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2002-11-25 第155回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十一月二十五日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  十月二十五日     辞任         補欠選任      月原 茂皓君     泉  信也君      林  芳正君     谷川 秀善君      風間  昶君     松 あきら君      西岡 武夫君     平野 達男君  十月二十八日     辞任         補欠選任      池田 幹幸君     宮本 岳志君  十一月八日     辞任         補欠選任      藤原 正司君     岩本  司君      若林 秀樹君     鈴木  寛君  十一月十一日     辞任         補欠選任      岩本  司君     藤原 正司君      鈴木  寛君     若林 秀樹君  十一月十五日     辞任         補欠選任      藤原 正司君     浅尾慶一郎君  十一月十八日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     藤原 正司君  十一月二十二日     辞任         補欠選任      福本 潤一君     山下 栄一君      森本 晃司君     沢 たまき君      高橋紀世子君     田名部匡省君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 木村  仁君                 田村 公平君                 保坂 三蔵君                 松谷蒼一郎君                 郡司  彰君                 齋藤  勁君                 山本  保君                 小池  晃君                 平野 貞夫君     委 員                 泉  信也君                 市川 一朗君                 大島 慶久君                 国井 正幸君                 山東 昭子君                 世耕 弘成君                 田中 直紀君                 伊達 忠一君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 段本 幸男君                 中川 義雄君                 仲道 俊哉君                 山下 英利君                 山下 善彦君                 朝日 俊弘君                 佐藤 道夫君                 櫻井  充君                 辻  泰弘君                 福山 哲郎君                 藤原 正司君                 円 より子君                 峰崎 直樹君                 若林 秀樹君                 沢 たまき君                 松 あきら君                 山下 栄一君                 紙  智子君                 大門実紀史君                 宮本 岳志君                 田名部匡省君                 平野 達男君                 大脇 雅子君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     片山虎之助君        法務大臣     森山 眞弓君        財務大臣     塩川正十郎君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   大島 理森君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国土交通大臣   扇  千景君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (産業再生機構        (仮称)担当大        臣)       谷垣 禎一君        国務大臣        (金融担当大臣)        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        内閣府副大臣   根本  匠君        財務大臣    小林 興起君        農林水産大臣  太田 豊秋君        経済産業大臣  高市 早苗君        国土交通大臣  吉村剛太郎君        環境副大臣    弘友 和夫君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       桜田 義孝君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        総務大臣官房審        議官       衞藤 英達君        総務省自治行政        局選挙部長    高部 正男君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        国税庁課税部長  村上 喜堂君        国土交通省総合        政策局長     三沢  真君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査  (経済問題を中心とする諸問題に関する件)     ─────────────
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、本日の委員会日本銀行総裁速水優君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 予算執行状況に関する調査を議題とし、経済問題を中心とする集中審議を行います。  質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。  それでは、質疑を行います。木村仁君。
  5. 木村仁

    木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。  自民党・保守党を代表して、当面の経済政策について御質問をいたします。  総理は、二十二日の夕刻、補正予算指示を出されました。公共事業一兆五千億、セーフティーネット一兆五千億、合計三兆円、これが補正予算のコアであろうと思いますが、全体として六兆円、地域に下りたときの全体の事業量はほぼ七兆とか八兆とか、そういう金額になるものと思われますが、この補正予算は緊迫する現代、今日の経済情勢を反映して編成されるものと考えております。  まず、総理にお尋ねしたいのでございますが、この不況、極めて厳しい状況になってきておりまして、私が一々数字を申し上げる必要はないと思います。極めて緩やかに、しかし執拗に迫り寄ってくるデフレでありましたので、国民一般も余り危機感を感じないまま今日に至っているように思います。  経済論調等を見ておりましても、政府にもそのような緊張感が欠けていたのではないかという論評を時々見受けますが、総理は、現在のこの不況状況経済状況についてどのような御認識をお持ちでいらっしゃいましょうか、まずお教えいただきたいと思います。
  6. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在の経済状況ですが、失業率も五・四%程度でなかなか改善しない厳しい状況もございます。また、物価下落も続いておりますし、不良債権処理に絡んで様々な御意見がありますが、中小企業対策雇用対策、そして構造改革等、いろいろな手だてを講じてこの厳しい経済状況を脱却していかなきゃならないと認識しております。  こういう状況の中にあって、景気対策が先か構造改革が先か、いろいろな議論がありますが、私は一貫して改革なくして成長なしと。鶏が先か卵が先かと。景気が回復すれば不良債権処理なんていうのはなくなるよという意見もあります。逆に、不良債権処理を進めない限り景気回復は実現できないよという意見もあります。それは、与党の中でも野党の中でもそうです。両方意見があるんです。  しかし、私はこの十年来の状況を見まして、じゃ、景気対策というのは何かと。景気対策しろしろと言っている人の中にも相反することを言っている、中身が一貫していないんですよ。景気対策公共事業もっとしたらいいと、国債もっと増発しろと、減税しろと。じゃ、財政どうなるのかと。財政というのは国民税負担で成り立っているわけです。打ち出の小づちなんかないんですよ。  そういう点を考えて、現在の状況も、景気対策やれという主張の最も強い一つは、国債を増発して、公共事業をもっと積み増ししろということでしょう。過去十年間やってきたことですよ。どうなったのかと。持続的な景気回復経済成長になっていない。だからこそ、私は改革なくして成長なしと。国債を増発して、公共事業を増やして景気回復するんだったら、私すぐやりますよ。そういう状況じゃないから、まず歳出も徹底的に見直しましょうと。民間がリストラ一生懸命やっている、特殊法人始め。税金の無駄遣いあるんじゃないか、あるいは今は負担ないかもしれないけれども、後々税金ツケがどっと返ってくる。今、負担ないから、もっと財政拡大しようという人がある。将来どうなるのか、そういうことも考えなきゃならない。目先のことだけじゃない、将来も考えながらやっていかなきゃならないと。  実に狭い道なんです。財政拡大して、財政出動して、公共事業積み増しして、財政規律考えないで減税して景気だけ回復するんだったら、もう十年前にとっくに回復していますよ。数年前にも回復しているはずだ。だからこそ、改革なくして成長なしと言っているんです。そういう点をやっぱりよく考えなきゃいかぬと。
  7. 木村仁

    木村仁君 私の質問の結論をおっしゃっていただけたように思いますが、にもかかわらず、引き続き質問をさせていただきます。  総理がこの補正予算指示を出されましたときに、新聞は一斉に政策転換であるという論評をいたしました。特に、国債発行枠三十兆円が破られたという形で政策転換だということを申しました。  私は、少しもそうは考えておりませんけれども、総理は極めて明確に改革なくして成長なし、その方針は変わらないということをおっしゃっておりますが、これは新聞とかテレビでお伺いしたことでありまして、この予算委員会の席上で、特にこの予算委員会における経済問題の集中審議は大変珍しく、参議院が衆議院よりも先に行いますので、どうかひとつ、もう一つ、もう一度政策転換なしということを総理のお言葉でここで発表していただきたいと存じます。
  8. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、最近一部の人から、私の掲げている政策転換したんじゃないかという意見がありますけれども、実際、あきれているんですよ、どこ見て政策転換かと。私は改革なくして成長なしという路線は一向も変わっていないと。  構造改革を進めているでしょう。官の部門の無駄、将来、このまま官の部門現状維持のままほっておいたらどういうことになるのか。官の無駄は排除されない、税金垂れ流し、今は負担しないけれども後になってどっとツケが回ってくる。この官の構造を見直ししない限り、税金垂れ流しどんどん続いていくということで、官から民へ、民間でできることは民間に任せなさいと、いろいろな役所の特殊法人等、廃止できるものは廃止しなさいと、どうしても国でやらなきゃならないことは国でやろうという方針、実際の政策、着々と進めております。  現に、特殊法人改革あるいは道路公団民営化郵政改革、将来の郵政事業民営化、いずれも私の総理就任以来、こういうことはなし得ないとあきらめていたことでしょう。それから、公共事業についても、この厳しい状況公共事業削減するとは何事かと。しかし、このままほっておいたらいつまでたっても財政の規模は膨脹するということがあって、私は改革を進めていかなきゃならない。現在、行財政改革のほかに税制改革金融改革、これは不良債権処理も含めてであります。それから、規制改革歳出改革、この路線、どこに変更があったんですか。これは金融改革の中で健全にする一環です。枝葉を見て本を見ていない。大体見てごらんなさい、木だって季節に応じて葉っぱの色は変わるんです。その葉っぱの色が変わる……(発言する者あり)
  9. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御静粛にお願いします。
  10. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それを見て、幹が変わった、これはどこを見ているのか、節穴じゃないかと言っているんです。ああ言えばこう言う、批判だったらだれだってできます。そういうことを見て、私の改革路線は全く変更ない、微動だにしない。
  11. 木村仁

    木村仁君 私も少しだけああ言えばこう言うを言わせていただきたいと考えておりますが、ちょっと私の認識を一分だけ申させていただきたいと思います。  かつて、小渕内閣が成立したときに、総理は二羽のウサギがいると。一匹は行財政改革構造改革ウサギである、一匹は不況ウサギである。その前の内閣構造改革ウサギを一生懸命追いまくったわけでありますが、そのために不況ウサギの方が跳梁ばっこいたしまして、経済がおかしくなって、ついに内閣自身が瓦解してしまいました。そこで、小渕さんは、小渕総理は、二兎を追う者は一兎をも得ずと言って、専ら景気対策に自分はささげると言って、こういうことに徹したのでございます。そして、世界一の借金王になってしまったと自嘲しながら、しかし二〇〇〇年には二・四%の経済成長を実現をいたしました。  なぜこれが可能だったかというと、当時としては、国民一般考え方の中で、財政構造改革行政改革は二、三年ほっておいても何ということはないという意識があったからだろうと思います。しかしながら、小泉内閣になった現時点では、その構造改革ウサギの方に不良債権という大きな病気がくっ付いておりまして、これをやっぱり捕まえないことにはどうしても健全な成長はないと、私もそう思います。  そこで、構造改革なくして成長なし、これが政策の基本で、したがって構造改革を最重点事項にするということでありますが、ところがそういうことにいたしますと、今度はデフレウサギの方がどうしてもまた動き出すおそれがある。したがって、どうしてもこの構造改革現時点における構造改革を選んだ内閣二兎を追う形にならざるを得ない、これはしかられるかもしれませんが、二兎を追う形にならざるを得ない。それが昨年、セーフティーネット補正をやった後に、今年になって経済再生景気対策予算を組んで、十五か月予算を組んで粛々と実施しているということであろうと思います。  ですから、結局、この中心構造改革に置きながら、時と場合によってそのウサギの追い方のエネルギーを変えていくということはこの内閣において必要だと、こういうふうに私は認識しておりますが、まるっきり勘違いでございましょうか。
  12. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、経済生き物だと、変化を見極めながら、その際には大胆かつ柔軟に対応すると就任以来発言しているんですよ。  そして、確かに小渕内閣のときには景気重視で、国債増発思い切ってやりました。しかし、それが本当に持続的回復につながっているかということをよく見てみると、必ずしもそうじゃないんです。  私が、十四年度予算、三十兆円枠、国債増発、以下にとどめようというのも、これは財政規律というものを考えなきゃいかぬということでやってきたわけであります。もし、それでは、あの景気対策がうまく成功したらもっと税収が増えているはずですよ。持続的回復に導いているはずですよ。  ところが、十四年度予算どうですか。私は、五十兆円の税収があるという前提で十四年度予算組んでいるんです。十三年度予算。十三年度におきましても、五十兆円税収なかったんですよ。これは、国債を増発して景気対策すれば持続的に成長するということじゃなかった一つの表れなんです。  そういうことを考えると、私は、五十兆円程度税収の中で三十兆円枠というのは決して緊縮財政じゃない。しかも、当時は二十八兆円で、二兆円程度は余裕があるんですから。私は、国債発行を減らすというんじゃなくて、増やす中でも三十兆円以下の中でいろいろ歳出の見直しはしなきゃいかぬということでやってきたわけです。だからこそ十四年度予算でも歳出削減できたんでしょう。かなり厳しい見直ししてきたわけでしょう。そういう中でマイナス成長じゃないんです。歳出削減しながら十四年度マイナス成長になると思いませんよ。  そういう点を考えると、私は、一つ規律を設けながら、経済生き物ですから、その変化に応じて、税収とか財政とかあるいは国際情勢世界経済変化を見ながら大胆かつ柔軟に対応する、これは当然ではないかと思っております。  議員の意見を全く否定するものでもありませんが、改革なくして成長なしというのは、これは全く変わらない。
  13. 木村仁

    木村仁君 おおむね思いは、私ごときが御一緒と言うと失礼かもしれませんが、食い違っていないと私は認識をして、勇気を持って次の質問に入らせていただきます。  とはいうものの、これまでの経験を踏まえて見れば、大変景気が厳しいときには、やはり全体のバランスをもちろん考えながら、構造改革の努力も続けながら、やはりある意味では財政出動ということが必要ではないかと考えます。  この補正予算指示されました一兆五千億という金額も実はそうだと思いますし、私は、セーフティーネットの一兆五千億の予算そのものも相当需要創出効果を持っているというふうに考えておりますから、三兆円が全部景気対策だと考えてもあながち間違いではないと。そういう意味で、私は、全体の大きな政策脈絡の中で総理財政出動の一部をお認めになったと、こういうふうに考えております。  小渕内閣が続いていたら景気が良くなっただろうなどということは全く言えないことでございまして、ただし、小渕内閣が二・四%を実現したとき、翌年、財務省は、当時の大蔵省は直ちに緊縮財政転換しております。一九九六年に日本の経済がバブル後の不況を何とか克服して三%の高い成長率を確保した、その翌年に大蔵省は直ちに緊縮財政に入っております。そのためにもうどっと景気が悪くなったということは、これは学者がそう言うことでありますから、本当かうそか知りませんが、そういうことは言われますし、レーガンが歳出削減をしたのに対して、クリントンは歳出拡大をして好況を導いたということもあります。  ケインジアンの考え方がどういう状況の下でどんな効果があるか、どの程度が限度であるかということは異論はありますけれども、そういう意味では、私はやっぱり、総理はどういうふうに言われるか知りませんが、一つ財政出動を高く評価したいと思うわけでありますが、そうしますと、それでは足りないではないかという声がたくさん聞こえてまいります。そういう面はいかがでございましょうか。この時点で、総理の大きな政策脈絡の中で、一部財政出動をして、需要ギャップ、三十兆円あるという需給ギャップの一部を埋める手だてにしたいと、こういうことをもう少し続けてみたいというお考えはおありになりませんでしょうか。
  14. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もっと国債を発行して需要を喚起しろ、公共事業をやれ、今のじゃ足りないという意見はあります。しかし、それは今までのやり方であって、小泉内閣になればそういう手法は取らないということは一貫しているんです。いろいろ不満はあるでしょう。批判もあります。  しかし、私、分かっているんですよ。じゃ、その不満にこたえて、ではもっと国債を増発して公共事業をたくさんやりますよと言ったら、また大批判ですよ、別の観点から。国債そんな増大したら後のツケはどうするんだとか、今までのように公共事業をやって需要は回復するものじゃないと。今出ていない表面の批判が、この批判にこたえると、また別の角度、全然違う人が、一貫性のない人から批判があるんです。何やっても批判というのは分かっていますよ。批判の方はもう責任ないからね。  もう報道なんかでもそうですよ。一つのことをやると、例えば不良債権処理、遅い遅い、進めると危ない危ない、危ない、手当てをすると骨抜きだ。もうあきれちゃっているんですよ、批判ばっかりで。批判ならだれでもできる。言っている批判は、もう左右あっちこっち、一貫性のない批判ばっかり取り上げる。  そういう一貫性のない一方の批判にぐらぐらする小泉内閣じゃない。今の足りない足りないという声に耳を傾けて景気回復するという状況じゃないんです。その厳しい財政状況の中で、財政規律なんかどうでもいいという考えは取らない。五十兆円も税収がないのに三十兆円以上国債を発行して何が緊縮予算かと。あきれちゃいますよ、そんな批判は。  やるべきことはやる、そういう中で歳出改革とか構造改革、徹底的に将来の持続可能な成長に結び付けるような改革をしていくという点において、私は、もっと国債を増発して、もっと公共事業をやれという声はいかがなものかと。そういう声には同調できません。
  15. 木村仁

    木村仁君 総理の御意思は大変よく分かりました。  私自身は、もう少しやるならばこの際やってはどうかと考えておりますので、なおさら申し上げますが、総理も御存じのように、兵力の逐次投入ということが、小出しに出しても意味がない、だから一挙に出すなら一遍ばんと出して小泉内閣らしい対処を取られたらどうだろうかと、そう思います。  補正予算はもう大体形が決まりました。来年の当初で審議させていただきたいと思っております。十五年度の予算、これに若干可能性があることを私は考えております。これは、前年度予算からまず三%削れ、削った金額から二〇%増しで要求していいと。したがって、概算要求はそのまま認められるならば大変な拡大予算になるようにできております。  財務省は、これを内示のときまでにはまた三角三%まで削ってやると、こういう確固たる信念でございますが、もし総理がこの補正予算と次の予算だけは少し財政出動を思い切りやって、一挙に、一挙にとはいきませんけれども、少しでも経済回復の、景気回復の助けにしようとおっしゃるのであれば、その三%減掛ける二〇%増のその部分が非常に準備された財政出動の種ではないかと、こう考えておりますので、これは御答弁を求めると元のもくあみでございますから、財務大臣、いかがでございましょうか。
  16. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 木村先生のおっしゃることも一つの理屈はあると思いますけれども、私たちはこういう考えで現在おるんです。  今度の補正予算では、できるだけセーフティーネット中心としたもので補正をして、それと同時に税の減収分を補うということにすると。十五年度分については、やはり国債発行三十兆円の精神にのっとって、このとおりの、言わば八月に概算要求の基準をセットして、これを党での、与党三党で承認してもらったその線は微動だに動かさないようにやっていこうと、こう思っております。  それじゃ、何で十五年度予算で二〇%それぞれ要求を上げて、それで削減は、公共で三%、義務的で二%したのかと、こうおっしゃるんですけれども、これ二〇%余分に要求するということは、各省が新しい政策を選択する幅を広げたい、いろんなことをもう要求の中に持ち込みたいと、こういうことでございましたので、そのいわゆる多様性を生かしたいということと、創造性をその二〇%の中に入れて、その代わり既存のやつは削っていきますよと、こういう意味において二〇%にしたんです。  ですから、この二〇%というものは、言わば各省の知恵を、出しどころを出してもらったんでございますけれども、最終的に予算を決定いたします場合は、公共事業関係で三%の減で、義務的経費で、いや、選択的経費で二%削って義務的経費はできるだけ尊重しようと、こういう枠組みで進めておるというところであります。
  17. 木村仁

    木村仁君 私は、かねがね旧大蔵省、現在の財務省のシーリング方式というのに強い反感を持っております。それでは政策の入替えも資源配分の再検討もできないということでございますから、今回の予算概算要求方式は私は非常に評価をしておりますから、財務大臣におかれては、その観念を貫かれるのが本当だろうと思いますが、先ほど私が申しましたことも頭の隅に置いておいていただければ大変幸いでございます。  そこで、もう国債はこれ以上出せないということでありますが、この春、ムーディーズが国債、ソブリン債の評価を引き下げたときに、財務省はムーディーズその他の会社に対して、格付会社に対して抗議文を送っております。その中で、日本の国債は大丈夫だ、日本の財政は大丈夫だということを、例えば、国債の九五%は国民が引き受けてくれている、外貨準備は十分に、四千億ドルとは書いていませんが、十分にある、経常収支も常にプラスである、だからまだまだ大丈夫だということを言っているんです。私もまだまだ大丈夫だと思います。  よく、七百兆という観念がもう国民全体に染み付いて、大変国民が閉塞感を感じているということも事実でありますから、よく考えてみれば、七百兆債務を持っているけれども、日本政府は四百三十兆の金融資産を持っているんです。年金基金、外貨準備その他であります。使えない金ですけれども、財産には違いない。それを差っ引くと、純債務で比較すればちょうどGDPの五〇%、これはアメリカ、イギリス、EUの同じベースで比べたのと同じであります。だから、まだまだこれが、GDPの二倍を超えるようだとインフレになって利率が五%以上になってたちまちつぶれてしまいますけれども、まだまだここ一回や二回の国債発行をする手だてはあると。  それから、国債を発行をしなくても、国庫債務負担行為とか、PFIというんですか、プライベート・フィナンシャル・イニシアチブ、PFI等を十分に活用する。あるいは、今朝電話が掛かってきて、小泉ファンドというのを作って、わきにファンドを作ってそれで財政出動をしなさいと、そうすると国債を出したことにはならないと、若干インチキ臭い面もありますけれども、そういう知恵も出してもいいではないかという議論があります。  ともかく、私が申し上げたいのは、いろんな技術を作ったり使ったり、日本のファンダメンタルズを考えれば、もうここでもう一回財政出動をする機会はないことはないと思うんですが、簡単に、ないとか、まあそうかもしれないとかいう御返事をお願いしたいと思います。
  18. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、十四年度の予算についてはできるだけ三十兆円以下に国債の発行を抑えようと言っているので、十五年度はそういうことを言っていないんですよ。  なぜか。先ほども言ったように、十四年度は税収が五十兆円程度だと見込まれているんです。なおかつ、国債発行は前年度二十八兆円で済んでいるんですよ。だから、増やす、減らすんじゃない、増やすと。三十兆円。どんどんどんどん増やして、財政規律考えんで増やせばいいというものじゃないと。だから、三十兆円で十分収まるだろう。  ところが、税収も減った、そして世界経済情勢も変わってきた。そこで、変化に応じて大胆かつ柔軟に対応するということで今回十四年度補正予算を組むことになった。十五年度というのは、元々三十兆円枠なんか収まらないのは分かっていますよ、全体の状況から見て。だから、十五年度は私は三十兆円以下に抑えるなんか全然言っていない。その代わり、一般歳出は前年度に比べてゼロ以下に抑えますよと。そうしないと、将来この財政膨脹するとますます負担が増えるから、一般歳出を前年度以下に抑制するということは、これは将来の無駄な歳出構造を見直すということにつながりますから、これは大事だということを言っているのであって、当然十五年度予算におきましては三十兆円の枠を突破します。それは今後の経済情勢をよく見ていかなきゃならない。
  19. 木村仁

