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2003-04-22 第156回国会 参議院 外交防衛委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年四月二十二日(火曜日)    午前九時三十分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松村 龍二君     理 事                 山下 善彦君                 山本 一太君                 広中和歌子君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 河本 英典君                 佐藤 昭郎君                 桜井  新君                 月原 茂皓君                 日出 英輔君                 舛添 要一君                 矢野 哲朗君                 佐藤 道夫君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君                 若林 秀樹君                 遠山 清彦君                 吉岡 吉典君                 田村 秀昭君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        防衛庁長官   赤城 徳彦君        外務大臣    矢野 哲朗君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        佐藤 昭郎君        外務大臣政務官  日出 英輔君        財務大臣政務官  森山  裕君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣法制局第一        部長       宮崎 礼壹君        警察庁警備局長  奥村萬壽雄君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        防衛庁防衛局長  守屋 武昌君        防衛庁人事教育        局長       宇田川新一君        外務省総合外交        政策局軍備管理        ・科学審議官   天野 之弥君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     石川  薫君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        外務省中東アフ        リカ局長     安藤 裕康君        外務省条約局長  林  景一君        経済産業省貿易        経済協力局長   北村 俊昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関す  る千九百九十年十月二十六日にモントリオール  で署名された議定書の締結について承認を求め  るの件(内閣提出)     ─────────────
  2. 松村龍二

  3. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 山下善彦

    山下善彦君 自由民主党の山下善彦でございます。  今般提出されております防衛庁設置法案、それからミサイル防衛に関連して数点質問をさせていただきたいと思います。  フセイン政権が崩壊をしてイラク米英軍に制圧をされた今日、イラク全土治安維持の問題と戦後の復興問題が世界の注目を浴びておる今日でありますが、我が国におきましては、弾道ミサイル脅威というもの、これが非常に身近に存在しているという現実の姿があります。そこで、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず、弾道ミサイル防衛についてでございます。  大量破壊兵器運搬手段として利用できる弾道ミサイル配備は、武力紛争発生している地域では紛争を激化させる危険性が非常に高く、また軍事的対峙が続いている地域においてもその緊張感を持ち、地域不安定化をもたらす危険性が非常に高いことから、その拡散ですね、この拡散が非常に深刻な国際問題になりつつあります。  我々のこの、我が国日本を取り巻く周辺を見ましても、ロシア、中国、韓国、台湾、北朝鮮見ても、友好国を含めて我が国以外の国が弾道ミサイルを保有をしている現実の姿がございます。それらの国が我が国にとりまして脅威というわけではございませんけれども拡散現実は事実として我々は認識をしなければいけないと、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、そのような弾道ミサイル脅威から国民を守るために防衛庁はどのように対応されていくのか、まず伺いたいと思います。
  6. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 脅威の実態につきましては、今、委員指摘のとおりであります。すなわち、冷戦期には二か国、つまり米ソ二か国しか持っていなかったと。冷戦が終わった時点で十か国、今や委員指摘のとおり、四十六か国であったと記憶をしておりますが、大変に拡散をしておる。その拡散が望ましくないということも事実ですが、同時に、その拡散を止めるための強制力ある条約というものが現在存在していないこともまた事実です。  そういたしますと、我が国としてどのようにその拡散弾道ミサイル脅威から私どもの独立、安全、国民生命、財産を守るかということです。  一部誤解があるようですが、弾道ミサイルが飛んできたら災害派遣とは何事だと、こういうおしかりをいただきます。しかし、私はそのようなことを申し上げているわけではなくて、我が国に対する組織的、計画的な武力行使ということであれば、これは防衛出動対応することになる。しかし、組織的、計画的な武力行使ということに断定できない場合には、これは防衛出動という形は取れない、法律上取れない。だとするならば、災害派遣の枠組みで対応するということになるということを申し上げておるわけでございます。  そういたしますと、どのようにして被害局限をしていくかということになろうかと思います。その場合に、警察なり、消防なり、自治体なり、そういうものと密接に連携をしながら、仕組みとしては、そういういろんな情報というものを内閣官房に集めて、それぞれがばらばらに対応するのではなくて、それぞれ警察なり、消防なり、自衛隊なり、その持てる力をどうやって最大限に効率よく発揮をするかという仕組み、これを今構築をしておるところでございます。  私どもとしては、どのようにして被害を最小限にするか、そしてまた拡大をしないようにするか、被害を受けた人たちをどのように救出するか。加えて大事なことは、これはもう委員案内のことでございますが、それが通常弾頭なのか、生物兵器を積んでいるのか、化学兵器を積んでいるのか、あるいは、最も望ましくないことですが核兵器なのか、それによってすべて対応は変わってくるはずでございます。そのことの知見をそれぞれ有しておるわけであって、先ほど申し述べましたように、内閣官房にその情報を集約しながら、その持てる能力最大限発揮をするということであろうかと思います。
  7. 山下善彦

    山下善彦君 関連して、平成十一年度から日本とアメリカで実施しております日米共同技術研究、これは本年度でたしか五年目に入っているわけでございますけれども、この日米共同技術研究について最初防衛庁から説明を伺ったときには、この技術研究に五年から六年ぐらい掛かると言われておりましたけれども、現在この研究はどういう段階に入っているのか、また研究終了めどが立っておるのか、その辺について伺いたいと思います。
  8. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 御指摘のように、これは平成十年十二月二十五日に安全保障会議の御了承を得まして、十一年の八月に共同技術研究というものに着手をいたしております。その内容はもう委員案内のとおりですから、ここで繰り返すことはいたしません。  これは、日米共同技術研究だけがミサイル防衛のすべてなのではなくて、これはブースト段階ミッドコース、そしてターミナルフェーズと、三つある中のミッドコース洋上配備型の一部というものを日米で共同研究しておるわけでございます。これは、命中精度を高めるとか、いろんなものを四つの構成品に分けまして研究をしておるものでございます。  委員防衛政務官もお務めでしたから内容をよく御案内のことかと思いますが、これ、いつごろこの研究が終了するのかということについて、現在具体的にいついつということを申し上げる段階にはございません。しかし、これがいつになるかさっぱり分からぬということではなくて、かなり成果が上がってきておるというふうに私は認識をしております。この研究成果、あくまで研究成果でございますけれども、その成果ができるだけ早期に得られるようにということで、今、鋭意研究を進めておるところでございます。時期、いついつということが具体的に申し上げられないことは大変申し訳ないことでございますが、しかしいつになるか全くめどが立たないという状況でもございません。
  9. 山下善彦

    山下善彦君 めどは立っているということで理解をさせていただきたいと思います。  その次に、この弾道ミサイルの問題で、特に一番、現実に起こったら怖いなという感じがある、攻撃時の対応ですね、この点について伺いたいと思いますけれども、現在まで弾道ミサイルに対しては有効な防御手段というのは確立をされていない、こういうことで理解を私自身しておりますが、仮に、仮に我が国へ向けてこの弾道ミサイル発射された場合、現在、政府について、政府ではいかなる対応をするのか、現実に仮に飛んできた場合。それで、また自衛隊としてどのような対応をするのか、伺いたいと思います。
  10. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 最初の御質問に対するお答えとあるいは私が勘違いしておって重複をしたらお許しをいただきたいと思うのですが、それが全く我が国に対する組織的、計画的な武力行使ということだと断定できない場合は、それは災害派遣ということになりまして、冒頭お答えをしたとおりだろうと思います。  これが組織的、計画的な武力行使として弾道ミサイル発射をされたということになりました場合に、我が国として現在それを迎撃するシステムというものを有しておらない。これは何も日本国だけではなくて、アメリカ合衆国も含めまして、世界じゅう、どこも持っておらないというのが現実でございます。したがいまして、組織的、計画的な武力行使ということになれば、それは防衛出動を下令することになりますが、撃ち落とすという迎撃手段を持っていない以上は、やはりやり方としては被害局限ということにまず第一義的にはなるということだと思っております。  その際に、どのような形で、つまり発射されてから、どこから撃たれるかにもよりますが、十数分で、あるいは十分以内で到達する発射地点から撃たれたということを仮定をいたしました場合には、どのような形で避難警報、そういうものをだれがいかなる権限において発令をするのかということをきちんと定めなければならないでしょう。  もう一つは、とにかくあと三分で、あるいはあと二分でここの町に落ちることが予想されると、みんなどこかへ逃げてくれというような、そんないい加減な話にはならないのであって、その場合に、どういうふうに避難をすれば一番生命というものを保持することができるかということについては諸外国に多くの知見があるところでございます。  これは、委員案内と思いますが、例えばスイスでは、すべての家庭に「民間防衛」という冊子が配布をされております。それは詳細にいろんなことが書いてあるものでございますけれども、そういうものが飛んできたらどうするんだと、堅牢な建物の中にまず入ることを始めといたしまして、いろんなことが詳細に書いてあります。  政府にできますこと、自治体にできますこと、それは適切な警報を発し、適切な避難誘導を図ることでありますけれども、住民一人一人がどうすれば身を守ることができるかということについて御承知いただくような、そういう情報の提供も併せて必要だと、それがまず第一義的に肝要なことかと考えております。
  11. 山下善彦

    山下善彦君 今、長官からいろいろ御説明最初からしていただいておりますが、この弾道ミサイル防衛を進めるに当たりましていろいろな問題が指摘をされておるんですが、その一つ集団的自衛権に関する問題があるわけでございますが、短中距離の弾道ミサイル発射から着弾まで、先ほども御説明いただいたように、数分とか十分以内とか、そんなことが言われておるわけですが、発射直後には迎撃態勢を整えておくことが、これは現在できないにしても必要であるというふうに思うわけですが、ところが弾道ミサイル発射はほぼ垂直に飛ぶわけですね。それで、しかも燃料を調整をすることで射程が変わってくると、こういう説明を私も受けているんですが、はっきり言ってしまえば、発射直後にはどこをねらってくるのかと、これも確定ができないということですね。  そういう中で、他国をねらったものを我が国迎撃すればこの集団的自衛権に当たるのといったような、そういう疑問が浮かんでくるわけですけれども、この問題に関しまして、これは内閣法制局に伺いますが、どのような見解を持っておられるのか、その辺、伺いたいと思います。
  12. 宮崎礼壹

    政府参考人宮崎礼壹君) 法釈法解釈論についてお尋ねですので、御答弁申し上げます。  我が国武力、もとい、自衛権行使する場合の要件であります我が国に対する武力攻撃発生したときといいますのは、政府が従来から、攻撃のおそれがあるにとどまるときではなく、また我が国現実被害を受けたときでもなく、他国我が国に対して武力攻撃着手したときであるというふうに解してきております。  もっとも、現実の事実認定の問題といたしまして、どの時点で、時点武力攻撃着手があったと見るべきかにつきましては、そのときの国際情勢とか相手方の明示された意図、攻撃手段態様等によるのであって、抽象的に、又は限られた要件のみ仮定して論ずるわけにいかないということも申し述べてきているわけでございます。  お尋ね弾道ミサイル発射につきましては、これが我が国に対する武力攻撃発生と認められないのに迎撃するということになりますと、憲法九条との関係で問題を生ずることとなるわけでございます。  しかしながら、弾道ミサイルにつきましては、特別の性質があるというふうに考えられます。すなわち、これが無人の飛行物体でありまして、いったん発射されますと、その後は事実上制御が不可能であるということがございます。また、これを迎撃し得る時間帯が極めて限られております。また、我が国に着弾した場合、弾頭の種類によりましては瞬時に壊滅的な被害が生ずるということが考えられる等の特性があることを考えますと、発射後の弾道ミサイルにつきましては、艦船等通常兵器によります攻撃の場合ほど確度、確かさが高くなくても、相当の根拠があって我が国を標的として飛来する蓋然性がかなり高いと認められますときには、我が国に対する武力攻撃発生というふうに判断して、自衛権発動によりこれを迎撃することも許されるというふうに考えておる次第でございます。
  13. 山下善彦

    山下善彦君 いずれにしても、法的な一つのそういう問題点もございますけれども、この弾道ミサイル脅威が今日ではその現実的なものとして、先般、国民世論調査なんかを見てみましても、非常にその辺を感じ取っているという今日であります。そういう意味では、この防衛システムを真剣に考えていくということは、我々政治家にとっては課せられた義務であると私は考えておりますが、防衛庁においては、これらの課題について早急に検討を行って問題点を詰めていただいて、我が国防衛にとっての重要な課題である弾道ミサイル防衛システムについて、政治の判断が迅速かつ適切に行えるように努力をしていただくことをまず要望させておいていただきたいと思います。  その次に、この我が国が保有する現有装備では有効にミサイル攻撃対応できない、そういうことで先ほどお話が出ております日米共同技術研究ですね。これもまだまだ研究段階であるということでありますが、当面、弾道ミサイル脅威が、今申し上げ、ずっと申し上げているように存在する以上、現有装備より対処能力が向上しているパトリオットPAC3というパトリオットのこれは最新版だと思いますが、これを当面配備してこの研究が出るまでに対応ができるんじゃないかなというふうに私は考えておりますが、このPAC3はターミナル段階だ、ミッドコースといろいろ専門用語がありますが、ターミナル段階迎撃システムとこういうふうに私は伺っておりますが、日米共同技術研究でやっているのは、これは先ほども御紹介いただいたようにミッドコースですね、その迎撃システムである、それが完成されないうちに取りあえずこのPAC3を配備したらどうかと考えますが、ずばり防衛庁長官、いかがですか、その辺。
  14. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 端的にお答えをすれば、その導入可能性を排除する理由はないということだろうと思います。それはすなわち導入するという意味で申し上げているわけではありません。導入可能性というものは排除されないという、何となく逆の言い方みたいで恐縮ですが、そういうのが現実だろうと思っています。  すなわち、これは委員も御指摘になりましたように、ブーストフェーズ、打ち上がってくる段階。これは例えて言いますと、アメリカ合衆国で今検討されておりますのは、ボーイング747型の旅客機を改造いたしまして、その先端にレーザービームみたいなものを載っけてそれで照射するというブーストフェーズ。これは我が国において取り得る選択ではないと思っていますが、そういうブーストフェーズ。そして、ミッドコース洋上配備型のイージス艦あるいはそのようなものから迎撃ミサイル発射する。しかし、これがすべて、一〇〇%撃ち落とせるかといえばそういうわけではないので、ターミナルフェーズにおける迎撃というものも考えておかねばならない。そういう多段階においてミサイルを撃ち落とすというシステムを考えておるところでございます。これ、合衆国におきまして発表されておりますものも、洋上配備型のミッドコース対応のもの、そして地上の固定型と地上移動式のものと、この組合せであるというふうに承知をいたしております。  そうしますと、このPAC3というものが、洋上配備型で撃ち落とせなかった、それを、撃ち漏らしたものを確実に迎撃をするという意味合いにおいて私は有用性を持つものだというふうには考えております。  いずれにいたしましても、全体の組合せの中でどのようになっていくか。それは、再三申し上げておりますように、大事なことはその確率ということだと思います。どれぐらいの確率で落とせるのかということ。そして、これは納税者の視点からも、一体幾ら掛かるんだか分かんないねということであれば、これは納税者に対してきちんと説明をしたことにならないだろう。そして、幾ら掛かるかということによって、今ある私どもの既存のシステムにも相当の変更を与えるものでございますから。  それが、どれぐらいの確率を持ち、そして幾ら掛かるものなのか、そしてそのことによってミサイル迎撃というものが完璧に近いものになるのかどうなのかという、そういう知見をすべて集めました上で安全保障会議の御議論を経るものだというふうに思っておるところでございます。
  15. 山下善彦

