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2003-03-06 第156回国会 衆議院 憲法調査会安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年三月六日(木曜日)     午前九時二分開議  出席小委員    小委員長 中川 昭一君       近藤 基彦君    下地 幹郎君       谷本 龍哉君    中山 正暉君       山口 泰明君    桑原  豊君       今野  東君    島   聡君       首藤 信彦君    末松 義規君       中野 寛成君    赤松 正雄君       藤島 正之君    春名 直章君       今川 正美君    井上 喜一君     …………………………………    憲法調査会会長代理    仙谷 由人君    参考人    (国際政治軍事アナリス    ト)           小川 和久君    衆議院憲法調査会事務局長 内田 正文君     ————————————— 三月六日  小委員山口泰明君及び首藤信彦君二月二十七日委員辞任につき、その補欠として山口泰明君及び首藤信彦君が会長指名で小委員に選任された。 同日  小委員金子哲夫君同日委員辞任につき、その補欠として今川正美君が会長指名で小委員に選任された。 同日  小委員今野東君及び中野寛成君同日小委員辞任につき、その補欠として島聡君及び末松義規君が会長指名で小委員に選任された。 同日  小委員今川正美君同日委員辞任につき、その補欠として金子哲夫君が会長指名で小委員に選任された。 同日  小委員島聡君及び末松義規君同日小委員辞任につき、その補欠として今野東君及び中野寛成君が会長指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  安全保障及び国際協力等に関する件(非常事態憲法)      ————◇—————
  2. 中川昭一

    中川委員長 これより会議を開きます。  安全保障及び国際協力等に関する件、特に非常事態憲法について調査を進めます。  本日は、参考人として国際政治軍事アナリスト小川和久君に御出席をいただいております。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人のお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査参考にしたいと存じます。  本日の議事の順序について申し上げます。  まず、小川参考人から非常事態憲法について、特に自然災害等への対処中心に御意見を四十分以内でお述べいただき、その後、小委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、発言する際はその都度小委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は小委員に対し質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。  御発言は着席のままでお願いいたします。  それでは、小川参考人、お願いいたします。
  3. 小川和久

