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2003-06-16 第156回国会 参議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年六月十六日(月曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  六月九日     辞任         補欠選任      又市 征治君     渕上 貞雄君  六月十一日     辞任         補欠選任      渕上 貞雄君     又市 征治君  六月十三日     辞任         補欠選任      常田 享詳君     中川 義雄君      山本 一太君     世耕 弘成君      榛葉賀津也君     和田ひろ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中原  爽君     理 事                 岩井 國臣君                 佐々木知子君                 中島 啓雄君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君                 八田ひろ子君     委 員                 荒井 正吾君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 世耕 弘成君                 田村耕太郎君                 月原 茂皓君                 中川 義雄君                 藤井 基之君                 山内 俊夫君                 神本美恵子君                 谷  博之君                 松井 孝治君                 山根 隆治君                 山本 孝史君                 和田ひろ子君                 荒木 清寛君                 遠山 清彦君                 山下 栄一君                 大沢 辰美君                 岩本 荘太君                 広野ただし君                 又市 征治君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     片山虎之助君        法務大臣     森山 眞弓君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     塩川正十郎君        文部科学大臣   遠山 敦子君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   亀井 善之君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国土交通大臣   扇  千景君        環境大臣     鈴木 俊一君        国務大臣        (内閣官房長官)        (男女共同参画        担当大臣)    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (産業再生機構        担当大臣)    谷垣 禎一君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)        (個人情報保護        担当大臣)        (科学技術政策        担当大臣)    細田 博之君        国務大臣        (金融担当大臣)        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君        国務大臣        (規制改革担当        大臣)      石原 伸晃君        国務大臣        (構造改革特区        担当大臣)        (防災担当大臣) 鴻池 祥肇君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        内閣府副大臣   根本  匠君        防衛庁長官   赤城 徳彦君        財務大臣    小林 興起君        農林水産大臣  太田 豊秋君         ─────        会計検査院長   杉浦  力君         ─────    政府特別補佐人        人事院総裁    中島 忠能君        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    政府参考人        総務省行政評価        局長       田村 政志君        総務省自治行政        局選挙部長    高部 正男君        総務省情報通信        政策局長     高原 耕三君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        資源エネルギー        庁長官      岡本  巖君    説明員        会計検査院事務        総局次長     白石 博之君        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君        会計検査院事務        総局第三局長   船渡 享向君        会計検査院事務        総局第四局長   重松 博之君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君    参考人        日本銀行理事   三谷 隆博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十三年度一般会計歳入歳出決算平成十三  年度特別会計歳入歳出決算平成十三年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十三年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十三年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十三年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出) ○平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに  関する調書内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、常田享詳君山本一太君及び榛葉賀津也君委員辞任され、その補欠として中川義雄君、世耕弘成君及び和田ひろ子君が選任されました。     ─────────────
  3. 中原爽

    委員長中原爽君) 平成十三年度決算外二件及び平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書を一括して議題といたします。  まず、平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書について説明を聴取いたします。塩川財務大臣
  4. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成十三年度におきましては、予見し難い租税収入減少等により、一般会計歳入歳出決算上五億円余の不足が生ずることとなりましたので、決算調整資金に関する法律第七条第一項の規定により、その不足を補てんするため、決算調整資金から同額を一般会計歳入に組み入れております。  この決算不足額は、決算調整資金に関する法律施行令第一条の規定により計算しました額でありまして、決算調整資金に関する法律第七条第一項の規定の適用前における平成十三年度一般会計収納済歳入額八十六兆九千二十四億円余が、平成十三年度一般会計において財政法第六条に規定する剰余金を全く生じないものとして算定した場合に得られるべき歳入の額に相当する額、すなわち八十六兆九千三十億円余に不足する額に相当する額であります。  また、この決算不足額の補てんにつきましては、決算調整資金から一般会計歳入に組み入れる際に決算調整資金に属する現金がなかったので、決算調整資金に関する法律附則第二条第一項の規定により、当該決算不足額に相当する額を国債整理基金から決算調整資金に繰り入れた後、同資金から一般会計歳入に組み入れております。  なお、この国債整理基金から決算調整資金に繰り入れた額五億円余に相当する金額につきましては、決算調整資金に関する法律附則第二条第三項及び第四項の規定により、平成十四年度補正予算(第1号)に計上して一般会計から決算調整資金に繰り入れた後、同資金から国債整理基金に繰り戻しております。  以上が平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書事後承諾を求める件の概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  5. 中原爽

    委員長中原爽君) 以上で説明の聴取は終了いたしました。  これより平成十三年度決算外二件の締めくくり総括的質疑及び平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 中川義雄

    中川義雄君 自由民主党の中川義雄であります。  最初に、ちょっと最近問題がありましたが、科学技術振興調整費をめぐるいろんな大学等研究室で、一般国民から、非常に高い次元に、モラル的にも高い次元にある方々が何でこんな事件をという大きな問題になりました。しかし、この問題につきましては処分等も終わりまして、これ事件として私はこの問題をここで取り上げるつもりはありません。ただ、この科学技術振興調整費そのもの制度的な問題があって、それに、こういう事件が起きたのではなかろうかという疑義があるものですから、そういった観点から大臣考え方をただしていきたいと思っています。  今回の事件では、東京大学の例でありますと、大学院生、教官、非常勤職員に支払われた賃金謝金、そういったものが研究室運用に不当に充当されていたということであります。  なぜそんな賃金なんかが消えて研究室になったのかと。これにはいろんなこの制度そのものに問題があると思いますので、その要因、そしてこれからこれを、こんなことがなくなるためにどう管理運営していくかについて大臣考え方を示していただきたいと思います。
  7. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) まず、委員指摘のように、大学におきまして、一部の大学ではございますけれども、最近研究費不正経理の事実が判明しておりますことは、私は国民大学に対する期待あるいは信頼を失墜させるものとして大変遺憾だと思っております。これに対しましては、私どもといたしましても最近通知を発しましてしっかり指導をいたしております。  その内容は、大学内部においてしっかりその会計検査に係る調査をやってくれということ、二番目には臨時に内部監査もやること、三つ目には教職員に対する研修などの実施で再発防止に努めるようということでしっかり指導をいたしておりまして、その内容について様々な機会に私ども研修を行ったり指導を徹底しているところでございます。  そういう問題がなぜ起きるのかということになりますと、いろんな複雑な問題があるかとは思いますけれども、これ単独の例えば科学研究費補助金だけではなくていろんな省庁からの研究費ども行っていると、それから、そういう補助金の中には執行が非常に遅くて年度末に研究費が来るというようなこともあって研究者が非常に使いにくいものもあるようでございます。そういったことはシステムとして直していかなくてはならないと思っております。  二つ目には、研究費そのもの研究者個人が受けて、しかしその経理については大学機関としてしっかり経理していった方がいいというふうに考えておりまして、今いろいろとその面の改革に取り組んでいるところでございます。  特に、一番大型の研究費競争的資金でございます科学研究費補助金につきましては、これは実は全国から十一万件一年に申請があって四万件を超える採択をしている、そういう大変大きな研究費でございますが、これは基礎研究の一番大事な研究費でございますが、これにつきましては七月末にはいつももう出せるようになっておりまして、大改革が今進んでおります。  それからもう一つ研究費年度内に使い切るというようなことでいろんな無理が生じている、その面につきましても、繰越明許金というのを明らかにしまして、今年度から年度を超えて使えるようにしていくなど様々な今改革を行っているところでございます。  今後とも、競争的資金の有効な活用によって日本の知の創出というものがしっかりいきますように私ども努力したいと思いますし、大学人にも猛省を促したいというふうに考えているところでございます。
  8. 中川義雄

    中川義雄君 今、大臣が答えられたように、最大のこういう事件が起きた要因というのは、何となく予算があるが使い勝手が悪いということがそういう形になって、賃金だとか謝金食料費、飲み食いに変わっていったりしているという実態もあることは否めないと思うんです。  そこで、使いにくいという原因には、予算執行時期がかなり遅れて執行されるものですから、予算金額の割合には使える時期が非常に限定されて、その中で全部予算を使い切らないとこれまた大変ないろんな事後に問題が起きるという、これは本当は問題は起きないんですけれども、それでも、ちゃんとやれば問題は起きないんですけれども、使い切れなかったら国庫に返納したっていいわけですから。  そういうことが一つあるのと、それから、予算は単年度主義を取っているものですから、今言ったように繰り越してやるというのは、今、大臣、簡単に一言で言いましたが、私も公務員をやっていた経験がありまして、予算を繰り越すというのは大変いろんな手続があって、その間にいろんな人がそれに介入してきて、そんなことだったらもう来年度予算要求から外した方がいいぞなんという、そういう話が必ず出るんです。ですから、無理してでも単年度予算を使い切りたいという公務員心理が働くことは否めない事実なんです。  ですから、これ、大臣、この制度を、こういうたくさんの予算が掛かって、国家的な研究として、ある意味では単年度なんかでできるはずがない、何年も何年もかかってやらなければならない、そういうものは最初から分かっているわけですから、これは単年度主義ということじゃなくて、もっと制度的に通年で運用できるような、そういう制度の見直しをすべきではないかと思いますが、大臣考え方を示していただきたいと思います。
  9. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、その点につきまして、今年度から財務省の方の大変な御協力をいただきまして、大きな改革が進んでおります。それは、今年度から科学研究費補助金繰越明許制度が導入されました。これは、その研究費という性格にかんがみて年度を超えた使用が可能となったわけでございまして、私は、これは研究者にとっては大変な福音であろうと思います。是非ともそれで有効に使ってもらいたいと思っております。  それからもう一つ、科学技術振興事業団、ここが戦略的創造研究推進事業というものをやっておりますが、その事業団運営費交付金で使うということになるものでございますから、これは大変、独立行政法人でありますゆえに弾力的な運用が可能となります。これは既に所要の制度改正がなされているところでございます。  そのように、今年から大変研究費使い勝手がいいように今努力をしているところでございます。もちろん、今後とも研究者意見も十分聞きながら、しかし国費でございますからそこのところもしっかり守りながら、私どもとしてもできるだけその資金が有効に活用されるように今後とも努力をしていきたいと考えております。
  10. 中川義雄

    中川義雄君 今、繰越明許制度をこの研究費にも活用すると。これは大変いいことだと思う。しかし、繰越明許というのは、私も経験して、そう簡単な手続じゃないんです。  例えば、北海道の場合ですと、特に公共事業でこの制度を十分活用しなければならないことが出てくるわけです。それは、思わぬ大雪が降ったりなんかして事業が途中で困難になってしまう、そうすると次年度にどうしても繰り越さぬとならない、そういうときにこの繰越明許というのは該当してやるんですが、これも、財政当局だとか何かがもう一々チェックチェックを重ねて、繰越しをさせないで予算を返還させようとするんです、これは。どうしても財政が厳しくなればなるほどそういう動きが出てくるのは事実なんです。ですから、そこにいる職員は、無理してでも単年度中に予算を使い切ろうとして、無駄な、大変な雪の中で養生費を掛けたりしてやっている場合が多いんです。  これはやっぱり財政制度そのものをしっかりしなければならないと思いますので、これは大臣には通告していなかったんですけれども大臣所感だけ、繰越明許制度を、だれかいたら答えてもらってもいいんですが、この制度を本当に実態に合ったものにするためには、文部科学省で何ぼ努力してもいろんなところからのチェックが入りますから、一番大きなチェックは、今こういう財政難のときには予算を返上しなさいという意味でのチェックが必ず陰に陽に掛かってきますから。まあこれはいいです、質問したらあれですから。そういうことのないように、大臣、ひとつ気を配ってやっていただきたいと、こう思うわけであります。  次に、今度は少々エネルギー問題に替わって経済産業大臣に二、三点伺いたいと思いますが、何といっても、この原子力行政の中で最近次から次と、人的な失敗といいますか、ちょっとしたことが大変な心理効果を生んで、国家の存亡にかかわるような問題に発展しかねない問題が次から次に起こっているわけです。ですから、この問題を処理するために、もうそれこそ大変な気を遣いながら、二度とこんなことを起こしちゃいけないという言葉を何回も繰り返しておりますから、二度とそんな言葉が繰り返されないようにしていかなければならないと思いますので、少し具体的に聞きたいと思います。  平成七年にナトリウムの漏れる事故を起こした、そして運転を停止しております核燃サイクル機構のいわゆる高速増殖炉もんじゅ」、これをめぐって住民から訴訟が起こされておりまして、この控訴審判決が一月にありました。その控訴審によりますと、安全審査に過誤、欠落があり、炉心が崩壊し、崩壊し溶解し、放射性物質が外部へ放出される具体的危険性を否定できないと判断して、一審判決を真っ向から覆す、残念ながらそういう判決が出たわけであります。判決では安全審査のやり直しを強く求めておりますが、我が国原子力政策を考えるとき、これは、そういう判決ができたからといって私は簡単にひるむ問題じゃなくて、正しいものは正しいものとして、国は正々堂々と主張するものは主張していかないとならないと思います。  このことについて担当大臣としてどのように受け止めているのか、率直な所感を伺いたいと思います。
  11. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 中川先生にお答えさせていただきます。  原子力というのは安全性をいかに担保し、そして国民皆様方信頼確保するということが大前提だと思っています。そういう意味で、御指摘のように本当にこの事故、あるいは今、東電の問題でも不正の記述、記載、虚偽の報告等大変国民皆様方に御心配をお掛けしているということは本当に申し訳ないことだと思っています。  今御指摘高速増殖原型炉の「もんじゅ」に関しまして、一審の判決が覆りまして、そして二審では今御指摘のような判決結果になりましたのは、私どもは非常に残念に受け止めているところでございます。  したがいまして、これはもう御承知だと思いますが、一月三十一日に上訴をいたしまして、そして三月二十七日にその上訴についての理由書提出をしたところでございます。  このいわゆる理由書におきましては、「もんじゅ」の事故防止対策では安全確保ができないかどうかについて具体的な認定を行わないままに、多重に施された安全確保のための機能がすべて働かないという前提に立ちまして、そういう非現実的な仮定の下で、今おっしゃったように、炉心崩壊が起こるというようなそういう危険性が否定できないため違法とするなど、原子炉等規制法の解釈に誤りがある、これが第一点であります。  さらに、行政処分無効要件等に関する最高裁判例があるわけでございますけれども、この最高裁判例に反することも指摘をしているわけでございまして、当省といたしましては、安全審査というのは適正に行われまして十分に安全性が確認されたものと、このように考えておりまして、最高裁において適切な判断をいただけると、このように確信をして今取り組んでおるところでございます。
  12. 中川義雄

    中川義雄君 私自身も全く大臣と同じ考えであります。いろんなこの「もんじゅそのものに、安全を確保するためにいろんな制度的に組み合わせて、そして、結果として絶対炉心が崩壊するようなそんな事故に結び付けないための安全チェックがたくさんあるわけです。ナトリウムが漏れたというのはその一部の事故でありまして、それだけを取ってこれ、全体の安全性を疑うというのは、私は何となくマスコミの空気に押されてこの判決が出てしまったのは残念で仕方がありませんが、出たことは間違いない事実ですから。  一つだけ、これはやっぱり国が安全性に責任を持って確認してこの事業を進めてきたわけですから、その安全性についての国の強い自信といったものは今でも全然覆っていないと思うんですが、やっぱり大臣として、国民の前で誇りを持って、この安全性については十分管理して出した計画であるということを、ここで再度この安全性一本に絞って決意を表明していただきたいと思います。
  13. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) まず、この「もんじゅ」のことについて申し上げさせていただきますと、この「もんじゅ」の原子炉設置許可というのは、当時の科学技術庁において昭和五十八年の五月二十七日に許可をしているわけでございますけれども、この設置許可を行うに先立ちまして、当時、科学技術庁において、原子炉施設立地条件設計等原子炉等規制法に基づく許可基準に適合しているかどうかについて原子力安全委員会が定めた安全設計審査指針に照らして厳密な形で安全審査が行われまして、その上で妥当なものであると、このように判断されたものであります。  具体的にもう少し申し上げますと、高速増殖炉安全性評価考え方という指針におきましては、例えば原子炉を確実に停止できるような信頼性の高い設計がなされていること、万一冷却材の流出が生じた場合でも炉心崩壊熱が除去できる設計であることなどが求められているものでありまして、当時、科学技術庁安全審査においては、「もんじゅ」の設計がこうした要求を満たすものである、このような判断がなされているわけであります。  さらに、この安全審査を行う過程においては、原子力の安全に関する各専門分野において高度な専門的、技術的知見を持つ学識経験者の中から選任された原子力安全技術顧問から技術的な意見を聴取するなどして厳正かつ慎重に審査がなされたわけでございます。さらに、その上で、科学技術庁による一次審査の結果については、原子炉等規制法に基づいて原子力安全委員会によるダブルチェックがなされているわけであります。そういうことで、この「もんじゅ」については私どもとしては安全審査というのはしっかり行ったと思っております。  しかし、御指摘のように、本当に原子力というのは安全性確保というのが大切でございまして、ここは厳重にしていかなければなりませんけれども天然資源エネルギーの乏しい我が国にとってはこの原子力というのは長期的な、安定的なエネルギー供給源でございますので、私どもとしてはこの安全性を更に徹底して、情報開示も含めて真摯に取り組んでいかなければならないと、このように思っております。
  14. 中川義雄

    中川義雄君 今、大臣から決意を伺ったわけですが、私も、それに加えて、この高速増殖炉というのは、エネルギーを再利用するという、非常にエネルギーの乏しいこの国にとっては、この技術が確立し、安全性が確認されたら我が国エネルギー政策に画期的な、非常に長期的に安定したエネルギーが供給されるということで、大きな我々は期待と希望を持っているわけであります。  ただ、私自身も、これとはちょっと別なんですが、例の幌延問題、高レベル放射能物質を貯蔵したり処分するための技術開発のための施設、そのときのヒステリックな国民の反応というものを見たときに、そういうことが必ずこういう問題には起きてくると、そんなときだからこそ政府が責任を持って冷静に、感情的じゃなくて科学的に冷静に対応していただきたいと思います。  ところが、最近になりまして、この核燃料のサイクルという、バックエンド事業というようなことで超長期に、処分まで行きますと超長期に及ぶということになってきて、そのためのいろんな政策的な検討が積み重ねられているんですが、私は、ちょっと諸外国と比較してこの国はそれを民間にゆだねている部分が諸外国より多いのではないか、この問題は民間ではなかなか手に負えない、費用も掛かる、長期的に科学的に分析しなければならない、そして何といっても国民の信用を得なければならない、そうすると国の責任においてやるんだというこの基本的な姿勢をやっぱりしっかり示すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  15. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 御指摘の核燃料サイクルを含む原子力の推進というのは国のエネルギー政策の重要な基軸でございます。これは非常に私どもも重要度が高いと、このように認識しているところであります。  諸外国を見ますと、国の関与の仕方については各国の事情により様々なものがあります。我が国におきましては、原子力の重要性にかんがみまして、国としては、安全対策、それから関連技術開発、さらには発電所等の立地促進等、相当積極的に国がその役割を果たしてきたと、このように私どもも思っています。最近におきましても、この国会で電源開発促進対策特別会計法の改正を行わさせていただきまして、これまで以上に原子力に対する重点化を国として図ってきたところであります。  また、今後とも、原子力を推進していくためには安全と信頼確保というのが非常に重要でございまして、こうした面における国の役割というのはしっかりと果たしていかなければいけないと、このように思います。
  16. 中川義雄

    中川義雄君 全くそのとおりだと思いますので、自信と確信を持って、下がることなく一歩一歩確実に前進して、この国は何といってもエネルギーが、エネルギー資源が乏しいという、そういう国でありますから、やっていただきたいと思います。  それからもう一つは、原子力発電所はもうこの国では相当の、特に電力におけるウエートは高まってきて、もう欠かすことのできないエネルギー源になっているんです。しかし、最近になってますますその初期投資が物すごく膨大になって、なかなかそれに取り組むことが、投下した資本に対してどんな形でそれが返ってくるのかということに対する不信感、不安感があって、その投資意欲が減退してきているのではないかと心配しております。これは、この国ばかりじゃなくて、世界的に見てもそういう傾向が非常に強いわけでありまして、しかし私はどうしても原子力発電というものは一歩一歩進めていかなければならないと。  そういうことで、この投資意欲の減退、これを何とか国民の英知、国の英知も振り絞って、やっぱり投資意欲だけは減退させないでやっていくべきだと思いますが、そのための大臣考え方を示していただきたいと思います。
  17. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 今、我が国には、中川先生もよく御承知のように、五十二基の原子力発電、原子炉があります、五十二基。そして、電力の三割強、東京は電力の四割、大阪に至っては電力の五割以上を原子力で賄っているというのが現状でございまして、大変大切な燃料だと思っています。  原子力発電というのは、言うまでもなく、安定して発電できれば経済性を発揮できますけれども、御指摘の投資回収に大変長期間かかるわけでございまして、小売自由化の進展によりまして原子力発電の投資に関して事業者が慎重になることは、これは懸念をされるところであります。  そうした中におきましても引き続き原子力発電の推進が図られますように、一つは、原子力等の大規模発電事業と送電事業の一体的な実施を確保するために発送電一貫体制を維持をいたしました。そして、全国的な電力流通の円滑化でございますとか、卸電力取引市場の整備を通じまして、原子力発電に対する発電力量の吸収余地を拡大するとともに、特に原子力発電等に固有の対策として、その強みを発揮し得る長期安定運転の確保のための環境整備を図る、この措置を講ずることにいたしております。具体的に申し上げますと、長期安定運転確保のための環境整備のため、需要が落ち込んでいるときに優先的に原子力発電からの給電を認める優先給電指令制度等のルールの整備、それから電源立地対策の重点化、こういうことを行うことにいたしております。  また、バックエンド事業につきましても、これは大変大きな資金が必要である、こういうことがございまして、国はこれまでも高レベル放射性廃棄物の処分に関する法制度の整備等、様々な措置を講じてきました。さらに、残された課題については、新しい市場制度の下で更なる環境整備の観点から、これは平成十六年末までに具体的な制度、措置の在り方について検討を行いまして、必要な措置を講ずることにいたしております。  なお、議論に当たりましては、国民理解の観点から、透明性を持ってしっかりと行って、やはり事業者が非常に意欲を失わないように、そして安全性確保できるように私どもはしっかり行わなければならないと、こういうふうに思います。
  18. 中川義雄

    中川義雄君 最後に、ガスをパイプラインで導入する問題について、資源エネルギー庁長官が来ていると思いますから伺いたいんですが、私自身も今から三十年ぐらい前に、サハリン・オハの天然ガスを北海道に導入するという膨大な計画を持って、相当うまくいって、もう価格交渉まででき上がって、当時としては、一ノーマル立米五円五十銭、C重油と同じ価格で北海道へ導入できるまでこぎ着けて、パイプラインの、当時は新日鉄の理事長とあれして飛行機の上から写真を撮ったりしてルートまで決めてやっていたんですが、それが一方的な言い分でやめになりました。  そこで、そのとき一番問題になったのは、宗谷海峡は六十メートルで引いてこれるが、津軽海峡は百四十メートルあるから、当時の技術では東京方面へは持っていけないということだったんです。これが大きなネックだったんです。最近はそれが克服されていると聞いているんですが、その辺の技術的な進歩についてだけ教えていただきたいと思います。
  19. 中原爽

    委員長中原爽君) 予定の時間を過ぎておりますので、資源エネルギー庁岡本長官、御答弁を簡略でお願いいたします。
  20. 岡本巖

    政府参考人(岡本巖君) 海底パイプラインの技術は長足の進歩を遂げておりまして、最近一番深いものでは水深二千メートルぐらいということですので、八百、七百メートルぐらいではたくさん実例がございますが、一番深いのは直近で二千超えているという状況ですので、サハリンから関東の方面に海底パイプラインで持ってくることについての技術的な確実性というのは十分今日あると考えております。
  21. 山本孝史

    山本孝史君 おはようございます。よろしくお願い申し上げます。  最初に、社会保障にかかわる義務的経費が補正予算で多額に計上されている問題についてお尋ねをしたいというふうに思います。  本委員会で、予算編成の前提となる税収見積りの精度を向上すべきだという声が各党から指摘がありましたけれども、私は、そのことと同様に、歳出の見積りも極力正確に行って、その当年度に必要とされる予算は当初予算に全額盛り込むべきであると、このように思っております。そのようにしないと、当初予算に対する政府の責任への、政府説明への信頼性を損ねますし、財政状況が正確に国民に伝わらないことから多くの弊害をもたらす、こう考えております。  このことについては、生活保護費と国民健康保険助成費を例に取り上げて、社会保障関係の義務的経費の問題を御指摘をさせていただきましたけれども、厚生労働省は、雇用情勢の悪化あるいは高齢化の進展などから、社会保障経費の動向を正確に見込むのは困難だが、この厳しい財政状況の下で、シーリング下における厚生省全体の予算編成をどのようにするのかという問題もあると、こう委員会でお答えをいただきました。  雇用や高齢者福祉をつかさどる厚生労働省が、一年先の雇用の悪化状況あるいは高齢者の生活動向を予測できないとは私には到底考えられませんので、本当の理由は、当初予算を義務的経費で全部取ってしまうとほかの予算の編成ができないので、義務的経費を補正予算に回しているということだと私は理解をしております。  そこで、坂口大臣と塩川大臣と御両者にお伺いをさせていただきたいんですが、坂口大臣は、予測のできるものが補正予算の中に入っていなかったかということを、これはやっぱり検討しなければならない時期に来ているというふうに私も率直に思います、こう答弁をされましたけれども、毎年大きな金額で増えていきます社会保障の義務的経費について、平成十六年度予算の編成においてどのような姿勢で臨まれるのか、当初予算に必要額全額を計上されるのか、それとも、相変わらず補正予算で、これほどの増加は見込めませんでしたと、こういう言い訳をしながら不足額を手当てをすることになるのか、坂口厚生労働大臣塩川財務大臣に御答弁を求めたいと思います。
  22. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御指摘をいただきますことは、私もそこは何とか改善をしていかなければならないんだろうというふうに思っておりまして、予測のでき得るものは可能な限り予測をして、そして当初予算の中に盛り込んでいただくということにしていかなければいけないというふうに思っております。  社会保障関係も非常に幅広く、そして額も大きいものでございますから、なかなか当初予算に組み込みますときに非常にいろいろの御苦労を掛けることも十分に存じているわけでございますが、そうした財政上の問題も十分にわきまえた上で、しかしできる限り的確に予想をし、そして当初予算でお願いができるように努力をしたいと考えております。
  23. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 最初に、税収の見積りをもっと正確にやれというお話でございまして、私たちも十分にそれは努めておりますけれども、経済の変動というのは勢いがございまして、例えば、簡単な言葉で言いましたら、売りの気配が出てきたときには何としても売りの方へ行ってしまうし、買いの気配が出たときはほっておいても買いの、そういう傾向がございまして、過去において見ました場合、景気の良かったバブルのときなんか税収が一二、三%上回って、予想よりもっと収入を増やしておるということもございました。  したがって、私たちも今できるだけその幅を少なくするためにいろんな統計を分析しておるんですけれども、なかなか把握しにくいところがございまして、それが一つの経済の勢いというか、そういうことがあるということを、特にデフレの勢いが税収に影響しておるということを考えまして、これからも正確を期していきたいと思っております。  なお、先ほどお尋ねがございました年金等の保障の問題についてでございます、社会保障の問題につきましてでございますが、先ほど厚生大臣のお話のように、できるだけ私たちも当初予算で見込みたいと思っておりますけれども、しかし当初予算に見込むにしても、余りにも当然増というものが大きい。そうしますと、当然増の中でできるだけ節約してくれという要望をいたします。それに対しまして、厚生省、労働厚生省の方でもできるだけの圧縮をしていこうという努力はその予算要求の中にも見ておるところでございますが、ところが、不景気が浸透してまいりまして、それが予想以上に上回るということがございますので、両省で相談して、適当な補正によってセーフティーネットの完全を期していきたい、我々は、これをセーフティーネットの補強であるという認識に立って処理をしていくというところであります。
  24. 山本孝史

    山本孝史君 当初予算よりも景気が良くてたくさんの収入があるというときは、残って、それを借金の返済に回したり、あるいは次年度に繰り越したりと、こういう話はまだ納得がいくんですけれども、この先の中ではるかに掛かることが分かっているにもかかわらず、当初予算に組み込みをしない。  この二年間、平成十三年度、例えば生活保護の負担金でいいますと、平成十三年度の当初予算一兆三千億、補正予算が二千七百三十一億。当初予算に関して二一%の分を補正予算で組む。平成十四年度が一兆三千七百五十一億、当初予算補正予算が二千九百二十八億円。補正予算のこの金額は当初予算の二一%と。二年続けて生活保護費は二割、当初予算の二割を補正予算で組まなければいけないという現状が続いているわけですね。  平成十四年度は当初と補正予算合わせて一兆六千六百七十九億円でしたけれども平成十五年度の当初予算は一兆五千百三十二億円しか組んでいないんです。当初予算で既に去年の平成十四年度の当初予算補正予算を合計したものよりも少ない金額でしか当初予算は組んでいない。  ここで、生活保護費の負担金が、生活保護率が今年の二月に一%に達して、被保護世帯数は制度発足以来最高の八十九万六千世帯になったと、こういう報告もありましたけれども、ということは、当然これ当初予算がもう足りないわけですから、当然のごとく今年はもっと足りないはずなんですね。ということで、平成十五年度は、補正予算をこの生活保護だけとらえても組まなければやりくりができないはずだと。  先般来、心神喪失者の医療観察法案が強行採決することになりましたけれども、それに併せて精神障害者の社会復帰施設の建設が予定されていた、ところが前年度に比べて百億円も金額が少ない、予定していた地方自治体は全然事業が採択されないということで大変大きな問題になっておりますけれども。  そういう意味で、もう足りないところが一杯出てきている、分かっているのにこうやって補正予算に組み込みをしてしまうというのはどう考えてもおかしいと思うんで、そういう意味で塩川大臣に改めてお伺いしますが、これ平成十五年度、この金額でいけば当然生活保護費が足りなくなる、これ一つ取ってみても補正予算が必要になる、こういう予算の編成というのは本当にいいんでしょうか。あるいは、平成十五年度補正予算は今のままでいけば組まなければいけないとなりますが、もう組まなきゃいけないというお考えでおられるのでしょうか、お伺いをします。
  25. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 補正の段階につきましては、現在はまだ精査しておりませんので、申し上げることはできません。
  26. 山本孝史

    山本孝史君 精査していないじゃなくても、前提条件として、去年の補正予算と、当初予算補正予算を足した金額よりも今年の当初予算金額が少ないということはどう考えても足りないんじゃないかと、そんな予算編成をしていていいのかと、私はこう聞いているんです。だから、補正予算は必要になるんじゃないんですかということをお伺いしているんです。  大臣に聞いています。大臣が、これ一番大切な問題なんだから、大臣、お答えくださいよ。精査しているだとか精査していないの問題じゃないでしょう。
  27. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まだその点について検討しておりません。
  28. 山本孝史

    山本孝史君 検討するとか検討しないとかじゃないんですよね。それはもちろん補正予算の話だから、年度が始まって六月のこの時点でもう補正予算を組まなきゃいけませんと、こういうことをおっしゃるという立場じゃないことは分かりますけれども、しかし、こういう予算の組み方をしていれば当然補正予算を組まなければいけなくなるじゃないかと。  そのことを毎年繰り返しをしていたら、冒頭申し上げましたように、政府が当初予算を出してこられるときに、それが本当にそれで今年度予算が賄えるんだろうかと。国民はそうは思わない。誤ったメッセージを伝えることになりませんかと、こう申し上げているわけで、したがって、補正予算の編成ということは、やっぱり少なくともこの社会保障の義務的経費ということをとらまえても、きっちりとその全額を当初予算に盛り込むべきである、そのような予算編成をすべきだと、こう思います。そのために国債の発行をしなければいけないというのであれば、それはそれで説明をすると。塩川大臣がおっしゃった制度を変更しなければいけないというのであれば、制度の変更を併せて予算として提示をされるべきだと私はこう思いますが、もう一度御答弁をいただきます。  そのような予算編成を平成十六年度はやられるお考えなんですねと、こう申し上げている。
  29. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 制度につきましては総合的に検討いたしたいと思っておりますが、今直ちに補正予算の問題を検討するということは考えておりません。
  30. 山本孝史

    山本孝史君 それはそうですけれども、そういうことで本当にいいのかと私は思います。竹中大臣に聞いても同じ答えが返ってくるだろうと思うので聞きませんけれども。  それじゃ年金制度改革について、来年度予算の一番の柱だと思っておりますが、このことについてお伺いしたいと思います。  六月の九日に、財政制度審議会が平成十六年度予算編成の基本的考え方について意見書を公表されました。社会保障に関して、潜在的国民負担率を五〇%程度に抑制する、年金については概念上の拠出建て制度や既裁定年金の給付の削減、税の投入は一律一定ではなく重点配分を検討すべきだといったことが年金については書かれております。  そこで、まず財務大臣にお伺いをしたいのですが、懸案の一つでございます基礎年金の国庫負担率の二分の一への引上げという問題でございます。厚生労働大臣は引上げを求める立場と理解をしておりますけれども財務大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  31. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私としても引き上げたいとは思いますけれども、その中に、法律の中に書いておりますように、確実な要するに財源の、充当すべき財源をやっぱり見付けなければならぬ、これが適正にまだ私たちの方で指定することができておりませんので、財源の問題と絡めて検討したいと思っております。
  32. 山本孝史

