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2003-07-17 第156回国会 参議院 環境委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年七月十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  六月二十五日     辞任         補欠選任      加藤 修一君     風間  昶君      福本 潤一君     渡辺 孝男君  六月二十六日     辞任         補欠選任      風間  昶君     加藤 修一君      渡辺 孝男君     福本 潤一君  七月一日     辞任         補欠選任      愛知 治郎君     小野 清子君      山下 英利君     泉  信也君      小林  元君     輿石  東君  七月二日     辞任         補欠選任      泉  信也君     山下 英利君      小野 清子君     愛知 治郎君      輿石  東君     小林  元君  七月七日     辞任         補欠選任      加藤 修一君     浜四津敏子君  七月八日     辞任         補欠選任      小泉 顕雄君     青木 幹雄君      浜四津敏子君     加藤 修一君  七月九日     辞任         補欠選任      青木 幹雄君     小泉 顕雄君      田  英夫君     大田 昌秀君  七月十日     辞任         補欠選任      大田 昌秀君     田  英夫君  七月十七日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     羽田雄一郎君      加藤 修一君     木庭健太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         海野  徹君     理 事                 大島 慶久君                 清水嘉与子君                 段本 幸男君                 小川 勝也君                 高橋紀世子君     委 員                 愛知 治郎君                 小泉 顕雄君                 山東 昭子君                 真鍋 賢二君                 山下 英利君                 小林  元君             ツルネン マルテイ君                 羽田雄一郎君                 福山 哲郎君                 藁科 滿治君                 加藤 修一君                 木庭健太郎君                 弘友 和夫君                 福本 潤一君                 岩佐 恵美君                 田  英夫君    衆議院議員        環境委員長    松本  龍君        環境委員長代理  鈴木 恒夫君        環境委員長代理  小林  守君    国務大臣        環境大臣     鈴木 俊一君    副大臣        環境大臣    弘友 和夫君    大臣政務官        環境大臣政務官  望月 義夫君    事務局側        常任委員会専門        員        大場 敏彦君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       村上 康聡君        内閣食品安全        委員会事務局長  梅津 準士君        防衛施設庁施設        部長       大古 和雄君        文部科学省生涯        学習政策局長   近藤 信司君        厚生労働大臣官        房審議官     新島 良夫君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       遠藤  明君        農林水産大臣官        房審議官     田中 孝文君        農林水産大臣官        房審議官     岡島 敦子君        林野庁森林整備        部長       梶谷 辰哉君        特許庁審査業務        部長       津田  博君        中小企業庁事業        環境部長     大道 正夫君        国土交通省河川        局砂防部長    岡本 正男君        国土交通省道路        局次長      榊  正剛君        国土交通省自動        車交通局技術安        全部長      中山 寛治君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    南川 秀樹君        環境省総合環境        政策局長     松本 省藏君        環境省地球環境        局長       小島 敏郎君        環境省環境管理        局長       西尾 哲茂君        環境省環境管理        局水環境部長   吉田 徳久君        環境省自然環境        局長       小野寺 浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○環境及び公害問題に関する調査  (産業廃棄物不法投棄対策に関する件)  (環境教育推進に関する件)  (家庭系食品廃棄物リサイクルに関する件)  (ディーゼル自動車排出ガス対策に関する件  )  (遺伝子組換え作物間の交配種安全性に関す  る件)  (原子力発電依存エネルギー政策転換の必要  性に関する件)  (千鳥ヶ淵戦没者墓苑の今後の在り方に関する  件) ○環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の  推進に関する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 海野徹

  3. 海野徹

    委員長海野徹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 海野徹

    委員長海野徹君) 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 愛知治郎

    愛知治郎君 おはようございます。自由民主党の愛知治郎でございます。  延長された国会もいよいよ会期末に迫ってきておりまして、私自身も、延長されても通常どおりでもやっぱり会期末は参議院は随分忙しいんだなということを実感しております。委員各位も本当にお疲れさまでございます。また、今この時期ちょうど人事が替わったこともございまして、また、休みの間また課題ということもございますし、今までの環境行政に対する確認という面もありますので、全般について何点かポイントを絞って質問させていただきたいと思います。  私自身とても関心の高い分野、問題として不法投棄ごみの問題、それを全般にお話ししようと思っていたんですが、先日も委員各位先生方視察に富士山に行ってこられた。私自身も物すごく関心高くて是非参加したかったんですが、どうしても都合上参加できなかったんですけれども、お話をちょっと伺っていた件もありますし、この不法投棄、基本的な環境問題、ごみ問題についてお伺いをしたいと思います。  その不法投棄なんですけれども、この機会、この前の委員会の話も、視察の話もございますけれども自分自身いろいろ話を聞いております。なぜこんなになってしまったんだろうと。その原因というものをいろいろと聞いてまいっております。環境省を始めいろんな方々の取組によって随分改善されてきたことあるんですが、ちょっと疑問に思った点がありますので、話を聞いてきた点がありますので、その点伺いたいと思います。  といいますのも、この制度の問題なんですけれども、まず排出事業者がその廃棄物処理業者に引き渡すときに、実際の手続上なんですが、その際にお金を渡して引き受けてもらうというのが通常行われている業務らしいんですが、その業者関係者の方に一言指摘を受けたんですが、実際に廃棄物を渡したときにお金を払ってしまうということになると、これを適正に処理してもそうしなくても、受取側事業者にしてみれば余り関係ないんじゃないかと。といいますのも、お金さえもらってしまえば後は処理しようがどこかに捨ててしまおうが余り関係なく、場合によっては大変心ない業者はそのまま逃げてしまうとかいなくなってしまうことが横行していたと、それが原因じゃないかという話を聞いたんですが、その点について制度的な、今現在行われている制度ですね、手続的な問題をちょっと簡単に教えていただけますでしょうか。
  6. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) お答えいたします。  愛知委員指摘のとおり、産業廃棄物につきましては排出業者がきちんと責任を持って処理するということが極めて重要だというふうに考えております。そして、実際に、その事業者の中では、自らの責任を確実に果たすという観点から、実際にきちんと処理が行われたということを確認して、その後に処理料金を支払うといったことで対応される方もおられるようでございます。ただ、逆に、処理だけして、見届けた後で自分がいなくなるというような場合もあるようでございまして、そこは相対で、要は業者同士信頼関係ということもあるようでございます。  そういったことで、そこはきちんと処理料金支払時点も含めた契約を守るということで、個別のケースに応じて当事者間で決めていただくということが原則でございまして、一律に法令で事後払いと決めることについては難しい面があると思います。もちろん、排出者責任事業者責任の徹底は大事でございます。その最終処分まできちんとどこにあるかフォローできるようなマニフェスト制度を導入しておりますし、また今後、できれば電子マニフェスト化ということで、事業者は見たいときにいつでも自分が出したごみがどこにあるか機械で確認できるというようなことも含めて、排出者が自らの責任を持って処理状況を追えるという形に是非していきたいと考えております。
  7. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  マニフェストの話というのは自分自身も聞いて、そういった取組がなされていることは知っているんですが、やはり現状、本当に不法投棄を完全になくすために取り得る策というのもこれからもしっかりと検討をしていっていただきたいと考えております。  現実問題としてなかなかすべて管理するには、環境関係業者の方もまたいろいろ問題あるんですけれども、予算的な問題とか人員的な問題、すべて監督、監視をするというのは難しいのかとは思いますけれども、これは常にずっとその検証をしていっていただきたいなというふうに思います。  その取組は分かるんですが、現状、今この現在における不法投棄、どれぐらい行われているのか、まだ残念ながら行われているのか、それともほとんどなくなっているのか、現状についてお伺いしたいと思います。
  8. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 毎年の年度ごとの新たな発生の不法投棄につきましては、平成五年からは情報自治体で得て集めております。ただ、集めておりますのは、その産業廃棄物不法投棄のうち一件当たりの投棄量が十トン以上の事案でございます。したがって、それ以上小さいものについては特に情報としては得ておりませんが、その前提で申し上げますが、最新の今あるデータが平成十三年度でございますけれども、パトロールなどの結果、投棄量は前年度の四十万トンから二十四万トンに全体に減っております。ただし、件数は逆に千百五十件、前の年が千二十七件でございますので、件数は増えてしまったということでございます。  それから、これはずっとほうってあるわけじゃございませんで、自治体も含めて、排出事業者も含めて原状回復で行っておりますけれども、残念ながらストックベースでは全体で千三百万トンのごみがそのまま、不法投棄のまま放置されておるというのが現状でございます。
  9. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  数字を聞いてもまだまだ随分残念なことが起こっている、件数が増えるということはどういうことなのか、ちょっと自分自身もまた勉強していきたいとは思うんですが。  いずれにせよ、今までの分も含めて、今お伺いした点で、お話しになった点で不法投棄されたごみの量というのは物すごいあると、現状放置されているということでしたので、取組はどんどんしていくという話でしたが、不法投棄された廃棄物原状回復というのはやはり大きな大きな課題となっていくと。今後の行政責任においてもそうですし、全般環境問題というのに関しても原状回復をしていかなくちゃいけないんだなと私自身考えておりますし、この点、これはこの場でお話ししようかどうか迷っていたんですが、この環境問題にとても熱意を持って積極的に取り組んでおられた奥谷先生、前政務官ですけれども先生とても、訃報を聞きまして、突然のことでもありましたので私自身正直なところ、お若いということもありましたけれども、ショックでした。また、環境問題に熱心に取り組んでおられる方がこのようなことになったのは大変残念に思います。心よりの御冥福をお祈りし、さらに、先生が熱心に取り組まれていた課題自分自身もしっかりとその気持ちを受け止めて頑張ってまいりたいと考えております。奥谷先生不法投棄撤去推進議員連盟というのも設立をされて、この会長をなされていたんですが、原状回復に積極的に取り組んでいたということを聞いております。  この点についてもう一度、これからどのようにこの原状回復に取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。
  10. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 原状回復の問題につきましては、愛知議員から御指摘がございましたように、若手の議員先生方奥谷先生委員長とする先生方からの御指摘も受けました。また、こういった委員会での場でもいろんな議員先生方から御指摘を受けました。それを踏まえまして、おかげさまで、本年六月でございますけれども特定産業廃棄物に関する支障の除去に関する特別措置法というものができまして、平成九年以前のものにつきまして、従前に比べると飛躍的に自治体に対する原状回復のための支援が容易になったわけでございます。  ただし、これは一つの一里塚でございます。実際にその制度はできましたが、財政支援それから基金への民間からの出捐等大事でございます。そういった原状回復の金のストックがないと、幾ら取締りだけやっても実際には回復ができませんので、排出者責任あるいは実際の投棄する方への取締りと併せまして、その原状回復がしっかりできるような基礎を作っていきたいと考えております。
  11. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  大きな課題ですので、これから自分自身も、また委員各位先生方にも是非協力をしていただいて、予算の、資金の面ということもおっしゃられましたけれども、これ現実的な問題ですので、ちょっと積極的に是非この不法廃棄物撤去推進できるようにお願いを申し上げます。  不法投棄されたものもそうなんですけれども、それ以外に適正に処理をされたものに関しても、その最終処分場処理をされたものに関してもこれは問題が起こっております。  私の地元でそういう話があるんですが、宮城県の村田というところに最終処分場があったんですが、ちょっと処分場、正確にはちょっと違うんですけれども、いずれにせよ投棄されたものが放置をされて、管理者が破綻をしてしまいましていなくなってしまった。どういうことが起きているかというと、ガスが発生して物すごい異臭が漂っている、いまだにそういう状況であります。近所に、近くに学校がありまして、生徒さんたちも毎日そのにおいをかいでいるような状況というのがあると聞いているんですが、環境省取組廃棄物処理及び清掃に関する法律の改正によって維持管理積立金制度が確立して、平成十年六月十七日以降に設置、供用された処分場については維持管理制度的に担保されておるんですが、それ以前のものに関して、この村田の例もそうらしいんですが、それ以前の問題に関して制度がまだ確立されていないという話を聞いております。  この点、その適正な維持管理をどのようにこれから取り組んでいっていいのか、制度を確立されているのか、それともこれからの課題なのか、お聞かせ願いたいと思います。
  12. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 正確に申しますと制度と言えるかどうか分かりませんが、平成十年六月以前に埋立処分が開始されました処分場につきましては、御指摘のような維持管理積立金制度というものは適用されません。したがいまして、今ございますのは、類似の任意の制度ということで特定災害防止準備金制度というものがございまして、これにつきましては、その積立金については税制上の特例措置も講じておりますし、私ども環境省としまして、その最終処分場設置者に対してこういう制度を活用するようにということでの周知はしております。ただ、普及についてはいま一つということで聞いております。  それから、実際、今、愛知議員指摘がございましたように、最終処分場維持管理主体が倒産などによって存在しなくなる、そして処理基準違反を是正する措置命令が是正されないと、そういった場合でございますと、現在でも都道府県が代執行により必要な措置を講じることは可能でございます。また、私どもその場合どういう支援ができるか、その事案に応じて対応を考えているというのが現状でございます。
  13. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  今、代執行ということがおっしゃられましたけれども、これについてやはりお金が掛かりますので、その地方自治体に対して支援制度というのは現在ありますでしょうか。
  14. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 代執行について申しますと、それがいつ埋立てが行われたかということでシステムが変わってまいります。  先ほどもございましたが、平成十年六月以前の不法投棄についての代執行関係で申しますと、おかげさまで特措法ができたおかげでございますけれども、国の方からその都道府県に対しまして有害物質であれば二分の一、それ以外は三分の一ということでの補助を行っているところでございます。それから、平成十年以降の不法投棄につきましては、民間からの出捐も得まして、産業界と国で合わせまして四分の三を補助するというシステムで現在動いているところでございます。
  15. 愛知治郎

    愛知治郎君 やはりこの御時勢、自治体もかなり財政的に厳しい状況なので、この管理というのはなかなかできない状況ではありますので、是非しっかりとした支援をしていけるようによろしくお願いを申し上げます。  そういった支援取組というのは、今取り組まれておられる、またこれからやられるんでしょうけれども、やはり最終処分場に封じ込めたところで、それが完全に浄化されたりきれいになるまでというのはすごく時間が掛かるし、物によっては何十年これから先もそのままずっと管理をしなくちゃいけないということになっていくと思うんですが、その継続的な管理というのはなかなか難しいだろうなというふうに私自身は考えております。ですから、やはりその処分されたものというののしっかりとした、封じ込めたまま管理するだけではなくて、その汚染除去、浄化していくというのが必要かと思いますけれども、その点について見解を伺いたいと思います。
  16. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 埋立処分場、幾つかタイプございますが、それぞれのタイプに応じましてその遮水構造あるいは排水処理施設設置と、そういった構造基準、それから放流水周辺地下水水質調査といった維持管理適合基準を決めております。そして、厳しい廃止基準を作っておりまして、その基準に適合しなければその処分場廃止ということには至らないわけでございます。したがって、埋立てが終わったから終わりというわけじゃなくて、そういった環境に悪い影響がないということが確認できた段階で初めて廃止になるわけでございます。  廃止をしました後ですけれども、これは自治体の方に台帳を作りまして、その台帳でここはごみをこういう形で埋めたところだということが分かるようにして管理しておるということが実情でございます。  したがいまして、当然ながらコンクリートで囲ったりあるいはゴムで囲ったりいろんな形で対策をしてガードをしておりますけれども、したがって周辺には影響ない形で当然廃止をするわけでございますが、それにつきまして、またそれ自身はやっぱりごみでございますので、ごみが入っているということで承知をして跡地利用を考えていただくということで、そのごみ自身をきれいにするということについては非常に難しい点が多いと思います。
  17. 愛知治郎

    愛知治郎君 おっしゃるとおりで難しいのかもしれないですけれどもごみとして残っている、封じ込めをしたところで、例えばシートであるとかそういったものが破れて汚染されたものが出てくるという例は随分聞いていますので、やはり最終的にはしっかりと浄化するのが望ましい。現実的な問題を考えながらやらなくちゃいけないんですけれども是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。  ごみという話でしたけれども土壌そのものについても同じようなことが言えると思うんですが、土壌汚染対策法、私自身も質問させていただきましたけれども、その検証をちょっとさせていただきたいと思うんですが、あれも基本的には調査をし封じ込めるという話をされていましたけれども現状法律が施行されてから問題等出ておりますでしょうか。現状をお聞かせ願いたいと思います。
  18. 吉田徳久

    政府参考人吉田徳久君) 土壌汚染対策法施行状況についてのお尋ねでございます。  御承知のとおり、本年二月から施行されました土壌汚染対策法、基本的にはその工場事業場有害物質使用施設廃止されたなどの機会をとらえまして調査を行い、その結果、基準を超える汚染がある場合には知事指定地域指定を行って更に必要な汚染除去措置を講ずると、こういう仕組みになっておるわけでございますが、これまでのところ、有害物質使用施設廃止されたことに伴う調査、それから地下水汚染が判明し知事原因と目される工場に対して行った命令に基づく調査、これらいずれにつきましても、これまで結果が分かっている範囲におきましては基準を超過しております例がございません。したがって、まだ地域指定がなされておりません。  施行状況そのものは、目下私どもが把握している限りかような状況でございますが、今後ともその施行状況のきめ細かい調査を通じて円滑な運用には努めていきたいと思っております。
  19. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。  まだ始まったばかりなので、これから課題が出てくるかもしれないので、それはしっかりとその都度、自分自身もしっかりと見ていきたいというふうに考えております。  課題が出てくるんじゃないかと申し上げましたけれども、これはやはり最終的な問題、先ほどと同じように、解決するためには汚染土壌の浄化をしていくのが望ましいのではないかというふうに考えておりますが、その点について、今後の検討課題として浄化をすることがあるのか、検討されるのかということをお伺いしたいと思います。
  20. 吉田徳久

    政府参考人吉田徳久君) 土壌の汚染といいますのは、実は他の環境媒体に比べて移動性が低いという認識を持っております。したがって、土壌汚染に伴うリスクを管理するのに、必ずしも汚染土壌を完全に浄化しなくとも適切な管理はできるという認識は基本的に法律の中にはございます。  しかし一方で、その浄化対策というものの技術開発をどんどん進めていくということは非常に重要なことだと思っておりますので、例えば私ども昨年度、平成十四年度におきましては、重金属によって汚染された土壌というものを想定いたしまして優良な技術の公募を行いました。その実証試験を行っております。現在その実証試験の結果について学識経験者から成る評価の検討会を設けて評価中でございますが、今後ともそうした浄化のための新しい技術が低廉で普及していくように技術開発には十分意を払ってまいりたいと、かように考えております。
  21. 愛知治郎

