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峰崎直樹君 金融問題やっているわけじゃないですから、
機構の方に行く前に、もうそっちの方、終わりにしたいんですが、私、もちろん
財務省の、大蔵、旧大蔵省の護送船団だとか、
行政側の
責任の問題とか、いろいろ僕はあったと思うんですが、この九〇年代、特に九五年以降がそうなんだと思うんですが、ゼロ金利であるという、要するに金利が付かないというのは、これが一体、
日本の
経済社会に与えた影響というのは大変大きいんじゃないかというふうに思っているんです。
もちろん、今直ちに公定歩合をばんと上げろとかと言っているんではなくて、実は今日、お手元にちょっと資料をお渡ししていると思いますが、あるこれエコノミストの人からちょうだいした資料で、是非、私はやっぱり市場メカニズムという、市場がその
判断をして市場でちゃんときちんとやっていくべきだという方向というのは正しいと思うんですが、その大前提として、やっぱり金利がちゃんと当たり前に付いていくという時代を迎えないとできないんじゃないかなというふうに思っているんですが。
ちょっと一枚目の、下に①と書いてある数字を見ていただきたいんですが、これは、いわゆる金融資産のうち、利息が付くところを、制度部門別有利子金融資産・負債ということで、上がいわゆる、それぞれ四部門に分けて、非金融法人部門、
金融機関、一般
政府、家計と。そして、制度部門別の利子所得はどのようになっているのか、それぞれ負債と受取がありまして、
金融機関は逆になるわけでありますけれ
ども。最後は、その利回りをずっと見たわけです。
何が言いたいかというと、Aというのは、二〇〇一年に、見ていただくと真ん中の段ですね、真ん中の制度部門別利子所得の二〇〇一年のところに横網が掛けてあると思いますが、これ横にずらっと出してあるだけですけれ
ども、非金融法人部門は利子の受取と支払額でいうと、実はネットでいうと支払の方が多くて、十三・二兆受取よりも支払が多いと。要するに、当然これは借金をしているわけですね。それから、一般
政府の方も実は支払の方が受取よりも多いと。家計部門の方も支払よりも受取の方が多いということで、唯一、
金融機関がそれを全部取っているということに構造的にはなるわけでありますが。
このBは、九二年の利回りというのは、一番下段のところですが、一番左のように、非金融法人部門が支払では六・五%、受取では五・二%、そのスプレッドはマイナス一・四ということで、ずっと、こう。それを全部実は二〇〇一年の保有に掛けていったわけです。要するに、九二年の当時の利息、利率でいけば二〇〇一年ではどのぐらいの実は、何といいますか、利子所得その他がネットでどうなるのかということを計算したんです。
そうすると、Bのところに、ごらんになっているように、そのマイナス部分は二七・〇。それから、一般
政府はもっと増えなきゃいけない。そして、家計部門は実は受取超過で、本来ならば十九兆円の利率が入ってこなきゃいけない。これが実は、現実には利率は入ってこないどころか、どんどん減っていっているわけです。
Cは、実際の利子所得と九三年利回りの、実際の所得との差額でありますが、要するに非金融法人部門は十三・八兆円得をしていると、このゼロ金利の下ですね。それから、一般
政府の方も利払いが減っていますから、これも十七・八兆円得をしていると。家計部門だけが唯一、二十六兆円もの過大な実は利払いを、本来入るべき利息収入が入ってこないどころか、逆に負担の方が重くなっちゃっているということで、ゼロ金利のしわ寄せが一気にこれは実は家計部門に来ているということを表わしているわけなんです。
それは、もちろん
金融機関がすべてプラスになっていくわけでありますが、私は
一つは、ここに
消費が今日非常に伸びていかないという大きな要因というのは、ここに私は
一つ要因があるんだろうと思うんですね。これはやはり、
日本銀行のやはり金融政策のもたらした
一つの要因だと思いますが。
さて、その次のページ見ていただきたいわけです。今度は図にしてありますが、
経済活動別に営業余剰というのを、営業余剰というのはこれは税引き前でございますし、特別損失とか、そういうものを出す前の数字でございまして、製造業とか
建設業とか、業態別に五業種選んで出しておりますが。
ごらんになっていただいたら非常に分かるんですが、製造業というのはずっと落ち込んできているということでございますが、唯一というふうに申し上げていいのかな、卸売、小売も少し上がっていますが、九〇年の段階で金融・保険業だけは九・八兆円の営業余剰であったものが二〇〇一年には十八・一兆円と倍になっている、やや倍ですよ。あとの製造業とか、あとは
建設業とか、それからサービス業と言われているものはなべてずっと落ち込んでいっているわけですね。
これは
景気が良くないとかということなんだろうと思いますが、逆に就業者を調べてみると、サービス業だけ伸びていって、あと卸売、小売も少し、やや微増です。それから、