    山本孝史君 これから御検討いただくということですが、六月四日の大臣記者会見で引上げは困難、延期もあり得ると、こうおっしゃいましたけれども、それが本当のお気持ちでしょうか。
  33. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 現在のままではなかなか税収の増収をも見込めないしいたしますんで、それでは一般歳出予算を削ってそれに充当するかといいましても、それには余りにも二分の一に移行するに際しての財源が大き過ぎますので、これは少し難しいんではないかと。そういう意味で申したのでございまして、新しい財源をどうして探すかということが、ここが指摘されるまでの間は難しいのではないかという、そういう趣旨で記者会見で言っております。
  34. 山本孝史

    山本孝史君 そのときに同時に、何年か後に二分の一にすると法律で決める手もあると、こういうふうにおっしゃっておるともお聞きしておりますけれども大臣としては基礎年金は二分の一に引上げをした方がいいと、もちろんそれは財源の手当ての問題がありますが、二分の一に引上げをした方がいいと、それはここしばらくではいきませんが、順番に制度改正をしながら、あるいは考えていくと、二〇〇七年度以降ですか消費税として引上げをすることもできると、こんなお考えもされているというふうにお聞きをしておりますが、そういった意味で、将来二分の一にはやっぱり引き上げよう、そのためには財源の確保ということで何年か掛かる、来年からは無理だけれども何年か掛かる、何年か先にはしっかり手当てをして引上げをしていこうと、そういうことを国民法律の中で約束していくという手もあると、こういうお考えでいらっしゃいますか。
  35. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、年金の問題につきましては現在の制度からやはり相当改革をする必要があると、私個人でございますから、これは財務省ではございませんで、政治家としてそう思うております。  それは、年金をもっと簡易、簡単化できないだろうか、だれが見ても自分の年金は計算できるようなそういう制度ができないだろうかと思っております。そのためには、私はもっと現在の厚生年金制度、共済年金制度というものを改正して、やっぱり基礎年金というものをしっかりと付ける、そしてその上に自己努力分の年金といいましょうか付加年金といいましょうか、これは厚生年金といいましょうか、そういうようなものと、そういう簡単なものという考えを私個人が持っております。個人であります。  そうしますと、基礎年金をもっと充実すべきであるということの一環としてやはり基礎年金については国も相当な責任をきちっと持ってもらう、持つのがいいと、そういう考えから私はやっぱり三分の一というのは何か中途半端な感じがいたしまして、国と国民と共同で基礎年金はしっかり持とうと、それは老後の生活保障の最低限を保障しようと、そういう考えを持っておるということであります。
  36. 山本孝史

    山本孝史君 今のお答えの中でちょっと気になるところもあるんですが、後の質問と絡みますので後でもう一度お伺いしますが。  そうしますと、もう一つの来年の課題でございます公的年金控除の縮減あるいは廃止という問題でございますけれども、これも厚生省とそれから財務省の間では考え方が一致していると私は受け止めておりますけれども、ある意味では同床異夢になっておりまして、この公的年金控除の縮減に伴う増税分を厚労省は年金財源に入れてほしい、財務省の方は何か一般財源化をしてほしいと、こういうような考えに受け止めておりますけれども、この点について、まずは厚生労働大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  37. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 年金控除のお話は税制調査会等で出ておりますけれども、このこと自体がまだ決まったわけではございませんので、そこから上がります税収をどこに入れるかということはなかなかそこまではまだ話は至っておりません。  我々もその御趣旨はある程度理解をしているつもりでございまして、高額のいわゆる年金所得者に対します年金課税というものは、当然起こる可能性があるだろうというふうに理解をいたしております。
  38. 山本孝史

    山本孝史君 大臣の頭の中に数字がおありになるかどうか分かりませんけれども、そうすると、高額の年金所得者というときの高額というのはどの辺の範囲のことをおっしゃってそういうふうにイメージしておられますか。
  39. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) そこまでまだ頭の中が整理できておりません。税制調査会の方の御議論もそこまでは進んでいないというふうに思いますし、私たちも、いつの日かはそういうふうなことが明確になってくれば態度を表明しなきゃならないというふうに思っております。
  40. 山本孝史

    山本孝史君 財務大臣は、この公的年金控除の縮減、そしてまたそれによって増税となる部分についての使い道ということについてのお考えはございますか。
  41. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 坂口大臣と同様です。
  42. 山本孝史

    山本孝史君 新聞紙上で随分とにぎわせている中で同じですと、こういう御答弁ですが、お言葉で直接お伺いしたいのですが、公的年金控除の課税は来年度は、税調の中で議論でございますが、見直しはして、高額年金所得者を、どこを高額と言うかは議論があるのかもしれませんけれども、一定のところは見直しをしたいと、こういうお考えでございますか。
  43. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 政府税制調査会では議論の対象として考えるべきではないかと、検討すべきではないかということを言っておりますけれども、具体的な検討にまだ入っておりません。
  44. 山本孝史

    山本孝史君 先ほど大臣、御答弁の中で、私、政治家個人としてはと、こうおっしゃいましたけれども、私、年金制度については政治家一人一人がいろいろな思いがあると思います。与野党の枠を超えて、今、年金制度を考えてみようということで取組をさせていただいておりますけれども、今政府税調がやっておりますから、財政審はこうですからということでこうお話をされて、先延ばしをされるだけでは、国会が閉幕されて、夏を挟んで秋の臨時国会で今度はもう厚労省側が案を作ってくるという段階になりますので、そうではなしに、やはり国民の皆さんに、国会としてはできるだけ今の時点で政治家としてこういう形がいいのではないかという発信はやっぱりしていくべきだと思うんですね。  そういう意味で、議論しております、検討中です、まだ決まっておりませんじゃなくて、この方向に行く方がいいんじゃないかというお考えだけでも私はお示しをいただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか、財務大臣
  45. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は自分の考えをできるだけの機会で申しておるつもりでございますけれども、しかしながら、決まっていないことはまだ申し上げることはできない。けれども、私自身としてこういうことを思っておるということは、ある機会に、それぞれの機会には申し上げておるところでございます。
  46. 山本孝史

    山本孝史君 決まっているのか決まっていないのかではありませんが、じゃ個人的御見解でも結構でございますが、これも私は新聞報道等でしか知りませんので、財務大臣にお考えをお聞かせをいただきたいと思いますけれども、既に年金をもらっておられる方たちの年金額が多過ぎるのじゃないかと、一般の若い人たちに比べてそこを削減してもいいのじゃないか、こういうふうに御発言されたというふうに聞いておりますが、既に受けておられる方の年金額の削減、今お取上げをさせていただきました公的年金控除の課税の在り方、あるいは後ほどお聞きをします物価スライドの完全実施等によってもちろん受給額は減額をされてまいりますけれども、この既裁定者の年金額の削減ということについて、財務大臣としてはやはり必要であろうと、こういうお考えでいらっしゃいますか。
  47. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 現在の制度の下において、保険契約でやりました年金について既得権のある方々に対して、それは削減することは実は不可能なことではないかと。そういうことは法治国家として、いかに国会で修正するといたしましても、それはちょっと行き過ぎた法改正ではないかと私は思います。  しかしながら、高額所得者の方々の年金の調整については、税という方向である程度は可能ではないかと思ったりしておりますし、これからの受給者に対しましては、ある程度その制度の中において考えることはできるであろうと思っております。
  48. 山本孝史

    山本孝史君 今の御答弁と先ほどの公的年金控除の在り方について話を合わせてきますと、年金の高額の方あるいは年金以外の所得のある方は、総合的に課税をする中で給付を抑制をするというお考えを示しておられるのかと思いますけれども、この既裁定の年金を減額するということについては法律上難しいんじゃないかと、こういう御答弁でございますが、坂口厚生労働大臣の御見解はいかがでございますか。
  49. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 年金というのは大変息の長いものでございますし、そして若いときから一つの言ってみれば御本人との、人々との、国民の皆さんとの契約の下にこれは進めてきているものでございますから、年金を受給をされる段階になりまして、そしてその段階で大きな変化を来させる、いわゆる人生設計に大きな変更をさせるということはやはり適当なことではない、これはやはり避けなければならないことだというふうに思っております。  しかし、これから先、進めていきます何年か先の年金制度につきましては、今からこれはやっておかなければならないわけでありますから、今からやはり将来、十年先、二十年先、年金の在り方については検討を加えて、早く国民の皆さん方にこのようにしたいということをお示しをして、御判断をいただくということが大事ではないかというふうに思っております。
  50. 山本孝史

    山本孝史君 既裁定者のお話はそうでしょうけれども、そうすると、これから先受ける人の年金額を減らしていこう、それによって安定させよう、こういう話でございますけれども、塩川大臣が具体的な数字をお挙げになったので、どういったお考えでそうおっしゃったのかと思っているんですが、今二十三万六千円がモデル年金ということになっておりますけれども、所得の代替率五八%、あるいは厚生省で将来は五二%程度まで引下げをしよう、こういう計画もございまして、済みません、通告してないんで申し訳ないんですが、十七万円程度としていいのではないかと、こうおっしゃいました。  十七万円程度ということになりますと、所得の代替率でいきますと四二、三%程度じゃないかと思うんですけれども、これはいろいろ議論がありまして、やはり現役世代の五〇%、半分ぐらいまでじゃないのかな、こういう、数字的には一〇〇というものから見ると五〇ぐらい、半分ぐらいまでじゃないのと、こういうお声もございます。  しかし、金額的に見ると、十七万で御夫婦で生活しておられたら、生活保護費との関係ですとかいろいろなところでやっていけるのかなということでおっしゃったのかなと思うんですが、何か、四割程度にまでなってしまうんですけれども、十七万円程度と、こうおっしゃったところの根拠というと変ですけれども、その思いにつながっているような何かお考えはございませんですか。
  51. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、年金につきましてはいろいろと勉強してまいりました中で、ある学者が二、三、偶然にもその金額指摘しておられるようなことがございましたんで、私はこれをよく考えてみましたら、現在のいわゆる要するに所得保障制度から生活保障制度に切り替えていくとするならば、この程度の金額で十分いけるんではないかなという感じを持った。これはやっぱり生活の最低保障の限度であろうと、私はそう思うておりますけれども、そういうふうな一つの基準を言うことによって、ここから議論が沸いてくると思っておりまして、一つの議論の提供としての私は提案として申し上げたのでございまして、何遍も申しておりますように、それは役所として決めておるもんじゃ絶対ございませんで、しかし、だれかが議論をやっぱり提示をしていかなければ、いわゆるリードスピーカーというものにだれかがなっていかなければ、こういう問題は検討するとかあるいは見直すばかりの表現では片が付かないような、そういう現実の問題のところに今来ているんではないかと思っておりまして、それで一つの提案として申し上げたのでございまして、私、政治家個人として、何遍も申しますが、言っておることでございます。
  52. 山本孝史

    山本孝史君 私、大臣の御発言を読んでおりまして、大変、年金制度についてお詳しい方であろうというふうに思いました。  そういう中で、これだけの金額があったらやっていけるんじゃないか。その四割といいますと、その四割と、こう思う中で、それが十七万であればやっていけるんじゃないのと、こうお思いになる。ただ、前提が、やはりそのときに住宅がちゃんと持ち家になっていて、住宅のためにお金を出さなくてもいいとか、あるいは高齢者の医療制度ですとか介護制度が、大変に高齢者自身の負担がこれから求めていくという中で、その部分がもし大きくなってくると、いわゆるネットで考えるのかグロスで考えるのかによって金額の受け止め方が違いますので、必ずしもその金額、額面どおりと受け止めることはできないのかもしれませんけれども、今おっしゃったように、やはり政治家が、個人の思いであるけれども、いろいろ考えてきてこういう流れがいいんじゃないか、こういう姿を作っていったらいいんじゃないかという議論は私大変必要だと思っているんです。  そういう意味で、先ほど来、公的年金控除の問題についてもお伺いをしました。基礎年金二分の一の問題についてもお伺いをさせていただいたのは、役所としてはまだ決めができているわけではない、まだまだこれから社会保障審議会の中でも、財政審の中でも、経済諮問会議の中でもいろいろ議論はされるんだろうけれども、しかし、こういう方向がいいんじゃないかということでお話をしませんと、やはりどこかで増税につながる話でもございますから、その意味国民により理解をしていただく、そういう御発言をしていただきたい、こう思っているわけでございます。  塩川大臣が、生活の最低保障としてこの程度あればいいんじゃないかと、こうおっしゃいました。先ほどは基礎年金を充実すべきであると、こういう考えなんですと、基礎年金は最低保障年金のようなものなんだからと、こうおっしゃったわけですね。  そうしますと、今の国庫負担の割合でいきますと、六万七千円のうちの三分の一が国庫負担ですから、国庫負担がその程度しか入っていない、その分が言わば最低保障になっている。全額税方式にすれば六万七千円を税で最低保障として受けたらいいんじゃないかと、こういう考え方になるわけですけれども、私、十七万円という金額、みんながもらえるのであればそれで問題ないと思うんですけれども、問題は、やはりモデル年金以下でしか年金がもらえないという方たちもたくさんおられるわけで、それは長年働いてきたけれども賃金が低かった人たちというのは、当然もらうその年金額も少なくなるわけですね。  その点で大臣にお伺いしておきたいと思っておりますのは、物価スライドの完全実施が言われております。凍結後一・七%、今年の物価下落分が〇・四%程度ということで、二%程度来年の春から再び年金の減額をしようという考え方でございますが、あるいは給付乗率の引下げをする、先ほど来、五〇%程度どうだろうと、こう申し上げている。大臣のお考えでいきますと四二、三%ということになりますけれども、そうした乗率の引下げをする、物価スライドの完全実施をするということで、実は年金をもらっておられる方たち全体の年金が減ってくるわけですね。  高い年金をもらっている人たちが減る部分は、ある意味では影響がないのかもしれない。公的年金控除の見直しで、たくさんの年金をもらう方あるいはほかに所得のある方にもう少し御負担をいただくということはあり得るのかもしれないけれども、低い年金の人たちも物価スライドが完全実施をされる、あるいは給付乗率が見直されると、この人たちも下がっていく。その下がっていくところで、やはり下支えが必要になるのじゃないかと私は思っているわけです。  その意味で、少し深読みし過ぎなんでしょうか、先ほど申しました財政審の意見書が、税金を基礎年金給付に一律に一定割合で投入するのではなくて、必要なところに重点的に投入するという考え方も念頭に置いて検討する必要があると、こういうくだりがございます。ここはどう読むのかなと、こう思っているんですが、ある意味ではべたで入れるのではなくて、片寄せて必要な方たちに入れるという意味では基礎年金制度の見直しが必要であると、こういう考え方にもなろうかと思っておりますけれども、ここの部分について若干、財務省の方から補足なり、大臣から御説明をいただけると有り難いんでございますが。
  53. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まだそこまで十分な議論が尽くされておりませんので、途中経過としては私から申し上げるのもちょっといかがなものかと思いますので、遠慮させていただきます。
  54. 山本孝史

    山本孝史君 遠慮しないで、途中経過でも結構ですので御発言をいただかないと、国会ですので、国民の側にメッセージが伝わりません。御答弁をいただきたいと思います。
  55. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) よく財政審と話合いをいたしまして、議論を前向きに進めるように申しておきたいと思います。
  56. 山本孝史

    山本孝史君 私は位置付けがよく分からないのですが、財政審の意見書というものは予算の編成にどの程度影響されるものなんでしょうか。全く影響を及ぼさないものでしょうか。
  57. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは、基本的な考え方財政審の考え方を取り上げていきますが、しかしさりとて、そのとおりになるというのは、税収の問題もございますし、あるいはまた予算の効率化とか、あるいは政策の重点化、めり張りということをよく言っておりますが、そういうことございますからして、予算編成はやはり相当有機的な関連というものを考えなきゃなりません。  しかしながら、骨幹的な考え方の基本となるものは財政審の考え方で終始したいということを私たちは考えております。
  58. 山本孝史

    山本孝史君 年金制度に大変詳しい大臣であられると理解しておりますので、あえてお伺いしておるのですけれども、基礎年金に税を一定割合で、延べ単で入れるのではなくて、必要なところに重点的に投入したらいいのではないかというこの考え方について、大臣はどのようにお考えになりますか、税の使い方としては。
  59. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私もその中身をまだ聞いておりません。  しかし、問題は、複雑なことになっては私はかえって国民が分かりにくいだろうと。今よく言う、一般の国民の方おっしゃいますが、私は年金どれだけもらえるのかなと、さっぱり分からんのやと。聞いても、役所へ聞いてもそれは分からんと。こういうことではもう不安でしようがないと。だから、分かりやすく年金の計算ができるようにするということが大事なんではないかと、私そう思っておりまして、財政審の御意見等も、そういう点においてどう考えておられるか等考えて、よく聞いてみたいと思っております。
  60. 山本孝史

    山本孝史君 坂口厚生労働大臣にお伺いをしたいんですけれども、物価スライドの完全実施というお話が出ております。  来年度予算編成を考えますと、この完全実施で国費一千億円程度のセーブができるということでございますけれども、この来年度物価スライドの完全実施ということについてどうお考えになるのか。そして、私、先ほどから申し上げていますように、物価スライドの完全実施や給付乗率の見直しで、全体的に、年金をもらっている方たちのそれぞれが、たくさんもらっている人も少なくもらっている人も全体が減るということについて、少ない年金しかもらえない方の下支えが必要ではないかと、こう思っているんですが、大臣のもしお考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  61. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 物価スライドにつきましては、一応これはもう法律で決まったことでございますので、それに沿って今年も実施をさせていただいたところでございますが、この一・七%というのは過去の分が残っているわけでございまして、これをどうするかということでございましょう。今年一年間の分をどうするかという問題と過去の残っております分をどうするかという問題とを少し分けてやはり考えなければいけないんだろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、先ほどから塩川大臣からもお話ございますように、来年は年金改革の年でございまして、来年の通常国会におきましては、年金改革の基本的な考え方をお示しをして、将来こういう年金にさせていただきますということをお示しをし、御議論をいただいて決定をさせていただくことになるわけでございますので、そうしたこととも併せてこれは今後検討をしていかなければならない。しかし、そんなにたくさん時間があるわけではございません、年末までには決定をしなければならないことだということは十分理解をしているつもりでございます。
  62. 山本孝史

    山本孝史君 この財政審の意見あるいは骨太の方針の第三弾の素案でございますけれども、この中で潜在的国民負担率の話が出てまいります。  「政府の規模」と、こう書いてございますが、括弧して潜在的国民負担率、「を中長期的にも五〇%程度にとどめることを目指す。」と、こう書いてございまして、年金についての具体的な記述は特にないわけでございますけれども、この五〇%、潜在的国民負担率を中長期的にも五〇%程度にとどめると、こういう表現について、私は、潜在的国民負担率と、こういうふうになりますと財政赤字の部分も入ってくるわけで、かねてからの考え方と少し違っているのかと思っておりますけれども厚生労働大臣のまず御見解をお承りをしたいと思います。
  63. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 国民負担率の問題は、よく今までから議論になったところでございました。  ただ、今回の議論は、潜在的国民負担率、すなわち赤字国債も含めました分を含めてでございまして、現在既に四七%ぐらいになっているというふうに思っております。したがいまして、今後の年金改革等を考えますと、五〇%というのはもうすぐそばにあるわけでございます。  先日も経済財政諮問会議におきましても、私の意見として申し上げたところでございますが、潜在的国民負担率という、その議論をしていただくことは、それは今後大変大事なことだというふうに理解をいたしますけれども、しかし、そのときには財政再建の問題とセットで御議論をいただきたいと。財政再建の問題を抜きにしてこの潜在的国民負担率だけを議論をするということになりますと、現在の財政上の赤字の問題を社会保障にだけ何となくこう押し付けるような印象を国民に与えることになりはしないかと私は大変心配をいたします。  ですから、この潜在的国民負担率の議論はひとつ今後の財政改革、税制改革の問題とセットで御議論をいただきたいということを申し上げたところでございます。
  64. 山本孝史

    山本孝史君 竹中大臣にお見えをいただいておりますので、この潜在的国民負担率を五〇%程度にとどめると、このことについての御説明をいただきたいと思います。
  65. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 山本委員指摘のとおり、先般の骨太第三弾の素案の中で、政府の規模として中長期的にも五〇%程度にとどめるということを目指すというような表現を書かせていただいております。それに基づきまして、これはまあ様々な意見がありますので、今政府内部でもしっかりと調整をしているところであります。  背景だけ申し上げておきますと、これは民間議員を中心に五〇%程度というのは非常に強い意見として出されたわけですが、その背景は、やはり全体としての財政問題、全体に対して非常に強い危機感があるということだと思います。  これ、試算によりますと、このままでいくと、この政府の規模、潜在的な国民負担率というのはやはり六〇%を超えてしまう、それだけ強い財政の拡大のトレンドがあるということだと思います。六〇%を超えるというのは今のイギリスやドイツを上回ってしまうということでありますから、その意味では、社会の在り方として、政府に大きく依存する社会というのはやはり困るのではないだろうか。自助自律を目指して、政府に大きく依存しない社会を目指していく、そのために政府の施策は集中と選択を行っていく、この基本的な考え方自体は、やはりこれは私も必要なことではないかと思います。  ただ、いずれにしても、今、坂口大臣御発言ありましたように、これは社会保障と直接結び付けるものではないというふうに思っておりますし、これは今正に調整中でありますので、様々な御意見を伺いながらしっかりと調整をしたいと思っております。
  66. 山本孝史

    山本孝史君 であれば、潜在的国民負担率ではなくて単純に国民負担率としての議論をしていただいた方がいいんじゃないか。潜在的国民負担率を五〇%というふうに上でキャップを置きますと、当然その中で、もう今四七%まで来ていれば間はないわけですね。これから先、財政赤字は更に増えていくだろう、そうすると、こっちが増えてくれば当然下の方は減らさざるを得ないわけですから、しかし、社会保障だけじゃなくて税金の方だって増税をしていかなきゃいけない。  そうすれば、どうやってこれをやりくりしていくのかと、余り意味持たないじゃないかと、この潜在的国民負担率五〇%というのは。そうやって国民をミスリードするような話が本当にいいんだろうかと。必要なものは必要なものとしてちゃんと取っていこう、そのためには潜在的国民負担率でなくて、国民負担率を幾らにするかは国民が選択する話であって、それを一方的に、財政赤字の再建分まで含めて五〇%として置くという考え方が少し私は手荒に過ぎるんじゃないかと、こう思うんですけれども、いかがですか。
  67. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今申し上げましたように、基本的に議論されているのは政府の規模だということだと思うんですね。その意味では、繰り返しになりますけれども政府に大きく依存する社会を目指すのか、そうではない社会を目指すのかと、ここはやはり重要なポイントであろうかと思います。  それで、潜在的な負担率か実際の負担率かというのは様々な御意見があろうかと思いますが、やはりこの財政赤字を長期にわたって置いておくことができないというふうに考えるんであるならば、非常にその、これ長期をどのぐらい取るかはともかくとして、潜在的国民負担率の議論と実は現実の国民負担率の議論というのは、実は長期で考えると同じレベルの議論であるということにこれはなるのだと思います。  いずれにしましても、ここは委員の御意見も含め、様々な御議論があるということは承知をしております。その意味を、その点を踏まえてしっかりと調整をしたいと思っております。
  68. 山本孝史

    山本孝史君 政府に依存をしない社会を作っていこうという考え方は私も半ば理解をしておりますけれども、しかし、それを作る上でこういった議論の仕方をしますと、やっぱりミスリードしていくんだと私は思います。そういう意味で、もう少し慎重な御議論をしていただきたいと、そのことをお願いしておきたいと思います。  年金のことを中心に社会保障財源の問題をお伺いをさせていただきましたけれども、やっぱり冒頭申し上げましたように、今必要な経費はこれだけ要るんだと、その中に無駄があるかどうかはまた別の話ですけれども、社会保障として義務的経費としてこれだけ要るというものはやはり当初予算にしっかりと盛り込みをして国民に、今それこそ竹中大臣がおっしゃったように、これだけの財政規模になっているんですと、この形を示すというのがやっぱり私は大変重要だと思います。  まずはその前提を示していただいて、そしてそのうちの一部を当初予算に盛り込めないから別途に計算しよう、あるいは制度の変更をする中で削減を図っていこうと、そういう次の議論に行くべきであって、ここの部分でも国民をミスリードしないような正確な情報をやっぱり出していただきたい。二十一世紀の日本社会、一番大切なのはやはり情報公開だと思いますので、正確な情報をまず国民に伝えることだと思っています。  そういう意味では、あと六分ありますので、片山総務大臣にお越しをいただいておりますので、申し訳ありません、お待たせをいたしましたが、地上波デジタルの問題について是非大臣にお伺いをしておきたいと思います。  時間がございませんので、局長答弁のところは私、少しはしょらせていただきますけれども、十三年六月にこの話が始まりましたときには、いわゆるアナ・アナ変換の問題でございますけれども、二百四十六万世帯対象で七百二十七億円要るだろうと、こうおっしゃっておられました。対象家庭がどんと広がりまして、四百二十六万世帯で千八百億円必要だと、こうお話しになりました。  いかにも見積りが甘い、机の上で考えていて実際に出ていったらそんな話じゃ済まなかったと、こういうことだと思いますけれども、この先幾ら掛かるんですかと、こうお聞きをしましたら、大丈夫、この範囲内でやり切りますという、旧日本軍みたいなようなお話をしておられるんですが、私大変心配をいたしております。  実際のところは、アナログ放送は二〇一一年には止めることはできないだろう、サイマル放送を続けざるを得ないのじゃないかと思います。そうしますと、地方の放送局については大変大きな負担になってくるのではないか。結局、系列化したといって本当にそれが日本の国にとって良かったということになるのかどうか、私は大変に心配をしているところでございます。  その意味で、本当にこれでやり切れるんだろうか、あるいは本当に、一億台のこの目標であるところのデジタル受像機というものは本当に普及するんだろうか、その点について御認識をお伺いをします。
  69. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この地上波のデジタル放送は本当に御心配いただいておりまして、衆参の総務委員会でも御丁寧な質問を毎回いただいているんです。なるほど、七百二、三十億が千八百億というのは、これはちょっとした誤りじゃないんですね。誤りというのは五割ぐらい増えるのを誤りと言うんですよ。二・何倍などというのは、これはもう大変見積りが不正確だったということなんで。  ただ、事務方のために言いますと、机上でいろいろ計算したものですから、実態の電波の状況を調べたわけじゃないんですね。いろんなデータを集めて、これはやっぱり九州の真ん中の辺だとか瀬戸内海だとか、首都圏ですね、この北部だとか近畿だとか、こういうところは実態よりはるかに電波事情が錯綜して難しいんですよ。そういうことで、これはうちの方だけの責任じゃなくて、NHKも民放連も一緒なんですけれども、千八百億でちゃんとやると。今のところ極めて順調に受信側も進んでおりまして、送信側も前からやっているんだから、放送事業者の方は。  それで、問題は、二〇一一年の七月二十四日までにやると、こういうことなんですね。テレビは今、約四千八百万世帯、一億台ですよ。一億台以上あると思いますけれども、大体今、年間に一千万台買い換えるんですよ、一千万台。これからいきますと、これからまだ八年あるでしょう。八年だと、普通のペースで行くと八千万台、それを一億台ちょっとにするということは、私は可能ではないかと。  そこで、国民運動にせにゃいかぬと思いまして、先月の終わりに、地上デジタル推進全国協議会というのを作りまして、経済界も、いろんなテレビを作るメーカーさんも、卸も小売も、あるいは民放連はもとよりその他のマスメディアも、地方自治体も全部入れた、そういう推進母体を作りまして、今それぞれ目標を作ってやってもらうと、こういうことにしておりますから、日本人は目標を決めて締切りを作るとだっと行く国民ですよ。いやいや、だからそれを、まあちょっと危ないからどうだというようなことをやるとかえってもう良くない。そこで、一一年の目標を作ってしっかりやりますので、是非御指導を賜りますように、御支援を賜りますように。
  70. 山本孝史

    山本孝史君 目標を示してそれに向かって突っ走るというのは、戦争中のスローガンと全く同じで、私は、そういうことで本当にいいのだろうかと。  大臣はチューナーを付けたら見れるようになるんだとおっしゃるんだけれども、チューナーを付けても普通のテレビだったら別に高画質になるわけでも何でもないですよね。逆に言うと、アナログ放送が止められた時点においてチューナーを付けなければ、そのテレビはただの箱になってしまうわけで、それは余りにも国としては無謀なやり方じゃないかと、国民に一方的に私は押し付けていると、こう思うんです。  何か大臣の御発言を聞いていると、本当に何かちょっと、申し訳ない、時代錯誤的に思うんだけれども、ここまで関係者が努力しようと盛り上がっていますから、それを白紙に戻すことなんかできませんと、もうとにかく行け行けという感じでしょう。本当にそれでやれるんだろうか、アメリカだってイギリスだって成功しなかったんだから。日本の国の中で本当にそれで成功するかと言われたら、私は成功しないと思うんです。  この十二月から、東京、名古屋、大阪で放送が始まりますけれども、あれは何か全域、東京全域で見れるように思っていますけれども、東京タワーから発信される電波の影響があって、本当のところ、NHKの教育テレビが見れるのは東京だって十六万世帯しかないわけですよね。多摩地方に行けば、あそこは全部UHFで放送しているわけですから。そういう意味で考えると、国民も、これも何かええもんが見れるんかなと思っているけれども、何のことはない、そんなことはないわけですよ。そういう意味で、私は、やっぱり本当のリーダーは、どこかで引き返す勇気を持っているのが本当のリーダーだと思うんです。  この地上波デジタルをやらなければいけない本当の問題が、東京等における移動体通信の周波数が非常に込んでいて空けなければいけないんだということは理解しますけれども、そのために全国一斉にやる必要性は多分ないんじゃないかと。そういう意味で、都市部だけで行えばいいんじゃないかということを申し上げて、もう一度御答弁をいただきたいと思っております。
  71. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 電波が錯綜しているところだけをという、例えば首都圏や都市部だけをと、こういう御議論も確かにありますよね。しかし、このデジタル化はむしろ全国の普及に適しているんですよ。高齢者の方や障害者の方に優しいテレビですし、将来の電子政府や電子自治体の情報端末になるんですよね。そういう意味では、むしろ恩恵は地方にあるんですよ。電波の事情だけ見るとそうですよ。そこで、首都圏だけがいろんなデジタル化ができて、携帯電話も便利になって、走る自動車テレビも大変明確になる、明瞭になると、しかしほかのところはそうでないと。これはデジタル化としては私はやっぱりやるべきでないと。  だから、全国一律にやっていただきますけれども、一番需要の多い三大都市圏から今年の十二月から始まると、言われるとおりですよ。NHKは見れるけれども、民放で全部見れるかといったら、なかなかそうはいきません。しかし、これはみんな今、関係者が総力を挙げてやっておりますし、特にローカル局等については、今いろんな税制だとか融資だとか利子補給だとか、いろんな優遇措置を今もやっておりますし、今後もなおいろいろ方策を考えたいと、こう思っておりますから、今からどうかどうかと言うのも、もちろんそういう検討はしながら全体を私どもは進めてまいりたいと、こう思っております。
  72. 中原爽

    委員長中原爽君) 時間が過ぎておりますので。
  73. 山本孝史

    山本孝史君 時間になったので、終わります。  ありがとうございました。
  74. 山下栄一

    ○山下栄一君 私は、特殊法人改革の実効性といいますか、を中心に質問させていただきたいと思います。  平成十三年度に特殊法人の改革の基本法ができまして、整理合理化計画が十三年の十二月閣議決定されまして、それに基づいて、昨年の臨時国会、そして今国会、独立行政法人化法案を中心に進んでおるわけでございますけれども、石原大臣が中心になると思いますけれども、併せて総務大臣、また文科大臣にもお聞きしたいと思います。  特殊法人から独立行政法人に移行するに当たっては事務事業を徹底的に見直すということが閣議決定された整理合理化計画にも明確に書いてありますし、また昨年の十月十八日、臨時国会開会日に発表されました基本方針にもそのことが書いてあるわけでございます。しかし、事務事業の徹底的見直しというのは、言葉はすばらしいんですけれども、それがどこまで実際行って、法案化、そして施行されていくのかという、そういうことを検証しなくちゃならないというふうに思うわけでございます。  それで、十五年度予算なんですけれども、十五年度に、例えば独立行政法人に四月から移行、年度内に移行する法人は三十五法人あるわけですけれども、まだ特殊法人というのは残っておる、そういう法人もあります。あわせまして、十五年度予算では、去年から比べますと一兆一千億、税金の投入が削減されたと。ところが、今年度独立行政法人に移行する、移行した、そういう法人に絞りますと削減率が非常に少ないと。全体的な特殊法人とも含めて比べますと昨年度からは一兆一千億、二七・一%も減っているわけですけれども独立行政法人だけに絞りますと五・八%だと、前年度に比べて二千三百九十三億円の減だと。  事務事業の徹底的見直しをやって、今年度法律を施行するのであるならば、削減率は二七・一%を上回らないとおかしいんではないかなと私は思うわけですけれども、これはどういう考え方で。今、余り見直しが進んでいないということなんでしょうか。
  75. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) こういう整理だと思うんです。百六十三のすべての特殊法人については、やっています事業、これは共済組合等々も入っていますけれども、整理して、時流に合っていないもの、民間に任せられること、あるいはもうその事業をやらなくていいものの整理をいたしました。組織形態論が廃止、民営化、そして公の事業としてやはり今後もある程度やっていかなければならないものを実は独立行政法人というふうに整理をさせていただいたわけであります。その結果が、委員が御指摘のとおり、十五年度でいうとおよそ二千四百億等々の削減と。これは、やはり独立行政法人として仕事をしていただくということを前提に歳出の削減を塩川財務大臣を中心に御議論いただいたところがその数字になっている、こういう御理解をしていただきたい。  すなわち、何が申したいかというと、もう独立行政法人、すなわち公の事業としてやるのをやめてしまえと言えばもっと巨額の削減額というものが出てくるのではないかと思っております。
  76. 山下栄一

