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2003-01-31 第156回国会 衆議院 本会議 第4号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十五年一月三十一日(金曜日)
—————————————
議事日程
第三号
平成
十五年一月三十一日 午後一時
開議
一
国務大臣
の
演説
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
小泉内閣総理大臣
の
施政方針
に関する
演説
川口外務大臣
の
外交
に関する
演説
塩川財務大臣
の
財政
に関する
演説
竹中国務大臣
の
経済
に関する
演説
午後一時三分
開議
綿貫民輔
1
○
議長
(
綿貫民輔
君) これより
会議
を開きます。 ————◇—————
国務大臣
の
演説
綿貫民輔
2
○
議長
(
綿貫民輔
君)
内閣総理大臣
から
施政方針
に関する
演説
、
外務大臣
から
外交
に関する
演説
、
財務大臣
から
財政
に関する
演説
、
竹中国務大臣
から
経済
に関する
演説
のため、発言を求められております。順次これを許します。
内閣総理大臣小泉純一郎
君。 〔
内閣総理大臣小泉純一郎
君登壇〕
小泉純一郎
3
○
内閣総理大臣
(
小泉純一郎
君) 天皇陛下におかれましては、御病気御療養中であります。陛下の一日も早い御快癒を、国民とともに心からお祈り申し上げます。(拍手)
内閣総理大臣
として、今、私に与えられた職責は、
我が国
の経済と社会の再生です。
小泉内閣
として、「聖域なき
構造改革
」を推進するとの考えのもと、今後の国政に当たる
基本方針
を申し述べ、国民の皆様の御理解と御協力を得たいと思います。
日本経済
は、
世界的規模
での
社会経済変動
の中、単なる
景気循環
ではなく、複合的な
構造要因
による停滞に直面しています。
不良債権
や
財政赤字
など負の遺産を抱え、戦後経験したことのない
デフレ状態
が継続し、
経済活動
と
国民生活
に大きな影響を与えています。大胆な
構造改革
を進め、二十一世紀にふさわしい
仕組み
をつくることによってこそ、こうした状況を抜け出し、日本の再生と発展が可能となります。
我が国
の
経済社会
に残る非効率な部分を取り除き、
技術革新
や新事業への積極的な挑戦を生む基盤を築く。そして、国民が安んじて将来を設計できる環境を整備する。これら多方面にわたる課題に一つ一つ着実に取り組んでいます。改革なくして成長なしとの路線を推進してまいります。(拍手) 改革は道半ばにあり、成果が明確にあらわれるまでには、いまだしばらく時間が必要です。
我が国
には、高い
技術力
、豊富な
個人資産
、社会の安定など、
経済発展
を支える大きな基盤が存在します。厳しい環境の中でも、多くの人々や企業、そして地域が、前向きに挑戦を続けています。改革を進め、こうした力を一日も早く顕在化させることにより、
我が国
の発展につなげてまいります。(拍手) 今国会には、動き出した
改革路線
をさらに確固たる軌道に乗せるための
関連法案
を提出いたします。
日本経済
を再生するため、あらゆる
政策手段
を動員する必要があり、歳出、税制、金融、規制の四つの改革を加速させます。政府は、日本銀行と一体となって、
デフレ克服
に
取り組み
ます。(拍手) 平成十五年度予算は、四十二兆円の税収に対して三十六兆円に上る多額の
国債発行
に依存せざるを得ない状況の中、歳出の
構造改革
を進め、
一般歳出
を実質的に平成十四年度の水準以下に抑制しました。その中で、
セーフティーネット
の充実に配慮し、
民間活力
を引き出し雇用の創出につながる分野や、
科学技術
など将来の発展の基盤となる分野に大胆に重点配分しました。また、
道路特定財源
や
義務教育費国庫負担金
の見直しなどを進めました。 平成十五年度予算の
早期成立
に努め、平成十四年度
補正予算
とあわせ、切れ目なく現下の情勢に対応してまいります。 二〇一〇年代初頭には、過去の借金の元利払い以外の歳出は新たな借金に頼らない
財政構造
を目指します。
税制改革
については、あるべき税制の構築に向け、昨年一月より議論を重ね、多岐にわたる改正を一体として行うこととしました。特に、千四百兆円の
個人金融資産
を流動化する具体策として、相続と贈与を通じた新たな制度のもとで贈与時の
非課税枠
を設け、
住宅取得
に充てる贈与については三千五百万円まで
非課税措置
を講じます。この措置は、本年一月一日にさかのぼって適用することとしています。また、土地の
有効利用
を促進するため、
土地流通税
を大幅に軽減します。平成十五年度は、実質一兆八千億円の減税を先行させ、多年度で税収をバランスさせます。(拍手)
不良債権
問題に全力で
取り組み
、平成十六年度に終結させます。
金融再生プログラム
を着実に実施し、強固な
金融システム
を構築してまいります。
金融危機
は起こさせません。(拍手)
産業再生機構
を設立するとともに、
産業再生法
を抜本的に改正し、民間の英知と活力を最大限に生かしながら、
産業再編
や事業の
早期再生
に向けた
取り組み
を強化します。(拍手) 離職者に対する早期再就職の支援を充実し、
雇用保険制度
を見直すとともに、地域の
創意工夫
による
雇用創出策
を拡充するなど、
セーフティーネット
を強化します。求人と求職を的確に結びつけ、労働者が多様な働き方を選択できるよう、制度を見直します。
中小企業
の
金融対策
に万全を期します。
技術力
のある
中小企業
による創業や新事業への挑戦に対して、
資金確保
、
技術開発
、
人材育成等
、支援策を強化します。 貯蓄から投資への流れを加速するため、金融・
証券税制
を大幅に軽減・簡素化します。身近な
金融機関
などで証券を購入できるようにし、監査を充実強化することにより、
個人投資家
にとって参加しやすく、信頼できる
証券市場
とする改革を進めます。(拍手)
公正取引委員会
の体制を拡充するとともに、四月から内閣府の外局とし、公正かつ自由な
経済社会
のかぎとなる
競争政策
を強化します。 全国どこでも司法を身近に利用できる社会を実現するため、総合的かつ集中的に
司法制度改革
を進めます。第一審が二年以内に終わることを目指して裁判を
迅速化
するための法案など、
改革関連法案
を提出します。 私は、
行財政改革
で最も重要な課題は郵貯、年金を財源とする
財政投融資
を通じて
特殊法人
が事業を行う
公的部門
の改革であると主張してまいりました。これらの制度については、民業を圧迫し、また、楽観的な
需要予測
で
国民負担
を将来に先送りするなど、弊害が明らかになってきています。民間でできることは民間にゆだねることが基本です。この方針のもと、
郵政事業
、
財政投融資
、
特殊法人
の改革を一体のものとしてとらえ、簡素で効率的な質の高い政府に向け改革を進めます。(拍手) 四月から、
日本郵政公社
が発足します。民間的な経営を取り入れ、質の高い
サービス
が提供されるものと考えます。民間の
郵便事業参入
も始まります。
郵政事業
は、実質的な
民営化
の第一歩を踏み出しました。
国民的議論
を踏まえ、さらに改革を進めてまいります。
財政投融資
については、郵貯、年金の預託の義務を既に廃止し、みずから財源を調達することとなりました。その規模も圧縮し、平成十五年度当初計画の規模は、ピーク時である平成八年度のおよそ四割減としました。 百六十三の
特殊法人等
のうち、
石油公団
の廃止など、百十八法人について既に改革に着手しました。事業を徹底して見直した上で、廃止、
民営化
、または独立行政
法人化
し、透明性を高め、評価を厳正に行うことにより、新たな時代にふさわしい組織へと転換してまいります。住宅金融公庫を廃止することとし、
新規貸し出し
を段階的に縮小するとの方針を示した結果、利用しやすい民間の
住宅ローン
が相次いで提供されています。
道路関係
四公団の
民営化
については、
民営化推進委員会