    山下善彦君 時間もありませんので次へ進めさせていただきますが、先ほどお話に出ておりました生物化学兵器について次は伺いたいと思います。  この生物化学兵器は、非常に製造単価というか、そういうものが非常に安い。核兵器と比較して民生からの転用が比較的容易であるということから、その移転、拡散も今、国際社会においては非常に大きな課題となっておるわけでございますけれども。特にイラク戦争においては、イラクがこの生物兵器化学兵器を使用するんじゃないかということで実際に米英部隊はそれに対応する装備をしていた、マスコミ等からもうかがい知れるところでありますが。  我が国におきましては、平成七年に起きたオウムによる地下鉄サリン事件で経験をしたように、特にこの生物兵器への対処能力に問題があると私は思うわけですが、そういう点の反省から現在の中期防では、こういうものに対処する、改善をするという記述がございますけれども、どのような改善をされたのか、まず伺います。また、現実生物化学兵器による攻撃があった場合、どのように対応するのか、その辺についても併せて伺いたいと思います。
  16. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 具体的なお尋ねでございますので細かくなって恐縮でございますけれども、いわゆるNBC対処につきましては、化学防護部隊人的充実を図る、化学防護車除染車防護マスク化学防護衣、そういった各種防護器材充実を図ってきたところでございます。また、全国の部隊で常時二千七百人規模の要員、部隊を持ちまして二十四時間態勢災害対応態勢を維持しておるところでございます。  また、平成十四年度予算におきまして計上いたしました必要な経費、これは十四年度のお話で恐縮でございますけれども、今申し上げたことに加えまして、ワクチンに係る検討あるいは研究用器材の拡充ということを行いました。十五年度予算、先般成立をいたしました十五年度予算でございますけれども、今申し上げました各種機能充実ということであります。生物剤検知装置等運用研究防護設備性能確認等に関する研究、総額約三十六億円を計上しております。  もう一つは、図上演習というものを行っております。本年一月にバイオテロ対処に係る図上演習というものを行いました。これは、いろいろ知見はございます。しかし、それがあした起こるとは申しませんが、まだ演習が十分ではなかったとか、あるいは生物化学兵器の場合には、冒頭申し上げましたように、自治体はどう動くのか、あるいは保健所はどう動くのか、厚生労働省はどのように動くのか、いうような演習というものをきちんとやっておきませんと混乱が生じかねないということであります。  また、いろんな器材につきましても、それがきちんと運用できるかどうかということを実証しておかなければ、買っただけでは意味がないわけでございまして、そのようにお認めいただきました予算の中でそれがきちんと有効にワークするかどうかということを今最大の努力をいたしているところでございます。
  17. 山下善彦

    山下善彦君 ありがとうございます。  ミサイル問題でいろいろ具体的な内容について伺いましたが、ここで、弾道ミサイル大量破壊兵器などによります武力攻撃発生した場合に必要とされるすなわち有事法制問題、今般の国会では非常に重要法案として取扱いをされておりますが、私は、今日までこのまま来て、非常に未整備であるということ、これだけ緊張感の持つ中で非常に残念であると思っている一人でございます。  この法制ができたとしても使われないということが、これはもうもちろん一番望ましいことでありますけれども、かといって未整備のままでは、万々が一武力攻撃発生した場合、何もできずに指をくわえて死を待つのか、あるいは超法規的に自衛隊がこれに対応するのかの二つしか選択肢がないわけですね、現実に。後者は、法治国家として、またあるいはシビリアンコントロールの観点から問題があるわけでございますけれども。  この法案が提出されてからもう一年間を過ぎようとしております。私も防衛政務官在任中いろいろ努力はしたわけですが、なかなか、非常にこれは難しい問題であるということを私は肌で感じておりますが、できるだけ、一日も早く成立をさせるべきであるというふうに思っておりますが、防衛庁長官の御決意を伺いたいと思います。
  18. 石破茂

    国務大臣石破茂君) まさしく委員指摘のとおりで、この有事法制というのは使われたらおしまいなんですね、使われるようなことがあれば本当に日本が有事になってしまうということですから。使われたらおしまいなのだけれども、じゃ、だからといってなくていいという理由になるかというと、それは論理が物すごく飛躍していると思うんです。  私は、有事法制というのは抑止力の一環を成すものだと思っています。それが一つ。もう一つは、まさしく文民統制、シビリアンコントロール、法の支配というものを徹底させるものだと。この二つの意味において有事法制の成立というものが一日も早いことを願っておるわけでございます。  要は、自衛隊の行動の円滑化ということがございます。ここで一々例を挙げることはいたしませんが、例えば、野戦病院を一つ造るについてもいろんな手続が要る、あるいは道路を補修するにしても橋を補修するにしてもいろんな手続が要る。法治国家であればそれを守るのは当然のことだ。しかし、日本に対して武力攻撃を仕掛けてくる相手方は、当たり前の話ですが、日本法律は守りません。そうすると、一体何が起こるかということです。法律を守ったとすれば何が起こるのか。それは結局、国民生命、財産というものを危機に瀕せしむることになりかねないということだと思います。  いざというときに、自衛隊がきちんと整然と行動できるということを確保しておくということは、それは必要なことであり、逆に日本に対して武力攻撃を仕掛けようとしている人、国、勢力、そういうものの目から見た場合に、いざとなったら日本は何もできないんだと、いざとなったら超法規で動かなきゃ日本は何もできないんだということを見て取った場合に、それではという日本に対する武力攻撃の誘惑に駆られることを私は避けられないんじゃないか。それを抑止するために、日本に対して武力攻撃を仕掛けたとしても自衛隊は整然と行動する、そして同時に住民は迅速に的確に避難をするということが担保をされていれば、日本に対して武力攻撃を仕掛けたとしても所期の成果が得られない、それじゃやめようかということになるはずです。しかし、仕掛けたとしたら自衛隊は動けない、国民避難できない、それでは一丁やってみようかという誘惑に私は駆られないという保証はないと思っております。  そういう意味で有事法制、私はいつも申し上げることですが、有事法制は戦争のための法案だとおっしゃる方がありますが、そうではないのであって、有事法制は戦争にならないための法案である、抑止力の一部を成すものである、同時に法の支配、文民統制というものを徹底するものであると、そういう観点から是非委員の皆様方の御協力を得て衆参両院において御審議を賜り成立をお願いしたい、このように思っておるところでございます。
  19. 山下善彦

    山下善彦君 今、有事法制に対する長官の決意を伺いました。参議院もこれから衆議院から有事法制法案、回ってまいりますので、我々も本当に、今、長官の決意を述べられた同じ気持ちを持っております。是非、お互いに頑張っていきたいと思います。頑張ってください。  時間もなくなりました。今回の法案について二点伺いたいと思います。  防衛庁設置法に関してでありますけれども、この改正案では帯広に司令部を置いてある第五師団、これの定員が三千人ほど今回減らす、規模を縮小して旅団に改編されると、こういう文章があるわけですが、今ずっといろいろ議論をしてきた、ミサイルを含めて一つのこういう緊迫した状況の中で、果たして自衛官の定数そのものを減らしていくというのはいかがなものかなという感じを実は持っている一人でありますけれども、こういう削減をしていった中で防衛能力の低下が、防衛能力を低下させるおそれがあるんじゃないかな、その能力を低下させないようにどんな方法を講じられていくのか、その辺について御説明をいただきたいと思います。
  20. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) お尋ねのこの第五師団の旅団化についてでございますけれども、この第五師団が配備されているのは道東地区でございますが、これは防衛上の重要地域である道北地区に隣接した地域で、重要地域に準ずる地域であります。特に、その地理的な特性として長い海岸線を持っていますし、北見、根釧、十勝の三つの地区に都市が分散しております。比較的平たんな地形であります一方、火山の噴火や地震、水害等の災害が発生する可能性と、そういった地域的な特性もございますし、そういった点も踏まえて着上陸侵攻に初動対処できる能力や、ゲリラや特殊部隊による攻撃への対処、災害派遣、そういった多様な事態に対処できるような能力を確保するということに留意しなければなりません。  そこで、先生御指摘のように、旅団化されるとか定員が減るということによってその防衛力、能力に穴が空くとかいうことになってはいけませんので、この旅団化改編に当たって具体的な内容としまして、高機動車を導入して機動力を向上させると、あるいは偵察隊の機能充実や師団通信システム導入によって情報収集や伝達能力を向上すると。また、定員の削減のことでありますけれども、定員は削減する一方で充足率を向上するということで即応性を高めるとか、あるいはドーザーを増強しましたり、資材搬送車を導入するということによりまして多様な事態への対処能力を向上すると。こうした様々な措置を取りまして、委員指摘のように必要な機能を充実し、防衛力の質的な向上を図るということで我が国の平和と安全に万全の体制は維持していきたいというふうに考えております。
  21. 山下善彦

