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参考人(
石黒昌孝君) 憲法十三条、二十五条の規定からして、
国民は安全な
食生活を営む権利がありますし、国はそれを保障する義務があるというふうに考えます。そういう点でどうかといいますと、今の
状況というのは、そういう点では、
国民の権利という点ではまだ弱いんではないかというふうに思います。
ここで、やはり
食品の安全を守るには、
生産者、
消費者の権利というものが守られて、そういう
共同と信頼がつながれるようにしていくということが最も大切なことではないかというふうに考えます。
意見を出すことができるとか、そういうふうになっていますが、どんな場合でも、どんなものでも、これは食の安全に問題があるよと思った場合、
国民が
意見をきちっと出せるようにしていく、こういうのが重要ではないかというふうに思います。
〔
委員長退席、理事中島眞人君着席〕
それから、国の
責任を明確にすることが安全な食を供給する上で重要だというふうに思います。何か
事業者だけに
安全確保の
責任を押し付けて、
食品の安全の確保のために必要な措置を国が講じなければ、これは国の
責任を果たせないのではないか、そういうふうに考えるわけでございます。
そのためには、
一つは、
国民の九割以上が望んでいる安全な国産、これを増やし、
自給率を上げていくということが重要な
課題ではないかというふうに考えます。また、問題が起きなければ何もしない、人が死んだり被害が起きてからやるのでは遅いと思いますので、まず予防原則に立って、
食品の安全を守る
対策というのをきちっと立てていくというのが重要ではないかと思います。その点、基本計画というのは出ておりますが、そういう点をはっきりさせていっていただきたいというふうに思うわけでございます。
それから、私どもの
食品分析センターで冷凍ホウレンソウについて二十二件ほど分析しまして、そのうちから六件も違反が見付かっております。加工品だからこれは
検査をしないんだと、やっても基準がないので仕方がないと、こういう態度を最初取っておりましたけれども、
厚生労働省が
検査を開始したと、生鮮の基準を基準にしまして
検査を開始したということは非常に重要な
役割を果たしたというふうに思っています。その後も随分違反が広がって、本当に輸入がなくなる状態にまでなりました。また、シュンギクだとか枝豆など、冷凍野菜の違反も次々に見付かってきたということは重要なことだと思います。
また今回、昨日ですか、中国から来る冷凍野菜から再びクロルピリホスが見付かると、こういうような事件も起きておりますが、違反がこういう状態で起きてくるということについては、やはり国が厳重な措置をきちっと取るということがどうしても
国民の健康を守る上で重要ではないかというふうに思っています。
加工品は、基準がないからという理由で、今でもホウレンソウの油いためですとか、そういうものは
検査の対象から外されているわけですけれども、私はやはりこういう加工品も含めましてきちっと
検査されるような体制というものを作る必要があるんではないかというふうに思います。
それから、私どもの分析のところでは、ベビーフードから違反の
農薬というのが見付かっております。赤ちゃんですから、こういう赤ちゃんに与えられるものについては、少なくとも無
農薬のものが提供されるべきだし、私どもは是非安全な国産のものが提供されるようにしたいということを
お話ししたところ、和光堂の方ではそういう
農薬のないものを造るようになってきております。できればこういうベビーフードについても基準を定めまして、そして安全な基準というものを造って、そういうものが提供されるようにしていってほしいなというふうに思っているところでございます。
日本の場合には
自給率が非常に低くて、輸入品が非常に多いものですから、やはり輸入品の
検査をきちっとして、安全を確保するというところが大変重要だろうというふうに思うわけです。
そういう中で、
厚生労働省の検疫所のチェック体制でございますが、今の
検査率からいきますと、六・八%ということになっておりまして、特に牛肉などは一・一%の
検査率でありまして、非常に少ない状態であります。これは、基本的には厚生省の
食品監視員の数が二百八十三人、今年十五人も増えたわけでございますけれども、という少ないのが問題ではないかというふうに思います。
検査人員を大幅に増やして、やはり今
検査センターで非常に、月六十時間も超勤をしなきゃいかぬと、こういうような状態になっていますので、こういうような点をなくすためにも大幅に人を増やして
監視体制を
強化していくことが重要ではないかなというふうに思います。
