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2003-03-25 第156回国会 参議院 経済産業委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年三月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田浦  直君     理 事                 魚住 汎英君                 加納 時男君                 松田 岩夫君                 木俣 佳丈君                 平田 健二君     委 員                 小林  温君                 近藤  剛君                 関谷 勝嗣君                 福島啓史郎君                 保坂 三蔵君                 直嶋 正行君                 藤原 正司君                 簗瀬  進君                 若林 秀樹君                 鶴岡  洋君                 松 あきら君                 緒方 靖夫君                 西山登紀子君                 広野ただし君    国務大臣        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国務大臣        (産業再生機構        (仮称担当大        臣)       谷垣 禎一君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        内閣府副大臣   根本  匠君        経済産業大臣  高市 早苗君        経済産業大臣  西川太一郎君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       桜田 義孝君        経済産業大臣政        務官       西川 公也君    事務局側        常任委員会専門        員        塩入 武三君    政府参考人        内閣府政策統括        官        小平 信因君        内閣産業再生        機構仮称)設        立準備室長    江崎 芳雄君        金融庁監督局長  五味 廣文君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      上杉 秋則君        財務省主計局次        長        牧野 治郎君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        経済産業大臣官        房審議官     中嶋  誠君        経済産業省経済        産業政策局長   林  良造君        特許庁長官    太田信一郎君        中小企業庁長官  杉山 秀二君    参考人        日本銀行企画室        審議役      山口 廣秀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○株式会社産業再生機構法案内閣提出衆議院  送付) ○株式会社産業再生機構法施行に伴う関係法律  の整備等に関する法律案内閣提出衆議院送  付) ○産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 田浦直

  3. 田浦直

    委員長田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  4. 田浦直

    委員長田浦直君) 株式会社産業再生機構法案株式会社産業再生機構法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  5. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 自由民主党の福島啓史郎であります。  今回のこの三法案背景には不良債権処理という大きな問題があるわけでございます。そこで、まず不良債権の問題につきまして、これは主として金融庁ですか、お聞きしたいと思います。  この十年間で、正確に言えば平成四年からであれば約八十兆、八十三兆円、したがって九十兆円近くの不良債権処理をしているわけでございます。したがって、バブル期の貸出し債権を百十兆円ぐらいと推測されるわけでございますが、その七、八割は処理をしていると。しかし、その残高は一向に減らない、むしろ増加傾向にあるということでございます。平成十年で約三十四兆円、十一年で三十二兆円、十二年で三十四兆円、十三年では四十三兆円。この十五年の中間期では若干、四十兆円に下がっておりますけれども、しかし増加傾向にあるわけでございます。  要するに、解けた古い雪の上に新しい雪が積もっているという状況でございますが、こうした状況につきまして、金融庁、副大臣、どういうふうに認識しておられますか。また、その要因についてどういうふうに考えておられますか。
  6. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  先生指摘のとおり、平成四年度から十四年度の中間期まで、全国銀行における不良債権処理額というものは累計で約八十三兆円となっております。  次に、全国銀行不良債権残高推移については、金融再生法に基づく資産査定が導入された十一年の三月期以降十三年の三月期までほぼ横ばいで推移してきたもの、そして十四年三月期には大幅に増加しており、十一年三月期と十四年九月期を比較すると三十三・九兆円から四十・一兆円と、六・二兆円の増加となっております。  これを内訳別に見てみますと、不良債権のうち比較的リスクの小さい要管理債権については、貸出し条件緩和債権判定基準が厳格化されたと、このことにより逐次増加をして、十一年三月期の六・二兆円から十四年九月期の十六・八兆円と、不良債権全体の増加を上回る増加となっております。  一方、よりリスクの大きな破綻懸念先以下の債権については、十四年三月期には主要行に対する特別検査の影響により増加をいたしたものの、全体としては減少の傾向にありまして、十一年三月期の二十七・七兆円から十四年九月期の二十三・三兆円と、四・四兆円減少している状況でございます。
  7. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 しかし、先ほど申し上げましたように、残高処理にもかかわらず増え、増加傾向にあるということなんです。  要するに、こうした不良債権処理が進まなかった理由でございますけれども、私は、先送りした方が良い状況にあったということではないかと思うわけでございます。つまり、低金利でもって、金利の減らない不良債権破綻させてロスを出すよりも、保持コストが安い不振企業を存続させた方がコストが安く済むということで、言わば景気があわよくば回復すれば再生期待が持てるという、一種の延期オプションを買ったような形ではないかと思うわけでございます。  したがって、こうした不良債権を進めるには、あめむちといいますかあめ対策、これも、支援策もこの一つだと思うわけでございますが、と同時に、むちといいますか、それをプッシュする政策が必要だと思うわけでございますが、どういうふうに考えておられますか。金融庁金融大臣、お願いします。
  8. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 先ほど少しお話をさせていただいたように、このディスクロージャーの在り方というものが、その国際的に比較可能な基準が設けられて、そして比較ができるようになったというのは極めて近年になってからであります。そうした統計上の問題がありますので、その不良債権の把握の仕方については、これは委員承知のとおり、現在と過去の状況では違うという状況は御理解をいただけるんではないかというふうに思います。  ただ、委員は、やはり経済状況というものをかんがみながら、産業金融というものが一体的にこの不良債権問題に取り組んでいかなければいけないという、そういう御認識も強く持っておられるんではないかというふうに思いますが、私どもも全く同じ認識を持っておりまして、そうした認識から、私どもとして、金融再生プログラムというものを作らさせていただいて、そして金融側アプローチ産業側アプローチというものがばらばらではなくて、極めて連携を取りながらこの不良債権問題というものを解決していかなければいけない。そういう認識に立って、三つの新しいそのフレームワークというものを提示をさせていただいて、この難しい問題を解決をし、総理の御指示のとおり、不良債権問題を終局に向けて、私どもとして精一杯努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  9. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 要するに、こうした法案、これはプル政策だと思うわけでございますが、それに併せましてプッシュする政策、これは金融再生プログラムもそうだと思うわけでございますが、それを的確に組み合わせてやらなければ不良債権処理は進まない、そういうインセンティブがないわけでございますから、そういうプッシュとプルを両方でもって作用させていく必要があるというふうに思うわけでございます。  それで、先ほど言いましたように、新しい雪が積もっているわけでございますけれども、この新しい雪が、実はこの八〇年代前半から八〇年代を通じて約二百兆円以上の信用膨張があって、そのうち半分ぐらいが残っている。この部分が徐々に劣化してきているんではないかという見方があるわけでございますが、これについてどういうふうに考えておられますか。
  10. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 八〇年代前半から八〇年代末までの全国銀行の貸出し残高推移を見ると、先生指摘のとおり、貸出し残高が約二百兆円増加をいたしております。資金需要経済活動の大きさに比例するならば、銀行貸出しといわゆる名目GDPはある程度パラレルに推移すると考えられますが、名目GDPに対する貸出し残高の比率で見ると、七〇年代には大体七〇%であったものが、バブル期には一〇〇%を超えるまで高まり、足元も九〇%前後と、高水準にとどまっているところでございます。したがって、経済規模を尺度とすれば、御指摘のように、現在はバブル期に膨張した貸出しが調整過程にあるという見方も可能ではないかというふうに考えられます。  しかしながら、不良債権新規発生はやはり経済の動向でありますとかあるいは借り手企業収益力等、様々な要因にやはり左右をされるところがありますので、バブル期の貸出し残高膨張分調整のみですべてを説明をしていくと、こういうことは必ずしも適切ではないのではないかというふうに考えております。
  11. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 もちろん、経済状況に左右されるところは非常に大きいと思います。しかし、基本的には、まあ言わば道半ばだという認識を持たないとこの不良債権処理の問題は片が付かない、つまり短期間で片が付く問題ではないと私は思うわけでございます。  それで、諸外国不良債権実例をお聞きしたいわけでございますが、アメリカ韓国スウェーデン、いずれも三段階方式でやっているわけでございますね。一つは、金融機関資産査定を厳格化するというのが第一段階。第二段階は、そこから出てきた不良債権受皿を別途銀行の外に設けるというのが第二段階。そこでそこに移すということでございますね。第三段階は、市場での売却をしていくということでございます。いずれも、このアメリカ韓国スウェーデンもこの三段階方式を踏襲しているわけでございます。  アメリカの場合、不動産担保付き不良債権、これが焦げ付いたわけでございまして、それをRTCに移し、不動産売却をして、不動産売却により処理をしていったわけでございますが、幸か、幸運なことにもアメリカの場合、金融緩和によりまして九二年から地価が上昇傾向に入ったということで、九五年で片が付いたわけでございます。  韓国の場合は、御案内のとおり、九八年にITバブルが起こったことによって、そこでの雇用吸収が可能であったということ。  また、スウェーデンにおきましては、自国の通貨安によりまして、景気回復が行われることによって処理が進んだということでございます。  いずれもそういう三段階方式を踏むと同時に、言わば経済あるいは雇用対策というものを、景気雇用対策というものを併せて行っていったということでございます。  そうした経験を踏まえて、そうした諸外国不良債権処理実例について御見解をお聞きしたいと思います。
  12. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  まずアメリカでございますが、一九八〇年代の後半、いわゆるSアンドL等貯蓄金融機関が大量に破綻をいたしまして、これに対処するため、先生お話がございましたように、RTCが一九八九年八月に設置をされました。そして、このRTC破産管財人として破綻金融機関を継承いたしまして、不良債権処理を進めて、九五年の六月までに七百四十七の貯蓄金融機関処理し、同年末に解散したと承知をいたしております。  韓国におきましては、九七年のアジア通貨危機を受け、金融危機への対応策の一環として金融機関の再編が強力に進められるとともに、公的資金による金融機関への出資、不良債権の買取りが行われまして、不良債権の買取り、売却は、主として政府により九八年に設立された韓国資産管理公社が実施したものと承知をいたしております。  そして、スウェーデンについてでありますが、九一年秋から大手商業銀行等の経営の悪化が表面化をいたしました。そして、九三年五月に金融支援庁設立をされ、そして政府公的資金により大手銀行であるノルド銀行及びゴータ銀行の株式を一〇〇%取得をして、両行不良債権を子会社、いわゆるこれはバッドバンクに分離した上で両行を合併したものと承知をいたしております。
  13. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私はこの不良債権処理産業再生システムというのは、基本的には企業なり産業なりの縮小均衡を図るものだと思うわけでございます。しかし、これでは、このままにしておけば、このマクロ経済均衡が図られないわけでございまして、縮小になるわけでございます。  したがって、雇用等受皿産業を用意していかなきゃいけない、景気対策を用意していかなきゃならないと思うわけでございますが、経済産業大臣、この点についてはいかがでしょうか。
  14. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 今、日本デフレ傾向にございまして、そういう中で小泉内閣としては構造改革なくして景気回復なし、こういう中で、その中で一番足を引っ張っている不良債権を二年以内に処理をしようと、こういう形で頑張っております。しかし、今おっしゃったように、雇用対策あるいはマクロ経済対策というものも必要でございまして、そういう意味では一昨年も二度の補正予算も組んだわけでございますし、また今回も補正予算を組み、そして三兆円を投入をしまして、私どもにとっては中小企業対策をさせていただいています。  そういった形で、私は御指摘のように、小泉総理もやはりいろいろな事態が起こったときには柔軟かつ大胆に対応すると、こういうことでございまして、過去二度の補正予算等、あるいは三十兆の枠にこだわらない、こういうようなことで、私はやはり、そういう意味では両面でのアプローチということは私は必要だと、このように思っております。
  15. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 現在、三%ないし四%の需給ギャップがあるということなわけでございますね。四%としますと二十兆円の需給ギャップがあるわけでございます。それを埋めるためにも、またこうした不良債権処理を円滑に進めるためにも、雇用あるいは新しい産業を起こしていかなければならないと思うわけでございますが、どういった業種がどの程度の雇用力があるものとして想定され、どういう対策を打とうとされておられるのか。これは内閣府ですか、お願いします。
  16. 小平信因

    政府参考人小平信因君) お答え申し上げます。  平成十三年五月に経済財政諮問会議の下に設置をされましたサービス部門における雇用拡大を戦略とする経済活性化に関する専門調査会におきまして、五百三十万人の新たな雇用を生み出すという提言がなされております。これは今後五年間で期待ができます雇用に対する潜在的な需要試算という形で示したものでございます。  具体的に申しますと、例えば家事代行、旅行、スポーツといったような個人向け、家庭向けサービスで約百九十五万人、医療、高齢者ケアサービスで百五万人、企業団体向けサービスで九十万人、住宅関連サービスで五十五万人、子育てサービスで三十五万人というような試算がなされているところでございます。
  17. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 そうした雇用を想定される分野での雇用が現実化する対策を是非強化していただきたいと思うわけでございます。  次に、法案関係につきまして御質問したいと思います。  まず、今回の産業再生機構機能でございます。私は主たる機能は、公権力背景といたしました権利調整機能、それと資金供給機能が主たるものではないかと思うわけでございますが、谷垣大臣の御見解はいかがでしょうか。
  18. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 産業再生機構の基本的な機能は、今、福島議員が御指摘になったように、権利調整機能とそれから資金供給機能、そのとおりだと思います。公権力背景としてというのは、若干株式会社としてなじみにくいところもございますが、基本的な機能はそういうことであろうと思います。  それで、事業再生私的整理の枠組みで進めて、いろいろ事業整理ガイドラインども作っていただいたわけですが、要するに債権者たる金融機関の間で債権放棄等を含めた再生計画が合意されなければならないわけですが、債権者が多数に上る場合にはこの調整に時間が掛かる、あるいは何とか話が付いても内容が中途半端に終わってしまうということが今まで多かったように思います。こういう私的整理問題点を解消するためには、多数の金融機関に散らばっている債権を集約して、債権者の数を少なくした上で調整する必要があるわけでありまして、まずはこの機構が関与することによって、機構が中立的な調整者として調整するため、よりスピーディーで一歩踏み込んだ調整が可能になるということが基本的に大事なことではないかと、こう思っております。  そして、これを進めていくために、債権集約を実質的、実効的な仕組みとしていくために、この債権買取り、つまり資金供給機能を付与したと、こういうことであろうと思います。
  19. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それで、そうした権利調整機能及び資金供給機能につきましては、産業再生機構のみならずRCCも持っているわけであります。特にRCCは、いわゆる清算業務だけではなくて企業再生業務も行う、かつ、今回の関係法律整備法の二条によりまして、健全行からの資産買取り期間を一年延長しているわけでございます。  そうしますと、この産業再生機構RCCとの役割分担というのが問題になるわけでございます。私は産業再生機構は、どちらかといえば主要行大口債務者、つまり特定の産業で五年間で一気にやるというようなもの、したがってRCCは、中堅中小企業対象に行っていくというような役割分担が必要ではないかと思うわけでございますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
  20. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 産業再生機構RCCとの関係いかんということでありますが、RCCは、元々、債権回収目的として、原則として破綻懸念先以下の債権でございますが、債権回収ということが第一の目的で、現在日本において最もその経験とノウハウを集約した組織だと言うことができると思います。それで、その回収目的として集めた債権の中から、言わば砂の中から砂金を選ぶような作業をして、再生できるものを苦労されながら見付けていったというのがRCCの今までの役割だろうと思うんですね。  これに対して再生機構は、事業再生をまず目的としておりまして、再生可能であるという判断が先行するわけですね。そういう場合に限って利害調整を行って、先ほどのような債権集約化をやっていこうという再生先行型の組織ということで、組織の立て方が私は違うんだろうと思います。  再生機構はどちらかというと大企業中心でないかという、今、福島委員の御指摘ですが、支援対象についての規模の大小は、機構側からはこれは問わないことにしているわけであります。債権者間の調整債権集約化であるという委員の要約を踏まえますと、金融機関債務者企業再生機構仕組みを利用したいと考えるケースはある程度限定されるのではないかと、こういう委員のお考えだと思いますが、利用者側から見ればあるいはそういうふうにお感じになることもあるかもしれません。しかし、我々機構の側としては、あくまで再生可能であればどこでも参りますよと、そういうことで、今セールスも、セールスと言うと言葉は悪うございますが、宣伝もさせていただいているということでございます。
  21. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 この産業再生業務を行うに当たって重要になるのは人材でございます。産業再生にかかわる人材、今一番いるのは私はRCCだと思うんですね。RCC、二千四百人の要員のうち百数十人がこの再生業務を手掛けているわけでございます。したがって、この産業再生機構が行う業務推進に当たりましては、外注中心、つまりアウトソーシングをできるだけしていって、短期間でスペシャリストを見付けてきて、その方々あるいはそういう組織にアウトソーシングしながら短期間にやっていくことが重要だと思います。  まず人材につきまして、今現在日本でこういう産業再生業務を行う人材、何名ぐらいいるというふうに考えておられますか。
  22. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 何名というその具体的な数は把握していないわけですが、我が国では、こういう事業再生に携わる人材はかつては銀行が担っていたということだろうと思います。それで、最近ではこの銀行に加えて、事業再生専門に行う事業再生ファンドであるとかあるいはコンサルティング会社投資銀行あるいは監査法人弁護士事務所ども、そういうところに特化したといいますか、そういうところに経験を積んだところが増えてきておりますし、それから政府系金融機関の中にもこういう面で大きな役割を果たしているところがあるというふうに考えております。  それからまた、平沼大臣の答弁を取ってしまうようでいけませんが、今経済産業省において各地域に中小企業再生支援協議会というものの設置が進められておりますし、また民間の事業再生実務家中心事業再生実務者協会というような設立が検討されるといった様々なレベルでの基盤整備が進んでいるというわけでございますが、こういう様々なプレーヤーをうまく利用すると言うと言葉が悪いわけですが、そういう方々の力をうまく使っていくのがこの機構ではないかと思います。  それで、衆議院で出ていただきました参考人の御意見の中で、外部の専門家を使いこなす言わばコンサートの指揮者役割を果たすべきだという御指摘がございましたけれども、私も全くそれは同感でございます。今、数は先ほど定かに分からないと申しましたが、確かに十分ではございません。しかし、潜在的にはそういう能力を持った方が、私は、分解していけばそれは法務であったり、税務であったり、会計能力だったり、いろんな能力の組み合わせでございますから、潜在的にはそういう能力を持った方が多いと思います。だから、活躍の場を提供すればそういう方が育ってくる。  この機構も、そういう言わばオン・ザ・ジョブ・トレーニングと言うといけませんが、アウトソーシングなどをしていって、そういう人材経験を積む場を作っていただいて、そういう何というんでしょうか、層を増やしていく、これも機構の大きな、副次的と言うといけませんが、実は大きなねらいなんだというふうに思っております。
  23. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それで、機構が行う業務の上で重要な点は価格であると思うわけでございます。要するに、この産業再生機構対象というのは、民間では手に負えない、しかし産業再生機構は権利関係を整理してマーケットに出せば、投資ファンドも含めてそれなりのスポンサーが付くということが想定されているんじゃないかと思うわけでございます。  それで、二十六条では、「支援決定に係る事業再生計画を勘案した適正な時価」ということになっているわけでございますが、これは言い換えれば、今申し上げましたように、出口のスポンサーが買える値段から逆算して買えるような値段ということを考えなければならないと思うわけでございます。したがって、銀行はその価格で嫌だというならどうぞほかへ行ってください、法的整理でもやってくださいということではないでしょうか。  また、大臣の言われておりますトータルな国民負担を最小限度のものにするという意味でもそうした考え方を持つべきではないかと思うわけでございますが、これについてはいかがでしょうか。
  24. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、委員がおっしゃいましたように、再生計画三年ぐらいを前提として出口を見据えたときに、この企業価値が幾らになって買手が付くのかという観点から、価格というものを言わば逆算されるようなところがあるわけでございまして、そういうことによって、何というんでしょうか、今、市場というものがまだ十分に育っておりませんから、はかりに掛けたらこの債権の値段が幾らだというような一義的なものはまだ出てきておりませんが、機構が今のような出口を見据えた議論をきちっと行い、金融機関とそういう話をしていくことによって、何というんでしょうか、市場を言わば用意していくという意味があるのではないかと思います。  そして、今のような経済情勢では、手を入れないでほっておけば不良債権を抱えた企業価値というものは毀損していくことが多いですから、合理的に判断していただけば金融機関もそういう価格であれば売ろうということになるんではないかと思います。  他方、そんな価格では売れないというような話がたくさん出てくる、まあたくさん出てくるようではまた算定も悪いのかもしれませんが、出てきた場合には、場合によっては法的整理というような手法も機構も使う場合があるかもしれないよということはあるんだと思います。
  25. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 今、谷垣大臣も言われたわけでございますが、私は、産業再生機構は民間補完が原則でございますから、できるだけ早く貸出し債権市場というのを作るべきだと思うわけでございますが、その実態及び育成策がどうなっているのか、金融庁にお聞きします。
  26. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 御指摘の貸出し債権の市場についてでありますが、これまでの取引の中心というのは債務者の清算でありますとか、あるいは担保の売却でありますとか、回収目的としていた破綻懸念先あるいは実質破綻債権中心であるというふうに言われてまいりました。  先生指摘のとおり、今後事業再生目的とした債権取引の活発化が大変重要だというふうに私どもも考えているところでございます。そうした問題意識から、全銀協に対しまして私どもとしても要請を行っておりまして、そして貸出債権市場協議会というものが全銀協の中で今開催をしていただいているところでございます。同協議会では、貸出し債権市場の形成に向けた課題や取引情報の集約、提供の方法などの議論を行っておりまして、近日中に報告書をまとめられるというふうに伺っております。
  27. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 是非、貸出し債権市場の育成に努力していただきたいと思うわけでございます。  それで、次に、メーンバンクと本法上の取扱い、メーンバンクの役割と本法上の取扱いについてお聞きしたいわけでございますが、従来、我が国におきますメーンバンクシステム、これはメーンが貸付け企業をモニタリングすると。他行はそのモニタリングによって貸し出すと。したがって、各々がやるよりも情報、生産コストが節約できるという利点と、他方、問題が起きたときのロスは優先的にメーンバンクが主として取っていくという、そういう仕組みだったわけでございますけれども、それがどうも崩れてきているのではないかと。今後ともこうしたメーンバンクシステムということの意義及び必要性につきましてどういうふうに評価しておられますか。金融庁にお聞きしたいと思います。
  28. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 一般的にメーンバンクという場合には、ある企業のやはり主要な株主であると同時に最大の債権者である銀行を指すというふうに考えております。そして、我が国の場合には間接金融が優位でありますので、このメーンバンクシステムというものは、金融機関にとっては貸し手企業を継続的にモニタリングすることによって低いコストで情報の非対象性というものを補完することができる。また、借り手企業にとっては企業の経営危機に際して安定的な資金の供給源が確保されるといったメリットがあり、経済の安定的な成長に寄与したと指摘がなされているというふうに承知をいたしております。
  29. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 現在、株式というのはリスク資産だということで、株式の売却銀行の株式保有制限を掛け、株式売却を進めているということ。そういうことになりますと、メーンバンクシステムというのは崩れていくんだろうと思うんですね。その点、どういう新しいシステムを作っていかなければならないか。この辺りは検討をしていかなければいけない課題だと思うわけでございます。  それで、法律上でございますが、メーン主導で対象企業なりあるいは想定されるスポンサーの意見も聞きながら事業再生計画をつくる仕組み、これが二十二条の連名での再生支援の申込みであり、かつ二十三条のメーンを含めての関係金融機関に対する買受け申込み等の求めは、メーンは二号の同意であり、非メーンが一号の債権の買取りの申込みだというふうに一般的には考えるわけでございますけれども、そういう理解でよろしいのかどうか。谷垣大臣にお伺いします。
  30. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 一般的に考えれば、今、委員がおっしゃったとおりだろうと思います。やはりメーンが、今の御議論のようにメーン行の役割が随分変化して、あるいは場合によって崩れているとはいえ、その企業の情報や今までの付き合い、そういう点から見て、やはりメーンというものが再生計画を作る上でも大きな役割を果たしてもらわなきゃなりませんし、また今後の再生についても役割を担ってもらうことが望ましいので、通常はメーンと当該企業が連名で申し込むという形が通常であろうと思います。  ですから、二十二条、二十三条も通常はそういうことを想定しておりますけれども、しかし場合によりますと必ずしも、準メーンみたいなところが、メーンが言わば動かないときに準メーンみたいなところが動いて申請してくるという場合もあろうかと思いますので、決め打ちで解釈をすることはできないと思いますが、そんなふうに考えております。
  31. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 次に、二十五条第二項の必要債権額、これは考え方としましては、そのぐらいの債権額が集まらなければ産業再生、つまり権利調整が円滑に進まないだろうという額だ思うんですが、これは個別の企業ごとに定めるものだと考えておりますが、その必要債権額の考え方につきまして、谷垣大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  32. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、関係債権者金融機関等の全員の同意が得られて再生計画ができるということは一番もちろん望ましいし、それが何というんでしょうか、目標ではあるわけですが、大部分の債権者が同意したけれどもごく一部の債権者の同意が得られないということで再生支援を行えないというようなことでは、やっぱり機構機能しないだろうとまず考えたわけであります。  そこで、買取り申込みなどを行わない債権者を除外しても再生計画を実施する上で大きな影響が出ないと判断される場合には、同意した関係金融機関と協力しながら支援再生ができるようにしようというのがこの二十五条第二項の必要債権額を定めた趣旨でございます。  したがいまして、今、委員がおっしゃいましたように、どれだけが必要債権額というようなことは、定率や定額といった形では必ずしも定められるわけではありませんで、具体的な案件ごとに再生計画を踏まえて、主要債権者債権保有割合といった金融機関の取引状況とか、あるいは借入金の条件変更の程度といったものを個別案件を吟味しながら定めていくということになろうかと思っております。
  33. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 次に、過剰供給構造業種について御質問したいと思います。  経済産業大臣、こうした過剰供給構造業種としてどんな業種を考えておられるのか。ゼネコンは特別な指針を出しましたので当然これに該当すると思うんですが、流通なり製造業についてはいかがでしょうか。また、こうした過剰供給構造業種につきましては、同種他企業との部分統合が基本ではないかと思うわけでございますが、これについての御見解はいかがでしょうか。
  34. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) 過去の立法例ではもうあらかじめ業種指定をするというパターンだったんですけれども、今回の改正産業再生法案では、あらかじめこれが過剰供給だと、この業種だと指定するんじゃなくて、事業者の自律的な産業再編への取組を応援する、尊重するという意味で、その事業者の申請を受けてそれで個別に判断をしていく、そういう手法を取ることにいたしましたので、現段階でこれが過剰供給構造業種だという形で指定をするということは考えておりません。  ただ、個別に判断をしていくときにきちっとした客観的な基準というものが必要なわけでございます。この基準につきましては、昨年末にパブリックコメントに付しました基本指針の原案となります「改正産業活力再生特別措置法の基本的考え方」という中で細かな客観基準を定めているんですけれども、つまり、受給ギャップにつきましては、稼働率の低下に表れる場合と、それから利益率の低下に表れる場合、二つの場合がございますから、それぞれ機械装置資産回転率の低下などが一定期間にわたって製造業平均を下回る、若しくは価格や粗利の低下が一定期間にわたって全産業平均を下回るといった現象が見られ、さらにこれが固定化比率が大きいなどの理由で短期的に解消できないといったことを客観的データに基づき判定することになります。  今の時点では判断できないと申し上げましたけれども、お尋ねのありました製造業につきまして、今申し上げましたような基準に基づいて試算してみますと、半導体などの電子部品、デバイス製造業、それから鉄鋼業、有機化学工業などが該当すると思われます。  それから流通業でございますけれども、今、消費が低迷していて売上げが減少していて、店舗数や就業者数も減っております。しかし、店舗面積はむしろ拡大してしまっていると。こういうことを考えますと、一般的な意味では流通業というのは店舗が過剰であるとか過剰供給であるというような言い方ができるかと思うんですけれども、ただ、実際、法律上の支援によって共同で過剰設備の廃棄を行うといった方策を取り入れる製造業とは若干趣が違いますし、それから、個々の商圏ごとの店舗立地の良しあしですとか売り方のうまい下手ということで成否が決まる面もありますので、単純に店舗の面積が多いかどうかということで判断はできないんじゃないかなと思っております。  建設業に関しましては、昨年十二月に国土交通省が「建設業の再生に向けた基本指針」を公表しまして、この中で、「市場を通じた淘汰を促進し過剰供給構造の是正を図りつつ、一方で、経営基盤を強化し、」云々といったようなことが示されておりますので、一般的にはそういう考え方ができるんじゃないかと思います。  それから、最後にお尋ねのありました部分でございますけれども、過剰供給構造における事業分野におきましては、複数の事業者が過剰供給構造の解消に向けまして共同で供給能力の削減ですとかほかの事業者との事業統合や合併などの集約化を行うということが重要であると考えておりますので、今回の改正法案に際しまして、このような事業者の取組を支援、促進するものとして共同事業再編計画という支援スキームを創設することにいたしております。
  35. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 後段から回答いただければ時間の節約になったわけでございますけれども、まあ結構です。  次に、投資ファンドの実態につきましてお聞きしたいと思います。失礼しました。その前に、私は、この法律上は、銀行はこの法律対象から除外されていないと思うわけでございますけれども銀行も私は過剰傾向にあると、過剰状況にあると思うわけでございます。したがって、ある意味では過剰供給構造業種ではないかと思うわけでございますが、しかし、これは金融業としての特性がありますので、これにつきましては地域金融機関の合併促進法で対処するというお考えかどうか、金融庁、お考えをお聞きしたいと思います。
  36. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 産業活力再生法の場合には、これはもう全業種を対象にいたしておりまして、産業の過剰供給構造というものを解消して、そして過剰債務を是正をしていく、そのための認定計画に基づく様々な支援処置というものが用意をされているわけであります。  他方、先生指摘のように、金融機関組織再編特措法の場合には、その合併等の組織再編によって業務の再構築あるいは経営基盤の強化が図られると、こういう観点から金融機関の取組を支援するものでございまして、今後、この法律が活用されることによって、各金融機関が自主的な判断の下に合併が促進をされるということを私どもとしては期待をしているところでございます。  ただ、先生が御指摘がございましたように、過剰供給構造に金融機関があると、こういう御指摘がございますが、そういう見方があることを私ども承知をいたしております。しかし、各地域によって具体的な事情は違っておりますし、また金融サービスに対するニーズというものも相当違ってきているのではないかというふうに思いますので、一概にそうだと言い得るような状況ではないんではないかというふうに思っております。  また、特措法においても各地域における金融機関のその数に関してあらかじめ量的なイメージを持っているわけではありませんので、あくまでも各金融機関が自主的な経営判断に基づいて合併等々を支援をしていくというものをこの法律は意図しているものだというふうに考えております。
  37. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私は、合併促進法の運用に当たりましては、一県で競争するような、二行以上が競争する、そういう地銀なり信金なりを含めて競争する構造を作っていくことが重要だと思っておりますので、その運用を留意してやっていただきたいというふうに思います。  次に、投資ファンドの実態でございますが、一説によればベンチャーを含めて三兆円ぐらいあるというふうに言われているわけでございます。しかし、個人金融資産は千四百兆円でございますから、それに比べれば微々たるものでございます。どうしてこの千四百兆円がこうした投資ファンド等のファンドに流れ込まないのか、またその対策についてお聞きしたいと思います。
  38. 西川太一郎

