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2003-07-03 第156回国会 参議院 国土交通委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年七月三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月二日     辞任         補欠選任      田村 公平君     椎名 一保君  七月三日     辞任         補欠選任      富樫 練三君     小泉 親司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤井 俊男君     理 事                 脇  雅史君                 山下八洲夫君                 森本 晃司君                 大江 康弘君     委 員                 岩城 光英君                 木村  仁君                 沓掛 哲男君                 斉藤 滋宣君                 椎名 一保君                 鶴保 庸介君                 野上浩太郎君                 松谷蒼一郎君                 吉田 博美君                 吉村剛太郎君                 池口 修次君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君                 続  訓弘君                 大沢 辰美君                 小泉 親司君                 富樫 練三君    国務大臣        国土交通大臣   扇  千景君    副大臣        国土交通大臣  吉村剛太郎君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       岩城 光英君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        警察庁警備局長  奥村萬壽雄君        総務大臣官房審        議官       岡本  保君        国土交通省総合        政策局観光部長  金澤  悟君        国土交通省鉄道        局長       石川 裕己君        国土交通省航空        局長       洞   駿君        国土交通省政策        統括官      鷲頭  誠君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     黒野 匡彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○成田国際空港株式会社法案内閣提出、衆議院  送付) ○航空法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二日、田村公平君が委員辞任され、その補欠として椎名一保君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  成田国際空港株式会社法案及び航空法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会警察庁警備局長奥村萬壽雄君、総務大臣官房審議官岡本保君、国土交通省総合政策局観光部長金澤悟君、国土交通省鉄道局長石川裕己君、国土交通省航空局長洞駿君及び国土交通省政策統括官鷲頭誠君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  成田国際空港株式会社法案及び航空法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会新東京国際空港公団総裁黒野匡彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 成田国際空港株式会社法案及び航空法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 どうもおはようございます。自由民主党の野上浩太郎でございます。  今日は、成田国際空港株式会社法案航空法の一部を改正する法律案、この二法案一括審議でございますが、冒頭、ちょっとお許しをいただきまして、私の地元富山県の富山湾沖に先週まで停泊をしておりました北朝鮮貨物船スーヤンサン号のことについて若干お聞きをさせていただきたいと思います。  このスーヤンサン号につきましては、先週の木曜日まで十六日間にわたって停泊をしておりました。当初、国からの大変迅速な情報伝達もございまして、地元にとっては、この十六日間、大変緊迫をした十六日間でございましたが、県におきましては、ポートステートコントロール、こういうことの原則にのっとった対応をいたしまして、また県の条例などを適用どもいたしましてこの対応を貫いたということでございまして、私自身はこの対応を高く評価をしたいというふうに思っておりますが、扇国土交通大臣、この一連の対応についての御所見をお聞かせ願いたいと思います。
  9. 扇千景

    国務大臣扇千景君) おはようございます。  今、野上議員から過日のスーヤンサン号のことをお聞きになりましたけれども、元々この船は既に、今年の三月だったと思いますけれどもポートステートコントロールをいたしました。そのときに十四項目にわたる改善命令、これ十四項目言っていると時間がなくなりますのでやめますけれども、いわゆるポートステートコントロールを掛けまして改善命令を出しました。改善命令を出して、今度再び日本に入ろうとして来たわけでございますけれどもポートステートコントロールを掛けたのは三月の十八日でございました。四月の八日に改善命令を発しております。それから、今回は、御存じのとおり、六月の六日、伏木富山港に入港予定で参りましたけれども、これも中国を経由して荷物を載っけて日本に来たわけですけれども、見るからに十四項目改善命令に対処していないということがありありだったものですから、これは富山県が御判断で入港停止をお掛けになりました。  スーヤンサン号のみならず、これだけの海運王国でございますから、あらゆる港に入ってまいります。外国船を入れている港だけでも百数十港ございます。そして、現在も、これは国籍がばらばらではございますけれども日本の周りに今十隻、座礁したりあるいは老朽化で放置した外国船籍がございます。そういう意味で、大変、地方の港湾では、夏を迎えまして、利用する、近海の、港の近くの海水浴場等々のお客様も考慮して、今、日本近海で放置されております十隻、一隻はこの間処理いたしましたね。けれども、その一隻処理するだけでも二億から三億という、物によっては大変な金額が地方自治体の負担になります。半分は国費でと言っておりますけれども、船によっては荷物が満載されておりまして、いわゆる放置自転車等々が満載されていて、まずそれを撤去するだけでも費用が掛かるということで、ポートステートコントロールを、これは国際的に認知されたものですから、検査を受けて、改善命令出したにもかかわらず、それを処置しない船は日本には入港拒否をしようということで、私は、富山が決断なすったことは、今後のこういうポートステートコントロールを掛けられるという分かっている船に対しては大変な抑止力になると、そう思っておりますので、そういう意味では、今回の富山県の取られた処置、それに関して私は、今でも十隻、日本海に、日本じゅうの港でそうしたのも抱えているわけですから、そういう意味では大変な御決断であったと思いますし、これから日本に目指して、経済的にも、入港してこようという船は少なくとも保険に入っていく、ない船もたくさんございますけれども、まず国際的に認められたポートステートコントロールを遵守した船が入ってくるのは当然なことでございます。  また、我々は入った船に対してはポートステートコントロールを掛ける、海上保安庁はきちんと対処するということで百三名の検査員が頑張っておりますので、そういう意味では富山県の今回取られたスーヤンサン号に対する処置があらゆる面で抑止力を働き、外国にも、入ってくる船の認識というものを、断固としてポートステートコントロールにかなう船でないと入ってこないということへのいい先鞭を着けていただいたと思って、日本としても、国としても感謝しています。
  10. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 ありがとうございました。  今お話ございましたとおり、無保険船の話ですとかSOLAS条約への対応に向けての法整備などの機運も今盛り上がってきておりますので、そういう法整備に向けても積極的に対応していかなければならないというふうに思っております。  それでは、法案の方に入らせていただきたいと思いますが、この成田民営化議論が進んでおります中で、イラクの問題ですとかあるいはSARSの問題について、航空業界空港、本当に甚大な被害を受けたわけでございます。  SARSの問題については、この二日にもトロントがこの感染地域から除外をされましたし、五日にも、あと残るは台湾だけでございますので、この台湾除外をされますと、いよいよSARS、WHOで終息宣言がなされるということでございますので、ここで一度、このイラクあるいはSARS被害につきまして総括をさせていただきたいと思いますし、さらには、この被害についてどういう対応をしていくのか、この点をお聞きをしたいというふうに思います。
  11. 洞駿

    政府参考人洞駿君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、航空業界は、イラク戦争、そしてSARSにより大変大きな影響を受けているところでございまして、航空会社につきましては、国際線搭乗実績を見ますと、四月で前年度比で約四割の激減でございます。五月で約五割、六月で約四割と。そして、七月の予約も前年度比で約三割程度まで落ち込んでございまして、航空会社の見通しによりますと、大手の航空グループ全体で今年度約一千五百億円程度の大幅な減収が見込まれていると聞いているところでございます。また、新東京国際空港公団につきましても、四月から六月までの第一・四半期で合計で約七十六億円の減収になったと聞いております。  このような状況を受けまして、各航空会社では、それぞれ従来からの人件費削減であるとか、機材の小型化とか統一化とか、整備外注化等費用削減に加えまして、減便とかあるいは一時休職などの実施などの費用削減策を実施しているところでございます。また、新東京国際空港公団についても、建設工事抑制であるとか施設維持等コスト抑制管理コスト節減等によって、全力を挙げて支出削減策に取り組んでいると聞いているところでございます。  私ども国土交通省といたしましても、イラク戦争勃発直後に航空機へのテロ等によって第三者に損害が発生した場合の政府措置を延長いたしましたほか、国際線発着ルール適用を一時停止して弾力的に減増便が行えるように措置したところでございます。また、この五月の二十一日には航空会社に対して日本政策投資銀行緊急融資制度適用することとしまして、航空会社資金調達についてセーフティーネットを用意したところでございます。  今後とも、こういう航空産業が我が国の経済活動、そして国民生活に果たしている役割の重要性にかんがみまして、今後の旅客の需要の動向とか航空会社経営状況等を十分注視して、そういう状況を踏まえながら、今後とも必要に応じて、更に必要な措置が必要かどうかということについても適切に対処してまいりたいと考えております。
  12. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 四割から五割の減ということで、本当に甚大な被害でございまして、民営化の道筋にも大きな影響を与えかねない被害でございますので、しっかりとした対応お願いしたいというふうに思います。  引き続きまして次の質問でございますが、このたびの民営化議論は、当初はその形態は上物と下物を分離をするという上下分離論ということで進んでおりましたが、最終的には上と下を一体化をして民営化をすると、そういう単独論に移行されたわけでございますが、その移行された経緯ですとかメリット、デメリットを含めて、いわゆる今回の上下一体論民営化によって目指す新しい空港像ですとか、整備方向性をまずお伺いいたしたいと思いますし、またあわせて、結果的には民営化によって例えば着陸料が下がっただとか集客量が増えただとか、そういう具体的な成果が出ないとこれは意味がないわけでございますので、そういう目指す具体的な成果等々も併せてお伺いをさせていただければと思います。扇大臣お願いいたしたいと思います。
  13. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、お話出ましたように、本来、国際空港という名の付くものは私は基本的には国が国際拠点空港として責任を持つべきである、でなければ外国お客様に安心して乗り入れてもらえないという、私は基本的には国が全責任を持って空港管理をするというのが理想だと思っております。  けれども、残念ながら、国がそのようにしておりましても、成田、新東京国際空港は一九七八年に開港し、二十六年たって、昨年二十五年目でしたけれども、やっと二本目の滑走路が、二十五年間造れなかった。一本の滑走路で私は国際という看板は、それは世間に通用しない、国際的には。どんな発展途上国行っても国際空港と名の付くところには複数の滑走路があります。  ところが、こうして新たに民営化するということになりましたけれども、私は総裁の就任のときに総裁に申し上げました。現段階では暫定の滑走路、二千百八十では私は国際という名にふさわしくない。ですから、これが二千五百、少なくとも達成できるまでは完全民営化というのはおこがましいですよと総裁に申し上げました。総裁いらっしゃいますからよくお分かりでございます。  けれども、私は、創意工夫をして、それぞれの空港はそれぞれの空港立地条件、あるいは上を民営化して、私はもっと、飛行機に乗る人だけじゃなくて、飛行機に乗らない人もあの空港に行って子供にも飛行機発着を見せたり、あるいは夜はまあ時間になればデートスポットになると。それこそアクアラインの海ほたるのように土日はデートスポットで満員だというようなことに、私は空港上物民間活力で利用すべきであると、そう思っております。  けれども、その空港立地条件によってビューがいいとか、いろいろ条件がありますので、成田成田上下分離の方がきちんとやりやすいと、こうおっしゃるものですから、本来は私はもっと民間のいい知恵をと思いましたけれども、きっと今度成田空港はいい知恵を、民間以上の知恵を出して楽しい空港を作ってくださるものだと、そう信じておりまして、私は、今後は利用者のサービス、それから、空港が幾ら良くなっても今のように外国お客様がCIQを通るのに一時間も掛かる、これでは空港が死んでしまいますので、空港整備のみならず、我々は政府として、各省庁連携して外国人入国検査がスムーズにいくように、それは国としては、やっぱり国と地方民間が相まって協力して初めて国際空港の地位というものが受け入れられるんだろうと思いますので、今後民営化に向けての成田の、どのような楽しい空港になるか、私も楽しみにしながら、あえてこの法案を出させていただいて、二十一世紀の新しい成田空港の出発を見守っていきたいと思っています。
  14. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 ありがとうございます。  本当に楽しい空港になればいいなと私もそのように思っておりますが、そういう中で、今日は黒野総裁にお忙しい中においでをいただきましたので、お聞きをさせてまいりたいと思いますが、四月一日に、来年ですね、特殊会社が控えておりまして、公団の方でもいろんな取組をされておられる。この審議を通じましたり、あるいはプレスを通しましたり、いろんな話が伝わってまいります。  例えば心の民営化必要性というものも強く説いていらっしゃいまして、これも大事な視点であろうと思いますが、まず、その民営化に向けて公団での現状どういう取組をされておられるのか、また黒野総裁自身どういうビジョンをお持ちであるのか、そういうメッセージを承りたいというふうに思います。
  15. 黒野匡彦

    参考人黒野匡彦君) 一口で申し上げますと、今、大臣のお言葉ありましたように、楽しく、かつみんなに愛される空港を目指したいと思っております。  今具体的にどんな準備しているかということでございますが、大きく二つに分けて御説明をさせていただきたいと思います。  一つシステムシステム変更ということでございまして、これは膨大な作業がございます。  幾つか御紹介いたしますと、まず会計制度、これは完全に企業会計に変えなければいけないということで具体的にどうするかということをやっております。行政効果を見るために私どもは前から公的な会計制度と並行して民間企業での決算書を作っておりますから、大まかには大体もうできておりますけれども、更にそれをブレークダウンすることをやっております。  さらに、人事制度、これは人事評価の問題もありますけれども、これを変えなければいけないと。それから、組織を営業という観点を入れた組織に変えなければいけないということで、この組織変更。それから、監査制度、これも一般の民間企業に負けないようなしっかりした監査制度を入れなければいけないと思っております。  また、さらには、今回のこの法律通していただきますと、経営自由度が大幅に高まります。したがいまして、将来の経営ということを考えますと、空港を場といたしましたニュービジネス、これにどう展開するかということが必要になります。さらに、ダブりますが、いわゆるコンプライアンスをどう確保するか、さらにはコーポレーションガバナンスをどう維持するかと、そういうような幾つかの問題がございまして、これは制度面として今一生懸命詰めているというところでございます。  二つ目は、いわゆる精神、心の問題でございまして、今、先生が御指摘のとおり、私ども、心の民営化と、こういう標語を挙げまして、全社員民間人になり切ってお客様本位空港にしなければいけないということで、なるべく多くの社員ディスカッションの場に入ってもらって、あるいはグループディスカッション等を通じまして社員全員に心の方を変えようという運動を並行してやっている、そんな状況でございます。
  16. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 今お話ございましたとおり、楽しくかつ愛される空港というものを目指すということでございますが、そういう中で大事な一つは、やはり非航空系収入の増収に向けた取組であろうというふうに思います。  今、世界の民営化された空港を見ますと、ロンドンヒースロー空港なんか本当に巨大なショッピングモールに生まれ変わっておりますし、シンガポールのチャンギ空港は、これはまだ民営化されておりませんが、民営化に向けた検討をされておるこのチャンギ空港は、例えばプールがあったり映画館があったり、例えば空港の中で買い物したときに市内の価格よりも高いものがあればその差額を二倍返金しますよと、どこかの電器屋さんみたいな対応も、取組もしておる。いろんな取組をしておるわけでございます。  この非航空系収入を増やすには、やはりこういういろんな取組を組み合わせていかなければならないわけでございまして、小売部門ですとかレストラン等のそういう商業施設を充実展開するということがまず求められると思います。  そして、この事業展開には本当に専門的かつ高度なこれはノウハウが必要なわけでございまして、これを本当に成功に導くためには、例えば民間人経営陣に登用するとかコンサル契約を結ぶとかPFIを導入するとか、こういう民間活力を導入しなければこれはなかなか成功は難しいのではないかというふうに思いますが、その辺りの取組についてお聞きをしたいというふうに思います。
  17. 黒野匡彦

    参考人黒野匡彦君) 正に先生指摘のとおりでございまして、私ども年間収入を大きく分けますと、今は航空系収入が七割、非航空系収入が三割という数字になっております。ロンドンにありますヒースロー空港の場合にはちょうどこれと逆の数字になっているというふうに聞いております。  今回の法案によりまして、先ほどお話し申し上げましたけれども経営自由度が高まりまして、私どものやってもいい範囲というのが格段に広がります。これを有効に使うことによりまして収益を上げる、その収益利用者皆様あるいはテナントの皆様に還元するということを考えておりまして、その利用者皆様への還元の最大のものはやはり着陸料引下げだというふうに考えております。  では、具体的にどうしているかということでございますが、余りにも性急に事業を展開し過ぎますと結果として失敗ということもあるものですから、ここは一歩一歩積み上げていくという考えを持っておりまして、当面は空港内の売店、特に免税売店、ここに力を入れようと思っております。そのために職員を既に関係のところに研修に出しておりますし、また、私どもが直接やるか、あるいは委託に出すか、あるいは、今、先生指摘のとおり、民間から人をお招きするか、これは各事業の実態に合わせてそこは弾力的にやってまいりたいと思っておりまして、公団職員だけでやるんだという、そういうかたくなな態度は我々全く取るつもりはございません。  要は、成田空港全体で収益を上げ、それを利用者皆様方にどう還元するか、そこが最大のポイントだと思っております。
  18. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 今、弾力的に前向きに対応していくという御答弁をいただきました。正にその方向お願いをいたしたいと思います。  こういう商業施設事業展開というのは本当に高度で専門的なノウハウが必要なわけでございまして、今、職員の方を免税店に出向させておられるということで、これはこれで一つの良い取組だとは思いますが、規模も大きくなっていきますとやはりそういう質では対応し切れない部分が出てくるというふうに思いますので、どうか今おっしゃられた御答弁のような方向性対応お願いをしたいというふうに思います。  今の御答弁の、ちょっとダブるところもあるかもしれませんが、今、まずは免税売店について充実をしていきたいというお話でございましたが、非航空系収入を増やすために、新規事業範囲の拡大に向けて例えばホテルの経営ですとか、いろんな具体的な新しい事業というものも可能なわけでございます。お話ございましたとおり、ロンドンヒースロー空港、この割合が三対七から五対五に上がって、これを原資として着陸料を下げることができたということもございました。こういうことも含めて、そういう新しい、具体的な新規事業についてどういうふうにお考えか。あるいは、今、三対七から五対五に変わったということでございますが、こういう具体的な数値目標はお持ちかどうか。あわせて、着陸料引下げについて御見解をお聞かせ願いたいというふうに思います。
  19. 黒野匡彦

    参考人黒野匡彦君) 今、私ども年間売上げが千六百億でございます。したがいまして、例えば非航空系収入を一割上げるということは百六十億の売上げが要ると、こういうことでございまして、この数字自体、なかなか厳しい数字であると私どもは思っております。  勢いに任せてやるという手もあるかと思いますけれども、今御指摘のホテル等も含めて、投下した資本が確実に回収できるかどうか、さらにそれがお客様の皆さんに還元されるものであるかどうかということを慎重に考えながら、一歩一歩やっていきたいと思っているところであります。  その先には何があるかといいますと、正に国際的にも大変御批判をいただいております空港使用料、これを世界の水準にぴたり付けるというのは、これはなかなか難しいと思いますが、幾らかでも下げることによって、世界に対して、我々も世界の航空網の一員として合理化努力をしていますよという、そういうメッセージを送ることにしたいと、こういうことを我々考えているところでございます。
  20. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 そうですね。勢いに任せるということはやはりまずいわけでございますので、厳密なマーケット調査をして、徹底的な議論をして、しかし、民営化をするわけですから、やはり新しい分野でも事業展開していただきたいというふうに思っております。  それでは、次の質問に移らさせていただきたいと思いますが、こういう民営化議論が進められております中で、先般、財務省による予算執行調査というものがございました。空港ビル事業などの、空港土地・建物等の貸付事業について幾つかの問題点が指摘をされたところでございますが、国交省の見解をお聞きをしたいというふうに思います。
  21. 洞駿

