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2003-05-14 第156回国会 参議院 内閣委員会、厚生労働委員会、農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年五月十四日(水曜日)    午前十時三十分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。    内閣委員会     委員長         小川 敏夫君     理 事                 阿部 正俊君                 森下 博之君                 長谷川 清君                 吉川 春子君     委 員                 阿南 一成君                 上野 公成君                 岡田  広君                 竹山  裕君                 西銘順志郎君                 野沢 太三君                 山崎 正昭君                 岡崎トミ子君                 福山 哲郎君                 松井 孝治君                 白浜 一良君                 山口那津男君                 島袋 宗康君                 黒岩 宇洋君    厚生労働委員会     委員長         金田 勝年君     理 事                 武見 敬三君                 中島 眞人君                 浅尾慶一郎君                 山本 孝史君                 沢 たまき君     委 員                 斎藤 十朗君                 伊達 忠一君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 藤井 基之君                 宮崎 秀樹君                 森田 次夫君                 朝日 俊弘君                 今泉  昭君                 谷  博之君                 堀  利和君                 風間  昶君                 井上 美代君                 小池  晃君                 森 ゆうこ君                 大脇 雅子君                 西川きよし君    農林水産委員会     委員長         三浦 一水君     理 事                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 岩永 浩美君                 太田 豊秋君                 加治屋義人君                 小斉平敏文君                 服部三男雄君                 松山 政司君                 郡司  彰君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 本田 良一君                 日笠 勝之君                 渡辺 孝男君                 岩佐 恵美君                 中村 敦夫君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   亀井 善之君        国務大臣     谷垣 禎一君    副大臣        内閣府副大臣   根本  匠君        厚生労働大臣  木村 義雄君        農林水産大臣  太田 豊秋君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       渡辺 具能君        農林水産大臣政        務官       渡辺 孝男君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        川邊  新君        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       小川  洋君        内閣国民生活        局長       永谷 安賢君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   楢崎 憲安君        外務省北米局長  海老原 紳君        文部科学大臣官        房審議官     丸山 剛司君        文部科学省科学        技術学術政策        局長       林  幸秀君        厚生労働大臣官        房審議官     恒川 謙司君        厚生労働省健康        局長       高原 亮治君        厚生労働省医薬        局食品保健部長  遠藤  明君        農林水産省総合        食料局長     西藤 久三君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        水産庁長官    木下 寛之君     ─────────────   本日の会議に付した案件食品安全基本法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────    〔内閣委員長小川敏夫委員長席に着く〕
  2. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから内閣委員会厚生労働委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  先例により、私、内閣委員長連合審査会会議を主宰いたします。  食品安全基本法案を議題といたします。  本案の趣旨説明及び衆議院における修正部分説明は、お手元に配付いたしました資料により御了承願い、その聴取は省略いたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 伊達忠一

    伊達忠一君 自由民主党伊達忠一でございます。よろしくお願いいたします。  私は、今回提案されましたこの法案、こういうものを一日も早く実現すべく、こう願っていた一人でございまして、完璧なものでなくても早く国民皆さん方に精神的な支え、そんななるようなものを私は作ってあげたい、こう思っていたところでございます。  と申しますのも、私は一昨年の参議院選挙北海道選挙区から当選をさせていただきました。御存じのように、北海道拓銀拓殖銀行が破綻して以来、大変な景気、雇用、そういう大変な状況でございまして、少なくとも私も国政に参加した以上少しでもお役に立てばと、こんな気持ちで実は参画をさせていただきました。  するや間もなく、私はやったのがこのBSE事件でございました。北海道酪農というのは、私は先輩の方たちが大変な努力をされて今日まで国内で誇る北海道酪農だとこう自負しておりました。その酪農の、第一号いわゆるBSEが発生したのがこの北海道でございますから、これはもうまともに直撃をされたということでショックを隠せないものが私どもはございました。  あわせて、北海道が生んだブランド、雪印というものは世界に誇るものだというふうに私も自負しておりましたが、これが御存じのような牛乳事件でもって大事件を起こしてしまったと。こういうことから申し上げれば、口蹄疫という問題もあったんですが、これは余り表に出なかったんですが、早々に私どもは解決をさせていただきました。足腰が立たない、そんな北海道状況でございまして、大ショックを受けたのは事実でございます。それだけに、是非何とか消費者皆さん方支えになるようなものを作ってあげたいという気持ちで実は一杯でございました。  ところが、それが間に合わずにして後手後手となってしまって、いわゆる牛肉の偽装表示であるとか、また中国の農薬の問題で野菜の問題であるとか、もう国民にしてみれば食べるもの、肉も魚も野菜もそして飲む牛乳信頼をできない、私はこんな状況だったろうと、こう思っております。  そういう意味から、私は先ほど申し上げたように、ここに何かの制度を一日も早く作ってあげたいということからこれを歓迎していたわけでございますが、そこでこの食品安全基本法についてこれから質問させていただきたいと、こう思っております。  そもそもこの法案きっかけというのは、先ほど申し上げたBSE発生が私はきっかけだと、こう思っております。昨年の四月にまとめられたこの調査検討委員会報告によりますと、これも何回も皆さん方お聞きになったかもしれませんが、いわゆるその失政の原因としては農水省行政担当者のいわゆる危機意識の欠如であるとか消費者保護の軽視であるとか、それからまた、よく言われております行政縦割り弊害というものが指摘をされたわけでございますが、食の安全という立場を申し上げれば国民皆さん方生命、健康に大きくかかわりのある問題だけに、私は積極的に取り組んでいかなきゃならぬと、こう思っております。  そんなようなことから、今回のこの法案については、食の安全に関するいわゆる基本理念関係者責任が明記されたことは私は大いに評価をするところでございますが、しかしこれで本当に安全というのが確保されたのか、いま一つ私ははっきりしないものがあると、こう思っております。  そこで、谷垣大臣にお伺いをいたしますが、本当にこのいわゆる法案で安全が確保されたとお思いでしょうか。また、どういう点がこの法案について食の安全というものが確立されたかということを具体的に私はお聞かせをいただきたい、こう思うのと、もう一つは、これで縦割りという弊害がどういう具合に解消されていくのか、その辺をお聞かせをいただきたいと、こう思っております。
  4. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、伊達委員北海道の御出身ということでいろいろ北海道、悩みながら何とか問題を解決していきたいというお気持ちがにじみ出ていたようにお話を伺わせていただきました。  今度の食品安全基本法でございますが、この出発点は、今、委員がお触れになりましたように、BSE問題がきっかけでございまして、したがいまして、その調査検討委員会報告書というものが、我々がいろいろ議論をし考える場合のたたき台と申しますか、そういうものになっているわけですね。  その中で指摘されていることは、まず、農林水産物生産から食品の販売までの各段階で適切な安全確保のための措置を講じていくという、いわゆるフードチェーン考え方が足らなかった、その背後には生産重視ということがあったんだろうと思いますが、各段階できちっと適切な手を打てということでございますね。それから、リスク分析ということが言われますが、リスク評価産業振興の機能を担っているリスク管理機関リスク管理混然一体となして行われて明確な区別がなかったという御指摘もございました。それから、縦割りということを言われましたけれども、それぞれリスク管理を受け持っているところが言わば正に縦割りでございまして、相互連携が不十分であったということが、もうほかにもいろいろありますが、制度を作っていく場合の主要な問題点として指摘されたというふうに認識をされております。  そこで、この食品安全基本法案では、第一に、食品供給行程の各段階食品安全性確保のために必要な措置を適切に取ると、これを基本的な考えとしまして、それで第二に、リスク評価を客観的かつ中立公正で科学的に行うために、リスク管理機関から独立した食品安全委員会内閣府に設置すると、それから三番目に、その関係者相互間での情報意見の交換、いわゆるリスクコミュニケーションの促進や関係行政機関の密接な連携というものを規定しているところでございます。  そこで、委員がおっしゃいましたように、じゃ、こういう制度改正をしたから直ちに安全が確保されるのかと、こういうことになるわけでありますが、私どもは、制度としてはこういう制度を作って、今までの制度よりもはるかに前進したものができると考えております。しかし、いわゆる仏作って魂入れずということになってはいけませんし、この制度趣旨をきちっと認識して、それぞれの行政機関が適切な緊張関係に立ちながら、全体としては統一した行政をしていかなきゃならぬと、こう思うわけであります。  余り長々御答弁してもいけませんが、その縦割りの弊を乗り越えるためには今申し上げました適切な緊張感ということが必要だと思いますが、全体としては一体とした食品安全行政をしていくという意味で、第十五条で基本的な方針の一つとして密接な連携ということを規定しておりまして、それを受けて政府全体として基本的事項を定めて、具体的に縦割りの弊を乗り越えて連携していく方策を確立することにいたしております。
  5. 伊達忠一

    伊達忠一君 私は、これは国民生活の上で一番大事なことだと、こう思っているんです。いろいろと道路を造ったり橋を造ったり、そういうことも大事でしょうけれども、やはりこれはもう、ひいてはやっぱり健康、生命にかかわる問題だけに、私は、これはやっぱりもう省庁挙げて真剣に私は取り組んでいかなきゃならぬと、こう思っているところでございます。  それから、原産地表示についてちょっとお伺いをしたいんですが、いわゆる例えばオーストラリアから牛を輸入するということで、それを有名な三重県の松阪なんかで三か月以上飼育すれば松阪牛ということに表示をしてもいいということなのか、これは間違いないんですかね。──そうしたら、一緒に答えてください。  それで、豚は二か月だとかほかの家畜は一か月だとかということを聞いているわけでございますが、私は、魚についても、魚介類についても、いわゆる外国から輸入したものが、その期間外国養殖した期間日本養殖した期間が長い方を取るんだという話を聞いているんですが、例えば中国から輸入して、それが向こうで二週間養殖して、じゃこっちで三週間養殖したと、だから、一週間長いから、じゃ国産だというようなことになるのかどうか。例えば、そうすると逆に、向こうで二週間養殖してこっちで五日しか養殖しなくても、それが、ああこれは日本の方が養殖が長いな、だから国産だなって消費者が買ってそれ分かるのかどうなのか。私は、その辺に問題があると思うんです。  ですから、そういうような、結局、どちらかというとあいまい的なような制度というものをやっぱりむしろきちっとしてやった方が私は消費者がはっきりするんではないかと、こう思うし、そして要するに原産地輸入国なんかもきちっと表示してやるということが私はやっぱり消費者にとっては親切だろうと、こう思うんですが、そういう制度といいますか、このシステム自体が私は問題だと思うんですが、その辺についてちょっとお聞かせをいただきたいと思っています。
  6. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 輸入魚介類についての表示の問題でございます。  水産物につきましては、JAS法に基づきまして、消費者商品選択に資するという観点から、国産品につきましては生産水域名など、また、輸入品につきましては生産国名表示を義務付けているところでございます。  委員指摘事例でございますけれども外国で漁獲された貝類などを輸入し、出荷などまでの間調整保管する場合などが当てはまるというふうに考えておりますけれども、一般に申し上げまして、国産品の方が輸入品に比べまして市場評価が高いというような現状の下で、例えばアサリ等が例でございますけれども輸入後短期間出荷調整されたものを国産品として表示されることを防止すると、そういう観点をも踏まえまして、御指摘のような原産国の取扱いを行っているところでございます。  私ども水産物の場合には、外国養殖をし、また日本養殖をするというような事例は、恐らく先ほど申し上げた事例が唯一であろうかというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、原産国表示生産あるいは輸入実態に即したものになるよう、今後とも、都道府県あるいは水産技術センターによります表示実態調査、あるいは監視等を通じまして、また、当然のことでございますけれども、必要に応じ見直すことを通じまして、この原産国表示ルールの適正な運用に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  7. 伊達忠一

    伊達忠一君 それはやっぱり、はっきり消費者が分かりやすい、そうじゃなかったら、どっちが長かったかなんというのは大体消費者は分からないんですから、これはもう売れやすい方に、高い値段の付く方にもうどんどんどんどん名前変えて出荷したって分からないわけで、それは是非ひとつこれからも検討していただきたいと、こう思っております。  それから、先ほどは、今ほどは食品表示でございましたが、今度は原産地表示についてお聞きをしたいんですが、いわゆるいろんな偽装問題がございました。それによって、私もたまにスーパーなんか行ってみると、やはり、いや本当に、何々産だろうかといって聞いている主婦もおりますし、いや、それにしては安いねというようなことで、ここのはおいしいのよなんてよく奥さん同士で話しているのを聞くんですが、今、何というんでしょう、新聞に入ってくるそういうチラシの広告を見て、十円、例えばグラム当たりに十円安いといえば、もう自転車で何キロもちょっと離れたようなスーパーまで行って買って求めているというのが今実態なんですよ、正直言って。それが、買いに行って、買ってきて、食べた後、違ったなんということに、全然原産地が違うということになれば、私はこの消費者選択という観点からいって大変これは大きな問題だと、こう思っております。  これは背信行為的な、私、そういうものに当たるんじゃないかと思うんですが、その辺についてちょっと農林省考えをお聞かせいただきたい。
  8. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) お答えいたします。  委員今御指摘のとおり、偽装表示の問題、また本法律の根本問題になっておりますBSEの問題等々に関連をいたしましてのことでありまして、私ども、この問題深く反省をし、また国民信頼を損ねたと、このことを反省をしておるわけであります。食品表示に関する国民信頼を回復する、これはもう本当に重要な課題と、このように受け止めておるわけであります。  昨年から、食品表示一一〇番の設置など、監視体制強化に取り組み、またJAS法改正をし、公表の迅速化罰則の大幅な強化措置を講じたところでありまして、その法的な運用に努めておるわけでありまして、また、食品不正表示の疑いのある案件につきましては、国及び都道府県JAS法に基づきまして立入検査や任意の調査を随時行っていると。  あるいはまた、JAS法に基づく品質表示基準違反として、生鮮食品品質表示基準が適用された平成十二年七月以降、本年四月までに、農林水産大臣名により指示は八十四件、都道府県知事による指示は百二十四件と、こういうようなことでございまして、農林省の、十五年度におきまして、この表示監視体制につきましても、農林水産省組織再編、こういう点から組織表示監視担当職員の大幅な増強、あるいは表示ウオッチャー、この増強などに努めて、信頼の回復のために努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  9. 伊達忠一

    伊達忠一君 通告してあったのですが、すべて質問できないでお許しいただきたいと思います。  それで、私は最後に、これは答弁いただきたいんですが時間ないものですから結構なんですが、今、大臣から表示ウオッチャーの、監視員の問題も出ました。  要するに、罰則は今回原産地表示偽装については強化されたんですが、私はやっぱり、食のGメン的なそういう人たちにもう少し権限を与えて、そして監督を厳しくしていくということが私は必要だろうと、こう思っておりますし、やはり国民の健康、生命を守っていくということになりますと、罰則だけではなくて、いわゆるそういうことをした製造業界であるとか会社であるとか商店には、二度ともうそういう食品を扱えないというぐらいのやっぱり私は厳しいことを、指導ぐらいのことを私はした方がいいだろうと、こう思っております。それも是非ひとつ検討していただくことをお願いして、私の質問を終わらさせていただきます。  ありがとうございました。
  10. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 自由民主党の小斉平でございます。  先ほど来お話がありますとおりに、昨年の四月、このBSE問題に関する調査検討委員会報告が出されまして、その指摘に基づいてこの食品安全基本法案が提出されたところであります。  国民立場に立てば、とにかくこの食品安全委員会、これが農水省厚生労働省、これから完全に独立をして、危機管理能力、これにたけた指導者によって国内外の情報、最新の情報を基に関係省庁あるいは団体に警鐘を鳴らして、そして国民の健康を守るとりでとして頑張ってもらいたいという思いだと、このように思うんです。そういう観点から委員会の在り方についてお尋ねしたいと思いますが、時間がございませんので簡潔にお答えを賜りたいと思います。  まず、委員の構成、これを見てみますと、毒性学から、ずらっと専門家が並んでいらっしゃる。しかし、このような膨大な海外情報というものを分析をして、消費者の不安を先取りをして自らリスク評価を実施をすると、そして関係省庁の思惑を一気排除して、総理大臣を通して関係大臣、これに意見を述べ、勧告をすると、これは私は専門家の任務としては非常に困難だと、このように思うんです。  何もこの委員専門家学者、こういうのに限定しなくても、例えばイギリスの食品基準庁みたいに多様な人材、これを任命をして、そして専門家は、いわゆるその下に専門調査会というものが設置されるわけですから、そこの専門委員に任命しても何ら問題はないと、このように私は思うんです。  委員学者やら専門家、これに限定した理由をお聞かせを賜りたいと思います。
  11. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 食品安全委員会所掌事務は、これはかなり広範なものがありますけれども、主として食品の人の健康に及ぼす悪い影響ですね、悪影響、これを科学的、客観的に評価していくということにありますので、そういう問題に対して知見の深い知識を持っておられる専門家にお願いをするということにして、今、委員いろいろおっしゃいましたけれども、ここは利害調整をしたりそういう場ではありませんので、そういう専門家意見を尊重するということにしたわけであります。  さらには、これは必置の機関ではありませんが、私は、食品安全委員会等仮称)と、今仮称が付いておるわけですが、必ずこの上に恐らく、多分仮称が取れた大臣が任命されるはずでございますので、やはりその大臣はまた大臣としての責任を担ってやっていかなきゃならぬ、こういうことではないかと思います。
  12. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 BSE問題に関する調査検討委員会報告、これでは、体制の確立に当たっては欧米の体制等参考にして、海外の応募も含めた公募制を採用されるべき、このように指摘をされておるわけなんですけれども公募制されなかった理由ですね、少なくともやっぱり国民がこの食品安全委員会に対する期待、これにこたえるためには、少なくとも一部の委員、これは私はやっぱり公募制にすべきだと、このように思うんですけれども大臣の御見解を賜りたい。
  13. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この食品安全委員会は七人の委員で成る、その下に専門調査会、そこにまたいろいろ委員に入っていただくわけですが、この人選に関しては、今様々な御意見を拝聴しながら内閣官房で人選をリストアップしております。そこで、この法案が通りましたら、担当大臣が中心となって責任を持って選考を行っていきたいというふうに考えております。  それで、人選に、その上さらに、ここは両議院の同意を得た上で内閣総理大臣が任命をするということになって、人選に誤りがないように、そういう形で慎重を期することになっているわけでありますが、推薦や公募といった方法は、これは類似の性格を有しますほかの委員会でもまだ採用されているところがおりませんし、専門的知識を有する優れた人材を幅広く選んでくるという観点から見ますと、必ずしも公募がいいのかどうかというのは、私はやや慎重に考えております。ただ、専門調査会等いろいろありますので、そこら辺りをどうしていくかということは、これから十分検討してまいりたいと思っております。
  14. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 委員長は常勤の委員で互選をすると、このようになっておりますが、やっぱり委員長というのは国民信頼にこたえ得る人物、こういう方をやっぱり委員長候補として、先ほど大臣言われましたけれども、私は、両院の同意を得て総理が任命すべきだと私は思うんです。  やっぱりその互選というのは、なぜかというと、総理が任命されるのと、委員の互選、これでは国民がこの委員会に対して期待度とか信頼性というものが非常に違うと思うんですね。そして、やっぱり運営自体にも、委員会の運営自体にも非常に影響が大きいと、このように思うんですけれども、この委員長を互選にされた理由、これをお聞かせを賜りたいと思います。
  15. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 審議会等の委員長は、一般的にはその合議体の自立性を重視して互選にするということが、平成十一年四月に作られました基本的計画の中でも定められておりまして、そういった例を踏まえまして、食品安全委員会についても委員長は互選をするということにいたしました。  それからまた、緊急対応等いろいろありますので、やはり非常勤の方の中から、非常勤の方に委員長になっていただくのは難しかろうというわけで、常勤の方で互選をしていただくということにしたわけであります。  それで、今、委員がおっしゃったような、国民信頼を得られるかどうかという点になりますと、やはりこの七人の委員の人選に誤りなきを期してきちっとやっていく、そして国会の御承認もいただいて内閣総理大臣が選任していくと、こういうことで、委員の御懸念がないようにやってまいりたいと、こう思っております。
  16. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 今、大臣言われましたけれども、私は、今回のこの食品安全委員会、従来の審議会と同じような形の委員会だったら私は駄目だと思うんですよ。ですから、そこの点は従来の審議会という観点をやっぱり捨ててもらって、これは大変重要な問題ですから、この委員会にはですね、委員会にはやっぱりそういう考え方を持っていただきたいと私は思うんです。  さらに、この委員会は、リスク評価結果に基づいて総理大臣を通して講ずべき施策を関係各大臣に勧告をするということになっておるわけですけれども委員会が権限を持って直接その関係大臣、これに勧告できないということはなぜなのか、私は非常に疑問なんです。それはなぜかというと、委員会の独立性というものが非常に弱く国民から見たら見えるんですね。  ですから、私は、そういう直接大臣に勧告ができないような仕組みになったのはなぜかということをお聞かせを賜りたいと思います。
  17. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この委員会は、例えばいろんなところに食品安全委員会意見を述べることができるというような場合には、もう委員会単独で意見を述べるわけです。  ただ、リスク管理機関に対して勧告をするというのは、これは非常に重いものでありますので、その重要性にかんがみまして、食品安全委員会が設置される内閣府の長、これは内閣総理大臣でありますので、その内閣総理大臣を経由してその勧告を述べるという仕組みにしたわけであります。
  18. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 最後に、これは質問ではございませんけれども、私は、この食品安全委員会の存在というものは、その使命を十分に果たして国民信頼をされることであって、仮に将来その判断にミスがあったとしても、当時の状況としては最善の判断でやむを得ない、やむを得なかったんだとやっぱり国民を納得させるような存在でなければならないと私は思うんです。それだけに、やっぱり委員会の独立性あるいは自主性というものが制限をされたような印象を国民に与えてしまうと、厚生労働省あるいは農水省に主導権を握られておるとか、あるいは裏でつながっておるんではないかとか、あるいは各省がいわゆる委員会に判断のげたを預けて責任を転嫁しておるんではないか、このように思われて信頼を失いかねないと、このように思うんです。ですから、食品安全委員会が両省に先駆けて問題を提示をして、そして両省と緊張感を持って対峙するという存在として、歴史に残る輝かしいスタートを切っていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。
  19. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。  今日は連合審査ということで質問をさせていただきます。  谷垣大臣におかれましては、地元でいつもお世話になっておりまして、初めて大臣とこうやってやり合うことになりまして、よろしくお願いいたします。  私は、食の安全の確立と強化を目指すこの法律の意義というのは非常に大きいと思っておりますし、食品安全行政については大きな前進だというふうに思っています。  ただ、大臣もよく御案内のとおり、地球上では約十万種類以上の化学物質、そして農薬、さらに添加物がいろんな形で販売をされ出して、また開発もされています。また、遺伝子組換え技術など高度な科学的技術が日々高度に、何というか、開発されているわけで、私は、絶対的に安全だというようなことというのはもう今の時代はあり得ないと思っておりまして、本当に重要なのは、この食品安全基本法を中心に、国民が一人一人自分で、これは自分は納得して食べるんだと、表示の問題にしてもそうですし、成分の問題にしてもそうですし、それを国民一人一人が納得した上で選んで、そして食べるんだというような形のやっぱり情報開示と自己決定が私は安心と納得への第一歩だというふうに思っておりまして、今日、私にいただいた時間二十分ということなので、限られていますので、そういう観点で幾つか質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。  この法案のまず十七条、「食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、国民の食生活を取り巻く環境の変化に即応して食品の安全性の確保のために必要な措置の適切かつ有効な実施を図るため、食品の安全性の確保に関する内外の情報の収集、整理及び活用その他の必要な措置が講じられなければならない。」というふうに法案になっています。  この法案の中の内外の情報収集、整理、活用というのは、具体的にどのようなもの、何をするつもりなのか、まただれが主体となって行うのか、大臣、お答えいただけますでしょうか。
  20. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 御指摘のように、十七条、大変重要な規定でありまして、ここで内外の情報として言っているのは、食品の安全性に影響を及ぼす危害要因に関する科学的な知見、あるいは国際機関とか外国政府、それから地方公共団体などが安全性の確保のために講じた措置と、こういった、関する情報ですね、そういったものが想定されているわけです。  それから、情報の収集あるいは整理、活用というのは、関係行政機関幾つもありますので、それぞれが様々なルートを通じて行うことを想定しておりますが、その際に相互連携して重要な情報の共有を図る、それから政府全体としてのアンテナを高く張って、情報収集体制の確立を推進していかなきゃならない、そういった趣旨がこの十七条には込められていると思うんですが、その際に、特に食品安全委員会では事務局に情報の収集、分析を担当する課を置くことを考えております。  そして、そこではいろいろな外国、国内学術雑誌、あるいは学会誌などから最新の科学的知見に基づいた危害やリスク評価に関する情報、それから先ほど申し上げたようないろいろなリスク管理機関、あるいはマスコミ、インターネットですね、こういうようなものから危害情報を集めてくるということも必要だろうと思います。それから国際機関ですね、諸外国関係行政機関などから海外における危害発生情報、あるいは食品リスクに関する科学的見解、こういうものを集めてくる。それを整理、分析してリスク評価や緊急時対応に役立てていくということだと思います。  それで、先ほども一回申し上げましたが、関係機関との情報の共有とか的確なリスクコミュニケーションを活用していくということを特に考えていかなければならないと、こう思っております。
  21. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 かなり具体的にお答えをいただきましてありがとうございました。私もそのような点を大変注意しておりまして、今までは、役所同士が勝手にそれぞれ集めているけれども、それを抱え込んで全然お互いが情報開示しないような傾向もありまして、この食品安全委員会にそういう具体的な課を置いていただけるということは第一歩だというふうに思っています。  ただ、具体的な話でちょっと一つだけ、今の大臣の言われた国際機関外国状況ということで言うと、日本は御案内のように約六割が、日本の食卓に並ぶ食物のうちの六割が海外からの輸入品になります。自給率の問題、低い自給率の問題、今日の議論ではないのでやめておきますが、輸入食料の安全性の確保というのもやはり僕は非常に重要な問題だと思っていまして、一九六二年にFAOとWHOの合同設立した国際政府機関でコーデックス委員会というのがあります。このコーデックス委員会というのは、いろんな形の各国における食品の農薬、添加物、そういった食品の基準を定めている委員会でございまして、恐らく我が国のこの食品安全基本法なり食品安全委員会にとっては非常に重要な情報源になるような国際機関だと思っておるんですが。  文科省にお伺いをします。このコーデックス委員会の、どなたでも結構ですが、このコーデックス委員会の今の日本側の窓口はどこでしょうか。
  22. 林幸秀