    小川参考人 それでは、私の意見の陳述をさせていただくことになるわけでございますけれども、このような権威のある場にお招きをいただきまして、大変光栄に存じております。浅学非才の身でございますので、どこまで皆様方の御参考になるようなお話ができるかどうか、大変緊張しておりますけれども、私の至らざる部分は後ほど質疑応答の形で補完をさせていただきたいと思っております。  お話に入ります前に、後で事務局の方から御説明があると思いますが、お手元にお配りいたしました資料のうち、二カ所、訂正をしなければいけないものがございます。一つは、私の著作の中からコピーをしていただいたもののうち、私が執筆しているものでない原稿が一つ入ってしまっている。それからもう一つは、私の著作の中で、事実関係について私の知識が浅かったがゆえに間違いがあったものを、第二回目、二冊目の本では訂正したものがありますが、訂正されていない版のコピーがお手元に行っているというものがございます。それは後ほど訂正をさせていただきたいと思います。  それではまず、お話に入りたいと思います。  非常事態憲法自然災害等への対処を中心としてというテーマをお与えいただいたんですが、私自身は軍事問題の専門家端くれでございまして、自然災害等専門家ではもとよりないんですね。ところが、気がついてみますと、私は今、総務省、消防庁の委員を四つ引き受けております。ことしからは消防審議会委員もやっている。軍事問題の専門家であるおまえがなぜ消防審議会委員なのか。あるいは昨年からは、総務省住民基本台帳ネットワークシステムの、特にセキュリティーに関する委員なども務めておりますし、プライバシー保護研究会の主査もやっております。  何で軍事問題と直接関係のないところで政府の仕事に首を突っ込んでおるのかという部分から御説明をしなければいけないのですが、実はきょうのお話の一番申し上げたいところでもあるんですけれども、身近な危機である例えば災害あるいは交通事故、そういったものからみずからの命を守れない日本国民が、基礎知識すら乏しい問題である外交、安全保障、そういったことにおいてみずからを守ることができるのか。身近な危機から命を守れない日本国民が軍事のことなど語るのは十年早い、北朝鮮のことなど語るのは十年早いということを申し上げ、足元からその辺の問題を解決していきたいという思いがあるから、そういった身近な危機に関する役割を政府の中でも引き受けているわけでございます。  そういう中で、私は、これは常々、特に法律をつかさどる立場の方々の研修などでは繰り返し申し上げているわけでございますけれども、このレジュメの一番目、「日本は「法治国家」ではない」という問題から入りたいと思います。  私は、昨年、一昨年と、高等検察庁検察官の研修などに呼ばれたとき、このテーマお話をしております。あえて挑発的な話をする、何でか。法律は形どおり整ったようには見えるけれども、その法律の精神は一切生かされていない。その法律が国民の生命を守ることにおいて力を備えていない。つまり、よく言えば制度疲労、悪く言えば怠慢の結果が我々の目の前に展開されているという問題なんです。そこのところをやはりきょうの議論を進める上での前提として明らかにしなければ、幾ら議論をしても全く徒労に終わるだろうという思いがあるわけであります。  私自身申し上げたいのは、日本の特色かもしれませんが、法律制度が必要だということになると、つくろうということにはなる。しかし、つくること自体自己目的化されて、つくったら一安心、後はほったらかし、一時代前のオフィスコンピューターのようなもので、はやり廃りで買ったはいいけれども、使い方もわからずに、気がついたらほこりをかぶっていて全然生きていない、そういった状況によく似ているところがある、そこを直していかなければだめだろうと思っております。  法律にせよ制度にせよ、その完成の度合いを高めるために不断の努力をしなければ、どんなに崇高な理念を掲げたとしてもその実現はあり得ません。この不断の努力完成度を高める努力というのは、法律においては改正という手続を踏まなければあり得ないわけであります。改正なしに完成度が高まるなんということは絶対にあり得ない、その辺を我々はどこか忘れているのではないか。  とにかく、これはもう身近なさまざまな法律もしかり、そして日本の法の頂点にある日本国憲法もしかり。改正といえば何か右翼、軍国主義者専売特許のように語られてきた日本というのは、世界に通用する議論をしてきたとは言いがたい、憲法の理念を守ろうとする営みをしてきたとは言いがたい、その思いが私は大変強くするわけであります。  そういう中で、こちらの憲法調査会存在そのものは私は高く評価し、活動については尊敬申し上げておりますが、やはりそういった前提条件を一たん明らかにし、みずからの欠陥というものを克服するという姿勢を明らかにする中でしか、いかに憲法調査会世界じゅうの憲法制度調査し、分厚い報告書をつくったところで、それ自体が意味をなすものか、そういう報告書をつくること自体、あるいは調査の旅行に行くこと自体が目的になっているじゃないかということを言わざるを得ない、そういう面が実は出てくるわけであります。だから調査自己目的化という話になってしまう。非常に私はその辺は危機感を持って、皆さん方と意識を共有したいと思ってここにやってきたわけであります。  そこにおいては、やはり憲法ということで申し上げますと、憲法が掲げている理念にふさわしく憲法が機能しているのか、現実はどうなのかというところにおいて、憲法違反のような状態に対して是正するという営みを絶えることなく続けなければいけない。そして、それを前提としながら憲法の完成の度合いを高めていくということに常に取り組まなければ、やはり日本世界に通用する、しかも世界から信頼され、尊敬されるような国家を盤石のものとして築き上げることは難しいのではないかなという思いがしております。ですから、あえて、日本法治国家かという問いかけを検察官に対しても行っている、裁判官に対しても行っている、そういうことで私はやってきております。  そういう中で、昨今、イラクの情勢あるいは北朝鮮の問題などがニュースでも大きく取り上げられますし、目の前の問題としては大変大きなテーマとして存在しているわけであります。ただ、こういったものを通じて我々が考えなければならないのは、やはり、我々は憲法の精神にふさわしく行動しているだろうか、あるいは行動してきただろうかという点でございます。これは、きょうお話を申し上げますように、外交面の問題だけではない、国内においてもその辺は問われる部分があるのではないか、そこを若干お話を申し上げてみたいと思っているわけであります。  まず、外交面で、私は、イラクの問題と北朝鮮の問題について若干触れてみたいわけでありますけれども、日本憲法の精神に基づく原理原則、これにふさわしい行動をしてきたのかということをいま一度考えてみる必要があるのではないかと思います。  ここで言う原理原則とは、戦後日本が掲げてきた二つの旗印であろうと思います。その旗印とは、一つはいわゆる平和主義、そしていま一つはいわゆる国連中心主義であります。これは何のために掲げてきたのか、中身をどのように説明すれば世界に通用するのか、その辺の問題が問われるのではないかなと思っております。  普通、日本では、平和主義とは何ですかと聞かれると、戦争をしないことですとかいうような答えが返ってくる。そんなの当たり前だという話なんですね。もっと積極的なものです。国益の問題なんです。情けは人のためならずの問題なんです。とにかく、日本ができることを一生懸命やり、世界平和の実現のために努力をする、その姿に対して国際的な評価と信頼が生まれてくる。世界の評価と信頼が高ければ高いほど、日本の安全は高まるわけであります。その安全という基盤があって初めて日本経済活動ができる、経済的な繁栄はそこにおいて初めて実現の方向へ向けて動き出すと言えるものなんです。  そして、その世界平和を実現するために、日本が使おうとしているシステム、仕組みと言えるものが国連なんですね。それが国連中心主義なんですよ。我々は、それにふさわしく外交、安全保障について行動できていなければ、実は、うそつきになってしまうという部分があるのではないか。  そこで、イラク情勢について、その辺のことをもとに考えてみたいというのが一つ目の話でございます。  現在、イラク問題については、我が国家存在感というのは希薄でございます。茂木副大臣が行っております。アジズ副首相と会った。でも、これは、普通の国の営みとして何とか格好をつけたというところで終わってしまっている部分が残念でございます。ここにおいて我々は、なぜ日本国の存在がイラク情勢においても希薄なのか。直接の問題としては、やはり湾岸戦争における教訓を学んでいない部分が余りにも多過ぎるということを申し上げざるを得ないわけであります。  とにかく、イラク情勢について、日本存在感を示し、国際的な信頼をかち取り、また発言力を残すということは、エネルギーの問題一つとっても中東に大きく依存している立場として、国家生存の問題である、その部分をやはり憲法を意識しながら考えてみるべきではないかなと思うわけであります。  たまたま、この問題については、憲法調査会中山太郎会長湾岸戦争の当時外務大臣でいらっしゃったと記憶しておりますが、以前にも中山会長ともお話ししたことがありますけれども、やはり日本は、当時のソ連、フランスと比べても、外交的に最も有利な立場にあったというのが客観的な位置づけであったわけであります。日本政治家にもそれを意識していた方もいらっしゃいました。ただ、日本国全体としてはやはりそういった認識なしに、とにかくアメリカに協力しなければアメリカから安保を切られるんじゃないかという、根拠のない妄想のもとに動き回る結果になってしまった。だから、せっかくお金を出しても、生きるという格好にならなかったというのが私の結論でございます。  だから、これはもうはっきり、当時皆さん方努力したということを前提としながら、幾つかの点についてお話をしてみたいと思うわけであります。  日本は、当時のソ連やフランスに比べても、圧倒的に外交的に有利な立場にあったというのは、世界に通用する議論をするときの条件となる事実と客観的データに基づいて明らかなわけです。これは英語で言いますとファクツ・アンド・フィギュアスと言うんですが、とにかく客観的な事実、客観的なデータ、科学的な根拠をもとに議論しなければ、相手を論破することはできない。特にアメリカなんて論破することはできません、あるいは説得することはできない。  それに基づいて、日本は、三つの点から外交的に有利な立場にあったわけであります。  まず、項目を言いますと、一つは、アメリカに対して軍事的に物を言える立場であったということなんです。いま一つは、イラクに対して最も物を言える立場であった。もう一つは、国連に対して最も物を言える立場であったということなんです。  実は、これは、我々の税金が適切に使われているかどうかを常にチェックするという営みが、少なくともアメリカ連邦議会並みに行われていれば、一目瞭然の話だったんですよ。だから、これは国会の努力ということを大いに評価することを申し上げた上で、あえて申し上げますけれども、やはり国権の最高機関として、民主主義を機能させるという点で、こういった点にも若干問題を残していたのではないかなと私は思わざるを得ないんです。税金の使い道をちゃんとチェックしていれば、こんなことはわからなきゃいけない。日本人が一番苦手とする軍事問題にかかわり、アメリカという日本に対する戦勝国がかかわる問題である日米安保の問題についても明らかなわけであります。  日本の常識は世界の非常識というのは、竹村健一さんが昔から言っていることですが、まさにこれ、絵にかいたような話です。日本の常識というのは、とにかく日本アメリカに守っていただいているんだ、だからアメリカに逆らうと安保を切られて、アメリカは帰っちゃう、裸になる、えらいこっちゃ。根拠はだれも答えられない。外務省の役人も答えられない、防衛庁の役人も答えられない、自衛隊制服組も答えられない。どうするんだ。  当時の外務省湾岸危機のときの担当者なんて、日本なんてフィリピンの五十分の一の価値しかなくて、アメリカに逆らったら一発、安保切られて帰っちゃうけれども、フィリピンからアメリカが撤退することはないと、マスコミのテレビカメラの前で堂々と公言していたじゃないですか。本人に根拠はと聞いたら、知らない。フィリピン行ったことがあるのかと言ったら、行ったことありません。じゃ、何でそんなこと言えるのかと言ったら、担当者である私にそう受け取ることができるような言い方アメリカがしてくると言うんです。だったら、おまえ死ねと言われたら死ぬのかという話をしたことがあります。非科学的というか、発展途上国的というか、そういう者をエリートエリートエリートとあがめ奉っていて、この国はもつのかねという感じがあるんですよ。  実は、私自身は日米安保専門家端くれとしてのスタートなんです。とにかく、国会図書館を調べたって日米安保に関してまともにリサーチしたものはない。防衛庁外務省に行ったってない。そこで、私はアメリカ政府調査を申し込んだらオーケーが出た。北は青森県の三沢基地から南は沖縄県の嘉手納基地まで自分で歩いて、基地司令官の聞き取り調査をやり、国防総省から資料を出させ、それに対するバックグラウンドブリーフィングを行わせ、本にまとめたわけであります。そこからですよ。  そうしたら、日本人が思っていたのとは全く逆に、アメリカ同盟国の中では一番大きな戦略的な機能を持っている日本の姿というのが明らかになった。これをもとにアメリカとの同盟関係を良好かつ健全に維持していくことがやはり日本国益を追求する一つの現実的な道だろうと私は新たに思い始めたわけであります。  これは非常に大ざっぱな言い方をいたしますが、アメリカ同盟国、数え方によって若干差がありますけれども、六十カ国あるといたします。この六十カ国の中で、日本アメリカから見ると最も戦略的に価値のある国、重い国だということを申し上げてもこれは間違いではないと思います。  これはどういうことから言えるかといいますと、例えば日本列島が支えているアメリカ軍事力展開範囲が地球の半分であり、そして日本にかわることのできる同盟国アメリカにとってはこの地域にないということなんですね、日本以外には。  日本列島が支えている米軍行動範囲は、西経百六十度、これはハワイですね、それから東経十七度、これはアフリカ最南端喜望峰であります。その中にそれぞれ中東を担当する部隊や何かがいて、いろいろな議論はありますが、大ざっぱに言うと、これは地球の半分、インド洋のすべてと太平洋の三分の二でございます。  この日本列島における米軍を支える機能を維持するために、我々は、在日米軍経費という名のもとに年間約六千四百億円を負担している。ただ、この巨額の税金の使い道だけでも大変な問題なんですが、そんな金額であらわれるようなちっぽけな話じゃない、もっともっとアメリカにとっては重要な問題があるわけであります。  ただ、ちょっと脱線をいたしますと、アメリカにも日本にもよく、日本がお金を気前よく出すからアメリカ日本にいるんだというような議論がございます。だから私は、ペンタゴンの日本担当者たちに機会があるたびに聞く。日本が金を出すからいるのだと言ったら、金色夜叉世界じゃないか。まあ、金色夜叉なんてアメリカ人には言っていませんけれどもね。金の切れ目が縁の切れ目という話だったら、そんな同盟関係だったら要らぬよ、日米同盟を解消して北朝鮮とでも同盟関係を結んだ方がはるかに金の値打ちは出るよと言ったら、いや、金を出していただくのは大変ありがたいけれども、逆に日本アメリカから援助をもらわなきゃいけない立場の国であっても、アメリカリーダーシップを確立するために日本との同盟関係は必要なんですと言うから、それなら同盟関係を結ぶ価値がある。だから、金を出すからいるなんという議論アメリカ側素人専門家にさせるなよという話をしたことがあるぐらいであります。  さておき、では、ほかの同盟国がかわれない日本位置づけというのはどういうことか。これは、調べてみてその中で私自身がネーミングをし、それに対してアメリカが助言をくれたような話でありますが、私は戦略的根拠地というネーミングをしたんです、日本のことを。つまり、アメリカ本土と同等の根拠地である。そうしたら、アメリカ側が助言をしてくれて、英語で言う場合はパワー・プロジェクション・プラットホームという言い方が理解されやすいよと言うんですね。パワーは軍事力、プロジェクションというのは軍事力を展開すること、そのための根拠地であります。このパワー・プロジェクション・プラットホーム条件というものがいろいろ挙げられるわけでありますが、それをほかの国が備えていないという問題なんです。  だから、日本安保を切ると、アメリカは二度とこの戦略的根拠地を地球の半分の範囲で確保することができない。その結果、地球の半分の範囲に展開してきた軍事力の八〇%以上の展開能力を失う。そうなってしまったアメリカは、やはり大国ではあり続けるけれども、普通の大国の一つに落ちぶれてしまう。そうなってしまうと、ロシアも中国もインドも北朝鮮でさえもアメリカの言うことを聞かない。アメリカにとっては最悪の事態であります。だから、日本安保を切ることをアメリカはずっと恐れているわけであります。  安保がなくなれば、日本が失うものも大きいけれども、アメリカが失うものは世界リーダーの座なんです。だから、これはセカンドトラックに当たるアメリカ側との協議で私ははっきり聞いたことがありますよ。日本安保を切ったらアメリカ世界リーダーでいられるのかと言ったら、いられませんとぱっと答えましたよ、これは。当たり前の話なんです。それを踏まえて日米関係をみずからの国益に生かせなきゃだめなんです。  では、戦略的な根拠地条件というのは何なのか。一番象徴的かつわかりやすい話というのは、やはりこれは工業力技術力かもしれない。とにかくアメリカ軍事力というのは世界最先端を行くハイテク兵器で固めている。最先端を行っているということだけ見ても、とにかく、先進国であっても故障したとき修理ができるかどうかわからないぐらいの話であります。  しかも、アメリカというのは海軍を中心軍事力を組み立ててきた世界一の海軍国です。その世界一の海軍国のとらの子の軍艦はイージス艦であります。アメリカは今、六十三隻のイージス艦を運用し、あと二十七隻つくるそうであります。我が海上自衛隊は四隻を運用し、あと二隻建造中。あとはスペインが一隻を試験的に導入しているだけであります。このイージス艦海外展開中に故障したら、一々アメリカ本土に持って帰らなきゃいけないのか。そこにおいて日本があれば、日本で修理をすることがある程度可能なんですね。  だから、兵器ごと条件をつけていっても、ほかの国がそういった能力を備えていないということが明らかである以上、アメリカ日本なしには戦略を組み立てられないということが明らかであります。そういったことを前提にして話をすることは幾らでも可能なんです。  これについては、イギリスの小説家であるフレデリック・フォーサイスが私との対談の中で言っておりました。アングロサクソン、まあアメリカの考え方もそうですが、アングロサクソンは敵に対しては警告なしにパンチを放つけれども、日本のような重要な同盟国国益をかけてアメリカに対してノーを言う、反対をする、それに対してはまず真剣に耳を傾けるし、逆に日本の提案がリーズナブルであればそれを受け入れる、それがアメリカであるのに、日本は戦後五十年以上もアメリカとつき合ってきて、実際のところ、アメリカとのつき合い方がわかっていないようだねということを言っておりました。まさに、日本の言うことはかなり聞いてくれるということは、これは明らかなんです。これは私の体験的な話でもあります。  これについては、災害や何かの話に行く前にこの話をしておかなきゃいけないもので、延々とやっていますけれどもね。  例えば、日米安保に関する事件や事故が起きたときのアメリカの対応を見てください。沖縄での少女暴行事件あるいはえひめ丸の事件、やはり大統領以下オールスターキャストのメンツを出してきて素早く謝罪しているでしょう、日本に対して。では、イタリアでロープウエーのゴンドラが落下した事故があったですね、海兵隊の飛行機がケーブルを切っちゃって二十人亡くなった。あんなとき、オールスターキャストを出してきて謝罪したか。していません。韓国においてはどうですか。何で反米運動が今起きたんですか。二人の女子中学生が装甲車にひき殺された。その事件に対して明確な謝罪などなし。日本と比べても明らかに差別的な地位協定のもとに、ドライバーの米兵は無罪になる。そして、反米運動が噴き出す中で大使が出ていって謝罪なんてことになったから、韓国の国民は怒っちゃったわけであります。  だから、アメリカから見たら、イタリアも韓国も重要な同盟国だけれども、日本とは比べ物にならないということですよ。それは我々わかった上できちっとアメリカとかかわらなかったら、鈍感と言われてもしようがないですね。だから、アメリカに対してもある程度物を言える国であるということです。  それから、イラクに対して物を言える国であったというのは、これはイラクに対して最大の経済的スポンサーであったということです。当時イラクが外国からもらっていた経済援助の七三%は日本からのものであった。それ以外に六千億円近くのお金を貸しておったわけであります。二月中旬に外務省に聞きましたら、まだ三百八十億円ぐらいイラクに貸しておる。それから、中東調査会に聞きましたら、やはり七千億円ぐらい別に貸している金があるという話であります。  そういったことを前提に、やはり日本の経済援助は民生面に限られたものではあったけれども、イラク全体を支えた結果、イラクがクウェートに侵攻するような軍事力を持つことが可能になったという認識を持つというのが、まず外交にたけた国のあり方でしょうね。間接的に日本は責任があったんだ、だから湾岸危機の平和的解決に口を挟む権利がある、責任があるというようなぐらいで入っていくと、相当イラクの指導部に肉薄することができたであろうと思われます。  そして同時に、借金を返せという話をどれぐらいしているのかということなんです。やはりこれは繰り返し言わなきゃだめなんですね、日本国民の税金が相当入っているんだから。ないそでは振れぬと言ったら、油があるだろう、油田の三十や五十くれたって罰は当たるまいぐらいのことは言わなきゃだめであります。  あるいは、国連に対して日本発言力があるというのは、これは当たり前であります。国連の分担金というのは、三年に一回、国力に応じて比率が変わります。現在日本は、アメリカの二二%に続いて二番目の二〇%弱であります。湾岸危機の当時、日本は、アメリカの二五%、ソ連の一一・五七%に続いて一一・三八%であった。でも、アメリカ、ソ連は分担金滞納の常習者であります。アメリカは、自分の方針と国連の方針が合わない場合、分担金をとめて国連の譲歩を待つというような動き方をずっとしてきた。ソ連は経済が破綻してお金が払えない。ところが、日本は国内の経済が悪い場合だって分担金一〇〇%払う、優等生というかあほというか。  だから、常に国連に対しては最大の経済的スポンサーなんですよ。しかも、国連中心主義を掲げているわけでしょう。国連が日本の国際平和実現のために機能していないと思ったら、分担金払わないとはっきり言わなきゃいけないし、場合によっては国連脱退と言わなきゃいけないぐらいの立場ですよ。  この三つの立場は明らかになっています。当時のソ連やフランスに比べても、どれぐらい発言力を残すことができた国であるかどうか。これはやはりいま一度振り返ってみる必要があるんじゃないか。  だから、私は、一月の中旬の時点でも、小泉総理の周りにいる人に、ひょっとして小泉さんは読んでいるかもしれないけれども、読んでいなかったら、一冊、当時のアメリカの国務長官、ベーカーさんの回顧録が日本語で出ているから、ちょっと読んでもらったらどうかねということを言ったわけであります。これは「シャトル外交 激動の四年」というもので、新潮文庫から出ています。  この第一巻目なんというのはおもしろいですよ。当時の同盟国の首脳をどう説得するか、アラブの首脳をどう説得するか、ソ連や中国をどう説得するか、本当に迫真のドラマですね。ただ、その中で一番手をやいたと言っているのは、イギリスとドイツのような同盟国ですよ、当時の西ドイツ。今回もまたイギリスに最も手をやかされたとこぼしていますよ。だって、アメリカの要求を値切って、値切って、値切って、値切り倒して、そして最後に協力する場合には恩を着せて、着せて、着せていくんだから。ただ、それに対してベーカーは何と言っているか。偉いやっちゃ、さすが西ドイツ、さすがイギリスと言っている。  この本の中に、我が大日本帝国は一行半しか出てこない。しかも、個人の名前はゼロであります。つまり、存在感を示せるのに動いていないからですよ。こんな話が今にも続いてずっと日本国益を損ねている面があるということは、みんなでちょっと考えなきゃいけない話だと思います。  こういう流れの中で、北朝鮮の情勢とイラクの情勢について、同時に我々は今克服していかなきゃいけない立場でありますけれども、やはり理論武装をしておく必要があるだろうということなんです。  例えば、アメリカ同盟国だからアメリカの行動を支持する、協力するなんて、初めから集団的自衛権の議論に頭を突っ込むようなばかな話があるかというのを同時多発テロの直後に言ったら、おまえ、与党の参考人で出ろなんという話になっちゃって、テロ対策特別委員会でもその話をしたと思います。  今必要なのは、テロリストと大量破壊兵器開発国が結びついたら日本の国防上の脅威になるという認識が一つ必要だということなんです。テロリスト集団は時と場所を選べる。そういう戦略的優位性にある。彼らがテロを準備しているかどうかを前もって察知することは非常に難しい。そういう秘匿性にも守られている。彼らが大量破壊兵器開発国と結びついたら、まずねらわれるのはどこですか。主要国ですよ。日本は主要国の一つというだけでもねらわれることは覚悟しなきゃいけない。しかも、アメリカの最大の同盟国である。そこからもねらわれるかもしれない。あるいは、テロとの闘いを進めている国として、彼らから見たら敵ですから、ねらわれると思って、それを封じ込めなきゃいけないわけであります。  だから、大量破壊兵器を開発している疑惑を持たれた国が国連の査察などをごまかしているといったような理由で国際的な軍事制裁を受ける場合は、当然ながら国連決議という手続を経なければいけないけれども、日本は個別的自衛権の問題として軍事行動に参加することができる立場であるということは国家立場として明らかにする。その決意のもとに、しかしながら、日本国連中心主義を掲げてきたし、平和主義を掲げてきた、できればやはり平和的な解決が望ましいので、あなた方は国際社会の要求に対してもっと誠実にこたえるべきだということを強く迫らなきゃいけない。  ところが、いざというとき自分の国益をかけておまえの国をつぶすぞぐらいの決意を示していない国が幾ら話し合いで解決しようと言ったって、向こうはふんというようなものですよ。だから、やはりその辺のことは理論武装の一環として整理をしておく必要があるだろうと思います。  ただ、国際情勢だけじゃない、国内でも有事法制の問題とかドクターヘリの問題とか、いろいろあります。有事法制の問題は、これは国民の生存権の問題なんですが、憲法を見てみても、憲法二十五条なんというのはこういう話につながらないような文言のまま放置されてきて、五十年以上たっちゃったわけであります。だから、やはりもうちょっと考えなきゃいけない。  例えば有事法制の問題は、防衛庁担当者の人たちにはかなり厳しく言って、そういうことにならないようにしようねということを言ったんですが、自衛隊の活動を円滑ならしめるための自衛隊法の一部改正などが入っていながら、あの去年提案されたものが成立したとしても自衛隊の活動は円滑にならないから欠陥法案だと言ったんです。何でか。住民の避難・誘導、これは、住民避難計画が存在しないところでは自衛隊の活動は円滑にならない。消防や警察すら円滑に活動できないということは、有事法制の必要性が叫ばれた昭和五十二年に明らかになった話じゃないですか。それをわからないであんな法案を出してくるんだったら、防衛官僚でも何でもないぞという話をしたわけであります。  どういうことかというと、昭和五十二、三年というのはいわゆる北方脅威論という話があって、これは非常に限定的ではあったけれども、北海道北部を中心にソ連軍が上陸侵攻をはかる可能性があったんです。これは、アメリカとの戦争を世界的に行う場合、ソ連海軍の三分の一の勢力が太平洋艦隊に所属していた、日本海にかなりの部分の船が入っている、それを太平洋に出さなければアメリカと戦争できない。そのために、日本の三海峡のうちみずからが押さえやすい宗谷海峡を確保するために、最終的には全滅覚悟ででも上陸してくる可能性はあった。しかし、そのソ連軍は、陣取りゲームじゃないけれども、できるだけ占領地域を広げておかないとやはり日本側に追い落とされる可能性があるということで、国道四十号線を中心に稚内からだんだん南へ下がってくる。それを名寄の北の音威子府というところで撃破しようというのが我が陸上自衛隊の作戦構想だった。  ところが、作戦構想を練れば練るほど戦えないのがわかる。それは何かというと、ソ連軍が南下してくる前を、北海道北部の住民が自家用車に家族と家財道具を積んで何万と来るわけであります。だから、住民避難計画がないところでは戦えないという話ですよ。そのときの役割分担は、ソ連軍と戦うのは自衛隊、国民を保護するのは消防、警察、自治体。ところが、避難計画は全然ないわけです、どこにも。そこから始まったんですよ。僕ら、そこから作業しているんだもの、愚か者と言うのは当たり前ですよ。  でも、これは、有事法制という国民の生命財産にかかわる問題を武力攻撃事態というところからのみ語ろうとしたところに問題があるだろう。防衛庁がそこから入ってくるのは当たり前なんです。ただ、同時に、国民にとって身近な危機でありリアリティーのある大災害、大事故、大規模テロなどから国民を守る法制の整備として、例えば消防、警察、自治体のサイドからのアプローチが同時に行われていれば、そういう議論にはならなかっただろうという話なんですね。  だから、昨年の四月にも、消防庁長官や消防庁の幹部の人たちとも話をしたんですが、とにかく、日本は島国でありますから外国が海岸から上陸してくる、これはいつあるかどうか、遠い将来あるかどうかわからないという事態でありますが、そういう事態であっても、日ごろ津波に対する住民避難計画がきちんとなっておれば相当それでカバーできるだろう。あるいは、ミサイル攻撃や大規模テロに対しては、直下型地震に対する対策が明確になっていれば相当カバーできるだろう。そういったことをきちっと積み上げながら、武力攻撃事態という角度から法制の整備をしてくる防衛庁のアプローチとつなげなければいけないだろうという話をしたわけであります。  いきなり武力攻撃事態ということを言いますと、国民の権利の制限の問題で大上段に振りかぶった議論になって、全然不毛な議論になる可能性がある。しかし、国民の権利の制限といっても、例えば、アメリカの自治体の首長が夜間外出禁止命令などを大災害のときに出す、これは、緊急自動車が走れないようでは国民の命を守れないからですよ。それと、アメリカの連邦において定められている戒厳令、マーシャルローとははっきり分けられているんです。アメリカではマーシャルローはほとんど発令できません。しかし、国民の権利を一部制限するけれども、命を守るために緊急自動車を走らせる、そのためにやじ馬は出歩くなということがはっきりあるわけです。そこにコンセンサスはある。  日本の場合、そういったものすらない中で、阪神・淡路大震災のときどんな悲惨なことがあったか。そういったものをきちっと積み上げていく中で初めて国民の生存権の問題を憲法の中に明確にすることができるのではないか、有事法制についても機能するものを持ち得るのではないかというお話でございます。  あと、駆け足で参りますが、いま一つ、国民の生存権の問題として、とにかく、身近な生命の危機である交通事故の死者についても、ドクターヘリの整備のおくれというのは先進国の中で最悪だったんです。これは私の手柄話でも自慢話でもないんですが、私が九八年の十月に野中官房長官と話をして、野中さんが受け入れてくれて実現したものなんです。これは、同じことを同じような実力者にだれかが言っていても実現した話だと思います。それをできなかったところに、日本の後進性といいますか、憲法の精神が生かされていない社会状況があると私は思っております。  このドクターヘリというのは、一九七〇年に西ドイツが始めたものであります。当時、年間二万人台の交通事故の死者に悩んでいた。それが、ドクターヘリを導入した結果、現在は、人口がふえているのに年間七千人台まで抑え込んでいる。効果てきめんですから、アメリカなどはすぐ導入して、一九七〇年代に、交通事故の死者を四八%減らすのに成功した。  日本も、昭和五十年ごろからお医者さんたちが声を上げて、国に四回委員会をつくったんですが、六つの役所が絡んじゃって、どこかが反対する。空中分解してできなかった。だから、私が野中さんと話をする時点までに、日本交通事故の死者は、警察の統計のとり方で三十万人を超えた。広島、長崎の原爆の死者の合計の数であります。しかも、警察の統計の切り方より後に亡くなる方を含めると、五十万人ぐらい死んでいる。ドクターヘリの効果を見ると、半分は助かる命であります。前例があり、効果があるのに国民の命を助けられない国が何だろう。これはもう憲法違反状態ではないかということを言わざるを得ない。そういったことを私は前提としながら災害などの問題にかかわりを持っているわけであります。  ただ、そういう中で、最後にちょっと、あと四分ぐらいお時間をいただきたいんですが、「世界に冠たる日本国憲法であるために」ということをレジュメに書いておりますが、やはり思想、哲学を持つことが憲法を機能させる道であろうと私は思っております。思想、哲学を持つということは何かというと、物事をちゃんと順序正しく行っていくことであります。予算を使うにしても、税金を使うにしても、やはり物事を順序正しく行うために順序正しく使っていくことでなければ、ばらまき行政になってしまう。物を何を買っても使えない行政みたいな話になってしまうわけであります。  そういう中で、物事の順序として、私は応用問題と基礎問題という言い方をしております。私の専門であります軍事問題、安全保障問題あるいは外交というのは、これは応用問題なんです。相当国民を挙げて能力がないと、健全かつ適正な形で、例えば防衛力の維持もできない話であります。しかし、例えば、消防の能力を高めて災害や大事故から国民の生命財産を守ろう、あるいは交通事故対策に取り組んで交通事故の死者を減らそうなんという話は、これはとにかく、だれもが反対しないテーマ、身近に感じられるテーマ、わかりやすいテーマ、やりやすい、これは基礎問題ですよ。基礎問題できないで、応用問題できるのかという話なんです。私自身が基礎問題の方に首を突っ込んでいるのは、基礎問題は日本国民は必ずできるようになる、ちゃんと基礎問題をできるようになった日本国民であれば、応用問題も必ず高いレベルでできるようになるという期待があるからであります。  そういう中で、やはり、私はここでぜひお願いを申し上げたいと思っておりますのは、とにかくまず手をつけていただきたいのは、さまざまな基礎問題、これに関する憲法違反状態が是正されることが、すなわち憲法全体に対して完成度を高める健全な動きをスタートさせるそのきっかけになるだろうという話なんですね。  とにかく、物事の順序から申し上げますと、基礎問題から入るべきだ、それをクリアしていくべきだ。そして、その物事の順序が明らかになっていないときには、やはりそのための作業をしなきゃいけない。国会でもしばしば予算の組み替え要求などが出ますけれども、やはり国の政策全体に対して組みかえを常にやる仕組みがなければいけないと思います。  例えば、アメリカのワシントンにある古いシンクタンクでブルッキングス研究所というのがあります。あそこが毎年やる営みとして有名なのは、セッティング・ナショナル・プライオリティーズというのがありますね。大統領が一月、二月段階で出してきた教書に対して、優先順位はこっちが正しいんじゃないかという組みかえの案を出して、そこで論戦を始めるきっかけを示すという話なんです。  そういったことをもう少し緻密にかつ大胆に行う中で、恐らく物事の順序というものが常に正しく並べかえられる、そういう日本国になっていくだろう。その中で初めて、日本国憲法が本当に世界に冠たるものに高められていく道筋ができてくるんじゃないかなと私は期待しているわけであります。  時間となりましたので、私のつたない話、この辺でひとまず終えさせていただきますが、あとは御質問にお答えする形で補足をさせていただきたいと思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  4. 中川昭一