    政府参考人洞駿君) お答え申し上げます。  今回の予算執行調査は、国が所有する空港用地内の土地、建物の貸付けを受けて旅客ターミナルビル事業などが行われている場合におきまして、そのビル事業者等が国に支払う使用料というのがあるわけでございますけれども、これは国の行政財産ということで、国の行政財産一般の基準に従って算定されるということでございますから考え方は一律でございますけれども、ということの結果、空港の特殊性が生かされず、結果として低く抑えられているんではないかというような観点から、今年の三月から財務省の方において調査が行われてきたものでございます。  調査結果におきましては、空港事業の公共性といいますか、それからビル事業者が独自にいろいろ収益事業等で、そういう収益事業を行って利益を得ているわけでございますけれども、そういう収益性の両面、両方をかんがみますと、利益の一部というのはやはり利用者にも還元すべきでありまして、また土地使用料もそういった点を両面を考えながら適正な水準となるよう算定方式についても検討すべきではないかという指摘がなされているところでございます。  現行の使用料は、先ほど申しましたとおり、財務省の通達によって他の行政財産と全く同様の基準で一律に定められているものでございますから、この見直しに当たっては財務省との協力、協議というのをいただく必要がありますけれども、私ども国土交通省といたしましても本件に対しまして適切に対応していきたいと考えておりまして、私どもは私どもとして考え方をどういうふうに整理していったらいいかということについてただいま勉強しているところでございます。
  22. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 こういう民営化議論が進んでいる中での話でございますので、是非今の御答弁のように適切に建設的に対応していただきたいというふうに思っております。  それで、次の質問に移りますが、この民営化後の税制ですとか融資措置などに対する支援措置についての質問でありますが、例えば民営化をしましたJR各社におきましても、例えば政府補助ですとか政府金融、各種税制等の支援措置が講じられておりましたが、民営後もその必要に応じて引き続き多くの支援措置が存続をしております。成田空港においても、これは同様の観点から、固定資産税の軽減の継続ですとか、あるいは滑走路の延長を始めとする全施設に対する税制あるいは財政上の支援というものも検討すべきではないかと思いますが、検討をお聞かせ願いたいと思いますし、併せて、これは世界的にほとんど例を見ない航空機燃料税というものがございますので、これについての軽減等についての見解などもお聞かせを願いたいというふうに思います。
  23. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 成田空港は我が国を代表する国際拠点空港でございまして、その整備につきましては最終的には国が責任を負うという形になっているわけでございます。そういうことで、特殊会社された後におきましても、二千五百メーター滑走路などの空港施設の整備が着実に行われるよう、本法案においては国が空港会社に対して必要に応じて無利子貸付け等の所要の財政支援が行われるようにするなどの措置を講じているところでございます。  また、税制に関しましては、現在の空港公団では、例えば滑走路等の基本施設等について固定資産税を二分の一に軽減しているほか、防音工事を受ける住民が受ける補助金をその所得に算入しないこととする等の特別措置が講じられているところでございますけれども空港会社につきましても、このような同様の特別措置を継続適用することの要否につきまして、先生今御指摘のJRの事例等々も十分参考にしながら政府内において現在検討しているところでございます。  それから、御指摘の航空機燃料税についても見直し等の検討をすべきじゃないかということでございますが、航空機燃料税の課税対象は、先生御承知のとおり、国内路線のみでございまして、国際路線には課税されておりません。したがいまして、成田空港発着する航空機には課税されておりません。  それで、航空機燃料税収入の十三分の十一に相当する額は一般会計を通じていわゆる空港整備特別会計に繰り入れられておりまして、これが、いわゆる国際競争力を維持強化する、あるいは観光立国を目指す観点からの大都市圏拠点空港整備等の財源として重要な地位を占めているところでございまして、空港整備特別会計の歳入の中の約二割近くを占めているわけでございます。また、この燃料税収入の十三分の二に相当する額は譲与税として空港関係の自治体に交付されておりまして、騒音対策を始めとします空港の周辺対策に充てられているところであります。  ということで、燃料税収入空港整備あるいは自治体の騒音対策等の事業を実施する上で重要な財源になっているということは厳然たる事実でございますので、その軽減につきましては慎重に対処すべきであろうと考えております。  なお、離島とか沖縄路線につきましては航空機燃料税の軽減措置を行っておりまして、平成十五年度におきましては総額で七十二億円の軽減が見込まれているところでございます。
  24. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 これは国際競争力に資するためにも必要な措置だと思いますし、前向きな検討をお願いをしたいと思いますが、現在、羽田空港国際化の話もございますし、あるいは成田と羽田の機能分担等々、様々な議論があるわけでございますが、羽田を含めて地方空港についても一点お聞きをさせていただきたいというふうに思いますが、言うまでもなく、地方空港は国内の航空輸送ネットワーク形成になくてはならないものでございます。地方空港について、国内の航空ネットワークの充実という観点ですとか、あるいは地方国際交流の活性化のために要望の高い国際航空路線の拡充等による地方空港国際化ですとか、あるいはチャーター便の規制緩和等への対応も含めて、今後の地方航空行政の在り方について扇大臣にお聞きをさせていただきたいというふうに思います。
  25. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、野上委員おっしゃいましたように、日本空港が今現在第一種からその他まで含めて九十四ございます。その中で、国際線の離発着を認めているのが、これが二十三ございます。そういう意味では、地方空港もますます、今おっしゃったチャーター便等々、全国で二十三か所の地方空港も含めて国際の離発着しておりますので、大変私はうれしい悲鳴といいますか、いろんな国からも私のところへいらしています。  それから、今の成田の話が出ましたけれども成田も今、三十四か国成田に乗り入れたいというふうに申入れが、ウエーティングが、待ってくださっています。こんなうれしい話はないんで、それを受け入れる体制ができていないというのが私は国策としていかがなものかと。  先ほども局長言いましたように、私たちは小泉内閣で、二〇一〇年、観光客倍増という、五百万人を一千万人お客様呼び込もうと言っているときに、成田は、今度は御希望ですから、今までは新東京国際空港と言ったんですけれども成田という名前を入れたいという地元の皆さん方の強い要望で、今度は成田国際空港に、成田という字が入るわけですから、そういう意味でも、今まで成田に御協力いただいた周辺の皆さん方の御要望を入れて成田国際空港という成田という名前を入れた以上は、地元の皆さんにも是非御協力いただき、御理解もいただいて、そして地元の皆さんと成田国際空港が両々相まって発展していくということでなければ、私は成田の発展は望めない、今のように成田に行きたい、行きたいという国が今後なくなっちゃいます。  そういう意味では、本来は成田から今おっしゃった地方空港国際線と国内線の乗換えが成田でできるのが一番いいんです。でなければ、今外国のいろんな例をおっしゃいましたけれども外国免税店でも繁栄するのは、国際線と国内線に乗り換えるときの時間待ちに売店が売れるんです。私も、名前は言いませんけれども、あの空港に行ってあの買物がしたいというぐらい楽しいもの一杯あるんです。  けれども、残念ながら日本の航空行政、反省もこれは含めてですけれども成田国際線で降りて国内線の羽田に行くのに、少なくとも、タクシーで行っても一時間三十分。料金は二万以上。そして、なおかつ高速料が二千三百五十円。これでは国際線も生かされない、国内線も生かされないという、これは私は政策的には、国会議員も含めて、私は日本の航空行政のグランドデザインがなかったということを反省しておりますけれども、今おっしゃったように、成田もそうですけれども、羽田もそうです。もっと羽田と乗り入れたいという地方からの申入れが殺到していますけれども、これもさばけない。  そういう意味で、皆さん方に私は是非、国土交通省としては、今回は、大体、地方空港、昔は一県一空港なんということを言った政治家もいましたけれども、今これで大体地方には行き渡っております。量的には私は今で大体できていますと思いますから、新規は離島以外は造らないということで、今まである空港のストックをなるべく充実さそうと、質の向上ということで今やっておりますし、また、御存じのとおり、少なくとも、私たちは地方空港の、平成十三年ですけれども国土交通省の公共事業改革への取組ということで明らかにいたしまして、あるものを充実さそうということになっていますので、是非この地方空港国際線の乗り入れと乗り継ぎ、連係、そういうものが私はより地方の発展に期すると思いますので、成田も含めて地方空港との連係、連結も政治課題として私たちは今後努力していって、チャーター便のみならず定期便が行くというような地方空港の私は充実も図っていかなければならない。それが日本の経済的なあるいは環境的な、第三次産業の大きな要素の観光の倍増ということも我々は図るためには、まず玄関口を、足下を固めていきたいと思っています。
  26. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 ありがとうございました。時間の関係上、ちょっと次の質問、申し訳ないんですが省略させていただきたいと思います。  また、このほかにも有事ですとか災害の対応あるいは滑走路の二千五百メーター化ですとか騒音対策、地域との共生、地元との関係、あるいは空整特会の在り方等々、重要な問題あるわけでございますが、今日は地元椎名議員もいらっしゃっておりますので、私は次の法案に移らさせていただきたいというふうに思いますが、航空法の一部を改正する法律案について、これは航空機の安全に重大な影響を与えるものでございまして、これは近年大変急増しておるわけでございます。客室乗務員に対するアンケートでも、三人に一人がこういう被害を受けておるわけでございますし、注意をしても、その法律の根拠はどこにあるんだというようなことを言われることが現場では一番つらいというふうに言われております。また、今度は、注意をすると大体二割ぐらいは更にエスカレートして、暴力を振るわれたり威嚇をされたりというふうな結果も出ているそうでございます。  航空機において迷惑行為、本当にその安全性に重大な影響を与えるものでございますし、列車やバスや客船等にあるものが航空機はなかったということで、このたびの法整備は強く望まれているのではないかというふうに思いますが、時間もございませんので、一番と二番、一緒にお聞きをさせていただきたいと思いますが、まず大事なのは、この法改正を受けての安全阻害行為というものを一般の利用客にどういうふうに周知徹底をしていくのか。これは外国人利用客も含めてどういうふうに周知を徹底をしていくのかということが重要だと思いますし、あわせて、この法案というのは日本国籍の飛行機外国籍の飛行機が、日本の領空内に入った飛行機が対象ということでございますので、これは外国籍の飛行機の場合、要は、飛んでいて日本空港に入ったら、今領空に入りましたので、これから法改正が適用されますよというような対応をしなければいけない、厳密に言うと。なかなかこれは難しい、対応が難しいんではないかと思いますが、その辺の対応についてお聞きをしたいと思います。  申し訳ありませんが、もう一点でございますが、機内の中で多いのは、トイレの中での喫煙ということでございまして、これが一番多いわけでございますし、一番危険な行為であるわけでございますが、やはりトイレの中で吸っていますので、だれが吸ったかと。何人も入った後にその残骸が見付かっても、だれが吸ったか特定ができないわけでございまして、そういう意味では法的な拘束力も弱まるかもしれませんので、例えばトイレの中に煙感知器みたいなものを付けて、たばこを吸えば外でランプが光るとか、これはもう簡単な設備でございますので、例えばそういうものを指導していくということによってこの法律の効力が高まるというふうに思いますが、この辺、併せて最後お聞きをさせていただきたいというふうに思います。
  27. 洞駿

    政府参考人洞駿君) お答えを申し上げます。  まず、周知徹底でございますけれども、法律の施行前に行うのは当然でございますけれども、施行後におきましても、機内においてその周知を徹底するよう航空会社等を指導してまいりたいと考えております。  具体的には、航空会社のホームページや国土交通省のホームページへの掲載、あるいはチラシを配布する、ポスターの掲示とか機内誌への掲載等を行いますとともにキャンペーンを実施してその周知徹底を図りたいと思っておりますし、これらの取組については、当然のことながら、外国語表記も含めて対応してまいる所存でございます。  また、領空内外で適用の有無が、適用されたりされなかったりという問題があるということでございますけれども、おっしゃるとおり、なかなか行為の場所が領空内に入ったから取り締まるということではなくて、こういう行為は領空外であっても当然のことながら保安要員としての客室乗務員が十分そのところを指導、やるわけでございまして、要はそこでやめていただければいいんですが、それを繰り返し反復しているというのが問題でございまして、領空内に入ってきたかどうかというのは、実際の罰則の適用に当たってはその場所がどこであったかというのは特定することが可能でございますから、そこのところを確認するということは可能ですし、適用について支障が生じるということはないと考えております。  また、トイレ内の喫煙というのは、おっしゃるとおり密室でございますから、なかなか監視するというのは難しい面はございますが、客室乗務員が安全の確保等の観点から乗客の行動を注視しているところでございまして、特にトイレに出入りする乗客に対しては注意をして、注意を、十分に監視の目を行き届かせて、喫煙者の特定に努めていきたいというふうに考えております。  過去のいろんな事例を見ましても、やはり悪質な人は何回も繰り返してトイレの中でいろいろやって、そしてそれが場合によっては警察の御協力をいただいたということにもつながっているのもございますし、やはりそこのところはしっかり注意すれば、なかなか一緒にトイレに入るわけにはいきませんけれども、そこのところを監視することは可能だと思います。  また、煙の検知器の御指摘がございましたけれども、これについてもいろいろ検討してまいりたいと思っておりますが、なかなか高感度の煙探知器を設置するということは、現在の水準では、余り感度を上げると、ほこりなどでも反応して警報が鳴ってしまうというような問題があるとも聞いてございます。そういう点も含めまして、今後いろいろ検討してまいりたいと考えております。
  28. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 終わります。
  29. 椎名一保

    椎名一保君 委員長のお許しをいただきまして、関連質問をさせていただきます。  ただいま野上委員からございました成田民営化法案でございますけれども扇大臣は率直に御自分のお考えを述べられる方ということで、改めてこの成田民営化法案利用者の利便性、そして快適性を求める法案ということで、これにつきましては評価をする次第でございます。成田空港を発展させる折り目ということを認識いたしまして、改めて千葉県民の多くの方の意見を申し上げ、また質問をさせていただきたいと思います。  昭和四十一年のこの設置決定以来、力による対立から地域との共生と、三十七年という長い歴史的な経緯を経て今日に至っております。とにもかくにも完全空港化、空港の完成ということが我々のもうとにかく念願でございます。しかし、ただいま大臣からもお話ございましたけれども滑走路も本滑走路は一本しか完成しておりません。暫定滑走路ということで、まだ片肺空港と言っても差し支えないと思います。そして、空港へのアクセスもおっしゃるとおりでございます。もう都心から一時間半も掛かる。経済的な効率性からすれば、これでは致し方ないと。羽田の国際化ということも当然しかるべきだと。このことにつきましては多くの千葉県民も否定するものではございません。否定しておりません。羽田空港の方が便利だという方も千葉県民の中には多くおられるわけでございますから。  しかし、私も、十六年間、昨年の十月まで千葉県で県議をしておったわけでございますけれども、こういうことが起きているんです。  一つの例を挙げますと、千葉県では土地収用委員会が構成できないんです。あらかじめ申し上げますけれども、この土地収用委員会を構成して成田の建設用地を収用に掛けるとか、そういうことではございません。昭和六十三年に千葉県の土地収用委員会委員長が過激な反対派からこれは生命に危険が及ぶような暴力的な被害を受けまして、以来、土地収用委員会委員になった者に対しては同様の危害を及ぼすという、そういう警告がございまして、これは、御承知のとおり、土地収用法というのは機関委任事務でございます、今は法定受託事務になったと思うんですけれども。国策によるこれだけの巨大開発のための、そのことということではないんですけれども、そういうことで土地収用委員会が構成できないような事態が六十三年から約十六年間続いている。  千葉県は、圏央道とか、外環もそうです、常磐新線もそうです、首都圏になくてはならないそういう重要アクセス事業がメジロ押しでございますけれども、八五%までは土地買収はうまくいくんです。あとの一五%は、これはなかなか進まないという、言ってみれば法治国家の根幹を揺るがすようなことが十六年間も続いておると。  ですから、空港アクセスの整備の遅れ等々、やはりもっと深い深いいろんな問題を、この内陸の巨大開発において提示されたというようなことを、やはりきちっとまたこの節目に際して御認識をいただきたいと多くの千葉県民は思っておるところでございます。  この第一回のシンポジウムに当たりまして当時の奥田敬和運輸大臣が、意思決定に当たって地元の方々に事前に十分説明し、その理解を得るための努力が十分に尽くされたとは言い難い、それは何といっても空港を建設する側の私たちの努力が足らなかったことによるものであり、誠に遺憾に思うという御意見を述べられておるわけでございますけれども成田新法の施行に当たりまして、改めて扇大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  30. 扇千景

    国務大臣扇千景君) これは先ほど野上委員に申し上げましたし、またこの委員会で、いろんな場で、私は、これは政治判断であった、間違った政治判断であったんなら政治で解決する以外ないというふうに何度も私、申し上げました。  私も開港前の成田空港を見に行きました。これは七七年だったと思います、一九〇〇。でき上がった滑走路が開港できないままもう十年たって、ひび割れしていたんです。でき上がっているのに開港できない。それから、今、総裁がいらっしゃいますけれども成田空港内にホテルを建てさせないということだったんです。で、その周りに、空港を開港前に全部ホテルが、空港敷地内には建てられないけれども、周りに建っちゃったんです。けれども、十年たっても開港しないものですから、周りのホテルは閑古鳥。私は、開港されないままでき上がった滑走路をジープで通していただきまして、見ました。そのときに私は本当に情けないなと思いました。  これだけのお金を使い、なおかつ日本があの当時、これから国際的に認められようというときに、国民の皆さんが全部周知の中で、あの一九七八年の開港のときのあの機動隊、けがをした機動隊。なおかつ、テレビの中継の中で、あの管制塔に顔を隠してハンマーを持って破り、でき上がった管制室に入るという、この暴挙が全部テレビ中継された。  私は、そういう意味では、開港ができてこんなめでたいことはない、拍手喝采というはずなのに、そういう悲惨な開港を全国のテレビで流さなきゃいけなかったということは私は基本的に間違っていたと思っています。それは、地元の人たちに入ってもらわないで成田に選定したこと、そういうことでは私は大いに政治的な甘さというものを反省しながら、今我々は、国土交通省は公共事業、これだけいろんなものをしておりますので、まず地元の皆さんが最初から、計画段階から入ってもらう。事前協議、あるいはこれは事前評価と言った方がいいかもしれません。言葉としては事前評価、あるいは事業中も事業評価、済んだ後も事後評価と、これは平成十年から国土交通省は新たに評価制度を導入しておりますけれども、今後あらゆる面では、ただ、千人いらっしゃれば千人みんな賛成していただいてというようなかつての、今、たまたま圏央道等々の、外環の話をなさいました。あの当時の東京都の知事さんが一人でも反対したらやらないとおっしゃった。だから、今日あるんですね。これではやっぱり国の発展は望み得ないということで、私は、成田に関しては地元の皆さんの御協力が得られないような状況を政治的判断をしたということだけは、改めて我々も反省しながら頑張っていきたいと思いますけれども、現状は、十一時以後、成田の離発着が午前六時までできない。これで国際空港という看板はまず半分死に体と言っても過言ではない。  そういう意味では、今後、私は昨年の暫定滑走路オープンのときも反対の農民のおうちへごあいさつに行こうと思いました、成田へ行くんですから。その前に、お玄関口に行ってごあいさつさせていただきたいと思ってお電話を入れましたけれども、何か反対闘争の運動にお出ましになったのかどうか、いらっしゃいませんで、留守番電話で私は自分の名前を言って、今から暫定滑走路のオープンに行きますのでお玄関までごあいさつに行きたかったというお電話は、留守番電話は入れました。  けれども、なおかついまだに二千百八十のまま、二千五百は達成できていません。これは安全性のためにも国際空港という看板のためにも、少なくとも二本目の完成をさすために最大限の、今後、地元の賛成も含めて、御努力をお願いし、私たちも最大限の力を入れることも、新総裁も頑張っていらっしゃると思いますので、応援していきたいと思っています。
  31. 椎名一保

    椎名一保君 ありがとうございます。  もう一点だけこの件について大臣にお伺いいたします。  この民営化法案につきまして、これまで住民に約束してきた環境対策、共生策をこの法律によって民営化後も責任を持って実施させることができるのか、このことについて、大変恐縮ですけれども時間がございませんので、よろしくお願いいたします。
  32. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今でも反対していらっしゃる方もあります。その皆さん方には、先ほどおっしゃったように、千葉県は土地収用委員会はございませんから、私は、堂本知事、そして公団総裁、我々と一緒になって、代替地をもう既に用意してあります、どうぞこちらへお越しくださいと言って皆さん方に代替地も御用意しておりますけれども。  私は、今後もあらゆる手を尽くし、なおかつ御賛成をいただき、これだけの年数たっているわけですから、我々も年取りますけれども、反対していらっしゃる皆さんもやっぱりそれ相当のお年になっていらっしゃいます。子供さんもいらっしゃいます。私は、二十一世紀のためにあらゆる努力を、三者一体となって、地元公団、国、一体となって私は努力していくべきだと思っています。
  33. 椎名一保

    椎名一保君 ただいまの件ですけれども、騒音対策とか環境対策とか、今まで住民に約束してきたことを民営化後も国が責任を持って、そのことについて、大臣お願いします。
  34. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、総裁に答えるべきだと、新しい会社になるんですからと思いましたけれども。  それは必ず、どの程度まで、どうできるかというのは今後の話合いですけれども、今までお約束したことだけは実行し続けてきていますから、今後も総裁にそのことはよく申し上げておきます。
  35. 椎名一保

    椎名一保君 ありがとうございました。  続きまして、羽田の再拡張についてお伺いしたいと思います。  この六月の千葉県の定例県議会におきまして、これ全会一致で羽田空港再拡張後の騒音等を首都圏で共有する飛行経路の設定を求める意見書というものが出てまいりまして、採択されまして、六月二十日に大臣の元に、これ吉村副大臣にお届けさせていただいたところでございます。  この羽田の再拡張につきましても、八月に決定された、昨年の八月に決定されたわけでございますけれども、この必要性は十分認識しております。しかし、一方、空港は経済効果などのプラスを生む反面、周辺には騒音の被害などマイナスの影響を与えるという宿命も持っております。このことにつきまして、現在でも羽田からの離発着の多い時間帯では一分半ごとに千葉県上空を飛び、住民は騒音被害に日常的に悩まされております。プラス面を享受する東京都、神奈川などはマイナス面である騒音も共有すべきではないかと思いますが、去る六月十二日に開催されました第三回羽田空港再拡張事業に関する協議会では、東京都知事、神奈川県知事などが騒音の共有に理解を示したと聞いておりますが、国土交通省はその考えを反映した飛行経路の具体案を出されるのかどうか、このことにつきまして局長にお伺いしたいと思います。
  36. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 現在の羽田空港の飛行ルートは、環境基準を満たすために、できるだけ海上方向から着陸して海上に向けて離陸するという飛行コースを設定してございまして、結果として東京湾の対岸にございます千葉県の上空を多くの飛行機が通るということになってございます。羽田の再拡張後に現在と同じ考え方に基づきまして飛行経路を設定しますと、発着回数の増大に伴いまして千葉県上空を飛行する回数も大幅に増加するということになります。  他方で、仮に陸上方向から着陸して、また陸上方向に向けて離陸する飛行コースを設定すれば、東京都や神奈川県において環境基準を達成できない住宅地域が広範に広がるという問題がございます。現在、関係の都県市の首長をメンバーとします羽田空港再拡張事業に関する協議会というものにおきまして、飛行ルート、騒音等の主要な課題について検討がなされてございますけれども、せんだっての協議会におきまして、千葉県の知事から関係都府県で騒音を共有すべきという発言がございまして、これに対して、東京都知事、神奈川県知事から理解できるという旨の発言があったのは御指摘のとおりでございます。  国土交通省といたしましては、こうした御発言の趣旨を踏まえながら、この協議会でいろんな飛行ルートについては十分議論を尽くしていただき、安全の確保はもちろんでございますけれども、環境基準の遵守を前提としながら、最も適切な飛行ルートの設定に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  37. 椎名一保

    椎名一保君 そういたしますと、せんだって国土交通省から発表されました、年間発着回数を二十七万五千回から四十万七千回へ一・五倍に増加すると、こう発表されておりますけれども、ただいまの局長の御答弁によりますと、協議会によってこの四十万七千回というのも、これはまた空域計画に合った回数にまた変更されることもあり得ると、そういうことでございますか。
  38. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 発着回数は、先生指摘のとおり、地上施設と、それを使って飛ぶ飛行ルートといいますか、そういう運行計画と相まって回数等が決まってまいります。四十・七万回と私どもが想定したものは、いろいろな環境基準とか航空機騒音をできるだけ影響を少なくして、総合的に最良と考えられるルートで私どもなりに考えて、結果四十・七万回はいけるという数字を出したものでございます。  現在、飛行ルートについて、関係自治体における騒音の共有等、新しい視点からの検討も要求されているところでございまして、現在いろいろ複数の案について検討を行っているところでございますけれども、その結果によっては、飛行ルートを含む一定の運用計画が変わってまいりますと、その四十・七万回という数字が変わる可能性もございますけれども、私どもといたしましては、環境への影響最大限配慮しつつ、そして地上施設を一方において最大限に有効活用するという観点から、年間四十万七千回というものを安全に処理できる飛行ルートを是非とも設定したいと考えております。
  39. 椎名一保

    椎名一保君 これで最後になりますけれども、先ほど大臣のお言葉にもございましたとおり、十分環境対策と、そして特に騒音対策、これにかかわる市町村の御意見をその協議会で反映していただいて、合意を得た上でこの計画が実行されることをお願い申し上げまして、ありがとうございました。
  40. 池口修次