    政府参考人(林幸秀君) お答えいたします。  現在、コーデックスの国内の窓口は文部科学省の私の局の資源室というところで担当しております。
  23. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 このコーデックス委員会の文科省の担当者の数は、何人の方が担当者で頑張っておられるんでしょうか。
  24. 林幸秀

    政府参考人(林幸秀君) お答えいたします。  先ほど申し上げました資源室で担当しておりまして、資源室の職員三名が、それぞれほかの業務を処理しつつ、併せましてコーデックスの関係業務を分担しておるということであります。
  25. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 文科省では、食品安全についてのリスク調査や研究分析の実務は行っているのでしょうか。
  26. 林幸秀

    政府参考人(林幸秀君) 文部科学省におきましては、コーデックスのコンタクトポイントとしまして三つのことをやっておりまして、具体的には国際機関の事務局から書類を受け取りまして、それを関係の担当の省庁に送る、それから逆に関係省庁から受け取ったいろんな書類を事務局の方にお渡しする、それから国際会議がございますので、その国際会議出席者の登録といったことを行っております。
  27. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 大臣、今聞いていただいたとおりなんですが、このコーデックス委員会というのは非常に国際的には重要な役割をしています。ただ、ここのコーデックス委員会の作った食品基準がそのまま日本食品基準になるかどうかは別の問題です、それは途上国との関係もありますから。ただし、こんな状況だということを、世界の動きを把握しているところとしては大変大きな機関で、その担当窓口が今文科省で、他の業務との兼務で今三名の方がやられていると。基本的にはコーデックス委員会から来たものを必要に応じて各省庁に書類を振り分けていると。  それはそれで科技庁との絡み、これまでの関連上そこに置かれていると思うんですが、正にこういったコーデックス委員会の担当窓口等は私は食品安全委員会に持ってくるべきではないかと思いますし、例えばそれが今すぐできない場合にも、そのような形の想定をしていただいて、なるべく食品安全委員会はこのコーデックス委員会からの資料をダイレクトに、なおかつ直接コンタクトが取れるような仕組みを作っていただくこと自身が、先ほど正に大臣が言われました十七条の、何というか、趣旨に合うのではないかなというふうに思っています。  また、もう一つ申し上げると、二十三条の八項では、この法案では、食品安全委員会所掌事務として、「関係行政機関が行う食品の安全性の確保に関する関係者相互間の情報及び意見の交換に関する事務の調整を行うこと。」ということがもちろん入っておるわけですから、このコーデックス委員会のようなものの担当窓口が食品安全委員会に置けるように、それは文科省との交渉になるんだと思いますが、そこについて是非大臣、前向きにお答えをいただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。
  28. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) コーデックス委員会は、おっしゃったように食品の国際的な規格、基準を科学技術的見地から検討している機関でありまして、私も今の職をいただいてからこの委員長とは何度か意見交換もさせていただいて、食品安全委員会としても重視していかなきゃならない機関だと思っております。  先ほど文部科学省局長が御答弁いたしましたように、現在は文部科学省がコンタクトポイントになっているわけですが、これはかつて科学技術庁がコンタクトポイントになりましたのは、やはり現在産業振興の役割も担っている農林水産省、それから食品衛生を担当する厚生労働省双方に関係するものではあるけれども、このコーデックス委員会が科学的あるいは技術的視点で検討されているので科学技術庁、そして現在はそれを引いた文部科学省ということになっているわけですね。  そこで、コーデックス委員会がやっておりますことは、もちろん食品の安全性ということも非常に大きなウエートでやっておられると思っておりますが、それだけじゃなく、品質とかいわゆるリスク管理に含まれている仕事がむしろ多いのではないかというふうに私は思っておりまして、そうしますと評価と管理を分離するというリスク分析の手法に立って食品安全委員会というものを作ったわけですから、直ちにコンタクトポイントが食品安全委員会ということがいいのかどうかというのは、私はやや慎重に考えなければならないんじゃないかというふうに思っております。  しかし、先ほどから委員が御指摘になりましたように、私どもはやはり情報や諸外国機関がどういう、何というんでしょうか、食品の安全性にとって対応を取っているかというのは、常に耳を長くしてアンテナを張っておかなきゃなりませんので、食品安全委員会、コーデックス委員会の活動というもの、あるいはそのコンタクトポイントである文部科学省との連携というものは当然意を用いていかなきゃならぬと、こう思っております。
  29. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今のは谷垣大臣にしてはちょっと歯切れが悪かったと思うんですが、例えば、こんなのは余りいい例ではないんですが、各省庁のホームページ上でコーデックス委員会情報検索すると、厚労省は七十三件、農水省は四十八件、文科省に関しては民間の研究論文二件が掲載されていただけだったわけですね。  私は、文科省がコンタクトポイントであることが殊更に悪いと申し上げているわけではありません。やはり歴史的な経緯もあるでしょう、大臣がおっしゃられたとおりに。ただし、こういう食品安全委員会のようなものができ上がってきている時点で、現実に法案の中身で各国の、正に大臣が先ほど言われたように、国際機関とか外国状況を判断する中に、先ほど大臣言われたように、リスク分析を行っていることもコーデックス委員会やっているわけですから、正にこの安全委員会でコンタクトポイントとして持って、大臣委員長ともお会いになっておられるというなら、なおさらそういう省庁の縦割りを、ましてや三人で兼務してやっているような状況はもういい加減に、文科省が欲しいと思っているかどうかは別なんですが、そこは少し御英断をいただいて、コンタクトポイントはしっかり食品安全委員会でやるんだというようなことは御答弁いただけませんでしょうか。
  30. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員から突っ込んで御質問がありましたが、私は、現在の段階でただ直ちに、何というんでしょうか、このコンタクトポイントの見直しを検討しなければならない状況だというふうには考えておりません。  これは、新しい食品安全行政というのがこれからスタートをするわけですから、これからいろいろまた実績を積み重ねて、いろいろ議論があると思います。そういう中で必要があれば今おっしゃった点も検討されることがある、あるとは考えておりますが、今直ちに答えよと言われても、ちょっと今お答えすべき段階ではないと、こういうふうに思っております。
  31. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私も、すぐに移管をしてほしいと言っているわけではなくて、よりこういう現実があるということを踏まえて、食品安全委員会の方できっちり建設的に文科省と議論ができて、より時間等が掛からないようにしていただきたいと思いますので、是非善処というか前向きに検討いただきたいと思います。  と思っていると、あともう三分ぐらいしかなくなってきまして、ほとんど自分の予定していた質問ができなくなったんですが、今度は遺伝子組換え食品表示の問題についてお伺いをしたいと思います。  これは農水省にお伺いしたいんですが、二つお伺いします。  食用油やマーガリン、マヨネーズ、しょうゆなど、遺伝子組換え生物を原料として使用していてもそれを表示しなくていい食品日本の場合にはたくさんあります。その理由はなぜか。これは、EUは基本的にすべての食品について表示義務を課そうと今しています。  それから、遺伝子組換え生物が混じって入っている場合に、混入されている場合に、五%までの混入は日本の場合容認されていて、遺伝子組換えと表示しなくてもよくなっています。安全であるか危険であるかはともかく、私は先ほど申し上げましたように、遺伝子組換え生物の入っている食品を食べたいか食べたくないかというのは消費者が判断することであって、それを選択するためにはそういう表示をして、消費者がきちっと判断できる環境を整えるのが私は重要だと思っています。ちなみに、EUではその混入率は一%という厳しい数値を採用しているのに、なぜ日本は五%なのか。  先ほどの表示義務が必要と必要でない食品の問題、それから混入率が五%と一%とEUで差がある理由、この理由について、農水省、お答えいただけますでしょうか。
  32. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 遺伝子組換えの食品表示、今委員指摘のコーデックスにおきます議論等を踏まえまして、平成九年から十一年までに掛けまして約二年にわたりまして、消費者生産者、流通業者及び学識経験者から成る食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会におきまして議論をしてきた結果、科学的、技術的な観点から表示信頼性及び実行可能性を確保することが重要と考え、DNAやこれによって生じたたんぱく質が残存しない油やしょうゆについては義務表示の対象外と、このようにしたわけでありまして、この義務表示の対象品目については、組み換えられたDNA等の検出方法の進歩等に、進歩等に関する新たな知見、消費者の関心等を踏まえて、毎年見直しを行うこととしておるところでもございます。  それから、EUとの問題。EUは一%というようなこと、我が国は五%とこういうようなこと、最大五%程度の混入と、こういうことでしておりますが、これもバルクで輸入される農作物について分別生産流通管理が適切に行われた場合、遺伝子組換え農産物の意図せざる一定の混入が避けられないと、こういう問題があるわけでありまして、この混入率五%以下を目安とした取引、また輸入につきましてもそれぞれ証明書をそれぞれの段階で取って添付をしておるわけであります。  EUの関係につきましては、そのようなことが現在目安として規則案、新規則案と、このようになっておるということは承知をいたしております。混入率を定量的に把握するための検出方法が具体的に示しておられないところもありますし、原料に遺伝子組換え農作物が含まれているかどうかを社会的に検証する手法について具体的に明らかになっていないという面もあります。  この問題、先ほど申し上げましたとおり、バルクでの輸入と分別生産流通管理とこういう点からいろいろ努力をしておりますが、そういう状況にあるということを御理解いただきたいと思います。
  33. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今のお話ですと、五%で切っているのは流通上の理由だという話なわけですね。バルクで移動して、そこの中で多少混入してしまうのはしようがないと。  この議論は実はBSEのときにも聞いた議論でして、肉骨粉の飼料を食べているか食べていないかというときに、実は肉骨粉の飼料は上げていないはずだけれども、前のバルクには、そのものを飼料で使っていた場合に、全部を掃除するわけにはいかないので、多少入ってしまうかもしれないからというような議論が実は肉骨粉のときもありました。  流通が理由で五%ということは、それは安全性が理由ではないということでして、そこは非常に私は問題だと思っています。  もう時間がないので、もう私の今考えていることをちょっとだけお話ししてもうやめますが、日本の大豆の自給率は御案内のように三%、約三%、年間三百六十万トンもアメリカから輸入しています。そのアメリカで生産されている大豆の何と約七割が遺伝子組換え生物です。そうすると、どう少なく見積もっても年間百万トン以上の遺伝子組換え大豆が日本輸入されている計算になります。  しかし、平成十三年に農水省が発表した調査結果では、遺伝子組換え表示義務の対象となっている五千六百六十一点の食品のうち、何と遺伝子組換えでないと表示されていたものは、表示されていたものが、組換えではないですよ、それが三千二百三十八点、何も表示もされていなかった商品が残りの二千四百二十三点、つまり五千六百点以上も調べてただの一点も遺伝子組換えとか遺伝子組換え不分別と表示されているものはないんです。でも、現実に大豆、百万トン以上の大豆は遺伝子組換え生物で日本には輸入されているにもかかわらず、五千六百点の食品に何ら遺伝子組換えの表示がされていないわけです。  確かに、それは五%以下だから構わないだとか、表示義務のない食品だから構わないというようなことはあるのかもしれないですが、それはある意味で言うと役所側の論理であって、国民消費者から取れば、それが遺伝子組換えの大豆を使っているのか使っていないのか、それを食べたいのか食べたくないのか、それを食べてもいいと思うのか思わないのかを選択するのは、私は消費者の問題だと思っていまして、そういう選択権のことも含めて、しっかりとそこは、表示の在り方自身についても食品安全委員会では検討されるというふうに法案にも書かれていますので、しっかりとここも検討し直すことも含めて、前向きに対処していただきたいとお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  34. 谷博之

    ○谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。早速、質問に入りたいと思います。  まず、この食品安全基本法の第七条のいわゆる地方公共団体の責務の問題に関連してお伺いいたしたいわけでありますが、そもそもこの食品安全基本法というのは、今お話がありましたように、BSEの問題とか、あるいは、昨年の夏でしょうか、山形県のナシの問題で無登録農薬、こういう問題が大きくなりまして、その結果、いわゆる我々が食べるそういう食品についてきちっとしたリスク評価等をしていこうではないかと、こういうふうなことがいろいろその起因になったと思っておりますけれども、その結果として、山形県の場合は、この法律ができるというふうなこともありまして、この四月一日から、今までは、いわゆる食品衛生法といわゆる農薬取締法、それぞれ、それが衛生部局とそれから農林部局に分かれていたものを、これを言うならば一元化して対応していこうということで、総務部にいわゆる食品安全対策課、こういう課を作ったと、こういうふうに聞いております。  いろいろ調べてみますと、私どもの地元であります栃木県も、ナシとか、それから全国一のイチゴの産地ですから、そういうところのいわゆる農薬、無登録農薬等の問題もあって、これを、何とかやっぱりそういう意味では、今申し上げたように、保健福祉部とそして農務部と、これが縦割りではなくて、言うならば一元的に連携を取って取り組んでいく、こういうふうにすべきだというふうに考えているわけですが、現実にはそういうふうになっておりません。  したがって、この法律ができることによって、国は、こういういわゆる受皿になる都道府県のそういうふうな対応、これらについて、現実にはどのようにそういう状況を把握されていて今後どうしようとしているか、まず御答弁をいただきたいと思います。
  35. 小川洋

    政府参考人小川洋君) 都道府県におきます食品安全行政の取組について私どもが把握しているところを御報告申し上げたいと思います。  都道府県におきまして、食品安全行政一元化、あるいは連携強化という方向での取組が今行われているわけでございますが、これらにつきまして、私どもは現状について聞き取り調査を行っているところでございますが、それによりますと、食品の安全行政の一元化の方向で組織の改編を行っております県は、先ほど委員指摘の山形県の例も含めまして九県ございます。このほか、一元化という組織改編ではございませんけれども農林水産部局と食品衛生部局との間での連携強化をするという意味での連絡会議の設置、そういったところが、都道府県でいいますと二十六都道府県ございます。  以上でございます。
  36. 谷博之

    ○谷博之君 先ほど、組織の改編を行った都道府県が九県、そして連絡会議を設けた都道府県が二十六県ということでありますけれども、合計すると三十五県ですね。そうすると、四十七引く三十五ですから十二の県がまだ具体的な取組の内容については分からないと、こういうことです。  聞くところによりますと、五十四名の事務局から成る食品安全委員会というのがスタートする。当然そういう中で、食品というのはいわゆる県をまたいで広域的に流通するわけでありますから、そうすると、それぞれの都道府県が問題が起きたときにそれをどう対応するかというのは、これはかなり広域性も持たなければいけません。  そういういろんなことを考えましたときに、いわゆる現在のこの法に照らしたこの趣旨で、いわゆる受皿となるべき都道府県体制がこれで果たして大丈夫なのかと、こんなようなことも我々は心配をするわけでありますけれども、そういう点について、大臣、これは例えば諸外国のいろんな例を参考にしたり、あるいは都道府県との連携強化というものも含めて、今後やはり国が具体的に、形だけを作るのではなくて、実際そこに魂を入れていかなきゃいけませんから、そういう点についてどういうふうに考えているか。大臣、答弁長いですから、簡潔にひとつお答えください。
  37. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 短く御答弁いたします。  結論から申しますと、それぞれの都道府県がどういう食品安全の体制を作っていくかというのは、基本的にその都道府県考えていただくことだろうと思います。我々からしますと、縦割りの弊は避けてほしいということがございます。  そこで、国の食品安全委員会の役割ですが、今おっしゃったように、諸外国のこの食品安全の体制、あるいはそれぞれの都道府県体制を、従来のまま、あるいは新しくされてどういうような、いろいろメリット、デメリットと申しますか、経験をしておられるかと、こういうような情報はやはりきちっと集めていかなきゃなりません。言われておりますリスクコミュニケーションにおきまして、そういう経験も、交流しながらより良いものを目指していくということではないかと思っております。
  38. 谷博之

    ○谷博之君 是非、そういう方向でこれからも前向きにお取り組みをいただきたいと、このように考えております。  続きまして、いわゆる外食料理の表示の在り方について次にお伺いしたいわけでありますが、具体的な事例を申し上げながらお伺いをしたいと思います。  この事例については、同じような質問が、四月二十三日、衆議院厚生労働委員会でも我が党の大島委員からも出されておりますけれども、例えば、私が今日お昼にコンビニに行ってカレーライスを買って、温めていただいてそれを持ち帰って私の事務所でお昼を食べた、そして次の日に、私、カレーライス好きですから、この近所の食堂に行ってカレーライスを注文して食べたと、こういうふうに一つの具体的な事例を申し上げたいと思うんですが、そのときに、実は、前者のコンビニで買ったカレーライス、これにはいわゆる材料とか添加物等のそういう表示の義務、そして場合によっては罰則が付くんです。ところが、食堂に行ってカレーライスを食べると、これはそういうふうなものはないんです。  これは、衆議院委員会でも、質問したときに遠藤政府参考人が、食品衛生上、いわゆる対面販売をしているんだ、だから、これはどういうあれなんですかと聞かれれば、その聞かれた方が、例えば料理人とか店員さんが答える、こういうことになっていますと、こういう話なんですが、現実に、例えば自分が食べたカレーライスを聞いたときに、その料理人なり店員さんが答えられますか。これは、私は非常に過酷な役割だというふうに実は思っているんですが。  そういう中で、さすが国としては、平成二年、いわゆる厚生労働省が外食料理の栄養成分表示ガイドライン、こういうものを都道府県に通知を出しておりまして、外食での栄養表示は望ましいことであって、したがってその普及方を今後図るようにと、こういうふうな要請を出しております。しかし、同じ食べ物であっても、片やそういう表示が義務付けされ、罰則まで付いている、片やそうではないという、この辺の矛盾を、これはどういうふうに考えておられますかね。
  39. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ここは、確かに今御指摘のとおりなんですね。  対面販売でありますとかレストランで出ますときに、その内容を表示をしているものはないわけでありまして、今、カレーライスの例をお挙げいただきましたが、カレーライス出てまいりましたときに、この中のカレーの中には何が入っているかというようなことはどこにも書いていないわけであります。多分、レストランで運んでおみえになる皆さんにお聞きしても、それはなかなか分かりにくくて、料理人さんに聞かないと、それはなかなか、何と何とを入れたかということは分からない。あるいはまた、そのときにどういう香料を使ったかというようなことにつきましてのその内容までそれじゃそこが分かっているかといえば、それはなかなか分かりにくいと、現実問題としてはあるわけであります。  そこをどこまで表示をするかということは、甚だ困難な部分もございますけれども、しかしできるだけ情報は提供をしなければならないということでございまして、先ほどおっしゃっていただきましたようにガイドライン等も作りまして、そしてできるだけそうしたことを皆さん方にお分かりをいただけるようにすべきだということを指導しているところでございますが、今後も農林水産省とよく連携いたしましてその辺の、私は特に外食だと思うんですけれども、外食の問題等お聞きをいただいても分からないというようなことのないようにするためにはどういうふうにしたらいいかといったようなことを、どうすれば一番そこに答え得るかという、私は一〇〇%答えるのはなかなか難しい話だというふうに思いますけれども、私たちも検討を重ねたいと思っております。
  40. 谷博之

    ○谷博之君 重ねてちょっとお伺いしたいわけですけれども、今回の食品安全基本法、この中のいわゆる食品の定義の中に、当然この外食料理も含まれているというふうに思います。そして、この基本法の第十八条、この第十八条には、食品の安全の観点から、食品表示制度の適切な運用の確保に必要な措置を講じることと、こういうふうなことが条文として出ております。  そうしますと、こういうことを踏まえて、いわゆる外食料理における表示の在り方についても、この基本法の中に触れるかあるいは関連法制の整備の中でより具体的に早急に触れていくか、見直しをしていくか、そういうことがやっぱり必要になってくるんじゃないかというふうに思っているんですが、その辺は、再度どうでしょうか、大臣、お考えを。これは大臣じゃないか。お伺いします。
  41. 遠藤明

    政府参考人(遠藤明君) 私ども表示の問題を考えていく際に、ただいま御指摘のございました食品安全基本法第十八条を踏まえて今後措置をしていくということで考えているところでございます。
  42. 谷博之

