運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2003-09-10 第156回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年九月十日(水曜日)    午前九時三十分開会     ─────────────    委員異動  七月二十五日     辞任         補欠選任      木村  仁君     景山俊太郎君      三浦 一水君     山崎 正昭君  七月二十六日     辞任         補欠選任      岩本  司君     木俣 佳丈君  七月二十八日     辞任         補欠選任      加治屋義人君     魚住 汎英君      小泉 顕雄君     木村  仁君      山崎 正昭君     三浦 一水君  八月五日     辞任         補欠選任      魚住 汎英君     加治屋義人君      木村  仁君     小泉 顕雄君      三浦 一水君     山崎 正昭君  九月二日     辞任         補欠選任      大門実紀史君     井上 美代君  九月九日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     岡崎トミ子君      日笠 勝之君     風間  昶君      井上 美代君     紙  智子君  九月十日     辞任         補欠選任      風間  昶君     日笠 勝之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福本 潤一君     理 事                 中川 義雄君                 朝日 俊弘君                 風間  昶君     委 員                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 今泉  昭君                 岡崎トミ子君                 谷  博之君                 内藤 正光君                 大沢 辰美君                 紙  智子君                 岩本 荘太君    国務大臣        国務大臣        (防災担当大臣) 鴻池 祥肇君    副大臣        内閣府副大臣   米田 建三君        農林水産大臣  北村 直人君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        内閣府政策統括        官        尾見 博武君        総務省自治財政        局長       林  省吾君        消防庁長官    石井 隆一君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     石川  薫君        文部科学大臣官        房文教施設部長  萩原 久和君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        スポーツ・青少        年総括官     高杉 重夫君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        厚生労働省社会        ・援護局長    小島比登志君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        農林水産大臣官        房審議官     染  英昭君        農林水産省農村        振興局整備部長  中條 康朗君        林野庁森林整備        部長       梶谷 辰哉君        水産庁次長    川口 恭一君        水産庁増殖推進        部長       弓削 志郎君        水産庁漁港漁場        整備部長     田中 潤兒君        国土交通省河川        局長       清治 真人君        国土交通省住宅        局長       松野  仁君        国土交通省鉄道        局長       丸山  博君        国土交通省北海        道局長      藤本  保君        気象庁長官    北出 武夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (平成十五年宮城北部震源とする地震に関  する件)  (平成十五年台風第十号による被害状況に関す  る件)  (工場等の大規模火災事故対策に関する件)  (平成十五年台風第十号による被害復旧対策  等に関する件)  (三宅島噴火災害対策に関する件)  (平成十五年宮城北部震源とする地震の復  旧対策に関する件)  (被災者生活及び住宅再建支援策に関する  件)  (学校施設医療機関及び住宅耐震化に関す  る件)     ─────────────
  2. 福本潤一

    委員長福本潤一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、平成十五年台風第十号により亡くなられた方々に対して、御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立を願います。黙祷。    〔総員起立黙祷
  3. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 黙祷を終わります。御着席ください。     ─────────────
  4. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 委員異動について御報告いたします。  昨日までに、木村仁君、三浦一水君、岩本司君、大門実紀史君及び日笠勝之君が委員辞任され、その補欠として景山俊太郎君、山崎正昭君、岡崎トミ子君、紙智子君及び風間昶君が選任されました。     ─────────────
  5. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事風間昶君を指名いたします。     ─────────────
  7. 福本潤一

  8. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、去る七月三十日に行いました平成十五年七月梅雨前線豪雨による被害状況等実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。朝日俊弘君。
  10. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 派遣報告を申し上げます。  去る七月三十日、福本委員長森下理事日笠理事魚住委員三浦委員木村委員本田議員大沢委員、そして私、朝日の九名は、平成十五年七月梅雨前線豪雨による被害状況等実情調査してまいりました。その概要を御報告申し上げます。  なお、衆議院の災害対策特別委員会においても、同日同行程で委員派遣が実施されたことを申し添えます。  私たち派遣委員は、今回の豪雨による人的被害の最も大きかった熊本県について調査を行いました。以下、現地調査概要を御報告いたします。  まず、グランメッセ熊本において、潮谷知事西岡県議会議長等関係者から被害状況等についての説明を聴取し、要望を承った後、県知事に対し、本委員会を代表して福本委員長からお見舞金を手交いたしました。  熊本県の説明によると、同県の被害状況は次のとおりであります。  七月二十日未明から熊本水俣芦北地方を襲った豪雨は、熊本地方気象台水俣観測所観測史上最高の時間雨量八十一ミリを記録し、午前四時過ぎごろ、水俣市において未曾有の土石流災害が発生し、死者十九名、負傷者七名という痛ましい人的被害をもたらしました。  同県の被害は、人的な被害にとどまらず、土砂災害河川はんらん等による物的被害も甚大であり、その範囲は、県南地域中心として県下五市三十二町村に及んでおります。  農地農業施設被害は言うに及ばず、道路河川等公共土木施設林業用施設学校を始めとする文教施設等社会的インフラにも全県的な被害が生じており、これに伴う同県の社会的、経済的な損失は莫大なものとなっております。  こうした被害状況を受けて、七月二十日、同県は、水俣市に対し災害救助法の適用を決定し、避難所の設置、炊き出しその他による食品の給与等を実施いたしました。また、同日、被災者生活再建支援法水俣市に適用されております。  しかし、県知事からは、早期復旧のためには国の全面的な財政支援が不可欠であり、災害対策特別委員会にあっては、同県の被災地実情をしんしゃくされ、災害復旧のための格別の御支援をいただきたいとの要請がなされました。特に、激甚災害指定について、今般の豪雨による被害は、水俣市を中心公共土木施設林道施設農地農業用施設等多岐にわたり甚大であり、激甚災害として早期指定し、特別の財政措置を講じるよう求められました。  熊本県からの説明聴取の後、まず、芦北地区湯町橋橋梁災害視察いたしました。湯町橋は、七月二十日、午前四時三十分から五時の間に落橋いたしました。視察時は水位は低下しておりましたが、橋が大きく折れ曲がったさまは水害の脅威をまざまざと感じさせました。一級町道として一日も早い復旧が望まれます。  次に、津奈木町の津奈木川の被災現場視察いたしました。約二十メートルにわたり土石が崩落し、現場付近住宅では床上浸水床下浸水等被害報告されております。その他、林業関係被害農作物被害等報告されております。  次に、最大被災地区である宝川内集地区土砂災害被災現場視察いたしました。まず、犠牲者の御冥福をお祈りし、献花及び黙祷を行いました。山頂から大きく土砂が崩壊し、住家をのみ込むような形で土砂が車道近くまで流れ落ちておりました。土石流は長さ千六百メートルにわたり、最大幅は百メートルに及んでいると見られます。また、三つの治山ダムが設置されておりますが、二つは上部が破損し、一つは袖部破損しているとのことであります。  三か所の被災現場視察した後、水俣市役所を訪問し、江口市長松本市議会議長等関係者から被害状況等についての説明を聴取し、要望を承った後、市長に対し、お見舞金を手交いたしました。  同市としては、今後、国、県の支援を仰ぎながら、被災者の救援と復興援助に取り組み、公共施設の迅速な災害復旧等を進めていく必要があるとのことであります。しかし、地方財政が極めて厳しい中、これら多大の経費を要する事業の遂行は大変大きな負担となるため、激甚災害早期指定を含め災害復旧のための財政援助必要性について要望がなされました。  この後、議員団との質疑応答が行われ、豪雨予測のための研究の充実、治山ダム有効性の検証、集地区地域再生策等について議論されました。  今回の視察によって、土砂災害の悲惨さを改めて認識いたしました。土砂災害による被害を最小限にとどめるために、砂防設備整備等によるハード対策と併せ、地域住民の日常的な防災意識の向上はもとより、土砂災害情報の迅速かつ的確な収集伝達等を可能にする危機管理体制整備等ソフト対策を今まで以上に強力に推進することが求められております。  なお、熊本県及び水俣市から強い要望のありました激甚災害指定については、去る五日、平成十五年七月十八日から同月二十二日までの間の豪雨による災害として公布されております。  最後に、今回の災害対策特別委員会視察に当たり、御多忙な中を各方面にわたり御配慮、御尽力いただいた関係各位に厚く御礼を申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。  以上、御報告いたします。
  11. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 以上をもちまして派遣委員報告は終了いたしました。  次に、平成十五年宮城北部震源とする地震について、政府から報告を順次聴取いたします。鴻池防災担当大臣
  12. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 七月の宮城北部震源とする地震による被害につきまして御報告いたします。  七月二十六日、宮城北部震源として、零時十三分ごろにマグニチュード五・五、同日七時十三分ごろにマグニチュード六・二、さらに同日十六時五十六分ごろにマグニチュード五・三の地震が連続して発生いたしました。これらの地震により、宮城南郷町、矢本町及び鳴瀬町で震度六強、鹿島台町、涌谷町、小牛田町、河南町及び桃生町で震度六弱が観測されました。  被災された方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。  被災状況につきましては、消防庁調べによりますと、宮城県等におきまして負傷者六百七十六名、うち重傷五十名となっておりますほか、住家被害につきましては、宮城県等におきまして全壊千二十九棟、半壊二千二百九十八棟、一部破損八千二百三十四棟の被害が発生しております。また、ピーク時の七月二十七日の時点では、三千五十九名の方が避難所に避難されました。  土砂災害につきましては、国土交通省調べによりますと、がけ崩れなど五十七か所となっております。  さらに、国土交通省農林水産省文部科学省調べによりますと、河川道路等公共土木施設三百六十九か所、農業用施設等農林水産関係六百九十七か所及び文教施設二百六十一か所の被害が生じております。  その他の被害を含めた詳細につきましては、別添資料のとおりでございます。  次に、政府対応でございますが、災害発生に伴い、現地からの被害状況収集を行うとともに、関係省庁局長等による緊急参集チームが参集して対応を協議したほか、自衛隊や警察の広域緊急援助隊緊急消防援助隊派遣し、現地関係機関連携して、総力を挙げて応急対策を行ったところでございます。  また、七月二十七日には、私自身、十二省庁三十九名から成る政府調査団の団長として宮城県の被災現地調査してまいりました。  実際に現地状況を目の当たりにいたしまして、三回にわたる大きな地震による被害のつめ跡の大きさを改めて認識した次第でございます。  被災者方々の声もお聞きし、地方公共団体からの御意見、御要望も承りましたので、これらを踏まえ、地方公共団体とともに連携して政府一体となった対応を行っているところでございます。  被災者支援としては、災害救助法鹿島台町、南郷町、矢本町、河南町、鳴瀬町に適用され、現在までに応急仮設住宅が百六十二戸建設され、一部には既に入居されております。あわせて、宮城県全域に被災者生活再建支援法が適用されております。  また、現在、公共土木施設農業用施設の速やかな復旧全力を挙げているところであります。  今後とも、被災実態を踏まえ、関係省庁連携の下、被災者への支援被災地復旧復興全力を尽くすとともに、防災担当大臣として対策に万全を期してまいりたいと考えております。  以上、報告といたします。
  13. 福本潤一

  14. 北出武夫

    政府参考人北出武夫君) 七月二十六日の宮城北部地震とその後の状況について御説明いたします。  七月二十六日零時十三分ごろ、宮城北部震源とするマグニチュード五・五の地震により、宮城矢本町、鳴瀬町で震度六弱を観測いたしました。また、七時十三分ごろのマグニチュード六・二の地震により、宮城南郷町、矢本町、鳴瀬町で震度六強の地震を観測し、さらに十六時五十六分ごろのマグニチュード五・三の地震により宮城河南町で震度六弱を観測いたしました。気象庁では、各地震発生の直後から、震度に関する情報発表、伝達し、注意を呼び掛けました。  地震発生状況から、これまでの地震活動は、七月二十六日七時十三分の地震本震とする前震・本震余震型と考えられます。これらの地震から約二か月が経過しましたが、現在のところ余震の回数は減衰してきております。  今回の地震は、内陸の深さ十二キロメートルの地殻内での浅い領域で発生したものであり、沈み込む太平洋プレート内で発生した本年五月二十六日の宮城県沖の地震とは性質の異なる地震です。今回の地震活動発生確率が高いとされている宮城沖地震に与える直接的な影響はほとんどないと考えられます。  なお、五月二十六日の宮城県沖の地震以降、地震による地盤の緩み等が発生していることから、気象庁は、大きな揺れを観測した宮城県と岩手県の両県において、大雨注意報・警報の発表基準を引き下げて運用し、雨による土砂災害について注意、警戒を呼び掛けることとしております。  以上でございます。
  15. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 次に、平成十五年台風第十号による被害状況について、政府から報告を聴取いたします。鴻池防災担当大臣
  16. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 八月の台風十号による被害につきまして御報告いたします。  八月七日から十日にかけて、九州から関東にかけての太平洋側中心大雨が降り、総雨量は多いところで約七百ミリに達するとともに、北海道でも前線台風影響により、多いところで約四百ミリの大雨となりました。  この災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。また、行方不明の方の一刻も早い発見をお祈りいたしますとともに、被災された方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。  被害状況につきましては、消防庁調べによりますと、北海道の十名を含め死者十六名、行方不明者三名、負傷者九十四名、うち重傷十九名となっております。また、住家被害につきましては、全壊二十六棟、半壊二十二棟、一部破損が五百六十三棟、床上浸水三百八十四棟、床下浸水千九百五十六棟となっております。  土砂災害につきましては、国土交通省調べによりますと、土石流がけ崩れ等六十九か所などとなっております。  さらに、国土交通省農林水産省文部科学省調べによりますと、河川道路等公共土木施設五千四十二か所、農地等農林水産業関係一万六千五百九十か所及び文教施設二百六十五か所につきまして被害が生じております。  その他被害を含めた詳細につきましては、別添資料のとおりであります。  次に、政府対応でありますが、災害発生に伴い、現地から被害情報収集を行うとともに、八月十日、関係省庁連絡会議を開催して対応を協議したほか、自衛隊派遣し、現地関係機関連携して、総力を挙げて応急対策を実施いたしました。  また、二十五日から二十六日にかけて、五省庁十七名から成る合同現地調査団北海道派遣し、地元地方公共団体から大量に発生した流木による被害対策等につき要望を聴取するなど、地方公共団体とともに連携して、被災者への支援被災地の速やかな復旧等につき政府一体となった対応を行っているところであります。  北海道の平取町、門別町及び新冠町に対し、災害救助法が適用されましたほか、現在、流木対策を含め、公共土木施設農地等の速やかな復旧全力を挙げているところであります。  今後とも、被害実態を踏まえ、関係省庁との連携の下に、被災者への支援被災地復旧復興全力を尽くすとともに、防災担当大臣として対策に万全を期してまいりたいと考えております。  以上、報告させていただきました。
  17. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 以上で政府からの報告聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  18. 中川義雄

    中川義雄君 質問する前に、今回の災害で、被災者皆さん方に心からお見舞い申し上げると同時に、十六名の多くの方々の命が失われました。心から哀悼の意を表したいと思います。  私は、台風十号のうち、北海道で思わぬ被害を受けましたものですから、そのことを中心にして質疑をさせていただきたいと思います。  その前に、昨日、おとつい、あのブリヂストン栃木工場火災テレビ等で見まして、すさまじいものがありました。その前に、新日鉄名古屋製鉄での火災周辺住民にも多大な迷惑を掛けたと聞いておりますが、最近、こういう企業火災事例が多く発生し、消防防災面において企業安全対策に対する配慮が非常に欠如しているのではないか、消防庁として企業防災面について注意を喚起する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  19. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、ブリヂストン栃木工場火災のほか、最近、三重県でごみ固形化燃料発電所爆発事故でありますとか新日鉄名古屋製鉄所火災とか、大変企業火災事例が続発しておるわけでございます。  こうした事態を受けまして、現在、消防庁では、火災原因調査を行いますとともに、それぞれの工場火災、ケースが少しずつ違いますので、検討会を設置するなどいたしまして安全対策について検討を進めております。  事業者に対する消防防災面の安全につきましては、これは、やはり原則は事業者側のまず法令遵守、それから自主保安推進ということが基本ですけれども、消防機関といたしましても、常日ごろ、危険性の高い施設につきましては立入検査あるいは違反処理などを重点的に行ってきたところであります。  今、先生おっしゃいましたように、それにつけましても、最近、非常に事例が多くなっておりますので、原因調査をしっかりやりますとともに、防災面安全対策の強化につきまして、関係業界はもとより、経済界に対して周知徹底あるいは注意喚起をしっかりしてまいりたいと思っております。
  20. 中川義雄

    中川義雄君 そういう中で、緊急消防援助隊、これをどしどし活用していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  21. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 今、先生おっしゃいました緊急消防援助隊阪神大震災の教訓を受けまして平成七年に作ってきたところでありますけれども、現在、全国の自治体消防の中から精鋭の登録をお願いしまして、約二千二百部隊、三万一千人という規模になっております。  これまでも、有珠山のときでありますとか、鳥取県西部地震芸予地震のときも出動しておりますが、今年に入りましてから、先ほどお話が出ておりますような宮城県の北部地震、あるいは先ほど申し上げました三重県のごみ固形化燃料発電所火災、それから栃木県のブリヂストン工場火災、こういった火災につきまして、被災県からの要請を受けまして派遣をいたしております。  今年の六月、さきの通常国会消防組織法の改正によりまして、大規模地震でありますとか特殊な災害の場合にこの緊急消防援助隊を出動させるということを法律上もしっかり位置付けをしていただいたことでもございます。  今御指摘いただきましたように、大規模災害あるいは特殊災害が発生しました場合にはできるだけ速やかに派遣をしまして、被害を最小限にするように常日ごろ体制整備に努めてまいりたいと考えております。
  22. 中川義雄

