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2002-12-05 第155回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十二月五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十二月三日     辞任         補欠選任      齋藤  勁君     郡司  彰君      松井 孝治君     羽田雄一郎君  十二月四日     辞任         補欠選任      大沢 辰美君     市田 忠義君  十二月五日     辞任         補欠選任      市田 忠義君     宮本 岳志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         三浦 一水君     理 事                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 岩永 浩美君                 太田 豊秋君                 加治屋義人君                 小斉平敏文君                 福島啓史郎君                 松山 政司君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 本田 良一君                 日笠 勝之君                 渡辺 孝男君                 宮本 岳志君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   大島 理森君    副大臣        農林水産大臣  太田 豊秋君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       渡辺 孝男君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        厚生労働省健康        局長       高原 亮治君        農林水産大臣官        房長       田原 文夫君        農林水産省総合        食料局長     西藤 久三君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        農林水産技術会        議事務局長    岩元 睦夫君        食糧庁次長    中川  坦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (平成十五年産米政府買価格に関する件)  (米政策等に関する件)  (水田農業の再構築食料安定確保に関する  決議の件)     ─────────────
  2. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  去る三日、齋藤勁君及び松井孝治君が委員辞任され、その補欠として郡司彰君及び羽田雄一郎君が選任されました。  また、昨四日、大沢辰美君が委員辞任され、その補欠として市田忠義君が選任されました。     ─────────────
  3. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会厚生労働省健康局長高原亮治君、農林水産大臣官房長田原文夫君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君農林水産省経営局長川村秀三郎君、農林水産技術会議事務局長岩元睦夫君及び食糧庁次長中川坦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 農林水産に関する調査のうち、平成十五年産米政府買価格に関する件を議題といたします。  政府から説明を聴取いたします。太田農林水産大臣
  6. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 平成十五年産米穀政府買入れ価格及び米穀標準売渡価格食料農業農村政策審議会への諮問につきまして御説明を申し上げます。  初めに、資料番号1の「諮問」についてでございます。  米穀政府買入れ価格につきましては、食糧法の下で、自主流通米米流通主体となったことを踏まえ、自主流通米価格動向を反映させるほか、生産コストなどを参酌し、米穀の再生産確保することを旨として定めることとされているところであります。  平成十五年産米穀政府買入れ価格につきましては、米穀需要動向市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営が図られる現行の算定方式に基づき算定することといたしまして、本日の食料農業農村政策審議会諮問を行い、御審議いただいておるところでございます。  米穀標準売渡価格につきましては、食糧法趣旨を踏まえ、米穀需給動向、財政の事情などを総合的に考慮することを内容とする諮問を行い、政府買入れ価格と併せて御審議いただいておるところでございます。  以下、これらの諮問の概要につきまして御説明申し上げます。  資料番号3の「平成十五年産米穀政府買価格の試算」をごらんください。  政府買入れ価格算定方式につきましては、まず、自主流通米価格形成センターにおいて形成されます自主流通米入札価格動向比較により価格変動率を求めます。次に、生産費調査に基づく米販売農家の全算入生産費動向比較により生産コストなどの変動率を求めます。この二つ変動率を均等のウエートにより前年産政府買入れ価格に乗じて算出することといたしております。  このような考え方に基づく平成十五年産米穀政府買入れ価格算定結果につきましては、六十キログラム当たり一万三千八百二十円、前年産価格に対し四百七十五円の引下げ、率で申しますと三・三%の引下げとなります。  なお、この価格ウルチ一—五類、一—二等平均包装込み生産者手取り予定価格でございます。  次に、国内産米標準売渡価格につきましては、資料番号4の「米穀標準売渡価格改定内容」の一ページにありますとおり、食糧法の下で政府米備蓄運営の機能を有することを踏まえながら米穀需要及び供給動向家計費並びに物価その他の経済事情を参酌し、消費者家計を安定させることを旨として定めることとされております。  次に、二ページでございます。  標準売渡価格改定につきましては、最近の需給の緩和などを踏まえつつ、政府買入れ価格引下げ効果消費者に還元することとし、国内産米標準売渡価格につきましては、次のとおり改定するということでございます。  具体的には、平成十五年一月一日以降、水稲ウルチ玄米一—五類、一—二等平均包装込み、六十キログラム当たり消費税額を含まない標準売渡価格を二百二十六円、率で申しますと一・四%引下げ、一万五千九百二十五円とするものであります。  三ページはミニマムアクセス輸入米標準売渡価格でございます。  国内産米価格水準との整合性を踏まえ、平成十五年一月一日以降、外国産ウルチ玄米M3正味六十キログラム当たり消費税額を含まない標準売渡価格を百六十五円、率にして一・四%引下げ、一万一千七百三十八円とするというものであります。  以上でございます。
  7. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 農林水産に関する調査のうち、米政策等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 国井正幸

    国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。  今、太田大臣から、政府買入れ米価あるいは売渡米価の今日の諮問内容を御説明いただきましたが、これを含めて、今月の三日の日だったと思いますが、政府において新たな米政策改革大綱決定をされたと、こういうことでございますので、この米にまつわる問題についてしばし質問をさせていただきたいと、このように思います。    〔委員長退席理事田中直紀着席〕  まず、三日に決定をされました米政策改革大綱の中身でございますが、冒頭、「米の過剰基調が継続し、これが在庫の増嵩米価低下を引き起こし、その結果、担い手中心として水田農業経営が困難な状況に立ち至っている。他方、消費者ニーズが多様化し、これにきめ細やかに対応した安定的供給必要性が高まっている。」、こういうふうな記載があるわけでありますが、今回、米政策を抜本的に見直すあるいは見直さなければならない、そういうことになった動機というか考え方、これについて政府の方から御説明をお願いをしたいと思います。次長、どうでしょうか。
  9. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答えを申し上げます。  米につきましては、その消費量減少に拍車が掛かっておりまして、生産調整規模水田面積の四割にも及んでいる状況にございますし、またこういった生産調整規模拡大にもかかわらず米価下落をいたしまして、担い手中心とした水田農業経営が困難な状況に立ち至っているわけでございます。さらには、農業者高齢化が進む中で担い手の育成が立ち後れている、こういうことを総称しますと、正に閉塞状況に置かれているという状況にございます。  こういった状況につきまして、生産現場方々には限界感強制感の高まりもございますし、後継者不足への不安、あるいは生産調整を行ってもなぜその後価格がまだ下がっていくのかというふうなことにつきましての御不満もございます。様々な思いを持っておられるというふうに私ども認識いたしているわけでございます。  こういった閉塞状況の要因といたしましては、米の消費減少や連続した豊作といった問題もございますけれども、やはり基本的には、もはや生産調整を始めとする米の政策体系、この全体が状況変化に適切に対応し得なくなっているということがその根底にあるのではないかというふうに思っております。  こういったことを踏まえまして、今回の改革におきましては、市場を通じまして生産サイド需要動向を鋭敏に感じ取り、需要に即した生産を行うような需給調整システムを構成をする、構築をしていくと。それから二つ目には、集落段階での話合いを通じまして、地域ごと担い手を明確にしていくということ。それからまた、認定農業者に加えまして、集落営農のうちの一定の要件を満たす者につきましては、集落型の経営体として担い手としての位置付けを行うと。三点目といたしまして、一定規模以上の担い手を対象に、稲作収入の安定を図る対策といたしまして担い手経営安定対策を講じる、こういったもろもろ措置を実施をすることといたしたわけでございます。  もちろん、こういった今回の改革効果が一朝一夕に表れるものではないとは思いますけれども、今後、農業者農業者団体行政関係者流通関係者、広く皆様方、一般の方々にその趣旨を十分に御理解いただきまして、あるべき米づくりに向けまして一丸となって取り組んでいくことが必要だというふうに思っております。
  10. 国井正幸

    国井正幸君 聞いたことを答えてくれればいいので、書いたやつ全部読むような、そんな答弁しないでください。聞いていることをちゃんと答えればいいんだよ。私が聞いたのは、その動機がどういうことだと、こういうことで聞いている。何をやるかなんという話はこれから聞く。それは駄目だよ、そんな書いたやつを全部読まなくちゃ答えられないなんというやり方は大体おかしい。  私がなぜそれを聞いたかと。この表現の中に、今、次長が言われたような生産現場の、あるいは生産者思いというものが全然文章として表現されていない、そのことが私は問題だと思ったから聞いた。全水田面積二百六十二万ヘクタール、そのうち百一万ヘクタール、そして緊急調整が四万七千、まあ五万と言っていますが、正に四割になんなんとする生産調整が現実に行われている。営々とこれ行われてきた。そういう、その実態思いというものがここの中にちょっと読み取れないというふうに私は思ったから聞いたのであります。  ところで、生産調整については、昭和四十六年からいわゆる減反政策、いろんな呼び方はありますが、今日まで行われてきたわけでありまして、昨年の実態、いわゆる生産調整が行われた状況というものについて見ても、全国的に達成されているんですね。都道府県ごとに若干のばらつきがあるのはこれは事実でありますが、トータルとしては達成をされてきておる。私の記憶では、今日までずっと政府が提唱をして、団体生産者ともに協力をいただいて今日まで来たわけでありますが、いかがでしょうか。この生産調整は過去、全国ベースで見て、ばらつきはあるけれども、達成されてきたんでしょうか、こなかったんでしょうか。
  11. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先生、今おっしゃいましたように、生産調整昭和四十六年から三十年以上やってきたわけでありますけれども、このうち、各年のうち五か年は未達成ということはございましたけれども、総じて言いますと全国的には一〇〇%以上の達成が行われてきている状況にございます。
  12. 国井正幸

    国井正幸君 今、政府は、平成六年に制定をした主要食糧需給及び価格の安定に関する法律、これに基づいて行政を執行しているわけですね。ここのいわゆる第一条と第二条にどういうことが書いてあるのか、これ食糧庁次長、ちょっと読んでください。
  13. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 主要食糧法の第一条と第二条にどう書いてあるかというお尋ねでございますので、読ませていただきます。  第一条でございますが、「この法律は、主要な食糧である米穀及び麦が主食としての役割を果たし、かつ、重要な農産物としての地位を占めていることにかんがみ、米穀生産者から消費者までの計画的な流通確保するための措置並びに政府による主要食糧の買入れ、輸入及び売渡し措置を総合的に講ずることにより、主要食糧需給及び価格の安定を図り、もって国民生活国民経済の安定に資することを目的とする。」、これが第一条でございます。  それから、第二条の方は、「政府は、米穀需給及び価格の安定を図るため、米穀需給適確見通しを策定し、これに基づき、計画的にかつ整合性をもって、米穀需給の均衡を図るための生産調整の円滑な推進米穀供給不足する事態に備えた備蓄の機動的な運営及び消費者が必要とする米穀の適正かつ円滑な流通確保を図るとともに、米穀の適切な買入れ、輸入及び売渡しを行うものとする。」。二項としまして、「政府は、麦の需給及び価格の安定を図るため、その適切な買入れ、輸入及び売渡しを行うものとする。」。これが第二条の規定でございます。
  14. 国井正幸

    国井正幸君 そういうことで、政府が適切な需要見通しあるいは生産見通し、これを立てて、そして生産調整を含めてしっかりと情報を公開しながら生産者を含めて適切な生産調整に努めると、こういうことなんだろうと思うんですね。そういうことでやってきた。  ただいまも太田大臣から今年の政府買入れ米価の話がありました。その中で、自主流通米比率を五〇%に見る、生産コスト変動部分を五〇%に見る、これは方式として決まっているわけですね。これを見ても、自主流通米価格動向、前年に比べてですよ、〇・九七四ということは、逆にすれば二・六%落ちたと、こういうことだというふうに思うんですね。一生懸命生産調整をしていながら、米価は落ち続けていると思うんです。    〔理事田中直紀退席委員長着席〕  物価変動等々もありますから、私どもよく米価三代暦なんということで、昔、大正時代はどうだったとか、そんなことを聞いても今とは水準が違うから仕方がないというふうに思いますが、少なくとも食管法から食糧法に変わった。それは平成六年にこの食糧法が作られたわけですね。ですから、平成年産米と比べて現在の、十四年と言うわけにはまだ期中ですからいかないというふうに思いますが、少なくとも十三年の米価水準というのはどの辺になっていますか。
  15. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 平成年産自主流通米価格は、六十キログラム当たり二万二百四円でございました。昨年、十三年産自主流通米価格は、これに対しまして一万六千二百七十四円でございますので、平成七年を一〇〇といたしますと八一という指数になります。おおむね二割の低下をいたしております。
  16. 国井正幸

    国井正幸君 私の方で調べたのは、その取りようもちょっとあるんでしょうが、通年価格平均ということで見て二万四百五十九円、それが十三年で一万六千三百二十九円、およそやっぱり八割なんです。二割落ちているんですね。政府買入れ価格についても、平成七年が一万六千三百九十二円、そして昨年が一万四千七百八円、こういうことで、これは一割落ちているんですね。  今回の米政策改革大綱の中で、どうも農業者農業団体被害者意識に陥っていて主体的役割を果たしていないんではないか、だからもっと農業者農業団体主体的な役割を果たしてもらうんだと、こういうことを盛んに政府は今日まで言ってきたわけであります。もっと平たく言えば、これだけやっているのに感謝の一つもされずに文句ばかり言われている、これじゃたまらぬ、そういうことを思っているというふうなことが私の方にはひしひしと聞こえてくる、言葉として。  しかし、生産者の皆さんから、あるいは農業団体から見ても、政府がやっていることについて感謝していると思います。思っていますよ。思っているが、しかし振り返ってみたら、一生懸命生産調整に取り組んでいる、四割にもなる。これは普通、勤め人だって何だって、出日当でやる人なんか考えてみてくださいよ。十日のうち四日も休む、その分あなたの所得も四割減るよと、こんなことやったら何の職業だって成り立たない。にもかかわらず、余っているという中でやってきた。  さっきも答弁あったように、トータルとしては全国的に守られてきた。都道府県ごとばらつきがあったり市町村ごとばらつきもあるでしょう。あるいは、やっている者とやらない者もいる。しかし、全体としては守られてきたという事実がある。にもかかわらず、価格は下がり続けている。このことに対する現場不満というのは強いわけですよ。やってもやっても更に続けるのか、何だと、この米の生産調整は。しかし、やらなければもっと余るということは分かっている、でも実感としてはここまで追い詰められたと、そういう思いが強くあるわけですよ。だから不満がある。  しかし、この米政策改革大綱の中でなぜ見直しをしなければならないかということをうたう最初の出だしに、どうしてそういう生産現場思いというものを酌み取っていくことができなかったのか。これじゃ無味乾燥で何の味もない。全然思いが伝わらない。そんなことで現場と、合意と納得を得て政策を進めようなんといったって、どだい最初から、私はもっともっと現場への思いがなければならないと、このように思いますが、次長どうですか。あなたは現場で第一線で米の問題をやっている。言葉で言うんではなくて、こういう中でそういうもろもろ思いまくら言葉としてしっかり位置付けるべきだというふうに私は考える。だけれども、これはない。その辺についてどう思いますか。
  17. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 生産調整を始めといたします米の政策を実施するに際しましては、現場方々の考えもよく聴いた上で政策を立案していくというのは、もう基本中の基本だというふうに思っております。  今回の米政策改革の検討に当たりましても、現地に、これは生産調整研究会委員方々とも御一緒でございますけれども、行って、意見交換意見をお聴きするというふうなことも重ねてまいりました。  また、これだけではなくて、最近はインターネットというふうなものもございますから、そういったところでいろいろ御意見をお聴きする。いろいろ考えられる手段はすべて尽くして、私どもとしてはできるだけ皆様方の御意見を拝聴して、それを政策に反映させるように一生懸命努力したつもりでございます。  この表現ぶりにつきまして、先生方から今厳しい御指摘をいただきました。その点は、私どもこれから行政に携わる者として十分受け止めさせていただきたいというふうに思っております。
  18. 国井正幸

    国井正幸君 ですから、これは今後の第三者委員会の、第三者委員会というんじゃなくて、有識者を含めたこれからの部分でしっかりと実務的に検討したいという思いも私も分からなくはない。政府を一方で私も今批判をしましたが、我々も責任がないとは言えないと思う。やっぱり正確に需給というものをしっかりと押さえてやることが必要なんであって、余りにも、いわゆる生産調整等をやるときに、需給を誤らせるような要素というのはできるだけやっぱり排除をしていった方がいいというふうに思う。しかし、言うならば、食糧法の定め、それから、示されたことをみんなが守ってきたということ、にもかかわらず価格下落をし続けてきたということ、これはやっぱり需給見通しを誤ったということだと思う、需給ギャップが生まれたということについては。それはもろもろ要素があるでしょう。しかし、そこに今回の問題の中心があるんだということをしっかりとやっぱり押さえておいていただきたいと、このように思います。  それで、さっきも次長の答弁にありましたが、その次のくだりで「このような状況を踏まえ、水田農業経営安定発展水田利活用促進等による自給率向上施策への重点化集中化を図るとともに、」云々と、こうあるわけですね。どのような施策をこれで考えているのかと。  特に、自給率向上ということが強くうたわれているんですね。これは食料農業農村基本法の中でも大きな四つの理念の中の一つとしてこの自給率向上というのがうたわれている。具体的にどういうことをこれ考えているんでしょうか。
  19. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 自給率向上の具体的な施策についてのお尋ねでございますけれども、まず、主食であります米につきましては、これは潜在生産力が実際の需要量を上回っておりますから、需要に的確に対応した生産を行っていくということがまず第一でございます。  それから、国内での生産不足をいたしております麦や大豆につきましては、これの需要に対応した生産拡大を図っていくというようなことが大事でございますし、また、えさの生産飼料作につきましても、水田を活用いたしまして、耕畜連携を図りながら、あるいは新たなまた品種、飼料用の稲とかあるいは加工用の稲といった、そういった新しい試みを取り入れながら生産拡大を図っていくと、そういうもろもろ政策を併せて自給率向上に図っていきたいと思っております。
  20. 国井正幸

    国井正幸君 そういう意味で、余っているものを作っても自給率向上にはならない。足らないものを作ってしっかりと国内供給することが自給率向上になる。ということになれば、今言われた麦・大豆あるいは飼料、これは後でもちょっと触れさせていただきたいと思いますが、これはやっぱり国策上、自給率向上、これは大変重要なことだというふうに思うんです。これはむしろ何にも勝って優先をされるべきことだろうというふうに私は思っております。しかし、私から見ると、それに比べて今回提示されている内容で一部不満も、不満というか、これは直した方がいいというふうに思っている部分もありますので、これは後でそのときに申し上げたいというふうに思います。次に、「目的」というのが書いてあります。「米を取り巻く環境変化」というんですね。それから、「消費者重視市場重視考え方に立って、」と、こういうふうなことです。「需要に即応した米づくり」ということも書いてあります。米を取り巻く環境変化、あるいは消費者重視市場重視という考え方需要に応じた米づくり推進、こういうことなんですが、どういうことをこれは考えていることでしょうか。
  21. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、米を取り巻く環境変化というものをどう認識しているかということでございますが、先ほど少し触れさせていただきましたけれども、需要減少なり生産調整限界感、あるいは担い手高齢化、そういったもろもろの要因が重なって閉塞状況に立ち至っているというふうなことでございます。  それから、消費者重視市場重視というのは具体的にどうかということでありますけれども、米、大変重要な作物でありますけれども、その米といえども一つの作目、商品でございますので、何よりも大事なことは、需要、つまり消費者のニーズをいかに的確にとらまえましてそれに対応した生産を行っていくか、そういうことができる体制をいかに打ち立てていくかということが大事だということでございます。
  22. 国井正幸

    国井正幸君 これは、米には奨励品種というのがあります。大臣の地元ですね、青森ならむつひかりか何かですか。我が栃木県はコシヒカリでございまして、それぞれの都道府県に奨励品種というものがあります。この奨励品種というのはどういう概念なのか。概念としてですよ。  私の理解しているものとしては、できるだけ食味が良くて、消費者に好まれて、なおかつその地域の気候風土に適応してやっていけるであろう、営農技術上可能であって、かつ良食味の、消費者に好まれるものを奨励品種として都道府県で推奨をして栽培をしてきたんではないかと、このように私は考えておるわけでありますが、これはどなたですか、生産局長ですか。じゃ、その概念について話してみてください。
  23. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 奨励品種、主要農作物種子法で都道府県が決めるというふうになっております。そのときの法律上は気象、土壌、経営内容、技術水準需要動向等を勘案して奨励すべきものとして決めるというふうになっているわけでございます。先生言われました需給動向という言葉ございますので、消費者ニーズ、そこには良食味というのがあるんだろうと思います。こういうものに即して、かつ技術水準、気候、土壌という言葉がございますので、その地域で栽培可能なという先生言われた概念は満たされている、同じ概念であるというふうに私も思っております。
  24. 国井正幸

    国井正幸君 奨励品種が過去にもこれずっとあってやってきているわけでありますが、特に昔はそういう中で一定流通量を含めて一類、二類、三類なんという類別の問題もいろいろありましたが、今、どうですか、過去からの統計的に見て、奨励品種の、全水田栽培面積に占める奨励品種のウエートというものは増えてきているのか減ってきているのか、その辺はいかがですか。
  25. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 新食糧法の話が出ましたので、平成七年以降を見ますと、大体九三から九四%の作付け割合でございます。その中で、特に良食味という観点だと上位五種、これが今六八・九%、約七割でございまして、これ増えていく傾向にあるということでございます。
  26. 国井正幸

    国井正幸君 そうですね。私が手元にしています平成十二年産の奨励品種のウエートでも加重平均で九三・四%と、こういうことでほぼ九割を超える水田は奨励品種によって占められておる、こういうことになっているわけですね。  それから、さらに、有機栽培米あるいは低農薬米等々、食の安全、安心にかかわって、そういう消費者ニーズもあるというふうに思うんです。いかがですか。正確にはなかなか把握し切れない部分があろうかと思いますが、これも傾向として、有機栽培米や低農薬米等は増えてきているのか減っているのか、傾向としてどうですか。
  27. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 環境保全型農業といいますか、低化学農薬、低化学肥料、それから土づくりといった農業、増えてきている傾向にございまして、今年の九月に統計情報部が公表した統計によれば、面積が約三十一万四千ヘクタールということでございます。この中で、特にもう一切化学肥料や化学農薬を使わないようなもの、約六千ヘクタール、半分以上化学農薬を削減しているものが十四万三千ヘクタールということでございまして、増えていく傾向にあるところでございます。
  28. 国井正幸

    国井正幸君 生産調整に関する研究会の中で、本来あるべき米の姿というのが議論されたわけでありますけれども、そこの中間取りまとめの中で、本来あるべき米の姿というのを簡潔にまとめている部分があると思うんですが、これはどういうことを言っていますか。
  29. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 研究会の報告書冒頭に、「米づくりの本来あるべき姿」というのが書かれているわけでございますけれども、今後の米づくりについては、消費者ニーズを起点とし、家庭食用、業務用、加工用、新規需要用、稲発酵粗飼料用などの様々な需要に応じ、需要ごとに求められる価格条件を満たしながら、安定的供給が行われる消費者重視市場重視の姿を目指す、こういうのが米づくりの本来あるべき姿として記述をされております。
  30. 国井正幸

    国井正幸君 今、奨励品種の問題、あるいは有機、低農薬、こういうものについて相当な努力が行われてきているということですね。  本来、これは経営的に見れば、これは技術改良の部分になるかもしれませんが、本来、農業経営という面から見れば、労働力の平準化をすることの方がより効率的なんですよね。例えば、わせだったらわせに集中をするんじゃなくて、わせもあるし、なかてもあるし、おくてもあると。であれば、労力が平準化をするという一つがある。  もう一つは、気候条件等で、ちょうど出穂期にどういう気候条件があるかと、当たるか。わずかな二、三日であってもこれが作況に大きく影響するということもある。あるいは、国として効率的な農業経営を図るということで共同利用施設の導入なども行っている。これとて、本来は晴天率だとかいろんなことを含めて規模算定の要件があるわけですよ、これ、共同利用施設を入れるにしても。そのときには、理論的には均等に、わせ、なかて、おくてと、こういって最大限に利用しようということが、作文上はそういうことを目指す。あるいは、会計検査院なんかからしても、そういうことをやればもっと規模を縮小できるんではないかなんて、こういう指摘もある。私も現場にいたのでそういうことはよく分かる。  しかし一方で、消費者ニーズということになればなかなかそうもいかないというところで、現場を含めて大変な苦労があるわけですね。しかし、消費者ニーズ第一、お客様は神様だということでどんどんどんどんこれやってきた、そういう状況になっている。ここで、米づくりのあるべき姿で、今、中川次長言われたような消費者ニーズというものについてはほぼ満たしてきている状況にあると思うんですね。  問題は、さっきも言われたように、需要に応じた価格だと。もっと安いものが欲しい、売れる米づくりと言っていた。党の中でも随分議論があった。売れる米なんというのはとっくに作っている。更に安くという形で、安けりゃいいという話にはやっぱりならぬ。そういう意味で、それはいろんな用途がありますよ。いろんな用途はあるが、価格に応じた、需要ごとの価格条件を満たしながらと、こういうことなんだけれども、一体幾らにしたら、一体幾らにしたらこの価格要件というのは満たすと考えているんですか。
  31. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 米に対します需要は非常に多様化をしていると。確かに、多少高くても味が良ければいいという、特に家庭食を中心とした需要もございますし、また一方では、味はそこそこであっても価格の安い方を求める、特に外食などの需要もございます。  こういったふうに、相当需要によって価格の開きがございます。最近の例で申し上げますと、自主流通米価格で申し上げますと、一番高いものは六十キログラム当たり三万円近いものもありますし、また、同じ自主流通米でありましても比較的、外食等に使われております米などでは一俵当たり、六十キログラム当たり一万三千円強というふうなものもございます。  こういったように、相当需要に応じて価格には幅が出てきているというのが実態でございます。
  32. 国井正幸