    山下善彦君 御説明ありがとうございました。  最後の質問になりますけれども、特殊作戦部隊、これについて、本年度の末に新設をされる特殊作戦群、侵入をしてきたゲリラや特殊部隊による攻撃に対して対応するという特殊な任務を負った部隊でありますが、この特殊部隊そのものが非常に技能とか知識、高い専門性が求められておるわけですけれども、現在まで自衛官の中でも比較的、今回はこういう特殊作戦群という正式な部隊ができたわけですけれども危険性の高い職務に従事する自衛官に対しては特殊手当的な手当が支給をされてきておりますが、この法律の中で、今回提出されておる法律の中で新設される特殊作戦隊員手当の支給水準というのはいかにものになっているのか、この辺について御説明を伺って最後の質問といたします。
  22. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) この新設される陸上自衛隊の特殊作戦群でございますが、先生御指摘のように、ゲリラや特殊部隊からの攻撃に対処するという、そういう専門部隊でありますので、職務の著しい危険性とか困難性を評価しましてこの手当を新設するということになっております。  この手当については、具体的には政令で定めることにしておりますが、既存の航空手当や乗組手当、落下傘隊員手当、特別警備隊員手当、そういったものと同趣旨の手当というふうに位置付けておりまして、具体的には階級初号俸の俸給月額の三三%を予定しております。この支給水準といいますのは、今申し上げた落下傘隊員手当及び特別警備隊員手当と同水準のものとなっております。  以上でございます。
  23. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 おはようございます。民主党の若林秀樹と申します。  先週、この外交防衛委員会に移ってきたということでございますので、今日、初めて質問をさせていただきたいと思います。初めてなものですから、多少私の外交観というんですか防衛観を述べ、そしてまた私の質問のスタンスというのをちょっとお話しさせていただきたいと思います。その方が後ほどの質問を、趣旨を御理解いただけるんではないかなというふうに思いますし、何であんなばかな質問をするんだろうなと思われるかもしれませんけれども、その辺の考えについて少しお話をしたいと思います。  私も、短い期間ながら外交の現場を見ながら、私なりの感想を申し上げますと、やっぱり外交の基本というのは私はやはり国としての安全保障だと思います。国としての安全保障というのは狭義な意味で安全保障でありまして、国の生命と財産を守ると、その上に経済安全保障、エネルギー、食糧、様々な安全保障があるんではないかなというふうに思います。  そういう意味では、外交というのは私は国益をかけた武力を用いることがない私は真剣勝負、戦いではないかなというふうに思っています。そういう意味で知識、情報収集力、判断力、駆け引き、たまには脅し、あるいは利益誘導というんでしょうか、やっぱり様々な力を駆使した私は真剣勝負ではないかなというふうに思っております。  そういう意味で、我が国においてはとかく外交というと、何か話せば分かるというようなイメージが私はまだまだあるんではないか。決してそんなわけはなくて、やはり独自の意思を持った主権国家が、ただ話してそれで行動原理を変えるなんということは基本的には私はやっぱりあり得ないと思いますから、そういう認識に立ったやっぱり外交が必要だと思います。そういう意味で、外交は安全保障が基本だと言いましたけれども、外交と防衛というのは一体化して私はやっぱり考えるべきものではないかというふうに思っております。  これまでのイラク攻撃への我が国政府対応を見ますと、やはりきちっと説明責任を果たすことができなかったんではないかなというふうに思います。その原因は、やっぱり我が国の安全保障を米国にゆだね、そして主体的に我が国の安全をどうやって守るかということをきちっと議論してこなかったツケがやっぱり今日に私は来ていると思います。それは、与党だけじゃなくて野党の責任かもしれません。与党は私はいろいろ責任はあるかと思いますけれども、やっぱりそこをきちっと議論することも今後やっぱり必要ではないかなと思います。  そういう意味で、私も、これから質問するに際しては、過去の歴史的な経過とかあるいは憲法を含めた法的な枠組みというのはもちろん当然のことながら大事にしますけれども、やっぱりあるべき姿、防衛のあるべき姿、外交のあるべき姿をきちっと議論した上で、どうやってそこに近づけていくかということが論じられなきゃいけないんじゃないかなというふうに思いますので、そういう観点に立って御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  もし何か御意見があれば発言していただいても結構ですから、もしなければ……。
  24. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃられた外交というのは、狭義の意味での、狭義の意味というか、広義の意味での安全保障であるということというのは、私も外交として基本的なところとしてはそれが入ると思います。  外交は我が国の安全とそして繁栄を守るということを言っているわけでして、安全だけではなくて、なおかつ我が国が国として栄えていくということも外交のやるべき分野であると思います。そういう意味では、外交の外縁といいますか、それは私はかなり広いものがあるだろうと思います。  それで、それを十分に我が国として議論してこなかったかどうかということですけれども、これは、どれぐらい広い範囲、あるいはどれぐらいの長さをとらえてそれを議論するかということだと思いますけれども、私はある意味ではかなりしてきていると思います。ただ、ずっと冷戦構造があった中で、それがイデオロギーの対立になったりあるいは神学論争になったりということであった時期はあったと思います。その過程では必ずしも外交論議、外交政策についての議論が前に進まなかったということがあると思います。  それからもう一つは、戦後ずっと長い間、我が国の中心は経済的に繁栄をするということに日本人の関心があった、所得倍増とか言われておりましたけれども。その過程で日本人の国民の多くの人の関心は、むしろ経済的な基盤をどうやって維持するか、あるいは発展するか、成長するかということにあって、外交が国全体といいますか、国民も含めたレベルで議論を十分にされなかったという部分というのは確かにあったと思います。  ただ、そういうことはありますけれども、一般的に言えば、私は、少なくとも外交に関心を持ちあるいは外交に携わる人たちの中では外交政策がどうあるべきかということは相当に真剣に議論をされてきて、そしてその中で日米安保体制をむしろ主体的に選んできたということではないかというふうに思います。
  25. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員はアメリカに一等書記官としてお勤めであったこともおありだというふうに承っております。それで、おっしゃいますように、現場で見た外交というものに基づいて今の御認識の御披瀝があったものと思いますし、私は相当部分共感をいたしております。  平和というのは一体何なんだということを考えましたときに、戦のない状態というのを平和というのか、いや、そうではなくて、きちんとした、単に戦がないだけではなく、正義ある平和という言い方が私は必ずしも正しいとは思いませんけれども、単に戦がないだけが平和なのではないという考え方もあるでしょう。平和とは何なのかという議論を一つしなければいかぬのだろう。  そしてまた、もう一つは、もちろん憲法というものがあります。しかし、憲法だけではなくて、日米安全保障条約、そしてまた自衛隊の存在、外交努力、それにはODAも当然含まれるわけでありますけれども、そういうものがいろいろと相互に作用し合って今までの平和というものが保たれてきた。しかし、いろんな前提とする国際状況が変わってきたときに、憲法は遵守するという基本理念は維持しつつも、常に不断の見直しというものは必要なのだろうと思っています。周りが変わっていくわけで、あくまで相対的な面があると思っているんですね。そのときに、本当に憲法の理念というものをきちんと守りながら、本当にこれでいいのだろうか、これでいいのだろうかという検証というものは必要なんだと思っています。  対話と抑止というのは、抑止のない対話というのはあり得ないし、対話のない抑止だけというのもあり得ない、そのバランスをどのように取っていくのかということが一番大事なことなんだろうというふうに思っておりまして、委員の御見解に賛同するところが多いというのは、私の浅薄な理解かもしれませんけれども、私はそのように思って承ったことでございました。
  26. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございました。  私の次のテーマにかかわるような御発言も今、石破長官からあったんではないかなと思います。  私は、外務省が決して真剣にやっていないということを申し上げたんじゃなくて、やっぱり日米安全保障条約に基づく我が国の外交上の戦略もありましたし、やっぱりそういうものにゆだね過ぎていたんではないか、やっぱり議論が、思考が停止していたんではないか、やっぱりそう切迫感がないがゆえに外交のやっぱり主要プレーヤーになりにくい要素というのは私はやっぱりあったんではないかなというふうに思いますので、それはそれとして今後やっぱり議論していきたいなというふうに思います。  その意味で、今出たところと関連するんですけれども日米同盟の質的変化についてお伺いをしたいと思います。  日米同盟という同盟の言葉が使われてきたのは、私、最近のことではないかなというふうに思うんですけれども、法的にはやはり根拠をどこに探すかといえば、やはり日米安全保障条約、それも新しい安全保障条約の一九六〇年ごろからではないかなと思います。それはやはり冷戦構造があっての考え方だというふうに思いますけれども、やはり一番大きな転換点はやっぱり冷戦が終わったと。  共和党政権に変わったのは、実は壊れてから、変わったという意味ではやっぱりブッシュ、今回のブッシュ共和党政権が最初なんですね、その前はクリントンが、民主党政権が八年間続いていましたので。その中で、さらに九・一一の事件が起こり、昨年のブッシュ・ドクトリンですか、やっぱり先制攻撃を辞さないというような話が出てきたという今回。そして、今回のイラクを見ますと、私は、これまでの同盟国と話をして、やっぱり時間を掛けてそして封じ込めをして、一方、核を中心とした抑止力、軍事的な抑止力という過去の流れから、もうアメリカ一国でもやはりその脅威を取り除くためにはやっぱり先制攻撃も辞さないんだという言い方に少しやっぱり変わりつつあるなという意味において日米同盟の質的変化も私は若干ながら起こりつつあるんではないかなという感じはしているので、この辺、もし御感想というか分析、どういうふうにしているかというのがあればお答えいただきたいんですが、両方、外務大臣長官にお願いします。
  27. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) イラク戦争がほぼ、イラクに対する武力行使がほぼ終結段階を迎えた現在において、この武力行使が今後の国際社会の在り方にどういう影響、あるいはどういう、与えたか、どういう意味合いを持ったことなのかということは、少し時間を掛けてみんなが議論をしていくということが必要なことであろうかと思います。  その中で、そういった現象を見て、日米同盟がどのように変わっていくのか、あるいは変わっていくべきなのかということについてですけれども、私は基本的にはそんなに違いはないと。というのは、この地域の安全保障に対するニーズということを考えましたときに、これは冷戦時代とそれほど変わった構造があるわけではないということで、余り変わらないのではないかというふうに思います。  それから、先制攻撃というドクトリンですけれども、これは、アメリカとして国際社会と連携をしながら、いろいろな国際社会が今後向かう、あるいは直面する課題に対してリーダーシップをアメリカとして取っていくというその決意の表れであると思いますけれども国際社会、国際協調を無視して自分一人が武力行使をするということは、これには、安全保障戦略には書いていないわけでございまして、先制的行動は取るけれども、それは必ずしも、ごめんなさい、ちょっと今の取り消しまして、先制的行動について、行動ということは武力行使意味するということではないと、必ずしも武力行使意味するということではないということも書いてありますし、リーダーシップをどうやって発揮するかということを意味するというふうに私ども理解をしています。  ただ、先ほどちょっと石破長官もおっしゃられたことですけれども日米同盟というのは、安全保障環境も変わり、いろいろなことが変わっていくわけですから、不断に見直しをしていかなければいけない、あるいは柔軟にしていかなければいけないということは、事実これは一般論としてそういうことは言えるだろうと思います。  そういう意味で、十二月に石破長官とワシントンで2プラス2の議論をいたしましたけれども、そのときにも、新たな安全保障環境への対応も含め、両国間の安全保障に関する協議を強化をするという話をしたわけでして、そういう努力も我々としては行っているということであると思います。  この安全保障の話のほかにも、地球上のグローバルな課題というのはたくさんあるわけでして、日本とアメリカと足せば世界のGDPの三分の一強になるわけですから、こういった二つの国が協力をし合って物事に対応していくということは、広くいろいろな問題について大事なことだと思います。
  28. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 基本的な見解は外務大臣と同じであります。  私は、委員のおっしゃった中で最も重要だなと思いますのは、冷戦が終わって同盟というものがクローズアップされたのはなぜなのかということだと思います。世の中には、冷戦が終わった、もうソ連はなくなったと、もう安全保障条約要らないんでないのという議論が一時期ありました。かなりその幅を利かせたというのか、説得力のある議論であったように思います。  しかし、今考えてみたときに、冷戦が終わったからこそ同盟の必要性が増したのだ、二国間同盟の必要性が増したのだという見解も私はあるんだろう、私はむしろそちらの側に立っておる人間でございます。すなわち、東側、西側というふうに分かれて鋭く対峙をしておって、そこの軍事力のバランス、ある意味マッド的なものを含みますが、そういう中で戦争のない状態というものがとにもかくにも保たれておったという時代と、その一方が消滅をして、ロシアという国になって東側陣営というものが成り立たなくなってきた。今までは、もちろん非同盟諸国というものありましたが、東側、西側ということで、ある意味バランスが保たれておった。そのバランスが崩れたときに、二国間の信頼関係というものは極めて大事になってくるだろう。  逆に、今、我々が目の当たりにしておることですが、どことどこが友好関係にあり、どことどこが仮に敵対関係にあるかということを推し量るときに、敵の敵は味方だみたいなそういうような関係というものが世界じゅうで非常に複雑になってきたんだと思っているんですね。そのときに、信頼ある二国間の同盟というものがいかに必要なことであるか。そして、当然のことですが、日米安全保障条約のかなり重要な部分は同盟的な部分であって、その部分を消してしまうとこれは協商でしかないと思っているのですね。そこの部分を強調しなければいけない。  そして、同盟というのは、要は、外務大臣お話がございましたが、国益がいかに重なるかということだと思うんです。国益も重ならないのに同盟を持っているというのはおかしな話であって、いかに国益というものを重ねるか、そしてそれが世界の平和や安定というものにいかに資するものであるかということを私たちはよく考えなければいけない、そのように考えておるところでございます。
  29. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  長官のおっしゃるところもよく分かりますし、一方でアメリカが日米同盟というものをどこまで重視しているのか、重視はしているんだけれども、それに対しての質的な変化が起こっているんではないかなという感じも、今ここで結論付けることはないんですけれども、やっぱり今後注視しておく必要があるんじゃないかなと。やっぱり本音は、例えばイギリス抜きにしても単独でもやるんだというようなラムズフェルド国防長官の本音がかいま見るような部分もありまして、きちっと逆に、日米同盟を重視していながらも、逆にアメリカにきちっとそういう関係の、ある意味での、話の中でいろいろ意見言うべきことは言っていくことが必要なんじゃないかなというふうに思います。  いずれにしても、ちょっと今日は最初なんでその辺にしておきたいと思います。  防衛庁の設置法等の一部を改正する法律案に少しずつ入っていきたいと思いますが、最初は、ちょっとまた、これまた古典的な質問で恐縮ですけれども我が国の防衛力の考え方ということで、自衛のための必要最小限度の実力、防衛能力というお話をさせていただきたいと思うんですけれども、これは憲法上の解釈の問題でこれまでずっとそういうことでやってきたと思うんですね。  よくよく考えてみますと、やっぱり必要最小限という言葉を付けた瞬間から、この議論の宿命付けが出てきたということで、防衛に最小も最大限もないんで、必要な最小限というよりは、必要な防衛能力というのは考え方としてはないわけではないと思いますけれども、やはり最小限ということは我が国の憲法上ずっとここは大事にしてきたということは尊重しなければいかないと私は思っております。  そういう意味で、必要最小限というのは、さっきもう既におっしゃったんで聞くまでもないと思うんですが、あくまで相対的なものであり、相手の攻撃能力等の変化によってやっぱり変わっていくものだということでの理解で一応よろしいかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。長官
  30. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 必要最小限とは何かという議論は、おっしゃるとおりかなり実はいろんなものを含んでいるだろうと思います。  この国の安全保障政策を考えますときに、一番根っことなるのは、もちろん防衛二法がございますが、併せて国防の基本方針というのがございますね、昭和三十二年に策定をされたものであります、閣議で決まっておるもの。そこには最小限という言葉は出てこない。必要という言葉が出てくる。しかし、すぐに最小限という言葉が出てきて、必要にしてかつ最小限ということで、とにかくそれが何というんでしょうね、抑制的なものというのか、間違っても他国を侵略するようなものではあってはならないということで、きちんと必要にして最小限という二重の縛りを掛けているんだろうと思います。  しかし、最小限というのはあくまで何と比べて最小なのですかという概念でございますから、それはあくまで相対的なものである。防衛力というものが単にありさえすればそれでいいのだという話ではなくて、それが抑止というものを、意味発揮するためには、それは、周りの国が防衛力を高めていくとするならばそれに合わせて上がるものであり、周りの国がそういうものをどんどんどんどん削減をしていくという中にあって我が国が変わらず増やしていくというお話にはならないでしょう。  そういう意味で、増やすにしても減らすにしても、それはあくまで相対的な概念であるということだと私は考えております。
  31. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 やっぱり相対的側面は否定できないというふうにおっしゃられたという意味では、過去の答弁余りなかったんではないかなという感じはしますけれども、非常に私はそれは理解はできるわけですね。  そのときに、最終的に、じゃ、最小限の防衛能力なのか、戦力なのかということに対する線引きというんでしょうか、やっぱり区別できる限度の考え方は現時点においてどこに求めておいた方がいいのかなという感じはしますので、それは一つはやっぱり国会という我々代表が決めるんだから、それは担保されているというところもありますけれども、その辺についてのお考えを伺いたいと思います。
  32. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、量的変化は質的変化をもたらすかみたいな議論が一つあると思うんですね。どこまで積み重ねていくと質が変わるのというのがある。それとまた全然違う議論ですが、量的にはどこまで積み上げていったって変わらない。しかし、その質の全く違うものを持つと全体が変わるのだという、ちょっと分かりにくい議論なんですが、要するに今まで申し上げてまいりましたのは、性能上専ら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器、例えば大陸間弾道弾ICBM、長距離戦略爆撃機等ということが従来のお答えでございますし、私もその考えに変わりはございません。  で、そこのところを、私が今、庁内でいろいろ議論をしておりますのは、防衛力の本質は抑止力だということをずっと申し上げてまいりました。その中で、核抑止力と通常兵器による抑止力というふうに分かれます。また、そういう分け方もありますし、懲罰的抑止力という考え方と拒否的抑止力という考え方、抑止力の中にもいろんな考え方があるのだろう。我が国は、間違っても他国を侵略するような、今申し上げましたような、専ら他国の国土の壊滅的破壊のためのみに用いられる、そういうものを持つことはありませんが、それが抑止力の理論からしてどのように位置付けられるものなのかいうことをきちんと検証しようという作業は、私は庁内で申し上げておるところでございます。  こういうものを持たないんだ、ICBMは持たない、長距離爆撃機は持たない、それはそれで良いのですけれども、それがいかなる理論に基づいてそういうことになるのかということをもう一度私は自分自身としてきちんと検証したい。そうでないと、これから先、いろんな世界の議論に我が国としてどういう形で臨んでいくのか、我が国の考え方というものをどのように反映させていくのか、我が国の政策というものをどのようにリーダーシップを取っていくのかということにならないと思っておるわけでございます。
  33. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございました。  おっしゃられるところを総合すると、過去の答弁では、例えばICBMは憲法上やっぱり許されないということではありましたが、周辺のやっぱり攻撃能力等を考えますと、将来的にそれも変わり得るということをおっしゃっているわけではないという、そこの関係についてちょっと。
  34. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 繰り返して申し上げますが、ICBMであるとかあるいは戦略爆撃機であるとか、性能上専ら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器というものは、いかに相対的なものであるとはいえ、これは持てない、持てないということだと思います。つまり、相手がそういうものを持ったから、じゃ我々も相対的なものなので持つのかということになりますと、これは私は憲法からいって許されないことだと思っています。  ただ、それは、先ほど申し上げた相対的なものであるということと憲法上許されないということをどのように整合するのか、そしてまた抑止力というものは何なのか、我が国は核抑止力というものを我が国自体としては有しないわけですから、そこのところをきちんと検証することが必要だと。  いずれにいたしましても、我が国として、そのようなICBMであるとか戦略爆撃機であるとか、そういうものを保有をすることは、いかなる場合においても保有することは許されないという従来の立場に何ら変更を加えるものではございません。
  35. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  まだ私の意を尽くせないところもありますので、また次回以降の中でいろいろ議論をさせていただきたいなというふうに思います。  具体的なその法律に入るまでにもう一つだけお伺いしたいんですけれども、相対的なものと時代変化によってやっぱり変わっていくものだというお話ですけれども、今の自衛隊の例えば定員数あるいは陸海空の別のやっぱり定数等々を含めると、余り、じゃ、例えば冷戦前と冷戦後に大きく変わったところもありませんし、一方、予算の配分も余り陸海空別に何か変わったという状況もありませんが、じゃ、本当にこの相対的環境の変化にうまく本当に対応しているのかどうかということについては、なかなか分かりにくいんですけれども、その辺について、もし抜本的な見直しをするに際しても、なかなか難しい要素はあるのかもしれませんけれども、その辺の見解についてお伺いしたいと思います。
  36. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) 若干具体的な話になりますので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。  国際情勢とか、特に冷戦が終結して大きな変化がございますので、そういう変化に対応して防衛力というのもその在り方というのは逐次これは検討してまいっております。  特に大きく変わりましたのは、平成七年に策定された平成八年度以降に係る防衛計画の大綱、この大綱では、そうした冷戦終結などの変化を受けまして、防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を一層進める、また必要な機能の充実や防衛力の質的向上を図るという、そういう観点で、ここで大きな見直しがございました。  例えば具体的には、陸上自衛隊では、十三個師団二個混成団などを基幹部隊とする十八万人体制から九個師団六個旅団などを基幹部隊とする十六万人体制へと、こういうふうに移行しました。海上自衛隊で言いますと、護衛艦部隊のうち、地方隊の十個護衛隊を七個護衛隊にしましたし、掃海部隊を二個掃海隊群から一個掃海隊群等々です。航空自衛隊で言いますと、航空警戒管制部隊二十八個警戒群を八個警戒群と二十個警戒隊に編成すると、こういうふうな大きな見直しをしておりまして、この現中期防においても、将来の防衛力の在り方について検討を行うと、こういうことになっておりまして、そうしたことも受けて、現在、長官を長とする防衛力の在り方検討会議を行っております。  今後のことについても、今特に大量破壊兵器とか弾道ミサイル、こういったものが拡散をしているとか、テロやサイバー攻撃というふうな非対称の脅威があるとか、そういう、あるいは国際協調の必要性が増大しているとか、そういったいろいろな環境の変化、国際情勢の変化を十分留意しながら、具体的な部隊の編成や装備の体系、こういったものを検討することが重要でありまして、そういった視点から、この在り方検討会議において、今後の二十一世紀にふさわしい防衛力の在り方というものも検討しております。  そのように、情勢を十分踏まえて対応しているということでございます。
  37. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  じゃ、次に行きたいと思いますけれども、今回の防衛庁設置法等の一部の見直しの中での一つの特徴として、統合幕僚会議、自衛官が百四十名増員というのが、一つの目玉というとちょっとおかしいですけれども、重要な点ではないかなというふうに思いますが、これは陸海空の統合運用というんでしょうか、そういうものを目指したものだというふうに伺っているところでございますので、その辺、検討状況なり、長官としてどのようなやっぱりリーダーシップを発揮されようとしているのか、これは前項の六番目と、今の副長官お答えになったところと関係が私はあるんじゃないかなと思いますので、その辺も含めてお話をいただきたいと思います。
  38. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この統合というのは、なかなか御理解いただきにくい概念なんだろうと思っています。  今、副長官からお答えを申し上げましたが、今回お願いをしております中に、統幕会議の人員の増というものをお願いをいたしておるところでございます。それは、すべてこの統合運用に係るものではございませんで、統幕会議全体の人員という意味でございます。しかし、その中に、かなりの部分、統幕会議、統合の、統合運用の実行の部分に人を割り振っております。  じゃ統合って何なんだということになりますが、今までは、陸海空それぞれが動いていってそれぞれの幕僚長が長官を補佐するという形でございました。二つ以上の部隊が動きますときも、基本的にはそれぞれが動いていって調整を行うという形だったわけでございます。  しかし、考えてみますと、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊だけで完結をするような、そういう事案ってあるんだろうかということであります。例えば、これから先、テロとか工作船とか、そういうものの対策も必要になるでありましょう。能登半島沖の不審船事案、もう四年以上前のことになりますが、あのときには、海上自衛隊に海上警備行動が発令をされた、しかし航空自衛隊のF15も飛んでおるわけですね。  そういうように、それぞれだけで完結をするということの方がむしろ少ない場面が出てくるのだろう。だとすると、これから先は運用面において統合を基本とするという形、これは私は、言葉で言うと簡単なことなのですが、かなり革命的な変化だろうというふうに思っております。それぞれが独立して長官を補佐するのではなくて、統合運用というものを基本とするのだというふうにがらっと変わるわけでございます。  しかし、それは口だけで言ってみてもしようのないことであって、そのためにどのような法律が必要になるのか、あるいは運用だけではなくて、それが予算であり装備であり人事であり、そういう形になった場合に、これがどのように発展し昇華し結実していくのかということまできちんと詰めていくことが今後必要であろうというふうに私は考えております。
  39. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 おっしゃることは、その現時点の幕僚会議の役割という意味では、今おっしゃったような趣旨までは必ずしも含まれているわけじゃなくて、今後、やっぱりやる中で必要に応じて変えなきゃいけないということだというふうに理解していますので、最後にもう一問だけ、この防衛庁設置法案の話を質問させていただきたいと思います。  情報本部の話でありまして、我が国においてもやはり情報の収集分析能力というのは一番重要で問われるというところで、今回の設置法につきましては、九十名ぐらいでしたっけ、情報本部に増員されるということでございますので、ちょっと質問を二つに分けたんですが、申し訳ないです、ちょっと時間の関係上、防衛庁として情報収集体制をどのように強化していくのかということと併せて、情報収集衛星が打ち上げられましたので、防衛庁として今後どのように活用していくのかということについて、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  40. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) 先ほど統幕会議、自衛官百四十名増員とありましたけれども、そのうちの九十名がこの情報本部の増員ということでございます。その中身としましては、御指摘のように、情報というのは大変重要になってきておりますので、その情報の収集処理分析体制を充実するということで、従来情報本部の画像部というのがございましたけれども、画像情報と地理情報を融合すると。地図と画像の情報とを合体させていろんな情報をそこに空間的に認識できるように、空間情報を集約するといいますか、そういう組織である情報本部の画像・地理部を新設するというふうなことが主要なことでございまして、そうした画像情報の収集処理体制の強化のために二十八人の増員であります。  それから、電波情報を収集処理する体制を強化するとか、それから緊急動態情報の処理体制、総合分析体制強化のために、特に国際テロ等の多国間にかかわる問題を担当する要員を増強する等々で、全体九十名を増員予定しております。  それから、もう一方お尋ね情報収集衛星をどういうふうに活用していくかということでございます。  これは三月に打ち上げがされまして、この夏にも更に二機打ち上げが予定されております。これは我が国が独自に画像情報収集能力を持つということで、大変安全保障の面でも重要なことでございまして、特に、光学衛星と合成開口レーダー衛星と二種類の衛星がございますけれども、光学衛星はこの分解能が一メーター、一メーターの大きさのものを識別できるというふうにされておりますので、これは例えば弾道ミサイルのサイトとか艦艇や航空機の状況などについてのデータを入手できるという意味を持っております。  それから、合成開口レーダーというのは、これは光学の方は天気が良くないと見えませんので、天気の悪い夜間とか悪天候時においても、この合成開口レーダーがありますと情報データが入手できると、こういうことで両方相まってこの我が国独自の情報を得られるという大変意義のあるものでございます。  具体的に運用、今後開始されましたら内閣情報センターによる画像解析の結果を入手して情報本部でその目標の動向把握や地理情報の整備等に活用していくと、こういうふうに予定しております。  以上でございます。
  41. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございました。  済みません。先に答えちゃいけない。いいですか。名前呼ばれていなかったんで。いいですか。  ありがとうございました。  幾つかまだお聞きしたいところがあったんですけれども、時間もありませんので、ちょっと次の分野の質問に入らさせていただきたいと思いますので、次はイラク問題についてお伺いしたいと思います。  まず、米国が国連に対して経済制裁の解除を求めているという問題でございます。  元々、大量破壊兵器があったからこそ経済制裁をこれまでも続けてきて、アメリカの武力行使も大量兵器があるということを言って武力行使をしたわけですから、大量破壊兵器がまだ見付からない中で経済制裁を解除しろということについては、一連の流れから見れば、私はやっぱり少し論理的な矛盾があるんではないかなという感じはしているわけですので、それについての御見解。  そして、ラムズフェルド国務長官は独自での発見は難しいと言っているわけでございますので、これだけやって破壊兵器が見付からないということであれば、例えば国連の査察を再開してともに大量破壊兵器を発見するよう努力するということも一案ではないかなというふうに思いますが、その辺についての御見解なり働き掛けをどういうふうにしているかということについてお伺いしたいと思います。
  42. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) イラク大量破壊兵器の本格的な捜索が戦争の終結が近くなってようやくできることになったということで、今それが始まっているというふうに承知をしています。  それで、これがそう簡単ではないということは、イラクは広い国家、国でございます、国土を持っているわけですし、基本的に、前、国連のUNMOVICが入っていたときも同じようなことがありましたけれどもイラク大量破壊兵器をどのように処理をしたか、あるいはどこに隠したか、あるいはどこにあるかといったようなことについての情報をベースにやらないとこれはなかなか難しいということも、実態問題、そういうことだというふうに思います。いずれにしても、アメリカは今それを捜索をしているということに、段階に入ってきたわけです。  それで、経済制裁との関係ですけれども、これは六六一なり六八七で決まってきているわけでございますので、今後経済制裁を解除をするということについては、これは国連の安保理の決議といいます、が必要になってくるだろうというふうに思います。  それで、その見通しについてどうかというと、これは申し上げることは困難でありますけれども、関係国のこの点についての議論、これを注視をしていきたいというふうに思っています。
  43. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その中で、国連の査察を再開すべきじゃないかと。ラムズフェルド国防長官自らが、もう自らじゃ無理なんだと、ほかの協力を得たいということであれば、そういう考え方はあって当然じゃないかなと思いますが、その辺どうですか。
  44. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) いろいろな考え方があると思います。国際社会でもいろいろな考え方があると思います。  我が国は、前に五原則ということを申しましたけれども、国連の関与の下でという考え方をしていまして、これが具体的にどのような形で可能になるかというのはこれからの国際社会の議論によるというふうに思います。
  45. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 質問に端的に答えていないんですが、国連の査察というのも一つの案ではないかと思いますかどうかということです。
  46. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 幾つかの案があり得ると思うんですね、これについては。そういう意味では一つの案だと思います。  ただ、実際にこれが国際社会で議論の結果としてみんなで合意ができてそれでそれをやれるということでないと、最終的にはそこにそういうことに落ち着いていくわけですから、我が国としてはそういった点について議論はしていきたいというふうに考えていますけれども、最終的にUNMOVICが行うかどうかということについて、これは国際社会でいろいろ議論をしていかなければいけないと思いますし、我が国の立場というのは、先ほど言いましたように、国連が関与をしていくということが大事であるというふうに考えているということです。
  47. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今おっしゃった……。済みません。申し訳ございません、本当に。  じゃ、国連の査察というのは基本的には国連の関与ですから、それを推進していくということは我が国としてやっぱり賛成だということを多分おっしゃっているんだろうという理解で、次の質問に入ってもよろしいでしょうか。そういうことでしたいと思います。  ORHAへの派遣というのが決まったようですが、私もちょっと勘違いしていたんですけれども、派遣という言葉は使っていないという理解で、ちょっと今日も説明を受けたんですけれども、あくまでORHAに対して協力をするんだと。人を、ORHAのひょっとしたら同じビルに入るかもしれませんけれども、あくまで日本国政府として人を派遣して、あくまで日本国政府の指揮命令下に入って共同してやっていくんだという理解でいいんでしょうか。その辺ちょっとお伺いしたい。
  48. 安藤裕康