の意見を基本的に尊重するとの方針のもと、
建設コスト
を引き下げ、新会社のつくる道路と税金でつくる道路を区分するなど、改革の
具体化
を図ってまいります。
政府系金融機関
は、当分の間、その活用を図り、
中小企業等
に対する円滑な金融を確保します。国として、必要な機能を厳選し、
民間金融機能
の
正常化
の状況を見ながら、大胆に
統合集約化
を進めてまいります。 このような
公的部門
の改革は、
財政構造
、
経済構造
、
金融システム
の改革につながり、将来、大きな果実を生むものと考えています。(拍手)
公務員
が国民全体の奉仕者として、志を持って行政に専念できる環境を整備するため、
公務員制度改革
の
具体化
を進めます。
幹部職員
の
退職年齢
の引き上げに
政府一体
となって
取り組み
、いわゆる天下りの弊害を是正します。
国家公務員
の
退職手当
について、
民間企業
の状況を踏まえ、
支給水準
を引き下げます。 国と地方の関係については、平成十五年度予算において、改革の芽を出しました。地方にできることは地方にゆだねるとの原則に基づき、
国庫補助負担金
、交付税、
税源移譲
を含む
税源配分
について三位一体の
改革案
を、六月を目途に取りまとめます。(拍手)
市町村合併
をさらに推進してまいります。 政治に対する国民の信頼は改革の原点です。
あっせん収賄罪
に問われた
現職国会議員
の
有罪判決
や、
公職選挙法違反
に問われた
献金事件
といった、一連の
政治資金
をめぐる問題を重く受けとめています。さきの
通常国会
で
改正あっせん利得処罰法
や
官製談合防止法
が成立したところであり、法を遵守することはもとより、国民の信頼を裏切ることのないよう、
政治家
一人一人が常に襟を正さなければなりません。
公務員
の
政治的中立
の確保についても、厳しい姿勢で臨んでまいります。 小柴さん、田中さんの
ノーベル賞受賞
は、日本人を勇気づけるすばらしいことでした。昨年、日本人の業績が世界で高く評価されたのは、
ノーベル賞
だけではありません。カーボン・
ナノチューブ
を発見した
飯島澄男
さん、
青色発光ダイオード
を初めて実用化した
中村修二
さんは、
ノーベル賞
の登竜門とも言われる米国のベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞しました。
中西香爾
さんは、
生物活性物質
の研究で、アラブの
ノーベル賞
と言われる
キングファイサル国際賞
の栄誉に輝きました。
建築家
の
安藤忠雄
さんは、
米国建築家協会
の最高賞である金メダルを授与されました。(拍手) 科学や技術の分野だけではありません。輸入が急増する厳しい
経営環境
の中、
タオル産地
、今治市の企業三社は、
商品企画力
を高く評価され、米国の
国際展示会
でグランプリの栄誉を得ました。
アニメ映画
「千と千尋の神隠し」は、芸術性が世界で高く評価され、
ベルリン国際映画祭
の
最優秀作品賞
や、
ニューヨーク映画批評家協会
の
アニメ部門最優秀作品賞
を受賞しています。
今井千恵
さんと
谷口郁子
さんの二人の
日本人女性
が、
世界女性起業家賞
に輝きました。日本は高く評価されています。(拍手)
科学技術
、
バイオテクノロジー
、
知的財産
、IT、
都市再生
、
構造改革特区
など、
日本再生
のかぎを握る分野について、政府を挙げて
取り組み
、政策の方向を示してきました。さまざまな分野での挑戦をしっかりと後押ししてまいります。(拍手)
科学技術創造立国
の実現に向け、平成十五年度の
一般歳出
を厳しく抑制する中で、対前年度比三・九%増の
科学技術振興予算
を措置し、
遺伝子レベル
で
個人個人
に合った予防や治療を可能にする
研究開発
などを重点的に支援してまいります。また、一兆二千億円に上る
研究開発
・
投資減税
を行います。 新たな技術への支援は、新たな産業の振興につながります。
バイオベンチャー企業
は急増しており、昨年までに三百社を超えました。
イネゲノム
の解読は、昨年十二月、日本の主導により終了しました。官民挙げて、
バイオテクノロジー
の発展に取り組んでまいります。
特許審査
の
迅速化
、特許をめぐる
裁判制度
の改革、模倣品・
海賊版対策
の強化を行い、
知的財産立国
を目指します。
地球温暖化
への対応には、一刻の猶予も許されません。国、
地方公共団体
、
事業者
、国民、それぞれが、脱
温暖化社会
への
構造改革
に取り組む必要があります。環境と経済の両立がかぎです。
科学技術
の活用を進め、世界の先端を行く
環境産業
を振興します。(拍手) 二酸化炭素を吸収する多様で健全な森林の育成を進めます。緑の雇用を推進し、
雇用創出
と
森林整備
の担い手の確保を図ります。
京都議定書
の
早期発効
と、すべての国が参加する
共通ルール
の構築に最大限努力します。 平成十五年度中には、
一般公用車
のうち七割を低
公害車
とし、平成十六年度までにはすべてを低
公害車
にします。また、昨年、世界で初めて市販された
燃料電池車
を公用車として導入しました。規制を総点検し、
燃料電池車
の
普及拡大
を後押しします。平成十七年から、
ディーゼル自動車
について、世界一厳しい
排出ガス規制
を実施します。同時に、次世代の低
公害車
や燃料などの開発と普及を支援します。 ごみゼロ社会の実現に、就任以来、取り組んでまいりました。食品、建設、自動車など、各種の
リサイクル
の
仕組み
は既に整備しました。今後は、
循環型社会形成
への道筋を示すとともに、ごみの
不法投棄
の一掃に向けて制度を整備します。年間三百五十万台が廃棄されている
パソコン処理
の
仕組み
を合理化するなど、廃棄物の処理や
リサイクル
を一層促進します。身近な
取り組み
として、
中央省庁
の食堂で生ごみの
リサイクル
を進めています。トウモロコシからつくる食器など環境に優しい
バイオマス製品
を、政府を初め
公的機関
で導入し、国民の身近な生活へと広げてまいります。
我が国
には、歴史に根差した文化や伝統、すぐれた人材や企業が各地にあります。地域が持つ潜在力や魅力を引き出し、日本を再構築します。(拍手) 十四の
都市再生プロジェクト
を推進するとともに、四十四の
都市再生緊急整備地域
において、優良な
民間都市開発
を支援します。大都市だけではありません。北海道の稚内では、
ロシア
・サハリン州との交流を軸にした
国際観光
・
交流都市づくり
、沖縄の石垣では、港を中心にした
町づくり
が進んでいます。四国の松山では、小説「坂の上の雲」が
町づくり
のテーマです。地域の知恵と個性を生かした
取り組み
を支援してまいります。 各地域で多様な形の
タウンミーティング
を開催し、国民との活発な対話を継続します。 四月には、
構造改革特区
第一号が誕生します。地域や民間から、六百を超える第二次提案がありました。制度を一層充実し、
教育分野
への
株式会社参入
を含め、これまで規制されていた市場への
民間参入
の実現を図ります。特区をてこに、
全国規模
での
規制改革
を進めます。 観光の振興に政府を挙げて
取り組み
ます。現在、日本からの
海外旅行者
が年間約千六百万人を超えているのに対し、日本を訪れる
外国人旅行者
は約五百万人にとどまっています。二〇一〇年にこれを倍増させることを目標とします。 海外から日本への直接投資は、新しい技術や革新的な経営をもたらし、
雇用機会
の増大にもつながります。脅威として受けとめるのではなく、日本を
外国企業
にとって魅力ある進出先とするための施策を講じ、五年後には日本への
投資残高
の倍増を目指します。 英国の作家、スマイルズの著書「自助論」は、明治の多くの
青年たち
の心をとらえたと言われます。みずから志を立て、懸命に学問を修め、勤勉努力した
若者たち
が主役となって、
近代国家日本
の基礎が築かれました。新しい時代を切り開くのは、いつの時代でも、
自助自律
の精神のもと、他者への思いやりと高い志を持つ
青年たち
です。人こそ改革の原動力です。(拍手) アフリカのマラウイで数学や物理の教育を行う青年や、
