運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2002-11-28 第155回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十一月二十八日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十七日     辞任         補欠選任      大仁田 厚君     片山虎之助君      岩本 荘太君     平野 達男君  十一月二十八日     辞任         補欠選任      市田 忠義君     西山登紀子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         三浦 一水君     理 事                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 岩永 浩美君                 太田 豊秋君                 加治屋義人君                 小斉平敏文君                 福島啓史郎君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 本田 良一君                 日笠 勝之君                 渡辺 孝男君                 西山登紀子君                 平野 達男君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   大島 理森君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        農林水産大臣  太田 豊秋君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       渡辺 孝男君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        農林水産大臣官        房長       田原 文夫君        農林水産省総合        食料局長     西藤 久三君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        林野庁長官    加藤 鐵夫君        水産庁長官    木下 寛之君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○農水産業協同組合貯金保険法及び農水産業協同  組合再生手続特例等に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○農薬取締法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十七日、岩本荘太君及び大仁田厚君が委員辞任され、その補欠として平野達男君、片山虎之助君が選任されました。     ─────────────
  3. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農水産業協同組合貯金保険法及び農水産業協同組合再生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会農林水産大臣官房長田原文夫君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君農林水産省経営局長川村秀三郎君、林野庁長官加藤鐵夫君及び水産庁長官木下寛之君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 農水産業協同組合貯金保険法及び農水産業協同組合再生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岩永浩美

    岩永浩美君 おはようございます。自由民主党の岩永浩美でございます。  今日はペイオフの件について御質問させていただきたいと思いますが、ペイオフの問題が議論され始めてから、日本経済大変停滞をし、中小零細企業中心にして大変いろいろな問題で動揺が起きました。この問題は、農業関係に従事する皆さん方にとっても不安は隠せない。現実の問題として、安定した農業を営んでいくためには系統農協が安定することは言うまでもありません。そのことをいろいろ考え、系統農協にかかわるペイオフの問題について具体的に質問をさせていただきたいと存じます。    〔委員長退席理事田中直紀着席〕  今年の四月に、定期預貯金についてはペイオフ解禁をされました。解禁直後の預貯金動向を前年同月比の増減率で比較しますと、第二地銀マイナス二・七%、信用金庫マイナス二%、信用組合マイナス一五・六%、郵便貯金マイナス四%の残高が減少しております。それに比べ、都市銀行において大幅に預金伸びています。その都市銀行は一六・八%。そのような状況下の中で、農協貯金はほかの第二地銀信金信用組合に比べて一・六%微増になっています。  増加の割合は鈍っているものの微増となっている、これは農家皆さん方がそれだけ預貯金を増やしたというよりも、員外利用者が増えてきたのではないのかなという一つ思いがいたしますが、農林水産省は、今年の定期預貯金ペイオフ解禁における系統金融への影響、あるいは今後、系統金融への影響をどういうふうな形で、法改正で二年間今回延長されていくわけですが、どういう影響が出てくるというふうに予測をしておられるのか、まずそれをお伺いをしたいと思います。
  7. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答えを申し上げます。  金融関係の情勢、それからシステムというものが大きく変わろうという中で、農協系統金融システム一員でございますので、昨年の農協法改正によりまして、問題農協早期発見早期是正という観点で、農林中金が中心となりまして自主ルールを作りまして、これに基づいて農協等指導するという、いわゆるJAバンクシステム整備をされたところでございます。  そして、今御指摘もございましたとおり、本年四月に定期性貯金部分解禁ということであったわけでございますが、これが一つの節目でございましたので、系統といたしまして不良債権処理を着実に進めるというのがございます。それから、問題農協を確実に解消するということでございまして、自己資本比率が四%未満という農協が十二年度末では三十ほどあったわけでございますが、これを十三年度末までに解消するということで努めたわけでございます。  こういう努力等がございまして、先生が今御指摘のとおり、他の信金信組等が減少する中で、そう高は多くはございませんが、前年同期比で一%前後の伸びを示すといったようなことで、総体としては安定した状況にあるというふうに考えておるところでございます。
  8. 岩永浩美

    岩永浩美君 ほかに比べて微増しているということは安定しているということにつながってくるかもしれませんが、これは農家皆さん方預金量が増えたのか、員外利用率が高くなったのか。今回、増えたということになると、新規口座開設数というものが増えてきたというような形が数字として表れてきているのか。そういう新規開設数とか、そういうことは関係なく、個々の預金残高が増えたのか。そこはどうなっているんでしょうか。  それと同時に、今回、ペイオフ解禁になると同時に、地方自治体にはそれぞれの地域農協指定金融機関に指定されているところがあります。それはたまたまそれぞれの地域信用金庫指定金融機関になったり信用組合がなっているということもあったと思いますが、こういうペイオフ解禁になって、そういうところよりも農協の方がいいから農協指定金融機関に変えたというような箇所がどれぐらいあるのか、それをお知らせ願いたい。
  9. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 先ほど、総体といたしましては、農協貯金が本年の四月のペイオフ部分解禁後も、第二地銀なり信金信組預金を減少させる中で、対前年比で一%前後の伸びを示しておるところでございます。  ただ、この内容内訳でございますが、申し訳ないんですけれども、その員外とそれ以外というようなことの、また他の金融機関からどういうふうにシフトしてきたかというデータがございませんので、これは申し訳ないと思いますが、そういう状況でございます。  それから、指定機関状況でございます。これについてお答えを申し上げます。  市町村のうち農協指定金融機関としているところは、平成十四年六月末現在で七百十七市町村ということでございます。そして、このほかに農協指定代理金融機関としている市町村は五百八市町村、それから収納代理金融機関としている市町村は二千七十一市町村というふうになっております。  また都道府県、これ今のは市町村でございますが、都道府県指定代理金融機関となっているのは二十九信連と一農協がございます。それから、収納代理機関となっておりますのは十八信連と千十七農協という状況でございます。
  10. 岩永浩美

    岩永浩美君 それぞれの地域農協合併が進んでいます。今までの単位農協よりも大型化する農協はより安定な金融機関として地域に密着していると思うので、行政として農協指定金融機関に指定するような働き掛けはどうかと思いますが、その体力が強くなった農協指定金融機関に多くなっていくことは決して私は悪いことではないと思うし、地域経済にも大きく寄与していくことにつながっていくと私は思います。そういう意味では、指定金融機関がより多く地方自治体の中で受け入れられる、そういう一つのやっぱり体制を作っていくことを、そういう指導をしていただくことも併せてお願いをしておきたいと思います。    〔理事田中直紀退席委員長着席〕  そこで、情報公開について伺います。  農協合併助成法が去年終わりました。この中で、自己資本比率財務状況が不良で今まで合併によって救済された農協も数多くあったのではないかと私は思います。そういう実態をまず伺いたい。  と同時に、自己資本比率農協系統金融健全化基準になる八%、六%、四%の農協数内訳。  それから、JAバンクは積極的に情報公開をする必要があるのではないかと私は思うので、農協財務情報ディスクロージャー在り方について農林省はどういう指導を今までしてきたのか、今後金融解禁が成った後はどういう形でそれを強く指導をしようとするのか、それも併せて尋ねておきたい。
  11. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 先ほども申し上げましたが、農協系統では、農業、農村をめぐる環境が非常に変化するということで、事業機能の一層の強化経営効率化合理化を図るということで合併が進んでおりました。この農協合併につきましては、農協間での財務状況格差というものがありましたので、これがやはり合併阻害要因になったということがございました。  そういうことで、平成四年には農協合併助成法改正を行いまして合併推進法人制度というものを設置したところでございます。この任務は、合併に参加いたします農協固定化債権を償却するための資金貸し付け信連等に対しまして利子補給する、それから合併に参加をいたします農協間の財務調整指導を行う等の任務をしたところでございます。そして、この結果といたしまして、平成四年から十三年までの間でございますが、百三十三件の活用がございました。これの参加した数、総数でいきますと七百二十三の合併に参加した農協があったわけでございまして、かなりの効果があったというふうに見ておるところでございます。そして、こういうこともアシストをいたしましたし、また各県の農協自体が自ら樹立をしました構想ということでも体質強化が進められてきまして、平成四年には三千七十三あった農協が本年の十一月一日現在では千三十二まで来たところでございます。  それから、自己資本比率状況でございます。本年の四月のペイオフ部分解禁に向けまして、農協法上の早期是正命令の対象となります自己資本比率四%未満農協を解消すべきということで強力に取り組んでまいったわけでございます。これも先ほど申し上げましたとおり、十三年度末の決算におきましては自己資本比率の四%未満という農協はゼロということで、解消いたしました。そして、現在、全農協自己資本比率平均値というものは一六・一一%ということになっております。  そして、この情報公開も、正にこれは金融機関一員としまして農協においてもこれを実施するということでございまして、行政といたしましてもその指導監督観点からディスクロージャー推進をしているところでございます。  ただ、この実施ルールにおきまして、自己資本比率が八%から六%未満ということがまずレベル1ということ、それから六%から四%がレベル2、それから四%未満レベル3というふうに区分をいたしまして、それぞれに応じた改善指導をしていることでございます。  ただ、これにつきましては農協系統が自主的にやっておりまして、階層別農協数、それからそれぞれの農協名等はこれは公表はされておりません。そういうことで、階層別はちょっと把握をしておらないわけでございますけれども、農林省としましては、とにかくこの四%未満農協が極力発生しないということで、日ごろから都道府県でありますとか農協系統と連携をいたしまして、経営状況の精査、点検、それから問題を早く発見して早期経営改善のための指導を行うという方針で臨んでおります。
  12. 岩永浩美

    岩永浩美君 そこで、農協JAバンク情報公開並びに財務情報ディスクロージャー、これは一面しなければいけないことは言うまでもないし、それは大変必要なことだと思う。  今回、中小企業皆さん方が非常にお困りになっているのは、それぞれの金融機関自己資本比率の問題に抵触すること、不良債権の問題等々で非常に貸しはがしが出たり貸し渋りが非常に出ていて、運営上非常にお困りになっている部分があります。こういう、金融機関並びに系統農協のそういう一つ健全化を一方に図る上において、農家皆さん方が困るようなことがあっては私はならないと思う。  そのときに、まず私は貸付け在り方として、貸付け監査在り方について今からちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、農家皆さん方担保をどういう形で、どういう評価の仕方をしてお取りになるのか。まず、米作畜産施設園芸、種類によって資産評価はそれぞれ私は違ってくると思う。特に、米作については反幾らという形で形がすぐ私は出てくると思う、担保価値が。しかし、畜産の場合については、ただ子牛の繁殖なのか肥育なのか、酪農については、子牛を持っているのか成牛になったものを何頭持っているかにおいて、その農家資産評価というのはおのずから変わってきますね。施設についても、簡易の施設もあれば固定した施設もある。そういうそれぞれの施設監査在り方、その価値というものが非常にやっぱり流動化している部分がある。そういうものについての監査というのはどこを基準にしておやりになるのか、その一つ経営在り方等々も全然違ってくるわけであって、画一的に監査評価の仕方というのがなされると農家というのは資金を導入するときに非常に困難を生じることが出てくることがないのか。  一方において、そういう一つの財務諸表を出さなきゃいけないということになると、何か固定債権みたいな形で見られることをややもすると農協自体が嫌うことによって、農家営農に非常にやっぱり支障を来すという原因になりはしないのか。その監査在り方によって随分変わってくると思うが、その点についてはどういう御見解をお持ちなのか。
  13. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 基本論だけ申し上げさせていただいて、そして、具体的な畜産あるいはそういうものについて先生からの御質問に、あと参考人からお答えをさせていただき、私は農業者に対する農協からの融資について、問題意識として二点持っております。  第一点は、今、委員からお話がございましたように、農協系統金融の安定のためには、合併をいたして経営基盤を強くしていくということが金融のその側面だけから見ますととても大事なことだといって合併推進してきたのも事実でございます。ある程度これはなされたかもしれません。  一方において、営農と貸出しの金融が、農協が大きくなることによって、心配りのある、営農と一体化した、正に農協金融の目的が合理化大型化によってちょっと配慮が少なくなりはしないかという点については、私どもは本当にこれからの在り方として気を付け指導していかなければならぬと思っております。  もう一つの心配は、そういう中にありまして、言われているような貸しはがしや貸し渋りというものがあってはならぬということは当然だと私は思っております。  そういう中にあって、融資そのものについては、経営状況経営改善計画適切性実行可能性等をこれはしっかり審査をしながら、やはり極力、物的担保とそして機関保証によって対応していく。その物的担保の中に、水田なんかはすぐ計算できるけれども畜産はどうするんだというところについては、様々な形態があろうと思いますが、基本論として、やはり物的担保機関保証によって対応していくというのが系統金融基本論であろう、このように思っております。  市中銀行やそこと違う農協系統金融であるという根本理念を忘れずに、農業者に対してきめ細かな対応をしていくということが私は基本になければならぬと、このように思っております。
  14. 岩永浩美

