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2003-07-16 第156回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年七月十六日(水曜日)    午前十一時十二分開会     ─────────────    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      段本 幸男君     西田 吉宏君      森元 恒雄君     後藤 博子君      森 ゆうこ君     平野 貞夫君  五月二十日     辞任         補欠選任      小林  元君     広中和歌子君  五月二十一日     辞任         補欠選任      広中和歌子君     小林  元君  七月十六日     辞任         補欠選任      西田 吉宏君     岡田  広君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         本田 良一君     理 事                 中川 義雄君                 脇  雅史君                 小林  元君                 遠山 清彦君     委 員                 入澤  肇君                 岡田  広君                 後藤 博子君                 佐藤 泰三君                 伊達 忠一君                 西銘順志郎君                 岩本  司君                 大塚 耕平君                 信田 邦雄君                 風間  昶君                 紙  智子君                 小泉 親司君                 島袋 宗康君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)  細田 博之君    副大臣        外務大臣    矢野 哲朗君    事務局側        第一特別調査室        長        渋川 文隆君    政府参考人        内閣法制局第一        部長       宮崎 礼壹君        内閣府政策統括        官        武田 宗高君        警察庁刑事局長  栗本 英雄君        防衛施設庁施設        部長       大古 和雄君        法務大臣官房審        議官       河村  博君        外務省北米局長  海老原 紳君        国土交通省航空        局次長      星野 茂夫君        環境省環境管理        局長       西尾 哲茂君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (在沖縄米軍海兵隊員による女性暴行事件に関  する件)  (日米地位協定改定に関する件)  (キャンプ・コートニー沿岸域の鉛汚染問題に  関する件)  (沖縄県民に対する米国軍人等犯罪防止等  に関する決議の件)     ─────────────
  2. 本田良一

    委員長本田良一君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、西田吉宏君が委員辞任され、その補欠として岡田広君が選任されました。     ─────────────
  3. 本田良一

    委員長本田良一君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 本田良一

    委員長本田良一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事小林元君を指名いたします。     ─────────────
  5. 本田良一

    委員長本田良一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査のため、本日の委員会内閣法制局第一部長宮崎礼壹君内閣府政策統括官武田宗高君、警察庁刑事局長栗本英雄君、防衛施設庁施設部長大古和雄君、法務大臣官房審議官河村博君、外務省北米局長海老原紳君、国土交通省航空局次長星野茂夫君及び環境省環境管理局長西尾哲茂君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 本田良一