    愛知治郎君 心強いお話をいただきまして、ありがとうございます。  今日ちょっとお話をしたかったんですが、私自身、土壌汚染を浄化するという施設を先日、個人的になんですけれども見てきました。秋田にあるんですが、花岡というところで業者汚染土壌を浄化する取組をしているのを見させていただきました。また、その隣に小坂という精錬所があるんですけれども、そちらでもいろんな取組を見せていただいたんですが、元々鉱山があるところで、鉱山の鉱物を抽出する技術というのをそのまま汚染物質を取り除く技術に応用しているという場所でありまして、是非これは機会があれば委員各位の皆さんも見ていただければと。ちょっと遠いんですけれども、秋田県にございますので、是非参考までにその施設を見ていただければと思います。  また、自分自身がとてもいいなと思ったのが、そこの業者の方に見ている間に聞いたんですけれども、元々鉱山であって我々は汚染物質を排出する方だったと。環境汚染をやっていた業者であったというのは自覚をして、いろんな近隣の方にも迷惑を掛けていたと。しかしながら、今こういう時代になって環境に対するプラスになるような仕事ができている。土壌汚染を浄化するなり、あとはリサイクル、マテリアルリサイクルなんですけれども、そういった仕事ができているのは誇りに思うし一生懸命やりたいということを申しておりました。  また、その施設自体もそうなんですけれども、鉱山が閉鎖されたのは数年前らしいんですけれども、その設備と建物もそのまま使っているんですね。れんが造りの建物だったんですけれども、歴史のあるその建物を、正に建物のリユースというんですかね、設備と。そのまま閉山してしまうとそれは廃墟になってしまうところをまた活用して、再び灯がともったとすごくうれしそうに話しておりました。  そういった取組というのをしっかりと促進させるような、活用していくような施策をどんどん講じていっていただければ幸いかと思います。  ちょっと時間もなくなってきましたので、最後なんですけれども環境と経済の統合、大臣がしっかりと指針を出してくださいましたけれども、一点、こういった事業者、直接的にリサイクルであるとか廃棄物、その産業を育成することによって環境と経済の統合を図っていって環境を良くしていこうと、それは分かるんですが、それ以外の点で総合的に、やっぱり抽象的な概念なんでなかなか分かりにくい点もございますので、具体例としてどのような取組をされていくのか、お伺いをしたいと思います。
  22. 松本省藏

    政府参考人松本省藏君) 今お話のございました環境と経済の統合、これを実現していくためには、環境保全を一生懸命取り組んでいきますと、環境保全の取組を進めますと経済が発展する、経済が発展していきますと更に環境保全もより高められていくと、こういう環境と経済の好循環、こういうことを生み出していきたいというのが私どもの考え方でございます。  今御質問にありましたような廃棄物リサイクル、これが進むというのもその一つの例でございますし、また土壌汚染対策原状回復、こういうようなものも環境を良くしていくと、それが一つの経済の活性化要因になる、こういうことであろうと思います。  また、具体的なほかの大変よく使われる例としてありますのは、例えば省エネ家電製品とか低公害車、こういうような分野につきまして、こういう環境配慮型製品をより一層開発していただく。そして、それが販売されて消費者あるいは国民に受け入れられていくということになりますと、環境の保全とともに経済の活性化が実現すると、こういうことになってくると思います。さらに、こういう製品の開発というのが世界に先駆けて行われることになりますと、世界市場の中で我が国の技術あるいは製品が優位に立つわけでございます。そういうようなことで、環境と経済の好循環によって世界的にも日本が優位に立っていくということでございます。  そういうような基本認識の下に環境配慮型の製品開発あるいは普及、そのため、あるいは企業がそういう環境配慮をやっていくという観点で例えば企業の環境報告書、こういうような仕組みもございますので、一層普及をさせていくその他の対策を更に進めていきたいと考えております。
  23. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  頼もしい御答弁というか考え方だなというふうには思ったんですが、現実問題として、環境に非常に熱心に取り組んで、また企業としてランク付けがされている環境基準ですね、環境配慮型の営業というか事業を行っているかどうかのランク付けがあるんですが、外国の例ですと、環境に取り組んでいる企業というのはすごくプラスのポイントで、株価にもすごく影響をして上位に名を連ねると株がぐっと上がるという例があるんですが、日本は残念ながら、これもデータを見たんですけれども、上場企業の中で熱心に取り組んでおられる、しかもすばらしい取組なんですけれども、その企業の株価が逆に下がっているようなところがあるんですけれども、これが現状なのかなというふうに考えております。  先ほど、国民の皆さんにもいろいろ認知をして伝えていくと、その取組をちゃんと伝えていく旨お話ありましたけれども、現実はまだまだ浸透していないんだなと。企業の側としても、環境型の取組をしても、事業をしてもなかなか認めてもらえないんだなというのがこの日本の現状でありますので、是非環境省の皆さん、大臣を先頭に、国民の皆さんにもそれがメリットとして、事業者にもメリットとして、メリットが受けられるように取組をしていってほしいと思います。  時間になりましたので質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  24. 藁科滿治

    藁科滿治君 民主党・新緑風会の藁科でございます。  今日は、環境と教育の関係について数点質問をさせていただきます。  最初に、大臣はこの国会の冒頭の所信表明で、ライフスタイルや事業活動の在り方を根本から見直したいと、また地域の自発的な活動を活性化させたいと、こういうような所見を述べられまして、その土台となる環境教育環境学習の充実等に向けて、仕組み作りについて検討していきたいと、こういう考え方を表明されました。  この検討の状況というものを、現下の状況を少し聞かせていただきたいと思います。今後の展望も含めて少しお話をしていただきたいと思います。
  25. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 御指摘のように、所信表明の中で環境教育の重要性について触れさせていただきました。具体的には、昨年十二月、中環審中間答申でございます、「環境保全活動の活性化方策について」ということを踏まえまして、人材の育成等にかかわる仕組み作りについて検討を行う旨を述べまして、具体的な検討を行ってきたところでございます。  そのような環境省の検討を進めていることと並行いたしまして、その後、今回も当委員会にも付託をされているわけでありますけれども議員立法によりまして新たな法律の検討が行われて、このたび衆議院で成立をして参議院に回付をされているところでございます。  その中で、人材認定等事業の登録制度、協働取組の在り方の周知など、環境省において検討をしてきた内容も取り入れられているところでございます。もとより、議員立法でございますから、先生方の御協議によって作られた法律案でございますが、環境省も、その過程におきましていろいろ環境省の考え方等のお尋ねもございました。率直に、環境省としても今までこういう検討をしているということも述べさせていただいたわけでありますが、そうした環境省の検討というものもこの法律案には大いに参考にしていただけたものと、そういうふうに考えているところでございます。  今後、この法律案が成立をされましたならば、これを基に環境教育環境学習の充実が一層図られますように人材認定等事業の登録制度の適正な運用に努めたいと思いますし、それから今これから概算要求に向かって様々来年度予算、検討しておりますが、そういう来年度予算の中で環境教育推進のためどのような予算組みができるのか、所要予算の獲得のために積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  26. 藁科滿治

    藁科滿治君 是非積極的に進めていただきたいと思います。  さて、昨年八月開催のヨハネスブルク・サミットで小泉首相が提案いたしました持続可能な開発のための教育十年、これは国連でも採択をされまして、いよいよ明後年ですか、二〇〇五年からスタートをすると、こういうことになっております。  そこで、提案国としての我が国としては、開発と環境という面では大変長い経験を持っているわけですし、相応のノウハウも持っておりますから、世界に先駆けて範を垂れる、範を示すと、こういう決意が必要ではないかというふうに私は思うんですが、大臣、いかがですか。
  27. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 藁科先生指摘のとおり、持続可能な開発のための教育の十年、我が国が提案国ということでございますので、これの推進に向かっては積極的な役割を果たすべきであると、そういうふうに思っております。  先生承知のとおり、昨年の十二月に、国連総会におきまして、二〇〇五年からこの教育の十年を実施するということが全会一致で採択をされたわけでありますが、現在、その枠組みとなります国際実施計画、これをユネスコが関係機関とも協力して今策定をしているところであります。  この国際実施計画を受けて各国が具体的に計画等を検討するのは来年になってからということになりますけれども、政府といたしましては、提案国といたしまして、特にアジア諸国におけます環境教育推進を働き掛けるなどの取組を行っているところであります。  具体的には、本年六月、第二回アジア協力対話会合というのがございまして、その中で川口外務大臣が提案をしているところであります。また、環境省におきましても、既に今年度から国連大学が行いますユネスコへの協力事業であります教育の十年の構想作りに対しまして支援を行っております。それから、本年十月に、各界の有識者が参画いたします地球環境行動会議、GEAでございますが、GEAと環境省等が共同で開催する国際会議におきまして、環境教育を主要テーマの一つとして取り上げることにいたしております。  このほか、六月二十一日には、NPOの方々が大変御努力をいただきまして、持続可能な開発のための教育の十年推進会議というものを発足をしていただきました。これらNPOの皆様方との連携また支援についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  28. 藁科滿治

    藁科滿治君 今日は文部科学省からも出ていただいておりますから、教育行政の立場から環境教育というものをどのように見ているのか、どういう位置付けで考えているのか、少し質問をさせていただきます。  それにしましても、教育の危機が叫ばれて大変久しくなりますが、教育の現場では依然としていろんな問題が続発をしております。不登校、いじめなどなど大変大きな問題が相変わらず発生をいたしております。私は決して教育の専門家ではありませんけれども、言うまでもなく教育は国家百年の計の礎を成すものでありますから、常々重大な関心を持ってきております。  私は、現下の教育の問題はどこに要因があるんだろうか、いろいろ考えてまいりましたが、大きく言って私は四つぐらいあるんではないかというふうに思っております。  何事もそうでありますが、やはり課題の所在をしっかりつかまなければ対応策は出てこないわけでありまして、私が考えております四つの要因、まず一つは、社会が変わりました。環境が大きく激しく変わっております。それに教育システムが付いていけないと、このギャップが一つあると思います。特に、地方分権の時代と、一方で教育は限りなく中央集権と、この大きなギャップが一つあると思います。  それから二番目は、画一的な詰め込み主義の弊害、これも大きいと思います。個々には申し上げません。  それから三つ目は、子供側、教育を受ける側の主体性が軽視されている、時には無視をされているということだろうと思います。昨今、少年犯罪の問題等々がありますが、こういった問題も、直結する気はありませんけれども、十分連動させて論議をする価値はあると、このように考えております。  それから四番目は、限りなく知識教育至上主義、偏重主義、ここに大きな問題があるんではないか、つまり感性をはぐくむ要素が非常に欠けている、こういうところに問題があるのではないかというふうに思っております。  昨今、教育基本法の論議が浮上し始めておりますけれども、私は、それ以前の問題として今のような要因をしっかり除去しなければ、払拭しなければ教育改革は絶対できないと思っている一人でありますけれども、今日はいい機会でありますから、文部科学省の皆さんのこの問題に対する考え方、所在の認識というものについて、まず伺っておきたいと思います。
  29. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  先生指摘になりましたように、児童生徒の問題行動の現状というものは、いじめの問題、校内暴力の問題あるいは不登校の問題、大変憂慮すべき状況にあるんだろうと思っております。今、先生が御指摘になった問題は、教育改革国民会議でもそういったいろんな議論がございました。また、教育基本法の問題にお触れになりましたけれども、中央教育審議会でもその議論のときにいろんな指摘なり議論があったわけでございます。  私ども、こういった児童生徒の問題行動に対しましては、実態の把握とやっぱり原因をきっちりと分析をし対応策を考えていくということが必要だろうと思っておりまして、毎年、今、児童生徒の問題行動等に関します実態調査も、全国的に状況調査も行っているわけでございますし、専門家による各種会議等を開催をいたしまして、問題行動の実態、対応策についての検討を行ってきたわけでございます。  今申し上げました、先生が御指摘になりましたいじめですとか暴力行為といった問題行動の原因、背景、これはなかなか複雑な要因があるんだろうと思っております。社会そのものが大きく変化をしてきておりますし、また特に昨今のこの社会の閉塞感と申しましょうか、それからやはり教育の原点は家庭にあるわけでございますけれども、その家庭の教育力あるいは地域の教育力が低下をしてきているんではないか、家庭が子供たちに対してしっかりとしたしつけができていないんではないんだろうかと、こういった御議論もございますし、かつては地域社会全体で子供たちを支えると申しましょうか、そこに連帯感というようなものもあったわけでございますが、現在は人間関係が希薄化したりあるいは子供の遊びの場が減ってきたりして、子供たちが豊かな自然体験あるいはいろんな生活体験、社会体験が不足をしているんではないんだろうかと、あるいは青少年を取り巻く環境の悪化、いろんな問題が情報化に伴ってもございますし、そういったものが複雑に絡み合ってきているんではないんだろうかと、そんなことを考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、そういった児童生徒の問題行動等の実態、原因をやっぱり正確に把握、分析をいたしまして、しっかりとこういった問題に対応してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  30. 藁科滿治

    藁科滿治君 学校の環境教育というものは、家庭の生活、学校の生活、そういうものを通じて環境負荷を軽減させると、そういう知識を身に付けるという意味で大変重大な意義を持っていると思っています。  しかし、私は更に環境教育というものはもっと広い深い意義を持ってきているんではないかというふうに思っておるわけでございまして、例えば自然や人を思いやる心をはぐくむと、これは今答弁にも若干ありましたが。それから、共同して問題を解決していくという能力を備えるとか、それから情緒を安定させる、こういった効果を持つ中身であると、私はそのように思っているわけでございまして、つまり、これは子供の本来的な教育目標、潜在能力を引き出して、そして人間形成や市民的資質を備えると、正に教育本来の目的に沿った人ができる要素を持っていると、そういう観点から改めて環境教育というものを位置付ける必要があるのではないかと私は思っております。  昨年導入されました総合学習において、多くの学校がこういう問題に恐らく私は経験から気付き始めて、そして環境教育というものを導入しつつあるのではないかと、このように思っております。  また、言うまでもなく、この例は他の先進国で大変な実践例と実績を上げているわけですね。言うまでもなく、釈迦に説法ですが、特にアメリカでは九〇年代以降、いわゆる感性という問題、EQですか、エモーショナルインテリジェンス、この問題を社会も学校も家庭も大変重視しているわけでありますね。  是非、我が国におきましても、この問題を改めてしっかり受け止めて、特に文部科学省の立場から、国民に対しても、学校教育に対しても、環境教育というものを教育のコアに据えていくというぐらいの決意を私は持つべきではないかというふうに考えております。  そういう意味で、教員の養成であるとか、あるいは学校低学年の教科の中に環境科というものを明確に打ち込んでいくというような、こういうような姿勢が必要ではないかと思っておるわけでございまして、今、文部科学省環境庁、両面に関係いたしますが、環境教育の予算は九千四百万ですよ。これじゃ何もできません。  私は、是非、今申し上げたような趣旨に沿って、大幅に予算を膨らしていただいて、さっき大臣もこれから予算ということもおっしゃっておった。こういう投資は、私は、次の世代に生きてくるわけですから、国民は納得しますよ。是非、前向きな対応をお願いしたいと申し上げます。  これは、文部科学省から改めて見解を伺いたいと同時に、是非鈴木大臣の決意も併せて伺いたいというふうに思っております。
  31. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  先生指摘のように、環境教育は、身近な自然環境、生活環境から地域環境廃棄物リサイクル問題を始めとする非常に幅広いものだと思っておりまして、自然体験活動などの様々な体験学習を行い、児童生徒の自然を愛する心情をはぐくんだり、自然と人間のかかわりについて考えていくということは、豊かな人間性をはぐくむ上でも極めて意義のあることだと考えております。  そこで、学校教育での対応でございますが、従来から社会科ですとか理科あるいは家庭科などの教科、それから道徳特別活動など、学校の教育活動全体を通して環境教育を行ってきたわけでございますし、今、先生指摘になりましたように、昨年の四月から新しい学習指導要領が実施になっているわけでございます。そして、その中で新設をされました総合的な学習の時間、この中でも各学校、各地域環境学習のいろんな取組が実は進んできておるわけでございます。  私どもは、そういった各学校におけるいろんな取組を更に充実していきますように、先ほど先生が御指摘になりましたような環境教育推進グリーンプラン、こういった取組を引き続き進めてまいりたいと思っておりますし、それから、やっぱり体験活動が重要であるということに思いをいたしますときに、例えば都市部から農山漁村、自然が豊かな地域に出掛けて、農林漁業体験あるいは自然体験を行うと、こういった地域間での交流、こういった事業も今モデル的にやっているわけでございますけれども、こういった施策を着実に実施をし、また、御指摘になりましたが、必要な予算の確保を通じまして、各学校における環境教育の充実に私どもといたしましても努力をしてまいりたいと考えております。
  32. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 先生から環境教育の重要性のお話が伺えました。大変、先生のお考えに私も共感をいたします。  環境教育といいますと、環境負荷を掛けないように電気をまめに消せとかそういうような話もありますが、しかし、いろいろな意味で子供たちの人間形成に大きく影響を与えるのが環境教育ではないかと思っております。  昨今、先生からもお話しございましたけれども、青少年のいろいろな問題がございます。先般も長崎で大変悲惨な問題がありまして、いろいろなところで、これは学校の問題なのか家庭の問題なのか社会の問題なのか、様々議論なされておりますけれども、何かこれといった答えは今のところまだ探りあぐねているというのが今の状況であると思います。  そういうことで、環境教育ということを考えますと、環境というのは目に見えないものでありますが、環境教育を通じて、そういう目に見えないものに対するおそれといいますか謙虚さといいますか、また自然の生態系を守っていくというような中で、例えば生物、生き物に対する大切さ、生き物を大事にはぐくんでいくんだというそういう気持ち、そういうようなものが恐らく環境教育の中で子供たちの人間形成に多分大きな影響を与えるのではないかと、そういうふうに思っているわけでありまして、先生の御指摘のとおり、環境教育の重要性というものを私自身改めて感じているところであります。  今の御指摘の、今、この委員会にも付託をいただいている議員立法による法案もございますが、こうした法案を成立をさせていただきましたら、この法案にある人材育成等の事業の認定事業等もしっかりやって、そしてまた、環境省でもエコクラブ事業等既存の事業がございます。そういうものの充実等も併せて、今後、環境省としてもしっかりこの環境問題に取り組んでまいりたいと考えております。
  33. 藁科滿治

    藁科滿治君 是非前向きに、環境省文部科学省、連携を取って取組を進めていただきたいと思います。  言うまでもありませんが、環境問題は次の世代に掛け替えのない資産を継承していくわけでありますから、一刻の猶予も許さない。是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。  今日は、私、実はこの後、衆議院の方で与党、野党の基本法をめぐる調整の提案があるとは思っておりませんでしたので、もう少しやはり環境問題に対する危機感を、これは与野党を超えてしっかりやるべきだという発言もしようと思ったんですが、後の議案に期待をしまして、その点は一応とどめたいと思います。  最後に、学校レベルで、お話がありましたように、環境教育が少しずつ波及し始めております。大変喜ばしいことだろうと思います。しかし、正にまだ緒に就いたばかりで、地域によって、学校によって、そしてまた先生によって大変なばらつきがあるわけでありまして、今後の展開についてはNPOとかその他の民間の団体のいろんな援助、支援を仰いでいかなければならないと、このように考えているわけでございまして、そういう意味で、NPO等に対する公的な支援、こういうものをどういうふうに進めていこうとしているのか、これは環境省としても伺いたいし、それから文部科学省としても考え方を伺いたいと思っておりますので、是非ひとつ前向きな御答弁を期待したいと思います。
  34. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  子供たちが地域において自然体験活動等様々な体験活動を行うことは有意義なことであると思っております。その際、地域の実情に応じまして、学校だけではなくて、地域にある社会教育関係団体でありますとかNPOなどの民間団体との連携協力の下で多様な学習活動が行われるということが重要だろうと考えております。  そういった視点から、私どもは、青少年や成人を対象に地域におきます環境教育を含めた様々な課題に関する学習活動を支援をするために、行政とNPOを始めとする民間団体との連携による地域学習活動の活性化のための事業をモデル的に今実施をいたしております。また、独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターに子どもゆめ基金というものが設置をされておるんでありますが、ここから民間団体が実施する様々な子供の体験活動、環境に触れるとかそういったものも含めてでございますけれども、そういったものへの、そういう民間団体が実施する活動への支援がこのゆめ基金を通じて行われていると。あるいは、関係省庁と連携をいたしまして、地域の身近な環境をテーマに子供たちが自ら企画をし、継続的な体験学習を行うモデル事業、こういったものも実施をしておりまして、こういった事業を通じてNPOなどの民間団体や地域に対して今支援を行ってきているところでございます。  今後とも、こういった取組を進めることによりまして環境教育推進を図ってまいりたいと、かように考えております。
  35. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 環境問題、環境教育につきまして文部科学省の方でも積極的にお取り組みをいただいているところでございますけれども環境教育というのは大変幅広い分野にかかわるものでございますので、学校の先生のみでこれに対応するというのは私は限界もあるのではないかと、そんなふうに思っているところであります。特に、体験活動の実施等につきましては専門的な知識、経験、こういうことが必要であると思いますので、そういうことに通じたNPOの皆様方の積極的な活用ということも考えていかなければならないんではないかと、そういうふうに思います。  今回、当委員会に付託されました法案につきましても、人材認定等事業の登録制度というものがございますが、こういうものはNPOの方々を環境教育の場、学校の活動もそうでありますけれども、そういうことに参加する条件づくりには大きくプラスになるものであると、そういうふうに考えておりますので、そういうことも通じまして、専門的な知識を持っておられる、また経験を有するNPOの積極的な活用、そういうものを重要な課題であるという認識を持って、今後、環境教育の施策を進めてまいりたいと考えております。
  36. 藁科滿治