    ○山下栄一君 事業が同じように継続しておるならば予算は必要なわけですけれども、徹底的見直しをするということは事業そのものも減っていっている、減らしていくということが前提だと思いますので、こう聞かせていただきましたので。  財投ですけれども財政投融資というのは特殊法人の時代には何十兆という金額が投入されてきているわけですけれども、この独立行政法人に移行するに当たっては既に、資金運用部への預託というんですかね、これの法律は本当に改正されましたわけで、財投資金の投入を独立行政法人移行後も引き続き続けていくということになると、これ財投改革になるのかということを思いますし、多額の運営交付金その他の税金が投入されておる独立行政法人にまだ相変わらず財投が投入されている。この今年度移行した独立行政法人に絞りましても、十二、三法人で三千億を超える財投の資金が投入され、中には、例えば福祉医療機構のように、この十月から独立行政法人になるのに、移行後も去年よりも財投資金が増えているというような独立行政法人もある。  財投資金の投入は事業の肥大化につながるというふうに私は思うわけでございまして、財投資金が引き続き投入されているということについては、これ特殊法人改革にならないのではないかと。御見解をお聞きしたいと思います。
  77. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 財投についての御質問でございますが、法律的には、要件を満たしておれば独立行政法人にも出せることにはなっております。ただ、引き続きおっしゃるとおり出すべきかどうかというのは、一つ一つの事例に照らして考えていくべきで、もちろんございます。
  78. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっとこれは、鳴り物入りでこの財投の計画を小泉内閣は打ち出したわけでございますので、独立行政法人移行後も財投を投入するということになりましたら、何のための改革なのかということに、私は、これは中期目標の検証もこれから行われるわけでございますので、大事な観点にすべきだというふうに思っております。そういう意味で、事務事業を徹底して見直すということの検証が大事だなというふうに思うわけでございます。  石原大臣、お伺いいたしますけれども、先ほど冒頭申しましたように、十五年度中に三十五法人が、法律が成立して、場合によっては十月から施行される、来年一月から、来年三月からと、十五年度中に移行するわけですね。これは三十五法人あるわけです。これは移行するということを、各省庁関連のある独立行政法人については、事務事業を徹底して見直したのかどうかということが非常に問われると思うんですね。こういう、本当に見直して法律提出したのかということをどうチェックするのかなと。これは、総理の下に置かれる行革本部、その最高責任者である石原大臣がしっかりとこれは検証しないと、各それぞれの役所が中心に法案出しているけれども、徹底的に見直して法案化したのかということは、これは大変重要な検証の項目だと思うんですね。  法律施行して、実施してからやるんだということでは、ちょっとこれは整理合理化計画の精神に反するのではないか。法律を出す以上は予算も、例えば十五年度途中で移行する場合は、特殊法人から例えば今年十月から移行する場合は、それまでは特殊法人で途中から独立法人になるわけですから、去年の予算編成の段階で事業の見直しをして予算化しているはずなわけでございますし、体制も全部組んで、人事もきちんとやって法律にこぎ着けて国会提出するわけですから、この三十五法人について事業の見直しが徹底してやられたかどうかということを検証した上で法案が提出されているというふうに思うんですけれども、その手続になっていないんでしょうか。
  79. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) こういうふうに是非御理解をいただきたいのは、整理合理化計画で決めましたのは平成十三年の年末でございます。そのとき当方の事務局で考え得る、その時流に合っていない事業あるいは重複している事業、これを整理をいたしました。それに基づいて百六十三法人ベースの改革が行われ、ただいま委員が御指摘の三十五法人について法案が通り、この特殊法人から独立行政法人という移行期間が今年度にやってきたわけでございます。  その法人の現在行う事業予算というものの責任は、その所管省庁を担当している大臣が担っているわけでございます。  そして、その役所に、その独立行政法人の、委員が御指摘した非常に重要なポイントでありますけれども、整理合理化計画で削減したとされている事務事業、あるいはまた、これから新しい法人成りをしたときに、その法人がやらなくてもいいような事業があるのではないかというようなチェックは、その所管している省庁の側で一義的に調べていただくというふうな整理になっております。  そして、それをチェックするのが総務省という形になっておりまして、その推移を見て、委員の御指摘のような無駄というものがあれば、行政改革というものは実は終わりがないわけでございますので、これからも見直しをしていかなければなりませんし、予算の面で、ただいま財投の話を委員はされておりましたけれども予算的にもその独立行政法人が必要以上なものをしているようであるならばこちらとしても注意をしていくと、こういう整理になっております。
  80. 山下栄一

    ○山下栄一君 次に、特殊法人から独立行政法人じゃなくて、元々国の、国立研究所等の直営であったところからの独立行政法人についてのチェックがちょっとどうなっているのかなというふうに思っております。  例えば役員の報酬の問題、それから役員数、国立研究所時代は、役員に当たるような形の、例えば所長さん一人だったと。ところが、実際、独立行政法人になってからは、役員の方が一人から四人に増えたり五人に増えたりしているというようなことになっているわけですね。それから、報酬も公務員時代と比べると大幅にアップしていると。定年についても、当たり前のことかも分かりませんけれども、国立研究所のときは六十歳だったと、それが独立行政法人になると六十五歳、理事長、副理事長等は七十歳まで行けると。これが改革なのかなと。分かりにくいなというふうに思います。  あわせて、国交省の中に北海道開発庁所管だった北海道開発土木研究所というのがありましてね、ちょっと国交省の大臣、お呼びしておりませんけれども、この国立研究所時代、所長だった方が所長を辞めて、退職金もらって辞めたと、それが独立行政法人になったと、同じ人が、所長辞めたのにまた今度は理事長になって、またこれ退職金もらうというふうになっていくわけですね。  ということは、この国立、直営であった研究所その他が独立行政法人になると非常に、ある意味じゃ隠れみのになって、定年は上がるわ報酬はアップするわ役員は増えるわと。同じ人が同じ役職に就いて二回も退職金もらうというのは非常に分かりにくい。国民から見て、独立行政法人というのは一体何なんだと、国家公務員の定数削減のための、定員逃れのためのやつなのかと、これは改悪なのかというふうな、そういう今激しい非難があるわけですけれども。  特定独立行政法人になったケースが多いと思うんですけれども、この辺の改革の理念というのはちょっとおかしいなと思っているんですけれども、石原大臣の御感想を。
  81. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいまの委員の質問は二つのことがあると思います。すなわち、先行して独立行政法人になりました旧国立系の行政機関あるいは博物館、美術館等々といったもの、そして今回の特殊法人から独立行政法人になったもの、その二つがあるということをまず御理解をいただきたいと思います。  平成十三年に実施しました中央省庁の改革の一環として、平成十三年の四月一日、森内閣のときでございますけれども、ただいま委員が御指摘されましたような国の試験研究機関、検査検定機関等々が独法化いたしまして、この法案の審議というものは平成十一年に続総務長官の下でかなりの審議時間を得て結果を得たところでございます。  これらの機関は、委員が御指摘のとおり、国の機関から移行したものが多いために、その事務事業に高度な知識が必要ですから前任者の方がまだ引き続いて人材を充てると、こういうことが過去の答弁でもなされているわけでございます。その一方、独立行政法人通則法におきましては、独立行政法人の長は主務大臣が、役員については独立行政法人の長がそれぞれ任命するということになっております。そんな中で委員が御指摘の問題が私は発生してきているのではないかなと思っております。  そして、今回の独立行政法人改革、特に役員数は、業務上運営、業務を運営をしていく上で最小限になるようにということで、個別法でその上限というものがさきの臨時国会で審議されましたけれども、個別法で役員の上限が決められております。その結果どういうことになったかと申しますと、現在の特殊法人と比較いたしまして、法定数で四割、常勤数で四分の一削減し、こちらの部分は役員の数も実は削減されているわけでございます。  そして、この給与、役員報酬の方でございますけれども、支給基準等を今回公表することにいたしました。と申しますのも、委員が御指摘のとおり、大した仕事もしていないのに必要以上に取っているんじゃないか、そういう実態が実は公にされていなかった、こういうものを公にし、役員報酬については、独立行政法人評価委員会がその役員報酬が適切であるのか適切でないのかということを申し出ることにしております。  また、昨年の十月十八日の特殊法人改革推進本部において、この役員報酬、給与について、適正水準にするとともに国家公務員及びほかの独立行政法人と比較できる形で、比較することによって、今、委員が御指摘の先行独法との比較というものがなされるわけですけれども、その具体的手法について、やはり委員の御質問の趣旨にのっとる形で関係部局で今検討を進めているというところでございます。
  82. 山下栄一

    ○山下栄一君 今触れられました役員の報酬もそうなんですけれども独立行政法人の一般職員の給与ですね。給与水準を公表しなさいと通則法に書いてあると。ただ、これを、閣議決定、改革推進本部決定ですね、基本方針の中では、今お述べになりましたように、国家、ほかの公務員の方と独立行政法人職員の方が比較ができるように分かりやすく公表することになっているわけですけれども、これはまだ検討中だと思いますけれども、これは是非、国民から見て分かりやすい比較の仕方で公表すべきだというふうに思いますけれども、人事院のお考えをお聞きしたいと思います。
  83. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 昨年の秋にも同じ御質問をいただきました。  現在、検討をしておりますけれども、要は、お忙しい国会議員さんが一目見て分かる、あるいは素人の国民がやはり同じようにすぐに分かる、そういうような方式で公表できないものかと、公表したいということで検討を進めております。
  84. 山下栄一

    ○山下栄一君 独法の職員の給与についてはこれは人事院の所管外だというふうには思うわけですけれども、私は、国家公務員の給与については人事院が調査、民間調査されて、民間と比較しながらやっておられるわけで、各省庁におきましても、特に石原大臣の下で監視していただいて、比較できる形で分かりやすく公表という本部決定を速やかに実現していただきたいというふうに思います。  残された時間、政策行政評価についてお聞きしたいと思います。  独法化することによって非常に裁量の余地が大幅に拡大されたと。したがって、今度、この業績評価をしっかりやらないとこれはちょっと大変国民の期待に反するようになってしまうと思うんですね。裁量の余地は増えて大量の公金、公的資金が投入されるにもかかわらず評価が甘いと、こうなると実効性が上がらないというふうに思うわけでございます。  そこで、ちょっと具体的にお聞きしますけれども、中期目標、三年から五年、その三年、一番短い三年を中期目標にしている独立行政法人一つだけありまして、これが文科大臣所管になるんでしょうか、教員研修センター、独立行政法人教員研修センター、これ十五年度が最終年度になっていると。最終年度、中期目標が実際どれだけ達成されたのかということを初めて行う独立行政法人が文科省の関係のところの独立行政法人であるという。  通則法三十五条には、文科省の評価委員会の意見を聴かなきゃならないと書いてありますし、同時に、総務省所管、総務省にあります独立行政法人の評価委員会、ここは勧告することができると書いてあると。  いずれにしても、最終責任は、大臣がきちっと評価したのかということが問われると。中途半端な評価になってしまうと、何のために公的資金投入したのかということになると、また独立行政法人にしたのかということになると、実効性が問われる最初のケースがいよいよ今年度来ようとしているわけでございますけれども。  私は、これ、そういう材料がびしっとあるのかなと。中期目標を達成する、また場合によっては事業の改廃、組織の改廃まで含めた評価を最初に行う。この評価が試金石になるというふうに私は思うんですね、独立行政法人の実効性について。この点、文科省、文科大臣の不安はないのかどうかということをお聞きしたい。
  85. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 御指摘独立行政法人教員研修センターは、平成十三年四月に設立されたいわゆる先行独法でございます。そのセンターは、これまで文部科学省内の各局課などにおいて行っておりました国として行うべき教員研修を、国と地方公共団体との役割分担を踏まえた上で一元的、総合的に、かつ効果的、効率的に行うために設立されたものでございます。中期目標の期間につきましては、平成十三年度から平成十五年度までの三か年となっております。  平成十三年度事業の実施状況についての評価は既に行われておりまして、これは文部科学省の評価委員会で行ったものでございますが、全体として法人一年目の活動が十分に整理をされて、効果的に遂行しているとの評価をいただいております。平成十四年度分の評価につきましてはこれから行われるところでございます。  十三年度のその評価結果におきましては、都道府県等の研修事業に対する指導、助言、援助につきまして今後更に積極的な役割を果たすべしという提言がありましたので、平成十五年度予算に情報提供関係の経費を計上するということで、評価結果を予算に反映しているところでございます。  中期目標期間終了時、これは今年度末になるわけでございますが、そのときには、教員研修センターの業務を継続させる必要性あるいは組織の在り方など、全般にわたる検討を行うことになっております。  その際には、私は、国として、国が行うべき研修といいますものは、各都道府県において中心的な役割を果たす教員の研修を行うこと、さらには、全国的に喫緊の課題、例えば食中毒が起きた、あるいはエイズ、薬物の問題、あるいは最近大きく私どもの政策課題としております英語研修といったような、そういうものに着目した研修をやるのがいいというふうに考えておりまして、そのような観点から、事業の必要性、あるいはより効率的、効果的な研修が行われる組織体制があるかどうかということについて十分検討してまいらねばならないというふうに考えております。
  86. 山下栄一

    ○山下栄一君 時間が参りましたので、総務大臣に総務省の評価委員会の勧告の基準を、方針をお聞きしたかったんですけれども、また次の機会に、もう時間なくなって、申し訳ありません、済みません。
  87. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  最近、クラスター爆弾が愛知県の自衛隊の高蔵寺弾薬庫でも展示をされまして、県民の間では、憲法九条を持つ国になぜクラスター爆弾が必要なのか、こういう怒りと不安の声が大変高まっております。  そこで、防衛庁長官にまず伺いますが、これまで日本でのクラスター爆弾の購入、製造に幾らの予算を投入して、現在何発保有をしているのか、また何のためにこのクラスター爆弾を保有しているのか、お示しください。
  88. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) お答えを申し上げます。  クラスター爆弾は、一九八七年度、昭和六十二年度から調達を開始いたしておりまして、二〇〇二年度平成十四年度までに調達を終了いたしております。この間に、調達金額は百四十八億円ということに相なっております。  保有総数についてのお尋ねでございますが、保有総数を明らかにいたしますことは、私どもが持っております能力というものを明らかにすることに相なりますので、調達金額百四十八億円ということでお許しをいただきたいと考えております。  また、憲法九条を持つ国がなぜそのようなものを持っておるのかというお尋ねでございますが、私どもとしては、これは別に憲法九条との抵触があるとは何ら考えておりません。極めて専守防衛的な兵器であるというふうに考えておるわけでございます。  委員御案内のとおり、クラスター爆弾というのは二種類ございまして、対人地雷をばらまきます形のクラスター爆弾というものと、子弾をまきまして貫徹力でありますとか焼夷力でありますとかそういうものを発現するクラスター爆弾と、こう二種類ございます。一言で申し上げれば、広い面的な対象に対しまして攻撃をするというものがクラスター爆弾でございまして、私どもが有しておりますクラスター爆弾というのは、対人地雷をまいて多くの無辜の人々に死傷なりそういうことを与えるというものを企図したものでは全くございません。  要は、広い面的な対象に対しまして効果的な攻撃を行う。私どもはこのクラスター爆弾を海外において使うというようなことを考えておるわけではございません。そういうような敵の侵害に対しまして、いかにして効果的に攻撃を行うかということでクラスター爆弾を保有をしておるものでございます。
  89. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 地雷とは違うんだというふうにおっしゃっていますけれども、今クラスター爆弾で問題になっているのは、不発をする子爆弾、今、日本が買っております、作っておりますCBU87でいいますと、二百二個子爆弾を抱えて落ちていくわけですよね。それだけでも無差別殺りく兵器なんですけれども、投下後も爆弾の一部が不発弾になっていく、それが第二の地雷化となって、戦闘が終わっても長期にわたって深刻な被害を与える、これが問題になっているわけなんです。  ベトナム戦争が終わってもう三十年近くたちますけれども、現在も一千万個の子爆弾が残ると推定されるラオスでは一九七三年からの死傷者数が一万一千人。今も住民被害が続いておりまして、地雷廃絶日本キャンペーンでは、クラスター爆弾は隠れた殺し屋だ、ラオスで最も典型的なクラスター爆弾による事故は苗を植えるためにすきやくわで土を耕すときに畑や庭で起こるんだ、こういうふうに報告しております。  私は、今の長官の御答弁なんですけれども、こういうクラスター爆弾の非人道性というのはどう考えておられるんでしょうか。アメリカと同じ型の一つですね、CBU87。じゃ、このCBU87というのは、不発弾率というのはどれぐらいだとお思いなんですか。
  90. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私どもは、不発弾率、不発率というものが特に高いというような情報を承知をいたしておりません。このクラスター爆弾におきます不発率が極めて高いというような、ほかの兵器に比べて高いというような権威あるそういうような報告がいまだなされておらないのは委員御承知のとおりでございます。  これは有事法制のときもるる御説明をしたことでございますが、その兵器をどのように使うのかということも併せて議論をいたしませんと、議論としては一つのものにならないと私は思っております。有事法制のときに私どもがるる御説明をいたしましたのは、まずそういう兵器を使いますときに民間人がその場にいてはならないということでございます。いかにして早く警報を発し避難の措置を取りという形で戦場となる場所に民間人がいないようにする、それが国民保護法制の大きな眼目でございます。したがいまして、国民保護法制の成立を急ぐということに相なりますが、クラスター爆弾を使用いたしますときにそこに民間人はいないということでございます。  そして、その面を対象といたしますクラスター爆弾、その貫徹力でありますとか焼夷力でありますとか破片効果でありますとか、そういうものを用いることによって短期的に効果的に敵の侵害を排除できる、そういうような大きな能力を持っております。私どもは日本人に向けてクラスター爆弾を使うわけではございません。我が国の平和と独立を侵すということで侵入をしてきた、そういうような勢力に対しまして、これをいかに早期に侵害を排除するか、そして日本の平和と独立を確保するかということでこれを保有しているものでございます。  なお、敵の侵害を排除いたしました後に、その地域にまた民間人がお戻りになるということは当然あることでございましょう。私どもといたしましては、その場合に本当に不発弾になりました子爆弾というものがないのかどうなのか、それはどの地域に落とし、そしてどれだけの範囲にということは大体掌握をしておるものでございます。そういう地域にそういうような不発弾がなく、そして民間人にそういうような被害が及ばない、そういうことを確認をしてから民間人にお戻りいただくということは当然行うことでございまして、御懸念は当たりません。
  91. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 不発弾率について。
  92. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 不発弾率は、冒頭お答えを申し上げましたように高いという報告を受けておりません。
  93. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私、不発弾率を伺いましたのは、実際にはアメリカというのは自分の国内ではクラスター爆弾は使っておりません。大規模な戦闘が終わったはずのイラクで今も子爆弾が民間人に大きな被害を与え続けている現実があるんですね。  今回のイラク戦争の民間人死者数を集計しているイラク・ボディー・カウントによりますと、十一日現在では最低五千五百三十一人、最高七千二百三人、これ民間人が亡くなっているんです。私、そのうちクラスター爆弾に関連した死者数を集計したんですけれども、最低で八百二十八人、最高で千百七十二人、これはホームページを集計したんですけれども、その中には四月三日から五月二十日までのクラスター爆弾を含む不発弾による死者数、これが最低九十七人から最高百五十二人と。子供が拾って死亡事故となった幾つかの事例も含まれているんですね。  ヒューマン・ライツ・ウオッチという国際的な人権団体では、クラスター爆弾の不発率は二%から三〇%と見積もられているけれども実際にはきちんとしていないじゃないかと、もっと多いんじゃないかと、こういう疑問も呈しています。アメリカ科学者協会の文書では通常のクラスター爆弾の不発弾率というのはほぼ五%、こういうふうに言われています。  私は、コソボの例で我が党の小泉議員も質問主意書を出したんですけれども、アメリカそのものは相当たくさん一遍にクラスター爆弾を落とすものですから、万以上の子爆弾が、あなたは地雷とは違うとおっしゃいましたけれども、爆発せずに地上あるいはいろんなところに残るわけです。そして、それが今も世界のいろんなところで、そういうことで子供たちも、大人でもおもちゃかと思って持ってくるような人もいるそうですけれどもね、先日ニュースになったんですけれども、そういうのを子供たちが触る。  結局、国連アフガニスタンの地雷対策センターのプログラムオフィサーの小泉さんという方は、結局第二の地雷になるんだと、対人地雷禁止条約の締約国である日本は保有すべきじゃないんだと。また、この方は、なぜ自衛隊がクラスター爆弾を保有しているのか、海を越えて他国の戦車が大挙、日本上陸を敢行すると判断しているんだろうかと、こういう疑問も呈しておられるんですけれども、ポール・マッカートニーさんも、この卑劣な兵器が非合法になればすばらしい、戦争で被害に遭うのは主に女性や子供たちだと語って、法で禁止するよう求めていますが、いろんな人たちが卑劣な兵器だと、非人道的だと。しかも、今も非戦闘員が、爆発したときにも非戦闘員が殺傷されて、爆発の後の二次被害を受けるというんですか、それもやっぱり女性とか子供とか、そういう非戦闘員じゃないかと、こういうことを現実に言われている。こういう各界の声とかNGOの声、こういうのをなぜあなたは耳をふさぐんでしょうか。  また、不発弾率は高いとは思わない、知らないというふうにおっしゃるんですけれども、調べようとも思わないんですか。国際会議で、人道に反するような武器になるんじゃないかといって提言もしないんですか。それはどうなんですか。
  94. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 何度も申し上げておりますが、私どものクラスター爆弾を海外で使用することは考えておりません。海外で使うというような場面はあり得ません。したがいまして、このクラスター爆弾は、何度も申し上げますが、我が国の平和と独立を侵すために入ってくる、そういう勢力に対しまして効果的な攻撃を行う。もっと申し上げれば、その兵器を保有していることによって日本に対する侵害を思いとどまる、兵器というものはそもそもそういうものでございます。  それが非人道的かどうかということでございますが、これも繰り返しで恐縮ですが、対人地雷とクラスター爆弾を同列に論じますと委員のような御議論になろうかと思いますが、対人地雷とクラスター爆弾というのはそもそも違います。不発弾化ということはございますが、それは結果としてそうなるのであって、最初から対人地雷というものを企図しているものを私どもは保有をいたしておりません。  加えまして、民間人が、女性や年少者の方々が犠牲になるではないかというお話でございますが、そういうことにならないようにきちんと国民保護法制を作ろう、そういう場所に民間人の方がいらっしゃることがないように、警報を出し、避難をし、誘導をし、そういう形で民間人の方が犠牲にならないということを考えておるわけでございます。  加えまして、そのクラスター爆弾を外国で使うという場面は想定をされません。なぜならば、それは自衛権の行使の三要件というものを考えてみましたときに、それは一要件、二要件とございますけれども、必要最小限のものでなければならないということを考えてみましたときに、クラスター爆弾のようなものを広範囲に使うということはまず想定をされないことでございます。  したがいまして、我が国の中において、民間人の方々が殺傷されるということはあり得ない、海外において私どもがクラスター爆弾を行使し、そういうような被害が起きるということも考えにくいのでございます。  委員はクラスター爆弾というのは実際にごらんになったことがおありかと思いますが、これは黄色に塗っております。黄色に塗っておりますがために、子爆弾を、それを子供たちがおもちゃと間違えて拾っちゃったと、それで被害が生じたという例は私も聞いております。  そうしますと、クラスター爆弾というものがある、そういうような黄色いものはおもちゃではなくてクラスター爆弾の子爆弾の不発弾である、だから近づかないようにということをきちんとそれを言わなければいけないのだと私は思っております。どうやって侵害を排除した後に民間人の方々に危害が及ばないようにするか、それはそれぞれきちんと考えていかねばならないと思います。  したがいまして、世界に向かってそういうことを言う気がないかという御指摘でございますが、私はこのクラスター爆弾は専守防衛、私どもの抑止力に大きく資するものだというふうに考えております。そして、不発弾率が高いのでこの兵器をやめようというような国際的な議論が一致したということも私は承知をいたしておりません。  ただ、これが不発弾にならないようなというような、そういう研究というものが一部の国で行われているということは承知をいたしておりまして、私どもとしては、その推移は注意深く見守っていかねばならないと考えておるところでございます。
  95. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 あなたとこの議論をしているとほかの質問の時間がなくなってしまいましたので、私は、国際的にもクラスター爆弾、廃棄するように日本政府が積極的な役割を果たすべきだ、アメリカにも使うなと言うべきだと私は思うんですね。  こういったクラスター爆弾を始めいわゆる防衛関連兵器、弾薬、これを作っている企業は一社、クラスター爆弾は一社ですけれども、あとも一社や二社なんですが、こういう企業の行う政治献金について伺いたいんです。  今日は総務省に来ていただいておりますが、まず、公選法百九十九条一項にあります、国会議員は、国と請負その他特別の利益を負う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならないと、国会議員に、こういうふうに載っておりまして、その他特別の利益を伴う契約の中に、防衛庁が発注するこういった兵器などを製造そして納入する契約も含まれると思いますが、時間がありませんので、明快に一言で言ってください。
  96. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) お答えを申し上げます。  委員指摘ございました公職選挙法百九十九条第一項は、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者が選挙に関する寄附を行うことを禁じているわけでございますが、この契約でございますが、まず第一に請負契約が当たります。次に、請負契約以外の契約で、特別の利益、つまり利益の契約全体に対する割合が通常の場合と比較して特に大きい契約、又は利益の割合は通常であっても、契約そのものが大きいために利益の総額が大きい場合で、例えばその利益が特恵的又は独占的な場合などが該当するものと解されているところでございます。  なお、具体の事例につきまして、この特別の利益を伴う契約に当たるか否かにつきましては、契約の内容に即しまして個別具体に判断されるべきものと、かように考えているところでございます。
  97. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 要するに、特定な利益、一社や二社しかありませんし、これは前にも衆議院の予算委員会で選挙部長に伺いまして、こういうのも当たるんだというふうに承りました。  そこで、資料を配付をさせていただいておりますので、それをごらんください。  これは、防衛庁長官経験者に対する防衛関連企業からの政治献金の一覧で、限りなく選挙に関する寄附ではないかと疑われるものであります。  最初の上の段ですね、池田議員のケースですが、総選挙が行われました二〇〇〇年分の同議員の収支報告書によりますと、第五選挙支部ですね、三波工業というところから百二十四万円寄附を受けていて、この会社は防衛庁からほとんど切れ目なく発注を受けている防衛関連企業です。二〇〇〇年六月二日に衆議院が解散をされ、総選挙は六月十三日告示、二十五日投票です。三波工業は選挙の始まる前日の六月十二日に百万円の献金をしています。これは、それとは別に、この企業は十回に分けて二十四万円の献金をしておりますが、正にこの百万円というのは自民党長崎県連違法献金事件と全く同じ構造、選挙に関する寄附というふうに思わざるを得ませんが、法務大臣、こういう場合きちんと捜査すべきだと思いますが、どうでしょうか。端的にお願いします。
  98. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) お尋ねは、検察当局の具体的活動にかかわる事柄を問われるものと思いますので、お答えはいたしかねます。  あくまで一般論として申し上げますと、検察当局におきましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づきまして適宜適切に対処するものと承知しております。
  99. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 最後の質問が時間がありませんので、皆さんのお手元に二枚目の資料をごらんください。  これは、過去五年間の防衛庁からの調達実績上位二十社というのがあるそうですが、その調達額の合計と、この上位二十社が自民党にどれだけの政治献金を行っているかを一覧表にしたものであります。  この軍需産業、五年間に合計四兆七千三百七十九億円、上位二十社だけですが、巨額の防衛装備品などの発注を受けています。一方、この二十社から自民党は五年間で十億五千五百四十九万円もの政治献金を受けているわけです。  私は、こういう軍需産業、公共事業は無論ですけれども、こういうところからこういう献金を受けるべきでない。私ども野党四党は、国と請負その他特別の利益を伴う企業からの政治献金禁止法案を提出をしておりますが、官房長官に伺う予定でおりましたが、時間がありませんので、私は、こういう献金を受けるのはやめて、野党四党の法案、しっかりと成立させていただきたい。こういう献金を受けているからこそ軍事費だけは聖域にしてちっとも減らさない、こういう自民党の構造を厳しく批判をして、質問を終わります。
  100. 広野ただし

    広野ただし君 自由党・無所属の会、国会改革連絡会の広野ただしです。  まず、金融問題について伺わせていただきたいと思います。  金融関係で金融システムの安定等に合わせて七十兆円の資金枠が用意をされております。その中で、今までに、りそな、最近起こりましたりそなの問題を含めて、りそなを二兆円弱としまして大体三十六兆円、三十六兆八千億円の資金が投入をされていると、こう私は見ておりますが、それでよろしいか、ちょっと確認をさせていただきます。
  101. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お答え申し上げます。  御指摘のように、これまで、破綻処理の関係、中身は、金銭贈与、資産買取り、それと資本増強関係、早期健全化法、それと金融機能安定化法、それぞれございます。これ単純合計をいたしますと約三十五兆になります。これに先般のりそなの金額が加わるということでございます。
  102. 広野ただし

    広野ただし君 非常に膨大な資金が、公的資金が使われているということです。大体三十六兆円以上を、お札、一万円札でどれぐらいになるんだろうかと、こう計算をいたしますと、大体富士山の百倍ぐらいになるんですね、高さの。富士山の高さの百倍、大変な金額なんです。簡単に三十六兆円と、こう言いますけれども、それくらいの膨大な資金であるということなんです。  その資金をその時々の金融危機あるいは銀行の破綻処理にその都度その都度場当たり的に使っているんではないのかと、私はどうもそういうふうに思えて仕方がないんですね。やはり全体的に金融システムあるいは銀行の体制というものはどうあったらいいんだろうかと、そういう金融界の再編ビジョンといいますか、そういうものがどうも見受けられないんですが、その点、竹中大臣、どうでしょうか。
  103. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 広野委員指摘のとおり、この金額がやはり膨大であるというのはもう御指摘のとおりだと思います。念のためにでありますけれども国民負担が確定しているのは十・四兆円でありますけれども、それにしても膨大であるというふうに私も思います。  それぞれどういうビジョンに基づいて行われているのだという御指摘だと思うんですが、確かに、これまでの公的資金の注入の枠組みというのは旧金融安定化法に基づくものがあり、また早期健全化法のものがあり、なかなか分かりにくくなっているという点はあるのだと思います。それぞれによってその考え方が違っていたというのも事実でございます。しかし、場当たり的かというと、決して、その時点で様々な要因を考慮して法の枠組みの下で厳正に実行されてきたというふうに認識をしております。  ただ、一般論として申し上げれば、これは公的資金注入がその典型でありますが、我々の監督行政そのものがやはり一つの大きな方向性の中で全体のバランスを考えながら行わなければならない。決して対症療法的であってはならないという御指摘は私はそのとおりであろうかというふうに思っております。  一方で、この再編そのもの等々は、これは大変重要な経営戦略でもありますので、護送船団の枠組みならともかく、今のような事後的な行政のチェックのやり方の中では、おのずと再編の誘導等々の制約というものはあろうかというふうに思っておりますが、全体のバランスの中で我々としてもしっかりとこの監督行政全体を進めていくという決意でおります。
  104. 広野ただし

