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2003-03-26 第156回国会 参議院 国土交通委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年三月二十六日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤井 俊男君     理 事                 鈴木 政二君                 脇  雅史君                 山下八洲夫君                 森本 晃司君                 大江 康弘君     委 員                 岩城 光英君                 木村  仁君                 沓掛 哲男君                 斉藤 滋宣君                 田村 公平君                 鶴保 庸介君                 野上浩太郎君                 松谷蒼一郎君                 吉田 博美君                 吉村剛太郎君                 池口 修次君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君                 続  訓弘君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君                 田名部匡省君    国務大臣        国土交通大臣   扇  千景君    副大臣        国土交通大臣  吉村剛太郎君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       岩城 光英君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       中城 吉郎君        内閣府政策統括        官        山本繁太郎君        中小企業庁事業        環境部長     斉藤  浩君        国土交通省総合        政策局長     三沢  真君        国土交通省土地        ・水資源局長   倉林 公夫君        国土交通省土地        ・水資源局水資        源部長      小林 正典君        国土交通省都市        ・地域整備局長  澤井 英一君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        国土交通省住宅        局長       松野  仁君        国土交通省鉄道        局長       石川 裕己君        国土交通省自動        車交通局長    丸山  博君        国土交通省政策        統括官      窪野 鎮治君        海上保安庁長官  深谷 憲一君    参考人        住宅金融公庫総        裁        望月 薫雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十五年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十五年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十五年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (国土交通省所管及び住宅金融公庫)     ─────────────
  2. 藤井俊男

  3. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会住宅金融公庫総裁望月薫雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 去る二十日、予算委員会から、本日一日間、平成十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、国土交通省所管及び住宅金融公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算概要について政府から説明を聴取いたします。扇国土交通大臣
  7. 扇千景

    国務大臣扇千景君) おはようございます。何かあると思ってお待ちしていまして、自分でございまして申し訳ありません。  国土交通省関係平成十五年度予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成十五年度一般会計予算に計上いたしました国土交通省関係予算額は、六兆九千二百九十九億円です。  このほか、自動車損害賠償保障事業特別会計道路整備特別会計治水特別会計港湾整備特別会計自動車検査登録特別会計都市開発資金融通特別会計空港整備特別会計及び特定国有財産整備特別会計について、それぞれの所要額を計上いたしております。  なお、北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算については、他省関係予算を含めて、国土交通省予算所要額一括計上を行っております。  次に、財政投融資計画について、当省関係公庫公団等分として六兆五千三百五十一億円を予定いたしております。  国土交通省におきましては、歳出全体にわたる徹底した見直しを進める一方、重点四分野予算全体の七割を配分し、政策効果の高い施策へ投資を集中することにより、厳しい財政状況の中で、めり張りのある予算実現いたしました。  また、長らく公共事業を支えておりました根幹的制度について、数十年ぶりと言えます抜本的見直しへの取組を具体化しております。  まず、公共事業関係長期計画を一本化し、社会資本整備を重点的に推進するための計画に見直すとともに、横断的な政策目標を達成するため事業間の連携を強化いたします。  また、使途の多様化を図りつつ、道路特定財源の活用による道路整備等推進いたします。  さらに、国庫補助負担金制度について、政策効果の高い事業等への絞り込みなどを通じて、規模を縮減するとともに、地方公共団体自主性を尊重するよう、統合補助金の創設、拡充を推進しております。  加えて、特殊法人等について、経営改善、業務の見直しなどの措置を講じ、財政支出額を縮減いたします。  最後に、コスト構造改革への取組政策評価制度によるマネジメント改革に加え、事業評価の厳格な実施などを通じ、集中投資による事業のスピードアップを図るとともに、電子入札全面導入PFI積極推進ローカルルール導入など、公共事業の効果的あるいは効率的な実施に総力を挙げて取り組みます。  次に、政策テーマ別主要事項につきまして、御説明を申し上げます。  第一のテーマは、個性と工夫に満ちた魅力ある都市地方です。  まず、民間都市開発への支援強化充実し、都市再生を強力に推進します。三大都市圏環状道路整備大都市圏拠点空港への重点的な投資国際港湾機能強化により、国際競争力向上実現いたします。あわせて、ボトルネック踏切除却等による都市交通円滑化空港港湾等拠点へのアクセスの強化都市鉄道整備などにも取り組みます。  また、活力ある地域形成に向けて、幹線交通体系である高規格幹線道路整備新幹線整備等推進いたします。また、建設産業における産業構造改革支援等にも取り組みます。  さらに、官民挙げて観光振興対策を総合的に推進します。また、中央官庁庁舎等PFIによる整備土地流動化有効利用を図ります。  加えて、国民の安全や安心の確保のため、密集市街地解消や大規模地震防災対策推進するとともに、不審船工作船テロ事案等対策強化いたします。  第二のテーマは、公平で安心な高齢化社会少子化対策です。  本格的な高齢化社会に備えて、駅とその周辺や公共交通機関バリアフリー化を総合的に推進するとともに、民間活力等も活用しつつ、高齢者等の居住の安定確保を図ります。  第三のテーマは、循環型社会構築、地球環境問題への対応です。  モーダルシフトの推進、低公害車開発普及促進燃料電池実用化普及等によりまして、地球温暖化の防止や循環型社会形成を目指します。  また、自然再生型事業に取り組むとともに、おいしい安全な水の確保DPF等導入支援沿道環境が特に悪い交差点における渋滞の解消等を図ります。  第四のテーマは、IT国家実現などを目指した人間力向上、発揮です。  IT社会形成に向けて、ETCの普及促進など高度道路交通システム推進します。また、申請、届出等オンライン化など電子政府早期実現推進いたします。  引き続きまして、政府関係機関である住宅金融公庫平成十五年度予算概要を御説明いたします。  住宅金融公庫収入支出予算は、収入二兆五千五百八十九億円、支出二兆五千八百七十五億円を予定し、住宅三十八万戸等について総額五兆九千四百九十三億円の貸付契約等を行うことといたしております。  以上をもちまして、国土交通省関係及び住宅金融公庫平成十五年度予算につきましての説明を終わらしていただきます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。ありがとう存じました。
  8. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 以上で予算説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑ある方は順次御発言願います。
  9. 木村仁

    木村仁君 おはようございます。自由民主党・保守新党木村でございます。  予算質問に入ります前に、一つ世界水フォーラムについて御質問を申し上げたいと思います。  第三回の世界水フォーラムが、去る三月十六日から二十三日までのほぼ一週間、開催をされました。これは、WWC、世界水会議及び第三回世界水フォーラム運営委員会橋本龍太郎会長の共催でありまして、そういった民間団体によって主催されたものでありますけれども、言うまでもなく、これは数年にわたって国土交通省が下支えをしながら、しっかり準備されてこられたものでございます。そして、間でイラク戦争が始まるという事態もありまして心配をいたしましたけれども、無事に終了をいたしました。そして、世界から百七十の国・地域参加し、また国際機関も四十三機関参加。そして、閣僚だけでも百人参加をされたそうでございます。大臣はこの閣僚会議議長を務められたと聞いております。  実は、私は一昨年の十二月に大臣の命によりましてボンに参りました。世界淡水会議参加をいたしました。その主たる目的は、この世界水フォーラム参加されることを勧誘する仕事でございました。私は実は何にもしませんで、ドイツ語淡水のことを甘い水、ジースヴァッサーと言うらしいことだけ学んでまいりましたので、もし参加状況が悪ければ大変責任があるなと思っておりましたけれども、大変盛会であったようで幸いでございました。予算委員会に張り付いておりましたので、私自身は出席することができませんでしたけれども、御盛会をお喜び申し上げたいと思います。  この閣僚会議閣僚宣言琵琶湖淀川流域からのメッセージ」という宣言を出しまして、そして日本も九十項目を超える世界に対する水行動宣言をいたしたと思います。日本は、世界的に見ても水関係ODA世界が拠出しているODA金額の三分の一、毎年十億ドルを超える貢献をしていると聞いております。国土交通省、大変国際的な、グローバルなお役所だと聞いておりますけれども、今後この水問題についての世界的な役割果たしていかなければいけないと存じます。  そこで、まず大臣に、この世界水フォーラムの成果をどう評価しておられるか、そしてその宣言に基づいて今後どのような世界的対応をなさるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  10. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、木村議員が御発言いただきましたように、三月の十六日から二十三日まで京都、滋賀、大阪、この三会場で第三回の世界水フォーラム開催することができました。  木村議員には、国土交通省政務官としてこの水フォーラム盛会のための開催に当たっての根回しをいろいろいただきまして、御尽力いただきまして感謝申し上げておりますけれども、御本人は予算で御出席がいただけなかったということは返す返すも残念なことだなと思っておりますけれども、盛会裏に終えましたことも、少なくとも木村政務官としての御活躍のたまものだと心から改めてこの場をかりて御礼を申し上げ、感謝申し上げたい気持ちで一杯でございます。  今、御説明いただきましたように、正に二十一世紀は水の戦争が起こるのではないかと、水紛争世紀であると言われます。核戦争よりもはるかに水の方が全世界の人類にとって大事なことであるということが指摘されました。そして、現段階におきましても、世界じゅうで今安全な水を確保できない、そういう人たちが十二億人いるという話も表明されました。また、不衛生な環境の下での水を使っている人が二十四億人いるという大変恐ろしい数字を我々は会場で発表されて、それを知ることができました。  ただ、今、木村議員がおっしゃいましたように、こういう状況の中で閣僚の、閣僚級国際会議としましては、本当に厳しい国際情勢にもかかわりませず、今おっしゃったとおり、百七十の国及び地域と四十三の国際機関が御参加いただいたということで、シラク大統領だとかアナン事務総長は残念ながら欠席をされましたけれども、それらの皆さん方の熱意だけは会場に満ち満ちておりました。また、百名を超える閣僚が御出席をいただきまして、大変それぞれの国、あるいは国の、発展途上国だとかあるいは先進国だという区別なく皆さん方が平等の立場世界の水に関しての御議論が進んだことは、本当に私、有り難かったと感謝申し上げております。  特に、今、木村議員が御指摘なさいましたけれども、日本からどういうことをということで、三月の二十二日でございますけれども、水問題の解決に向けての各国国際機関等の具体的な行動を取りました水行動集というのをまとめさせていただきました。これは二十三日に採択をいたしましたけれども、参加閣僚皆さん方の御同意をいただきました。この閣僚宣言というのを採択できましたことが、初めてこの水行動集という今までにないことをできたことが大変私にとってはいい勉強になり、またこの会議の主たる目的が達成できたと思っております。  そして、水行動集というものを世界じゅうから御意見をいただきたいと言いましたら、世界国際機関各国からも四百二十二件もの行動の結果あるいは目的が提出されました。これも極めて珍しいことで、四百二十二件も世界じゅうから御意見をいただいてこの行動集に盛り込むことができました。また、水問題解決に向けた具体的な行動必要性というものも国際社会がいかに関心を持っているかという表れであろうと思いまして、この水行動集は、ビジョンよりも行動が大事であるということから、副題といたしまして、行動のとき、すなわちタイム・ツー・アクトというのを副題と付けさせていただきました。  そういう意味でこの閣僚宣言では、これまで行われてまいりました多くの水資源管理に関する努力を成功させるために、NGOも含めた草の根レベル取組というものも必要性が強調され、なおかつ水行動集を今後フォローアップするためのネットワークの構築をしようと、また公益や貧困層の利益の保護にも留意しながら官民のあらゆる資金を動員することが必要であるということを認識し合いました。  こういう結果が本当に皆様方のお力添えでできたことを、特に今の国際情勢の中で、二日目の全体会議におきましても、主要点を取りましたけれども、議事の議長総括という中に、私が議長を務めさせていただきましたので、その中で、難民を含むイラク国民飲料水衛生施設にアクセスできるように支援することが重要であり、破壊された水施設は再建が必要となることも予想され、この観点から努力が行われるべきであると、この旨を盛り込ませていただきましたので、本当に私は心から皆さんの御協力、そしてこの会議重要性が今後二十一世紀世界じゅうに影響することを祈念して、御報告とさせていただきます。
  11. 木村仁

    木村仁君 ありがとうございました。  一つ、小さな問題でございますが、閣僚宣言琵琶湖淀川流域からのメッセージ」の中から質問させていただきますが、その第二十七項が「災害軽減危機管理」という項目であります。その中で、この災害軽減及び危機管理のためには、貯水池堤防といった従来の構造物による対策強化することが必要であるというコメントがあります。その原文を見ますと、貯水池堤防というのはリザバー・アンド・ダイクスと、こういう言葉が使われております。  我々の常識でありますと、危機管理洪水調節のため、調整のために作るものはダムであろうと。それらの、それら以外にもいろいろと日本では工夫を凝らしてやっておりますけれども、リザバー・アンド・ダイクスという言葉がどうして使われたんだろうかという、ちょっと不思議に思います。アメリカで多くのダムを今壊しております。百以上のダムを壊したというわけでありますけれども、それは実はダムではなくて、正にダイクスという堰をつぶしているわけでございまして、新聞記事では、このリザバー・アンド・ダイクスについて若干議論があって、ダムと素直に書くべきではないかという議論があったように承っております。  一体どこの国がそういうことを言ったのか。そしてどのような雰囲気の中で、しかし、皆様調整努力リザバー・アンド・ダイクスという言葉になったんだろうと思いますけれども、その間の事情、そしてこの文章が意味するところを教えていただきたいと思います。
  12. 小林正典

    政府参考人小林正典君) 三月の二十三日に採択をされました閣僚宣言につきましては、その議論過程におきまして、委員御指摘のとおり、一部の国、機関から、水資源開発並びにクリーンエネルギー源としてのダム必要性が主張されまして、ダムという表現を盛り込むようにという意見がございました。  しかしながら、水を一時的に貯留すると、こういう機能に着目をいたしますと、ダムはその一つの手段でございます。これ以外にも、例えば湖沼あるいは遊水池、こういったものもダムと同じように水を一時的に貯留する機能を持っております。そういったことで、より包括的な表現ということで、貯水池堤防という記述で各国、各機関の合意が得られたものでございます。
  13. 木村仁

    木村仁君 ありがとうございました。  リザバー・アンド・ダイクスというのはダムを含む広い概念であると、こういう理解をいたしておきたいと思います。  予算の御質問に入らせていただきます。  私は、予算委員を務めておりまして、与党の平の理事でございますので、今、私の最大の関心事は、この総予算を一日も早く成立させて、そして着実な実施につなげていくことでございまして、個々の問題について質問をするつもりもございませんでしたが、幸い機会を与えられました。  平成十五年度の総予算というのは、非常に私は難しい環境の中で編成された予算であるというふうに理解をいたしております。八月に予算編成の方針が閣議によって示された時点ではまだそれほど明確ではありませんでしたけれども、予算調整過程で、経済がいよいよ深刻な状態になっていくということが明らかになってまいりました。  平成十五年度末の公債残高は恐らく四百五十兆に達するであろう。地方公共団体公債残高も加えれば七百兆のレベルになりそうだと。しかも、デフレが進行し、税収が落ち込んでいく。平成十四年の税についても減額を余儀なくされましたし、平成十五年の税については、五十兆レベル税収から結果的にはこの総予算では四十一兆七千億という四十二兆足らずの税収になってしまったわけであります。そういう環境の非常な厳しい変化がございました。しかも、デフレはどんどん進行していくという行き先、誠に不透明な経済情勢になってまいりました。当然、縮減の予算というものを作らなければならないという要請が一方ではあったと思います。  しかしながら、同時に、他方では、景気回復のためには財政出動によって需給ギャップを公的に埋めていく必要があると。むしろ、ここでは思い切って公債を増やしてでも積極的な財政出動に向かなければいけないという意見も大変強いものがありました。  その中で、小泉総理は、構造改革なくして経済成長なしという、その基本的な政策理念、これはしっかり堅持するという基本的な態度の中で、二〇一〇年代の初期の段階財政のプライマリーバランスを回復すると、そのために基本的には財政構造改革を追求しながら伝統的公共事業を抑制して財政構造を変えていこうという、こういう立場を堅持されました。  提出された予算案は、この構造改革政策意図景気回復を両にらみしているものであって、そして公債も三十兆の枠を超えて三十六兆数千億まで拡大され、私は、積極財政財政構造改革という両にらみの政策がうまく、うまくと言うと褒め過ぎかもしれませんけれども、取り入れられていると、こういうふうに考えております。  そして、昨年の暮れごろから、小泉総理も周囲の意見に耳を傾けて、そして一・五兆円の公共支出公共事業、新しいタイプの公共事業、そして一・五兆円の雇用対策のためのセーフティーネット、こういう三兆円規模経済対策を織り込んだ補正予算を組み、そして、それを今国会の冒頭で処理したことは記憶に新しいところであります。  今、我々の任務は、この予算を早く通して、そして、この補正予算とともに切れ目ない財政対策実施していくということではなかろうかというふうに考えております。  国土交通省予算、ただいま大臣から丁寧な御説明がございましたが、これも更にその全体の予算以上に厳しい環境の中で編成されたと思います。  第一に、いわゆる伝統的な公共事業というものが悪者扱いされました。私はそれには全面的に賛成するものではありませんけれども、しかし、何とかして公共事業伝統的公共事業を抑制することによって、他の分野の行政を充実、伸ばしていこう、あるいは財政構造改革していこうという強い流れがあったことは確かでありまして、そして、その中で特に道路特定財源が苦戦をいたした、これも記憶に新しいところであり、その問題は、もう昨日、今日の問題としても、大臣取り組んでおられますように、問題として残されております。  そして、もう一つ我々が非常に心配したのは、小泉内閣大都市志向と申しますか、東京、大阪、これが世界的な大都市機能等の比較において陳腐化しておる、かなり劣勢になっているのではないかと、そういう意味で、これに力を入れて再生しなければならない。それには私どもも賛成でございます。  しかし、予算編成過程では、限られた資源の中で、次第に大都市圏地方圏中小規模都市大都市、あるいは大都市を含む地域と九州、北海道、東北、四国といった、そういったいわゆる地方圏との対立というような構図が浮かび上がってまいりまして、その問題をどう解決していくかということについて私どもは大変心配をいたしましたし、第三に、道路関係四公団、住宅金融公庫空港公団等、これらの大改革の問題が起こってまいりました。  しかしながら、私は、これらの諸問題をよく取り組み、かつうまく処理して、この六兆九千二百九十九億円、対前年で〇・九七%の予算を編成されまして、さらに、公共事業関係も、非常に心配いたしましたけれども、六兆二千三百三十六億円というレベルに収められております。そして今、御説明がありましたように、政府の重点四領域というところに努力を集中して、そして新しい年度を迎えようとされております。  最初に申し上げましたように、私はこの予算が一日も早く成立して、そして実施に移されることを希望するものでありますが、この予算編成過程、それを振り返り、かつ十五年度を展望して、大臣の決意のほどを一言お伺いしておきたいと思います。
  14. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、予算の御報告をさせていただきまして、今日、御論議をいただいているわけでございますけれども、この予算の分科会におきまして、国土交通省、冒頭に私が申し上げましたとおり、限られた予算の中をいかにめり張りを利かすかということに腐心をいたしました。  それと、四省庁統合して、今まで縦割りで取っていた予算をいかに効率よく、ですから、大変失礼な表現になりますけれども、端的な言い方をさせていただきますと、国土交通省の局の中では真ん中の線を置いて負け組と勝ち組と、こういうように局の中では、分かりやすい言い方しますとね、今までの予定よりも半減をしてしまったという局もあります。それが負け組という表現されます。そして、今までよりも倍増した局もあります。けれども、そういう表現で、局あって省なしというようなことを言われないために、私はそういう負け組と勝ち組という表現をしますと一番分かりやすいんですけれども、省のためにはそういうことがあってしかるべきであるということで、各幹部は心してみんなそれを甘受し、なおかつ限られた予算の中でいかに配分をしていくかということを腐心してくれて今日の御提出した予算になったことだけを是非御理解を賜りたいと思います。そういう意味では国土交通省らしい予算が初めて私は本格的に組めたというふうに自負いたしておりますけれども、まだまだ至らぬ点は、今日、分科会で、それぞれの予算の御審議の中で御指摘いただいて、我々も国土交通省の在り方、また予算配分の今後の糧にさせていただきたいと思って、今日、予算の御審議をお願いしたわけでございます。  その中で、今、木村議員から特にどういうところにというお話がございました。それは、御存じのとおり、今回はめり張りを利かすと私は申しましたけれども、その中で、厳しい予算の中で重点四分野というものにしていこうということで、重点四分野には四兆八千五百三十二億円、一・〇二倍ということで集中いたしました。また、全体的に占めるシェアは七〇%でございます。  そして、四分野の中で、重点分野の中でも特に私は、最重要課題、特にそこに重点を絞って投資を集中しようというめり張りを利かせたところは、今御指摘がありましたように民間都市開発事業支援ということで、これは八三%増でございます。  それから、大都市圏というお話を今いただきましたけれども、特に空港整備というものが国際的に後れているということで、これには三五%増ということでお願いをいたしました。  また、一昨年来の不審船あるいは工作船のテロ事業対策というものを強化しなければいけないということで、これも今までには考えられなかったことですけれども、この件に関しましては一一一%増の御予算を取っていただきました。  それから、大事なことは、密集地というものがいまだに解消されていないということで、これも九%増でございます。  それから、この委員会でも度々御論議いただきましたバリアフリー化、これを強調しようということで、連続したバリアフリー空間の確保ということで、これも苦しい中ですけれども四%増という予算皆さんのおかげで組むことができました。  また一方、無駄だと言われておりますコストの構造改革、これは公共事業も含めて無駄を省けということで、今後五か年間で一五%のマイナスに持っていこうということで、これではまだ足りないというおしかりもあろうかと思いますけれども、総合的なコスト縮減を、初めてこの数値目標を立てまして、少なくとも一五%を目標達成しようと、マイナス、そういうことでこれも初めて数値目標を表させていただきました。  また、公共事業を抱えまして、この九本の長期計画というものを御提出して、昨日も御論議をいただきました。これも大きな結果だと思います。  それから、道路特定財源に関しましては、使途の拡大、今、木村議員からおっしゃったとおりでございまして、これは約三千五百億円を新たな分野に配分するということをいたしました。  また、その他、それぞれ国庫の補助の負担金の廃止と、あるいは、今までしたものをやめて新たな統合補助金を一層充実させようということで、これもいたしました。  そういう意味では、いろんなところで、また特殊法人の改革ということで道路公団等々につきましても厳しい態度を示して、そして改革をしていこうというので、道路三公団、本四公団、関空、中部、それから住宅公団、都市公団等々に私は重点的なめり張りを利かせた予算だと思っておりますので、また細かいことありましたら、今大ざっぱに全般にわたってお答えをさせていただきました。
  15. 木村仁

    木村仁君 通告いたしておりませんでしたが、丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  確かに、めり張りを利かす、勝ち組、負け組というお話がございましたが、この新年度の予算はそもそもそういった構造改革していこうということで、三%減少した中から二〇%を増やして要求しなさいと。そして、その二〇%増やした範囲の中で、従来の伝統的な積み上げてきた予算の配分が変わっていくだろうという期待を私どもも持っておりました。  しかし、これに対しては恐らく非常に強い、官僚組織と言うと失礼ですけれども、からの反発があるだろうと、何とかして従来の持分を守ろうとする力が強く働くであろうというふうに考えておりました。そして、恐らくその力が一番強く働くのは国土交通省であり農水省であろうと、そういうふうに私どもは心配しておりましたが、少なくとも国土交通省に関する限りは、今、大臣がおっしゃられましたように、そして発言の中で負け組を褒めなきゃいかぬという、そうだと思うんです、私は。  こういう時期には消極的な勇気、自分の持っている権限を捨てる、あるいは自分の持っていた持分を減らしてよそを助けるという消極的な勇気を公務員は持たなければいけないと、そう思っておりますので、そういう意味で、私は何も言いたくないのでありますが、それでも、言いたかないけれども言いたくもなるじゃないかという面もないことはございませんので、二、三質問をさせていただきたいと思います。  国土交通省の外局の方から話を始めて失礼でございますが、まず、国際情勢と海上保安庁の役割について御質問をいたしたいと思います。  このイラク戦争が始まる前後から、それとの関連においてこの東アジア地域の緊張関係というものが大きくクローズアップされ、国民の意識に上ってくるようになりました。特に、北朝鮮が非常に先鋭な動きをするということで、国民の感情が高ぶってきております。イラク戦争についての是非ということもいろいろ議論されますけれども、多くの国民がこの北をにらみながらイラクを考えるという、これは本当はそうあってはならないのかもしれませんけれども、そういう国民の感情というのはごく自然の姿だろうと思います。  そういう中にあって、私は、海上保安庁が果たすべき役割にも変化が生じつつあるのではないかと、恐らく保安庁の皆さんはそういうことを肌で感じておられるのではないかと思います。特に、今、そういう意味で問題として認識しておられること、海上保安庁長官から少しお話を聞かせていただきたいと思います。
  16. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) 御説明を申し上げます。  海の上の安全、治安、これを確保するということを基本的な任務といたします海上保安庁といたしましては、現在、一万二千名の職員で、領海、排他的経済水域合わせますと国土の約十二倍に達するエリアを対象に今、昼夜を問わず業務に当たっておるわけでございまして、その業務内容も、犯罪の取締りあるいは海上交通の安全対策、海難救助、海上災害対策、さらには大陸棚の調査といったことまで含めますと大変多岐にわたっておりますが、こうした業務を限られた予算、人員の中で効率的にかつ効果的に遂行しようということで努力をしておるところでございますが。  先生御指摘のように、近年、特に、不審船あるいは工作船、こういったものへの対応、あるいは海上のテロ対策、警備も含めましたそういった問題、あるいは海賊対策、薬物・銃器の密輸、密航などのいわゆる国際的な犯罪、こういったものへの対応といった治安対策が大変重要になってきておりまして、当庁に求められる役割というものも複雑化しているなというのを実感しておるところでございますが。  海賊対策強化にかかわるような、関係国の合意を受けまして、巡視船を東南アジア周辺海域に派遣して、海賊哨戒を実施する、あるいは、先生御指摘のような昨今の国際情勢を受けまして、併せてテロにも備えた哨戒を実施いたしておりますが、こういった活動範囲、既に日本近海にとどまらず国際化が進んでおると、こういう状況と認識をしておりますが、こうした事柄に的確に対応するために、巡視船艇ですとか航空機とか、こういったものの運用体制を始めとしての装備の充実の問題、こういったことを図っていくとともに、警察でございますとか、あるいは自衛隊、こういった国内の関係機関、こういったものとの連携も当然大変大事だろう。一方で、御指摘のように、また先ほども申し上げましたように、国際問題というのは大変重要になってまいりました。北太平洋地域あるいはアジア各国などのいわゆるカウンターパートでの海上警察機関、こういったところとの連携、こういったものも一層強化をしながら海の安全、安心に取り組んでまいりたいと、かように考えております。
  17. 木村仁