    国井正幸君 ですから、これからこの米政策をやっていく上で、なぜ私がそんなことを聞いているかということは、これからいわゆる在庫が出た、そのときに売り切る努力を各産地がやる、やるんですよ、それは努力はする。しかし一方で、言うなら、ごちょごちょごちょごちょ書いてあるが、生産面においてはそれなりの、九割以上も奨励品種を作って、低農薬も有機も増やしてきていて、ほぼ、生産現場でやれる部分というのはほぼやってきている。  要は価格だということになって、決して価格で、価格競争の中に落ち込むようなことをしたんでは、これはやっぱり日本農業のありようというのが大きく変わってしまう。そこのところは、やはり米の消費拡大等を含めて、政府において国民の合意形成を図りながら適正な価格というものの維持に努めていただかなければならぬ、このように私は思っています。  時間もちょっと過ぎちゃったんで急がせていただきますが、米づくりの本来あるべき姿と、実現の道筋というのがあるんですね。これは、ここで冒頭申し上げたように、農業者農業団体が主役となるシステムというのがあります。ここを、これは事務的に答えていただければいいと思うんですが、大臣、ここの部分は是非私も大臣との思いの話をちょっと話をさせていただきたいと思いますので、技術的な部分は事務方で結構ですので、後で大臣のお考えも聞く場合も、聞きたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  その農業者農業団体主体となるシステムというのはどういうことなんですか。これは次長
  33. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 需給調整システム生産調整の在り方として需給調整システムをどういうふうにしていくかということがポイントになるわけでございますけれども、そこで、その農業者農業者団体主体となるシステムというのは、生産調整の、これまで国とそれから農業者団体が一緒になってやってきた、そういう状況の中で需要に応じた生産に取り組んでいくと。そういうことからいたしますと、そういった生産調整の配分といった面で、農業者農業者団体がむしろ中心になって行われていくと、そういうシステム、そういうふうに国と連携をしながらそういうシステムを作っていく、そういう姿でございます。(「今までもやっていた」と呼ぶ者あり)
  34. 国井正幸

    国井正幸君 今までも、そうですよね、やってこられたという実態が私はあると思うんです。  農業団体といっても、これは言うなら農協でしょう、農業協同組合を念頭に置いているんでしょう。違うんですか、これは。
  35. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 農業者農業者団体が主役となるシステムにおきます農業者団体といたしましては、農業者が構成員となっております農協系統組織を主に想定をいたしております。
  36. 国井正幸

    国井正幸君 農業協同組合は、前にも申し上げたと思うんですが、これは、経営局長も来ていますが、来てもらっていますが、加入、脱退が自由なんですね、加入、脱退が自由。どうも生活協同組合に比べて農業協同組合は組合の帰属意識が低いとか、いろいろ言われますが、これは親の代からずっと入っていたりなんかということもあるから、そういう部分もあるし、協同組合の作られた歴史的な経過もあると思いますが、しかし協同組合であって、加入、脱退は自由な協同組織であります。  その加入、脱退が自由な組織に強制力を伴ったこういう措置を、お願いをし説得をするという行為はできるけれども、最後まで、やりたくないというものをやれ、協力したくないというものを協力しろということでやれるのかどうか、そういうことが、強制感を伴ったものができるのかどうか。これ経営局長農業協同組合というのは加入、脱退自由だと思うんだが、いかがですか。
  37. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、先生御指摘のとおり、農協法上の法的な立場としては、加入、脱退は自由な組織となっております。
  38. 国井正幸

    国井正幸君 いや、法律的な立場も何も、加入、脱退自由なんですよ。問題は、問題は、出資金ぐらいは残しておくけれども私はもう農協と一緒にやらない、そういうことは嫌だということで、確かに出資金を出しているから、組合員か組合員じゃないかということになれば組合員かもしれないが、現実は農協運動に参加をしていない、確信犯的に離れていっている人たちをどうするかという問題なんだ。そこのところを本当にできるのかと、加入、脱退自由な組織に。今までだってやってきているわけだ。  この間、党の部会で、今日は石原長官おらないが、余り協力していないような話を言ったから、何を言っているのか、何をもって協力しないと言っているのか具体的に言ってみろと、こういうふうなことで私も申し上げたんですが、みんなやっていると。これは大臣、これまでの中だって補助事業の優先採択ということもやってきた。あるいは、大臣の耳には届いていないと思いますが、春と秋に叙勲ありますよね、褒章とか。こういうことだって、その市町村で達成されてなけりゃ、栃木県なんかの場合は有資格者になったって推挙しませんよ、県が。ありとあらゆることを使ってやってきた、やってきたんですよ、生産調整達成するために。  今度、農業者農業団体が主役となる、主体となるシステム、しかも加入、脱退が自由なところ。それでなくても、私も農業協同組合にいたけれども、非常にやっぱり残念なことあるんですね。私は職員でおりましたが、平成五年のときのように米が不作だとなったら系統からみんな逃げていっちゃう、余っているとなればわんさと持ってくる。非常に便利に使われているという面もあるんですよ。しかし、それが実態なんだ。その実態を見誤ってどんな絵をかいたってうまくいくはずがないと私は考えているわけでございます。そこのところをしっかりとこれからやってもらいたいと思います。  特に大臣にお願いしたいと思っているのは、この点について大臣のお考えを聞かせてもらいたいというふうに思うんですが、三日の日にこの米政策改革大綱決定されるに当たり農業団体から大臣に申入れがあったはずであります。もろもろ思いというものはいろいろあるでしょう。こういう政策を入れてくれ、いろんなのがあると思います。しかし、これは今後一年間掛けて、十六年からの話ですから、具体的な政策の問題はこれから時間掛けてやればいいと思う。しかし、一番最後のくだりに、私の手元にもあるんですが、JAグループは自らの改革に全力を挙げる決意であるが、国は安全、安心な国民食料の安定供給、国土保全、環境維持等の多面的機能の発揮、地域社会の安定等に果たすJAグループの役割やこれらの政策推進にかかわる国とのパートナーシップの重要性にかんがみ、JAグループに対するいたずらな批判をやめること、こういうことが書いてある。  これは大臣、私は前に党でも申し上げた。経済財政諮問会議等には話によると大臣しか出られないという話も聞きます、あるいは規制改革会議、いろいろな場がありますけれども、農業協同組合に対する独占禁止法の適用除外の話、これも極めて誤解に基づいた発言であります。さらには、協同組織として地域を守るために金融、共済、相互扶助の中でやっている、これらについて分割をしなければならない、もろもろ農林水産省ではありませんが、政府部内から誤解に基づきいろんなJAに対する話がある。そういう中で、先ほど言ったように、加入、脱退自由な組織が、さりとて、自分たちが農業者なんだから、あるいは農業団体なんだからおれたちがわき役になるわけにいかぬ、おれたちが精一杯やれることはやろう、そういう思いの中でやってきているときに信頼関係を損ねるような話があるというのは、私は、こんな話が公式な文書として出てくるなんということ自体が大変遺憾なことだというふうに私は思っているんですよ。  是非、これは車の両輪ですから、経済財政諮問会議なんかでは、農協は余り行政的な役割を果たさせるのではないなんて、生産調整をやるなんというのは正に行政的な話でしょう。何を言っているのか分からない。しっかりとその部分については、是非大臣の御見識の中で、政府において正当なやっぱり協同組合組織というのが評価を受けるようにこれは是非やってもらいたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  39. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 今、国井委員の率直な質問を伺いまして、私自身もなるほどなという、聞き及んでおかなきゃいかぬなという思いも何点かございました。  その一点は、消費者志向、消費者に目を向けろということを私どもが申し上げておるのでございますが、昨日も公明党の井上委員から、大臣そう言うけれども生産者があって消費者であるということも忘れるなよという御指摘をいただいたのと、国井委員が今切々と訴えておられる点はそういうことではないか、全体のバランスを見ろ、こういうことだと思います。  ただ、国井委員は、農協人として自分の人生を歩んでこられて、必死な努力で日本農政あるいは栃木の農民のために御努力されてきたと、本当に毎日毎日御苦労されてやってきたと思います。私の生まれ育った環境から見ましても農協というのは誠に身近なものでございまして、それぞれのところに農協というものがあって、個人的なことを申し上げますが、私の父も青森県の中央会長をやった経験がございます。そういう中にあって、近くで見ながら、今の時代にこの農協系統がやっぱり改革もしてもらわなきゃならぬ点、私は数点あると思う。  そういう中にありまして、私が大臣に就任をさせていただいて、系統の、全中の皆様方とお会いしました。そのときに申し上げたんです。改革は信頼なくしてはできませんと。信頼なくしてはできません、したがってお互いにこの大改革に向かって率直な意見交換をいたしましょう。また、経済財政諮問会議等々におきましても、私は、様々な御意見を発言していただく方はあると思いますが、生産者のその組織団体としてこれまで蓄積された農協系統の経験とネットワーク、これは新しい時代の農政を作るために必要なんですということも率直に申し上げておきました。  したがって、全中始め系統の皆様方には、今までのように行政のある一部分を本当に担っていただいてきたという事実認識を私どもは感謝とまた敬意を表しながらも、新しい時代に合わせてニューパートナーシップをお互いに築き、信頼をしかとそこに置き、議論と対話を重ねて日本の農家農民のためにいい政策をこれから作っていこうじゃありませんかという中で、この米改革の経過の中で、国井先生がお会いするよりは少ないかもしれませんが、かなりお会いをさせていただき話合いを進めてまいりました。  したがって、この組織の存在というのは、依然として私はその必要性を認識しているものでありますし、なるがゆえに農協のあるべき姿についても、自己改革もしていただき、また私どもも申し上げ、私どもにも意見をちょうだいし、ともに新しいパートナーシップを築きながら、信頼の上に立って努力していきたいし、農協という存在をそういう姿で、しかと正にパートナーとして見据えてこれから協力してやってまいりたいと、こう思っております。
  40. 国井正幸

    国井正幸君 そこで、これまだまだ質問あるんですが、時間も余り、ちょっと二時間ぐらい本当はこれさせてもらおうと思って準備したので一杯あるんですが、ちょっと諸般の事情で短縮しますので、あと何点かだけ聞きたいと思います。  今言ったような考え方をベースに、農業協同組合の中では、農業協同組合は加入、脱退自由ですから、加入をするという意思があれば加入をさせる、これは拒否することはできない話、抜けると言えばそれは駄目だとも言えない。そういう中で、形式的な話じゃなくて、気持ちを込めて、生産調整に参加をする人たちだけで生産調整実施者集団というものをしっかり作って、やれる人たちだけでやろうではないかと、こういう提案を農業協同組合はしてきたはず。  にもかかわらず、今回の米政策改革大綱の中で、生産調整実施者集団という表現、いわゆるやる人たちだけでとにかくやる以外にないんだと。やらない人までいつまでも言ったって、やらないものはどうしようもない、やれる人たちだけでやっていこうじゃないかと。そういうことを込めた言葉として、生産調整実施者集団という問題が生産調整研究会等の中だって提起をされてきた。ここに一言も出てこない。どういう考えでそういうものを取り扱ってきたのか、次長、どうですか。
  41. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 農協系統から生産調整の研究会の場で御提案のありましたこの実施者集団につきましては、その研究会の場でもいろいろ実は御意見がございました。積極的な意見、また多少問題があるんではないかという、そういう御意見もございました。  それで、実際、現場でこういった生産調整実施者集団という名前に値するものが一体どういう役割を果たしているのかということをもう少し現場実態を情報収集、整理をした上で、それで生産調整研究会の中で、これ今後専門委員会というのを設けることにいたしておりますけれども、その中でこの生産調整実施者集団の役割、位置付けというものを議論をいただきたいというふうに思っております。
  42. 国井正幸

    国井正幸君 今言ったような状況があるんで、できないものを大ぶろしき広げて、ただ架空のものをかいてやるというやり方はもう駄目だというんだ。だから、やれることをしっかりやれる、やっぱり運動体として気持ちも形も一緒にできるものをしっかりとやって、国はそういうものをサポートする、国策に沿ってやってくれるんだから。そのことをやっぱり今後私は明確に位置付けるべきだと、是非そういうことで今後やってもらいたいというふうに思います。  ところで、今度は数量を、数量でもって都道府県、市町村にまで下ろしていくと。これが需給というかギャップを進める上で、方策含めてのしっかりとした生産確保するという意味で、そういうことになるというふうに理解しています。  そして、生産者には数量と面積で両方をやっていくということになるわけですが、それを決めるに当たって、各都道府県ごとの収量も違うし市町村ごとも違う。今、アバウトな話ですが、二百六十二万ヘクタールのうち百一万ヘクタールを生産調整してということは、逆に言えば、全水田面積の中でどこの県は、あるいはどこの市町村は何ぼ作っているということも逆に言えば分かるわけだ。それぞれ地域の取れる単収も違うということですから、それをしっかり押さえるという話になっていますね。  ということになった場合、都道府県、市町村ごとの米の生産量、主食用米の生産量というものをしっかり固定をして、そこをベースにこれから過不足の調整をしていくのか、そこのところはどういうふうにするつもりなんですか。
  43. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今、先生がお話しになりましたように、これからは需要量というもの、量でとらえるということで、米の生産目標数量を配分をしていくと。これは国から県、県から市町村まではその量だけでございます。それから、市町村から各生産者に配分をされるところは、量と、それから具体的に生産者の段階ではそれをその地域の単収で割り戻した面積、この両方を配分をするということにしております。
  44. 国井正幸

    国井正幸君 いや、それは分かっている。
  45. 中川坦

    政府参考人中川坦君) それで、そういったシステムの中で、具体的にこれからの地域地域の、あるいは県ごとの生産目標数量をどうするかということでありますけれども、これは前年にその地域あるいは県のお米がどれだけ取れてどれだけ売れたかということは分かります。ですから、そこをベースにいたしまして、それから第三者的機関でもっていろいろ情報について関係者の方も参画をいただいてアドバイスをいただくということでございまして、そういった御意見も踏まえながら来年どれだけ作っていくかということを見極めまして、そして、その過去の実績に基づきます生産目標数量をそういった形で修正をしていくというのが当面の配分の姿でございます。
  46. 国井正幸