    岩永浩美君 今、大臣から総論としてお話をいただいた、まあそういう形の中で私はいいと思うんですが。  要するに、やっぱり物的担保並びに機関保証というもの、そのことが固定することがないように、それぞれの一つの、やっぱり機関保証については弾力的な一つの見方ができる裁量がそこにないと、非常にやっぱり農業というのは自然を相手にしてやっていくもの、生き物を相手にしてやっていくものであるだけに、ただ物工程表にのっとって作っていくということとは本質的に違う問題であるので、農家皆さん方がそういう一つの、やっぱり人間の血液と同じ、一つ金融がいつでも円滑にできていく一つ体制というものを是非作っておくべきだし、そういう安心のネットワークは必ずやっぱりしておかなければ私は駄目だと思うので、その件について局長からも聞いておきたいと思います。
  15. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協金融重要性につきましては、ただいま大臣の方からお答えになりましたけれども、実際の融資審査に当たりましてどういう考え方でやっておるかということを御説明をいたしたいと思います。  正に農業は、先生が御指摘のとおり、営農類型によりまして区々でございまして、その状況も非常に個別的でございます。ただ、基本的に、融資に当たりましては、借りる農家等にとっても非常に分かりやすく、仮に融資が受けられない場合に、どういうところが問題であったのかということがよく分かるようにといったような趣旨も含めまして、最近はマニュアル化をいたしまして、その適正を期しているところでございます。  一つ視点といたしましては、これまでの経営状況がどうなっているかということをまずお尋ねをしまして、その経営者の能力を、技術レベルでありますとか経営マインド、また生産物の単収、品質、生産コスト資産、こういうものをよく拝見をさせていただくということもございます。  それから、次の視点といたしましては、経営改善のための計画が適切であって、かつ実行可能かということで、現在の技術レベル経営マインドから見て達成ができるかどうか、また計画内容過大投資になってはいないかといったようなことも点検をすると。  それからまた、三点目の視点といたしましては、計画が実行された場合に収益はどうなるのか、融資返済は可能かということで、その償還の見通し、当該作物の需給・価格動向等もある程度変動しても余裕を持ったものになっているかどうかといったような、そういうチェックリストを作りましてやるということでございます。  それから、先生が特に御指摘のございました保証の問題。これは、非常に金融にとっては重要な問題でございますので、先般の金融二法の改正におきましてもこの点を大きく改善をいたしまして、機関保証につきましては、今申しましたような融資審査をクリアした担い手につきましては、一定金額までは基本的に自動的に、物的担保あるいは保証人がなくても機関保証が受けられるといったようなシステムを導入いたしまして、できるだけ農家の方にとって分かりやすく使いやすいものに改めていく努力をしているところでございます。
  16. 岩永浩美

    岩永浩美君 そこで、貸付け在り方なんですけれども、貸付け決定は、最終的には組合長が取ることはもう言うまでもありませんね。ただ、審査と貸付け決定関係はどういうふうにするのか。農林省は、今後、今までと同じような形の中で、貸付け決定理事会の同意があれば組合長が決裁すればいいという形をお取りになっておりますか。
  17. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 肝心なことは、やはり営業推進部門審査管理部門を、ここはやっぱり分離をするということが大事だと思っております。  そして、リスク管理のための決裁権限審査方法等に関するルール設定、こういうものが私は大事だと思いますが、リスク管理のための決裁権限審査方法、先ほど申し上げたように、ルール設定ということをしながらも、一定規模以上の融資案件等については理事会案件としてのルール設定、そういうものが必要不可欠ではないかと、このように思っております。
  18. 岩永浩美

    岩永浩美君 そのルールというのは、明確にちゃんとしておかなければ非常にルーズになってしまうことに私はなると思います。  そこで、もう、大臣並びに農林省は、不祥事件として岡山県のJA大原町の事例、十分に御存じだと私は思います。組合長経営独断専行を行ったことによって問題が生じたこと。私は、そのことを考えると、監査充実が最も私は必要だと思うし、そういう一つ審査体制というのをよく私は確立をしておかなければいけないのではないのかなと。  今、営業管理部門審査管理部門を区分けして、それぞれ専門家を配置することにより、ある一定金額以上のやつについては理事会承認を得て組合長承認をする、そのシステムが確立しているにもかかわらず大変大きな一つのやっぱり事件が起き得るというのは、やっぱりその一つのトップのリーダーの資質の問題もさることながら、そういう甘い体質農協の中に一部はびこっている部分があるとすれば、こういう一つの機会を通して、厳に慎む一つのやっぱり法整備をしておく必要が私はあると思います。  そこで、現在の単位農協に対する監査制度が今どうなっているのか。  JA大原町は貯金量が七十二億円であったために毎年の中央監査を義務付けられておりませんでした。単位農協においても、毎年監査をやるということが無理だとすれば、中央監査会、今まで単位農協、七十二億の場合にはしなくてもいいような形になっていたけれども、中央監査というのを単位農協の中にもやっぱりしていかなければいけないのではないかという思いをいたしますが、この件についてはどういう見解をお持ちでしょうか。
  19. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 岩永委員のおっしゃるとおり、岡山県の事例を見ましても、組合というのは人縁的組織みたいなところが私は体質的にあると思います。したがって、そういうことの起こり得る、あれは特異な例だとしても、起こり得る可能性を含むとするならば、この監査体制充実というのは本当に大事なことだと、このように思っております。  このため、中央会による決算の監査を義務付けられる組合の規模を貯金量の一千億から五百億円に引き下げる措置を昨年の四月に講じました。そのことによって、組合のカバー率は二一%から三一%、金額のカバー率が五〇%から七九%になったわけですが、監査を実施する中央会においても監査体制の抜本的な強化を図る、そういう視点から、各県の中央会が県下の農協監査を行うという従来の方式を改め、監査機能を全国中央会に一元化する、全国中央会の監査部門の代表権を組織代表でなく監査事業専任理事である公認会計士に付与する、信連や大規模JAの監査には公認会計士を必ず帯同させるなど、公認会計士を積極的に活用する、本年の四月に実施したところでございます。  農協の中央会監査実施率は、そういうことをもって、平成十二年度の四一・一%から平成十三年度では五六・一%に上昇しました。都道府県が実施する行政監査と併せれば、少なくとも毎年一回検査又は監査を実施する体制が整っているわけでございます、ところでありますが、一層その強化を図っていきたいと思います。  先ほど私は、組合のカバー率を一二%から三一%になったと、こういうふうに申し上げたつもりでしたが、今、副大臣からちょっと注意されまして、カバー率が一二%から三一%になったと、こういう実態でございます。
  20. 岩永浩美

    岩永浩美君 今、大臣から監査体制充実強化を図っていくということをいただきました。しかし、現実的に今の一つのやっぱり監査士の数で十分な監査体制、今三一%までカバーするというお話ですけれども、全国の今、監査機構による監査士は三百三十三名だというふうにお聞きしています。しかし、それだけで十分に全国のやつをカバーできる一つ体制ができるのかどうかというと甚だ私は薄ら寒いような感じがして、現実的にはできないのではないのか。それなら外部の会計士や会計法人の活用というものを具体的に農林水産省は、そういう人たちも活用することによってカバーを更に高めていくというお考えをお持ちなのか、そういう指導監督をどのように今後行っていくのか。そういう今のままの監査機構の中に登録をされている三百三十三名で五百億以上の預金を持つ農協監査をするということになると、これだけの人数ではどうしても不可能だと私は思います。それは時々行ってやるということではなく、安定した一つ金融機関としてそれを育てていくとするならば、その監査制度というのは十分にそれをカバーしないと不安材料がよぎると思いますが、その指導は今後どうなさいますか。
  21. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ただいま大臣お答え申し上げましたとおり、全国中央会への一元化等、改善をしております。そして、今、先生も御指摘のとおり、この限られた人員を有効に活用するということも当然でございますけれども、外部の例えば専門家であります公認会計士、こういう者を積極的に活用していくということは極めて重要であろうと思っておりまして、我々も、各その信連レベルに公認会計士を必ずそれぞれの地域ごとに契約をしてそれを活用するということで、信連には必ず帯同をしていく、また大規模な農協等につきまして、あるいは問題のあるところにはそういう公認会計士を帯同して監査に当たるように指導をしているところでございます。
  22. 岩永浩美

    岩永浩美君 それで、貯金保険制度と預金保険制度の違いについてお尋ねをしておきたいと思います。  今日は金融庁から副大臣、わざわざお見えいただき恐縮でございますが、農協が加入する貯金保険制度と、都市銀行並びに一般金融機関が加入する預金保険制度とでは、規模や運営の実態、実績、加入機関が抱えている問題はかなり違う部分が私はあると思います。しかし、保険制度としては同一のものになっています。  この制度が同一であるということについて、実態面でのやっぱり違いをめぐって貯金保険は預金保険へ統合すべきだという意見と、逆に農協系統財務状況がやっぱりいいから、独自のメリットを付けた制度にすべきとの意見があるようにも聞いています。  今なお、今日に至ってなお制度を横並びをしているということは、何か、その必要性について何かお考えがあってこういう同一のものになっているのか、まず金融庁からお尋ねをしたいと思います。
  23. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  昭和四十六年度に預金保険制度が創立された際、農漁協は信用事業のほかに経済事業などを営む総合事業体であり、金融業務のみを営む一般金融機関とは異なること、つまり、経済事業が原因で破綻することもあり得ることから、一般金融機関預金保険制度の対象とはせず、その後別建ての仕組みとして農漁協の貯金保険制度が設けられたものであるというふうに私どもは承知をいたしております。  両制度は、仕組みは基本的に同一であるものの、これまでの破綻の規模等を反映をして、先生指摘のとおり責任準備金水準が異なる、また保険料水準が異なるなどの差が生じております。しかしながら、仮に両制度間で保護の仕組み、数字に差を設けることとなれば、一般金融機関と農漁協との間で預金の移動が生ずる可能性があり、セーフティーネットの仕組み自体は同一であることが必要不可欠であるというふうに考えております。このため、今般の改正に当たっても、預金保険と貯金保険については同様の対応を行うものとしたものでございます。
  24. 岩永浩美

  25. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 金融という世界においては、信用を基礎にして信用を創造していくという意味で同一の私は社会的な経済的な役割を担っておると思います。しかし、その対象として総合農協、つまり単協で金融を扱っているという特色、そういうところによっておのずとその金融市中銀行や他の金融機関との異なる性格を当然持つものと私は思います。  したがいまして、基本的な金融ルールに関しては同一なる歩調を取りながらも、その実態的な目的という意味において、そこの違いは依然としてきちっと踏まえていかなければならないもの、そしてその目的の機能を果たしてもらわなければならないもの、このように基本論としては考えております。
  26. 岩永浩美