メキシコ南部
の村で
保健指導
に従事する女性など、日本とは文化も価値観も異なる厳しい環境で、現在も約二千四百名の
青年海外協力隊員
が
開発途上国
の
国づくり
のために活躍しています。(拍手) 勇気を持って新しい時代に立ち向かう力を培うため、画一と受け身から自立と創造へと、教育のあり方を大きく転換してまいります。
教育基本法
の見直しについては、国民的な議論を踏まえ、しっかりと取り組んでまいります。確かな学力と豊かな心の育成を目指した
初等中等教育
の改革、知の世紀を担うにふさわしい
大学改革
を進めてまいります。(拍手) 「必ず邑(むら)に不学の戸なく、家に不学の人なからしめんことを期す。」明治五年の
太政官布告
は、すべての国民に教育の機会を保障すると宣言しました。現在、意欲があれば、みずからの意志と責任で、だれでも教育を受けることができます。一方、不
登校児童
の増加など、新しい状況が生じています。時代にふさわしい多様な
教育機会
の整備に努めてまいります。あすを担う人材が勉学の機会を失うことがないよう、
奨学金制度
の充実に努めます。世界に開かれた
最高水準
の
教育研究
を行う
科学技術大学院大学
の
設立構想
を、沖縄で推進します。(拍手) 昭和三十年代には洗濯機、冷蔵庫、
白黒テレビ
、四十年代にはカー、クーラー、
カラーテレビ
が、新しい生活を象徴する三種の神器と言われました。欲しいものがないと言われる現在でも、
カメラつき携帯電話
や
薄型テレビ
、
食器洗い機
など、新しい時代をとらえた商品の売れ行きは伸びています。自由な時間を自分を磨くためや
ボランティア活動
に使う人は、着実にふえています。暮らしの質を高めたいという国民の意欲は、今でも健在です。 暮らしの
構造改革
を進め、国民が安心して将来を設計することのできる社会を構築してまいります。 新たな
職業分野
への進出など、女性の挑戦を支援し、
先進諸国
に遜色のない
男女共同参画社会
の形成を進めます。 子育てと仕事の両立を支援するため、平成十六年度までにさらに十万人の
受け入れ児童
の増加を目指し、
待機児童
ゼロ作戦を引き続き推進します。小学生のための
放課後児童クラブ
や、子育て中の親が集まって相談や
情報交換
ができる場を整備します。少子化の流れを変えるため、家庭、地域、企業が一体となって子育てを支援するための法案を提出します。
年金制度
については、平成十六年度に行う改革の検討に向けて、昨年、方向性と論点を取りまとめました。
医療制度
については、国民皆保険を守り、将来にわたり良質で効率的な医療を国民が享受できるよう、先般、大幅な改革を行いました。持続可能な
社会保障制度
を構築するため、給付と負担のあり方について正面から取り上げ、国民的な開かれた議論のもとに、改革を継続してまいります。
我が国
の
高速インターネット
の
利用料金
は、三年間で月額八千円から二千五百円に下がり、今や、世界で最も低い水準にあります。
高速インターネット
や
携帯電話
の普及により、さまざまな
情報提供
や、
遠隔医療
・教育など、暮らしに密着した
サービス
があらわれ、
IT革命
は
国民生活
に着実に浸透しつつあります。
利用者
の視点を重視した新
IT戦略
を策定し、二〇〇五年に
世界最先端
の
IT国家
を実現します。
行政手続
を一つの窓口で済ませることができる、身近で便利な
電子政府
・
電子自治体
や、家庭の
IT基盤
となる放送の
デジタル化
を推進します。
IT社会
の基盤となる法制として、
個人情報保護関連法案
を、修正の上、再提出し、成立を期します。
原子力発電
の
安全確保
に全力を挙げて
取り組み
、
信頼回復
に努めます。また、
エネルギー安定供給
の確保に的確に対応してまいります。
食品安全基本法
を制定するとともに、
安全性
を科学的に評価する
食品安全委員会
を新設するなど、
緊急事態
に対処する体制を整備し、食の
安全確保
に万全を期してまいります。(拍手) 農業・農村の改革を加速するため、
米政策
の改革と
農業経営
の
規模拡大
や
法人化
を推進し、意欲と能力のある経営体を集中的に後押しします。自然に恵まれた
農山漁村
と都市との交流を進めます。 凶悪な事件が多発し、国民の多くが治安の悪化に不安を抱いている状況を改善し、世界一安全な国の復活を目指します。
不法滞在
の外国人による
組織的犯罪
や
ハイテク犯罪
などへの対策を強化します。大
規模地震等
への
消防防災対策
を強力に推進するとともに、被災者への支援や
災害復旧復興対策
に万全を期します。 昨年の
交通事故
による死者数は、過去最悪だった昭和四十五年の約一万七千人から半減しました。今後十年間で
交通事故死者
をさらに半減させ、
道路交通
に関して世界で一番安全な国とすることを目指します。 弱い立場にある
人権侵害
の
被害者
を実効的に救済する、新たな
人権救済制度
を整備します。 建築物や
交通機関
のみならず、制度や意識も含めて社会の
バリアフリー化
を促進し、年齢や障害の有無にかかわらず、国民が安心して生活できる社会を築いてまいります。
国際社会
の一員として、テロの防止、根絶に引き続き
取り組み
ます。
武装不審船
、大
規模テロ
を含む国家の
緊急事態
への
対処態勢
を充実し、
継続審査
となっている
有事関連法案
の今国会における成立を期します。(拍手)
安全保障
、
危機管理
に必要な
情報収集能力
を強化するため、
我が国初
となる
情報収集衛星
の今年度末打ち上げに向け、最終の準備を進めます。 国際平和への決意を具体的な行動に移すため、
和平交渉
の促進、
難民支援
や
対人地雷除去
、インフラの
復旧整備
、
教育支援
など、平和の定着と
国づくり
に積極的に
取り組み
ます。昨年一月に東京で開催した
アフガニスタン復興支援国際会議
は、
国際社会
でも高い評価を得ました。今後も、スリランカやインドネシアのアチェなど、さまざまな地域で平和な
国づくり
に貢献してまいります。
我が国
の平和と安全、そして繁栄を確保するため、
各国首脳
との
信頼関係
を築き、
国際社会
が直面する課題に主体的に取り組んでまいります。
我が国
の文化と伝統を積極的に紹介し、文化や智の交流を進め、深い
相互理解
と幅広い
協力関係
を構築します。(拍手) 北朝鮮については、
日朝平壌宣言
を踏まえ、
国交正常化
に取り組んでまいります。
我が国
は、
米韓両国
と緊密に連携し、また、中国、
ロシア
や
国際機関
とも協力しつつ、北朝鮮に対して、核兵器不
拡散条約
の遵守を求めるとともに、
核兵器開発
の放棄を強く求めてまいります。
拉致被害者並び
に御家族の立場を踏まえ、拉致問題の
全面解決
に最大限努力します。
国際社会
の責任ある一員となることが北朝鮮の利益に最もかなう選択であることを、粘り強く説得していく考えです。(拍手) 私は、先般、
日ロ関係
に新たな息吹を吹き込みたいとの思いで
ロシア
を訪問しました。
日ロ行動計画
に合意し、
プーチン大統領
との
信頼関係
を深めることができました。
我が国固有
の領土である四島の帰属問題の解決による
平和条約
の締結を目指し、
民主主義
と
市場経済
という二つの基本的な価値を共有する国として、政治、経済、文化など幅広い分野で、関係の発展に
取り組み
ます。 イラクの
大量破壊兵器
をめぐる問題は、
国際社会
全体への脅威です。イラクが査察に全面的かつ積極的に協力し、
大量破壊兵器
の廃棄を初め、関連する
国連安全保障理事会
の決議を履行することが重要であり、
我が国
として主体的な
外交努力
を継続してまいります。(拍手) 本年は、ペリー提督率いる米国の
黒船艦隊
が浦賀に来航してから百五十年目に当たります。同盟国である米国との関係は、今後も
我が国
の平和と繁栄の基礎であり、
日米安保体制
の信頼性の向上に努めるとともに、政治、経済を初め多岐にわたる分野において緊密な連携や対話を続け、強固な
日米関係
を構築してまいります。また、
普天間飛行場
の移設、返還を含め、沖縄に関する
特別行動委員会最終報告
の実施に
取り組み
、
沖縄県民
