○小沢(和)
委員 私は、シベリア抑留者の未払い
賃金問題について、一昨年から本
委員会で四回にわたって
質問を重ねてまいりました。
敗戦直後、ソ連軍により日本の将兵、軍属、約七十万人がシベリアに強制連行され、酷寒の地で鉄道建設などの重労働に長期間従事させられ、約六万人が死亡し、ついに帰国することができませんでした。私は、このような国際法を無視したソ連の暴挙を絶対許すことはできませんが、日本
政府の対応についても全く納得することができません。
私が今回、外交史料館からいただいた一連の資料で、海外からの復員者に対する
賃金支払いの仕組みがどうつくられていったか、およそのことがわかりました。
まず、四六年五月七日、ちょうど復員が始まった時期でありますが、連合軍総司令部から日本
政府への覚書で、復員者の取り扱い、特に海外の労働
賃金について、日本側が支払うことが示されました。当時、既に、捕虜の所属国、この場合でいえば日本
政府が、労働証明書を持ち帰った者に
賃金を支払うことが国際的慣習法として成立しており、日本
政府もそれに従うことになったわけであります。
これに基づいて、同年五月二十七日付文書で、日本
政府がGHQに対し、グアム島からの復員者に対する
賃金を支払うための書類を示すよう求めております。この文書がきょう配付しております資料の二枚目のものであります。これに対して、六月十三日、GHQは捕虜個々人の賃
金額を示し、支払いを許可しております。
こういう流れの中で、翌四七年三月十八日、日本
政府からGHQに提出されたのが資料の一枚目の文書であります。
先ほど述べました四六年五月七日付の文書では、ソ連の極東地域、つまりシベリアなどからの復員者にもこの
賃金支払いの仕組みの適用が予定されていたのに、実際には話が進んでいなかったので、GHQに対し、ソ連からの復員者に労働証明書を持ち帰らせてくれれば日本
政府は
賃金を支払うので、ぜひ持ち帰らせるように尽力してほしいと要請しております。
昨年もこの文書を当
委員会で配付しましたが、こういう流れの中でこの文書が出たことは間違いありませんか。