    ○副大臣西川太一郎君) できるだけ時間を節約してお答えしたいと思います。しかしながら、基本的な部分については申し上げなきゃいけないと思いますが、三兆円という先生指摘でございますが、私どもも御質問をちょうだいしてから鋭意調査をしたんでございますが、なかなかつかみにくい実態がございまして、私どもは把握している限りでは、大体一兆を超えている程度かなと、こんなふうに実は思っております。しかし、それも申し訳ないんですが定かではないわけでございます。しかし、平均は大体数百億円、こういう規模でございます。  そこで、今回、私どもがこの法律の改正案の中で非常に重要だと思っておりますのは、日本再生ファンドに対する法的安定性というものをこの法律によって確保できると。すなわち、例えば日本政策投資銀行など、またその他、中小企業総合事業団などがこういうところに投資ができるようにすると。こういう仕組みも、法的なきちっとした安定性ということで資金が集まりやすくすると、こういうことをまず先生のお尋ねの基本にはきちっと用意をしておきたいと。  そこで、千四百兆あるものがどうなのかと、こういうことでありますが、日本金融資産の特徴はやはり圧倒的に預金でございまして、千四百兆のうち五〇%を超えるものが預金でございます。株式等のリスクを伴うものについてはせいぜい七%弱というような、六%台という数字がございまして、これはアメリカなどとは全く違う。そういう意味では、こういう方面に投資が向かわないで相変わらず国公債を買うなど、せめてそんなところにしか流れない、こういう実態であるということでございます。
  39. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私は、例えばアメリカであれば、こうした企業再生ファンドの出し手として年金基金がかなり関与しているというふうに聞いているわけでございますが、我が国の年金基金がこうした出口であるファンドへの出し手になれないのかどうか、厚生労働省、この点についてはどうですか。
  40. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 結論から申し上げますと、現段階ではできないということでございます。  先生御案内のとおり、今の公的年金の積立金の運用につきましては、伝統的資産と言われます国内債券、国外債券、国内株式、それから国外株式を基本にやっておるわけでございますが、ここでおっしゃいますいわゆる再生ファンドにつきましては、日本国内で申しますと正にこれから実績を積み重ねるという形でございますので、リスク、リターンの特性がまだ十分に明らかでないということがございます。  それからもう一つ、私どもの運用の場合には、市場における流動性が十分にあるというのが前提でございまして、この点についてもなかなかこれからの問題であるということでございます。  一応、年金資金の運用の基本方針を定めました際に、いわゆる非伝統的資産の取扱いにつきましては、今申し上げましたような今後の情報の開示でありますとか、リスク、リターンの特性が明らかになってくるという、こういうことを踏まえて、将来全く対象にしないということではございません、現時点では困難です。  それから、アメリカの例でございますが、カルパースというカリフォルニア州のいわゆる公務員年金でございますが、ここが二年ほど前に非伝統的資産につきまして投資枠を設定いたしましたが、実際に投資をいたしますのに非常に評価が大変なようでございまして、現実にはその投資枠の一部しか使っておりませんで、特に私ども承知しておる限りでは、いわゆるアメリカ企業再生ファンドは非常に先行いたしておりますが、カルパースでも企業再生ファンドに対する投資は行っていないようでございます。
  41. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 実績を見て、ちゃんと注視をして検討していただきたいと思うわけでございます。  次に、主要行、三百兆円弱の貸出し債権のうち、上場大企業は約四十兆円、したがって残りは、二百五十兆円内外は中小あるいは中堅企業になるわけでございます。  それで、中小企業向けの企業再建対策が重要になるわけでございますが、特に、私、先日、日本商工会議所の篠原専務からお聞きしたところによれば、中小企業向けの私的整理ガイドラインの要望が非常に強かったわけでございますが、この対応状況につきまして、金融庁、お聞きします。
  42. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 私的整理に関するガイドラインは、先生承知のとおり、平成十三年九月十九日に金融界、産業界の代表者、学識経験者等によって、真に再建に値する企業私的整理に関する金融界、産業界の経営者間の一般的コンセンサスとして作成されたものであり、元来、再建可能性があるなどの要件を満たす企業であれば、その規模にかかわらず利用の申出ができることとなっております。  また、平成十四年九月十七日には、これをフォローアップいたしまして、それまでの適用事例を踏まえガイドラインの解釈の明確化を図ることにより、関係者に対する一層の理解促進と普及を図ることを目的として、実務家専門家中心とする私的整理に関するガイドライン実務研究会が開催され、同年十一月六日に検討結果を取りまとめ、公表をいたしております。  その検討結果についてでありますが、ガイドラインで規定されている再建計画の要件について、合理的な例外を排除するものではないとされておりまして、例えば三年以内を目途とする実質債務超過解消の要件については、事業の特質を考慮して合理的な例外が認められることとされ、また債権放棄を受けた場合の経営者の退任を原則とする要件については、人材確保などの点から柔軟に対処しなければならないこともあるとされている等、中小企業を含めた企業の実態に即してガイドラインを運用することが可能となっているところでございます。
  43. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 フォローアップではそういう指摘が出ているわけでございますけれども、現実に中小企業者、中小企業関係者から、三年以内の黒字化、あるいは今御指摘のあった経営陣からの退陣、そういった問題はオーナー企業が多いわけでございますから問題があるということで、東証でも検討が進められているわけでございますので、金融庁としてもフォローをしていただきたい、正にフォローをしていただきたいと思います。  次に、中小企業に対しましては、大企業とは別に中小企業の経営実態、特性に即した検査マニュアルを作るべきだと思うわけでございます。特に一番問題となります点は、貸出し条件緩和債権の扱いでございます。今回、中小企業庁の方で用意された借換え保証の活用企業は原則的にこの条件緩和債権には当たらないということの確認を含めて、この検査マニュアル、中小企業向けの検査マニュアルの制定につきましての御見解金融庁にお伺いしたいと思います。
  44. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 私どものやはり使命として、預金者保護というのは大切な使命でございまして、そういう意味からすると、金融検査というのは金融機関のやはり大小、規模にかかわらず、共通の物差しで銀行の健全性というものをやはり把握をしていくということが大切ではないかというふうに思っております。そういう意味からしますと、一部の金融機関に対してダブルスタンダードを取るというのは必ずしも適当なことではないというふうに思っているところでございますが、先生今御指摘のとおり、中小の、あるいは零細企業の債務者区分の判定に当たっては、やはり経営実態というものをしっかり見てそれで判断をしていくことが必要であるというふうに私どもも考えております。  したがって、金融検査マニュアルにおいては、企業の技術力、販売力や成長性などの特性を総合的に勘案して判断することとしておりますし、さらに、このことについては、昨年六月のデフレ対応策を受けて、債務者企業の経営実態の的確な把握を目的として、金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編を作成し、公表したところであります。  今後、この別冊をやはり適切に運用していくということが極めて重要であるというふうに私どもも考えておりまして、このため、検査官に対する研修の更なる充実、検査モニター制度の実効性の確保、運用面での対応にも配慮をするとともに、金融機関及び借り手である中小零細企業等にも周知徹底を努めているところでございまして、今後も中小企業の実態に即した検査を確保していくために、現場でのこうした別冊の定着の状況問題点をモニタリングをして、必要に応じて更なる充実、整備を図っていくこととしたいというふうに考えております。  それと、先ほど先生お話がございましたように、今回の借換え保証のところについての条件緩和債権の取扱いについてでございますが、これは先生指摘をされている点を、私ども金融機関に対して、この点についてはしっかりと対応していくようにということで、竹中大臣からも、私からも、その旨、金融機関方々にはお話をさせていただいているところでございます。
  45. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 要するに、しっかり対応するということは、要するに、基本的には原則的には条件緩和債権に当たらないという理解でよろしいわけですか。
  46. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) そのとおりです。
  47. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 はい。  次に、私は、本法を始めとしたこの産業再生システムが円滑に進むためには、産業再生を軌道に乗せるためにもデフレ対策が重要だと思うわけでございます。  昨日、与党金融プロジェクトチームにおきまして金融政策についての要望事項がまとめられたわけでございますが、特に物価安定数値目標の設定、また日銀による長期国債買い切りオペ枠の拡大、それから買入れ資産、日銀の買入れ対象資産にETFなりREITなり、あるいは中小企業のCPなり、あるいは米国債を始めとする外債等を追加するということ、さらに日銀によります銀行保有株の買取り枠の拡大等、こうしたことの検討状況がどうなっているか、内閣府にお聞きします。
  48. 小平信因

