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参考人(泉
ミツ子君) おはようございます。泉でございます。
大変準備が不足いたしまして、レジュメもそれから資料もお
手元にお配りできないままに
発言させていただくことになりましたが、大変申し訳なく存じます。お許しいただきたいと
思います。
私、
フォーラム・「
女性と
労働21」という所属の団体の名前で本日出席をしておりますけれ
ども、お
手元にお配りしておりますように、国際婦人年連絡会の加盟団体という形で、国際婦人年連絡会でこの
法案に対する
意見をまとめて
皆様方のお
手元にも届けてあると
思いますが、
基本的な考え方の要請文を、
意見書をお送りしております。これも三点にわたりまして、産めよ増やせよ政策に対することが重点的な問題であるならばこの
基本法案については反対をするとか、あるいは、二つ目は、
女性も男性も
育児を始めとする
家族的
生活と
仕事その他の活動を
両立していける政策を
基本に打ち立てていただきたい、それから三つ目は、
結婚や
出産は当事者の選択にゆだね、自己
決定の原則を尊重すべきである、こういう三点で、簡単な問題で
意見を提出しておりましたけれ
ども、
衆議院の方で論議の末に自己
決定の問題については若干修正がなされていると
思いますので、この問題については一応横に置きまして、というのでは失礼ですけれ
ども、私
どもが今回の
法案、とりわけ私
どもの、働く
女性の
労働の在り方あるいはそれにかかわる
社会的な保障
制度といいますか、そういった問題について重点的に取り組んでおりますので、そちらの方を重点的に
意見を申し上げてみたいと
思います。
この
基本法案をバックにしてといいますか、厚労省の方では次
世代育成支援対策
推進法案というのが策定をされまして、これが
少子化対策の
一つの大きな柱として今後
進展されていく、そういうふうに聞いておりますので、これも、この問題を
中心に考えながら、私
どもが今、働く
女性の問題、それと働く
女性が直面しております
育児の問題、あるいは
家族的
責任をどのように果たしながら
仕事と、職業
生活と
両立させていくか、そういった問題についての
視点から幾つかの問題を申し上げてみたいと
思います。
私
ども、
女性が働き続ける、働いて生きる、そういう
基本的な考え方を持ちまして、経済的に自立をする、そのためにやはり働くということが重要な
基本的な柱である、そういうふうに考えて取り組んでまいりましたけれ
ども、やはり
女性である以上、産む性を持つ以上、
子供が生まれる、
育児と職業との
両立というものは一番の
中心的な課題だというふうに考えて
両立政策というものを拡充していきたいという形で取り組んでまいりました。
昨年、
育児休業・
介護休業法の改定がなされましたけれ
ども、この問題の際もいろいろと御
意見を申し上げましたし、議員の先生方にも大変御努力をいただきましたけれ
ども、
育児休業、
介護休業という名前がそのままになっておりまして、私
ども、この際、職業と
家庭生活、
家族的
責任の
両立を図るという
立場からはいろいろな
施策が今後出ていくと
思いますけれ
ども、この
育児・
介護休業法の拡充という形で、名称を職業と
家族的
責任の
両立支援法と、そういう形に拡充をしていくという形に改めまして、いろいろ、この
法案の
中心は
育児休業、保育所、それから短時間
労働とか、幾つかの補足的な課題がありますけれ
ども、これらのものを網羅して、もっともっと重点的に職業と
家族的
責任が
両立するような
制度に拡充をしていきたいというふうに考えております。
一つが、第一点がこの問題です。
特に、この中で一番
育児休業の問題が
中心的な課題として今後重点的に対処をしていくという
取組がなされていくというふうに聞いておりますけれ
ども、一番
育児休業の方の問題は、前回の改定の際にも明らかにして、いろいろと
意見を出され、討論されたようにも聞いておりますけれ
ども、休業法の適用対象の
女性労働者というのが一応限定をされておりまして、有期
雇用の
女性労働者は適用されない、ということは、大変
現状に増えておりますパートだとか派遣だとかそういう人
たちは有期
雇用でありますから適用除外になる、最近そういった問題がありまして、有期
雇用の
労働者についても、継続して更新されて
雇用される場合は適用するとか、いろんな是正策は取られておりますけれ
ども、もっと根本的にこの適用対象の問題を考え直す、適用拡大を図るという形でお考え直しをいただくということが必要なのではないかというふうに思っております。
それから、どうしても休業いたしますと収入が途絶えますので、大変な
負担になります。特に、
育児をするような若い層にはまだ賃金は安うございますし、一人の給与がない、収入がないということになりますと大変ですから、
生活の保障という意味で給付をもっと充実をしていく。安心して
子供を産み、そして育てる、あるいは育てる中で休業をしても
生活に困らないというような
社会的な保障の
制度というものがやはり必要なのではないかというふうに
