございます。  何といいましても、この過剰米対策をきちっとするためにはこういう制度が円滑に動くことが重要でございますので、我々、そういうことが問題がないように、例えば過剰米処理に係る拠出を生産調整メリット措置の交付要件化、交付要件とするということも考えております。  それから、過剰米処理の達成度合いを米価下落影響緩和対策の国から都道府県段階への助成金に反映させるということも考えているところでございまして、これらによりまして、幅広い農業者に参画していただくということで、制度の実効性を上げたいと考えているところでございます。
  116. 松山政司

    ○松山政司君 次に、産地づくり対策についてお伺いをいたします。  生産現場では、平成十六年からの改革の実行に向けて、既に地域水田農業ビジョンの作成に取り組んでいるというふうにお聞きをいたしております。このビジョンづくりは産地づくり対策の交付要件とされているわけですが、ビジョンの取りまとめは地域水田農業推進協議会で行われると聞いています。しかしながら、この協議会に参加する方々は、担い手を始め消費者や実需者などの多種多様であると、それぞれが農業に対して抱いている思いも様々だというふうに、こう思います。  そう考えますと、この地域水田農業ビジョンを地域の協議会で取りまとめるということは大変調整が難しいんではないかというふうに予想もされるわけでありますが、この各地域でのビジョンの取りまとめに向けての現在の取組状況をお教えいただければと思います。
  117. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 地域水田農業ビジョンでございます。  地域の置かれております農業事情を踏まえまして、あるべき姿という将来展望を念頭に置きつつ、どのような担い手がどのような作物をどのぐらい作ってどこへ売り込むかと、その実現手法はどうするかという、そういう内容のビジョンを作成していただくということでございまして、関係機関とか農家等がしっかり議論を尽くした上で作成をしていただくということが重要であるというふうに考えております。  ビジョンの作成には、先生おっしゃられるように相当時間が掛かるということが予想されておりましたので、私ども、市町村に対して三月下旬にビジョン策定の留意事項というのをお知らせをいたしまして、私どものアンケート調査によりますと、現時点で二割程度の市町村がビジョンの作成作業を開始したということでございます。  また、都道府県段階におきましては、七割の都道府県におきまして県段階の協議会を立ち上げまして、ビジョンの策定の手引を作成する、あるいはビジョン記載の留意事項を盛り込んだ様式例を作成する等をして支援体制を整備したというふうに聞いてございまして、今後更にこの作業が加速されるように情報提供等に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  118. 松山政司

    ○松山政司君 時間もなくなってまいりましたので、最後の質問にさせていただきたいと思いますが、担い手経営安定対策についてお聞きをしたいと思います。太田大臣にお伺いしたいと思いますが。  この対策は、米価下落影響緩和対策の上乗せ対策として、水田営農担い手経営安定を図るためのものであると理解をしております。このような対策の性格上、すべての農業者対象とするわけにもいかないだろうという点、したがって、対象者に一定の規模要件が設定されていることも理解できます。  しかしながら、現在提示されている農林水産省案を見ますと、この対策の対象となるためには、認定農業者で四ヘクタール以上、集落経営体で二十ヘクタール以上の水田経営面積を有しなければならないこととされています。これでは、西日本を中心とした、私の地元でございますけれども、総じて経営規模が零細な水田農業の現状に照らしますと大変ハードルが高く厳し過ぎると、かえって農家のやる気をそいでしまうのではないかというふうに懸念もいたしております。  そこで、農林水産省案のこの対象者の規模要件がどのような考え方に基づくものなのか、その基本的な考え方最後にお聞きしたいというふうに思います。
  119. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) ただいま、担い手経営安定対策の問題でございますが、これは米価が下落した場合に稲作収入の減少の影響が大きい水田営農担い手対象といたしまして、米価下落の影響緩和対策の上乗せ対策として措置するものでございまして、その機能といたしましては、担い手経営の安定を図ることに加えまして、水田農業の構造改革を加速化させることも期待しているものでございます。  こうした考え方に立ちまして、施策対象者については、米価下落影響緩和対策が経営規模の大小、あるいは専業的経営であるか否かを問わずに、生産調整を実施するすべての農業者にこれは対象になるものでございまして、それに対しまして担い手経営安定対策は、構造展望等における望ましい経営規模に段階的に近づく努力を促す観点から、一定規模以上の農業者に限定することは適切だと考えているところでございまして、具体的な対象者の規模要件といたしましては、認定農業者それから集落経営体ともに、構造展望等において目標としている経営規模の二分の一を基本として設定するものと考えを提示いたしておるところでございます。
  120. 松山政司

    ○松山政司君 終わります。
  121. 国井正幸

    ○国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。続いて質問をさせていただきたいというふうに思います。  最初、亀井大臣がおいでになっておれば大臣にお聞きをしようと、こう思ったわけでありますが、また大臣には後で一連の質問の中でお聞きをすることもあろうと思いますので、太田大臣、急に恐縮でありますが。  この間、私、大臣から趣旨説明があって、当委員会でですね、しみじみこれ聞いておったんですよ。そこの前段で、米は国民の主食であり、稲作農業は我が国農業の礎となるものであります。しかし、米をめぐる情勢は、需要の減少、生産調整の限界感、強制感の高まり、担い手の高齢化など、正に閉塞状況に立ち至っておりますと、こういうふうなくだりなんですね。誠にそのとおりだというふうに思うんです。このような状況を打開して、水田農業の未来を切り開くためには云々と、こういうふうなことであるわけですが、どうですか、今回の米政策改革大綱がベースにあってこのたびの食糧法改正ということになっておるわけでありますが、十分、こういう状況に対して、やぼな質問かもしれませんが、自信を持って農林水産省としては、こういう限界感、閉塞状況、これを打開できると、こういうふうに思っておられますんでしょうか。
  122. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 本来であれば、大臣が所信の中で申し上げたことでございますから大臣がお答えしなければならないところでございますが、御了解いただきまして、私が御指名をいただけたということで、私の方からお答えを申し上げさせていただきます。  今回の米政策改革におきましては、消費者の重視、それから市場の重視という視点に立ちまして、これまでの米政策を抜本的に見直しまして、農業者創意と工夫を引き出し、需要に即応した米作りの推進を通じて水田農業経営の安定と発展を図ることといたしておるものでございます。  このために、生産調整面積配分する今までの方式から、需要を踏まえまして、そして生産目標数量配分する方式転換をいたし、消費者が求める例えば有機米だとかあるいは減農薬米などの生産を行いやすくする、そういった、全国一律の助成転換いたしまして、地域自らの発想、戦略に基づく取組を後押しする産地づくり対策米価下落の影響を緩和する米価下落影響緩和対策を講ずる産地づくり推進交付金を創設するというふうなことであります。と同時にまた、米価下落影響緩和対策の上乗せ措置として担い手経営安定対策を講ずることにしたところでございます。また、豊作による過剰米が発生した場合には、過剰米処理を行う生産調整実施者に対して無利子資金の貸付けを行う過剰米短期融資制度を創設するなどの改革を行うことといたしております。  このような施策を講ずることによりまして、農業者創意工夫を持って主体的に消費者により喜ばれる米の生産を行うことができ、魅力ある水田農業を展開していくことができるようになるんではなかろうかと、このように考えております。
  123. 国井正幸

    ○国井正幸君 今、副大臣から、この米政策改革大綱のあらあらの骨格ですね、これを御説明いただいたわけでございます。  今日、実は午前中、参考人の質疑も行いました。そういう中で、もちろん生源寺先生なんかは研究会でやられたから別でありますが、ほかの参考人などからは大変厳しい評価も実はあったわけでございまして、総じて、私もいろんな現場を歩いておって、米政策改革大綱に対して現場では相当厳しい評価に実はなっているんですよ、これは、現実の問題。これは、そういうことは厳粛に受け止めてもらいたいと、こう思うんですね。長官なり、それぞれ局長もいらっしゃいますから、是非これ、聞かせてもらいたいと思っているんです。  確かにこれ、生産調整は過剰基調だからやらざるを得ない。四割にもなっているんだから明らかに限界感に達しているのは当たり前の話ですよ、これは、限界感だと。その一方で、農業粗生産高、よく昔は十兆円あったと、こういうふうな、そのうち、アバウトな話ですが三兆円、二兆九千億が米だと、こう言われていた。それが今、一兆九千億になっちゃって、一兆円も落ちちゃったというわけでしょう。  米価が下落の一途をたどっていて、なおかつ米が余っていて、生産調整が四割もやっている。これ、大変な状況ですよ。それを、今度の仕組みを変えたからといって生産調整やらないというわけにはいかない、余っているんだから。余っているものをなお作れば余計価格が下がるのは明らかですよ。だから、変わらずに生産調整は続けていかなければならない。  ただ、そのときに、政府から言われて生産調整している、だから強制感。裏返して、あなた方が、余っているんだから自主的にやればそれは強制感じゃないと言えば、強制感じゃないかもしれないが、しかし、そういうとらえ方ではしょせん言葉の遊びのような気が私はしてならないんですよね。これ、やらざるを得ない、生産調整。そういう中で、金は掛かる、金は掛かる。農林予算が七百億も全体で落ちている、二千七百億ですか、全体で落ちている。そこの、にもかかわらず、この米の関係の予算は掛かっていて、三千億も余計掛かっているというのは、これ、長官からも度々これ、話があった中身なんですよ。  余っていて、生産調整が四割にもなっていて、米価は下落の一途をたどっていて、金は掛かって、これ、どうしようもない。だから、早い話、政府は指導、助言にとどめると、こういうふうなことで、前にも、昨年の十二月、これ、米政策改革大綱で私も質問させてもらったんだけれども、平ったい言葉で言うと、これ、ちょっときつい話かもしれないが、現場では、どうしようもないこういう状況に対して政府は逃げ出しちゃったんじゃないか、とてもじゃないけれども、これ、大変だということで逃げ出したんじゃないか、そういう評価も現実にあるんですよ、これね、現実にある。その辺をどういうふうにやっていくかと、これからの政策課題だというふうに思うんですよ。だから、これから質問をずっと続けさせていただきたいと思いますが、要は、具体的な政策中身なんですよ、予算の付け方なんですよ、どれだけ中身が厚っこいかの話なんですよ、実効性を担保できるかどうかということはですね。そういう評価があって、これからに持ち越している部分、一杯あります。  だから、これから一つ一つ政策中身について聞かしていただきたいと、このように思いますが、特に、これ米政策改革大綱、生産調整研究会の方でずっとやってきて、石原食糧庁長官が直接的に関与してやってこられた部分もあるというふうに思うので、そういう厳しい、逃げ出したんじゃないかと、こういうふうな評価がある中で、そうではないと、こういうことだからそうではないんだというしっかりした考えを聞かしてもらいたいと、こう思っているんですが、長官いかがでしょうか。
  124. 石原葵