    中川義雄君 もう一つ大事なことは、企業火災というのは非常に大規模火災になる可能性があるわけでして、そこへ必死で消防活動をする消防団職員の被害というものが大きな問題になってきていると思いますが、そういった方々の安全の確保のためにはどのような手を打っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  23. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) おっしゃいますように、まず、災害に際しましては、何といいましても国民の皆さんの生命、身体、財産を守るために消防職員・団員がしっかり取り組むのは当然でありますけれども、御指摘がありましたように、かといって消防職員あるいは団員の殉職といったことが出るようでは非常に困りますので、先般、この八月にも、各消防本部で安全管理体制、従来からいろいろと気を付けているはずなんですけれども、改めて再点検してもらいまして、安全管理マニュアル等もかねて作っておりますから、これの徹底をしてもらうといったようなことで消防課長通知を出すなり、あるいは現場に行きまして個々の消防本部にそういうことを改めてお願いをするといったことをやっております。  現在、更に事故原因を調査中の事案もございますけれども、こうした事案の調査結果も踏まえまして、更なる安全対策の強化につきまして全国の消防機関にしっかり周知徹底をしてまいりたいと考えております。
  24. 中川義雄

    中川義雄君 それでは、今回の台風十号による北海道における非常に特異な災害について質問させていただきたいと思います。  今回の台風による災害で全国で十六名の尊い命が失われておりますが、その中で、行方不明者一名はありますが、十一名、合わせて十一名の尊い犠牲者が出た。このぐらいの雨でなぜこんなに多くの尊い命を失ったのか、政府としてどういう見解を持っているのか、まず大臣の見解を伺いたいと思います。
  25. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 中川委員のお話のように、この台風によりまして全国で十六名、北海道では十一名に及ぶ尊い命が亡くなったということは、本当に痛ましいことでありますし悲しいことでもあろうかと思います。  住民の安全の確保という観点から、まずは発災時に住民の方々に的確な情報を伝達をするということが大変大事なことであるということをこの反省点に立って考えさせられることでございまして、このために、防災無線といったものの整備、あるいはテレビ、マスメディアによって的確な情報というものを住民にしっかりとお伝えをするということが大変重要なことであると、このように考えております。  また、災害が切迫をいたしております状況下で避難勧告がどのような形で行われているのか。これは極めて難しい状況判断であろうかと思いますけれども、雨量だけの量によって判断をしていくという、これに頼らない、雨量だけに頼らない基準の在り方というものも検討をしなければならないんではないかというふうにも考えております。  さらに、亡くなられた方には大変お気の毒なことなんでございますけれども、やはり大変危険なときに屋外に身をさらしておられたということで命を落とされた方がほとんどでございますので、そういったことを反省の一点といたしまして、やはり日ごろから災害というものの危機、これに対して個々人がどのように対応、対処していくかという、そういう教育というか、そういうものが随分必要ではないかというふうにも考えますし、このためにハザードマップ等の作成や公表というもの、これを実際に実施して、そして自主防災組織というものを考えながら訓練等を行わなければならない、このように考えておるところでございまして、このたびの災害を踏まえて、今後とも関係省庁と十分連携を密にしながら対策全力を尽くしてまいりたいと、このように考えております。
  26. 中川義雄

    中川義雄君 北海道での非常に特徴的な事例としましては、この十一名のうち実に八名の方々が道道における自動車事故において命を失っておりますが、なぜ道道に集中したのか、国土交通省当局の見解を伺いたいと思います。
  27. 藤本保

    政府参考人藤本保君) 御指摘のように、道道を走行中に八名の方が事故でお亡くなりになりました。お亡くなりになりました方々に対しまして謹んで御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。  今回の大雨に伴う道道の交通規制について、道路管理者であります北海道知事は、台風十号に係る土木現業所の非常配備体制について調査を行い、その結果を報告書に取りまとめ、北海道議会に報告しております。この報告書の中では、今回の雨が記録的な豪雨であったこと、現場では被災報告対応と電話の問い合わせに忙殺されたこと、このため雨量水位情報に目を向けることが希薄となったこと、さらに、他の道路管理者等関係機関との連絡が必ずしも十分でなかったこと等が指摘されております。  国土交通省としては、今回のような異常気象時における道路管理の重要性につきまして改めて認識したところであります。
  28. 中川義雄

    中川義雄君 ちょっと、私が行って見たのと今の報告では、非常に形だけの報告になっているんです。  それは、今回の特殊な水害が大きな要因になっている。日高における三名の事故というのは、道道を通っていたんです。ところが、橋に木材が流れ着いていて、橋を通るとそこももういつ流れるか分からないということで、そこで車がストップしてしまった。一台ならいいんですけれども、二台も三台も四台も続いてそこへ集中しちゃった、車が。そこへ、後ろにも行くこともできない、そういう中で、見る見るうちにその木材が堰となって大量の水があふれ出て道道に襲ってきたんです。ですから、体力のある方だとか何かは逃げ延びることができたんですが、この三人というのは、五人ワゴン車に乗っていて、体力のない三人がどうしようもなく、みんなが見ている中で流されてしまったんです。  それともう一つ、十勝における、上士幌町における五人の犠牲者というのは、道道は大丈夫に見えたんです。橋もちゃんとしていたんです。ところが、橋の下に木材が引っ掛かって、川水が向こう岸に流れて向こう岸が大きく削り取られてしまっていたんです。ですから、運転者は、暗い夜道、雨の中ですから、橋がしっかりしていますから、よもやそこへ水が行っていないと思ってそこへ飛び込んでいっているんです。これを交通者の意識によるものというような形、これは過酷であります。やっぱり道路管理上の大ミスなんです。  例えば、同じことでも、平取町の荷負というところで、それから四、五キロ離れた集落があった。そこも同じような状態になったんです。ところが、荷負の交番のお巡りさんと役場の職員がそこに行って見ていて、これは偉いと思います、交番のお巡りさんには強制的に避難命令を出す権限がなかったんですが、このお巡りさんは自らの判断で避難命令を出しているんです。その集落の人たちが随分文句を言ったそうであります。しかし、本官は命を懸けて守りたいと、そう言って、そこにいた百人ぐらいの集落の人たちを高台の公共施設に強制的にお巡りさんの判断だけでやって、尊い命を守っているんです。  にもかかわらず、今回はそういったところに道道の管理している人たちがほとんど行っていないんです。そういった意味で、私は大きな問題があると。言わば、特に道道におけるパトロール体制に問題があって、通行規制区間の適正な実施、そんなことが後手後手に回って、こういう大きな被害になった。  私も、聞いたら、交通止めだとか規制はだれがするのかと言ったら、土木現業所の出張所がするというんです、出張所長が。あの北海道の山間部のあの広い中で、道道の土木管理者である土木現業所の出張所長が一人の判断でどうやってそんな交通規制、受け持っている地域だけでも百キロ近くの山間部における道道を、そう簡単にパトロールしてそれを監視するということはできない。  これをもっといろんな情報を集中できるような観測機器、そういったものを十分導入することによって、ある程度事務所にいても交通規制をできるような、そういう体制を作っていかないと、そこまで土現の所長が車か何かに駆けていくまでに大災害が起きる可能性があるわけですから、もっとこの情報化社会に合ったようなパトロール、そして交通規制についての取組をしっかりしていただきたい。  国道は全然なかったんです。国道だけは良くしておいて、道道には、又は市町村道には余り目もくれない国土交通省の日ごろの行政がこういう結果になったと、そう言って地元の人たちは恨みみたいな話をしているのを私聞いてきましたので、もっと心の温まる答弁をいただきたいと思います。
  29. 藤本保

    政府参考人藤本保君) 道路のパトロール体制についてでありますが、基本的には各道路管理者において定めるものであります。  異常気象時におけるパトロールにつきましては、一般的には連続雨量、各種注意報の発令などを勘案いたしまして、維持を担当する出張所等の責任者が判断し出動をすることとしておりますが、場所によっては降水量あるいは河川の水位を基に事前に出動基準を設定しておくことは、迅速かつ適切な災害対応を行う上で有効な手段であると考えております。  なお、北海道では、先生の御指摘のとおり、今回の台風十号による災害対応を踏まえまして、異常気象時におけるパトロール体制に係る改善策の素案を北海道議会へ報告しており、その中で、パトロールの出動基準を明確化することにより異常気象時における迅速な対応を図る、異常気象時における出動基準は、地域特性を踏まえ、土木現業所ごと、又は細分化の必要のある場合には出張所等ごとに降雨量河川の水位などを指標としてあらかじめ設定しておくということとしておりまして、年内をめどに取りまとめると聞いております。  国土交通省としても、この緊急災害時に対しましては、北海道あるいは市町村と連絡を緊密にして万全な管理体制をしいてまいりたい、このように思っております。
  30. 中川義雄

    中川義雄君 これは意見だけにしておきますが、どうしても、道道を管理しているのは北海道でありますから、管理している人がこの要因について報告するとどうしても自己弁護的なことになりがちなんです。ですから、こういう尊い犠牲を今後なくするためには、第三者による調査をした上で、要因について国土交通省として責任を持ってそれを調査して今後の対策に当たるべきだと、これを私は強く要望しておきますので、そのような、今回の要因については第三者機関による要因分析を是非していただきたい。  地元の方々は全然そう思っていません。ひどい人は、お盆休みでもうみんな帰っていたんではなかろうかと、そんなことまで恨みのように、こんなにたくさん事故が起きたものですから言っている方々もいた。これは間違いない事実ですから、道の報告だけじゃなくて、もうちょっと公正な報告に基づいて要因分析をし今後の対応をすべきだと思いますので、これは強く要求しておきたいと思います。  ところで、大臣、今回の被害は予想以上に局部的にある地域に集中しているんです。北海道と市町村分、言わば地方の被害額、被災額は北海道調査では約八百億円だと言っているんです。ところが、それが沙流三町と言われて新冠町、平取町、門別町、この三町だけで、町が受けた被害が約四百億円という膨大な被害になっているんです。これは、町の公共施設災害復旧するとしたらそう簡単なものではありません。何としても早急に激甚災害指定をしていただく必要があると。この弱い市町村の財政では簡単な問題でないということで、大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。
  31. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 中川委員御承知のように、激甚災害指定ということにつきましては、いわゆる被害状況調査、積み重ねの結果をということのルールがあるわけでございます。そういう意味で、ただいま鋭意その作業を進めておるところでございますので的確な表現は差し控えなきゃいかぬと思いますけれども、しかし、これまでの集計状況というものを判断いたしますと、農地等からの災害復旧費は極めて大きくなると。中川委員御指摘のとおりでございますので、全国規模激甚災害である本激になるという可能性はあるのではないか、このように見解をいたしているところでございます。  また、指定基準を満たすことが確定をいたしました場合には、これを、指定のための手続を急遽急がすということをお約束を申し上げたいと思います。
  32. 中川義雄

    中川義雄君 この激甚災害指定も含めて、最初は被害を受けた市町村また道が調査しなければならない。この調査費にも膨大な費用が掛かっているんです。特に、私は大きな問題だと思いますが、これから激甚指定も受けても査定設計という業務はそれぞれ受けた市町村また道自らがその査定設計をしなければならない。そして、この査定設計には難しいいろいろのルールがありまして、ケース、ケースによって委託費率というものが積算されて、そのトータル、そしてそのうちの二分の一は補助対象になるということになっている。  今回、私がずっと調査したら、ある町では査定設計の委託費だけで十二億円になるだろうと。そうすると、町の持ち出し分だけで六億になると。査定設計を急がなかったら災害復旧工事には全然入れませんから、査定設計を何とかやりたいが、今のこの厳しい市町村財政では六億円という大変な金額を捻出することはもう不可能だと、死の苦しみをしているんです。これをしなかったら災害復旧工事にも当たれないと。  これを今回、補助率を、道にしてくれといってもこれはなかなか難しい問題でありますから、これは総務省にお聞きしたいんですが、この膨大な査定設計一つ見ても大変ですから。こればかりじゃありません、地方の工事費に対する負担だとかその他いろんな問題がありますから。今回被害を被った町村は、本当に財政水準も低くて大変な町村ばかりであります。山村地帯ばかりなんです。これに、地方負担に耐えるために、総務省として、地方交付税や地方特別交付税、そして地方債といったもので何とか緊急援助をすることによって厳しい財政を援助していただきたい。そうしなければ、もう立ち上がることもできないぐらいの大災害であるということから、総務省当局の見解を伺いたいと思います。
  33. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 今回の台風第十号の災害によりまして、御指摘をいただきましたように、被災されました地方公共団体におきましては、公共施設等の災害復旧対策応急対策などにかなりの規模の財政負担が生ずることが見込まれております。  現在、私どもといたしましては、関係地方団体からその実情を十分お聞きしているところでございますけれども、具体的には、これらにつきまして、私ども、地方団体の財政力から見ましてかなりの負担になることでもございますので、災害復旧事業等に適用されます制度を十全に活用しながら、当該地方団体の財政運営に支障が生ずることがないよう適切に対処してまいらなければならないと考えております。  具体的には、公共施設等の災害復旧対策につきましては、公共災害復旧事業の地方負担、それから単独でおやりになります災害復旧事業につきましては地方債を一〇〇%まず手当てをさせていただきたいと考えておりますし、それらの地方債の元利償還金につきましては普通交付税により措置することを考えております。  さらにまた、御指摘をいただきましたが、これらの復旧事業以外に、地方団体におきましては応急対策とかいろいろの事前対策に経費の負担が多額になることが予想されているわけでありますが、これらにつきましては、特別交付税によりまして、災害復旧事業規模とかあるいは当該地方団体の財政負担等を十分お聞きした上で、特別交付税の算定におきまして適切に対処したい。これらを併せまして当該団体の財政運営に支障なきを期してまいりたいと考えております。  なお、当面の資金対策といたしまして、地方団体からの御要望もございましたので、特に大きな被害を受けられました北海道内の三町に対しましては、九月の四日付けで、九月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰上げ交付をさせていただきましたことを御報告を申し上げておきます。
  34. 中川義雄

    中川義雄君 強く申し上げますが、災害復旧のためには最初に、査定設計が一番最初に必要なものなんです。これに大変なお金も掛かるので、財源措置をどうするかということを具体的に、この問題について一番心配していますから、地元では。そのことについて、これが特交の対象になるとかならないとか、又は起債の対象になるとかならないとかという明確な総務省当局のまずそれに対する考え方を示していただかないと、設計できなかったら災害復旧工事はできないんです。  これも、聞くところによると、昔は、言っていました、町の建設業者が全部協力して設計してくれたんだそうです。ところが、今嫌な雰囲気があって、そんなところに協力すると後からの入札に有利になるとかならないとかいうことで、お互いに牽制し合って全然、もちろん町からそんなことを要望できない。昔は町から要望できなくても町の建設業者がじゃんじゃんやってくれたんですが、しかし町の職員には専門家というのは一人か二人しかいませんから、ほとんどできないと。  今の厳しい状況の中では、昔と違ってやはりきちっとした委託設計をしなければできないというのが昔と今との違いなんですが、昔に作ったこの二分の一補助時代というのは、そういうおおらかな時代に作られたものであって、これもできれば建設省と財政当局、そして担当大臣も含めて現状に合った補助体制にしていただきたい。これは答弁要りません。私からの強い要望にさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思っています。  今回の水害で、私もびっくりしましたが、この地域の特徴的な、これだけ人命も多くなった最大の要因というのは流木による被害なんです。北村大臣も見てきたといいますから、大臣も目で見てきたと思いますが、副大臣も、本当にもう河原という河原が木でうずまっていると、流木でうずまっているという状況なんです。  二風谷ダムというのが沙流川の中間にありまして、そこに流木がたまっておりました。私も見てきましたが。当初、この流木を、全体的に道の責任で流木を排除するということになって、道は全部で十二万立米ぐらいの流木の流出があったんではないかと言って、その災害復旧のための費用の算出に基礎にしたんです。そのとき、二風谷ダムというのがちょうど沙流川の真ん中にできまして、そこへたまったのが四万八千立米ぐらいだと試算していたんです。  私が見て、つい最近も電話で確認したら、四万八千どころか七万立米取ってもまだ残っているという話でありました。それから推察すると、十二万立米じゃなくて二十万立米近くの木材がこの沙流三町、狭いところにひしめき合っていると。  この流木をどのように見て、これをどうやって片付けていくのか、国土交通当局の見解を伺いたいと思います。
  35. 藤本保

    政府参考人藤本保君) 今回の台風十号によりまして、日高・十勝地方において洪水に伴って土砂と大量の流木が流出し、農地河川等の各所に堆積したところであります。  流木の総量につきましては、北海道の取りまとめた数字では約十二万立方メートルとなっており、このほかに二風谷ダムに滞留した流木を含め、北海道開発局所管分として約七万立方メートル余りが確認されていることから、現時点では約十九万立方メートル余りとなっておりますが、いまだ未確定でございまして、今後の作業によって増減があるものと考えております。  いずれにいたしましても、膨大な量の流木につきまして、災害復旧事業を始めとした様々な事業を活用しながら、関係機関連携、調整しながら速やかに対処することが地域の復旧復興にとって重要であると認識しております。
  36. 中川義雄