    ○池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。  今日は百分一人でやれということなんで、ちょっと荷が重いかもしれませんけれども、何とか頑張らさせていただきたいというふうに思います。  午前と午後という質問の機会が、時間をいただきましたので、午前中につきましては成田空港の株式会社化についての質問をさせていただきまして、午後、航空法の一部改正について質問をさせていただきたいというふうに思っております。  冒頭、今回の法律案の質問に入る前に、現在、小泉内閣が行っている構造改革の大きな柱として行政改革がやられておりまして、今回の成田につきましても、行政改革の一環として、民間でできることは民間でやろうということが株式会社化の大きな柱というか、根拠になっているというふうに思っております。この国土交通委員会の中でも、過去二年の中で、相当、現在の特殊法人なり国の機関を独立法人化にしたり民営の、民間会社にするという法律案をたくさん作ってきました。私は、ある意味、今の国の財政状況等を考えて、効率的な行政機関にしなきゃいかぬということの見直しというのは当然必要だというふうに思っております。  民間でできることは民間でというのは、必ずしも、ちょっと言葉が少し足らないんじゃないかという実は気がしております。何でも民間にすればいいということではないですし、民間の役割と国の役割というのはかなり違うというふうに思っております。  その中で、扇大臣は、これから道路公団民営化の問題で、現在も苦労されていますし、これからも苦労されるというふうに思います。今日はそれを実は聞くつもりではなくて、大きく民間の、民営化についての考え方なり原則というものを私なりに考えておりますことを話をさせていただきまして、扇大臣考えをお聞きをしたいというふうに思っております。  私は、先ほど言いましたように、やはり民間でできることはできるだけ民間に任した方がいいというふうには思いますけれども、ただ何でも民間でということではなくて、民間でできることと国がすべきことはやっぱりすみ分けをしなきゃいけないというふうに思っております。そういう意味で、国なり国民の安全にかかわることについては少なくともこれは国が責任を持ってやるべきだというふうに思いますし、国民にとってのセーフティーネットにかかわるものは、余りこれは効率だからということではなくて、これも国がやはり私は責任を負うべきであるというふうに思います。  それともう一つ民営化、なぜ民営化するかといいますと、やっぱり効率を上げた事業をやるということだというふうに目的は思っております。じゃ、民間企業というのはどういう形で効率を上げていくのかということを見ますと、多少語弊はあるかもしれませんけれども、やはり民間企業ですから営利を追求をして、ある意味、株主に配当をしたり従業員の労働条件を上げるということの中で効率化を図っていくんだろうというふうに思います。そのときに、国としても民間に任したんだけれども、この部分が心配だという部分があって、いろいろ御意見なり注文は付けるということは、私は一〇〇%あっちゃいかぬと言うつもりはないんですけれども、余り注文を付けますと、やっぱり民間会社が効率化を上げようということに対して弊害というか、ブレーキを踏むよというふうに思っております。  そういう意味で、これからもいろいろ、小泉総理は続投してもやっぱり民営化路線をやるんだ、中心にやるんだというような発言もしていたように聞いておりますので、これからもいろいろな面でやっぱり民営化がされるというふうに思うんですけれども、私は、今言いました二点、安全なりセーフティーネットの分野については少なくとも国が責任を持つ仕組みにすべきだというふうに思いますし、民営化をしたんならば、これはやっぱり営利を追求するということがあるんでしょうから、余りその部分を阻害をしないような、国の関与というのはできるだけ少なくするべきである、それができないんならもう民営化しないというぐらいではないかというふうに思っていますが、この私の意見について扇大臣の何かお考えなりありましたら、是非お聞きをしたいというふうに思っております。
  41. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、池口委員がおっしゃいましたように、我々は、戦後、今日までこれほど経済大国になるとも思いもしませんでしたし、私も一主婦でございますから、私が終戦のときの子供のときと今の日常生活の我が家の身の回りの電化製品も見ても、これは想像もできない戦後から今日までの変わりようでございます。そのために、国が必死になって、ある程度規制もし、そして欧米先進国に追い付け追い越せということで国が方針をしてきた。だから道路も、財政難だから外国からお金を借りてでも道路を造ろうといって始まった。  そういう意味では、私は、今回御論議いただいています空港国際空港、あるいは道路、国際港湾、そういうインフラの基本的なものというのは、私は、元来いただいた税金で賄うというのは私は正しいことだし、そのために税金をいただいている、私はそう思っています。けれども、それは、戦後、お金がなかったから無理に無理を重ねて外国からお金を借りてまでやった、そのツケを高度成長期にどんと返していればよかったんですけれども、私は、あの石油の、ドルショックのときから赤字国債を発行し出した。そういうことから、国が一生懸命やっていただいたもの、外国から借金してまでも戦後の復興に努力してきたけれども、振り返ってみれば余りにも硬直化し過ぎた。各役所もそうです、あるいは事業もそうです、規制でがんじがらめにして、もうその規制を緩めてもいいのに、時期を失している。  ですから、私は、それは二十世紀でもうおさらばしよう、二十一世紀に入ったんだから今までの二十世紀のハードはもういい。もういいという意味ではなくて、一度ストップをして、足止めをして、これで良かったのか、足りなかったものは何かということで改革しようという、二十一世紀の改革というのが小泉内閣のおっしゃっています構造改革なくして成長なし、これが二十世紀と二十一世紀の私は変わり目の基本だと思っています。  その意味で、規制も緩和し、そして官から民へというのを、官が硬直してきたものを民間は自由に発想、自由主義社会になったんですから、それを取り入れて、官の硬直したものを今変えようではないかというのが、官から民へという大きな日本国自体のなりわいの硬直性を転換するというのが、二十一世紀の日本への、子供や孫への私は大いなる今転換期に我々は立っていると思います。  ですから、今までどおり来ていれば楽なんですけれども、変えるとなったらこれは難しいです。親方日の丸で何でも国民の税金でどんどんどんどん造ればいいんだと言っていれば気楽でいいですよね。だけれども、そうではなくて、お互いに責任を持って、官ができるものはここまで、あとは民間にどうぞ。  ですから、今度も、国際港湾もそうです。国が造ったものでも民間に長期にわたって貸与しましょうというようなことになりまして、私は、今おっしゃった中で、少なくとも我々は、国が硬直化した部分、そして国は親方日の丸だからコストアップになっているじゃないか、もっと節約しなさいよ、無駄が多い、天下りも多い、そういう国民が二十世紀の負の遺産と言えるものを今我々は変えようというのがこの改革の大きな基本だと私は思って、今、それでなければ国土交通省なんてできません。旧建設、旧運輸なんて大きなところを四省庁統合して、しかも海上保安庁と気象庁なんて、こんな六万八千なんて大きな役所なんて、改革しようと思わなかったらできるわけないんです。けれども、この四省庁を統合したことによって、アクセスも、空港一つ取っても、道路と新幹線と高速道路と港と、一体になった国際化をしようというグランドデザインが国土交通省になって初めて言えるわけですね。  そういう意味では、私は、今回も法案を提出させていただいていますけれども、今までも、昨年の秋の臨時国会で、帝都高速交通営団というものも特殊法人ということで十法人、皆さんに御論議いただきました。今回も、この通常国会で都市公団あるいは住宅金融公庫、地域整備公団等々三法案。これも今日も御審議いただいていますけれども、そういう意味では、あらゆる官の硬直したものを新たに二十一世紀型にしようという、一言で言えばそういう大きな転換期だと私は認識しております。
  42. 池口修次

    ○池口修次君 余り重ねて言うつもりはないんですけれども民営化すればいいということではなくて、やっぱり国民のためにどうあるべきか、これは効率を追求するために民営化しようと。ただ、やっぱりこれは余りそれを追求すると困る国民もいるので、それは民間にそういうことまで考えてやるというのはなかなか難しい問題なんで、そこはやっぱり国が引き続きやろうというような観点で、是非これからも引き続き、いろいろ議論がされるんでしょう、民営化の法改正なりには。そんな観点で、是非、扇大臣には引き続きやっていただくことをまずお願いをしておきたいというふうに思っております。  それでは、具体的な法案の中身に入らせていただきます。  成田国際空港株式会社法案ということですが、現在の新東京国際空港にかかわる状況というのはいろいろな課題が、今までの議論でも出ていますが、課題が存在をしておるというふうに思っております。これは、民営化にするからどうかという問題ではなくて、それとは別個に課題がありまして、私は、このままの状態で本当に民営化なり株式会社にその課題を引き継ぐということは、余りにも株式会社にとっては大きな負担になりますし、場合によっては、本来こんな課題を株式会社が負うべき課題ではないというものもあるというふうに考えております。  個別には、後ほど三点ぐらい個別の問題についてはお聞きしますが、まず、現在の新東京国際空港が抱えている課題がどういうものかという点をまずはお聞きをしたいというふうに思います。
  43. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 成田空港整備につきまして最大の課題は、大臣から再三御説明がございましたとおり、平行滑走路の早期完成でございます。  昨年の四月に供用開始されました滑走路は暫定でございまして、二千百八十メーターということで、大型ジャンボ機が降りられないということでございます。このままいきますと、ここ数年でこの暫定滑走路も満杯になってしまって、パンクして、これ以上の受入れ能力がないということになるわけでございますので、国土交通省といたしましても、一刻も早く本来計画でございます二千五百メーター化を実現する、早期に実現するということが必要であると考えてございます。  これは、国際拠点空港整備というものにつながるわけでございますけれども、我が国の国際競争力の維持向上にもつながる問題でございまして、極めて重要な課題でございまして、それにつきまして国がその責任において適切に対応すべきものと考えてございます。  そういう意味で、一刻も早く二千五百メーター化を実現するよう、話合いによる用地問題の解決に向けて、国土交通省といたしましても引き続き全力を挙げてまいりたいと考えております。
  44. 池口修次

    ○池口修次君 私は、三つぐらい課題が、私なりに大きな課題があるというふうに考えておりまして、一つは、今言われましたように滑走路の問題をどうするかということで、その滑走路の問題は、一つは、今の暫定の部分を二千五百に延ばすために住民の協力が本当に得られるのかどうかということと、あとは、建設費は当然、株式会社になるわけですから、そこが捻出するということだというふうに思いますが、それが、株式会社がそれだけの余力があるかという点をまずお聞きをしたいというふうに思います。
  45. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 先ほど申しましたとおり、成田空港整備につきましては最終的に国が責任を負う、そういう体制を取ってございます。  二千五百メーター滑走路空港施設の整備を確実に行えるよう、本法案におきましては国が定める基本計画に適合した空港整備を義務付けるとしてございます。そして、最終的には国が会社の業務について監督命令を発することができるようにして、これを担保してございます。  また、財政的な面からも、今後の成田空港の二千五百メーター化に要する経費というものは、正直申し上げましてそんなに大きなものではございません。あとは要するに住民の方々の御理解、御協力を得るということが最大のネックでございます。しかし、万が一に備えまして、国が空港会社に対して無利子貸付けとか、あるいは必要に応じて出資もできるというようなセーフティーネットのいわゆる所要の財政措置が行えるようにするなどの措置を取っているところでございまして、費用の面については問題ないと思います。
  46. 池口修次

    ○池口修次君 確かに、費用はそんなにどうしようもないということではないというふうに思いますが、やはり問題は、本当に住民の理解が得られるかどうかということで、今までも相当時間、先ほど扇大臣から話がありましたように、相当時間が掛かってやっと暫定滑走路ができたということで、これが本当に二千五百にいつごろできるのかと。  一方で株式公開も目指しておるということで、新聞等、若しくは証券会社のいろいろ試算ですと、本当にこの二千五百が開通している状況と二千五百が開通していない状況では株価が相当違うんじゃないかというふうにも言われておりまして、確かに私だってそうだというふうに思いまして、少なくとも二千五百にするというところは、株式を公開するというのが本来の意味での民営化だというふうに考えれば、やっぱりそれ以前にその二千五百はやっぱり国が責任においてめどが立てるべきだというふうに思いますが、その点についてどう考えているのかということと、いつごろをめどにその二千五百をやろうという計画なのかというのをお聞きしたいというふうに思います。
  47. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 株式を上場する時期につきましては、空港会社の経営の実績とか株式市況の状況等を総合的に勘案して検討する必要がございますが、先生今御指摘のとおり、平行滑走路の二千五百メーター化ができていない、あるいはそれがいつできるかめどが付いていないという状況では、その会社の事業の成長の余地等の観点から見て、投資対象としての魅力というのは極めて不完全でございます。少なくとも、その実現のめどが確実に立っているということが株式上場の前提になると考えてございます。  そういう意味で、一刻も早く平行滑走路の完成というのがこういう意味からも急がれるわけでございますけれども、非常に、今日は総裁はいらっしゃいませんけれども空港公団を始め関係者の皆様方が今懸命の努力を、あらゆる手だてを使って努力をしていらっしゃる状況でございます。相手方もございますのでその状況について申し上げるのは少し差し控えたいと思いますけれども、今懸命の努力をして、一日も早くこの二千五百メーター化の完成に向けて努力をしているということを御報告させていただきたいと思います。
  48. 池口修次

    ○池口修次君 ここでは懸命な努力を是非お願いしたいと言うべきだというふうに思いますが、ただそこが全く、その範囲でしか答弁をできないという段階で、民営化というのが何となくちょっと先走っているんじゃないかなという印象を受けております。  それと、その部分は以上にさせていただきますが、もう一つの大きな課題ということで、これも出ております空港へのアクセスの問題で、私はこれは二つの観点でやっぱり改善しなきゃいけないと。やっぱり、国内線との乗り継ぎの問題をどのように改善をしていくのかということと、もう一つは、首都圏、東京に来る場合の人の移動の問題と、あと貨物の問題を、これも相当苦労をしておるということで、公団の人の書いた文章でも、移出のピークは木曜、金曜日で、道路状況が一番ピークになる夕方になると四車線の道路がほとんど動かなくなるというようなことも書いております。  貨物を飛行機で送るというのは相当時間を優先して高い料金でやっているわけですから、やっぱりこの問題というのも改善をするということがある意味民営化の前提条件だというふうに思いますが、この国内線の乗り継ぎの問題と、あと人と貨物のアクセスの問題について、どう改善をしていくのかということをお聞きしたいというふうに思います。
  49. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 先ほど先生が、滑走路のめども立っていないのになぜ今民営化ということなんですけれども空港整備については国が責任を持って適切に対応するということである一方、一方、空港の運営につきましても、民営化することによって直営店等の運営によって非航空系収入等を増大させていくとともに、コストダウンを図るなど会社としての経営が効率化されるということを通じまして、利用者への還元といいますか、着陸料等の利用者負担の軽減とか、あるいは空港全体の国際競争力を向上を図るということが可能になる、そういうメリットがあるわけでございまして、そういう面から、両方面をにらみながら今回民営化を図っていくというものでございます。  それから、成田空港と国内空港との空の際内の乗り継ぎ時のアクセスの問題について、まず私の方からお答えさせていただきますと、成田地方空港を結ぶ国内線の充実は、国内、国際線の乗り継ぎ利便の向上を図っていくという意味で非常に重要な課題であると認識してございます。  昨年の四月の暫定平行滑走路の供用開始に合わせまして、国内線の発着枠を従来六千五百回を約二万回に拡大いたしました。その結果、成田空港からの国内線は四都市、週三十八往復でございましたのが、これがこの八月からは六地域、百十二往復ということで、三倍ぐらいに拡大される予定でございます。  国土交通省といたしましては、今後とも関係者とともに、成田空港の国内線の充実に向けて今後とも努力を続けてまいりたいと考えてございます。
  50. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 私の方から成田空港と首都圏とのアクセスの問題についてお答えさせていただきます。  まず、成田空港への鉄道アクセスにつきましては、現在、成田空港と都心との間を結ぶJRの成田エクスプレスとか京成電鉄のスカイライナーを利用して、それが一番速いわけですが、所要時間は五十分台ということでございまして、その時間短縮というのが大きな課題になっておりました。このため、成田空港と都心との間を世界のほかの空港と比べて遜色がない三十六分で結ぶという成田高速鉄道アクセス線の整備を進めているところでございます。昨年七月に事業主体である成田高速鉄道アクセス株式会社に対しまして鉄道事業許可を行ったところであります。今後は、平成二十二年度の開業を目指しまして、環境アセスメント調査、建設工事などを着実に進めていきたいというふうに考えております。  それから、物の流れに関しましては、道路アクセスでございますが、首都圏の北部と成田空港間のアクセス時間を大幅に短縮するために、東京外郭環状道路の東側区間、すなわち三郷から東関東自動車道の市川を連絡する部分でございますが、ここの早期整備に努めるとともに、東京外郭環状道路から千葉ニュータウンを経由しまして成田空港に連絡をします北千葉道路につきましても、計画の具体化に向けて関係機関と調整を図るなど、道路アクセスの整備を着実に進めてまいりたいと考えております。
  51. 池口修次

    ○池口修次君 一つは、国内線との乗り継ぎ、成田にも国内機を入れるということなんですけれども、それもやっぱりある程度限界があるし、そうじゃなくてもかなり国際線の乗り入れ待ちがあるということですから、余りこれだから大丈夫だということではないはずだと思うので、やはり国内線は今は羽田が中心ですから、羽田とのアクセスをどうするかというところを考えていただかなきゃいけないし、道路の問題というのも、本当に今のいろいろ道路の問題というのは、高速道路の問題は特に微妙な問題になっていますから、ここを優先してということになるかどうかというのは分かりませんし、かなり、民営化なったときの収益というのはかなり貨物の部分というのが大きいというふうに思いますが、相当この貨物の問題というのは苦労するんじゃないかなというふうに私自身は思ってはいるんですが、まとめて扇大臣の方から何かこの問題について考えがありましたらお聞きしたいと思います。
  52. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、池口委員がおっしゃいましたように、先ほども私は椎名議員に申し上げたかったんですけれども、羽田の拡張ということに関しまして、千葉県、東京都、神奈川県、埼玉県、四知事、それから千葉市長、川崎市長等々で協議会を作って、私もそれを主宰させていただいて皆さんに御参加いただいて論議しております。  先ほども羽田の離発着が増えたら千葉に騒音だけが来るのではないかということもありまして、今いらっしゃらなくなりましたけれども椎名議員に、私は、そうではなくて、騒音だけをということじゃなくて、私は千葉の堂本知事さんとも二人でお願いしたんです。それは、少なくとも木更津の皆さん方にも千葉県の知事さんの許可があれば、私は地元に、こういう航路で飛ぶという、まだその航路が決まっていませんのでね、飛ぶ航路が。これは次回の協議会に諮ることになっていますけれども、私は地元の知事さんの許可があれば説明に行きたいと。  なおかつ、私は、嫌なことだけではなくて、今貨物のことをたまたまおっしゃいましたけれども、アクアラインから成田までどうして高速をつながないのと。アクアラインを四千円から三千円、三千円から二千円のと幾ら下げたって先がないんですから。ですから、私は、アクアラインから成田までの高速道路を直轄事業でもいいと、堂本知事さんにそうお願いしました。そうしましたら、今、池口委員がおっしゃったように、神奈川県あるいは横須賀等々の人はもっと成田へ行くのに、あるいは貨物もアクアライン通って、高速通って成田まで、ぐるっと東京湾一回りしなくてももっとよくなる。ですから、そういうことも私は、千葉県の成田民営化しても成田が便利になるように、こういうことも国と地方と、堂本知事さんと直轄でいいからやりましょうよという約束もいたしました。  そういうことで、ただ、今、私、この間大変重要なことを調べましたら、貨物ということでおっしゃいまして、成田空港が今冷凍品が一杯飛行機で来ます。冷凍の食品もあるいは酒も来ればお花も来ます。ところが、成田空港に貨物が着いて検疫を受けるまでの間に屋根もない炎天下で待たされるんです、これ。五時間待っていたら冷凍で来たものは全部解けちゃう。そうしたら、また検査受けてから氷を全部入れ替えて、そして発送するんです。これも私、初めてこの間調べてくれと言って調べてもらって、成田のそういう貨物に対する欠陥部分、狭いんです、ないんです、検査受ける場所が。それで今度、A地区、B地区というのでこの間調べましたら、全部夏に向かって対応しなさいと。これだけ国際線の貨物が入って冷凍品が来るのに、シャケだって成田で生き返っちゃったら困っちゃうんです。これでは困るんで、私は何としてもそういう貨物に対しての国際空港の在り方、受入態勢が不備な分は全部改善してくださいと申し上げました。  ですから、そういう意味で、今おっしゃいましたけれども、降ろした成田対応、あるいはアクセスで貨物がいかに近く、いかに速く成田に行けるか、両面で私は今後も頑張っていきたいと思っています。
  53. 池口修次

    ○池口修次君 あとは、三点目ということで、椎名議員からもゲリラの問題が触れられました。依然として成田に関連するゲリラ事件、事案が発生をしておるということで、私は個人的には、何で成田空港がターゲットにされなきゃいけないのかなというのは、経過はありますけれども、別にあれは軍事施設でも何でもないんですから、今の段階では軍事施設ではないんですから、ターゲットになるというのはちょっと理解はできないんですが、なおかつやっぱりこれは民間企業に引き継ぐというか、負担を掛けるべき課題では全くないというふうに思っております。  ですから、早急に、この問題というのはある意味治安の問題でしょうから、治安維持を完全にやるべきだというふうに思っておりますが、なかなか、数は当初から比べれば相当減っていますが、いまだに散発的に起きているという事案、事象についてどういうふうにとらえて、これからどういうふうに、ゼロにするためにどうするのかという点をお聞きをしたいというふうに思います。
  54. 奥村萬壽雄

    政府参考人奥村萬壽雄君) お答えをいたします。  極左暴力集団、成田空港問題に関連いたしまして、平成に入りましてからも百三十三件のテロ・ゲリラ事件を敢行しております。昨年も五件の事件を起こしておりますけれども、その中身を見ますと、例えば乗客を乗せて運行しております京成本線、これに時限式の発火装置を仕掛けまして、電車のほろを炎上させましたり、あるいは千葉県の幹部職員の自宅に深夜ひそかに爆弾を仕掛けましてこれを爆破させるということで、いずれも一つ間違えば大変なことになる極めて悪質な事件を起こしておるわけであります。  警察といたしましては、こういう極左のテロ、ゲリラを防止するためにこれまで様々な対策を推進してきたところでございまして、例えば成田空港本体につきましては空港警備隊というのがございます。これは千五百人の体制でありますけれども、この空港警備隊を中心に、空港へ入ってくる入場者のチェックあるいは空港内外のパトロール、それからヘリコプターによる上空からの監視等を含めまして二十四時間体制で警戒警備を行っておるところでございます。  それからまた、テロ、ゲリラの対象になるおそれがある空港公団や県庁、あるいは国土交通省の方々につきましては、その身辺の警戒、あるいは自宅、職場、行き先等につきまして、情勢に応じまして警戒警備を行っておるところでございますし、更にこういうテロ、ゲリラを行う極左暴力集団そのものにつきまして取締りの徹底を図っております。昨年は五十八人の活動家を検挙をしたところでありますし、多数の場所を捜索もしております。  いずれにしましても、成田空港重要性は今更言うまでもないところでございますので、今後とも国土交通省、千葉県、あるいは空港公団、あるいは公団民営化された後の会社と緊密な連携を取りまして、こういうテロ・ゲリラ事案が発生しないように、警察といたしましても最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  55. 池口修次

    ○池口修次君 今、三点御質問をさせていただきましたけれども、私は、やっぱり成田空港株式会社というものができたときに、やっぱりしっかりやれというためには、この観点については国が責任を持って早急に改善をした上でしっかりやれというべき課題だというふうに思っております。  二点目に、民営化でしっかりやれという問題をちょっと質問させていただきたいんですけれども、今回の民営化のある意味目的の大きな柱に利用者の利便向上を図っていくんだということですが、この利用者の利便向上というのは、具体的に、じゃ、どういうことを民営化になって利便が向上するのかというのを具体的にお聞きをしたいというふうに思います。
  56. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 空港利用者は、具体的には空港を直接に利用するユーザーとしての航空会社のほかに、空港施設を利用する旅客、お客さんが挙げられます。  利用者利便の向上ということは、こうした利用者に対するサービス水準を向上するということでございますけれども、具体的にはエアラインにとっては空港着陸料、あるいは空港の利用料等の支払負担が経営の効率化等々、あるいは非航空系の収入の増大等々によってその負担が軽減されるということがまず第一次的には考えられますし、また一般のお客様にとっては、先ほど総裁がお答えになったように、直営の免税売店等の新たなサービスの提供等々を通じて、非常に魅力的で人々が集いやすい空港の施設の利用の増大というものが考えられます。また、コスト意識の徹底とかサービス向上に対する職員意識の改善などなどを通じまして利用者の利便につながると考えております。
  57. 池口修次

    ○池口修次君 今、着陸料が下がったり、あるいは直営売店のサービスが良くなるんじゃないかということでお答えがあったかというふうに思いますが、もう少し具体的にお聞きをしますけれども着陸料は、いろいろ資料によりますと、成田が、これ単位は九十四万八千円ということなんですかね。他に比べて相当高いわけですけれども、どのぐらいの目標に掲げているのかというのがありましたらお聞きをしたいということと、着陸料は多分これは航空会社が払っている話で、我々というか、旅客から見ますと、利用税ですかね、を払っている、使用料を払っていると思うんですが、その部分も下がるということなのかということを、まず着陸料についてお聞きをしたいというふうに思います。
  58. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 今般の空港公団民営化は、国際競争力のある自立的な経営主体を確立して、経営の効率化等を通じて着陸料を含めた利用者負担の軽減などの利用者利便の向上が図られることを目指すものでございます。  着陸料の具体的な引下げの時期とか、あるいはどの程度下げるかということにつきましては、基本的にはこれは空港会社が判断すべきことでございますけれども、今後の会社の経営状況なり、あるいは非航空系収入等々の利益がどれくらい出てくるか等々を見ながら考えなければならないことでございますので、現時点で、いつ、大体どれくらいできるかということは、明示するといいますか、そこを明らかにするということは正直言って非常に難しいことでございます。  しかしながら、先ほどの黒野総裁の御発言にもございましたとおり、欧米の着陸料というのは日本に比べてもう相当安いわけでございますけれども、そこと全く肩を並べるということは、なかなか現実問題としてそこまで持っていくのは難しいとは思いますけれども、やはり近隣のアジア諸国の状況等々を見ながら、競争力の低下につながらないように、できるだけ早く、そしてできるだけの可能な限りの着陸料引下げが実現されるよう空港会社を指導してまいりたいと考えております。
  59. 池口修次