    国井正幸君 やっぱり、特にその場合、適地適作というものもあります。主産県と言われる部分もある。米単作地帯含めてありますよ。それはやっぱり先ほど来議論してきているように、その気候風土等々もろもろのやっぱり歴史的な経過があって今日まで来ている。そのことを御破算に願いましてはということにはなかなかならぬというふうに思う。ですから、これまでの経過、それからこれからの方針、そういうものをよくよく勘案してしっかりとやってもらいたいというふうに思っております。  まだまだこれ質問しなくちゃならないし、あるんですが、もう時間もないので、何点か要望させていただきたいと思います。  特に、今日、技術会議の事務局長にもおいでいただいて、本当は時間を取らせていただきたかったわけでありますが、私は、水田水田のまま利用されることが農業の持つ公益的、多面的機能を最大限に発揮するというふうに思っております。あわせて、食料農業基本法の最大の課題というんでしょうか、これも多面的機能と併せて食料自給率向上だというふうに思っています。四千万トンの穀物を我が国は消費する中で、米が一千万トン、麦・大豆含めて雑穀で一千万、えさが二千万トンと。アバウトな話ですが、そういう中でほぼゼロに近いえさの部分にいかに自給率を高めるか、このことが最も大切。  そういう意味で、水田を活用した飼料用稲作、これができるように是非、しかし同じものが二つ価格、三つの価格になると、やっぱり上昇志向というのはありますから、現場が混乱する。外形上、草丈が高いとか低いとか、粒が大きいとかちっちゃいとか、色が付いているとか付いていないとか、そういうことを含めて識別できるようなことを、大変難しい課題だと思いますが、是非英知を集めてそういうものを作っていただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、今回の交付金のありようでありますが、まだこれから詰めるということですから、十分私もその都度意見を申し上げたいと思っておりますが、三階建てになっているんですよ、大臣、三階建てになっています。生産調整に参画をしただれもが入れる部分があります。その上に担い手対策があります。もちろん私は、担い手対策は重要な案件だと、やるべきだと思っています。さらに、その上に品質向上分、麦・大豆飼料作物等の品質向上分があります。あるいは耕畜連携、先ほど言った自給率を上げることを含めて大変重要なこれ国策でございます。これが、一階はだれもがもらえる、いいですよ。二階が担い手担い手でなければ、品質向上しても耕畜連携施策推進してもそのメリットが還元されない。これは国策上やはり私はおかしいと思う。いいものをしっかりと消費者ニーズと、ここまで、あるべき姿ということを言うのであれば、消費者ニーズに応じて高品質なものを作れば、担い手であろうがなかろうがしっかりとやっぱりその生産者として努力をしてもらう。努力をした人が報われる、そういうことを私はやるべきだと。  また、耕畜連携というのは何も担い手だけがやることではない。ましてや米は、御案内のとおり担い手層は三割しかない。七割は兼業が占めている。そういう状況からすれば、一挙に変わることはない。そこに誘導はしていっても、一挙に変わることはない。  そういうもろもろのことを考えたときに、是非大臣、まだまだ十六年の予算でこれ措置するわけですから時間はありますが、そういう点を含めて、是非政府部内においても検討を加えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  47. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 今、国井委員から最後の意見も踏まえて本当にじっくりお話を聞かせていただきました。最後の点も勉強をこれからしながらまた御議論いただくところであろうと思いますが、そういうふうな国井先生からいただいた今御提案等々も研究しながらまた御議論をさせていただきたいと、このように思いますけれども。  私どもは決して生産者のことを忘れているのではなくて、むしろ生産者が頑張っていただくために、消費者というところの肌合いをもっと感じるような仕組みにしたいという思いでの改革であり、そういう中にあって、皆様方の御協力をいただきながら、またアイデアをいただきながら努力をしていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  48. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 民主党・新緑風会の信田邦雄でございます。  私は、北海道の東、それだけでは分からないと思いますが、オホーツク海に面した北見なんですが、もうそろそろ冬になりまして、最近は夏の観光より流氷の観光が有名な、そういったところの北見市というところで、前の農林大臣をやっていた武部先生と同じ北見市でありますが、十ヘクタールほどの水田を作って、米を作って、また七ヘクタールぐらいは生産調整を自らやっているという農業経営者です。  私は、これまで五十年間農業経営を行ってきまして、すなわち戦後ずっと米を作り続けて、四十六年まではほとんど、生産調整どころか毎年のように水田を増やしてきたという状況でございましたから、いまだに日本国民に対して私は米を作ってたゆまなくお届けをして、今日元気に育っている日本国民の大方の人が私の米を少しは食べているのではないかなと、そんな自負を持っているぐらいでございまして、実は家でも今十町作っていますから、私は断固息子夫婦に、米だけは死ぬまで作り続けろ、休むなと、これが私の強いこれまで言ってきたことでありますし、瑞穂の国の日本が戦後わずか五十年で、ずたずたにされた日本が世界に最たる国になったというのは、私はこれは米があったからだと。正に米が主食であったからこそ今日の日本があるのではないかと。どうしてこういうことを忘れてしまおうとするのか。こうして私は怒っている一人でありますが。  大臣も、先ほどもお話がありましたが、農家のことをよく承知しているはずです。私は、青森県の米を食べたから農林大臣になったのではないかなと、こんなふうに思っているぐらいでございますので。  今回決定した大綱の最終決定、細かいことはないんでしょうけれども、最終的に自民党、全中、国の三者合意のような形で、若干、私からいいますと国民に分かりにくいような形で決まるようでありますが、本来、国が主体的な責任を持って大きな理念を持たなければならない。いわゆる日本人の主食だということをやはりきちっと国民に表明できなければならない。だれが何と言っても日本の、そしてまた地球の将来のために断固として米は守り抜くんだと、こういう理念で出せば大方の国民は私は必ず賛成するはずだと、こう思っているんですが、大臣、これは国際的な視野も入れました高い視点で理念をお伺いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  49. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 瑞穂の国と言う方もおるというか、そういう言葉もありますし、太田大臣から私はいろいろ教えていただくときに、三千年の歴史を持つ米と、こう言われます。そうしましたら、青森県の縄文遺跡は五千年前でございまして、その中にもうどうも米があったのではないかと、様々に言われます。  いずれにしても、米は日本の文化の私はオリエントであると思います。そして、日本人のアイデンティティーの中にも米から生まれた様々なものがあると思います。そういう主食であるがゆえに、日本人というものの文化やあるいはまた物の考え方の中に米の生産、そこから生まれるものがたくさんあると思います。そして、米の持つ栄養力というんでございましょうか、そういうものを見ましたときに、世界の中にある穀物の中を見ても大変優れたものがあると思います。  日本という国の気候風土の中で培ってきたこの主食を守るためにどうしたらいいか。新しい時代に合わせて改革をして守り抜く、これが今度の改革の私は根本の根本にある哲学だと、こう思っております。したがって、その生産調整のところにおいては、やがて自主的なそういう調整の方向に進むわけでありますが、基本的な農作物の施策として国が責任を持ってやらなければならない、なるがゆえに、大綱の中にも様々な手を、施策の方向性を出させていただいている、このように御認識、御理解をいただければと思います。
  50. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 大臣の文学的なお答えは大体分かるわけでありますけれども、また私と同じでありますが、その答えの中だけではどうも強い理念が感じられませんし、特に大綱全体では私は非常に後退した理念になっているんではないか。これは、食糧法基本法にも若干これは悪い方向に行っているんじゃないかと思っています。  それで、また大臣にお伺いいたしますが、この大綱は、実は私は、基本的には国際化を意識した、いわゆるWTOを意識した、すなわち世界の国々が自由貿易の中で農業も加えてガット交渉をやってきたわけですが、将来、すべての関税をゼロにしようといって今ひどい提案が各国からというか、特にアメリカなどからやられているわけですから、こういう協定が二〇〇五年の一月一日から、私は必ず、今回は延びないと思いますから出発する可能性は非常に高いわけですね。  こういう中で、国際化対応の農業政策をこの大綱の中で方向付けしなかったら、非常に日本の農業政策は国際的に後れを取ってしまうんじゃないかという非常に危惧している私は一人なんですが、世界の国々は既にもう大方の国が国際化、自由貿易。だから、自由貿易と国際化は絶対否定できないでしょう、世界の一員として、自由主義国として。だからこそ、どの国も自分の国の農業政策を大切にしているんですよね。それはもう皆さん、農林省の皆さん特にお考えだと思うんですが、いわゆる食料政策を守ってこそ自分の国の本当の安全保障だということなわけですよね。これは基本的には必ず予算が付きまとうわけでありますが、正に国際化対応した米大綱を作ってこそ、私は、国が責任を持つということになるのに、それすらこの大綱ではちょっと見えにくい。  そういう意味で、先ほども言いましたように、瑞穂の国を作ってきた先祖が私は泣くんではないかなと、こんなふうに思うんですが、大臣、国際的な政策が今回なぜ入らないのか、そこら辺、どんなふうに思うんですかね。
  51. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 信田委員の、国際化という視点が忘れているではないか、こういう御指摘でございますが、大綱の中で国際社会における日本の米作というものが全く議論されていないかというと、私はそうではないと思うんです。  ただ、国際化に対応できる日本の米作という視点を言葉で書き、あるいはそういう視点でこの改革をやろうとするならば、逆にその意味合いが様々に取られていくのではないかと思うのです。  例えば、ある方はもっとコストダウンしろとか、あるいはまたそういうスイス・フォーミュラ、ケアンズ・グループの主張、そういうものも視野に入れてという、その視野に入れてのところが、そういうものにも競争して勝てるような米を作れと言う人もいるかもしれませんし、そういう流れに対抗していかなきゃならぬというふうにまた取るかもしれません。  私はこのように申し上げているんですが、内なる改革、そして外に対しては断固として国の基本である農業を守る、そういう観点から私どもは日本の農政というものを考えていかなければならない。  いずれにしても、国際社会における日本ということを考えていかないと日本の政策はもうおかしくなるわけでございますので、そういう中にあって、日本の農業をどのようにしていくかという視点はどういう場面においても考えていかなければなりませんけれども、先ほど申し上げましたように、WTOという国際貿易ルールの闘いの場におきましては、それぞれの国の農業が、そしてその農業の中でも最も基本的なるものがお互いに存在をする多面的な農業の存在というものを基本に置いた国際ルールを作るべきだという主張は断固闘いそして貫いてまいりたい、このように思っております。
  52. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 この大綱を作るときに、そういった意味で私は、研究会もそれから将来を考えている役所の皆さんにも相当のこういった御議論があったことは承知していますが、なかなかそれを踏み出していけないところに問題があったと思いますが、大臣、その様相として、この大綱が本来目指そうとしていた裏側に見えるのは、私は財政でなかったのかなと踏んでいるんですよね。この財政が壁に大きくなって様々なことを阻んできたし、特に財政を議論するときに、どうも国民から大きな御批判をいただいているというところにも大きな問題があり、いわゆる生産調整に金を使っているが何の効果も上がらないというのは、生産調整を批判したのでなくて、その金を使ったところに国民の批判をいただいたのかなと私はそう思っていますが。  実は、本当に国民が米に対して批判しているのかどうか。国民のだれがそんなに米政策について文句を言っているのかなと私は逆に別な視点から見ているんですが、今国民が食べている米は高いかどうか。これは私は、買って飲む水より安いんでないかと。しかも、ジュースの一本よりも安い。しかも、最近はスーパーの目玉商品ですよ。それなのにまだ、先ほど御質問ありましたけれども、特売コーナーで並ぶようになっている米に対して、高いとか要らないとかとは国民の大方は言っていないはずなんです。  問題は、政策の誤りといいますか、そこのところを指摘し、予算の使い方などに問題があるのではないかと。大体もう、先ほども出ましたけれども、農家の手取りは新食糧法になってから約一兆円以上も減少しているわけですよね。これなのに、農民が悪いことをしているわけでもありませんし、国民にはもう徹底的に安いものをもう届けていると思うんですよ、はっきり言って。それは特色があるので価格はいろいろですけれどもね。そして、買っている人は相当もう米を食べる分については家計費は安くなっているはずですよね。  そういう意味では、私は、その金でやはり新たに米政策というものを、農民政策、地域政策、そして国民の安全な政策として切り替えなければならない、こういうふうに思っているわけですね。だから、むしろ国民が批判しているのは、農業政策農業予算が農民と地方のためになっていないんでないかというところを批判しているんでないかと私は思っているんですよね。そこを、だれのための農業予算かと、これは相当私ども今聞いているわけですね。  この間、財政当局に行っても言っているんです、使い方を変えなさいと。あなた方からどんどん提案してくださいと、もちろん私ども提案していますけれども。すなわち、この農業予算の政策が、農民とそして地方で頑張っている、地域を守っている、そういう地方分権的な予算になっていないところにいろんな問題がある。もう先進国は既にすべてそういうふうに移行した上でWTO交渉、ガット交渉をやってきているわけじゃないですか。大臣、この辺はどうですか。
  53. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 米にかかわる財政というものに対しての批判もあることは認めなきゃならぬと思うんです。そして、その過去の政策の是非の御議論は別にしまして、現実に例えば二回の過剰米処理、三兆円掛かりました。  そして、今、国民の皆様方が米に対するその認識というのは本当に様々になりました。スーパーで目玉商品として扱われるものもあれば、六十キロ三万円ぐらいで売られる米もあれば、さらにレストランチェーン店の社長さんに伺いましたら、洋食屋さんでございますが、十人お客さんがおいでになってくださいますと九人がお米を食べてくれると言うんです。しかし、そういうお米に対して、私どもがしっかりと欲しい米が手に入らないときがあるというか、要望したいと、我々は。しかし、そういうお米になかなか対応できない部分がありますとか、米に対する消費者の多様な思いというものがあるわけでございまして、そういうものに、今、信田委員がおっしゃったように地域ごとに多様な対応をできるために、今度の大綱では産地交付金という仕組みを作りました。画一的でない、地方で自主的に考えてほしい、集落でも考えてほしい、農協の皆さんも考えてほしい、そういうふうな大きな方向性として、地域の農政を確立する金をある程度自由に使えるような施策を今度の大綱で作りましたし、今までもそういうふうな地域で考えていただくような方向での施策は努力しておりますが、また実行いたしておりますが、今度の大綱の中では、正にそのことが一つの核となって頑張ってほしいという思いで、信田委員の今御主張された、地域で使えるような施策をしっかりと確立してまいりたいと、このように思っております。
  54. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 私は、予算の使い方の話をしていたので、今度の地域政策については大変評価していますけれども、諸外国では農業予算というのは農家にお金が行くものを農業予算と言っているわけです、そのことを言いたかったわけなんですが。日本は非常に後れている、そのことが全体の農業政策を後退させ、国民からも批判を受けているということになろうと思うんです。  それで、これから食糧庁に、大綱ができていますからお聞きをいたしたいと思いますが、まず、生産調整に対して農業者及び農業団体が将来自主的な取組に移行させたいと、こう言っていますが、私は非常にこの点ちょっと心配しているんですね。なぜかというと、今の農業団体生産量の五〇%余りしか米を取り扱っていないんですよね。こんな中で、それで需給調整など、この自由競争の世界を相手にしている厳しいときに、これできるのかなと。この団体では到底私はできないんでないかなと思っているんですね。  特に、消費者ニーズに合わせて、非常に今、生産現場では努力していますね、米作り農家は。この人たちが非常に意欲的な取組を個人又は集団とか仲間でやっているんですね。この多くの皆さんは、わずかばかりの助成金とか交付金とか、それぐらいは見向きもしないで、消費者とつながった二十一世紀に向けた米作りを一生懸命取り組んでおるために、相当の声を掛けても私は生産調整に参加をしてこないのではないか、こんなふうに思うんですが、食糧庁ではどういうふうに思いますか。
  55. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 私ども食糧庁の調査によりますと、今先生がおっしゃいましたような消費者と直接結び付いて意欲的なお取組を行っている方、こういう方は計画外として出荷をしているという方も多いわけですけれども、こういった計画外の出荷をしておられる農家の方、調べてみますと、そういった農家の方の九割は実は生産調整をきちっとやっておられるというデータがございます。それが事実として一つございます。  それから、十六年度から新しい助成体系いろいろ講じていくことといたしておりますけれども、例えば産地づくり推進交付金といったものの交付に当たりましては、水稲作付目標面積、それが目標からどれだけオーバーしているかといった、そういう要素も加味しまして減額をするというふうなことを考えております。また、担い手の経営安定対策、これは米価下落の影響緩和対策の上に上乗せして措置されるものでありますけれども、こういったものも需給調整との関連で交付をするということを考えております。  こういうふうに助成措置生産調整の実施というものをリンクをさせていきたいというふうに思っておりますので、現状と同程度の、かなりの生産者の方が生産調整に参加をしていただけるものというふうに思っております。
  56. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 私が言っているのは、これから、最初に言ったでしょう、大臣にも言いましたけれども、これから団体の方に、農業者農業団体の方に移行した場合、今おっしゃられた意欲的な人たちは、これまでは国がやってきましたから当然それは、そんな無責任なことを私だって一回もしたこともありませんし、ちゃんとやっていますよ。しかし、これからはもう先取りしてしまって、来年辺りからもうずっと将来に向けた取組をやり始めるんですね、意欲的な人たちは。そうすると混乱して、違う人たちは全体の政策が失敗しないかということを恐れて申し上げたんですが、それはいいでしょう。  そういうことで、そういう状況が考えられる場合、ただ単に生産調整を象徴的にだけやっても成功しないんで、やはり総合的な農業政策をきちっと見直した上で、その中にいわゆる総合的な食料政策の中の一つとして米政策を入れないと駄目なんですね。米政策だけを浮き彫りにやると、どこかにたたかれたりなんかして、また。違うんだと、日本の農政はこういうふうにして国民のために安全に、自給率を上げて、こうこうこうの中に生産調整も含めた米政策はこうなんだということをやれば私はひどく評価をされるんではないかと、このことを言って、そして、生産調整をやることが国際貢献も含めてやるべきかどうかの多様な対応をしないと、生産調整だけやって自国のことだけを見ているだけでは非常に私は片手落ちかなと、こんなふうに思いながら言っているんですが、次官、どうですか。
  57. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先生の今のお尋ねは、実は二つのポイントにまたがっていたかと思います。一つは、安全保障の問題、それから多面的機能といったそういう大事な理念に基づいてこの米政策の大綱がきちっと含まれているのかどうかということでございますけれども、まずその第一点はそういう点であったかというふうに思います。  今回の米政策改革大綱におきましても、水田利活用の促進、あるいは多面的機能の発揮のために効率的、安定的な経営体を育てていく、あるいは田畑輪換を中心とした持続的な輪作体系の下で水田営農というものをきちっと推進をするというふうなことも書かれておりますし、また、食料の安定供給確保、いわゆる食料安全保障の達成のために担い手の育成を通じた生産体制の確立、あるいは備蓄の適正な運営、それから、まさかのときの危機管理体制の体系的な整備をするというふうな趣旨も盛り込まれております。先生の御指摘の点は今回の大綱の中に含まれているかというふうに思います。  それから、国際的な貢献ということもおっしゃいましたけれども、その点、私、恐縮ですが、少し先生の御質問の趣旨が十分受け取れておりませんので、改めて御質問いただければお答え申し上げたいと思います。
  58. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 ちょっと私の次の質問にまで入るぐらい、通告してあるものですから、次官、お急ぎでお答えをいただいたわけでありまして、大方のことはお答えいただいたわけでありますが。  国際貢献のことについては、備蓄や何かでもまだあるわけですけれども、要するに、日本が生産調整をしておるということは、世界から見れば飢餓を作っていると言われているんですよね。本来取れる物を、アジアモンスーン地帯で一番取れる物を作っていないんじゃないかと。そのことによって、ほか作らないで別の物を買ったり、いろんなことを、輸入の問題も言われていますが、そういった意味では、作れるところで作って国際貢献をすればいいんでないかということも言おうとしているわけですけれども。  そこで、大臣にここでお聞きをいたしたいわけですけれども、外務省のWTO交渉状況によりますと、農業部門はミニマムアクセス米も、それから関税も、その他先ほども若干答えありましたけれども、極めて厳しいと。〇五年からの日本農業に対する国際圧力は予想以上に強まり、政策対応を急がなければ壊滅的打撃を受けると、外務省が私どもに言っているわけです。  私も、十五年ぐらい前からガット交渉などにずっとかかわってきまして、説明を受けたときにもう直観して分かったんですね、直観したんです。これは非常に難しい交渉をしているので、もし今の国の米政策主食から、主食を国が若干でも緩めて、手を緩めていくということになりますと、一気に外国から侵食されてしまう。これは、もうこの米の政策をただ単に何か米農家を守るような、あるいは農業団体云々と言っていますけれども、そんな小さな考えでなくて、やっぱり国民も地方も環境も全部守るためにこの米政策がこういうふうに必要なんだというぐらいに出さなければ、もしかしたら二〇〇五年一月一日以降に、私は、想像できないような農業政策の転換を世界から求められてくるのではないか、特にWTOから求められると思うんですがね。  そこはたしか内々の議論はなされていると思いますが、ガットのときもそうだったけれども、後退してWTOでもう負けたみたいなこと言えませんからね、それは分かりますけれども、早く政策転換をして、この米政策の十六年からやるときに、これから協議するとき、与党とももっともっと議論してやっておかないと、私は本当に心配なんです。大臣、いかがでしょう。
  59. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 信田委員の御質問は、WTO交渉が一方で進んでいる、そしてそういうふうなものに対してどのように対応するかという、その基本的な考え方を尋ねられているのじゃないかと、こう思います。  そういう中にあって、この国内改革国内政策というものをどう考えるか、また、さっきの質問と同じ部分があるかと思いますが、まずWTO交渉に関しましては決して甘い状況でないことは事実ですし、厳しい状況である、こういう認識をしっかりと見据えた上で我々は交渉していかなければならぬと思います。大臣に就任させていただいて、国会が始まる前に何としてもWTOの事務局長あるいは農業委員会の議長、そして最も我々と思想、哲学が共通しているEUの皆さんとお会いしたくて参りましたし、その前にASEANプラス3においても、各国のASEANの農相たちと率直な話合いをしました。  そこの主張は、一貫して私ども申し上げておりますのは、第一点は、先ほども申し上げましたが、そのそれぞれの国々において基本的、基礎的な農業が存続する、そこを尊重しながら多様な農業が存立をしている、それを基本にしたルールでなければならないということ。そういう一つの結論として多面的機能というものを農業には存しているのであって、輸出国の論理だけでこのルールを作ってはいけませんということ。結果として、我々の農業のその交渉においては、まずルール作りの共通認識がないと数字の議論に入れません。そのルールの基本作りというのは、アクセス、国内支持、そして輸出補助金、この三つが柔軟に対応できるような仕組みにしなきゃならぬ。それはウルグアイ・ラウンドの言わば基本の延長であるという認識でございます。ウルグアイ・ラウンドにおけるその交渉の経過を踏まえたときに、農業者あるいはまた与党の皆様方からミニマムアクセスそのものも議論としてするべきだという強い意見も私どもは承っておりますが、そういう基本的な考え方に立って全力を尽くしていかなきゃなりません。  やがて議長ペーパーが参ります。私は、国会が許されれば北村副大臣を議長ペーパーの前にWTOに派遣して、公平な議長ペーパーにしてほしいという最後の努力をいたします。そして、その上に立って、二月の中ごろにはミニ閣僚会議を日本でやることに決定を今いたして調整に入っております。東京でやることに様々な御意見もございます。リスキーな決定ではないかという御批判もありますが、もし二月の中旬にミニ閣僚会議をやるとすれば、私どもは、多分大臣は行けない状況になるんだろうと。  やはり責任を持ってやるためにはという観点からそういう方向で今調整をいたしておりますが、その前には、私あるいは太田大臣も政務官も含めて、全力を尽くして先ほどのような主張を説いてまいりたい、そしてネゴシエーションしてまいりたいと、こういう思いでございますので、こういう米の改革というものを国内でいたしながら、これはもう与野党乗り越えて是非御理解をいただきながらバックアップをしていただきたい、全力を尽くしてその交渉に当たってまいりたい、このように思っております。
  60. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 ちょうど大臣から多面的機能の関係がございましたので。正にこれまでの日本の歴史で、水田が日本全体、国土や様々なものに大きな機能を果たしてきたことはだれも認めざるを得ないものでありまして、これを評価してやっぱり政策にするべきだと。  そして、水田耕作者すべてに、やっぱり多面的機能としての環境支払を緑の政策として支払っていくことによって、米価などの価格水準とか様々なものが一定程度解決されるのではないかと、こんなふうに思いますが、これはたしか、官房長かだれか答弁いただけると思うんですが。
  61. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) ただいまの信田先生の御指摘の点でございますけれども、大臣からも今お答えがございましたように、今後の厳しいWTO交渉、こういったことを踏まえますと、我々といたしましては、国内政策、これをいわゆるグリーン化といいますか、緑の政策を多くしていくということが、これが取りも直さず他国に対します我が国の主張を強めていくと、こういったことで、正に米政策の大綱というものもそういった観点からこの十一月をめどに目指したものであると、かように理解している次第でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、新しい基本法の制定後、こうしたいろいろな緑の政策ということで、これは何も緑の政策というのはいわゆる農業者の方に対する直接支払だけではございませんで、例えば政府が提供します一般のサービス関係でございますとか基盤整備関係、こういったものも緑の政策とされておりまして、言わば我が国の農業の現状、それから今後の発展の方向、こういったことを踏まえまして全体の政策をどう仕組んでいくかという問題ではないかと思います。  後段、先生の方から直接支払のことに言及がございましたので、あえて触れさせてもらいますと、私どもも新しい基本法の下での直接支払ということでは、例の十二年度から条件不利地域におきますいわゆる中山間の直接支払ということで取りあえずスタートさせてもらっているところでございます。この直接支払というものがそもそもグリーンの政策であるという要件につきましては、WTO農業協定の附属書の二、これによりまして限定をされているわけでございます。  また、多面的機能に対する直接支払というのはこの範疇にはございませんで、御指摘の点に近いものということになりますと、いわゆる環境直接支払ということになるんではないかと思います。この点は、現在この環境の直接支払というものを導入しておりますのはいわゆるEU諸国でございますけれども、こういったEUにおきましては、農業がもたらします硝酸窒素によります地下水汚染等、こういったものが特に一九八〇年代問題になったということで、むしろ生産を抑えようということで、その代替措置ということで直接支払ということが導入されたということを承知している次第でございます。  こういったものにつきましては、私ども、諸外国の状況、あるいは今回のWTO交渉におきましては、そもそもこの緑の政策の要件自体についても厳しい見直しの論議等々も行われるわけでございまして、私どもといたしましては、こうした諸外国の状況なり交渉の状況、こういったものを十分ウオッチングしながら、将来の中長期的な政策課題ということで検討させてもらいたいと、かように考えている次第でございます。
  62. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 早くやらないと、二〇〇八年ごろからやろうとしても、そのころにはもう農業が壊滅的打撃を受けないように取り急いでいただきたいと思います。  さて、中身について次官の方にお聞きをいたしたいと思いますが、国は公正中立な第三者機関の助言を求めていきたいと言うんですが、この第三者機関というのはどういうようなものを想定し、どのような団体とかどのような人を想定しているんですか。
  63. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  第三者機関的な組織というもの、まず役割とそれから構成のお尋ねかと思いますけれども、具体的な機能としましては、米の需要量の予測あるいは生産目標数量の策定に関しまして、国がまずは事務局としてデータを分析、検証して一つ考え方をお示しするわけですけれども、それに、そういった国が示す考え方に対しまして、学識経験者あるいは生産流通消費に至ります各界の団体の代表の方がここの第三者機関に加わっていただこうと思っておりますけれども、そういった方々からいろいろと助言をいただくと、この助言をいただくというのが第三者機関の役割でございます。  それから、構成は今申し上げましたけれども、そういった各界の団体の代表の方、おおむね十名ぐらいで構成することを考えております。
  64. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 団体の中に、そしたら長官、例えば、今回もいろいろ御議論いただいております農業団体といいますか、そういうのを想定しているんですか。
  65. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 生産者団体ということなので、想定いたしております。
  66. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 実は、なぜ聞いたかといいますと、大臣も先日のこの委員会でも、農業団体が、農協という意味だろうと思いますが、改革をしていかなければならないということを強い意思で言われておりまして、改革を求められているような団体が中立公正の意見をきちっと本当に、将来の農業政策や国際化対応の意見を本当に言えるのかどうか、そこを心配して言っているんです。私どもの団体ですから本当はこんなこと聞きたくないですよ。だけれども、そういう危惧もあるということで若干申し上げておきたいと思います。  時間が、大先輩の和田先生に譲らなきゃなりませんので次へ急がせていただきますけれども。  実は、私の顔を見ていただいたら分かるように、私のところは北海道ですから、大規模主業農家といいますか、専業農家という言葉は使いたくないんですが、これは新しい食糧法に基づき、あるいはこれまでの新農政や様々の中で頑張って、本当に頑張って頑張って規模拡大をして、生産調整などももう政府政策の言うとおり、もう優等生としてこれまでやってきて、ほとんどもう立錐の余地もないぐらいきちっとやってきたのが私ども北海道です。その人たちが、今、実はこの三年間ぐらいで大きな借金と、意欲を失って、最も大規模主業農家が今困っている、米耕作者の現状なんですね。  これは、この大綱の中といいますか、これからの方向でどのようにしようと思っているんですかね。
  67. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 大規模ないわゆる稲作の担い手方々の経営安定の確保を図るというのは大変重要な課題だというふうに思っております。  それで、十六年から新しく措置されます各種の施策の中で、一つは、産地づくりの推進交付金というのがございますけれども、この交付金を活用いたしまして、例えば、更なる努力ということで賃借権を設定して規模拡大をするというふうな場合には、その担い手のこういった取組に対しまして助成金を交付することができるようにいたしたいというふうに思っておりますし、その他、規模拡大のための農地の利用集積に関します様々な制度面での改善も行いたいというふうに思っております。  それから、何よりも、米価下落したときに、それに伴って稲作収入が大きく落ちるということが一つの大変重大な影響を与えることになりかねませんので、そういった点をできるだけ影響を軽減するという観点から、新たに担い手を対象といたしました経営安定対策というものも導入することにいたしているわけでございます。  こういった施策を講じまして、できるだけ意欲のある方々が元気を出して経営発展をされますような、そういう支援を講じてまいりたいというふうに思っております。
  68. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 どうも次長は勘違いしているようで、その程度で意欲と元気が出るような今状況にないと、こんな思いまして。  今度は、この担い手経営安定対策、今打ち出しております。この内容について経営局長にお聞きしたいと思いますが、現行の稲作経営安定対策より大きく後退しているということで、現場では非常に今不満が多いわけですね。それで、次の四点が現場で求められています。  一つは、加入要件を府県四ヘクタール、北海道十ヘクタールとなっていますが、これは大幅に引き下げていただきたいということですね。  それから、青色申告者というふうな要件を付けていますが、これは時代の流れとして分からぬわけでもありませんけれども、所得税法に青色申告もすることをちゃんと認められているのに、どこかでそれを選別するということ自体、白色申告者もたくさんいますから、そのことはこれは入れるべきでは、政策的に国の主食を作って頑張っている人たちにはそういう要件は入れるべきでない。  それから、基準収入については、直近三か年としておりますけれども、それでは豊凶や様々な状況ありますので、七年にして、上下取って五年にお願いしたいと。  それから、補てん率、八割と、九割に担い手の場合はなっていますけれども、これは現行の八割が九割になっていますが、これは十割にしていただきたいというのが私どものお願いであります。  それから、生産者拠出、これは一対一などといいますと、これは政策と私は言えませんので、国が関与して、関与してというか、国が食料をきちっと考えて国民のためにやるとすれば、やっぱり今までの現行の一対三を維持していただかなければこれは納得いただけないんじゃないかと。大臣も何かそうだなというような顔をしていますけれども。これは、この点についてどうかなと。いかがですか。
  69. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ただいま、担い手の経営安定対策につきまして、現行の稲作経営安定対策との比較においてお尋ねがあったわけでございます。  私ども、今回、担い手の経営安定対策を新たに打ち出しております。  その考え方でございますが、まず対象者、これにつきましては、私ども、二十二年に構造展望として将来の姿を示しているわけでございます。これをいかに実現していくかということで、この担い手経営安定対策もそれの方向に向かって貢献していく施策というふうに思っております。そういう観点からいたしますと、やはり平成二十二年のこの構造展望の目標をベースにして要件を考えていくということが必要であろうということで、その経営規模に近づく努力を促すという考え方で、一定規模以上の水田経営を行っているということで、先ほど委員が御指摘のような面積を、水田の経営全体としての面積を示しておるところでございます。  それからまた、青色申告の実施者ということをしておりますが、これは青色申告自体を奨励するということではなくて、その心は、自らの経営内容を点検をいたしまして経営管理の合理化を図っていく、これはもうこれからの経営体として最低限必要なことだろうと思っております。  余談になりますけれども、新しい農業者年金制度におきましても政策支援の対象者はやはり青色申告をしっかりしておる者ということで一致しておりますので、そういう流れの中で御理解をいただきたいと思います。  それからまた、拠出割合等でございますが、これは現行の稲作経営対策の反省とか問題点に立ちまして考えておるところでございます。これまでの稲経につきましては、ややもするとそういう手厚い対策があるがゆえに必要以上の値引きをするとか、そういうモラルハザードもありまして、そういうことからしますと、やはりそこのバランスが必要であろうということでございます。また、今回、産地づくりの中でベース部分として米価下落影響緩和対策もございます。そこの部分の比率も一対一ということになっておりますので、それとの連続性ということも考えております。  また、基準収入の取り方なり補てん割合でございますが、これもやはり稲経の現状を踏まえますと、やはりもう少し市場動向がきちんと生産者まで伝わるということ、そういうことを考えますと、やはりそういうモラルハザード的なところを考えますと、この補てん割合なりそういうものを、やはり一〇〇%ということではなくて、ある程度すき間を作ってそこのところを努力していただくということが必要ではないかという考え方の下に今の案を示しているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  70. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 議事録に載る話でございますので、信田委員から大臣はうなずいておったというふうな発言がありましたので、うなずいておったのではなくて、我が党のある先生からも信田委員と同じような意見を私にぶつけた方があるなという思いの中でううむと、こう先ほど聞いておったのでありまして。以上でございます。
  71. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 局長のモラルハザードの関係なんですけれども、制度に弱点があったり政策全体が補完していないとやはりモラルハザードが起きる可能性があるために、私どもは最初からずっと前に総合的な政策の中でやれということを訴えていたわけであります。  それで、次にもう一つ、どうしてもお聞きしたいことがあるわけですが、備蓄制度の関係ですね。これは私は非常に重要で、備蓄制度を農業団体や農家はただ単に価格を動かすためにという考えで備蓄制度を考えていらっしゃる方がかなりいらっしゃるようでありますけれども、私は、国民的に、それから農林省として、国民のための命の省がですよ、命の食料を預かっている農林省がもっと、けちな、価格を上げ下げする、需給だけで考えるなんということで備蓄を考えないで、やっぱり備蓄は、それは国民の将来の安全のためにきちっと考えておくという意味で私は、今回の備蓄を考える場合、食糧法での備蓄ではなくて、完全に切り離して、国、そして国際貢献という、国際化対応だと、こういう意味で備蓄をするべきだと思いますので、その点については食糧庁にお伺いをいたします。  時間がなくなりますので、最後に大臣にも一言申し上げておきますけれども、世界から、先ほど言いましたように、生産調整をしていることによって飢餓を作っていると、私ども、行くたびに怒られてきたんですよね。どうかこれ、もう大量輸入と生産調整はやめて、やっぱり国際貢献をして飢餓を作らないという、もう、ある国からは、日本が大量に食料を輸入していることによって途上国は飢餓を大発生し、戦争犯罪より悪いとまで怒られたんですよね、指摘されたと。  こういうことを、日本が本当に景気の悪いところから抜け出して世界と一緒にこうやって伸びていこうとするなら、食料政策やこういうことからももっと世界に視野を広げた政策を打ち出して、世界に堂々とWTO交渉をするぐらいの腹を大臣に持っていただきたいと。  食糧庁と大臣の二人に御答弁をいただいて、私の先輩の方に譲りますので、まず答弁いただきたいと思います。
  72. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 米の備蓄でございますけれども、やはり主食でありますお米につきましては、不作等がありましてこの供給不足をする、それが消費者に対します安定供給上問題があってはいけないということで、国が備蓄という形で一定の量を守っているわけでございます。そういう役割があるということはまず申し上げなくてはいけないことだというふうに思います。  したがいまして、そういった消費者に対する安定供給を上回るものを、そういった高水準の在庫を持つということになりますと、どうしてもそのことが供給圧力になって価格低下自主流通米価格低下という影響を及ぼすということもございますし、その大量の備蓄を前提に食糧援助を行うということになりますと、やはり多大な財政負担を伴うという避け難い問題がございます。そういうことから、先生のおっしゃいました御提案につきましては、なかなか実行は難しいというふうに思っているところでございます。
  73. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 国際備蓄という問題は、私どもも重要な問題として取り組んでまいります。既に、アジアの備蓄構想については、タイとの話合いが先般付きまして具体的な進め方をいたしておりますし、もっと広い意味での国際備蓄構想についてはWTO等々で議論してまいりたいと思います。  ただ、作れるだけ作って、そしてそれをやればいいんだというところは意見は合いません。やはりそこはそういう問題とは違うと思いますし、むしろ開発途上国からはもっと農産物を輸入しろと私ども言われる。  ですから、飢餓の問題という問題は、国際社会の中でどうシステムを作ってその備蓄構想に貢献していくか、イニシアチブを取っていくかということは一つの問題としてありますが、米を作れるだけ作って、そういう形ですぐそのことに貢献していくということには、なかなかこれは、幾ら信田委員のすばらしい御意見でも、うなずくわけにはまいらないことを申し上げておきたいと思います。
  74. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 終わります。
  75. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  76. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、市田忠義君が委員辞任され、その補欠として宮本岳志君が選任されました。     ─────────────
  77. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 休憩前に引き続き、農林水産に関する調査のうち、米政策等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  78. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党・新緑風会の和田ひろ子でございます。  まず、大臣お尋ねをいたします。信田議員に代わりまして、すばらしい農業を真剣にやっておられる信田議員の次に、会津出身の和田ひろ子農業についてお尋ねをしたいというふうに思っています。  先日、米の政策改革大綱が省議で決定されました。この大綱がどのような議論を踏まえて決定されたのか、まず大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 米政策大綱の決定過程でございますが、今年の一月に生産調整に関する研究会を設置しまして、ガラス張りの中、オープンな形で四十六回にわたる論議を積み重ねました。  研究会では、水田農業政策及び米政策に関して、生産面、消費面での構造変化の対応の後れ、生産調整面積が過去最高となる中での限界感効果への疑問、そういうふうな様々な視点が指摘されまして、これらを分析、検証を行い、その結果、生産調整のみならず、米の流通や経営対策農業生産対策等の関連政策の在り方も含め総合的な検討を行わさせていただきました。この研究会は食糧庁長官の諮問機関として発足をさせていただいております。そういう経過を踏まえまして、十一月二十九日、需給調整の在り方を含めた水田農業政策及び米政策全般に関し、基本的方向を明らかにして基本方向を取りまとめたところでございます。  それらを踏まえながら、研究会の最終取りまとめや与党三党の御議論を踏まえて、我が省として、農林水産省として十二月三日に米政策改革大綱決定いたしたところでございます。
  80. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 この大綱というのは、そもそも、今、大臣がおっしゃいましたように、食糧庁長官の私的諮問機関である生産調整研究会答申と自民党の大綱骨子案、またそれにJAグループの要請などを踏まえたように思われますけれども、その中身は、減反の見直しなど改革の枠組みだけを示して、米政策の見直しに伴う関連の施策、新たな補助金の細目等については新設される専門委員会で来年の夏、すなわち平成十六年度予算の概算要求時までに決定することとなっています。  生産調整研究会は一体何を目的に設置されたものであったのか、確認の意味でもう一度お尋ねをいたします。
  81. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 生産調整に関します研究会は、昨年の十一月に「米政策の見直しと当面の需給安定のための取組について」というものがまず農林水産省の方で決定をされておりますけれども、この決定に基づきまして設置をされました。  そのときの研究会の目的でございますけれども、公平性の確保のための制度的枠組みなど生産数量管理に関する諸課題、それから計画流通制度に代わります安定供給体制の具体的内容について検討するものとして発足はしたわけでございます。  ただ、発足当初におきまして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、委員方々の全会一致で、もう少し検討課題を広げていくという合意がなされまして、先ほど申し上げましたような検討分野になったという経緯がございます。
  82. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 結局、最終報告の答申の表題は「水田農業政策米政策構築基本方向」となっています。去年の九月に食糧庁から米政策の見直し案が提示されて、その中で、生産調整に関して面積の配分から量的配分に移行をするという、十四年度から実施するという本当に私にとっては突然な、私にとってと、皆さん同じだと思いますが、突然出されました。生産者団体などから猛反発があって、一年掛けて各方面の意見を聴いて、量的配分の実施に向け、その在り方、そのための条件整備を検討するために本当は設けられたものではなかったんですか。
  83. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先ほど申し上げましたように、当初の設置の目的先生の今おっしゃったとおりでございますけれども、ただ、そこの委員会に参画しておられます委員先生方全員が、そういった限定された課題だけではなくて米政策全般についてこれまでの政策を検証、分析をして新たな政策の方向を見いだしていくべきだと、そういう御意見がございましたので、その検討課題が広がったということでございます。
  84. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 それでは、作られた、作られたというか設置される段階の条件と検討されている条件が違ってきているというふうに思います。みんなは生産調整のための研究会なんだなという思いがしているのに、その中の議論が本当に多方面にわたるということはだれもが承知していないわけですから、そういうことであるならば、しっかりとそのことをおっしゃるべきだというふうに思います。  石原長官は、去年の三月十九日の農水委員会で私の質問に対して、生産調整研究会目的は、生産数量管理へ移行を図ることとされた生産調整の今後の在り方、こういうものにつきまして幅広く検討することを目的といたしまして、学識経験者それから生産者団体などから二十二名の委員で発足しました。本年一月十八日に第一回目の会合を開き、これまで全体の研究会を二回、総括的に議論を整理する企画部会を四回開催したと。三月末をめどに生産調整に関する論点・課題の整理を進め、四月以降その論点・課題に沿って議論を深めていくというスケジュールで進んでいるというふうにきちんとおっしゃいましたからね。  それは大きく違っているというふうに私は思いますが、それに対してはどういうふうに思われますか。
  85. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今、先生がおっしゃいました研究会の中での論点・課題の整理というものを一月からたしか四月の初めまで行われたかと思いますけれども、その論点・課題の整理を研究会の委員方々が議論される中で、当研究会の検討分野を米政策全般に対象を広げたと、そういうことについて各委員方々の合意があったということでございます。
  86. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 三年二組というクラスの中に四年三組の人もいたというような、そういう感じがしないでもないですね。  生産調整の在り方を検討する際に米政策全体との整合性を考えることは理解できますが、そうであれば、我が国の農業そして国民の食生活の中で米というのは一体何なんだろうか。新基本法の理念を実現する上で、お米と稲作、米と稲作というものを真剣に考えて、位置付けと役割を担うものと農林省は考えていらっしゃるのかどうか。また、生産調整研究会が「水田農業政策米政策構築基本方向」を答申するとするならば、その前提に、食の文化とか食生活が変化する中でお米と稲作の位置付けをどういうふうな役割を考えておられるのか、そのような論点とか検討があってしかるべきだというふうに思いますが、答申にはこういうことが一切載っていません。  先ほどの議論にもあったようでございますが、本当ならばこれをきちんとこういうふうな議論をされたということを書いてほしかったというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  87. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 国民の食料としての米の位置付けでありますが、これは正にもう主食としての重要な位置を占めているというふうに理解をいたしております。なぜならば、消費面では熱供給量の約四分の一をお米で占めておるわけでございますし、また生産面におきましては我が国農業中心的な作物だというふうな位置付けで考えております。これは、農業生産額の約四分の一をお米が占めておることと、それから全体の販売農家数の約四分の三が、農家が生産しているなど、大変な重要な作物であるというふうに位置付けをしております。  それから、生産装置である水田は、国土それから自然環境の保全、それから水源涵養、またそれぞれその地域に伝わっている伝統的な文化の継承、こういった様々な多面的な機能がございまして、国民生活国民経済上重要な役割を果たしているというふうに考えております。
  88. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 お考えは十分に分かります。みんなそれぞれ米の役割というのはそういうふうに思っているというふうに思います。そして、議論の中にもそういうことが出たならば、答申の中できちんとそれを踏まえて盛り込んでいくべきだったのではないかというふうに私は思ったので、質問をいたしました。  次に、今の流れでいくとお米も他の農作物と同じようなことになってしまうのではないかというふうに懸念をしています。お米は我が国農業にとって、また我が国の食生活の上で、今お答えにあったように基幹となる作目であり主食であるとするならば、それにふさわしい政策こそ求められるというふうに思っています。  そこで、お伺いしますけれども、午前の議論の中でも信田議員もおっしゃいました、大臣基本的な農作物だというふうに言われましたので、そんなものであるならば、その施策を、政府は十年後、二十年後、三十年後にどの程度の需要があると見込まれて政策決定されたのか、ちょっとお尋ねをします。
  89. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  将来におきます米の需要量を的確に見通すことは大変難しいことでございまして、といいますのは、需要量といいますのは社会構造の変化ですとかあるいは経済動向とも非常に密接に関連をするものだからでございます。しかしながら、一定の前提を置きまして、できるだけ客観的なデータに基づきまして今後十年間の需要量について試算を行いますと、十年先となりますと平成二十二米穀年度ということになりますが、そのときの年間需要量は七百六十六万トンから八百三十六万トンという数字でございます。これは、直近の需要量八百八十六万トンに比べまして五十万トンから百二十万トン程度減少するというふうに見込まれるところでございます。  なお、先生は二十年後、三十年後の需要量はというふうにおっしゃいましたけれども、十年後に比べましてこういった二十年先、三十年先となりますと更に不確定要素が増してまいりますので、なかなか試算は困難かというふうに思っております。
  90. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 もちろん不確定要素があるというふうに思いますけれども、今までの状況から考えてこういう米の事情になっているということをきちんと踏まえないと、農家の人たちが本当に農業をやっていけるかどうか、大変な瀬戸際でありますから、大綱を作るときはそういうこともいろんなバージョンを懸念して立てるべきだというふうに私は思いました。  米政策をどうするかは、二十一世紀の我が国の農業、さらに国民の食生活の安定供給を左右しかねない問題だと思っています。現行の仕組みが、押し付け的な手法が時代にそぐわなくなったり、農家に不公平感が高まっていることも否めません。財政的な要請などから結論を急ぐべきではないというふうに思っています。  例えば、BSEの問題とか無登録農薬の問題とか、もう絶対ないと言ったものがあったり、もう本当に懸念していることが現実となって、この山形なんかは百十一億円もの果実が廃棄処分にされてしまいました。目先のことでその場しのぎに対応すれば必ず将来にそのツケが回ってくるんだと私は思っています。  生産現場実態に合わせて、生産者の十分な理解を得てやることも、それも危機管理ではないかと思います。特に、お米は我が国で一〇〇%完全自給できる唯一の作物です。将来、こんなはずではなかったでは済まされないというふうに思っています。大臣の決意と責任を明確にお答えいただきたいと思います。
  91. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 和田委員にお答えしますが、和田委員の今御質問の中に様々なことがございましたが、正に米が日本農政の基幹であるわけです。であるからこそ一年間議論し、生産調整の研究会であったとしても、生産調整というのはすべてに米政策に関連されたものでありますから、必然的に全体像の議論をしなければならないことは御承知のことだと思います。そして、今、先生から押し付けとか不公平というお言葉がございました。正にそういう閉塞感があるからこそこういうふうな大綱を作らせていただいた、こう思っております。  そして、先ほど国井委員からも信田委員からも、生産現場、こういう方々の気持ち、思い、そして理解というものが大事だと、こういうことを強く厳しく御要請、御意見としてちょうだいしたわけでございまして、改革効果というのはなかなか一朝一夕に現れるものではありませんが、また一年一作しかできない米でありますから、私どもは、五年後を目指してこういうふうにします、その中に、三年前には検証をしてみます、そういうことをしながら、いわゆる生産者皆様方の理解を得られるように努力しながらこの大綱を実行していかなければならないと思います。そして、その進めていく過程の中で、人間ですから、一生懸命オープンな形の議論をしたり与党の皆様方の御意見、私どもは消費者の御意見も聞きました。そして、この委員会での各先生方の御意見を聞いて、なるほどそういう点は思いもちょっと浮かばなかったなという点もあるだろうと思うんです。  やはり進めながら、やりながら考えていかなければならないところもあると思いますが、先ほど来申し上げましたように、また御指摘がありましたように、生産者の十分な理解を得るように、そしてまたともにその目標に向かって歩けるように努力をしていきたいと、このように思います。
  92. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 生産調整のことを言いますならば、三十年以上も生産調整というのをやっています。過去三十年で総額五兆七千億円が使われたというふうに聞いております。やっても需給調整がうまくいかなかったんですよね。その原因は何なのか十分精査する必要があると思いますが、一体この生産調整に単年度ではどの程度の費用を要しておられるんですか。米政策に要した費用はどうなるのか、生産流通、加工、消費備蓄などの点でお尋ねをいたします。
  93. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  これは平成十四年度の数字でございますけれども、米政策に要します全体の予算額約五千五百億円でございますが、そのうち生産調整等の分野で約二千九百億円、生産振興の分野で約一千七百三十六億円、それから流通、加工では四百十四億円、それから消費の分野で五十八億円でございます。あと、備蓄の分野で約二百八十億円というふうな数字になってございます。
  94. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 消費はお答えいただきましたか。
  95. 中川坦