    政府参考人小平信因君) 今、先生指摘のとおり、デフレ克服は日本経済再生に向けた最も重要な課題であるというふうに考えておりまして、政府、日銀一体となりましてこれまでも総合的な取組を行ってきたところでございます。日本銀行におきましては、量的緩和政策を継続するというようなことで、いろいろな努力をしてきておられるところでございます。  政府といたしましては、集中調整期間、これは平成十五年度、十六年度でございますけれども、その後におきますデフレ克服を目指すということで構造改革の取組を加速をするということにいたしておりますけれども、デフレに関しましては、マネーサプライの伸びが低いという貨幣的要因もあるわけでございまして、日本銀行におきましては、できる限り早期のプラスの物価上昇率の実現に向けまして、新たな総裁、副総裁の下で更に実効性ある金融政策運営を行っていただけるように期待をしているところでございます。  ただ、金融政策日本銀行の所管事項でございまして、具体的な政策手段につきましては、金融政策決定会合において、金融経済状況を総合的に勘案しながら、機動的かつ適切に決定をされるものというふうに考えております。
  49. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 実は、日銀の関係者を呼んで質問しようと思ったんですが、今日はたまたまといいますか、緊急政策会合がございますので、また別途の機会に日銀にただしたいと思っております。  次に、先日、塩川財務大臣が、日銀がETFなりREITなり、そういった買入れ対象資産を拡大することになると引当金を積み増ししなければならない、そうしますと日銀の納付金が減る、そのことはやむを得ないんだということを発言されたというふうに新聞に出ていたわけでございますが、こうした考えは私はもっともだ、同意し得る点でございますけれども、財務省はいかがですか。
  50. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えいたします。  日銀が先生おっしゃいましたようにリスク資産を購入する場合、同行の財務の健全性には中央銀行としての信認を維持していくという、そういう上で十分な配慮が必要であるということは、それは我々も同様に考えております。他方、通貨の発行益は基本的に国民に帰属すべきものでございますから、日銀納付金は貴重な財源となっております。したがいまして、通貨発行益はできる限り国庫納付することが求められるということもこれも一つの原則でございます。  したがいまして、財務省といたしましては、リスク資産の購入につきまして日本銀行から御相談があった場合には、納付金の影響だけではなくて、その目的ですとか効果、実効性、それから損失の発生が極力回避される仕組みとなっているか、そういった点を具体的にいろいろお話を伺って、検討して、議論をしていきたいというように考えております。
  51. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 与党の金融政策プロジェクトチームの取りまとめの中にもありますけれども、先ほど言いましたように、不良債権問題をプッシュとプルでもって解決していく、そうしますと、当然、資本不足、自己資本不足に陥る金融機関も出るわけでございます。したがって、平時におきまして公的資金の資本注入を可能にする枠組みを作るべきだというふうに考えるわけでございますが、金融庁見解はいかがですか。
  52. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 公的資金、公的資本の増強につきましては、現行法で、いわゆる信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるときに、金融危機対応会議の議を経て資本注入の必要性の認定を行うことができるとされております。  このような現行法の枠組みを踏まえつつ、昨年十月三十日に公表しました金融再生プログラムに基づいて、迅速に公的資金を投入することを可能とする新たな制度の創設が必要かどうかについて、現在、金融審議会の公的資金制度に関するワーキンググループにおいて議論を行っているところでございます。  なお、万一緊急に対応する必要が生じた場合には、金融再生プログラムにおいて特別支援という枠組みを作っておりまして、政府、日銀が一体となって万全の危機管理体制をしっかりやっていくということになっておりますので、現行預金保険法に基づき適切な対応をしっかり取っていくという所存でございます。
  53. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私は、不良債権処理問題は、プッシュ政策、それからプル政策、それと公的資金の注入、三点セットでやらなきゃいけないと思うので、早急に結論を出して対応されることを要請したいと思います。  それで、先ほど冒頭に申し上げましたように、アメリカにしましても韓国にしましてもスウェーデンにしましても、不良債権処理には大変な期間、そういった幸運に恵まれた三国におきましても五、六年掛かったわけでございます。中小企業まで考えると相当時間が掛かるということの認識が必要だと思うわけでございます。金融再生プログラムでは、この不良債権比率八・四%を二年後に四・二まで、四・二%まで半減するということを言っているわけでございますが、それは難しい、非常に難しいというふうに考えるわけでございます。  したがって、目標はともかくといたしまして、時間が掛かるということを覚悟して取り組まれることをお願いしたいと思うわけでございますが、副大臣見解はいかがですか。金融庁
  54. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 私どもといたしましては、総理の御指示もいただいて、金融再生プログラムにおいては、やはり世界から信頼される金融システム、そして金融行政というものをしっかりやっていこうと。そして、世界の評価たり得る金融市場というものをしっかり作っていかなければいけないということを目標として掲げさせていただいたわけであります。  しかし、それだけでは明確な目標としてどうかという御議論もありまして、その中で不良債権比率というものを、ある意味では数値目標的な考え方の中で一つの目標として掲げさせていただいて、この不良債権問題の終結に向けての一つの考え方の方向性というものを出させていただいたところでございます。  先ほど、先生からもいろいろ御指摘をいただいておりますように、この問題を解決していくためには総合的な政策というものが極めて重要でございますので、各般の政策というものと十分連携をしていきながら、総理からの御指示であります十六年度中に不良債権問題を終結をさせていくと、その方向に向かって私どもとして一生懸命努力をしていきたいというふうに考えております。
  55. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 要するに、この産業再生を進めていく、どうしても縮小均衡効果というのが出てくるわけでございます。したがって、マクロ経済としてこの縮小均衡を避けていかなきゃならない。そのためには、先ほど申し上げましたデフレ対策を始めとする景気対策、また新産業あるいは新企業支援、推進するといったような雇用対策、これが重要であります。  政府全体としてこうしたデフレ対策を始めとする景気対策、また雇用あるいは産業再生産業創成対策の充実を図り、強力に取り組まれることを要請いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  56. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうもおはようございます。民主党の直嶋でございます。  今日から参議院で産業再生機構法案産業活力再生法、審議に入ったわけでありますが、私ども民主党は、衆議院においてこの法律の一部が修正されまして、賛成ということで参議院に法案が回ってきております。しかし実は、党内的に言いますと、かなりこれは賛否も含めてけんけんごうごうの議論をさせていただきました。そういう状況を考えますと、いろいろと参議院においても政府のお考えをただしていかなければいけないことが大変多いというふうに思っておりまして、私の方も、今日は一時間ばかりでございますけれども谷垣大臣中心にお考えを確認をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、昨日の本会議でも議論があったんですけれども、今いわゆる企業再生させるということで言いますと、例えば法制度としては会社更生法とか民事再生法という制度があります。また、先ほどもちょっと議論になっておりましたが、いわゆる私的整理のガイドラインといったやり方もございます。もちろん、経済産業省の所管の産業活力再生法も一つあるというふうに思います。  そんな中で、産業再生機構を、もちろんこれは要管理債権先を中心として再生を図るということなんですが、これは元々言ってみれば民間の銀行が今まで多分やってきた領域であろうと思うんです。そこに産業再生機構というものを新しく作って、言わば屋上屋を重ねるような形になると思うんですけれども、なぜそれを作らなければいけないのかということがどうもすとんと落ちない部分があるんですけれども、まず谷垣大臣にその点を御説明いただきたいと思います。
  57. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今の直嶋委員お話は、一番この問題を考える上での基本的な示唆と申しますか、それは何だということになるんだろうと思います。  それで、今お聞きになりました会社更生法等の法的整理、それから私的整理ガイドラインといった私的整理をどう進めていくかという枠組み、いずれも我が国でこういう経済事情の中で事業再生を進めていくにはどうしたらいいかといういろんな工夫の中でこういうものができてまいりまして、重要な役割を果たしているというふうに思っております。  それで、産業再生機構というものは、こういう既存の手続と決して相反するものではなくて、こういう今の手続の整備状況の存在を踏まえまして、現在の状況で当事者の合意の形成を促進するために新たな手段を追加的に整備する性格だろうと思うんです。つまり、事業再生というものを考えていく場合には、法的整理に進まざるを得ない段階よりも早い段階で、できるだけ早い段階で民間同士で話合いをしていただいて、いわゆる私的整理でスムーズにしていただく方が事業価値の毀損も最小限にとどめることができるという意味で望ましいわけでありますが、しかしながら、現状を見ますと、メーンバンクと非メーンバンクの間でなかなか調整が難しいとか、それから先ほど来の御議論でありますけれども再生していく場合にやはり事業再生マーケットみたいなものがかなり整備されていかないと進んでいかないわけですが、なかなかそれが進んでいないとか、それから異なる銀行グループの間でなかなか話合いが進まないとかいった事情があろうかと思います。  いろいろこの再生に携わっておられる専門家お話を伺いますと、民間で話合いをしておられると想像も付かないところになかなかネックが存在している。例えば、金融機関同士で話し合いますと、ほかの、その当該企業の案件ではなくて、別件でもあのとき貸しがあるとか借りがあるとかいうようなことがごちゃごちゃして、なかなか進まないようなケースもあるようでございます。  こういう理由から、期間を限って政府が一定の関与をして事業再生を促進する組織を作っていくということが現時点において必要ではないかと考えた次第でございまして、いずれにしても、本来は民間主体で進むことが望ましいと、私どももそう思っておりますので、いかに市場の持っている機能を補完することができるかという観点から市場、市場といいますか、民間の知恵や英知というものも最大限利用していくということで運用してまいりたいと思っております。
  58. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 次に、さっきも議論ありましたが、不良債権処理の面から金融庁の方にちょっとお尋ねをしたいのでありますが、不良債権を加速的に処理していかなければいけないということは、私どもある程度理解をしているわけでございますけれども、この再生機構再生可能と判断する企業債権を買い取るということになるわけでございますけれども、後ほどちょっと議論させていただきますが、この支援基準といいますか、この基準を厳格に運用していくとすれば、私はかなり対象が限られてくるんではないかなと。そうしますと、昨年の基本指針の中でも、再生機構の活動に当たっては、企業の単なる延命を図るということにつながらないようにするというふうに明記されておりまして、再生がきっちりできるものを対象にしていくと。かなり厳格に運用していくということになるんじゃないかと思います。  しかし、実際には、この不良債権処理に伴って、いろいろ企業、その不良資産を、銀行不良債権処理していくということになってきますと、この不良債権処理に寄与していく、この再生機構が寄与をしていく、貸手と借り手の関係の中において寄与していくということを考えると、実態からいうと相当無理をして、再生がかなり難しいと思われるようなものも買い取っていかなければ、現実に、さっきもちょっと議論ありましたけれども、二年で不良債権を半分にする、こういうことは難しいのではないかなと、私はそういう推測をするわけでございますけれども。  この再生機構不良債権処理の関係について、金融庁はどのように見ておられますか。
  59. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 先ほど谷垣大臣から産業再生機構についてるるお話があったわけでありますが、私どもは、この機構の活動につきまして、またこの機構の活動によって、まず非メーン行については、その機構不良債権売却することによってオフバランス化というものが進展をしていくことになると。また、メーン行については、機構支援によって対象企業の経営が改善していく、そのことを通じて不良債権というものが正常化していくことにつながっていくということを期待をしているところでございまして、産業再生機構が、そういう意味から不良債権処理を加速するに当たって、それをある意味では応援をしていくものに資するものになるのではないかというふうに期待をいたしているところでございます。
  60. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私が申し上げたのは、今例えば非メーン行のオフバランス化に寄与するといっても、実際には、それを買い取った、再生機構が買い取るためには、そのオフバランス化される債権、債務者、債務者企業が確実に再生できるという確信がないといかぬわけですね。  そうすると、金融庁サイドの期待の方は、確かに非メーンのオフバランス化であるとか、メーンの不良債権処理の促進ということは分かるんですけれども、実際の機構を健全に運営させていくということから見ると、例えば今、要管理債権十九兆円ですか、それから不良債権四十兆円ありますけれども、その相当な、例えば要管理債権でいえば相当な部分を機構が実際に買い取っていくということにしないと、今、副大臣がおっしゃったようなことにはなっていかないんではないかと思うんですけれども、この点はどうなんでしょう。
  61. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) この不良債権問題を解決し、その裏側には企業再生というものがあるわけでありますが、この再生機構ができることによって、その全体としてこの不良債権問題を解決し企業再生をしていくという流れが私は強く出てくるんではないかというふうに思っております。  この企業再生の問題、不良債権問題の解決については、その機構だけではなくて、民間でも様々な取組というものが生まれてまいりましたし、またRCC破綻懸念先対象とするわけでありますけれどもRCCにおいても、この企業再生について部署をしっかり設けて、本部を設けて、再生可能性のあるものについては一生懸命応援をしていくということで取組がなされているわけでありますから、そうしたものが相まって全体的にこの問題の解決に向けて私は力強く動き出していくことにつながっていくのではないかというふうに考えております。
  62. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと後でもう少しその点は議論させていただきましょう。  谷垣大臣の方にお伺いしたいんですが、今のやり取りにかかわる話なんですけれども、個別企業再生支援という、いわゆる産業再生ということと、不良債権処理の促進によって、これはかなりスピードでやらないと、やることによって信用秩序を守っていこうと、これも再生していこうということになると思うんですが、私さっき申し上げたように、この再生機構というのは、恐らくこの両面を意識しながら、今お答えがあったようにお作りになったと思うんですが、実際には、そうすると再生機構としては相当思い切って、まあもっとありていに言えば、二次損失もある程度覚悟しながら大胆に買い取っていかないと、この信用秩序の維持ということにはつながっていかないんではないかと思うんですけれども谷垣大臣はどういうふうに見ておられますか、その点。
  63. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私は、この機構は、この法律の中にも書いてもございますが、国民負担は最小限にするようにというふうにねらいで作ってある、ねらいというか、そういうことで意図して作ってあるわけでございます。しかし、最小限にしろということはどういうことかといいますと、場合によっては、なかなかリスクのある仕事だから、終わったときに黒が出て利益が出ているというようなことでは必ずしもないかもしれないということも、同時にこの国会の御審議でも申し上げなければならないという気持ちが私にはございます。  しかしながら、この機構で扱おうとしているのはあくまで再生可能な、再生可能だからといって必ず再生できるかどうかは、これはリスクのある仕事だから分かりませんけれども、やはり基本的に再生可能であるものを取り上げるということは、これは再三いろんなところで御答弁しているとおりでございます。  そうしますと、委員の御疑問は、これだけある不良債権処理は進まないではないかということだろうと思うんです。それより、早く機構でどんどん買い取って、むしろ不良債権、過剰債務に足を取られておるところを救うという手法もあり得るのではないか、そういうことを場合によってはねらっているんじゃないかというような意味合いもあるのかなと思うんですが、我々は、その点は再生可能なものを買い取るということであります。  ただ、今問題、委員の問題意識は、私は、機構だけでは全部お答えするわけにはいかないと思いますが、伊藤大臣の御答弁にもございましたように、現状において滞っている案件に事業再生の道を開いて、大型案件を含めて事業再生マーケットの間口を広げていくと。こういうのがやはり一種の流れを作ると思いますし、それから、機構再生支援を行うに当たっては、過剰供給構造その他の対象事業者が属する事業分野の実態を考慮するとか、あるいは、これもるる申し上げているわけですが、選択と集中を含めた大胆な事業再構築を進めるとか、産業再生法の手法と相まっていろいろなことをやらせていただくというようなことをしていけば、先ほどの伊藤大臣の御答弁のように、流れができてくるのではないか。そういう、やはり流れを作る、やはり呼び水といいましょうか、その役割を果たしたいと、このように考えているわけでございます。
  64. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の大臣の御答弁でちょっとお伺いしたいんですが、さっきも似たような質問があったんですが、再生機構の中でいわゆる企業再生にかかわるスタッフというのはどれぐらいのことを大体、今想定されているんでしょうか。
  65. 根本匠

    ○副大臣(根本匠君) 先生から今、スタッフどの程度の規模というお話がありましたが、要はこれは機構が取り扱う案件の数あるいは買取り債権規模についてどの程度申請が出てくるのか、これとのバランスの問題だと思いますが、機構においては、チームを組んで案件ごとにやろうと、こう考えておりまして、今のところ数十人から百人程度の規模で考えております。これは実際、現状どう進んでいくのかということで弾力的に考えていきたいと思いますが、現段階では数十人から百人程度の規模で考えたいと思っております。
  66. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう一つお伺いしたいんですが、三年で再生するということですから、かなり、先ほどの議論もありましたように、出口も含めていろいろ詰めてこれからいかれるんだろうと思うんですが、したがいまして、大体、例えば機構として対象、扱う企業数というんですかね、再生対象にする企業数というのはどのぐらいの数を想定されているんでしょうか。あるいは規模でもいいんですけれども、ちょっとその点も教えていただければと思うんですが。
  67. 根本匠

    ○副大臣(根本匠君) ただいま私申し上げたところでありますが、やはりどの程度の案件あるいは買取り債権規模、これは実際にどのぐらい申請があるのかということとの対応関係にありますので、今、現段階で、じゃ具体的にどのぐらいかというのは確たることを申し上げるのはやや難しいだろうと思います。  ただ、イメージとしては、例えば一つの一案件ごとに五人から七人ぐらいのチームで一案件を扱うと。案件を扱った場合に、それは大体三か月から場合によっては半年ぐらい、いろいろ再生計画の中身のフォローも含めて、あるいは実際に買い取る段階にその再生計画を見ていくわけですが、大体イメージとしてはそんなイメージで、一件当たり五人から七人ぐらいのチームで三か月から六か月ぐらいの感じでやっていくのかなと、こういうイメージは持っております。  先ほど申し上げましたように、一応スタートの段階では数十人から百人ぐらいと考えておりますが、ただやり方はいろいろあって、すべて再生機構の中でゼロから百まで全部やるということではなくて、物に応じて、あるいは内容に応じてアウトソーシングを考えて、外部の専門家の意見も聞きながらやっていく。  あるいは、例えば不動産鑑定評価、不動産の評価なんというのは、担保付きの、そういうものは外部に頼んでやってもらうということも考えていますから、これは外部にアウトソーシングも含めて実はここのところは弾力的にやっていきたいと、こう考えておりますので、先生の具体的にどのぐらいなのかという質問には直接のお答えにはなりませんが、今私が申し上げたようなイメージで事に当たりたいと、こう考えております。
  68. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そうすると、百人以下ぐらいのスタッフで、一つ企業当たり六、七人でしたっけ。一チームで半年から一年ぐらいと。半年ぐらいでしたっけ。
  69. 根本匠

    ○副大臣(根本匠君) これは、実際にこれはどうなるかということなんですが、実際の企業再建ファンド等々のヒアリングで実際の実務をヒアリングしてみますと、一案件ごとに五人から七人ぐらいで三か月から半年ぐらい。それはただ対象がどのぐらいの企業かということによってまいりますが、実際の現状行われているような対応としてはそういう対応のようでありますので、我々その現状を踏まえた考え方でやっていきたいと、こう考えております。
  70. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 実は今、副大臣お答えになったようなことを私もいろいろと何人かの方に伺って、何となくそんなイメージかなという説明はちょうだいしているんですよ。  そうすると、いいところ、例えば二年とか三年という期限で切りますと、せいぜい三十とか五十とか、大手企業ということで考えますと、今のようなアウトソーシングをしてうまくやるんだということで対象は増えるのかもしれませんが、そうすると、さっき申し上げたように、機構としてそういうふうにやっていこうとするとかなり対象としては数は限られてくるんじゃないかと、こういうふうにも思うんですけれども、そういう理解でよろしいんですか。  昨日の本会議の答弁では、大臣お答えになったんですか、要管理債権十九兆円ありますと。十兆円の政府保証枠がありますから、何かもう目一杯、かなりそれを、全額とは言わないけれども、かなりのところ購入できるだけのお金は用意しているんだと、こういう言い方をされたように思うんですけれども、今の根本さんの御答弁と昨日の本会議の御答弁と少し違うというふうに受け止めたんですが、この辺はどうなんでしょうか。
  71. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 昨日、本会議で御答弁させていただいたあのニュアンスは、十兆の政府保証枠を持っているので、昨年の四月段階で十九・一兆の要管理先債権規模からすればほぼ十分な買取り資金がこれで手当てできるはずだという趣旨のことを申し上げたわけであります。    〔委員長退席、理事松田岩夫君着席〕  そこで、今の根本副大臣の答弁申し上げたところでは、そんなに使い切れる規模になるのかという御趣旨かと思います。これは、どれだけ言わばお客様が来ていただけるのか、今のところまだ十分に分かっていないというところも正直言ってあるわけでございますけれども、今のような規模でまず動き出させていただいて、そして人材も確かにそう多くないことも事実なんですが、アウトソーシングをしながらやっていって、更に必要であれば更に人を加えていくということではないかと思っております。  そのほか、まだ今御答弁をさせていただくのが妥当かどうか分かりませんが、考えなければならないこともいろいろございまして、例えば平沼大臣が今一生懸命やっておられる、各県で作られる協議会のようなものとの連携をどうしていくのかとか、そういうようなことも、もちろん協議会だけではありませんけれども、そういうようなものとの連携というようなことも視野に入れる必要があるだろうと。その辺もこれからもう少し詰めていきたいと思っております。
  72. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、決して十兆円全部使ってくれと、こう言っているわけじゃなくて、むしろ、さっきお答えになったように、割合堅実にやっていく、その方が望ましいと思っているんですが。  次にちょっと、次の質問に移りたいと思うんですけれども、もう一つは、今回の産業再生機構という名称なんですが、実際のところは、これは企業再生ということになってくると思うんですよ。それで、ちょっとこの点はまず平沼大臣に御見解を承っておきたいと思うんですが、例えば、今までも私的整理で債務免除を受けた企業が業界の中で身軽になったためにかなりダンピングをするとか、そういうことで逆に業界の秩序を乱すとか、あるいは産業全体の視点で考えると、いわゆるさっきから議論が出ていますが、例えば過剰供給構造というのは実際としてはなかなか解消されないと。  私は、この産業再生機構が文字どおり産業再生ということでいうなら、やはりこれは個別企業じゃなくて、むしろ産業全体のところに視点を置かないと本当に大事な事業とか産業再生につながってこないのではないかと、こう思うんですけれども、この点のいわゆるそういう不振企業と業界全体との関係を含めて、経済産業省の方ではそこはどういうふうに整理されているんでしょうか。
  73. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 過剰債務を抱えた企業であっても、技術や人材等の有用な経営資源を有する場合には、当該経営資源を過剰債務から切り離して事業再生を図る。これは、経営資源の有効活用を図りまして雇用や取引先の影響をできるだけ小さくする上で私どもは有意義な取組だと、このように思っています。    〔理事松田岩夫君退席、委員長着席〕  産業再生機構というのは、こうした事業再生の可能性のあるものについて、先ほど来谷垣大臣が答弁されておりますけれども債権者間の調整が民間だけでは進捗しない場合について中立的な第三者としての調整を行いまして、債権集約化して再生を円滑に行うために設立される、このように承知しています。  私どもの方の産業再生法でございますけれども、この産業再生法においても、生産性や財務の健全性について一定の基準を満たせば支援することとしているわけであります。一方、事業再生支援するに当たっては、当該の企業が過剰供給構造にある事業分野を持つ場合に、事業再生と過剰供給構造解消とをどう両立させるかという問題は産業再生法の支援を行う場合にあっても生ずる問題だと思っております。  支援を行うに当たっては、私どもとしては、過剰供給構造の助長にならない、こういうことが要件として重要だと思っておりまして、したがって、安易な再生支援を行うということではありません。支援を行う場合でありましても、供給能力の削減でございますとか、他の事業者との事業統合、合併など集約化を行うとともに、主たる経営資源を過剰供給構造にない事業分野であって将来の成長の可能性に高い分野にシフトさせるなどの事業再構築を行う、このことが不可欠だと思っておりまして、産業再生法の支援に当たっては過剰供給構造の解消を妨げないと、こういうことを認定の要件に明記しているところでございます。  こうした取組を支援することによって、今御指摘の過剰債務問題の解決と過剰供給構造の解消を同時に進めていかなければならない、こういうふうに経済産業省としては思っているところでございます。
  74. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、大臣から御答弁ありましたが、例えば今回、詳しいことはまた改めて議論したいと思いますが、この産業活力再生法の法案改正で、例えば複数の企業事業再編、今、大臣おっしゃった不採算部門を切り捨てて例えば採算部門で連携を取っていくとか、そういうものを支援しようというスキームがありますよね。こういうものが本来やはり産業再生機構でいろいろお考えになるときも当然念頭に置いていかないと、企業単位に再生可能性だけで判断をして、それを企業を存続させていっても、産業全体としてはうまくいかないと、こういうことって当然あり得ますよね。  ですから、私は、むしろ産業再生機構の方も、企業再生よりもむしろやはりそういう個別、事業とか産業に重きを置いた視点でやはり実際の再生活動をしていくべきだと思うんですけれども谷垣大臣の方はこういうところは御検討されてきたんでしょうかね。
  75. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この産業再生機構の果たす役割がどうかと考えますと、まず第一に、我々のところは有用な経営資源を過剰な債務から引きはがして羽ばたかせて事業再生を図ろうというのが我々のまず第一の目的であるわけです。それで、そのときに視点としてよく言われる、いわゆるゾンビをそのまま温存して、あるいはゾンビを生き返らせて、みんなで足を引っ張り合って、みんなでくたびれていくというような構造を助長するのはおかしいじゃないかという視点をやはり頭に置いておかなければいけない、こういうことだろうと思うんです。  そういう場合に、我々としてどういう手法で、ですから言いようによれば、事業再生させることを目的として、結果としてその過剰供給を排除していくようなマクロ目的に使えようということだと思いますが、その際の手法として我々はどういうことを考えているかと申しますと、まず第一に、出口を見据えて、三年なりの再生計画が終わったときにスポンサーが付くか付かないかと、こういう出口を見据えて可能性を、再生計画の妥当性を判断していくということになりますと、まず過剰供給のところにどれだけスポンサーが付くかということが当然出てくるだろうと思います。そこはやはり厳格にまず見ていくというのが一つだろうと思います。  しかし、じゃそれだけで過剰供給が排除できるかということになってくると思いますので、これは機構再生支援を行う場合には、今申し上げた安易な延命やあるいはその過剰供給構造の助長につながらないようにするという観点から、あらかじめ主務大臣の意見を聞くということになっておりますし、また、それぞれの事業所管大臣は、過剰供給構造そのほかの事業分野の実態を踏まえて、再生支援のプロセスに入っていくことについて再生機構に対して意見を述べるということができるようになっているわけであります。  それから、かなり大きな、規模の大きな企業であれば、今、平沼大臣がおっしゃいました産業再生法のスキームも併せて利用、この五十何条でしたか、産業再生法との連動ということも書いておりますので、そちらの方の産業再生法のスキームも併せて使うという場合がかなりあるのではないかというふうに思っておりまして、平沼大臣が用意していただいたようなスキームも利用しながら、過剰供給というものを排除していくということではないかと思っております。
  76. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 産業活力再生法との併用というお話もあったんですが、この再生機構のいわゆる買取りの前提が、対象企業再生計画を勘案した適正な時価という表現になっているわけですね。そうすると、やはりあくまでもここは企業の存続するということが前提になると思うんですよ。ですから、今、谷垣大臣が言われた例えば過剰供給業界の実態も見て、実際にはどういう判断を入れていくのか、あるいは再生計画段階でやるのか、買取りのときに例えば所管大臣の意見を聞くことになっていますから、そういうことを結果として行って判断をしていくことになるのか、これはやっぱり入口の判断だと思いますので、その点はどうなんでしょう。何かこの文言だけ見ていますと、あくまでも単一企業、単独企業の存続と、こういうことが前提になるように思うんですけれども、いかがでしょうか。
  77. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、再生計画を勘案する場合に見ていかなきゃならないポイントが幾つかあると思いますが、一つは、平沼大臣がやっておられます産業再生法のスキームを利用しまして、再生計画が終わったときに財務体質やらあるいは経営効率というものが上がっていくというようなことがございます。それから、去年作っていただきました、十二月に作っていただきました基本指針の中にも書いていただいておりますが、それぞれの分野に従って、例えばもう既に国土交通省がお作りをいただいておりますが、その事業分野を見て、どういう判断であればできるかというようなそれぞれの基準も作っていただいているわけでありますね。そういうものを利用しながら判断をしていくということではないかと思います。
  78. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう一つ次にお伺いしたいんですが、再生計画を作って買い取っていくという中で、次の話になるんですけれども、例えば再生機構が再建をするときに、今までのやはり経営陣であるとかあるいは株主との関係というのは余り明確に言われていないんですけれども、この点についてはどのように考えておられるんでしょうかね。
  79. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは再生計画を作って、その再生計画が妥当であれば支援を決めるわけでありますが、そのときに一般的に再生計画をしなきゃならないといいますと、関係者の応分の負担と申しますか、応分の責任というものは当然取っていただかないと再生計画はできないだろうと思います。  つまり、金融機関についてはある程度の債権放棄というものを考えていただかなければ再生計画はなかなかできないでしょうし、既存の株主については増減資と、減資というような手続を通じた持分割合の引下げということが当然視野に入ってくると思いますし、それから今まで経営に携わってきた責任ある経営者の退任を求めるなどということも当然通常視野に入ってくることだろうと思っております。  ただ、新しいスポンサーが、それから特にそれぞれ地方、地方のしにせなどで再生ができるような事案を考えてみますと、事業再生の観点からやっぱり今までの経営者に残って、この人がやっぱり真ん中に座ってもらえないとなかなかできないじゃないかというような、スポンサーが判断をする場合というのがないわけではないだろうというふうに思います。したがって、そういうような余地も場合によってはあるのかなと思いますが、再生計画を立てるについて関係者の応分の負担といいますか、関係者のそれぞれの責任を明らかにしていくということが一般的に必要なのではないかと思います。
  80. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、次に今のお話をもう少し、再生計画についてですね、少し掘り下げていきたいんですけれども、この再生計画は、メーンバンクとそれからその対象企業が、その企業の、過剰債務企業再生計画を作ると、こういうことになるわけですよね。そうするとやはり、これまでの例えば私的整理なんかも含めて考えますと、必ずしも金融機関対象企業で作った再建計画というのは余り当てにならないわけですよね。率直に言うと、この両者が作った再建計画というのは本当に大丈夫なのかなと。むしろ、何か銀行の体力をある程度勘案しながら再建計画を作っているというのがはっきり言って実態じゃないかなと思うんですけれども、そうすると、そういうものをベースにして、あと非メーンを中心にした利害関係者の調整をして買い取るということになると、これはやっぱり結果的に過剰企業の延命に手をかしていく、債務過剰企業の延命に手をかしていくということにつながってしまうんではないかと思うんですが、こういうのは厳格に見れるんでしょうか。
  81. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、直嶋委員がおっしゃった、従来失敗に終わったような、失敗に終わったというか、余り成功していない中には随分甘い判断でやられたものがあるのではないかという御指摘だったと思います。そういうことであってはならないわけでありまして、私はやはり機構再生計画を見る場合には、深掘りをするというとちょっと余りにも漠然とした言葉でございますが、やはり例えば再生計画でも十五年先とか二十年先とか三十年先というのは、なかなか、これはどれだけ責任を持って見られるかといってもなかなか難しゅうございます。したがいまして、この機構の場合には、大体三年ぐらいをめどにして、三年ぐらいで、そこで再生したといってもいろんな段階があると思いますけれども、三年ぐらいで一応の何というんですか、めどが見ることができる案を作っていくということが大事なのではないかというふうに思います。  じゃ、それが果たして機構にできるのかということになるわけですが、これは先ほど申し上げた、何というんでしょうか、まだ必ずしも専門家の数も多くないわけですが、市場の目というものを十分意識していきながら、場合によってはアウトソーシングもいろいろしながら計画を立てていくということが必要であると思いますし、最終的にはこの機構の中に設けます産業再生委員会にその専門家を集めて、集まっていただいて、その専門家の目で厳格に判断をしていただくということがこの機構仕組みになっていると、こういうことだろうと思います。
  82. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、例えば一応客観的買取り基準というんですか、ROEを二%改善するとか、キャッシュフローの十倍以内とかあるんですが、実際にはそれは実態を判断してということで非常にあいまいになっているわけですよね。  そうすると、再生委員会の方で、今、大臣おっしゃったようにきちんと見ていくということなんですが、ここが客観的に、あるいは客観的にというかむしろ中立的にというんですか、判断する仕組みというのは必ずしもはっきりしていないと思うんですけれども、この点は大丈夫なんでしょうかね。
  83. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ここは、実態からいえば、そこにどういう方に要するに目利きに入っていただけるかということに一つはかかわってくるだろうと思います。仕組みとしては、一応ここで責任を持って判断をしていただく仕組みにしておりますが、これからどういう方に中に入っていただくかということが、私はこの機構の成否を分ける大きなポイントではないかと思います。  それからもう一つのポイントは、やはりその機構の業務をやる方々が、先ほど根本副大臣が申しましたように五人から七、八人ぐらいのチームを作って実際、その再生計画の妥当性を審査しながらやっていくわけでありますが、そこにやはりどれだけ経験と識見を持った人が集まっていただけるかということが、実はもう一つ大きなポイントでございまして、そこの、そのやはり人材を得られるかどうかというのが非常に大きなポイントであるというふうに私は思っております。
  84. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、再生委員会でのこの五人から、五名から七名でしたっけね、案件がいろいろ重なってくると結構これは大変で、なかなかきちんと判断できないんではないかなという危惧を持っています。  それで、ちょっと次に移りたいと思うんですが、ちょっとお手元に資料、これは政府にいただいた資料なんで私が配るのは何かおかしいんですけれども、ちょっと成り代わってちょっと議論、お配りして議論させていただきたいと思いますが。  この資料の真ん中の欄といいますか、矢印が入った下の表のところなんですが、機構の関与前という絵があって、これは債務企業、このメーンと非メーンがあって、非メーンの金融機関の保有する債権集約化機構集約化する、それでそれを買い取ると、こういうことなんですが、ここで問題は買取り価格がどういうふうに、どういう買取り価格になるのかというのが大きなポイントになると思うんですが、それで、多分これを一つはそのポイントがあると思うんですけれども、その次ですね。企業事業)の再生ということで、絵があります。採算部門、不採算部門と、こういう絵が入っていますが、不採算部門の次に金融機関機構の債務の免除ということが記載されています。そうすると、ここはあれですかね、債権を買い取った上で更に機構はそれに加えて債権放棄をしていくと、こういうことになると思うんですが、そういう意味でよろしいんでしょうか。
  85. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ここは、あと再生プランをどう進めていくかという上で、作り、どう進めていくかという上で債権放棄という手法は使わざるを得ないかなと、使わざるを得ないのではないかと思っております。
  86. 根本匠