の
負担軽減
に努力するとともに、地域の特性を生かし、沖縄の
経済的自立
を支援します。(拍手)
ワールドカップサッカー大会
の
共催成功
でより緊密な隣国となった韓国との
未来志向
の
友好協力関係
を一層発展させていくため、二月に発足する
盧武鉉新政権
と密接に協力してまいります。 本年は、
日中平和友好条約締結
二十五周年に当たります。
両国国民
の理解と信頼を基礎に、
アジア地域
、ひいては世界の平和・安定と繁栄の実現のため、中国との幅広い分野における
協力関係
を一層推進します。 日本と
ASEAN関係
の新時代に向けた昨年一月の
我が国
の提案は、着実に
具体化
されてきました。交流年の事業も既に開始されています。年末に予定されている、
我が国
で初の
日本ASEAN特別首脳会議
などを通じ、
協力関係
を発展させてまいります。
国際社会
での影響力を一層増しつつある欧州とは、広範な分野にわたって、より緊密な関係を築きます。
貿易自由化
を進め、
途上国
を含めたすべての国が利益を得られる
多角的貿易体制
を強化するため、WTO新
ラウンド交渉
を推進します。
メキシコ
や
ASEAN
、韓国との
経済連携
に積極的に
取り組み
ます。 三月に関西で開催される世界水フォーラム、六月のエビアン・サミット、九月末に東京で開催予定の第三回アフリカ開発会議へと続く一連の国際会議を通じ、持続可能な開発、
途上国
の貧困問題・感染症対策など、重要課題の解決に主体的な役割を果たしてまいります。 ODAについては、効率化、透明性の向上に努めるとともに、アジアの安定と成長、紛争後の平和の定着、環境を初めとする人間の
安全保障
分野に重点化するなど、戦略的に活用します。 科学的観点に立った水産資源の持続的利用を基本に、水産外交を展開いたします。 私が初めて当選してから、三十年がたちました。初当選直後に第四次中東戦争が勃発し、
我が国
は、一年間で物価が二〇%以上も上昇する狂乱物価の時代を迎えました。インフレの抑制が最大の政治課題でした。 二度の石油ショック、そして円高ショックと、
我が国
はこの三十年間、幾たびか、経済と
国民生活
の根幹を揺るがす危機に見舞われました。しかし、国を挙げて省エネ化を進めるとともに、企業においては、徹底した省力化投資と製品の高付加価値化による国際競争力の強化に
取り組み
、危機をばねにして、より強靱な
経済社会
をつくり上げてきました。(拍手)
我が国
は、構造的な停滞の中で、戦後初めて、デフレという状況に直面しています。今こそ、幾多の危機を克服してきた経験と、これを支えた日本の力を思い起こすときです。 大事なことは、失敗しないことではなく、失敗を次の成功に生かすことです。人生で大切なことは、挫折してもくじけず、また立ち上がることだと思います。(拍手) 明治維新の激動期も、敗戦後の混乱期も、先人たちは、難局に敢然と立ち向かって、今日の日本を築き上げてきました。悲観論から新しい挑戦は生まれません。厳しい経済状況下にあるとはいえ、今、私たちには、当時よりはるかに豊かな蓄積と、そこから生まれる大きな可能性があります。 歴史に学び、勇気と希望を持って、新しい日本をつくり上げようではありませんか。 国民並びに議員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)
—————————————
綿貫民輔
4
○
議長
(
綿貫民輔
君)
外務大臣
川口順子君。 〔
国務大臣
川口順子君登壇〕
川口順子
5
○
国務大臣
(川口順子君) 第百五十六回
国会
の開会に当たり、
我が国
外交
の
基本方針
について所信を申し述べます。(
拍手
)
北朝鮮
をめぐる問題や
イラク
情勢など、
国際社会
が緊急に取り組むべき
課題
に直面している今こそ、
我が国
には、
外交
面で積極的かつ
創造
的な役割を果たすことが特に求められています。 私は、昨年二月の就任以来、言うべきことは言い、やるべきことはやる強い
外交
、困難に直面している人々や異なる
文化
への
理解
を大切にするという温かい
外交
、そして、
国民
の皆様の目から見てわかりやすい
外交
を実践することを心がけてきました。国際情勢が大きく変化しつつある本年、私は、
国民
の生命、安全の
確保
に改めて万全を期した上で、こうした、強く、温かく、わかりやすい
外交
を
基礎
としながら、
国際社会
における秩序やルールづくりに
我が国
が一層積極的に関与していくことを通じて、
創造
的な
外交
を力強く実践していきます。(
拍手
)
我が国
及び
国民
の安全と
繁栄
を
確保
することこそが、
外交
に課せられた最も重要な使命です。
我が国
が直面する
外交
課題
の中でも最重要案件の一つである
北朝鮮
との
関係
では、
日朝平壌宣言
に基づき、拉致問題及び
安全保障
上の問題等の諸懸案を解決し、北東アジア、ひいては
国際社会
の平和と安定に資する形で
国交正常化
を
実現
するため努力していくことが重要です。 特に、拉致問題については、
被害者
及び御家族の立場を踏まえ、問題の
全面解決
のために引き続き
全力
を尽くしていきます。また、現在、緊急の
課題
となっている
核兵器開発
問題については、
我が国
は、平和的解決に向け、引き続き、
米韓両国
と緊密に連携し、また、中国、
ロシア
等の
関係
国や国際原子力機関(IAEA)とも
協力
しつつ、
北朝鮮
に対して、
核兵器
不
拡散条約
(NPT)の遵守、核関連施設の再凍結及びすべての
核兵器開発
の放棄を強く求めていきます。私自身、先般、韓国を訪問し、盧武鉉次期大統領等と意見交換を行ったほか、
関係
国の外相等と緊密に連絡をとっており、このような努力を今後とも継続していきます。
イラク
の
大量破壊兵器
をめぐる問題も、
我が国
を含む
国際社会
全体が一致団結して取り組まなければならない最も重要な
外交
課題
の一つです。
イラク
は、過去に実際に化学兵器を使用したことがあり、また、十年以上にもわたって、
大量破壊兵器
の廃棄等を求める安保理決議を履行せず、国連の権威に
挑戦
しています。先般の安保理会合においても、
イラク
は
大量破壊兵器
等に関する疑惑を解消するために十分な
協力
を行っていないとの報告がなされています。 昨年十一月に採択された安保理決議一四四一は、
イラク
に対して最後の
機会
を与えるものです。
イラク
は、同決議を重く受けとめ、無条件かつ完全に遵守しなくてはなりません。
イラク
が関連する安保理決議を履行し、
国際社会
の懸念を完全に払拭することが必要であり、
我が国
は、
国際社会
と緊密に連携しつつ、
イラク
が、今後継続される査察を妨害しないだけでなく、能動的に疑惑を解消し、みずから武装解除を行うよう、強く求めていきます。
我が国
及び
国民
の安全と
繁栄
を
確保
していくためには、
国際社会
全体の平和・安定と
繁栄
を
実現
し、維持していくことが不可欠です。 昨年も、インドネシアのバリ島、フィリピン、
ロシア
、ケニア等でテロ事件が続発したように、テロの
脅威
は依然として深刻です。
我が国
は、テロをみずからの
安全保障
上の
課題
と認識し、テロ
対策
特別措置法に基づく米軍等に対する
支援
の継続、テロ資金
対策
、出入国管理、アジア諸国を中心とする
途上国
のテロ対処能力向上のための
支援
の強化等を行っており、引き続き、幅広い
分野
における
国際社会
の息の長い
取り組み
に積極的に参画していきます。また、
我が国
国民
の安全を守るとの観点から、在外公館とも緊密な連携をとりつつ、
海外
の邦人保護にも一層努力していきます。
大量破壊兵器
や弾道ミサイル及び小型武器等の通常兵器の拡散問題は、テロ
対策
、紛争予防という観点からも、
国際社会
が一致団結して取り組まねばならない
課題
の一つです。
我が国
は、NPT
体制
の強化に加え、昨年のカナナスキス・サミットで合意された、G8グローバル・パートナーシップの
もと
で行われる
ロシア
からの
大量破壊兵器
等の拡散防止、特に、先般の日ロ首脳会談で合意された退役原子力潜水艦解体
