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2003-04-21 第156回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年四月二十一日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十四日     辞任         補欠選任      大田 昌秀君     又市 征治君  四月十八日     辞任         補欠選任      山根 隆治君     池口 修次君  四月二十一日     辞任         補欠選任      広野ただし君     大江 康弘君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中原  爽君     理 事                 岩井 國臣君                 佐々木知子君                 中島 啓雄君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君                 八田ひろ子君     委 員                 荒井 正吾君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 田村耕太郎君                 月原 茂皓君                 常田 享詳君                 藤井 基之君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 池口 修次君                 神本美恵子君                 榛葉賀津也君                 谷  博之君                 松井 孝治君                 山本 孝史君                 荒木 清寛君                 遠山 清彦君                 山下 栄一君                 大沢 辰美君                 岩本 荘太君                 大江 康弘君                 又市 征治君    国務大臣        国土交通大臣   扇  千景君        環境大臣     鈴木 俊一君    副大臣        国土交通大臣  吉村剛太郎君        環境大臣    弘友 和夫君         ─────        会計検査院長   杉浦  力君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    政府参考人        警察庁交通局長  属  憲夫君        総務省自治財政        局長       林  省吾君        財務省主計局次        長        勝 栄二郎君        厚生労働省老健        局長       中村 秀一君        水産庁資源管理        部長       海野  洋君        国土交通省総合        政策局長     三沢  真君        国土交通省土地        ・水資源局長   倉林 公夫君        国土交通省都市        ・地域整備局長  澤井 英一君        国土交通省河川        局長       鈴木藤一郎君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        国土交通省住宅        局長       松野  仁君        国土交通省鉄道        局長       石川 裕己君        国土交通省自動        車交通局長    丸山  博君        国土交通省海事        局長       徳留 健二君        国土交通省港湾        局長       金澤  寛君        国土交通省航空        局長       洞   駿君        国土交通省北海        道局長      村岡 憲司君        国土交通省政策        統括官      河崎 広二君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    飯島  孝君        環境省総合環境        政策局長     炭谷  茂君        環境省自然環境        局長       岩尾總一郎君    説明員        会計検査院事務        総局次長     白石 博之君        会計検査院事務        総局事務総長官        房総括審議官   友寄 隆信君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君        会計検査院事務        総局第三局長   船渡 享向君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君    参考人        住宅金融公庫総        裁        望月 薫雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十三年度一般会計歳入歳出決算平成十三  年度特別会計歳入歳出決算平成十三年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十三年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十三年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十三年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、大田昌秀君及び山根隆治君が委員辞任され、その補欠として又市征治君及び池口修次君が選任されました。  また、本日、広野ただし君が委員辞任され、その補欠として大江康弘君が選任されました。     ─────────────
  3. 中原爽

    委員長中原爽君) 平成十三年度決算外二件を議題といたします。  本日は、国土交通省環境省及び住宅金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 中原爽

    委員長中原爽君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  6. 中原爽

    委員長中原爽君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 山内俊夫

    山内俊夫君 自由民主党の山内俊夫でございます。  私はちょうど決算委員会の国対での担当もやらせていただいておりまして、個人的な見解でございますけれども、冒頭に、私は、今回のこの決算委員会が開催されるということは本当に待望でもございましたし、参議院がやるべき仕事じゃないかなと、このように考えております。極論を申し上げますと、場合によれば予算委員会はやらなくていいというぐらいのつもりでございまして、できるだけこの決算委員会を充実させていきながら、次年度予算に反映させていきたい、このような考え方もしておる一人でございます。  さて、今日は三点ばかり大きな項目で質問させていただきますけれども、国土交通省に対しましては、地方都市中心市街地活性化というような観点から質問をさせていただき、そして、我が国は海運国でございます。また、周りがすべて海に囲まれておりますから、海のことをもう少し我々もう一度見直しすべきではないかということ、そして、その海を大変、近代、汚してまいりました。次の世代に、やはり我々はきれいな海を次の世代に残していく必要があるという、その三つの観点から質問をさせていただき、将来の、来年、再来年のまた予算に十分配慮いただけたらと思って質問させていただきます。  まず、地方都市の衰退というものを私、大変危惧をいたしておる一人でございまして、多分、今から、今の一・三三ぐらいのこの少子高齢時代が続いていきますと、多分、日本人口は百五十年先には六千万人ぐらいになるんじゃないかと思いますし、また七十年先には約八千万ぐらいにはなるんじゃないかなと思っておりますけれども、それでも首都圏はほとんど人口は私は変わらないと思っております。じゃ、その分だけどこが少なくなってくるかとなりますと、当然、地方都市、特に中山間がまず減ります。そして、地方都市の中都市がだんだんだんだん減少を起こしていくんじゃないかと、このような心配をいたしております。  ただ、住みやすいのは実は地方が大変住みやすいんです。高齢者にもやはり非常に優しい、また空気もきれいで、大変食べるものもおいしい。そういう地方都市をどんどんどんどん疲弊させていっているんじゃないかな、そういった意味で、この時期にしっかりとその地方都市を育てていく、また活力を生んでいくという方策を国交省もぜひ御協力をいただきたい、このような気持ちで一杯でございます。  まず、私は、政策というものはミスマッチを起こすとすべからく陳腐なものになってくると思っておりまして、政治をやっていく上にも、またビジネスをやっていくにも一番必要なのは、人口構成がどうなっているか、将来予測はどうなっているか、その人口動態がどうなのかということを常にウオッチングしておかなきゃいけない、そうしておかないと、必ずミスマッチを起こしてくる。  端的に言えば、我々、私はちょうど団塊世代入口なんです、昭和二十一年生まれですから。二十二年、二十三年、二十四年、二十五年、この辺りの四、五年がほとんど団塊世代と言われております。年間二百五十万から六十万人の子供たちが生まれておりました。昨年の発表によりますと、百十五万人強ということの発表になっております。ですから、あの当時からいきますと半分以下というような人数構成なんですね。  そうなってくると、我々の団塊世代社会人になり結婚していくときには、一生懸命、ビジネスでいきますと結婚式場を増やしていってでも商売は成り立つわけなんですね。ところが、最近もう結婚式場なんか造らないです。それよりも、どちらかというとフューネラルホールの方をしっかり今造っておりますから、それも一つのやはり人口動態にちゃんとウオッチングをしながらビジネスをやっていく。  ですから、政治政策も必ずそれを見誤っちゃ駄目だということで、少し人口を、少し簡単に申し上げますと、戦後核家族化をしたのは大体昭和四十三年ですね、この辺りは二千五百三十万世帯、それに対して住宅総戸数は二千五百万戸、二千五百六十万戸でございますね。それが、平成十年ぐらいになってきますと、住宅総数は五千二十四万戸に膨れ上がっております。世帯数は四千四百三十万。ですから、ほぼ五、六百万戸はもう既に家が世帯数より多いということなんですね。  年間、大体その当時、ピークでは昭和四十八年ぐらいだと思いますが、年間二百六十万戸ぐらい家が建てられていた。でも、今現在大体百六十万戸ぐらいですね。ですから、ほぼ百万戸少なくなっている。年間建て替え需要というのがこれがあります、当然古くなってきたら建て替えしていきますから。それを百万戸ぐらいあったとしても、新規がほとんど止まってきている。  それと、こういう時代背景というものを我々はしっかりとつかんでおかなきゃいけないと思っておりまして、昭和大体四十三年ごろの空き家率というのは、これはもう家を建てたけれども貸すにも貸せない、住んでもいないという家が大体五・四%ぐらいだったと思いますが、今はもう既に一二%、二・五倍ぐらいに上がっております。ということは、その中でもまた、地方へ行けばよく分かるんですが、大きな屋敷に、敷地も一杯持っている、おばあちゃん一人しか住んでいない、お年寄り夫婦だけしか住んでないという家が大変増えてきております。  それで、地方のまた中心市街地はもっともっと空洞化してきておりまして、おかしな話があるんです。これはもう少し、余り汚い話で、下水道の話になりますけれども、細かいことは言いません。最近よく詰まるというんです。詰まっていきますと、下水道というのは比較的緩やかな傾斜でもってうまくある一定の水量で流れるようになっているんですね。余り急勾配やるとまた流れない。水だけが先に流れてしまうというようなこともあって、非常にこううまくバランス取ってあるんですが、最近、旧市街地の中に一人しか住まない、それも余り水を使わなくなってきましたから目詰まりを起こすということになって、そういう変わった現象が起きてくる。せっかく町中のいいインフラが整備されたところに人が住んでいない、そういうことをもう少し見据えていかなきゃいけないのかなという気がいたしております。  そこで質問なんですが、地方都市中心市街地というのは今、最近随分地価も下がっております。どんどんどんどん下がっております。公共がやるときにはその地価が下がれば非常に安く手に入れていいハードができるわけなんですけれども、でももう公共はその町の活性化のために、住宅のためにもう公共がやる時代じゃないと思うんですね。やはり民間がやらなきゃいけない。その民間がやる民間体力が、この地価が下がることによってどんどんどんどん今体力が減少いたしてきておりますから、なかなか民間で再開発をやろうという意欲はわいてきていないのが現実でございます。  そこで、地方都市中心市街地でこの地価の下落が止まらないという、これはもういろいろな要素がありますけれども、それは要素は別にいたしまして、国交省としての中心市街地活性化のためにどのような対策を講じられておるか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 扇千景

    国務大臣扇千景君) まず、今、山内議員から総体的なことをおっしゃいました。日本の国政を語るときに、まず基本があるじゃないかというお話でございました。細かいことはまた局長が答えますけれども、総体的なことに対して、考え方是非山内委員にお聞きいただきたいと思います。  それは、今人口体系お話がございました。少なくとも我々は日本人口というものを考えなきゃいけないということで、少なくとも平成十二年千二百六百九十三万人、それが平成二十一年ですね、一億二千八百十五万人、そして少なくとも二〇五〇年には一億八百二十五万人、二〇二一年には八千百七十六万人と予測されております。  そういうことから考えますと、今、山内委員がおっしゃいましたように、私どもはその中で一番考えなきゃいけないことは、少し離れますけれども、先日、滋賀、京都、大阪で水フォーラムをいたしました。二十世紀は少なくとも地域の問題で、領土問題で戦争があった。けれども、二十一世紀水戦争時代だと言われたということも、この間の水フォーラムで話が出ました。  それも、今、議員がおっしゃったように、人口とそして世界水状況、これが大きく影響してくるわけでございまして、現段階でも安全な水、今のこの二〇〇三年でも安全な水で生活していない地球上の人口が十二億人いるわけでございます。そして、不衛生な状況の下で生活している子供たちが二十四億人いるという、そういう世界状況の中で、これは切っても切れない人口問題と地域発展人口の大きな変動が見られるわけでございます。都市も、今たまたま下水道お話なさいましたけれども、普通の飲み水だけでも大変な時代が来るということも事実でございます。  我々は、陸海空担当しておりますので、少なくともその中で水の問題も大事な問題ですし、今住宅お話なさいました。そして、我々の時代はとおっしゃいましたけれども、正に昭和、少なくとも四十六年から四十九年まで第二次ベビーブーマー時代がありました。その人たちが今団塊的に、二人の子供を持って、少なくとももう一部屋うちが欲しい、もう一部屋勉強部屋が欲しい、子供の個室が欲しいという年代になっているのが一千万人おります。その人たちが、我々は今後、彼らが平成二十年までに、少なくとも百万世帯がそういう部屋を増築したい、改築したい、そういう念願を持っている人たち予備軍でいるわけです。  それが、今、議員がおっしゃったように、地方へ行くと、大きなところにおばあちゃん一人。そういうことが利用できるようにといって、本年初めて税制改革をしていただきまして、これ五十年ぶりに五百五十万が三千五百万なんというとてつもない金額になったのも、そういう住宅事情。  そして、政府としては、それこそ総理のお言葉をかりますと、石垣から稚内までという、全国あらゆるところで都市開発を、都市再生をしていこうということが小泉内閣として入っております。これも一都市だけではなくて、個性ある地域発展で、どの個性ある地域都市になり得る、そういう感覚の下に、国土交通省は二十一世紀国土づくり都市づくりというものを関連付けていこう。  そして、今申しました、第二次ベビーブーマーの百万世帯人たちが、もう一歩希望のうちを持てるようにということで、今のベビーブーマー人たちは、平均年収が四百七十六万でございます。それで、銀行に、買って借りるというのが、ローンを借りられるというのが、大体頭金が百万なんですね、貯金百万持っているんですね。  それではいけないということで、一千万の頭金金融公庫総裁お替わりになりましたけれども、私たちは、皆さんに通していただいた税制でこの一千万の頭金ローンの貸しを、このおじいちゃんやお父さんやお母さん、大きな世帯を持っているその土地を利用して子供たちに承継さしていこうと、それも住宅づくり、そして国土の活用、そういうものに連携さしていこうというのが本年の予算国土交通省の二十一世紀のプランだということを是非御承知おきいただきたいと思います。
  10. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  私もちょっと二年前、大臣が就任しているときに私も参議院国土交通の理事をやっておりました。そのときから、ここ二年間で非常に矢継ぎ早にいい政策をどんどんどんどん出してきていただいておりまして、やはりその辺りの全体はきっちり見られているなとは思っております。  ただ、残念なことには、省庁単位ではいいんですが、省庁省庁連携というのが非常に私見ておりまして少し弱いんじゃないかなと。PFIのいろんな事業皆さんからのいろんな報告をいただいていても、なかなかそのすり合わせがうまくいけているようには見えない部分があります。  それはいろいろ細かく言いますと切りがございませんから、今日は、地方都市中心市街地空洞化をどう防ぐか、そのためには、またお年寄り高齢者に安心、安全な住まいを提供する、そして中心市街地にもっともっと帰ってきてもらう、そして介護保険も、またそれをサポートする人たち効率的なサポートができるようにある一定に集めていく方がこれは効率が上がるわけなんですね。  そうなってくると、やはり防災面、いろんな面でハードソフトともに充実させていかなきゃいけない。地方の方が本当は住みやすいねと、こういうような気持ちを起こさすために、私は、今、地方の五万から十五万ぐらいのこのぐらいの規模、このぐらいの規模が大変空洞化起こしておりますから、もっとほかの中核都市とか政令都市なんかは、これはもうまだまだ体力もあります、力もあります。けれども、十五万人ぐらいまでの都市というのは非常にそういった意味で弱くなっておりますし、省庁の再編の中で、私も政務官やらせていただいたときに、やっぱり自治省の関係を見ておりますと、大変補助金とかいろんなものがかなり今から制限されてまいります。そういったときに効率のいい行政をやはり運営していかなきゃいけない。  そうなってきますと、一番弱者であります独り暮らしの人たち、まだ人の世話にはならなくてもいいけれども、でもいつ人の世話にならなきゃいけない、そういう世話になる入口人たちも一杯いますから、そういう人たちにいい環境を提供する、そして中心市街地活性化していくというために、私は、バリアフリーのすばらしい町とか、少し容積率を緩和して空間を多く設けてもっと緑を増やそうとか、そういう少し、本当に町の活性化と潤いに寄与できるようなきめの細かい私は今から政策が必要であろうと考えるんですが、その辺り、いかがでございましょう。
  11. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) ただいま委員指摘中心市街地活性化ということにつきましても、私ども連携して行わにゃいかぬということは御指摘のとおりと考えておりまして、この中心市街地活性化法に関して言いますと、総務省経済産業省国土交通省、これで連携をしまして一つ連絡窓口の室を作って、場所としては国土交通省の一番上の方に中心市街地活性化推進室というものを作りまして、全国取組情報を集め、いろんなところにその情報を提供して、これは全国でいろんな工夫がされておりますので、そういう工夫を幅広く活用いただくという観点からそのような取組を推進しているところでございます。  また、バリアフリーにつきましても、個別のバリアフリーというよりは町中で連続したバリアフリー空間ができなければいけないという観点から、例えば交通バリアフリー法によります公共交通機関バリアフリー、あるいはハートビル法によります主として不特定多数の方が集まる建物のバリアフリー、それに加えまして、道路ですとか駅前広場ですとか、それから大変地方からも御要望の多いいわゆるまちづくり総合支援事業、そういった中でのバリアフリー措置、こういったものを使いまして町の一定空間を連続的にバリアフリー化していくというような取組もしていきたいと思っております。現実にそのような取組を実際にお始めになっている地方公共団体もございます。
  12. 山内俊夫

    山内俊夫君 そういった非常にきめの細かさが最近増えてきたんです。ところが、私もホームページ設けておりますから、ホームページについ最近入ってきた事例を申し上げますと、確かに地方自治体工夫のした中でやっていますけれども、その傾斜が割かし厳しいんだとかいう、きめの細かさ、もう一ランク先を注文付けてくる方おいでになります。  確かに若いときには車いすを自分で押してでもその傾斜は上がることもできたし、最近では下がっていった先がすぐいきなり道路になっていて止まらずにどどっと流れ出てしまうということもある。それはなかなか国の方で一々チェックするわけにはいきませんから、これはもう地方自治体のやることなんですけれども、そういったところにももう少し予算を配分をしまして、やはりクオリティーの高い都市を造っていくということも私必要じゃないかと思うし、現実地方都市に住んでおりましたら、昔は確かに車がかなりの交通量があった、けれども最近は非常に少なくなってきた。そのときに、やはり歩道を広くして、歩道にもう少しゆとりを持たせて、中途半端な車の付けられる余地を残しますと車を止めてしまうんですね。それよりもまだ逆に車道を狭くして車をできるだけ止めない。止めるところはもう少し先にちゃんとしたパーキングを設けるとか、かなり質を問われる時代になってきた。  そうしますと、私は、今から二十年、三十年、これを進めていくと、ヨーロッパ以上に快適な空間提供ができるんではないかな、日本というのは本当にクオリティーの高い社会だなと。今までは家は少々安普請でもいいけれども家をどんどん造っていかなきゃ間に合わなかったんですが、今からはそうじゃなくて、それこそ若い夫婦が結婚をいたしますと、どちらの家で住むかという争いが起きるぐらいですから、最近は。女房の方の家で住むのかおれの方の家で住むのか、両方、どちらの親を見るんだとか、結構それで離婚したというのを聞いておりますけれども、そういう時代になってきております。ですから、クオリティーをもっともっと高めていこうということで。  そして、それを新しい駅前に、駅と、駅のコンコースと、ほとんどバリアフリーでいきますと、お年寄りも大変電車、公共交通機関をうまく活用して行動範囲が広がってくるんですね。そういったときに、駅前とか、駅と一緒に、駅舎の中に例えばマンションがあるとか、そういう新しい発想もあるんですけれども、これはPFI手法でどんどんやっていったらいいんですけれども、じゃ民間がやっていくのにどの程度そういうバリアフリーとか快適な住まいに対しての政策出されているか。  今、私もパンフレットをいろいろ見させていただきましたら、随分国交省いいものを出しておりまして、まちづくりの総合支援事業というのが結構出ております。これもかなり面的な面、また立体的な面、いろいろ工夫もされておりますけれども、今、先ほど言ったように、本当にハイクオリティーを目指すというような社会、私はそのためにどれだけ今から地方自治体と国とが連係プレーを取ってやっていけるかどうか、この辺りもっともっと期待したいなと思っているんですが、局長、どうぞ。
  13. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 基本的に国の支援を最大限に活用いただきまして、そこに、地方の言わば創意工夫をいかにうまくそこに生かしていただくかということに尽きるかと思っております。全国のいろんな事例を見ましても、元々あったいいものを発掘してそれを生かす、あるいは幾らお金を掛けても、言わば資本力だけではできないものを地元の知恵で作り上げる、そういったところは総じてこの大変厳しい中でも元気な地方ではないかと思っております。  また、これからの少子高齢化あるいは地球環境問題等を考えましても、やはりコンパクトに、今までのように市街地がどんどん広がっていくという時代はもうそろそろ終わったと認識しておりまして、むしろ、先生も御指摘のように、既成のインフラを有効活用する観点からも、できるだけコンパクトに住みやすい町を造っていくということが今後の一つの方向であろうと思っております。  そういった中で、まちづくり総合支援事業、先ほども申し上げましたが、大変地方からの御要望も多いんですけれども、正に地方でこういうことをしたい、このためにこういうところに支援が欲しいといった辺り、相当程度自由に創意工夫を反映してお使いいただけますので、これは正に地方の方で知恵をどのように出されるかということに尽きるわけでありますが、そういったことに対応して、私どもも最大限この事業を活用して応援をしていきたいというのがスタンスでございます。
  14. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  私も昨年一年間、総務大臣政務官をやらせていただいた中で感じたのは、中央の役人さんの考え方のベースに、地方に任すと何をしでかすか分からないという、少し不安があるんですね。それで、地方のお役人さんは、私も県議をやっておりましたから県の役人といろいろ話をしておりますと、いや、地方は全部上げぜん据えぜんじゃなくて、はしの上げ下げまで全部指示されるものですからなかなか地方で自由裁量が少ないんだというその不満がありまして、地方の不満と中央の不安というのはこれがどうも交錯をしておったような気がいたします。  それを今後、今からこういった少子高齢社会、そして右肩上がりの社会じゃない、もう既に右肩下がりのデフレの時代になってきておりますから、このデフレ時代に、また少子高齢社会にぴったりと合うような政策、それはやはり私は思い切って任せてみるという姿勢が要るのかなという気がするんですよね。  そういった意味で、中央省庁はできるだけ基本的な概念はきっちりと哲学を持ってやっていただいて、地方にある程度裁量権をゆだねていくということを私はもっともっと進めていきたいな、まずは進めていってほしいなと思っております。ありがとうございました。  それでは、次の第二番目でございます。  港湾の関係について少し質問をさせていただきたいと思うんですが、実は、一昨年九月十一日、私もちょうどワシントンDCにおりました。あの同時多発テロを言わば体験をさせていただきました。そのときに、私はたまたま翌日すべての予定がキャンセルされたものですからホワイトハウスへ行きましたら、一般の人が入っているんですね、何人か、ぱらぱら。それで守衛にいろいろ聞いてみますと、いや、今日もホワイトハウスはオープンしていますよという話なものですから、これはいいやということで我々議員二、三名そろって入れていただいて、約一時間、中を見せていただいたんですが。  私そのときに感じたのが、これが日本とアメリカの違いかな。アメリカというのは、実は昨日あれだけの事件があった、翌日ホワイトハウスが一般にオープンしているという。ということは、アメリカ社会は安全なんですよということを常に世界に対して情報発信しているんですよね。果たして、これが日本だったらどうだろう。多分もうこの周辺はすべて閉鎖されまして、もう首相官邸なんかまず近寄れないと思います。そういうようなやはり、これは民族性もあろうかと思います、その違い、もろに見せていただいた。  その後、私もいろいろウオッチングをしておりますと、やはりアメリカのロサンゼルスとか西海岸、東海岸の港湾施設に対してかなりチェックが入ってまいりました。これは、もう当事者でございますから当然のことだろうと思うんですが、じゃ、日本は海の入口というものをどれだけ重要視しているんだろうかなという気がいたしました。  特に、この第九次の港湾整備計画、これ七年計画の今年は六年目に入ると思いますが、データによりますと、直轄が百五十港あると。十六航路そして七海域、補助金を出した港整備には八百七十七港ありますし、新しくエネルギー関係の港湾整備というものに四か所やっておるんですが、私、この中に果たしてセキュリティーのための港湾整備予算がどの程度組まれているのかなという気がいたしておるんですが、港湾分野のこの保安対策、これをめぐる動き、予算的なものもありましたら、少しお知らせいただけたらと思いますが。
  15. 金澤寛

    政府参考人(金澤寛君) お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、米国の同時多発テロ以降、国際的な社会資本でございます港、港湾につきまして新たな次元の保安レベルというものを保つ必要があるというふうになっていると思っております。  米国におきましては、昨年十一月、昨年の十一月でございますが、海事保安法という法律を制定いたしまして、保安対策の不十分な外国の港から出港した船については米国への入港を拒否できるというような法律もできました。  また、昨年十二月ですが、国際海事機関、英語で略称でIMOと言っておりますが、そのIMOにおきまして、これは世界の各国が海上人命安全条約、これも英語でSOLAS条約と言っておりますけれども、その条約の改正が行われまして、港湾及び船舶の保安対策というものを強化するために港湾施設や船舶に対しまして保安計画を策定すると、あるいは保安を評価をすると、そのようなことを義務付けることなどが規定されました。その条約は、来年度、二〇〇四年の七月一日に発効する予定になっております。このように、世界の各国におきまして、港湾並びに船舶のいわゆる保安の強化ということが同時進行的に目下の急務として動いております。  このような国際的な動きを踏まえまして、我が国も条約の締約国でございますので、本条約の国内法制化を行うなど、適切な対処というものも必要になっております。それを今急務として対応を急がなければいけないと、かように考えております。
  16. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  私が先ほどから申し上げておりますのは、周りが海に囲まれておりまして、飛行機というのは比較的、あれ墜落したりテロに使われると、もうそれこそセンセーショナル的な扱いを受けます。ほとんど全員死亡という派手なことになりますから、比較的航空機というのはそれなりのチェックも厳しいし、また航空機に対する安全性というのは非常にきめ細かくやっておりますが、海というのはどうしても大ざっぱなんですよね、ならざるを得ない部分があります。  だから、それでも最近、やはり海からの物流というのはこれは圧倒的に多いわけですよね。そのために、いろいろコンテナ化をされて、そのコンテナも、二十フィート、四十フィートと非常に規格化されたものでうまく物流をやっておりますが、これが今、釜山とか基隆とかそれとか上海の浦東とか、いろんなところにどんどんどんどんシフトし掛かっておりますね。非常に日本の港湾というのは弱い。  以前は非常に強かった。水深大体十四、五メーターだったのが、もう最近は大型化してきましたから十六メーター以上要るとかいうようなこともなっておりますけれども、それも、まだまだハード面、十分なことができておりませんけれども、私は、今後、そのハード面で日本の物流が世界に対して非常に弱くなってきた、これは人件費の問題もあろうと思うんですが、この人件費をカバーするのは何かとなったら、答えは一つ、IT化しかないんですね。  扇大臣がよく二年前からおっしゃっていただいたように、港と高速道路の結節点が非常に悪い。これも非常に物流の血液の流れを良くする非常に大変重要なことだろうと思うんです。  でも、港で受けたものがうまく合理的にさばかなきゃいけない。ほかの、世界の国の主要港はほとんど二十四時間体制なんですね。ところが、日本はそうは、二十四時間に余りなっていない。私のところにもよく港湾荷役の組合の皆さんもやってまいります。最近、大変なんだと。日当も安くなってきている。仕事も少なくなって、ワークシェアリングしなきゃいけない、そういう話がよく来るわけですが、私は、ITを使えば、例えば、今シンガポール港に六万トンの船が積込みをした。それが間もなく、あと半日すると例えば基隆に入る、その後神戸に入りますよという、それがリアルタイムに、これはインターネットを通じまして荷物の中身まで、何が積まれているか、何が何トン積まれているか、どこに何が今から物が動こうとしているのか。  そうしますと、港の受入れが、人の配置がうまくできるんですね。今までだったら、来る予定が、なかなか来ないから、半日間遊ばせたと。時には、検疫のために、もう今日は六時が過ぎたから今日駄目です、明日にしなさいと言ったら、船が沖合で係留しなきゃいけない。その滞船料がまた数百万取られる。非常に無駄が多かったということを聞いております。それがすべてコストに跳ね返ってくる、また今の賃金抑制にもつながってきているというような実態があるわけですから、このIT化というものをもっともっと進める必要があるんじゃないかと、その点どう思われますでしょうか。
  17. 金澤寛

    政府参考人(金澤寛君) 港湾、海上輸送の物流の円滑化、合理化をIT技術を使って円滑にしていかなければいけない。先生の正におっしゃるとおりでございまして、まず、港湾局では、我が国港湾の利便性の向上とか国際競争力強化するという観点で、実は今国会で御審議を賜っておりますが、港湾法の一部改正を御審議賜っておりますけれども、まず港湾におきます、いわゆる公の例えば港湾管理者とか海上保安庁、税関当局等々のいわゆる公の手続のシングルウインドー化、ワンストップサービス化というものを実現する港湾EDIシステムの設置及び管理を国土交通大臣が行いますというような港湾法の一部改正案を出させていただいております。これによりまして、今年度早期にもワンストップサービス化ということが実現をいたします。  またさらに、ただワンストップサービスと申し上げましても、いわゆる官の手続でございます。そのほかに、先生が先ほどおっしゃいましたように、いわゆる船の情報だとかあるいは貨物の情報だとかが、船会社あるいは海貨業者あるいは港運業者あるいはトラック業者ですね、内陸の、あるいは倉庫業者、そういう物流にかかわっておられる民間の方々がそれぞれがそういう情報を共有することができる、そういうことによって物の流れが円滑になり、スムーズになり、ひいては経済合理性が上がって国際競争力の強化に通じるということでございまして、港湾局が実は音頭を取りまして、港湾物流情報プラットホームというものの構築に向けて今検討を鋭意進めております。  民間の間でそれぞれサブシステム、例えば通関業者さんと税関当局の間だとか、あるいはトラック業者さんと荷主の間だとか、船会社さんと港運業者の間だとか、サブシステムはあるんですが、それをトータルとして結んでいるようなものがございませんでした、日本では。それができますように、今、港湾物流情報プラットホームの構築に向けて検討を進めている最中でございます。  これをできるだけ早く、関係者の協力を得ましてそういうものを作り上げていって、民間の方々がお使いになっていただくことによって円滑な物流、ひいては国際競争力の強化、我が国の経済発展というものにつながりますように、大いに努力してまいりたいと思っております。
  18. 山内俊夫

