○山花
委員 それにしたって、一回、二回の期日が延びることはあっても、二年も延びることは私はないと思います。
また、今、
当事者のことについてお話がございました。私はきのう、ある弁護士さんに会ってまいりました。私は、この
事件は冤罪の可能性があると思っているような
事件なんですけれ
ども、これは、
裁判所もそうですし、検察も問題がありますね、およそ冤罪ということであるとどこかに無理があったんだと思います。例えば、今個別の
事件についていろいろ申し上げると問題がありますので、
事件は申し上げませんけれ
ども、これは検察の冒頭陳述でこんなことを言っていますね。これは、強姦未遂
事件の冒陳です。
被告人は、ここでは名前を伏せます、Aを眠らせて抗拒不能にして姦淫しようと
考え、かねてから処方を受け保管していたハルシオン、ハルシオンというのはいわゆる睡眠薬ですね、ハルシオンあるいはそれに類する睡眠導入作用を有する薬物をビールに混入した。Aは、それまでは足元がふらつくこともなく、意識もしっかりしていたのに、被告人に注がれたビールを飲んだところ、その薬物の睡眠導入作用により、急に意識を失った。そこで、被告人は、遅くとも同日午後十一時十九分ころまでにということで、あるところに行って、麻酔作用を有する笑気ガスを吸引させた。これで意識を失ってしまうというんです。
素人が聞くと何となくあるのかなと思いますけれ
ども、しかし、医学的には全くあり得ないことを言っているんですよ。つまり、口から飲んでその場で気絶するなんというのは、映画の世界ではあるかもしれません。しかし、私は医学には素人ですけれ
ども、皆さん、その程度の知識はあるんじゃないですか。つまり、口から飲んだものが作用するなんというのは、だって、睡眠剤というのは、胃に入って、腸壁で吸収されてから肝臓に行って、そして脳に作用するわけですから、飲んだ途端に気を失うとか、ましてや、笑ってしまうような話ですよ、ビール、アルコールにハルシオンは溶けないんですよ。
こんなむちゃなことを検察が言って、個別の
事件ですからこれ以上申しませんけれ
ども、
一つは、これは検察もちょっと注意をしていただきたいと思いますね。医学的な話について、余りにもむちゃなことを言ったりしている。
また、少年冤罪
事件ということで有名な
事件ですけれ
ども、草加
事件のときも、これも結構むちゃくちゃな話ですよね。
被害者の遺体にAB型の唾液がついていたことが発見されるんですけれ
ども、AB型の唾液がついていたということは、恐らく加害者がAB型の人なんでしょう。しかし、これはもう既に
判決も出ている
事件ですので申し上げますけれ
ども、
最高裁の十二年二月七日に
判決が出ています、これで認定されている事実によれば、この犯行に加わったとされている少年
たちにAB型の人はいないんですね。ところが、検察がどう言っていたかというと、A型の少年の唾液とB型の方の、体液も合わせてのようですけれ
ども、これがまざるとAB型になるんだと。
お医者さんがいらっしゃいますけれ
ども、そんなばかな話があるわけないのであって、そういうことを平気で言う、私はこの検事の方の言っていることもさっぱりわからないですが、ただ、要するに、ちゃんと医学的なことを調べていれば、全くこんなおかしなことが起こるわけはないということがわかるような
事件であります。
きのう私が会ってきた弁護士さんというのは、その前の強姦の関係の
事件をやっている弁護士さんですが、驚いたことに、一審で有罪
判決が出ています。細かな事情は申し上げませんけれ
ども、今事実認定のことだけで申し上げれば、全くずさんな認定をしたと。二審でも、その弁護士さんは引き受けて、いや、こんなばかなあれはないだろうと。間違いなく無罪になると信じていたようです。全く今まで弁護士しか経験のない方ではありません、三十六年間
裁判官をやっていた弁護士さんです。非常に嘆いていました、
自分が判事のころはこんなむちゃくちゃなことはやっていないと。
しかも、
訴訟指揮が粗過ぎると。証人尋問をしていたら、時間が少し延びてしまった、十二時までという約束だったので、十二時が近づいてきて、十一時ぐらいから被告人尋問を始めた、被告人尋問をやろうとしたところ、
裁判長から、途中であっても時間になったら打ち切ると宣言をされたというんです。これは弁護士の方が聞いたら驚くんじゃないですか。つまり、こんなような
訴訟指揮をやっている
ケースが今でもあるわけです、今でも。
ましてや、大変懸念されるのは、本来もっと
充実させた
審理を行わなければいけない、そのことが先決
事項としてあって、あるいはそのためには、きのうその弁護士さんも言われていました、
自分が判事のころと違って、今受任件数がふえているから、従来であれば鑑定だとか証人尋問とかもっと時間をとってやったものもやらなくなっている、ましてや、受任した時点で全部振り分けていて、これはクロというのをあらかじめ予断を持ってやっていると。そういった現実が今あるわけです。
その中で、今回のようなこうした
法案が出されることによって、ますます
審理が粗っぽくなって、そして、先ほど申し上げましたように、御答弁の中ではあくまでも常識的な
範囲内での
責務なんだと言われていますけれ
ども、これは今ですらこうなんですから、こんな
法律ができたら、
裁判官は二年たったらできるだけやめてしまおうと思うことが非常に懸念されるわけです。
本当に、こういう二年内という
数値目標を立ててよいと、副本
部長たる
法務大臣、確信は揺らぎませんか。