    岩永浩美君 両省の考え方については理解をいたしました。ただ、一般の人から見ると対象預金残高が一方は六百九億円、一方が八十一億円、規模において、内容において、機関において、数において違うということ、それぞれ違うということからすると、非常にそれはそごがあるような感じを受けられます。  ただ、今言われたように金融という一面からすれば、その保険機構そのものが一元化されているということについては、私自身は理解をいたしました。そういう一つの違いがあってもなお金融という側面から、これは同一性のもので推進をしていくということは広く国民に知らしめておく必要があるのではないかと私は思います。  伊藤副大臣、もう結構ですから、済みません。  そこで、最後に営農指導強化の必要性について伺っておきたいと思います。  今まで金融の、金融そのものについてお聞きをいたしましたが、農協の業務について、農家経営安定に資する観点からいえば、組合営農指導強化して農家の財務面での指導強化が大切であることは言うまでもありません。例えば、前年に凶作や市場価格の暴落等によって収益が悪化したり、そのため、今年度その融資が受けられないという事態になっては非常に問題が出てまいります。個々の農家に対する信用事業、営農指導との連携をさせて農家の個別の事情に合わせた柔軟な融資を行うことが農家経営安定につながり、ひいては信用事業の健全化、安定化につながると私は思っています。  今まで私は皆さん方質疑をして、金融制度そのものについて監査制度審査制度の在り方について万全の措置をお取りになることを御答弁をいただきました。安定したものにしていくために、金融面を側面から安定化させるために営農指導強化していく、営農指導強化のための人材の確保は今の農協の運営の在り方の中で十分になされているというお考えなのか、まだ不十分だとすれば、今後どのような形で人材確保や育成をしていくおつもりなのか、農林大臣の御見解をお聞きして、私の質問を終わります。
  27. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 岩永委員の数々の御議論あるいは御指摘をちょうだいをして、今最後の質問に立ちましたが、その前段の御質問にありましたように、市中銀行農協系統金融機関の違いというものは何かということを問われました。正に、今最後に御質問された問題がその大きな違い、特色であろうと思うんです。したがって、総合農協、単協において、営農融資というものが本当に真剣に農業者のためにしっかりと相談をして一体となって取り組む必要性があると思います。  そういう観点からしますと、細かな数字その他は私は今持ち合わせはありませんが、営農に対する指導力、これは昔より私は農協が力をやや失ってきているのではないか、この心配を持っております。つまりそういう危機感を持っております。冒頭に申し上げましたように、農協合併推進していく、これは金融という基盤強化ということが一つの目標でございました。その分、その地域に根差した指導力というものがちゃんといっているかという問題意識を持ってやっていかなきゃならぬだろうと。  今度、農協改革、そういう視点の中でそういう問題もしっかり議論してもらいながら、また系統の皆さんにもしっかり話合いをしていただきながら、だれのためのこれは系統組織なのか、だれのための組合なのかというその原点をしっかりと立脚していただいて、今、委員からお話しされた点について、私どもも農協改革の一環としても問い掛けてまいりたいと思います。  ましてや、今、米の改革をやろうといたしておりますし、そういう状況の中で、その集落営農あるいは様々な生産主体というものがこれから出てくるんでありましょう。しかし、集落営農というものを本当に明確に位置付けながら、そこを一つのしっかりとした主体として私どもは考えていく場合に、その集落営農推進し、語り合い、確立していくのは正に私は系統の本当にこれから大きな役割だと思うんです。そういう意味でも、営農指導員たるものの必要性あるいはレベルの高度化、これは普及員共々にあるいは農業委員会共々に一体となってそういうものに取り組んでいかなきゃならぬ、こんな思いで、少し長くなりましたが、営農指導指導員の強化というものが大変大事になってくるという認識は全く同一であり、そこを指摘し、また話し合って推進してまいるよう努力したい、こう思っております。
  28. 岩永浩美

    岩永浩美君 どうもありがとうございました。
  29. 本田良一

    ○本田良一君 民主党・新緑風会の本田良一でございます。  冒頭、私は、この農林水産委員会で同じく熊本県出身であり、そして熊本県議会でともに席を並べた三浦一水委員長の下で、そしてまた御指名を受けてこの質問の機会を与えていただきましたことに、心から敬意を表します。  それで、私は、農協貯金法改正質問に入ります前に、どうしてもこの農水委員会の場で一問だけ農水大臣に御質問をして、そしてその後、この法改正質問に入らせていただきます。  私は熊本出身で、そして先般、有明再生法が本委員会でも採決をされましたが、この有明海に近いところで育ち、そして小学校のころなどは臨海学校というものでこの有明海でいろんな貝を取ったり、そうした関係で海を熟知している者としてひとつ質問をいたしますが、まず、最近はこの有明海に貝も、アサリガイも見当たらないと、そういう状況であります。私は、これの大きな原因の一つに野放しの養殖生産があると思っております。そして、このことは全国各地に当てはまることだと考えております。  そこで、私は議員立法を作成をいたしまして、先般の通常国会、そしてまたこの臨時国会を照準にしながらも、次の通常国会でこの持続的養殖生産確保法改正を提出をしたいと、こう思っております。それは、養殖生産における化学的物質の使用を規制をするものであります。有明海を始めとする全国の沿岸漁業の衰退を食い止め、昔の豊かな海に戻そうという趣旨であります。そして、最終的には食の安全の確保をするということであります。  具体的な数字を申し上げますと、九州農政局がまとめました熊本県の海面漁業、養殖業の総生産は、平成四年には十二万六千六百五十トンありました。しかし、平成十三年には七万六千百トンに落ち込みました。四〇%も減少したわけであります。しかし、問題はそれだけではありません。総生産量の内訳であります海面漁業と海面養殖業で見ますと、海面漁業が十年前の何と三八%に落ち込んでいるのに対し、養殖業は、ノリの大不作があったにもかかわらず十年前の八七%を維持しております。したがって、十年前は海面漁業が全体の五五%、海面養殖業が全体の四五%と海面漁業が優勢であったものが、平成十三年には海面漁業が三五%、養殖業が六五%と大きく逆転をいたしました。これは一体何を意味するのでありましょうか。  もし、有明海や八代海の総生産量の減少が流入河川の運んでくる生活排水など都市の過密化の影響であるとするならば、海面漁業も海面養殖業も同じ比率で減少するはずであります。海面漁業と海面養殖業の一番の違いは何でありましょうか。  人工のえさや病気予防のための薬剤、見た目を良くするための化学薬品など、ありとあらゆるものを海に放り込んで生産するのが養殖であります。そうでない、あるがままの姿の魚介類を確保するのが海面漁業であると思っております。ところが、どちらも同じ海域で行われているわけでありまして、当然、養殖業で使用される大量の薬剤、えさは海を汚し、海面漁業にも多大な影響を与える。養殖に対する化学薬品の使用規制というものは行われなければなりません。それが野放しだからであります。  熊本県の総生産量に占める海面漁業の衰退という事態になったのでありますが、農水省は、BSE問題や牛肉偽装などの問題の反省から、従来の生産者、業者寄りの行政から消費者、生活者の方を向いた行政に大きく転換をしてきております。しかし、農業畜産で起こった問題は海面の面でも遅かれ早かれ同じように起こり得る、実際に起こっていると言えましょう。  そこで、農水大臣にお伺いをいたしますが、漁業の衰退が言われる中で、我が国の養殖生産は顕著に推移をしております。一九八〇年の海面養殖業の生産は海面漁業の十分の一にすぎなかったものが、昨年は四分の一を上回る規模になっております。世界的に見ても、我が国のような養殖の盛んな国はほとんど見当たりません。海外で我が国の企業が指導しております養殖、それを我が国に輸入するというようなことも盛んに行われております。正に養殖大国であります。  しかし、養殖には大量の薬剤、人工のえさが使用をされます。ところが、その養殖に関して我が国の法律といえば、持続的養殖生産確保法という法律が三年前に施行されただけであります。しかも、この法律は消費者や水産環境の視点から養殖業を規制する法律ではありません。養殖業の健全な育成を目的とする法律であります。言わば業界支援法でありますし、持続的とは養殖業界の持続であります。そうでなくて、養殖生産における化学物質の使用を規制をして、掛け替えのない海洋保全、環境保全をし、そういう意味の持続的でなければなりません。  この法律改正するお考えはございませんか。大臣にお伺いをいたします。
  30. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 私は、本田委員の今発言を伺っておりまして、大変勇気ある発言だと思うんです。実際問題として、限られた海の力を、一方において養殖がどんどんどんどん増えていくと、生物の多様性の中でほかに影響するんだという御視点を持っておられるということに、実は有明の議論をしていますときに率直なそういう議論は余りなかったなということを私は今こう振り返って、だから勇気ある議論だなと思うんです。  海の力というのは、やっぱり限りあるものだと思うんです。そこに、様々な薬品という問題について今問われましたが、御指摘のとおり、養殖の生産段階における使用の規制というのは、動物用医薬品について定める薬事法、飼料や飼料添加物について定める飼料安全法に基づいて行っている。これは衆議院でも問われましたが、それでいいのかということにつきましては、私どもも正に消費者の保護の視点あるいは畜水産物の食品としての安全性の観点からやはり見直しの検討を行わなければならぬ、こう思って今行っているところでございます。  持続的養殖生産確保法というのは、この持続的というところがこれは生産者寄り、業界寄りじゃないかという御指摘ではありますけれども、しかし持続という中に環境という問題をきちっととらえませんと、海の力の限界というものをしっかりとらえませんといわゆるサステナブルにならないという意味で、決して業界寄りの法律だとは私は思っておりませんが、そういう法律に基づいて漁場改善計画の策定による自主的な漁場改善の促進を図っているところでありますけれども、これほど養殖事業が本当に、養殖大国という今御指摘をいただきましたが、やはりもう少し基本から勉強してもらおうということも私思いますので、水産物の安全確保に係る水産政策のあり方検討会に、生産段階における安全確保の在り方、養殖の、そういうものも含めてちょっとここで全体をとらえてしっかり議論してもらおうと私は思っております。  いずれにしても、私どももそういう形で様々な湾の中の、私どもにも陸奥湾というのがございますし、日本国じゅう至る所に湾があってそこで養殖しておりますが、その養殖事業そのものの基本から少しそういうところで検討していただくと同時に、生産者の皆様方に、海というものはおれたちのものだ、どう使ってもいいんだというふうな意識から、持続する海の力を維持していこうという意識にしっかり変えてもらう、そういう中でお互いに努力していこうというこの意識改革というものも私大事だと思いますので、水産関係団体にもそういう視点から積極的に働き掛けてまいりたいと、こう思っております。
  31. 本田良一

    ○本田良一君 大変、勇気あるという言葉で私の質問に対しまして感想を述べていただきまして、またこれからの方針もいただきましてありがとうございました。  だから、もう少し申し上げますと、実は、先般、大臣の答弁で、まず海というのは全体の国民のものだ、そういうことを言っておられました。その次に、例えば有明海の再生法のときには、ノリ業者だけのものではないということを大臣言っておられましたね。だから、聞いておりましてなるほどと、こう思っておりました。  それが、今現実に、有明だけのことを申し上げますと、有明海はノリ業者だけの海になっております。それはどういうことかといえば、元々、アサリガイというのはもう今は大体死滅の状態です。それが、こういうところが実を言うと勇気あるところなんですよ。  私が市議会議員のころ、十五年前、それと酸処理をし出したのが、質問をし出したのが同時期なんです。私が、有明海のアサリガイがどんどん減少をしている、日本一の生産量を誇っているのが減少をしているが、何かノリに薬品を使っているようだと、こういう質問をいたしました。そしてここに、酸処理のことを国会に来まして水産庁の方を呼んで酸処理をし出した時期を聞きましたら、私が質問をした時代とちょうど、大体一致します。  そうしまして、この酸処理というのは、先般、公明党の日笠先生質問をされました。これも私は勇気ある質問取り出していただいたと思いますが、酸処理は、一般に水産庁が答えているのは、珪藻と言いますね、ノリは珪藻、アサリガイは、珪藻が死滅をするとか、そしてプランクトンが増加するとか言う。珪藻と言うから何か分からない。しかし、この酸処理は珪藻を殺す。珪藻の中には何があるか、これはアオノリです。元々、ノリはアオノリなんですね。このアオノリを殺すことによって、酸で殺す、殺すことによって色つやのある黒いノリを作る、これが流通上最も重要なことなんです。  ところが、この珪藻の中に含まれるアオノリ、アオノリを食べてアサリガイは生きているわけです。だから、今、先ほどの数字ではっきり出ておりましたね。ノリの生産はありながらアサリガイは死滅をしているんですね。これは海岸からのいろんな汚染物質とか、あるいは洗剤などとかいう理論などありますけれども、もうとっくに、あのまだ泡を盛ったように海に流れていた洗剤の時代でもアサリガイはびくともしなかったです。私どもが入っていけば、その前にだあっともうこの一杯のところでどんどん手ですくって取れるぐらいあったんですよ、その汚濁があったときでも。  ところが、酸処理をし出してアサリガイが減少したと私は思います。だから、先般、水産試験場で研究をしているかとこう聞きましたら、ここではやっていないということでありました。それで、この酸処理が私は大きなこの有明の生態系をもう殺してしまっていると。  それから、この二枚貝の中でも例のタテガイ、タイラギといいますけれども、タイラギはどういう状況かといいますと、元々一軒のノリ業者が五十枚、畳一枚分を、五十枚を張っていたのを百枚、倍に張るようになった。張るようになったら、有明の海というのは遠浅だけれども、この先からすとんと十メーターぐらい落ちます。この階段式の落ちていくときに、ここにこのタイラギはずっと立っていくんです。  そのときに、倍にするものだから、ここまで、本当はこの辺まででノリの網をやっていたのを、百枚全部がやるからここまで来ました。ここまで来てここで酸処理をやるからこれを直接かぶって、今これ五十枚にまた戻しましたし、酸処理だけでなくて塩酸を使っている。塩酸の方が安いから、もっと安い価格の塩酸を使っているんですよ。その塩酸を使わないように、今この問題が起こってからほとんどそういうふうに水産、漁協辺りの指導がありまして、この問題が起きてから塩酸はほとんど使っておりません。  そして、酸処理の仕方を、有明再生法の中に入っておりますね。酸処理の処理の仕方をちゃんとすると書いてある。酸処理の処理の仕方というのはどういうことかといえば、一応全国における酸処理販売の数字を平成九年から十三年まで、全国で酸を販売をされたのは五千百五十一トンから、大体五千トン台が酸処理の販売数、そのうち有明海に使われたのは二千二百五十九トン、平成九年。平成十三年には二千四十三トン使っております。この残処理は、今までその処理をそのまま海に捨てる、そういう状況でもありました。よって、私は、この酸処理を本当にやめさせなければ再生はできない、これを申し上げておきます。  そして、酸処理の代替品として電気分解によって酸処理をやる。先般、日笠議員の答弁に言われました電気分解方式、これで、今金額が高いからもっと安くしてこれをやればいいわけでありますから、そういう研究を早くやっていただく。  それと、この生産確保法、これは何のことによって、いつできたと、大臣一つだけ、御存じであれば。持続的養殖法、最初の三年前にできたのは、いつできたのですか。何を理由にしてできたんですか。
  32. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 現在の持続的養殖生産確保法でございますけれども、平成十一年に制定されたというふうに承知しております。
  33. 本田良一

