○
国務大臣(
石破茂君) まさしく
委員御
指摘のとおりで、この有事法制というのは使われたらおしまいなんですね、使われるようなことがあれば本当に
日本が有事になってしまうということですから。使われたらおしまいなのだけれ
ども、じゃ、だからといってなくていいという理由になるかというと、それは論理が物すごく飛躍していると思うんです。
私は、有事法制というのは抑止力の一環を成すものだと思っています。それが
一つ。もう
一つは、まさしく文民統制、シビリアンコントロール、法の支配というものを徹底させるものだと。この二つの
意味において有事法制の成立というものが一日も早いことを願っておるわけでございます。
要は、自衛隊の行動の円滑化ということがございます。ここで一々例を挙げることはいたしませんが、例えば、野戦病院を
一つ造るについてもいろんな手続が要る、あるいは道路を補修するにしても橋を補修するにしてもいろんな手続が要る。法治国家であればそれを守るのは当然のことだ。しかし、
日本に対して
武力攻撃を仕掛けてくる相手方は、当たり前の話ですが、
日本の
法律は守りません。そうすると、一体何が起こるかということです。
法律を守ったとすれば何が起こるのか。それは結局、
国民の
生命、財産というものを危機に瀕せしむることになりかねないということだと思います。
いざというときに、自衛隊がきちんと整然と行動できるということを確保しておくということは、それは必要なことであり、逆に
日本に対して
武力攻撃を仕掛けようとしている人、国、勢力、そういうものの目から見た場合に、いざとなったら
日本は何もできないんだと、いざとなったら超法規で動かなきゃ
日本は何もできないんだということを見て取った場合に、それではという
日本に対する
武力攻撃の誘惑に駆られることを私は避けられないんじゃないか。それを抑止するために、
日本に対して
武力攻撃を仕掛けたとしても自衛隊は整然と行動する、そして同時に住民は迅速に的確に
避難をするということが担保をされていれば、
日本に対して
武力攻撃を仕掛けたとしても所期の
成果が得られない、それじゃやめようかということになるはずです。しかし、仕掛けたとしたら自衛隊は動けない、
国民は
避難できない、それでは一丁やってみようかという誘惑に私は駆られないという保証はないと思っております。
そういう
意味で有事法制、私はいつも申し上げることですが、有事法制は戦争のための法案だとおっしゃる方がありますが、そうではないのであって、有事法制は戦争にならないための法案である、抑止力の一部を成すものである、同時に法の支配、文民統制というものを徹底するものであると、そういう観点から是非
委員の皆様方の御協力を得て衆参両院において御審議を賜り成立をお願いしたい、このように思っておるところでございます。