    山内俊夫君 今、大変詳しく御報告いただいたんですけれども、例えばそのネットワーク化というのは、私はいろんなパーツの組合せが要るだろうと思うんですよね。  例えば、名古屋港で今、NUTSという非常にいいシステムをやっております。どこのバースが何時ごろから空く、そのところに、じゃ船が、何々の船が着けられる。そのときに、じゃそれから一時間後に荷物の取り出しをしたときにコンテナをどう移動したらいいかという、そこまで計算され尽くしたシステムが今動こうとしていますけれども、これと例えば世界じゅうがつながらないと、ロサンゼルスから船が来ていると、これが分からなけりゃ、シンガポールから来たのか、だだっとふくそうしたときに、国内的なNUTSが幾ら機能良くても物流の量が全く違ってきますから、そういったこともある程度ネットワークを図りながらやっていく必要がある。  そうなってくると、必ず出てくるのは二十四時間体制なんですね。この点だけ少し、先ほどの答弁で漏れておりましたから、この二十四時間体制に対して今後どのような、港湾の荷役の関係もあろうと思いますが、組合側とも話しながら機能的な運用をしていくか、これについての少し展望も聞かせていただきたいと思います。
  19. 徳留健二

    政府参考人(徳留健二君) 港湾荷役の二十四時間化について御説明申し上げます。  国土交通省といたしましては、これまでも関係者とともに港湾荷役の二十四時間化に向けて努力を重ねてきたところでございます。その結果、一昨年、平成十三年の十一月でございますが、港湾運送事業の労使の方々が合意をされまして、まず荷役作業につきましては、以前は、月曜日から土曜日のウイークデーが午前八時半から翌朝の朝の四時まで、それから日曜、祝日が午前八時半から午後四時半、それから、十二月の三十一日とそれから一月四日、年末年始でございますが、この間はクローズという、こういう状況でございましたけれども、この一昨年十一月末の港運労使の合意によりまして、一月一日を除き三百六十四日、二十四時間荷役作業は行われることが可能となりました。  さらに、ゲート作業につきましても、以前はウイークデーの月曜日から金曜日が午前八時半から午後四時半、土曜日が午前八時半から午前十一時半、日曜、祝日がクローズ、十二月三十一日から四日までの年末年始はクローズと、こういう状況でございましたが、これも一月一日を除き、三百六十四日、午前八時半から午後八時まで実施することが可能となったところでございます。  ちなみに、日曜荷役の状況を九大港において見てみますと、港運労使合意以前の平成十三年の四月から六月の三か月でございますが、には二百二十一件ございましたが、平成十四年七月―九月、これは港運労使合意以後でございます、三百八十四件と約一・五倍に大きく増加をしております。また、今年の年末年始の四日間、昨年の十二月三十一日から今年の四日までの統計でございますが、全国で前年の実績を、前年の実績は五百四十五隻でございましたが、六百三十隻の船舶が入港し荷役が実施されるなど、近年、国際的な地位の低下が憂慮されております我が国港湾の国際競争力強化に大きく貢献しているのではないかと認識をしております。  さらに、ゲート作業につきましても、先ほど申し上げましたように、現在は二十四時間化しておりませんが、今後二十四時間化に向けた関係者の取組を支援するというために、昨年十月から横浜港におきまして実証実験を実施したところでございます。  私ども国土交通省といたしまして、今後とも、引き続き官民の関係者と連携して、行政を含めた港湾の二十四時間化の早期実現に向けて取り組んでいく所存でございます。
  20. 山内俊夫

    山内俊夫君 分かりました。二十四時間体制に向けて日本世界の競争力に互角に戦えるようにお願いをしたいと。  ただ、最後の質問になりますが、この港湾に関しては、物流的な部分についての改善はされていても、実は日本の船はコストが高いと、こうよく言われますね。当然それに乗組員の賃金もあろうと思いますが、それよりも、今国際的に、数年前のナホトカ号の事件、また北朝鮮の船がもう放置された、そのままで放置していかれている問題、こういうことは地方自治体が処理をしておりますよね。そういったときに、やはり保険でどれだけカバーできるかと。ところが、北朝鮮の船なんかは保険なんか入っていないんですね。あの当時のナホトカ号は入っていたかどうか知りません。ただし、上限があるということがあって、大変に地方の自治体も負担金を随分出しております。ボランティアにも随分協力していただいた結果、何とかつじつまが合っていると思うんですけれども。  これは、今後頻繁に起きたときに、日本の船は確かに保険もちゃんと入り、高い保険料も払いながらやっています。それと船籍も、せいぜい十年から十二、三年でもう廃船しておりますが、どこかの国だったらそれこそ二十五年、二十七年使って、明くる日でも沈んでしまうような老朽化している船が我が物顔のように走っておる。これが、国際ルールの中できちっと日本が提案していって、やはり保険が払えないような船は運航してもらっては困るよ、世界でもう止めましょうよと、ちゃんとそれでも保険が払えなかったら、じゃ国が保証しますよという、その国の保証まで取り付けた、担保を取り付けたものじゃないと国際的な船は動かしちゃ駄目よと、そういうぐらいの厳しさが私は要るんじゃないかなと。そうしないと、結果的には海洋汚染が何度も起きるんじゃないかなという気がいたしております。  そういったことも併せまして、もう是非この船舶の保険制度、これを簡単に概略お述べいただけたらと思うんですが。
  21. 徳留健二

    政府参考人(徳留健二君) 船舶の保険について御説明申し上げます。  油タンカーにつきましては、一たび事故が発生した場合には油の流出により周辺海域に甚大な被害をもたらすということから、国際油濁民事責任条約というのがございまして、船主の責任、保険への加入が義務付けられておるところでございます。また、国際海事機関の総会決議によりまして、これは強制力はございませんが、タンカー以外のすべての船舶についても損害を対象とした保険への加入が促されておるというところでございます。  他方で、こういった条約あるいは決議にかかわらず、国際的な商慣行といたしまして、世界の商船のほとんどはこういった船主責任保険に加入をしておるところでございます。他方で、一部の船舶には、御指摘のように、未保険、保険に加入していない、そういうものもあるわけでございます。現に、日本の周辺で船舶が座礁した場合において、一部の船舶では船主責任保険に加入していない等の事情により船主が被害の賠償や船舶の撤去等を行わない、そういう問題が生じているところでございます。  このため、国土交通省におきましては、昨年末に座礁・放置船舶等に関する検討会を設置いたしまして、放置座礁船等による損害に船主が対応しない場合やあるいは無保険の船舶等への国としての対策について、入港規制も含め幅広い検討を行っているところでございまして、できる限り早期に結論を得たいと考えておるところでございます。
  22. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  これは国際的な話合いになるからなかなか、相手国が承認しなけりゃいけませんから、せめて日本で、先ほど言いましたようにIT化を進めて、その船の例えば信号等を、それをキャッチすればすべての船の動きが分かるというぐらいのIT化をうまく活用していただいて、それ以外に承認していない船は日本近海に近づいちゃ駄目というぐらいの厳しさが要るんじゃないかなと。そのぐらいしないとこういった問題はなかなか解決しないと私は思います。それは将来の話でございますから。  さて、最後になりますが、余り時間がございません。あと七分、五分ぐらいになってまいりましたが、実は環境省大臣もお越しいただいております。今、油汚染とかいろんな海洋汚染もありますが、実は私は平成、これは何年だったですかね、二年前ですね、二〇〇一年六月の二十一日に瀬戸内海の環境汚濁、そういったものについて、採石業者が海に土砂を捨てて、それをグラブ船で洗ったやつを船に積み込んでいっているという、この兵庫県の家島の問題、私、国交省委員会で取り上げたと思います。  そのときに、環境省の、あの当時は環境庁だったですかね、環境省になっていたかどうか分かりませんが、そのときに環境保全命令を出すということで地元の採石業者といろんな協定を結んだように聞いておりますし、その辺りのちょっと御報告いただけたらと思いますが。
  23. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 私の方から経過と今までの取組について申し上げますけれども、ただいまお話のございました家島諸島の男鹿島、それから西島におきまして行われました土砂の海中投棄でございますが、これは自然公園法によります許可、届出なく水面の埋立てを行いました違反行為でございます。  したがいまして、環境省では違反者に対しまして平成十三年六月に行為中止勧告を送付をいたしました。そして、同年十月には、自然公園法に基づきまして埋め立てた土石を速やかに撤去し、原状回復を図るように命じたところでございます。この命令に対しまして、違反者より、同年同月でございますけれども、原状回復に係る改善計画というものが提出をされまして、今この改善計画に沿いましてこのしゅんせつ作業というものが進められているところでございます。  環境省では、作業の進捗状況がどうなっているのかということにつきまして定期的に違反者から報告を受けておりますが、必ずしもその計画どおり進んでいないという、そういう面も見受けられることから、兵庫県を始めとする関係機関と協力しながら、本地域における風致の回復が適切に行われますように、改善計画の実施状況を今後とも監視をしてまいりたいと、このように考えております。
  24. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  是非この問題は、瀬戸内海というその境目のないところでございますから、是非国の方が監視しなきゃ、これ県単位じゃ無理なんですね。というのは、その一本線を引いた、私が出身の香川県は小豆島の採石というのは非常に厳しくやっております。ですから、海に土砂が落ちないようにプラント設備しなさいと。積込みのプラント設備、それだけで十億掛かるわけですね。その十億掛かるところと、掛からない、費用の掛からないところに同じ競争をせいと、これはもう無理なんです、基本的に。小豆島の業者は十何社すべてつぶれました。そういった設備もちゃんとした結果なんです。  ですから、そういったことも合わせますと、先ほど私が冒頭に言いました、国が地方に任すと何をしでかすか分からないという不安がそこに出てくるわけなんですね。何かそこら辺りのやはりやり取りの中で、これはもう地方に任すべき中身と、これはどうしても国という広範囲な監視体制を持っていなきゃいけない、平等な視点をあてがわなきゃいけないというような問題についてはやはり国がやるべきだと思うし、今回、もうあと一分しかございませんが、私、兵庫県に一度、ちょっと個人的に調べに行こうかと思っているのは、実は西島は大変きれいなんです。ところが、男鹿島、家島というのは海岸線がもう全く変わってきているんです。  兵庫県の見解は、いや、これは昔個人が持っていた海域だから決して、昔は侵食されたやつが戻っただけの話なんだと、こういう見解なんです。これは余りにもひどい話で、これはもう三十年前、四十年前、五十年前の航空写真又はいろんな図面を見ましたら、明らかにもうゴルフ場が一つ分ぐらい海の線が変わっているんです。だって、どんどんどんどん捨てながら行きますから、その海岸線が変わるのは当然なんです。それを兵庫県は、これは元々持っていた個人の権利の中を埋め立てたんだ、だから埋立ての申請許可は出ていないけれども、それは違反であるけれども、これについてはそんなに罰則権限はありませんなんて、変な兵庫県の言い方があるんですよ。  これはまた、私もまだいろいろ何回か質問のチャンスがありますから、いろいろ調べましてそういった面もやらせていただきます。是非大臣、その辺り、十分環境省としての監視をよろしくお願いしたい。どうぞよろしくお願いします。  これで終わります。
  25. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 自由民主党の荒井正吾でございます。  環境大臣、せっかくお越しですが、質問ございませんので、委員長、よろしければ御退席いただいて結構でございますが。
  26. 中原爽

    委員長中原爽君) はい、鈴木大臣、どうぞ。
  27. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 済みません、次の機会に。  それでは、お聞きいたします。  公共事業の成果評価についてお聞きいたします。  これまで会計検査院の会計検査、国会の決算委員会の審議は、検査、審議の名の示すとおり、国の支出が不正に行われなかったか、目的外に使用されなかったかを重点に行われてきたのは否定できません。不正使用、目的外使用は予算執行の適正化の中心概念だったと思います。これからも適正な予算執行の観点からは重要な視点であることは変わりないものと考えます。  しかし、一方、決算の審査をその後の予算の内容や予算制度の改善に結び付けるには、予算の執行の内容が適法かつ目的内であっても、予算執行の方法に工夫があれば、より効果的な予算執行は可能である場合や、予算の目的が狭く定義し過ぎて全体の効果が上がりにくくなっている場合などについても検討の重点にすべきものと考えます。特に、予算の執行の組織がいわゆる縦割りになっている場合には特に議論すべき場合があろうかと思います。  このような観点からお聞きするのでございますが、例えば地元、奈良でございますが、回っているときに、路側に商業施設のない眺めのいい農道が走っているかと思ったら突き当たりになり、またしばらく細い道を行って、また真っすぐな地方道に出るという、言わばクランクの多い道路体系によく出くわすわけでございます。これは他の地域もそのようなことがあろうかと思います。  これは、農道と一般道が道路利用者という一般の観点から体系的に整備されてきていなかったからではないかというふうに推察いたします。農道には農業従事者の利用という目的があり、目的にかなった支出がされているわけですが、一般利用者から見るとかなりおかしなところもあるように思います。役所の方でもそのように感じられてと思いますが、平成年度から道路と農道に関する連絡調整会議というものを設置されて、両事業効率的な整備の促進を図るため、緊密な協議、調整を行っていると聞いております。しかし、都道府県レベルでは、農道担当部局と道路担当部局は、やはりお互いにプライドが高いということもあって、緊密な協議、調整の実にはほど遠いという話も聞きます。道路の現状についてもまだ改良の余地が大いにあるように思います。  このような事例は水循環に係る諸事業連携にも見られるわけですが、このような目的は異なるが類似の公共事業連携について、成果はどのように上がっているのか、その成果に対する評価について河崎政策統括官政策評価の御担当だとお聞きしましたので、お伺いしたいと思います。
  28. 河崎広二

    政府参考人(河崎広二君) 先生御指摘の目的が異なる類似の公共事業に関しましては、かねてから二重投資ではないかとか、あるいは今いろいろな御指摘がありましたけれども、ばらばらで計画的ではないのではないかというような御批判がありました。それを受けて、今、先生からもお話ありましたけれども、当該公共事業を所管する省庁間において調整が行われ、適切な役割分担の下に効率的な事業を実施するという新しい仕組みを構築をしたところでございます。  先生が具体的に例示された道路と農道につきましても、改めて申し上げることもないかもしれませんが、平成七年に旧建設省と農水省との間、さらには都道府県の道路担当部局と農道担当部局との間で連絡調整会議を設置して検討を行ったところでございますが、それで、結論的には都道府県の関係部局が共同して地域の幹線道路と農道を一体的にとらえた計画を作ろう、地域道路整備計画という名前を付けておりますが、これを策定をしておりまして、これに基づいて事業相互間の調整を行うこととしたところでございます。また、毎年毎年の実施段階におきましても、連絡調整会議の場で進度調整等の協議を行っているところでございます。今、この道路整備計画は大体平成十年ぐらいまでに、東京都は必要性がないということで作成しておりませんけれども、東京都を除く四十六道府県で策定をされたというふうに承知しているところでございます。  また、同じような関係で、下水道関係でいろんな御批判があったわけでございますが、またこれも同じような時期に、旧建設省の所管する下水道、それから農水省所管の農業集落排水施設、それから旧厚生省、現在環境省となっておりますが、所管の合併処理浄化槽につきまして、同じように関係省庁間、それから都道府県の段階で連絡会議を設置をして検討を行いまして、これも各都道府県ごとに役割分担を明確化する都道府県構想というのを策定をいたしまして、適切な役割分担の下で各事業を行う仕組みが導入されたところでございます。これも、この構想が大体平成十年ぐらいまでに策定をされて実施に移されているというふうなところでございます。そういった意味で、当時は政策評価という仕組みもございませんでしたので、そういう手続は踏んでおりません。  それから、そういう意味で、従来の公共事業の実施方法につきまして、当時として必要な分析や反省等を行って、その上で類似の公共事業間の調整や連絡を行う仕組みを作って、効率的な事業の実施に努めているところでございます。その後については、これから検証をしていく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
  29. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 協議、調整の場を設けられたというのは大変な進歩だと思いますが、それが機能しているのかどうか、いつまでにそういうことが完成するのかどうかというのは、その成果に対する評価をしっかりせにゃいかぬということだと思いますが、しばらく時間が掛かると思いますけれども、今後そういうことをされるということで期待しておるところでございます。  しかし、今、政府内、行政府内で、各府省で実施されている政策評価制度を拝見いたしますと、基本的には自らしたことを自ら評価しなさいということになっておるように思うわけでございます。農道と道路の実例や水循環の場合なども、公共事業実施官庁が自己評価をしなさいということが基本になっているように思うわけでございます。  そうしますと、ユーザーの評価というのがじかにその公共事業の実施に声が届くのかどうか、十分反映されるのかどうか。特に、他の公共事業との連携についての成果評価の場合はだれがそのようなことをするのか。総務省という上位のあれがあるんですが、その評価観点にそのようなことはまだ入っていないんですね。こういう部分についての成果評価の仕組みは現状ではまずどうなっているか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  30. 河崎広二

    政府参考人(河崎広二君) 評価の仕組みについてお尋ねでございますので、若干私どもの役所の評価システムについて触れさせていただきますが、省庁再編を機に三つの方式から成る政策評価システムを導入をしております。  一つは、新規施策を導入するに当たっての事前評価としての政策アセスメント。それからもう一つは、事後評価でございますが、国土交通省政策目標を具体的な指標として明示をいたしまして、それを評価する政策チェックアップ。もう一つございますのは、特に国民の関心が高いといった特定のテーマについて複数の施策を総合的に評価をしようという政策レビューあるいはプログラム評価と言っている方式でございます。この三つの方式を導入をしたところでございます。  そのほか、個別公共事業に対する評価というものを実施しているわけでございますが、今、先生が言われました目的の異なる類似の公共事業連携というものの評価でございますが、恐らく三つの政策評価方式の中で当てはまるのは、多分、特定のテーマに関連する複数の施策を総合的に評価をする仕組みである政策レビューあるいはプログラム評価という方式になるというふうに思っております。  先ほど公共事業間の連携についてはいろいろ計画レベルあるいは実施段階で調整を進めているというふうに申し上げましたけれども、今後、これらをきちっと実施状況あるいは成果を検証して必要に応じまして評価をするということになりますと、このプログラム評価というものを実施するということで、この検討もしていく必要があるだろうというふうに思っているところでございます。  それで、問題は、今触れました自己評価になる、あるいは複数の省庁にまたがるという点がございまして、この点につきましては、例えば最近実施をされましたリゾート地域の整備に関する評価につきましては、複数の省庁にまたがる施策であるということと、ある意味では第三者的な立場というふうな点がございまして、行政評価法に基づきまして総務省が実施をいたしました。こういう方式もありますし、また関係省庁が協力してこれからその評価を実施するという方式もあり得るんではないかというふうに考えておりますが、ケース・バイ・ケースで実施体制は検討していく必要があると存じております。  それから、自己評価ということについての御指摘があったわけでございますが、なぜ自己評価をやるのかということでございますが、私ども、もちろん外部評価と自己評価と両方あるだろうというふうに思っておりまして、その自己評価をやっている意味は、行政においてそれぞれの事業について計画をし、それを実施し、それを評価して更に次の計画につなげるという行政の新しいマネジメントサイクルを確立していこうというふうな考え方一つございますし、また、職員一人一人がやはり政策評価意識というものを持って、そのサイクルの中で仕事をするという自己啓発を図っていくというふうなねらいもあるわけでございまして、そういう意味では、評価が日常の行政の中で根付くということが重要であると。  そういうことに私ども自己評価の意義を見いだしているわけでございまして、それ以外の第三者評価としては、二次的に今、総務省がやっておられる、あるいは少し角度は違いますけれども、会計検査院等も実施をされているといったようなことがあろうかというふうに考えておるところでございます。
  31. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 評価システムの改善は大変評価するものでございますけれども、日本省庁に少々の弱点があろうかと思います。それは、縦割りになっておりますので、とても事業官庁のプライドが高くて、道路はおれのものだ、どうだ、これを打破する評価というのはなかなか難しいんじゃないかと。  それから、自己評価の欠点は、やはり同じ部局でやると先輩を評価することになるんですね。先輩を評価する、あるいは先人の業績を評価するというのは日本人にとても難しい事項ですので、それはそれとして、やるというのはいいんですけれども、日本人でそういうところをうまく改善する、評価から次の実行へ結び付けていくというのは、外国の、先輩でも先人でも評価してぱしっとやるという論理性を、少々なくて組織的な観点が強いところではちょっと工夫が要るんじゃないかなというふうに思うわけでございますが、それはまた今後の御検討を期待したいと思います。  次に、公共事業の評価、今お聞きしましても、対象はかなり実施されたことへの評価が中心で、実施されないことについての評価が行われているのかどうかという論点をちょっと聞きたいと思います。  明治以来、百年以上もインフラ整備を行ってきたので、何でも新規の投資を行うのでなく、既存インフラの活用というものも重要だというふうに考えます。  例えば、農林業が縮小する地域での既存の農林道の他の目的への活用、それから鉄道の在来線の新幹線との乗り入れなど、鉄道体系全体での活用、河川の堤防敷の道路とか花見道、散歩道への活用、漁港のプレジャーボート港への転用、製鉄会社の原料搬入港、これは水深が大変深いわけですけれども、隣に大深度港湾を造る以前に利用する搬入港はないかどうかと考える、あるいは港湾跡地の臨海の町づくりへの活用など、事例が思い付きでございますけれども幾つか考えられます。  また、既存インフラの活用のためには、ハードの追加投資だけじゃなくて、既存インフラをより利用しやすくする、案内表示や信号システムなどソフトの追加投資や周辺整備も必要かというふうに思います。  このように具体化され現実化されない事業というのは、今の評価システムを見ますと評価システムの対象になっていないようにも思うわけでございますけれども、実施されればいいのに実施されない公共事業への評価システムというのは現在あるのでしょうか。
  32. 河崎広二

    政府参考人(河崎広二君) 現在、公共事業の計画とか目標、従来は何年間でどのぐらいの事業をこなすといったような言わばアウトプットがかなり重視されたような時代もあったわけでございますが、今日的には国民生活がいかに改善をされたかという成果、我々、いわゆるアウトカム目標、アウトカムというふうな言い方をしているわけでございますが、これを重視するようになってまいっておるわけでございます。そういう状況の中で、計画や目標の達成度を評価する場合には、当然、先生御指摘の既存インフラがいかにその中で活用をされたか、それによって全体としての効果がいかに上がったかという視点が大事になってきております。  したがって、例えば個別の事業を実施する場合においても、当然、事業を実施するときの事前評価ということになりますが、全く新規の施策を展開をするのか、あるいは既存のインフラというものがある場合にそれを改良するということ、あるいはその改良した上で足りない点を新規の事業で補うといったような、いろんな複数の選択肢が当然考えられるわけでございまして、その中で、幾つかの選択肢について、費用対効果は一体どうなっているのか、あるいは地域への影響、環境への影響は一体どういうようになっているのかということを幅広く評価をいたしまして、その結果、最も適切なものを選択を実施をするというふうな形を取っているところでございます。  一々例示は申し上げませんが、例えば昨年度実施をいたしましたダム事業に関するプログラム評価がございますが、そのプログラム評価の結果でも、新規ダムの建設が非常に厳しくなってきているという現状の中で既存ダムの有効活用、すなわち、水系の中で幾つかのダムがある場合に、それぞれのダムの特色がございますので、水がたまりやすいダム、たまりにくいダムというのがあった場合に、治水、利水両面から水を融通したり、あるいは治水の役割をこっちのダムに重視をしてやってもらおう、あるいは利水の役割はこっちのダムで担当してもらおうというふうな、既存のダムを有効に活用するということによって、新規ダムに完全に代替することは不可能かもしれませんけれども、そういった政策の方向が大事であるということをこの評価の中で指摘をされているというふうなことでございますし。  鉄道関係でも、過去のいろんな路線の整備の歴史がございますが、その中で、例えば最近では、名古屋の地下鉄と、名鉄小牧線といって北部の犬山から出ている路線でございますが、その間の一キロばかりの路線を新規でつなぐことによって、犬山から名古屋市の中心部の栄までの間が従来六十二分掛かったやつが四十七分に短縮されたといったような効果も上がってきておりますので、当然、そういったような事業を展開する際に既存のストックというのが一体どういう役割を果たしていくのかということがこれからは非常に大事であるというふうに認識をしておるところでございます。
  33. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 河崎統括官お話を聞いておりますと大変心強く思います。そのような言葉が実行に移されますと、もうダムを造らないとか公団は解体するとか、そういうちょっと乱暴な組織改革の言葉が出なくて、具体的なプロジェクトの評価をして新規か改善かというような、事業公共事業はなくなるわけないわけですから、そのやり方に改善が加えられるんじゃないかなと思います。  昔、今思い出しましたが、鉄道の整備で、建主改従か改主建従か、建設を主とするか改良を従とするか、改良を従とするか建設を従とするかというような、政友会と憲政党の間で争われたもう百年近く前の事例がございますが、やはりこれだけのインフラが整備された中では改主建従というのも大きな視点になるんじゃないかなという感想を持つわけでございます。  しかし、これまでの議論を伺ってみましても、やはり国土交通省の評価システムに改善を加えていただきたいなという点も幾つかございます。例えば、農道や水循環に係る下水道事業など同一の地域で行われる目標の異なる類似公共事業に係る評価システムというような評価システム。あるいは、既存インフラの活用などが望ましいというふうに思われる場合でも、実施されない公共事業についての評価システムがまだ十分に立っていないんじゃないか。それから、ユーザーの視点を取り入れた評価システム、これは学識経験者を参加させるということは、学識経験者は必ずしもユーザーである場合が少ないわけでございます。というようなユーザーの視点をどのように公共事業の評価システムに入れるかと、なかなか技術的には難しいと思いますが。それから、自己評価を補強するために意見を聞くという形だけの外部の声を入れるのではなくて、独立した他者の評価をその本当の評価にすると、それをむしろ原則にするといったような評価システムについての改善点についてどう思われるのか。  あるいは、先ほどちょっと触れられましたが、事前評価と事後チェックということでございますが、公的規制については事前チェックよりも事後チェックへ重点行くのがいいと思いますが、公共投資は事後の反省よりも事前の評価の明確性、正確性が大事だと思いますので、事前の評価に対する評価システムというのは、需要予測なども入るわけですが、必要だと思います。それから、事前事後の評価ないところに予算なしというような原則も必要かと思いますが、特に公共事業を所管されている国土交通省の評価システムの改善点、あるいはこれからの方向、実施の方向についていま一度御意見をいただければと思います。
  34. 河崎広二