    委員長本田良一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 本田良一

    委員長本田良一君) 沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 自由民主党の西銘順志郎でございます。  両大臣には、大変御苦労さまでございます。今日は、与えられた時間が二十分ということでございますので、通告したとおり、両大臣の御見解を賜りたいというふうに思っております。  五月二十五日に、米軍兵士によりましてまたまた暴行事件発生をしたわけであります。もう私たち沖縄県民は、うんざりだというような思いを持っているというふうに思います。この暴行事件に対しましてはもう当然でございますけれども、度重なる事件に対しまして毎回毎回同じような言葉を繰り返す政府に対しても、あるいは何ら変わらない現状に対してもうんざりしているというのが県民の実感ではないかというふうに私は思っております。  そういうことに対しまして、福田官房長官が去った八日に内閣厚生労働委員会連合審査の中で、レイプに対してこのように答弁をなさっておられるわけでございます。もう人権じゅうりんの最たるものはレイプである、こういう行為無期懲役にも値するんだという旨の答弁福田官房長官がなさっておられるわけでございますけれども、この件に関して両大臣の御見解を賜りたいというふうに思います。
  9. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 五月二十五日に発生いたしました女性暴行致傷事件につきましては、本当に残念な事故であり、また大変痛ましい、事件であり、痛ましい事件でありまして、再発防止、それから米軍人等に対しまして再三にわたる綱紀粛正の徹底を要請してきたところでありまして、誠に遺憾でございます。  おっしゃるように、人権じゅうりんという意味では、福田官房長官と同じような気持ちでおります。
  10. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員が今うんざりしているというふうに沖縄県民の方のお気持ちをおっしゃいましたけれども、私もこの事件の第一報を聞きましたときに最初に思ったことは、またかということでございました。  福田長官あるいは今、細田大臣が言われたように、これはもう本当にあってはならないことで、しかも肉体的に力の弱い女性に対してやる犯罪でありまして、許せないと私は思っております。これを聞きました後、これについては拘禁移転──これは、しかも未成年の方ということであって、本当に許せない事件であると思います。  この拘禁移転については、私は直ちに行われることが必要であるというふうに考えました。出張の直前でありましたけれどもベーカー大使にお電話でお話をして、これについては、それを実行していただくことが重要だということを申し上げました。それで、プノンペンでパウエル国務長官にもお会いをしまして、そこでもそういうことを申し上げました。  お二人とも、これについては非常に遺憾だと受け止めていると。ベーカー大使については、私の言ったことについてはすぐに本国にこれはもう遅滞なく伝えるということをおっしゃられて、それからパウエル国務長官は、個人的に考えても大変に残念で遺憾な事件だということをおっしゃられました。  いろいろ、綱紀粛正ですとか今まで取り組んでいる取組はありますし、そういったことは引き続きやっていかなければいけないと思いますけれども、やはりこういったことが二度とないようにすることが何よりも今非常に重要でございますので、今までの取組が十分かどうかということをきちんと審査といいますかレビューをして、その上で新しく何かできることがないかどうか、それをきちんと検討するようにということも事務当局に指示をいたしました。
  11. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 両大臣がこの事件が起こった直後に取られた行動を私は大変高い評価をしたいと思います。しかしながら、私ども沖縄県民は本当に同じような状況にずっと置かれているということを申し上げたいのであります。  ここに「沖縄占領米軍犯罪事件帳」というのがございます。これは私の友人でございますけれども沖縄県庁に勤めておりまして基地渉外担当をした方でございまして、もう定年退職をしたわけでございますけれども、彼がこの本の中で言っていることを少し御紹介をしながら大臣等の御所見を賜りたいというふうに思いますので、お聞きをいただきたいというふうに思います。  この彼が、あの大戦から五十余年の歳月が経過した我が沖縄は太平洋戦争において凄絶この上ない国内唯一地上戦を体験し、一木一草を失い、未曾有の戦禍を被った。その戦争の惨禍から再建復興への我が先人たちのひたむきな生き様を後世へ素直に伝えることは私どもの責務である。そして、イの一番に、この本について、敗戦後における占領米軍兵士事件事故についてまとめてみたいと。実際、そのために何回となく資料の整理を繰り返し、発刊に備えようとしたかしれない。ところが、いつもながら、事案の性質上、それは人目をはばかり、活字にすることを恐れ、その事実を阻んでしまうというふうに述べているのでございます。  私もこの本を読ませていただいたわけでございますけれども、その内容は余りにも悲惨なものが多過ぎました。一例、二例を御紹介をさせていただきますが、これは、無我夢中で母親をかばおうとする子供をねじ伏せて母親を強姦した兵士、あるいは夫、義母の前で妻を強姦した兵士等々、もう本当にいろんな事件が載っているのでございます。  そういうような、私どもは、異常な体験の中で、どうしても人権を守るために祖国復帰を求めて、昭和四十七年五月十五日に祖国同胞の下に復帰をして、今年で三十一年目を迎えたわけでございます。  戦後、これは市民団体調査でございますけれども、この米兵による性犯罪というのは約三百件に上るというふうに言われております。また、復帰後の暴行事件検挙件数が百三十件。恐らく泣き寝入りで終わった件数もかなりあるというふうに推定されておるのでございますけれども、そういうような状況を考えるときに、私はもうこれ、終戦と全く変わりがないというような感じがしてならないのでございますけれども外務大臣の御所見、御感想を賜りたいと思います。
  12. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 沖縄のその犯罪の、米軍関係者による犯罪件数が一時期減ってきましたけれども、また増えてきているという状況にあるということは遺憾であると私は思います。  先ほども申しましたが、綱紀粛正等々、様々なことをきちんと米軍にやっていただく必要がありますし、また、更なる取組が何らかの形でできないかということも真剣に考えております。
  13. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 終戦直後と本当に変わらない状況というのを、恐らく県民の大多数がそう思っているんじゃないのかなと。特に、そういう米軍兵士に関しての事件事故というのはもう後を絶たないわけでございますから、そういう意味で私は、政府もそういう認識をしっかりしていただいて、一日も早い、そういう状態を終わらすのが政府の役目だというふうに思いますので、大臣のひとつしっかりしたこれからの活動をお願いを申し上げたいというふうに思います。  次に、これは一九九三年に、婦女暴行容疑で軍に身柄を確保されていた米兵基地から脱走をして米国本土へ逃亡するという事件が起こっております。そのときは、県内のマスコミで突き止められまして、米軍当局に確認をして事件が発覚をしたわけでございます。九二年にも同じようなことが起こっておりまして、私ども米軍監視体制というのはもういかにずさんであるかということを申し上げたいわけでございます。  こういうような積み重ねといいますか、こういうような事件事故の繰り返し、あるいは歴史の積み重ねがあって私は沖縄県民地位協定改定を要求しているということを政府に深く御認識をしていただきたいと思うのでございますけれども、これは両大臣、本当に御見解、真剣な御見解を賜りたいというふうに思います。
  14. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 現在、沖縄における米軍施設区域に関連いたしましては、大変沖縄県民皆様方への御負担お願いしているわけでございます。  そういった中で、この米軍そして関係者による犯罪行為がしばしば行われるということについては極めて遺憾でありますし、このことに関連いたしまして日米地位協定の問題について度々大きな議論が起こるわけでございますし、政府といたしましても、その時々の問題につきまして運用改善により機敏に対応するということでこれまでも努力しているわけでございます。  このたびも、外務省が直接の窓口となりまして、日米間で広範なこれらの問題についての話も、協議も行われていると聞いておりますので、私としても、政府関係者には、沖縄県民皆様方気持ちを大切にして是非ともより良き改善をしていただきたいということを申し上げているところでございます。
  15. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 地位協定改定の問題につきましては、沖縄方々から様々な意見が寄せられていること、寄せられているということは私もよく承知をしております。稲嶺県知事が地方自治体を回られているということもございますし、御要望もいただいております。  今、細田大臣がおっしゃいましたように、この日本安全保障という中で沖縄県民方々に非常に御負担がいっているということについては全くそのとおりでございまして、大変に御負担をお掛けをしているというふうに思います。この御負担の軽減のために最大限の努力をしたいと思っております。少しでも、とにかく目に見える形で前へ前へと前進をしていきたいというのが、ずっと外務大臣になって以来の私の気持ちでございます。  その一方で、日米地位協定につきましては、これはその時々の問題について運用改善によって機敏に対応していくということが合理的であるというふうに考えますということは今までも申し上げておりまして、今もそのように思っております。  今後、沖縄県の御要請等に取り上げられている論点については、運用改善についての議論をし、あるいはそれを進めていく上で参考にして十分に踏まえさせていただきたいと思っています。
  16. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 外務大臣稲嶺知事が、今、全国を行脚して各都道府県、特に基地に関する、基地を持っておられる都道府県皆さん地位協定改定決議をしていただいたり、せんだっては東京でもその改定決議がなされたということで、私は、地位協定改定というのは、もうこれは日本全国的にそういう話題になっているんじゃないのか、議題に上がっているんではないのかというような思いがするわけでありまして、また、是非とも国民の共通の課題にしなければならないというふうに私は思っております。そのぐらい大変重要な地位協定でございます。  もちろん相手、アメリカがありますから簡単ではないということはもう重々承知をいたしておりますが、やはり私も安保条約を容認して、アメリカ米軍基地の在り方もちゃんと容認をする立場ではございますけれども、いかんせん余りにも事件事故が多過ぎる。そういうことで、何とかひとつ、そういう地位協定があるという、あるからこそこの事件事故が起こるんじゃないのかと、米軍安全地帯に逃げ込んで、もう自分たちは何しても基地の中にさえ逃げ込めば大丈夫じゃないかというような感覚を持っているんじゃないのかなという思いをしてならないわけでございます。  そういう意味で、法律的にはそういうことじゃないのかもしれませんけれども、その感情としては正にもう私はそのような感がしてならないわけでございまして、その辺をひとつ政府はしっかり認識をしていただきたいなというふうに思うのでございます。  大臣先ほどから運用改善が合理的であるというふうに言われておるわけでございまして、衆議院の沖特委員会でも大臣が発言されておられたこれらの、緊急車両施設内の通行とか、あるいはアメラジアン問題とか、あるいはPCBを含む問題とか、そういうような問題を一つ一つ外務省がしっかり頑張っておられることは私も十分評価をしておるところでございます。  先ほど外務大臣がおっしゃったように、九五年の少女暴行事件以来、米軍事件事故は少なくなってきたというふうにおっしゃっていましたけれども、またここへ来て百件を超えるというような事件事故が出ている。正に綱紀が緩んでいるんではないかと、あるいは運用改善ではもう限界に来ているんではないかというような思いをするわけでございます。  もうくどいようでございますけれども、改めて地位協定改定についてお願いをさせていただきたいと思うのでありますけれども大臣の御所見お願い申し上げます。
  17. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 犯罪については再発をさせてはいけないと思います。再発防止が重要で、そのためには、綱紀が緩んでいるのではないかというふうにおっしゃいましたけれども綱紀粛正についてはきちんと機会あるごとに申入れをいたしておりますし、今後もしていきたいと思います。その上で、更に何か再発防止という観点から相談をしてできることがあるのではないかというふうに考えまして、議論をしたいというふうに思っております。  そういった努力を行う一方で、日米地位協定改定の問題につきましては、これはいろいろな種類の問題がございますので、その都度その都度、これについては運用改善によって機敏に対応していくということがやはり合理的であるというふうに政府としては考えております。  運用改善には引き続き努力をしていきたいというふうに思います。
  18. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 もう運用改善で終わらせたくないというのが県民の意向でございますから、どうぞひとつ、大臣、しっかり行動していただきたいなというふうに思うのであります。  これは最後の質問になろうかと思いますが、これ、外務省当局にお聞きをしたいと思います。  キャンプ・コートニー、具志川市にあるキャンプ・コートニーで、鉛の問題、クレー射撃が行われて、これ、約三十五年間で四十九トンの鉛が蓄積をされていると。この沿岸海域沖縄県が調査をしようということで軍に立入り許可を申請したわけでございますけれども拒否をされた。  軍の運用などを妨げることがない限り、立入り申請に対してすべての妥当な配慮を払う、これも私は運用改善だと思うんですが、こういうこと、運用の、米軍の好意に頼らなければならぬというのはもう本当に歯がゆい思いでございまして、なぜこれは、米軍行動に対して余り邪魔にもならないようなもの、要するに環境面調査でございますから、なぜそこで米軍拒否をするのか、外務省はこれについてどのようなことをなさったのか、御答弁お願い申し上げます。
  19. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 御答弁を申し上げます。  本件につきましては、以前から問題になっておりまして、平成の十三年には米軍による調査が行われまして、また平成十四年につきまして日米政府合同の補完的な調査が行われました。これの結果といたしまして、人の健康に影響を与えるものではないとの結果が得られているということでございます。  他方沖縄県におかれましては、今お話のありました独自の立入りによる調査を行いたいということで要請をされたと、これは現地米軍司令官要請をされたというふうに承知をいたしております。  我々が承知いたしておりますのは、それに対しまして司令官は、現地米軍では判断ができないので日米合同委員会の枠組みで検討してほしいというふうに返事をしたというふうに承知をいたしておりまして、我々といたしましては、米軍側として何らかの最終的な判断を行ったということではないというふうに考えております。  これは、九六年にやはり地位協定運用改善ということで施設区域に対する立入りについての合意というのができておりますけれども、これで、沖縄県が施設区域に立ち入るということについては一義的には現地司令官申請をするということで、それに基づいて行われたのだというふうに承知をいたしておりますけれども他方、例外的な場合には、沖縄県の立入りということであっても合同委員会場等で両政府の間で検討をするという手続も規定をされております。  その際、今、正に西銘委員がおっしゃいましたように、軍の運用等に妨げがない限りにおいては妥当な考慮を米側は払うべきだということも合意されておりますので、この件につきましては、沖縄県の方からそういう御要望があれば、日米合同委員会等の場で米側と調整を行ってまいりたいというふうに考えております。
  20. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 時間でございますので、北米局長、今、埼玉の方でクレー射撃の問題で、国体でもこの鉛の問題でクレー射撃をもう埼玉でさせないでおこうというような話になっているわけでございまして、沖縄県は、これは沿岸地域に四十九トンあるということでございますから、これは沖縄県独自の調査も是非させていただきたいということを御要望をさせていただきたいと思います。  両大臣、本当に、失礼なことを申し上げたかもしれませんけれども地位協定改定というのはやはり沖縄県民の私は悲願であると思っています。そして、沖縄基地問題というのは日本全体で考えるべきだというふうに御提言を、御苦言を申し上げさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  21. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  今日は時間も限られておりますので、できるだけ事前に提示申し上げました質問に沿って質疑をさせていただきたいと思いますが、今の西銘先生お話も聞いていて大分疑問点もふつふつとわいてまいりましたので、若干脱線するかもしれませが、お許しいただきたいと思います。  私も、去年、党の仕事で沖縄、五回行っておりまして、議員になってから都合もう十回近く行っているんですが、去年は沖縄米軍基地は全部訪問させていただきました。そして、グレグソン四軍司令官とも二度面談をさせていただいて、また基地内の見学もさせていただき、そして、米軍皆さん刑事事件というものが決して一般的な発生率よりも高いわけではないということを一生懸命説明をしてくださったのを聞かせていただきました。また、地域との交流もしっかりやっているという説明も聞きまして、なるほどなと思った次第でありますが、だからこそ、言ってみれば、別に米軍であってもなくても、残念なことに、ある一定の確率で犯罪というものは起きるわけでありまして、起きた犯罪というものは平等に処罰、処分されるのが原理原則ではないかなと、こう思っているわけであります。  そこで、今日は法制局においでいただいていますので、まず最初法制局にお伺いしたいんですが、一般論として、日本国憲法で規定されている基本的人権の制限が許されるのはどういう場合かということをお聞かせいただきたいと思います。
  22. 宮崎礼壹