    政府参考人中川坦君) それは明確に申し上げなかったかと思いますが、消費の分野で五十八億円でございます。
  96. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 済みません。  生産調整というのは正に生産を調整する対策、いかに米を作らせないかということが中心ですよね。需要拡大する政策がおろそかであったとは言えませんか。これは林業政策と同じで、また今回の大綱にも若干触れられておりますが、我が国で一〇〇%完全自給できる唯一の作目であるお米を、余るから作らないようにする、こればかり考えていては農家の皆さんの心をすごく傷付けると思います。本気で需要拡大に向けた取組が必要と思いますけれども、どうでしょうか。  例えば、生産調整に二千九百十一億円、消費は五十八億円です。その中で消費拡大対策が四十六億円、学校給食が十二億円ですね。何でもっと食べるような努力を、食べられるような努力をしないんでしょうか。
  97. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 消費拡大、正にそのとおりでございますが、ただ問題は、高齢化が進み、そして少子化が進んでいく中で、日本人口の中で、私どもが子供のときには保有米ということで、各家庭が消費する一人当たりの量というのは百八十キロ、いわゆる三俵だったわけですね。そういうふうなことですから、その当時、あなたのうちの人数は何人ですかと聞かれますと、例えば大家族が多かったですから、十人ぐらいの家庭が多かったですね。そうすると、三十俵ぐらいまではそのうちの倉庫にあっても、これは経済警察とかそういったところが来て見ても問題にならなかった。しかし、それ以上あった場合にはこれは一応統制違反というような形になってきたわけでありますが。  その当時から見ると、もう既に三分の一程度まで減ってきたというのは、先ほど申し上げましたような高齢化の問題、少子化の問題、そういった様々な問題があり、これがすべてが農林省の私は責任だというふうな考え方は当たらないんじゃなかろうかなというふうに考えております。そういった中で、まず家庭にありまして御飯食の重要性を私は再認識していただくことが最も重要だというふうに考えます。  と同時に、農業団体共々に各般の今取組を行っておりますが、例えば子供たちに田植から稲刈りまでの一貫した、そういった食に対する、あるいは米、主食に対する考え方をもっと理解をしていただくような、こういった体験学習も非常に私は大事なことなんだろう、そんなふうにも考えます。  それから、児童とその保護者を対象とした料理教室とかあるいはセミナー、こういったことも今開かさせていただいておりますし、また地産地消のように、今おっしゃいましたように、学校給食の中でも、非常にこれらのことについてそれぞれの立場で、教育委員会等々にもお願いをしていただいておりますが、福島県、先生のお地元は大体週五回の中で二・八回、全国平均も二・八回が、これが学校給食で米飯給食になっておるわけであります。  しかし、そういった中で、私は特にお願いいたしたいことは、先生方からもやはりそれぞれの御家庭の中で、あるいは農業生産者そのものも、米飯給食だけではなくて各家庭における米の消費拡大、あるいは自分の台所に農業者生産者がパンがあるようではやっぱり私はおかしいんじゃないかな、こんなふうにすら実は考えておるのでありまして、これからの食生活の中では、やはり国民運動的なこういった展開をしながら、皆さんそれぞれが力を合わせて米の消費拡大をしていく必要があるだろう、こんなふうに考えておるところです。
  98. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私ももちろんそういうふうに思っています。会津の熱塩加納というところは、自分の村の米を学校給食に使って、それがニュースになり新聞に出ました。それがニュースになり新聞に出るようでは駄目なんですよね、そんなことは全国でやらなくちゃいけないわけだから。そんなことをやっていかなければいけないというふうに思っています。  大体、学校給食に十二億円しか使っていないんですよ。これじゃ駄目なんですよ。やっぱり学校に行って聞いてみると、パンの方が、和田さん、とても栄養の面で管理しやすいと言うんですね。パンにチーズをやればもうたんぱく質が間に合っちゃう、牛乳飲めばそれで済む、もし肉が足りなければソーセージをやる。簡単なんですけれども、お米というのはなかなか、お米に対して今度は煮物とか、お魚とか肉とか、大変な問題があって、お金が高くなるから学校給食に米飯が入れられないというのが、学校というか教育委員会事情だそうです。  十二億円しか掛けていないとすれば、もっと一杯掛けて、子供たちの段階でお米が大好き人間にするしかないんですから、これは農林省の責任とかというんじゃなくて、もっと農林省が大きくかね太鼓でやるべきだというふうに私は思いますので、応援団として言っていますから、そんな、こういうふうに構えないで、そうですねという形でお聞きをいただきたいというふうに思っています。  生産調整研究会の答申を見ると、改革のための条件整備として、一つに「関係者の共通認識の醸成」という項目がありました。「十五年度を再構築された米政策の周知徹底期間とし、米づくりの本来あるべき姿、目標年次、実現のステップ、需給調整や助成措置のあり方等に関して、十分な情報提供を行い、農業者をはじめとする関係者の共通認識を醸成する。」というふうに書いてあるんですが、農林省、これでいいんですか。
  99. 渡辺孝男

    大臣政務官渡辺孝男君) その点でございますけれども、生産調整研究会の最終取りまとめでは、平成十五年度を再構築された米政策の周知徹底期間として、米づくりの本来あるべき姿、そしてまた目標年次等に関して十分な情報提供を行い、農業者を始めとする関係者の共通の認識を醸成するというふうに示されたところであります。農林水産省としましても、米政策を進めるには、やはり農業者農業者団体等、関係者の方々米政策改革大綱の実現に向けて一丸となって対応していく所存でございますけれども、我々大臣政務官も、大臣の命を受けまして、早々に自ら地方に赴いて周知徹底に努力をしてまいる所存でございます。  また、平成十五年度からは関係者の共通認識の醸成を図るために、構造改革に向けての地域での話合いの促進、新たな供給量調整手法についての周知徹底を図ることとしております。
  100. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 再構築された米政策の周知徹底期間として関係者の共通認識を醸成するというふうに言われますが、米政策の見直しに伴う助成金の措置内容も明確ではありません。私たちも全体のイメージがつかめていません。稲作農家の人にしてみれば、自分の経営が一体どうなるんだろうか、そんな状況でどうやって共通認識の醸成なんてできるんですか。もう一度お尋ねします。
  101. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 十六年度からの具体的な施策につきましては、これはもう予算編成の仕組みの関係上は、やっぱり十五年度の夏ごろまでに私どもとしては鋭意検討いたしまして、そして十六年度の予算要求の中で具体的な姿を示していきたいというふうに思っております。  その点は一つの手順ということで御理解いただきたいと思いますが、夏まで待つまでもなく、早速もうこの十二月のうちにでも各地に手分けして、副大臣あるいは大臣政務官を先頭にして私ども事務方も随行いたしまして、現地の皆様方にできるだけの御説明をしていきたいというふうに思っております。
  102. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 是非、早くに助成措置などを明確にして醸成に努めていただきたいというふうに思っています。  生産調整の配分について、国はそろそろ関与をなくしたいというような考えでいるようでいらっしゃいますけれども、実質的に強制的な配分をしてきた生産調整からいきなり撤退して、生産者団体の自主性に任せるというのも余りにも無責任、無策ではないかと私は思います。  また、現在の食糧法の下で計画外流通米の方が、先ほど信田さんは五〇%くらいだというふうに言われましたけれども、地元で聞いてくると五〇%以上、計画流通米は五〇%下でございます。そんな団体が本当に生産調整の配分ができるんでしょうか。計画外の方が大きいんですからね。その団体が農民全体の生産調整ができるかというと……(発言する者あり)あなた、大臣じゃないんだから黙っていて。  私は、生産調整配分について国の関与が絶対に必要だというふうに思いますから、政府の御答弁をお願いします。大臣でお願いいたします。
  103. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 今、委員がお話しされたのは、国の関与がどういうふうにされるのかということでございますね。  これは何回もお話し申し上げておりますが、米というのは日本農業の骨格でございます。したがって、生産調整そのものには二十年度から自主的な調整に入る、こういうふうに申し上げておりますが、米政策にはしっかりと私どもは関与してまいりたいと、こう思うんです。  農協がそれをやり切れるのか。先ほど計画外米の流通が五〇%云々……
  104. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 上。
  105. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 計画外米というのではないと思うのでございますが、いわゆる系統が扱う米という意味で先ほど国井委員からもお話がございました。私どもは、もちろん農協の皆さんに中心になってやっていただかなければなりませんけれども、先ほど来農協改革論の議論もございましたが、農協は私は依然としてその地域の、コミュニティーのコアになっている。その今まで積み重ねたストックというものは大変大きな力があると思うんです。  また、組合員、先ほど国井先生から自由に参加し自由に……
  106. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 大臣、お答えだけお願いします。国が関与してほしいということを是非お答えください。
  107. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) そういう中にありまして、私は農協の皆さんがしっかりやってくれるものと信頼をしておりますが、国はまず生産調整に関しては客観的な指標に基づく需給情報の提供、農業者団体生産調整の取組に対する助言、指導、豊作による過剰米の処理に対する支援等、適切に行ってまいりたいと、このように思っております。
  108. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 済みません、何回も申し上げまして。  農協を通さない人の方が五〇%を上回るという中で、本当に農協がそんなことをできるんですかというふうにお尋ねをしました。きちんと将来的にもやっぱり国が関与すべきじゃないかというふうにお尋ねをしました。そういう意味で、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  109. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 農協とともに地方団体もそこにはかかわっていくことになると思います。したがって、そういうことを、言わば先ほど申し上げた三点を中心に国が関与していくわけですが、更にどういう関与の在り方があるかはこれからプロジェクトチームを作って研究してまいりましょうと。  そしてもう一つは、そのバックグラウンドになる頑張れる農業者集落農業でも何でも、そういうところの施策はしかと責任を持ってやりますよということを申し上げておるわけです。
  110. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 本当に国が関与するのは情報提供と助言だなんというふうに書いてありますから、私はやっぱりきちんと生産調整の段階で国が関与すべきだということを強く要望をいたします。  大綱では、国が需要予測を行うに当たって、これ第三者のことはさっき信田さんがよく聞かれたので、第三者機関というのは私は本当は見えないからちょっと分からないなというふうに思ったんですが、あの答えがもう一度返ってくるとしたらこの質問はしません。  次、今回の政策の見直しでは、生産調整を数量管理で行うというのが目玉になっているというふうに思いますが、大綱で見ると、末端農業者に対しては数量と併せて作付け目標面積を配分するというふうにされています。これは、言ってみれば、実は数量管理をすることがそもそも不可能だということなんですか。
  111. 中川坦