    中川委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  5. 中川昭一

    中川委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口泰明君。
  6. 山口泰明

    山口(泰)小委員 おはようございます。  小川参考人においては、朝から、また今歯切れのいいお話を聞いて、大変感動しておりました。  私は、自然災害の緊急事態と我が国の憲法のあり方、関係について絞ってお話を聞かせていただきたいと思いますけれども、軍事アナリスト、今お話しのような方に若干物足らないかも、申しわけないんですが、よろしくお願いしたいと思います。  北朝鮮の核開発再開の我が国に与える脅威は、はかり知れないものがあるわけでありますけれども、それらと同様に、否、日本の国土の特殊性を考えたならば、自然災害こそ内包する最大の問題であると、論をまたないところだと思います。  しかしながら、先ほど先生のお話にもたくさんありましたけれども、我が国の憲法には、大規模な自然災害初め国家が総力を挙げて取り組むべき重大な緊急事態への対応のあり方について、特段の規定が置かれていないわけで、従来から政府は、災害の経験を通じて法整備を行うというか、後手というか、とってきたわけであります。しかし、そのことが、多くの人命が犠牲になったり、法的整備ができなかった、してこなかったということでありまして、災害対策基本法、さらには阪神・淡路大震災を契機とした災害対策基本法の一部改正、そして平成十一年の原子力災害対策特別措置法もしかりだと思います。  このような現状を踏まえるならば、今後は、場当たり的な立法措置ではなく、自然災害を含む国家的な緊急事態に対して国民の生命財産を守るため、基本的な国家の姿勢を憲法において明らかにすべきではないかと思いますが、先生の御所見をお伺いしたいと思います。
  7. 小川和久

    小川参考人 山口委員、ありがとうございました。  私自身、御意見の方向に憲法が変わってくれることを望むわけであります。ただ、そのための営みとして、やはり実態を世界のどこに出しても通用するものに変えていく必要があるのではないか。特に行政のあり方ですね。  私は、ちょっと思い出しますのは、三年前の二月四日の金曜日ですが、当時、お昼過ぎ、作業をしておりましたら、小渕総理のところから電話がかかってきまして、ちょっと官邸に来ないかとおっしゃるので、内閣情報官が入るちょっと三十分前に割り込んで話をしたときのことを今思い出しております。  危機管理の話をちょっとしろとおっしゃるんですね。だから私は、総理官邸の危機管理能力は、アメリカに例えれば、ロサンゼルスの市役所よりはるかに質的にも量的にも下ですという話をしたんです。いや、これは現実にそうなんです。実際に行っていますし、僕、今、内閣の危機管理センターと情報集約センターの能力を高めるための研究会の主査ですからね、ずっと。でも、そういうことをちゃんと押さえながら、どうあるべきか、どうあるのが国民の命を守るために必要なのかという話を積み上げて、それを裏づけるための法律制度ができ、そこにおいてやはり憲法の文言の話に入っていくという営みをちょっとやってみる必要があると思うんですよ。  例えば、私は、内閣情報集約センターの人たちが今一生懸命作業をやっていますけれども、彼らとの接点ができたのは、ジェー・シー・オーの事故なんです。九九年九月三十日、あの茨城県東海村の核燃料関係の会社です。あのとき、内閣情報集約センターは、普通の先進国の地方自治体であればやらないようなことをやっちゃったんですよ。  最初の段階で重要な情報だったというのは、青い光が見えたという話ですね、一般的に言いますと。これに対して、とにかく、原子力事故や核事故専門家は、普通、国だったら当直に一人はいなきゃいけないじゃないですか。だれもいないものだから、住民に、家から出ないでくださいと言っちゃったんですよ。みんな放射性降下物を意識していたんですね。その結果、中性子が飛んできて家の中を突き抜けてきて、女房を盾にして逃げようと思ったって、そのまま通っていくわけですから、みんな被曝しちゃって大変なことになっちゃった。青い光というのは、僕が見たって、東海村のネオンは何か青いのかとか、消し忘れたんじゃないかとかいう感じだけれども、核事故専門家がいたら直ちにわかって、早く逃げてくださいという話ですよ。  さっき、私が間違えた資料があると申し上げたのは、「危機と戦う」という本を書いて、最初の本には、中性子などを防げる防護服がなかったという言い方を書いているんです。これは当時の科学技術庁の幹部たちが総理官邸で言っていた表現でもあるんです。だから、彼らも僕も知識がなかった。その後指摘がありまして、中性子に対して鉛はほとんど有効ではない、あのときの臨界事故でも微量の放射性物質が問題だったけれども、あれは鉛で防ごうとすると十一メートルの厚さがなきゃ無理だ。服なんかできませんね。中性子に対しては水とパラフィンを基本にやっていく、あとは遠くに逃げることだ、空気中の水分に当たるだけでもどんどん減衰していくからと。ところが、そういう知識がない。そういった問題をクリアしようという話になったんです。  内閣情報集約センターというのは、当時、四人組が五交代で勤務してきた、今も余り変わりません。ただ、アメリカのロサンゼルスの市役所は、全体で七十人いて、第一線のチームというのは九チームあって、それが六人組か七人組ですよ。これが常におります。しかも、これはプロの集団ですね。だから、ノースリッジ地震が朝四時三十一分に起きたのに、もう四分後には動き出して、十分後にはフル稼働している。やはり、これはもうはっきり言って、一国の総理官邸の危機管理能力としても恥ずかしいんじゃないのという話をあえてせざるを得なかったわけであります。  そういう現実というのが至るところにあるんです。世界に出して通用しなければ国民を守れないという線で切っていなくて、うちのパイロットはうまいんですよと政令指定都市の消防局長が言うから、何を根拠にうまいと言うのかねと言ったら、本人がうまいと言っていますと。そんな非科学的な話。だから、これはその現実を直して、本当に機能する形に持っていく中でそれに必要な法制度ができ、その行き着くところとして、世界のどこに出しても恥ずかしくない憲法の文言として生まれてくるんじゃないかなという感じがいたします。  ちょっとお答えにならないような話になりました。
  8. 中川昭一

    中川委員長 参考人に申し上げます。  質疑時間、質疑応答時間が十分ずつになっておりますので、どうぞよろしくお願いします。
  9. 山口泰明

    山口(泰)小委員 それでは次に、自然災害時における国と自治体の関係等についてお聞きをします。  現実に大規模災害が発生した場合には、自治体と国がおのおの有する機能を発揮し、協力して、国民の被害を最小限に食いとめるべきということは言うまでもないわけでありますけれども、国民の側も、いつも身近にある警察、消防は当然先頭に立って助けてくれるし、さらに、いざというときには国が直ちに自衛隊を派遣してくれることを信じているわけであります。  しかしながら、当面の災害対策については、現在、災害対策基本法や自衛隊法に規定があり、これらの法律によれば、原則として、まず災害に一次的に対応すべきものは地域に密着した警察と消防であって、その対応能力が不足すると都道府県知事が判断した場合には、国に対して協力を要請し、自衛隊が出動することとなっております。実際の運用面においても、日ごろから地域に密着をし、小規模、迅速な対応が可能な警察、消防に比べ、自衛隊はどうしても時間を要するという側面があるわけであります。  このような点にかんがみれば、法制面と運用面の両面において、自衛隊に関して常に第一義的な救助活動を期待することは困難と言わざるを得ませんし、結果的に、大規模災害における唯一のツールともいえる自衛隊が、悲しいかな不当な指弾を受けたりしかねないわけであり、阪神・淡路の震災にはそのことが顕在化し、その後の法改正につながったわけであります。  私は、憲法において自然災害を初めとした重大緊急事態における自治体と国の責任関係、役割分担をはっきりしておく必要があると考えますが、先生の御所見をお願いします。
  10. 小川和久

    小川参考人 これは、消防、警察、自衛隊の位置づけ先進国の中で日本は著しく欠けていたという問題になってくると思います。  阪神・淡路大震災のときも、僕は自衛隊の出身者ですし、今同い年の友人が陸幕長ぐらいのポストですから大体話ができるし、マスコミの方も私は出身者ですから話ができるんです。そこで聞き取りをやりましたら、特に神戸において消防、警察が壊滅状態だ、そこにおいては自衛隊ぐらいしか期待できないのに、のろのろしているように見えると言うんですね。ところが、自衛隊は普通に動いているわけですよ。調べていったら、位置づけについて調べたり研究している人が日本に一人もいなかった。  私は、ノースリッジ地震のときにどうだったかという調査にその後行ったんですよ。そうしたら、これもアメリカでは普通なんですね。消防、警察と軍事組織、軍隊、これは完全に違うものとして位置づけられている。だから、軍隊は州知事の命令という段階で州兵部隊、ナショナルガードという予備役の一種が出ていくんですが、これはラスト・イン、ファースト・アウトというモットーで決まっているんですよ。消防や警察に比べて、最後に現場に来ていい、最初に持ち場を離れていいということなんですね。これはもう思想哲学があるかないかの話なんです。  消防、警察はどこの町にもあります。求められる能力は瞬発力ですから、これはもうすぐ現場に飛んでいける、陸上競技の選手でいえば短距離のランナーですよ。ところが、軍事組織は、自衛隊もそうですが、駐屯地がどこにでもあるとは限らない。離れれば離れるほど遅くなる。それだけじゃなくて、軍事組織に要求される能力は、長い期間息切れをせずに活動する持久力なんです。これはマラソンランナーなんですよ。その位置づけを明確にして、どうやって軍事組織に補完させるかという話なんですね。  だから、私は、二〇〇〇年の段階で、野中さんが自衛隊に災害専門部隊をつくるけれどもどうかとおっしゃったから、絶対やめてくださいと、やめていただいたんです。  というのは、それをやるんだったら、自衛隊の中に警察も消防も吸収しましょう、その方が効率的ですよ。ただ、そんなことをやったら十九世紀型国家として世界からの信頼を失いますよ。やはりつかさつかさが能力を高く発揮できるのが先進民主主義国だろう。だから、災害ということでいえば、やはり消防にお金をつけてください、能力を高めてください。自衛隊は、とにかく国防のための能力を高める中で消防や警察の災害における活動を補完する部分が出てくる。そして、軍事組織に最も求められるのはマンパワーなんですね、アメリカの場合でも。一カ所に二万人、三万人を計画的に投入する能力はやはり自治体消防や警察にないから。  そういったことを明確にしてくださいという話を野中さんにはお話しして、御理解していただいたわけでございます。
  11. 山口泰明

    山口(泰)小委員 どうもありがとうございました。
  12. 中川昭一

    中川委員長 次に、島聡君。
  13. 島聡

    ○島小委員 民主党の島聡でございます。  小川先生、きょうはありがとうございました。  北朝鮮問題に絡んで質問を申し上げます。  私どもの民主党の訪米団が、前原議員と伊藤議員がアメリカに参りましてアーミテージさんと話をしたときに、北朝鮮が誘導弾を発射した場合どうなるかというような議論になりました。アーミテージさんの方からおっしゃったそうでありますが、非常に重要なことを申し上げる、同盟国への攻撃はアメリカ自身への攻撃とみなして、すぐにそれは対処するということをきちんと言われたそうであります。  極めて重要なことだと思っておりますが、ガイドラインのときの審議で隣の桑原議員がこんな質問をしています。  日本有事の際、集団的自衛権の発動ということで、アメリカが、日本に武力攻撃をしかけている国を先制攻撃するというようなことを想定した場合、日本の自衛権の考え方からしてどういう場合にそういうことができるのか、どういう場合にできないのかについて、政府は整理されているかという質問をしたんです。  先ほどのアーミテージさんの発言というのは先制攻撃かどうかはわかりませんが、誘導弾の基地に対して、座して死を待つべきでなくて、それを攻撃してもそれは憲法違反でないということは日本の鳩山内閣時代の解釈で明らかでありますが、問題は、集団的自衛権の考え方に基づいて日本を守るために、あるいは日本を守ることによってひょっとしたらアメリカの利益を守るために、アメリカが相手国を先に攻撃したらどうするかということが恐らく整理されていないと思うんです。  これに対しまして、政府委員の東郷当時条約局長は、米国は先制攻撃というような理念は持っておらないというのが私たちの基本的な理解でございます。安保条約及びこの周辺事態法の適用におきましても、米国が先制攻撃をするという前提議論をする、物事を考えるということはいたさないということですというふうに答弁しています。  つまり、全くこれは整理されていないと思うんです。こういう場合、先生は、今個別的自衛権の問題で、イラクの問題の場合は整理されるというふうにお話になりましたけれども、この整理をしていく過程はもちろん国会の責務でありますが、先生はどのようにお考えになるかということをお尋ねしたいと思います。     〔小委員長退席、近藤(基)小委員長代理着席〕
  14. 小川和久

    小川参考人 島委員、ありがとうございました。  まず、アーミテージが言っています北の日本に対する攻撃、これは弾道ミサイルであるかどうかはともかく、攻撃に対してアメリカは、自国に対する攻撃とみなす、反撃をするという話。これはアーミテージに限らず、アメリカは一貫して言っているんですよ。これはソ連に対しても有効だったし、中国に対しても有効であった。実は、北に対しても我々はずっと伝え続けてきて、北も認識を持っているという感触を持っております。  ただ、これはもともと、同時多発テロの以前はアメリカ側としては先制攻撃という部分はほとんどなかったんです。これはどういう問題かといいますと、まずその前にお話ししなければいけないのは、さっきちょっとお話ししましたように、アメリカにとって日本列島戦略的根拠地である、だから日本列島に対する攻撃はアメリカ本土に対する攻撃とみなすというのがアメリカ側の基本的な考え方なんです。だから、そこでアメリカの利益を前提に反撃するという話なんですね。  ただ、同時多発テロ以前には先制攻撃はあり得なかったというのは、国連軍の存在なんです。朝鮮国連軍という、変則的なものでありますが、一応八カ国で編成されて、実態はアメリカ軍。北朝鮮国連加盟国である限り、先制攻撃をしようと思っても、国連北朝鮮が駆け込んだら、国連軍であるアメリカ軍は攻撃できないのです。だから挑発をしてやる以外にないというぐらいの話だった。  ところが、同時多発テロの後、ブッシュ・ドクトリンも出てきて、テロ支援国家に対する先制攻撃という考え方を打ち出される。これに対して、日本側はどのように議論を整理するかというのは、まだ宿題になっているというか、まだ話題にもなっていないぐらいの段階ではないか。ぜひここで整理をしていただきたいなというのが僕の希望でもあるわけであります。
  15. 島聡

    ○島小委員 これからきちんと一生懸命、整理するのは国会の責務でしょうから、議論をしていきたいと思っております。  次に、極めて具体的な話で、ここに書いてあることでお聞きするのですが、ミサイル攻撃、大規模テロは直下型地震対策でと先生、お話しされております。  国民の関心事は、具体的に、それは現実の可能性が高いかどうかは別として、一時テポドンが日本列島の上を飛んだということがございましたね。そういうときであった場合に、ミサイル攻撃、この前は百キロぐらいの射程とか言われていますが、特に直接の脅威ではないかもしれませんけれども、いわゆる脅威というものを感じているときであります。  ミサイル攻撃は直下型地震対策でというふうに書いてあります。もう少し詳しくお話しいただきたいのと、今、法整備的にここが不備だということがあったら、教えていただきたいと思います。
  16. 小川和久

    小川参考人 まず、北朝鮮の弾道ミサイルに関する日本議論というのは、軍事問題の専門家よりも朝鮮問題の専門家がお茶の間レベルの軍事知識で語っているから、整理しなければいけないことはいっぱいありますね。  やはり北朝鮮の弾道ミサイルについては、まず、核弾頭を積んだものだけが日本国家としての脅威である、だから、核の開発はもう北朝鮮をたたきつぶしてでもやめさせるぐらいの決意を示さなければいけない。  ただ、弾道ミサイルそのものについては、まず生物化学兵器を積んだ弾道ミサイルをどれぐらい有効に発射できるかは旧ソ連でも明確ではなかったぐらいであります。それだったら、人手を使って、オウム真理教と同じような格好でやる方が確実であります。  通常弾頭の弾道ミサイルは、ある段階で国民に警報を出すことができれば、イスラエルが湾岸戦争においてイラクのアル・フセイン・ミサイル三十九発を食らって、反撃しないことによってアラブ諸国との関係を悪化させなかった、大きな国益を手にした、ああいったような形で、被害をどんどん低減していくことは可能な話なんです。ここにいきなり撃ち込まれたら、しぶとい人五人ぐらいを除いてみんな死ぬかもしれませんよ。でも、二発目以降がおっこちてくるのがわかっていて、ここにぼおっといないでしょう、みんな避難してしまう。イスラエルの場合は、ぎりぎりだけれども警報を出す、大部分は通常弾頭だ、だからシェルターに入ってください、シェルターに入らずにうろついていた人は、それは自己責任ですよという話ですよ。  あと、ひょっとしてサリンの弾頭が来るかもしれない。その場合には、硫酸アトロピンという解毒剤を入れた自己注射器を配るから、これを打ってくれという話でしょう。だから、まずそういったことを前提に我々はミサイルに関する議論をしていかなければいけない。  直下型地震に対する対策といったって、これはいきなりどんと来て、それに対する避難も何もないのですが、やはりそこに起きる被害を局限していくということは、消防を中心とする災害対策能力を高める中である程度可能なわけですよ。  例えば、弾道ミサイルの被害に対しても、通常弾頭であれば普通のけが人をどう救助するかという話ですし、あと、サリンや炭疽菌のようなもの、生物化学兵器をミサイルじゃなくて人手を使ってでもまかれる可能性に対しては、やはり抗生物質やワクチンや、あるいは解毒剤の注射器を常に国民が使えるような状態で必要な数備えておくということを明らかにしておく、それがまず抑止効果を持つわけです。そういったことから積み上げていくという話なんですね。  ちょっとお答えになったかどうかわかりませんが。
  17. 島聡

    ○島小委員 今先生が憲法調査会調査自己目的化されていると言われたことは、私は非常に重く受けとめさせていただきます。
  18. 小川和久

    小川参考人 いやいや、それはもう悪口じゃないんですよ。
  19. 島聡

    ○島小委員 私自身も、思いとしまして、こういう現実的なものに対処していくときに、例えば小泉首相が、私、テロ対策特別委員会でもいろいろな質問をしましたけれども、それは憲法調査会もありますからというような答弁がよくありました。したがいまして、こういう現実問題において、今先生がおっしゃった、いわゆる憲法の違反状態あるいは制度疲労というものをきちんと議論していって、そして、この調査会としてどこがおかしいかというようなことを確認して、憲法完成度を高めていく、それにこの調査会として頑張っていきたいという思いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  20. 近藤基彦

