○杉浦
会計検査院長 平成十三年度決算検査報告につきまして、その概要を御
説明いたします。
会計検査院は、
平成十四年九月二十七日、
内閣から
平成十三年度
歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、
平成十三年度決算検査報告とともに、
平成十四年十一月二十九日、
内閣に回付いたしました。
平成十三年度の一般会計決算額は、歳入八十六兆九千三十億三千八百五十五万余円、歳出八十四兆八千百十一億二千八百五十万余円、各特別会計の決算額の合計額は、歳入三百九十六兆二千二百三十五億百七十四万余円、歳出三百六十三兆三千三百六十七億六千五百二十八万余円でありまして、会計検査院ではこれらの決算額を確認いたしました。
また、国税収納金整理資金は、収納済み額五十六兆八千二百一億七千七百十六万余円、歳入組み入れ額四十八兆八千八百七十三億二千七百八十八万余円でありまして、会計検査院ではこれらの受け払い額を検査完了いたしました。
政府関係機関の
平成十三年度の決算額の総計は、収入六兆五千八百三十六億千七百九十六万余円、支出六兆六千二百八十億三千二百七十万余円でありまして、会計検査院ではこれらの決算額を検査完了いたしました。
平成十三年度の
歳入歳出等に関し、会計検査院は、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査
対象機関について、書面検査として
計算書二十万余冊及び証拠書類七千三百五十一万余枚について、また、実地検査として検査
対象機関の官署、事務所等三万六千百余カ所のうち三千余カ所について検査を
実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して八百余事項の
質問を発しております。
検査の結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を御
説明いたします。
まず、不当事項について御
説明いたします。
不当事項は、
法律、政令もしくは
予算に違反し、または不当と認めた事項でありまして、検査報告に掲記いたしましたものは、合計二百四十八件、百三十七億九千五百十七万余円であります。
このうち、収入に関するものは十件、五十八億四千九百二十九万余円でありまして、その内訳は、租税の徴収額に過不足があったものが一件、十億千四百七十万余円、保険料の徴収額に過不足があったものが二件、四十七億八千三百七十一万余円、郵便切手類の販売代金の回収が困難となっていたものが一件、二千五百四十四万円、職員の不正行為による損害が生じたものが四件、千五百六十八万余円、保険給付に係る費用の徴収が適切でなかったものが二件、九百七十五万余円。
また、支出に関するものは百九十七件、七十二億四百七十五万余円でありまして、その内訳は、会計経理が適正を欠いていたものが一件、三億千三百九十一万余円、賃借料の支払い額が過大となっていたものが一件、六百二十四万余円、委託費の支払い額が過大となっていたものが一件、千二百十九万余円、保険給付金の支給が適正でなかったものが三件、八億九千三百三万余円、医療費の支払いが適切でなかったものが二件、十二億千四百八十二万余円、
補助事業の
実施及び経理が適切でなかったものが百七十八件、四十三億千八百一万余円、貸付金の経理が適切でなかったものが一件、五千六百二十八万余円、職員の不正行為による損害が生じたものが六件、九千七百三十八万余円、その他、助成金の経理が適切でなかったものなどが四件、二億九千二百八十六万余円であります。
以上の収入、支出に関するもののほか、職員の不正行為による損害が生じたものが四十一件、七億四千百十一万余円あります。
次に、意見を表示しまたは処置を
要求した事項について御
説明いたします。
平成十四年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により是正または是正
改善の処置を
要求いたしましたものは二十八件、また、同法第三十六条の規定により
改善の意見を表示しまたは
改善の処置を
要求いたしましたものは四件であります。
その内訳は、外務省の支援
委員会等の国際機関等に対する拠出金及び分担金に関するもの、
厚生労働省の特定求職者雇用開発助成金と中小
企業雇用創出人材確保助成金との併給調整に関するもの、特別養護老人ホームが保有している特別積立預金に関するもの、特別支給の老齢厚生年金の受給権者に係る現況届による就労
情報の把握及び活用に関するもの、保育所における定員を超えた保育の
実施に関するもの、農林水産省の牛肉在庫緊急
保管対策事業における冷凍格差の助成に関するもの、独立
行政法人国立特殊教育総合研究所ほか二十五独立
行政法人の国から承継した資産等に係る会計経理に関するもの二十六件であります。
次に、本院の
指摘に基づき当局において
改善の処置を講じた事項について御
説明いたします。
これは、検査の過程におきまして、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を
要求すべく
質問を発するなどして検討しておりましたところ、当局において、本院の