事業
の推進、さらには余剰兵器プルトニウム処分構想への
協力
等、軍縮・不拡散
分野
での
取り組み
を強化していきます。 主な
地域
紛争に対しても、
我が国
は、引き続き、その解決に向けた
取り組み
に積極的に関与していきます。 中東和平をめぐる情勢は
国際社会
の平和と安定に大きな影響を与え得る問題であり、情勢のさらなる悪化は許されません。
我が国
は、暴力の停止と和平に向けた交渉の再開をイスラエル、パレスチナ両当事者に対して粘り強く働きかけていきます。同時に、
我が国
は、双方の
信頼回復
に向けた
取り組み
を積極的に後押ししていきます。 アフガニスタン、インドネシアのアチェ、フィリピンのミンダナオ等における
地域
紛争を恒久的に解決するため、
我が国
は、昨年十二月に発表された国際平和
協力
懇談会の報告書も踏まえつつ、引き続き、和平プロセスの促進、国内の安定・治安の
確保
、人道・復旧
支援
を迅速かつ切れ目のない形で進めることを通じて、平和の定着に向けた
取り組み
を強化していきます。また、先般、私が訪問したスリランカでは、現在、和平プロセスが進展しています。
我が国
は、明石康氏を
政府
代表に任命しましたが、三月に
我が国
で
和平交渉
を、その後、復興
会議
を開催するなど、同国における平和の定着に向けた努力を継続していきます。
政府
開発
援助(ODA)は、狭い意味での
開発
目的に限定することなく、こうした国際平和
協力
を促進する手段としても積極的に
活用
するなど、その戦略性を一層高めていく
方針
です。また、私は、就任以来、ODAに対する
国民
の皆様の御
理解
と御支持を高めるため、透明化、効率化及び
国民
参加を柱として、ODA
改革
に取り組んできました。今後、ODA
改革
をさらに推進し、本年中ごろを目途に
政府
開発
援助大綱の
見直し
を進めていきます。
国際社会
の平和・安定と
繁栄
の
実現
には、
世界
経済
の安定的な
発展
が必要であり、WTOの
ラウンド交渉
を通じて、多角的自由貿易
体制
を維持し、強化していくことが不可欠です。
我が国
は、二月に東京でWTO非公式閣僚会合を開催するなど、今回のラウンドの成功に向け積極的に貢献していきます。同時に、多角的自由貿易
体制
を補完し、強化するためにも、
経済連携
にも積極的に取り組んでいくとの
方針
であり、現在、
メキシコ
との協定交渉を進めているほか、将来における東
アジア地域
全体の
経済連携
の強化を目指し、韓国やフィリピン、タイ、マレーシア等の
ASEAN
諸国との協議を推進していきます。 グローバル化の利益を
途上国
を含む
国際社会
全体が適切な形で共有することは、極めて重要です。
我が国
は、引き続き、東
アジア地域
、特に
ASEAN
の後発国を重視した
開発
援助を行っていきます。九月末には、東京で第三回アフリカ
開発
会議
を開催する予定であり、貧困、紛争、感染症等、多くの困難を抱え、
国際社会
の関心が高いアフリカ
地域
の問題の解決に向けても積極的に取り組んでいきます。また、五月には、
沖縄
で第三回太平洋・島サミットを開催し、太平洋島嶼国の関心の高い
環境
問題等への
取り組み
についての
協力
を深める予定です。 人間の生存と
生活
に不可欠な資源である水の問題については、
我が国
は、三月に、関西で第三回
世界
水フォーラム及び閣僚級国際
会議
を開催します。
我が国
としては、人づくりと
社会
づくりの視点を重視し、
途上国
みずからの
取り組み
を側面から
支援
し、問題の解決に向けた国際
協力
の強化を図る
考え
です。
地球温暖化
についても、早急に
取り組み
を強化することが必要です。
京都議定書
は気候変動に対する国際的な
取り組み
を強化する重要な一歩であり、
我が国
は、同議定書の
早期発効
を目指します。同時に、
米国
や
途上国
を含むすべての国が参加する
共通ルール
の
構築
に向けて最大限努力していきます。 このように多様化、複雑化する諸
課題
に対し、
国際社会
が一層効果的に対応するためには、安保理
改革
を初めとする国連の機能強化が不可欠です。安保理
改革
が
実現
する暁には、
我が国
は、常任理事国として一層の責任を果たしていく
考え
です。また、
国際社会
が直面する諸
課題
に取り組んでいくに当たり、G8プロセスは引き続き重要な役割を果たしており、六月のエビアン・サミットに向け、先般、私が訪問した本年のG8
議長
国であるフランスを初め、G8各国と緊密に
協力
していきます。 また、以上のように
国際社会
の安定と
繁栄
の
実現
に取り組むに当たっては、人間の生存、
生活
、尊厳に対する
脅威
から一人一人の人間を守り、それぞれの持つ豊かな可能性を
実現
していくことが重要です。このような人間の
安全保障
という
考え
方は、緒方貞子氏が共同
議長
を務めている人間の
安全保障
委員会の最終報告書においてこの二月にも打ち出される予定であり、
我が国
は、人間中心の
社会
づくりを推進するために、この理念の
普及
と
実現
を図っていきます。 主要国・
地域
との
関係
を強化することは、以上述べてきたような、
国際社会
が直面する諸
課題
に有効に取り組んでいくためにも不可欠です。
日米関係
は、
我が国
外交
の基軸です。
我が国
は、
日米安保体制
の
信頼性
のさらなる向上に努めていきます。また、
北朝鮮
や
イラク
の問題等、さまざまな
課題
につき、
同盟国
として、
米国
と引き続き緊密に協議、連携していきます。在日米軍にかかわる諸問題については、
沖縄県民
の方々が
我が国
全体の平和と安全のために背負っておられる御
負担
を軽減していくため、
普天間飛行場
の移設、返還を初めとする
沖縄
に関する特別
行動
委員会(SACO)最終報告の着実な実施に努めるなど、誠心誠意努力していきます。 また、両国の持続可能な
経済
成長を図るため、引き続き、成長のための日米
経済
パートナーシップを通じた建設的な
対話
を行い、地球
規模
の問題を含む幅広い
分野
での
対話
及び
政策
協調を進めます。日米間で
交流
が開始されて百五十年という歴史的な節目を迎える本年、あらゆるレベルでの
交流
を一層活性化していきます。
基本
的人権の尊重、
民主主義
、自由貿易を基調とし、平和で安定し、
繁栄
する東
アジア地域
を
実現
することは、
国際社会
全体の平和・安定と
繁栄
の
実現
にとって極めて重要です。 韓国は、
我が国
と
基本
的な
価値観
を共有し、
政治
・
経済
上極めて重要な隣国であり、両国間の
未来志向
の
友好協力関係
を一層
発展
させていくことが重要です。二月に発足する
盧武鉉新政権
とも
協力関係
を維持しながら、引き続き、幅広い
交流
を通じ、
両国国民
間の
相互理解
を増進していきます。 中国との間では、平和友好条約締結二十五周年に当たる本年、人と人とのつながりをさらに拡大し、深めていくことなどを通じて、
両国国民
間の
相互理解
、相互
信頼
を深めていきます。特に、緊密な
経済
関係
を踏まえ、日中
経済
パートナーシップ協議を初め、
経済
面での
対話
をより緊密にし、さらに、二国間
関係
の増進のみならず、
地域
問題やグローバルな諸
課題
の解決に向け、一層
協力
していきます。
ロシア
との間では、先般、小泉総理が訪ロし、幅広い
分野
でのこれまでの
協力
の成果と今後の
方向性
を取りまとめた、
日ロ関係
の海図となる
日ロ行動計画
を発表しました。今後、同計画の内容を着実に実施し、具体的な成果につなげることが重要です。特に、本年は、
年間
を通じて
ロシア
における
日本
文化
フェスティバルが開催される予定であり、日ロ間の
協力
を幅広い
分野
で進めていく中で、
平和条約
締結問題についても、
我が国固有
の領土である北方四島の帰属の問題を解決して
平和条約
を可能な限り
早期
に締結する決意を持って、粘り強く交渉に
取り組み
、前進を図っていきます。
ASEAN
との間では、ともに歩み、ともに進むとの