    ○副大臣(根本匠君) 多少今の大臣お話に補足をさせていただきたいと思いますが、要はこの金融機関の、金融機関機構の債務の免除という文言、先生指摘のこの文言でありますが、この理解は、機構債権の買取りを行う前提となる事業再生計画に記載されている範囲で、機構等が行う債権放棄ということを意味しておりまして、要は、基本的にはまあ簿価があるわけですが、事業再生計画を作るときにここまで債権放棄、それぞれしなさいよと、こうなって、再生が可能な再建計画にするわけですから、そこは機構債権放棄という部分は、実際の機構の買取り価格は、要は債権放棄した、することを含めて買取り価格を決めますから、要は簿価と買取り価格の範囲内の債権放棄になるということであります。
  87. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そこがよく分からない。そんなうまいこといくんですかね。おっしゃっている意味はあれでしょう、その左の、価格は再生計画を勘案した適正な時価で買い取りますと。そうすると、簿価が仮に一万円の債権を六千円で買いましたと、もっと低いのかな、四千円とか三千円になるかもしれませんが、で買いましたと。そうすると、四千円で買ったとすると、その差額の六千円がここで出てくる債務の免除と、こういう今の御説明ですよね。
  88. 根本匠

    ○副大臣(根本匠君) 要は、簿価があって、再生可能性を見て値段を付けるわけですね。で、再生計画を見て。その再生計画の前提としては、例えばメーンもこれだけ債権放棄して債務を圧縮しなさいよと。我々買うときもこの部分の債権は、債務は放棄して債務を圧縮するということになりますから、その債務を圧縮した部分が実はそこが適正な時価で、その放棄をする部分は、これは要は簿価と買取り価格の適正な時価との範囲の中に、内でやるという意味であります。ですから、適正な時価には食い込まないと、この機構が行う債権放棄はですね、そういう意味であります。
  89. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いやちょっと、だからそこは私は必ずしもうまくいかないんじゃないかと思いますよ。  不採算部門と採算部門に分けて、これは正しいやり方だと思うんですね。不採算部門は債務放棄、債務の免除をした後、売却したり清算したりするわけでしょう。そうすると、少なくともこの今の根本さんのおっしゃった話が成り立つためには、債権の購入段階で最終的な清算価値も含めて算定をして買取りを行わないとこんなふうに一致しないと思うんですよ。  むしろ、今どっちかというと不採算部門の抱えている借金が多くてどうにもならないところがいるわけですから、実際に事業をこうやって区分して、結果として清算価値として出てくるものと機構が買い取る価格はそんなにうまく合うんですかね。私は全然ここは違うと思いますけれども
  90. 根本匠

    ○副大臣(根本匠君) 要は、機構債権の買取りを行う前提となる事業再生計画、実はここが大事なんですね。その事業再生計画に記載されている範囲で債権放棄をするということをここは意味していますから、そこは、事業再生計画を見た、具体的な事業再生計画の段階で採算部門、不採算部門を切り分けてみて、不採算部門はこのぐらい債権を放棄しないと売れないということで、そこで決めますから、そこは私は考え方として十分成り立つと、こう思いますけれども
  91. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと本当は、ここで時間があればケーススタディーをやってきちっとした方がいいと思うんですが。  大体、この不採算部門の売却価格なんていうのは、この間の、何でしたっけ、厚生労働省の何か施設を売却したときの値段もそうですけれども、大体一万円とか、私も実際に聞いてみると一万円とか千円とか、そういう話ですよ、最終的に。ですから、そんなものを織り込んで逆に言うと債権を購入するということになると、今度は売るところが出てくるんでしょうか。逆にそちらが今度は心配になるんですけれども。本当に買えるんでしょうかね。大変な、これは簿価から比べると大変な圧縮をしないと実際にはその債権買い取れないと思うんですけれども。  つまり、これは根本さん言われるように三年先まで見込んで、もうそれぞれ採算部門と不採算部門に分けたやつ、計画を作って、そしてそこから逆算をして債権を買い取るんですと、こういうふうにお話しされているわけですよね。これが再生計画を勘案した適正な時価と、こういうふうになるわけですね。これはすごく堅実でいいやり方だと思うんですけれども、実際に、それは、じゃ、ほかの金融機関機構債権を売る気になるのかどうかというと、これはちょっと難しいんじゃないかなという気がしますけれども、どうなんでしょう。
  92. 根本匠

    ○副大臣(根本匠君) そこは機構役割をどう考えるかということだと思うんですね。参考人の、衆議院参考人の意見でも、要は、機構指揮者の、いわゆるコンサートの指揮者役割をやってくれということで、これは私は象徴的な言い方だと思いますが。  いずれにしても、機構は、先ほど谷垣大臣も申し上げているとおり、要は、調整がなかなか時間が掛かる、難しい、そういう案件を対象とする、つまり、そういうメリットが利用する側でもありますから、その辺のメリットを考えて合理的な判断に立っていただければ、私は機構を利用すると、こう思います。  それから、ここは概念的に、採算部門と非採算部門を切り分けてということで比較的概念的に示しておりますので、何かこの不採算部門だけの議論をすると先生のおっしゃるような御意見が出てくるんだと思うんですが、要は、この再生機構法が見ている企業というのは、ぴかっと光る有用な事業があるかどうか、それが本当に再生可能かどうかということを見極めて、その事業再生して結果的に産業再生につなげようということでありますから、その有用な価値のあるぴかっと光る事業以外の不採算部門は、そこは大胆に債権放棄もしてもらって整理をするということだと思います。
  93. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、今のその話は逆じゃないですか。機構債権放棄するわけでしょう、不採算部門の事業は。だから、非メーンは幾らかの価格で機構に買い取ってもらって、不採算部門と採算部門を含めて、実際にはそれは何々株式会社という企業の債務でしょうから、不採算がどれで採算がどれなんというのは区分できないと思いますから、そういうふうに買い取ると思うんですよ。結局、今のお話はむしろだから逆になって、逆になってくるんじゃないかと思うんですよ。  それからもう一つは、実際には非メーンということになるんですが、例えば一部上場企業の大手になるとこの非メーンが物すごくたくさんあるんじゃないかと思うんですよ。例えば鉄鋼のトップクラスの企業というと、私がちょっと聞いた範囲でいっても、もう取引金融機関は百社以上あるというふうに聞いています。ですから、鉄鋼はどうこうという話は別にしまして、多分大手企業というのはそれぐらいの金融機関と取引していると思うんです。  そうすると、今のその話も含めて、今度は、その百社ぐらいの金融機関と買取り交渉を、実際にはこれは成り立つのかどうかというのは非常に私なんかも率直に言って疑問を持つんですけれども、この点はどうなんでしょう。
  94. 根本匠

    ○副大臣(根本匠君) その話の前に前段の話をもう一度言わしていただきたいと思いますが、要は、企業、債務企業からとってみれば、どの程度の債務が圧縮できるかということで、機構からすれば、その債務圧縮、つまり債権放棄をすることも含めた価格で安く買い取るということですから、私は簿価と適正な時価との範囲内の債権放棄に機構としてはとどまりますよと、それは先ほどそう申し上げたんですね。要は、債権放棄をすることも含めて安い、安いといいますか、適正な時価で買い取りますから、ここで言う債権放棄というのは適正な時価と簿価の範囲内に収まると、こういうことを申し上げたんです。  それから、非メーンが、まさしく非メーンがそれだけ多いような状態だから実は私は産業再生機構の出番なんだと思うんですね。つまり、それだけ多いからなかなか計画に合意が取れない、調整が難しい、困難だ、そこに中立的な、公正な中立的な調整者として機構が乗り出す。正に私は機構機構機構たるゆえんはそこにあると思いますので、そこは機構が中立の調整者としてたくさんある非メーン行の債権を買取り交渉をして集約するということだと思います。
  95. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 伊藤大臣にお伺いしたいんですが、多分、金融機関債権区分というんですかね、例えば要管理、要管理債権が今議論になっているんですけれども、恐らく主要行は多分金融庁の検査もいろいろあってある程度その債権区分が、債務者区分というんですかね、債務者区分がそろっているかもしれませんが、多分、さっきお話ししたような、非メーンがたくさんあって、例えば地方の銀行だとか信用金庫だとか、そういうところも当然対象に入ってくると思うんですが、そういうところの債務者区分は必ずしも要管理になっているわけじゃなくて、むしろ正常債権にあるところもあると思うんですけれども、そうすると正常債権に区分しているところが、今、根本さんがおっしゃるようにそんな価格で折り合えるんでしょうか。ですから、そういう債務者区分の問題というのもきちっと踏まえてこのスキームというのはできているんでしょうかね。  ちょっとその点、まず金融庁の方にお伺いしたい。
  96. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 今の非メーンのお話でございますが、この債権の中身というのはそれぞれのやはり債権者の担保の保全がどうなっているのかということによって個々の事情がございますので、それを一概にこうだという議論はなかなか私どもとして今お話をさせていただくことはできないというふうに考えております。
  97. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) なかなかそこらは実際上、実質上いろいろ難しい問題があると思っておりますが、金融機関とその適切な価格水準で合意が得られるためには金融行政との連携はもう非常に重要だと思っておりまして、今回の法案でも金融庁あるいは日銀に対して「技術的助言その他の協力を求めることができる。」というふうに規定されておりますので、この規定に基づいて金融庁あるいは日銀とも連携を図りながら、所期の目的を追求していきたいと思っております。
  98. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 一応今日私が予定した時間来ましたので今日のところはこれで終わりたいと思いますが、多分我が会派の理事さんがもう一度私にチャンスをくれるんじゃないかと思いますので、この続きはまた改めて、非常に重要な点だと思うんですよ、ですから、そういう意味でまた議論させていただきたいというふうに思います。今日はこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  99. 田浦直

    委員長田浦直君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  100. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  株式会社産業再生機構法案株式会社産業再生機構法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会特許庁長官太田信一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 田浦直

    委員長田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  102. 田浦直

    委員長田浦直君) 休憩前に引き続き、株式会社産業再生機構法案株式会社産業再生機構法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  103. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣でございます。午前の直嶋議員の、同僚議員の質疑に続きまして、一時間ほどお付き合いをいただきたいと思います。  まず、主務大臣の関与ということから伺いたいと思っております。  この機構事業再生支援の決定、債権買取りの決定などなど重要な決定を行うに当たっては、あらかじめ主務大臣である総理、財務大臣経済産業大臣の意見を聞かなければならないことになっておって、特に支援決定の際には、事業所管大臣谷垣大臣機構に対して意見を述べることができることと、このようになっておるわけでございます。  産業再生機構が中立公正な立場から支援の決定を行う必要があって、外部の意見によって判断がゆがめられてはならないけれども、各々の主務大臣はどのような観点から機構に対して意見を述べることになるのかなということをまず伺いたいと思いますが、まず谷垣大臣平沼大臣、交互にお願いします。
  104. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今おっしゃいましたように、三人主務大臣がいるわけですね。  総理は二つの言わばお立場がありまして、一つは総合調整をするという立場と、もう一つ金融庁を、金融庁内閣府に属しておりますから、内閣府の長としての総理大臣という二つの立場で総理大臣が主務大臣になっておりますので、総理大臣が主として意見を述べられる場合は、これは伊藤大臣から答弁していただいた方が妥当かと思いますが、金融庁を所管する金融政策の立場から意見を述べられるということになると思います。  それで、私が、信用秩序維持という観点からお述べになるわけで、私はその総合調整を、要するに総理の命を受けて総合調整を担当させていただくという立場でございますので、その総合調整という立場から、特段に、あえて言えば総合調整という立場から述べるということでございまして、個別の政策という立場ではないと思っております。
  105. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 経済産業省といたしましては、製造業でございますとか流通業でございますとか、その主務官庁に相なっております。そういった立場から、産業を横断的に客観的に透明性を持って私は主務大臣として意見を申し述べ、そして産業再生に資する、こういうことで意見を述べさせていただくと、こういう立場だと思っております。
  106. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今御答弁いただきましたように、特に総合プロデューサーというかコーディネーターであるところの谷垣大臣は意見を述べることができるというようなことでございましょうか。ほかの大臣は、意見を聞かなければ、の大臣の意見を聞かなければならないと、こういう違いがあるということでよろしいでしょうか。
  107. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私は、総理の命を受けてそれを総合調整を行うという、私のこの担当大臣というのはそういう役でございますから、どちらかといえば意見を述べることができるという方でございまして、事業所管大臣の立場とは違うものと思っております。
  108. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 その辺り、やはり本当に再生を、かなり、二年間で一応再生計画をほぼ道筋を付けるんだというような意気込みでされると思うんですが、三年間要するに計画がありますので、二年間ぐらいで債務も半減させるというようなことと併せて、恐らくそういうことではないかというふうに思っておりますが、できるというようなレベルの権限で本当にそういったことが、つまり全体の、今の不良債権というものの全体の八%ですか、大手行だけで、それを四%までに二年間で減らしていくんだというようなことも含めて、なかなか強制力がない大臣がどこまでリーダーシップを取れるのかなということが非常に実は分かりにくくなっていると私は思っております。  これは、実はもう十二年、十三年前でしょうか、一九九〇年に、十月三日に東西のドイツが統合いたしまして、その際に、私も担当でいろいろ経済界の中から意見を申し上げたことがございます。私がじゃなくて、私が事務局として意見を申し上げました。  その際に、国家信託庁というのが作られまして、東ドイツのいわゆるペンタゴンを始めとした優良企業をどのように統廃合させるかというようなこと、大変大きなテストをされたのは多分大臣もよく御存じだと思います。その際に、私も忘れられないのは、名前間違ったら後で訂正いたしますが、ローベッターという大臣がその信託庁全体を統括いたしまして、東ドイツ側の企業の、国営企業の切り盛りをやったということがございます。もちろん、今我が国は国営の企業を何かするということではございませんので、性質的に同じということではございませんけれども、言ってみれば、十兆用意して、これから不採算部門、今の株価でも百円を切っている又は五十円を切っている大企業という方々があるわけでございまして、ここを切って張ってというのは大変なこれは作業だと思います。  結論から申しますと、そのローベッターは実は暗殺されまして、大変悲劇の中に私も陥ったという覚えがございます。ただ、逆に言うと、これは別に大臣が暗殺されては絶対いけないということを前提にいたしますが、もちろんそうでございますが、そのぐらいの強権をやはり発動しないと、強権発動という言い方がおかしいかもしれませんが、強い力とイニシアチブでやらなければ、これは私、到底できないということを思うんですが、どうでしょうか。
  109. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 木俣委員の問題意識はよく分かる面があるわけでございますが、この機構の設計思想そのものは、今おっしゃったような、ある産業分野に関して機構そのものが再編の見取図を描いて、そして多少反対があろうと、有無を言わさず強引に整理をしていくと。その結果、場合によっては何かそういう今おっしゃったような危険も省みずやっていくというような設計思想であるわけでは必ずしもございませんで、やはり金融機関、それから当該企業の方から自主的に絵を描いて来ていただくということで考えた制度でございます。  もちろん、この制度は機構だけでそれがどんどん進んでいくということを必ずしも我々考えているわけではありませんで、金融再生プロジェクトの中でいろいろ考えていただいたような仕組みとか、それから経済産業省でやっておられる産業再生法のいろいろな枠組みとか、そういうものを併せてやっていこうということでございます。  委員のおっしゃった東ドイツの例は、やはり一つ機構なり国家なりが、いや一つの体制が変わり、国家というものがある意味で消滅、統合される場合の旧体制の整理の話でありますから、もちろん今我々が取り組んでいる話と共通の部分があることはありますけれども、やや思想なり手法が異なるものとして設計をしているということではないかと思っております。
  110. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 もちろん、思想なり設計というものが同じではないという前提で申し述べておるわけでございますが、午前中の質疑にもございましたように、本当にマーケットが、そういう不良債権、デッドマーケットがマーケットとして機能しているのならば、当然ながらこういう機構は要らないわけでございまして、そうでないから強制的に、自主的というお話がございましたが、言うならば強制的自主性みたいな非常にねじれた表現になるやり方をせざるを得ないというものが今回だと思います。  そういう中で再度申しますけれども、やはり谷垣大臣の強力なリーダーシップ、つまり、この法案の意見を述べることができる程度では、私は結論、二年後辺りたって、結局、余りできなかったのかなみたいな結論になるんではないかということを私申し上げたいと思っております。  午前中の質疑の中でもございましたが、いわゆる債権の適正な時価という、奇妙な言葉だと私は思います。時価なら時価、はっきりしろというような感じでありまして、適正な時価とは何だと。更に言えば、この図、直嶋議員が使った図でありますが、まず売却、清算をしてから債務を放棄するかどうかを決めるべきで私はあると、それがなぜ逆になるのか。つまり適正な、いわゆる適正な、つまり銀行にとってまあそこそここの辺だよねという握りの時価で買い取って、その後二次損失が出たら、そこは国民の皆さん、これは機構が買い取って評価をきちっとしたつもりなんだけれども、午前中にもありましたように、いや実は百万円ぐらいでしてねと、百億ぐらいのものがですね、なんだよねと、こういうことを言って二次損失を発生させると。  つまり、銀行が飛ばしに使うというのを、私、代表質問でさせていただいたわけでありますけれども、この辺り債権売却時に損失は発生しないということでよろしいんでしょうか。大臣お答えいただけますか。
  111. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 結局、先ほどの、我々が作って直嶋委員が出していただいた図でございますけれども、私の理解は、要するに再生計画を立てるときに、例えばここの事業部門はやっぱりスクラップしなきゃいけないねと、ここは残せるねと。それで、そういうことをしたときにどれだけの債権放棄をしてもらわなければやれなくて、そうすると企業全体の価値が、出口でこのぐらい予想できるから、大体そのときの買い取る債権もこういう値段だなということで決めるわけでありまして、そのときは放棄する債権、どれだけ債権放棄してもらうかというようなことで、その債権の価格が決まってくるんだろうと思います。  それで、今、委員がおっしゃったことは、再建計画が進み出したと、しかしながら、必ずしも予想のような、想定のような形で再建ができなくて、つまり一次目の、一回再生計画に入った再生計画だけではうまくいかなくて、もう一回債権放棄をしなきゃならないような場合があり得るという、多分そういう前提の下でお話をなさったんだろうと思います。  我々は、まず第一次的な再生計画を深堀りして、それを、そういうことを避けたいと思っておりますし、ただそうは言っても、場合によるとなかなかうまくいかないということがあり得るんだろうと、全く絶無とは言えないかもしれないとは思います。しかし、そのときは何というのでしょうか、正に厳格にその辺りを判断しなきゃいかぬと、こういうことだろうと思います。
  112. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今言われましたように、例えば一次的な損失は恐らく当然最小限にするに決まっておると私は思います。というか、ほとんど損失が出ないような形になると思うんですが、二次的な、最終的な損失が出た場合、機構が約五年後に解散を例えばするという見込みでしょうか。時限的だと思います。そうした場合にそのツケはどこに行くんでしょうか。つまり、その損失はどこに付けられるんでしょうか。損失はだれが負担するんでしょうか。
  113. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、委員おっしゃったのは、出口のときに最初想定した再生計画どおりいかなくてもっと企業の価値が少なくなったという場合ですね。ですから、実際、百億で売れると思っていたら、実は五十億でしか売れなかったと、五十億赤が出たじゃないかと、こういう場合だろうと思います。これは個々のいろいろな計画によって赤の出るところもあるかもしれません。それから、むしろ利益が出るところもあり得るんだろうと思います。  したがいまして、閉めるときに、機構を閉めるときに全体をトータルして、それでなおかつそのトータルの中で赤が出ている場合、その毀損がある場合はまず出資金で埋めるということでございますし、その出資金でも埋まらない場合には予算措置をして国が補てんをすることができるという、こういう仕組みになっております。
  114. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今、最終的に言われましたように、最終的な負担というのは国民がするわけでありまして、非常に今回、個別の企業産業を今まで、この五、六年もそうでありますけれども、ツケを結局国民が払うというあるまじき市場主義というか資本主義の中に我が国の国民がいるというような気で、大変なことだなというふうに私は思っております。  この見込みはともかくとして、例えば五年を時限として解散の見込みしておりますけれども、かなり大きな二次損失が発生した場合に、考えられることは、機構の存続の期間を延長をして、債権売却処分というのを先送りにして、非常にうやむやな決着を、決着というか、決着を付けない方法というのもあると思うんですが、そういうことは一切ないということでよろしゅうございますか。
  115. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 現時点の議論としまして、必ず、まず損失が生ずることを前提に議論するというのは必ずしも私は現時点の議論としては正しくないのではないかと。確かにリスクはあるわけでございますし、一件一件の判断は難しいものがあるわけですけれども、民間の再生ビジネスに携わる方々などの知恵や経験を最大限活用するというようなことによりまして、最小限にして、その損失を最小限にしていける運用をまず考えると、こういうことが第一なのではないかと思います。     ─────────────
  116. 田浦直

