運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2003-04-01 第156回国会 参議院 経済産業委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年四月一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任         簗瀬  進君     松井 孝治君      若林 秀樹君     小宮山洋子君  四月一日     辞任         補欠選任      片山虎之助君     森元 恒雄君      近藤  剛君     吉田 博美君      小宮山洋子君 ツルネン マルテイ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田浦  直君     理 事                 魚住 汎英君                 加納 時男君                 松田 岩夫君                 木俣 佳丈君                 平田 健二君     委 員                 小林  温君                 関谷 勝嗣君                 福島啓史郎君                 保坂 三蔵君                 森元 恒雄君                 吉田 博美君             ツルネン マルテイ君                 直嶋 正行君                 藤原 正司君                 松井 孝治君                 鶴岡  洋君                 松 あきら君                 緒方 靖夫君                 西山登紀子君                 広野ただし君    国務大臣        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (産業再生機構        (仮称担当大        臣)       谷垣 禎一君    副大臣        内閣府副大臣   根本  匠君        経済産業大臣  高市 早苗君        経済産業大臣  西川太一郎君    大臣政務官        総務大臣政務官 吉田左エ門君        経済産業大臣政        務官       西川 公也君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        塩入 武三君    政府参考人        内閣産業再生        機構仮称)設        立準備室長    江崎 芳雄君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        鈴木 孝之君        法務省民事局長  房村 精一君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        望月 晴文君        経済産業省経済        産業政策局長   林  良造君        中小企業庁長官  杉山 秀二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○株式会社産業再生機構法案内閣提出衆議院  送付) ○株式会社産業再生機構法施行に伴う関係法律  の整備等に関する法律案内閣提出衆議院送  付) ○産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○公正取引委員会内閣府の外局に移行させるた  めの関係法律整備に関する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、若林秀樹君及び簗瀬進君が委員辞任され、その補欠として小宮山洋子君及び松井孝治君が選任されました。     ─────────────
  3. 田浦直

    委員長田浦直君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  株式会社産業再生機構法案株式会社産業再生機構法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会内閣産業再生機構仮称設立準備室長江崎芳雄君、法務省民事局長房精一君、経済産業大臣官房商務流通審議官望月晴文君、経済産業省経済産業政策局長林良造君及び中小企業庁長官杉山秀二君を、また、公正取引委員会内閣府の外局に移行させるための関係法律整備に関する法律案審査のため、本日の委員会公正取引委員会事務総局審査局長鈴木孝之君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田浦直

    委員長田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 田浦直

    委員長田浦直君) 株式会社産業再生機構法案株式会社産業再生機構法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうもおはようございます。民主党・新緑風会の直嶋でございます。先日に引き続きまして質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず最初に、前回積み残した部分から質問に入りたいと思います。  要は、対象企業再生計画実行段階において債権機構が行う債権放棄について、政府の資料でお示ししてやり取りをさせていただきました。その際、根本大臣お答えいただいたんですが、要はその際の債権放棄というのは、要するに簿価と、買取り資産簿価と買取り価格差額分であると、こういう御説明をいただいたわけでありますが、同時にこの産業再生機構法の第二十九条において、二項でありますが、必ずしもその資産差額ではなくて経済情勢状況によっては云々ということで債権放棄ができるような部分がございます。  したがいまして、まず確認させていただきたいのは、前回質疑お答えになったいわゆる資産価格差額としての債権放棄以外に債権放棄を考えておられないのかどうか。それから、逆に言いますと、新たな損失につながるような債権放棄は一切ないと、こういう理解でよろしいのかどうか、まず確認させていただきます。
  7. 根本匠

    ○副大臣根本匠君) 先生前回質問に引き続いての御質問ということで私なりに頭の整理をしてお答えしたいと思います。  前回質疑では、私が御説明申し上げましたのは、機構債権を買い取る場合にどういう頭のメカニズムで債権を買取りするかと。それは事業再生計画というのを念頭に置いて、こういう事業再生計画なら事業再生できるだろうということで買い取りますが、その際に、当然その企業債務超過企業ですから、簿価簿価として残りますけれども、実際に買取り価格簿価よりも低い価格で買い取ることになると。そういうことで考えますと、要は当然債務過剰企業ですから、事業再生させるためには簿価から債権放棄してあげて債務を圧縮しないと事業再生は成り立ちませんから、買い取った段階のいずれかの時点で、直後かもしれませんが、簿価から債権放棄はいたしますと。ただし、その債権放棄はそれを踏まえて適正な時価で計算していますから、そこは簿価債権の買取り価格範囲内での債権放棄になると、こういう説明をさせていただいたところであります。  で、先生の御質問は、その後この事業計画は我々きちんとモニターしてやっていくわけですが、その後、更に債権放棄しないとこの事業計画が円滑に再生するようなことにならないというようなケースも実はないとは言えないと思います。そういうときに追加的な債権放棄をするのかどうかと。この二十九条、先生の引用されたこの二十九条の二項の「機構支援決定に係る事業再生計画に予定していない債務免除を行う必要が新たに生じた場合」と、これはそういうケースになるだろうと思われます。そのときには、確かにこの法律にも書いてありますが、再建計画を勘案して適正な時価で買い取るわけですが、そのときに想定していたこの債務免除債権放棄以上の債権放棄をしないと事業再生できないというケースが、ゼロかといえばあり得るわけですから、そういうことを、ケースも想定されないわけではありませんので、それはそういうケースはあると思います。  そのときには、そのときの実は判断ということになりますが、この機構事業対象事業者事業再生機構の保有する債権価値を最大化し、国民の負担を最小化すると、こういう使命を帯びていますから、そういう観点で追加的な債権放棄が、これが最適な手段かどうかと、これを十分見極めることになると思います。それからさらに、手続的にはその際には主務大臣のほか事業所管大臣意見も聞くと、要は二重に引用して準用しておりますので、そういう厳格な支援決定段階と同じ厳格な手続で対応するということになると考えます。
  8. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、ですからこの間のお答えとは違って、新たな債権放棄が発生する可能性があるということですよね。ただ、今の御答弁の中でやはりいわゆる第二次に、新たに債権放棄をしないと再生計画が成り立たないと、こういう判断に立つという場合には当然これは元々の再生計画の見方なり、あるいはそこでの買取り価格に問題があったというわけですから、それはないようにしてもらわなきゃ困るということはもちろんなんですが、その場合は当然債権を売った側の金融機関にその差額を求めると、例えば契約上瑕疵担保条項を入れるとか様々なやり方あると思うんですけれども、そういうことは当然やるべきじゃないかと思うんですがどうなんでしょう。
  9. 根本匠

    ○副大臣根本匠君) 私が申し上げましたのは、要は前回答えたのは、くどいようでありますが、最初再建計画を、厳格な再建計画を吟味して、買い取る場合の考え方における債権放棄の話を申し上げたわけですが、もう一つ、もう一度買い取った後、債権放棄のような状況が起こるとすれば、そういう状況は私はやはり経済情勢が相当変化すると、そういうような状況で本来買い取るときに厳密な厳格な事業再生計画というのをやるわけですから、実はそこが徹底的にそこで勝負するわけでありますから、その後の状況変化というのはやはり経済情勢の意図せざる変化とか、そんな状況の中でそういうことは想定されると思いますが、ただ、その場合には先ほど言ったような厳格な手続でやりたいということであります。  その場合に、先生の御指摘の売った先の金融機関に要はその分をいわゆる例えばロスシェアルールのようなものをあらかじめ入れておいてそれで負担させたらどうかと。それは私もそういう意見があるというのは存じておりますが、ただそういうロスシェアルールのようなものを付けますと、結局は売った金融機関にとってみればそこはオフバランス化されないということになりますから、相変わらず自分が持っていたのと同じ状況になって実はオフバランス化されないことになるわけですから、そうなりますと、じゃ、果たしてその金融機関がそういういつまでもオフバランスされないというようなことで債権を売るのかと。そういう状況になりますと、相当、債権買取り申込みというのはちゅうちょすることになるだろうと思うんですね。  そうなりますと、今回のこの法律が目的としております不良債権処理事業再生産業再生が進まないということになりますので、私は、やはり債権を買い取るとき、そこが厳密に事業再生計画を吟味して専門的な見地からきちんとそこを買い取るということを基本とすべきであって、ロスシェアルールのようなものを設けるのは適当ではないと思います。  いずれにしても、繰り返しになって大変恐縮ですが、事業再生計画を元にした対象事業者再生可能性審査は厳正に行って、買取り価格を下回るような債権放棄がないように債権の買取りを行う、これは当然のことだと思います。
  10. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 結局、そういう余地を残しているということになると、それは金融機関の側から見るとまだ依然として債権が残るということになるのかもしれませんけれども、要するに再生計画は三年なんですよ。十年も十五年も掛けた再生計画じゃなくて、たかだか三年なんですよ。  だから、もちろんそれは何が起こるか分かりませんけれども、万が一の保険のようなものでもないんでしょう。今の御答弁を聞いていると、多少やっぱり金融機関債権が残らないように考えざるを得ないようなお答えですから。やっぱり購入段階で当然厳格にやるというのは当たり前の話なんですけれども、たった短期の三年の再生計画で当初の購入段階で見通せないというのは、それはそもそもやっぱり見方の問題が出てくるんじゃないかと思います。  間違えても、お願いしたいのは、再生計画終了間際になって更に債権放棄やってなんということはないようにしてもらいたいんですよね。これはよろしいですか。
  11. 根本匠

    ○副大臣根本匠君) 今回の法律特徴は、買取りの段階で二重に三重に厳格な買取りの仕組みをしているというところに私は特徴があると思うんですね。三年後にきちんとスポンサーが見付かる等のリファイナンスできるという出口を見据えた価格で、しかも厳正な仕組みで買い取るわけですから、私はそこは非常にここは仕組みとしてはきちんと作り上げていると思います。  それから、三年のその売却の、売却のぎりぎりになって債権放棄を更にするのかどうかということですが、これは私はいろんなケースがあると思いますが、やはりあくまでも事業価値再生ができるかどうか、どの程度の事業価値になるかどうか、これが大事であって、そこが、いろんなパターンはあると思いますが、もし本当に再生できなければ、そこはまあ法的処理ということのケースにもなりますし、あるいは何か安くたたき売るというケースだってあり得ると思いますが、つまりそういう選択肢がいろいろある中で債権放棄をした方がこの事業再生するかどうかと、ここのところの私は判断で、その場合にはやはり産業再生委員会でもう一度そこは厳格にやりますから、ここは非常に慎重に厳正に厳格にやることによって対応するということになると思います。
  12. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 特に、この法律規定を見ると、三年以内でやるように努力しなきゃならないという書き方になっているんですよね。ですから、やはり間際になって今お話しのようにロスが一番少ないとかいろんな理由で更にその再生計画を延長していくというようなことはないようにやはりきちっと処理していただきたいということを重ねて申し上げておきます。  それから、今の再生委員会役割ともかかわるんですけれども、ちょっと今日、法務省、来ていただいていますか。この間、我が党の若林議員が若干商法のいわゆる重要財産委員会とこの委員会との関係について質問をさせていただきましたが、ちょっと今日は違う角度から確認をしたいと思うんですが。  まず、法務省にお伺いしたいんですけれども、商法特例法、今日実施ですかね、この重要財産委員会取締役会決議により重要財産委員会を設けることができると。そして、この重要財産委員会が、問題はここから先なんですが、いわゆる取締役会における責任と同じように法令又は定款に違反する決議を行って会社損害を生じたと、こういう場合に、その重要財産委員会委員である取締役というのはどういう責任を負うことになるんでしょうか。
  13. 房村精一

    政府参考人(房村精一君) 御指摘重要財産委員会委員取締役でありますので、当然取締役として会社に対して善管注意義務及び忠実義務を負っております。したがいまして、御指摘のような違法な決議を行って会社損害を与えた場合には会社に対して賠償責任を負うということになります。
  14. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 その場合なんですが、商法二百六十六条だったと思うんですが、いわゆる損害を与えた行為そのものはもちろんなんですけれども、二百六十六条の二項及び三項によって、いわゆる決議に、例えば取締役会の場合ですと決議に賛成をした取締役はその行為をなしたものとみなすと、こういうみなし責任規定というのがあります。それから、三項には、議事録にその異論を、異議をとどめなかった取締役は賛成したものと推定するという推定責任規定と、この二つが二百六十六条にはあるんですけれども、この重要財産委員会委員である取締役責任追及において、これと同様のいわゆるみなし責任推定責任というのは対象になるんでしょうか。
  15. 房村精一

    政府参考人(房村精一君) 御指摘商法二百六十六条の二項及び三項は、重要財産委員会決議には準用されておりませんので、重要財産委員会決議に関してこの規定適用はございません。
  16. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、行為そのものは同じように責任を問われるけれども、責任追及においてはいわゆる一般的な取締役会における決議よりも若干その責任は問われづらい形になっているというふうに言えるんじゃないかと思うんですが。  それで、この産業再生委員会なんですが、先日、谷垣大臣答弁の中で、この重要財産委員会一つモデルにしてということで御答弁されておりました。この産業再生委員会がやはり例えば今ちょっと議論させていただいたような必要な調査を怠って適正な時価を上回る価格債権の買取り決定を行い機構損害を与えたと、こういうケースがあった場合、その産業再生委員会委員である取締役というのは、その個人の責任追及というのはどういう具合になるんでしょうか。
  17. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 産業再生委員会委員は、これは取締役でございますので、先ほどの重要財産委員会についての民事局長の御説明と同じように善管注意義務それから忠実義務というものを会社に対して負うわけですので、これに反して会社に今おっしゃったような形での損害を与え、義務違反があって損害を与えた場合には、商法二百六十六条が、二百六十六条のこれは第一項の方ですね、適用されるという形になります。  それで、先ほどの御議論のように、二項、三項ですか、その立証責任を軽減したり転換したりしているような規定だったと思いますが、それの適用重要財産委員会と同じように準用をしていないということであります。
  18. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そうすると、要するにこの今の再生機構のスキームですと、取締役会債権の買取りの意思決定をするんではなくて、再生委員会に委嘱をする形で意思決定をするわけですね。そうすると、この再生機構にとっての最も重要な部分について、通常株式会社における取締役会取締役としての責任よりも、裁判になったりすると、このみなし責任だとか推定責任があると、これは挙証責任がありませんから責任は追及しやすいんですけれども、この仕組みだと再生委員会委員としての取締役責任は、一般取締役会におけるその責任に比べて責任が追及しづらい形になっている、こういうふうに思えるんですけれども、この点はどうなんでしょう。
  19. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これはむしろ民事局長に答えていただいた方がいいのかもしれませんが、重要財産委員会委員について、今の二項、三項を適用しないことにしたのと同じ趣旨だと。それを我々学んでしたわけですが、私はその当時の重要財産委員会立法趣旨を全部押さえているかどうかちょっと自信はないんですが、この重要財産委員会にせよ、あるいはこの産業再生委員会にせよ、取締役の数は必ずしも多くございません。  大きな会社ですと取締役の数だけで相当になるということがあって、その当時、じゃ取締役がどういう行動を取ったのかということを必ずしも立証しづらいということが一般取締役会ではあると思います。しかし、産業再生委員会の場合には小人数でございますので、だれがどういう判断をし行動をしたのか、賛否をしたのかというようなことは、一般原則に戻って会社側立証責任というものを負わせても、必ずしもその立証に難しい状況ではないということで重要財産委員会の方も決めていただいていると思いますので、それに取ったということでございます。  それから、もちろん責任範囲自体は、先ほどの御議論にもありましたけれども、二百六十六条の一項の責任を負うというその責任範囲は変わらないものでございます。
  20. 田浦直

    委員長田浦直君) 房村局長
  21. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 手短にお願いします。
  22. 房村精一