    政府参考人中川坦君) これからの生産調整あるいは需給調整を考えます際に、需要に応じた生産が大変大事だということは先ほど申し上げましたが、そうだといたしますと、需要というのはやはり量でございますから、その量に基づいてどれだけの量を作っていくかというのがやはり基本でございます。  ですから、当分の間は、国が生産者団体と一緒になってその生産目標数量というものを都道府県、それから市町村、それから生産者というふうに配分をしていくわけでございますけれども、その市町村から生産者に配分をいたします際に、そこにもちろん数量は行きますけれども、その個々の生産者の方が生産調整需給調整をやっておられたかやっておられないか、そういうチェック、確認をします際に、数量ですとなかなか確認が難しい面がございます。  したがいまして、市町村から生産者方々に配分する際には、その数量とともにその地域の平均単収で割り戻した面積も併せて配分をすると。そのことによりまして、後の生産調整を実施しておられるかどうかというその確認が面積でやれるということになります。それが非常に確認の手法として確実だということで両方、数量と面積を配分するというふうにしているわけでございます。
  112. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 結局、数量だけではできないということの証だというふうに私は思いたいと思います。  今後検討されるとされている担い手経営安定対策、先ほども出ましたけれども、北海道では十ヘクタール、都府県では四ヘクタール、集落型営農体では二十ヘクタールと言われています。シェアでいえば、ちょっとお聞きをするつもりだったんですけれども、これはこちらから言います。シェアでいえば、北海道は四〇%以下、都府県は三%以下なんですね。これは本当に水稲面積、規模の要件を緩和すべきというふうにあらゆるところでみんな言っています。  仮にこんなことをしたら対象の現状はどの程度の戸数になるのか、そしてそんなことが日本の稲作農家の米を本当に守れるんだろうか、そして基本法の言う農業の多面的機能が保持できるんだろうか、そのことをお尋ねをいたします。
  113. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 集落経営体とそれから担い手の対象面積ということで、要件としまして、当初は水稲の作付面積で北海道六ヘクタール、それから都府県で三ヘクタールということで案を出しておりました。その後、この水稲作付面積ではあたかも生産調整が行われている中で水稲の作付けを奨励しているといったような感じに取られるということで、これを水田面積、経営面積全体という形で再度提案をしております、考え方を示しております。それが今おっしゃいました経営面積で北海道が十ヘクタール、それから都府県が四ヘクタールということで出したわけでございます。  このシェアは、戸数からいきますと農家戸数で九万戸でございまして、北海道で約一万戸、それで都府県で約八万戸ということになります。私どもが二十二年の目標としております戸数というのは八万戸でございますので、この数字自体でも既に対象農家としてはオーバーしております。  それから、面積のカバー率でいきましても、大体この規模に着目したところで四十万ヘクタールといった感じになっておりまして、このほかにも集落経営体というものも対象になりまして、この集落経営体につきましてはなかなか予測が難しいわけでございますが、それも加わるということで御理解いただきたいと思っております。
  114. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 戸数がオーバーするからなんといって、そんなことでお答えいただいては本当に私は残念なんですけれども、これは後の議論に譲りたいというふうに思います。  大臣に、大綱では、関連施策として担い手経営安定対策や産地づくり交付金などを平成十六年度予算の概算要求の決定時までに決定するというふうに言われておりますが、本来、経営安定対策などが明らかにならない段階で生産者の自主性に任せるといっても無理なのではないでしょうか。むしろそういったものを整備してから改革の議論をするのがあるべき順序ではないでしょうか。そういう意味では、大綱の関連施策としているものを整備することが条件整備の基本だというふうに思いますが、そのことをお答えいただいて、私の質問を終わります。
  115. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 和田委員思いというのは、まだこの大綱が農家の方々に理解されていない、また、あるべき姿の条件を全部そろえてから主体的なそういうところに持っていったらいいじゃないか、こういう御意見だったと思います。じゃ、そういう生産構造の改革というのはいつできるのか、こういうまた私どもの思いもあるわけです。  一つ御理解いただきたいことは、平成十六年から自主調整に入るということではございません。十六年から今考えているソフトランディングできる環境整備をしてまいります。その間には当然国がきちっと関与しながら、しかし第三者機関を作ってその言わばトレーニングの期間としてやってまいります、環境整備はそういう中でそろえてまいります、こういうふうな今タイムスケジュール、プログラムがあるわけでございます。すぐにもう来年から自主的な調整に入りなさいということは言っておりません。  したがいまして、私ども、平成二十年ということを目標にしまして、目標というか、もうそこに決めてある。そして、三年前のその時点ではサーベイランスしますと。そして、それまでに、十六、十七、十八と環境づくり、構造改革政策を進めていきますと。そういうふうなことをして、先ほど来御指摘いただいたように、現実的にも系統が今生産調整でどれほど努力してきたかというのは国井先生が先ほどお話しされました。かなりのノウハウは私はあると思うんです。  そういうことをしながら、理解と共感といただきながらそういう方向に向かっていきたいということで、まず環境そろってからそのうちやったらいいじゃないか、環境そろってからやったらいいじゃないかという中で今日までずっとやってきたという経過もございますので、私どもとしては、大綱には二十年ということをきっちりと申し上げ、その間に様々なノウハウを積み重ねる、あるいは環境も整備していくということで大綱に盛られた案をこれから作っていく。十六年の概算要求までに、確かに今おっしゃるようにまだまだ詰めなきゃならぬところはございます。来年の通常国会で様々な法案を出したいと思うんでございます。そして、そのときには具体的なまた御議論をいただけるものと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  116. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 終わります。
  117. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 私は、備前岡山米どころの日笠勝之でございます。  私の住んでいる岡山というところは大変おいしいいいお米が取れるわけでございまして、お酒、清酒に最も適したお米、好適酒米というので雄町米というお米がございます。専門家によりますと山田錦は比ではないと、こういう大変すばらしいお米が生産されるところでございます。ただ、私は生産者になったことは一度もございませんで、いつも消費者側でございますので、本日は、消費者重視市場重視米づくりということを大綱の目的に掲げておられますので、その立場から何点か御質問をしたいと思います。  まず、この大綱の全文を読ませていただきましたが、言葉として、キーワードとして安いお米という、良質で安いお米と言った方がいいかもしれません。安心、安全、安定という言葉は出てきますが、安価な良質なお米をという言葉が出てこないんです、キーワードとして。  消費者の側から立てば、それは安かろうが悪かろうでは困るんですが、安かろうが良かろうがというお米は大歓迎でございます。私の秘書の一人は子供が四人でございまして、十キロぐらいお米を買ってもあっという間になくなってしまうという家庭もあるわけでございますから、お米は良くて安いというのは、そういう家庭にとればウエルカムでございます。ところが、このどこを読んでも、安心、安全、安定という言葉は、キーワードは出てくるんですが、安価な、その上に形容詞を付ければ良質な、おいしいという言葉を付けた方がいいかもしれません。なぜないんでしょう、大臣
  118. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 安くておいしいというのは確かに先生おっしゃいますように大変望ましいことかというふうに思いますけれども、需要というのは、先ほども申し上げましたが、大変多様化をいたしております。少々高くてもおいしいのがいいんだという消費者の方も確かにおられます一方で、味はそこそこでも我慢するけれども安い方がいいんだという、そういう需要も確かにございます。ですから、その非常に需要が多様化してきているという、そういう幅広い多様化した需要に対してきちっと生産供給を対応していく、生産供給面で対応していくというのがこれからの米づくりのあるべき姿ではないかというふうに思っているわけでございます。  米政策改革大綱の中におきましても、このような視点に立ちまして、需要に即応した米づくり推進を通じた水田農業経営の安定と発展というようなことが目的に掲げられているわけでありますが、安価なものを求める消費者需要も、需要一つの形態として含まれているものというふうに私ども理解をしているところでございます。
  119. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 それでは、私は、今後の日本の米作りは、安心、安全、安定、安価、四つの安という字ですね、四安と言った方がいいかもしれませんね、これがキーワードだろうと、こういうふうに思っておりますから、その方向でのひとつ対策をしっかりと練っていただければと思います。  続きまして、この大綱の第四の「流通制度改革」というところの三のところでございます。「消費者の信頼性の回復の観点に立って、適正表示の確保措置、トレーサビリティシステムの導入等を実施する。」という一文がございます。具体的には、適正表示を確保というのはどういう意味のことをおっしゃっておられるのか。トレーサビリティーシステムの導入を実施するとは具体的にどういうことを想定されておられるのか。  しかしながら、大事なことは、特にトレーサビリティーなんかは生産者が分かっておるだけじゃ困るわけで、消費者がそれを、情報を開示されて、いつでもどこでも分かるということがなきゃいけないんですが、情報開示というのは、特にその点はどういうふうに考えておられるか。以上お聞きしたいと思います。
  120. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先生ただいまおっしゃいましたように、食品の偽装表示やBSE騒動によりまして失われました表示や安全性についての消費者方々の信頼を回復するというのは大変大事な点だというふうに思っております。  この点で、米につきましても適正表示の確保策といたしまして、DNAの鑑定調査の対象を、現在は小売の精米段階でそういうことをやっておりますけれども、これを更に原料玄米の段階にまで拡大をするというふうなこともいたしたいというふうに思っておりますし、また、消費者の商品選択に資するように新たな精米規格の制定といった検討も行っていきたいというふうに思っております。  また、トレーサビリティーシステムでございますけれども、消費者方々が小売屋さんなりスーパーでそのお米をお買いになって、そのときに、そこの店に置いてあります端末などを使って、このお米がどこで取れて、どういう業者のところを経て消費者の手元に渡ったのかということが分かるような、そういうトレーサビリティーシステム、生産流通の履歴が簡単に、容易に確認できるようなシステムにつきましても関係の団体皆様方との協力の下に構築をしていきたい、そういう団体方々の取組を支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  121. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 問題は、これは表示の問題も、既に東京都は米の偽装表示ということで悪徳業者名も公表したと、こういうふうなことは御存じのとおりですね。そういう意味では、やはり広く消費者にそういうことを公表して周知徹底すると、これがまた精米業者であれ流通過程の方であれ生産者であれ、非常に抑止力になるわけですね。  そういう意味では、公表というふうなことなんかもその適正表示の確保措置という中には入るんでしょうか。
  122. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 現在、お米の表示につきましてもJAS法が適用されております。したがいまして、関係の業者のところに立ち入りまして、不適正な事実が判明いたしますと指導ということを行いますけれども、その指導と同時に業者の氏名を公表するということをいたしております。
  123. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 できれば、いろんな手段を使ってやるコンピューターのホームページなどなども、ホームページなどなどもひとつ活用方をお願い申し上げておきたいと思うんです。  続きまして、先ほどの五番目に移りますが、いわゆる日本型の食生活の復権を図るため、食生活指針の普及、その次は食育の推進等について云々ということがございます。十一月七日の当委員会におきましても、この食育については私も大臣に御質問いたしました。  そこで、この食育について、先ほど同僚委員の方からも相当御質問ございましたが、若干重複するかもしれませんが、何点かお聞きをしたいと思うんです。  正に、この食育ということは非常に私は大切なキーワードだろうと思うんですね。ちなみに、大臣、閣議決定を既にされました平成十五年度の予算編成の基本方針の中に、何と食育という言葉が出てくるんですね。「健康に対する食の重要性にかんがみ、いわゆる「食育」を推進する。」というのが、これ財政経済諮問会議で決めて閣議決定された来年度の基本方針に出てくるわけです。それぐらいの、国を挙げてもう食育については推進しましょうということが来年度の予算の基本方針にまで出てくるわけでございます。  そこで、この食育ということについて私も非常に関心を持っております。ある方からこういうお話を聞きました。それは、政府も食を考える月間だとか、食育推進委員会を創設をするとか、非常に幅広で各省庁連携を取って前向きにやっていこうということについては大変喜ばしいことでありますと、こういうふうなことをおっしゃっておられましたが、この方は特にさらに、食育ということについてこのようにおっしゃっておられます。  この方は、食生活・健康ジャーナリストの砂田登志子さんという方でございますが、食育という言葉は明治後期ごろまで広く知られていて、食育、体育、知徳とか、それから才徳というのは才能の才ですね、才徳、徳育と五育、五つの育があり、食育はその基本だったと。明治のベストセラー「食道楽」の著者村井弦斉はその中に、小児、子供さんのことですね、小児は徳育、智育、体育よりも食育が先であると、体育、徳育の根源も食育にあると、これは明治時代のベストセラーの本に既にもう書いてあると、こういうことでございます。  私たちの命と元気、健康のもとはこの食にあるわけでございます。ただ、そういう先ほどからの表示の問題とか検査の問題等はいわゆる食のリスクもかえってあるわけでございまして、しかしそれは最後は消費者が責任を負わなきゃなりません。自己責任ということになるんでしょう。そういう意味では、食育こそ高い配当が期待できる未来への健康投資であり、最良の予防医学であると、全く私もこれと同じ意見でございます。  そういう意味では、今後どのように、さらに来年度予算の基本方針にまで盛り込まれているわけですから、食育に対して、これは農林水産大臣だけが頑張っても空回りするわけでございます。どのような各省庁と連携、また諸団体、また各地域、どのような対応でしっかりとこのことについて推進していこうかと、国民運動として盛り上げていこうかとお考えか、決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  124. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 食育の問題は、子供の教育にも私はかかわることだと思っております。したがって、米の消費拡大ということもねらいとしてあると思いますが、生きることの基本としてこの食育をとらえていかなければならぬと思っております。したがいまして、文部科学省とも、いま一度しっかり大臣とも話をしてみたい。体系的にやっぱり教育の一環としてやるには、やっぱり学校教育の中でこの問題をどう位置付けるか。  第二点として、家庭における食育だと思います。家族団らん、集まって感謝をしながら食事をいただくということが本当に大事なこれは家庭での基本であるということもあって、これは国民運動として問い掛けてみたい、このように思います。  そして、私どもそういうふうなことをしながら、先ほど太田大臣もお話ししましたけれども、稲作体験活動もそうですし、学校給食、先ほど和田先生から、学校給食に対する補助金少ないじゃないかと、こうおしかりをいただきました。これはむしろ、国も頑張りますが、地方自治体、福島県も、何かさっき伺ったら、決して余り立派な成績の方ではありませんし、青森県も決して褒められたような形ではございません。会津のどっかで全部やらしているというお話聞きました。  そういう中で、やっぱり具体的にそういうふうなことを念頭に置きながらも、文部科学省と大臣とちょっと話をし、教育の中にどう位置付けるか、それから家庭一般の人に国民運動としてどう考えていくか、そういう二つの面から本当に努力していきたいと思いますが、ちなみに今、食育関係では概算要求で、一、二、三、百二十三億要求しております。残念ながら非常に厳しい環境でございますので、日笠委員、今度与党の税制の大幹部でございますので、税制をやるときに、予算に大変な発言権あるわけですから、是非、これをやらないと駄目だよと、こう言って応援していただくことを切に御陳情申し上げます。
  125. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 いや、ですから、しっかり頑張りますよ。だから、予算の基本方針にまで入ったわけですから、百二十三億丸々これはやはり査定をさせていかなきゃいかぬというのが大臣の決意であり、私たちの決意であるということで、ひとつ御了解をいただければと思います。  さて、学校給食のことが出ましたけれども、私も岡山の知事さんから、米消費拡大対策の積極的推進ということで、この学校給食の推進アクションプログラムを岡山県は策定をして米飯学校給食の推進に努めておるけれども、なかなか予算的に厳しいということで、是非ともこの予算拡大をお願いしたいと、こういうふうな要望が来ておるわけでございますが、これは既に届いておりますか。また、どのように対応していただけますか。  次長でいいです、次長で。はいどうぞ。
  126. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今、先生のお話、学校給食、その中で特に米飯の推進ということでございますけれども、小中学校におきましては米飯メニューを拡大をするというふうな動きがございます。こういった点につきましては、米を中心とした地産地消の取組に対する支援の一環といたしまして、メニュー開発ですとかあるいは料理の講習会などを推進していくという、そういう支援を通じまして進めていきたいというふうに思っております。  また、学校給食の拡大につきましては、米粉パンなどを含めまして、現在は一週間のうち平均二・八回というのが米飯給食の平均的な回数でありますけれども、これを三回以上にするということを目標といたしまして、食糧庁長官の方から各都道府県の知事さんに、しっかりと推進をお願いしたいというふうな文書も昨年出してございます。  こういった考えられる手だて、いろいろと各省の協力も得ながら連携強化をして進めてまいりたいというふうに思っております。
  127. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これは私、ある岡山の中小酒造メーカー、清酒メーカーの社長さんから聞いたお話でございます。日本酒の原料も米でございます。先ほど申し上げました好適酒米、雄町米なんというのはもう最高の米でございますが、その岡山の好適酒米、雄町米を使って、原料として日本酒を造っておられる社長さんがこのようにおっしゃっておられました。  日本の国に、公賓、国賓、いろんな方々がいらっしゃると。昨日もアロヨ大統領の何か歓迎夕食会があったようでございますね。そういうときの、例えば歓迎宴の乾杯のお酒は一体何でしょうかと。多分、恐らくワインだとかシャンパンじゃないのかなと。大体テレビなんか見ていますとそういう感じですよね。大臣も何回も行かれたから、そういう席に参加されておられるから御存じだと思います。なぜ日本の国酒、国の酒と言われる清酒、世界に冠たる醸造技術をもって造ったお酒、なぜそれで乾杯をしないんでしょうかねと。例えば、ロシアに行くとウオツカでありますね。中国に行くとマオタイ酒ですよね。フランスに行けばワインでしょう、それは。日本の国でなぜシャンパンだとかワインでやるんでしょうかと。  是非ひとつ、これは政治家、特に大臣に、米拡大の分野でございますから、今後、日本の国の公賓、国賓、こういう方々がいらっしゃる場合の招待宴、歓迎宴、こういうもの、まず最初の乾杯は、これはもう国酒である日本酒を使うべきだと。(「賛成」と呼ぶ者あり)というふうに賛成の声も圧倒的でございますので、これはひとつ私の方から陳情申し上げますが、これは外務大臣とか外務省の儀典長ですか、ああいう方にもきちっと申し上げていただきたい。何か機密費か何かでワインクーラーがどこそこに外務省あるそうでございますが、是非日本酒のワインクーラーも作れと。ちょっとこれは余分でございますけれども。  いかがでございましょうか、この乾杯は日本酒でやるべきだということは。
  128. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 昨日は皇居で何で乾杯をしたかは、皇居のことですからちょっと差し控えさせていただきます。  今、日笠委員がお話ししたように、面白いものでございまして、最初の乾杯のときに日本酒でやりますと、やっぱり日本酒がはけていくんだそうですね。私はどちらかというとコースはビールから行って日本酒に行くたちでございますが、今、日笠委員、これはまじめに、まじめに、外務大臣にもあるいは内閣の方にも、内閣でやるときは日本酒でやるときもあったような気がします。いずれにしろ、そういうふうなところから、身近なところからそういう運動を起こしていくべきだということについては真剣に受け止めさせて、今晩から私自身も努力してまいりたいと、こう思っております。
  129. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 是非ひとつ、こういう一生懸命、日本の技術であります醸造技術でもって一生懸命造っておられる、そういう最先端の清酒メーカーの方々の声も是非ひとつ取り上げていただければと思うところでございます。  さて、次に申し上げたいことは、米の消費拡大の中で一つの例でございますが、昨日の衆議院の農水委員会で我が党の井上委員が言われた、米を、余剰米、過剰米、余り米、これを粉体、いわゆる粉にしまして、それをパンに使うとか、また加工用にいろいろ技術を開発して使うとか、こういうことは非常に、主食として使えるわけでございますし、自給率向上するわけでございます。余り米を何かえさにするというのもなかなかもったいないような気もいたしますが、そういうふうなことをしっかりと、加工技術、こういうものを研究したり調査したりするようなことを是非お考えになっていただきたいと思います。  重複かもしれませんが、これは院が違いますから、参議院は参議院として、私はそのように思いますのでお考えをお聞きしたいと思います。
  130. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 米の様々な利用というものについて、一層私どもは研究もし、開発もし、また企業の皆様方にも努力していただかなければならないと思います。  その中でのその大きな一つは、米粉、粉の利用だと思います。私は、米粉を使ったパンを食糧庁長官からちょうだいして食べました。そして、これは既にもう販売されておるそうでございますが、食感がちょっと軟らかいというんですか、そんな感じがするんですね。是非、和田先生も一度召し上がっていただきたいと思いますが。ただ、うどんはもうちょっと人気が上がってこないんだそうでございますけれども。  いずれにしても、新製品の開発を行う際の原料米の無償提供とか、あるいはまた原料米の値引き売却とか、あるいは基礎的な科学・利用技術の開発でございますとか、新技術等の紹介・普及等を実施してきておりますが、需要拡大することを期待しております。そういう意味で、米粉については一層積極的に取り組んでまいりたいと、このように思います。
  131. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 日本の食品加工技術というのは、恐らく世界に冠たるものだと思いますね。最近、危険運転ということで大変運転手の皆さんは関心が高いものですから、低アルコールビールというんですか、アルコール度数一%以下、この前飲んでみましたけれども、なかなかビールのような味もいたしますね。それから、発泡酒なんかでも、いわゆる麦芽が少なくても本当にビールのような味がしますね。そういうことで、技術ですね、こういうことをひとつ大いに開発していただければ、米粉、粉体化したものも大いにいろんな意味で使えるのではなかろうかと思いますので、更なる御努力をお願いを申し上げておきたいと思います。  さて、この大綱のとおり実施した場合、消費者の側、国民の側から二つのことが期待されておるんだろうと私は思うんですね。  一つは、行財政改革の折がら、財政的にはいわゆる減反の助成金が削減されるのかなと。いわゆる、二千九百億円と先ほどおっしゃいましたけれども、生産調整に関する補助金が出ておるわけですが、これが削減されると、これは行政改革の一環になるんだと、こういうふうに、この大綱どおりやればそういう方向に行くのかなと、こういう期待感が一つ。もう一つの期待感は、さはさりながら、日本の国土を守る多面的な用途といいますか、環境とか、そういうことも一方大事であると。いわゆる生産者側に立てば、そういうところにも大いに力を発揮してもらいたいと、こういう要望もあると思うんですね。  この二つのことがうまく解決できるのかなと、また解決してもらいたいなと。何か非常に、足し算引き算じゃなくて、微分積分のような話になってくると思うんですよ、これは。よく、俗に言われるように、米作りについてはブレーキとアクセルを両方踏んできたんだと、こういうふうなお話もございますが、今度はブレーキもアクセルも両方一遍に踏むんじゃなくて、先ほど言ったような方向でのアクセルがどんどん踏まれていくんだと、こういうふうに理解していいんでしょうか、いかがでしょうか。
  132. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 日笠委員、私は、財政的な面からの米政策に対する批判は、歴史を考えてみますと二つあったような気がするんですよ、国民の目から見まして。  一つは、先ほど来から事例として申し上げていますように、過剰米処理に三兆円掛けたということです。あのときは三Kと言われました、米、健保、それから国鉄。三兆というお金を掛けたというのが、あのときから米政策に対する非常に大きな、何というんですか、極端な言い方をいたしますと、何か無駄なことをおまえたちやっているんじゃないかという非常に厳しい批判が出たのが一つと、それから水田減反政策でばらまきではないかという批判であったと思うんです。  したがって、私どもは、二千九百億を減らすということよりは、むしろそういう批判に耐えた政策をもって、その国民に理解できる政策を打つために必要な予算を取っていくという覚悟がないといけないんじゃないかと思っております。ですから、二千九百億をこれから守るのか減らすのかということよりは、そういう思いで今度の改革をさせていただきましたというのが第一点でございます。  それから第二点は、それと、私は、リンクしますが、多面的機能というものは、もう各先生方、これは与野党を超えて、そして私どももWTOの場においてはこの多面的機能ということを言うておるわけですから、そういう中でここをきちっと国民に理解をしていただきながら維持していくための施策を打つかと、こういうことでこの大綱を作ったつもりでございますので、御理解いただければと思います。
  133. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 じゃ、元へ戻りまして、第四の「流通制度改革」の六番目のところに行きたいと思います。  「安定供給を図るための危機管理体制を体系的に整備することとし、この前提として、流通業者について、届出制の導入等により平常時から幅広く把握できる体制を構築」しますと、こういうことが記述されております。今流通業者は登録制だと思うんですけれども、届出制ということになりますと、新たにまたこの届出制に申請というか申告というんでしょうか、しなきゃならないのかどうか、これが第一点。  それから、不測時の食料安全保障マニュアルというのがございますね。日本の場合、食料は輸入に頼っているわけでございますから、いざという場合の対応のマニュアルがあるわけでございますが、そのマニュアルとこの六番目とはどのようにリンクしているのか。例えば、平時から幅広く掌握できる体制ということは、いざというときにはどこにどういうものがあるかということを把握しておきましょうということなのかなと。そうすると、今の有事体制じゃございませんが、有事ということに対しても非常に食料安保ということから見れば大切なのかなと思うんですが、この不測時の食料安全保障マニュアルにおける不測時のレベルの類型はレベル0、レベル1、レベル2とあるそうでございますが、この六番目はレベルどの分に当たるのでしょうか。
  134. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 私の方から流通制度の方の問題についてお答えさせていただきまして、マニュアルの問題は次長の方からお答えさせていただきます。  安定供給のための自主的な取組に対しまして、債務保証などの支援を行うという安定供給支援法人を創設するというふうに考えておりますし、また様々な需要に即した多様な取引の実態を反映した価格が形成され、それがほかの取引の目安となるような公正で中立な取引の場を育成、拡充するというようなことで考えております。  それから、消費者の信頼性の回復の観点に立って、適正表示の確保それから措置、トレーサビリティーの導入などを実施する安定供給を図るための危機管理体制を体系的に整備することといたしております。この前提として、流通業者についての届出制度等の導入など、関係業者等の流通実態を平常時から幅広く把握し得る体制を整備することが必要だと考えております。  これらの措置を総合的に講ずることによって、新たな米の流通においては、多様な取引を許容しつつ、透明性のある流通が大宗を占めるような安定供給体制が構築でき得るものと考えております。
  135. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 登録制度から届出制度への変更ということを考えておりますが、その件に関しまして少し追加的に御説明をさせていただきます。  現行は、計画流通米を扱う業者につきましては登録制というものが適用されております。ただ、計画外の米だけを扱う業者につきましては、現在の制度の裏返しになるわけですが、現在は何の登録も要らないということであります。そこで、安全・危機管理体制の構築ということの観点からも、ふだんからお米を扱う以上はすべての業者の人たちを把握しておく必要があるということで、広く届出制にしたいということでございます。  その中で、既に登録を行っている業者の方々につきましては、改めて届出をするということではなくて、登録をされている方はそのまま自動的にその登録の方に移行するというふうな形で、利便性に留意して制度運営を図っていきたいというふうに思っております。
  136. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうしますと、これは法的に何か担保されるんでしょうか。それからまた、帳簿なんかの備付けも当然対象にされるんでしょうか。
  137. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  法制化に当たりまして詰めるべき点はございますけれども、届出制の導入になりますと、そのことを担保するための何がしかの措置は講じる必要があるかというふうに思っております。
  138. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 帳簿。
  139. 中川坦