    政府参考人安藤裕康君) ORHAへの人員の派遣につきましては、あくまでも外務公務員としての身分を有したままで、外務大臣の指揮命令系統の下においてORHAに行って、そこで協力をするということでございます。
  49. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 行ってというのは、余りそういうことを言ってもしようがないのかもしれませんけれども、国際機関のようなところに派遣をするということではなくて、あくまで主権国家としての日本政府として外務省の指揮命令系統にある人をそこに送って協力をしていくという理解でいいんだというふうに思いますが、そういうことで、それで問題なければ。  民主党でもいろいろ議論がありまして、ここの法的根拠についてはやはりいろいろ問題があるんではないかという認識をしております。これは、過去の答弁等を含めましてどうなのかという認識はあるので、それについて今ここでもうお伺いすることは、先週御答弁されていますのでお伺いはしませんけれども、私は、我々はやっぱりあるんではないかということでございます。  やっぱり、乗り遅れたくないという気持ちは分かるんですけれども、これまでも日米はいろんな援助、協力を独自の組織としていろいろこれまでもやってきましたから、NSCですか、あるいは国防総省の一部の組織に入るということではないというふうに伺いましたけれども、やっぱりきちっとそれは我が国の主張すべきところは主張し、あくまでそれは外務省の指揮命令下の下で協力していくということが必要だと思いますし、安全の問題も含めてこれはきちっと注意を払っていただく必要があるんじゃないかなというふうに思います。  もう一つ、ORHAの派遣というのは終戦後の復興援助というふうに理解はしていたんですけれども、もう既にその辺も含めて派遣を検討しているようでございますが、概要をちょっと教えていただけますでしょうか。
  50. 安藤裕康

    政府参考人安藤裕康君) ORHAへの人的協力の問題につきましては、私どもといたしましては、イラクに対する人道復旧・復興支援ということで、これを初期の段階から積極的な役割を日本としても果たす必要があると。そういうことによって復旧・復興プロセスに日本の考え方をできる限り効果的に反映していくことが必要であるということで、私どもの方として人的協力を決定したところでございますので、その終戦云々ということとは必ずしも直接の関係はないということでございます。
  51. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 終戦とは直接関係ないということは、今もやっぱり交戦中でありながらもそこに人を派遣するというのは我が国として問題がないという意見でございますか。
  52. 安藤裕康

    政府参考人安藤裕康君) 戦闘終結後であるかあるいは以前であるかということにかかわらず、文民をORHAに派遣するということについては法的に問題がないということは、法制局からもそういう見解が披露されているところでございます。
  53. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いずれにしましても、まだ戦闘中であると。終戦はだれがどういうふうに宣言するのかというのは分かりませんけれども、いずれにしろ戦闘が続いているということは間違いないわけですから、やっぱりそこに人を送るという意味での安全性等を含めて私は注視する必要が、非常に大きな問題であるというふうに思っております。  そこはその辺に置きながら、また改めて御質問させていただきますけれども、今回、アメリカの復興援助というのは非常に素早い。この間もUSAIDがある民間機関と契約をしたということで、これがまた共和党政権と非常に政治的にもかかわりの深いところに援助の契約をしたということで、USAIDというのは元々技術援助しかしていなかったんですね、もうここ十数年。  そういうことでこれまでやってきて、ブッシュになって急にちょっと変わり始めているということでございますし、これ一つ取っても、やっぱり復興計画があって、公募して入札して何かやるというのは、相当これは計画がないとできないことだと思うんですよね。USAIDのホームページを見ますと、セブラルマンスという言葉を使っているんですね。もう数か月復興援助については検討してきたということですから、去年からそういうやり方でやって今日にこれ至っているんではないかなというふうに思いますが、そのころからある部分武力行使も覚悟したという意味でアメリカはそういう検討をしてきたなというふうに思いますし、今の経済制裁の解除の問題も含めて、非常に米国の本音が若干見え隠れする部分もあるんではないかなというふうに思います。  その一つに債権放棄の問題がありまして、アメリカは債権がないという理解で言うんですけれども、逆に債権を持っている国々に対して、イラクから見れば債務放棄ということをやっぱり実行しろという要請があったというふうに聞いておりますけれども、この辺は財務省にお伺いした方がまずいいんじゃないかなと思いますので、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  54. 森山裕

    大臣政務官(森山裕君) イラクの債務問題につきましては、イラクの復興支援に関する議論が進んでいく中で、国連等を含めた国際的な協調の枠組みやイラクの暫定政権の在り方等も踏まえつつ検討が行われるというふうに考えておりまして、そうした中で我が国としての対応を具体的に検討していくということになると考えております。
  55. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 何を言っているかよく分からないんですけれども、債権放棄をする方向で考えているのか、しないのか、もうはっきり言った方がいいと思います。我が国の意思としては、やっぱり国際情勢を見ながらもこうなんだということを言わないと分からないですよ、それは。
  56. 森山裕

    大臣政務官(森山裕君) 債務問題につきまして、一般的に申し上げれば、イラクは原油による外貨獲得能力が高いこと、また、イラクは中所得国に分類されており、これまでのリスケに関する国際的な取扱いにおいても債務削減の対象国とされていないこと等を踏まえつつ、慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
  57. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ということは、基本的には債権の放棄ということについては我が国としては慎重にせざるを得ないと。これまでの経緯を考えれば、やっぱり石油の収入もあり、そういうことを見定めれば、基本的にはやっぱり返済をしつつこれからの援助を逆に増加するということがありますので、そういう方向で考えるという理解でよろしいでしょうか。
  58. 森山裕

    大臣政務官(森山裕君) カットしないで円満に返済をしていただく等の方策を考えていくべきだと考えております。
  59. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 分かりました。  その中で、せっかく経産省の方も来ていらっしゃるのでちょっとお伺いしたいんですけれども、民間企業が復興事業に従事したくても、貿易保険の適用が現地でのこれまでの債務の問題も含めてあるんではないかなというふうに思いますが、その辺の事実関係と今後の対応を、債権放棄との関係でどういうふうに考えていくのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  60. 北村俊昭

    政府参考人北村俊昭君) お答え申し上げます。  今、御指摘ありましたように、イラク向けの貿易保険、まず現状でございますけれども、これにつきましては、一九九〇年八月のイラクによるクウェート侵攻がございました。これによってイラクからの債務返済の見込みがなくなったということで、短期の貿易保険また中長期の貿易保険ともに、原則としてそれ以降現在まで引受けを停止しております。  今後の取扱いはどうかという御質問でございますけれども先ほど財務大臣森山政務官から御答弁がございましたとおり、債権の問題がございます。私ども、貿易保険債権として四千三百億円という多額の債権を有しておりまして、これが現在未回収となっております。したがいまして、この現在未回収となっております貿易保険債権の問題の解決のめどが立つことが、まず今後の貿易保険の取扱いの検討に当たっての必要なことであろうというふうに考えております。
  61. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そのめどが立つというのは、その中身をちょっと教えていただけませんか。どういうことをもってめどが立つというのか。
  62. 北村俊昭