    ○近藤(基)小委員長代理 次に、赤松正雄君。
  21. 赤松正雄

    ○赤松(正)小委員 公明党の赤松正雄でございます。  今、島委員が重く受けとめられるという話をされましたが、私は、小川参考人お話を数回このところ聞く機会があって、そのたびに挑発を受けているような気持ちがいたしました。きょうの最初の発言は、私は、いささか少し言い過ぎておられるんじゃないかという気がいたします。今、悪口じゃないと言われましたけれども、私たちの海外における調査活動あるいは中間報告書に対して、少し言い過ぎておられるんじゃないのかなという気がいたします。  懸命に私たちは今、五年間のこの衆参両院の憲法調査会における行動を通じて、日本憲法の実態というものをしっかり調査した上で、その後にしかるべき決断を下したい、こんなふうに思っているわけでございます。小川参考人のお気持ち、言わずもがなのところがあって、余り挑発に乗るべきじゃないなとは思っているんですが。  私、冒頭にまずお聞きしたいと思いますのは、憲法をめぐるこの日本における状況というものについて、私なんかは、短い時間ですから端的に申し上げますと、私自身にもあるのですけれども、やはり戦後日本の占領期における、私たちの命の底に深く沈められたアメリカ占領期における日本人の意識というものが、今この憲法に対する対応の問題で陰に陽に大きな力を発揮しているんじゃないかと思っております。  先ほど来、冒頭に申されたような見方、いろいろな今までの活動を通じられてああいう御発言につながったんだと思いますけれども、参考人は一体、今の憲法状況における日本の現状に、最大の原因はどこにあると思っておられるかという大きい話からまず入りたいと思います。     〔近藤(基)小委員長代理退席、小委員長着席〕
  22. 小川和久

    小川参考人 挑発的に言ったんじゃなくて、私の現実認識を申し上げたわけであります。  いや、私のところにもインターネットを通じて、憲法調査会報告書を送ってくるんですよ。大変参考になるし、勉強になるんですけれども、また行っておるという感じが実は同時にあるんです、旅行しておると。  どういうことかというと、必要なものを自分たちで積み上げて、それを持った上で外国のものに照らし合わせるという順序じゃないんですよ。まず外国に行って調べて、こんなものがありますよと持って帰ってきて、それが現実の動きにつながらないものが結構ある。これは憲法調査会だけじゃないですよ。私だって政府調査なんかやるんだけれども、もう外には出さない、自分の役所だけの話ですという。もう情報を共有しようなんという話もないし、調査そのものがもう目的になってしまっているのが結構あるんです、私がかかわっているところで。だから、これはちょっと乗り越えなきゃいけない話だろうということで、ちょっと申し上げてみました。  大きなところなんですけれども、やはりこれはアメリカを意識しているとかどうかの話じゃないですね。世界に通用する法律制度でなければ、あるいは行政の能力でなければ国家を守れない、国民を守れないという認識が恐らく国民の中にないんじゃないかという感じがするんですよ。世界に通用するレベルに政府能力を持たせようとすれば、憲法を頂点とする法律制度を、どんどんどんどんそこに近づいていくために改正という手続をしなきゃいけないはずなんですね。その思いが全くない。だから、憲法だけじゃないんですよ。憲法は象徴的な問題かもしれません。  これはアメリカなんかは象徴的ですが、逆に、一つの問題があるとします。解決しようとすると、この理想的なあり方はどうかというところを目指して彼らは営みを続けていく。だから、法律制度がそれについていかなかったら改正するわけです。ところが、日本の場合はもう初めから、法律制度がこうなっているから、この中で答案を書こうというから、残念ながら、高い点数の答案が生まれにくい状況がある。世界を意識しなかった、していないといいますか、する部分が非常にない国民性というものがこの憲法の状況にあらわれているんじゃないかという感じがいたします。
  23. 赤松正雄

    ○赤松(正)小委員 ありがとうございます。  次に、具体的な話でございますけれども、今のお話を聞いていて答えも少しわかるような気がするんですが、先ほどのレジュメの二番目に、「日本憲法精神にふさわしく行動してきたか」というくだりがありますけれども、例えば、私は、この金革後十年、湾岸戦争以降の十年の日本外交安全保障部分における最大の一つの成果というのは、PKO活動に参画したことだろうと思うんですね。  それで、五原則というものを私どもの先輩たちが苦労をして法律そのものにビルトインした、それでこの十年いろいろやってきたんですけれども、やはりさっき小川参考人おっしゃったように、憲法の枠の中で、そしてその枠というものを十二分に意識したPKO法というものでここから先のさまざまな世界、地上における状況に対応していくのは、もはやそろそろ限界なのかなという感じがいたしております。  そこで、よく出てくる議論は、五原則そのものを見直ししろという言い方がなされるんですけれども、これはつくった側からすると、ちょっと主客転倒しているというか、もうこの法律で当てはめること自体が無理なのであって、ここから先は憲法改正するということにつながっていかなければだめなのであって、憲法とPKO法というものの中でどうやって対応するかということはもう限界に来ているという考え方があると思うんですが、そのことについて。  それは、一つ具体的な物の言い方をしますと、武力行使の一体化論というこの問題をどう乗り越えるかという、つまり、紛争が行われているところに出かけていくということは最初から想定していないわけですから、それが、今のPKO法で出かけていったところが紛争状況になったといったら、もはや適用できないということになる、こういう現状。一つの具体的な実例としてのPKO法というものが憲法との絡みで大きくクローズアップされると思うんですけれども、この辺の考え方について、ぜひ聞かせていただきたいと思います。
  24. 小川和久

    小川参考人 宮澤内閣のとき、カンボジアPKOを出すに当たって、私も、一番下地づくりの作業をした一員でございまして、PKFの本体業務参加凍結などは制服自衛官と一緒に書いたわけであります。  ただ、そういう中で、やはりずっと思いとして抱き続けてきたのは、現在の日本国憲法改正するというのは非常に難しい現状があるんですが、今の憲法の枠内でも、やはり国連中心主義を掲げる日本として、もっと世界が期待するレベルのPKO参加というものはできるんじゃないか。特に、PKO法の中で、やはり一番中心にならざるを得ないのはPKFですよね。これについて、読みかえをして国連平和維持軍というのは嫌だとか何かというのじゃなくて、やはり実態としてどうやっていくかという話は、軍事組織についての基礎知識をみんなである程度備える中でモデルを示し得るんじゃないかということを言ってまいりました。  武力行使との一体化といいますけれども、例えば、湾岸戦争アメリカが平和執行部隊をソマリアに出して、情報の問題があったということもあるんですが、特殊部隊が死者を出して撤退するような羽目になった。ああいう平和執行部隊の格好というのは、本来、これは憲法改正しないと出せない。いわゆる正規軍同士の戦いに自衛隊を出すという話につながっていくんです。これはちょっと無理です。  ただ、今憲法の枠内でも、例えば、紛争といっても、武装集団同士が敵対し合っている間に分けて入って、兵力引き離しをする、これは一定の強制力があればいいわけですね。その能力だけを持ち、しかも、その正規軍同士の戦いにはその編成では参加できない軍事組織のあり方というのは、陸上自衛隊だってあるいは米軍だってちゃんとあるわけです。そこのところの基礎知識があれば、とにかくそこで線を引いて、憲法の枠内でフルにPKFに自衛隊を出す、そして国際的な役割を果たし、そこで日本に対する信頼をかち取るという道はあるだろう。ただ、そのモデルについて話すことについても、若干基礎知識についてみんなでちょっと勉強したりすり合わせをしたりする作業は必要かなと思っております。  ただ、私は、憲法改正というようなことをやれば相当なことができるようになりますが、これはもう、武力行使とかかわらざるを得ない現場に自衛隊を出すというのは、いかなる政権であろうとも、憲法改正しない限りはできませんので、やはり、そこまで行く段階で日本信頼を失わないように、最大限のPKF参加ができるような道も考えるべきだという考えを持っております。
  25. 赤松正雄

    ○赤松(正)小委員 ありがとうございました。  最後の質問になると思いますが、私は、九・一一のアメリカにおける基本的な疑問というのは、アメリカがあそこまでいわば踏み込まれるというか、差し込まれるという状況になぜ至ったのか。これについては、FBIのさまざまな活動がどうしてそういうものを見逃してしまったのかという議論が今起こっているようですけれども、一方で謀略論的なるものもあったりしますけれども、軍事アナリストとしての小川先生は、この問題について、アメリカがなぜあの九・一一のようなものを許してしまったのかということについての見方はどう見ておられますか。
  26. 小川和久

    小川参考人 私も今月末、調査でちょっとFBIに行くんです。  ただ、あの事件の直後にアメリカ専門家とメールのやりとりをした結果が、恐らく本音だと思いますが、我々は油断をしたと。FBIの現場での情報を上が顧みなかったとか、内部告発があってと、あれはあれで問題があるんですよ。ただ、アメリカ全体としていいますと、情報収集活動世界で一番やっている国ですよね。テロがあの時期に起きそうだという警報は出ていた。それは、韓国あるいは日本にあるアメリカ関連施設が襲われる可能性があるということで、あのとき、日本にいるアメリカのジャーナリストは全部、アメリカ大使館から警告を受けていましたよね。ただ、よもやアメリカ本土がやられるということは思っても見なかった、油断であったというところ、これが一番大きな点だと思います。  ただ、アメリカは今度、国土安全保障省などという組織をつくりまして、どうするのか、どうなっていくのかも全くわからないと担当者たちは言っている状態ですけれども、やはり情報収集活動をあれだけやっている国でも、そういった油断がああいった悲劇を招いてしまった。我々は情報収集活動をほとんどやっていない国ですから、やはりもうちょっと真剣にあの話を、日本国益に生かすために学んでみたいものだと思っております。  どうもありがとうございました。
  27. 赤松正雄

    ○赤松(正)小委員 ありがとうございました。終わります。
  28. 中川昭一

    中川委員長 次に、藤島正之君。
  29. 藤島正之

    ○藤島小委員 自由党の藤島正之でございます。  先ほど、小川参考人ソ連の上陸の話をちょっとされたんですけれども、私も実は、現役時代、いわゆる年度防衛計画を担当しておりまして、音威子府だとかいろいろな、ああいう言葉が出ていたのを懐かしく思い出したわけです。  有事というと、武力攻撃事態中心に今まで考えてきたわけですけれども、それだけではなくて、先ほど参考人もおっしゃるように、それ以外の、いわゆる広い意味での緊急事態ですね、大規模テロとか大災害とかいろいろあるわけですけれども、私は、全面的な武力攻撃事態とそうでない事態をちょっと分けて考えた方がいいのかなという感じはしておるわけです。  いずれにしても、憲法上緊急事態についての規定が全くない、これは全くおかしいことだ、こう思うわけですけれども、この点についての参考人の御意見をお聞かせいただきたい。
  30. 小川和久

    小川参考人 どうもありがとうございます。  私自身、今回ちょっと憲法をぱらぱらともう一回見直してみまして、本来、憲法そのものがああいう構成、内容でよいのかという議論が、やはり一番大もとからもう一回やり直されるべきじゃないかなと思っています。  国家をどうやって安全な状態にしていくか、社会をどうやって安全な状態にしていくか、国民の生存をどう保障するのか、その辺がやはり明確じゃない。国民の生存権と書いてあるからぱっと見たら、第二十五条、健康で文化的な必要最小限度のなんて、何か昔聞いたような話があるんですけれども。  これはやはり、憲法として、この内容、構成でふさわしいかどうかという議論がもっと活発に行われなければ、世界のどこに出しても通用する憲法にならないという問題だと思います。国家の緊急事態に関する条文、文言も、その中で初めて盛り込まれる、極めて重要な位置づけに入ってくるものだと考えております。
  31. 藤島正之

    ○藤島小委員 確かに、憲法の内容と構成について全面的に見直す必要があろうかとは思っておりますけれども、その中で、非常事態についての規定はどうしてもきちっとしておくべきだというふうに、憲法の内容の大きな要素の一つであるというふうに私は考えているわけです。  その際、なぜそうなるかといいますと、やはり、私的権利の制限との関係非常事態には必ず出てくるからなんでありまして、現に今ある公共の福祉との調和というだけの私的権利の制限とは全く違う内容になってくる、そんな感じがするわけですけれども、その点、私的権利の制限との関係はどういうふうにお考えになりますか。
  32. 小川和久

    小川参考人 私権の制限というのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、やはり、災害とか大事故といったような事態において国民の命を救うために、ある程度の権利の制限はやむを得ないというコンセンサスをつくるということがまず基本であります。そして、そういったコンセンサスができていれば、究極の非常事態である武力攻撃事態のようなときにも、ここまではやむを得ないだろう、これ以上は絶対許せないという部分のコンセンサスも恐らく生まれてくるだろうと思うんですね。そういう営みをすることが、車の両輪論でいいますと一つの車輪であります。  いま一つの車輪は、同時に、私権の制限について逸脱するようなことがないように、常にデモクラシーのメカニズムを我々は健全に機能させることではないかと思っております。これは、納税者が国家社会の主人公である民主主義システムにおいて、納税者、国民の代表である国会あるいはジャーナリズムあるいはアカデミズム、シンクタンクなどが行政と対等以上の能力を持ちながら、その辺のチェック・アンド・バランスの機能を果たしていく中で、初めて権利の制限についても健全な形で行うことができるのではないかなと考えております。
  33. 藤島正之

    ○藤島小委員 確かに、権利の制限についてはコンセンサスが必要なんですが、日本人の場合、理論だけでいくと、そういう制限ということになると、もう反対のための反対というのが非常に強くなって、なかなかうまくいくのかなと。現実に混乱が起これば、初めて、ああ、やはりそういうときにある程度の制限が必要だというのを肌で感じて、次の法律なり憲法なりにいくときにある程度のコンセンサスが得られるんですけれども、そうでないまま私権の制限を盛り込んだ法案みたいなものが出た場合には大変混乱するんじゃないかな、そんな感じはしておるわけです。  それはそれとしまして、先ほど、イラク関係お話がありました。存在感を示す必要があるということをおっしゃったんですけれども、現時点で、私も外務委員会で、我が国の立場を明らかにすべきだということを質問したのに対して、外務大臣は、今それをあいまいにしておくことが国益に合うことなんだ、こういう答弁を最初にしたわけです。私は、我が国のようないわば一種の大国に近い国が、こういう世界的な大問題に対してあいまいのままずるずるいくということは許されないというふうに感じているわけですけれども、この点について、参考人は現時点で我が国の存在感を示すためにどんなことが考えられるのか、教えていただきたいと思います。
  34. 小川和久

    小川参考人 私は、先ほどちょっと触れましたように、やはり、イラクの大量破壊兵器開発にかかわる疑惑は、テロリスト集団との結合という事態を考えた場合には日本国にとっても重大な脅威となり得るといったようなことで、やはり、もっと査察に協力しろというのは強く迫り続けるべきだろうという立場ですね。ただ、とにかく、武力行使に関しては、イラクの対応が許容限界を超えた場合、そして国連決議を経た場合にはやはり容認するし、その場合には、場合によっては個別的自衛権の問題として自衛隊の一部部隊を参加させることがあり得る事態である、それぐらいの決意を示すことが平和的解決のためにも条件になるだろうと思っています。  ただ、川口外務大臣が、戦略的あいまい性の言葉を何か外務官僚から言われて使われたようですが、僕は外務省のある幹部に言ったんです。では、姿勢を明らかにしているフランスやドイツのことを言いたいのかもしれないけれども、初めから姿勢を明らかにしてアメリカに賛成しているイギリスもあほな国なのか、外交的に見てドイツもフランスもイギリスも日本より劣る国なのか、劣っているのは日本じゃないか、そういう言い逃れはするなと言ったら、何か頭をかいていましたけれどもね。やはりちょっとおかしいんですよ。それが通るようじゃやはり困りますよね。
  35. 藤島正之

    ○藤島小委員 もう一つ日米関係では、イギリスとアメリカとの関係のようにある程度対等な関係がやはり日米関係においても望ましいと思うんですね。確かに、ドイツやフランス、まあフランスはちょっと違うんですけれども、かつてNATOとワルシャワの関係があったものですから、アメリカの影響が非常に大きかったわけですが、今はそのくびきがなくなったものですから、かなり物を、言いたいことを言えるようになってきたという意味で、ある程度対等になってきているんだろう、こう思うんですけれども、その点について、日米関係は今後どういうふうにあるべきか、お教えいただければと思います。
  36. 小川和久

    小川参考人 私自身、いわゆる日米安保に関する片務性、双務性といいますか、その辺の議論を整理すること、あるいは集団的自衛権に関する議論も、日本でしか通用しない議論については一度その整理を徹底してやることが大事だと思っています。  例えば、先ほどちょっとお話ししましたように、アメリカから見た日本戦略的な重みというのは、これは客観的に明らかなわけですよ。だから、そこの部分において日本は最も双務的な同盟国だと言ってもいいぐらいの立場なんです。そして、アメリカがもたらした憲法によって自衛隊を米軍と一緒に作戦行動させられないというのははっきりしておって、それについてアメリカは、日本憲法改正して自立することは実は望んでいない部分もあるわけですね。だから、やはりその辺を明らかにする。ここにおいて片務性の議論は吹き飛びます。  それから、集団的自衛権についても、アメリカが攻撃されて日本が攻撃されていないのに助っ人に行くことはできないじゃないか、それが、集団的自衛権の行使が権利としてあるけれどもしないという問題としてあるわけでありますけれども、常にアメリカ戦略的根拠地を我々が支えているということを明らかにする中で、集団的自衛権についても、これは憲法の制約という形で通常の国とは違うあり方だけれどもちゃんと行使をしておるという考え方を示すことはあり得ますね。ただそれだけ、アメリカと対等な、あるいは対等に近い同盟国ということを表明いたしますと、日本に対する期待ももっと大きくなるけれども、風当たり、あるいは攻撃の対象になる可能性も高まることは覚悟して、それを乗り越えなきゃいけないという、これは主要国としての宿命かもしれませんが、そういった問題が生じるんじゃないかとちょっと思っております。  ありがとうございました。
  37. 藤島正之