    木村仁君 今、不審船工作船問題あるいはテロ対策、海賊問題、不法入国、薬物・銃器の密輸、非常に多くの問題が日本の水際で起こっているわけでございます。それにしては非常に海上保安庁の予算規模が小さいんです。平成十五年度の予算で千六百八十九億円でございます。今言われましたように、数字を教えていただきましたので私から紹介いたしますが、職員が一万二千二百五十八人ということでございます。  海岸線がどれくらいあるんだろうかなと思ってアメリカと比較していただきましたけれども、アメリカの海岸線が二万一千七百キロです。それに対して日本の海岸線は三万三千九百キロ、アメリカよりもはるかに長い海岸線を日本は持っているわけでございます。排他的経済水域でいえば、アメリカはハワイやあるいはバハマの方の島を持っておりますから八百六十万平方キロで、日本の四百四十七万平方キロに比べれば倍ぐらいあるわけでありますけれども、この水域の広さあるいは海岸線の長さからいえば、海上保安庁が果たしているこのエリアの広さというのは非常な大きなものであります。  アメリカと比較するのはどうかと思いますけれども、日本の海上保安庁の艦船は四百四十八隻、これに対してアメリカは千五百四十隻持っております。航空機は全部で七十五機、アメリカは二百四機持っておる。非常に大きな差があります、アメリカと比較するなということかもしれませんけれども。  それなら国内と比較してみます。防衛庁は五兆円の予算を使っております。警察、三・七兆円使っております。それから消防、一・九兆円でございます。海保、一千六百八十九億円、こういうことでもう格段の差がある。  それは、この中から、大勢の人がいますからその人件費というのは差っ引いて考えなきゃいけない。恐らく防衛庁の場合には人件費が四〇%ぐらい、全体の。で、活動費や装備を充実する費用というのは三兆円ぐらいあると思います。警察は、これはもう人海戦術ですから人件費が八二%で、装備費は〇・七兆円、七千億円にすぎない。それから消防、これもまあ赤と白ですから、赤といえば消防車、白といえば何か御存じですか、救急車でございますが、この赤と白、ですから大した装備ではないんですね。そこでやっぱり人件費が七六%あります。それでも五千億円の装備費を毎年やって、消防庁でも二百億円近い補助金を出しておりますから、その三倍、六百億円ぐらいの装備は毎年やっているわけですね。  それに対して海保はどうかというと、千六百八十九億円のうち人件費が六〇%で、実際に装備の運営やあるいは装備そのものの充実に使っているお金は六百七十六億円と。  こんなことで本当に日本の安全が守れるんだろうかということを非常に心配を、ひいきでなくて心配をいたすんでございますが、長官、どんな感覚で予算を要求され、そして獲得しておられるんでしょうか。
  18. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) 先生、大変予算の面の当庁につきましての御指摘をいただきました。先生、数字を挙げていただきましたとおりの実態でございます。そういう中で、先ほど申し上げましたけれども、財政状況、全体でなかなか厳しい中で、限られた予算、人員、こういうものの中でなるべく効率的に仕事をしたいというふうに心掛けておるところでございます。  先ほど申し上げましたような国際状況の中で、国際的な問題を絡めた治安対策が大変重要になってきている。そういう面では、例えば十五年度におきましてはいわゆる不審船工作船対策に大変私どもとしては力点を置いた予算を組んでいただけるようにお願いし、そういう予算になったかなと。他方で、全体は大変厳しいものですから、対前年で比べれば当庁のある大きな分野につきましても六%減ということで、当面やりたい仕事を繰り延べなきゃいけない部分、こういうものも当然出てまいっております。  私ども、人員、予算、両方のものがございますが、例えば人員面でございますと、限られた人員、こういった中で的確に業務を遂行する必要があるということで、海上保安官といたしましては、先ほど申し上げましたようにいろいろな業務があるわけでございますが、その中でも例えば救難あるいは警備、犯罪取締り、こういったものも現場では一人で何役もこなしながら効率的に仕事を実施できるような体制を取るべく努力をいたしております。  また、今後とも、こういった昨今の我が国を取り巻きますいろんな国際情勢の変化等に応じて、治安対策の執行体制の強化をやはり図る必要があるというふうには強く認識をしておりまして、今後とも必要な要員確保には精一杯努めてまいりたいというふうに思う一方で、また、例えば御指摘のような巡視船艇、航空機、これにつきましては、現在、導入後二十年を経過したものが四割近い状況になっておるという問題もありますが、こうしたものにつきましても、昨今の情勢に対応すべく、一方では速力を上げなきゃいけない、あるいは夜間の監視能力を上げなきゃいけない、あるいは武器の性能等についても機能強化をしなければいけないというふうな、業務全体についての対応能力のレベルアップというものが一方で強く迫られておりまして、こういった高機能への代替整備というものにつきましても計画的にやっていかなきゃいけないというふうな状況にございます。  私どもといたしましては、いろんな諸状況の中で国民に安全で安心な海をこれからもきちっと提供していけるようにということで、そういった人員、装備、これにつきましては、国の財政状況が大変厳しい中でございますが、引き続き精一杯努力をして、装備面の充実に努め、国民の負託にこたえてまいりたいというふうに考えております。
  19. 木村仁

    木村仁君 御苦労さまでございます。  海上保安庁の予算は、平成十年度に千六百五十九億円なんです。十五年度に千六百八十九億円なんです。この国際情勢の変化、そして国民の意識の変化、これに対応した予算の増額というのができていないと私は思います。  危機管理をやる仕事は、長官、焼け太り精神がないと駄目です。何か起こったときにどっと増える。私も素人で消防をいたしましたけれども、消防の世界では、昭和四十九年ごろに、大洋デパートの火事で百人死に、大阪の千日前デパートの火事で百人亡くなった、それを契機にどんと実は地方の消防費というのは増えているんです、予防行政を見直して。そういうことで、やっぱりこれはどんと増えるべき時期ではないかなと、こう思うんですね。  長官、ここに赤ちゃんがいるとします。この赤ちゃんが黙っているとミルクはだれもやらぬのですよ。わあわあ泣き叫ぶとミルクがもらえる。その精神をひとつ体して頑張っていただきたいと思います。  大変時間がありませんので、次の問題に移ります。  大都市地方圏という対立関係があったということの関連でございますけれども、私は地方の中核都市圏における交通システムの整備というものについて、政府の明確な指導方針というものがないような気がいたします。これはやっぱりローカルルールの時代でありますし、地方分権の時代でありますから、それは地域の交通を計画し、そのシステムを構築していくことは地方の責任であり、地方のイニシアチブでやらなければいけないことであるということは、私はよく承知をいたしております。しかし、知識の集権、権力の分権ということもあるわけで、やはり国土交通省地域の交通システムについてのしっかりした政策体系を持って、それを持って地方を説得しながらやっていくという面が是非必要ではないかと、是非とも必要であろうというふうに考えております。  今、地方中核都市圏というときに、私はこの市町村の合併の過程を経て次に政令指定市になっていくような都市、あるいはそのもう一つ人口三十万、四十万という都市の交通システムのことを考えておりますが、この交通システムの中でいろんなモードがあると思うんです。JRを中心に使う、バスが中心である、あるいはマイカーが中心である、あるいはLRT、最近はやりのLRTが中心である、こういういろんなシステムがあると思うんでありますが、近未来における地方中核都市の大量交通の機関として、国土交通省はどのような構想をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。
  20. 三沢真

    政府参考人三沢真君) 先生御指摘のとおり、地域の交通をめぐる状況が非常に変化しております。少子高齢化なりあるいは環境問題に対する認識の高まり、それから当然、技術革新による情報化等々、いろいろ大きい変化がございます。それから、交通事業自体につきましても、それぞれの分野でいわゆる参入、撤退の自由化などの規制緩和というものが進んでいるというようなことで、そういう環境変化を踏まえまして、やはりこれからの交通モードがどうあるべきかということを考えていくというのは非常に重要な課題でございます。  昨年七月に地方運輸局の組織についても再編しまして、そういうことを言わばシンクタンクとして考えられるような組織ということも含めまして、交通環境部というのを設置しております。現在、そこを中心にいたしまして、それぞれの地域で、従来は都道府県別の地域交通計画だったのを、より広い各ブロックごとの、地域ブロックの公共交通・地域交通環境計画というものを策定すべく、現在それぞれの地域議論を開始しているところでございます。  先生御指摘のこれからの交通モードの在り方ということについても、こういうそれぞれの計画策定の議論を通じまして、各地域のニーズ等も踏まえながら今後進めていきたいというふうに考えております。
  21. 木村仁

    木村仁君 私は選挙区が熊本でございますので、熊本の都市圏のことしか余り詳しく存じませんが、大体人口七十万近い都市で、周辺の人口まで加えれば八十万から九十万ぐらいあると思うんです。しかし、地下鉄は作ることができるか、キロ二百億、とても無理だろうと思います。新交通システム、モノレール、モノレールがどうだろうかと。恐らく地下鉄の半分ぐらい、キロ百億ぐらいの建造費が掛かるとすると、これもとても採算が取れないだろうと、こういうふうに思います。それから、新交通システムも恐らくそのレベルであろうと。  今、沖縄で新交通、あれはモノレールですね、これを作っている。これは採算が取れるものでしょうか。それから、広島にアストラムラインというのが、大変すばらしい新交通システムがありますが、これらは政令指定市ですから大丈夫だと思いますけれども、採算性はどうだろうかということと絡めて、デュアルモードバスというシステムが今開発されております。そして既に、淡路の、これは公園の中ですけれども、実施されようとしておりますし、また名古屋の万博にはこれの実験ラインを作ろうかという勢いであります。  このデュアルモードバスというのは、時間がありませんから私が簡単に申しますけれども、普通のバスの形をしていて、ITで情報的に連結して隊列走行をいたします。そして、都市都市の間は専用の高速道路、バス専用の高速道路を走って都市に到達し、そして到達した後は地べたに下りて、その走行中は無人でございますが、その地べたに下りたときには今度は運転手が乗って、一台ずつ目的地域を走り回ってお客さんを集めると、こういうシステムでありまして、多分経費もモノレールを一〇〇とするならば三〇ぐらいの、一キロ当たり三十億円ぐらい、それ以下のものでできるのではないか。つまり、マイカーを入れませんから、上下線を含めて七・五メートルの幅員で上下線のバス専用道路ができると、こういうふうに専門家は説明をしております。  こういうものが導入をされれば、非常に地方都市の将来の近未来、十年先、十五年先になるかもしれませんが、交通システムとしては非常に有効ではないかと思いますが、国土交通省としてどの程度そのことについて研究をし、知見を蓄えておられるか、お伺いしたいと思います。
  22. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生御指摘のデュアルモードバスは、バスと新交通システムの中間の需要、大体適用可能性としてはそういう中間的な需要という形で対応して、交通の混雑区間におきましては専用通行路を定時で高速走行すると。それから、一般の道路では路線バスとして乗換えすることなく各方面に運行が可能と。こういう特徴を有する鉄道とバスの利点を組み合わせたようなシステムと、こういうことかと思います。  これにつきましては、本システムのこの一つの種類、いろんな種類があると思いますが、一つの種類としてのガイドウエーバス、これを名古屋で導入をしてみております。バスが専用通行路を通行することによりまして所要時間の短縮と定時性の向上が図られた、さらに、一般道及び高速道の方も向上しまして、道路交通の円滑化に寄与するといった効果があったということが認められております。淡路島では、これから公園内輸送手段として、磁気により誘導案内を行うシステムが導入されて活用されていると聞いておりますが、いずれにしましても、道路交通の円滑化、こういう観点から申し上げますと、公共交通機関整備、これも大事なことだと思っております。  デュアルモードバスそのものにつきましては、今申し上げましたような特徴を持っておりますので、それを生かしながら、一層道路交通混雑の緩和に有効なシステムとして機能していくように更にこれからも研究を続けたい、こういうふうに思っております。
  23. 木村仁

    木村仁君 道路局長から御答弁をいただいたことを非常に力強く思って、悪乗りをしてお尋ねいたしたいんですけれども、地方都市においては公共交通機関、特に地下鉄とかモノレールとか新交通システムがとても採算が取れないという中で、このデュアルモードバスのシステムであれば、あるいは採算が取れはしないかと、こういうふうに思うんです。  その条件は、名古屋のガイドウエーバスの場合にも非常に多額の補助金が、恐らく道路特定財源ではないかもしれませんが、国土交通省から出ているだろうと思うんです。そうしますと、このデュアルモードバスの場合は、七・五メートルの幅員で上下線ができる、そして、専門家に言わせれば、それだけならば恐らくキロメートル当たり十億円ぐらいの経費で安全なシステムができるのではないか。それにまたITのシステムを加えますからもっと高くなるんだと思いますけれども、そういうことでございます。  そういうことであれば、道路としてバス専用の高速道路を造って、そして、そのインフラは道路財源で造っていただく、そして、それの運営経費をそれを使う各バスが負担するという、こういうシステムは考えられないだろうかと思うんです。  そのためには、あらゆるバスに付けることのできるITパーツを開発しなければいけませんし、それから、LRT等と対抗するためには、将来は燃料電池というもっとクリーンなエネルギーで動くバスにすれば理想的でございます。そういう時代がやがて来るので、そのときには道路としてバス専用の高速道路を造ると。そして、都心に入ったら、トンネル、地下に入るわけですね。そうしますと、直径五メートルぐらいの簡易な地下道で、バスだけ通るわけですから、通行することが可能であるという、そういうふうに私には思える、近未来の話としてですね。  そこ辺りを研究していただけるかどうか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  24. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 都市における交通渋滞の解消、あるいは良好な都市交通環境構築する、こういう観点からこれまでもいろんな交通の在り方について研究をしてきたところであります。先生御指摘のバスの問題、これもその一つとして、さっき申し上げましたようなデュアルモードバス、その以前からは新交通システム、モノレールなどに対しても、そのインフラに対して補助してきたところであります。さらに、物流という面から都市内の無人物流、パレットシステム、こうしたことも研究をしてまいっているところであります。そういう意味では、自動車交通、道路交通の渋滞解消あるいは円滑化、こういう面に寄与するという観点から、いろんな角度で研究してまいりたいと、そのように思っております。
  25. 木村仁

    木村仁君 大変時間が限られてまいりましたので、もう一つだけ質問しておきますが、観光で四百七十七万人の入り込み観光客を倍にしたいと。そのためには私は地方圏の観光の環境が格段と改善されなければいけないと思うんですが、それにはやはり観光、特に外国から来る観光客はマイカーを下げて来るわけではありませんから、どうしても大量公共交通機関整備してやらなけりゃいけないと。  熊本の例を取って申し訳ございませんが、阿蘇から熊本まで約四十キロの鉄道がございます。それから、熊本から天草の入口まで約四十キロの鉄道があります。これを今時間を合わせて乗っていくと、大体二時間半近く阿蘇から天草まで営々という観光拠点の間の時間が掛かるわけです。  この路線は、豊肥線、三角線という二つの鉄道は、幸い、幸いと言うといけませんが、JR貨物が走る必要のないところであります。したがって、モーダルシフトの対象にもならないと。そういうことであれば、この路線は単線のところでありますが、このデュアルモードバスのシステムを導入すると、単線でなくて複線のシステムができる。そうすると、恐らく阿蘇から出発して、熊本の都市をトンネルで抜けて、三角線へよじ登って三角まで行くと、恐らく四十分か五十分で阿蘇―天草という連係が取れると。そういうシステムを作っていってはどうかと。JRの方に、三十九キロ、四十キロだから二十分ぐらいで走れませんかと言うと、それだけ走るには莫大なお金を掛けて手直しをしなきゃいかぬと、こういうことで可能性がないようですね。  ビジット・ジャパンのシステムの中でこういった第三セクターに譲り渡していくような、JR貨物が通る必要のない路線について、バスの専用高速道路にするというようなことも考えてはどうかと思いますが、全く検討に値しないものかどうか、鉄道局長さんにお願いします。
  26. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 先生からただいま三角線と豊肥線の単線のものについて、言わばバス専用道路にしてデュアルモードバスができないかというお話だったと思いますが、現在、私どもとしては、現在の三角線なり豊肥線、それぞれ地域の住民の足として、あるいは地域の振興の手段として頑張っていただいているというふうに考えております。  非常に苦しい経営状態でありますけれども、頑張っているんじゃないかと思っていますが、一方で、先生お話しのように、その地域の特性に応じて、新しい交通機関導入によってその地域人たちの利便性が向上されるというふうなことで、その地域においてその鉄道を廃止して鉄道敷を有効に活用して、バス輸送などができるという方が得策だというふうに地方で判断されるのであれば、それは検討することが可能だろうと思いますし、関係者において検討を十分されればいいと思います。  ただ、一つ極めて技術的なことで恐縮でございますが、単線の鉄道敷を自動車専用道路に転用する場合に、一つは幅をどう考えるかということでございます。もう一つは橋梁などをどういうふうに道路に転用できる、バスが転用できるかという問題。それから、御案内のとおり、単線鉄道でありますけれども、踏切がたくさんございます。ここをその自動車専用道路にするときにどういうふうな形で整理するかというふうな、言わば物理的、技術的な問題もあろうかと思いますけれども、今申し上げましたように、地域において新しい交通システムを取った方が得策であると総合的に判断でき、あるいは鉄道事業者あるいは地方公共団体、地元住民あるいは地元企業と、関係の方々がそういうふうな話合いができれば、それはそれで一つの検討材料だと考えております。
  27. 木村仁

    木村仁君 分かりました。  もちろん、地域のイニシアチブが必要なことでございます。そういったものが起こってきた場合に国土交通省として十分知的に対応できるだけの勉強をしておいてほしいと、そういう意味質問でございます。  時間がもうありませんので、道路局長さんに一つだけお願いなり質問なりしておきたいと思います。  あのPFIの法律の一番最初に出てくる公共施設は道路でございます。ところが、この道路は今PFIの対象になっておらない。これは、しかしながら道路公団の改革との関係で地方道が直轄道路になってということであれば、非常にこれは時間が掛かりますから、PFI導入できないだろうか。そして、特に橋梁部分についてPFIということは不可能であろうかなというふうに考えるんです。地元で資金を集めて橋梁を建設して、そして国がこれに債務負担行為、国庫債務負担行為で約束をして、そして可能な限り赤字を出しながらも有料で運用しながら次第にその所有権を公共事業として国に譲り渡していく。  BOTと言いますけれども、BOOT、ビルドして、そしてオペレートして、そしてオウンして、しながら最後に公共にトランスファーするという、BOT、BTOとかいろいろあるようですけれども、BOOTみたいな姿でひとつ道路あるいは特に橋梁のPFIを御検討いただけないだろうかというふうに、これは恐らく道路局長のお考え次第だと思います。よろしくお願いします。
  28. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生御指摘のPFI事業といたしましては、道路の場合、既に駐車場事業におきましてこれまで五件PFI法に基づく手続に着手しております。今後、順次実施が図られるとこういうことだと思っておりますが、駐車場以外の大規模な橋梁等の事業につきましては、事業規模が大きいために多額の資金調達が必要である、あるいは用地の取得であるとか地盤、環境などの周辺条件によってその建設コストの増減、こうしたリスクが大規模になるほど大きくなってくる、あるいは管理中の事故とか災害とか、そういった面でのリスクをどういうふうに分担し合うか、いろんな問題があろうかと思います。  料金収入で掛かった資金を回収するといいますか、そういうことが可能であれば、ある程度可能であれば、またこれはこれで多少の初期投資に対するインセンティブを与えることによって可能になるかもしれません。後で公共の金、税金で、国税あるいは地方税でその借金をお返しする、こういう形でありますと、先食いという形でどこまで後の自由度なくしてどれだけの負担に耐え得るか、これまたそんな検討も必要かと思います。  いずれにいたしましても、そうした多面的な検討というものが必要であろうということで勉強してまいっているところでございます。更に勉強してまいりたいと思います。
  29. 木村仁