    政府参考人宮崎礼壹君) お答えいたします。  何が基本的人権内容であるかということはひとまずおきまして、一般論としてのお尋ねでございますので、お答えしますと次のようなことになろうかと思います。  憲法第十三条は、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする旨、定めております。この規定からも、公共の福祉のため必要な場合に、合理的な限度において国民基本的人権に対する制約を加えることがあり得るものと解されておるわけでありまして、その場合における公共の福祉の内容や制約の可能な範囲につきましては立法の目的等に応じて具体的に判断されなければならないというふうに、このように考えられております。
  23. 大塚耕平

    大塚耕平君 今、公共の福祉という言葉があったわけでありますが、そうしますと、この暴行事件を契機にまた繰り返し議論されている裁判を受ける権利に関して、米兵の方を引渡しをしない合理的な理由として、引渡しをすることが公共の福祉に反するかどうかという観点でこれは議論をしなければならないと思うんですが、是非、ここは川口大臣のお考えを是非聞かせていただきたいんですが、米兵の身柄引渡しをする、しないということが、日本国民にとっての裁判を受ける権利とのかかわりで、公共の福祉に反するか反しないかというのはどういう関係がございますのでしょうか。
  24. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この問題についての問題の立て方というのが少し違うのではないかなという気がします。  今、委員がおっしゃっていらっしゃることの前提は、日本人、あるいは国籍必ずしも日本人ではないかもしれませんが、基本的に我が国が一次裁判権をその人に持っているということを前提でおっしゃっていらっしゃるわけですね。この米軍の裁判あるいは犯罪についての問題の前提はそれとは異なっておりまして、日本人については正に我が国が裁判権を持っているということであるわけですけれども、後で北米局長が補足をすると思いますけれども、基本的にこれは米軍、外国の軍隊が外国に駐留をしているということでありまして、米軍の軍隊に対してのその一次裁判権を日本が必ずしも持っているということでは、そもそもスタートラインとして、ないということであります。  それで、地位協定というのが何をしているかということですけれども、我が国が、領土主権を持っているわけですから、の持っている裁判権と、それから米軍の軍人に対して米軍が本来持っている管轄権、これの調整をどのようにするかということであるわけです。したがって、その引渡し云々ということについては、当然に一次裁判権を我が国が持っていて、したがって、引き渡すということの考え方から派生をしてくることではなくて、調整をした結果、地位協定において我が国が一次裁判権を持つに至った部分についてはそうであるという、まあそういう考え方であるという、基本的な考え方はそういうことであるというふうに思います。  ちょっと、あと細かいことを北米局長から補足をさせていただきます。
  25. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 基本的に大臣がおっしゃったとおりでございますけれども、外国軍隊というのは、その駐留が許されるということであっても、基本的にはその属する国家の専属的な管轄権に服するというのが、これがまあ国際法の一般原則でございまして、ただ、そうは申しても、日本の主権が及ぶ領域内に存在しているということから、当然日本の管轄権も及ぶということで言わば競合する関係になるわけでございまして、それを大臣が言われましたように調整する必要があるということで各国とも地位協定を結んでいるということでございまして、今問題になっております、その第一次裁判権が日本側にありましても、米側が身柄を持っている場合には起訴までは米側が引き続き身柄を勾留、持つと、保持するというこの規定については、このような調整の仕方というものは日米地位協定だけではなくて、例えばNATOの地位協定も同じような考え方に立っているということでございます。
  26. 大塚耕平

    大塚耕平君 今、与党の先生からもぼそっと、そんなことを言っているから駄目なんだというような声が聞こえてまいりましたし、西銘先生とも私も考え方、一緒ですので、日米地位協定改定問題に関しては、これは十年前、十五年前は知りませんけれども、今日に至っては与党の皆さんも多分かなり多くの方が改定すべきじゃないかと思っていて、野党はみんなそう思っているわけですよね。そういう中で誠に摩訶不思議な議論がずっと行われているなということで、議事録も幾つも拝見したんですけれども、過去のものも含めて、その摩訶不思議な点、二点御指摘申し上げて大臣の御意見、お伺いしたいんですが。  まず一点目は、軽い問題といいますか、議論の整理をしたいんですが、先ほど大臣は、その一次裁判権の保有がどちらにあるかという観点であって、問題の立て方が違うという御指摘であったわけですが、おっしゃるとおりです。これは主権と主権の対立ですからそのとおりなんですが、ところが、例えば最近の新しいところで、六月二十四日の衆議院の特別委員会の議事録を拝見しても、大臣は、これは山田委員に対してお答えになっている部分で、「日本人の、裁判を公平に受ける権利というのは、日本の主権としてこれは守られるべきものである」ということを質疑の中でおっしゃっておられるわけですね。  日本人の、裁判を公平に受ける権利云々という、こういう御発言をしておられるというのは、実は裁判を公平に受ける権利というのは、これは実は被害者のことを想定して発言しておられるような文脈ですし、こういう事件が起きるたびに、過去の議事録を読むと外務省答弁というのは、被害者のことを語られるときになぜ容疑者が引き渡されないかというくだりにおいて、日本人が裁判を公平に受ける権利というのは、一般論として日本の主権としてこれは守られるべきだという言い方をしておられるんですね。  したがって、今日、是非確認させていただきたい第一点というのは、憲法で言う裁判を公平に受ける権利というのは、これは被疑者の権利なんですね。ところが、外務省がこの問題が起きるたびに委員会の場で発言をしておられる公平に裁判を受ける権利というものは、実は憲法上の権利とは違って、やや違って、その被害者の立場に立って容疑者が日本当局に、あるいは司法当局に引き渡されて、そういう状況の中で裁判を受ける権利も含めておっしゃっておられると考えてよろしいでしょうか。
  27. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 衆議院の山田委員との間の、やり取りをしたということは記憶にございますけれども、全部きちんとその前後の関係をはっきり覚えているわけではないんですけれども、そのときに申し上げたことは、今、先ほど大塚委員に申し上げたことと同じことでございまして、米軍人が裁判を受けるという、要するに、今の御質問でいえば、日本人が犯罪を犯した場合にこれはまあ日本で裁判を受ける、当然そういうことになるわけですけれども米軍の場合にはその管轄権の競合がありますということを申し上げたということでございます。
  28. 大塚耕平