基本
理念の
もと
、さまざまな
分野
、レベルで一層の
相互理解
を深めていきます。また、
我が国
は、
地域
協力
を進展させるための
取り組み
を行っていきます。
日本
ASEAN
交流年
である本年、十二月に予定される
日本ASEAN特別首脳会議
に向け、二十一
世紀
における幅広い
協力
の枠組みを
構築
していく
考え
です。 先般、私が訪問をしたインドとの間では、グローバル・パートナーとしての
協力関係
を、より戦略的な視点から前進させていきます。 EUの拡大と深化が進展し、NATOの拡大が決定され、
国際社会
での欧州の
影響力
が一層増しています。
我が国
は、日欧
協力
の十年の
もと
、緊密かつ幅広い
協力
、
交流
を進め、欧州との戦略的なパートナーシップをさらに強化していきます。 以上述べてきた
外交
を実施していくに当たっては、
外交
が
国民
の皆様に
理解
され、支持されなくてはなりません。一連の不祥事によって失われた外務省に対する
国民
の皆様の
信頼
を回復するため、昨年二月の就任以来、私は、まず外務省
改革
の実施に
全力
投球してきました。有識者から成る「変える会」、外務省内の有志による自発的な
改革
グループ、
国会
議員の方々からのさまざまな提言を踏まえ、昨年八月に、外務省
改革
「
行動
計画」を発表しました。また、昨年十二月に、外務省の組織・機構
改革
に関し、中間報告をまとめ、本年三月中に最終報告の成案を得る予定です。 私は、こうした
取り組み
を通じて、外務省
改革
を総仕上げし、
国民
の皆様の期待にこたえながら、
創造
的な
外交
を一層力強く、積極的に実践していく
考え
です。引き続き、
国民
の皆様と議員各位の御
支援
と御
協力
を心からお願い申し上げます。(
拍手
)
—————————————
綿貫民輔
6
○
議長
(
綿貫民輔
君)
財務大臣
塩川正十郎君。 〔
国務大臣
塩川正十郎君登壇〕
塩川正十郎
7
○
国務大臣
(塩川正十郎君)
平成
十五年度
予算
の御審議に当たり、今後の
財政
政策等の
基本
的な考え方について所信を申し述べますとともに、
予算
の大要を御説明いたします。(
拍手
) 少子高齢化の進展や
経済
のグローバル化といった内外の急速な
経済社会
状況
の変化の中、
国民
が将来にわたり安心して暮らせる
社会
を築くため、私は、以下に申し述べます諸
課題
に着実かつ的確に
取り組み
、
構造改革
の努力の成果を上げてまいる所存であります。 また、現下の
経済
財政
運営において最も重要なことは、デフレの克服であります。これについては、
平成
十五年度
予算
、
税制
改正等において、厳しい
財政
事情の中、できる限りの努力をいたしました。
政府
は、日銀と引き続き
一体
となって、強力かつ総合的な
取り組み
を行ってまいります。 第一の
課題
は、
財政
構造改革
であります。
平成
十五年度
予算
については、
歳出
全体にわたり徹底した
見直し
を行うため、まず、概算要求段階において要望可能額を大幅に緩和するとともに、活力ある
社会
経済
の
実現
に向け、重点的、効率的配分を行うことといたしました。また、高齢化の進行による
負担
増など
歳出
の増加が見込まれる中、
予算
執行調査の結果等を活用した経費の節減やコストの
見直し
などを図り、
一般歳出
及び一般会計
歳出
全体について、実質的に
平成
十四年度を下回る
水準
といたしました。
我が国
の
財政
事情は、
平成
十五年度末の公債残高が四百五十兆円程度に達する見込みであるなど、過去に例を見ない厳しい
状況
にあります。今後の中長期的な
財政
運営に当たっては、先般閣議決定された「
改革
と展望」で示された、「二〇一〇年代初頭におけるプライマリーバランスの黒字化を目指す。」との目標達成に向け、努力を続けてまいります。 第二の
課題
は、
税制改革
であります。 従来の
制度
を大幅に
見直し
、個人の資産のより一層の活用と
企業
の新
分野
への
取り組み
の
支援
を念頭に置き、
平成
十五年度
税制
改正において、現下の
経済
財政
状況
を踏まえ、所要の措置を講ずることといたしました。 具体的には、
我が国
産業の競争力強化のため、
研究開発
・設備
投資減税
の集中・重点化、次世代への資産移転の円滑化に資する相続税、
贈与
税の
一体
化及び税率の引き下げ、さらに、貯蓄から
投資
への
改革
に資する
金融
・
証券税制
の軽減・簡素化、土地の
有効利用
の促進に資する登録免許税の軽減、人的控除の簡素化等の観点からの配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止、消費税に対する
信頼性
、
透明性
を向上させるための免税点
制度
等の
改革
、酒税及びたばこ税の
見直し
その他の所要の措置を
一体
として講ずることといたします。なお、このうち、相続税、
贈与
税の
一体
化においては、一般の
贈与
について二千五百万円まで、
住宅取得
に充てる場合には三千五百万円までを
非課税枠
とするなどの措置を講ずることとしております。 以上の措置の実施により、
平成
十五年度において、国、
地方
合わせて一兆八千億円程度の減税となり、多年度においては税収中立となります。 今後も、少子高齢化と
税制
の
あり方
、国、
地方
の
あり方
と
税制
等、さまざまな検討
課題
についてさらに
議論
を進めてまいります。 第三の
課題
は、
世界
経済
の安定と
発展
への貢献であります。
我が国
は、
国際機関
やG7、アジア諸国等と
協力
しつつ、国際
金融システム
の強化や
開発途上国
の
経済社会
の
発展
等の
課題
に取り組んでまいります。また、アジアにおける通貨、
金融
の安定化に向けても、一層の貢献を行ってまいります。 為替相場につきましては、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、今後とも、為替相場の動向を注視しつつ、必要に応じて適切に対処してまいる所存であります。 また、WTO新
ラウンド交渉
に積極的に取り組むとともに、自由貿易協定等の
経済連携
も積極的に推進してまいります。具体的には、既に
メキシコ
との間で正式な協定締結交渉を開始しており、韓国、
ASEAN
等との間でも検討を進めております。
平成
十五年度関税改正においては、後発
開発途上国
への一層の
支援
等を図るための特恵関税
制度
の改正等を行うこととしております。 次に、今
国会
に提出しております
平成
十五年度
予算
の大要について御説明いたします。 まず、
歳出
面についてでありますが、
一般歳出
の
規模
は四十七兆五千九百二十二億円、一般会計全体の
予算
規模
は八十一兆七千八百九十一億円となっております。
国家公務員
の定員については、二千百三十六人に上る行政機関職員の定員の縮減を図っております。 次に、歳入面について申し述べます。 租税等については、
平成
十五年度
税制
改正を織り込み、四十一兆七千八百六十億円を見込んでおります。また、その他収入については、三兆五千五百八十一億円を見込んでおります。 これらの結果、公債発行予定額は三十六兆四千四百五十億円、公債依存度は四四・六%と、
財政
事情は厳しくなっております。なお、特例公債の発行については、別途所要の法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
財政投融資
計画については、
行財政改革
の趣旨を踏まえ、全体
規模
を縮減しつつ、
構造改革
に資する
分野
に重点を置き対象
事業
を見直すとともに、現下の
経済
金融
情勢を踏まえ、
企業
再生
・
中小企業
金融
等、真に政策的に必要と考えられる資金需要には的確に対応することといたしました。この結果、
平成
十五年度
財政投融資
計画の
規模
は二十三兆四千百十五億円、前年度当初計画に対しまして一二・六%の減少となっております。 次に、主要な経費について申し上げます。
社会
保障
関係