    政府参考人中川坦君) それから、帳簿の備付けにつきましても、そのようにそういう義務を課したいというふうに思っております。
  140. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 続きまして、七番目のところでございますが、「政府備蓄について、百万トンを適正備蓄水準として、入札による買入れ・売渡しを実施する。」と、こうございます。  この百万トンというのが適正なのかどうか、ちょっと私にはよく分かりませんが、これは既に備蓄運営研究会で決まったんだと、こういうことでございますが、ちなみに米を主食としている近隣の国とか地域といえば恐らく韓国とか台湾も入るのかな、だと思いますが、そういう国々のこの備蓄と日本のこの備蓄と比べて、一体百万トンというのはどうなのだろうか、こういうふうに比較した場合どうなんだろうか、こう思いますが、いかがなんでしょうか、これは。
  141. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今お話しになりました韓国あるいは台湾と日本の備蓄量につきまして、一人当たりの在庫量ということで仮に試算をいたしますと、確かにこの三か国の中では日本が一番少ないという状況にあるのは事実でございます。
  142. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 具体的な数字を聞きたい。
  143. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 一人当たりの在庫量で申し上げますと、日本は十二・二キログラム、台湾が十六・六キログラム、韓国が三十六・九キログラムということでございます。
  144. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 もちろんこれは政府備蓄ですから、民間の保有というか備蓄もあるんでしょう。例えば、同じように食料安保といえばエネルギー安保というのがあるわけですけれども、石油なんかですと国家備蓄と民間備蓄とこれはあるわけです。そういう意味では、百万トンというと備蓄運営研究会がどういうことを根拠にして決められたのかなと。それから、百万トンだと大体どのぐらいもつのか、いざというときにもつのか。その辺はいかがなんでしょうか。
  145. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 備蓄研究会におきまして適正在庫水準として百万トン程度ということで出されましたその根拠でございますけれども、当然お米ですから作況変動がございます。そこで、十年に一度の不作に備えると、これは大体作況指数で言いますとたしか九二ぐらいの数字だったかと思いますが、そういうふうな場合の試算、これが大体九十万トンから百万トン強。それから、通常不作と言われるような数字、大体作況指数で申しますと九四程度でございますが、このような不作が二年続いた場合でも対応できる、これで試算をいたしましても八十万トンから九十万トン程度あれば何とかできるということでございます。  さらに、そのほか端境期というのが最近前の方に倒れてきておりまして、七月から八月というのが新米が出る前の時期になるわけですけれども、この時期に対応していく、そこでお米がショートした場合に対応していくというふうなことで考えましても百万トンそこそこというふうな、こういういろんな数字を並べまして総合勘案して百万トン程度で大丈夫であろうというふうなことでございます。
  146. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 時間がないので、最後、大綱外のことでございますが、一問だけお聞きしたいと思いますが。  十二月三日の毎日新聞に「カドミ汚染 農水省調査 十二品目国際基準案超す」ということが出ておりました。米については既にカドミウムの安全基準というのがありまして、国が買い上げて、汚染米ができた農地をきれいな土に入れ替える、こういう対策ができておるんですが、今回は米以外で、すなわち転作作物として生産奨励をしております大豆とか小麦にもカドミ汚染があるんではないかと、こういうことでございます。  そういうことになりますと、せっかく転作奨励して、大豆作りましょう、小麦作りましょう、しかしカドミに対する基準というのがきちっとまだ担保されておりませんし、もし国際的な基準案を超すようなものが出た場合は一体全体どういうふうに対応していくのかと。  これについて、非常に重要な関連した問題だと思いますので、お聞きして終わりたいと思います。
  147. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 現時点でどういうような国際的な動きになっているかということでございます。  これコーデックス委員会の方で食品についてのカドミの基準を作ろうじゃないかという動きになっておりまして、たしかデンマークが提案したんだと思いますけれども、各々の品目の暫定的な基準案が提案をされました。ところが、それを各国で協議をしていくうちにデータが絶対的に不足しているという意見になりまして、各国が疫学的な面の調査とそれから実態調査とやってみて、そのデータをもう一回集めて更に議論をしようじゃないかと、こういうことになっております。  そこで、我々日本が、厚生省が疫学調査を、農林水産省が実態調査をいたしまして、そしてデータを取りまとめて出したというのが先ほどの記事でございます。基準案よりも確かにオーバーしているもの、米以外にもございました。それは、今後どういうような基準にするかのためのデータとして提出をしたわけでございます。  じゃ、そういう現時点で我々の食生活は安全かどうかということでございます。これ厚生労働省に尋ねたわけでございますけれども、現在の日本の食生活、カドミがたしか三十マイクログラムということで、危ない基準のたしか六割程度しか食べていないということでございまして、現時点での食生活の安全上問題はないということでございます。  そういう意味なんで、ちょっと新聞の記事がセンセーショナルに、基準案よりこれだけオーバーというような記事のみ報道をされておりまして、私どもも遺憾と思いますけれども、今後国際機関で食品のきちっとした基準作りということが始まりますので、我々もそれには積極的に参加し、その結果が出ましたらいろいろな対策を講じていきたいというふうに考えているところでございます。
  148. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 終わります。
  149. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  発表されました生産調整に関する研究会の報告は、この中で、「我が国の水田農業政策米政策は、」「今日一段と混迷の度を深め、もはや放置できない状況を呈している。」ということで書いて、まあ他人事のように評価するのみと。大綱もその線です。    〔委員長退席理事田中直紀着席〕  現実を見ますと、いかに今大変かということは、これははっきりしていると思うんですね。私もあちこち回った際に、米の生産者価格暴落で収入が半減した、それで経営が大変で生命保険を解約して当面する生活費に充てると、こういう話も何件も聞きました。そういうやっぱり深刻な実態にあるということ、そして、先ほども話が出ていましたけれども、優良農家というふうにされてきた農家が、規模拡大して、そこがやっぱり価格暴落で大変な事態になっていると。  こういう現実があるわけですけれども、問題は、なぜこういう状況になったのか、価格暴落をもたらした要因、そしてそういう政策を取ってきた政府の責任ということなんですけれども、そのことについては今回のまとめでは何も出ていない、何も反省されていないと。国民の主食という話もさっきもされてきましたけれども、この日本の農業の支柱である米生産閉塞状況というのは、結局、米価の暴落とそれによる農家の存亡にかかわる経営悪化と。  これは、主食の米の価格支持を外した結果であるというのは私は議論の余地がないというふうに思いますけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。
  150. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) なぜ米が下がったのか、その責任は政府にあるのではないか、簡単に言えばこういう御主張ではなかったかと、このように思います。  米とて、一面、経済行為の中での価格というものがあると思うんです。食管制度のときに米価決定時における算定基準として、やはり労賃あるいは経費、利潤、そういうものを積み上げながらやってまいりましたが、やはりそれでも、その背景には需要供給を考えなければ決めないということもございました。  私は、様々な皆様方からの今日の御議論をいただいている。米政策がここまで来ているというその基本的な問題のところに、需要減少というものが私どもが予想した以上の速さで進んできた。しかし、米というのは年一回の生産作物であって、そういう激しい変化に対してなかなかにフレキシビリティーに対応できなかった。  一方、消費者は、先ほど来酒のお話もございました、四つの安、四安というキーワードも提案としてございました。安ければいい、安くてうまいものがいい、いや高くてもおれしか食えない米がいい。様々な多様な米に対する需要変化もございました。  そういうものにやっぱり対応するためにこういう改革を行ったものでありまして、すべて国が決めてすべて計画生産をしてすべて国が管理するというのが、これはその経過の中で、先ほど来申し上げましたように、その余り米対策でもう三兆円もお金を使いました。減反政策に一律のこれはばらまきのお金ではないかという厳しい御指摘もいただいてまいりました。  消費者には先ほど来申し上げた多様な要望に対する米が、生産者は本当に多様な米を作って頑張っているぞと国井先生から先ほど教えていただきました。しかし、それがどうも消費者のところにマッチングしない。だから、そこはマッチングできるようにその改革をしようと、これが今度の私どもの大綱でございます。そういう反省に基づいた大綱、改革案であるということを御理解いただきたいと思います。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 需要変化とか食生活の変化ということを挙げられたわけですけれども、私はやっぱり、本当に今まで一生懸命作物作ってこられた皆さんの中でも、話を聞きますと、かつて例えば米が過剰になるということは過去もあったと。やっぱり天気が良くなれば豊作になるわけで、これはたくさん取れるということがある。逆に天気が悪くて取れないということもあると。こういう凸凹があったけれども、そのときでいろいろな調整もあったりしたけれども、しかし今までと違うのは価格がずっと下がり続けてきていることだと、もう歯止めないと、こういうことは今までなかったということを何十年とやってきた方が言うんですね。それはいつからかというと、やっぱりこの自由化の路線に進んで、輸入米が入ってきて、値幅制限も外されると、それが行われてからだということをおっしゃいます。  私は、やっぱり問題にしたいのは、この一、二年とか近い話ではなくて、今から十年前に農水省が新しい食料農業・農村政策の方向、新政策というのを出されて、そしてガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意の前提に市場原理の導入と、そして十年後はどういうふうにしていくのかという目標を定めてやってきたと思うんですよ。大体どのぐらいの規模の農家は何万戸にするのかということも含めてやってきたと思うんですよ。  十年たった現在、どうなっているかというのを見ますと、食料自給率でいえば、四六%あったのが今四〇%を割る事態です。それから、農地の面積は全部で減って、三十七万ヘクタール減っていると。これは四国全部とそれから中国の山口県を除いた、それに匹敵するだけの農地が結局減っているわけですね。それから農家は、これもまた減りまして、六十二万人減ってきたと。稲作経営の所得は、十アール当たりの所得にすると、当時は八万円だったのが二〇〇〇年代で四万円台に半減したと。経営拡大しても所得は伸びないということが最近のことではなってきているわけですし、米の価格は、自主流通米で当時六十キロ当たりで二万円以上していたわけですけれども、これが今一万四千円台ですよね。  ですから、認定農家というのも作ってきたわけですけれども、四割の認定農家が目標を達成できなかったと。こういう事態を作ってきたということでいえば、この政策自体がどうだったのかなということで当然真剣な検討が求められるし、そこに立って、じゃ、これからどういうことが必要なんだと出されなきゃいけないと。それがここには全然ないわけですよ。私は、非常にこのことは欠落しているというふうに指摘をしておかなければいけないと思うんです。  もう一つ続けますけれども、我が党は、そういう意味ではこの間、米生産の再生にとっては価格支持というのは不可欠だという立場でずっとやってきました。それで、政府がWTO協定でAMS、この農業保護の相当額、この削減の方針を盾に、必要以上に早く価格支持廃止をやってきたということを指摘してきました。現行の協定上でも、実行可能な施策はすべて実施して国内農業を守るべきだと。特に米についてはこの価格保証をやるように強く求めてきたと思うんです。  現在、我が国のAMSは、二〇〇〇年度の約束水準の一八・八%と、ほかの国はもっといっていますけれども。それにもかかわらず、大臣は、それはやらないんだということをおっしゃっているわけです。    〔理事田中直紀退席委員長着席〕  しかし、今度のWTOの新ラウンドに対する日本提案では、このAMSの基準値は、農政改革の過程の連続性を確保する観点から、ウルグアイ・ラウンドの合意時に決めた二〇〇〇年度の約束水準、上限値とするというふうにしていますよね。自国のAMSについては、主食価格支持を全廃して約束水準よりも八割もカットしてしまう、一方では、加盟国に対してはその水準なんだよと。これは私、非常にちぐはぐじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  152. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 紙委員の指摘のところで、私は認めなきゃならぬところが一点あると思うんです。  それは、稲作収入の第一位農家の形態を見てみますと、非常に主業農家の所得が減っている。そして、その主業農家が、準主業農家、副業的農家よりも農家所得が少ない。正にこれは、もういささか勇気を持って言えば、ばらまき農政のある意味では私は結果でなかったかと。  したがって、この主業農家、この方々に頑張ってもらえる仕組みを、そこを中心にして頑張ってもらえる仕組みを作ることが、ある意味では今度の私は改革のねらいだと思うんです。だからといって、準主業農家や副業的農家を切り離していくということではありません。主業農家をコアにして、そういう方々も包含してやっていく構造にしていきたいというのがねらいなんです。  そして、そういう観点から、今、WTOのルールのお話を伺いました。ここのところは、大変恐縮ですが、真っ向から意見が違います。AMSというその価格支持政策は、もはやどの国も、これを増やすあるいは存続すること自体、WTOの議論としては厳しくなってきているんです。むしろ、緑の政策、青の政策政策転換をしながら国内農業をどう守っていくかというところに方向性が行っているときに、共産党さんの御主張のように価格支持を厚くしていけという、これは、主張はなかなか通らない。私は、そういう意味で、この価格支持政策をむしろ厚くしていくというより、先ほど来民主党の和田委員からもお話があったと思いますが、緑の政策としてそういう色合いを濃くした所得補償政策、デカップリング、そういうふうなところに持っていきませんと、これはなかなか理解得られないところだなと。  したがって、御主張のように価格支持政策を厚くしろ、もちろん全く取らないわけではございません。もし急激に価格が下がった場合に基礎的な、基本的なところはきちっと押さえていくという政策はこの大綱の中にもございます。したがって、言わば緑の政策、青の政策のその範疇の中で、日本の水田農業政策を守り得る施策と同時に、先ほど申し上げた主業農家に頑張ってもらう。主業農家と準主業農家、副業的農家の農家所得、米を中心とした農家所得を見れば、本当に今、主業農家の皆さんが大変なことを私も知っております。だからこそ、そこに集中した政策を施しながら頑張ってもらう、これが今度の構造改革だと、こういうふうに御理解いただければ有り難いと思います。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 真っ向から意見がこの点については違うという話をされたわけですけれども、私は、とにかく今の日本の現状というのは、食料自給率で四割を割る状況になっていると。それで、諸外国もいろいろWTOでもって交渉するわけですけれども、アメリカにしてもどこにしても一〇〇%とか、それを超えているわけですよね。そういう状況の中で、本当に現実は、先ほども言いましたように、もう生きていけるかどうかのぎりぎりの瀬戸際にあるという中で、やっぱりやれるものを国内で精一杯やって、やってこそ、他の国に対しても、日本はやっぱり米というのは主食なんだということを主張して頑張ることができるし、説得力を持ってやること、迫力を持ってやることができるんじゃないかというふうに思うんですよ。  それで、米の価格の暴落は自然に起こったわけでもないし、生産者の責任に帰すことでもないと思います。WTO協定下でも、削減の必要のない米の価格支持を日本は真っ先に削減したんですよ。米政策に必要だということでいいますと、これも意見割れると言うかもしれませんけれども、価格支持を復活させるということが大事だと。しかし、今度の新しい政策ではそれに逆行しています。  私は、最大の問題だと思うのは、この報告書のどこにも価格回復のための施策がないと、一層市場原理を貫こうというふうにしていることです。過剰米の処理の予算が掛かり過ぎた、掛かり過ぎたということで、この予算の削減が最大の目的になっていると。米の需要を、価格に対する政府の責任を放棄して、結局は農民に責任を転嫁するものじゃないかと思うんですね。稲作農家に対しての国の助成を削減し、廃止していくものだと。生産者切捨ての減収策を次々と打ち出している、これが今度のこのまとめだというふうに思いますよ。  さらに、生産調整に関する研究会の報告では、米づくりのあるべき姿ということで、消費者ニーズを起点とし、家庭用、業務用、加工用、新規需要用、稲発酵粗飼料用等、様々な需要に応じて、需要ごとに求められる価格条件等を満たしながら、安定的供給が行われる消費者重視市場重視の姿を目指すというふうに書いていますね。  現在、加工用米というのは主食用の三分の一から二分の一ですね。それから、えさ米についていえば六十キロ当たり九百六十円ですよ。それから、今度の新規用途の、今お話もありましたけれども、米粉パン用にしても、小麦粉の代替としての予想価格というのは六十キロ当たり六千円です。生産者に対して、実需者の要望に合わせて米の価格を引き下げなさいということなんでしょうか。いかがでしょうか。
  154. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お米につきましては、需要に応じた生産をきちっとしていくというのがまず根本的に大事だということは、これまでるるお話をしてきたところでございます。その際に、生産目標数量に従いまして計画的に作っていくというのは基本でありますけれども、当然農作物でありますので豊凶変動がございます。取れ過ぎるということもあるわけでございます。その取れ過ぎたものが主食の世界に入っていくと、それは値崩れを起こしていくということで、今回提案をいたしております過剰米の短期融資制度というのは、そういう主食の世界に、取れ過ぎた場合でも、できるだけ影響を与えないようにということで考えた制度でありまして、生産農家の経済状況も勘案をして、きちっと経営の安定に資するようなものとして全体の政策運営をしていく、全体の制度設計というものをしているところでございます。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 米の用途を拡大するということは、これは大事だと思います。  例えば、二〇〇〇年度産の米価が一万六千八十四円、自主流通米入札価格ですけれども、このときでさえ、例えば生産費を償えるのかどうかと見たときに、農家数、これは償えるのは二四%、販売数量でも四八%しかないんですね。加工用では物材費にもならないと。えさ米に至っては、種苗費と肥料代も出ないと。主食用との差額の補てんの措置は全くないわけですし、それから、最近ずっと言われています多収量品種やコスト削減のための技術開発、これを収益を確保するめども保証も確実なものというのは今のところないですよね。米過剰の責任を結局はこういう形で生産者に転嫁するものになるんじゃないでしょうか。いかがですか。
  156. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 生産者に全部負担を掛けるということの仕組みではございません。大事なことは、基本的にやっぱり需要者と生産者という関係が近くなり、生産者がやっぱり自分たちの米がどういう形で売れてどうされているかということを分かれば、それはある程度、このぐらいを作って、これ以上作っちゃうと自分たちの所得にも影響してくるな、そういうことをもうちょっと考えてもらいながら米を作ってもらおうという仕組みにしたいということなんです。  多分、後の質問にもあると思いますが、先ほど私はばらまきという批判があるということをお話ししました。しかし、九州の先生方や、あるいはいろんな他の先生から聞くと、今まで例えば集団でこういう営農をしたい、畜産の方に力を入れたい、そういうふうに先ほど来からいろんな議論がありますけれども、そういった場合には、今までの調整政策というもののお金はなかなかがんじがらめになってそれは使えなかった。むしろそういうふうな考え方を持ってくれるんなら、集落で考えて、畜産の方に何かそういうものを使うために、水田のを飼料用に考えながら、そういうふうなところにお金を使える。集落で考えさせてくれ、そっちの方がいいんだ、そういうふうな農家の支援策でございますとか、あるいはまた、価格が本当に、一応第三者機関で来年の予測をきちっと立てさせていますけれども、それにも豊作がどっと出た場合は最低の価格線は保証してやろう。  そういう中で、先ほど来申し上げたように、足腰の強い、そういう水田農業構造政策を作りたい、こういうものがねらいでございますから、全部生産者にこのツケを回しているんだという仕組みではないことだけは御理解いただきたいと、こう思います。
  157. 紙智子

    ○紙智子君 今おっしゃったことは、また後でも議論させていただきますけれども。  過剰米の処理の問題について質問したいと思うんですけれども、報告では、二〇〇四年度から生産調整生産数量配分、ポジ配分ですね、ということで、それを超えた分は過剰米として生産者の責任で処理する過剰米短期融資制度を設けるというふうにしています。問題は、この融資単価でそのまま引き渡された場合、新規加工用途に販売することに回収可能な水準を考慮するとして、六十キロ当たり三千円ということで提示をされていることです。政府米市場価格で買い入れるとしていますから、これやりますと一俵三千円というのが唯一の公定価格になって、際限のない米価引下げになるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  158. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 十六年度から導入しようとしております過剰米の短期融資制度、これは、生産目標数量を上回った場合の過剰米について、先ほど申しましたように、主食の世界に影響を及ぼさないようにということで導入をするものでございます。  表現は適切ではないかもしれませんが、十アール当たり例えば十俵取れる、そこで生産をされている方がいたとします。天候条件非常に良くて、十俵作る予定が十一俵取れてしまったと、取れたとしますと、その一俵というのは生産コストの面から見ますと、これは全然、何といいますか、追加的な費用というのは掛かっていないわけでございます。十俵作ろうと予定して生産をされた方であれば、その十俵が主食の世界で適正な価格で売れていれば、その方の経営の計算が成り立つということになります。  たまたま予想外に取れた一俵について、主食の世界に出回るといろいろと悪影響があると。その一俵をどういうふうにしていくかということで、この短期融資制度で一年間は主食の世界とは一種隔離をしておくということでございます。それが売れなかった場合には物的担保としてそれが引き渡されますので、それを加工用、最低の水準ということであればえさに回るかもしれませんけれども、えさであったりあるいは米粉などの新規加工用途に回ると。  そういたしますと、これは担保として差し出されているものでありますから、その新規の用途に実際、現実問題として使われるようなものを想定してどれぐらいの単価がいいかということで考えますと、一つ考え方として、検討過程で確かに六十キログラム当たり三千円という単価もお示しした経緯がございます。  いずれにしても、この三千円というものはそういった用途を勘案した場合の一つ水準ということでありまして、現実にこの制度が適用されるようになりますと、その時々の販売価格水準でありますとか販売可能数量などを勘案して、毎年適切に設定をしていきたいというふうに考えております。
  159. 紙智子

    ○紙智子君 何か余りよく分からないんですけれども、要するに、心配していることは、だれでも、生産者は一生懸命苦労して、一俵当たり三千円でなんて売りたくないですよ。それが、結局そういうことになって三千円でも出すということになってしまったら、それだったら、もうとにかく一万でもいいから早く売ってしまおうといって売り急ぎに走るという事態だって、生産者自ら、自分で一万円台に下げるというようなことでもって追い込んでいかざるを得ない状況になるんじゃないかということを心配するわけです。  大臣、あるんですか。
  160. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) ちょっと、そこの考え方なんですよ、紙先生。  だから、そこを生産者が本当に考えて、流通とかそういうものを考えてもらわなきゃならぬ時代になったんじゃないでしょうかと。今までは過剰米に対して、言わば政府が全部例えば担保します、何しますとなると、もう過剰という問題に対して敏感でなくなってきたがゆえに、過去の話ですよ、三兆円もお金を掛けたじゃありませんか、国民の税金を。  したがって、やっぱり、今、次長がお話ししましたように、自分たちの米を適正な価格で売りたい、こうするならば、やっぱりそこは自分たちで、自分たちもある程度の責任を持って区分して、そして抱えて勝負していく、しかし、そこには政府もある一定の協力をいたしますと、こう申し上げているんですね。  だから、その過剰米という問題に対して、それは物の考え方でございますが、余り手厚い対応をしてまいりますと、全体の利益として、生産者全体の利益として本当にいいんだろうか。そこの意識をちょっと変えてくださいというのが今度の改革一つであることを是非御理解いただきたいなと、こう思うんです。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 需給調整に、私は、政府が責任を持つというのは、先進国の農政の普通の姿だと思うんですね。  それで、例えばアメリカの価格支持の融資制度では、価格が暴落した場合に五年間、農家の平均の受取価格の八五%相当を融資単価として農民に渡すと。それで、価格が上がらなければその金額が農家の手取りになるんですね。日本の米価で言いますと大体一万三千円相当になるわけですけれども、正に価格の下支え制度です。それだけじゃないですね。その上、固定支払等、新たな不足払いを復活させて家族所得を補償していると。我が国は全く逆に、五分の一から九分の一の価格で買いたたかせようということになってしまうんじゃないかと。これだったら、価格引下げ策というものじゃないんでしょうか。いかがでしょうか。
  162. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今、紙先生の方がアメリカの制度を例に引いてお話しになりましたので、アメリカのローンレートと、私どもが今回導入しようとしております過剰米短期融資制度の基本的な違いの点についてのみ私の方から御説明いたしますが、アメリカのローンレートが適用になりますのは、過剰分ではなくて通常に生産された分についてそのローンレートというものが設定をされているわけでございます。  それに対しまして、この過剰米の短期融資制度は、先ほど言いましたように、通常生産を予定したものを上回った過剰分であると。言わば余り物に値なしという言葉もありますけれども、そういったものについて、どう悪影響、普通の主食の世界に影響を与えないようにするかという仕組みで導入したものでありますので、基本的なねらいが違うということを申し上げたいと思います。
  163. 紙智子