    大塚耕平君 大臣は御答弁が非常にうまいので、いつもこう何となくからめ捕られちゃうような、そんな気がしてほかの方の質疑のときも聞いているんですけれども、今後も、さっき申し上げたように、残念ながら刑事事件というのは確率的に繰り返し起きますので、防止はしたいと思いますが、今後の議論のために議論、論点を整理させていただきたいんですが。  つまり、公平に裁判を受ける権利という表現は、これは日本国憲法においては被疑者のことしか言っていないわけですよね。だから、今後また同じような事件が起きたときに、その被害者の人権を守るということと、それから容疑者の引渡しを求める、求めないということは基本的人権の話とは関係ないんですよね、恐らく。  それとも、いや、私はむしろ外務省がより広い立場に、憲法上の基本的人権をより拡大解釈して、この手の事件においては被害者にとって容疑者がちゃんと日本の当局に引き渡されるということも被害者の基本的人権から波及する権利だということで外務省として主張されるならば、それは日本外務省として極めて適切な拡大解釈だと思うんですが、どちらの立場で今後御議論されるんですか。
  29. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私は必ずしも法律の専門家ではございませんので、外務省としてのそのきちんとした、どういう、憲法との関連で答弁をするということであれば条約局長をお呼びいただいた方が適切であったかというふうに思いますが、私が申し上げておりますことは、これは裁判を受ける権利というのはある、憲法であるわけですけれども、それの意味としては、例えば刑事事件があった場合には、これは何人も要するに適切な裁判を受けることがない状況で刑罰を科されるということはないということでございますね。ですから、そのアメリカの兵隊の身柄を引渡しを求めると、あるいは具体的にそういう処分を、処罰を求めるということを議論をするときに、それはそういう裁判を受ける権利ということとは直接に関係をしないというふうに私は思っております。
  30. 大塚耕平

    大塚耕平君 なぜこんな禅問答のようなことを申し上げているかといいますと、そのときの二十四日の質疑を読ませていただいても、大臣の御発言の後に山田委員が、「大臣、もともとこの基本的人権の主張というのは、強く求められなきゃならない。憲法上の立場もあるわけです。」と、こういう発言をしておられて、被害者の側に立った基本的人権議論がこの容疑者の引渡しをめぐってさも行われているかのような議論が繰り返し行われていて、是非そこの論点は整理していただきたいなと思うわけであります。  つまり、容疑者を引き渡す、引き渡さないという議論をしていることがさも被害者の基本的人権を守るかのごとくの議論が、これは聞く方の問題もあると思うんですけれども、繰り返し行われていて、実は、容疑者を引き渡す、引き渡さないということは基本的人権とは憲法の構成上は関係がないと私は思いますので、そういう立場で引き続きいくのか、そうではなくて、日本国の外務省として、いや、そこは日本国憲法上の定義を拡大解釈してでもアメリカに対してそれを求めていくのか、私は後者の方がより日本国の外務省としては適切だと思うんですけれども、その辺は整理をした議論をしていただかないと繰り返し繰り返し実は意味不明の議論が行われますので、是非今後御検討いただきたいなと思うのが一点であります。  それから、摩訶不思議な点の二点目は、先ほども申し上げましたように、もう与党の先生方ともこの地位協定に関しては余り意見の差がないのが今日の国民世論ではないかなと私は思っているわけでありますが、しからば、行政府というのは国民のために仕事をしているわけでありますから、これだけ大勢の国民や議員が地位協定改定すべきだというふうに言っているわけですから、それに従って仕事をするのが行政府のまず第一に重んじるお立場ではないかと思うわけでありますが、現実にできるかできないかということとは別問題にして、大臣及び今の外務省のスタンスとして、日米地位協定改定したいと思っておられるのか、おられないのか、そこをまず明快に、お伺いしたいと思います。
  31. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは度々申し上げているとおりでございますけれども、その改定の問題については、その都度いろいろな問題ございますから、機敏に対応していくということが合理的である、運用改善によって機敏に対応していくということが合理的であるというふうに思っております。それで、運用改善について努力をしていくということでございます。  そして、その結果、十分でないと、そういうことがございましたら、そのときにはその改定も視野に入れていくということで考えております。
  32. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、だから、大臣の過去の御答弁を幾つも読んでおいて良かったなと思うんですけれども、その御答弁ばっかりなものですからね。初めて聞くと、ああ、何か誠実にお答えいただいていてからめ取られちゃうんですけれども、それしか言っていないわけですよね。  この外務省の事務方からいただいた地位協定に係る政府の基本的立場。基本的考え方として、「運用改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考え方の下」という、こういう文言があって、言わばこれを極めて忠実に繰り返し繰り返し御答弁されているわけですが、合理的であるというのは、もうちょっと具体的に定義をしていただくと、どういう判断が合理的なんでしょうか。
  33. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 合理的にという意味は、そのときに問題がいろいろ、いろいろな種類の問題が起こるわけですけれども、その問題に対して対応すると、対応できるということが重要であると私は考えております。そのいろいろな種類の問題があって、どのようなやり方をするのが一番対応が、できるか、早くできるか、迅速にできるかということで考えますと、それはその運用改善をやっていくということであるというふうに考えております。  そういう意味で、それが合理的だというふうに今申し上げているわけでして、運用改善をやって効率的にいたしましょうということを言っておりますのは日本政府だけではございませんで、これは様々な折に米政府と話をする機会に、例えば最近の例ですと、2プラス2という会合が昨年の十二月にございましたけれども、そのときにもこの問題について話をしております。そして、地位協定の効果的な運用が両国にとって重要であるという話を米側といたしました。
  34. 大塚耕平

    大塚耕平君 もう時間が来ましたので、あと一言、意見だけ申し上げて終わらせていただきますが、やはり、私も今の答弁を伺っていても分かったようでちょっと分からない感じがございまして、残念ながら、是非、地位協定改定に向けて外務省は、御努力をされるのが日本国の外務省、そして与野党の多くの議員が改定しろと言っているわけですから、それに従って仕事をされるのが本来のお立場であります。  したがって、まずそのお立場を明確にされて、外務省がまずアメリカに対して言う。しかし、アメリカがのまない理由が例えば日本の取調べ等の警察の在り方に問題があるとしたら、外務省として警察にも要望をする。外と内に対してきちっと地位協定改定されるような方向に御努力をされるのが日本国民外務省ではないかというふうに思っておりますので、引き続きそういう方向で御努力をいただきたいことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  35. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  私は、更に時間が十五分ということで短い時間ですので、通告した質問、中にははしょるものも出てくるかもしれませんけれども、お伺いをしたいと思います。  まず最初に、五月二十五日に沖縄県の金武町で起きましたアメリカの海兵隊員による女性暴行致傷事件に対しては、これはもう先ほど来ありますとおり、沖縄県民は大変に大きな怒りを持っておりまして、日本国民の多くも、なぜこういう事件が何度も起きるのかということに対して大変に遺憾に思っているわけでありまして、我が公明党の地元の議員たちも、外務省も含めて関係当局に厳重に抗議をしたり、あるいはより厳格な対応を求めるということをしているわけでございます。  先ほどお話ありましたけれども、私も、日本外務省また外務大臣には、何よりもまず被害者の立場に立って対応をしていただきたいと、この点を冒頭、強く申し上げたいと思います。  さて、私の最初質問でありますけれども、少々さかのぼりまして、一九九五年九月に起きました少女暴行事件を契機といたしまして、その年の十月に日米合同委員会において地位協定第十七条五項(c)の起訴前の拘禁移転の規定の運用改善に関しての合意がございました。  この中では、「殺人又は強姦という凶悪な犯罪」、これ、文言そのままですが、については起訴前でも身柄引渡しに好意的配慮を払うということが合意されました。また、その他特別の場合、これは後ほどもちょっと議論するかもしれませんけれども、中身がよく分からないわけですが、その他特別の場合については十分に考慮をするというふうにされました。  この起訴前の引渡しに関しては、私の理解では、警察庁、沖縄県警だと思うんですけれども、どうも、主体的に判断をしてこの起訴前の身柄の引渡しというのを外務省要請をすると、その要請を受けた外務省日米合同委員会の開催をアメリカ側に要求をして、そしてそこで結論として引渡しができることになれば引渡しがされるというふうに、そういう手続にこの九五年以降なったというふうに理解をしておりますけれども。  まず、これは警察庁にお伺いしますが、この一九九五年の合意以降、警察庁が起訴前の身柄の引渡しを外務省に対して要請した件数は何件でしょうか。
  36. 栗本英雄