    ○本田良一君 何が起こったからですか。
  34. 大島理森

    国務大臣大島理森君) アコヤガイの大量へい死と伺っております。
  35. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 今、大臣からも御答弁申し上げましたように、養殖における過密状況によります弊害を是正するという観点から制定されたというふうに承知をいたしております。
  36. 本田良一

    ○本田良一君 大臣、クルマエビとおっしゃったでしょうか、今。アオノリ。
  37. 大島理森

    国務大臣大島理森君) いや、アコヤガイ。
  38. 本田良一

    ○本田良一君 実はクルマエビです。このクルマエビは熊本県が全国一を誇っておりました。そして、このクルマエビは私と因縁がありまして、私は、熊本県議会でこの日本一を誇っている熊本県のクルマエビ生産をより商業的に全国に販売するために熊本県の魚に指定してもらったんです。熊本県の県魚、これになっております、クルマエビは。  ところが、このクルマエビがベトナムから輸入しました稚魚のウイルスで大被害になりまして、全滅をしてしまいます。そのために作ったのがこの持続的養殖の最初の法なんですよ。これは自分だけよければいいという法です。先ほど、業界法と言いましたけれども、生産者の方が業界だからそう言ったんですけれども、本当はこの一番最たるものは、自分だけよければいいというのがこの持続的の最初の法なんですね。それで、この持続的を隣の魚介類にも、あるいは隣の環境にも、そして海全体のと、こう持っていかなければならないと。  それは、海のものは安全という日本人の神話がもう崩れている。海のものはもう安全ではなくなったんですね。それで、このクルマエビだけに化学薬品を使ってクルマエビが立派に育てばそれでいいわけです。例えばフグの養殖があります。フグにホルマリンを使っているんですね。ホルマリンでフグが立派に育てば、そして出荷されればそれでいいというのが今のやり方なんです。ところが、このホルマリンは、既に五十年間続けてきた天草の海の真珠貝、これに百億円の被害を与えました。だから、隣の魚介類にそんな被害を与える、それを野放しの状態じゃいけないからこの法の改正が必要なんですね。  それで大臣は、この「水産用医薬品の使用について」という、水産庁が持っておりますけれども、この資料をごらんになっていただければ、これは本当にすごいと思うんですよ。例えば、マアジとかヒラメとかコイとかウナギとかブリとかマダイとか、こういうもの、ブリだけでも六十種類ぐらいの薬品を使っております。中には塩酸という名前の、塩酸オキシテトラサイクリン、こんな名前の、塩酸と頭に付くようなそういうものもあります。だから、これを見ると、本当にこんなに使われて生産をされているのかと。そうなりますと、今海外で問題になっている農産物の問題と同じ状況が起こってまいりますね。  それで、ところが、本当はここまで行くべきだとこう思っておったら、やはり業界が、先般新聞に載りましたが、養殖魚卸最大手のヨンキュウという会社が生産履歴管理をやる、養殖業のトレーサビリティーを今後ちゃんとやると、そう言っております。いろんな表示、これはオーストラリアのマグロで、どういう、いつ生産、養殖をして日本に持ってきたという、そういう表示からやると言っておりますから、私はここまで目指しておったんだけれども、いよいよやっぱり消費者を、ちゃんと食の安全を考える、いわゆる販売の業者はそういうことを考えておる。  そうなったときに、いろんな問題が起こったときに、この法を改正していないと法的ないろんな措置とか安全の確保は一生懸命やる事業者にとってかえって足を引っ張るということになりますから、大臣、本当に大臣のすばらしい熱意があるようでございますので、大島大臣のときにこの法を改正して、本当に日本は海の国です。海の国として誇れるひとつ先進法をこの際作っていただきたいと、それを申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。後は、もう時間がありませんから、だだっといきますから。  まず、農協・漁協の貯金保険法改正案についてお伺いをいたします。  まず、農協・漁協系統の信用事業の現状についてお伺いをいたします。  三段階ある農協系、漁協系統、それぞれの信用事業の資金量は幾らでございますか、副大臣。それぞれの資金運用状況はいかがでしょうか。四番目が、貸出しの中の不良債権の比率はそれぞれどれくらいでしょうか。有価証券の評価損はそれぞれどの程度でありますか。貸出しの中で組合員以外に貸し出している割合はそれぞれどれくらいでありますか。農協・漁協系統金融機関の財務内容は一般の銀行に比べて相対的に健全と言えるでしょうか。  以上、ちょっとお答えお願いしたいと思います。
  39. 渡辺孝男

    大臣政務官渡辺孝男君) じゃ、順番にお答えいたします。  最初の農協系統信用事業の資金量についてですが、平成十三年度末時点で農協系信用事業の資金量、すなわち総資産額でありますが、それぞれ農協が七十五兆三千億円、信連が五十四兆四千億円、農林中金が五十六兆五千億円となっております。  それから、二番目の質問でございましたが、平成十三年度末の農協資金運用の主要な内容についてですが、貸出しが二十一兆七千億円、有価証券が四兆一千億円、信連への預け金が四十七兆九千億円であります。そして同様に、信連資金運用の主要な内容については、貸出しが五兆四千億円、有価証券が十三兆二千億円、農林中金への預け金が三十二兆五千億円となっております。同様に、農林中金の資金運用の主要な内容ですが、貸出しが二十四兆二千億円、有価証券が二十三兆三千億円となっております。  三番目の質問でございますけれども、農協系統金融機関の貸出し額に対する不良債権の比率でありますけれども、十三年度末の農協リスク管理債権額は一兆三千四百五十三億円で、貸出金に占める割合は六・二%となっています。同様に、信連については、リスク管理債権額が四千八百四十億円で、貸出金に占める割合が九%となっております。同様に、農林中金については、リスク管理債権額が七千九百四十億円で、貸出金に占める割合は三・三%となっております。  農協金融機関全体では、リスク管理債権の総額が二兆六千二百二十三億円、貸出金に占める割合が五・一%、総資産に占める割合が一・四%となっておりまして、他業態と比べて低い水準にあると言えます。特に貯貸率が低いことから、総資産に占めるリスク管理債権の比率は低くなっております。  次の問い、農協金融機関の有価証券の評価損益ということでありますけれども、平成十三年度における農協金融機関の有価証券の評価損益は、農協が四百七十四億円、信連が二千六百九十六億円、農林中金が一千四百七十三億円の評価益であります。  それから、農協系統金融機関の員外貸出し比率についてでありますけれども、平成十三年度末における農協系統金融機関の貸出しに占める員外貸出し比率は、農協が約一九%、信連が約七五%、農林中金が約九七%となっております。
  40. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 農協系統金融機関の財務内容と大手銀行に比べての健全性というような御質問でございますが、農林中金の平成十三年度の決算では、厳しい経営環境の下ではございましたが、大手銀行が赤字となる中で、経常利益が八百三十二億円、前年より百五十一億円ほど減ってはおりますが、確保いたしております。  また、自己資本率でも一〇・〇二%となっており、国際金融業務を行う金融機関基準である八%を超える自己資本比率が確保されてございます。  また、リスク管理債権の状況を見てみましても、総資産に占める割合は一・四%、それから出資金に占める割合は三・三%、それから貸倒引当金の引き当て率は四七・四%となっており、銀行と比べても遜色のない基準となっておりまして、健全な運営状況にあるものと考えておるところでございます。
  41. 本田良一

    ○本田良一君 貸出しの中の比率をお尋ねしましたが、二割以下ということに約款上はあるわけですが、この貸出しが一九%ということで、この約款に違反するようなところに貸しておるとか、そういう事件などはありましたですかね。
  42. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 数多く農協金融をやっておりますが、そうたくさんは事例ございませんが、何件かはございます。
  43. 本田良一

    ○本田良一君 今後、ひとつそういうことは厳格に、ないようにお願いをいたします。  それでは次に質問を。  大手金融機関金融庁の特別検査などで厳重な検査がなされております。それでも不十分という声があります。農協・漁協系統の検査体制はどうなっているのでしょうか。先ほども質問があっておりましたが、十分な体制でなされているのか、お伺いをいたします。
  44. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 農協系統金融機関に対する検査でございますが、都道府県信農連と、それから信漁連について国が、それから農協及び漁協については都道府県連が実施をいたしておるところでございます。農林水産省本省及び地方農政局を合わせて約百二十名の検査官によってすべての信農連及び信漁連の検査を毎年実施いたしておるところでございまして、一部につきましては金融庁とも共同で実施をさせていただいております。また、都道府県が実施する検査については、全国で約五百人の都道府県の検査専従職員によりましてすべての農漁協に対しましておおむね二年に一回の周期で実施しているところでございます。  これらの農漁協系統金融機関に対する検査におきましては、金融庁の金融検査マニュアルとほぼ同一内容系統金融検査マニュアルに基づきまして、資産の自己査定状況の検証などを中心に、公認会計士などを検査補助職員として活用するなど、厳正な検査を実施をいたしております。  さらに、農林省におきまして、国及び都道府県の検査職員に対する各種研修の実施、それから国が都道府県と共同で検査を実施する要請検査制度や、それから連携検査制度の積極的な活用も行っておるところでございまして、これらによりまして都道府県の検査職員の資質の向上に努めておるところでございますので、今後ともこれら農漁協系統金融機関に対する検査の充実を図ってまいりたいと、このように考えております。
  45. 本田良一

    ○本田良一君 今、私もそこを聞きたかったわけですね。金融庁のマニュアル、大体これを基にしてやっておられるかどうかを確かめたかったところであります。  それでは、農協・漁協系統金融機関だけの検査ではなく、金融庁の特別検査のように、貸出先の信用調査も必要ではないでしょうか。  次に、経営に問題がない農協、漁協に対しても、より一層の経営強化のために統合を進め経営基盤強化すべきだと思いますが、いかがでございますか。  系統金融の今後のあるべき姿を大臣に語っていただきたいと思います。
  46. 大島理森