    木村仁君 時間がございませんので、終わりますが、是非前向きに検討をしておいていただきたいと存じます。  これはもちろん地域のイニシアチブ、地域のプライベートイニシアチブですから、それが起こってこなければどうしようもないことで、私どもも地元で更に研究させていただきます。  ありがとうございました。
  30. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 民主党・新緑風会の山下八洲夫でございます。  本当、皆さんも連日御苦労さんでございます。  私、今日は午前五十分、午後五十分と分かれておりますので、まず午前中に道路特定財源に係る諸問題についてと、それから地価の動向と、オフィスビルの二〇〇三年問題等について、確認の意味を込めながらちょっと質問をさせていただきたいと、質問というよりお尋ねさせていただきたいということになろうかと思います。  まず最初に、道路特定財源の一般財源化に対する大臣の所見といいますのは、とにかくこれは一般財源化は駄目ですよという方向だなというふうに私も認識をいたしております。  私は、個人的には、基本的には、税の目的税というのは、これは間違いだろうというふうに思っております。なるべく目的税は作らないで一般財源化して、そこからいろいろな事業を行うというのが本来の姿だろうなというふうに考えておりますが、この道路特定財源につきましては、生い立ちが生い立ちなものですから、今の段階ではやはり一般財源化にしないで、ある程度きちっと見守っていく。大臣の考えと私もそんなに変わらないというふうに判断をしている次第でございます。  そういう中で、道路特定財源制度は、昭和二十九年にガソリンに係る揮発油税が道路整備の特定財源とされたことに始まって、今日のように発展してきていると思うんです。  そういう中で、今回のこの予算を見てまいりますと、これもいろいろ理解のずれが出てくるかも分かりませんが、あるいはまた、大臣所信表明の中にも、納税者の理解を得られる範囲で使途の多様化を図ることとしていると。あるいは一方では、政府税調では、資源の適正な配分をゆがめ、財政の硬直化を招くおそれもあり、常にその妥当性を吟味していく必要がある、そして、一般財源化を含め、その在り方の見直しを行うべきと考えると、このような提言も一方にはございます。  今回の予算を見てまいりますと、先ほど約三千億円という数字が出てまいりましたが、本州四国連絡橋の債務処理に二千二百四十五億円、あるいは地方への税源移譲、これは私は大変いいことだと思いますが、これに九百三十億円、地下鉄インフラ百五十億円、住宅市街地整備関連百億円、港湾関連三十億円、既存の道路関係社会資本の増額七十億円、ディーゼル微粒子除去装置、DPF、酸化触媒等の導入支援四十億円、あるいはETC車載器リース制度に十億円、総額約三千五百億円の、こういう道路財源から支出をされている。  私は、随分これ広がってきているんじゃないかなと。自動車にかかわりがないかといえばあるようでもありますし、ないなといえばないようでもありますし、道路とどう関係があるのかなと。あるようでないようなのもありますし、なぜこのように広げてしまったのか。その辺について、大臣の今日までの考えと併せてちょっと教えていただければというふうに思います。
  31. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 山下議員がおっしゃいまして、冒頭に道路特定財源の考え方というもの、また、税の目的税化するということに対してのお考えも今拝聴いたしまして、私もかなり、今まで御論議の中で、この道路特定財源のお話も昨日も話題に出ましたけれども、私は、やっぱり受益者負担ということから始まったこの道路特定財源というもの、本来であれば、公共事業という肩書きがある以上、空港、港湾、鉄道等々、本来は公共という言葉で、いただいた税金の中ですべてでき上がって、でき上がった時点で、さあ、どうぞお使いくださいというのは理想であるということは、私も基本的には、一人の国民としてもそういう考えも持っておりますし、一国会議員としても私は本来はそうあるべきであろうという考えは持っておりますけれども、この道路特定財源が始まりました当初の日本経済状況、そして急速に自動車が増えてまいりました戦後の今日までの状況等々をかんがみまして、何としても受益者負担という、国民の多くの車を利用する皆さん方の協力を得なければならないということで、暫定税率の二・五倍というものを、また暫定という言葉が今日まで長くあるというのも、これはまた問題だとおっしゃられればそのとおりなんですけれども、受益者負担ということで多くの国民皆さんの負担に負うところが多かったと。  そして、甘えてきたといえば甘えてきたと思いますけれども、車を利用しない皆さん方、また高速道路を走らない皆さんもあるわけでございますので、そういう意味では、受益者負担というこの暫定税率を今日まで寛容な気持ちで納めていただいた皆さんには私は感謝を申し上げてはおりますけれども、それじゃ今の一般財源化したらどうだというお話で、私は、一般財源化するんだったら、暫定税率なんて受益者負担でやっていて、僕たちだけなぜということで、一般財源化してどこに使ってもいいというのであれば、なぜ車を利用する人だけにこの税率が課せられるんだという不満が起こるのは私当然だろうと思うんです。  ですから、一般財源化という言葉で、どこに使ったか、昨日もちょっと言いました。財務省に入ってしまって、そうしたらどこへ使うか分からない。あるいは老人が多くなって厚生に使うか、あるいは教育費に使うか分からないということでは、私は、車を利用する人だけどうしてということで、暫定税率を廃止する運動が私必ず起きるだろうと思います。また、それが普通だと思います、感情的にも物理的にも。ですから、私は、そういう意味でこの暫定税率を納めていただいている受益者負担という、昨日も申しました、二年ごとに皆さん方がお払いいただいているこの税率というもの、暫定税率で、だったら一万五千円でいいじゃないかと、何で二年ごとに三万三千八百円取られるんだというこの気持ちが起きますので、私は、残念ながら今の本則の税率、二倍以上の暫定税率というものは今の状況では、まだ道路が必要だとおっしゃる全国の知事さん、市長さんもいらっしゃいますし、国会議員の先生方もやっぱりまだ足りないよとおっしゃるお声もありますので、私は、しばらくの間はこの暫定税率を続けさせていただいて、全国に皆さん方の道路の御不満がなくなるときになったら私は改めてという考え方もあろうと思います。  けれども、現在の日本経済状況と、そしてこの車社会になってしまった現状を見ますときに、道路に関係だけではなくて、車が走ること自体に関係のあるところにこの暫定税率を使わせていただいて、特定財源を使わせていただいて、幅広く車の利用者が受益者負担をしているけれども、悠々と走れるようになった、渋滞もなくなった、開かずの踏切もなくなったというような状況にしたいということで、地下鉄にもお金を入れますのは、上の道路が込んでいて渋滞が激しいから、地下鉄を通せば上の渋滞も少しは緩和して地下鉄を使っていただけるであろうという、そういう、御理解いただけるかどうかは分かりませんけれども、そういう意味で私どもはあえて暫定税率、いわゆるそれも含めて受益者の皆さん方理解がいただけるというのを、念を押して私言ったつもりですけれども、広域的な特定財源の使用を認めていただいて、より快適な、自動車の利用者の皆さん方に還元できる範囲に広げさせていただいたというのが現状でございます。
  32. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 私も今の段階で暫定税率、これを一般財源化しろと言ったら大反対する一人なんです。もし一般財源化するんなら、その前に一度廃止をして、新たにどういう税がいいか、あるいは環境税がいいのか環境負荷税がいいのか、新たなやはりそういう税の徴収する仕組みを作っていくということが正しいと思うんです。  たしか今これ、暫定税率、年間二兆円強だと思うんですね。その中で、今回、約三千五百億円もがこの税からほかの道路以外のものに活用されるというところは、ちょっと間口が広くなり過ぎたんではないですかというふうに私は申し上げているんです。もう少し間口を、この法律の精神でいくんならもう少し狭めた方がいいんではないですかというふうに申し上げたかったんです。それについてどのようにお考えか、是非お聞かせいただきたいと思います。個々の内容についてはまた後ほど質問させていただきますが、全体的にその方向でどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  33. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 間口が広いか狭いかというのは、私は、それぞれ皆さんのお考えがあって、十人いれば十人十色だと思います。  けれども、私は少なくとも今の国の現状、交通現状というものを勘案したときには、最低限今これを、今のままで、今までの予算であれば予算が苦しいから、本来はしなければいけない開かずの踏切の四十分というのも一千か所もあって、これが今までの予算の取り方では解消できないと。そういうことよりも、さっき冒頭に申しました予算のめり張りということを私は考えて、一番先に今解消しなければいけない日本の交通現状というものを考えて、そして絞ってきたというところで、本当だったらもっとお金があれば広げたいところですけれども。  そういう意味では私は、今回広げたとおっしゃいますけれども、ぎりぎりの広げ方であるということと、それから道路特定財源が、国と地方で今まで三分の一と三分の二の割合でございましたけれども、そのままでいきますと地方の取り分が少なくなる、取り分と言うと悪いですけれども、地方皆さん方が、地方の財源も大変苦しいということで、これを四分の一と四分の三から三分の一と三分の二に変えて、そしてそこで九百三十億円をこの中から地方にということで上乗せしたというのも、これは書いてありませんけれども、今頭に入れていただいて、そういう地方への配分も特定財源の中から配慮したということも是非御勘案いただきたいと思います。
  34. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 それでは、この問題でやり取りしましても時間がなくなっちゃいますのでこの辺に置きまして、道路特定財源予算上の見積りの積算根拠についてお尋ねしたいと思います。  今度、今回でも道路整備五か年計画で三十八兆円目指すという方針で取り組まれているわけですが、国税の揮発油税の平成十五年度税収見積額は二兆八千三百六十三億円、収入額の二分の一が道路整備に充当される、石油ガス税は百四十億円、収入額の国分の八割を道路整備に充当している自動車重量税は五千七百四十二億円と見込まれておりますね。その合計が三兆四千二百四十五億円です。  また、揮発油税及び石油ガス税は、近年の課税実績と消費状況等、あるいはまた自動車重量税は課税実績と検査自動車台数等を勘案して見込額を計上いたしているんですね。その積算の根拠はどのようになっているのか、ちょっと説明をしていただきたいんです。
  35. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 税収の積算につきましては、財務省で行われております。財務省から聞いたことを申し上げますと、以下のとおりでございます。大変恐縮でございます、これは役割分担でございまして。  揮発油税と地方道路税につきましては、予算編成時点までの課税実績と消費状況などを勘案して、平成十五年度の課税数量五千八百三十六万キロリットルを算出して、これに揮発油税又は地方道路税の税率を乗じまして、十五年度の収入見込額として揮発油税が二兆八千三百六十三億、地方道路税が三千三十五億円と、こう算出したということでございます。  自動車重量税につきましては、予算編成時点までの課税実績及び検査自動車台数などを勘案して、平成十五年度における納付見込み件数三千七百四十八万台を自動車の区分ごとに算出して、これに区分ごとの税率を乗じて、平成十五年度の収入見込額を一兆一千百二十億円、さらに国の道路特定財源分といたしましては、この三分の二の約八割、五千七百四十二億円。  石油ガス税につきましては、同じく予算編成時点までの課税実績及び消費状況を勘案しまして、平成十五年度の課税数量百六十万トンを算出し、これに石油ガス税の税率を乗じまして、見込額として二百八十億円、国の道路特定財源分は税収のその二分の一でございますので百四十億円、このように算出したと聞いております。
  36. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 今日、財務省、こちらへお呼びしていませんので余り深く議論もできないんですが、私は、自動車重量税、これはそんなに狂いは生じないと思うんです、正直言いまして。ただ、揮発油税、これはかなり私は過大に見積りしているんじゃないかな。これだけデフレ状況でございまして、また外でも大変今にぎやかなんですが、ますます不況の状況になっている。  こういう中から、やはり国内でもトラックを中心とした営業車にしてもあるいはマイカーにしても、あるいはまた一方では場合によるとガソリンがどんと上がりそうな気配もありますし、そういうことを見ていきますと、ちょっと結局はこの税収見積りが多くなっているんじゃないかなという危惧をいたしておりますので、その辺は今後慎重に予算とそれから税を見ながら取り組んでいただきたいというふうに指摘だけさせていただきたいと思います。  そういう中で、道路特定財源の歳入見込額と一般公共事業予算額の税額との関係についてお尋ねさせていただきたいと思います。  道路特定財源平成十五年度の国税は、一般会計分で二兆六千九百八十三億円ですが、十四年度は揮発油税が二兆一千三百四十億円、石油ガス税は百四十億円、自動車重量税は四千四百七十二億円の、合計二兆五千九百五十二億円でございました。一般会計の公共事業費は、平成十五年度当初予算で六兆二千三百三十六億円で、前年度比三%減っているんですね、減です。一般会計の平成十五年度と十四年度の当初予算を比較しますと、道路特定財源は四%増えているんですね、増です。公共事業費は三%減です。この財源の増加と歳出の減少をどのように理解していけばいいのか、その辺説明いただきたいと思います。
  37. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生御指摘の財源の方でございますが、道路の特定財源の全体の税収見込み、こういう形で申し上げますと、ほとんど同額といいますか、九百三十億円の地方への移譲があった分だけ言ってみれば減っていると、こういう形でございます。  問題は、どれだけ当初で道路整備に充てられたか、こういう議論になろうかと思います。そういう意味で、当初予算として道路整備に特定財源として充てられる額、これが先生御指摘の実は十四年度と十五年度と比べますと、約一千億ほど道路整備に充てられるという意味では増えているということでございます。道路整備そのものに充てられるという意味では増えている。この中に特に公共事業の外側の部分として本四の債務の処理と、それから、地方移譲を除きますと本四の債務の処理とDPFの支援等、この分が二千二百九十五億円入っておるわけでございまして、話が複雑でございますが、そういう意味で、公共事業世界では、あるいは道路の特定財源として公共事業に充てられる、こういう観点で申し上げますと、額としては減っている。しかしながら、そこに本四の債務処理とそれからDPFの支援、こういう形で特定財源税収が幾ら道路の整備に充てられるかという大きなカウントをいたしますと、増えていただいている、増えさせていただいている。  関係としてはそういうことでございまして、そういう意味で総額が予算上は、平成十五年度の予算上の総額といたしましては十四年度に比べまして約一千億ほど増えている。十四年度が、言ってみますと、道路に充てられた、道路整備に充てられた特定財源税収、こういう形で整理しますと三兆三千億円ということでございます。三兆三千十八億円、二千二百四十七億円が残念ながら、当初の段階では、道路整備公共事業に充てられずに、充てられないことになっていたと。そして、十五年度の方は、実は、特定財源の税収そのものは本四債務処理を加えますと全部充てられるという形で、税収そのものの額でいけば三兆四千十六億円が充てられていると。こういう形でございますので、総額では一千億増え、それから公共事業に充てられているという公共事業そのもののベースでいきますと一千億ほど逆に減っている、四%ほど減っている。  こういう関係でございますので、大変恐縮でございますが、口頭で説明するのはなかなか難しいところございますが、そういう関係でございます。
  38. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 いずれにいたしましても、本四公団の債務処理の問題が大きくかかわってきて、簡単に言いますとこれだけ減ってしまうということですから、その点はちゃんと押さえておいていただきたいというふうに思います。  そのことは後ほどまた質問させてもらいます。  それから、道路整備特別会計における一般会計からの繰入額の根拠についてお尋ねします。  道路整備特別会計に計上されています道路財源のうち、道路特定財源を除く一般財源の繰入額を見ますと、平成十年度以降、十五年度まででどんどん減ってきているんですね。特に十三年度以降は大幅に減っているんです。平成十年度が一兆五千八百八十一億円、十一年度が九千八百四十一億円、十二年度が七千六百九十三億円、十三年度ががたんと減りまして九百五億円です。十四年度が八百九十八億円、十五年度が八百九十四億円と、十三年度以降ぐんと少なくなっているんです。  こんなに減少していく理由は一体何なんだろうか、一般財源の繰入額の根拠はどういう根拠があって今までやっていたのか、その辺について御説明いただきたいと思います。
  39. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生御存じのように、平成十三年度から十四年度に掛けましては、その予算編成方針として、公共投資関係費を前年度当初予算に相当する額から一〇%削減する、こういう形になったわけでございます。それから、十五年度の予算編成方針におきましても、公共投資関係費の水準につきましては前年度当初予算から三%以上削減する、こういう形で当初予算は削減がなされてきていると。こういうことでございますので、一般会計から道路特会へ繰り入れられる額、総額そのものは大きく減ってきているということで、平成十四年度は対前年度比の八・六%減の二兆五千六百五十五億円でありましたし、また十五年度は対前年度比四・八%減の二兆四千四百億円である、こういうことでございます。  これは、道路特会へ繰り入れられる特定財源税収相当分もいったん一般会計から来るものですから、こういう形で、全体のシーリング、こういう形の中で、一般会計から繰り入れられる額そのものはこうした形で残念ながら減っている、こういうのが実態でございます。
  40. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そういたしますと、特に平成十三年度から十五年度、かなり小さくなってきているんですね。ほとんど道路というのは、もう自前で造りなさい、もう国は余り応援しませんよというようなだんだん予算になってきているんですね。それこそ受益者負担でとにかく日本じゅうの道路を造りなさいと。今回、十五年度でいいますと、国は八百九十八億円しか応援しませんよと。こう言っても間違いじゃないと思うんですが、いかがですか、感想。
  41. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) そういう意味では、現状で申し上げますと、道路に関係する公共事業費といいますか、一般会計からいただくお金も含めて、基本的には受益者負担ということでお願いしているという形になっておるのは確かでございます。
  42. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ですから、冒頭申し上げた道路財源から三千五百億円もほかへ活用、利用されているというところから見ますと、それこそ、国から八百九十四億円、一般財源から繰入れいたしましても、差し引きすれば随分持ち出しなんですね。だから、受益者負担で道路を建設する、受益者負担で道路以外のものを随分建設をしているというところは、是非理解をしておいていただきたいというふうに思う次第でございます。  それで、次に移りたいと思います。本四公団の債務処理に、先ほどからちょっと出ておりますが、二千二百四十五億円を投入する根拠でございます。  なぜこんな膨大な二千二百四十五億円も本四公団の債務処理のために自動車重量税から投入しないといかぬのだろうと、私はどうしても理解できないんですね。特に暫定税率は、先ほどお話がございましたとおり、二・五倍、こんなに高いわけでございます。私もまだ、残念ですけれども、随分車には乗ってあちこち走り回りますが、本四架橋というのは一度も利用させていただいたこともございません。それで日本じゅうの皆さんからこんなに納めないといかぬのかというのは、どうも日本じゅうの皆さん理解しないんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  43. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) まず、本四道路の実態を申し上げさせていただきたいと存じますが、平成十三年度の収支状況を見ますと、管理費が二百四十九億円でございます。料金収入そのものは八百四十三億円でございますので、かなり上回っている。こういうことでございますが、利払いが千二百五十億円、収入をかなり超えているということで、当期の損失金といたしまして六百五十五億円が発生している。これが累積いたしまして、一兆一千億に欠損金が達している。こういう状態でございますので、将来の国民負担を軽減する、こういう観点から、いっときも早い財務状況の改善、これが必要であるということでございます。  そこで、平成十四年の十二月に道路関係四公団の民営化に関する政府・与党協議会申合せにおきましても、本四連絡橋公団の有利子債務の一部、約一・三兆円を切り離して国の道路特定財源によって早期に処理する、とともに、国及び地方による出資の期間を平成三十四年度まで十年間延長することによって将来における国民負担の膨張を避ける、とともに、現行料金の引上げを前提とせず、本四架橋としての自立的経営を可能なものとする、こういうことにしていただいたところであります。  これを受けまして、本四連絡橋公団債務の一部、一・三四兆円を一般会計に承継していただいて、初年度である平成十五年度につきましては、この国債償還に必要な経費として二千二百四十五億円を計上させていただいた。そして、国、地方の出資の十年間の延長と。こういうことによって、本四道路の適切な償還と、国民に対してできるだけの御利用をいただける、いただく、こういう形でやっていくということにしていただいたところであります。  今後、必要となる国費、これは総額一・三四兆円を今回切り離していただきますと、そのほかに、また返している間に利息が多少発生しまして、今の見込みですと利息が約〇・一三兆円ほど発生いたしまして、一・四七兆円ぐらいという形で、五年間で処理するとしますと平均的には二千九百億円程度になるわけでございますが、十五年度はその初年度といたしまして二千二百四十五億円を計上させていただいていると、こういう状況でございます。
  44. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 これ、午後、質問しますけれども、日本の高速道路はもう突出して世界でも大変利用料が高いわけでございますが、向こう十年間、今答弁がございましたけれども、一・三四兆円、道路特定財源から、本四架橋というんですか、本四公団へ特別に配慮をしていくということなんですね。私は、相当これは説明をしっかりしないと国民皆さん理解をしないと思うんです。多分私も、先ほど申し上げましたとおり、一度も自分の車といいますか、乗用車で利用したことはありません。視察で一度昔、バスで一度あそこを見に行った程度なんですけれども。  あそこを利用される方は随分偏っていると思うんですね、現在。なぜ偏っているかと、それは貨物のトラックなんかはなかなか利用しても運送料その他が見合わないということもあるでしょう。また、マイカーの皆さん方も利用したくても余りにも通行料が高いから遠慮しようということになるでしょう、だから利用度はどんどん低い。  そしてもう一方では、仮に一・三四兆円有利子債務の一部を肩代わりしても、まだ二兆円からございますよね。これにまた利息が発生して、またこれが不良債務的になっていく危険性すらあるんです。今はゼロ金利でいいんですけれども、いつ三%、四%になるか分かりませんし、そういうことを見ますと、よっぽどこれは慎重にやっていただきたいなというふうに思っていますので、その点だけ申し上げておきたいと思います。  少しはいいことも申し上げないといけませんので、次はいいことを申し上げたいと思いますが、それこそ、先ほど大臣が自動車重量税の地方への譲与割合を四分の一から三分の一に引き上げたとおっしゃいました。ようやく十五年度から三分の一になったな、地方の人は少しは喜んでいらっしゃると思うんですが、これを、恒久的にもうなると思うんですけれども、あるいはまたこれを三分の一じゃなくて二分の一ともっと大きくしますと、やっぱり地方はどの道路を優先して建設をするかともっと真剣に考えるようになると思います。私は大変いいことだと思いますので、これは是非前向きに発展させていただくようお願い申し上げたいと思います。その辺に感想はございませんでしょうか。
  45. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 一点、先ほどの答弁との関係で申し上げますと、本四公団への債務の一般会計への継承でございますが、お返しいただく期間といたしましては、これは別に何かでびしっと決めると、こういうことではございませんが、五年の今の暫定税率を延長をお願いすると、この期間の中でお返しいただきたいと、そんなふうに思っているといいますか、希望しているところでございます。それから、十年間というのは国と地方の出資が延びる、こういう意味でございまして、平成二十四年度まで出資する予定が三十四年度まで延ばしていただく、こういうことでございます。  それから、ただいまのお話でございますが、地方への財源移譲、こういう観点から申し上げますと、今回は四分の一から、地方への自動車重量税が譲与税が四分の一から三分の一という形になって九百三十億円であると。実はこの九百三十億円がなぜかと、こういう議論もあるわけでございますが、都道府県と市町村に約半分ずつという形で、厳密に申し上げればちょっとずつ違うとは思いますが、これは総務省の方で配分してもらうわけでございます。おおむね、ですから五百億円弱と、こういう形が市町村と都道府県に移譲されるということであります。これ自体は、都道府県への移譲そのものは、今度御議論いただきます高速自動車国道の地方に新直轄方式ということで国税と地方税でやらせていただくという形で地方の方の負担分相当額に、将来といいますか見合うような形で、十五年度すぐにということではございませんが、見合うような形で五百億円弱を移譲する。  それから市町村の方は、補助事業のカットといいますか、公共事業のカットそのものが、道路につきましても補助事業は非常に厳しいところがあるわけでございますが、その中で特に市町村道については厳しいカットの割合になると。原則はむしろ市町村道の補助を廃止、こう言われております。そして、基本的に補助するものは高規格幹線道路にアクセスする道路であるとか、あるいは広域の市町村の合併に役に立つものとかいうような形で限定的な補助、こういうことでございますので、市町村道の補助金も補助事業もカットの割合が大きい。  そういう中で、それぞれ都道府県と市町村のそれに見合うそれぞれの財源という形で申し上げると五百億円弱と、こういうことが適当かと、こういうことであります。十五年度は、実はそれぞれむしろ余剰が出てほかの道路整備に充てていただけるようになる、こういうことだと思っております。
  46. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 それでは、今回のこの予算の中で地下鉄整備に百五十億円投入することになっているんですが、私は、これも一つは拡大したなという中の一つなんです。地下鉄インフラ整備に百五十億円の投入を予定されているんですが、十五年度の地下鉄整備の予定事業費七百三十六億円のうち国費が四百二億円であり、国費の三七%に当たる百五十億円が道路特定財源で賄われるんですね。かなり比重が高いんですよ。  十五年度の新規事業としては、名古屋市の六号線の延伸や仙台市東西線の新設が予想されているんですが、この地下鉄になぜこんなに、その比重もかなり大きい比重を道路特定財源から投入するのかと。ゼロにしろとは申し上げませんが、これもなかなか理解しづらい点がございますので、その辺の理由についてお伺いさせていただきたいと思います。
  47. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 従来より道路特定財源を活用させていただいて、都市モノレールであるとか新交通システムの整備、あるいは連続立体交差事業、あるいはまた路面電車の走行空間整備、こういう形で都市の渋滞解消、あるいは環境の改善、こういう観点から都市内公共交通の支援を進めてきたところでございます。  そういう意味で、十五年度予算におきまして都市交通円滑化をより一層効率的に進める、こういう観点から、従来の新交通システムなどの整備に対する助成に加えて地下鉄インフラ整備支援することとしたところでございますが、自動車利用者の、納税者の御理解、こういう観点から、自動車利用から地下鉄利用への転換によって道路整備と同等の渋滞効果が得られる、また道路本体の直下を利用して整備される、こうした条件に当てはまるものに限って支援させていただくということにしたところでございます。  具体的な事業箇所につきましては、道路本体の直下を利用して渋滞解消効果も期待されるであろうという二路線として、営団地下鉄の十三号線と京都の市営地下鉄の東西線を対象としておりまして、百五十億円をその進捗状況に合わせて計上させていただいた、こういう状況でございます。
  48. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そういたしますと、日本じゅうに──いやいや、日本じゅうに地下鉄造れと申し上げるのじゃないんです。日本じゅうに地方ローカル線がたくさん走っていますね。その地方ローカル線を走っていますのは、みんな地方の交通弱者、高齢者であったり通学の皆さんであったり、比較的交通弱者の皆さんが活用している。そして、第三セクターを中心に、随分経営が赤字で赤字で、もうどうしようもないと。そして自治体からも補助金をいただいている。こういうもう一日も早く本来なら廃止をしたい、だけれども、交通弱者のために廃止もできない。何でそう地方ローカル線はなってしまったかと。そのわきに国に立派な道路ができまして、道路で車でみんなお客さん取っちゃったものですから、この地方のローカル線は赤字経営になってしまったんですね。  そうしますと、こういう地方ローカル線の皆さん方にも経営安定のために是非この予算を拡大して、そして運営ができるようにすべきではないかなというふうに思うんです。  なぜかと申しますと、私は、一昨年だったと思いますが、一昨年のJR本州三社の民営化法案のときでございますけれども、あのときに附帯決議に地方ローカル線は上下分離方式を検討するという附帯決議を付けさせていただいております。特に、線路から下はある意味では道路なんですね。昔はあれはもうかっていたんですけれども、立派な道路ができて、四国なんか特にそうだと思うんですね、四国の方いらっしゃいますけれども、高速道路ができてJR四国はもう全然駄目だと、なってしまうと。そのうち線路は一つもなくなっちゃうんじゃないかなと私は思うんですけれども、それぐらいやっぱり駄目になっていくんです。だけれども、交通弱者というのは必ずいらっしゃいますので、是非その辺も今後検討していただきたいというふうに思いますが、その辺の検討する気持ちがあるでしょうか。これ、大臣お願いします。
  49. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今おっしゃったことは、山下議員のおっしゃることは当然の御要望であろうと思いますけれども、今回地下鉄に使いますという、これは限定しております。それは何かといいますと、道路がありまして、その道路の真下に地下鉄が通っているという条件を付けております。でなければ上の交通量が減らないということですので、今通っております道路が渋滞をしていて、今、局長が例を挙げましたけれども、東京の十三号線、地下鉄十三号線、それからまた、これ本人言いませんでしたけれども、京都もそうでございますけれども、二条―天神川の、これも上に道路があって、その真下に地下鉄工事をしていると。その工事がなかなかはかどっていないと。そのためにその工事の、地下鉄工事の促進することによって上をというこの二重構造が、二階建てになっているという条件をしませんと、日本じゅうあらゆるところで、とてもこれだけの金額で足りませんので、道路特定財源全部行っても足りませんので、今はそういう条件を、必ず二階建ちになっているところという条件を付けさせていただいています。
  50. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 いずれにいたしましても、地方ローカル線がなぜああいうふうに衰退したかと、やっぱりもう自動車社会になったからだと思うんです。幾ら自動車社会になりましても、免許証は法律で十六歳以上ですか、十八歳ですか、それが定められているんですから、要するに高校生ぐらいまでの若い人は交通弱者なんですね、交通弱者。また、我々のような健常者であってもいずれは運転はできなくなるんです、免許証を持っていても。八十、九十になって運転できないんです、高齢化社会で。やっぱり弱者は出てくるんですから。そうしますと、地方ローカル線というのは本当に大切な交通手段でございますので、そういうところにも、都市部のいいところだけに目配りするんではなくて地方にもやはり目配りしていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。  余り時間がなくなりましたので、ちょっと急いで、住宅市街地整備関連の百億円とか港湾関連三十億円とか、この辺はもう割愛をさせていただきたいと思います。時間がありません、飛ばします。  ディーゼル微粒子除去装置の導入支援四十億円、これは環境に優しくするためだということであると思うんですが、これは一つはディーゼル微粒子除去装置、DPFの導入に対する支援や大型ディーゼル車に代わる低公害車開発に取り組むこととし、沿道の環境の改善を図ることとされているんですが、特に大型ディーゼル車を保有する方に対してどのような援助をなさるんでしょうか。
  51. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) このディーゼル微粒子除去装置に関する助成につきましては、まず対象となる地域を申し上げますと、自動車NOx・PM法の対策地域である東京圏、名古屋圏、大阪圏、そこで走行する大型ディーゼル車を保有する方がDPFまたは酸化触媒の装着費用、これの基本的には四分の一を国費としては助成させていただく、それぞれ公共団体の方でまた助成がある、こういう形になっております。大体二か年間で対策地域の大型ディーゼル車のおおむね四割の装着、こういうものを目指しておりますので、十五年度約三万台の装着に対応するような必要な経費として予算額四十億を計上させていただいている、こういうことでございます。
  52. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そうしますと、酸化触媒等を付けたトラックに対しては、その触媒を購入する、あるいは取り付けるのにある程度の補助金を出すということなんですか。
  53. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 基本的にはその酸化触媒あるいはDPFを付けていただくときに、対象によってその費用がそれぞれ多少違うとは思います。例えばDPFだけで百万ぐらいと、こういうふうにも伺っておりますが、大きさにもよります。それの四分の一を国としては助成すると。それで、公共団体が併せて四分の一助成していただくと二分の一の助成が行われて、個人負担は二分の一になる、こういう形で標準的にはやってまいりたいと思っております。
  54. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ちょっと先を急がせてもらいます。  いわゆるETC、車載器リース制度の創設十億円、これも私はなかなか理解できないんですけれども、要するに国が十億円、公団が二十五億円、そして合計事業費を三十五億円予定されていますね。そして、リースなさるわけでございますが、これ、具体的にはどのような仕組みでなさろうと考えていらっしゃるんでしょうか。
  55. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 現在、いろんな観点で検討をしている最中でございますが、そういう意味では、クレジットの形であるとかローンであるとかリースであるとか、いろんなやり方があると思われます。  基本的には、ETCの装置自体、装置そのもので申し上げますとそろそろ一万円を切るというあれが、売値が一万円を切ると、こういう状況も出てきている状態でございます。これをリースという形にいたしますと、例えば毎年二千円であれば一万円なら五年と、こういう形になるわけでございますが、基本的にはもっと安くできないかということで、実は同時に、同時に一度に発注しますと多分もっと安く可能であろうと。そうすると、五、六千円ぐらいも可能になるかもしれませんが、それを二年なり三年なりの形でリースする、こういうことを元々は考えておるわけでございます。  ただし、二千円を三年とか、そういう形でやるのがいいのか、それとも基本的にむしろ一度にお払いいただいて、それをある程度助成するような形にするのがいいのかとか、やり方ですね、いろいろ今最もお使いいただけそうなやり方を先ほどの御指摘の三十五億円の事業費で考えているところでございます。
  56. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ちょっと私のお聞きする仕方が悪かったようなんですが、いわゆる一つは新たにリース会社を作られるのかなと。あるいは公団がユーザーにリースをするのか、直接。そして、多分こういうリースなさるとまとめ買いされますから、今おっしゃったように相当安価に買えると思うんです。  今、大体デフレで、何を買っても半値八掛けと言っているんですから、一万円だったら四千円ぐらいで入るんですよ。それぐらい今──今、半値八掛け二割引きとおっしゃっていますから、もっと安く買える状況ですから、相当安価に買えると思うんです。だけれども、それをどこがユーザーにリースするのか、その辺がちょっと明確でないものですから、その辺をちょっとお尋ねしたかったんです。
  57. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 新しく会社なりあるいは法人的なものを考えているわけではございません。現在、ETCの業務をユーザーから登録していただくような業務をORSEという機構でやっております。それから、いったんETCの、ETCのお支払そのものは公団の方で料金をカウントしてクレジット会社を通じて請求している、こういう実態でございまして、そのほかに新たな新しい機構みたいなものを作ろうということで考えているわけではございません。  むしろ、実態としておやりいただくのが、いろんな、現在セットアップしていただく業者さんがかなり数がもちろん増えているわけでございますから、そうしたセットアップしてくださる業者さんの中で協力していただけるような仕組みを作っていきたい、そんなふうに思っているところでございます。
  58. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 午前の時間が参りましたので、残りにつきましては午後質問させていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  59. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  60. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、国土交通省所管及び住宅金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  61. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 午前に引き続きまして恐縮でございますが、もうしばらくお付き合いをお願いしたいと思います。  本年の地価動向が昨日、国土交通省の毎年発表します地価の公示価格が発表されたわけでございます。それで、ちょっと新聞の見出しを見ましても、公示価格、下落率が拡大、十二年連続、住宅地五・八%、商業地八%と、こう大きく見出し出ていますし、中の記事を読みますと、もう重複するところは省きますが、住宅地はピーク時の一九九一年に比べ三九・七%下がり、ほぼ八七年の水準。商業地は同六五%下がり、七九年の水準まで落ち込んだ。東京、大阪、名古屋の三大都市圏では、住宅地は九一年比で五五・二%下落と半値以下、商業地は七七・七%下落と四分の一以下になったと、このような記事が書かれています。  また、ほかの新聞には「東京都心「点」の回復」と。点の回復というのは、部分的には上がったよと。それは丸の内のビルディングの辺りとか、あるいは、これはどこになるんですかね、新住友ビルあるいはソニービルの辺り、若干いいところは上昇しているわけでございます。  ただ、全体的に見ますと、今申し上げましたように、もう十二年連続大幅に下落をしております。そういう中で、私はまだまだ下落をする気がしてならないんです。だけれども、やっぱりこの下落は止めないといけないと、そのようにも思います。  大臣にお尋ねしたいんですが、地価の下落をストップさせるためにはどういう知恵があるんだろうかなと、知恵を教えていただきたいなというふうに思います。
  62. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 大変難しい宿題を言われまして、妙案はないと思うということしか言えないと思いますけれども、私はかなり、今御指摘のように、昨日、地価の動向を発表さしていただきました。  今、山下議員がおっしゃいましたように、少なくとも下落から横ばいになりつつある箇所がかなりあります。一々、今、一、二例を挙げられましたけれども、私は、横ばい若しくは上がっているところはどういうところかということを原因を考えますと、それは都市再生、そういう意味都市再生をしたところが上がりぎみであると、上昇気候に転じているというところが何か所かございます、大した数じゃございませんけれども。  そういう意味では、私は、少なくとも土地流動化でありますとか、今後、有効利用、そして都市の魅力の向上、それからそういうものによって地価の下落に歯止めを掛けられるということに関しては、私は、一番外国の資本、いわゆる外国から日本に入ってくる人たちは一番、世界じゅうでリサーチをして、もうそろそろ下げ止まりだなと思うところへ入ってきているのが外国資本でございます。そういう意味では一番、日本人よりも外国資本が日本の下落幅のいよいよ下げ止まりかなというところを取っているから、私は、銀座の並木通り、表参道骨董通り、それから丸の内、そして六本木の六本木ヒルズ、それから品川周辺等々、開発の進んだところは必ず上がり掛けています。  そういう意味で、外国資本が投入しているのはそういう都市再生をした土地が、ところが値上がりつつあると、そういう傾向にもございますので、やはり私は時代が変わってきて、二十世紀のただ箱物を建てればいいというのではなくて、今新しいビルはすべてITを入れて光ファイバーを入れて世界じゅうに即発信できるという、そういうビルを建てるからこそ外国から入ってくるわけでございますので、そういう意味では、日本国際社会に適応できるような、あるいは商社あるいは業者ともに私は新しい完備したビルに、IT関係の完備したビルに私は入るという。  それとまた、二十世紀に建てたものが建て替え時期に入っているものがかなりな都市の中にあると。これは東京だけではありません、各都市によっては建て替え時期に来ているというものがありますので、そういう意味では、まとめて、一個ずつではなくてまとめて地域が建て替えるというような計画を発表されたところは上がりつつあると、そういうふうに見ておりますので。  また、私は、他方、その都市開発だけではなくて、少なくとも土地税制の見直しというのを今回皆さん方に税制改革で法案をお出ししております。その土地税制の改革によって約千四百兆円と言われる個人資産、こういうものを流動化しようということで、私は不動産の証券化というものも今回は挙げておりますし、また今まで、御存じのとおり、地籍というポスターを作って地下鉄に張りました。そうすると、日本人でみんな、地籍って何ですかって、知らない人の方が多いんですね。それはきちんと日本の地図の中で地籍が明示していない書類というものが戦後今日に至るまでまだ完備していないという、その地籍というものが明示しなければ公共事業もそこに入れないと、そういうことがございますので、後れている部分に対してこの貴重な予算を投入することによって私は流動化というものは必ず動いていくし、地価の下落を止めるほどの力はないかもしれませんけれども、横ばいになり、なおかつ活用できる方法というのはあると思っています。
  63. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 大臣や、また国土交通省努力も私はよく理解できるんです。大臣の所信表明を見ますと、「我が国の経済環境が厳しさを増している中、デフレ解消し、民需の自立的拡大を実現することが重要です。このため、土地税制の見直しや不動産証券化の促進等により、土地流動化や不動産市場の活性化を図り、」云々というような努力もちゃんとおっしゃっていますし、今日のこの予算概要説明でも、私は、第一のテーマの「個性と工夫に満ちた魅力ある都市地方です。」と、こういう中で、開発その他でやっぱり何とか土地についても頑張ろうというようなことがにじみ出ているわけでございますが、私は、今の地価というのは大体日本経済に一致しているんじゃないかなと、下落しているんじゃなくて経済と同じように歩んでいるんではないかなというような気がするんです。  私が持っている、手元に持っています、これ、棒グラフでないものですから正確な数字はちょっと見づらいんですが、日経平均の株価の推移を見ますと、大体今日の株価が八千三百四十八円ぐらいでございますので、その株価で見ていきますと、一九八二年から三年ぐらいのところにあるなというふうに思うんです。それから、六大都市の地価はどうかなといいますと、やっぱり一九八二年ぐらいのところで一致しているなというような感じもいたします。  そういう中で、じゃ何が大きく違うんだろうと。違うのは為替だけなんですね、ドルに対する。一九八一年ごろですと大体二百三十円ぐらいかなと。今、今日で百二十円ですか、約。そんなような感じで、円だけが大変強いと。それ以外は大体その当時の経済と似ておりますから、やっぱり土地だけが下落をしているんではないということだと思うんです。  そういう中で、何とか土地流動化ということで税制面でも随分努力なさっていらっしゃいます。例えば、特別土地保有税については当分の間凍結をすると、国税であります登録免許税は思い切って軽減するとか、あるいは都道府県税についても思い切って軽減をすると。国税で二千百億円ですか、あるいは都道府県税で一千二百億円減税になっているわけですね。  そういうことをやって、少しでも流動化をさそうというようなお気持ちはよく分かるんですが、私は、今日幾ら減税をしても私は土地流動化はしないだろうなというような気がいたしているんです。特に遊休地辺りは、売る側はもっと高くなってから売りたい、買う側はもっと待っていりゃもっと安くなるんじゃないかと、もっと安くなって買いたいという状況になっているんじゃないかと。ですから、私は、流動化さすためには土地再生というのも大変重要なポイントでございますけれども、それ以上にやはり景気を良くしていくということだと思うんです。  ですから、土地税制だけで土地が動くとは思っておりませんし、そういう中で、この厳しい中で私はそれほど、土地税制を減税したからといって、そのことによって土地がぼんぼん売りに出る、あるいは買う人も増えると、そんなようには思いませんが、結局はこの辺については努力のしがいがなかったんじゃないかなというようになってしまうんじゃないかって気がするんですが、これで少しは土地流動化していくというふうに御判断なさっていらっしゃるんでしょうか。
  64. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 一番の問題は、やはり日本がバブルというものを経験したという、この私は落差、本来であれば、東京の地価だけでアメリカ本土全部が買える値段だったというあのバブル。夢を見てしまった、あれが忘れられなくて、もう一度バブルになれば全部赤字が解消するのにと言う方もいらっしゃいます。  けれども、私、今、山下議員がおっしゃるように、日本の国力からすれば、今の地価が大体常識的なところではないかと、そういう見方も私はあろうと思います。そういう意味では、山下議員がおっしゃることも私はもっともだろうと思いますけれども、私は、ある意味では無い物ねだりというわけじゃありませんけれども、日本はどうしてもマイホームが欲しいと、こういう夢を日本国民性で持っているわけですね。これいつかアメリカとの例を私ここの委員会で言ったことがありますから、再度言いませんけれども、日本人は狭い国土に住み、人口の過密状況の中でマイホームの夢を捨てないと。しかも、一生働いた退職金で、先行き短いのに一軒の家に全部退職金をつぎ込んでしまうのはアメリカ人は理解ができないと、私言われました。  けれども、私は問題なのは、今、第二次ベビーブーマーと言われた人たち、今の二十九歳から三十一歳、二十七歳から三十一歳、それくらいの人たちが約一千万人いるわけですね。この人たちが今後、子供等々が大きくなるにつれて、この第二次ベビーブーマーの人たちがマイホームを持ちたいと思う時期になっているわけです。けれども、今の地価の高さではなかなか手に入らない。しかも、彼らが持っている預貯金が百万円、そしてせいぜい銀行で借りるのが、今のベビーブーマーの人たちの年収からすれば大体二千万が限度なんですね、銀行の借入れが。  そうすることによって、今回は住宅の取得税等々、そして生前贈与等々、千四百兆をいかに使うかということに知恵を絞りまして、私はそれもこれも、あらゆる土地税制も含めて、日本人のマイホームの夢を満たすということからすれば、私は今のような虫食い状態の都市というのが、これはバブルの後遺症ですから、ですから私は、二十世紀のこのバブルがはじけて虫食いだらけになっているのは私は余りにも情けないと。そういうものをいかに集約して活用できないかというのが土地政策住宅政策の中に国土交通省は一貫して取り入れようということから、土地税制、住宅税制等々あらゆるもので、都市開発もそうでございます。今度の特区もそうでございますけれども、そういう知恵を、あらゆるところを、省庁の壁を越えて、今度の特区の中には児童相談所もそれから老人の施設も入れよう、養護施設も入れようというような、省庁の壁を越えたことを考えておりますので、私はそういう意味では、今までの単なる住宅税制、土地税制あるいは政策と違って、新たな二十一世紀型の国土の利用方法の政策というものが根本的に変わってきた、また変わらなければならないということの政策の統合性、統一性、そして合同性、合理性を私は今回は少しは投入できたと思っております。
  65. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 土地有効利用に向けた都市政策というのは、私はもっとほかの方法の方がいいんではないかなというような気がするんです。実際、住宅が欲しい、そのために土地を取得したい、だけれども、その欲しい土地が高いのか安いのか相場なのか分からないんですね。そういう中で、土地情報の収集、提供の問題だと思うんです。  諸外国ではあちこちやっていらっしゃるようですが、国土交通省でも、十五年度予算土地取引情報の整備方策調査費四千四百万円、地方公共団体の保有する土地情報の効率的提供促進事業に四千八百万円計上なさっているんですね。  土地の売買をすれば、大体税務署というのは幾らで取得したということが分かりますし、あるいは不動産屋さんも幾らで売買したということもお分かりなんですね。それが今度はもう、第三者になりますともう一切分からないと。だけれども、この辺の土地は幾らだろうと。いろいろ不動産屋によって単価が全然違うというような状況でございますので、諸外国、例えばイギリスにいたしましても、フランスにいたしましても、アメリカにいたしましても、ドイツにいたしましても、比較的いろんな方法で、幾らでこの土地が売買されたというのが公開されているんですね。  例えばイギリスでございますと、登記に記載をして登記書や契約書の、契約書を基に公開をしているとか、あるいはフランスでは登記書が契約書、契約書を登記簿として公開をするとか、あるいはアメリカのニューヨーク辺りは税務署が取引価格を公開するとか、このようになさっているから、それで第三者の購入する方も安心だと思うんです。日本もそのような法律を制定する、そういうお考えはございませんでしょうか。
  66. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 外国によっては、中古でもその家の歴史、家歴といいますか、家の歴史ですね、これが全部載っているんですね。日本の場合は、中古でも、だれが建てて、だれが入って自分に回ってきたのか全然分からないんです。けれども、外国の場合は、中古であっても家の歴史というものがちゃんと明記されている。しかも、取引の場合は、この物件は確かに抵当に入っていないか、根抵当が付いていないか、そういうものをエスクローというものが、中間業者がいまして、エスクローに預けると、そのあなたの買おうとしているものは間違いない製品ですよということをエスクローが証明してくれる、それによって売買が成立すると、そういうような外国の制度も現実にあることはございます。  ですから、そういうことを私すればいいと思いますけれども、それにはまた特殊法人作らなきゃいけないみたいなことになったり、地方自治団体でそういうものがきちんとできるという組織というものが果たしてできるのか。そして、今の外国のような歴史があってきちんと鑑定士ができているという制度があればいいんですけれども、今は中古の家に入っても、だれが建てて、何年たって、どういう人たちが入ってきたかなんて全然教えてくれません。  ですから、そういう意味では、ある程度日本は外国に比べて物に対してのメンテナンス、買ったものは大事にするというものが、ですから、一軒の家の耐久年数も外国と日本と比べて全然違うと。建てるときは高い値段なのに耐久力は、耐久性が少ない、外国は安い物を買って持久が長いという、この差も私は出てきていると思いますので、その辺は今、山下先生おっしゃいましたように、諸外国の例を見て、例えばアメリカのエスクローのようなものを作って安心して売買できるという方法も必要かもしれませんけれども、これも私たちも一考させていただきたいと思いますけれども、日本の場合は中間不動産業者というのが物すごく出ています。ですから、免許さえ取ればというんじゃなくて、そういう公的な権威のあるものを考えるということも一考かと思いますけれども、より私は、日本住宅の売買等の安心感というものは与える必要はあるなとは思っております。
  67. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 将来へ向けて是非、土地の売買あるいは不動産の売買、これは買手の皆さん方が、特に素人の皆さん方住宅を購入したい、そういうときに是非参考にしたいということになれば、安心して購入できるわけですから、是非考えていただきたいなというふうに思います。  それから、昨今、オフィスビル、このオフィスビルが建設ラッシュになっております。新幹線から見ても品川の辺りだってもう大変すごいですし、あるいはちょっと町へ出ますと、先ほどお話に出ておりますように、もうあちこちで超高層のオフィスビルがどんどんと建設中でございます。そういう中で、どうも床面積が二百二十七万平方メートルぐらいあるんじゃないかなと、どうもバブル期の二倍ぐらいの水準に床面積が達するんじゃないかと、そのようなことも言われているんです。そして現在、大体オフィスビルの空き室率が一〇%ぐらいと言われております。それで、二〇〇六年ぐらいにしますと、どんどん今建設中でございますから、一〇%でも後半に来るんではないだろうかと、もう二〇%近く空き室になってくるんではないだろうかということも言われているんですね。  そうしますと、私は、ビル会社も一つ間違うとまた二〇〇六年辺りは倒産のラッシュということになりかねないとも思えませんし、場合によっては、バブルのころ建てましたビルにテナントとして入っていた皆さん方が、今度は、今建設費も安いですし、そういう中で新しい、またいろいろとITを含めて設備もいい、そういう家賃も安いというところにどんどん移っていきますと、バブルのころ建築されたオフィスというのは大変な空き室が増えるんじゃないかというようなことがあります。  そういうことで、もうそろそろ、今からこのことは心配しておいた方がいいだろうと思いますが、そういうことに対して、国土交通省は今後もしそういう状況になったらどういうことを行おうというようなお考えがあるでしょうか。
  68. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) いわゆる二〇〇三年問題についての御指摘でございます。  東京二十三区で大規模オフィスビルが大量にこの二〇〇三年に供給されるという状況を踏まえまして、いろんな予測が出ておることは私どもも承知しております。  私どもでまずこの状況をどう見ているかということについて申し上げたいと思いますが、この二〇〇三年問題につきましては、一つには、旧国鉄清算事業団用地の開発案件のオープンがこの二〇〇三年に集中するということとも相まちまして、ある意味では一時的な現象であるというふうにまず考えております。こうした二〇〇三年の大量供給もありまして、大規模オフィスビルの二〇〇四年以降の供給量は確実に減少するというふうに逆に見込まれております。結果、二〇〇三年から二〇〇六年までの間で平均してみますと、大体大規模ビルだけでいえば年間百万平米程度、二〇〇三年では単独で二百万平米を御指摘のように超えますが、四年ぐらいを平均しますと大体百万平米程度になりまして、これは過去、バブルから現在までの過去十年の平均とほぼ一致いたします。  なお、小規模ビルまで含めますと、かつて、我々の把握している限りでは、一番年間の供給量が多かったのはバブル期に建設されたものがオープンしました一九九四年でありますが、二〇〇三年はこの一九九四年と比べますと約六割程度の水準でございます。  ただいま大規模ビルについて申し上げましたが、これと中小ビルとの関係がよく論じられます。私どもの把握しているデータによりますと、大規模ビルの空室率は御指摘のような供給の増加によりましてここのところかなり上がっておりますが、小規模ビルの空室率がそれにつられて大きく上がるという現象は現在生じておりません。二〇〇一年九月から昨年の十二月までの十五か月間において大型ビルの空室率は四%以上上昇しておりますが、小型ビルは〇・七%程度の上昇でございます。  これは、私ども分析いたしますと、大規模ビルと小規模ビルとでは一つには賃料の単価に大きな開きがございます。新橋、虎ノ門かいわいのビルで見ますと、小さなものの賃料に対しまして大きなものは一・七倍ぐらいございます。また、テナントに対する貸室の面積、これも大型ビルほどまとめて大きく貸すということになっておりまして、言ってみますと、大きなビルと小さなビルでは基本的に需要層が違うんではないかということで、大規模ビルが大量供給されることが小規模ビルに対して直ちに直接的な影響を及ぼすという可能性は小さいと考えております。  若干長くなって恐縮ですが、過去のデータから見ますと、オフィスの床需要というのは、これは先生の御指摘とも共通いたしますが、経済全体の動向に強く連動するというふうに考えております。おおむねGDPの上がり下がりに半年ないし一年の後れで連動して動きます。  こうした中でオフィス床の御指摘のような需給ギャップ解消するということを仮に考えますと、供給を減らすか需要を増やすかということになるわけでありますが、現下のデフレ経済状況、あるいは我が国のビルストックは、耐震性等に問題があるものも大変多いというようなことも含めまして、必ずしも十分なストックの状況にございません。そうした中で、床供給を縮小する、すなわちこれは民間建築投資を縮小するということになるわけでありますが、そういうことではなくて、良質な民間投資の拡大を図り、さらには土地流動化あるいは都市再生政策全体を含むデフレ脱却、経済構造改革に向けた様々な取組を強力に進めまして、経済全体を上向きに転じさせるということでオフィス床の需要の拡大をするということが重要ではないかというふうに考えております。
  69. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 今日、比較的大手の企業がバブル時代、例えば幕張には入っている、それから新宿に入っている、同じ企業がですよ。もうばらばらだったのが、例えば今回、品川周辺に集約しようとか、あるいは東京駅周辺に集約しようとか、もう随分そういう動きがあるんですね。都心部の超高層のような床面積の大きな立派なオフィスビルはそういう型で維持できるか分かりませんが、今度ドーナツ現象で周辺はどんどん、比較的大きな立派なビルでも空き室がどんどん増えてきている現象がもう現在起きているんですね。そのことを考えますと、私、先ほど申し上げたように、かなり状況は違うだろうと。  また同時に、バブルのころ、簡単に言いますと、土地が二十坪ぐらいのところに四階建て、五階建てのテナントビルを建てた。そして、そこにはテナントが全員入っていらっしゃる。だけれども、現実には金利の高いときに高い建築費で建築したものですから、そのテナント料を取ってもローンの返済ができないと、こういう状況で、もう新聞を見ると毎日のように一杯、例えば浅草だ上野だという辺りはビルが丸ごと売りに出ていますよね。これはテナントが入っているんですよ。それも一億だとか七千万とか、そういう状況に今陥っているんですね。  ですから、私はこれ、今後、品川とかああいう大開発されているところが完成していくと相当厳しい状況になるだろうなというふうに心配しているものですから、今のうちから、やはり国土交通省も一層その取組について考えておいていただきたいというふうに指摘だけしておきたいと思います。  同時に、その一方で、今、国土交通省としても、都心部のそういうビルの空き室をできれば良質なファミリーの賃貸住宅にしようとか、あるいは高齢者のための賃貸住宅にしようとかと、そういう検討がなされておりますし、また改良工事費について一〇%の特別償却を認めていくというようなことも今回出されているんです。  私は、これは大変いいことだと思うんです。賃貸の住宅にモデルチェンジできるビルは大変いいと思うんです。そして、そういうところへ入っていただく、大変いいことだと思います。だが、私は、このわずか一〇%程度の特別償却で実際切り替えていかれるだろうかなというところがちょっと危惧をしているんですが、その辺はいかがでしょうか。
  70. 松野仁