    政府参考人(石原葵君) ただいま委員の方からお話がるるございましたけれども、この米を取り巻く状況、非常に厳しいということであろうかと思います。  それで、最初におっしゃいましたように、とにかく生産調整、これは今の我が国の水田農業の、水田の潜在生産力からいいましても、これはきちっとやっていただかなきゃなりません。価格を、これまでのような価格の低落傾向、これに歯止めを掛けるという意味でも生産調整をきちっとやっていただく必要がございます。今回の米政策改革は、こういう需給調整対策、要するに生産調整をきちっとやっていただくということがまず柱でございますし、それに加えまして構造対策あるいはその他の関連対策、そういうのを総合的にやろうという対策でございます。その点を御理解いただきたいと思っております。  それで、ただいま委員の方からお話ございました中に、政府が、今の米を取り巻く状況から政府がこれを逃げ出したのではないかということでございます。これは、決して我々はそういうことじゃありません。先ほども副大臣の答弁にございましたように、米はあくまで我が国の国民の主食でございます。国民の食生活におきましても重要な地位を占めておりますし、また農業生産の上でも非常に重要な地位を占めております。そういうものに国が手を引くということは一切ございません。  我々は、あくまでも今回の改革の中で、一つは、先ほども申し上げましたけれども需給の情報、そういうのをきちっとお伝えし、その正確な需給情報の下に農家あるいは農業者団体に的確な生産をしていただく。それは、先ほども言いました生産調整の問題にもつながるわけでございますけれども、そういうことをやっていただくための前提となります需給情報につきましては、国がきちっとお伝えするということを第一に置いております。  それから、今回の法案の中に生産調整方針というものが規定ございます。これは生産出荷団体等が作るわけでございますけれども、これは農協それから先ほどもお答え申し上げましたが全集連系の商系の業者さん、それから大規模な農家、こういう方々もその生産調整方針というのは作れます。そういう生産調整方針を国が認定するという制度を設けております。それからまた、この生産調整方針を生産出荷団体が作るに当たりまして、あるいはその運用に当たりまして、国あるいは地方公共団体が助言、指導をするということでございまして、実際に何もやらないということではありません。  それから、これは先ほど委員のお話に直接つながろうかと思いますけれども、例えば情報を伝えたりあるいは生産調整方針を伝える、生産調整方針に国があるいは県がかかわるというだけでは、それだけで米の問題がすべて片付くものではありません。いろんな財政措置、そういうものが必要でございます。こういうものにつきましては国がきちっと手当てしていくということも、今回の対策の中に織り込んでいるところでございます。  構造政策、それから経営政策、それから生産政策、こういうものを総合的に講ずる、それも有機的、総合的に講じるというのが今回の大きな柱でございます。あらゆるこういう手だてを講ずることによりまして、今の米の置かれている状況、いっときも早くそれをいい方向に改善したい、閉塞状況を打開したいというのが我々の考え方でございますので、御理解いただきたいと思います。
  125. 国井正幸

    ○国井正幸君 結局、さっきの午前中の参考人の中でも意見があったんですけれども、前々から私も申し上げているように、生産者生産者団体が主体となってこれ生産調整をやると。それはそれでいいと思うんですが、特に農業協同組合ですよね、生産者団体といっても実質頭にあるのは農業協同組合を念頭に置いていると思うんですね。  前から言っているように、農業協同組合というのは加入、脱退が自由な組織なんですよ、これは。そのときに、強制感を伴うことが、それは考えようで、自分たちの問題なんだから自分たちでやるんだ、主体的にやるんだと、そういうふうにみんながなってくれればいいんだが、総論としては、これ米が余っているということはだれも否定し得ない、事実なんだから。しかし、それを個々人が実行するという段階になると、私だけは楽をしたい、私だけはやらないで例外措置で何とかうまいことにならないだろうか、こういうふうに思うのも世の常なんです。  現実にそうでしょう。今だって、これだけ国が関与してやったって、守っている県もあるし守れていないところも、まあ都道府県レベルではほとんど守られているが、市町村レベルになるとできているところとできないところがある。生産者においても、やっている人とやらない人がいる。これが大変な今問題になっているわけですよね、現場において。  だから、これ、そういう中で、自主的な組織であるという農協に対してそこまでの強制力を持たせることができるかどうかということになると、なかなか決まりを守ってもらえるような状況にならないというのが、残念だけれども、現実の問題だと。そこをなるというふうに錯覚をして、なるであろうという希望的観測でもって政策を組み上げると私は失敗するではないかと、このように思うんですよ。  ということになれば、要は、生産調整に参加をした人がしない人に比べてメリットがあるかどうかという経済原則をしっかりそこで確立をさせることが必要なんですよ。恩恵があるかどうかなんですよ。正直者がばかを見ないように、まともにやった人がそれなりの経済的価値を得ることができるかどうかということが非常に重要なんですよね。そのことが重要なんですよ。精神論だけではいかないというのははっきりしているわけだから。  そういうことを考えたときに、今まで稲作経営安定対策がありましたよね、稲作経営安定対策。今度は米価下落影響緩和対策ということなんだと思うんですが、これは基本的には同じように、その水準は別ですよ、過去三年間の、との価格差の八割でしょう、今、稲経は、認定農業者に対しては九割、今度はその二百円プラス五〇%だという話は当面今の水準で出ていますが、そういうことではなくて、稲作経営安定対策を改めて米価下落影響緩和対策というふうにこれ名前を含めて変えた理由は、これ何なんですかね。それちょっとお聞かせください。
  126. 石原葵

    政府参考人(石原葵君) 今、委員のお話の中にございますように、今回の対策、総合対策でございますけれども、大きな柱が需給調整生産調整をきちっとやっていただこうというものでございます。  その生産調整について、これまでどういう問題があったかと。いろいろ問題はございますけれども、一番大きなものはやる人とやらない人の不公平感、これが我々去年一年通じまして検討してきた中で特に農協系統の人から強く言われた点でございます。ですから、この生産調整についてのメリット措置をきちっと、こういう生産調整をすればこういうメリットがあるんだということをはっきりさせることが重要だと。  それで、多分、生源寺先生、もうこれが持論でございますので、今朝ほどのお話の中にも生源寺先生からお話あったんじゃないかと思いますけれども、これまでの国の施策というのは、一つ施策であれもこれもということを追い掛けたために、必ずしもこれがこれ、生産調整やればこうなんだということが必ずしもはっきりしなかったわけですね。そういう点も今回の大きな、我々、政策の見直し点にしております。  すなわち、この稲経、稲作経営安定対策につきましては、もちろんその価格が変動する中で稲作経営の安定には一定の役割を演じてきております。しかし、一番大きな問題は、生産調整の参加のメリット、これあくまでメリット対策でございます。生産調整した人がこの稲経を受けるわけですけれども、これに併せまして経営安定機能というのがあるわけですよ。要するに、どっちがどっちなんだと。要するに、両方追い掛けているものですから、必ずしもメリット対策だという認識がされないという大きな欠陥を持っておりました。  それからもう一つは、補てん率が全国一律で、地域農業事情に応じた助成ができないと。これ、県につき、去年も一年検討してまいりましたけれども、県によりましては、要するに稲経といいますか、価格が下落したときの対策、これに一生懸命、これをとにかくやってほしいと。これに補てん率も、その県は、県の方は非常に高いことをおっしゃっていましたけれども、これを重点的にやってほしいというところがありますけれども、他方で、今回我々が講じようとしております産地づくり対策、むしろそっちだと。米の対策よりも麦、大豆、そっちの振興の方に力を入れてほしいんだという県もあるわけです。そういう各県のいろんな事情、そういう農業事情の違い、そういうものに必ずしもその稲経というのは対応できなかったという問題がございます。  こういうふうな問題があるということで、我々今回、米価下落影響緩和対策ということを打ち出したわけでございまして、それはあくまでも産地づくり推進交付金、大きな傘は産地づくり推進交付金でございますけれども、この産地づくり推進交付金の傘の中で、その一環として米価下落影響緩和対策に切り替えることとしたところでございます。  この米価下落影響緩和対策でございますけれども先ほど言いました生産調整メリット、これに、生産調整すれば必ずこれがもらえるんだと、価格が上がろうと下がろうともらえるんだということをはっきりさせるために、補てん金に、価格水準によらず支払われる単価、すなわち我々固定部分と言っております、六十キロ当たり二百円、先生方からすれば、二百円、少ないというお話があるかも分かりませんが、これは価格水準によらずに支払われるわけです。要するに、あくまで生産調整メリット措置だということをはっきりさせるということで、こういう措置も講じております。  そして、先ほど言いましたように、各県の農業事情に応じた対応はできないという問題がありましたので、その辺に配慮いたしまして、産地づくり対策とそれからこの米価下落影響緩和対策、これを相互に資金の移動を行うことができるようにしていると。県の事情に応じまして、これはあくまで一定の条件の下でございますけれども、場合によっては全額を産地づくり対策として活用することも可能でございます。あるいは、補てん単価を変えることも可能でございます。そういう仕組みを今回導入したということでございます。
  127. 国井正幸