    ○藤島小委員 どうもありがとうございました。終わります。
  38. 中川昭一

    中川委員長 次に、春名直章君。
  39. 春名直章

    ○春名小委員 日本共産党の春名直章でございます。きょうはどうもありがとうございました。  今、日本国憲法、生存権の話とかが少し出たんですが、これは質問ではありません。日本国憲法、生存権を守るという点では、非常にはっきりしたメッセージがありまして、前文で、平和共存の道を歩むということ、そして九条で、軍事力に頼らないで平和の道を歩むということ、そして三十条にわたる、基本的人権を守り抜くということ、そしてその中の二十五条に生存権がありまして、それも国の責任できちっと果たすというところまで明確にしているという点では、日本国民の命と安全を本当に守り抜くというメッセージが高らかにうたい上げられているというのが今の日本国憲法だというふうに私は理解しているわけです。  そこで、参考人が最後の部分で、今手をつけるべきは、基礎問題に関するさまざまな憲法違反の状態を是正することからまず始めようじゃないかというお話がありまして、私、その点で、きょうは自然災害憲法という問題ですので、そういうことに限ってお話を少し聞いてみたいと思うんです。  私たちにとって忘れることができないのは、阪神・淡路大震災です。御存じと思いますけれども、大震災が起こって、発生直後に九割の方が圧死しているわけですね。圧倒的多数の方々は救助に行く前に建物の倒壊によって命を奪われているというのが実際の姿であります。したがって、こういうことを考える場合に、大地震が大震災とならないための対策というのが極めて大事であって、その後の話ですから、救助に行くという話は。だから、耐震の問題、町づくりの問題とか、そういうことが根本に問われているんじゃないかと思うんですよ。そういう点で、参考人の御意見を少しお聞かせいただけたらと思うんです。
  40. 小川和久

    小川参考人 大変重要な御指摘、ありがとうございます。それで、私の言いたいことも随分そこに入ってくるんですね。  実は私、消防防災の問題にかかわったのは、さっき申し上げましたとおり、阪神・淡路大震災以降です。ただ、そういう流れの中で、防災問題だけじゃないんですけれども、例えば国家建設、国づくりの問題ですね、そこにおいて日本はちゃんと考えを持ってきたんだろうかという疑問を抱くに至ったんです。  例えば、道路公団民営化などが一生懸命ニュースに取り上げられる、あれはあれでやってくれという感じがあるんですけれども、例えば国家建設と道路整備ということについても、すごい問題があるわけですよ。これは今、国土交通省の最高幹部たちと研究会をやっていまして、向こうも認めたことですから、ちょっと報告させていただきます。  国というのは、大ざっぱに言うと三つのことを国民に保障できなきゃいけない。安全と繁栄と、それから自由ですよ。自由は、精神的自由、肉体的自由を含みます。それを前提に国をつくっていく。道路建設、道路整備だってそこがなきゃいけない。  ところが、国の防衛上あるいは防災上、そういうデザインをした道路はどこにもないんです。韓国へ行って高速道路を走ったら、目をつぶっていても、ハイウエーストリップという、滑走路になったところが八カ所あるのはわかりますよ。北朝鮮へ行くと十三カ所あるし、ヨーロッパはあちこちにあります。そんなことを見ても、どこにも日本はないでしょう。でも、まあ軍事はいいですよ。防災とか救急救命というところでいっても、全然考えられていない。  一つ、循環という考え方があるんですよ。阪神・淡路大震災でいうと、高速道路が倒れかかった国道四十三号線と国道二号線というのはメーンなルートですね。そうすると、ああいうものが、神戸で大災害や何かが起きたら、直ちに国道四十三号線西行き一方通行、国道二号線東行き一方通行ということにして、緊急自動車が自由に走れるようにしていく、それを循環と考えるわけです。  そんな発想は全くなくて、第二東名についても、あれは東海地震のときに役に立つかもしれないなんて言いわけを始めるから、道路族の人たちに、ちょっとそんなのやめなさいよと言ったことがあるんですね。あれは単に輸送能力が限界に来たから拡幅する発想でやっているんですよ。本当に危機管理の発想があったら、同じ地域に高速道路を通すばかがいるかと言ったら、国土交通省の最高幹部は、そのとおりでございますと。  あるいは、小委員長の地元なんだけれども、高速道路をクマしか通らないところなんて話があったじゃないですか。あれだって、もうちょっと議論を整理しろと僕は言ったんですよ。というのは、人が通らない、あるいは車が通る数が少ないといっても、国の安全上、必要なところには道路は必要なんです。ただ、同じ規格で、金がかかる道路を同じようにワンパターンでつくろうとするから、うちの女房と一緒で、家計をやりくりできていない国だという話になっちゃうんですよね。そんなことを一回でも考えたことがあるのかと言ったら、道路専門にやってきた最高幹部は一度もないそうです、旧建設省は。  だから、やはりそういったことが全部、阪神・淡路のときの、都市計画、防災都市計画が全く日本はないと言っていい状態なんですよ、そういう問題としてあらわれて、圧死の問題につながっていったという話なんですね。だから、ぜひその辺から共産党の先生方も取り組んでいただきたいと思います。
  41. 春名直章

    ○春名小委員 ありがとうございます。  それから、大災害が起こったら、大きな問題は、その後の復興をどうするかということが最大の課題になりますよね。阪神・淡路の場合は、私が知っている限りでは、仮設住宅だとか災害復興住宅などで亡くなっている方がいまだに続いているわけですね。合計四百人を超えていると私は認識しています、孤独死中心に。要するに、そういうところに手を差し伸べないと、何が命の問題かというふうに私は思うんですね。  その点で、被災者の復興、生活支援ということでいいますと大分議論があって、個人の生活に補償することはできないと政府はずっと言い続けてきて、運動によって少し扉を開くということになってきた。やはりそういうことは、生存権を保障した日本憲法からいって当然のことじゃないでしょうか。そういうところになぜ支援をしないのかということが私は不思議でしようがないし、それこそ憲法違反の状態じゃないかと思うぐらいなんですが、その点はいかがでしょうか。
  42. 小川和久

    小川参考人 私は全く同感であります。  私は、阪神・淡路大震災の二カ月後にノースリッジ地震の調査にロサンゼルスへ行ったんですけれども、やはり、アメリカの連邦の緊急事態管理庁、FEMAが、地震直後にロスの中に四十二カ所、センターを開いていましたよ。そこを入っていくと、まずあるのは、ドクターがいるんですよ。そして、心のケアから始まるんですね。あと、家を建て直すために金をどうするのか、ただの金をあっせんしてやろう、あるいは低利のお金をあっせんしてやろう、そういう相談のところもいっぱいあるけれども、最初は心のケアですよ。ところが、日本の場合、そういった問題はマスコミにもあるいは国会のテーマにも上るようにはなっているけれども、メンタルヘルスということでいうと、相当日本は後進性を持っていると思いますよ。  たまたま私の家内が、私ごとで恐縮なんですが、更年期のうつ病になって、今は相当回復したのでよかったんですが、例えばカウンセリングなんかを受けますね。カウンセラーがまずレベルに達していない人が多い。かえって病気になっちゃうよという感じでね。だから、やはり格好ばかり何か日本は取り入れているけれども、実体を伴っていないというところがいっぱいあります。これもまさに、本当に広い意味では、国民の生存権の問題を象徴しているような話でしょうね。
  43. 春名直章

    ○春名小委員 ありがとうございます。  最後に、災害の救助、その真ん中の救助、救援ということについて少しお聞きしたいんです。  自衛隊をもっと動きやすくしようとか、そこを先頭にとか中心にしたらどうかとか、そういう議論がいろいろ言われていますが、私はこれは本末転倒だなと思っていまして、先生の本の中でも、第一は自衛隊に災害専門部隊を創設することではなく、初期消火などの被害局限に代表される、ダメージコントロールに代表される消防能力の向上のために予算と人材を投入することである、これが第一義的課題なんだということをおっしゃっておられるわけで、実際の災害の現場から見れば、それが最大の課題だと私も思うんですよ。  実際、ところが、二〇〇三年度の予算を見ますと、消防補助金の総額というのは、阪神大震災直後の九六年、九七年と比べると八六から八七%まで下がっているわけなんですね。それから、市町村向けのものは特に半分以下にまで削減されていまして、こういうところがやはり基礎問題ができていないということじゃないか。消防力基準が設定されているのに七割しか充足していない、こういうところを是正することが極めて大事じゃないかというふうに私は思うんですが、最後に、どうでしょうか。
  44. 小川和久

    小川参考人 私も消防審議会でもこの辺の話を進めていきますし、常備消防体制の在り方研究会というので中間報告書を年末に出したんですけれども、そこでも、五十年ぶりに消防組織を変えていく中でこの辺の問題は取り組まなきゃいけないんですね。  一つは、やはり自治体消防というのは、自分たちの町は自分で守るという意識を維持する上から大事なんですが、能力は限界があります。だから、中核になるべき都市を決めていき、そこの消防局に、そのエリア全体の一定の水準の消防力を提供できるような格好をとらせるといったようなことも考えていきたいと思っています。  ただ、そういう中で非常に日本的で、何とかしなきゃいけないし、やればできるはずだと思ったのは、象徴的なのはヘリコプターなんですけれども、ヘリコプターを予算がなくて買えないというのは、消防も警察も自衛隊も海上保安庁もみんな言う。でもこれ、私は言ったんです。行政財産の処分の法律を変えれば、自衛隊が二十年使ったものを、あと二十年は消防や警察、自治体は普通の任務だったら楽に使えるんですよ、ただで、払い下げて。特別に新品を買わなきゃいけないものだけ買えば、予算のやりくりはできるわけ。ところが、そんなことなしに、自分のところの役所の中の予算だけで買えない、買えない、買えないと。何たる話だ。やりくりが下手ですよ。  だから、そういったことも含めて、やはり国民の命に直結するんだから考えてくれという話をしますと、今まで消防は自衛隊のお古なんて嫌だと言ったのが、反論しなくなりましたので、多分可能になってくるんじゃないかと思っております。  どうもありがとうございました。
  45. 春名直章

    ○春名小委員 ありがとうございました。
  46. 中川昭一

    中川委員長 次に、今川正美君。
  47. 今川正美

    今川委員 社会民主党の今川正美です。  小川先生との出会いは、たしか湾岸戦争の直後ですから、十二年ぐらい前に佐世保で会ったと思うんですが、それ以来、先生の著作は全部読ませていただいております。最近は、今お話がございましたように阪神・淡路以来は、軍事問題だけじゃなくて、むしろ、今お話がございました危機管理の問題でも第一人者として活躍なさっていることで、非常にうれしく思います。  私も、実は昨年の九月、安全保障委員会で初めて海外視察をさせていただきました。アメリカの、この本の中にもございますFEMA、それからカナダのピアソンのPKO訓練センターなどを視察いたしまして、非常に感心しました。例えばPKO訓練センターでもそうですし、FEMAの場合も、日本でなぜ、先生あたりが提起をしながら、遅々として実現しないのか、特にFEMAのことに関してもう少し詳しくお話をいただければと思うんです。
  48. 小川和久

    小川参考人 FEMA、アメリカの連邦の緊急事態管理庁と言われる組織ですね。これは今回国土安全保障省の中に吸収されることになりましたが、私が調査した時点で二千五百人ぐらいの人員と年間十五億ドルのお金を持った組織でありました。  これは、基本的には災害などが起きた後の復旧ということで、お金をつける組織という性格がまずあるんですが、同時に現場が、消防、警察、軍隊、自治体など、縦割りに陥って必要な緊急事態における業務が妨げられないようにそれを高度に調整する専門家集団でもある。これは連邦の緊急事態であるという認定が行われれば、直ちに、それこそ五分後ぐらいには出ていくようなチームも持っていますし、あるいは下から上がってきて、要請によって出る場合もあります。ただ、これは、日ごろはとにかく教育訓練、調査研究をやっているわけでありまして、テロの専門家、麻薬の専門家までいるわけであります。  日本の場合どうかというと、さっき申し上げましたように、総理官邸、非常に限られた人間が関係省庁から派遣されてやっておる、本当にかわいそうな状態であります。だから、やはりこういったものをきちっとつくり、恐らく役所としては消防あたりが中心になる組織でありますが、本当に、戦争以外の緊急事態に対してはすべて対応できる能力を維持し、あるいははぐくんでいくという役割を果たすことが日本国民に対する生存権の問題への答えになるんじゃないかと思っております。
  49. 今川正美

    今川委員 ありがとうございました。  次に、阪神・淡路の大震災、あるいは例のオウム真理教のサリン事件ですね、こういった大変な事件があって、今我が国の政府としてどの程度本当に教訓化されているのかなと思いますし、今お話ございましたFEMAも含めまして、日本の場合に、歴史的にあるいは地政学的な条件なり、今何かとよくない意味で話題になっている日本の政治の現状のありさまからして、FEMAにせよ、あるいはPKOに対するもっと積極的な参加にせよ、本当にきちっとなっていくのかな、どういう教訓なり総括なりを持っているのかということを非常に疑問に感じる点が多いんですね。そこの点はいかがですか。
  50. 小川和久

    小川参考人 私自身、先ほどちょっと今川委員の御質問にお答えしなかった部分があるんですが、何でできないのか。やはりこれは、私どもとかあるいは行政はやはりあった方がいいというところで一致しているんですが、あとは政治が動いていない。これは、行政なんかでも政治家をどう動かしていくかという話になるんですが、そこの部分がやはりちょっと欠けておるなという感じがいたします。  あと、教訓が生かされていないということでいいますと、これは、私は内閣情報集約センターに対して過去の戦争に備えよと逆説的な言い方をしているんですね。過去に起きた危機に対しては、そのときは右往左往して問題だらけなんですよ。ただ、人間は後知恵の生き物ですから、あのときこうすればよかったというのは簡単に出てくる。こうあるべきだったというのをちゃんとできるようにしようと。過去の戦争に備えるというのはそういうことなんだよと言っているんですが、同時に、行政の仕組みが、自衛隊、警察まで含めて、非常事態対処できる状態、有事即応の体制にあるかどうかチェックする仕組みがないんですよ。  今度僕、アメリカで、アメリカ海軍の特殊部隊シールの対テロ部隊の指揮官であったマルシンコという大佐と会うんです。彼は、レッドセル、赤色細胞というチームをもって、アメリカ海軍が即応体制にあるかどうかチェックしてきた伝説の指揮官ですけれども。  今、ちょっと申し上げられない部分も含めて日本の国のセキュリティーについて仕事をさせられている。私が言っているのは、犯罪者であれテロリストであれ、彼らがやろうと思うことをすべてチェックの中でできるような法律制度を定めてもらわなければ、必要な組織は生まれませんよ、必要な能力は備わりませんよということを言っております。  そういったところまで踏み込んだ議論が現実の形をとるまでは、やはり教訓が生かされたとは言えないと思いますし、そこにおいてやはり国会の果たす役割を御期待申し上げたいと思っております。
  51. 今川正美

    今川委員 もう最後の質問になるかと思いますが、きょうは自然災害が主要なテーマなんですけれども、私が国会議員になって二年七カ月余りなんですが、日米安保のことで、安全保障委員会などで外務省とかあるいは防衛施設庁あたりに、日米安保の具体的な日々の運用のあり方、あるいは先ほど先生のお話にございました三沢から沖縄に至るまでの冷戦後の在日米軍基地のありよう、そこをきちっと点検し、検証して、おっしゃるように、日本が米国に対して本当に確たる同盟国であるのであれば、きちっと物を言うべきときには言わなきゃいけないと言うんですけれども、基地の実態、実情すら外務省なり防衛施設庁ははっきり国会の場でも説明できないんですね。すべては米軍の作戦、運用にかかわるから言うことができないという通り一遍の言葉しか返ってこないわけですね。  先生から見られて、例えば地位協定も、変えるところは変えたいと言えばいいんだけれども、運用の弾力化以上のことは言えない、そういうありさまをごらんになってどう思われますか。
  52. 小川和久

    小川参考人 それは、日本という国が世界の中で独立した国として生きていくというマインドが、国民を挙げて欠落している結果だと思いますよ。  地位協定改定する、日米安保改定する、別にアメリカがそれを拒否しているわけじゃないんですよ。アーミテージとも昔話したことがあるけれども、日米地位協定というのは占領下の地位協定みたいだよなと言ったら、それは日本がそれを、不平等な部分を直すのは当たり前だよなと。アーミテージが言っているんだから、しようがないでしょう、今話題のアーミテージが。当たり前じゃないですか。日本なんて、不平等条約、明治時代は鹿鳴館までやって直したじゃないですか。そういったことを全くやっていない。  僕は、八四年の八月に米軍基地を調査したところからスタートしたんですが、あのとき、全部普通に、マスコミ用のプレスキットに出てくる資料にほとんど出ているんですよ。それで、佐世保に行ったら、佐世保の基地司令官が、ここの燃料貯蔵能力アメリカ国防総省管内で第三番目、五百三十万バレルで、フィリピンのスービックの二・五倍ありますと。ちゃんと説明するし、資料は出る。それで、地区労の今川さんのところに行ったら、今度は、ここの弾薬庫はこれだけの弾薬の貯蔵能力がありますと。で、アメリカ基地司令官は、これは海兵隊海軍にとっては、ハワイからケープタウンまでの間で陸上弾薬庫としては最大のものですと。そんなの出てくるじゃないですか。別に隠しているわけじゃないんですよ。  公開情報に対する調査すらあのときやっていなくて、やっていないということがわかったのは、防衛庁というか陸上自衛隊の調査部とそれから外務省が、小川さん、そのときの資料をくれと来たから、何もやっていないということがわかったんですけれども。  だから、やはりこれはちょっと当たり前の営みをしていなかった結果であるということで、当たり前のことをしながらアメリカと仲よくできなきゃだめだなと思っています。  ありがとうございました。
  53. 今川正美

    今川委員 ありがとうございました。ますますの先生の御活躍を期待しております。きょうは本当にありがとうございました。
  54. 中川昭一

    中川委員長 次に、井上喜一君。
  55. 井上喜一

    ○井上(喜)小委員 保守新党の井上喜一でございます。  きょう参考人お話を聞いておりまして、やはり部外から見ましてもそうかな、そう感じておられるのかなというようなことを感じました。調査そのものが目的になっているみたいな話ですが、これは今の役所なんか見ましても多分にそういうところがありまして、例えば法律をつくるというような場合も、ろくな法律事項もないのに法律をつくる、つまり法律をつくること自身目的化しているんですよね。だから、そういうような分野が出てきているということで、これはやはり小川参考人のようなお立場から見られてもそうなっているというのは、本当に注意をしてやっていかないといけないなと思います。  そこで、私は、やはり憲法に、緊急事態に対応する組織なりあるいは国民の基本的人権等について制限をするような根拠の規定を置くべきだ、こういうことで、これはもう当然のことであります。そういうような前提を置きまして、私は二点御質問をしたいのであります。  私は、緊急事態災害対策なんか含めまして、やはり日本の一番問題は役所、これは縦割りなんですね、これが非常に出ている分野ではないかと思います。立法の分野でもそうなんですね。  そこで私は、立法も、憲法に基本の根拠規定を置くことですね。それから、今は個別法がずっとあるんです。これは、自然災害、風水害それから地震とか原子力とか、その他ずっとあるのでありますが、テロなんかの関係法律はまだできておりませんのでこれから整備する必要があると思うのであります。そういう個別の法律がたくさん出ているのでありますけれども、できるだけ災害対策をといいますか、緊急事態に有効に対応するためにやはりまとめて法律をつくった方がよろしいんじゃないかと私は思うんです。そのことについてのお考え。  個別法で対応する場合も非常にいいことはあるわけですね。できるだけ所管官庁を細分化して所管官庁に責任を持たせるというようなことにもなりますので。そういういい点はあるんだけれども、どうもやはりばらばらになりがちだということで、法律もできるだけまとめて今後つくるということで、もちろん防衛関係、これはちょっと別でありますけれども、そのほかの緊急対応の法律は極力まとめていくということがよろしいんではないかということですね。これが第一点です。  第二点は、役所の組織でありまして、防衛庁は別でありますけれども、そのほかの消防庁でありますとか警察それから海上保安庁、麻薬の関係等々、これらは一つにした方がいいのじゃないかと私は思うんですよね。御承知のとおり、消防なんかは前、警察と一緒だったわけですよ。それを、地方自治庁という役所を自治省にしないといけないのでというようなことで、警察の方から消防庁を自治省に持ってきたわけですよね。それで役所をふやしていった、こういう経緯があるんだけれども、どうもこの緊急事態に対応するというような意味からいいますと、やはり役所の数は少ないほどいいんではないかと私は思うのであります。これもマイナスの点もあろうと思うのでありますけれども、どっちかといいますといい点の方が多いんじゃないかと思うのでありますが、その点についてのお考え。  つまり、個別法を極力総合化する、一本化するということと、組織、担当の部局、省庁を極力まとめていくというこの二つのことについてのお考えであります。
  56. 小川和久