    木村仁君 私は、十五年度予算でも総理は三十兆の枠をしっかり主張された方がよろしいと思うんです。それは、税収のいかんによって年度間でプラスになったりマイナスになったりというのは当たり前のことでありまして、やっぱり二〇一〇年までに基礎的収支を、プライマリーバランスという言葉は使ってはいかぬと言われておりますので、基礎的収支をバランス取るためにはやっぱり三十兆という枠を守りながら財政運営をしていくことが必要であろうと考えております。  それから、竹中大臣に一言だけ御質問しておきたいと思いますが、竹中大臣金融担当大臣になられましたときに、実は株が売られました。そして、アメリカで、大銀行といえども破綻あるべしということを言われたという、これは誤った報道でしたけれども、したときにまた暴落しました。そして、金融再生プロジェクトを単独にお出しになろうとしたときに財界は非常な反発を加え、十月三十日の総合対策と一緒に出すということになったんです。  財界、金融界の中には、もう非常に、竹中大臣及びそのチームはまず国有化ありきではないかという疑心暗鬼があって、言うなればハードランディングの不良債権処理に拒否をずっと発信しているのではないかと私には思えて仕方がないんです。私は、ハードランディングでも何でも、時期を見て適切にやることに反対はもちろんないわけでありますけれども、大臣はどのようなお考えでしょうか。少し柔軟に柔軟に市場と対応していこうというお考えはおありになりませんでしょうか。
  20. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) よくそのハードランディングという言葉が使われております。私は、まず一番避けなければならないのは、言わばネバーランディングというか、いつまでたっても解決しないような状況は絶対避けなければいけない。だから、ランディングといいますか着地点を見いださなければいけない。私たちが今考えております金融再生プログラムというのは、その意味では決してハードランディングではないと思っています。あえて名付ければグッドランディングであるというふうに思っておりますが、これは、資産査定をきっちりと行う、このことについて私は産業界を含めて異論はないと思います。  企業の、特に銀行の収益力を高めていただくためにガバナンスを強化しなければいけない。これについても、やはり銀行しっかりしていただきたいという思いは国民広くあると思いますし、それについてもそこの再生プログラムに書かれているということは、私はやはり非常に、何といいますか、穏当なといいますか、順当なことなのではないかと思っております。  委員御指摘のように、これはやはり、実際に不良債権を処理するのは銀行自身でありますから、銀行の意見はよく聞いて、しかし監督当局としては、そこはやはりしっかりやっていただきたいという意思をしっかりと表示することによって、この我々が直面している問題を社会全体が共有する中で、着実なその問題解決を図りたいというふうに思っております。
  21. 木村仁

    木村仁君 繰延税務資産の資本金算入の処理でも分かりますが、大臣は市場の反応に対しては敏感に反応しながら施策を続けていていただいていると思いますので、心配しているわけではございませんけれども、経済の現在の情勢とよく対応しながらお進めいただければ大変有り難いと思っております。  それから、そういった三兆円の今度仕事が出てまいりますと、当然、地方公共団体にまた財政負担が掛かっていくわけです。地元負担もあります。今、地方公共団体は国と違って、借金イコール一〇〇%借金で、それが増えたら人口一人当たり借金五十万と言われると、それだけで落選してしまうというのが現実でございます、首長さんが。ですから、非常に財政運営についてはティミッドというんですか、憶病になっておりまして、恐らくこの規模の、みんなが足りない足りないと言っているこの規模の補正でも地方はかなり心配すると思います。そこで、総務大臣としてはそのお立場で強力に地方財政措置というものも考えていかなければならないと、こういうふうに思います。  ついでながら、最近考えておりますのは、例えば五千億円、教育費国庫負担金を削減すると、それは改革の一部ですから検討されるのは結構でありますけれども、新聞等で拝見する限りは何らその後の財政の考慮というのがない。やはりそういうときは、五千億、国が指示してやらせる、こういう基準でやりなさいと指示しながら五千億切っちゃって、そして財政措置、税源移譲等は全く考えませんというのでは、もう地方公共団体は反乱を起こして、例えばもう介護保険は投げ出すとか、言い出しても投げ出すことはありませんけれども、そういう反発になるであろうと私は思うんです。これは総務大臣及び財務大臣、御答弁をいただきたいと思います。
  22. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 二点御質問がございまして、最初はこの補正予算に絡む問題ですね。今の三兆円は国費ベースですから、それに義務的なものが一兆二千億あるそうですからね。  そこで、この内容が今後各省庁が財務省要求をして、事業の中身及び地方負担が詰まってきますから、地方負担が出てきたら、それについてはもう全部面倒見ると、地方団体の財政運営に支障がないような面倒見ると。今までの例だと、特に投資的な経費については全部地方債を認めて、地方債の元利償還は基準財政需要額に算入すると、まあ面倒見るということですね。私は基本的には、そういう今までのルールを踏まえて、しっかりと関係のところと相談いたしたいと。  ついでに言いますと、この状況で地方税の方は一兆円を相当上回る一兆二、三千億円の減収になる、地方税は。それから地方交付税が、国税が減りますとこれは自動的に減りますから、これが八、九千億になるでしょう。ということは二兆を超えるんですね。そういうことに対する対応もしっかり考えていきたいと、こう思います。  それから、義務教育の給与費の国庫負担金五千億ね。文部科学省としては清水の舞台から飛び降りたようなつもりなんでしょうけれども、その中が良くないですよ。それは退職手当と共済組合の負担金の補助金を削るというんです。これをやめちゃって一般財源にしてくれと。財源の手当てについてはまだはっきりしていないんですね、自分の方の所管でないということはあるいはあるのかもしれぬけれども。  我々は、今、総理指示で三位一体の改革というのをやっているんですよ。国から地方に税源を移譲する方向でやろう、その代わりに国庫補助負担金の整理合理化をやろう、地方交付税を見直そう、三つ一緒にやろうと。しかも、その改革は地方の自主性、裁量権を増加すると、こういう方向ですからね。しかも、総理の強い指示で来年度の予算から芽を出そう、緒に就けようと。こういうときに、単に、自主性に何の関係もない、自動的に払わにゃいかぬのですから、退職手当も共済組合負担金も。それを地方にどうぞ負担してくださいと、しかし財源のあれはこれからの議論ですと、これじゃ通りません。  だから、今、関係のところで相談しておりますが、仮にその全部ないし一部をやるときは財源の手当てはちゃんとやると、税源でやるのか交付税でやるのかはともかくとして、ちゃんとやると。こういうことでないといけませんし、やる際には地方の自主性、自律性をしっかりと強化すると、こういうことでございますので、御理解賜りたいと思います。
  23. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、国の財政困窮と地方の財政困窮とは大分、ちょっとベースが違うと思うんです。国の方は経済対策に金をつぎ込んできて、これが非常に財政を圧迫してきておるわけでありますが、地方の方はそれよりも、やはり行政需要を余り欲張り過ぎて、多くなり過ぎた。ですから、地方行政で本当にシビルミニマムと必要なもの、あるいはナショナルミニマムで必要なものを行政需要を絞ってこられないと永久に財政困難は続く、ここが僕は非常に大事なところだと思っております。ついては、国も地方も円満にやっぱり行政を推進しなきゃいけませんので、困ったことはお互いに助け合わにゃいかぬ。けれども、今、国民は、国が非常に困っておるときだから地方も節約してくれというのが私の精神。  そして同時に、もう一つありますのは、各省とも自分らの特色あるものをめり張りを利かせてくれということをやれと、新しい事業を入れる代わりに、そちらの方で要求する代わりに慣習としてやっておるもので節減できるものを削ってくれ、こういうことを言った。  文部省の中でも、義務教育の中で削れるものはできるだけ削って一般財源にしようと。その代わりに科学振興であるとか、そっちの方で新しく見てくれと、こう言ってきておるんです。私は、その権衡を取って、バランスを取って文部科学省の言うことも聞いていかにゃいかぬと、この中に現在あるわけ。そうしますと、義務教育のようなことは、先ほど片山大臣言ったように財源が不足してくると、こういうことでございますので、実施ができるようにやっぱり協議してやっていかなきゃいかぬと、これは思っております。
  24. 木村仁

    木村仁君 私の持ち時間が終わりましたので、三大臣お呼びしながらお聞きしないのは大変失礼でございますが、セーフティーネットの中小企業、特に信用保証の問題、それから新たな地域の需要創造を生む雇用、特別雇用の問題、それから新しいタイプの公共事業ということを模索していく問題、極めて重要でありますので、よろしくお願いを申し上げて、同僚と替わらせていただきます。
  25. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 関連質疑を許します。山下英利君。
  26. 山下英利

    山下英利君 自由民主党の山下でございます。  木村委員に引き続きまして、関連の質問をさせていただきます。  私は、今大変問題になっている金融機関の不良債権の処理問題について、政府に御質問をさせていただきたいと思っております。  構造改革を進める中で金融改革というのが一つの大きな要素になっているわけですけれども、言ってみれば、病人の体を手術する場合に、不良債権という病気を取り除こうとする、しかし病人の体が大変弱っていると。病人の体、体力を付けさせながら、かつこの病気を根治させなければいけない、大変難しいかじ取りをしなければいけないというのが現状だと思います。  竹中金融担当大臣におかれましては経済担当大臣と兼務ということで、マクロ経済の側面から、そしてミクロというか現場の金融の問題と両面を進めていかなきゃいけないというところで大変な御苦労をされていること、私も心から感謝を申し上げる次第でありますが、昨今伺っておりますと、どうも従来のいわゆる金融行政といいますか、金融界といわゆる行政との連携というのが違ってきているように私も感じているところがあります。と申しますのも、十月の末に金融再生プランということで竹中大臣が一応プランをおまとめになるといったときに、策定時においての金融界の反応というのが報道で伝え聞きますと、どちらかというと政府に対して大変批判的であったというふうに受け取られると。  これはもう要するに、私も報道で聞く限りでございますので、中身がどうだったかということは分からない部分があります。しかし、自分自身でこれまでの金融行政、これを見てまいりましたときに、いわゆる通常言われるのは護送船団方式と言われて、行政と金融界一枚岩でこの金融システムを支えてきたと。そして、金融界にとってみれば、現状、個別の企業であると同時に、また一端では金融行政の一翼を担っているという思いがあってこれまでやってきた部分があります。  しかし、その段階で、昨今の動きを見ておりますと、金融界が今回不良債権処理を加速させるといったところで、急激な対応というものに対してどうも対応が十分できていないのではないかなと、そのように私も感じられてならないんですけれども、竹中大臣の御意見をお聞かせください。
  27. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 金融に限りませず、恐らく監督当局とそして現実の産業、業界との関係をどのように保っていくかというのは非常に、どの国においても、どの時代においても難しい問題の一つであろうかと思います。  私は、かねてから思っておりますが、特に金融等々に関しては、当局と業界の間で建設的な緊張関係のようなものが常に必要ではないかというふうに思います。これはもう対立していたらもちろん何もできないわけでありますし、良い結果を生み出さないわけでありますが、言わば完全な一枚岩というのもその中で逆に国民の利益が失われてしまう可能性もある。その意味で、建設的な緊張関係をいかに作っていくかということが、行政の中身に加えまして、やはり関係構築という意味では大変重要であると思います。  十月三十日の金融再生プログラム発表の過程で銀行界が反対したという御指摘ありましたけれども、もちろんこれはガバナンスの強化とか資産査定の強化でありますから、そうした強化という観点からすると、強化される方は当然何も批判がないというわけではこれは常にないと思います。しかし、基本的には、総理が御指示になった十六年度にはこの問題を終結させるということについては、これは業界も問題意識を共有してくださっているというふうに思いますし、そういう意味では、建設的な関係が徐々に築かれつつあるというふうに思っております。  ただ、委員の御指摘は、これまで、何といいますか、これはまあ随分以前のことでありますけれども、護送船団という言葉が使われて、そうした中でリスク管理とかが十分に定着していない業界において若干の戸惑いがあるのではないかという御認識かと思われますが、そうした点についても私は業界は次第に変わってきているというふうに思いますし、そういう点が徐々に結果として現れるような形で、今日も決算の、中間決算の発表がなされますけれども、そうした中に新しい金融界の姿が少しずつでありますけれども、出てくることを期待をしております。
  28. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  その緊張感のある関係というふうに今、大臣おっしゃったんですけれども、正にそこは一つの形ではないかというふうには私は思うんですけれども、じゃ今この環境の中でデフレ経済大変景気も停滞している、そして取引先である中小企業、実に四大銀行といいますか、主要銀行の六割の不良債権というのは、これは中小企業であります。そういった中で緊張関係を作るというインパクトが取引先まで及んでいるということも我々はしっかりと受け止めなければいけないというふうに思います。その件については後ほど質問をさせていただきたいと思いますけれども。  そんな中で、一枚岩でないというお考え、分かるんですけれども、じゃ現場で何が起きているか、現場としてはどうしたら一番この不良債権の処理が進むのか、そういった意見をやっぱり聞く必要があろうかと思います。  私も銀行の関係者に聞きますと、最終的な着地、これは不良債権をできるだけ早く処理をして、そして身軽になって本来の銀行の業務である融資、信用創造、これをやりたいという強い声を私は聞いております。本来、銀行の業務というのは信用創造によってやはり経済を活性化していく、企業を育てていくと、そういったところが自分たちの生きがいであるということで今まで歩んできたわけですけれども、これがこのデフレの中にあってどんどん信用収縮が進んで実際に今、貸しはがし、貸し渋りという形で大変な批判を受けていますけれども、それもBISの規制であるとか、あるいはやはり企業自体が体力を失っている、銀行も体力を失っている、そんな中で生まれてきている総合的な問題であると、そういうふうに思います。  したがって、この金融機関の不良債権の処理に当たって、ただ単に政府がやる、あるいは民間がやるということではなくて、これは国家プロジェクトとしてこの二年間で決着を付けるというふうな体制に持っていく必要があろうかと、私は本当にそう思っております。  したがって、竹中大臣に改めてお聞きをいたしますけれども、今回、大臣が、金融分野緊急対応戦略プロジェクト、これをお作りになって、一応このプランの下案をおまとめになったと。この段階において、いわゆる金融界といいますか、現場がこのプロジェクトチームに参加をしていなかったというふうなことも聞き及んでおるんですけれども、この辺の理由についてお聞かせをください。
  29. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘になったように、総合的な観点からこの正に国家的な難局といいますか、難しい問題にこたえていかなければいけない。負の遺産、これは御指摘のとおり、不良債権というのは言わば負の遺産でありますから、本来、前向きの信用創造ができるようになりたい、銀行自身も、銀行員の方々もそのように本当に願っているのだというふうに思います。  そこで、この新しい総合的な戦略を考える上で、御指摘のように、私自身に知的なインプットをしてくださるプロジェクトチームを作ったわけでありますが、改めて申し上げるまでもありませんが、これは、プロジェクトチームが金融再生プログラムを作ったわけではありません。言わばフリートーキングの場としてそういうものを設けたということであります。  これはすべての審議会等々について当てはまることでありますけれども、言わば当事者にどのような形で参加していただくのが一番よいのかというのはなかなか難しい問題だと思います。当事者で当事者のことを決めるということになるとバイアスが掛かるかもしれない、しかしながら当事者の意見を聞かなければいけない、これはまた一方でそういうことだと思います。  例えば、金融庁にあります金融審議会の中には、そういったことも意識して、メンバーはいわゆる金融機関の方ではない方で、専門委員として金融機関に入っていただくというような方法も考えられている。今回、プロジェクトチームは短期間でいろいろ議論をしなければいけませんでしたので、極めて少人数にさせていただいて、一定の利害からは独立した専門家に集まっていただこう、当事者といいますか、産業の方にはヒアリング等々を通じていろいろ議論に参加していただこうと。これは全銀協の会長にも来ていただきましたし、RCCの方にも来ていただいたし、そういう形で議論を進めて、結果的にはそういった方々の意見を聞く機会というのを相当に設けたつもりでございます。
  30. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  今の大臣の御説明なんですけれども、言ってみれば、金融界が緊張感が足りないとよく言われているわけです。メガバンクにしても、合併をしましたけれども、なかなかその整理統合も進んでいないと、そういった御批判もあるわけです。ただ、中にいる人間にとっては外で何を言われているかというのはぴんとこないわけですね。  ですから、例えばそういったたたき台の段階であっても、もしそのプロジェクトチームに参加をさせていただいて、そういった厳しい話が出るということは、これは金融界がもう一丸となってこの不良債権処理に全力を挙げて頑張ると。要は、個別の企業の問題としてのリストラという話だけでなくて、不良債権をどういうふうにして対応していくかというそういう大きな目標に向かって進める大切な一歩ではないかなと、私はそのように思っておりますので、たたき台ができるところから、たたき台を作るところから参加をすることによって余計更に気持ちの入り方も違ってくるということを私は申し添えさせていただきたいと思います。  それで、今の言葉で、それに追加をするわけではないんですけれども、したがって、この不良債権の処理を加速させることについて、企業金融取引、実際に現場でやっている金融界が今後これに全力で邁進するというか、邁進させるというか、踏み込んでいくためには、やはり金融仲介機能の回復、そして企業再生等のこれから言われている施策に対して官民協力という形がこれは本当に不可欠ではないかなと。もちろん、金融界だけでなく、企業再生の問題につきましては、他の業界の考え方、これも取り入れなきゃいけないという部分はありますけれども、竹中大臣、これからの不良債権処理、金融庁としての金融機関との官民協力体制、これについてはどうお考えになっていらっしゃいますか。  一つ申し上げたいのは、民間がやるべきこととそれから政府がやっていく、国が後押しをしていく、そういった役割分担というのはやっぱりきちんと決めて各々にベストを尽くすというのが一丸となったプロジェクトの成功の要因ではないかなと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  31. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権処理、企業再生、そういうことの主役は、申すまでもなくこれはやはり民間部門である、これはもう大変重要なポイントであろうかと思います。実は、政府部門ができることの役割というのは、突き詰めて考えれば考えるほど、実は決してそんなに大きなものではなくて、民間部門がきっちりとワーク、作用するような枠組み、そういう仕組みをいかに作るかということにもう尽きているのだと思います。  今回、資産査定をきっちりとやってくださいと。資産査定をやるのは実は銀行なわけですね。これは銀行の自己査定に基づいてやっているわけですが、残念だけれども、金融庁が検査に入ってみると、金融庁が行う査定よりも民間の方がはるかに低いところにある。この格差を今回初めて公表させていただきました。三六%、第一巡目ではあった。しかも重要なことは、これは随分と銀行によってはばらつきがある、五〇%以上乖離しているところは十五行中五行もあった。  先ほどから、民間意見を聞くということを委員御指摘ですけれども、私、全く重要だと思いますが、実は民間部門が実にばらばらの状況になっているということを踏まえたやはり議論にしなければいけないということだと思っております。  いずれにしても、その意味では、そういった民間部門の健全な競争メカニズムが働くようにする。しかし、ある意味で今は非常に特殊な時期であると思います。であるからこそ、この問題意識を共有して、例えば企業再生に関しては官民挙げてすべての日本の総力といいますか、資源を投入してこれに当たらなければいけない。その一つの現れが産業再生機構を設立するということになったわけで、あくまでも民間が主役であるということ、官はその枠組みを提供するということ、しかし場合によっては官民挙げて再生機構のような協力体制を作っていくこと、そういうことの組合せが必要であるというふうに思っております。
  32. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。本当に再生機構というのが大きなかぎを握っている、そのように思います。  それで、今、竹中大臣の御発言をいただいたんですが、私は今までの金融界の対応を見ておりまして、金融界がこの不良債権の処理、これを民間だけでということでなくて、国としてこれをとにかく前進させなければいけないといったようなプランを提言したということを余り聞いたことがないんです。それはなぜかというと、やはり先ほど一番最初に申し上げたような、従来の体制をそのまま引きずっているんではないかなと思います。金融機関自身、生き残りを懸ける、もちろんそれは企業としての生き残りだけでなくて、日本の金融システムを支えるという大きな見地に立ったそういった意見を提言させるということは大変必要なことだと思いますので、大臣、是非現場の意見を聞いて、しかし二年後には不良債権の処理をこれを決着を付けるということをゴールを置いてそのステップを切っていっていただきたいと思います。  それからもう一つは、やはりそういった流れの中でその話が先に走ってしまったというようなところは、これは否定できないところじゃないかなと思います。特に、やはり今取引先も大変不安な状態であります。私は、この話を聞いたときにすぐに目に浮かぶのは、もう十年、二十年と長い間銀行と付き合ってきてという中小企業のおやじさんが、例えば実際バブルの影響も受けずにやってきたけれども、構造不況で返済が今までどおりできなくなってきた。そんな中で、例えば五年で返済するところを、じゃもう少し延ばしてほしいといって延ばした場合にそれが不良債権となってしまうというふうなところは、これからの企業再生という意味からおいて、やはり現場を知っている人間でなければなかなか判断が付かないんではないかなという気持ちがいたします。私自身意見としては、その企業再生、これはいわゆる整理統合、これをだれが決められるんだといったら、これは民間が決めていく話ではないかなと、そのように思っているわけであります。  それで、今そこでその企業再生という問題になりますけれども、昨年、RCC、整理回収機構を強化するという形の体制を作りまして、今回それが発展して再生機構、これを作るという形になったわけです。私の理解では、そのRCCの再生という機能を、やはりこの再生が大事だということで国家プロジェクトとして分離したというふうに理解をしておりますが、今日、谷垣大臣にお越しをいただいておりますので、そういった考え方で間違いないでしょうか。あるいは、違っていたら教えていただきたいと思います。
  33. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) いわゆるRCCにつきましては、今、山下委員がおっしゃいましたように、昨年機能を拡充して、そして、ともすればあそこへ送られるともう死亡宣告だというようなイメージもあるんですが、実際にあそこがやっていることを見ますと、かなり再生の努力をして、数はまだ私正確に覚えておりませんが、七、八十再生させたということもございます。そういうことは、やっぱり私は今の日本の経済状態において大事にしなきゃいけないと思っております。  それで、これから作ります産業再生機構もそういった流れの中にあることは委員のおっしゃるとおりでございまして、もう少し強化したものを作りたいと、こう思っているわけでありますけれども。しかし、産業再生機構とRCCが、もうRCCはそういうのは、そういう産業再生の機能はもう全部引き揚げていただいて我々の方に持ってくる、全部持ってくるというようなことは考えているわけではありません。やはりお互いに切磋琢磨して、それぞれの良いところは、何というんでしょうか、お互いに補完し合うような、そういう関係のものを作っていきたいというふうに考えております。
  34. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございました。  今、谷垣大臣にお聞きしたのも、こういう形で再生の問題について今後RCCとこの再生機構という二つの部分が出てくると。しかも、今言われているのは、メーンバンクとそれからそれ以外の銀行の不良債権、メーンバンク以外の不良債権を再生機構で全部買い取って、これについてどっちへ振り分けるか決めるという形になっているわけですね。  そうしますと、じゃ今度、RCCというのは、これは金融庁の関係という形になってくると、そこの連携というんですかね、これは非常に大事。大事というか、むしろ切磋琢磨してというのはいいんですけれども、それがお互いに足を引っ張ってしまうというようなことはゆめゆめないように、これは私も一生懸命考えて努力をさせていただきたいと思いますし、それについての御指導をお願いしたいと思っているところなんです。  そこで、今日たまたまちょっと昼のニュースを見ておりましたら、これはまた出てきた話なんですけれども、メガバンクの一つが、子会社を作って、そしてそこに不良債権、要注意債権等を分離をする、そこに移し替えるというようなことを報道をいたしておりました。内容については、細かい内容は分かっておりませんけれども、元々この不良債権の議論で、やはり国民から一番批判といいますか焦点になっているのが、やはり貸し渋り、貸しはがしということに対する批判であったかと思います。  それに対するいろいろな対応を今まで考えてきたんですけれども、言ってみれば、これまでの銀行間との議論の中で、どうしてもこのBISというか国際決済基準、これの八%というのが独り歩きをしているというふうに私は思えてならないんです。自己資本比率という話が盛んに流れます。だけれども、実際にその自己資本比率、確かにそれが銀行の健全性ということはありますけれども、資金を借りたい、取引をしたいと思っている顧客にとって、その相手銀行が自己資本比率が八%あるかないかということは大きな問題ではないと。  八%というのはあくまでも国際決済基準の自己資本比率ですから、実際には四%という、国内で特化するということであれば四%ということも言われているわけなんですけれども、今回、その八%が独り歩きをしているというふうな状況について、竹中大臣の御意見をお聞きしたいんですが。
  35. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) BISの基準というのは、現実問題として、やはり非常に大きな意味合いをこの社会でもう既に持っているというのは御指摘のとおりだと思います。  ただ、現実に、じゃこれを否定できるかというと、これは銀行業務というのは結局のところマネーという非常に単一の商品を扱っている非常に特殊な産業であって、かつ瞬時にこの付け替え、動きがあるということで、結局のところ非常に大きな世界のネットワークの中で仕事をせざるを得ない状況になっている。こちらが安心して付き合っていると思っていたところが外国の金融機関と関係していて、その外国の金融機関が非常に危ない状況になったら結局我々も影響を受けてしまう。  ですから、この八%基準というのは、確かに日本を縛る基準であると同時に、我々が世界の中で安心して行動できる基準にもなっていると、これがやはりその意味合いだと思います。その意味では、この基準は基準としてしっかりと受け入れて守っていかざるを得ないという問題だと思います。  むしろ、委員御指摘の貸し渋り、貸しはがしといったような問題は、むしろ銀行の行動において、収益性の低いところに何か貸し込んでいるのではないのか、その分ちゃんとやっている中小企業にお金を貸してくれないのではないだろうかと、そういうむしろ銀行経営のこれはガバナンス、そんなことをちゃんとした銀行ならやるはずがないわけでありますけれども、そのガバナンスの方にむしろ問題があるんであって、そういう視点から金融再生プログラムでは、資産査定の強化、ガバナンスの強化というのを重視して、全体として銀行部門がうまく機能して企業を支えるような状況を実現したいというふうに思っているところです。
  36. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  今の大臣の御説明、確かに、今銀行が貸そうと思っても、なかなか貸せる先はリスクが取りにくい。しかも、一番の問題になっているのは、そういった危ないといいますか、やはりこれからどうなるか分からないと、だけれども、今、資金需要があるところにじゃ貸そうとした場合には担保という問題があります。  担保といいますと、やはり土地と、不動産ということが従来から日本では主になっているんですが、どうにもこの資産デフレが止まらない、担保価値がどんどんどんどん減少していってしまうと。そうすると、やはりその引き当て力が弱まってしまう。そういったことを考えると、どうしてもなかなか貸すという行動にまで民間の金融機関が出ていけないと。それを補完するのがやはり政府系であるという理解をしております。  政府系が直接貸すという発想ではなくて、民間とやはりリスクをシェアすると。例えば債務保証とか、そういった形でこれだけ金融を緩和してとにかく市中にお金が回るように努力をしているわけですから、それを民間の金融機関を経由して出せる方法がないだろうかということも一つ大きな考えるポイントではないかなと私は思っているわけであります。  そこで、竹中大臣、もう一点お聞きをしたいんですが、先ほど、ハードランディング、ソフトランディングと、いやそうではない、グッドランディングだという御回答をいただいたんですけれども、今、デフレ対策とこの不良債権の処理、これをどういう順番で進めていくかというのがこれが大変重要なポイントだと思うんです。  最近を見ておりますと、どうもこのデフレ対策よりも不良債権処理の方だけが先行しているように報道もされますし、これは、言ってみれば、雇用に対しても大変な悪影響を及ぼす、デフレ圧力を加える以外の何物でもないというふうに思うんですけれども、今、大臣が工程表をお作りになっていらっしゃるというお話です。その工程表についても、工程表を作るといったお話があるだけで、工程表の中身はどうなるんだろうか、それが取引先にとってどうなんだろうかという、やはり疑心暗鬼というものも出てまいります。  実際、大臣が金融担当相としてこの不良債権の処理問題についてのいろいろなスケジュールであるとかやり方を決めていく中で、デフレ対策というものをにらみながら、実際に効果のあるように、デフレ対策が効果が出てくるそのタイミングというのも十分に見ながらの工程表の作成であってほしいと、私はそう思っておるんですけれども、この資産デフレをまず止めることが今一番大事な話であって、そこから不良債権処理が進むというふうに私は思っているんですけれども、大臣、お考えいかがですか。
  37. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) デフレの議論はこの予算委員会でも随分といろいろとさせていただいたというふうに思います。  重要な点は、金融が先行して、金融対策が先行してデフレ対策が後れているのではないかという御指摘だと思いますが、私はむしろそうではない形で議論が進んできたと思っております。デフレ克服の基本的な王道というのはやはり経済を活性化させることである、経済を活性化させるためにどうするかということで、骨太第二弾始めずっと議論をしてきました。その中で、実はともすれば金融、不良債権問題の処理がむしろ相対的には後れていたのではないか、それを加速させる必要があるということで今回の総理の御指示になっているわけです。その意味で、私は、むしろ金融の方が少し追い付いたというのが現状なのだと思います。  重要な点は、しかしデフレ対策との相互性といいますか、相互補完性というのはこれは大変重要でありまして、デフレのしかし原因となると、これもうたくさんある。需要も付けなければいけないし、しかし中国の存在のような供給側の問題、なかなかもう避けて通れない問題もある。しかし、基本的な問題としてはやはりマネーが増えないという金融の問題である。だから、デフレを克服するためにも不良債権を処理してマネーが増えるような状況を作らなければいけないという極めて複雑な相互依存の関係にある、だからこれを一体的に進めようとしているというのが今回の総合対応策であり、それに予算的裏付けを付けるプログラムを作るようにという御指示が先週金曜日に総理からあったわけであります。  一つ、工程表のお話がありましたけれども、この工程表というのは少しマスコミ等々で誤解されている節があるんですが、例えば金融再生プログラムに、新しいこういう評価の基準を設けるということを再生プログラムで書いてあります。じゃ、これをどうするんだと。そのためには、公認会計士協会にいろいろ基準を検討してもらわなければいけないと。その公認会計士協会にいつ検討をお願いして、いつまでに出していただく、そういうものが工程表でありますので、ある意味で再生プログラムをどのように実現していくかという事務的な作業のスケジュールである、そういうものであるというふうにこれは御理解をいただきたいと思います。
  38. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  今、大臣、事務的なというふうにおっしゃいましたけれども、その事務的なところが大変気になっているというのが業界であり、かつ一般の取引先、中小企業であるということを十分御認識をいただきたいと、そのように思っています。  先ほど来の話をずっと通して申し上げさせていただきたいのは、やはりマーケットが風評によって動く、そして企業を殺してしまう、これがやはり事実としてあるわけであります。これに対する配慮、これは大変重要ではないかなと私は思っております。風評によって金融機関のみならず、その取引先の企業に至るまで信用不安が起きるというようなことに対する影響力、これは大変大きいものがありますので、その辺のところの危険性について大臣のお考え、そしてそれに対する対応策があればお聞かせください。
  39. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 株式市場を中心にやはりマーケットが非常に不安定な動きをしているという厳しい現実があると思います。特に、特定の銘柄がストップ安になったと思ったらストップ高になったり、その意味で風評のリスクへの対応として我々がしっかりと対応していかなければいけない問題は多いと思います。何よりもやはり金融システムの安定を図ることが最大の風評の防止でありますので、金融再生プログラムをしっかりとしていくということ、それに加えて証券取引等監視委員会においては、これは日常的に監視を行っていることでありますので、これに違反する行為に対してはもう是非とも厳正に対処していただきたい。現実にそのように対処しているものというふうに認識をしております。
  40. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  この風評については、やはり我々が万全を期すという気持ちで対応していかなきゃいけない。先ほどのデフレ対策とそれから金融機関の不良債権処理、これをどうやって進めるかということについても、大変世間一般関心を持っている話でございますので、対応に十分気を付けていきたい、またお願いを申し上げたいと思います。  最後になりますけれども、この不良債権処理を加速させることによって、やはり失業者という問題、これは大変大きい問題です。具体的な数字というものが独り歩きをするというのは大変怖いというふうに私は思っております。  しかしながら、これを加速させるについてはやはりセーフティーネット、これをきっちりとやっていかなきゃいけないと思っておりますけれども、金融庁とそれから厚生労働省、ここら辺の連携も緊密に取りながらやらなきゃいけない問題であろうと思います。坂口大臣に、その辺の対応につきまして御所見をお聞かせください。
  41. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今御指摘をいただきましたように、不良債権処理が行われましたときに、それに対します雇用の問題が大変重要になってくることは御指摘のとおりでございます。  したがいまして、現在の予算の中で前倒しできるものは前倒しをし、そして対応ができるものは対応したいというので、一つは今もう既に発表をさせていただいているところでございます。そして、補正予算のお話をいただきまして、この補正予算の中でどのようにしていくかという問題をそれにプラスさせていただきたいというふうに思っております。  時間がございませんから細かなことは申し上げませんが、その中で、できる限りきめ細やかにそれぞれの雇用の必要な人に対応をしていく、そしてまた、それだけではなくて、失業をした人に対しまして、さらに企業に対しましての支援も行っていく、あるいは交付金等につきまして、いわゆる特別交付金等につきましても既にもう市町村にお渡しをしてございますが、前倒しでそれらを使用していく、これらのことを行いたいと思っております。
  42. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で木村仁君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  43. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、円より子君の質疑を行います。円より子君。
  44. 円より子