    政府参考人(房村精一君) はい。重要財産委員会について若干補足をさせていただきます。  ただいま谷垣大臣から御説明したとおりでございますが、もう一点ございますのは、近代法責任を負うというのは、自らの行為によって損害を与え、それに過失があるという場合に責任を負うのが原則でございます。それに関しまして商法の二百六十六条は、特則として、取締役に関して無過失責任を認め、あるいは立証責任転換等をしているわけでございますが、この規定について様々な批判もあるところでございます。  そういうことから、昨年の通常国会商法を改正する際には、新たに設けます委員会等設置会社については、取締役執行役責任過失責任原則として、また、この商法二百六十六条の二項、三項に規定する推定あるいはみなし規定原則として置かないということとしたわけでございます。それと同様に、重要財産委員会についても、二百六十六条の二項、三項の準用はしないということとしました。  また、現実にその重要財産委員会決議事項も限られており、人数も少ないということから、二項、三項の準用をしなくても、会社がその重要財産委員会の違法な決議について委員責任を追及する上に支障はない、こう考えたところでございます。
  23. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 重要財産委員会の方はもう審議の終わった話ですから、ちょっとこれで終わりたいと思いますが、要するに、さっきもちょっと議論させていただいたように、この再生機構の場合は損害が出ると税金で穴埋めをする可能性が非常に高いわけですよね。ですから、そういう意味で言いますと、やはりその責任はきちっとできるだけ厳しく問われるべき仕組みにしておくべきだ、私はそのように思うんですけれども。  ですから、確かに重要財産委員会は少人数でという部分はおっしゃったとおりかもしれませんが、機構というこの組織の性格上、むしろ厳しく問われる形にしておくべきではないかと思うんですが、そういう御議論はなかったんでしょうか。
  24. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 法制局とどういう詰めを、議論をしたかというようなことまでは、私、必ずしも十分把握しているわけではありませんが、私の関知しておりました限りでは、重要財産委員会仕組みをそのまま踏襲するという議論でございまして、今、委員のおっしゃった点については、必ずしも踏み込んだやり取りは私自身に関する限りはしておりませんで、今日、この議論は実は初めて勉強させていただいたというのが正直なところでございます。  ただ、そういう重要財産、今、民事局長の御答弁がありましたような趣旨を考えれば、責任範囲自体は限局されていないので、これで十分対応できるのではないかというふうに私は思っております。
  25. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 こういう議論も是非した上で御検討というか、今の法案作っていただきたかったと思いますが、ちょっと次のテーマに移りたいと思います。  それで、今度は、先日のやり取りの中でも大臣や副大臣の方から、この再生機構については、日本にまだ再生ビジネスというものがきちっとビジネスとして確立されていない、そのためのある種のモデルといいますか、マーケットの拡大も含めて、この再生機構にはそういうモデル的な役割といいますか、そういうものを担っているんですと、こういうお話もあったんですけれども、それで、この債権の買取りには、例えばDCFとか、いろいろとテクニカルなことが言われているんですが、ちょっと基本的な部分を確認させていただきたいというふうに思うんです。  それで、資料、多分お手元に行っていると思いますが、こういうA4一枚の資料がお手元にあると思いますが、(資料を示す)買取り価格売却価格との関係でいくと、例えば民間のいわゆる事業の場合は、買取り価格というのは言うまでもなく、ある種、商品の仕入価格になります。ですから、売却価格が幾らになるか分かりませんが、当然買取り価格決定に当たっては、その企業における例えば収益の目標であるとか、当然こういう場合は投資家からお金を集めていますから、この種のものになるとかなりハイリターンを約束して投資家からお金を集めているケースが多いもんですから、かなりこれは収益部分も大きくなるというふうに思うんですが。  それから、もちろん企業として必要なコスト、いろんなものがそこに含まれた上でこの買取り価格というのは判断されると。ところが、この法案見たり、ずっと一連のこれはもう衆議院以来の議論を拝見していまして、再生機構の場合はここのところがはっきりしませんで、ちょっと私の感覚で言うと、買取り価格売却価格というのはほぼ近い。イコールじゃないかもしれませんが、かなり近い。あるいは、場合によってはさっきの話じゃありませんが、これ一〇〇プラス・マイナス・アルファと見ていますが、マイナスアルファではなくてプラスアルファになることも想定をしてこのスキームは作られているんじゃないか、こう思うわけです。そうすると、七〇が正しいとか三〇が、これはちょっと私の仮置きの数字ですから、考え方ということで見ていただければ結構なんですが、やはり民間のビジネスと基本的に物の考え方が違うんじゃないかと。  もう一つ、民間サイドから見ると、これは明らかに産業再生機構がこういう、ここで私が提示したような運営をされると、当然これは資産の高値買いになります。民間では手が出ない価格機構は買い取っていく、こういうことになりますから、むしろ民間のビジネスをより定着をさせたり拡大をするということではなくて、むしろ民間がやっていることを機構が召し上げていく、取り上げてしまって逆に民間の方は手が出せなくなる、こういうことにつながってくるんじゃないかと思うんですけれども、この点はどうなんでしょう。
  26. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この数字は仮置きとおっしゃいましたが、七〇か三〇かは別としまして、民間の場合だと正にこういうことを考えるんだろうと思います。じゃ、産業再生機構はどうかといいますと、産業再生機構も全く同様に考えるんだと思います。といいますのは、やはり経費というものは、当然、出さなければ結局あとを国費で補てんするというようなことにならざるを得ませんから、当然買うときは経費というものを考えなきゃいかぬと。  それから、これは株式会社でございますから、今ちょっとハイリターンということをおっしゃいまして、我々がハイリターンを求めなきゃならないかどうかは別でございますけれども、やはり適正な極大化を求めるかどうかは別としまして、収益はやはり求めなければいけないんだろうと思います。それで、今までDCFとかいろんな言葉もあって、いろんな手法もあって、説明させていただきますが、説明があるわけですが、あの中で、割引率という中で普通は諸経費や収益を見込むんだろうと思うんですね。ですから、この場合、我々の機構においても全くそこは同様であると。  ただ、この図だけ、委員出していただいたこの図だけで必ずしも言えませんのは、要するに民間が、まだ市場も十分なくて、民間が必ずしも手を出すのをちゅうちょするような案件も我々は扱う場合があるだろうと思います。その場合に、果たしてどういうふうに考えるかというようなことが、つまり政策目的に合わせて、全くの利益本位ではない、ある程度考えなければならない余地が我々にはあるわけでございます。  そこで、実はこれはまだ私が経営者の立場に立っているわけではありませんので、そこまで申し上げていいかどうかは分からないんですが、結局我々の場合の難しさは、利潤極大化を必ずしも求められているわけではない。預金保険機構が株主でありますけれども、利潤極大化を必ずしも我々に要求しているわけではないと。そこに若干我々ゆとりがあることも事実でございます。  それから、もう一つゆとりがございますのは、資金調達コストというものが国に債務保証していただいている関係で、民間の資金調達コストよりも掛からないというのが普通であろうと思います。我々にはその分の余裕はございます。それを我々は、多分まだまだ十分民間が手を出し切れない、市場なんかができていなくて出し切れないところにやっていくときの、何というんでしょうか、バッファーという、リスクのバッファーというものをそこに見込むのかなというふうに私は考えているところでございます。
  27. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 例えば、今の大臣お答え、そのいわゆる機構の特性上出てきた、後段の方の話はちょっと別にして後でまた伺いたいと思いますが、前段の物の考え方ということでいうと、きちっとしかるべき利潤も上げていく、コストももちろんそれで賄っていく、そういう価格設定をすると。そうすると、例えば当然利益が上がれば法人税も払うと、こういうことでよろしいんですか。
  28. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 当然そうでございます。
  29. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう一つはバッファーの部分の話なんですが、結局ここは機構と民間とは相当違う部分になるんじゃないかと思うんですね。というのは、民間から見ると手が出しづらいということは、逆に相当リスクが高いわけですから、相当なリターンを前提にして価格をはじかないと合わないと、多分そういうことになるんじゃないかと思います。  機構の方は、今おっしゃったように、その性格上別の目的がありますから、なるべく今おっしゃったような余裕部分、コストの低いところとか、必ずしも利潤を追求しなくてもいい、こういう性格から割合手が出しやすいと。  そうすると、一つ私なんか心配するのは、金融機関のサイドから見た場合に、同じ要管理といっても、多分確実にここならまあ再生できるという債権もあるし、まあここはちょっときついなと、こういうものもあると。そうすると、金融機関から見ると、この前者の方はできるだけ自分でやって、将来のいろいろなビジネスにも対応できるし、自分でやって、まあちょっとこっちの後者の方をやっぱり機構に持ってもらいたいと、こういうことになってくるんじゃないかと思うんですけれども、それは僕はビジネスをやっていく上での一つの真理だと思うんですけれども、そういう部分についてはどうなんでしょう。
  30. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 直嶋委員のようなことはあるのかなというふうに私たちも思わないわけではありません。むしろ、そこがやはりある意味ではこの機構の求められているところであって、なかなかほぐれていかないところをほぐすという役割をやっぱり我々は果たさなきゃいけないんだろうと思っておりまして、そこをほぐしていくための、先ほどバッファーという言葉が良かったかどうかは別として、リスクに対応するものとしてさっきのようなことを考えてやっていくのかなと思います。  しかしながら、先ほどの議論に戻りますと、値決めの付け方で、言わば余裕部分を使って、つまり高値買いをするというようなことをやりますと要するに市場の形成をこの機構がゆがめてしまうということになるわけでございますので、それはやはり、もっとも、ほかに民間が手を出さないときに適正な価格は何なんだという判断自体が実は非常に難しいんだと思うんですけれども、そこを余り安易にやりますと市場をゆがめる、そのことは一方戒心しなきゃならないことだなと、こう思います。
  31. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 是非、民間の障害にならないようにひとつ、これお願いを申し上げたいというように思います。  それからもう一点、ちょっと確認をさせていただきたいんですが、今度は、買い取った後の、いわゆる再生をして売却をすると。このやり方は、もうあらかじめ買手を見付けておくとかいろいろあるかとは思うんですが、ただ、今の、私もいろいろ関係者にヒアリングしていますが、この再生ビジネス市場というのはどうもはっきりしないんですね。いろんなものを合わせてまあせいぜい、いろいろ一兆円ぐらいですとか、あるいは多少、周辺商品含めてまあ二、三兆円でしょうというような話を聞くんですけれども、この再生機構でいわゆる政府保証十兆円の枠で仮に三年間するということになると、これは相当なボリュームのものを、買手を見付けて売却しなければならないと、こういうことになるんですけれども、本当にそういう買手がいるのかどうかといいますか、かなりそれは疑問なんですけれども、その点はどうなんですか、何か検証はされているんでしょうか。
  32. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) このスポンサー探しといいますか、買手探しというのが、多分機構が取り組むべき最も大事なと申しますか、難しいといいますか、そういう案件になるだろうというふうに思っております。できるだけ早期に、今おっしゃったように、支援決定のときに、あるいは支援決定から遠くない時点でスポンサー探すような努力はもちろん必要だと思いますが、結局、悩みは、それだけの大きなマーケットが現実にはまだ十分見えていないということが我々の悩みでございまして、やや楽観的な見通しと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、機構側の事業再生に積極的に取り組んでいくことによって私は胎動はあると思いますので、民間でも再生マーケットの育成が図られるのではないかというふうに思います。  それからやはり、今御心配の点でありますけれども、やはり私は、何というんでしょうか、これは海外にもかなり求めないとなかなか今は出てこないのかなという気もいたしております。  その辺は十分見ながらやっていかなければいけないと思っております。
  33. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まだいろいろ機構についてお伺いしたいことはあるんですが、ちょっと時間がもうなくなってしまいましたので、平沼大臣お待ちかねでございますので、産業活力再生機構法の方に質問をさせていただきたいと思います。  それで、まず大臣にお伺いしたいんですけれども、この産業活力再生法は立法のときから、いわゆる三つの過剰ですね、過剰供給、過剰債務、過剰雇用といいますか、この解消を目的にして作られたというふうに思うんですけれども。  ちょっと私も最近いろいろと調べてみますと、例えば今の三つについて申し上げますと、例えば過剰債務というようなことでいいますと、これはちょっと具体的に言った方がいいでしょうから申し上げますと、日本総合研究所でいろいろ分析をしているんですけれども、このデータを見ると、例えばいわゆる八〇年代ぐらいに比べて最近の債務の格差、これを過剰債務というふうに置き換えると、去年の六月現在で約六十兆円増えている、それだけの過剰債務があると、こういうふうにレポートに記載されています。  それから、例えば過剰設備ということについて言うと、これもやはり野村総研の分析なんですが、過剰、全産業ベースの過剰資本ストックというのは約百兆円ある、全産業ベースでこれ置き換えると約二〇%の設備過剰であると、こういうレポートがありますし。  雇用も、申し上げるまでもなく、どれだけ過剰かというのは、数字ははっきりしないんですけれども、例えば最近の厚生労働省の雇用データ等を見ますと、やはり構造的・摩擦的失業というのが比率としてどんどん上がってきています。直近で見ましても、コンマ八から一%ぐらいその比率が高くなってきています。  こうやってデータを追い掛けてみると、当初おっしゃっていた三つの過剰というのは、むしろ軽減じゃなくて増えている、更に悪くなっていると、こういうふうに思うんですけれども、そういう意味では、申し訳ないんですが、この産業活力再生法は余り役に立たなかったんじゃないかと、こう思うんですけれども、この点の受け止めはどんなふうに今受け止めておられますでしょうか。
  34. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 一九九九年に産業再生法制定をした際には、今御指摘のように、選択と集中、これを支援、促進することによって、この三つの過剰対策、これを進めて、生産性の向上を図って我が国産業の活力を再生する、これを目指したところでございます。  詳しくは申し上げませんけれども、約三年半の間に二百二件の事業再構築計画の認定実績があったわけでございます。これまで計画期間が終了した案件のうち当省が認定したものは十四件でございまして、その八割、十一件のケースでは認定基準となっている生産性に関する改善目標値は達成をしているところでございますし、また計画中のものについても、経済産業省所管分で平成十三年度の実施状況報告書があった六十五件のうち約六割のケースで生産性の向上が見られ、そのうち四分の三のケースについては計画終了前であるにもかかわらず基準目標値を達成している、こういった実例がございます。  ただ、我が国産業全体の生産性を示すROAの推移を見ますと、産業再生法の制定後、いったんは持ち直したものの、その後再び下落に転じておりまして、回復基調が定着したとは言い難い状況にあることは事実でございます。  その背景には、多くの事業分野において過剰供給構造が見られたり、過剰債務問題が深刻化しているという状況があるわけでございまして、すなわち総体としてはその三つの過剰というのは、この期間、いったんはある程度解消をしたわけですけれども、近年の景気の低迷でございますとかあるいはデフレの深刻化で再度厳しい状況に至ったと、こういうふうに考えられておりまして、この三年半いろいろ努力をいたしましたけれども、今申し上げたようなそういう背景の中で、確かに御指摘のようなそういう形でこの三つの過剰というものが減少をしないで増えていると、こういうことは言えると思います。  そういった意味からも、今回、改正法案では、この過剰供給構造や過剰債務問題の対応を抜本的に強化するために、いろいろとその改正法の中で対策を講じさせていただいて、そして、この三つの過剰、これに対しては更に力強く政策を展開していかなきゃいけないと、こういうふうに思っているところでございます。
  35. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、今、大臣からもこの実績のお話があったんですが、例えばROA見ましても、マクロ的に数字見ると、問題は利益率よりも、むしろ総資産の回転率が非常に悪いわけです。要するに、設備効率が悪いわけですよね。ですから、大臣が今おっしゃったように、例えば生産性は上がっているかもしれないけれども、必ずしも過剰設備の解消にはつながっていない。実際に今具体的なケース挙げてお話しされましたけれども。  ちょっと私は古いデータであれだったんですが、百八十件ぐらいの段階でちょっと集計してみますと、特に企業のこの過剰設備、ですから、設備を廃棄する、こういう部分でいうと、私が調べた百八十数件の中でいうと、わずか七件しかなかったと。ほとんどはいわゆる登録免許税だとか、そっちの方でこの法律を活用しておられると。  そうすると、やはり一番本当は、その本丸のところがもっとやり方に一工夫、二工夫あってしかるべきじゃないかと。特にこの設備廃棄については、欠損金の繰越期間の延長、通常五年を七年に延ばすと、こういうことなんですけれども、どうもそれだけではうまくいかないんではないかと、ほとんど使っていないというケース考えますと。ですから、運用だとかあるいは認定の考え方にかなり問題があるんじゃないかと。  例えば、これを適用する場合の認定要件が設備の簿価額の五%以上という、全企業の二十分の一ですかね、設備の。こういう、かなりこれもバーが高いというふうなことも言われているんですけれども、こういうところにやはりもっと改善の余地が、改善しなければ逆に言うと実績が上がってこないんじゃないかと、こんな感じもするんですけれども、この点はどうなんでしょう、今回の法案で。
  36. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) 今、先生が例示されました五%以上という要件でございますけれども、これ、設備廃棄などにつきまして、一定の外形標準、これを求めることによりまして、事業再構築計画の目標でございます選択と集中を実現するために、意味のある思い切った設備廃棄などに対して集中的に税制上の優遇措置を講じる、そのためのものでございます。これに対しまして、事業再構築に大きな効果がないわずかな設備の廃棄にまで税制特例を講じることというのは、適切じゃないと考えております。  それで、この設備廃棄などの欠損金特例、余り使われてこなかったということでございますが、これ、二百二件の認定件数のうち、経済産業省分では四件、農水省分で三件ということですから、確かに計七件ということで、余り多くはなかったんですが、この理由は、むしろ要件が厳し過ぎたということよりも、設備廃棄などが労働者に与えてしまう影響が非常に大きいという事情があったと考えておりますので、今回の改正案では、企業が労働者に対しまして割増し退職金を支払い、かつ再就職のあっせんですとか教育訓練を行う場合に生じる費用も特例の対象とすることで、手厚い雇用支援措置を行う場合について思い切った設備廃棄の取組を支援するということにしたものでございます。
  37. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今回の改正で、その今の退職金ですか、退職金だとか設備の撤去費用も計算に入れてよろしいということで、一歩前進はしているのかもしれません。  ただ、本質的に、さっきちょっと言われましたけれども、小さな設備廃棄を対象にするのは問題があるということで五%という基準があるんですけれども、やっぱり使う側からいうと、五%というのはかなり高い基準だと思うんですよね。そういう面でいうと、根本的にそこにやはり使いにくさといいますか、そういうことがあるんじゃないかと思うんですけれども、これはもうなかなか難しい話なんでしょうかね、見直すというのは。
  38. 林良造

    政府参考人(林良造君) 今、副大臣から御答弁申し上げましたような意味で、できる限りの改善ということを試みたところでございます。それから、そのほか今回新たないろんな計画も追加いたしまして、そういった意味で、共同事業再編計画でございますとか、そういうことも含めて使いやすいようにということを考えているわけでございます。  税につきましては、一応ある種の、いろいろなケースの公平性その他を前提に議論をされておりまして、なかなかその五%というもの、これを相当規模のということとして五%ということについて、ちょっと現段階でそれを変更するというのはなかなか難しいかなと思っております。
  39. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 大臣、これ法律の賛否はちょっと別にして、これ本丸なんですよね。さっき言いましたように、百兆円なんですよね、要するに過剰設備、過剰資本ストックというのが。ですから、一番、そういう意味では再三、供給過剰、過剰供給体制の問題点というのをおっしゃっておられますし、ですから、こういう基準とか、それからさっきは私申し上げませんでしたが、税法上の繰延べ期間もわずか二年、わずかと言ったら怒られるかもしれません、五年を七年にすると。  これも、仕組みから見ると日本が一番厳しいんですよね、国際的に見ても、アメリカとかヨーロッパの諸外国と比べても。もちろん、日本的な問題点というのがその背景にあることは承知していますが、しかし、それにしても弾力性がなさ過ぎるんじゃないか。だから、税の公平だとかそういうものの公平性を期すというのは大事なことかもしれませんが、しかし、ここは時限法を作って、今何とかしなきゃということでやっているわけですし、さっきも副大臣答えられたように、わずか七件なんですよ、まだ実績が。それはやはり謙虚に見直してみる、こういうことは必要だと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
  40. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、今、林局長からも御答弁させていただいたように、厳しい面があります。しかし、御指摘のように、過剰設備というものが一つの大きな、過剰生産構造というのが非常に大きな、御指摘のように、ネックになっております。ですから、私どもも財政当局ともいろいろ相談しなきゃいけませんけれども、ここのところはやっぱりいろいろ機動的に考えていかなけりゃいけない、このような認識を持っておりますし、やっぱりフレキシビリティーを付けていくことも大切だと、こういう認識は持っております。
  41. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 よろしく御検討お願いしたいと思います。  それからもう一点、今度は事業分野別の問題についてお伺いしたいんですけれども、今回の法案、法律改正の中で、今ちょっと議論させていただきましたが、過剰供給構造にある事業分野について所管省庁の方で指針を策定すると、こういうことになっています。  この考え方なんですけれども、いわゆる業種に関係なく基本指針というのがあって、その上に事業分野別指針を作ると、こういうことになっているわけなんですけれども、この事業分野別に指針を作ろうということになってきた考え方とか背景について、まずお伺いしたいと思うんですけれども。
  42. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) 現在の産業再生法を制定した際の参議院経済・産業委員会の附帯決議におきまして、事業再構築計画等の認定に当たって、これは行政の過度の介入を排するという観点から、可能な限り認定基準を具体的に提示するなど、手続の透明性確保を図るということが求められました。それで、現在も数値を含む認定基準を公表しまして透明性の高い運用に努めているんですが、今回の法改正に当たりまして、業種横断的な認定基準というものを定める基本指針に対しまして、事業分野別の指針というもの、これは、業態特性などの特別な事情から業態にふさわしい指標を用いるなどの必要がある場合、事業所管大臣責任で固有の基準を付け加えることができるようにするためのものでございます。  つまり、特別な事情、業態特性などの特別な事情というものがあったときに、事業者側からはそういった事業分野別の指針があることで予見可能性も高まり利便性もあるということなんですが、この事業分野別指針というのは、行政の過度の介入を排除するために、むしろそれを排除してより透明性の高い運用を行うためということで、数値を含む認定基準をあらかじめ公表して当該事業分野全体に適用するものであるということですから、行政の過度の介入を助長するようなものではないと考えています。
  43. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ということはあれですか、いわゆる今おっしゃった指標的なものを中心にしてこの事業分野別指針というのは作ると、こういう理解でよろしいんでしょうか。  この法案の後の指針の作り方といいますか、これを見ると、事業分野別指針、二条の三関係については、「当該事業分野における共同事業再編の実施方法その他の当該事業分野に係る産業の活力の再生に関し必要な事項を定める」と、こういうふうになっていますから、ちょっと私、読んで、今、高市副大臣はいみじくも過度の行政介入とならないようにと、こうおっしゃったんですが、共同事業再編の実施方法ということになってくると、これは正に再編そのものを省庁が作ると、こういうことにつながってくるんではないかというふうに思ったんでお尋ねしたんですけれども、これはそうじゃなくて、さっきおっしゃったように、数字的な指標を出すと、こういうことでよろしいんですか。
  44. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) この共同事業再編の実施方法というところですけれども、これは支援対象となります申請事業者の事業活動について、その具体的な要件、どのような要件を満たす事業活動かということをあらかじめ規定して公表することを予定いたしております。そして、なおかつ、当該事業分野全体に適用するものですから、これも行政の過剰介入を行うものではございません。
  45. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 あと幾つかお尋ねしたかったんですが、最後に一つだけ、大臣にちょっとお尋ねと、お願いということも含めてなんですが、ちょっとさっきも高市副大臣の御答弁の中でございましたけれども、いわゆる雇用とか労働者、労働分野にかかわる話なんですけれども、この産業活力再生法も制定のときからいろいろ議論をされてきて、その部分も含めて議論されてきました。  それで、実は今、産業、何か企業の再編というのは盛んに行われていますが、企業が合併したり会社が分割したりされるケースというのは割合労働関係法律というのはきちっとしているんですけれども、一つ、営業譲渡の場合はなかなかこれは、法律上はもちろんありませんし、いろいろ判例なんかも調べても経緯によってかなり結論が変わってきていまして、なかなか定まらない部分があります。  それで、私自身もちょっと数年前に、例えば会社分割のときの労働承継法制の問題にかかわったことがあるんですが、そのときにも、営業譲渡に関してもきちっと政府として労働者、そこで働く人たちの保護のための基本的な法律を作ってもらいたいと、こういう話を申し上げたことがあるんですが。その後、厚生労働省でいろいろ議論されて、実は法律はもう作らなくていいんだと、結論を申し上げますと、何かガイドライン的なものを作りましょうと、こういうことに今まではなっているんですが、実はそのガイドラインも、この産業活力再生法だとか、いろいろまたこの法律の実施状況を見て考えましょうということで、かなり先送りされちゃっているんですね。  ですから、これは経済産業省の所管ではないんですが、やはり産業政策全般を所管されているという立場で、是非この労働分野、特に営業譲渡のケースの労働関係の法整備について、関係省庁を含め格段の御支援をお願いしたいと思うんですが、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。
  46. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 非常に重要な御指摘でございまして、いずれにいたしましても、その営業譲渡の場合も含めまして、企業組織の変更に伴う労働者の保護の重要性というのは十分に私ども認識しておりまして、本件につきましては厚生労働省に対して問題提起をして、そこのところはしっかりしていかなきゃいかぬと、このように思っております。
  47. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 じゃ、私は終わります。
  48. 松井孝治

    松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。  本日は、この両法案に対しまして、衆議院で大分議論をしていただきまして我が党の修正案も取り入れていただいたわけでありますが、私個人的には、必ずしも衆議院での修正案で十分だとは思っておりません。特に、もちろんその雇用の安定への配慮あるいは中小企業への配慮というのは非常に重要なことだと思いますが、大きな点で抜けているのは、やはり納税者の視点、タックスペイヤーの視点からいって今回の法案が本当に十分なものなのか、その点について、今日の質疑を通じて両大臣の所感をお伺いしていきたいと思います。  最初に、これは機構の買取り、債権の買取りあるいは処分につきまして、衆議院の方の委員会の附帯決議におきましても、政府は、業務上の運営の透明性を確保するため、支援基準について可能な限り具体的に定めるよう努力するとともに、機構は、企業秘密に配慮しつつ、債権の買取り及び処分について積極的に情報の公開に努めることという事項が入っております。  具体的に、これは議院としての附帯決議でありますが、谷垣大臣の方はこれを受け止めていただいているわけですが、それでは、じゃ具体的にこの債権の買取り及び処分についての情報の公開としてどのようなものを考えておられるんでしょうか。
  49. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今御指摘衆議院の方の附帯決議ですね。私も、積極的な情報の公開に努めることという附帯決議をいただいたことは重く受け止めておりまして、可能な限り情報公開に努めていきたいと思っております。  まず法上は、御承知のように、機構支援決定、買取り決定、処分の決定を行った際には、その決定の概要について公表するということになっておりますから、これはもちろん当然法上も要請されているわけでございます。  そこで、それを超えて具体的な価格情報などについてどこまでやるかということになるわけですが、これを直ちに公表するということは、言わば手のうちを明らかにすることになりまして、後の債権買取りあるいはスポンサーの売却などの交渉に障害が、支障が生じるおそれがあるなというふうに思っておりまして、附帯決議でも企業秘密に配慮しつつと言われているのはそういう意味ではないかと思っております。  国民負担のリスクを軽減化するという観点から、機構の運営は可能な限り透明化すべきであるという御指摘は私もそのとおりだと思うんですが、先ほど申しましたような、現実の債権の売買等に影響が、大きな影響が出ることを避けて、要するにその調整をどう行うことかということだろうと思うんです。その機構がある案件について買い取った債権をすべて処分した後の取扱いについては、我々も十分情報公開していく必要があるのではないかというふうに考えておりまして、その辺の辺りはこれから詰めていきたいと思っております。
  50. 松井孝治

    松井孝治君 先ほど私どもの直嶋議員から御質問をされた点も同じことだと思うんですね。やはり高値で買わされて、そしてそれが結局売却は安い値段でしかできなかったということになると、それはそのまま結局四十六条で担保されているように国民負担になるわけでありまして、私は、確かに買手の立場からいうと、直ちに機構がある事業者なり法人に売却したと、その時点で幾らで売却したというふうに言われてしまうと、それはその後の商談にかかわるかもしれません。  しかし、やはりそれは、今すべて処分をした後というふうにおっしゃいましたが、すべて処分をした後ということになると、このもう機構が解散をするその時点でということになるかもしれません。そのすべての処分というのはどういう意味でおっしゃったのか分かりませんが、その当該事業に係るすべての債権の処分が行われたということなのかもしれませんが、ここについてはやはり買い取った事業者の利便も大事かもしれませんが、国民負担に直結する話ですから、しかるべき時期の後に、例えば機構としての買取りと売却差額、どれだけ損をしたのか、あるいは機構としてもうけたのか、そこの部分だけでも何とかしかるべき期間、例えば売り渡した後、例えば一定期間、六か月なのか一年なのか分かりませんが、その後に公表するような努力はできないんでしょうか。
  51. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まだその辺りは、具体的なやり方との関係で十分詰め切ってはおりません。  それで、全部、今、先ほど私が申しましたすべての売却が終わった後というのは、機構が解散をするという意味ではございませんで、ある案件についての処分が終わった場合には、処理が終わった場合には今の辺りは十分考えておかなきゃいけないなということは、現時点でもそう思っておりますのでその方向で検討いたしますが、それを超えてどこまでできるかというのは、これからもう少し詰めさせていただきたいと思います。
  52. 松井孝治