    ○紙智子君 不安のわくようなことをといいますか、そういうことをやっぱりやらないでいただきたいと思うんですね。  続いて、稲作経営廃止の問題についてですけれども、生産調整に関する研究会の報告が、農民の命綱とも言える稲作経営安定対策の廃止を打ち出しました。新たに担い手を対象とした経営安定対策を実施するとしているわけですけれども、この新たな対策の対象となる担い手というのはどのような生産者を言うのか。生産調整に関する研究会で出されているペーパーでは、対象になる者の要件について、認定農業者又は集落型経営であって、一定規模以上の経営を行っている者というふうにしています。  大綱の参考資料として出された農水省の案では、二〇一〇年の効率的かつ安定的な農業経営の経営規模の二分の一という考え方に基づいて、認定農業者、北海道の場合は水田面積が十ヘクタールと、都府県は四ヘクタール以上というふうにしていますけれども、この対象となる認定農業者数はどれだけあるでしょうか。推計でも結構ですけれども、分かれば。
  164. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回打ち出しております担い手の経営安定対策でございます。今、先生が御指摘ございましたとおり、対象者は認定農業者集落経営体ということで考えておりますが、幾つか要件がございまして、規模の要件もあるわけでございます。規模の要件は、今先生が御指摘がございましたとおり、水稲だけでなくて、麦・大豆等の転作作物も含めた水田経営全体の規模で判断をするということで、北海道で十ヘクタール以上、都府県で四ヘクタール以上、また集落型にありましては二十ヘクタール以上と、こういう要件を加えております。  この要件に該当する対象者等どの程度あるのかというお尋ねでございまして、このものずばりの統計はないわけでございますので、ある程度の試算を推計を交えましてやりますと、農家戸数で申し上げますと、約全国で九万戸、北海道で一万戸、都府県で約八万戸というふうに考えております。  ただ、集落経営体につきましては、これはまた新しい概念でございまして、なかなか、この要件を満たすものはどの程度あるのかというのを数量的に推計するのはなかなか困難でございます。
  165. 紙智子

    ○紙智子君 パーセントでは分かりませんか、今の数字は。
  166. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) まず、戸数について申し上げます。全国で九万戸と申し上げましたが、シェアでは五%でございます。北海道、都府県の内訳で申し上げますと、北海道は一万戸でございますが、これは北海道の四四%に該当いたします。都府県では四%でございます。
  167. 紙智子

    ○紙智子君 こうやって数字をお聞きしましても、結局大多数の農家がこの経営安定対策の対象から外れることになりますね。稲経は、不十分とはいえ最低限の手取りを保障して、辛うじて米価の暴落から農業経営を守ってきたというのが事実だと思います。これを外しますと、米価下落の歯どめの措置は全くなくなって、更に市場原理を強めようという中で、対象から外される、百万戸以上あると思うんですけれども、この農家についてはもう米作りの担い手とはみなさないと、稲作をやめなさいということになるんじゃないですか。どうですか。
  168. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) この担い手の経営安定対策は、今説明したとおりでございますが、この担い手経営安定対策の対象とならない方、これは産地づくり推進交付金というのがございまして、この全体の今回の対策の一環でございますが、生産調整実施者であれば、その規模のいかんを問わず、参加されますとこの米価下落影響緩和対策というものが受けられるわけでございます。先ほど申し上げました担い手対策は、この米価下落影響緩和対策の更に上乗せ措置としてやりますので、この米価下落対策の対象にもなります。  それから、その上乗せ措置につきましても、先ほど言いました、集落経営体ということを申し上げましたが、この中に、小規模の方でもあるいは兼業をやっていらっしゃる方でも、その中に参画をして一体となって経営に参画されるということであれば対象となるということでございます。
  169. 紙智子

    ○紙智子君 集落という話も出てくるんですけれども、農水省の案では、米価下落影響緩和対策で、結局稲経の二倍の負担を求めているわけですよね。補てん額は大幅に後退すると。現在でもこの収益の悪化というのは著しいわけで、これでは米生産が続けられなくなるというのは目に見えているわけです。  それから、対象となる担い手農家にとっても経営安定対策というのはとても言い難いと。直近三年平均稲作収入を基準稲作収入として、それを下回った場合に、差額の八割まで補てんするというものです。生産者の拠出は一対一、これもさっき話出ましたけれども、現行の稲経よりもこれは大幅に後退することになるんですね。現行の稲経は、その限界がはっきりしたもんですから修正が行われたと。ですから、これで本当にその担い手が残ると思うのかということも非常に疑問だというふうに思います。  サーカスでも、だれか言いましたけれども、サーカスでも綱渡りのネットを床まで下げてしまえば、これはセーフティーネットにならないというふうに思うんですね。正常なやっぱり労働報酬を償えないような水準でセーフティーネットとは言えない、最後の命綱さえなくそうというに等しいと、こういうセーフネットそのものをなくすということになるんじゃないでしょうか。いかがですか。
  170. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回、米価下落対策を含めまして、先ほど申し上げました産地づくり推進交付金、それから担い手の経営安定対策という構造でやるわけでございますが、この新しい仕組みにしましたのは、現行の稲作経営安定対策が幾つかの問題点なり反省点があるということでございます。  先生も御案内のとおり、この稲作経営安定対策が、言葉を選ばず言えば、かなり手厚いということで、必要以上の値引き競争等がこれによって引き起こされたといったような批判もあるわけでございまして、これからは正にその市場動向をビビットに、鋭敏に感知をしなくちゃいけない、そういうことでもやはり基準収入の取り方は市場動向をより反映しやすい形にしなくてはいけませんし、またモラルハザードの問題も回避するという意味で、一定のやはりそこのバッファーといいますかすき間を作っていくことによって、皆様方の努力、経営努力というものを促していくという仕組みがやはり必要であろうということでございます。
  171. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 今サーカスの話を出されましたので、サーカスのお話でちょっと返したいと思うんですが、ここに、先ほど来先生がお話ししていますが、米を作っている主業農家、準主業農家、副業農家というのがあります。これを、全部この人たちが本当にこの主業農家と同じようにサーカスの綱の上を歩いているんでしょうか。私はやっぱり、本当にサーカスの綱の上を歩いている人に、より安全なセーフティーネットをきちっと作ってやる。この人たちにはもうちょっと低いかもしれませんけれども、このセーフティーネットを作ってやる、こういうふうなのが今度の思想であると私は思うんです。
  172. 紙智子

    ○紙智子君 集落営農に、掛からない人は集落営農の中でという話をされるんですけれども、この集落営農についても様々な条件付いていますね。実際、施策の対象から外そうということも言われているわけです。  研究会の報告で、今後担い手としてみなすのは、主たる事業者が、市町村の基本構想で定められている所得水準を目指し得る、他産業並みの所得水準、それから一定期間内に法人化する等の計画を有する集落経営体ということで書いています。全国のこの水稲中心集落営農組織七千のうち、対象となる集落営農組織というのはどの程度というふうに推定されるんでしょうか、どうですか。
  173. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 現状で、今申されたように、水稲の集落営農というのは七千ございます。ただ、今回こういう形で集落型営農経営体というものを明確に位置付けをし政策支援をしていくということを打ち出しました。農業団体、系統組織も、今回のこの米政策の見直しを機に、集落での話合いを精力的に行って集落経営体の育成というものに精力的に取り組んでいくということを申されております。  現状では、確かに七千という数字の内訳だと思いますが、そういう努力等を勘案しますと、かなり広範にまとまった形での組織化が行われることを期待しているところであります。
  174. 紙智子

    ○紙智子君 期待ということなんですけれども、例えば農業新聞では、稲作中心の営農集団七千のうち要件を満たすのは千程度と。集落営農の先進県である富山、JA富山中央会の調べでは、県内に三百七十三の集落営農組織が早くからやっていますよね、努力していますよね。そのうち、協業経営組織というのは百八十六あるけれども、ここに示されている要件どおりに振り分けられれば対象にはほとんど残らないというふうに言っていますよ。  そして、農林中金の総研の研究報告の中でも、この集落営農について、農地利用の相互調整や機械・施設の共同利用、共同作業等を行うことによって、集落全体としての経営の革新や効率化を果たして、地域農業資源の保全や活用、地域社会の維持・活性化に寄与していると、こういう実態を無視して、中核農家の存在の有無等で一律に集落営農を評価することは誤りだというふうに指摘して、さらに、一律的評価は地域営農システムの環を断ち切る恐れさえあるというふうに批判しています。それでやはり、農政サイドからの選別ではなくて、意欲と能力のある営農組織自らの判断、選択を重視すべきだというふうに言っているわけですけれども、大綱はやっぱりそういう点では、今まで努力してきている集落営農組織にまで線引きをして、分けて切り捨てるための施策になってしまうんじゃないかというふうに思うんですよね。この点はどうですか。
  175. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 現状での集落営農の在り方というのは様々でございます。非常に集落内の営農を一括管理運営するという、我が方が今正に目指しているようなものを既に達成されているところもありますし、作付け内の団地内の共同利用等を単に行うだけというものから様々でございます。  やはり、これから私ども、二十二年の農業構造を展望しそれに向かっていくためには、やはり方向性を持って政策を展開しなくちゃいけないということを考えますと、やはり法人化の計画やあるいは一定の収入を基準とした目標というものを持つことは非常に重要なことだろうというふうに思っているところであります。
  176. 紙智子