    政府参考人栗本英雄君) ただいま御指摘の日米地位協定運用見直し後に起訴前の拘禁移転についての要請合同委員会において提起するよう外務省お願い申し上げましたのは四件でございます。
  37. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 六件。
  38. 栗本英雄

    政府参考人栗本英雄君) 四件でございます。
  39. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 四件。じゃ、四件、九五年から今日まであるということで。  じゃ、次に、今度、外務省にお伺いしますが、外務省が警察庁から要請を受けたこの四件について日米合同委員会の開催を要求をされたのは何件でしょうか。
  40. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 同じく四件でございます。
  41. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 この四件、取り上げた中で、実際に起訴前の身柄引渡しが実現した件数は幾つですか。
  42. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 三件でございます。
  43. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 実現しなかった一件は何が理由で実現しなかったんでしょうか。
  44. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 実現をしなかった一件は、昨年の十一月の二日に発生をいたしました婦女暴行未遂・器物損壊事案で、現在公判中のものでございます。  この件につきましては、合同委員会におきまして身柄の引渡しを要求いたしまして、それに対しまして米側から、合同委員会の席上、米国政府としては日本政府が提起した要請を十分に考慮したが、本事件に関する日本政府説明を真摯に検討した結果、平成七年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意に基づく起訴前の拘禁移転を行うことに同意できないとの結論を得たとの説明がございました。  また、米側は本件に関してプレスリリースを発出いたしておりまして、その中では、この理由といたしまして、本件をめぐる状況に関する日本政府説明では、起訴までの間は米側拘禁を行うとの通常の手続から離れた取扱いを行う必要があるとの根拠にはならなかったというふうにしております。
  45. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 何となく分かるような分からないような米側説明であったと思いますけれども。  ちょっと私、ここで角度を変えまして、警察庁によりますと、犯罪で凶悪犯罪と言われるやつは四種類あります。殺人、強盗、放火、強姦ですね。これにあと二つ足すと重要犯罪になります。あと二つというのは、略取誘拐、強制わいせつ。この六つの犯罪類型が重要犯罪で、そのうち四つが凶悪犯罪ということになっているわけですが。  私、警察庁の方にお願いをしておりますけれども、この九五年の日米合同委員会の合意以降、今日まで沖縄において米軍関係者の犯した重要犯罪、六つですね、重要犯罪のそれぞれの件数検挙件数、それから、これは検挙件数ですので、検挙率も併せて教えをいただいて、検挙した数はこうだけれども、もしかしたら、例えば被害者が犯人が米兵だったと言っているけれども検挙されなかったので、それは検挙数にカウントされていませんから、全体像をある程度類推するためにという意味で検挙率も併せてちょっと教えていただけますか。
  46. 栗本英雄