    委員長田浦直君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  株式会社産業再生機構法案株式会社産業再生機構法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会日本銀行企画室審議役山口廣秀君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 田浦直

    委員長田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  118. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 再度、これ五年間以上の延長はないということでよろしゅうございますか。
  119. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど五年間と伺って、私ちょっと答えが中途半端な答えになってしまいましたけれども、これは法律上、所定の仕事を終わったときには解散をするというふうになっておりまして、その心は二年間で債権を買い集めて三年をめどに再生計画を立てる、したがっておおよそ五年ということでございます。  それで、今の時点で五年で、じゃ自動的に時限法で解散する、時限的に解散するふうにしてないのはなぜかと、こういうふうにお問いも今までいろいろあるわけでありますが、もうここで自動的になくなってしまうということになりますと、最後、債権等を買いたたかれるというようなことも考えられないわけではございませんので、このような仕組みになっているということであります。
  120. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いろんな理由の付け方があるなと思って伺っておりますが。  例えば五年とした場合に、二年以内に今買い集めというか買いあさりというか、いうことができればいいんですが、しかしそれを超えていった場合に、再生計画が三年とした場合に、つまり三年ぐらいで、今から三年後ですね、三年後ぐらいに債権を買い、つまり再生計画を出させ、いろいろな計画を出させた場合にですね、つまり機構が五年だとすると、一年後に再生一つのアローイン、二%アップとか、いろいろこういうものが入ってくる。そうしますと、その再生計画再生機構を解散した後はだれが責任を持ってこの企業を、企業又は企業群なのか産業なのか分かりませんが、見ていくのか、ちょっと答えていただけますか。
  121. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、二年の後また一年たって再生計画が出たというふうにおっしゃいましたか。  大体債権を買い取る、つまり支援決定をして買取りを決定するときには、同時に再生計画ができていて、それを前提にどういう価格で買い取るかというのを判断するということを私たちは想定しているわけであります。したがいまして、そのときに三年での出口というのは、再生できているかどうかというのはいろんな判断基準があると思いますが、やはり基本的に、スポンサーが付いて、いわゆるリファイナンスができるというようなことを想定しながら考えますので、そのときはそういうスポンサーが以降責任を持っていただくということだろうと思います。  したがいまして、現在ではまずそのことに全力を傾けるというのが第一でございまして、そのときまだ、何というんでしょうか、親元を離れられないような形になっているのがあるいは皆無とは言えないかもしれません。現時点においては、まずそれをなくすということが大前提であろうかと思います。
  122. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 スポンサーが本当に見付かればいいなというような感じがいたしますね。  例えば銀行の第三者割増し増資、自己資本の増資の場合にでも、やはりよく言われますのは、優越的地位をかなり利用して、一行を除いて一行は公募でやったと、そのほかは公募ではなかったというようなことから、又は担当者が相当融資先の企業を駆けずり回って、かなり強制力を使って買わせたという話、それから、まあかなりの有利な条件を付けて外資に買っていただいたというような、こういう事実。  だから、結局、こういった一つ銀行の例でも見ますように、そう簡単に、もう傾き掛けて、正に再生という言葉は僕は大嫌いですね。正にゾンビということですので。ゾンビが生き返るってさっき大臣使われましたが、ゾンビというのは生き返ったのをゾンビと言うんじゃないでしょうかね。ゾンビが生き返るとどうなっちゃうか知りませんが。  いずれにしても、やっぱり再生という、つまり平沼大臣がよく言われるように、やはり我々は起業とかやはり創業というものをもっとどうやって応援するかということが大事であって、死んだ、死にそうというか、言い方が難しいんですが、もう死にそうな方を再生させるということが本当にどれほどできるのかということで考えた場合に、極めてこれ難しいんではないかというようなこと。そうすると、極めて難しいことを、今大競争のこの時代に、よし、おれに任してくれということでスポンサーが見付かるというその目安自体が私は非常に甘いというふうに思うんですが、どうでしょうか。  両大臣お答えいただければと思います。
  123. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 私どもは、今まで産業再生法の世界の中で、そういった例えばバブルのときに非常に土地等に投資をして、しかし本業はまだまだ力があると、そういったところが再生した例というものは今までの産業再生法の中でもあるわけであります。  ですから、私どもといたしましては、今回更に産業再生法を改正をいたしまして、そういったことがもっとできやすくすると、こういう観点で改正をお願いしているところでございまして、今までもそういう形で企業再生をしたという事例、単独の企業再生ができたという事例もありますし、それから複数の企業がいいところを持ち寄って、そして更にそこで共同をしてそれが立ち直ったという例もありますし、また他の企業がその一つの部門を吸収して、そこで雇用も確保しつつ、更に利益も出すと、こういう例が、そんなに多くはございませんが事例としてはある程度上がってきております。  ですから、そういう意味で、私どもはやっぱり今、こういう産業再生法に、機構に乗っかる、そういうポテンシャリティーのあるところはかなりあるんではないかと、そういうふうに私は思っております。
  124. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 午前中の質疑の中でもありましたけれども、大体RCCが二千四百人規模で今人員を、スタッフを持っていると。当機構は数十人から百人ぐらいの今規模で考えたいという副大臣お答えがあったかと思います。五人から七人でワンチームを作って、三月から六か月、半年で仕上げていくというようなお答えがありましたので、例えば半年掛かるとして、五人一チームで考えた場合に、そうすると、大体ワンセメスターというのか、六か月で二十の会社を又は産業再生のいろいろチェックをすることができると、掛ける四で八十ぐらいの会社を見ることができるというような計算になるんですが、大体こう、目安としてそのぐらいの感じでございますか。
  125. 根本匠

    ○副大臣(根本匠君) まあ五人から七人ぐらいで大体三か月から六か月後ぐらいだろうということで、一応の目安ということでやると、先生のおっしゃられたような、八十までかはちょっと幅あると思いますけれども、その辺の感じかなと、こういう気はいたします。  ただ、いずれにしても、これは立ち上がりの段階状況をにらまないといけませんので、最初の立ち上がりではそういうことでスタートして、後は状況に応じて、実はアウトソーシングという手法も活用しながらやろうと思っておりますので、そこは必要があればまた直轄でも増員してやるということもあり得ると思いますし、そこは柔軟に対応していきたいと、こう思います。
  126. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 突然の質問でもお答えいただきましてありがとうございます。  ただ、例えば八十前後の企業を立ち直らせることで、じゃ一体何をしたいのかなというような感じにしか僕なんかは思えないんですが、平沼大臣、どうでしょうか。八十程度の会社をもう一回、リバイバルというのか、要するに再生させる、リボーンというのか、させることで日本経済へのインパクトというのは相当あるんでしょうか。
  127. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 八十という、大体今その人員の方から割り出して八十ぐらいかなというような、そういうお話でしたけれども、私は、その機構に乗って、そしてその八十でも影響力のある企業、それから中堅企業でもその業界で影響力のある企業、こういったものが再生をすれば、私は日本経済活性化にとっては決して意味のないことではないと、このように私は思っております。
  128. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 あるかないかというのを、定性的な話をしてもしようがないと思いますし、それから政府は当然あると思って、インパクトがあると思ってされていると思いますので、意見が多分かみ合わないと思いますのでやめたいと思うんですが。  やはり、今のこの日本経済、今日も大変お忙しい中、日銀の方にもお出ましいただきましたが、残念ながら、総裁、副総裁は政策決定会合でおいでになりませんが、大変残念です。  いずれにいたしましても、例えば日本のこの経済が元気がないというのは、そういったやはり新陳代謝というものがなかなかできていないというのがやはり一つではないかとよく言われておりますし、同時に、新陳代謝がない中でも、ある企業は助けて、ある企業は殺していくというような、そういう在り方、フェアじゃないという。ですから、例えば株価なんかでもちっとも上がらないのはその辺の二つの大きなフェアがないと、要はモラルハザードだと、やりたいだけやっておいて、あとはもうケツは要は国民がふけばいいと、国民の資産は千四百兆もあるんだから、最終的には増税すれば何とでもなるんだと。これは国債でも言えることだと私は思っておりまして、こういう態度ではなかなか上がらない、経済が又は景気が上昇するということは私はあり得ないだろうと。  つまり、投資家の立場に立って見れば、海外の、例えば株式でも三〇%の株式を外国人が買っているという現状があると。この間も中国人の一、二を争う大金持ちと会って話を聞きましたら、日本はもう今買いだよと、こういうことを言っていました。しかしながら、そこからまた下がっていく。それはなぜかといえば、そういうような不安でしようがないと、投資しても絶対これは駄目だろうなというようなことがあって、その片方で、欧米のいわゆるハゲタカと言っていいと思いますが、空売りをどんどんやって、要はいろいろなその仕組みを使いながらもうけて去っていくみたいな、そういう状況があり続けることが非常に私としても頭にきてしようがないというような感じであります。  青年の主張ではございませんので、質問をしなければいけませんけれども、どうしてもそういう思いが各大臣おありなんだろうなと思うんですが、伝わりません、正直言って。これがやはり伝わらないということが景気が上昇しない理由なんだろうなというふうに、大変僣越ながら私は思うところであります。  それで、何を質問しようかちょっと迷ってしまいますけれども、日銀の方、来ていただいておりますので、ちょっとそちらの方の質問をさせていただきますが、今日の日経のこの一面に、日銀がいよいよ銀行株、保有株を去年に引き続いて買い支えるんだということで、ここには三兆円にということを書いてありますが、正に今、政策決定会合の中でこの辺りが審議をされたのか、されるのかと思いますが、これはどのように推移しておりますでしょうか。
  129. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) お答え申し上げます。  先生御推察のとおり、ただいま政策委員会で議論をしておるところでありますが、私どものこの点に関する基本的な考え方といいますのは、これまで株式買入れやってきましたけれども、所期の機能は十分果たしているなと、このように考えております。また、現在までの累計の買入れ額、これは約一兆円に達しておりますが、その増枠ということにつきましては、金融機関の保有株式削減努力を更に促していくと、このような観点から本措置の趣旨を前向きにとらえながら考えていきたいと、このように今の段階では考えておるところでございます。
  130. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 銀行の今株式の保有総額、これ大手行、長信銀も含めて七行、あと信託五行の合計って大体どのぐらいでございますかね、日銀の方はちょっと分かるかな。
  131. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) ティア1との関係でそれをどのぐらい上回っているかということでお答え申し上げますと、去年の九月末で六兆円程度であります。それから、まだはっきりしませんが、この三月末辺りでいきますと二から三兆円ぐらいと、そんな感じのところにとどまろうかというふうに思っております。
  132. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今お話がありましたように、去年の九月の時点では六兆円ですか、ティア1超のこの保有株、ここを何とかしなきゃいけないということで、それで一兆円ぐらい使ってそこを買い取りながら、現在はティア1超の、ティア1超過額は大体二兆から三兆でよろしいですか。
  133. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) そのとおりでございます。
  134. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 そうすると、今回、購入の枠をどのぐらいにされるというふうに考えるわけですか。
  135. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) お答えいたします。  先ほども申し上げましたとおり、まだそれについては最終的な結果は出ていないと、結論は出ていないということでございます。  ただ、繰り返しになりますが、私どもとしても、金融機関の保有株式についてその削減の努力というのを何とか促していきたいというふうに思っておりますので、そうした私どもの考え方を反映したような額に、そういう額にしていきたいと、そのように思っております。
  136. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ということは、要は自己資本を超える、ティア1を超える二兆から三兆については丸ごと買い支えるぐらいの思いでやると、こういうことでいいですか。
  137. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) お答えいたします。  なかなかお答えが難しいところでありますが、現在、私ども、先ほども申し上げましたけれども、累計で株式の購入額は一兆円に達しております。元々の私どもの買入れ予定額は二兆円ということでありましたので、残枠としては一兆残っておるということでございます。その一方で、金融機関のティア1を超えます金額というのは、先ほど申し上げましたとおり二兆ないし三兆程度ということでありますので、何らか私どもが増枠ということに踏み切るんだとすれば、そうしたものをある程度吸収できるような、そういう形になろうかというふうに思っております。  ただ、いずれにいたしましても、まだそれについては結論が出ていないというのが現状でございます。
  138. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 昨年の九月と本年の二月、三月との比較で、先ほどお話があったと思いますが、銀行の株式保有額が相当減っておるわけですよね。さらには、ティア1超の保有できない株式が六から二から三ということで、三兆から四兆減っておるんですが、これはどういう減り方なんでしょうか。日銀が一兆買ったとして、あとの残りはどういう買われ方していますか。
  139. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) お答えいたします。  今現在、金融機関が保有している株式を売るルートといたしましては基本的に三つあるということでございます。一つは、マーケットに直接売るということでございますし、もう一つは取得機構に対して売却するということでございます。さらに、私どもに対して売っていくというのが三つ目ということでございますが、実際に私ども先生指摘のとおり、私どもが買っておりますのは累計で一兆円ということでありますので、残りの部分については取得機構ないし市場に対して売ったということでございますが、私自身了知している限りにおきましては、取得機構の買入れ額というのはそれほど大幅に増加していないということでありますので、金融機関は主としてマーケットを通じて、あるいは相対かもしれませんが、売却したと、そのように理解しております。
  140. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 こういう株の買い支えについては、局長はどういうふうにお考えになりますか、そもそもが。
  141. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) お答えいたします。  この私どもの株式の買入れの趣旨と申しますのは、株価対策ということではございませんで、あくまでも金融機関が株式を保有する、そのことに伴って発生するリスクを少しでも小さくしてやると、そうした意味リスク削減のための措置だということでありまして、是非そのように御理解いただきたいというふうに思っております。
  142. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これについては、だから景気の効果というのはどの程度あるというふうに考えますか。
  143. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) お答えいたします。  これは、これ自体なかなか難しい問題でありますが、金融機関にとって保有資産に伴う、資産の保有に伴うリスクが削減されるということは、一つは、金融機関がよりリスクを取りやすくなるということでもあります。その一方で、不良債権をそういう環境の中で処理しやすくなるということでもあります。  したがって、それら両方をバランスを取りながら評価していくということになろうかと思いますので、先生がお尋ねの点につきまして、一概に、景気に対してどうか、あるいは銀行の貸出しがどのように動いていくか、そうしたことを一概に申し上げることはちょっと難しいように思います。
  144. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 一概にというより、せっかく国会に総裁の代わりでお出になったわけですから、もっと明確に言ってください。一概にじゃなくて、どういう効果があるか。大変なお金を使うわけですから。
  145. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) 一概にと言いますと、何かあたかもある程度答えがあってというふうに御理解されたかと思いますが、本意はそういうことではございませんで、私どもの株式の取得、私ども金融機関の持っておる株を買うことによってそれが直ちに経済にどういうインパクトを及ぼすか、このことについては推し量り難い面があると、こういうことでございます。
  146. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ある大臣が言われて物議を醸したんですが、ETFというのは絶対もうかりますか。
  147. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) お答えいたします。  そのようなことを申し上げられる立場にはおりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  148. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 絶対にもうかるなんというのは、皆さん買いますよね、普通は。そんなことあるわけないですよね。  例えば、どういう効果があるかということはなかなか言いづらい点もあるかと思いますけれども、新総裁が、今後の金融政策について、非伝統的資産の購入による量的緩和も視野に入れると、こういうふうに明確にお答えをされておりまして、私もやはり中小企業出身でみたいなところがありまして、いわゆる売り掛け債権の証券化等、こういったものも含めて大規模に買っていかなければ、なかなか日本企業が生きていかないんじゃないかと、このように思うわけですが、こういった中小企業の資金繰りのためにも売り掛け債権の証券化などにも手を出すということでよろしいですか。
  149. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、中小企業が抱えております売り掛け債権を、何らかそれを使って金融の、金融、資金調達手段にしていくという問題意識は私どもも持っております。  そうした観点から、特に売り掛け債権の流動化市場の育成ということにつきましては、私どももそれなりに力を掛けてやってきておるところであります。現実に、そうした市場の育成に向けて関係の省庁ですとか、あるいは金融機関に対してかなり力を注いで働き掛けをやってきているというのが実情であります。  実は、本日、臨時の金融政策決定会合を開催したわけでありますが、そこでの一つの結論として、金融緩和の波及メカニズム、これを何とか強化したいということがございます。そして、そのために企業金融ですとか、あるいは金融調節面でどういった具体的な措置があり得るのか、この辺りをきちんと検討していきたいと、こういうようなことになったところでございます。  今後、この点を検討するに当たりましては、もちろん市場をゆがめてはいけませんので、市場をゆがめるリスクがどうかとか、あるいは日銀自身も経営体でありますので、そうした日銀の財務への影響などについても考慮しながら、先生がおっしゃられた中小企業の売り掛け債権の市場づくりみたいなことも含めて、予断を持つことなく、幅広い方法について検討してまいりたいと、かように思っております。
  150. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今、日銀の自己資本ってどのぐらいですか、比率は。
  151. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) 私どもの自己資本につきましては、実は一般の金融機関の自己資本比率とは計算方法を異にしております。  その点をお断りした上で、より明確に申し上げておきますと、実は私どもは、銀行券に対して自己資本をどれだけ持っているかと、そういう計算をしながら自己資本比率を管理していると、こういうことでございます。今のところ、八%をちょっと切るところというところでございます。
  152. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 存じ上げながら質問しておりますけれども、これで自己資本は十分でしょうか、日銀は。
  153. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) お答えいたします。  私ども、自己資本比率という点では八%から一二%ぐらいのものを維持したいというふうにかねて考えてきておったところでありますが、今ほど申し上げましたように、八%を若干切るというところではありますけれども、今の自己資本を維持できておれば財務面から格別問題が生ずると、そういうことはないだろうというふうに考えております。
  154. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 日本銀行が傾いてなんていうことがないように、御注意いただきたいと思います。  さらに、ちょっと通告はしておりませんけれども、せっかく来ていただきましたので、平沼大臣からもちょっと伺いたいと思いますが、デフレですね、このデフレを退治しなければ、不良債権処理と同時にデフレの退治ということであります。  やはりこの二つをしっかりどうやっていくのかということが目下一番焦眉の急でございまして、しかし、やはり米国等に行きますと、政策担当者から言われますのは、やっぱり場当たり的な小手先のことを日本はしたがるよねと、こういう話が大体聞かれるところでありまして、昨日の代表質問でも少しその辺り竹中大臣にも申し上げたわけでありますが、デフレの要因をどのように、一番大きな要因って何だろうかと、どのように大臣はお考えになりますでしょうか。
  155. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) デフレの要因というのはいろんな要素が絡み合って起こっていると思っておりますけれども日本の場合には、一番今大きいのは資産デフレというものが非常に大きな比重を占めていると思っています。  バブルの崩壊後、いわゆる土地の価格、株の価格あるいはその他の債権の価格、こういったものが非常に下落をして、ゴルフ場の価格なんかも、ある友人がバブルの最盛期に六千万円の入会金を払ってゴルフ会員権を買ったら、今それが五十万円になっていると、こういうようなことでございます。  したがって、一つそれが大きな要因があると思いますし、それから日本の場合には、やはり産業の空洞化というような形で、これは残念なことなんですけれども、やはり日本に比べて労賃が二十五分の一、三十分の一というような、そういったところに製造拠点が非常に移る。そういう中で、安い製品が入ってきて、そして日本のいわゆる価格体系をずっと押し下げると、こういったことも非常に大きいし、それから個人の金融資産はあるわけですけれども、これもある意味では政治の責任だと思いますが、先行きが非常に不透明感であって、そして資金はあるにもかかわらず、それがデフレを克服するというのは、経済の隅々にまでお金が行き渡るということが非常に大切なんですけれども、それが先行き不透明で、せっかくある意味じゃ潤沢なそういう資産があるのに、これが動かない。  そういったことが本当に複合的に絡み合って、長期のデフレと、私はこういうことに相なっているのではないかと、こういうふうに分析しております。
  156. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 おっしゃるとおりだと思いまして。  そうしますと、フローの面の需給ギャップの話も昨日申し上げましたけれども、二から三%ということでありますけれども、これもさることながら、つまり需給ギャップが供給過剰を、これを減らすという、この話でございますが、やはりストックの話ですね、フローとストックで言うとストックの話。  特に、物価が一%下落すると資産デフレが一〇%下落するなんていう話もありまして、本日も公示地価が示されておりますように、十五年連続で商業地は全部下がっていると。下がるのがいいのか悪いのかという話がありましたが、やはり下がり続けている。  そしてまた、日本経済全体が、やはり土地本位制というか、という中に今あるということからすれば、二、三年のこの景気経済の運営というのを考えた場合には、やはりこの資産デフレをどのように止めるのか。二千五百万、三千五百万という、例えば住宅地の取得又はその他における相続税の前倒しというのも利くかもしれませんけれども、基本的には、やはりこの土地の下げ止まりというのを止めない限りは、短期的には、そして止めるというのは、前回のバブルのときのような教訓も生かしながら、土地の利用の誘導というものを図りながらどんな手を打っていくかということがやはり一番大事ではないかというふうに私は思っておりまして。株を日銀がどんなに買っても、株というのは結局マインドコントロールというか、というようなところがありまして、五分の一に価格が下がるということ自体が、あり得ない話があり得ちゃうということでございますので、その点からすると、実物の土地のところにもう少し強力な政策を打っていく。  例えば、やはりこれも劇薬ではありますけれども、土地の売買については毎年、三年間に限って又は二年間に限って税額控除を一〇%、どんな土地をだれがどれだけ買ってもやっていくとか。その際に当然ながら、何度も言いますように、それだけでは投機が八割とかいう形で同じ轍を踏むと思いますけれども、しかしながら、そこで生産性、土地の生産性を上げるべく誘導をしていくというようなものと交えてやっていきさえすれば、私は経済の復活というのはあるんではないかというふうに考えておるわけでございますが、ちょっとそれた質問になるかもしれませんが、両大臣お答えいただけますか。
  157. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 今日、木俣先生おっしゃるように、土地の公示価格、これが発表がございました。おっしゃるように、住居用の土地も商業地も相対的には本当にずっと連続下落をしております。しかし、その中で非常に、一部商業地ですけれども、例えば銀座ですとか丸の内、これは都市再生というような形で非常に有効利用を高めた。例えば丸ビルができて、そしてそこに何十万人の人が行く、そこで活性化するというようなところは、初めての現象ですけれども、一部土地が上がってきていると、こういう現象もあります。ですから、そういう意味では、私は、おっしゃるように、やはり土地のいわゆる有効利用ができるようなそういったインセンティブのある政策をやっていくことが必要だと思っています。  そういう意味で、今回の減税の中で一つ、今もう御指摘になられましたけれども、従来、いわゆる譲渡益課税に関しても非常に、日本の場合には百十万なんていう限度がございましたけれども、これが二千五百万、そして家屋が付いている場合には三千五百万まで非常に枠を広げたと、こういうことも非常にいいと思いますし、株に関しましても、譲渡益に対する課税についても、いろいろな議論の過程の中では、財務省は二〇%は譲れない線だというところが一〇%というような形でこれも具現化してくる。  そういった形で、私は、おっしゃるように、やっぱり資産のそういうデフレを防ぐためには、そこが動きやすい、ですから株にしても土地にしても動きやすい、そういう政策は、減税においても規制緩和においてもやっていくことはおっしゃるとおり私は必要だと、こういうふうに思います。
  158. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私の所管から今の木俣委員の御関心にどう答えたらいいのかちょっと迷いながら立ったんでございますが、今の御議論の中に資産デフレ、土地の問題、いろいろな論点があったと思うんです。それで、私ども機構というのも、やはり金融の問題、やはり土地を、土地本位制みたいなものとの今まで非常にフィットした体系がうまくいかなくなったということがやっぱり基本にあるだろうと思います。  それからやはり、何というんでしょうか、二十世紀の右肩上がりの時代から、国際的なメガコンペティションみたいな中での非常に安い労働力でのいろんなものが入ってきて大きなデフレみたいな流れがある中で、負債を抱えながら経営していくということの意味合いも全然変わってきたんだろうというふうに思うんですね。  そういう企業を経営していっている環境が全く変わってきている中で、今まで余りにも二十世紀型のいろいろな経済運営にフィットした体制を作ってきたために、十分曲がり切れないところがやっぱりあるんだろうと思います。  経済産業省で今、早期事業再生ですか、いろいろな御研究もなさり、例えば担保制度もその中でどうあるかというような提言もしておられますのは、そういう経営環境の変わった中での担保の在り方、融資の在り方、やっぱり今までと違ったビジネスモデルが必要だということになっているような気がいたします。  産業再生機構はその中で何の役割を果たせるかということになるわけでありますが、こういう大きな、全体が変わっている中で、その変わっていく、先ほど再生という言葉は好かないとおっしゃいましたけれども、その再生という言葉でないとすれば、もう一回生まれ変わっていくためにはどういう仕組みが必要か、どういうその生まれ変わりの産婆役を果たせるかと。私ども機構もそういう中の一環かなと、こんなことを思いながら委員お話を聞かせていただきました。
  159. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 時間がございませんので閉じたいと思いますけれども、この再生機構もやはりなかなか人員不足になろうかと思います。さらには、中小企業のこの再生支援協議会とかも、各県でいろいろ再生に取り組まれようとするということも伺いました。  やはり、これからプロを育てるというよりも、やはり使っていくということじゃないかと。地域にも弁護士や税理士、会計士の皆さん、控えていらっしゃいますもんですから、やはりこういう方々をどう動員してやっていくのか。今まで、はっきり言って、こういったものがうまくできておりません。  もっと言うと、その政策の作り方一つも、こういう地域の生の声から吸い上がっているとは到底ちょっと思えないと私は思っておりまして、例えば中小企業のその繰越しの、今五年間の繰越しというのがございますが、しかしこれは一般的に言えば、先進国であれば十五年とか二十年の繰越しができるというのが当然であります。  ですから、そういういびつな中に、さっきの証券税制とか、これ、証券税制のおかげで投資するのをやめたなんていう冗談みたいな本当の話がありまして、昨日も、ああいう財務大臣の発言を聞けば聞くほど、私も買うのをやめようかなと、こういうような感じになってしまいます。  ですから、制度設計又は税や制度をいじるというのは大変だと思いますけれども、やはり正に生まれ変わるために、是非、両大臣含めて、我々、国益のために野党も挙げて進んでまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。  以上です。
  160. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  午前中から質疑を伺っておりまして、やはり各先生方、まずは基本的なポイントからという御質疑多かったと思うんですけれども、私の質問と若干重なる面があるかとは思いますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。  私は、この機構の存在意義に関する基本的なことをまず再確認をさせていただきたいというふうに思っております。  本機構の行う予定の業務と類似するものとして、あるいは極めて同一性の高いものとして、RCC事業再生部、特定業務部で、本機構がやろうとしている全く同じことを既に二〇〇二年の十一月から二〇〇三年三月ごろまでもう三、四件やっているというふうに聞いております。もしこれが正しいとしますと、正に本機構RCCとの業務が完全に重複するということになります。これは行政コストの無駄遣いじゃないかという意見もあるわけでございます。  そこで、確認をさせていただきたいというふうに思います。本機構事業の成功、不成功のリスクを取るなど、RCCとは異なる機構を発揮することを予定されているんでしょうか。それから、そもそもこの機構をなぜ作ろうとされたのか、またどこからその要請があったのか、併せてお伺いをしたいと思います。さらに、別の目的が必要だといたしましても、RCCの権限、機能強化等で対処できないものなのかなというふうにも思うわけでございますけれども、併せてお答えをよろしくお願い申し上げます。
  161. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まず、いろいろ御質問でございましたので、順序立てて答えられるかどうか分かりませんが、まずどこからの要請だったのかというお問い掛けがございましたが、これは、去年十月三十日に発表しました改革加速のための総合対応策で、産業金融一体となった対応を進めて経済再生を進めようということで政府として設立の意思を示したというふうに理解しております。どこから、いろんな御意見はそれはあったと思いますが、どこからの要請でというような性格のものではないんではないかと思っております。  それから、なぜ作るのかということと関連して、RCC産業再生機構とは一体どう違うんだということでございますが、RCCはその言わば出自からしまして債権回収目的であると。日本においてはこの分野では一番経験もおありですし、ノウハウも持っておられるというところですね。そこで買い取られた、買い取った債権の中から、言わば、私は浜の真砂から真珠を探すというような表現も使っているんですが、大変苦労をされながら再生可能なものを探し出して幾つか成功された案件も出てきているということであります。大変なこれは御苦労だろうと思います。  一方、我々の機構の方は、まず債権回収ということではなくて、元々再生可能なもの、そして再生したいという当事者も意欲を持っているもの、そういうものの再生をお手伝いするために、その債権の集約と調整を行いながらやっていこうという、言わば債権買取り型と債権回収型というものの、再生可能性先行型という違いがあるんだろうと思います。  立法論的には、今、委員がおっしゃいましたように、RCCの方に、じゃ、そういう機構がやらなきゃならないようなものも付け加えたらどうかという立法論も当然あったと思いますが、私どもは、やはりそこは機能が違うから截然と分けてやった方が政策目的も明確になると、こういうことでこれを作るということにしたというふうに理解しております。もちろん、両者とも政府政策ですから、協力しながら進めていかなければ、役割分担もしながら進めていかなければならないことは当然でございます。  それから、リスクを取るのかという御質問でございました。  私は、事業再生させようという仕事は全く石橋をたたいていけばできるというような仕事では恐らくないのだろうと。石橋をたたいて渡らないというようなことでは多分何事も進んでいかないので、それはリスクばかりを取るというのを強調するのがいいのかどうかということもありますけれども、やはり今の段階では、リスクを取りながら事業再生をしていく必要があるということを強調してお話しさせていただく必要があるのじゃないかと、こう思っております。
  162. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。明確な御答弁ありがとうございます。  やはりRCC、これは回収目的であると。その中から大変な苦労をして、再生できるものを拾い出してと言ったら変ですけれども再生させるんだと。そして、この機構は石橋をたたいて渡らないんじゃなくて、しっかりと渡ってリスクも取るというような御答弁であったと思いますけれども。  私も一生懸命勉強を、時間がないんですけれども、そう長い間やったわけじゃないんですけれども、私なりにさせていただいて、いろんな方から再生ビジネスの実態につきまして実情をお伺いいたしました。  そうしましたところ、RCCが買い取った債権については、一般的にRCCの簿価がそもそも高いため、RCC自体が非メーンのようになかなか債権放棄に応じなく、再建計画遂行において大きな障害要因となっているのではないか、こういうことも聞いているわけでございます。また、同じように、日本政策投資銀行あるいは商工中金、これはもう政府系金融機関なんですけれども、これらが債権放棄にやはり応じなく、なかなか頑固に再建協力しない、こんなふうにも言われているわけでございます。  これは単なるうわさだとは私は思いますけれども、もしそれが本当だとしますと、政策が何か同一方向に向いていないんじゃないかなというふうに言われてしまっても仕方がない面もあると思うんですね。それにつきまして、実態と御意見をお伺いしたいというふうに思います。
  163. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) RCCの実態がどれほど私に分かっているか、むしろ伊藤大臣に答えていただいた方がいいのかもしれませんが、確かにRCCの方は、仮に、一億の不良債権をたたいて仮に三割ぐらいの値段で買われたとしましても、元々債権回収するのが目的ですから、もう三割で安く買い取ったというようなことはあそこはなかなかおっしゃりにくい組織だろうと思うんです。ですから、あくまで一億なら一億だという簿価を主張されなきゃならないというお立場があって、今、松委員がおっしゃったような見方が出てきているんだろうと思います。  ただ、先ほど申しましたように、どちらも政府全体として不良債権処理促進を担う機関でございますから、協力してその業務に当たらなければならないということでありますし、その旨は産業再生機構法案にも規定されているわけであります。  それから、政策投資銀行とか商工中金等の政府系金融機関、これまで非常に債権放棄に慎重な姿勢であって、したがって再生の話がなかなか私的整理などが進まないという御批判がありました。これは、政府系金融機関からしますと、元々原資がどこから出ているかということを考えますと、ある程度慎重なお立場に立たれることもよく分かるわけでありますが、しかし債権放棄に伴う負担が合理的でかつ妥当なものであるときは、そして多くの債権者事業再生計画に同意してこれでやろうというような場合には、やっぱり政府系金融機関がノーと言って結局話が進まなかったということでは全体が進まないではないかと。  そういうことで、必要な協力義務をこの法案にも規定させていただいたところでありますので、こういう趣旨を踏まえて今後、審査対応していただけるものというふうに考えております。
  164. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) RCCの点でありますが、そのRCC債権放棄を行う場合について、民間金融機関と異なる法的な制約が存在するわけではございません。  ただ、谷垣大臣からもお話がございましたように、RCCというのは国民負担との観点から、やはり債権回収の極大化ということに重点を置いていかなければいけない面があることは事実でありますけれども、事案によっては債権放棄に応じておりまして、RCC発足以来十四年九月末まで二百四十七件の債権放棄をいたしております。二百四十七件の債権放棄をさせていただいています。
  165. 松あきら