    ○円より子君 民主党の円より子です。  今日は国民の皆様に、五十分の質疑時間を有効に使うため、是非訴えたいことがございます。それは、小泉内閣のままでは失われた十年が衰亡の百年になるということ、それから、資産デフレの恐ろしさをしっかりと国民の皆さんに認識してもらい、そして失われた十年を復活の十年にするための質疑を私はしたいと思っております。  この八月下旬、アメリカ国務省の幹部の間で一つのレポートが大変な注目を集めました。これは、小泉政権は末期に近付いていると書かれた日本の政治状況を分析したレポートでございました。  日本は欧米メディアに極東のアルゼンチンになりかねないと言われておりますが、そもそも失われた十年とは、対外債務負担と低成長が続いた八〇年代の中南米を指した言葉でございます。  小泉内閣が、もし橋本改革の轍を踏み、ストップ・アンド・ゴーを地でいく揺り戻しが起きれば、日本経済もアルゼンチンのように数十年から百年の衰亡の道をたどることは明らかでございます。政治と行政は抜本的な打開策を打ち出すことで生じるコストの大きさに今までおびえ続け、国民に本当のことを言ってこなかったんです。そして、デフレ不良債権の悪循環に陥ることを今まで一切食い止めることができませんでした。  総理、あなたはこのままずるずると倒産や失業、自殺者を出し続けるおつもりなんでしょうか。人々がまじめに働いた預金も何もすべてを失わせ続けていいんでしょうか。  私は、ここで復活の十年への道筋を付けたいと思っております。  小泉総理がおっしゃる方向は、一般論では、一般的な面では正当ですが、今の段階では全く間違っていると私は思っております。失われた十年から復活の十年へするためには、もちろん金融と産業の一体再生に尽きるんですけれども、その現実的な処方は金融と産業の一体再生でございますけれども、そのためにはまずデフレ克服なくして改革なく、不良債権の処理を終わらずして産業再生はあり得ない、また司令塔なくして日本の復活なしという、こういう手順で具体的に復活の十年に私は本気でつなげていきたいと思っております。  ところが、今国民は大変不幸でございます。経済のことは全く分からぬ、丸投げをなさる総理を司令塔としている、つまり司令塔がいないに等しいからだと私は思っております。(発言する者あり)いろいろ外野がうるさいのは多分私の指摘が当たっているからではないかと思いますけれども。  さて、今国民はなぜ働いても働いても失業や倒産、自殺を余儀なくされているんでしょうか。高校を出た子供たちが就職もできないで将来設計を立てられないでいるのか。それは、先ほどからいろいろ質問、答弁なさっておりますけれども、実は大きなことを今まで皆さん理解していらっしゃらないからだと思うんですね。それは、バブル崩壊による莫大なストックの喪失、この喪失が企業や家計の経済活動に多大な影響を及ぼしているからなんです。このことにいつも目をそらしているから、補正がどうの減税がどうのという小手先のことだけで終始なさって、政策の強化だとか転換だとか、そんなことはどうでもいいことなんですよ。  実はこの……(発言する者あり)どうでもいいことといいますのは、びほう策で、もっと大事なことをしなきゃいけないということを申し上げているんですが。  まず総理、株式と不動産を合わせた国富というものがピークのときから今日までどのくらい喪失したか、御存じでしょうか。大変大事なことですからお答えくださいますか。  総理、お答えにならなければ、こういうことはとても大事なことですから是非存じていただきたかったんですが、私、御説明させていただきますね。(図表掲示)  国富というのもいろんな評価がありますけれども、一応実質的な評価としまして株と不動産について申し上げたいと思います。この一番上の青い部分は有形固定資産、それから土地・森林、また対外純資産、また株式、こういったものを国富と言っているんですが、今私が申し上げます株と土地に関してはこの赤い点線の部分でございますけれども、実は一九八九年末が株のピークでした。このときの時価評価額が九百十兆円。それが二〇〇一年末には三百十兆円、直近の先週十一月二十二日は何と二百四十六兆にまで下がっているわけですね。土地の場合は、一九九〇年、ちょっと一年ずれるんですが、ピークが二千四百二十兆でした。それが、今や千四百五十兆に下がり、どちらも、株の方は六百兆、そして土地の方は九百七十兆も下がっているわけですね。これは、両方合わせますと千五百七十兆も減っておりまして、実に国富の四七%がバブル崩壊で吹っ飛んだことになります。  この減少率は、例えば太平洋戦争での被害が当時の物価で六百四十億、国富の減少率が二五%であったことに比べてもはるかに大きくて、例えば今直近のGDP五百兆ですけれども、皆さんこんな何兆、何千兆という話をしてもお分かりにならないと思いますけれども、これを分かりやすく申し上げますと、例えば年収五百万円のサラリーマンが住宅資金にとためました千五百七十万円のとらの子が灰じんに帰したと同じことなんですね。これだけの国富が喪失したことが企業や家計の経済活動に多大な影響を与えている、このことをしっかりと国民認識してもらうこと、これが私は実は一番の課題なのではないかと思っております。  それで、このことを総理は十分認識しておられるんでしょうか。この穴を埋めるためにどうするのかということがあるんですが、総理が取っていらっしゃるデフレ経済政策というのは、この資産デフレがますますひどくなって国富の喪失が拡大することになるんです。  ところが、先週、私出ておりました財政金融委員会で別の委員質問したんですが、そのとき、この危機認識が余りにも甘いんじゃないかと思われる答弁がございました、塩川さんですけれども。今のデフレなんてリッチなデフレですとおっしゃったんですね。総理も同じ認識でいらっしゃいますか。そして、ストックの目減りの恐ろしさを全く自覚していらっしゃらないんでしょうか。
  45. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私はリッチなデフレと言いました。しかし、外国から見ましたら、こう言っていますよ。日本の外貨準備高はもう四千億ドルになってくる。どんどん毎年二百数十億ドル増えていっておる。それだけ日本の潜在経済力は強いんだということが一つ。それから、個人金融資産にいたしましても、五年間の間に二百四十兆円増えておる。そして現在一千四百四十兆円ある。これを見て、やはり日本人の貯蓄性向というよりも金融資産の増加がある。  そしてさらに、もっと外国が見ておりますのは、為替相場から見ますところの購買力平価換算率からいいまして、本当は百五十円から百六十円ぐらいであるべきであると、計算上。それが百二十円で耐えられておる国ということは、これはやっぱりそれだけの力がある強い国だということを言っておる。  そういたしますと、国内でいろいろと問題はございますけれども、さっきおっしゃったのは、正にバブルがはじけたんでしょう。バブルの話を国富だ国富だと言ったって、これは土地なんというのは架空の数字だったんですよ。これに酔うておったんですから、その酔うておったものが目が覚めたら酔いがさめたということなんでございまして、そこをどうするかと。  我々が今一番問題として考えなきゃならないのは、失業が増えてきておって、言わば就職の機会が少ない、このことが経済の活性化に非常にマイナスになっておる。だから、経済構造転換して雇用を増やすということが最大の経済政策であるということであって、国富がどうのこうのという、こんな架空の数字を触ってみて嘆いてみても何にもならないということであります。
  46. 円より子

    ○円より子君 千四百兆以上の個人金融資産が失われていることは後で御説明いたします。  それで、全く今も今の危機認識が甘いことがよく分かりましたけれども、また総理もお答えになりませんし。  政府と日銀が失われた十年といえども何もしてこなかったわけではないことは私はよく知っております。まず、金融政策として金融緩和をどんどんなさいましたけれども、日銀総裁もじゃぶじゃぶ資金を供給したとおっしゃっていますけれども、通常──三枚目のこれを出してくださいますか。(図表掲示)こういうメカニズムでマネタリーベースが増えますと、当然、銀行の融資活動に伴うマネーサプライの拡大があって、そして経済活動の活発化という形になるんですが、現実には穴の空いたバケツに水を注いだ状態で、このメカニズムが全く機能してこなかったんです。銀行破綻は防いだけれども、中小企業の資金繰りは解決が全くできていないという状況です。  ですから、今までの金融政策というのは違っていたということなんですが、日銀総裁、いかが思われますか。
  47. 速水優

    参考人速水優君) お答えいたします。  私ども、一九九二年ぐらいからバブルはじけに対する金融の緩和を始めまして、九五年にはもう公定歩合を〇・五%まで下げ、そこから先、更に下げて、二年前でございますか、金利でなくてもう量的緩和でいこうということで、日本銀行の当座預金を指標にして、今十五兆から二十兆円まで銀行が手元の資金を日銀当座預金に置くというふうなことに変わってきております。  今、短期金融市場は十分資金が回っておりまして、じゃぶじゃぶといったような品のない言葉は余り使いたくありませんけれども、文字どおりそうじゃないかと思います。その金が銀行に回って銀行が企業に金を貸すといったようなところにまだ、銀行の持つべき金融仲介機能というのがうまく働いていないと言わざるを得ないんですね。  それで、そこのところを今いろいろ構造改革の中で不良貸出しの償却を早くしていくというようなことがようやく動き始めております。これが動き始めると銀行は、民間需要も出てくるし、銀行も貸出しを増やしていくことができるんではないかと、そのことを期待しながら私どもは十分な資金を供給してきたというふうに考えております。
  48. 円より子