    広野ただし君 場当たり的ではないんだと、こうおっしゃるんですが、しかし結果的にはどうもそういうことになっているんですね。  今まで金融行政、護送船団方式の典型的な例だと、こういうふうに言われ、しかし自由化を進めていく中で世界に出ていって、もう筋肉隆々ですごく体質の強い、そういう金融ということにはなっていないわけですね。しかも、みんなまだ横並びで、国際業務をやる、そういう業務をやるのに私はそんなに幾つも日本の中であっていいんだろうかと、私は、少なくとも二つか三つぐらいでいいんじゃないだろうかと、こういうふうに思うんですね。そのほかは地域銀行に戻る、あるいはスーパーリージョナル銀行に戻る、そして地域と深いつながりを持っていくと。それが、我も我もということで国際業務に出ていくと、そうしますと、自己資本比率が八%以上なければならない、誠に背伸びをしながらやらなきゃいけないと、こういう実態に陥っているんではないかと私は思うんですね。  竹中大臣にその点をもう一回伺いまして、また日銀も、銀行界をどういうふうに再編をしたらいいんだろうかと、そういう一つのビジョンをお持ちではないかと思いますんで、お二人に伺いたいと思います。
  105. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今、国際業務を行う銀行、つまり八%基準の銀行なのか国内業務に特化する銀行なのかというお尋ねがございました。これは、我々が先見的に日本でこれは幾つというようなことを申し上げるのは、先ほど申し上げました経営戦略、経営の自主性等から考えていかがかというふうに思いますが、これは銀行自身が諸外国の事例、アメリカでも確かに国際業務を行っているのは今、二グループでございます。そういう事例も踏まえながら、やはりしっかりとここの経営戦略を立てていただかなければいけないと思っています。我々は、そうしたビビッドな経営判断が可能になるような、しっかりとした検査の枠組み、監督の枠組みを作っていくという重要な立場にあると思っております。  今般のりそなは、そうした意味では、少し前にこれは国内銀行になるということの戦略を立ててその中でやってきた、スーパーリージョナルを目指すということでございました。そうした形での意思決定が各銀行において責任を持ってしっかりと行われていくように、我々としても監督面で努力をしたいと思っています。
  106. 三谷隆博

    参考人(三谷隆博君) 私ども日本銀行の立場からいきますと、まず日本の銀行が日本経済にしっかりとした資金供給ができるよう、その資金仲介機能を十分に発揮していく、そういうことがまずもって重要だと思っております。  そうした中では、もちろん経営基盤の安定化を図るとともに、リスクを取ったりコントロールしていく能力を高めていく必要があるわけでありますが、銀行の機能はこれだけでは必ずしもないと思います。これからの銀行に求められる大きな役割として、やはりそういった金融機関の持つリスク管理能力若しくは銀行業務を通じて得られる様々な情報を活用しながら、顧客のニーズに即して取引先の経済活動を支援していくというところも重要な課題であろうかと思っております。  この点、日本の今の産業界等の状況を見ますと、委員御承知のとおり世界経済がグローバル化し、日本の企業もいろんなところで活躍しているわけでございます。そういった中で、また日本、日本国の言わば対外資産というものを見ましても、これまた世界最大の債権国になっているわけでございます。  そういった中で、本当に、例えば国際的な事業展開をする銀行が一行か二行か、それでいいのかどうかというところは必ずしも先見的には決められない。まず取引先のニーズがあり、それを踏まえた経営判断があり、我々としては、そうした経営判断の下で必要な統合をしたいということであればそれを支援していきたいと思っておりますし、まだまだ独立してやっていくべきだと、その方がまだ日本の企業全体にとってよろしいんだということであれば、そういった判断を尊重したいというふうに考えております。
  107. 広野ただし

    広野ただし君 完全な自由主義、自由化された業界であれば、私はいろんなマーケットに任せるということでいいと思うんですね。しかし、少なくとも業法、銀行法というのがあるわけですね。それに基づいて官がある程度関与をしている、監督をしている、こういうところなんですね。今まで世界にどんどん出ていきました。しかし、痛い目に遭って戻ってきている、そういう点もあります。ですから、どんどん、尊重するというのは分かりますけれども、非常に地盤が弱いのに背伸びをしているという点が多々見受けられるのではないかと思うんです。  先ほど大臣がりそなの案件を出されました。私は、りそなは今度一兆九千六百億円ですか、投入をされる、そのときにどういう判断でそういうふうにされるのか。国際業務を依然としてやろうとするという判断でされるのか。あるいは、先ほどおっしゃいましたようにスーパーリージョナルバンクでいくんだ、こういうことでありますが、そうすれば、今、地銀等の平均の自己資本比率は九・七%ですね。優良行でも一一ないし一二%なんです。優良行並みのところまでぐうんと引き上げるということをなぜやらなきゃいけないのかと。そこにある程度位置付けというものがあって、そしてやるということで、例えば四%台に持っていくということであれば五千億円の投入でいいんですね。大体それでいいんです。ところが、逐次投入は駄目なんだ、だからどんとやりますと。しかし、それは、どんとやりますというのはどういう位置付けの下にやろうとするのか、それがはっきり見えないから、ちょっと私は理屈が足りないんだろうと思うんです。  といいますのは、まじめにちゃんとやっている銀行はあるんですよ。あるんですよ、本当に。そういうところの、優良行並みのところまでどんと持っていくというその理屈は、じゃ、一生懸命やっていたところとうまくいかなかったところとをまた平等にしようという護送船団方式の考え方から抜け切れていないんじゃないかと、こう思えるわけなんですが、いかがでしょうか。
  108. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは、委員御懸念の護送船団、これは護送船団的な要素を一切排除しなければりそなの再生はあり得ないというふうに思っております。  どうして一・九六兆円なのかということに関しましては、これは一度御説明をさせて、回答させていただきましたですけれども、これは地銀、第二地銀の優良行の上位五行の平均値が一二・二%、自己資本がございます。そこ並みに持っていきたいと。その理由は、一度過少資本になって気付いた銀行に新たに経営者を迎えて、これ、余裕を持って大胆に経営をしていただくためには、そのぐらいのゆとり、余裕をやはり与えなければいけないのではないかと。これはマーケットの信認も含めてそのように判断したというのが最大の理由でございます。これは、どのようなビジネスを展開するかというのは新経営者の下でこれは構想されていくわけでありますが、これは当面、遠い将来はともかく、当面これがその八%の国際業務を行う銀行になるということは、常識的にはやはりこれは想定されていないのではないかというふうに思っております。  それと、もう一点、委員の御懸念は、やはりこれは護送船団にならないか。私は、やはりそこは今回のりそなにどのようなガバナンスの制度を作るかということであろうかと思います。  この週末の新聞で、今回、新たに商法で採用されます委員会等設置会社を三十六社が採用するという記事がございました。三十六社、これ、日本を代表する企業がその中に含まれておりますが、実は銀行業でこの委員会等設置会社、正に外部のガバナンスを利かせて護送船団とは違う世界で競争していただきたいわけですが、その中で銀行でこの制度を採用するのはりそな銀行一行でございます。  そうした意味でも、我々の護送船団ではなく、正に厳しいガバナンスと競争の中で再生をさせたいと、そういった我々の方針を是非お酌み取りいただきたいと思います。
  109. 広野ただし

    広野ただし君 ところで、りそなの再建可能性ですが、十五年計画で二〇一八年度までにこの一兆九千六百億円を返済の形態を取ると、こういうことのようでありますけれども、前回、九八年、九九年に投入をしております、あるいは一部、二〇〇一年にも入れておりますが、一兆一千六百億の、それの返済もままならないと、こういうことになっているんですね。そういう中で、果たして本当に返せるのかということについてお伺いしたいと思います。再建可能性ですね。
  110. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 正に公的な資金を投入するわけでありますから、それに基づいてしっかりと再建をしてもらわなければ政策の意味がないといいますか、政策のその効果が生かされないというふうに思います。  委員、返済というお言葉をあえてお使いになりましたが、これは普通株等々でございますから返済計画があるわけではございません。ただ、こうした場合の一般的な考え方として、剰余金をどれだけ積んでいくか、その剰余金がその注入額に匹敵するのに何年掛かるとかと、そのような意味での計算はしております。それが御指摘のように十五年でございます。これは、今回の注入額に加えて前回の注入額も含めて、それを予想される内部留保で割っていくと十五年という計算になるわけでございますので、その意味では、過去の分も含めてしっかりとやってもらいたいというふうに思っております。  現実には、これ、返済というよりは、しっかりとした経営をしてもらって正にマーケットで株価を上げてもらって、株式市場で我々がその株を売却するという形でそれが回収されていくのが理想であろうと思います。その意味でも、正にしっかりとした、本当に今度こそこの自己資本に基づいてよみがえっていくというような野心的な経営を新経営陣にはしていただきたい、そのためのガバナンスの仕組みは我々としてもしっかりと作ってきたつもりでございます。
  111. 広野ただし

    広野ただし君 言葉ではいろんなことは言えますけれども、結局、前回も、資本を注入しました後も市場の評価は芳しくなかったということなんですね。そしてまた、実際十五年という考え方は、余りにも時間が掛かることなんですね。もっとスピーディーに、例えば日産のゴーンさんでも三か年計画です。新生銀行でも五か年で大体来ているわけですね。そういうスピード感のあるものになりませんと、なかなかマーケットの評価というものは立ち上がらないということだと思います。  そしてまた、私、大事だと思いますのは、日産の再建計画の場合でも実際は日本人がちゃんと作ったものをまたやるという、言わば再建に奇策はないんですね、王道を行くしかないんです。それをやりますときに、やはりどうやって、しがらみがあるかないかというところで、そういうところが外国の人だとしがらみなくばさっとやれるという点も非常に再建に大きな力があったんだろうと、こういうふうに私は思います。  そしてまた、ですから外国人を持ってこいと、こう言うわけではないんですが、そういうことも考え、あるいはもっと若手の登用ですね。もう彼我の格差が非常に付いておって、もう債権の証券化の問題ですとか格付の問題ですとか、それをマーケット化する、そういうことについてもうやはりいろんなノウハウを若手の人たちは学んでいるんです。そういう人たちを抜てきしてやっていきませんと、とてもじゃないけれども私はなかなか再建が難しいんではないかと、こう思っているわけです。  時間もありますので、もう一つ、特別会計のことについて伺いたいと思います。  一般会計ばっかりがよく議題になりますが、特別会計もこれは非常に大きな、足し合わせますと、単純に足し合わせるのは果たしていいかどうか分かりませんけれども一般会計の三倍も四倍もなるということでありますし、一般会計から特会の方へ四十何兆円もの投入をされているという、繰入れですとか、もうキャッチボールが結構ありまして全体像として連結的に見ることがなかなか難しい。そういうことですから、特別会計を整理していく、分かりやすくしていくという考え方は私は賛成なんです。  そういうことについて、財務大臣、いかようにしていかれようと思っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  112. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 特別会計につきまして、私も実は長年これ不信感を持っておったんですが、今年の四月に財政審にお願いしまして、財政審には特別の小委員会作ってもらって実際、精査してくれぬかということをしました。  それじゃ、どこから始めるかということでございますけれども財政審の中では、言っていますのは、整理資金としての特別会計ありますし、また、いわゆる政府予算上の会計あるし、一番大きいのは事業会計としての特別会計、だからこの部分を重点的にやってみようということで、過去四回委員会をやっていただきまして、近いうちに予算執行に関する意見書みたいなのを出してくれるであろうと思っておりまして、とにかく一生懸命やっていきたいと思っております。
  113. 広野ただし

    広野ただし君 現在でも特会は三十七本ですか、あって、本当に一般会計とのやり取りがいろいろとありますから、なかなか全体的に連結で見るということが非常に難しい事態になっておりますが、具体的な中で、私は統合してエネルギー特会というものにしたらどうかと思っているものがあります。これは、電源特会と石油特会、いずれもエネルギーを扱うものなんですね。エネルギーの脆弱性をしっかりとしていくために、これは電特から出ているんだろうか、これは石特から出ているんだろうかと、これはもう経済産業省にいる人でもなかなか分からない、それくらい複雑なところもあるわけなんですね。  そうしますと、私は、一本化して、そしてエネルギー全般の財政措置を考えていくということが大切なんじゃないかと思いますが、平沼大臣の御見解を伺います。
  114. 中原爽

    委員長中原爽君) お時間になっておりますので。
  115. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 簡単に、私、お話をさせていただきたいと思います。  前の経済産業委員会でも、広野先生から同様の趣旨の御質問をいただきました。これは受益者負担の下でやはり二つございますけれども、その歳出対象は明確に区分されています。  経済産業委員会の御答弁でも申し上げましたけれども、私は、そういう明確な中でより効果的に総合的に判断してやっていく、そういうことは必要だと思っておりますので、そういう意識を持ちながら、受益者負担の原則を守りつつ対応していきたいと、こういうふうに思っております。
  116. 広野ただし

    広野ただし君 どうも。終わります。
  117. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  今日は締めくくり総括と、こういうことでございますので、財務大臣にいろいろとお尋ねをしてまいりたいと思いますが、先に、今日の採決案件であります二〇〇一年度決算の赤字に伴う決算調整資金からの組入れについて、それ自身の金額はまあ五億円余りという小さいものです。しかし、これには、二度の補正をしてなお歳入欠陥を作ったということもありますし、しかも、それは税収見積りの技術論だけではなくて、小泉総理は就任以後十分に時間があったのに、公共事業偏重の歳出構造が改められずに失業や雇用対策を怠って景気をますます悪化させたと、そういうことの結果も背景にあるわけでありまして、この点は初回の審議でさんざん私も指摘をさせていただきましたが、今日はその点は省略をいたしますけれども、そうした理由でこのことについては反対だということをあらかじめ申し上げておきたいと思います。  そこで、具体的な質問に入りますが、今期の決算委員会を通じて、私は、特別会計の形を取った各種の会計操作が財政実態を覆い隠し、どうも巨額の国費の損失あるいは国民への損害を許してきた、こういう実態というものを毎回指摘をいたしてまいりまして、同僚議員からも何人か出ておりました。政府部内の大きな無駄遣い、特別会計を通じた国費の乱費システムというものをやっぱり抜本的に改めるべきだろうと、こう思います。  今ほどもお話がございましたけれども財政等審議会では、特別会計小委員会を設けて、四月以来五回でしょうか、順次各省所管の特別会計をヒアリングされていますね。公開された議事要旨を読みますと、私がこれまでの決算委員会で主張してまいりました意見がほとんどすべてその委員たちからも出されているわけですね。すなわち、産業投資特別会計、電源開発特別会計、治水特別会計などなど、また、特殊法人等の出資という名の巨額の国家資金の毀損についても触れられている。  そこで、財務大臣にお伺いをするわけですが、あなたがいみじくも、母屋でおかゆをすすっているのに離れはすき焼きを食っていると、こう言われたほどひどいこの特別会計の乱費と不明朗な経理について、あなた自身、どのように具体的に改善をされようとしているのか。来年度予算編成に向けて、この特別会計の数の整理あるいは一般会計への統合、そしてまた特定財源の囲い込み的独占の解除、こういったことが幾らかできそうなのかどうか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  118. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は特別会計に不正があるとか不当があるとかということは申しておらないんです。要するに、もう少し効率的に、しかも有効な使い方と同時に、規格であるとか様式であるとかいうのはもう単価を見直してもらいたいと、こういうことを要請しておるんです。  本会計の方では、一般歳出予算の方では非常にそれはきめ細かくやっておりますけれども、特別会計の方は個々の事業執行状態等につきまして十分な目が行き届いてなかった。そこで、まず財政審に特別会計の言わば透明性とそれから分かりやすさということを、これをどうしてやっていくかということについて一度御意見をまとめていただきたいとお願いしておるのでございまして、まだその経過中でございますので、これをどう生かしていくかということはまだはっきりした方針もございませんけれども、何はともあれ、そういうことによりまして今、特別会計担当の人たちが細かくに今予算内容を、自分ら自身の特別会計の内容をもう一度検討しておるということは、これは非常に私は予算編成、十六年度予算のときに有効に働いてくるのではないかと思っておりまして、それをまた一層に激励していきたいと思っております。
  119. 又市征治

    ○又市征治君 どうもせっかく母屋と離れの話までなさった大臣の答弁としては少し後退だなと、こういう感じがしないではありません。  財政法第十三条二項で特定財源が分かるよう区分経理せよというふうに言っているのは当然だろうと思いますが、ただ、それが三十二本もの特別会計を乱造する言い訳になったり、一部で利権化しているということは、これは周知の事実ですよ。事業別の特定財源の明示は、特別会計でなくてもできるはず。現に、例えば地方の方は、昔から、それこそ自治省、今の総務省の厳格な指導、助言、こんな格好の中で皆一般会計の中で明示をしているわけですね。  で、大臣、改めてお伺いしますけれども、特定財源を口実にした財源囲み型の、囲い込み型の特別会計、例えば道路だとか治水だとかのこの五つの特会ですね、産業投資特会あるいは電源開発特会などは、これはもう廃止したらいいんじゃないですか。少なくとも、財政審でもこれだけ問題だと、こう言っているわけですから、少なくともこの方向ぐらいはお示しになって、むしろもう来年度予算からでもすぐに取り掛かるべきところはやっていく、こういう努力をされるべきだろうと思うんです。まあ保険事業会計は別であると思いますが、その点、もう一度お伺いしたいと思います。
  120. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 目下、財政審でそういう点につきましては検討中でございますから、私からその結論が出るまでは財政に対しましていろいろと申し上げることではないと思っております。
  121. 又市征治

    ○又市征治君 何かどこかへ丸投げという言葉がよくはやっていますが、そんな感じがして、大臣自身、自ら御指摘なさっておって、だから少し後退だというふうに言わざるを得ないわけですが、少なくともそこらのところは改善をいただきたいと、こう思っています。  次に、技術開発へのいわゆる出資についてですが、こうした名目で、倒産した基盤技術センターで約二千八百億、核燃サイクル機構で約二兆三千億円など、国の出資が毀損しているわけですね。その点で、会計検査院からもここは厳しく指摘をされている、こういうことにあるわけです。無数のベンチャー会社を作って、そこに孫出資しては数年でこれをつぶす。実態はそこに出している大企業へのばらまきだ、こういうふうに言わざるを得ません。こういう点についてもあの小委員会の中でも懸念が表明をされている、こういうことです。  本当に必要な開発かどうか、このことも当然問わなきゃならぬし、我々も国会の中でこれは是非チェックをしていかなきゃならぬ問題ですけれども、最低限、財政ルールとして、大臣、これはやっぱり出しっ放しの補助金なら補助金だ。そういう、出資金でまた返ってくるなどという、そういう誤った認識を持たれるようなことについては、最低限これはやっぱり改めていく、こういうことで、補助金なら補助金に整理をすべきものは最低限あるんではないのかと。この点、一つですね。  それと、今度、その財政審の中で、特別会計における新たな財務書類の作成に係る中間報告、試作基準というのが出されましたね。この中で国の出資の強制評価減を打ち出しておられるわけですけれども、言わばこれは不良債権処理、こういう部分に当たるわけだ、そういうことだろうと思います。  こういう形で実情を開示するのは、隠すよりもそれはまあ当然いいんですけれども、当然、責任者である、こういう格好で毀損をしていくなどということを起こしておるその現場の責任者、こういう幹部についても当然責任を問うていく、こういう方向に考えていくんでしょうね、大臣ね。  これ今二つお伺いしたので、是非お答えいただきたいと思います。
  122. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 前も委員会で産投出資のことについて御質問をいただいたわけでございますが、やはりここには、できるだけうまくやってそして収益を得たいという考え方が入ってやっておったものがありまして、事実、そういう形でリターンが返ってきている事例もございますので、これをにわかに補助金にしてしまって、はい、終わりということについては、やはり財政考え方からいってもったいないということもあるわけでございまして、産投出資についてはできるだけやっぱり返すことを考えるというふうに当局としては考えておるところでございます。  ただ、もうきちっと、駄目になったものについては、これをもう減資しろとか清算しろというお話はもちろんあるわけでございまして、そういう中で、今お話ございましたとおり、大きく毀損したものについては、三割以上毀損したものについてはここですっきりさせるということは取り組んでいるわけでございますが、ただ、こういうことを明らかにすることと、今言われました責任問題が直ちに結び付くということはいかがかということもございますので、責任問題は責任問題、そしてディスクロージャーして明らかにするもの、清算するものは清算するものと、こういうことは一応は分けて考えるつもりでございますが、もちろん責任等の問題についても別途考えていきたいとは思っているところでございます。
  123. 又市征治

    ○又市征治君 しつこいようですけれども、小林副大臣、やっぱりこの二千七百七十五億円だとか三千二百二十五億だとかというのを毀損をして、そして会計検査院からも厳しく指摘される、財政審からも指摘をされているそういう問題について、そして後は別の法律を作って、これ出資なかったものにしますと、こんなこと国民に理解できますか。こんな格好でやっている問題について、やはりその責任を問うということをはっきりさせないからそんなことが次々続いて、さっき申し上げたように、そういう孫出資を次々やって数年でつぶしていってしまう。そして、それは実は出資金なんでと、こういうのは、どう考えてもそれは理解できませんよ。  だから、そういう性格なら性格をきちっと整理をして、そしてやっぱり出していく。だから、それは補助金にすべきものは補助金にすればいいし、本来的出資という性格のもの、これは私、いい言葉だとは思いませんけれども、委託だとか、そういういろいろなことがあるわけでしょう。そういうものはやっぱり直ちに、そういう意味で何か財政審の、そこから答申が出てこなければできないという問題じゃなくて、これはやっぱりやっていくべきじゃないですか。その点、責任も、それは直ちに問うのはいかがなもんでしょうかと言っているから、こんなことずるずる起こっているわけですよ。  私、せんだって、ある県の知事さんとお会いする機会があって、言っていますよ、地方は知恵も出し汗も出し血まで流して行革をやって一生懸命に、もうつらいつらい、財政予算が組めないという、こんな状況にある。知事会でもそんな話よく出ている。国は何だと。特別会計なんというのはもうずさんもいいところじゃないか。非常にそういう怨嗟の声が出ていると、こう言っているわけですよ。そういうときにこんな程度の話じゃ、ちょっと納得できませんよ。  改めてもう一遍そこのところを御答弁願います。
  124. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 先生のおっしゃるとおりのところございまして、そういう中で、御承知のとおり、研究開発につきまして、一般会計で出資していたようなことについては、できるだけこれは補助金化するというようなことで、その出資を補助金に切り替えているのは御承知だと思うところでございます。  ただ、まだ産投会計の方は、元の財源がNTT等のたまっていたお金で、そして産投という名前のとおり、産業関係に出してリターンを得たいという、こういう気持ちでやってきて、見込みのあるものもございますので、そこについては、一応まだ現段階におきましては出資という形でリターンを求めるということにして、少しでも回収を図らせていただきたいと思っているわけでございますが、それから先のことにつきましては、これから先いろんな問題もございますので、今、大臣が言われましたとおり、この特別会計の見直しというのは、非常に大きな、これからの日本の財政を考えますときに、先生がおっしゃるとおり、また大臣が言われましたとおり一番大きなテーマでございますので、したがって、やはりいろいろな御意見を賜るということでこの小委員会の方で議論をしていただいておりますので、大臣があえて今御自分の意見を述べておられませんけれども、それはそれで固い覚悟を持って、小委員会の意見を踏まえて、これから大きく財務省としてこの特会にも切り込んでいくという決意でございます。
  125. 又市征治

    ○又市征治君 小委員会だけのことを尊重じゃなくて、国会でやっぱりこれ審議しているんですからね、この委員会でもやっぱり出たことをちゃんと踏まえていただきたいということを申し上げながら。  そこで、道路だとか治水など、公共事業の特別会計が五つあるわけですよね。決してこれ、特定財源だけでやっているわけじゃないですよね。税金、つまり一般財源、むしろ一般財源の方が多いんですよね。三分の二ぐらいが一般財源ですよね。そして、産投特会からも入っている、地方自治体の負担金も取っている、こういう格好で複数の財源でやっているということになるわけです。何も特別会計にして国民の目からそういう意味では見えなくしてしまうという、こういうあれはない、そう思います。それに、元来、資産を貨幣換算するのが無理な分野でもあると思います。事業の評価は、お金ではなくて別の基準、公益性で測る、こういう必要もあるんだろうと思います。  一般会計の一事業に移して、そしてやっぱり透明化すべきではないかと、こんなふうに思うんですが、中で特定財源だけを明示すれば済むんじゃないか、こんなふうに思うんですが、その点をお伺いして、終わりたいと思います。
  126. 中原爽

    委員長中原爽君) 時間になっておりますので。
  127. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 今言われました特に公共事業につきましては、国の直轄方式でまた長年にわたってやっているということがございますので、やはりある面からこれを全体的にはっきりさせよう、あるいは収支状況、そして受益と負担の関係、そういうものを明らかにさせよう、事業者が負担している部分もある、地方自治体からいただいている部分もある、そういうことを全体的に見るのに、こういうものこそ今のところ特会でやる意味もまたあるということを御理解いただきたいと思うところでございます。
  128. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  129. 中原爽

    委員長中原爽君) 他に御発言もなければ、平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書に対する質疑は終局したものと認めて御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  131. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書について承諾することに反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、二〇〇一年度の法人税など税収不足は一兆六千億円を超えるという膨大な規模であり、予算の持つ重要性からすれば、その対応については本来、政府は責任を明確にし、補正予算を国会に提出し、国会の議決をもって対処すべきであるにもかかわらず、税外収入と不用額で調整し、五億円余となる不足額決算調整資金からの歳入組入れで収支を合わせるのは政府の責任を棚上げするに等しいものであります。  第二の理由は、歳入組入れをするとした決算調整資金はその残高がゼロであり、本来組入れのできる資金など存在していないのであります。そうした決算調整資金からの資金を組み入れるという手法は、全く道理のないこそくな手法でしかないからであります。決算調整資金制度だけを作り、この資金の繰入れを行わず、事実上、国債の整理基金からの一時流用のための財布代わりとしてきた政府の責任は重大であります。  最後に、今回の大幅な歳入不足は、税収落ち込みを過小に見積もられた結果であり、国債発行三十兆円との方針とつじつまを合わせた結果でもあります。そして、小泉内閣が強行する構造改革路線が日本経済に与えた打撃の大きさを改めて浮き彫りにしたものであることを指摘して、討論を終わります。  以上です。
  132. 中原爽

    委員長中原爽君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書の採決を行います。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立をお願いいたします。    〔賛成者起立〕
  134. 中原爽

    委員長中原爽君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  それでは、午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十七分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  136. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  平成十三年度決算外二件を議題とし、締めくくり総括質疑を行います。  まず、私が決算委員長として若干の質疑をさせていただきます。  着席のままでの発言をお許しいただきたいと思います。  決算審査の在り方と、その政府の協力につきましてお尋ねをいたします。  決算審査の意義は、国の予算執行を検証し、それを分析、評価するとともに、後年の予算編成に反映させることであります。したがって、行財政改革を進める観点から、決算審査は極めて重要なものであります。  このたび、平成十三年度決算は本日をもって委員審査を終了することになりますが、決算提出されてから国会の会期内にその審査を終えることは、昭和四十三年、一九六八年の第五十八回国会以来、実に三十五年ぶりのことであります。  また、冒頭の全般的質疑と最終のこの締めくくり総括質疑において総理並びに全閣僚御出席の下に審査が行われるのも参議院では初めてのことであり、参議院改革における決算重視を象徴したものと言えます。  このことは政府及び与野党各会派の全面的な御協力をいただいた結果ではありますが、今回に限らず、来年一月に提出される十四年度決算につきましても、同様に国会会期内の終了の審査を進めたいと考えております。  引き続き、十五年度以降の決算の早期提出の実現と併せて、審査にかかわる委員会への総理の御出席が特に望まれているところでありますので、このことにかかわり、総理の基本的なお考えと御決意を承りたいと存じます。
  137. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国会における決算審査は、予算執行が所期の政策目的を果たしているかどうか等について審査、検討するものであり、各省庁が予算執行や事務事業の在り方を絶えず見直していく上で極めて重要な役割を果たすものと認識しております。  こうした観点から、今般、参議院において、冒頭の全般質疑及び締めくくり総括質疑が初めて全閣僚出席の下で行われるなど活発な審議が行われ、また平成十三年度決算審査を常会中に終了されることは、決算審査予算編成に反映させる上で大変有意義なことであります。  提出した常会で審査を終えたのは、昭和四十一年度決算を第五十八回国会で昭和四十三年に議決して以来三十五年ぶりのことであり、参議院の御努力に感謝しております。  決算審査の在り方については国会においてお決めいただくことでありますが、政府としては、決算審査の重要性を十分認識し、できる限りの協力を行うとの基本姿勢で対処してきているところであり、今後ともなお一層の努力をしていく考えであります。  また、政府としては、決算の早期提出について、決算事務の電算化を進めるなど工夫を凝らし、会計検査院とも協力しつつ、平成十五年度決算から、十一月二十日前後に提出が可能となるよう努力してまいりたいと思います。  以上です。
  138. 中原爽

    委員長中原爽君) ありがとうございました。  以上で委員長質疑を終わります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  139. 中川義雄

    中川義雄君 自由民主党の中川義雄であります。  本日、本院において決算が会期内処理される、そのことが決定的になりましたことは、私も参議院の一員として、その責任の重さと同時に、これまで努力されてきた多くの方々に敬意を表する次第であります。そしてまた、締めくくり総括質疑のトップバッターに立った、その使命感も私は重く受け止めている次第でありまして、閣僚の皆さん方の絶大なる御協力をいただきたいと、こう思うわけであります。  ただいまは総理の決算審査に対する考え方を御披露いただきました。  今、少し角度を変えて、私は決算の在り方について、御承知のように憲法六十条によって予算は衆議院の優先が言われておりますから、そのことから考えても決算はせめて参議院が責任を持って処理する、国会を代表して処理する、そういう気持ちの下でこういう形になったことであると思いますので、総理のまず予算決算の観点から憲法上の衆参の役割分担についてどのように考えているか、お示しいただきたいと思います。
  140. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 憲法上の役割としては、予算が衆議院通過いたしますと参議院では三十日以内に自然成立ということでありますので、実際の審議の上におきましても衆議院の予算通過までが一つの大きな山で、参議院に参りますと、今までの運営ではたとえどのように審議が遅れようとも自然成立だということで、衆議院に比べて審議の状況に対して、同じことをしてもしようがないという意見とやはり衆議院と同じように真剣に議論すべきだという議論が今まであったということは承知しております。  しかし、参議院の役割あるいは参議院の権威ということから考えて自然成立は避けたいと、そうすると参議院無用論につながるんじゃないかという意見もあって、やはり参議院としての独自の役割があるんじゃないかという考えがかなり前から、どのように参議院としての衆議院と違った役割を見いだすべきかという議論が広く行われてまいりました。  そういうことから、今回、衆議院は予算一生懸命やるのは結構だと、参議院も予算真剣にやるのはいいんだけれども、衆議院とは違ったやっぱり角度から見直そうということで決算重視という姿勢が強く出てきたんだと思います。  今回、こうした形で、予算が通ればあとはいいということではなくて、予算がどのようにしっかりと使われているかと、決算をよく審査することによって決算で出てきた問題点を次の予算編成に生かすべきじゃないか、あるいは予算執行に生かすべきではないか。私は、これはもう当然なことでありまして、予算さえ通ればあとの執行状況ということに対してはどうでもいいということではなくて、むしろ決算をよく審査して決算の審議経過を次の予算に生かすべきだという趣旨から、参議院では衆議院より一層決算に重点を置いた審議をなすべきだということから、各党各会派の努力によってこのような決算重視の姿勢で今回常会中に全閣僚出席でこのような質疑が行われたんだと思います。  この趣旨を生かすように、これから政府としても、予算編成のみならずこの決算審査を十分反映した予算編成、予算執行ができるように、審議を重視しながら、また審議のいろんな意見というものを参考にしながら、今後の予算編成にも決算審査の意向を反映できるような努力が必要だと思っております。
  141. 中川義雄

    中川義雄君 今、総理も言われたとおりだと私も考えております。  御承知のように、予算が通り、予算執行された後に決算ということになります。もう予算執行されてしまった後ですから、決算というものは法的に見ると、そこで採択した、採択しなかったということはそれほど重要な問題ではありません。法的な意味もないと言われております。  しかし、ですから問題なのは、決算の過程の中でどんな意見が国会の責任において出てきたのか、それを政府にどのような形で出すのか、そして政府は次年度予算にどのようにそれを組み入れていくのか、これが参議院決算委員会の私は大きな役割であり、ですから、私たちの責任で国民の立場に立って政府が行った諸事業をあらゆる観点から洗い直して、参議院としてきちっとした意見を、採択する、しないじゃなくて、しっかりとした意見政府国民に対して言うこと、このことが非常に大事なことだと私も認識しております。  そこで、総理は二月の本会議質疑において、十三年度決算審査における議論を十六年度予算編成過程において役立てていく、また、決算予算執行状況などを調査、把握し、その結果を予算編成などに生かしていくと同時に、財政資金の流れを総合的に分かりやすく公表していくことが一層重要な課題だと、こう言われておりますが、実際、どのように具体的に行っていくつもりなのか、総理の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  142. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 我々、決算指摘されましたことを、まず全体会議におきまして省内でそれをつぶさに検討いたしておりまして、その防止等につきましての主計官を中心とした反省をしておることは事実でございます。  同時に、その事項につきましては各省の担当者と詰めた議論をしておりまして、その面については訂正もいたしておりますが、ややもしますと一年遅れになってしまいますので、その分についてのこの扱い方は今後もっと進めていかなきゃならぬと。  幸いにいたしまして、参議院の方で決算書を早く提出せいという要求がございました。これを受けまして、我々もできるだけ早く、そのときの年度予算を十一月中には御審議できるような状態にまでして、できるだけ常会に提出することを早めたいと思ったりしておりまして、そのときには幾らかの、どのような変遷があったかという決算書の前年度からのことにつきましての報告も兼ねていたしたいと思っております。
  143. 中川義雄