    ○池口修次君 着陸料を下げる原資がどこから出ているかということでお聞きをしましたら、いろいろ、民間会社、株式会社が事業を、今までできなかった事業をやることで、そこから費用を捻出するんだというふうにお聞きをしているわけですけれども、先ほど野上委員からの議論の中でも、非航空収入を七、三から五、五にするということで、聞いていますと、何かテナントではなくて直営にすればなるというようなふうに私は聞こえましたけれども、本当にテナント方式じゃなくて直営、この成田空港株式会社、これからいろいろ商売の勉強をするんでしょうけれども、そこがやれば本当に利益が上がるのかどうかというところはちょっとどうなのかなと。ただ物を売れば利益が上がるというわけじゃないですから。  それは、確かに物を売ることはできるんですよね、お客がそこに行ったときに、それは直営の店かテナントの店か分からず入りますから。その利益率は、売れると思うんですが、ただやっぱり商売というのは仕入れがあって商売ですから、そこのノウハウがないと、必ずしも、直営にしたから利益が上がるというふうには私は必ずしも思わないし、もちはもち屋で、本当に専門のところに入ってしっかりもうけてもらって、そのテナント料をしっかりいただくという方が本当は上がるんじゃないかというふうに思っております。  それともう一つは、最近出ました財務省の航空土地・建物等貸付事業、これの報告は、これは成田は入っていないようですが、本来はこれ、かなり問題はあるんですけれども、独占に近い事業なんで利益率が高いということが出ております。ですから、今のテナント方式でも十分利益が上がる方法があるんじゃないかというふうに思っておりまして、それが直営にするから利益が上がって着陸料が下がるという理屈はどうも私にはすっきり理解ができないんですが、理解できるように御説明いただきたいというふうに思います。
  60. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 先生指摘のとおりでございます。武士の商法云々かんぬんというのがございますけれども、直営にすれば必ずもうかるという保証はどこにもございません。  先ほど黒野総裁がおっしゃいましたとおり、今の空港公団はそれこそ不動産業で、もう要するに場所を提供して貸すだけのことしかできませんが、この株式会社法によっていろいろな、自分で直営もできますし、いろんな分野に転出できるということで、その選択の幅が大きく広がるわけでございまして、それをどういう形で、どういう経営方式でやるのがいいのかというようなことにつきましては、先ほどの総裁答弁の中にもございましたとおり、それぞれの事業の特性なり、そういったものを勘案しながらいろんな組合せをしてやっていきたいという答弁があったと思いますけれども、それは従来どおりテナント方式でやるのもいいだろうし、あるいは直営でやる方式も出てくるでしょうし、いろんな方式が出てくるだろうと思います。  ただ、先ほどの答弁にもございましたとおり、今の成田公団の非航空系収入と、航空着陸料収入といいますか、航空系収入との割合というのは三対七ぐらいでございますけれども、例えば関空は、関空は非常に、あれは株式会社で先行しておりますけれども、これは今大体五対五ぐらいの割合になっているわけでございます。  それで、ヨーロッパのいろんな諸空港を見てみますと、その割合がさっきの七対三というような状況になっているということを考えますと、やりようによっては先ほどの三対七という比率が、総裁の当初の目標は五対五ぐらいにしたいという御答弁がございましたけれども、その先には更に七対三ぐらいに大きく伸びる可能性があるわけでございますね。そのために一生懸命、それはそれなりの、黙っていてお金が入ってくるわけがございませんので、いろんな工夫、勉強等々をやっていただいて、そしてその辺の収入増を図れるよう、そして最終的には着陸料等、利用者負担の軽減につながるよう頑張っていただきたいということで期待しているところでございます。
  61. 池口修次

    ○池口修次君 今、もう少し具体的に聞けという意見もありますが、ほかの質問もありますので進めます。  もう一点、地域対策の話もありました。私は、やっぱり企業が社会と共存していくための地域対策というのは、これはいかに事情が変わろうともその企業の責任においてやるべきだというふうに思っております。そういう意味で、空港にかかわる騒音対策等は引き続きしっかりお金を掛けてやるべきだというふうに思いますが、この地域対策費用というのは現在どのぐらい掛かっているのかというのが分かりましたら、ちょっとお聞きをしたいというふうに思います。
  62. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 環境、共生策にどれぐらい掛かっているのかという金額のお尋ねでございますけれども、過去十か年をならしてみますと、約一年に百五十四億円というような実績がございます。これは環境、共生策合わせてでございます。
  63. 池口修次

    ○池口修次君 是非、この部分というのは株式会社になっても引き続き手を抜かずにやるべきことという中の一番重要な問題だというふうに思っていますので、しっかりまずこの場でお願いをしておきたいというふうに思っております。  あともう一点、大きな点で質問をさせていただきたいというふうに思います。これは必ずしも成田ということに限った質問ではないわけですけれども日本国際空港整備という観点での質問になるかというふうに思います。  これからの日本国際空港整備をどう考えるかという観点で、アジアの空港との相対的な関係というのは私はあるんだろうというふうに思っております。そういう意味でいうと、アジアの中では現在相当大規模な空港整備がされておりまして、計画中で言いましても、韓国では四千メートル級の滑走路を四本持った空港なり、上海でも同じようなもの、若しくはクアラルンプールでも同じようなものが計画がされているというふうに思います。  事前にお伺いしましたら、国土交通省の中にはハブ空港という観点は余りそういう言葉ははやってないということですが、ただハブ空港ということはかなり一般的にも最近使われておりますし、最近ではハブ空港ではなくて、二十一世紀の超音速機の時代になるとスーパーハブ空港というのも世界の中に数か所できるだろう、そこが中心、拠点になってそれ以外の空港を結ばれるんじゃないか、そのスーパーハブ空港というのは多分アジアには一つじゃないかというようなことも言われております。  そんな観点で、今考えておる国際的な競争条件の中で日本の、私は、具体的にはやっぱり東京が中心の時代が続くとすれば東京近郊にということですし、場合によっては、今で言うと成田か羽田かということになると思うんですが、今言いましたアジアの巨大空港との関係でどう考えていらっしゃるのかという点をお聞きをしたいというふうに思います。
  64. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 我が国の国際拠点空港成田、関空、中部という三空港あるわけでございますけれども、三大都市圏を中心とした国際旅客とかあるいは貨物需要に対応しているわけでございますけれども成田は、これに併せて欧米等の長距離路線においては日本発着のみならず近隣諸国、アジア諸国への主要な窓口としての役割、トランジット客が二割ぐらいございます。そういう意味で主要な窓口としての役割を現に果たしておりまして、これはソウルとかあるいは中国のいろんな空港の比率から見ますとかなり高い数字でございます。そういう意味で、今後ともその役割の拡大が期待されているところでございます。  今後とも、引き続き我が国が世界、アジアの中で重要な地位を占めていくということが想定されて、こういったものを背景に我が国を中心とした国際航空についても多くの堅調な旅客あるいは貨物需要が見込まれてございます。したがいまして、これらの航空需要に的確に対応した国際拠点空港整備を着実に行うということで、そして、それを、それによって日本を基点とする国際航空路線の集積を相当な規模で維持発展させていけばアジアの中での大規模拠点空港としての地位を維持できると考えてございまして、ひいては国家間あるいは国際都市間競争に必須なインフラとしても適切に機能させていくことが可能になると考えております。  逆に言うと、こういう増大する、これが増大するというのはあくまで日本の経済社会力の潜在的な力というのがバックにあるわけでございますけれども、この増大する旅客・貨物需要に対応できないで空港整備が遅れるということになれば、逆に言うと、オーバーフローする分といいますかがアジア諸国の近隣の空港に流れていくという結果になるわけでございますので、この増大する国際貨物・旅客需要に的確に対応した国際拠点空港整備を行わなきゃならぬ。そういう意味で、成田の平行滑走路の二千五百メーター化の一日も早い完成、そして関西国際空港、中部国際空港整備を早期、着実に進めていく必要があると考えてございます。
  65. 池口修次

    ○池口修次君 私が質問をしたのは、本当に、成田の二千五百と四千、関空、中部ということの整備を着実にということなんですけれども、本当にそれができた段階で、先ほど言いましたように、計画では四千メートルの滑走路を四本も持っているような巨大空港と本当に競争が成り立つのかどうかということを是非お聞きしたかったわけで、扇大臣のお薦めで私も見させていただきました国土交通省の百年デザインという中の百年後の国際空港ということも、どうもこれは日本地図を見ながら、見た政策ではないかなというふうに私は実は思っております。やっぱり世界地図を見ると、それも日本を中心とした世界地図じゃなくて、ヨーロッパを中心とした世界地図を見ると、ちょっとこの百年後の国際空港という中身は私は違ってくるんじゃないかなというふうに思っております。  今はアジアの中でも日本の優勢、経済の優勢というのはありますので、日本にある意味アジアの戦略の中心を置くという、このグローバルの、国際的な国際企業はそういう戦略を取っているかもしれませんけれども、百年後ではなくて、もう五年後、十年後には場合によっては中国に置いた方がいいんじゃないかというような時代が私はすぐ来る可能性は十分秘めているというふうに思います。そうしたときに、中国と日本の経済の力が違いがあって、やっぱり日本に置くべきだというときには、それは空港がどうあろうと日本にアジアの拠点を置くんでしょうけれども、それが近づいてくれば近づいてくるほど、やっぱり空港がどういう空港になるか、多分、世界の企業の経営者ということになると世界じゅうを飛び歩くわけですから、じゃ、日本に行って日帰りで帰ってくるというようなことも考えるわけですけれども日本じゃなかなか日帰りで行って仕事できないなと、中国ならできるということになると中国にあった方が便利じゃないかというような発想が出てくるんじゃないかというふうに思っております。  そういう意味で、少し、確かに日本の大きな経済圏である東京と中部と関西の経済発展のために空港整備するということも現時点では必要かもしれませんけれども、やっぱりもう少し先を考えれば、やっぱり世界の中での、世界地図を見た中での国際空港整備に後れないように、既に、先ほども言いましたように、韓国も中国もマレーシアもやっているわけですから、やっぱり日本もそうあるべきではないかなというふうに私は思ってはいるんですが、この点についてお考えを是非お聞きしたいと思いまして、午前中の質問は以上で終わらせていただきます。
  66. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、池口委員がおっしゃいましたように、百年デザインを見てあげてくだすってありがとうございます。それは国交省の若手が三十二名、タスクフォースを作って、若手が、三十代のもう若い人たちが作ってくれたもので、これを出したことによって多くの皆さん方からいろんな御意見を私にいただいております。百年デザインというものが官公庁で出したことがないものですから、せいぜい十年、大体が長期といっても五年ですから、百年後のデザインというのはおこがましいと思われたかもしれませんけれども、そういう意味では大変多くの御意見をいただいています。  そして、もうこれじゃ駄目なんだと、今もお話ありました環境とか共生というものの対策費ということを考えれば、少なくとも成田で平均一年間に百五十億、伊丹で百億というような環境と共生対策費使っているわけですから、ですから、東京湾の真ん中に空港島を造りなさいよとか、いや、もう海を使うしかないですよとかって、もういろんな御意見を私、いただいておりまして、そういうことこそが、私は、この百年デザインを出して、皆さんに御意見の材料を出したことによっていろんな御意見いただけたことが大変有り難いと思っていますので、是非民主党さんからも日本の百年後のデザインを出していただいて、我々も勉強させていただきたいと思いますし、百年は目標であって、それまでに一、二年で対処しなきゃいけないということも、百年後が見えていれば対処できるわけですから、それが経済の有効なお金の使い方ということになるものですから、是非そういうことも今後御論議いただきたいと。  それが夢のある論議であって、少なくとも、もう毎日毎日不景気だ、もう良くない良くないということではとても日本の将来はなくなりますので、是非各党がこぞって私は将来の、二十一世紀の在り方というものを検討の供に資していただきたいと、そう願っております。
  67. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  68. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、富樫練三君が委員辞任され、その補欠として小泉親司君が選任されました。     ─────────────
  69. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 休憩前に引き続き、成田国際空港株式会社法案及び航空法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  70. 池口修次

    ○池口修次君 午前に引き続き、残りの時間で航空法の一部改正について質問をさせていただきたいというふうに思います。  冒頭ですけれども、実は私が参議院議員になって初めて一昨年の十一月八日に質問をさせていただきまして、そのときがちょうどアメリカのテロの直後でございましたので、ハイジャックの対策と、それに関連して機内迷惑防止の質問を、初めて質問をさせていただいたのがこの案件でございます。今日再びこの質問ができるということで大変有り難く思っておりますが、当時は若干慎重な答弁だったのかなというふうに私自身は思っておりますので、是非、今回も答弁の方、よろしくお願いをさせていただきたいというふうに思っております。  この機内迷惑防止の航空法の関係につきましては、民主党としてもこれと同じ中身の議員立法を実は提出を既にさせていただいておりまして、今回はこの法案が出てきたために取下げということになったんですけれども、もう是非この法制化を進めたいということで今回の法改正については大賛成という立場でございます。経過は既に皆さん御承知だと思いますけれども、この機内迷惑の問題につきましては、国際機関でありますICAOの二〇〇一年の十月の総会でこの機内迷惑防止を対象とした国内法の整備を進めるという決議がされております。それに合わせまして民主党としても二〇〇一年の十一月にこの法案を議員立法で出させていただきました。  今回、この機内迷惑防止に対する法案が出てきたわけですけれども、正直言いまして少し、かなり時間が掛かったのかなというふうに思っております。この間、どういうような議論がありまして、率直に言いますとちょっと時間が掛かったというのは、どのところに観点があったのかということをまずお聞きをしたいというふうに思います。
  71. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 国土交通省といたしましても航空機内におきます安全阻害行為などの抑止というものは極めて重要であると認識してございますが、法制化に当たりましては、先生指摘になりましたとおり、国民の皆様に新たな刑罰を科すというものでございますから慎重に検討を行ってきたところでございます。  具体的には、平成十三年の十二月から昨年の平成十四年十月まで省内に航空会社や労働組合の皆さんと一緒に機内迷惑行為防止検討委員会というものを設置しまして、五回にわたって検討を続けてまいりました。その中で、まず、機内迷惑行為の防止に関する行動指針、ガイドラインというものを昨年の十四年の二月に航空業界あてに通達をいたしまして、迷惑行為を行う者に対して毅然とした対応を取るなど、いろいろな対応方を指導いたしまして、また航空業界を挙げて機内迷惑行為撲滅キャンペーンというものを行いまして、その防止に努めたところでございます。また、平成十四年の五月と六月に国内線と国際線お客様に対しましてアンケート調査を行いまして、約三千五百人の方々からの回答を得て、この機内における迷惑行為に対して特別な法律が必要であるとする回答が過半数を占めたところでございます。そして、それを受けまして、今回法案を提出するに当たりましてどのような行為を処罰対象とするべきかということにつきまして、法務当局とともに慎重に検討を行ってきたものでございます。  以上申し上げましたとおり、必要ないろんな角度からの検討を行った上で今回本法律案を提出したというものでございます。
  72. 池口修次

    ○池口修次君 あとは具体的な中身なり手順について少し確認をさせていただきたいというふうに思っております。  まず第一点目に、この機内迷惑の行為については具体的には省令で定めるということになっておりますが、今、今というか、考えられているその省令の中身について具体的に御答弁をいただきたいというふうに思います。
  73. 洞駿

    政府参考人洞駿君) お答え申し上げます。  航空の安全に支障を生じさせるおそれのある行為として、具体的な行為としては次のようなものを国土交通省令で定めることを予定してございます。乗降口又は非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為、便所において喫煙する行為、航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為であって、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護、又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持に支障を及ぼすおそれのある者、携帯電話等の電子機器を使用する行為、離着陸時に座席ベルトを着用しない行為、手荷物を通路に放置する行為、離着陸時に座席のリクライニング及びテーブルを元の位置に戻さない行為、みだりに救命胴衣などの安全のための器具を使用又は移動する行為。  また、このような行為をした者に対しましては、直ちに罰則を適用することとせず、機長がいったん禁止命令を行った上で、その上で更に反復して継続した者についてのみ罰則を適用することとしております。
  74. 池口修次

    ○池口修次君 今言った中身で十分かどうかということについては、民主党の以前出した案ですともう少し対象事項を挙げておりまして、それら等も含めて衆議院の議論を踏まえて法案自体は三年後に見直しということになったというふうに思いますが、この具体的な行為は省令で定めるということになれば別に三年後というふうに入らなくてもいいんじゃないかというふうに私は思っているわけですが、今回入らなかった、特にトイレ以外での喫煙なり、ある意味乗客同士のセクハラ等の行為があったときにこの対象にするかどうかということについて、いろいろこれからの状況もあるんでしょうけれども、いろいろこういう被害がある、引き続き起きてくるということがあった場合には、三年後ということじゃなくて、必要に応じて省令で改定をしてもいいんじゃないかというふうに思うわけですが、この点については御見解はいかがでしょうか。
  75. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 先生指摘のとおりでございます。法律的には三年後にきちっと見直しをするということでございますが、これにつきましては、どのような行為を、五十万円以下という非常に重い罰則を掛けて規制するわけでございますけれども、そういうことに対する国民の理解といいますか、認識というものも時の経過とともにいろいろ変わってくることも予想されるところでございまして、そういったものを加味しながら、必要な行為を新たに処罰する。また、いろんな技術開発とか、そういったものも日進月歩で進んでおります。そういう状況等を踏まえまして、適時適切にその内容を見直していくということも必要だと考えております。
  76. 池口修次

    ○池口修次君 あともう一点、違反行為があったときにどういった手順を踏んで注意を喚起するかということについて、いきなり処罰をするんじゃなくて取りあえず注意をするというふうに言っておりますが、実際にそういう行為があったときに、だれがどういうものでそういう、まずは注意を喚起して、注意を喚起した後、また再度やっているときにはどういう手続でどうなるかというのは、ちょっと非常に、余り具体的じゃないですけれども、例えば飛行機が着いたところで何らかの人が待っていてそれなりの手続をするということかなというふうに思うんですが、どういった手続で行われるかというところを少し具体的に御説明いただきたいと思います。
  77. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 先ほど申しましたが、直ちにそういう行為を発見したといいますか、押さえたということで処罰の対象とすることではなくて、機長がいったん禁止命令を行った上で、その上で、それを無視して更に反復して継続して当該行為を行う者に対して罰則を適用するということになるわけでございますが、これは、まずだれが判断するかということになると、機長は、委任を受けた客室乗務員の、保安要員たる客室乗務員の方々の判断というものが第一にございますし、それを受けて機長と相談した上で、機長の命令をお客様に伝えるということになろうかと思います。  それを無視して更に繰り返す、これは反復ですから何回かというのはございませんけれども、反復ですから、二回目、もう一回やればもう反復になるわけでございますけれども、そういった人に対して罰則を適用するわけでございますが、具体的にはマニュアルの、具体的な適用の、どういう行為に対してどういう注意をして、どういうふうな対応をした場合にどういうふうに答えるというマニュアルの作成とか訓練というのをきちっと行って、その辺のところの判断が恣意的にその場その場で変わっていくということのないようにきちっとやりたいと思っております。  そして、具体的に、それでもやめない場合でございますけれども、これまでも悪質行為ということで、飛行機が飛行場に引き返して、警察官の派遣をあらかじめ要請してお引渡しをするというような事例もございますけれども、これもまた機長と相談の上で、連絡を取ってそういう措置を取るということになります。  また、機内においてやはり幾ら言ってもやめないような場合には、ほかのお客様の御協力等を得てその人を拘束するということも航空法上は可能でございます。
  78. 池口修次

    ○池口修次君 そうすると、具体的に言うと、何らかのマニュアルが用意をされて、これは全員の、その乗客の方に何らかの形でこうなっていますよというのが例示がされるんじゃないかというふうに思いますが、もっと具体的な事象が起きたときには、場合によっては、こういうマニュアルになっていますよと。そこに扇大臣のサインがあるかどうかというのはちょっと分かりませんけれども、なっていますよというのを示して、あなたはこういうことを、こういうマニュアルに違反してやっていますから注意を喚起しますというのを客室乗務員の方が示すと。機長がわざわざそこまで出てくるというのはまた別の面で問題がありますから、そういう手順かなというふうに私なりに想像すると思うんですが、そういう形になるんでしょうか。
  79. 洞駿

    政府参考人洞駿君) マニュアルを示してというよりも、法令の違反の事実を示して機長の命令を伝えるということになろうかと思います。  具体的にどのような行為がこの処罰の対象となるかにつきましては、法の施行前あるいは施行後におきましても、お客様に対してあらゆるいろんな手だてを使ってその周知徹底なり、キャンペーンなりを張るなりしてその周知徹底を図っていきたいと思っております。  マニュアルというのは、そういう事態が発生したときに客室乗務員なりがどういう対応を取るかという行動手順を示すということで、また判断基準を示すということでございます。
  80. 池口修次

    ○池口修次君 まあ私みたいに民間の出身からいいますと、多少そういう行儀の悪いお客さんでも、ある意味お客さんということで、ある人はお客さんは神様と言ったみたいですけれども、なかなか客室乗務員の方が適切に対応できるかどうかというのは、若干微妙なときはちゅうちょするのもあるんじゃないかと思うんですが、こういうとき、こうならないようにするためにちょっと、どういうような、客室乗務員の方に対するマニュアルの徹底とか、そういうものはどういうふうにやられるのかというのを再度ちょっとお聞きしたいと思います。
  81. 洞駿

    政府参考人洞駿君) マニュアルの整備とともに、客室乗務員に対する教育訓練といいますか、訓練はもう徹底的に行います。昨年の二月にガイドラインというものを示しまして、そういう機内迷惑行為といいますか、そういうことに対しては毅然とした態度を取るようにということで、その同じようなマニュアルなりあるいは訓練というものを実施した結果、やはり当該行為というものは相当数減っているということは事実でございます。  普通のお客様は、普通はそういうのを注意されれば、ましてや今回は罰則付きの法令ができるわけでございますから、普通は遠慮していただくというのが一般だと思いますが、まれにそういうものを無視して反復継続されるお客様もいらっしゃると思いますけれども、これにつきましては毅然とした態度、また他のお客さんの御協力等も得てそこの行為をやめさせて、必要に応じて航空機が到着した場合等について警察官の協力を仰いでそちらの方に引き渡すというようなこと等をしっかり徹底さして、機内迷惑行為の撲滅に努力したいと考えています。
  82. 池口修次

    ○池口修次君 あと、この種の法律というのは必ずしも全世界統一ではなくて、多少の違いがあるというふうにお聞きをしました。適用されるのは、別に、日本飛行機は世界じゅうで日本の法律が適用されるかもしれませんけれども、海外の飛行機日本の領空の中に入ったということになりますと、その海外の飛行機はほかの国の法律も多分日本的な解釈で言うと適用になるかというふうに思うんですが、そうすると、それは日本の法律が適用されるのか、海外の持っている法律が適用されるのかというのは、若干違いがあると混乱をする可能性があるんですが、この点はいかがなんでしょうか。  もう一回言いますと、事前にお聞きしたのが正しいとすると、全日空なりJALは日本だけじゃなくてほかの、海外に行ってもこの法律が適用されるんですよというふうにお聞きをしました。海外の飛行機日本の領空内に入ったらこの法律が適用されるんだと。逆もそうだとすると、二つの法律が存在するということになるんですが、そうはならないでしょうか。
  83. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 結論から先に申し上げると、両方の、それぞれの国の法律によってどういう航空機に対して適用されるかというのはございますが、今回私ども考えたのは、日本の刑法の考え方に従って、日本国籍の航空機、どこを飛んでいようが、世界のどこを飛んでいようが、日本航空機内で行われる行為、それから日本の領空内を飛んでいる航空機、これは外国籍、日本籍を問わず、そういうものに対して適用するということになっておりますが、ほかの国、結局、外国機に対しては、あるいは日本機に対しても、ほかの外国航空会社の、この機内迷惑の法制が適用になる可能性は大いにあるわけでございますが、その場合は両方適用になると考えております。
  84. 池口修次