    政府参考人(河崎広二君) 先ほども申し上げましたように、私どもの評価システム、事前評価、政策という面におきましては事前評価としての政策アセスメント、それから政策目標に対する実施状況を測る事後評価でございます政策チェックアップ、それから特定のテーマにおきまして複数の施策を総合的に評価する政策レビューあるいはプログラム評価という三つの方式をいち早く導入をいたしたところでございます。  それから、今特に御指摘がございました個別の公共事業の実施につきましては、実は国土交通省になる前の旧省庁時代でございます平成年度からすべての公共事業につきまして事前の評価、その場合、当然一定の需要予測等に基づいてその事業が一体どういう効果を上げるのかといったようなBバイCでありますとか、それから当該公共事業が行われている地域状況あるいは環境状況というものを総合的に評価をして、評価書を事業を実施する前に皆さんにお示しをするといったようなことを進めてきておるわけでございます。  それで、今いろんな御指摘がございましたが、類似の公共事業の調整の問題でありますとか既存ストックの活用の問題、いろいろございましたけれども、私どもとしては、現在の評価システムの中でそれをどう実施していくかというふうな課題であるというふうに受け止めさせていただきたいというふうに思っています。ただ、御指摘のとおり政策評価というのは率直に申し上げてまだ初動期でございますので、より良い評価を目指して取り組んでいくことが重要であるというふうに認識をしております。今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。  それから、ちょっと言い忘れましたが、第三者の知見の関係でございますが、私どもの評価書につきましては、すべて第三者である有識者、この有識者という場合には公共事業の例えば専門家だけではなくて一般の有識者、本当に国民の声をすべてじゃ反映しているかということにつきましてはそこまで自信を持って言うところまでいきませんけれども、そういう形で幅広い階層からの御意見をちょうだいをするといったような形でやってきているということを付け加えさせていただきたいと思います。
  35. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 大変これからに期待するところでございますが、一般の在野の方でも公共事業の点検を自分でされている方もおられるわけですね。その人をどういうふうに拾い上げるのかというのはなかなか行政組織で難しいと思いますが、そういう点もよろしくお願いしたいと思います。国土交通省政策評価システムが各府省のリーダーに、模範になるように期待するところでございます。  各府省の評価システムのほかに、評価責任組織として総務省政策評価があるわけですが、やはり行政内部の自己評価システムだと思います。それから、他者の評価になり切って、これからなればいいと思うわけでございますが、他者の評価の中に国会というのもあるわけでございます。国会も独自で体系的、継続的な評価システムが必要じゃないか。そういう意味で、参議院決算委員会の目的も、国土交通省河崎政策統括官、評価担当の方の目標も同じじゃないかというふうに思うわけでございますが、国会の二大機能であります行政監視と立法のうち、前者に多くのエネルギーを費やす割に、思い付きで体系的、整合的でなかったり、マスコミ報道を基にした独自の調査でない場合も国会の指摘としては、余りうなずかれなくてもいいと思いますが、多いと思うわけでございます。  良き決算評価なしには良い予算なしという観点から、国会、とりわけ参議院決算委員会において良い決算評価が確立される場合には、それを各府省の概算要求前に概算要求基準の一項目として行政府へ申し入れるとか、あるいは衆参の予算委員会の審議に参議院決算委員会の決議などの形で審議の際の考慮事項として申入れを行うというような具体的な今後の成り行きも期待したいところであるわけでございますが、その前に、良い決算評価の習慣を確立するためには、決算評価システムの開発、それから評価を予算に反映させる仕組みの制度化、それに決算評価を改善する不断の努力が必要と思います。  行政府においては今お聞きしましたところ大変努力を重ねられておるわけでございますが、国会の分野、すなわち我々の場合は参議院決算委員会の分野での、委員会での決算評価システム確立について今後の努力をする場合、行政府の協力をお願いもしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  36. 吉村剛太郎

    ○副大臣吉村剛太郎君) 委員は、縦割り行政の弊害、なかんずく類似の公共事業におきます縦割り行政の弊害、そこから生じます予算の無駄遣い、またでき上がったものの不合理、そういうものを御指摘になったわけでございますが、正に我々としましても改良点というのはそういうところだろうと、このように思っております。  国土交通省といたしましては、もう御存じのように、この四月から社会資本整備重点計画法が施行されておりまして、従来、所管の公共事業九本ございまして、道路とか港湾とか空港とか九本ございまして、それを一本化いたしまして、横断的な目標を作成するという形の中から、計画段階での評価、また結果についての評価等々、また、今、統括官の方からるる答弁いたしましたが、そういうやり方で、三つのやり方説明したと思いますが、で評価をするシステムは一応確立しつつあると、このように思っております。  そして、今、委員おっしゃいました、国会での評価についてどう思うか、行政がどう協力するかということでございます。  今こうやって決算委員会が行われておりまして、ここでいろいろと論議をされました結果といいますものは当然重んじていかなければならない、このように思っておりますが、これから更に国会が何らかの形をお作りになるのかどうか、これは私も分かりませんが、当然、国会が新しいシステムをお作りになれば、我々行政といたしましても全面的に協力をさせていただくということはここで申し上げることができると、このように思っております。
  37. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 今後ともよろしくお願い申し上げます。  次は、支出分野の決算評価ではなくて、収入分野での決算評価についてお伺いしたいと思います。  歳入予算、中でも税収の予算決算の乖離、中期的税収の決算見込みは決算評価の国全体の重要な項目だと思います。  ちなみに、国の会計に係る政治的公約、例えば歳入の税収と一般歳出を均衡させるといういわゆるプライマリーバランスの目標は予算ベースじゃなしに決算ベースで行われるべきだと私は考えますが、ここでは、公共事業の収入について、予算決算の乖離、つまり収入の見込み違いについて議論をさせていただきたいと思います。  本四公団や関西空港の場合など収入を伴う公共事業の場合では、収入の見込み違いにより新たで深刻な問題が発生したわけでございますが、通例でありますと、その原因は過大な需要予測であることが多いわけでございます。収入なり需要の予測と実績との乖離についてどのような事例があるのかを簡単に御説明願えたら有り難いと思います。
  38. 吉村剛太郎

    ○副大臣吉村剛太郎君) 公共事業の需要予測と実績との違いについてのお尋ねでございますが、事例を挙げてということでございますので三つばかり事例を挙げさせていただきますが、本四連絡道路交通量平成十三年度のいわゆる三ルート県境断面の交通量は合計で一日当たり三万五千七百台となっておりますが、平成九年十二月の料金認可時点で見込んでいた推計値では一日当たり五万二千八百台、したがいまして六八%の達成状況ということでございます。  また、整備新幹線については、平成九年十月に開業した北陸新幹線高崎―長野間の開業四年目の平成十三年度の予想実績は約一万九千人でございましたが、開業前の平成九年のJRの貸付料設定時における推計値の約九五%ということでございます。  もう一つ、関西国際空港の需要予測については、直近で予測と実績の比較が可能な平成十二年度について見ると、平成七年に行った第七次空整需要予測結果に対する実績の比率が八三%、このようになっております。  以上です。
  39. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 お答えにくいことをお聞きしまして大変恐縮でございましたが、米国の高速道路のようにすべて税収で費用を償う場合には、つまり借金がない場合には、将来の収入を気にしなくてお金があれば整備するということでいいわけでございますが、我が国の場合は、高速道路も含めて大規模なプロジェクトに借入金を導入している場合が多いわけでございます。その場合は需要予測は極めて重大な事項になるわけでございます。  にもかかわりませず、我が国では、郵貯など財源があるがために財政投融資や財投機関で借入金を調達するというようなケースが多いわけでございますが、昔の東海道新幹線のように、世銀など外国から資金調達する場合に比べて需要予測が著しく甘くなる傾向があるんではないかというふうにも感じます。  過去にも、国鉄の財政破綻の際は、財政投融資の多額の借入金返済や一般会計負担、そういう何十兆という金を国民の税金負担にした例もありますし、最近では、規模が小さいわけでございますが、グリーンピアや小田原のクアハウスなど、簡保や年金などの公的資金を過大な需要予測に基づいて投入し、組織破綻した例もあるわけでございます。  借入金のある公共事業の場合あるいは公的資金を投入した場合、このように予測が結果と異なる場合、しかもそれが重大な結果を招く場合、誤って予測されたという責任はどこにあるかと考えればよいのでしょうか。
  40. 吉村剛太郎

    ○副大臣吉村剛太郎君) 需要予測というのが大変難しいなと、今事例を挙げて説明いたしましてつくづく思ったんですが、今日までずっと右肩上がりの経済を基盤とした計画、需要予測というものを立ててまいりました。また、思いも寄らない、例えばアメリカが突然不況になるとかアジアの経済危機が訪れるとか、それに伴ってまた為替レートが変わってくるとか、いろいろ不測の要素がございまして、需要見込みというのは大変難しいなと、率直にこのように思っておりますが、じゃ難しいから乖離があっていいのかというと、そういうものでは決してないわけでございまして、その難しい中で知恵を絞って正確な数字といいますものを見付けていかなければ、求めていかなければならない、このように思っておる次第でございます。  幾つかそれぞれその事業事業においていろいろと努力もしてきておりますが、トータル的に見ますとそういう経済成長見込みが大きく異なっておった。例えば関西国際空港時の前提となります経済成長を二・五%と見込んでおりましたところが一・四%であった等々あるわけでございます。  いずれにしましても、予見は大変困難と思っておりますが、これから努力をしていって極力正確な需要予測といいますものを作っていきたいと、このように思っております。  責任の所在は、これは誠に難しい御質問でございますが、それぞれ各担当部署が努力していかなければならない問題だろうと、このように思っております。
  41. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 責任はなかなか難しいことかと思います。ただ、日本の場合は、予測をして、それを借入金にするときに財務省の理財局から借りると。そのツケを主計局に、国民負担に回すということは余り良くないサイクルであって、国家財政を傷付けるということがあり得るものですから、だから組織を、公共事業の組織を民営化しろとか、あと、帳じまいを国家財政に持ってくるなとかという議論が行われるんじゃないかと思いますし、予測を収支採算をしっかりしておくと、事業の主体の公的、民的というのはむしろマイナーな事項になるんじゃないかというふうに思うわけでございます。  そのような観点からお聞きしたわけでございますが、そうしますと、公共事業の需要予測と実績が乖離した失敗は、過去の失敗はなかなか問いにくいと、そのとおりだとも思いますが、そうすると、今後の国土交通行政の中でどのように生かしていくのかというふうにお聞きしたいわけでございます。  需要予測に対して、従来、政治の需要予測への介入があったかないかはよく分からないんでございますが、今後は絶対ないと考えてよいのでしょうか。大臣、副大臣、政務官は行政の責任者でありますとともに、政治家でもございます。省内で需要予測に対して政治家が介入しないという原則が立てられているようにも思うわけですが、余り、いい政治家なら言うことを聞こうかという立派な役人さんもおられるかもしれませんし、そのようなこととか、また、需要予測が悪かったときの公共事業の投資原則、全額公共投資で行っても経常費にマイナスが出ると予測される場合には、例えば第二の国鉄を作らないという観点から新しい公共事業に着手しないと。そうしますと、リニア投資なんかは経常費の赤字が出ると予測されているので行わないということになるわけですが、そのような原則が明確に立てられているのかどうかでございます。  それから、経常費まで補てんしない、公共事業で補てんしないという原則が立てられていれば、高速道路や空港の場合、追加の投資により経常費のマイナスの増加を招来すると予測される場合は追加の投資は行わないというふうに論理的になると思うんですが、そのように考えてよいのでしょうか。  決算から見た失敗例を予算の原則やガイドラインに反映させる方針というのを、これから今直ちに立てるのは難しくても、徐々にでも予算制度に反映させるべきではないでしょうか。あるいは、需要予測についての評価システムの確立は、先ほど申し上げましたように、独立した評価システムというのは必要じゃないでしょうか。そうすれば、事業主体についての在り方以前に、その執行手法についての制度化という方が先行するんじゃないかと思うわけでございますが、その点についての御意見を賜りたいと思います。
  42. 吉村剛太郎

    ○副大臣吉村剛太郎君) 大変、委員、重要な点を指摘されたと、このように思っております。正直言いまして、まだ委員指摘されることについて国土交通省として方針が確立しておるわけではございませんが、ただいまの御指摘というのは大変重要な意味を含んでおると思いますので、今後、御指摘を十分そんたくしてこれからの方針付けに持っていきたい、このように思っている次第でございます。
  43. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 大変ありがとうございました。  最後の質問になりますが、扇大臣にお聞きいたしますが、三局長、わざわざお越しになっておられるんですが、質問はございません。大臣のお言葉をよく聞いて行政に反映させていただきたいと思います。  質問がいい質問なのかどうか分かりませんが、今の続きでございますけれども、実績が予測を大幅に下回ったり、過去の責任追及をしても意味がない場合、あるいは予測の誤りを次の予測に生かすのもなかなか難しい場合もあり得るものと思います。その場合には、できてしまったインフラをせいぜいよく利用するしか道が残されていないという場合もあり得るんじゃないかと思います。つまり、需要を喚起するというのが残された手段の中で大変重要なものの場合があるんじゃないかと思います。その場合、既存インフラの需要喚起への投資も場合によっては公共事業の支出対象になるというふうに考えていいのでしょうか。  需要喚起の手法と新しい投資の問題は大変難しい問題でありますが、公共投資の考え方とコンセプトというものの開発ということにもなろうかと思うのでお聞きいたしますが、例えば日本公共事業と外国の違う点は、例えば橋や道路のインフラから景観を見る場所を整備されているとか整備されていない。ニューヨークのブルックリン橋という百年前に建てられた橋は、橋の真ん中に、高いところにハドソン、イーストリバーですかを見る、景観のいい場所を見る場所がずっと整備されて、それが観光の名所になって、写真を撮る名所になっておるわけでございます。それが百年以上も前に整備された。日本の橋とか道路はいい景色を見る場所がなかなかないというふうに感じるわけでございますが、それは公共事業の中でいい場所を見るというのが政策目的に入っていなかったんじゃないかというふうに思うわけでございます。  そのような観点から、そういうことを整備いたしますと、道路の利用、今だと奈良の田舎も大変立派なしだれ柳があるわけですが、そこに行って、道路でちょっとたたずんでみようと、田舎の景色はやはりいいものでございますので。そういう空気を吸おう、景色を見ようというような場所がなかなかない。道が良くなって直ちに奥へ行ってしまうというような道路整備がまだ多いように思うわけでございます。  それは既存の道路をより良い形で利用するという公共投資になるわけでございますが、そのようなプリンシプルを今後立てられるものだろうかどうかというようなことと、それと既存インフラを活用する中で日本地方のいい町並み、景色を訪れるという、田舎を訪れるという経済社会活動がもっと活性化されるといいように思うわけでございますが、地方のいわゆる昔の観光地が今寂れているところはたくさんあるわけでございますが、そのような町並みの整備、例えば古びた商店街があるところをいい道路、街路を整備するとか、電線を地中化するとか植栽をするとか、ちょっとした彫刻の飾りを置くとか、商店街のファサード、顔のところを古い町並みに整備するのに補助金を出すとかというのが町づくり、公共事業の一環として入り得るものなのかということでございます。  それはやみくもにどこを推してもいいということでなしに、効果のあるところに絞ってせにゃいかぬという面もあろうかと思いますが、そのためには新しい公共投資のガイドラインや観光地域づくりの立法も必要かと思いますが、立法府が決算評価を反映した予算プリンシプルづくりや立法を行おうとするときは行政府も先ほど協力していただくということでございますが、このような方向での公共事業の在り方は、大臣が日ごろおっしゃっております国土のグランドデザインの手法の一部じゃないかというふうに日ごろから感じるところもあります。あるいはもう少し、グランドデザインですから大きなことを、あるいは長期的なことをお考えかと思いますが、今日はインフラの需要喚起に対する大臣のお考え、あるいは今後の行政への御示唆を伺って、質問を終わりたいと思います。
  44. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 荒井議員に、公共事業の根本、また予測の難しさ、そしてできたものはどう活用するか、そして将来は社会資本整備をどうするかという、大変原点の問題をたくさん御指摘をいただきました。また、大きな問題だと思っていますけれども、いつも国土交通委員会にお出ましいただいて、今日は国土交通委員会のメンバーもかなりいらっしゃいまして、いろいろと国土交通委員会でもその議論をしている最中でございますけれども。  私は、今おっしゃった中で一番大事なことは、予測は、果たして投資金額と、結果はあるいは赤字かもしれないけれども、国際的に日本の、国際情勢の中で日本の地位を向上さすためには、これは赤字でもどうしても整備しなきゃいけないという社会資本整備もあろうと思います。それが公共投資なんですね。もうかるものであれば民間がみんな参入してきます。けれども、せっかくいただいた税金の中から、これは日本の国益のために赤字覚悟でも今整備しなければ二十一世紀に付いていけない部分というのもあることは、私は、荒井議員にも当委員会の皆さんにも御理解いただける、それが社会資本整備なんだという基本はあろうと思います。  私たちは、国土交通省としては、その大前提、社会資本整備、そして公共事業というものは、なぜ皆さんにいただいている税金の中からこれを投資するのかという、その基本的な国益を考えた基本というものも考えなきゃいけないというのは事実でございます。  けれども、それが余りにも懸け離れて無駄な投資と言われる部分は、当然、今おっしゃったように、今日御議論いただいたように、事前評価、事業評価、事後評価、しかも、それだけではなくて第三者機関によって評価するという、そういうものが厳しく問われる時代になったことは事実でございます。  そして、二十世紀、御存じのとおり、我々は、とにかく欧米先進国に追い付け追い越せ、復旧復興ということでハードなものを造り過ぎて、今、荒井議員がおっしゃったように、とにかく造ろう、そして、道路を造って道路の騒音が住宅街にしないようにって全部目隠ししちゃって、いい景色ほど目隠しして見えないようにしている。そして、運転する方は、馬車馬のように目隠しされて何か閉鎖的なものに陥っているという、これ、事実そうでございます。  ですから、荒井議員がおっしゃったように、外国のように伸び伸びといい景色に、ここは駐車して、ポイントですよというようなところのないことは、もう本当に私もおっしゃるとおりで残念だなと思いますし、ましてや、私も先日、北海道で懇談会をしましたときに、北海道はこれだけ壮大な中で高速道路を造って目隠しなんということをしないでくださいというふうに笑ったこともあるんですけれども、もうすべて今御指摘のとおりでございます。我々は、今後、そういうものを二十一世紀日本のいいところをより外国に評価したいと。  また、荒井議員は観光のこともおっしゃってくださいました。我々は、二〇一〇年、今五百万人弱の訪日の観光客を倍増しよう、一千万人にしようというのが小泉内閣としての姿勢でございます。ましてや国土交通省は観光を担当しておりますので、これは挙げて、我々は、千五百万人弱が出ていって、五百万弱しか入っていない現状というものは何としても私たちは改革していきたい。  そのためには、今まで御議論いただきました港湾の話、道路の話、新幹線の駅の話、空港の話、あらゆるものをトータルで観光客に、ああ、日本へ行ったら便利だな、安いな、きれいな、いいな、友達も連れていこう、自分たちの子孫も連れていこうというような都市づくり、町づくり、地域づくりがなければならないという原点を、今私たちは二十一世紀のグランドづくりということで、この間、国土交通白書とともに若者の百年グランドデザインというものを発表させていただいて、今、市場の本屋さんにそれが並んでいるところでございます。そういう意味では、八重洲のブックセンターではベストファイブに入っているという白書というのも国土交通省の白書だけなんで有り難いと思って、より皆さんに御参考に供していただきたいと思っておりますけれども。  ただ、今一点言われた中で、一番大事なことは、今まで間違いであったかどうにしても、造ってしまったものをどう利用するか。これが、今私たち一番、頭が痛いと言うと語弊がありますけれども、一番知恵を絞らなきゃいけないのが、二十世紀に造ったハードのものをいかにソフトに転用しながらバリアフリーあるいは老齢社会に対応できるように活用していくかということが、今一番私たちに課せられた大きな課題でございます。  そのことに関しましては、今の社会資本ストックというものをいかに有効に活用するかということが、ここに並んでおります今日答えなかった局長の頭脳の中にも入っておりますので、お答えはしませんでしたけれども、全省挙げて、私は、このストックの活用というものを図っていくのが我が省の大きな役目であるということを考えております。  例えば、今回も、今も話が出ました本州四国連絡橋もどうするかということで、評価委員会では少なくとも半分にしろとおっしゃいましたけれども、これは半分近く、あらゆるもので特別の割引料金の設定とか、あるいは本四架橋の見学を含めた修学旅行キャンペーン等々始めまして、少なくとも四五%の、トータルで、ETCも導入しまして四五%に割引になるということも実行しております。これは、成果が上がるかどうかは、先ほども山内先生も四国で頑張っていただきますのでたくさん通っていただくと思っていますので、御期待しているところでございますけれども。  また、国土交通省、今申しましたような陸海空でございますので、この四省庁を統合したからできるということがなければいけないと。それが、この間御議論いただきました社会資本整備の九本の長期計画を一本にしたというのも、これは国土交通省でなければ、旧運輸、旧建設ではとても考えられなかったことでございます。これも一つの評価として、私ども最大限努力しているということを見ていただいて、より御協力いただいて、今までの造ったもの、社会資本ストックを最大限に生かす方法もまた委員会の中で御議論いただければ、いい知恵を出していただければ、我々はそれを勉強に取り入れて実行に移していきたいと思って、とにかく希望のある二十一世紀でなければ国土交通省なんてなくなったっていいんです。そういう意味では、それくらいの気構えで、私たち皆さんの御意見を聞きながら、将来の国土づくりというものをにらんだ役所にしていきたいと思って頑張っております。
  45. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 ありがとうございました。  国土交通省はなくならないと思いますが、なくならないようにせいぜい頑張っていただきたいと思います。  本当に大変ありがとうございました。
  46. 山本孝史

    山本孝史君 民主党・新緑風会の山本でございます。よろしくお願い申し上げます。  時間が限られておりますので、御答弁の方は簡潔にお願いを申し上げます。  まず、国土交通省地価の調査についてお尋ねをしたいと思います。  地価の調査については、皆さん御承知のとおり、地価公示法に基づき国土交通省が行う公示地価国土利用計画法に基づき都道府県知事が行う基準地価、相続税法に基づき国税局長が行う路線価、地方税法に基づき市町村長が行う固定資産税評価額がございます。  それぞれの調査地点数と総費用でございますが、地価公示が三万一千八百六十六か所で四十七億円、都道府県地価調査が二万七千七百二十五か所で二十一億五千万円、路線価が四十六万五千九百四十九か所で三十二億円、固定資産評価が四十五万三千七百八十三か所で推計二十五億円、合計三百五十一億円の税金が使われて土地の値段を調査をいたしております。  適正な地価は本来一つであるべきところ、土地評価については一物四価となっておりまして、本院でもかねてから指摘をされているところでございます。いまだに、目的が違うあるいは評価方法が違う等の理由で、別途に調査を行うことは経費が無駄であるというだけではなくて、土地税制にゆがみを生じさせ、あるいは公共事業用地の購入費用を不透明にするなどの問題を生じさせており、誠に遺憾であると私は思います。  そこで、大臣にお尋ねをいたします。  政府は、公的土地評価の一元化及び適正化を目指して、調査地点の選定、鑑定方法や鑑定費用等について早急に検討を加えてその効率化を図るべきだと考えますが、大臣の御所見をお伺いをします。
  47. 倉林公夫

    政府参考人(倉林公夫君) お答え申し上げます。  地価公示、相続税評価、固定資産税評価などの公的土地評価につきましては、それぞれの評価目的、性格に差がありますため、それに応じて評価を行う主体、調査方法等が異なっております。  これらの公的土地評価につきましては、各制度の趣旨を踏まえまして、平成元年に制定されました土地基本法第十六条におきまして、「相互の均衡と適正化が図られるように努めるもの」とされておりまして、この考え方に基づきまして、委員今御指摘がありましたけれども、例えば課税評価についての地価公示価格、そういうものを一つにしておこうということで、一定割合、相続税評価では大体八割、地価公示のですね。固定資産税評価では七割、そういったものを目標にして均衡化、適正化が図られてきているところでございます。  一方、昨年の財務省によります予算執行調査では、予算執行の効率的な執行の観点から、今申しました地価公示、相続税評価、固定資産税評価等につきまして整合性が図られるようにしているところでございますけれども、なお、近い地点、近接しているような地点で調査を重複してやっていないかとか、そういったことについて十分連携を図っていくべきであるというような趣旨で、各々の役割分担の在り方、調査方法等、総合的に再検討いたしまして効率化を図るべきだという指摘も受けておりまして、それぞれの省庁から成ります公的土地評価研究会というような枠組みを活用しまして、今申しましたような調査地点が非効率になっていないか、そういうことをお互いに見まして、効率的な調査に向けて今後とも関係省庁連携を密にいたしまして一層の連携を図ってまいりたいと考えております。
  48. 山本孝史

    山本孝史君 今の局長の御答弁は、重複して調査をしないようにと、こういう調整をしていくと、こういうお答えでございます。  局長も今御答弁されましたように、路線価は公示地価の八割程度、固定資産税評価は公示地価の七割程度と、これは閣議決定もされていると理解をしておりますので、その意味では、一つの値段を決めればおのずとほかのものは決まってくるということでございますから、四つをやっている必要性はやっぱりないんだろうというふうに私は思います。その意味で、合計三百五十一億円が掛かるわけでございますから、これは大いに効率化を図っていただきたいと思います。  ちなみに、平成十一年三月三十日の参議院国土環境委員会で、当時の弘友、今日は環境大臣として御出席をいただいておりますが、弘友委員の御質問に当時の関谷国土庁長官は、公示価格があれば足りると思うと、こう御発言をされておられますので、扇大臣も、ひとつ、前の大臣こういうふうにおっしゃっておられるというところをよく踏まえて、効率化を大いに図っていただきたいと思います。  重ねてもう一つだけ、局長に御質問しておきたいと思いますが、国土交通省で今、国土審議会の土地政策分科会で、二十一世紀土地政策の在り方の中で、不動産に関する情報の整備、提供はどうあるべきか、合理的な方策を検討をしておられると思っておりまして、十五年の秋に最終取りまとめと、こう私は伺っておりますが、きちんとこの時期にまとめて御発表されるでしょうか。
  49. 倉林公夫

    政府参考人(倉林公夫君) 御審議の状況にもよると思いますので確かなことは申し上げられませんけれども、その時期に向けて審議を進めていただいております。
  50. 山本孝史

    山本孝史君 よろしくお願い申し上げます。  次の質問に移らせていただきたいと思います。同じく、国土交通省の街路事業についてでございます。  委員皆さんもよく目にされるかと思いますが、都市計画道路で残りわずかなところが供用されないために、そこに道ができ掛かっているんだけれども、どこかで突き当たっているというのが随分ございます。せっかくの投資効果が発揮されていない箇所がこういった都市部、中心部に散見されることは誠に遺憾であると私も思います。  国土交通省は、これらの道路のうち、一定期間内で整備を完了させる路線を完了期間宣言路線として公表されて、用地買収、整備を重点的に実施しておられると承知をしております。道路整備への投資効果を発揮させ、また完了後を想定して民間活動が活性化されるという点からも大いに評価ができるというふうに思っておりますが。  そこで、大臣にお尋ねをいたします。  自治体がこの完了期間を宣言をするということについてどのような姿勢で臨んでおられるのでしょうか、また、宣言をされた路線の早期供用に向けて、国交省としてその予算措置をどのようにしていただけるのか、この点についてお考えをお聞かせください。
  51. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 町づくり、そして都市計画というものの重要性、そういう意味で、少なくとも都市計画の道路の整備というのは、おっしゃったように町の骨格を作るものです。それが途中で行き当たったり、ここまでできているのに先がないと、これでは骨格にはなりません。そういう意味で、沿道の建築の誘発あるいは町づくり、町の景観等々にとって大事なことでございますので、こういうことでこの長期の事業計画期間を経過しながら残りわずかな用地買収が、今おっしゃったように、山本議員よく見ていらっしゃるんだと思います、またそういうところに住んでいらっしゃるのかどうかよく分かりませんけれども、少なくとも既にされた投資というものが生きてこないんですね、そこで切れれば。  ですから、それを生かすという意味で、私は、こうした街路の整備について言わば時間管理観念を徹底して、用地買収が相当程度進展した路線については事業主体であります地方公共団体一定期間内に完了させるということを宣言する、でなければ私は先へ進まないと思います。  そういう意味で、完了期間宣言路線、これを取り組もうということで今取り組んでおります。細かい、どこがどうというのは余り言いたくありませんけれども、少なくとも東京都、横浜、大阪、これは計二十八路線ですけれども、延長約二十五キロメートルが完了宣言路線となっております。そういう意味で、順次、これは予算の重点配分で地方公共団体の用地取得体制の強化等の結果、平成十四年度には五路線、まあこれ、でも二キロメートルというので少ないんですけれども、それでも完了しております。  そういう意味で、少しずつ供用をし、そして計画どおりにできるように、私たちは体制を引き続いて地方公共団体連携して、完了宣言という路線を拡大していきたいと思っております。
  52. 山本孝史

    山本孝史君 大臣おっしゃいました、私、大阪に住んでおりますが、路線が供用されたところと路線が供用されていないところと両方ともに知っております。  路線が供用されたところは、大阪の西天満でございますが、ここは大変に交通量が激しい、渋滞をするところでございました。長年、何でここできないんだろうと思っておりましたが、つい一か月ほど前でしょうか、開通をいたしまして、交通の流れは非常によくなりました。  もう一か所は、こいつはいつまでたってもできねえだろうなと思っているところがございます。大阪市内十一か所で、早期供用取組ということで、早期完了宣言をしていただいております。  重ねての御質問で恐縮でございますが、例えば大阪ですと、こうやって十一路線、今、大臣おっしゃいました、各都市が宣言をいたしておられます。私の質問は、各自治体が早期完了を宣言すれば、国交省としてはその路線についての事業費は採択をしていただけるのでしょうか。この点についてお答えをください。
  53. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私たちは、少なくとも完了宣言路線の取組によって着手したその道路というものを早期に完成させることを、加えて、新たに着手する街路事業、そういうものに関して極力早期の完成を図るように事業の重点化に取り組んでいます。  それは、山本議員がごらんになって分かったとおり、私たちは今年度じゅうに倍増させたいと思っております。既に二十八路線を五十六路線にしていきたいと、この計画を立てておりますので、今おっしゃったように、新規の採択につきましては、都市の再生に資する道路とか、あるいは都市の骨格の形成に資する重要な幹線道路、限定して、十五年度の新規採択の箇所に関しては、今申しました平成年度の三分の一、平成十四年度の約六割になっております。そういう意味ではかなり進んでおりますし、また東京都内、今も申しましたように、二十三区で見ると、五七%もうできているんですね。そしてまた、既に二十三区の、東京都の都市計画のすべてが完成してしまいますと、沿道で六千ヘクタールの建築の需要が起こるという、八兆円の投資で二十兆円の建築行為、四十兆円の経済波及効果と、まあこれ数字だけで言うとすごいんですけれども、またこれ予測が違うと言われると困るので余り言いたくないんですけれども、少なくとも渋滞を解消するというところの経済効果だけは確実に上がってまいります。そういう意味で、積極的に推進してまいりたいと考えておりますし、これも少なくとも六割が完成しているということも是非御認識賜りたいと思います。
  54. 山本孝史