    政府参考人松野仁君) お答えいたします。  我が国の住宅市場におきましては、都心部を中心にファミリー向けの良質な賃貸住宅、あるいはバリアフリー化された高齢者向けの良質な賃貸住宅が依然として不足しております。こうしたことから、都心部のオフィスなど既存の建築ストックを有効に活用するということは大変意味のあることではないかと考えております。  このため、平成十五年度の税制改正案におきまして、民間事業者が既存の建築ストックを活用しまして中堅所得者向けあるいは高齢者向けの良質な賃貸住宅に転用する場合の改良工事費に対しまして一〇%の特別償却が認められる制度の創設を提案しているところでございます。一〇%ということですから、通常、毎年二・二%程度の減価償却率になりますが、これのほぼ五年分ということでございます。したがいまして、ある程度投下資金の早期回収という効果が見込まれるのではないかと思います。  ただ、委員御指摘のように、これだけで本当にそんなインセンティブがあるのかというようなことはあろうかと思います。こうしたことから、国土交通省といたしましては、税制だけではなくて、予算措置としてもただいま申し上げましたような転用の際に改良工事費に対する補助制度を既に今年から設けておりまして、十五年度予算案につきましてそれを少し拡充するというようなことを提案しているところでございます。  こういった特別償却制度と併せて補助制度も使っていただければ、良質な賃貸住宅の供給が促進されるのではないかというふうに考えております。
  71. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 私の記憶が間違っていなかったら、たしかマンションとかビルとかそういう償却は五十年でしたよね、五十年。三十年じゃないですよね。そういう中でわずか一〇%程度といいますと、本当にそれほど喜びは起きないと思うんです。ですから、これはもうちょっと、せっかくこういういいことをなさろうとするんですから、こういう不況なときですから、思い切ってもう一歩踏み出せば、喜んで、じゃ住宅にモデルチェンジしようかということにもなってくると思うんです。どうもそういう辺り中途半端なんですね。いかぬとは言っていないんです。いいことをやっていらっしゃるんですよ。いいことをやるんならもう一歩踏み出して、もう少し皆さんが喜んでくださる、そういうふうに是非お願いをしておきたいと思います。もう答弁結構です。  時間が競ってきましたので、道路局長さん以外お帰りになっていただいて結構です。ありがとうございました。  それでは、道路局長さんにはずっとお付き合いしていただきたいと思いますが、申し訳ございません。  高速道路についてまず何点かお尋ねしたいと思います。  午前中一言触れましたが、日本の高速道路の利用料金というのは突出して大変世界一高い利用料だと思います。たしかフランスの三倍でございますし、イタリアの四・五倍ですか、そしてアメリカやドイツは原則無料と。そういう中で、日本の高速道路はプール制で五十年償還にしてございますし、その五十年償還といっても、もう本来なら東名なんかはとっくに終わっているはずなんですけれども、プール制のためにいつまでたっても高い利用料を支払わなくてはならない。  もうこの際、私は大胆に思い切って無料化の方向を検討した方がいいんじゃないかと。もし無料化できないというのであれば、それこそ維持管理費程度は徴収するけれども、もうそれ以上は徴収しない、原則無料と。なぜかといいますと、道路特定財源から高速道路を建設するにはほとんど皆無といっていいほど回っていないですし、この道路特定財源でそれこそ受益者負担ということで、逆に言えば、高速道路も積極的に建設をしていくという方がいいのではないかなというように思うからでございます。そうしますと、きっと日本じゅうのユーザーの皆さん方も大変喜ばれるんじゃないかと。もうこの際喜ばれることをやろうじゃないですか。いかがでしょうか。
  72. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私もユーザーの一人として考えれば、原則無料、有り難いことだと思いますし、初めて私が高速道路に乗りましたのは東京オリンピックのとき、百円払って首都高に乗りました。やがてただになると教わって私も運転をしました。今七百円です。完全にだまされた一人でございます。  そういう意味では、今、山下議員がおっしゃるように、全国無料というのであれば私は大賛成ですけれども、今の四公団だけの四十兆は一般財源から払っていいんでしょうか。また、今の四十兆は子供や孫にツケ残していいんでしょうか。また、新しく造る高速道路は一メートルもできないという状況で、私は、均衡ある国土の発展といった二十世紀の旗はどうなるんでしょうかと。  いまだに予定の六〇%しか高速道路ができておりませんし、そういうものが、あと残りの四〇%がもう必要ないということであれば私も本当に楽でいいし、苦労して四苦八苦する必要もないし、今日予算で申し上げましたように、道路特定財源もこっちへ回させていただいてなんていうこともなくなって、全部ただだというんだったら本当に私も楽だと思うんですけれども、既に今までの四十兆になんなんとする負債、ましてまだ達成できていない四〇%の高速道路を渇望している地域皆さん方もいらっしゃる。そういうものに対応するのはどうするか。  維持費だけとおっしゃいますけれども、じゃ、今でも首都高なんか例に挙げますと、七百円払っても渋滞なんです。高速じゃなくて、私、低速だと言っているんです。それをただにしたらもっと渋滞しちゃって、これは高速どころかみんな止まっちゃうと思うんですね。  そういうことも含めて、私は、日本全体の物流、経済の発展あるいは地域の活性化、そういうことを考えれば、やむを得ずまだしばらくは今の受益者負担による御負担もいただいたり、国と地方があるいは路線によっては直轄ということも考えられるでしょう。そういうことも含めて、少なくとも昨日、私が政府・与党連絡会等々で発表いたしましたけれども、コストを縮減し、なおかつ利用者の利便性が図られるような早期着工、早期完成、低料金でという目標は下げないままで、しばらく四十兆をいかに解消していくかということに知恵を絞っていきたいと思っています。
  73. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 四十兆の返済のことについては後ほど触れたいなと思っているんですが、私は、道路公団民営化についての小泉改革は三つ大きな間違いをしたと思っているんですよ。  要するに、高速道路は有料が前提になっているんですね、ずっと永久に、民営化ということは。金利負担や国民の不便など構造的な問題はずっと残ってくるんですね。それから当初は、今お話がございましたとおり、返済が終わるまでの間かなと、五十年かなと思っていたんですが、そうではなくて、いつまでも国民から、利用者から利用料を徴収していますから、逆に言えば、国民の利益を国が奪っているのと一緒なんですね。国民の利益を国が奪っているのと一緒、あんな高い利用料なんですから。また、場合によれば、今低金利ですけれども、これからもっともっと、逆に言えば高金利になって、逆に言えばまた国民負担が大きくなる可能性もあるんです。  ですから私は、要するに、道路四公団民営化というのは、小泉総理も株が上場できるようにというようなこともおっしゃっていました。そのことは、永久に道路で商売をしなさい、そして株主へ配当を支払いなさいと、こういうことを言っているのと全く同じでございますし、私は、この国道にいたしましてもあるいは高速道路にいたしましても、何といってもこれは国の立派な社会資本でございますし、我々が借金残したら後世の若い人は借金だけ残って道路は消えちゃったということにはならないわけでございますし、道路も永遠に残っていくわけでございますから、それこそ道路特定財源を借金へどんどん回していくということも考えられるわけでございますから、私は、何が何でもこの四公団を民営化するんではなくて、逆に言えばもっともっとみんなが利用できる、そういう方向に高速道路も考えないといけないんだろうというような気がします。  そういう中で、日本の高速道路とアメリカの高速道路を比べますとよく分かるんですね。今申し上げましたように、アメリカの高速料金は原則無料です。日本は一キロメートルについて二十円六十銭プラス百五十円ですね。だけれども、中央道なんか比較的もうかっていると思うんですね。もうかっている恵那山トンネルだけが特別割増しが付いているんですね。何であんなもうかっているところが特別割増しが付いて、東京アクアラインみたいなのはETCで乗れば二千円まで下がるんかなと、これも私は理解できないんですが、いずれにいたしましても大変高いんです。  あるいは、じゃ日本の高速道路はどれだけあるかと。現在約七千キロですね、供用開始されているのは。私は、一一二五〇、ここまで早急に建設すべきだと思いますが、アメリカは何と八万九千キロもあるんですね。この高速道路を造るころはどうも日本もアメリカもほとんど同じ時期にスタートしているんですね。にもかかわらずこんなに差がございます。  そして、アメリカと日本の違いは、アメリカの高速道路は出入口が大きく多く取ってありまして、そして生活圏に密着しているんですね。たとえスーパー行くのも高速に乗って行こう。そして、出入口も二万七千か所あるんです、約。出入口の距離が平均三・三キロぐらいで一か所ずつあるんです。日本の高速道路はどうだろうか。日本の高速道路はそれこそ出入口が大変少ないし、しかも出口では利用料を支払わないといけませんから、いつも三割、大体高速道路の三割渋滞と言うし、また三千億円の損失だとよく大臣もおっしゃいますけれども……
  74. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 十二兆円。
  75. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 十二兆円ですか。そういう損失を考えますと、もう無料にすればそれは要らないんですから、ETCの機械も要らないんです。そして、平均インターチェンジの距離間というのは十四・六キロもあるんですね。そのことを考えますと、思い切って生活あるいは通勤、そういうものにも使えるように今の高速道路を持っていく、このことも大事じゃないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  76. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) まず、先生御指摘の、無料にすればアメリカのようにインターチェンジの間隔がもっと短くできて生活の利便に密着して生活の利便に供することができるではないか、こういう御指摘だったかと思います。  先生御指摘のデータとちょっと違うんで恐縮なんでございますが、平成十三年度末で現在の高速自動車国道で設置されているインターチェンジの間隔は、日本の場合、六千九百五十九キロに対して六百六十四インターと、こういう形になっておりまして、十・五キロぐらい、こういうことであります。先生御指摘のように、アメリカで、私どものデータでは約五キロ、イギリスで約四キロ、これはいずれも無料であるということではあります。それから、フランスの場合には有料道路が主体でございまして、これもやっぱり十キロぐらいある、こういう形になっております。  ただし、そういう意味では、私どももインターチェンジを、追加インターチェンジなどの制度につきましていろいろ工夫をしてきているところでございます。昭和六十二年度に開発インターチェンジという制度を設け、平成十年度にはサービスエリアの活用といった形での開放型のインターチェンジ、あるいはまた十二年度に地域活性化インターチェンジということで、一般道路事業地方道路公社による有料道路事業を組み合わせたりしながら、できるだけのインターチェンジの追加ができるような形で努力をしてきているところではあります。これからは、インターチェンジの構造をETCを前提にするとかなりコンパクトにもできる、こういうメリットもございます。  そういう意味では、有料道路の場合、インターチェンジの工夫ということを更にしていって、できるだけ地元で御協力を、お互いに御協力いただきながら、インターチェンジの追加ができるだけやりやすい、こういったようなことも更に充実していきたい、そんなふうに思っているところでございます。
  77. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 もう時間ございませんからまとめてちょっと申し上げたいと思いますが、結局、日本の高速道路の高速料金が高過ぎるものですから人の移動に使えないんですね、人の移動に。  国内の輸送別シェアを貨物輸送と旅客輸送でちょっと比較してみたんですね。貨物輸送は五千四百四十五億トンキロ。そういう中で高速道路を大体使っているのは二四%、一般道路を使っていらっしゃるのが二六%、内航汽船とか鉄道が四九%、こういうシェアになっているんです。じゃ、旅客輸送、人の方はどうだろうと。一兆三千六百三億キロでいきますと、高速道路はわずかの五%で一般道路が六一%、鉄道などほかが四四%、こういう数字が、数値が出てくるんですね。やはり、ただ、しかも貨物にいたしましても、大手の貨物の運送会社なんかは百キロ以内は、片道百キロ以内は高速道路は使用すべからずと、要するに一般道を行きなさいよと、こういう指導をしている運送会社たくさんございますよ。それは、利用料が高いからそうなってくるんだと思います。大変残念なことだと思うんですよ。せっかく立派な高速道路があって時間も早く行けるのにわざわざ、経費の関係で利用することができない。大変悲しいことでもあるんです。  じゃ、高速道路を無料にしたらどうなるだろうかと。私は、まず東京の皆さんは別にして、大都市部の皆さんは別にして、地方都市皆さんは生活圏が物すごい広がるんですね。片道、半径五十キロ圏でしたらドア・ツー・ドアで大体小一時間で移動できるんですね、マイカーでございますと。高速道路を利用すれば半径五十キロ圏、高速道路、ドア・ツー・ドアで高速道路入るのに十分ぐらいあれば大体入れますよ、今。そうしますと、その範囲で仕事を選択することもできます。今は公共交通がない。マイカーですから高速道路は使えない。そうすると、一般道で移動する。そうしますと、せいぜい半径二十キロか二十五キロなんです。倍以上、行動半径広がるんです。  そういうことによって、私は、随分地方皆さんは職場を含めた生活環境も良くなってくるんですね。先ほど大臣が首都高百円だったけれども七百円になったと、こうおっしゃいましたけれども、私はこれは結構なことだと思うんです。首都高とか名古屋高速とか大阪環状とか、ああいうのは高くすればいいんですよ。ロードプライシング発想でいけばいいんですよ。そして、ああいうところは高くして、そして地方にどんどんどんどん、皆さんが工場も建てる、地方で就職もできる、そのことが均衡ある日本の発展にもつながっていきますし、これ、今そうならないのは高速道路もネックになっていると思いますよ、私は。高速道路がそういうふうに無料で開放されますと、就職環境というのは随分変わると思います。  もう時間になりましたので、以上を申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  78. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は、平成十五年度の国土交通省関係予算に関連をして何点か御質問申し上げます。  最初に、扇大臣が今朝ほど国土交通関係の予算について述べられました。総額は一般会計で六兆九千二百九十九億円、さらに関連の公庫、公団等の財政投融資計画によれば六兆五千三百五十一億円、合わせて十三兆四千八百五十億円だと。しかも、この内容は、歳出全体にわたる徹底した見直しを進める一方、重点四分野予算全体の七割を配分し、政策効果の高い施策へ投資を集中することにより、厳しい財政状況の中でめり張りある予算実現したと自負いたしますと、こんなお話をされました。せっかく自負されるこの予算が早期に完全に執行されることを私は望むものであります。  特に、一般会計六兆九千二百九十九億円の大半は地方公共団体が執行する予算であります。だとするならば、やはり箇所付けなり予算の配分、あるいは地方公共団体への内示は早めにやっていただかないと執行はできません。  そういう意味では是非、自負される予算であるとするならば、今まで以上の、今までも努力されたと思いますけれども、今まで以上に努力されることを望みます。そして、結果として早く執行して、予算の、例えば四半期は仕事がなくなったと、ならば国民が願う補正予算ということも考えられます。いずれにいたしましても、今の状況からすれば、この景気対策雇用対策の上からでも、何としても国全体の予算が早めに執行されること、これが何よりも必要だと、こういうことを考えますがゆえに、是非この際このような御要望を申し上げます。  さて、次は、午前中、木村議員世界水フォーラム会議について質問をされました。重複は避けます。三月の二十二日は扇大臣が、世界百七十の国と地域閣僚と四十三の国際機関の代表者の参加を得て、第三回世界水フォーラム会議議長を務められました。そして、扇大臣自身がその成果についても述べられました。そこで、せっかくの国際会議で決定されたことは参加国が直ちに実行して初めて意義があるものと思います。  そこで伺います。審議中の平成十五年度予算でこの会議の決定に関連するものがあるかどうか。もしないとすれば補正予算が必要ではないかと思いますけれども、その点お答えください。
  79. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 大変、続議員に予算を早く執行するようにという御激励をいただきまして有り難いと思っておりますけれども、この通常国会の冒頭に昨年の、昨年度の十四年度の補正予算を通していただきました。これが今地方議会で通りまして、大体新年度、四、五、六が大体景気が落ち込むという地方公共団体等々の苦しい時期でございますけれども、この通常国会冒頭に補正予算を通していただいたものが、今地方議会で議決されて、五、六の特に落ち込むところを補足して考えてみますと本年度の予算、今御審議いただいていますけれども、これと含めて連続十五か月予算というような観点から考えますと、私は今の経済状況から考えて、今年の冒頭の補正予算が生きてきて、なおかつこの予算を早くお通しいただいて執行ができるということで、今の経済状況というものを少しでも上向きにできるように、景気の活性化を図るという意味では大変私は、皆さん方の御努力によって、私は十五か月予算的なものが執行できるということに対しては心から御礼を申し上げたいし、今おっしゃったように、それを一日も早く地方に配分して地方公共団体と一緒になって国の経済の安定化、活性化を図っていくという上には、大変私は努力していきたいというふうに考えております。  それから、水フォーラムのことに関しましても、大変多くの、今の社会情勢、世界情勢の中での御参加の多くの皆さんが多種多様な御意見をいただいたこと、本当に私は有り難かったと思っております。  昨年も、一昨年の九・一一、九月十一日の同時多発テロ以来、昨年もこれは世界じゅうの運輸大臣会議を開きましたけれども、そのときも真剣な御意見だったんですけれども、今回は特にこういうイラクの問題を抱えながらもこれだけの大臣が集まって、皆さんのおっしゃることは、核よりも何よりも水が大事なんだと。赤ちゃんがおぎゃあと生まれて産湯を使うときから、日本は特に最後、死に水と言いますけれども、生まれてから死ぬまで水とは縁が切れない、水がなければ生活ができないということで、世界じゅうからこの認識を持って、しかも今人口が二〇〇〇年、六十億人ですけれども、これ突破しました。そして、少なくとも二〇二五年にはこの地球上の人口が八十億人になると、こう言われておりますので、水に関する世界じゅうの認識というものが、私は世界の水需要というものもこの八十億人に向けて増加すると、こういう認識の下に皆さんが、特にこの八十億人になったら水の需要の伸び率というのが、少なくとも三七%水の需要量が伸びるということも言われております。  そういう意味では、深刻な二十一世紀の水の問題というものを世界じゅうが共通の認識を持って対処しようと、こういう一致した意見を見られたことだけでも私は大変意義があったと思いますし、また京都議定書というものを世界じゅう環境問題で言っておりますけれども、皆さんがおっしゃったのは、参加者が滋賀に分かれ、そして大阪に分かれ、京都に分かれ、三か所で、滋賀の琵琶湖を見、そして淀川水系を見て、大変皆さん感激なさいまして、日本にはこんないい水があるんだという大変お褒めのお言葉もいただいて、私は今回の水フォーラムのオプションだけでも、大変世界じゅう皆さんがいい場所で水フォーラムを開けたということを感激してくださったものですから、それも私は日本の誇るところだと思っていますので、そういう意味では、今回一番大事なことは、日本が持てる技術の中で淡水が、海水を淡水化する技術、これが日本世界一でございます。  これが今後の水問題に対して、日本のこの世界一の技術があらゆる貧困層、水のない、先ほども私申しましたけれども、十二億人が安全な飲料水今ないわけですから、しかも二十四億人が下水道等の衛生施設がないところにいるのに、この海水の淡水化技術というものが世界に誇るということで、今後、私はこの予算、それから口幅ったい言い方しますと、今のアフガンの苦しい状況下にあるアフガン市民の皆さんの水の確保にも、今後はそういう日本の技術が、最大限の予算を配分しながら、この海水の淡水化技術というものを世界ODAの中でも貢献していきたいと、そういうふうに考えております。
  80. 続訓弘

