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国務大臣(
亀井善之君)
農林水産省設置法の一部を改正する
法律案につきまして、その
提案の理由及び主要な
内容を御
説明申し上げます。
農林水産省は、食料の安定供給の
確保及び農林水産業の健全な発展に資するため、従来から安全な農林水産物の生産の
確保のための
施策を講じてきたところでありますが、
我が国初の牛海綿状脳症の発生が確認される等食の安全を脅かす問題が発生する中で、消費者保護を一層重視した
食品安全行政の確立が求められております。また、昨年六月の
食品安全行政に関する
関係閣僚
会議において、内閣府における
食品安全
委員会の
設置、リスク
管理体制の見直し及び食糧庁組織の廃止等の既存組織の見直しを行うことが決定されたところであります。
これらの点を踏まえ、
農林水産省組織の改革再編を行うこととし、この
法律案を提出することとした次第であります。
次に、この
法律案の主要な
内容につきまして、御
説明申し上げます。
第一に、
農林水産省の所掌事務について、農林水産物の生産過程における
食品としての
安全性の
確保に関する事務を明確化することとしております。
第二に、食糧庁を廃止するとともに、食糧庁の地方支分部局である食糧事務所及びその支所を廃止することとしております。
第三に、地方農政局の分掌機関として、
食品のリスク
管理のための
監視・
指導や、従来食糧事務所が行っていた主要食糧事務等を担う
地方農政事務所を
設置するとともに、地方農政局の統計情報事務所及びその出張所を、
地域における情報発信の役割を併せ持つ統計・情報センターに改組することとしております。
さらに、
平成十八年度からは、統計・情報センターを
地方農政事務所と統合し、
地方農政事務所の統計・情報センターとして位置付けることとしております。
続きまして、
食品の
製造過程の
管理の
高度化に関する
臨時措置法の一部を改正する
法律案につきまして、その
提案の理由及び主要な
内容を御
説明申し上げます。
本法は、
食品の
安全性の向上と品質
管理の徹底に対する要請を踏まえ、国際的にも推奨されている
管理手法である危害分析重要
管理点方式、すなわちHACCP手法の導入を促進することにより、
食品の
製造過程の
管理の
高度化を図るため、
平成十年に五
年間の
臨時措置として制定されたものであります。
本法の下で、HACCP手法の導入に必要な施設の
整備について金融・税制上の支援
措置を講ずること等により、
食品の製造又は加工を行う
事業者においても、この手法に基づく高度な
製造過程の
管理の考え方が着実に広まってきております。しかしながら、近年の景気動向の中で、新たにHACCP手法を導入するに際して、施設の改良等に伴う設備投資の面で、
課題が引き続き存在するとともに、最近における食中毒事故や
食品への異物混入、さらにはBSEの発生等を通じて、
食品の
安全性の
確保や品質
管理の徹底に対する社会的要請は、一層高まりを見せております。
このため、引き続き
食品の
製造過程の
管理の
高度化を促進する必要があり、本法について、
事業者が作成する
製造過程の
管理の
高度化に関する
計画の記載
事項に運用体制の
整備に関する
事項を追加する等所要の見直しを行うとともに、その適用期限を五
年間延長することとした次第であります。
続きまして、
食品の
安全性の
確保のための
農林水産省関係法律の
整備に関する
法律案につきまして、その
提案の理由及び主要な
内容を御
説明申し上げます。
昨今、牛海綿状脳症の発生や無登録農薬の問題等、農畜水産物の生産段階において
食品の
安全性を脅かす様々な問題が発生し、
国民の食に対する不安を招いております。
このような
状況にかんがみ、農畜水産物の生産に係る資材等について、その適正な使用の
確保等により
食品の生産段階における
安全性の徹底を図ることが、
国民の食に対する不安を払拭し、信頼を回復するために必要不可欠であります。
このため、
国民の生命と健康の保護を第一に
食品の
安全性の
確保に万全を期す観点から、肥料取締法、薬事法、農薬取締法及び家畜伝染病予防法を改正することとし、この
法律案を提出した次第であります。
次に、この
法律案の主要な
内容につきまして、御
説明申し上げます。
第一に、施用方法によっては人畜に被害を生ずるおそれがある肥料について、施用基準を定める等の
措置を講ずるとともに、販売の禁止に違反して販売された肥料について、その回収等を命ずることができることとしております。
第二に、許可を受けていない者による動物用医薬品の製造又は輸入及び適正な表示のない動物用医薬品の家畜等に対する使用を禁止するとともに、家畜等に使用される蓋然性が高い医薬品について、使用基準を策定することができることとしております。
第三に、販売の禁止に違反して販売された農薬について、その回収等を命ずることができることとしております。
第四に、特定の家畜伝染病について、総合的に防疫を
実施するための指針を作成するとともに、特定の家畜について、その家畜の飼養者が遵守すべき衛生
管理基準を策定することとしております。