    ○紙智子君 時間が来ましたのでもう終わりますけれども、今のやり取りもやった上で、今回の米政策見直しということなんですけれども、結局、米生産と安定供給に対する政府の責任をこれは投げ捨てるものだと、日本の米生産にやはり大きな打撃をこれからも与えていくし、中山間地の荒廃にもつながると、そして消費者生産者が本当に望んでいる安全な安心な米の供給も不可能にしていくということで、私は、この中身については断じて許せないし、撤回すべきだということを最後に強く申し上げまして、質問を終わります。
  177. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太であります。  米政策改革大綱につきまして朝から随分多岐にわたる議論が行われまして、私が質問しようと思うことも大分出ておりますので、重複はなるべく避けたいと思いますけれども、同じものでありましても的確に御答弁をいただきたいというふうに思っております。  今日、議論を聞いていまして昔をちょっと思い出したんですが、昭和四十年を越えて米が余り出したと。これは正に戦後の農水省の増産施策の成功なんですね。しかし、それがその後逆転して別の問題が起こってきた、それに対して農林省はいろんな施策を打たれた、お金も使われたと。しかし、依然この米問題については落ち着きを見せないというのが今の時点のいろんな議論のもとかなという気がするんですが。これも考えようによっては、景気対策というか、これも常に変わらない必要な政策だと思うんですけれども、それと同じような問題であるいは永久に落ち着かないのかなというような気もあるいはするんですけれども。  そんな中で、これ、大綱を見せていただきますと、農業、稲作経営というのは大変難しいと思うんですけれども、この中に第二で、米づくりの本来あるべき姿、あるいは文章の中に望ましい生産構造と、非常に耳に響きのいいといいますか言葉が並んでいるんですけれども、私は、これはどういうものをイメージしているのか、私も農業問題に携わってきた身でありますけれども、まずその辺が分からないもので、この辺をちょっと具体的に説明していただきたいと思います。
  178. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 岩本先生がかつて農林水産省におられた辺りの話から説かれて、ある意味じゃ米に関する政策は成功し過ぎたのかもしれません、昭和四十年。し過ぎた後始末の中での苦労と言われましたが、そういうところがあるのかなと思って、ふと思いました。  そこで、改革目標の明確化ということを今言われましたが、簡単に私から申し上げさせていただきますと、多様な需要にこたえて消費者が求める米の供給体制を構築することではないかと一つ思います。そして、そういうことに対応するためには、言わば先ほどからお話ししている担い手、人としての担い手あるいは担い手法人、担い手集落、こういうものに集中をしていくというのでしょうか、そういう方々供給して頑張ってもらう、これがあるべき姿として、分かりやすく言えば、考えているところではないかというふうに私自身はいつも申し上げております。
  179. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それぞれ御自身のお考えがあると思いますけれども、今のお話をずっと伺いますと、零細農業切捨てみたいな感じがちょっとなきにしもあらずなんで、その辺がちょっと心配になりますが。  やはり中山間地の農業なんか見ますと、あれは環境面からの配慮も大変必要だと思うんですけれども、ああいうところでは子供がもう外へ出てしまった。高齢者が細々とやっている。あれが一つの楽しみでやっているというケースが非常に多いんですね。そういう人たちも、やっぱり日本の国土を守るという意味からしっかりした働きをしているんだという認識を私は持ってもらいたいと思っています。  それと、今、多様な消費者需要にこたえると。消費者サイドのことはそれで確かにそうだと思うんですけれども、生産者サイドからいいますと、やっぱり今まで私、長年見てきまして、いわゆる経営が安定しない、生産調整政策でですね。これはやらなきゃいけないのは確かですけれども、安定しないというのが一つ大きな要素だと思うんです。  ちなみに、これは昨日農水省からいただいた資料なんですけれども、平成四十六年から、四十六年度から生産調整、稲作転換対策として始まっておるわけですが、今年平成昭和四十六年、失礼、昭和四十六年ですね、これが平成十五年まで三十三年間。この間、一年で作付目標面積が変わったのが十二回、二年で変わったのが七回、合わせて二十六回なんですね、二十六年。もう三分の二以上がもう猫の目的改革といいますか、そんなふうに変わっているんですね。これではやっぱり安定した経営できないですね。二年ぐらい続くというときは、私も記憶にありますけれども、今年も変わるんじゃないかという心配があって、最後に二年間続けようというようなことがあった記憶がしてならないんですよね。  だから、この辺で、あるべき姿、消費者に対してはそれで結構なんですけれども、生産者に対しては、ある程度消費者のあるべき姿にうまく整合するように、消費者が安定して生産できる、例えば五年なら五年ぐらいを絶対変えないと。これ前から議論あったと思いますけれども、絶対変えないと。その間の増減は何らかの格好で吸収するとか、そうしないと、なかなか意欲ある担い手といいますか、そういう人たちが出てこないでしょうし、衰退する一方になると思うんですけれども、これについて、もし大臣、何かございましたら。
  180. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 固定をある程度、五年だったら五年すべきじゃないかと。なるほど、そうすると安定という意味においては、生産者側からするとそういう農業計画、経営計画というものはあるかもしれません。しかし一方、需要がやっぱり変化してくるんだろうと思うんですね。  そういうことを考えますと、やっぱり需要を毎年見通しながら、先ほど多面的機能というお話もありましたが、田んぼを他に利用するような仕組みもしかと担保してやるという仕組みにしておいて、そしてやっぱり毎年ある程度対応していただくという方が結果としていいんではないだろうか。  多分、先生ももう御承知のことで聞いておると思いますが、二年ぐらいだったらそれほどの私は変化はないと思うんです、がくんと減るなんということはないと思うんですよね、もちろん消費ががくんと減るということはない。五年とこうなりますと、必ずそこに余剰米が積み重なっていくんだろうと。そういうものとの総合的な判断でございますが、なかなか、そこを固定してしまうという考え方はいいのかどうかというと、私はむしろ国民の理解を得られないのかなと。  むしろ、田んぼという多面的機能を多様に使えるような仕組みをちゃんと仕掛けておいて考えていった方がいいという思いでこの大綱を作ったつもりでございます。
  181. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私、前、毎年毎年米余りが生じると、これは需給見通しを立てるときに前年度の需要で、需要を根拠として決めているんじゃないですかと、それが、その前年度の需要がずっと下がってきている、だから常に余りになっちゃうわけです。だから、それはもっと先を見通してやるべきじゃないかということを申し上げて、たしか最近はそういうふうに考えるようなことあると思うんですね。  だからしたがって、そういう要素を入れれば、今の備蓄米も考えて、五年というスパンで、豊作、不作というのはそれほど僕は大きくないと思うんですよね。そういうことを、要素も考えて、やっぱり安定してやれるということでないと投資する意欲もわいてきませんし、本当は長い間あった方がいいんですけれども、せめて、五年がいいかどうかは分かりませんけれども、そういう長い投資もできると、意欲を持ってできるというような、そういう環境作りというのを是非これはお願いしたいと。まあこれ以上申しません。  それと、これはもう一つ、先ほどから聞いておりまして、食糧庁次長、ちょっと気になることで口走られたことなんですが、米も一つの作物だと。確かにそのとおりだと思いますけれども、米問題を扱っているときにこういう発言をされるというのは、私は非常に生産者なり米関係者を逆なですると思うんですね。  さっきから出ていますとおり、お米というのはほかの作物と違うわけですよね。大臣のところでは五千年前からあったらしいというような、米があったらしいと、痕跡が出てきているというお話でしたけれども、私は、普通の常識的なあれだと、常識的な歴史の本だと二千三百年ですか、弥生時代に入った。太田大臣の方がまだ長いのかもしれませんけれども、まあそれはこれからの研究、考古学的な研究のあれでしょうけれども。そのぐらい長い間で、要するに米によって投資されてきたわけですよ。税金も米によってできている。社会のあらゆる文化、あるいは、すべてとは言いませんけれども、文化にしろ習慣にしろ、全部米によってできているわけですよね。だから、ほかの作物とはその点で大いに違う。  それと、私、これ本の知識なんですけれども、なぜ日本は米によって、そういうふうに米を選んだかというのは、やっぱり統一、地域として、あるいは国家として統一するためには、ほかの作物だと作期が違うんだそうですね。人によっていつ植えるか、植える時期が違う、収穫する時期が違う。ところが、米というのはほとんど同じです。そういうところから米というのが日本の主要作物になる、基幹作物になると。それがずっと続いてきて、あるいは食べ物としても非常に高級なたんぱく質からいろんなものを含んでいるということでなったと思うんですけれども、その辺が一つ違いますし。  それと、米というのは作物の中でやっぱり一番取扱量は大きいでしょう。先ほど副大臣言われていましたよね、四分の一だったですか、作物の中の。二五%ですよね、四分の一というのは。ほかにそんなもの見えないわけですよ。だから、一つ下手に手放しちゃいますと、だれがどう暗躍してうまく活用するか。まあ昔は米商人なんというのが政治まで牛耳ったというような話を聞きますけれども、そのぐらい重要なものであるという認識で。米というのは一つの作物だという、確かにそうですけれども、単純にそういう見切り方をしていただきたくないと。  それともう一つは、何か過剰米が出た、どなたかの質問で、過剰米が出たとき、例えば十俵取れたものは、十一俵取れて、一俵分はこれ余分にできたんじゃないかと、生産費変わらないんじゃないか。確かに理屈ではそうですよ。しかし、農家というのは、やっぱり自分が技術を発揮して、自分の技術を最大限に使って少しでもたくさん作ろうと、これが農家なんですよね。一俵できたのは生産費要らないからそれはどうでもいいだろうと言ったら、これは農家は泣きますよね。  そういう感覚でもし食糧庁がこういう問題を扱われるとすれば、そういう面からの反発を受けてくると思うんですけれども、次長、ちょっと何か御見解を聞かせてください。
  182. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 私の答弁で言葉足らずの点があったとすれば訂正いたしますけれども、米の重要性というものを十分認識した上で、しかしながらその需要に応じた生産というふうな取組をする際には、やはり米も一つの作物であるという面を申し上げたかったということでございます。  それからもう一つ、余り米といいますか、過剰の場合の取扱いですけれども、コストが云々ということではなくて、やはり私が申し上げたかったのは、できた米、それが需要をオーバーするものについては、主食の世界でそのまま流れていくと、やはり全体の、十一俵取れたら十一俵全体の価格を下げてしまうと、そういうことの方がむしろ影響が大きいので、農家経営に与える影響を少なくする意味でも、その余った分についてやっぱり特別の仕組みが必要だという意味で申し上げたものでございます。
  183. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 まあこれ以上追及しませんけれども、要するに、米農家といいますか、農業者の気持ちというのも、やっぱり数字の上だけの話じゃないですから、その辺も十分酌み取って対応を考えていただきたいと、こう思っております。  それから、これもう先ほどちょっと質問出ましたけれども、いわゆるこの先の需給調整システム農業者農業者団体が主役となるということで、実は私この大綱を、これ昨日ですか、もらってすぐ地元の方に電話して、何か感想ないかというときに、一番やっぱり心配していましたのは、例えば、恐らく割り当てるのはJAといいますか、JAが中心となって割り当てるだろうと。今でもなかなかその割当ての作業が簡単でないと。  だから、この前、たしかあれは食糧庁長官がおられたときに質問をしたんですけれども、なぜこういう問題を、この問題を今考えるかという、五項目かな、四項目か五項目の御回答をいただいた中に、今のいわゆる米関係のいわゆる自治体の人間あるいは農協の人間が余りにもこれに忙殺され過ぎてほかのことができないからだという御答弁があったんですよね。それが更に輪を掛けて、今までは国がこうだったから、国がこう決めたんだからということで、それを金科玉条といいますか、そういうことで説得をできたのが、今度は何か訳が分からない、立派な第三者機関ができるのかもしれませんけれども、そういうことでやるときに、本当にできるのかなという心配をしているんですね。  だから、これは県のJAが、県のJAが地元にやるばかりじゃなくて、例えば全中かどこか分かりませんけれども、中央組織のどこかから各JAに下りるというか出てくると思うんですね。それも本当にできるのかなと、JAというのは大体そういう立場にあるのかなという疑問を投げ掛けられたんですね。  だから、そういう心配があるんですよ。これはできると思っておられるのか、あるいはやらせたいと思っているのか、どうにかしてやらせたいと思っているのか、その辺の御判断といいますか、ひとつ御感想をお願いします。
  184. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 農業者農業者団体が主役となるシステムというのは、これは平成二十年度に今導入をしようということでございまして、十六年度から二十年までの間は、私ども国とそれから生産者団体が協調しながらやっていくということで、この期間が言わば助走期間になるわけでございます。  この移行期間を利用いたしまして、当面、私ども行政生産者団体が共同で行っているこの間に、いろんな面でのノウハウをやはり農業者団体の方にも蓄積をしてもらいたいというふうに思っておりますし、具体的な需要量の見込み方などにつきましても、そういった情報の作成、提供という面では、これからもまた引き続き行政の方から提供していくというようなことをいたします。  それから、国、地方公共団体がこれまで持っているノウハウというようなものは引き続き提供していくというふうなことを考えているわけでございまして、いきなりやれば確かに混乱もいろいろあるかと思いますけれども、十六年から十九年までのこの期間を通じて、できるだけスムーズにソフトランディングができますように私どもも努力をしていきたいというふうに思っております。
  185. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そういう地元の感覚も認識してもらって、方向で進んでもらいたいんですけれども、ただ一つ、今のお話でもちらちら出ておりますけれども、協力してという、協力してというか、国も関与は離れないよということなんですが、むしろ、やっぱり今、これから出す政策にしろ、今までもそうでしたけれども、そうだったと思いますけれども、いわゆる試行錯誤的な性格が多いですよね。だから問題がいろいろ出てくると思うんです。問題が出てこなければそれでいいんですけれども、問題が出てきた場合に、少なくとも国が主体的に、何も国が金出せということじゃないんですけれども、事は米の問題ですから、国の基本的な食料の問題ですから、国が主体的に問題解決に当たると、そういう姿勢を僕は是非持ってもらいたいと思うんですね。  だから、逆に言えば、二十年という、そうなったらそれで結構ですけれども、要するにそのときに時間が来たからもう駄目よということでなくて、もう渡してもいいなというところまで国がしっかり主体性を持ってもらいたいと、こう思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
  186. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) 大綱の中にも書いておりますが、国及び地方公共団体の関与ということを書いております。この関与の在り方には、これから検討して来年の通常国会の食糧法の改正の中で明示したいと思っております。  私自身が今考えている基本は、先ほど、今日も一日御議論をちょうだいして、米というものは、岩本先生お話しされましたように、正に日本の国のアイデンティティーの源であるわけで、ここは私も全く同感です。私のところに「えんぶり」というお祭りがありますが、これも稲の豊作を祈願する二月のお祭りでございます。そのように我々の農政の私は基本の作物だと、こう思っております。  一方、国民に安定した米を供給するという責任も私ども担っております。そういう基本論の中で二十年に自主調整へ移ってもらうわけですが、そのときに国の関与の在り方、今書いてある国の関与の在り方はありますけれども、どういう書き方があるか、これは様々な形で議論して私どもも理解得られるような知恵を出してみたいと、このように思っております。
  187. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣は責任持ってやってもらえると私は思いますけれども、よもや不完全な格好で移行したときには本当に取り留めのない、取り留めのないというか、混乱状態に陥らざるを得ないという気がいたしますので、その辺はしっかりと対処していただくようお願いしたいと思います。  それと、先ほどから出ております担い手に対する経営安定対策、いわゆる主業的農家になるんですか、そういう分類がとうとう来たなというような感じがするんですけれども、僕は前にもこのことを質問したと思うんですけれども、例えば先ほどの、川村局長だったですか、四ヘクタールと十ヘクタールですか、内地で四ヘクタール、これは参考資料にもたしか出ていると思いますけれども、四ヘクタールでは専業としては食えないと思うんですよね。だけれども、規模、かなり大きいのは大きいんでしょうけれども、こういう、四ヘクタールというこういう設定をしたのは、いわゆる農家経営というか、日本の四ヘクタールの農家というのはどの程度の、ほかのものをどの程度絡めてどの程度の生活レベルというふうに考えているのか。それと同時に、こういう四ヘクタールというのは、うまく施策が回って土地の集積が起これば更に本当は理想はもっと多い方がいいのか、その辺のお考えをひとつお願いします。
  188. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 私ども、平成二十二年にあるべき姿というものを展望しておりまして、水田作経営でいきますと、経営規模といたしましては北海道で二十一ヘクタール、それから都府県では十二ヘクタールというものを念頭に置いております。そしてまた、経営体としても八万、個別経営体で八万、そしてまた組織型の経営体で一万と、こういう展望を持っておりまして、これを目標に取り組んでいきたいということでございます。  ただ、現時点で即座にこの規模を達成するというのはやはり困難でございますので、まず底辺をある程度広げた上でその辺の方々に支援をして、我々が目指す目標へと達成するように努力をしていくという考え方でございます。
  189. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 いや、私が言いたいのは、米だけによってこの農家にはこのぐらいが農家としていいんだということでなくて、農家として、農家経済としてとらまえて施策を講じるのが僕は農林省だと思うんですよね。そういう意味から、この四ヘクタールというのはどのぐらいのことを、どのぐらいの農家といいますかね、どのぐらいの、何といいますか、生活ができるどのぐらいのものを目指しているのか、その辺がないかどうかなんですが。
  190. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 我々が二十二年に展望している中では、正に他産業並みの生涯所得を達成するようなということで、そういう経営規模の中でいろんな作物なりそういうものを工夫されてやっていくということだと思います。そういう意味で、最終的な姿では、正に他産業並みの所得、生涯所得水準というものを達成するような経営というものを目指しているということでございます。
  191. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私はこれ半分願望もあるんですけれども、やっぱり農林省というとどうしても農業ばかり目が行っちゃって、農家、地域というか農家というか、そういうものになかなか目が行かない。要するに、農業が例えば少し落ち目になってもほかで補えればいいわけですよね。だから、そういうのをきちっととらえるのが私は農水省じゃないかなという気がするんですが。  これは前から、たしか統計なんかも農家単位の、農家の、農家経済の統計というのはないですね。私は、これはもう十年以上前ですけれども一度探したことがあるんですが、その辺をやっぱり、いろいろ問題が起こってきますと、何も農業だけじゃない、ほかのもので満足させればいいということもあり得るわけですから、その辺も十分考えていただきたい。これは願望も含めて申し上げる次第です。  大臣、もし何か。
  192. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) もう先生全部御承知でお話ししていますが、ヨーロッパやアメリカと比べて何が日本の農業形態で一番違うかというと、やはり副業、兼業農家の多さだと私思います。したがって、その存在を我々もしっかりと受け止めなければならないと思います。  しかし、この時代になったときに、先ほど来申し上げましたように、主業農家あるいはまた副業的農家と、米という世界、農政という世界ですべて同じでなきゃいかぬか、ここに我々は今ある意味では一つの勇気を持たなきゃならぬところではないかなと思うんです。しかし、それを離していく、切っていくということではございません。多分、今、四ヘクタールというのは、今、米の収入が一位の農家で、主業農家と言われる方々は全体の作付面積が四・二ヘクタール、この方々が、先ほど紙委員からも御指摘いただきましたが、農家所得という意味では非常につらい立場にある、これはやっぱりおかしいんだろうと私は思うのです。  したがって、そこにある意味では集中的な、重点的な施策を施していって、そしてその担い手の本当に大宗として頑張っていただかなきゃならぬというのが今度の大綱の一つの精神である。そういう中で、農家所得というものもできるだけその集落、その地域の他産業と同じになるように頑張ってもらう。その手法は、拡大もあればコストダウンもあれば、あるいはまた様々な手法で我々も一緒になって知恵を出して頑張ってもらうようにしていきたいと、これが今度の大綱の方針であることを御理解いただきたいと思います。
  193. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 時間が来ましたのでやめますけれども、最後に僕申し上げたいのは、要するに、農業だけでなくて農家というとらまえ方で農林省もやっていただきたいと。  まだ質問大分残しましたけれども、また次回に回しまして、これで終わりといたします。  どうもありがとうございました。
  194. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 今回は米を中心にする委員会だということなんですが、私も思うところがありますが、もう少しじっくり勉強してからこの問題を別の機会に質問させていただきたいと思います。  今日はちょうど狂牛が発生してから一年ちょっと過ぎまして、去年の今ごろというのはここで大変激しい議論があったわけです。  そこで、幾つか整理しておきたいことがありますので質問します。  この狂牛病の問題では、要するに政治がやらなきゃいけない対策、大きく分ければ二つありますね。一つは原因究明である。これをやらない限り将来の安全な展望というのが開けないわけです。もう一つは、生産流通者の損失をどういうふうにカバーしてやるかという問題ですね。後者の問題に関しては、予算措置などいろいろ試行錯誤がありながらも今まで進んできています。その過程の中で不正、腐敗というものが出てきたということは誠に残念なことでございますけれども、今日は原因究明に焦点を置いて質問いたします。  二〇〇一年、去年の一月ごろ、初頭ですね、EU委員会の方から最終レポートが日本に寄せられた。そして、その中には、日本に入っているイタリアの肉骨粉というものについて注意しなければいけないという警告があったわけですね。この最終レポートは、当初は農水省はないと言っていましたけれども、私は持っていましたから、あるということになりました。それでいろいろ具体的な調査というのが始まるわけなんですけれども、この肉骨粉の輸入ルートについて、それから、イタリアで現地調査を数度やったということなんですが、これまでに判明している事実というのをポイントで説明してください。
  195. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) イタリアからの輸入肉骨粉、このルートでございます。  去年の十月と今年の四月に専門家による現地調査等を行いました。その結果三点、一つは、対日輸出を行いましたイタリアの工場、一九九八年六月一日以前に病原体を効果的に不活化させる加熱処理基準、百三十三度、二十分、三気圧、こういう基準を満たしていなかった可能性があったという事実。それから二つ目に、九六年から九八年六月一日までの間に日本へ輸出されたイタリア産の肉骨粉には豚以外の動物由来のものや危険部位が含まれている可能性が完全には否定できなかった。特に九六年十月に日本に輸出された肉骨粉には汚染国から、アイルランドでございますとかフランスでございますとか、そういうBSEの汚染国からの輸入原材料が使われていた可能性があること、こういうことが明らかになりまして、汚染された輸入肉骨粉が何らかの経緯を経て発生農家で使用されていた飼料等に混入されたのではないかという可能性が、これはこれまでに御答弁を申し上げました。  そして、このために、九六年から九八年六月一日までに輸入された肉骨粉にどのような危険部位が含まれていたのかという点、それから、イタリアにとって、外国から輸入された肉骨粉が我が国へ輸入された可能性があるかどうか、要するに、BSE汚染国からイタリアに輸入された肉骨粉が我が国へ更に輸入された可能性があるかどうか等について、イタリア政府との間で現在確認作業を行っております。  本年の五月、具体的に申し上げますと本年の五月、イタリア政府は、日本向けに輸出した肉骨粉の原料はイタリア国産のものである、そしてBSEの危険性のない部位を使用していると回答をよこしました。  これに対して我が国から、その根拠書類、そのイタリアの主張を根拠付ける書類を求めておりまして、去る十一月二十六日付けでイタリアから根拠書類を送付してまいりまして、現在我が方で分析中という状況でございます。
  196. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 それでは、イタリアから来た肉骨粉じゃない、別の輸入ルートということについては調べているんですか。
  197. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) これまでのことを整理して申し上げます。  イタリア以外のBSE発生国からの肉骨粉の輸入でございます。英国、デンマーク等からの輸入実績があったというふうにされております。これも担当官が現地調査等を行いました。  まず英国でございます。英国から九〇年から九六年までに輸入されたとされます肉骨粉三百三十三トン、これ今年の初めに相当この件、有名になりました。その後の調査によりまして、日本に輸出されたのは二百二十七・六トンで、反すう動物以外のミール類、フェザーミール等であるという可能性が高く、その他の百五・四トンはよその国に向けられていたということが判明をいたしました。  それからデンマークでございます。デンマークの対日輸出を行った工場でございますが、一九九七年、九七年四月以降、先ほど申し上げました加熱処理基準、百三十三度、二十分、三気圧でございますけれども、これを行っていたということと、日本への輸出は九九年の十二月以降であると、九九年の十二月以降であるということが判明をいたしまして、これまで五頭のBSE感染牛が九五年から九六年に生まれておりますので、大体誕生後二年以内に感染する率が高うございますので、このデンマークから輸入された肉骨粉が感染源になったという可能性は低いというふうに考えております。  それから、アジアでございます。アジア諸国からの肉骨粉の輸入でございます。タイ、インドネシア、フィリピン、韓国、台湾、中国、香港というところに専門家を派遣をいたしまして実態調査を行いました。これらの国に輸入された肉骨粉はその国内飼料原料として使用されていること、それから肉骨粉の値段とその関税とか手数料を考えますと、欧州の肉骨粉がアジア諸国で一度荷揚げされて再輸出された可能性は香港を除いて極めて小さいというふうに考えられます。  香港は貿易の中継国でございますので、香港については九六年から九七年に八千三百三十七トンが輸入されましたが、そのほとんど、七千五百十六トン、七千五百十六トンが豚由来、残りの多く、五百九十一トンが肥料用に販売されたことを確認をいたしました。それから、用途不明の二百三十トンの肉骨粉について調査を行いました。それらはすべて西日本、大阪、小松島、神戸、門司と西日本で荷揚げをされておりまして、肉骨粉の値段と輸送費の関係から、東日本まで運ばれて感染源となった可能性は低いというふうに判断をしております。
  198. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 去年発生した狂牛の年齢というのは大体五歳ぐらいということで共通しているわけですね。ということは、食肉牛であれば三歳ぐらいまでに屠殺するということですから、これは乳牛だったということは確実だと思います。  ということは、その五年前というのはどういう年かというと、一九九六年に当たるわけです。これはもうヨーロッパが大騒ぎの一番ピークになったときですよね。そして、農水省もこの年に肉骨粉の使用というものを自粛するようにという通達を出した。その通達出している年に三菱商事は、九六年ですよ、百五トンわざわざ危険地域から輸入しているという事実は分かっているわけですね。そうしますと、その発生した時期と輸入した時期というのはここが一番整合性があるということで、私は、イタリアの肉骨粉については徹底的に調べてくれということを何度も繰り返して言ったわけです。  そうしますと、この九六年にわざわざそこから輸入して、そしてどこへそれじゃ卸したのかという点で、その後も九八年、九九年、二〇〇〇年と三年間にわたってたくさんの商社が要するに危険地域から大量に安くダンピングで輸入しているんですね。これ自体も相当なモラルハザードだというふうに思いますけれども、この九六年の百五トン分がどこへ卸したかということですね。ほかの商社、その後の卸し先というのは大体分かっている。そして、何になったかも分かっている場所がありますが、分からないというのも残っているんですね。これは三菱商事と丸紅が大体分からないというのがあるんですよ。最終的なところへ行き着いていない。しかし、この九六年分の百五トン、一番危険度が怪しいと思われているもの、これが卸売先が分からないということで今話は終わってしまっているんです。  三菱商事がどこへ卸したか分からないというその理由が、何か若いやつが担当していてよく分からなくなっちゃったという話なんですよ。私はこんなもの、代表者が百五トンはどこへ行ったか分からなくなっちゃったなんという話はあり得ないと思うんですね。  ですから、ここのところを見ないと、この一番の根本の原因というのは分からないんですけれども、九六年にもそれがあります。九八年にも三菱商事は仕入れています。そこでまた一番最後のところが分からないということがありますが、この件に関してはどのぐらい調べているのか、ちょっと説明していただきたい。
  199. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生から、その三菱商事が九六年にイタリアから輸入した肉骨粉百五トンでございます、行く先不明ということで、もっとちゃんと調べろということでございました。我々、この百五トンについて残されておりました販売時期等の記録それから関係者の聞き取りをいたしまして、次の事実まで突き止めました。  まず、この百五トン、神戸港に荷揚げをされまして、岡山県の水島の倉庫業者に運ばれております。そして、その肉骨粉は原産国の区分、要するにイタリア産と書いていなくて、たんぱく質五〇%の規格という表示で流通をしている。当時、どうも、どこの原産国というよりも肉骨粉の品質の方を重視した取引だったそうでございます。そして、この水島港扱いのたんぱく質五〇%の規格の肉骨粉はすべて特定の仲卸業者に販売をされております。それで、この仲卸業者は、この肉骨粉、水島港扱いのたんぱく質五〇%規格の肉骨粉、これを更に別の仲卸業者を通じて養鶏用、鶏でございます、養鶏用の飼料工場に販売した可能性が高いということが分かりました。これ、三菱商事サイドと仲卸業者それぞれの聞き取りの内容はおおむね一致をしておりましたということでございまして、当該肉骨粉の大部分は養鶏用の飼料原料として使用されたものと考えております。  ただ、これ一連の調査を通じまして、三菱商事から仲卸業者へのイタリア産肉骨粉の実際の販売日と量が確定といいますか特定はできておりません。それから、仲卸業者には三菱商事から、イタリア産と、先ほども申し上げましたけれども、イタリア産と明記した購入記録はございません。ということで、帳簿から裏付けることができないということで、可能性といたしましては、一部がほかに販売された可能性は完全には否定できないという状況になっております。  ただ、これ追跡できるかという話でございまして、この肉骨粉、仲卸業者の帳簿等で裏付けることができないということで、追加的な調査ができない、困難だという現状にございます。  それから、九八年の件でございます。九八年十二月、たしか百七トンだったと思いました、十二月に輸入された肉骨粉でございます。先ほども申し上げましたように、BSEの感染というのは生後二年以内の可能性が非常に高いというふうにされておりまして、これまで五例発生をしておりますけれども、それらの牛の生年月日が九五年の十二月から九六年の四月、九五年の十二月から九六年の四月でございます。イタリア産の肉骨粉のうち加熱・加圧処理が不十分であったと考えられることからBSEの原因となり得た可能性の高いのは九八年の六月以前に輸入されたものであるということでございまして、九八年の十二月にこれ輸入されておりますので、この五例の発生原因となった可能性は、その年齢からも、それから輸入した月日からも極めて低いのではないかというふうに考えているところでございます。九八年に輸入したこの肉骨粉、仲卸業者まで調査を行いましたけれども、これもイタリア産と明記した購入記録がなくて流通ルートの特定が極めて困難な状況になっているということでございます。  今後、死亡牛の検査でございますとか、そういうものが始まります。その辺から得られる情報と併せまして、検討をせざるを得ない状況になっているということでございます。
  200. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 私も、九八年以降は一応加圧・加熱処置をしたということですから、九六年の、それ以前の肉骨粉というものはかなりかぎを握っているんだというふうに今でも考えていますし、今の答弁からしても、最終的にシロかクロかと、これだったのかという断定には至っていないというところですから、あらゆる手段を用いて発生した牧場との流通というものに関連があるのかどうかというのを、これは一層調べてもらいたいということを要請します。  それで、しかし、それはシロかもしれないということだってあるわけですね。一方で、農水省は輸入油脂による感染ルートというものの発表もしていますよね。これだと、かなり代用乳の中にそれが入っていて、狂牛が発生した牧場と共通性があるというようなことがあることを報道なんかに発表されていますけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  201. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 五例のBSEに感染しました牛に共通されて給与されておりました代用乳にBSEの発生国でございますオランダ産の動物性油脂が含まれていたということから、去年の十二月と今年の六月に二度にわたりまして担当官をオランダに派遣をいたしまして、我が国に輸入された動物性油脂の製造工場、オランダの製造工場の調査を実施をいたしました。  その結果、まずBSE感染牛の生まれた一九九六年以前に日本に輸出された動物性油脂の製造工場、オランダに二工場あるということが判明をいたしました。そして、この工場、両工場とも原料の搬入から製品の貯蔵までパイプで連結をされておりまして、他の製造ラインとは分離をされておりました。要するに、途中で混入するということはなかったということでございます。そして、その原料は牛の脂身で、ただこの脂身が背脂肪とか腹腔内脂肪、背脂肪と腹の方の脂肪でございまして、きれいな脂肪でございます、脂身でございます、であることが判明いたしまして、非常に純度の高いものであるということが、これも可能性でございますけれども、そういう可能性が高いということが判明をいたしまして、当該工場で生産されました動物性油脂が我が国に発生したBSEの感染源となり得たとの確証を得るには至りませんでした。  ただ、オランダ産の動物性油脂を含みます代用乳は五例に共通する唯一の飼料でございます。感染源となり得た可能性を排除することはできないというふうに考えておりまして、私ども、かかる上は疫学的な調査、専門家の先生によります分析、評価にお任せをして、どういう手法で調査をしたら一番感染源の究明になるかということを、にお任せをする方が最も適切というふうに考えまして、先般、十一月の二十二日でございますけれども、疫学検討チームの設置と検討をお願いしたところでございます。
  202. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 時間がありませんので、この質問、イエスかノーかで答えてもらいたいんですよ。  つまり、代用乳の方の共通性というのは牧場とつながっているわけですね。肉骨粉は今つながっていないというような状況になっていますね。これは、代用乳に九六年のイタリア産の肉骨粉が何らかの混合とか、意図的な混合とかがあって一緒になったというような可能性はあるんでしょうか。
  203. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) そこも調べてまいりまして、高崎の、代用乳を造りました科学飼料研究所高崎工場で我が方の肥飼料検査所が立入検査を行いまして、記録、製造工程等を調べました。  そうすると、この工場では肉骨粉の購入実績がありませんでした。それから、代用乳の製造工程が他の製品の製造工程と分離をされておりました。そして、出荷する形態は紙袋でございまして、その製品の搬送時に肉骨粉が混入するという可能性はないということが判明をいたしまして、代用乳に肉骨粉が混入した可能性は極めて低いというふうに考えております。
  204. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 なかなか原因究明が非常に難しい段階にありますけれども、これはもうあきらめないでやらざるを得ないというふうに思います。  最後に、厚生省の方へお伺いしますけれども、これが例えば人間の口に入っている可能性は非常に高いわけですから、そうすると、潜伏期間が人間の場合、専門家は七年から二十年間あると言っているわけですよね。もちろん何もないことを心から祈るしかないわけですけれども、データ的にそういうことであれば、九六年の肉骨粉による汚染された牛を食べたということは十分可能性はあるわけですね。そうすると、七年目というのは来年ぐらいからになるわけですよね。そういう意味で気を緩めてはならないと思うんですけれども。  狂牛病を介して人体に被害が発生する可能性について、どのような予測あるいは対策を取っているのかということをお聞きしたいんです。
  205. 高原亮治

    政府参考人高原亮治君) BSEに罹患しました牛由来の食肉等を摂取することによって感染すると考えられております疾病といたしまして、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、バリアントCJDというふうに言っておりますが、ございます。  BSEの人への感染メカニズムにつきましてはいまだ十分に医学的な解明がなされているとは言えませんので、我が国におけるバリアントCJDの発生の可能性について具体的に予測することは困難でありますが、本年十二月二日付けの世界におきます発生状況について御報告いたしますと、累計でございますが、世界でのバリアントCJDの発生は百四十例、そのうち英国は百二十九例、フランス六例、イタリア一例でございまして、このほか長期の英国滞在歴がある方ないしは在外の英国人の方でアイルランド、香港、米国、カナダで一例ずつ発症されております。  いずれにいたしましても、変異型も含めましてクロイツフェルト・ヤコブ病の症例につきましては私どもも極めて関心を持っておりまして、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく四類感染症に指定しております。これは、診たお医者さんは届出義務が発生するわけでございまして、そういうふうなモニターを行っております。  また、これは日本で今までなかった病気でございますのでなかなか診断が難しかろうということで、研究班に設置されましたサーベイランス委員会の専門医を昨年十一月英国に派遣いたしまして現場で患者さんを診ていただきまして、得られました知見を報告会等において広く医師等に伝達しております。  感染予防につきましても、御案内のとおり、感染国からの長期に滞在された方の献血をお断りするとか、臓器提供者について注意をするとか、医療機関に対しましてクロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアルというふうなものをお渡しいたしまして、間違いなく届出をしていただくということ、それから原産国、使用部位等から見て使用することが認められない牛等由来物を医薬品、医療用具等の製造に使用しないことなどを図っております。  また、治療方法の研究に関しましては、厚生労働科学研究費補助金におきまして疾患の本体についての解明を進めるとともに、診断、治療への応用に向けた基礎的な研究を行っているところでございます。
  206. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 終わります。
  207. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 本件に関する質疑はこの程度にとどめます。  国井君から発言を求められておりますので、これを許します。国井正幸君。
  208. 国井正幸

    国井正幸君 私は、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派並びに各派に属しない議員中村敦夫君の共同提案による水田農業の再構築食料安定確保に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     水田農業の再構築食料安定確保に関する決議(案)   我が国はその地理的条件を生かし、長く米を主食として生活してきた。しかし、米の需給ギャップが年々拡大する中、生産現場では生産調整に対する限界感・不公平感を始めとして閉塞状況に陥っている。   一方、食の安全性に対する国民の関心が高まる中、安全かつ良質で、多様なニーズに合った米を供給しうる生産流通体制を確立していくことが求められている。   政府は、自給率向上を旨とし、米政策の抜本的見直しに当たっては、次の事項について万全を期すべきである。  一 米の生産調整については、主要食糧需給及び価格の安定に関する法律に基づき、政府において引き続き円滑な推進に努めるとともに、その見直しに当たっては、これまでの経過と環境変化等を直視し、円滑な推進を図る観点から、国及び地方公共団体役割食糧法上明確に位置付けること。  二 農業の持つ公益的多面的機能を適切かつ十分に発揮させるため、水田利活用を促進する観点から、環境保全型農業拡大・定着、飼料用稲作の本格的な導入等を図るとともに、その生産条件の整備に努めること。  三 稲作農家の経営安定を図るため、米価下落の影響緩和対策を引き続き講じるとともに、経営所得安定対策を速やかに確立すること。  四 担い手への政策支援に当たっては、農業の効率化を図るため、農地の利用集積、土地利用の高度化へ重点支援を行うとともに、国土保全や地域社会の維持・活性化のため、小規模農業者をも包含した集落営農の育成にも配慮すること。  五 生産調整の配分に当たっては、適地適作を旨とし、地域特性に応じた米づくりに十分な配慮を行うこと。  六 米の消費拡大に当たっては、粉体化利用を含め新規需要の開拓に努め一層の拡大を図るとともに、豊作による過剰米の処理に当たっては、適切な政策支援を行うこと。  七 公正・中立な取引市場の育成、流通・取引の多様化を推進し、安定的な米取引価格の形成や通年流通確保を図ること。  八 安全・安心を核に消費者ニーズに応える米づくり推進するため、表示の適正化等の見地からJAS法に基づく品質表示基準を見直し、不当表示の監視を強化するとともに、DNA分析を含めたトレーサビリティーの確立や米の安全検査に対する取組みに対し支援すること。  九 アジアモンスーン地域での食料安全保障を確立するための東アジア米備蓄システムへの協力を一層強化するとともに、WTO農業交渉において日本が提案した国際備蓄構想の実現に努めること。    また、WTO農業交渉において、ミニマム・アクセス制度の見直しに向けて関係各国に強力に働きかけること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  209. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまの国井君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  210. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 多数と認めます。よって、本決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対して、大島農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大島農林水産大臣
  211. 大島理森

    ○国務大臣(大島理森君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重し、最近の米をめぐる情勢を踏まえつつ十分検討してまいる所存でございます。
  212. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五分散会