    ○松あきら君 私は、この機構法案につきましては個人的にも大いに期待をしているところでございます。現在の過剰供給あるいは過剰債務問題解決の一つの手法になり得ると私は思っております。  しかし、このアイデアというか、割と突然浮上してきたかなという気も、前々からこの法案が出てきたわけではなくて、割と急に出てきたという感じが一般的にもするんですね。  そうしますと、やはりこの法案策定に当たりまして、マーケットとかあるいは金融業界ですとか、あるいはまた各種の業界等の意見あるいはパブリックコメント、きちんと求めたのか、伺ったのかという、この点についてお伺いをしたいというふうに思います。
  166. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 唐突にこの案が出てきたのではないかという御意見でございますけれども、元々不良債権処理を進めるという過程の中で、産業金融がある程度歯車としてかみ合わないとなかなか進まないと、そのためにはどうしたらいいかという議論はかなり前からいろんなところであったように私は思っております。  それから、それで、私がこの担当になりましてからパブリックコメント等はしたかという点では、パブリックコメントというようなものはしておりません。しかしながら、この立法の準備に当たりましては、準備室としても、あるいは私も個人的にも極めて多くの方からヒアリングやいろいろな情報といいますかレクチャーもしていただきまして、その結果感じましたことは、多くのこの再生の実務に当たっておられる方が何を足りないと考えておられるのか、どういうことが必要と考えておられるのか、ある程度共通の意見ができ上がっているなということを感じまして、政治の世界で議論された時間は短かったのかもしれませんが、かなりそういう意味では底流ができていたのではないかというふうに私は思っております。  ちょっと御答弁になるかどうか分かりませんが、そういうふうに思っております。
  167. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  非メーンをまとめまして、さっき大企業になると百社、百ぐらいの金融機関なんという話も先ほど出ましたけれども、やはり数が多いわけですね。非メーンをまとめまして、メーン、機構あるいは債務者で再建計画を作りますと、再建計画策定が容易になるのはよく分かるんです。  しかし、実体的に見まして、産業活力法のような税法あるいは商法上等の実質的メリットが少ないような感じもするんですね。まず法律上の実体的メリットの具体的な内容をお聞かせいただいて、またこれらの措置で十分なのかも併せて御答弁をよろしくお願いいたします。
  168. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) メリットでございますが、まず、今もおっしゃいましたように、支援決定から買取り決定に至る過程で、当事者間では調整困難ないろいろな錯綜した利害関係を機構が中立的な立場で調整することによって、債権集約化してスピーディーにできるということがございます。  それから、これは法的効力はないんですが、機構支援することを決定しますと、必要に応じて金融機関が抜け駆け的な回収しないように一時停止の要請を行うということも法的に、法に規定されておりますので、再生計画調整が容易となると思います。  それから、産業再生法のように減税や商法上の特典がないではないかということですが、私は、ある程度、実際に何が来るかということはまだこれは仮定だから分かりませんが、現実には産業再生法の上での認定とこの機構の利用とが併せて行われる例がかなりあるのではないかと思います。そうしますと、減税等の産業再生法の措置ができるということがございますね。  それから、債権放棄、従来、先ほどお触れになりましたけれども政府系金融機関は非協力であったのではないかと、こういうことがありまして、法六十条に協力しなければならないと決めておりますことも、政策金融機関による債権放棄も視野に入りやすいということがございます。  それから、機構自身も債権買取り等を行った債務者に対する資金の貸付けなどが可能、これは十九条一項でしたかに書いてございますが、こういうことがございますので、こういうメリットを十分利用していただけば、私は利用しがいのあるスキームになっているのではないかと思います。
  169. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  実際に、この機構と両方合わせると実質的なメリットはあるということで御答弁いただいたというふうに思います。  ところで、債権の保有者につきましては、金融機関等というふうにあるわけですけれども、その債権者金融機関以外にどのようなところが対象となるんでしょうか。多少確認をしたいと思います。ずらずら言っちゃっていいでしょうか。  例えば、事業法人、商社とかメーカー、これはいかがでしょうか。それから、外資系ファンド、外資系証券はどうでしょうか。サービサー、債権回収会社ですね、の持っている債権はいかがでございましょうか。それから、政府系非金融機関、例えば民間都市開発推進機構とか、こういうところはいかがでしょうか。以上、併せてお伺いをいたします。
  170. 江崎芳雄

    政府参考人江崎芳雄君) お答え申し上げます。  機構債権の買取り等の対象といたします金融機関等の範囲でございますが、法文の二条で定義をしております。  考え方といたしましては、当該事業者への貸付債権を保有をしており、その債権を買い取るということが当該事業者の再生に必要であると想定しているものを具体的に列挙しているということでございます。加えまして、この第二条の第六号で、金銭の貸付けその他金融に関する業務を行う事業者として必要に応じて主務省令で具体的に規定することにしてございます。この五号までに、いわゆる金融機関でございますとか、それからリース事業者といったものを規定をしてございます。  先生指摘事業法人、商社とおっしゃいました、それから外資系のファンド、サービサー、それから最後のは例えば民都機構といったものが考えられるかと思いますが、こういったものにつきましてもこの規定に該当する可能性があり得るんではないかと考えてございますが、今後、御指摘も踏まえて検討してまいりたいと、かように考えてございます。
  171. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  さて、買取りの対象となるものにはローンだけのものもあるわけですけれども、このほかにスワップのようなデリバティブ商品がくっ付いているものも割と多くあるんですね。これらはまとめて一体として買取りの対象になるんでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
  172. 江崎芳雄

    政府参考人江崎芳雄君) お答え申し上げます。  この機構仕組み企業の過剰債務を軽減をいたしまして再生を図るということをねらいとしてございますので、いわゆる普通の銀行が貸し付けておる債権のみならず、今申し上げましたようなものも必要な場合には対応するということであろうかと思います。  ただ、デリバティブがどういう形でいわゆる事業者に対する貸付けに使われておるのかというのは、ちょっと御質問を受けましてから調べたんですが、まだもう一つ具体的な細かいところまで調べ切っておりませんが、一般論として申し上げますと、こういったものはなかなか債権額の確定ができにくいということであろうかと思います。そういたしますと、機構債権の買取りを原則としていたしますので、そういう債権額の確定ができないものを買い取ることによってリスクを抱えるということになりますので、実際はその個々のケース、こういうケースが出てくるかどうかというところは、スタート時点でございますが、こういったものの買取りに当たりましては慎重な対応が必要であろうと、かように考えてございます。
  173. 松あきら

    ○松あきら君 その債権額が確定できないからリスクもあるということで、でもそれが必要だと思った場合は一体的な買取りもあるかもしれないということですね。ありがとうございます。  次に、機構における支援決定、買取りまでの手続についてお伺いをいたします。  事前相談では、何を行うんでしょうか。例えば、債務者の監査法人からのヒアリングなんか行うのかなと。イメージが余りわきませんので、具体的に御説明よろしくお願いいたします。
  174. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 事前相談は、最終的に再生可能性を産業再生委員会が判断するということを前提にして、これに先立って手続を円滑に進めるために行うわけであります。  具体的には、今機構に持ち込まれてまいりました案件が、再生計画の終了時点で生産性が向上したり、あるいは財務内容が、財務構造が改善し得るかどうか、それから対象企業の清算価値よりも回収価値が多くなれるような案を立てられるかどうかと。それから、これも何度も言っておりますが、買取り計画はその再生計画を勘案しながら適正な時価として判断していくと。それから、再生計画の終了時点において新たなスポンサーが現れるかと、そういう形でリファイナンスが可能になる、そういう蓋然性があるかどうかといったようなことを判断するわけでございますが、もちろんそういう判断の中で、先ほど委員がおっしゃったのは、あれでしたっけ、どこに聞くかとおっしゃったんでしたっけ──監査法人監査法人にあるいは話を聞くような場合もそれはあり得るだろうと思います。
  175. 松あきら

    ○松あきら君 監査法人に聞いて何か漏れちゃうとか、そういうことはないんでしょうかね。
  176. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは監査法人の問題でもあり、また我々再生機構の問題でもございますが、我々今準備する中で、一体、こういう事業再生を扱う中の守秘義務とかコンプライアンス体制というのは一体何なのかというようなことでヒアリングなどを進めておりますが、非常に厳格な守秘体制を取っていると。  私、これちょっと私専門家ではございませんので余り丁寧に申し上げることはできませんけれども、想像以上に厳格な、例えばいわゆる清算会社でも、それから証券会社でもいろんなところはやはり、守秘義務というものは顧客との関係あるいはインサイダー取引との関係でコンプライアンス体制や守秘義務体制をしいておりますけれども、一番そういうものが強いのが、強いというか重い義務を課しているのはこういう事業再生の案件だろうと思います。  私どもも、そういう事業再生の案件として、あそこはわきが甘いと言われることのないような体制を整えていくつもりでございます。
  177. 松あきら

    ○松あきら君 いいお答えをいただいたと思います。やはりこういうことは一番気にするところでございますので、想像以上に厳格な体制を取って守秘義務を守る、あるいは守らせるということをお伺いいたしまして安心をいたしました。  支援決定不可となった場合、金融庁検査における債務者区分は、実質破綻先となるんでしょうか。そうしますと、あとは法的手続に進むほかないということになるんでしょうか、いかがでございましょうか。
  178. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 私ども金融検査においては、債務者企業のその経営実態というものを総合的に勘案をして、そして判断をしていくということになっておりますので、産業再生機構による支援の決定の有無によって債務者区分を判断することにはならないと、そのことは適当でないというふうに考えています。  したがって、支援決定が不可だからといって、それをもってのみ債務者区分がダウングレード、下位にセットされるということもございませんし、また支援決定をされたということだけのみをもって債務者区分が上位セット、アップグレードするということもないわけでありまして、その支援決定をされたことによって企業の経営の内容が良くなり、その結果としてその後債務者区分が上がっていくということになるんではないかというふうに思っております。
  179. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 再生機構支援決定ができないと判断することの意味でございますけれども、いろんな場合があるんだろうと思うんですね。とてもこれは、再生して何か新しい付加価値を付けていくような戦略性がとても見いだし得ないというような場合もあるかと思いますし、それから非常にいいものがあるんだけれどもなかなかスポンサーが現れないなというような場合もあると思いますし、それからそういうようないろんな場合がございますので、この支援不可、支援決定ができないということがその企業再生する可能性がないということとイコールではないわけでございます。  したがいまして、先ほど守秘義務とかコンプライアンスとかいうことを申しましたけれども、我々もこの御相談を受けてどういう決定をするかというような辺り、そういういろんな場合がございますので、極めて、そういうその判断の発表も場合によっては極めて慎重でなければならないなというふうに考えているところでございます。
  180. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  やはりこれは不可であっても再生しない、イコールではないということを伺いまして、少し安心をいたしました。  再生に必要な債権の割合、何%と考えているんでしょうか。はっきりとした数字はおっしゃれないというふうには思いますけれども、余りケース・バイ・ケースでも困るんじゃないかなと。どんな基準があるのか、お示しをいただきたいというふうに思います。
  181. 江崎芳雄

    政府参考人江崎芳雄君) 再生機構法におきましては必要債権額と言っておりますが、それだけのものが買取りをできないと再生計画の実施が不可能であるというものを判断をするということになってございます。  その大きさなり中身ということでございますが、これはそれぞれ持ち込まれる案件によりまして、額もでございますし、その中身、マチュリティー等々も千差ばらばらでございます。つきましては、その中身によりまして判断をすると、再生委員会で判断をするということでございます。
  182. 松あきら

    ○松あきら君 やはりなかなか、ケース・バイ・ケースでということであるというふうに思います。  それでは次に、再建計画についてお伺いをいたしたいと思います。  先ほど来、アウトソーシング、あるいは木俣先生も──いらっしゃいませんね、御質問の中で、RCC二千四百名、先ほども午前中も出ました。実際、専門的にできる人は百数十名、あるいは百人ちょっとぐらいだと。あるいは機構ではもっと少ないということ等々で、やはり人数、専門家の問題も出ておりますけれども、この事前相談を含めまして妥当性検証のために、例えば外資系コンサルタントファームなどの外部業者を活用するのでしょうか。
  183. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 妥当性の判断は最終的には機構が、機構自身の責任で、産業再生委員会の判断を経て行うということはこれはもう当然でございますけれども、その判断するに当たって、今おっしゃったようなコンサルティングファームといった外部業者を活用するということも十分あるというふうに考えております。
  184. 松あきら