    ○国井正幸君 そういう意味で、各県の状況に応じてかさ上げもできるし、地域の実情で利活用できるという点は、これは柔軟性が持てると、こういうふうなことだというふうに思うんです。  ただ、どうですかね、長官、胸張ってメリット対策だと言えるほどの状況になっているんでしょうかな。私はちょっとそういうふうに思えないんですよ。これ、昨年の十二月時点で出されたその当時の農林水産省案が考えている中身だというのが、しか出ていないわけ、今、我々に対しても。あれから既に六か月、六か月も過ぎている。概算要求が八月。もう六月、今日は十二日ですよ、はやあれから六か月も。  メリット対策、メリット対策と言ったって、今までの稲経は、生産者の拠出が四分の一、政府が四分の三出して、しかも過去三年間の平均価格との格差の八割を補てんする、認定農業者に対しては九割を補てんする。今度は、その地域の実情で上乗せもいいよと、こういうふうなことでありますけれども、それはさっき言ったようなことになっても、今度は一対一で出すというんでしょう、金は。今の時点で一対一。  しかも、二百円プラス五〇%というのは、前にも私聞いたと思うけれども、六十キロ当たり、一俵七百円以上の、七百円以上の格差が生じた場合は今の八割の方がいいんだよ。そうでしょう、試算してみてくださいよ。五百円、六百円のときは確かに二百円プラス五〇%の方がいい。もう七百円を超した場合は今までの方がいいんだよ。そうだと思いますよ、試算すれば。しかも、財源の拠出は四分の一だったやつを二分の一にするというのは、生産者は倍付けでしょう。そうでしょう。四分の一が二分の一になるんだから、倍だ。  それで、いわゆる、今守られていないわけだよ、今、長官が言ったように。生産調整に参加する人と参加しない人がいる。それで、現場では非常に不公平感がある。だから、そういうことを解消して今度はよりメリットを付けることによって、それで、みんな生産調整に参加してもらうようにしましょう。そのメリットだというのが今よりも後退していて、そんなメリットだというのはどういう理由なのか私らではとても理解ができない、とても理解できない。  これはどういうことなんですか。今より前進して、今まで四分の一だったやつを今度五分の一ぐらいにする、補てん率をもっと高くすると、だから、これでメリットがあるんだから今よりは改善されるというなら、ああそうかという話だが、今よりも財源は自分で余計出さなくちゃならない、補てん率は低くなっちまう、そんな話の中で何がメリットだと、そういうふうに、現場ではそういう声が強い。その辺、どうですか。
  128. 石原葵

    政府参考人(石原葵君) まず、今回の対策でございますけれども委員がおっしゃいましたように、あくまでも昨年十二月時点での農林水産省の案でございます。だから、あくまで、それがもう六か月も経過しているじゃないかというお話ございましたけれども、今回の対策はあくまで十六年度の対策でございます。十六年度の財政措置でございます。あくまで十六年度予算の問題でございますので、八月の末に概算要求を取りまとめるということで、我々そのスケジュールに合わせてやっているということでございます。  なぜかといいますと、十六年度予算の、予算の骨格が決まりますのはこの七月か、あるいは八月に入るかも分かりませんが、概算要求基準、そういうのが決まって、全体の政府の予算がどうなるのか、その中で農林水産省の予算はどうなのか、その中で米あるいは特にその生産調整についてどれだけやるのかという全体が分からないとなかなかいろんな対策を講じられないということがありますので、今まで時間が掛かっているということでございますので、御理解いただきたいと思っています。  それで、今、委員の方からお話ございました拠出割合でございますけれども、これは昨年十二月の時点で我々、これはあくまで生産者政府の拠出を同比率としております。一対一ということを考えておりますけれども、これは米価下落の場合に備えて農業者が自らの経営問題として準備すること、これが一つ必要でございます。それと、それを国の方で政策的に後押しすると、この両面があるということで、それに配慮してこういう一対一ということにしたわけでございます。  そして、これ、今、負担が大きく増えるじゃないかというお話ございましたけれども、我々の試算では、共補償のことも考えていただきますと、例えば十アール当たりの負担のことを考えますと、我々、農家にとって大きく負担が増えるというものではないというふうに思っております。  いずれにしましても、こういう問題につき、それからもう一つ、七百円以上であれば損するじゃないかとお話ございました。七百円以上であれば損します、確かに単純に比べますとですね。しかし、逆に言いますと七百円以内であったらもうかるわけです。その七百円というのは、軽々に我々が七百円といういい加減なものを出したわけじゃありませんで、あくまで過去五年間の、過去五年間の自主流通米の価格の平均、これを取ったら七百円なんです。要するに平均に置いておるわけです。これを比べまして、これより下回ればもうかる、これより上回れば従来のあれに比べると損するといいますか、そういうものでございます。それで、我々、今回は、とにかく、この前も申し上げましたけれども価格がどうなるかは基本的に需給で決まります。要するに、生産調整をとにかくきちっとやっていただくことが大事なわけです。その大事な生産調整をきちっとやっていただく。  どうしても、今までの稲経で、もう一つ言わせていただきますと、要するに八割が補てんされるということで、よく言われますのはモラルハザードが起こる。要するに、とにかく安く売っても後でそれなりの補てんする、もちろん若干農家の負担返ってきますけれども、安く売ってもとにかく売り抜けた方が得だということで、そういう農家あるいは農業団体の行動が、農業団体の行動が価格の低落につながっていたという一面があるわけです。これ、一般の新聞は余り書きませんが、業界紙といいますか、その卸さんのあれでは非常に泣かされているわけです。要するに、みんながその稲経があるということでとにかく安売りしちゃうと、それも一定の時期まで。具体的にいいますと、価格の算定に計算される三月までに売っちゃえと、安売りしちゃえという、そういう行動があったわけです。  だから、我々、今回、生産調整をきちっとやることによって、あるいは今回の固定部分とかそういう方式を入れることによって、そういう安売りとか、とにかくそういうことは防ぐ。それから、生産調整もきちっとやっていただく。そうすれば、要するに七百円、平均で七百円ですから、これまでの対策で七百円ですから、それより以内の下落、あるいは、むしろそれより上回る価格、それが実現するものと思っています。そういうことを考えますと、決して我々、今回の対策が農家にとって不利と、そういうことはつながらないと思っております。  いずれにしましても、これらの問題につきましては、いつも申し上げますが、十六年度予算の概算要求の決定時、八月までにきちっと決めて先生方にお示ししたいと思っておりますので、御理解いただきたいと思っております。
  129. 国井正幸

    ○国井正幸君 確かに、稲経のモラルハザードの問題はこれはありましたよね。私どもも、だからいわゆる過去三年間の固定した基準価格を設定するに当たってそういう安売りをしないと、こういうことを条件付けたわけですよね。そういう意味で、確かにモラルハザードの問題はある。しかし、これいろいろ言ってみたって四分の一拠出をしていたのが二分の一にしてメリットだというふうにはだれも考えないんですよ、これは。だから、これからの問題だから、まだ概算要求までにはもうちょっと時間がある。  だから、あえて今日はそういうことで、この場でこれを詰めるということではありませんので、是非、亀井大臣、通告はこれしていませんが、この問題について、やっぱりそういうメリットが十分あるというふうにばっかり受け取っていない節があるわけですよ。だってそうでしょう、今までの掛金は、その七百円というのはこれまでの平均だという説明ありましたよ。だから、価格が下がらないようにみんなが努力すれば二百円プラス五〇%の方が従来よりもいいよというのが長官の今の答弁でしたよ。  それはそれで理解するにしても、しかし財源の拠出は今まで四分の一だったわけです、四分の三が政府。今度は半分持っていかれちゃうわけですよね。そういう意味で、やっぱり現場からすれば、随分負担ばっかり増えて、何だか、あなた方が主体的、自主的にやるんだと、こういうふうなどうも耳障りのいい話で、何だ、ふた開けてみたら負担ばっかり増やされて余りメリット感じないということがあるんですよ、率直のところ。  ですから、今日はあえてこの場でどうだということは言いませんが、政府においても、また別途意見を言わせていただく機会もあるのではないかと、このように思いますので、是非大臣、やっぱりこの生産調整を成功させるかどうかというのは、やっぱり農協は加入、脱退自由な組織なんですから、さっきも、午前中の参考人のときも、残念なことだけれども農協のうまいところだけはつまみ食いして嫌なところは逃げちまうというのも、これ、本当残念な話だけれどもまたこれ現実のことでもあるんですよね。残念だけれども現実のことである。  そういうことからすると、やっぱり経済的に、ああ、参加をしてやった方がいい、メリットがあるということを実現しなくちゃなりませんので、これ予算措置を含めて、これは去年の十二月の段階で我々に示されているあくまでも農林水産省としての試案ですから、そこから日にちも経過し、政府においても現場の声もそれなりに聞いていると思うんです。是非、これらについて是非概算要求時までに政府においても十分検討していただいて、そういう現場の心配が現実にならないようにひとつ大臣お願いしたいと思うんですが、御決意のほどを伺いたいと思います。
  130. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 先ほど、衆議院の本会議がございまして、失礼をいたしました。  今、いろいろ委員からも御指摘をちょうだいしております。また、この米政策の問題、農業団体あるいはまた農業者、あるいはまた市町村、いろいろ今説明会をし、またその浸透のために努力をしておりますが、委員御指摘のとおり、末端の生産者にとりますとどうなるのかと、大変不安をお持ちになっておる向きは十分理解できるところでもございます。  これらのまず御理解をいただいて、こういう生産調整三十年と、こういう中でのこれを見直していこう、こういう新しい制度を進めるわけでありますので、それはそれなりに私ども役所の、行政におきましてもしっかり覚悟を持ち、また農業者、関係の皆さん方にも御理解と意識の改革をしていただいて進めなければこれ実現できないわけであります。  先ほど来、長官からも答弁しておりますが、予算の問題等々につきましては、平成十六年度の予算の概算要求と、そういう中で我が省の予算全体、その整合性、総合的な視野に立ちまして、今委員からもいろいろ御発言、御指摘をちょうだいしております点につきましても十分検討していかなければならないと、このように考えております。
  131. 国井正幸