    ○谷博之君 これは具体的な問題でありますけれども、非常に現在までいろいろ指摘されてきていることの一つだと思います。要は、外食の食べているものの中にどういうふうな成分があるか、どういうふうな栄養素があるかというようなこと、これは分かれば分かるほどいいことですけれども、一番心配なのは、食べているものの中に人体に影響を及ぼすようなものが入っていた場合ですね。例えばアレルギー性のそういう疾患を持った人たちが、卵とか牛乳とかいろんなそういう、油ではいろいろありますけれども、そういうものによってその影響を受けたときに、非常にこれ心配なわけですね。  今の仕組みというのは、平成十三年にアレルギー物質を含む食品に関する表示についてという、これは厚生労働省から監視安全課長の通達が出ておりますけれども、こういうふうな取組はしているようですけれども、具体的にそれは事が起きてしまってからの話ですよね。そういう意味では、そういう一番心配な部分だけでも具体的に外食料理の中にも表示をしていただく、あるいはきちっとそういう説明をする責任を持たしていただく、このことが非常に必要だと思いますので、是非これはできるだけ早く前向きの御検討をいただきたいと、このように考えております。  それから、次に移りたいと思いますけれども、畜産物、水産物における抗生物質などのいわゆる添加物の問題でありますけれども、これは既に新聞報道でもここのところいろいろと報道されております。  まず最初に五月五日ですけれども、チオペプチン、これはいわゆる家畜の成長促進用の飼料添加物ですね。これを実は、国がブロイラーを対象として実験をしてこの効能について実は調べておりますけれども、効果が見られなかったという結果を平成三年に出しているにもかかわらずこの報告を公表しなかった、こういうことがまず五月五日に新聞報道されました。  その次の六日の日に内閣委員会でこの問題について質問が取り上げられておりますけれども、その後も七日と十一日に、このチオペプチンについてはさらに、一九七八年段階、つまり平成三年よりもずっとはるか前にこの効果が認められないというようなことを報告書としてまとめている、これも農水省説明をし、公表をしなかった、そして、このチオペプチン以外の添加物についてもその効能が、効果が非常に疑わしいというふうな、こういうふうな報告を昭和五十三年から昭和六十年にかけての間で調べた、取りまとめた報告書の中にも出ているにもかかわらず、これを公表しなかったと。これずっと、一つだけじゃないんですね。  今までのこの流れの中で、こういうふうないわゆる飼料添加物の、いわゆるそれが効果があるかないかということについて、現実にそれがないという報告書を出しているにもかかわらず、これをそのまま使い続けさした、継続さしてそれを使用することを黙認をしてきたというふうなことなんですけれども、こういうことで、最初のその五月五日のいわゆる報道については六日の日に内閣委員会で質問で聞いておりますから、その後の報告を含めて、これをどういうふうに認識されておられますか、こういう問題を。
  43. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 御指摘案件でございます、現に流通しております飼料添加物でございます抗生物質につきまして、国が二つの試験、安全性とそれから効果、成長促進効果に関する試験を公的機関に委託調査をいたしまして、そのデータを農業資材審議会に提出をいたしまして見直しをしていただいて、安全性だとか効果に問題があるものは取り消すと、こういう手続を踏むことになっていたわけでございます。  先生今御指摘の試験は、第二回目以降の報道は二つの試験のうちの成長促進効果に関する試験でございまして、確かに、チオペプチンを含みます四つの抗生物質につきまして国が委託調査を行った試験結果上、発育に顕著な効果を認められなかったという報告をいただきました。そして、この結果と、それから業界が業界で自ら公的機関に、これは複数の機関、最高二十八機関に同じような試験を委託しておるわけでございますけれども、その結果に基づくデータと併せまして農業資材審議会に提出をして総合的な再評価をしていただいたわけでございます。審議会は、総合的に評価をいたしまして、この四つにつきましては効果を全く否定するには至らないということで、現在もなお取消しはされていないわけでございます。  この問題は、当時、農業資材審議会の審議が非公開ということになっておりまして、このデータも公開されることなくこの審議会に提出されたものですから、今から考えますと、密室で何かいかがわしいことをしたんではないかということで報道がされたわけでございまして、これらの資料や報告書等についても積極的に分かりやすく公表すると。今はもう審議会も公開でございますので、そういうことを通じまして、遅きに失したかもしれませんけれども、透明性の確保ということを図っていきたいというふうに思っております。  なお、当初、抗生物質、三十成分指定されておりますけれども、その後、こういう手続等を経まして、十七成分が取消しをされているというような事実もございます。
  44. 谷博之

    ○谷博之君 半分お認めになって、これから何とかしようというふうな答弁のように聞こえたんですが、今度の基本法の中に、先ほど谷垣大臣もちょっとお触れになりましたけれども、第十三条のこのリスクコミュニケーションの問題がありますね。これは、要するにリスクに関する情報意見などを相互に交換する過程というのが非常に問題なんだと、こういうことだと思うんですね。  そうしますと、そういうふうなことからすると、これはますますこの視点というのはこれからより積極的に取り組んでいただかなきゃいけないというふうに思っていますが、そこで、今国会でいわゆる飼料ですね、家畜の飼料、飼料等の安全性の確保の強化、これをうたったいわゆる飼料安全法という法律の改正法案が出るというふうに聞いておりますけれども、そういうことらも含めて、ここら辺の取組の姿勢そのものは分かるんですが、大臣としてのその取組の御決意も含めて御答弁いただきたいと思います。
  45. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 消費者などの関係者に正確で分かりやすい情報を積極的に提供する、消費者の懸念や意見を施策に反映する、これは大変重要なことでありまして、先ほど局長からもお話し申し上げましたとおり、農業資材審議会飼料分科会、今日公開で行われておりますし、さらに提出された資料につきましても公表扱いをいたしておるわけでありまして、この飼料添加物の指定や基準、規格の設定等に当たりましてはパブリックコメントを実施するなど、より多くの方々の懸念や意見を施策に適切に反映する、これがリスクコミュニケーションということになるわけでありまして、これを積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  46. 谷博之

    ○谷博之君 ありがとうございます。  それで、続いてちょっとお伺いいたしますが、最近、家畜へのいろんなこういう抗生物質を多用化することによって、逆に家畜に菌に耐える耐性菌というものが生まれてくるということですね。これが一つの問題になっているわけですが、これらの問題について、例えばその家畜の肉とか内臓とか、こういうようなものを人が食べたときに影響はないのかというようなことが大変心配されてきているわけですが、この点についてはどのように御認識されておられますか。
  47. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 抗生物質を家畜が食べた場合に、その家畜に薬剤耐性菌が発生をしまして、それがその食肉等を介しまして人にうつって、人の医療の面において抗生物質が効かなくなるんではないかという指摘はあるということは十分承知はしております。ただ、これ国内外で多くの研究なされておるわけでございますけれども、動物に生じた耐性菌が人に伝達されたということを直接的に証明するような報告は現在までのところないわけです。  とはいいますものの、これ消費者に非常に不安を与えるという点は重く受け止めなくてはならないというふうに思っておりまして、この抗生物質、私の方では飼料添加物と動物用医薬品と二つあるわけでございます。  それで、まず飼料添加物の方は、医療において問題になる薬剤耐性菌を発生させる可能性のある抗菌性の飼料添加物について見直しに着手しようということで、現在、農業資材審議会において専門家による評価をお願いをしているところでございます。また、動物用医薬品の方は、人の医療上重要な抗菌剤は動物用医薬品としては一定期間は認めない、承認をしない、こういうような限定的な使用にとどめようという運用をしているところでございまして、この問題、適正かつ慎重に扱っていきたいというふうに考えているところでございます。
  48. 谷博之

    ○谷博之君 これから是非、この分野については消費者というか国民が非常に関心を持っている、ある意味では不安を感じている問題ですから、より積極的な対応をしていただきたいと思っております。  時間が大分迫ってきましたので、ちょっと飛ばしまして次の質問させていただきますが、ヨーロッパではいわゆる畜産動物の福祉という、これは福祉という言葉は人間に関する福祉の問題とかといろいろありますけれども、これは畜産動物の福祉という、こういうことが注目されてきておりまして、言うならば食品の安全性と畜産動物の福祉との問題は表裏一体、切っても切れない関係にあると、こんなようなことが実は指摘されつつございます。  OIEという、これは国際獣疫機関といいます、こういう機関がございまして、この動物福祉に関する最初の国際会議を来年の二月パリで行うというふうなことが言われております。日本はこのOIEというのに昭和五年に実はもう加盟しておりまして、大変古い歴史を持っているわけです。したがって、このOIEの動向と来年の二月に向けての我が国の対応ですね、これをどのように考えておられるか、御答弁いただきたいと思います。
  49. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 農林水産省でございますのですべてを所管しているわけではございませんが、この動物の福祉の問題、科学的側面、経済的側面、倫理的側面、政策的側面と、四つの側面があるというふうに言われております。  例えば、科学的側面というのは、例えば馬を長距離輸送いたしますとストレスがたまるんじゃないかと、こういう問題。それから経済的側面だと、そういうストレスを防止することによって肉の品質が上がるんじゃないかという、そういう問題。倫理的側面というのは、かわいいとか、私の方でいえば屠殺の仕方とか、こういう問題だろうというふうに思っております。政策的側面といいますのは、伝染病の蔓延防止をどうするか。いろいろの側面がございまして、こういうことを一体化してバランスの取れた方策をOIEが作り上げるということを聞いております。  先生御指摘のように、二〇〇四年の二月に国際会議が開催されるということでございますので、私どもは他の省庁とともに、家畜伝染病の蔓延の防止、予防というような仕事を持っておりますので、環境省等と連携をいたしまして積極的に参加をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  50. 谷博之

    ○谷博之君 分かりました。  最後に、一点お伺いしたいわけでありますけれども、植物検疫体制の見直しの問題なんですけれども日本にはいろんな外来種、移入種がどんどん入ってきます。その結果として、生物多様性の保全ということが非常に今問題になってきているわけですけれども、そういう中でこの植物検疫に関する時代の要請というのは非常に今強いわけですね。  国でいいますと、環境省は将来の法制化も含めてこの移入種対策というものを今考えてきているわけですけれども農水省としては、こういう例えば検疫有害動物ですか、こういうふうなもののいわゆる移入といいますか入ってくることに対して、聞くところによると、五月の七日に第一回の植物検疫に関する研究会というのがスタートしたというふうに聞いていますが、こういうことについての今後どのような検討をなされようとしているか、お伺いをいたしたいと思います。
  51. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 植物防疫の在り方の検討でございます。  航空機の発達でございますとか輸入農産物の増加で多様な植物が輸入されるようになったと、あるいはウイルス等の遺伝子診断法、新しい技術が開発されたということを踏まえて植物防疫の在り方を見直していこうと、こういうことで始めたわけでございます。  ただ、先生も御承知のように、植物防疫といいますのは国内の農産物に害を及ぼす動植物の侵入を防止するということでございまして、ちょっと外来種が入ってきて在来種を駆逐するのを防止するということとは目的がちょっと違っております。ただ、現在、環境省中央環境審議会の野生生物部会において移入種対策小委員会というところでこの問題検討されると伺っておりまして、その結論で何かこういうことを協力してほしいとかそういうことがございましたら、私ども関係省庁と十分連絡を取りつつこの問題進めていく必要があるというふうに認識をしているところでございます。
  52. 谷博之

    ○谷博之君 時間が来ました。  最後に一点だけちょっと御要望させていただきますが、今の御答弁の中にあるんですけれども、実は私も非常にこの問題、外来種、移入種問題については関心を持っている者の一人なんですけれども日本には例えばそういう外来種規制する、移入種を規制する法律と、それから既存のいろんなこれは各省庁にまたがるこれに関係する法律があるわけですけれども、どうしても縦割りでやるがゆえに横断的にならない。したがって、お互いが既存の法律を守るというか、そういう立場から議論をし合うものですから、なかなかいわゆるその規制が十分働かない、そういう側面が、時間がないので細かくは言えませんが、あるようには私たちは感じておりまして、是非ひとつ、環境省がそういうふうな動きを示していくわけですから、農水省としてもひとつ前向きな協力なり検討をしていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わりといたします。  ありがとうございました。
  53. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。  この法案は私もいろいろ思いがございます。ただ、限られた時間でございますので早速具体的な質問に入らせていただきますが、まず谷垣大臣にお聞きをしたいと思います。  衆議院におきまして二点の修正がなされました。これは、当然もうこちらに送られてきましたときにはこの二点の修正を含めての提案でございます。特にこの牛肉のトレーサビリティー、「国の内外における」ということに関しまして、これらを十分にこれからも生かしていく、その決意というふうなことで改めてお聞かせをいただきたいと思いますが。
  54. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 衆議院では御指摘のように二点の修正が加わりまして、一つは四条の食品供給行程というのに「国の内外における」というのを付け加えるというのが一つでございます。もう一つは、附則で、この法律の施行の状況を検討して、必要があると認めるときは所要の措置を講じろというものでございます。  そこで、四条は、元々この法律の基本理念であります食品供給行程の各段階において適切な措置を定めろと、こういうことを決めたものでありますが、外国生産された輸入食品あるいは農林水産物も対象としておって、修正以前でもそういう趣旨はあったんだろうと思いますが、我が国の、これは今更もう申し上げるまでもありませんけれども、相当輸入食品に頼っているということ、それから特にBSEの発生原因が海外からの輸入肉骨粉である可能性が否定できないと、こういったことから、国産輸入品を問わず安全性の確保措置が適切に取られるということがもっと明確にされなきゃいかぬと、こういう観点から修正を加えられたものと認識しておりまして、その趣旨にのっとって努力をしなければならぬと、こう思っております。
  55. 郡司彰

    ○郡司彰君 亀井大臣にお聞きをしたいと思います。  衆議院の方では、既にこの基本法がこちらの方に渡されておりまして、具体的な各法の審議に入っているわけですね。牛肉のトレーサビリティーに関する法案も提出をされておると思いますが、今の修正内容からすると、当然この牛肉のトレーサビリティーの法案については修正を行うというようなことになろうかと思いますが、どうでしょうか。
  56. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 牛肉トレーサビリティー法は、BSEの発生を背景に、全頭検査体制でも消費者の不安が払拭できないと、こういう現実を踏まえて、消費者信頼確保を図るために国産牛肉に対する出生から屠畜に至るまでの飼養履歴を明確にすると、こういうことを義務化するものでもありまして、BSE蔓延防止措置の迅速な実施が可能と、こういうことであるわけであります。  一方、牛肉の輸入先であります米国、豪州につきましてはBSE未発生国であると、こういう点、BSEという点では安全であると、またJAS法によりまして義務付けられている原産国表示と、こういうことで消費者への安全情報が提供できると、こういうことでありまして、今衆議院におきましてもこのことをいろいろ御議論いただいておりますが、BSEの未発生国と、こういうこと、そして原産国表示と、さらには輸入牛肉の問題につきましてはJAS規格の活用と、そしてさらに食物検疫、水際で検疫を十分行っておるわけでありまして、その修正ということにつきましては私どもとしてはそれを考えることはできない、このように申し上げておるところであります。
  57. 郡司彰

    ○郡司彰君 時間を取って答弁をいただきましたが、これ、その議論を今日は時間を取って余りすることができません。例えば日本では精肉だけですけれども、EUなんかでは取りあえず今できないものについてもこれからやっていこうということもその法案の中で決めているようなこともある。今の大臣の答弁の中身は、これは対象の国がこういう国だ、こういう国だということによって分けているということじゃなくて、正しく日本という国が、どこから来てもそういうものを作っておきますよということでもってのこの修正になったわけですね。だとすると、これ今の答弁ではなくて、完全にこれは修正をするということが当たり前じゃないんですか。これは谷垣大臣の先ほどの答弁からすれば当たり前に修正を行うということじゃないんですか。
  58. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 現状、先ほど申し上げましたような考え方によりまして、BSEにこれ関連をしてこのような法律をお願いしているわけであります。したがって、BSEの未発生国と、こういうことでございますので、その輸入段階で十分検疫をするわけでありますので、この問題につきましての心配はないと、このように考えています。
  59. 郡司彰

    ○郡司彰君 亀井大臣、牛肉のトレーサビリティーは取りあえず先行して行うわけですね。それ以外の野菜でも何でも、これからそういうものを行っていくことになるわけです。今の牛肉の段階でアメリカがどうのこうのという問題じゃないんですよ。これは先ほど基本法としての修正がなされたということで谷垣大臣から答弁があったわけですから、これは間違いなく今回の各法についてもその趣旨にのっとって変えるということにならなければおかしいんじゃないんですか。
  60. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 現状、先ほど申し上げましたような考え方によって、いろいろこの法を整備をし食品信頼回復と、このことに努めてまいりたいと、こう考えております。
  61. 郡司彰

    ○郡司彰君 全然納得できません。全然納得できません。そして、このことについて細かな議論をするともう大変時間を取ってしまいますが、いずれまた明日、衆議院の中でそういう審議もされることでしょう。その結果を見守りまして、参議院にもしそのような形で参ったときは私どもはこの点について厳しく修正を求めていきたいと、そういうふうに申し上げて、時間の関係で次の質問に移らさせていただきます。  これ、BSEの教訓がございました。情報管理、伝達、意識改革などいろいろなことがございましたけれども、これらに関して私自身は、そもそもその前段でいうと、このリスク分析という手法を取り入れる以前は何と言っていたかというと、これはリスクなんというものは日本の場合にはほとんどゼロですよということをずっと一貫して言っていたんですよ。ところが、BSE以降一転して、今度はリスクゼロなんてことはあり得ないというふうに変わってきた。それはそれでいいんです。ただ私は、どんなに仕組みが変わろうと、そこにいる人たちの意識の問題というものが変わらなければそれは本当に意識変わったことにはならない。  そういう意味で、これは亀井大臣、坂口大臣、それぞれの方からちょっとお聞きをしたいと思います。
  62. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御指摘をいただきましたように、BSEの関係から様々な改善点、こういったことを直さなければならないではないかという御指摘をいただいているところでございます。危機意識の欠如と危機管理体制の欠落、それから生産者優先、消費者保護軽視の行政、あるいは農林水産省厚生労働省連携不足、こうしたことが指摘をされたわけでありまして、ここを乗り切っていかなきゃならない。  今御指摘いただきましたようにこれは意識改革、やっぱりどう変えましても意識が変わらなければ何もなりませんので、意識改革まず第一。そして法律、私の方の法律といたしましても、法の目的に国民の健康の保護を守るという項目を今回明記をしたということが一つ。それから、消費者との間の双方向の意見交換を図るということで、年間八回ぐらい、八回予算を取っておりますが、この両方で、両方と申しますか、国民皆さん方消費者皆さん方との意見交換をしていくということにいたしました。  しかし、これは定期的な問題でございますから、それだけではいけないというふうに思っておりまして、そのほかの必要なときがございますればそれはまたそのときに行うということで、平素のものは大体八回ぐらいやればそこでいろいろの御議論をしていただけるだろう、こういうふうに思っている次第でございます。
  63. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 私ども農林水産省といたしましては、消費・安全局、これを創設いたしまして、組織の再編と、そして併せて国民の健康の保護を最優先として、食品安全行政に的確に対応してまいりたいと。そして、食の安全と安心のための政策大綱、これを作りまして、国民各層の意見を聞きながらその大綱を策定し、消費者の視点に立った安全、安心の食料の安定供給と。また、施策作りの消費者生産者などの参画を得ることが必要だと思いますし、またそれを行うにつきましても、職員の意識改革の徹底を図ってまいりたいと。また、併せて組織改正の中で、本省、地方部局にリスク業務と、こういう面で職員に対する研修、そしてマニュアルの作成と、こういうものをし、職員の資質の向上と、こういう面に努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  64. 郡司彰

    ○郡司彰君 それぞれ御答弁をいただきましたし、坂口大臣にはリスクコミュニケーションの関係についてもお話をいただいたかなというふうに思っております。  私は、農水委員会の中でも度々指摘をしてまいりましたが、やっぱりこの意識を不断に変えていくということをどこかでおろそかにしたり止まってしまうとまた同じ問題が出てくるんではないかということを非常に危惧をしております。  先ほどの、谷議員の方の質問の中にもありましたけれども、このチオペプチンの問題、マイナスのこのデータを全く活用してこなかったというようなこともあったわけでありますし、それ以前にも構造改善局そのもののいろんな省内でのもめ事などということもあった。そういうような形の中で今回のものができ上がってきて、うちの方は今度はこういうことだよということだけでは困るということで、改めて申し上げさせていただきました。  坂口大臣にも大変御努力をいろいろいただいておると思いますが、ただし、大臣努力とはまた別な形でもって、省として見れば、エイズの薬害の問題もございまして、ハンセンの問題もございました。そして、これ私もちょっと二、三日前に目にして非常に嫌な感じでこのニュースといいますかこの記事を見たんですけれどもBSEの四頭目のときに、釧路でお亡くなりになった方がいらっしゃいました。この方の家族の方が、どうも一方的な記事になるのかもしれません、正しいのかどうかまだ判断はできませんけれども、虚偽の申告をされたというような方の、強制をされて、それをもとにして自殺をしたんではないかというようなことでもって労災に申請をしているようなこの記事が出ているわけですね。  こういうふうなことを考えると、私は、何度繰り返しをしても、やはり省内でのそういう意識の改革というのが、どんな制度を作ろうと大事だというようなことで、ちょっと触れさせていただきました。  また、坂口大臣の方から若干言及もあったわけでありますけれども、今回の法案は、ただ単に行政の問題だけではなくて、国民といいますか消費者についても、「食品の安全性の確保に積極的な役割を果たす」というようなこの努力義務を課しているわけであります。当然、分析という手法の中には評価ということ、それから管理ということ、それぞれの段階でのこのリスクコミュニケーションというものが派生をするんだというふうに思うんですね。  それぞれの段階で、例えばこの安全委員会の七名の委員の方については、谷垣大臣、先ほど質問があったような形でもって消費者の代表ということを今のところ考えていない、しかし今後の成り行きによっては新しい大臣の下でということがございました。  それを踏まえて、これもまた坂口大臣、それから亀井大臣に、管理をする立場のコミュニケーションの関係で、どういうような形でもってその消費者に対するものを行っていくのか。先ほど坂口大臣の方から若干触れましたけれども、もし新たに加えることがあればお聞かせをいただきたい。
  65. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 先ほども触れさせていただきましたけれどもリスクコミュニケーションを図っていきますためには、やはりふだんから消費者皆さん方とそうした定期的なお話合いを持つということが、役所の考え方というものも意識改革というものをしていくということに私はつながるだろうというふうに思っております。そのほか、具体的な規格、基準を変えるといったようなときにも、これは消費者皆さん方とよくお話をするということを取り入れなければいけないというふうに思っている次第でございます。  私の方の新会議と申しますか検討会、そうしたものの中には消費者の皆さんの代表を二人入れさせていただく、そういうふうに思っております。
  66. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほども申し上げましたが、消費・安全局を設置をすると。また、その中にリスクコミュニケーションを総括する消費者情報官、こういう者を置きまして、いろいろ情報の収集、そして消費者に対するいろいろの情報を提供すると、このようなことを本省、地方併せてしっかりしたまず体制を整備をしたい。  さらに、このリスク管理を進めるに当たりましても、関係審議会へ消費者代表の積極的な登用、あるいはまた電子メールを活用した機動的な意見の募集と、こういうことによりまして適切にいろいろの懸念や意見が反映できるようなリスクコミュニケーションを図ってまいりたいと、このように考えております。
  67. 郡司彰

    ○郡司彰君 谷垣大臣にお尋ねをしたいと思いますが、安全委員会の具体的な仕事の中身についてでございます。  先ほどちょっと申し上げましたけれども、私はそのリスク分析という手法がすべて万全だとは思っておりません。ややもすると、これまでの議論の中にもありました予防原則というものが少し抜けてきてしまう可能性がある。農水省なんかは昔からこの「「食」と「農」の再生プラン」の中にいえば予防原則なんという考え方があったんですけれども、逆に今回は少し後退をしたのかなという感じさえ受けているところでございます。  それを今回ちょっと除きますけれども、それ以外に、例えば化学合成物質等が今たくさんございまして、この評価の場合には個別食品、単体でということがまず基本になるんだろうと思うんですね。ところが、それが重なり合うような形でもって複合的なものが今後出てくるだろう。それに対する評価というものもこれは当然安全委員会、その中で行うということになりましょうか。
  68. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 郡司委員からいわゆる複合暴露の問題の御質問がございまして、現在行われている農薬等の基準の策定等においては、個々の物質の評価で十分な安全率が見込まれておりまして、仮に複数の物質の使用があっても、複数使用して作用の増強があったとしても、直ちに人の健康に悪影響が生じるというようなことはまず想定されないというふうに現在考えております。  しかし、いずれにしても、御指摘のような複合暴露に関するリスク評価をどういうふうにこれから行っていくのかということは、個別のリスク評価にどのような手法を用いるかということも含めて、食品安全委員会が設立されましたら、その委員会でその時点その時点での科学的知見に基づいて御議論をいただくことだろうと思います。
  69. 郡司彰

    ○郡司彰君 先ほどちょっと申し上げましたが、以前はリスクゼロというような外郭的にイメージがあったんですよ。今、大臣がおっしゃったことが正しくそのリスクはゼロなんだというときに使われていた論理なんですね。それを今度は、リスクゼロではあり得ないんだということになったときに今同じような答弁をされたというのは、私はちょっと情けないなという感じがしております。  それはちょっとおきまして、次に、一日耐用摂取量というのがございます。これらは、今現在、農水省それから厚生労働省、同じ品目、単体につきましても、基準とかその指導値とかいろいろ違っているものがございます。これらについては安全委員会でもって一定の統一した基準というものをこれからすぐにお作りになるんでしょうか。
  70. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、厚生労働省あるいは農林水産省それぞれ制度の目的に沿って基準の策定が行われておりまして、全く同じ性格の基準を両省がそれぞれ策定して、違っているというようなことはないんじゃないかというふうに思っておりますが、食品安全委員会が設立されましたら、基準を所管する省庁がどこであるかを問わず、食品の安全に関係する基準の策定は、策定前には原則として食品安全委員会食品健康影響評価が行われるわけですし、また既に基準がある場合でも、そのときそのときの科学技術の進展等に対応して必要な見直しは当然行われなければならないわけですから、それぞれの官庁から依頼のある場合、あるいは独自に食品安全委員会がやらなきゃならないと判断する場合、それぞれ食品安全評価をその都度やっていくということではないかと思います。
  71. 郡司彰