    ○続訓弘君 先ほど扇大臣は、閣僚会議の決議の中に一つ追加をしたと。それは、戦乱に巻き込まれたイラクの国民に命の水を確保するために万全を期すという決議を追加したと、こういうお話がございました。それに関連をして、もし仮に今のODA予算を活用してでも、せっかく決議されたこの命の水をイラクの国民に供給できるような万全の方策をひとつ取っていただきたいということを御要望申し上げておきます。  さて、公示地価につきましては、先ほど山下委員も触れられました。国土交通省は、二十四日、本年一月一日時点での公示地価は全国平均で前年比六・四%下がり、十二年連続で下落しましたということを発表されました。これに関連して、担当大臣としての所見をまず伺います。
  81. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 少なくとも、先ほども地価の問題が出てまいりましたけれども、今年の一月一日現在での地価公示というものに対しましても、私は全体として地価の下落が続いているという御報告をせざるを得ませんでしたけれども、今までの下落幅よりもかなり減少してきた、下落幅が小さくなってきたということが大きな今までのものと違う特徴、それから横ばいになった地域が大変多くなってきたということも今までと違う点でございます。  それから、先ほど申し上げましたけれども、多くの地域で、商業地等々でかなり下げ止まりで、上向いてきた地区が、いわゆる都市開発によって全体的な地域レベルが上がったと。国際都市にふさわしい地域になったという丸ビル前だとか、あるいは銀座、そして汐留、品川、表参道等々が上がってきているわけですね。  これ、やっぱり二十一世紀型の地域でなければ、多くの需要の皆さん方が、古いビルの中では、先ほども山下議員との議論で話し合ったところですけれども、ITが完備していないビルというのは今ほとんど皆さん入りたがりません。それくらい、古いビルが今や建て替えの時期に来ておりますし、IT化ということが、光ファイバーも完備されたビルでなければ需要がないといいますか、みんなが拒否すると、そういう傾向にあることだけは変わってきたなと思っております。
  82. 続訓弘

    ○続訓弘君 それに関連して、ここ十年の急激な落ち込みは不良債権処理の足かせになり、デフレスパイラルに拍車を掛けることになっているとも言われております。  そこで、地価の下落に歯止めを掛けるために今後どんな施策が考えられるのか、お答えください。
  83. 扇千景