    国務大臣大島理森君) あるべき姿論を私からお答えを申し上げ、その他の質問は副大臣からお答えをさしていただきますが、当然に経営基盤強化を図ることは私は大変大事なことだと思います。そのために今まで合併という手法が取られたのも事実でございますが、今後は、JAバンクシステム整備されたところでございますので、そういう観点から経営改善あるいは組織統合を行うというふうにすべきだと私は思っております。  先ほど来申し上げましたように、系統金融というのは言わば農漁業者を相手でございますので、そういう点を考えますと、しっかりと、先ほどの御指摘ございましたように、営農活動と一体となって組合員及び生産者に対して対応していくというきめ細やかさもまた必要であるわけですから、何でもかんでも大きくなればいいということではなくて、むしろ、先ほど来お答えしたJAバンクシステム、そこをきちっとしていく、その視点から経営基盤強化を図りながら私は進めていくべきものと思っております。
  47. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 貸出先の信用調査等についての御質問お答えをさせていただきます。  農漁協系統金融機関におきましては、都道府県の信農連あるいは漁信連に対する検査を毎年実施するとともに、検査実施後の改善状況につきましても毎年の検査において確認するなど、経営の健全性の確保のために適正な検査の実施に努めておるところでございます。  金融庁で行った特別検査は、経営不振の大手企業に対する債務の状況を最新時点で検証するために大手銀行を対象として行ったものであると承知をいたしております。  一方、農漁協系統金融機関は農漁業者等の自主的な協同組合職員であり組織でございまして、また地域に密着した金融機関としての役割を果たしていることから、貸出先につきましては大手銀行とは異なる構造となっております。  農林水産省といたしましては、今後とも系統金融検査、それから先ほど来申し上げました系統金融検査マニュアルに基づきまして、貸出先の経営状況に関する自己査定状況の検証を含めまして農漁協系統金融機関経営の健全性が確保されるように検査の的確な実施に努めてまいりたいと思っております。
  48. 本田良一

    ○本田良一君 今回の質問の一番の、いろんな今回のペイオフに当たりまして総理にも質問があっておりますが、この主題が今日のこれだと思いますが、今回のペイオフ二年延期のそもそもの理由は何でありますか。大臣お答えをお願いします。
  49. 大島理森

    国務大臣大島理森君) まず、今、日本経済全体の様々な問題の中の大きな一つとして、日本の金融システムが抱えている不良債権問題を処理させたいと、そしてそれを十六年度中に終結をさせるという強い目標を政策として打ち出さしていただいたところであります。  したがいまして、その間に起こる不安、その間に起こる経済上の問題というものは、一方においてセーフティーネットと称してきちっと対応を打たなければなるまいということから、今のペイオフ解禁を二年間延長するということになった、そしてそういう方向で提案をし御審議をいただいている、こういうことでございます。
  50. 本田良一

    ○本田良一君 それでは、ちょっと時間がありませんからはしょりますが、昭和四十八年に貯金保険法が成立をしましたね。そのときにJAバンク法が成立をし、その成立の中に破綻防止システムが独自に整備をされました。にもかかわらず、今回、農協及び漁協の系統金融機関についても他の金融機関と横並びでペイオフを延期をする理由は何でありましょうか。
  51. 大島理森

    国務大臣大島理森君) そういう経過があった後、住専という問題がございました。つまり、あのときも系統金融が起こした不良債権問題でございました。なぜあれほどの苦しみを経ながら七千億という税金を投入したのかということと私は相通ずる問題が根底にあると思いますが、系統金融機関、約七十兆強の資金を持っておるわけでございますが、ここで起こる様々な問題は日本の金融システム全体にも影響がある、リンクされていくものと。  先ほど、岩永委員からも御質問ございましたが、金融システムという世界においては、そのところは私どもは、市中銀行金融システムが果たしている役割と同じものということであるならば、金融システムの全体の問題として系統信用事業も位置付けなければならないという意味でそういうふうにさしていただいたと、このように御理解いただければと思います。
  52. 本田良一

    ○本田良一君 私はずっと今まで自分の考えを言わずに質問だけの、皆様方の、をしてきました。  私は、地元の金融機関からは、今回ペイオフ延期がなったのは非常に有り難いと。その前に、ペイオフを延期をしてくれという要望も受けておりました。二年間の要望ということになって大変ありがとうという、信用金庫辺りのそういう役員の方からお礼を言われております。  ところが、私は、本当はペイオフというのは、私どもから言わせれば、ない方がいい、そういう安全な金融体制であってほしいですね。だからといって、それでは自由主義市場経済の中で金融も競争だと、そういう中で生き残っていく将来の中で当然金融の破綻というのはどこかにやっぱり起こり得る、そうした場合に、やっぱりペイオフというのは政治的には設けておくある面のセーフティーネットかなと、こう思います。  しかし、この二年間の延期、元々小泉総理は、あくまでもペイオフはやるという公約でありました。ところが二年間延期ということ、この事態は、景気と金融システムが、経済が回復をしない、不安がある、そこに延期というのは、私は取られたと思いますけれども、景気回復と経済の再建をやることのできない今の現状の小泉政権、そこを如実に表していると、こう思いますよ。  それで、私はやっぱり、民主党は一年ということを、二年延期でなくて一年だということは、一般の金融と消費者の側からすればペイオフはない方がいいんだけれども、しかし政治的な、小泉政権が公約として景気を回復をして金融制度をちゃんと健全なものにするという公約がある以上、これを安易に二年間延ばしたり、そこを我々は一年早く景気回復をやって金融システムを健全なものにしてと、そういう願いを込めて一年を言っているわけであります。  よって、私は、日本の経営金融システム、本当に今大変な状況にあると思っております。  アメリカは既に、日本の金融システムはまだ健全ではない、マフィアに乗っ取られて、不良債権をほとんどがマフィア不良債権だと位置付けておりますね。このマフィアがはびこっている金融システムを本当に健全なものにしなければ、私は、何年たったって、どれだけの公的資金をつぎ込んだって日本の経済は再生できないですよ。  勇気を持って、だから、竹中大臣がある面、本当は国会議員がやらなくちゃいかない金融、財政担当ですか、柳澤さんがやっていた、これをなぜ空白にして竹中さんがやっているか。これは、選挙の洗礼を受ける国会議員ではいろいろと何か脅されたりそういうことでできないから私は竹中さんが兼務してやっているんだと、こう思っておりますよ、自分一人でそういう想像をやっている。  だから、本当に今、国会議員が勇気を持って、このやみの金融システムを本当に毅然と排除して健全なものにする、それを小泉政権で勇気を持ってやっていただきたい、そして景気を回復してもらいたい、そのことをお願いしたいと思います。  八十年前のアル・カポネがアメリカの金融システムを握っておったあの時代と、今、日本の金融システムは私は同じものと、こう思っておりますから、頑張ってもらいたいと思います。  以上です。     ─────────────
  53. 三浦一水

    委員長三浦一水君) この際、委員異動について御報告申し上げます。  本日、市田忠義君が委員辞任され、その補欠として西山登紀子君が選任されました。     ─────────────
  54. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。  先日の独立行政法人化関連六法案の、質問をいたす予定でございましたが、若干積み残したのがございます。本日の法案にも関連をすることでございますので、先にそれから質問をさせていただきたいと思います。  農林漁業信用基金の件でございますが、これは、林業信用保証業務は九十三億円、漁業信用保険業務は四百八十三億円の欠損金を平成十二年度に計上しているわけでございますが、この欠損金の処理をどのようにされる方向なのか。また、問題は、林業者、漁業者それぞれが保険料率等々の問題で重い負担にならないように当然配慮していかなきゃならないと、こういうことも併せてお答えをいただければと思います。
  55. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 今、先生、十二年度末で数字を言われましたけれども、十三年度末の決算が出ておりまして、それによりますと百九億円の繰越欠損金を計上しているところでございます。  この繰越欠損金につきましては、近年の経済金融情勢が厳しいということに加えまして、住宅着工量の減少等に伴う木材需要の低迷等という木材の関係等もございまして収支が悪化をしているというのに起因しているわけでございます。  このため、新法人の財務状況の健全性を確保するという観点から、林業信用保証業務につきましては、承継される資産、負債を時価評価した上で、繰越欠損金を既存の出資金の減資という形で処理をしたいというふうに考えているところでございます。  また、保証料率について林業者にとって重い負担にならないようにというお話でございますけれども、林業信用保証業務については独立行政法人化に向けて採算を確保した適切な運用ということを行っていくということが必要だというふうに考えているところでございます。  そういうために、代位弁済率に見合った適正な保証料率を設定するとともに、代位弁済額が増加しないような適切な審査ということにも努めていかなければいけないということでございますが、一方では、林業信用保証制度は林業分野におきます唯一の公的信用保証制度でございまして、林業者等に対して林業経営に必要な資金の円滑な融通を図ることを目的としているわけでございますので、そういったことも配慮しながら、今後とも、制度の健全性を確保しつつ、林業者にとって過大な負担にならないよう十分配慮して進める必要があるというふうに考えているところでございます。
  56. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 農林漁業信用基金の漁業信用保険業務につきましてお答えを申し上げます。  平成十三年末の決算におきまして繰越欠損金でございますけれども、四百八十三億円でございます。この繰越欠損金でございますけれども、四十年代後半のオイルショック、あるいは二百海里問題に対処するため政府が積極的な保証対応を講じた結果によるものでございます。保険金の支払から長期間を経た現在、回収の見通しが非常に困難だということでございます。  したがいまして、今回の独立法人化に際しまして、私ども、新法人の財務状況の健全性を確保する観点から、承継される資産、負債を時価評価した上で、繰越欠損金を既存の出資金の減資により処理をしたところでございます。  また、二つ目のお尋ねでございますけれども、保証料でございます。  私ども、現在、漁業信用保険業務におきます中長期的な収支均衡が図られるよう、事故率に見合った適正な保険、保証料率の見直しに着手をしているわけでございますけれども、お尋ねのように、保険料率の設定に当たりましては、制度の健全性を確保しながら、一方で漁業者にとりまして過剰な負担にならないよう十分配慮しながら見直しをしていきたいというふうに考えております。
  57. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 林業信用保証業務も漁業信用保険業務も、ともに減資ということだそうでございます。  ところで大臣、昨日、農水省から財務省に平成十四年度の補正予算の要求をされたと思います。御存じのように、経済社会構造の変革に備えたセーフティーネットの構築ということで、農林水産省から農林漁業者等への融資の円滑化ということで百八億円の要求をされたと聞いております。  この中身は、農林漁業信用基金への出資を行う、出資を行うと、こういうふうに聞いておるわけでございます。減資をして独立行政法人へ持っていく、今回この補正で出資をすると、百八億円だそうでございますが。特殊法人改革推進事務局でございましたか、今年十月の決定によりますと、この欠損金の処理については安易な国費投入を行わないで、具体的にその処理方策について策定をして実施すべきことと、こういうことを明確に言っておるわけでございまして、先日私もそのことについては確認いたしました。  この辺の意図ですね、減資をして、今度は出資をすると。減資する前に出資しておこうかと、こういうことなのか、安易な国費投入という批判には当たらないのかどうか、このことについてお伺いしておきたいと思います。
  58. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 基本論としてお答えしてから、各。  我々も、そういう特殊法人から独法化への移行に関しては、正に今、日笠委員お話しされた基本に基づいて議論し、精査した上で要求したものでございます。
  59. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) 基本的にはただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますけれども、まず、来年十月の独法化に当たりまして、資産の時価評価の問題でございますとか、そういったこと等がございますので、基本的には、まず繰越欠損金、こういったものにつきましては、先日の当委員会におきます独法化の審議の際にもお答えさせていただきましたけれども、基本的には、やはり出資金の減資等、こういったことによりまして安易な国費投入等は行わないと、こういうことでまず対応することが基本だということでございます。  ただ、他方、昨今の厳しい経済情勢、農林水産業をめぐります環境等々も大変厳しいものがございます。こういった中におきまして、やはり地道に毎日の生産活動にいそしんでいらっしゃいます農林漁業者の方への資金の円滑な融通を行う、このためにはやはり保証基盤の確実な、保証基盤を充実させていくということが極めて重要であると。  かような趣旨から、今回の総理指示、この中におきましても、二つの柱がございまして、一つは経済社会構造の変革に備えた正にセーフティーネットの構築ということも、政府全体といたしましては一・五兆円の枠内でという御指示もございます。  こういったことを踏まえまして、私どもといたしましては、農林水産漁業者等の融資の円滑化という趣旨で基金への出資ということで要求を昨日させていただいているところでございます。
  60. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 是非、安易な国費投入ということの非難を受けないように、きちっとしたアカウンタビリティーが大事でございます。また、情報公開も大事でございますから、この点については、大臣、重々と対応をお願いを申し上げておきたいと思います。  さて、この法案の中身につきまして若干御質問をさせていただきます。  ちょっと私、調べる時間がなくてお聞きするんでございますが、今回、農水産業協同組合貯金保険法改正するわけでございますが、これはどこからどういう例えば建議とか答申があって、是非その方向でやろうと、で、法案化して今国会へ出ていると、こういうふうなことなんでしょうか。どこでどなたがこの法律改正すべきだと。金融審議会は九月に答申出されましたけれども、その中で今回の法律も併せてやれと、こういう一文があったんですか、私ちょっと不明にして見なかったんですけれども、いかがですか。
  61. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に今先生が御指摘いただきました金融庁の答申の中に、この金融システム充実の中に盛り込まれておるところでございます。
  62. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 どこのところですかね。ちょっと私、全部読んでみたんですが出てこなかったんですけれども。
  63. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 個別の名称として入っているわけではなくて、その決済機能を充実していくという中で読み込んでいるところでございます。
  64. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 いや、金融審は金融庁の審議会でございますね。ですから、独立して皆さん方の農林漁業系統の信用事業というのはあるわけですから、別に金融庁の金融審が言ったからやらなきゃいけないと、こういうことじゃないんじゃないでしょうか。というのは、護送船団になっちゃうわけですね。  それともう一つ、例えば決済用の貯金というのは、これは創設するんですか。創設する義務があるんでしょうか。しなくてもいいと、こういうふうにも聞いておるんですが、いかがですか。
  65. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 日笠委員の先ほどの質問局長お答えしましたが、そういう一つの諮問というものがあったのは事実、しかしそこには具体的に農協系統資金が云々ということは書いてないのも事実でございます。そういうものを踏まえながらも、これはもう日笠委員大変専門の分野でございますけれども、基本論として先ほどからお答え申し上げておりますように、金融という世界においては、系統以外の金融系統金融というのは、非常に信用創造、信用というものを扱っているという意味での類似、全く同一的な機能を果たしている。だとすれば、そこの総合的な判断の中で最終的に我が省としてもそのことに言わば見合ってやっていかなきゃいかぬだろうという判断と御理解いただければと思います。
  66. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ですから、決済用の貯金という制度を創設するのは義務じゃない、しようがすまいが自由だと、こういうことでよろしいんですね。
  67. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) それは系統の判断に任されております。
  68. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ところが、恐らく一般金融機関は横並びで皆やるんだろうと思いますね。  ですから、何が言いたいかというと、金融審が言ったからさくさくと、そこそこと皆さん方系統の信用事業も一緒だと、こういうことでなくても、しっかりとした議論をした上でやってもいいんじゃないかなと。例えば、金融制度審議会に対応するような審議会が農水省の中にあるんですか。
  69. 大島理森