    ○郡司彰君 今の点も、大臣、実はあります、相当開きがあるものが、厚生労働省農水省の間で。これはありますので、早急にやはりやっていただきたいなということも要望しておきます。  それから、いずれにしましても、評価段階、管理の段階も含めてでありますけれども、安全委員会の関係でいえば評価段階になろうかと思いますが、コストの問題というのが早晩出てくると思うんですね。先ほど言いましたように、単体、個別だけじゃなくて、いろんな形まで含める、大変にコストが掛かる、あるいはそのコストをどこから出すかが判然としないという評価も出てくる。それらに対して、このコスト負担というのはだれが負担をするというようなことでお考えでしょうか。
  72. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) リスク評価のためには当然データが要るわけですが、だれがまずデータを作成するかということになるわけですが、農薬の登録のように事業者から申請ある場合はその申請者にデータをまず作成してもらうと。それから、汚染物質とか化学物質のように申請者がいない場合には食品安全委員会意見を聴取しようとする関係各省がまずデータを作成して、それぞれそういう費用を分担、負担していただくということになると思います。  委員会が独自にリスク評価を行おうということで、そういう場合に必要な調査研究を実施できるというふうになっておりますが、このために毒性試験といった調査研究を外部に発注するための予算措置は講じておりまして、これは安全委員会が負担するということになります。  そして、こうして集められたデータを基に委員会評価を行うための費用は当然委員会が負担していくということになります。あとはその都度その都度予算措置をきちっと取っていくと、こういうことだろうと思います。
  73. 郡司彰

    ○郡司彰君 ちょっとその辺もやり取りをしたいんですが、時間の関係で先に進まさせていただきます。  谷垣大臣にもう一つお尋ねをしたいと思いますが、先ほどコーデックス委員会の話がございました。衆議院のやり取りの中で、坂口大臣の方の答弁もWHOの勧告とか、それからステータス評価、EUの関係ですね、OIE等いろいろ出てまいりましたけれども、こうした諸外国との関係の文書の窓口、これは法の趣旨が一元的に管理を行うということになるわけで、評価の、リスク評価は安全委員会が一元的に管理を行うということからすると、先ほどのコーデックス委員会だけではなくて、すべて文書類は安全委員会に一括して窓口となるのかなというふうに思っているんですが、それは違うんですか、どうなんですか。
  74. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いろんな情報は、それぞれリスク評価を行う場合、リスク管理を行う場合、国際機関等の情報、学会等の情報、それぞれの機関が私は努力して集めなければならないんだろうと思います。それを一元的にということではなくて、何というか、お互いの連携を良くしてそれぞれのデータを十分に活用できるような体制をどう取っていくか、そういう考え方でこれから仕組みを十分各省庁とも連携して築いていきたいと、こう思っております。
  75. 郡司彰

    ○郡司彰君 BSEのときのアンケートの調査というのが事後にございました。これ、大変がっかりをしたといいますか、きちんと伝達をする、伝えておかなければいけない内容が政策判断の上位者に行くほどほとんど目にしていなかったというようなことがございまして、そういうふうな反省も踏まえてきちんと一元化も管理をできるようにお願いをしたいと思います。  最後に、坂口大臣それから亀井大臣にお聞きをしたいと思いますが、この安全という言葉というのは非常な広がりを持っておりまして、それを何かどこかに限定をするというよりも、その広がりの中でそれぞれその安全というものをとらえていくということが必要なんではないかと思っております。  この安全ということ、そしてその自給率という問題がどのように関連をしているとお考えか、それぞれの大臣からお聞きをしたいと思います。
  76. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 自給率が非常に下がってきております中で、我々は食の安全というものを考えていかなければならないわけであります。  国内において生産されますものはもう当然でございますが、これだけ諸外国から材料それから製品になったものが入ってくるわけでございますので、そのことに十分な配慮をしていかなければならないというふうに思っております。  そのための検査等を行っているところでございますが、しかし、これだけ多くなってまいりますと全部それをできないものですから、モニタリング検査というような形でやっているわけでございます。しかし、このモニタリング検査をやるというだけではなくて、これだけ多くなってまいりますと、いわゆる生産国に対しましても我々の条件と申しますか、日本はこういう例えば農薬なら農薬は使ってはいけないことになっているとか、あるいはこういう添加物は駄目になっているとかという、日本の条件というものをやはり諸外国に示して、そしてそれに見合ったものをやはり輸入ができるようにできるだけしていかないと、モニタリング検査だけではなかなか対応できないと思っている次第でございます。  そうしたことをしっかりとやりながら進めていきたいと思っている次第でございます。
  77. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 自給率の問題、もう御承知のとおり年々低下をしておるわけでありまして、平成二十二年四五%と、こういう目標を掲げて今いろいろ努力をしておるわけであります。  そういう面でも、食品の安全性あるいはまた健康の面でのバランスの問題、若干、経済発展に伴いましていわゆる畜産物、油脂類が過大に摂取するような状況にあるわけでありまして、そういう面でバランスの取れた関係と、こういうことが必要になるわけでありまして、そういう面で、私ども農林水産省といたしましてはこの食品の安全と、こういう面に意を注ぎ、自給率の向上のために努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  78. 郡司彰

    ○郡司彰君 終わります。ありがとうございました。
  79. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 日本共産党の岩佐恵美でございます。  最初に、厚生大臣、日程の御都合があるということですので、まとめて厚労省関係、お伺いをしたいと思います。あとは、残りは事務方の方にお願いしたいと思います。  まず、輸入食品が六割という状況の下で、輸入食品検査体制が大変大事でございます。検査体制がきちんとしなければ、いろいろな基準を設けたとしても機能しません。  一月二十四日、私、横浜検疫所と横浜の輸入食品・検疫検査センターに行って実情をいろいろ伺ってまいりました。残留農薬や動物用医薬品、遺伝子組換え食品のモニタリング検査をやっているのは横浜と神戸のセンターだけです。全国十三の検疫所のうち五か所で添加物と微生物の検査をしているということですが、検査課にはマススペクトルの機器がないので高度な分析はできないということでした。  さらに、その横浜のセンターには、全国の検疫所から一日百検体くらい送られてくる。午前中から前処理を始めて、夜間に機械が運転するようにセットするのに夕方六時半ぐらいまで掛かるということでした。  輸入食品を検査する検疫所の食品衛生検査員は本年度十五名増員いたしました。ようやく二百八十三名となったわけですけれども、これでは国自らが実施するいわゆる行政検査率、これ二二・八%という現状を大幅に改善することはできません。行政検査率を上げるためには、全国のセンターや全国の検疫所の機械機器の整備はもとより、人員を増やすなど体制強化すべきだと思います。  一方、国内で二つの問題があると思うんですが、輸入食品を水際で検査をするという体制と、それから市場に出回ったものを検査していくという体制とあると思いますけれども、国内で食品の監視をする都道府県食品衛生監視員も専任の職員は千六百二十五人しかおりません。食品衛生法の改正で、地域の実情を踏まえた監視指導計画を策定して重点的、効率的な監視を行うということですけれども、こうした貧弱な体制を前提としてもし監視計画が策定されるということになると、これは私は大問題だと思います。  坂口大臣は、大臣は本会議での私の質問に対して、検査体制についてこれで十分と思っているわけではないとお答えになりました。ただ、大臣は、民間の協力も得ましてという答弁もされているんですね。私は、民間任せでは食品安全行政は改善できないと思います。ですから、自らの努力をどこまでするのかということが大変重要なかぎを握っているというふうに思います。  その点について、輸入食品の検査体制、人員と機器の問題、そして国内の体制の問題についてどうお考えか、伺いたいと思います。
  80. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 岩佐先生には前回にもこうした問題、お聞きをいただいたように記憶をいたしております。本会議でもお聞きをいただきました。  検疫所につきましては、先ほど御指摘をいただきましたとおり、少ないではないかという御批判を受けながらも、しかし人数を増やしてまいりましたし、今年もまた増やしたところでございます。それぞれの検疫所におきましては、それで時によって非常に仕事量が増えたりするところもございますので、OBの皆さん方にお願いをいたしましたり、そうしたことも取り入れながらやっているところでございます。大変仕事量が増えていることも承知をいたしております。  非常に人数の少ないところもございますが、そうしたところはすなわち、そこで検査をするわけではありませんで、いわゆる輸入されます物質の一部分を抜き取りまして、そしてそれを検査体制の完備をしているところに送るといったようなことでございますから、その検査を全部、全国から寄せられてくる、それで検査をしなければならないところが大変なんだろうというふうに思っている次第でございます。しかし、これはモニタリング検査が十分にできるような体制を作り上げていかなければなりませんので、適宜対応をしていきたいというふうに思っております。  それから、民間のお話出まして、私も民間にある程度お願いをしなければならないというふうに実は思っているわけでございますが、これにはいろいろ御批判もあるようでございますけれども、しかし、民間にお願いのできるところも私は多いというふうに思っておりますし、そうしたところは民間に是非これからお願いをして、そして全体の状況というものを把握をしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。  それから、先ほども申し上げましたけれども、それだけではなくて、それぞれの国に対しまして注文を付けるところはしっかりと注文を付けていくといったようなことも大事ではないかというふうに思っている次第でございます。
  81. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 国内体制の問題についてはいかがでしょうか。
  82. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 国内の問題につきましても、これはしっかりやらなければいけないわけでございますが、これは都道府県にお願いするケース、非常に多いわけでございまして、都道府県とよく連絡を取りながら、そして、レベルアップも図らなければなりませんのでそういう研修等も行っているところでございまして、都道府県も、余り都道府県に任せっきりというわけにはいきませんから、最低限これだけのことはやってほしいということを明確にしながら、そしてそのレベルアップを図っていきたいというふうに思っている次第でございます。
  83. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それから、これも何度も大臣に伺っているんですが、縦割り表示の問題です。  賞味期限などの期日表示原産国原産地表示、添加物の表示など、縦割りの結果生じている問題がたくさんあります。大臣は、去年の三月の予算委員会でこのやり取りを私させていただいたときに、厚労省と農水省のばらばらな食品表示について整理しなければならないという答弁をされました。その後、どうされたのでしょうか。
  84. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 表示制度につきましては、厚生労働省食品衛生法とそれから農林水産省JAS法の、品質保持期限、それから賞味期限といったようなそれぞれの違いをどうしていくかということを協議を重ねてきているところでございまして、この中で、食品表示に関する共同会議というものを設置いたしております。昨年の十二月からでございます。そこで食品衛生法とJAS法の統一的な運用を目指して検討をしていただいているところでございますが、期限表示の用語といたしましては統一をするということで、厚生労働省の方は品質保持期限という言葉を使っておりましたし、農林水産省の方は賞味期限という言葉を使われていたわけでございますが、この二つの用語を一応、賞味期限に統一をするということに今決めたところでございます。  こうしたことを現在進行中でございまして、これからも更に両省が一致するところは一致をさせて、そして消費者の皆さんから見ていただいて、なるほどと分かりやすいような形にしていかなければいけない、そういうふうに思っております。
  85. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 賞味期限に統一したということで私は事は解決しないのではないかというふうに思っています。これまで表示期限の書換え問題が何回も発覚して、その都度、書き換えても賞味期限以内だから問題はないという説明が行われる。それで消費者は非常に不信感を持つ。  そして、賞味期限というのは非常に消費者に分かりにくいんですね。やっぱり一番分かりやすいのは製造年月日、いつできたものなのというのが一番分かりやすいわけですね。  この問題について、その昨年の三月の予算委員会で坂口大臣は、製造年月日がなくていいのかということが問題になってきた、いつまでもつかという基準では消費者に分かりにくいということも事実と、そう述べられて、これでよいのかということを検討するという表明がありました。その点についてその後、どう検討されたのか、伺いたいと思います。
  86. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 製造年月日につきましてもいろいろと議論をしていただいているところでございますが、やはり製造年月日もきちっと書くべきだという御意見があります反面、これはもう期限表示が導入されました経緯も十分踏まえると製造年月日表示というのは慎重にすべきだという御意見も実はあるわけであります。  といいますのは、製造年月日によってこれはいい悪いはなかなか決まらないと。同じような品物でありましても、中に含まれておるものによりまして製造年月日が同じでありましても中は大丈夫なものとそうでないものとが存在するといったようなことから、この製造年月日というものを義務付けるというところまではなかなか、御議論をいただいておりますけれども、そこまではいかない。  ただしかし、できるだけ書いてもらおうじゃないかという御意見があるところは事実でございまして、それはそのように是非お願いをしたいというふうに我々としては思っているところでございます。
  87. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 いつ作られたかというのは、もう消費者は非常に知りたいわけですよね、それが事実なわけですから。いつまでもつかというのは、それは製造者のいろんな都合、その中に含まれている添加物だとかそういうものにもよるんでしょうけれども、とにかくそういうものなのですね。  それで、これはもう本当に古くからの議論があって大変難航している問題なんですけれども、私は、製造・販売業者の都合で表示行政がゆがめられることがあってはならない、消費者の知る権利、消費者選択の権利、それを保障する表示制度にしていくべきだということを申し上げておきたいと思います。  それで、次の問題ですが、水産庁は魚介類のダイオキシン類の調査をしています。その資料を細かく見させていただきましたけれども、瀬戸内のアナゴとかタチウオとか養殖ブリ、関東沖のカジキ、米国からの輸入クロマグロ、東京湾のスズキなどの濃度というのが通常の二倍から五倍の濃度になっておりました。この調査結果を水産庁はどう生かしているのでしょうか。
  88. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 私ども水産庁では、安全な水産物を安定的に供給するという観点から、沿岸域の魚介類中のダイオキシンの実態調査平成十一年度から十四年度までの四年間で約百種、四百検体について実施をしてきております。  十四年度の調査結果につきましては現在取りまとめ中でございますけれども平成十一年度から十三年度までの三年間の中間的な調査結果、昨年発表いたしましたけれども魚介類の平均的なダイオキシン類濃度は、通常日本人の食生活においては健康に影響を及ぼすおそれのない水準であると考えられており、これを踏まえまして、消費者あるいは生産者の理解を促進するための言わばリスクコミュニケーションを図っているところでございます。  また、このような調査結果につきましては、食品衛生を担当している関係省、厚生労働を含めまして提供をしているところでございます。  私ども、先ほど申し上げましたように、四年間の結果をできるだけ早く取りまとめまして、ダイオキシン類の魚介類からの摂取量推定等々に活用してまいりたいというふうに考えております。
  89. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ダイオキシンの対策法では、食品への蓄積状況を勘案して必要な対策を検討することになっています。既に、PCBや水銀については暫定的規制値が決められているわけですけれども、私はダイオキシン類についても食品への残留規制値を決めるべきだと思いますけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。
  90. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ダイオキシンの問題につきましては、今、環境省からお話ありました。(「水産庁」と呼ぶ者あり)水産庁、失礼しました。水産庁からお話のありましたとおりでございまして、これは総量規制ということで十分対応できるのではないかという御意見でございましたが、私たちも、現在の個々の食品に含まれておりますものを見ました場合に、総量規制で考えていっていいのではないかというふうに思っている次第でございます。  ただ、地域的に非常に大量にダイオキシンを含んでいるというようなものがあります場合には、それは別途対応をする必要があるだろうというふうに考えております。
  91. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ちょっと事前にやり取りをしたときに、ダイオキシンの規制については大体一日耐容摂取量一から四でしたけれども日本は四になっているわけですね。でも、できるだけ早く一にしようという、そういうことなわけで、四はクリアできているけれども、一はクリアできないケースがある。それから、今言われたように、東京湾だとか大阪湾だとか瀬戸内だとか、また魚種によっても違いますけれども、かなり高いものもあるわけですね。濃度が高いものがある。ですから、こういうものについてちゃんとデータを精査をしてこの問題については対応していく必要があるというふうに思います。  谷垣大臣、済みません、全然通告していませんけれども、ダイオキシン類についてそういう問題がありますので、是非、対応方お願いをしたいと思いますが、やり取り聞いていていただいて、いかがでしょうか。
  92. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、委員会ができまして、それぞれ専門家委員を構成していただきますから、そこでどうするかということをまた、ダイオキシンに限らずですけれども、御議論をいただくということだろうと思います。
  93. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、大阪市の環境科学研究所の調査で、紙コップ、ティーバッグなど、紙製の食品包装器から環境ホルモン、ビスフェノールAが検出されたということです。再生紙の製品一グラムから百九十から二万六千ナノグラム、バージンパルプ製品からも三十四から三百六十ナノグラム検出されたということです。当然、これは溶出する、容器から中のものに溶出するということが考えられ、食品の汚染が心配されます。  食品衛生法では、プラスチックあるいは金属、陶器の食品容器包装には有害物質の溶出基準があるのですけれども、同じように紙容器にも作るべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  94. 遠藤明

    政府参考人(遠藤明君) いわゆる環境ホルモン問題につきまして、平成十年に専門家から成る検討会を設け、健康への影響について検討してきたところでございます。  ビスフェノールAにつきましては、平成十年十一月に、ポリカーボネート樹脂から溶出するレベルのビスフェノールAが人の健康に重大な影響を与えるという科学的な知見は得られていないという報告をいただいているところでございます。  今回報道されました大阪市立環境科学研究所の研究結果でございますが、これを検討いたしまして国立医薬品食品衛生研究所の専門家にも照会をしたところでございますけれども、この紙製品に含まれますビスフェノールAの量は、食品用ポリカーボネート樹脂に含まれる量よりも、それよりも少ないということ、それから、仮にその全量が食品中に溶出すると仮定をした場合の溶出量であっても基準が設定をされているポリカーボネート樹脂からのビスフェノールAの溶出についての基準値を大きく下回っているというふうなことから、直ちに健康への悪影響が懸念されるようなものではなく、基準値設定等の衛生上の措置を講じるものではないと考えているところでございます。  なお、今回検出された物質が何に由来をしているのかなど、更に解明すべき点もありますことから、国民の健康確保の支障となることのないよう、今後とも関連する情報の収集に努めてまいりたいと考えております。
  95. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 食品の容器について、プラスチックや金属や陶器やなんかについては基準があるのに、紙についてないというところに私、大きな問題があると思うんですね。だから、ビスフェノールAだけじゃなくて、その他の問題もひっくるめて、ちゃんと紙製品、紙容器についてそういう基準を作るというのは当たり前のことなんじゃないですか。信頼関係がそこで生まれてこないじゃないですか、消費者との間で。そのことをどう考えるのか、もう一度お聞かせください。
  96. 遠藤明

    政府参考人(遠藤明君) 必要な基準については、今後とも検討して策定をしていくというふうなことで考えてまいりたいと思います。
  97. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大臣、結構です。ありがとうございます。  それでは次に、公正取引委員会伺いたいと思います。  やはり昨年三月の予算委員会で、当時の根來公正取引委員長が、いろいろ食品表示の問題についてやり取りをしたときに、我々も抜かったかなという、そういう反省の発言がありました。  その後、積極的に公正取引委員会として取り組んでおられるのかどうか、食品に関する不当表示案件の概要について御説明をいただきたいと思います。
  98. 楢崎憲安

    政府参考人(楢崎憲安君) 食品の不当表示につきましては、消費者信頼が大きく損なわれているわけでございます。  食品表示の適正化を推進するためにも、我々も、いただいた情報にはきちんと対応すると、調査をして違反があれば法的な措置、透明性ある措置を取るということが重要だというふうに考えているところでございまして、平成十三年度は雪印食品についての排除命令一件だったわけでございますけれども、十四年度は十四件の排除命令を行っているところでございます。それから十五年度は、今日現在、沖縄の果汁飲料の販売業者の不当表示につきまして七社について排除命令を行っておりますので七件ということで、排除命令の件数も大分増加しているところでございます。
  99. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 二〇〇一年度一件、二〇〇〇年度もやっぱり一件しかなかったわけですね。そういう点では大変前進をしたというふうに思っています。  今説明があった沖縄県のシークワーサー一〇〇%表示の飲料の問題ですけれども、実はそのシークワーサーは健康にいいということで大変人気が高いんですね。味もいいですし、私は、シークワーサー、ファンなんですけれども、それだけにちょっとけしからぬと思ったんですが。  シークワーサーを全く使っていないもの、あるいは多くても二〇%ぐらいしか使っていないということで、七社が不当表示の排除命令を受けたわけですけれども、この沖縄のシークワーサーとフィリピン産のカラマンシーの割合、これはどのようにして突き止めたんでしょうか。
  100. 楢崎憲安

    政府参考人(楢崎憲安君) いろんな調査の過程で調べるわけでございますけれども、基本的には関係者等から資料の提出を求めてその使用割合等を確定をしたというものでございます。
  101. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そうだと思うんですね、なかなか分析では出てこないだろうと思うんですが。  フィリピン産のカラマンシーは、健康に良いとされるシークワーサーに含まれている機能性成分のノビレチンの含有量がずっと少ないということですけれども、大体原料価格でどのぐらいの差があるんでしょうか。
  102. 楢崎憲安

    政府参考人(楢崎憲安君) 客観的な統計データ、価格と、客観的な価格を示すデータはありませんですけれども、我々が調べたところによりますと、いろんな情報を総合しますと、大体カラマンシーの仕入価格といいますか入手価格はシークワーサーの二分の一から三分の一程度の価格じゃないかなというふうに考えております。
  103. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 安い輸入食品で国内のものと同じものだ、一〇〇%だと売られた消費者はだまされたわけで、これはもう本当たまったものじゃないと思うんですね。  最近、またハチみつの消費量が伸びているようですけれども、二〇〇一年の消費量は約四万二千八百三十九トン、そのうち国産が二千六百八十七トンで、ほとんどが輸入。九八年には二万九千四百二十五トンだった輸入量が、二〇〇一年には約四万百八十八トンと、三年間で一万七百六十三トン、三七%増えています。輸入ハチみつの九割が中国産です。  輸入の急増に対応して、原材料のハチみつを採取した国名を表示をすること、さらには精製ハチみつや加糖ハチみつ等の表示の義務付けなど、表示の見直しが行われたということですけれども、御説明いただきたいと思います。
  104. 楢崎憲安

    政府参考人(楢崎憲安君) ただいま先生御指摘のとおり、昨年の十月にハチみつの公正競争規約、これは業者の自主的な表示のルールを定めるものでございますけれども、最近の取引状況の変化あるいは消費者ニーズの多様化ということ等を踏まえて、業界において熱心に検討が進められ、そして消費者等の意見も踏まえて、先生がおっしゃいましたように、ハチみつの採取国、採みつ国を多い順に記載をするということ、それから加糖ハチみつ、糖を加えるという例があるわけですけれども、それをハチみつというふうに表示をするんじゃなくて加糖ハチみつというふうに明確に表示をして、なおかつ加えた糖の比率と使用割合を明記をするということ、それから純粋表示の厳格化等、消費者意見等を踏まえて改正が行われ、公正取引委員会も公聴会を開催して適切と認めて認定をしたものでございます。
  105. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私、規約を見させていただいて、すごいなと思ったのは、注目したのは、原料ハチみつの使用状況を記した台帳の整備を義務付けたんですね。国産ハチみつというのは、二千七百トンしかないわけですね。もう圧倒的に輸入が多い。安い外国産を国産と偽って売るということはあってはならないことなので、それはちゃんと台帳の整備というのはいいことだと思っているんですが、問題は、その公取の公正競争規約による自主規制では、全国はちみつ公正取引協議会に参加していないアウトサイダー、これは拘束されないわけですね。  そういう、今後ハチみつ全体の表示がきちんと守られていく必要があると思うんですけれども、どういう対応を取られるんでしょうか。
  106. 楢崎憲安

