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瀬川政府参考人 お答えいたします。
特に
指定侵入工具につきましてでございますけれ
ども、実際、
侵入犯罪に使用される
器具というのは、ピッキングというのは一〇%ぐらいでございまして、そのほかのドライバーでございますとかバールでございますとか、そういったものが現実には
侵入犯罪に使用されるのが多いというのが
実態でございます。
しかし一方、御質問にありましたように、ドライバーとかバールといったものは
国民が日常生活において用いるものでございますので、この点、やはり十分に配慮をして、必要最小限度の範囲とするように政令案を決めていかなきゃいけない、こう考えております。
具体的に、今、
指定侵入工具について考えておりますのは、現在の
犯罪者による侵入の
実態を見まして、ドライバー、バールというのは法律で書いてございますが、そのほかにはドリルでございます。最近よく
新聞等で取り上げられておりますが、
ドリルサムターン回しという新たな
手口が出てきておりまして、これは全体の
件数から見るとまだ少ないんですけれ
ども、錠の近くにドリルで穴をあけまして、そこから特定の工具を差し込んで中のサムターンを回してしまう、こういう
事案が最近急増をしております。したがいまして、今、私
どもといたしましては、ドライバー、バールに加えまして、ドリルについて
指定侵入工具として定めるということを検討しております。
必要最小限度のものにしたいと思っておりまして、例えばドライバーについて申し上げますと、実際に
侵入犯罪に使われているドライバーというものをいろいろ分析いたしまして、今考えておりますのは、歯の形状がいわゆるマイナス型、マイナスドライバーですね、プラス型のものは含まない。それから、刃幅、ドライバーの先の幅でございますが、これが五ミリ以上である、全体の長さが十五センチ以上のもの、こういったものが大体
侵入犯罪に使われているという
実態がございますので、そういったものを明確にした政令案を定めるように検討をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
それから、業務その他正当な理由についてややグレーゾーンがあるのではないかという点につきましても、御質問にございましたが、社会通念上、こういった侵入工具の携帯が当然に認められるような場合にはこれは適用しないということで、実は、こういう決め方は、現在の軽
犯罪法におきましても、正当な理由がある場合を除いて、侵入に使われるような道具を携帯してはいけない、こうなっておりまして、正当な理由による場合というのは、私
どもといたしましては、実務の現場ではかなり定着はしているものと考えております。
ただ、実際、正当な理由による場合に該当するか否かというのは、持っている方の職業でありますとか周囲の
状況でありますとか、あるいは動機、
目的、
認識といったものを主観的に判断をすることになろうと思います。
具体的には、例えば、
指定侵入工具につきましては、隠匿携帯の処罰でございますので、
警察官が職務質問をしてそういうものを見つけるということが多いと思います。したがいまして、深夜、
住宅街を徘回しているような、しかも物色といいますか、うろうろしているような者を
警察官が発見したときに、職務質問をして、そこで、そういったドライバー、一定のドライバーについて殊さら隠して持っているというような
状況があったときに、どういう理由でということをよく調べた上で、正当な理由があるかないかということをしっかり判断をしてまいりたいと思います。
御懸念のように、
国民の権利との
関係、人権を侵害するのではないかという御懸念があろう、こういうふうに思いますので、私
どもといたしましては、具体的な運用基準というものをしっかりつくりまして、これを
都道府県警察に示しまして、現場の
警察官にこれがしっかり徹底するように指導教養を徹底して、いささかも乱用にわたるようなことがないように、的確に指導してまいる所存でございます。