    藁科滿治君 ありがとうございました。
  37. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 民主党・新緑風会のツルネンマルテイです。  今日は、私は、一般家庭からの食品廃棄物リサイクルについて質問させていただきます。終わりの方では、ちょっと話題が変わりますけれども、生活環境での農薬散布についても農林水産省の方に一つは質問があります。  全般的に見て、廃棄物処理リサイクル推進に関する法整備がおかげさまで日本でも最近かなりそろってきました。例えば、皆さんもよく知っているように、ここ数年間だけでも次のような法律ができました。通称呼ばれている名前だけで言いますと、平成十四年では建設リサイクル法、十三年では食品リサイクル法、そして十二年では容器包装リサイクル法、さらに十三年では家電リサイクル法、あるいは今年に入ってからは自動車リサイクル法、こういう法が日本でもでき上がったのは非常にすばらしいことだと私は思っています。  しかし、廃棄物一つの分野に、どの法律の枠にも含まれていないものがまだあります。それは、家庭の台所から排出される生ごみのことです。これを何とかしなければならないと私も悩んで、家庭生ごみに関する議員立法案を作りました。一年掛けてようやく民主党の手続が終わりました。そして、今月の九日にそれを参議院に提出しました。しかし、民主党が議員立法案を提出しただけでは、それはそのまま自動的には法律にはならないということを私もよく分かっています。ですから、できるだけ早くこの環境委員会で審議できるようにと私は期待しています。  今日は、その法案の具体的な内容よりも、家庭系生ごみリサイクルの必要性について、環境大臣政府参考人に質問させていただきます。  実は、私たちが提出した法案は新しい法律案ではなく、既存の法律の一部を改正する法律案になっています。基になる法律の名前は、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律です。通称食品リサイクル法と呼ばれています。結論からいえば、この法律家庭系食品廃棄物リサイクルを含めるべきと私は主張しています。これからの質問によってその理由を明らかにしたいと思っています。  一番最初の質問は、その背景になることですけれども政府参考人には、食品廃棄物の現在の排出量の状況について簡単に説明していただきたい。
  38. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) しっかりした実は数字じゃございませんが、環境省と農水省で推計した数字がございます。  私ども今持っております数字は、全体でおおよそ二千二百万トンでございます。そのうち家庭から排出されるものが千二百万トン余、それから食品流通あるいは飲食店から排出されるものが五百五十万トン、それから食品製造業からかすとして排出されるものが約四百万トンというふうに推計をいたしております。
  39. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 大きく今の説明のとおり分ければ、食品関連事業からのは大体半分、一千万トンぐらいですね。そして、家庭系の方が大きく分ければその半分、五〇%は一千万トンというふうになっていますね。  そして、さっきも私が触れましたように、二年前には食品リサイクル法が施行されました。もちろんその効果はまだすぐいろんなデータにははっきり出ていないんですけれども、次の質問では、現在は食品関連事業あるいは家庭系の、これは質問に入っていなかったけれども、家庭系も含めてその再生利用等の現状がどうなっているかというのが二番目の質問です。
  40. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) お答え申し上げます。  食品リサイクル法ができましたことから、農林水産省では、食品循環資源の再生利用等実態調査という調査を実施いたしております。現在取りまとまっております平成十三年度実地調査によりますと、平成十二年度実績で、食品産業全体での再生利用は発生量の約二六%となっています。  その内訳を見ますと、食品製造業から発生する食品廃棄物、これは産業廃棄物となりますが、これにつきましては、その組成が一定しているなど比較的再利用がしやすいこともあり、発生量の約四六%が肥料や飼料などに再生利用されております。  これに対しまして、食品流通業、外食産業から排出される食品廃棄物、これは事業系の一般廃棄物になりますが、これらは非常に多数の場所から少数ずつ、少量ずつ排出されることに加え、組成も多様になることもありまして、食品製造業に比べて再利用率が低く、食品小売業では約一五%、外食産業では約七%が再利用されております。  一般家庭の再利用についてお尋ねでございますが、同調査調査対象にはなっておりませんが、循環型社会形成推進基本法に基づいて国会に提出されました平成十四年度循環型社会の形成状況に関する年次報告では、一般家庭から発生する食品廃棄物については、発生量の約一%が再利用されているにすぎないというふうに報告されております。  以上でございます。
  41. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 今の答弁でもはっきり分かりましたように、食品産業の関係ではいろんなばらつきがありますけれども、平均としてはもう既に二六%がリサイクルされています。もちろんこれは、この法律が施行される前からもう自発的にいろんな産業が行ったと思います。しかし、さっきのその五〇%、つまり一千万トンぐらいの家庭系生ごみリサイクルはわずか一%。  私はよくここで母国フィンランドのことを例に出していますけれども、このことではフィンランドの方は非常に自慢できるんですね。私の手元に入っている資料では一般家庭の生ごみリサイクルは九七%、これは日本では一%ということは、だから私は今日はいかに家庭系の生ごみリサイクルが日本では後れているかということをはっきり指摘したいし、そしてそのために何とかしなければならないという、そのための議員立法案も私たち民主党の方で作りました。  そこでは、三番目の質問に入る前に、この食品リサイクル法が施行されて、採決されたときは附帯決議が、これは二年前は参議院国土・環境委員会で、それに六項目から成る附帯決議が付されています。その附帯決議にはどういうことが書いてあるか、六つもありますから、そのポイントだけをちょっとここで紹介します。  一番目は、今後とも諸外国の先進事例も踏まえつつ、望ましい法体系の在り方につき検討すること。例えばフィンランドもその中に入るかと思います。そして二番目には、食品廃棄物等の発生抑制に向けた必要な措置を講ずるよう積極的に努めること。二番目の附帯決議。三番目は、特に私は今日は指摘したい問題に関する附帯決議ですね。この中では、地方公共団体等の連携を図り、一般家庭の生ごみを含めた再生利用の促進が効果的に行われるよう努めることと附帯決議に書いてあります。あるいは、さらに四番目では、食品関連事業に必要に応じて勧告・公表・命令などを適切に行って、そして本法が実効あるものとなるように努めること。五番目では、食品循環資源を用いた飼料と肥料等の一層の利用、活用に努めること。さらに六番目では、リサイクル製品に関してですけれども、その需要と供給が一層拡大するようというふうに努めることということで、このような内容の六つの附帯決議が行われたということですね。  それで、いつもこの環境委員会でもほかの委員会でも、こういう附帯決議が出された後は大臣が、ここでは環境大臣が次のようなことを、言葉をもってそれに対して答弁します。これは大体このようになっているんじゃないかなと。「ただいまは、法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。」というふうに約束します。  ここから関連して、質問は、具体的には、この法律の附帯決議が、その後、二年前のことですね、どのように実行されているのでしょうか。政府参考人の方からお願いします。
  42. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 食品リサイクル法案採択の際にいただきました附帯決議につきましては、この場合、環境省と農水省でございますけれども、連携しまして、その忠実な実施に努めているところでございます。  決議に沿って申し上げますと、一つは、本年三月、循環型社会の道筋を付けます循環基本計画というものを作りました。そして、諸外国の先進事例についても適宜情報を収集、公表しております。それから二つ目には、食品ロス統計調査などの実態調査を継続的に実施するとともに、ごみゼロ型形成推進運動や政府広報活動を通じた普及啓発活動を行っております。三つ目には、説明会の実施によります地方公共団体などの関係者への周知、あるいはNGO、NPOなど、地域でのこういった方々の取組に対する支援。四つ目には、主務大臣の定める基本方針、こういったものを決める際にはパブリックコメントなどを行いましたし、また可能な限り具体的な規定を定めております。それから五つ目には、食品の循環資源を原料といたします肥飼料などの一層の利用、活用に資する登録再生利用事業者の育成に努めております。また、リサイクルコスト低減などのための技術開発促進、あるいは農林漁業者、再生利用事業者などによるリサイクルシステムの構築などを進めているところでございます。  大臣答弁のことを引用されましたけれども、私ども両省が連携いたしまして、その附帯決議の趣旨を踏まえて、必要な措置を引き続き講じてまいりたいと考えております。
  43. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 今の答弁から判断すると、いろんな取組が行われているということはうかがえますけれども、例えば、実際にはその中では、私は、今話題になっている、問題にしているのは、家庭からの生ごみリサイクルを促進するためにはなかなかまだ具体的な案がないようです。  だから、私はいつも、こういう附帯決議ができたときはいつも疑問に思っているのは、本当にこれはどの程度役に立つのか。やはりそれはもちろんゼロではないんですけれども、例えばこれからは家庭系の生ごみを本格的にリサイクルしようとすると、附帯決議だけに頼らないで、どうしてもこれをやっぱり法律の中にちゃんと入れないと余り効果がないと私は思っています。でも、今の答弁は一応有り難いことです。  もう既に去年の三月では、これは農林水産省でできた家庭系食品廃棄物リサイクル研究会の報告書、私も恐らく一番最初にここで質問をしたときも、これをそのときお願いして手に入りました。私もこれをよく勉強しています。  これは一年前のもので、この研究会はその後何か続けているでしょうか。あるいは、この中に、具体的には家庭系食品廃棄物リサイクルを、ここに書いているような、この中に問題点もありますし、是非これをこれから実行しましょうという提言もありますけれども、これは一年たって今の段階ではどういうふうに生かされているんでしょうか。
  44. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) お答え申し上げます。  家庭系食品廃棄物リサイクル研究会につきましては、御案内のとおり、平成十三年の六月から七回にわたって実施、平成十四年三月に報告書を発表いたしました。その中では、家庭系生ごみの発生抑制をいかに促進するかという点と、家庭系生ごみリサイクルをどのように進めるのかという二つの課題について検討がなされ、検討の方向性が出されました。  家庭系生ごみの発生抑制方策につきましては、個々の家庭での実践のしやすさを勘案して、食べずに捨てるごみの削減、水切り分別の徹底が効果的であることなどの方策の方向が出されました。  第二の、家庭系生ごみリサイクルの進め方につきましては、家庭系食品廃棄物が分別の徹底などの問題があるので、事業系食品廃棄物以上にリサイクルには困難を伴うことから、まずリサイクルに対する情報発信、浸透、地域住民のコンセンサス形成など、リサイクルに必要な基盤作りを行い、その上で分別の徹底やリサイクル製品の利用先確保等を図っていくことが重要であると、そういう方向付けが行われたというふうに理解しております。  農林水産省としましては、研究会はその後続けてはおりませんが、この方向を受けまして次のような取組を進めております。  まず、全国各地における説明会の開催でございますが、これは平成十三、十四年、両年で約百五十回を行っております。それに政府広報を活用したテレビによる普及啓発などを行って、情報の浸透、機運醸成に努めております。また、市町村やNPOなどが主体的に食品リサイクルに取り組む際、地域の実情に合ったモデルプランを作成するなど、リサイクルシステムの構築に対して支援をする事業、あるいは市町村が主体となって先進的、モデル的な食品リサイクル施設の整備を推進する事業などを平成十五年度から始めております。  以上でございます。
  45. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 もちろん、この研究会がそれで終わったわけですけれども、今の答弁で聞きますと、やはりいろんな形でこれからも、その後も進めているのは更にそれを続けて、問題点がたくさんあるという、私もこの議員立法案を作っているときも分かりました。しかし、何といってもこの一%を何とかしなければならないということは、環境省も私たち議員もやはりそれの法律化に向けて一生懸命やらなければならない。  この報告書の中では、後ろにはいろんな地方自治体の事例、NPOと民間団体と行政が協力しながら既に自発的にやっているということはたくさんあります。私は、このほかにも日本ではたくさんあるということは分かっています。私の調べでは、今三千二百ある地方自治体の中で二百くらいはもう自発的に、法律はなくても既に何らかの形でかかわっています。  その中で、私も一番見本になる一つの市があります。それは山形県の長井市です。私たちも、民主党の環境部門会議ではそこに視察に行きました。本当にその取組がすばらしい。話を聞きますと、一年間で四千人くらいの視察の人がそれを見に行きます。これは一つのいい方向であります。  この長井市のことを私ももちろん今視察にも行きましたから分かっていますけれども、まず簡単に、ここ長井市のレインボープランという取組ですけれども、その概要を政府参考人から簡単に短く説明していただいて、その後、環境大臣がこの長井市の取組をどう思っているか、それに対する大臣のコメントをお願いしたいと思います。
  46. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 簡潔に答弁いたします。  山形県長井市におきましては、廃棄物処理法の一般廃棄物処理計画に基づきましてレインボープランを作って実際に実施をされております。  平成九年の二月から、一般家庭からの生ごみを分別収集しまして、農家から排出される家畜ふん尿、更にもみ殻等を混合して発酵させまして、約年間で六百トンの堆肥というものを生産されております。生産された堆肥につきましては、農業協同組合を通じて地元農家に販売され、これらの堆肥を利用して生産された農作物が消費者に販売されることにより、循環型の食品廃棄物の利用というものに熱心に取り組んでおられるところでございます。
  47. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 山形県長井市、残念ながら私まだ当地を伺ったことがないんですが、話を聞きますと、大変な農業が盛んな地域である、そしてその堆肥の需要というものもあると、そういう地域であるということをお聞きしております。そういうような地域の特性を生かして、そして市が主体となった食品廃棄物の利用、この場合は堆肥化でございますけれども、この取組が円滑に行われているということで、先進事例の一つであると、そのように評価をしているところであります。
  48. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 実は私も本当に同じ意見で、もし日本では一つでも多くのこういう地方自治体が長井市のようなことをできたら、私たちはこの議員立法案で目指しているところは全く同じですね。  ただし、今も大臣が言いましたように、これは地方です。例えば、これは東京とか大都会ではどういうふうに、マンションとかアパートの生ごみをどういうふうにリサイクルシステムに乗せるか、そう簡単なことではない。しかし、できるのはできますね、フィンランドのようなところもできますし。前には私はここで発表したのは、韓国の釜山では百万世帯の七割の、もちろんアパートも全部入っていますから、生ごみはやはりリサイクルされていますから、だから私は、釜山でも、韓国でもできるんなら日本でもできると私はいつもそういうふうに言っています。  今は少し、私たちが、民主党の方で作っていた議員立法案の簡単な概要が許可を得て皆様の手元に配付されているかと思います。これをちょっと、もちろんここでは審議ではありませんから、これについて詳しくは話しません。余り時間がありませんけれども、これは恐らく大臣の手元にもありますから、一番簡単に言いますと、このイメージ図のところでは、今ある法律は左に書いてあります。そして、右の方には、もし私たちの議員立法案のように、家庭の生ごみをそこの法律の中に加えることができましたら、これは地方自治体に具体的なことは任すということになっていますから、こういう法律を私たちは民主党の方で目指していますし、ほかの党も是非これに協力していただきたいと思います。  この私たちの案に対して、これだけで見れば、ちょっと環境大臣の方からコメントをいただきたいと思います。
  49. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 法律案を十分に精査した上でないことで、その上での見解ということでございますけれども、一般的に申し上げまして、生ごみと申しますのはまず腐りやすい、それから一般家庭から排出されるものにつきましては異物が混入しやすい、それから再生した堆肥等の需要先の確保、これが困難であるという、そういうような課題というものはございますけれども、その適正な循環的利用を促進していくということはこれは重要なことであると、そういうふうに思っております。  一方におきまして、市町村が主体となって再生利用等を進める仕組みにつきましては、廃棄物処理法に基づく一般廃棄物処理計画等によって既に措置をされております。市町村が廃棄物処理法の第六条によりまして一般廃棄物処理計画を立てるわけでありますけれども、そこに分別収集する種類及び分別の区分を決められることができまして、正に先ほどの長井市もこうした廃棄物処理法の一般廃棄物処理計画の中にそれを盛り込んでやっているわけでありまして、今の中におきましても、長井市がそうであるように、また先生がほかにも二百近くあるとおっしゃいましたけれども、そのうちのものが、こうした今の法律に基づいても市町村がやろうと思えばできるわけでございまして、そういう意味では既に措置をされていると、こういうふうに思うわけであります。したがいまして、この改正案が成立をした場合には、二重の計画が策定されるというようなそういう混乱が生じる懸念というものもございまして、その辺の調整というものが必要なんではないかと、そういうふうに思うわけであります。  いずれにいたしましても、食品リサイクル法の附則には、施行後五年、これは十八年の五月になるわけでありますけれども、施行後五年を経過した時点で施行状況について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講じるという旨が規定をされておりますので、この法律につきましては、現行法に基づいて、まず事業系食品廃棄物取組推進をして、五年を経過した際にその実施状況について検討をして、それを踏まえた措置を講じることが適当であると、そのように考えているところであります。
  50. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 残念ながら、今時間がこのためにはほとんどなくなりますけれども、その五年後というのはこれから三年後ですから、この一%を何とか私たちは日本でも、もう各野党と与党の協力でも、私たちはこれはたたき台になればいいと、私たちの議員立法案はあると思いますから、その協力を強く私は期待しています。  さっき最初に約束したように、ほとんど四分しか時間がありませんけれども、ちょっと、ここと全く話が少しそれますけれども、どうしても一つのこと、これだけでも三十分の時間が掛かりますけれども一つの質問をさせていただきます。  これは、昨年十二月には農薬取締法の改正がなされました。そして、生活環境での農薬散布に対する規制がそれに盛り込まれなかったのは非常に残念なことであって、そして、そこでいろんな問題が起こっていますから、私の手元に入っている情報では、それは今法律に入っていませんけれども、関係局長通知を出すという約束が行われたそうです。  しかし、それは実際には、その約束は四月に行われたんですね、あるNPOの団体とのお願いによって。そして、それはまだ、今でもまだその通知は出されていない。どうして出されていないか。あるいはこれから、その局長通知についてどういう状況になっているか。あと三分しかありませんけれども、その答弁をお願いします。
  51. 岡島敦子