    政府参考人(楢崎憲安君) 先生御指摘のように、業者の自主的な基準を公正取引委員会が認定するということでございまして、その規約に参加していないアウトサイダーには規約そのものは適用されないということでございます。  しかしながら、不当な表示を行っている業者につきましては、景品表示法本体の方に戻りまして、有利誤認が生じるような表示であれば本体に戻って適用するということですけれども、業界全体として規約を、ルールを作ってそれが商慣習として定着しているというふうな状況にありますと、我々としても、景品表示法本体の運用におきまして規約のルール、定めたルールというものを勘案をして、法適用、法運用を行っていきたいというふうに考えております。
  107. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 虚偽表示に対する公正取引委員会の対応は、業界の姿勢を正し食品表示の適正化を進めていく上で私は重要な役割を果たしていると思います。大変歴史も古いわけですね。一層の努力が期待をされると思いますが、公正取引委員会の決意を伺いたいと思います。
  108. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 表示問題、特に食品に関しましては、当委員会でも今御審議になっておられるように、公正取引委員会以外、厚労省、農水省、それぞれやっておられるわけなんですが、公正取引委員会といたしましては、その存在理由が最終的には消費者一般の利益を保護する、それに支障を及ぼすようなことは排除するということにございますので、消費者が自主的に適正な選択ができるような条件、その重要な条件の一つ表示だと思っておりますので、誇張表示も含めまして、虚偽表示はもちろんでございますけれども、厳正にこれからもやっていきたいと思います。  その場合に、我々のマンパワーも限られておりますので、今お話に出ました各業界で自主的に作っておられる公正競争規約、これも消費者立場から十分評価していただけるようなものに見直すべきものは見直すように慫慂しながら、私どもはそういった個々の事件については厳正に処理していきたいと、こう思っております。
  109. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 昨年初めの雪印食品輸入牛肉を国産と偽っていたことが発覚して以来、悪質な偽装表示が後を絶ちません。  最近でいえば、JA福岡の偽装八女茶、実際は三割しか入っていないのに一番茶をたっぷりブレンドなどという表示だとか、あるいはお米でいえば新潟県魚沼産のササニシキなど、結局、生産量は限られているんですね。そんなにないのに何でこんなに一杯、市場にそういうものを名をかたったものが出回るのかしらという率直な消費者は疑問を持っているわけです。  私は、農水省としてもこういう偽装表示が横行しないようにしっかりとしたルールを決めて自らの監視を強めていく必要があるというふうに思いますけれども、具体的な対応について御説明いただきたいと思います。
  110. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 食品表示に対する信頼の回復、これはもう本当に重要な課題であります。  そこで、十五年度にJAS法の的確な運用と、こういうことを改正をし、食品表示監視担当職員増強と、あるいは食品表示ウオッチャー消費者の方々の協力を得て監視体制の充実と、約千六百人から約二千五百人と、こういうような増員をいたしまして、その監視体制の一層の充実を図ってまいりたいと。あわせて、食品表示の科学的検証技術の確立、先ほどの魚沼のコシヒカリであるとかササニシキ、DNA鑑定等々、そのような科学的技術の検証と、こういうようなこと等を活用してこの問題、監視体制とこの強化のために努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  111. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 厚労省に伺いますけれども、アトピーの患者の実態調査を行っていますけれども、概要を簡単に説明していただけますか。
  112. 高原亮治

    政府参考人(高原亮治君) アトピー性皮膚炎を有する患者数の実態等についてでございますが、新しいものでは厚生労働省アトピー性皮膚炎研究班によりまして平成十二年度から十四年度におきまして四か月児から大学一年生までの計四万五千人を対象とした疫学調査がございます。  同研究班報告によりますと、全国平均有症率の推定数は四か月児については約一二・八%、一歳半児につきましては九・八%、三歳児については一三・二%、小学一年生については一一・八%、小学六年生については一〇・六%、大学一年生については約八・二%となっております。また、平成四年度に旧厚生省の児童家庭局がアトピー性皮膚炎実態調査を実施しております。この中で、乳児、一歳六か月児及び三歳児の計一万五千三百人を対象に調査したところ、乳児については約六・六%、一歳六か月児については約五・三%、三歳児につきましては約八%となっております。  ただし、両調査におきましては、一番大事な点でございますが、診断基準がかなり異なっております。したがいまして、この新しい方の班研究におきましても単純に比較することは妥当ではないというふうに言われております。  いずれにいたしましても、アトピー性皮膚炎につきましては厚生労働省としてその有症率につきまして非常に重要な問題として認識しているところでございます。何とか早く診断基準のコンセンサスをいただきまして、患者状況の把握を含め、食生活との関係、住環境との関係等々、総合的な対策を検討させていただきたいと考えています。
  113. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 先回りして言い訳の説明があったわけですけれども、九二年度の調査と一番新しい調査を比べると十年間で有症率は二倍近く増加をしているんですね。厚労省の患者調査でも九〇年の二十三万七千人が九九年には三十九万九千人と、九年間で一・七倍に増えているんですね。  東京都のアレルギー疾患に関する全都調査では、三歳児のアレルギー疾患の有症率はアトピー性皮膚炎一八%、食物アレルギー九・四%、じんま疹一五%となっていて、実にその三歳児全体の四一・九%が何らかのアレルギー疾患にかかっているというひどい結果が出ているんですね。アトピーは原因不明ですけれども、食物に起因しているのではないかと言われています。で、現に、家族の皆さんは無農薬だとか、無添加の食品だとか、取れたての野菜などを取ることによって症状が改善しましたというような話も結構聞くわけですね。いずれにしても、食べ物の産地、原材料、添加物、いつ作られたのかなどの詳細な消費者への情報というのは不可欠だと思います。  そこで伺いたいと思うんですが、アレルギー表示制度化をされました。簡単にどういうことなのか説明していただきたいと思います。
  114. 遠藤明

    政府参考人(遠藤明君) 食物アレルギーに係る表示につきましては、平成十三年四月に重篤度症例数の観点から小麦、そば、卵、乳、落花生の五品目を特定原材料として表示をするよう義務付けまして、一年間の猶予期間を置いて平成十四年四月から全面施行をしたところでございます。また、これら四品目に比べ重篤度が低く症例数も少ない十九品目につきましては、現段階では科学的知見が必ずしも十分ではないことから、特定原材料に準ずるものとして通知により表示を奨励しているということでございます。
  115. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今、説明があったように、五品目は表示が義務化されたけれども十九品目は任意と。それ以外にも、例えば米でアレルギー反応を起こすという方も結構いらっしゃると聞いています。特に深刻なのはアナフィラキシーショックですね。ごく微量のアレルゲンでも呼吸困難、血圧低下、意識喪失など命にかかわることがあります。そういう子供たちには現行の制度では不十分なんで実態調査して何とかしてほしい、そういう声もあるので是非、今も検討していくことになるんだろうと思いますけれども、今の答弁でも、その点、そういうことで患者の皆さんあるいは国民の皆さんの声を聞いて対応していただきたいと思いますが、一言お答えいただきたいと思います。
  116. 遠藤明

    政府参考人(遠藤明君) この表示につきましては、表示に関する研究班、研究班の名前はアレルギーの実態及び誘発物質の解明に関する研究班というふうになっておりますけれども、そこでこれまでの知見を基に報告をいただいているわけでございますけれども、その後の知見、また今後得られます知見、そういったものを加えまして、アレルギー表示制度をどのようにしていくかということについては今後とも検討をしてまいります。
  117. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 前回も質問しましたし、先ほども議論があったところですけれども日本はアメリカで作られた遺伝子組換え作物の最大の輸入国なわけですね。輸入トウモロコシの八七・六%、輸入大豆の七五・五%がアメリカからの輸入に頼っています。つまり、日本で流通しているトウモロコシの三割、大豆の半分以上が遺伝子組換えとなっているわけです。  そこで、その遺伝子組換え食品表示についてですけれども、今、使用表示は三十品目の食品に限られている、しかも五%以下なら遺伝子組換え原料が入っても構わないということになっているわけですけれども、遺伝子組換え食品はアレルギーを引き起こすんじゃないかということで大変心配をされています。また、消費者は害虫抵抗性大豆に対して、その大豆を食べた、その植物を食べた虫がころっと死ぬのに何で人間は大丈夫なのという、そういう非常に強い不安を持っているんですね。これは科学的じゃないというふうに、消費者がそんな不安を持つのはけしからぬというふうには言い切れないと思うんですね。私は、だからそこで表示が大事だというふうに思っているんです。  GM食品の混入率は一%以下となって、日本は緩いんですね。先ほど議論がありました、ごめんなさい、GM食品の混入率の表示はEUでは一%以下となっているんですね。日本は五%で非常に緩いんです。ですから、これは変えるべきだと思いますけれども、農水大臣、いかがですか。
  118. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほども答弁申し上げましたが、EUの問題、日本の場合は輸送の形態、バルク輸送で運用されていると。そして、分別生産流通管理と、こういうことから遺伝子組換え農作物の、意図せず一定の混入が避けられないと、こういうことでございまして、またそれはそれぞれ証明書が添付されていると、こういうようなことで、今、混入率五%以下を目安とした取引ということになっておるわけであります。  このような取引実態を十分踏まえた、現実的かつ、その対応と、このことでいかざるを得ないというところでありますが、EUの問題につきましては、一%の混入率と、また、先ほど申し上げましたとおり、運用上の必要な混入率を定量的に把握をする検出方法を具体的にどうされているのか、また原料に遺伝子組換農作物が含まれているかどうかを社会的に検証する手法について具体的に明らかになっていないと、こういうようなところもございます。  現状、先ほど申し上げましたとおり、バルクでの分別生産物流通管理と、こういう面での農産物、遺伝子組換農作物の意図せざる一定の混入、これが避けられないというような状況でございますので、この一%ということにはなかなか現状難しい話、ことであります。
  119. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 水産庁が使用を禁止している劇薬であるホルマリンを養殖フグに使用していたということから、長崎県を始め、香川、大分県が業者を摘発したということですが、概要を簡単に御説明いただきたいと思います。
  120. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) トラフグ養殖におけるホルマリンの使用でございますけれども、これまで、その安全性が指摘される一方、また魚介類への残留性が解明されていないという状況でございます。このような状況の中で、私ども、全国魚類防疫推進会議等々の場でその趣旨の徹底を図るとともに、具体的に、業者に対する巡回指導あるいは研修会の開催等々を行ってきたところでございます。また一方、養殖業界の中でも、全国段階あるいは県段階でホルマリンの使用禁止を決定を決議をしてきたというわけでございます。  このような中で、今、委員指摘のとおり、他の産地の模範となるべき長崎において、百五十一経営体の中で、過去三か年をさかのぼりますと九十五の経営体がトラフグの養殖にホルマリンを使っていたということが明らかになったわけでございます。  私ども、極めて遺憾なことであるというふうに思っているわけでございますけれども、このようなことを契機に、私ども、他の県でもこういう事態があるということで、各県に調査を依頼をいたしました。その結果、御指摘のとおり、新たに熊本、香川、そして大分の各県でそれぞれ一業者の使用が明らかになったという状況でございます。  私ども、現在御審議いただいております薬事法改正案の中で、これら未承認医薬品の使用を禁止する内容を盛り込んでいるところでございます。このような改正案が成立しました場合には、このような薬事法に基づき、使用実態調査、あるいは生産現場の指導、監視を的確に実施をし、今回のような事態が再発しないよう万全を期してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  121. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 この問題については以前から分かっていたけれども、法律が不十分だった、今、法改正を準備されていることから分かるように不十分だと、なかなか摘発できなかったということですけれども、非常に事態が深刻だということから、ホルマリンの販売ルートから養殖業者を割り出して摘発をしたわけですね。一種の私はトレース法だと思うんです。  先ほど、具体的にシークワーサーだとかハチみつだとかということを申し上げましたけれども、これはみんな使用原料を台帳に記載をするということを義務付けることによって、何も科学的な検査ができなくたって、こういうものについて把握をすることができると思うんですね。ですから、GM食品も、生産・流通・販売ルートをたどってはっきりさせれば表示をさせることができるはずなんですね。早急に全面表示をさせるべきだと思いますが、農水大臣、いかがですか。
  122. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほどもお話し申し上げましたとおり、水際でその検疫を十分やっておるわけでありまして、それぞれそれらの食肉等につきましては安全なものが輸入をされると、こういうことでありますし、このトレーサビリティーの問題につきましては、BSEの発生と、こういうことにかんがみて牛肉トレーサビリティー法をお願いをしているわけでありまして、BSEの未発生国、アメリカ、豪州につきましては、そのような考え方から、それを導入するということにつきましては、私どもは、まず原産国表示BSEの発生していない国家であるということ、そして水際での検疫等につきまして万全の体制をしきまして、安全な食肉と、こういう形で受け止めていきたいと、こう思っております。
  123. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そうでないから、大臣、従来型の何か答弁されているんですけれども、そうでないから、輸入の水際でちゃんとチェックされないでしょうと、それから市場にはそうでないものがどんどん出回っているでしょうと。だから法律が必要なわけだし、手だてが必要なんですよね。そこのところ全然反省しないで従来型の答弁をされているというのは、本当にこの法律動いてもどうなるのかなというふうに思うんですけれども。  それで、時間も来ましたので、谷垣大臣、最後に。  私、今日いろいろ申し上げてきましたけれども、やっぱり表示というのは非常に重要なんですね。それは、いつ、どこで、何を原料にして作られたのか、どういう添加物が入っているのか、そこのところを甘くするからいろいろこういう問題が、事態が発生しているんですね。私は、そこのところは業界の立場じゃなくて、消費者立場に立ってきちんとやろうと思えば、いろいろさっきやり取りしたように、手だてはあるわけですよね。  そういう意味で、きちんとした消費者の権利、消費者選択を守るという消費者の権利を保障した、そういう表示制度の確立を検討していくべきだと思いますが、その点、最後に大臣のお考え伺いたいと思います。
  124. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 表示の問題は、消費者選択というだけじゃなくて、先ほどから御議論もありますように、アレルギー問題であるとかあるいは期限表示、いずれも食品の安全性を確保する上で大事な手段であろうというふうに思います。  そこで、この食品安全基本法では、食品関連事業者の責務として食品に関する正確かつ適切な情報の提供ということを規定しておりますが、それとともに表示制度の適切な運用ということを規定しておりまして、この法案趣旨に基づいて、関係各省と連携の上で、適切な運用というものを目指していきたいと思っております。
  125. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  126. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 午後二時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後一時八分休憩      ─────・─────    午後二時十分開会    〔内閣委員長小川敏夫委員長席に着く〕
  127. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから内閣委員会厚生労働委員会農林水産委員会連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、食品安全基本法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  128. 沢たまき

    ○沢たまき君 私は、本法律案がリスク評価リスク管理リスクコミュニケーションの三つの柱で構成されている中で、安全メッセージの在り方についてどうあるべきか、伺わせていただきます。  まず、農水省にお伺いいたしますが、検討委員会指摘しておりますように、BSE発生直後の対応のまずさが、消費者だけではなく、畜産農家とその業界、更には外食産業までにも広がり、大きな混乱を招きました。その根本的な要因について農水省はどう認識あるいは総括されていらっしゃるでしょうか、お伺いさせてください。簡単で結構です。
  129. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 一昨年の九月、我が国最初の感染牛が確認されたわけでございます。当初クロイツフェルト・ヤコブ病との関連性が指摘されていたにもかかわらず、この情報が不足していたということで、食に対する不安が高まったわけでございます。加うるに、発生後の初期段階で、必ずしも私ども厚生労働省との連携が良くなかった、そして私どもに不手際が相次いだということで、行政に対する不信というものがこの食に対する不安を加速化をさせていったということを反省材料としているところでございます。  その後は、BSEに対する正しい知識の普及と消費者の不安の払拭と、これを基本にいたしまして、行政信頼を回復するということを念頭に置き、数々の対策を講じてきたところでございます。
  130. 沢たまき

    ○沢たまき君 調査検討委員会は、食品の安全性の確保に関する基本の原則として、消費者の健康保持を最優先に挙げること、そのためにリスク分析手法を導入すること、リスク分析をベースとした組織体制の整備を求めました。その結果、今回の法案の提出になったと理解をしております。  そこで、消費者の最優先という立場から、BSE問題のときは、感染経路も解明されていない中で、今なお解明されていないわけでございますが、まず消費者の皆さんに安全な牛肉を届けるということが大事でありまして、牛の全頭検査を行いました。どうぞ、今市場に出回っている牛肉は安全ですよと、消費者の皆さんに坂口厚生労働大臣、武部農林水産大臣がそろって実質的な安全メッセージを行いました。このことによって、消費者の皆さんも安心して牛肉を、徐々にでありますが食するようになったわけでございます。  BSE問題における一連の危機管理を振り返りますと、安全メッセージを出して初めて危機管理の行程は完結するものと考えますが、当時はその安全メッセージの意味合いをどのように認識していらしたんでしょうか。
  131. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 一昨年を振り返りますと、BSE発生直後に、一つは、屠畜場におきまして全頭検査を行う、そして感染性があると言われる危険部位、特定部位をすべて除去するということで、安全なものしか食卓まで行かないというシステムをまず構築をいたしました。そしてもう一つは、感染源を遮断するために、肉骨粉等について輸入、製造、出荷、使用、全面停止を行いまして、こういうことで、安全な畜産物しか行きませんよということで、十三年の十月十八日に両大臣によるいわゆる先生言われた安全宣言というものを出したわけでございます。  ただ、その安全宣言を出したわけでございますけれども、その後、過去におきます行政の対応のまずさ等が指弾を受けまして、去年の二月に牛肉価格は最低を記録するということで、回復を始めましたのが昨年の夏ごろからでございますけれども、正しい安全宣言の知識が浸透していったからこの牛肉の消費の回復につながったものというふうに認識はしております。
  132. 沢たまき

    ○沢たまき君 消費者情報の公開、それから対話を重ねて、危険な食品から消費者を守ることが第一義であります。しかし、リスクという言葉が多く使われておりますが、安全宣言、安全メッセージを出すこともまたリスクコミュニケーションの一形態として大事ではないかと考えます。安全な食品を守るとともに、善良な生産農家、善良な畜産農家、善良な事業者や労働者を守ることも広く食の安全にかかわるものと考えます。  そういう点では安全というメッセージを出すことは大変に重要でございますが、リスクコミュニケーションにおける安全というメッセージの位置付けや重要性について見解を求めます。
  133. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 沢委員にお答えいたします。  安全という言葉はごく日常にも使われる言葉ですけれども、ごく普通に使っている場合と、それからいわゆる、何というんでしょうか、リスク分析なんという場合に安全という言葉が使われるのは若干意味にずれがあるように思うんですね。  と申しますのは、いわゆる日本人の食生活もグローバル化して、世界じゅうどこから食品が来るか分からない。それから、科学技術も進歩して、いろんな今までにない危害要因が出てくるというようなことがございますし、分析手法も非常に微細なものまで分析できるようになってきたと。ということになりますと、結局分かってきたことは、絶対に安全な食品は存在しないということが分かってきたということじゃないかと思います。  私は実はそばが大好きなんですが、それで、そばは健康な食品だと思っているんですが、先ほど来アレルギーのお話もございますけれども、そばでアレルギーでもう死にそうになったという人もいるわけですね。そうしますと、結局、ゼロリスクはないということを前提に、どうその危険性をコントロールしていくかと、どういうレベルで管理をしていくかということが大事だと。ちょっとこの安全というのはそういうことなんだというのは、一般に考えられている安全というのと若干意味合いが違っているという面があるように思います。違っていると言っていいのかどうか分かりませんが、そこが実は問題なんで、だからこそ、いわゆるリスクコミュニケーションといいますか、お互いに情報や何かを共有し合って、理解をできるだけ共通にしていくというような努力が必要なんじゃないかと、こういうふうに私は考えております。  そこで、現実に何か食の安全を害するような事態が起こって、その安全性が疑われる事態が起きた場合に、どう正しく判断をしていただくかというようなことが非常に重要になってまいりまして、平常時からのいわゆるリスクコミュニケーションで安全という言葉の概念が正しく理解されること、それから食品事故等の緊急時に安全性の実態が正しく伝えられていくこと、こういうことが大事なんじゃないかなと、こんなふうに考えております。
  134. 沢たまき

    ○沢たまき君 ありがとうございました。  本法律案成立後は、危機管理としてあるいはリスクコミュニケーションの中で、安全というメッセージをだれが出すことになるんでしょうか。従前のようにリスク管理機関側が行うのか、あるいはリスク評価機関たる食品安全委員会が行うのか、あるいはケース・バイ・ケースで行うのか、いかがでしょうか。またその場合、食品安全委員会はどのような役割を果たすんでしょうか。
  135. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 結論から申し上げれば、ケース・バイ・ケースとおっしゃいましたけれども、そういうことだろうと思います。どこに食の安全に対して疑念といいますか、問題が起こっているかによって違ってくるわけでございまして、具体的な規格や基準は既に決まっているけれども、それとの関係で特定の食品とか危害要因の安全性を判断する場合には、農林水産省厚生労働省、いわゆるリスク管理機関がこれはもうこの基準に照らして安全ですよということを言われるわけだと思いますし、何だかまだ分からないと、評価が分からないと、現実の規制措置も定められないというような事態で安全性に対する大きな疑念が出てきたと、こうなれば、科学の立場から食品安全委員会が必要に応じて必要なメッセージを出すということだろうと思います。  これに加えまして、食品安全委員会は、ふだんから食品の安全に関する内外の情報海外のいろいろな、こういう危害があったとか、それに対して海外でどういう措置を取ったとかというようなことも含めまして、積極的に情報を集めて検討しておくと。そして、緊急時や、原因が先ほど申しましたように分からない、何が問題なのかも分からない、こういうような食品事故がありました場合には、関連する科学的知見や内外の情報を的確に国民消費者に出していって、冷静に判断して行動していただくことをバックアップするといいますか、そういうことを食品安全委員会はやっていくということだろうと思います。
  136. 沢たまき

    ○沢たまき君 リスクコミュニケーションあるいは危機管理という言葉が多く用いられておりますが、法案の題名からすれば、そもそも食品について安全というメッセージを出すことこそ最重要ではないかと思っております。そういう意味で、十三条に規定されるリスクコミュニケーション、第十四条に規定する危機管理について講じられる措置の実施については、二十一条に基づいて基本的な事項を定めることとなっておりますが、リスクコミュニケーションや危機管理の一環として安全というメッセージを出すことについても、私は、基本的な事項に定めるように研究をしていただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。  全くの、例えばBSEの牛肉なんかがもう終結、安全宣言が本当に出せるというのはWHOだろうと思いますけれども、この法案の中で安全というメッセージの位置付けといいましょうか、事項をちょっと研究していただきたいなと思っておりますが、いかがでしょうか。
  137. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) それは十分に研究しなきゃならないと私も思っておりますが、二十一条で基本的事項を定める、そういう中で安全、今、委員がおっしゃった安全というメッセージをどういうふうに二十一条で定める基本的事項に絡ませていくかというのは、実はなかなか難しゅうございまして、それは、先ほど申しましたように、安全、どこに安全の問題が起こっているかという、その安全の問題が起こってくるところがこれはもう様々で、あらかじめこういう場合に、典型的には、もう安全宣言を政府が出してみんなに安心していただくというようなことができれば一番簡単明瞭なんですが、あらかじめ定型化しておくことはなかなか実は難しい、どういう問題が起こってくるかというのがなかなか事前に想定できないということがございます。  それから、その一方で、リスクコミュニケーションを進める上でも危機管理においても、リスクの内容とかそれに対する対処法などについても、正確な情報を提供することがやはり混乱を避けるためには非常に大事でございます。その辺りをどう適切に具体的な場合にやっていくかということは、当然研究が必要でございますけれども、二十一条の中にどう書き込んでいくか、二十一条を受けてどう書き込んでいくかということは、実はまだなかなか簡単に答えが出ておりませんのが率直な今の段階でございます。
  138. 沢たまき