    松井孝治君 是非、その点はしっかり御検討いただきたいと思います。  やはり国民が、この債権の買取りについて非常に高値買いをさせられるんじゃないか、国民負担になるんじゃないかという懸念が強いものですから、そこを払拭するように是非御努力をいただきたいと思います。  次に、谷垣大臣にやはりお尋ねしたいと思うんですが、具体的にこの機構が百人規模で発足するというようなことがこれまでの委員会で明らかになっています。じゃ、具体的にどんな方々が機構を構成して案件の審査をなされるのかということについて、いろいろ憶測が飛んでおります。当然、金融のプロを集めてこられるんだろうと思いますが、今民間で言ってある懸念は、結局四大行の出身の方々がここに出向されるという形になるんじゃないか、要するにその四大行の方々が自分たちのメーンバンクとして、あるいは準メーンとして持っている債権の処理について、結局その銀行の方々が集められて審査をされるんじゃないか、それで本当に公正な審査ができるんだろうかと、結局さっきの高値買いのような話になってしまうんじゃないかという懸念が相当あります。  そこでお尋ねですが、この株式会社である機構の役職員について、四大行から職員を出向で受け入れられるおつもりはありますか。これはイエス・オア・ノーでお答えください。
  53. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) かつて四大行におられてもう別な仕事をしておられるということですと、これは別の仕事をしておられるということが四大行に入らないということであれば、少なくとも役員、そういう方にはそういう方はないと言って、申し上げてよろしいと思います。  ただ、職員ということになりますと、現実にはいろんな法律とか会計とか税務とか、いろんな担当の方が、いろんなその分野の方がおられるわけですが、職員となりますと、現実に銀行出身者を全部排除してできるのかどうかということになってまいりますので、今、銀行出身者は職員にはいないということは、ちょっとまだ断言は差し控えさせていただきたいと思います。
  54. 松井孝治

    松井孝治君 これは非常に問題ですね。  私、まず二つに分けて聞きたいんですけれども、出身者はいないというふうにおっしゃいましたけれども、じゃ出向者はいるんですか。出向者と、あるいはその出身者というのは一般的に言うと銀行を退職されて、過去には四大行に勤めていたけれども今回この機構に就職されるという方を含むか含まないか。それからもう一つ、出向という形で本籍を銀行に残してこられる方を含むのか含まないか。ちょっとそこを明らかに、まず御答弁いただけますか。
  55. 江崎芳雄

    政府参考人江崎芳雄君) まず、出向者という点でございますが、機構の中身の組織を考えますと、例えば持ち込まれた案件を審査をする、さらにはそれの買取りをするという、言わば、何と申しますか、個々の案件、オリエンテッドなセクションがございます。そういうものと同時に、機構は買い取った債権、これの管理もいたします。金利収入も上げなければいけませんし、処分する際にはまたそれなりの金融知識が必要であると。言わば個々の案件ではございませんで、言わば機構が持っておる全体としての債権の管理をすると、こういうセクションもございます。  先ほど来の銀行からの出身者でございますが、まだ現在検討中ではございますが、例えばそういう全体の機構金融機関としてのその管理をするといったところには、例えば出向という方を受け入れる可能性もございます。ただし、その機構の中で……
  56. 松井孝治

    松井孝治君 要するに出向者を受け入れるということですね、四大行から。これはやっぱりおかしいと思いますよ。出向者を受け入れて、それじゃその範囲の中でのどういう部門に付かせる付かせないかというのは株式会社判断でいいわけですか。そういうことで本当に透明性が確保されると思いますか。これは私は、ちょっと大臣、こういう答弁、納得できないですね。
  57. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 率直に申しますと、まだ職員のリクルートをどうするかというところまで、国会でもまだ法案を通していただいておりませんので、そこまで話は進んでおりませんので、現段階で実はどういう方が手を挙げてこられるか、お迎えできるかということも実は十分な材料がございません。  そこで、私はまだ一般論としてしか申し上げられないんですが、結局そういうその経験をどこに求めるかということになりますと、法律家という場合もあるでしょうし、税務や会計の専門家ということもあると思いますが、やっぱり金融の経験者というものも全く排除するわけにはいかないのかなと現段階では考えております。  そこで、それに対応するものとしては、やっぱり厳格なコンプライアンス体制をしいていくということではないかなということを考えておりまして、その辺りの具体的な検討は今行っているところでございます。
  58. 松井孝治

    松井孝治君 やっぱり世間のその疑念は、銀行関係者が出てきて、その銀行関係者が出身行の利益を背にして高値買いするんじゃないかということにあるわけですよ。今のお話だと、じゃその債権の管理というものについては、じゃ出向者認めますと、銀行にひもが付いている人を認める。じゃ、それは内部異動でその人たちが審査の方に入って、人手が足りないからと入ったって、何の担保も我々法律議論した立場からないわけですよ。やっぱりこういうことを、疑念をきちっとこの委員会で晴らしていただかないと、私はちょっとこれは、我が党としても衆議院では賛成したかもしれませんけれども、ちょっとこれは問題なんじゃないかなと思わざるを得ないんですが、いかがでしょうか。
  59. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 結局、今、松井委員のおっしゃったことも利益相反が起こるようなことをどう排除していくかということになると思います。それは、それに応じたコンプライアンス体制を作っていくということだろうと思います。  前もこの委員会質疑お答えしたことがございますが、やはり民間のいろいろな企業体制を見ておりましても、この事業再生に携わっている企業と申しますか、そういうところのコンプライアンス体制ですね、何というんでしょうか、ファイアウオールというんでしょうか、そういうものは私も想像以上に厳格なものであるなと思っておりまして、その点は、我々も何というんでしょうか、このコンプライアンス体制の厳格さという点においては、十分今の委員の御疑問を払拭するものを作っていかなければならないと思っておりますし、現にその案を今いろいろ議論しているところでございます。
  60. 松井孝治

    松井孝治君 是非、今の大臣の前向きな答弁というのを実現していただきたいと思うんですね。ややもすれば、今、政府参考人から御説明があったような答弁に流れてしまう。それは別に政府参考人が決して別に悪意でそういうものを認めようということでおっしゃっているんではないと私も思いますけれども、じゃそれが現実には何ら、たががはまらない、少なくとももう全部機構の裁量にゆだねられてしまうという可能性があるわけですので、その点、よろしくお願いしたいと思います。  追加して是非お願いしたいのは、これは出向か出向でないかとかいうこと、概念も極めて不明確でして、例えば国家公務員でもそうですけれども、いったん退職して特殊法人に行きますね。だけれども、あれ退職金払われないわけですよ。これって、退職して就職しているようですが、いわゆる出向なんですね。  ですから、例えば四大行出身の方が一回例えばA銀行を退職されましたと、この機構に採用されました、ところが実は退職金払われていない、また機構が解散した後戻られるというような形というのは、見分けが非常に付きにくいわけですよ。そこまで含めて私は対外的に説明をしていただきたい、そういう形でコンプライアンス体制というのを作っていただきたいと思うわけですが、その方向性について、大臣、一言いただけますか。
  61. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど申し上げましたように、リクルートに関してはこれからでございますので、まだ、じゃこういう人員でやるということを十分お見せできないわけでありますが、コンプライアンス体制につきましてはやっぱり外にもきちっと説明しながら、疑念を抱かれないような説明をやはりする必要があると思っております。
  62. 松井孝治

    松井孝治君 コンプライアンスという話が出たので、ちょっと順序違いますけれども、一点伺いたいんですが、アメリカのRTCにおきましては非常に面白い制度が導入されていまして、政治家が個別の案件について要請というか、陳情というか、要望というかした場合は、直ちにそれについて翌日でしょうかホームページに記載しますと、どういう政治家から具体的な要請があったかというようなことが盛り込まれた。それが結果としてRTC、米国のRTCにおいて政治的な案件についての個別介入というものを抑止したというふうに言われているそうであります。  今回の案件も非常にこの機構株式会社という立場にあって具体的にその企業の生死を決めるような判断をすることになる。私は今、母体行の圧力がそこにどのように行使されるかということについて具体的な人事についてひとつお伺いしたわけですが、やっぱり我々政治家もこの個別の企業の生死を決めるこの機構判断審査について、政治家が圧力を掛けるようなことがあってはいけないと思うんですね。  これを排除するために、このRTCが行った情報公開のようなものを参考に何らかの政治的圧力の抑止のための情報公開の制度を採用されるおつもりがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  63. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、松井委員がおっしゃった点は、先般、RTCのトップを務めておられましたシードマンさんがお見えになりましたときも御自身の口から、今、松井委員がおっしゃったようなことを伺ったわけであります。  今度の機構につきましては、内部手続として再生支援等の決定は合議体の産業再生委員会で行われることになりますから、この独立性あるいは合議体の決定で一部の圧力によって機構決定が左右されないという仕組みは担保されていると一応考えているわけですが、しかし他方、機構が業務を行うに当たりまして、機構の役職員とかあるいはその委員会委員に対して、直接間接、様々な働き掛けあるいは問い合わせというものがあることは、これはその可能性そのものは否定できないわけですね。  こういった中にもいろんなものがあると思いますので、一概に今こうだと言うことはできないのでありますが、少なくとも権限や地位を背景に不当に影響力を及ぼすというようなものがあるとすれば、それで、機構決定がそれに左右されるというわけではないと思っておりますが、今、委員がおっしゃったような公表というようなことも一つの選択肢ではあるなと。この辺はもう少し検討させていただきたいと思っております。
  64. 松井孝治

    松井孝治君 よろしくお願いをいたします。  これは、まず政治家である我々が襟を正さなければいけないというのが基本であることは言うまでもない案件ですが、どういう形がいいのかは個別に今後検討していただいて、そこの透明性を高めていただきたいと思います。  ひとつ産業再生機構の体制についてお伺いをしたいと思います。  衆議院におきましても参議院におきましても、この産業再生機構が扱う対象事業は、必ずしも大企業だけではなくて中小企業も入るということは度々確認されているところでありますが、これは、過日の委員会で直嶋議員からも確認をされているところでありますが、今の機構の体制というのは百人体制でスタートするということですね。ところが、中小企業は、もうこれはお伺いするまでもなく、五百万近い事業者があって、そのうちの恐らく半分以上は赤字の状況で苦しんでいる、いろんな意味での事業再構築が必要になっているところが多いわけでありますね。  例えば、個別企業名を挙げてもどうかと思いますが、非常に中堅企業、これは中小企業に当たるかどうかは別ですけれども、世界に誇るような技術を持っている企業がたくさんあるわけで、ただ、世界に誇るような技術や経営資源を持ちながら、いろんな理由によってそういう企業が今残念ながら消滅をどんどんしていっている。そういうものについてこの機構が、産業再生という理念の下にお手伝いをするということは十分あり得ることだと思うんです。  そう考えたときに、この機構が百人規模でスタートするというのは、いわゆる五十社問題、百社問題というものに対応するという、議論の経過がそういうことだったので、私もそれはしようがないし、そういうものだろうと思っていますが、将来的に、中堅中小企業の非常に、国が、場合によってはこの機構が積極的にそこをてこ入れしていこうという発想のものがあってもいい。そうなってくると、およそ百人体制で五百万ある中小企業全部を対象にする、別に五百万を対象にしろというわけではありませんが、そこの中の相当の、例えば一%だとしても相当な量なわけでありまして、この百人体制というものを今後どういう形で弾力的に見直すおつもりがあるのかないのか、その辺りについて大臣の御見解を伺いたいと思います。
  65. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 中小企業も扱いますと、それで、そういう中小企業を扱いますと、こう言っておりますが、現実にやはり扱った例を出しませんと、やっぱりあそこはメガバンク中心の大きなものを扱うところだというのはなかなか払拭できないと思いまして、やっぱり私は、まず初期の段階である程度そういう実例を出すことが大事だと思っておりまして、そういう話をこれからも実は機構にしていかなければいけないと、準備室でもそういう議論をしておるのでございます。  そこで問題は、じゃ、今の体制で膨大なる中小企業を扱えるのかと、こういうことになるわけでございますが、基本的に、私たちは機構で全部中に取り込んでやるわけじゃなくて、言わばアウトソーシングをしながら、先日、参考人でおいでになった田作さんの言葉をかりれば、言わばオーケストラの指揮者みたいな役割を果たすというようなことで、できるだけこの機構の規模は小さくしようと思っております。  ただ、百人で本当にずっと行けるのか。もう少しいろいろ利用してくださる方が増えれば、そこは当然増やしていくということを考えなければならないんだろうと思います。一方においては、機構の規模においてもそういうことがございます。  それから、やはり先ほど来もずっと御議論でございますが、経済産業省で中小企業再生支援協議会の設置を進めていただいているわけですが、そのほか、政府金融機関の融資制度とか信用保証制度、いろんな制度を充実させていただいてきめ細かな支援がなされているわけでありますが、そういった制度、特に支援協議会との連携をどういうふうにしていくかということは、これからも連携を密にさせていただいて、十分その辺りを効果的にするように考えていかなきゃならないと思っております。
  66. 松井孝治

    松井孝治君 是非よろしくお願いいたします。  それで、平沼大臣にひとつお伺いをしたいわけですが、今、谷垣大臣からも経済産業省の方の施策についての御言及がありました。中小企業再生支援協議会というようなものが設けられるという話がございました。  いただいた御説明あるいは資料を拝見いたしますと、中小企業再生支援協議会というのは、これは全国に、各都道府県に一か所ずつ付ける、それで中小企業再生支援の専門家を置くと。経済産業省らしい説明資料で、「腕利きの会計士、税理士、弁護士、」と書いてあるんですね。腕利き、いいですよね、腕利きの方を置いていただいた方がいいと思うんですが。  具体的に大臣に細かい事実関係をお伺いするのもなんですから、これ聞いてみますと、予算、一県当たり四千万円だというんですね。それで、この「腕利きの会計士、税理士、弁護士、」というのはどういう人なのかなと思って聞いてみましたら、お一人当たり、一人は千二百五十万円、もう一人は七百五十万円、それから、あとの若干、非常勤の場合は日雇で一日五万円ということらしいんですね、単価が。  大臣、これ、常識的に、中小企業の支援、非常に大事です。この機構だけですべてできるとは思えません。ですから、この協議会を作っていただくことは非常に結構だと思います。衆議院では何か同僚議員が非常に厳しい質問をしたようでありますが、私は、意味のあるものにしていただければ非常に結構だと思っています。  しかし、本当の意味で、いろんな複雑な状況を抱えている中小企業に相談に乗る支援協議会を、東京都にも一か所ですね、大阪府にも一か所ですね。それで、さっき、五百万の事業者がある中小企業。腕利きの弁護士、税理士、ひょっとしたらボランティア精神に富んで日給五万円で来てあげるよという人もいるのかもしれませんが、普通はそういうことは余り期待できない。そうすると、衆議院でも議論があったかもしれませんが、結局、形だけ作って、ほとんど多くのいろいろ悩みを抱えた中小企業から見れば、それは形は、協議会はあるけれども、はっきり言って使い物にならぬよというような評判になるんじゃないかと私は懸念するんですよ。  ここについて、せっかくここまでやられるのなら、この単価についても、あるいはその数についてももう少し充実させないと意味がないんじゃないでしょうか。平沼大臣、いかがでしょうか。
  67. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 松井先生お答えさせていただきます。  協議会というのは、企業の再建経験を有する二ないし三名の専門家と契約をしているところでございまして、御指摘のように、平成十五年度の予算においては、専門家一人当たりの謝金は約一千三百万円として計上されております。実際には、各協議会の事情によりまして、契約する人数や謝金などはある程度柔軟に対応することが可能であります。  なお、この専門家謝金のほか、事務所費等と合わせて一都道府県当たり約三千八百万円を計上しているところでございます。  非常に少ないじゃないか、そして開店しているけれどもそういう専門家、腕っこきの専門家も来ないんじゃないかと、こういう御懸念でございますけれども、今のところは一応全国で順調にそういう設置が広がっておりまして、そして私どもとしても、今後、専門家の数の増加でございますとかあるいはより専門性の高い専門家の確保など、体制の充実を図る必要がある場合には、予算の拡充を含めて、私どもは適切な対応をしなければならないと、こう思っておりまして、今、福井県が第一の立ち上がりでございましたけれども、全国でも、非常にそれぞれの都道府県の皆様方が意欲的に取り組んでいただいておりまして、そしてそういう腕っこきの専門家の皆様方も参画をしてくださると、こういうことでございますから、そういったことを含めて頑張らせていただこうと思っておりますし、今の段階は各都道府県に一か所ずつという形ですけれども、しかしもう北海道なんかは非常に面積が広いものですから、ここは複数のところに対応さしていただくと、こういう体制が整いましたし、さらに東京や大阪やそういった大都会にも、私どもは一か所だけではなくて、やはり皆様方の御要望にこたえられるようなそういう体制をしっかり作っていかなきゃいかぬと、そういうふうに思っております。
  68. 松井孝治

    松井孝治君 例えば東京都で、大田区なら大田区というエリアだけでも、物すごい数の中小企業がすばらしい技術を持ちながら、今、存亡の危機に立たされているわけですよ。これを本当に産業再生という名前でやるんだとしたら、およそ東京都で、一人千二百五十万円のお給料を用意しました、弁護士さんなのか税理士さんなのか分かりませんが、そういう方を一人置いたと、商工会議所の、東商の日比谷のビルに置かれるのかどうか分かりませんが、そこにお一人置かれたということで、中小企業者がそういう施策だと聞いたら、本当にがっかりしちゃうと思うんですよ。  これはやっぱり大臣お一人の問題ではなくて、累々、中小企業政策というものに対してやっぱり政府が本当に本腰を入れているのかと。非常に不況で、今もまた補正予算付けろという大合唱が起こり始めていますけれども、道路を例えば十キロ引くのに幾らぐらいお金が掛かるか、それに対して日本の中小企業予算がどれぐらいなのか、こういう話だったら、けたが二けた、三けた違うと思うんですね。そういう本当に腕利きの人を置いて、場合によっては大田区の町工場のところを回らせるぐらいのことをするのならともかく、こういう形だと私は本当に寂しいと思いますね。  是非、もうこれ以上答弁は求めませんけれども、せっかくですから、副大臣、一言御答弁いただきたいと思いますが、是非前向きに御検討いただきたいと思います。
  69. 西川太一郎

    ○副大臣西川太一郎君) 松井先生の御指摘は、私、誠にごもっともだと思っています。私も東京都選出の一員でございますので、この問題については、この法案ができる段階で、先生と同じ問題意識を持っておりました。  簡単に申せば、総会と支援部門と両方あるわけですね、全体会議とこの中小企業再生支援の問題は。その全体のメンバーの中に、地域金融機関でございますとか商工会議所でありますとか東京都の労働経済局でございますとか、いろんな分野が包含されておりまして、単に一か所で三人とか二人とかという問題じゃなくて、かなり既存の組織をフル動員してこれをやるという姿勢がございます。ございますが、先生の御指摘のように、やはりもっと層を厚くしていかなきゃいけないと。これは今後の努力の課題だと、こういうふうに率直に思っております。
  70. 松井孝治

    松井孝治君 よろしくお願いいたします。  さて、話題を変えまして、先ほど来の議論でも、過剰供給構造という言葉が度々出ております。元々の九九年のこの法律、産業活力再生法のときの議論が、三つの過剰をいかにして解消するかという議論であったと思います。今回の、谷垣大臣の方から、それから平沼大臣の方から出されているそれぞれの法案に過剰供給構造という言葉が出ています。谷垣大臣、この二つの法律で使われている過剰供給構造、同じ意味ですか。
  71. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 基本的に同じ意味であろうと思います。過剰供給構造であると認められる事業分野に属する事業者である場合について、昨年十二月の基本指針で、改正産業法の基準、例えば再生計画終了時点あるいは過剰供給構造を示す指標が改善することなどを活用とすることにしておりますが、その旨を支援基準に盛り込んでいこうということであります。
  72. 松井孝治

    松井孝治君 それは同じ意味だと思うんですね。内閣法制局はそういうことを整合性を取るために法律審査をしているわけですから。  それで、過剰供給構造については、大臣こういう発言をされていますね。三月の十八日の衆議院経済産業、財政金融の連合審査で、「過剰供給で競争力が落ちているところをみんなで、ゾンビが生き返ってみんなで足を引っ張ってみんなで弱るというようなことをしてはいけませんから、それは過剰供給構造を排除していかなければならない」と、こういう発言をされておられます。これは議事録に載っていますから確認の必要もないと思うんですが。  それで、この法律機構法を見ますと、二十二条の第六項に事業所管大臣意見を述べるという規定が、意見を述べることができるという規定がございます。これは大臣趣旨からいって、この法律が想定している事業大臣がどういう趣旨意見を述べるのかというのは、大臣が三月十八日の委員会で御発言された、この言葉はたまたまそのときおっしゃったので余り私も繰り返すつもりはありませんけれども、過剰供給でゾンビ復活と、そういう趣旨になっては困るからと、そういう観点からその事業の需給を見ている事業所管大臣がきちんと意見を言えるようにしたと、砕いて言うとそういうことだと理解してよろしいですか。
  73. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) そのとおりでございます。
  74. 松井孝治

    松井孝治君 そうですね。  そうなってくると、この機構が具体的に支援決定をすることになる業種というものが、過剰供給構造にある業種というのは、基本的に大臣の御趣旨からいうとそれは個別の案件ごとに審査するんでしょうし、先ほど来平沼大臣からもあるいは副大臣からも御答弁があったように、過剰供給業種をあらかじめ指定するという方針は、今回はそういう従来の通産省お得意の方針は取っておられないということはよく理解するんですが、しかしながら今回の趣旨は、いわゆる過剰供給の業種、大臣がおっしゃったところの言葉をかりれば、ゾンビ復活業種ということについては、これは支援決定については慎重にするという理解でよろしいですね。
  75. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) おっしゃるとおりでございます。少なくともそういう過剰供給構造を助長するようなことは、これは避けなきゃいかぬということだろうと思います。
  76. 松井孝治