    政府参考人岡島敦子君) 住宅地やあるいはその周辺で農薬がまかれまして、それが原因で住民からの健康被害を訴えるという事例が増えているということでございます。  このため、昨年、農薬取締法改正されましたけれども、それに基づきまして、今年の三月に農林水産省、環境省の共同省令が出されました。そこで農薬の使用基準が定められまして、農薬の使用者は住宅地やその周辺において農薬の飛散防止措置を講じるよう努めなければならないということとされたところでございます。  これを受けまして、住宅地に隣接する場所において病害虫の防除をする場合には農薬に頼らない防除方法を取っていただきたいとか、あるいはどうしても薬剤を使用しなければならない場合にはいろんな注意を払っていただきたいということにつきまして通知を出すこととしております。これはおっしゃられたとおりでございます。  この問題につきましては、農業者を指導するだけではなくて、街路樹とか公園などの施設の管理者に対する指導も必要だというふうに考えておりまして、現在、これらの施設を所管する省庁と、説明をしたりその内容につきましての調整をしているところでございます。早急に調整を終了しましてこの通知を出したいと思っておりますし、その通知を基に、住宅地などにおきます飛散防止につきまして、他省庁とも連携して関係機関を指導していきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  52. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 もちろんこれは非常に大きな問題ですから、その通知はもう一日も早く出せるように私の方からも強く希望しています。  ついでにそこで、今、一分時間がありますけれども、昨日のNHKのニュースでは、これはそういう生活環境の農薬の散布ではなくて、空中散布、空中農薬散布の被害が、千葉県の夷隅町では、子供たちが学校の帰りにはヘリコプターから農薬の散布が行われたときは何十人も被害を受けた。だから、これはやっぱり空中農薬散布も本当にもっともっと厳しく規制しなければならない。これは是非これからもそういう被害が増えないように私の方からも要求して、これで私の質問を終わります。
  53. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  昨日、二〇〇三年七月十六日でございますけれども、衆議院の環境委員会、緊急上程した本会議で環境保全・環境教育推進法が可決したわけでございますが、関係してきた一人としても非常にうれしく思います。  それで本日、本委員会において取り上げます予定で可決の方向であると伺ってございますが、この法律は、昨年の南アフリカで開催されましたWSSDのときに、日本のNGOの提案、日本政府が国際社会に強く働き掛けたいわゆる持続可能な開発のための教育の十年、これは先ほども同僚の委員からも話がございましたが、昨年の国連総会でも採択されたところでございまして、これを受けての国内法であると考えてございますし、しかもこれは時限法ではなくて、今まで時限法では世界にありましたが、恒久法という形では世界初の制定になるのではなかろうかと、そう思ってございます。  環境省として、更に環境教育に他省庁と連携いたしまして指導に積極的に力を発揮していただきたい。大臣の所感と今後の決意についてお伺いしたいと思います。
  54. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 加藤先生、今回、当委員会に付託をされました議員立法の作成のPTの一員として大変に御努力をいただきましたことに敬意を表したいと思います。  この法律でございますけれども、第九条第二項に、「学校教育における環境教育の充実のための措置」というものが盛り込まれているところでありまして、公立学校における太陽光発電等の環境を配慮した学校施設でありますエコスクール、こういうものの整備というものも進むと思いますし、また学校における環境に配慮した施設作りとこれを活用した環境教育が進展をしていくということを環境省としても期待をしているところであります。  決意ということでございますけれども、この法律には学校教育における措置以外にも環境教育推進の基盤になる様々な施策というものが盛り込まれておりますので、本法律は我が国の環境教育推進していく上で大きな力になるものと認識をいたしております。環境省としてこれら施策の具体的な推進を図って、環境教育推進になお一層努力をしてまいりたいと考えております。
  55. 加藤修一

    加藤修一君 今後、国際的な枠組みについても必要になってくると私は考えておりまして、もちろんそれなりのものがユネスコを中心にしてございます。しかし、環境教育は統合的に考えるべきものではないかと考えておりまして、その意味では、環境教育促進条約の創設を目指して国際的な動き、イニシアチブを日本政府が考える時期かもしれないと、そういう認識に立っていますが、このような条約については公明党は極めて重大な関心を持っておりまして、重点政策にしておるところでございます。  また、モーリス・ストロング、ゴルバチョフ等を筆頭に国際的な動きがあります、いわゆる地球憲章なども環境教育の教材あるいは環境情報データベースのデータとしても積極的に取り組んでいただきたいと、このように要請をしておきたいと思います。  次に、特許庁に来ていただいております。  自然再生推進法にはNPO、特定非営利団体の役割が書かれてございますし、あるいは、ただいま取り上げました環境推進法案については環境教育の効果的な在り方としてNPOの役割が重要なものであるというふうに考えているというふうに私も認識しております。  先ほど、大臣も、環境教育についてはNPOの積極的な活動が大事であると、そういう趣旨の発言をされておりますが、環境に関するNPOにかかわらず、一般的にNPOの役割というのは産業社会から市民社会に移行していく中で極めて大事でありますし、あるいはリスク社会の中にありましてもその在り方を十分考えていく上ではNPOの活動、役割というのは極めて重要であるというふうに思っておりまして。  それで、大手出版業界の、直接固有名詞は出しませんので、KK書店が、民間非営利団体を示すNPO、それからボランティアという二つの言葉について特許庁に商標登録をして、それが正式に商標権が成立したという話になっておりまして、このKK書店は新聞、雑誌の名称としてNPOという用語の商標権を主張することができることになったと。つまり、KK書店以外の者がNPOと同一の範囲内で雑誌、新聞の名称等において使用する等の行為をすると権利侵害になってしまうということになるわけですけれども。  これは、特許庁は、今回こういう非常に一般的な名前であるNPO、N、P、Oというこの三文字という用語は私はかなり一般的な言葉であって、うどんとか企業とか、そういう用語とある意味では同等じゃないかと。もっと極めて公的な意味合いもあるかもしれないですね、共助という形も含めて。これをなぜ特許庁は認めたのか、その辺についてお伺いしたいです。
  56. 津田博

    政府参考人津田博君) お答えさせていただきます。  商標でございますけれども、商標は、事業者が商品やサービスを他人の商品やサービスと区別するために使用するマークでございます。そのために、商標出願の際には、使用する商品やサービスにつきましてそれを特定して出願していただいております。  商標NPOでございますが、これは平成十四年一月十八日に雑誌、新聞について使用する旨の商標登録出願がなされまして、平成十五年四月二十五日に商標登録第四百六十六万五千八百二十二号として登録されております。  本件商標でございますけれども、その登録は、登録出願を受けまして、専門的知識を有する審査官が商標法に基づいて審査を行っております。そして、登録を認める旨の審査決定、査定と呼んでおりますけれども、それを行ったものでございます。審査に当たりましては、商標法第三条、第四条に基づきまして、また判決、審決例を基に作成されました審査基準に従いまして審査を行っております。  具体的には、商標が付される商品、役務との関係で他社の同種類の商品、役務と識別することが困難な商標でありますとか、又は識別することが可能でありましても、他人の商標登録と同一又は類似する商標あるいは公序良俗に反する商標等につきましてはこれは登録されませんけれども、それ以外については登録を認めるということになります。  本件登録されましたNPOでございますけれども、雑誌、新聞という商品について商標登録がなされたものでございますけれども、当該商品の取引実態を踏まえまして、識別性があるか、類似商標の登録がないか、公序良俗に反していないか等を審査し、登録の適否を判断させていただいたものでございます。
  57. 加藤修一

    加藤修一君 有識者によりますと、NPO、ボランティアという普遍的な名称を特定の企業が独占的に使うということについては、関係団体の出版活動を抑制する、あるいは情報の伝達を妨げることになる、また市民参加や情報公開を促進するためには活字が重要であり、新聞、雑誌の名称にNPOが使えないというのは非常に問題であると、そういうふうに言われておりますし、六月上旬から約半年間の間にNPOの関係者からのこういったものに対しての苦情は三百件を超えているというふうに言われているわけなんですけれども。  日本NPOセンターのホームページの名前をNPO広場として出願したところ、特許庁は、一般的な言葉で商標登録にふさわしくないと、そういう拒絶した経緯があるわけなんですけれども、一般的な商標という意味ではNPOの方がはるかに一般的な話なんですけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  58. 津田博

    政府参考人津田博君) 議員お尋ねのNPO広場でございますけれども、これは雑誌、新聞の分野ではなく、サービス、情報の提供の区分で、非営利団体の社会貢献活動に関する情報の提供に使用するものとして出願されたものでございます。  NPO広場とは、民間非営利団体を意味するNPOのその文字と、それから情報の提供や交換等を行う場を表現しますそういう言葉として使われることが多い広場の文字を合わせて構成されておるわけであります。  したがいまして、特許庁としましては、消費者の方々がNPO広場という商標を見た際に、全体としてNPOに関する情報の提供等を行うところという意味合いで、意味に理解するにとどまるものでありますけれども、電子手段を通じて多くの人々が似たようなタイトルの下に情報を発信している状況を考えますと、サービス、情報の提供という役務として識別性がないものと判断し、平成十四年八月二十三日に拒絶査定を行ったものでございます。
  59. 加藤修一

    加藤修一君 KK書店はNPO支援のための新雑誌発行がきっかけであるということらしいんですけれども、各NPOが非営利目的で雑誌、機関誌等そのほかの印刷物や書籍を発行する場合には及ばないと、そういうふうに発言しているようでありますが、例えば、NPO新聞、NPO研究ニュースなどの題名を付けた定期刊行物、書籍などが営利目的で発行される場合はそれなりの処置を取るというふうに言っているわけでありまして、あるいは言論NPOとか、NPO○○、○○NPOとか、そういったことについては権利侵害として訴えられる可能性は残されているわけでありまして、自由にNPOという名前を使ってきていたNPOとしては、非常に嫌な気持ちを持ちながら活動せざるを得ないという、そういうことにもなりかねないと思うんですね。  是非、この辺について私は十分見直しも含めて考えていただきたいと、このように思っております。別の機会にもう一度取り上げたいと思っています。  それでは次に、国土交通省にお願いでございます。  ディーゼルエンジンの排気ガスの削減並びに削減のための装置、機器、それから融資制度等についてお尋ねをしたいわけでありますけれども、四十億用意したけれども、もうすっかり使われて行き先が決まってしまっていると。しかし、十分な対応が取れないような状況であり、かつまた事業者の経営状況が悪いということから、貸し渋り等そういったものが十分対応がなされていないということが考えられるわけなんですけれども。  このために、やはり私は、そもそも国土交通省の基本的対応としては、NOx・PM法対象地域内の対象車両すべてに補助がなされるように予算規模の拡大に取り組むことが極めて重要でないかと思っておりますが、この辺についての見解を、積極的に私は対応してほしいと思っていますけれども、よろしくお願いします。
  60. 中山寛治

    政府参考人中山寛治君) お答えいたします。  国のDPFなどに対します導入補助金につきましては、自動車NOx・PM法対策地域環境改善に資する観点から、DPFなどの装着だけでは同法の規制を満たすことはできないものの、PMだけでも低減することを促進すべく、暫定的な措置としましてDPFなどの装着に対する支援を行っているものでございます。  具体的には、本補助金につきましては、限りある財源の有効活用やPM低減効果の観点から、一定の大型ディーゼル車、八トン以上でございますけれども、八トンを超えるものでございますが、これに対しましてDPFなどの装着を約二年程度で実施することを施策目標としているものでございます。  先生指摘のように、しかしながら、今般、交付申請額が当初予定しておりました四十億円を上回るというふうになっておりまして、緊急に実施すべき措置につきまして検討を行ってまいりました。その結果、今年度当初予定をしておりました四十億円に加えまして、その他の予算より八億円を捻出しまして、昨年度当初予算額一・五億円の三十二倍、今年度当初予定しておりました四十億円の二割増しとなります四十八億円の予算措置ということでございます。  さらに、国によります支援を上回る部分につきましては、DPFなどの装着を希望する事業者の負担が過剰とならないように、全日本トラック協会など事業者団体における措置を要請することとしております。  国土交通省といたしましては、関係省庁やあるいは関係事業者団体とも連携を図りつつ、こうした施策の円滑な実施を通じまして、大気環境の改善に向けた取組を進めてまいる所存でございます。
  61. 加藤修一

    加藤修一君 財源が限られているというのは、それは言うまでもない話なんですけれども、DPFに対応する融資制度として中小企業庁、この辺についてはどういう対応を考えていますか。
  62. 大道正夫

    政府参考人大道正夫君) お答えさせていただきます。  中小企業庁といたしましても、本件について非常に強い関心を持っているところでございまして、これまでも、環境省あるいは国土交通省等からの御相談を踏まえまして、政府系金融機関における事業者環境対策に係る取組を強化しているところでございます。  具体的には、ディーゼル車規制に伴う中小企業対策といたしまして、平成十四年三月より、中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫に長期かつ低利の融資制度を創設をいたしました。本制度は徐々に中小企業の皆様方に認知されてきているというふうに認識をしておりまして、特に、今年に入ってからは利用者の増加が見られるところでございます。六月までの実績ということで申し上げれば、両機関合計で千八十四件、百二十八億円の実績になってございます。  私どもといたしましては、引き続きこうした制度を御利用いただけるよう、PRも含めて努力したいというふうに考えておりますし、さらに、今後につきましても、トラック業界を所管しておられます国土交通省あるいは環境省等の関係当局からの具体的な実態のお話、御要望を踏まえまして真摯に検討してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  63. 加藤修一

    加藤修一君 今、御要望を踏まえまして検討していきたいという話なんで、それは国土交通省の御要望ですよね。  国土交通省はそういう要望は出す予定ですか、どうですか。
  64. 中山寛治

    政府参考人中山寛治君) 融資についてでございますけれども、現在、事業者からいろんな話を聞いております。その中で、こういうことでございまして、トラック業界からは、DPFに対する融資というよりも車両代替、そのための融資制度の更なる拡充について要望が出されているというふうに承知しておりまして、このため、現在、国土交通省といたしましては、トラック業界から具体的な要望事項を聴取しているところでございまして、今後、こうした業界の要望を踏まえつつ、トラック事業者の資金調達が円滑に行われますように、関係省庁と連携しながら支援策の充実に向けて検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  65. 加藤修一

    加藤修一君 この問題は、やはり私は道路法なんかも非常に重要な問題だと思っているんですね。道路特定財源、特別会計の関係でありますけれども、ここの原資を一般財源化して、それをこういうところに充てるということも極めて重要だと私は思います。  道路法はやはり変えるべきだと思うんですね、道路法は。道路法の第一条には、「この法律は、道路網の整備を図るため、道路に関して、路線の指定及び認定、管理、構造、保全、費用の負担区分等に関する事項を定め、もつて交通の発達に寄与し、」ということですから、交通の発達にはかなり寄与したことは私も率直に認めたいとは思います。非常にこれは国民経済上、大きな効果があったということは言うまでもない話だと思います。  「公共の福祉を増進することを目的とする。」と最後に書いてあるんですね。ここの部分がどういうふうに判断するかということで極めて重要なところで、やはり私は、道路の利用にかかわる環境の保全を図り云々と、そういったことを積極的に入れ込むような、目的を変えていくことが極めて重要であると私は思っておりまして、そういった中で、財源の関係含めて、その排気ガスの関係がより削減されるような方向で検討していくことが極めて重要である。  この辺については国土交通省は相当一生懸命やっているというふうに私は伺っておりますし、積極的な答弁をいただいているわけですけれども、それ以降の経緯について、三回目の質問になりますけれども、よろしくお願いいたします。
  66. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) お答え申し上げます。  道路行政推進に当たりまして、良好な環境を創造していくということは大きな柱であるという認識の下に、沿道環境対策、良好な緑の空間の創造などに積極的に取り組んでいるところでございます。  その一環といたしまして、一昨年の四月に道路構造令を改正いたしまして、都市部の幹線道路におきまして原則として植樹帯を設置すべきというふうにするなど、道路を自動車、人が通行する空間としてだけではなくて、緑を供給する空間という形で位置付けしたところでございます。  それから、本年の三月でございますけれども、道路整備緊急措置法を改正いたしまして、道路整備費の財源等の特例に関する法律というのを定めさせていただきました。その中では、法律の目的といたしまして、生活環境の改善にも資するということを目的とするというふうに書かせていただいております。さらに、いわゆる道路特定財源を道路整備に密接に関連するような環境対策事業にも使えるというような改正を行ったところでございます。先ほどのDPF等もその改正を活用いたしまして予算を増やしたという実態でございます。  さらに現在は、御指摘のような道路法の中身につきまして、いわゆる自動車交通環境問題のみならず、高齢者福祉社会を迎えたときに歩行者が十分安全に歩けるという意味の生活環境と、こういったような観点から環境というフレーズをこの目的の中に入れられないかというようなことで検討しておるところでございます。  以上でございます。
  67. 加藤修一

    加藤修一君 積極的な答弁ありがとうございます。  終わります。
  68. 海野徹

    委員長海野徹君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  69. 海野徹

    委員長海野徹君) ただいまから環境委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、福山哲郎君及び加藤修一君が委員辞任され、その補欠として羽田雄一郎君及び木庭健太郎君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  70. 海野徹

    委員長海野徹君) 休憩前に引き続き、環境及び公害問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、最初に遺伝子組換え作物同士の掛け合わせの問題について伺います。  遺伝子組換え生物による環境への影響を防止する法案が作られたばかりですけれども、厚生労働省は六月二十七日、除草剤耐性の遺伝子組換え作物と害虫抵抗性の遺伝子組換え作物とを掛け合わせたトウモロコシ四品種、綿二品種についてリスク評価を行い、安全と確認をしました。遺伝子組換え体同士を掛け合わせたものの安全評価は初めてです。  厚生労働大臣が薬事・衛生審議会に諮問してからバイオテクノロジー部会が安全との報告を出すまでわずか十三日間、パブリックコメントに至っては土日を入れて五日間と驚くほど短いんです。通常、パブリックコメントの期間というのは最低でも三十日はあると聞いています。過去にこのような新たな安全評価で短期間で安全審査をあるいはパブリックコメントを行った、そういう例はあるのでしょうか。
  72. 遠藤明

    政府参考人遠藤明君) これまでパブリックコメントの期間としては通常一か月を取っておりました。  今回の件に関しましては、親の安全性が既に確認をされているというふうなことで審査が比較的短くなったというふうな事情もございます。
  73. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 よく調べてみましたら、日本モンサントなどが申請したのが五月の二十九日、翌日の三十日に薬事・衛生審議会に諮問をしている。その日のうちに安全評価調査会で安全との結論を出して、そして十二日にバイオテクノロジー部会で安全報告を出し、十三日にパブリックコメントの意見募集。先ほど申し上げたように、二日間の休みを、土日を挟んで三日間しかない。十八日が締切り。六月二十七日に食品衛生分科会を開いて、そこで安全との報告、そして即日、審議会が安全の答申を出す。申請からわずか一か月という短い期間でこういう安全との結論を出している。  親同士が安全だからと今説明がありました。それは、親同士は安全だという確認がされているということですが、そのものについて、親同士、遺伝子組換え同士の掛け合わせというのは、これは初めてなんですよね。それで、七月の一日から食品のリスク評価、これは食品安全委員会で実施をするということになっているわけですよね。私は、この話を伺って、ああ、これはもう駆け込み以外の何物でもない、そう思ったんですね。私にも厚労省はそう説明をしていました。つまり、今のこの期間だったら安全の評価は厚労省でできるけれども、その後はもう自分たちの手を離れる、そういう説明でした。  そこで伺いたいんですが、パブリックコメントの際に安全性に関する審査データ、これは示したのでしょうか。
  74. 遠藤明