    中川義雄君 二風谷ダムに堆積しているという流木が四万八千立米と最初見たのが七万立米を超しているんです。あのダムの中に堆積しているのは推測しやすい、非常に推測しやすいものでも四万八千立米と思ったのが七万立米あっているわけですから、一般に流出している、十二万立米と見ているが、私は膨大に、それだけで二十万立米ぐらい出ると。一万立米の流木を処理するのに一億円掛かるというんです。これをだれが、だれの責任によって処理するかということについても非常に大きな問題があります。  そのことをよく考えて、道庁が十二万立米と言ったからまあそれぐらいだと、それに七万立米足して十九万立米なんというのんきな話をしていたら間に合わないということを国土交通省当局も十分考えてやっていただきたいと思うんです。自ら調査するぐらいの考えを持ってやっていかないと責任の所在も含めて明確にならないわけですから、もっと積極的に対処をしていただきたいと思います。  しかも、流木の大半は国有林と民有林からの流出であります。先ほど写真をずっとやりましたが、あれはほとんどは国有林であります、あの崩壊しているところ。あの道路わきの森林、私も見てきましたが、全部国有林であります。ですから、国有林から流れて出た木材が大変な大きな災害のもとになっているわけですから、国有林を管理している農林省の責任も重いと思うんです。  それからもう一つ、渓畔林、これも私見てきましたが、これも大変な流木の流出元になっている。国有林から流れて出てきた木材は比較的大きな木であります。渓畔林からは柳だとかなんとかの小木であります。最初に大きな木が来て橋の欄干だとか何かに当たって、そこで水をせき止める。そこへ渓畔林から流れ出てきた小さな木がその穴を埋めてしまうと全く立派な堰ができてしまって、それが大きな災害のもとになっている現場を私自身見てきて、やはり国有林の管理をどうするか。  もう一つは、渓畔林。何か最近は、昔は渓畔林というのは、私が道庁時代のときはなるべく伐採して水害のときの被害を小さくするということで、河川愛護組合などではみんなして協力し合って渓畔林を切り出したものなんです、災害を少なく。ところが、今何か自然保護論者か何かが声が大きくなってきて、景観を良くするために渓畔林は切ったら駄目だと。逆に、植えている。私も見てきましたですが、渓畔林を植えたところがあるんです。それが大きな被害のもとになっている。ですから、国有林の管理を今後どうするのかと。  そしてまた、渓畔林についての考え方は国土交通河川局では考え方を変えないのかどうか、この二点についてそれぞれ答弁いただきたいと思います。
  37. 北村直人

    ○副大臣(北村直人君) 中川委員の御質問にお答えをする前に、この八月の台風十号によりまして亡くなられた方々の御冥福をお祈りを申し上げますとともに、御遺族の方々に対して深く哀悼の意を表する次第でございます。また、行方不明の方々に対しましても、一刻も早い発見をお祈りを申し上げますと同時に、被害に遭われた方々にも心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。  中川委員がこの被害地にお入りをいただいて、つぶさに視察を、また被害状況も見ていただいたのは御承知をしておりますし、また農林水産省、私が先頭に立って被害日後にすぐ入らさせていただきました。  今、先生から、委員からお話のあったとおり、非常に目を覆うような山の荒れ方、そして国有林、民有林を問わず山肌がえぐり取られているようなそういうところを見させていただいて、今、京都議定書の三・九%分を、これを森林で確保しようというときに当たりまして、林野行政の中で、今までの国有林や民有林の造林あるいは治山事業等々が本当にこれでよかったのかどうかという実は疑問の念を抱きながら見てきたところでもございます。  そういう意味からいたしまして、委員が御指摘のこの国有林の被害地、そこの場所については、地元の方々の声の中には、山がずっているのではないだろうかと、こういうような話もある、あるいはこれは山崩れではないのかと、こういうお話もございます。それは地域の皆さん方の今までの経験や歴史等々の上に立った一つの御意見。となれば、これはまたやはり専門的な立場から検討をしていかなければならない。  さらには、今までの国有林の治山対策が本当によかったのかどうかということも検討するために、早急に我が林野庁の出先であります北海道の森林の管理局と道庁がしっかりとした検討委員会を、これ来週からすぐ第一回目を開くわけでございますが、その第一回目の検討委員会を含めて何とか早急に取りまとめをしていきたい。四、五回の会議がこれから検討されますけれども、私の方は、時間をスピード化、そしてその中で十分な検討をしていただいて、治山対策等々あるいは国有林の管理対策というものについての一つの報告を出してもらいたい。  しかし、それまでの間、それぞれの暫定措置あるいはこの災害関連緊急治山事業等々によってやれるものはつぶさにやっていくと、そういう対策を取らさせていただいておりますし、また流木等々については、それぞれの対策事業の中で、これらをある面では少し効果を大きく取りながらこの対応に対処していきたい、このように考えているところでございます。
  38. 中川義雄

    中川義雄君 私も行って見てびっくりした被害でありますが、そのときダムの果たした役割というのにびっくりしました。  沙流川のちょうど、先ほど、中間に二風谷ダムというのがあるんです。その上流は、例えば水田も約一千ヘクタール、その下流にも水田一千ヘクタール、同じぐらいあるんです。上流の水田はすべて全滅であります。どの水田も一ヘクタールも救うことのできないぐらいの水害。泥が埋まり、頭首工が飛んでしまっている。それに対して、ダムの下流部門は全く何でもないんです。ダムで流木をせき止めた。土砂を、大量の土砂が一緒になって入ってきたが、ダムにおいて沈殿して、ダムから下は比重の少ない真水に近い水が流れた。そんなことがあって、ダムの下はほとんど農地災害もないんです。  今、何かダムといえば敵事みたく言って不要論が非常に濶歩しておりますが、私はやっぱりダムというものは必要なものは必要なんだと、こう考えますが、国土交通当局の考え方を示していただきたいと思います。
  39. 清治真人

    政府参考人清治真人君) ただいま沙流川の洪水あるいは流木災害について、現地を見てこられて委員からお話がございました。  二風谷ダムは直轄のダムでございますが、これは洪水調節……
  40. 中川義雄

    中川義雄君 二風谷ダムのことを聞いているんじゃない、ダム一般のことを聞いている。
  41. 清治真人

    政府参考人清治真人君) ダムにつきましては洪水調節とそれから利水ということを主たる目的にしておりますが、今お話しございましたように、流木がダムで止まるという効果は非常に大きゅうございまして、今回も、下流でその流木による、河川管理施設が壊れたとか、あるいは橋に引っ掛かってせき上げたというような災害はなかったわけであります。  これらについては、必要なダムについてはきちっと評価しまして今後とも進めてまいりたいというふうに思っております。  それから、先生からお話しありました渓畔林の話でございますが、河川の区域内の樹木につきましては、流下能力の問題から樹木の管理ということが必要でありますが、あわせて、それが削れて下流へ流れたときの災害を助長するということにつきましても極めて重要な視点だというふうに思っておりますので、これらにつきましては、その渓畔林の持っておりますいろんな環境上の機能もございます。地域の方々といろんな意見を交換しながら適切な管理に努めてまいりたいと思いますが、あわせて、砂防事業によります渓畔侵食の防止であるとか、あるいは流木を止めるための砂防事業、これらも組み合わせてこれから対処していかなければならない問題だというふうに考えておりまして、精力的に取り組んでいきたいと思います。
  42. 中川義雄

    中川義雄君 ダムというのは流木だけをせき止めたんじゃないんだ。泥、砂、そういったものも沈殿させて、比重の重い、土石流のもとになるような流れが清流に変わっているという大きな役割を果たしているということも、そのぐらいのことはやっぱり河川局長も考えてやっていただかなければならない。下でなぜ農地から何か被害を受けていなかったかというと、そういうものが下まで行かなかったからなんです。何も流木が行って農地を荒らしているところなんかないんです、本当のことを言ったら。やっぱり土石流みたいな泥水が大変な被害のもとになっている。それをダムがきれいにしてくれたために、ダムの下が被害が比較的少なかったということぐらいは認識していただかないと駄目だと思います。  農地による被害が大変であります。来年の営農に支障を来すんではないか。もう離農、これを契機にして離農するんではないかという町村長の心配がありました。特に農地流失による災害復旧工事は膨大なものになります。農地がもう河原になっているんです。それを元に、農地にするとしたら膨大な費用が掛かるわけであります。農家負担でそれをやれと言っても無理でありますが、しかしこれにも補助額には一定の限度があると聞いておりますが、いかがでしょうか。
  43. 中條康朗

    政府参考人中條康朗君) 被災されました農地復旧についての御質問でございますけれども、被災されました農地につきましては、いわゆる災害に係る暫定法に基づく国庫補助の対象となっているところでございますけれども、委員御指摘のとおり、同法五条によりますと、経済効果の小さいものにつきましては災害復旧事業について適用の対象の外になっております。  具体的に申しますと、この暫定法の施行令第九条によれば、その災害復旧事業事業費の額がその農地に代わる農地を造成するのに必要な標準的な費用、これは農林水産大臣が毎年定めるところによりまして算定される金額でございますけれども、これを超える農地については今申しましたように補助の対象外とされております。これによりますと、十五年度、平成十五年度の北海道被災農地復旧におけます十アール当たりの事業費の限度額でございますが、例えば傾斜度がゼロの場合は五十五万円、十度の場合は百一万円となっております。北海道からの報告によりますと、過去の実績を調べましたところ、この限度額を超えましたのが、件数にしましても金額にしましても三%を超えず、数%という例外的な状況になっております。  今回の台風十号の状況によりますと、この限度額の査定につきましては、現在復旧計画を作っているところでございまして、道では、コスト縮減等を行いまして反当限度額を超えない工法を検討しているというふうに聞いております。
  44. 中川義雄

    中川義雄君 草地は今年中に、少なくとも十月中ぐらいに播種をしなかったら、来年の春先になって、あそこは軽種馬の本当に中心地帯であります。軽種馬のためには放牧地がどうしても必要なんです。播種して根付かなかったら放牧することができない。放牧しないと軽種馬としての価値が出てこないんです、足腰を鍛えないとならないわけですから。  その問題に対する考え方が一つと、流木が流出して海に行っているんです。海に行って、それが定置網を引っ掛けたり、又はエビかご、エビかごが泥で埋まっているものですから、そこへ上で流木が流れていってそれを引っ張ってしまうと全部切れてしまう。  そういう被害がたくさん出ているんですが、この二つのことについて、時間がありませんから端的に答弁いただきたいと思います。
  45. 中條康朗

    政府参考人中條康朗君) 二点申し上げたいと思います。  第一点でございますけれども、申し上げるまでもなく、災害復旧の手続等につきまして、迅速にこれは実施できますように体制を組んで査定の実施を進めていきたいというふうに考えております。これが一点でございます。  もう一点は、緊急に復旧すれば作付け時期に間に合う農地復旧等につきましては、この事業の取扱要領に基づきまして、査定前でありましても応急工事を行うことが認められております。これに基づきまして既に復旧工事に着手していると、このように北海道から報告を受けております。  以上でございます。
  46. 弓削志郎

    政府参考人弓削志郎君) 漁場に漂流している流木の処理についてでございますけれども、これについては地方自治体等が中心になって廃棄物ということで回収等を行っておりますけれども、この事業に対して、農林水産省の水域環境美化推進事業により、地方自治体に二分の一の助成というのが行える対象となっているところでございます。  今回の件に関しましても、北海道と十分協力しながら前向きに対応してまいりたいと考えております。
  47. 中川義雄

    中川義雄君 これ、水産庁で答えられないと思うんですけれども、流木というのは海をさまようんですよ。海岸に着いたらこれは海岸の災害としてどうだとか何かができる。海岸にいたと思ったら、波来たらもうふうふうふうふう流れている。これについてはだれの責任でやるかということをだれに聞いても分からないのよ。その流れているやつで水産施設被害を被っているんですから、それをどうするかということは、水産庁がもうちょっとだれの責任でどうやってやるのか、私、何ぼ聞いても、ふらふらしているやつについてはだれがやるのかということについての答弁がないんです、地方で聞いても。  それによって被害を受けているのは、漁具被害ですから、水産庁がもうちょっと真剣になって、これはだれの責任でどうやってやるかというぐらいは考えていただきたい。今考えがないから答弁要りませんが、これからのを真剣に考えていただきたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。
  48. 谷博之

    ○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。  先ほど、冒頭、報告がございましたが、一連の災害によりまして被害に遭われました多くの犠牲者の皆様方に対しまして心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、また被災に遭われました多くの方々に対しましても重ねて心から冒頭お見舞いを申し上げたいと思っております。  まず、私は、先ほど中川委員からも冒頭触れられましたが、私の地元、栃木県黒磯市で九月八日に発生しましたブリヂストン栃木工場の大規模火災について、大臣に一点お伺いをいたしたいと思っております。  これは、この事故につきましてはこれは人災でありまして、当然、原因とそしてその今後の対応が議論されるところでありますけれども、ただ、地元の自治体としては、即座に災害対策本部を設置して、そして近隣住民の五千人を超える方々の避難命令を出して、避難勧告を出して、そして一昼夜にわたって大変な対応をした。これもある意味では大きな災害に匹敵するような出来事であったのではないかというふうに思っております。  この防災白書にも大規模火災についても既に触れられておりますから、そういう視点から大臣にお伺いしたいと思っておりますが、既に報道されておりますけれども、なぜこういう事故が起きたかということでありますが、あの工場の中に、私もよくその周辺なりその周りを行くことがあるんですけれども、高温によって爆発するおそれのある炭素のいわゆるタンクとか、あるいはまた薬品として使用するところのいろんなそういう薬品類がタンクとしてやっぱり貯蔵されていると、こういうふうな状況がありまして、端的に言えば常にそういう事故とのその危険性というものは付きまとっていたと、こういうふうに言っている報道機関もございます。しかし、会社側としては、各工程で自衛消防隊を作って、そうしたときのために対応していたということでありますけれども、残念ながら、今回の事故ではそうした組織が全く無用の、無用に等しい状況で終わってしまったと、こんなことだと思います。  現時点では、今日も地元の新聞ちょっと持ってまいりましたが、原因が老朽モーターから引火かと、こういうふうな下野新聞の報道もされておりますけれども、何といってもやっぱりこの原因の究明ですね、そして再発の防止、さらにまた、とにかく近隣住民に対する健康被害等への対応、そして、若干この委員会とは所管が違いますけれども、この工場がこういう状態になったことによって、そこに働く人たちの雇用の問題とか地域経済に与える数々の大きな問題がこの事故一つで大変大きく議論をこれからされてくると、こんな状態だと思っています。  そこで、国としても、まずこれから地方自治体が地方防災計画によって取り組んできた、あるいは今現在取り組もうとしているそういう対応策、さらにまた、工場の中でいわゆる今までの消火体制がどうだったのか、防災体制についてどういうふうな問題があったのか、こういうことを徹底してやはり検証していかなきゃいけないというふうに思っていますが、これらはすべて当然、国の消防庁やあるいは経済産業省等々、そういう中央省庁との連携の中でそういう作業をしていかなきゃいけないということでありますけれども、要は、先ほどもありましたけれども、二度とこういうふうな企業火災ですね、こういうことについて起こしてはいけないという、こういう視点から、いわゆる防災上の視点からこの事故を一つの教訓にして国はどうすべきかということについてやっぱり考えざるを得ない、あるいは考えなきゃいけないというふうに思っておりますが、大臣としてはそういうふうな立場についてはどのようにお考えになっておられますか。
  49. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 大変な火災でございました。もう一刻も早い鎮火、鎮圧を願いながら推移を見ておったわけでございますが、この事故災害につきましては、先ほど消防庁長官から答弁もございましたように、事故の原因等が存在をしておるところの指導監督権限を有する省庁が一つの責任を負ってこれに対処していくというのが政府の方針でございますけれども、防災担当といたしましても、こういった情報体制といったものをしっかりチェックをしながら、今後関係省庁と一体となってこれに対応しなければならないというふうに思っておるところでございます。  今回の栃木工場ブリヂストン栃木工場火災に関しましても、もう既に結果というか、政府の動きの結果は御高承のとおりでございますけれども、総務省消防庁中心といたしまして、消防庁の職員、また東京都の消防庁職員から成る専門チームが緊急消防隊として現地に駆け付けて対応を行っておるところでございます。  また、今後の検証につきましても安全規制担当省庁であります総務省消防庁中心として行われるわけでございますけれども、今私が申し上げましたように、防災担当といたしましても、ともに連携をいたしながらこういった事態が二度と起こらないようにしっかりと対応を協議していかなければならないというふうに考えてまいっております。
  50. 谷博之

    ○谷博之君 この問題についてはまた別の機会に他の委員会でも議論をさせていただきたいと思っております。  次に、三宅島の被災者支援についての問題についてお伺いしたいと思いますが、これは当委員会で九月八日に現地視察を行いまして、私もそれに参加をさせていただきました。現地状況につきましては時間がございませんから省略をさせていただきますが、しかし、依然として一日三千トンから一万トンの火山ガスが放出しているという、こういうふうな報道もありまして、大変、関係者皆さん方復興に対する現場の取組が進んでおりますけれども、厳しい状況にあるなと、こんなような認識もさせていただいたところでございます。  そういう中で、まず最初に、今年の八月の一日から十日まで三宅村の島民連絡会がアンケート調査をやっておられます。この結果については既に報道されておりますから私から触れることはないと思いますが、島全体が安全になるまで帰島すべきではない、こういうふうに考えを持っている方が四一%、そして、一部地区の濃度が高くても希望者から段階的に帰島させるべきと、こういうふうに考えを持っている方が三八%、ほぼ拮抗している状況にありますけれども、実は現地視察をしたときにお二人の方々と直接お話をする機会がございました。その方々は、お二人とも地域通して見て大変家屋が損傷がひどいと。それから農業を営んでいる方は、農地が、正に竹がもう大きくなってきたり、立ち木も、立木も相当の大きくなってきているというふうなことで、このままその農地を使うということはもう現実にもう不可能だと、一日も早く帰島して対応しなければいけないと、こういうふうなことを強くおっしゃっておりましたけれども、そういう点で、いろんな関係機関検討もなされていると思いますけれども、基本的に、比較的安全な地域から安全な体制を組むことによって一部地域からだけでも帰島を認めていくという、この考え方について大臣は率直に言ってどのように考えておられますか。
  51. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 住み慣れた場所から三年間も離れて東京でお住まいなさっていらっしゃるというお気持ちを察して余りあるものがあるわけでございます。本当に今の三年目を経た今日の島民の皆様方のお気持ちを察するところでございます。  ただいま委員からお話ございましたように、安全なガスの地帯、あるいは安全でないガスの地帯というのが何げなく見えておるようでございますが、長期的には減少傾向にあるものの、現在、直ちに帰島して通常の生活ができるというレベルではないというような報告も受けておるところでございます。  しかし、希望を持って本格帰島に向けて様々な対策のために準備が遅滞なく行われていくということは極めて大事なことだと存じております。絶えず私が答弁で申し上げておりますとおり、帰島に向けての方針というのは三宅島の島民の方々と、あるいは都、島の行政、政治の皆様方との最終的な御判断によると。これを尊重しなければならないというふうに思っておりますけれども、そのときのために国は都と連携を強くいたしまして、それに支援するということに全力を挙げてまいると、このことをお約束を申し上げておるとおりでございます。
  52. 谷博之