    松井孝治君 そうなってくると、じゃこれは、この機構は具体的にどんな企業を支援するのかということが、これは恐らく与党でも法案審査をされていろいろ議論がなされたと思います、それから我々も内部で議論をした、そこについてどうもいま一つはっきりしないというところがあるわけですね。今、本当に日本の産業界はそもそも過剰供給体質にあるわけでありまして、それが議論の、九九年以降の議論のそもそものきっかけなわけでありますね。そうすると、どういう産業が過剰供給構造にあってどういう産業が過剰供給構造にはないのか。そこについて、これは産業担当大臣としての平沼大臣の方から、個別具体的に、私は、どういう産業が過剰供給にあると理解しておられるのか、これは具体的に伺っていきたいと思うんですよ。  それで、ちょっと平沼大臣メモだけしてください。例えば半導体、産業分類からいうと、産業というか品目の分類からいうと電子部品とかデバイスとかいう言い方をするかもしれませんが、これはどうでしょうか。それから、繊維製品、紙パルプ、鉄鋼、医薬品、流通。今私が申し上げた業種はいわゆる過剰供給構造にあるというふうに世間では言われているものだと思うんですけれども、今申し上げたものについて具体的に過剰供給構造にないと思われるものがありますか。
  77. 林良造

    政府参考人(林良造君) 個別の事業の話でございますのでお答えさしていただきます。  今、松井先生が御指摘の各種の事業分野、これは事業分野でございまして産業じゃないということなんですが、事業分野につきまして、数値基準に従って計算をしていくというわけでございます。それで、製造業の場合について申し上げますと、機械装置資産回転率の低下が相当長期にわたると。具体的に言うと、二十年間の平均の資産回転率をこの三年間ぐらいの資産回転率が下回っているというような場合に、産業再生におきましては過剰供給構造というふうに考えるわけでございます。  ただ、くくり方といたしましては、正におっしゃいましたように、半導体といいましても相当事業分野細かくなってまいります。例えば、アナログ系あるいはデジタル系あるいはCMOS系、CMOSの中でのロジックあるいはメモリーというふうに細分化してまいります。そういった意味で、具体的な事業分野についてそれを判断していくということで、概括的に、おっしゃったようなところについてはそういう一般的な認識のある分野も多いかと思いますが、具体的な事業分野についてその数値を当てはめて考えていくということになります。例えば、繊維業というのは、形式的から言えば例えば二けた分類、三けた分類で計算しますとそういうことが当てはまるということにもなりますけれども、同時に更に細かい分野を見てみますと、その中でも多様なものがございます。  そういった意味で、各々その具体的な事業分野、これは特に最近のグローバルな競争状況その他から考えまして非常にダイナミックに今動いているわけでございますので、そういった具体的な事業者が事業を行っている事業分野、これに沿って考えていくということでございますので、ややそういう概括的な形でこの分野全体が過剰供給分野であるというふうに考えていくのではないということでございます。
  78. 松井孝治

    松井孝治君 個別の支援決定に当たっては、恐らくある一定の会社のこういう事業部門についての債務の引受けなりをどうするかという問題になってくるわけでありまして、そうすると、非常に個別個別の案件ごとにその事業がどういうものを作っているかということを審査されなければいけないので、それについて概括的に、鉄鋼業は一般的に対象にしないとかいう議論をしても恐らく余り意味はないということは分かっているつもりなんです。  ただし、恐らく鉄だったら鉄で具体的に、今、林局長がおっしゃった議論をしていくと相当程度、これは何か客観的な基準を作られるということですから、相当程度の事業は実は過剰供給構造にあるのは事実だと思うんです。例えば鉄の中でですね、あるいは繊維でもそうだと思います。じゃ、その繊維を扱っている個別のどこかの企業事業はどうかと見たときに、いわゆる繊維といってもいろいろあるし、ひょっとしたら繊維以外の食品もやっているかもしれないし、そこのミックスで見なければいけないんですが。  いずれにしても、これ、私、非常に難しいのは、日本がこれだけ過剰供給構造、日本経済全体が相当程度そうなっている中で、この機構が扱うものは、さっき大臣がおっしゃったいわゆるゾンビ復活みたいなものを対象としていないんだということになったときに、本当にその機構は何を対象にしているのか、国民から見たら非常に分かりにくい。今、別にここで鉄は対象にするな、何を対象にしないとかいうことを確認をしたいということではなくて、本当に機構はじゃ何をやれるんだろうか。それは非常に私、今の答弁を聞いていても分かりにくいと思うんですけれども。  大臣、じゃ機構というのは過剰供給構造にあるものは対象にしないということになると、どんな産業分野を対象にするというイメージなんですか。ちょっとこれはやっぱり国民に対して分かりやすく説明していただきたいんですが。
  79. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 過剰供給構造を助長しないという意味で事業担当大臣の御判断を伺ったりいろいろするわけでありますけれども、例えば、出口でスポンサーをどう考えるかというようなときに、同種業者というのは有力なスポンサー候補である場合が多いのではないかと思います。例えば、過剰なところであってもスポンサーをそういうところに求めることによって過剰を少しでも減らしていくというような方向があり得るのではないか。ちょっと舌足らずな御答弁ですけれども、そういう手法を幾つか積み重ねるということも大事ではないかと思っております。
  80. 松井孝治

    松井孝治君 しかし、それは過剰、全体的に例えば設備が過剰だというようなときに、同一のライバル企業がある、で、過当競争していると。そこがそのまま別の事業者を例えば買い取るというようなことを支援しても、それは過剰供給構造である限り、大臣がおっしゃったゾンビ復活ということになるんじゃないですか。
  81. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 当然、過剰供給に当たるような場合には、スポンサーに買っていただくについてもそれなりのやはり、何というんでしょうか、手当てといいますか、再生計画において手術と申しますか、そういうことをしながらでないとなかなか買手が付かないんではないかと思います。そのまま、何というんでしょうか、何にもせずに、ただ買い取ってもらって、じゃ合併をせよと言っても、それは委員のおっしゃるように、なかなか過剰供給の是正にはつながらないだろうと思います。
  82. 松井孝治

    松井孝治君 ちょっと観点を変えますが、ゼネコン、建設というのは過剰供給構造にある業種と考えてよろしいですか。大臣
  83. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは個々の、個別企業を超えた判断でございますので私の立場から言いにくいんですが、ただ、国土交通大臣の下でも、昨年暮れに、十二月十九日でしたか、その基準を作りましたときに、国土交通大臣の方でもその業界における基準を作って発表していただきました。やはりああいうものを厳格に適用していくということではないかと思います。
  84. 松井孝治

    松井孝治君 比較的我々はもうそこは明確に、国会の議論の中でも、いわゆるゼネコンは今回の機構の買取り対象にしないというふうに理解をしているわけです。それは典型的な過剰供給構造の体質にある業種であるからというふうに理解をしております。  そういうところについて、もし私の理解が違っていればあれなんですが、私は事前の政府側の説明からもゼネコンは対象にしないと聞いていますが、この機構はゼネコンでも対象にするんでしょうか。さっきの大臣の御説明だと、別にゼネコンだって厳しい条件を課せば対象にするというふうにも聞こえるんですけれども、私の理解は違っていますか。
  85. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 機構対象にしないということを内部で意思決定したことは、これはございません。これは、地域とかそれから、何というんでしょうか、その当該企業の在り方を個別に、我々は個別に判断しなければならないと思っておりますから、まず個別に判断することでございますが、先ほど申し上げました基準なんかを拝見しますと、なかなかこれはハードルが高いものであるなという認識は持っております。
  86. 松井孝治

    松井孝治君 国土交通省が基本的には過剰供給構造にあると認識して事業再編などに向けての指針を作っているということを、私はこれはもう明らかに過剰供給構造にあるというふうに判断していいと思うんです。  問題は、今、大臣はそこまではっきりおっしゃいませんでしたけれども、ハードルが高いとおっしゃったのはそういうふうに解釈しておられるんだと私は理解しますが、例えば流通というものは大臣どういうふうに。大臣、以前、衆議院委員会、これは平沼大臣が御答弁されていることですから平沼大臣にお伺いした方がいいと思うんですが、大臣衆議院のこの委員会で、これは三月十八日でしたかね、日にち間違っているかもしれませんが、流通、さっきの半導体も含めておっしゃっていますが、流通は過剰供給構造にあるというふうに御答弁されていますが、そういう理解でよろしいですね。
  87. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お尋ねの流通業についてですけれども、消費が低迷をして売上げが減少して店舗数や就業者数が減っておりますが、店舗面積はむしろ増加傾向にあるわけです。また、地域的には大型店の新規出店により競争が激しくなった場合もあるわけでございまして、こうした事情から一般的な意味では流通業は店舗が過剰である、あるいは過剰供給である、こういうことが言えると、こういうことで私が申し上げたところでございます。  しかし、流通業を統計上の標準産業分類でとらえましていろいろの基準でそれに基づいて試算をいたしますと、固定費比率が高くはございません。そして、したがって、過剰供給構造を短期的に解消できないとの事由がないために過剰供給構造には当たらないということにはなるわけでございますけれども、実際、流通業につきましては、法律上の支援により共同で過剰設備の廃棄を行う等の方策を取り得る製造業とは若干趣を異にしておりまして、個々の商圏ごとのいわゆる店舗立地の良しあしや、さらには品ぞろえ、売り方の巧拙によって成否が決まる、そういう面がございまして、単純に店舗の面積が多いか否かという問題ではないと考えておりますけれども、私が国会で答弁をした事例の一つとして、今申し上げたような中で見方によっては過剰であるということも言えると、こういう観点で申し上げました。
  88. 松井孝治

    松井孝治君 両大臣の御答弁、ちょっと歯切れ悪いんですよね。やっぱりタックスペイヤーの視点から見ると、ゼネコンや流通を今この機構対象として支援決定するかどうかというのは非常に関心を持って見ているわけです。下手すると、そういうものにこの機構使われるのじゃないかと。そうしたときに、一般的にはとおっしゃったように、やっぱりそれは過剰供給構造にある。結局、ゾンビ復活みたいなものを助けて、その結果として生じる損失のようなものが相当程度見込まれる中で、これは国民の税金はそこに投入されるんじゃないか、そういうことをやっぱり国民は懸念をしていると思います。  ですから、そこの点は、そもそも最初谷垣大臣から御答弁あったように、過剰供給構造にあってゾンビ復活をしないんだと、そういう理念できちっと整理をしていただかないと国民的に理解を得られないんじゃないか。結局、政治的な配慮で、ここの局面では個別企業を挙げるのは避けさせていただきますが、どこかの流通やゼネコンの救済をするんじゃないか、それに使われるんじゃないかという懸念があるということは是非御認識をいただきたいと思います。時間がありませんので、答弁は結構です。  それで、その流通なんですが、この活力再生法の方でダイエーという個別企業について認定を行っておられますね、もう一年ぐらい前でしょうか。これについて、再生計画で記載された事項と今の実際のその事業再構築の計画の進捗状況、これは大臣、どのように評価をしておられるでしょうか。
  89. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) ダイエーは昨年の四月に産業再生法の認定を受けました。事業面、財務面でのリストラによる有利子負債の削減と本業集中による営業力の回復を行う再建三か年計画を進めているところでございます。  そのダイエーの再建状況に関しましては、事業面、財務面でのリストラはおおむね計画に従って着実に進んでおりますが、営業力の回復については率直に言って厳しい状況でございまして、本年二月期の売上計画も下回っているものと承知しております。  したがいまして、松井先生も御承知のように、このような状況を踏まえまして、ダイエーは本年三月五日に子会社であるマルエツとの戦略的連携の強化等を含む新しい営業方針を発表したところであります。これは、ダイエー自身が自らの営業力への厳しい現状認識を表明した上で再建計画を変更、強化して営業力の強化を図ろうとしたものであり、当省といたしましてもその前向きな姿勢については評価をしております。  この新しい営業方針というのは経営改革のための重要な第一歩でありまして、最終的なゴールと、こういうわけではなくて、より積極的な方策を検討して実現を目指すことを私どもとしては期待をしておると、こういう状況にあります。
  90. 松井孝治

    松井孝治君 順調であるという、部分的にはそういう部分もおっしゃいましたけれども、世間から言うと、まあ個別企業の話は余りここでするのもどうかとは思いますが、およそ順調とは思われていない事例だと思うんですね。  一つ伺いたいんですが、この産業活力再生法の認定というのは、その認定後の検証というのは法律上どういう仕組みがあるんですか。その何らかの検証を行われているんですか。法律上の仕組みがあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  91. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) 認定計画の実施状況につきましてですけれども、現行の産業再生法におきましても原則年一回の報告を認定事業者に義務付けております。それから、主務大臣は、必要に応じまして追加的な報告聴取を実施できるということになっています。  今回の法改正につきましては、このような年一回の実施状況報告に加えまして、債権放棄を受けた認定事業者につきましては、計画の円滑かつ確実な実施を担保する観点から、四半期ごとの報告など特別なモニタリングを実施することにいたしております。さらに、認定計画の実施状況によりまして必要に応じて追加的な報告聴取を実施したり、それから認定基準に適合しなくなったと認められる場合には計画の変更を指示したり、また認定の取消しを行うこととなります。
  92. 松井孝治

    松井孝治君 副大臣、具体的にダイエーについて経済産業省としてどういう措置を取られましたか、この一年間。
  93. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答えいたします。  今、副大臣が御答弁申し上げた、法律上は年に一遍そのチェックをするということになっておりますけれども、ダイエーの再建計画認定の際に、特に文書による指示で毎月一遍報告をしていただきたいということをお願いをし、その再建計画の実施状況について月一遍伺っているところでございます。
  94. 松井孝治

    松井孝治君 分かりました。  それは伺っておられるんなら結構だと思いますが、私が何で今ダイエーの個別事例を出しているかというと、こういう企業があって、今、改正前の産業活力再生法における認定を受けて支援を受けている、それと併せて債権放棄まで受けている、こういう企業がある。そういうものについて、例えば今回の新しくできる機構が更に支援を、こちらの産業再生法におけるいろんな支援を受けていながらまだいろんな意味での結果は必ずしも芳しくない、そういうものについて機構が引き受ける、支援をするというようなことはあり得るんでしょうか。これは谷垣大臣
  95. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 機構の側は、先ほど実は松井先生から歯切れが悪いというおしかりを受けたんですが、機構の側から、あらかじめこの事業は駄目、この企業は駄目、この業種は駄目というようなことを一般的には申し上げる体制には我々の機構は取っておりません。むしろ、具体的な持ち込まれたときの再生計画でいわゆる選択と集中というようなものがどれだけできるか、それを通じて再生できるかというのが我々の基本的な観点でありまして、それで、そのときしかし、先ほど委員がおっしゃったように、過剰供給を助長しないということをしっかり理念として見据えていけ、それはそのとおりでございまして、そのためにその事業分野を所管しておられる大臣の御意見を聞くと、こういうことでございます。  ですから今の、個別の具体的な企業名を挙げられてこれは受けないのか受けるのかと言われても、ちょっとそれだけではお答えはできないと思っております。
  96. 松井孝治

    松井孝治君 いや、そういうお答えだと思っていました。思っていましたが、国民的に言うと、改正前の産業活力再生法の支援を受けている、しかし芳しくない、債権放棄も受けている、そういうものを今度またこの新しい機構を作ってそこで支援するんじゃないかという懸念があるのは事実なんですよ。別に、個別企業、個別事例について受ける受けないを機構ができる前から担当大臣が御答弁できるはずもないんですが、じゃ、どういう基準を作ってそういうものを、例えば一部の政治家が政治的圧力を加えた、あるいはこれは国民経済上非常に大きな存在であってつぶすわけにいかぬ、何とかしなきゃいかぬというようなもし議論が出てきたときに、機構株式会社ですし、それは損失が出たときには国民の血税で補てんされるわけですから、そういうものをどういう基準で排除するんだと、そこの基準をどういうふうに作られるかということを私は実は聞きたいわけであります。  そういう意味で、この法律の二十一条でしたですかね、支援基準というものの規定があります。ここで具体的に大臣、どういう基準を作られるんですか。そして、例えば今のダイエー、またダイエーという個別企業云々というのはもうこれ以上やめた方がいいかもしれませんが、およそ例えば引受手があるとは思えないようなものについて無理くり、ある意味で出口が見えない中で引き受けるようなそういう議論が行われて、別に個別企業は例示ですからこれ以上特定の企業に対してどうこう言うことは避けますけれども、ただ、国民の視点から見れば、納税者の視点から見れば、引受手もないけれども非常にこれは大きな企業でつぶせないということで支援決定が行われるようなことがあるのかないのか、ここが関心事項なんですよ。  ここについてきちんとした基準を書き込むのかどうか、法律上だけでははっきり読めませんけれども、どうでしょうか。
  97. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 支援基準に何を盛り込むかということでありますが、去年十二月に決定していただいた基本指針を基礎として定めることになるわけですが、今その支援基準の中に主な内容として、まず対象となる事業者に関するものとして、これは産業再生法と同じ基準でございますけれども、再生計画終了時点で生産性が向上し財務構造が改善すること、これが第一ですね。それから第二に、対象企業の清算価値よりも回収価値が多いと判断される場合でなければならないということだろうと思います。それから三番目が、この価格の話でございまして、買取り価格再生計画を勘案した適正な時価である、これもいろいろ御議論いただきました。四番目が、今お尋ねの点と一番関係する点でございまして、再生計画の終了時点において、新たな再生スポンサーの関与等により資金調達、リファイナンスが可能な状況となって、その結果、債権処分が可能となる蓋然性が高い、これを私は出口を見据えてというふうに申し上げているわけですが、今の委員がおっしゃった、およそ終了時点で買手が付かないようなものを何とか助けるようなことがあるんではないかとおっしゃいましたけれども、その点は、今のこの基準の中の四番目に申し上げたところに明白に抵触するというふうに申し上げたいと思います。
  98. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございます。  その点をきちっと基準の中で書き込んでいただきたいし、制度の運用に当たってもその点の健全性というか厳格性を担保していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  もうあと質問する時間がありませんので、私が今日の質問で申し上げたかったことは、中小企業への配慮あるいは雇用への配慮も非常に重要です。しかし、同時にこの法案の実際の施行に当たっては、タックスペイヤー、納税者の税金がこの機構には最終的にはつぎ込まれる可能性が相当程度ある。そのときに、納税者の視点から見て血税を無駄にして企業を、特定企業を救済するという考え方に立ってこの法律を運用されては絶対いけない。その点について、谷垣大臣あるいは関連する法律を所管されている平沼大臣におかれましては是非とも肝に銘じていただいて、この法律、まだ可決されているわけではありませんが、可決された場合の運用に努めていただきたい。そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  99. 田浦直

    委員長田浦直君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  100. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、株式会社産業再生機構法案株式会社産業再生機構法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  101. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  いよいよ産業再生機構法審議も今日が最終ということになってまいりました。せっかく二十八日に参考人の質疑がございましたので、その参考人の質疑を通じて、まず谷垣大臣にお伺いをしたいと思います。  参考人に来られました斉藤惇氏の陳述、お伺いいたしました。さすがに金融・証券界のプロとしてのお話でございまして、大変勉強になりました。中で、並々ならぬ、今度この機構の社長の就任の要請を受けたと、それをお受けするということについての決意の表明があったわけですね。でも、まだ審議中の法案なんですけれども、その法案の先取りをして社長候補の決意を聞くという、私は少し複雑な思いがいたしましたけれども、それは斉藤氏の責任ではないと思っています。  事実上人事権というのは政府が握っているというふうに思っておりますけれども、斉藤参考人は私の質問に、九七年のいわゆる野村の総会屋に関係する事件に対して、社会に対して御迷惑をお掛けしたと、深く申し訳なく思っていると。で、自分はかかわっていなかったと、最高幹部としての責任を感じて辞表を提出したんだと言われました。そして、住友も野村も退職したので公正な立場に立てる、無色透明であると非常に強調されたんですね。大変立場を私は気にしておられたなと思うんですけれども、それは当然のことだと思うんです。  あの事件は非常に衝撃的でもございましたし、今度、膨大な国民の公的資金を投入するというこの機構責任者の人事ですから、国民の疑念にどう説明をされるか、起用するのは大臣が人事を決めてお願いをしたということですから、大臣責任があると思います。国会にもきちっと説明をしていただきたいと思います。
  102. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、西山先生のお話は、要するに平成九年の野村証券のあのいわゆる総会屋事件とのかかわりがどうであったかということでしょうか。
  103. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣、斉藤さん自身がここにお座りになって、この委員会に、自分の九七年の事件については大変御迷惑をお掛けして深く申し訳なく思っています、だけれども自分はかかわっていない、責任を感じ辞表を投じたけれども、今度の機構の仕事については公正な立場でやっていきたいという御表明、意思の表明があった。そのことも含めて、大臣が社長就任の要請をされたわけですから、大臣がなぜこの人を選んだのかと、過去の経緯も含めまして、もちろん国民に責任説明責任がおありじゃないかと聞いているのです。
  104. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この機構のトップに立つ方を人選するに当たりましては、一つは、今おっしゃった公平公正な社会からの信頼を得られる方でなければならないと、これはもちろん一つでございます。それと、企業再生の言わばプロフェッショナルとしての視点といいますか、経験といいますか、それはまたマーケットから信頼を得られるかどうかというのと裏腹の問題だと思いますが、一般的な公正公平と併せて、そういうプロとしてマーケットから信頼を得られるかどうかという観点から人選をいたしました。  それで、斉藤さんは野村証券、それから住友ライフ・インベストメントにお勤めになりまして、債券とか株式とか国際業務、あらゆるマーケットに精通しておられる、投資家としての幅広い視点も持っておられる、こういう方だろうと思いまして、私はベストな人選ができたのではないかと思っております。  それで、平成九年の総会屋事件、野村証券のですね、これとの関係でございますが、あの平成九年の三月に野村証券が内部調査結果を公表して明らかとなったわけですが、そこから火が付きまして、その後、第一勧銀や他の証券大手三社に波及した事件でございました。それで、当時は日本型ビッグバンが始まって間もなくの事件でありましたので、不公正取引に対する世論の、世間の批判といいますか、極めて厳しいものがございました。それで、これに対して野村証券としては、信頼回復と人心一新を図らなきゃならないということで、この四月末に常務以上の取締役二十名以上が一斉退任されたというふうに承知しておりますが、むしろこういう人心一新と一斉退任、責任と人心一新を図るために常務以上が一斉に退社しようということを言わばリードされたのが斉藤氏であったというふうに聞いております。  斉藤さんは、長らく野村証券の主要ポストを歴任されまして、退任の直前まで証券取引審議委員として日本型ビッグバンの積極的推進について業界内の取りまとめの立場にあった方でありますので、それが終わられましてから、日本における資産管理業務の確立に尽力をされてこられまして、こういう経歴や人物からマーケットと政策を調和しなければならない機構のトップとしては一番適切な方であると。そして、野村証券事件とのかかわりは御本人は直接はなかったと、こういうふうに私どもは理解しております。
  105. 西山登紀子