    ○円より子君 もう一つ、金融政策じゃなくて、財政政策の方では総額百三十兆円にも達する財政出動政府は行ってきました。しかし、それも一時的な景気下支えにとどまり、持続的な拡大をもたらせなかったんです。  それはなぜか。それは、もちろん財政配分の効率性の低下、よく総理がおっしゃる無駄な道路や橋を造ったり、人の入らないテーマパークや公共施設を造り続けたりしてきましたからですが、でもそれは資産デフレの怖さを認識せず現状を直視しなかった自民党政権の失敗が原因なんです。この責任は大変大きいんですが、でも先ほどから私が言っておりますバブルの時価と簿価の話を、先ほど塩川さん、ちょっとなさっておりましたけれども、なぜこの金融政策財政政策も機能してこなかったのか、そして金融システムが安定せず産業再生にほど遠いのか、それは、我が国独自の土地担保融資のメカニズムで信用創造をしてきたことや、それから間接金融主体で来たことが大いに関係しているわけですね。  日本の高度成長を支えた信用創造のシステムである不動産担保融資のメカニズムが反転したわけですよ、バブルの崩壊によって。それまでは右肩上がりですから、これでうまくいっていたし、何かちょっと景気がもし悪くなったとしても金融政策財政政策、今までどおりにやってくればよかったんですが、ここで反転したことによって、バブルの崩壊後は、これが機能するどころか信用収縮を加速する役割を果たし始めたんです。ここをしっかり認識しないと、私はこの大きな国富、千五百兆以上の国富が失われたことが全く穴埋めができないと思うんですね。  例えば、そごうなどもどんどんどんどん駅前にお店を立地して、それを担保にまた借金をして、一時期はそういうことがすごく、ダイエーもそうですが、もてはやされたんですよ。でも、今、それはバブルの崩壊後、そういうのが全部駄目になって、さっきおっしゃったように簿価で担保を出している中小企業までもが時価で融資ということになりますと、貸しはがしや貸し渋りというものが起きて、みんなその時価と簿価のギャップで悩んでいるわけですよ。ここをきちんともう一度やらない限りは、この国の再生はないんですね。  そのことは不動産担保融資の脱却という形で、実際の銀行の融資は担保が目減りして与信リスクが高まる分だけ事業利益よりも担保不動産を重視せざるを得ないという状況になってきましたから、事業利益を元手に融資しようにも、バブル崩壊後の長期不況で企業の収益力は低下し続けて、そして融資ができないという状況になったわけですね。収益力が乏しく不動産担保融資で経営を切り盛りしてきた企業に対して事業利益に基づく融資を増やせといっても、それはもう無理な相談なんです。  この数年間、中小企業は銀行の貸し渋りに遭い、倒産しなくてもいい企業まで倒産を余儀なくされてきましたが、こういうときは、塩川さん、よく分かっていらっしゃるなら、大臣、土地の担保をもうこの何年間ぐらいは時価ではなくて簿価で行うくらいで中小企業を助けるとか、それから、例えばノンバンクの貸出し促進策を検討するなんというよりも、銀行の金利を、融資金利を上げるぐらいでも、倍にしたってノンバンクなんかとは全然違うわけですから、そういう形で中小企業を救うべきなのに、全く違う方向でびほう策ばっかりやってきたと私は思います。  さて、バブル崩壊で失われた国富は、いずれだれかが埋め合わせをしなければなりません。国が税金を集めて間接的に埋めるか、企業又は家計が破綻して直接に埋めるか、二つしかないんですよ。総理、お分かりですよね。  既に、先ほど私が言いました失われた千五百兆ほどの穴は、実は毎年国内総生産、GDPからため込まれた貯蓄、つまり国民が必死でリストラをしたりいろんなことをしてため込んできた、その国内総生産からため込まれた貯蓄でかなり埋められているんです。千五百兆の中で、毎年毎年、九一年から六十兆ぐらいがそういう総生産から貯蓄に回ってきた、それで大体七百兆ぐらいがためられたということが推計できるんですが、それでもまだ八百兆も穴が開いているんですね。これが時価と簿価のギャップで、みんな苦しんでいることなんですけれども。そうしますと、税金垂れ流しとかさっきおっしゃいましたけれども、それ以前の問題で、幾ら働いても働いても、自分たちの利益にならずにあの穴を埋めてきたということになるんです、ここのフローで今埋めてきたわけですけれども。  これで、もし小泉さんがやっていらっしゃるデフレ経済政策をずっとやっていくと、少し、今、強化か転換か知りませんが、変えられたようですが、与党からの、抵抗勢力とかと言われる方々からの突き上げを受けまして。でも、今まで延々やってきた中で、総理総理になられてからでも二百十兆も株と資産が失われているわけですね、土地が。そうしますと、これから更にこの穴が拡大して国民負担がますます増えていきます。これをどうするかという問題を是非総理の口から言っていただきたいんですが。
  49. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この、今、円議員が示されました「デフレ克服なくして構造改革なく」ということ、これは、構造改革なくしてデフレ克服もないんです。間違えちゃ困る。「不良債権処理終わらずして産業再生なく」、まあ、これはそうだな、これは否定しない。「司令塔なくして日本の復活なし」、私なんというのは、改革なくして成長なし路線を変えないから、小泉はヒトラーじゃないか、独裁者じゃないかなんて批判されているぐらいですよ。司令塔は、改革なし成長なしの小泉内閣路線の司令塔は全く変わっていない。  ただ、私が注意しているのは、独断専行を私も排さなきゃならない。各大臣、有能な大臣そろっていますから、任せるべきところは大臣に任せなきゃいかぬ、余り小さなことまで口出ししちゃいかぬということを心掛けている。  そういう面におきまして、今言った資産デフレ等の問題において、むしろ十年前の土地の高価格、この方が異常だったんですよ。それは、日本の国内の面積はアメリカのカリフォルニア一州よりも小さいのにもかかわらず、当時、全米五十州のアメリカの土地の価格よりも日本の土地の価格が高かったんですよ。今考えてみれば、この方がよっぽど異常だった。当時、新聞をよく見てくださいよ。土地価格、下げろ下げろの大合唱。まあ、過ぎたるは及ばざるがごとしということがあるから、今、ちょっと下がり過ぎだということで、もっと上げろ上げろという声が出ていますけれども。  むしろ私は、これからのデフレにしてもあるいは景気にしても、行財政改革、あるいは金融システムの健全化を目指した金融改革、そして税制改革、規制が強過ぎるんじゃないかと規制改革、今の歳出構造、無駄なところに行っているんじゃないかと、この見直しをしなきゃいかぬという歳出改革。この改革を進めることによってしか日本のデフレ景気回復もあり得ない。だから、改革なくして成長なし路線は全く変わらないんです。この「デフレ克服なくして構造改革なく」、改革なくしてデフレ克服もないんですよ。  そのために、今、私は、税収も落ち込んできた、あるいは不良債権処理を進めなきゃいかぬということは大方の見方でしょう。まあ、一部においては不良債権処理は進めるなと言っている声もあるけれども、しかし、そういう中で、改革の痛みを和らげるために補正予算を組んだんですよ、雇用対策しようと、中小企業対策をしようと。  改革なくして成長なし路線は全く変わらない。これを進めていかない限り、今の痛みばっかりは嫌だから後にツケを回せということを貫いていたら、デフレ克服もあり得ない、持続的な回復もあり得ない。改革なくして成長なし路線は全く変わらない。
  50. 円より子

    ○円より子君 大変残念でございます。  バブルを引き起こしたのも人為的ですし、それを崩壊させたのも人為的であって、その間に簿価と時価のギャップが生じていて、そのことでみんな苦しんでいる。簿価と時価のことをお分かりになっていないみたいですね。  それから、司令塔というのは、改革なくして成長なしの司令塔では駄目だとさっきから申し上げているんです。だれも、私はそれを変えたかどうかなんて聞いておりません。復活の十年の司令塔がないということを申し上げているだけです。  さて、ここでお話ししたいのは、直近の家計、企業、政府、金融機関の合計、つまり日本の金融資産は幾らぐらいあるんでしょうか。竹中大臣、お分かりになりますでしょうか、それとも日銀総裁でしょうか。
  51. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと、済みません、急に数字を聞かれましたので、家計の千四百兆という数字は頭へ入っておりますんですが、あとのバランスシートの数字はちょっと。必要でありましたら調べます。
  52. 円より子

    ○円より子君 資料請求しておりましたので、バランスシートのことですが、お分かりかと思いましたが、まあ日本の政府がお出しになるバランスシートは、いろいろどう見ても難しくて、もっと簡単に専門家が書いてくださったものがありますのでちょっと読ませていただきますと、今おっしゃったとおり、個人資産は千四百兆以上あるんですが、そこでもローン等の負債がございまして、四百四十四兆ほどあって、残高はおよそ千兆でございます。そして、企業の資産といいますのは、金融を除きますが七百二十四兆、負債が千三百十三兆ですから、マイナス、負債の方が五百八十九兆多いわけですね。これ、二〇〇二年三月末のことでございます。それから、政府資産は四百四十九兆で、これも負債の方が七百十二兆で、残高二百六十三兆のマイナス。金融法人は二千五百八十九兆の資産に対し負債は二千七百十兆で、これもまた百二十一兆円のマイナス。  これを考えますと、いかに個人の金融資産しか残っていないということが分かるんですけれども、実はここで、新聞を読んでいないのかとか、いろいろさっき小泉さんはおっしゃいましたが、私、九年前に国会議員になりましてから、ちょうどそのときは細川さんが総理だったんですが、十年前に細川さんの官邸の方に、金融危機が大変だということで、金融システムが崩壊しそうだということで持っていったペーパーがあるんですけれども、それは、今、正に十年後の今だって同じことなんですね。それ以来ずっと、私は憲法十三条の国民の命と財産を守ることにきゅうきゅうとするために、きゅうきゅうと言うとおかしいですね、そのために、守るために、経済、金融のことをずっと勉強してきましたし、新聞を読まないなんということはございません。  そこで、二〇〇一年十月三十一日、総理も朝日新聞の宮澤さんのインタビューを御存じだと思います。今、読ませていただきますが、宮澤総理がこうおっしゃっているんですね。このときは大蔵大臣でいらしたでしょうか。あ、もうお辞めになっていますね。「日本の経済は最低の状況です。終戦のとき、政府は軍が持っていた債務を棒引きし、新勘定、旧勘定をつくった。今回も国も関与して、引きずってきた古いものを切り捨てなきゃいけないだろうなあ。」とおっしゃっている。「我々には千何百兆円という国民資産があるから、できると思うんですよ」とおっしゃっているんですね。  さっき、私は、バブルで空いた千五百兆の穴をフローで今まで日本人が九一年から営々として働いて半分近くは埋めてきたということを申しましたが、ここでは国民の金融、個人金融資産、つまりストックで埋めれば済むじゃないかとおっしゃっているわけですよ。これは大変なことなんですよ、皆さん。皆さんがためていたと思われている千四百兆はチャラにされるということと等しいインタビューなんですね。  そして、このじゃ千四百兆が、今実は、さっき塩川大臣もこれだけあるからこんなに強い国はないとおっしゃいましたけれども、これは実は経済の仕組みお分かりになっていれば、この千五百兆円以上の国富の喪失が貯金の向こう側で運用されている企業や土地の価値の減少という形を取っていること、そしてそれが個人の金融、個人金融資産をむしばんできていることぐらいお分かりだと思うんですよね。もうそれしか、そしてこの個人が持っている千四百兆でしかこの国富の穴埋めを埋める手だてはないと宮澤さんおっしゃっているんですね。  これで、何ですか、二〇〇四年で新円切替えを機にこの国富の穴埋めをするつもりということがちまたで言われていますし、どうもそのようなんですが、これは突然国民に、今これだけの資産が目減りしていることを一切言わずに突然預金封鎖するおつもりなんでしょうか。昭和二十一年の金融緊急措置令をおやりになるつもりなんですか。
  53. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと塩川大臣に対する御質問の部分もあったと思いますが、マクロの全体の話については私の方からちょっと答えさせていただきたいんですが、先ほどから円委員がおっしゃっていることは、そのバランスシート調整が大変難しい、大変だという点ではよく理解できるんですが、その先のロジックというのはちょっと正直言って理解できないところがたくさんございます。  まず、千五百兆ロスがあったと。これは今回の白書でも分析しておりますが、ちょっと時間が違いますので、九〇年代の十年間に限ると千百兆のロス、同じように大きなロスがあります。ところが、その前の五年間で、これは正にバブルの中で千九百兆のキャピタルゲインがこの国で発生しております。これは正に塩川大臣言われたように幻、正にそれだからバブルであった。それが千九百兆ゲインしたと思って酔っていたけれども、結局千百兆下がったと。  重要なことは、円委員は第二次世界大戦のときとも比較されましたが、あのときは我々が持っている輸送船がなくなり、工場が焼けてしまってその資産のフィジカルなロスというのがあったわけでありますけれども、今回はそのフィジカルなロス、例えば領土が狭くなったとかいうそういうことではないわけで、その前のキャピタルゲイン千九百兆があったという意味では、私はこれは十分に負担可能なのだというふうに思っています。  もちろん、困難はあります。それはロスを、ゲインを得た経済主体とロスを得た経済主体が違っていますので、例えば普通のサラリーマンであのときに家を買って大変なローンを負ってしまった。この人たちはその前に多分ゲインを得ていませんから大変苦しいと。同じことは多分銀行の一部にも言えるのだと思います。その意味で、やはり我々は解決すべき重要な大きな問題を持っているわけでありますが、かといって、それを直ちに我々はこの何年間の間、国民のフローとおっしゃいましたけれども、フローというのは正に我々の所得ですから、稼いだ所得からそれを持っていったという部分はそんなに大きくないと思います。株価が目減りしたという面では、これはストックの調整でありますから、フローの調整ではありません。  あえてフローの調整を行ってきた部分はどこかと考えると、これ実は銀行部門だと思います。得たフローの所得、利益を、業務純益を不良債権の処理に充ててきたわけでありますから、銀行がそのフローを充ててきたという面はありますが、家計がこれに対して非常に大きな負担をしたということでは必ずしもなくて、これは正に、今非常に大きな問題に対して粛々と、やはり時間は掛かりますけれども、このバランスシートの調整をしていかなければいけない、そういうプロセスにあると思います。
  54. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 円さんから重大な質問があった。突然預金を封鎖するというようなことはあるんでしょうかというお話でしたですね。そんなことはもう絶対、何か今お話聞いていましたら、円さんはいろんな本を余り勉強し過ぎて、ひょっとこう振っておられるんじゃないかなと思いますね。そんなことはもう全然政府考えておりませんから。
  55. 円より子

    ○円より子君 私もそんな預金封鎖なんかならないようにしたいと思って今質問をしているわけですが、いろんなところにそういった兆候が見えます。是非ともそういうふうにしたくないんですね。でも、今までストックのことに関してほとんどそこに焦点を当ててこの問題を考えてくださっている方はいないし、先ほども竹中さんおっしゃいましたが、確かに領土を植民地政策で広げて、そしてそれがなくなったということは国民にはよく分かるんです。  でも、日本人というのは、預貯金で大体、個人金融資産千四百兆のうちの五五%が預貯金なんですね。そうすると、銀行に預けたり郵便局に預けている、そこが財投だとかいろんなものに資産運用しているんですけれども、当然、土地やそして株が下がってくればどんどんどんどんそれが目減りしているんですが、預貯金でやっているものですからリスクが見えないわけですよ。アメリカのように個人が、株ですとか、それから四〇一kの年金何とかとか運用とか、いろいろ直接金融の選択肢があればリスクがよく分かるんですが。だから、領土がなくなったわけでもなく、預金はちゃんとしているから、だれかがちゃんと運用してくれているだろうと思っているけれども、実はこれがすごく目減りをしているんです。  これは時価と簿価の論理ですから、銀行に全部千四百兆、郵便局にもその五五%があると国民は信じているんですけれども、でも一番よく知っているのは銀行なんですよ、ないんですよ、中に。だから必死で、そしてまた企業も、先ほど言いましたけれども、フローの部分でどんなに利潤を上げても、それがどんどんどんどん穴埋めに使われていきますから設備投資が全然できないんですね。だから、設備投資ができないから幾ら稼いでも産業再生になっていかないしという状況の中で、企業はどんどんその稼いだものをどうしているかというと、銀行に返しているわけです。  ですから、銀行は貸すお金がないから、さっき日銀総裁もお答えになったように、幾らマネタリーベースを増やしてもマネーサプライが拡大していかない、そんなことぐらい御存じだと思いますが。私が別に経済学部を出ていなくて、経済の専門家ではないからとおっしゃって、何か読み過ぎじゃないかなんというそういう失礼な言い方はやめていただきたいんですけれども。それこそ大事な点を全く御存じなくて、後で恥かきますよ。  そして、そうやって設備投資できない。千四百兆のお金が実はあるとみんな思って安心している。そして塩川さんも、ありますよありますよとおっしゃる、バブルがはじけてあんなの数の上だけじゃないかって。その時価と簿価のギャップでみんな今苦しんでいるんですよね。  今、銀行にはお金がないことを一番よく知っているから、ペイオフの全面解禁を一番恐れているのは銀行ですよ。だから、小泉さんだって二年そのことを言われて延期したわけでしょう。そして、もし、ないことが分かったら大変だというので、今、貸し渋りまでして信用圧縮しているんじゃないですか。どうしてそれがお分かりにならないんでしょう。私を素人扱いなさるのかしら。
  56. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のように、時価と簿価が違うと。簿価で、簿価上はあるように見えてもそれは実際に現実の価格ではないから、だからそれがマーケットに厳しい評価にも映って日本の経済が非常に不安定になっているという面があると思います。  そうした中で、しかし会計制度も徐々に御承知のように変わっているわけで、資産の評価に関しては次第に時価で評価するようになってきている。その中で、いわゆる円委員が御指摘になっておられるのは、正にバランスシートの調整というのは、言わば、言わば世間の言葉で言えば損出しをしていかざるを得ない状況、損出しをしていくわけでありますけれども、資産の評価減等々で今損出しを行っていっている。  繰り返し申し上げますけれども、そういうことを全体として行える力というのは、私は日本の経済にはあると思います。  それは二つ、あえて申し上げれば、キャピタルロスの前にキャピタルゲインがあったということと、幸いにして日本は正に付加価値を生み出す力、GDPを五百兆円生み出していく力がこの社会には十分にある。しかしながら、負担する経済主体が違うことによって、やはりここには政策的に大きな調整をしていかなければいけない。  不良債権の処理、それをいかにスムーズに行っていくかということは言わば最前線の問題であって、不良債権の処理と同時に産業再生機構等々で産業再生を行っていこうというのも、そのための新たな仕組みであるというふうに御理解を賜りたいと思います。
  57. 円より子

    ○円より子君 今年に入りまして、フローの局面では景気が回復しているとされておりますのに、企業の金融はむしろきつくなっております。日銀による短観でも、中小企業などの資金繰り判断指数は悪化したままです。間接金融と先ほども申しましたように、土地担保融資のメカニズムを変えない限り、この問題は解決しないわけですよね。だから、びほう策ではあっても、中小企業の資金繰りをとにかく今改善することが必要ですが、平沼大臣、この辺りについていかがですか、中小企業について。
  58. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  確かに、今、貸し渋りというのはもう一回厳しい状況になってきています。一番厳しかった平成十年では、我々の調査では中小企業の三五%が非常に厳しいと、こういう評価でございました。それが十二年においては一九・四まで下がってきたんですが、また今年度はそれが二五を超えるようなことになってきました。  そこで、そういう厳しい状況の中で私どもとしては、一つセーフティーネットの保証貸付け、これの条件を累次緩和してまいりまして、そして今の実績では十二万四千件、三・四兆円対応させていただいています。  しかし、これから不良債権の処理、こういうことに入ってまいりますと状況が厳しく相なりますので、そこで今国会でもお願いをいたしましたけれども、中小企業信用保険法、これを改正をさせていただきまして、三つのことをやらせていただくように相なります。  一つは、やはり金融機関がそういう形で整理あるいは合理化をする、そういうことになりますと、例えば一つの例で、店舗の統廃合なんというのが行われますと、一生懸命やっている中小企業に対する貸付けが厳しくなってまいります。そこで、セーフティーネット保証という枠をそういったところにも利用可能なように拡大をさせていただいたことが一つであります。  それからもう一つは、やはりやる気と能力のある中小企業者で、例えばRCCに債権譲渡された、こういったところの企業に対してもセーフティーネットの保証を拡大をして、そこに手当てをさせていただくということを、二つ目、させていただきました。  それから三つ目は、やっぱりこれもやる気と能力のある中小企業ですけれども、その中小企業がやはりDIPファイナンス、部分保証、こういったものを受けられるように、これも今回法律でお願いをさせていただきました。  それからもう一点は、やはり政府系金融機関というのはこの際非常に大切な機能をしておりまして、ここも、やはりこういう厳しいデフレ下にあってここの機能というものもやっぱりぴっちり対応させなければならない。こういう中で、例えば商工中金ではセーフティーネット、これの例えば保証枠を、三千万円であったのを五千万円に拡大する、こういう形で対応をさせていただき、また条件もそういう形では緩和をする。こういう形で対応させていただき、もう一つ言わせていただきますと、やはり民事再生の途上にあったり、あるいはRCCに債権譲渡をしても、やる気と能力のあるそういう中小企業に対しては政府系金融機関の融資対象にさせていただく、こういう形で我々きめ細かく対応していかなければならないと思っておりますし、また、今回大枠が決まりました補正予算においても私どもは全力を尽くしてこの中小企業の厳しい状況に対応させていただきたい、このように思っております。
  59. 円より子