    国務大臣扇千景君) これも先ほども論議して、今の地価が高いのか安いのか、あるいはバブルの夢が捨て切れないのか、今が正常なのかと、こういう観点もあろうかと思いますけれども、私は、我が国の経済環境等々、また世界の中での日本の物流コストということを考えても、世界に伍していかなければいけない物流コストは、やっぱり地価の高さにあると思います。それがすべてビルの家賃の高さ、先ほどからおっしゃった道路を造るところのコストの高さ、そして高速道路の割高感、これもすべて私はその地価に由来するところが多いんだと思います。  そして、かてて加えて、日本はヨーロッパ、アメリカのような大陸と違いまして、大変立地条件が悪い。山から川までの急流、そしてトンネルが多い。そういう山あり坂あり谷ありと、こういう地形の中でのあらゆる道路だとかあるいはビルの建築等々の私は条件が高いということ自身も、他の平地の多いヨーロッパ、アメリカ大陸とは多少違ってくるところもあるし、また、七割の山岳地帯と三割の平地に住んでおりますから、密集しておりますので、一本道路を造るのに地権者が多過ぎるということも、あるいは皆さん方に御賛同を得られる期間が長く、なおかつ高くなるということも私は大いにあろうと思いますけれども。  今おっしゃったように、少なくとも地価を少しでも庶民の手に届くところに持っていきたいということで、先ほども申しましたけれども、土地有効利用促進に資するということで、土地税制の見直しをやる。それも私は大きなことだと思っていますし、千四百兆が、お金を持っているけれども、そのほとんどが六十歳以上の老人がこの千四百兆の半分以上を持っているということで、老後の不安のために握ったら放さないという、これでは困るんで、この千四百兆を何とか動かそうということで不動産の証券化等々もしておりますので、これも私は大きな成果が上がるものと思っております。  また、今回は、これから、先ほど申しましたように、土地開発といいましても土地の区画整理、地籍ができていないんですね。ですから、土地を触るときに、皆さんも御経験あろうと思いますけれども、自分の土地はこういう土地なんだという戸籍、土地の戸籍、地籍、これがまだはっきりしていないというところがほとんどなんです。そういう意味では、この地籍調査というものも、公共工事をする上にも、あるいは土地を動かす上にも、まずそれができていないと。  地籍の調査員が少ないということで、これは、もし地方自治体で人が足りなければ国土交通省も全部協力して地籍調査の人を出しましょう、地方自治体にお金がなくて人がいないんだったらこれも国土交通省でお手伝いしましょうということも言っていますので、そういうことも含めて、私は土地の流動性と地価の手の届く金額になるように努力していきたいと思っております。
  84. 続訓弘

    ○続訓弘君 是非よろしくお願いを申し上げます。  そこで、扇大臣がかねがね大変関心を持って力強く政策を進めておられます観光政策について何点か質問させていただきます。  我が党の神崎代表は、去る二月三日の衆議院会議におきまして、閉塞状況にある我が国を活性化させる国家戦略として、日本再発見行動プランを提唱し、その中で観光振興を柱の一つに据え、一つ、文化観光担当大臣の任命、二つ目に、内閣に観光立国戦略本部の設置を提案いたしました。この件について大臣の率直な御所見を伺います。
  85. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今の日本状況で、二十一世紀の第三次産業の主幹産業は、私、観光であると思っております。世界じゅうもそういう認識を持ち始めております。  そういう意味では、日本の第三次産業の主幹産業として観光というものは頭に入れなければいけないということで、小泉内閣においても小泉総理が旗を振って、そして日本に来るお客様、今五百万人弱でございますけれども、これを一千万人誘致しようという計画をお立てになりました。  けれども、その計画はいいんですけれども、私は、先ほどの地価の話と同じで、なぜ日本に外国のお客様がいらっしゃらないんだろう、外国へ出ていく人の四分の一しか日本に入ってこないということはどこに欠陥があるんだろうと、これも私は大きな問題だと思っています。  その多くの一つが、日本政府も含めまして、日本への観光客誘致の宣伝が下手である、宣伝が行き届いていないということでございます。世界じゅうおいでになったら分かると思いますけれども、自分の国の宣伝を大統領自ら宣伝している国もあります、テレビに、コマーシャルに出て。そういうこともありますけれども、私は、えてして日本の良さというものを外国人に知られていないということで、私は、改めて観光というものの宣伝をしなければいけないというのが一点。  そのための予算も、初めて二十億というものを今度の予算に取り込ませていただいていますので、この観光のセールスに万全を期していきたいと思っております。そのことで私がお役に立つのであれば、幾らでも働こうというふうにも宣言もしております。それが一点。  それからもう一点は、少なくともお客様が日本に着いた途端に不満を持つんですね。それは、外国から、まず玄関口で飛行機で降りて、例えば成田の例を挙げますと、成田に着陸してCIQ、あのCIQに並びますのに外国人のゲートが二つしかないんです。日本人のところはたくさんあるんです。ですから、外国人のあのゲートが二本しかないので一時間並ぶというんですね、外人が、入国手続するだけに。香港やあるいは上海から一時間や二時間以内で飛んできて、何でCIQで一時間並ぶのかと。  それで、国内線に乗り換えようと思ったら羽田からと言われて、成田からタクシーに乗って二万円。そして、高速道路が二千七百二十円ですか、取られて、初めて日本に着いて、目的地に行くまでにこんなにお金取られるなんというのはとんでもないということで、まず受入れ体制の不備、これがありますから、私は、これは法務省等々、農林水産省も含めて、CIQの簡素化、効率の、そして外国人が多いときにはゲートを増やす、そのために職員も増やす。そういうこともやるべきではないかということも、私は多くの外国人の御不満を聞いておりますので、それも解消していこう。  また、先ほどからお話に出ましたように、高速道路は無料にしろと山下議員がおっしゃいましたけれども、皆さんが、タクシー代取られて、なおかつ高速料を払うのはどういうことだ、これはフリーウエイではないかということで、まずもめることも大きな反省ですけれども、すぐにはこれはただにできないという苦しさは先ほど申し上げましたけれども。  また、それから、旅館、ホテル、食べ物。外国人がステーキを食べて、食べてみればヒレステーキの上等は分かるんですけれども、なぜこれで一万二千円取られるんだと。アメリカで五十ドル取ったら、ビーフ・アンド・ロブスター、もう一つのお皿に五十ドルで、こんな肉とこんなロブスターで五十ドル。何でこんな小さなヒレステーキ一枚で一万二千円取られるんだということで、これも御不満の一つでございます。そういう意味では、あらゆる面で外国のお客様を受け入れる体制というものを考えなければいけない。  それから、もう一点取り上げますけれども、外国へ行きますと、夜は、例えばカジノでありますとかエンターテインメントでありますとか、あらゆる文化に接することが、夜八時ごろからオープンするんですね。けれども、日本は、関空の例を挙げて森本先生なんかいらっしゃるのに申し訳ないんですけれども、関空二十四時間オープンですけれども、夜中に着いたら何もありません。全部シャッター閉まっています。これで二十四時間オープンと言えないんですね。外国へ行きまして二十四時間オープンのところは、少なくとも免税店でありますとか食べ物屋も、全部は開いていませんけれども、シャッターの開いているところも、二十四時間営業もあります。けれども、日本は、二十四時間営業、関空下りても何もないんです。しかも、大阪まで行っても、夜、演劇もなければオーケストラもなければ、もう何も文化に親しむものがない。これも私は外国のお客様を迎える大きな欠陥だと思います。文化は二の次だと思っていることは、私は、国際的には通用しない。  そういう意味で、外国のお客様を迎えるためには、少なくとも私は、昨年のワールドカップサッカーで諸外国のお客様が一番びっくりしたことは、日本の電車が時間どおり出る、バスが時間どおり来るって大感激されたんです。ですけれども、これが値段が安きゃもっといいわけですから、そういう意味で、外国に褒められることと、今、水フォーラムで言いました京都、奈良等々、文化のすばらしいところがあるんですけれども、それとそれと、点と点のアクセスが悪い。ですから、そういうことも今後の観光の誘致のためには改めて、なおかつ改良していくべきところは多々あると認識しております。
  86. 続訓弘

    ○続訓弘君 今、扇大臣からるる観光誘致についての熱弁を、そしてまたいろんな自分自身の政策についてのお話を伺いました。  私は、先ほど、まず一つに、神崎代表が提言した一つは、文化観光担当大臣の任命についてはどう思うかと、さらには、内閣に観光立国戦略本部の設置をしたらどうでしょうかと、こう二つの提案を申し上げましたと。これに関連して、大臣の御所見はいかがでしょうかと重ねて伺います。
  87. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 現段階では国土交通大臣たる私が担当しておりますけれども、今回は内閣挙げてということで、小泉内閣に別途観光のチームを作っていただきました。それは民間皆さん方も、観光業界の皆さん、ホテル業界の皆さん、それから内閣特別顧問ということで民間の島田先生もお入りになりまして、総理直轄で観光の担当大臣よりも格上げをしまして、拡大して、そういうものを作ろうということを小泉内閣でしましたので、神崎代表の御提言をより拡大したというふうに御認識賜りたいと思います。
  88. 続訓弘

    ○続訓弘君 衆議院委員会において参考人の質疑がございました。参考人の質疑の中で、観光は、今、大臣が御指摘ございましたように、日本の活性化のために大変有効な手段だと。雇用の問題でも、将来は三百万を超える雇用の、言わば新しい雇用の創出が考えられるし、場合によっては、十年後には七十五兆円の大きな国民所得に対する影響もあるというような質疑も交わされたようでございます。そういう意味で、神崎代表が、この閉塞状況にある日本状況を救うためには、先ほど大臣がるる説明されましたような観光に力を入れる、これが大事だよという話を申し上げたわけであります。  さて、今、大臣自身の答弁にもございましたように、いろんな手だてをして、外国のお客さんが喜んで日本にお出ましいただける、そういう方途を、挙げて、ひとつ観光担当大臣として、あるいは観光の担当をされる国土交通大臣として、あらゆる政策を駆使して是非実現されるようにお願いを申し上げたいと思います。  さて、先ほどもお答えがございましたけれども、日本に外国人がおいでにならないいろんな隘路は大臣からも御説明ございましたけれども、例えば首都圏、首都の電車の中で英語の案内がないとか、いろんな隘路があると思います。  つきましては、少なくとも都心のJRや地下鉄の車内放送に簡単な英語を取り入れることはできないものでしょうか。グローバル観光戦略でも、外国人旅行者の視点に立った利便性の向上を戦略の一つとして掲げております。これについて当局の御意見を伺います。
  89. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 都心部における主要駅におきましては、御案内だと思いますけれども、駅構内における駅名の表示等につきましては既に日本語と英語が併記されておるわけでございます。それから、一部の路線につきましては、主要駅において、日本語と英語だけではなくて、韓国語あるいは中国語というもので併記をしているところも出ております。それで、さらに、首都圏の主要路線等において、情報案内装置を備え付けた新型車両の投入、これに併せまして、次の到着駅や行き先等について英語による文字放送というのも進めているところでございます。  そういう意味で、私どもといたしましても、外国人旅行者がJRや地下鉄等の公共交通機関をでき得る限り利用しやすくするということの環境整備していくということは大事だと思っておりまして、そういう観点から、日本人だけではなくて、外国人をも視野に入れて、それで様々な利用者の意見を伺って、利用者利便の向上に向けて鉄道事業者が更に取り組むということが重要であると考えております。
  90. 続訓弘

    ○続訓弘君 是非御努力をお願い申し上げます。  続いて、空港整備はやはり外国のお客さんを招致する上で大変重要なテーマであります。  現在、首都圏の空港は成田、羽田ともに空港容量等の限界から潜在需要に十分に対応できないことが大きな課題となっております。しかし、成田空港については二本目の二千五百メーター滑走路、羽田空港につきましては四本目の滑走路の整備に向けて様々な努力がなされており、その供用が待たれるところであります。特に羽田空港の問題につきましては、昨日、大臣と関係地方公共団体との首脳会談が行われたと承知しておりますが、その会談内容について、結果についてお聞かせください。
  91. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、続議員が言っていただきましたように、私は今の日本の国際状況から考えて、先ほども申しましたように、新たなものを作ることは大変、経済的にはとても余裕がない。だったら、あるものを利用しようではないかと。  特に、成田が一九七八年に開港以来、二十四年たって、やっと二本目の暫定滑走路を、二本目、暫定でございます、二十四年たって。だったら、しかも、成田は十一時でクローズします。そうすると、朝の六時まで関東圏で空港で降りられるところないんです。ですから、私は、何としても羽田を、皆さん方に、羽田と成田と両方で二十四時間オープンという考え方に持っていきたいということで、昨年の四月からでございますけれども、羽田は夜十一時、成田が閉まってから朝の六時までの間に週七十便、チャーター便を羽田から離発着しております。  そういう意味で一歩前進しましたけれども、羽田とてもう既に満杯。そういうことで、何としても新たな滑走路を設置しなければならないということで、第一回に、皆さん方に、今年の一月の十六日でございましたけれども、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川の四知事さん、そして千葉市、川崎市、横浜市の三市長さん、皆さん方にお集まりいただきまして、羽田の再拡張の、空港再拡張の事業に関する協議会を設置さしていただきました。そして、今、議員がおっしゃってくださいましたように、昨日、第二回目の会合をいたしまして、羽田の四本目の滑走路というものを皆さん方の御協力で、騒音もこれあり、あらゆる面で協議しようということで、昨日は三つの件に関して御報告を申し上げました。  まず、それは、少なくとも一時間当たり発着、到着、それぞれ四十回を安全にするということが一点、羽田で。そして二つ目には、環境基準というものをいかに抑えるようにルートを、考えられるルートは北風、南風、好天候、悪天候、これらを皆さん方に、ルートはこういうルートが考えられるということを専門家に理解していただきたいという説明をいたしました。それから、予算にも、十五年度予算に、皆さん方に御審議いただいておりますけれども、その中には羽田空港の再拡張のための環境アセスの費用というものが盛り込んでございますので、私は、もう間もなく参議院で審議している予算も通していただければ、早く環境アセスの調査に入らせていただきたい。  そのことを関係の都、県、市のメンバーの皆さん方に御了解をいただくという、昨日はこの三点を協議さしていただきまして、最後の環境アセスに関しては皆さんの御同意を得て、また皆さんが羽田の国際化ということに、しかも四本目の滑走路が必要であるということは既に一月の第一回で合意を得ておりますけれども、昨日は環境アセスに着手さしていただくということの合意を見た、そういうのが昨日の会でございました。  ただ、四十回ということになりますと、皆さんが、千葉県の知事さんは、千葉の上ばっかりを全部通るのは駄目よと、これも東京も神奈川ともみんなでうまくしようという話も出ました。それから、東京都の知事からは、今、横田基地の上を二本、関西行きとかあるいは九州へ行くのが二本、横田基地の上を飛んでおりますけれども、これを三本にすることも米軍に交渉するということも言われまして、政府もその方向で行きたいということを国土交通省は頑張って交渉するということ、以上のことが昨日決まりまして、一歩国際化に向けて前進さしていただきたい。また、羽田への乗り入れの多くの御希望を少しでも早く、安く完成をさすように努力したいという協議会でございます。
  92. 続訓弘

    ○続訓弘君 いや、今御報告を伺って安心いたしました。なぜならば、例の問題について、羽田の拡張の問題についてデッドロックに乗り上げているという話でありました。特に、私が出身の東京都庁におきましては、このために副知事も、そしてまた関係局長も部長も替わりました。そういう厳しい状況の中でこの問題が決着するということに大変感慨を改めたわけであります。是非、予算の執行が滞りなくできますようこれからも力を尽くしていただきたいと、このように御要望申し上げます。  さて、沖縄の観光振興について伺います。  平成十二年七月二十一日から二十三日にかけて開催されました九州・沖縄サミットは、今は亡き小渕総理が沖縄県民に対する万感の思いを込めて決断された壮挙でありました。そして、政府はこれを契機として、沖縄における各種の国際会議開催と観光立県を内外に公にいたしました。  また、一昨年九月十一日の米国同時多発テロ事件の発生の際、激減する沖縄観光客の誘致策について、扇大臣は必死の努力をされました。その結果、大臣を始め関係者の努力によって、昨年の沖縄への観光客数は約四百八十三万人と過去最高を記録いたしました。  ところが、このたびのイラク戦によって、一昨日の三月二十四日、修学旅行のキャンセル数が十八校、三千八十一人となったとのことでありますが、前回の経験を踏まえて、これに対する大臣の考え方はいかがでしょうか。あわせて、各種国際会議政府主催会議の沖縄開催についての御所見も伺わせていただきます。
  93. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 沖縄の、一昨年の九・一一以来、沖縄はほとんど観光で生きていると言っても過言ではないような沖縄の状況の中で、多くのキャンセルが出ました。また、やっとそれが回復したという喜びの中で、今回のまたイラク戦攻撃というものが開始されて、今現在、既に中学校が十八校、それから三千八十一人の修学旅行のキャンセルが来ております。  そういう意味で、沖縄の減少傾向、観光の減少傾向が続いておりますので、この中学校の十八校と三千八十一人のキャンセルというものが沖縄に与える影響は大きいということで、一昨年の九月十一日のあの経験を生かしまして、沖縄県民の生活が平常であるということを、これを皆さん方に情報発信しようと、そう思いまして、国土交通省といたしましても沖縄県と連携をいたしまして、一月から三月にかけて沖縄の観光魅力を国内のみならずあらゆる、台湾、韓国にもこれをPRをして、全国の中学校、高等学校への沖縄の修学旅行をアピールしようということで、その事業を既に実施しているところでございます。  また、今後とも沖縄県とともに十分に連携をし、協力をし、なおかつ各種の今おっしゃいました沖縄での国際会議等々、国内会議も含めまして、改めて沖縄で開催するということも、少なくとも状況の変化には対応しなければなりませんけれども、少なくとも機動的にこれを活用しながら促進を図っていきたいと思っております。
  94. 続訓弘

    ○続訓弘君 恐らく森内閣のときだったと存じますけれども、沖縄での国際会議やあるいは政府主催の各種会議は沖縄でということが閣議決定されたと思います。そのことを踏まえながら、これからも是非今のような姿勢を貫いていただきたいと。それは、同時に沖縄県民に対する深い、熱い小渕総理の思いでもございますので、よろしくお願い申し上げます。  続いて、時間があと一分ありますので、二〇〇三年問題につきましては、先ほど山下議員との質疑の中で、心配をしておりませんと当局が答えられました。しかし、そうは言うものの、この問題は大変な問題になるんじゃないのかなと。特に東京におきましては、国が言わばいろんな政策を打ち出しております。したがって、規制の緩和も当然緩められます。そういう意味では、もっともっと、確かに国鉄清算事業団の土地が二〇〇三年でビルは建ち終わるというお話でありましたけれども、その後もこの問題は私は続くんじゃないかと、こんなふうに思いまして、是非この問題については二〇〇三年問題だけでなくて、これからのいろんな問題もありますので、総合的に国土交通省として政策を進めていただきますことを御要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  95. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  私も、二〇〇三年度の予算委嘱審査に当たりまして質問させていただきたいと思います。主に、震災に強い住宅づくり、まちづくりについて質問をしたいと思います。  御存じのように、阪神・淡路大震災から今年は九年目を迎えたわけですが、この震災では、数字で、四十七万住宅が全半壊したわけですね。その中で、六千四百三十三人の方が犠牲になられたというのが結果でございます。その震災では、八割の人が倒壊した住宅に押されて圧死したと言われているわけですね。倒壊した建物の九五%がいわゆる耐震基準が強化された一九八一年以前の建物であったことが後の調査で明らかになっています。  そこで、阪神・淡路大震災の教訓の一つは、やはり震災に強い建物、そして、公共的な建造物はもちろんのこと、一般の住宅でも耐震性を高めることだと思っています。一瞬にして命を奪われた、そういう事態だけは絶対に避けなければならないというのが大きな教訓であると思うんです。政府も、そういう立場から、内閣府に設置されております中央防災会議などで真剣にこの間、論議をされたように聞いております。  そこでまず、お聞きしますが、内閣府が今年一月に地震防災施設の現状に関する全国調査というのを報告を出されておりますが、その報告書に発表しています内容で、公的な建造物の耐震性についてどういう結果が出たのか。特に、一九八一年以前の建物の耐震化率、そして耐震性はどのようになっていたのか。その辺の概況を説明をいただきたいと思います。
  96. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 内閣府が行いました地震防災施設の現状に関する全国調査についてのお尋ねであります。  この調査は、避難地、避難路の整備状況、あるいは防災上重要な建築物の耐震化の状況などにつきまして、全国統一の指標を設定いたしまして初めて一斉に実施したものでございまして、今年の一月に取りまとめて最終報告を行いました。  この調査によりますと、耐震性について心配がないとされましたものは、次の時代を担う子供たちが日常的に利用して、いざというときには避難所にもなります小中学校などの場合、約四六%、それから社会福祉施設の場合、約六七%、それから医療活動の拠点となります医療機関で約五六%となっております。私どもとしては、人の命にかかわる課題でありますので、あらかじめ対策強化しなければいけないという認識でおります。  こうした結果を受けまして、各省庁ではいろんな努力をしていただいておりまして、平成十四年度の補正予算、あるいはお願いしております十五年度の当初予算案におきましても、例えば文部科学省におきましては、小中学校の耐震化関係の予算を大幅に増額していただいております。そういったことで、力強く対策を講じているところであります。  今後とも、関係省庁とよく話し合いまして、地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業五か年計画などによりまして、地震防災施設の整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。
  97. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 本当に概略をお聞きしたわけですが、特に私は、その中でも非常に重点的にチェックをしないといけないのが一九八一年以前の建物の問題ですね。  今、皆さんのところに資料をお配りさせていただいていますでしょうか。今、説明を受けた中で、特に建物の中でも、子供、お年寄り、障害者の方、そういういわゆる社会的弱者の人たちが利用している施設、建物の資料の一部をチェックアップしたんですけれども。  それで、小中学校の耐震化、四五・九%と今おっしゃいましたですね。それで、社会福祉施設が六七・二%とおっしゃったわけですが、その中で、やっぱり一九八一年以前の建物の中での耐震化率というのが私は注目をしていただきたいと思うんですが、この資料の1―①ですね、これは公的建造物が一三%しかないと。小中学校、子供たちの施設である学校は一八・二%しかないと。そして、盲学校、本当に障害者の中でも、そういう災害が発生した場合避難が大変な子供たちの学校の耐震化、三四・一%。社会福祉施設というのが一七・七%なんですよね。  ですから、私はこういう一九八一年以前の耐震化がやられていない施設がこういう形で残っているということが今度はっきりと、初めて明らかになったわけですね。こういう点についての重点的な対策というんですか、そういう点についてはいかがでしょうか。
  98. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) お手元の資料は私どもの調査したものでございますので、そのとおりでございまして、限られた予算でございますので、各省におかれても、例えば耐震診断の実施につきましては、昭和五十六年以前に建築された施設に集中的に行っております。  集中的に行っておりますけれども、今例に挙げられました、例えば社会福祉施設でございますと、耐震診断をしたものが一一%でございます。全体の一一%。そして、していないのがその残りでございますので、未実施が二八・八%ございますので、耐震診断をまずきちんとやっていただいて、問題があるものについて力を入れていく、そういう形で取り組んでいただくようにお願いしているところでございます。
  99. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 ですから、まだ調査が十分にできていないという点もあるそうですけれども、初めて一九八一年以前のこういう耐震化の率を発表されたということは、私は重要な意義があると思うんです。やはりこのことを、どれだけ耐震化していくかという一つの目標を持っていただいて、結局は都道府県がいろんな形でまとめていくんだと思いますけれども、特にこの社会福祉施設というのは、事業者がやっぱりやらないといけないわけですから、そこがやれるかどうかというのは大変な事業に、耐震化事業になると思うんです。そういう点での特別な対策といいますか、その辺もやっぱりしっかりと体制を作ってこのことをやり遂げなければできないということを私は指摘をしておきたいと思います。  この全体を見て、大臣にお伺いしたいんですが、こういう建築物、公的なものも小中学校も、そして社会福祉施設も、いわゆる多岐にわたっています。そして、福祉、厚生労働関係、文部科学関係、いろいろあるわけですけれども、やっぱり建築物の耐震については建築行政として大臣の責任ある対策ですか、今答弁がありました、人命にかかわる事前の対策が進んでいないということをはっきりとこの調査の中で明らかにせざるを得なかったわけです。その点も含めて、どのようにこの結果を踏まえ、受け止めて、どのような対策を講じなければならないかという、責任者としての考え方をお伺いしたいと思います。
  100. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、この内閣府の調査結果というものをお配りいただいたので拝見させていただいておりますけれども、私は、この調査結果にあるとおり、これは小中学校の耐震化率が約四六%にとどまっている、こういう意味では私は、公共施設においては耐震性に課題がある。なおかつ、今、弱者とおっしゃいましたけれども、そういうものには少なくとも課題があるし、なおかつこの耐震化を促進していかなければいけないということは、阪神・淡路大震災を言うに及ばず、地震の防災対策上の観点から重要なことであるということはこの内閣府の数字を見ただけでも分かるわけですけれども、少なくとも国土交通省として、今御指摘がありましたように、各公共施設、そういうものの所管をします省庁間で少なくとも技術的な協力を行う。  今、現に外務省の本省の耐震性を今工事中でございます。一つ一つのそういうものを、耐震度を測って、できる限りの予算の範囲で補強工事を今いたしておりますけれども、各公共施設を所管します国土交通省といたしましては、技術的な協力を行うのは当然のことでございますけれども、今の耐震の診断費ですね、まず。耐震性がどの程度あるかという診断費。それから、もし診断された後の改修費、そういうものを助成する制度、これを私はしておりますけれども、地方公共団体支援に努めて、耐震性の改修の促進、これを図っていく必要があると感じております。
  101. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 もちろん診断をして改修事業に掛かるわけですけれども、やはりお金の問題がここに大きく根差していると思うんです。  それで、内閣府の方にお願いを強力にしておきたいんですけれども、やはり小中学校でも教室には国の改修補助として二分の一の補助をするけれども、私は何度も繰り返してこれまでも言ってきたんですが、体育館については三分の一しか補助をかさ上げができていないという、そういう実態もあるわけですから、やはりこのことを、診断を行っているけれども、診断のできているところ、これから耐震の工事を始めなければならないところ、なぜできないのか、なぜ進まないのかといったら、やっぱり各地方自治体の予算、それから社会福祉事業でしたらその事業者、それぞれやれないという実態までなっている結果がこういう数字に出ているんだと思うんですね。  その辺も含めまして、内閣府として特別な対策、かさ上げがやられているわけですけれども、国の補助の体制を強化しない限りこれは進まないということを強く申し上げておきたいと思うんですが、その点については、どのように今評価をされていますでしょうか。
  102. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 急いで取り組まなきゃいかぬ課題なので、できることは何でもしなきゃいかぬ、そういうことは御指摘のとおりだと思います。  それぞれの補助制度とか、いろいろの制約がありますけれども、各省庁と相談しながら、できるだけ早く進むように努力してまいりたいと思っております。
  103. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 各庁省任せじゃなく、また都道府県任せじゃなく、事業者任せじゃなく、本当に今までの教訓を踏まえて、耐震、特に弱者、社会的弱者の施設については、これだけじゃなくて全体的な調査をされたわけですから、全体的な一体となってやっていただかなければならない。そのことの推進の目標というんですか、そういうものをきちっと決めて、五か年計画というのは出されているんですが、五か年計画というだけで、どこまで、どう到達させるかというのは予算的な裏付けもなっていないわけですから、そこは内閣府が中心になって、そして、建設行政ではやっぱり大臣が采配を振っていただいて、このことは推進強化していただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、こういう公的な施設でなくて、民間住宅の耐震化についてお聞きしたいと思います。  総務省の統計局の住宅土地調査によりますと、耐震基準の低い、私たち一九八一年以前に建設された住宅という位置付けしているんですが、これは全国の四千三百九十二万戸のうち二千百万戸が一九八一年以前に建っているそうです。そのうちの約六割に当たる大体千三百万戸から千四百万戸が現行の基準を満たしていないということを、耐震性がないということになると思うんですが、この点についても皆さんのところに資料で、ナンバーツーで配らせていただいておりますけれども、これを見ていただいたらはっきりしてくると思うんですが、これはその全体の住宅から四万五千四百三十三件というのを抽出した調査の結果なんです。  これは木造住宅耐震補強事業者の協同組合の調査で明らかになったものですが、ここではやはり五十五年以前に建設された建物の耐震診断結果ということで、やや危険二二・九%、倒壊又は破壊、破綻の危険がありますというのが六〇・八八%ですね。だから、約八三%ぐらいが危険だという数字が示されているわけですけれども、現在、国としてこういう民間住宅の耐震化の把握、そしてそれをどういうふうに対応されようとしているか、その点について説明をいただけますか。
  104. 松野仁