    ○沢たまき君 本当に私たちは、着るものは汚れれば洗いますけれども、食べるものは食べずにいられません。食は命をつなぐものでございますので、食べているものが体に栄養となってちゃんとなるというこの安全が、食べて病気になっては何にもなりませんので、そこら辺が本当に、輸入が多かったりなんかいたしますと、豊かになった食生活であるが、食品の数だけで、実は安全がどこら辺にあるのかと。食べて、お金を出して買い求める国民の皆さんは、どこにあるものでも出されて市場に回っているものは安全だというメッセージをどこかで受け取りたいと。一番大切な基本が安全だろうと思いますので、何とぞよろしく御検討、御研究をいただきたいと思います。  終わります。
  139. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。  食品の安全に関し、殊にリスク管理評価につきまして、まず何点かお伺いをいたします。  四月に厚生労働省の研究班が体細胞クローン牛の研究報告をまとめまして、食品としての安全性が損なわれることはないと、こういう報告書をまとめたところでございます。しかし、受精卵クローン牛についてはまあまあ理解ができても、この体細胞クローン牛となると、消費者のまだまだ疑念は払拭し得ないんじゃないかなと、こう思うところでございます。  そこで、安全性は損なわれないという報告でございますけれども、いわゆるこの食品安全委員会がこのたび設立をされようかと、こういうときでもございますし、この体細胞クローン牛について、この委員会の中にもいろんな評価チームができるようでございますが、是非、どこかの評価チームでこの体細胞クローン牛の安全性について更に詳細な調査研究をしてもらいたいなと、こう思うんでございますが、いかがですか。もしそれをされるとなれば、どういう評価チームが担当されますか。
  140. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 体細胞クローン牛については、今、日笠委員がおっしゃったように、農林水産省指導で流通は自粛されているわけですが、研究班報告では、安全性が損なわれることは考え難いけれども新しい技術であることを踏まえて慎重な配慮が必要という位置付けに今なっていると承知しております。  そこで、食品安全委員会ができまして、この体細胞クローン牛について農林水産省から諮問を受けたり、あるいはこの委員会でやはりこれは調べる必要があると、こういう場合には当然、食品健康影響評価をやっていくわけでありますが、これを担当する専門調査会は、まだ委員会ができておりませんので、発足後判断すべきもので今は先取りしてもお答えしにくいんですが、内容から考えますと、新開発食品を担当する専門調査会ということになるのではないかなと思います。
  141. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 もう一点は、農水省は出荷自粛を要請しておるわけですが、今回の法案の第十七条にも、国の内外の情報の収集とか整理とか活用というところがありますね。また、この体細胞クローン牛については世界では流通していないと聞いておるわけでございます。まさか、安全性が確認されたということで、じゃ、直ちに世界に先駆けて日本が出荷しようかと、自粛を解こうとかというようなことは、先ほど申し上げました十七条の観点から見ても、世界の情勢なども当然念頭に入れながら、その辺のところは十分に勘案をすると、こういうふうに理解していいでしょうか。  これは農水省、どうですか。
  142. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今お話しのとおり、慎重に対応しなければならない大変重要な課題だと、このように思っております。
  143. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 是非、十七条の内外の情報の収集という中にも、慎重な対応ということが当然それに含まれると、こういうふうに理解をしておきたいと思います。  それから、午前中の質疑でもございましたが、養殖フグ等への、劇物でありますホルマリン、これの投与ということが最近大きくテレビや新聞でも報道されているところでございます。水産庁の方も全国調査を五月九日に公表されました。何か三年間で三百六十五万匹がもう出荷されて、国民の皆様方の胃の中にもう入っちゃったと、こういうふうなことで、もう本当に驚いたわけでございます。  そこで、この残留検査、今やっておると思うんです、検体を調べて。人体への影響はあるのかないのか、今どういう状況になっておりますか。
  144. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) ホルマリンが使われていたフグ養殖における残留性の点でございます。  私ども、現在、長崎県あるいは熊本県、大分県等々で解明がされた事案に対しまして、現在、残留検査の調査に着手いたしております。対象が多いということでもございますので、県による調査、それから漁協による調査、ダブルチェックを掛けているわけでございますけれども、おおむね六月上旬までにはその結果が出るというふうに思っております。また一方で、フグにおける残留性のほかに、海域にどのような影響を与えているかという点につきましても調査を行っている段階でございます。
  145. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 フグだけじゃなくて、タイのあの赤色を発色を良くするということでそれでも使われているという、何か私テレビの報道番組で見ましたけれども、フグだけじゃないようでございますね。タイなんかの赤色の発色を良くするためにもホルマリンが使われていると、こういうことですから、フグだけじゃなくてタイの方のひとつ検査もお願いしなきゃいかぬと思うんですが、いかがですか。
  146. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 私ども委員指摘のタイの養殖にホルマリンが使われているというような具体的な情報は承知をいたしておりません。  病理学の専門家意見も問い合わせをいたしましたけれども、タイにつきましては、トラフグのような致命的な寄生虫がそもそもないというのが一つ。それからもう一つ、薬浴をする場合には狭い場所で薬浴するということが必要になるわけですけれども、タイというのは非常に外見の商品価値等々で、薬浴の場合、背びれの棘がタイの目を刺すというようなこともあるようでございます。  いずれにいたしましても、私たち、養殖全体の安全性の確保あるいは信頼性の確保という観点から、先週でございますけれども、各都道府県に対しまして総点検をお願いをしているというところでございます。六月中旬に結果を取りまとめをしたいというふうに考えているところでございます。
  147. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 次は、リスク評価ということで、養殖魚に対してホルマリンなどを投与というんですか、する場合、今後どういうふうな対応を取りますか。  というのは、かつて水産庁長官名で指導とか通達ということでもうホルマリンは投与をしちゃいかぬということを度々度々ですよ、何回も何回も何回も要請をされたり通達を出しておられるにもかかわらず、このたびも内部通告といいましょうか、ということがあって大変大きな問題になっているわけですね。度々度々違反をするような通達に、また指導に、そういうことをずっと手をこまねいて待っておったということ自体が、これは農水大臣所管ですよ、でも度々度々通達を出すとひっくり返されて、じっと、それを、そのたびにまた通達を出すような、何かイタチごっごのようなことばかりやってきたけれども、これについて抜本的なやはりここで対策を取らないと、正に安心、安全の消費者に対するメッセージを送れないじゃありませんか。何か対応を考えておりますか、長官。長官でいい。
  148. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 私ども、ホルマリンの使用の問題については、委員指摘がありますけれども、いろいろな場を通じてこの周知の徹底、あるいは巡回指導、研修会の開催等々を行ってまいりました。  また一方で、養殖業者の団体におきましても、全国段階あるいは県の段階におきまして、安全性を確保するという観点から使用の自粛を申し合わせてきたというような経緯もございます。  私どもも、今回三県でこのような事態が発覚したことは非常に極めて遺憾であるというふうに思っておりますけれども、現在、御審議をいただいております薬事法改正案の中で、未承認医薬品の使用禁止という内容を盛り込んでいるところでございます。この改正案が成立しました場合には、この改正薬事法に基づきまして使用実態の把握なり生産現場の指導、監視をより的確にできるというふうに思っております。今回のような事態が再発防止に、このような法改正と合わせまして万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  149. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 早くその法案を審議して通すことが一つの今後の対策になると思いますが、もう一点、これは谷垣大臣にお伺いしたいんですけれども、水産庁のこの指導とか通達によると、ホルマリンなんかの残留性の問題とか環境への影響は十分解明されていないと、されていないというか、灰色的な通達といいましょうか、指導なんですね。これはもう大変問題なんだと、これは安全上問題があるという断定でなくて、解明十分されていないということで、灰色的な判断でずっと通達を出す、破られる、また通達を出すというイタチごっこがあったんだと思うんですね。  そういう意味では、せっかく今度できます食品安全委員会でホルマリンというものが一体、養殖魚に対するリスク評価は一体どうなのかと。また、そのホルマリンというものを投与した後の貝だとか海域だとか、そういうところに対する環境影響評価ということもやるんでしょう、今度。そういうことを踏まえて、このホルマリンというものに対するリスク評価というものは是非安全委員会の方でやって、一つの結論的なものをきちっと出すと、評価、管理ということで、今後の対応していくべきだと思いますが、もちろん大臣がその安全委員会にこれをしなさいというふうにはなかなか言えないんだとは思いますが、要望ぐらいできますね、できた後はね。どうですか。
  150. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ホルマリンの問題は、要するに動物用医薬品として承認されていないものを使用しているという薬事法違反の問題で、それの実効性をどうあるかというので、今、水産庁長官からも御答弁がありましたけれども、更に薬事法でどういう手法をやっていくかという問題なんだろうと思うんですね。  だから、もう使っちゃいかぬという意味ではリスク評価をする余地もない案件ではないかと実は思っているんですけれども、ただ一般論として言えば、厚生労働省等から諮問があり、あるいは食品安全委員会ができてこれはやらなきゃならぬと、こう考えたらきちっとやっていくと、こういうことだろうと思います。
  151. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 いや、それは使っちゃいけないんですけれども、それが果たして人体に影響があるかどうか、食べた場合、それが十分解明されていないわけですよ。だからこそ通達とか指導で、法律にしてこなかったわけですね。今回は法律にしようと、こういうことですから、リスクというものは必ずあるんだろうと思うんですね。  それから、先ほど申し上げました二十条の環境に及ぼす影響への配慮というのもあるわけですね、今回。真珠貝が死滅したとか、海域の海水の問題だとか、いろいろあるわけですから、当然リスク評価の対象になるんじゃないかなと、こう思いますので、ひとつ念頭に入れておいていただきたいと思います。  時間がありませんので、さらに、最後の質問に行きますが、いわゆる情報の収集をいろんなところから当然しなけりゃいけません。特に不当表示とか偽装表示とか、こういう問題、また社会全体の不正の抑止なども図っていくためにはいわゆる公益者、失礼しました、公益通報者保護制度というものがこのたび報告がまとめられましてこれから法案化に移ると、こういうふうに聞いておるわけでございますが、この中で、通報内容ということで消費者の利益、すなわち生命とか健康とか財産を侵害する法令違反はこれはこの対象になると。これはいいことでございます、食品安全ということから考えれば。  しかし、その通報者の範囲が何か事業者に雇用されている労働者というふうに限定をされるんじゃないかと、こういうようなことでございますが、それでよろしいでしょうか。
  152. 永谷安賢

    政府参考人(永谷安賢君) 先生御案内のとおり、食品偽装表示の問題でありますとか、あるいは自動車のリコールに係る事件といったような形で消費者信頼を裏切る企業の不祥事が企業の内部からの通報を契機として明らかになる事態が起こっているということであります。そういう状況の中で、この公益通報者保護制度なるものを事業者の法令遵守の実効性を担保する一つの手段という形でこの問題が浮上してきているところであります。  私ども国民生活審議会の消費者政策部会の場でこの議論をずっと詰めてきまして、今年に入りましてからは、その親部会の下に公益通報者保護制度検討委員会なるものを作って、制度の中身につきまして今お尋ねのございました保護対象者の範囲まで含めていろいろ御議論をいただいているという状況であります。  先生今おっしゃいましたように、この小委員会での報告というのが取りあえず先日出たんですけれども、これ実は親部会の方に、また何回か親部会の方でも審議していただくということでありまして、恐らく五月の末ぐらいまでにはおまとめいただけるんではないかというふうに私ども期待している、そういう状況であります。
  153. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 最後に要望しておきますが、この事業者に雇用されている労働者という定義ですと、今、アウトソーシングされたり、委託したり、OBがいたり、子会社、関係会社、取引先、いろんなところがあるわけですね。あの有名な雪印食品の牛肉偽装事件なんかは、これは商品を預かった倉庫会社、冷凍会社がマスコミに通告して、こういう大きな問題がきちっと解決するような方向へ今収束しているわけですね。  そういう意味では、事業者に雇用された労働者ということだけじゃこれは実効性に欠くと思いますから、是非そのような方々も踏まえた対象に広げてもらいたいと、これは要望して、終わりたいと思います。  以上です。
  154. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋宗康です。よろしくお願いいたします。  まず、本法案は、食品の安全性という食品の質の問題にかかわる問題でありますが、近年、我が国においては食糧自給率が著しく低下しており、食品、食糧の量をいかに確保するという問題も極めて重要であります。    〔委員長退席、内閣委員会理事長谷川清君着席〕  そこで、順次御質問したいと思います。  まず、カロリーベースの問題ですけれども、我が国の食糧自給率は、昭和四十年以降今日までどのように推移しておりますか、お尋ねいたします。
  155. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) 自給率の推移についてのお尋ねでございます。  自給率、しかもカロリーベースで見た自給率がどういうふうに推移してきたかということでございますが、昭和四十年、約三十五年前に当たりますけれども、我が国で七三%でございました。十年後の昭和五十年には五四%へ低下し、平成に入って四九%と、五〇%を下回る状況です。その後、更に低下を続けて、十年度以降、平成十年以降四〇%の水準で推移をいたしております。  これは、主に輸入に依存せざるを得ない、飼料原料を輸入に依存せざるを得ない畜産物の消費の増嵩、一方、国内で自給可能なお米の消費がこの間に約四割強減少してきているというような、そういう消費の動向に国内生産が必ずしも十分に対応できなかった、そういう状況の結果でございます。
  156. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次に、品目別に見た主要先進国と我が国の食糧自給率は現在どのようになっておりますか、お尋ねします。
  157. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) 我が国の自給率は、今お答えさせていただきましたように四〇%という水準になっておりますが、主要先進国で見ますと、二〇〇〇年の水準では、例えば、アメリカが大変な輸出国でございますので一二五%、あるいはフランスは一三二%、ヨーロッパの中でもかつては輸入のウエートが非常に高かったイギリスが現在七四%、ドイツで九六%、スイスで六一%という状況にございます。  これは、それぞれの国の国土条件の賦存状況なり食糧消費の動向を反映している状況でございまして、そういう点では主要先進国中、そういう状況の中で我が国の現在の食糧自給水準というのは主要先進国中ほぼ最低の水準になっているという現状でございます。
  158. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 我が国における食肉、牛肉、豚肉、鶏肉の年間消費量と自給率はどのようになっておりますか。
  159. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) 食肉、牛肉、豚肉、鶏肉についてのお尋ねでございます。  年間一人当たり消費量のベースで申し上げますと、現在、牛肉で六・三キロ、これ人口で、総量であれいたしますと約八十万トンが年間消費量という状況になっております。豚肉が一人当たりの一年間の消費量で十・八キログラム、いずれも、大変恐縮です、平成十三年度の数字でございます。豚肉で十・八キログラム、全体で百三十八万トン強。鶏肉は一人当たりで十・二キログラム、総量で百三十万トンという状況になっております。
  160. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 肉類の自給率が現在五二から五三%ということは、食肉類についてもその需要の半分近くを外国から輸入に依存しているということになりますが、主要な輸入先はどこなのか、そしてその輸入食肉の安全性はどのように確保されているのか、御説明願いたいと思います。
  161. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) 肉類の自給率の状況、先生御指摘のとおり、肉類全体で見ましたときに、御指摘のとおり五三%という水準にございます。内訳を若干申し上げますと、牛肉は自給率が三六%、ですから三分の二は輸入に依存しているという状況にございます。豚肉で自給率が五五%、鶏肉で現在六四%という水準にございます。  輸入先国ということでの御指摘でございますが、目方といいますか、重量ベースで見まして、牛肉は、オーストラリアとアメリカがそれぞれ四七%、ほぼ二か国で供給の、輸入の大部分を占めているという状況でございます。豚肉は、年々の変動ございますが、EUが三三%、米国が三二%という状況でございます。そのほか、カナダ等からの輸入がございます。鶏肉は、タイからが三五%、ブラジル三二%、その他、アメリカ、中国等からの輸入という状況になっております。  いずれも、それぞれの肉類の言わば安全性ということでは、水際でそれぞれチェックし、安全なものの国内流通という形で実行されている状況にございます。
  162. 遠藤明

    政府参考人(遠藤明君) 輸入食肉の安全性につきまして、厚生労働省におきましては、食品衛生法第五条第二項に基づき、我が国と同等以上の衛生規制を有している国からの輸入のみを認めるとともに、貨物ごとに輸出国の政府機関が発行する衛生証明書の添付を義務付けております。  また、輸入時におきまして、検疫所において、抗生物質等の残留物質や腸管出血性大腸菌O157等の病原微生物についてモニタリング検査を実施するほか、違反の蓋然性が高い場合には、輸入者に対し検査を命令するなどの対応を取っているところでございます。  さらに、特定国の食肉について違反が反復して認められる場合などにおいては、輸出国における現地調査や二国間協議等を行い、違反食肉の輸入防止を図っているところでございます。
  163. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 このように、外国からの食糧の輸入というのが相当、今実態で明らかになりましたけれども、そこで農林水産大臣にお伺いいたします。  我が国の食糧安全保障体制について、農林大臣はどのようないわゆる程度の自信を持っておられるか、お尋ねします。
  164. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 国民に対して良質な食糧の安定供給を図ることは国の基本的な責務であります。食料・農業・農村基本計画におきまして、国内農業生産の増大を図ることを基本といたしまして、これと輸入及び備蓄等を適切に組み合わせて行うということとしておるわけであります。このような観点から、食糧自給率目標四五%を設定し、消費者生産者、食品産業の事業者などの関係者が一体となって取り組んでおるところでもございます。  不測の原因によります需給が逼迫すると、こういうような場合におきまして、最低限度の供給体制の確保を図らなければならないわけでありまして、関係府省と連携の下に、平成十四年の三月に、不測時の食料安全保障マニュアルを策定をし、公表したところでもございます。具体的には、この事態に対しまして農林水産省及び政府におきます対策本部の設置の体制整備であるとか、あるいは情報の迅速的確な収集、分析、提供と、あるいは備蓄の活用、輸入の確保等供給体制の確保対策、あるいは価格、流通の安定のための対策と。  今後とも食糧の安定供給について万全を期してまいりたいと、このように考えております。
  165. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そこで、WTO新ラウンド農業分野交渉の現状はどのようになっておりますか。そして、WTO新ラウンド農業分野交渉についての今後の見通しと政府の対処方針についてお伺いいたします。
  166. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) WTO交渉につきましては、もう委員御承知のとおり、先般、モダリティーの確立ができなかったわけでもございます。これに保護、助成の大幅、画一的な削減と、こういった過大な要求をしております米国・ケアンズ諸国と、そして漸進的で現実的なルールを求めております我が国あるいはEU等の提携国と、この溝が埋まらなかったわけでありまして、私も実は先般、四月から五月にかけましてベルギー、フランスあるいはスイスに参りまして、交渉の最大のパートナーでありますEUのフィッシュラー農業・漁業委員、あるいはラミー貿易委員にお目に掛かり、あるいはまたカンクン閣僚会議、これがあるわけでありまして、このために日本とEUが一層緊密な連携を取っていこうと、こういう確認をして帰ってきたわけでもございます。あるいはまた、WTOの交渉の、スパチャイWTO事務局長と、あるいはハービンソン農業委員会特別会合の議長にもお目に掛かりまして、我が国の立場を強く訴えてきたわけでもございます。  今後、九月のカンクンの閣僚会議に向けまして、いろいろこれから引き続き技術的な事項の検討を継続するとか、あるいはまた、六月あるいは七月に、農業委員会の特別会合の機会とかあるいはエジプトでのWTO非公式少数国閣僚会議と、このようないろいろの会合があるわけであります。これらに向かって我が国の主張というものを関係国と提携をして努力をしてまいりたいと、このように考えておるところであります。
  167. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次に、米海軍の水中爆破訓練についてお伺いしておきたいと思います。  去る五月七日から十二日までの間に、沖縄県近海から長崎県沖にかけての二百海里の排他的経済水域内で米海軍が実施したとされる水中爆破訓練に関し、実施と中止の情報が二転三転し、ただでさえ漁場の安全と漁獲の減少に対する漁民の不安が強い上に、不確実な情報に振り回された漁業関係者を始めとする沖縄県民の怒りは増幅されるばかりであります。    〔委員長代理長谷川清君退席、委員長着席〕  そこで、この米海軍の水中爆破訓練についてお尋ねいたします。これについて何か御説明があればお伺いしたいと思います。
  168. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) この経緯につきまして、水産庁からまず御説明を申し上げたいと思います。  私、水産庁、五月の六日の朝でございますけれども、海上保安庁から、東シナ海の複数の水域におきまして五月七日から十二日にかけまして米軍による水中爆破訓練が行われるとの情報提供を受けたところでございます。  私ども、この情報で受けまして、まず漁業無線局また関係都道府県それから関係団体を通じまして漁業者に周知を行うとともに、これらの海域、私どもが把握した限りにおきますと大体三百三十隻程度が操業中でございましたので、このような漁船への操業への悪影響を及ぶことのないよう、外務省に対しまして、申し入れ、米側に当該訓練中止を申し入れるよう要請をしたところでございます。  このようなやり取りを行ったところでありますけれども、また七日になりまして関係県からも訓練の中止を求める要請がございました。私ども、このような関係県の意向も十分体しながら、本件訓練の中止、あるいは、水中爆破訓練の内容なり、漁業に悪影響が及ばないとすればどのような根拠なのか等々につきまして、更なる情報を提供するよう申入れをしたところでございます。  水産庁といたしましては、今後とも、我が国漁業への悪影響を及ぶことにならないよう、情報の収集、また漁業者への周知等、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  169. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今御説明のとおりでありますけれども、この件については沖縄県漁連からも、昨年の十二月に同種の訓練の際には、農水省などに中止を要請しております。そこで、御説明のとおり、水産庁としては、その反対に、中止について相当熱意を持って対応したようでありますけれども、その点に関して外務省は、米軍から船舶の航行に影響を及ぼすものではないとの説明を受けており、米軍は沿岸国の権利と義務に妥当な考慮を払っているとして、国際法上問題はないとの認識を示しているとの報道がなされておりますけれども、これについて外務省、間違いありませんか。
  170. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) お答え申し上げます。  当該水域は、今、委員がおっしゃいましたように、我が国の排他的経済水域でございまして、当然のことながら、漁業を始めといたします天然資源について我が方は主権的権利を有しております。他方、このような事項を除きましては、当該水域は基本的には公海という性格を国際法上有しておりまして、それは各国が公海の利用の自由の原則に基づいて利用する権利を有しているということでございます。  ただ、勝手にやっていいということではもちろんないわけでございまして、沿岸国の権利義務に妥当な考慮を払わなければならないということで、今回の場合、そのような妥当な考慮を米側が払っているのかどうかというところが問題になったわけでございます。  先ほど水産庁の方から御答弁もありましたように、この海域では漁業者が多く操業しているということでございましたので、間違っても漁業に悪影響のないようなことにしてほしいということを米側に申入れをいたしまして、米側の方からは、説明といたしまして、まずこの訓練自体につきましては、音響作業という訓練でございますけれども、約一キロ未満の少量の爆発物を内蔵した機材、ノイズメーカーというものでございますが、これを水中に投下して水中における音の伝播状況を確認するというものであるということで、基本的にはごく近くに漁船がいない限りは漁業に対する影響はない形の訓練であること、また間違っても漁業に影響のないようにということで、訓練を行う前には周辺の海域を十分に確認をいたしまして、周辺に漁船がないことを確認した上で行うと、万一漁船がいる場合にはそのような訓練は行わないようにするということの説明を受けましたので、我が方といたしましては、先ほど申し上げましたような我が国の権利に対する妥当な考慮が払われている形で行われるであろうということで、理解をしたということでございます。
  171. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 念を押しておきますけれども、漁民に操業の安全と漁獲の減少、漁場の荒廃等に対する不安を生じせしめ、漁期等に対する配慮もなされたとは思えない米軍の爆破訓練に対して、外務省が妥当な考慮が払われているとして米軍に対して何の注意喚起も意思表示もなされないということは、私は問題だと思っております。  また、一時、訓練中止情報が流れた後、実際には訓練が実施されたという事実とでたらめな情報伝達に対して、外務省は米軍に対してどのような対応を取ったのか、まだ対応していない、対応していないとすれば今後何らかの措置を取るつもりはないのかどうか、お伺いいたします。
  172. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 米側に対しましては、先ほども説明いたしましたように、これが基本的には米側の権利である、ただ妥当な考慮を我が方の方に払わなければならないということから、従来も、先ほど申し上げましたように、米側には妥当な考慮を払うようにということを具体的に説明を求めるなどいたしまして、また通報につきましても、なるべく前広に行うようにしてほしいということも従来から要請をいたしてきておりますし、今後もそのような要請は行っていきたいというふうに考えております。  また、一時、中止というような報道があったということは承知しておりますけれども、我々も、これはどうも米軍の方から沖縄の県の方に対してそのような連絡があったということでございまして、我々の方には何も連絡がなかったものですから、我々も非常に驚きまして、すぐ米側の方に確認をいたしましたところ、これは実は間違った連絡であったということが判明いたしたという経緯はございましたけれども、このような非常にずさんな通報ということ自体は非常に残念なことであったというふうに我が方も考えております。
  173. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この問題については、沖縄県漁連、非常に強く水産庁に要望し、また中止を求めているわけですけれども、外務省がどうもその対応、余り芳しくないというふうなことで、地元では、地元の新聞によると、いわゆる外務省は余り米軍に対してちゃんと中止要求はしていないということと、水産庁は外務省の言っていることは納得できないというふうな書き方をされているわけです。  ですから、その辺の、水産庁と外務省との関係が、非常に地元の新聞によると相違があるように受け止められますので、その辺は政府がもっと積極的に、県民のいわゆる立場として、これは水中の爆弾実験ですから、どうしてもこれは漁業に大きな影響を及ぼすということは当然の話でありますから、そういうふうな強い、業者のいわゆる漁業者の立場に立つならば、これは絶対外務省としても水産庁としても、当然私は中止させるべきであるというふうなことを言いたいわけでありますけれども、その辺の食い違いについて、事実かどうかということを確認しておきたいと思いますので、水産庁と外務省、もう一遍よろしくお願いします。
  174. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 私ども、今回の米軍の訓練情報に際しまして、外務省と再三のやり取りを行っております。私ども、漁業を担当する立場の水産庁、また外交を担当する外務省等々でございますけれども、今後とも、相互に意思疎通を密にしながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  175. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 我々といたしましても、我々外交を預かる立場でございますけれども、同時に、水産漁業者の方々の立場を守る水産庁の立場というものも当然のことでございまして、それぞれの立場から国のために一番良い形になるように十分連絡を密にしていきたいというふうに考えております。
  176. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次に、SARSの水際予防作戦はどのような体制でどのように実施されているのか、お尋ねします。
  177. 恒川謙司