    西山登紀子君 大島大臣もお辞めになるとか、政治と金の問題というのは本当に尽きないなという思いがしております。  ですから、国民がやはり、この機構が護送船団にならないか、あるいは銀行や特定の企業の利益のために公正を欠くんじゃないかというふうなことは、常にそういう目で見ているということは考えておかなきゃいけないと思うんですね。こういう国民の疑念を払拭するためには、それでは、大丈夫です、大丈夫ですと言うだけじゃなくて、体制上、運営上のその公正や中立をどう担保するのかということもまた大臣がきちっとお話しにならないといけないと思うんです。  午前中の質疑なんかでも少し歯切れが悪いというお話があったんですけれども、私も実はそう思って聞いておりました。公正中立を担保するために私、二つのことを聞きたいと思うんですね。  一つは、機構の職員の案件にかかわる問題なんですけれども、午前中もありました、銀行や証券会社からの出向者がその職員に加わらないと断言できるかどうか、これが一つ。それから、いろんな経過があって、もちろんプロフェッショナルが入るわけですけれども、何らかの形で申請企業だとかあるいはその申請している銀行に関係のあるような関係者はその案件に関与させないと、こういうようなことを明言できるかどうか、これが一つ。それからもう一つは、委員会というのがあります。委員会、今、七人委員会というようなことを言われているんですけれども、その委員会でお手盛りがないかどうかというような、起こらないのかどうかというようなことを大臣はどう担保するかと。社長は元野村証券出身だと、委員長はダイエーの顧問だという人が予定がされているというようなことなんですけれども、この辺の委員会での公正中立をどのように担保されるおつもりなのか、聞いておきたいと思います。
  106. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私の答弁が歯切れが悪いということで西山先生が、先ほどは松井先生で、京都のお二人の先生から歯切れが悪いと言われますと、なかなか京都へ帰ったとき具合が悪うございますので、できるだけ歯切れ良く申し上げたいと思っておりますが。  やはりまず、この業界と申しますか、事業再生の分野というものはまだ十分発達しておりませんので、そういう中から専門の練達な方を来ていただきますと、今まで何らかの形で日本で行われた事業再生の案件と直接間接のつながりがある方がほとんどだというのが実態ではないかというふうに思うんですね。そうしますと、そこで透明性といいますか、公正、中立性をどう確保するかということになりますと、一つは今おっしゃった委員会の中立性ということになりますが、これは産業再生機構法商法第二百六十条ノ二第二項というものを準用しておりまして、要するに委員会決議に特別利害関係を有する委員はその決議に参加することができない、こういう商法規定適用しておりまして、これをやはりきちっと厳格に適用していくことがまず第一かなというふうに思います。  それからもう一つは、先ほどの御議論でもあったわけですが、会社の中のいわゆるコンプライアンスと申しますか、いろんな法令や何かを遵守し、それから営業上の秘密なんかもきちっと、何というんでしょうか、融通無碍なやり方ではいけないんであって、きちっと信頼を確保できるようなやり方をどれだけ厳格にやるか。これは先ほども御答弁申し上げたところでありますけれども、いろんな企業を見ましても、それぞれがインサイダー取引とか言われないためにいろんな工夫をしておりますが、なかんずく厳格なのが事業再生、これ多分、一番、秘密保持ということも厳格でなきゃならない、あるいはやっているときの利害関係というのも非常に厳しい分野だからだろうと思いますが、こういうものが民間で行われるレベルと比べて遜色のあるものであってはならないというふうに私は考えておりますので、これは議論してきっちりしたものがやがてお出しできるだろうと思っております。  それからもう一つは、言わば透明と申しますか、公開性の問題でございまして、これは法上も、決定をしたときには、重要の決定をしたときには概要を明らかにしなければならないというふうに決められておりますので、それを遵守していくのは当然のことでございますが、衆議院の方の附帯決議でも付けていただきましたように、それだけではなくて、どれだけやはり公開ができるか、これはもちろん取引上の秘密とかいうものはございますから全部というわけにはいかないのも先ほども御議論したとおりでありますが、そういう透明性を、できるだけオープンにして透明性を図っていくというようなことが大事かなと思っております。
  107. 西山登紀子

    西山登紀子君 最初に聞いた、銀行や証券会社からの出向者を入れないという問題はどうですか。
  108. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、役員、職員あると思いますが、役員の中には出向者は入りません。それで、職員に関しては、まだ言わばどういう方々をあれする、来ていただくのか十分詰まっておりませんので、具体的に申し上げるわけには、だけの材料がないんですが、要は、先ほどのようなコンプライアンス体制、こういうものをどれだけきちっとやっていくか、そして中でもちろんルールというものを作って運用していくということが大事だと思います。
  109. 西山登紀子

    西山登紀子君 それでは次に、産業再生改正法の質問に移りたいと思います。  四年前の産業再生特別措置法の制定のときにも、この審議に私も参加をいたしました。反対をさせていただきました。本会議でも申し上げたとおり、この法案というのは、一層の大量失業と雇用の不安、下請中小企業の倒産と廃業、地域経済の疲弊をもたらす、大不況を加速させるものだからということで批判をいたしました。さて、その後どうだったのかという、この三年半のこの法案の評価がまずこの改正に当たっては必要だと思うんですね。  そこでお伺いをいたしますけれども、この最新の認定企業の数、それからトータルでの従業員の削減計画はどうなっているか、また登録免許税の減免額の総額ですね、それがどうなっているかということ、局長で結構ですから、お答えください。
  110. 林良造

    政府参考人(林良造君) お答え申し上げます。  現在までに全府省庁ベース、当省だけではなくて政府全体として二百二件の認定が行われております。認定計画に基づく従業員の増減でございますけれども、二月末の、衆議院の際に集計いたしました二月末の時点の数字でお答えさせていただく方が混乱がないかと思いますので、そうさせていただきます。  各省から公表された資料を基に全部足し合わせたわけでございますけれども、計画の開始時の合計が百四万一千人、それから終了時の見込み、これが九十六万六千人、トータル七万五千人の減少というふうになっております。  また、登録免許税の関係でございますけれども、これも各府省庁から公表されております認定事業の計画の資料に記載されております登録免許税の減免額を推計した結果でございますけれども、これも衆議院での際にお答えした数字で申し上げさせていただきますと、百九十件ベースで約六百六十億円というふうになっております。
  111. 西山登紀子

    西山登紀子君 そういう到達だということです。  三月二十日の本会議で、私が、こういうふうな雇用に与えた、これが雇用に与えた影響についてお聞きしたときの大臣の御答弁は、産業再生法の認定業者において従業員数が御指摘のとおり減少していることは事実ですとお認めになっている。「しかし、」となっておりまして、「仮に事業再構築を先延ばししていたなら、より大規模な人員削減に結び付いていた可能性があり、計画の前後における単純な従業員数の比較で雇用への影響を論じることは必ずしも適切ではない」とお答えになっているんですね。減少の数はお認めになった。しかし、雇用への影響は論じられないという態度を取ったわけでございます。  七万五千人もの労働者の削減についての、計画上ではありますが、全く私はそこに心を寄せるという思いが感じられませんで、非常に驚きました。官僚の方が作られたのかと思いますけれども。  三年前の九九年の年間の失業率は四・七%、三百十七万人から二〇〇二年では五・四%、三百五十九万人ということで、失業率では〇・七%以上、失業者で四十万人以上の増加になっているわけですね。小泉内閣になってもう二年余りになりますけれども、このデフレだ、失業だ、倒産というのは小泉内閣の固有名詞のようになっているわけですね。  そういう状況にあるにもかかわらず、この法律の雇用への影響を率直にお認めにならない。さらに、先延ばしでいたらもっとひどいことになっていたんだぞなんということは、私はもう脅しの論理じゃないかなというふうにすら思うわけです。私は、むしろやめていればこういった合成の誤謬というようなひどい状態はむしろ起こらなかったと、むしろ私たちはそういうふうに思っているわけです。  そこで、配付資料を見ていただきたいんですね。これは、いただきました資料、衆議院で塩川議員もこういうふうな資料を作りまして、配付をいたしました。それに、当委員会では登録免許税のことが非常に関心になりましたので、右側に認定企業がどのような従業員の削減計画を、これ申請時ですね、出しているか、そして登録免許税はどれぐらい減免を受けているかということを併せて一覧表にしたものでございます。これは事務所のスタッフのメンバーがやりましたけれども、これは大変な作業でございます。  それをやってみますと、どれだけの計画でどれだけの免許税、必ずしもリンクしているということではすべてありませんけれども、こういうことになりました。そして、トータルを見ていただきますと、登録免許税の合計は六百六十億でありますし、削減計画のところは若干、七万五千の数とは、その資料の時点が違いますから若干ずれておりますけれども、大きくは変わっておりません。この表では七万二千削減だということになっております。  私は、わざわざこの表を出しましたのは、七万五千という数は一つ一つ企業、ずっと見ていただきたいと思うんですよね。一つ一つ企業がございます。いずれも三角印が付いています。ずっと付いています。めくってもめくっても三角印が付いているんですね。特に、千台のもあれば八百台とか三千台とか大きいのもございます。四千三百というような大きなのもございます。めくってもめくっても黒い三角印が付いている。私は、これは、一人一人減らされる従業員というのは、これは生きている人間です。しかも、それには家族が付いているんですね。私は、単純な前後の比較では論じられないというような、そんな冷たい御答弁というのは本当にいただけないと言うのはそういうことでございます。一人一人の従業員の生計が懸かっています、そして家族が懸かっている、こういう問題だということですね。  問題は、この法律が、このように認定をする企業がすべて大幅な従業員の削減計画を出しまして認定を受けていると。おしなべて、こういうふうに、私は累々たるしかばねというふうに、ちょっと極端に感情的にも思うわけですけれども、なぜそう思うかというのは、そういう地元でのいろんなお声も聞いてきたら本当にそんなふうに思ってしまうわけですね。  再生法が正に多くの失業者を生み出していく、こういうふうな企業の認定をこのように全体としてやってきた、これは明らかに失業者を生み出していく、雇用に大きな影響を及ぼしていたということは明らかではないかと思うんですけれども、大臣の御答弁をお伺いします。
  112. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、御指摘のように、三月二十日の本会議で私は今御指摘のような答弁をさせていただきました。  大変、お示しいただいたこの表にもあるとおり、これだけ従業員の方々が減少をしているということは私も残念なことだと思っております。ただ、日本の経済がこういう厳しい中でやはり再生をさせなければならない、それは選択と集中をして、そして活力を呼び戻さなければならない、こういう観点でやらせていただきました。  大変、お役人のような言葉で非常に冷たく聞こえる、そういう答弁だったという御指摘がありますが、やはり通らなければならないそういう一つの道の中で本当にお気の毒だったわけでありますけれども、その間、例えば具体的な計画の認定に当たっては労使間で十分な話合いを求める、こういうこともございましたし、そして、万やむを得ず離転職を余儀なくされた方々に対しましては早期再就職の支援等のセーフティーネット対策もやらせていただいたわけであります。  ですから、おしかりを受けるかもしれませんが、もし、じゃ、こういうことをやらないでそのまま放置をしていたら、やはり可能性としてはもっと大きな厳しい局面もこれは想定されるわけでございまして、私どもとしては、この選択と集中を通じた経営資源の再活用によりまして競争力の回復、そして産業活力の再生、これを目指したものでございまして、中長期的に考えますと、やはり失業の予防と雇用機会の創出につながる、そういう思いで私どもはやらせていただいたと、こういうことでございまして、再度、大変職を失われた方に対しては私どもは残念だと、こういう気持ちを表明させていただいて、私の答弁とさせていただきます。
  113. 西山登紀子

    西山登紀子君 国家が労働を保障するということは、憲法上のこれは責任になっているんですね。労働者というのは労働権というのを持っているわけですよね。  次に移りますが、十四案件、計画が終了しております。その終了された場合にどのぐらい実際は雇用が減っているか、お示しをいただきたいと思います。
  114. 林良造

    政府参考人(林良造君) 先ほど申し上げました、現在まで二百二件余りの事業再構築計画の認定ございますけれども、そのうち、決算が終了いたしましたもの、これが十四件でございます。  これらの集計の結果でございますけれども、計画申請時に三万二千七百十名だったものが終了時に二万九千七百五十名ということで、二千九百六十名の減少、約九%の減少となっております。
  115. 西山登紀子

    西山登紀子君 計画が終わった件数でもこれだけ減っているということでございます。  資料に加えさせていただきました一番最後のページなんですけれども、これは衆議院で塩川議員が配付をさせていただきましたのを私は参考資料ということで出させてもらいましたけれども、これは十四社のうちの、その計画が終わった十四社のうちの八社の一部上場会社について有価証券報告書で従業員数の数を見たものでございます。  再生法で認定された事業再構築計画での削減数は八社で七千二百七十五人でございますが、二〇〇二年三月末では、実際の企業全体の削減数というのは一万九千七百五十六名、当初の七千二百七十五の二・七倍だということでございます。  このような数字を見てみますと、大臣にお伺いいたしますけれども、事業再構築計画の計画段階の前後よりはむしろ大きい従業員の削減が全体として起こっている。むしろ深刻な事態を生んでいるのではないかなと。そういう厳しい認識をお持ちであるかどうか、お聞きしたいと思います。
  116. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  御指摘のように、これまで終了した経済産業省の認定案件十四件に限ってみれば、非常に残念なことに、実際の従業員の推移が結果的に計画以上に減少していると、こういうことでございます。  これは、大変残念なことでありますけれども、計画開始後の需要不足の深刻化、また予想以上のデフレの進行等のマクロ経済的な環境変化を受けまして、事業者の側で労働組合等と十分な話合いを行った上でやむを得ず当初計画以上に希望者を募らざるを得なかったと、こういう背景があると思います。また、従業員のサイドでも、やっぱり企業に見切りを付けて希望退職に応じたり自己都合退職に踏み切るといったことが行われた結果であると、このようにも推測をいたしております。  今後のマクロ経済環境の状況次第では、今後もこのようなことが起こる可能性は私どもとしては否定し切れないと、こういうふうに思っております。  産業再生法というのは、何度も申し上げますけれども、選択と集中を通じた経営資源の有効な活用によりまして事業者のポテンシャルを引き出しまして、そして競争力と産業活力の早期のV字回復を目指すものでございまして、企業体力の強化を通じて、これも先ほどの答弁と重複をいたしますけれども、中長期的には失業の予防、そして雇用機会の創出につながる、このように考えております。  政府といたしましても、産業再生法の措置と併せまして、厳しい財政状況の中で、平成十四年度の補正予算、そして今年度予算の執行に全力を尽くすことで、経済活性化に向けた需要創出策やデフレ対策、これに取り組んで、離転職を余儀なくされた労働者に対する早期の再就職の支援等、できる限りのセーフティーネット、この対策に一丸となっていかなければならないと、このような認識を持っております。
  117. 西山登紀子

    西山登紀子君 合成の誤謬というのは、前大臣の与謝野大臣が言われた私は名言だと思うんですけれども、一つ一つ企業がいいと思ってやったそのリストラという、リストラクチャリングというのは必ずしも悪いことではないわけですけれども、しかしそれが合成の誤謬を引き起こす。それは、国が国の施策として強引に推し進めた場合にはどんな悲惨な事態になるかというのは、今の事態がはっきりしています。失業者のそれこそ購買力も本当に減っていきますし、生きていく糧を買うべき収入も得られることができないというようなことになれば、本当にまた経済のデフレの方向が深刻になっていくわけですね。人を減らすことばっかり見詰めているとやっぱりうまく回っていかないと思います。  もう一つ、これは問題提起なんですけれども、私の地元に、京都に日産宇治工場というものがございました。ございましたというのは、今はなくなっているということです。一九九九年の十月の十八日、私は忘れもいたしません、十月の十八日にゴーンという人が、本当にゴーンという人が、お昼休みに労働者を工場に集めまして、直接じゃないですけれども、紙一枚配らないで、日産宇治工場は湘南工場に統合する、配置転換、工場はなくなる、閉鎖だと、こういうことを言ったんですね。それで、二時過ぎには地域の商店街の人をお呼びになって、会社が、そのときも紙っぺら一枚配らないで、もうここの工場は閉鎖だと。  千五百人ほど働いておりまして、そこの日産プリンスはむしろ非常にうまくもうけていて、深夜でも操業して需要に追い付かないほどの生産ラインを持っていたんですけれども、こっちに来いという形で労働者は泣く泣く涙をのんで単身赴任の道を選ばれた方もございます。私はそのとき男性の方にお会いしましたけれども、初めて男泣きに泣くということがございました。家族のために自分はどうしても日産を離れるわけにはいかないと、だから自分は一人湘南に行くけれどもというようなことなんですよ。こういう家族がばらばらになっていく、それもゴーンと強引にやるということで。  この日産の認定については、私もこんな日産を認定することはないだろうなということで質問いたしておりまして、最初この産業再生法の認定企業にされるんじゃないかということがありまして、しかし、それはずっと遅れて、二〇〇一年の三月十九日に日産は認定を受けております。しかし、そのときの申請の計画は三万九百三十人を三万九百二十五人にするという、一部五人だけ減らしますよという事業計画で提案をしているんですね。しかし、日産のグループ全体を見てみますと、それこそ日産の例のリバイバルプランなどを見てみますと、全体で二万一千人のリストラを三年計画を一年早めてやっちゃうというような、そういう強引なことをゴーンゴーンとやっているわけですけれども。大臣に私が申し上げたいのは、認定を出すときには、その計画は非常に小さく、減少する人数は非常に小さく見積もって、しかし全体として大きなリストラをやっている、そういう企業背景もよく見ていただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  今度の認定企業百九十八社の中に、中小企業は何件あるでしょうか。
  118. 林良造

    政府参考人(林良造君) 二百二件のベースで申し上げさせていただきますが、中小企業を含む認定案件は五十七件でございます。大体三分の一程度が中小企業が関連、関与をしておるということであると思います。
  119. 西山登紀子

    西山登紀子君 それで、大臣にお伺いしたいんですが、調査室の資料を見させていただきますと、この税制上の特別措置、つまり登録免許税の軽減を受けた企業をずっと見ますと、百五十一件のうち中小企業は二十七件と、約十八%なんですね。その軽減額は、先ほどお示しいただきました六百六十億円のうち中小企業はじゃ、どれぐらい軽減されているかといったら、七・六億円なんですね。これは正に、三年半のこの実績を見れば、この法律が大企業中心の支援策であったというふうに言えると思うんですけれども、大臣、どうでしょう。
  120. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 登録免許税に関してのお尋ねでございますけれども、この登録免許税というのは資本金の額に応じて課税されるために、大企業においては課税額が大きくなる一方で、中小企業においては当然課税額は小さくなる、そういう性格のものであります。したがいまして、産業再生法に基づく登録免許税の軽減措置による軽減額も、大企業においては減税額は大きくなる一方で、中小企業においては当然ですけれども軽減額は小さくなることになります。逆に、軽減された後の、元々資本金が大きいことから、課税額というのは大企業においては大きくて、中小企業においては小さくなって、軽減税率の割合というのは全く同じでございます。すなわち、大企業について支援内容を厚くしていると、こういうわけではないわけであります。  産業再生法の事業再構築計画は大企業向けの支援措置ということだけであるわけではありませんで、同計画というのは企業の規模の大小を問わず活用できる支援措置であると、このように認識しております。中小企業者に対しましては別途、中小企業投資促進税制等、産業再生法による事業革新設備の導入よりも緩やかな要件で、かつ簡易な手続により課税の特例措置を講じている、こういったこともやっておりまして、こうした制度の活用も併せて促進をして中小企業対策というものはやらせていただければと、こういうふうに思っております。
  121. 西山登紀子

    西山登紀子君 今の御答弁は全くいただけないと思うんですね。その減税の率は同じだって、それはそうなんですよ。だから、これだけの差ができるわけですから。そういう子供だましのような御答弁は私はいただけません。  百五十一件のうち中小企業は二十七件で、たかだか一八%、額にすれば、全体が六百六十億の軽減額を受けている、そのうちの中小企業はわずか七・六億円だと。これはもうどう考えても大企業中心の支援策であるということはこの数字ではっきりしていると思います。  時間がありませんので、先を急ぎます。  今度の法案では、認定企業に対する税の優遇措置を拡充するということになっているんですが、退職金の割増し部分、あるいは再就職あっせん等の経費を減税措置の対象にこれを拡充するということになっているわけです。私は、これはやっぱり、更に希望退職の名の下に実質的な首切りを促進をしていくと、人減らしを国が奨励するという私は内容に、とんでもない内容になっているというふうに思っております。  それで、実例を挙げましょう。  二〇〇二年の十二月に認定されたいすゞという企業がございます。この企業は、従業員の削減計画は七百二十三人で出しているんですけれども、社内報で私たちが調べたところ、この二年間の希望退職者は四千九百七十六人にも上っているわけですね。従業員の削減計画の中には希望退職というような項目は入っていないんですけれども、だから小さく見えているわけですけれども、実際は希望退職というのは四千九百七十六人にも上っています。  この希望退職というのは、じゃ、いいところに行けますからといって大志を抱いて退職しているのかというと、実はそうではありません。もうこれだけしか残れないから、後はどうやってくれという形での応募ですから、こういうふうになっているわけです。  昨年、富士通が工場閉鎖を行ったときに、やはり早期退職優遇制度を基にした希望退職を募っております。その後、その希望退職を出した人たち、物すごいリストラですね、三千名近いリストラを一挙に富士通長野工場、須坂工場、昨年の七月二十五から八月九日に向けて行っておりますけれども、三千名です。そのうち、この希望退職を出された方、離職者数ですね、これは千七百三十八人なんですが、そのうち求職者は千六百二十三人、うち内定している就職者はわずか二百十九人で、今なお職を求めている方は千三百五十五人というようなことなんですね。  私は、早期退職者を募るだとか、あるいは希望退職を募るだとかいうような、再就職をいろいろやってあげますよといろいろ言いながら、しかし、実際残れる人はこれだけしかいませんよということを先に見せての応募ですから、それこそ言わば強制的な解雇に、事実上の解雇になっていくんじゃないかと思います。  企業がこのように今やっていることは、こういう再就職のあっせんだとかあるいは退職金を上増しして希望退職を募りますよという形を取りながら、実は大規模なリストラを進めているというこの実態があるわけですね。その実態を、むしろ今度はこの法律でもって応援をしましょうと、支援をしましょうということになりますと、正にリストラ促進法ではないかというふうに思います。  この点についての大臣の所見をお伺いいたしまして、こういうことを国が支援をしていいのかと。私はやめるべきだと思います。それを聞いて、質問を終わりたいと思います。
  122. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  産業活力の再生に向けては、企業事業再生と失業なき労働移動の両立を実現していく、このことは重要であると基本的に認識しております。  一つ、まずお尋ねの税制措置は、設備廃棄等に伴う希望退職募集による、退職する労働者に支払う割増し退職金の割増し分について税制の特例を設ける、こういうものでございます。この特例は、事業者が希望退職募集に応じて退職する労働者に対して再就職あっせん、教育訓練を行う場合に限って認める、このようにしておりまして、事業者が雇用の安定に配慮した支援を行うことを奨励する、こういう意味で設けたものでございます。  したがいまして、お言葉を返すようでございますが、御指摘のような単なる首切りですとか人減らしを奨励する、こういうものではない、このように認識をしております。  そういうことで答弁とさせていただきたいと思っております。
  123. 広野ただし