    ○松あきら君 例えば、その場合の費用負担はどうなるんでしょうかね。RCCは債務者負担にしているようでございますけれども
  185. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) RCCが債務者負担にしているかどうか、ちょっと私も定かではございませんけれども、この金融機関事業者があらかじめこういうことで再生計画を立てたいといって大体の、あらあらの案を持って機構にお持ち込みになる、その段階でそういう方々をお使いになれば、当然それは債務者が、企業が、当該企業かあるいは金融機関が負担されるか、そういうことだろうと思います。  一方、機構として、先ほど申しましたように、再生可能かどうかと、やはり機構として責任持って判断しなければならない。そのときに、外部のそういう専門家を使ったような場合には、それは機構の負担ということになるだろうと思います。
  186. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  先ほども機構がきちんとその業者選定をするというお話をいただきましたけれども、やはりこの、例えば特定の業者のみが選定されるようなことがあってはやっぱりまずいというふうに思うんですね。何かルールがあるのでしたら、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  187. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 業者選定に当たって特定の方だけを恣意的に選んでいるのではないか、えこひいきしているんじゃないかというようなことでは信頼性が保たれないので、透明性を確保することは必要だと考えますが、じゃ全部、言わば入札で全部できるかというと、守秘性とか専門性とか機動性といったことがございますので、その辺りをどう勘案していくかということは十分意を用いてやっていきたいと思います。
  188. 松あきら

    ○松あきら君 どうぞよろしくお願いをいたします。  金融庁の再建計画検証チーム作業との整合性はいかがでございましょうか。
  189. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは伊藤大臣からお答えしていただいた方がいいのかもしれませんが、金融庁でああいうチームを作られましたのは、それぞれ金融機関再生ファンドみたいのを作っておられますので、それをきちっと監督官庁として見ていこうという趣旨で作られているものというふうに、そういう理解でよろしいですね、というふうに理解しておりますが、この法案の第五十八条で、機構金融庁に対して技術助言その他の協力を求めることができるというふうにされておりますので、この条項を使いまして金融庁のチームとも必要な場合には連携を取っていくということではないかと思います。
  190. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 今、大臣からお答えがございましたように、私どもの再建計画検証チームというのは、債務者区分の前提になります再建計画の妥当性というものを厳正に検証していくということでございます。  一方で、産業再生機構再生計画というものは、その事業再生の可能性の高い企業に対して、金融機関等の買取り、債権の買取りを通じて、その事業再生支援することを目的としているところでございまして、今、大臣からお話がございましたように、その技術的な問題について、一般的な私どもとして御協力できるところは協力をさせていただきたいというふうに思っておりますが、個別の債務者の情報については、これは守秘義務の問題がございますので、ここについてはやはりある種の限界がございます。ただ、私どもとしては与えられた範囲内で積極的に産業再生機構と協力しながらやっていきたいというふうに思っております。
  191. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  次に、再建計画の内容についてお伺いをいたします。  株主責任の負担基準はいかがでございましょうか。例えば、支配株主の責任を重くするとかということはあるんでしょうか。また、経営者責任の負担基準、これは経営者の方が退任していただくとか、それもいつ経営者になったか、それによって違うとかいろいろあるんでしょうけれども、この二点よろしくお願い申し上げます。
  192. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今おっしゃったように、再建計画を立てていくときには、株主の責任をどうするのか、経営者の責任をどうするのか、あるいは貸手である金融機関の責任をどうするのかというようなことが勘案されて計画が立てられるものと思います。したがいまして、金融機関にとっては債権放棄であるとか、それから株主については減増資の手続によって持分割合を下げていくこと、それから経営者にとっては退陣をしていただくというようなことが織り込まれるのが普通だろうと思います。  ただ、これも度々御答弁申し上げているところですが、例えばスポンサー等がやはり地場の古くからの企業なんかで、この方が経営者に座っていないとなかなかうまく回らないというような御要請がある場合もあると思いますので、一律に判断ができにくいところがあろうかと思います。そういうことでございます。
  193. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。お答えにくいところをいろいろお答えいただきましてありがとうございます。  もう最後の問題になるでしょうか。産業活力再生特別措置法におけます生産性基準、財務健全化基準を準用しなければならないこと自体、必要なのかな。一から五まであるんですけれども、これ読み上げませんけれども、こうした数値基準がないと再生可否を判断できないのでしょうか。本来はというか、本質はその出口の受皿があればいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  194. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かに、このある事業再生できるかどうかということは、究極には個別の判断だろうというふうに思います。したがって、そういう計画を立てて新たな付加価値を付けるような戦略性が取り得るのであれば、それだけで十分じゃないかというのも言えるのかもしれませんが、しかし、ここは公的、要するに債権買取りにやはり国の保証が付いた、言わば公的なものが多少とも関与する仕組みでございますので、やはり何らかの基準があって、恣意的に判断をして助けたり、恣意的に助けなかったりというようなそしりがあってはいけないのではないか。  そういうことを考えますと、産業再生法に書いてございます生産性基準とか財務健全化基準、これは結局、産業再生法の目的機構法の目的が共通のことをやはり問題にしておりますので、こういう手法を使っていくのは私は十分に意味のあることだと思っております。
  195. 松あきら

    ○松あきら君 やはりこれは恣意的に助けなかったり助けたりしたらいけないと、ある程度こうした共通のあれがあるんですから、基準を踏まえてやることは良いことだという、私もそういうふうに思います。  まだ実は通告をしてあるんですけれども、ずっと後つながっちゃいますので、もうあと二分で終わりますので、今日はこの辺りにしたいと思います。ありがとうございました。
  196. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  昨日も本会議で質問をさせていただきました。総理出席の下での本会議質問ですから、この法案がいかに重要な法案かということだと思いますので、この委員会でもしっかりと議論をしていきたいと思います。そして、その議論をする視点というのは、この法律がどのような形で日本経済と国民の暮らしに寄与するのかと、そういう観点で審議をしてまいりたいというふうに思います。  まず、この法律目的なんですが、この法律の名前は株式会社産業再生機構法案というふうになっておりまして、産業再生ということになっております。第一条、「機構目的」のところをずっと読んでおりますと、非常にるる御説明があるんですけれども、結局のところ、帰結するところは、不良債権処理の促進のために金融機関が有する債権の買取りを行う株式会社を作ろうということが目的ではないかなと思うんですけれども谷垣担当大臣の方からまずお答えをいただきたいと思います。
  197. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この機構目的は、過剰債務に足を取られて、有効な経営資源を持ちながら本来の力を発揮できない企業を、企業ないし事業を、そのくびきから解き放とうというところにあるわけでございますが、もう少し振り返って考えてみれば、企業にとっての過剰債務というのは金融機関にとっての不良債権であるという面が確かにございます。したがいまして、事業、この金融機関不良債権処理の加速化に合わせて、その産業面と金融面と両方から手当てを講じていこうということにつながってくるわけであります。  事業再生については、もちろん基本的には民間主導で進むことが望ましいわけでありますけれども、これもるる申し上げておりますが、債権者金融機関がたくさんあってなかなか調整ができないとか、それを処理していくときのマーケットが十分でき上がっていないとか、あるいは場合によっては過剰供給のところでは合併させたりする必要がありますけれども、メーンバンクが違うとなかなか旧来のしがらみもあって話が進まないとか、こういうことがございますので、民間主体では進みにくいところを言わば補完するというか強力に後押しをして、先ほど申し上げたような目的を達成していこうというのがこの機構のねらいでございます。
  198. 西山登紀子

    西山登紀子君 確かに一体にというような御説明がこちらの条文にも書いてあるわけですけれども、第一条、じゃないですね、この法案の提案理由のところに、「産業金融の一体となった対応が必要な状況にあります。」ということで、提案理由説明を昨日も大臣の方から御説明いただいたんですけれども、まず最初に、「現在、金融面において、」ということで、金融面の事情が先に出てまいります。「金融システムに対する信頼を回復するため不良債権問題の解決を図ることが課題となる一方、産業面」でというふうに、産業面の方が後からくっ付いてくると。  ところが、名前は産業再生機構という、いかにも産業再生するための機構なんだよという形で名前が出てまいります。私たちは、ちょっと厳しい言い方かもしれませんけれども、昨日の本会議で、産業再生の名の下に不良債権や過剰債務を抱える銀行企業支援することが目的機構ではないかというように指摘をさせていただいたところでございます。この不良債権処理、この株式会社のお客様は不良債権だというふうな感じがするわけでございますけれども。  次に、平沼大臣にお伺いをしたいと思います。  この機構法案というのはなかなかすんなりと、うんと準備が、長い準備期間があって出てきたというようにもなかなか思えないんですよね。不良債権処理というのは、私もこの委員会で五年目になりますが、森内閣のときに、二〇〇一年の三月に、急に森総理アメリカに行って大統領に会ってきた途端にこの不良債権の問題がにわかに大きな課題となってまいりまして、小泉政権が誕生しまして、五月以降、不良債権の最終処理あるいは加速処理という形で非常にその声が大きくなってきたのがこの不良債権処理という問題です。  私たち日本共産党は、何も不良債権を解決しなくていいなんということは言っていないのでございまして、その解決の仕方が、非常に期限を切ったり、あるいは圧力的であったりするのは間違っていて、たくさんの失業、倒産を出すじゃないかと。そうでなくて、景気をうんと良くする、懐を暖める、こういうような形で不良債権というものも解決する方向があるんじゃないかということで対案も出させていただいているわけですね。  経済産業大臣として、この機構法案の必要性についての御認識をお聞きしたいわけですけれども、これは、いろんな経過を振り返ったりしておりますと、例えば昨年の十月の二十二日ですか、竹中経済財政・金融担当大臣、兼ねていらっしゃるんですけれども、与党の反発がありまして、金融安定化策の公表を見送った夜に経団連の今井名誉会長が総理に提案をしていると、こういう機構を作ったらどうかと。そして、二十五日に塩川財務大臣企業の生き死にを判断する閻魔大王が必要だなというような一言から産業再生機構が登場したというふうなこともこれは報道されておりまして、財務省主導で経済産業省なんかを巻き込んだ形で一週間でこの総合デフレ策として急浮上したんではないかという報道などされていますので、私は、この際、大臣にその辺の経過も含めて御説明もいただきたいし、また経済産業省としては当初、産業再生法の改正しか考えておられなかったのではないでしょうか。そこら辺のところをお伺いしたいなと思います。
  199. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 時系列でずっとお話しをいただきました。昨年のちょうど夏から秋にかけまして、やはり政府部内で不良債権処理を加速することの重要性に関する認識が高まってきたと、こういうことは事実でございます。その際、やっぱり有用な経営資源というのがいたずらに散逸することなく、不良債権処理の加速化を通じた金融再生と一体のものとして、産業事業再生についてもより一層の促進策が必要である、こういう認識が高まってきたわけです。それで、先ほど谷垣大臣もお触れになりましたけれども、十月三十日のいわゆる改革加速のための総合対応策におきましてこの産業再生機構の創設を決めると、こういうことに至ったわけであります。  これも谷垣大臣の御答弁にもありましたけれども、やっぱり不良債権処理の加速化とともに行う企業再生につきましては、現状ではメーンバンクと非メーンの金融機関の間での調整が非常に困難な場合があり、また事業再生に関する我が国のマーケットはまだ未成熟である、また異なる銀行グループにまたがるような事業再生は民間だけでは難しい場合も考えられる、こういったことから、やっぱり期間を限って政府が関与してこれを促進する産業再生機構設立することが重要と考えたものであります。確かに、元々、機構のようなアイデアを正直に申し上げますと経済産業省として検討してきたということではございません。しかし、以上のような、今申し上げたような理由から、やっぱりそういう機構を作った方がより効果的だと、こういう判断に至ったところでございます。  このような考え方の下で、私としては、不良債権処理の加速化とともに、産業再生機構設置、そして産業再生法の抜本改正という産業企業再生策に最大限取り組んで今きているところでございまして、不良債権処理産業企業再生はこれは経済活性化のための車の両輪だと、こういうふうに認識しておりますし、機構産業再生法はこれは産業企業再生のためのやはり車の両輪だと、こういうふうに言えると思っているところでございます。  そういった形で、確かに、繰り返しになりますけれども、私どもは、機構というものは当初はそういうアイデアはありませんでしたけれども、そういうここをきちっとしなきゃいかぬという形の中で政府部内で検討が始まり、これに対してはやっぱり今申し上げたような考え方でここに取り組んでいく必要があると、こういう判断に至った、言わばそういうことでございます。
  200. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣は最初からそういうふうに、構想は最初は余り持っていなかったと言われたわけですね。このやはり再生産業再生機構の構想というのは、非常に私は経過を見ましてもドラスチックに出てきたというふうに思います。それで、政府部内にもいろんな議論もあって、やはり民にさせることは民にさせるのが大事だとか、あるいは極端な場合には、国が企業の生死を判断することになると自由主義経済の考え方に抵触するので、よほど慎重にしなくてはいけないというような意見ももちろんいろいろあったんじゃないかと思います。  しかし、こういう機構が出てきたということで、昨年十月末の総合デフレ対策というのは、不良債権処理を二〇〇四年度末までに半減させるというような非常に急スピードで目標を置いたということでございます。ですから、それに見合ったような、何とか企業を一方ではばたばた倒さないような形での処理策というのを一体として考えなくちゃならなくなってしまったということなんですが、私たちは、昨日の私の本会議の質問でもさせてもらったように、これは一つ政府による不良処理のための触媒だというふうに指摘をさせていただいて、総理に答弁を求めたんですけれども総理はきちっと御答弁になっていないんですね。  触媒じゃないかという問いに対しては、こんなふうに言っています。「産業再生機構は、個々の企業の有用な経営資源を過剰債務から切り離し、将来性のある事業再生を図るものであります。 このような努力の積み重ねこそが産業全体の再生につながるものであり、破壊を促進する触媒との御指摘は当たらない」というように答弁をされているわけですけれども、私はこれは説明にもなっていないと思いますけれども、ここでは大臣にお伺いしないで、次に移りたいと思います。  ところで、不良債権が私はお客様じゃないかと言いましたけれども不良債権の実態はどうなっているんでしょうか、金融庁の方に御説明をいただきたいと思うんです。小泉政権になって以降の不良債権処理額、あるいは新規に出てきた不良債権の実態などを御報告をいただきたいと思います。
  201. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 御説明を申し上げます。  小泉政権の発足が平成十三年四月でございますので、平成十三年四月以降、現在出ております統計、十四年九月期まで、この間の主要行破綻懸念先以下債権、この債権のオフバランス化額、いわゆる処理額でございますが、これが十一・三兆円でございます。他方で、同じ期間において主要行破綻懸念先以下債権新規発生額、これは十一・九兆円でございます。十四年三月期の特別検査の結果なども反映されている数字でございます。  なお、不良債権全体のイメージということで御参考までにちょっと申し上げますと、趨勢といたしましては、十四年九月期の主要行金融再生法開示債権、いわゆる不良債権でございますが、この債権額が二十三・九兆円。その半期前の十四年三月期末の金融再生法開示債権額は二十六・八兆円でございますので、三月期から九月期にかけて二・八兆円の減少ということになっております。債務者の業況悪化等に伴う新規発生が続いている一方で、不良債権処理も進んでいると、こういう状況だと理解しております。
  202. 西山登紀子

    西山登紀子君 この不良債権処理というのは、本来、問題の当事者である銀行企業の責任で行うのが筋だと思うわけですね。  本会議で昨日も私そのことを総理に伺いました。筋じゃないかと、どうして国民の負担を、十兆円ですね、穴埋めに使うのかという質問に対して、強力に後押しする必要があるというふうなことでお答えになりました。  不良債権処理というのは、今までは民間の責任で、例えば会社更生法だとか民事再生法だとかいろんな形、私的ガイドライン、事業再生ファンドRCC機能の拡充などなど、この間もいろんなツールを使って銀行中心として行っていたのではないでしょうか。それでもうまくいかなかった。その理由は何なんでしょうか、御説明をいただきたいと思います。谷垣大臣に。
  203. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かに、いろんな制度がございまして、大きく言えば私的整理と法的整理というふうに分かれると思うんですね。  それで、法的整理になりますと、確かに民事再生、会社更生、これは再生、更生という名前が付いておりまして、そういうふうに利用していただければいいんですが、現実にはかなりもう追い詰められて、なかなか関係者の努力だけでは難しくなってきたという段階で持ち込まれる場合が多いように思います。  したがいまして、そこまでなってやりますといろんな負担も多いということがあって、できればそこまで行く段階に関係者間の話合いでスムーズに事柄が進んでいけば、一番企業価値が毀損することも少ないんで望ましいということじゃないかと思います。  それで、その面の努力は今までいろんなことがございまして、早期再生ガイドライン、何でしたっけね、私的整理ガイドラインみたいなものも作っていただきまして、関係の方、民間で御努力もあったことは事実でございますけれども、なかなかこれが進んでいかないという現実がございました。  それで、どうして進んでいかないかということになりますと、これは先ほど申し上げたことでありますのでうんと繰り返すのは避けますが、関係金融機関のなかなか調整が難しいとか、あるいは金融機関を超えた再生、統合というものがなかなかできないとか、あるいはこういうものを処理していくときには不良債権マーケットであるとか、いろんなものが要りますが、そういうものが十分に育っていないとか、そういうようなことがありますので、要するに私的整理が順調に進んでいく環境を作る、そこで後押しをしていこうというのが今回の考え方ができてきた経緯だろうと思います。
  204. 西山登紀子

    西山登紀子君 私もこの間、京都で二信金が破綻をいたしましたし、RCCというところに初めて行ってみたり、いろんな銀行とお付き合いも、これは私が預けているわけじゃないですが、申入れに行ったり、いろいろいたしまして、そういう中で、やっぱりいろんな勉強もさせていただきましたが、銀行というのはその企業のすべてをやっぱり知っているんですね。どんな事情なのか、借り手がそれこそ飲んだくれの御主人なのかどうかと、そんなところまで全部調べて、やっぱり長いお付き合いをしている。そして、銀行はその企業再生に責任を持っていると、むしろ不良債権にするようなことはその担当者の恥であるというような、金融のプロとしての誇りのようなものもるるお話を聞いたというようなこともございまして、長いすべてを知った上での銀行が一生懸命やってもできないようなことを、いきなり作られたような七人委員会ですか、何かそういうふうな委員会で、閻魔大王か何か知りませんけれども、そういうのでできるのかどうかというのがこの法案の一番大目玉の疑問じゃないかなと、これは皆さんおっしゃっていると思います。  それで、私もそう思うんですけれども、先ほど来RCCの関係が出ておりましたので少しお伺いしたいと思いますが、RCCにはもちろん債権回収というのがそもそも最初の目的ではございましたけれども、その後もいろいろ法律も改正されて、企業再生支援する機能が付いたのではないでしょうか、持っているのではないでしょうか。
  205. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、西山委員、京都の例もお出しになりまして、京都でもうまくいっている金融機関といいますか、そういうところはやはり不良債権処理というものにかなり早期に乗り出したというようなことがあろうかと思います。その早期に乗り出したということは、逆に言えば、その借り手の方の痛みが、傷が余り深くならないうちに、何というんでしょうか、力のあるところを生かしていくということをやれたと、金融機関がうまくいっているということだろうと思うんです。  そこで、我々の機構がそういうことを推し進めようというわけですが、RCCがあるじゃないかということでございますが、委員もちょっとお触れになりましたように、本来の目的債権回収であるか、それとも再生目的としているかというでき方の違いがございます。それで、もちろん、これもるる申し上げておりますが、RCCの方も元々の債権回収機能に加えて事業再生というものにもお取り組みになって、大変難しい中から貴重な成果も上げておられると思います。  したがいまして、RCC産業再生機構のような機能を持たせるというのも立法論としては十分考え得るところだと思いますが、私どもはここは明確に機能を分けて、再生というものを主眼に置いて強力に推し進める道を選択したと、こういうことであります。
  206. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、RCCがあるから今度の機構が要らないと、そういうふうに申し上げているのではなくて、もっと日本景気を良くしていくという別の方向はもう最初に申し上げたとおりのことなんですね。景気の回復、不良債権処理の方向というのは、やはり消費、購買力を上げていくという、そういうところに全く違う方向を取らなければ、今のようなやり方をやっていればどんどん不良債権はむしろ増えますよという立場からの意見を申し上げておりますけれども、しかしRCCでもそういう機能を持っているじゃないかということを正確にしたかったわけでございます。  そして、RCCではなかなかうまくいかないということなんですが、これは二〇〇一年の改正で、このRCCは健全銀行からの不良債権の時価で購入をして、事業再生支援できるように改正がされました。このRCCが、しかし買うといっても買取り価格が問題でございまして、非常に低いわけですね。買取り価格の平均といえば簿価の三・七%だとか、時価買取りが認められた昨年一月以降でも元本価格の一一・四%ということで、これはもうもっと高く買ってくれる受皿がないものかなというところから今度のこの新しい受皿機構というものに結び付いていったんじゃないかと私は思います。  それで、次に金融庁にお伺いいたしますけれども産業再生機構は、主として要管理債権中心に扱うと。RCCはもう破綻懸念先債権対象だと、こう言われておりますけれども、引当金の違いというのは、これはどういうふうになっているでしょうか。御説明をいただきたいと思います。
  207. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 御説明申し上げます。  平成十四年九月期におきます全国銀行の引き当て率でございますが、要管理債権につきましては、担保保証により保全されていない部分、未保全部分に対する引き当て率が平均で二五%程度、同じく破綻懸念先債権では七割弱、こういった引き当て率になっております。
  208. 西山登紀子

    西山登紀子君 その引当金の方向から少しこの問題を考えてみたんですけれども、先ほども申し上げましたように、この不良債権処理の加速策というのは極めてスピードが速いです。二年間で半分にしなさいとか、新規不良債権処理は三年間で半分にしなさいとかという形になっているわけですが、そうなりまして、銀行の貸出しのその査定方法とか銀行の自己資本の計算方法というのがいわゆるアメリカ流のやり方に改められるというようなことになりますと、非常に非常に厳しい基準で査定がされるということなる。  銀行はこの引当金の積み増しを余儀なくされるということで、できるだけその引当金を目減りを少なくしたいという動機が働きますよね。要管理債権では今お話しになった二五%、破綻懸念先債権では七〇%の引当金を積まなきゃならないということになると、できるだけ破綻懸念先債権にならない前に処理をしておきたい。そういう受皿が必要だということで、RCCではこれはもう間尺に合わない、産業再生機構という要管理債権中心に扱ってくれる受皿が必要だと、こういうことになったんではないかと思いますが、大臣谷垣大臣、どうでしょうか。
  209. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私どもがこの機構を作りますのは、今、委員がおっしゃったように金融機関の負担が大変だから何でもかんでも買ってやろうというわけではこれはございませんで、やっぱりその企業が、その事業再生可能だということが我々にとって一番の関心事なんです。  ですから、それが要管理先であろうと破綻懸念先であろうと再建可能であると、そして当事者がそれで再生したい、こう思って持ち込んできてくだされば、要管理先であろうと破綻懸念先であろうと我々としては扱いますよと、こういうことでございまして、金融機関の負担を肩代わりするためにやるわけではないというふうにお答えをしたいと思います。
  210. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣に確かめておきたいと思うんですが、産業再生機構が扱うのは要管理債権中心にと今まで説明をされております。しかし、破綻懸念先も中には買うんだと。今、大臣の御答弁だと、もう要管理先であろうと破綻懸念先であろうとというふうにちょっと踏み込んだ御発言になっているんですけれども、もう何でもかんでもとにかく対象にするんだということでしょうか。私たちの指摘は、昨日は、際限なく、対象が際限なくなりますよという私たちはそういう指摘をいたしましたが。
  211. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いや、これはちょっと委員の御質問に合わせてお答えした面があるわけですが、その破綻懸念先に行くと引き当てがかさんでしようがないから、だから要管理先を買ってやるんだろうとおっしゃったんで、要管理先であろうと破綻懸念先であろうと再生可能であれば買いますよということを申し上げたのであって、中心は要管理先である、これは間違いありません。
  212. 西山登紀子