    ○円より子君 中小企業の資金繰りの悪化というのは、先ほど申し上げましたように、せっかく人々が働いて得たそのキャッシュを、これは民間企業ですけれども、設備投資に回せずに強制貯蓄のような形で銀行に借金の返済をし続けているからであって、それは土地と株が下がり続けているからだということを是非しっかり国民の皆さんも知っていただきたいんですね。  資産価値の喪失と収益力の低下といいますのは、企業から銀行を経てまた財政へと転嫁されているわけです。ですから、百三十兆もの財政出動、幾らしても、でもちっともうまくいかないということになるわけですね。そして、こういう千五百兆以上の資産喪失の現実を国民に、そして千四百兆の個人金融資産すら今毀損しているということを国民の目にしっかりとさらさない限り、さらさない政策を小泉さんのように続ける限り、財政負担は膨らみ続けるんです。そして、将来の納税者の肩にずしりと掛かってくることなんですね。ですから、ここいら辺をきちんと認識するということでしか、私はもう今、日本のこの経済危機を突破する道はないんだと思っております。  それで、今、中小企業のことは平沼大臣にお聞きいたしましたが、企業再生、過剰債務企業の整理再編ということについて、谷垣大臣にお伺いしたいと思います。
  60. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 不良債権処理を進めていく過程で、よく言われますように、退場すべき企業は退場していただかなきゃならぬと、こう簡単に申しますが、しかし、そうは言いましても、そこに有用な、日本経済にとって有用な経営資源というものがあるわけですね。有用な経営資源はできるだけ生かしていくということを考えなきゃならぬだろうというふうに思います。  そうなりますと、今、過剰供給と過剰債務というものがあるわけですけれども、過剰供給というものを整理していかなければ再生できないという企業がやっぱりあるだろうと思います。そうしますと、それにつきましては、今仕組みを考えて作っている最中ですので、余り具体的なことは今日はまだお答えできないんですが、内閣総理大臣を本部長とする産業再生・雇用対策戦略本部で基本方針を作っていただいて、産業の再編も視野に入れながら進めていきたいと、こう思っております。
  61. 円より子

    ○円より子君 先ほどから様々な問題があるわけですが、当然、今現実に倒産や失業に伴う社会不安を抑えるためのセーフティーネットの拡充が大変大事だと思います。  この点につきまして坂口厚生労働大臣、お願いいたします。
  62. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 先ほど経済産業大臣からお答えございましたように、産業再生というものがしっかりそこで行われますと雇用の方にも好影響を与えることは言うまでもありません。したがいまして、経済産業大臣のところとしっかりタイアップをさせていただいて、そしてセーフティーネットを組んでいきたいというふうに思っております。  まず、現在の平成十四年度までの予算の中でできる限りのことをまず行うということで、先ほども申しましたように、一つは、特別交付金としまして既に市町村の方に十五年度、十六年度と、この分二千億円お渡しをしてあるわけでございますが、それをできる限り前倒しでお使いをいただいてもいいようにする、またその使います内容につきましても、いろいろこれ御注文もございますので、もう少し規制緩和をいたしまして、使いやすい形にさせていただきたいというふうに思っております。  そのほか、現在基金が、いろいろな基金がございますが、それを使いまして新しく起業を、起業と申しますのは起こす業ですね、その新しい業を起こすところに対しまする支援、それからいわゆる失業されました方が次に移られますときの支援、そうした問題につきましてより具体的に今お示しをしているところでございますし、あわせて、それに対しまして、次に新しい予算が組まれましたときにはその予算の中で更にこの雇用対策を充実をしていきたいというふうに思っているところでございます。
  63. 円より子

    ○円より子君 本当に今失業が増えておりますし、自殺まで増えております。是非とも現場に即した、せっかく作ってもそれが使われないというようなものでなくて、皆さんに温かく使っていただけるような、少しでも回復していくような、そうしたセーフティーネットの張り方や、また中小企業が今まで本当に日本の経済をずっと支えてきて、九七%以上が中小企業であるということを考えましても、物づくりに精を出してこられた、そういった方たちがきちんと、融資によって、資金繰りによって倒産するなんということのないように、平沼大臣や坂口大臣にはきちんとした対応をしていただきたいと思っておりますが、一つ、やっぱり不良債権を悪化させるデフレからの脱却策としては金融緩和を通じた円安誘導というようなことも考えられるかと思うんですが、先ほどOECDの購買力平価で見ると百五十円か百六十円ぐらいが適当ではないかと塩川さんもおっしゃいましたけれども、この辺り、円安誘導というといろいろ語弊があるかもしれませんが、日本の経済が立ち直れば世界経済に貢献もできるわけですが、為替について日銀総裁、何か御意見ございますでしょうか。
  64. 速水優

    参考人速水優君) デフレ脱却のために円安誘導をしてはどうかという御意見をどう思うかという御質問だと思います。  デフレ脱却のための政策として確かに円安誘導を図るべきだという議論があることは承知しております。為替相場の在り方につきまして私の立場から具体的にコメントするのは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、理論的には円安は、特に輸出面を通じて企業収益等にプラスの影響を及ぼし得ると思いますし、輸入物価の上昇を通じて物価下落を抑えるといった効果考えられます。ただ同時に、人為的な為替レートのコントロールというのはどこまで可能なのか。また、諸外国への影響などを考えますと、どういうふうに、これはやはり慎重に考える必要があると思います。  私、先ほど来お話がありましたように、日本は既に一九六〇年代、固定相場一ドル三百六十円の終わりのころに世界第二位の経済大国になっているんですね。七一年になってニクソン・ショックでフロートになったんですが、その後三十年を経て為替がどうなったかというと、円・ドルは三百六十円から今百二十二、三円と、三倍の購買力を円が持っているわけです。このことはやはり日本の実力を表わすものであって、経済は世界第二位を維持しながら通貨の方は百二十円にまで購買力が増えてきているということは、誠にこれは頼もしいことだというふうに思います。  これをやはり、こういうことがあって初めて日本の経済というのは実力は世界の中で注目もされますし、日本が存在感を発揮したり発言力を持ったりできるのは、こういった実体面の経済そしてまた通貨が強いということなんだと思うんですね。これはやはり私は維持していくべきだと思いますし、ただ、通貨が強いということは、これはアメリカの方がよく言われるんですけれども、アメリカの通貨当局の責任者が通貨の強いことは国益には反しないんだとおっしゃっていますが、私もそうだと思います。  ただ、中長期的にはそうであっていいと思いますし、ただ、もう一つ言うべきことは、ただその通貨が強いだけでなくて、円というものが、円さんと若干御縁があるようでございますけれども、円というのはやはりただ強いだけでなくて、内外で喜んで使われるものであってほしいと。何といいますか品の良さといいますか、インテグリティーという言葉を外国の中央銀行総裁は使っているんです。風格のある、品のある通貨であるべきだと、私ども発行者として、また円の安定を守っていかなきゃならない中央銀行の立場として申し上げておきたいと思います。
  65. 円より子

    ○円より子君 最後に、もう直接金融市場を通じた資金の流れを確保するための社債や資産証券化商品などの規制緩和や税制面の後押しですとか、中長期的に財政を立て直すための年金、税制の改革、そういったことも入れながら、復活の十年にするために、先ほど申し上げたような新円の切替えですとかそういったことにならないように、また国民への負担が重くならないように、何とか総力を挙げてこの失われた十年から復活の十年にしたいという思いが強くございまして私は今日の質問をさせていただきましたが、是非その失政のツケ国民すべてに背負わせる前に私は総理が退陣なさることがいいと思っておりまして、その要求を申し上げて質問を終わり、関連質疑者にお渡しいたします。
  66. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 関連質疑を許します。福山哲郎君。
  67. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。円より子委員に引き続き質問させていただきます。  私は八か月前この予算委員会鈴木宗男議員とのやり取りをやらせていただきまして、その鈴木宗男議員が残念ながら逮捕ということになりました。当たり前の話なんですが、議員としては大変残念でございます。その後、加藤紘一議員が辞職をされ、また参議院の議長であります井上裕議長も辞職をされました。  政治と金の問題というのは前国会の大変大きなテーマだったんですが、残念ながらこの国会でもまた政治と金の問題が出てきています。私は、政治の信頼が失墜をし、政治家の言葉が軽々しくなるにつれて、何を経済対策をしようが、政治家が、政治家の言葉が国民に信頼されない、いつになったら我が国のこの政治文化が変わるのかと。  私は地元でよく言われます。もういい加減にスキャンダルとかを追及するのはやめろ、野党第一党としてはそんなことばっかりやっているなと、国民の生活はもっと大変だと言っているんですが、スキャンダルをする方が悪いのか、スキャンダルを追及する方が悪いのかといえば、はるかにスキャンダルを続ける方が悪いに決まっているわけです。  そこは、我が国がずっと政治と金の問題、与党・自民党であり続けた問題について、やはりはっきりさせていかなければいけないと思いますし、この国会では実は大島農水大臣の秘書官の口利き疑惑の問題が出ています。さらには、清水達雄参議院議員がKSDと同様の問題で、党費の肩代わりという問題が出ています。また、秘書派遣という問題が出ています。また、田野瀬良太郎衆議院議員では、政策秘書給与の不正受給疑惑というのが出ています。  簡単に言えば、前国会で井上裕、加藤紘一議員が辞められ、KSD事件では村上正邦、小山孝雄議員が辞められ、そして政策秘書の問題では田中眞紀子、辻元清美、そして我が党の山本譲司議員も辞めた。同じ問題がまたこの国会でも出てきています。  そういう状況の中で、大島理森農水大臣にお伺いをいたします。(発言する者あり)資料が配られているはずですから、見てください。大島大臣、時間がありませんので、短く御答弁をいただきたいと思います。  大島大臣の問題というのは、見ていただければ分かりますように、井上議長と全く同じ構図です。八戸市立市民病院というものの受注に対して、見返りに五千五百万受け取ったという疑惑になっています。そして、それを秘書官が口利きをしたという状況になっています。そして、この受注企業の中には空調企業といういわゆる宮城の会というところの代表者の会社があります。  そこで、大臣にお伺いをいたします。  この宮城の会の代表である宮部和夫氏が実質的にオーナーであります空調企業からあなたの元秘書官でありました宮内氏またその妻が顧問料若しくは社員給与を得ていたという事実があるかどうか、簡潔にお答えください。
  68. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 福山委員から御質問の通告がございましたので、そういうことがあったのか、つまり役職員として就いたことがあるのか、あるいは働いたことがあるのか、そして給与をもらったことがあるのかということを問いただしました。そういたしましたら、そういうことはありませんでしたという報告がございました。
  69. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 農水大臣、本当によろしいんですね、それで。報告があったということですか。それは、農水大臣としてそこは確認をしたので、なかったということをはっきりと国会の場で国民の皆さんの前で言われるということでよろしいんですね。
  70. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 役職員としてどうであったかという通告でございましたので、私のスタッフに会社の登記簿ですか、そういうものも調べなさいといって調べさせましたし、いわゆる役職員としてのそういうことはありませんでしたという報告を私はちょうだいして、そのことを申し上げます。
  71. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今、少し表現が変わりました。役職員として私は特定をして聞いたわけではありません。空調企業から顧問料あるいは社員給与という形でお金の、金品の授受はありましたかとお伺いをしているわけです。短めにお答えください。
  72. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 私は、先生からの御通告は役職の給与ということで伺っておりましたので、社員として勤めたかということも聞いておりました。したがって、そういうことはありませんでしたという報告をちょうだいしております。
  73. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私は、農水省の役人にはっきりと今の形で事前通告をしました。もし、そのとおりに農水省の役人が伝えていないんだとしたら、これ以上質問は続けられないんですが、委員長、いかがですか。
  74. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 役職員給与を受け取っていたのかという通告を私ちょうだいしておりまして、そういうふうな、社員も含めてですよ、社員も含めてそういうことがあったのかということを伺ったら、聞きましたら、そういうことはありませんでしたという報告をちょうだいしております。
  75. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 農水省の意向としては役職員だと限定することによって逃れようとしているんだと思いますが、私の調べたところによりますと、平成七年から平成十一年の九月まで、さくら銀行の世田谷通支店、宮内氏の妻の名義で、月々十万円、空調企業から振り込まれていたというふうに伺っておりますが、大臣いかがですか。
  76. 大島理森

    国務大臣大島理森君) そういう話を今初めて伺いましたので、改めて確かめてみたいと思います。
  77. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 衆議院の農水委員会、決算委員会での農水大臣の答弁もすべてそうなんですが、口では真摯に調査をして報告すると言いながら、事実が出てくると、新たに調査をすると言って逃げられます。そして今も、私の事前通告からは非常に曲解をした形で答弁をするということで、非常にこれはけしからぬ話だと思いますが、とにかく次へ行きたいと思います。  そして、更に申し上げますと、先ほどの図をもう一度。(図表掲示)  今、大島農水大臣は、このような形で口利きをして五千五百万円が渡ったというふうに疑惑があるんですが、この貸金庫から、実はこの宮内さんが役職をしていた西部瀝青という会社に対して五百万円の借入金がこの貸金庫から行ったということになっています。ところが、大島農水大臣は、委員会の答弁で、これは宮内さんから行ったわけではなくて、ここにいるコンサルタントのAという人から行ったというふうにずっと強弁をされています。  しかしながら、国民の皆さんに見ていただきたいものがあります。(資料を示す)  ここにその宮内秘書官あての、その西部瀝青という会社から、社長から親展で送られてきた手紙があります。これには、宮内様あてということで、親展ですからもちろん宮内さんです。そして、なおかつここには、貴殿に対しまして大変な御迷惑をおかけいたしました、また、期日までに返済できなかったことを思うとおわび申し上げます、また、借入れについては、お返事があり、御報告を申し上げますということで、宮内という大島農水大臣の秘書官あての手紙が来ています。  しかしながら、大島大臣はずっと、これは宮内氏ではなくてA氏というコンサルタントからお金が行ったものだと。そして、大島農水大臣なり宮内秘書官はお金を受け取っていないというふうに御答弁をされていますが、常識的に考えて、親展であり、手紙に貴殿と書いてあり、あなたに返済するものだと、おわびというふうに書いてあることに対して、それでもまだ農水大臣国民の前で強弁をされるおつもりですか。
  78. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 福山委員の先ほどの御質問の中で、私自身が何かお金をもらったような御発言がございました。これだけは、私はそのことに関して一切かかわったこともございませんので、改めて申し上げておきます。  さて、今の件でございますが、実は御党の筒井議員から提示を既にいただいた資料でございます。そして、その中には、ここにもございますように、その手紙と同時に、そのA氏と言われる方が西部瀝青の社長さんに五百万円を振り込んだと、この資料もございます。そして、そういう振り込み票を私も拝見し、また手紙も拝見しました。  そこで、改めて彼に対して、この振り込み、つまり西部瀝青さんに直接振り込んだのはAさんと言われる方です、それと手紙の内容と、こういうものがあるけれども、一体どういうことなんだと。もう一つは、先生、私信として来た手紙をなぜ君が持っていなくてA氏が持っているのだということも私は彼に対して問いただしました、筒井議員からそういう資料をいただきましたので。そういうことに対しまして前秘書官は、私がお願いして応援してくださいと言ったのは事実ですけれども、私自身が貸したのではございませんと、もし私が貸すということになれば、当然、この振り込みも手紙も私が取っているということが普通ではありませんかと、彼から逆に反論もいただきました。  したがいまして、私は、しかし、そういうふうなことがあっても僕は聞かれているんだと、ましてや私自身が、前秘書とはいえ、その民と民の金の貸し借り、そこにどのぐらいまで君の言うことを信ずるか信じないか問われているんだと、本当のことを言ってくれと言ったら、彼自身は、私はお願いをした、つまり応援してくださいと言ってお願いをしたことはあるけれども、自分で貸したということではございません。そういう私に対する報告でしたので、そのことを今皆さんにお答えをするしかないと思います。  参議院で初めてこの問題を取り上げられましたので、短くとはいえ、いささか経過もお話ししなきゃなりません。  その西部瀝青の社長と言われる方と宮内は学生時代からの長い友人だったそうです。その後、A氏と言われる方と引き合わせる機会があり、その後、A氏とその西部瀝青さんという方の社長さんとのお仕事もあったようです。度々、その後、その友人から何とかお金を貸してくれというお話があったそうでございますが、それは自分にはできないということで、そのA氏と言われる方に宮内がお願いした経過はある。その後、両氏から、つまりA氏と言われる方から貸したという報告と、借りたという報告を受けたということでございました。  改めて申し上げますが、その手紙もありますけれども、こういう振り込みのやはり資料もあると、そういうことから問いただし、先ほどのような報告があったことをお伝え申し上げます。
  79. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 時間がないので、余り長くは申し上げませんが、なぜA氏が振り込みを持っていたか。答えは簡単です。お金をプールしていた貸金庫の管理をA氏がされていたからです。  そして、もう一つ申し上げます。  宮内氏は西部瀝青の、先ほど大島大臣が言われたように取締役をずっと務めておられました。そして、宮内氏の妻も役員をやられている経験があります。そして、そういう認識だからこそ、親展で宮内さんにこのような形でおわびのお手紙が行っているというふうに思いますし、もう一つ申し上げますと、いわゆるA氏はこのように言っています。  振り込む前日に、宮内さんから、例の金庫から振り込んでほしいと、宮内さんが例の金庫からと言ったと。そして、例の金庫から振り込んでほしいということは、金庫の中身はあくまでも宮内さんのものだという認識だからそういう発言になるんじゃないですかと言って、A氏自身は証言をされています。  ということは、どちらを信じるかという話になりますから、ここで水掛け論をしていても仕方がありません。  この予算委員会で是非このA氏と宮内秘書官を呼んで参考人、証人喚問も含めてはっきりさせるべきではないかと思いますが、委員長いかがですか。
  80. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 後刻理事会で協議いたします。
  81. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 更に言えば、細かい話になりますが、大島大臣は議運委員長を経験されています。議運の申合せで、秘書の会社役員への就任ということに関しては大変厳しい規則になっていることも議運委員長としては御存じだと思いますし、更に言えば、宮内氏が生前贈与を受けていたということに対して贈与税を支払っていないことも大島大臣はお認めになられました。  仮にも、環境庁の長官時代の秘書官であり、特別国家公務員であった秘書が脱税をし、また、議運委員長を経験された大島大臣が重々承知をしていたはずであろう他の会社の役員への兼職をしたということに対して、大臣として責任は感じられませんか。短めにお答えください。
  82. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 委員にお答えしますが、宮内前秘書は、先ほども、したがって経過を少しお話をさせていただきますと申し上げましたのは、長い間の学生時代からの友人で、昭和六十二年から役員であったということでした。給与はもらっていなかったということでした。  そして、今、委員がお話しされたいわゆる秘書の役員の問題については、たしか平成二年の議運での言わば申合せ事項、決議になっておったと思います。あるとき記者からそのことを問われましたものですから、私のこの確認、記憶の中にはちょっと定かではありませんでしたので調べましたが、この内容は、御承知のように、その秘書が兼職を禁じているのではありません。そしてもう一つは、そういう場合は励行しなさい、その許可を得るように励行しなさい、つまり努めなさいと。代議士や、そういう代議士の許可を得るように励行しなさいと、こう書いてありますね。したがって、平成二年のその申合せ決議に対して、宮内は昭和六十二年からなって、私にはそういう報告はありませんでした。  したがって、西部瀝青のその役員になっておったということを聞き、その説明経過の中で彼に対して、こういう申合せが、僕も調べた結果こうであったよと、こういうことは善くないことだったねということは申し上げておきました。  さらに、そういうふうなこと等々から見て私自身、私自身の責任という問題については、言わば議員と秘書、大臣と秘書官という中においては、どういう責任を自ら感じてこの問題に対応しなきゃならぬかというのであれば、やはり雇用関係、そういうふうな意味から、しっかりとできるだけ誠実に、本当に真剣に調査をしてお答えすること、そして自らも律しながら職に一生懸命努力すること、こう思って今日まで参りました。
  83. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 全く答弁になっていないんですが、質問すると長く答えられて逃げられますのでこれ以上はしませんが、先ほど大島大臣が重要なことを言われました。  先ほど大島大臣が言われた空調企業からももらっていないと言われましたが、やはり宮内氏の妻は月十万ずつ、これは振り込みで入っています。その事実だけ申し上げて、今後この予算委員会、さらには衆議院の方でも詰めていきたいと思います。  それともう一つ。実は大変大きな問題がもう一つあります。これは、実は参議院選挙における清水達雄参議院議員の党費肩代わりの問題です。  これは、いわゆる全宅連という宅地建物取引業協会連合会の政治団体から、選挙に対しまして、清水達雄議員の参議院選挙に対して党費を一億円肩代わりをしたという問題になっています。  そしてさらには、その党費を一億円肩代わりしたことに加えて、後援会と党員を集めるに際して、何とキックバックの報奨金までを配ったという問題になっています。でたらめな問題でございまして、当時、自民党は比例代表選挙の公認候補者になるためには二万人以上の新規党員と百万人以上の後援会費の確保を条件としていました。正に、そこの数字に合致する状況で、後援会費は百十三万人、党員は二万人で、その党費を肩代わりをし、そしてこれに対して報奨金を出したという事実でございます。  この問題は、党費の肩代わりは政治資金規正法違反、そして報奨金を出したものに関しては公職選挙法の買収罪に当たると思いますが、総務省と法務省、簡潔にお答えください。長く答える必要はありません。簡潔にお答えください。
  84. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 二点お尋ねがございましたけれども、個別の事案につきましては具体の事実に即して判断されるべき、かように考えておりますので、お答えは差し控えさしていただきたいと思います。
  85. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) ただいまの最初のお尋ねの趣旨は政治資金規正法二十二条の六、次のお尋ねの趣旨は公職選挙法二百二十一条の各違反の成否に関する御趣旨だというふうに理解しておりますが、政治資金規正法二十二条の六の第一項は、本人の名義以外の名義又は匿名で政治活動に関する寄附をする行為を禁止し、また同条第三項はこのような寄附を受ける行為を禁止しているものであると承知しており、公職選挙法二百二十一条は、当選をさせるなどの目的で選挙人又は選挙運動者に対して金銭を供与し、又は供与の約束をしてはならないというふうに規定しているというふうに承知しております。  ただ、各お尋ねにつきまして、具体的事件における犯罪の成否は収集された証拠に基づいて司法の場において判断されるべき事柄でございますので、法務当局としてもお答えをいたしかねると思います。
  86. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 甚だ誠意のない答弁でございますが、じゃ、提出された資料に基づきと、証拠に基づきということですので御提示をさせていただきます。  この不動産政治連盟というのは、宅建協会と宅建保証協会と一体となっています。なぜならば、会長も所在地もすべて同一でございます。社団法人である公益法人がこのような形で政治的に自民党と一体となっていることがいいかどうかという問題はあるにせよ、これを見てください。  平成十年が選挙の年です。平成九年六月、全政連という不動産政治連盟と自民党の全国宅建連絡協議会というところが連名で、清水達雄議員の党員獲得のお願いというのをまず出しています。これがまずその一つの証拠です。そして、この最後の文章のところに、なお、党員獲得に伴う政治活動費については前年と同様の扱いになりますといって、政治活動費をバックをすることをここにうたっています。  更に申し上げれば、平成九年のそれが六月、平成九年の十月には、やはり現在の三団体の会長である藤田和夫さんという当時の幹事長から連名で、今度は後援会員の署名についての対応についてという案内があります。ここには、署名活動に伴う諸費用の一部補てんのため、当面、総額五千万円を計上し、獲得署名数に応じて後日、各県政連に支出する予定でありますというふうにしっかりと表記がしています。  更に言えば、その平成九年、選挙前の十月です。これは見事です。全国不動産政治連盟と自民党全国宅建支部連絡協議会が連名で、やはり後援会の署名活動のお願いをし、裏返しをすると、別に私が両面コピーをしたわけではありません、裏返しをすると、清水後援会便りということで選挙の依頼がなっています。  つまり、先ほど申し上げたように、肩代わりをしたということと、バックをしたということの証拠がはっきり残っており、更に申し上げれば、ここにもう一つあります。  自民党の新規党員募集要項という不動産政治連盟の支部である東政連というところの募集要項に書いてあるんですが、ここには何と、なお、党費、一般四千円、家族二千円の本人負担は不要ですと書いてあります。党費の本人負担は不要ですと書いてあります。  つまり、参議院選挙に向けて、肩代わりをし、報奨金を出したということは、これ見事に物があるわけですが、これを聞いて、法務省、いかがですか。
  87. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 繰り返して恐縮でございますが、具体的事件におきます犯罪の成否は、収集された証拠に基づいて司法の場において判断されるべきものだと思っております。
  88. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 刑事局長、そしたら、これは捜査に入るか否かに関してはお答えください。捜査に入るか否かについて、調査の対象になるかどうか、お答えください。
  89. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 捜査の具体的な活動に関することでございますので答弁は差し控えさせていただきますが、一般的に申し上げますれば、検察当局は犯罪があると思料すれば適切に処理するものというふうに考えております。
  90. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そして、この党費の肩代わりというのは、実は出した方だけではありません。受け取った方も政治資金規正法の違反になります。受け取った方というのは、もちろん自民党でございます。  そして、更に申し上げれば、小泉総理、自民党総裁としての、まず党としての責任はもちろんありますが、総理自身も、神奈川県不動産政治連盟より自民党神奈川十一区支部に総理大臣就任祝い金として百万円受け取られています。  総理、総裁として、これだけ肩代わりをしたこと、それから業界団体丸抱えの選挙をされたこと、報奨金を出したこと、どうか責任を、総裁としての責任も含め、お答えをいただけますでしょうか。
  91. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、初めて知りましたけれども、正規の手続に乗って政治献金も私はいただいていますので、それ以上お答えしようがございません。
  92. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 肩代わりについてはいかがですか。今の、肩代わりと報奨金について。
  93. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 肩代わりしているかどうか、私は全く知りません。
  94. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今の審議は聞かれましたよね。今の審議を聞かれて、じゃ、いかがですか。
  95. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、よく調べないと。肩代わりというのはいいことじゃないですよね。
  96. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 じゃ、総理、この件については、調べて、今国会中に御報告をいただけるように御答弁いただけますか。
  97. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どういう事実かというのはやっぱり調べて、しかるべき対応をするべきだと思っております。
  98. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今のは、調べて、調査をして報告されるというふうに受け取ってよろしいんですね。
  99. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) はい、調査いたします。
  100. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 時間が参りました。
  101. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 じゃ、これで終わります。
  102. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で円より子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  103. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、山下栄一君の質疑を行います。山下栄一君。
  104. 山下栄一