それから、やっぱりそのためには、主要な検疫所にもう少し体制、施設とか人員を整備して、国がきちっとチェックできるようにしていくということが大変重要ではないかなというふうに思っております。
それから、そういう中で、例えば継続輸入制度ですとか計画輸入制度ですとか、そういうのでは、一回
検査すれば後は
検査しないと、こういうような仕組みになっておりますけれども、私どもはやはりこういう点ではきちっとした
検査体制というものを築いていくということが
国民の健康を守る上で重要ではないかというふうに思います。
今回の
改正で、登録民間
検査機関というのを設置すると、こういうふうになっておりますけれども、これについてはやはり水際で
責任を持つ国がまずきちっと
検査体制を作るということからいいますと、民間の
検査機関に預けるという点では若干問題があるのではないかと。特に、民間会社も参入することになりますと、スポンサーの意向を酌むおそれがないかどうか、そういう
公平性が確保できるかどうか、その点をきちっと担保すべきではないかなというふうに思います。
また、
農薬等のポジティブリスト制が三年後に実施されるということになっていますが、このポジティブリストの実施は結構なんですが、その面で具体的に基準を当然設けると思うんですが、それを厳しく基準を設けて安全を守るようにしていく必要があるんではないかなというふうに思っております。
それから、最近の問題としましては、特にO157の病原菌で多数、宇都宮で八人の人が亡くなるとか小学生が亡くなるとかいろんな事件が起きておりますが、これは決してカイワレが原因ではなくて、やはり牛肉、輸入牛肉に原因があるというふうに見られますので、そういう
検査体制というのを
強化していく必要がありますし、そういう牛肉についてはホルモンや抗生
物質などもございますし、徹底的な
検査が必要ではないかというふうに思うわけであります。VREとかサルモネラ菌とか耐性菌が増えておりますし、カビ毒の問題もありますので、是非そういう体制を
強化していくということが重要ではないかなというふうに思います。
それから、今、生鮮品につきましては産地
表示というのが全部行われておりますが、原産国の
表示が非常にはっきりしないものも、小さい字で書いてあるものもありますし、加工品も含めてすべての原材料について原産国を
表示すべきではないかというふうに思います。そして、
消費者が輸入品かどうか判断できるようにしていくということが重要ではないかなというふうに思っております。
それから、遺伝子組換えしていないものというのが、遺伝子組換えしたものというのが大体七百万トン以上今輸入されているわけでありまして、これにつきましてきちっと、遺伝子組換えしていないものも含めまして、あるいは油とかしょうゆとかこういうものも含めまして、遺伝子組換えしたものというのを
表示をはっきりさせていくということが重要ではないかというふうに思います。
牛肉のトレーサビリティーにつきましても、輸入牛肉はたくさん多いわけですから、是非トレーサビリティーについても牛、輸入肉についてもきちっとチェックできるような体制をしてほしいということを思います。
それから、製造年月日等についても
表示して、安全を、鮮度を確保できるようにしていくようにしたい。
それから、
添加物についても非常に批判が多いので、
添加物についてもチェックを大いに進めていく必要があるのではないか。厚労省としては、この前、塩のフェロシアン化塩について認めましたが、更に三十
種類以上のものを、外国で許可しているものを認めようとしておりますが、これについては、やはり七二年の国会決議もありますし、是非削減する方向で検討していただきたいというふうに思うわけでございます。
雪印乳業や協和香料化学の事件でもありましたように、やはり国内での
食品監視員も非常に不足していると、こういう実態でありますので、そういう点でも専任の国内の
食品監視員というものを大いに増やしていくということが重要ではないかなというふうに思います。
食物は命の源でございますし、やはり
日本みたいに
自給率が低い国では、こういう国は世界的にもないわけでありまして、輸入の優先で、そしてそういう中でお米を作るなというようなやり方をしていては絶対駄目だと思います。子供
たちに
アレルギーが増加したり目が悪くなったりいろんな事態が現れていますし、それを防ぐためにも
自給率を高め、安全な国産のものを増やして、
日本の食文化を守って輸入品のチェック体制を
強化していくということが重要ではないかということを申し上げます。
食品衛生法、
健康増進法についても、以上の観点から、もう少し深く立ち入った審議をして、是非
国民の健康を守る上で大きな
役割を果たしていただきますよう要請しておきたいと思います。
以上で私の話を終わらせていただきます。どうも失礼しました。