    政府参考人北村俊昭君) 先ほども森山大臣政務官からも御答弁ございましたように、この問題につきましては国際的な枠組みの議論が今後行われると思います。イラクに対する債権というのは、我が日本国だけではありませんで、各国とも相当多額の債権を有しております。したがいまして、これがどういう形で問題の解決を図られるのか、この辺の推移を見極めながら、私どもとしても適切に対応していくものと思っております。
  63. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 おっしゃることも分からないわけではありませんけれども国際情勢を見極めながら、債権の回収が始まるとか、めどが立ったらそれは改めて検討しましょうという、適用を含めてですね、ということだというふうに思いますので、そういう理解で次の質問に移りたいと思います。  ちょっと具体的なことをお伺いしようかなと思ったんですが、時間がありませんので、済みませんが、北朝鮮の問題を最後に二問だけさせていただきたいと思います。  四月十八日に開催されました日米韓の非公式会合の概要について、実際に出席されたアジア太平洋局長にちょっとおいでいただきましたので、ちょっと概要について簡潔にお話をいただきたいと思います。
  64. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今の御質問でございますけれども、二十三日から行われます米朝中三者協議、これに先立ちまして、日本と韓国そしてアメリカが意見交換をしたわけでございます。また、日本及び韓国から各々の考え方を述べ、その考えをアメリカ側にきちんと理解をしてもらって次の米朝中協議に反映してもらおうと、こういうことでございました。  基本的な考え方でございますけれども、我々が述べましたのは、これは北朝鮮による核兵器の開発問題というのは、これは絶対に認められないと。他方、これは平和的に解決すべき問題であると。そしてまた、この平和的解決に向けての今次三者協議というのは重要な第一歩であると。こういうことで、日本も、また韓国もこの協議を支持したわけでございます。この支持表明をいたしましたことにつきまして、アメリカ側からは、実はこの多国間協議、これの第一歩でございますけれども、ここに至るまでに日本、韓国、そしてまた中国が果たしてきた役割を高く評価するという話がございました。  もう一つの点でございますけれども、アメリカも非常に強く言いましたのは、日本と韓国がこの多国間協議に早期に参加すべきであるということでございます。そして、そのことを今回の二十三日からの協議でもきちんと述べるということを我々に確約してくれたわけでございます。今次、今般の米朝中協議というのは、交渉あるいは大きな合意というのは直ちに到達できると、そういうものではございません。イニシアルディスカッションズだということも今日アメリカ側も言っておりますけれども、そうした中でも、やはりこれは今後の解決に向けての建設的なプロセスに役立つものである必要があるということを強く我々から指摘したわけでございます。  さらに日本側からは、基本的な日朝問題についての考え方、これは日朝平壌宣言に基づいてでございますけれども、我々は核の問題、そしてまた拉致を含む二国間の問題について解決を図って国交正常化を行っていくんだと、このことを十分全体の中で理解して、そしてそれを踏まえて協議に当たってほしいということをアメリカ側に強く主張いたしまして、アメリカ側も、そうか、よく分かったというふうに言っておりました。  大体こういう経緯でございまして、若干その間に、北朝鮮が再処理を行ったんではないかというようなスポークスマンの発言をめぐってのやり取りもございました。これは特に新しい状況に入ったわけではないというのが我々の考え方でございまして、その点はようやく整理されて、そして会議が予定どおり行われると、こういうことでございます。
  65. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 済みません。私も聞き漏らしたかもしれません。拉致問題は取り上げて、米国にはそれをきちっとした要請はしたんでしょうか。
  66. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 拉致問題についても、先ほど申し上げましたように、日朝の平壌宣言に基づいて、そしてそれは拉致問題を含めての解決が必要であると、それをきちんと踏まえて会議に臨んでほしいということを言ったわけでございます。
  67. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういうことでいろいろ米国でも議論があったようですが、予定どおり明日、北京で米中朝の三か国会合が行われるということでございまして、その直後に、もう既に二十七日には韓国と北朝鮮の閣僚級の会合がセットされていると。さっき言った韓国と日本が入るべきだという、一方での日本との会合がやっぱりセットされていないということに対しまして、現時点でどういう見通しなのか、あるいはどういう働き掛けを行っているかということについてお伺いしたいと思います。
  68. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 御承知のとおり、日朝国交正常化交渉というのが平壌宣言の後一度開かれたままで、その後、拉致問題をめぐる様々の問題、そしてまた核問題がございまして、今に至るまで正式の交渉というのは再開できていないところでございます。  他方、我々といたしましては、いろんなチャネルを通じまして、北朝鮮に対し、この核問題の解決、そして拉致問題を含む二国間の解決の重要性ということを引き続き表明しておりまして、今後ともそうした形で粘り強く交渉をしてまいりたいというふうに思っております。
  69. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 なかなかその具体的な活動が我々にはやっぱり見えないんで、それも拉致被害者にとってもいろいろフラストを感じるところではないかなと思いますので、是非とも、具体的に力強く働き掛けて、両国間にまたがるいろいろな課題に、解決に向けて御努力をいただきたいなというふうに思っております。  今日はこれで時間がありませんので、私も最初質問だったので意を尽くせないところとか質問を残したところがありましたけれども、次回以降にしたいと思います。あと、今後、私も自分自身のテーマとしてODAをやはり今後も取り上げていきたいなというふうに思いますので、このゴールデンウイーク期間中もワシントン、メキシコ、ニカラグアへ行ってその辺の調査をしてきたいと思いますので、それを踏まえて、また時間があれば今後も議論をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  70. 高野博師

    ○高野博師君 防衛庁長官に幾つか基本的なことをお伺いしたいと思いますが、先ほどの防衛力の本質は抑止だと、こういうお話がありまして、私は、果たしてそうかなという疑問を持っておりますが、それは後ほどお伺いしますが、今日のお話は、ポイントはここに絞りたいと思いますが。  新聞報道によりますと、防衛大綱の基盤的構想、基盤的防衛力の構想の見直しの方針を固めたという新聞報道があるんですが、これは事実でしょうか。
  71. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 恐らくこれは四月二十日、この間の日曜日の毎日新聞朝刊かと思っております。私もこれを見まして、だれがいつ固めたのかなと思ったようなことでありまして、ということはよくありますよね、そういうことというのは世の中に。それほど簡単に固めるような議論だと私は思っていません。そんなに軽々にできる話でもありませんし、在り方検討を行っておること自体は、これは隠しておるわけでもございません、事実でございますが、それじゃどのようにすべきなのかということについて、ましてや基盤的防衛力整備構想というものを見直すということを固めたという事実はございません。
  72. 高野博師

    ○高野博師君 分かりました。  しかし、署名入りの記事で大新聞の第一面に出ていて、これが全く事実無根だと。これは本当に、マスコミというか新聞の信頼性というのは、これは相当下げるものだなと思いますが、いずれにしても、中身は非常に重要な話でありますので十分議論する必要があると思いますが。  今日は基本的な点について幾つかお話を伺いたいと思いますが、誤報であるところのこの記事によれば、要するに、従来の独立国としての必要最小限度の基盤的な防衛力を保有するという考えから新たな脅威に対抗するという考え方に転換する、こういうことなんですが、これは極めて重要な中身であり、もう恐らくそういう議論は少なくともしているんだろうと思いますが、そもそも日本国憲法の平和主義、理念、そしてまた第九条から当然の帰結として専守防衛というのが国是になっている、この点については異論はないと思いますが。
  73. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 全く異論はございません。
  74. 高野博師

    ○高野博師君 そこで、先ほども同僚議員からお話がありましたが、これを踏まえて、必要最小限度の防衛力を保有するという防衛大綱の基本的な考え方、これも国民に広く受け入れられているわけですが、しかし、この必要最小限度の防衛力という、この必要最小限度という表現がだんだん使われなくなってきている。代わりに、適正な防衛力とか節度ある防衛力とか、最近では効率的な防衛力、あるいは、長官もキーワードと言っておられますが、合理的でコンパクトな防衛力、こういう言葉が多く使われるようになってきている。この微妙な変化というのは、長官は当然認識していると思いますが、ある特定の意図があるとは私は言いませんが、国際情勢現実の変化というのを考えたときに、ある意味ではこういう表現あるいは考え方というのは当然かなという考えもあると思います。  まず、長官はこういう表現の変化について気付いているかどうか、お伺いしたいと思います。
  75. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私は、言葉はかなり気を付けて使っておるつもりでございます。その言葉が持つ意味がどのような意味なのか、いわゆる雰囲気として言葉は使ってはいけないと思っておりまして、言葉はかなり厳密に使い分けていかなければいけないという意味認識をいたしております。  キーワードと委員が御指摘になりました合理化、効率化、コンパクト化というお話は、現大綱におきましてキーワードとして登場してきた言葉であります。合理化、効率化ということは、いつの時代におきましても当然追求されるべきものでありますが、コンパクト化という言葉が出てきたところにいろんな議論があったというふうに私は記憶しています。  コンパクト化って何ですかといえば、それはちっちゃくするという意味じゃなくて、女性の方々がお使いになる、お化粧のときにお使いになるコンパクトのように、ちっちゃいけれども機能はぎゅっと詰まっていますよと、そういうような意味であるというふうに解釈をいたしておりまして、いや、お笑いになっていらっしゃる方がいらっしゃいますが、違いますか。何か私はそういうふうに聞いたのですけれども、そういうことで、決してちっちゃくすることのみを目指したものだとは思っていません。  ですから、その言葉の意味をきちんと解釈するということをしませんと、思わぬ方向に行ってしまうということがあるだろうと思っています。  必要最小限という、最小限という言葉を意図的に消したのかという御指摘であるとすれば、意図的には消しておりません。ただ、先ほどの御議論、若林議員の御議論にもありましたように、何と比べて最小限なのですか、そして、それは時代とともに相対的な概念ではないですかと。そうすると、その最小の中身は何ですかということをきちんと明らかにしていきませんと、これは防衛政策の透明性というものに欠けるだろうと。単に言葉で糊塗するようなことはやりたくないというふうに私は思っておるところでございます。
  76. 高野博師

    ○高野博師君 言葉は厳密に使っていると思いますが、私、防衛関係の資料を読むたびに非常に感じるんです、その変化を。  必要最小限とか適正というのは、これはどちらかというと量的な概念がちょっと強いのかなと。効率的、コンパクトというのは質的な概念の意味合いがかなり強いのかなと。それから、いずれにしても、必要最小限度というこの枠内でのコンパクト化であり合理化であり効率化だというふうに私は理解しておりますが。  そもそも、基本的な質問ですが、相対的なものだと、この最小限度とは。しかし、相対的なものでありますが、これがこの必要最小限度なのか適正なのか、判断はだれがするんでしょうか。
  77. 石破茂

    国務大臣石破茂君) その判断は、私は、最終的に予算というものを御審議いただき、決定をなさる国会の権能によるところが大きいのだろうと思っております。  私どもがどのような計画を政府として立てましょうとも、それは具体的には予算という形で出てくるわけでございまして、この御承認をいただかない限りそれは実現することは決してないわけであります。それをだれが最終的に判断をするのかといえば、それは、主権者たる国民の負託を受けた議会が最終的に御判断なさるということが私は正しい帰結かと思っております。
  78. 高野博師

    ○高野博師君 私もそうだと思うんですが、しかし、例えば予算の審議をする中で防衛力の議論をする、審議をする。しかし、正しい判断をするには正確な情報がなくてはいけないわけで、これはきちんと情報を公開してもらわないと判断できないわけですね。  例えば、クラスター爆弾についても、これは予算の中に何も出てこなかった。我々は判断のしようがないわけですね、これが本当に必要かどうかという。こういう情報公開になじまない部分もあることもよく理解できますが、しかし、こういう基本的なことについてはきちんと国会がチェックできるように僕はすべきじゃないかと思うんですが。  そこで、長官御自身は今の、日本現有の防衛力というのは必要最小限度と認識されているのかどうか、お伺いします。
  79. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 必要最小限度になるように、常にそれには心掛けているものだと思います。  ただ、私は、今の陸海空の防衛力が本当に必要最小限度なのかと、おまえはかくかくしかじか、かくなる分析に基づいて論証してみよと言われたときに、それがきちんと論証できるだけの十分な見識を持っていません。それは不見識だとおしかりを受けるかもしれませんが、私はそれはきちんとした論証というものが、数字をもって示せるような、きちんと示せない部分があるんだろうと思っているのです。  もう一つは、やはり防衛力というのは一朝一夕にしてがらっとモデルチェンジができるものではありません。それは委員よく御案内のとおりであります。じゃ、脅威が、例えばソ連が消滅をした、冷戦が終わった、新たな脅威が出てきた。だけれども、それまでずっと進めてきたのはいわゆる冷戦対応型の防衛力整備であったわけで、それがぱっと今年から来年変わりますよというような劇的な変化が遂げられるものではない。それは徐々に徐々に変わっていくべきものだと思います。  私は、少なくとも、私ども日本国が持っております防衛力というものが、先ほどの議論にもありましたような、専ら他国に壊滅的な打撃を与える、そのようなものは全く持っておりません。そして、他国を侵略するような、そういう装備というものも現段階においては一切有しておりません。そういう意味で最小限ということは言えるのだろうと思います。  そして、それが、不必要なものを私どもは持っているとは思いません。必要なものだとも思います。しかし、それが今ある脅威というものにきちんと一〇〇%ジャストフィットしたものかといえば、やはり冷戦時代のものを今でも有しておることは事実でございますから、それが必要最小限度になるように不断の努力を続けておるということでございます。
  80. 高野博師

    ○高野博師君 防衛の装備も、あるいは軍事的な攻撃能力、もう年々、日進月歩のように開発され、高度化されている。したがって、今、適正あるいは必要最小限度だという判断がされたとしても、しかし、一年後は十分でないかもしれない。これは正に相対的なものでありまして、あるいはアメリカ、同盟国であるアメリカの軍事力とか兵力、これも変化するということも考えると、簡単に、容易に我が国の防衛力が今、必要最小限度かという判断は非常に難しい。しかし、これはきちんと国会が絶えずチェックしていくというシステムは必要ではないかと思います。  そこで、冷戦後、あるいは長官の言葉をかりますとセプテンバーイレブンス以降、安全保障に関する国際環境は変わったということでありまして、我が国の基盤的な防衛力構想というのを変える必要があるかどうかということでありますが、確かに、北朝鮮の弾道ミサイルあるいは大量破壊兵器拡散、それからテロリズムの脅威、こういうことに対抗する防衛能力を強化する必要性は恐らくあるんだろうと思います。しかし、そこは慎重でなくてはならないと思います。というのは、軍事的側面だけでこれらの脅威をとらえれば、それはどんどん軍備というのはエスカレートするだろうと、そういうおそれがあると思います。  そこで、敵地攻撃、敵基地攻撃能力とかの保有とかあるいはクラスター爆弾の保有は、果たしてこれが必要最小限の防衛力にという方針に合致しているのかどうか、憲法上問題ないのかどうかと。しかし一方で、国民生命と財産を守るという国の責務を果たせるだけの防衛力を持つ、持っているのかどうかと、こういうことも含めて十分検討する必要があるんだと思いますが。  石破長官は、この敵基地攻撃能力に関しては思考停止に陥ってはならない、こう述べておられますけれども、正にそのとおりだと思うんです。しかし、思考が偏ってもならないと、思考偏向に陥ってもならないと私は思いますが、力とかあるいは武力の論理、力の論理だけでこれらの新しい脅威に対抗しようとすれば、行き着くところは軍事大国になるおそれがある、それは平和憲法の精神に反するんではないかと、こう思います。  そこで、防衛庁長官にちょっと申し上げるのは適当でないかもしれませんが、ハードパワーだけじゃなくて正にソフトパワー、外交戦略あるいは文化、教育、こういう側面からの、あるいは経済協力なんかも含めてのソフトパワー、こういう力を付けながら、あるいは発揮しながら日本の平和と安全を確保する努力というのも一方では当然求められるんではないかと思うんですが、長官、いかがでしょうか。
  81. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 実は、先日のロシアのイワノフ国防大臣が来日をいたしまして、五時間ぐらいお話をいたしました。それ一月、私は訪ロをいたしまして、モスクワにおきまして大臣と六時間お話をしたのです。そのときに思ったのですが、じゃ十年前にあるいは二十年前に日本防衛庁長官とロシアの国防大臣が何時間にもわたって話をして、ウオツカを飲みながら、もちろん会議が終わった後ですが、二人だけで、会議しながら飲んだりしませんですよ、終わった後でウオツカ飲みながらいろんな話をする。あるいは、国際観艦式が昨年ございましたが、キロクラスという潜水艦がやってきて、東京湾でこれが展示をされた。これが十年前、二十年前にそんなことが考えられただろうかということだと思います。  例えば日本とロシアを例に挙げるとすれば、小泉総理が訪ロをされて、いろんなプログラムを進めていかれることを発表された。委員指摘のように文化もございます。先般は、たしか矢野外務大臣がサンクトペテルブルクに行かれて桜の植樹をなさいました。文化の交流もいろいろいたします。文化の交流あり、人的な交流あり、あるいは科学技術あり、いろんなものがあって、しかしその中の一つとして安全保障というものが欠落をしてはいけないんだということなんだと思っています。安全保障の対話というもの、信頼醸成がなくて本当の二国間の信頼関係は築けるとは思っていません。  そういう意味で、おっしゃるように、軍事だけだと私は決して思いません。しかし、軍事において最も必要なことは、私、よく庁内で話をするんですが、文官同士も大事だろうと、そして高いレベルも大事だろうと、しかし最も大事なのは軍人と自衛官、その交流ではないのかと。お互いに軍事のプロとして、お互いの持っている装備を見れば、これがどのようなものであり、どのような防衛思想に基づくものであるかということは分かるはずなんです。そういうプロの交流というものも、高いレベルの交流、何も低いとか高いとか言うつもりはありませんが、そういうものを重層的にやっていくことが必要なのだと私は思っています。
  82. 高野博師