    中川義雄君 今日、私は、今回の決算の中で非常に大きな問題になっているエネルギー問題を中心にして具体的に総理始め皆さん方の考え方をお聞きしたいと思っております。  二十世紀から今日の二十一世紀にかけて人類社会において特筆すべきことは、エネルギーの消費量が爆発的に拡大しているということであります。一説によりますと、今日、一年間のエネルギーの消費量は、昔の数百年分を一年で消費していると言われるぐらい大量消費時代に入っていることは事実であります。その結果として我々人類がその恩恵を非常に多く受けていることも事実ですが、今日的な問題としては、それが例えば石炭、石油、そして天然ガスといった化石エネルギーの消費が、地球の温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨の出現、そんなことによって、砂漠化などの地球の大きな悩みといいますか病み、重大な病根みたいな形にもなっている、そう言われております。この掛け替えのない地球をこれからどうやって救っていくかというのは、人類共通の課題であります。  御承知のように、平成九年、京都で開催されたCOP3において地球温暖化防止のための京都議定書が採択されました。それぞれの国がそれに基づいて責任ある行動を取るということを約束していただきましたが、残念ながらアメリカは、国益を優先して、これに不支持という態度を明らかにしております。  また、エネルギーといえば原子力エネルギーであります。原子力エネルギーの開発は、御承知のように、これも平和利用という点では大変な恩恵を我々に与えてきておりますが、その利用を一歩誤れば人類社会が一瞬にして崩壊してしまう、そういう状況に置かれていることも事実であります。また、化学兵器、細菌兵器といったような、人類を大量に、しかも長い間痛め付けるようなそういう兵器も開発されてきていることも事実であります。  我が国は、御承知のように、昭和二十年三月十日のあの大空襲によって、非戦闘員が五万、いや、八万人以上、命を一日にして失ったと言われております。また負傷者も大きい。原子力爆弾、世界で初めて二度にわたり広島と長崎で落とされました。その被害もまた大変なものであります。  その惨めな結果というのは私は本当に残念でありますが、当時、東京裁判において唯一無罪を主張してくれたインドのパール博士、パール博士が広島に、原爆の記念碑に行きまして、あの記念碑に、過ちは繰り返しません、安らかにお眠りくださいと書いてあるのを見て、これは一体何なんだと、過ちはだれが起こしたのだろうと、これはアメリカに対して言っている話なのかどうなのかというような話をしたと言われております。  今もアフガンやイラクでアメリカによるいろんな攻撃で平和な一市民が亡くなったと言われれば、全世界が大変な、マスコミ中心にして扱ってくれますが、私は、そういう犠牲者は少ない方がいい、残念ではありますが、そのことと、過去の日本の抱いたことを考えると、亡くなった同胞やそういった方に無念で返す言葉もないわけでありますが、こういった時代で、このような被害を受けた日本の総理として、このようなことについてどのように考えているか、聞かせていただきたいと思います。
  144. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 実に大きな難しい問題を提起されましたが、余り長く話すのもこういう決算委員会でどうかと思いますので、できるだけ短くお話ししたいと思いますが、戦争ほど環境破壊、恐ろしいものはないと思っております。戦争を二度と繰り返してはいけないと、そういうことと同時に、今の地球環境をいかに保護していくか、同時に、文明の利器でありますエネルギー、これを国民生活の向上のために環境破壊なしに持続可能な形で利用していくか、これは正に人間の知恵が問われているところだと思っております。  原子力、確かにこれを兵器に使うと多大な損害を人類に与える。が、一方、原子力、平和利用すれば、これはエネルギーの面においても他の石油や石炭等に比べれば環境に優しいエネルギーであります。ただし、いったん事故を起こすと多大な損害を与え、また環境にも著しく悪影響を与える。そういう点から、原子力をいかに平和利用するかという点については十分な安全管理面の配慮がなされなければならないと思っております。  北海道におきましては、今、雪で多くの被害を被っていた地域でありますけれども、逆に発想を転換しようと、雪をエネルギーに変えようという取組が北海道、進んでいますよね。あるいは、木造建築でも百年もつじゃないかと、北海道には北海道に合った木があるはずだと、世界各国の森林を伐採しないで森林を育成しながら、北海道の自然に合った木造建築があるはずだといって、木造建築でも環境を破壊しない、森林を育てるという点からも木造建築で百年もつような会社が出てきて、かなり全国から問い合わせがある。また、地元でもその木造建築を見直そうじゃないかという動きが広がっているということを伺っております。  今後、環境保護と、それと人類の生活利便性向上には多大なエネルギーを消費する、このエネルギー消費が人類に悪影響を与えぬような、資源循環型、リサイクル型というか、ごみゼロ社会を実現しようということで小泉内閣の重要課題として取り上げておりますので、特に原子力につきましてはもろ刃の剣という面もありますので、悪い影響をいかに排除していくか、そして安全管理面に十分な配慮をして、環境を保護しながら人類の生活向上に役立つ方法を、これからも真剣に取り組んでいく必要があると思っております。
  145. 中原爽

    委員長中原爽君) 関連質疑を許します。世耕弘成君
  146. 世耕弘成

    世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。  私は、この十三年度決算を議論していく中で、特に最近国民の関心が高まっておりますODA、外国に対する政府開発援助についてを中心に質疑をさせていただきたいと思っております。  十三年度決算によりますと、このODAは事業規模、事業予算規模で約一兆八千百九十五億円、非常に大きな額でございます。そして、国際社会の中で日本が生きていく上では非常に重要な道具だと思っております。  しかし、一方で、昨年暮れにこれは政府が行ったアンケート調査ですけれども、外交に関する世論調査というのがありますが、その調査によりますと、このODAをなるべく少なくしていくべきだと答えた人が何と二四・三%にも上って、前の年に比べて非常に増えている。過去最高だそうでございます。一方で、もっと積極的に進めていくべきだと答えた人が今度は逆に一九・二%にとどまって、過去最低だそうでございます。  この日本にとって非常に重要なODAに対する否定的な見解が国民の間で広がっていることについて、総理としてどうお考えでしょうか。まずお伺いしたいと思います。
  147. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、景気状況が厳しいという面も影響していると思います。かつて、十数年前から日本はODAに積極的な役割を果たしてきて、その伸びも増やしていったわけでありますが、最近になりましてから、財政状況が厳しい、やっぱり見直さなきゃいかぬと。多くの国民からは、自分の国の国民が困っているのに何でよそに援助するかという素朴な疑問があるのも事実でございます。  しかし、日本としては、自分のこと、自分の国のことだけ考えてはいけない、日本も厳しい状況だけれども、世界諸国を見てみますと日本というのはまだまだ恵まれた状況じゃないかと。そういう点から、日本としてもできるだけ世界の貧困あるいは人道支援、世界の発展途上国が自国で立ち上がっていけるだけの支援はしなけりゃいけないと。日本もかつて廃墟の中立ち上がったときに、アメリカ始め多くの国から援助、協力を受けてきて今日まで発展してきたんだと。そういう観点から、日本としては、経済大国になって軍事大国にはならない、しかしながら日本の国力にふさわしい経済協力は各国にしますよということで、今や世界からは援助大国と言われるように非常に高く評価されているのが現実だと思います。  私も、各国を回りますと、いかに多くの国が日本の援助に期待をしているか、また日本がODA予算を削減するということもよく知っておりまして、会うたびに、日本の経済情勢は厳しいんだけれどもODAについてはより一層配慮してくださいというような要望を受けます。  そういう点から、日本としては、日本よりも一層厳しい国に対してはその国の自立に向かって援助をしなきゃならないんですが、どのように使われているか、本当にその国の国民が感謝しているのか、喜んでいるのかと、これはやっぱり厳しく見直していかなきゃならないと。同じ費用でもっと喜ぶ方法があるんじゃないか、あるいは費用を削減しても、額は削減しても、今までどおり変わらない仕事もできるんじゃないかというような私は見直しも必要じゃないかという点において、援助政策の重要性は認識、十分重要視しなきゃいけないと思います。  しかし、今後、その使われ方、援助先の国が本当に必要かどうかという点については、より一層厳しい見直しが必要だと思っております。
  148. 世耕弘成

    世耕弘成君 総理のおっしゃることは私も全く同感でございます。やはり使い方というのを考えていかなきゃいけない。  私は、今、このODAに関しては国民は大きく三つの疑念を持っていると思っています。まず一つは、やっぱり無駄に使われているんじゃないか、あるいは本当に現地の役に立たない、それどころか現地の環境だとか文化を破壊しちゃっているんじゃないかという疑念が一つです。それともう一つが、やはり不祥事がODAに絡んで多いです。何か特定の企業とか、あるいは現地の特定の特権階級の利権につながっているんじゃないかという疑念が二つ目です。そして三つ目が、総理もおっしゃいました、何で日本経済がこんなに厳しいのに、こんな不況のときに何でよその国を助けなきゃいけないのか。これは疑念というよりも感情ですけれども、この三つが、私、国民の中にあると思っております。この三つを早く払って、ODAを健全な姿に持っていかなければいけないと思っています。  しかし、残念ながら、平成十三年度会計検査院の検査結果を見ておりますと、まずこの第一の無駄に当たるようなこと、たくさん指摘されております。  例えば、メキシコで火山噴火の被災民のために井戸を掘る事業をやった。日本の政府はフィリピン国政府に十三億円を差し上げて、それで井戸を掘る機械を買ってもらいました。しかし、その後、フィリピンの中の事情でその井戸を掘る事業が地方政府へ移管されちゃったんです、事業そのものが。だけど、井戸の掘る機械はそのまま国の倉庫へしまわれたまま三年間寝たままになっていたと。  あるいは、メキシコで、五百九十八億円を融資して、そしてこれで脱硫プラント、要するにディーゼルとか重油から硫黄物を取り除いてきれいなオイルを作るというプラントを造る事業を立ち上げました。しかし、これも、このプラントが完成する前にメキシコ側の環境基準がもっと厳しくなっちゃって、このプラントから出てくるオイルは環境基準に合致しないから使い物にならないと。五百九十八億も融資しておいてそういう事態が出てきています。これ、やれば一時間でも二時間でもやれますけれども、これはもう今日はおいておきます。  それと、第二の疑惑、利権が絡んでいるんじゃないかという問題でも、つい先ほど、モンゴルのディーゼル発電施設に関して、日本の商社員がモンゴルの政府高官に約百三十万円、これモンゴルにとっては大金だと思いますけれども、贈賄をしていた。これは外国公務員贈賄防止条約に基づいて日本国内でも事件として立件をされました。最終的には商社員が逮捕されましたが、不起訴ということになっていますけれども、こういう事件もありました。  私は、こういう無駄遣いだとかあるいは利権といったような疑惑が出てくる背景には、私は、ODA、非常に日本のODAの規模大きいです、それに対して現地の運営体制というのが十分じゃないということが一つの原因じゃないかと思っているんです。十分じゃないから事前調査が十分にできない、実施状況のフォローがちゃんとできない、あるいは状況の変化に応じた、このやり方を変えるということができない。あるいは商社に丸投げしてしまっているからその中で不正の温床が出てくる、そう考えるんですけれども。  例えばモンゴル、これ平成十三年度分だけでも合計すると約四十億円のお金を出しています。その前の年だともっと出しています。これだけのODAがモンゴルに支出されていますけれども、現地のODAを担当する外務省の職員というのは何人いらっしゃるんでしょうか。外務大臣、お願いします。通告していますよ。
  149. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 申し訳ございません。通告いただいておりませんで、ちょっと調べておりませんけれども、至急調べまして、電話で今聞かせますので、御連絡させていただきます。
  150. 世耕弘成

    世耕弘成君 ちゃんと通告はしておりますので調べていただきたいと思いますけれども、はっきり言って、私の知る限りでは数名程度しかおりません。非常に少ない人数で、こんなので十分な監督は私できないと思っています。是非ともこれ、改善をしていただきたいと思います。  行革で無理だということであればNGOを使うとかあるいは日本企業を、それこそ裏でこそこそ使うんじゃなくて、堂々と現地の実施体制に組み込んでいただくというような改革をやっていただきたいと思っています。  そして、第三の疑念、これは感情ですけれども、経済が厳しいときに何で外国を助けなきゃいけないんだと。この話をするときに避けて通れないのが対中国のODAでございます。これもちゃんと通告していますが、平成十三年度の中国へのODA額、これまでの累計、幾らでしょうか。
  151. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これは通告をいただいておりまして、平成十三年度までの累計でございますけれども、これは、一九八〇年度でございますから二十二年前でございますが、累計として約三兆九百十二億円。ちなみに平成十三年度、直近の数字が分かっているところでは千七百五十五億円ということでございます。これが一番多く出ましたのは今から約十年前ぐらいから、それから数年間非常に多いという状況でございます。  それから、先ほど委員がおっしゃいました、人が足りなければNGO等々とおっしゃるのは、これは全く委員のおっしゃるとおりでございまして、透明性、効率性、そして国民参加ということで今ODAをやっておりますが、その中で、現地でNGOの方が大勢いらっしゃいまして、ODAが多い大使館はODA大使館というふうに名付けまして、現地でJICAやNGOの方、そして大使館と一緒になって仕事をするというシステムを既に立ち上げております。
  152. 世耕弘成

    世耕弘成君 合計で過去累計三兆円を超える援助をしております。総理は、去年メキシコで江沢民総書記とお会いになりました。そしてまた、つい先月、サンクトペテルブルクで胡錦濤主席とお会いになりました。この三兆円を超えるODAに関して、感謝とかお礼の言葉は相手の首脳からありましたでしょうか。
  153. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、これは日中共同宣言が平成十年に発出されたときにも、今までの日本の援助に対して中国側から感謝の表明がありましたし、つい最近もサンクトペテルブルクで中国の胡錦濤主席と会談した際にも、SARSの支援等に対して、日本からの援助に対して中国人民及び政府を代表して心から感謝を申し上げるというような発言もございました。
  154. 世耕弘成

    世耕弘成君 さあ、私は、十分なお礼の言葉があったのかどうか、これはちょっと確証があれですけれども。  もう一つ問題は、今、中国人民を代表してとおっしゃいましたけれども、これ、はっきり言って中国人民だれも知りません。これ、産経新聞の古森さんという方が北京にいらしたときに、町じゅう歩いていろんな人に聞いたけれども、日本がODAであの病院を建ててくれた、この空港のビルを建ててくれた、地下鉄を造ってくれたということを知っている人はだれもいなかったと言っております。  私は、中国へのODAに関しては、中小企業がこんなに苦しんでいるときにとか、あるいは新幹線だリニアモーターカーだと言っているときに、あるいは有人の衛星を打ち上げようとしているようなときにとか、いろいろ言いたいことはたくさんありますけれども、やっぱり感謝をしてくれていない、一般国民に知られていないということが一番の問題だと思っております。  私、昨年、スリランカへ参議院の出張で行ってまいりました。スリランカのある歯科大学を訪問をいたしまして、それは日本が援助で建てた、運営している歯科大学でございます。そこへ行きましたら、もう入口の一番目立つところへこういう石碑が立っておりました。(資料を示す)これは日本とスリランカの友情と協力のあかしとして日本政府から贈られたものである、一番目立つところに書いてありました。あるいは、そこの歯医者さんで使っている、歯科大学で使っているいろんな機器がありましたけれども、すべてジャパンと書いたシールが張ってある。治療を受けている子供たちもお年寄りも、みんなそれを横目で見ながら治療を受けていたわけでございます。それに比べて中国はどうか。  そしてまた、私、スリランカでもっとすごいことを見ちゃったんです。コロンボをバスで走っていたときに、案内してくれた人が、立派な体育館があるんです、私、日本武道館より大きいような体育館があるんです、あれも援助で建ててもらったんですと言ってくれました。ああ、日本は体育館も援助しているんですかと言ったら、いえいえ、あれは中国からの援助でございますというふうにおっしゃったんです。これ、私、非常にゆゆしき問題だと思っています。  日本からこの経済の苦しい中に一生懸命援助をしている。なのに、中国は逆に、他国に対して援助を行って、その影響力を増強している。これは看過できない問題だと思いますが、その問題について、どう総理、お考えになりますか。
  155. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これも委員がおっしゃったとおりでございまして、我が国の血税を使って行った援助というのは、そうだということが認識されてしかるべきだというふうに考えております。  それで、中国におきましても、例えば環境センター、日中環境センターというのがございますけれども、建物の一番、看板に日中環境センターと書いてございますし、日中友好病院、それもそうでございます。それから、北京にございます空港、これも日本の援助であるということが書いてございます。  昔行われた中国に対する支援も、かなり古いものですから、昔のものにあるいはないものがあるかもしれませんけれども、私どもは、現在、目に見えるという意味で日本が支援をしたということを見える形で書くということをモットーに今進めております。
  156. 世耕弘成

    世耕弘成君 逆に外務大臣にお伺いしたいのは、中国は一体幾ら外国に援助しているか、外務省はちゃんと把握しておりますか。
  157. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これは、把握をしているといえば言えます。大体五億ドル程度というふうに考えておりますけれども、難しいのは、中国の場合はなかなか制度が透明でございませんで、そのように、今我々が調査をした範囲ではそういうことであるということでございます。これはいろいろな、軍事予算がはっきりしないとかいろいろございますけれども、そういったものの一環で透明性が必ずしもない部分というのは否定できませんけれども、大体そういうことであると思っております。
  158. 世耕弘成

    世耕弘成君 透明性がないなんて、これは簡単に済む問題じゃないですよ、今まで三兆円出しているわけですから。これは、やっぱり透明にしてもらうように要求していかなきゃ私はいけない。日本が調べる問題じゃないですよ。中国が自主的に日本に説明するべき問題だと思っています。  それともう一つ、昨年十一月、ASEAN首脳会議が開かれました。そこで大変中国は非常に強い自由貿易協定なんかでイニシアチブを発揮して、非常に強い対アジア外交を展開したんですけれども、そこで私びっくりしたのは、朱鎔基首相とカンボジアのフン・セン首相が会ったときに、一つは約十五億円の経済支援を約束した。これはいいとしましょう。もう一つ本当にびっくりしたのは、中国がカンボジアに持っている約千二百億円の債権を放棄してもいいということを言ったんです。  この事実関係はどうですか、外務大臣
  159. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) まず、中国のASEANに対する債務免除の実態ということでございますけれども、これは、確かに昨年の十一月に中国とASEANの首脳会談、この際に、中国は、アジア各国といいましてもベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア、アフガニスタン等でございますが、ここに対する援助により生じた債務を削減をするということを発表をいたしました。そして、現在、それについて各国との間で具体的に、何を対象に、どれぐらいの金額、いつ、あるいはどういう条件でということについて交渉が行われているというふうに聞いております。これについては引き続き情報把握をしたいと思います。  それから、先ほど御質問のございましたモンゴルの経済協力の担当の数ですけれども、三名おります。十六名しかおりませんので、大使を含めて、その中で三名という人を割いているということでございます。
  160. 世耕弘成

    世耕弘成君 戻っちゃいますけれども、たった三名で毎年発生する四十億規模の仕事、これをまともに運営できるわけないと思いますから、是非ともNGOなり企業を巻き込むことを考えていただきたいと思います。  また中国へ戻りますけれども、日本にはODA大綱というのが、閣議決定されたものがあります。これはODAの原則を定めておりますけれども、そこで、民主化の促進、基本的人権に注意を払うと書いてあります。あるいは、軍事的用途への使用を回避するというふうに明確に書いてあります。  しかし、残念ながら、中国にはいまだチベットの人権問題があります。あるいは、核兵器の保有国であります。そしてまた、軍事的な拡充もまだまだ続けているわけでございます。この中国にODAをまだ与え続けるということ、これODA大綱に抵触しないんでしょうか。  日本は逆にミャンマーなんかに対しては、アウン・サン・スー・チーさんの件もあって、民主化が十分じゃないからということで非常に厳しくODAを絞り込んでいますけれども、これはダブルスタンダードにはならないんでしょうか。
  161. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) おっしゃったように、大綱には、十分に注意を払うというふうに書いてございます。それで、これにつきましては、軍事的な支援をしている、あるいはその透明性がないということについては私どもも大変に懸念を持っているということでございます。  例えば、私は今年の四月に中国の外務大臣外務大臣になられて初めて会談をいたしましたけれども、このときにも、中国のODAの透明性を上げるということが大事だということを言いました。それから、昨年の時点で、副首相の銭其シン元外務大臣でございます、副首相だったと思いますが、その方とお話をしたときも、透明性をきちんと説明をすることが重要だということは言っております。  それで、実際にこれに基づいて、例えば九五年の八月でございますけれども、中国の核実験の停止が明らかにならない限り対中の無償資金協力を原則凍結をするということを言いまして、そのような措置を取ったということもございます。これにつきましては、九六年の七月に中国が核実験のモラトリアムを実施をしまして、CTBTに署名をいたしましたので、それを踏まえまして、九七年の三月に無償の資金協力を再開をしたというようなこともいたしております。  中国が隣の国でございまして、安定的に発展をしていくということは我が国にとって、あるいはこの近隣の安定、繁栄にとって非常に重要でございます。という観点で、ODAの大綱、これには幾つか書いてございますけれども、それを踏まえまして、そして中国の援助の需要や日中の二国間の関係、あるいは経済社会の状況、そういったものを踏まえて、中国については経済協力を総合的に勘案をして実施をしているということでございます。  ちなみに、二〇〇一年度、二〇〇二年度、中国に対する援助、これは二五%ぐらいずつ減っておりまして、ここ二年間で半減近くしたというのが現状でございます。  それから、ミャンマーでございますけれども、ダブルスタンダードではないのかということでございますが、基本的な考え方としては、これは援助を受けている国ごとの援助の需要や外交的な判断を踏まえながらきめ細かく、そしてそれぞれの国について総合的に判断をしながら行っていくということであると思います。  ミャンマーについて、これは民主化あるいはその人権の状況を見守りながら、現在のところは民衆に直接裨益をするベーシック・ヒューマン・ニーズと言いますが、基礎生活分野でございますね、それを中心にケース・バイ・ケースでODAを実施していると、そういう状況にございます。
  162. 世耕弘成

    世耕弘成君 今いろいろ申し上げてきたこと、あるいは中国、これ沿海、沿岸地域の経済力は物すごく力を入れているけれども、内陸部のこの貧困を放置している、その結果、日本へ不法入国者が出てきて日本の治安が悪化しているというような状況もあるわけですね。  私は、単に毎年二五%削っていますとかそんなのじゃなくて、もう一度ゼロベースで対中ODAを見直すべきではないかと思いますが、総理はどういうふうにお考えでしょうか。
  163. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今までの御指摘は、大変、今後のODAを見直す点においても有意義な議論だったと思っております。  ODAの原則と、それと我が国の隣国としてどのような協力が必要か、また実際、中国側が日本の援助に対して感謝しているのか、あるいは必要としているのか、よく見極めるという点も必要だと思います。総合的に勘案しながら援助というものについて見直す必要があると思っておりますので、今の御指摘を踏まえまして、有意義に日本の援助政策を活用していきたいと思います。
  164. 世耕弘成

    世耕弘成君 是非、見直していただきたいと思います。  その中で、今、ODA大綱の見直しも、これも行われていると聞いております。その中で、今まで入っていなかったということ自体不思議なんですが、ODAの目的、我が国の安全と繁栄ということが初めて明確にうたわれる方向にある。すなわち、国益を目的とするんだと、ODAの目的は国益であるということを初めてうたうようになるということを聞いておりますけれども、これ、中には何か反対している人も有識者の中にはいらっしゃる、私は本当理解できないと思いますが、総理は、このODA大綱の見直しで国益というものを入れるということについて、どうお考えでしょうか。
  165. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、ODAの観点に国益考えるのは当然だと思っていますよ、国益を考えない援助というのはあるのかと。  それは短期的に見れば、日本の税金を使っているから、日本のためには何もなっていないという批判があるのは承知していますが、それは逆に大きく考えて、日本はそれでは日本だけのことを考えていればいいのかというのは、私は国益にそぐわないと思います。憲法でも、国際社会の中でやっぱり名誉ある地位を占めたいと。日本だけのことを考えて、本当に国際社会の中で名誉ある地位を占めるなんということできるのかどうか。やっぱり日本よりもはるかに厳しい状況の国があるんですから、それは、情けは人のためならずという言葉もありますけれども、人が困っているときに日本の国力としてできるだけの援助の手を差し伸べて自立を援助する、これは長い目で見れば日本の国益につながっているんじゃないかというふうに思いまして、私は、ODAの政策の中において国益の視点があるのは当然だと思っております。
  166. 世耕弘成

    世耕弘成君 長期的な意味での国益というのは、やはりODAの目的に据えていくべきだと思っております。  少し話題を変えますけれども、森前総理が、沖縄サミットのときに、ITに関して情報格差を先進国と途上国の間でなくすために、抜本的な途上国援助をITに関してやるんだということで百五十億ドル、これをサミットで約束をされました。これ、非常に、アジア各国のIT担当者の人とかそういう人たちに会うと、非常に期待しています。みんな勝手に森ファンドと呼んでいますけれども、これの実施状況はどのようになっておりますでしょうか、外務大臣
  167. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 国際的な情報格差問題に対する包括的協力策ということを言われまして、それを行っていくために、政府として今まで調査団の派遣やそして政策対話などを行ってきております。そして、それに基づく援助額ですが、今年の三月の末の時点でございますが、合わせて約四十五億ドルということでございます。  それから、これの中身といたしましては、ODA以外の公的な資金によるもの、そしてODAによるもの、両方が含まれております。
  168. 世耕弘成

    世耕弘成君 三年前に百五十億ドル約束していながらまだ四十五億ドルしか使えていないということ自体、問題だと思いますが、この百五十億ドルの約束というのは何なんですか、これは。何か百五十億ドル分けて金庫に入れてあって、その中から四十五億ドル使ったということですか。
  169. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これは、そういうことではございませんで、百五十億ドルを目途にそういったものに援助を上げますということでありますが、それぞれの年、その年に案件を精査いたしまして出していくということで、予算的に事前にイヤマークされているということではございません。
  170. 世耕弘成

    世耕弘成君 ということで、私も外務省の方に頼んで、どういうITプロジェクトを積み上げた結果四十五億ドルになったのか調べてみました。そうしたら、中には、フィリピンの空港開発計画、デリーの地下鉄計画、モンゴル・ウランバートル火力発電所改修計画、こんなのも入って四十五億ドル。これはっきり言って、たまたま作ったものがコンピューター使ったり、LANの配線をしたり、インターネットにつないだやつをただ単にこれITに計上しているだけじゃないですか。  これでは、私、日本にとってハートのこもった、あるいは正に国益を懸けた有効なITの援助をこれできない。森さん、せっかく提唱したのに、この構想自体が生きてこないと私は思っておりますので、是非とも、外務省もそうですし、これ総務省もそうです、もっとハートを持ってこういうふうにITを広めていくんだというのを持ってやっていただきたい。  そのことで総務大臣にお伺いしたいんですが、今、総務省はアジア・ブロードバンド計画と、これ立派な計画ですね、アジアにインターネットの高速のネットワークを張り巡らせようという構想を持っていらっしゃいますが、これちゃんと外務省のODAと連携をされていますでしょうか。
  171. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) アジア・ブロードバンド計画は今年の三月に関係の省庁と一緒に作ったものですよ。アジア各国にブロードバンドを普及すると。簡単に言いますと、インフラといいますかネットワークの整備、人材の育成、あるいは電子政府、e—ラーニングのアプリケーションの開発、そういうことにみんなで力を合わせてやろうということなんです。  だから、これ金が掛かりますから、私は、ODAの中に入れてもらって、ODAを使ったらいいと思う。今までは電気通信網だとか放送網だとか既存のインフラが多かったんですけれども、こういう新しいものについて思い切ってやっていくと、こういうことが必要なんで、ODAと連携を取ってODAの中からやってもらうと。そのためには、今、委員が言われましたODAの大綱の中にこの情報通信だとかアジア・ブロードバンドだとかITだとか入れてもらわにゃいけません。それ入れて、有意義に、有効に使うように是非いたしたいと思います。
  172. 世耕弘成

    世耕弘成君 特に今、日本のITは駄目だ駄目だと言われているんですが、すごい技術があるんです。例えば次世代のインターネット、これなんかはもうアメリカなんかより全然先に進んでいます。あるいは次世代の携帯電話、これも世界で一番高いレベルにあります。あるいは光ファイバーの関連のいろんなデバイス、今のインターネット、幾ら引いてもアメリカの機器が売れるだけですけれども、光ファイバーについてはこれはもう非常に日本の技術が強くなっています。あるいは、トロンという全くこれからの家電とか携帯電話で使っていける、ウィンドウズとは比べ物にならない安定的なオペレーションシステムを日本が持っている。  ところが、日本はこれ多数派工作がいつも下手なんですね。いい技術を作っているんだけれども、結局アメリカやヨーロッパが何となく仲間を作っちゃってそこからはじかれて、いい技術が生きてこないというのがいつもの日本のパターンなんです。  私は、是非ここにODAを使っていただきたい。日本の技術を使ってくれたらODAでちゃんと応援をしてあげるよという形でこの日本のすばらしいIT技術を世界各国へ広げていく、そのための武器にODAを使ってはどうかと思うんですが、いかがでしょうか、総務大臣
  173. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 言われるとおりですね。そういうことで日本が世界のイニシアチブを取っていかなきゃ。まずアジアでそれをやってみると、こういうことですから、各国の事情にもよりますけれども、十分各国と相談をしてそういうことを進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  174. 世耕弘成