    国務大臣大島理森君) ありません。
  70. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 だったら、これだけの貯金保険制度もあり、これだけの規模のお金も預かってまた貸出しもしているということを考えれば、金融制度審議会に対応するような審議会なり大臣直属の諮問的なポジションがあっても、セクションがあってもよかろうと思うんですが、それはどうなんでしょうか。
  71. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 日笠委員の御提案でございます。今必要だということは言えませんが、ちょっと考えて、勉強をしてみたいなとは思いますが、様々な金融系統強化策については改革努力をしてまいりました。その根本は、何回も申し上げて恐縮ですが、やはりあの住専という問題が一つの大きなきっかけでございました。そういうことからかなり健全性を、かなりというか相当健全性を保つような状態になりましたが、そういう中で金融問題に対する大変知識の深い職員も育ってきておりますし、いずれにしても、そういう第三者的なものというものがどうあったらいいのか、なくてもいいのかということは、せっかくの御提案ですから、ちょっと勉強をしてみたいと、こう思います。
  72. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 さて、決済性の貯金制度を作ろうと、ペイオフ解禁、凍結解除ですね、一部先送りしようと、こういうふうなことでございますが、竹中金融担当大臣はこのペイオフの問題についてということで、平成十六年度中に不良債権問題を終結をさせる考えであり、ペイオフについては、決済機能の安定確保のための制度面での手当てを行い、解禁の準備を整えるが、その実施は金融システムの安定確保の観点から、不良債権問題終結後の平成十七年四月からとしたいとその旨述べております。  ということは、不良債権処理を加速化する、平成十七年四月まで。それに合わせて一部のそういうペイオフの安定、ペイオフということでの決済性の預金制度を作って安心、安定と、こういうことをおっしゃっていると思いますが、この系統の信用事業は、今回こういうふうな法律で決済用の貯金制度も作られるんだと思うんですけれども、これは不良債権問題を終結させるために皆さん方もそういうふうにやられるのか、横並びでやるのかと。これ大臣は、竹中大臣はそうおっしゃっているわけですね。そういうことでやられるんですか、どうですか。
  73. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 二つの理由があります。  一つは、やはり先ほど来申し上げましたように、全体の日本の金融機関という意味でも同機能を果たしている。だとすれば、貯金の移動が起こってはならぬというのがこの系統金融ペイオフ問題に関する一つの考え方。  もう一つは、やはり不良債権の処理を私どもも加速化ということの中にあって、やはり健全な運営、ひいては農協経営の安定にも支障を来すものでありますから、不良債権の処理ということをしっかりと進めていかなきゃならぬと、こういうことだと思っております。
  74. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 では、モラルハザードについて若干ちょっと、通告してないかもしれませんけれども、若干お伺いをしたいと思います。  これは、決済用の貯金の制度ができますと全額保護するわけでございますから、モラルハザードの問題が出てくるわけでございます。他の預金にかかわる預金の保険料率と当然格差を付けなきゃいけないと思うんですね。今、例えば特定貯金は〇・〇三四%で、その他の貯金が〇・〇一七%でございます。そうすると、今度の決済用貯金の保険料率はどうなりますか、お伺いしたいと思います。
  75. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お尋ねのとおり、今後、決済用貯金ができますと、御指摘のように、やはりそこのモラルハザードを防止するための格差というものは当然必要であろうと思っております。ただ、まだその導入自体どうするかということも、また具体的な中身も、系統の方はまだそこまでは具体化しておりませんので、そこまでは詰まっておりません。考え方としてはおっしゃるとおりだと思います。
  76. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 当然そうなると思っております。また、恐らく経理面でも区分をしなきゃならぬと思いますが、それもいかがでしょうか。
  77. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) その点も、他の金融機関との横並びも含めて十分検討させていきたいと思っております。
  78. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 横並びというのがどうも、先ほどから言っているように気になるんですよね。どうして、護送船団方式ではとあれほど言われてきたのに、独自のアイデアを出して、それは調整ということはあるかもしれませんが、向こうがやるから私どももそれと同じようにするんじゃなくて、ひとつ自信と勇気と確信を持って運営、経営に当たっていただきたいと思いますよ。  そこで、決済用の貯金の導入ということになりますと、御存じのように、みずほグループの決済システムが大混乱したというようなこともございまして、いわゆるコンピューターシステム整備が義務付けられておるわけでございますけれども、大変ソフトの構築代というのは費用が高いんではないか、コストが高いんではないかと、こういうふうな心配事もあるわけでございます。  そこで、農協系統においてはこのコンピューターシステムの構築についてどのようなお考えで臨もうと思っておられますか、特にコストの問題についてお答えいただければと思います。
  79. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) この決済用貯金を導入する場合には、そのための、御指摘のようなコンピューターシステム整備を含めた体制整備ということを行うことが法律上義務付けられております。  その際の考え方でございますが、正に農林中金を中心といたしまして、信連農協、こういうものの結集をしたシステムというものが必要であろうと思っております。既に、これまでばらばらであったものを統一するということでジャステムというシステムもスタートして、それを更に深化させておりますが、そういう総合力を結集し、そして、先生が御指摘のように、コストも最も低くかつ質の高いシステムを開発するということで対応させていきたいと思っています。
  80. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 信頼と低コストということがキーワードだろうとは思っておりますので、対応方よろしくお願いいたしたいと思います。  さて、決済用の貯金の制度が、例えば商品が導入された、開発されたと、こうなってきますと、どういうふうにしてこれを一々本人確認をしたりPRをしたりされるのかなと。それからもう一つは、通帳なんかも別々にされるのかどうか。通帳は御存じのように印紙税が掛かっておりますから、相当これはコスト高にもなるわけですね。  そういう意味では、決済用貯金の商品が創設された場合、私が今言ったようなことについてはどのような方策を考えておられるか、今現在分かっている範囲で結構でございますから、お答えいただければと思います。
  81. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の法改正を踏まえまして、農協系統において決済用の貯金の要件を満たす新しい貯金証券を作るかどうか、また作る場合にどのような貯金証券にするかということはまだ決まっておりません。  今後、これは早急に詰めていくということになりますが、今おっしゃったような通帳の問題も含めまして、より的確で効率的なものを作ることで検討させていきたいと思っております。
  82. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 次の質問に移りたいと思います。  農協系統における繰延税金資産の実態はいかがでありましょうか。また、金融再生プログラムにおいては、繰延税金資産、税効果会計導入というようなことも一応言われておるわけでございますけれども、資本算入の適正化とか引き当てに対するDCF、割引現在価値的手法の採用も盛り込まれておるわけでございます。近々に大手行を中心とする金融再生プログラムの工程表もできると、十一月中には、こう言っておりますが、大手行でしょうけれども。しかし、農中なんかは非常に大きな金融機関でございますね。  そういう意味では、繰延税金資産の考え方、それからDCF的な手法の採用についてはどうお考えか、その方針をお伺いしたいと思いますが。
  83. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) まず、繰延税金資産関係でございます。  農林中金におきましては、本年の三月末現在で千八十九億円、それから信連は、合計でございますが、同じく本年の三月末で三百三十八億円、農協の合計は、これはちょっと一年古くなりますが、十三年三月末現在で二千七百三十億円ということでございます。  ただ、この繰延税金資産の自己資本に占める割合は、農林中金で四・四%、信連が一・五%、農協は五・六%ということで、他の特に大手都市銀行に比べますと低い水準でございます。これは、総資産に占める不良債権の比率が低いということも反映しているわけでございます。  御指摘のように、金融再生プログラムにおきまして、主要銀行を対象として繰延税金資産の自己資本への算入の適正化の問題、それから引き当てに関しますDCF方式の採用について早急に検討しろと、こういうことになっているわけでございます。それからまた、中小の金融機関あるいは地域金融機関、こういうものの不良債権処理につきましても平成十四年度内を目途にアクションプログラムを作成すると、こういうことが決まっておりますので、農協系統につきましても、どういう具体策を講じるかということで今検討しておりますが、経営の安全性が確保できるということが当然基本になりまして、適切に対応させていきたいと思っております。
  84. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 最後の質問になろうかと思います。  先日、私も当委員会JA大原町のことについては、現況について、また対応方について御質問いたしました。  組合長の独断的な、特異な事件だと、こういうことでございますけれども、しかしながら、去年の九月には大体そういうことが分かっておって、それで改善命令が出ておって、この十一月ごろからばたばたと、こうなっている。一年間のギャップがあるわけですね。そういうことから見ましても、もう少し何とか早くならなかったのかなと。独断的な経営でなかなか言うことを聞かないんだと、こういうことでしょうが、しかし、そういうことも踏まえた上での監査であり改善命令でなくちゃいかぬわけでありますね。  そういう意味では、この事件一つの奇貨といたしまして、今後再びこういう問題が起こらないような更なる方策を、是非ひとつ決意をお聞かせ願いたいのと、その後のJA大原の経緯がどうなっておるか。例えば、購買とか共済事業等はスムーズにバトンタッチできたのかどうか、また信用事業の方も今現在落ち着いておるのかどうか、そういうようなことを併せてお聞きいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  85. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お尋ねのJA大原町の関係でございます。  まず、具体的な事業の各状況について御報告をさせていただきます。  まず、共済事業でございますが、既に近隣のJA勝英、その方が一件移転の受入れを決定しておりまして、順次移行手続を進めているところでございます。  それから次に、購買事業でございますが、現在、公的管理人の管理の下で継続をされております。ただ、今後どうするかということでございまして、やはり一番肝心なのは組合員の利便性を確保していくということが大事でございますので、近隣の農協等への移転を含めて、今その扱いを検討している最中でございます。  また、貯金につきましても、JA大原町の資産状況によりまして、必要な場合には、まだ確定をしておりませんので確定した段階で、貯金保険機構の資金援助が必要かどうか、それをやりますし、また農協系統独自でも積立制度も持っておりますので、そこからもまた資金援助等が行われるということになろうかと思っております。そして、こういう措置を早め早めに宣言をいたしましたので、今のところ急激な貯金の解約などの混乱は発生しておりません。  今後とも、我々としては、これは非常に特異なケースだとは思っておりますけれども、これを糧、糧というかあれにしまして、より適正に進めていきたいと思っております。
  86. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 大原町の件は、特異な例という分野もあろうかと思いますが、組合組織が持つ、先ほど私は、人縁的な組織だということもございまして、そういう意味で、監査体制、検査体制については、先ほど来、岩永委員からも御指摘をいただきましたが、更に改善すべきこと、もしありとすれば、絶えず見直しながら、より充実強化を図っていかなければならぬと、こう思っております。
  87. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 終わります。
  88. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  小泉内閣ペイオフ解禁を二年延長するということを決めました。これが、経済の立て直し政策によって景気を回復させることを目的に延長するということならば分かります。しかし、逆に、ペイオフ解禁を二年間という期限を区切って延ばすことを言わばてこにして不良債権の最終処理を徹底させることが目的だというのは、この間の小泉総理の談話などでも明らかです。  これは地域金融地域経済をつぶしていくものだと思います。不良債権の処理と、処理をすると言いながら、実際にはこの間逆に増えていると。先日、我が党の志位委員長の代表質問に対しての小泉総理の回答でも、平成十四年の三月期の全国銀行の不良債権については九・二兆円処理された一方で、その残額は四十三・二兆円、前年度に比べて九・六兆円増加しているというふうに答えている、認めていることでも明らかです。  不良債権を無理してどんどん処理をしていくということが結局景気を悪化させて、新たな不良債権が発生するという悪循環に陥っているということだと思います。これだけでも小泉政権の財政政策というのは失政だと言えるんじゃないでしょうか。  まず、大臣の御認識を伺いたいと思います。
  89. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 失われた十年とかという言葉でよく言われます。多分、今、日本は戦後の経済構造というもので大変な成長を果たして、私見から申し上げますと、私はそこのポイントは一九八五年ぐらいが非常に大きなポイントではなかったかなと、こう思います。それはプラザ合意です。そして、そういう状況の中で、国際社会というものがどんどん、物、金、情報が自由化されていく。ある意味では、満たされた日本の中で需要の変化というものも出てきた。そして、そういう様々な変質からそういうことに対応するために構造改革というものをやらなければならない。  小泉改革、小泉政治というのは、正に言わばそういうこの十年、十五年の構造改革のファイナルラウンドだと、こういう思いの中で思い切った構造政策をやっていく。そしてそういう中で、やっぱり改革ですから大きな変化がある。大きな変化がありますと、新しい芽もあれば、また消え去っていくものもあるのでありましょう。そういう混乱の中から需要がもう一つ喚起してこないというふうな面もあるのでありましょう。しかし、やらなければならないことというのはやはり不良債権の処理であり、そして構造改革であるということであるわけでありますから、不良債権の処理をする結果として、先ほどから様々な御質問がございましたように、セーフティーネットとして成しておく、安心を供給していくという仕事が政治にもあるであろう、であれば、そういうふうな視点からこのペイオフの延期という結論を出した、このように御理解いただければと思うんです。  ペイオフの延期をして、延期をするから不良債権をするんではなくて、不良債権の処理、このことを成し遂げる、その結果として様々なセーフティーネットを作らなければならない。もちろん、雇用の問題もあります。需要の問題もございます。そういう観点から補正予算への取組もいたしますし、そして今、不良債権の処理のためにペイオフの問題も法案として御議論いただいているという意味で、失政であるとは私は思っておりません。
  90. 紙智子