    ○国井正幸君 是非これ、そういうことで大臣よろしくお願いしたいと思います。  やっぱり、制度を作って魂入れるかどうかというのはやっぱりその点に懸かっているというふうに思うんですね。やっぱり自分の生活を懸けてやっている人たちからすれば、どこにメリットがあってどうかというのは、やっぱり自分の問題ですから敏感に反応するわけですから、是非、正直者がばかを見ないでしっかりと政策が遂行できるような予算措置を是非お願いをしたいというふうに思います。  それから、これ私は前々から持論で言っているんですが、米政策改革大綱のときに関連施策の具体的内容ということで、やっぱりこれ農林省から示された中身なんですが、交付金のありようなんですね。三階建てになっているわけですよ。一階部分は米価下落影響緩和対策ですか、この生産調整に参加した人、これはだれもが受けられるメリット。二階が担い手対策ということになっている。三階建て部分が関連対策ということで、担い手の方が麦、大豆飼料作物等について高品質なものを作った場合、奨励措置を講じるということになっているわけですよ。  今回の産地づくり交付金全体の考え方は、全国一律でお仕着せでやるよりも、農林省としてそれぞれの府県に配分をする予算はこういう基準で決めるけれども、今の米価下落影響緩和対策も、いや、地域の実情に応じてそれは上乗せしてもいいよというふうに、地域地域でその地域の実情を反映していじってもいいよと、全国一律じゃなくて地域の特徴を出しても結構ですよと、こういうふうな話になっておるわけですよね。それだけに、その地域集落、こういうものの扱いというのは非常に大切な状況になってくるだろうというふうに私は考えているんです。  そのときに、やっぱり生産調整に参加をするかしないか。今日的な米の需給状況を考えたら、やっぱり生産調整に参加すべきだ。参加した人にはメリットをやる、これは一階だということ。参加するかしないかで、参加したという行為をもってメリットを与える、これが一階だと。  次が担い手。私も担い手対策というのは必要だと思いますよ、これは。当然、我が国としても残すべき農家像というのがあってしかるべきですよ、これは。それを専業でやっているんだから。この人たちが一番経営苦しいんだ。そこをしっかりやるということを私は否定しているわけではないが、担い手に認定されなければ高品質な麦や大豆を作ったっていわゆる奨励措置が講じられないというのは、私はちょっと理解できない。少なくとも農業者の責務としては、農業者は安全、安心で良品質なものを作る責務があると思うんですよ。それがまた評価をされて、農業者の自信と誇りというものになってくるわけですね。そうでしょう。これ、努力をしていいものを作ったら、それはやっぱり担い手であろうとなかろうと、評価をしっかりしてもらいたいというふうに私は思うんですよ、これは。  そうしないと、むしろ産地づくり交付金なんというのは、地域でみんなで、集落経営体もそうですよ、みんなでもってこれ集落で一緒になって、技術の高位平準化を図って、消費者にしっかりした評価をいただいて産地づくりをしていくというのは、これそうでしょう、産地づくり交付金の主眼としているわけでしょう。そのときには、みんなが、担い手だけがいいものを作ったって駄目なんですよ。担い手じゃない人も含めて、その地域全体がいいものを作って評価を受けるというふうに持っていくべきだと思うんですよ、性格上。  そういうことを考えれば、これは二階と三階を組み替えるべきだ。一階は、生産調整に参加をしたかしないかによって機械的に奨励する。二階部分は、いいものを作るために汗を流した、努力をした人に対して評価をする。そして、三階建てこそ、今度は認定農業者というか担い手を含めて、当然我が国として残すべき農家像として、その代わりしっかりやってもらう、そういう人にやる。これは二階と三階を組み替えるべきだと、こういうふうに思いますが、前からこれを言っているんだけれども、これは須賀田局長ですか、どうですか。
  132. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 産地づくり対策、三階建て、先生おっしゃいましたように、根っこのところは、転作に参加している人がどんな作物を作るかということで、作物振興の観点から交付すると、これは先生と考えは一致しておるわけでございます。  二階、三階の話でございまして、担い手育成というのは、要するに将来に向かって持続的に農業経営ができるということで、将来に向かっての持続性の観点から担い手育成の加算、品質向上、先生言われました品質向上というのは、やはり売れる麦・大豆作りということで、これは正しく営農として定着しますので、定着性のある営農としての品質向上対策と、それぞれ特徴を持って加算体系を御提案申し上げました。  確かに、先生の御指摘、これまでずっと生産調整をやってきまして、地方でブロックローテーションあるいは生産の組織化ということで、地域ぐるみで麦、大豆品質向上に努めてきたという現実、確かにございました。そういうことであれば、まず二階に定着的な営農体系奨励の品質向上対策を置いて、それで、その上で立派なそういう麦・大豆作りをしている担い手に加算すればいいじゃないかというお話でございました。  これ、私どもが提案いたしました担い手育成を二階部分にしている理由といいますのは、やはり水田営農で何が一番求められているか。焦眉の急というのは、何よりも構造改革をして担い手の育成をしないといけないんじゃないかということを求められておりまして、そのためにその二階部分に担い手を置きまして、持続性というものを置きまして、そして、その上に品質向上を置いたわけでございます。  これはどちらを優先させるべきか。持続的経営の確保を優先させるべきか、定着性のある営農体系の確立というものを優先させるべきかというのは、恐らくその担い手というもののとらえ方という問題も関連してくるんではないかというふうに思っておりまして、なお具体化に当たりましては、いろいろな方々の御意見もちょうだいしながら詰めていきたいというふうに考えているところでございます。
  133. 国井正幸

    ○国井正幸君 何だか局長の話はよく理解できないんだけれども、とにかくよく意見を聞いてやってくれるということですから、各方面と言うときに、大体ここにいる多くの委員皆さんも私が言っていることに対して、そんなに、全く違うというふうに言っているような顔をしている人はだれもいない。むしろ賛成だというふうな意見の方が多いようなので、是非、各方面の意見も聴くこと、結構ですが、私の意見も聞いて、ひとつこれは直してもらいたい。是非これはお願いをしたいというふうに思います。  今、それで、決して揚げ足を取るわけではないけれども担い手の認定要件次第だと、こういうふうな話もちょっとあって、これは私も担い手とは何ぞやという話を、少しこれ聞かなくちゃならないとは思っておったんですよ。  もちろん、四ヘクタール、北海道においては十ヘクタール、集落経営体については二十ヘクタールという規模の問題ももちろんあるんだけれども、それ以前に、これ、経営局長もお見えいただいていますが、いわゆる担い手担い手と言ってもいろいろあるわけですよ。言うならば、何というんですかね、米を含めて複合経営している方が多いわけですよね、複合経営している。例えば、米は一ヘクタールしか作らないけれども畜産をやっているとか、花卉園芸をやっているとか、そういう意味でしっかりした担い手と位置付けられている担い手もいる、あるいは認定農業者という者もいる。ここでの担い手というのは恐らく稲作だけを考えての担い手なのかなと、こう思ったりしているわけですよ、これ。これで、この四ヘクタール、北海道の十ヘクタールというのはあるけれども、この四ヘクタールというのはどういうことですか。この四ヘクタール、考え方だけ実務的に聞かせてもらいたいんですが、四ヘクタールというのは、四ヘクタールの稲の栽培をしているのか、水田として四ヘクタールをやっていればいいということなのか。  これ、しっかり詰めておかないと、前だって、稲作経営安定対策で、認定農業者に対しては九割を補てんするということを決めた。私も認定農業者の方に、今度はあなたも九割になっているから、我々も努力してそういうふうにしたんだよとこれ地元で説明した。いやいや、国井さん、違うんだ、おれはなっていない、認定農業者になっていない。調べてみた。そうしたら、食糧庁から通達が行って、米の稲作収入が農業収入の過半を占める者でなければ、大宗を占める者でなければ九割補てんにはさせない。つまり、畜産や園芸で稲作以上の大きな収入がある人は認定農業者であっても稲経の九割補てんにならなかった。一時そういうふうにしちゃった。それを聞いてきたので、また駄目だと言ってまた戻させて、今は戻っていると思うけれども、そういうことをやってきた。事実としてそういうことなんですね。だから、担い手の要件というのは、ここで言っている、いわゆる米政策改革大綱で言っている担い手の要件というのはどうなんですか。四ヘクタールというのは分かったけれども、それは実際に稲作を四ヘクタールやっている人を言っているのかどうなのか、これ教えてください。
  134. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) この四ヘクタール、都府県の場合の個別経営体の問題でございます。私ども考え方は、二十二年の構造展望の規模、これが大体都府県の場合は十二ヘクタールということで構造展望しております。ただ、私どもこれを考える場合に、作業委託の面積はこれをカウントしないということで、これが平均的には四ヘクタールございますので、十二ヘクタールから四ヘクタールを引きまして、八ヘクタールのおおむね半分ということで決めております。  そして、これがその作付面積なのか水田面積なのかということでございますが、これは我々もいろいろ検討の過程でその両方あったんですが、今回の米政策考え方としますと、経営判断で、もちろん生産調整をしなくちゃいけないわけですけれども、どういう作付けをするかということはできるだけ自由度を持たせたいということがございます。生産調整をやりながらできるだけ有利な作物等を作っていくということで、水田の作付面積が減ることによってこの担い手経営安定対策から脱落してしまうということでは困るわけでございますので、経営規模ということでとらえるということでございます。
  135. 国井正幸

