○山花
委員 民主党の山花郁夫でございます。
法務大臣に、
裁判の
迅速化に関する
法律案についてお伺いしたいと思います。
本
法案は、
裁判を迅速に行うということを目的としているようです。
ところで、私ごとで恐縮ですが、三年ぐらい前に父を亡くしまして、アミロイドーシスという病気だったんです。アミロイドーシスというのは、余り聞いたことのない方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、難病
指定されていて、治らない病気だったんですね。治らない病気ですから、どこのお医者さんに行っても恐らく結果は一緒だったのかな、そんなふうに思っているんですけれども、ただ、いろいろとできる処置をやっていただいて、手を尽くしていただいたと思っていますし、そのお医者さんに対しては大変感謝をしております。
恐らく、お医者さんなんかでも、医療過誤として
訴訟で争われるようなケースは、物によっては、結果としては一緒だったのかもしれないけれども、患者さんなり遺族なりの方にちゃんと
説明をしていなかったりとか、そういったことで争いになったり、あるいは、医療過誤で
訴訟になっているケースだけじゃないです、
一般の
国民の方が病院だとかお医者さんに対して不満を持つケースというのは、必ずしもちゃんと
説明されていない、あるいはやり方が、納得のいくやり方で治療してもらえなかったとか、そういうことじゃないかと思うんですけれども。
何を言いたいかというと、よく
法律の入門書の教科書などを読みますと、
裁判だとか
法律だとかというのはお医者さんに似ている、つまり、病気というのが、身体に対する自然科学的な
分野で言うところの不正常なメカニズムになったとき、それを正常に戻すということだと。
法律というのは、社会がノーマルに動いている分には必ずしも必要ないのかもしれないけれども、紛争になったときにそれをしっかりと正す、ノーマルな状態にするということであるというようなことが教科書にも書いてありますし、私もそういうものなんじゃないかなと思っております。
つまり、
裁判の
迅速化法というのが提案されていますけれども、今の
裁判に対して、これは、勝った人、勝訴した人も含めて
満足度がかなり低いというようなアンケートの結果もありまして、
一つは、だから本当にしっかりとした、
充実した
審理が行われているのかどうか、そこのところを点検していかなければいけないのではないのかなと思います。
つまり、
一般の方とお話をすると、こういうケースはどうですかというふうに聞かれると、大体皆さん、
法律で一義的に決まっているように思われていますけれども、実際は、必ずしもそんなに明快に割り切れるものではなかったりだとか、あるいは事実
関係が、AさんとBさんがいたときに、Aさんが言っていることとBさんが言っていることが違ったりだとか、そこをはっきり確定させないことには何とも言えないケースだとか、いろいろあるわけです。
一義的には決まっていないにしても、およそ
裁判になって結論が出るということになれば、後から振り返って考えれば、その
事件については結論が決まっていたのかもしれないし、あっちの
裁判所に行こうがこっちの
裁判所に行こうが上訴しようが、同じ結論が出るかもしれない。
ただ、ある
裁判所のときには満足したかもしれないし、ある
裁判所のときには満足しないかもしれないというのは、やはりそれは
先ほどの医療の話に極めて近くて、要するに、
裁判官が自分の話を聞いてくれた、そういう手続がちゃんとあって、
裁判というものに対する信頼というものもできてくるんだと思います。そういう意味では、我々の世界も結構似ていて、そういう話は聞いていないとかいうのが非常につらいケースがありますけれども、やはり
当事者の方からすると、そうやってしっかり話を聞いてもらったりだとかするということが本当に大事なことだと思うんです。
そういう意味で、従前からも当
委員会でも同じような意見が随分と繰り返されていますけれども、
裁判の
迅速化ということだけではなくて、本当に
充実した
審理ということを行う必要がある。
そして、決してそれは二律背反じゃないと私は思うんです。例えば、
訴訟指揮にもかかわることかもしれませんけれども、ちゃんと争点整理があらかじめしっかりできていて、これに関する
証拠というのは一体何なのかというのを
当事者がよくわかっていて、それについてしっかりと議論をぶつけて、それで結論を出すというのがあくまでも本来の姿だと思いますし、そうだとすると、やはり
迅速化ということだけではなくて、
裁判の
充実ということが本当に必要なんではないかと思うんですけれども、この点について、改めてお考えを伺いたいと思います。