    山下栄一君 公明党の山下でございます。  今、政治に対する国民の不信にかかわる質問があったわけでございますけれども、この立法府もそうですし、行政府、まだまだ国民の信頼をかち取っているというふうになっておらないというふうに思うわけです。今日の経済の低迷も、大きくは政治、行政への信頼をかち取ることができれば大きな浮揚を図ることができるのではないかと、このように考えます。  小泉総理は、もう一貫して、改革なくして成長なしという、このことをおっしゃっているわけです。私は、国民は小泉総理改革路線を支持していると、このように思っております。経済の低迷は続いておる、総理は我慢してくれとおっしゃっているわけですけれども、だけれども、大きくは揺るぎない総理の姿勢、改革への姿勢、これを私は国民は支持しているというふうに思うわけです。  その観点から質問をさせていただきたいと思うんですけれども、改革なくして成長なしという言葉がありますが、この改革というのはいろんなとらえ方がありますけれども、国民はやはり税金の無駄遣いはもう御免だという、特に歳出構造改革、そして歳出そのものに無駄があってはならないという、こういう気持ちが物すごく強いというふうに思います。と同時に、やはり行政の信頼と申しましたけれども、公務員制度の改革、そして総理が一貫して取り組んでおられる特殊法人改革、公益法人の改革、こういうことを通じて行政の信頼を何としても取り戻したいという、その熱い思いが私は国民の心をとらえているというふうに思うわけです。  ただ、今回、補正予算決意されたわけですけれども、セーフティーネットももちろん大事ですし、危機突破のための、不況克服のための中身の濃い、そういう財政出動、これはもうやっぱり期待しておるというふうに思います。特に、今回の補正予算公共投資、ここに一・五兆というふうに言われているわけですが、この公共投資、公共事業構造改革、これはどれだけ進んでおるのかという、私はまだまだ国民は不信を持っているというふうに思います。  と申しますのも、例えば十幾つの長期計画があります。これは、国土交通大臣マターのところもたくさんありますし、ほかの省庁もございます。これは緊急措置法ということで始まったわけですけれども、中には昭和二十年代から始まっているものもある、それが今も続いていると。それからまた、省庁別のシェア、十三年度から新しい省庁再編が行われたわけですけれども、十三年度の予算、十四年度の予算、これは公共投資の重点化がうたわれておるけれども、結果的には省庁別のシェア、もうほとんど変わらないと。それから、長期計画の中身も着実に進捗率が進んでおるというふうなこと。一方で、公共投資の重点化と言っていると。重点化って一体何なんだと。シェアも変わらない、省庁別の長期計画も着実にこなされているという中で何が構造改革だという私は国民が物すごく不信感を持っているというふうに私は思っているんですけれども、総理はこのことについてどのように受け止めておられますでしょうか。
  105. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 大変大事な点を山下議員から指摘されたと思いますけれども、私は、小泉内閣になりましてから、小泉総理指示の下に、例えば公団の統合でありますとかあるいは公共工事の重点化を図れということで、今、山下議員がおっしゃった長期計画を見直しをしろというのも総理からの御下命でございましたけれども、たまたま私が国土交通相になって四省庁統合したんですから、今、山下議員がおっしゃった、もう暫定で、あるいは緊急でやったものが今日まで続いているとおっしゃったのはそのとおりで、私はこの長期計画というものを一本化しようということで、これは今までになかったことですから、運輸、建設等々が一緒になって、今までどおりの運輸、建設そのままで要求していた長期計画を一本化しようなんというのは国土交通省になったからこそできることでございまして、私は公共工事を無駄は省いて重要な点に、今何が公共工事の重要点があるか、それは総理から御指導いただいていますけれども、今の国際の中で日本が二十一世紀、今の日本の地位を保ち得るかどうかということから考えれば、公共工事を重点化するというのは当然のことでございますから、私は長期計画も一本化し、なお効率のいい、そしてコストダウンを図る公共工事に集中していきたいというのが今の補正予算も含めての小泉内閣としての姿勢でございます。
  106. 山下栄一

    山下栄一君 方向性として私も当然やるべきだというふうに思うんですけれども、現実の公共投資、公共事業の使われ方、配分の仕方、これがまだまだ分かりにくくて、国民に分かりやすく説明できていないというふうに思います。  十四年度予算では七つの分野に重点化したと。十五年度予算は、ちょっとそれを統合し、部分的にします、四つの分野に重点化すると言っているこの中身については何となく、都市再生にしろ、また環境にしろ、少子高齢化、そういう観点は大事だというふうに国民は思っているわけですけれども、でも、先ほど申しましたように、ほとんどこの省庁別シェアも変わらないし長期計画も続いているというふうなことから、物すごく分かりにくくなっているわけですね。  具体的にどのように重点化されたのかと。重点化するという名目で配分はし、考えたけれども、現実はどのように重点化されたのか。また、そういう事後評価、これを省庁に任せるのではなくて、やはり国民に分かりやすく説明するために、内閣として私はこういう事後評価のことも考えないといけないのではないかというふうに思います。こういう政策評価と、現実に公共事業公共投資がどのように重点化されて、国民の側に立った納得のいく使われ方したのかという検証、これを是非やっていかないと、国民に分かりやすく説明していかないと、いつまでもこの公共投資への不信感を払拭できないと。  こういう政策評価を省庁超えてちゃんとやるという、このことについての総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  107. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 御指摘の点について私も同感でありますし、現に説明しているんですよね。ただ、報道するかどうかの問題で、こうやっていますよというのはなかなか報道しないんですよ。  細かいことは、具体的な技術的なことは、詳細については扇大臣からも答弁あると思いますが、現に、公共事業を一〇%削減するという中にも、環境面とか、あるいはIT関係とか、あるいは保育所の予算とか地域の都市再生事業等については増やしているわけです。現に来年度の予算におきましても、五か年計画、これはもう総合的に、廃止したり一本化したり統合したりしようと進めている。こういう厳しい中で、ただ減らすということじゃなくて、重点化しろという面についてはそれぞれ現実の数字で出ています。  今ここで数字を出すというのは、あえて、時間を取るということになりますので遠慮させていただきますけれども、はっきりと国土交通省におきましても、内閣におきましても具体的な数字を出しております。
  108. 山下栄一

    山下栄一君 ちょっと時間の都合で個別のことには触れにくいんですけれども、今、総理そうおっしゃっているんですけれども、私は、九・三兆、例えば十四年度予算ですね、前年度の一割削減、全体を削減されているのは、それはそのとおりなんですけれども、重点化が非常に分かりにくくなっております。各省庁も要求したはずなんです、重点化して。ところが、治山治水にしても、治山治水なんかどういうことで七分野と関係あるのかというようなことになってきますと、環境関連ぐらいしかないわけですけれども、その環境関連も環境破壊の治山治水になっているのではないかというふうな。  名前はそうなっているけれども、だけれども、まとまった九・三兆、とにかく公共投資重点化ということでやりましたという結果だけは出ているけれども、省庁別には出ていないというのが現実でございまして、この辺、ちょっと総理も検証していただきたいと思いますけれども、省庁に任せておっては、これは私はなかなか検証しにくい仕組みになっているということで、現実にどのように重点化されたのかということについての内閣としての事後評価、そして国民への説明責任をきちっと、言っているはずだというふうにおっしゃったけれども、そうなっていないということも、今、私の方から申し上げておきたいというふうに思います。  今回の補正予算も、即効性があるもの、特に公共投資一・五兆についてはそういうふうに言われているし、民間需要創出効果、そして雇用創出効果がなきゃならないと。ということで現実に出してくるとは思うんですけれども、じゃ、どのようにして雇用創出効果が出ていったのかということ、民間需要創出効果がどうあったのかという、また構造改革という、公共事業構造改革につながったのかという検証をやっぱりやっていかないと、いつまでも公共投資総額削減だけでは国民は納得しないというふうに思います。この点も含めたやっぱりこのことを考えていかなくちゃならないというふうに思います。  それと、総理、ちょっと今回の補正予算のメーンになっております都市再生、魅力ある都市づくり、また活力ある地域の再生からの基盤整備という、こういう名目でも入っておるわけです、大事な名目として。私、この都市再生のイメージなんですけれども、都市再生本部もありますけれども、ちょっと私、内閣がおっしゃっているイメージは国民の意に沿ったものなのかなというふうに思っております。総理も臨時国会の冒頭の所信表明演説でも触れられているんですけれども、都市再生のイメージが、例えば容積率を緩和して高いビルを一杯造って、全国物流基地を整えるという、そういう観点ももちろん、そういう都市も中には必要だと思うんですが、それだけでは私はちょっと違うのではないかと。  都市再生のイメージが、もちろん経済の活力は大事なんですけれども、そこに住んでいる人間が誇りを持てる、そして子供も我が地域が誇りであるというふうな、そのような地域づくり、魅力ある都市づくりという観点からいくと、経済とにかく活性化すればええという一辺倒主義では、もちろんそういう角度も大事なんですけれども、私はどうかなと。総理の都市再生のイメージをちょっとお聞きしたいというふうに思います。
  109. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、山下議員御指摘のような視点が必要だということで、現に小泉内閣としては進めているわけであります。  具体的に言えば、都市再生におきましても各地域によってそれぞれの事情があり個性があります。例えて言えば、河川なんかの水辺の環境を大事にしたいという点においては水辺の都市の再生とか、河川を何でも効率を考えて真っすぐすればいいというものじゃないと。曲がっている河川なら曲がっているということも地域にとっては悪くないんじゃないかと。環境を考れば、蛇行しているのをむしろどうやって地域の活性化に移していくか。  環境の面におきましても、自然とうまく共生していかなきゃならないという面においても、都市再生におきましては、廃棄物の処理等についてもそういう地方の独自性を生かしていかなきゃいかぬと。  あるいは電線の地中化、電線の地中化も環境面あるいは効率面、しょっちゅう掘り返しているということじゃなくて、一度地面を掘り返すんだったらこの地域にはどういう、地中にうずめればいいのか、電線だけじゃないだろう、水道管もあるだろうと。いろんなそういうのをよく見定めて、一度掘り返すんだったら何年間は掘り返さないという視点に立って地中化というものを考えていかなきゃならないんじゃないか。  あるいは、何でも公共事業が悪いというんじゃないと。立体交差なんというのはだらだらだらだらやっていたってしようがない、やるんだったら集中的に投資しなきゃいかぬということも考えなきゃいかぬ。  あるいはバリアフリー化、公共空間におきまして障害者ができるだけ不便がこうじないようなバリアフリー化、これも各地域、都市の事情も考えながら公共投資として進めていかなきゃならない。  すべて公共投資を削減するということじゃないんです。いろいろな地域の事情を考えながら、地域の活性化にも資するような公共投資、特に自然と共生、環境面に配慮したそういう公共投資はこれからも重点的にしていく必要があるという認識では、私は山下議員と共通していると思っております。
  110. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございます。  町づくりのイメージ、いろいろあると思うんです。私はその立体交差も、もちろんそういう地域もあっていいと思うんですけれども、私はそれはもう対症療法ではないかと思うんで、何年かたったらまた渋滞化するという、そういう立体交差しても。というようなことを考えましたときに、交通政策も見直す必要があると思いますし、また町づくりの観点は今、総理おっしゃったバリアフリーの観点、そして緑が豊かな都市という、都市に鳥が飛んでくる、カラスばっかりじゃ困りますけれども、鳥が飛んでくるという、ほっとする、そういうやっぱり自然との共生という観点も大事だと。  それから、安心、安全、後からお聞きしますけれども、災害の面若しくは防犯の面、そういうこともやはり大事だというふうに思いますし、それから文化の視点、地域文化、特に誇りを持てる地域づくりでは地域文化の町づくりという、そういう新しい観点の町づくりを示して、それがそのままビジネスチャンスになるんだと、文化の観点もバリアフリーの観点も環境の観点も防犯、災害の安心の町づくりもビジネスチャンスにつながる、経済につながるという、こういう観点からの都市再生、魅力ある都市づくり、地域再生という、そういう視点が私は大事なんではないかなというふうに思います。総理と共有しているなというふうに感じましたので、安心しました。  具体的な補正予算にかかわる、二十七日ですか、今月、各省庁、補正予算要求出されるというふうに聞いておりますけれども。  まず、法務省にお聞きいたしますけれども、法律扶助制度というのがございます。これも私は、セーフティーネットの観点もありますし、ひいては産業再生につながる観点もないことはないというふうに思いましてお聞きするわけですけれども、自己破産で立替えをこの法律扶助協会にお願いするという、そういう方々がもう急増しておりまして、これはリストラ、倒産の副産物だというふうに思うわけですけれども、物すごい勢いで増えておる。  そして、この法律扶助協会、約三十億国費投入しているわけですけれども、これがもう枯渇してしまって、例えば大阪なんかの、法律扶助協会大阪支部ではもう全く資金がなくて窓口業務停止という状況に追い込まれておるということでございます。  こういう観点からの、正にこういう補正予算にふさわしい問題ではないかなと思うんですけれども、御答弁お願いしたいと思います。
  111. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますとおり、民事法律扶助につきましては、最近の経済不況に伴うリストラや倒産によります自己破産事件の需要が急増いたしております。援助開始決定件数に占める自己破産事件の割合も六〇%を超えるという状況でございます。  このような状況を踏まえまして、民事法律扶助事業は、失業者の救済を支援し再就職のための環境整備を図る、雇用面でのセーフティーネットの役割を果たす重要なものであるというふうに考えております。補正予算において所要の予算措置をお願いするということを考えておりまして、同時に弁護士会等の御協力もいただきまして、民事法律扶助事業の発展に努めていきたいというふうに考えております。
  112. 山下栄一

    山下栄一君 憲法的な権利であります裁判を受ける権利を保障していく意味でも私は大事な視点だと思いますので、公明党もしっかりバックアップをさせていただきたいと思いますので、どうぞこの補正予算要求内閣として受け止めていただきたいというふうに思います。  ちょっと刑務所、拘置所、そして少年院その他の矯正施設の過剰収容問題、これも名古屋の刑務官の事件もございましたが、非常に大きな問題になっておりまして、ほとんどの刑務所また拘置所で過剰の定員オーバー、定員オーバーになっているというふうな問題、これも施設の拡充、職員のストレス解消のためにまた大事な観点だと思うんですけれども、これも是非よろしくお願いしたいと思います。  時間の都合で次に行きます。済みません。  環境省にこの補正予算の関連で御答弁願いたいと思いますけれども。  私は森林保全、森林整備というのは極めて大事な観点だと思います。日本は緑が多いということになっておりまして、けれども実態はどんどん空洞化しているという状況になっております。これは山の担い手がどんどん少なくなっている、山で働く人も少なくなっているという状況がございます。  私は、森林保全の観点から、雇用対策と両立させて森林の保全のために雇用措置を取る、緊急雇用対策措置としての労働力を確保することが大事なのではないかというふうに思います。また、先ほど町づくりと申しましたけれども、ほっとする自然空間、ビオトープ、これも各都市の中にそういうビオトープを保障し、動植物のネットワーク化を図っていくという、そういう観点からの町づくりの視点としてもビオトープの整備が大事だというふうに思いますし、それから公共事業の中身としまして、下水道管を埋めていくという方式、また農業排水という方式から分散型の合併浄化処理槽の整備、これも国民が納得する観点ではないかなというふうに思いますので、こういう観点から、環境省として補正予算、しっかり本予算と併せて取り組んでいただきたいと思います。  御答弁をお願いします。
  113. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 今御指摘のグリーンワーカー事業というのは、今お話しのように、地球温暖化防止、また生物多様性の保全に資する森林の保全、再生に貢献するものであると。現下、これは問題となっております雇用の観点からも非常に大事な事業だと思いますので、こういう観点から進めてまいりたい。  そして、ビオトープにつきましても、先ほど鳥が飛んでくるというお話がございましたけれども、本当に、まさしく身近な自然環境を回復して、それを創出、そして自然と共生する地域づくりを進めるために重要であるというふうに考える。  それから、合併処理浄化槽でございますけれども、今、汚水処理には、下水道事業、そしてまた農村集落排水事業、合併処理浄化槽と三つの方法がございます。それぞれのやはり特性を生かしてこれは事業を進めていかないといけない。集合家屋が密集したところは集合処理だと。点在しているようなところは、これは例えば数百メートルのところに四、五軒しかない、そこに数千万掛けて管渠を引いていっても処理はできないわけですから、合併浄化槽は一件百万円でできる、すぐそれができる、設置期間も一週間ぐらいしか掛からないとか、そういう特性があるわけでございますので、そういうものを生かしながら進めてまいらなければならないというふうに考えております。  以上でございます。
  114. 山下栄一