    小川参考人 大変難しい御質問をいただきましてちょっと頭が混乱しそうなんですが。ただ、私は個別のテーマについて官僚機構の人たちと作業をしてきたという経験から申し上げるんですが、やはり縦割りを乗り越えるためには、一つには政治が機能すること。さっきのドクターヘリの問題で、野中官房長官が縦割りにならないように内政審議室に委員会をつくると言ったのも、六つの役所から出てきている課長さん、だれも反対しなかったんですね。一発で進んでいっちゃう。そういうことができるわけです。  ただ、もう一個。政治家の先生方は忙しいのに一々お願いをするような話ではないけれども重要だといったようなことをやるときに、ああ、こうすれば縦割りにならないかなと思ったのは、古川官房副長官とお話をすると一発で動いちゃうんですよ、全省庁の関連省庁がね。だから、そういうところが実は官僚機構というのはある。総理大臣が命令したって動かないようなことでも、事務方のトップが命令すると動いちゃうんじゃないかと僕は印象を持ったぐらいですよね。  だから、やはりそういった現実を前提にしながら、とにかく、望ましい問題解決に向けて、縦割りが障害になっているのか法律が障害になっているのか、そういったものを洗い出す作業を、象徴的な、それこそ過去の事例を題材にしてもいいんですが、ケーススタディーをやる。そこで、乗り越えるためのステップを築き上げ、法律制度の整理あるいは組織の整理というのを行うべきではないかなとちょっと思ったりしております。  それから、日本の官僚機構についてもう一つ考えなきゃいけないのは、彼らは非専門家なんです、専門家ではないんです。ただ、優秀だから、着任したら二週間ぐらいで専門家はだしのことを言えるぐらいの能力がある。それを専門家だと信じておんぶにだっこになるから国会が機能しないという面が若干ながら出てくるんですよ。彼らが専門家だったら、私が横から口を挟んで、だれもやっていなくて、おまえやれという話になりっこないじゃないですか、防衛だって防災だって。それは、彼ら優秀な人間ほど自覚しています。  そこで、必要なのは、ゼネラリストとしての彼らはあのまま維持したらいいんです、能力は。ただ、同じレベルの専門家集団を少なくとも、アメリカ的なあり方でもいいんですが、持たないとだめだという話なんですね。そこをどうやって制度化していくかという話。それはやはり、今公務員制度のあり方などまた議論が活発化しておりますが、その中でお考えいただきたいという感じがいたします。  それから、役所の組織を簡素化していく、あるいは整理統合していく、これは必要に応じてやるべきだと思います。ただ、消防を警察に戻すかどうかというのは、フランスは警察のままなんですね。だからああいうやり方もありますし、議論の対象とすべきなんですが、例えば北朝鮮の工作船の事案について、海上保安庁のあり方ということが出てまいりますと、やはり日本の場合は議論が整理されていないなという感じがいたしました。  それはどういうことかといいますと、極論する人は、あんなもの要らないから海上自衛隊に吸収してしまえ、その方が効率的だと言う。ところが、それについての根拠がないんですね。私は、逆な言い方をした。世界の二百ぐらいある国の中で、軍隊とは別に準軍隊としての国境警備隊を持っている国は百三十五カ国ある。そのうち六十二カ国がいわゆる沿岸警備隊である。準軍隊と軍隊両方持つというのは、一つの思想のもとなんですね。持たないという国もありますよ。沿岸警備隊の任務を海軍にやらせているイギリスなんてあります。沿岸警備隊は別にあるけれども、これは普通の水難に対する対応能力ぐらいしかない。でも、これは考え方を明らかにした上でどっちをとるかという話なんです。  世界の多くの国が準軍隊を持っているというのは、必ず起きるであろう国境紛争に当たって毅然たる姿勢を示さなきゃいけない場合もあるけれども、そんなときに一々軍隊を出していたら国境紛争が戦争にエスカレートする危険性が高い。準軍隊で対処しながら、これは軍隊じゃないよということを前提に、あとは話し合いで解決するという考え方ですよ。これは、必ず起きるであろう国境紛争が戦争にエスカレートしないための安全装置であり、人間の知恵である。そういう考え方を明確にとっていくのか、あるいはもうちょっと違う考え方をイギリスあたりから学んでとるのか。その辺もやはり突きつけられているテーマだと思います。  消防庁やなんかについてもいろいろ、その辺の議論はこれからしなきゃいけないんだと思います。  ありがとうございました。
  57. 井上喜一

    ○井上(喜)小委員 終わります。
  58. 中川昭一

    中川委員長 次に、下地幹郎君。
  59. 下地幹郎

    ○下地小委員 先生のお話を聞かせていただきまして、本当に感銘を受けております。  アメリカとのつき合い方がわからないというふうな話がありましたけれども、まさにそのとおりだと思いまして、本当の信頼関係のある人は、しっかりと物を言いながら、発言をしながら信頼をつくっていくというのが大事であって、言うことで物事が壊れてしまうのではなくて、恐る恐る外交すること自体が僕は間違いだと思っているのであります。  先ほど先生からお話がありましたように、日米安保というのは八〇%の役割を担っている、だからアメリカ安保を切るわけにはいかない、六千四百億お金日本が出しているから成立しているわけではないというその考えというのは、物すごく私はそのとおりだと思うんです。  私は出身が沖縄なものですからよく言うんですけれども、戦後、本土の基地は六〇%削減されたんです。だけれども、沖縄の基地というのは一四%しか削減されない。そして、沖縄がその役割を担っているのは、東アジア全体でも二四%、日本全体ではもう七〇%と言われておりますけれども、それぐらい沖縄が抱えている役割というのは物すごく、日本だけじゃなくてアジア全体にも大きなものがあるというようなことです。  今度、北朝鮮の問題を見ても、ミグ29ですか、この問題がありましたが、全部嘉手納基地から出動している。だから、有事の際には、沖縄は強化されるということはもうこれではっきり、嘉手納の中でもやっている、あとグアムに爆撃機が二十九機派遣をされるということにもなっているわけなんですけれども。  そこで、私が先生に一つだけお伺いをしたいというのは、沖縄は負担が重いと言っているんですよ。しかし、日米安保条約はしっかり守らなければいけないんですよ。東アジアの安全保障もしっかりと私たちは維持していかなきゃいけない。アメリカのプレゼンスも考えなきゃいけない。こういうふうな魔法みたいな手法の中で、私は沖縄の役割は、本土の移設だけではもう無理だから、グアムやフィリピンにローテーションをして訓練を移転することで、沖縄のコアとしての役割は残しながら訓練を移転することで負担を軽減する、そういうやり方に変えた方がいいんじゃないかということを、今私は提案させていただいているのであります。  そして、今度の辺野古に基地をつくるということも、新しい基地を埋め立ててつくることが本当にいいのか。橋本・モンデール会談が一九九六年にあって、七年から五年で基地を返還しますと言って今度の四月十二日で七年目を迎えているんですよ。これから辺野古に移るといっても、二十年の歳月がかかる。また同じやり方をしていいのか、もう一回物事の見方を考えた方がいいというのが私の考えなんです。  これからの日米安保条約における沖縄の役割というのと、私が今提案しているこの訓練の移設をフィリピンもオーケーと言っています、グアムもオーケーと言っている。こうやってやることによって安全保障の枠組みが崩れないようにして沖縄の負担を減らしていく、そういうやり方は先生からお考えになっていかがかということを一点お聞かせいただきたいと思います。
  60. 小川和久

    小川参考人 どうもありがとうございました。  下地委員とは個別にこの辺の話を一回したいなと思っていたぐらいですから、ちょうどいい機会です。  お考えのとおり、御承知だと思いますが、普天間の問題についても、いわゆる沖縄の将来展望をどう切り開いていくかというところまで考えて、構想に準じたものを示している人間の一人でございます。いろいろな個別の問題を通じて沖縄の諸問題を解決していこうというところがないとだめだ、単に移設の話を行政がやるような格好議論してもだめだよということは言っておるんですね。  ただ、そういう中で僕は、沖縄の方々に一番根底からかなり問いかけをし続けてきた。それにおいて、いわゆる基地反対派の人たちも含めて、小川とだったら話していいよというところが実はあるんです。  僕は沖縄の人たちにいつも問いかけてきたのは、沖縄にとっての選択肢は、米軍基地問題については三つぐらいあるでしょうと。一つは、日本からの分離独立だ。一つは、アメリカの州になることだ。でもこれは、大田前知事がおっしゃっていたように、我々は勇気がなかった、リスクが大き過ぎる、だからその選択はとらなかった。じゃ、残る一つの選択は、日本の中の名誉ある沖縄としてこの問題を克服していく以外にないじゃないか、その中でやはり一個一個つぶしていく以外にないだろうという話なんですね。  その中で、やはり普天間基地の移設についても、単にどこか狭いところに海兵隊の航空基地を押し込めても、海兵隊沖縄のいろいろなところに基地を持っている。ほかの基地問題の解決について話し合いに応じないですよ。だから、やはり航空の戦力が落ちない格好海兵隊の飛行場を適切なところに持っていく、そういう中でほかの基地問題の解決について海兵隊と話し合っていく。もちろん僕は、嘉手納基地軍事基地のまま、あるいは広大な場所を放置しておくというのは沖縄の発展にとっては障害要因になるから、有事以外はハブ空港として使うような構想も描くべきだと言ってきました。  ただ、そういう流れの中で初めて、私は海兵隊の即応後方配備と言っていますよ、即応能力を落とさず沖縄以外のところに駐屯させる、あるいは訓練も行わせる、そういう提案をしています。でも、これは海兵隊と話し合うための条件を整えた上で可能になるんですよ。  ところが、その条件なしに、海兵隊の飛行場を政治的に解決してどこか押し込めちゃえという話になると、向こうはむかっというものですから、ほかの問題はノーだという話ですよ。  だから、そういったところまで目を配りながらいけば、今お話しになったような訓練のローテーションの問題も、これは別に、北朝鮮に間違ったメッセージを伝えなきゃいいんですからね。これは大いに現実味があります。ぜひそれは推進していただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  61. 下地幹郎

    ○下地小委員 海兵隊のジョーンズ大将とも私は五回会いました。彼はこう言っているんですよ。七十回ぐらい今海外訓練している、それを百二十回までふやしましょう、そういうふうなことをやることによって沖縄の負担は減りますでしょうと。そういうふうなことを明確に言っていて、百二十回やるということは、一万五千人の海兵隊はもう五千人か六千人しか常時は沖縄にいないということになるんですよ。こういうふうな状況になってきたときに、一兆円近くの金をかけて沖縄の青い海をつぶして飛行場をつくるということは、もうナンセンスなんです。  だから、七年前に決めたことをやらなければいけないといって、むだなお金を使うということをやはりきちっとやめる。そして、日本ははっきりと違うやり方の選択肢をやるということを、外務省アメリカと、先生が冒頭で言いましたように、意見の交換をしながらやっていく。彼らは話せばわかるということをしっかりと言いながら、新しい選択肢を考えるというふうな意見を私は言っていきたい。意見を言うことで怒るということが、ある勢力があって、これも問題だと僕は言っているのでありまして、ぜひそういう意味では、この日米安保というのをもう一回点検してみる。  日本安全保障の観点からも、沖縄の視点からも、アジアの視点からもやって、本当に妥協点はないのかどうなのか、今の辺野古案しか、SACOの合意事項しかないのかどうなのか、もう一回話をしてみることが大事だというふうに思っておりますから、ぜひ先生にも御知恵をいただきたいというふうに思っております。
  62. 中川昭一

    中川委員長 次に、末松義規君。
  63. 末松義規

    末松委員 小川先生、どうもありがとうございました。大変感銘を持って私も聞かせていただきました。  私がお聞きしたいのは、例えばアメリカに対する恐怖心なんですよ。  今回のイラク問題なんかを見ていても、日本がこの対応をとらなきゃいけない。確かに、日本人イラクを攻めたいと思っている人はまずいないと思うんですね。日本政府もそうでしょう。でも、やはり北朝鮮問題もあるし、ここでアメリカに意地悪されちゃいけないしと。この論理を続けていくと、何かあるごとにアメリカに盾突くと、結局後で意地悪されるよ、嫌だ嫌だ、そういうことで、いつもアメリカの歓心を買わにゃいかぬ、機嫌を損ねちゃいけないんだと。  これは、私から見ると奴隷の論理なんですよ。これを五十年間続けてきたんじゃないかな。ただ、そこにやはり敗戦以来の大きな恐怖心があるのかもしれないと思うんですが、その辺について、先生の方でどのように思われますか。     〔小委員長退席、下地小委員長代理着席〕
  64. 小川和久

    小川参考人 アメリカに対する恐怖心というのは、私はないんですよ。私は英語は苦手だけれども、アメリカ人のひざの上で育ったものですから。親が英文の雑誌を出す出版社のオーナーで、編集長以下全員アメリカ人だった。話せばわかる相手だと僕は思っているから。  でも、恐怖心というのは結構あるみたいですね。今引退されておりますが、浜田幸一さんが議員時代、私お会いしたら、小川さんはアメリカに対してあれだけぽんぽん物を言って怖くないのかねとおっしゃるから、いや、僕はアメリカとの同盟関係を維持強化するという立場でただ日本国益前提に言っているから向こうもちゃんとこたえているよと言ったら、いや、おれたちの世代は何となく怖いんだよという感じでおっしゃるわけですね。でも、これは割と年配の方にあるわけですよ。  アメリカだって、それはあれだけの情報機関を持ったりなんかして謀略工作をやってきた歴史がある国だから、敵になったらやられるでしょう、恐らく。でも、味方である限りは相当なところまではすり合わせをしていって、トラブルを起こさないということが彼らの基本ですから、やはり日本日本で、同盟関係維持ということが前提にあれば、そのための発言はどんどんすべきだと思います。だから、北があるからアメリカに逆らったら後で面倒を見てもらえなくなるんじゃないかというのは、おっしゃるとおり余りいい考え方じゃないですね。  私は、同時多発テロの後も、総理官邸がアメリカに対して協力する、アメリカを支援するということをまずおっしゃるから、やめなさい、自縄自縛になるよということを言ったわけであります。やはりあの同時多発テロというのは日本の掲げる平和主義に対する重大な挑戦である、だから日本は、容疑者や容疑組織が国際的な裁きの場に立たされるまでは世界の国々と地球上のどこであれ行動しなきゃいけない立場だ、場合によっては、憲法の枠内であるけれども自衛隊を出せなければ、平和主義もとるという指摘をされる可能性もある国だ、それをアメリカに対する協力支援から入ったら、初めから集団的自衛権の日本の国内の議論に頭を突っ込んで、自衛隊の派遣は、その周辺事態範囲はどこまでかとか、そんな話になりますよと言ったんです。  やはりこのイラクの問題についても、支持するというのはいいんだけれども、初めにアメリカありきじゃ困るんですよ。初めに日本ありきから始めてほしい。次に同盟関係なんです。その議論をどこの国もしているんですから、日本がそれを言ったってアメリカは怒ったりしないですよ。というような感じを持っております。
  65. 末松義規

    末松委員 それから、小川先生が言われた、日本憲法で、法治国家でないという御認識のもと、不断の努力改正をしなくてはいけない、今の法制度の疲労とかなんとかいうのはそのまま放置してきた、これはけしからぬという話、私もそうだと思うんですね。  なぜ放置してきたのかなというふうに考えていくと、先生もおっしゃったかもしれませんけれども、どうも戦後のアレルギーが強くて、あるいは野党の強いアレルギーに基づいた勢力も強かったということかな、基本的には国民のアレルギーというものが大きくあったのかなと思いますが、その辺はいかがですか。
  66. 小川和久

    小川参考人 防衛問題に関しては、私自身、そういった面も大いにあったろうと思いますが、じゃ、交通事故の死者を減らすとか防災能力を高めるとか、そういう問題は当てはまるのかというところが実はありますよね。やはりこれは、我々が命の問題を語りながら、当事者意識を持たずにきた結果であろうという側面は押さえなきゃいけないだろう。  私は、検察官研修で、日本法治国家かというようなことをあえて言うのは、例えば、私は毎日車を運転して横浜—東京間を通っているんですよ。マイカー通勤が悪いという話は別にして、失業したらすぐトラックに乗れる準備をしているわけですけれどもね。  そうすると、高速道路はジャングルですよ。三十八年、一応無事故で乗せていただいていますけれどもね。その中で、やはり警察の人たちや検察官はあの交通ジャングルの実態を知らないですよ。それで、覆面パトカーがいるところで、悪いドライバーほど変な振る舞いはしないんですよ。僕も、それに気がつくくらいだから相当悪いドライバーだけれども。でも、まかり間違えると交通犯罪の加害者になりかねない状況が、自分も含めて八割ぐらいのドライバーにはある。  その中で、必ず事故が起きたら人の命を奪う可能性があるというような問題について、では法律改正してきたのか。例えば、酒の問題はちょっと厳しくなりましたよ。だけれども、足柄のサービスエリアを見ていてごらんなさい。毎日だって百人ずつぐらい逮捕できますよ。中で酒盛りしているんだもの、ドライバーが。全然やっていない。  あるいは、サングラス車ってあるでしょう。あれは、車検のときに外していれば通るんですよ。だけれども、フロントガラス、それから前部座席の横側を黒くしている。これは大体悪いことをやる準備行動、凶器準備集合みたいなところがあるんですね。  あるいは、ナンバープレートをプラスチックで隠している。あれは自動取り締まり機に乱反射してナンバーが映らないための準備ですよ。あれが首都高速道路を夜中に二百キロぐらいのスピードで走っていて、よけ損なったタクシーが事故を起こして死亡事故が起きるとかそんなのがあるけれども、あれをきちっとやめさせるということは、県条例でやったところはあるけれども、ほとんど進んでいないでしょう。こんなのは身近な話ですよ。  やはりルールを破れば必ず裁かれるということをああいった人命にかかわる事案については明らかにする。罰則を重くする必要は必ずしもないと思います。でも、ルールを破ったら必ずワッパをかけられるというところまで持っていくというのが、法治国家としての一つ営みだと思いますよ。  ところが、そんなことができないんだもの、残念ながら。だから、アレルギーの話以前に、何か大きな問題があるような気がいたします。
  67. 末松義規