    政府参考人遠藤明君) 六月十二日に開催をいたしましたバイオテクノロジー部会の報告をホームページに掲載をいたしました。
  75. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 これも私見てみましたけれども、意見募集で公表した資料というのは、品種名と除草剤耐性、害虫抵抗性の組換え性質と申請者の名前だけ。今ホームページに載せたという部会報告もいわゆる三項目に該当するという結論を書いているだけで、根拠となるデータも部会の議事録も公開していなかったんですね。  そもそも、遺伝子組換え作物についてはそれ自体の安全性あるいは後代交配種が本当に性質が変化をしないということで安全だと言えるのか、いろいろ問題があります。その上、今回の事案遺伝子組換え作物同士を掛け合わせた、そういう場合ですから、一体それぞれの性質がどう現れるのか、それぞれの性質が掛け合わせによって変化しないのかどうかなどについて様々な疑問が指摘をされている。私は、非常にそういう意味では重大な問題だと思っているわけです。  大体、申請書類なるものですが、親品種の除草剤耐性や害虫抵抗性の性質が交配種でも維持されているということを確認しただけで、交配種の性質全体の安全性を確かめたものということではありません。安全が確認されているもの同士を掛け合わせた、そういうことだから問題はない、先ほどの説明がありましたけれども、これに対しておかしいという非常に強い疑問の声が上がっています。  いずれにしろ、その申請書類は東京と大阪の二か所で閲覧させているだけで、コピーもさせない。土日を除いて三日間のパブリックコメントの期間で、消費者が分析ができるはずはありません。国民の意見を聴く際に安全審査のデータを示さない。私は本当にとんでもないことだと思うんですね。  私は、その根拠になったデータは一体何なんですかと言ったら、WHOのかなり古いデータを出してこられました。こういうデータの読み方についても一般の消費者あるいは皆さんがどう思うのか、どう見るのかということなどについて十分私は論議をしていく、そういう必要があるというふうに思っているんですね。  そこで、食品安全委員会が発足をする前にこんな重大なことについて駆け込みで安全確認をする、こういうやり方は私は絶対に認められない、そう思っています。特にトウモロコシについては、皆さん御存じのようにあのアレルギーを起こす、そういうことで問題になったスターリンク、この問題もあるわけですね。ですから、食品安全委員会で改めてきちんと審査をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  76. 梅津準士

    政府参考人梅津準士君) 先生お尋ねの遺伝子組換え品種同士の交配品種、いわゆるスタック品種の安全性につきましては、既に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会において科学的観点から審議、答申されまして、人の健康を損なうおそれがあるとは認められないと判断されているものと承知しております。  食品安全委員会におきましては、今後、先生指摘のいわゆるスタック品種の安全性についての新たな科学的な知見等が得られた場合には必要に応じて評価を行うこととしたいというふうに考えております。
  77. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 こういう安全性の問題について、今言ったみたいに、これは絶対に安全でないとかあるいはという、私は別に結論を押し付けていろいろ言っているんじゃないんですね。安全についていろんな疑問がある、そういうときに、こんな一か月間で、わずか、新しい組換え体同士の掛け合わせをやるわけですよね。そういうときにこんな手続で済まされるんでしょうか。  大体、食品安全委員会については私たちは非常に期待をしているわけですよ。食品安全委員会はちゃんとこういう問題について受け止めてやってくれるだろうというふうに期待をしているわけですよね。厚労省というのは旧厚生省の時代に薬害エイズの問題でも本当に国民の不信を買っているわけですよね。その後いろんな問題があります。食品の安全については私も安全性の問題について古くから取り組んできています。カネミの問題もあります。森永砒素ミルクの問題もあります。そういう問題を本当に起こしながら、なおかついまだに反省しない。わずか一か月間で、駆け込みでこんなことをやる。それを食品安全委員会が正面から受け止めてきちんとやらない、そういうことであるならば、私は、食品安全委員会、何のためにできたのかということになると思うんですが、もう一度きちんと納得のいく答弁をください。
  78. 梅津準士

    政府参考人梅津準士君) 今申しましたように、食品安全委員会は、あくまでも科学的な知見に基づきまして食品健康影響評価、いわゆるリスク評価を行うのが役割でございます。この観点からは、当時の薬事・食品衛生審議会におきまして得られたデータや入手可能な科学的知見を基にしまして、専門家による調査、審議が行われたものと理解しております。  したがいまして、私どもとして、今後、例えば今のスタック品種につきまして、今得られている以外の科学的知見が得られた場合には、当然食品安全委員会において評価を行うということにしたいと考えております。
  79. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大変がっかりした答弁ですが、いずれにしても新しいデータが出たらきちんとやる、そんなの当たり前のことじゃないですか。食品安全委員会というのはもうちょっとしっかりした委員会なのかと思って私どもも期待していたんですけれども、今日の答弁をみんなが聞いたら、やれやれこんなところからスタートするのかというふうに受け止めるんじゃないでしょうかね。  ここで余りやっていると時間がなくなりますので、次に行きたいと思います。  政府の機関である厚労省がこういう駆け込み的なやり方をする。私は許されないと思うんですね。遺伝子組換え生物の環境影響について責任を持つ環境大臣としても、厚労省のこういうやり方を見過ごすべきではないと思います。  これらの作物は当然環境にも影響します。花粉が遠くまで飛散しやすいので慎重の上にも慎重を要する、こういうふうに言われているのがトウモロコシですから、是非環境省としてもリスク評価をきちんとやるべきだと思いますが、いかがですか。
  80. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 当該トウモロコシの環境評価をしっかりしろということでございますが、結論からいえばしっかりやってまいりたいと思います。  さきに遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律、御審議をいただいて成立したわけでありますが、これが六月の十八日の日に公布になったところでございます。  これによりまして、国内で使用される遺伝子組換え生物につきましては事前の承認というものが必要になりました。これまで国内で使用される遺伝子組換え農作物、これは農林水産省のガイドラインによって環境評価されてきたわけでありますけれども、今まで既にこの農林水産省のガイドラインに基づいて国内で使用される農作物につきましても、このたび公布をされました新しい法律に基づいて再度承認の手続を行っていただくことになっておるところであります。  このような手続の中で、専門の学識経験者の意見もお聴きをいたします。それから、パブリックコメント、これも実施いたします。是非、ふさわしい合理的な期間を置いたパブリックコメントもいたしたいと思います。  こういうふうなことをしながら、生物多様性への影響が生じないよう適切な判断をしてまいりたいと考えております。
  81. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今回の厚労省の駆け込み的なやり方というのは環境省にとっても他人事ではないという事件があったように思います。  遺伝子組換え生物規制法が施行される前に、遺伝子組換えによる光るメダカ、これが台湾から百匹輸入されて問題になっています。業者は生殖能力を失わせていると主張しているようですけれども、確かめられてはいないようです。これも厳しい安全審査を回避する非常に良くないやり方だというふうに思います。被害が出てからでは遅いわけで、生態系への被害が出ないようにきちんと事前に調査をすべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。
  82. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) この法律は現在まだ施行されておりません。来年の一月か二月施行を予定しておりますが、もし施行されれば遺伝子組換えメダカの販売、飼育についてもこの法律の規制の対象となります。このため、今の時点では輸入業者に販売中止を命ずることはできませんけれども、接触を既に取って輸入販売を自粛していただくようにお願いしているところであります。  また、この法律では、施行前であっても遺伝子組換え生物の使用について承認を受けることができるという規定になっておりまして、輸入者から遺伝子組換えメダカの使用の可否の判断に必要な資料を求める等の生物多様性への影響が生じないような措置を今できることから始めてまいりたいと思っております。
  83. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大臣、いろいろ法律ができるということになると規制が厳しくなる。そうすると、駆け込み的なこういう訳の分からないものが出てくるわけですから、しっかり対応していただきたいと思いますが、大臣、いいですよね。
  84. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 新しい法律ができる、また新しい組織ができる、制度ができる。そうなればその制度に基づいて新たな対応をしっかりやってまいりますが、それ以前のものについては、それ以前の仕組みの中で目的がきちっと達せられますように適切に対応してまいりたいと考えております。
  85. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、ラムサール条約に登録されている北海道東部の別寒辺牛湿原を流れる別寒辺牛川の上流に防衛施設庁が大きな砂防ダムを建設して、絶滅危惧ⅠBのイトウの生息が危ぶまれている、そういう状況になっている、この問題について伺いたいと思います。  イトウは川の食物連鎖の最上位に位置する魚です。そこで環境省伺いたいんですが、生息状況はどうなっているでしょうか。イトウの生態についてごく簡単に説明していただけますか。
  86. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) イトウはサケ目サケ科に属しておりまして、寿命は飼育下では二十三年という記録があるほど非常に長いものであります。大きさは一・五メーター程度まで成長する非常に大きな魚類であります。我が国のほか、サハリン、南千島等にも生息しているということになっております。  我が国では、一九九〇年代の研究者の調査によると北海道の十八水系で確認されております。成魚個体数は千から二千と推定されております。環境省のレッドデータブックでは、近い将来に野生での絶滅の危険性が高い種として、絶滅危惧ⅠB類に掲載されております。  また、その生態は、四、五月の雪解けの増水期に、生育の場である下流域や湖沼から、繁殖の場である上流域への長距離の移動をし、砂れきの堆積した浅瀬に産卵床を作って、約五千個程度の卵を産むとされております。近年、森林伐採、農地造成、河川工事等により生息環境が喪失しつつあると言われております。
  87. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 イトウがすめるのは、それだけえさとなる魚とか昆虫が豊富で、豊かな生態系が残っている河川環境にあるという証明だと思います。今、説明があったように、現況では、イトウがいる十八水系のうち数十個体以上の雌が繁殖している、これは今説明なかったんですけれども、五水系だけなんですね。それ以外の十三水系は繁殖できないかあるいは困難な状況にある。そういう水系では稚魚は見付からないので、いずれイトウの地域個体群が絶滅してしまう、そういう状況にあります。繁殖ができている水系も、このまま環境悪化が進めば繁殖可能な川は別寒辺牛川だけになってしまう、そう心配をされております。  イトウは、川の上流にある支流で、今話があったように、産卵をして川や下流の湖沼で一生を送る淡水魚であって、川を自由に上下できるということが生息の条件です。ところが、自衛隊の矢臼別演習場内を流れる別寒辺牛川の三つの支流、トライベツ川、フッポウシ川、西フッポウシ川に防衛施設庁が砂防ダムの建設を計画して、そのうちトライベツ川のダムは既に完成をしています。  私、この間、トライベツ川の砂防ダムを見てまいりました。元の川は幅二メーターくらいのとてもきれいな川ですね。ところが、そこに堤長二百十八メーター、高さ七メーターのダムが造られていました。元々この川は大変低木とか草に覆われていて、もう近づかなければそこに川があるかどうか分からないという状況で、でも川の中を見ると、魚や、あのときはヤツメウナギの稚魚ですか、が泳いでいました。  そういう状況なんですが、その堰堤ができることによって、周囲は幅二百メーター以上、長さ百メーター以上の広さで、木や草が刈り払われてしまって、川幅はダムの上下で最大六十メーターにまで広げられて浅い池のような状態になっていました。ダムの下流側に階段状の魚道が造られていましたけれども、ダム本体には低いところ、中間のところ、高いところと三か所、魚が通る穴が空けられていました。初めは下の方から使って、土砂が堆積していくとだんだん上の方を使うんだという、そういう説明でありました。  私は現地を見て非常に疑問に思ったのは、幅が六十メーターもあるよどんだ池から魚が端っこの方にある魚道に向かって本当にみんな行けるんだろうか、確実に見付けることができるんだろうか。ようやく見付かって上がったとしても、ダムの穴の上流側には流木よけの格子が付いている、大きなイトウが果たして上がったり下がったりできるのかというのを疑問に思いました。しかも、元々イトウというのは冷たい水にすんでいる。いるのに、すっかりその地域は開けてしまっているんですね。ですから、水温も高くなっている。冷たい水じゃなきゃすめないのに水温も高くなってしまうということなんで、これで大丈夫なんだろうかということも心配されました。  そもそもダムの建設に当たって、絶滅危惧種のイトウについて専門家の意見を聴いたのでしょうか。防衛庁、いかがでしょうか。
  88. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) トライベツ川のダムの設置に当たりまして、防衛施設庁としても、平成十一年度でございますが、自然環境調査いたしました。イトウの生息等がありましたので、同種の事例を参考にして魚道を設置させていただいた経緯がございます。ただし、その後、イトウの繁殖に関し懸念があるとの指摘もございますので、この点についてより適切な配慮を行う必要があると考えまして、現在、厚岸町と共同で有識者から意見の聴取を行うことをしておりまして、本年四月に専門家にお願いしまして検討委員会設置したところでございます。
  89. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ちゃんと調査をしていなかったんじゃないですか。ちゃんと調査をしていれば、こんなことにならないんですよね。  私は防衛施設庁から話を聞いていて、町にかなり任せてしまっているということを聞いていました。問題が起こってから、今のような検討委員会を設けて意見を聴くということになったわけですけれども、一回壊れた自然というのは元に戻すのはもう本当に容易じゃないんですよね。  七月十六日の北海道の道議会で、知事が演習場内も含めイトウの保護を目的にする調査をすると、私どもの大橋道議の質問に答えているわけですけれども、私は、環境省としてこのイトウのきちっとした道の調査について協力してやっていくべきだと思いますけれども、その点、いかがですか。
  90. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) これまでも、イトウの専門家というのは極めて少ないものですから、北海道の水産試験場の専門家とは議論をしながら、十一年に淡水魚のレッドデータブックを作ったときもそういう形でやってきております。今後、道の試験場が調査される結果は極めて重要なものであると認識しておりますので、協力しながらやってまいりたいと思っております。
  91. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 環境省として猛禽類の保護マニュアルで専門家の意見を聴くように求めているんですけれども、私は、その猛禽類以外についてもガイドラインを作るなどして、開発工事に当たって絶滅危惧種が発見された場合には必ず環境省と相談する、あるいは第三者的な専門家の意見を聴くなどして、何らかの措置が取れるようにすべきだと思うんですね。そうでないと、絶滅危惧種と指定したけれども、それをもう開発から守ることができないということになってしまう、今もそうなっているわけですけれども、これを何とか環境省として知恵を出して対応していくということを求めたいと思うんですが、いかがですか。
  92. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) この問題は、いつも環境委員会でも問題になります環境保全と開発と申しますか、そういうのの調整、希少生物を守っていく上でどうしたらいいのか、そういう問題に行き着くんだと思うんです。  それで、先生指摘の「猛禽類保護の進め方」というのは、特に保護と開発をめぐって問題事例が多いイヌワシ、クマタカ、オオタカにつきまして、各種の開発行為と猛禽類保護との調整を図るということを目的にいたしまして、保護方策の基本方向を示したものであります。  先生指摘のとおり、レッドデータブックに掲げております希少な野生生物につきましては、こういったような一つの進め方といいますか、基本方針ですね、これは定めてはおりません。定めていないんでありますけれども、しかし、環境基本法の中に事業者の責務といたしまして、事業者に適正に保全するために必要な措置を講ずるべき責任というものがあるということでございます。したがいまして、事業者が十分な調査を実施して、その結果を踏まえて、こうした希少生物の保全方策を検討することが基本となりまして、その際、必要に応じ科学的知見について専門家の意見を仰ぐものと、そういうふうに認識をいたしております。  環境省といたしまして、今後ともレッドデータブック、これを順次改定をいたしまして、絶滅のおそれの警鐘、こういうものを公表していくとともに、必要に応じまして事業者に対して保護の観点からの助言や意見の交換、さらには情報の提供、こういうものを行いまして、希少な野生生物の保護に努めてまいりたいと考えております。
  93. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 生物多様性ということを言いますけれども環境省がしっかりしていただかなければ、これはもう本当に風前のともしびという状態ですので、きちんとした対応を強く求めていきたいと思います。  それで、この砂防ダムの設置について、町は一番影響を受ける漁協に事前説明をしていなかったということで、砲弾演習による流出土砂の影響がどう出るのか、調査もしなかった。机上の計算しかしていない。現地では非常にこういうことを問題にしています。一体このような大きなダムが必要だったのか、これが今一番大きな問題となっています。むしろダムによる私は環境破壊の方が深刻だなということを現地を見て思いました。  絶滅危惧種イトウにとっては、ダムによる遡上、降下の阻害とともに、泥の流入、堆積による卵や稚魚の窒息がイトウの繁殖を脅かす大きな要因となるということです。川に土が流入すると、五百メーターくらいの範囲は産卵床に土がかぶって全滅すると専門家は指摘をしています。ダムが予定されているフッポウシ川と西フッポウシ川の場合、ダム建設予定地は着弾地から直接、直線距離で五キロ以上も離れています。川は非常にうねうねと曲がっていますので、そういう点ではかなり距離があると、実際には数倍の距離があるんじゃないかと思われます。しかも、そのイトウの産卵地はダム予定地よりはるか上流にありますから、ダムが土砂による被害防止に必要とは到底思えませんでした。  また、既にダムが造られているトライベツ川は、そもそも着弾地の近くを通っていないんですね。むしろイトウの専門家は、ダム建設のために造られた工事用道路、私も見てまいりましたけれども、立派な道路ができているわけですね。そういう道路による土砂流入の影響の方がずっと大きいと非常に心配をしておられます。  イトウの繁殖を阻害しないよう、フッポウシ川、西フッポウシ川のダム建設はやめる、トライベツ川については工事用道路による土の流入防止策を急ぐ、同時にトライベツ川ダムの環境復元対策を取る、私はこういうことが急がれていると思いますけれども、それを早急にやる、それから今後のいろいろな事業に当たって、今回の教訓を踏まえて、事前に十分な環境調査を行って、専門家の意見を聴いてきちんと対処をすべきだと思いますが、防衛施設庁、いかがですか。
  94. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 本件につきましては、先ほど申しました検討委員会におきます有識者の御検討を踏まえつつ、環境省を始めとする関係機関とも十分に調整いたしまして、イトウの保護を始めとする環境保護の観点から適切に対処していきたいと、こう思っております。
  95. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それで、今日、国土交通省と林野庁に、ダム建設に伴って、いわゆる環境に優しいダムを造るということでいろいろ努力をしてきていただいているんですけれども、その検証が本当に行われていないということがやはり一番今問題なのではないかということが言われています。それぞれ、時間がないんですが、一言ずつ今後の対応についてお答えいただきたいと思います。
  96. 海野徹

    委員長海野徹君) 簡潔にお願いします。
  97. 岡本正男

    政府参考人岡本正男君) 砂防事業を実施するに当たりましては、必要に応じて、先生おっしゃるように、自然環境調査を実施しております。その特性を踏まえまして、事業計画及び工事内容について周辺の自然環境と調和を図れるよう配慮を行っているところでございますが、今後ともそうした観点から進めていきたいと思っております。  よろしくお願いします。
  98. 梶谷辰哉

    政府参考人梶谷辰哉君) 事業効果の検証についてでありますけれども、事業を実施した都道府県等におきまして、これまでの事業によって回復された渓畔林等の植生の回復の推移、あるいは魚類等の生息、動物の生息の状況調査というものに取り組んでいるところでありまして、こうした調査を踏まえながら、今後事業をよりよくしていきたいというふうに思っております。
  99. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ありがとうございました。
  100. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。  私は、やはり、日本は六十年前に原子爆弾を被災し、大変大きな被害を受けました。そのことを頭にちょっと私はお話ししたいと思います。  私は、原子力発電に依存した現在の日本のエネルギー行政の在り方を今こそ改めるべきだと考えております。放射能を出す核分裂によるエネルギーの生産が環境面、そして人体面に良い影響を及ぼさないことは周知の事実でございます。この際、環境省は率先して脱原発によるエネルギー供給実現のために努力していただきたいと思うのです。環境大臣の御意見をお聞かせください。
  101. 小島敏郎