    広野ただし君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)、広野ただしでございます。  産業再生三法案、最後の質問になるんではないか、こう思いますけれども、やはりこの産業再生、重要なことは重要なんですが、そこに公的資金が入って国が関与をしてやるというところに私は非常にやはり問題がある、こう思っております。社会的な不公正といいますか、公正さが失われると。あるところは救われて、あるところは救われない。また、過去においても、倒産関連法に基づいてやっている企業、そういう方々は何で今度はこういう再生法ができてこういうことになるんだということで、大変な不公正なことが大っぴらにやられるということだと思うんですね。ですから、本当におかしなことができてくるんではないか、こう思うわけですが、この間、参考人ということで斉藤参考人がおいでいただいて、いろいろとお話しいただきました。  私は、日本の経済を再建させる意味で、日本経済のゴーンさんのような、先ほどゴーンさんに対して非常な批判もございましたけれども、個別のことではいろんなことがあったと思います。だけれども、日産を見事に復活をさせたその力量は大変なことだと思うんですね。ですから、日本経済のゴーンさんになってもらいたいと。  ただ、もう一つは、公的資金が入るんですから、やはり一方では赤字が少ないように、中坊さんのような感覚でまたやってもらわないと、これは前のめりになって、どんどんどんどん公的資金を投入していけば大変な不公正をこの日本の経済社会で行うということになるわけで、そういう話をさせていただきましたが、ところで、産業再生機構社長あるいは経営者が、経営陣が、経営陣の責任といいますか、それはどういうことだろうかと思うんですね。  一つ一つの案件だけでは責任は、本来私はある程度責任はあると思うんですね。もしうまくいかなかった、認定をして、それがうまくいかなかったとすれば、それをやった社長あるいは再生委員会というのはそれなりの責任はあると思うんですが、トータルとして何らかのやっぱり責任が、幾つもの案件をやってきましたときに責任があるんではないかと思うんですが、そのことについて、例えば金額でいえば十兆円全部負担、赤字にして国民負担になっちゃったという場合は、これは明らかにやっぱりおかしいんでしょう、社長として。というようなことを思いますけれども、谷垣大臣、経営者あるいは社長としての責任というものをどうお思いですか。その再生機構の社長としての責任ですね。
  124. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、広野委員がおっしゃったように、十兆円の政府保証が付いて、資金がある、その十兆を全部焦げ付かせてしまったというようなことになれば、これは明らかに経営者としての資質、行動に問題があったということになるんだろうと思うんですね。  それで、そういうことは現実には考えにくいわけですが、まず第一に、やはり事業再生計画をきちっと認定をするということですね。事前に話を聞いて、料理をして、そこを再生委員会できちっと認定をするというのがまず第一のその責任ではないかなというふうに思います。  それで、これから、繰り返し申し上げておりますが、個々の案件でプラスが出ることもあればマイナスが出ることもある、それはその限りで私はやむを得ない場合が多いんだと思いますが、トータルで全部締めたときに赤になったらどうするかという問題がございまして、これは、この機構上では、これも前回、広野議員にも御答弁したかと思いますが、政府が補てんできる、まず出資金で毀損部分を埋めるということは当然のこととしまして、その後は政府が埋めることができることになっている。じゃ、なぜそれは政府が埋めることができると書いてある、これは二様の意味がございまして、一つは全然埋められていないとなると、言わばこの運用がシュリンクすると申しますか、萎縮して、必要なところに切り込んでいけないところがあるだろうと。だから、埋められると書いておかなきゃいかぬ。しかし、必ず埋めるとなるとこれはモラルハザードを招くねということで、できるというふうに書いてあるわけです。ここはそういう、どういう表現で言ったらいいのか分かりませんが、一種の、ある意味でのあいまいさといいますか、そういうものを残して書いてあるということは、これは事実でございます。  そこで、委員の先ほどの御議論は、じゃ具体的にあいまいさはあいまいさとして、社長個人はどういう責任を負うかということになると思うんですが、これは先ほど申し上げたことでもありますが、全くすべて判断が誤り、取締役社長としての善管注意義務忠実義務に反するようなことがあれば、これは当然取締役としての責任取締役というか、もちろん代表取締役でございますが、その責任を追及されるのは当然のことだろうと思います。
  125. 広野ただし

    広野ただし君 個別案件ごとではないというようなことのように聞こえました。  それで、もう一つ、この企業を支援するか、あるいは買取り決定ですとか、そういうことについては産業再生委員会決定をするということになっているわけですが、私は再生委員会というのは専門家の集まりで、あるいは取締役が何人か入るということでありますけれども、結局、例の金融再生のとき、安定化機構だとか、安定法ですとか健全化法のときの佐々波委員会ですね、のようなことにやっぱりなるんじゃないかと思うんですね。あのときも、平成十年三月にあれは一・八兆の資本注入をやりました。そして、その次の十一年三月には、更に七兆五千億の資本増強をしているんですね。  ですから、言わばその委員会がオールマイティーのようなことを今おっしゃっていますけれども、結局、最終的にはその行う経営者がどうやっていくかという話で、救済企業の経営者がやっていく話でありますが、再生委員会責任ということについてどのように思っておられますか。
  126. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まず社長ですね、社長とそれから再生委員会といいますか、端的には委員長と、こう二人いて、この二人の権限なり責任が不分明じゃないかという御批判が今までも随分ありました。  そこで、まずその今の御質問の前提として、社長の権限というのは、社長は業務全体を統括していくわけですが、その中には、相談に来た、持ち込まれたものをどう事前審査し、再生計画をある程度どのようにし、そしてそれは委員会でお墨付きをいただくわけですが、お墨付きをいただいたものをどう今度具体的に再生させていく中で、途中でいろいろ口も出さなきゃならないこともあるだろうと思いますが、そういうことをやっていくのが代表取締役たる社長の責任でございます。  それで、再生委員会の方は、そういう業務を執行している役員と区別しまして、ここは客観的に計画を判定するということで、ですから言わば社外重役みたいな形でこの再生計画を客観的に見ていただく。ただ、社長は、その業務執行と意思決定をつなぐ立場として、業務執行の責任者として社長だけがその委員会の中に入って、あとは業務を担当する者は入らないという仕組みになっておりますので、要するに、意思決定とそれから業務執行という役割分担は私は明確になっていると思います。  それで、ここの責任ということになるわけですが、これは全員取締役でございますので、先ほど申しましたのと同じように、当然その取締役としての善管注意義務忠実義務というものがここに掛かってくるわけでありますから、そういう当然その専門家として持っている業務上の注意を欠いてこの計画を認定したとか、軽率に追認したとかというようなことになれば、当然商法上の取締役としての責任を負うということになると思います。
  127. 広野ただし

    広野ただし君 今日、午前中も直嶋議員からもありました、やはり商法上の責任の問題もありますし、私は、この再生委員会に丸投げをして、言わばそこで決定をするというのは、これはある意味で役所の知恵、官僚の知恵で、ある意味でもう総無責任体制を作るためのものではないのかなと思うんですね。再生委員会、結局、佐々波委員会のときも、何の責任も取らないんですよ、結局はね。  それで、今回も、この再生委員会決定でもし認定されましたということになって、先ほども話ありましたが、大手流通企業のように、何か一生懸命再建をしておられる、だけれども何かうまくいかなかったと。そして、結局はまた法的整理に、法的倒産、整理に入らなきゃいけないということになった場合の責任というのは、結局何にも取らないんだと思うんですよ、再生委員会も社長も。言わば、そういう全体的にだれが責任を取るかというのは全然決まっていないことになるんではないかと、こう思うんですが、いかがですか。そこは短くても。
  128. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まず、産業再生委員会が全く無責任な形でないかというふうにおっしゃいますが、それはやはり違いまして、意思決定と業務執行をきちっと分けている。つまり、普通でいえば取締役会というのもそういう本来意思決定をするところであります。それから、業務執行は社長が責任を持って行うと。これは普通の会社組織でも分けているわけでありまして、むしろそういうところを特化した委員会を作ったということで、ここの責任と権限が不明確ということはないだろうと思います。  それから、繰り返しになりますが、先ほど申し上げたような再生計画が必ずしも当初のもくろみどおりいかないということは、それはこういう事案ですから、私は全くないとは申しません。そのときに責任の、じゃ何は責任として問われるかといえば、忠実義務善管注意義務を欠いて無用な損害を拡大させたのではないかと、これは当然責任対象になると思います。
  129. 広野ただし

    広野ただし君 結局、公的資金でやることの難しさというのは、例えば債権を買い取るときに、余りにも安く例えば買いたたくということになるとまた一つの批判になるでしょう。また、物すごく高く買った場合には、いや、簿価との関係でどうなんだといって、また、これまた批判の対象になる。それをまた売却するときにも、これ安く売って赤字が出たらば、やはり負担が増えるから批判が出る。そしてまた、余り高くもう売り過ぎると、果たして本当にどうなんだというようなことで、どっちにしても公的資金のところの問題というのは、そういう税金が入りますから非常に大きな問題を起こすんですね。  ですから、私は、やはりこういうところは、再生ビジネスというものをちゃんと作って、債権取引市場というものをちゃんと作ってやっていく。債権を商品化をする、証券化をするというようなノウハウですとか、またアドバイザーですとかコンサルタントですとか、あるいは投資顧問会社を作っていく。それで、一番大事なのはやっぱり格付だと思うんですよ。格付というものをきちっとして、この証券化をしたものは非常にハイリスクだけれどもハイリターンなものだというような格付をすることによって投資家がちゃんと入ってくる、これによって要するに直接金融の道が開けるわけですね。そういうことをやらないでやっていくというところに私は非常なやっぱり問題があるんだと思うんです。  しかも、ここに公的資金を、再生機構を作ることによって再生ビジネスの芽をやはり摘むんではないかという懸念を、今日午前中からもありました。やはり、ちゃんと育ってくるものを、私は規制改革をして、そしてそういう取引市場、流通市場を作ってやっていくことがやっぱり王道だと思うんですね。そういうことをしないでやっていきますと、結局こちらの方にばっかり頼り切って、官の方にばっかり頼り切って、再生ビジネスの芽を摘むということが出てくるんではないかと、こういうふうに思うわけです。  その点、再生ビジネスの規模とかなんかいろいろとありますけれども、そういうことよりも、やはり規制改革をして、また税制を大ぐくりに直して、そしてそういう債権市場を作っていく、企業再生ビジネス、そしてファンドも作っていくということが私は非常に大切なことではないかと、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
  130. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今の広野委員の御質問は、私はやっぱりこの問題のポイントをおっしゃったと思うんですね。  それで、この機構の難しさというのは、最初に言われたことと関係しますが、必ずしも利益を極大化することを求められているわけでもない。そうすると、どのぐらいの利潤を目的としてやっていけばいいかというような点について、確かにある意味での難しさがあることは事実だと思います。そこは一義的にどのぐらいのを取ればいいかというような答えはなかなかできませんので、運用のよろしきを得ると言うしかなかなかお答えがしづらい。ただ、結論として、値決めは、先ほども直嶋議員に御答弁したところでございますが、やっぱり利潤を得るということでやっていかないと市場を壊してしまう、市場と矛盾するということになると思います。  それから二番目の、もっといろいろやるべきことがあるじゃないかと。規制緩和をしたりマーケットを作ったりというのも、私は確かにそうだと思います。別な言い方をすれば、金融や何かにしても、もっと別のビジネスモデルが今の時代には求められているんじゃないかというようなことになるんだろうと思うんですね。  これは、どちらが卵か鶏かというようなところがございまして、私も、確かにこういう今のいろんな経済の中で、民間の中で広野先生のおっしゃったようないろんな胎動があって、そういうことをもう少しできないかなと思って、いろんな工夫や何かがあって胎動あることは事実だと思います。我々の機構がやりますことは、全部をそれを身代わりにしてやってしまおうというんではなしに、そったく同時といいますか、内の方でこつこつとくちばしでたたいていますから、外から卵の殻を割るような形をしてうまく市場を作っていくような、今この結晶ができつつあるのでぱっと周りに固まるようなことができれば、この機構は非常に成功したと言うことができるんじゃないかと思います。  ただ、確かにそれはどちらが先だというような議論がありましてなかなか難しいことでありますけれども、それを目指して頑張らなきゃいかぬのだと、こんなふうに思っております。
  131. 広野ただし

    広野ただし君 例えば不動産でも、これはちょっと分野は違いますけれども、不動産の証券化ということをやはりやるために、不動産協会が非常に知恵を絞ってRIETというものをやっていったわけですね。ですから、これも金融商品の証券化というものをやっぱりやっていく、そして直接投資家からお金を集めるということをやっていくことが正に王道であって、そこのことを一方ではやらないで、官製の、国の閻魔大王を作っていくというのはやっぱり非常におかしなことをやっていくんではなかろうかというふうに思いますし。  もう一つは倒産関連法ですね。これは、倒産関連法というものを、民事再生法なんかは特に整備をして、これによって今法的整理に行くのがもう非常に増えて、一万八千件なり一万九千件の倒産件数のうち大体三分の一の方は、昔はもう本当に数百件、少なかったんですけれども、六千件ぐらいはこういう法的整理の方に来ているんですね。  ですから、私はやはりしっかりとした、あるいは私的整理もありますけれども、そういうものをやっていくことが王道であって、どうも駆け込み寺みたいなものを作ったからといって、私は本当に日本経済の根本的な治療策にはならないのではないかと、こう思っております。最後に平沼大臣の御見解を伺いまして、終わりたいと思います。
  132. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 先ほど谷垣大臣からも答弁がありましたけれども、やはり今の御質問というのは非常にポイントをついておられると思います。  それで、私どもというのは、産業再生機構というのは、再生可能性があるにもかかわらず、民間だけでは再生が困難な事業について、産業と金融が一体となって再生しようとする動きを政府として強力に支援する、そのために設立されたものであると、このように認識しております。  機構の運営に当たりましては、産業再生は民間主体で進められることが望ましいとの基本的な考え方の下で、民間の英知と活力を最大限活用していくこととしておりまして、したがって民間の企業再生ビジネスのチャンスを奪うものではなくて、むしろ民業を補完するものであると、こういうふうに当面私は思っております。  こういった認識の下で、産業再生法の改正法案におきまして、実は企業再生の主な担い手である御指摘企業再生ファンド、これについては、その有限責任性を確保しまして、投資家にとって投資しやすい制度も整備をいたしました。また、改正案では、再生ファンド事業として財務内容が悪化している企業の金融債権を取得、保持することを認めておりまして、民間における債権取引を前提とした制度になっております。  さらに、もうよく御承知のことだとは思いますけれども、日本政策投資銀行や中小企業総合事業団からこれらの再生ファンドへの出資を行い、民間からの資金の量的補完を行うことにしているわけでございまして、今後、この企業再生ビジネスチャンス、こういうものをどんどん大きくしていかなきゃいかぬと思っておりますし、そのための人材も育成をしていかなきゃいけない。そういう形で、一つの、谷垣大臣が言われましたように、これからそういうものを本格化するその前段階として補完をする意味でやることに意味があると、このように思っております。
  133. 広野ただし

    広野ただし君 どうもありがとうございました。     ─────────────
  134. 田浦直

    委員長田浦直君) 委員異動について御報告いたします。  本日、片山虎之助君、近藤剛君及び小宮山洋子君が委員辞任され、その補欠として森元恒雄君、吉田博美君及びツルネンマルテイ君が選任されました。     ─────────────
  135. 田浦直

    委員長田浦直君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三案を一括して討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べいただきます。
  136. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、産業再生機構法案とその関係整備法案並びに産業活力再生法改正案に対する反対討論を行います。  まず、産業再生機構法案と関係整備法案についてです。  反対の理由の第一は、産業再生機構が、過剰債務に対する銀行の債権政府保証の資金で買い取ることにより、銀行が本来負うべき企業再生のリスクを肩代わりし、最終的に損失ができれば公的資金、国民の負担で穴埋めする仕組みだからです。  質問で明らかになりましたように、非メーン銀行だけでなくメーン銀行からも買い取る要管理債権中心と言いながら、破綻懸念先債権購入するとしています。結局、銀行は、五百億円程度の機構への拠出金で十兆円の不良債権購入してもらい、二次損失を国民に押し付ける仕組みであることは明らかです。  第二に、不良債権処理加速策の一環として打ち出された産業再生機構は、不良債権の査定を強化させ、銀行に対して不良債権処理の加速に拍車を掛け、過剰債務企業の選別、切り捨てを迫る受皿としての役割を担うもので、産業再生の名の下に多くの企業を破綻に追い込むものだからです。  これでは産業再生どころか、産業に対する破壊的な作用を促進する触媒の役割を果たすことになります。また、産業再生機構再生支援する企業においても、強力なリストラが推進され、ここでも労働者、中小企業に犠牲が押し付けられることは明白であります。  次に、産業活力再生特別措置法改正案についてです。  反対の理由の第一は、企業のリストラ計画を政府が認定、支援する事業再構築計画の制度を含めて延長するものだからです。  産業再生施行以来の三年半の間に、七万人以上の人減らし、リストラ計画が認定され、その支援のために六百六十億円も登録免許税の減税が行われてきたことを質問で明らかにいたしました。このように、国民の税金を使ってリストラを支援する制度の延長は断じて認めることはできません。  第二に、支援の対象を共同事業再編計画、経営資源再活用計画、いわゆる他力再生の営業譲渡まで拡大することは、大規模なリストラを促進するものだからです。  認定企業に対する税制上の優遇税制の対象を、リストラされる労働者への退職金の割増し部分なども追加することは、希望退職の名によるリストラを促進させるものにほかなりません。企業の税負担を軽減し、人減らしそのものを国が支援するなど、到底容認することはできません。また、過剰構造から共同設備廃棄を認め、事実上の官製の不況カルテルを認める結果、中小企業や下請企業、地域経済が更に切り捨てられることは明らかです。  不良債権処理の加速策を撤回し、日本経済の主役である中小企業の経営を支え、国内総生産の六割を占める個人消費を温める政策に転換してこそ、経済再生の道も開かれることを改めて指摘しなければなりません。  なお、産業再生機構法案の衆議院での修正部分について、雇用への配慮など評価できる点もありますが、機構の本質を変えるものではないことを表明して、反対討論といたします。
  137. 田浦直

    委員長田浦直君) 他に御意見もないようですから、三案に対する討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、株式会社産業再生機構法案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  138. 田浦直

    委員長田浦直君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  木俣佳丈君から発言を求められておりますので、これを許します。木俣佳丈君。
  139. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 私は、ただいま可決されました株式会社産業再生機構法案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読します。     株式会社産業再生機構法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 事業再生については、市場における企業の自主的な取組を尊重することを原則とし、産業再生機構(以下「機構」という。)が事業再生支援の決定を行うに当たっては、過度の介入により安易な企業の延命を図ることのないよう、公正かつ中立的な観点から判断を行うものとすること。  二 機構は、事業者が、労働者の理解と協力を得て、事業再生計画を策定及び実施しているか等、関係労働組合との協議の状況について、十分な確認を行うものとすること。  三 機構は、支援基準を運用し、事業再生支援を行うに当たっては、中小企業者の事業の実態等を勘案し、支援基準の運用に当たっても、機構による再生支援を中小企業者が十分活用し得るよう努めるものとすること。  四 事業所管大臣は、事業分野別支援基準を作成する際、及び個別事業支援決定において機構意見を述べる際には、機構の中立的立場を阻害することのないよう配慮しつつ、対象事業者の属する関係事業者の意見等を踏まえて実施するものとすること。  五 産業再生委員会の運営に当たっては、経営者を代表する者及び労働者を代表する者の知見がそれぞれ反映されるようにするものとすること。  六 機構は、事業再生支援を行うに当たり、過去に金融機関等から債務免除等の支援を受けたことがある事業者については、基準に基づき厳正に判断する等、事業者のモラルハザードを招かないように努め、あわせて、機構の損失拡大の防止に十分配慮するものとすること。  七 政府は、業務の運営の透明性を確保するため、支援基準について可能な限り具体的に定めるよう努力するとともに、機構は、企業秘密に配慮しつつ、債権の買取り及び処分について、積極的に情報の公開に努めるものとすること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  140. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいま木俣君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  141. 田浦直

    委員長田浦直君) 多数と認めます。よって、木俣君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、谷垣産業再生機構仮称担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。谷垣産業再生機構仮称担当大臣。
  142. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。  ありがとうございました。
  143. 田浦直

    委員長田浦直君) 次に、株式会社産業再生機構法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  144. 田浦直