    政府参考人栗本英雄君) お尋ねの平成七年以降の平成十四年までの沖縄県におきます米軍構成員等による先ほど先生御指摘の重要犯罪検挙件数についてでございますが、これは、未遂等も含んでこの間に三十五件の検挙件数になっております。若干中身に入りますと、殺人で三件、強盗で十件、放火で二件、強姦で九件、強制わいせつ十件、略取誘拐一件の計三十五件になっているところでございます。  それからまた、沖縄におきます検挙率ということで、これはあくまでも沖縄県全体においてのことになりますので、米軍関係者だけということではなくて、全体の、今申し上げました、平成七年から十四年までの八年間の先ほど申し上げました重要犯罪の認知件数につきましては千二百九十八件、そのうち検挙件数が千二件となっておりまして、この合算した八年間を一つの期間ととらえた場合の検挙率につきましては七七・二%になっているところでございます。
  47. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  じゃ、検挙率が七七・二%という一般環境の中で、これは、あれですね、平成七年からの合計で三十五件の重要犯罪に該当するものが検挙をされた案件としてあるということなんですね。  そこで、私、外務大臣にできればお伺いしたいというかお願いなんですが、実は先ほど私が引用した文書、日米合同委員会で合意した文書には、「殺人又は強姦という凶悪な犯罪」ということ、殺人と強姦だけが実は明記をされております。ところが、私が今ちょっと御説明申し上げたとおり、日本の警察庁が言うところの凶悪犯罪というのは、この「殺人又は強姦」に少なくとも強盗と放火を追加をしないと日本の警察庁が言うこの凶悪犯罪が入らない。重要犯罪まで入れますと、強制わいせつとか略取誘拐と、これもかなりケースによっては深刻な犯罪であることは当然なわけでありますけれども。  これらの、つまり、今は殺人と強姦以外の犯罪は、北米局長なんかはその他特別の場合で読めるというふうにおっしゃるかもしれませんが、明記されていないという意味では、アメリカ当局から、いや、それはもう明記されていないんだから起訴前の身柄引渡しはできませんよということになってしまうというふうに私は考えておりまして。  そこでお聞きしたい。質問という形で聞くと、今ちょうどこの七月末をめどに結論を出すということで日米合同委員会でこの刑事裁判手続に関する交渉をやっておりますが、これ、日本政府としてこの問題を取り上げて、少なくとも放火とか強盗のような他の凶悪犯罪日本警察が言うところの、これも加えるように、文書に、主張すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  48. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 今、遠山委員がおっしゃいましたように、その他特定の場合について罪状を明確化すべきだというのは政府の立場でもございまして、その件につきましては平成十三年以降協議を重ねてきているということでございます。これは、特別専門家委員会というのを設置してその問題を集中して協議をしてきているということでございます。  他方、特に両国の刑事司法制度の違いというようなこともございまして、現在までまだ合意には至っていないということでございますが、その中におきまして、今おっしゃいましたような刑事裁判手続に関する協議というものをこのたび二回行いまして、一応今月末を目標にいたしまして合意に達するということで協議をいたしております。  その協議自体につきましては、刑事裁判手続に関する協議ということで、米側の例えば政府関係者の取調べにおける同席の問題などを含めまして、地位協定の解釈あるいは両国の司法制度の相違というようなものについて協議を行っておりまして、まだ協議中でございますので詳細には立ち入ることは差し控えさせていただきたいと思いますが、このような協議が今おっしゃいましたようなその他特定の犯罪の明確化にもつながっていくというふうに考えております。この協議自体については、その明確化を主要な議題とするものではございませんけれども、今申し上げましたように、相互に関連した協議だということでございます。
  49. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 もう私の持ち時間ほとんどないので、これは外務大臣にちょっと最後に一言申し上げて終わりたいというふうに思いますけれども、私、実は次の質問で聞こうと思っていたのが、日本のこの日米地位協定と米国が他の地域で持っている地位協定との比較の問題だったんですね。実は、私なりに勉強しましたところ、刑事裁判になるようなケースの扱いについては、日米地位協定は必ずしも他の地位協定と比べて遜色があるわけでなく、逆に言うと、起訴前の身柄引渡しが可能になっているという意味では他の地位協定よりもある意味進んでいるところがあるわけです、これは率直に事実を申し上げて。  ただ、今、北米局長が言っておりましたけれども、また今日の朝日新聞にも詳しく、この地位協定の話合いが実は日米の司法制度そのものの摩擦の様相を呈してきているという記事が朝日に今朝載っているんですが、私も、今何が一番ここで問題になっているかというと、実は、地位協定の中身を変えようとする、あるいは運用改善を更に進めようとすると、壁になっているのが、例えば米兵ブラウン事件なんかでよく出てきています、日本の司法制度そのものが信用できないんだと。人権擁護体質になっていないんだとか、弁護士の立会いの問題、黙秘権の問題、そういった問題を向こう側が言ってきて、ですから、話の中身が基地地位協定の問題というよりも日米の司法制度の問題になっちゃっていると。  この新聞記事を読んでも、そうなってしまうと、外務省さんだけでこれ、結構、結論出せない話であることは間違いないんで、警察庁とかあるいは、ここにおりませんけれども、法務省、これがやっぱりしっかりかんでやっていかなきゃいけないというふうに私は感じております。  ですから、七月めどに今行われている交渉、どういう結論出るか私、分かりませんけれども、しかし、もうちょっとはっきり言うと、総理大臣、小泉総理まで含めて政府の中枢でしっかりと考えていただいてやっていかないと、この運用改善やるにしても改定やるにしても、どちらにしてもこの司法制度根本の問題になってきているというふうに私は思いますので、是非そういう認識に立って最大限努力をしていただきたいと申し述べて、私の質問を終わりたいと思います。
  50. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。  私は、今回の沖縄における米兵暴行事件について、その関連の問題について質問をさせていただきたいと思います。  私、今回の事件は大変怒りを禁じ得ないんですが、問題は、何でこういう事件が繰り返されているのかと。特に、九五年の少女暴行事件であれだけ沖縄県民の怒りを買っているのになぜ再びこれが繰り返されるのかと、ここが私、一番大きな問題じゃないかというふうに思うんです。その点で私、外務大臣に、一体こういう事件が繰り返される原因は何だというふうにお考えなのか、私、まずその点をただしておきたいと思います。  例えば、私、時間が限られておりますので、ちょっと御紹介をしますと、これはダグラス・ラミスさんという元津田塾大学の教授の方が「憲法と戦争」という本をお書きになっている。この中で何て書いておられるか、ちょっと御紹介しますと。  日本で一番人気がないのは米軍で、米軍の中で一番人気がないのが海兵隊。海兵隊だけ帰ってほしいという運動もある。  海兵隊というのは人を殺す組織なのだから、人を殺せる人間に教育しなければならない。アメリカ合衆国は暴力的な社会で人殺しが多いけれど、にもかかわらず、普通の十八歳、十九歳、二十歳の若い男は、そう簡単に人を殺す能力を持っていない。そう簡単に普通の、人を殺すことはできないのだ。だから、殺すための人間を作るための非常に厳しい基礎訓練がある。  基礎訓練について重要なのは次の二点だと思う。まず、十八歳、十九歳の若者の心の中に親の権威というものが入っている。幾ら反抗期があったとしても、大事なことをやろうとしたときは、自分のお父さん、お母さんが、私がこうやっている姿をどうだと思うだろうと、そういうふうに考えるわけだ。それが普通の若者の精神状態なのだが、海兵隊の基礎訓練はそれを一切なくすというのが一つの目標である。特に、母親の権威が敵だ。だから、お母さんという言葉を使ってばかにする。人をばかにすることが基礎訓練の基本の一つなのだ。ちょっとでも弱みを見せると、じゃあ、お母さんのところに戻るか、お母さんのエプロンの後ろに隠れたいかとばかにする。そうすると、母親の権威、母親が、やっていることをどう思うだろうかということを考えるのが恥ずかしくなる。つまり、女性の物の考え方、女性の権威を否定するということだ。それはばかげたやり方ではなくて、目的から考えれば非常に偉い、昔から伝わってきた軍人の知恵に沿っているやり方なのである。女性の権威を否定する、それが一つ。  ちょっと時間がないので、ちょっと飛ばしますと。  周知のとおり、南京虐殺という言葉を英語で言うと、南京レイプという言葉になっている。英語でレイプというのは、強姦と略奪、虐殺という意味だ。つまり、英語のレイプという言葉は一つの軍事行動なのだ。昔から伝わってきた軍の一つのやり方である。町に入って、物を盗んで、老人や子供を殺して、家に放火して、女性を強姦する。それが全部一緒にするものとしてレイプという言い方がある。そこで見えるように、女性に対するそういう暴力と戦争の暴力とが深い深い歴史的な、そして潜在意識的な関係があると思うと、こういうふうに指摘されている。  ダグラス・ラミスさんは、いわゆる海兵隊に自分がいて訓練した経験をここの中で話すんだと。つまり、ラミスさんが言っておられるのは、こういう海兵隊の訓練、つまり女性の権威を否定する、人間の権威を否定するという、この人殺しの訓練をやるというところに、こういう事件の根底にあるんだということを私、指摘していると思うんですが、その点、こういう事件が繰り返される原因というのは、外務大臣は一体どういうお考えなのか、このラミスさんの指摘についてどういうふうにお考えなのか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  51. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 犯罪がなぜ起こるかというのは、我々も毎日毎日、新聞を見るたびに考えさせられていることでございますけれども、個別米軍人の沖縄における犯罪についても、それぞれ個別にいろいろな事情が背景としてはあったであろうというふうに思います。犯罪はあってはいけないことであるという感情は私は強く持っておりますが、個々のケースの原因が何かということについて一概に言えるものではないと思います。  それから、今、委員が読み上げられた本、いつ書かれた本なのか、それを書いた方がどういう方なのか、私は全く存じませんけれども、私の個人的な感想を申し上げれば、私はそこに書いてあることについて同意をいたしません。  私は、海兵隊の訓練、どういうふうになされているかということも存じませんけれども、私が個人的に知っている米国の海兵隊の人たち、みんな大変に、国のために自分が何をすることができるかということを常に考えて行動している人たちであるというふうに私は印象を持っております。
  52. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、大変情けない見解だと思いますが。  私は、一つは刑事裁判権、いわゆる地位協定の刑事裁判権をめぐっては非常に歴史的な経緯があるということは、これはもう外務省もよく御存じなことだというふうに思います。私、いろいろこの地位協定の見直し問題をめぐって現在も今なお議論があると思いますが、刑事裁判権をめぐるこの間の、戦後のいわゆる日米安保条約日米地位協定をめぐる幾つかの問題について私、ただしたいと思っているんですが。  そこで、私、お聞きしたいのは、例えば地位協定、その以前の行政協定、これができたときに、アメリカ軍は、極力、在日米軍を、この裁判権を免除する、このことに大変腐心をしてきた。このことは例えば、私が調べた、これは広く巷間伝えられていることですが、例えばアメリカの外交機密解禁文書などにも載っている中身では、例えば在日米軍は軍事的必要性の問題から日本の刑事裁判権から完全に免除されるべきであるということを繰り返し主張してきた。例えばこれは、現在もこれは受け継がれておりまして、例えば国際刑事裁判所条約、こういうものをできる限り米軍に適用しないということがアメリカ政府の大変大きな基本で、そこが一番、やはり現在の日米交渉の中でその基本的なものとしてネックになっている一番大きな問題なんじゃないかというふうに私は考えております。  その点で、アメリカ政府がこのいわゆる在日米軍の刑事裁判権という問題についてどういうスタンスで、基本的スタンスで対処しようとしているのか。私は、この刑事裁判権から免除する方向で大変強く動いているからこそ、現在の問題でも大変、日本側の主張がなかなか通らない、こういう問題が出ているんじゃないかと思いますが、その点についての私、外務大臣認識をお尋ねしたいと思います。
  53. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アメリカ政府日本と様々な問題について交渉をするときに、あるいはこの裁判権の問題について議論するときに、米国政府の基本的な方針が何であるかということについて日本政府として何か申し上げる立場にはないというふうに思います。これは、正に米国政府が考え、そして日本と交渉するわけでございまして、我々として、それ以上立ち入って米国政府の考え方が何であるかということを知ることはできないわけです。
  54. 小泉親司