    ○池口修次君 ちょっとそれで本当に大丈夫なのかなというのが、二つの法律が適用されるというのは、両方が、多分どっちでも適用されるんでしょうけれども、じゃ、飛んでいる場所によってこれは刑罰になるけれどもこれは刑罰にならないとかいうことが起きて本当に大丈夫かなというふうに若干心配な部分がありますが、是非施行までに心配にならないように整理をしていただきたいなというふうに思っております。  あと残りの時間で、今回の件とは直接は関係ないんですけれども、ハイジャック対策について質問をさせていただきたいというふうに思っております。  これは、先ほども言いましたように、一昨年も、ハイジャックの、アメリカのテロに関連してハイジャックの対策が本当に今の日本の体制でいいのかどうかということを質問をさせていただきました。そのときには、日本の場合は日本の体制で、これは国の責任というよりは航空会社責任においてやることで、必要があれば国土交通大臣指摘をして改善をさせるということだというふうにお聞きをしましたが、ただ、大きな状況の変化というふうに私は考えているんですが、今国会で一般的に有事三法と言われるものが成立をしまして、その中にテロに関する事態、テロなりほかの、各種の事態に応じた対処方針の策定の準備なり態勢を充実しますよということに法律上はうたわれております。  私はハイジャックの問題ということはやっぱりテロに直結するというふうに考えた方がいいんではないかというふうに思っております。アメリカにおいては九・一一でもうこのハイジャックの問題がテロという体制が取られておりますし、日本においても、かつてのよど号の事件で、これも見方からすれば、場合によってはあれが、テロが世界に拡散するような処置だったのかなというふうにも見られなくはないわけで、そういう意味で、やっぱりテロの対策というのは、今の日本の法律における旅客の安全を維持するという観点でこれは航空会社がやるということになっているんでしょうけれども、ちょっとこれは見方を変えて、やっぱりテロに関する、類するものであるということで国が責任を持ってやるべきではないかなというふうに私は思っているんですが、この点についてお考えをお聞きをしたいというふうに思います。
  85. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 御指摘のとおり、ハイジャックはテロにつながりかねない重大事案でございます。  そういうことで、米国の同時多発テロ事件発生と同時に、先生御承知のとおり、現在、我が国では空港警戒態勢を最高レベルのフェーズEに引き上げて、受託手荷物の全数検査のための検査機器や新型の爆発物探知機を導入しているほか、強化型の操縦室扉を装着するなど、ハイジャック・テロ対策を強化してきてございます。  このように、我が国の法制では航空会社が第一次的な責任を持って保安体制をしくということになっているわけでございますけれども、そういう現行の保安体制でも十分に適切な航空保安対策を投じていくことは可能であると考えてございまして、今後とも、現行体制の下で、航空会社等の関係者と連携しつつ航空保安に万全を期してまいりたいと考えております。
  86. 池口修次

    ○池口修次君 私は、ハイジャックなり、これに類するものが乗客の問題だけにとどまるというふうに解釈をすれば、それは乗客の安全を確保するのは、それは飛行機であれば航空会社であるし、鉄道であれば鉄道運行業者がやるということは、それはそうだというふうに思います。  ただ、じゃそれ、本当にその段階でいいのかということでいうと、これはアメリカでは実証されて、現実にアメリカではハイジャックの防止については国の責任においてやるというふうに変わっているわけですから、これに対して日本が依然として、いや、大丈夫だと言うことは、ちょっと違うんじゃないかなというふうに私は思っております。全部が全部国でやるということではなくてもそれはいいんですけれども、ある意味責任を明確にして、この範疇は国がやりますよと。場合によって、それをやるために膨大なお金が掛かったとしても、これは安全の問題なんだから、これは国が航空会社に補助金を出してやらせるとかいうんじゃなくて、直接国がやるというようなことが私は必要だし、事前の話ですと、飛行機にやっちゃうと、じゃ、新幹線が乗っ取られたときどうするんだとかいうような話があるというふうにお聞きをしましたけれども、それは現実問題として、新幹線がなるんであればそれも同じように私は対応しなきゃいけないというふうに思うんですが、現実にアメリカではそこまで脅威を感じて対策をしているのに、やっぱり日本考え方は少し安易ではないかなと、ちょっと言い過ぎた部分がありましたら言葉を変えますけれども、というふうに私は思っているんですが、大臣、いかがでしょうかね。
  87. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 一昨年の九・一一同時多発テロ、池口議員が安全対策について初めて御質問をいただいて、そのときもテロ対策ということで、国土交通省の陸海空の、私、警戒態勢をお答えした記憶がございます。  これは人だけではなくて、初めてあの九・一一というものを見まして、これは人だけではなくて荷物が大変だということで、荷物検査というものは今まで余り、ただ機械を通すだけで重要視されていなかった。その機械も、いわゆるプラスチック爆弾のようなものは映らないという程度の機械だったわけですけれども、その機械も強化しようということで、これも導入をいたしました。  それと、もし、こんなことあってはいけないんですけれども、ああいうテロがあったときにどうすべきか。そのときには、日本に向かっている飛行機、あるいは現在飛んでいる飛行機発着しようとしている飛行機、そういうものを一斉に指令を出すことができるのか。管制官が全部その体制を作ろうということで、マニュアルを作りました。出発するものは控える、そして日本に入ろうとするものは引き返してくれと言う、今飛んでいるものは近くの空港に着陸するという、そういうマニュアルを作りまして、一斉にこのマニュアルを実行して、管制官がやってみました。これも日本では初めてのことでございましたけれども。  そういうことで、陸海空一緒になって、これは新幹線もそうですけれども、新幹線の操縦席もそうですけれども、あらゆる、客席から操縦席に入る扉を簡単に開かないようにするとか、そういうことに関しては最大限のマニュアルを作って一度検査をしてみたというのが国土交通省としての対応でございますし、また、今おっしゃいましたように、入ってくるもの、それから、飛行機によっては警察官が一緒に客席に同乗することも可能であるということと、厳戒態勢取ったにもかかわらず、大変恥ずかしい話ですけれども成田空港のどこから入ったか分からない男が無賃乗車でホノルルまで行って引き返されたという事件が起こりまして、私は、これだけ厳戒態勢取っているのに、どこからその人が入って、しかも席がないのに通り抜けて、座ってホノルルまで行っちゃった、これは厳戒態勢しいているのにおかしいじゃないかというんで、これ全部ルートを調べて、どういう手違いでどういうところに欠陥があったのかも調べました。  そうしますと、これもたまたまなんですけれども、貨物を載せるところに貨物の従業員のような顔して空港内に入ったようでございまして、それもたまたま空港に乗るときに女性が前の人と一緒にすうっと入っちゃって、たまたま空いている席に座っていたと。これももう分からないんですけれども、そういうこともありましたので、重々、我々は厳戒態勢取っているにも、そういう荷物の出入口の検査の不備、あるいは検査の強化、そういうものをしようということで、テナントの従業員にも、これは従業員だからって服着ていたらみんな無検査で通るというのもいけないということで、テナント業者の従業員にも徹底しようというふうに考えておりますので、一〇〇%と言い切れないところは私も苦しいところですけれども、今ではできる限りの厳戒態勢というものをマニュアルを作って実行しているというのが現在でございます。
  88. 池口修次

    ○池口修次君 十分可能な限りのことはやっているというのは私は理解はするんですけれども、ただ、責任がどこなのかというところはやっぱりある意味重要なポイントだというふうに思いますので、是非、今後この点についても本当に今の責任体制で大丈夫なのかというのを検討をしていただきたいというふうに思いますし、一昨年にもお聞きをしたんですけれども、私は、幾ら厚い防弾扉をやったとしても、例えば機長が今客室内で何が起こっているかというのを分からないで出てきちゃえば、これはそのときに滑り込まれれば意味はないわけですから、私は、やっぱり機内モニターをすべての飛行機に付けて、少なくともその機の最高責任者である機長がいつでも機内の様子をチェックできるという体制が必要じゃないかというふうにお聞きをして、当時はすべてのところに機内モニターは付いていないということでしたが、その後、この機内モニターについてはどの程度の割合で付いていて、若しくは、すべての飛行機に付けるべきだという私の意見に対してどうお考えなのかというのをお聞きしたいというふうに思います。
  89. 洞駿

    政府参考人洞駿君) お答え申し上げます。  航空機に装備すべき機器などを定めた国際民間航空条約というのがございまして、その附属書で強化型コックピットドアを装備した航空機は操縦席からコックピットドア周辺をモニターできる措置を講じなければならないとされているんですけれども、しかしながら、そのモニターできる装置の技術基準とか具体的な装備要件についてはまだまだ検討の段階にございまして、機内モニター用カメラの装備というのが国際的に義務付けられるというような状況にはまだ現状は至ってございません。  しかしながら、我が国の状況を見ますと、最近導入された一部の航空機には製造時に機内モニター用のカメラが装着されているものも出てきて、これはまだ数は非常に少のうございます。また、既存の航空機についても、機内モニター用のカメラを付けるということについて、一部航空会社も計画、実施することについて具体的な検討に入っているところもございます。  ですから、こういう状況を踏まえまして、しかし、片一方で非常にお金も掛かる話でございますから、諸外国の動向等も踏まえながら、国土交通省としても、そういう装備の付ける促進方、方策等についても検討して勉強していきたいと思います。
  90. 池口修次

    ○池口修次君 最近はそれなりの家でもドアホンが完全に整備されて、多分あれも線じゃなくて無線のドアホンなんかもあるんじゃないかなというふうに私は思うんですが、何でそういうのが飛行機になかなか遅いのかなというのはちょっと理由は分からないんですが、やっぱりハイジャックというのは絶対に起こしちゃいかぬという観点で、更に一層の努力をお願いをさせていただきたいというふうに思います。  大分時間が取りましたので、私の質問は以上で終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  91. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本でございます。  今日の審議、さらに次回の審議を通じまして、いよいよ成田民間になると、民営化されるという状況になってまいるわけでございます。日本の飛行場を代表する、世界に対して、やっぱり成田空港という問題ですが、ここで絶えず、成田だけに限らずに、日本飛行機の問題等々ということになってまいりますと、着陸料の問題が絶えず言われるわけでございます。  政府に観光立国懇談会が発足いたしまして、また国土交通省ではグローバル観光戦略推進委員会というのが設置されました。日本への観光客一千万人、これを目標にして、そして日本に多くの観光客をお招きしようということでございます。現在、日本から外国へ行っている人が千六百万人、反対に外国から日本を訪れてくれる人は五百万人弱という状況であります。これを、その観光客を呼び起こすことが大事だと、総理以下、全部取り組んでいるわけでございますが、私も党のこういった観光立国という問題に対するプロジェクトチームの座長として、多くの、一千万人の人を呼べるように今一生懸命取り組んでいるところであります。  しかし、その中でやっぱり、いろいろと関係者と話をし、議論しているわけでございますけれども、我が国の高コスト構造、これは着陸料始め、そのほかの分野も含めてでございますけれども、一概に言えるのは高コストであると。  我が国も加盟している国際民間航空条約の前文に、これはシカゴ条約と言われているものでありますが、国際航空運送業務が機会均等主義に基づいて確立されて健全かつ経済的に運営されるように、一定の原理及び取決めについて合意し、その目的のために条約を締結したと、こうなっています。この条約を忠実に遵守して、世界平和の基礎になる友好の確立に向けて、国際民間航空の発展が極めて重要であるというふうに思うわけであります。  一方、昨今、我が国の航空業界状況はどうかと。朝からも御質問があったようでございますけれども、テロやあるいはイラク戦争、さらにまたSARS、こういった状況が起きてきまして、既に航空業界は自助努力を超えた状況にあるかと思うんですが、まず航空業界の現状に対する認識、それから諸外国における着陸料等の軽減措置、この問題についてお伺いいたします。
  92. 洞駿

    政府参考人洞駿君) お答え申し上げます。  航空業界は、最近のイラク戦争SARSにより大きな影響を受けているところでございます。国際線搭乗実績は、四月で前年度比で約四割、五月で約五割減、六月で約四割減、七月の予約も前年度比約三割程度に落ち込んでおりまして、今年度、大手航空グループで約千五百億円程度の大幅な減収が見込まれているところでございます。  このような状況にかんがみまして、国土交通省としても、イラク戦争の勃発直後に航空機へのテロ等による第三者に対して損害が発生した場合の政府措置を延長したほか、種々の軽減措置、規制緩和等を行って、また緊急融資等を決める等の措置を講じているところでございます。  なお、そのSARS等の影響によって外国からの渡航が敬遠されているSARS発生国であるアジア諸国を中心に着陸料等の軽減措置が講じられております。例えばシンガポールにおいては、シンガポール経済全体の救済措置一つとして、五月から十二月までの間に三〇%の着陸料を引き下げております。中国においては、五月から七月までの間、外国航空会社に対して二〇%の着陸料を引き下げております。台湾も、四月から九月までの間、一五%の引下げを行っております。また、香港においてもこういう措置が行われていると聞いているところでございます。
  93. 森本晃司

    ○森本晃司君 今、答弁がございましたように、日本航空業界千五百億の収入減、こういう状況である。外国は、そこでいろいろと考えて、中国やシンガポールでは着陸料を軽減しようとしている。私は、ところが日本はその姿が今見えていませんね、そういうふうにやろうとしているのか、そういうことをしまいとしているのか。私は、これは日本も同様に着陸料については、ただSARSイラクの問題云々だけではなしに、観光立国というのを掲げてやっている以上は、やはり観光立国にふさわしいような着陸料国際的にも行けるように持っていかなければならないと、こう思っているのです。  先日、アメリカ商工会議所の代表のメンバーがお見えになりまして懇談をさせていただきました。そして、そのときにアメリカ商工会議所の方から意見書をちょうだいいたしました。その意見書の中にこういうことが書いてあります。厳しい不況にあえぐ航空及び旅行業界にあっては、成田空港着陸料とその他の空港着陸等の相違は深刻であり、日本経済にとり重要な二業界を発展させる観点からも成田空港着陸料は直ちに引き下げられるべきである。これはアメリカから見たら、アメリカの商工会の人がおっしゃっていることでありますけれども、私、よく話を聞きながら、それはアメリカの言っていることで知らんぞと言うわけにはいかぬ問題だと話聞きながら思いました。  また、世界の航空会社から成る国際航空輸送協会、IATAというんですかね、そこでも先ごろ、成田空港着陸料は適正水準を大幅に超えており直ちに引き下げるべきだとして、そして日本政府により公開された成田空港の財務データ、空港に関する標準の原価計算法を用いて分析してその額を算出しています。それによりますと、暫定平行滑走路の供用開始により運航量が増加しており、それを考慮に入れると、現在の一トン当たり二千四百円から二一%低い千九百円まで引き下げても飛行場のオペレーションにかかわるコストを十分に賄えるとされているんですね。  飛行機、私も着陸料よく調べてみまして、ああ、そうかと、飛行機着陸料というのはこういうトン数で着陸料決まっているんだと、当初は機種で決まっているのかと思っていたんですけれども、新たにその認識をしたわけでございますが。  二千四百円から一トン当たり千九百円に下げることができると書いてある。それでも十分に飛行場のオペレーションにかかわるコストを賄える。それを受けてアメリカ商工会議所の人が言うのは、成田空港着陸料を二一%下げて、それによって日本政府の推定する成田空港の二〇〇二年度における営業剰余金二百億円と、アメリカ商工会議所が言っているんですが、営業剰余金二百億円。これ二一%に下げても、下げて、半分これを利用者に還元しても残り百億はあるというわけですよ。  公団国際航空輸送協会、そして在日アメリカ商工会議所の間でいろんな交渉があったかと思いますけれども、この着陸料について、世界の中に比べてみて、また殊にアジアでは周辺が物すごい安いわけでございますから、どのように考えているのか、それから現在はその交渉はどうなっているのか、今後どうしようと考えているのか、この点についてお伺いいたします。
  94. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 先生指摘のとおり、成田着陸料というのは、空港公団とIATAとの間でいろいろな協議の場というのを定期的に持っておりまして、IATA側は、日本成田着陸料は非常に高い、また先ほど先生がおっしゃったように、十四年度は剰余金が出るだろうと、そういったものを還元すればこれこれの引下げが可能ではないかというようなことで、非常に厳しいやり取りが行われているということは事実でございます。  これに対しましてどういうふうに対処しようとしているのかということのお尋ねでございますけれども、まず成田着陸料が非常に高いということはもう厳然たる、比較しても明らかな事実でございまして、これにつきまして総裁ももう度々おっしゃっていますけれども、今回のこの民営化法によりまして成田着陸料は必ず下げるということを、また私ども経営基盤等をしっかり見極めた上でできるだけ早くこういう着陸料経営基盤を強化し、そして経営効率を上げて、そして利益を出して、着陸料引下げを行うべく指導するということをはっきり再三申し上げているところでございます。  今まさしく空港公団は、この法律が通りますといよいよ株式会社ということに変わっていくわけでございますので、そういう意味での新しい会社としての財務体質といいますか、いろんな手当てというものもいろいろこれから行っていかなければならない、そういう状況にあるわけでございまして、そういった例えば企業会計原則一つを取りましても、今までの官庁の経営から民間企業企業会計原則にのっとっていろんな引き当てとか、そういったものをこれから講じていかなければならないという、こういう状況に、ちょうど移行期にございます。  そういった事柄もきちっと手当てしながら、かつまた非航空系収入をできるだけ上げていって、その原資でもってこの着陸料引下げをできるだけ早く行えるように公団も一生懸命今努力していると思いますけれども、私どもとしてもそこのところをしっかり指導していきたいと考えているところでございます。
  95. 森本晃司

    ○森本晃司君 どれぐらいのめどにしようか、それから今言っている一トン二千四百円から千九百円の二一%下げるという可能性については、見通しはどのように考えますか。
  96. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 今、見通しについてこれくらいは可能だということを申し上げる材料を私ども、申し訳ございませんが、持ち合わせてございません。今後の経営状況等をしっかり見極めながら、その過程の中で慎重に検討すべき事柄だと考えております。
  97. 森本晃司

    ○森本晃司君 これ、当然、民営化されていって、それで着陸料についてこれほど世界じゅうから言われているのに見通しをどうしようかとかって、そんなことも余り分かっていないと言うけれども、これは私、やっぱりもう少ししっかりとこういう問題に取り組まぬといかぬと思うのですよ。二千四百から千九百円に下げて、二一%下げて、アメリカ商工会議所の人が余剰金二百億あると言う。下げて、それの半分を利用者に還元してもいけるというんですけれども、航空局は見通しも分からない、どうかということについて何にも答えられないというのは、局長、この二一%の問題を、そういうことを言われているということについてはどう考えていますか。その点について答えてください。
  98. 洞駿

    政府参考人洞駿君) これはあくまで交渉といいますか、協議が、先ほど言いましたように、いろいろ続いている問題でございまして、それで、公団公団として、これまでの実績なり今後の業績見通しなりあるいは民営化の今後の計画なりといったものを説明しつつ向こうと交渉を行っているわけでございましょうけれども、向こうの、IATAなりアメリカの当局というのは、向こうは向こうのアメリカ流の判断で、自分たちでいろいろ、これはこういうふうに処理できるとか、こういうのは必要ないとか、そういったものでもっていろいろやっているわけでございますから、そこの一つ一つの交渉のいろんなテーマについて、私どもが今これについては適当であるとか適当でないとかといろいろコメントするというのはなかなか適当ではないかなと考えておりますけれども、いずれにせよ、これは今後の空港公団民営化の過程において、どれだけの要するに利益を上げられるかどうかというようなことに一に掛かっているわけでございますので、その辺のところをしっかり見極めないと、どれくらい下げるか、またいつ下げるかというようなことというのはなかなか見えてこない問題だと思っています。
  99. 森本晃司

    ○森本晃司君 航空局としては、あなた任せ、交渉任せ、そしてもう民営化になったら民営化になった会社の利益の問題がありますからお任せ。私は、これじゃ、アジアだってもう今これから国際競争に入っていく中で、航空局がそういう姿勢で僕はいいのかなと思いますね。  これは、真実は分かりませんよ。だけれども、この間、五月二十六日のある新聞に書いてあった、一般紙。「国交省には「成田は巨大市場の首都圏にあり、着陸料が高くても航空会社は逃げていかない。アジアの空港と競争状態にはなく、引き下げの必要はない」(航空局幹部)」。これは新聞記事ですから、私は直接聞いたわけではありませんけれども、こういう記事も書いてあって、そしてアジア空港の攻勢に危機感は薄いと、こういう記事が載ってあるんです。何にもないところからこう書かれたのか。だけれども、今いろんな話どんどん聞くと、何も持っていないからこんなこと書かれるんです。しっかりと私はこういった問題については取り組むべきであると思うんです。  先ほど来武士の商法のお話も出ていましたけれども、今は一生懸命、公団の方も商売を勉強に行っているということもその新聞の記事に書いてあったり、いろいろしています。だけれども、直営店で収益力が上がっていくということですが、じゃ、今度それでいって、今の局長のような回答の仕方でいきますと、じゃ、今度は民営化になりましたので、向こうの会社の利益がこうこうこういう状況でございますから、着陸料については判断はその会社がやるんです、成田の今度の民営化になった会社がやるんですという判断なんですか。  局長、これ、着陸料については今努力してもらっているところでありますとかということだけですけれども、この着陸料を下げるか下げないかはどこが決めるんですか、これは。
  100. 洞駿

    政府参考人洞駿君) お答え申し上げます。  着陸料を下げるということは総裁も明言されておりますし、私どもも下げるように会社を適切に指導するということはもう再三申し上げているとおりでございます。ただ、それをどれだけの、どれくらい、いつ下げるかということにつきましては、繰り返しになりますけれども、今後の会社の経営動向なり、そういうものをしっかり見極めながら決める問題であるので、今の段階で胸を張って何%、何分の一にしますということが言えないということでございます。
  101. 森本晃司