思いますが、
現状は
雇用保険から
育児休業の給付が出されておりますけれ
ども、
雇用保険そのものに入る資格というものが、要件というものが限定をされておりまして、パートあるいは派遣、そういった非
雇用の
女性労働者は一応この
雇用保険には入れないというのが前提になっております。
最近、
雇用保険法も改正されまして、
労働時間が二十時間以上あるいは三十時間未満というような形で幾つかの区分をいたしまして、
雇用保険には適用して加入するようになりましたけれ
ども、こういう場合の有期
雇用との関係で、有期
雇用は適用除外という規定がどういうふうに関連していくのだろうか、こういった問題は大変関心を持って見ております。
最近、
労働基準法も変わりまして、改正されまして、有期
雇用が、これは特定の専門職ですけれ
ども、三年であったものが五年に延長された。しかし、その場合に、契約
労働でありますから、例えば、中間で退職を、契約を解除して退職をしたいといった場合に損害賠償を請求されるのではないかとか、いろんな論議をいたしましたけれ
ども、それは一応なくなりましたが、こういう有期
雇用の方が契約をして働いている場合に
育児休業を取りたいという
状況になったときに、果たしてそういうものが認められるのかどうなのか、そういった問題もいろいろ考えていきますと、大変難しい問題になるのではないか、あるいはまた、有期
雇用でもパートだとか派遣
労働の短期間の有期
雇用の人
たちにはもちろん適用されないわけでありますから、こういった人
たちには未来永劫この
育児休業という問題は職業の継続に対する保障の
制度にはなり得ないのではないかと、そういうふうに思っております。
特にこの問題を私が大きな問題だと考えておりますのは、現在の
女性労働の在り方というものを数量的に見ますと、皆さん、先生方の方が
中心的にお考えいただいていると
思いますが、
女性労働の今の働き方、
雇用の
実態から申し上げますと、正規
労働者よりも非正規の
女性労働の方が重点的になってきておりまして、
雇用保険に入る、あるいは
年金制度に入るというような取扱いを受ける、適用対象になる
労働者の範囲からはとにかく除外をされたパート、派遣、あるいは
雇用労働者でない非
雇用の、下請だとかあるいは請負だとかいろいろありますけれ
ども、それから自営業だとか家内
労働だとか、いろんな形の分野に
女性の働く場が広がっていっています。こういう人
たちに対する
社会的な支援の
制度というものがなかなかまだ追い付いていかない。
こういった問題も含めてこの支援策というものを、きめ細かな支援策というものを制定をしていかないと、やはり
女性は
自分の
生活を守るということが大事でありますから、もちろん
子供を産む場合には、配偶者もいるわけではありますけれ
ども、
生活をどのように、収入をどのように保つか、そういった問題での悩みがありまして、なかなか即、
結婚したからすぐ
子供を産もうとか作ろうとか、二人を三人にしようとか、そういった問題までつながっていかないという財政的な問題が大変あると
思います。
ちょっと問題点がうまくまとまらなくて大変失礼な
意見になって申し訳ないと
思いますが、こういった
育児休業の問題につきましては、そういういろんな非
雇用の
労働者も含めた
育児に対する休業保障、そういった問題もお考えをいただくような場というものを是非取り組んでいただけないものだろうかと
思います。
特に、私
どものこの連絡会の中でたくさんの、四十六団体がいるわけですけれ
ども、ここには専門職の、
女性の専門職団体等もありますし、自営業の
方々の団体も入っておりまして、特に最近言われておりますのは、自営業の
方々が、自営業ですから
雇用の問題には直接当てはまらないので大変問題があるんですけれ
ども、こういう
方々が、休業といっても、
自分で休んでしまえばそれで済む話なんですけれ
ども、例えば
妊娠をする、
出産をする、
育児をする、そういった際に、休業をしてしまうと収入が途絶えてしまう、そういった際に何らかの保障というものはないものでしょうかと。働いている人は、
雇用されて働いている方は恵まれていますねというような形でいろいろ言われます。こういった問題についての何らかの方法というものをお考えいただくという形での政策の充実というものをお願いできないだろうかというふうに私は思っております。
それから、ついでに申し上げますが、この
法案の中でいろんな具体的な政策が、
施策が出されておりますけれ
ども、
育児休業、保育所、そういった問題、あるいは
妊娠、
出産、
育児についての
相談体制とか、そういう支援策はたくさん出ておりますが、
一つどうしてかなというふうに思って読みましたのは、いわゆる
出産にかかわる保障の問題です。
出産そのものにかかわる保障の問題についてはちょっと言及されていないのではないかというふうに
思います。
自営業の
方々の話に続きますけれ
ども、
出産の場合、通常、健康保険に入っておりますと、
出産手当金というのが標準報酬の六〇%出るというのがあります。それから、
出産育児一時金ですか、これが、三十万円がそれで出ると。これは全部出るわけですけれ