    ○小泉親司君 歴史的に申し上げますと、一九五一年、いわゆる旧安保条約ができた。そのときに行政協定の交渉が安保条約締結後なされ、一九五二年に行政協定できましたが、行政協定のときには、御承知のとおり、刑事裁判権は暫定的取決めとされ、一九五三年のNATO条約、つまり北大西洋条約機構の条約が発効したということを理由にしてNATO並みの条項を一九五三年に議定書という形で、この行政協定を補足する形で、いわゆる現在の日米安保条約の刑事裁判条項が作られたということは、もう歴史的にも明確だというふうに思います。その上で、一九七二年に沖縄返還に伴って現在の日米地位協定沖縄に適用されることになった。これは、経過としては私は間違いないというふうに思います。  そこで、私は一つ皆さんのお手元に資料を提示しておりますけれども、これはアメリカの外交機密文書を公開したものの中から私ども調査して見付けたものでありますが、このときに、一九五七年、これは五三年のNATO並みの条約が締結された後に、いわゆるアメリカの国務省情報報告書の中で、日本側の日米安保条約取決めの改定要望というところで刑事裁判権の問題が触れられている。この中で何と言っているかというと、日米間の交渉は、「それまでの間、在日米軍米軍人へのほとんど全面的な裁判権を保持するとの妥協が成立して、解決を見た。しかし、実際には秘密了解ができ、日本側は大筋として裁判権の放棄に同意しているのである。」という記述がある。  それから、フランク・ナッシュ・アメリカ大統領特別顧問の大統領への報告の中では、米国の海外軍事基地という付録の、このホワイトハウスが発行した文書の中では、いわゆるNATO地位協定を適用して五三年にこれが取り決められた結果、「これを補完する秘密覚書(秘密指定区分=85秘)が存在している。秘密覚書で、日本側は、日本にとり物質的に重大な意味を持つものでない限り、第一次裁判権を放棄することに同意している。」というような記述がある。  一体、いわゆる、外務省はどういう、秘密協定がある、こういうふうにお考えなんですか。
  55. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員が今おっしゃられたこの二つの文書について、これがどういう性格の文書であるかということについては不明であるわけでございますし、この文書の作成について日本政府が関与をしているということではないわけでございます。したがって、日本政府として、これについてコメントをする立場にはないというふうに考えます。
  56. 小泉親司

    ○小泉親司君 五七年の五月二十四日に同じ外交機密文書の中で、当時のマッカーサー駐日大使、これ、何と言っているかというと、この秘密取決めによって、日本は裁判権を得た五三年十月以来、一万四千件の犯罪のうち四百三十件以外はすべて裁判権を事実上我々に譲り渡した、この事実は世界じゅうの同じような国の平均が七八%と言われるのに対し三%しか裁判をしなかったということであると発言している。  そこで、私、警察と法務省にお聞きしたいと思いますが、一九五二年、日本が独立して以来、米軍の刑法犯罪検挙件数と起訴件数、これは一体どういうふうになっているのか、まず警察と法務省からお尋ねしたいと思う。
  57. 栗本英雄

    政府参考人栗本英雄君) 全国の昭和二十九年の七月一日以降のアメリカ国籍の合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の刑法犯の検挙件数についてはデータがございますが、二十九年から細かくございますので、全体的な傾向だけ、時間の関係で御説明申し上げたいと思います。
  58. 小泉親司

    ○小泉親司君 時間がないので簡単に。
  59. 栗本英雄

    政府参考人栗本英雄君) はい。  今、お話がありました二十九年から一九六〇年までは大体三千件台から千件台、その後一九六一年から一九七一年までは約九百件台から二百件台、その後、一九七二年に若干増加をして四百件から五百件台、現在は大体百件台ぐらいでなっております。
  60. 河村博

    政府参考人河村博君) 刑法犯、交通業過を含む全刑法犯ということでございますが、我が国の裁判権行使が可能になった後の昭和二十九年から新安保条約締結までの間で見てまいりますと、計八百四十七名となっておりまして、その後、沖縄返還までで二千六百四十九名、この後は沖縄の分が加算されますが、平成十四年までで全体といたしまして七千百四十四名となっております。
  61. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、警察がこういうデータを持っていないというのは非常に重大な問題だと思うんですよ。しかも、後で調べていただきたいと思いますが、沖縄県のを例えば見ますと、一九七二年から一番低いものでも、検挙人数と起訴人数を調べると一番低いものは一九・七%なんですね。だから、私は、こういうふうな秘密協定が非常に存在しているというのが、基本的なアンブレラとして存在する、私はそこが非常に大きな問題だというふうに思いますので、その点、一つだけ外務大臣に、こういう秘密協定の存在、こういうものについて私はアメリカ側に確認すべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  62. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど申しましたように、この引用なさった文書に書かれていることについて、我が国の政府としてコメントをする立場にはないと考えております。
  63. 本田良一