    ○谷博之君 今日、あしたすぐにという意味ではなくて、これからのそういうより安全性が確保される、あるいはそれに近い状況になった時点で全島一括して帰島するのか、あるいは地域的に、そういう、考えながら一部から帰島していくのか、ここら辺のことがその時点でまた議論されることかなというふうに思っておりますが、非常にそういう思いが強いということを直接当事者の方からお聞きをしまして、なるほどというふうに私も実は感じたところでございます。  また、そういう中で、内閣府は十六年度の概算要求の中で、被災者生活再建支援制度の拡充についてということで概算要求をいたしております。これには、その対象の内容の拡大を目指しておりまして、具体的に火山噴火災害等により長期避難を余儀なくされている世帯の特例についても検討する、こういうふうなことが触れられております。  これは、既にもう三年以上も避難生活をしている皆様方、三宅島島民の皆さんの帰島時における支援金の再支給を念頭に置いたものというふうに考えてよろしゅうございますか。
  53. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 先生今お話ございましたように、内閣府といたしましては、平成十六年度の概算要求におきまして、いわゆる居住安定支援制度を含めた被災者生活再建の支援制度の拡充というものを要望しております。で、そういう要望に当たっての幾つかの検討事項の中で、先生今御指摘がございましたような火山噴火災害等により長期避難を余儀なくされている世帯についての特例をどう考えていくかということも一つの検討課題であるというふうに認識しているということは事実でございます。  具体的にはこれから予算編成過程の中で検討をしていかなくてはならないと思っておりますけれども、この端緒は、全国の知事会の方から三宅島被災者の長期避難世帯について、避難解除に伴って必要になる経費、ですから、言わば帰島を念頭に置いてそのときに必要になる経費について生活再建支援金を支援対象に加えるということはできないかと、そういう問題意識でお話を承っているということでございます。知事会でそういう認識を持っておるということでございます。  ただ、三宅島の被災者に対して本格的な帰島ということが実現しました際にどういう支援が必要かということにつきましては、まだ具体的な検討が必ずしも十分になされておりません。今後、都と村におきまして被災者支援対策の考え方をまずどういうふうな考え方をお持ちになっているか、そういうことも十分承って、その内容を前提としながら、先ほどの知事会の御要望、そういうことも踏まえながら、今後具体的に検討していきたいというふうに思っております。  ただ、付け加えますと、現在、生活再建支援法の中で三宅島の島民の方は長期避難の特例ということで限度額に近い支援金を支給されておりますので、それを改めて支給するということはなかなかハードルの高い問題だと、難しい課題だというふうに認識しておりますが、一方で、具体的に帰島ということになったときにそういうニーズというか、そういう必要性というものを一方で問題意識としては持たざるを得ないと思っておりますので、今後の具体的な課題だと考えております。
  54. 谷博之

    ○谷博之君 関連してお聞きしますけれども、既に避難当初に百万円を限度に支援金が支給されている。その支援金については、ほとんどの皆さん、期間がたっていますから使い切っている状況だと思うんですね。これから更に避難生活が続くということになると、もうこれ以上、島に戻ってももう生活設計は成り立たないというような人も中には出てくるかもしれない。そうした場合に、帰島できなくなった場合でもこの支援金を再支給する対象とするのかどうか。この辺はどうでしょうか。
  55. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 全国の知事会からの御要望は、長期避難をしている世帯について避難解除に伴って全員帰島ということを目指しておられますので、そういう際に必要となる例えば引っ越しの経費だとか、そういうようなものを念頭に置いてそれを支援していくという考え方というふうに承知しております。したがって、基本的には帰島時と帰島後の生活再建に必要な支援、島へ帰ってというようなことでイメージしているものだというふうに承知しております。  先ほど申し上げましたように、この制度というか、この要望を一つ特例の形で実現するということは非常に難しい課題であると、非常に難しい課題であるというふうに思っておりますので、帰島の判断がなされた時点では、更に先生がおっしゃったような問題も出てくるかもしれませんが、現時点では何よりもまず帰島に向けた検討という過程の中でこの問題を考えていくということではないかと思っております。
  56. 谷博之

    ○谷博之君 結論から申し上げますと、今後の課題であるわけですけれども、いずれにしても長期避難生活をしていることは島民の皆さんどなたも同じですね。それが島に戻ってそのための言うならば生活再建資金、再建のための資金だということですが、これは島に戻ろうが、全員の方がもちろん戻るというような考え方だと思いますけれども、万が一そういうことで戻ることができないというような場合には、その方だけをちょっと別にするというのも私はいかがなものかなというような気もしますが、これは今後のひとつ課題として検討していただきたいと思っております。  それから、視察の際に実は、全部で島内に五十一の砂防ダムを建設計画しておりますけれども、そのうちの二十八のダムが完成をしていると、こういう説明を受けました。  そのうちのダムの一か所、現地を見てまいったわけでありますけれども、川田沢ですか、砂防ダムを見学してまいりました。このダムがいわゆるダブルウオール式ダムということですね。これは現地のそういうふうな建築資材というものを活用しながら比較的費用は安くこのダムを建設するという、この実はダムの前面に、いわゆる樹木を全部伐採するものですから、土が非常にむき出たような状態になっている。これを前面を緑化しようというふうな計画を持っておられるということですが、ここにどういうふうな植物を植えるかということなんですが、何かお考えを持っておられましょうか。
  57. 清治真人

    政府参考人清治真人君) 三宅島におきましては、大変な状況下で土砂流出防止のための対策を進めているわけでありますが、今お話がありました川田沢のダムにつきましては、失われた植生をなるべく回復したいということと、それから景観上の配慮も考えまして、現在都の方で緑化に当たっての方策をいろいろ検討しているところでございますが、元々島に自生しておりました樹種を配慮していくというようなことで、外来種等が島の生態系にその後問題を起こすようなおそれを残すことのないように、そういう考え方で在来種を中心に緑化を考えていきたいということを中心にいろいろな環境対策も含めてこの災害復旧の工事の中で取り組んでいるところでございます。
  58. 谷博之

    ○谷博之君 実は、私は今その後触れようと思っていたことを先にお答えいただいたわけですが、これは例えば、世界的に言えばニュージーランドなんかもそうですけれども、島嶼部といいますか、島のところというのは、非常に何というんでしょうかね、貴重な在来種というのがあるわけですけれども、しかしそれは外敵には非常に脆弱な、そういうふうな植物、動物が多いんですね、昆虫含めた。  そういう意味では、この三宅島については今おっしゃったようにハチジョウイタドリとか、非常に貴重なそういう在来の植物がありますから、こういうようなものを使って、しかもそういう火山灰にも強いわけでしょうから、そういうふうな立場からくれぐれも、本土におけるのり面工事で外国のいろんな植物使っている、そういうこともありますが、そういうことにならないように是非ひとつ考えていただきたい。  一つお聞きしましたところによると、島の南部にある大路池というところではもう既にブラックバスが相当その池に生息して、沼に生息をしている、その結果在来の魚類が更に数を減らしているというようなこともあります。そういうこともありますので、是非これは検討していただきたいというふうに思っております。  それから最後に、時間がありませんが、サハリン2の石油・天然ガス開発事業、これの問題について一点お伺いしておきたいと思います。  皆さん方のお手元にこの地図を参考資料としてお渡しいたしました。  これはNOWPAPといいまして、北西太平洋地域海行動計画について、この地域がこの範囲に入っているわけです。これは日本、ロシア、韓国、中国、この四か国が共有する海域の、海洋の、協調して海洋環境を保全する、こういう取組を国連環境計画が、UNEPが計画をして行動に移している、この地図です。  ところが、この地図はごらんのとおり北緯五十二度以南、そうして東経の百四十三度以西、つまりオホーツクのこの東側がほとんどこれ入っていない。サハリン石油開発地域というところを書いてありますが、これとか日本の紋別市、こういうところが実は含まれておりませんものですから、いわゆるこの部分が非常にこの開発に伴って、もしも油を運んでいくときにタンカーが沈没するというようなことになった場合には非常に汚染される地域に、おそれがあるというふうなことがありまして、いわゆるこの東側の部分、これを是非このNOWPAPの会議の中で日本がこの部分を、サハリン沖海域及び北海道のオホーツク沿岸区域を含めるように交渉すべきだというふうに思うんですけれども、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
  59. 石川薫

    政府参考人石川薫君) 御指摘いただきましたNOWPAP、北西太平洋行動計画でございますけれども、その活動の一分野である油流出時の緊急対応に関しまして、現在、NOWPAP地域油流出緊急時計画の策定作業、策定準備が進められております。この計画における対象海域を広げる動きもございます。  NOWPAPの対象海域の拡大を検討するに際しましては、このNOWPAPが取り組む他の分野への影響を含め、関係各国や国内の関係省庁と十分協議する必要がありますので、今後そのような検討をしてまいりたいと、かように考えております。
  60. 谷博之

    ○谷博之君 聞くところによりますと、今年の十一月に中国の海南島でこの第八回の政府間会合というものが開かれると聞いています。是非その会合でNOWPAPにおける海洋汚染緊急時対応の地理的範囲を北緯五十五度、東経百四十五度まで拡大することを是非外務省に要望しておきたいというふうに思っております。  それから大臣、実は最後にちょっと一問質問しようと思ったんですが、前国会で有事関連法案が実は成立しました。そのときに私ども民主党は危機管理庁の設置ということを申し上げました。これは野党の皆さん方のその話合いの中で、今後の検討課題ということでこの危機管理庁については設置する方向で政府も既に、特に米国の国家安全保障会議を念頭にした安全保障に特化した常設事務局機能を担う専従スタッフ七名の概算要求を既に行っている、こういうことであります。  そこで、今申し上げましたように、野党合意に基づいて安全保障だけではなくて大規模な油流出などの災害予防も含めた常設機関の検討を行うべきではないか、これは我々の民主党の考え方であります。これについて政治家の、政治家鴻池参議院議員として、この点についてどのように考えておられるか、お答えください。
  61. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 私も、委員のお話のように大変興味があると同時に、我が国においても設置すべきではないかという個人的な考えは強く持っておるものでございます。  公務で、先日もアメリカに、ワシントン、ニューヨークに出張をいたしました折にもFEMAの長官とも意見交換をしてまいりました。ただ、巨大な役所になっておりますので、日本とよく似たような状況で縦割りが随分向こうもはやっておるようでございまして、なかなかそのマネジメントというものが非常に難しいようなことをかいま聞いてまいりました。防災を中心に日米が幹部クラスでいろんな話合いをこれからもしようじゃないかというお約束して実は帰ってまいった次第でございます。  いずれにいたしましても、災害だけではなく、今後想定できるテロあるいは有事、こういったものに関しまして、国家がやはりこの国に住まいされる方々の命と財産を守るという観点から、こういう新たな役所というものを作るべきであるかどうかというものが検討をしていく大変大きな課題であると、このように承知をいたしておる、思っております。
  62. 谷博之