    ○高野博師君 そこで、防衛力の本質は抑止力にあるという、この長官の考え方に若干反論したいと思うんですが、抑止というのは国と国との関係あるいは国家間の関係で働くものだと、つまり国家には守るべき国民がい、財産があると、したがって、お互いにそこで抑止が作用するんだと僕は思うんですが、そこはいかがでしょうか。
  83. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おっしゃるとおりです。  ですから、そこが悩ましいところで、国家であったとしても、おれにとって国民はどうでもよいと、おれにとって国土はどうでもよいと、朕こそ国家なりとかいう話が昔ございましたが、守るべき国土も守るべき国民もないんだと、自分が良ければいいんだという場合には国家においても抑止力というものは機能しないかもしれない。グループや個人になればますますそういうことになるであろうということであって、そうすると、それが耐え難い打撃を受ける、つまり、我が国攻撃した場合には耐え難い打撃を被るからやめておこうという意味での抑止力はこういう場合にはワークをしない。  従来の意味での抑止的な概念は、そういうようなものに対して、いわゆるならず者国家とかそういう言い方を我が国はいたしません、懸念国家とかそういう、テロリストとかそういう言い方を我が国はするわけでございますが、そういう人たちに対していかなる抑止の概念というものは適用されるべきなのか、ということは本当に御議論をいただかねばならない、私どもも一生懸命考えねばならない、そういう問題だと認識をいたしております。
  84. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、テロリズムの場合、どうかと。テロリストには守るべき仲間はいるかもしれません、しかし領土も国家もない、姿も見えない、国境もないと。こういう彼らが大量破壊兵器を持つと、あるいは、いうおそれももちろんあるんですが、こういうテロリストに対して、例えば敵基地攻撃能力の保有なんというのは全く意味がない。そして、抑止という考えも通用しないんではないか。正に新たな、今、日本には、世界の脅威というのはこのテロリズム、テロリストでありますから、長官が持っておられる抑止論というのは私は冷戦時代の古い考えではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  85. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員はよく御案内の上で私の足らざるところを御指摘をいただいておるのだと思っておりますが、先ほど有事法制のところで山下委員の御質問お答えをいたしましたが、我が国にそういうテロリストなりグループなりというものが攻撃を仕掛けたとしても、所期の目的が達成されないということは抑止力の内容にならないだろうかという思いが私はしているのですね。  つまり、日本攻撃を仕掛けることによって、例えば壊滅的な打撃を日本に与えるとか政経中枢が破壊をされるとか、何の意図があるか知りませんが、日本攻撃を仕掛ける意図があるはずです。それが充足されない、成就されない、すなわち国民が安全に避難をし、自衛隊が整然と行動することによって侵略者の所期の目的が達成され得ないとするならば、それはやっても意味がないことだと思わしむることが抑止力の新しい概念として成り立たないだろうかということ。  あるいは、ミサイルディフェンスも私はそういう意味があろうかと思っているのですけれどもミサイルディフェンスによって、つまり我々がどういう形か分かりませんし、これは安全保障会議の議を経て決せられることですから、私がとやかく申し上げるべき立場にはありませんが、少なくともミサイル防衛に用いられる迎撃ミサイルというものが、その設計からいいましても、構造からいいましても、能力からいいましても、他国に向かって飛んでいくというものではございません。ましてや、ヒットキル方式などというものは全くそういう能力を有しないわけであって、そうすると、向こうが撃ったとしても、それが到達する前に迎撃されてしまう。そうであるとするならば、撃っても意味がない。  これも私は新しいタイプの抑止力の概念ではないだろうかというようなことを茫漠と考えておるところでございまして、冷戦時代の古い考え方、それが私は必ずしも全く無意味になったとは思っていません。アメリカの持っておりますが、ところの懲罰的抑止力や、イギリスが持っておりますところの拒否的抑止力というものが無意味になったとは私は思いません。しかし、それに加えて、新しい意味での抑止力というものの理論というものは私どもとしては作っていかねばならないのではないかと考えております。
  86. 高野博師

    ○高野博師君 ミサイルディフェンスと、これも抑止力として働くということはありますが、最大の抑止力というのは恐らく核兵器なんだろうと思うんです。  長官のこの考え方を突き詰めていくと、そんなら核兵器を持った方が一番安く、コンパクトでもあるし、抑止力も利くしと、こういう考え方につながるおそれはないでしょうか。
  87. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私どもの国として、NPT体制というものは維持をしなければいけないという立場におります。すなわち、私どもの国がそのようなことを言い始めてしまうと、では、世界百八十か国とも百九十か国とも言われていますが、どこも核を持っていいということになってしまう。そうなった場合に、これはある意味収拾が付かない世界が現出をするのだろうと思っています。私はNPT体制の維持、そのNPT体制にいろいろな指摘があることは事実だとしても、私どもは北朝鮮に対しても、NPTに戻りなさいと、そしてきちんとしたNPTの中における核管理という体制に入りなさいということを言っておるわけであります。  そうしますと、私ども条約を結び、それを遵守し、世界に向けて働き掛けていく、そういう立場であり、そしてまた広島、長崎のことを私は今申し上げるまでもございませんが、唯一の被爆国でありという形からしても、そして最終的に核がない世界というものを希求する以上は、私は日本が核を持つという選択はあり得ないというふうに思っております。究極の抑止力は核だとおっしゃる委員の御指摘は、そういう御指摘をなさる論者がいらっしゃることも私は存じております。さはさりながらということを申し上げ、同時にそれがいかに、私どもが申し上げている今の立場が、どうやって最終的に核のない世界を実現するまでの間、どうやって抑止力を発揮をし、核の削減に向かっていくかということは、きちんと私どもはプログラムを考えていかねばならないことだと考えております。
  88. 高野博師

    ○高野博師君 長官の御意見を伺って少し安心いたしました。  いずれにしても、新しいこの世界情勢、テロリズム等の脅威にどう対抗していくかということも含めて、新しいこの抑止論というのも、私も十分考える必要があるのかなと思っておりますが、今日はこのぐらいで終わりにしたいと思います。
  89. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、防衛庁設置法改正案について質問をいたします。  まず、自衛隊が保有しているクラスター爆弾についてお聞きをしたいと思います。  私もこのクラスター爆弾については航空自衛隊の百里基地で実物を調査して見てまいりましたけれども、この爆弾はコソボでもアフガニスタンでもイラクでも使われた。最近のイラクでは、報道によりますと、子供が不発弾を、クラスター爆弾の不発弾を見付けてパトロール中の米兵に渡したところ、少女と米兵四人が負傷し、米兵一人が足を切断するという痛ましい事件があった。で、バグダッドのお医者さんによりますと、不発弾による被害は百人以上を超えているというふうな指摘が報道されております。  私もこういう、このクラスター爆弾は繰り返しこの国会でも私取り上げてまいりましたが、この爆弾は私は無差別の非人道的な残虐兵器であるというふうに思います。専守防衛を掲げる自衛隊がなぜこのような爆弾を保有することが必要なのか。  私はこの点では、この点で質問主意書で私質問してまいりましたが、これまで自衛隊が保有していることは認めていますが、どれくらい保有しているのか全く明らかになっていない。購入金額は百四十八億円だということでありますが、これ元々アメリカが開発し、アメリカのライセンス生産で今、日本は生産しているような状況でありますが、このアメリカの金額、購入金額を見ますと、一万三千九百四十一ドル、日本円でちょっと為替を換算すると大体まあ一個、一発当たり二百万前後、そうなると、多くて八千発、少ない、為替の若干の変動があって六千発、こうした大変大量のクラスター爆弾を保有しているということが言えると思いますが、長官、どのくらい防衛庁はこれを、クラスター爆弾を保有されているんですか。
  90. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 金額につきましては今、委員指摘のとおりでございまして、私どもはそれを明らかにしてまいったところでございます。  それでは何発を保有しておるかというお尋ねにつきましては、恐縮でございますが、この点につきましてはお答えをいたしかねます。それは、何発有しておるということが我々の防衛力の、ある意味、量的限界というのでしょうか、そういうものを公表することになりますので、この数につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいというのが現在の立場でございます。
  91. 小泉親司

    ○小泉親司君 そうはいっても、ライセンス生産をやっている以上、アメリカの金額は公開しているわけで、何で日本が公開できないのか、アメリカも抑止論取っておるし、先ほどの議論じゃありませんが、日本もアメリカと同じように抑止論を取っておると。一方は公開し、一方は公開しないと、こんなおかしな私は話はないと思います。  そこで、防衛庁は私の質問主意書に、なぜ保有しているのかという質問に対して、通常爆弾では撃破できないような広範に展開した侵攻部隊を撃破するんだと言っている。ということは、通常爆弾では撃破できないというのは、これが特殊爆弾だということを一つは認めている。それから、広範囲に殺りくできる、つまり大量破壊兵器だということも、私は、認めておると。  有事特では、防衛庁長官が何と言っているかというと、万が一、やむを得ない場合に使う際は住民に避難していただくんだと。これは、不当な侵略を撃退するということはこれは我々も主張していますけれども兵器を使うのに侵攻しているところの住民を避難していただくんだと、それから使うんだなんという、こんな私は、軍事に強いと言われる防衛庁長官が、私は、こんな答弁をするというのはいささか、大変疑問なところでありまして、こういうやはり私は、特殊的な爆弾、大量の破壊兵器をもたらす爆弾というのは、私は使うことも問題であると思いますし、当然保有することも問題だと思いますが、その点、防衛庁長官はどうお考えなんですか。
  92. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、従来私どもがNBCという形で言い表しております大量破壊兵器というのは別の概念でございます。広範囲だから大量破壊兵器だと、こういうふうにおっしゃいますと、これは新たな概念でありますから、私どもとしてはそういう概念を取っておらないということでございまして、今後議論のときに擦れ違いがないよう私どもとしても注意をしてまいりたいと思います。  で、御指摘のように、じゃこれは特殊爆弾なのかと言われますと、その言葉の定義も、じゃ特殊爆弾とはかくのごとしというような定義がきちんと確立されたというふうに私は少なくとも承知をいたしておりません。これが親爆弾があって子爆弾、クラスター、房と言われるように、親爆弾から子爆弾が分かれて広範囲にという意味合いにおきまして、通常の概念で用いられます爆弾とは違ったタイプのものであるということは言えようかと思っています。  それがなぜ必要なのかというふうに言われますと、それはもう委員案内のとおりでありまして、装甲貫徹力や破片効果、焼夷効果を有する子弾を散布するということになります。これは私の認識が違うのかもしれません、委員とまたこの場で議論できればと思いますが、そういう爆弾を万やむを得ず使わねばならないような状況に陥ったときに、その場所に民間人がいるというようなことは私はあってはならないことだと思っているのです。さればこそ有事法制であり、国民保護法制であって、自衛隊が、正面部隊が活動するような地域において、民間人というものがそこにいることがあってはならないことだというふうに思っています。まず民間人が退避していただく、その状況下にあって万々やむを得ないときにこのクラスター爆弾を使うということになるものと思います。  そして、委員冒頭の御指摘にありましたように、戦後イラクにおいて、まだ戦後という言葉を使っていいかどうか知りませんが、いわゆる主な戦闘が終了した後にそういうような悲惨な事故があったことは承知をいたしております。私どもの国として、敵の侵害を排除した後に、そこでクラスター爆弾が使われたと、クラスター爆弾の大体どれぐらいの範囲に広がるかということは知見のあることでございますから、そこの範囲に本当に安全が確保されたか、子弾が不発弾として残っていないか、そういう状況をきちんと確認をしなければ、民間人の方がそこにお戻りいただくということは私は発生し得ない、私どもがそういうような危険があるところに民間人の方にお戻りいただくということはあってはならないことだと思っております。
  93. 小泉親司

    ○小泉親司君 クラスター爆弾は、防衛庁長官が今御説明しましたように、私は対人地雷になるという点でも極めて危険なものだと。その点は長官もお認めになっていると思うから、つまり、侵略した、撃退した後は安全な処理をするためにそれを言わば拾い集めるんだ、だから大丈夫なんだとおっしゃっている。  しかし、対人地雷の問題であっても、御承知のとおり、カンボジアだって、コソボだって、これからアフガンが起こるであろう、イラクだって、実際、対人地雷だってそういう危険があったから廃棄をしようということになったわけじゃないですか。ところが、クラスター爆弾というのは、事実上、これはもうイラクでもう起きていますし、コソボでも、私も外務大臣にも御質問しましたが、そういった対人地雷の被害が大量に存在するわけですよ。一説では一割だというし、対人地雷用のクラスター爆弾もあると。これは自衛隊が保有しているかどうか、私はちょっと分かりませんが、そういうものも存在すると。  これは、私は、対人地雷が廃棄されたというのは、事実上個人に対して殺傷能力が高い兵器はやはりやめようじゃないかという国際的な世論があって、これやめたんだと。だから、その観点からすれば、私は当然住民を避難しなければ使えないような、しかも対人地雷として残るような、そうしたクラスター爆弾は私は対人地雷と同様に私は保有をやめるべきだと思いますが、その点は防衛庁長官はどう考えておられますか。
  94. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 確かに、コソボ以降、そういう御議論がありました。今もあります。  特定通常兵器使用禁止制限条約の関連の諸会合が開かれておることは委員案内のとおりであって、その場において、クラスター爆弾がほかの砲弾と比べて不発弾となる危険性が特に高いかという議論がございました。そうしますと、特に高いということは言えないという結論になっておると承知をいたしております。しかし同時に、このクラスター爆弾の不発弾化を防止するための設計改良、そういう努力も行われているところであります。  日本として少なくともこのクラスター爆弾なるものを海外で使用するという想定はあり得ません。それを海外で使用する意味がございませんし、そういうような状況に置かれる、自衛権行使としてクラスター爆弾を海外において万やむを得ず使うという状況は私どう考えても想定をされない。外国で使われることはない。  それでは、国内において、そういうような対人地雷のような、そういうような悲惨な犠牲が生ずるかと言われれば、それを生ぜしめないようなそういう万全の処置を取る。しかし、それは信用ならないからクラスター爆弾そのものをやめてしまえという御議論になりますと、これはクラスター爆弾そのものが不発弾化率が高いかといえば、そうではないということになっております。  いずれにしても、我が国としては、これは外務省がお答えになることかと存じますが、そういうような非人道的な兵器というもの、そういうものの使い方、そういうものは抑止をしていこうという主張は我が国として国際的にしておるところでございます。
  95. 小泉親司