    西山登紀子君 それでは次のテーマに行きたいと思うんですが、この機構が買い取るということについてはメーン寄せ防止のためではないかという指摘もございます。私もそのように思います。つまり、金融機関の間に債権放棄を調整する場合のメーン寄せが起きる、これを防止するために行うんではないかという懸念です。  メーンバンクも非メーンの債権を買い取る体力がないとして、メーンバンクとして今まで企業の経営に深く関与してきた責任はあるにもかかわらず、その責任を、昨日の本会議の答弁では、メーンも除外しないということになっておりまして、メーンの債権も買い取ってやるんだと、利害調整機構が肩代わりをするんだと、これで後押しするんだというような御答弁がありましたので、こうなりますと、事業再生についてメーンが責任を取らないということに等しいということになりませんでしょうか。金融のプロがその責任を取らないというようなこと自体が私は信用秩序の混乱と不信を招くもとではないか、こういうように思いますが、いかがでしょうか。
  213. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、西山委員がおっしゃったメーンからも買う場合があるぞという点は、要するに、この法は金融機関と関係企業が連名で支援を申し込めと、こういうふうになっております。その場合に、金融機関企業が話し合う、その金融機関がメーンである場合もありますが、メーンと似たような比重の準メーンがあって、むしろ準メーンがその再生計画の音頭を取って申し込んでくるような場合があり得ると思います。そういう場合にはメーンから買う、債権を買うということがあり得るのかなと、こういうことだろうと思います。  それで、メーン寄せをブロックするためにあるんじゃないかというお尋ねでございますが、我々の関心事はメーン寄せかどうかということではなくて、その事業再生するための再生計画が合理的なものであるかどうか、果たしてこれでその出口のときで自力で生きていくことができるのかどうかというのが我々の関心事であります。一応、仮にそういう合理的な再生計画ができて、したとしても、メーンと非メーンの間の攻防は、非メーンはできるだけ、仮に合理的な計画だなと内心思ったとしても、取りあえずメーンに追い貸しを迫ると、一方メーン行はそれならば法的整理に持ち込むぞと、お互いに恫喝し合って、やれるものならやってみろなんということをやっているうちにじんぜん日を送るというようなことがあって、それはますます、何というんでしょうか、経営資源が腐っていく道ではないかという懸念を何とか解消したいというわけでありまして、要するに、メーン寄せに限らず、民間主体で進みにくい、進んでいきにくい現状がある中で、市場が本来の機能を発揮できるような、発揮できるようにしていく役割を我々は担っていくということではないかと思います。
  214. 西山登紀子

    西山登紀子君 民間で金融のプロが一生懸命やってもうまくいかないところに官が現れて本当にこういう調整がうまくいくのかということについては、非常にその点の問題が指摘をされているところだと思います。産業再生の救世主どころか茶番の主人公に変わり果てるのではないかというような、小川さんという方が手厳しく指摘をされているところですけれども、そういう点も大変心配でございます。  続いて、国民負担の問題について行きたいと思うんですね。  本会議でもお聞きしました政府保証についてですけれども、これ十兆円保証ということなんですけれども、これの根拠、なぜ十兆円なのかという根拠をお聞きしたいと思います。
  215. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 昨日も本会議で多分このあれがあったと思いますが、この根拠は、平成十四年三月末における預金取扱金融機関の要管理債権額が十九・一兆であります。それを前提にして、企業再生可能性とか、あるいは非メーン行の保有割合であるとか買取り価格はどうかというようなことを勘案すると、想定される最大限の買取り規模に十兆円あれば対応できるだろうというのが十兆円ということの算定根拠であります。
  216. 西山登紀子

    西山登紀子君 この法律の中で一番の問題が、第四十条の私はこの政府保証、それから第四十六条にあります政府の補助というところですね。政府は、国会の議決を得た金額の範囲内において保証契約をすることができると。そして四十六条では、「機構に対し、当該債務を完済するために要する費用の全部又は一部に相当する金額を補助することができる。」と。補助する、与えることができるということなんですね。これは五年後に解散するという場合に、赤が出て、欠損が出た場合には国民は一体幾らぐらい負担することになるのかということ。  それから、民間のいろんな方が拠出をしていると思いますけれども、その民間の方にはどのような負担を負わせるのか、また再生委員会委員方々もお負担になるのか、あるいは主務大臣も責任を取ってお負担になるのかとか、その辺のところはどうなっていますか。この法律の中に書き込まれているんでしょうか。
  217. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まず第一に、買い取ります、再生計画でやっぱり出口を見据えて、三年後なりにスポンサーが現れて自立してやっていけるようにすると、そしてそのときに買手が付くような値段とすると、これをまずきちっとやらなければなりません。これが産業再生委員会が負うべき任務でございますけれども、まず、もちろんこれは、どういう方がそこに就いていただいてどのような見識を発揮していただけるかということが実態としては重要でございますが、そういう形で、まずいたずらなロスが出ないように考えているということでございます。  それで、現実には、現実にはと、まだやってないから分かりませんが、うまくいく案件もあれば、いろいろやはり、先ほどおっしゃったように、なかなか民間のプロもてこずったものも出てくるかもしれません。なかなかうまくいかないのもあるのではないかと率直に思います。だから、一つずつ取ってみれば成功、不成功あると思いますが、トータルでどうなるかと、こういうことになります。  それで、トータルで最後締めたときに赤が出ましたときは、まずそれは出資金で埋めるということになるわけですが、出資金で埋め切れないときは、先ほどお引きになりました四十六条にありますように、そのとき予算措置をして国が負担をする、てん補することが、補てんをすることができるという仕組みになっているわけであります。
  218. 西山登紀子

    西山登紀子君 先ほど併せて聞いていたんですよね。民間の拠出者の方々に更に負担を求めるのか、あるいは再生委員会のメンバーには負担を求めるのか、主務大臣は責任取って幾らか払うのか、その辺はどうですか。
  219. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 主務大臣あるいは再生委員にそのときの負担を求めるということは考えておりません。  それから、先ほどのような四十六条のような規定になっておりますのは、それならば国が補てんをすると書けばいいのを書いておりませんのは、やっぱりそれを最初から書くということは、モラルハザードが生ずるおそれがある。いろいろ損失が拡大するだって、いろんな場合があり得ると思いますので、今全部は判断できません。そこで国が補てんすることができるという仕組みにしているわけであります。
  220. 西山登紀子

    西山登紀子君 今いみじくも、それ書いてないと、そしてモラルハザード……
  221. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員長、ちょっと今言い忘れたことがございます。
  222. 田浦直

  223. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) もちろん、これは株式会社でありますから、株式会社で取締役が負う責務というものはございます。仮に株主代表訴訟の責任を負わなければならないような場合には、それはそういうこともあり得るということだろうと思います。
  224. 西山登紀子

    西山登紀子君 四十六条で、予算で定める金額の範囲内において全部又は一部、相当する金額を補助できると書いてありますから、予算で決める、つまり予算で決めればいいということになるわけです。  お聞きしたいのは、今は十兆円という保証なんですけれども、先ほど来お話聞いておりますと、大体非メーンの分だとかというようなことで、適当にと言ったら怒られるかもしれませんけれども、大体十九兆円ぐらいの半分で十兆円ぐらいかなということで額を設定しているわけですけれども、ずっと聞いていると、メーン銀行の分も必要なら買い取るし、破綻懸念先も買い取るしというふうなことになってくると、買い取る額がどんどん増えてくるんじゃないか。そうすると、小さく産んで大きく育てていくという危険性を持っているんじゃないか、十兆円ではとどまらないじゃないかと、こういう懸念を持つんですけれども、いかがですか。
  225. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは先ほど申しましたような算定で十兆ということにしておりまして、これを増やしていくというようなことを現在考えているわけではありません。  それと、もう一つ御理解いただきたいことは、買い取る前提として、やはりどういう出口、再生計画ができ上がったときにどういう姿になっているかということを判断しながらやるわけでございますので、そこは出口を見据えた歯止めというものがやはりあるということを御理解いただきたいと思います。
  226. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後の質問ですけれども、この銀行、出資者ですね、銀行などには一体幾ら負担を求めているんでしょうか。
  227. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 金融機関等に出資を求めておりまして、まだ最終的な結論を、御返事をいただいているわけではありませんが、五百億程度の出資をいただくということで今話が進みつつございます。
  228. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後に、両大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、昨日、私も本会議で質問させてもらったときに、産業再生法で認定を受けた企業が登録免許税の減税を行われています。六百六十億円行われているんですが、そのうちの銀行分だけを足しますとおよそ五百億円になるんです。それで、今お話しになると五百億円拠出させるということなんですが、直接リンクはしていないんですけれども、登録免許税、産業再生法という法律で五百億円減税もまけてもらって、その五百億円を拠出して、十兆円の債権を買ってもらうというような、こんなうまい話があるものかというようなことで、結局、損をするのは国民が損をするんじゃないでしょうか。こんなことで、銀行やあるいは企業の出血した分を国民がどうして国民の血税で賄わなければならないのか。これはどう考えても理不尽であると思いますけれども、両大臣のお考えをお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  229. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 確かにその減税分とその五百億の出資というのは符牒が合っているような感じが、御指摘はそうですけれども、これはまあたまたまそういう形に私は相なったと思っておりますし、決してそういう動機でやっているわけじゃございませんで、やはりこの国の経済の活力をいかに生かすか、それが翻って、やっぱり国民の経済にいい影響を与えると、こういう観点から私どもはお願いをしているところでございますので、その辺は是非ひとつよろしく御理解をいただきたいと思います。
  230. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 五百億、五百億での御指摘は、ちょっと考えてもないところから御質問をいただいたのでびっくりしたわけでございますが、要は、平沼大臣がおっしゃったように、少しでもこの機構を利用して過剰債務に負っている優秀な経営資源、早期に羽ばたいてもらいたいなと、こう思っております。
  231. 広野ただし

    広野ただし君 自由党・無所属の会の国会改革連絡会、広野ただしです。今日もしんがりでありますが、御質問をさせていただきたいと思います。  昨日、本会議場でも伺ったわけなんですけれども、やはり企業の生き死にを官主導で決定をする、あるいは企業の存続を官主導で決定をすると。こういうことは、本当に自由主義国として、またそれは私はうまくいかないとこう思っておりますが、総理からそのことに答弁をいただきましたけれども平沼大臣また谷垣大臣に、本当にこういう本来民間に任せることは民間に、そして官から民へという、大きなこれは民間活力を出す上で非常に大事なことなんですけれども、それに反するようなことをやる、その理由についてお伺いをしたいと思います。
  232. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) これは、産業再生機構と申しますのは、一つは、経済の合理性に基づきまして、対象企業再生計画終了時点で独自に資金調達が可能となる蓋然性の高いそういう出口を見据えた判断を行うと、そして独立性の高い有識者から成る産業再生委員会の検討を経て対象事業者の再生支援債権買取りの決定、買取りを行うことにいたしているところでございまして、したがって、外部からの圧力によって判断がゆがめられたり、私どもはこれが利権の温床になるということは思っておりませんし、また、私どもとしては、当然民ができることは民がやるということは私は当然だと、こういうふうに思っておりますが、先ほど来の答弁でるる言わしていただきましたように、今やっぱり金融機関一つ取ってもメーンと非メーンが場合によっては百もあると、そういうことで非常にふくそうしていると、こういう事例があります。  ですから、なかなか再生をしようと思っても再生ができないと、こういうことがございますし、また、この事業再生にかかわるのは残念でございますけれども日本の場合にはずっと右肩上がりで来てしまったために、そういう破綻処理するという、そういう整備はできておりましたけれども事業再生をしようという仕組みがマーケットとともにまだ未発達であると、こういうようなこともございましたり、また、今言いましたように異なる銀行グループの中の調整というのも非常に難しいと、こういうことがありますから、やっぱりこういった仕組みで期限を切って早急にやる、こういうことが最終的には民間活力が生きてくる、こういうことにもつながると、こういうことで私どもはお願いをしていると、こういうことでございます。
  233. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 平沼大臣のおっしゃったことに付け加えることも、正にそのとおりだと思うんですが。  私、この役をいただきましてから、一番やはり、なぜ官が乗り出してという広野委員の問題意識、そこをやっぱりきちっと解明できないと私も責任を持ってこの仕事ができないなという思いで作業をスタートしたわけです。  そこで、先ほども申しましたけれども事業再生の仕事をしてこられた方々、随分多くの方からいろいろヒアリングをしまして、私的整理ガイドラインを作ったり何かしながら民間の力で進むようにいろいろ工夫をしたけれども、どうもそこが進まない、一体それはなぜなんだろうというようなことをいろいろ伺いまして、結局、何か背中を押すようなものが必要なんだろうなと。  更に言いますと、官がということだけではなくて、やはり今までの融資のシステムなんかもそうなのかもしれませんが、やっぱりつぶさないことがいいんだ、メーンバンクは責任を持ってそこに追い貸しをしてとにかく何とか頑張らせようと、それで気が付いたときにはもうとても手後れのような状態になっていると。  そうすると、早期に事業再生させていくような仕組みをどうやって作ったらいいかと。民でできればいいんですが、そのためのマーケットも育っていない。人もいない。そこで、アメリカ等の例も聞きますと、アメリカでも不良債権RTC、あの場合は日本の場合とは随分事情も違いますが、RTCのようなものを作られて問題を解決された。それまではアメリカも、そのマーケットやこういう不良再生の、何というんでしょうか、人材等も必ずしも十分でなかったように聞いております。RTCが動きを始める中でそういう方々も活躍の場を得られたというようなことがあるんだと思います。  そういうことをあれこれ勘案いたしまして、産業再生機構が早期に事業を立て直し、そしてそういう方々が活躍したり再生マーケットができる、言わば、先ほど触媒というのをやや悪い意味で使われました。良い意味での触媒にしたいと、こんなふうに思っているわけでございます。
  234. 広野ただし

    広野ただし君 やはりその根本のところが大切だと思うんですね。  例えば、中小企業でも自分たちは全部自立してやっているんですね。それが倒れていく。ところが、片一方では救われると。これは何でなんだと。そしてまたもう一つ、今まで例えば法的整理をした幾つもの企業があります。大企業が一杯あります。その人たちが今だったらどうなるんだと。大変な差なんですね。前の人たちが救われなくて、この四月から、成立すればですね、救われると。  なぜなんですか、それは。大変な僕は差別だと思うんですね。不公平なことをやっているんだと思うんですが、なぜそういうことをやるんですか。
  235. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、この産業再生機構が主としてやろうとしていることは、私的整理のお手伝いというか加速といいますか、そういうことをしようとしているわけです。  それで、特別な企業に対して、言わば、何というんでしょうか、追い貸しをうんとしようとか、確かにつなぎ融資等の機能も備えておりますが、決して、私的整理の場合、常にそうでございますが、甘やかして、そして何か一つだけいい目を見せて再生できるとは思わないんですね。やっぱりどこかで自立して生きていかなけりゃならないわけですから、当然、入院していただけばそのための手術もしなきゃならないんで、私はむしろ、確かにおっしゃるようにそういう病院があって手術する設備も十分に整ってなかった、そのときは手術できないでそれは重症になって亡くなっていた方があった。  今、病院作って手術するのは随分差別じゃないかと言われればそうかもしれませんが、遅きに失したかもしれませんが、やはりこういうものを作って早期に手術をして早期に立ち直っていただいて、そしてそのための民間のマーケットも作るということは決して無意味なことではない。否定的に考えていただくことではないのではないかと思っております。
  236. 広野ただし

    広野ただし君 否定的とかそうじゃなくて、大変な不公平なことをやるということだと思うんですね。  特定の企業さんの名前を出して申し訳ありませんが、じゃ流通企業でそごうさんというのがありました。一兆五千億円もの債権放棄を受けて、大変な苦労をして前倒しで立ち直った。それを今度は、また特定の企業のことを申し上げて申し訳ありませんが、今度、まだ立ち上がってよたよたの状況だと私は思いますが、仮に西武と合体をさせてそれを今回この形で救うということをやりますと、じゃ今まで一生懸命再生法でやってきた、これと、今度はもっと手厚いことが行われると。どうしてそんな差が出るんだということにどうやって答えるんですか。そのことを分かりやすくちょっと説明いただきたいと思うんです。
  237. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私どもは、確かに今、再生法と、個別の企業は名前は差し控えますが、再生法も使えるときはどんどん使っていただいたらいいと思います。しかし、我々がやろうとしていることは、再生法とかあるいは場合によっては会社更生法とかいうところに行く前に、早期に私的整理をできるような環境を作っていきたいと思うんです。  それで、今お出しになった例は別としまして、今までもこういう早期に私的整理ができるような土壌ができているならば、確かにそれは助かったのに、手後れにならないうちにうまくできたのにというのは私はあり得るだろうと思います。しかし、それは、何というんでしょうか、ですから、今そういう、何というんでしょうか、土壌を作っていく手だてを講じなくていいということにはならないんだろうというふうに思います。そういう早期に事業再生していくような土壌、基盤、こういうものを作っていくということはこれからの日本にとっても意味のあることだろうと思います。
  238. 広野ただし

    広野ただし君 元々、私的整理というところに非常に不明朗なものが出るわけですね、こちらを救ってこちらを救わない。しかし、それはあくまで民間がやっている限りそのことについては余り問題が出ないんです。ところが、お上がやるというところに今度は大きな問題が出るんですね。税金を使って、片一方には投入をし、片一方には投入をしない、こういう大変不公平なことをやるというところに私はやっぱり大きな問題がある。  だから、閻魔大王という役割を官主導ではやるべきじゃない。今までは民間がそれをやっていたんですね、銀行等が、ちゃんとやっていたと。そういうことについてもう一つ何か分からないんですが、平沼大臣、いかがでしょうか。
  239. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) これはやはり時間が経過をして、そういう中で、今御指摘のように、本当にそれがあったら大変おれらも良かったと、こう言って不満を持たれる、そういう事例というのは私はあると思います。  国のいわゆる資金というものが関与している中で、例えば三年間で三十兆の保証をさせていただいた特別保証制度というのがあって、これは大変、百七十二万社に利用していただきました。しかし、それができる以前に関しては、やっぱり本当につぶれていった方もおありでありまして、そういう意味では、大変私どもは申し訳ない、お気の毒だと、こういうふうに思いますが、やっぱり時間の経過の中で刻々政策も動いているわけでございますから、そういう中で、今、谷垣大臣が答弁されたように、やっぱりそういう体制ができたらそれをやっていただくと、こういうことがやっぱり将来を考えたときには望ましいのではないかなと私思わさせていただいています。  それから、財務大臣が言われまして、何か閻魔大王という言葉が独り歩きしているような感じがありますが、決して閻魔大王がすべてを地獄の入口のところで決めるということじゃなくて、ここには、やはり株式会社機構の中で役員が構成され、さらにはそれで委員会というのがあって、そういう中でやはり客観性を持っていろいろ判断をする。そういう形で、恣意的にいわゆる政府がこれは駄目だ、これがそうだということじゃなくて、これはもうよく御承知のように、メーンバンクと当事者の事業者がそういう形でひとつまないたの上にのせていく、それを客観的透明性を持ってやっぱり判断していくと、こういうことでございまして、決して国、閻魔大王が生殺与奪の権を握って、そして大なたを振るうと、こういうことではないということだけはひとつ御理解をいただきたいと、こう思います。
  240. 広野ただし

    広野ただし君 もう一つ、じゃ翻って、やはりじゃそういうこの企業を救うということについては、こういうことで、こういう理由でやりますということをできるだけ透明にお示しをいただくということが最低の条件ではまずあるだろうと思っております。  ところで、十兆円の政府保証ですが、私どもは兆円というのは余りにも大きなものですから全く分からないわけです。ところが、それがもうとんとんとんとん使われる。ですから、豆腐屋さんがよく言うんですよ。もう一兆、二兆、もう豆腐屋じゃあるまいし、大変なお金をおまえたちは何というつもりで使っているんだと、こう言うんですね。それくらいのお金なんです。  実際、この十兆円、どれぐらいのものだろうと私も想像、見たこともありませんからちょっと計算をしてもらいましたら、もう一万円札を積み上げますと富士山の二十六倍になるんですね。富士山の高さじゃないんですよ。それの二十六倍という大変な高さになる、そういうお金なんですね。それこそ中小企業はもう数千万で倒れるところだって一杯あるんです。あるいは負債総額数億円、そういう企業から見ますと、何という大きな金額をいとも簡単に投入をするのかという思いがあると思うんです。  しかも、この十兆円の根拠というのは、先ほども出ましたけれども、予算総則に二、三行ちょっと書いてあるだけなんですね。この根拠は何だと言いましたら、結局、金融機関の要管理債権が十九兆円あります、主要行は十一兆円ありますというところから大体えいやっと十兆円だと、こういうわけなんですね。  じゃ、この十兆円をどういう形で使われるか、毎年度毎年度どういうふうに使われるのか。多分、先ほどからいろいろとありましたように、前倒しで二年間で使おうということなのかなと思いますが、大体その二年間で十兆円を使うというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  241. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、平成十七年の三月末までに買うべき不良債権は買い取るということになっておりますが、その前提として、その企業金融機関機構にこういうことで再生したいというふうに持ち込んでいただくわけですから、現段階でまだどれほど持ち込んでいただけるのか、私どもはそれはできればあそこは有用だということで利用は多いことを希望しておりますけれども、現段階でまだじゃ十兆はほぼこれで、これだけあれば十分であろうという額として用意したものでございますので、どれだけ使うのかということは今まだお答えする材料がございません。
  242. 広野ただし

    広野ただし君 それでは、これは十兆円を限度としてということであって、十兆円以上に増やすということはないんですね。
  243. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 十兆円でもうほぼ十分な額と思っておりますので、現段階でそのようなことは考えておりません。
  244. 広野ただし

    広野ただし君 それと、先ほどから買取りの問題が出ておりました。債権を買い取って後また売却をする、回収に入るということがあるんだろうと思うんです。それはいつの時点になるのか、私も詳細よく分かりませんが、出口のところとか何か言っておられますが。  ところで、比較的順調にいきました、それを買い取りましたというときの機構に入ってまいります、お金が入ってまいりますが、そのお金をまた使うということはあるんですか。
  245. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは二年間の間に、買い取るのは二年間の間ということでやっておりますので、返ってきたものを使うということは余り想定していないんじゃないかと、想定していないというふうに考えております。
  246. 広野ただし

    広野ただし君 その返ってきたものを私は別勘定にすべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  247. 江崎芳雄

    政府参考人江崎芳雄君) 先ほどの債権の買取りとそれの処分でございますが、買取りは二年間で行う、その処分は買い取ったときから三年以内を原則としております。  したがいまして、例えばスポンサーが非常に付いておるという格好で、買い取ってから一年とか半年で売れる、機構が買い取りました債権を売れるという可能性もございます。これは実はふたを開けてみないとなかなか分からないわけでございますが、全部が全部その三年一杯掛かるというものではございません。  ちょっと補足して御説明をさせていただきました。
  248. 広野ただし

    広野ただし君 ですから、回収に入った場合に入ってきた金額をまた使うということになりますと、十兆円を限度にしてというのとまた違って増えるわけですね。そのことをどうお考えでしょうか。
  249. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど申しましたように、まず二年間で買い取ると、十七年末までということになっておりますから、現実問題として、回収してきた資金の中からまた買い取るというようなことは現実には想定しにくいだろうというふうに私は思っております。
  250. 広野ただし

    広野ただし君 まだ残余の質問がありますが、時間になりましたので終わらせていただきます。
  251. 田浦直

    委員長田浦直君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十分散会