    政府参考人松野仁君) お答えいたします。  地震時の住宅の安全性を確保するということは大変重要でございまして、耐震診断あるいは耐震改修を促進していくことが必要であると思います。  このために、民間住宅の耐震強化対策といたしまして、耐震診断に対して補助制度を設けております。また、住宅金融公庫の低利融資制度やマンションに対する耐震改修補助制度等もございます。これによって支援を行ってきたところでございます。  また、今年度からは、平成十四年度でございますが、密集市街地におきます住宅の耐震改修を促進するため、従来はありませんでしたが、戸建て住宅の耐震改修に対する補助制度を創設いたしました。また、住宅ローン減税につきましても、耐震改修工事を適用対象工事に追加するというようなことで、耐震強化を図るための施策の充実強化に努めてきたところでございます。
  105. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 耐震診断などにも補助が出されているわけですが、なかなか進んでいないというのが実態で、それで、私、各自治体も大変この問題についてはやはり東海地震などを予想した制度が各地で作られているように聞いていますけれども、この住宅耐震改良工事費に補助制度を作っている各自治体がございましたら紹介をいただけますか。
  106. 松野仁

    政府参考人松野仁君) 耐震診断につきましては、ただいま申し上げましたとおり、国の補助制度として用意してございます。これは地方公共団体と連携する支援ということでございまして、平成十年度から十三年度までの間に既に累計で六万七千戸について耐震診断を行っているところでございます。  また、耐震改修につきましては、特に静岡とか横浜市のようなかなり地震に対する危機意識の強い自治体でございますが、こういったところでは別途独自の耐震改修の補助制度を設けていると聞いております。  また、先ほど申し上げましたように、今年から戸建ての密集市街地におきます補助制度を国におきましても創設いたしましたが、まだ当初の段階ということで公共団体における支援体制が確立されていないということもございますが、愛知あるいは大阪におきましてもこの取組を、国と連携する取組実施していくということで、十五年度からは実施していきたいというような意向だというふうに聞いております。
  107. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 その静岡県の制度の例なんですけれども、静岡ではプロジェクトTOUKAI、東海地震の東海と家が倒れる倒壊、そういう表現をしてプロジェクトTOUKAIという、ゼロにしようということを立ち上げたそうですね。すばらしいことだと思うんです。だから、文字どおり倒壊家屋ゼロを目指した、県が独自に取り組んだように聞きました。  その中身をちょっと聞いてみますと、私もちょっと資料いただいたんですけれども、静岡県の住宅耐震改修等促進方策検討委員会という随分しっかりした名称なんですが、二〇〇一年の一月に報告書を出しています。  そこでは、耐震改修が進まない原因として、費用が掛かること、今すぐやらなくてもよいとか、居住者の家族構成の問題や身近に相談できる人がいない、地震が来るという切迫感がないなど、様々な要因があってなかなか進まないんだという報告なんです。  しかし、大事なことは、これまでの呼び掛け方式、やりなさいよ、やりなさいよでは駄目なんだと。一歩進めて、行政として、出前方式ですか、能動的に耐震診断を進めていくという方策を取らないと駄目だというところに結論付いたそうです。私もそのとおりだと思いますね。  そして、具体的な対策としては、一つには、耐震措置が必要な住宅の効率的な把握と耐震診断の促進をすると。二つ目には、やっぱり便利で安価、安い耐震措置の開発をしてほしいと。例えば、ベッドとか、耐震ベッドだとか、部屋の、寝室の部分についてだけ耐震補強するとか、いろんな具体的な、住民の皆さんに合った形で、十万円から大体数百万円ですか、そういうメニューをそろえて提示をすると、そういう方法。で、助成制度を作っていくと。専門家による相談体制の整備、広報と情報の提供、高齢者や低所得者など自ら耐震措置ができない人たちへの配慮などを、きめ細かい提言をされたんですね。  それを受けて先ほど紹介したプロジェクトを行っているわけですが、民間住宅への耐震改修助成制度を一九八一年に、八一年以前の建物に対して耐震診断を全部やって、およそ約一万戸に対して、この年度ですけれども、三十万円の補助制度を立ち上げたそうですね。新築した場合には利子補給をしようと、そういうふうな制度を作ったようです。  このような一連の、私、対策が必要なんじゃないかなと、それがなければ進まないと思うんですね。だから、これを自治体で今頑張っているんだけれども、各自治体は増え続けているんだけれども、これを支援する私は国の一連の流れというんですか、そういう支援体制が更に必要だと思うんですが、その点についていかがでしょうか。
  108. 松野仁

    政府参考人松野仁君) 今、委員御指摘のような静岡での取組、大変重要な取組でございます。静岡では、今お話になりましたとおり、三十万円を上限として補助をするという制度を今年から、十四年度から創設したというふうに聞いております。  こういった制度が大変重要でございますが、これと併せて、私どもの、今年創設した戸建て住宅に対する耐震改修補助制度も併せて連携して使っていただくということが大変重要なことだと思います。耐震改修、耐震診断の重要性も含めまして、これから地方公共団体にこういう補助制度もあるということを周知してまいりたいというふうに考えております。
  109. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 四千五百万住宅があって、そのうちの約四割ないし五割が大変な住宅であるということと、それと、一九八一年以前の問題指摘すれば、千三百万戸大変だという実態がある中で、私も、これもやっぱり計画的に耐震診断と耐震改修をやらなければいけない。今、調査をするだけでは駄目だと。やっぱり調査をして、それをどう解決していくかというのが大事だと思うんです。  私は、最後に大臣にこの点について重ねて質問したいと思うんですけれども、もう大臣には何度も阪神・淡路大震災での犠牲者の命の大切さというのを訴えてきたわけですけれども、これは神戸大学が、六千四百三十三人亡くなられたのは一瞬にして亡くなったんじゃないんだと、五分後に亡くなった人、十分後に亡くなった人、柱に挟まれて逃げられなかった人、それで火災で亡くなった人、そういう一人一人を聞き取り調査をして、本にまとめて、これは名前を出してもいいですよという人だけの文章なんですけれども。  その一人が、ここは五人家族だったんですけれども、壁が本当に少なくて、部屋の仕切りはほとんどふすまだけでした。だから、柱で支えて二階がそのまま上に載っているという感じですと。ふだん住むには別に困ることはなかったですと。二階に重い家具は余り置いていなかったのです。強度を増すために特に補強とかはしていないです。そういうことは考えていなかったので、これはお母さんが書いているので、夫にしてみれば、一番そのことが悔やまれるみたいですと。もう少し構造的な補強をするとか考えておけば、家が崩れたとしてもあんな崩れ方はしなかっただろうと言っていました。壊れて、私たち四人は助かっているわけです。しかも、みんな一階じゃなくて二階に寝ていたので、もう少し構造的に何とかしていたら、家は壊れたとしても娘は助かったかもしれないという思いがあるということで、娘さん一人を亡くなった、住宅は倒壊した結果の報告を本当に一部紹介させていただいたんですが。  やはりこれからの東海、東南海、南海地震のことが予知の問題を含めて発表されているわけですけれども、阪神・淡路大震災以上の被害があるかもしれないという状況を今私たちはしっかりと受け止めて、今後の、各公共施設も大事、そして各個人の住宅も本当に目標を立ててやらなければいけないというところに私は来ていると思いますが、静岡県の例を挙げましたけれども、国として本当に全面的なアップをして、全国的に普及をする国としての私は責任を果たしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  110. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 何度もここで大沢議員と、阪神・淡路大震災のあの経験を経て、どのようにしていくかということを何度も議論をさせていただきました。  私自身、神戸出身でございますし、私の姉の家も壊れました。義理の兄は、ベッドに寝ていて、壁を突き破って隣の部屋まで行ったというので、あなたの家はそんなベニヤ板だったのと私、冗談言ったんですけれども、それくらい大きなショックも受けておりますし、また一度も阪神・淡路大震災が起こるという予知がありませんでした、あの当時。  ですから、今回のように、東海、東南海地震ということを、今もしありせばということで、大きな地域に向かって新たに東南海地震というのを出したということ自身も、私は、多くの皆さん方に予備知識等入れるという点では阪神・淡路大震災と大変な違いがあると思いますし、そういう予知ができ得る限り、言ってみれば日本列島全部地震列島だと言われてしまえばそれまでですけれども、そういう動きをいち早く予知するということで、私は、耐震性というものの重要性というものは、今、大沢議員がおっしゃるとおりだと思います。  ただ、私は、先ほど局長が言いましたけれども、住宅金融公庫の融資制度というものを従来から取り入れていると、耐震性のために。けれども、個々の民間住宅につきましては、これは、国が補助を行うということは阪神・淡路大震災のときにも大論争になりました。  多くの国民の税金を、国民の税金を個人の財産に、財産の、入れるということがどうなんだろうという、この論議があったところでございますけれども、私は、今、大沢議員からお示しになりましたこの公共施設等々、中学校等々の感じは、少なくとも国として調査費等々、補修費の助成をするというのは当然のことですけれども、できれば、私は、多くの密集市街地、これの少なくとも住宅の耐震改修の促進を図るというのは、私は市町村全体の防災上の大きな責任であろうと思っておりますので、そういう意味で、今御指摘になりましたように、地方公共団体地方状況というものを踏まえて、その地域地域の落差はあろうと思いますけれども、住宅の改修の補助を行うという地域皆さん、あるいは国が支援する制度というものを十四年度に創設しておりますので、この制度は、地方の公共団体における実施体制の整備が整わなかったというようなことから、これまでのところ、残念ながら制度がまだ活用の実績はございません。  これも私は残念だと思っていますけれども、まだ地方公共団体の受入れの整備ができていないということですので、現在はこの準備の進んだ地方公共団体が現れてきて、そしてまた国においても制度の運用改善を進めているところでございますので、でき得る限りこの制度の一層の活用が図られるというのが私は一番大事なことだと。せっかく設置した制度でございますので、私はこれを活用していただきたいと。  また、耐震性の震度、診察とか、あるいは本制度の融資制度等の普及に努めて、住宅の耐震改造の促進を図ってまいりたいと考えております。
  111. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 なぜ進まないのかという、新しい制度もできているわけですが、やはり制度として住民の皆さんが使いやすい制度にしなければ、これは使えないというのが今までの経過を見ても明らかだと思います。  今、大臣住宅に補助をすることは阪神・淡路大震災でも論議をしましたということを言われましたけれども、本当に住宅を失ったならば、後、仮設住宅で建設をしてそれをまた壊すのに大体一戸当たり四百万掛かるわけですから、そういうことも、復興のことも考えたならば、私は防災の面にやはり思い切った予算をつぎ込んで、そして安心して暮らせる国土を造るということが大事だということを最後に一言申し上げて、次の課題に移りたいと思います。  次の質問なんですが、これはバリアフリー、特に民間住宅のバリアフリーの問題についてお伺いしたいと思うんですが。  もう今まで何度も、この問題については交通バリアフリーと一体となってやらなければいけない問題だと思っています。特に、高齢者、障害者の方の社会参加の中で、外に出ればバリアフリーはあるけれども、やっぱり住宅の中も改善し、そして交通バリアフリー、そしてハートビル法ができてきているわけですけれども、今回、四月一日からハートビル法が実施されるわけですね。その内容について、もう一度、前進した面あったと思いますが、そのポイントについて説明いただけますか。
  112. 松野仁

    政府参考人松野仁君) お答えいたします。  本年の四月一日から施行されますハートビル法の一部改正法でございますが、高齢化が急速に進展しております。これに対応しまして、高齢者あるいは身体障害者の方々が円滑に利用できる建築物の整備を一層促進するということが必要でございます。  このための施策の充実強化を図るということを主な内容としておりますが、具体的には、一定の用途の建築物の一定規模以上の建築に際しましてバリアフリー基準への適合を義務付けるという、これは基礎基準、いわゆる基礎基準でございますが、義務付けるということでございます。あわせて、バリアフリー対応努力義務の方ですね、義務ではなく努力義務の方の対象も拡大するということをいたしました。  また、バリアフリー対応がより高度な水準を満たすと、これは誘導基準と言っておりますが、誘導基準を満たすという場合はこれを認定制度というのを設けております。この場合には、容積率の特例を設ける、あるいはそういう建築物だという表示をすることができるという表示制度の導入、こういった支援措置の拡大を行っております。  また、この法律の施行に関する事務を、従来、都道府県知事でございましたが、いわゆる建築主事を置きます建築確認の窓口というところで全体をすぐに把握できるという体制に切り替えたというところでございます。
  113. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そこで、その改善、そして拡大されて、私はハートビル法についてももちろん賛成してきたわけですけれども、交通バリアフリーと併せて民間住宅の改善ということで今私は質問したいと思うんですが、そこで、国土交通省としては、住宅、いわゆる民間住宅バリアフリー化ですか、これについての目標はどういう形で持っていらっしゃいますか。
  114. 松野仁

    政府参考人松野仁君) バリアフリーの目標についてでございますね。目標ということですか。  現在、平成十年の住宅事情実態調査によりますと、手すりの設置、それから広い廊下幅の確保、段差の解消という、このバリアフリー機能を備えた住宅が全住宅ストックのまだ三%という水準にとどまっております。  国土交通省といたしましては、平成十三年三月に策定されました第八期住宅建設五か年計画におきまして、今申し上げました手すりの設置、広い廊下幅の確保、段差の解消といったバリアフリー機能を備えた住宅平成二十七年度、つまり二〇一五年までに全住宅ストックの二割とするということを目標として定めたわけでございます。
  115. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 現在、わずか三%ということはほとんどできていないということだと思うんですが、二〇一五年までにどういうふうに対策を講じればこの目標達成できると、進めていらっしゃるんですか。
  116. 松野仁

    政府参考人松野仁君) 具体的な進め方でございますが、やはり、これは個人の住宅をいかにしてバリアフリー化するかということが大変有効といいますか、一番必要なことでございます。  したがいまして、住宅金融公庫におきまして公庫の一番低い、いわゆる基準金利というのがございますが、この基準金利の適用要件の一つとして、バリアフリー住宅というのを要件といたしました。  この結果、急速にバリアフリー住宅が普及してまいりました。平成十年の段階では三〇%台、これは公庫融資住宅ですが、三〇%台でございましたが、これが平成十三年では六五%に激増すると、非常に拡大しております。こういった融資の基準にそういったものを設けるということだけでも相当の効果がございます。そういった公庫融資で割増し融資も実施しております。  リフォームにおきましても、そういったバリアフリーを実施する場合には、融資額、通常五百万余りでございますが、一千万円まで可能というような制度も設けております。  こういったことで、今後も住宅バリアフリー化が図られるのではないかというふうに考えております。
  117. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 三%の目標ということは、約、住宅にしたら私は百万戸ぐらいだと思うんですよね。ですから、住宅金融融資制度もあって借りる人たちが増えてきましたということですが、戸数にしたらわずかなわけですよ、全体からすれば。  もちろん、それは大事なことだと思っているんですよ。でも、やっぱり私は高齢化社会を迎える中で、本当に住宅、居住の安定確保というのは大事なことだということを最初に述べたわけですけれども、一つ提案をさせていただきたいと思うんです。  今、介護保険の方でもバリアフリーにするための資金が支給されている。これ、介護認定を受けないとできないわけですが、やっぱり予防という点では一つの方法なんですが、地方でこれもやられているんですけれども、その事例として、これは兵庫県の例ですけれども、明石市のリフォーム助成事業というのがあります。  この制度は、産業活性化緊急支援事業として、市内の施工業者を利用して住宅の改善、補修をするという、経済効果も与えるような内容になっているわけですが、その工事の一〇%、限度額十万円と言われていますけれども、多岐にわたる内容でその工事はしてもらったらいいという内容なんですね。  先日私も、工事をしている人たちのお話を聞いたんですが、これは東播州というんですが、東播建設労働組合というところが要請して作られたんですけれども、助成対象の工事は、もちろん改善も補修も、それから外壁の塗り替えも、すべてに適用できるんですが、私はこの、バリアフリーリフォームというんですか、そういう表現をしたいと思うんですが、リフォームによってバリアフリーもすると。リフォームによって、先ほども耐震の問題を申し上げましたけれども、耐震工事もできると。だから、リフォームというのはいろんな形でチャンスを与えているというのがここに表れていると思ったんですね。  これは二〇〇〇年から始まって、二〇〇〇年は百九十二件で千六百四十一万円、市が助成したと。工事総額は二億四千四百四十一万円になったというんですね。ですから、すごく経済効果を与えているわけです。それで、二〇〇一年は三億八百七十五万円ですか、そういう工事額になっているわけですね。  だから、関係者の話では、この助成制度が後押しになって、これまでの住宅の改善や補修が、手控えていたんだけれども次々と工事を発注してリフォームがやられていったという報告をされていました。  こういう仕事起こしの面もあるし、リフォームがそれで進むという点、非常に効率が高く、私は一石二鳥だなという表現をしたいと思うんですが、これは経済産業省ですか、お聞きしたいと思うんですが、こういう身近な民間住宅のリフォームは中小業者にも私は十分な対応できると思いますし、中小業者の仕事を増やすという点でも大切ないい制度だと思うんですが、どのようにお考えでしょうか、ちょっとお伺いします。
  118. 斉藤浩

    政府参考人斉藤浩君) 御説明申し上げます。  御指摘の明石市の制度につきましては、中小企業庁の立場から申し上げますと、助成の対象は住民の方ということでございますので、直接的な中小企業対策の評価ということが難しい点については御容赦をいただきたいと存じます。  ただ、その上で、私どもが把握いたしております中小企業の経営状況、それから現在行っております中小企業施策との関連で、若干の点を御説明申し上げたいと思います。  現在の状況を見ますと、中小企業の経営に関しましては金融面での支援というのが大変重要になっております。特に、中小企業の方々の苦しい資金繰りの支援というのを私どもとしては最重点にやっております。  その資金繰りの苦しさの要因といたしまして、調査をいたしますと、既往の借金の返済が大変であるとか金融機関がなかなかお金を貸してくれないということと並びまして、売上げが減少しておりますという声が非常に強いわけでございます。  したがいまして、御指摘の明石市の制度につきまして、地元の中小企業の方々に大変歓迎されているということであれば、これは、その本制度によりまして先生御指摘がございましたリフォーム需要が掘り起こされる、それが実需につながるということで、地元の中小企業の売上げ増につながるという点を強く評価しておられるものと推察をいたしております。
  119. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 金融面で大変なことはもう全国的なことですし、今、私はそのことを聞いているわけではありません。今、リフォームのバリアフリーとの関係で、本当に零細業者、中小企業というより零細業者に大きな影響を与えているということをお尋ねしたわけです。  それで、最後に大臣にお伺いしたいと思うんですが、本当に、この事業というのはもちろん明石市だけじゃありません、全国的に地方が展開しているわけですけれども、私は、国としても、このバリアフリーリフォームというのでいろんな制度を作っているというけれども、やはり国として地方支援を行って、この不況の中でそれを誘導するような施策として全国的に展開できることは非常に今の時期に適しているのではないかと、そのように考えていますが、大臣、最後、一言答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  120. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 大沢議員がおっしゃいましたように、この耐震性というものがいかに大事かというのはもう論議する余地もないぐらいみんなが考えることですけれども、国が個人の住宅に関しての直接な補助を行うということは、さっきも申しましたように、税金の、個人の財産形成に充てるということで適当ではないということを申し上げましたけれども、むしろ国としては、あるいは税制でありますとか住宅金融公庫の融資制度、それから地方公共団体が行います耐震改修のための建物の診断とか住民に対するリフォームの相談会の補助等を通じて、国全体の、国民全体がリフォームをしやすいような環境を整えるということが私は重要であろうと思っております。  そういう意味では大沢議員のおっしゃるとおりですけれども、例えば税制では、平成十四年度の税制改正で耐震改修リフォームを対象とし、なおかつ平成十五年度税制改正では相続税の精算課税の制度において増改築も対象に入れるということも入れてあります。  それから、今、大沢議員がおっしゃいました住宅金融公庫のリフォームローン、これも大事なことでございますので、バリアフリー等の政策の誘導型リフォームに関しては、融資制度の限度額がありますけれどもこれは一千万円、そして、なおかつその他のリフォームに関しては融資限度額が五百三十万円ということも、これも住宅金融公庫がちゃんと明示してございます。  それから、補助事業でございますけれども、今、地方公共団体の行う事業については、補助の二分の一又は三分の一ということで、三つございますけれども、耐震改修のための建物の診断、先ほど私が申しました、それから改修計画の策定、それから二つ目には住民に対するリフォームの相談会の開催、それから三つ目にはリフォームの技術者の育成のための講習会の開催等々、あらゆる面で私どもはこの耐震性というものの重要性をかんがみて、あらゆる点で助成をし、なおかつ啓発していこうと思っております。
  121. 田名部匡省

    田名部匡省君 最初に、イラク情勢によって、大変、マスコミを見ておると、アメリカのハワイアン航空が破綻したとか、あるいは日本航空会社の旅行も減っているんじゃないかなと、行く場所にもよるんでしょうけれども。それと、原油が高騰していると、こう思うんですが、これについてどういう状況かちょっとお知らせいただきたいと思います。
  122. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、田名部議員がおっしゃいました、イラクの問題のこの開戦以来、あらゆる航空事情というものが、あの一昨年の九・一一からやっと回復し掛けたなと思うところへ、また重ねて今回のイラク開戦以来、航空情勢が大変緊迫し、なおかつキャンセルが相次ぎ、また航空業界の苦しさというものが倍増されてきたと。残念なことでございます。  また、かてて加えて、今は航空事業だけ、交通事情、交通、空港事業だけですけれども、そうではなくて、これで原油がどうなるかと。原油高ということになりますと、石油の高騰というものがこれで価格に変動されてまいりますと、あらゆる面で日本は難しくなってくるという情勢でございますので、今たまたま田名部議員は航空行政のことを取り上げていただきましたけれども、航空業界、我々にとっても大変難しい問題に直面し、なおかつ原油の高騰ということで、世界的にも値上げをしなければならないと。国際線の値上げというものが、これ少なくともエアラインで決められまして、今のような一バレルが少なくとも、今ちょっと概算でまだよく分かりませんけれども、二十五ドル程度、現在の相場では一バレル十ドル程度の費用増が見込まれております。そうしてきますと、どうしても旅客運賃の値上げに転嫁せざるを得ないと。でなければ、今、ハワイアン航空の例を挙げられましたけれども、日本の航空業界も大変緊迫した経営状況になるということが予測されますので、あらゆる面で私どもは注視しながら、これは航空だけではなくて海運業もそうでございます。そういう意味で、陸海空の交通の燃料費の増ということを大変注目しながら見守っている状況であるということは申し上げられると思います。
  123. 田名部匡省