費については、将来にわたり持続可能で安定的、効率的な
社会保障制度
を構築する観点から、年金等について
平成
十四年の消費者物価の下落に応じた物価スライドを実施するとともに、
雇用保険制度
改革
等を行うこととしております。 公共
投資
関係
費については、その
水準
を全体として縮減しつつ、快適で質の高い
生活
空間の形成など、活力ある
社会
経済
の
実現
に向けて、人間力の向上・発揮、魅力ある
都市
・
地域
社会
、高齢化
社会
・少子化対策、循環型
社会
の構築の四
分野
へ重点化を行っております。 文教及び科学
振興
費については、義務
教育
費国庫
負担
制度
の
見直し
や確かな学力の
育成
等
教育
改革
の推進、
世界
的
水準
の大学づくり、優先順位づけも踏まえた戦略的重点化による
科学技術
の
振興
等に努めております。 防衛
関係
費については、災害派遣能力の充実や防衛力の質的向上等、中期防衛力整備計画に掲げられた重要
課題
にこたえつつ、効率的で節度ある防衛力整備を行うこととしております。 農林水産
関係
予算
については、農林水産業の
環境
保全機能に配慮する一方、真に消費者を重視した政策への転換を進めております。
経済
協力
費については、全体の量的
規模
を縮減しつつ、国際
協力
の観点から、
我が国
の責任の十全かつ適切な遂行が可能となるよう、援助対象
分野
等のさらなる戦略化、効率化を図っております。 エネルギー対策費については、国際的な視点に立脚したエネルギーの安定供給
確保
や
地球温暖化
問題への対応等を着実に進めております。
中小企業
対策費については、創業、
経営
革新の推進や
中小企業
に対する円滑な資金供給を
確保
するための
基盤
強化等を図っております。
国庫補助負担金
、
地方
交付税
、
税源移譲
等を含む
税源配分
の
あり方
についての三位
一体
の
改革
については、芽出しとしての措置を
平成
十五年度
予算
に反映させたところであります。 まず、国の関与を縮小し、国、
地方
を通じた行政のスリム化を図るため、
地方公共団体
向け補助金等の整理合理化を推進いたしました。 また、国と歩調を合わせつつ、
地方
歳出
の徹底した
見直し
を行い、その上で、通常収支の財源不足に関して、新規の特別会計借入金を解消するなど、
地方
財政
の効率的な運営に向けた措置を講ずるとともに、所要の
地方
交付税
総額を
確保
しております。 さらに、市町村道整備に係る
国庫補助負担金
の
見直し
等に伴う影響を踏まえ、
自動車
重量譲与税の譲与割合を引き上げることとしております。
地方公共団体
におかれましても、
歳出
全般にわたる一層の
見直し
、合理化、効率化に積極的に取り組まれるよう要望するものであります。 以上、
平成
十五年度
予算
の大要について御説明いたしました。本
予算
の編成に当たっては、公債依存度が四四・六%となるなど、
財政
事情が過去に例を見ない厳しい
状況
になっておる中、活力ある
経済社会
を構築するために思い切った
予算
の重点化を行うとともに、むだを徹底して排除し、持続可能な
財政構造
に向けて
歳出
の
構造改革
を推進することといたしております。 何とぞ、
関係
法律案とともに御審議の上、速やかに御可決いただきますよう心からお願い申し上げます。ありがとうございました。(
拍手
)
—————————————
綿貫民輔
8
○
議長
(
綿貫民輔
君)
国務大臣
竹中平蔵君。 〔
国務大臣
竹中平蔵君登壇〕
竹中平蔵
9
○
国務大臣
(竹中平蔵君)
経済
財政
政策
担当大臣として、
日本経済
の
課題
と
政策
運営の
基本
的
考え
方について所信を申し述べます。(
拍手
) 振り返りますと、
我が国
経済
は、八〇年代には年平均四ないし五%成長を達成していたにもかかわらず、九〇年代には年平均わずか一%程度しか成長できない
経済
になりました。その原因をどのように認識するかが、今後の
経済
財政
政策
を
考え
る上での原点であります。
日本経済
は、単なる需要不足から一時的に悪くなっているのではありません。
我が国
経済
の多くの部門の競争力、生産性が九〇年代に入って低下してきております。だからこそ、「聖域なき
構造改革
」を進めなければならないのです。
我が国
の競争力、生産性の低下の原因は、極めて複合的な要因によるものであります。過去の成功体験への依存と既得権へのこだわりが個人、
企業
、
行政
といった
経済
主体の規律を失わせ、迅速な対応を損ない、問題は先送りされ、この間に起こった冷戦構造の終えん、アジア
経済
の台頭等、国際的競争の大変化への対応もおくれました。 その結果、
日本経済
は
不良債権
と
財政赤字
という二つの負の遺産を背負い込むこととなり、それがデフレの深刻化と株価の低迷に反映されております。このような中で、
構造改革
を先延ばしにして、
財政
拡大のみに頼る
経済
運営を行うのであれば、
日本経済
にあすはないと断言できます。こうした観点から、
小泉内閣
は、一貫して、
改革
なくして成長なしの姿勢を貫いているのであります。
我が国
は、
構造改革
によって
基礎
体力を強化すると同時に、二つの負の遺産の
処理
を先送りすることなく、本格的な問題
解決
に取り組まなければなりません。一夜にして
日本経済
を
再生
させる魔法のつえは存在しません。前例にとらわれず、
政策
総動員を図ることが重要であります。変化を恐れ、二つの負の遺産の
処理
を放置、先送りしていては、本当の危機、
金融危機
や
財政
危機を招くことになります。問題先送りは、断じてすべきではありません。また、内外の情勢変化により厳しい
状況
が生じた場合には、大胆かつ柔軟な
経済
政策
を行ってまいります。
小泉内閣
は、発足以来、
民間
でできることは
民間
に、
地方
でできることは
地方
にの
基本
的
立場
に基づき、
構造改革
の
基本
戦略を、
経済
財政
運営と
構造改革
に関する
基本方針
、骨太
方針
として決定し、それに沿った
経済
財政
運営を行ってまいりました。 当初から精力的に取り組んできたのは「聖域なき
構造改革
」であります。特に、公共
事業
については、十四年度
予算
から思い切った選択と集中を図り、当初
予算
ベースで一〇%以上の削減を行うとともに、中身についても、
都市再生
、
地方
活性化や高齢化
対策
等に重点配分を行いました。 昨年は、「この国のかたち」をあらわす
税制改革
の論議に着手いたしました。
機会
の平等を重視しつつ、公正さを重んじ、
企業
や個人の
経済
の
活力
を最大限引き出し、納税者の納得を得る簡素な税を目指し、その
改革
の
方向
を
基本方針
二〇〇二に示したところであります。これを踏まえ、十五年度より本格的な
税制改革
に着手することにしております。この包括的かつ抜本的な
税制改革
は、今後とも引き続き進めなければなりません。
規制改革
についても、大きな前進が見られました。
規制
は
全国
一律でなければならないという
考え
方から、
地域
の特性に応じた
規制
を認めるという
考え
方に転換を図り、昨年は、異例のスピードで
構造改革特区
のスタートを切りました。
農業
や福祉といった
分野
への
株式会社参入
等、長年の
課題
に道が開かれました。先般の第二次
提案
募集では、昨年夏の第一次
提案
を上回る六百五十一件もの
提案
があり、
地方
や
民間
の豊かなアイデアが十分に示されました。この動きは、国から
地方
へ、官から民への
構造改革
を加速させる突破口として重要な成果と言えます。 そして、第一回目の
基本方針
から
日本経済
再生
の第一歩と位置づけてきたのは、
不良債権
の
処理
であります。昨年十月、小泉総理の、
平成
十六年度に
不良債権
問題を終結させるという強い覚悟を受け、
金融
庁は
金融再生プログラム
を策定し、現在、この工程表を着実に実施しております。
不良債権
処理
の加速と歩調を合わせて、
雇用
・
中小企業等
の
セーフティーネット
拡充、
減税
、
産業
・
企業
再生
への
早期