    ○谷博之君 以上で終わります。
  63. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。  七月二十六日の宮城北部、岩手県南部を中心に大変大きな揺れがございました。鴻池大臣には現地視察、御調査いただきました。御苦労さまでございました。  私も地元でございますので被災地に入ったわけですが、住宅被害が大変だったというふうに思っております。かわらの屋根が落ちておりますので、非常に危険だということでブルーシートが掛けられておりますので、一目で大変な被害状況だったなというのはそのブルーのシートでもよく分かります。  それから、今日の資料にもございましたけれども、震度一度以上、体で感じた地震というのが四百七十八回です。その回数から見ましても、子供やお年寄り、そして病気の方、入院されている方を始めとして住民の皆さんたちは大変な不安を抱き、また自治体でも大変な危機感を募らせているという状況でございます。  地元の要望でもございました、是非、激甚災害指定ということで、この激甚指定に向けた作業はどうなっているのか、いつ指定がされるのかについて、まず統括官にお伺いしたいと思います。
  64. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) お答えを申し上げます。  宮城北部地震につきましては、激甚災害指定を判断する基礎となります現地状況の把握を、大臣の御指示もございまして可能な限り迅速に実施してきたところでございます。その結果、査定見込額が明らかになっておりますが、激甚災害指定基準に照らしますと、いわゆる全国規模災害指定する本激というのがございますが、そういう要件には該当しないという見込みが今のところ出ております。  なお、局地的な激甚災害としての指定については、復旧事業費の確認作業というものを鋭意進めて、その可能性について引き続き検討してまいるというふうに考えております。  以上でございます。
  65. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今回の地震に先立ちましては大変な大雨被害があった。その前にも五月にも地震が起きていた。そして今回は冷害で、冷夏で、それこそ宮沢賢治ではありませんが、寒さの夏はおろおろ歩き以上の打撃で、あれもこれも宮城にやってきたという、そういうことで、私はその冷害の深刻さを見るためには明日また宮城の五つの地区回ってきますけれども、被害実態は複合的だというふうに思っております。  そうした特性にかんがみて、激甚指定に向けた是非、被害額の査定に当たりましてはこれらの災害被害をトータルに考えるという、そして積み上げるべきだというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。
  66. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 先生今御指摘の問題についても、結論的に言いますとなかなか先生の御質問のとおりというわけにはまいらないというお答えをさせていただくことになると思います。  激甚制度は、具体的な災害復旧制度に国庫補助の上乗せのような形で特別な財政援助をしていくと、そういう仕組みであります。災害制度は、したがいまして、一つ一つの豪雨とか地震だとかそういうものを個々に一つの自然現象に起因する被害というものをとらえまして、それごとに指定をしていくという仕組みになっております。  したがって、複数の災害を同時に集めれば、それは被害額とか復旧額は増えていくわけでありますが、やはり一つの災害についてその被害はどうかという観点から制度が仕組まれておりますので、その点について御理解をいただきたいと思います。
  67. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 査定の作業を急いでいただいて、その被害額を確定してほしいというのが、もう地元がそれを、一番それを早くしてほしいというのが要望になっておりまして、内閣、国土交通、農林水産、そして文科省というところでその査定を早めて対応をしっかりとしていただきたいということなんですけれども、その査定の作業というか、それはどうなっておりますでしょうか。
  68. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 査定作業につきましては一度答弁をさせていただきましたが、いわゆる作業をずっと進めてきました結果、激甚指定には二つの種類があります。全国をあれする本激というものと、それから個々の市町村を対象にして指定する局地激甚というのがあります。  本激については、指定の要件には確認作業をした結果該当しないというふうに判断をしているというふうに申し上げました。
  69. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 済みません、その説明はもう要らないんです。被害額の確定が急がれるので、それがどうなっているかということでございました。済みません。  被害額はもう確定していますか。
  70. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 被害額には二種類ございますが、いわゆる本激を指定するのに、判断するのに必要な見込額というのがございます。被害額と同じように考えていただいても結構ですが、災害復旧事業の見込額です。それについてはほぼ集計ができているということでございます。  一方、局地激甚につきましては、ちょっと違いますが、事業の査定額というより厳しい数字になります。このことについてはまだこれから確認作業をしていくと、こういうことでございます。
  71. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 つまり、その局地の方を急いでいただきたいというのがまた更にの要望でございますので、よろしくお願いします。  大臣、今話を伺っていただいて、本当に一つ一つの災害なので、それを全部積み上げて一連のこの被害現地のニーズに立ってこたえるという仕組みにはなっていないんだ、制度上はそういうふうにはなっていないというのは、私もるる説明を受けましたので分かっておりますけれども、これから対応として、台風シーズンにも入っていく、それでまた地震が起きるかもしれない、それにはどんなふうにこたえていくとかいうことを考えますと、今宮城にあっておりますものに、現実にあったものにどう財政支援の工夫をすべきだというふうにお考えになっていらっしゃるか。私はもう大臣に今日は直訴をするつもりでやってきておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  72. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 先ほど中川委員もいら立ちの御質問がございました。やはり私自身も政治家としてこのルールというものについて何とかならぬかなという思いがございます。それには、今私にできますことは、スピードアップをせよと、査定についても普通よりももっとスピードを上げてほしいと、これしか言えないわけでございます。また、局激に関しましても、年度末しかこれがはっきりしないということでございますので、これも極力スピードアップしてほしいと。  それと同時に、小さな市町村になりますと、財政の向こう先が見えない、曇りガラスで向こうを見ているような感じでございますので、できればある程度のことの大まかな、ある程度の見える状況をお示しできないだろうかと、こういうことを更に検討するように指示をいたしているところでございまして、残念ながら現在のところ私の申し上げる範囲はそこまでのところであります。
  73. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 何かもう苦渋に満ちた答弁ということで、また更に御努力をしていただきたいというふうに思っておりますけれども。  宮城県の場合には独自の制度として被災住宅再建支援金制度を立ち上げておりますけれども、全壊百万、半壊五十万という額は、被災者にとりましては残念ながら十分なものとは受け止められておりません。建て替えには何千万も掛かる、解体する費用のめどは立たない、この年では借金ができない、そういうお年寄りもいらっしゃるわけなんですけれども、浅野知事は、この事業に掛かる費用については総額十億円程度になるかもしれないということで、現時点では本当に財源がないんですね、それでもやはり非常事態なのでやるというふうに言っていらっしゃるわけなんですけれども。  何といっても、国の抜本的な制度を打ち出すこと、公的支援が大事になってまいります。これは八月二十七日、九月一日の防災前の神戸新聞でありますけれども、大臣のところからお見えになるでしょうか、再出発支援は国の仕事だと、災害議連会長の相沢議員が、個人補償は既に前例ということで、是非こういう形で議員連盟ではやっていただきたいということで住宅再建支援制度ということの充実も訴えられておりますけれども。  来年度の概算要求で、内閣府のこの被災者生活支援制度、拡充して住宅再建制度というのが盛り込まれました。これは全国知事会の提案を受けたものと理解しておりますけれども、この内容について御説明いただきたいと思います。
  74. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 先生御質問のように、私ども、来年度の概算要求に被災者生活再建支援制度の拡充というものを要望しております。その中身は、従来の生活再建に加えて、従来この問題は住宅再建という形で議論されてきたと承知しておりますが、私どもは考え方として、居住安定支援ということで生活再建支援の一つの延長という形で頭を整理して要望させていただいているものでございます。  少しくちょっと違いますのは、御説明させていただきますと、いわゆる住宅を所有する人、所有しない人、そういうのにかかわらず、それぞれ、例えば持っている人が住宅全壊して再建するようなケース、あるいは補修するようなケース、あるいは賃貸住宅に入っている方がそこが壊れてやはりほかに移らざるを得ないというようなケース、そういうことを想定して、それをトータルにそういう方々に対して支援をしていこうというのが一つでありますし、住宅再建といいますと住宅の金額は極めて膨大になるわけでありますが、基本はやはり自助とか共助というようなことで共済とか保険とかそういうことでカバーしていただくことを前提にして、被災後にそういう住宅の問題について、ある方向に歩み出そうという方に後ろから背中を押すというか、そういう意味で生活再建の一つの延長という形で頭を整理して考えて、イメージして要望をしているということでございます。  ですから、その具体的な中身になりますと、一つの例でありますが、住宅全壊したケースで住宅再建等をされるというケースについては最大二百万円を支給するというようなことを検討しておりますが、具体的にどんな対象経費にするのかとかどういう条件にするのかということについては今後詳細に検討していきたいと思っております。
  75. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大変、二百万円の検討ということでありますけれども、民主党は二〇〇〇年に被災者生活再建支援法一部改正案を提出しておりまして、その内容では全壊は五百万円、半壊は二百五十万円というものでありまして、これでも不足なわけなんですね。やっぱり二百万円は余りにも少ないのではないかというふうに思っておりまして、もう地元の要望を聞きましたら、もう幾らでもいい、数十万円でもいいので先に出してもらえないかというような声も十分に考慮するということを考えますと、大臣、今後の取り組むべき、あるべき姿について、大臣のお考えをお示しいただきたいというふうに思っております。
  76. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 金額につきましては、私も果たしてこれでいいかなという思いはございます。しかし、国の基本的な考え方として、やはり個人の財産というものを国が補てんをしていくということの大原則というものは、やはり明治以来変わっていないところでございます。しかし、こういう世の中、状況というものをやはり勘案をしていかなければならない時代ということも私は承知をいたしております。  ただいま統括官がうまい表現をいたしましたけれども、その生活再建のために国として背中をそっと押してあげるというようなことも、そういう国家としての大事な部分ではなかろうかと思いますので、これを一つの起点として、今後方向が御党お考えのような状況に進むかもしれない、しかし、その間には非常に大きなハードルがあるのではないかというふうに思っております。
  77. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 先ほど御説明を十分にすることができませんでした、お許しいただきたいと思いますが、今回の私どもが要望をいたします背景というか、バックグラウンドとしては、先生先ほどお話がありましたように、知事会の方でお話をまとめていただいたということがございます。知事会の、まだ表に出た正式な数字にはなっておりませんが、この間、内々に御議論をされているベースにはやはり住宅を再建するときに二百万というものを、そういう金額を念頭に置いておられるということを私ども承っておりますので、この制度自身はその知事会で各都道府県の知事さん方が一つの方向性を持って拠出をするということに国が対応していくという基本的な枠組みになっておりますので、そういう意味からこの金額も決めさせていただいている部分もあるということを御承知おきいただきたいと思います。
  78. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 議連の方では、そうした知事のお考えや、それから実際にニーズというようなことを考えますと、持家の全壊世帯に対しては最高五百万円というふうに、既に当初に考えていた額なんですね。二百万円ではなく、本当にそれが必要であるという、滑り出しには、後押しにもこのぐらい必要だというような考えが基本的にあったということをまずお考えいただいて、今すぐにはその回答にはならないだろうというふうに思いますけれども、大臣にもお考えいただきたいと思います。  確かに、正直言って、財政破綻を招きかねない、その額でずっと行ったら大変だろうなということになろうかというふうに私も心配はいたしますけれども、それであるならばなおのこと、この耐震化必要性というのが言われるだろうというふうに思っております。  私自身は、二つの小学校に行きまして、一つは南郷学校。これは、小学校の天井の板が崩れ落ちるということで、みんな避難していたんだけれども、もう本当にきゃあという声を上げて実はこの避難先を中学校に変えるという状況になったわけですね。子供たちを含む、大人たちも合わせて、大変な不安の状況に陥ったということですけれども。  学校自身は日中は子供たちがいるところですけれども、いったんこういうふうな災害が起きますと、それは避難の場所になる、そういう施設だということを考えますと、学校耐震化というのは大変大事になってまいります。  もう一つ行きました北村小学校全壊でしたので、これは建て替えるということで、今、仮の校舎で授業を進めているということなんですけれども。実際に今回こうした被害に遭ったところは耐震改修の校舎ではなかったと。耐震改修が済んでいるところはほとんど被害がなかったという現状であります。  全国を見てみますと、公立の小中学校について、校舎、体育館など十三万一千五百の建物のうち問題がないのは四六・六%、半分それ以下ということの状況なんです。全国の公立、私立を含めた全部の学校耐震化についてはどんなふうになっていくのか、その取組の状況についてお伺いしておきたいと思います。
  79. 萩原久和

    政府参考人萩原久和君) 文部科学省文教施設部長でございます。  学校施設耐震化の現状及び今の取組について御説明させていただきます。  委員御指摘のように、学校施設につきましては、子供たち、児童生徒の安全を守ると同時に、被害があった場合、その地域住民方々の避難場所にもなっておりまして、その耐震化を進めることは非常に大事なことだと認識しております。  それで、まず、全国の学校施設耐震化の現状でございますが、文部省が平成十五年、今年の四月に実施した公立学校施設耐震化状況調査結果でございますが、委員先ほど述べられたように、全体十三万棟のうち約四七%、約六万棟が耐震性のある建物ということでございまして、その裏返しの五三%については何らかの対応が必要ということでございます。また、国立学校施設につきましては今年の五月に調査しておりまして、耐震性のある建物は約六〇%ということになっております。  それで、文部科学省の取組でございますけれども、公立学校施設耐震化が円滑に進みますよう、校舎の耐震補強についての補助率、これ通常補助率三分の一なんですが、これを二分の一にかさ上げしているところでございます。また、必要な予算の確保に取り組んでおりまして、公立学校につきましては、平成十五年度予算については一千百四十九億円計上しておりますが、十六年度概算要求におきまして、対前年度比、今年度比二百九十八億円増の一千四百四十七億円を要求しているところでございます。  さらに、文部科学省としましては、今年の七月に学校施設耐震化推進指針というのを策定しまして、地方公共団体を通じて配付し、その耐震化推進に、進めるよう、積極的に対応するよう指導しているところでございます。
  80. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 一層進めていただきたいというふうに心からお願いをしておきたいと思いますが、病院の方の耐震性も大変重要でありまして、今回は建物に被害を受けて患者さんを別の病院に移したというケースも出ております。命にかかわる問題でありますので、この問題についてもお聞きしておきたいと思います。  これ内閣府での調査では、全国の一万九千五百七十三の建物について耐震化されておりますのは五六・一%にすぎないということでありました。疑問ありとされた建物のうち耐震診断を受けたのは二〇・九%にすぎない。しかも、耐震診断を受けて改修が必要とされた二千三十六のうち八百八十一の建物では改修がされていないという現状でありまして、病院の耐震診断、耐震改修に対する今後の取組についてお聞きしておきたいと思います。
  81. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) お答えいたします。  内閣府の調査医療機関耐震化率が五割強にとどまっているという御指摘のとおりでございます。私ども、医療機関耐震化を進めていくことは大変重要であると認識しております。  現在、厚生労働省として、都道府県を通じまして、災害拠点病院の耐震化事業、それから都道府県の地震防災に関する計画で緊急に整備すべきとされた医療施設についての耐震化事業、そして築後おおむね二十五年以上経過した病院の建て替え事業に対して補助を行っております。耐震化の促進を図っております。今年の二月の二十八日に開催いたしました主管課長会議におきましても、このような補助制度の活用による医療機関耐震化推進に向けて各都道府県に取組をお願いしたところでございます。
  82. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 時間も近づいています。
  83. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 はい、一言だけ。  一番また重要なのは、最初に申し上げました住宅被害が大きかったので住宅の耐震改修が重要だというふうに思っております。  これもやはり地震対策として最優先の課題なんですけれども、耐震化が進んでこなかったということで、国土交通省とはまた、今後の取組について、支援制度であります、都道府県、市町村の支援制度の実績なども実は今日この後でお話をお伺いしたかったわけなんですけれども、是非、この制度の充実と、一層その自治体の中で住宅耐震化、進んでいくような方策を積極的に取っていただきたいことを最後にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  84. 風間昶

    風間昶君 公明党の風間でございます。  まず、台風十号によってまだ行方不明になっていらっしゃる方がいることを思いますと、痛切な思いがいたします。大体、亡くなる場合はいろいろな原因ありますけれども、大体二週間、三週間ぐらいでおなかの中のガスが相当膨脹してきて、あれしてくるんですが、そういう意味では、まだ見付かっていないのは何らかの原因があるのかなというふうに思っております。  それはともかくといたしまして、台風十号による被災地、日高を二回ばかり見させていただきまして、視察してまいりましたけれども、ほぼライフラインの大本は復旧済みになっております、電気あるいは電話。しかし、まだ道路については、先ほども議論がありましたように、国道は復旧済みなんですけれども道道はまだ残っております。未復旧がありますし、特に八路線九区間ということで、大変これもまた地域の人にとってみれば生活道路になっているわけであります。そしてまた、鉄道も橋げたが一個流失しているものですから、それを合わせると、あの日高線で、一両編成の列車でありますけれども百二十か所で被害が出ておって、その復旧工事も今されていると。それから、水道もまだ断水になっているお宅が百三十九戸ぐらいある状況の中で、一刻も早い復旧が望まれるところであります。  そこで、復旧工事に当たりまして、道の管理する河川やあるいは道路において流木の撤去が必要なんですけれども、問題は、点在して流木が堆積しているものですから、点在する堆積箇所を一括して採択してもらえないかというのが北海道からの要望が上がっていると思います。  すなわち、現行の災害復旧事業の採択基準は、堆積場所の距離が百メーターを超えたときは別の場所と、別箇所の扱いになっていて採択されないという問題があります。しかし、今回の台風十号の場合は、点在する流木の堆積箇所が多くて、現行の基準だと採択の基準にならない箇所が多いということを北海道としても危惧しておりまして、これ手続上財務省との立会いも必要なのかもしれませんし、直ちに弾力的運用というのは困難な可能性もあるわけでありますけれども、そういう意味で、是非この流木除去の、今の現状に合わせて今後の処理方針についても、北海道からも報告が上がっていると思いますので、今現時点で国で把握している状況を教えてもらいたいと思いますが。
  85. 清治真人

    政府参考人清治真人君) 北海道からの報告によりますと、このたびの台風十号による災害におきまして、日高地方を中心にいたしまして河川道路等公共土木施設に膨大な量の流木等が堆積するなど、甚大な被害を受けているという報告を受けてございます。  堆積しております流木等につきましては、北海道等におきまして交通に支障になる流木、それから河道内に堆積しましてその後二次災害を引き起こすおそれのあるような流木、これらにつきましては、緊急を要するところから順次除去を実施しているところでございます。これらのものにつきましては、今後適切な災害査定を行うために堆積状況が確認できる資料が必要になってまいりますので、その整理につきまして依頼をしているところでございます。  また、災害復旧事業におきます流木等の除去につきましては、被災した施設復旧に合わせての除去でありますとか、あるいは崩壊した土砂と併せて除去等を行う等によりまして、今後、おりますので、ほかの災害復旧の工事がどのように査定されるかということも関連してまいります。  今後、施設管理者であります北海道等を通じまして、流木等の堆積状況を更に確認の上、施設復旧等とも併せてできる限りの対応を今後講じてまいりたいというふうに思っております。
  86. 風間昶

    風間昶君 JR日高線の方も大変な、百二十か所に被害が上っておるものですから、被害額もまだ全体として把握し切れていない、確定していないわけでありますけれども、地方のローカル線であるわけでありまして、特にお年寄りが、車のない方々が病院の通院、あるいはそれから中学、高校の通学、この足としてもこの日高線は欠かせないものでありますけれども、そういう意味では一日も早い復旧をしていただくことが大事だと思いますが、鉄道災害復旧の補助制度と、それに伴っての復旧の見通し、これについてもちょっとお伺いしておきたいと思いますが。
  87. 丸山博

    政府参考人丸山博君) まず、鉄道の災害復旧の補助制度についてお話を申し上げます。  鉄道軌道整備法という法律がございまして、それに基づきまして鉄道災害復旧事業費補助という制度がございます。これは、災害復旧に掛かりました費用に対しまして、国、地方公共団体とも二割五分以内において補助することができるという制度的な枠組みになっております。  それで、今般の日高線の災害でございますが、先生からも御指摘ございましたように、節婦—新冠間の新冠古川橋梁の橋脚が流失したというものを始めといたしまして、百二十か所にわたりまして土砂の流入でございますとか路盤の流失等の被害が発生したところでございます。  復旧の見通しでございますが、土砂の流入等につきましては今月中に復旧の予定でございます。ただ、新冠古川橋梁の橋脚につきましては、工事に着手したばかりでございまして、応急復旧が十月の中旬ということで、本格的な復旧はその後となる予定でございます。  鉄道局といたしましては、JR北海道日高線の復旧事業につきましても、先ほど申し上げました鉄道災害復旧事業費の補助の適用を含めまして、適切に支援をしていきたいというふうに思っております。
  88. 風間昶

    風間昶君 もたもたしていると雪降ってきまして、これまた復旧が大変になるものですから、本当に大変御苦労掛けますけれども、急いでやっていただきたいというふうに思います。  それから、水道でありますけれども、水道も、特に日高地域は沿岸に国道があって、そこから要するに競馬馬を産地としているところが圧倒的に多いんですけれども、どんどんどんどん国道から道が奥へ奥へ入っていって、それで奥の途中でバイパスのように道路がなっていると。つまり、こういう感じに、コの字形に道路が付いているという状況なんです。  それでも更にまだ奥に道路が林道の形になってあったりしているわけでありますけれども、民家が点在しておりまして、大体一軒の農家で、農家というか特に牧場、牧場というか馬をやっていらっしゃる方は五頭か六頭前後ぐらいを育成しているわけでありますけれども。水道も町営のものとそうでないものがあるんですが、共同水道のものがあるんですけれども、特に町営水道、これは国がどうこうするということについてはなかなか難しいかもしれませんけれども、町営の水道の復旧について、政府に対して、国に対して補助依頼があったと思うんですが、ここの部分について復旧の見通しがどうか、伺いたいと思います。
  89. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 御説明申し上げます。  台風十号によりまして、北海道内では八百六戸で断水が発生いたしましたところでございますけれども、八月二十九日までにすべての断水が解消されたところでございます。しかしながら、九月九日十五時現在、そのうちの三十四戸につきましては飲用に向かない給水が続いているところでございまして、飲用以外の生活用水として使用されているところでございます。この三十四戸につきましては、町により給水車で必要な飲用水を確保するとともに、現在水質の回復状況を随時確認しているところでございます。今後、水質が回復し次第飲用として使用を開始する予定でございます。  以上でございます。
  90. 風間昶

    風間昶君 次に、農業被害ですけれども、先ほども議論がありました。  農地被害については、農業用施設に比べて補助率が低いから農家の負担が非常に大きいということはもう前から言われているんですけれども、そしてまた、今回、災害被害査定もかなり時間が掛かっているようでありまして、結局、被害の査定の確定が遅れると来年の営農にも差し障るということになってまいります。  思い起こせば、鳥取県の西部地震のときにもかんがい設備の査定が遅れて、たしか一部でしたけれども稲作への影響が出たことも忘れることはできないわけでありますけれども、特にこの日高は馬産地でありますから、牧草地が多いわけで、牧草地は大体九月の中、来週辺りから来月、十月の半ばぐらいまで種まきができると来年の秋の牧草が今度刈れる、牧草刈り入れができるという構図になっていまして、ですから、復旧工事をしていただく上でも、とにかく手続を簡素化していただきたいというのが率直な要望でございます。  そして、スピーディーな復旧をお願いしたいということでありますけれども、どんな措置が実際に可能なのかということをまず教えてもらいたいと思いますけれども。
  91. 中條康朗