指摘を契機として
改善の処置をとったものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは三十一件であります。
その内訳は、
内閣府(防衛庁)の専用回線の利用契約における長期継続利用割引制度の活用に関するものなど二件、
総務省の電気通信格差是正事業等の
実施及び事業
効果の発現に関するもの、法務省の在留資格審査事務支援システムにおける
業務委託契約の予定作業単価の算出に関するもの、
財務省の普通財産の貸付料の改定等に伴う債権管
理事務に関するものなど二件、
文部科学省の公立の中学校における免許外教科担任の
実施に関するものなど三件、
厚生労働省の
国民健康保険の保健事業の
実施に関するもの、農林水産省の牛肉在庫緊急
保管対策事業における助成金の支払いに関するものなど七件、経済産業省の
地域ベンチャー中小
企業等商品化・新事業
可能性調査事業の
実施に関するものなど二件、国土交通省の道路管理データベースシステムのデータ更新
業務の
実施に関するものなど三件及び国の出資団体等における工事費の積算に関するものなど九件であります。
次に、特に掲記を要すると認めた事項について御
説明いたします。
これは、事業
効果または事業運営等の見地から問題を提起して事態の進展を図るために掲記しているものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは、新住宅市街地開発事業の
実施に関するものの一件であります。
最後に、特定検査
対象に関する検査
状況について御
説明いたします。
これは、本院の検査
業務のうち特定の検査
対象に関する検査の
状況について記述したものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは十七件であります。
その内訳は、金融システムの安定化のための緊急対策等の
実施状況に関するもの、
情報通信技術講習
推進特例交付金事業の
実施状況に関するもの、郵便局における渡切費の経理に関するもの、在外公館における会計経理に関するもの、政府開発援助に関するもの、中山間
地域等直接支払い制度の運用に関するもの、電源開発促進対策特別会計電源立地勘定の決算
状況に関するもの、夕張シューパロダム建設事業に伴う損失補償等の
実施に関するもの、中小
企業向け政府関係金融機関における不良債権の実態及びその管理に関するもの、住宅金融公庫の融資
業務に関するもの、年金の給付に要する費用等の支払いなどの資金に充てるため承継した土地の処分
状況に関するもの、産業基盤整備基金における債務保証
業務及び利子補給
業務に関するもの、独立
行政法人の政府受託事業に係る経理に関するもの、日本放送協会の非現用不動産の管理、処分
状況に関するもの、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社における病院等の運営に関するもの、国の機関が内部監査として
実施する会計監査の
状況に関するもの、特別会計の決算分析に関するものであります。
以上をもって概要の
説明を終わります。
会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。
引き続きまして、
平成十三年度国有財産検査報告につきまして、その概要を御
説明いたします。
会計検査院は、
平成十四年十月十一日、
内閣から
平成十三年度
国有財産増減及び現在額総
計算書及び
平成十三年度
国有財産無償貸付状況総
計算書の送付を受け、その検査を終えて、
平成十三年度国有財産検査報告とともに、
平成十四年十一月二十九日、
内閣に回付いたしました。
平成十二年度末の国有財産現在額は百七兆九百四十四億千八百四十七万余円でありましたが、十三年度中の増が十三兆六百五十三億六千九百九十四万余円、同年度中の減が十一兆六百五十二億九千八百二十三万余円ありましたので、十三年度末の現在額は百九兆九百四十四億九千十八万余円になっております。
また、国有財産の無償貸付
状況につきましては、十二年度末には、一兆四百五十七億二千五百四十七万余円でありましたが、十三年度中の増が千四百七十五億六千五百七十五万余円、同年度中の減が千三百七十二億千三百五十五万余円ありましたので、十三年度末の無償貸付財産の総額は一兆五百六十億七千七百六十六万余円になっております。
検査の結果、
平成十三年度
国有財産増減及び現在額総
計算書及び
平成十三年度
国有財産無償貸付状況総
計算書に掲載されている国有財産の管理及び処分に関しまして、
平成十三年度決算検査報告に掲記いたしましたものは三件であります。
その内訳は、本院の
指摘に基づき当局において
改善の処置を講じた事項といたしまして、
内閣府(防衛庁)のエンジン等を取り外し長期に格納する航空機の国有財産法上の取り扱いに関するもの、
財務省の普通財産の貸付料の改定等に伴う債権管
理事務に関するもの、特定検査
対象に関する検査
状況といたしまして、在外公館における会計経理に関するものであります。
以上をもって概要の
説明を終わります。
ありがとうございました。