    田名部匡省君 企業は、私の県内のこともそうですけれども、製品に転嫁できない、競争が激しいものですから。それをやらないと、企業の業績が今度悪くなるんですね。そうすると、特に国内の航空各社も、海運業界の状況なんかはどうなっているか分かりませんが、いずれにしても転嫁できないということになると、企業の収益に影響が出てくる。結果的に設備投資がもうできない。そして、雇用も危なくなる、あるいは所得が減ると。家計を圧迫して、最後には景気悪化になってくると。せっかく大臣の所信の中でも、国土交通省としてデフレ対策の具体的な取組をやるんだと、こう言われていますけれども、果たしてこれはうまくいくんだろうかなと。  これは、お互いに思い起こしてみれば、あの湾岸戦争のときに、一番困ったのはトイレットペーパーがもうなくなってみんなもうお店に並んで大変な苦労をした、こんなことが実は昭和四十八年にあったわけでして、そういう事態にはならぬだろうと思うんですけれども、いずれにしても、原子力の方を見ると、やたらと不祥事続きで、こっちもなかなか、東電なんかはもう思い切って減らすとかなんとかというのがあると、一体、油は、原油はこういう状況になって、原発の方はこうだとしたら、一体日本のエネルギーというのはこれどうするんだろうと、こう思っているんですね。  県の、青森県の石商組合によると、元売からのガソリン仕入れは、価格は昨年十月から三月までの間に八円値上がりしておりますと。どんどんどんどん、だんだん上がってきているんです。特に三月に入ってから店頭価格が百円台に入ったというようなことを言っていまして、本当にこのままいくとこれ大丈夫だろうかなと。戦争が早く終わるか長くなるかによるんですけれども。こういうことについて何かしておかなきゃならぬと思うんですが、どうでしょうか。
  124. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、田名部議員が正しくおっしゃったとおり、一日も早く終結してくれることが一番大きな課題で、また我々もそれを望むところですけれども、少なくとも日本のエネルギーの八六%は中東に依存しているという状況、そして、この間、関係閣僚会議を開きましたときに、経済産業大臣は、百七十一日分の備蓄があるから心配は要らないとおっしゃいましたけれども、百七十一日分と言っていても、いつ戦争が終わるか分からないでは困りますので、私はこの備蓄というものを使い果たすまでに終結してくださって、少なくとも石油の高騰がない、エネルギーの高騰がないということを私は努力しなければならないと思っていますけれども。  何しろ日本としては、今の状況ではテレビを見ているしかないというような情けない状況でございますので、私はただただ今申しましたように、飛行機の航空業界の苦しさ、また、燃油の費用の増加が深刻になっておりますし、また田名部議員御存じだと思いますけれども、三月の十八日に、航空業界の国際の運送協会のIATAで、これは三月の十八日ですけれども、三%の運賃の値上げを決議しております。航空の世界のこのIATAで三%値上げを当然ですよというふうに決められてしまいますと、これもやっぱり日本の航空業界にも影響が及んでまいります。  また一方、先ほども私もちらっと申しましたけれども、海運業界につきましても燃料費の上昇ということが懸念されておりまして、外航の運輸会社等々では上昇分の一部を荷主に転嫁せざるを得ないと、こういう状況も私はうわさとして聞いております。  そして、さっき陸海空と言いましたけれども、陸においては、御存じのとおり、自動車業界におきましても、主力燃料でございます軽油の店頭価格も数円程度上昇が見込まれているということで、そういう意味では、あらゆる面で、原価に占める燃油費の割合というのは大体数%だと言われておりますから燃料の上昇による影響は極めて限定的だと、こういうふうに楽観はされておりますけれども、これとてもいつ終わるかということによっては大きく左右されかねないという懸念も持っておりますので、私どもとしましては、一日も早い決着をして、少なくとも日本のエネルギー全体の八六%中東に依存している分が、今の備蓄を少し目減りする程度で、百七十一日分の備蓄があるから安心とは言えないという状況を緊迫感を持って見守っているというのが現実でございます。
  125. 田名部匡省

    田名部匡省君 備蓄のこともお伺いしようと思ったんですが、これは緊急時にはもう使わなきゃならぬだろうと思うんですね。それはそれとして、やっぱり備えあれば憂いなしと。何か起きると慌ててばたばたばたばたやるくせがありますから、もうこういうときにはこうなんだ、こういうときはこうなんだということをきちっとやっていただきたいと、こう思います。  次に、所信の次世代の未来型交通システムの開発と。これだけ見ると何となくそういうものかなと思うけれども、何だろうと聞かれると、何と答えればいいか私も分からぬものですから、ちょっと教えてください。
  126. 三沢真

    政府参考人三沢真君) 次世代の未来型交通システムとはどういうものかというお尋ねでございます。  それで、今後、やっぱり交通政策改革推進していくという上で、情報技術、いわゆるIT技術を活用した新しい交通システムを開発していくということが大変大事でございます。特に、最近で、ICカードとか携帯電話の普及によりまして、国際的な交流の促進にも資するようなシステムの可能性が開かれております。こういうものを総称しまして次世代の未来型交通システムというふうに呼ばせていただいているわけでございますが。  具体的に申し上げますと、交通ICカードというものを発展させまして、東アジアでの複数都市で共通に利用できるような複数通貨対応機能というものを持った交通ICカード、それからそのICカードと携帯電話を融合させることによっていろいろな決済にも利用できるような複合型の携帯端末の研究開発と、こういったものを進めまして、都市でできるだけスムーズに移動できるような環境整備に資するような、こういう研究開発をしていきたいという趣旨でございます。
  127. 田名部匡省

    田名部匡省君 それから、少子化、高齢化が進む中で社会資本の整備を進めると、こういうことがありますけれども、これはどういうことでしょうか。
  128. 三沢真

    政府参考人三沢真君) 今後、少子高齢化社会の到来を迎えまして、社会資本整備分野におきましても、安心して子供を産み育てることができ、かつ高齢者の方々を含めてすべての人が安心、安全で生活でき、社会参加できるような生活環境整備というのが課題でございます。  具体的に幾つかの点がございますが、一つは、交通バリアフリー法に基づきまして、公共交通機関や道路、駅前広場等のバリアフリー化推進するというようなこと。それから、道路におきましては、幅の広い歩道の整備、あるいは歩道の段差の改善などによって歩行空間のバリアフリー化を図っていくということ。  それから、ハートビル法、いわゆる建築物のバリアフリー化のための法律でございますけれども、不特定多数の方々が利用する公共的建築物のバリアフリー化推進。それから、住宅と保育所等の子育て支援施設とが一体的に整備されるというのは大変大事でございまして、こういったことを推進していくということ。  それから、これも高齢者居住安定確保法という法律が制定されておりますけれども、それに基づいてバリアフリー化住宅の供給を促進する。あるいは、高齢者を拒まないような、特に賃貸住宅でございますけれども、そういう住宅についての情報提供。  それから、あとは、やはり都市空間として、都市公園の整備、あるいは道路の緑化とか、高齢者や子育て世帯の憩いと交流の場になるような親しみやすい水辺空間の整備など、快適な都市環境形成等々の政策手段がございますが、これらを総合的に今後とも推進していきたいということでございます。
  129. 田名部匡省

    田名部匡省君 分かりましたが、私は別に、少子化、高齢化時代といっても、今世紀末は日本の人口が五千万割るだろうなんというのが出ているから、それに対応したような社会資本の整備するのかなと、こう思っておったものですから、やっぱり、でもこれ考えておかぬと、もう利用する人はいないで減っていくんだという中で、何かあれもやる、これもやるという話ばかり言われると、本当にこれでいいんだろうかなと。  この前も申し上げたと思うんですが、私は初めて本四架橋を視察に行って、一分に何台通るかと思って、六、七台しか通らないで、造ったものはもうこれしようがない、後始末はこれやらなきゃなりませんけれども、今後やる上において、こういうものが少子化時代に本当に必要かどうかという費用対効果ということも考えていろいろ知恵を出してください。もう子供や孫に余り負担させないことっていつも僕は言うんだけれども、そっちの方の話かと思って、少子化、高齢化時代は何が必要で何が要らぬかと。今説明聞いて、分かりました。バリアフリーだとかいろんな方の話だなというのは分かりました。  次に、特定財源の話は先ほど山下委員、随分熱心におやりになっていたから、これはもう質問をやめます。  これはさっきの、今の戦争に絡んで、国土交通省としてデフレ対策を具体的に進めると。本当に進むのかなと思って僕は見ておるんですけれども、これはどうでしょう。
  130. 三沢真

    政府参考人三沢真君) デフレ対策のお尋ねでございます。  これ、国土交通省におきましては、昨年の十月三十日、改革加速のための総合対応策、これが政府で決定されておりますが、これが政府の全体としてのデフレ対策でございますが、それに基づきまして産業再生という観点からいいますと、建設業等の再生、それから中小中堅企業のセーフティーネット、あるいは住宅金融公庫のローン返済者対策、返済困難者対策等に取り組んでいるところでございます。  例えば、お尋ねの産業再生という観点から申し上げますと、昨年十二月に大手ゼネコンを対象といたしまして、建設業の再生に向けた基本方針、基本指針というのを作成しまして、建設業等の再生に取り組んでいるところでございます。  一方、当然、デフレ対策ということから申しますと、需要喚起といいますか、実体経済面あるいはマインド面から実需を喚起して経済を活性化していくということが大変大事でございます。そういう観点から申しますと、例えばJ―REIT、いわゆる不動産証券化商品でございますが、これは証券市場の活性化とともに、実際に実需を喚起するという意味で非常に有効な手段だというふうに考えておりますが、それの普及促進、それから都市再生特別地区制度等を活用して都市再生プロジェクトを推進する等の施策を積極的に進めているところでございます。  特に税制改正の中で、平成十五年度の税制改正として、例えば土地建物に係る流通課税の大幅な見直し、あるいは民間都市再生事業推進するための特例措置の創設、それから住宅投資促進のための住宅取得資金に係る贈与税の現在の五百五十万の特例に加えまして、相続時の精算課税制度というものが創設されるということで、これは現在、税法が御審議中でございますけれども、こういうものを総合的に取り組みながら需要喚起についても積極的に努力してまいりたいというふうに考えております。
  131. 田名部匡省

    田名部匡省君 要するに、日本経済は消費六〇%で保っているわけですから、そこをどうするのかということに一点絞っていかないと、消費に回らぬと結局、経済は良くならないわけですね。雇用も進まない。作ったものは売れない、買わないということになると、生産工場が今度は破綻、倒産すると。この辺にポイントを置いてあらゆる各省庁が一点集中でやってもらわぬと、なかなかぱらぱらぱらぱらやっていても、特に私の方は雪が降りまして、積雪寒冷地帯等の、東京やこっちの方とは全然違うんですね。  かつて、暦年制にしたらどうかといって吹田自治大臣と私は一生懸命やったことがあるんです。これをやってくれると、十二月に終わって、設計とか積算をして、三月になったら入札を出してくれると、相当いいときにやれるんですよ。それを、五月ごろに発注始まって学校建築なんというと、もうちょうど学校なんか建ち上げて内作をやろうというころはもう今度は暖房をたかないと仕上げができないんですね、左官屋さんなんか。そんなことをやっているので、何かやっぱりもうちょっと知恵を出せないものかなと。それでなくても余り所得の高くない、東北も北の方とか北海道なんというのは雪が降る、あるいは日本海側も積雪寒冷地帯と言われるところはみんな苦労しているんですよ。仕事仕事といったって仕事にならぬわけですから。  この間、先々週ですか、珍しく八戸にどか雪が来まして、全く麻痺状態です。もう初めて、何十年ぶりかで私も除雪をやりましたよ、スコップ持って。もう全然慣れてないところに降られると、一週間ぐらいもうがたがた道路ですよ、みんな、夜は凍っちゃうし。というハンディキャップを背負った県というのは、いつまでもやっぱり貧乏しているんですね。  そこで、構造改革特区の話が出てきておりますけれども、何をやるにしてもそこのところは良くなるでしょう。じゃ、ないところはどうするのか。私は詳しく分かりませんので、例えば青森県のどこかに特区をやると。そうすると、例えば青森とか八戸に何かやるとすると、そこへまた人が集まってくるんですよ。そうすると、下北半島、津軽半島やそっちの方はまたまた、今でさえも過疎なんですから、お年寄りばっかり住んで。そういうふうにならぬのかなと思って、これ聞いたときに感じたんでね、そうでないとは思うけれども、どういうことか、ちょっとだけ説明いただければ。
  132. 中城吉郎

    政府参考人中城吉郎君) お答え申し上げます。  構造改革特区というのは、国があらかじめモデルを示すのではなく、地域が自発的に立案して地域の特性に応じた規制の特例措置というものを導入しようということでございまして、それによって地域発の構造改革を進めていこうというものでございます。また、構造改革特区というのは、補助金を用いて全国の均衡ある発展を目指すということから、政策から、従来型の財政措置を講ずることなく自立した地方が知恵と工夫の競争を図る政策へ転換を図るというものでございます。  構造改革特区制度を活用することによりまして、単なる企業誘致による産業振興のみならず、グリーンツーリズムを始めとした農業関連のビジネスの振興とか教育、福祉等の住民サービスの向上など、その地域の特性に応じた地域の活性化を図るということが可能になるというものでございまして、したがって、過疎地域であるから特に不利になるというものではございませんで、むしろ過疎地域を活性化するための特色ある特区構想が立案されることを期待しているところでございます。  第一次提案、第二次提案におきましても、いわゆる町、村というところから、大体第一次提案でも七十、第二次提案でも六十九ぐらいの提案が出されているところでございます。
  133. 田名部匡省

    田名部匡省君 まあ、その程度、グリーンツーリズムなんという程度のことなら何も別に特区にしないったって、やれと言ったらやるんでね。その割には、わあわあわあわあ、新聞見ると、テレビ見ても何か内輪でもめているようですがね、一体やれるのかなと思って。もっと、本当にこれなら良くなるなという、だれが聞いても見てもやれるような程度のことを出してくれぬとね、医者を株式会社にとかなんとかといってけんかしているようですがね、中で。  これは、まあ余り期待していませんので、もうちょっと国民みんなが、ああいいなと思うようなことを出してくださいよ。  次に、観光振興、これ大臣ね、外国人旅行者の誘致についてと、こう言うけれども、これはどう考えてやっているんですか。
  134. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 方向転換があったので、失礼いたしました。特区の話から観光に移ってきたんですけれども。  先ほども観光の話をしまして、いかに日本の持てる文化、伝統、あらゆる日本が外国にないものを外国の皆様方にいかに理解してもらい、なおかつ魅力を感じてもらうかと、こういうことが余りにもおざなりになり過ぎていたと。  日本の観光というものが世界じゅうに発信されていないということで、先ほどもお話しございましたように、入ってくる人が五百万弱、出ていく人は千七百万弱ということで、出ていってお金を使って日本人が世界じゅうにお金をばらまいてくる、ばらまいてくると言うと失礼ですけれども、買物をしてくるのは世界で第三位でございます、お金を使うのは。ですけれども、日本に来ていただく人たちが出る人の四分の一であるという現状を何とか改善しようと。よそへばっかり出ていって買物されてばっかりでは困るので、今の日本の内需のためにも何とか観光客を誘致しようと。  しかも、先ほども申しました二十一世紀第三次産業のリーディング産業に観光を育てていこうということで観光立国、そういうことでビジット・ジャパン元年ということで観光に力を入れようというのが小泉内閣でございまして、二〇〇七年までに一千万人の誘致をしようという、総理がハッパを掛けられましたけれども、はてさて、そのようにいくためには国土交通省は、空港あるいは鉄道、高速、それからホテル、旅館等々の低廉化、あらゆるところで国土交通省関係が手当てをしなければ、この一千万誘致という数字にはほど遠いということで、我々は気を引き締めて頑張っているところでございますけれども、国土交通省だけではできません。  なぜできないかといいますと、例えばビザの発注制度。日本から外国へ行きますときには、香港は三か月滞在以内はビザが要りません。インドネシアも二か月以内はビザなし。韓国、タイも一か月以内の滞在はビザなし。フィリピンも三週間以内の滞在ビザなし。台湾は二週間以内滞在はビザなし。今言っただけでもほとんどのところは二か月以内とか三か月以内だけじゃビザないんです。要らないんです。ところが、日本に来るときには、こういう要らないと言っているところもその国から日本に来るのは全部ビザが要るんです。  こういう、少なくとも観光ビザ制度でアジアの中でも両国の中にバランスが崩れている。そういうことも、私は法務省等々と、国土交通省だけではできない、このまず玄関ですから。そういうものも外務省にも私はお願いして、外国でこれノービザで、それだけ日本人が信用されているというのは有り難いことかもしれませんけれども、逆に相手を信用しないとも言えますから、そういう意味では、こういうビザの発注だけでも、私たちはこの変則的なものは何とか解消するように、省庁挙げてこれをするということで、総理が全省庁の連携をよくするようにということで内閣に観光の部署を設置されて、内閣が挙げてしようということで、私に、本来は観光は国土交通省だけれども、内閣で別格に挙げてこれをしてもいいかという御連絡をいただきましたが、私は大いに結構だと、国土交通省だけではできない、省庁挙げてこれを推進するようにしようということで、観光を内閣府に直轄で設置したというのが事実でございますので、今申し上げたようなことで、省庁間の連携を取りながら観光キャンペーンを、誘致していくキャンペーンをしたいと思いますし、今日も正直申し上げて、今日は、夕方、いや夜でございますけれども、観光立国元年、ビジット・ジャパン、観光立国パーティーというのが開かれまして、ホテル業、観光業、旅行業者全部集まることになっていますので、そういうことで、二十一世紀の第三次産業のリーディング産業に育てようと思っております。
  135. 田名部匡省

    田名部匡省君 私も外国人と付き合う機会の非常に多い方なんですね。昨日も、今もうアイスホッケーの選手が全部国籍を変えて、昨日試合を見てきましたが。もう外人、多いんです。いろいろ話をして聞くと、魅力がないんですね。物価は高い。ホテル代は高い。言葉がさっぱり通じないと。これがやっぱり、行ってみたって、ここ何ですかって聞いたって通じない人一杯いるっていうんですから。  やっぱりそういう整備をやっていかないと、ただ来い来いと言ったって、日本へ行くと、グッチでも何でも安いのは随分あると、ほかから見たらもう半額ぐらいで売っているわといったら、それはそれで来る人あるかもしれぬけれども、それがならぬでしょう。そうすると、何に魅力があるかといったら、新幹線新幹線と言ったって新幹線ばっかり乗っていられないし。  そういうことなんで、意気込みは分かるけれども、具体的にどうするかというのをもう少し議論してやっていただきたいなと、こう思います。  この間、質問大分残して失礼したので、今日は余り残さぬようにと思って急いでいるんですが、工作船の事案。発生からはもう大分時間がたっていますけれども、どのぐらい解明が進んだのか、一体何だったのかというのは、あれからだれも国民は、捕まえたのまでは分かっていますが、どうなったのかというのは余り分からないんだろうと思うんですね。その辺のところをちょっと説明できますか。
  136. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) お尋ねいただきました九州南西海域の工作船の事案でございますけれども、当庁では、一昨年の十二月二十二日に発生した事案でございます。海上保安官、銃撃の上、海上保安官三名が負傷したという事件は御案内のとおりでございますが、事件発生後まず自航式の水中カメラによる調査ですとか、あるいは有人の潜水調査ですとか、そういったことを経まして、昨年の六月二十五日から船体の引揚げ作業を開始いたしました。昨年の九月十一日に現地で約九十メートルの海底からこれを引き揚げまして、十月の六日に陸揚げをしたところでございます。  そういった一連の、その後も含めまして、捜査の過程で全部で千三十二点に上る証拠物につきましていろいろ整理、分析、鑑定、こういったことを徹底的にやってまいりました。その結果、今年三月十四日に工作船の乗組員十名につきまして、これはいずれも死亡ではございますが、海上保安官に対する殺人未遂罪、それから漁業法によりますところの立入検査の忌避罪、これでこの容疑で鹿児島の地方検察庁に送致したところでございます。  さらに、これまでの私どもの捜査の結果、事実関係の最終特定には至りませんものの、この工作船は以前から九州周辺海域で覚せい剤の運搬、受渡し、こういったことに使用されていた疑いが極めて濃厚であるということ。他方で、中から揚収された小舟等もございますので、工作員の不法出入国等の重大犯罪にも利用されていた可能性、これはもう否定はできませんが、他方で工作船の船内からプリペイド式の携帯電話が証拠物として私ども揚収しておりますが、この通話先、これに暴力団事務所の固定電話や、あるいは韓国籍の者に身元を偽装して契約したと思われる携帯電話、こういったものが架電先として含まれておりまして、国内に協力者が存在している可能性があるというようなことが明らかになっておりまして、今般の送致した立入検査忌避、それから殺人未遂の犯罪行為との関係につきましては、立入検査を受ければこうした犯罪への関与あるいは工作船の実態が明らかになるだろうということを恐れ、停船命令を我々掛けたわけですが、これを無視して逃走を続け、最終的には逃走が困難と判断をしたものと思われますが、海上保安官や巡視船に向かって発砲するとともに、証拠隠滅などの目的だと類推しておりますが、自爆をしたものというふうなことだと考えてございますが、先生御指摘のように、私どもといたしましてはこういった事実関係、これにつきましてはこれまでの過程の中で分かったこと、それにつきましてはそれぞれその時点で可能な限り公表もしてまいったところでございます。  今回の一応立件をもちまして、送致をもちまして一連の事件の捜査、一応終結ということになりますが、今回明らかになりました先ほど申し上げましたような工作船乗組員の犯罪事実、推定される行動目的などにつきましては、今後、日朝交渉の中で北朝鮮当局に対しましてこういったものを示して、私どもといたしましては詳しい説明を受けたいと思っておりますし、再発防止にもつなげていきたいというふうに考えております。  警察機関でございます海上保安庁といたしましては、こうした我が国あるいは我が国民の安全を脅かすような海上におきますいろんな不審な活動、侵害行為、こういうものにつきましては法に基づきまして厳正な対処をきちっとやっていくという考え方でございまして、今回、今申し上げましたような工作船の活動実態、あるいはこれまでも公表してまいりました武装等のそうした状況、こういうものを踏まえまして、私どもといたしましてもその運用体制、装備の充実強化を図りながら、国民の安心と安全、こういったことについての負託にこたえてまいりたいと、かように考えております。
  137. 田名部匡省

    田名部匡省君 私がこれ質問したのは、相手国にきちっとやっぱり言うべきことは言って、もう国も責任持ってもらわぬと、そんな迷惑な話はないと思うんです。ですから、内容がどうなったのかというのを新聞で私もそれは読んでいますけれども、分かった時点でやっぱり外務省を通じて強力に相手に言わないと、何か全然北の、知りません、存じませんじゃ、もうこれは何回でもあるわけですから。やっぱり国益を踏まえて、国ですから、国対国の問題はきちっと処理していただきたいと、このことだけをお願いしておきたいと思います。  もうちょっと話して終わります。  都市再生推進が重要だという部分をこれ読ませていただいて、東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点整備PFIによる中央官庁施設の整備、それから大都市圏ですか、拠点空港、国際港湾、大都市圏における環状道路の整備、これずっと読んでいると、何か一極集中排除と言いながら、また都会に集まることばっかりやるのかなといううがった見方をすれば、結局あの都市政策なんですよ。余り人口が集まるようにやると、どんどん集まってくる。集まってくると今度は立体交差造ってみたり、あれやってみたり、これ後追いでこの仕事をやっているでしょう。  やっぱり、もうこれ以上はここはもう入れませんよということをきちっとして環境問題でも何でも当たらないと、何か後追いばっかりしているような気がしてね。その辺のところはもうちょっと国土交通省で責任持って、やっぱりこういうふうにすべきだと、大阪であれ東京であれ、余り集中しないように。環境破壊ばっかりやっているんですから。どうぞ、これはもう答弁、もう時間ですから要りませんが、いずれにしてもこれから大事なときを迎えていくわけでして、どうぞ大臣、陣頭指揮を執って一生懸命頑張ってください。  終わります。
  138. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 以上をもちまして、平成十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、国土交通省所管及び住宅金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四分散会