    山下栄一君 雇用保険財政のことを聞こうと思っていたんですが、ちょっと時間がなくなってしまっておりますので、最後、拉致問題お聞きしたいというふうに思います。  今、五人の方が日本に帰国されておるわけですけれども、まだ御家族が帰れないという状況、正常化交渉も行き詰まっておる状況があるわけですけれども、今、議員立法、与党の方で拉致被害者支援法案というのを準備しておるわけで、何とか今国会で成立をということなんですけれども。  この法、国として国費も使ってこういう拉致被害者の生活・自立支援をやっていこうという、そういう背景があるわけですけれども、これに、こういう考え方にふさわしい対象者でございますけれども、現在、警察が認定している拉致によって北朝鮮に連れていかれたという方々、そして日本に帰っておられるという、まだ帰っておられぬ方もいらっしゃいますけれども、これが十件十五人と言われておりますが、この現在認定されている方々以外にもまだ八十人とか九十人とか、様々な形で拉致されて現在北朝鮮に在住している、生存が確認されておりませんけれども、こういう方々が日本にお帰りになれるような状況ができる、そして警察が認定するということになりましたら、十五人以外でもそういう法律の対象に私はすべきだというふうに思うわけです。  政令につきましては政府でもやられるというふうになると思いますので、この点の対象者について、現在の認定されている十五人以外の方々もそういう認定の条件が整えば対象にするという、こういう考え方でしていただきたいと思うんですけれども、するべきだと思いますけれども、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  115. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、現在拉致されている御家族が我が国に帰国して自立できるような支援策を取るということは多くの国民が願うところだと思っております。そのような対策を議員立法で今準備を進めていただいているということを承知しております。  また、政府としても、今後果たして何人が拉致だと認定されるか、今の時点でははっきりいたしません。しかしながら、拉致されたという新たに認定された場合は、そういう方たちも今考えている拉致被害者の支援対象として考えるべきだと政府としては思っております。
  116. 山下栄一

    山下栄一君 拉致被害者ではないんですけれども、帰還事業を通して北朝鮮に行かれたと、日本国籍持っておられる配偶者の方が。そういう方もいらっしゃって、帰国できない方もいらっしゃると。そういう方々が日本にお帰りになれるような状況になったときに、拉致被害者とは違うけれども、別の観点から私は支援するべきではないかと。  と申しますのも、この帰還事業は、もちろん主体的に行かれたわけですけれども、この事業には日本赤十字社がかかわっておるわけでございます。日本赤十字社は国の国費も投入されている、特殊法人扱いをされてきたわけでございますので、そういう赤十字社がかかわって帰還事業をされた方々、拉致被害者ではない、主体的に行かれた方であったとしても、そういう方々が帰国かなったときに何らかの別の観点からの支援を考えるべきではないかというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  117. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いわゆる拉致とは違って日本人の配偶者の問題だと思うんです。  これは従来、日本赤十字社を通じて北朝鮮側に安否調査を依頼しております。また、日朝国交正常化交渉の場におきましても、安否確認あるいは里帰り等について今、北朝鮮側に求めてきていることでございます。今後とも御親族の希望も踏まえながら安否の確認あるいはふるさとの訪問、そういう面におきまして、できるだけこの要望にこたえることができないかと、政府としても努力をしていきたいと思っています。  ただ、一般論として申し上げれば、今の拉致被害者とは事情が異なるのではないかと、同様の対応というのは難しいのではないかというふうに私は思います。
  118. 山下栄一

    山下栄一君 同様の対応はできなくても、別の角度から国の支援を何らか検討すべきだというふうに思いますので、是非御検討をお願いしたいと思います。  終わります。
  119. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で山下栄一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  120. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
  121. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。  今日は、不良債権処理問題について、小泉総理だけにお伺いをいたします。竹中大臣、じっと座っていていただいて結構でございます。  今までの議論でも出てまいりましたけれども、日本経済というのはもう本当に今でさえ大変危険な状況にあるという話が大変出てきております。にもかかわらず、総理は、このただでさえ大変なときに不良債権処理加速というもっと不況をひどくする、もっとデフレをひどくする、もっともっと日本経済の危機を深めるという前代未聞といいますか、本当に常識では考えられない対策をこれから進めようとされております。私は、なぜこのときにわざわざそういうことをやらなければいけないのか大変不思議でございます。今日は、総理がなぜこのことを急ぐのか、この点について絞って質問をしていきたいと思います。  アメリカと日本の不良債権問題の関係についてであります。  まず初めに伺いますけれども、この不良債権処理加速ということが叫ばれてきたのは九月の日米首脳会談以降であります。総理は、その前の六月のカナナスキス・サミットの際の日米首脳会談では、ブッシュ大統領から日本の不良債権処理について聞かれて、なかなか見えにくいかもしれないけれども、昨年来、日本なりの方法で着実に進めているというふうに、これは共同通信ですが、おっしゃっております。また、実際二十七日の首相官邸が発表しております内外記者会見でも記者に同様のことをお答えになっています。それがなぜわずか三か月で、今までは遅れていた、急に加速しなければいけないと、そういうふうに変わったのか、この点、まずお聞かせいただきたいと思います。
  122. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、共産党の言う、なぜ不良債権処理を進めるのか不思議でしようがないと。私はあえて問いたい、なぜ不良債権処理を進めていてはいけないのか。不良債権を進めないで何でこれから日本経済の再生があり得るのか、逆に質問したいですね。全く共産党とは違う。  しかも、九月十七日とか以降とか、九月以降と言いますが、これも全く認識違いも甚だしい。私が就任以来言っているんですよ。構造改革の柱ですよ。不良債権処理を進める、もう私の就任時にはっきりと言いましたし、その前にも不良債権処理を進めないと日本の経済再生はあり得ないという声が多かったんです。だから私は就任以来進めている。なおかつ、今、九月以来、加速させる必要があると。さらに、十六年末までに終結させる必要があるから、あと二年しかないので、これを加速させる必要があると。  この不良債権処理を進めるということ、更に加速させるということは、小泉内閣のこれは大きな目標でありますので、これは当然であると。むしろ、共産党のように、不良債権処理を進めるべきでないという考えは不思議でしようがありません。
  123. 大門実紀史

    大門実紀史君 一言申し上げておきますが、進めるべきではないということを一言も日本共産党は申し上げておりません。  この時期に進めても増えたじゃないですか、あなたのやり方で。失敗したことを申し上げているんですよ、こんなやり方では、あなたのやり方では失敗すると。事実増えているじゃないですか。だから、変えなさい、景気を温めなさい、そうしないとなくならないですよと何度も日本共産党が申し上げていても、言うことを聞かないのはあなたの方じゃないですか。何を言っているんですか。  この間の景気の悪化の中でどうしてもいわゆる私はこれは大変不思議に思います。これは少し経過をたどらないと分からないと思いますので、委員長、資料の配付をお願いいたします。    〔資料配付〕
  124. 大門実紀史

    大門実紀史君 今、お手元にお配りしておりますのは日米政府の動きと日本の不良債権処理加速策、その推移を、お手元に配ってあるやつを大きなパネルにしたものでございます。  振り返ってもらえば分かるとおり、この一年半余り前から日本で不良債権処理の最終処理ということが言われてきたわけでありますが、順を追って総理にお伺いしたいと思います。  まず最初に、二〇〇〇年の十二月に米国外交問題評議会というところが新政権のための対日経済指針というものを出しております。総理は九月十日にこの外交問題評議会、CFRと言われていますが、そこで講演をされておりますから、この機関がどういうところか御存じだと思いますが、アメリカの外交方針を策定する、あるいは委託研究を受けるという機関であります。ここが出しております、二〇〇〇年の十二月に出しました新政権のための、これはブッシュ政権ですが、対日経済指針というのがありますが、総理はこれをお読みになったことございますか。
  125. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 読んだことはありませんが、要約は伺っております。
  126. 大門実紀史

    大門実紀史君 若干紹介したいと思いますが、これはフォーリン・アフェアーズから翻訳されたものですから、フォーリン・アフェアーズですから、この外交評議会の日本の機関ですから正式な翻訳であります。  これはブッシュ新政権の対日経済政策のためにまとめられたものでありますけれども、全部御紹介するわけにはいきません。内容は、要するに金融改革、規制緩和など様々な分野で日本に何を要求すべきかということが書かれています。今日は不良債権問題ですので、そのところで何を言っているか。  要するに、日本で構造改革が進めば外国企業に市場が開放される、だから構造改革勢力をアメリカは支援すべきであると、こういうことが書かれておりますし、さらに大変生臭いことも書かれています。日本企業や金融機関が倒産の瀬戸際に追い詰められ、外国企業にとってまたとない参入のチャンスが到来している、日本政府不良債権処理の加速と海外からの直接投資、つまり外国企業の日本への参入であります、これの受入れを求めるべきだと。さらに、日本に相当な要求を突き付けても、公然と突き付けても、日米安全保障関係を守るためそれを日本が拒否するとは考えにくい、つまり日本に圧力も掛けなさいと、こういうことまで述べているわけです。  私は、この対日経済指針というのは、経済政策というよりも、むしろ投資銀行や投資ファンドのビジネス戦略というふうに、アメリカは本当にこういうことを書く国だなと大変驚いたわけですけれども、この後、ブッシュ政権は全くこの対日経済指針のとおりに動き出します。  日本で不良債権処理の最終処理というのが最初に政治の中心課題になったのは、三月十九日の森前首相とブッシュ会談であります。このときに不良債権を急ぐということになりまして、四月の六日には緊急経済対策、六月二十一日、小泉内閣の下で骨太方針が出ると。この最重要課題が不良債権の早期最終処理というふうに動いてくるわけであります。六月三十日の日米首脳会談でも、あるいは十月七日の日米次官級会議でもこの不良債権処理、そして先ほど外交問題評議会が言っておりました直接投資を求める、あるいは銀行に不良債権を早く吐き出してもらってビジネスチャンスを生むと、こういうことがずっと言われてきているわけです。  私は、重要だと思いますのは、一月十七日のブッシュ大統領からあなたに出された極秘扱いの親書でございます。ちょっと字だらけの資料ばかりで申し訳ございませんが、お手元にその親書の全文がありますけれども、これは朝日新聞が今年の二月二十八日に全文を報道いたしました。  その部分の中ですけれども、何が書かれているか。赤線を引きましたけれども、首相はキャンプ・デービッドで私に言ってくれたと、友人からの助言は外圧とは思わない、これは友人としての助言として受け取ってほしいがと、こういう前置きをされています。これはよく読むと変な前置き、変な文章ですね。お二人の間だけで外圧を友人の助言と言い換えているだけで、周りから見ればこれは外圧だというのを自ら告白しているような前置きであります。正にブッシュ大統領の文章力といいますか、そういうものが表れておりますから、私は御本人が書かれたというのは間違いないというふうに思います。  問題は、この中身でありますけれども、銀行の不良債権や企業の不稼働資産が早期に市場に売却されていないことに強い懸念を感じる、銀行がただ不良債権をオフバランスしたことじゃなくて、その先に市場に出ていないことに強い懸念を感じると。私は、日本が不良債権を処分して、不稼働資産も解き放って、最も効果的に資産を活用できる人たちの手にゆだねて、この最も効果的に資産を活用できる人たちというのは、これはもうノウハウを持っている特に米国系の外資投資ファンド以外に読み取れないわけですけれども、こういうことを言っているわけですよね。非常にこれも投資ファンド、投資銀行のビジネス戦略を総理にお願いしているということになると思います。  総理は、本当にこんな親書をお受け取りになったんですか。
  127. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 極秘だったら出ないはずなんですよね。なぜそういう親書のことを言われるのかと。共産党なりのアメリカに対する姿勢、懸念、疑念が出ているんでしょうけれども、私は、親書はブッシュ大統領から受け取ることはあります。しかし、親書は親書でして、外交上の儀礼上からも、どういう親書ですかということを言うべきではないと思っております。しかしながら、不良債権処理等についてはアメリカも関心を持っているのは事実であります。  また、共産党が心配する、外国企業が日本に投資することを心配しておりますが、それは逆です。外国から日本に投資意欲が起こらなかったら、日本の経済は再生しません。できるだけ外国からいかに日本にお金を持ってくるか、外国企業も日本に投資したいという意欲を持たせるような環境を日本が作るかというのも、日本経済の発展にとって非常に重要なことなんです。そういうことを考えて、余り被害妄想を考える必要はないんじゃないですか。  私は、外圧なんて、ブッシュ大統領と会談のときに言いましたよ。私は、何をブッシュ大統領が言っても外圧とは取らないと。日本にとって必要なことはやるし必要でないことはやらない。助言であるかどうか遠慮なく言ってくれ、日本に必要なことはやる、できないことはやらない。外圧と取るかどうか、人の勝手でしょう。私なんか、アメリカが言おうが、ヨーロッパが言おうが、アジアが言おうが、どこが言おうが圧力なんて全然感じませんよ。いいことはやる、日本にとって不適切なことはやらない、これだけです。
  128. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、外国の企業が日本に入ってきてはいけない、そんなことを申し上げているわけではございません。何もそんな鎖国主義的なことを申し上げているんじゃないんです。それは市場経済ですから、外資が不良債権ビジネスをやることはあるでしょう。  私が申し上げているのは、こういうことの圧力を掛けて日本の不良債権処理を加速させると失業、倒産増えるじゃないですか。全然違う話でしょう、結果として受けて仕事をやるのとは。  あなた、ここでは勇ましいけれども、アメリカではにこにこしているだけでしょう。何で日本だけでそんな勇ましいことばかり言うんですか。(「見たわけじゃないだろう」と呼ぶ者あり)見たことありますよ。何言っているんですか。  あなたがもしこの親書を受け取っていないというんだったら、大変おかしいんですね。三月二日に加藤駐米大使は記者に、ブッシュ親書、これですね、この手紙をブッシュが出したかどうかというのに、加藤駐米大使は中身の批評は控えたいと。知っているんですよ、批評するかどうか控えるんですからね。  三月一日、柳澤前の金融担当大臣ですけれども、同じようにブッシュ親書で不良債権が市場に出ないということを懸念されているがというふうに聞かれて、これはアメリカの認識が若干おかしいわけでしてといって、反論までしているわけじゃないですか。あなたに来た親書なら、あなたがだれかに伝えない限りほかの人は内容を知るわけないでしょう。だから受け取ったわけでしょう。  まあいいです。問題は……(発言する者あり)いいですと言っているんですから。問題は、親書を受け取ったかどうかじゃない……(発言する者あり)うそ言っていませんよ。これは両方ともちゃんとした記者会見ですよ。親書を受け取ったかどうかというよりも、実際にその後何が進んだかだというふうに私は思います。  三月十九日に、ハバードCEA、米国大統領経済諮問委員会委員長ですけれども、この親書と同じことを言われています。要するに、民間の市場参加者に早く不良債権を吐き出しなさいと。  六月の十七日に、ジョージ・ブッシュ元大統領が来日されております。これは十九日に小泉総理とお会いになっていると思いますが、このブッシュ元大統領、お父さんの方ですね、どういう目的で来日されたんですか。
  129. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先ほど、私が受け取っていないとかなんとか言っていましたけれども、私は受け取っていないなんて一言も言っていませんよ。勝手なことを言っちゃ困るんだがな。ただ、親書だから受け取ったか受け取っていないかというのは、外交儀礼上あるから言うべきものでもないと、それが親書なんです。  ブッシュ元大統領、今のブッシュ大統領の父上ですけれども、何で日本に訪問したのかと。日米友好、日米親善、日米和解。というのは、ブッシュ大統領の父上は空軍のパイロットで、第二次世界大戦中に撃墜されたんです。そして、たしか父島だったかな、(「硫黄島です」と呼ぶ者あり)硫黄島ですか。父島、硫黄島、その島を訪れて、住民たちと実に親善和解の交流会が催されたんですよ。かつての敵同士が今最も強い友好同盟国になっている、過去の敵味方の感情を流してこれから日米友好のために尽くそう、実にいい旅だった、感動した旅だったとブッシュ前大統領もそう喜んでおられました。そういう訪問だったんです。
  130. 大門実紀史

    大門実紀史君 ブッシュのパパの方の感想を聞いているわけじゃないんですよ。何のために訪問されたか。おっしゃるとおりです。表向きは親善でございますね。  ただ、私調べてみました。実は、このブッシュ元大統領、お父さんの方、ブッシュ・パパの方ですけれども、米国の投資ファンド、カーライルのアジア支社、カーライル・アジアの今シニアアドバイザーですね。顧問やっていらっしゃるんです。このときもカーライルのメンバー数人と一緒に来日をされておりまして、総理おっしゃったとおり、いろんな日程を縫いながらですけれども、日本政策投資銀行の小村総裁と会談をされています。私は、そのとき何が話し合われたかは知りません。政策投資銀行は、会談したのは事実だということを言っていましたけれども、その三か月後に、政策投資銀行は十月の一日にこのカーライル・ジャパンに四十億円の出資をしているんですね。何のことはないんです。半分ビジネスのためにブッシュ・パパの方は来ているわけですよ。  私、この日本政策投資銀行の投資ファンドへの出資問題、これは税金を使っている話ですから、改めて取り上げたいと思いますが、ここで私が申し上げたいのは、要するにこのパパとジュニアが、元大統領と現大統領が投資ファンドの売り込みをやっていると。アメリカの投資ファンド、投資銀行がどれだけ大きな政治力を持っているか、このことであります。  余り日本では御存じないでしょうから、その外資が日本で何を考えているか御紹介したいと思いますけれども、日経新聞がニューヨークでこの外資のトップにインタビューをしております。  マイケル・ニール、GEキャピタルの社長でありますけれども、経済が難しい状況にあるからこそ日本は外資にチャンスだとも言えるんだ、提携とか買収とか、こういうものは経済が好調のときには余り出てこないんだと。このGEキャピタルでいきますと、この数年で日本に三百億ドル、三兆七千五百億ぐらいになると思いますが、日本に投資をした、更に今後二年間でこの倍の投資をしたいということを言っております。  また、ティモシー・コリンズ、これは御存じの長銀を買収したリップルウッドのCEO、最高経営責任者ですけれども、これは、日経の記者に、日本で更に大手銀行を買う意思があるかというふうに聞かれて、もちろんある、日本の金融当局も外資のノウハウを見れば我々を使いたいと思うだろうというふうなことを述べているんです。  これは、大変な力を持ったところが日本をターゲットにずっとこの間考えているということであります。  私も、直接有名な外資の、お名前出せませんけれども、あるアナリストに話を聞きました。要するに、米国系の外資、投資銀行というのは、韓国の不良債権処理で仕事が一段落した、一息ついた、あとはやっぱり日本で本格的に仕事がしたいと。この外資ファンドのねらいというのは約三十兆円と言われる日本の不良債権マーケット。これは世界最大の不良債権市場であります。そこで破綻した企業の売買や再生ビジネスをやらせてほしいと。そのためには、今までのやり方じゃ駄目なんだ、銀行がオフバランスするだけでは駄目なんだと。もっと銀行を追い込んで不良債権を吐き出させる、仮に追い込み過ぎてその銀行まで破綻したら、その銀行も、韓国でやったように、ほかの国でやったように、アメリカの投資銀行が受皿となる、営業譲渡を受ける、株式譲渡を受けて買い取る、こういうことを考えているんだと。こんな話は日本の外資の間では当たり前の話で、知らないのは日本の国民だけだということをおっしゃっておりました。  ずっとこれはつながるんです、この話というのは。つまり、今度の加速策もそうでありますけれども、銀行検査で資産査定を厳しくしたり、自己資本も税効果会計認めないとかいって追い込んでいくと。たまらず銀行は不良債権吐き出しますよ。中には、それができずに、やり切れずに自己資本不足で破綻するところも出るかも分かりません。そこに公的資金を入れて一遍公的管理にして、その後、公的管理になった銀行がまた元の民間銀行に戻るわけありませんから、どこかが受皿になるんじゃないですか。こういう案が今出されているわけです。  このことが米国の政府高官の口から公然と出るのは、先ほど申し上げました、あなたが九月十二日、日米首脳会談で不良債権処理加速をするということを公言された以降であります。  もう時間の関係で細かくは申し上げません。とにかく、九月の十二日、日米首脳会談が行われて、その後、特にハバードCEA委員長中心に、更に厳しい検査が必要、その後、公的資金の注入も必要、破綻寸前の金融機関を整理することを選択肢とすべき、資産査定のディスカウント・キャッシュ・フロー、これだけ一言申し上げておきますけれども、このDCF方式というのは、企業を長期的に融資をやって支えていくということではありません。今幾らで売れるかと、この企業は幾らで売れるかという資産査定がこのDCF方式であります。こういうことをハバードCEA委員長が言っている。十月の十三日には、公的資金の注入は生き残れる銀行に限って行うべきである、先ほど私が申し上げたスキームです。二十二日には、テイラー財務次官が同様に、ファンドのこと、ファンドに企業再生をやらせてもらいたいというふうなことをおっしゃっているわけです。こういうふうな流れが、あなたがブッシュさんと会談をされた九月の十二日以降出てきて、それでまとまったのが今回のこの不良債権処理加速策というものであります。  先ほど申し上げました、アメリカがこの間言ってきた注文と十月三十日に出されました金融再生プログラム、両方並べてみました。テレビですから余り専門的なことを申し上げませんが、要するにアメリカが発言してきたことが今回の加速策に全部入っている、基本的にほとんどそのスキームになっているということであります。全くうり二つだというふうに私思うわけですけれども、私は、こんなものは日本人が作った、日本人がまとめた案じゃないと思いますが、いかがですか。
  131. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 共産党らしい面白い推理だと思いますが、私は、九月でブッシュ大統領と首脳会談を行ったのは、北朝鮮の問題、イラク情勢の問題、更にはグローバルな経済の問題、いろいろな問題、意見交換いたしました。そして、今、この不良債権処理、これはアメリカの注文どおりじゃないかと言っていますけれども、これは小泉内閣発足以来、不良債権処理というのは構造改革一つの柱であります。これについて日本としては処理を進めていると。そして、この不良債権処理を進めない限り日本の経済の再生はないということは、アメリカに言われたからやっているんじゃないんですよ。日本が独自に自主的に主体的に考え不良債権処理を進めているんです。  共産党は、不良債権処理進めると経済再生しないという考えかもしれませんけれども、そこはやっぱり自民党と共産党は違うんですよ。不良債権処理を進めない限り、日本経済の資源というものが伸びる産業に行かない。金融機関が健全化しない限り、これから新しく発展する産業の分野に有効な金が使われない。後ろ向きの保護政策ばかりではもう限界に来ている。そういうことから不良債権処理というのはこれからの金融の健全化においても日本経済の再生にとっても必要だという観点から進めているんであって、アメリカから注文されるからやっている、これはとんでもない偏見、誤解であります。  日本の経済が発展する、日本の経済が再生するということは、日本も望んでおりますがアメリカも望んでいるんです。日本の経済力がしっかりすることによって日本の役割というものは世界でもっと十分発揮されるんじゃないかと日本に期待しているんですよ。そういうことからアメリカがいろいろアメリカ自身考え方として述べるのは、それは日本としても歓迎すべきことだと。ただ、アメリカの意見を日本が採用するかどうかというのは日本政府が独自に考えるべきことであります。
  132. 大門実紀史