    政府参考人小島敏郎君) まず、地球温暖化の観点からについて御説明をさせていただきたいと思いますが、原子力発電は、温暖化の観点から申し上げますと、発電のプロセスで二酸化炭素を排出をしないと、こういう面からは地球温暖化の対策としては重要な柱でございます。温暖化推進大綱におきまして、エネルギーの需要面、それから供給面、いろんな柱がございますけれども、供給面の柱といたしましては、そういう観点から一つの大きな柱として位置付けております。  もちろん、先生がおっしゃいますように、原子力についてはいろんな側面がございます。したがいまして、温暖化推進大綱におきましても安全性の確保が大前提だということを明記しておりまして、この安全性の確保ということを大前提にしながら、地球温暖化の対策の観点からはやはり石炭火力よりも原子力の方が効果があるということでございまして、全体的に御判断をいただかなければいけないことでございますが、安全性の確保が図られるということを前提にいたしますれば、温暖化対策からは推進していくべきものというふうに位置付けております。
  102. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 今、温暖化について原子力のエネルギーはいいということでございましたけれども、やはり人体にいい影響を及ぼさないという事実はどうしても消えないと思いますので、私はやはり違うエネルギー源を探さなければいけないと思っています。  それから、次に参ります。  イラク戦争なんですけれども、イラク戦争が地球環境に与えている負荷について日本の環境省が率先して調査すべきではないかという趣旨の質問を先日させていただきました。そして、日本だけが突出して調査することはできないといった趣旨の答弁をしていただいたと記憶しています。  しかし、私は、むしろ日本は率先してそのような調査を行っていくべきだと考えるんです。地球環境の視点から、内政干渉という言葉は無用の長物だと思います。調査を行っていくべきと考えます。地球環境の視点から内政干渉という言葉はあり得ないと思います。なぜならば、人類は地球という一つの星の環境を分かち合っている仲間だからです。私は、イラクに攻撃を与えるやり方の方が内政干渉だと思います。地球環境の前では人間にだけ通用する国境は意味をなさないと思います。  大臣、最近、アメリカでも、この度、イラクでの戦争に突入したことの是非が問われるようになっていっているのを御存じだと思います。この点について大臣のお考えがまだお変わりないか、もう一度環境のことについてお尋ねしたいと思います。
  103. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) イラク戦争が終結を一応戦闘という意味ではしたわけでございますけれども、しかしながら、このイラク戦争が地球環境に与えた影響というものにつきましてはいまだ詳細な情報というものは得られていないということでございます。  復興後、イラクに安定政権というものが成立した暁には、国際的な枠組みの中でイラク戦争による環境影響を含めて新政権との情報交換が進められるということが想定をされるところでございまして、そういった議論の中で日本に何が求められるのか、そしてどういうことを日本がすべきなのか、そういうことを踏まえまして、今後、我が国としてどのような環境協力を行っていくことが望ましいかということについて、関係省庁とも連携をしつつ、検討をしてまいりたいと思います。
  104. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 やはり環境というのは全体的に影響あることですから、イラクの軍事に賛成するのではなく、環境のことに是非協力していただきたいと私は思います。  また、私、この質問は何度も何度も繰り返しになってしまうのですが、重要な問題だと思うので、再度質問いたします。  京都議定書が認めている一九九〇年のCO2森林吸収量をゼロとして未来の森林の吸収量をそのまま計算するという方法はどうしても納得がいかないんです。日本はたとえ議定書のルールがどうなっていても、森林吸収量の増加のみを算定するという方法を取っていただきたいと私はなお思うのですけれども大臣の御意見を伺わせてください。
  105. 小島敏郎

    政府参考人小島敏郎君) 京都議定書とマラケシュの合意、京都・マラケシュ・システムでございますけれども、そこにおきます吸収源の算定の仕方は先生の御指摘のとおりでございます。  しかし、この吸収源の算定の仕方というのは、交渉のプロセスでもそうですが、数値目標、それから京都メカニズム、あるいはその余った分は次の期にためることができる、いわゆるバンキングと申しますけれども、そういう様々なルールとのセットで最終的には合意をされたものでございます。これが締約国の全体の合意でございますので、これが国際社会におけるルールだと思っております。  第一約束期間の六%の削減という日本の目標を達成いたします上で、そのルールにのっとって努力をしてまいりたいと思っております。逆に、吸収源で更に余分が出れば、これはもうバンキングということで、また次の期に繰り越すことができるわけでございます。  とにかく、六%目標ということにつきましては、合意されたルールにのっとってやっていきたいと思っております。
  106. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 お言葉ではありますけれども、その算定量では地球温暖化に向けて努力するのが少し少なくなってしまうと思うので、私は少々問題があると思っています。  それでは、どうも、今日は終わります。
  107. 田英夫

    ○田英夫君 政府は今、戦没者の追悼のための施設を作る問題で官房長官を中心に検討を始めると、こういうことになっているわけですが、そのまず第一として、既設の、既にある千鳥ケ淵墓苑の問題でお聞きしたいと思います。  これは厚生労働省、厚生省時代ですが、戦後間もなくから遺骨収集をやられて、これは大変な御苦労の多い仕事だったと思いますが、南方の島々、ガダルカナルとか、そういうところを始めとして遺骨を収集始めて、その集まった遺骨の中で身元不明の方々の遺骨を納めたのが千鳥ケ淵墓苑と、こういうことでありますが、昭和三十四年にできたと思います。  ところが、これは私、遺族の皆さんあるいは関係者の皆さんからお聞きをしたんですが、遺族の方々は大変熱心に、当然のことかもしれませんが、自分たちの肉親ではないかと、また、そう思いたいと思います、そういう気持ちから、あの墓苑が本当に自分たちの肉親がいるとすれば、ちゃんとしたものかということをいつも気に掛けておられると。  その意味で、いわゆる墓地を作る法律、墓地、埋葬等に関する法律というのによりますと、墓地を作る、そこにお墓を作るという場合は、そのそこの自治体に対して、ここにお墓を作りたいというそういう届出をしなければいけないという手続がありますが、どうもそれしていないようだと、厚生省は。そういうことを主張しておられるんですが、厚生労働省はおると思いますが、この点はどうなっておりますか。
  108. 新島良夫

    政府参考人新島良夫君) 千鳥ケ淵戦没者墓苑でございますけれども、御承知のように、これは遺族に引き渡すことのできない戦没者の御遺骨を納めるための国の施設であるということでございまして、墓地、埋葬等に関する法律、墓埋法と言っておりますけれども、この法律によりまして、死体又は焼骨を土中に葬る施設を墳墓、あるいはその墳墓を設けるための区域を墓地というふうに規定をしているところでございます。千鳥ケ淵戦没者墓苑の納骨室等につきましては、遺骨を土中に葬るのではないということから墳墓に当たらない、したがって墓地にも該当しないというふうに考えております。  また、墓埋法によりますと、他人の委託を受けて焼骨を収蔵する施設を納骨堂と規定をしております。墓苑の納骨室につきましては、国が他人の委託を受けずに遺骨を収集するものであるということから、墓埋法に言います納骨堂に該当しないというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、千鳥ケ淵戦没者墓苑の納骨室等は、墓埋法に規定します墓地あるいは納骨堂には該当しないということで同法の適用を受けていないというふうに考えておりまして、したがいまして、知事から同法に基づきます許可を受けていないというふうに考えてございます。  なお、墓埋法につきましては、墓地等の管理が国民の宗教的感情に適合し、かつ公衆衛生その他公共福祉の見地から支障なく行われるための法律というふうに考えておりますけれども、墓苑につきましては、遺族に引き渡すことのできない戦没者の御遺骨をお納めするという国の施設であるということでございまして、その目的とするところが異なるというふうに考えております。
  109. 田英夫

    ○田英夫君 遺族にも今言われたと同じようなことを答えられているようですが、遺族のお気持ちとしては、自分たちの一族がそのお骨として祭られているんじゃないかというお気持ちですから、ちゃんとした手続を踏んで、もう墓地だと、お墓だと、こう思いたいんですね。そういう気持ちを温かく受け止めていただくのが本当の仕事だと思うんですが、いかにもお役所式な、悪い意味のお役所式な考え方じゃないか。その意味で、遺族の皆さんは非常に怒っておられるんですよ、この問題を。ですから、私はまず第一にそのことを取り上げたんです。  さらに、遺族の方々が気にしておられるというか、元々、今言われたように、あそこに無名戦没者の墓と書いてありますから、身元の分からない方、御遺族が分からない方の遺骨をということのはずなのに、実は身元が分かっている方の遺骨も、少数ですが、三十何柱あると。これは一体どういうことなんだと。  もちろん、遺族分かっているけれどももう後が絶えてしまっているとか、あるいは、いろいろな家庭の事情で遺族がお骨を引き取ってくださらないという、そういうケースもあるんだと思いますが、そういうことについてさえ、遺族の皆さんは非常にやはり、どうなっているんだと、こういうことを言っておられるということだけ申し上げておきます。  いずれにしても、あの場所は、最初に厚生省が作られたときにはこんなに無名のお骨が集まるとは想定しなかったのかもしれませんけれども、あそこに行くと、六角堂という六角の屋根のお堂ができていて、そこに、下にコンクリートで固めたところがあって、そこにお骨を入れているわけですが、もうあふれてしまって入らなくなって、いつの間にか、遺族の方も知らないうちに裏側の植え込みの中に新しくコンクリートの箱のようなものを作って、そこに納めたと。  ところが、そのことを公表し、また現地にそういうことも立札も何にもなかったものですから、お花見どきに、あの千鳥ケ淵は桜が多くてきれいですから、これはいいところがあると、コンクリートの六畳か八畳ぐらいの広さですから、その上に敷物を敷いてお酒盛りをしていた人がいたと、こういう話もあるぐらいで、実際、何も書いてないから分からなかった。  今は、そのことを遺族から指摘されて、ここにも遺骨が納めてありますから立ち入らないでくださいという立札が立っている。それも見てきましたけれども、それにしても、六角堂の方には献花をする台もありますし、そういう雰囲気が作られていますが、その後ろの方は献花をすることもできない。植え込みにお花を立て掛けていかれる方もありますけれども。  そういうことを見ても、私のような戦争で生き残った立場からすると、本当に、同じ世代の同じ戦争に行って亡くなった人のお骨が納められているということからして、いかにも冷たいんですね。そこは一つまず考えるべきじゃないかと、こう思いますけれども。  この千鳥ケ淵の墓苑というものを一体今後どうされるのか。もう今でさえ六千柱くらいのお骨が厚生労働省の中にあると聞いておりますが、まだ遺骨収集を続け、シベリアなどもこのごろやっておりますからまだまだ増えるかもしれないという状況の中で、あの墓苑をどうされるつもりなのか、これは厚生労働省、それから管理環境省ですから、お答えいただきたいと思います。
  110. 新島良夫

    政府参考人新島良夫君) 墓苑の改修の関係について若干申し上げますと、委員指摘のとおり、六角堂につきましては、容積が少なくなったということで、平成二年度と十一年度、六角堂の裏に当たりますけれども、納骨室の増設を行ったところでございます。  さらに、墓苑の構造等につきましていろいろ関係者から御意見がございました。今御紹介ありましたような御意見がございまして、よりふさわしい施設にしたいということで、昨年度改修をするということで改修したわけでございますが、改修に当たりましては二度にわたりまして遺族等関係者から意見を聴取いたしまして、どういう形にしたらいいかという意見を踏まえまして、六角堂と増設納骨室の一体感を作る、あるいは増設納骨室の存在を明確化するというようなことで、十四年度に改修をしたわけでございます。  今後のことでございますけれども、現在、納骨のスペースとしましては約三分の一程度今入っておりまして、当面、納骨スペースは確保されているのではないかというふうに考えておるところでございます。
  111. 田英夫

    ○田英夫君 そこで、もう一つは靖国神社の問題がありますね。実は、千鳥ケ淵の墓苑は正に遺骨があってそれを納めている言わばお墓で、しかもそれは身元の分かったお骨はもう遺族にお返しすると。分からないものをあそこに納めてあるということで、それはそれなりに慰霊の施設という意味があるかもしれませんが、一方、靖国神社、これこそ戦争で亡くなった人の慰霊の施設だと。  小泉総理などもそういう意味のことを言われますね。問題になって、中国などから問題にされたときに、戦争で亡くなった、国民のために命を捧げた方の霊を慰めて何が悪いんだという意味のことを言われる。  しかし、それは私に言わせれば極めて不勉強だと思いますよ。靖国神社というのは戦争で亡くなった軍人の慰霊の施設なんですね。明治二年の戊辰戦争を戦って死んだ、しかも官軍の兵士、軍人を祭ってある。別に遺骨があるわけでも何でもない。神道にのっとって、つまり、特定の宗教にのっとってあそこにお社を建てて、初めは招魂社という名前だったんですね。それを明治天皇が靖国神社と名付けられたということを聞いておりますが、あくまでも軍人の施設なんですよ。  ですから、同じ軍人でも、戦争で亡くなった方々、例えば日清戦争の陸と海の英雄と言われる乃木大将と東郷元帥は靖国神社には祭っていない。もちろん、それぞれ神社ができていますけれども。逆に、不思議なことに、戦後になって昭和三十何年にA級戦犯が祭られる。これは、政府も知らないうちに宗教法人靖国神社がそういうことをやられた。そのA級戦犯の中には軍人でない人がいる。その意味でも不思議なんですね。  そういう靖国神社、それが今では新しい憲法の中で、これは一宗教法人の作っている神社なんですね、慰霊の施設であることは間違いないけれども。しかも軍人に限られている。日本には戦争で亡くなった一般の方、民間の方の霊を祭る、そういうものがないんですよ。これは本当に、第一次世界大戦以後の戦争というのは軍人よりも一般の人の死者の方が多いという近代戦争の特徴があります。  その意味を含めて、例えば広島、長崎や東京の大空襲や、様々なそういうところで亡くなった方々、非常に多い。にもかかわらず、その方々、本当に、むしろ軍人は戦争をするという仕事を与えられた者ですが、一般の方は何の関係もない。その方々が多数亡くなっているにもかかわらず、その方々の霊を慰めるという施設が日本にはない、これは誠におかしなことだと思います。  そういう意味で、二〇〇一年でした、外交防衛委員会で私はそのことを同じように取り上げました。これに対して、私はそのときに、そうした施設を国として作るべきだと、新しく。それこそ天皇陛下のお許しを得て半蔵門のあの緑豊かなところに作ったらどうかと思うという提案をいたしましたら、田中真紀子当時の外務大臣が、私も同じように思っていたと。新宿御苑がどうかなと思っていたという答弁をしておられます。これは速記録に残っているはずですが。  それは、いずれを取るかは別にして、そういうことの中から、今、福田官房長官を筆頭にしてその問題を、新しい施設を作るということが検討され始めていると思うんですけれども環境省はそういうことになってくると極めて大きな役割を果たしていただきたいと思いますが、内閣官房を中心に進めておられるので、今その計画がどの程度進んでいるか、来年度予算に予算を計上するということも報道されておりますけれども、その辺のことをお答えいただきたいと思います。
  112. 村上康聡

    政府参考人村上康聡君) ただいま委員から御指摘がございましたように、平成十四年の十二月二十四日に、官房長官の下の追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会から官房長官に対して報告書が提出されております。  その中では、「二十一世紀を迎えた今日、国を挙げて追悼・平和祈念を行うための国立の無宗教の恒久的施設が必要である」というふうに盛り込まれてございます。さらにこの報告書では、「本懇談会で検討した事項は、いずれも、国民的な議論を踏まえ、最終的には政府の責任において判断されるべき重要な事柄である。」との提言がなされておりますことから、現在、政府といたしましては、新たな国立の施設についての国民の間での議論を注視し、国民の世論の動向を見極めているところでございます。ただいま委員から御指摘いただきました点や委員の御意見は大変貴重なものであると受け止めさせていただきたいと存じます。  政府といたしましては、新たな国立の施設について、本日の委員の御指摘や御意見も含めまして、引き続き国民の間での議論を注視し、国民の世論の動向を見極めてまいりたいと考えております。その上で、懇談会の意見を踏まえた上で政府としての今後の対応を検討してまいりたいと思います。  それから、来年度の予算案に概算要求をするかどうかという御指摘の点につきましては、そういうことから、現段階では未定でございます。
  113. 田英夫

    ○田英夫君 時間がありませんが、最後に大臣から一言、お気持ちを聞かせていただきたいと思います。
  114. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) この戦没者等の新しい慰霊施設の設立の問題につきまして、私も官房長官の下で懇談会が開かれて昨年の十二月に報告書がまとめられたということは聞いております。そして、今後その報告書を基にどういうふうに対応していくのかということが検討されるということでございますので、政府の一員としてその検討を見守ってまいりたいと思っております。  ただ、一つ思いますのは、やはり戦争によって亡くなられた方のみたまをお慰めすると、そういう性格のものでございますから、やはり国論が、国民世論が大変に関心がまだ低調なうちに、あるいはいろんな意見が分裂している中で、片方の意見を取ってそれを進めていくということは物の事柄上問題があるのではないかと思います。  そういう意味では、率直に言って、国民の皆様方の議論というものも盛り上がっていない現実でございますので、これから国民の皆様方の議論というものを喚起をしながら、そして一〇〇%とはならなくても国民の多くの方がもうやはり大体こうであろうというような国民的合意の下で進められるべきものではないかと、そのように考えております。
  115. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  116. 海野徹

    委員長海野徹君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  117. 海野徹

    委員長海野徹君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環境の保全のための意欲の増進及び環境教育推進に関する法律案の審査のため、本日の委員会環境大臣官房廃棄物リサイクル対策部長南川秀樹君及び環境省総合環境政策局長松本省藏君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 海野徹

    委員長海野徹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  119. 海野徹

    委員長海野徹君) 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育推進に関する法律案を議題といたします。  提出者衆議院環境委員長松本龍君から趣旨説明を聴取いたします。松本龍君。
  120. 松本龍

    衆議院議員松本龍君) ただいま議題となりました法律案について、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  今日の環境問題は、廃棄物問題や自動車公害などの地域的な問題から、地球温暖化や生物多様性の危機などの空間的、時間的広がりを持つ問題にまで拡大、深刻化しており、取り組むべき課題が山積しております。  これらの課題を解決するためには、循環型社会の形成を目指し、現在の社会経済活動や我々のライフスタイルを根本から見直すことを通じて、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築していく必要があります。  また、昨年のヨハネスブルグ・サミットにおいて我が国が提案し、同年十二月の国連総会において採択された決議では、二〇〇五年から始まる十年を「国連持続可能な開発のための教育の十年」と宣言することが決定されるなど、環境保全を担う人づくりを進める機運が内外で高まっております。  このような環境問題に適切に対応するためには、国民、事業者、そして民間団体による自発的な環境保全活動とその促進のための環境保全に関する意欲の増進及び環境教育が重要であることから、本案を提出したものであります。  次に、本案の主な内容について御説明いたします。  第一に、基本理念として、環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育は、国民、民間団体等の自発的意思を尊重しつつ、多様な主体がそれぞれ適切な役割を果たすこととなるように行われるものとすること、また、体験活動の重要性を踏まえ、多様な主体の参加と協力を得るよう努めるとともに、透明性を確保しながら継続的に行われるものとすること等を定めております。そして、国民、民間団体等、国及び地方公共団体について、基本理念にのっとった責務を定めております。  第二に、政府は、環境保全の意欲の増進及び環境教育推進に関する基本方針を定めなければならないものとするとともに、都道府県及び市町村は、基本方針を勘案して、その区域の自然的、社会的条件に応じた方針、計画等を作成し、公表するよう努めるものとしております。  第三に、国、都道府県及び市町村は、学校教育及び社会教育における環境教育推進に必要な施策を講ずるものとし、また、民間団体、事業者、国及び地方公共団体は、職場における環境保全の意欲の増進又は環境教育を行うよう努めるものとしております。  第四に、環境保全に関する知識及び指導能力を有する者を育成し、又は認定する事業を行う国民、民間団体等は、当該人材認定等事業について、主務大臣の登録を受けることができるものとしております。  その他、人材の育成又は認定のための取組に関する情報の収集、提供、環境保全の意欲の増進の拠点としての機能を担う体制の整備、国民、民間団体等による土地等の提供に関する措置、協働取組の在り方等の周知、国及び地方公共団体の財政上、税制上の措置情報の積極的公表等について定めております。  なお、この法律に基づく措置を実施するに当たっては、国民、民間団体等の自立性を阻害することがないよう配慮するとともに、その措置の公正性及び透明性を確保するために必要な措置を講ずるものとしております。  また、政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。  以上が本案の提案の趣旨及び主な内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  121. 海野徹