    山本孝史君 済みません。自治体が完了宣言をした路線について、これはおおむね三年ないし五年以内に完了するということで宣言をするわけですが、その費用について、ある意味では無査定で国交省としては予算付けをしていただけるのでしょうか。局長でも結構ですので、御答弁いただきたい。
  55. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 大臣御答弁申し上げたとおりでございますが、非常に難しい用地案件が残っているということで、しかもそれを三年あるいは五年という中で何が何でも通そうと、それによって残り九割以上の投資額を顕在化しようという状況というのは、街路事業予算配分を考える上でも最も重要であり、また効果も高いと思っておりますので、基本的には、先生仰せのとおり、その分の必要経費は言わば総予算の中から先取り的に充当していきたいと思っております。
  56. 山本孝史

    山本孝史君 是非その方針で臨んでいただきたいと思います。せっかくお金を掛けてそこまでやっていて、もうちょっとのところで車が通れずに、みんなも首をかしげているし、税金の無駄遣いの言わば象徴のような形になっていると思います。  経済効果は、大臣おっしゃったとおり、予測を超えるものが私はあるというふうに思っておりますので、そのようにしていただきたいというふうに思います。  それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。  これは会計検査院からも今回指摘を受けました都市基盤整備公団の新住宅市街地開発事業、いわゆるニュータウン事業でございます。  八か所実施地域のうちで現在も五か所で実施中と承知をしております。しかし、当初予定しておりました七年から十年という事業期間を大幅に超過をして、二十三年から四十年と事業期間を延長したにもかかわらず、住宅用地処分の進捗率は六四%、公益的施設用地は六一%、特定業務施設用地はわずか二九%にとどまっております。会計検査院は、このような事態は誠に遺憾である、このような意見を出しております。私も全くそのとおりだと思います。  大臣にお伺いしたいんですが、この新住宅市街地開発事業計画、いわゆるニュータウン事業についてどのようにお考えになっておられるのでしょうか。見直しは必要ではないでしょうか。
  57. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、事例がいろいろございますけれども、これを読んでいると時間が掛かりますからやめますけれども、もう既に山本議員はお手元にこの資料をお持ちなんだろうと思います。  五つの団地等々ございますけれども、少なくともこの五地区でございますけれども、おっしゃったとおり、新住宅市街地開発事業につきましては、都市基盤整備公団が昭和四十一年以降これは順次事業を着手して、これまでに宅地供給計画の面積の二千八百五十ヘクタールのうち約六割、これを供給して完了しております。既に二十二万人の人が居住する大変良好な市街地が形成されているのは御存じのとおりでございます。  ところが、住宅地の年間の処分面積、バブル期に八十から百ヘクタールを超える水準であったものに対しまして、バブル崩壊後というのは、御存じのとおり郊外の宅地需要の低迷によりまして、四十ヘクタール程度に減少しております。  少なくとも、私はこの厳しい事業環境に置かれているというのは、一番住宅金融、住宅都市、新住宅基盤の開発事業者自身が感じているところだろうと思っております。その意味で、平成十三年の十二月に御存じのとおり閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画におきまして、これらの事業の継続事業につきましては、採算性の向上と早期完成というための見直しを行うということに決まったわけでございます。  それで、現在もこのような動きを受けて、国土交通省としましても、都市公団に関しまして事業計画の変更、そして、少なくとも定期借地の供給の拡大、民間事業者との連携強化を始めとして、考えられるあらゆる手段を講じて早期の事業完了に向けて見直しに取り組むようにということを、私は総裁を呼んでそのことを指導しているところでございます。
  58. 山本孝史

    山本孝史君 見直しは必要であるという御認識で、そういう指示をされたんだと思います。  御承知でしょうか、大阪でも和泉の丘陵地帯でもやっております。西宮でもやっております。三田でも、関西地方ですとやっております。五つのうち三つまでが関西にあるのはどうかなというふうにも思いますけれども、どう考えてもこれからの宅地供給が、先ほども自民党の委員からの御質問もありましたけれども、これから先、住宅用地というものがどの程度必要とされるのかという、これこそ需要予測を考えてやりませんと、ほとんどの土地が売れないのではないかと思っています。  扇大臣もよく御存じだと思います。私も大阪におりますと、このごろ、いったん大阪市内から郊外に出られた皆さん方が年を取られて再び都心に戻ってきておられます。そのときの一番の問題は、郊外で買った住宅を売却できない、したがって都心で買ったマンションの代金が払えないというので契約が破棄になるというのが一番問題になっておりますが、人はそうやって動いているんですね。  人口が減っていく、世帯数が減っていくといった中で、恐らくこれから先、たくさんの空き家が都心部で、あるいは都心の周辺で起きてくるだろう。大阪などの都心の周辺部というところは住宅密集地域でございまして、もう建築年数が四十年を超えてくるような木造のアパートなり住宅なりが密集をしておりまして、その辺におられる方たちは結局、行き場がないわけだけれども、いずれにしても空き家が一杯出てくるはずだと思うんですね。  そのときに、確かにニュータウンは大変に環境がいいんですけれども、そこまで交通の便を掛けて、それで住む人たちがいるのかと思うと、大臣御自身は、西宮の名塩のところなんかでは、いい場所だと思うんですが、僕はあそこは、中国道から見ていて、ここに住んでいる人たちはどうやって都心に通っているんだろうと思うような場所もあって、これから先、そんなに需要予測は宅地はないのじゃないだろうか、こう思っていまして、であるならば、これから宅地造成予定地になっているんだけれども、それは宅地造成をしないで、そのまま自然のまま残しておいた方がまだ後々の人たちのためにはいいのではないかと思っていまして、そういう視点での見直し、具体的な見直しの御指示はしておられるのでしょうか。
  59. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、山本議員がおっしゃったように、一時はドーナツ現象が起きまして、市街地にみんな行きました。今、逆に、狭くてもいい、しかも核家族になったからというんで都市回帰というのは、今、山本議員がおっしゃったことは大阪だけではなくて、東京近郊でもその現象は同じでございます。  そういう意味で、改めて我々は今後どうするかということで、新たなニュータウンというのはもう造らないということは決まっております。これは決めました。けれども、今後、少なくとも都市の公団におきましても地方公共団体とともに密接にこれは連絡しなきゃいけないということですから、そして、考えられるあらゆる見直しを地方公共団体とやっていくということで二つ大きなものを造っております。  それは、一つは、まず、ニーズの変化に対応した土地利用とするために、集合住宅用地から戸建て住宅用地、大体百ヘクタールですけれども、そして公共施設用地から戸建て住宅用地等への計画の変更に着手する、今おっしゃったとおり、見直しをしなさいというのが一点でございます。  あと、二つ目は、集合住宅地やあるいは大規模の商業施設用地として定期借地による処分の拡大、これを今、年間でございますけれども、定期借地による年間の処分面積を、最近の三年間で七ヘクタールから二十四ヘクタールにこれを拡大しました。  そういう意味で、あらゆる見直しをしなさい、今の二つの例をもってしても、どのように今後していくかというのはお分かりいただけると思います。
  60. 山本孝史

    山本孝史君 さてそこで、定期借地権の問題なんですね。今、大阪も第三セクターが造成をしました土地の処分が大変に困っておりまして、先般来からこの定期借地権を導入をして、海浜地域の埋立地でございますけれども、工場に来ていただいたり、あるいはショッピングモールを造っていただいたりということで定期借地権やっております。  私、その定期借地権という問題で、これは大臣は行かれたことがあるかどうか分かりませんが、中国縦貫の東条のインターチェンジのところに、ひょうご東条ニュータウン・インターパーク南山の里という、これがございます。住都公団が開発をして、そこで正にインターチェンジ降りたところにありまして、買物に行くにはほとんど買物に行くところないんですが、通勤するには、そこからインターチェンジすぐそばですから、高速道路に乗って神戸に行けばいいですよと、こうなっているんですけれども、ほかの交通機関はありませんので車しかない。  定期借地権を入れているんです。確かに値段は安いんです。値段は安いんですが、要はどうやって買うかということになれば、いや、どうやって住むところを考えるかとなれば、交通の便と、それから住宅環境、あるいは学校の便、あるいは買物の便利さとかいろんなことを考えて、それでその土地を買って家を建てるんですね。だから、そういう意味で、値段は安いんだけれども、じゃ行くかといったら、残念ながらこれがうまくいっていないんです、定借も。定借が私は救世主のように思える部分もあるんですが、なかなかいかない。  それで、しかもこれ、定借をやれば当然その分だけ入ってくる収入が減るわけで、それを補てんしなきゃいけないわけですから、必ずしも、使っていただいているということではいいんだけれども、それによって元が取れるかというと元が取れないという話になりますので、その辺も、活用方法としてはいいことは認めますが、いろいろと工夫をしていただかないとそこから先は進まないというふうに、私は事例をというか実例を見ながらそう思っておりますので、よく御検討をいただきたいというふうに思います。  それから、繰り返しになりますけれども、開発をしてそのまま売れない宅地を造るのであれば、自然環境のまま残していただく方が、もう買ってしまっている土地ですから金利負担は掛かりますけれども、それはより有効的な使い方かもしれないと思います。  それから、これは局長の御答弁でも結構ですが、公団の都市基盤整備勘定、十二年度の負債総額は十六兆八千七百二十二億円で、うち十五兆四千八百三十一億円が長期借入金や都市基盤整備債券等の固定負債であると承知をしております。  特殊法人の整理合理化計画では、大臣もお触れになりました、都市基盤整備公団は独立行政法人都市再生機構となるということでございますが、その際、私の理解では、独行法人は通則法においては長期借入れや債券発行は原則的にはできないということになっております。  したがって、これらの負債の償還には国費が投入されることになるのか、あるいはこの独行法になることによって今都市整備基盤公団が持っておりますその固定負債、この扱いはどうなるのでしょうか、御答弁をお願いします。
  61. 倉林公夫

    政府参考人(倉林公夫君) 恐縮でございます。  公団は、今、財投より三十年というようなタームで借りておりますけれども、独法移行後もそうした長期借入れを基本としていくというふうに認識しております。
  62. 山本孝史

    山本孝史君 申し上げましたように、独行法の通則法では、基本的に独行法はこういった借入れとか、長期借入れとか債券発行はできないと私は理解をしておりまして、御担当者の方は、いやいや今度は特例として借入れができる、あるいは債券の発行ができるということでこの独行法への移行をしたいと、こうおっしゃっておられましたので、独行法の通則法から外れた形でこの都市整備、住宅基盤整備公団が独行法人都市再生機構となると、こう理解をしてよろしいのでしょうかというのが私の質問です。
  63. 倉林公夫

    政府参考人(倉林公夫君) 新住事業を始め宅地開発、公団の手掛けておるものは非常に長期にわたって進めていくものでありますので、今、先生のおっしゃったようなことで我々も考えております。
  64. 山本孝史

    山本孝史君 特例的な扱いをされるんだと思いますので、都市再生機構法案の審議はこれからだったでしょうか、是非十分な審議をその中でしていただきたいと思います。  次の質問に移らせてください。  ETCの問題でございます。  これも無駄だなと皆さん思っておられる方が大変多いのじゃないかと思います。お聞きをいたしましたら、ETCは、平成十五年の三月現在、八百五十か所の料金所に設置をされておりまして、全体交通量の約九割が利用可能となっているそうであります。その事業費の総額は平成十四年度までに千六百二十六億円に達しておりますが、利用率は約四・九%にとどまっておりまして、投資効果が発揮されていないということで、私は誠に遺憾だろうというふうに思います。  しかも、平成十五年度予算において更に六百一億円を追加しまして、総額二千二百二十七億円を投じて、平成十五年度末には基本的にすべての料金所にETCが整備されると承知をしております。  さて、現在四・九%にとどまっております利用率向上のために、今後どのような実効性ある施策を講じるお考えなのか、お聞かせをください。
  65. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) それでは、周辺条件といいますか、現在の状況をちょっと御説明させていただきます。  まず、高速道路における渋滞の約三割が料金所で発生している、こういう状態の中で、ETCの利用率が五〇%に達しますと、全国の料金所の渋滞はおおむね解消する。したがいまして、この効果だけでも年間約三千億円の経済効果が生ずるであろう、こういうふうに考えております。  この普及状況でございますが、車載器の新規セットアップ台数が平成十五年二月には月間で六万三千台、三月には月間で九万五千台、二か月間連続で過去最高を更新しまして、累計の普及台数が八十四万台に達するなど、その普及が急速に加速されつつあるところであります。こうした状況は、車載器の販売価格の低下あるいはカード発行に要する期間の大幅な短縮、さらにメーカー、販売店、カード会社など関連業界内部での競争も大変この数か月で大幅に激化している、こういう状況だと認識しております。  そこで、これからどういうふうに普及促進を図るのかと、こういうお話でございますが、基本的にすべての料金所で平成十五年度、今年度中に、全国千三百か所でございますが、ETCの整備をすると。これと、それから車載器のリースなどに対しまして支援を行うための制度をこの十五年度に創設させていただく、さらには現在実施しております東京湾のアクアラインにおける社会実験のように、新たにETCの利用者に限定いたしまして長距離割引であるとかあるいは夜間割引に関する社会実験、こうしたことを講じてまいりたいと思っておりまして、多様な料金施策の実施に向けて種々検討しながら、官民一体となりましてその普及に全力を尽くしてまいりたい、そのように思っております。
  66. 山本孝史

    山本孝史君 局長、今お示しになりましたように、確かにETCの販売が急増している、四月十八日の日経新聞によりますと、そのような報道がされております。ただ、日経はちゃんとそこに理由が書いてありまして、五万円のハイウエーカードがなくなったので、それに代わるためにみんなETCを買っているんだと、こういうことなんですね。  今、経済的なことを少しもお話しにならないで、車載器を安くしたらとか、あるいはたくさん今度料金所に付けるからとかと、こうおっしゃいましたけれども、利用者側の心理を読まないと、これは私は普及しないだろうと思っています。局長皆さん方は、多分、公用車の後ろの席に座っておられるだけで、どういう状態で高速道路の料金所を通るか多分御承知ないからそういう御答弁をされておられるのだと思いますが、普通に通りますと、今例えば、私、恐縮です、大阪なので阪神高速しか言えませんけれども、阪神高速の入口、二車線ございますけれども、一車線はETCと一般通行の共用路線になっております。したがって、ETCを持っていようが持っていまいがその前には並ばざるを得ない。近畿道の八尾料金所、料金のブースが八つから十個ぐらいあると思いますけれども、これだけあっても、実はETC専用のブースはありません。したがって、全部がそこに並びます。  多分、今どうなっているのか知らないけれども、昔よく通っておりました東名高速から首都高に入ります用賀の料金所、あそこはずっと二車線で並んできまして、その先でブースが分かれますけれども、下から、環八から上がってくるので余りあそこ、流れが良くないんですね。朝の交通渋滞で、大概朝の六時半の時点で一キロから二キロ、朝の七時半を回りますと大体五キロから十キロあそこで並びます。三千億円の投資効果というか、その経済効果があるというのは、流れが良くなれば確かにそうだと思います。  さて、問題は、問題はここからなんです。よくよく考えていただきたいんですが、回数券が、このハイカがなくなって、ハイカの五万円がなくなって、と、これがETCも五万円を前払すればハイカと同じ五万八千円分の利用ができると、こうなっておりますので、ハイウエーカードはなくなりましたが、ETCの設備費は掛かりますけれども、ハイウエーカードのあの割引料金と同じ特典が実は受けられるので、みんなそれで通るんです。  さて、考えてください。阪神高速なり首都高なり、七百円の回数券を売っております。金券ショップに行きますと大体五百七十円ぐらいで売っております。したがって、五百七十円の金券ショップで買ってくる回数券を使う方が安い、いずれにしたって並ばなきゃいけないんだからということであれば、ETCはまず付けようという気にはならない。これが一般のドライバーの私は心理だと思います。  したがって、御提案申し上げているのは、この際、回数券をなくすという以外にないのじゃないか。その代わりに料金は下げていただく。しかし、みんなが同じようにして、そしてETCを車載を付けた方が安いというようなことでないと、恐らく爆発的には伸びないのではなかろうかと、こう考えるんですが、いかがでございましょうか。
  67. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、局長が経済効果だけ言いました。私は、環境大臣がいらっしゃいますけれども、渋滞を解消することによってCO2の排出量を二〇%削減できるんです。これは二十一世紀型なんです。そして、今、山本委員がおっしゃいましたけれども、ハイウエーカードを廃止するということがいかにも、いやとおっしゃいましたけれども、ハイウエーカード、少なくとも分かっているだけで二万件の偽造で、少なくとも十一億円の無駄。これは分かっているだけなんです。それの三倍あるだろうと言われているんです。  そういうことを私たちは少なくともこういう状況の中でしてはいけない。しかも、東京都だけ、今、阪神の話をなさいました、東京都のあの高速道路を通過しております少なくとも一四%はただ通るだけなんです。それは、圏央道、外環道ができていないから。東京の高速道路が渋滞しているのは、一四%はただ通過するだけなんです。  そういう経済効果を一つずつ計っていきますとこれは大変なことですし、また、今申しました、私は二十一世紀型のCO2、京都議定書の達成のためにはCO2の排出量を減らさなきゃいけないという大前提がありますので、私は、全部の料金所で少なくとも今までのもぎりだけでも二十五社で八百七十五億払っているんです。そういうことを考えますと、私たちは改めて二十一世紀型にするということだけは御認識賜りたいと思います。
  68. 山本孝史

    山本孝史君 答弁は非常にスムーズで流れ過ぎているので、こちらの時間がなくなってしまうものですから。  私は、ETCをやめてしまえとか、そういうことを言っているわけではなくて、私の質問の趣旨をよくお取りをいただきたいと思っておりますが、これだけのお金を掛けて造ってしまったものをこのままほうっておくんですか、野ざらしにするのは余りにももったいないでしょうと。そのためには、今、たまさかハイカで実験したようなこういう状態になるわけで、やっぱり私は、今の状態であれば並んででもやっぱり五百七十円の回数券で行った方が安いなと、こう思いますので、そういうお話をさせていただいたところでございます。  最後、残り時間が少なくなってきましたが、下水道と合併処理浄化槽の問題について御質問させていただきたいと思います。  環境省によります都道府県別汚水処理施設整備状況によりますと、平成十三年度末の全国の整備率は人口比に直して七三・七%になっておりますけれども、人口の少ない市町村を中心に、いまだ三千三百万人が汚水処理施設の恩恵にあずかっておりません。くみ取式トイレにおける脳卒中等を防いだり、あるいはトイレの汚水よりも河川を汚染するとされる台所から発生する雑排水の処理を進めるためにも、汚水処理施設の整備は重要な課題であると認識をしております。  下水道下水道法に基づいて国交省が、農業集落排水は農水省が、浄化槽は浄化槽法に基づいて環境省が所管をしております。これら三つの施設の連携はかねてから指摘をされてきたところでございます。  そこで、国交省局長さんにお伺いしますが、下水道については下水道整備七か年計画が存在しておりましたが、浄化槽についての整備計画はないように思います。そもそも、各都道府県における汚水処理施設整備に係る都道府県構想はあっても、現在順次見直し中と承知しておりますが、汚水処理施設全体の国レベルにおける全体構想が存在をしていないのではないでしょうか。  平成十四年度下水道事業費は一兆円、農業集落排水事業費が千百億円、浄化槽事業費は百五十億円も予算措置をされております。社会資本整備法の成立に伴って社会資本整備重点計画が策定されると承知しますが、この際、汚水処理施設全体の国レベルにおけるいわゆる全体構想を策定すべきだと考えますけれども、国交省の御見解をお伺いします。
  69. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 議員指摘の、汚水処理の都道府県構想につきましては、既に平成十年六月までに全都道府県で策定されておりますので、この都道府県構想におきます各汚水処理施設、下水道、集落排水処理施設、それから合併浄化槽、この役割分担、都道府県構想におきますこの各施設の役割分担を踏まえまして、今後、策定作業を進めております社会資本整備重点計画におきまして、汚水処理整備の水準に関する総合的な指標であります汚水処理施設整備率を目標としてこの重点計画の中で設定することを、農水省、国土交通省環境省連携の下で現在検討を進めております。
  70. 山本孝史

    山本孝史君 今日は、環境省大臣も、鈴木大臣も来ていただいておりますが、弘友環境大臣もお越しをいただいております。弘友大臣が「環境浄化槽のすすめ 水環境革命」という、こういう御本も書いておられまして、この浄化槽について大変に造詣が深い議員さんであると承知をしております。  弘友大臣にお伺いをしたいんですが、国交省下水道部に、済みません、大臣にお伺いすべきかもしれませんが、国交省下水道部に聞きますと、こういうきれいな資料を持ってこられるんですね。これを、でも読んでおりますと、いかに下水道は良くて浄化槽は悪いかという話しか書いてないんですね。  費用の比較と書いてありますと、一人当たりの整備費用、下水道が一万百六十円だけれども、合併処理浄化槽だと一万二千七百円するよとか、一人当たりの維持管理費は下水道だと五千八百円で済むけれども、合併処理浄化槽は二万四千円も掛かるよというような数字ですとか、あるいは香川県の現さぬき市では、合併処理浄化槽のみでこの整備をしていこうと思ったけれども、途中で行き詰まっちゃって、結局は下水道で整備することになったよといったような、こういうことを書きながら、いかに下水道が良くて浄化槽は悪いかということを印象付けようとしているんですね。  そうじゃないんじゃないかと思うんですが、ひとつ御見解というか、お知らせをいただければというふうに思います。
  71. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 本の紹介もいただきまして、ありがとうございます。  数年前までは、今さっき御紹介のように、下水道国土交通省、そして農水省の集落排水事業、それから環境省の浄化槽とこの三つの事業が結構ばらばらにやっていたんです。それぞれの事業長期計画どおりで。それを、そして、その物差し、比較する物差しも十分でなかったということで、今三省の連絡会議等を開きまして、私も扇大臣予算委員会質問させていただいたことあるんですけれども、大変な御理解をいただいて、三省でじっくりと話し合おうということで、今その取組が進んでまいりました。  ただ、経済財政諮問会議等でも、経済性、効率性を考えてしっかりと三省連携取ってやりなさいということは出ているんですけれども、まだまだ今までの延長線上でやられている部分があるということで、そういう資料も出たんじゃないかなという気がいたしますので、環境省の宣伝がまだ足りない部分があると思いますので、是非これを頑張っていきたいなと。  それと、また市町村の設置型というのが、今回三倍の予算になりました。やはりお話しのように、汚水処理については、下水道は国が責任を持ってやりますよと、あとは勝手にやってくださいと、これじゃいかぬのであって、やはり汚水処理については何であろうと市町村、また都道府県、国が責任持って残りをやっていくという考え方が必要なんじゃないかなという意味で、市町村設置型を推進していくということが理解されまして予算が三倍になったということでございますので、是非今後も法の整備を含めて環境省も頑張ってまいりたいと思っております。  以上でございます。
  72. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) ただいま当方の担当者の御説明につきまして御注意のようなものがございましたけれども、真意を申しますと、これはもう言うまでもないですけれども、下水道の場合、集合処理ですから、人数が多いほど割安になります。浄化槽の場合には一人当たりの設置費あるいは管理費は全く同じになります。そういう意味で、そのどちらが安いかということを客観的に見て、生活汚水の処理に関する限りはやっております。これは事実であります。  御説明申し上げました一人当たり云々というのは、これは今までの全部の平均を出すとこうなりますという数字でありまして、どこでもかしこでも下水道は安いということを申し上げているわけではありませんで、下水道の方が安いところは下水道、浄化槽の方が安いところは浄化槽ということでございます。  それから、まれにすべて浄化槽でやれば事足りるのではないかという御議論もありますので、中には、取組の中ですべて浄化槽でやろうと思ったけれども下水道の方が適当だということになって、下水道にある部分の区域を変えたという場所があるということでございます。  下水道について言えば、例えば高度処理、これは今後の環境ホルモンの問題なんかも展望いたしますと、高度処理をむしろ標準化していかなきゃいかぬというふうに我々思っていますし、また、雨水の処理ですとか、あるいは古い下水道に多い合流式下水道の改善ですとか、いろんな下水道でなければできないこともあると考えております。
  73. 山本孝史

    山本孝史君 御指摘というか、私も同じように思っておりまして、公共下水道住宅の集積地域では効率的でしょうけれども、場所によっては下水道管の敷設に大変経費が、あるいは期間が掛かりますので合併処理浄化槽の方がはるかにいい地域というのはあると思うんですね。ここはこれでないと駄目だとか、これはこっちがいいとかというのではなくて、それぞれのこの三つの適切なすみ分けを住民の皆さんの意見をよく聞きながらやっていただくと。これはもう計画が決まっているんだから変えることはできないんですと、ここまで、途中まで下水管を引いたからその先はやっぱり下水道でやってくださいという話は、なかなかこれはお金も掛かって、なかなかまいりませんので、合併処理浄化槽は是非そういう意味で評価をしていただきたい。  そのときに、ひとつ是非委員皆さんにも御検討いただければというふうに思っておりますが、下水道法には目的にこう書いてあります。長いんですが、読みます。「この法律は、流域別下水道整備総合計画の策定に関する事項並びに公共下水道、流域下水道及び都市下水路の設置その他の管理の基準等を定めて、下水道の整備を図り、もつて都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質の保全に資することを目的とする。」と書いてございます。  一方、浄化槽法なんでございますが、この法律は、浄化槽の設置、保守点検、清掃及び製造について規制するとともに、浄化槽工事業者の登録制度及び浄化槽清掃業の許可制度を整備し、浄化槽整備士及び浄化槽管理士の資格を定めること等により、浄化槽によるし尿等の適切な処理を図り、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与することを目的とすると書いてございます。  下水道法は、この下水道の整備総合計画を作って、そしてそれに基づいて下水道の整備を図っていきなさいという整備法になっておりますが、浄化槽法は、浄化槽の規格ですとか、あるいはそれをメンテナンスします整備士ですとかあるいは管理士の資格を定めるという業法になっておりまして、この業法ではなかなか今御答弁いただいているような浄化槽の普及にはつながらないのじゃないだろうかということで、鈴木大臣、恐れ入りますが、この法律を所管しておられます担当大臣として浄化槽法の是非改正というものもこれは検討すべきじゃないだろうか。で、この下水道法との並びも良くしていくという方がやはり国民のためになるのではないかと、こう思うのですが、御所見をお伺いさせてください。
  74. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 浄化槽法につきましては、そもそも議員立法で成立をされたということで少し法律の成り立ちが違うと、そういうふうに思っておりますが、これから一体的にこうした汚水処理施設、これを整備していかなければいけないということでございますので、様々な観点から検討は進めたいと思います。
  75. 山本孝史

    山本孝史君 私が読みましたとおりに業法になっておりまして、正に議員立法で作るような法律だなと思うんですが、これでは浄化槽の普及にはつながっていかないと思いますので、これは議員立法だから議員皆さんがもう一遍考えろというのではなくて、閣法としてもひとつしっかりと考えていただいていいのではないかと思います。  最後の質問として、下水道お話にもう一遍戻ります。  私、繰り返しで恐縮でございますが、大阪に住んでおります。水都大阪と言われつつ、早くから都心部の下水道が整備をされておりますが、残念ながら雨水と汚水は一緒に流れる下水道になっております。したがって、都心部で雨が大量に降りますとこの雨はどこへ処理をするかというと、都心を流れている川に自然に流れる形になっております。したがって、大阪都心に流れております横堀川、道頓堀川、皆さん時々飛び込んでいただきますが、あの川は非常に汚い川になっておりまして、是非、都心部の古い下水道もございますし、あるいは申し上げましたように、雨水、汚水、一緒に流れるこの下水道の整備、都心部における下水道の整備、実は終わっているんじゃなくてこれから新しい問題として始まってくると思いますので、しっかりお取り組みをいただきたいということをお願いをして、御答弁を求めて質問を終わります。ありがとうございます。
  76. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 今の御指摘はそのとおりでございます。中小市町村、人口五万人以下の市町村の下水道がまだ全くないというところが非常に緊急だということと同時に、主として昭和五十年代以前に着手した下水道に合流式下水道大変多うございます。これを抜本的には分流式に変えていくということが必要でございますが、当面その前に、例えば雨水を、今オーバーフローさせるところを、いきなり川に流すんじゃなくて一時貯留をして、雨がやんでから能力が空いた処理場へ送るとか、あるいは簡易にスクリーンを造っていろんな夾雑物を川に流さないようにするとか、そういう当面の対応も併せて緊急に進めていきたいと思っております。
  77. 山本孝史