    末松委員 最後の質問になるかと思いますけれども、有事立法の議論をしていたときに、憲法の中に憲法の遵守をする義務をやはりうたうべきじゃないかと。  公務員とか大臣とかなんとかには、憲法の九十九条ですか、憲法尊重義務というのがあるんですけれども、一般の国民の方々もやはり憲法体制を守るという義務というのはあるんじゃないか、そこから国の防衛に対する義務というものがきちんとそこは芽生えることになるんじゃないかなという気がするんですけれども。だからといって、徴兵制をしけというのでは全くありません。ただ、そういうことがきちんとされていないと、国の法律としてもなかなか今度は根拠法令がないんじゃないかという気がするんですけれども、その点についてはいかがですか。
  68. 小川和久

    小川参考人 私も、憲法を守れということをどういう形で盛り込むかどうかはともかく、それは当然なければいけない話だと思います。  私は今ふと御質問を聞きながら思い出したのは、私は昭和三十六年に十五歳で自衛隊に入ったわけですね、少年自衛官。やはり自衛官は宣誓しているわけですよ。「法令を遵守し、」とあるんですね。当時、クラスの半分くらいが十五歳だから、ジュンシュと読めなくてソンシュしと読んでえらい怒られたのを覚えていますけれどもね。でも、やはりそういったことは公務員に対しては一応適用されているしそれなりの、宣誓があるかどうかはともかく、前提となっています。  ただ、国民もまた憲法に対して義務を負う、責任を負うといったようなところは、何らかの形で明らかにされることが、緊急事態においてみずからの命や財産を守るためには必要なことではないかなという感じで御質問を伺いました。  ありがとうございました。
  69. 末松義規

    末松委員 憲法の体制そのものが破壊されるのがまさしくこの非常事態世界なので、そういうお話をまたお伺いさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  70. 下地幹郎

    ○下地小委員長代理 近藤基彦君
  71. 近藤基彦

    ○近藤(基)小委員 自由民主党の近藤基彦でございます。  ここのところちょっと話題になっているんですが、意図がわからずにミサイルが飛んできて日本に落ちた場合、石破防衛庁長官は当初、災害派遣でしか自衛隊が出ていけないということをおっしゃっているんですが、この辺、軍事専門家として小川参考人はどういう御意見をお持ちでしょうか。
  72. 小川和久

    小川参考人 これに対しては、この間も防衛庁の審議官の方にお伝えしたことでありますけれども、まず、日本軍事力の構造、これは、自衛隊の持っている力の構造というものはドイツのものと並んで自立できない構造に連合国によって縛られているわけであります。だから、海を渡っての攻撃能力というのは基本的に持っていないわけであります。単に行動距離の長い飛行機を持ったら侵略になるというのは、これは子供の議論ですからね。  でも、日本がみずから手を縛っているということをかえって武器にしなきゃいけない。その場合においては、まず基本的に我々が機能させなければいけないシステムとして二つある。それをちゃんと整備し、機能させていくことが大事だろうと思います。  そのシステムというのは、政治的システム軍事システムであります。  軍事システムは、例えば弾道ミサイルの攻撃に対しては、アメリカが提案しているようなMD、ミサイル防衛構想、こういったようなものを進めて一定の対処能力を持つということもあるでしょう。これはそれなりの理論武装をしなければいろいろ論議を呼びかねませんけれども、そういったものがあります。  しかし、それ以上に重要で、軍事システムだけでは機能しないということを我々が認識しなきゃいけないのは政治的システムの方なんです。それが日本にとっては日米安保なんですよ。アーミテージが日本に対する攻撃はアメリカに対する攻撃とみなすと言っているのは、まさにその政治的システム日本機能させなきゃいけない問題なんですよ。  だから、北朝鮮に対しても、日本に対する攻撃についてはアメリカとの同盟関係においてアメリカ軍事力が発動されるということは明らかにしておかなきゃいけない。  しかも、北朝鮮が実験であろうと何であろうとミサイルを日本の領域に一発でも落とせば、国連軍としてのアメリカ軍は、国連安保理事会の拒否権に遭うことなく北朝鮮に対する攻撃ができるようになるわけでありますから、これは、テロとの闘いとは別の文脈でも行動の自由を確保するわけでありますね。そういった事態北朝鮮は望むのかということははっきりさせておくということが、まず抑止力として我々が日米安保機能させるということであると思う。それのないところで軍事システムを整備しようとしても、これはちょっとおもちゃを扱うような面が出てまいります。  ただ、石破長官がおっしゃっているように、国内の法整備については、災害派遣で対処しなきゃいけないというのが現状なんですけれども、それを超えて、防衛出動事態において我々はどういった動きを国内的にとらなきゃいけないのか、そのためにどういう仕組みと能力が必要なのか、それはやはり詰めなければならないと思います。     〔下地小委員長代理退席、小委員長着席〕
  73. 近藤基彦

    ○近藤(基)小委員 私は、解釈改憲ではもうかなり限界に来ているんではないのかなと。テロ特措法にも参加をしましたし、武力事態対処法、今特別委員になっているんですが、ガイドラインとか周辺事態法とか、その都度解釈の積み重ね、内閣法制局が頭を絞って何とか憲法に合わせているような状況。  先ほど議論になったPKF問題等、これからますますそういった意味では難しくなっていくんだろうと思うんですが、もっと積極的に国際平和に貢献できるようにした方がいいと思うんです。もちろん、平和主義、三原則というのは当然のことでありますけれども。そういった憲法を多少直した方がいいというお考えについてどう思われますでしょうか。
  74. 小川和久

    小川参考人 どうもありがとうございます。憲法は、もとより、どういう立場であれ、改正という手続を踏まなければどんな崇高な理念をいただいてもこれは絵にかいたもちですから、これはもうやらなきゃいけない。その中での国際貢献とか日本の防衛の問題だと思いますね。  ただ、内閣法制局が時々、官僚機構の中でも一つのネックになるとか、邪魔者扱いされてちょっと気の毒だなという感じもあるんですけれどもね。  ただ、私の率直な考えを申し上げますと、内閣法制局もそうですし、それこそ、防衛庁にしたって、自衛隊にしたって、外務省にしたってそうなんですが、軍事問題に関する基礎知識について、もうちょっとレベルアップを図るための努力をみんなでしなきゃだめなんじゃないかと思いますよ。  例えば、PKFについて、憲法の枠内で最大限日本が貢献できるための線引きはRCTだなんということを私が略語を使って言うと、もうRCTという言葉を内局官僚で知っている人はほとんどいない。たまたまそれを僕が言った相手は、当時の防衛政策課長、今の審議官の新保さん、彼は陸上自衛隊の担当だからRCTという言葉はわかるわけですよ。でも、ほかの人はわかりませんよという話。でも、これをわからなかったら、モデルを提示することができないじゃないかという話なんですね。  RCTというのは、レジメンタル・コンバット・チーム、連隊戦闘団と言いまして、師団が持っている普通科連隊三つか四つあるでしょう、正規軍同士の戦いにそれだけ出したって戦えないから、戦車中隊、特化大隊あるいは対戦車ミサイル隊、対戦車ヘリコプター飛行隊をそれぞれ備えてやって、四つ戦闘団をつくって、もともと盾の役割の武器しか持っていないものに矛の役割、リーチの長い打撃力をつけてやって初めて戦争ができるわけです。  そのRCTを組むということは、海外に出る場合は、これはもう武力行使の問題で、やはり日本国憲法は禁じていますから、これはできない。しかし、PKFの能力は、RCTを組まない段階、普通科連隊が持っている部隊装備火器の範囲内でできる。だから、ここで線を引けば、憲法をいじくったり解釈改憲しなくても、堂々と国際貢献できますよなんて話をしているんです。まず軍事知識のレベルを上げないといけないわけです。  北朝鮮の工作船が積んでいた武器についても、例えば肩撃ち式のRPG—7という対戦車ロケットが出てきたら、マスコミは重武装なんと言うでしょう、重装備と言えばいいんですけれども、重武装と。あれは十五歳のとき僕が訓練を受けたものから見ても軽装備ですよ。根拠を明らかにしなきゃいけない。だから、うちの女房の化粧道具の方が重装備だよと僕は言ったぐらいです。ところが、それを警察官僚とか海上保安庁の現場の人は、ピストルを基準に言うから、重武装だとぶったまげちゃうわけです。それは北朝鮮の思うつぼですよ。  だから、やはり軍事知識については、みんなで底上げをする。僕も勉強しなきゃいけないけれども。その中でもうちょっと議論が、法制局も含めて、整理されてくるかなという思いがあります。
  75. 近藤基彦

    ○近藤(基)小委員 ちょっと話が変わるんですが、私の選挙区が佐渡島を抱えていまして、ドクターヘリの設置をお願いしているんですが、対岸の、多分新潟市という話になるんだろうと思います。佐渡にも空港はあるんですが、整備士がいないという問題もありますし、あるいは二十四時間体制の医師がなかなかいない。そういう島ってたくさんあるんだろうと思うんです。  私は、自民党の勉強会で、今厚生労働省の管轄にドクターヘリはなっていますが、金もつけて、というより金をやって、防衛庁に医官もいるわけで、軍医さんがいるわけですから、佐渡には航空自衛隊のレーダー基地がありますので、そこに軍医さんを派遣していただいて、ドクターヘリというより、戦闘ヘリを改造しても結構ですので、そういうものが、例えば自衛隊の中でも当然、衛生ヘリというのはあるはずなんで、なければつくっていただいても結構なんですが、厚生省の予算を防衛庁にやって、委託をしてそっちでやってもらった方が早いという話を実はして、投げかけてあるんです。そういったお考え、今小川参考人のは、交通事故という話でドクターヘリが載っていますけれども、そういった無医村地区の緊急事態ということではどうお考えでしょうか。
  76. 小川和久

    小川参考人 ドクターヘリの件につきましては、やはり交通事故ということが大きなテーマであったんですが、テスト事業を九九年の四月からやりまして、その結果を見たら、お医者さんの方もびっくりしたんですよ。心臓病で、普通だったら搬送中に死ぬ人がみんな助かっているんですね。だから、奥さんたちは随分がっかりしただろうなと私は思ったんだけれども、生命保険が入らないとか。それぐらい効果がある。  ドクターヘリはまず民間のものを、自治体と国と民間で三者で金を分担しながらやっていくという基本方針で始めました。でも、あのとき一つつまずきがあったんです。航空燃料って税金が高いでしょう。これの税を免ずる、ドクターヘリに供する機体の導入についても税を免ずる、これを野中さんに理解してもらって、当時の大蔵省と話をしてもらっていた。ところが、当時の厚生省が、野中さんの前へ行ったら遠慮して、ついに言い出さなかった。そんなこともあって、ちょっと普及がおくれております。  ただ、電話があって、大体今三分ぐらいで離陸ができていますからね、ドクターヘリは。時速百八十キロで飛んで、六分以内ぐらいで到着するというのが一番いいんですよ。それで、現場の救急車とドッキングして、初期手当てをやって、それから搬送する。このためには、やはり機数が多くなきゃいけない。  ですから、これはもう消防庁の方々ともお話ししていたんですが、やはり自衛隊のヘリについて、輸送用のヘリがいっぱいありますので、これの耐用年数が来たもの、あるいはそろそろ買いかえた方がいいものについては、行政財産の処分の法律を変えて、必要な役所が全部使えるようにする。その中で機数をふやそう。それで、消防防災ヘリ、自衛隊のヘリ——警察のヘリはちょっとそこに割くのは気の毒なんで、あと、民間のチャーターのヘリを含めて、必要な人口当たりの機数を集中運用するのがいいんじゃないか。  例えば、ロサンゼルスの人口当たりのヘリコプターは、これは大体三十一機持っていたんですね、ノースリッジのときは。これを前提にたたき台をつくりましたら、四国四県で十五機、中国五県で二十機とか、そういう機数が出るんです。それだと確実に救命のためにも飛べますし、空中消火のためにも飛べますし、それなりのことはできる。しかも、安上がりにできる。そういったことをやはり行政財産の処分の法律を検討し直す中から克服していくことが現実的ではないかななどと思っております。
  77. 近藤基彦

    ○近藤(基)小委員 時間が来たんですが、最後に一つだけ、簡単というか、もうお答えがわかっているような質問なんですが、あえて重ねてお聞きするんです。  九十六条で「改正」という項目がありますが、現在、発議の方法とか、国民投票法がないものですから現実的には改正ができない。国会の不作為だと我々、怒られているんですが、これは当然、小川参考人としては、改憲するしないは別にして、至急そろえておくべきものだと。あえてお聞きをいたします。  以上です。
  78. 小川和久

    小川参考人 日本には朝令暮改とかいう言葉があって、いきなり変えるというのは悪いことだとか、あるいは一たん定められたものは、官に失敗なし、官僚機構が打ち出したものは無謬性を持っているなんてばかなことを言ってきたものだから、全然だめなわけでありますけれども、これはもうスタートから始めて完成度を高めていくという営みがなければ法律制度は死ぬんだということを考え方の前提として、改正という手続が比較的簡単に行えるように、その部分をまず直すということをやっていただきたい、これは本当のお願いでございます。  ありがとうございました。
  79. 近藤基彦

    ○近藤(基)小委員 どうもありがとうございました。
  80. 中川昭一

    中川委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  小川参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。小委員会を代表して、心から御礼を申し上げます。(拍手)     —————————————
  81. 中川昭一

    中川委員長 これより、本日の参考人質疑を踏まえて、小委員間の自由討議を行いたいと存じます。  一回の御発言は、五分以内におまとめいただくこととし、小委員長指名に基づいて、所属会派及び氏名をあらかじめお述べいただいてからお願いいたします。  御発言を希望される方は、お手元にあるネームプレートをお立てください。御発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。  発言時間の経過については、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたします。  それでは、ただいまから御発言を願いたいと存じます。
  82. 中山正暉

    中山(正)小委員 きょうは小川先生のお話でしたので、私も事前に知っていたら質問をしたかったなと思うんですが。  ひとり言になりますが、きょうは災害の問題と防衛の問題というのをごちゃまぜにしている。結局、敵からの攻撃があれば、それが自然災害と同じような大災害になるんだから、その辺では一致するのかなと思いますが。  私はかつて、三木内閣のときでしたが、核拡散防止条約、そのときに、日本としては当然のことだという自民党の方針に従いまして賛成討論に立つことになったのですが、私は、おかしいなと。五つの国だけが原爆を持って、そしてほかの弱小国が持つというと、それは査察の必要がある、人の懐はのぞかせろ、おれたち五カ国はのぞくなという、これは世界一の、最大の不平等条約だと思ったものですから。  私は、そのときの自民党の松野頼三という政調会長の部屋へ行きまして、いいんですか、こういうものを批准して、いざというときはどうなるんですか、周りに日本に対して核の威嚇をする国が出てきたときには一体どういうことをするんですか、どういうふうにするんですかと言いましたら、いや、それは中山君、そのときは超法規、超法規、条約も法律も何も、そんなものは問題ないんだと。ああ、そうですか、それじゃやりましょうと言って、私、賛成討論をいたしました。そのときは三木総理大臣が座っている部屋に右翼が乱入しまして大騒ぎになったのが、今からもうほとんど三十年ぐらい前の話なんです。  こういうことを最近考えてみまして、北朝鮮は、NPT、いわゆる核拡散防止条約から脱退をするということになったのです。世界は、ソ連アメリカの冷戦構造のときには核抑止力ということで、両方が核を持っているから簡単に使えないぞということで冷戦構造。そのうちに、軍事力お金をつぎ込み過ぎて民生を度外視していた国が崩壊をしました。しかし、今、私は地域の冷戦構造ができ上がってきたと思うんですね。  いわゆる拉致問題で、私は自民党の治安対策特別委員長をしておったものですから、桜井新先生から、拉致問題は治安問題だ、中山さん、拉致問題の会長をしてくれと言われて、そしてその解決のために副団長として、向こうにも言いたいことを言い、いろいろ交渉をしてきました。  百五十四カ国と国交がある北朝鮮、別に孤立していない。日本世界の百九十カ国と国交がありますが、一カ国だけないのが北朝鮮。ここで核のボタンを押されたら八分で飛んでくるという、四分で見つけて四分で撃ち落とすのは不可能、特にアメリカが本当にそのときに何かしてくれるのか。  この間も、これは日高義樹さんの本に書いてありましたが、今アメリカは、北朝鮮を攻撃する場合には中国との戦争前提になるという考え方を打ち出しています。中国と世界戦争になるからこそ、かつての昭和二十五年六月二十五日に始まって、昭和二十八年七月二十七日に朝鮮動乱が休戦協定になりました。なぜかといえば、中国の軍が義勇軍として参加してきたからなんですね。  朝鮮動乱の一年前にアチソン秘密文書というのがありまして、アチソン秘密文書では、日本の経済力で中国を大きく支えてソ連と分断をする、そのために、中国を抱き込むためにアチソン秘密文書を出していた。そのアチソン秘密文書を知らなかったマッカーサーのために朝鮮動乱というのは休戦協定になった。その二の舞をまたするかなという。また今度、中国は今どんどん大きくなっています、二十四発の原爆を持って、五十四回の実験をしている中国を相手にアメリカが本当に戦争をするのか。  皆さん考えていただきたいと思うのは、実は、いわゆる小さな国同士の、核拡散防止条約のいわゆる五カ国の属国としての、今、北朝鮮の問題、イラクの問題なんというのは、それはそれで、NPTを脱退したからといって査察の対象になるかもわかりませんが、もし中国とアメリカが対立した場合は日本はどうするんですか。中国を査察するわけにもいきませんし、同等の立場に立つ、いわゆる核を持つ五カ国が対立したときには、日本は一体どうするんだ。そういう問題を考えていただきたいな。  私は、楢崎弥之助先生と昔テレビで対談したことがあります。そのときに、自衛隊をなくそうとおっしゃるから、それじゃ、どうするんですかと。いい方法がありますね、生物化学兵器というようなものを日本が持って、そして相手に脅威を与える、原爆は金がかかりますから、また戦艦大和をつくってイワシのしっぽを食っていた時代に戻るのはだめですから、貧乏人の核兵器というのは生物化学兵器ではないでしょうか、それを持ったらどうでしょうかと言ったら、中山さん、それじゃ日本も滅びるじゃないかと。いやいや、日本人だけ予防注射を打っておきます、日本人だけ予防注射を打っておいて、世界にないような生物化学兵器で、世界に対して、戦争をやめましょう、日本を攻めてきたら、あなた方、日本人だけ残りますよ、世界全部滅びますよ、武力の武という字は、これは戈を止めると書いて武と書いてあるから、戦争をするためじゃない、抑止のために何か考えなきゃいけないのが私の言う話ですと言ったら、楢崎弥之助先生は黙ってしまわれました。  そういう、何か大きな大きな戦争を抑止するための知恵というのをこれから日本が出さないと、核拡散防止条約、北朝鮮が脱退したのならば、じゃ、日本も脱退しましょうと言って、H2ロケットと、麻原彰晃からサリンを押収した後はどうなっているのか知りませんが、H2ロケットの頭にサリンを載せて北朝鮮の方に向けますよ、いいんですか、あなた方も覚悟しなさいよというぐらいの、今度は地域の冷戦構造にそういう抑止力を働かせるような何か知恵がないと、日本の安全なんか保てないと思っています。  五分しかありません。言い尽くせませんで、何度もブザーが鳴っておりますので。ブザーが何度も鳴るたびに、ああ、これで日本はまた滅びる方向に近づいていくのかな、こういうふうに、言いたいことを言わせてもらいました。
  83. 赤松正雄