    ○国井正幸君 何だか余り最後がよく分からないけれども、要は、要は水田を四ヘクタールやっていれば、例えば私は四ヘクタールの経営やっているけれども、じゃいいと、一ヘクタールだけ米を作って、あとの三ヘクタールは麦、大豆でやると、あるいはほかのものでやるということであってもいいということ、どうですか。
  136. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 御指摘のとおりでございます。
  137. 国井正幸

    ○国井正幸君 だから、そういう形で、一方では担い手がそういう位置付けになる。そうすると、逆に言うと、それは平均的な生産調整率、だから四割からはこれ生産調整やらなくちゃならないけれども、場合によったら、経営規模からすると、稲だったら稲、あるいは転作作物だったら作物でも、担い手にならなくたって、それより規模の大きい人だってできるわけだよね、作物ごとに見ていくと。そういう部分もあるので、さっき言ったような、言うならば、良品質のものをどれだけ作るかどうかということに対しての奨励措置は、担い手だけじゃなくちゃ駄目だなんという話にはならないわけだ、現場でいくと、これは。  やっぱり集落を一体的に、やっぱり隣とけんかしているより、隣と一緒になっていいものを作ってやっていった方がいいんですよ。私も栃木県の東部の方にいて、実は私のいるところの農協は広域合併をして日本農業賞をもらったんですよ、ナスで、ナスの栽培で。私はこういうことをしているから自分ではそれはやりませんが、隣近所はナスを栽培している人が多い。だから、私みたいな家庭菜園やっている程度であってもちゃんと教えてもらえる、隣近所に。やあ、国井さんね、ナスは葉っぱをもいでいったらどんどん芽が出てうんとなるんだとか。そうやって地域の中ではやっぱり技術の高位平準化というのが図られる部分があると思うんですよ。  そういう意味からすれば、こだわるようだけれども、この二階と三階部分でいいものを、評価されるものを作ったらば、これはだれであろうと、作った品物に対する評価なんだから、それはそれとして私はしっかりやってもらって、融和と協調が地域の中で図られて、みんなで一体的に、共通した政策がしっかりと地域に根差して進められるような環境だけは是非これ作ってもらいたいというふうに思っております。  それから、余りこれ話ばかりしていてもあれですけれども、もうあと五分になっちゃったんで、それから集落経営体の中で、さっきの参考人の質疑でもあったんですが、一元的な経理の処理ね、これはやっぱりなかなか難しいと思うんです。だから、要は、ここで言っている集落経営体をなぜ育成するかと。やっぱり作業を協業化したり共同化したりして、土地の流動化も含めて、そういう中でやっぱり効率のいい経営をしようというのが主眼だろうというふうに思うんですね。  だから、いわゆる収益の配分まで一元的にやらなくちゃ駄目だとか何とか書いてあるけれども、これは少し要件を緩和して、実情の中でまずスタートできるようにこれは考えておいてもらいたいなというふうに思っておるんですが、これらについてはどうですかね。これはどこになるんですか、経営局長ですか、お願いします。
  138. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 稲作の実態を見ますと、集落ぐるみでいろいろの取組がなされているのは事実でございまして、それを今まで我々一つの位置付けというものを余りしてこなかったわけでございまして、今回の米政策の見直しに当たりましては、そういった集落で取り組まれている中でも、今後の経営体として安定的かつ効率的な経営体として発展されるものがあるのではないか、そういうものを積極的に位置付けをして育てていくべきではないかと、こういう観点でございます。ですから、すべての集落営農対象にするということは考えておりませんで、将来のコアとなるような経営体ということでございます。  そういう観点からしますと、確かに集落で取り組まれますと作業の効率化等いろんなメリットがあるわけでございますけれども、私ども経営体として将来ともこれを育てていきたいということにしますと、どうしてもその経理を一元化しているということがやはり大きなメルクマールになるんだろうと思っておりますので、この点は非常にキーポイントであろうというふうに思っているところであります。
  139. 国井正幸

    ○国井正幸君 十分時間もあると思ってやってきたら、もう時間もなくなっちゃったんで、いろいろこれからも要望をしていかなくちゃならない点があろうと思います。  一つだけこの場で要望しておきたいと思いますが、いわゆる規模の算定ですね。担い手の四ヘクタール、十ヘクタール、二十とあるわけですが、言うならば、中山間地と平場との、中山間地の直接所得補償の対象にならない地区で、しかもまた平場のようで規模拡大ができないような中間ゾーンというのもやっぱり存在すると思うんですよ、これね。要は、やっぱり土地利用型ですから、ある程度規模を集約して大きくなってもらって効率のいい作業をしてもらう、そういう人を育てようというのがこの趣旨だというふうに思うんです。  ということになれば、中山間地の直接所得補償でも知事の特認というのを入れたんですよね、知事の特認。一律ではなくて、その地域の中で片っ方の市町村は過疎に指定されている、隣はしかし過疎ではない、でも川一本で同じようだと、両側。そのときにもう一方の方も認定してもらえるように知事の特認というのを入れた。  そういうことを含めて、是非、規模要件もなし崩しにぐずぐずしちゃうということを言っているわけではありませんが、やはり一律性だけで、画一化だけでは量れないものもあるので、是非、そういう知事の特認のようなことを含めて、もう少し柔軟に対処してもらいたいなと。これは要望としてお願いをしておきたいと思います。  くどいようですが、大臣、是非これ本当に、これがメリットとして本当に効力を発揮できるかどうかというのはやっぱり予算付け、中身の話だというふうに思いますので、十分大臣においても御努力を再度お願いをしたいと思いますが、大臣としてのお考えがあればお伺いして、終わりにさせていただきます。
  140. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 先ほど来、いろいろ御指摘をいただきました。十六年度の予算、この概算要求に向けて、やはり我が省、関連施策等々あるわけでありまして、その辺、整合性、総合性を持って具体的な取組に全力で努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  141. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 午前中の参考人質疑に続きまして、今日、私、ダブルヘッダーで二回目の質疑となりますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。  前回は、私、食品の表示、中でも米の表示につきまして質問いたしましたが、時間が余りなくて途中で積み残しがありましたので、今日は最初にその件から質疑をさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、今回の米政策改革観点一つには需要に即した売れる米づくりというのがあるわけでございますが、まずそれには消費者が的確な選択を行えるよう、生産された米に関する情報が正しく表示され、消費者に正確に伝えられることが必要であります。そのためには、それらの究極が表示でございまして、その表示の信頼性を確保していくことが必要であることは御承知のとおりでございます。米政策改革大綱の中にも、消費者の信頼性の回復の観点に立って、適正表示の確保措置を実施すると、このように明記されておるところでございます。  そこでまず、去年の十月八日に米の表示・検査制度の見直しの方向という、米の表示等についての検討会とりまとめが発表になりました。その報告書をいただきまして読んでみましたけれども検討するべきとか今後の方向とかいうことはありますが、あれからもう八か月たったわけでございますが、この検討会とりまとめのいろいろ指摘されたことについて、もうこれはできたと、これは今まだ検討中だとかいう明確な仕切りができたんでしょうか。
  142. 石原葵