    ○紙智子君 不良債権を処理するなということは私たちは言っていないわけで、無理をしてどんどんやっていくということが悪循環を生み出すということを何度も申し上げているわけです。  それで、実際に、セーフティーネットということですけれども、国民の現実から見ますと、実際には地域金融が壊れてしまっていたり、あるいは失業、倒産が増えているという実態があるわけですから、そこのところをやはりきちっと見る必要があるというふうに思うんです。  今回、政府の方針で金融改革として不良債権比率を半分に減らすというふうに言っています。十月三十日の金融再生プログラムで言っていますけれども、これは主要銀行の話で系統金融機関の話ではないというふうに思うわけですけれども、確認をしたいと思います。どうでしょうか。
  91. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 先ほど日笠委員にもお答えを申し上げましたが、私どもは農協系統金融の言わばその大きな使命というものを背中に背負いながら、しかし一方において不良債権を減らしていく努力もいたさなければならぬと思っております。
  92. 紙智子

    ○紙智子君 今、系統金融機関でもこの不良債権処理と関連して貸し渋りや貸しはがしという事態が起きています。来年収益が上がらないそういう農家に対しては融資できないということとか、負債の多い農家に対しては離農勧告を行うというような事態があります。そういう事態が更に強まることになりますと、農林漁業の危機にもつながっていくというふうに思います。  不良債権といいましても、先ほども議論の中で出ていましたが、農林漁業の場合は、やっぱり自然条件のリスクとか、それから政治災害というべき問題、BSEもそうでしたし、それから輸入の急増というのもそうだと思います。原因は外部からの避け難い要因というのが大きいわけです。しかし、農地やあるいは漁場があれば、時間は掛かるけれども、収入が発生していく、返済の原資も生み出すことができるわけです。  ですから、不良債権処理でもって農家や漁業者を突き放すということではなくて、いかに経営を上向きにさせるのかと。その点での政治とやっぱり団体と関係者の努力が必要だというふうに思うわけですけれども、この点、大臣の御認識はいかがでしょうか。
  93. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 民間金融機関、つまり系統以外の市中銀行等の中に占める不良債権と言われる割合と、系統金融の中の占める割合というのは、系統金融の方が少のうございます。しかしながら、不良債権と言われるものの中で九割はある意味では農外貸し農業融資以外のものでございます。しかし、一割はあるじゃないかと言われればそのとおりでございますけれども、私どもはそういう中にあって、先ほども申し上げましたように、農業者が返済に支障を来すようになった場合には、農業者経営再建が本当に可能かどうか、ここをやっぱり適切に見極める必要があるんだと思います。  今、委員お話しするように、そこに農地があるから、海があるから、漁港があるから、まあ五十年、六十年掛かれば何とか返せるんじゃないかと言われればそうかもしれません。だけれども、そうであってはなかなかこれは、幾らその系統金融の個性、特性があったとしても限界がやっぱり金融システムの中にあると思うんです。  ですから、経営再建が可能かどうかということをまず適切に見極めることが重要であり、そういう再建可能であれば、償還条件の緩和だとか負債整理資金の融通を行い、農業者の再建を積極的に支援していくということを基本にしながら対応できるようにしてまいりたいと思っておりますし、負債整理基金につきましては、御承知のように、昨年、抜本的な見直しを行いました。近代化資金などの制度資金については最高十年間の償還負担を一括前倒しで融資できるようにいたしましたし、負債整理を行いつつ前向きな経営展開を図ろうとする者にも資金融通ができるように改善を図ったところでございます。  もし経営改善が難しい、どうしても、どう考えても再建が難しい場合には、その経営状況を更に悪化させるような、そういう追加融資を行わないでやはり土地や施設等の売却を含めた整理などを行う、そういうことが必要と考えておりまして、あくまでもしかしそれは農業者との協議が前提であると思っております。
  94. 紙智子

    ○紙智子君 系統金融検査マニュアルの農林漁業者・中小企業融資編というのが作られています。前の武部大臣のときに質問して、私、質問をさせていただいたんですけれども、債務者の区分などに当たって、一般の金融検査マニュアルの機械的な画一的な適用にならないように農林漁業者の実態を把握してという趣旨であると思いますけれども、同時に協同組合機関としてその系統金融機関の自己査定の尊重というのは非常に大事で、前提にならなければならないというふうに思うわけです。  そこは、このマニュアル等を実際の検査の中に本当に位置付けられているのかどうかということについてお聞きします。
  95. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) ただいま系統金融検査マニュアルのお話でございますけれども、系統金融検査マニュアル、この中の特に検査マニュアルにより検査を行うに際しての留意事項というところでございますが、系統金融機関が自己責任の原則の下でそれぞれの規模、特性に応じまして、より詳細な自己査定等のマニュアルを自主的に作成し、また業務の健全性あるいは適切性の確保に努めることを期待するということをまず触れております。  また、その上で、系統機関が行った自己査定がこのマニュアルの、系統金融検査マニュアルの字義どおりに行われていない場合でも、当該系統金融機関の業務の健全性あるいは適切性の確保の観点から見て、対応が合理的なものであればそれは不適切とするものではないんではないかと、かような趣旨のことをうたっておりまして、私どもといたしましては、こうした系統金融機関が行います自己査定検査結果の検証、これにつきましては、検査官が当該系統金融機関と十分意見交換を図り、系統金融機関の規模ですとか特性を踏まえまして、実態に即した検査を行うようにと、かように指導しているところでございます。
  96. 紙智子

    ○紙智子君 貸付先の相手が破綻懸念先の債権だというふうに言われると、農協は引当金を大幅に積まなければなりません。かつ融資も規制されるということでは、農協にしても農民に、農家にしても大変大きな問題です。  私は、ある組合長さんとお話をしていろいろ伺ったんですけれども、さっき大臣お答えになったことともかかわるんですけれども、いかに再建できるのかということを判断しなきゃならないというふうにおっしゃったわけですけれども、なぜやっぱり今経営状態が大変になっているかということの要因としては、様々なやっぱり外部からの避け難い要因も絡んでなっているという事態があるというふうに言いました。  それで、私、その組合長さんがお話しされた中で、今大変になっている組合員の状況というのは、例えば九二年のときですか、新政策というのが出されて、九四年のときからですかね、実際に規模ですとか、二十ヘクタールぐらいの農家をどのぐらい作るとか、それから担い手の政策ということで五年間とか十年間とか、そういった形で計画がそのとき示されて、これは米を本当に推進していくための政策なんだということで、それであればということでその計画を進めてきたと。言ってみれば、そのときにもう本当に積極的に前向きに、じゃそれに沿って規模を更に拡大していきましょうということで、意欲を持って取り組んできた農業者の人たちが今一番大変な状況になっているんだということなんですよ。  結局、その後どうなったかというと、価格が御承知のようにどんと下がってきたわけですよね。そして、価格が下がるだけじゃなくて土地の値段も下がると。そうすると、資産評価というのがやっぱりどんどん下がってきているわけですね。そうすると、実際にこの資産評価で今五千万とかいう場合では、買戻しするといったときには七千万とか、赤字になってしまうと。それについては、今これは破綻懸念先だということで評価されるわけですよね。  そうすると、これまでの一連の経過を知っている農協としては、本当に積極的に前向きに頑張って国の方針に沿ってやってきたことがこういう事態になっているわけですから、そこに対してやっぱりお金を積んで、何とかこれから先頑張ってやれる農家なんだ、ここはという立場で、今必死にやっているわけですけれども、一方からは厳しくそれはもう破綻懸念先でどうなんだということで言われて、もうそのやり取りでもって、口を酸っぱくして説明してもなかなか理解してもらえないというふうな事態があるんだということが言われているわけですよ。  一番その実態を知っている当該の農協などがこの農協経営に責任を持っている役員の判断と、ここを尊重するということがやっぱり前提だと思うんですよ。そこをやっぱり重視すべきだということをむしろ農水省として明らかにしていくということが必要じゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  97. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) ただいまの御指摘でございますけれども、確かに余り一律にやるという趣旨のものではないという意味におきまして、先ほどもお答えさせてもらいましたけれども、系統金融検査マニュアル、こういったものにおきましてはそうした実態等も十分踏まえた上で対応するようにと、少なくとも機械的、画一的な運用にならないようにというふうな、実態に即した検査の実施ということは求めているところでございます。  ただ、他方、金融機関でございますので、当然のことながら貸出し先という相手もございますが、その資金を出していただいておられます貯金者、こういった立場もございまして、そこは、野方図になるということによりまして金融機関としての農協、これが揺らぐことは他方問題でございまして、そこはそうした両方の兼ね合いを取っていただきながらやっていただくことがまた必要であるという面もあろうかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、こうした系統金融検査マニュアル、これの具体的な適用に際しましては、業種等の特性を踏まえまして債務者の実態把握、これを十分にやっていただきたいということ、そして農林漁業の経営の実態に即しました適正な検査の実施、こういったことに努めているところでございます。
  98. 紙智子