    委員長海野徹君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  122. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 自民党の小泉と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。  待望された法案がこういう形で提出をされまして、私も質問をさしていただけること、大変に光栄に思っております。  私は、かつて教育にかかわっておった経験もあります。特に生物教育というような分野に携わっておった経験がありまして、その経験があるから言うわけではありませんけれども環境教育の重要性というものは非常に大きいということをかねがねから思ってまいりました。  今、一般に環境教育というと自然科学的な教育あるいは理科教育の中での一分野というような認識もあるかもしれませんけれども、私は、国語教育の中にあっても環境教育というものはあると思いますし、社会科の教育の中にあっても環境教育というものはあると思うし、また芸術の教育の中にあっても環境教育というものは存在をし得るというふうに考えています。午前中に藁科先生の方から環境科というような新しい教科についてのお言葉もありましたけれども、私は全く同感でありまして、本当に新しい立場から、文部科学省なんかでも環境科といったような教科を考えていくような必要もあるのではないかというふうに考えたりもしております。  先日、この法案の原案作りに大変御努力をいただきました鈴木先生、お話をお聞かせをいただく機会がありましたけれども、冒頭、先生がおっしゃいましたお話に、この法案を作られる背景として、長崎におけるこの間の不幸な事件、あるいは神戸における少年の犯罪の事件といったものを引き合いに出されながら、子供たちの心の問題、そのようなものを踏まえていろいろお話しをいただきました。  私は、冒頭にそういうお話を紹介をしていただいたことについて、大変力強いものを感じましたし、大変うれしいものがありました。それほどに環境教育というもの、あるいは子供たちの心を健全に育成をしていくということが非常に重要といいましょうか、非常に広範なものであるというふうに思っております。特に心の荒廃ということが声高に叫ばれまして、心の教育の重要性というものが叫ばれる中で、やはり人間の感性というものを豊かに陶冶をしていく上で、やはり自然との触れ合いというものは大変大切であるというふうに思っております。  先ほど申しましたように、環境教育というのは、したがいまして大変範囲が広いわけでありまして、細かに定義をするということは大変難しいわけでありますけれども、しかし一方では、今言いましたように、やはり心の教育ということについては大変大きな役割を果たすものだというふうに思っております。  そういう意味で、今回の法案は私は大変歓迎をしているわけでありますけれども、提案者の先生方は、この法律によりまして環境教育推進、さらには環境保全に対する意欲を国民的に増進をしていくということ、さらには国民に豊かな自然観というものを育成をしながら、多様な主体がこの問題に積極的にかかわっていくという願いを持っての提案であろうというふうに思うわけでありますけれども、繰り返しになるかもしれませんが、この提案に至りましたその背景につきまして、先生の御所見を改めてお伺いをしたいと思います。
  123. 松本龍

    衆議院議員松本龍君) 今、先生が御指摘になられましたように、環境問題というのは本当に幅広く存在をしております。正に、廃棄物の問題あるいは自動車公害の地域的な問題から地球温暖化の問題に至るまで、時間的、空間的な広がりを持ち、拡大をし、深刻化しています。そういう意味では、喫緊の課題であるというふうな認識をそれぞれが持っております。  今、お話しされましたように、長崎の問題あるいは沖縄の問題等々、こういった痛ましい子供たちの事件を見るにつれ、やっぱり命を大切にしてほしい、地球を大切にしてほしい、そういったものに、自然を大切にすること、そういった大きな目的を共有する、子供たちが共有することによってそれに立ち向かっていく姿も必要だなというふうに思っているところであります。  そういう観点から、各党間で真摯で幅広い協議をいただいて、議論を経た上で本法案を提案したところであります。これによって、現在の社会経済活動あるいは国民一人一人のライフスタイルが根本的な見直しにつながっていけばというふうな期待を持って御提案を申し上げました。  以上です。
  124. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 どうもありがとうございました。  この法案によりますと、いわゆる環境教育というものにつきまして環境大臣がかなり積極的にかかわっていただけるような方向が示されております。  従来、教育といいますと、文部科学省のそれこそもう独占的な問題であるというような認識もありまして、特にこの教育の問題につきましては縦割り行政というものの問題が指摘をされているわけでありますけれども、今言いましたように、これからは環境大臣が主体的に学校教育、さらには社会教育といったものについて大きくかかわりを持っていただけるというふうになるわけでありまして、大変これは画期的なことだというふうに思っております。  私は、環境教育という仕事といいますか内容も、これは環境行政の中の非常に大きな分野であるというふうに常々思っていますけれども、今回こういう法案が出てきまして、環境大臣が積極的にその環境教育ということについてかかわっていただけるということ、この点につきまして大臣の御所見をお伺いをさしていただきたいと思います。
  125. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 環境の世紀を迎えまして、環境教育、大変重要な分野であるわけでありますが、このたび議員立法においてこういうような法案を提案していただきましたことに心から敬意を表したいと思います。  衆議院提案ということでございますが、それぞれの党派において検討をなされたわけでありまして、各党の中において参議院の先生方にも大変御努力をいただき、併せて感謝を申し上げたいと思っているところであります。  この法律の第七条におきまして、環境教育等の推進に関する基本方針、この作成を環境大臣が文部科学大臣と共同して行うということにされているわけでありまして、従来以上に環境教育につきまして環境省がかかわりを持つことができるようになったと、そのように認識をしておりまして、今後、文部科学省との連携をより強めまして、更に積極的に環境教育推進していきたいと、そのように考えているところであります。  また、この法律では、国民、民間団体、事業者の行う環境教育環境保全の取組に対する様々な支援措置に関する規定が定められているところでありまして、政府全体として積極的にこのような施策を進めまして、また国民、民間団体、さらには事業者が携わることによりまして学校や社会の場における環境教育が促進されて、ひいては我が国における環境教育全体が飛躍的に拡大することを期待したいと思いますし、また環境省環境教育推進のために今まで以上の努力をさせていただきたいと考えるところであります。
  126. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 是非ともよろしくお願いをしたいと思います。  先ほど言いましたけれども、私自身環境教育というのは環境省の仕事の中の非常に大きなものであるというふうに理解をしております。積極的に子供たちの健全育成といいましょうか、子供の心の、あるいは自然観の豊かな育成のためにも環境省がどしどし発言をしていただけるようにお願いをしておきたいと思います。  この法律ができますと、この法律が本当に実効のあるものとするために温かい血を流していかなければいけないわけでありまして、そのためには、それぞれの条文が目標としているところを着実に実現をしていくということが大切なわけでありますけれども、まず第九条、第十条などですが、これは人材の育成ということにかかわる点であります。学校の教員の資質をどう向上するのか、あるいは社会教育の中で指導者をどういうふうに育成をしていくのかという問題、さらには第九条では拠点の整備というようなことがうたわれております。  かつて私はこの委員会で、社会教育における博物館の役割あるいは水族館の役割というようなことを多少議論をしたこともあるわけでありますけれども、提案者の先生方は、この人材の育成、さらには拠点整備ということにつきましてどのような展望をお持ちなのか、御紹介いただければ有り難いと思います。
  127. 鈴木恒夫

    衆議院議員鈴木恒夫君) 私から御答弁さしていただきますが、この法案の環境保全の意欲を増進をし環境教育推進する、このかぎは、実は御指摘のとおり、人材をどう育成をして活用するか、それから、そうした活躍の場をどう我々が整備を、政府側を中心として整備するかという二点でございます。  いっときに比べまして、民間の方々が環境に関する関心は非常に高く私はなったと思っておりまして、民間団体の力を、これは小さなNGO、NPOから大きなものまで様々、各地で活動されておりますので、この方々にいわゆる環境の基本政策のキーワードでございます参加の意識を持っていただいて官と民が一体になって環境教育を進めると、これがこの法案の一番の大きなねらいでございます。  委員長申されましたけれども、私は、ある映画監督が、日本人は魂を見極める気力を失ってしまったと発言をされまして、確かに、この手のひらに生きとし生けるものを見詰める、これさえもう少しチャンスを与えてあげれば、酒鬼薔薇の事件にしても、およそこの凶悪事件は、完璧に人間の社会でございますからなくすことはできないにしても漸減さしていくことができるのではないかと考えておりまして、そうした意味で、官民の力の結集と、それから拠点整備と。  NGO、NPOの方々からは、例えばリーダーを育成するための研修センターみたいなものも作ってくれないかという具体的な要望もございまして、役所側に既にお願いしてございますが、恐らく今度の概算要求で要求してくれるものと私は期待しておりますが、そうした場の整備も進めたいと考えているところでございます。  予算の確保という問題がございます。今度の法案ではそこまでなかなか手だてが付きませんですけれども、具体的に何らかの方法で来年度からでも環境教育のための予算というものを、議員の皆様方の力もおかりしながら政府側にぶつけて、少しでもいい状況に、予算という意味でも対策を進めさせたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  128. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  この法案が衆議院から参りまして本院に付託されたときに、実は本年二月十九日、提出をいたしました、私ども民主党から提出をさせていただいた環境教育振興法案を、これを下ろさせていただきました。  経過、いろいろありましたものですから、思い入れのある法律案でありましたけれども、衆議院での様々な先生方の御努力によりまして我々の思いが大分込められた法案が送られてきたということで、気持ちよく下ろさせていただきました。  そんな中で、この参法のよき理解者でありました小林衆議院議員にお伺いをしたいわけでありますけれども委員長提案にまとまるまでの間、どんな御主張をされたでしょうか。その辺、御答弁をお願いしたいと思います。
  129. 小林守

    衆議院議員小林守君) 小川委員の御質問にお答えをさせていただきます。  民主党では、二〇〇一年から具体的な環境教育推進の在り方について検討を始めてまいりました。そして、お話がありましたように、本年の二月の十九日に、参議院に環境教育振興法案を提出させていただきました。法案では、環境教育の基本理念を定め、その理念に沿って政府が環境教育の基本計画を、そして都道府県、市町村が環境教育計画を定めて、総合的、計画的に環境教育推進することといたしております。  したがいまして、民主党案の内容に沿った形で与党法案の内容について修正提案をさせていただきました。特に、基本理念の部分につきましては、人と環境とのかかわりについての理解と関心という点、あるいは生活全般や社会経済活動における環境負荷の低減、持続可能な社会の構築への主体的参画、地域の多様性と伝統的文化の尊重、歴史、文化との調和、地球環境全体についての広く深い理解、このような視点に立って、理念のところについて修正の協議をさせていただいた経過がございます。  そして、法律の外ではございますけれども、総合的な環境教育の在り方について、今後、超党派で議論を進めることを提案をさせていただき、理解を得られたものであると考えております。  一人一人が人と環境とのかかわり合いについての関心と理解を深め、生活の全般にわたり環境への負荷を低減し、持続的発展が可能な社会の構築に主体的に参画できるような教育が行われるようになることを民主党としては期待をしております。  以上でございます。
  130. 小川勝也

    ○小川勝也君 私ども法律環境教育の振興ということがメーンでありました。しかし、衆議院から送られてきた法律案を見ますと、環境の保全のための意欲の増進という項と環境教育推進という二項立てになっております。この辺、大変、我々の環境教育の振興というよりも若干複雑になっているわけでありますので、政府に対しても運用が結構大変なんだろうなというふうに心配をしているところがございます。  様々、この衆法の委員長提案にまでこぎ着ける間に御努力をされました小林衆議院議員にまたお伺いをしたいわけでありますけれども、こういった点から、政府には運用上どういった点に留意をすべきかというアドバイスをいただければというふうに思います。
  131. 小林守

    衆議院議員小林守君) 法律の運用に対しまして申し上げたいことはたくさんございますけれども、特に申し上げたいことは、学校教員に対する研修の組織的、計画的な徹底ということでございます。  今の学校の先生方の中には識見も豊かで熱心な先生も個人的にはいらっしゃいますけれども環境教育についての専門的、体系的な知識を十分に持ち合わせているとは言えない現状ではないかと思います。自然体験をするのは結構でございますけれども、何を目標としているのか、あるいはその結果を社会に対してどのように生かしていくのかということなども含めまして、総合的な環境教育でなければならないだろうと、このように考えます。  また、人材の認定事業の登録制度でございますけれども、やはり客観性、透明性の高い制度でなければならないというふうに思います。人材認定の内容や実績、そして認定に係る費用などについては市民がしっかりとチェックできるような、そういう観点からも公開することが必要であると考えております。  また、環境教育は既に様々な場で行われておりますが、市民団体、企業、地域の方々の現場での取組が持続可能な社会づくりに生かされるような運用を是非ともお願いしたいと考えております。
  132. 小川勝也

    ○小川勝也君 次に、政府にお伺いをしたいわけでありますけれども、この法律は、現場で環境教育の指導といいますか、その教育に当たる人を中心にとらえられている法律だろうというふうに思います。そうしますと、そのフィールドによりまして様々な省庁にまたがっている。そのことに関していうと、いろんな省庁にまたがる案件をやはり環境省としてしっかりイニシアチブを取っていかなければならないんだろうというふうに思います。  そういった点で、この法律が成立した後の環境省の他省との連携についての意欲についてお伺いをしたいと思います。
  133. 松本省藏

    政府参考人松本省藏君) 環境保全活動あるいは環境教育推進につきましては、環境省としては従来から大変積極的に取り組んできたつもりでございます。  また他方、関係各省庁それぞれ、例えば河川とか森林とかあるいは海辺、それぞれのフィールドにおきまして様々な活動をやってきて、それへの支援あるいは環境教育のための取組がそれぞれ行われてきたわけでございます。また、学校におきます環境教育推進につきましては、文部科学省が御承知のとおり教育課程への盛り込みなどの取組を順次やってきていただいているということでございます。こういうことで、今、先生がお話しございましたように、従来は各省がそれぞれの持ち場で独自に環境教育等に取り組んできたというのが実態ではなかったかと思います。  しかしながら、環境保全活動あるいは環境教育推進を行っていくためには、これからは共通の基本的理念の下で関係各省が協力、連携をいたしまして、しっかりと実施をしていかなければならないというふうに思います。  この法案の施行に当たりましては、各省と密接に協力、連携をいたしまして、縦割りとの批判を受けないような運用に環境省として努力をしていきたいというふうに認識をいたしております。このため、今後は、例えば文部科学省環境省との間では既にそれぞれの副大臣をキャップといたします協議会を設けてございます。その協議会をより積極的に活用していく必要があろうと思っております。  また、それ以外の省との連携についても更に意を用いていきたいと思いますし、それから、この本法案に基づきます基本方針、これを作るわけでございますが、各省と十分な連携を取りながら、そしてその中で環境省のリーダーシップを発揮しながらまとめていくというのが当面の最大の課題かと思っております。決意を新たにいたしております。
  134. 小川勝也

    ○小川勝也君 先進国の事例を見ても、恒久的な環境教育にかかわる法律を作ったということでいうと、日本は相当進んでいることなんだそうであります。そのことも踏まえて、自然体験型、この地球が成立して以来、我々がどういうところに生まれて生活をしてきたのかということを様々な場面を通して勉強していくということは、先ほど来、心の問題も出てまいりました、そのほかの分野にも影響する大変重要な分野だろうというふうに思います。  この法律をしっかりと環境省や政府は運用していただきまして、未来に向けてすばらしい法律になるように運用していただくことを御祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  135. 福本潤一

    福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  今回、環境教育推進に関する法律案議員立法で衆議院でまとめられて、衆議院通過、こちらの方へ送っていただく、またそういう御努力をされた方々に対しても敬意と、また私も感謝の念を持って質問させていただこうと思います。  と申しますのは、こういう環境教育推進に関する取組、多くの方が環境の重要性を感じられて、国会議員の方々のみならずNPOの方も含めて熱心に取り組まれてきたところでございます。公明党の場合、二〇〇〇年、循環型社会形成推進基本法を通すときに大きな思いがございまして、野党時代にダイオキシン法案を通した後、これからは二十一世紀、環境の世紀にしていかなきゃいかぬと、そういう思いがございまして、与党入りするときの政策の中にも、二〇〇〇年をある意味では循環型社会元年というような思いで、二十一世紀、環境の世紀にするための思いを込めて政策を作って与党入りしたわけでございます。  そういう中、この法律ができた直後に私も質問主意書をあの当時環境省に出しまして、その質問主意書の中身が今回法案の中にも大いに取り入れられているという思いがしております。この質問主意書のテーマは、「循環型社会形成推進の基礎となる環境教育環境学習に関する質問」というのを出させていただきました。ですので、今日は環境省にも来ていただいておりますが、法案提案者の方々、様々質問されたと思いますが、まず先に、この二〇〇〇年、循環型社会元年と言われた年から今日まで三年間ございました。環境省としましても、環境教育に対して熱心な取組をされたんだろうと思います。ですので、具体的にこの三年間、環境省として環境教育に対してどういう取組をしていかれていたか、これを概数的に先に聞かせていただいて、その上でまた細かい質問に入ろうと思います。
  136. 松本省藏

    政府参考人松本省藏君) 今、先生お話ございました平成十二年の六月に質問主意書をいただいております。この質問主意書に対しましては、私ども平成十一年の十二月に中央環境審議会から「これからの環境教育環境学習」という題の答申をいただいておりまして、その答申の内容を踏まえて答弁を作成し、お答えをさせていただいたということでございます。  この先生からの質問主意書への答弁書提出後におきましても、環境省といたしましては、この中央環境審議会答申に沿いまして取組の強化をしてきているつもりでございます。  少し具体的に例を申しますと、平成十二年十二月に環境基本法に基づきます環境基本計画の改定を行いました。その際に、環境基本計画におきまして環境教育環境学習の推進という柱を十一の戦略的プロジェクトの一つとして明確に位置付けをさせてもらっております。それから、十三年一月に環境庁から環境省に昇格をいたしたわけでございますが、環境省としての環境教育を総合的に推進していくという観点から、新たに総合環境政策局に環境教育推進室というのを設けてこれに当たっているということでございます。さらには、本年三月には循環型社会形成推進基本計画、これが閣議決定をされておりますけれども、この中でも環境教育推進の施策をしっかりと位置付けをさせていただいているということでございまして、順次努力をさせていただいているということでございます。
  137. 福本潤一

    福本潤一君 環境省としても独自に熱心に取り組んでいただいたということでございます。特に環境教育室、また大きい責務がこの法律成立の後には一段と深まっていくと思いますが、今回のこの法律、五大臣が共管、ある意味では環境省のみならず文部省もまた農水省もということでございます。  そうしますと、その五省庁の中でリーダーシップを環境省はやはり取っていただきたいなという思いがございます。ですので、この五省庁共管の中で、共管またリーダーシップの思いを環境大臣に最初、お伺いさせていただこうと思います。
  138. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 先ほども答弁をさせていただきましたけれども、今度基本方針を示す中で環境大臣も文部科学大臣と協議をするということで、環境教育において環境大臣の立場がそこに明確に位置付けられたわけでございますので、そういうことをしっかり踏まえてこの環境教育、更に十分な推進をしてまいりたいと思っております。
  139. 福本潤一

