○東(祥)
委員 自由党の東祥三でございます。
個人情報保護法案をめぐる諸問題について、これまで当
委員会で種々審議を重ねてきたわけであります。しかし、これまでの議論を聞いていて、本日の前半での議論もあったと思いますが、
主務大臣が明確にできない分野だとか、
個人情報の取扱業者の
定義が非常に不明確であるとか、そういう不明確さが一方において残ると同時に、他方、野党から
提出されている新しい概念といいますか、生成中の概念であるとはいえ、
個人情報を
保護するに当たって自己
情報コントロール権という概念を提唱させていただいたり、あるいはまたセンシティブ
情報の
取り扱い等、これらたびたび議論されてきたものがある一方において、この
委員会においてはほとんど全く議論されていない重要な問題がある、そういう視点から、本日は、約一時間にわたりまして
質問をさせていただきたいというふうに思います。
つまり、国の存立にかかわるような重要な
情報のあり方が全くと言っていいほど議論されていないのではないのか。乱暴な言い方をすれば、顧客
名簿を
名簿屋さんに売り渡す問題が国の重要政策課題というならば、国家機密を諜報
機関に売り渡す問題は国の重要政策課題ではないのか、こういう問題であります。
人権は重要であることは間違いない、したがって、
個人情報は確実に
保護されなければならないと私は思います。しかし、その重要な
個人も、国家があってこそ人権が保障され、そして安全が確保され、さらにまた幸福な生活が実現されるものだと思います。にもかかわらず、国家の存立にかかわるような機密
情報がどのように守られるかという議論が全く欠如してしまっているわけであります。
国益が何かということを国民も政府も
政治家ももっと明確に認識をする必要があるのではないのか。その上で、国際社会に対し、言うべきことははっきりと言うのが主権国家であります。さもなければ、それは従属国家であり、あるいはまた植民地国家になってしまうのではないのか。
お歴々の
大臣、副
大臣がいらっしゃるわけであります。今、拉致家族の皆さん方は、日本は本当に頼りない国だ、拉致というものを国家テロとしても認証することのできない国、アメリカに行き、欧州に行き、この国家テロの問題に対して国際社会の喚起を促している。ところが、拉致を受けているこの日本、これはまさに国家テロである、外務省はまだ、政府はまだ、それに対して明確な方針も示すこともできない。人権が侵害されて久しい歳月がたつわけでありますけれども、この問題に対しても無視し続けている。そういう状況の中で、今極めて重要な
個人情報保護法案なるものを議論しているわけであります。
現実の世界を見渡しても、いかに多くの地域紛争が発生し、重大テロが頻発しているか。中には戦争になることもまれではない。戦争が一たん発生すると、国民は不幸のどん底に長く落とされてしまう。すべての人々が知っているわけであります。このような国の安全を侵す事態を未然に防止するためには、国の安全に関する
情報をいかに
保護していくかも議論しておく必要があるのではないのか。
我が国では、第二次世界大戦後以降、国防とか国家機密がタブー視されている風潮があるわけであります。今でもそうであります。だから、本来やるべきことがほとんど手をつけられていない、このように断言しても構わないのかもしれません。あらゆる国で、国である以上、守るべき秘密があり、秘密
保護法のない国はない。そういう国があったらぜひ教えていただきたい。日本以外にないのではないかと私は思っております。
情報公開法の先進国であるアメリカでも、当然、国家機密
保護令がある。国の安全にかかわる秘密は厳重に
保護され、その上での
情報公開法である。
外務省からも来ていただいている。総務省からも、あるいは
防衛庁からも来ていただいているわけでありますが、御存じですか、皆さん、世界じゅうで日本ほど秘密が守られない国はない。
二年ほど前にも、いわゆる九・一一の問題が起こったときに、アメリカの本部が別のところに移転している。どこかの外務
大臣がそれをしゃべってしまっている。つまり、世界各国から見るならば、一番信用できないのは日本の
政治家だというふうに言われているわけであります。簡単にしゃべってしまう。そういう状況の中で、唯一、日本であるのは、いわゆる国家公務員法等による守秘
義務があるという程度であります。
ところが、先日、同僚の西村
議員が
指摘させていただいているとおり、罰則はというと、わずか一年以下の懲役。単なる行政上の秘密であろうが、私人の秘密であろうが、はたまた漏れたら国民全体に危害が及ぶような国家の重大機密でも、一年以下ということになってしまう。余りにもバランスがとれていないのではないのか、このように思うわけであります。この点に関しては、全く西村
議員が
指摘するとおりなんだろうと思います。しかも、国家公務員法は、漏らす側の公務員だけを
対象としているわけであります。
そこで、片山
総務大臣にお聞きいたしますが、守秘
義務の罰則の見直しを検討する考えはおありでありますか。