    委員長田浦直君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  145. 田浦直

    委員長田浦直君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  木俣佳丈君から発言を求められておりますので、これを許します。木俣佳丈君。
  146. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 私は、ただいま可決されました産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読します。     産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 産業の再構築に伴う失業の予防等雇用の安定に万全を期すため、労働者の保護に関する問題については、引き続きその対応の在り方について検討すること。  二 不良債権処理の加速化により、企業の倒産・整理が高水準で推移することが予想されることから、労働債権が労働者のセーフティネットとなり得るよう、その対応の在り方について検討すること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  147. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいま木俣君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  148. 田浦直

    委員長田浦直君) 多数と認めます。よって、木俣君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣
  149. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと思います。  ありがとうございました。
  150. 田浦直

    委員長田浦直君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 田浦直

    委員長田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  152. 田浦直

    委員長田浦直君) 公正取引委員会内閣府の外局に移行させるための関係法律整備に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  153. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。  本日は、公正取引委員会の業務が内閣府に移管する、移管させるという法案でございます。正に公正ということであれば、政治は本当に公正でなければならない、そしてまた自由な発言も許されなければならないということでありますけれども、今般、大島農水大臣が、質問に先立ち一言官房長官に、質疑の通告はございませんけれども、御辞任をされるに至り、官房長官から、これは辞める必要がないんではないかというような御発言があったかに聞いておりますけれども、これは事実でございましょうか。  そうすると、政治とお金の問題ということで、今国会、先国会、先々国会、ずっと引き続いておりますけれども、これはどういうふうに理解したらいいのか少し分かりませんので、通告にございませんが、御答弁いただければと思います。
  154. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは多分、昨日の記者会見で記者から質問がありまして、それでそのときに話したことだと思います。  確かに大島大臣として、ああいう秘書にまつわる不祥事が起きたということについて、いろいろ国会においても取り上げられまして、そして大島大臣も、私が、これはもう全く私個人の意見として申し上げたんだけれども、私が見ている限り非常に誠実に対応していると、こういうふうに思いました。  ですから、そういう私が見ている限りにおいてはああいうふうに誠実に対応し、今後も恐らく続けていればそういう対応をしていくんだろうということを考えれば、ここで大臣辞任するに値するものかどうかと、こういうようには思って、率直にその意見を申し上げたと、こういうことでございます。
  155. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 率直な御意見は明快でよく分かりましたけれども、しかし、やはり今のお立場からすれば、やはり内閣のかなめである官房長官でいらっしゃる福田先生がそのような御発言というのは、それは個人の意見としてはやはりないんではないかと、私は思います。  今日も朝六時ちょっと過ぎぐらいにJRの駅に立っておりまして、そこの売店のお母さんから、何で今辞めるんですかねと、こう聞かれたものですから、それはいろいろありまして、メンツもあって、予算が上がるまではというようなこともあるんですよねと言ったら、どういうことなんですかねと、分かりませんということを言われました。  昨日も、私の後援者の方々と懇談したときにもやはり同様な御意見がありまして、これを辞める必要があるかないか、大臣自らがもう少し丁寧にだからその説明をしなければこれは分からないと私は思いますし、さらには、官房長官がそのように個人的に必要ないということを思われたとしても、その必要ないということは、やはり国民は全く私は通っていないということだけは申し上げたいと思って、今日質問を追加させていただきました。
  156. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 確かにそれは、その事実関係について何が本当なのかということ、それを明らかにするのは、これは大島大臣もそうだし、そしてまた、もし疑惑があるならその疑惑の根拠を示さなければいけないということは、それは皆さん方にもあるんではないかというように思います。  そういう中で私が申し上げたのは、大島大臣は本当に私は誠実に答えていたと思ったから、ですからそういう私の思いを申し上げたということで、お辞めになったことは、昨日の記者会見でも大島大臣自ら言われているように、深い悲しみがあったというようなこともおっしゃっていますし、そういうことがきっかけになったのかなと、こういうふうに思っております。ですから、大島大臣が自分の秘書の責任すべてを、監督責任と申しますか、それを考えてお辞めになったということだけではないように思うんです。  ですから、そういうことを全体的に考えて判断すべきだというのが我々の立場だというふうにも思っております。
  157. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 この質問で本論に入りたいと思いますが、ただ、必要ないというのは官房長官の言としてはやはり認めることは私はできないというふうに思います。政治家の出処進退というのはそれは自分が決めることである、これは私も本当にそうだと思いますし、いや、秘書の問題のみならず、いろんなことを勘案されてお辞めになったかもしれません。しかし、官房長官がそれを取って必要ないと言うのは私は少し行き過ぎではないかと、いや、大いに行き過ぎではないかという思いがありまして、それで、やはり基本的には当局の捜査というものがございますし、いや、もし疑念があればということでありますが、ということで、やはりその前に必要ないと言うのはどうだろうかというような思いがしたわけでございます。いや、もう結構でございますので。  それで、業務が移管するということでありますけれども、今、国民、日本国全体に覆っているイメージというのは、官房長官やそしてまた委員長が、公取の委員長がお感じになるような、どのように感じているかというと、つまり、ちょっと不公正じゃないか、フェアじゃないじゃないかと、こういう気持ちが蔓延しているというのが日本国全体の今の国民の持つ気持ちだと思いますが、こういったもの、非常に抽象的なちょっと話が続きますけれども、官房長官、どのようにお考えでしょうか。  経済的に、要は一生懸命やっていれば何とか報われるかなというようなイメージが非常に薄れている世の中になっている。例えば、頑張っていても頑張っていなくても一緒じゃないかと。いや、あの大企業見てごらんよ、つぶれる会社がつぶれなくて、うちは一生懸命やっていたってどうやったってつぶれるんだよと。あの大銀行を見てみなよと。こんなに一生懸命やっているのに、ちょっと粉飾をうちはしないから、できないから、ですから結局赤字に転落した途端にもうとにかく債権の引揚げばかり言っているよと。こういう声がもうちまたに蔓延していると思うんですが、官房長官、どのようにお考えになりますか。
  158. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 努力して報いられる社会、これが本当に私は理想的な社会だと思います。そうなってほしいというためにいろいろと工夫もしていかなければいけない、特に政治をつかさどる者はそのことはよく考えてやらなければいけないことだと思います。しかし、その結果、努力して報われないというその報われないという中身、これはいろいろな意味があるんだと思います。単にもうかったということで報われるというように考える人と、そうでない人もいるんだろうと思います。いろんな人がいるわけですから、それはそれぞれの価値観で考えるべきことであろうかと思います。  そういう上で、我が国の社会が、じゃ昔から比べて努力が報われないというように思う人は多くなったかどうか。もしそういうことが今言われているとすれば、これは私はやはりバブルの結果だと思います。バブルというのはそういう意味においては不公平感を非常にあおった時代だというふうに思いますので、その点については我々も大いに反省をし、また、そういうことにならないように政策等では考えていかなければいけないというふうに思っております。  今後そういうことがないという上に立って、すなわち安定的な経済成長をする、そして人の、人心も落ち着いた、そういう気持ちで毎日を過ごせるというような社会が実現したときに、そのときに不公平感があるというようなことがあってはこれはならないことだというように思いますので、そういうことが起こらないように我々も大いに努力をしていくべきだと思っております。
  159. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 竹島委員長に伺いたいと思いますが、今回所管が内閣府の外局に移行するということで、この業務の概要についてという三月の御発言の中で、独禁法の適正な執行を確保することの重要性にかんがみてこうこうすることだということなんですが、私も余り辛らつな言い方をしたくないんですが、例えば今年の二月の朝日新聞のこの記事にも書いてありますけれども、公取は長い間ほえない番犬とやゆされてきたと、こういうような言い方があります。  私も実は前委員長とは長いお付き合いをさせていただきまして、有料老人ホームの一時金の払いとか、いろいろカルテル的なものも追及させていただきました。また、エア・ドゥの話もやらさせていただきました。なかなか国会の場で、どうでしょうか、有料老人ホームの話も半年間ぐらい掛かる、それからエア・ドゥも一度二度しかやれませんでしたが、いずれにしてもいい答えが返ってこないというのが大体今までの結果でありましたけれども、内閣府に移ることでほえるようになるんでしょうか。
  160. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 結論から申し上げますと、別問題かと思います。  内閣府に移管していただきたいという今回のこの法律のお願いは、二年前に中央省庁の再編が行われて総務省ということになってはいるんですが、それで何か実際の公正取引委員会の仕事を進める上で問題があったということではございません。その独立性は独禁法で保障されているということもございまして。しかしながら、内外から、どうも座りが何かよく分からないねと、しっくりしていないんじゃないかということが言われたと思います。  具体的に、国内においても政府内部でもございましたし、関係の経済界からもそういう提言も出されている。現に、政府としてはおととしの骨太方針で、在り方の見直しをすべきであると、それから昨年の規制改革の計画でもよりふさわしい場所というふうなことも言われておりまして、やはり内外ともに公正取引委員会の言わば本籍地としてふさわしいところということは、やはりそういう御懸念を持たれないようにするためには必要だということでございまして。  一方、そのほえるほえないの話は、やはり私は、私どものもちろん努力も必要でございますし、ただ、努力するためといっても、法律の言わば番人でございますので、やっぱり法律上具体的な独禁法の執行力、抑止力の強化という観点から、やはりしかるべき道具といいますか、抑止力を高めるために何が必要か、執行力を高めるために、更にやはり厳しい行財政の中でも定員の増強等もお願いしなきゃならぬと、そういったことと相まって、ほえるほえないといいますか、そういう問題は努力していかなきゃいかぬと、こういうことでございまして、この法律と直接は関係ないと。
  161. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それでいいと思うんですが、ただ、本当に大いにほえていただかなきゃいけない。  また、ほかの新聞でも、これは委員長のお言葉は非常に私も分かりやすいと思っておりまして、独禁法に違反する行為はペイしないようにすると。ペイとは割に合わないようにするということで、要するにそういったものを排除していくということでありますが、実際に価格カルテル等、御案内のように、繰り返しのリピーターですね、これは犯罪人もそうらしいんですが、リピートして行うものが多いというようなことや、世論調査でも、七割が今は不公正だと、市場が、全体が、というようなことも出ているという話がありますけれども、別の観点から見ていらっしゃって、今、公取の委員長になられて、今まではこれよくやっていたというふうに思われますか。公取はよくやっていたと、市場の番人というか番犬、番人として、番人としてやっていたというふうに思いますか。
  162. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 公正取引委員会、できてから五十五年余りがたっておるわけでございますが、その長い時間、率直に申し上げまして、日本の高度成長といいますか、いわゆる官主導型のその高度成長という中で、公正取引委員会というのが期待されていたといいますか、その十分な活躍ができなかったということはあったと思います。  しかしながら、この十年、十数年、世の中が変わっていると思っておりまして、その中でやはり競争政策とか公正、中立、自由な競争ということが大事であると、規制改革もしていかなきゃならぬということがずっと言われてきているわけですが、そういう中にあって、公正取引委員会は、そういう改めての何といいますか評価を受けて、頑張ってきているなというふうに思っております。  ただ、いかんせん、六百名ぐらいの体制でございまして、持っている手段も限られておるということで、そもそもが特に談合とかカルテルは密室性が高いので、そういう問題をきちっと押さえるということについて我々が持っている武器で本当に十分かどうかということは、あったらと思いますが、その中で精一杯この十年ぐらいはやってきたんではないのかなというふうに思っております。
  163. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 この十年ぐらいはやっていたということなんですが、例えば、年間の、いわゆる問題があるということで申告件数が平成十三年度が、聞くのもあれですので、四千七百三、平成十二年が二千八百七十八。不況になるほどこの増加率が増加しているわけでありまして、十二と十三で比べると六三%もこの申告の数が増えていると、このようになっております。さらに、残念ながら、申告してから、いわゆる法的な、法的措置ですね、ここまで行くのが、その四千七百三のうち何と三十八しか法的な措置まで行っていないということであります。  時間がありませんので更に言えば、この掛かっている時間も、実は今、十年間頑張っているというお話でありましたけれども、実際には平成十三年度は二百八十六日、前年に比べて八十日増加をしていると、法的措置までのこの時間です。二百八十六日というと大体一年間弱ぐらいでありますが。  一般的に、私も、実は公取の方々や、裁判に私の友人の中小企業の方々と立ち会っていろいろ見てまいりましたけれども、もうこれ中小企業の社長が先頭を切って裁判に出ていかざるを得ないと、これはもちろん公取の審判、審決とは違いますけれども。そうしますと、大体、一年で大体つぶれます、その会社は。こういった実情を見て、今のお答えでよろしいんでしょうか。これは委員長と官房長官と両方伺いたいんですが。
  164. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 御指摘のように、申告件数は四千七百という十三年度の数字、そうでございますが、その中身で圧倒的に多いのが小売業における不当廉売、要するにお酒とかガソリンが特に多いんでございますが、それが三千九百ございまして、それ以外の申告件数は七百七十件と。その中で三十件云々という法的措置ということになるわけでございまして、それから時間も掛かっているではないかと、御指摘は私ども、そのとおり真摯に受け止めさしていただかなきゃいかぬと。  ただ、言い訳になるかもしれませんが、最近は、やはり被審人の方の、我々の調査の対象になる企業なり事業者のやはり権利意識といいますか、が非常に強くなっているという表れでもあるんですが、なかなか、最後の最後まで粘られる方が多い、審判にもう持っていく方も多いということで、弁護士も当然付いていろいろ、正に御本人と離れてといいますか、プロ的なやり取りというのが非常に多くなる。それから、関係人が入札談合なんかの場合にはやっぱり数が増えてきていると、一つ一つつぶしていかなきゃならぬということがございまして、残念ながら九か月強、平均では処理に掛かっているという実態もございます。  これらについては、私どもやはりもっと正確な情報をいかにつかまえるかというその方法論を開発しなきゃなりませんし、やっぱり増員等のお願いもして執行力も高めていく、それから私どもも、その二百、九か月強掛かっているというものを更に縮めるような努力をこれはやっていかなきゃならぬというふうに思っております。
  165. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 公正取引委員会におきましては、中小企業に不当な不利益を及ぼす不当廉売とか優越的地位の濫用行為等に関しては、従来からも事件審査部門を中心に体制整備を図っているとともに、迅速かつ適正に対処してきているものと、そういう認識をしております。  今後とも、公正取引委員会において、関係方面の理解を得つつ、そうした問題に対応できるような体制整備を図るとともに、御指摘のような違反行為に係る具体的事実に接した場合には適切に対応していくものと、こういうふうに承知しております。  具体的に申し上げると、この体制面については、十四、十五年度、これは毎年三十六人ずつの増員、それまでは十人に足らない増員でしたけれども、三十六人という大幅な増員を果たしておりました。これは全体の六%増えているということでありますので、まあ世帯はそれほど大きくないんでありますけれども、そういうことについては今もう既に問題意識を持って体制整備の強化に努め、今後もこの考え方は継続していきたいと、こう考えておるところです。
  166. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 全体が今地球規模の大競争の時代に入ると、日本も規制緩和がどんどん進まなければいけないと。こういうところで産業や雇用を増やしていかなければならない。つまり、規制緩和がどんどん進めば、つまり自由化が進んでいけば当然ながら自由になるわけで、野方図に自由ということは、これは非常に不自由というか、消費者にとっても不自由になる可能性があるということで、公取の方々が増員されるということは非常に好ましいというふうに思います。  ただ、今現在、公取の方々の味方になるわけではありませんけれども、六百十八名、六百名強でやっていらっしゃると。アメリカを比べますと、千八百名でやっているということでは、やはりなかなか私いかないという実情も理解できるように思いますので、是非、官房長官にお願いをしたいのは、増員をもう少し急激にしていただきたいというふうに御要望をしたいと思うんですが、どうでしょうか。
  167. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは公正取引委員会事務当局とよく相談して、効率的でなきゃいかぬけれども、体制整備については十分意を用いてまいりたいと思います。
  168. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 要らない役所がどんどん増えていますので、ですからそこを削って公取に入れるというようなことが私は非常にいいんではないかというふうに思いますので、御提案しますのでよろしくお願いします。  ただ、この人数だけ増やせばいいのかというふうに考えますと、先ほど委員長からお話がありましたように、実はかなりプロ化しているというお話がありましたが、そのとおりでありまして、実は独禁法を見て、いざ、条文をいろいろ今修正をしながら提案したいと思っておりますが、一つの大きなポイントは、実は審判に当たってプロが実はなかなか入り込めないという事実もあるんですね、御案内のとおり。つまり、弁護士がその訴え側の代理人になったりしてどんどん入っていければ、もっと速やかに審判が行われるという事実は御案内だと思います。あの条文の中に「又は」と書いてありますから、つまりは、それは弁護士はなかなか入れないというのが実際でありまして、別に僕も弁護士資格を持っておったり、弁護士の方々に応援いただいておるわけじゃありませんけれども、やはりもっとプロの方々がその審判の中にどんどん入っていけるような、そういう制度が私は必要だと思いますが、どうでしょうか、委員長
  169. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) やはり弁護士、公認会計士、その他高度なエコノミストといったような外部の人材をこれからはできるだけ入れていくということに努力しなきゃならぬと思っています。現在でも四名、検事さん、それから判事含めておりますし、弁護士も二名ほど、幸い任期付きの採用というのができるようになりましたものですから、この四月にもまた追加して採用するというようなことでやっておりますけれども、これからもできるだけ、なかなかこれは条件の問題がございますけれども、そういった専門知識を持った方々により多く来ていただくように努力したいと思っております。
  170. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今言われましたように、四名では、六百数十名のうちでありますので全く足りないと思います。だんだん弁護士の方々もどんどん増えていきますし、余りつつありますので、そちらへどんどん入れると私はいいなと思っております。  独禁法を正に公取が独占しないように、冗談じゃなくて、独禁法を独占しているのが公正取引委員会なんですよね、これは非常に私いけないことだと思いますので、是非市場化というか自由化していただきますようにお願いをしたいと思います。  もう時間がございませんけれども、実は今国会に閣法として下請代金支払防止遅延法というのが提案されておりまして、この三月の業務の概略についての中でも書いてあるわけでございます。  ちょっと一言、私文句を言いたいことは、私が主査で議員立法として、どうでしょうか、もう二年前ぐらいでしょうか、からいろいろ参議院の法制局と鉛筆なめなめやって出させていただいた。なかなかつるしたまま下りなくて、先国会で理事のお計らいで答弁をさせていただいたというのがありました。今回は、閣法からどんと出てきて、さあどけというような感じでありますけれども、中身を見ますと、ほとんどこれぱくりじゃないかというようなことでありまして、これは知的財産をぱくられたと言っては、済みません、本当に模倣されたなということで、これは今国会、この委員会の中でも知財基本法から始まって特許法の改正というのが掛かっておりますけれども、法律に特許はないんでしょうけれども、しかしいかがなものかというように思うんですが、こういったものは委員長はどういうふうに見ていらっしゃいますか。
  171. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 木俣先生始め、民主党から議員提案で下請法の大体同じような内容の法律が既に国会に出されて継続審査になっているということは承知しております。それは、大いに敬意を表させていただきますし、私どももそれを、恐らく私の来る前から、去年夏に就任する前から公取は公取で勉強会をしていたようでございますが、当然民主党の案というものを参考にさせていただきながら検討してきているものと思いますので、どうかせっかく同じようなものでございますから、是非御理解をいただいて御賛同いただきたいというふうに思います。
  172. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 元祖としては非常に、いや、こちらを理解いただきたいということを私は申したいんですが、もちろん国会ですので委員長にお願いしてもしようがないんですが。徹底的にやはり、あの中全く同じではございません。これはうまくできていますね、ちょっと変えて出てきているという。しかしそのちょっと変えたところが、官房長官、非常に大事な部分がありまして大いに、参議院先議でやらせていただくようになっておりますので、修正をさせていただきながら、やはり元祖の意見を是非聞いていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。  最後の質問です、官房長官に。じゃ、委員長で。
  173. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 今日は内閣府移管法でございますので、また下請のときにいろいろと御議論いただけるものと思いますが、いずれにしても、いい法律であればいいわけでございますので、そこは十分に私どもの考えも御説明させていただいて、きちんと木俣先生が思っておられるようなことが実現できるように、私どもの方も法制的な検討をいたしまして御提案申し上げていますので、また機会を改めてきちんと御説明させていただければと思います。
  174. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 官房長官からも一言お願いします。
  175. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今、委員長も申し上げましたけれども、また国会においてもよく議論をしていただいて、いい考えを出していただきたいというように思っております。
  176. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 終わります。
  177. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  今日はせっかく官房長官おいでですので、法案の質問に入る前にイラクの問題についてお尋ねしたいと思うんです。  戦争が長期化すると、そういう見通しが出ております。ブッシュ大統領自身、戦争の終結にはほど遠いとか、あるいはラムズフェルド国防長官自身が、この戦争が何週間、何か月掛かるか、続くか分からないと、そういうことを述べている状況があります。つまり、短期決戦ということで、そういうことで叫ばれた戦争に長期化という見通しが出ているというのが現状だと思います。  小泉総理自身、いかなる場合においても武力行使を支持する、あるいは官房長官自身、アメリカとの関係は切っても切れない関係、そうおっしゃられながら、いや、これは官房長官が言われている会見なんですけれども、そういうふうにおっしゃられているわけですね。  で、その日本政府の武力行使支持という立場というのは、長期化になってもそれは変わらないのかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  178. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 私、切っても切れない関係と言ったですか。余りそういう文学的表現は使わないことになっているんだけれども。
  179. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 十八日です、記者会見です。
  180. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ああ、そう。まあいずれ、それはともかくとしてね。  この長期化、最初は短期に終了するという見通しであったと、じゃ短期というのは一体どのぐらいのことを短期と言うのか。じゃ今、もしかすると長期化するかもしれないという、じゃ長期というのは一体どうなのか、何か月なのかそれとも何年なのかということもありますので、非常に漠然とした議論なんですね。  ただ、イメージとして、割合これは早く終わるかもしれぬというようなことで、そういう期待も含めて短期というようなことを言われておったかもしれません。始めてみると大体こういうことなんだろうと思いますけれども、実際はそう簡単には事は進まない。しかし、ブッシュ大統領の発言を見ている限り、作戦は順調に進んでいるという言い方は今もしているようでございますので、それを信ずるしかないと、我々としては信ずるしかないというようにまずは思います。  いろんな情報を総合して、我々独自の考え方というものをこれからだんだんと持っていかなければいけないんだろうというように思います。その間、犠牲者がもうなるべく少ないようにと、本当に少なく、国民に対する損害も極めて少ないということが望ましいのは当然のことでございまして、そういうことでアメリカも作戦中においてそういう考え方を織り込むからなかなかうまく攻撃ができないといったようなこともあるのかもしれませんけれども、いずれにしましても、そういうことを我々は望んでおるということは、これはもう変わらない立場ではあります。  その上でまあ、これは質問何だったかな。
  181. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 アメリカの支持、変わりませんかということです。
  182. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) アメリカの支持、アメリカの支持につきましては、これは私どもの考え方は、今回の戦いというのは何かということ、原点、これを忘れちゃいけないわけですね。質問の原点を忘れちゃいかぬですけれども。この戦いというか武力攻撃の原点は、やはり大量破壊兵器、これをこの世界からなくすためにということが、これが国際社会の一致した意見であったわけでございまして、そのことは決して忘れてはいけない。  ですから、この武力攻撃が中途半端な形において終了して、そしてその結果、大量破壊兵器が残ってしまうということは、これはこの武力攻撃を始めた意味がないということになりますので、そのことはきちんと整理されなければいけないということは、この大量破壊兵器を、これを除去するためにある一定の成果を上げなければ、これはこの武力攻撃の意味がなくなってしまう、そして、じゃ今まで一体何をしたのかという、こういうことにもなりかねないことであります。そしてまた、その結果、大量破壊兵器が世界じゅうに拡散するということがないような、そういう国際社会を作り上げるということが目的であるというように考えておりますので、それはそういう観点から、この武力攻撃はいつまで支持するかといったら、そういう観点で考えるべきだと思っております。
  183. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 結局、立場は変わらないということをおっしゃられたと思うんですね。それで、切っても切れない関係というのは十八日午後の参議院の予算委員会での官房長官答弁でございますので、そういう答弁を忘れられては困るということを述べておきたいと思うんですね。  大量破壊兵器をなくすために大量破壊兵器を使って民間の無辜の人たちを多数殺傷するという、今そういうことが起きているわけですね。私、それが非常に大きな問題だと思います。クラスター爆弾使う、あるいはバンカーバスター弾使う、あるいは劣化ウラン弾使う、やはりこういうことが許されていいのか、やはりこれは国際的にもう禁止すべきそういう兵器だということで議論がこの間国連で起こってきた、そういう兵器を今アメリカ軍は使っているわけですね。それについて批判されると、いや、これは安全だ、害がないと言うけれども、それは全然証明がないわけです。  官房長官自身、大量兵器をなくすと言われましたけれども、そのためにこれだけの犠牲を作っていいのか、そしてこういう兵器を使うということ、米軍があるいは英軍が使うということ、これを是とされるのかどうか端的にお伺いします。短く。
  184. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは、大量破壊兵器とこれはちょっと目的がちょっと違うように思いますので、分けて考えるべきだと思います。  クラスター爆弾とかそういうものを使うという、そういう報道ございます。私どもそれを確認しておるわけじゃありませんけれども、しかし、もし使うということはあったとしても、それは人命の損傷とかそういうものをもたらす、大量の人命損傷、そういうものをもたらすような形で使うということはあり得ないというように考えております。すなわち、国際法上の制約というものは十分米軍も心得て今作戦行動をしているというふうに考えておりますので。  大量破壊兵器というのは、これは不特定多数に、まあ不特定多数と言えば同じような言葉になるかもしれぬけれども、これとは目的が違うんだということであって、やっぱり国際法上の範囲の中で米軍が使うのと、そういうことと関係のない大量破壊兵器とは、これはちょっと性質が違うんだろうというふうに思っています。
  185. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 米軍が民間人を殺傷するようなそういうやり方、国際法に違反するやり方はあり得ないとおっしゃられましたけれども、今現実に起こっていることがそこだと思うんですね。実際に米軍は民間人に危害を加えていると、そういう事実があるということは幾つかの事例で認めているわけですね。  それで、官房長官自身、戦争だから注意しても避けられないことがあると、これは記者会見でおっしゃられたことですけれども、民間人に被害が及ぶということについてある意味では仕方がないと取れるようなこともおっしゃられているんですけれども、本当にそういうお考えなんですか。
  186. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 仕方がないかどうかといったら、結果としてそういうことが起こってしまうと、こういうことでありまして、米英軍とも民間人に対する被害は最大限に回避するという細心の注意を払って作戦行動をしている、だから非常にまどろっこしいというところもあるんだろうと思います。  戦争の現実というのは、やっぱり民間人に被害が発生するということはこれはあり得るわけでございますので、極力この早期終結ということが望ましいという、そういう立場は変わりません。
  187. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 官房長官、根本的に違うと思うんですがね。私、バグダッドに行ったことがあるんですけれども、あそこに五百万ぐらい住んでいるんですよ。そして、軍事目標とされるところと住宅街というのは、地図を見ても分かりますけれども、そう識別できないんですよね。そこに巡航ミサイル、トマホーク、バンカーバスターぶち込んだら民間に被害が出るのは当たり前なんですよ。ですから、そんな、そんなことはあり得ないんですよ、戦争をやっている限りは。ですから、私、そのことをはっきりと申し上げておきたい。  それともう一つ、これは結局、この戦いというのは元々、九・一一後に、テロと戦うということで、そしてアメリカに対する連帯というか共感というか、それが世界じゅうから寄せられたわけですよね。ここに昨日付けのロサンゼルス・タイムズ、アーサー・シュレジンガー元ホワイトハウス補佐官の論文があるんですけれども、九・一一以降のアメリカへの共感と連帯のグローバルな波が戦争によってアメリカへの憎悪のグローバルな波に変わったと、こういう指摘があるわけですね。  私は、テロとの戦いにとってもこうした戦争がやはり逆効果になっていると、こう思うんですけれども、その点について端的にお聞きします。
  188. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 戦争を長く続けるということは、それだけ被害者も多くなるというように思います。ですから、なるべく早く終結するということが望ましいということは、これはもう論を待たないんですよ。その際に、損害を極力少なくするような十分な配慮をしなければいけないということも同時にあろうかと思います。  そういうことも科学技術が発達したから可能になったということで、第二次大戦なんかを見ましても、これはもう本当にそんなことを言ってられないくらいたくさんの人が死んでしまったという事実があるわけで、我が国だってそうだったわけですね。そういうことから比べると、それは細心の注意を払ってやるという、それだけのことはできるようになったということは、これは一つあるんだろうと思います。  しかし、幾らそういうふうにしたって、イラクの方でフセインがどういうことをしているかといったら、民間の施設に軍事施設を持っていたり、例えば病院の中に何かいろんなものを持っているとか、そういったようなことを平気でやるところなんですよ。要するに、イラク、フセイン自身がイラクの国民を損傷させることについて全く意に介していないという、その事実はよく考えていただきたいと思いますよ。どっちが非人道的かといったら、はるかにフセイン大統領の方は非人道的だということじゃないんでしょうか。そういうふうに客観的に判断していただきたいと思っております。
  189. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いや、驚くべき議論ですね、官房長官。どっちが非人道的か。いいですか、あれだけの軍隊を送って、やたらに空爆する、バグダッドを空爆する、それによって生む被害、これを生んでいること自体の方がはるかに残虐であって、だから、いいですか、アメリカが花を持って解放軍として迎えられるという、そういうことを盛んに言ってきたけれども、みんな反対に回って、フセインが嫌いな人たちも自分の国を守れということをやっているんですよ。ですから、そういう現実があるということ。  それから、配慮できないですよ、幾ら科学技術が発達しても。今だって誤爆率が一〇%とアメリカ当局自身が認めている、軍当局が。ですから、そういう戦争に日本が賛成している、結構だと、長期化してもその立場は変わらない、それはやっぱり大間違いだということを述べておきたいと思います。  さて、法案について質問をしたいと思います。──あ、いいですよ、何かあれば。法案について質問をしたいと思います。  今回の法改正を見ますと、総務省の発足からわずか二年で公正取引委員会の所管体制を見直さざるを得なくなったという点では、早くも省庁再編の在り方が問われる、そういう問題だと思います。  そもそも、その中央省庁再編で、なぜ公取委をそれまでの総理大臣所管から総務大臣の所管に移行させなければならなかったのか。また、省庁再編後、総務省の外局として公取委の取組について、その独立性とか中立性に支障となる事案があったのかどうか。もし支障がなかったのであれば、なぜ今内閣府に移行させる必要があるのかと、そもそもそういう根本的な問題を感じるわけですけれども、官房長官、その点ではいかがですか。
  190. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 公正取引委員会は、これは中央省庁等の改革が十三年の一月にございました。それで総務省の外局になったんでありますが、その後、我が国の経済構造改革を推進し、公正かつ自由な経済社会を構築することが政府の基本方針となったわけでございます。これは平成十三年六月の閣議決定でございますが、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針というものの中で、競争環境の積極的な創造、市場監視の機能、体制の充実、そういうことを行って競争政策を強力に実施すると、こういう閣議決定を行いました。  そういうふうな方針に基づきまして、特に競争政策の重要性が昨今非常に増していると、こういうふうな状況の中で、内閣府が規制改革の推進、消費者利益の確保等を担っていることなどにかんがみまして、公正取引委員会の位置付けについて、よりふさわしい体制とするために内閣府の外局に移管させると、こういうふうになったわけでございます。
  191. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そういうふさわしい改革になるかどうかというのは実際の問題だと思うんですね。  それで、私、公取委の機能強化という点でいうと、入札談合などの摘発でも、今後、独禁法違反行為に対する抑止力を高めるためにも、悪質な入札談合については、積極的な刑事処分を含めて告発を行っていくという、そういう必要があると思うんですね。  公共事業入札談合をめぐって国や自治体等の発注機関から寄せられる通報が、関連法の整備もあって年々増加して、二〇〇一年度は九百件以上に上った、そう聞いております。その一方、公取委が排除勧告などの法的措置を取ったのは同年度でも三十件程度にとどまっている。発注機関からの通報件数に比べて公取委が排除勧告などの法的措置を取った件数が極めて少ない。その理由は何ですか。
  192. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 確かに数字は今御指摘のようなことになっております。  問題は、ただ単にうわさとして、談合が行われていますよと、A社が落札するといううわさですよというだけで、その情報、そういう情報では私どもとしては不十分でございまして、入札談合をきちんと立証するためには、どういう基本合意があってだれとだれがそこに参加していたのかということを我々として解明しなきゃいけないわけでございまして、ただ単に談合のうわさという程度では、私どもとしてはそのまま法的措置を取るということには結び付かないわけであります。  率直に申し上げまして、通報はそういうことで九百件以上あるのでございますが、その中はどちらかというと、そういう伝聞情報的なものが圧倒的に多くて、かくかくしかじかでこういう仕組みでこういう時期にこういう企業がやっていますよという具体的な証拠付きの情報というのは少ないわけでございます。私どもはやっぱりそれが必要でございまして、それをやはり自分たちでもまた努力し、取っていくというようなことをやるものですから、法的措置という意味では、おっしゃるように三十件余りで済んでおると、こういうことでございます。
  193. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 情報が不十分だということは大いにあると思うんですよね。ただ、私、同時に、仕組みの問題があると思うんです。  それは、発注機関で策定する談合情報対応マニュアル、これがあります。国土交通省などの発注者は談合情報が寄せられた場合の対応マニュアル化、これを行っているわけですけれども、私ずっと国土・環境委員会の理事をやっておりましたので、それをよく見る機会がありました。  例えば、業者から必ず事情聴取を行うよう定めて、疑いのある業者に対して、談合の事実はありますかと聞くわけですよね。そうなっているわけです。さらには、業者から入札談合を行わないという誓約書を取って公取委に送付する、これを定めているわけですね。  こうした対応の在り方について公取委が研修用に作成した留意事項、これ私、見ました。それを見ると、これらの行為、つまりそんなことありますかとか、誓約書を書かせることとか、そういう行為が業者に談合通報を予見させ、証拠隠滅を容易にするなど公取委の審査活動の妨げになるおそれがあると書かれているわけですよ。これ、どういうことですか。
  194. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 確かに、何といいますか、不用意にそういう企業に対してそういうことを聞いて相手に身構えさせるというようなことは、率直に申し上げまして私どもの仕事にマイナスになることがあり得るわけでございますので、したがっていろいろ、国土交通省の方でも談合がなかなかなくならないものですからいろいろと工夫されて、おっしゃったマニュアルも改定しつつやっておられるんですが、私どもとしては、やはりやっていただく場合には、例えば見積りを、内訳を比べてみるとか、よくあるのはそっくりのが出てくると、どうして共通しているんだというようなことから、そういう情報の方がはるかに物的証拠としては意味があるので、その辺までやっぱり深めた取組をしていただければ大変有り難いと。  相談をさせていただいていますので、これからもそういった少し掘り下げたような、ただ触るという意味じゃなくて、そういう調査なりをしていただくように私どもからもお願いをしたいと思っております。
  195. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、委員長、大事なことを言われたと思うんですね。やはりマイナスだと思うんですよ、おっしゃられたとおりですね。つまり、泥棒を捕まえて、あなたは泥棒をしていますかということを聞くようなものでしょう。しかも、相手は相当知能の高い泥棒ですからね。ですから、やはりマイナスなんですよ。  ですから、私はそう考えたときに、今相談されているとおっしゃいましたけれども、私は公取委の留意事項を踏まえたマニュアルの改定、もっときちっとした形で取締りできる、刑事告発の件数、これは実際そういう事案があればそれは告発されるのは当然ですから、それがそういう実態に伴って進んでいくような、そういう改善が必要だと思うんですけれども、相談されているのはその中身かもしれませんけれども、是非その改善をお願いしたいと思います。その点をお伺いいたします。
  196. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) やはり独禁法違反事件を取り締まるのは公正取引委員会でございまして、私どもは、地方自治体にもそういう問題意識といいますか、やってはいけませんよという未然防止のことについては大いにやっていただきたいし、指導もしていただきたいと思いますが、やはり法的措置につながるようなことについては、やはり公正取引委員会自体がそういう力を持たなければいけないんじゃないかという、基本的にはまずそう思っております。  そういう意味で、ちょっとその御質問にはなかったんですが、私どもとしては今の課徴金とか刑事告発とかありますけれども、そういったいわゆる抑止力で十分かということについて、制度上の見直しをする必要があるんではないかというふうに思っておりまして、公取委自身の機能強化というところから問題に対応していくのが本筋だろうというふうに思っております。
  197. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後です。  今おっしゃられたように、正に制度上の、そういう改革は是非やっていただきたい。それと併せて、今あることで私が指摘した、そして委員長がマイナスとおっしゃられたマニュアルの今の在り方ですね、これの改善も併せてお願いしたい。その点、最後に。
  198. 田浦直