第五に、農畜水産物の生産に係る資材の承認等に当たって、厚生労働
大臣等の意見を聴かなければならないこととし、連携の
強化及び
食品衛生法との整合性の
確保を図ることとしております。
続きまして、飼料の
安全性の
確保及び品質の
改善に関する
法律の一部を改正する
法律案につきまして、その
提案の理由及び主要な
内容を御
説明申し上げます。
牛海綿状脳症の発生を契機として
国民の食の安全に対する信頼が損なわれている事態を踏まえ、
食品の
安全性の
確保に万全を期するため、農畜水産物の生産に係る資材の
安全性の
確保と適正な使用の徹底が求められているところであります。
また、公益法人に対する行政の関与の適正化の観点から、飼料の検定
制度について見直す必要があります。
このような飼料をめぐる
状況の変化にかんがみ、飼料の
安全性の
確保及び品質の
改善に関する
制度を見直すこととし、この
法律案を提出することとした次第であります。
次に、この
法律案の主要な
内容につきまして御
説明申し上げます。
第一に、特定飼料等の製造業者について、品質
管理の方法等が一定の要件を満たす場合には、
農林水産大臣の登録を受けてこれを販売することができることとしております。
第二に、有害な物質を含む飼料等について、販売の禁止に加えて、製造、輸入又は使用を禁止することができることとするとともに、有害な物質が含まれる可能性が生じた飼料等を輸入する場合には、その旨を
農林水産大臣に届け出なければならないこととしております。
第三に、飼料の検定機関への行政の関与の適正化を図るため、
安全性に関する特定飼料等の検定を独立行政法人肥飼料検査所が行うこととする一方、栄養成分に関する公定規格の検定については、検定機関を
指定制から登録制に改めることとしております。
第四に、飼料の基準及び規格の設定等を行う場合には、厚生労働
大臣の意見を聴かなければならないこととし、連携の
強化及び
食品衛生法との整合性の
確保を図ることとしております。
続きまして、牛の
個体識別のための情報の
管理及び伝達に関する
特別措置法案につきまして、その
提案の理由及び主要な
内容を御
説明申し上げます。
平成十三年九月、
我が国で初めての牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認され、
国民の間に牛肉に対する不安が広がるとともに、
我が国の畜産業、流通業を始めとする関連産業に大きな影響が生じたところであります。
BSEについては、長い潜伏期間を有すること等、他の家畜伝染病と異なる特徴を有しており、その蔓延を
防止するための
措置を的確に
実施するために、牛一頭ごとにその飼養履歴等に係る情報を一元的に
管理し、BSEが発生した場合に過去の同居牛等を迅速に特定できる仕組みを新たに構築することが必要であります。
また、牛肉に対する信頼を回復し、安心できる食
生活を
確保するためには、消費者に対し、牛の個体情報を積極的に提供し、牛肉がどの牛から得られたかを確認できるようにすることが必要であるとともに、このような体制を構築することが、表示偽装の
防止にも資するものであります。
このような
状況を踏まえ、牛の個体の識別のための情報の適正な
管理及び伝達に関する特別の
措置を講ずることとし、この
法律案を提出した次第であります。
次に、この
法律案の主要な
内容につきまして御
説明申し上げます。
第一に、
農林水産大臣は、牛
個体識別台帳を作成し、牛ごとに出生年月日、移動履歴等を記録するとともに、その情報を原則として公表することとしております。
第二に、牛の
管理者等に対し、出生、譲渡等に係る届出及び耳標の装着を義務付けることとしております。また、何人にも耳標の取り外し等を禁止することとしております。
第三に、牛肉の販売業者等に対し、牛肉の販売をする際に、牛の
個体識別番号の表示及び帳簿の備付けを義務付けることとしております。
続きまして、
地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、
地方農政事務所及び
北海道農政事務所の
設置に関し承認を求めるの件の
提案理由につきまして御
説明申し上げます。
食糧庁の地方支分部局として、現在、食糧事務所及びその支所が
設置されておりますが、このたび国会に提出いたしました
農林水産省設置法の一部を改正する
法律案により、これらを廃止するとともに、従来食糧事務所が行っていた事務や
食品のリスク
管理のための
監視、
指導等を担う地方支分部局として、地方農政局の分掌機関である
地方農政事務所及び本省直轄の
北海道農政事務所を
設置することとしております。
本件は、この
農林水産省における地方支分部局の再編に伴い、
地方農政事務所及び
北海道農政事務所を
設置することについて、
地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づく国会の御承認を求めようとするものであります。
以上が、これらの
法律案及び承認案件の
提案の理由及び主要な
内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。