    大門実紀史君 もういろんなことを言われますけれども、不良債権をこんなときに一気に処理して、加速して、失業、倒産を増やして良くなるわけないですよ。  日本が、アメリカが心配当初していたのは、世界同時株安で日本が世界恐慌の引き金になるんじゃないかということをずっと前は心配していたわけでしょう。こんなことやったら、日本が正に世界恐慌の引き金引くじゃないですか。そんなならないですよ、あなた言っているような。あなたの言っているのは全然理屈に通らないんです。なぜ良くなるか全然分からないんですよ。  要するに、これだけ申し上げても何だか、私は事実しか今日申し上げていないんです。勝手に何もこちらでこしらえたわけじゃないんです。すべて言われていること、すべて講演会、講演等で言われていることをただ並べただけなんです。結果はうり二つでしょう。結果が物語っているでしょう。全く結果がこんな、偶然の一致ですか、こんなの。偶然一致するわけないでしょう、この間、ずっとアメリカが求めてきたことに対して。  私はこの問題引き続き取り上げていきたいと思いますけれども、総理、お考えいただきたいんですけれども、不良債権というのは、裏を返せば中小企業や今現に生きている企業なんですよ。そこで働いている人たちというのは家族抱えて何百万人もいるんですよ。そういう人たちを何でこういうアメリカの圧力で犠牲にしなきゃいけないんですか。日本の景気もっと悪くしなきゃいけないんですか。  とにかく、こういう今回の、私は今日は加速策について申し上げたわけですが、この意味をよくテレビの前の国民の皆さんは御存じだと思いますので、この案については断固、日本共産党、全力を挙げて阻止するということを宣言して、私の質問を終わります。  委員長、ありがとうございました。
  133. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  134. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、田名部匡省君の質疑を行います。田名部匡省君。
  135. 田名部匡省

    田名部匡省君 国会改革連絡会の田名部です。  今日はもう最後の方になると、大分質問されたことが多くて、若干重複することもあろうかと思うんでありますけれども、よろしくお願いしたいと思います。  ところで、国家公安委員長さんにお伺いしますけれども、バブルがはじけて、犯罪者数の推移あるいは犯罪の種類、大分自殺者も多いようでありますから、ちょっと簡単にお答えいただきたいと思います。
  136. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、田名部委員の御質問は自殺者でしょうか。警察庁の統計によりますと、過去五年間の自殺者数は、平成九年が二万四千三百九十一人、平成十年が三万二千八百六十三人、平成十一年が三万三千四十八人、平成十二年が三万一千九百五十七人、平成十三年が三万一千四十二人でございます。  この自殺の原因、動機は複雑なもので一様に断ずることは難しいんですが、警察ではその統計を分類しまして、自殺の原因、動機を、家庭問題それから健康問題、経済・生活問題それから勤務問題、男女問題、学校問題、こんなふうに大別して統計を取っておりますが、平成十三年の自殺者数を原因、動機別に見ますと、最も多かったのは健康問題で、これが一万五千百三十一人、四八・七%、次いで経済・生活問題が六千八百四十五人、二二・一%、以下、家庭問題、勤務問題、男女問題あるいは学校問題、こんなふうになっております。
  137. 田名部匡省

    田名部匡省君 いずれにしても、バブルがはじけてからずっと増えているんですね。  しかも、この自殺者の背後には未遂者というのがおりまして、自殺はしなかった、しようとしたけれども失敗したと。大体七人から十人ぐらいいると言われているんですね。それから、ホームレスの人たちも大体二万四千人ぐらいで、一割ぐらい、年一割のペースで増加していると。自己破産は過去五年間で十万件から二十万件に倍増をしたと。労働条件の悪化を反映して、過労死あるいは過労自殺者も過去最高となっていると。これが世界一治安の良かったこの国の、犯罪も物すごく急増しているんです。それはやっぱり経済が悪くなると、私はもう言ったもんですけれども、バブルはじけたとき犯罪が増えるよと。凶悪犯がもうどんどん増えていますよね。そのことをやっぱり頭に置いて政治というものはやっていかなきゃいかぬ。  ところで、今日は皆さんが閣僚おいでになっていませんが、この間ひな壇をずっと見て、事業を経験した方がどのぐらいいるのかなと。ここで事業を自らやったことがある人おりますか。塩川先生ね。恐らく、全閣僚の中で二人か三人ぐらいかなと思って見ておりました。要するに、手形を持って銀行へ行って怒られたことないんですよ。実態が分からぬ。もう、私もやりましたけれども、えらい苦労しましたよ。乗っている車を売ったりゴルフの会員権売ったりして事業というものをやってみたと。こういう経験から、やっぱりもう少し中小企業の実態というものを分かっていただきたいなと。  総理、あなたの改革の理念というのは私は理解できる。私も、本当にこの国の護送船団をやっぱり自分の責任でやるようにしなきゃいかぬ。それが地方分権であり、地方のことは地方の人たちが考えてやる、それ以上作りたかったら負担もすると、こういうふうに変えていかないと、何か困ると国がやってくれると思って何にも考えないで来たんですよ。この改革をやっぱりやらなきゃならない。  それからもう一つは、この急激な少子高齢化時代、これ待ったなしですよ。税収も減るし、加えて先延ばしをしてきた、随分国会というのは先延ばしが好きでね、ペイオフもそうだし、あるいは医療、年金、介護、そういうことも、何か思い切ってすっと行かない。そして、だんだんだんだん深みに入っていっちゃうんですね。あるいは中国始めアジア諸国との経済競争の問題もあると思うんですね。  農業問題だって、私は農林大臣のときに法人や株式会社参入させなきゃいかぬというのを言ったら、もう猛烈に党の方に反対されまして、今ごろになってから株式会社もいよいよ参入させなきゃならぬと。もう日本の人口、農業の担い手というのは六十五歳以上の人がもう過半数以上になっちゃっているんです。要介護の人たちが日本の農業担っているんですよ。若い者は参入しない。そういうことを、基本的なことを本当腹くくってやってもらわぬと私は大変だと、こう思っておるんです。  ただ、総理改革は、どうも基本的に一緒だけれども、何か国家像が国民に明確に伝わっていないなと、そんな感じが私はしております。  特に、あの森内閣のときに宮澤大蔵大臣に私はバランスシートやってみてくれ、やってみてくれと、三回やりましたよ、今まで。あれは予算委員会と代表質問とやって、そして三年出してくれた。将来の年金の国民負担が特殊認可法人なんかを加えて連結決算を三回もやってくれましたよね。それを含めると八百九十六兆四千八百億円の国の借金だと。もう国民一人当たり六百八十四万円ですよ。四人家族で二千七百三十六万でしょう。私の青森県でも二〇〇一年度の一人当たり大体九十七万、県が。四人家族で三百八十八万。これに市町村もある。県内で一人百万を超える市町村が二十一もあるんですよ。これを最大のところをやると百六十九万円で、四人家族で四百二十二万。これ、トータルで一人九百五十万で、四人の標準家庭で三千八百万の借金ですよ。  借りた覚えがないといったって、国が借りたら、あるいは地方自治体が借りたら国民が返さなきゃならないんですから。だから私はあなたの改革論というのを私もそのとおりだと思って見てきたんですけれども、まずこのことについて簡単に御感想をいただきたいと思います。
  138. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) よく私を批判される方が将来の展望を示さないと言っていますけれども、将来の展望なんてもう前から示しているんですよ。将来の展望というのは自民党から共産党まで大して違わない面が結構ありますよ。今言ったように、地方もっと活力を持たせろと、みんなが幸せに暮らせるようにしろと、努力が報われる社会にしろと、余り政府に頼るなと。大体総論はみんな各政党、選挙公約を見ると、いい国をつくろうということなんですよ。  問題は総論賛成、各論反対なんです。この各論に小泉内閣はメスを入れて手を突っ込んでいるんでしょう。だから賛否両論出るのは当たり前だと受け止めているんです。今改革を進めているのも、じゃ税制改革金融改革規制改革行財政改革歳出改革、言っています。みんなそうだと言うでしょう。各論入ってごらんなさい。税制改革一つ取っても、それぞれ各論に入ってくれば反対が出てきますよ。  あるいは規制改革、今言った農業の株式会社参入、今度始めるでしょう。これだって与野党反対ありますよ、今。今、田名部議員は賛成だって言いました。野党の中でも反対者がいますよ。とんでもないと、株式会社を農業に参入させるのなんか、与党の中にもあります。それを今進めているんです。金融改革にしても不良債権処理を進めると言うとすぐ反対出る。じゃ、進めませんよと言うと、これまた反対出る。歳出の見直し、公共事業増やせばいいのか、いや見直します、これまた反対、賛成、与野党にある。小泉内閣というのは総論、言っていますけれども、総論は報道しないだけです。報道されないだけです。将来の展望を示しています。各論に入っているんです。  各論反対のやるところに改革の必要性があるのでありまして、私は今言ったように、田名部議員については改革について総論は賛成だという御指摘がありましたけれども、そう言いながらも、それでは今の中でデフレ対策がなっておらぬと、もっとどかんと十兆円でも国債発行してどかんと公共事業をやれという声がありますけれども、そんなことやったらどうなるんですか、将来の財政。だから、これ今私の補正予算に対して額が少ないという不満がありますけれども、これも与党、野党両方賛否両論でしょう。どっちか決めなきゃならないのが政治ですよ。それを私は反対を覚悟して決めているんじゃないですか。  そういう点を考えれば、私は総論がないから将来に不安があって駄目なんだという議論にはくみしません。できません。総論は前から言っています。各論反対に踏み込んでいるのが小泉内閣だと。しかし、そういう批判を乗り越えてやるのが小泉内閣の使命だと心得ております。
  139. 田名部匡省

    田名部匡省君 二十一分で終わりなものですから簡明に願いたいんですよね。  私は、改革をどこから始めるかというのがあると思うんですね。だから、もう私は前から、橋本総理のときにも、国会議員の定数削減を先にやりなさいと、三年掛けて。それから、特殊法人、公益法人を先にやるべきだということを言ったんです。それは、やっぱり国民負担を求めない努力、それは、隗より始めよですよ。  アメリカは国土が二十五倍ある。人口が二倍で、上下院で五百三十五人です。日本が七百二十七人ですよね。これ、しかも地方議員も六万一千四百もおる。横浜市なんかは人口三百四十七万人で定数が九十二でしょう。同規模のロサンゼルスが十五人です。ですから、思い切ってやっぱり定数を削減すると。痛みをまず政治家がやって、それから特殊法人、公益法人。これだって、省庁再編したり合併したりして、合併したおかげでどれだけ国民負担が少なくなるかということが分かっていかないと、ただ、なったなったと言うだけじゃ、良くなっているのか余計掛かるようになったのか分からぬと、こういうことではいかぬと思うんですね。  いずれにしても、私は、こういう状況のときにはもう少し、三十兆の問題もいろいろ言われていますけれども、頑張ってみたって、国民みんな、聞いてみると、やっぱり公約違反だと、こう言うんですから、もう素直に認めて、その代わり、こういうわけだという説明をした方が分かりやすいだろうなと、こう思って先ほど来の答弁を聞いておりました。  いずれにしても、この間、地元へ帰っていろんな中小企業の仲間たちと会って話を聞いて、いろいろ言われてきましたよ。特に、何か私はよく分からぬけれども、竹中大臣がアメリカにしょっちゅう、あっち行ったりこっち行ったりして、税金を納めないでいたというのを何かで言われまして、そんなことあったのかと。そうしたら彼らは、やっぱり頭のいい人は得して、おれらたちみたいな頭の悪いのは損するようにできているんだなあと。税金なんか払いたくねえやなんて言って、座談の中で言われていましたが、どういうことか私は知りませんけれども。  いずれにしても、株もどんどん含み損が増えてもう大変な状況でしょう。総理は株価には一喜一憂しないと。一喜一憂しないのはいいけれども、含み損資産がどんどん増えて、塩川大臣は、株価に重大な関心を持っていると言うと、もうこういうのは新聞に出るものだから、何がどうなっているのかさっぱり分からないと。国民はみんなそう言うんですよ。ですから、分かりやすくやってほしいということをお願いしておきます。  それで、地元のさっきの企業の連中に会っていろいろ話を聞くと、中央のような不良債権の問題はないと、青森県は。貸し渋り状況は特に表れていないけれども、むしろ資金はだぶついているが、中小企業の方で前向きの資金を借り手がないんだというような、こういう話をしていまして、経営を苦しいながら維持している、予想外の長期のデフレで売上げが不振になっている、前向きの資金を借りようなんて余裕がなくて、既に借りている借金の返済のために資金繰りが苦しいんだと。ですから、返済のための資金調達を何とかできないだろうか、こういう意見が多かったんですね。  これ、どう思いますか。
  140. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 田名部先生にお答えさせていただきます。  青森県ではそういう資金需要というのが、いわゆる借金の返済等に追われて新規のものがないという、そういう今お話でございましたけれども、全国的に見ますと、やはり我々の調査によりますと、非常に貸し渋りがこのごろ顕著になってきたという形で、大体二五%を超える方々がそういうことを言っております。  そういう中で、一つは、こういうデフレ下にあって厳しい状況ですから、私どもはいわゆる信用保証、このセーフティーネットの保証貸付けというものをこのところ非常に条件変更等をして拡充をしてきました。したがって、先ほどの御答弁でも申し上げましたけれども、非常にここの利用が高くなってきておりまして、約十二万四千件に応じさせていただいて、そして三兆四千億、こういった形で実際には動いているところであります。  それからまた、この臨時国会でこの十五日に成立をさせていただきまして、二つの法案があります。一つは、これは中小企業の挑戦支援法でございまして、やはりこの中小企業が置かれているそういう状況で新規創業をしやすくして新たな雇用を創出する、そういった観点から、例えば今まで資本金は株式会社の場合には一千万でございましたけれども、これをもう限度を設けなくて、極端に言えば一円から資本金でやっていいと。それからまた、中小企業の協同組合、こういったものでベンチャーというものを起こすためにここも緩和をすると。こういうような形をさせていただいて、やっぱりこのセーフティーネット保証貸付け以外にも前向きのそういう積極的な形は挑戦支援法でやらしていただき、それから中小企業の信用保険法、これも改正をさせていただいて、これもきめ細かく対象の範囲を広げてやると、こういうことにしております。  また、政府系金融機関でも、商工中金でこれは今まで三千万円だったのを五千万円に拡大をしまして、そしてここのところも強化をしていこうと、こういう一連の措置を取っておりまして、今、中小企業の皆様方が置かれている資金、その状況というのは非常に厳しいものですから、我々としては補正予算と併せてきめ細かく対応していこうと、こう思っております。
  141. 田名部匡省

    田名部匡省君 いずれにしても、担保が少ない。私は行政監視委員会で言ったんですけれども、このバブルはじけたのは関係ないんですよ、国民は。政府と我々国会議員のこれは政策失敗だったと思うんです。一億の担保がもう地価が下がって五千万になったと。あと五千万持ってこいといったってあるわけがないんですよ。だから、一億をそのまま認めて、良くなりゃ元へ戻るんですから、こういうことをやったらどうかと。しかも、保証人になれといったって保証人がいないんだ。そんな状況で、納入単価はもう引き下げられるわ、まあそんなことで苦しんでいるんです。  だから、実態をよく見て、いろいろ貸し方も、一杯小口に借りていますからそれを一つにして、最後にこんなにならぬようにやってあげるとか、きめ細かくやってくださいよね。  そうして、五千万の金融安定化資金なんかも、これもうまくやればもう少しやり方はあると思う。いい制度だったようですからね。しかも、来年は、十五年ですか、金利は一・三に上げるなんという話があると。これもまたもうおかしな話。だから、やるときは上げる話をしないで対策をやってくださいよね。それをお願いしておきます。  いろいろおいでいただいたけれども、時間がなくて質問できなくて申し訳ありませんでしたけれども、いずれにしても総理国民が苦しんでいる、関係ないことで。しっかりやっぱり対応してやりましょうよ。やっぱり景気良くならないと、景気良くするためにはどうするかと、消費が六割占めているんですから、その上がる対策を真剣になって考えていただきたいと、これを申し上げて終わります。  ありがとうございました。
  142. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で田名部匡省君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  143. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、大脇雅子君の質疑を行います。大脇雅子君。
  144. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 法人税の減税について総理にお尋ねをいたします。  総理は、補正予算においては開発減税あるいは投資促進減税など、いわゆる政策減税を先行減税とするという方針を打ち立てられていたと思うのですが、法人税率の引下げについてはどのような態度を維持されるのでしょうか。
  145. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 後ほど塩川財務大臣から答弁もありますが、私は、今回の税制改革におきまして、一兆円を超える先行減税ということを言っているわけです。と同時に、経済活性化に向けたあるべき税制改革をしてもらいたいと。今までに、単年度で収支を合わせることにこだわらない、多年度でいいということを言って、後は各方面から様々な意見を聞いていい結論を出してくださいというふうに言っております。
  146. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 重ねて総理にお尋ねいたしますが、法人税の税率の引下げということについてどういう御見解をお持ちでしょうか。現在、法人税を納めているのは約三割、七〇%が赤字財政で、今回の収入におきましても、法人税収の落ち込みが非常に激しい。その中で、法人税率の引下げについて、総理はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  147. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、基本的に税率は低ければ低いほどいいと思っております。  要は、財源考えなきゃいけませんので、その点も考えて、これからの具体的な項目についてはよく検討してくれと。だから、法人税率も高いよりは低い方がいいというふうに考えております。
  148. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 財務大臣にお尋ねいたします。  先ほどの政府税調の報告を読みますと、既に先進国並みの水準で、これ以上引下げは適当でない、政策税制に集中し、それを重点化して、法人税率の引下げについては否定的な見解を示されておりますが、財務大臣はいかがでしょうか。
  149. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 現在、日本では法人税率は二七%なんです。そういたしますと、ヨーロッパ諸国と比べまして大体同水準でございまして、英国なんかより少しは安いかなと思っております。法人税率が問題になりますのは、東南アジアの諸国と比べた場合、日本は高いんじゃないかとおっしゃるんで、少しは高いと思いますけれども、そんなにえらい変わったものじゃありません。  ただし、法人税には、法人には法人税とそのほかに地方税が掛かってまいりますね。地方税が一三%掛かる。これを合わせますと四〇%近い税率になるわけでございまして、この分を、これを実効税率で下げろと、こうおっしゃるんですけれども、それは地方税と国税の権衡を図っていかなきゃならぬと思っておりますが、しかしながら、これは将来はやっぱり考慮しなきゃならぬ問題であることは事実でございますけれども、現在のあるべき税制を探るという時点に立って、現在に立って考えますならば、これは将来の検討問題として、現在のところ引き下げる予定はしておりません。
  150. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 竹中金融財政担当大臣にお尋ねいたします。  竹中大臣は、昨日の「日曜討論」で、法人税率は諸外国と比べて高いので、二兆あるいは二兆五千億の規模において、その引下げを検討するというふうに発言されましたが、これは政府の今の財務大臣のお答え等と勘案いたしますと、方針が違うのではないかということですが、お尋ねいたします。
  151. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 昨日のNHKの「日曜討論」で申し上げたのは、法人税の実効的な税負担が国際的に比べて高いということ、これは明示的に申し上げました。その際に、税の負担にはいろいろなものがありますから、法人税の、国税としての法人税の税率を下げるべきなのか、しかしこれは地方税も入っていますから、その地方税についてどのようにするのか、これは財務大臣がおっしゃったような問題がある。加えて、様々な政策減税等々がある。いずれにしても、その税負担が重いということは、これは様々な調査で現れておりますので、活性化のためにはそこを引き下げるということはやはり考えるべきであろうかと思います。  額につきましては、これは正に多方面で今議論をしているところで、経済財政諮問会議でいろんな数字、民間議員からの提言も出ております。また、党の方でもいろんな御意見があります。そういうものを目指して、できるだけ活性化に努力したいということを申し上げた次第です。
  152. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、竹中大臣は、どこの次元で引き下げるかは別として、法人税の税率の引下げということは今度の補正予算では行うべきであるという見解だと理解してよろしいんでしょうか。
  153. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今回の補正では、税の話というのは特に総理の御指示の中には全くございません。今年の最初から来年度の抜本的な税制改革について議論を重ねたところでありまして、来年度の税制改正の中で今申し上げましたような問題意識が反映されるような形になるべきであるというふうに思っています。
  154. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それでは総理に重ねて伺いますが、今回の補正予算については法人税の税率の引下げはないというふうに理解してよろしいでしょうか。
  155. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回の補正予算といっても、今国会では提出しません。来年の通常国会に提出する予定で今準備を進めております。そういうことでありますから、補正予算税制改革ということは考えておりません。
  156. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 個人所得課税の諸控除の整理や合理化が言われております。これは、景気の兼ね合いを認めながら国民生活に影響を与えないという観点から行われるべきであり、法人税の税率減税が行われたとしても、現在の経済情勢からすれば増加したキャッシュフローが必ずしも内需の拡大には向かわないということが考えられます。  その効果についても非常に疑問視されるところでございますから、法人税率の引下げについては慎重に、国民生活の視点から十分に慎重な配慮を行っていただきたいと主張をいたしまして、私の質問を終わります。
  157. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で大脇雅子君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて経済問題を中心とする集中審議は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会