    政府参考人(石原葵君) ただいま委員の方からお話ございましたように、米の表示、これは非常に重要なものでございます。我々、これを的確にやるということで、昨年、生産、流通消費、各段階の関係者から成る検討会、これを設置し検討したところでございます。それで、その結果、十月に取りまとめが行われまして、一つは安全・安心の確保、それから二つ目には農産物検査制度の見直し、三つ目には表示の信頼性確保、その三つにつきましてそれぞれ見直しの方向が示されたところでございます。  それで、この取りまとめを受けまして、我々、各種の制度見直しを行っているところでございますけれども、具体的には、一つはその安全、安心の確保でございますけれども、これはトレーサビリティーシステムを今年の秋から導入するということで、関係者による検討それから調整が進められております。この十五年度予算にも八千万ばかりの予算が計上されておりますけれども、我々、その予算を使いまして、トレーサビリティーシステムの今秋、今年の秋からの導入、これをやろうということで今、最後検討、調整を進めているところでございます。  それから二つ目の、農産物検査制度の見直しでございますけれども、農産物検査員の技術の向上のための研修の強化、それから技能確認会の開催、それからどうしても袋を偽るということがございます、同じ袋を何回も使って中身をごまかすということが行われますけれども、一回使用した米の袋の悪用防止に資するワンウエー袋の導入、こういうものも行ったところでございます。  それから最後に、表示の信頼性の確保でございますけれども、これまではDNA鑑定でやっておりましたけれども、これを、これまでは、今精米をやっておりました。これを原料玄米まで拡大するということをはっきりいたしております。さらに、精米規格等の問題につきまして、現在検討を進めているということでございます。
  143. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 せっかく取りまとめいただいて八か月たつわけでございますから、お米でいうと古米にならないように新米のうちにひとつきちっと対応していただけるように特段のまた努力を、御努力を要請しておきたいと思います。  さて、去年の七月にJAS法が改正されまして、パンフレット等が今関係方面に配付されておるわけでございますが、この中でちょっとお聞きしますが、JAS法が改正されましたと、今度罰則が強化されましたということで、改正後は個人であれば百万円以下の罰金又は一年以下の懲役と、法人は一億円以下の罰金と、こういうふうになったわけでございます。  いずれにいたしましても、改正前も個人、法人とも五十万以下の罰金という制度はあったわけでございます。この委員会でも何回も確認をされたとは思いますが、改めてお聞きいたしますが、このJAS法改正前に罰金を科せられた具体例はあるのかどうか。それから同じく、改正後、まだ一年たっておりませんけれども、罰金を科せられた例はあるのかないのか、あるかないかだけでお答えください。
  144. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) JAS法に基づく罰則につきましては、平成十一年のJAS法改正導入をさせていただきまして、先生今御指摘のとおり、昨年の改正でその強化が図られたところでございますが、指示に従わない場合には指示に従う旨の命令を発し、さらに、当該命令に従わない場合には罰金等が科せられるという仕組みになっております。  そういう中で、現在までJAS法に基づく指示に従わなかった事業者はなく、罰金を科した事例はございません。
  145. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ただ、公表の件も、改正後は指示を受けた場合は公表ですね。しかし、注記として、「それ以外の場合でも公表されることがあります」と、こうあります。「それ以外の場合でも公表されることがあります」とありますが、そういう例があったんでしょうか。
  146. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) 基本的に私ども、JAS法の場合、指示を行い、指示を行ったときに指示を行った旨の公表をすることといたしております。  先生今御指摘の点は、私ども、この指示、公表の取扱いにつきまして、昨年の制度改正後、その運用につきましてJASの調査会にお諮りして、基準を定めながら行ってきているところでございますが、調査会の公表の指示及び公表の指針の中で、「違反の事実を早急に公表する必要性が高い場合であって、違反事実が確認されている場合には、指示を行わなくても公表する場合がある。」というふうに規定しているところでございます。これは、事実が確認できて指示までに若干の時間が掛かると、しかし、消費者にその間に情報提供する必要があるという場合を想定してこういう基準を定めておりますが、現実には指示、公表という取扱いで指示以前に公表した事例はなかったかと、今までのところなかったかと記憶をいたしております。
  147. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 指示に従って改善をきちっとするということの事前予防的なことで、そういう罰則また公表の特例もなかったということなんでしょうが。  これから、最近報道された件の中で何点かこれはと思うのがありますから、少しお話をしておきたいと思いますが、これは福島県の郡山のある精米業者、米の卸業者でしょうか、でございます。ここは、平成十五年の二月二十日に未検査米を使用して、いわゆる不正表示というんでしょうか、千七百一トン販売したということが判明して、いわゆる指示を、これを発出されておるわけですね。ところが、この業者は平成十三年九月二十七日付けでもJAS法に基づく指示を受けているんですね。私がもうこのことについてよく言うのは、この平成十三年のは指示をしてうまく改善したからよろしいと、しかし、また平成十五年二月に千七百一トンの不正表示の米を売ったというんですね。これ、十キログラムの袋でいきますと十七万袋ですよ、十七万袋。まあこれだけ大きな影響があって二回目ということであっても指示ですよね、これ。これで果たして本来のJAS法の目的が達するのかなと。何やったって、何回やったって指示で終わってしまうと。二回目はイエローカードからレッドカードにし、退出をお願いするぐらいでないとどうなのかなというのが、これが一点。  それからもう一つは、これは大分県のシイタケ製造業者だそうでございまして、これは新聞報道ですからどこまで正確かは私自身が把握しておりませんが、その報道を読みますと、これも去年の九月、調査の結果、中国産のシイタケを大分産と偽って偽装表示をして売ったということで、これは文書指導を受けておるわけですね。しかし、その後も偽装商品が出回って、翌年の三月、すなわち今年三月に今度はJAS法違反で改善指示をしておるわけですね。なぜ去年の段階で改善指示しなかったのか。文書指導であるからまた出回って、その七か月後ですか、今度はJAS法違反で改善指示をすると。こういう、二回も三回も同じようなことをしているという例もございましたね。  それから、これは生活協同組合でございますけれども、省農薬コシヒカリの米が法定の検査証明を受けていないというようなことで問題を起こしました。そしてまた、昨年は豚肉の偽装問題が発覚したと。こういうふうに次から次に一つの生活協同組合が問題を起こしているけれども、これは何のとがめもない。  それから、こういうことをやっていますと、昨日の新聞を見ておりますと、全農パールライス東日本株式会社が、何とこれも食品の表示の、偽装表示というんでしょうか、不当表示ということで、大変これも、群馬支店、埼玉支店、新潟支店と大きな支店が三つ、そういう不正表示で、偽装表示で販売しておったということでございますね。全農というのは、これはもう御承知のように、チキンフーズもございましたし、九州の八女茶のこともございましたし、それからタマネギのこともございましたね。これは、食品を扱う本家本元のそういう企業が次から次に起こして、しかしJAS法では余り追及されなくて、結局、協同組合法に基づいて業務停止ですか、五日間ほどしただけである。こういうふうなことが次から次に起こって、イエローカードばっかり発出しているようなわけでございます。  そこで、やはりこれは、こういう大きな社会的問題もございますし、一番私は思うのは、消費者ですよ、消費者。特に、もう食べた後ですし、証明しろと言ったって証明のしようがない。結局、売り得というふうな感じの、そういうふうなことになってしまっているんではないかなと。あるスーパーが偽装牛肉、いわゆる、それを売って、売った分の三千万円分は返しますからと言ったら、いろんなところからどっと人が来て、あっという間に三千万円なくなっちゃったと。パトカーまで出てきて大騒ぎになったと。結局、証明するものがないから何をするかいうと、そういうふうにごめんなさいで済んでしまう。ぼろもうけした後、ごめんなさいと。しかし、そのもうけた分ぐらいは何とかこれは、消費者の側から立てば、何とか罰金で取ってもらいたい、せめて国庫に納めてもらいたい、証明するものがないんですからね。こういうのがごく普通の庶民感情じゃないかなと、こう思うんですね。  そうこうしているうちに、日本ハム、これは新聞に出ているから言いますが、日本ハムの牛肉偽装事件で、その子会社の日本フードの元営業部長が、これは裁判で供述しておるわけですね。牛肉の偽装表示なんというのはもう数年前からやっているんですよと、業界のこれは常識なんですというようなことが堂々と裁判の供述で、冒頭陳述で言われている。このような、本当に底なし沼のような感じの偽装・不正表示というものが横行しておるわけですよ。  確かに、JAS法を改正いたしまして、立入検査等々、米だけを見ますと、十三年度が七十四業者の指示書を発出した、去年が四十一業者に減りましたと。こうは言うものの、今年に入ってから二か月間だけで十業者ですから、これを延べにしますと六十業者になるのかもしれませんね。そういうようなことで、やはり何ら、JAS法を改正しても、いわゆる利益的なことで何のペナルティーも余り科せられていないということもあるわけです。  是非、そういうことで、私は消費者の側に立つ側でいつも質問すると申し上げておりますが、消費者が泣き寝入りできないように、そういうふうな偽装・不当表示でしっかり、もうけたら、その分を吐き出してもらう、場合によっては、重加算税じゃありませんが、加算してもらう、それからまた場合によっては懲罰的に、もうけた分以上にいただきますよというぐらいなことがあっても、だれも消費者は怒らないと思いますよ、だまされたんですから。  そういう意味では、大臣、いろいろ農水省の中にも審議会があるようでございますから、この罰則について、ただ指示発出を、次から次にイエローカードばっかり出していて、おったんじゃいかぬわけでございますから、もう一度この件についてしかるべき審議会等々で検討ぐらいは、こういう声が立法府であったよということで、検討ぐらいはできると思いますよ。そこからどういうふうに識者が判断されるかということでございますので、まず御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  148. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 度重なる不正表示事件に対応する、こういうことで昨年JAS法の改正をし、不正表示を行った事業者に対しましては農林水産大臣の指示を発出するとともに、同時に違反事業者を公表する、こういうことにしたわけでありまして、罰則を大幅に強化をしたところでもございます。  これまで発出した数多くの指示に対しまして、違反事業者が従わず改善命令を発した事例はないわけでありますが、公表によりまして解散に追い込まれた企業、これがありますし、法改正の、不正表示の再発防止につきましては、その面での効果は上がっておると思います。また、今、委員御指摘のように、今後の問題として、消費者との立場の御指摘もっともでございまして、この問題は検討してまいりたいと、こう思います。