    ○小泉親司君 これは、私は、海外で使うのは、使うなと言っているんじゃなくて、これはもとより、これ、こんなことしたら更に日本の信用は失墜すると思いますので、これは当然のこととしてできないことだと。それはそうですが、私は、専守防衛を掲げる日本政府説明してきた防衛の戦略上も私はこれは極めて重大な爆弾だというふうに思います。  それは、例えば、先ほど事実関係で防衛庁長官は言ったけれども、不発弾の割合が少ないと言うけれども現実に今国際的に指弾されているのは、これが圧倒的に不発弾を多く残す爆弾だと、これはここが指摘されておるわけですよ。  例えば、コソボの難民を助ける会のNGOがやった外務省の報告書の中でも、通常の対人地雷は処理技術が発達したんでうまく処理ができると、しかし、クラスター爆弾というのは新しい爆弾なんで、なかなかこれが、先ほど防衛庁長官が言われたようにコソボ以降に使われたか、どこからかは正確には分かりませんが、そうした状況があるから、これは廃棄を、使用を禁止すべきだということが繰り返し強調されて、例えば、ニューヨークに本部を置くヒューマン・ライツ・ウオッチは、クラスター爆弾の使用は国際法違反だとまで強調されていると。  私は、こういう、やはり、言わば言いたいところは、国際的に禁止されていないから使えるし、保有されるんだということをおっしゃりたいのかというふうにも思いますが、私は、やはりこういう極めて特殊的な爆弾で、しかも広範囲に殺りくできるようなクラスター爆弾、大量な対人地雷となるようなこういうクラスター爆弾の保有については当然やはり私は日本が自衛隊が保有することは問題だと。よって、私は廃棄すべきだというふうに思います。その点、防衛庁長官、いかがですか。
  96. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 現在、クラスター爆弾を何か国が保有しているかというと、五十六か国が持っている。じゃ、何か国が自分の国で作っているかといいますと、三十三か国が作っている。我々の国の近くで申し上げるとするならば、中国であり、北朝鮮であり、韓国であり、ロシアであり、シンガポールでありということになるわけです。  もちろん、非人道的な兵器というもの、そして委員指摘のように、対人地雷は我が国は率先して廃止に向けてイニシアチブを取ってきたということからすれば、そういうような非人道的な兵器、そして戦争が終わった後も無辜の民が殺りくをされるような兵器、そういうものをやめていかねばならない、その政府の方針に何ら変わりはございません。  じゃ、今度、おまえ、クラスター爆弾についてはどうなんだと言われましたときに、それはやはり、先ほども申し上げましたようなCCW関連会合において、このクラスター爆弾が特に不発弾になる危険性が高いとは言えないということになっておるわけでございます。だからいいんだと言って開き直るつもりは私は全くございませんが、本当にそれが抑止力としてどれだけの効果を持ち得るのか、そして我が国の中でどれだけ本当に何の罪もない人々の犠牲を避けることができるか、それをまず考えなければいけない。  そして、これを世界各国に我が国が訴えていく。対人地雷禁止と同じように訴えていこうとするならば、そのいかに危険かということ、それは不発化率もございましょう、使い方もありましょう。対人地雷は、委員案内のとおり、どこに埋めちゃったか全然分からないというようなやり方をしてしまったので、今はきちんと条約を守る国はどこに埋めたかということもちゃんと知ってからでなければ埋めてはいけないということになっていますが、どこへ埋めたかは全然分からないというような使い方をしてはいけないということもあります。  じゃ、クラスター爆弾だと子機がどこに、子爆弾がどこへ行っちゃうか分からないじゃないかということもございましょう。それはしかし、やはり国際的なコンセンサスというものが必要なんだというふうに思っています。  ですから、対人地雷禁止というものに向けて発揮した我が国のイニシアチブの考え方は何ら変わるものではありませんが、クラスター爆弾においては、国内における抑止力の持つ意味、それから罪のない人たちが傷付かないということの保障、そしてそれを世界に向けて訴えていくときに客観的などれだけの説得力を持ち得るかということがちゃんとできなければ、それは単なる訴えだけに終わってしまう。  抑止力としてクラスター爆弾を持っていることの重要性というものもよくよく分析をした上で、我が国は立場を取らねばならない。現在のところ、我が国の立場には変わりはございませんが、またそれは御議論をいただきたいと思っておるところでございます。
  97. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、先ほども、繰り返しますが、抑止力のならない、これは爆弾だと。特に、対人地雷の問題もそうですが、これ、抑止力の議論でいっていたら、当然、先ほどの議論も出ましたが、核兵器も保有できると。しかし、日本だって、そういう意味じゃ、核兵器を保有しないということを明確に、そのイニシアチブを少なくとも発揮しているわけで、私は、五十数か国が持っているから日本も持つんだと、この議論は私は、今の日本の平和外交だと掲げる立場であれば、当然、率先してこういう兵器の廃棄について日本政府自体が呼び掛けるべきだということのイニシアを取るべきだということが一番肝要なことで、それをやはり、居直りだとは言いませんが、当然、そうした保有について引き続き認めるというのは私は非常に問題だということを指摘しておきたいと思います。  次に、特殊作戦群の問題について、今度の法案ではこの手当が含まれておりますが、問題は、この特殊作戦群と、これを習志野の第一空挺団に設置すると。これも日本防衛、特に政府が掲げる専守防衛と一体どういうかかわりがあるのか私、非常に分からないんですが、今、防衛庁は、この前私も行かせていただきましたが、例えば西部方面普通科連隊などいわゆるゲリラ・コマンドーを担当するレンジャー部隊だというところの強化を進めておりますが、この特殊部隊も通称レンジャーの人たちがたくさんこれに入る、そういう機構として組織されるんですか。
  98. 守屋武昌

    政府参考人守屋武昌君) 防衛庁といたしまして、十五年度末の部隊新編に向けまして所要の要員の選定を行うとしているところでございますから、その対象からレンジャーの有資格者を排除するということは考えておりません。当然対象として考えております。
  99. 小泉親司

    ○小泉親司君 レンジャー部隊相当入ってくるんですか。相当数入ってくるんですか。
  100. 守屋武昌

    政府参考人守屋武昌君) 先生御承知のとおり、ゲリラとか特殊部隊といいますのは、小銃、機関銃、機関けん銃、砲、化学兵器生物兵器などの多種多様な手段で破壊工作、要人暗殺、作戦中枢への急襲などの活動を行うことが考えられると。こういう多様な手段を取ってくるわけでございますから、そういうものに対応できる幅広い能力を持った者ということで考えておりまして、必ずしもレンジャー隊員に限られるものではございません。
  101. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、今、防衛局長が言っておられることは、破壊活動とかそういう潜入活動とか要人暗殺とか、そういういわゆる抑止力としてのそういう対応も特殊部隊は、作戦群は取るということなんですか。
  102. 守屋武昌

    政府参考人守屋武昌君) 私が申し上げましたのは、ゲリラ特殊部隊がどのような活動を我が国に対して行う可能性があるかと。それに対して、私たちはそういうものに対する対応できる能力を持つ必要があるということを申し上げたものでございます。
  103. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、要人暗殺などの対応、それから破壊活動の対応、そういう研究を特殊部隊はすると、こういうことなんですね。そういう対応をするんだと。
  104. 守屋武昌

    政府参考人守屋武昌君) 私が申し上げましたように、ゲリラ特殊部隊の常套とする手段は多種多様な手段で、破壊工作、要人暗殺、作戦中枢への急襲ということを行うことが考えられます。これを受けますと、大変、私どもの国の安全を守るという面で大変重要な障害を受けますので、こういう事態が起こらないように対応できる能力を持つということでございまして、破壊工作、要人暗殺、それを私ども部隊がするということではございません。
  105. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、七五年の四月に防衛庁は「レンジャー教育の参考」という文書を出しておられる。この文書の中で、あなたはやっていないと言っているけれども、実際に破壊活動、水路潜入、山地潜入、生存技術など、こういう訓練項目を挙げてやっているじゃないですか。  実際に、例えば、レンジャー行動においては、敵を奇襲するために河川を利用し、秘匿して潜入する場合があると。レンジャーはその特性上、主力から離れ敵中深く潜入して行動するんだと、こういう任務を持っているんだということで、そういう訓練を、敵地深く潜入する訓練をやるということでそのレンジャー訓練の参考の中に詳しく書いてあるんじゃないんですか。  実際は破壊活動をやらない、対応するんだと言っているけれども現実問題としては、破壊活動をやるというのはレンジャーの主要な訓練項目じゃないですか。そういうことをやるということなんですね。
  106. 守屋武昌

    政府参考人守屋武昌君) 先生が私に対しまして御質問されましたのは、陸上自衛隊の特殊作戦群の任務は何かということを聞かれましたので、私は、ゲリラ特殊部隊対応する必要があると。じゃ、どんな資格の人間が必要なのかということで、先生はレンジャー隊員に限られるのかという御質問をしましたから、そうじゃございませんと。ゲリラ特殊部隊対応する作戦は、機関銃、機関けん銃、砲、化学兵器生物兵器など、多種多様な手段で破壊工作、要人暗殺、作戦中枢への急襲という攻撃を行うものでございますから、私はレンジャー隊員に限られるものではありませんということを申し上げたものでございます。
  107. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、それはレンジャー隊員に限られるもの、全部がレンジャーだなんて私は一言も言っておりませんよ。レンジャー隊員に限られるものじゃないと、御答弁は、レンジャー隊員も入るということじゃないですか。──そうでしょう。  だから、それは例えば西部方面総監の普通科連隊に行ったら、いや、レンジャー部隊が大半だと。レンジャーだけで一つの、小隊だったか中隊だったかちょっと分かりませんが、そういうものを組織しているんだと。ここでは何人かの自殺者がここでおられて非常に重要な問題になっているんだけれども、こういうふうな訓練もやっているというので、私は、じゃどういうふうな教範に基づいてやっているんだと言ったら、その司令官が、いや、「レンジャー教育の参考」だと。これに基づいてやっているんだと言うから、私は、防衛庁にとったらレンジャー訓練の参考と、これ持ってきましたよ。  大半、具体的に全部、後ろの方は黒線が引っ張って、何やっているか全然分からないけれども、少なくともここで言っているのは、先ほど言ったような敵中深く潜入してやる訓練を行うんだということをこれで言っている。しかも、例えば生存自活なんていいまして、生存技術という特殊訓練をやるんだと。これは、補給が途絶えるなどの制約を受けることが多いレンジャー訓練においては必須の技能であるというふうに位置付けていると。例えば、ウサギや蛇やカエルをさばいて長時間これは生存訓練をやるんだと。こういう訓練もこのレンジャー訓練ではやっているんですか。特殊作戦部隊の訓練でもこういう訓練もやられるんですか。
  108. 守屋武昌

    政府参考人守屋武昌君) レンジャー隊員とは、そういう陸上戦闘の、我が国に対する地上戦闘が起きましたときに、地上戦闘としましてはいろんな戦闘形態が考えられます。ですから、そういう食糧がない場合で作戦目的を達しなければいけない場合もありますから、当然、サバイバル技術も学びますし、それから、敵に知られないで敵の所在とか部隊行動を把握する必要もございますから偵察行動も行います。それから、道路等が何かが占拠されていた場合に、道路を渡っては行けませんから山地を機動するというのはこれは当たり前でございます。それから、敵地を偵察するときに、遠くから見て分かる場合はそれでいいわけですけれども、中に入って見なければ敵の事情がよく分からない場合もありますから潜入訓練を行う。これは我が国に対する防衛を適切に行うために必要な訓練である、それから必要な技術であると承知いたしております。
  109. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 質疑時間が来ましたので。
  110. 小泉親司

    ○小泉親司君 まだまだ、五十九分ですよ。
  111. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 五十九分になりますので、簡潔にお願いします。
  112. 小泉親司

    ○小泉親司君 最後に防衛庁長官にお聞きしますが、私、これ、特殊作戦部隊と通称言うと、御承知のとおり、米軍は陸海空にそれぞれ、海軍にはシールズ、グリーンベレー、それから海兵隊の特殊作戦部隊、こういうものを持っていますし、現実問題としてイラクにこれが先制的に侵攻したということもこれも事実であります。そういうものと一体この特殊作戦群はどう違うのか。これは先ほどもちょっと防衛局長も答弁されましたけれども、余りよく分からないと。  この点については、私は最後に防衛庁長官に答弁を求めて、私の質問を終わります。こういう特殊作戦部隊は私たちは作るべきじゃないということを要求をしたいと思います。
  113. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員指摘のようなグリーンベレーであるとかあるいはシールズであるとか、それと同じものを目指しておるわけでは私どもはございません。ましてや、私どもの特殊作戦群というものが海外に展開をして、委員指摘の要人暗殺でありますとか敵地深く入ってと、そのようなことは全く想定をいたしておりません。  ただ、これはもう私が申し上げることもないことですが、委員は例えば韓国の「シュリ」をごらんになったことが何度もおありかと思います。そういう人間が入ってきたときに、じゃ、どういうような部隊であればそれに対応をできるのか、向こうがどのような行動に出てくるのか、どのような生存能力を有しているのか、そういうようなビヘービアのいろんな形態というものを理解した上でなければ、それに対して対応することは難しいのだろうと思っています。  それに対して、特殊作戦群ではなくて全く普通の、レンジャーの訓練も受けていない、特殊作戦群の訓練も受けていない、そういうような一般の普通科連隊のようなものが対峙をした場合に、非常に大きな犠牲が出るであろうというふうに私は思っております。それは、どのように使うかということであり、相手の能力を知悉することがそれを抑止をすることの大きな効果を生むというふうな考えに基づくものでございまして、そのような御懸念を抱かれることのないよう、今後とも努力をしてまいりたいと思います。
  114. 小泉親司