    福本潤一君 先ほどからこの法律に基づいて人材の育成とか様々な担当する人の問題、出てきております。  そういう中で、やはり鈴木恒夫衆議院議員に、我々一緒に法案、かつて与党の中で共同して作業もさせていただきましたので、こういう法律できたときに環境教育がやはり青少年の育成にも大きな影響を与えていくだろうというふうに私も思います。  人口が遠からず百億を超えるような時代になってまいりますと、地球で人類は支えれるのかと。食糧、資源の問題、大変な問題が起こるだろうという将来予測、かつてローマ・クラブの予測でもそうですし、一九八〇年の「西暦二〇〇〇年の地球」、私も翻訳させていただきましたけれども、アメリカ合衆国政府が大統領に提出した報告書、このまま進歩、発展していくだけだと人類は滅亡するだろうという予測まで合衆国政府は出しておるわけでございますので、鈴木大臣の、この青少年に対する教育の重要性、お伺いさせていただければと思います。
  140. 鈴木恒夫

    衆議院議員鈴木恒夫君) 私から御答弁させていただきますが、昨今の、これは委員先生方みんな、私よりもはるかに深くそうした思いをお持ちと私は敬意を表させていただきますが、様々な社会現象を見るにつけても、どういうふうに子供たちの教育を進めていくか、次の私たちの後に続く世代のために何をするかということを考えますときに、私は教育も力を注いでいる分野でございますのであえて生意気なことを申し上げますが、やっぱり個人はあくまでも強くなければいけない、強い個人、個性的な、しかしまた能力も高い、国際的にも十分に視野を持っている、そういう強い個というものを私たちは地球人類のために育てねばならぬと思います。  しかし一方で、強い個人であると同時に社会性といいますか公共性といいますか、個と社会、個と公共というものをやっぱり昨今私たちは子供たちに少し教え込んでいないのではないかと。それは、情報化の社会が進んで、例えばIT相手に個室に閉じこもるなんということが結構多いものですから、それと少子化、しかも金さえ出せば何でも手に入る、自分さえ良きゃいいという、非常にそうした傾向を高度経済成長時代の始まりのころからこの数十年にわたって我々はそこの部分を忘れてきていなかったかということを考えるわけであります。  やっぱり子供は幼稚園では遅過ぎるという言葉もございますけれども、産婦人科医の権威のある方の意見を聞けば、三か月、おなかに入って三か月の段階で子供は耳が発達をして外の気配が分かるというくらいに人間というのはすばらしい感性を持っておりますから、この世に生をうけた瞬間から、初めての人生の教師である母親と目を合わせた瞬間から私は環境教育、つまり命の尊さ、あるいは人間は一人で生きられないということをやっぱり体得をさせると。個と公共というものをこれから我々は絶えず頭に置いていかなければならないと思っているところでございます。  答弁が長くなりまして恐縮でございますが、つまり感性、優れた能力と同時に優れた感性ということを是非環境教育の下ではぐくんでいきたいと思っております。
  141. 海野徹

    委員長海野徹君) 時間が来ております。
  142. 福本潤一

    福本潤一君 どうもありがとうございます。  今、環境と生命といいますと人間と自然環境のような思いを抱きがちですけれども、と同時に、人間個人と社会も一つ環境でございますし、私ども生命と環境という考え、比較したときに、仏教で依正不二という言葉がありまして、環境と生命は二つに分かれない、一体不離なんだと。ですから、人間は、環境に働き掛けると同時に環境からの影響も大変大きく受けると、こういう話、私、勉強したことがございますけれども是非ともこの法案を生かして、環境省、新しい時代を作っていく流れを作っていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
  143. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 日本共産党の岩佐恵美でございます。  現在の環境問題を考えたときに、やはり先ほどからお話がありますように、地球温暖化だとかあるいはオゾン層の破壊だとか、非常に地球的規模で物を考えていかなければならない、これが大きな特徴だと思うんですね。そして、現代ほど人類の生存基盤が脅かされている、そういう時代もないのではないかと。非常にそういう点で私たちは環境問題を深刻に受け止めて、真剣に考えていかなければいけない。それはもう本当に重要な、大事なことだというふうに思っています。  ただ、その環境問題を考えたときに、企業による、企業活動による環境破壊、これは当然あるわけですけれども、やはりそれだけではなくて、先ほどから出されているように、個々人のそういう活動によって環境が破壊をされていくという、こういう面はあるわけですから、国民のライフスタイルをやはり変えて、考えて、そして地球環境が持続的に発展できるように、そういうことで個々人が行動できるようにしていかなければいけない。そのために非常に環境教育は重要だというふうに思っております。  今度の法律案では、目的条項で、環境保全活動や環境教育などについて、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会を構築する上で重要なものと位置付けています。一方、基本理念なのですけれども、「森林、田園、公園、河川、湖沼、海岸、海洋等における自然体験活動その他の体験活動を通じて」等々、環境問題をもしかしたら地域の自然環境と狭くとらえているのではないかという危惧がございます。やはり、環境問題については、アクトローカリー、シンクグローバリー、地域で活動して、そして地球規模で考えましょうという、そういう考え方があって、私は非常にいい言葉だと、いいなというふうに思っているわけですけれども、そういう問題点についてこの法律案ではどうなっているのかということを、提案者のお考えを伺いたいと思います。
  144. 鈴木恒夫

    衆議院議員鈴木恒夫君) 先生、やはりもう釈迦に説法でございますけれども環境問題と申しますと、廃棄物の問題から生物多様性から温暖化から水から化学物質から水質汚濁から、もうありとあらゆるものが環境問題、エネルギーも環境問題でございます。  この法案を我々作成しております、実務を取りまとめてまいりました段階で、御指摘のとおり、この環境の保全ということに少しこだわりがあったのかも分かりません。しかし、私どもがこの法律で子供たちに教えてほしい、あるいは社会的に教育を進めたいと申しますのは環境問題全般でございまして、やっぱり将来、あと三十年五十年、我々は今例えば教育基本法の改正問題などというのをやってございますが、五十年たてば、もう日本人は少なくとも単に国内問題だけではなしに、やっぱり地球市民的な発想を持たなければやっぱり生きていけないと考えておりますものですから、そうした意味で、法案作成の冒頭のスタートのところで少し御懸念の部分があったのか分かりませんが、我々はもうすべて地球環境全体、広い視野でこの環境教育を進めねばならないというふうにとらえております。  以上でございます。
  145. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、基本理念では「国土の保全その他の公益との調整」、「農林水産業その他の地域における産業との調和、」、こういう文言があります。従来、国土保全や地域振興などの名目でもって、実際には必要性が疑われるダムだとか干拓、埋立て、高速道路、空港、港湾など、大規模な事業が環境を破壊してきました。また、経済成長や効率性の追求、これが実効ある地球温暖化対策あるいは公害対策を遅らせている。それで私たちは非常に悩まされているわけであります。  現在の環境問題というのは、先ほど申し上げたように、人類の生存基盤にかかわる問題ですから、やはりこの法律で他の公益との調整とか産業との調和事項、これは非常に気になるんですね。それによって必要な環境保全を阻害する、そういうものになったらこれは大変だなというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  146. 小林守

    衆議院議員小林守君) お答えさせていただきます。  委員の御指摘の問題意識、私も共有するものでございます。環境問題は、申すまでもなく、経済や国土の保全など、多くの分野と相互に密接な関連を持つものであります。これを踏まえまして、法案では、自発的な環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育を行うに当たって幅広い目配りを要請しているところであります。この法案の理念にありますように、持続可能な社会の構築という大きな目標の実現が目指すべきところでありまして、そのためには国土の保全を始めとする様々な公益も環境保全と同時に適切に実現されるべきものと考えており、こうした規定があることにより必要な環境保全が阻害されるものではないと考えております。このような提案者の考え方も踏まえまして、政府には的確な法運用を要請するものであります。
  147. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 提案者の非常に明確な御答弁がありましたので、そういうことできちっとした運用、あるいは考え方をちゃんとみんなに知らせていくということが大事だというふうに思います。  この法案ですけれども環境の保全に関する知識あるいは指導能力を有する者を育成をする、認定する事業についての登録制度を新設をする、必要とされる人材の養成、活用を促進する、これが非常に中心的な施策となっております。環境に関する人材の養成、活用、これが強く求められるんですけれども、主務大臣による登録制度によって行政の恣意的な運用がもしなされるということになりますと、これは重大な問題を生ずることになります。  法案は、その登録の要件として、人材の育成・認定事業が基本方針に照らして適切なものであること、人材育成・認定を適正かつ確実に行うに足りるものとして主務省の省令で定める基準に適合するものであること、この二つを掲げているわけですけれども、実際に地域に根を下ろして環境活動を行っている、そういう中でその人材が、知識や指導力を持った人材が生まれてきている、そういう団体がたくさんあるわけでございますけれども、今度の登録制度によってそういう人たちがはじかれるということになったらこれは重大問題なので、その点、環境省のお考えを伺いたいと思います。
  148. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 人材認定等事業、これの登録に当たりましての基準、これは明確かつ外形的に定められることが法律の仕組みとなっております。また、その運用が恣意に流れることがないように、第二十四条におきまして、自立性を尊重して、政府の講ずる措置に関する公正性、透明性を確保するようにとの歯止めの措置が置かれていると、そのように認識をしております。  このように、この制度は、その趣旨及び運用において、行政がNPOを恣意的に利用するものにはならないと考えております。環境保全という社会全体の利益の実現を民間の方にも担っていただく以上、最低限のルールは必要とは思いますけれども、それはむしろ地域で実際に活動されている方を支援するためのルールと理解をし、そのように運用をしてまいりたいと考えております。
  149. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 最後に、登録団体の認定を受けなくっても非常に優れた人材はあるわけですよね。そういう方々をきちんと政府としても尊重して、そして適切に対応するということが求められると思うんですけれども、その点、念のためにお伺いをしておきたいと思います。    〔委員長退席、理事小川勝也君着席〕
  150. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 登録とか認定の有無にかかわらずに環境教育や活動の場で能力、資質を有している方はもうこれは当然いらっしゃるわけでありまして、そうした適切の方が活動できますように政府としても必要な情報の提供に努めてまいりたいと考えております。
  151. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  152. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。  この人材認定事業の登録についてどのような活用事業を想定していらっしゃるのか。人材認定事業についての政府の言わばお墨付きを与えるというとのことですが、私にはそれが活用されていく具体的なイメージがつかめないのです。どのようなフィールドでどのように認定を受けた人々が活躍することを想定しているのか、お話しください。
  153. 松本省藏

    政府参考人松本省藏君) 環境保全のための国民の意欲を高めて、また環境教育推進するというためには、学校の教職員のみならず、環境保全に関する知識を有し指導を行う能力のある民間の多様な人材を育てて指導等に参加をしていただくということが大変重要であろうと考えます。こうした人材育成のための事業としては、国、地方公共団体に限らないで、現実に例えばNPOなどによりましていろいろな養成事業が行われております。自然体験活動のリーダーとか、あるいは森林インストラクターを養成する事業とか、いろいろあるわけでございます。  この認定を受けた民間の人材の活躍の事例でございますけれども、少し具体的なイメージを持っていただくために一つ御説明をさせていただきますと、例えば、学校教育におきます総合学習の時間で環境を取り上げるということになります。そうなりますと、学級の担任の教職員、先生が生徒を引率いたしましてどこかの里山に連れていく。それで、里山に訪れました生徒に対しまして、自然解説の能力について民間団体から認定を受けた専門家の方、こういう専門家がその地域におきまして、生徒の安全の確保というのを十分配慮しながらですけれども、自然に触れ合わせながら、その季節、天候あるいは時刻、生息をいたします動植物の種類など、いろいろな観点から生徒に問い掛けをし、そして具体的かつ分かりやすいいろいろな自然解説をするというようなことが例えば考えられるということになろうかと思います。  なおでございますが、環境省が全国の学校をランダムにサンプリング調査をいたしましてアンケート調査をやったわけでございますが、環境教育を実施していく上で大変に障害になる理由といいますか要素はどんなことがあるのかということで、いろいろあるわけですけれども、そのうちの上位三つの障害、問題点というのは実はこういうことでございます。    〔理事小川勝也君退席、委員長着席〕  環境教育実施の準備に大変時間が掛かるんだという悩みでございます。それから二つ目が、実施のためのスタッフが大変不足をするんだ。それから三点目が教材などの不足、こういうことでございます。これ以外にもいろいろな環境教育の現場で悩みがあるわけでございますが、このような障害を克服する上で、民間認定の専門的な人材の方々、大変有効、適切な役割を果たしていただけるものと考えているわけでございます。
  154. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 民間の方を認定するのはどなたが決めるんでしょうか。
  155. 松本省藏

    政府参考人松本省藏君) 今、この法律で考えておりますのは、民間の専門家を認定をするのはNPOなどの民間の団体が認定をする。で、そういう団体がやっている事業を公的に登録をしていいですよと、こういう仕組みを考えているわけでございます。
  156. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 政府のお墨付きが欲しいという利用者側のニーズがあるにもかかわらず、しかし一方で、環境を良くしようとする人々の中の自主的な意識を高めていくためには、むしろこれが障害になるのではないかと少し心配するけれども、いかがでしょうか。
  157. 鈴木俊一

    ○国務大臣鈴木俊一君) 登録をすることがかえって環境教育を進める上で障害になるのではないかという、そういう御懸念でございますけれども、本法案では、登録を受けた事業者に対して何か特別の法的地位を与えるものではございません。  例えば農薬なんかですと、農薬の登録をしなければ輸入できない、製造できない、使えない、こういうことがあるわけですけれども、そういうものではない。登録を受けない事業につきましても、各種の人材育成取組として政府による情報収集や各方面への情報提供の対象とするものでありまして、登録、非登録の区別は御懸念を生じるほど重大なものとはなっていないと、そのように理解をしております。
  158. 田英夫

    ○田英夫君 まず、この法案をまとめられた関係者の皆さんに敬意を表したいと思います。鈴木恒夫さんにおいでいただいて、我々勉強会をやらせていただいたりしましたが、今改めて環境問題というのが本当に緒に就いたといいますか、環境庁が環境省になってきた。同時に、日本人全体の中であるいは世界の中で、この環境問題というのが非常にやはり重要な問題になってきたということを改めて感じます。  同時に、私は環境委員会一年生でありますが、この法案を拝見して感ずることは、やはり、まず環境問題、国民の皆さんと一緒に小学校を作ろう、一年生から始めようと、こういう段階に来たんじゃないかなと。しかし、ずっと見ると、人生まだ、この環境問題という人生は大変今後大きく育っていかなくちゃいけない。大学があり、更に大きな社会人としての成長をしなくちゃいけない。人類にとって極めて中心的な問題になってきている、くると、こう思うわけです。むしろ哲学の転換になってきているんじゃないかと。  そういう意味で、ちょうど哲学者である梅原猛さんが最近の新聞に、談話でしょうけれども、語っておられるのを拝読すると正に哲学だなと思います。つまり、人間が偉そうに自然を支配して、農業でいえば自然の摂理を利用して人間が食べるものを作り出していくという、そういうシステムを考え育ててきた。工業という形で生活をより便利にするための技術を成長させて、そして人間のために自然を支配してきている。人間を中心にして自然に直面して、自然をむしろ支配してきたと、それが転換期に来ているんじゃないかと。これは宇宙物理学者という肩書の方ですが、宇宙物理学も、物理学もここまで来ると哲学だと思いますけれども環境圧という言葉を使っておられますね。圧力の圧です。つまり、人間が自然を支配したと思って生きていると逆に環境を守らなければいけないという圧力を受けて、それで人間の生活がこれから変わっていかなければならないという状態になってきていると、そのことをいかに正しく理解するかということがこれからの大問題じゃないかと、こういうことも言っておられるので、全くそういう意味でいうと、皆さんの御努力によってようやくこの小学校を作ろうというところに今来たと。その小学校をどう作ろうかというのがこの法案の位置付けじゃないかなと感じているわけです。そういうことでよろしいでしょうか。
  159. 鈴木恒夫

    衆議院議員鈴木恒夫君) お答えを私からさせていただきますが、私は、環境問題は今や文明、人間の文明と哲学の問題に入り掛けているだろうと、こう思います、生意気なことを申し上げて恐縮でございますが。  例えば私、いつも手帳に書いておるものですから、ちょっと失礼して読ませていただきますが、これは衆議院の説明、発言のときも申し上げたんですけれども、夏目漱石が我が輩は猫を一九〇五年、つまりちょうど百年前に書いているわけでありますが、こう書いているわけです。ちょっと長くなるかも分かりませんが、お許しいただきます。我が輩は人間と同居して彼らを観察すればするほど、彼らはわがままなものだと断言せざるを得ないようになってくる。幾ら人間だって、そういつまでも栄えることもあるまい。元来人間というものは自己の力量に慢じてみんな増長している。少し人間より強いものが出てきていじめてやらなくてはこの先どこまで増長するか分からない。こう猫をして言わしめております。  私は、今日の環境問題は正に人間をいじめている、くれていると、こう認識すべきだろうと、そこまで来たということが一点でございます。  それから、これも失礼な、生意気ですけれども、「千と千尋の神隠し」を作られた宮崎駿さんは、田先生御存じと思いますが、この英訳はスピリッテド・アウェイ、スピリッテド・アウェイとこの英語のタイトル、何となくニュアンスが分かるんですね。つまり魂が抜けていくというイメージでありますが。この宮崎駿さんがほかのところでこういうことを言っていらっしゃる。人間の文明が自然を収奪して成り立っている、自然をコントロールして、人間がもっと快適にという思想でしかない、つまり人間のための自然コントロールだという発想でいいかということを言われております。  私はサステーナブルディベロプメントという言葉を実は余り好きじゃないんです。ディベロプメントでいいのかと、そうじゃないだろうと。サステーナブルフューチャー、つまり持続性のある未来と私は置きたいと思っておりまして、正に田先生おっしゃるように、本当にこの法案は、もう微々たる千里の道の一歩でしかないか分からないと、そういう一種の謙虚さを持って我々はこれから環境問題に取り組んでいきたいと考えておりますことを申し上げます。
  160. 田英夫

    ○田英夫君 本当にそういう意味で皆さんの御努力に敬意を表したいわけですが、先ほど申し上げた宇宙物理学者は、お名前申し上げておくと池内了さんという方ですけれども、この談話の中で最後に非常に我が意を得たりと思うことを言っておられるんですが、現在の地球人が更に一万年先まで生き延びたときの地球人を想定してみよう、彼らの世界は核兵器のみならず一切の兵器を廃棄しており、戦争は死語になっているに違いない、彼らは、より早く、より大きく、より大量にという発展や成長を重視する神話から解放され、よりゆったりと、より小さく、より少量であることに満足する新しい物語を紡ぎ出していることだろうと、こういうことを言っておられるんですね。  本当に、大量生産、大量消費、大量投棄というこの生きざまというものが、もう正に環境圧によって圧力を受けて変えざるを得ない状況に人類は今直面しているんじゃないかなと、そのことを本当に皆さんと共感をしたいと思っております。  ありがとうございました。終わります。
  161. 海野徹

    委員長海野徹君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  環境の保全のための意欲の増進及び環境教育推進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  162. 海野徹

    委員長海野徹君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 海野徹

    委員長海野徹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会