    政府参考人中條康朗君) 農地農業用施設災害復旧につきましては、まず北海道から災害復旧事業計画概要書などの図書を提出していただくことになるということになりますが、これらの図書が提出されました場合には、速やかに災害復旧事業が実施できますように、迅速かつ的確な災害査定の実施を行っていきたいと思っております。これが原則でございます。  今ほど御指摘がありましたように、緊急を要する場合、特に、緊急に復旧すれば作付け時期に間に合う農地復旧等につきましては、この査定前でありましても応急工事を行うことを認めております。実は、北海道からの報告によりますと、これに基づきまして既に復旧工事に着手しているとのことでございます。  いずれにしましても、今後とも北海道と十分連携を取りまして、速やかに災害復旧が行われますように努めてまいる所存でございます。
  92. 風間昶

    風間昶君 農業もそうなんですけれども、もっと支援が薄いのは漁業でありまして、日高は、あそこは結構いろんなものが取れるんですけれども、アキシャケの遡上もこれから時期的になるわけでありまして、ふ化場などの施設復旧も、かなり今回の台風十号で傷められております。  それを是非やっていただきたいということと、もう一つは、海流の関係で、日高の河川から海に流れ出た流木や細かな枝が上がっていく、暖流の影響で苫小牧の方に流木が相当広がっておりまして、日高の方における漁具あるいは漁港の方の問題と、そしてその流木の問題とがあるわけでありますけれども、そういう意味で、漁業共済とかあるいは融資制度の活用などによって漁業者の支援制度の機動的な対応が必要だというふうに思っておりますけれども、ここの部分については現時点では可能ですかね。水産庁にお伺いしたいと思います。
  93. 川口恭一

    政府参考人川口恭一君) 台風十号によりまして、胆振管内の鵡川ですとか日高の管内の門別、網走管内の斜里町、こういったところのサケのふ化場施設、五か所ぐらいでございますが、冠水したり土砂が流入ということで被害が発生しているという報告北海道から受けております。  こういった施設につきましては、現在社団法人の北海道さけ・ます増殖事業協会、こういったところが、事業主体が復旧工事を行っておりまして、大体アキサケの遡上の時期に伴って必要となる施設はすべてサケの遡上してくる前に、事業が始まる前に復旧することができるというふうに聞いております。  こういった施設につきましては、農林水産施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律というのがございまして、これに基づく災害復旧事業の実施を北海道とも協議をしてまいりました。そういう中で被害を精査していきますと、被害額が小さいということもございまして、この事業による補助申請は行わないという北海道からの報告を受けているところでございます。  いずれにしても、サケ、マスのふ化放流事業に支障が生じませんように、北海道とも十分連絡を取って対応していきたいというふうに考えております。  それからもう一点、漁業者の言わば支援措置というところでございますけれども、目下のところ、昆布ですとかあるいはホタテガイですとか、こういった漁業でも被害があったという報告北海道から受けております。  一般的に申し上げますと、被害を受けた漁業者に対する支援という側面で委員御指摘のように金融面あるいは共済面といったような支援の仕組みがございまして、被害を受けた施設については漁業近代化資金あるいは農林漁業金融公庫の施設資金といったもので資金を融通したり、あるいは災害被害を受けまして収入、漁業収入が減少したというような場合には、経営が困難になっている漁業者の経営再建費、あるいは収入減の補てんという面で農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金、こういったものの融通を行うということができる仕組みになっております。是非こういう資金を必要に応じ活用をいただきたいと思います。  それから、被害を受けました漁業者に対する資金の円滑な融通あるいは貸付資金の償還の猶予といったような面につきましては、既に先月中旬に関係金融機関に依頼をしたというところでございます。  さらにもう一点、自然災害で発生しました漁業被害という面では、漁船の場合でしたら漁船保険制度で漁船について生じた損害に対して、あるいは漁業の共済面では漁具について生じた損害あるいは漁獲金額が減少したといった場合の損失について加入者に対する補てんが可能というような仕組みになっております。
  94. 風間昶

    風間昶君 二風谷、国営直轄の二風谷ダムの流木対策について先ほども中川委員から質問がありましたけれども、私、四万八千立方メーターと聞いていましたけれども、既に七万立方の流木が流入しているというふうに、刻々増えているんだなというふうに思っていますが、いずれにしましても、災害時の廃棄物は流木だったとしても、復旧優先するために昔燃やして、焼却処理していたと思いますが、今回のこの七万立米の流木というと、四十年分を上回る流木をすべて焼却するということは大変これ厳しい、焼却もしするとするならばですよ、厳しい話で、リサイクルの観点からいってもあるいは地球温暖化防止の観点からいっても望ましいことではないと思います。  幸い、部分的でありますけれども、苫小牧にある王子製紙さんがこの流木の受入れに前向きの回答を示してくださっていますので多少助かっていますが、流木をチップにするときにいろんなものが絡まっておりますので、刃こぼれが、刃が折れるということの問題点もどうもあるようでございまして、砂かんでいますので、流木の中に土砂や砂がかんでいるので、それをしかしやってもらっている、処理をしてもらうように要望したいわけでありますが、問題はその後チップになったということの再利用を、例えば競馬場の馬場にこのチップを使うとか、あるいはそんなに数は多くないかもしれないけれども、大変今、園芸部分も含めて木のオブジェが多少注目を浴びているわけでありますけれども、そういうことも考えて、国がやれと言うわけにいかぬけれども、引取り手もそういうことも考えるとあるのではないかというふうに思います。  そういう意味では、総合対策としてこの流木を再利用する方向でどうできるかなということが一つはまた大事なことではないかと思いますので、この部分について具体的な考え方があれば教えていただきたいと思いますし、またそれがあるとするならばやる気があるのかどうかも含めて教えてもらいたいけれども。
  95. 清治真人

    政府参考人清治真人君) 二風谷ダムには今回大量の流木が流入しまして、先ほど中川委員からもお話しありましたが、下流の洪水災害を未然に防止したという効果はある反面、今お話がありましたように貯水池内にたまって、これがダムの機能を阻害しないようにというようなこともありまして、緊急復旧事業によりまして現在除去作業をしておりまして、ほぼ陸揚げできたような状況になっております。  これは、ダム管理所の構内敷地あるいは平取町の町有地をお借りいたしましてそこに堆積してございますが、これらのその後の処理につきましては、今、委員から御指摘がありましたような再利用ということが非常にいい方策だというふうに思っておりまして、チップ化するということもございますし、あるいは燃料に利用するということもありますが、その他いろんなことをアイデアを出していかなければならないと思っておりますが、総合的な取組としましてあらゆる方策を講じてその再利用にこれから取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  96. 風間昶

    風間昶君 大臣、細かなことばかり伺って恐縮でありましたけれども、この台風十号に伴う被害についての激甚災害の査定、先ほど中川委員の質問に対してのお答えの中で、被害査定のルールにのっとって調査を進めておると。本激になる可能性はあるというふうにおっしゃっていただいたことをまず力強く、有り難いなというふうに思っています。本当に可能性あるのかなという、ここは問題なんですが。  水俣災害では、七月の十八日から二十二日まで起こったあの豪雨による災害で、四十五日目の九月の五日にきちんと激甚災害が公布されました。そのことを、同じとは言いませんが、八月九日に起こったこの台風十号、四十五日と期限を切るならば九月の二十三日には公布されているのかなと、してほしいなという強い願望でありまして、この部分につきまして、細かなことはもちろん査定のすべてが、全容が出てからでないとあれでしょうけれども、大臣としては各省庁皆さん方からのいろんな報告を受けて最終的な政治判断をしなければならないというふうに思っておりまして、その決意と腹のうちを聞かせてください。
  97. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 先ほど中川委員にもいささかお漏らしを申し上げたわけでございますけれども、今の時点で担当大臣として確定をいたしましたと言うわけにはまいりませんので、この辺りはひとつ御勘案いただきたいと思うわけでございますが、九月末に向かって作業を懸命に今各省庁進めておるところでございまして、できる限り御期待に沿えるような方向に向かいたいと存じておるところであります。
  98. 風間昶

    風間昶君 ありがとうございます。  台風十号による被害もそうですが、先ほども岡崎委員からありました宮城県の北部地震について少し伺いたいと思います。  今回のこの宮城県の北部地震は、震度六の地震が短い時間で三回発生したというふうに聞いていますし、そうすると、現在の耐震基準はそういった短時間に何回もの揺れがあるということを想定して作られていないのではないかというふうに私は思うんです。したがいまして、今回のこの地震をきっかけに耐震基準そのものの見直し条項にこの短時間における数回、かなり震度の大きい、マグニチュードの大きい地震に対しての耐震基準の項目にこれは入れるべきではないかなということが一つの考えとしてあると思います。この部分について、まずは住宅局長に伺いたいというふうに思います。  それから、先ほども病院の問題が出ていましたが、正に町立鹿島台国保病院の被災において人災がなかったのは幸いでありましたけれども、災害復旧における公立病院の改修工事に当たっての補助とか起債について、きちっとこれはなっているのかどうかということが今後の問題にもなろうかと思いますので、これは医政局長にもお伺いしたいと思っております。財政的な問題ですから、これは自治財政局長さんにも伺いたいと思います。  この三点、お願いします。
  99. 松野仁

    政府参考人松野仁君) お答えいたします。  現在の建築基準法におきまして、耐震基準がございます。これは、適正な設計あるいは施工が行われていますと、阪神・淡路大震災のような震度七程度で極めてまれな大規模地震に対しても、人命に危害を及ぼすような被害を生じないということを目標として定められております。しかも、建物に与える地震のエネルギーというものがございますけれども、これは震度六と七では相当その差がございます。したがいまして、今回のような震度六程度の地震が複数回生じても、今の耐震基準を満たしている場合については倒壊しない基準であるというふうに基本的に考えております。
  100. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 地震等で公的な医療機関被害を受けた場合の補助について御説明させていただきます。  私ども、医療施設災害復旧費補助金という補助事業がございます。被災部分の復旧に要する工事費あるいは工事請負費の補助を行っております。お尋ねの鹿島台町国保病院を始め幾つかの医療機関災害復旧に要する費用について、現在宮城県で調査中と聞いております。宮城県からの報告を受け次第、被害を受けた施設の実地調査をして被害額の確定をしたいと考えております。
  101. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 災害によりまして被害を受けました病院施設につきまして災害復旧事業として改修を行う場合の財源措置についてのお尋ねでございますが、地方が負担する部分につきましては、公営企業災害復旧事業債という制度がございまして、負担部分につきまして一〇〇%充当できる制度を持っております。なお、その元利償還金の財源に充てますために一般会計から病院事業特別会計に繰入れが行われました場合、繰り入れた額の二分の一につきましては特別交付税の措置対象とすることといたしているところでございます。
  102. 風間昶

    風間昶君 北村副大臣にもおいでいただきましたのであれですが、災害後の、何といいましょうか、改修というのは、復旧という名前のとおり、原形、元の形に戻すということが、原状回復が主な目的でありまして、そういう意味では、何十年に一遍とかあるいは何年に一遍に起こってくる災害が起こるたびごとに、また同じような災害が起こったときに、同じような被害を受けるのではないかというふうにみんな危機管理上意識持っていなければならないわけでありますけれども、そういう意味で、例えば、改修の際に知恵を出して耐震強化を図るとか、あるいは台風の時間雨量が百ミリに近いようなときにはどうするかというシミュレーションした上での改修を考えておかないと、それはコスト掛かるかもしれないけれども、結果的には、だけれどもそれはコストが安くなると、結果的には。  ということを考えて、やっぱり災害に強い国土、火山列島であり、とにかく断層がずれているのであり、もう掘れば温泉だけれども、一触即発、爆発が起こるという、こういう日本の要するに国土の、要するに防災国土軸みたいなものを、それぞれ南海地震や東南海地震における対処はいろいろあるけれども、東海地震もあるけれども、全体として、日本が細長い列島の中で防災国土軸という概念をやっぱりきちっと各省庁を督励して、鴻池防災担当大臣がいわゆる防衛対策、政策じゃなくて、防災政策、これを是非しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いまして、最後に大臣の御所見を三十秒ぐらいで、もう時間ないから、お願いします。
  103. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 委員おっしゃるように、日本列島はあらゆる災害の対象となるような地形であります。今も沖縄に台風がうかがっていると、このような感じであるわけでございますが。災害は人手によって、人の手によって止めるわけにはまいりません。しかし、人の考え方あるいはその行動によっていわゆる予防ができる、あるいはそれを最小限に食い止める、こういうことができるわけであります。それがまず一つ。  そして、発災のときにいかがするか。自助、共助、公助、こういうものの在り方というものをしっかり考えて、日々緊張感を持って国民全部が備えなければならないと、このように思っております。  以上です。
  104. 風間昶

    風間昶君 ありがとうございました。
  105. 紙智子

    紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  それで、私も台風十号に関連して御質問させていただきたいと思います。  八月十日に現地に行きまして、まだその時点では水も引かないで寸断されていて行けない状況であったわけですけれども、それから再び行ってまいりまして、門別、そして平取、新冠ということでぐるっと回ってまいりました。  その上に立って、やっぱり今すぐにやらなきゃいけない、急がなきゃいけないことは何かという問題と、それから、やっぱり被害を拡大させたその要因にかかわる問題と、それから、今の制度の中ではなかなか救済できない問題ということで御質問させていただきたいと思うんです。  それで、今直ちにやらなきゃいけない中身としては、既に北海道のお二人の方も言われていますように、流木土砂が流れ込んで、来年からの営農をやらなきゃいけないと。いかにこれをつなげていくかということでいいますと、早くその除去をしなきゃいけない、種まきもしなきゃいけないと、その期限もあるということで、そこが急がれているわけですね。  私も、もう一か月たつわけですけれども、現地を見ますと、その流れ込んだ、最初は泥だったと思うんですけれども、もう乾いてしまっていて固くなっているわけですよね。その土砂が固くなったところに流木が刺さったような状況になっていて、だから、ちょっとスコップでやるなんという、そういう簡単なことではないなということを思ったわけですけれども、これをやっぱり取り除いて、それで営農に間に合わせるということが本当にできるのかということが心配されていて、それで、先ほども出ていましたけれども、その査定前に着工を認めてほしいという要望が上がって、それを先ほどやり取りをされたら、査定前の着工を今やるようにしているということでもありました。  それで、これとして、このことをやる結果として、確実にやっぱり来年の営農を続け、やれることができるようになるのかどうか、そこのところをもう一度、北村農水副大臣、端的にお答えいただきたいと思います。
  106. 北村直人

    ○副大臣(北村直人君) 委員から御質問のまず一つ目は、査定前でもそれぞれ災害地、被災地等々の事業をやれるのか。それは先ほど北海道中川委員からの御質問にも担当の方から答弁したとおり、査定前であってもこれは認められているわけでございます。しかし、認められているといっても、今多分、委員が心配されているのは、来年の正しく営農に間に合うかどうか、これだけ広大な被害が出ている中で、それが時期までに間に合うかという御心配だと思っております。  我が省においても、査定前に認められているこの事業等々を速やかにやることによって、来年の営農にいささかもこれに劣ることのないように万全を期してまいりたいと、このように思っておりますが、まずは北海道と十分な連携、協議を進めさせていただいて、どこからこれらを着工していけばいいのかということも含めて、北海道の考え方を、お考えを聞かさせていただきながら、我が省として万全の対策を取らさせていただきたいと、このように思っております。
  107. 紙智子

    紙智子君 是非、現地の皆さんも安心するように、それがやっぱり大きな励みになると思いますので、進めていただきたいというふうに思います。  それから次に、これも先ほど質問でも出されていたんですけれども、やはり、自治体が早く仕事の設計をやるということになりますとやっぱりお金が掛かると。それで、査定の設計委託のこの委託費ですね。新冠、門別、平取町、それぞれ本当にどこでも何億というお金がそのために掛かるということなんですけれども、このやはり負担ですね。激甚災に指定をされたとしてもこの部分についての国の補助というのは三割あればいい方だと。そうすると、残りはあとすべて自治体負担になるということで、町の財政が大変圧迫されるという話があります。  それで、なぜなのかということですけれども、結局、今、設計委託費というのが高くだんだんなってきているわけですよね。ところが、国の方の、この国の補助限度額ですか、ここはこの間ずっと変わらないままで来ているということがあると思うんです。それで、ちょっといろいろ聞いてみたんですけれども、委託費というのはどのぐらい掛かるものなのかということで聞きますと、いろいろ様々ではあるんだけれども、大体例えば一〇%ぐらい掛かるとすると、そのうち国の補助分というのは高くても二・七%ということですから、そうするとやっぱりそこの差額のところが自治体の持ち出しになると。そうすると、やっぱり規模の小さな自治体としては、これは額で見ても相当大変なんだということだったわけです。  それで、この査定の設計委託費などの要綱を決めているものがありますけれども、これについて、昭和五十一年ですか、改定でもって国の補助率を引き上げたことの経過があったということなんですけれども、そのときにはやっぱり実際に委託する委託費とその実態とがかみ合っていないというのか、かなり差があったということの中でそこを改定した経過があったということを聞いたんですけれども。それからもうしばらくたっていまして、やっぱりいろいろ状況も変化してきている中で、この見直しといいますか改定を、実際に自治体の皆さんの話もよく聞いて、今の実態に合うように変える必要があるんじゃないかというように思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  108. 清治真人