建設業もやや微増だったんですが、最近は落ちてきていますが、製造業が一貫して下がると同時に金融・保険業もやや下がってきているということです。
一人頭に直します。次のページです。就業者一人当たりの営業余剰を見ていただくと、ごらんのように金融・保険業というのは断トツに営業余剰は高いわけです。一人当たり四百五十九万円の営業余剰がやや倍ですね。倍をちょっと超えて九百三十八万円。あとは全部下の方にちょろちょろちょろっと一人当たりに直すと落ち込んでいる。
賃金の方は、
雇用者報酬はどうなっているかというと、それは隣のページでございまして、今怨嗟の的になっている金融・保険業というのはこんなに下がった下がったといいながらまだほぼ横ばいで、一人当たり六百五十七万円ということですから、サービス業なんかのざっと倍近くになっているわけですね。
私、これを何で出してきたかというと、一言で言えば、この十年間というのは銀行を救済するために実は低金利政策を進めたおかげで一体どういうことが起きてきているかというと、銀行が一番もうかっている
分野なんだけれ
ども、そのもうけはどこに支出されているかというと、不良
債権の処理に支出されている。そうすると、一番
日本で利益が上がる
分野として今日あった銀行は、上がった利益を
建設的な次の投資へというふうに向かう、あるいは次の融資へと向かうんじゃなくて、不良
債権の処理だけに向かっていっている。そして、
日本銀行からじゃぶじゃぶ与えられたいわゆるお金というマネタリーなベースは、マネーサプライになっていかないどころか、実は国債を買うことだけももちろんマネーサプライを引き上げることになりますけれ
ども、しかし、よくよく
考えてみると、
中小企業に対する貸しはがしはやって、実はそこでやっているのは国債だけを買っていっているという、およそこれでは
日本の
経済強くなれ強くなれといっても無理なんじゃないかと思うような行動になっているのが今の
日本の資本主義じゃないかなと、
日本の
経済じゃないかなと。
そうすると、結論から私申し上げたいんですが、これは
日本の銀行というものは
不良債権処理にこれから何年掛かるか分からぬ。二年半だとか三年先にはやりますとかと言っているけれ
ども、今までのずっと流れを見ていると、そのもうかった分を全部不良
債権に投入していって次の新しいものに向かわないというこの状態を早く断ち切らないと、実は活発に投資をしなきゃいけないところとか、新しい
産業にお金を投資しなきゃいかぬというところに確実に向かわなくなっているわけですね。
だから、私たち民主党は、この
不良債権処理の問題は、やはり早く不良
債権を処理して、むしろ国有化をして、そしていわゆる、
中小企業はちょっと別ですが、その不良なものを、先ほどコア
ビジネスは優れているんだけれ
ども過剰なものが残っているんだ、駄目なものが残っているんだと。それを
一つ一つ産業再生機構を作ってああだこうだとやるんじゃなくて、ある意味で、やるのであれば本当に銀行というものを国有化して、そしてその中から不良なものといいものとを分けていく。そして、
中小企業については、これはある意味では二年、三年掛けて多少の問題があってもそれは伸ばしていくと。
こういう形で早くやらないと、このままずるずるずるずる行くと問題が非常に、銀行が自分の体力の範囲内で今までやってきて、今もう体力も限界になってきて自己増資し始めているけれ
ども、しかし依然としていわゆる一番本来もうかっている銀行
分野が一番駄目なところに費やしているその
分野なんだとすれば、それを早く分けなきゃいけないんじゃないかというふうに私
ども考えていまして、その意味で、
産業再生機構というものが、これを作られるというふうに言っているけれ
ども、どうも私
どもはそこはなかなか、いや市場に任せるべきなんだけれ
ども実はこういうものを作っていますというふうに言うけれ
ども、それにしてはちょっとそれならば余りにも中途半端で、しかも規模が十兆円ですか、たしか
予算規模からしたら。しかも、メーンと非メーンで、非メーンから買い取って、それから三年間ぐらい掛けてやりますというような話なんですが、どうもそんなものを待っておったら
日本の
経済というのは、財政面からしてもそうだけれ
ども、
金融面からしてももう毎年のように三月期、期末を迎えれば大変だ大変だと言い続けてきているわけですけれ
ども、しかもその次の展望が見えてこないという、そういう意味では、お隣の韓国にしてもスウェーデンにしても、
金融機関の
不良債権処理をやったときのやり方を見たときには、やはりかなり大規模に一気にやっているわけですから、私は、それをやらない限り、同じことをずるずるずるずる繰り返していくんじゃないかというふうに思えてならないんです。
この点は、金融
担当大臣も経験された谷垣
大臣、一体どういうふうに思われるか。それから、
産業部門を担当しておられる
平沼大臣にもそのことについてどう
考えておられるか、お
伺いしたいと思います。