○石毛
委員 民主党・無所属クラブの
石毛えい子です。
私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出の
インターネット異性紹介事業を利用して
児童を
誘引する
行為の規制に関する
法律案に反対する立場から討論を行います。
近年、
少年犯罪被害が急増し、
少年犯罪も深刻化しています。そして、携帯電話や
インターネットなどが、
生活利便の向上に役立つのみならず、
犯罪などに悪用される側面も、残念ながら事実として存在します。特に、いわゆる
出会い系サイトに係る
事件は急増しています。
児童の
犯罪被害が増加し、
大人社会のモラル低下が
子供たちにも影響しつつあることに対して、国政の立場にある者として、また、
大人の一人として、私は強い責任を感じます。
私
たちは、
出会い系サイトを媒介にしたものを含め、異性交際に係る
犯罪を防ぐためには、売買春を行う者、そのあっせんや管理を行う者、
誘引や勧誘の媒体を提供する者等に対する規制を強化することが必要だと
考えます。また、
児童保護の観点からも、
子供たちに対して、社会的
規範が存在し、行った
行為に対して一定の
措置があり得ることを示す必要性も認識しています。しかし、その規制は、有効性、透明性、明快性を兼ね備えて初めて
意味を持ちます。政府提出
法案は、まさにこの点で難点があり、欠陥や弊害の方が多いと言わざるを得ません。
以下、政府案に反対する理由を具体的に申し述べます。
第一は、政府案では、
警察が
インターネット異性紹介事業者等を規制するスキームがあいまい、不透明であることです。本
法案では、
インターネット異性紹介事業等の定義が不明確であることから、どのような事業形態、機能、利用
方法が本法の規制
対象に該当するかは、事実上、
警察の裁量に大きく任されます。その結果、
事業者に対して
警察が恣意的かつ過剰に介入したり、逆に、
警察と業界のなれ合いで運用が決まったりするという懸念がぬぐえません。また、
警察当局による誤用や乱用の危険が大きいという弊害も指摘できます。例えば、成り済ましによって、実際には
関係ない人の個人情報が当局に把握される
可能性や過剰
捜査の
危険性があります。
第二は、本来必要であるべき
インターネット異性紹介事業者等に対する規制が、
実効性の乏しいものになっていることです。例えば、悪質なサイトを排除したり、
子供の利用を防止したりすることに対して、
事業者に努力義務
規定を課すにとどまっていること、
児童ではないことの確認
方法が甘いこと、IT技術の高度利用を念頭に置いて規制する観点が弱いこと等です。本
法案の不十分な規制が既成事実化すれば、抜け穴利用の横行を見る
危険性は決して小さくありません。
第三は、
児童買春、
児童ポルノ法の改正という抜本的な対策を怠っていることです。
出会い系サイトのみに
対象を絞って本
法案のような中途半端な規制案を導入しても、効果は少なく、弊害の方が大きいと
考えます。
第四に、本
法案には
児童の保護
育成や
教育という観点が極めて弱いことです。
インターネット異性紹介事業を利用した
児童買春その他の
犯罪行為によって
児童が受けるおそれのある心身の
被害に関する
教育や
ケアが余りに不足しています。
第五に、政府の準備不足と無責任な姿勢を指摘しておかなければなりません。本
委員会を含め、さまざまな機会でなされた政府側の
答弁、
説明は二転三転したものが多々あり、今現在に至っても、解釈等が不明確な項目も残っています。
法律家や研究者を初め、多くの有識者の間からも、本
法案の問題点を指摘する声が上がっているにもかかわらず、このようなありさまでは、法の適正な執行にも懸念が残ります。政府には猛省を促したいと思います。
以上述べました理由により、また、野党四党の共同
議論を通じて共通の認識を深めた結果、私
たちは、政府案には反対いたします。
最後に、未成年者の
犯罪被害や
犯罪への関与を減らし、
大人社会も含めて日本にモラルを回復するために、私
たちは、
児童買春、
児童ポルノ法の
罰則強化等、法の
実効性を高めるための抜本的な対策に着手することを約束し、私の討論を終わります。(拍手)