    政府参考人清治真人君) 今お話のございました国庫負担申請のための査定設計書の作成等に要する費用でございますが、これらは基本的に地方公共団体の負担ということになっているわけでありますが、非常に大きい災害を受けた場合には、これは自治体の処理能力ということもあろうかと思いますが、被災箇所が非常に多くなると。それから、一般的な工法でないような、特殊な工法等も使っていかなければならないというようなこともありますので、これらに多額な費用を要するということが出てきているかと思います。  これらにつきましては、一定のものにつきましては、調査、測量等に、委託に出さなければならないものにつきまして、これらについて補助できるということになっているわけでありますが、これらの今までの制度の見直しの経緯も今、委員から少しお話がございましたが、拡充していくという取組はこれまでもやってきているわけでありますが、これからその実績、実際に設計、調査に掛かったものがどのぐらい掛かるのかというようなことでありますとか、あるいは地方公共団体が抱えている現在の実情、こういうものにつきましてよくそれを踏まえた上で制度の活用というのを図ってまいりたいというふうに思っております。  そのことによりまして、地方公共団体の財政負担の軽減に資するような努力は今後も講じてまいりたいというふうに思っております。
  109. 紙智子

    紙智子君 新冠町の場合ですと、その予算規模というのは大体、町全体の予算規模ですけれども、五十三億円くらいであるわけですよね。それで、そういう中で今回の総被害額が百六十億円になっているわけですよ。で、設計委託費に六億、予算を組まなきゃいけないと。そうすると、持ち出しが四億何がしということを言っていましたけれども、既に住民の住居の問題ですとか生活にかかわる問題で、もう一億はそのためにいろいろ対策で使っているということなんですね。  そうしますと、本当に地方財政も今厳しい中で大変だということなんですけれども、交付税ですとか、それから起債許可などを含めていろいろ方法を駆使していただいて、自治体への財政支援をやっていただけないかということで、これ、鴻池担当大臣にお聞きしたいと思いますが。
  110. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 災害からの復旧につきましては、公共土木施設災害復旧事業、あるいはただいま農林水産大臣がおられますけれども、農林水産施設災害復旧事業など、様々な支援制度があるわけでありまして、これらの事業はできるだけ早期に行う必要があるということから、通常の事業の場合に比較いたしまして高率の国庫補助が適用されているという現実がございます。  また、先ほど来の御議論の中に甚大な被害の及びました災害に対して地方財政の負担を緩和すると、こういう観点から激甚災害という特別の財政援助があるわけでありまして、これが適用されれば国庫補助率のかさ上げ等が行えるわけであります。  政府といたしましては、これらの制度によりまして災害復旧復興事業の実施について十分な対応が可能であると考えております。
  111. 紙智子

    紙智子君 激甚災に指定されてやられる分、で、その掛からない部分といいますか、それでもなおかつやっぱり大変だということでもありますので、各省庁連携しながら何とかひとつ考えていただきたいというふうに思います。  それから、早急にやらなきゃいけないというふうに思うもう一つの問題は、やっぱり海岸に来ている流木の問題ですね。  ちょっと小さくて見えないんですけれども、実際に写真を幾つか撮って、今の段階で苫小牧の岸壁のところにテトラポットの上だとか一杯たまっているわけですけれども、これ、しけが来ますとまた海に出ちゃいますから。そうすると、先ほどもお話があったように、網に掛かったり、あるいは苫小牧の漁協なんかでは船にぶつかってスクリューが傷んだりとか、そういうことも出てきているんですね。二次災害になる心配があると。すぐこれは撤去しなきゃならないということなんです、また海に出ていく前に。  すぐやっぱりやらなきゃいけないわけですけれども、港があるところは管理する人たちが撤去しているんです、今。ところが、胆振海岸に打ち上げられたものというのは、大体、苫小牧から白老川、北村大臣なんかはよく御存じだと思いますけれども、のところに上がっているものがそのままになっているんですけれども、ここは直轄海岸事業ということで採択されている国の管轄でもあると思うんですね。それで、国としてどうするのかということについて、急いでやらなきゃいけないということなんで、その対応についてどうなのかということでお聞きしたいと思います。
  112. 清治真人

    政府参考人清治真人君) 今お話のありました胆振海岸は、侵食が激しいということで昭和六十三年から直轄の海岸保全施設整備を行っているところでありますが、今回のような流木がたくさん漂着したときにどうするかということにつきましては、海岸管理者であります北海道の方が、制度としてございます災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業というのがございますので、それによって除去するという方針を立てられた場合には、今回漂着しております流木規模等からいきましてそれに合ってくるものだというふうに考えておりますので、北海道の方からそういうお話がありました場合には、国の方としましても最大限の御支援をしてまいりたいというふうに思っております。
  113. 紙智子

    紙智子君 今はそういうふうにお答えになるわけですけれども、要は、ボールの投げ合いをやっていると片付かないわけですよ。ですから、やっぱり急いでやるということでは、そこのところはボールの投げ合いじゃなくて早く処理を、相談するならするということも含めて処理をしていただきたいということなんです。  それから次に、被害を増幅させた原因になっている問題ですけれども、日高地方の被災地域を回って、改めてぐるっと回って、そのすさまじさということを私も実感いたしました。とにかく、本当に流れ込んだ流木といいますか、根っこの付いたままのものがごろごろとその辺に散らばっているということですし、そこには根の付いたものもあれば、さっきもお話ありました柳のようなものもあれば、切った跡のあるそういう、恐らく切ったものが落ちてきたんだろうというものもあれば、様々なんですけれども、混じり合って、本当に橋の欄干のところに詰まったりということで、これがやっぱりびっしり詰まったわけですから、こうなればもう水は流れないということははっきり分かるし、それからその塊が流れていってどれだけの破壊力を持ったかということも容易に想像できるわけです。  ずっと回った中で、テレビにたくさん出た傾いた家があるんですね、今にもつぶれそうな家があるんですけれども。ここはもう水がずっと来て、それで最後は屋根の上に上って助けを待っていたわけですけれども、もう最後の瞬間に流木が流れてきて、このままだったら家がもうそのままぶつかって壊れてしまうと、助からないというふうに思ったわけですけれども、寸前のところで電信柱が立っていまして、そこに引っ掛かって危うくもう命を取り留めたということでもあったわけです。  それで、改めて今回、この水害を拡大したり災害を拡大するということでは、この流木被害を増幅させたというのが私自身も、さっきも出されていましたけれども、同感なんですよ。本当にそうだなということを実感しているわけです。土木学会の調査団もそういう見解を出しているわけですけれども、そこで鴻池大臣の認識ですね、この災害についての認識についてお聞きしたいと思います。
  114. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 政府といたしましても、先ほど申し上げましたように、視察団を出しましてその報告を十分聞かせていただき、承知をいたしているところでありますが、本委員会の御議論を通じまして、更に私自身も認識を新たにいたしたところであります。  そういう経緯の中から、今後の施策あるいはいわゆる復旧復興につきましては、各省庁連携をより強くいたしましてできる限り御期待に沿えるように努力をするつもりであります。
  115. 紙智子

    紙智子君 流木が本当に大きくしたという問題が大きいわけですけれども、じゃ、この流木というのは一体どこから流れてきたのかということが次に問題になると思うんです。  それで、今日、ちょっとこれ、できるだけ大きい方が見えると思って大きい地図を用意したわけですけれども、(資料を示す)これ、門別町と新冠町の地図なんですね。それで、こっちの方が太平洋で、大体この黒い線が走っているところに、厚別川です、被害の大きかった厚別川が流れていて、そしてその周辺に被害の大きかった地域がずっとあるわけですね、集落が。それで、この赤で塗ったところは実は国有林なわけです。それで、やはりこの状況で、ここがそれで先ほども資料で、写真回っていましたけれども、林道の、相当あちこちで崩壊がある林道がある場所がこの辺なんですけれども、こういう全体のちょっと位置を知ってほしいと思いまして持ってきたんですけれども、こういうことなわけです。  それで、この図から見ても、やっぱり大量の土砂土砂流木がどこから来たかということでいいますと、これはやっぱり国有林から流れてきているということが間違いないというふうに思うんですね、もう上流部分は一〇〇%国有林ですから。それで新冠と門別で合わせると、国有林の林地崩壊が五十九か所で、林道が五十二か所と。これはやっぱりそういう国有林のところから来ているという問題について認めざるを得ないというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか、北村大臣
  116. 北村直人

    ○副大臣(北村直人君) 先生からのその地図のとおり、国有林、そしてまた民有林も入ってございますけれども、今回の被害全体の中では大体ほぼ半々にはなっておりますけれども、特に大規模林道を含めた林道も災害が大きいところについては国有林があるということは承知をしておりまして、この国有林の今後の管理、あるいは、先ほどもほかの委員の方にも答弁をさせていただきましたけれども、京都議定書の三・九%分の二酸化炭素を森林が吸収をしていくということになれば、この管理自体についても、今回の確かに一年間に降る量の三分の一がこの一日に降ったという異常気象ということがあったにせよ、今その異常気象にも耐え得るそういう対策として、北海道ともよく連携をし、そして専門家の方々の御意見を聞かさせていただく検討会を早急に立ち上げて、来週にはその検討会を立ち上げてこの中で議論をさしていただいて、それを基にして我が省における国有林の管理というものについて改めてもう一度考えてみたいと、このように思っているところでございます。
  117. 紙智子

    紙智子君 今、その専門家も入れた合同委員会でというお話もありました。  それで、やはりその作業道を造る場合に、機械を、起重を入れて、それでその木を伐採して引っ張ったりすることも含めて、造ったところがそのままに放置されているところが今回例えば流れてくる道になってしまったという現場もあるわけですよね。  そういう、やっぱり北海道でもそうですけれども、国としてもその国有林の責任を考えて、やっぱりこの後の総合的な対応策でしっかり組んでいただきたいということでは、今お答えもいただきましたけれども、是非そのとおりやっていただきたいというふうに思います。  それからもう一つ、これはまた別の問題なんですけれども、実は沙流川という川が、もう一つ大きな川があります。この沙流川の河口の近くに加工場、水産物の加工場があるんですけれども、加工場を含めてずっと一帯が住宅地にもなっているわけですけれども、ここが非常に水量が増えて浸水したわけですね。それで、ここに、加工場に行きましたところが、実は今回で三回目だということで、ここは沙流川の方が水面が水が増えると高くなって、こっちの方が低くなるわけですね。そうするといつも雨が、大雨が降ると内水がはんらんしてしまって水浸しになっちゃうと。ところが、沙流川の方が水面が高いものですから、そこに流れ出すために水門も開けるわけにいかないわけですね。そうすると、逃げ場がない水が全部そこにたまってしまうということで、排水機場を造ってほしいという要望を以前から出していたということなんですけれども、十年間全然この対策が取られていないということでもあるんですね。  これは多分聞いておられるんだと思うんですけれども、やはり対応策をきちっとしてほしいということが出されていまして、この点について、これ国土交通省かと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。
  118. 藤本保

    政府参考人藤本保君) この先生御指摘の区間につきましては、住宅地や農地に降った降雨が沙流川に流れ込めなくなります、いわゆる内水はんらんが発生いたしまして、地元の門別町長からも大きな浸水被害を受けた地区への排水ポンプの設置について、私ども現地に参りましたときに要望を受けたところであります。  北海道局といたしましても、対策検討必要性については十分認識しておりまして、現在、北海道開発局におきまして内水はんらんの状況について現地調査を進めますとともに、どのような対策を取り得るのかについて検討を行っているところであります。
  119. 紙智子

    紙智子君 それでは次に、今の制度の範囲ではなかなか救済されていかない問題についてですけれども、これも先ほど来お話に出ていましたけれども、住宅の再建費用を補助する支援制度、全壊半壊などの住宅損壊世帯への財政支援を含めた支援の問題です。  それで、今回内閣府として制度を創設して来年度の概算要求に盛り込むということになっているわけですけれども、被災者の立場からは、さっきも議論があったように、まだ十分ではないけれども、しかしそれでも一歩前進だというふうに評価はすることができると思うんですが、問題は、来年度ということですよね。  それで、せっかくそういう考え方を確立しているだけに、今この目の前で起こっている宮城災害ですとか、それから熊本、それから北海道ですね、こういう被災者をやっぱり見殺しにするわけにいかないというふうに思うわけです。そういう宮城熊本北海道、やっぱり同じ思いでいるわけで、その救済の手をやっぱり何とか差し伸べていただきたいというふうに思うんですけれども、この点、大臣いかがでしょうか。
  120. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 委員から一定の評価をいただきましたように、居住安定確保支援制度というものを新たに作ろう、これを含めて被災者生活再建支援の充実を図っていこうと、こういう方向でございます。  現時点のイメージといたしましては、全壊した住宅再建にかかわる経費に関しましては、最大限でありますが、二百万を支給をしていこうと、こういう具体的な考え方もあらわにいたしておるところであります。  また、来年度からの新制度の導入を目指して成案を得ると。これも非常になかなか難しい状況下でありますが、まずこの要求を実現させることに努力を傾けたいというふうに思っております。  そして、それを、それが成った時点で遡及というんですか、ただいまのこの被災者に当てはまらないかということでございますが、お気持ちは痛いほどよく分かるわけでございますけれども、今回の要求にかかわる制度拡充につきましては、これ、委員よく御承知のとおり、長年の経緯がございまして、検討するに、事項が大変多岐にわたっておりますし、また全国の知事会が新たに設置をいたします基金につきましても、これが具体的な決定ということには今のところ、ほぼ把握をいたしておりますけれども、具体的な決定ということがまだいまだに見えておりません。  これが前提となりますので、十二月からの予算編成過程を通じて検討を行って具体化を図っていかなければならないということであります。その後、法改正等を行う必要がありますから、平成十六年度からの適用を実現すること、実現をしていくということだけでも大変な努力が必要でございまして、したがって仮に平成十六年度から制度拡充が実現いたしたといたしましても、それを今回の台風被害地震被害者に適用するということは今のところ難しいとお答えせざるを得ないということであります。
  121. 紙智子

    紙智子君 遡及するのはなかなか難しいというお話なんですけれども、現実にやっぱり救える、そういう実質的な措置を各県でもいろいろ工夫、努力をされているわけですから、そこのところを是非相談して、取れるようにしていただきたいというふうに思うんです。  それから、あと、ちょっと時間の関係もありますので、あとは北村副大臣への質問なので、まとめてちょっとお聞きしますので、まとめてお答えいただきたいと思います。  それで、一つは営農に対しても大きな支援が必要だというふうに思うんですけれども、共済制度がないとか、それから共済制度があるんだけれども入っていないというときには融資でとにかくやるしかないということですよね。しかし、既に前に借りているということの場合はなかなか更に借りることができないと。特に、日高の主産業の軽種馬の関係でいいますと、牧さくとか牧草地、パドックとか厩舎とかですね、こういうのは保険制度、ないわけですよね。  ほかの農家の場合もこの十年間で三回、実は被害に遭ったんだと。その最初に、被害のときに借りたものがまだ全部返し切れないでいるという場合もあるわけです。それで、そういう場合はやっぱり借りることがなかなかできないわけですね。農協も、今、自己資本比率を高めなきゃいけないということでもう締められているわけですから、そういう中で貸出しについても相当慎重になっているわけです。  その中で、やっぱり借りられない人が出てくると。そうすると、もう離農しかないということになりかねないわけですね。やっぱり融資で救済するということでいいますと、やっぱり限界があるわけですけれども、最低限営農を保障する特別の支援策を取れないかどうかと、打つ必要があるんじゃないかということがまず一つです。  それからもう一つは、最近、やっぱり被害対策ということでいいますと、本当に後れた分野じゃないかというふうに思うのは、やっぱり海の問題なんですね。それで、補助があるのは、漁港などの復旧については、施設なんかはこれはあるわけですけれども、あとは何もないと。それで、共済制度なんかも、結局、度重なる被害があると、もう出てこないわけですよね。  それで、今回、シシャモ漁が鵡川の辺りではちょうど時期になるということなんですけれども、そのシシャモの漁のためにも、とにかく何もないから自分たちでとにかくやるしかないということで、自力で今は漁業者の皆さん、やっているわけですけれども、結局、陸上で起こった被害が全部、最終的には川を伝って海に来ちゃうわけですね。終末処理場みたいになってしまっていると。そういうやっぱりいろんなことの犠牲というのが最終的に海に来るという、そういう状況だと思うんです。  それで、海の災害対策をやっぱりいろんな形で打ち立てていく必要があるというふうに思っているんですけれども、その点について、二つお答えいただきたいと思います。
  122. 北村直人

    ○副大臣(北村直人君) 委員から御質問の一つは、確かに金融支援対策はあるけれども、それだけでは非常に経営が難しいのではないかという御質問がございました。  委員御指摘のとおり、この災害が発生したときに、我が省の方は八月十二日付けで、今までお借りをしていたそういう返済をする、そういったものについては繰延べ等々ができるようにそれぞれの金融機関等々にこれは指示をさせていただいたところでまずございます。  しかし、まだそのことについては、この貸し付けされた返済の猶予等の申入れがまだ実績としては九月の十日現在では北海道からの報告にはないということでございますが、今後、北海道等々との協議の中でそれが出てくる可能性はあるというふうに思っております。  さらに、引き続き経営をしていきたいというそういう方々のためにも、例えば、農業の経営維持安定資金あるいは農林漁業施設資金等々で長期低利の制度というものがございまして、その制度を活用させていただくということが現時点では非常に肝要ではないのかなと、このように思っております。その上で、何ができるのかということを北海道とも相談をしながら考えていくことについては、これはやぶさかではないというふうに感じているところでございます。  もう一点、流木によって、海にその流木等々が出ていったことによる漁業者の方々あるいは漁場等々への被害等々について、先ほど事務方の方からの説明の中にありましたとおり、災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業というのは、これは一つにございます。  しかし、これも漁港等々というこの一つの枠の中でやっていかなきゃならない。そういうことについては、なるべくこの事業が少し拡大解釈をしてでもやれるようなことを水産庁に指示をしておりまして、何ができるかよく考えてみてほしいということが一点。  それとは別に、先ほどシシャモのお話がございましたとおり、流木が、これが海の中で漂っているというふうなことについては、一義的には漁民の皆さん方が、例えば白糠漁組ですと、約十トンを超える流木を漁民の方々が船の上にこれを引き上げて、これを陸に持ってきて、漁民の方々が設置をした場所に置いていると。これらについては、先ほども中川委員からも御指摘がございましたが、こういった、ある面では海を大切にしようという事業の中で、平成十五年度通常の事業としてこの事業がございまして、それらをこれらに対応をしていきたいと。  しかし、限られた財源ということがございますので、まずはこの事業の中でいろんなことを考えて、財源も確保しながら、漁民の皆さん方がまずは浮遊しているそういう流木について自分たちの手でこれを港等々に引き上げた場合等々についても二分の一の補助等々の事業に拡大解釈ができるような、そういう対策を取らさせてもらいたいと、こういうつもりで対応をしていきたいというふうに思っているところでございまして、あとは、我が省には直接ではありませんけれども、特別交付税等々で、そういった地方自治体がそれに携わったときのものは政府全体でまた考えていかなければならぬ問題であろうと、このように認識をしているところでございます。
  123. 紙智子