    世耕弘成君 今日は本当に時間が限られていましたので、まだまだ私、勉強した中でODAの問題点というのは非常に多かったと思っております。是非とも、この参議院、決算重視なんですから、是非、海外もODAの現場を見に行くぐらいの我々意気込みでこのODA問題をこれからも関心を持ってやっていくべきだということを申し上げまして、質問を締めくくらせていただきます。  ありがとうございました。
  175. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 民主党・新緑風会の佐藤雄平でございます。  決算審議ということになりますと、ついつい私は思い出されるのが、昭和四十四年に参議院の本会議で佐藤元総理が、もしこの決算が通らなかったならば、内閣総辞職、さらにまた解散もあり得る旨の発言をされました。  私は、正にこの決算というのは国のある意味では要諦であろうと。ややもすれば予算が注視され、注目され、決算の方がある意味ではおろそかというか、余り関心を持たれなかったというのが今日までの右肩上がりの日本の国会の中であったかな、そんな思いをいたします。しかし、今、景気の不況、倒産、リストラ、さらにまた三百五十万人を超す就職のできない方を見たときに、このやっぱり国民の血税がどこでどういうふうに使われて、しかもそれがどのような成果を上げているかというのは、これはもう当然大事なことであります。  そういうふうな意味から、十三年度決算を都合十回にわたって見させて、またやらさせていただきました。私は、先ほど委員長が申し上げましたとおり、本当にこの十回の審査というのは改革協の期待に見事にこたえたかなと、もう真摯な、極めてまじめな審議でありました。  しかしながら、結果的にはこの十三年度決算を見てみますと、冒頭、私も本会議のとき小泉総理に申し上げましたけれども、まず十三年度歳入欠陥があったと。これは大変なことでございまして、どうも最近政府の見通しが甘い、それが私は今の経済政策の失政につながっているところが大変あるんじゃないかな、そんな思いをしておりますし、さらにまた指摘件数が三百二十九件、しかも金額にして二百四十三億円と。これは小泉内閣になってから増えているんです。だから、先ほど私言ったように、本当に国民が苦しい中でのこの不適切な支出というのは、国民に対して私は顔向けができないと、そんな思いをしているところであります。  そういうふうな中で、まず総理と財務大臣にお伺いいたしますけれども、もう正にこの二百四十三億円の不適切な支出に対して、私はそれぞれ閣僚に猛省を促したいと思います。もう二度とこのようなことがないような内閣の運営をしていただきたい。冒頭、総理と財務大臣から、この平成十三年度、さらにまた決算の重要性についての所見をお伺いしたいと思います。
  176. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 当時の佐藤総理が、決算通らなかったら内閣総辞職に値するという発言は、これはいかに重要なものであるかということの表現だと私は理解しております。  そういうことで、今まで参議院におきましても決算をいかに重視するかで御努力積み重ねた結果が、今日のように、衆議院とは一味違った決算重視の委員会運営を行おうということで今日も全閣僚出席の下にこの審議が行われているんだと思いますし、これから予算執行された際に、いかに無駄がないかという点におきましても決算の役割というものは大きいわけですし、今回、今御指摘の二百四十億円も無駄があったんじゃないかという、あるいは有効に使われていないんじゃないかと、もっと見直すべきじゃないかという指摘があったということを踏まえまして、常にこの決算の審議の状況を見ながら、御指摘を踏まえて予算編成に生かして、無駄のない予算編成につなげるかということがこの決算重視の参議院の姿勢を今後に生かす大事な道だと思っております。
  177. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 十二年度に比べまして十三年度は約三十億円ほど不適事項が指摘されました。そのことは、その中の大きいのは……
  178. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 二百四十三億円。
  179. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 四十三億円ですね。いえ、三十三億円だと思います。  そのうちの大きいのは都市開発関係の事業のものだったと思っておりますが、その分につきましては関係省庁と協議をして善後策を講じております。そのほか、若干細かいところがございますので、随時、御指摘のように改正していきたいと思っております。
  180. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 財務大臣ね、やっぱり金額を間違っちゃ、大変これはもう国民、迷惑ですよ。二百四十三億円ですよ。  そういうふうな中で、私も決算の審議をしている中で会計検査院、それがどうも何か各閣僚に気を遣った答弁が目立ったような気がしてなりませんでした。これはたしか私だけじゃないと思うんです。院長が優し過ぎるというふうなこともあるんでしょうけれども、ただ、これだけのやっぱり指摘をしているわけですから、もっと私は、院長、会計検査院が凛として答弁していただきたかった。  そういうふうなことの中から、これは同僚議員が会計にも何か一つの良きバックボーンがあればいいじゃないだろうか、そんな話もしましたけれども、総理、どうですか、会計検査院の今日のいろんな答弁の中で、何か心配なというか、何かもう少し凛としたものが我々は感じてほしかったな、してもらいたかったなというふうな感じがあるんですけれども、そういう中で私の提案なんですけれども、これ国会で行政管理、それからまた、特に決算、これから重視というふうな意味合いからも、国会と一緒に会計検査院という構想はいかがでしょうか、国会の機関として。
  181. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、どのような機関であろうとも、会計検査院、独立しておりますから、会計検査院の機能、これを強化していくという点については、私は重要なことだと思っております。
  182. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 総理は決算委員会の状況、ごらんになったかどうか分かりませんけれども、総理が多分我々一般の議員の中でその質疑を聞いていると、そういうふうに総理も感じたと思いますよ。  院長は院長としてやっているんですから、余りにも何か役所ほか、の気を遣い過ぎというふうなこともあって、結構でございますが、私はやっぱりこれだけの指摘をしているんですから、堂々とこれからやっていただくことを望んでおきます。  次に移らせていただきます。(発言する者あり)答弁、結構でございます。  先月から今月にかけて、国会の合間を縫ってというよりは外交の合間を縫って国会と言った方がぴったりするかなと思うんですけれども小泉純一郎外務大臣、あっ、総理大臣か、総理が外交に行ってまいりました。  その中で、実は私は昨年の十月まで沖縄北方の委員長をさせてもらっておりまして、先ほど世耕さんから沖縄の話が出ましたけれども、沖縄も返還三十年、そして北方の方は全く進んでいない。  私は、北方四島に昨年の六月、国後島と択捉島に行ってまいりまして、多分、今まで四島返還についての議論の中でこんなことはたしかなかったと思うんですけれども、別な見方からすると、私はあの二島に行って子供たちといろんな交歓会をしてまいりました。そして、子供たちに聞いたら、もう子供たちが、おじいちゃんの代からもう住んでいるという子供たちが一杯いるんです。  日本の旧島民の人は全部で一万七千人、日本に引き揚げてきました。それで、そうこうしているうちに、今あの四島には一万四千人のロシア人がいる。その一万四千のロシア人も、もうお孫さんが住んでいる時代。また、こっちの旧島民の人も実は生存者が八千人で、ほとんどこれもまたお孫さんということ。  私は、そんな意味からしますと、もう一日も早くこれは返還が実現しないと、これ日を追うごとにだんだん何か返還が難しくなるんじゃないかな。それは、子供たちにとってはやっぱり、ロシアの子供たちにとってはあそこが一つのふるさとというふうなことになりますから、そういうふうな意味で私は、プーチン会談の中で、まず沼地に埋めたりはしないという、プーチン大統領が申されたと言っておりますけれども、このことはどういうふうな意味なのか。  ロシア外交の先般のその訪問のときの状況をまずお伺いしたいと同時に、川口外務大臣に、今後これから北方四島についてはどのような外交政策を取っていくのか。さらに、私はもう言いたいことは、G8に入ってもうロシアも中心的な、先進国の中心的な役割を果たすようになったんですから、そういうふうな意味からいっても、これ今までとは違った意味で外交ができるのかなと、そんな思いをいたします。  総理と外務大臣からの御所見を願いたいと思います。
  183. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、今年一月、ロシアを訪問しまして、プーチン大統領との間で日ロ行動計画を発出いたしました。これは新しい日ロ関係の海図となるものでありまして、今後、領土問題を解決して平和条約締結に向けてどのような信頼関係を醸成していこうかという重要な文書だと思っております。  まず、ただいま佐藤議員御指摘のように、今までのソ連時代と、ロシアに変わってから大きく違っていると思います。そういう時代の変化をとらえて、日本としては、北方領土を解決しなければ日ロの協力は進まないということではなくて、様々な政治、経済、文化、芸術、スポーツ、草の根レベル、様々な交流を日ロ両国民の間に広げていくことによってお互い親近感を持とう、信頼感を持とうと、そういう状況、雰囲気を醸成する中で、北方領土問題を解決して平和条約を締結しようじゃないかと。言わば法と正義に基づいて領土問題を解決するという、ロシアの首脳もはっきり今までも表明してまいりましたし、今回、再び五月、サンクトペテルブルク建都三百周年記念行事の際にプーチン大統領と会談した際にも、プーチン大統領自身、領土問題、これは早期に解決する必要があるし、この問題についてお互い積極的に取り組もうという意欲を表明されたわけであります。  私は、かつてのソ連の一党独裁政治体制、統制経済、米ソ対決時代から、ロシアになってから複数政党を認めて、選挙を認めて、民主制に移行した。なおかつ市場経済重視、転換した。そして、米ソ対決から米ロ協調、アメリカとロシアと協力するようになってきている。なおかつサミットに参加している。数年後にはロシアがサミットの議長国となるということも決まっている。もう明らかに大転換です。  そういう中にあって、私は、同じ価値観を共有する国になったと思っております。何かと。それは民主主義、市場経済。そして、原潜の解体作業を取ってみても、これは日本としてもサミット参加国とともに、日本の環境保護のみならず、ロシアの核兵器解体、原潜解体、これはもう世界でも注目していることでありまして、これは日本のことだけじゃありません、当然、日本海にも関係ありますが、日本にも関係ありますが。そういう面で協力する分野もあるということから、私は、幅広い交流を重ねて信頼関係を醸成して、北方領土を解決して、平和条約締結に向けていきたいと。  現に今、ロシアにおいては、扇大臣いられますが、御主人の中村鴈治郎さんがロシアで歌舞伎を演じて、もう切符が売り切れて、日本人が観客じゃないんですよ、ロシア人が観客でして、もう拍手大喝采だという報告を受けているんです。そういう草の根レベル、文化交流も積み重ねていくことによって、やはりロシアが、ああ、やっぱりソ連とは違ったな、お互い人間同士、同じ価値観を共有する国民として、日本とロシアとの関係を良くしていこうという雰囲気の下に信頼感が醸成されることによって、私は平和条約締結に向けての努力の機運が盛り上がるようにこれからも進めていきたいと思います。
  184. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 総理が全部おっしゃられましたので付け加えることは少ないんですけれども、具体的に、じゃ、どうやって進めるかということで、この間、総理がプーチン大統領とお話しになられたときにプーチン大統領は三つのことをおっしゃっていらっしゃいます。一つは、領土問題を解決したいという強い気持ちを持っている、それから二つ目に、これを先延ばしするような考え方は持っていない、そして三つ目に、日ロ専門家間の協議、作業を一層進めるように上から指示を与える考えであるということをおっしゃっていらっしゃいます。  これは事務レベル、次官級の協議等々でございますけれども、もとより日本としてもできるだけ早く前に進めたいという考えは持っているわけでございまして、こういった場を使って、先ほど総理がおっしゃられたような基本的な考え方、これに従いまして、これに沿いまして進めていきたいと考えております。
  185. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 一つ申しておきますけれども、歴史の共有がないんですよね。だから、四島の子供たちにどういうふうな歴史の教育をしているんだということで、これも産経新聞のモスクワからのでございますけれども、北方問題についてはほとんど教科書で事実上無視されていると言ってもいいと、こんな書き方もされておりますし、もうほとんど子供たちに四島についての歴史を教えていないということですから、この辺も一つの私は、先進国の仲間入りをしたので、歴史の共有というふうなことで返還の大きなポイントにもなってくるのかなと、そんな思いをしております。  次に、片山大臣財務大臣、その辺、もう相当何か火花が散っているような、火の粉がこっちに来るような感じしてならないんですけれども、正に三位一体についてお伺いしたいと思います。  私は、三位一体の改革というのは、総理、一言で言うと、私は、国が地方をどれぐらい思うかと、この一つに尽きるかなと思うんです。幸い私は福島県出身でございまして、今日こうして放送をしているまたこの電気も、全部福島県と言ってはちょっと過言かも分かりませんけれども、東京電力の三三%が福島県と新潟県で、水力、火力も、原子力も含めて送っております。ですから、その送っている地域のことを常にやっぱり私は頭の中に入れておいてもらいたい。  この三位一体の改革の原理原則というのは、私は、正に国と地方自治、それからまた都市部と地方、こんな関係から発生していかないと私はやっぱりこの問題は解決していかないであろうと。補助金を削減するよ、交付税を削減するよと。一方では、じゃ税源移譲はどうなんだと、そんな思いをしているんですけれども。  そこで、補助金をすべて握っておられる財務大臣塩川さんに、この私は発言を見てもうがっかりしたんです。これは四月の日経新聞なんですけれども、これも私、地元に行ったとき、これほど市町村長を愚弄した言葉があるかと、えらい私怒られてきました。それは、財務大臣は税財源の移譲をめぐって、ここからですよ、「地方自治体はとにかくカネをくれっていうことだ。ひよこが口開けて待っているようなもので、自分たちでエサを取るようなことをやらないと、自治体は独立できない」。後半戦は何か分かりますけれども、ひよこが口を開けてえさをくれ、この表現が実はあります。物すごい怒り心頭ですよ。こういう方が私は三位一体の中心になっているという、これは大変な問題で、私は、小泉総理、閣議でこれは問題にならなかったんですか。というのは、塩川さんが思っているということは、まあ彦左衛門でしょうから、小泉さんが思っていると同じなんですよ。  まず、この真意について私は塩川財務大臣にお伺いしたいと思います。
  186. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それはひとつ懇談の中で言ったことでございまして、正式に申したものではございませんが、懇談の中で例えばということを言った。これはやっぱりちょっと言い過ぎのところがあったと思いますけれども、しかし財源の問題ばっかりに議論されておるということではなしに、私は行政改革財政と併せて議論すべきだということを言ったんで、財政ばっかりに議論を絞っているというのはおかしいじゃないかということの中で言ったことでございまして、ちょっと言い過ぎであったことは反省して訂正いたします。
  187. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 本当は私、ここで片山大臣に聞きたいんでしょうけれども、ここでやっぱり乱闘になっても仕方ありませんので、うまく、もうともかくこの三位一体はまとめていただきたいんですけれども、今、各地方自治体でいろんな大会やっています。国土交通大臣農林水産大臣おられたかな、農林水産大臣おられるでしょう。それぞれの事業をやっているところは来年も必要なんですよ、地方は。大都会の人は分かりませんでしょうけれども。そうすると、やっぱり自治体の中で圃場整備事業にしても集落排水事業にしても、来年必要だからというふうなことで、これ必ず、私は、補助を上げている役所が中心になってこれから大会をするんです。今地方で大会をしています。これ予算が始まるとだんだんだんだん東京に来て、これ石原慎太郎のために何かみんな上京しているような話になってしまうんですけれども、東京で大会をする。そうすると、結果的に犠牲者は市町村長になっちゃうんです。  ですから、この辺はもう本当にそういうふうな形にならないように、私は、まあ総理がいずれ決めるんでしょうけれども、何とか総理の決める前に決めれば一番いいんでしょうけれども、この三位一体をやってもらいたいと思うんですけれども、その中で補助金の削減、これについては財務大臣はどういうふうな見識の中でこの項目を削ると、そういうふうなことをお決めになったんですか。まず、その所見をお伺いしたいと思います。
  188. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私が七割ということを言ったその問題ですね、要するに。佐藤さん、そういうことですね。今御質問は七割をなぜ言った、なぜ言ったのかということですね。
  189. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 全然聞いてもらってないんですけれども、いわゆる補助金を、四兆円の補助金の削減という試算がありますよね。その補助金を削減する基本的な根拠と理念。
  190. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは、地方団体に対する補助金の総額が全部入れまして約九兆円近く、正式には八兆六千何ぼ、約八兆七千億だったですかね、そのうち公共事業除きましたら約三兆、私、はっきりした数字は持っておりませんが、三兆九千億円か、なると思っています。約四兆円になると思います。四兆円になると思っています。その四兆円を対象にしたらどうだと、公共事業は外した方がいいと、そういうことで言ったわけです。
  191. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 その中で、地方の道路の補助金と交付金の削減というのがあるんですよ。これは公共事業入らないのかな、扇大臣、これ通告しなくて恐縮なんですけれども、これは、その閣僚折衝の中でこれは道路特定財源として勘定しているのか、それとも一般財源として勘定して、いわゆる地方に、地方の道路建設の交付金、それから補助金というふうなことのカウントをしているのか、それはどちらなんですか。
  192. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 特定財源は昨年の暮れに塩川大臣ときちんと精査しております。そして今日、片山大臣もいらっしゃいますから、これは特別に九百三十億円というものを別途昨年は合意いたしました。  今おっしゃったように、道路の少なくとも事業というものに関して、整備事業、そういうもので三千三十三億だったと思います。七千三十三億円です。七千三十三億ありますけれども、これは全然一般のことと違って、私たちはこの七千三十三億というものはきちんと今回は皆さん方とともに、一般財源の外の話でございまして、一般財源には入っておりましたけれども、今まで私たちはこれを一緒に道路の整備、地方の道路整備というものを、この事業費の中に今まで地方に関しても、これは片山大臣もよく御存じなんですけれども、事務費というものも入っていたんですね。それを今度きちんとしようということで、これはお互いに事務的に、この事務費というものは何だということで、事務費もきちんと今回は整理しましょうと。まあ、その間の役人の退職金まで事務費に入っているじゃないかというお話もございますので、これはお互いに事務的に見直しましょうということになりまして、これは地方の道路の整備事業に関してはきちんと私たちはお互いに話が付いております。
  193. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 それはちょっと違う。違うんですね。
  194. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 済みません、私も関係しているものですからね。  今、塩川大臣が言われたのは、八兆六千億なんですよ。そのうち五兆円は公共事業だから、それを分けようと、残りが四兆と。その四兆円の中には、道路の関係は道路臨時交付金の七千億入っています。そして、本来の道路の公共事業の方は一兆四千億、これは五兆の方に、公共事業の方に入っている。そういう仕分です。
  195. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 大臣、財源はどういうふうな種別になるんですか。これは一般財源ですか、道路特定財源ですか。
  196. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この四兆円は制度補助金ですよね、五兆円は公共事業で。公共事業は、これは公共事業の全体のボリュームを圧縮すれば補助金も減るんですよ。だから、同じように考えなくてもいいではないかということで分けたらどうかということの議論をしているんで、いずれも補助金で、そこでそれをどう一般財源にするかというのはこれからの議論です。  だから、塩川大臣は七割ぐらいということを言っておるんですが、私どもの方はそれは根拠がないではないかと。何でかというと、今、国庫補助事業で十割でやっておる仕事を同じように法律で義務付けてやるとすれば七割でできるわけがない。いつの間にこの三割なくなったんだと。これは負担転嫁になるわけです。  ただ、やめてもいい補助金があれば、それはゼロでもよろしいと。効率化、スリム化できるものは七割でも八割でも結構だと、こう言っているわけであります。
  197. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 本当に今のその税源移譲の話で七〇%は面倒見るというわけですよね。これは計算していきますと、やっぱり全体で一兆二千億のマイナスになるんですよ。そして、三千二百の町村、一年間で一億円になるんです。これはもう大変なんです。  我が地元に檜枝岐村というのがあって、これはもう六百人とかそういうふうな、平均するとあれも一万人ぐらいの町ですから、全国平均すると市町村。ここにとっての一億円というのはもう大変で、町とか村は私は行政をやっていけないと思うんです。  それが、トータルが足りないのが一兆二千億なんです。ところが、りそな銀行に二兆円なんて、これは言語道断で、最近やっぱり日本は、おれ、狂っているんじゃないかと思うんですよ。  小泉さんが余り好きじゃない郵便局は、あれは民営化すると言われたでしょう。それで、銀行を国営化すると、全く逆になっているんだ。いや、ユニバーサルサービスからいうとそんな簡単なものじゃないですよ。だから、郵便局なんか国営化で当然の話が、郵便局も民営化にするだって、銀行は民間で当たり前のものを、それを国営化。もう正に本末転倒。それでこの国はどうなっているのかなと思うんですけれども。  私は、税源移譲というのはこれやってくれると、塩川さん、思います。ただ、これもまた困っちゃうのは、一緒にやってもらわないと困るんですよ。なぜかこれ一緒に、どうも先送りになりそうだとか、消費税の話が出ているんでしょう。そうすると、どういうことかというと、これはあえて私は片山大臣の代わりに申し上げるわけじゃないけれども、地方分権が増税になるんだというようなことになっちゃう、増税の原因は地方分権だというふうなことにされちゃうんです。そうすると、地方の者が何か原因者みたくなってしまうので。  私は、やっぱりさっきも申し上げましたように、これは本当に地方がなければ私はもう東京成っていかないと思う。それは江戸時代、東京は二百万人しかいなかったわけですが、それが一千二百万人ですから、一千万人は極端な話、栃木県からも福島県からも、地方からみんな来てこの日本をつくっているんだと。  このまず一つの認識と、さっき言ったように、これは東京が経済も行政もすべての中心に、経済の中心というのは、これは正にエネルギーの電気で動いている。電気はみんなほとんどが地方だという。さらにまた、CO2の問題があります。京都議定書でいわゆる森林吸収というのを認めた。森林吸収によって、森林が酸素を出す。酸素もこれは地方から出しているんです。  ですから、そういうふうなことをもこれ、総理、考えてもらって進めてもらわないと、内閣総理大臣というのは何も関東地方の総理大臣じゃないんですから、北海道から九州、沖縄の、日本の内閣総理大臣であるわけですから、そういうふうなことをも十分考えていただいて、いずれ三位一体の結論を出すと思いますけれども、出しますか。
  198. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 地方にできることは地方にということでやってきたわけで、今まで補助金一つ取っても難しくてできなかった。交付税、おかしいじゃないかと、三千三百地方公共団体あるうちに、交付税をもらっていないのは百もないと、約百だと。これで本当に地方と、財源の豊かなところ、ないところの調整なのかと。この交付税も直さなきゃいかぬと、これも難しい。それで、税源、これは国と地方、税源、それぞれ必要なんだからできない。みんなできないということばかりだったんです。  だから、みんなできないんだったらみんな一緒にやろうというのが三位一体なんです、補助金、交付税、税源。それで、なかなか財務大臣総務大臣意見がまとまらない。物事には潮どきというのがあるんですよ。総理大臣、何もやらない、見守っている時間も大事なんです。時が来れば決断するんです。
  199. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 いや、これはもう時が来ればということですから、これはもう三位一体で税源移譲もやるという私は理解をこれは国民の皆さんはしたなと思いますよ。  ただ、その税源移譲も、さっきの片山大臣の話じゃありませんけれども、もうほとんどが自主財源が一五%から二〇%行っていないところですから、これは七〇%じゃもうとてもやっぱり私はやっていけないと思いますので、その辺は十分、内閣総理大臣小泉純一郎氏の裁断を期待したいと思います。  次に、時間もなくなってきたんですけれども、先日、事態特がありました。小泉総理の備えあれば憂いなしということであのような成果になったわけでありますけれども、私は、これも何かちょっと微視的な話で、もっとやっぱり、例えば攻める方からすれば一番被害のあるところを攻めちゃうと思うんです。そうなってくると、これも、先ほどの一極集中というのが、大変な都市と地方の大きな私は問題がねらわれる一つの原因になるかなと。  そうなってきたときに、私は、先般も実は国土交通委員会で都市災害の防災法をやっております。もう頻繁にあれも、毎年毎年、都市水害法とか災害法をやっているのは、あれは何のことはないんです、人が集まり過ぎているからなんです。この三年間で東京は約二十万人人口が増えているんです。この十年間で関東地方は百五十万人増えているんです。それで、しかも東京、関東地方というのは出生率が一番低いんです。地方の方がはるかに出生率が高い。だから、社会的要因でみんな移ってきているわけですが、一方では過密を作るということは過疎を作ることです。  ただ、日本もやっぱり、この間の有事立法の中で、本当に安全、安心な国土政策も作る必要はあるんじゃないかなと私思うんですけれども、そういうふうな中で、日本のいわゆる有事のときの自衛を考えたような国土政策、これは多分、財政諮問会議と違う話になってくる。財政諮問会議は特色ある日本と都市の再生。都市の再生もいいけれども、都市の再生は更に私は過密状況を作るんで、国防を考えたときのバランスの取れた国土政策。まあ、扇大臣には何回も質問しているんですけれども、全くそれはできないというふうなことを言っておりますので、あえて今日は総理大臣にそのような国土政策についてお伺いしたいと思います。
  200. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国土は均衡ある発展を遂げるべきだと思っております。都市と農村というのが対立する問題ではないと。都市と農村は、今、佐藤議員言われているように、共存共栄するものだと私は思っております。  それから、安全保障を考える上においても、一地域だけにすべての機能が集中するというのも国土の安全を考えるとこれは好ましいことではないという観点から、国土の均衡ある発展を考えるべきじゃないかなと私は思っております。
  201. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 時間も迫ってまいりましたので、もう本当に日本の国防も考えた、また日本全体のいわゆる正に三位一体に合うような、私は国土政策を進めていただきたい。  最後にもう一度、総理には地方あっての都市だということを頭に入れていただきながら、日本の政治のために頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  202. 中原爽

    委員長中原爽君) 関連質疑を許します。和田ひろ子君。
  203. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。関連の質問をしたいというふうに思っております。  今、安全、安心、佐藤雄平議員も質問をされました。危機管理、有事、いろいろ議論をされておりますが、今、日本の国で自給率が四〇%も満たない食料の農業を抱えていて、本当に食の安全、食の危機管理、大丈夫なんだろうか、だれでもが思っていると思います。私は農業に関して質問をいたします。  三月の農林水産大臣の所信の中で、我が国農林水産業と農村、漁村は、人の命を支える食料の供給と使命を担い、農地、森林、海を通じた資源の循環、環境との共生を実現する重要な役割を果たしているというふうに述べられました。私も農林水産業と農山漁村の役割、重要性はそのとおりだと思っています。生命を維持する必要な食料はもとより、国土や環境の保全にとっても、持続可能な農林水産業と農山漁村の維持発展が不可欠だと思っています。  国民の生命を維持するために必要な食料、それはもちろん、そして例えば、先ほども何回も議論になりましたが、COP3の地球温暖化防止のための、日本が議長国となって世界にCO2の削減を本当に日本が数値を示しながら発信をしました。しかし、CO2の削減というのは手入れが行き届いた山からしか削減はされません。日本の山、どうでしょうか。今、小泉さん、日本の山をお歩きになって、ああフジの花がきれいだななんて言わないでください。あのフジは日本の国の木を傷める、木を絶対に育てない、つる、それでフジの花が咲いているんです。そういうことを考えれば日本の山を見てフジがきれいだななんという、そんな国民であっては困るんであります。どうぞ、このことを私たち国民が一人一人考えながら、十分に考えて、また政策も国民の皆さんに十分に説明して、施策の理解と協力を求めていくべきだというふうに思います。  総理は、農林水産業、農山村と漁村の役割についてどういうふうにお考えだか、お答えをいただきたいと思います。
  204. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 農村、漁村、都市と対立するものではなくて共存するものだ、共存共栄するものだということを申し上げましたように、それぞれの役割があるわけであります。特に農村、漁村は食料を供給する面において極めて重要な役割を果たしていると思います。特に、日本国民は最近、食に非常に敏感であります。食料にしても、野菜にしても魚にしてもお米にしても、いかに安全なものを欲するか。
  205. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 簡単にお願いします。
  206. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そして、これからも日本の食料が国民に安全に供給されるように十分な配慮がなされなければならないと思います。
  207. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 どうもありがとうございます。都市と農村をしっかり守っていただく総理だというふうに受け止めました。  例えば今、山で間伐しないと駄目なんですよ、木が、本当に山が荒れていて。間伐した材木は、五十年たったヒノキでも千百五十円ぐらいしかしないんです、五十年たった材木が。間伐の予算をあんたたちはもらっているんだから、そんな間伐の材木まで売ることないんじゃないか、五十年たった材木も千百円ぐらいしかしない、こういう状況の中で、今農山村は本当に大変な危機に瀕しています。どうぞそのことをよく踏まえていただきたいと思います。  持続可能な農林水産、農山漁村の維持発展は、少なくとも人と土地が必要なんですね。特に、私、今日は中山間地について、ちょっと農業全般のことを聞きたいんですが、時間がないので中山間地のことを聞きたいんですけれども、中山間地が土地が荒れて耕作放棄地ができてしまう。人はもうこんなところでは暮らせないという感じでもうみんな放棄していっちゃうんです。そんな中で本当に日本の国の多面的機能が守られるんだろうかという思いがしますが、総理、いかがですか。
  208. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) お答えいたします。  中山間地域につきましては、直接支払制度を、十三年度決算を見ましても実施率が低い、こういうようなことを、今、委員指摘のとおり、中山間地域の問題は大変重要な問題と、このように思っておるところでもございます。  この多面的機能、農業生産活動を行う上におきましても、また多面的な機能を確保する点からも、また生産条件の不利なこの地域の問題、これは重要な課題と、このように思っておりまして、是非そういう面で、この問題をいろいろの形で補強する、こういう施策を進めてまいりたいと、こう思っております。
  209. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私の質問の先に答えられてしまって大変残念なんですが、中山間地の直接支払というのは、大臣、平地と山間地の所得の格差をなくそうということでやられたんでしょう。そういうことであるとすれば、これからの質問なんですよ、それは。  会計検査の報告で、中核となる農業者がいないというふうな御指摘とか、農業生産活動を五年間維持できない、それは確かにもうお年寄りしかいないんですから、若者がいないんですから、中山間地の直接支払のその要件を満たせないんですよ。中核になる人がいない、五年間継続する人がいない、そして手続が面倒くさい割にはお金が少ないんですね。そういうことを会計検査指摘をしています。  本当にこんなことで中山間地の農業が守れるんだろうかという思いがあるんですが、それでは、最大の目的である耕作放棄地は、十二年度から十六年度まで実施される、今十五年なんですが、その放棄地はなくなったんですか、ちょっとお尋ねします。
  210. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 中山間地域につきましては、まず現在八三%の協定を結びまして、そこまで進んできておるわけでありまして、御指摘の遊休農地が解消されているかどうかと、これからこのことにつきましてはやらなければならない課題であります。  いろいろ、中山間地域と平場との生産の格差の問題と、これいろいろあるわけでありまして、何とかこれらの問題につきましては、その一ヘクタールと、こういう問題も、分散した土地でもそれが可能なようなことをしなければならないわけでありますし、さらには、いわゆるこの地域の皆さん方がいろいろ、過疎というようなことにもなりまして、条件、あるいはまた、少しグリーンツーリズムであるとか地域集落の活性化であるとか、あるいは新しいオペレーターと、こういう人が入っていただいて新規作物等々が栽培できるようなそういう施策を進める中で、この要件あるいは単価の問題、これは十分考えていかなければならない課題ではなかろうかと、こう思っております。
  211. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 今、大臣が言われたように、平地と山間地の所得の格差はあるというふうにおっしゃいました。平地と山間地域でなくて、中山間地自体でも所得の格差はあります。  例えば、二十分の一の傾斜のところと百分の一の傾斜のところの試算は、百分の一の所得の五五%しか二十分の一の傾斜の農地では取れないという試算があります。それほど日本の国は急峻な中で大変苦労して農家の皆さんはやっておられるということをどうぞ踏まえていただきたいなというふうに思います。  そして、そんな状況の中で、経営の所得の安定対策が確立をしていない中で直接の支払制度の助成金の水準が中山間地域の農業の維持発展に、これ資すると思いますか。いかがですか。
  212. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 現状、先ほど申し上げましたような協定を結び、さらにはいろいろその地域の活性化と、こういうことを進める中で、今の単価と、これで何とかその地域が、その中山間地域の活性化ができるようなまた努力をしていただきたいと、このように考えております。
  213. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 大臣は、十二年度から発足したこの中山間地の直接支払、十六年度までの事業なんですが、その中でまだ効果が見えていないというふうにおっしゃいました。本当に見えていないというふうに思います。何でなんでしょうか。  この中山間地の支払というのは、総事業費は七百億円なんですね。国は三百三十億円を負担します。そして、残りは地方公共団体が三百七十億円を負担するんですよ。そして、それは市町村長の裁量に任せてあるんですね。中山間地なんというところは、大抵財政基盤は脆弱なところばっかりなんです。だから、本当にそれみんなで手挙げられたら市町村は本当に困っちゃうんじゃないんですか。そういう脆弱な中でこんな直接支払を地方の裁量に任せるなんということを言っている、このことが、このせっかく仏を作って魂を入れない交付金の現状になっているんではないんでしょうか。  実施率が低くて都道府県の基金に未消化で残っているから国の交付税を減らすというのではなくて、制度の目的が十分に発揮されるようにもっともっと、何で使ってもらえないんだろうか、どこが問題なんだ、そういうことを精査していくのがこの本当の目的だと思うんですが、どうでしょうか。
  214. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 先ほども御答弁申し上げましたが、八三%の地域でその協定が結ばれて今日まで来ておるわけであります。  なお、もう御承知のとおり、基本的には枠組みは国で示すわけでありまして、各地域の実態を踏まえまして、対象とする地域の範囲につきましては都道府県知事、また対象とする農用地の指定、農業生産活動の維持のための集落で締結する協定の認定につきましては、御指摘のとおり市町村長が行うわけでありまして、この一定の裁量を付与しておるわけであります。  この制度、協定活動を通じた農用地の維持管理等の実施状況等を踏まえまして平成十六年度制度の見直しを行うこととしておるわけでありまして、その際に地方公共団体からもいろいろの御提案をいただき、十分それに私ども耳を傾けまして、そして中立的な第三者委員会の意見も伺った上で改めて検討してまいりたいと、このように考えております。
  215. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 人類の文化というのは耕すことから始まったというふうに言われています。農業生産の基礎である耕地は人類の数千年にわたる営々とした努力の蓄積であります。もう本当に営々と皆さんが一生懸命やってきた蓄積がこの耕地ができたことであります。また、農業農村は食料供給の生産基盤としてだけではなくて、その多面的機能というのは国民の大きな財産でもあるわけです。  政府からも、前の農林水産大臣は、農村は農業者だけの価値ではない、国土の均衡ある形を作るために美しいという概念を農水省としてももう一度考え直して、来年度の概算要求からそうした政策、体制の柱を立てて積極的に立ち向かっていきたいという答弁もいただきました。先ほどは塩川大臣が、この決算委員会質疑を十分に踏まえて十六年度予算をというふうに言われています。  そして、今日は中山間地の問題を質問をいたしましたが、いろんな面でこういうそごがあるというふうに思いますが、総理大臣農林水産業について、この多面的機能を維持することについてどういうお考えであるか、もう一度お聞かせをいただきたいと思います。
  216. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 中山間地、農村、山村、これは狭い国土でいかに有効利用していくかという今までの日本における農家の方々の一つの大きな工夫のなせるものだと思いますし、食料を提供するだけでなくて、環境維持あるいは農村の景観等において、人間にとって大きな役割を果たしてきたと思います。  現在、農村と山村、交流を図っておりますが、和歌山県などでも、森林の間伐、荒れている点についてどうしたらいいかという和歌山県独自が一つの案を出してまいりました。それは雇用にも影響すると。都市と農村を交流させようということで、森林の作業に従事する方をよそから来てもらおうと。これは雇用にも有益だということで、実際実施に移してみたら非常に希望者が多い、それでもっと定着させたいということで、和歌山県の例というのは今後もほかの地域でも参考に値する面があるんじゃないかと思っています。  いずれにしても、農村と山村というのは都市と密接に結び付いていると。農村に住んでいる人と都市に住んでいる人、この交流というものも図っていくことによって、お互いの役割というものを認識しながら共存共栄していくものだということをやっぱりよく多くの国民が認識する必要があると思っております。
  217. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 ありがとうございます。  先ほど佐藤議員も言われたように、川下と川上の問題だとすれば、川上は酸素も作っていますし、そしてすばらしい景色も作る、そして空気、水も涵養しています。食料も作っています。そして、都市には人材までも派遣をしています。このことを考えれば、本当に総理が言われたように、都市と農村の交流をきちんとして農業がいかに大切だということを考えていただきたいというふうに思います。  そして、今、中山間地の直接支払の話をしました。私ども民主党は、農業全般にもう所得の補償、直接支払をしなければいけないという今回は対案も出しました。残念ながら否決をされましたけれども、多面的機能という形で、一畝でも二畝でも作っている農家の皆さんにその所得を補償し、そして大きな、大きな農家ほど大変な苦労をしています。米価が下がり、そして借金が増え、そして土地改良の償還金がもう本当に借金として増えていく中で大規模農家が大変苦しんでいる。その大規模な農家のための所得の補償、そして有機農業に取り組んでいる人のための所得の補償、そして中山間地の所得の補償という形で四階建ての私たちは所得の補償を提案をしています。  例えば、今、議論の中で、それは余りにも不公平だよ、農業にだけどうしてそういうこと言うんだいというお話がありますが、農業は業ではなくて日本の国民の食料を作る、もし危機管理、有事があったら、日本の国民は四〇%以下の自給率の中でどうして生きていけるんだというふうな思いがします。  そういう思いの中で、是非農業というものをきちんと国の有事の政策に位置付けていただいて、農業問題をしっかりやっていただくことが、私たちの、地方の声ではなくて、これは国民全体の声として受け止めていただきたいと思いまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  218. 山下栄一

