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藤原正司君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府
提出の
個人情報保護関連五
法案に反対し、民主党、自由党、
日本共産党、社会民主党
提出の
個人情報保護関連
法案に対する修正案に賛成する立場から討論を行います。
防衛庁が自衛官募集のために適齢者の
個人情報の提供を各市町村に要求していたという
事件が先日発覚しました。この
事件は、行政が自分の
情報を勝手に
収集、蓄積して活用しているのではないかという国民の不信や不安を更に増幅させました。行政側の不透明な
情報収集やセンシティブ
情報の
収集を明確に禁ずることのない政府案では、この国民の不信や不安を払拭できません。
以下、野党四党修正案に賛成し、政府案に反対する理由を具体的に申し述べます。
まず、基本法、
行政機関法に共通する論点について述べます。
第一に、政府案には、自己
情報コントロール権に関する明確な規定がなく、
個人情報保護とは名ばかりのものとなりかねません。それに対し、野党修正案は、自己
情報コントロール権の考え方を基本にしており、この考え方を反映した具体的な措置も講じています。
第二に、真の
個人情報保護を実現するために、野党修正案は、センシティブ
情報について特に慎重な取
扱いを求める規定を設けておりますが、政府案にはこのような規定がありません。
次に、
個人情報の
保護に関する
法律案に関する論点を述べます。
第一は、事業者の監督スキームについてです。政府案は、包括法でありながら個別の事業者に対してそれぞれ主務
大臣が監督権限を行使するという大きな矛盾を抱えています。これでは、法の実効性が担保できない一方で、特に適用除外に関しては、放送機関、新聞社、通信社以外の
報道機関がその他
報道機関と一くくりにされるなど、
大臣や官僚の裁量にゆだねられるおそれがあります。それに対し、野党修正案では、第三者機関に権限を与え、
国会への
報告を義務付けるなど、作為的な介入や特定業者との癒着が起こらないよう、最大限配慮する
内容となっています。
第二に、金融、
情報通信及び医療の三分野においては、個別の
情報漏れが著しく、
情報漏れが起きた場合の被害が甚大なので、野党修正案では、本
法律の公布後二年を目途として個別法を制定することとしておりますが、政府案にはそのような規定がありません。
第三は、見直し規定についてです。本
法案により、規則が過度に掛かってしまう分野も出てくるかもしれません。野党修正案では、
施行後三年を目途として本
法律の
施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしておりますが、政府案にはそのような規定がありません。
次は、
行政機関の保有する
個人情報の
保護に関する
法律案についての論点です。
第一に、政府案では、
個人情報の
収集や
個人情報の目的外利用についての裁量幅が大きく、本人の知らない間に
個人情報が流用されたりするおそれがありますが、野党修正案では、一定の制限を設け、官僚の行動に歯止めを掛けています。
第二は、データマッチングについてです。高度
情報化に伴い、不法な目的外利用・提供などが容易になってしまいました。政府は、目的外利用の制限で十分規制されると言いますが、野党案では、入念にデータマッチングに関する規定を設けています。
第三に、政府案では裁判管轄に関する明示の規定がないため、行政庁の所在地以外には訴訟ができませんが、野党修正案では、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所にも提起することができるものとしています。
第四に、政府案の罰則規定では、防衛庁リスト
事件のような問題は不問に付される
可能性が非常に高く、
行政機関に甘い
法案となっています。それに対し、野党修正案は、
行政機関に厳しい姿勢で臨み、実効性のある罰則を設けております。
第五に、本
法律が
施行されても
行政機関における
個人情報保護が万全になるとは限りません。ゆえに、野党修正案では、
施行後三年を目途として本
法律の
施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしておりますが、政府案にはそのような規定がありません。
以上のように、政府案は、
個人情報保護に名をかりて、官僚や与党政治家にとって住みやすい世の中を作るための
法案にすぎません。それに対し、野党修正案は、真の
個人情報保護を目指すと同時に、表現の自由を始め、国民生活の自由に最大限に配慮した
内容となっていることを最後に申し述べ、私の討論を終わります。