    紙智子君 終わります。
  124. 岩本荘太

    岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太でございます。  おととい三宅島視察させていただきまして、私も初めての島で、大変自然に恵まれているといいますか、こういうところも日本にあるのかなと、何か心の安らぐ思いもしたことも事実でございます。  そんな関係で、今日、先日の今日ですから質問が随分三宅島に集中するのかなと思いましたら、それほどでもなかったような印象が受けるんですが、これは決して三宅島を軽視しているということじゃなくて、見方によってはそれだけたくさんの災害が最近日本を襲っていることじゃないか、襲っているせいじゃないかとつくづく感じるわけでございまして、よく昔は災害は忘れたころにやってくると言われますけれども、最近は忘れないうちに随分やってまいりますので、これは鴻池大臣も大変じゃないかなという気がいたします。    〔委員長退席、理事風間昶君着席〕  この委員会の宿命でしょうけれども、いろいろお話聞くたびに何か心の痛む思いがするわけでございまして、今日も冒頭に黙祷をさせていただきましたし、またたくさんの被害を、被害者の方にお見舞いを申し上げる次第でございますけれども、この災害と、幾ら考えてもやっぱり絶対になくなることはあり得ない、人間の歴史上あり得ないんじゃないかと。これは当たり前のことかもしれませんが、人間自身が文明を求めて自然を征服しようとしているわけですから自然が黙っているわけないわけで、文明が進めば進むほど、またその文明によって引き起こされる災害というのも当然出てくるんじゃないかなと。  したがって、それに対して我々がやれることは、いかにその被害を少なくするかということではないかと思いますが、その点では、大臣もよく言われております、逃げるが勝ちという表現されたか分かりませんが、要するに避難をすることが大事だということでありますし、言うなれば危うきに近寄らずということだと思うんですが、そういうことができるためには、できるためにはやっぱり予知をしっかりして、情報公開といいますか、情報を迅速に伝えるということがまず大事だと思うんですが、その点はかねてからこの委員会でもいろいろ議論されていて、私、今それを取り上げるつもりはございませんけれども。  同時に、やっぱり災害を受けたら、それをいかに早く災害復旧するか。災害復旧といえば原則原形復旧ですけれども、災害がなかったときの状況にいかに戻すかということではないかと思います。  そういう考え方といいますか、私はそういうふうに思っているわけですが、そういう面から、先日、三宅村を視察させていただきましたら、皆様の、関係者の御苦労でいわゆる災害復旧という面ではかなり軌道に乗っているといいますか、進んでいるような印象を受けました。先ほども谷委員の方から御紹介あったと思いますが、砂防ダムを計画五十一か所のうち二十八か所できていると。周回道路も今年度一杯で貫通すると、開通すると。我々も結局周回したわけですから一応もう既に回れるのかなという気がいたしまして、あれ回ってみますと非常にもう便利になって、これなら何でもできるんだなというような感じもするんですけれども、恐らく少し前は、あれがつながっていなけりゃ相当御苦労があったんじゃないかなというような感じがいたします。それが一応ほぼ完成間近になって、ライフラインの方もいわゆる整ってきたというようなことでございますが。  そこで、いよいよこれからが私が考えますには復興の本番だと思うんです。一応今までは壊れたところを直そう直そうと、これはハードの面でいろいろやってこられたわけですから、これからはいかに島民の、生きているソフトな面の島民の生活をいかに原形に戻すかということが大きな仕事になる。これはハードの仕事と比べてかなりいろんな面の要素が入ってきて難しいことではないかなというふうに感じているわけです。  とはいえ、私もいろいろお話聞いて、人為的に、いつ帰せばいいかということはこれは分からない。相手がSO2の火山ガスの濃度がどうなるかということですから、これはなかなか人為的にどうしたらいいか分からない。測定値では減っている傾向にあるということですけれども、いつ生活できるところまで行けるのかどうかということが、そういう人為的にはできないという要素もあるかもしれません。  それと、お話を伺いますと、地域によってガス濃度が随分違う、被害濃度も随分違う。西側で見た木というのはほとんどシラカバ状態だったんですけれども、北部とか東側で見る自然は、本当にここで災害あったのかなと思うぐらい豊かな自然に恵まれておりまして、そういう地域差があるわけでございますね。そういうこともだんだん分かってきた。  それと同時に、お話聞いていますと、やはりこの三年間ずっと島を離れて仮住まいを余儀なくされていた、その精神的な限界がもうそろそろ来ているというようなお話を伺っているわけでございまして、大分この状況が変わってきている。私は私なりに考えますと、精神的な限界が来ているということは、逆に言えば、じゃどうするかと問われたときに、もうおれはこうするんだと、こっちに行きたいという準備がある程度できているんじゃないか、精神的にできているんじゃないかと。最初に被害に襲われたときはまだ分かんない、どうなるか分かんないけれども、今状況をずっと見て、それぞれの人がかなりそういうことがもう分かりつつあるんじゃないかなというような感じがしているのが現実でございます。  それともう一つ、これは災害と違うんですけれども、実はおととい行ったときに警報が発令されるような大雨に遭いまして、川が、道路が瞬時にもう急流河川になるような状況でございまして、それとまた砂防ダムなんかも、私はそういう関係の仕事を今までしてきましたけれども、今まで見たこともないようなすごい激流が、濁流が渦巻いていると。恐らくあれは設計上考えられた流況かなということを疑問に思うぐらいなすごい、これ今日写真持ってこなかったのは残念なんですけれども、一緒においでになった方は皆さんそのことを同意してもらえると思います。そのような非常に自然環境と生活環境としても大変なところと。いろんな要素がここで浮かび上がってきたと思うんです。  したがって、この先この島をどうするか。これはまあ国だからといい都だからといい我々だからといってどうせよということは言えないかもしれませんけれども、少なくとも災害を受けたときと今と状況が変わってきている、その変わったところで次の新しい方向に進み出す手だてをしなきゃいけないんじゃないかなと。そういう意味では、やはり内閣府といいますか、鴻池大臣のところがイニシアチブを発揮していただかなければいけないんじゃないかなというような、こんな思いを持ったわけでございます。    〔理事風間昶君退席、委員長着席〕  私自身、じゃ国としてあそこで何をしたらいいのかなというとなかなか分かんないわけですけれども、そういうような状況でこんな質問するのは失礼かもしれませんけれども、やはり、私も地方行政やってきたことございますけれども、いわゆる災害復旧というのは、これ、何といいますかね、一歩先んじると、イニシアチブといいますか、担当部局が一歩先んじると何の問題も出てこない、皆さん従う。しかし、一歩後れるともう一〇〇%の非難が出てくると。したがって、そういう思いで進んでもらわなければいけない。  そういうことから、まずこれ、事務当局で結構ですけれども、今までの状況をどのように把握されて、この先どんな動きを、今現実にやっておられるのか。  それと、大臣、その後で結構なんですけれども、要するに、今申しましたように、不満が出てからではもう遅いわけでございますので、リーダーシップを発揮されてこの先進んでいかれる、その御決意のほどでも聞かせていただけたらと思います。
  125. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) それでは、まず事務的に私の方からちょっと御説明をさせていただきたいと思います。  先生には私は今大変示唆に富むお話を聞かせていただいたというふうに承りました。やはり三年という月日の重さというのは、私も世の中で大変重いものだという感じがしております。自然相手とはいえ、やはりこの状態の中でも何か知恵を出していかなくちゃいけないという思いは非常に強く思っております。  先生のお話の中にもございましたが、イニシアチブということですね。この点について言えば、やはり国が主体的に行動すべきだというふうに思う反面、基本的には、帰島や島の復興をどうするかということについては、三宅村と島民の方々がまずどう考えるかということを受けて、私どもはそれに対していろいろサポートしていくと、こういうふうな順番になるのではないか。その際にいろんな形でもちろんお手伝いをしていくということは基本だというふうに思っております。  今、三宅村でも、ガスの検討委員会報告というのが今年の三月末に出たわけでありますが、それを具体化するための検討もしておられます。安全確保のためのいろいろなアプローチを今試みておられます。さらに、帰島に向けてはどうやって暮らしを立てていくのかとかいろんな問題が出ておりますので、三宅村の方からもいろんな御相談が参っておりますし、これからも出てくると思います。そういうことを真剣に受け止めて、今後の方向について都などとも十分御相談をしながら進めさせていただきたいと、こういうふうに思っております。
  126. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) 岩本委員の正に多方面からの示唆に富んだ御意見を承りまして、ありがとうございました。  私も昨年九月三十日に防災担当大臣に就任をいたしまして、すぐさま十月早々に三宅島を訪れました。正に今の岩本委員の表現されたとおり、荒涼としたところもあればヤブツバキが見事に咲いている、緑が立派に残っておるところも拝見いたしました。しかし、あれから一年、また合計三年を経たわけでありまして、島の皆様方の御苦労というものは察して余りあるものがあろうと思います。また、本日は熱心に傍聴していただきまして、誠に有り難いことだと思っております。御苦労さまでございます。  ただいま統括官、防災局長がお答えをいたしましたことに大変化はございません。我々は、一日も早い帰島を、全島民帰島を願っていらっしゃる島民の皆様方のお気持ちを大前提として、これを、これを下敷きとして、国としてのできることを一生懸命させていただいているというのがこの三年間でございました。しかし、残念ながら、安全に島民全員が元の場所に戻って生活ができるというようなガスの状況ではないということも現実でございます。  しかし、ただいま岩本委員が御指摘というか、考え方についてのお話がございましたけれども、国としてかくあるべきということを表現する段階ではとてもないと、またそういう状況に立ち至っても我々としては、やはりすべて、すべからく決定をされていくのは島民の皆さん方の御意思であるという、これも大前提に立たせていただきまして、しかしいろんな御意見が出てまいるということも想定をしなければならない。  そういった中で、我々とすれば、東京都と十分連携を保つ、東京都との意見交換をいたしながら、少なくともただいまの御意思のあるとおり、いわゆる島民全員が帰島するという大前提に立っていろんな施策を進めていきたいと、このように考えておるところであります。
  127. 岩本荘太

    岩本荘太君 大臣のお話、大変ありがとうございます。  今の御答弁で、お二人の御答弁で私も分かるんですけれども、私も役人やってきたことがございますので、答弁書くとしたらああ書くのかなというふうな感じもなきにしもあらずで、確かにあれで十分かもしれませんけれども、ちょっと審議官ですか、言われた、というか、まず最初に地元で検討されるという、それは結構なんですけれども、えてして、要するに出てきたものがいいか悪いかという立場でやった場合、こういう災害の原形復旧というときに合うかどうかということなんですよね。  例えば、新しい何か計画を立てるときに、地元が考えてきなさいよと、国が自分の制度でこれがいいかどうかということは判定しますよというんなら分かるんですけれども、この災害で遭われた方々復旧復旧というか元に戻られるとき、いろんなお考えあると思うんですね。大臣、全島が一時、一緒だというのは私も分からないでもないんですけれども、恐らくそうでなけりゃ今まで過ごせなかったと思うんですけれども、この先必ずしもそれで通るかどうかも分からない、いろんな意見が出てくると思うんですね。そういう段階に今来ていると思うんですよ。  だから、そういう段階の中で、例えば、じゃ地元が、荒唐無稽なと言っちゃおかしいですけれども、こうしたいと。例えばどっかにですね、三宅村なるものを作りたいというようなときに、これが本当に可能かどうかということを三宅島が都と一緒に出してきた後に検討するんではもう遅いんですね。  そういう意味で、私は国というのがもう少し前向きに関与をしていただきたい、これは要望にさせていただきまして、御答弁結構ですけれども。  もう一つ、三宅島に関して質問準備してまいりましたので、これはもう少し具体的なんですけれども、ライフラインがこれ回復された、それで生活できると。我々もガスマスク持たせられて行きましたけれども、もう少したてば要らなくなるかもしらぬ。そうすると、当然出てくるのが経済活動がどうかということだと思うんです。  この前もこの委員会で質問させていただいたことがあるんですけれども、特に、先日行ったときに農地復旧についてちょっとお話を伺ったもので、その点についてちょっとお聞きしたいんですけれども、何か、聞くところによると、三宅島、私も農業関係やっていたんですが、いわゆる日本のほかの農地ではほとんど見掛けない切り替え畑という農業をやっているんだそうですね。要するに、畑というのはいや地現象を起こす。長年、永年作できないものですから時々遊ばせなきゃいかぬ。その遊ばせて、ぐるぐる循環させてやっていく農業をやっているんだそうです。日本の国のほかで私は余り例を見ないんですけれども、聞かないんですけれども、ここではそういうことをやっているらしいんですね。そこに、何かお聞きしましたら、オオバヤシャブシという木か草かよく分かりませんが、これを植えるんだそうです。植えますと、これは根粒菌が物すごく発達しているから非常に土壌改良にいいんだと。そういうことで、輪換させてやっていくと。  そうした場合に、こういう場合に当然、農地が今どういう状況かといえば、いわゆる降灰によって埋められている状況で、それを除去するというのが農地復旧の大きな柱になると思うんですけれども、こういう特殊な状態のところで、当然、切り替え畑の遊んでいると見られる農地でないところも当然復旧してもらわないと農業として成り立たないということになるわけですから、こういうところも復旧の対象にしてもらえるのかどうかということを非常に心配している声があったわけです。恐らく、農地にしても、今やっと改修道路できたわけですから、細々としたところまではなかなかまだ見切れてないと思いますけれども、こういういろんな面がこれから出てくると思うんですけれども、その辺の特殊事情ということも十分考えてもらいたいなと、こういう気がするんですけれども、こういうものに対する対応としてはどんなお気持ちか、御答弁をお願いいたします。
  128. 中條康朗

    政府参考人中條康朗君) 今、農地農業用施設災害復旧についてお話ございました。平成十四年の十二月四日に三宅村長に答申されました三宅村復興基本計画というのがございます。この計画に基づきまして、帰島後三か年以内にこの復旧事業を実施するというふうに聞いておりますけれども、今後、村民の帰島が決定しました後に、地元の方から準備が整ったものから災害復旧事業制度に基づきまして申請が上がってくるものというふうに承知をしておりまして、その申請が行われましたときに速やかに災害査定を実施するよう努めてまいりたいと思っております。  また、委員の方から切り替え畑の話がございました。今ほど御紹介ありましたように、切り替え畑と申しますのは、五年、十年を一つの期間としまして畑と林地を繰り返し使っていくというものだそうでございますけれども、この切り替え畑に係る休耕地につきましては、耕作しようとしますといつでも耕作し得る状態にある土地でありまして、この場合に一定の要件を満足するものにつきましては災害の補助の対象にしております。  ちなみに、昭和五十八年に火山噴火災害がございましたけれども、この場合に、島の南部に坪田、それから阿古という地区がございまして、そこにやはり一部大量の降灰がございました。その場合に、切り替え畑百十六ヘクタールを含みます百八十九ヘクタールの農地復旧をした実績がございます。
  129. 岩本荘太

    岩本荘太君 よろしくお願いいたします。  切り替え畑もさることながら、やっぱり地域によってはそれぞれの特殊事情というのは随分あると思いますので、そういうものも柔軟に、何も農地ばっかりに限らず、柔軟に対応していただきたいということを要望させていただきます。  実は、あと一つだけ気象庁があるんですけれども……
  130. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 時間が来ていますので。
  131. 岩本荘太

    岩本荘太君 ちょっと、時間が一分しかないですね。御答弁要らないんですけれども、ちょっと私の疑問といいますか、一つだけお聞きしておきたいんですけれども、どうも何か、地震の予知についてですね、いわゆる東海沖地震ですか、東海地震は予知できるということで、恐らくいろんな予算付けなりしていろんな予知の施設を造っていると思うんですけれども、それが起こる前に各場所で物すごいいろんな大被害が起こっているわけですね、阪神にしろ宮城県にしろですね。そういうところに対する対応というのはどうなのか。いわゆる東海沖だけしか予知できなくて、ほかは予知できぬのかですね。それで、また、ほかでできないからやらないのか。あるいは東海沖だけやっていればいいと思っているのか、その辺が……
  132. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 質問じゃなくて、まとめていただけますか。
  133. 岩本荘太

    岩本荘太君 その辺が私は非常に疑問に思って前回も質問をしたんですけれども、それが分からなかったので、それが質問でしたということを予告いたしまして、次にいたします。  どうもありがとうございました。
  134. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  135. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 委員異動について御報告いたします。  本日、風間昶君が委員辞任され、その補欠として日笠勝之君が選任されました。     ─────────────
  136. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 福本潤一

    委員長福本潤一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事日笠勝之君を指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会