    委員長田浦直君) 竹島委員長、簡単に。
  199. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) はい。  マニュアルにつきましても、今年もやりましたけれども、今年といいますか、そうですね、十五年になってからも相談しておりますけれども、これからも引き続き国土交通省と協議をしてまいりたいと思います。
  200. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  201. 広野ただし

    広野ただし君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の広野ただしです。  独禁法はやはり各種経済法の憲法とも言われる基本法だと、こう思っておりますし、それの、公取はその番人ということで、非常に重要な役割を担っておられると、こう思っております。  自由党の方では、各種業法、各種事業規制の法律、カウントしますと大体百七十本ぐらいあるんですね。業種全体を見ますと二百五十業種ぐらいが何らかの形で官が介入をするものになっております。日本全体の経済活動は、自由主義国とはいうものの、官がいろんな形で、特殊法人もありますし、今度は独立行政法人に移行しておりますけれども、そういうもの、またこの法、業法等のものを考えますと、大体四割から五割ぐらいは官が何らかの形で介入をしている。これが果たして自由主義国家かなと私は思うくらいなんですが、そういう中で、やはり法の番人の公取がしっかりとやってもらわなきゃいけないと、こう思っております。  我々はかねがね、総務省にあるというのはいかにもおかしい、特に情報通信関係の業種を所管しておられるわけだし、そういうことからいって誠におかしいということを申し上げておりましたが、今度は内閣府の外局に移るということであります。朝令暮改的な感じもしますけれども、出し手の総務省ではどういうふうに今考えておられるのか、見解を伺います。
  202. 吉田六左エ門

    大臣政務官吉田左エ門君) 広野委員の御質問お答えを申し上げます。  公正取引委員会については、中央省庁等改革により現行の体制となりました。これは二〇〇一年一月六日ということであります。委員会のこれまでの実績も踏まえて、その在り方、具体的な移行の必要性等について幅広に十分な検討を行ってきたところでございます。  その結果、公正取引委員会は独立行政委員会として設置され、その独立性は独占禁止法上確保されておりますものですから、これは総務省に設置されている現在も内閣府への移行後も全く同様であると考えます。  ではありますけれども、競争政策の重要性が増している今日の状況において、内閣府が規制改革の推進、消費者利益の確保等を担っていることからかんがみまして、よりふさわしい体制とするために、今般、内閣府に移行させていただくことといたしました。総務省としても、今回の移行により公正取引委員会がその機能を的確に発揮され、競争政策の一層の推進が図られますことを期待してのことでございます。
  203. 広野ただし

    広野ただし君 やはり内閣府の外局に持っていった方が本当にいいことだと思いますので、この法律には賛成なんでありますが、やはり自由な競争を通じて日本経済の活性化を図り、またそれがひいては公正な利益を消費者にももたらすという意味で、独禁法のそれが根本だと思っております。  ところで、先ほどもありましたが、公取一一〇番というのか、公取さんの方にもいろんな情報が寄せられる、しかしその中でちゃんとした証拠を伴ったものでないとなかなか事案にはならないということだと思うんです。そういう中で、私は何も内部告発を奨励するわけじゃないんですが、カルテルですとか談合ですとか、あるいは不当な取引を行っている、そういう中での、実際にそこで苦しんだ者とか、あるいはその中に巻き込まれていて、どうも社会正義からいってこれはおかしいという人からの告発といいますか、そういう情報というのはもう正に的を得た大事なものだと思うんですね。  それに対して同じように制裁措置を講じますと、やっぱりなかなかちゃんと情報を提供されないということで、欧米ではこれ、向こうでは司法取引というものが盛んですから、そういう場合の制裁減免措置といいますか、そういう情報をもたらした人に対しての制裁減免措置、リニエンシーと言うっていますけれども、そういう措置があるわけですね。それによって的確に談合をつかまえれるし、カルテルを解消させることができるということで、私はこれはもう非常にやっぱり大切な制度だと思うんです。  司法改革と非常に絡むことなので、独禁法だけで、公取だけでできるとは思いませんが、そのことについて公取委員長の見解を伺います。
  204. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 御指摘のとおり欧米では、お隣の韓国もそうなんでございますが、そのリニエンシーという制裁減免措置、要するにカルテルに参画していた企業が、企業として実は私どもそれをやっておりましたということで、事件の解明に全面的に協力する、それもイの一番で来ると罰は与えませんというものでございますけれども、これが大変、アメリカ、EU、韓国で導入されて効果を上げている、非常に実効を上げているということでございます。  残念ながら日本にはそれがないので、今、それだけじゃございませんが、リニエンシーだけじゃございませんが、課徴金も今のままでいいのか、それから、私どもは犯則調査権限というのは持っておらぬわけでございますが、犯則調査権限をやっぱり持つべきじゃないかといったような論点が幾つか独禁法の基本にかかわることでございます。  これらを含めて、措置体系の見直しを今専門家を集めてやっておりまして、今年の秋ぐらいにはその研究会の報告をいただきたいと。それで具体的に、もちろん国会にも最後は御相談しなきゃならぬ話でございますけれども、じっくりと議論を尽くして、意味のある、実効性のある独禁法ということにしていきたい。そういう意味で、私もリニエンシーについては大変前向きに取り組まさせていただきたいというふうに思っております。
  205. 広野ただし

    広野ただし君 非常に前向きの御答弁をいただきました。  そして、最近の公取委員会は、私は非常に規制改革に絡んで頑張っておられると思うんですね。本当に、先ほども申し上げましたけれども、日本の経済、本当に自由主義経済かなと思うくらいにすさまじい規制が掛かり、官の関与が多い。本当に四割、五割というふうに思います。そういう中で、業法の、特に経済的な規制というのは撤廃をして、本当に自由な競争を、公正な競争を活発にして日本経済を浮揚させる、これが本当の構造改革につながると私は思っております。  そういう意味で、私ども自由党は、そういう各種事業規制の撤廃に関する法律を出しておりますけれども、日本経済の構造改革に絡んで、独禁政策の根本について官房長官のお考え、見解を伺います。
  206. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 先ほど委員長からも答弁しましたけれども、いろいろと今後、新しい二十一世紀の経済社会に対応するために工夫していかなければいけない問題が多々あると思います。そういう意味において、制度が今のままでいいのかどうか、そういうようには私ども思っておりませんし、先ほどのリニエンシーのことも検討しなければいけないと思いますし、機能の強化ということも併せ考えていかなければいけないというように思います。そういう観点から、多面にわたる検討をこれから展開していかなければいけない、そのことを強くお約束をさせていただきたいと思います。
  207. 広野ただし

    広野ただし君 終わります。どうもありがとうございました。
  208. 田浦直

    委員長田浦直君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──特に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  公正取引委員会内閣府の外局に移行させるための関係法律整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  209. 田浦直

    委員長田浦直君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  木俣佳丈君から発言を求められておりますので、これを許します。木俣佳丈君。
  210. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 私は、ただいま可決されました公正取引委員会内閣府の外局に移行させるための関係法律整備に関する法律案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出します。  案文を朗読します。     公正取引委員会内閣府の外局に移行させるための関係法律整備に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 近年における公正取引委員会の業務量の増大並びに業務内容の複雑化及び高度化にかんがみ、自由かつ公正な競争の実効的な確保及び法の厳正な執行による抑止力の強化を図るため、公正取引委員会審査機能及び審査体制を、早急かつ抜本的に強化するよう努めること。  二 独占禁止法について、違反行為に対する措置体系の抜本的な見直しの検討を含め、その一層厳正な執行力の強化を図るとともに、規制改革の推進、消費者政策の強化、不当廉売への厳正な対処及び中小企業取引の公正化等につき、経済社会の環境の変化に即応した適切な対応を図ること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  211. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいま木俣君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  212. 田浦直

    委員長田浦直君) 全会一致と認めます。よって、木俣君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、福田内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。福田内閣官房長官
  213. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  214. 田浦直

    委員長田浦直君) なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 田浦直

    委員長田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十分散会