    山本孝史君 よろしくお願いします。  ありがとうございました。質問を終わります。
  78. 谷博之

    ○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。  早速質問に入りたいと思いますが、夕張シューパロダム建設移転補償問題についてまずお伺いをいたしたいと思います。この問題は、第百五十四通常国会、衆議院の決算行政監視委員会でも我が党の今野東衆議院議員が再三にわたって質問をされている問題であります。  概略を申し上げますと、北海道開発局石狩川開発建設部がこの夕張シューパロダム建設、その建設に着手をいたしまして、そしてその結果、日北酸素株式会社夕張工場、この建物が水没をするということで、その移転の補償の問題が起きてまいりまして、その移転の補償の、収用補償の額の妥当性、そしてもう一つは、元の北海道開発庁長官、そして当時は官房副長官だった鈴木宗男衆議院議員の関与も含めてこの問題は実際どうであったかということがその委員会でもずっと議論されてきた。このことは、大臣以下、皆様方御案内のとおりだと思います。これらの動きを受けまして会計検査院が調査をして、そして、この問題について不当事項や特定検査事項というものを指摘をいたしております。  私は、そういうふうな動きを踏まえましてこれからいろいろお聞きをしたいと思っておりますけれども、平成十三年度のこの決算検査報告、これによりますと、この夕張工場のいわゆる移転補償額の算定業務には、株式会社のドボク管理という会社と、それからもう一つは株式会社のズコーシャというこの二社がこの委託を受けてその業務に当たっております。  これにはいろいろ問題があるわけでありますが、いわゆる不当事項にも指摘をしておりますけれども、まず一つは、その日北酸素株式会社から資料提出というものがなかったにもかかわらず、営業調査というものを実施ができないままにこの委託先の二社に三百十六万円の委託費が過大に支払われているということが、これが一つ。  それからもう一つ、これはズコーシャ、株式会社ズコーシャに関係することでありますけれども、機械設備のその調査二件の委託について、その移転補償の締結後に契約をいたしておりまして、つまり、委託の必要がないところにその委託費を支払をしているという、これは九百三万円、この金額が不当であるということが指摘をされております。  言い換えれば、これは前者は、成果物が引渡しが受けていないにもかかわらずいわゆる委託金が支払われている、もう一つは、後者の方は、いわゆる事実とそぐわない関係書類を作成をして、そして金銭の処理に当たっているという、こういう二つの大きな問題があるということで、これは正に私はずさんなやり方だったというふうに、これは会計検査院も指摘しておりますね、こういうふうに指摘をせざるを得ないと思うんです。  そこで、こういうふうな事態を招いたその問題点と、それを管理すべき国土交通省のこの問題に対する認識はどのように考えておられるか、まずお答えいただきたいと思います。
  79. 村岡憲司

    政府参考人(村岡憲司君) 御説明申し上げます。  委員指摘のとおり、夕張シューパロダム、洪水調節あるいは環境のための必要な流量の確保あるいはかんがい用水の補給あるいは水道用水の補給あるいは発電という目的で平成年度から建設事業に着手しておりますが、これに係る一般補償といたしまして、全体で三百十五戸を対象といたしまして事業を進めております。十四年度末でおおむね完了という状況でございます。  その中で、御指摘のダムの水没地域内にございます化学工場の移転補償費の算定に係る委託業務の一部につきまして、不適切と認められる報告がなされてございます。  具体的には、御指摘のように、平成年度平成十一年度に委託しました化学工場の補償積算業務におきまして、業務の一部が実施できなかったのに必要な契約変更を行わず、すべての業務が完了いたしたとして委託費を支払っていること、さらに、平成十二年度に委託しました支障物件等の補償積算業務におきましても、何ら業務を実施していなかったのに業務が完了したこととして実態と異なる関係書類を作成をいたしまして会計処理を行った、委託費を支払っていたということでございまして、不適切であるとの指摘を受けたものでございます。  委託契約業務につきましては、従来からその適正な実務に努めてきたところではございますけれども、指摘を受けるような事態が生じたことは、背景あるいは事情のいかんにかかわらず、誠に遺憾な事態でございます。  これらの事態に対処する措置といたしまして、平成九年、十一年度に委託しました業務の過大な支出につきましては、その相当額、先ほど数字もございましたけれども、三百十六万二千円を平成十四年度の十一月二十日付けで国庫に納付させていただきました。また、平成十二年度に委託をいたしました業務におきましても、支払ったとされる支出額につきまして、業務の受注者とも協議の結果、契約に先行して実施し成果品を受け取った業務について負っている債務の対価といたしまして、これは機械設備に関する補償額の再計算をしたものでございますが、その費用に相当するものであるということからこのように措置をさせていただきました。  また、これらの委託業務を実施しました幹部職員及び関係職員につきましては、そこの責任に応じまして厳正に処分を行ったところでございます。  さらに、今後二度とこのような事態が生じませんように、成果品の検収体制の強化を含め、契約事務処理の適正化について周知徹底するなどの早急に対処をいたしたところでございます。  今後、再発防止に向けて万全を期してまいる所存でございます。  以上でございます。
  80. 谷博之

    ○谷博之君 平成十三年度決算検査報告の中身を見ますと、今の御答弁ではちょっとまだ、私、納得できないんでありますが、この問題について、このようにこの決算報告では書かれております。北海道開発局の説明によれば、これら株式会社ズコーシャの二契約は、契約締結以前にズコーシャに口頭依頼した機械設備に関する補償額の再積算に要した費用を支払うために発注されたものであると。これ、口頭で依頼した契約というふうに書いてあるんですが、これは口頭で、あれですか、株式会社ズコーシャに対するこの契約というのはやられたんですか。  この資料を見ますと、平成十二年の十月と十二月に指名競争契約でこの二社には契約の委託をしておりますね。会計検査院にこれ北海道開発局が答えている言葉は、これ、口頭依頼したということになれば、これは指名競争入札じゃないんじゃないんですか。この辺はどういうことになっているんですか。
  81. 村岡憲司

    政府参考人(村岡憲司君) 御説明申し上げます。  確かに、北海道開発局から検査院に対しまして、難航していた日北酸素との交渉を打開するために、新たな確認された仕様の機械設備についての早期見積りと再積算業務を補償コンサルタントに急遽口頭で依頼し、その成果に基づいて補償契約を契約した経緯があり、その業務に対する費用を支払う必要があったものでございまして、個人又は特定の会社の利益を図る等の不正行為等は認められなかったとの報告を受けてございます。  しかし、御指摘のように、口頭で業務を実施することを指示したこと及び実態と異なる関係書類を作成するなどして契約を締結しているということは、会計法上誠に不適切でございまして、遺憾なことだというふうに我々も認識してございます。  したがいまして、先ほど申しましたように、関係職員においてその業務の適正な実施に対する認識が不足をしておりまして、そこの責任の欠如があるということでございます。したがいまして、処分等を厳正に行ったところでございます。今後、契約事務処理の適正化について更に周知徹底するなど、再発防止に向けて努力をするということでございます。  以上でございます。
  82. 谷博之

    ○谷博之君 再度お伺いしたいんですが、口頭で依頼したというのは、それは時期はいつですか。
  83. 村岡憲司

    政府参考人(村岡憲司君) 御説明申し上げます。  おおむね平成十二年の三月から四月の時点であったというふうに確認してございます。
  84. 谷博之

    ○谷博之君 といいますと、それは平成十一年度の末ということでありますね。  実際、この指名競争契約は先ほども申し上げましたように平成十二年の十月と十二月に行われている。この指名競争契約の前にこういう口頭で契約、依頼するということは、これは普通はあり得ない話だと思うんですが。これ実際そういうことであったんですか。それを確認したいんですが。
  85. 村岡憲司

    政府参考人(村岡憲司君) 御指摘のとおりでございまして、あってはならないことが実施されたということでございます。
  86. 谷博之

    ○谷博之君 実は、今申し上げましたように、平成十二年の十月と十二月に指名競争入札による契約を結んだわけでありますが、いずれも後でそういうふうな指名競争入札の形式を取っていると。しかも、これまた不思議なことですが、二件とも株式会社ズコーシャがこの契約を落としているんですよ。つまり、これはごく単純に考えれば、普通あり得ないことがどこかで意識的に働いてこういうふうな形になっちゃったということだと思うんですよね。  ここを私、問題だと思っていまして、これは北海道の皆さんには大変恐縮なんですが、北海道はこういう、何というんでしょうかね、官製談合という、この問題は非常に私は公正取引委員会でも数々指摘されていることでありまして、北海道庁とかあるいは岩見沢市の官製談合が最近でもこういうことで指摘をされております。新聞にも報道されております。それからまた、政治家とのあしき慣習というものもなかなか根絶できないと、こういうふうな地域であるかのような報道もされておりまして、実はいわゆる鈴木宗男代議士の収賄事件でも背景に北海道開発局の官製談合があったことが既に指摘をされているわけですね。そういうものの中に、実はこのドボク管理もズコーシャも実は関係がある会社だったわけなんですよ。  これは衆議院の委員会でも出ておりますけれども、鈴木宗男衆議院議員のいわゆる政治資金パーティーにも、随分この会社はそのパーティー券を買っています。こういうふうな会社がコンサルで入って、そしてこの日北酸素株式会社の移転の補償のいわゆる算定業務を当たっているわけですから、これは非常に私は問題だと思うんですね、これ。しかも、これが官製談合ということで、これはっきりそれでもう言わざるを得ないと思うんですが、おっしゃるような事実があるとすれば、これは私は会計検査院が指摘するとおり、これは非常に不当な事項であると言わざるを得ないと思っています。  それから、もう一つ指摘をさせていただきたいんですが、この日北酸素株式会社には四十六基の鉄塔がございます。この鉄塔は、当然それは移転するわけですから、これは撤去しなきゃいけません。その撤去のために三億九千百二十七万円の補償金が払われております。これは鉄塔及び送電設備のいわゆる撤去ということでありますが、そのうちの四十五基がただ鉄塔だけを取って地下にその基礎部分が残っていたんですよ、一・七メートル部分。  これは私は、これを算定したときにただ目視で私はやったんじゃないかと思いまして、実際はそういうものは全部地下部分を掘り起こして完全に撤去しなければ撤去にならないと思うんですね。このことも会計検査院が指摘しています。その結果として五千六百二十三万円の支払が不当であると、こういうふうに指摘をしているんですけれども、この点についてもどのように考えておられますか。
  87. 村岡憲司

    政府参考人(村岡憲司君) 先ほど委員言われました送電線設備に関する補償につきましても、平成十二年八月十一日にすべての送電設備を撤去する由の補償契約を締結をいたしまして、御指摘の三億九千百二十七万円で補償費を支払ったところでございます。しかし、昨年行われました会計検査におきまして、鉄塔の地中部分が撤去されていないことが判明をいたしました。このため、残存部分に相当する額を含む補償額の全額を支払っていたことについて不適切と認められて報告されたものでございます。  この移転補償契約につきましても従来からその適正な実施に努めてきたところでございますが、これも指摘を受けたような事態が生じたことは誠に遺憾でございます。この事態を踏まえまして、すべての基礎を撤去するという補償契約に基づきまして、化学工場側の責任におきまして残っております基礎について撤去することといたしまして、同じく昨年、平成十四年の十一月十九日に撤去が完了したところでございます。また、関係職についてもその責任に応じた処分を厳正に行ったところでございます。  このような事態が生じませんよう、やはり不可視部分についての撤去の確認につきまして被補償者に撤去中の写真の提出を義務付けることなど、補償契約の履行の確認に万全を期すことが求められております。そのように対処していきたいというふうに思っているところでございます。
  88. 谷博之

    ○谷博之君 不当事項の二つを申し上げましたけれども、それ以外にも特定検査事項、これが幾つか指摘されておりますね。これは、時間がありませんからもうそのポイントだけ申し上げますと、日北酸素の社有地の建物、それから送電線の送電部分、さらには大型機械設備等々のこういう今まであった日北酸素のいわゆる所有物、これに対する補償額の算定の仕方、かなりこれはいろいろ問題があるというふうに指摘をしております。  一つは、その建物の耐用年数、鉄塔の耐用年数等々、耐用年数の見方によっては補償額がかなり変わってまいります。一言で言うならば、高めにこの補償額を設定しているということは、これはもう指摘をしているとおりでありまして、そういうふうな中で、改めて会計検査院にお伺いしたいわけなんですが、今申し上げましたように、不当事項の指摘だけでも相当な金額が支払われていると。先ほど申し上げましたように、その三百十六万円と九百三万円とこの鉄塔の五千六百二十三万円、六千八百四十二万円の不当事項だけでも補償金が受け払われているということでありますが、それ以外の特定検査事項の指摘等を含めますと全体で四十九億円の補償額と言われておりますが、そのうち幾らぐらいがトータルとして節約できたというふうに考えられているか、お答えいただきたいと思います。
  89. 船渡享向

    説明員(船渡享向君) お答えいたします。  本件は、化学工場に対する補償額を算定するに当たりまして、今御指摘ございましたように、耐用年数を通常行われているものより延長しておりましたり、それから他の補償事例との整合性が必ずしも十分図られていなかったりなど、疑問のある事態が様々見受けられましたので、今後、損失補償がより一層適切に行われるよう、特に検査状況に掲記したものでございます。  しかし、そのような事態の発生原因といたしましては、大規模プラントの補償のように、補償基準等において算定方法が明確に規定されていなかったり、それから建物、工作物の耐用年数のように、基準等には一応規定されてはおりますけれども、あくまでその参考とされていること、逆に言うと、すなわち必ずしもこの基準の耐用年数によらなくても根拠があれば間違いではないとされていることなどによるものでございます。したがいまして、建物、工作物の補償額の算定に当たりましては、本院の記述しているような、あそこで書いてございます算定方法を取るべきであったというところまでは言い切れなかったという認識でございます。  したがいまして、検査報告でお示ししている金額につきましては、過去の補償事例であるとか、それから他の事業者が通常行っている補償方法などを勘案するなどとして、参考までにあり得る一つ考え方といたしまして、仮に計算したものであるとか、それから事態の程度を示す目安として試算した金額を示しているものでございまして、補償金額の節減金額を示したものではないということを御理解いただければと思っておるところでございます。
  90. 谷博之

    ○谷博之君 会計検査院としては、そこらまでが一つの限界なのかなと思いますけれども。  実は、この特定検査事項を指摘しているその中に、いろいろお聞きしたいことがあるんですが、一つだけ重ねてお伺いしたいんですけれども、この工場はその後苫東工業団地に新プラントを作っています。そこに新しい工場を作って、簡単な金額でいいますと、機械設備全体で三十九億円の補償を受けて、新プラントでは十六億五千万円の新しいプラントを作って、差引き二十三億近くのお金が浮いたというようなこんなうわさもあるんですけれども、そういうふうな形で新プラントを作った。  そこで、問題になるんですけれども、いわゆるこの補償が、今まであるそういう建物とか土地とか機械とか設備とか、そういうふうな資産に対する補償なのか、新しいプラントに移ってその機能を補償するのか、このどちらかがこういうふうな公共事業の場合には非常に問題になるわけですね、今までもね。  この一つの例ですけれども、推定で再建築をするとすれば二億円程度は掛かると言われている酸素ガスホルダーという、こういう一つの機械があります。これは新プラントでは、これは不要のものであって、必要としない機械であるためにこれは持ち込まれておりません。しかし、これに二億円の補償をしているんですね。こういうふうな補償というのは本来あり得ることなんでしょうか。検査院どう考えておりますか。
  91. 船渡享向

    説明員(船渡享向君) 本件のプラントの補償につきましては、新旧プラントの製造方式を高圧式から低圧式へと変更せざるを得なかったことから、機能補償的な考え方が取られているものでございますけれども、その構成機器のうちに、今御指摘ございました酸素ガスホルダーにつきましては、その財産価値に着目した補償を行っていたものでございます。したがいまして、検査報告には、本件プラントの構成機器の補償額の算定に当たりまして、酸素ホルダーとそれ以外の機器について整合性を欠くものとなっていることについて記述したところでございます。  しかしながら、このような複雑な機器で構成されております大型プラントにつきまして、補償基準等に、まず第一点といたしまして、補償基準等におきましてもその補償額の算定方法が明確に定められていないこと、それからさらに、工作物の補償額算定に当たりましては、一般的には財産的な価値を補償することが基本であることというようなことを考えますと、酸素ガスホルダーにつきまして財産価値を補償したことは必ずしも間違いであったとは言えないということから、不当事項には至らなかったものでございます。  御指摘の検査報告に記述いたしました推計再建築費約二億円につきましては、その節減できた金額ということではございませんで、事態の説明の過程で酸素ガスホルダーの規模を示すために記述したものであるということを御理解いただければと思います。
  92. 谷博之

    ○谷博之君 この会計検査院の指摘事項を読んでみますと、こういうふうに書いてあるんですよ。「新酸素プラントには、酸素ガスホルダーを必要としない機器が組み込まれており、当該酸素ガスホルダーをその財産価値に着目して補償対象とすることは、旧酸素プラントを構成していた他の機器に対する取扱いと比べて整合性が十分に図られていない。」、こう書いてありますね。ですから、そういう意味では、今、財産価値を認めてその補償をしたということでありますけれども、しかし、そうであってもこういうふうな指摘を会計検査院もしているわけですよ、現実にね。ですから、これはちょっと今の答弁は矛盾していると思いますけれども。  要するに、そういう意味では、会計検査院というのは、このいわゆる補償について、少なくとも公費である税金を我々はどんどんそういうときの補償として使うわけですから、それは限りなく正確でなおかつ妥当性のあるものにその補償額としてそれを使ってもらわなきゃいかぬわけです。ですから、そういう意味で、私は、ここでこういう指摘もしておきながら今の御答弁というのは残念ながら納得できないということだと思います。  それともう一つは、この土地の問題なんですね。これもいろいろ衆議院でも指摘をされております。このいわゆる日北酸素株式会社夕張工場の今まであったその土地というのは、これは今野東議員質問しておりますが、クマが出るような山奥であったと、こう書いてあるんです。  この土地を、この補償額を算定するために、当然算定価格の算出値となった類似地域の取引事例というものがやっぱりありますよね。この取引事例として出してきた土地がどこかというと、夕張の一番繁華街の土地なんですよ。そういうことでこの算定額を出したということについて、私は非常にこれは、トータルで一億五千八百三十一万円なんですが、これは非常に高過ぎるというふうに言わざるを得ないんです。  この問題は、最近、日本経済新聞でも三月二十七日に報道されておりますが、こういうふうに書いてありますね。不動産鑑定価格は土地取引の低調な昨今では実勢を反映しない事例もたくさんあり得ると、こういうふうに書いてある。実際そうですね、地価がどんどん下がっているわけですから。にもかかわらず、この土地にこれだけの補償額を付けたということは、これまた私は指摘せざるを得ない問題があるというふうに言わざるを得ない、こういうふうに考えています。  そこで、いろいろ質問してまいりましたけれども、今後こういうふうな公共事業に伴う土地や建物、設備などの補償実施の在り方について、今回この問題で具体的な幾つかの事例が出ましたけれども、私はそれぞれの処理要領の見直しということも含めて再検討する時期が来ているというふうに思っているんですが、大臣、どうでしょうか、そして会計検査院、両方からこの点についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
  93. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、谷委員がおっしゃったように、何度もこれは議論し、また検討されて、議事録もお持ちなんだろうと思います。私どももその件に関してはさんざん北海道開発庁に調査もいたしました。当時、北海道開発庁でございました。国土交通省の北海道開発局としても、何としても調べろということで、これも調べさせていただきましたし、調査にも出ました。  そして、今、会計検査院からるるおっしゃいましたとおり、私も手元に会計検査院のものを持っておりますけれども、少なくとも会計検査院から不当事項、そして不当事項の一と二、そして特定の検査事項、この三つにわたっていろいろ書いてございますけれども、私どもも会計検査院に指摘するまでもなく、衆議院の議事録をお読みいただいたら分かりますように、国土交通省としてはできる限りのことを私はしなさいと言いましたし、またその当時の、我々の国会議員の関与がるる問題にもなりました。そして、今、谷議員がおっしゃったように、あらゆる政治家と、そしてこの日北酸素等々の工場の買取りに関しての疑義、これはもう全部出ておりますから、改めて今私から申し上げることもございませんけれども、少なくとも私どもは、土地の賠償額の算定については、これは閣議決定がございます、御存じのとおり。  ですから、政府としての閣議決定、これは昭和三十七年六月の二十九日ですから、そういう意味ではもう見直さなきゃいけないということあるかもしれませんけれども、統一的な基準であります公共用地の取得に伴う損失補てんの基準要綱、これが定められておりますので、一応はこの土地評価事務処理要綱というものが算定法則を規定してございますので、今の段階ではその規定に従ったか、また今、谷議員がおっしゃるように、会計検査院に指摘されたように、その規定どおりしていても、その規定どおりというものに不当な介入があったといえば、これはもう論外な話でございますから、改めて申し上げませんけれども、我々は、補償額の算定は政府として定める要綱と、それから北海道開発局が定めた要綱、これにのっとって対処いたしますけれども、今後、特定の検査対象として会計検査において指摘された事項もございますので、少なくともこれらを踏まえて、引き続いて、損失補償というものがより一層適正で公平で公明でなければならないということを改めて実感し、今後努力をしていくというのが我々の姿勢でございます。
  94. 杉浦力

    会計検査院長(杉浦力君) 会計検査院といたしましては、ただいま局長の方からも答弁申し上げましたんですが、さきの検査報告に掲載いたしましたものにつきましては、今後損失補償がより一層行われるように、実態を調べ、載せたものでございまして、私どもといたしましての疑義を掲載したものでございます。  そして、今後、建物等の損失補償につきましては、先生からのお話もございますし、補償基準等の趣旨が適切に適用されているかどうかという点が大切だと思っておりますので、その点について留意した検査をしてまいりたいと思っております。また、大規模な機械設備、こういったものにつきましても処理要領等できちんと整備していただいて、その上で補償を算定していただくのが大切だと思っております。  ただいまも国土交通大臣からも適切な整備をしたいということをおっしゃっておられますので、私どもも、そういったものを含めまして、今後とも注目をしてまいり、必要な検査をしてまいりたいと思っております。
  95. 谷博之

    ○谷博之君 細かい問題点は既に衆議院の委員会等でも議論されていますから、重複は避けたいと思います。  これは委員長にお願いがございますけれども、後ほど理事会等で、この問題はやっぱり決算の問題ですから、平成十三年度決算の問題でありますので、私の一つ考え方でありますが、警告決議等の取扱い等も含めて理事会で御検討いただければというふうに考えております。いろいろ問題点がありますので、そのように私は要望させていただいて、この問題の質問を終わりといたします。  それから、時間が余りなくなりました。残る質問を幾つか申し上げたいと思いますが、環境省の方にお伺いしたいと思います。  御案内のとおり、平成十四年の十二月から、いわゆる各市町村が行う一般廃棄物のごみの焼却炉の炉の更新の問題、ダイオキシン規制を受けて行われました。そのために、環境省平成十三年度に二度にわたる補正予算を組んでおります。第一次が三百九億円、二次補正では八百一億円の補正予算が組まれておりますけれども、この予算を使って果たしてどの程度の炉の更新が実現したのか、改修が。  そして、後ほど申し上げますけれども、私どもの県では、栃木県佐野市というところでは、残念ながら住民の皆さん方の協力を得られないで、その焼却炉の改修ができませんでした。当然、それは国の補助金を使ってその事業に着手しようとしたわけでありますが、残念ながらそれでできないで、結果として、それ以降、近隣の業者や自治体にお願いをして焼却をしていただいている。年間十億から二十億程度の一般会計からのお金の持ち出しがあるという、こういう問題が起きているわけでありますが、そういうふうな一次、二次のトータルで言うと一千百十億円程度のこの補正予算を組んでいるわけでありますが、これがどの程度使われたのか、その決算額も含めてお示しいただきたいと思います。
  96. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 谷先生の御指摘のありましたように、十三年度の補正予算、一次、二次合わせまして千百十億円計上いたしました。これと当初予算、十三年度の当初予算が千九百二十四億円ございまして、十三年度予算は都合三千三十四億円ございます。これらを用いまして、今お話しございましたように、ダイオキシン対策のためのごみ処理施設、排ガス高度処理施設の整備を行ったところでございます。  実際に、この十三年度だけの数字は持ち合わしてございませんけれども、全国で市町村が有します廃棄物焼却施設、炉の数でございますが、二千三百七十八ございましたところ、そのうちの大半、二千三百、二千二百十三につきましてはダイオキシン対策の対応ができたところでございます。  それで、この予算の執行の状態でございますが、次の年度、十四年度に繰り越された額は千五十八億円、それから十三年度におきまして不用額を計上しておりますが、不用額が二十二億円ということで、十三年度予算額に対する割合は〇・七%でございます。  不用の理由といたしましては、ごみ処理施設の建設を予定しておりましたけれども、用地交渉が難航して事業計画が取り下げられたということで、いったん不用として国庫に返却したものでございます。
  97. 谷博之

    ○谷博之君 数字的には、今、大部分のいわゆる更新ができたという、そういうふうな御説明だろうと思うんですが、実は、今申し上げた栃木県の佐野市の例でありますけれども、もう一つ実は問題がありまして、既存の、平成十四年十二月でもってこの炉が使えなくなった。こういうふうな炉の実は処分の問題が出てきております。  ダイオキシンの発生していた施設ですから、これはもう大変解体をするにしても手間暇の掛かる大変難しい解体になるわけで、大体その見積りでもう五億程度のその費用が掛かるだろうと、こういうふうに予測しているわけですが、この炉の改修については三〇%の国の補助があったかもしれませんが、この解体については全くそういうものはない、非常にこれはこういうふうな市町村では今困っている話なんですが、この点については御検討されておられますか。
  98. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 栃木県佐野市の焼却施設の件について先ほどお尋ねがございまして、先生御指摘のとおり、現在、昨年の十二月から従来の炉が使えなくなりましたので休止をしているということでございます。  なお、現在は近隣の地方公共団体あるいは民間の処分に委託しているということでございますけれども、現在私どもが県を通じて得ている情報では、新たにその施設の整備の予定を立てておりまして、今年度じゅうにも整備計画を策定するというお話を聞いております。  なお、それに伴っての御質問だと思いますが、既存の焼却炉の解体についての話でございますけれども、先生御承知のように、平成十三年に厚生労働省から、焼却炉の解体に従事する労働者の健康保護の観点から、いろいろな要綱規制が出ております。それに伴いまして、従来の解体費用に比べまして解体費用が数倍から十倍程度に高騰してしまったということで、市町村の方で大変困惑しているということがございました。  これは平成十三年度の措置でございますけれども、環境省では関係省、財務省及び総務省でございますが、協議の上、焼却炉解体に当たりましては、まず、ダイオキシンの濃度によって焼却解体工事の手順が変わってまいりますので、ダイオキシンの濃度測定に対して環境省が補助を出す。そして、ダイオキシンの濃度測定をいたしますと、従来十倍も掛かったといったものが三分の一ぐらいに圧縮されますので、それにつきましては総務省において地方財政措置を取る、こういった措置を十三年度の補正予算のときに講じたところでございます。  今、三〇%というお話ございましたが、実際には測定費の補助が三分の一、そして、その補助裏については地方財政措置を取る。実際に解体をするときには、これは跡地利用として公園とか公共施設を造る場合には通常の公共施設の整備の補助と同じ仕組みがございますし、跡地利用がない場合でも特別地方交付税措置を総務省の方で取るという形になっておりまして、従来に比べまして確かに高騰はいたしましたが、それを圧縮するような措置を関係省と共同して取っているところでございますので、このお話、なかなか市町村の方でまだ御存じないところもございますので、しっかりとPRしていきたいと思います。
  99. 谷博之

