○重松
会計検査院当局者
平成十三
年度農林水産省の
決算につきまして検査いたしました結果の
概要を御
説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、
不当事項十八件、
意見を表示しまたは
処置を要求した
事項一件、本院の
指摘に基づき
当局において
改善の
処置を講じた
事項七件及び
意見を表示しまたは
処置を要求した
事項に対する
処置状況一件であります。
まず、
不当事項について御
説明いたします。
検査報告番号二〇三号は、景気
対策臨時緊急特別林業構造
改善事業等の
実施に当たり、補助の目的を達していなかったり、
補助金の
交付条件に違背したりしているものであります。
同二〇四号は、経営体質強化
施設整備事業による特定高性能農業機械の導入に当たり、新規に導入する水稲用自脱型コンバインの利用面積が
審査基準の下限を下回り、補助の
対象とならないものであります。
同二〇五号は、農村資源活用農業構造
改善事業の
実施に当たり、仕入れ税額控除した
消費税額に係る
補助金を返還していなかったものであります。
同二〇六号から二〇九号までの四件は、畜産振興総合
対策事業の
実施に当たり、設計が適切でなかったため、堆肥化処理
施設の発酵槽等が補助の目的を達していないものであります。
同二一〇号は、補助事業の
実施に当たり、架空に
経理されていた額を
補助対象事業費としていたものであります。
同二一一号は、林業
地域総合整備事業の
実施に当たり、設計が適切でなかったため、パイプカルバートの所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。
同二一二号は、農地防災事業の
実施に当たり、旧底樋の撤去に係る施工が設計と著しく相違していたなどのため工事の目的を達していないものであります。
同二一三号は、
地域防災
対策総合治山事業の
実施に当たり、設計が適切でなかったため、重力式コンクリート擁壁の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。
同二一四号は、中山間
地域総合整備事業の
実施に当たり、水路の基礎砕石工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。
同二一五号は、林業
地域総合整備事業の
実施に当たり、練石積み工の施工が著しく粗雑となっていたり、橋梁工の設計が適切でなかったりしたため、工事の目的を達していないものであります。
同二一六号は、
地域防災
対策総合治山事業の
実施に当たり、設計が適切でなかったため、重力式コンクリート擁壁等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。
同二一七号は、小規模零細
地域営農確立促進
対策事業の
実施に当たり、物品の購入契約の入札において最低制限価格を設定し、これを下回る価格で入札した業者を排除したため、割高な契約を締結しているものであります。
同二一八号は、総合食料
対策事業等の
経理に当たり、
補助対象事業費に計上すべきでない消費税の納税額を計上していたため、
補助対象事業費の
精算が過大となっているものであります。
同二一九号は、水田農業経営確立
対策等の
実施に当たり、米の計画的生産
実施者であることなどの要件を欠いている農業者に対して、共補償金及び稲作経営安定
対策に係る補てん金等が
交付されていたものであります。
同二二〇号は、職員の
不正行為による損害が生じたものであります。
これは、福岡食糧
事務所大分
事務所において、用度担当の職員が、消耗品の調達
事務等に従事中、同
事務所の各部門から請求された郵便切手の購入数量を水増しして前渡
資金支払決議書を作成し、振り出させた小切手を使って購入した郵便切手を領得したり、消耗品の購入を装って虚偽の前渡
資金支払決議書を作成し、業者の銀行口座に振り込ませた購入代金を回収して領得したりするなどして国に損害を与えたものであります。
次に、
意見を表示しまたは
処置を要求した
事項について御
説明いたします。
これは、牛肉在庫緊急保管
対策事業における冷凍格差の助成に関するものであります。
BSEの
発生が
国内で初めて確認された十三年九月十日よりも前に冷凍された牛肉については、BSEの
発生に対処するために冷凍されたものでないことは明らかであるのに、すべての牛肉について、冷凍したことによる商品価値の下落分、すなわち冷凍格差を含めた一律の価格で助成することとしており、冷凍格差の助成について適切を欠く
事態が見受けられましたので、農林水産省に対して、
是正改善の
処置を要求いたしたものであります。
次に、本院の
指摘に基づき
当局において
改善の
処置を講じた
事項について御
説明いたします。
その一は、牛肉在庫緊急保管
対策事業における助成金の支払いに関するもので、
事業主体である
全国農業協同組合連合会等に
交付される助成金のうち部分肉加工料等や冷凍格差に相当する額については牛肉在庫保有者において
発生する経費であるのに、助成の趣旨を明確にしていなかったなどのため、その経費相当の助成金が牛肉在庫保有者にまで適切に支払われる仕組みになっていない
事態が見受けられました。これについて
指摘したところ、
改善の
処置がとられたものであります。
その二は、農業改良普及推進事業の
経理及び
実施体制に関するもので、農林水産省において、
経理の区分方法や事業の
実施方法について県に対する指導が十分でなかったりしていたため、この
補助金の
経理が適切に行われていなかったり、
実施した事業の内容が要領等に則したものとなっていなかったりしている
事態が見受けられました。これについて
指摘したところ、
改善の
処置がとられたものであります。
その三は、農村公園等に設置する安全さくへの間伐材の使用に関するもので、農林水産省において、関係機関との連絡調整が十分でなく、環境や景観等にも配慮することとなる間伐材を用いた施工等の検討、都道府県へのこれらの
情報の提供等が十分に行われていなかったなどのため、環境に配慮した間伐材の利用促進が図られておらず、補助事業が経済的に
実施されていない
事態が見受けられました。これについて
指摘したところ、
改善の
処置がとられたものであります。
その四は、漁船の取り締まりに使用する船舶の借り上げ契約の積算に関するもので、水産庁制定の算定基準により積算されております航海日当が、航海の実態に適合していない
事態が見受けられました。これについて
指摘したところ、
改善の
処置がとられたものであります。
その五は、外国漁船被害
対策特別基金造成事業に関するもので、基金設立当初は貸し付け及び利子補給の実績が相当程度ありましたが、その後低調に推移し、その結果、運用果実の剰余金が累増し有効に活用されずに滞留する
事態となっておりました。このような
状況の中で、唯一基金に拠出していた北海道の漁業者
団体が拠出金の返還を受けて基金事業から撤退し、水産庁は事業の
実施要領を改正して新たな拠出者を募ったものの、他の漁業者
団体や都道府県が基金事業に参加する見込みはない
状況にありました。これについて
指摘したところ、
改善の
処置がとられたものであります。
その六は、米穀販売業流通合理化推進事業の
運営に関するもので、食糧庁において、管理
体制が十分に整備されていなかったり、事業
実施主体及び食糧庁において、助成の申請等に対する
審査体制が十分に整備されていなかったりしたことなどのため、リース期間当初から機械等が事業場に設置されていなかったり、助成の
対象とならない
事業費を国庫助成の
対象事業費に含めていたりなどしている
事態が見受けられました。これについて
指摘したところ、
改善の
処置がとられたものであります。
その七は、国有林野事業
特別会計における物品の管理に関するものであります。
林野庁において、物品管理についての基本認識が十分でなかったことなどのため、使用する見込みがなくなりました林業機械等について、不用決定の
措置を講ずることなく保管されたままとなっていたり、物品管理簿、物品増減及び現在額
報告書等に物品の数量及び価格が誤って計上されていたり、物品管理システムが稼働していなかったり、出力された物品管理簿が正確性を欠いていたりしている
事態が見受けられました。これについて
指摘したところ、
改善の
処置がとられたものであります。
以上をもって
概要の
説明を終わります。