ども、この
出産手当金というのが健康保険に入っていれば出るんだけれ
ども、いわゆる自営業の
方々は
国民健康保険ではこういうシステムはないわけですね。
ですから、自営業であるがために、
自分が経営をしているわけですから
自分の
責任で処理すべきかも分かりませんけれ
ども、こういった保障
制度というものが何らか考えられていいのではないかと。特に、自営業が増え、あるいはパートだとか、あるいは派遣だとか正規の
雇用以外の人
たちが、今の
社会保障制度の中で、あるいは
労働法
制度の中で適用を受けられない
制度のはざまにいるといいますか、そういう人
たちの問題について、やはりこの
少子化対策を全
国民に対する
制度として拡充していくと、そういう方針であるならば、是非そちらの方にもお目配りをいただきたいというふうに思うわけでございます。
それから、もう
一つの問題として申し上げたいのは、今、政府が進めております、日本が進めております構造改革、そして規制緩和という形の中で保育所の問題がありますが、保育所が民間への、民間活用という
一つの大きな流れの中で、今までの認可保育所に代わってというよりも、それを拡充する意味で認証保育所というのが東京都では図られて、進められてまいりました。
特に、これがもう実際運用されているわけでありますけれ
ども、A型が駅型の保育所、それからBが個人型という形で、いろんな具体的に
施策が進みまして大変活用されているようでありますけれ
ども、これの実際問題として出されておりますのは、とにかく料金が、利用料金が高いという形なんです。
保育所というのは営業しても利益を上げるようなシステムの問題ではありませんので、多分に条件をいろいろ整理をして、この保育者の
雇用の問題だとかいろいろありますけれ
ども、そういう形がありますが、月二百二十時間内で八万円だとか、あるいは三歳以上の
子供がいれば七万七千円だとかありますが、二百二十時間以上になりますと十二万円だとかいうふうに極端にぱっと料金が上がってしまうと。そういった問題についても、やはり
子供を育てるという意味で
育児、保育の問題についてもう少し支援をいただくような形というものはできないだろうかというふうに思っているわけでございます。
なかなかまとまらない問題になりましたけれ
ども、私
どもが一番注意をして、関心を持っておりますのは、いろんな
施策を作っても、先ほ
ども申し上げましたように、今の
育児休業法、あるいは保育所、あるいはいろんな
制度についても、今まで、
育児休業法についても、制定をしてきた最初の始まりというものがやはり正規で働いている
労働者のための休業法から始まっておりますので、これが今のように非正規、パートであり、あるいは派遣
労働であるという形で非正規の
労働者が特に婦人の場合増えておりますので、そういう人
たちに対する
制度、カバーできる
制度というふうに改定をしていかないと、やはり喜んで誇りを持って
子供を産み、そして育てていくというような問題にはなかなか財政的な問題の面からつながっていかないのではないかというふうに大変危惧をしているところでございます。
いろいろと、
男女共同参画の問題についても、
女性が働き続けるという問題についてもいろいろ御
意見もあるように聞いておりますけれ
ども、私
どもは、やはり
男女がお互いに協力をして
社会を作り、
家庭を作り、性別のない
社会制度の中で生きていく。お互いが助け合い、尊敬し合って
社会を作っていくという性別の分業論が何かあるとぶり返して出てまいりますけれ
ども、そういった形ではなくて、この
育児の問題
一つだけ取っても、
男女がともに多様な働き方の中でも協力し合って職業
生活と
家族的
責任の
両立ができていくような支援法を作っていただきたいというふうに思っております。
この
基本法そのものについての
意見としてはちょっとそぐわないかも分かりませんが、具体的な問題としてはそのように考えております。
ちょっと時間が少なくなりましたけれ
ども、最後に
一つ申し上げたいと
思いますのは、こういう、この
基本法の中にも記されておりますし、ありますが、企業の
責務、
国民の
責務、いろいろありますが、国の
責務ありますが、特に私
どもが注意をいたしますのは企業の
責務の問題です。
特に、
育児休業の問題あるいは
出産の問題などに
現状で私
どもが直面しますのは、
育児休業したい、あるいは
出産休暇を取りたい、そういう申出をしますと、それなら今の
自分の会社ではそういうのはなかなか適用できないからお辞めになったらとか、これはもう均等法や労基法そのもの、
労働法そのものの違反行為だと
思いますが、企業のいわゆる零細あるいは小企業の
方々の、経営者の
方々の御意向としては、なかなかそこまで経済的な
理由からいっていないというふうな
状況で大変苦しんでいる問題があるということがあります。
大変時間がない中にまとまりのない
意見で申し訳ございませんでしたが、そういうような形で、
制度的にもう少し充実をするという形の問題にお取り上げいただきたいということで
意見を述べさせていただきました。
失礼いたしました。