    ○山下栄一君 行政改革について、特に独立行政法人化の実効性ということについて総理に質問したいと思います。  午前中も質問させていただきましたけれども、特殊法人は廃止という方法、そして民営化、さらに独立行政法人にするという、百六十三法人対象になりました整理合理化計画のうちの、今現在、十五年度中に百近く、九十四法人が独立法人になるわけですけれども。  私は、これ多くの税金を投入し、そして理事長を中心にしたトップに大幅な裁量権を与えたと。税金を投入したけれども果たしてそれが有効だったのかという検証は政策評価、行政評価に懸かっているというように思うんですけれども、その行政評価、政策評価体制が果たして機能するのかなという非常に疑問を持っております。  午前中も質問しましたけれども独立行政法人は中期目標を掲げ、中期計画を作って、その達成状況を検証するわけですけれども、いよいよ今年度、十五年度、三年の中期目標を掲げた文科省の独立行政法人の教員研修センターがいよいよこの三年間の成果が問われるという、そういう年度を迎えているわけです。  したがいまして、この非公務員型の教員研修センターの評価がどうされるのかということ。それがおざなりの評価に終わってしまっては、これは国民の期待を裏切ると思いますし、独立行政法人も余り特殊法人と変わらなかったなということになってしまうと。  これ、この改革につきましては、総理もスタートの時点に当たって非常に疑問を、というか心配されていた面、本当に実効性上がるのかということを指摘されていたように思うわけですけれども。  ちょっと、石原大臣、この中期目標を数値目標として具体的に分かりやすく掲げてやりなさいと、こういう指針を、策定指針を作られておりますよね。例えば、公的資金の投入額がどれだけ削減できたか、また常勤職員がどれだけ減ったのかという数値目標を掲げて、できるだけ分かりやすく評価しやすい形で中期目標を作りなさいという策定指針を掲げられているんですけれども、現実はこういう明確な基準というのは作られているんでしょうか。  まず、それをお聞きしたいと思います。
  219. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) このお話は午前中も御議論をさせていただきましたが、ただいま委員の御指摘は、十月に取りまとめました中で、「新独立行政法人の明確かつ具体的な中期目標の設定」ということで、「独立行政法人の運営については、主務大臣は一般的に関与せず、基本的に長の裁量に委ねられ」ることから、委員の御指摘のとおりでございます、「独立行政法人が所期の成果を挙げるためには、的確な中期目標の設定と厳正な評価が極めて重要である。このような独立行政法人制度の特色を踏まえ、新独立行政法人の設立にあたっては、主務大臣は、明確かつ具体的な中期目標を設定すること」ということを決めさせていただいたことでございます。  そして、これは午前中も御答弁をさせていただきましたように、すべての独立行政法人は所管省庁に属しております。その第一弾として文科省のものが出てくるわけでございまして、委員指摘のとおり、この点は非常に重要で、ここでいかに客観的な、世間だれが見てもこの改革の趣旨にのっとっているかということが明らかにならなきゃいけない。今御批判があるのは、その評価というものがお手盛りになるのではないかという御批判があるわけでございます。そういうものにも対処できますように、民間有識者九人から成る参与会議を特殊法人の推進本部の下に設置させていただいておりまして、委員の御懸念のようなことがありましたら、そこでその問題点を速やかに明らかにする、この客観的な基準というものも、だれから見ても客観的で、ものであるというようなことをこの第一号が出た段階で参与会議にもお諮りをさせていただいて、委員の御懸念におこたえしていかれればと考えております。
  220. 山下栄一

    ○山下栄一君 参与会議も含めて、行革本部で作られた策定指針、これがきちっと機能すれば私は問題ないと思うんですけれども、明確な数値目標を作って各それぞれの特殊法人が中期目標を掲げれるかということがあると思うんですね。  それで、総理にお伺いしたいと思うんですけれども、三年たちました、五年たちました、主務大臣が責任を持って事業をやめるか続けるか、場合によったら組織を廃止してしまうかという、そういう一歩踏み出た決断を出す材料をどれだけ大臣が持てるかと。そのためには、各省庁にある評価委員会が的確な意見を言うことができるか、また省庁を超えた組織である総務省の独立行政法人評価委員会が的確な勧告、鋭い勧告が勧告できるかというように思いましたときに、私は、それぞれ識者の方は一生懸命頑張っておられるんですけれども、各年度の第一次意見なんか見ましたら、どの行政法人にも同じような抽象的な意見を総務省の独立行政法人評価委員がおっしゃっていると。それぞれの独立法人は違うのに文章が皆同じような第一次意見になってしまっていると。ちょっと時間の関係で細かく言えませんけれども、そういう実態があると。  要するに、評価をするけれども、材料を提供する資料はほとんど役所が作る。独自に現地調査するような能力も持っていない。そんなことで果たして、体制的には評価委員会という斬新的な組織はあるけれども、ABC三段階、五段階にしましても、大体まあAかBか、そういうふうなことに終わってしまうのではないかという懸念を当然持つわけですけれども、その辺の、業績評価が果たして実効性のあることができるかという、現体制でですね、このことへの疑問に総理はどうお答えになりますか。
  221. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ようやく特殊法人の整理合理化が始まったわけでありまして、この廃止、民営化あるいは独立行政法人、この独立行政法人も独立採算制、さらに企業会計原則、そして今後の事業についての見直しというのは、特殊改革推進本部に参与会議も設けて、不断に見直しを行わなきゃならないということで今進めております。  これから新しくそういう法人になったのが実際の趣旨に合ったような活動をしているかというのは今後のことでありまして、これについては不断の見直しが必要だと思っております。ようやく動き出した整理合理化でありますので、趣旨にのっとって不断の見直しが必要だと思っております。
  222. 山下栄一

    ○山下栄一君 それで、私提案したいんですけれども、先ほども佐藤委員だったと思いますけれども会計検査院の機能を強化すべきという、総理もそれは賛同されました。私も本会議でそういう質問をさせていただいて同じような答弁をいただいたんですけれども、実は、会計検査院というのは平成九年に法改正されて、議員立法で法改正されたんですけれども、特に有効性、予算を投入した、税金を投入した、それでどれだけ目的を達成しているのかという観点からの評価を大事にしようと、大事にしろという法改正が行われているんですね。  よく考えましたら、この会計検査院というのは、調査能力、日常的に恒常的に持っているわけですし、現地調査もできる能力を持っている。三年間、五年間の単位であれば、またすべての独立行政法人を三年、五年のインターバルでやると百幾つの独立行政法人を全部チェックできると思うんですね、具体的に。資料も自ら集めて独自の判断でできるという体制を会計検査院は恒常的に持っている組織だと。まして、この平成九年の議員立法の改正で有効性をきちっとチェックすることが会計検査院の重要な仕事だと、こういうふうに法改正したわけですから、少なくとも会計検査院がこの十三年度も数多くの措置状況、法令、制度の見直しも含めた提案をしておりますけれども、それは別に尊重する義務も何もないという状況になってしまっているわけです。  私は、通則法に、この会計検査院の有効性の指摘については、各独立行政法人また評価委員会は尊重するぐらいのそういうことを、やっぱり指摘された、会計検査院が指摘したことぐらいについてはちゃんと指摘を尊重して、措置状況を提案しているわけです、提案する役割を担っているので、それぐらいの連携はすべきだというふうに思うんです。今、連携がないんです。だから、有効性をチェックして事業評価もするわけですから、正に政策評価をする。体制的には、各省庁の評価委員会とか総務省の評価委員会、別に優れた方々がいらっしゃるんですけれども、だけれども、それは既存の資料を見て書類チェックしかできない。これを考えたときに会計検査院の機能強化、そして政策評価の観点から会計検査院の指摘を尊重する、使う、大事にする、こういうことは当然やるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  223. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 会計検査院が指摘された事項については、真剣に受け止めて改善策を講ずるべきだと私も思います。
  224. 山下栄一

    ○山下栄一君 総理の御指摘を、私、法律に書いても、独立行政法人通則法に書くべきかなとも思いますけれども、これはまた別の機会に提案したいと思いますけれども、今の総理の御発言を重みのある発言として私は受け止めたいというふうに思います。  天下りなんですけれども、この天下り問題も今非常に国民の関心というか、厳しいまなざしが光っていると思うんです。今、民間は非常に厳しい。公務員の方は定年前に辞めても定年後も場合によっては七十歳ぐらいまで、特に指定職の方は非常に保障されておると。それも非常に、退職金の見直しも行われましたけれども、この天下り問題についてはますます給与の状況も含めまして国民の見方は厳しくなっている。我々これだけ苦しい、苦しい思いをしているのに公務員は何なんだという、そういう当然のことだと私思うわけですけれども。  天下りなんですけれども、特殊法人については、これは官庁OBの方は二分の一以下にするべきだという、そういう閣議決定が平成九年に行われております。昭和五十四年以来そうなんですけれども平成年度は更に再確認されたんですけれども実態は、今年三月に発表されました天下りの、独立行政法人等の役員に就いている退職公務員の状況の公表というのが三月二十八日に行われたんですけれども、これを見ますと、今ある特殊法人、二分の一以下にするべきだと言われていた特殊法人、今の特殊法人ですよ、例えば、ちょっと、たくさん、もうほとんどの役所にそれが当てはまるんですけれども、これは経済産業省の新エネ機構では十三人中十人が官庁OBだと。国交省でも、水資源開発公団十人中八人、都市基盤整備公団、独立行政法人化されておりますけれども、十三人中十人とかね。総務省の、これも特殊法人、民間法人化された特殊法人なのに、郵便貯金振興会、五人中五人全員官庁OBとか。  要するに、平成九年に二分の一以下に努力せよと言われた、そして民間の方をできるだけ役員に登用せよと言った閣議決定を無視するような状況が続いていると。特に独立行政法人、現在、現行の独立行政法人に至っては百七十九人中百三名が官庁OBだと、二分の一どころではないという、そういう状況になっております。  これは、だから平成九年の閣議決定はもうどうなったのかなと。独立行政法人と騒いでいる間に、本来の特殊法人のたががもう緩んでしまったんじゃないかなと。公務員の方への批判が厳しいだけに、これはもう一度何らかの、独立行政法人になっても、この数値目標といいますか、これ、基準以下にしなさい、場合によっては二分の一以下にしなさい、三分の一以下にしなさいというぐらいの一つの目安を示すべきではないかと。今は何にもなくなってしまったと、独立行政法人については特にですね。特殊法人すら守られていないという、これについての総理の所見をお伺いしたいと思います。
  225. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 特殊法人等が役所の出先機関となって、その役員人事等、役所を退職した後、既得権益みたいに当然天下り先になっていると、こういう弊害を直していかなきゃならないというのは当然だと思います。  また、その観点から、役所で今、四十代でも五十代でも退職させる、これもおかしいのじゃないかということで、退職年齢をもっと引き上げるべきだと、これ、ようやく始めましたよ。これだけでも非常に今まで抵抗があったと。序列が狂うとか、あるいは同期が仕事しにくいとか、五十代で退職させなきゃならないというのは、これは働き盛りですよね。  そういう点において、もっと特殊法人に天下りしないで、役所の中で働けるようなやり方を考えたらどうかということで今始めていますし、同時に、今の特殊法人について役所の出先機関、当然、役所が所管する特殊法人は役所のOBが座るのが当たり前だというそういう観点はやめなきゃいかぬと。やっぱり適材適所、民間からも積極的に登用するような方法を考えるべきだと。これは長年の慣行ですから一朝一夕にはいけないと思いますけれども、現に今私が申し上げたような方向で見直しが進んでいるし、これからも進めていかなきゃならない。  やっぱりこれは意識の転換、発想の転換も必要だと思いますので、この点については、国会でも指摘されましたように、どんどん特殊法人を渡り歩いて、二年か三年でまた退職金持っていく。こういうのもおかしなものだと。中には、事務次官よりも特殊法人のトップが給料多いのもおかしいじゃないかということで、これも直した、役員も既にもう三割か四割減らしている、着実に進めていきますので、今言ったように、各役所も今までの関連する特殊法人は自らの役所の出先機関と考えてはいかぬと。これはやっぱり意識をよくそういうふうに持ってもらいたいと。  それで、ある程度給与を上げないと民間から来ないんですという話も聞きますけれども、ある程度の所得を保障すれば、必要な仕事については、能力のある人がいるんじゃないかとか、今の産業再生機構でも、民間の給料よりも安くても自分はこの仕事に入ってみたいという人も出てきたわけですから、何も給料が高くないと来ないという状況でもないだろうと。一定の所得を保障すればいい人材はいる、もう探す努力も必要だという、やっぱり意識の転換も必要だと思います。
  226. 山下栄一

    ○山下栄一君 定年も、独立行政法人の場合は、先ほど公務員の定年引上げの話ありましたよね。ところが、六十五歳、七十歳まで勤めることができるようにこっちも引き上げていく、独立行政法人の、法人の定年も引き上げるようになっているわけですね。これはだから余り国民の賛同が得られない状況になっていると。  先ほど確認しましたように、平成九年に、最近の話です、確認しました常勤役員については、官庁出身からのOBの就職については半数以内にとどめるというこの閣議決定ぐらいは独立行政法人についても課すべきではないか、課すというか、示すべきではないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
  227. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 閣議決定を尊重して、これが実現できるように努力したいと思います。
  228. 山下栄一

    ○山下栄一君 尊重されない実情が広がっておりますので、各省大臣もよろしくお願いしたいと思います。  残された時間、同じく給与にかかわる手当の問題なんですけれども、お手元にちょっと資料行っていると思いますが、公務員の手当もいろいろあると。その中でちょっと、一つ通勤手当、そして調整手当があるんですけれども、時間の都合で通勤手当しかできないかも分かりませんけれども、これは分かりやすい話ですので、ちょっと総理にお聞き願いたいと思うんですけれども。  今現在、公務員の皆さんへの通勤手当は、一か月定期、一か月ごとに渡しているわけですね。それを六か月という形でお渡しすると、当然のことながら安くなるわけです。これは既に東京、大阪でこういう改革しまして、大阪でも数億円の削減になったというふうに、歳出削減です。東京におきましてもこういう提案が先日されまして、東京都の局長の試算によりますと、二十八億円の削減になったと言われております。  これを公務員国家公務員に適用したらどうなるかと。ちょっと人事院総裁に来ていただいているんですけれども、時間の都合でもう私の方から申します、済みません。通勤手当は四百八十七億円、今支払われております。対象者は、歩いて通勤する方もいらっしゃいますが、対象者は二十二万四千人ですね。平均が大体一万八千円からという。もちろんJR、民間鉄道、バス、それぞれ削減率が違うかも分かりませんけれども、JRの率を適用しますと、一か月定期を六か月定期に転換するだけで七十五億円の削減ができるという、こういう、通勤手当だけですけれども、そういうふうなことになるわけです。東京都だけでも二十八億円ですからね。もう少し厳密にするともっと違う試算が出てくるかも分かりませんけれども。  こういうふうに考えましたら、今、民間が極めて厳しい状況にありますので、私は、こういうことも丁寧に、やはり国民が分かりやすい削減、歳出削減につながる話だと思うんですよ。税金を上げる前に、消費税を上げる前にまず無駄遣いがあるのかないのかということを見直せということが、総理の一番大事なこととされていることだと思いまして、通勤手当についても、大阪、千葉ではもう実施していますし、地方公務員で、東京も石原知事がもう検討するというふうにおっしゃいましたわけですけれども国家公務員についてもこれを適用したらどうかと。一か月定期を六か月定期で支給することによって削減図るという、このことについての。
  229. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今初めて伺ったものですが、なぜ委員指摘のようなことができないのか、これは担当だれですか。その意見を聞いて、これは検討に値することだと思いますので、何で今までできなかったのか、よく理由を聞きたいと思います。
  230. 中原爽

    委員長中原爽君) お時間ですので、答弁は結構でございます。
  231. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 一問だけ、総理の質問ですから。  これは人事院勧告なんですよ、手当も勤務条件だから。人事院から勧告いただければ、検討いたします。
  232. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございました。
  233. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  私は、小泉内閣の二年間の決算という観点で総理に伺います。  小泉内閣が二〇〇一年四月に発足をしてから二年たちましたが、この二年であらゆる財政指標が悪化しております。とりわけ失業は大変な深刻な事態となっております。小泉内閣発足の年の前の年、二〇〇〇年には失業率は四・七%、失業者は三百二十万人でした。それが小泉内閣登場で二〇〇一年には五・〇%の失業率、三百四十万人の失業者になりました。今は五・四%で三百八十五万人の完全失業者、過去最悪の状況です。小泉内閣になってから失業者が増え続けている。  総理、失業するということは本当につらいことだと思うんですが、あなたはもう要らないと言われて、自分が社会から必要とされていないんではないか、大きなショックを受けます。  そればかりではありません。生きる糧を失う。子供さんがいれば進学はどうするのか、あきらめなければならないのか、住宅ローンで家を造ったら、これも手放さなければいけないんだろうか、夜も眠れないほどの絶望的な気持ちにさせられる。  総理、こういう失業者の痛みを想像したことございますか。構造改革を進めた結果、これはやむを得ないことだと認識をされておいでになるんでしょうか。
  234. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 失業者が増えているという厳しい状況でありますが、やはり自分が必要とされないということほど人間にとってつらいことはないと思います。これはもう子供でも大人でも、男でも女でも変わらないと思います。やっぱり人間というのは、だれかから必要である、役に立っていると思われることに生きがいを感じているわけですから。そういう面において、もう必要ないと言われたつらさというのは大変大きなものがあると思います。  そういう中で、日本としては、一度失業を余儀なくされても、また再び意欲があれば仕事に就けるという機会を与えるのがやっぱり政治の仕事として大変重要なものであろうと思いまして、現在、五年間で五百三十万人の雇用創出計画を実現させようと懸命に取り組んでいるところでございます。  確かに厳しい状況でございます。今、この五百三十万人というのが各分野別に具体的に担当者を決めて、計画達成のためには何が必要か、具体的な手だても含めて取り組んでいるところでありますので、厳しい状況でありますが、少しでも多くの方々が、仕事を持ちたいという方にとって仕事に就けるように、今後とも努力を続けていかなきゃならないと思っております。
  235. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今取り組んでいる。確かに、小泉首相は二年前、構造改革で倒産や失業が増える、だけれども、それは一時的なもので、規制緩和などで新たな雇用創出をする。今おっしゃった五百三十万雇用創出プランですか、このプランはサービス業を中心に五年間で五百三十万人増やすんだ。単純計算しますと、一年間百万人ですね。首相になられてから二年間で二百万人ですね。今どれだけ、どうなっているんですか。
  236. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) サービス業につきましては、大体年間五十万人ぐらい増えてきております。昨年度の分は四十万人ぐらいしか、最終、まだ結論出ておりませんけれども、二年丸々すると大体年五十万、二年間で百万ぐらいのこのサービス業については出ているというふうに思っております。  今、総理がおっしゃいました五百三十万の新しいこの雇用対策というのは、それは別途の話でございまして、今までの総トータルでございます。
  237. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 総理が言われたのはサービス業で五百三十万人雇用創出、そうですよね。サービス業ではこの二年間で、今むにゃむにゃっと言われましたが、九十二万人出るんですよね。いろいろ言われますけれども、結局、二〇〇一年五月に出された緊急報告にははっきりとサービス部門で増やすと、総理も何度も国会でも答弁してみえます。  要するに、この二年間たってもそのサービス業、半分も達成できていない。二百万増える計画が九十万人ですよ。サービス業の雇用は、これ政府は何もしなくても今までも伸びていたんですよ。ところが、小泉内閣になってからその伸び率が鈍化してきている。ところが、この総理言われたプランは、この伸び率を倍にするんだよと、それでこの五百三十万人ですか、そしてあと三年で残り四百四十万人、毎年百五十万人も増えるんでしょうか、増えるわけないと思うんですね。この二年で既に先ほどお示しいただいたプランというのは破綻しています。それにもかかわらず、今月の十日には、またこの具体化、それを具体化したというプラン出されました。  じゃ、お聞きしますけれども、この五百三十万雇用創出プログラムですか、これで仮に達成できたら失業率は下がるんですか、お答えください。
  238. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 五百三十万人、年間で、一年でできるわけじゃございませんから、それは数年掛けてやらなければならない話でございますが、その五百三十万のサービス業が上がっていけば、当然のことながらそれは失業者というのは減っていくことは当然でございます。今までの、どちらかといえば二次産業、いわゆる製造業の皆さん方のところがサービス業に増えていく、変わっていくということでございますから、そうなってくる。  ただし、最近はサービス、このサービス業じゃなくて、製造業のところも昨年に比べて今年辺りのところはかなり回復してきておりまして、電気機器でありますとか、あるいは運輸業でありますとか、そうしたところも、うんと回復をしてきているところでございますから、製造業は製造業でしっかりとやっていきたいというふうに思っているところでございます。
  239. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今の答弁ですけれども、総理、今年一月に出されました「改革と展望」の資料、中期経済見通し、これ経済財政諮問会議の資料ですね、これ、完全失業率五・六%、二〇〇五年ですよ、今よりも悪くなる。これどうなっているんですか。整合性ないです。
  240. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 五百三十万人の数字について若干誤解があるといけませんので申し上げたいと思いますが、二年前に調査委員会が出しました五百三十万人というのは、潜在的にこれだけの可能性があると、その可能性に向かって少しでも雇用機会を拡大していこうという数字でありました。  かつ、これはグロスの数字です。増加するものもあれば新たに減る部分もありますから、そのネットではなくてグロスの数字を出しておりますので、今おっしゃったネットで百万、約百万増えているということと単純に比べていただくと、これは少し議論が違ってくると思います。  それともう一つは、これは統計上の問題で、純粋にどれだけの、五年に一度しか統計が出ませんので、その時点、それだけで、今の時点だけでちょっと評価することはできない面がございます。  もう一つ重要な点は、先般、内閣府の島田特命顧問に中心になっていただいて、今までの潜在的な可能性をきっちりとしたプログラムにしようということで、これはそれぞれの省庁のそれぞれの部局の責任者を決めて、より現実的な数字として出していったものが今回の数字でございます。そうした中で、中長期的に雇用機会を増やしていこうというのが計画の趣旨です。
  241. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 総理、私、分からないんですよね。  確かに最初のプランの緊急報告には失業率は四%以下の水準に引き上げられるって書いてあるんですよ。総理も五百三十万人雇用創出をやりますと言っている。ところが、今日の今の答弁ですと、それは潜在的な可能性ですと。一月の資料では、完全失業率は五・六%、今より悪くなりますと書いてある。一体どれが本当なんですか。私は、失業率をどうやって下げるのかと、それを聞いているんですよ。だから、五百三十万人の雇用創出プランでちゃんとできるのかどうか。それぞれいろんな数字を言われて、上がったり下がったり、その誤差といったら百万単位じゃありませんか。そんなことで、私、分かんないです。
  242. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) それは、失業率でありますから、上がったりすることはあるというふうに思います。ただ、今お示しになりました五百三十万はこれからの話でございますので、そして今年の五・六%といいますのは、今年は様々な経済政策を遂行いたしますので、今年一年間は非常に厳しいだろうというので、非常に厳しめの失業率が取られているというふうに思っております。  しかし、現在のところまではそこまで行っておりませんで、もう少し、五・四なり五・五なりというようなところで現在のところ収まっているということでございます。できるだけ、五・六ではございますけれども、しかし五・六にはならないように、できるだけその数字が小さくなっていきますように、私たちといたしましても努力を重ねたいと思っているところでございます。
  243. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当にまじめに失業率を下げようと。先ほど総理は深刻に受け止めているようなことをおっしゃいましたけれども、私、おかしいんですね。この五百三十万のこのプログラムでも、これはサービス業ですよね、サービス業というのは家計消費が伸びないと伸びないんです。政府が家計消費冷え込ませて、どんどん冷え込ませている、それなのに新規雇用が今までの三倍も伸びるという、そういう可能性あるでしょうか。目標もでたらめなんですけれども、この中身もすごいでたらめなんですよ。  例えば、家事代行サービスで五十万人増やすというんです。国民の収入が減っているときに、どうしてお掃除など家事の代行にお金を人に払って頼む余裕ありますか。しかも、この中には労働者派遣事業までカウントしている。今まで正規社員が行っていた仕事を派遣に切り替えるだけじゃありませんか。これでは雇用創出というんじゃなくて、正規職員の首切り促進プログラムじゃありませんか。一々、どれもこれも本当に中身がでたらめなんです。これでは新規雇用生まれませんよ。私はもっとまじめにやることがあると思うんです。  今日、パネルを持ってまいりましたが、これ、どうぞ見てください。(図表掲示)これ、政府のリストラ政策の中で、今会社に残っている労働者の労働時間が長くなっているんですね。これは労働時間が週四十時間以上の雇用者の割合というのが、見えますか、あります。これ、週六十時間、これは一年間にしますと三千時間を超える労働時間、これ、この中にはサービス残業も含まれている数字と思います。この表の赤い線、これは大企業なんですね。大企業の労働時間、長時間労働が増えて、小泉内閣になってからますます悪化している。男性労働者の五人に一人が年間三千時間以上、私、すさまじいと思うんです。  先日、過労死が過去最高で過労自殺も増えている、こういうことが厚生労働省から発表されましたが、今必要なことは、こうした過労死するような長時間労働、これをなくす、そうすれば雇用が生まれると私は思います。  最後ですから、きちんと総理、お答えください。
  244. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 長時間労働、これについては、それぞれ実労働時間、一週間六十時間という話でありますけれども、これは確かに行き過ぎですよ。一週間六十時間というと、一日十時間ですか、これは本当に行き過ぎでね。こういうことを各企業もなくすように、有給休暇制度もあるんですし、あるいは過労死につながらないような配慮も企業は必要でしょうし、そういうような点については十分配慮しながら総実労働時間千八百時間に向けていろいろな取組が必要だと思っております。
  245. 中原爽