    ○森本晃司君 民営化になって四月にも発足しようとしているときなんですよ。そのときに、これぐらいはいける、やろうと、これぐらいの努力目標をやろうと言って当たり前だと思うね。もう本当に、日産のゴーンさんでもやって来てもろうて、それでゴーンと一発やって、それで目標はこれぐらいにしますとかいうぐらいであった方が、私は日本航空業界にとっても、あるいは日本の航空行政としても、あるいはまた航空局が非常によくやっているなということが言えるんじゃないかと思いますよ。大臣、どう考えますか。
  102. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 森本議員のおっしゃることは私も常に言っていることでございますから、今日、委員会で言っていただいて有り難いと思います。  それはなぜかというと、これは基本なんです。空港特会で空港を造る、空港を造ったときの借金を、私は、元々、今日も朝お答えしました、空港とかあるいは港湾とか道路とかというものは、公共事業の基本的な社会資本整備は国が責任持って皆さんにいただいた税金で造るというのが本来なんです。ところが、空港を造れ造れ、金がない、そして空港特会で金をみんなプールして、道路と同じです、空港が全部プールして、その金で採算の合わないところの空港も造ろうという。この空港特会、空港を造るその基本が元々間違っている、見直さなきゃいけない。  それを私は是非言っていただきたいし、また、今おっしゃったように、アメリカ・ケネディ空港の三倍、ケネディは三十万そこそこ。ヨーロッパもそうです、イギリスに、ヒースローに至っては八万円ですから。それが成田は九十三万ですから。私は、少なくとも半額にするまで、隣の仁川空港が三十万で二本滑走路がある、四千メートル、これでは対抗できないんです。  私はそれを今しつこく言っておりますけれども空港特会の空港の造り方を変えるというのは、これは国会議員の皆さん方に全部賛成していただいて改革しなければ私はできないと思いますけれども、今おっしゃったように、基本的になぜ下がらないんだ。造ったときに高過ぎるんです。  ですから、私は、これは私は今、総裁がいらっしゃいません、今朝来ていましたけれども民営化するには、私は、まともな空港で、今のような暫定滑走路で片肺飛行で民営化するのは早いでしょう、完全になってから民営化ということを口にしなさいというぐらい私は言いましたけれども、何はかにも、とにかく日本の経済情勢と国際空港の在り方という基本的な発想を我々は政策の中で転換できるかできないか、また二十一世紀はこのままでいいのか悪いのか、アメリカだけではない、世界じゅうから笑われるような世界の三倍の着陸料を取っているものが、着陸料空港ですからお客様に還元するのはもっと私は考えなきゃいけないということで、口を酸っぱくして省内で言っておりますけれども。  基本的なものを変えるのにはやっぱり小泉改革の断行ということで、私は改革というものの大きな転換期に来ているという認識を持っておりますけれども、これは時間が掛かりますけれども、是非御理解をいただいて、転換するという、空港の見直しということは私は必要だと思っています。
  103. 森本晃司

    ○森本晃司君 大臣が今お答えいただきまして、是非我々も、これは私たちだけではなしに国民の多くの皆さんももう思っていることですから、私はこの民営化の機会に、五分の一は着陸料下げます、だから皆さんも協力してくださいと。その特会も、ちゃんとそういうことにしますよというぐらいのことが私はなぜ取り組めないのかということを思うところであります。  是非、大臣、この問題については省を挙げて、我々もまた一生懸命この着陸料の問題については値下げすべく頑張りますし、一日も早い時期に、この公団民営化するときに何%下げますと、これぐらいの公約をきちんと、こういうマニフェストをやっぱりちゃんとやらぬといかんと私も思っておるところでございます。  続いて、先般も私はシャトル便についてちょっと大臣お話をさせていただきました。先般も議論を申し上げたところでございまして、途中だったものですから、今日は余りもう重ねてなかなかできませんけれども、この問題だけは、私はやっぱりこのシャトル便という問題については非常にこだわっておるところでございます。  この日韓首脳会談、羽田—金浦、繰り返しになりますけれども、シャトル便を実現させることで合意した。これは航空局に聞きますと、必ずしもシャトル便ではありません、定期便で、この間、大臣もそんなことをおっしゃっていましたけれども。当日の新聞全部見ますと、盧武鉉大統領と総理との、これもまた新聞記者がじゃ勝手に書いたのかという話になるわけですけれども、年内シャトル便と、多くの新聞、皆、年内シャトル便と書いてあるんですよ。これは新聞記者が勝手に書いたんですか、まず。  だけれども、私は航空局に聞きますと、シャトル便という言葉はありませんとありますけれども、大統領が日本へ来て、盧武鉉大統領がシャトル便という言葉をお使いになって国会で演説をされているわけです。それを私は聞いたからあえてそのことについて申し上げるわけでありますけれども、シャトル便という言葉が各紙に、あるいは盧武鉉大統領の言葉の中から、国会の演説の中に出てまいりましたけれども、シャトル便という言葉は新聞社が勝手に書いたものなのかどうか、まず聞きます。
  104. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 森本議員は覚えていてくださると思いますけれども、昨年、ワールドカップサッカーを日韓で共催をいたしました。そして、入場者数は今までのワールドカップ世界の中で第三位という記録を作ることが日韓でできました。  そして、このワールドカップサッカーの間に、今まで羽田にシャトル便というものを降ろしたことがなかった、チャーター便はいたしておりましたけれども。それをワールドカップサッカーに限ってということでプレクリアランス方式を取りまして、日本から向こうへ税関の人を行かせて、向こうで検査してもう乗せて羽田へシャトル便を飛ばしました。一か月で五十八便だったと思います、飛ばしました。その成功がありまして、私どもも、それは金浦ですからね、仁川ではありません、金浦—羽田間でございます。それで、私どもは大変多くの皆さんに共感を得ましたので、それをしたいと。  そして、冒頭に森本議員がおっしゃった観光倍増計画、これにも私たちは何としてもしたいということで、大統領が来日される前に内々に事務レベルでその話を詰めてまいりました。そして、盧武鉉大統領はシャトル便という言葉をお使いいただきましたけれども、今、羽田空港の現実を言いますと、お昼、チャーター便を降ろすということ自体でも枠が一杯ですけれども、シャトルというのは関空と羽田でしましたように、いつ行っても待っていれば乗れるというのがシャトルであって、四便ぐらいしか着陸できないというのはシャトルと言えないんですね。ですから、私は、空港へ行って四時間待ったり五時間待ったりしてやっと乗れるというのはシャトルじゃないと。絶えず、行って、切符がなくて行っても待っていれば乗れるよというのがシャトルではないかと。  だから、私は、そういう意味で、羽田空港に昼間それだけのシャトル便を離発着するだけのゆとりがない、それから韓国の金浦と羽田だけでシャトル便を飛ばすということは航空協定に違反します。これはカナダとアメリカとキューバですね、三か国でこれはプレクリアランスやっていて、カナダとアメリカとそれからキューバはシャトル便を飛ばしています。これはプレクリアランス、三か国で協定結んでいます。ですから、韓国と日本だけで二か国で協定を結ぶことができない、どこかもう一国入らなきゃいけないという問題もございまして、これは今申し上げましたようにシャトルを飛ばしたいという希望はもちろん私たちは持っています。  そして、昨日も、おとといですか、審議官が帰ってまいりまして、これも内々で打合せをしております。向こうも金浦を開けるということに大変ちゅうちょしてくだすっていました。けれども、私たちは金浦と羽田をそういうふうにまず定期便を行こうと。シャトルという行ってすぐ乗れるというには羽田の枠がなさ過ぎるということで、今鋭意工夫をいたしておりますけれども、管制官の了解も得て昼間も飛ばせるようにというのがまず第一歩でございます。究極は、シャトル便というのが究極でございますけれども、まず周辺の国内の整備と韓国の金浦をオープンにする、この両方の事務レベルの会合をしておりますので、是非、理想であるというのは当然です、また現実にします。けれども、それまでにはまず定期便ということで御理解いただきたいと思います。
  105. 森本晃司

    ○森本晃司君 まず、定期便にするんですか。
  106. 扇千景

    国務大臣扇千景君) チャーター便。ごめんなさい、チャーター便。
  107. 森本晃司

    ○森本晃司君 そうでしょう。大臣、これ定期便とチャーター便とシャトルと、全然違うんやで、話が。いや、だから、大臣、それは訂正せぬでもええですよ。定期便にすると、それでいいんです。チャーター便と言うから私は言うんですよ。チャーター便でやると、これ時刻表にも載らないんです。  それから、局長、まだかまへんわ。あなたはしゃべりたいけれども、もうちょっとこちらもしゃべりたいのや。  大臣、シャトル便といったらしょっちゅう動いとらぬとあかん。大体イメージとしては僕は分かりますよ、それは。しょっちゅう動いとらぬとあかんというのは。
  108. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 行けば乗れる。
  109. 森本晃司

    ○森本晃司君 行けば乗れるという、時刻表あったって構わぬですよ。僕は定期便でええんですよ、でも。  大体、シャトルというのは、これは大臣、しょっちゅう出るからシャトルじゃないんですよ、語源は。あの機織りの、織機の行ったり帰ったりする、あれがシャトルですよ。僕は恐らくそこから来ているんじゃないかと思いますよ。織機の船のようなやつあるでしょう、ぱんぱんとこう行って、あれシャトルと言うんです。往復という意味から僕は来ているんじゃないかと思うんですよ。そんな、しょっちゅう行ってしょっちゅう帰ってこぬとあかんのやったら、宇宙へ飛んでいるスペースシャトルは、あれしょっちゅう行ってしょっちゅう帰ってくるんですか。スペースシャトル、あれシャトルと言っておるじゃないですか。  僕は、せっかくの日本と韓国のこの友好、そして日本と韓国とが大いに交流しよう、そして大統領がお見えになって日本の総理とやったときに、まだチャーター便と言ってたんじゃ僕はあかんと思いますよ、これ。一日に四便でも、私は、シャトル便かあるいは定期便にしたらどうですか。  じゃ、局長、僕質問するよ。  シャトル便だったら時刻表にきちんと載りますか、載らないですか。チャーター便だったら時刻表に対してはどうなんですか。時刻表があるからビジネスマンもしっかりと使えるんですよ。何時にどこ行く、そんな飛行機が何時に来て、何時に飛ぶか分からぬて、そんなことばかり言うておったらあかん、そんなもの。
  110. 洞駿

    政府参考人洞駿君) お答え申し上げます。  まず、六月七日の日韓首脳会談におきまして金浦—羽田間の航空便の早期運航を推進するということが共同声明に盛り込まれております。金浦—羽田間航空便の早期運航を推進する。新聞は確かにシャトル便と見出しは書いてありました……
  111. 森本晃司

    ○森本晃司君 それについてはこっちが分かっていると言っているんだから。  そうしたら僕言うよ。さっきの、そうしたら。あれは新聞記者が勝手に書いたの、シャトルという言葉。さっき答えていないけど、僕はそれで済ましておるけれども。だから、新聞社が勝手に書いたのかどうか。
  112. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 新聞社がシャトル便と書いた真意は、申し訳ございませんが、私どもは分かりません。韓国の大統領は国会でシャトル便とおっしゃいました。それで、シャトル便と呼ぶかどうかというのは、先生も御指摘のとおり、こういう考え方もあるではないか、あるいは大臣が申し上げましたとおり、アメリカのシャトル便というように三十分に一本ぐらいぼんぼんぼんぼん飛んでいるような、そういうフリクエンシーの高い定期便のやつをシャトル便と呼んだり、いろんな呼び方がございます。  昨年の日韓のワールドカップのときもチャーター便でしたけれども、これもシャトル便と呼ばれておりました。ですから、こう言ってはあれなんですけれども、シャトル便という言葉のとらえ方というのはいろいろあるんではなかろうかというふうに理解しております。それから、今回は国際旅客チャーター便ということを前提にしておりまして、これについては韓国側もしっかりこれは共通の認識に立ってございます。  それから、チャーター便だとダイヤに載るかどうかということでございますが、時刻表に。一般のチャーター便はダイヤに載りません。しかし、今回の国際チャーター便の実際の運航に当たっては、どういう飛ばし方をするかということについては日韓間といろいろこれから詰める話でございますが、できるだけ時刻表に載るような定期的な運航に近い形で運航できないかどうかということについても韓国側としっかり詰めていきたいと考えております。
  113. 森本晃司

    ○森本晃司君 局長、何かもう前向いていきそうな雰囲気で、時刻表に載るかどうかという問題も、載るかと言っている、ああ答えるかなと思うと、協議しているところですと終わってしまうんです。僕が聞いているのは、じゃ今度載せる方向に向かっているかどうか。  それからもう一つ聞くよ。チャーター便の場合に貨物は載せられるんですか。定期便の場合には貨物載せられるね。これ効率が非常にいい。チャーター便だったら貨物に載せられるかどうか。
  114. 洞駿

    政府参考人洞駿君) まず、ダイヤでございますけれども、ダイヤに載せる方向で検討しております。  それから、二点目につきましては、貨物を載せるかどうか。普通は載せられません、チャーター便は、旅客チャーター便。
  115. 森本晃司

    ○森本晃司君 そんな、日本と韓国とそうした便飛ばすのに、乗客は乗せます、貨物はチャーター便ですから載せられません。飛行機の下空いてんねんやないか、それそのまま。何で貨物載せられない、今度のその計画では。そんなの、航空会社にとってもこういう状況の中で大変やないの、航空会社。同じ飛ばすんやったら人も貨物も一緒にどんと飛んでいくぐらいの、きちんと時刻表があって、それでこそビジネスマンはいつでもきちんと行けるんですよ。航空会社のチャーター便の場合は代理店がその券も販売して、それで一杯になりましたら、さあ皆さん一杯になりましたよ、何月何日飛びますよということになるんだ。せっかく大統領と総理とのいろいろやって前向いた話を、後ろ向かせるようなやり方したらあかん。ちゃんと時刻表に載せて、貨物も載せて、販売も航空会社もできる、代理店もできる。チケットの販売できるんですか、飛行機会社は。
  116. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 森本議員が前向きに言ってくださる思いは私も同じでございます。なぜはっきりしないかと。私はまず夏休みに間に合うようにと言いました、一番最初。そうしたら、金浦を開けることに関して韓国のいろんな事情がございまして、仁川と金浦のなりわいをどうするか、そういうことが一点。それから二点目は、先ほど申しましたように、韓国とだけ羽田とできるというのは、他の国に対してどうするのか。もし中国等々も御希望があったときには、それは入れられるのか入れられないのか。  それから、少なくとも、何キロで切ろうという話もいたしました。それは、東京の羽田を中心にして千キロで輪を書こう。そうすると釜山です。そして、千九百で入れますと、ソウルも入りますし、大連も瀋陽も青島も上海も入ります。そのときには、成田に定期便を飛ばしているところはこれは遠慮してもらおうではないかというような話で、金浦なら成田に飛んでいないからオーケーだと。そういう、あらゆる諸外国に同じ条件で申し入れられたときに我々がその国だけを有利にするということは国際条約上できないということで、今鋭意その努力をしているところでございます。  そして、八月の夏休みにまず間に合わない。だったら、私は秋のシルバーウイークという話もしました。そうしましたら、発券をするのに、券を出すのに今この準備が要るということで、少なくとも私は、本来であればできると思いますけれども、やはり相手の国のあることでございますから、気は焦れどもなかなか合意に至らないということで、韓国に随分事務レベルで入っておりますので、どうか今、森本議員がおっしゃってくだすった日韓のトップ会談で、なおかつ韓国と日本年間で三百六万人も行き来をしているわけですから、これはきちんと、羽田というものも初めて、これ先生もお分かりのとおり国際線を羽田に降ろすこと自体が今までは考えられなかったことができるようになったんですから、諸事万端、私はどこの国からもクレームが出ないような諸手続をして、私はいい例を作っていきたいと思っておりますから、お察しいただきたいと思います。
  117. 森本晃司

    ○森本晃司君 大臣からるる御答弁をいただきました。  いずれにいたしましても、時間が参りました。そのシャトル便、いろいろありますけれども大臣がさっきおっしゃったように定期便にしてください。時刻表にきちっと載せる。それから貨物も一緒に載せる。それから販売方法については、代理店だけが一杯になるまで待っているんやなしに、代理店も販売できる、航空会社も販売できる、そういう、シャトルだったらそれは航空会社はできないんです。だから、そういったことも多々ございます。  まだまだ申し上げたいこと山ほどあるわけでございますけれども、時間が参りまして、これで終わるんやなしに、次回にまた議論させていただきたいということを申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  118. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。  今日は国土交通委員会で質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  私は成田空港のいわゆる民営化法案について質問をさせていただきたいと思います。  具体的な質問に入る前に、私はまず基本的な問題について国土交通大臣にお尋ねしたいと思います。  成田空港は、御承知のとおり、農民の土地の取上げがありまして、大変激しい運動が繰り広げられてまいりました。私は、決してこの運動は暴力学生集団の運動ではなくて、農民の道理ある運動も行われてきたと思います。その中で、成田空港の問題については七二年の九月二十日に当時の運輸大臣空港公団総裁、千葉県知事及び平和塔奉賛会の間で四項目の合意が行われております。  この合意では、新東京国際空港は純然たる民間空港であり、安保条約及びこれに基づく地位協定の存在にもかかわらず、これを軍事的に利用することは絶対に認めない。その意味においてMACのチャーター機の離発着もこれを認めない。なお、現在羽田空港に行われているMACのチャーター機の離発着も極力やめさせるよう努力する。  二、新東京国際空港の騒音対策については、乙等は、乙というのは運輸大臣、当時の丹羽喬四郎さんでございますが、及び千葉県知事の川上さん、新東京国際空港公団総裁の今井さん、こういう方が、署名をされた方々が重要な問題として騒音の各種対策に努力する、また、乙等は甲に対して騒音対策委員会委員を委嘱し、周辺住民の立場に立って積極的な活動を期待する。  三、周辺農民に対して現在用地買収未決済の地主及びやむを得ず集団移転を余儀なくされた地主に対し、その個々の要望等を聞き、その移転補償問題の解決に誠意を持って対処するなどの合意でございます。  この中で、私、今回取り上げたいのは、安保条約や地位協定にかかわらず軍事利用をしないという合意が行われてまいりました。  私、この法案の衆議院の審議の中で、当時有事法制の問題がございまして、るる大臣もこの問題についてお答えになっておるんですが、何かどうも本当にこれ軍事利用しないという約束が守られているのかという点での大変私疑問を持っているものですから、その意味で、私はこのような合意、これは成田空港がいわゆる民営化されても当然私守らなければならない問題だというふうに思いますが、大臣にまずこの点をお尋ねしたいと思います。
  119. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、改めて小泉議員からかつての、一九七二年のこのお互いの取決めに関して御説明がございました。  私は、そのとおりであろうと思いますし、歴代の運輸大臣もこの答弁の重みというものを重々感じながらされてきたと思っておりますし、現在もそれが引き継がれております。また、私の手元に、これ四十三年三月の五日でございますけれども、運輸委員会で小川三男委員お話で、中曽根運輸大臣でございます。これは、成田空港は軍事基地には絶対使わせない、戦闘目的や軍事基地用として成田空港を使うことは拒絶するというのが中曽根運輸大臣の御答弁でございます。これは今もありますし、現在もそのとおり守られてきておりますので、私たちはこの重みというものを十分に拝して、今、今日ここにいませんけれども総裁が今日午前中も来ておりました。きっとこの委員会もごらんになっていると思いますから、それは当然認識していらっしゃることで、当たり前のことだと思っています。
  120. 小泉親司

    小泉親司君 私は、個人的に申し上げると、七二年というのは実は千葉大学に在学しておりまして、ちょうど卒論を書いている時期にこの成田闘争というのがありまして、私は暴力学生集団ではございません。当然、この農民の土地取上げの闘いをやりましたが、このときは、当時、もう御承知のとおり、ちょうどベトナム侵略戦争が非常にさなかでありまして、このベトナム侵略戦争にこの羽田空港が利用されるんじゃないかという世論、意見が非常に強かったんです。  実際に、この成田空港闘争というのは、本当に土地、農民の土地を取り上げたと、この点では大変問題があったことで、御承知のとおり、この成田空港というのは、一番初めが設置されたのは、あれは八街、富里という案がありまして、それが今度はいわゆる天皇家が持っておりました御料牧場を中心にしましてこの成田空港が建設された。そのときに、この問題が合意されたというのは、大変多くの人々が将来にわたってこの成田空港は軍事利用化しちゃいけないと。  もうこれは御承知のとおりであると思いますが、この成田空港には、当時軍事郵便局がございました。つまり、MACのチャーター便と先ほどお話ししましたのは、アメリカ軍が羽田空港に軍事郵便局を持っておりまして、この軍事郵便局を成田に移すんじゃないかということがありまして、そういった問題でこの軍事利用の問題というのはあるわけですが、私は、現在、この成田空港の軍事化反対の合意を取り上げるのは、どうも有事立法や周辺事態法でもこの問題が議論になって、アメリカが成田空港ども軍事利用化するんじゃないかという懸念が非常に強いと、県民の中にも強いということもありまして、是非この点について、私は、民営化がもし行われたということであっても、当然この点については守られるべきだということを重ねて大臣に御要望しておきたいと思います。  次に、私は、なぜ民営化なのかと。私たちは、御承知のとおり、この民営化については反対であります。特に、小泉内閣が昨年の十二月十七日にこの民営化を、完全民営化を閣議決定したわけですが、大臣も御承知のとおり、当時の行革の中では、国土交通省、所管官庁としては、この成田空港整備に当たっては、様々な理由が挙げられておりますけれども、例えば、今度の成田空港は歴史的な経過や大規模内陸空港としての特性を踏まえ、騒音対策、地域との共生策等の実施が不可欠であり、一般民間企業と同等の完全な民営化は困難であると考えるという立場を取っておられた。  この理由は、先ほど話しましたように、一つは歴史的経緯がある、大規模の内陸空港である、それから騒音対策や共生策がどうしても必要なんだと、この主に三つの理由が挙げられて、民営化は反対だという立場が取られていたわけですが、この点については、今度は国土交通省は少し心変わりをされておりますけれども、いかなる理由をもってこの民営化に心変わりをされたのか、この点について私は次にお尋ねをしたいと思います。
  121. 洞駿

    政府参考人洞駿君) お答え申し上げます。  国土交通省では、特殊法人等の廃止又は民営化を前提にゼロベースで見直すという総理指示を受けまして、平成十三年の九月に行政改革推進事務局に対しまして、空港公団民営化に当たっては、成田空港整備、運営というものは我が国の国際航空政策と不可分であること、あるいは過去の歴史的な経緯や大規模内陸空港であることを踏まえた環境対策、共生策の実施が不可欠であること等の諸課題の解決が図られる必要がある旨を報告いたしました。  その後、国土交通省では、昨年の四月に交通政策審議会の航空分科会に対しまして、国際拠点空港民営化を含む今後の空港整備に関する方策について諮問をしまして、約八か月にわたって、十五回もの空港整備部会の開催とか、航空会社地方自治体等関係者からのヒアリングなどによって検討を進めまして、昨年の十二月に答申が取りまとめられたところでございます。  この答申におきましては、国際拠点空港民営化については、国が国際拠点空港整備について責任を持ち、適切に対応するということを担保する必要があると、そういう前提の下にそれぞれの空港創意工夫を生かせるような自立的な経営環境を整えて、経営の一層の効率化、経営の透明性の向上、利用者サービスの向上等を推進することが必要であるという基本認識が示されたところでございます。  で、新東京国際空港公団につきましては、開港後二十五年を迎えまして、経営基盤も成熟しつつあること等から、完全民営化に向けて十六年度に特殊会社化して、本来の平行滑走路等の早期整備を着実に推進して、できるだけ早く株式上場を目指すことが必要であって、その際に、過去の経緯や大規模内陸空港等に配慮して、環境対策、共生策の適切かつ確実な実施を確保すると、これもちゃんと担保するということが必要だということを結論が得られました。  こういった答申を踏まえまして今回の法律案を提出したところでございますけれども、まずは国の国際航空政策なり空港整備についてきちっと国が最終的に責任を持つということを担保すると同時に、空港の過去の経緯とか空港の今後の経営等を考えますと、環境、共生策の重要性をしっかり担保するという、そういう保障措置、きちっと取ることに必要な規定を設けてございますけれども、そういう担保措置を設けることによって民営化を図って、そして民営化の持つメリットを最大限発揮して、利用者利便にそれを増進につなげていこうということを考えているところでございます。
  122. 小泉親司