  149. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 公表して倒産した企業もあるということで、それは誠に残念なことでございますが、反対に、今まで偽物の豚肉を使っておった、これが本物の黒豚になったということで余計に売れ出した業者もあるわけですね。だから、必ずしも公表したから倒産に追い込まれる、社会的制裁を受けるというばっかりじゃないわけでございますから、何回も申し上げますように、消費者が不当な利益を損なわれたわけですから、その分きちっとどこかで担保するということでないと、食品に対する、表示に対する信頼というのは私は担保されない、確保されないんではなかろうかと思います。  いつも使うのが、国民生活センターが本年の二月に食品の表示問題と消費者の購買行動という国民生活動向調査をいたしました。その中で、表示違反があった事業者に対する罰則を強化せよというのが二七・三%もあるわけですよ。国民そのものがそう思っておる。そういうことでございますから、どうぞ、今、大臣おっしゃったように、前向きにどこかの審議会等々で検討お願いを申し上げておきたいと思います。  さて、続きまして、前回も質問いたしましたけれども、納得いきませんのでもう一度やりますと、食品表示ウオッチャーが食品表示状況モニター報告というのをされまして、いわゆる文書指導が六店、口頭指導が三十七店あったということの発表がございました。食品表示ウオッチャーの皆様方の御努力に敬意を表するわけでございますが、これはなぜ口頭指導なんでしょうか。行政が発する指導というのは原則文書であると私は聞いておりますし、口頭ですと、聞いた聞かない、それを聞いた人はもう退職したんですよ、それを聞いた人は亡くなったんですよ、そういうようなことで口頭指導というのはあやふやだということで、きちっとしたやはり行政が出す指導は文書によるべきと、こういうふうな方向性が内閣としては私はあるように思っておりますが、なぜ口頭指導なんでしょうか。また、口頭指導と文書指導の違いはどこにあるんでしょうか。基準は何でしょうか。
  150. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) JAS法に基づく虚偽表示等の指示あるいは指導の取扱いでございますが、先ほど来お答えしておりますように、産地や原材料の虚偽表示が故意または常習的に行われているような場合には、私ども大臣あるいは都道府県知事から法に基づく指示を行い、指示を行った旨の公表を行っている、違反内容について事業者名、違反内容について公表を行っている状況にございます。  一方、品質表示基準違反に該当するものの表示の欠落や、あるいは過失による一時的な誤表示など、指示、公表まで及ばない場合には、指導を行うという形で取り扱ってきているわけでございます。具体的には、私ども、定期的に店頭調査等を実施させていただいておりますが、生鮮食品についての表示欠落があった場合、その場において口頭指導を行っている実情にございます。  その場合、その表示の欠落が非常に多い場合や加工食品の原材料名等の誤表示等については、更に文書で指導するという形を取り扱っております。これは、表示事項の欠落など、言わば、いろいろ見方がございますが、軽微な表示違反については、改めて文書により改善指導するよりは口頭指導によりその場で速やかに是正した方がやはり、我々、効果があるんではないかというふうに思ってやっているわけでございますが、ただ、こういう口頭指導をした事案でありましても、調査後三か月以内に改善状況を再度チェックさせていただいておるという状況がございます。  そういうことで、私ども、そういう店頭調査等を通じ、関係者の協力を得るべく努力と、併せてその事後チェックをしながら表示の適正化、実効を確保していきたいというふうに思っているところでございます。
  151. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ですから、口頭じゃなくて、なぜ文書指導にしないんですか。それは、基準は分かりましたよ。しかし、口頭というと、聞いた聞かない、聞いた人がいないとかいうことになっちゃうんで、ちゃんとした文書でやるのが内閣の方針じゃなかったですか。口頭指導というのは、昔は一杯あったんですよ、各省庁。それがもう何か金科玉条のごとく二十年続いていたとかいうふうなことも金融業界にはあった。ですから、それをもうやめて、きちっとした通知なら通知として文書でしましょうと。行政がやっているわけですからね、これ。  ですから、口頭指導じゃなくて、きちっとした文書指導に、欠落が多い少ないは関係なくやるというのが本筋じゃないでしょうか。でないと、行政不服じゃないけれども、下手にしたらば訴えられるかもしれませんし、また聞いた聞かないということで、そういう意味で、行政不服で。そういうことありますから、今後は原則的には文書指導というのが筋道じゃないかと申し上げておるんですが、いかがですか。
  152. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) 私ども、店舗調査等で非常に広範に調査を実施しながら表示の適正化に努めてきているつもりでございます。    〔委員長退席、理事国井正幸君着席〕  私ども、今申し上げました口頭指導という形で申し上げておりますのは、基本的には、表示はかなりできているんですが一部欠落あるというような状況のときに、その指導と調査の言わば迅速性といいますか、そういうことも考慮にしながら口頭指導をしてきているわけでございますが、先ほど申しましたように、当然のことながら、私どもそういう口頭指導した後のチェックリストというのは持っておりまして、三か月後に、原則として調査後三か月以内に改善状況を再度チェックすると。もちろん、そういう状況の中で更に改善が図られないということになれば、文書による指導、更には指示、公表ということに進んでいくわけでございますけれども、言わば店頭調査等における効率性あるいは事業者の自主的な努力を期待してこういう取組でやってきている実情にございます。  今後、私ども、監視体制の強化も図っておりますし、更に先生先ほど御指摘ございました表示ウオッチャーの方々の数も増やしてきているという状況ございます。そういう中で、いろんな取組を通じて表示の適正化を図っていきたいというふうに思っておりますが、併せて効率的な実施に努めていきたいと思っているのが実情でございます。
  153. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 局長がおっしゃることよく分かるんですが、行政として口頭での指導ということは原則的にはないんだろうと思いますよ、行政ですから。  そういう意味では、きちっとした文書、例えば、言ったことをこれでいいですねと判こ押してもらったって、それは文書指導になるんでしょうねというようなことで、言った言わないということがあるかもしれませんし、欠落が多い少ないというのは正に、欠落一つぐらいじゃ少ないからこれ口頭指導しましたと言うけれども、それは欠落部分が、米なら精米の年月日という一番大事なものが欠落しておる場合だってあるかもしれませんから、そういう意味では、何が欠落しておりましたということできちっとした文書指導が望ましいということを申し上げて、次へ行きます。時間がありません。  さて、食品の表示の情報提供される、またそれを受け付ける部署が政府部内にはたくさんございますね。食品表示一一〇番というのがございまして、本省や地方農政局また食糧事務所、それから独立行政法人の農林水産消費技術センターなどなどでもやっております。それからまた、先ほど申し上げました食品表示ウオッチャー、これは三千人ぐらいいらっしゃるんですか。それから、食品安全モニターというのがこのたびの食品安全基本法の下に発足するそうでございますが、これが五百人。それから、食育ボランティア、食育ボランティアがこの食品表示ということについて情報提供する任務があるかどうかは別といたしましても、食育の中には表示のことも当然入っておると思いますね。そうすると、これはおかしいじゃないかというふうなことでウオッチングしてくれる方が三万人。それから、国民生活センター、消費生活センターですね、全国にあります、これが四百八十一か所。それから、国民生活モニターというのがございまして、これが全国に二千三百人。それから、各県また市区町村の担当窓口もあるんでしょう。埼玉県のように、食品表示調査員というのを募集、三十名ですが募集をして、これから食品の表示のウオッチングをしていこうと。こういうようなことで、もう全国的に、また中央としてもいろんな縦横斜めぐらい、この食品表示についての情報がこれから集まると思うわけですね。  一億総監視体制と言ってもいいかもしれません。消費者教育がこれから進めば進むほどそういう意識が高まり、食品の不正とか偽装表示が大幅に減少するという効果が期待をされるわけでございましょう。  また、農水省の中にも消費・安全局という新しい局ができて表示・規格課という課ができると、そして、この表示・規格課は不正表示の取締り、排除に努めるというのが任務と、こういうように聞いております。  そういう意味では、これだけの多くの相談窓口があり、またウオッチャーと称する方がいらっしゃるわけでございますが、果たしてこういう情報が一元的に、縦横斜めですから、国のもあれば県のもあります。また、市町村のもあります。また、農水省マターもあれば厚生労働省マターもあるかもしれません。また、内閣府ですね、この国民生活モニターというのは。  そういうことで、これらのいろんな情報がやはり一元的に集まり、それを分析をして、それを今後のいろんな表示の参考にしていくということ、体制が非常に大切だと思うんですけれども、これらの体制というのは一体全体どうなっているんでしょうか。
  154. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) 本年一月に総務省から勧告をいただいているわけでございます。先生おっしゃいましたように、関係部局間における情報の共有化ということの必要性が指摘されているわけでございます。  そういう中で、私ども、不正表示を行った事業者に対する指示等の内容を、当然のことながら、私どもの独立行政法人消費技術センターに通知しますと同時に、センターが実施している調査結果を都道府県に連絡する、お互いの情報の共有化を図っていくと。もちろん、そのほか都道府県の中も、先生御指摘のとおり、食品衛生部局と、あるいはJAS部局等々に分かれております。そういう点で、厚生労働省とも連携を取り、公正取引委員会とも連携を取りながら、情報提供と協力体制の構築ということで、共通のチェックリストを作りながら情報の共有化に取り組んできているつもりでございます。    〔理事国井正幸君退席、委員長着席〕  今後とも、私ども地方支分部局、ここが充実強化されるわけでございますが、都道府県あるいは消費技術センター、それと関係省庁との連携強化、情報の共有化を図る、そのことによって食品表示の適正化に努めていきたいというふうに思っておるところでございます。
  155. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 だんだんと時間がなくなりましたので、一問一答方式でひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。  いろいろ表示の中でも、表示じゃなくて、失礼しました、表示じゃなくて、売る方の流通業者のチラシだとか旗、店内の旗に新米とかいうことを書いて、新米入荷とか、新しい米ですね、を書いておるようでございますが、新米か古米かの検査というのは、これはできるんでしょうか。
  156. 石原葵