    政府参考人(恒川謙司君) お答えいたします。  SARSの水際対策としましては、国立病院の医師を検疫所に派遣して、その体制強化を図ってきたところでございます。  その上で、台湾や香港を含む中国からの入国者に対して、航空機、船舶内で問診票を配布し、健康状態を確認し、それを機側でチェックしております。その結果、発熱、せき、呼吸困難の有症者については、健康相談室において医師により診察を実施しております。  また、当該地域からの入国者全員に対して、入国後に十日間外出を控えるなど、SARSに関する留意事項を記載した健康カードを配布し、協力をお願いしているところでございます。  また、正確な健康状態の把握のために、成田、名古屋、関西空港、福岡検疫所においてサーモグラフィーによる発熱者のスクリーニングも実施しておるところでございます。  さらに、その前提といたしまして、渡航に関する情報提供として、香港、台北及び北京等の蔓延地域への渡航の是非を検討し、不要不急の旅行は延期するようお勧めしているところであり、やむを得ない渡航者に対しましても、出国時におけるパンフレットの配布や電光掲示板等により十分な感染症予防措置を取るよう助言しているところでございます。
  178. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄では、台湾での感染拡大が非常に心配されております。  そこで、政府はこの情報をどのように認識されているのか、お尋ねいたします。
  179. 恒川謙司

    政府参考人(恒川謙司君) お答えいたします。  WHOの発表によりますと、五月十二日現在、台湾では二十名の、失礼いたしました、一日進みましたので、WHOの発表によりますと、五月十三日現在、台湾では二十四名の死亡者を含む二百七名のSARS可能性例が報告されております。この報告数は、中国の五千八十六名、香港の千六百八十九名に次いで三番目でありますが、いまだに連日十名程度の新規の報告が続いていることから、台湾国内での感染の拡大が持続していることがうかがえる次第でございます。  なお、WHOが渡航延期勧告対象地域として指定している七地域の一つとして台北が挙げられているところでございます。
  180. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そこで、沖縄県の石垣市、竹富町、与那国町など、台湾に近接している地域では、SARSの侵入に対する不安が高まっております。石垣など沖縄県では、台湾からの観光客誘致に努めているところでありますけれども、今回の台湾でのSARS感染拡大に当たっては、石垣市が台湾からのクルーズ船寄港自粛を要請するなどの動きが出ております。  このような事態を受けて、政府は同地域のSARS侵入防止のためにどのような対策を取っておられるのか、お伺いいたします。
  181. 恒川謙司

    政府参考人(恒川謙司君) お答えいたします。  石垣市においてそのような自粛を行ったということは承知しております。  国におきましては、台湾において地域内感染が確認されたことに伴い、五月七日より台湾への渡航の是非の検討を促し、五月八日より台北への不要不急の旅行は延期するよう勧める旨、都道府県を通じて助言をいたしました。  また、台湾からの入国者については、問診票による健康状態の自己申告に加え、体温測定によりSARSの疑いのある者の発見に努めるとともに、全員に健康カードを配布し、入国後の保健指導を実施しておるところでございます。  また、効率的な検疫を実施するため、来週初めより、那覇検疫所に二台のサーモグラフィーを設置することとしており、これらを通じ、今後とも万全の対策を講じてまいりたいと考えております。  なお、御指摘の沖縄県においては、船舶により台湾から入国済みの者に対して改めて任意で全員の体温測定を行う等、健康状態の確認を行ったと聞いておるところでございます。
  182. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 最後に、このSARSの問題について、今、非常に沖縄県、特に石垣周辺の地域が台湾に近いということで、いわゆる沖縄県では、その検疫の体制が、十分要員が確保されているのかというふうな心配をしておりますけれども、その検疫、要員についての十分な対応についてはどうなっているのか、お尋ねします。
  183. 恒川謙司

    政府参考人(恒川謙司君) お答えいたします。  沖縄県には、那覇検疫所、那覇空港検疫所支所、石垣出張所の三か所に検疫官が常駐し、船舶、航空機の検疫を実施しておるところでございます。  五月五日に石垣島に台湾からのクルーズ船舶が入港した事例におきましては、沖縄県の協力も得て、十二名体制で約八百人の乗員乗客の質問票による健康チェック等を行ったところでございます。さらに、五月十二日にも、同クルーズ船が那覇港に入国した場合においては十一名体制において臨船検疫を実施しておるところでございます。なお、那覇空港においては、一日二便の台湾からの航空便が就航しておりますが、常駐する検疫官四名と那覇検疫所の医師二名で検疫体制に当たっているところでございます。
  184. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ありがとうございました。  終わります。
  185. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。  まず、私の方からは、一般市民への情報の公開あるいは情報の伝達といった、こういう観点から大臣にまずお伺いをいたしたいと思います。  この点につきましては、BSE調査報告書の中でも大変に厳しい指摘がされているわけですけれども、現在のSARSについてもそうでございますが、市民生活にパニックを起こさない、混乱を招かないためにも、市民が理解をし納得のできる情報を早く伝達することが本当に大切だと思います。  今回のBSE発生時の情報提供、情報の伝達といった点ではどういった点が問題であったというふうに大臣はお考えでしょうか。まずお伺いいたします。
  186. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、西川委員がお挙げになりましたBSE問題に関する調査検討委員会報告書、これは私たちがこの問題に対処するときの一番たたき台になる資料でございますが、その中で、委員が御指摘になりましたようにいろんな批判が、御批判をいただいておりまして、「生産者優先・消費者保護軽視の行政」という項目の中で、情報伝達の混乱に伴う風評被害を警戒して、遅滞なく情報を公開し透明性を確保する努力が不十分なケースが見受けられたと、こういう指摘がございます。これは、実はBSE問題だけじゃなくて、今まで同種の事件といいますか、ある意味では危機管理が必要とされるような事件のときに、決して悪意ばかりとは言えない、悪意と言っては気の毒なんですが、風評被害を警戒する余り、結果としてそれがまずかったという事例が、BSEだけでなくほかにも多々あるように私は思うんですね。  そのほかに指摘をされていることとしては、「専門家意見を適切に反映しない行政」という項目の中で、リスク分析考え方が欠落していたという指摘もありますが、要するに、科学でこうだということと、それを行政あるいは消費者の間にどうつないでいくかといういわゆるリスクコミュニケーションといいますか、そういうものが欠けていたという御指摘も大事な指摘だと思いますし、それから「情報公開の不徹底と消費者の理解不足」という中で、これはその表題にもうそのまま表れているわけですが、行政の正確な情報開示、透明性の確保が不十分であったと、こういう指摘がございます。  こういうことを念頭に置いて、それを克服するようなシステムを今回作りたいと、こう思っているわけでございます。
  187. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  次に、この報告書の中でも特にマスコミ報道との関係につきましての御指摘がございます。それは、やはり市民生活の中におきまして、情報を入手する手段としては今や本当に圧倒的にテレビであったり新聞であったりするわけですけれども、こういう報道、幾ら行政が頑張ったといたしましても、瞬時にして全国の方々に情報が伝わるということはなかなか難しい。こういったテレビや新聞には太刀打ちができないのではないかなというふうに私自身思うわけですけれども、マスコミにいかに正確に情報を提供するか。報告書の中でも、行政の正確な情報開示と透明性の確保も不十分であると。そして、BSE発生の際に感染牛の情報処理を誤って伝えたわけです。そして、過去の経緯や政策内容についても説明不足でもありました。そして、技術の問題もあります。行政国民にどう伝わるかについて注意を払う必要があったとの指摘もございます。  この行政とマスコミとの関係でございますが、情報提供技術につきまして、情報提供技術ですね、これまでの反省点といいますか、どのように谷垣大臣はお考えでしょうか。
  188. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 西川議員のような天才的なコミュニケーターにどういう反省しているかと言うのはなかなか恐れ多い話なんですが、いろいろ、今お聞きになったBSE調査検討委員会報告書の中にもいろいろ提言がございますけれども、要するにコミュニケーションを念頭に置いて、一番大事なことは、情報が受け手にとって、発する方もよく情報をこなしていなければうまく発信できないわけですけれども、要するに受け手にとって分かりやすい情報をどう出していくかということが大事なんだろうと思います。  そこで、情報に関する専門部署と専門家がいなければならないという御提言もいただいておりまして、今度の食品安全委員会では、こういうリスクコミュニケーションの実施、調整を行う専門調査会を置きますし、事務局にリスクコミュニケーション担当官を置くこととしておりまして、要するに、ふだんいろんな危害情報を十分にきちっと分析しておいて、いざとなったときには的確に分かりやすくボールを出していくと、こういうことなんではないかなと思います。
  189. 西川きよし

    西川きよし君 今回、先ほどから出ておりますリスクコミュニケーションという言葉が非常に重みを増しているように僕自身も思います。  例えば、このBSEの問題ですけれども、発生した当時は各放送局あるいは新聞や雑誌も含めまして大変な報道でございました。ただ、聞くところによりますと、このプリオンの研究者は非常に限られた人数しかいらっしゃらないというふうにも伺っております。ごく少人数ということでございまして、わずかな研究者の方々が各テレビ局を東奔西走されて本当に情報提供されたわけですけれども、それも無報酬で、そして御自身の研究時間も割かれまして、本当の意味で高い見識と責任感がなければできることではないと思いますし、しかし、その場合でも、そうした方々がおっしゃるには、正しい知識を持って私たちがいたしましても、それだけでは市民に安心をしてもらえない、いかに分かりやすく具体的に解説をするか、いわゆるコミュニケーション、この技術を持ち、備えていないと、不信感であるとかパニックの解消には絶対につながらないというふうにおっしゃっておられます。また私もそう思います。  そういった意味で、報告書には広報担当コミュニケーターの育成が急がれると。今、大臣もおっしゃいましたが、こういう指摘もございます。また、今年度の予算ではこういった手法を開発しておられるわけですけれども、こうした点につきましては大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  190. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、委員がおっしゃっていただきましたように、いろいろな提言をいただいておりまして、それで、専門調査会を設けましてその情報及び意見の交換、つまりリスクコミュニケーションを企画して実施するとか、いろいろな関係行政機関の間でのリスクコミュニケーションの事務の調整を行うとか、あるいは委員会情報交流の専門家を入れる、あるいはそれをどう実施してやっていくか専門調査会を設けるとか、委員会事務局にコミュニケーションを専門に担当する職員の配置を考える、それから、先ほどおっしゃった手法の開発、検討のための予算措置も講じていると。等々、仕組みの上で、仕組みの上でいろいろな工夫、手だては講じたつもりでありますけれども、要は、先ほど申しましたように、ただ仕組みを整えたら自動的にうまくいくというものではないんだろうと思います。  先ほどから、仏作って魂入れなきゃしようがないと、こういう御議論がございますけれども、やはり関係者が十分にどういうふうにしていったら分かりやすく伝えられるか、これを真剣に、手法の開発といいますか技術の開発といいますか、そういうことを真剣に取り組んでいく必要があろうかと思います。
  191. 西川きよし

    西川きよし君 是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。  このリスクなどの情報をいかに正確に伝えるかという点では、そうしたマスコミ等の活用の一方で、やはり地域に根差したリスクコミュニケーションと申しましょうか、例えば食中毒のように地域に限定したものですと、マスコミが一斉に取り上げるというようなことは僕はあり得ないというふうに思います。そうした場合には、例えば地域の保健所を始めといたしまして、自治体の衛生部局、衛生部局などによる地道なリスクコミュニケーションというものは大変重要になってくるのではないかなというふうに思います。  この点につきましては、中央とそして地方における役割という観点からですけれども、やっぱりまず、この中央と地方における役割という観点からは谷垣大臣に、そしてまた、住民に大変密着をした保健所等が行うリスクコミュニケーションの在り方、こういった観点厚生労働大臣に、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  192. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) もう、私の立場から御答弁を申し上げることは、今、実は委員がもう言っていただいたことに尽きるわけでありまして、国はやはり基本的な部分と申しますか、食品安全委員会を始めリスク管理機関がやらなきゃならないのは、例えば様々な規格、基準の内容とか安全性確保の仕組みといった、全国的な視点に立った考え方あるいは科学的事実ということを一生懸命コミュニケーションすることだろうと思いますし、保健所などが中心になると思いますが、地方公共団体は、委員がおっしゃったように、その地域における食生活の実態を踏まえたいろいろな対応ということが必要なんだろうと思います。  国の立場としましては、国だけがやっていてもうまくいかないんで、国と自治体との連携をどう取っていくかというようなこともこれから十分研究して、意を用いなきゃならないんではないかと、こう思っております。
  193. 木村義雄

    ○副大臣(木村義雄君) 西川委員の御質問にお答えをいたします。  地域生活に密着した自治体が行うリスクコミュニケーションは、地域住民の食品の安全性に対する安心感を醸成する上で重要な役割を果たしているわけでございます。  今回の食品衛生法改正案におきましては、都道府県等が、国の指針に基づきまして、地域の実情を踏まえた監視指導計画を作成することとしているところであります。  つまり、食品の衛生とか安全とか、いわゆる食中毒とかいろんな問題ありますが、例えば冬の北海道と夏の沖縄なんというのはこれは大きな違いがあるわけでございますし、もちろんそれから海側と山側の地域においてもいろんな実情の違いがあると思うわけでございます。そこで、今までは国が政令でこうやれといって一律的に決めていたわけでございますけれども、これからは、ここは指針にいたしまして、今申し上げたように、それぞれの地域の実情を踏まえて監視指導計画を策定していただくことになりました。  その監視指導計画の作成、策定に際しまして、住民からの意見の聴取、計画の実施状況の公表を義務付けますとともに、それ以外においても、定期的に食品衛生に関する施策の実施状況を公表し、住民から意見を聴取する旨の規定を設け、都道府県等における消費者等に対する情報提供の意見交換や、いわゆるリスクコミュニケーションの充実を図ることといたしているところでございます。  各都道府県の保健所におきましては、従来からの苦情を含め住民の皆さん方からの様々な相談に適宜応じているところでございますが、厚生労働省といたしましては、こうした改正法の施行を通じて、各自治体におきましてより一層地域の実情に応じた効果的なリスクコミュニケーションが図れることができますように、行われることができますように、適切に助言をしてまいりたいと、このように思っているような次第でございます。
  194. 西川きよし