    委員長中原爽君) 八田先生、時間でございます。
  246. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 はい。  なぜ、この長時間労働をなくして雇用を増やそうという話にならないんですか。小泉内閣の二年間で三万八千二百五十一件もの会社が倒産に追い込まれて、失業や過労死も最悪なんですよ。小泉内閣の二年間の決算というのは、ただ倒産や失業の耐え難い痛みを国民に押し付けただけの二年間、全くそれだけという、もう許せないということを指摘して、私、時間がありませんので今日は終わります。
  247. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の岩本荘太でございます。  まずは、取りあえずは私は、実は総理に対しては一言御礼を申し上げたいと思っているんですが。  といいますのは、昨年の三月二十六日、これ予算委員会でございました。それから、五月八日、本会議、これは決算の本会議で代表質問させていただきまして、そのときに参議院重視、ここにおられる皆さん、同じ思い、気持ちでしょうけれども、私はそういう場で総理に提案等を含め質問をさせていただきまして、今回特に、早期審査、それと総理大臣を含めた全閣僚の下での総括的な審査ということをお願いしたわけですが、まあ取りあえず早期審査といいますか、これは先ほども説明ありましたように、三十五年ぶりですか、常会で一年前の決算が上がるというのは。それぐらいの画期的なことであると。それと同時に、閣僚の皆様御出席されているのは今回の審査でもうこれが二回目でございまして、大分進展したなと。まだ道半ばであるとは思いますけれども、さらにはもっとしっかりと参議院における決算審査というものを充実させなきゃいけないとは思いますが、取りあえずはそのことをまず御礼を申し上げたいと。これも一つの国会改革の大きなものであると信じている次第でございます。  しかし、そういうことは言いながら、せっかくこういう場を作っていただいたわけでございますから、こういう場を生かすためにやはり質問はきっちりとやらないと、わざわざそろえていただいた、整えていただいた場を有効に使えないということになりますので、その辺、質問は必ずしも感謝の気持ちからばかりでないことはまずもって申しおいておきたいと思っております。  私、決算委員会度々出席させていただいておりますので、個別のものはいろいろ審査、審議させていただきました。したがいまして、今回ちょっと総理の言葉じりをとらえるということになるかもしれないんですが、今国会でいろいろ総理の答弁で何となく生煮えで終わっているようなところ、そういう印象を持つところが多いわけでございまして、これは地元へ帰りましても国民の皆さん割とそういう受け止め方されていると。そうしますと、やっぱり何となくフラストレーションがたまってきて、政府がやることがしっかりと受け止め切れないというようなことがございますので、この際、ちょっと気になっております、幾つかあるんですけれども、時間もございませんので、気になっている点について総理にこの際もう少ししっかりと御説明を願えたらと思って、再質問のような格好でございますがお聞きする次第でございます。言うなれば総理のメイ言集ということになりますが、どちらのメイの字を使うか、これは記録部の方、御迷惑されるかもしれませんけれども内容をよくお聞き願えればと思っております。  一つは、政治と金の問題、大分今国会で審議をされました。大変いろいろと表ざたになったわけでございまして、これは、私どもも含めて、国会議員としても何とかしなければいけない、我々自身も心配している問題でございますし、本当に国民の皆様に対してしっかりと釈明できるようにしなきゃいけない、しっかりと対応を組み立てなきゃいけない、このように我々も考えておるわけですが、そういうことに関していろいろと質問もございました。  私が一つ取り上げたのは、これ、今年の三月十一日、予算委員会で、民主党の福山哲郎議員の質問でございました。  これは御本人に了解を得ておりますのでここで取り上げさせていただくわけでございますけれども、彼もやはり心配しているわけでございますけれども、そういうものに対する総理の御答弁が、これ議事録なんですけれども、一部で、私の説明だけでは言い尽くされないかもしれませんが、総理の御答弁で、法律がありながら、法律を尊重すべき立場でありながら、法律を守らなきゃいけないのに守っていないところにおいてこういう問題が出ている。まず、法律を守れと言いたい、議員も秘書も。幾ら法律作っても法律守らなかったらこれはどうにもなりませんよと。ごく当たり前のことだと思いますよ。  しかしこれは、質問する側はそれを期待しているんじゃないんですね。総理といえば、例えば法律がもし悪くて改正するとすれば、これは国会ですよね。国会人として最高の地位におられる方である。それからまた、法律を作った後、これを守らすといいますか、これをしっかりと軌道に乗せる行政の最高におられる方、そういうお立場の方が、ごく一般の人のお答えのようなこういう御答弁をされると非常にフラストレーションがたまるわけですね。その辺を、この際、総理、しっかりと国民に向けて、総理はこの金と、政治と金の問題に対する総理としてのお考えといいますか、その辺をはっきりお答えを願いたいと思います。
  248. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、法律を守っていれば不祥事は起こらないんですよね。それを私は言っているんです。国会議員だから法律を守りなさい、国会議員じゃなくても法律を守るのは当たり前なんですよ。肝心な国会議員が法律を守らないようじゃどうにもならぬと。今の不祥事は法律を守らないから不祥事になっているんでしょう。まず法律を守る、これがもう基本的な問題なんです。そして同時に、今に問題点があったからどういう改正するかということを私は言ったんです。  基本的なことを、まず国会議員が自分たちが作った法律を守る、この発言がいけないと言われたんじゃどうしようもないんですが、そういう点で、お互い日ごろの政治活動においても不信が持たれないような、法律以前の問題というのがありますから、それについてもよく議員は国民から信頼を得られるような活動をすべきだというのが私の趣旨でございます。
  249. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 恐らくそういうことだと思うんですけれども、これは解釈の違いだと思うんですけれども法律を守らない人が今いるわけですよ。それに対してどうするのかというのが国民の思いなわけですよ。だからワンテンポ遅れているんですよ、総理は。その辺が非常に気になるところなんです。これは主観の差があるでしょうからこれ以上は言いません。  言いませんけれども、私はこの問題が非常に気になっていたものですから、これは、総理になかなか御質問できる機会がなかったので決算委員会でほかの閣僚の方に質問いたしました、総理のお気持ちになってどう思うかと。今日お見えになっている森山大臣もそのお一人で、答弁をいただきました。総理を守るような御答弁、確かに閣僚の一人ですからそういうことは分かるんですけれども一ついいことを言っている。私、非常に分かりやすいことを言っているんですね。「国民の総意を反映した国会において決められた法律であるということで、普通の常識のある国民であれば当然守るべきものであるという前提で決まっているもの」と、このとおりだと思うんですよ。これを逆に取りますと、国会議員というのは常識がないということになるわけですから。そういうように解釈できるわけですよね、これは、疑いもなく。  その辺、総理、どうですか。
  250. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 確かに、ある行動を見ますと、一般の国民から見れば常識がないと思われる行動をせざるを得ない面があるんですね。  選挙運動一つ取ってもそうです。一般の人から見れば、自分はいい人間ですよとよく公衆の面前で言えるな、自分のポスターをべたべた張ってよく恥ずかしくないな、常識のある人間にはとてもできないよとよく言われますよ。よほど厚かましい人じゃなきゃ立候補できないと。人に票をもらうだけじゃなくて、お金までもらうように頭下げて回ると。こんなことは、とってもそんな恥ずかしいことはできないという国民一杯いますよ。しかし、それしないと立候補もできないし当選もできないでしょう。  マスメディアもそうですよ。迷惑も省みず、だっと人の周り寄ってきて、泣いているところにマイク向けて、あの取材活動を見てごらんなさい、もう常識を逸していますよ。しかし、仕事を考えると、あれもマスコミの人にしてみれば、こういう非常識な行動をしないと特だね取れない、いい報道はできないといって、相も変わらず、もう人の迷惑省みず、どんどんドアをたたいてプライバシーを侵害して平然としている。これも非常識でしょう。  だから、マイク活動を見ても、寝ているところを向かって、でっかいマイクを拡声機使って、何々です、よろしくお願いしますと、うるさいと言われることよくありますよ。  こういう面から見れば、確かに非常識な活動をせざるを得ないような面もあります。しかし、これはやっぱり政治活動の一つの側面としてある程度認めてもらわないと、選挙運動というものもなかなか難しい、当選するのも難しい。ある程度、どんな仕事にもつらい面があるわけであります。しかし、そういうのを乗り越えて国会議員になったからには、常識といいますか良識を発揮して、国民から信頼されるような言動に日ごろからよく注意すべきだと私は思いますし、議員の御指摘ともそう相違はないと思うんであります。
  251. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ただいまの総理の御答弁、総理の答弁の姿見たりの感がございまして、私は何も恥知らずで、声を、大声出して普通の人ができないことをやる、非常識なこともやらなきゃいかぬと、そういう非常識さを言ったわけじゃないんで、法律を守るか守っていないか。法律を守らないというのは、森山大臣はその常識のある人は守るんだと、これは確かだと私は思うんですよね。それを今、総理は、本当に私は今、総理のその、何ですか、枯れ尾花じゃないですけれども、その擦れ違いという姿を明らかにここで見せてもらったような気がしてなりません。  ただ、これ以上申し上げませんが、ただ一言言っておきますと、総理のお好きな相撲、日本の国技の相撲、お好きだと思います、感動されたわけですから。あの相撲は、はぐらかしの手を使って勝っても評価されないんですよ。そんな、勝ったからといって横綱に昇進させてもらえないわけです。横綱は、負けたとしても、胸をかしてでも相手に当たっていかなきゃいけない。総理といえば国会の横綱ですよ。私は、その辺をしっかりわきまえて、私も総理が総理大臣になられたときは支持した一人だと思っております。その初心を忘れずに、しっかりと受け止めてもらうのが総理のやるべき道じゃないかなと思っておる次第でございます。  それで、時間が大分たっちゃって、半分も行ってないです、半分も行ってないで大変申し訳ないんですが、先ほど私も、米の問題について、実は国内自給率についてお聞きしようと思った。これは、総理が最近、有事法制で、備えあれば憂いなしと盛んにお使いになっている。これもまあ、よほどお好きだからなんでしょうけれども、これに対しての異論もございますけれども、備えあれば憂いなしというのは、食料についてですと、これだれも反対せずにぴったりするんですよね。  その食料についての、米の自給が何で必要なのか。これ農林大臣は大変御苦労されているのは分かるんですけれども、これは農林省だけではできない仕事なんですね。食料自給率は何のために必要なのか。このために、総理の時代じゃなかったかもしれませんが、前に基本問題研究会、協力会ですか、そういうものをお作りになった。そこでも言っているわけでございまして、一言で結構ですけれども、総理は食料自給というのは何のためだと思っておられますか。
  252. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政治の最も基本的な、大事な一つに、国民を飢えさせない、これが一番大事なことである。それをよく考えて、食料政策というものは不断に見直していかなきゃならないと思っております。
  253. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それも一つ、時間がありませんのでこれ以上言いませんけれども、外国から持ってきたって飢えさせないで済むわけですよね。そんな中でどうやって食料を自給するかという、そこが一つ大きな問題だと私は思うんです。  それで、もう時間がなくて質問いたしませんけれども、私は今日のこの決算委員会聞いておりまして、閣僚の皆さんもお気付きになったと思いますけれども、与党の方が質問されているのか、野党の方が質問されているのか分からないような質問が随分出てまいりまして、決算として真剣になってみんな考えているわけですね。  これが、結局、党派に関係なく、こういうように国の行く末を眺める、これが良識の府の参議院の真骨頂だと私は見ているわけですね。だから、参議院というのは、これを敷衍させれば、党派に関係なく、いいことはいい、悪いことは悪いと言うのが大事だと、この決算に限らずですね。  ところが、一つだけ、こんなときに紹介させていただいていいかどうか分かりませんが、私が有事法制に反対いたしました。反対したときに、地元で、共産党と変わりがないと、共産党には大変失礼なんですけれども、こういう発言があったんです。これは、何言おうか、総理の後見人と目されている元宰相なんですよ。  これについて総理の答弁は求めるつもりはございません、お聞きでないでしょうけれども。ただ、参議院として、先ほど言いましたように、良識の府として、党派に関係なくしっかりと、衆議院の暴走を、支えていくと、こういう立場を、閣僚の皆さん方にも今後とも御努力を願うとともに、同僚の皆様にも意を同じくしていただきますことをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  254. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市征治です。  初めに総務大臣にお伺いをしたいと思います。  今日も、締めくくり総括と、こういうわけで、午前中、私は、三十二本にも膨れてきた特別会計の問題点と改善についてただしておりました。塩川大臣が、過日、母屋と離れに例えて特別会計のぜいたく三昧、ずさんさと、こういうことを批判をされた、この話であります。  しかし、この母屋と離れを合わせて国のお屋敷だとすれば、私は、地方財政というのは、むしろ残念ながらあばら家とでも言うべき、こういう逼迫した情勢にあるんじゃないのか、こう思うんですが、だのに本家の方は、そのあばら家からまた布団まではぐっていくような、こういう主張をされている、こう言わざるを得ない。  つまり、この十一日の閣僚協議で、補助金削減を先行させて、税源移譲は頭から七掛けに落とそう、つまり、三割カット。ちょっと言い過ぎたかなと、財務大臣、そう言っていましたが、これに対して片山総務大臣は激しく反対をされたと、こうマスコミに随分伝えられています。  そこで、総務大臣にお伺いするんですが、あなたの主張なさっておるこの要点、これをひとつ明確に、明快に説明をいただきたい。また、あわせて、今後どのように税源移譲を中心とした三位一体改革を進めるおつもりなのか、その点についてもお伺いをしたいと思います。
  255. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 何回も申し上げておりますけれども、三位一体は、税源の移譲と、国庫補助負担金の縮減、整理合理化と、地方交付税の見直しですね。それは、関係の省庁も多いわけですから、まず国庫補助負担金の整理合理化をどうやるか、大体大筋では調整が進みつつあるんです。  そこで、縮減ができた場合に、それに見合う税源をどう移譲するかなんですが、私が言っているのは、頭から七割は根拠がないと言っているんです、私は。だから、同じ仕事を、今も国の補助事業でやっているものを、補助制度を変えるなり単独事業にした場合、同じことをやるんならそれだけの税源は認めにゃいかぬ。補助事業のときは十割でできて、財源の内訳変わったら七割でできるなんて、これは手品の話ですよ。そんなことはあり得ないよ、同じ仕事なんだ。ただ、物によっては補助金をやめることもあってもいいし、補助金のやり方、補助事業のやり方をスリム化する、合理化する、効率化することによって、十割じゃなくて八割でも、場合によったら九割でも七割でもいいですと。それらを検証せにゃいかぬですよ。具体のこの補助金やめる、この補助金のやり方をどうする、こういうことで。その上で、地方も納得できる、国も納得できるような仕組みを作るのが一番いいと、こういうふうに言っておるわけでありまして、私は余り無理言っていると思わないんですよ。頭からやるというのは、それは、そこをみんな文句言っているんですよ、今、地方の連中は。  そこで、余り財務大臣と違わないんですよ、ちょっと違うだけです。よろしくひとつ。
  256. 又市征治

    ○又市征治君 大臣、その進め方が抜けているじゃないですか。
  257. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) そこで、これは工程表を作りまして、総理の指示で、十六年、七年、八年度でこうやると。補助金の具体的な、ここは今回の骨太方針では固有名詞までなかなか私出ないと思うけれども、そういうものを作って、それに合わせて税源をどういうふうにしていくか、三年の工程表。しかし、三年でも場合に終わらないものがあれば直していくと。  補助金を一遍にやめられても、地方も困るんですよ、それは。だから、やめるものはやめてもらうんだけれども、やめれない場合にはできるだけ弾力化して、地方の使いやすいような、使い勝手のいい、自律性、自主性を考慮したやり方をやってもらえりゃいいんです。そこは各省と十分話し合って、財務省ももちろん御一緒でございますけれども、やってまいりたいと、こういうふうに思っております。
  258. 又市征治

    ○又市征治君 しっかりとこのことをやっていただいて、地方の、本当に自治体の首長さん方、困り果てているというのが実態、正に逼迫状態、こういうことですから、しっかり取り組んでいただきたいと、こう思います。  次に、総理にお伺いをいたしますけれども、今も申し上げましたが、私は今期の決算委員会、常会中に十回と、こういうことでやりましたが、私、毎回、特別会計の乱脈ぶりを問題にしてまいりました。実は、財政審議会もこの四月から特別会計の小委員会を設けて検討を始められたわけですね。私は、この決算委員会指摘をしてまいりました特別会計の問題点が、ほぼこの小委員会ですべてと言っていいぐらい実は委員意見として出されておるのが記録されています。  例えば、産業投資特別会計がNTT資金を国の出資としてばらまいているが、相手先の複数の特殊法人等で三千億円あるいは四千億円という単位で欠損になっている。しかも、それが特別会計上には現れない仕組みだ。あるいはまた、電源開発特別会計でも同様に、出資先の核燃料サイクル機構だけで二兆三千億円の資本の欠損を計上しているなどなど、こういう格好で出ているわけです。これは、実は会計検査院からも今年、二〇〇一年度の問題として厳しく指摘をされている問題でもあるわけです。  こうして国民には国の財産や事業全体の現状がどうも見えない、こういう格好になっておって、特権官僚のやり放題で、その財源、おまけに天下り先まで保障している、こういうシステムが一部の特別会計にあることは総理も御案内のとおり。  そこで、総理、前回にお伺いしたときに、やはりこの特別会計、やっぱり改革せにゃいかぬと、こうおっしゃった。これは改革をやられる場合に、小手先の事業、会計操作の見直しではなくて、やっぱり各特別会計のそもそもの存立意義まで踏み込んでこれは実は整理をすることが必要じゃないか、私はこのように一つは提案を申し上げたいと思います。  例えば、このNTT株の配当をなぜ技術開発だけにつぎ込むのか、そのためになぜ特別会計を一つ立てておかにゃいかぬのか。全くこれ必然性がないわけです。特定の税目や配当金を抱え込んで、既得権のように、他のものには使わせないこういう特別会計というのは、正に塩川大臣が言ったように、母屋、つまり一般会計、ここではおかゆをすすっているけれども、実は離れ、すなわち特別会計はすき焼きを食っている、こういう状態を実は作ったと。これは大臣が言ったんですから。  こういうことがあるわけで、国民にやっぱりしっかりと説明責任を果たせる簡素で明快な一般会計及び特別会計に改革をして、数を減らすべきじゃないか、こんなふうに私は主張してまいりました。是非、この特別会計の改革非常に大事だと思います。そういう点で、この提案について総理の見解を承っておきたいと思います。
  259. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まあ塩川財務大臣特有の例えで、一般会計、特別会計の問題点を指摘されたんだと思います。  私は、一般会計に比べて特別会計については、事業等が余り厳しく国会でも審査されないんじゃないか、あるいは透明性に欠けているんじゃないかという御指摘もっともだと思います。  そういうことから、この特別会計の見直しをすべきだと思いまして、財務大臣にもよく見直すように指示しておりますが、財務大臣は非常に積極的であります。積極的であるがゆえに、あのような、離れですき焼き食べているというような発言をされたんだと思いますが、これはいかに問題が多いかという表現だと思いますし、この塩川財務大臣の意欲的な、特別会計に鋭いメスを入れようという意欲を私は高く評価しておりまして、今後の構造改革の一環として、歳出改革、これは一般会計だけじゃない、特別会計当然だという、この財務大臣の意欲に沿う形で全面的に見直しを指示しておりますので、決算委員会での御指摘も踏まえて、より徹底した見直しに向けて政府挙げて努力していきたいと思います。
  260. 又市征治

    ○又市征治君 是非、そういう意味では、財政制度審議会で論議をしているからという格好で後送りじゃなくて、是非そのリーダーシップをお取りいただきたい、このことを申し上げておきたいと思いますが。  もう一つ総理にお伺いしておきますが、先ほど片山大臣から三位一体改革についてお話がございました。是非そういう意味で、新聞に躍っておるのは、首相の真意不透明、三位一体なお不透明とこうなっていますから、余りこれを丸投げしないで、しっかりやっぱりイニシアを発揮いただきたい、こう思いますが、是非この三位一体改革についての総理の決意をお伺いをしておきたいと思います。
  261. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 新聞で私を批判する人は何でも批判しますよ。各大臣担当大臣がいるんです。その役割を飛び越えて総理がいつ出るか、それは見守らなきゃいけないんです。各大臣の役割、各大臣の自主性、意欲、これをどうやって引き出すかというのが総理大臣の務めでも大事なんです。潮どきが来れば、私の出番だと思えば私が出るし、私が出るまでもなく、私の意向を体して改革に取り組んでくれれば、それでいいと。  私は、今まで補助金、交付税、税源、みんなできないできないと言ったのを、一緒にやろうというんですから、これは実現に向けて確実に一歩踏み出すような、目に見える改革に向けて、時期が来ればはっきりとした具体策を示していきたいと思います。
  262. 中原爽

    委員長中原爽君) 又市先生、時間になりました。
  263. 又市征治

    ○又市征治君 お伺いしましたが、私はもう今潮どきなんだろうと、こう思います。  問題は、今月中にまとめようと、こう言っているわけですから、もう総理のイニシアを発揮していただきたい、このことを申し上げて、終わりたいと思います。
  264. 中原爽

    委員長中原爽君) 他に御発言もなければ、平成十三年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認めます。  小泉内閣総理大臣及び要求のない大臣は御退席をいただいて結構です。  それでは、これより平成十三年度決算外二件について討論に入ります。  まず、平成十三年度決算の議決案はただいまお手元に配付のとおりでございます。  なお、内閣に対する警告の案文につきましては、理事会において協議の結果、意見が一致したものでございます。  それでは、警告の案文を朗読をいたします。     内閣に対し、次のとおり警告する。     内閣は、適切な措置を講じ、その結果を本院に報告すべきである。  (一) 平成十三年度一般会計において、二次にわたる補正予算の編成を行ったにもかかわらず、税収決算額が補正後予算額に対し一兆六千七百六十八億円下回り、その結果戦後五回目の決算上の不足、いわゆる歳入欠陥が生じたことは、遺憾である。    政府は、租税収入額の正確な見積りが、予算編成にとどまらず、経済財政の適切な運営、更には財政再建のために極めて重要であることを十分認識し、税収見積りの精度向上に努めるべきである。  (二) 企業による防衛装備品等の過大請求事案といった公金の浪費問題が生じたことは、遺憾である。    政府は、特別調査を実施し、その結果に基づき返還請求を行うなど適切に対処すべきである。  (三) 政府開発援助は、開発途上国の持続可能な開発、貧困削減に資するとともに、国際社会における我が国への信頼や評価を高める重要な施策であるにもかかわらず、その成果が十分に発現していない状況が見受けられることは、遺憾である。    政府は、現下の厳しい財政事情にかんがみ、政府開発援助の選定・実施過程の透明性を確保し、会計検査院の実地調査を含め、その効率的かつ効果的な実施を図り、併せて国民の理解の促進に努めるべきである。  (四) 我が国からの拠出金等でその経費の全額が賄われている「支援委員会」を始めとする国際機関等において、多額の資金が留保されていること等が、平成十三年度決算検査報告で指摘されたことは、極めて遺憾である。    政府は、国際機関等における事業の進捗状況及び資金の管理状況を的確に把握し、適時適正な拠出を行うべきである。  (五) 国有財産である土地等の貸付料の改定等に当たり、借受人の合意が得られるまでの間、貸付料改定通知等を行っていなかったことにより、貸付料債権相当額一億円余が消滅時効の時効期間を経過しているなどの不適切な債権管理事務が、平成十三年度決算検査報告で指摘されたことは、遺憾である。    政府は、国民の貴重な財産である国有財産の管理の重要性を十分に認識し、貸付料債権を始めとする国の債権管理事務の適正化に万全を期すべきである。  (六) 一部大学等において、架空の伝票処理、勤務実態のない謝金の支払等の研究費に係る不正経理が相次いで発生したことは、遺憾である。    政府は、研究費使用について必要な制度改善を一層進めるとともに、綱紀粛正、内部監査の強化等の指導を図り、この種事案の再発防止に万全を期すべきである。  (七) 雇用・能力開発機構においては、「特殊法人等整理合理化計画」を受け、現在、勤労者福祉施設の処理を進めているが、一部で建設費を大幅に下回る価格で売却される等の事態があったことは、遺憾である。    政府は、施設の処理に当たっては、雇用保険料を財源として建設された施設本来の趣旨が損なわれることのないよう配慮するとともに、売却価格の算定等について十分な情報開示に努めるべきである。  (八) 夕張シューパロダム建設に伴う移転補償において、実態と異なる補償額積算業務に対する委託費の支払や不十分な完工検査が行われたほか、建物、プラント等の補償額の算定に関し適切とは思料されない点があったこと等が、平成十三年度決算検査報告に掲記されたことは、誠に遺憾である。    政府は、公共事業の実施に伴う移転補償事務の適正化に万全を期すとともに、補償額の算定に関する処理要領を整備するなど、透明かつ公正な移転補償の実施に努めるべきである。  以上でございます。  それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  266. 川橋幸子

    川橋幸子君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました平成十三年度決算に対し、その是認に反対するとともに、平成十三年度国有財産関係二件の是認に賛成、内閣に対し警告することに賛成する旨の討論を行います。  平成十三年度決算の是認に反対する第一の理由は、税収見積りが当初予算はもちろんのこと、その後、二度にわたる減額補正があったにもかかわらず、戦後五回目と言われる歳入欠陥が生じたことであります。  小泉総理は二月二十一日の本会議質疑において、その原因を米国における同時多発テロ事件の影響やそれを受けた企業収益の悪化などに帰しておりますが、我が国経済のデフレ傾向はそれ以前から憂慮されていたものであり、むしろ国債発行三十兆円枠に固執する余りに作為的とも思われるような税収の完全な見込み違いがあったと考えられ、政府の責任は重大であります。  反対する第二の理由は、二度の補正予算編成も経済のデフレスパイラルの進行を止めることができず、その上、国債三十兆円枠を守るため隠れ借金などのびほう策を講じていることにあります。  すなわち、一次補正では前年度剰余金受入額四千五百八十九億円を計上していますが、このうち二千三百八十二億円は、本来、財政法第六条に基づき、少なくとも半額は国債償還に充てねばならないものであります。また、二次補正ではNTT株売却収入二兆五千億円を計上して公共事業の財源としていますが、これは結局、償還の際に新たな国債発行を要するものであり、借金の先送りにほかなりません。このような財政実態を糊塗する策を講じた上、雇用のセーフティーネットの構築は不十分、改革推進公共投資も従来型公共投資の塗り替えにすぎず、十三年度を通じて悪化し続けた景気、雇用を改善することはできなかったのであります。  十三年度の成長率は当初見込みの一・七%がマイナス一・二%に転じ、また完全失業率は前年度の四・七%から更に悪化の一途をたどって年度平均五・二%という数字を更新し、無惨な結果となりました。これを経済失政と言わずして何と言うのでしょうか。  反対する第三の理由は、数合わせに終始した十三年度財政運営の結果、我が国財政状況はむしろ悪化し、十四年度以降も深刻な事態が続いていることであります。  あれほどに固執した三十兆円枠ですが、十四年度では当初予算で三十兆円だった国債発行が補正後には約三十五兆円に増え、十五年度当初予算では約三十六兆四千億円に増加しており、また公債発行残高は十三年度末の三百九十二兆円が十五年度当初見込みで四百五十兆円にも上る見込みになるなど、財政状況は深刻の度を増しております。これは、短兵急な財政再建のみを重視し、実体経済の動向を見失った小泉内閣の構造改革路線が財政面に大きなマイナスをもたらした結果であり、現内閣の猛省を求めるものであります。  以上が十三年度決算の是認に反対する理由であります。  なお、国有財産関係二件については特段の問題が見られませんので賛成であります。内閣に対し警告することについては適切な内容であり賛成いたします。  政府決算審査の成果である警告決議を次年度予算編成並びに今後の財政運営に的確に反映させることを求めるとともに、今回、当委員会が初の試みとして後ほど委員長より提案される要請事項についても、政府が速やかに誠意ある対応策を講じることを期待するものであります。  今回、通常国会の会期内に決算委員審査が終了したことは、参議院改革協議会で全会派が合意した決算の早期議了が実現したものであり、誠に画期的なことであります。委員長を始め、各党会派を超えた各委員の全面的な協力並びに政府関係者の協力に敬意を表するとともに、国会による政策評価とも言うべき決算審査が今後より一層充実し、国家財政の真の構造改革に資することを強く要望して、私の討論を終わります。
  267. 佐々木知子

    佐々木知子君 私は、自由民主党・保守新党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました平成十三年度決算外二件に対し、是認することに賛成するとともに、委員長提案の内閣に対し警告することに賛成の意を表するものであります。  是認に賛成する理由の第一は、我が国をめぐる社会経済情勢及び厳しさを増している財政状況を踏まえた的確な経済財政政策の発動と運営が行われたということであります。  平成十三年度当初予算におきましては、我が国の二十一世紀の新たな発展基盤を構築しつつ、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を自律的回復軌道に乗せるとの観点に立って編成されました。このような認識の下に、総額七千億円に及ぶ日本新生特別枠は、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の四つの分野に重点的に配分されるとともに、十一年度以降三年連続の高水準となった公共事業関係費予算と相まって、自律的な景気の回復に向けて多大の成果を収めました。  また、財政の効率化と質的改善については、公共事業について投資の効率化が図られたほか、国、地方を通じた財政の透明化も一層推進されるとともに、中央省庁再編を機に施策の融合と連携の取組が一段と進みました。また、一般会計における新規国債の歳入決算額は二十九兆円台となり、小泉総理が掲げた新規国債発行三十兆円枠は堅持され、財政の秩序と節度が維持されました。  是認に賛成する理由の第二は、九・一一同時多発テロ事件後の経済環境の急激な変化を踏まえ、厳しい財政状況と小泉総理の公約の制約の下で第二次補正予算が編成され、最大限の機動的かつ現実的な緊急対応が行われたことであります。すなわち、日本電信電話株式会社の株式の売却益を活用し、当面の財政負担は回避しつつ、公共事業を中心とした景気対策が講じられ、デフレスパイラル対策が取られました。これに対しては、公約の実質的破綻とか隠れ借金の拡大との批判や非難が今なおありますが、その効果を率直に認め、評価すべきであります。  是認に賛成する理由の第三は、平成十三年度において行財政改革が一段と進んだことであります。  十三年一月六日の中央省庁再編に続いて、四月一日には、国の行政の実施部門が企画立案部門から分離し、五十七の独立行政法人が誕生しました。さらに年末には、特殊法人等整理合理化計画が閣議決定され、長年懸案であったいわゆる特殊法人問題も解消に向け大きく踏み出しました。平成九年十二月三日の行政改革会議の最終報告で示された二十一世紀の「この国のかたち」は着実に実現しつつあり、今や魂を入れるのが最大の課題という時期に到達したと言っても過言ではありません。  また、特殊法人等の最大の資金源である財政投融資制度については、十三年四月一日に改革が実施に移され、郵便貯金や年金積立金の預託業務が廃止されるとともに、特殊法人等の施策に真に必要な資金は財投機関債を発行して市場から調達するシステムに抜本的に改められました。  以上、賛成の理由を述べてまいりましたが、平成十三年度決算において、二次にわたる補正予算を編成したにもかかわらず、税収不足から戦後五回目の決算上の欠損、いわゆる歳入欠陥を生じたことは遺憾であります。歳入欠陥額は五億円余にすぎませんでしたが、政府は事態の深刻さを厳しく受け止め、税収見積りの精度向上を期すべきであります。  委員長提案の内閣に対し警告することには、この歳入欠陥に関する事項のほか、予算執行過程等における数々の不適正又は不適当な事実に関する事項が盛り込まれておりますが、これはその一斑にすぎません。政府に対して反省と適切な対応を求めるものであります。  最後に、実に三十五年ぶりに決算の会期内処理を行うに当たり、一言申し上げます。  当委員会において、委員長、理事並びに委員各位の御努力により、今通常国会で十三年度決算を議了することは、河野議長の提唱以来、参議院改革に取り組んできた各党各会派、そして議席を有する議員の熱意がようやく実を結んだものであります。  決算審査を経て予算を編成する、この当たり前のことがこれまで実施できず、閉会中審査という形式的な審議にじくじたる思いで臨んできた当委員会が、本来の目的に沿った運営を全うし、本日充実した審査を終え、来年度予算の概算要求に反映できることになりました。  締めくくり総括質疑に当たり、総理並びに財務大臣からは、参議院の決算審査の充実のために必要な協力を約束されました。これを重く受け止め、今後の委員会の更なる努力をお誓い申し上げ、私の賛成討論といたします。
  268. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、日本共産党を代表して、平成十三年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算、同国税収納金整理資金受払計算書、同政府関係機関決算書及び国有財産増減及び現在額総計算書は是認せず、平成十三年度国有財産無償貸付状況計算書は是認、内閣に対する警告案には賛成する立場から討論をいたします。  反対の理由の第一は、平成十三年度当初予算は家計を温める施策や雇用不安の解消を図る対策がありませんでした。医療改悪、改悪雇用保険法の実施、介護保険料の負担割合の引上げを始め国民負担を強める内容が盛り込まれ、大銀行支援の七十兆円公的資金枠を継続するなど、財政破綻の改革に取り組むどころか、一層事態を深刻化させるものでした。  第一次補正予算改革先行プログラム実施のためと言って出されましたが、これはリストラ、首切り、中小企業つぶし推進の路線と一体なものであり、また中小企業に対する金融の支援も不良債権早期の最終処理とセットで出されたものでありました。  第二次補正予算財政破綻を一層拡大する公共事業積み増しのための補正予算であり、その財源としたNTT株の売却益の無利子貸付けは隠れ借金でありました。  第三の理由は、二〇〇一年度の勤労者世帯の消費支出は前年度比で名目でも実質でも減少し、五年連続で前年度の水準を下回りました。また、年平均の完全失業者数は三百四十万人で、三年連続で三百万人を超えています。さらに、企業倒産は一万九千五百六十五件、戦後三番目の規模に達しました。  こうした深刻な事態を作り出した要因国民の暮らしを温める対策のない二〇〇一年度予算執行が含まれることは明白であり、この本決算を是認することはできません。  次に、国有財産増減及び現在額総計算書は、二〇〇一年度予算執行結果を国有財産の増減として集約したものであり、特に軍事費関係物品の増加は著しく、また政府出資は日本道路公団、本四連絡橋公団など無駄遣いと指摘されてきた公共事業を含むものであり、是認することはできません。  国有財産無償貸付状況計算書につきましては、管理運用面の一部には問題ありますが、国有財産を公園、緑地等に使用する目的で地方自治体に無償で貸し付けるという制度の意義を考慮し、是認いたします。  以上で私の討論を終わります。
  269. 中原爽

    委員長中原爽君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、平成十三年度一般会計歳入歳出決算平成十三年度特別会計歳入歳出決算平成十三年度国税収納金整理資金受払計算書平成十三年度政府関係機関決算書の採決を行います。  第一に、本件決算は、これを是認することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  271. 中原爽

    委員長中原爽君) 多数と認めます。  第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  272. 中原爽

    委員長中原爽君) 全会一致と認めます。よって、平成十三年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決いたしました。  この際、便宜私から、内閣に対して要請する決議案を提出いたします。  なお、同決議案の案文につきましては、理事会において協議の結果、意見が一致したものでございます。  案文を朗読いたします。     平成十三年度決算に関する要請決議(案)   内閣に対し、次のとおり要請する。  一 決算予算に反映させることの意義を踏まえ、決算の国会への早期提出を図るものとする。  二 会計検査院が果たすべき経済性、効率性、有効性の観点からの検査機能の強化のため、所要の措置を講ずるものとする。  三 歳出構造を改革し、効率的かつ効果的な行政の推進に資するため、政策評価手法の研究・開発及び評価結果の予算への活用、評価結果を踏まえた予算の編成に努めるものとする。  四 不適切な支出等についての適正な処分を確保するため、人事院等の第三者機関が処分内容の妥当性を判断し得る等の環境を整備するものとする。   右決議する。  以上でございます。  それでは、採決を行います。  本決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  273. 中原爽

    委員長中原爽君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  次に、平成十三年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  274. 中原爽

    委員長中原爽君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  次に、平成十三年度国有財産無償貸付状況計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  275. 中原爽

    委員長中原爽君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、内閣に対する警告及び要請について関係国務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、塩川財務大臣
  277. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) ただいま御決議のございました税収見積りの精度向上及び国の債権管理事務の適正化につきましては、従来から努力を重ねているところでありますが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。  また、御要請のありました事項につきましては、政府といたしましては、御趣旨を踏まえ、検討いたしたいと存じます。  以上であります。
  278. 中原爽

    委員長中原爽君) 次に、石破防衛庁長官
  279. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ただいま御決議のありました企業による防衛装備品等の過大請求事案につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、防衛庁としては、過大請求に係る国損を回復するための特別調査を実施しているところであり、その結果に基づき返還請求を行うこととしております。  いずれにせよ、防衛庁としては、再発防止を含めた防衛調達の透明性、適正性を確保すべく引き続き調達改革を推進してまいりたいと存じます。  以上でございます。
  280. 中原爽

    委員長中原爽君) 次に、川口外務大臣
  281. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) ただいま御決議のありました政府開発援助につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、これまでに進めてまいりましたODA改革を徹底し、その透明性の確保、効率的かつ効果的な実施に努めてまいる所存であります。  また、国際機関等に対する拠出金の問題につきましては、拠出の必要性を十分検討する等の所要の措置を講じてきたところですが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも国際機関等の事業運営の一層の適正化や拠出金等の効率的使用を図ってまいる所存であります。
  282. 中原爽

  283. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) ただいま御決議のありました研究費不正経理につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、文部科学省として、研究費制度の一層改善に取り組むとともに、大学等に対し十分指導等を行い、再発防止に努めてまいる所存でございます。
  284. 中原爽

    委員長中原爽君) 次に、坂口厚生労働大臣
  285. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御決議にお答えを申し上げたいと存じます。  厚生労働省といたしましては、ただいまの御決議の趣旨を踏まえ、雇用・能力開発機構における勤労者福祉施設の処理に当たりましては、施設本来の趣旨が損なわれることのないよう配慮しますとともに、売却価額の算定等について十分な情報開示に努めてまいる所存でございます。
  286. 中原爽

    委員長中原爽君) 次に、扇国土交通大臣
  287. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) ただいま御決議のありました夕張シューパロダムの建設事業に伴う移転補償に係る不適切な事務処理につきましては、所要の是正処置を実施したところであります。  御決議の趣旨を踏まえ、今後、このような事態が生じることのないよう、公共事業の実施に伴う移転補償事務の適正化に万全を期すとともに、補償額の算定に関する処理要領等を整理するなど、透明かつ公正な移転補償の実施に努めてまいる所存でございます。
  288. 中原爽

    委員長中原爽君) 以上をもちまして関係国務大臣の御発言は終了いたしました。  この際、審査の終了に際しまして、委員長として一言ごあいさつを申し上げます。  理事、委員の皆様、参議院決算委員会は、本年二月に行われた本会議の後、平成十三年度決算について精力的に審査を重ね、本日、こうして審査を終了することができました。この間における皆様の御努力、さらに政府会計検査院等の御協力に対し、まずもって厚く御礼を申し上げます。  参議院における決算の早期審査の実現は本院の長年にわたる懸案でしたが、今回、議長諮問の下に参議院改革協議会が決算早期審査の具体策に係る報告書を取りまとめられ、これが本院の総意になったのであります。  参議院決算委員会は、この具体策に係る実現の場として全力を傾注してまいりました。本日ここに得た成果は、参議院の歴史に大きな足跡を残すことと確信をいたしております。  私も委員長としてこの改革に携わり、微力にもかかわらず重責を全うできましたことは、ひとえに皆様の御理解と御協力のたまものであり、この喜びを皆様と分かち合いたいと存じます。誠にありがとうございました。  本院議長、副議長始め、この改革に御尽力をいただいた関係各位並びに理事、委員に深甚なる感謝を申し上げて、委員長のあいさつといたします。  ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十八分散会