    ○赤松(正)小委員 きょうは、小川参考人から、いろいろな意味で刺激的な話を聞くことができました。そんな中で、幾つか私自身がひっかかることというか気になることがありますので、一つ申し上げさせていただきます。  これは、この私の発言の後で下地委員にぜひ引き続き発言をしていただきたいという、指名するあれはないですけれども、沖縄の話に関連します。  さっき、アメリカ日本関係小川参考人は、要するに、アメリカは韓国やイタリアと比べてもしっかりと日本のことを意識している、極めて意識している、実例として、えひめ丸のときとか、あともう一つ沖縄事件でしたか、何かちょっとはっきりは忘れましたけれども、オールスターキャストで謝っていたじゃないかというふうなことがございました。  実は私、そのことと関連して、かねて、下地委員なんかがいつもおっしゃるわけですけれども、日米地位協定の話、私も私なりにすごくひっかかることがあるわけです。  それは、まず、日米安保体制というものがあって、そのもとに日米地位協定があるわけですが、まず、どだい日米安保体制そのものが、外務省役人なんかに言わせると、日米関係は非対称ではあるけれども対等なんだ、こういう言い方をしますが、やはりどう考えても、軍事力でもって日本を守るというアメリカと、それから物としての基地を提供するという日本関係は、非対称であると同時に、本当の意味の平等とは言えない、そんなふうなことを強く感じるんです。  それは、戦後日本の選択した道としてある意味でそれはよしとした上で、じゃ、日米地位協定の関係というのはどうなのかと見たときに、私なんかは、さまざまな事件が起こるたびに、いろいろと地位協定の改定の必要性というものを強調すると、政府当局というのは、改善でということを常に言うわけです。運用の改善で対応するんだということを従来の政府はずっと言ってきた。  ところが、ちょっとそのことに関して、「日米地位協定に関する政府立場」という文書を最近外務省当局からもらいますと、こう書いてあるんですね。「政府としては、日米地位協定については、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えの下、運用の改善に努力しているところであり、」ここまでは従来の考え方の踏襲になりますが、その後ろに、「これが十分効果的でない場合には、我が国のみで決定し得ることではないが、日米地位協定の改正も視野に入れていくことになると考えている。」  こういう基本的な考え方です、こう言うので、いつからそうなったんだという話をしましたら、いつからとはよくわからない、調べますという話でありました。調べてもらったところ、これはいつからこういう言い回しになったか。つまり、日米地位協定の改正も視野に入れると言うということはごくごく最近のことではないのかと思いましたら、案の定、二〇〇一年二月十四日に行われた稲嶺沖縄県知事と河野洋平外務大臣との会談の場で初めて使われた。大体、二十一世紀になってから、今から二年ぐらい前からこういう言い方がされている。つまり、それまではほとんど、協定の改正、協定の見直しなんというのはおよそ視野に入っていなかった、こんなふうなことが言えるんじゃないかと思います。  こういった姿勢から、先ほど小川参考人は、アメリカに対していろいろ物を言うということを言われて、ある一人の先輩の名前を出されましたけれども、要するに、際立って小川参考人という特殊な人の立場からの考え方で、大筋、日本の場合はこういった、先ほど来、日米地位協定における政府立場を見てもわかるように、アメリカに対しては一方的に弱い姿勢で一貫しておる、こんなふうなことを感じる次第でございます。  以上です。
  84. 下地幹郎

    ○下地小委員 今、日本全体で起こる米軍の軍人軍属の事故は一千六百件ぐらいあるんです。そのうちの七〇%が沖縄にあるわけですけれども、オールキャストで謝ったからといって、この数が減っているわけではないというのと、二年か前に、赤松先生がおっしゃるように、河野外務大臣が改定も視野に入れてと言っても、その二年間で運用の改善もゼロである。だから、オールキャストで謝ることと改定を視野に入れるということは、言葉の遊びにしかなっていないというのが現実だというふうに思っていいと思います。  私は、一月一日から少女のひき逃げ事故がありましたから韓国へ行きました。お父様ともお会いをしました。私は沖縄から来ました、米軍基地もあって、皆様の娘さんの死は他人事じゃないと思っておりますから、手を合わせに参りましたと話をしたら、彼はこういう話をするんですね。私は反米主義者でもありません、そして、私の子供の死を反米活動に利用するのも、私は決して喜んではおりませんということを言って、私が怒っているのは、ルールに怒っているんです、私の子供の死で、裁判長がアメリカ、そして検事もアメリカ、弁護士もアメリカ、そして陪審員もアメリカ、そして判決無罪、これは納得できるものではありません、ルールをもう一回見直してもらわなければ困るんですという。この不平等感を直さない限り、韓国で起こったような反米活動が起こる。  同盟関係というのは、まさに国民同士が理解をし合わなければ同盟活動もできないし、有事の際にも効果がないということを考えると、地位協定の改定というものは、これから私たちが憲法の中でどういうふうな、国連主義だとかアメリカとの関係、集団的自衛権とかいうふうなことを書かなければいけないということになった場合にしても、このことを何もさわらないでそういう軍事的な問題ばかりに走るということは、決して国民から理解を得られない。  そういう意味では、地位協定の改定とアメリカとの関係をきちっと整理しておくというのが非常に大事だろうというふうに思っておりますから、改定を視野に入れてというのではなくて、外務省は、彼らが考えているのは一つだけです。とにかく、運用の改善は国同士の行政マンでできる、しかし、改定になると、日本の国会の承認も必要だし、アメリカの国会の承認も必要になってくる。アメリカはそういうことを、地位協定あるものそのものを議員が知らないから、これはもう完全に無理だよというふうに彼らは思っているから運用改善でやろうとしているわけです。  しかし私は、これをいい機会に、改定をするということで日本アメリカ関係をどうするかというのは、アメリカの議会ももう一回考えてみるという意味では、改定というものをやること以外にこの道の、万が一運用改善と同じことを改定でやるにしても、改定をすることの方が私は日米関係信頼が深まると思っていますから、改定だけはやることが非常に大事だろうというふうに思っているわけです。
  85. 中野寛成

    中野(寛)小委員 今の御発言の関連のことについて先に申し上げますが、今、下地さんが言われたこと、私は大賛成です。やはり、今、ここは憲法調査会でありますが、改正の是非についてを中心議論すると限る必要は全くないわけで、現在の日本国憲法が適正に運用されているかどうか。  京都大学の佐々木惣一先生の教科書によると、憲法にはしなければならないという積極的概念としてはならぬという消極的概念とがある。その両方をいかに具現化するかということは、これは一にかかって政府であり国会の役割だろうというふうに思っておりますが、そういう意味では、日本国憲法精神を生かして、なすべきことをやるという意味では、地位協定の問題は、常に問題意識を持って、よりよいものにつくり上げていく、またはつくり変えていく努力と意識は持ち続けていかなければいけないのではないかという気がいたします。  なお、きょうの小川さんのお話でも出てくるのでありますが、私は、ドクターヘリは、十数年来、国会で、予算委員会等で主張をしてきた経緯があるものですから、大変感銘深く思いました。  私は、一度、ドイツのアウトバーンで目の前で交通事故が起こって、そこへ五分ほどでドクターヘリが飛んできたのを見て、まさにこれだというふうに思ったことがあります。これも、先ほど憲法二十五条の生存権の話でされましたが、実は、私にこれを最初に教えてくれた私の恩師は、憲法十三条の具現化ということで指摘をされました。こういうことをやらないことが、ドクターヘリの整備がおくれていることも憲法違反だ、こういう指摘をよくされておりました。同じことが有事法制の問題でも言えるのだろうというふうに思っております。  私どもも、有事法制は必要だという立場をとっておりますが、以前に担当委員会でも発言したことがございますけれども、きょう小川さんが指摘された、避難・誘導を含む国民保護法制が先送りになった、このことはそのときに私も申しました。大体、有事にあるときに、戦場といいますか、そこには三つの道が日本では必要だ、こうある人が言っておりました。住民が避難をする道、そして、自衛隊が行く道、米軍が行く道と、実は三本要るんだ、概念の話ですが、そういう話を聞いたことがあります。やはり、どういう事態が起こるのかということに対応して、まず、必要な法制を先送りしないで提起するということが極めて重要なのではないのかというふうに思います。  地位協定でいいますと、現在、アメリカとの関係でありますのは、平時の地位協定がありますが、有事協定はないわけであります。いわゆるガイドラインなるものが、署名されていないガイドラインなるものが存在をいたしますけれども、これは、条約でもなければ、署名された正規のものでもない。  しかしながら、有事の協定というのはほとんどが秘密協定で、NATOでもそういう形をとっていると思いますけれども、しかしながら、有事に際しての協定がなければ、まさに在日米軍は、有事のときには日本法律に従う必要はないことになりますから、それこそやりたい放題ということになってしまう。このことをも考え合わせますと、有事法制を考えるときには、有事の協定、地位協定もあわせて当然結んでおかなければ大変なことになる。  多くの欠陥事項が多い現在の行政に対して、一つ一つ、それは、してはならないことをやったり、なすべきことを不作為でやっていなかったりする憲法違反がなお今多いのではないかという気持ちを強くしたところであります。
  86. 今川正美

    今川委員 社民党の今川正美です。  きょうは、格別に、小川和久先生がお見えになるということで、差しかえで出席させていただきました。  先ほど申し上げました、十二年前、湾岸戦争が終わった直後、佐世保で小川先生とお会いしたときに非常に印象深く残っているのは、小川先生はこのようにおっしゃったんです。あの湾岸戦争で、沖縄海兵隊米軍の第一海兵師団に合流する形でペルシャ湾に行き、そしてイラク攻撃に実際に参戦したんだ、そしたら、少なくともこれは、日米間の安保条約にかかわる在日米軍基地からの出撃行為だから事前協議が必要であるのに、日本政府はなっていないというおっしゃり方をされて、私もそのとおりですねと言ったんですね。  今回のイラク問題です。まだアメリカが最終決断をしたわけではありませんけれども、しかし今日時点で、沖縄の嘉手納からF15Eストライクイーグルが十機、それから、三沢からF16ファイティングファルコンが十機、ローテーション配備でイラクの上空にいるわけですね。御存じのように米英が、これは国連決議など関係なく、南北に飛行禁止空域を設けています。ここに飛び立っていっているわけですね。そうしますと、イラクの国内のレーダー基地だとかそういう軍事施設を時折今でも攻撃しているわけですから、この攻撃行為に参加をしている可能性が非常に高い。  そうしますと、今申し上げたように、湾岸戦争のときと同じで、三沢、沖縄米軍基地から直接出撃行為に及んでいるわけですので、やはりこれは安保条約上事前協議をきちんとしなければいけないんですね。しかし、これも何度となく外務委員会、安保委員会で外務大臣に尋ねますと、大臣のお答えは、日本から事前協議の申し入れをするようにはなっておりませんという答弁しか返ってこないわけですね。これは、一つの例を申し上げました。  そういうことで、日米同盟というのは本当に大事だとは思うんだけれども、その大事な日米安保の運用のあり方が今申し上げるほどずさんであるということを申し上げたいわけであります。  もう一つは、先ほど沖縄の下地委員の方からも大事な御意見がありましたけれども、今、韓国で大変ないわば反基地運動といいますか、反米感情が高まっていますよね。アメリカもまだ最終決定したわけじゃありませんが、新聞報道等によると、場合によっては在日米軍に在韓米軍を合体させたような形で、いわば仮称北東司令部みたいなものを日本国内に置くことも検討しているという報道があります。そういうことになってきますと、ただでさえ基地の重圧を受けている沖縄とか私が住む佐世保あたりに在韓米軍の一定の機能が移ってくることもあり得る。  そういう問題も含めて、やはりこれも御承知のように、本来、そういうアメリカに提供した施設・区域、いわゆる基地をどのように運用していくかということは、地位協定で定められた日米合同委員会で決まっていくわけですけれども、御存じのとおり一切非公開、何をテーマに日米間で協議しているかわからない、その結果も報告されない。  私は、一貫して申し上げているのは、少なくとも沖縄とか佐世保とか横須賀とか呉とか、米軍基地を抱えている自治体の首長さんあたりは日米合同委員会に必要なときに出席できる、そして、やはり日ごろの基地の問題を直接合同委員会の中で述べることのできるような、そういうシステムの改善をやっていくことで安保条約の運用をもっとしっかりさせていかなければならないということを申し上げて、時間が参りましたので、私の意見表明を終わります。
  87. 赤松正雄

    ○赤松(正)小委員 一つ補足をさせていただきます。  さっき下地委員は、河野外務大臣発言以降、運用改善すらできていないというお話がありましたが、その点に関しては、政府の主張では、三つほどあると。一つは、二〇〇二年三月にアメラジアン親子が米軍の窓口に相談できる体制を整備した。それから、二〇〇二年五月に厚木飛行場航空祭における展示飛行の中止をした。そして、二〇〇二年八月に在日米軍が保有するPCB含有物資の米国への搬出の方針を発表した。これら三つは運用改善に当たる、こういうふうに主張しているんです。そんなのは入らないと言われるかもしれませんが、一応念のため、政府としてはそういうふうに言っていることをつけ加えさせていただきます。  あと今川委員に少しお聞きしたいと思うんですが、今のお話の中で、日米安保条約の価値とかあるいは日米同盟の役割の大事さというお話が先ほど来の発言にありましたけれども、私の理解するところ、今川さんの所属しておられる社会民主党は、要するに自衛隊の役割、自衛隊を言ってみれば憲法違反存在、そういう位置づけをしておられるというふうに思っておるんですが、いわゆる基地の提供という部分日米安保あるいは日米同盟の大事さ、そこに限定しておっしゃっているんでしょうか。つまり、自衛隊との関係というのをどういうふうな位置づけにしておられるのか、ちょっと聞いてみたいなと思います。後でお願いします。
  88. 今川正美

    今川委員 せっかくの御質問でありますので。  社会党時代、おっしゃるとおり、自衛隊は憲法違反である、日米安保は認めないという立場をずっととってきました。御承知かと思いますが、村山内閣が発足したときに、いわゆる自社さ政権のときに大きくそういう基本政策を転換しておりまして、当時の村山委員長でありますが、総理でもありましたけれども、現在の自衛隊は憲法の枠内にあるというおっしゃり方をしましたし、日米安保条約も、維持するというんじゃなくて堅持するという、より強いトーンでおっしゃいまして、党内が大混乱した経過がございます。しかし、現時点では、やはり一回転換をした以上、もう一度変更するというふうなことにはなっておりません。そういう意味で申し上げました。
  89. 春名直章

    ○春名小委員 一言だけ発言させていただきます。  下地委員がおっしゃった日米地位協定の改定というのはごく当然のことでありまして、これほど不平等なものはないと私も思うんですよね。ですから、一刻も早く、運用ではなくて実際に改定する。同時に、新基地を今から十五年期限もあいまいなままで建設をして、沖縄県民に基地の重圧を押しつける、私はこれは許しがたいことだと思っていますので、そういう点でも、言うべきことは物をきちっと言って解決するということが大事だと思います。  これに見られるように、小川参考人が言われましたけれども、やはりアメリカとの関係は今本当に考えるときに来ていると思います。といいますのは、先制攻撃と先制核攻撃も含んだ、そういう国家戦略になっているわけですよね、アメリカは。その最たるものが今イラクとの関係で、新しい決議がなくても武力行使を容認する、またその決議を出して、その決議について日本は賛成する方向に進んでいるという、現局面でもそういう問題が出てきていて、これは国連のルールの枠の外にあるものでありまして、非常に重大な状況だと思うんですよね。  そういう中で、私は、沖縄の基地というものがどういう役割を担わされるのかということを考えなければならないときに来ているというふうに思います。日本の安全ということを考えたときに、このことを今正面から調査もし議論することが大事だと思います。  それから二点目に、一言だけですが、きょうは災害対策、自然災害憲法という問題だったと思います。小川参考人が言われましたように、私は、やはり今の自然災害への対策という点で、国民の生存権を守り抜くという憲法の要請から見れば極めて弱々しい、甚だお粗末な状況にあるというのは、阪神大震災の教訓からもはっきりしたと思います。この点を今真摯に調査もするし、この乖離をなくしていくというところに今憲法調査会がきちっとしたメスを入れていく、調査をしていくということが大事だということを、きょうは改めて感じた次第です。  以上です。
  90. 中川昭一

    中川委員長 ほかに御発言はございませんか。  それでは、自由討議を終了いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十八分散会