    委員長本田良一君) もう時間が来ております。
  64. 小泉親司

    ○小泉親司君 一つだけ。  私は、大変情けない話だと思います。こういうところから、私は、今の沖縄問題の解決が図られないという点で、強くこの秘密協定の存在を確認することを要求して、終わります。  ありがとうございました。
  65. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋宗康でございます。時間がないので、単刀直入に申し上げたいと思います。  去る七月十一日付けの沖縄タイムスの報ずるところによりますと、沖縄県具志川市の米軍施設キャンプ・コートニー沿岸海域で、一九九九年まで三十五年間にわたって屋外で米軍によるクレー射撃が行われた結果、約四十九トンの鉛が蓄積され鉛汚染問題が発生しているが、沖縄県が米軍に対して環境調査の実施を要請したところ、拒否されたということであります。  そこで、この問題に関して幾つかの点について質問いたしたいと思います。  まず、防衛施設庁にお伺いいたします。  一番目に、この報道は事実なのかどうか。二番目に、この問題が顕在化したのはいつなのか。三番目に、なぜこのような危険な環境汚染問題が長い間放置状態になっていたのか。四番目に、米軍は二〇〇一年に環境調査をし、二〇〇二年に那覇防衛施設局が補完調査を実施した結果、人体の健康に影響がないとの結論が出たと言っているが、防衛施設庁の見解はどうなのか、お伺いします。五番目に、防衛施設局が二〇〇二年に実施した補完調査は、なぜ沖縄県と合同で行わなかったのか。六番目に、同補完調査の結果について、防衛施設庁はいつ、どのような形で沖縄県に通知したのか。  以上の点について、防衛施設庁の見解をお伺いします。
  66. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 本件につきましては、平成十三年の二月に報道がございまして、それに関連いたしまして現地米軍に事実関係を照会いたしました。現地米軍の方からは、この場所が過去にクレー射撃場として使用されていたこと等を踏まえまして、現地米軍として十二年の夏から鉛についての環境調査を実施しているところである旨、回答があったものでございます。  その後、沖縄県及び具志川市の方から要望がございまして、平成十四年三月に、環境分科委員会の枠組みにおきまして、キャンプ・コートニー水域のヒジキに係る補完的調査政府の責任において行ったものでございます。その結果、当該水域のヒジキの鉛含有量は食品衛生上の観点では人の健康に影響を与えるものではないというふうに評価されまして、この点については平成十四年六月に公表したところでございます。
  67. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これは、だから、この七月の十一日に、いわゆる、そこを調査したいということで県が申し入れたら、アメリカ側としてはこれは断っている。その状況説明してください。
  68. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 今回の沖縄県からの現地の立入りの問題につきましては、報道等では防衛施設庁としても承知しておりますけれども、県からの正式な要請施設庁にあるわけではございません。
  69. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄県のこの要請について、今後、防衛施設庁ではどういうふうな、アメリカと交渉して、それが実現できるのかどうか、その点について説明してください。
  70. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) この点について沖縄県の方から正式な要請があれば、立入りの目的等について確認させていただきたいと、こう思っております。
  71. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 防衛施設庁が調査した結果は人体やその他に影響ないというふうな結論でありますか。それは沖縄県に伝えてありますか。もし伝えてあるんだったら、沖縄県が再度調査するということについてはどうお考えですか。
  72. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 政府が行いました補完的調査は、沖縄県知事の方から平成十三年九月に正式な要請がございまして、それを踏まえて政府として行ったものでございます。平成十四年三月に現地でサンプリング調査等を行っておりますけれども、この際には県庁の関係者の方にも立ち会っていただいております。  この結果については、途中経過も含め、適宜県にも御連絡しましたし、最終結果についても県には連絡しているところでございます。
  73. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 十四年の三月に防衛施設庁が調査をして、そして七月の十一日に、県が再び調査をしたいというふうなことなんですけれどもね。先ほどの話によると、県と十分調整した上で調査をなされたというふうなことでありますけれども、じゃ、そういうことであれば、なぜ、県がそれを了解して、皆さん調査した結果はそれで了解したということになるはずでありますけれども、それがまだ、七月の十一日、また調査するという意味が、皆さんたちはどういうふうに理解しているんですか。おかしいんじゃないですか。
  74. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 今回、現地で採取されたヒジキの食品衛生上の観点のことで沖縄県からも要請がございましたんで、これについては、調査の結果、人体に影響を与えるものではないということで調査が終わっておりまして、その限りにおいては特に改めてこの点を調査する必要はないというふうに認識しております。
  75. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 余りかみ合わないんですけれども、もっと丁寧にやっぱり、県が皆さん方と一緒に、先ほど説明によると、一緒にやったというふうなことであれば、県がまたこれを調査するということは、やっぱり相当な疑問があればこそ調査すると言っているわけですから、もう少しその辺は防衛施設庁としてもちゃんとした対応をすべきじゃないかと。これは非常に不信を買いますよ、こういった結果によるとね。  それで、次に、こういった今のような調査で、その規模と量と実態で鉛による環境汚染が存在しているとしたら、人体及び自然環境の影響については、環境省としてはどういうふうに対応なされるおつもりですか。
  76. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) まず、鉛の毒性、影響について申し上げますと、これは一般論でございますが、急性中毒として、神経症状でございますとか消化器の症状が知られております。それから、WHOの飲料水のガイドラインによれば、慢性的に高濃度のものを摂取するということによって、脳波の異常でありますとか運動神経伝達速度の減少など、神経系への影響が現われるおそれがあると言われております。  ただし、これは高濃度のものでございまして、本件、キャンプ・コートニーにおきましてはこのような高いレベルではございませんで、昨年六月に四省庁で取りまとめをやりました補完調査の結果の中にも明らかにしておりますけれども、海水だとか底質でありますとかヒジキでありますとか、それぞれの項目につきましては水質環境基準やWHOのガイドラインに照らして十分に低い水準であったというふうに認識しております。
  77. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今回の沖縄県における環境調査要請米軍により拒否されたことは、一九七三年の合同委員会合意、「環境に関する協力について」という趣旨に照らして妥当なものと言えるのかどうかという点について川口外務大臣見解をお伺いします。
  78. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) これは、先ほど西銘委員の御質問にもお答えを申し上げましたけれども、この立入り要請、県の立入り要請に関しまして米側が最終的な判断をしていると、今、拒否されたというふうにおっしゃいましたけれども、最終的な立場を決めたというふうには承知をいたしておりません。  現地司令官は、沖縄県に対しまして、この問題は現地限りでは判断ができないので、日米合同委員会等において判断される問題であるというふうに対応したというふうに承知をいたしております。
  79. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 外務省は、今回の件に関し、沖縄県による環境調査米側要請して実現させる考えがあるかどうか、承りたいと思います。  また、外務省は「環境に関する協力について」の新しい日米合同委員会合意を目指して日米間協議を行っているとのことでありますけれども、その進捗状況はどのようになっておりますか、お伺いします。
  80. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) これは、先ほど大古部長の方からもお答え申し上げましたけれども、県の方から政府の方に対しまして立入りを行いたいという御要望があれば、日米合同委員会等で取り上げるというようなことも含めまして検討をしてまいりたいというふうに考えております。  また、今、委員がおっしゃいました環境についての交渉でございますけれども、これは、二〇〇〇年の環境に関する原則を発表いたしましたけれども、これを更に運用改善を進めたいということで、環境問題の施設区域への立入り等に関しまして日米で交渉を行っておりますけれども、現在まだ交渉中でございまして、結論を得るには至っていないということでございます。
  81. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この県が立入り調査をしていきたいというふうなことについて、やっぱりこういった日米地位協定のことに問題があると思いますので、外務省としては、そういった県の立入り調査については非常に、全面的に協力する立場で対応していただきたいというふうに思っております。  そこで、先ほど来、日米地位協定の問題が出ておりますけれども、いわゆる日米地位協定の問題について、これまで、現在進行中の刑事裁判手続に関する日米交渉の経過について、その状況を御説明いただきたいというふうに思います。
  82. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 現在、刑事裁判手続に関する日米の交渉を行っております。今まで二回会合を持っておりまして、今月中の合意を目標にいたしまして鋭意交渉中でございます。  その内容につきましては、特に、米側政府関係者日本側取調べにおける同席の問題を含めまして、政府関係者の同席等に関する地位協定上の解釈の問題、あるいは両国の司法制度の相違についての協議が行われているということでございます。
  83. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は、今回の地位協定に関する日米交渉は、米側のイニシアチブにより我が国の外務省は受動的な立場に立っているのではないかと懸念しております。  地位協定に関しては、日本は能動的な立場で臨むべきであり、交渉事項も、刑事裁判手続に限定せず、環境問題も含めた全般的な協議をすべきであり、しかも、単なる運用改善を交渉するのではなく、協定の改定を交渉すべきであると考えますが、この点については、沖縄県知事や沖縄県議会を始め、沖縄県民の一致した要望であることはもちろん、今や党派を超えた全国民的な問題となっております。  外務大臣の強い対米姿勢による地位協定改定交渉をしていただきたいことを、大臣にこの見解を求めて、終わりたいと思います。
  84. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私は、運用改善については少しずつでも前に進んでいくということが非常に重要だと考えておりまして、様々な努力を重ねてきておりますし、また、例は細かく挙げませんけれども、PCB等、改善が見られているというふうに思います。  改定の問題につきましては、別な委員の方に申し上げましたように、これは、その都度その都度の問題について機敏に対応していく、運用改善によって機敏に対応していくことが合理的であるというふうに考えておりまして、運用改善努力をしたいと思います。そして、それが十分でないということの場合には改定も視野に入れていきたいというふうに思います。
  85. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 やはり運用改善で対応するというふうなことですけれども、やっぱり抜本的に改定のことを、やっぱりこれは国民的な課題になっておりますから、その点を踏まえていただかないことには、ただ運用改善で濁していくということはやっぱり私は国民の理解が得られないと思いますので、毅然たる態度で臨んでほしいということを要望いたします。
  86. 本田良一

    委員長本田良一君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  87. 本田良一

    委員長本田良一君) この際、小林元君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。
  88. 小林元

    小林元君 私は、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派共同提案による沖縄県民に対する米国軍人等犯罪防止等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     沖縄県民に対する米国軍人等犯罪防止等に関する決議(案)   本年五月二十五日に沖縄県金武町で発生した在沖縄米軍海兵隊員による女性暴行致傷事件は、沖縄県民に非常に大きな不安と衝撃を与えており、極めて遺憾である。   米軍は、事件発生するたびに綱紀粛正、軍人等の教育などの再発防止策を講じるとしてきたが、最近における軍人等の犯罪状況をみると十分な効果が得られたとは言い難く、誠に残念である。   よって、政府は、沖縄県民の平穏な生活と安全を守るため、米国軍人等犯罪根絶に全力で取り組むとともに、日米地位協定の見直しをも早急に検討し、事態の抜本的改善に取り組むべきである。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  89. 本田良一

    委員長本田良一君) ただいまの小林元君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  90. 本田良一

    委員長本田良一君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、川口外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。川口外務大臣
  91. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ただいま御決議のありました沖縄県民に対する米国軍人等犯罪防止等につきましては、決議の趣旨を踏まえ、引き続き鋭意努力してまいる所存であります。  今回、婦女暴行致傷罪という凶悪な犯罪の容疑で米海兵隊員に対する逮捕状が発出されるといった事態が発生したことは、大変遺憾であります。本件に関しては、私からパウエル国務長官及びベーカー駐日米国大使に対し、遺憾の意を表明するとともに、事件再発防止及び規律の強化の徹底を申し入れました。  今後とも、米側に対して一層の努力を促していくとともに、政府としても、米軍人等による事件事故防止のため、地元関係者米側と緊密に協力しながら努力していく考えです。
  92. 本田良一

    委員長本田良一君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十四分散会