    ○谷博之君 最後におっしゃったとおりでありまして、実は昨日、佐野の市長に会いましたら、全くそういうことは知りませんでした。担当者も知っておりません。これはもう正に私は、国の一方的な、知らしめるけれども聞かなきゃ教えないというふうな、そういう姿勢にまで聞こえそうな話に実はなっているような気がいたします。是非、それはそういうことのないように、これからひとつ努力していただきたい。  それともう一つは、今焼却炉の話をしましたけれども、焼却炉で燃した後、焼却の灰が出てきますね。この焼却灰の処理がまた困るんですね。  市町村によっては、焼却炉を持っているけれども、その焼却した後の灰を、今度はそれを持っていく先がない。実はこのことによって、最近の例としては福井県の敦賀市で大変大きな問題が起きています。  敦賀市のいわゆる民間業者が倒産をして、そこで扱っていた全国の二十八のいわゆる自治体や広域事務組合のところから集めていたごみが、いろいろ問題がありまして、そのごみを処分をしなきゃいけないということになってきました、その灰の。そのときに、その費用が掛かるということで、その二十八の市町村、自治体や広域行政組合に応分の費用を出してくれということでもって、敦賀市や福井県からそういう要請をしようとしている。ところが、ここに法的な問題が入ってきて、それは受けるべきか受けないべきかというふうな議論が、これまた栃木県の南那須の広域行政組合でもそういうことが起きております。  つまり、どういうことかというと、今の一般ごみの焼却灰というのは、一か所のところで燃して、そこでそのごみを埋める、灰を埋めるということではなくて、焼却炉のないところはあるところに持っていって焼却を頼む。そして、そこで燃した灰を、そこで埋められなければこの灰をまたどこかへ持っていく。つまり、ごみが全国に動いているんですよ。ごみの広域化という、こういう今問題が起きているわけでありますが、これは全部、自治体やそういう関係者にそのごみの動きというものは任されっ放しという状況になっていますね。  この点について環境省としてはどのように見て、どういう対策を取ろうとしておりますか。
  100. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 廃棄物処理法におきましては、市町村は自ら一般廃棄物処理計画に従ってその一般廃棄物を処理しなければならないことになっておりまして、市町村外の民間事業者に委託する場合でも、処理責任は元の、出した、排出した市町村が責任を有しているということになります。  そして、市町村が一般廃棄物の処理を市町村の外にある民間の業者に委託するときは、処分が行われる区域の市町村に対し、先生の、例に出されました敦賀の民間の処分場の場合は、敦賀市に対して所要事項を通知すること、また、処分が継続して一年以上行われる場合には処分の状況を確認することが定められておりまして、この委託基準を遵守しなければなりません。  先生が御指摘になった二十幾つかの市町村、私どもが把握している数字は四十三でございますが、の市町村に対してはこの委託基準違反の疑いがあったものですから、当時、平成十二年、厚生大臣名で地方自治法に基づく委託基準違反の是正の通知を行ったところでございます。  市町村が基準を遵守せず、その結果不適正処分が行われた場合、これは、キンキ、敦賀の民間の処分場でございますが、環境省といたしましては、委託基準の遵守を求めると同時に、その適正な原状回復措置について指導を行っているところでございまして、敦賀市が委託基準違反をした市町村に対して原状回復のための費用の求償を行っているということも承知しておりますし、これに対しては、冒頭申し上げました各市町村が、自ら排出した一般廃棄物については、焼却灰の場合も同じでございますが、その処理責任を有しているという観点に立って対応していただくようお願いしたいと思っております。
  101. 谷博之

    ○谷博之君 後ほどこの問題をまた議論をする場があろうかと思いますので、最後に一点だけ、時間の関係質問させていただきたいと思いますが、霞ケ浦の自然再生事業に不可欠なNPOによる環境教育への支援の問題ということでございますが、これは御案内のとおり、自然再生法というものが前国会で成立をいたしまして、正にその法の趣旨にのっとったモデル的なケースとして、この霞ケ浦のアサザプロジェクトによる自然再生の実地体験を含めた環境教育というものがこの地で行われていると、こういうことの指摘でございますが、ところが、このアサザプロジェクトの参加しているNPOの努力だけでこの事業の維持発展は困難であるというふうに考えておりまして、環境省としても環境教育の法制化というものも多分議論をされていると思うんですけれども、そういうふうな時代の流れにあって、この霞ケ浦におけるアサザプロジェクト、このようなNPOに対する具体的な活動の支援について、国土交通大臣並びに環境大臣はどのように考えておられるか、この点の御質問をさせていただきまして、私の質問をすべて終わりといたします。
  102. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 御存じのとおり、今、谷委員がおっしゃったように、豊かな自然環境を保全するためには、子供から大人まで、少なくとも国民のすべてが環境に対する関心を持って、なおかつ共通の理念の下で自然環境を大切にするということが私は行われなければそれは活動と言えないだろうと思っています。また、それを活動をする観点から、環境教育が重要であるというのはおっしゃったとおりでございます。  また、現実に、国土交通省としてこれまでも、御存じのとおり、河川を活用した環境学習のための取組を積極的に推進しておりますし、また事実、例えば環境省及び文科省とともに綿密な連携の下に、子供環境学習を水辺で行う子どもの水辺再発見プロジェクト、こういうもので、子供たちと一緒になって、環境省庁と一体となって、積極的にこのプロジェクトを推進しているところでございます。
  103. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 谷先生からのお話ございましたとおりに、昨年の臨時国会におきまして自然再生推進法を議員立法で成立をさせていただいたところであります。それぞれの地域でそれぞれの特性を生かした自主的な自然再生の取組、これは自然環境に触れるという意味でそうした自然環境上も大変大切なものであると、そのように認識をいたしております。  谷先生から具体的に御指摘のございましたこの霞ケ浦におきますアサザプロジェクトでありますけれども、この取組環境教育の効果的な推進に資するものと考えておりまして、環境事業団に設置をされております地球環境基金、ここにおきまして、平成十二年度からこの活動に助成を行っているところであります。  私ども環境省といたしましても、地域における自然再生の取組、これが自然環境教育に生かされるように、今後とも、地域の実情に合った支援に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  104. 谷博之

    ○谷博之君 一点だけ要望させていただきますが、最後の質問として一度は用意をいたしていたわけですが、霞ケ浦での外来種対策の問題が実は今深刻になっておりまして、いわゆるこういう河川、湖沼の外来種、非常にこれがバス類を中心に増えてきておりまして、その結果、従来のそこに生息するその生態系を大変壊してきているという、こういうふうな深刻な今状況があります。これは魚類に限らず、植物もそうでありますね。  ここは、いわゆる貝類などの影響を受けまして、利根川の貝類も大きな被害を与えているという、こういうふうな実態の報告も出ております。  したがって、今後、特に国土交通省がこの霞ケ浦のいわゆる河川管理をいたしているわけでありますが、こういう外来種対策について積極的にその駆除あるいは生態系保全のための努力をこれから一層していただきますように、環境省も含めてこの努力を心から御期待をいたしまして、私のすべての質問を終わりといたします。  どうもありがとうございました。    〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕
  105. 山下栄一

    ○山下栄一君 公明党の山下でございます。  まず、決算マターの問題から国土交通省にお聞きいたしますが、先ほども山本委員から問題の指摘ございましたけれども、今回、十三年度の会計検査院の検査報告の中で、指摘事項の中でございます。  それは、公団、都市基盤整備公団のニュータウン開発事業にかかわる指摘がございます。この指摘は、ちょっともう会計検査院の指摘としては非常に特別に私は力を入れた指摘ではないかなというふうに思っておりますが、背景金額が一兆一千七百億、そしてニュータウンを造るために公団が土地を購入し、宅地造成を計画を立てたと。そして、ニュータウンを造るはずになっていたけれども、現在、全部で五か所ですけれども、東京は一か所、千葉県一か所、兵庫県二か所、大阪一か所、五か所において、せっかく造成した土地の処分が進まない、人も本来たくさん住む予定だったけれども、それも進まないという状況が続いて、延々と続いて先送りされている。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕  ある一つの地区では、昭和四十一年から始まって、十年以内で終わる予定だったと思いますけれども、これが延々と今も続いている、処分が進まないという状況。  もう時代感覚が全く変わってしまっている中で、相変わらず同じ方向性の事業計画で何とか処分したいという、私、先送り以外の何でもないと思いますけれども、こういう状況が会計検査院に指摘されております。これは、公団を指摘しても仕方がないということからあえて特別に特記事項として指摘するという、そういう形で今回、会計検査院が指摘しておるわけでございますけれども。  この問題は、平成十一年におきましては総務省の、当時も総務省だったのかな、行政監察局、そして十四年、去年は総務省行政評価局から、債務償還についても、返済債務がどんどん増える一方であるということも含めまして取組方の指摘があるわけです。今回また、行政評価局の指摘と相前後しているかも分かりませんけれども、会計検査院が公団ではとても手に負えない問題だということで指摘したと、こういうことになっておるわけですけれども。私、これ、こういうことを繰り返しておってもらちが明かないし、結局国民に負担を求めるという形で返ってくると、責任を取ることがあいまいになっていることについて断固たる対応を迫られている問題だと思うんですね。  それで、国と、例えば国土交通省と自治体が協議してやるという仕組みがあるようですけれども、ますます、都市再生もそうかも分かりませんけれども、要するに地域の、郷土の町づくりをどうするかということは、そこに住んでいる人がやはり一番の影響を被るわけですから、ニュータウン事業がもう時代後れならば、もう抜本的な見直しを考えた方がいいと。考える主体は国土交通省都市公団である必要があるのかなと私は思います。  そこに住んでおる人の意見を聞く必要があると。自治体ということでもいいかも分かりませんけれども、民間の識者、そして住民代表含めてニュータウンごとに、途中段階に終わってしまっている五地区について、それぞれの地域で協議体を作って、それも公だけじゃなくて、今申し上げました識者とか、それからそこに住んでいる人の住民、公募でも、分かりませんけれども、そういう方々も含めた中で意見を言っていただいて、それを採用するかどうかは、それはもちろん最終的には国土交通大臣かも分かりませんけれども、知恵を集めることをもっと抜本的に考え直したらどうかなというふうに思います。  この点いかがでしょうか。
  106. 吉村剛太郎

    ○副大臣吉村剛太郎君) 今、委員指摘のように、現在都市基盤整備公団が施行しております住宅開発のうち、五地区については新たに設立される都市再生機構に引き継がれるわけでございます。  今この五地区については、延々として同じ方向で、この次の機構に継続されるということについての御指摘ではあったわけでございますが、国土交通省といたしましても、事業計画の変更又は定期借地の供給拡大、民間事業者との連携を始め、考えられるあらゆる手段を講じて早期に事業完成に向けて見直しに取り組むように指導をしておるところでございます。  今、協議会のお話も出てまいりましたけれども、各地区に設置されております協議会等を大いに活用しながら、地元の意見を聞きながら、これからも鋭意推進方に努めてまいりたいと、このように思っております。
  107. 山下栄一

    ○山下栄一君 これ、住宅造ることが前提になっていると思うんで、宅地造成だからそうだと思うんですけれどもね。場合によっては、住宅地として使わなくてもいいという意味も含めた抜本的な取組のこの改善といいますか、こういうことを考えるべきではないかなというふうに私は思います。  今国会で都市再生機構ですか、新しい独立行政法人にするための法案が提出されているわけですけれども、審議はまだ始まっていないようですが、これは来年たしかスタートすると思うんですね。来年スタートするに当たって、その機構に、独立行政法人にまた引き継がせるという、そういうことは私、国民に申し訳ないと私は思うんです。昭和四十一年からやっていることだからね、これ。もう四十年になんなんとするわけですから、そこは本当にもうニュータウンなんというふうなことは言えるかということにまで含めて問題として考えるべきだと思います。  私、この新住宅市街地開発法ですか、ここの施行者から公団は除外されていくようですけれども、この法律にのっとってやらざるを得ない面もあると思いますけれども、事業を停止すると、もう新しい枠組みを、場合によってはこの五地区だけの新しい法律の枠組みでも作って、来年の七月の新機構には引き継がさせないと、こういうことをまずおしりを決めて、そして大臣のリーダーシップの下に決着付けるということを考えたらどうかなというふうに思うんです。  少なくとも、こういう方向でいきますと、会計検査院という憲法上の機関からついに指摘されたと、公団ではもうらちが明かぬという考え方指摘されているわけですから、それも一兆を超える税金にかかわることですから、明確に大臣の名前で見解を示して、どうしても引き継がなあかん場合でも、少なくとも最低、大臣の正式の見解を明確に示して、どうしても引き受けざるを得ないというふうなことならば、その理由を明確にすると。理由を明確にできないならば、新しい枠組みを作って、もう大臣の名の下に事業撤退勧告するというぐらいの迫力で取り組まないと、四十年間放置、放置したわけじゃないとは思いますけれども、時代が私はもう全く変わる環境の中で、この五地区はもう処分どうしたらいいのかと。買ってくれる人が見付からない、それは住宅が前提だと、そういうことをやっていても私はらちが明かないというふうに思うんですよ。  もう大臣いらっしゃいませんので、副大臣、そういうことについての考え方、見解を少なくとも示すべきだというふうに、そうでないとこの法案審査は私は中途半端になってしまうというふうに思います。
  108. 倉林公夫

    政府参考人(倉林公夫君) 新住宅市街地開発事業につきましては、先生おっしゃいますように昭和四十一年から進めておりまして、ただ約六割の供給が完了しておりまして、既に二十二万人が居住しております。しかしながら、現在の宅地需要の低迷等もありまして、その処分、宅地の処分につきましては厳しい状況にあるということもそのとおりでございます。  そして、今、副大臣申し上げましたとおり、考えられるあらゆる手段を講じて見直しを行い、早期の事業完了に向けていきたいと。先生もおっしゃいましたように、そういったニーズというものは、地方公共団体であるとか地域の住民である、あるいは有識者、そういった方々の御意見をよくお聞きいたしまして、確かに郊外においては集合住宅、マンションというよりは、せっかく郊外に住むのであれば一戸建ての方がいいんではないかというニーズも強いわけでございます。  そういう意味で、集合住宅用地と計画しておりましたものを約百ヘクタール戸建て用地に変更する。あるいは、会計検査院も述べておりますように、定期借地というもの、特にショッピングセンターみたいなものはアメリカ等ではほとんど定期借地で進出しております。そういったものを二十四ヘクタール、毎年でございますけれども、切り替えていくというような徹底した見直し、それからそういった御意見を取り入れるというようなことを、副大臣からも申し上げましたけれども、そういうことを、そういう事業見直しを行った上で独立行政法人に引き継ぎまして早期完了を目指したいということでございます。
  109. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありとあらゆる手段を取るという割にはちょっと中途半端な答弁だと思うんです。  だから、集合住宅を一戸建てという形じゃなくて、住宅をもうやめてしまうと、残りの土地についてはですよ。だから、あるところまで進捗している、場合によっては、この西宮の例なんかは三割しか計画進んでいない、人も四割しか住んでいないということですから、残りはもう住宅として考えなくてもいいというふうなことも含めて、何が一番そこに住んでいる方のニーズに合うかということを抜本的に考えるべきだというふうに思います。  次の質問に行きます。時間の関係で、済みません。  環境省にお伺いいたします。  青森、岩手の県境不法投棄問題でございます。これは去年のたしか参議院予算委員会でしたか、国会で取り上げられたのは去年が初めてかなとは思うんですけれども。  この量は物すごい量だと。豊島の二倍以上だと。これは青森、岩手の県境に搬入され始めたのは平成元年前後ぐらいからもう始まっておったというふうに、ちょっと不正確かもわかりません、認識しておるわけですけれども、量といい、そしてこの排出事業者の数といい、そして青森、岩手の廃棄物は少なくて、よその廃棄物が一杯あるという、そういう問題だと思うんですね。私は、これは日本環境行政の、何といいますか、姿勢が問われる、対応によっては、というそういう問題だというふうに思っております。  もちろんそういう覚悟で鈴木大臣もお取り組みされているというふうに思うわけでございますけれども、これは環境省のリーダーシップによって、二県の問題ではあるけれども、環境省のリーダーシップによって去年八月からこの排出事業者の責任、どこまで追及できるかということも含めて、また、どこからどういう業者が運んできたのかと、排出事業者は一体どこの会社なんだということを大々的に調査を、環境省のリーダーシップによって始まったわけで、それが半年以上たってそろそろ中間報告というふうに聞いておるわけですし、つい昨日、先週でしたか、大臣もこの件について見解を発表されておりますし、事務次官も発表されているというわけですけれども。  ちょっと飯島部長に、この排出事業者の主な業種別内訳、できたらどういう廃棄物が多いのかということを分かりやすい形で言っていただけると有り難いんですけれども。それと、どこから持ってきたのかと、自治体ですね、そういうことをちょっと教えてくれますか。
  110. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 山下先生御指摘になりました青森、岩手、不法投棄にかかわります排出事業者は現在調査中でございますが、約一万社を超える事業者が現在リストアップされています。  まず、業種別の内訳でございますけれども、件数のベースで申し上げます。サービス業、クリーニングとか病院等が当たりますが、これが五千五百社、過半を占めております。それから、出版、印刷、化学、食料品等の製造業、これが二千六百社で四分の一です。それから、卸売・小売業が六百社、建設業が四百社。多種多様の排出事業者が大企業から中小企業までリストアップされています。  主な廃棄物でございますけれども、青森側ではいわゆるRDF様のもの、ごみ固形化物と呼んでいますが、廃プラや紙くずを圧縮したものでございます。あるいは堆肥のようなもの。また、岩手側では燃え殻とかセメント固化物、鶏ふん堆肥、それから有機溶剤入りのドラム缶も見付かっております。どの排出者が何を出したかというところとの突き合わせは現在調査中でございます。  排出事業者を所在地別に見ますと、東京都が三分の一、三千五百社、埼玉県が約四分の一、二千五百社、栃木県が八百社、そのほか茨城、群馬、千葉、神奈川、一都六県、首都圏事業者が中心になっておりまして、全体の約九割。数は少ないですが、四国や九州など遠隔の県も含まれているという状況でございます。
  111. 山下栄一

    ○山下栄一君 青森、岩手の県民のごみが少なくて首都圏が大変多いというお話がございました。九州からも運ばれているとか、我が大阪からも運ばれているとかということは聞いておるわけですけれども、こういうことがなぜ、結果的にそうなってしまったのか、どこかに問題があるはずだということをきちっと検証する必要があるというふうに思います。  その前に、要するに公的機関ですね、公的機関。国の機関、立法、行政、司法、それから県、自治体、これも含まれていると聞いておりますけれども、この点について明確にお願いします。
  112. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 先ほど御答弁申し上げました約一万社を超えるリストアップの中に、お尋ねの公的機関についても様々な分野の機関が排出事業者に含まれております。  明確にというお話なんですが、現在のところまだリストアップされた段階で、責任ある事業者かどうかというのは現在詳細な調査中でございます。数で申し上げますと、国の機関が五十余り、県の機関が二百五十弱で、合計、公的機関が三百ぐらい一万社のうちに占めているところでございます。
  113. 山下栄一

    ○山下栄一君 私、この問題に当たって、青森、岩手、特に岩手県の増田知事でしたか、のリーダーシップで行政責任をきちっと明らかにしようということをおっしゃって、検証委員会というのを第三者で作ったという。これは画期的な取組だというふうに思います。  あいまいにしたくなるような問題を、自分自身が、知事自身が責任を問われるかも分からないけれども、第三者機関に、検証委員会を識者その他で作って、この問題に行政責任はないのかということを検証されたと。そして、その結果がつい最近報告されているわけです。青森県もそれに引きずられるように、と私は思いますけれども、検証委員会を作って、同じように相前後して報告書を出されておるわけです。こういう取組は極めて大事な取組だというふうに思います。  それで、この青森、岩手の検証委員会の報告の中で、行政責任についてどのように、これ、もう公表されているんだと思いますけれども簡潔に、指摘したのかということを述べていただきたいと思います。
  114. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 先生御指摘のとおり、青森、岩手両県の行政責任についての評価するための検証委員会が昨年十月にそれぞれに設置されましてこれまで検討が行われてきまして、その報告書が出ております。  主な報告の内容を申し上げますと、青森につきましては県の業者に対する認識の甘さと行政調査の不徹底や警察との連携が不十分であったこと、岩手側では県が違法性がある産廃収集運搬業の許可、更新を行ったこと、これらにつきまして一定の行政責任があったことを指摘して、今後の再発防止のための対応を求めているものでございます。
  115. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっと肝心なことを聞く時間が減ってきましたので、ちょっと前に進めますけれども。  今国会で、県のとても責任だけでは手に負えない、だから国で応援してもらいたい、こういうことは去年から国への様々な県からの要請がされているわけですけれども、税金投入して処理する場合は、もちろんその前に排出事業者、先ほど、その排出事業者の中にまた国の機関も入っているという話ですけれども、それをまず明確にした上で、だけれども、県は責任を認めている報告書になっているわけですよね。それぞれ知事も県に責任があるということについても、真正面から受け止めて両知事とも言われているわけですけれども。  今国会で、国の支援はせざるを得ない状況があるだろうと、様々な廃棄物不法投棄の最終処理の問題についてという意味の、県、国の責任を明確にする、仕組みを明らかにする、また場合によっては国の補助率を引き上げる場合もあると、場合によってはという、そんな法律が今回提出されているわけですけれども、国で、全国の国民が負担することになるわけですよね。国で支援するということは、青森、岩手の廃棄物を全国の国民が負担するということになるわけですから、このことについては責任を明確にして、場合によっては国は一切出さないということもあり得るというふうに私は思うわけで、県の責任を認められている段階で、それが国が支援する場合にどのような影響を与えるのかと今私は申し上げましたけれども、県が余りにも責任が重たい場合は、豊島のように一切国はもう応援しませんよという場合もあっても私はいいと思うわけで、そういうことをはっきり明らかにしないと、今回の特別措置法は場合によってはモラルハザードを起こしかねないような法律になってしまうというふうに思います。  そういう意味で、県の責任を明確にした上で国がどこまで負担するかということを考えるべきだというふうに考えるんですけれども、このことについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
  116. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) この青森、岩手県境の産業廃棄物の不法投棄、八十二万立方メートルということで、日本最大のものでございます。  この問題につきまして、山下先生が環境大臣といたしまして、特に排出者責任の追及等におきまして大変環境省内でもリーダーシップを取っていただいたということにまず心から敬意を表したいと思います。  御指摘の県の責任でございますが、これはやはりきちっと検証するということがもう大前提であると思っております。それは、今後、どうしてこういうような日本最大規模の不法投棄が出来したのか、それを検証することによってこうしたものの再発防止につなげていくということが必要でありますし、それから今、先生から御指摘になられましたとおり、この国会に特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法、十年間の時限立法でありますけれども、これもお願いをしております。そして、これの対象にして、都道府県が代執行する場合に国が支援するその前提としてもきちっとした検証が必要であると、こういうふうに思っております。  先ほど飯島部長からお答えをいたしましたとおり、本年の三月にそれぞれ両県から検証委員会の結果が出ております。私といたしましても、両県が検証委員会を作ってこういう検証をきちっとしたということはこれは評価をいたしておりますが、やはり重要なのは、そこの報告書で指摘されたことを今後いかに守っていくかということであろうかと思いまして、そういう点についても今後十分よく見ていかなければいけないと、そういうふうに思っております。  それから、先生が今申し上げられました県の行政責任によって国費からの支援額を変動させるようにしたらどうかと、こういうことでございますが、一つには、監視、監督を行う行政責任と、それから行政代執行によりまして地域の生活環境を保全する責任は、これは直接は関係はしていないと思っております。それから、必要な費用が確保ができなければ生活環境の保全が後れることにもつながるということでございまして、先ほど申し上げましたこの国会にお願いをしております特別措置法におきましては、先生御指摘のような制度とはしていないところでございます。  しかし、不法投棄が生じたことに関する県の責任、これを明らかにして、同法に基づく実施計画に盛り込まれるということを前提として同法の支援対象とすることとしているところであります。
  117. 山下栄一

    ○山下栄一君 県の責任を明らかにすることが前提であるということは、大事な私は大臣の見解だというふうに思います。  それで、岩手の報告の中にこういう指摘があります、検証委員会の報告書ですけれども。この検証委員会の業務というのは、岩手、青森それぞれ別々にやってきた、連絡調整一切やっていないと。だけれども、岩手の方の委員会としては、「今後、両委員会が提出した報告書をもとに、両県担当者が更なる検討を進めることを期待する」と、こういうことを報告書に書いてございます。「それは、両県のみならず、日本の産業廃棄物行政にとって貴重な知見を提供すると考えられる。」という注目すべき提案をしております。  私は、これは、青森県も一緒に是非やりたいということになっていったらいいんですけれども、なっていかない場合にも、国がリーダーシップを取ってこの両県について、せっかく岩手県から合同で検証しましょうよと言っておるし、これは象徴的な事案として、日本の産業廃棄物行政にとっても貴重な知見になるということを提案しているわけですから、これをしっかりと環境省として受け止めて、この両県の合同検証、その中には、場合によっては、場合によってはというよりも是非環境省も入っていただいて、この検証を更に明確にするということをしていただきたいと思いますけれども、この点、ちょっと御所見をお願いしたいと思います。
  118. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) この国会でお願いをしております特別措置法、これが成立をさせていただきましたならば、法律に基づく支援を行うわけでありますが、その際には、国といたしまして、改めて両県の検証委員会の委員、それから県の担当部局に合同で集まってもらいまして、国としてもしっかりと意見を聞くことを検討したいと思います。
  119. 山下栄一

    ○山下栄一君 是非環境省のリーダーシップでお願いしたいというふうに思います。  それで、今回、中間報告の段階ですので、まだ排出事業者責任の追及途中だと、検証途上だと思いますけれども、既に大臣等の記者会見で、明らかな法律違反のケースが見付かっているというふうにおっしゃっております。  この中に、この数と、どの程度明確な法律違反が今の時点で分かっておるのかということ、それと、その中に非常に影響力の大きい大企業が入っておるのか、そしてさらに、国や県や、公的機関が入っておるのか、分かっている範囲でお答えください。
  120. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 青森、岩手の事案につきまして今のお尋ねの件は、チェックを進めている中におきまして無許可業者に委託をしていたケースというのが十社程度見付かっているということでございます。  それと、大手企業が含まれているかというお尋ねでございますけれども、数社程度含まれているということでございます。その中に、公的機関でございますけれども、これは明確に責任追及ができるものがあるかということで、現在のところ該当するものがあったとは承知しておりませんけれども、これは引き続き調査をしていく必要があるんではないかというふうに考えております。
  121. 山下栄一

    ○山下栄一君 いわゆる大企業の企業も幾つか入っているというお話でございますし、この公的機関、国や県の機関が入っているかどうかはまだ明確になっていないということなんですけれども、これ公的機関、例えば国の機関、立法、行政、司法、また県とか、こういう公的機関が法律違反をしておったということは考えにくいわけですけれども、こんなことがあった場合は、その責任の取り方というのは排出事業者としての責任ですから、民間企業も責任取る、公的機関だとこれは更に責任が重たくなることになっていくと思うんですけれども、こういうことはいまだかつて余りないかどうかも分かりませんけれども、この排出事業者の中に国とか県があって、公的機関があって法律違反が明確になった場合どういう責任の取り方があるのかということを、是非これは、もう検討されていたら述べていただきたいと思いますし、されていなかったとしたら、これはじゃ明確に検討すべきことだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  122. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 先生御指摘になりましたように、排出事業者としての責任は、民間であろうと国の機関、地方公共団体の機関、これは差がないと、しっかりと責任を果たしてもらわなければいけないと思っておりまして、このため、私どもも今回、排出事業者に対して報告聴取を求めるときに、首都圏環境部局の方々にも集まっていただいて協力をお願いしたところでございますが、同時に、環境省からも中央省庁でリストアップ、両県の作業の中でリストアップしている省庁に対しましては、民間事業者と同様にしっかりと対応するようにお願いをしたところでございまして、仮に責任、違法行為等の責任がある場合には厳正に対応していただくことになると思っております。
  123. 山下栄一

    ○山下栄一君 法律、法的責任まで至らないけれども、至らないけれども一万社を超える排出事業者、やっぱりその中には国も、国の機関も、県の機関もある、大企業も、法律違反でなかったとしても何らかの道義的、社会的責任が問われる場合が私はあると思うんですけれども、こういう場合に、公的負担をできるだけ少なくするためのそういう基準といいますか考え方、どこまで協力していただくかと、協力金をいただくかというようなこと、協力義務と言っていいのかどうか分かりませんけれども、法的なそういう請求対象になるようなものでなかったとしても、何らかの形で公的負担を少なくするようなことを排出事業者に対して求めるべきだと、そのための基準、要件、これを考えてもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  124. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 排出事業者責任の法的な追及というのは先ほど副大臣から御答弁ありましたように、無許可の業者に委託しているとか、あるいは書面による契約を、委託契約を締結していないとか、マニフェストという産業廃棄物管理票を交付していなかったり、虚偽の記載があったとか、あるいは適正な対価を支払わないで最終処分を確認していないとか、いろいろな条件があるわけでございますが、仮に今、山下先生御質問なさいましたように、そういった追及が法的には行えない場合にも、道義的、社会的責任から、またできるだけ公費投入を減らすという観点から何らかの協力を求める必要があるのではないかと、こういう御意見については十分検討する必要があると思っております。排出事業者数が非常に多いので、その場合、基準や要件を作って絞り込むということも必要になる可能性があると思います。  いずれにいたしましても、この要請の主体はやはり青森県、岩手県当事者両県になりますけれども、先生が御指摘になりましたように、この二つの県だけの問題じゃなくて、今後、全国の他の事例にも波及する問題になりますので、環境省としても県任せにしないで一緒になって積極的に検討していきたいと思っております。
  125. 山下栄一