    西川きよし君 大変分かりやすく細やかにありがとうございました。今、御答弁の内容の結果が、後々我々が安心ができるような御指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。  最後の質問にさせていただきたいと思います。  報告書の中の指摘にもございますんですが、情報伝達の混乱に伴う風評被害を警戒してと、こうございます。風評被害、例えば皆さん御記憶に新しいと思うんですが、大阪の堺市のあのカイワレダイコンのケースがございました。そして、あるいは埼玉県の川越市のソーセージ、ハムの問題もございました。  この風評被害について、大変皆さん方が不安になるわけですけれども、例えば報告書には、情報の緊急性や、情報の緊急性や信頼性に応じ未確認と、未確認と断った上でも情報を提供することが求められると、こうあるわけです。  私も、その指摘には大変、あっ、これは重要だなというふうに思ったわけですけれども、その一方で、仮にそれが誤った情報であると、誤った情報であった場合、しかもそのことによってまたまた風評被害が起こった場合、その責任は一体例えばどこが、素朴な疑問としてどこが担うのかなと。  そこのところがなかなか明確にされない以上、未確認のこの情報を全国に情報提供するというのは大変難しいことだと思いますし、また、谷垣大臣が今から御答弁をしてくださるわけですけれども、これ大変難しい御答弁になると思うんですけれども、小泉総理もおっしゃっていました、あの人は何でもやってくださる方ですからというふうにこの間のテレビのニュースでも見せていただいたんですけれども是非分かりやすく御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  195. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いや、これは、何というんでしょうか、抽象的に模範答弁を言うのはそれほど難しくないんですが、現実に食品の安全に関して危機的状況が起こって、一体そのときどういう情報を出すかという立場に置かれたときに、これは実はなかなか難しい問題で、悩みが深いんだろうと私思います。一番難しい問題じゃないかなと思うんですね。  それで、そういう中で、ある程度原因がもう解明ができているような場合は、たとえ、そういう事実を出せばそれに対する言わばハレーションもたくさん起きますけれども、事実が明らかになっている場合はそれは比較的簡単だろうと思います。簡単と言うと言葉は悪いですけれども、やっぱり事実を正確に分かりやすく誤解のないように伝えるということなんじゃないかと思うんですが、一方また、原因等が十分に解明できない、いろいろそれからその未確認情報、こういうことが問題なのではないかという情報もあるけれどもよく分からない、こういう段階がありますね。そういうときに、実はこういうことが問題でないのかという考え方もあるというようなことを、どこまで出したらいいのかというのは、むしろそういうことを恐れて出さなければ対策も後回しになってしまうかもしれないと。  今、SARSでいろんなことがございますけれども、ああいうことを考え思い半ばに過ぎるものがあるわけですね。そこらをどうしたらいいのかというのは、それはできるだけ、抽象的に言えば、できるだけ情報を集めてそれをきちっとこなして、誤解のないように、正に、こういう情報によればまだ未確認だけれどもこういう情報もあるからこういう点は気を付けてくれとか、できるだけかみ砕いて言うしか、言うとしか、今の段階ではお答えのしようがないわけですね。  そこで、問題は、責任の所在はどこにあるのかということになります。  カイワレダイコンの場合でも、今、訴訟が起こっていて、責任の所在がどこにあるのかということが非常に大きな問題になっているというふうに承知しているんですが、私は、言わば無過失責任みたいなことを言えばなかなか答えようがないわけですけれども、その時点で要するに得られる情報をすべて集めて、ほかの人が見てもなかなかそれ以上はもう分からないというふうになれば、私は、言わばそこはもう責任の問えない、要するに神ならぬ身には分からないわけですから、私はそういうことをまず努めると言うしか、できるだけ情報を集めてその時点で最善の分析をして周到なお話し方をすると言うしか、今お答えのしようがこれは実はないんじゃないかと、こんな気がいたします。  しかし、そういう危機に応じてどういうふうに情報を出していったらいいかということはふだんからよく考えて、ふだんのリスクコミュニケーションを濃密にきちっとやっておいて、その上で今のようなことがあるんじゃないかなと、こんな気がいたします。  うまいお答えになっているかどうかは分かりませんが。
  196. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  197. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 中村敦夫でございます。  ずっと谷垣大臣に質問します。よろしくお願いします。  食品安全基本法ということですから、私は、もっと包括的で骨太の理念が示され、二十一世紀社会の食に関する方向性がきっちり示されている、そうした法案を期待していたわけですけれども、どうも内容を見ますとそうした骨格に欠けるんじゃないかなと思って、ちょっとがっかりしているんですね。内実は、食品安全委員会設置法的な、そういう内容になっているんじゃないかなと思っています。  しかし、これはこれで非常に重要なことですから、食品安全委員会について幾つか質問したいと思います。  この法案のかなめというのは、食品安全委員会による食品健康影響評価ということにあると思います。食品中に含まれる危険を摂取することによってどのくらいの確率でどの程度の健康への影響が起きるかどうかを科学的に評価するということですから、これは厳格に行わないと意味がないわけですね。当然、食品業界あるいは行政官庁の意向というものがリスク評価に強く反映されたんではこれは困るわけですよ。また、たとえ科学的な評価であっても、これまで食品業界や行政官庁のために働いてきた専門家によるものであるとすれば、その評価消費者から信頼を得るというのはなかなか難しい。  実際、こうした指摘を、BSEに関する調査検討委員会委員長であった高橋正郎女子栄養大学客員教授が、四月九日の衆議院内閣委員会参考質疑でこう述べているわけですね。  食品安全委員会の独立性を確保する上で非常に重要なことでございますが、政治からも行政からも、あるいは特定企業、あるいは業界、さらには各種の利益団体からも独立したものでなければなりません。特定企業や特定業界から研究費を集中的に受けているような人は、必ずしもこの中立性においてふさわしくないのではないかというふうに考える次第でございます。したがいまして、委員の人選に当たっては、業績はもちろん、所属団体、研究費の調達状況など、これを公表することが必要ではないかというふうに考えます。 と、こういうふうに述べられているんですね。  そこで、大臣にお伺いしますけれども食品安全委員に就任する専門家について、これまでどのようなところから研究費を得ていたのか、調査を委託されていたのか、業界や利益団体などとの関係はどうなのか、そういうことを、この背後関係をすべて公表すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  198. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 食品安全委員会委員、その人選、人を得るということが一番大事でございますから、委員専門委員については必要とされる能力、識見を持っておられる方を、今後人選を進めていきたいと思いますが、その際、今、委員は今までの何というんですか、バックグラウンドといいますか、そういうものを公表せよというふうにおっしゃいました。これは非常に実は悩ましいことでございまして、結局、ある問題に関しては専門的な知見を持つ方が必ずしも多くないという場合がございます。  そこで、私は、委員会の職権の独立性ということはもちろん必要でありますし、またそういう組織を作ります。結局、そして、そこの議論が中立、公正に行われるべきことはもちろんでございますけれども、議論が原則として公開される、それから、かつ科学的なデータや専門的に基づいて議論されることから、客観性を欠いた、あるいは中立、公正とは言えない議論は委員会の結論にはなり難いと。こういう公開性や客観性、こういうことで結論の正当性を担保していくべきだというふうに私は考えておりまして、背後関係を今、委員のおっしゃるようにすべて明らかにするということまでは私は必要がないんではないかというふうに考えております。
  199. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 私は、どういう関係、背後関係があろうと、それを理由に外せとかそういうことを言っているわけじゃありません。ここでも、食品安全委員会BSEに関する調査検討委員会報告を受けて設置されるような、こういういきさつでできたわけでしょう。その検討委員会委員長が、企業や団体との関係を明らかにすべきだと、こう言っているんですよ。それにもかかわらず、それは適当でないというのはどうしてですか。
  200. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、業界とか利益団体の関係が明らかな場合には、これはそういう方を人選するのは避けなければならないと私も思います。しかし、その委員会の議論の性質からいって、委員専門委員の背後関係を逐一すべて調べて明らかにするということまでは必要ないのではないかというのが私の考え方です。
  201. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 私は、そうした背後関係、別に背後関係というのは悪いことをしていたという意味じゃないんですよね。すべての委員に対する情報は明らかにされて正々堂々とやるのが当たり前ではないかと思うんですね。ですから、今のようなお答えをすると、やっぱり何か変なところがあって、それをちょっと都合で隠さなきゃいけないなというようなニュアンスに取られてしまうということなんですよ。  さて、食品安全委員会が科学的に正しい評価消費者から信頼される評価を下したとしても、リスク管理機関がそれに従わなければ制度は機能しないわけですね。それを担保するのが食品安全委員会に与えられた勧告権だというふうに思います。これは、勧告権というのは非常に重大だと思うんですね。  法案では、食品健康影響評価の結果や必要に基づき、食品安全委員会内閣総理大臣を通じて関係大臣に対し勧告できるというふうになっていますけれども、これが、関係省庁が了解した範囲の勧告、すなわち骨抜き勧告ですね、これが横行するようになったのではこれは困るわけですね。  そこで質問なんですけれども食品安全委員会総理大臣を通じて関係大臣に出す勧告というのは、だれが文案を起草するのかということなんですね。これは担当委員なんですか、それとも専門委員なのか、それとも事務局なのか。ケース・バイ・ケースという答えはしないでいただきたいんですよ。ここははっきりと方針がないと非常に不透明なまま進んでしまうということで、はっきりお答えいただきたいんです。
  202. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 勧告は、これは食品安全委員会の名義で総理を通じて出すものですから、七人の委員どなたかが自ら起草される場合もあると思います。あるいは委員長委員長自らということもあると思います。それから、委員長指示によって専門委員あるいは事務局が起草する場合もあるだろうと思います。  それで、いずれにせよ、その案文を委員会で議論の上決定されない限り、委員会としての勧告にはなり得ないわけであります。
  203. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 ケース・バイ・ケースだという、私の一番答えてほしくない答えだったわけですよね。  なぜ、起草を委員ができないんでしょうか。できない、つまり、担当委員ですね、担当委員がなぜ起草できないのか。できない理由というのは余りないと思うんですけれども
  204. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) それは、委員自らやる場合もありますが、例えば専門委員の方がその分野に関してはよく知っているから専門委員委員会指示で書いてもらう、起草してもらうと、それを委員会で承認するということは当然あってしかるべきだろうと思いますし、いろいろな事務的な議論の整理などは事務局がやるということも、それはもちろん委員会の委託を受けてやるというか、指名を受けてやるということになると思いますが、そういうことはあり得ると思います。
  205. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 担当委員というのはやっぱり専門家なんですよね。その一人一人の下に専門委員会というのがあるから、そっちの方がより詳しいという話はちょっと通らないんじゃないかなというふうに思いますが。  この勧告を出す前に関係省庁と事前協議をするんでしょうかね。これまでそういうケースが非常に多いわけですね、ほとんどがそうだったと。それはもうしないというふうに約束できますか。
  206. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、勧告を出す前に関係省庁と事前協議を行うということは想定しておりません。
  207. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 今のは大変いい答えですね。忘れませんよ。  現実には、食品安全委員七名のうち三名が非常勤であり、事務局の担う役割は大変大きいものと思われます。  これまでの審議で、事務局長総理大臣によって任命されることが明らかになっています。一方、法案によると、事務局長食品安全委員長の命を受けて局務を掌理すると定められています。食品安全委員会政府の想定するように科学的見地に基づいて評価を行い、勧告を行うとすれば、時には政府の方針と対立することもあるんですね。これは想定できると思うんです。それから、日ごろから他省庁の介入や干渉があるということも十分に考えられるわけですね。こうしたマイナスを防ぐために、食品安全委員会を補佐する事務局長は裏切ったり内通なんかしないで、常に食品安全委員会の意向に沿って動く人間でなければならないと思うんですね。  それで、質問は、食品安全委員会事務局長はだれに従うべきなのかと、命を下す食品安全委員長か、それとも任命権者の首相かという質問ですね。また、事務局長や事務局員が食品安全委員会の意向に沿わない場合は、食品安全委員長は彼らに人事権を下せるのかどうかということをお答えいただきたいんです。
  208. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは正に三十七条に書いてあるように、事務局長食品安全委員長の命を受けて仕事を行うわけでありますから、これはもうほかのだれでも、だれの命を受けるということでもあり得ない。それから、事務局長及び事務局員が委員長の命を、命に従わない場合どうするのかと。これは国家公務員法というものがあるわけでありますから、従わない場合は国家公務員法八十二条の規定で懲戒処分を受けると、こういうことになるわけです。  それで、今、食品安全委員会の方針が政府の方針と違う場合もあるというふうにおっしゃいましたけれども食品安全委員会は正に内閣府の下にある政府の一機関でありますし、そういうわけで、食品安全委員会が他の機関、まあリスク管理機関ということになると思いますが、勧告を出す場合に、政府の見解と違うというわけじゃないんですね、政府の中での緊張関係とそれをどう調整して統合していくかという過程なんだろうと思います。
  209. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 調整統合ということは、基本的に第三者的な勧告権というものを要するに汚すんじゃないかなというふうに思いますが。
  210. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この勧告というのは、またそれで従わない場合には再勧告という道も残されているわけですし、これは内閣総理大臣の名前で出されるわけです。それで、内閣総理大臣の名前で出されて、なかなかほかが従わないという場合は、場合は考えにくいんでありますけれども考えにくいんで余りそこまで考えて御答弁するのがいいのかどうかとも思いますが、ぎりぎりいけば、内閣総理大臣の名前で勧告が出ているのにそのリスク管理機関がなかなかそれに従わないという場合は、最終的に閣内の調整という問題になるんじゃないでしょうか。
  211. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 その勧告というような大きな結論ばかりじゃなくて、日常的にいろいろな食品安全委員会委員長指示というのはあるわけですよね。そうした具体的な事柄に事務局のだれかが一々こうサボタージュするとか、無視するとか、あるいは反対するとかといった場合には、この人に対する人事権という問題でこの委員長にはあるんでしょうか。
  212. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) それは先ほど御答弁申し上げたように、人事権というよりか懲戒処分という、八十二条に基づく懲戒処分ということになると思います。
  213. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 では、食品安全委員会事務局の職員の採用という問題について質問したいと思いますけれどもBSE問題、偽装表示問題ということでは農林水産省厚生労働省というのはある意味では戦犯的な実績があるわけですから、そこからどっと出向者が出てきて中心を占めていくということになりますと、これ巨人・阪神戦の審判が巨人軍のユニホームを着てやっているような、こういう事態になるわけですよね。  省庁再編に併せて一般職の任期付き職員を採用する制度というものができましたよね。ですから、これを活用して事務局幹部職員について外部から公募採用するということを積極的に進めてはいかがでしょうか。
  214. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 事務局職員の任用に当たって考えなけりゃならないことは、専門的な資質とか、あるいは人的行政資源の有効活用ということも考える必要があるなと思っておりますが、今おっしゃった任期付き職員の採用制度を使うことがいいかどうか、これはまだ十分検討しておりませんので、今後の検討課題でございます。
  215. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 私はたまにこういうこともやったらというような意味で質問しているわけではございません。やっぱりこの内輪の人たちが集まって事務局のすべてを仕切ってしまうということがこれまでいろんな問題で事実の隠ぺいにつながるとか、そういうこと、不祥事の連発があったわけですよ。ですから、これは積極的にやってみると、やっぱりこれだけの新しい大きな意味を持つ委員会なんですから、やはりその人間というものが大事なわけですよね。ですから、できるだけ中立的立場というところから科学的に公正にこの問題を検討し進めるということが必要です。何よりも人なんですよね。  先ほどからいろんな議員の質問で、担当省庁の人々が意識改革しなきゃいけないということですけれども、意識改革というのはそんなに簡単にできるものじゃないんですね。そういう薬飲んだからといってぱっと変わるわけじゃない。これは、意識改革と言われるときはどういうふうにしてやろうと考えられていますか。
  216. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、役所で組織を分けるというのはなかなか大きなことでございまして、例えば金融庁というものが、私は今そういうことをこの委員会で答弁するのがいいのかどうか分かりませんが、いわゆる財金分離ということで分離しますと、最初はやっぱり同じかまの飯を食べた人間同士ですからあれだったのかもしれませんが、だんだんやっぱりそれぞれの、何というんでしょうか、緊張関係というのは出てくるんだと思いますね。そういう意味では、やはり組織を分けたということは私は非常に大きな効果を生むのではないかなと思います。  それから、先ほど公募を使ったらどうだという御提案もあったと思うんですが、専門調査委員のような場合には公募というようなことも十分私は考えなければいけないんじゃないかなと思っておりますが、まあいわゆる一般職の事務局については、これはまだどのぐらいそういうことが使えるのか、使えないのか、これは今後検討させていただきたいと思っております。
  217. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 終わります。
  218. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 あと二十分です。もうしばらくお付き合いください。  申し遅れました。私は無所属の黒岩宇洋でございます。私は内閣委員会に所属しておりますので、本日は農水、そして厚労省の方に若干の質問をさせていただきたいと思っております。  今回のこの食品安全基本法案、これは言うまでもなくBSEに端を発し、そしてBSE問題検討委員会報告書に基づいて今この法案審議、そして安全委員会の設立と、こういった道筋で話が進んでいるわけです。私は、やはりこのBSE問題の検討委員会報告書、ここに立ち入ることこそが、こういった問題を未然に防ぎ、そして解決していく、その本当の王道だと、そう思っております。  それで、私はこの検討委員会報告書、本当に隅から隅まで何度か読まさせていただきました。その中で私なりに結論付けられることは、今回のBSE問題の、じゃ一体何が原因かと。私は、一言で言えば縦割り行政弊害であったと、そう思っております。一連の流れは申し上げませんけれども、やはり九六年にWHO専門家会議で肉骨粉の使用禁止という、こういった最終勧告が出されていながら、厚労省からは一枚のファクスが農水に送られただけと。そして、農水はそれについて何ら対応をしなかったと。こういったところに本当に大きな重大な原因が私は潜んでいることが、この委員会報告書から透けて見えます。  何よりも、この委員会報告書は示唆に富んでいるのは、要は、今の制度でもBSE問題というのは防げたんだと、こういう表現なんですね。じゃ、例えば厚労省は何ができたかと。飼料安全法に基づいても、実は厚労大臣も、農水への意見とか、そういった要請をすることができるとあるわけですよ。それが結局生かされなかったのは、相互不干渉というこの行政文化だという、こういう指摘なんですね。  ですから、私は、確かに今回、リスク分析手法の導入であるとか、リスク評価リスク管理分ける、いいことだと思いますが、私は決してこのことが必要条件や十分条件とは思っておりません。あえて言えば、この縦割り弊害を除去することこそが、食の安全を確保するためのともすれば必要十分条件ではないかと。私は、この観点で質問をさせていただきます。  今回の法案が通るまでもなく、BSE問題が発覚してからもう一年半余たっております。その中で農水省、厚労省は、お互いのこの相互不干渉というカルチャーを打破する、ないしは連携を深めていく、そういったことに対して具体的な対応、対策をいかに行ってきたか、亀井大臣と木村副大臣、お答えください。
  219. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) お答えいたします。  今後の食品安全行政は、内閣府に設置される食品安全委員会、この食品健康影響評価リスク評価の結果を踏まえて、農林水産物農林水産省あるいは厚生労働省が緊密な連携していくと。そして、農林水産省の、生産から食品の販売に至る一連の行程において、施策を総合的に講じていくことが必要なわけであります。このため、食品安全基本法案では、関係行政機関相互の密接な連携方策など食品安全行政の充実に関する基本的事項を定めて、これを公表することとしておるわけでもあります。  また、農林水産省においては、新たな食品安全行政を的確に実施するために、今国会に提出しております食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案におきまして、生産資材の使用過程における基準等の設定に当たり厚生労働大臣意見聴取を行い、厚生労働省の所管する食品衛生法の残留農薬等の基準との整合性をも確保すること、あるいは、動物用医薬品の承認、飼料添加物の指定等に当たり厚生労働大臣意見聴取を行うことと、このようにしたところでもありまして、今後とも、食品安全委員会及び厚生労働省連携を図っていくとともに、実際の業務の運営に当たりましては関係府省の幹部クラスとの定期的な連絡会議、そして重要な問題につきましては行動計画を策定するなど、食品安全行政の一体的な推進、これを図ってまいりたいと、このように考えております。
  220. 木村義雄

    ○副大臣(木村義雄君) 黒岩委員の御質問にお答えをいたします。  BSE問題を踏まえまして、厚生労働省農林水産省との連携につきましては、食品安全基本法案におきまして、施策の基本的な方針として関係行政機関相互の密接な連携を位置付けよと、こういうことをまず第一に挙げているわけでございます。  それから、厚生労働省が現在提出をさせていただいております食品衛生法等の一部を改正する法律案におきまして、厚生労働大臣から農林大臣に対する残留基準設定時の協力要請等の対象として、飼料添加物及び動物用医薬品を追加したところでございます。つまり、農薬は実は今まで入っていたんです。農薬以外に今度は飼料添加物あるいは動物用医薬品を追加したところでございます。それと、BSEに関しては、特にと畜場法及び食鳥処理法におきまして、厚生大臣農林水産大臣の連絡及び協力に関する規定を設けることといたしたところでございます。  農林水産省が提出をしておられます食の安全性確保のための農林水産省関係整備に関する法律案におきまして、農薬等の生産段階の規制について、公衆衛生の見地から厚生労働大臣意見聴取規定を設けることなど、両省の連携を確保するための措置を講じていることとしているところでございます。  また、運用上の措置といたしましては、表示制度の一元的運用に向けまして、御承知のように賞味期限とかそういう表示制度でございますが、食品表示に関する共同会議を開催をいたします。それから、一元的な相談窓口の設置をいたします。それから、共通パンフレットを作成いたします。それから、監視体制連携を図ることといたします。  このような取組を行って、より一層、先生がおっしゃいました縦割り行政弊害の解消に向けて取り組んでいく所存でございます。
  221. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 事前に私、大分、厚労省そして農水省と、事務局とやり取りした内容よりは、大分ボリュームが出たといいますか、何か非常に抽象的な言葉が非常に盛り込まれたという印象なんですけれども。  私は、今回本当に、大臣、副大臣においでいただいたのは、要は官僚答弁を聞きたいから来たわけじゃないんですね、いつもそうなんですけれども。私は、今回本当に、食の安全を確保するのは私は行政機関でいいと思います。しかし、その先の、安心を国民に与えるのは本当に政治家の仕事だと、そう思っておるんです。そういう意味で、今お二人の答弁は、行政機関のトップとして私たち国会議員への答弁としては非常にすばらしいと思いますけれども、やはり一大臣、一政治家として、私たち議員の後ろにいる国民に対して本当に安心を与えられたかというと、私は非常に疑問を持っております。  そういう意味で、改めてお聞きします。亀井大臣、木村副大臣。どうですか、今、本当に食に対する安全がこれだけ損なわれている中で、縦割り行政といったものを打破するというのは、やはり私は大臣の役割だと思っております。そういう意味で、再度、姿勢と意気込みを国民に伝えるという思いで御答弁ください。
  222. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 食の安心、安全と、これはもう最重要課題と、このように取り組み、省を挙げていろいろな努力をしておるわけでありまして、そういう面で、今までの反省と、厚生労働省と、先ほど申し上げましたように、生産資材あるいは農薬、動物用医薬の問題と、こういう問題につきましても、今までそのような関係での連携と基準の問題等につきましてのいろいろの密接な関係がなかったわけでありまして、それらをいろいろ両省が緊密な連携を取り、あるいは会議を持ち、そしてその中でそのような数字的なものをお示しをして、そして消費者皆さん方に安心していただくような施策を進めると。それは、いろいろ国民皆さん方に御理解いただくような、会議であるとかあるいはまたパンフレットであるとか、そういうもの、あるいはまた、いろいろのところに消費者皆さん方から御意見を言っていただくようなタウンミーティングであるとか、そういうものに積極的に努力をして消費者信頼というものを確保するための努力をすると。  それは、今まで厚生省、役所の縦割りと、こういうところがいろいろ指摘をされたわけでありますから、その視点に立って十分反省をしていくということが必要なことと、このように思い、そのつもりで省を挙げて努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  223. 木村義雄

    ○副大臣(木村義雄君) 今の縦割り行政弊害という点でございますけれども、確かに、今までそれぞれの役所の出発点が大分違っていた点もあるんではないかと。先生がおっしゃいますように、言ってみれば農林省というのは、どちらかというと、やはりまず当初の出発点は、これはいかに例えばお米とか農産物を作ってそれを国民に提供していくかというような、そういうところが非常に大きな大きな任務であったろうと、私はそのように思えてならないわけでございます。  それで、だんだんだんだん時代が変わってまいりまして、国内の生産だけではなくて海外からのいろんな食料品も入ってきたと。そして、だんだんだんだん農業の全体に占める割合というものも変化を来してきたわけでございまして、そういう中で、全体が変化した中で、この変化にしっかりと追い付いていこうということで改革はどんどんどんどん進んできたわけでございますけれども、やはりそれは、国民の皆様にとってそんな整合性が取れているかどうかというのはなかなか難しいところであったのかなと。しかし、ようやくこういう点で今度相当改正が行われてきたんではないかと思うわけでございます。  一方、厚生行政の方は、厚生労働行政の中で特に厚生行政というのは、やはり何というんですか、公衆衛生の観点からスタートがしておりまして、どうしても、例えば水質の保全とか、そういうことも含めまして、個々のですね、というから、やはり地域やそういうものに対する、の力点が置かれてきたんではないかと。  ところが、今回、ようやくここに来て個人一人一人の、国民一人一人のところに目を当てていこう、光を当てていこうというような流れというのが出てきて、これが、両省がだんだんだんだんそういうような私は方向につながってきたんではないかなと。ここへ来て初めてリスクコミュニケーションという、国民の声を真摯に聞いていこうと、こういう場面が出てきたというのは、私はこれは大きに評価して、この辺のことをしっかりとこれから努めていくことが信頼回復という点からすれば、一日で成らずなんです、一歩一歩地道にやっていくことが本当の信頼につながっていくと、このように思えてならない次第でございます。
  224. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 木村大臣の結構長めの答弁に、意気込みと姿勢を私も感じさせていただきました。  それで、私、今、言わば一般的な両省の連携について聞いたわけです。というのは、BSEというのはあくまでも個別具体的案件でした。これはリスク管理の基礎で、ここで言うのもおこがましいんですが、要は、個別具体的な案件が上がってきたときに、その後一般抽象的な対応を作るわけですよね、そういうテーブルを作るわけですよ、危機管理という場合は。また新たに個別具体なものが上がったときに、その一般抽象的な対応に投げ込んで、そして未然に防ぐという。ですから、常に、個別具体が上がってきて、それがために対応しているようでは、これはいわゆる泥縄式なわけですね。  今回、BSEについて言えば、肉骨粉の使用を禁止したわけですから、感染ルートを絶ちました。そして、屠畜場での全頭検査をしたわけですから、そういう意味では、もうBSEに対しては対策はある意味完了していると。  で、私は、今、一般のことをお聞きしたので、この後、じゃ具体の、個別具体の対応にどれほど反映しているかという観点でお聞きいたします。直接食品ではないんですが、SARSです、SARS。  今、全世界じゅう、そして私もゴールデンウイーク渡航しましたので成田に行きまして、やはりマスクをしました。そのぐらい不安を覚えているんですが、このSARSに対しての農水、厚労省の具体的な連携というものはどういうふうに図られてきたか、この点について、亀井大臣、そして木村副大臣、お答えください。
  225. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) WHOは、四月十六日付けで、SARSの原因は人の間で、人の間でかつて見られたことのないコロナウイルス科のウイルスであると、このように発表したわけであります。SARSコロナウイルスと命名したわけでありまして、これまで知られている点は、コロナウイルスの自然宿主として、人のほか牛、豚、犬、猫、ウサギ、マウス、鳥等が確認されているようであります。  人のコロナウイルスは、人に上気道炎を炎症とする風邪の原因ウイルスの一つでありますが、動物には呼吸器系のほか、消化器系、脳神経系と肝臓などに病変を起こすことが知られておるわけでありまして、この時点で、動物からSARSコロナウイルスの検出がされたという報告はないわけでありまして……
  226. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣、そこまで聞いてないです。
  227. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) これらをいろいろ検討をし、またそのことにつきまして、私ども、動物の関係で調査もしておるようなところであります。
  228. 木村義雄

    ○副大臣(木村義雄君) 五月十二日に平成十五年度科学技術振興調査費の緊急研究といたしまして、SARS、シビア・アキュート・リスペイトリー・シンドロームの診断及び検査の手法等に関する緊急調査研究が総合科学技術会議において指定されたところでありますが、厚生労働省としまして、農林水産省、これ括弧して、独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所というところがあるんですが、が有する動物コロナウイルスに関する知見を活用させていただきまして、SARSウイルスに関するワクチンの研究を進めてまいる予定といたしているところでございまして、こういう点で両省の連携等を図ってまいりたいと、このように思っています。
  229. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと大臣、私の次の質問も含めてお答えになったようなんで、ちょっと答弁としては、私、全く釈然としないんですが。  それで、これ実は、私、事前に厚労省の方に、じゃ連携はというときに答えが返ってきたんですけれども、SARS対策に関する関係大臣による会合の開催という一文が来たんですね。私、これ、じゃ今まで何回やったのと聞いたら、五月一日の一回だけだと言うんですね。そもそも、私、先ほど申し上げた一般抽象的なものへの対応というのは、もう常設されていてしかるべきだと思うんです。  今、木村副大臣がお答えになりましたこのおととい決定し、昨日小泉首相が記者会見した、要はこれ、緊急に対応を必要とする研究開発云々ですか、SARS対策ですね。これも大分世間をにぎわして、もう二月近くたって、これ、文科省の予算約一億で作りましたね。私、聞くところによると、各研究機関に一人ずつ対策員を置いてということで、いつでも、もう一月前でも簡単にできるような非常にスムーズな組織作りだと私は感じております。そういう意味で、やはりどうも泥縄式になってきているということが大変懸念されます。懸念で終わらせておきます。  もう時間がないんで、せっかく農水、厚労のトップの方においでいただいたんで、ちょっと一つだけ、これ確認でお聞きいたします。  今回のこのSARSは、いわゆる人獣共通感染症の可能性があるのかないのか。今のところWHOからもこの報告はないとされていますが、今、農水として、そして厚労省として、その可能性はあるのかどうか、そしてその件について両省では確認をし合っているのか、この点だけお聞かせください。
  230. 恒川謙司

    政府参考人(恒川謙司君) お答えいたします。  WHOでは、四月十六日付けで、SARSの原因は人の間でかつて見られたことのないコロナウイルス科のウイルスであると発表し、SARSコロナウイルスと命名したところでございます。  これまで知られているコロナウイルスの自然宿主といたしましては、人のほかに牛、豚、犬、猫、ウサギ、マウス、鶏等が確認されてきているところでございます。  人のコロナウイルスは、上気道炎を病状とする人の風邪の原因となるウイルスの一つでございますが、動物のコロナウイルスは、動物に呼吸器系のほか、消化器系、脳神経系、肝臓などに病変を起こすことが知られているところでございまして、現時点では動物からSARSコロナウイルスが検出されたという報告はなく、人獣共通感染症との知見は得られておりません。  今後ともこれらWHO等の調査に注目して、必要な対策に遺漏がないように万全を期していきたいと思います。  もちろん、これら厚生労働省が持っている情報、取組については、適宜農林水産省に通報しておるところでございます。
  231. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ただいまのような情報を常に得ておりまして、得た情報は私どもの動物検疫所、植物防疫所へ通報をしているところでございます。
  232. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、大変重要なことなんですよね。要は、動物や植物から感染するか否かについて今お聞きして、知見を得られない、これ、ペーパーでももらっているんで非常に分かりづらいんですけれども。これ、国会答弁で、じゃ、ないですよと今言ったと私お聞きしました。今後間違っても、いや、実はあれ間違っていたと、動物や植物から感染したなんて言ったら、今日先ほど同僚議員の中でお聞きしたSARS対策、これ人だけに絞ってお聞きしましたけれども、結局それじゃ足りなかったということになってパニックになるわけですから、これは本当に慎重に、また調査、確認していただきたいと思います。  これで質問終わります。
  233. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了いたします。  これにて散会いたします。    午後四時十分散会