    ○小泉親司君 終わります。
  115. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 防衛庁長官お尋ねさせていただきます。  四月一日に北朝鮮の地対艦ミサイル発射に伴う情報伝達の混乱がありまして、最終的には小泉総理が、確認ができていないということで決着したんですが、防衛庁情報本部というものを設置して、ができて、非常に情報が一元化され、優秀な人材が配置されて、正確な情報を発信する、情報を収集できる体制ができているわけであります。  しかし、私はこれは防衛庁長官というよりも内閣官房の方に聞きたいことなんで、長官があれですね、内閣官房がおられないから、長官、閣僚の一人として御所見を述べられたらいいと思うんですが、私は、こういう情報が上がっても、ミサイルが飛んでくるよとか一生懸命まじめに情報を上げても、官邸でどうすることもできないような、何か国民のために有効に役立てるようなシステムができていないんじゃないかと。  例えば、地下ごうに入りなさいとか空襲警報を出しますよとか何にもないのに、一生懸命情報だけ上げても、まあ無駄ということはない、ああそうというような感じになってしまっているのが現状ではないかと思うんですが、これは有事法制がないということも、有事に対して、異常事態に対して対処できる国家体制ができていないということの証明だと私は思っているんですが、どのようにお考え、防衛庁長官じゃなくて閣僚として、もし官邸におられたらどういうふうにこの問題を考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  116. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 四月一日、御指摘の四月一日にやはり多少の混乱があったように見られたと思います。それは、例えば私どもで海上幕僚長が会見をした、その後に官房長がそれを訂正をしたということがございました。また、官房長官でもなく、防衛庁長官でもない閣僚の方から最初にこの情報の披瀝があったということもございました。  私どもとして、先生御指摘のように、情報本部が相当に精度の高い情報を得るような能力を有しております。それが防衛庁長官なりそしてまた官邸なりにきちんとした形で上がる、そういうようなルートも整備をされ、確保されています。  問題は、そこで得た情報をどのように開示をしていくかと。何を開示し、何をしないか、その伝達の方法はどのようにするのかということにおいて、ちゃんとした調整が必要なんだと思っております。官邸と私どもの間ではその調整はきちんと行われておるところでございまして、そのことが政府の中で徹底をされるようにしていかなければいけない。それは前回、だれがいいとかだれが悪いとか、そんな話ではなくて、情報というものはそういうものだろう。  もう一つ大事なのは、委員がまさしく御指摘のように、じゃ、情報だけ開示して、後はどうするんだと。例えば弾道ミサイル飛んできますよという情報だけ開示して、起こるのは多分パニックだけが起こる。その後どうするんだということがなくて、単に情報だけ開示しても、それは意味がないと私は思います。  そうしますと、国民生命、財産、国の独立、平和、安全に影響のある情報はきちんと開示をするということは決められておるし、そのようにすべきものですが、要はその後どうするんだということをちゃんと詰める、それが委員指摘の有事法制を整備することの内容の重要な一部を成すものだと認識をいたしておるところでございます。
  117. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 長官、よくお分かりになっておりますので、是非、閣内でそういう情報を受けてからの体制を、国家としての体制をどう構築するのかということを実際にやらないと、ただ情報パニックになってしまうわけでありまして、是非よろしくお願いしたいと思います。  それから、この防衛庁情報本部というのは、先ほども申しましたように、非常にレベルの高い部隊というか機関だというふうに私は思いますが、防衛庁の調達をする契約本部というのがございますけれども、調達でいろいろな不祥事があったために、非常に防衛庁装備品を調達するシステムというものが弱くなっていると。いろいろ、会計とかそういういろいろな部門がばらばらにされちゃって、結局、今の契約本部というのは会計をする人ばっかりしかいない。  どういうものを調達するのかというような、相手の国のものよりも品質の高いものじゃなきゃいけないし、特に一般競争原理というのを唱える人が多くて、いわゆるきれい事なんですけれども、飛行機だとか戦車だとか、そんなもの一般入札なんかできないんで、だれも作っていないわけで、特殊なところでそれを育成してやると。これは国家の方針として、中曽根内閣のときだと思いますけれども、防衛産業を育成するというきちっとした国家の方針も出ている。にもかかわらず、現在は非常にそれが弱くなっているというか、私はいいものが調達できないんじゃないかと、今のままでは、というふうに思っています。  それで、例えば具体的に申し上げますと、今までは、平成十五年の予算で物を調達するときには事前着工を認めていたわけですね。ですから、十二月ごろに契約しても、事前に着工しているから、もうそれは予算も付いていることだし、企業の方もリスクなくやれたと。だけど、今は事前着工なんか駄目ということになって、十二月から三月までの間にそんなものできるわけがない。そういう非常に防衛産業側を育成するということについては反対の、つぶすような動きをしている。  それから、私は在職中から思っていましたけれども、企業の仕様書とか、それから瑕疵だとか、そういうものがあった場合には、実際に費用を掛けているんだから、それは支払うべきだと。仕様書は、採用するところ、五社仕様書持ってくる、それで一社しか採用しないわけですから、あとの人は全部自費で払っている。そういうことをしちゃ私はいけない。実際に掛かった費用は支払うべきだというふうに思います。  それから、ソフトウエアなんというのも瑕疵の連続ですから、初めからいいものなんかできっこない。それについてはやっぱり費用を払うというふうにすべきだと。実際に防衛産業を育成するという意味であれば、企業が負担する費用は、その調達に関して支払うべきお金というのは全部払ったらどうかというふうに私は思いますけれども、この調達の問題は非常に今重要な問題だと私は思いますので、長官の御所見を承りたいと思います。
  118. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 事前着工の問題につきましては、ちょっと専門的な議論でございますので、防衛参事官からお答えをさせていただくことでお許しをいただきたいと思います。  基本的に、今、委員が御指摘になったようなことは、私は問題意識として非常に強く持っておるところでございます。結局、実費は払わないといかぬのじゃないのという御議論、私は、そうでないと本当にある意味リスクを冒した新しい設計とかそういうものは出てこないのではないか、もう採用されなければ全部自分の会社がかぶるんだということであると、独創的な設計とかそういうものは思想からして生まれてこないのかもしれないという考えを持っておりまして、そのことが実際に予算の中でできるかできないか、諸外国はどのようになっているのかという問題意識は、今、庁内で提起をし、議論をしておるところでございます。  もう一つ、防衛産業の育成ということは重要なことですが、それと武器輸出三原則というものをどのように考えるか。加えて、防衛産業の育成というものと保護というものは違うはずなのであって、では、保護ではなくて育成だということになると、今度は競争力ということになる。競争力ということになれば、外国と競争することになる。しかし、その競争という場面がない。それをどのように考えていくのか。多くの問題があるだろうと思っています。  委員の御提起になったこと、一々、私、思い当たるところがございまして、それから、与党からもいろいろと御指摘をいただいておるところでございます。ここで本当に、私、聞きっ放しにするのではなくて、プロジェクトチームのような形にはなかなかなりにくいとは思いますが、私は、そういうような実際の本音の議論というものを防衛産業の皆様方と今後の日本の防衛力の在り方という意味合いにおいてきちんと行っていきたいというふうに考えておるところでございます。  事前着工のことにつきましては、参事官からお答えを申し上げます。
  119. 大井篤

    政府参考人大井篤君) 事前着工の問題について御指摘があったわけでございますけれども、これは予定価格算定の問題とも関連してくると思います。  通常、私どもとしては、一般的に六月下旬ごろ、企業の決算が確定した後に企業から資料を入手して算定しているわけでございまして、通常、七、八月以降の算定ということになるわけでございます。しかし、それ以前に契約するという場合もございます。その際に、レートが出ていないのでという問題があるわけでございますけれども、私どもとしては、その時点においてレートが出ていないという場合においては、その前のレートを使ってもいいというふうに対応しているところでございます。  なお、予定価格算定に際しまして、企業が事前着工したために契約前に発生した経費であっても、当該契約を履行するために必要な経費であると認定されれば原価制を認めているところもございます。事前着工した経費を一切否認しているというわけではありませんが、限定的に、やむを得ないということであれば認めるケースがあるということでございます。
  120. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 時間が来ましたので、また。  ありがとうございました。
  121. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁にお伺いします。  防衛庁設置法改正案にある第五師団の旅団化に伴い同師団の定数が七千二百人から四千百人に減らされますが、予算面ではどのような変動がありますか。また、兵員の削減と装備の近代化との関連についてお伺いします。
  122. 守屋武昌

    政府参考人守屋武昌君) 人件費についてお尋ねでございますが、部隊ごとに特定して経費を算出しておりませんから、旅団化によりましてどの程度の人件費の変動があるかはお答えすることは困難でございますが、平成十五年度における陸上自衛官一人当たりの人件費を使いまして、改編後の充足率を一〇〇%とするということの一定の仮定の下に今回の五師団の旅団化につきまして機械的に試算しますと、約百五十億円程度の削減となります。
  123. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 その百五十億円程度の削減と装備の近代化の問題とはどういうふうに関連しますか。
  124. 守屋武昌

    政府参考人守屋武昌君) 先生御承知のように、防衛庁装備品というのは多年度にわたります、調達にですね。それから、維持費、経費の問題もございまして、その範囲が複数年度にわたりということと範囲が多岐にわたるということでございまして、現時点においてこれの、部隊関連の経費を算出することは困難であると見積もっております。
  125. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 質問の趣旨は、人員の削減の、その削減によって得られた費用というのが、そのまま装備の近代化に行くというようなことはありませんかという意味です。
  126. 守屋武昌

    政府参考人守屋武昌君) 私どもとしましては、第五師団を師団から旅団に改編するわけでございますが、それは人件費、人数を少なくいたしますけれども、その人数の減った分を装備費の機能向上で考えておるということでございます。  具体的には、高機動車の導入による機動力の向上、それから偵察隊の機能充実や師団通信システム導入による情報収集、伝達能力の向上、それからドーザーの増強や資材搬送車の導入などによる多様な事態への対処能力の向上などを図ることとしております。  具体的には、高機動車という大変機動力のある車でございます。これが第五師団には現在ゼロでございますが、これを約百四十両まで保有させたいと。それから、偵察警戒車は数両しかございませんが、これを十両と。それから、ドーザーにつきましては三十両を約四十両と。それから、資材を運搬する車、これはゼロでございますが、約二十両に拡充したいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  127. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁設置法改正案で隊員手当が新設される陸上自衛隊の特殊作戦群、これはまだ仮称のようですが、二〇〇四年三月に新たに編成されるようですが、その経緯、規模、任務並びに予算装備について御説明ください。
  128. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) まず、特殊作戦群の新設の経緯でございますけれども、これは先生御案内のとおり、冷戦構造が崩壊して、今、先進国間の大規模紛争が生起する可能性は極小化しておりますけれども、ゲリラや特殊部隊による攻撃を始めとする非対称的な脅威が顕在化しつつあると。そういう状況の中で、防衛計画の大綱で、この多様な事態に対して有効に対処し得る防衛力を整備することが適当であると、こうされております。また、平成十二年度に策定されました現中期防中期防衛力整備計画におきましても、ゲリラや特殊部隊による攻撃等、各種の攻撃形態への対処能力の向上を図るということをしておりまして、ゲリラ、特殊部隊による攻撃に対処するための専門部隊を新編することとしておりました。これらを踏まえまして、今回、そうした高い機動力や高度な近接戦闘能力を有する特殊作戦群を、仮称でございますけれども、特殊作戦群を平成十五年度末に習志野駐屯地に新編することとしたという経緯でございます。  それから、任務内容装備等でございますけれども、定員は約三百人を予定しております。群本部及び実働部隊をもって編成いたします。主要な装備品としましては、小銃、けん銃等の小火器、軽装甲機動車、高機動車等を予定しております。  以上でございます。
  129. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 この特殊作戦群は防衛庁長官の直轄部隊となっていますが、なぜですか。部隊の任務上の問題ですか、それとも陸海空の各自衛隊とは別の独立した組織として編成されるわけですか。
  130. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) これは、特殊作戦群のこの性格から来るものでございますけれども、ゲリラや特殊部隊による攻撃に対処するということでございます。  となりますと、このゲリラや特殊部隊というのはもう日本全国のどこで行われるか、これはもう事前に予測することは困難でございますので、そういう事態に迅速、効果的に対処するためには特に担当区域を定めずに即応性を重視した運用態勢を図るということが重要でございますので、長官直轄部隊としたところでございます。
  131. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 警察庁にお伺いします。  テロへの対応は自衛隊と警察庁といずれの役割になりますか。改めて御説明ください。
  132. 奥村萬壽雄

    政府参考人奥村萬壽雄君) テロにつきましては、治安の維持を預かる警察が第一義的に対処するものと考えておりまして、万一テロが発生した場合に備えまして、全国で二百名から成る特殊部隊のSATを編成しております。このSATがテロリストの制圧あるいは人質の救出のための特別な訓練を日々行っているところでありますし、また先進各国の特殊部隊とも頻繁に合同訓練を実施しております。他方、一般の警察力をもっては治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊に治安出動が命ぜられまして、警察と自衛隊が共同して対処することとなっています。  警察といたしましては、そういう場合に備えまして、昨年来、自衛隊と共同図上訓練を行っておりまして、こういう取組を通じまして自衛隊との連携につきまして更に強化を図っておるところでございます。
  133. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 テロ対策については、警察にはSAT、特殊急襲部隊があり、海上保安庁にはSST、特殊警備隊があり、海上自衛隊には特別警備隊があります。また、水際の島嶼で武装ゲリラを撃退する部隊としては西部方面普通科連隊が設立されています。  改めてお伺いしますが、それらの既成の部隊と、新たに作られようとしている特殊作戦群との任務と役割の違いについて御説明ください。
  134. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) この特殊作戦群は、今まで御説明しましたようなゲリラ・特殊部隊に対処すると、こういうことでございますので、ゲリラ・特殊部隊というのはいろんなあらゆる手段を使いまして破壊工作、要人暗殺、作戦中枢への急襲などの活動を行います。そういうものに対応できるように、あらゆる地形、気象を克服して、その特定の地域に潜入、離脱できるような能力とか、高度な近接戦闘能力を備えた部隊としてこの特殊作戦群を新編するわけでございまして、例えばこの西部方面普通科連隊と比較しますと、この西部方面普通科連隊は、島嶼部への、島嶼部が多い我が国の特殊性に対応しまして、島嶼部への侵略行為や災害派遣に対して迅速、機動的に展開し得るように、を目的としまして平成十三年度に新編されたものでございます。  例えば、具体的に言いますと、沿岸監視用のレーダーを充実したり、遠距離用無線機を装備したり、高い機動性を持つためにヘリコプターに搭載可能な装備によって編成するというようなものでございますけれども、これはその島嶼部での活動に適した装備を持ってそのような活動をするということでございます。  それに対しまして、特殊作戦群の方は、専らゲリラ・特殊部隊対応するための高い機動力や高度な近接戦闘能力を有する専門部隊でありまして、またテロ等がどこで起こるか分からないということに機動的に対応できるために長官直轄の部隊にしたと、そういうふうな位置付けの違いがございます。
  135. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお伺いします。  昨年九月十七日に、小泉総理と金正日国防委員長との間で日朝平壌宣言が合意されました。この宣言に込められた我が国の意思は、我が国への脅威脅威にさせないようにするための外交政策だったと思われるのですが、その後の展開が順調にいっているとは思われません。  今回の米朝中の会談が、話合いがこの平壌宣言の前進にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。
  136. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今度の三者会談、これについては、この地域の平和と安全に資する重要な一歩であると思っておりますし、そういう意味で、問題なく順調に進んでいってくれるといいというふうに願っているわけです。そういう意味で、平壌宣言と基本的に同じ方向を向いたことであると考えています。  今、三か国でということで始まろうとしていますけれども日本や韓国あるいはロシアといったところを入れていくということについて、米国はそうあるべきであるというふうに思っているということでもありますし、また我が国が重要な問題だと考えている拉致の問題等につきましても、これについて米国としては、我が国の立場、これは十分に説明をしてありますので、踏まえてこの外交に臨んでくれるというふうに考えております。
  137. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これは質問通告はしてございませんけれども、一般的な質問でございますのでお願いしたいと思います。  昨日、普天間飛行場のヘリコプター六機と、それから給油機が、あさっての米比合同演習に参加するために宮古の民間空港を使わせてほしいということを言ってきているようですが、県の方では前から繰り返し、民間の飛行場を使うのはやめてほしいということで自粛を求めておりますし、また当該地域の首長なんかはもう正面から反対しております。  日米地位協定では、米軍機の民間飛行場への出入りは認めておりますけれども、ただでさえ負担を甘受している沖縄県民にこれ以上更に、今後、合同演習なんかが出る場合に民間空港まで使われるようになりますと反発が一段と強まると思いますが、その辺についてどういうふうにお考えでしょうか。
  138. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) この点につきましては、米軍として沖縄県に県民が負っている負担ということについては十分理解をしているわけで、そういう意味で、ほかの手段があってできることについては基本的にそういうことで行動をしているというふうに理解をしております。  そういうその他の手段対応ができないようなこと、ぎりぎりのそういったことについて米軍から話があるということでございますけれども、現在その必要な調整を行っているところであるというふうに理解をいたしております。
  139. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ありがとうございました。  終わります。
  140. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  141. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対の理由の第一は、特殊作戦群の新編に伴う財政処置をめぐる問題であります。  特殊作戦部隊の新編は、他国への殴り込み部隊として名高い米軍の特殊部隊をまねて敵中深く潜入して戦う攻撃的性格の強い部隊を作るものであります。専守防衛を建前とする日本がこうした性格の部隊をなぜ持つ必要があるのか、全く必要がないことだと思います。  看過できないことは、テロや特殊部隊の潜入に対処するとの口実で、特殊作戦部隊が平時から治安維持のための出動を可能にすることであります。これは平時の治安維持は警察力をもって対処するという法体系を突き崩すことにほかなりません。  第二の理由は、統合運用計画室及び統合運用訓練支援班の新設、統合幕僚会議の増員が自衛隊の統合運用化を進めるとなる点であります。自衛隊の統合化は、軍部の独走で侵略戦争を推し進めた戦前の教訓から、自衛隊発足時から認められてこなかった問題であります。これを復活する試みは認められません。  しかも、この統合化は、昨年十二月の統合幕僚会議報告が述べているように、アメリカの戦争に加担していくためのものであります。これは政府がこれまで説明してきた文民統制、シビリアンコントロールを突き崩すもので、統合運用強化のための処置は到底容認できません。  以上のように、アメリカの先制攻撃戦略にひたすら迎合する自衛隊の拡大強化を進める本法案には反対であります。私は、紛争を戦争で解決するのではなく、憲法と国連憲章に基づいて、話合いで平和的に解決する大道を進むべきだということを指摘をして、反対討論を終わります。
  142. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  143. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  145. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関する千九百九十年十月二十六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。川口外務大臣
  146. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) ただいま議題となりました国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関する千九百九十年十月二十六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この議定書は、平成二年十月にモントリオールで開催された国際民間航空機関の第二十八回総会(臨時)において作成されたものであります。  この議定書は、国際民間航空機関の理事会の構成員の数を増加するため、国際民間航空条約の該当規定を改正することを内容とするものであります。  我が国がこの議定書を締結することは、国際民間航空機関における国際協力を増進する見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  147. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会