対応等を総合的に盛り込んだ
対策
や、これを補完、強化する
改革
加速プログラムを取りまとめ、これに基づいて
平成
十四年度
補正予算
を編成いたしました。
平成
十四年度の実質
経済
成長率は、当初見通しのゼロ%を上回り、〇・九%となる見込みであります。 このように、
小泉内閣
発足以来の一年九カ月で
構造改革
は着実に進展してまいりましたが、いまだ道半ばであります。今後も、
日本経済
の潜在成長力を高めるための
構造改革
を断行し、あわせて、将来まで持続可能な
財政
や
社会保障制度
の姿を確立することは、未曾有の高齢化
社会
を支える将来世代への我々の責務であります。
小泉内閣
では、マクロ
経済
と
財政
の中期的な姿を初めて
一体
的にとらえた「
改革
と展望」を示し、それに沿った
政策
運営を行っております。「
改革
と展望」は、規律ある
財政
と
経済
活性化の
両立
という狭い道を歩むための道しるべであります。 「
改革
と展望」については、
不良債権
処理
の加速に伴う
影響
、
世界
経済
の先行きへの懸念等、当初想定した以上に内外の不確実性が高まってきていることから、集中調整期間を一年程度延長すること等を内容とする二〇〇二年度改定を行いました。この改定においても、「
改革
と展望」の
基本
シナリオは変わりません。これを今後とも堅持し、
民間
需要主導の持続的成長とプライマリー収支の二〇一〇年代初頭の黒字化を目指します。
平成
十五年度の
経済
財政
運営について申し上げます。 十五年度は、マクロ
経済
運営の観点からは、
財政
のむだを排除しつつも、決して緊縮型ではない、景気中立型の
経済
財政
運営を行います。引き続き、
経済
財政
諮問
会議
等を
活用
して、これまで取り組んできたさまざまな
改革
を加速させ、その進展を実感できる年にすることを目指してまいります。 その際の最優先
課題
は、デフレの克服です。デフレは、一般に、安価な輸入品の
増加
等の供給要因、需要不足の要因等、複合的な背景を持ちますが、現在の
日本
のデフレ
状況
は、貨幣的な要因による面も強いと
考え
ております。
政府
は、
改革
を進めて
民間
需要主導の持続的成長を図り、あわせて、
政府
と
日本
銀行が
一体
となって、前例にとらわれず、
デフレ克服
を目指し、できる限り
早期
のプラスの物価上昇率
実現
に向けて取り組むことが必要です。 また、
不良債権
処理
と
産業
再生
を
一体
的に加速してまいります。
金融
行政
については、
金融再生プログラム
に従って、健全性、戦略性、誠実性という三つの視点を踏まえつつ、厳格に運用いたします。問題を先送りすることなく、
不良債権
処理
を着実に進めるとともに、今後設立予定の
産業再生機構
の
活用
等を通じて
産業
の
再生
を促すことにより、
金融
発の
経済
の底割れは絶対に起こさせません。 同時に、官から民へ、国から
地方
への
方向
に沿った
改革
を強化いたします。小さな
政府
を
実現
するために、徹底した
歳出
削減と
行政
のスリム化が必要であります。厳格な
政策
評価
に基づく
予算
編成等、
予算
プロセスの
改革
を進め、
歳出
の効率化を図ります。このような
取り組み
なく、
国民
に安易に増税を求めることは避けなければなりません。そして、
地方
財政
については、
国庫補助負担金
、
地方
交付税
、
税源移譲
を含む
税源配分
の
あり方
を三位
一体
で検討し、具体的な
改革案
を六月を目途に取りまとめいたします。 また、引き続き、包括的かつ抜本的な
税制改革
に
取り組み
ます。あわせて、
地域
経済
の活性化を通じた需要と
雇用
の
創出
に向け、
規制改革
と
構造改革特区
を飛躍的に推進することを目指します。
経済
活性化を達成するには、約一千四百兆円の家計貯蓄の有効
活用
についても検討する必要があります。九〇年代以降、資金の
流れ
は大きな変化を起こし、
政府
が使い道を決める資金の割合がふえ続けております。豊富な家計の貯蓄を将来の
経済
成長に結びつけるために、公的な資金の
流れ
の
改革
について新たに検討を行います。 ことしは、十六年の
年金
改革
に向けて、その案が取りまとめられる予定です。その際、
年金
、
医療
、介護等をばらばらに
議論
するのではなく、受け取る
国民
の
立場
に立って、生涯にわたる
社会
保障
サービス
を
一体
的に検討し、受益と
負担
の両面からそのあるべき姿を設計しなくてはなりません。
国民
の生涯にわたる安心を
構築
すべく、
社会
保障
サービス
を総合的に
議論
し、持続可能な
制度
の確立を目指してまいります。
国民生活
の面でも、昨今の
経済社会
の現状にかんがみ、公益のための
情報提供
者を保護する
制度
の
整備
を含めた全体的な消費者
政策
を再
構築
するとともに、二十一
世紀
社会
の新たな担い手であるNPOの活動
基盤
を
整備
してまいります。 十五年度においては、
不良債権
処理
の加速に伴う
影響
はあるものの、以上のような
改革
の成果と、十四年度
補正予算
や先行
減税
の効果、さらに、
世界
経済
が徐々に回復していくこと等から、
企業
部門も緩やかに回復するものと見込んでおります。十五年度の国内総生産の実質成長率は〇・六%程度になると見通されます。今後とも
改革
を進めつつ、
経済
情勢に応じて大胆かつ柔軟なマクロ
経済
の運営に努めてまいります。 諸外国の経験からも、
改革
の成果が十分に定着するまでに五年から十年の期間が必要であり、
構造改革
を進めるに当たっては、そうした歴史的な視点が必要であります。 しかし、その一方で、失われた十年を経て、かつ、今後未曾有の高齢化
社会
を迎えようとしている
我が国
に、残された時間は多くはありません。過去の成功や既得権にとらわれることなく、スピード感を持って、二つの負の遺産の
処理
を加速しつつ、
構造改革
に邁進する必要があると
考え
ます。既に、
産業
の再編が徐々に進展し、主要銀行も
不良債権
処理
に向けた動きを加速し始める等、変化の兆しはあらわれ始めております。
改革
の成果は、ある臨界点を超えると加速的にあらわれるものであり、それまでは忍耐強い努力が必要であります。「天下の事は、進まざれば則ち退く」と古くから言われているように、絶えず前進しなければなりません。こうした動きを加速させることによってこそ、株式
市場
にも
我が国
経済
の
潜在力
が反映されていくはずであります。
日本経済
は、依然として、勤勉な労働力、高い
技術力
で
世界
もうらやむ
潜在力
を有しております。今、
日本経済
の力強い
再生
に向けて、
国民
的英知を結集する必要があります。
国民
の皆様、議員各位の御
理解
と御
協力
をお願いして、所信の表明といたします。 ありがとうございました。(
拍手
) ————◇—————
下村博文
10
○下村博文君
国務大臣
の
演説
に対する質疑は延期し、来る二月三日午後一時から本
会議
を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。
綿貫民輔
11
○
議長
(
綿貫民輔
君) 下村博文君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
綿貫民輔
12
○
議長
(
綿貫民輔
君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時二十七分散会 ————◇————— 出席
国務大臣
内閣総理大臣
小泉純一郎
君 総務大臣 片山虎之助君 法務大臣 森山 眞弓君
外務大臣
川口 順子君
財務大臣
塩川正十郎君 文部
科学
大臣 遠山 敦子君 厚生労働大臣 坂口 力君 農林水産大臣 大島 理森君
経済
産業
大臣 平沼 赳夫君 国土交通大臣 扇 千景君
環境
大臣 鈴木 俊一君
国務大臣
石破 茂君
国務大臣
石原 伸晃君
国務大臣
鴻池 祥肇君
国務大臣
竹中 平蔵君
国務大臣
谷垣 禎一君
国務大臣
福田 康夫君
国務大臣
細田 博之君