    政府参考人(石原葵君) 新米かどうかの判定、いろいろ判定の方法はございますけれども、これだけで新米、いろんな方法で、現在の開発されている方法で新米、古米を判定することは困難でございます。
  157. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ところが、新米入荷で実は古米が混ざっているようなこともあるんだそうですね、あるんだそうです。これは、じゃ、どうしますか。JAS法違反になるんですか、これは。まず、どうですか。
  158. 石原葵

    政府参考人(石原葵君) ですから、それだけで、科学的なもので判定をすることは困難でございますので、我々は疑わしいかどうかのきっかけをそういうもので得る。例えばDNAの鑑定もそうでございます。やっぱりDNAだけの鑑定ですべてこれは表示違反、JAS法違反ということになかなかいきません。我々、それをきっかけとしまして、いろいろ帳簿類を調べるとか、そういうことをして取り締まるわけでございます。  新古の判定も同じでございまして、いろんな方法がございます。こういう方法でいろいろ調べた上で業者に対する立入検査をやりまして、書類等で、確かに新米というときに新米を買っているかどうか、そういうのをチェックした上で我々は取締りを行うということでございます。
  159. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 業界の常識なんという報道も一部ありますので、しっかりとした対応をお願いをしておきたいと思います。  それから、特別栽培農産物でございますが、これは米も当然その対象になるわけですね。特別栽培米ということはあり得るわけですね。ところが、ガイドラインが出たそうでございますけれども、その地域の農薬とか化学肥料の投与の半分以下ならこれを使っていいと、こういうことと理解しておるんですが、それでよろしいでしょうか。
  160. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) 特別栽培米における基準としまして、慣行の五割以上を減らして栽培された農産物ということでございます。
  161. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 それは県ごとか地域ごとで決めるわけですね。
  162. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) いずれにせよ、県等の公的機関が基準を明らかにして、その基準の五割以下ということで対応していくということにしております。
  163. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうしますと、県によって、今年は非常にいもち病がはやったのでこの基準は非常に、農薬の投与回数が例えば五回だったと。ところが、北海道の方は非常に寒冷で全然病気がなくて二回ぐらいだったというと、五割というと、一回とこちらは三回ぐらいですか、二回か。だけれども、これ全国へ出回るわけですね、特別栽培米ということで全国へ出回って、どこの、三回ならそれを書くんでしょう、北海道産だとか岡山産だとか。しかし、それが果たして何回投与をされたのか、それを書くんですか。  ただ特別栽培米というその表示だけが出回ると、何か非常に地域によって、先ほど申し上げましたように、いろんな病気といいましょうか、いもち病のような病気があるないにかかわらず、ただ半分と、こういうことになると、全国規模のものは、何となく納得、納得といいましょうか、消費者の方はその情報が、何回投与したかと分からないんじゃないかと思うんですが、その辺はどうなるんでしょうか。
  164. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) 特別栽培農産物、おっしゃるとおり、全国、こういう日本列島の状況でございますから、病害虫の発生のしやすさも当然のことながら一様でございませんし、それに応じて農薬の使用回数も地域によって異なっているのはおっしゃるとおりでございます。そういう点で、しかしながら、いずれの地域においても、言わば環境問題も含めながら、できるだけ農薬を抑えた農産物をしていくということは共通の言わば課題であり、消費者ニーズへの対応だというふうに思っております。  そういう点で、具体的に県ごとに地域の基準を明確にしてもらうということで取り組んでいるわけでして、現実に、例えば大豆の例で見ましても、農薬の慣行栽培の使用回数、私の手元では、青森県だと平均で六回、それが佐賀県に行くと十回というような形になったり、あるいはお米の場合ですと、普通栽培で青森県ですと十二回、それが佐賀県へ行くと二十二回というぐらいに、それぞれの地域で県が関与して定めている実情にございます。それを公表しながら、その五割以下、何回ということで表示をしていただくことによって情報提供していくという取組をしようということでございます。
  165. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 消費者は特別栽培米だと思った、それで佐賀県ですか、佐賀県のコシヒカリならコシヒカリを買ったと。それは二十二回が標準ですよと、それが、だけれども特別栽培米ということであれば半分になっていますということまできちっと書くガイドラインですか、そこまで。どうぞ。
  166. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) 個々の産品の表示のところで、例えば何々県の標準は幾らですというところまで個々の商品に表示することは、表示の技術的にもなかなか困難でございます。ただ、都道府県ごとに、どうだという物事の基準は、都道府県が関与して公表し、透明性を確保する。だから、なかなか、個々の消費者本当にじゃそこにアクセスできるかというような技術的な問題がございますが、私ども今回取り組んでおりますのは、都道府県単位で明確に基準を示してもらう、その半分以下にしていただくと。ですから、それをアクセスしようとすればできる仕組みにしたということでございます。
  167. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 米の、お米のトレーサビリティーが確立すれば当然分かってくるんだと思うんですね、履歴のところで。そういうことで期待をしておるわけでございます。よろしくお願いしたいと思います。  最後に、集落営農組織の担い手としての育成ということでお聞きしたいと思うんですが、集落営農、これは個々の農家がそれぞれ農業経営をしていくと。それから、集落型の営農体、いわゆる特定農業団体というんでしょうか、こういうふうな、先ほど参考人質疑の中でも、会計を一元的にするというのはとてもじゃないが私は嫌だと言う参考人がいらっしゃいましたけれども担い手の育成ということで、認定の農業者、それからこういう集落皆さんで一元的に経理をしながらやっていきましょうと、できればそれが一定の期間内に農業生産法人になっていただこうと、こういう段階があるんでしょうね。  そうすると、ちょうど中間の集落型の営農体でございますが、ここの税制的なメリットとかそれから財政的なメリットとか、こういうものがないとなかなかここのところへ行き着かないんじゃなかろうかなと、こういうふうに私個人思うんでございますが、一体、税制とか財政的な何かメリットというのはあるんでしょうか。川村局長、簡単でいいです。
  168. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に集落経営体というものを位置付けまして、この経営体につきましては、先ほど議論もございますが、担い手経営安定対策対象にしようということでございます。ただ、委員が今御質問ございましたとおり、金融なりあるいは税制上のメリットということは現時点では特段用意はしておりません。
  169. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 特段ないということでございますが、何らかのやはりメリットがないとそこの段階になかなか行かないんじゃないかなというふうな気もいたしますので、今後、税制はやればできるわけですから、税制改正で、それからまた財政的な融資的な面のメリットもそれは制度としてやればできないわけじゃありませんので、共々に考えていきたいと思います。  最後最後でございますが、渡辺務官にひとつ。  非常に熱心に自給率のことで我が党の中でも頑張っていただいておりますけれども、今は食料自給率は四〇%、平成二十二年には四五%ということが基本計画にあるわけですね。実際、二十二年まで四五%に持っていこうと思えば本当に大変なことだと思いますね。麦とか大豆を作ろうということでございますが、なかなかそれだけでは四五%は難しい面もございますし、今日も午前中の参考人質疑の中で生源寺先生は、これから水田は飼料、えさ、飼料生産をやっていかなきゃいけないと、ただ、日本には畜産ビジョンがないから難しいというようなこともおっしゃっておられましたけれども。  この四五%へ向けての、向上させていくことについてのお考え、食育だとか地産地消だとか学校給食の云々とか米の粉体化だとかいろいろあると思いますけれども、骨格で結構でございます、お答えいただければと思います。
  170. 渡辺孝男

    大臣政務官渡辺孝男君) 今、委員が御指摘ありましたとおり、食料自給率の向上というのは大変重要な問題でありまして、食料・農業・農村基本法に基づく食料自給率の向上ということで、食生活の指針、食生活指針に即した健全な食生活の実現を図る上でいろいろな試みをしているわけであります。  例えば、先日も委員の中から御質問ありました、米飯食の健康に与える長所として、肥満に関係するインスリン反応が、インスリンの反応が小麦、パンやジャガイモなどに比較して小さい、それから食欲中枢というのがあるわけなんですが、それにも有利に働き掛けて肥満の防止にも役立つと。そのほかに、がんとか老化、動脈硬化などにも改善する、予防する効果があると。そのほかにも、虫歯とか便秘とかアレルギーの予防にも効果があると。  様々なそういう医学的にも長所を持っておりますので、このようなことも含めまして、食生活指針の普及と連携しつつ、医師と専門家の裏付けを得た御飯食の健康性を最重要テーマとして、テレビ等のマスメディアを活用しまして国民的な運動を展開して消費の拡大を進めていくと、そのような試みをしていきたい。本年度の予算についてもそのような対策を講じているところであります。
  171. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 終わります。
  172. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十二分散会