    ○山下栄一君 どうもありがとうございます。  この件、ちょっと最後ですけれども、ちょっと大臣にお聞きしますけれども、四月二十三日に、去年の八月三十日に環境省のリーダーシップで始まった排出事業者の追及の作業が、中間報告のための会議が開かれるというふうに聞いております。これも連絡会議という名前になるのかも分かりませんけれども、是非国がこの問題について断固たる姿勢で臨むぞと、こういうことを明確になるような姿勢で、当然そうされると思うんですけれども、是非、不法投棄の問題の典型的な、それ以後の様々な取組にも影響を与える事例ですので、ともすれば腰が引けがちな問題になりかねないそういうテーマでもあると思いますので、国のリーダーシップでこの四月二十三日の行事も臨んでいただきたいというふうに思いますし、全体の、特に排出事業者責任の追及については、たとえ国の機関といえども明確にするという姿勢で是非臨んでいただきたいと思いますけれども、お考えをお聞きしたいと思います。
  126. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 今、山下先生の御指摘の点はいずれも重要な点であると思います。廃棄物を処理した最終処分者のみならず、責任のある排出者に対しては責任をきちっと追及していくということ、それから、これは民間事業者であろうともそれから公的な機関であろうともそれはそこには差がなく、きちっと責任を追及できるものについては追及していくという、そういう姿勢が大切であると思います。  今後、これがこれから先の一つの基本になるという認識を持ちながら、環境省としてもリーダーシップを持ってしっかりと対応してまいりたいと思っております。
  127. 山下栄一

    ○山下栄一君 どうもありがとうございました。
  128. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  まず最初に、環境大臣に、二〇〇五年日本国際博覧会について伺います。  愛知万博まであと二年を切ったんですが、この万博計画は環境万博を掲げてきましたが、重大な自然破壊、環境破壊が国内外の大きな批判を浴びてきたもので、今日、お手元に資料をお配りしました。これは博覧会協会の環境影響評価書の抜粋、これの抜粋ですが、一枚目の右上にございますように、当初、平成十年四月の実施計画書、これが計画書なんですけれども、この時点では海上の森、いわゆる瀬戸の海上の森を中心とした海上地区が五百四十ヘクタールでした。今日ずっと論議になりました会計検査院の指摘があります新住宅市街地開発事業、これが基盤整備の中心でしたが、全面的にやめていただきました。二転三転四転しまして、これ、資料二枚目を見ていただきますと、海上地区は海上南だけ十五ヘクタール、代わりに長久手町、お隣の町ですが、青少年公園地区が百五十八ヘクタール、こういうことになりました。  この愛知万博の環境影響評価というのは、その当時の通産省ですが、アセス法を先取りして二十一世紀にふさわしく行う、こういうふうに掲げてスタートしましたが、主会場が海上の森から青少年公園地区に変更になったにもかかわらず、青少年公園地区の環境影響評価が、旧通産省要綱に基づく実施計画書を作り、準備書の段階、こういうことは全部やらない、それで修正だ追加だということで今日に至っています。特に、地元の住民の方から計画の白紙撤回が求められているのがゴンドラ計画、これを、資料を見ていただきますと、当初の環境影響評価の実施計画書の段階は無論ありません。準備書もない。Ⅰ、Ⅱはなくて、評価書の段階もなくて、検討状況報告書の段階でもない。何よりBIEの登録時にも計画が全くなかったんですね。  ですから、環境大臣は、昨年の五月二十八日に環境影響評価書案に対しての意見、これを読みますと、ちょっと長いんですが、ゴンドラについては、その計画が策定中であることを理由に環境影響評価の予測、評価が実施されていないが、ゴンドラの整備についてはⅡ案には盛り込まれていなかったため、早急に予測、評価を行い、環境保全措置の検討を行うとともに、ゴンドラの予測、評価の結果を踏まえ、Ⅱ案と比較し、環境負荷が低減されているかを確認すること。そして、ここが大事だと思うんですが、これらの検討及び確認結果を修正評価書案の補正版において明らかにすること、これですね。ところが、昨年六月に発表されましたこれはゴンドラ計画の環境影響評価は盛り込まれていません。追跡調査をやるということになって、環境大臣意見、無視された形になっているんじゃないかと思うんです。  現在、これ、一月の十四日に私行ってまいりまして、写真を撮ってきたんですけれども、遠くに写っております山が、これがいわゆる海上の森ですね。(資料を示す)手前が海上南地区。この資料でいいますとすごく小さいところなんですけれども、こういうふうに皆伐になっているわけです。自然破壊という批判が県民からも寄せられておりまして、やっぱりここはひとつ環境省としての果たす役割、責任が重大だというふうに思いますが、この環境大臣意見が無視されたことも含めて大臣の認識を伺いたいと思います。
  129. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) この問題につきます様々な手続の経緯につきましては先生からお話があったところでございますが、平成十四年三月に評価書案が公表をされましたが、その時点で青少年公園西ターミナル―会場間を結ぶゴンドラ、開催地の催し等につきましては具体的な計画が策定をされていなかったということで、同年五月に経済産業大臣に対しまして、追跡調査を実施して、これらの影響の予測、評価や環境保全措置を検討するようとの大臣意見を述べたところでございます。環境省といたしましては、今後、この追跡調査におきましてこれらの影響についての予測、評価が確実に実施され、必要な環境保全措置が取られることがこれが何よりも重要であると、そのように考えておるところであります。  追跡調査の結果につきましては、環境保全の観点から審査をいたしまして、経済産業大臣に対しまして必要な助言というものを行っていくことといたしているところであります。
  130. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 当初計画に基づいて評価書を作ったんだけれども、それは計画が全く変わったので、修正をした修正評価書案の補正版、これで明らかにしろというふうに環境大臣意見は付いているんですね。それを全く無視して、補正版にはきちんとできていなかった。  追跡調査と今言われたんですけれども、そこで更に伺いますが、その追跡調査のことですが、今年三月十八日に環境影響評価追跡調査報告書がこの博覧会協会から発表されました。今日はここに持ってきたわけで、私もこの追跡調査を注目していたんですけれども、実はがっかりしたんですね。なぜかといいますと、博覧会協会は先ほどお話をしたように、実施計画はなくなってしまったので、新しい環境影響評価の実施計画に当たるものを今年の一月十七日に発表しているんですね、「追跡調査の手法等について(その一)」というのです。わずか二か月後の三月にもうこれが出ているわけですね、これが追跡調査ですけれども。これはとても環境評価にふさわしい中身、時間ではないと思うんです。  この写真、さっき、撮ってきた写真なんですけれども、十七日に発表をしてこれからこういう計画だというんですけれども、これは十四日なんです。まだ計画が発表される前にもう海上南はこういう状態になっているわけなんですね。ですから、しかもこの内容を見ますと、「環境影響の総合的な評価」という章があるんですけれども、これ工事中も供用中でも、会場本体工事と合わせても環境への影響は回避又は低減が図られると評価したと。だけれども、さっきも言いましたように、会場本体工事はこれからです。パビリオンはまだどういうものか決まっていません。ゴンドラもないわけですよね。これから環境影響評価です。にもかかわらず、環境への影響は回避、低減される。だから、正に結論が先にある作文じゃないか、これじゃとてもアセスというふうに言えないんじゃないかと私は思うんですね。  これからゴンドラの環境影響評価も行われるということなんですけれども、同じような作文になるんじゃないかと私は強い危惧を持ちます。同じような追跡調査しかできないんでしたら、この際私は、環境大臣が、これ以上の環境破壊は認められない、環境に負荷を与えるゴンドラ計画は中止すべきだ、こんなような意見も含めてきちんと述べる、そういうことが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  131. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 今、ゴンドラについてのお話が具体的にあったわけでございますけれども、そのゴンドラについての追跡調査、これは正にこれから行われる予定ということでございます。  今後、その行われます追跡調査、それをしっかりと検討する、評価をする、このことが必要であると、そういうふうに思っておりますので、追跡調査の結果が送付された場合には、環境保全の観点から適切、厳正に審査を行いたいと思います。そして、必要な助言を行ってまいりたいと考えております。
  132. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 しっかりと必要な助言をしていただくのは、私はもうこの五年間ずっと言い続けてきたわけで、代々の大臣にもお願いをしてきたわけですけれども、結局、環境影響評価の手続のやり直しを場所が変わってもやらずに、修正だ、追跡だとごまかしてきた、こういう環境影響評価の進め方が二十一世紀にふさわしくない万博の環境影響評価にしてしまったんじゃないか、その結果が環境万博と言われながら自然破壊の計画になっていると思うんですね。  ですから、私は改めて、このような自然破壊、浪費の愛知万博を中止すべきだと、こういうことを強く申し上げたいというふうに思って、次の同じような公共事業質問に移りたいと思います。  次は、平成十三年度決算の検査報告の特定検査対象に関する検査状況、ここに記述があります東海道線、大府―名古屋間線路、いわゆる南方貨物線の問題について伺いたいと思います。  これは、並行しております名古屋の新幹線、この新幹線の騒音、振動公害に対する十年を超える住民運動の中でもこれは大きな問題になっておりまして、最高裁判所で係争中に八六年に和解協定になりました。この和解協定と新名古屋テーブルと言われるものの議事録確認、これによりますと、国鉄は、名古屋七キロメートル区間において、高架下及び移転跡地につき、良好な環境の保全を目的とし、長期的総合的視点に立った活用、当面の管理及び利用につき、積極的に努力する、こうされております。確認議事録の方ですが、国鉄は、高架下、移転跡地につき、沿線住民の要望に即して、これを公園、緑地、ゲートボール場等に有効に利用するため、土地の提供方を含め速やかに名古屋市との協議を進め、その実現に努める、こういうふうにされております。  南方貨物線は新幹線と隣接並行して走行している部分が多いので、この指摘の対象になるわけですが、この和解協定、日本鉄道建設公団において誠実に遵守すべき責任があると私は思いますが、国土交通省の認識はいかがでしょうか。簡潔にお願いします。
  133. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 先生今御指摘のように、昭和六十一年四月に、当時の国鉄と名古屋新幹線公害訴訟原告団及び弁護団との間で和解協定書ができております。及び今お話にありましたように、昭和六十年の九月の協議の際に確認した協議内容、こういうものもございます。  こういうものに従いまして、南方貨物線の土地等の処分に当たりましては、日本鉄道建設公団は名古屋市に対しまして必要な協議を行い、名古屋市の了承を得て処分をしているものであると聞いております。
  134. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 裁判における和解で、当然これを遵守していただくということなんですけれども、南方貨物線は、旧国鉄時代に全線約二十六キロ、JR東海道線の現在の貨物専用バイパスとして計画をされて、三百四十五億円もの費用が費やされましたけれども、需要見込みが立たないということで、旧国鉄の事情で八三年以来工事凍結ですね。野ざらしになって、無駄な公共事業の典型ということで地元でも大問題になっているわけです。  今日このパネルを持ってきたんですけれども、(資料を示す)新幹線と並行している、こちら側が新幹線で、ここに南方貨物線の柱がありますね。こちらも、これは学校の方です。こういうふうにあるわけですね。  本日は、この新幹線と並行している地域の問題なんですけれども、この南方貨物線の土地について、今相談しながらということをおっしゃったんですが、鉄建公団は国などとの協議を行い、建造物を撤去した上で処分する方針が決定したと。これは決算検査報告書に書いてあるんですけれども、現在も鉄建公団というのは構造物を撤去した上で処分する方針、こういうふうに国土交通省は認識されているんでしょうか。
  135. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) ただいま御指摘の南方貨物線でございますが、お話のように、昭和五十八年に当時の国鉄が、九割方できていた南方貨物線でございますが、工事凍結をしたものでございます。昭和六十二年に国鉄が民営分割した際に国鉄清算事業団に承継されたものでございます。以後、この南方貨物線につきまして、長年にわたりまして鉄道として活用できるかどうか、あるいは鉄道以外の活用方法がないか、そういうふうなことを含めてこの土地のあるいは構造物の処分方法あるいは活用方法というものを検討してきたわけでございます。  しかしながら、この当該構造物の最終的な取扱い方針というものを決定すべく、関係する鉄道事業者あるいは自治体などなどに対してこれを一体どうするんだということで、鉄道として利用ができるかどうか、あるいはほかの方法がないかどうかということについて最終的な確認をしてきたところでございますけれども、やはりこれは鉄道としても利用できない、あるいはほかの利用としてもなかなか利用できないというふうなことで、この処分をすることになりました。  この処分をすることになりましたが、どういう処分をしたらいいかということでいろいろと検討してきたわけでございますが、現在ここを、高架下を貸し付けている引っ越し事業者あるいは倉庫事業者、建材事業者など、高架下を借りている者だけではなくて、それ以外の者からも、むしろ高架下そのもの、構造物が残ったままで購入をしたいというふうな要望が出てまいってきたところでございまして、そうであれば、この方法は国民負担をできるだけ小さくするということにもなりますので、そういう方法も適当ではないかということで、撤去しないで現在の構造物のまま売却するという方法も採用するということとしたものでございます。  なお、購入希望者がいなくて、最終的に高架付きでも売却できないというふうになりましたら、最終的には撤去することといたしております。
  136. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 驚きましたね。原告団との約束はどうなったんですか。  私は、新幹線公害の和解条項には良好な環境の保全を目的として積極的に努力する、これを履行するんですねと聞いたら、そうですと言われるのに、いつの間にかそんなのは変わっちゃっていますよね。高架付きでも高架橋なしでも、そういう土地の処分の仕方では和解条項を阻害するんじゃないんですか。土地処分で新しく所有者になる人には和解協定の責任は及ばなくなります。  そこで、一つ今おっしゃったことで聞きたいんですけれども、地元沿線では、随意契約者の購入者に対して国鉄清算本部の職員が、ないしょの話だが、隣接の南方貨物土地について、ここも購入してくれないかと持ち掛けて、じゃ、そうしようかというそんな話があるという、こういうないしょの話で拡大売却がどんどん進んでいくって、こんなことあってはいかぬと思うんですが、どうなんですか。
  137. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) ないしょの話かどうか私はよく分かりませんけれども、今、先生のお話は恐らくこういうことだと思います。  今申し上げましたように、現在貸し付けている者に対して売却をしていくということを基本にしてございますけれども、ただ例えば、これ高架橋下でございます。したがいまして、言わば三区画で一ブロックになっている。つまり、高架橋の柱が三掛ける二、三本こうなっていて、一区画一ブロックになっているような高架橋下というものにつきましては、安全上の観点から見れば、まとめて一つ、一ブロックごとに売却する必要があると。こういうことの場合には、その貸付けしているのが一区画であったとしても、残りの二区画も合わせて一ブロックとして全体として買っていただくということが適切だということだと思います。
  138. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 それが基本を踏み外しているから間違っているんです。  ここに、名古屋市から名古屋新幹線公害訴訟原告団あてに出された「南方貨物線に関する申入書への回答に至る経過について」、こういう文書をいただいています。  ここには、平成十五年一月二十一日、「公団より、随意契約による処分状況及び高架構造物の撤去に要する概算費用について報告を受ける。」と。撤去するのにすごくお金が掛かるんだという報告があったそうです。  それで、ここに書いてあることですが、「貸付面積を大幅に上回る土地について、随意契約で借受者に売却しているが、その事実を原告団及び名古屋市に正確に説明せずに売却を行ったことは、土地等の処分開始についての協議の際に示された処分方針と合致しないものであり、誠に遺憾である」。ちゃんと名古屋市は、おかしいじゃないかというふうに言っているんですよ。これは公団東日本支社中部事務所長、今年の一月二十一日ですね。全くけしからぬですよ。私は、こういうことは、私、反省されなきゃいかぬと思うんですよ。  ちょっと伺いたいんですけれども、会計検査院、決算検査報告の特定検査対象に関するところ、これで見ますと、土地の売却の収支等も十分に考慮しつつ、基盤整備等の内容を検討するなどして効率的な処分に努めていく、こういう所見が出ていますね。この所見は、構造物を撤去した上で処分する方針、これ最初に名古屋市と原告団とで話したときのあれなんですね。これを見直せと。  さっきお見せしましたこのパネル、このすごい橋脚ですね、こういうものを付けたまま切り売りしなさいと、その方針変えて切り売りしなさい、こういうことを言っているんでしょうか。簡単にお示しください。
  139. 円谷智彦

    説明員(円谷智彦君) 今お尋ねの南方貨物線につきましては、構造物の撤去というのは今前提になっておりますので、それを前提にすれば、構造物撤去費用の方が売却収入よりも大幅に上回るという旨のこれ事実関係を表明したものでありまして、会計検査院といたしまして、その具体的な処分方法、これ撤去せずに売れとか撤去して売れとか、そういうことを表明したものではございません。そういったことを御認識いただきたいと思います。
  140. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 効率的とか、そういうのがとても大事ではあるんですけれども、やはりこれまでの経緯、今ちょっとお話をしていた、ここは新幹線公害で最高裁の和解をやっているところなんですよね。  地域の事情に配慮することが重要で、大臣、この平成十年の閣議決定がありますね。これ「特別の事情の存するものを除き、」というふうに書いてあるんですけれども、やっぱりこういう新幹線公害の和解とか、そういうものが今現実に生きておるときにはこういうのも特別な事情というふうに受け取っていいんじゃないかと思いますが、その点だけ、もう一つ後で伺いますので、その点だけ教えてください。
  141. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今いろいろやり取り聞いておりますけれども、これ御存じのとおり、八田議員がおっしゃったとおり、平成十年、閣議決定により、特別な事情があるものを除き平成十五年度までに売却するということで、今少なくともあらゆる手法を駆使して全力を挙げて早期処分を図り、特別の事情の存するものを除き昭和、十五年度末を目途に終了させるというので、今九六%これ処理しております。残り四%、それについても処分を鋭意進めようというふうに努力しているところです。
  142. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大臣、私、特別なものというのが、こういう事情のときには、一律に早期処分、拙速をすべきではないんじゃないかということを教えていただきたかったんですね。  さっき二つのパネル出しました。これ、学校ですけれども、ここ校庭があって、新幹線を造るときに校庭を少し切り取ったんです。その後、その隣の南方貨物線も造るということで校庭切り取って、これ校舎が掛かったので校舎を移転したんですよね。ここを、このすごい橋脚を付けたまま切り売りするということ。あるいはここのお宅ですけれども、これは、ここに、お庭になっていたんですけれども、ここの家なんですね。ところが新幹線ができ、そして南方貨物線ができたので、これ、この向こうの、この先のところですね、ここは強制執行で切り取られている、そういう強制執行も掛けた事業なんです、これは。  ここのお宅は、これがもし売るのなら買い戻したいなと思うんですけれども、橋脚付きだったら二千万、三千万これ撤去するだけに掛かるんだそうです。幾ら七千円で売るよといっても、二千万、三千万、ええっと。ところが、これ、何か違う産廃とかそんなものが来ちゃったらどうしたらいいのかという不安が一杯あるんですよ。  こういうのを一律的にやる。私は、新幹線公害の協定がなくても問題ですけれども、新幹線公害の協定で、最高裁で、良好な環境保全の活用の促進という国の責任があると思うんですよ。  私は、高架は撤去することを当然として、和解協定や確認事項を無視したこういう処分というのは、やっぱり住民感情からいったって、ひどいじゃありませんかというのがそのままだと思うんです。幾らあれでもお国のやることひど過ぎるというのが声なんですよ。どうなんでしょう。
  143. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、八田議員がおっしゃいましたように、少なくとも昭和六十年の新幹線のこの公害の和解、これに関しての議定書がございます、協定書がございますけれども、国鉄は少なくとも名古屋市に対して適当な協議を行った上で処分するということがこれは定められております。  その意味で、この協定に従いまして日本鉄道公社というのは名古屋市と協議して処分を進めているというふうに私は聞いておりますし、また現在も新幹線の騒音等公害の原告団とも話合いを続けているというふうに聞いておりますし、また地元の関係者の理解を得られるように名古屋市とも連携しつつ土地の処分というのは進めていくということを公団に適切に指導しておりますけれども、今よりも環境が悪くなるということはないということも局長も言っておりました。
  144. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 時間がないので今日はこの議論できないんですけれども、全然認識が違うんです。  名古屋市だって遺憾だときちんと文書でも言っていますし、こんなもの付きで、もう無駄な公共事業の記念碑にするために未来永劫これをがんがんがんと残していこうと、そういうふうにおっしゃるなら別ですけれども、私は、一昨年の名古屋の青空裁判を始めとした一連の訴訟の結果でも、環境の保全に努める責務、国の、これが明らかになっているんですよ。  ですから、やっぱり高架物は撤去して、良好な環境保全の活用の促進にする。藤前干潟の保全のときでも、当初はごみの処分場にすると言ったんですけれども、国の助言や援助でラムサール条約に登録をして、きちんとなっているじゃありませんか。  私は、こういうことを扇大臣に強くお願いを申し上げて、国の責任を果たしていただきたい、撤去していただきたい、環境保全をきちんと約束どおり守っていただきたい、これをお願いして、終わります。
  145. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太でございます。  最初に、今日の質問の冒頭でも山内委員から出ましたけれども、今年は参議院での決算重視ということで進んでおりまして、大変そういう方向で行っていることはいいと思っております。  また、先日の全体質疑の中でも総理大臣御自身が後年度予算に反映させるいい機会だというような発言もございまして、大変私自身も有り難いことであるし評価していることですが、ただ、今後を考えますと、もう一つやはり、前回も前々回も言ったんですけれども、その責任の所在をどうするかということをもう少し詰めなきゃいけないと、私はこう思っておりまして、そのことについて私は内閣法制局は何らかの知恵を出してくれるのかなと思って前回質問、お呼びして質問したんですが、何か御答弁今読み返しても、政策的な立案をするところではないということの一点張りで何ら御示唆がいただけなかったと。それ以上に、こんな席で言うのもあれですけれども、大体、質問を控えるような働き掛けもありまして、私は非常にがっかりしているんです、本当のことを言いますと。  それで、かといって所掌事務といいますか、その中には内閣のあれですよね、内閣に対して意見具申を言うという立場があるんですね、内閣法制局も。それにもかかわらず、そういうような逃げの一手というのは本当に私残念でございまして、ただ、それと同時に、何か答弁された中、まあ大体が既定的な答弁をされたわけですけれども、その答弁の中の字句を訂正せよというような要求が後で参りまして、まあ大したことでないんで私はオーケーはいたしましたけれども、そういう何かちょっとその辺で頼るに足らぬという認識をいたしまして、そういうやり取りがあったということを是非私は議事録に残さなきゃいかぬなという思いで、今大変関係ないことで申し訳ないんですけれども、一言述べさせていただきまして。  ただ、それと関連して、まだ私は責任体制というのをあきらめているわけじゃないんで、いろんな角度からいろいろ調べさせていただこうと思っているんですが。  そこで、今日は会計検査院に来ていただきまして、会計検査院もそういう政治的な面のお立場はないと思いますけれども、一番こういう不当事項等指摘されてそれをずっと見守っておられるのが会計検査院でございますので、その辺でいわゆる不当事項をどういうふうに取り扱われておるかということを質問させていただきたいと思うんですが、ちなみに今回の平成十三年度決算検査報告に関する概要説明をお聞きしたわけですけれども、その中にいわゆる実地検査の検査率といいますか、これは対象機関が大体三万六千百余か所、そのうちの三千余か所をやっておられるという御説明で、これ単純に計算しますと実施率が八・三%、一割をちょっと切れるぐらいであるわけですが、その検査の結果、支出に関するものが不当事項として七十二億四百七十五万円余という御説明でございます。  これ七十二億というと、まあこれ国の予算からいえば小さいかなというような感じもなきにしもあらずですけれども、この実施率を考えますと八・三%、八・四%ですか、それで七十二億というのを、これ単純に逆算しますと、逆算というかそれを、それでは一〇〇%は幾らかというと八千七百億円なんですね。これはもうばかにならない数字だと思うんですけれども、この辺の、例えば不当事項というのは全体としてはこのぐらいのことは本当は予想されているんだということを言えるのかどうか、その辺、会計検査院の御所見をお伺いしたいと思います。
  146. 友寄隆信

    説明員(友寄隆信君) 実地検査の施行率は、先生御指摘のとおり平成十四年次で八・四%となっております。  しかし、これはこの三万六千余か所の中には非常に規模の小さいJRの駅でございますとか、郵政公社の特定郵便局とかいうことも含めてございますので、本省あるいは特殊法人の本部については毎年実地検査を行っておりますし、また主な出先機関、我々重要な検査箇所と言っておりますけれども、これらの施行率は四〇%を少し超える程度になっております。また、これらの実地検査箇所の選定は無作為に行っているわけではございませんで、事前調査と私どもの長年の経験、検査の経験、ノウハウを生かして十分な検査結果に基づいて検査の効果が上がるようにやっております。  したがいまして、先生のおっしゃるように指摘、検査箇所を増大をすれば指摘もそのように正比例的に増加するわけでございますが、単純に先ほどの数字のような比例的な形にはならないという認識でございます。
  147. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そういうことなんでしょうけれども、少なくともこれの半分になるかどうかぐらいはお分かりにならないと思うんですよね。半分になったって大きな数ですよね、大きな数字ですよね、金額としては。  だから、この不当事項そのものもかなりの額であるということをまず認識して、これをどうにか正さなきゃいけませんし、こういうことの責任の所在ということはしっかりと正さなきゃいけないなという気がするんですが。  そこで、今申し上げました不当事項、七十何億ですか、こういう不当事項で国会報告されますと、各所管の省庁でそれ相応の処分といいますか、恐らく、何ですか、国家公務員法に基づく処分だろうと思うんですけれども、そういう処分をされると思うんですが、そのされた処分が会計検査院、御報告されているんじゃないかと思うんですけれども、そういう実態をどんなふうにおつかみになっているのかお知らせを願います。
  148. 友寄隆信

    説明員(友寄隆信君) 不当事項についての関係者の処分状況についてでございますが、最新の平成十三年度検査報告については現在調査中でございまして、平成年度から十二年度検査報告までの五か年度分について合計で申し上げますと、不当事項の件数はこの間千三百二十五件ございまして、これらに関して何らかの処分を受けた者が一万六百三十一人おります。また、処分を受けた者のうち、国家公務員等法律に基づく懲戒処分を受けた者が五百七十二人となっておりまして、その内訳について見ますと、免職二百十人、停職三人、減給百三十四人、戒告二百二十五人となっております。
  149. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私、その資料を実はレクのときに後でいただこうというふうにお願いするべきだったんですが、後でその表はいただけますか。いただけますね。
  150. 友寄隆信

    説明員(友寄隆信君) じゃ、後でまとめて提出できると思います。
  151. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私、悪人を作れという意味じゃないんですけれども、やはりこれだけ国の税金を、国民の皆さんの税金を使っている立場からいきますと、やっぱり正すべきところは正さなきゃいけないと思うんですが、こういう会計検査院としては今この処分をお聞きになって、これで国の予算執行というのが大体うまくいっているというふうにお考えになられているのかどうか、その辺の御所見をお願いいたします。
  152. 友寄隆信

    説明員(友寄隆信君) 違法、不当な会計経理に対する厳正な処分ということは、財務規律を確立し、同種事態の再発防止の効果を上げるものであることから、会計検査院としましても、検査報告に掲記した不当事項については当該関係者に対する当局による処分状況について報告を求めまして、私どもなりに把握に努めておるところでございます。  検査院といたしましては、当局においてそれなりの、相応の処分が行われていると認識しております。
  153. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 御見解をお聞きしたんですから反論をするとかそういうことはやめて、ここで次の質問に変えさせていただきますが、今日は環境大臣お見えになりまして、私、これ実は環境問題については勉強するつもりで質問をさせていただこうと、基本的なことを教えていただこうと思うということで質問をさせていただきたいと思っております。  環境問題というと、もう恐らく皆さんこれ今一番、一番といいますか、大変大事な問題であるという認識で、いわゆる政策とか何かのときに取り上げると思うんですが、私も実際そういうつもりで、環境問題はこれは国会へ行ったら取り上げて、日本環境を良くしなくちゃいかぬと、日本環境問題を解決しなきゃいかぬという意気込みで参ったんですけれども、実際、じゃ何が環境問題かという、実はなかなか分からない、私だけなのかもしれませんけれども、分からないのが実態でございまして。  大体、環境といっても、これは大きく分けても自然環境、生活環境社会環境というのがあるわけですよね。私なりに解釈しますと、やはり今言っている環境問題というのは自然環境かなというような気がするんですが、それが生活環境を改善するとか、社会環境といいますか、交通の便を良くするとか、そういうものによって自然環境を何か破壊といいますか変化させていくというところにその環境問題が生じるのかなというような感じがするのが一つありますし、環境問題そのものというのは、例えば文明が今ほど進化していないといいますか、あるいは人口がもっと少なかったと、ごみ問題なんかにしまして顕著に現れていると思うんですけれども、人口が少ないときは自然の浄化機能がかなり請け負った、したがって環境問題というのは余り出てこなかったというような感じも受けるんですが、それが今これだけいろんな面で大きな問題になっていると。  ということは、これは私なりに解釈すれば、今のこの環境というものは、このままであるといわゆる人間がサステーナブルといいますか、要するに持続して生活できるような環境でなくなるという心配があるからということなのか、その辺非常に漠然としか分からないものですから、この際、環境省として環境問題というのはどういうふうにとらえられておるのか、その基本的な点をちょっとお話し願いたいと思います。
  154. 炭谷茂