    小泉親司君 長い答弁の割にはよく分からないんですが、私、お尋ねしたいのは、この間でも私、運輸省に対して成田空港の郷土とくらしを守る会などの人々と一緒に交渉してまいりました。この民営化が出る法案の前には、国土交通省は、御承知のとおり、上下分離一体方式と、このことを繰り返し言っていた。我々が交渉に行くと、いや、上下分離一体方式で十分皆さん方の騒音対策はやれますよと。  続いて、この民営化が出てきたわけですが、例えば単独上下分離方式ということになると、いわゆる基本施設と土地はある会社が、公的法人が持つと、それからターミナルなどの管理運営については運営会社を作ってこれで民営化してやると。この上下分離一体方式ということを国土交通省は別にこれまで言ってこなかったとは言わないと思いますが、その単独上下分離方式というのは、なぜそうすると駄目になったのか。つまり民営化と、全体の民営化という方式をなぜ取られたのか。  例えば、国際空港の拠点の民営化についてという文書では、その理由について、空港運営を行う株式会社の当期利益が大きくなる、かつ、経営が一体的に行われることにより株式を売却する場合の市場の評価が得られやすいということを挙げておられるわけですね。となると、この民営化方式を取ったというのは、そうしたいわゆる何よりも株式会社の当期利益優先の仕組みということが主な原因なのか。その上下分離方式を今まで主張してきた、それがまた更に民営化に変わったという、その三段階の変わりようというのはどういうふうな関係になるのか、その点だけお尋ねしたいと思います。
  123. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 先ほどの航空審議会において一年間掛けていろいろ議論お願いしたわけでございますけれども、当初の案として三空港を一体として、下物を、下物法人を、合体して一つの下物法人を作って、それぞれの、上部をそれぞれ単独で民営化するといういわゆる上下分離案といったものをベースにいろいろ議論を重ねていったわけでございますけれども、関係者、いろいろ自治体の皆様も含め、空港の関係者、そしてエアラインの皆様方等々といろいろ議論を重ねる中において、いろいろ、それぞれの方策について一長一短があるわけでございまして、最終的には下物を統一して合体するという、これについては一番致命的な問題は、関係者の共通理解といいますか、が得られなかったというのが一番致命的な問題だと思います。  また、下物は一体としてやりますけれども上物は別々にやるということになりますと、その空港経営全体を見たときには、下の、経営主体が二つあるわけでございまして、それぞれの経営の動機といいますか、投資一つ取ってもその利害の調整というのが非常に複雑なものになってまいります。そうした場合に、民営化した場合に、当該会社の将来性とか、そういったものというのが非常に、経営の見通しというのが非常に不安定な要素というのもあるわけでございまして、そういう意味では上下一体で民営化した方が一番ベストではないかというような結論に達して、こういう結論になったということでございます。
  124. 小泉親司

    小泉親司君 関係者の合意とおっしゃっているけれども、その関係者というのはだれなのかというのがよく分からないんだけれども。  例えば、成田空港公団から発足して、今度特殊会社、いわゆる完全民営化の道を歩むわけですね。関西は、御承知のとおり、特殊会社から出発して、今後民営化が検討されると。中部はひょっとすると初めから民営化だということも考えられている。  じゃ、そうなると、成田はこのような中で公団を取ってきたわけですが、国の資金を相当入れましたから、その意味では唯一収益性が最も高い。つまり、民営化すれば財界に大きな利益をもたらすんじゃないかと。  特に経団連は、昨年十一月十九日に発表した今後の空港整備国際拠点空港民営化についての中では、上下分離一体方式について非常に強く批判されておられる。その点では、あれなんですか、関係者の合意が得られなかったというのは、例えば経団連はもう強硬にこれ、上下分離一体方式は駄目だというふうな見解なんですか。
  125. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 関係者と申しますのは、まずそれぞれの、成田公団、そして関空株式会社、そして中部株式会社、そして関係周辺の地方公共団体、エアライン等々でございまして、経団連の先生はメンバーには入っていらっしゃいません。  ですから、それぞれの関係者といろいろ議論しました結果、先ほど申しましたような、上下分離したものを一体で、合体して上下分離するというような案に意見の一致が見られなかったということなんです。  それで、経団連は別途提言をされております。それは、上下一体で民営化すべきだという、上下一体でそれぞれ単独で民営化すべきだという経団連の提言でございますけれども、それは、結果的に私どももその結論に落ち着いたということで、結果的に同じ結論に達したということでございます。
  126. 小泉親司

    小泉親司君 航空局長は衆議院の審議でも結果として結論が一致したんだということを繰り返し言っておられるけれども、その経過として、結果としてじゃなくて経過として、経団連は、例えば成田、関空、中部の拠点三空港民営化については、例えば成田をまず民営化する、その売却収入空港特会を通じて羽田の再拡張にも使う、それから関空の経営改善にも使う、こういう提言が、それに重点的に充当するんだと。それは、航空局長は衆議院の審議でも、そういう質問に対しては、結果として結論が一致したんだと、たまたま一致したんだというふうなニュアンスなんだけれども、現実問題としては、その一連の民営化か、初めから民営化か、上下分離一体方式か、それとも民営化国土交通省が前に取っていたような民営化反対なのかと。そういう一連の論議の中でこうした経団連の提言が出され、それが今度の国土交通省のいわゆる成田空港に対するこうした民営化方向に非常に大きな影響を与えたということなんじゃないんですか。その点はお認めにはならないんですか。
  127. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 繰り返しになりますが、経団連から正式に意見を聴いたということはございません。ですから、結果として私ども議論の結論と経団連の提言の内容がたまたま一致したということでございます。
  128. 小泉親司

    小泉親司君 たまたま一致したのには、非常に明確になっていると思うんですが。  それじゃ、何しろ成田民営化してその売却収入空港特会を通じ羽田の再拡張に使い、関空の経営改善に使う、重点的にこれ充当するんだと。この点の政策というのは、もう明確にその路線でこれから行かれるでしょう。これはたまたまじゃなくて、もうこれから将来にわたって行かれるんでしょう。
  129. 洞駿

    政府参考人洞駿君) お答え申し上げます。  今後、民営化をして、株式売却収入というのが入ってくるわけでございますけれども、これは当然のことながら、空港整備特別会計から成田公団に出資したお金でございますから、私どもの空整特会に戻してもらうというのは当然のことでございます。  空整特会に戻したということになりますと、この金をどういうふうに使うかということになりますと、今、我々がまさしく求められている現下の課題というものは、国際拠点空港等を始めとする大都市拠点空港整備というものが急がれるわけでございますから、その一番優先的といいますか、緊急性の高い、プライオリティーの高いところにお金が回っていくというのは、これまた自然の流れだと考えております。
  130. 小泉親司

    小泉親司君 私は、全然自然の流れじゃなくて、実際に関空の赤字対策や羽田の再拡張という、こういうところの赤字対策から必要になった、それを成田民営化という形にしたんじゃないかという点は、この今までの議論でも私ははっきりしているんじゃないかなというふうに考えております。  ただ、私は、こういうお金の問題は、具体的にこうした羽田の再拡張や関空の二期工事などについても当然これは使われるということになると、こういうのを私たちは無駄な公共事業で、これはもう削減すべきだということを繰り返し要求しておりますが、私は、この今度の民営化に当たって、単にこうした財界の、私は財界の要望じゃないかなと思いますが、こういうものばかりじゃなくて、先ほど言いましたような騒音対策や環境対策が万全に取られるような資金的手当てにもう少しお金を使うということも考える必要があるんじゃないかと。  特に、今、共生財団というのがこれありまして、御承知のとおりの周辺対策に取り組んでいる財団ですが、私もこの民営化に当たりまして成田空港の方々からいろいろとお話をお聞きしたり、周辺市町村からお聞きしたり、騒音対策で悩んでおられる住民の方といろいろお話ししました。そこの中で、やはり共生財団が今非常に基金を、百億の基金の利子を使いながら実際には騒音対策やっているけれども、今非常に共生財団が基金が実際に取り崩さざるを得ないような状況にあると。だから、是非この出資金を増やすとかの対策を、国がもう少し積極的に対策を取る必要があるんじゃないかというような意見が出されております。  この共生財団の今の基金の状況、これは一体どういうふうになっているのか。国土交通省としては、こういった国が責任を持って共生財団などの出資金を増やすなどのことをやって、騒音対策や環境対策に十分なお金が、資金的な手当てができるような方策を取るべきじゃないかというような意見を採用するかどうかという点についてのお考えをお聞きしたいというふうに思います。
  131. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 成田空港周辺地域共生財団は、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、いわゆる騒防法というものがございますけれども、その枠組みを超えて成田の実情に即したよりきめ細かな騒音対策等の事業を実施するために、成田空港公団や関係の周辺自治体の出捐によって平成九年に設立された財団でございまして、住宅の防音工事助成に関する補完事業とか騒音測定等を実施してございます。  共生財団、これはいろんな事業を行ってきておりまして、例えば民家防音工事助成事業等については、対象住宅に対する防音工事等の進捗率は約八割ぐらいになっておりまして、財団の事業はかなり進んでいると聞いてございます。しかし、その一方で基金というのがありまして、これが昨今の低金利の状況を踏まえてだんだん細くなってきているという状況にあるということも私どもは承知してございます。  こういう共生財団の今後の運営といいますか、あるいは財政的、そういったものを踏まえて財政的支援が必要かどうかということにつきましては、この財産の運用状況とか事業の達成状況、これからの事業の見込み等を踏まえながら、まさしく成田空港公団や関係の自治体においてまずは検討されるべきものだと考えております。
  132. 小泉親司

    小泉親司君 私は次に、民営化で本当にこの騒音対策や環境対策が十分に取られるのかという問題について大変周辺の市町村や周辺の住民の方々が御心配されておられる、その点について少しお聞きしたいと思いますが。  航空局長国土交通省は、いわゆる民営化されても実際に法案にちゃんと騒音対策だとか環境対策が書いてあるから十分担保されるんだという御答弁を繰り返されておられる。私も、それは法律にちゃんと書いているということは大変大事なことだと思いますが、問題は、書いてあったってやっていないというのも比較的法律にはたくさんあることも、これは御承知のとおりであります。  私は、やはりこの法律に書いてあるというのがしっかりと対策を取られる必要がある。特に、今年の二月二十八日に新東京国際空港公団に関する覚書というのが合意された。これは国土交通省も参加をされて合意されておられますが、この中では騒音対策や共生対策などの今後の対策が合意されております。  そこに、私、いろいろと読んでみましたら、一番よく分からないのは、今環境対策として環境基準というのがこれは七十Wで設定されている、これの達成に努力しようと。例えば千葉県の数字を見ますと、環境基準の達成状況というのは、ちょっと年度がそこは定かじゃないんですが、三四%、三〇%台だというふうに言われている。ところが、今度の合意書を見ますと、環境基準の達成という言葉は一言も書かれていないわけですね。  それは何で書かれていないのか。私は、やはり当然のこととして、七十五W以上、八十W以上というのは当然のこととして対策が取られなくちゃいけないものでありますけれども、七十Wの問題というのは、これは環境省の全体のやはり環境基準を達成する課題というのは、単に騒音対策を取るかどうかという問題ばかりじゃなくて、基本的にそういうものを目指すんだということを、やはり姿勢を明確にするということが私は騒音対策や共生対策上も大変重要なことだと思うんですが、なぜ今度の合意書の中に環境基準の達成というのは書かれていないんでしょうか。
  133. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 今の先生の個別の御質問について、ちょっとお答えを十分に用意してございません。ただ、WECPNL七十の環境基準達成というのは、たしか屋外において達成する話で、これは現実問題として非常に難しい問題でございまして、最終的には航空機の技術開発とか、そういったものとか、そういったもの全体のものも入れて総合的に講じなきゃいけない非常に大変難しい問題でございます。  七十五以上、八十以上というのは具体的にこういう対策を取るんだというやつがはっきりしているんでございますけれども、七十以上について、もちろんそこのところを達成しなきゃいけないんですけれども、この辺についてはもう関係自治体、そして関係者、要するにこの航空にかかわるすべての者が共同して、手を合わせて長期的に達成していくべき課題ということで、個別の具体的なこの事項については引き続きやりますとか、これについてはいついつまでに結論を得ますとか、そういったことで、今回の二月のあれについては、今やっている対策、言わば今懸案になっている騒防対策等々、八十項目について今後の取扱いを整理しているわけでございますけれども、七十の問題というのはその枠を超えた問題ではないかというふうに、ちょっと私、今、申し訳ございませんけれども、はっきり自信を持って答えられる状況ではございませんけれども、そういうふうに認識しているところでございます。
  134. 小泉親司

    小泉親司君 自信がないように、違うんです、それは。私は、政府として七十Wをやるということであれば、これは難しいという航空局長のおっしゃるのは私は別にそれを理解しないということじゃないですよ。ただ、政府全体として七十Wはやろうということになっているわけだから、当然、それがどの段階にあるかどうかというのは別にして、合意書として当然環境基準の達成を目指そうということが行われない限り、それじゃ七十五になって対策を取る、八十になって対策を取るというのが、基本原則が全然ないじゃないですか。それは航空局長、それは私は認識が違うと。  この点については、私は、合意書の中で改めてこの点については私、確認すべきなんじゃないかと、こう思いますけれども、ちょっと大臣、それはいかがですか。
  135. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、小泉先生の話ですけれども、これは見ていただいたら分かると思うんですけれども、この署名した人間が今ここにいます、洞局長と、それから堂本知事と、それから成田市長さん、あるいは富里市長さん、大栄町長さん等々、ずっとみんな署名していらっしゃるんですね。  この中に、少なくとも私は千葉県を始めとする関係自治体と何度か協議をしまして、そして環境対策等について今後とも相互に協力して対応していくことを確認するということで、これ署名しているんです。  ですから、私は、それを信じていただかないと、今七十のWというのはこれは目標でありまして、一歩でも、それは政府を挙げてです。これは空港だけの話じゃなくて、目標は政府として達成しようというすべてに対しての目標は持っておりますけれども、ここに合意したように、環境対策については今後とも相互に協力し合って、今、局長が言いました八十項目にわたっての署名をしている本人がいるわけですし、知事さんもいらっしゃいますので、私は署名していませんけれども、これだけの私は署名してあれば、間違いなく、これは公になっていることですから、これは信じていただくしかない。  また、努力目標はあるということは、私は大いにその目標に向かって達成をしようというのはいいことだと思いますので、目標値があるというために努力していくということを、私は確実に署名している人たちとともに認識をしております。
  136. 小泉親司

    小泉親司君 署名されておられない大臣が明確な解釈をしていただきましたので、その方向でひとつ努力をしていただきたいと思います。  この覚書は、さっき八十項目と言いましたけれども、大きく言うと四つのジャンルに分かれているんです。一つは、従来の約束事項を継続遵守するもの、二つ目は、環境対策、共生対策の充実について今後協議するもの、三つ目は、四者を始め、四者というのは先ほど大臣がお述べになった四者を始め、関係者が連携してその実現に努めるもの、それからその他、特殊会社法案作成時にその実現に努めるもの、これは成田国際空港という名前を使われただけの話ですけれども、その四つのジャンルに分かれているんです。  多くの今住民の方が心配されているのは、今までやっていたものについてはすべてやりますよと言うけれども、今後やるものについては、これは今後協議だと、ここが一番問題で、実際に、例えば昨年ですか、暫定滑走路が開港した。実際には騒音がどうなるかということになると、なかなかこれ今まで説明していたとおりにはならない。例えば、私も大窪地区というところに行ってきましたけれども、これは一種地域なんだけれども、例えば窓は騒音対策をやったと、しかし屋根はやらないので、実際には夜、暫定滑走路ができてから非常にひどくなって夜どうしても起こされてしまうんだと、だから、農民の方々は早く寝られる、御承知のとおり早く寝られますから、途中で起こされるともう大変なんだというようなことを非常に言っておられて、確かに今までは移転の要望というのは出ていなかったけれども、実際はもう自分としては移転したいぐらいなんだと、これから後継ぎも農業をやらないというふうな御家庭でしたけれども。  実際にそういう移転対策なども今後協議するということになると、実際にそういうものが今度の覚書の中でちゃんと救済されるのかと、ここに非常に不安を持っておられるわけで、その点については署名されました航空局長、どうですか。こういう対策は十分に協議を、対策を取られるというふうな方向はお取りになるんですか。
  137. 洞駿

    政府参考人洞駿君) その覚書にも明記してございますけれども、住宅防音工事に対する助成の拡充、更なる拡充であるとか落下物多発地域の移転対策など、従来の対策の更なる充実等に対する事項については、今後とも関係者と連携して対応策について真摯に協議をして、完全民営化までに結論を得るべく努力をするということで、期限をきちっと、協議の期間の期限を定めておりますので、その間に真摯に協議をして、できるものはできる、できないものはしないというふうにはきちっと整理を付けられるものと考えております。
  138. 小泉親司

    小泉親司君 例えば、先ほども申し上げましたが、成田空港の郷土とくらしを守る会の方々が周辺市町村との騒音対策で国に出す要望で、周辺対策の拡充という言葉を使うと、多くの人は何というかというと、拡充なんてとんでもないんだ、充実にしてくれ、言葉を変えてくれと。拡大するということに対しては非常に全体として及び腰で、実際に国としてもこの今後の対策、その拡充の対策というのは先送りだと、この点での疑問というのは非常に強いんですよ。  これは私も周辺、成田市長さん始めいろんな方々とお話ししてきましたが、この覚書の今後の協議というものが実際にどうなるのかと。先ほどもちょっと局長お話しになりましたが、例えば荒海地区なんかの要望書を見させていただきまして、私もそのコピーをいただいてきましたが、例えばある方のおうちに行って話をすると、中に行って扉を開けて、その日もちょうど暑い日で、二、三週間前でしたが、扉を開けておくともう全然話ができないと、上から来ますから。実際にこれ、騒音対策全部やっている。窓ガラスも全部、サッシもやっている。しかし、実際にほとんど窓、農家ですから、窓を閉めてずっといるということはほとんどあり得ないんだと。  そうなってくると、実際にこの荒海地区の方々でも、こうした落下物、特に落下物なんかも非常に起こる。さらに、防音区域によって部落が分断されたと。こういうなふうな問題についても今後の対策として大変強く要望されている方がたくさんおられますので、是非その点については今後の対策というのを、単に今までのやった対策以外はやらないんだという方向じゃなくて、是非拡大対策、拡充する対策というのを是非努力していただきたいというふうに思いますが、その点、大臣大臣でよろしいですか。
  139. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 小泉委員も見ていただいたら分かりますけれども、役所は、私もいつまでも大臣しているわけじゃありません。局長もいつまでも局長ではありませんかもしれません。けれども、この署名の中に少なくとも黒野総裁は署名しているんです。黒野総裁は新総裁になってまだ間がありませんから。  これは黒野総裁が私に言ったときも、私は、黒野総裁を私が任命したわけですから、きちんと通常の空港になるように暫定という言葉を取りなさい、努力しなさいと言いました。それと同時に、今おっしゃったように、私はなぜ民営化ということが言えるか。それは、今空港の中で成田が大体十四年度末で私の記憶では三百億ぐらい、初めて黒になっています。空港の中では一番大きいんじゃないですかね。だから、私はその数字をもって自信を持って民営化なんていうのはおこがましいですよと黒野総裁にも念を押してあります。  それから、先ほどもお答えしたんですけれども、少なくとも成田成田国際空港という、成田という名前を付けさせてくださいと地元の要望なんです。ですから、皆さん方のお気持ちを体して、私たちは今度は成田国際空港というこの法案成田という文字を地元の要望で入れさせていただいたんですね。ですから、そういう意味では、成田という名前が入ったら、成田の皆さん方もやっぱり責任を持って、自分たちの名前が付いているんだという御協力も私はいただくべきだと思いますし、黒野総裁が自分で署名しているんですから、私は、そういう意味では、私が替わったり局長が替わっても黒野総裁はいますから、本人が書いた以上は、黒野総裁はこの委員会の模様も見ていただいて、きちんと責任を持って私は地元対策と、そして成田国際空港として新たな出発をすることに大きな責任を持って図ってもらいたい。そして、今まで成田に対しては少なくとも一年間平均で百五十億の皆さん方の共生の対策費、環境、共生の対策費を使っているということも是非私は御理解をいただきたいと思います。
  140. 小泉親司

    小泉親司君 時間が参りましたので、終わります。
  141. 大江康弘

    ○大江康弘君 国会改革連絡会(自由党)の大江でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  大臣始め御苦労さまでございます。また、今日はちょっと質問の中身の関係で黒野総裁にもお越しをいただいております。よろしくお願いをいたしたいと思います。先ほどから大臣総裁総裁と非常に恋い焦がれて待っておるような、満を持しての登場であろうかと思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。  先日、新幹線で帰るときにふっと前の雑誌に目を付いたのでありましたが、その中に、国土交通省の洞局長の不屈の姿勢が省内の声援を浴びている、これはウェッジという本なんですけれどもね、新幹線で、「洞氏はさまざまな調整に奔走、ときには大臣にあえて直言するなど事務方の筋を通した姿が賞賛を浴びた。」と。やっぱり航空行政を担当するというか、やっぱり高いところを飛ぶ飛行機を担当されておるから、このぐらい持ち上げられて局長も大変だなと思うわけですけれども、午前中からのいろんな答弁を聞いておりますと、局長のいつも答弁を聞くたびに御性格かなという、一生懸命説明をしようという、一生懸命し過ぎて、なかなか、時には誤解を招くようなこともあるかなというふうに思うんですけれども、しかしこういう評価もされておられる。今日少しお聞きをしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、先ほど池口議員からもありましたが、今回、法案一つであります機内の安全阻害行為の件でありますけれども、ちょっと確認をしておきたいんですが、これ、一九九七年から二〇〇二年までが載っております。この中で二〇〇〇年に五百七十件という非常に多く発生をしておるんですけれども、この二〇〇〇年に五百七十件という、これなぜこんなに突出した数になっておるのか、ちょっと聞かせてください。
  142. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 航空機利用の大衆化が近年非常に進んでおりまして、航空機内における安全阻害行為等の件数が増加しております。二〇〇〇年には五百七十件ということで、非常に件数が多くなっております。ちなみに、その前年の一九九九年には二百八十九件でございましたので、倍になっているわけでございます。  この原因というのは必ずしも明確には分析しておりませんけれども、一九九八年から二〇〇〇年にかけまして航空各社の機内全面禁煙化が進みました。そして、その影響もあってか、トイレに隠れて喫煙を行うお客様が増加しましたほか、携帯電話等の携帯用の電子機器が急速に普及したというような状況なんかも背後にあるのかなと考えております。  一方、二〇〇一年には四百十六件にこれ下がっておりまして、二〇〇二年には二百七十八件と件数が減少してございますけれども、その理由としては、今度は逆に、二〇〇一年の九月に発生した同時多発テロによる航空旅客数の減少や保安対策の強化の影響に加えまして、昨年の二月に機内迷惑行為防止に関する行動指針というガイドラインを航空局から発出しまして、航空業界において機内迷惑行為撲滅キャンペーンを行うなどしまして、旅客、お客様に対する広報、啓蒙活動あるいは乗務員に対する教育訓練等を行った結果が、表れた結果、行った行為が表れた結果ではないかと受け止めております。
  143. 大江康弘