    政府参考人(炭谷茂君) ただいま岩本先生がおっしゃいましたように、環境というものは正に現在人類の存続の基盤であるという認識に立って私ども仕事をさせていただいているわけでございます。  現在の環境問題のとらえ方というのは、確かに大変難しくなってきているんじゃないかなというふうに思います。かつての公害問題時代昭和三十年代、四十年代というものは比較的単純なとらえ方、加害者対被害者、また公害というものが目に見えた存在であったんじゃないのかなというふうに思います。  そのようなところから、現在、環境問題というとらえ方としてとらえた場合、一つには、現在の環境問題は加害者でありかつ被害者でもあると。私ども自身が、自動車を動かし、また家庭排水を出す、そういうものが加害者になり被害者にもなっているという現状が第一あるだろうと思います。  第二には、なかなか環境問題というものが目に見えない。目に見えないだけではなくて、科学的にもまだ未解明なものがかなりあると。例えば、地球環境問題、また地球温暖化問題、また環境ホルモンの問題という問題については、科学的に解明しなければならない問題もまだ残されているわけでございます。  三番目には、環境というものが正に自然の物質循環や生態系というものに結び付いていく、それが地球規模にまで結び付いていくという、大きくかつ深いつながりのあるというような環境問題になってきているんじゃないかなというふうに考えている次第でございます。
  155. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 難しいというのは分かるんですけれども、ならば今このままでいいのかという問題がすぐに出てくると思うんですけれども、例えば京都議定書についてアメリカは批准しないと、あれでいいのかという、いいのであればやらなくたっていいわけですよね。  だから、何か総論は賛成、各論になるとクエスチョンというようなとらえ方が環境問題についてはあるような気もしますし、自分一人ぐらいはいいじゃないかというような、自分というのは個人ばっかりじゃない、このぐらいはいいじゃないかというようなものがあるような気がするんですね。そういうものが、そういうものでいくと結局みんなやらなくてもいいじゃないかと。それで本当に済むのならそれでいいと思うんですけれども、それで済まないのが環境問題だと私は思うんですけれども。  今そう言っても、なかなかそれに対する答えといいますか、どういうふうにお考えというのは難しいかもしれませんけれども、今、じゃ現在、環境問題として考えなきゃいけない、真剣に考えなきゃいけない問題点といいますか、具体的な問題というのはどんなふうに環境省はおとらえになっているか、ひとつお願いします。
  156. 炭谷茂

    政府参考人(炭谷茂君) 私どもとしては、まず第一には人類の存続にかかわります地球環境問題、地球温暖化、まずはオゾン層の問題がまず第一に挙げられるんじゃないのかなというふうに思います。これはまた、地球環境の問題にも関係いたしますけれども、自然生態系の問題、この中には、熱帯雨林が減少しているとか、また生物が種類が減少しているというような問題も入るのじゃないかと思っております。  第二番目には、循環型社会の形成、これは廃棄物の不法投棄の問題、また最終処分場がだんだん減少しているというような切実な問題も含まれますし、資源というものをより有効に使っていかなければいけないという問題もこの中に入るかと思います。  第三番目には、今日の大都市に見られるような自動車公害の問題、また健全な水循環、水不足が世界的にも言われておりますけれども、水循環の確保の問題。さらには、化学物質によって人類、人体又は更には生態系にも影響を与えるというような問題が、まだ重要である、まだまだたくさんございますけれども、代表的なものをあえて指摘させていただければそのようなものでございます。
  157. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 こういう問題、じゃこれをどう問題意識を持ってどうとらえてどういうふうな対応をしていくかというのがこれ、大事なことだと思うんですけれども。  今の問題意識、確かにみんなこれは問題だと思いますよね。思いますけれども、じゃどうするのかということがなかなかできない。できないかといいますか、産業活動なり自分の利益と結び付いたとき、おれぐらい、自分ぐらいいいんじゃないかというような、こういうところに行っちゃう可能性があるものですから、そういう意味で僕は、環境省の役割というのは今の時代、非常に大事だと思うんですよね。だから、単に個別の、こういう問題もありますし、もあるでしょうし、こういうとらえ方もいいでしょうし、あるいはもっと大きな今の社会の在り方といいますか、そういうものまで関連してくるんじゃないかと思うんですけれども、そういうふうな期待をされているのが僕は環境省だと思うんですが、その辺について、今までの取組あるいはこれからのそういう環境省としての環境問題を、国民の問題、全人類の問題だと、全人類といったら環境省にしてはちょっと大き過ぎるかもしれませんが、少なくとも日本人全体の問題であるという、そういう普及、情報、普及といいますか情報活動といいますか、そういうものが必要なんじゃないかと思うんですが、その辺、大臣、もし何か所見ございましたら。
  158. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 先ほど来、炭谷局長からお話をさせていただきましたが、環境庁ができたときには、昭和四十六年七月でありますが、そのころはもう本当に環境問題イコール公害対策というような時代であったと思います。しかし、その後、環境という言葉の持つ意味も大変膨らんできたし、ただいま局長が申し上げたとおり、本当に多岐にわたった環境問題というものがあると認識しております。  これは、例えて言えば、例えば地球温暖化対策のような問題のような人類の生存基盤にかかわる問題、それから日々の生活から出るごみの問題等あると思いますが、いずれにいたしましても、その多くは私たちのライフスタイルでありますとかそれから通常の事業活動に根差したものが多いと思っております。これだけたくさんのエネルギーを消費して便利な生活を送ろうという一人一人のライフスタイル、それから、やはり何とか経済的にお金をもうけようという中での事業活動、そういう中で大量生産、大量消費、大量廃棄というような社会システムもございました。  したがいまして、岩本先生が今御指摘のように、やはりそういった社会システム、社会経済システム、それから私たち一人一人の生き方、ライフスタイル、そういうところまで踏み込んで変えていかなければ、対症療法的に何かの問題にただ手当てをするというだけでは今日の環境問題は片付かないと、そういうふうに思っております。そういうことができて初めて先生御指摘の持続可能な社会が作られていくんだと、そういうふうに思っております。  今までの取組ということでありますけれども、そういう認識の下に、平成六年に環境基本計画というのを策定いたしました。これは環境への負荷の少ない持続可能な社会構築のための戦略ということであるわけでありますが、こうした考えに沿いまして、例えば地球温暖化対策につきましては、地球温暖化対策の推進に関する法律というのを出させていただきまして、各省と連携して地球温暖化対策推進大綱というものを作って今それに取り組んでいるところであります。  それから、廃棄物リサイクル対策、これにつきましては循環型社会形成推進基本法というものを作りまして、先般、三月の末でありますけれども、半年前倒しをいたしまして、その基本法に基づく循環型社会形成推進基本計画というのを作ったところでありまして、そこには循環型社会のイメージでありますとか具体的な目指すべき目標、その数値目標、こういうものを策定をいたしまして、併せて自動車リサイクル法でありますとか家電リサイクル法でありますとか、各種のリサイクル推進のための法案を作って運用してきたというのが今までの取組であります。  今後どうするかということでありますが、今後とも環境基本計画、これに基づく施策というものを着実に推進をすることが大切であると。それを通じて持続可能な社会の実現を、持続可能な社会というものを実現していく、そういう努力を継続してやってまいりたいと思っているところでございます。
  159. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  環境問題というと、こんなことを言っては言い過ぎかもしれませんけれども、何か一つの趣味的なとらえ方というのが過去にあったような感じがするんですけれども、公害問題は別として、今や相当もう深刻な状況になっていると、私は具体的な数字は分かりませんけれども、そういう認識でおりますし、そういう人が随分いると思うんですね。そういう物の考え方を先導していただくのが、僕は日本の国にあっては環境省だと思っておりますので、いわゆるいろんな面があると思いますけれども、普及、教育の面からしっかりとやっていただきますようお願いをいたしたいと思います。  最後に、時間がちょっと余っておりますが、前々回、警察庁の審査のときの積み残しなんですけれども、先ほど大臣、大変いいことを言われて、私はちょっとなるほどと思ったんですが、荒井委員の答弁の中で、社会資本整備は赤字覚悟でも国としてやらなきゃいけないものはやらなきゃいけないというような、確かに、私は経済効率主義でやりますと地方というのは寂れちゃう一方だという認識でおりますから、別の角度から、いわゆる今の経済効率主義と別の効率主義といいますか、効率主義という呼び方がいいかどうか分かりませんけれども、そういう公共事業社会資本整備もあっていいんじゃないかと思うんですが、それに関して、実は先般申し上げたんですけれども、同じ社会資本整備でも、地域によってやり方を変えるべきではないかと。  例えば、高速道路なんかも、田舎の方に高速道路、走っているだけならいいんですけれども、例えばインターチェンジ、これもまだいいんですけれども、高速道路同士がぶつかった構造というのが物すごいんですよね。田舎の田園風景がUFOに一変しちゃうというような感じで、私のところに陳情によくお見えになるんですけれども、あなた方はああいうところまでやっていいんですかと言うと、言葉詰まっちゃう。田舎のそういうものが失われていくと、前回、そういう質問しましたら、道路局長は、自然を考えてやりますというお話でございましたけれども、そういう意味じゃなくて、もっと田舎なら田舎なりに、地方なら地方なりにやるやり方があるんじゃないかと。  私は、それで主要地方道の活用、実際に主要地方道を走っていますと高速道路並みの利便性があるんですね。そういうものにもっと注目したらいいんじゃないかと。その辺で一つの提案を申し上げたんですけれども、そういうものをやる、活用する場合に、一つは速度がもっと出せないかなという問題があるんです。  それともう一つは、ついでにあれなんですけれども、もう時間がないそうですからもう一つ続けて言いますが、例えば構造の問題なんかでも、立体交差すると非常に利便性が増すといいますか、そういうことになると思いますし、さらに、先日、私、実際に主要地方道乗っていましたら、あれは追い越し車線がところどころにあると随分変わるんですね。低速車があると詰まっちゃう、そういうときに追い越し車線があるとそれを抜いていけるというような、何かそういう工夫というのが必要じゃないかと。  ましてや、道路なんかも単にスピード、もうここはこうだと決めずに、例えば警察なんかは交差点の信号のパターンも何種類も作って、コンピューターを使ってやっているはずなんですよね。そういうようなものを考えて、すいているときはスピードを出せるとか、そういうような工夫もできないかなと思うんですが、ちょっと時間がないんですが、その二つの面について、両方、スピードと構造の面で。
  160. 属憲夫

    政府参考人(属憲夫君) 速度規制につきましては、交通の安全と円滑の確保、それから交通公害の防止という目的を達成するために、道路構造や交通事故の発生状況、交通安全施設等の整備状況、沿道環境等の諸条件、そういったものを総合的に見ながら、ここはどういう速度規制が一番いいかというようなことでケース・バイ・ケースでやっているところであります。  主要地方道の最高速度規制につきましても、例えば車道の幅員がどの程度あるか、あるいは車線数がどれぐらいあるか、また歩道があるのか、ガードレール、そういった安全施設がきちんと整備されているかどうか、そういった状況をよく見ながら、一回交通規制をやりましても、その後道路の交通の実態等が変わりましたら、それをよく見ながら随時点検をして、交通規制も見直しをしているといったような状況でございます。  今後とも、引き続き合理的かつ適正な速度規制になるように努力をしていきたいというふうに思います。
  161. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 簡潔に申し上げたいと思います。三点ほどあるんだと思っています。  立体交差、それから右折レーン、これも大変大事な政策だと思います。それから、先生おっしゃるように追越し車線、これは山を上ったりするようなとき。更にもう一つ、ローカルルールということで、先生御指摘のように、地域に応じたそれぞれの構造を、例えば、何でもかんでも一車線ずつ必要だと、こういうことで必ずしもなくて、状況によっては、一・五車線と言ったり、申し上げたりしていますが、待避所があって擦れ違える、こうしたような工夫をするということが大事なことだと思っておりまして、十五年度からそうした政策も進めることにしております。
  162. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 時間がありませんからやめますけれども、何か可能性がありそうなんで、また別の機会に引き続いて検討させていただきます。  どうもありがとうございました。
  163. 又市征治

    又市征治君 社民党の又市です。  特別会計の肥大化とその不透明さというのは今や大変大きな問題でありまして、三月十日のこの委員会でも私、取り上げさせていただきました。二〇〇一年度でいえば、三十六会計、歳出で三百六十三兆円もありまして、歳出八十四兆円の一般会計だけを議論しておっても意味がないほど巨額の収支が扱われています。  特別会計で直接公共事業をやっているのは五本ありますけれども、そのうち、道路整備特別会計で三兆四千億円余り、治水特別会計で一兆四千二百億円余りが一般会計から移転を受けてやっているわけですね。  今日は、治水特別会計について少し検討させていただきたいと思います。  治水特別会計のうち治水勘定は、会計検査院の指摘では多額の繰越しが累積をしているわけでして、特に九六年度以降は毎年一千億円台になり、九六年度以降は毎年二千億円台となって増え続けている、こういう実態にあります。もう一つの特定多目的ダム建設工事勘定の方も同様で、九九年度以降、繰越しは毎年五百億円を超えておりまして、二〇〇一年度は二つの勘定を合わせますと三千七億円にも上っている、こういう実は状況にある。検査院もですから指摘するように、このような多額の未執行、繰越しは問題だということですね。  この原因は、いろいろとあるんでしょうけれども、景気対策という理由で大規模な土木事業年度途中の補正などで積み増しをして、消化し切れなくなってきている、こんなことにあるんじゃないですか。国土交通省、財務省から見解を伺いたいと思います。
  164. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 治水事業は、国民の生命と財産を守る基幹的な事業であり、安全で快適な生活環境を創造することを使命としておりますが、その使命達成のために、真に必要な予算を編成し、その円滑な、かつ効率的な執行に努めることが必要だと承知しております。  しかしながら、事業によりましては、その計画又は設計に関する諸条件、気象又は用地の関係あるいは補償処理の困難等、突発的な事情等も含めまして年度内に支出を完了することが期し難くなるというものもあるのも事実でございまして、このような場合には、治水特別会計法の規定に基づきまして歳入の一部を剰余金として翌年度の歳入に繰り入れて使用しているというところでございます。  その剰余金受入額が増加しているのではないかという御指摘でございますが、例えば平成十年の栃木、福島県の豪雨というのもございました。十一年には岐阜、広島県の豪雨というのもございました。十二年には東海豪雨、有珠山噴火、三宅島噴火等々ございました。こういった異常な気象現象等により災害が多発するということもございまして、これに、これにはこれで機動的に、しかも弾力的に対応しなきゃいけないというような事情もございまして、結果的に、全体として工事期間が限られたり、あるいは用地補償の調整に時間を要するというふうな事例がございまして、事業の進捗に影響を受けているものもございまして、結果として翌年度繰越しとなっている工事が増加したものと考えております。  いずれにしましても、今後とも治水事業の、最初申しましたように、円滑かつ効率的な執行に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  165. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。  経済対策の一環としまして補正予算を編成する場合には、景気の下支えに即効性のある事業をその内容とするものが通例でございます。例えば、十三年度補正予算第二号ですけれども、におきましては、民間投資の創出や就業機会の増大に資し、かつ事業の早期執行が可能であり経済への即効性が高い施策でありまして、緊急に実施する必要があるものを厳選いたしております。  これは一般論でございますけれども、治水事業について申し上げますと、十三年度補正予算におきましては、災害に強い都市の再構築、高齢者等の災害弱者対策の推進、また防災分野のIT化など、その事業の早期執行が可能と思われるものを厳選したところでございます。
  166. 又市征治

    又市征治君 この河川事業、すなわち治水勘定の最近のもう一つの特徴は、地方自治体からの負担金が当然増えているという状況があります。ざっと調べてみますと、一九八七年から九一年度までは毎年二千億円台すれすれであったんですが、九二年度から九七年度は二千億円台の後半になって、九八年度から現在までは三千億円台に増えてこれが続いている、こういう状況にあります。  早い話、この治水勘定は、財政的には国の事業を、地方から強制的に約三〇%分吸い上げて約七〇%の自腹で一〇〇%のものを作り出すというこんな仕組み、こういうことになっているわけですね。したがって、国が事業を増やせば増やすほど地方の負担も増える、地方財政悪化の一因にもなっているわけです。治水特会に限らずに、国直轄事業に対する地方負担金というこの制度は、まるで江戸時代の幕府の普請のお手伝い金の制度みたいなものでありまして、自治体からは大変評判が悪い。  ちなみに、二〇〇一年度は、府県は土木費の一二%を国に吸い上げられている、河川費でいえば府県の一八・一%、府県は一八・一%を国に取られている、こういう勘定になるわけで、この点について、総務省はどういうお考えですか。
  167. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) お答えを申し上げます。  国直轄事業の負担金という制度でございますが、この制度は、事業から地域が受ける受益に着目をしながら地方団体間の公平を図る見地から制度化されているものでございまして、私どもといたしましては、必ずしも不合理というものではないだろうと、こういうふうに考えております。  しかしながら、地方公共団体の理解を得て円滑に事業を推進してまいりますためには、事前に関係団体に対して十分説明責任を果たすことが必要であると考えられますが、この国直轄事業負担金の内容につきましては積極的な公開を進めるべきだと、こういう意見がさきの地方分権推進委員会における勧告にも盛り込まれておりまして、政府においても、平成十年には地方分権推進計画として閣議決定がされているところでございます。  このため、私どもといたしましても、毎年度関係省庁に対しまして、地方公共団体に対する説明責任を果たすと、こういう観点から、直轄事業の実施につきましては地方公共団体との事前協議のルール化を図りますとともに、現に事前協議が行われているものにつきましても、その内容の充実を図られたい旨、またその負担金の積算内容を十分に公開されたい旨を申入れをいたしているところでございます。
  168. 又市征治

    又市征治君 それだけではなくて、国が公共事業を増やしたことのしわ寄せが地方独自の治水事業の遅れにもなって出てきていますね。  さっき、これだけ執行残額がたまったという理由を何かいろいろと述べられましたけれども、現行の第九次治水七か年計画では公共事業の進捗率一一八%なのに地方単独事業は六五・四%と非常に大きな格差が出ている。倍近い格差ですよ。治水だけじゃなくて、同じような公共地方単独の差は、急傾斜事業、あるいは治山事業、海岸事業でもこういう格差が出ている。この結果、遅れている地方単独事業の中には、国のめがねにはかなわなかったかもしらぬけれども、地域住民の生命、財産にかかわる河川事業などもあるわけです。地方事業を圧迫しないためにも、国はやっぱり公共事業の乱発というのはやっぱりやめて、過大なこんな繰越しについても、ダム建設など、後でもう少し具体的に触れますけれども、事業自体を見直して繰越しの解消、整理をやっぱり図るべきだろうと思うんです。これは時間がありませんから指摘にとどめておきますが。  今、総務省からも話があったように、二〇〇二年十月の分権推進会議の意見でも、直轄事業を限定しなさい、あるいは自治体に財政判断の余地を与えなさい、こんなこともちゃんと指摘しているわけですね。是非そういう立場でしっかりこの見直しをやっていただくように求めておきたいと思うんです。  そこで、治水特別会計は、今も申し上げてきましたけれども、約二〇%の自治体負担金を別にすれば実質的には一般会計で賄っているわけですね。三月十日のこの委員会で塩川財務大臣は、そういう会計は一般会計に整理をすると、こう述べておられるわけですね。実際、税金の直接の投入、はっきりさせるためにむしろそうすべきなんだろうと思います。  改めて、財務省のこの件に対して、大臣そういうふうに答えていますけれども、見解を伺いたいと思います。
  169. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) まず一般論でございますけれども、特別会計についての規定は財政法十三条に規定されております。それによりますと、特別会計は、一、国が特定の事業を行う場合、これ事業特会と言っていますけれども、二番目は、特定の資産を保有してその運用を行う場合、いわゆる資金運用特会、三番目としましては、その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入歳出を区分して経理する必要がある場合、これが整理資金特会ですけれども、この三つに限りまして法律をもって特別会計を設置することができることになっております。  御指摘の治水事業につきましては、何で特会で管理しているかという理由でございますけれども、二つありまして、一つは、国自らが多数の直轄工事を長時間にわたって実施しているところであり、一般会計と区分して経理することにより、多額の費用を掛けて行われる同事業の長期的な成果を明らかにするということが一つでございます。それで二つ目は、治水事業におきましては、個々の工事について、先ほどありましたように、地方公共団体や電気事業者など国以外の者が財源を負担する枠組みが設けられております。これらの負担金は特定の工事の費用に充てるために徴収されるものでありまして、他の用途に使用されるものではないため、治水工事に係る受益と負担の関係を明確にするために一般会計と区分して経理することとされております。  以上が一般論でございますけれども、当然ながら、特別会計についても、大臣が申しましたように、一般会計と同様、事業の在り方について不断の見直しを行う必要があると思っております。  それで、具体的には、今般、財政制度審議会に特別会計小委員会を設置したところでありまして、こうした場を活用しまして、経済財政事情の推移や国民のニーズ等を踏まえて特別会計の事業の見直し及び特別会計の歳出の効率化、合理化等について検討を進めてまいりたいと思っています。  また、実は特別会計のディスクロージャーについても検討を行っておりまして、これも、財政制度審議会公企業会計小委員会におきまして、現行の予算決算等に加えまして、企業会計の考え方を導入した新たな財務書類を作成するための取組を進めておりまして、その作成基準を本年六月に取りまとめる予定でございます。
  170. 又市征治

    又市征治君 具体的な今度は事業の問題点について触れたいと思います。  執行残だけたまったんじゃこれは困るんですが、ダムにもう土砂がたまり過ぎて、一定時期にはこのダムの湖底にたまった土砂を放出をする排砂という作業が行われております。これによるヘドロが、下流はもとより遠く離れた海底まで堆積をして、漁業に広域的な被害を与えて係争になっている例があります。  私の出身の富山県の黒部川宇奈月ダム及び出し平ダムの排砂について、昨年六月に地元漁業者から富山県公害審査会に提訴をされて、国土交通省は関西電力と並んで調停の場に出たわけですが、国はこれを拒否をした。なぜこれは拒否されたのか、伺いたいと思います。
  171. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 富山県公害審査会におきまして、御指摘のように、この審査会に先ほど言われた案件が提訴されたわけでございます。  この公害紛争調停の内容につきましては、公害紛争処理法第三十七条により非公開で行われておりまして、調停の場での内容について公表しないということになっておりますので、ただいまの委員の御質問に直接お答えすることは差し控えていただきますが、ただ、調停の内容ということについては今申し上げたようなことでございますが、この問題についての私どもの基本的な考え方をこの場で御説明しておきたいと存じます。  それは、まず、この御指摘のような出し平ダムの土砂を関西電力が、平成三年だったと思いますが、排砂して、それに伴って下流の方で被害が起きてというような一連の流れの中でこの問題が起こったわけでございます。  国土交通省といたしましては、その後ずっと時間がたっておりますが、平成年度から毎年、その前に、平成十三年からは宇奈月ダムというものが完成したわけでございます。その宇奈月ダムと上流の関西電力が設置した出し平ダムの排砂という問題を両者がちゃんと連携を取って上手にやっていく必要がある、これがまず基本的な認識でございまして、それを有効にやる、実施するために、次のとおり地域の皆様の意見を反映させながら毎年度、排砂計画、環境調査計画を策定し、それに基づいて調査も実施しながら実際の排砂ということを行っているわけでございます。  具体的にもう少し申し上げますと、まず排砂計画、環境調査計画の原案を作成いたします。この原案を申請人の皆様も含む海面漁業関係者で構成されるところの黒部川汚濁対策現地協議会に説明させていただき、そして御意見を伺い、排砂計画、調査計画の策定に反映させてまいります。  そして、このようにして、まあ反映されたと申しましょうか、修正された、場合によっては修正されたその案を、この案を学識経験者から成ります黒部川ダム排砂評価委員会というのを組織しておりまして、ここに諮って評価していただき、そして更にその案を流域の一市三町の代表である市町村及び県の農林水産部局等の関係部長等で構成する黒部川土砂管理協議会、こういうところで協議していただいて、その上で実際に毎年度、排砂計画、調査計画というものを作って、それに基づいて実施しているというところでございます。  なお、最終的に、その協議会におきまして最終的な調査結果を作る前段で、再度、先ほど申し上げました海面漁業関係団体の意見をもお聴きした上で協議会に報告をしていただいて、そして最終的な案を作ると、このようなことをやっているわけでございます。  私どもといたしましては、これまでも申請人の皆様が所属する海面漁協等で構成されております黒部川汚濁対策現地協議会の場を通じて御説明を行い、御意見、御提案を伺ってきたところであり、今後とも多様な意見を聴くように努めるとともに、要望や提案につきましても引き続き誠実かつ適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  172. 又市征治

    又市征治君 長々御説明いただきましたが、現実に、この調停に応じないために訴訟になったわけですよね。去年の年末でしたね。訴訟が起こっているわけです。そして、二件の訴訟が起こされているわけですね。現実に、何か影響がないみたいなことをあなた方はおっしゃっているんですが、じゃなぜ一体全体、漁獲量が減り、廃業に追い込まれている定置網が二つも出ておるとか、あるいは黒部川沿岸に堆積しているヘドロは一体どこから来たのか、排砂にした土砂は一体どこに堆積したのか、こんなことをやっぱりそこにいる漁民の皆さんと一緒に相談しなきゃいかぬので。  全く、あなたがさっきおっしゃった九一年の出し平ダムの排砂に伴って関西電力が富山県漁連に三十九億円もの多額の根拠不明な補償金だとか漁業振興費を出したわけですね。ところが、そのうち八億円は周辺の自治体に寄附している、そして漁民には三億五千万しか行っていない。だから、大変にこの金の支払が不明瞭だということで問題になっておるし、そして、まして電力会社が漁業振興費を支出するというのは、これは違法でしょう、明確に。これ、電気事業法からいってももう違法だと思うんです。これは昨年の同じ農水委員会で、これ質疑で明確に違法性は明らかになっていますよ。  そういう格好で来ておって、今訴訟中という格好になっているわけですが、時間がなくなりましたから簡潔にいたしますが、一千七百四十億円も掛けてこの宇奈月ダムというものを造りましたけれども、始めの当初の目的であった、一つは利水です、それからもう一つは洪水調整です、もう一つは発電ですと、こう言っておる。利水、やっていないんでしょう。発電はごくわずか。そして、洪水調整効果、何のことはない、四十センチだけ水位が低減効果があった。四十センチですよ。だとすれば、こんなもの、護岸堤防を少しかさ上げして補強すれば十分にできた話。これに一千七百四十億円も掛けて、そして環境破壊は進むわ、漁業被害は進んでいるわ、観光のイメージダウンはなるわ、流れる水はなくなったわ。正にダム、言葉を逆さにしたら無駄なんですが、本当にこんな浪費としか言いようのない、こんな格好なんですよ。  だから、そういう意味でこのような、今こそダムの問題がいろいろと問題になっているわけでありまして、こんなところを、これ大臣、ぱっと、先ほどもおっしゃいました公共事業の一面、必要性は私も十分知った上で申し上げますけれども、こういう状況というものについて、率直にやっぱり見直すところは見直し、とりわけ今実際に被害を受けておる住民いるわけで、訴えられているわけですね。だから、漁業やあるいは環境と両立できる、排砂ゲートの常時開放、こういった問題も含めた河川の運営の検討もしてほしいし、ダムの全体的な見直しもしてほしい、こんなふうに思うんで、是非、先ほどから聞いておられての感想を含めて大臣からの御検討をいただきたい、御回答をいただきたいと思います。
  173. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 又市委員が期せずおっしゃいました、ダムを反対に言ったら無駄と。無駄であるなら私は巨額な費用を掛けてまでする必要はないと思いますけれども、下流の人命あるいは治水の問題等々、先ほどからも環境の話が出てまいりまして、岩本議員が、環境とは何だろう、下流の人たちの治水のあるいは利水の皆さん方の環境保全はどうあるべきかと。ただ自然に置いておけば全部いいというのではなくて、私は、あらゆるところでダムの必要性とダムの無駄と両方あると思うんですね。  ですから、私たちはその意味で、あるものを排砂する、その砂を取ってきれいにするだけで済むならいいですけれども、もっと私たちは根本的に、日本は無駄無駄とおっしゃいますけれども、アメリカのフーバー・ダム一つに比べて、日本じゅうのダムとフーバー・ダムと同じ大きさなんです。それくらい日本は細かくそれぞれの地域に合った対応というものを私たちしておりますので、今お話出ましたように、その地域皆さんの、上下中流、下流、多くの皆さんの意見を聞いて私はするべきであるという方針だけは間違いなく徹底しております。
  174. 又市征治

    又市征治君 終わります。
  175. 中原爽

    委員長中原爽君) 他に御発言もないようですから、国土交通省環境省及び住宅金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十四分散会