    ○大江康弘君 これは、この二〇〇〇年の五百七十件のときにいわゆる重大事象というのは一割ないんですね、五十四件。ところが、昨年の二〇〇二年のときに、全体の件数こそ減れ、重大事象が四十件というふうに率では高くなっているんです。だから、私は、やはり件数の増減も確かに大事ですけれども、この重大事象がやっぱり率として高くなっておるというところにもっと私は着眼をすべきであって、その対応をすべきでないかと。  今日はずっと聞かせていただいておったら、どうもやはり、だれがどの段階でということがどうも非常に分かりにくいわけであります。我々も飛行機をしょっちゅう利用して、客室乗務員の方がいろんな配慮もしてくれる。私は個人的にはこの迷惑行為にはまだ接したことはないんですけれども、そういう中で……(発言する者あり)いや、している方はと言われましたが、案外自分では分からぬもので、そうかも分かりません。気を付けます。  それだけに、この重大事象というのはいわゆるこの資料では、警察要請、地上滑走中の引き返し、拘束、代替空港への着陸という、これに該当するとあるんですけれども、この重大事象というのがもう一つちょっとよく分からないんですね。そこのところをちょっと局長、教えていただけませんか。
  144. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 重大事象というのは、先生今おっしゃいましたとおり、安全阻害行為のうちで非常に悪質で、やめない、それで非常に程度が、程度といいますか、非常に悪い、悪質なものでございます。  その結果として、警察へ空港への出動を要請したケース、それから航空機が地上走行を開始した後、わざわざストップして引き返した事案とか、それから行為者を機内で拘束した事案とか、それから代替空港へ着陸した事案とか、こういったものを、こういった事案を重大事象として取っているわけでございます。  その行為の内容をちょっと見てみますと、これはいろいろございます。  例えば、喫煙でございますけれども、再三注意したにもかかわらず、トイレにこもって五回にわたって喫煙行為を行ったと。それから、これはちょっと犯人は分からなかったんですけれども、トイレの方から、火事、煙が出ていたということだから、ちょっと犯人は分からなかったけれども、そのまま着陸したというケースです。それから、これはやっぱり暴力ですね、態度が悪いということで、びんたのようにほおを一回ずつ殴打して、土下座して何かサービスが悪いから謝れと強要されたことで警察が待機したケース。それから、携帯電話の操作を止めようとして周りが注意したんですけれども、それに対して暴言を吐く、そして警告書、機長の指示によって警告したけれども、なおもしつこく電源を切ろうとせずにそれをずっと続けていたというので、機長が引き返しを決定して元のスポットに戻っていったとか、いろんな事象があって、どの行為が特に何とかということではないんです。  それで、この件数は確かに、先生が今おっしゃったとおり、全体の件数は減っている中で、こういう悪質な人の割合というのは減っていない。だから、全体が減っている中で重大事象は変わらないから割合としては高くなると、こういう結果になるわけです。ということは、やっぱり一定の数のお客様というのは潜在的にこういう率で常に発生する可能性があるのかなという気もしないわけではありません。  しかし、今、まさしくこれまでは何の取締りも何もなかったわけでございます。それで、今こういう、今までの統計ではこういう統計が出てきているわけでございますけれども、今後この法案が成立して、そして罰則、五十万円の罰則も付くというようなことが当然周知徹底されれば、ここの件数がどういうふうに変化していくかというのを十分注視していかなきゃいけないと考えています。
  145. 大江康弘

    ○大江康弘君 この法整備でなくなればいいわけですけれども、どうぞひとつ、最後にこの件に関しては要望しておきますけれども、十分なしっかりしたマニュアルも作っていただいて、また乗客にもそれを周知徹底をしていただいて、同時に、何度もこういうことは繰り返され、これからこういう罰金ということになれば繰り返さないと思うので、ある程度航空会社側もブラックリストみたいなものがあって、そういう人が前回何かしたということであればチェックする体制もあるんでしょうけれども、どうぞひとつそういうところは、私、先ほどちょっと局長が国民の皆様にまた新たな刑罰を科するという、そんな悪いことする人にこんな遠慮した言い方をしなくてもいいのにというふうに先ほど思ったので、やっぱりしっかりと私はこういうことを徹底をしていただきたいというふうに要望しておきます。  次に、成田法案について御質問申し上げたいと思いますけれども、今回、地元の要望もあって成田空港ということで、先ほど山下先生が、同じ付けるんだったら、大臣頑張っておるから扇空港という、外国のように個人の名前を付けたら良かったのにという、私が言ったんじゃないです、山下先生がそういう名前にしたらということを言われておったので、それもいいですねと言ったんですが。  私は、先ほども少し意見ありましたけれども、これ、また一つ、我々にとっては分かりにくい形のものができたのかなというふうに思います。やっぱり公共部門というものを民営化するには、何度もここでいろんな議論もしましたけれども、やっぱりその事業内容だとか公共性の高い低いというようなことも考えて、かつてサッチャーさんが一九七〇年の後半辺りから始めたあの民営化というものが今イギリスでは見直されていると。本当に民営化という、国でしなきゃいかぬことをそういう形で民営化したことによって、本来はすべてが潤うのかなと思ったら、そうじゃなくて何か一部しか潤わないという、結果的には今ブレアさんになって、公共化というものがまた新たにイギリスでされておるというようなことを聞きましたときに、やっぱり我々、こういうことをもっと参考にしてやらなきゃいかぬなと。  そういう意味ではもう一度ここで確認したいと思いますけれども、いわゆる国際拠点空港と我が国が今まで位置付けてきた成田、そして関空、そして中部、この三つの上下分離案、いわゆる上物を三法人、下を一つの法人にしてしっかりと作り上げていくというこの上下分離案という、今私が申し上げた案というのはもう完全に消えたわけですか。
  146. 洞駿

    政府参考人洞駿君) 成田、関空、中部の三つの国際拠点空港民営化につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、一昨年の十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、昨年一年間掛けまして、空港整備と管理運営を行う主体を分けて、管理運営主体の完全民営化を図りますいわゆる三空港一体の上下分離案、また各空港ごとに上下一体で個別に民営化する案などにつきまして、空港管理法人や地元の自治体、そして航空会社等関係者の御意見等も踏まえて、比較検討を行ってまいりました。  国際拠点空港民営化につきましては、繰り返しになりますけれども、一番大事な点は、国が国際拠点空港整備について責任を持って適切に対応するということが大前提でございます。そして、その上でそれぞれの空港創意工夫を生かせるような自立的な経営環境を整えるとともに、経営の一層の効率化、そして利用者利便の向上、経営の透明性の向上を推進することが必要であると考えております。  こういった認識を基本といたしまして、成田、関空、中部それぞれの、各空港立地条件とかこれまでの運営の経緯、それから開港時期など等々、それぞれの空港の事情、抱える課題というのがそれぞれみんな違いますから、それぞれの課題に適切に対応すると同時に、我が国の国際協力を確保するという観点からすると、最終的に各空港ごとに上下一体で民営化するということに決めて今回この法案を提案させていただいたところでございまして、そういう意味で、上下分離案は完全になくなったのかという意味では、私どもが当初、案の一つとして考えておりました三空港一体の上下分離案というのはもうなくなったと言ってよろしいんじゃなかろうかと思います。
  147. 大江康弘

    ○大江康弘君 なくなったということ、大臣、もう一度大臣、ちょっと確認します。  私は、後でも触れますけれども、三空港を先ほど言いました形で上下分離案というのは一つのこれ苦肉の策かなということで私は評価をしておったわけであります。その中で、今回、成田がこういう形で民営化民営化といっても、これいろいろ形があるわけですね、これ。ですから、そういう中で今回成田がこういう形でスタートを切ったと。  関空はよくお荷物のように言われるわけですけれども、後ほどまた言いますけれども、そういう中で、今回、そういう国が拠点空港と位置付けておるこの三つが、お互いこれからも運営面において、いろんな意味においてリンケージしていくということはまだ続いていくわけですね。大臣、ちょっと答えてください。
  148. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私自身は記者会見でも言いました。下物は国が責任を持って、安全性も含めて、また地震国でありますからいつ何があるか分からないから、私は下は国がきちんと責任を持ってやるべきである。ただ、上については、民間のあらゆる知恵を出し、なおかつ民間に入ってもらって、私たちがあそこの空港へ行きたいなと思っている、今日も言いました、名前はあえて出しませんけれども国際的にはすばらしい空港で、あそこへ行ってあれを買いたい、あそこへ行ってあれが食べたいというようなすごいいい空港が一杯あります。そういうふうに私はなってほしいと、またそうするべきであると。飛行機に乗るだけのための空港ではもう採算が取れない。上物を私は是非民間活力を出してやっていただければもっと利益も上がるし、知恵も出して、そしてやってほしいと思いましたけれども。  成田と、そして中部、関空、あるいは羽田も入れてもいいです。これは違うんですね。特に、成田の場合は内空ですから、内陸空港ですからビューがありません。例えば、羽田とか関空とか中部なんというのは、もう海全部がビューですから。少なくとも私は、関空も、後で言いますけれども、お聞きになるんでしょうけれども、もうサンセットクルーズっていう、サンセットバーなんて作るぐらい、もうみんなが関空へ行って、アベックのスポットになるとか、家族を連れていって御飯を食べて、飛行機を飛ぶのを見ながら夕日も見るなんていうすばらしいことができたらもっと私は有効活用できるということで、上下分離というのがそういう活用方法があるではないかということで私は申し上げましたんで、成田の場合は残念ながらビューというものが余りありませんから、内陸空港ですから、内空ですから、そういう意味ではビューという面では最初からハンディをしょっているのかも分かりませんけれども、上下一体でやりたいとおっしゃるんですから、これは地域性によっては今後まだ、関空も中部も、かてて加えれば羽田も、そういう上下の考え方というものはあってしかるべきだと思っています。
  149. 大江康弘

    ○大江康弘君 ありがとうございます。  というのは、やはり私は、ちょっと関空に大臣今触れていただいたんで先に関空を言わせていただきますけれども、先日、委員長の御配慮で見せていただきました。見せていただきましたというよりも、私はしょっちゅう、森本先生もそうですけれども、もっと倍ぐらい航空運賃払わないかぬぐらい使わせていただいておるんですけれども。  もうお辞めになられましたけれども、御巫社長ですか、社長が国から九十億円の補給金をいただくということを大変遠慮がちに言ったんで、私はそのときに、ちょっと時間がなかったんですが、委員長のお許しをいただいて言わせていただいたのは、元々やはり伊丹というものの騒音の中であの関空というものができ上がってきた、そして今、神戸空港がこれ着々と進んでおる、二千五百メートル。着々ではないですか、まあ進んでおるという。しかし、私なんか、神戸空港なんというのは元々これ関空を造るときの第一候補であって、神戸が断った。そういう中で泉州沖ということになって、そして我々も当時地方議会におって、やっぱり初めての国の第一種空港に対して地方が負担金を出すという、そういうことを我々も認めてやってきた中で、今、伊丹は関空よりも多い国内空港を飛ばしておったり、航空局とすれば何か関西圏の地方空港のいわゆる中心地として位置付けておるというようなことで言われておって、私はそういうことから言えば、やはり関空が九十億円ぐらい補給金いただいたって、これは元々の需要予測というのが狂ってきたわけですから、私はもらって当然だと。だから、社長に、そんな遠慮して言うなということを実は申し上げたんですけれども。  今、大臣が関空に掛けていただく思いを言っていただきましたけれども、私は、いわゆる国際空港の最低条件というのはオープンパラレル、いわゆる同時離発着ができる三千五百メートル級の滑走路が二本はこれ最低限、これはもう国際空港の最低限のいわゆる一つ条件だということになった場合に、悲しいかな、日本にはそれじゃ国際空港というのは今ないわけですね。羽田もこれは三千メートルが二本があって、今は二千五百も横風用がありますけれども、関空は今造っていますが、三千五百メートル一本、成田は御存じのように暫定滑走路というものがあって、四千メートルありますけれども、そう考えれば、結局国際空港条件を満たす空港一つもないと。その中で、二十四時間辛うじて開いておるのは関空であるという。  そんな中で、国としてこういう一つ成田民営化していくということの中で、国の関与というものをだんだんだんだん遠ざけていくのか。私は、この法案を見せていただいたら、国がしっかり大臣の下で業務も管理もするんだって、こんなことを書いているんだったら、せんときゃいいのにと。結局、国が名前を変えて、形を変えてというんだったら、しっかりと国がやればいい話であるんですけれども。  私は、大臣、この関空というのは、今の計画というのはしっかりと国が責任持ってやっていただけますね。
  150. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私の個人的といいますか、半公的な仕事で行ったわけですから例を挙げさせていただきますと、過日、盧武鉉大統領が大統領選挙に勝たれまして大統領候補者としてなられましたときに、日韓議連の、私、副会長をしているものですから、韓国へ行きました。そして、仁川空港を立とうと思いましたら、霧で出発できませんでした。成田着の予定でございましたけれども、出発できない、霧で。そうしていますうちに、十時になってしまったんですね、夜。そうすると、今から立ってももう十一時には成田に着かない、だからこれは今日は飛び立てませんということで、まああしたの便ですねと、こうきたんですね。それで、成田が十一時でクローズされたために、私たちの飛行機は飛ばなかった。  ところが、調べましたら、羽田が十一時から朝六時まで、これ私が許可したことで自分が乗ろうと思いませんでしたけれども、チャーター便が来ておりまして、午前三時に仁川を立って五時に羽田へ着く。それで、調べましたら百二十人乗りに空席があった。それで、乗せてくださいと拝み倒しまして、片道のチャーター便でしたけれども、空席があったので乗せていただきまして、森元総理等々と一緒に乗ってきました。ところが、私たちは午前三時に乗ったのに、関空が二十四時間オープンのために、仁川空港から午前一時十分に関空に向けて飛び立つんです。  だから、国際空港というものの二十四時間オープンというものがいかに大事かということを考えますと、関空が日本初の二十四時間オープンといって私は開港したことの意義というのが、私自身も経験しまして、いかに国際的に二十四時間オープンが大事かということを身をもって体験したわけですけれども。  ただ、問題は、今の空港の第二期工事、これに関して今苦しんでおりますけれども、昨年の暮れに国として責任を持ってやろうということで塩川財務大臣と一緒に私たちは覚書を交わしました。それは、一昨々年は宮澤大蔵大臣とも覚書を交わしましたけれども、これは昨年は塩川大臣と、関空が、少なくとも経費の削減をしなさい、そして経費の削減は三〇%、そして人員は一割減らす、そして民間の社長を入れる、そして関空の体制を立て直そうということで合意をいたしまして、今申しました年間九十億というのは私は当然続けるということで、ただ、それをやっぱり、国際的に二十四時間の意義がなければ意味がないものですから、私たちは何としても、国際という看板の付いているところには最低二本の滑走路対応しなければ観光客倍増なんというのは言葉に終わるというふうに考えていますので、関空の二期工事の完成というものは、国際と名が付く限りは私は絶対に完成さすべきであると。  ただし、伊丹は国際が看板付いていますけれども国際線ないんですから、あれは第一種を取り下げるべきだという感覚も持っていますし、伊丹に年間百億近い周辺整備のお金を払っているのが、関空は九十億、これから発展しようという九十億は私は惜しくないと思っています。
  151. 大江康弘

    ○大江康弘君 ありがとうございます。この議論ばかりしておったら時間がありませんので。  ですから、やっぱり私は、まだまだ国がしっかりとした責任の中でやり上げなければいけないということだと思うんです。それだけに、今回この成田も、本来ならば民営化する以前にやっぱり基本的な条件、前提条件というのはやっぱり、最低限僕は絶対条件はクリアしなければいけない、それからこの法案だというふうに僕は思うんです。  その一つが、このいわゆる暫定滑走路の件ですね。それだけに、先ほどからもいろいろありましたけれども、これ、局長、この暫定滑走路というのは、今は頑張ってがっと言わないかぬのですけれども、先般、新聞を見ておりましたら、暫定滑走路の北に用地を買収をして、それで、この用地を買収した部分が今の二千百八十メートルで、二千五百メートルに足らない部分を補える部分の用地の買収ができておるんだということは、これは、こういう記事を見せていただいたら、将来的にいわゆる今難しくなっておるところを切り替えて、北伸という、北に伸ばすということでこういう土地を買われたんですか。これは総裁ですか。
  152. 黒野匡彦

    参考人黒野匡彦君) 今御指摘の点でございますが、まず最初は騒音対策、騒音対策用地ということで地権者の方々からの求めに応じて買った土地が大半でございます。それに加えまして、今お話しになりました暫定滑走路が供用を開始するときに保安用地として買い増した土地がございまして、それを合わせて東関東自動車道までの土地のほぼ大半を既に公団が持っているというのが現状でございます。
  153. 大江康弘

    ○大江康弘君 そうしたら、総裁、今、保安施設用ということでありましたけれども、これは南に東峰地区というのありますよね。この東峰地区が今、この農家の方ですか、三戸現実に交渉中である、なかなかそれが遅々として進んでいかないという形の中で、やはり私は、成田の本当に国際化、早期国際化ということを、暫定滑走路がもう早急にやり上げなければいけないという今の至上命題の中で、その買った土地というのは替えて、もう東峰地区が難しいということになれば替えてそちらの方に延長さすということの考えはおありになるのかどうか、もう一度ちょっと聞かせてください。
  154. 黒野匡彦

    参考人黒野匡彦君) まず、物理的に申し上げますと、今買ってございます土地を使えれば三百二十メートル拡張して二千五百はできます。  私は、昨年総裁を拝命いたしましたときから、北へ伸ばすのも一つの案としてあり得るというふうにずっと言い続けてきております。ただし、ただしそれは、逆を言いますと、正に今御指摘の東峰部落とは非常に厳しいまた対立関係が生まれるというか、より厳しい対立関係になるものですから、果たしてどの時点で決断するか、これは非常に難しい問題だと思っておりますが、取りあえず今は、我々といたしましては、本来の東峰部落の方々に御了解いただいて、空港の中で二千五百を造ると、そこの一本に絞って交渉中ということでございますが、重ねて申し上げますと、北へ延ばす案というのを放棄したわけではございません。
  155. 大江康弘

    ○大江康弘君 総裁、そこまで答えていただいてありがとうございます。  やはり、長い歴史の経過があるわけでありますから、それはそれで私はやはりしっかりとそういう流れを遵守をしていただくということも大事だろうと思いますが、いずれ、どの時期か分かりませんけれども、やっぱりそういう時期が来たときの決断というものも総裁が頭の片隅に置いていただいておるという、最高責任者として置いていただいておるというようなふうに受け取りましたので、今の御答弁に関して本当に心から私は敬意を表したいと思います。  それで、もう一点総裁にお聞きをさせていただきたいんですが、結局、成田のアクセスの悪さがずっと長年言われてきたと。その中で、公団が出資をして高速鉄道を第三セクターで造られたと。これは、今後、私は、第三セクターで造るという、これはもうその選択しかなかったんでしょうけれども、結局、こういうことが着陸料をいつまでも下げられないとか、そういうことに、僕は結局利用客に掛かっていくんじゃないかというふうに思うんであります。  しかし、やらなきゃいかぬ。その中で、やっぱり国が、私の考えは国が責任を持ってやっぱりこういうことをどんどんすべきだということであるんですけれども、しかし、もう既にでき上がった株式会社でありますから、結局、この株式会社がやろうとしておるこのBルートというのは一体どんなものなのか、そしてどういう形で進んでいくのかということをちょっと。これは鉄道局長ですね、済みません。
  156. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今御指摘成田空港アクセス鉄道でございますが、御案内のとおり、現在、成田と都心の間が成田エクスプレスあるいは京成のスカイライナーというものでも五十分台掛かるわけでございます。  そういう意味で、できるだけアクセスの時間を短くしようということで、今お話がありましたように、成田空港のアクセスの利便性の向上あるいは成田空港の発展ということで、成田高速アクセス鉄道の整備を図ることを目的として、空港公団のほかに地元の県市及び鉄道会社、さらには航空会社の出資によって成田高速鉄道アクセス株式会社ができているわけでございます。  それで、これは具体的には北総公団線の印旛日本医大から成田空港間までの十九・一キロの新線整備を行うわけでありますが、これができれば、この新線整備ができれば、この上を京成電鉄が利用してスカイライナータイプの列車を運行することによって空港と日暮里の間を三十六分で結ぶことができると、こういうことになるわけでありまして、現在、平成二十二年度の開業を目指して環境アセス調査等を行っているところであります。  なお、この鉄道につきまして国としては補助金を出すことにしてございまして、従来のニュータウン補助金の補助率一八%ではなくて、三分の一の補助ということで、補助率をかさ上げして支援をすることにしてございます。
  157. 大江康弘

    ○大江康弘君 局長、そうしたらこれ値段的に非常に、運賃ですけれども成田エクスプレスとか京成スカイライナー、こういう一つの競合するものがあるわけですけれども、値段的にはそこら辺りとはやはりあれですか、将来的に運賃というのは適正な運賃でいける計画ですか。
  158. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 開業後の運賃につきましてはまだこれからでございますけれども、当然のことながら、これは現在のスカイライナーが移り変わるわけでございますが、一方でNEXは残っていくわけです、JRは残っていくわけです。そういうことで、現在の運賃水準ということもにらみながら、かつ私ども鉄道サイドから見れば、航空旅客が多ければ多いほど鉄道運賃は安くできるということだと思います。いずれにしましても、そういうことをにらみながら適正な運賃を設定してまいりたいと考えております。
  159. 大江康弘

    ○大江康弘君 総裁、私は総裁これから大変だと思うんですね。結局、民営化していく中での前提条件がしっかりとクリアされないままこういう形になっていくと、先ほど少し触れましたけれども。その中で、環境上のことも地元対策もあって十七時間しかこれ飛べない。その中でいろいろと、どう運営をしていくかということになってきたときに、私は、幾ら民営化をしてもやっぱり独占という、独占企業というか、独占的なものというのは、やっぱり官業体質が私は抜け切れない。その中で国民が求めておるというか、今回国交省もこういう形の中で民営化をすることがいいんだということで進んでいくわけですから、やっぱり総裁に私は課せられた責任というのは大変大きいなというふうに、御苦労だなというふうに思うんですけれども。  最後に一点、私は、成田が、今朝ほどもありましたが、七対三でコンセッションフィーというんですか、いわゆる構内の営業料、これは今回、構内に限らず外にホテルを造ったりとか、あるいは駐車場というものも含めた中で、少なくともこれを、三割しかない今のこのコンセッションフィーというものを上げていく努力もしなきゃいかぬと思うんですけれども、単純に民営化をしたからといってテナントが入りやすいとかなんとか、これは道路公団でファミリー企業の話もありました。  それだけに私は、あのファミリー企業も本末転倒な話であって、何もファミリー企業があって悪い、そういうことがいかぬかったから道路公団自体が、全体がこれいかぬのだという、国で作るのはいかぬのだという、何かこんな変な間違ったというか議論になってしまって、ですから、私はこういう今求められておるテナントの運営にしても、どんどん入ってきやすいという形にする方向にしても、これは別に公団であれ何であれ、別に国がしようがどこが営業権を持ってやろうが、私は、やっぱりやる方がしっかりと競争の原理を働かす条件を作ってやればそれでいい話であって、やっぱり今後こういう流れの中で、総裁としては今言う構内の営業料というものを高めていく努力というのはどういうふうにされていくのかというのをちょっと最後にお聞かせいただきたいと思います。
  160. 黒野匡彦

    参考人黒野匡彦君) 大変重要な御指摘をいただきました。私ども成田空港で生ずる利益はなるべく新しい会社のところに集中すると、若干語弊があるかもしれませんが、そういう考えでございます。それは何も我々が高い給料をもらうとか、そういうことではなくて、集中した利益を利用者の皆さんに還元する、その一つの方法が着陸料の値下げということでございます。  したがいまして、これから広げる事業の中には、当然私どもが直接やるよりも関連会社にやってもらった方がいいのもあるでしょう、あるいはアウトソーシングした方がいいのもあるでしょう。そういうのも併せまして我々がきちんと管理する。その上で利益を集中し、利用者の方々に還元すると、そういう方針でまいりたいと思っております。  それからもう一つ、最初のところで、本当に民営化社員の気持ちがどうかというようなこと、若干お触れになりましたけれども、確かに幾ら入れ物を作っても、システムを作っても、その中に入っている社員が、その気持ちが民営化されていなければ何にもならないわけでございまして、今私どもは若い人を中心にグループディスカッション等をやって、幸いにも私どもは千人を切る程度社員数でございますから、重ねて議論をしながら社員の意識革命を図る、来年三月末までには図ると、そういうつもりでやっております。
  161. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十五分散会