    ○紙智子君 この問題については、大臣についてもちょっと伺っておきたいんです。今の問題について大臣の認識、農水省としてやっぱり明らかに打ち出すべきじゃないのかと。
  99. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 金融検査マニュアルは金融庁が作成した、そういうものとある意味では基本的に同一内容に基づいて実施をするというのは、いわゆる先ほど来何回も申し上げますように、金融という世界においての同一的機能性という観点から、私はそこはまず一つ基本であろうと思います。  しかし、その中にも、系統金融機関の規模や特性を踏まえ、機械的、画一的な運用に陥らないように配慮することが明記されているわけでございまして、検査の運用事例集を公表するということをしているわけでございますが、基本的に委員お話しされたように、本当に再建できるのであれば、一生懸命頑張ってこのぐらいの年数で再建計画が見える、本人もそういう意欲がある、そういうものはやはりそれぞれの事例に即して判断して、できるだけそういう方向に向かわせるようにしながら系統金融機関の特性を生かせるようにしなきゃならぬと思っております。
  100. 紙智子

    ○紙智子君 それにかかわって、もう一つ軽種馬の問題についてもお聞きしたいんですけれども、私が訪ねたサラブレッド、日高は、北海道の日高というところはサラブレッドの産地でもあるんですけれども、この農協組合長さんは、今まで銀行の資金を借りていた生産者も銀行の貸付けが厳しくなって、今貸さないという状況になっていると。農家の土地資産価値も下がって担保価値も下がって大変だというふうに言っています。単純に数字だけで見ると債務超過だということで切り捨てるということもできないということで、非常に苦労して独自に、系統内部の貸付けの厳しい審査もあるわけですけれども、そういう中で何とかしてやってきているわけです。  地域の経済もこの軽種馬生産に支えられていて、この地域農業粗生産の八割が軽種馬なんですね。だから、それが、馬のところがつぶれてしまうと、本当にこの地域自身が成り立たないという状況になるわけですけれども、今のままでいくと本当に立ち行かないと。一律の押し付けをやるべきじゃないということが言われているわけですけれども、農協もやはり限度があると。それで、本当に農協自身も力がだんだんやっぱり大変になってきている中で、このままの状況では本当に日本の馬の生産という、産地そのものが成り立たない状況になると。  せめて、この中央競馬会の益金を直接生産者に融資するとか、転業の対策なんかと併せて農水省として対策を取ってほしいという要求出されているんですけれども、これ、大臣、是非お答えいただきたいと思います。
  101. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 青森県も、かつてのような主産地ではございませんが、主産地の一部になっております。  今、委員お話しされたのは、金融という問題の部分ももちろんその中にありますけれども、その軽種馬生産農家というものに対して、特にそこにどおんと依存している日高とかそういうところに対しての政策、対策をどう考えているかという総合的なお話のように私は伺いました。  そういう状況から、地方競馬は今大変赤字が続いておりまして、中津、新潟、宇都宮、益田、こういうところからの撤退を表明するなど非常にマーケットが狭まっております。したがって、軽種馬生産の状況も非常に悪くなってきているのは事実でございますので、金融マニュアルというのは、先ほども申し上げましたように、ある業種には甘くてある業種には厳しいという、そういうふうなことはある意味ではできない分野ではあろうかと思います。    〔委員長退席理事田中直紀着席〕  いずれにしても、そういう状況は私どもも大変危惧しておりますので、生産地に派遣をしてみまして、生産者から直接状況を聞きながら今後の軽種馬生産対策を検討してまいりたいと、このように思っております。
  102. 紙智子

    ○紙智子君 次の質問に移らせていただきます。  不良債権の発生に対して、これを解消していく農産物価格の安定など、政治の努力が必要なわけですけれども、同時に、いかにして借金を返せるかと。  一つは負債整理資金の活用の問題です。この点で、昨年から新しく公庫資金でできた負債整理資金についてなんですけれども、北海道のある農協では二十五件申請をしたと。第一次審査を通ったのが十一件だったと。  はねられた理由は何かというと、一つは、本人と農協で作った経営改善計画について、平成十七年以降の転作奨励金の収入が認められないということではねられたというんですね。お米から経営を、米だけじゃ大変だということでハウス栽培とか花卉栽培に切り替えると。それで、負債整理のために、こういう新たな作物の収入と、それが定着する上でも転作奨励金を収入に入れるというのはこれは当たり前だと、経営改善計画を立てるのは当然だというふうに思うわけですが、そこでお聞きしたいんですけれども、農水省はその収入を認めないというような指導をされているんでしょうか。
  103. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 負債整理資金関係でございますが、経営改善計画を作成するという、その中にいろんな償還計画等も入るわけでございますが、一般論で申し上げまして、水田農業経営確立補助金等の補助金も、その交付を受けることが確実であれば当然収入として計上することは可能でございますし、御指摘のような指導をしているわけではございません。  それから、更に申し上げれば、その融資審査に当たりまして、当該農業者が生産する作物の需給でありますとかあるいは価格動向がある程度変動しても償還が可能な、余裕を持ったものになっているかどうかということもやはり判断に当たっては必要なことだと考えております。
  104. 紙智子

    ○紙智子君 実態としてそういうことがあるということなので、そこはきちっとつかんで指導していただきたいというふうに思うんです。  それから、従来の負債整理資金、M資金と言われているものですけれども、これを借りた人の場合、その返済状況がどうだったのかということも一つ審査条件になります。  ところが、先ほど来お話ししていますように、四年、五年前からの米価の下落で返済計画が滞って、逆に負債を増やしていると。これは言わば農家の責任じゃないですね、こういう事態というのは。やむを得ないと。この点を配慮して改善計画審査に当たるべきだと思うんですけれども、農水省も都道府県や公庫に対してその点指導すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  105. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) やはり、負債整理資金等の借入れ申込みに当たりましては、その計画あるいはこれまで来られた経営状況等はやはり十分踏まえた上でやらなくちゃいけないと思っております。  先ほども言いましたように、既往負債の償還に支障があるという農業者の方でありましても、その経営状況でありますとか計画の実行可能性あるいは融資返済可能性等をチェックいたしまして、再建が可能かどうかということを十分審査しなければならないというふうに考えております。
  106. 紙智子

    ○紙智子君 輸入や不況やそういう農政の失政の結果として借金が増えると。その返済のための負債整理資金を借りようと思っても借りられない。こういう矛盾はなくしていかなければいけないと思うんです。  しかも、この負債整理資金は、もう申請の段階から、最も大変な、北海道ではD階層というふうに言われているんだそうですけれども、利子、元金、これが払えない、いわゆる破綻先というんでしょうか、こういうところがはねられると。北海道でも道からそういう指導が来ているというふうに言っているわけですけれども、農水省はそういう破綻先の階層ならすべて駄目という立場を取っていないと思うんですけれども、これいかがですか。
  107. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に負債の状況というのは、その実態は区々であろうと思います。個々の状況をよく判断することが必要だろうと思っておりますので、画一的に排除するとか採用するとかという指導はしておりません。
  108. 紙智子

    ○紙智子君 次に、公金の問題についてお聞きします。  ペイオフ解禁の延長は今の状況で言うと当然だと思いますが、いわゆる公金について、決済性預金以外の公金についてお聞きします。  全国で農協指定金融機関にしている市町村の数というのはどれだけあるでしょうか。
  109. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答えいたします。  市町村のうち農協指定金融機関としているところは、平成十四年六月末現在で七百十七市町村でございます。これは全市町村中約二二%となっております。また、このほか農協指定代理金融機関としている市町村が五百八市町村で、全市町村中約一六%。それから、収納代理金融機関としている市町村は二千七十一市町村で、全市町村中約六四%と、こういう状況でございます。    〔理事田中直紀退席委員長着席
  110. 紙智子

    ○紙智子君 今お話しいただきましたように、この指定金融機関になっていないところも含めて、農協が公金を扱い、その他の地域金融機関同様の、地域の経済にとって果たしている役割というのは大きいと思うんです。全国には銀行や信用組合信用金庫の本支店、出張所がない町村数が、九九年ってちょっと古いデータですけれども、五百二十九町村と。その中で農協は大事な役割があるわけですけれども、その農協も支所をカバーしているわけで、本所のない町村が三百八十七あるわけです。  本院にも、このペイオフ全面解禁の延期と地方公共団体の公金預金ペイオフ対象から除外して全額保護を求める意見書が提出されています。今年三月からの意見書で百四十一と。北海道からも百十七件寄せられているんですけれども、この抜本対策というのは、やはり要望にあるとおり、全額保護する措置を取る以外にないと思うんです。  これは金融庁にお聞きしたいんですけれども、公金に限って実施する考えはありませんか。いかがでしょう。
  111. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  地方自治体の公金の取扱いについては二つの局面がございます。  一つは、収納代理金融機関から指定金融機関への収納金の移転、そして二つ目の局面が、指定金融機関による歳計現金の保管、出納という局面でございます。  まず第一の局面でありますが、代理金融機関から指定金融機関までの収納金の移転につきましては、今回の処置により、仕掛かり中の決済資金として全額保護の対象となっております。  そして、二つ目の局面でありますが、指定金融機関による歳計現金については、当座預金に預け入れられているものは決済預金として全額保護されることになり、普通預金に預け入れられている場合でも、当座預金又は金利の付されていない普通預金への預け替えを行うことにより全額保護の対象となっております。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 日本では、外郭団体など法人格のあるものは別として、市立であれば病院や学校も同じ一つの市に名寄せされるわけです。  アメリカの例ですけれども、例えばコミュニティー銀行では、公務員や代理人がその職務に基づいて開設している預金は、当該公務員や代理人を独立した預金者として十万ドルまで保護していると、一千二百万程度ということですけれども。本来の意味の地方公共団体である郡や市町村に限らず、連邦や州の預金も含めて等しく保護の対象で、まだ十万ドルでは不十分だという批判も出されていると。こういう点、御存じだと思うので、是非、最初から駄目ということじゃなくて、よく検討していただきたいと。  ペイオフ二年延期ということで、農林漁業者にとって農林業が撤退することになりかねない、そうならないようにしていただきたいという、最後、決意を大臣の方からお願いいたします。
  113. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 本当にやる気があって再建可能な農業者に対してしっかりと対応できる、そういうことも重要な要素として取り組んでまいりたいと、こう思っております。
  114. 平野達男

    平野達男君 国会改革連絡会(自由党)の平野達男でございます。  昨年の三月まで二十年間、農林水産省に勤めておりまして、そこを、脱藩と言えば格好いいんですけれども、職場放棄をしましてこちらの政治の世界に入ってまいりました。農林水産委員会では初めて質問をさせていただきます。  今日、法案の審議なんですけれども、その前に是非ともお時間を拝借しまして、先ごろ農林水産省が盛岡にあります中央卸売市場の岩果という、これは卸売業者なんですが、これに対して出された処分に関連しまして何点かちょっとお尋ねをしておきたいと思います。先般、西藤局長には財政金融委員会においでいただきまして、その概要につきまして大体のことは質問させていただきました。  お手元に二枚の紙をお配りしております。一枚目は、これは先般出された処分に関してのプレスリリースの資料でございまして、今年の十一月二十六日から一か年間、最長、業務を停止するという処分でございます。  ただ、この岩果は今日、破産申告、自己破産申告を出しております。何があったかということでございますが、一枚めくっていただきたいんですけれども、概要がこの一枚で御説明できるかと思います。  御承知のように、生産者がありまして、出荷者があるということで、今回の場合は青果物を扱っていた業者なんですが、青果物が出荷者から卸売業者に行くと。荷受けと言うわけですが、ここで競りあるいは相対で入札を掛けるということで、ここで契約が成立するわけです。この場合に、例えばリンゴ十ケースというふうに想定して、単価五百円で競り落とされたというふうに考えますと、当然これは五万円の売買契約ということになるわけですが、ここで販売原票というのができまして五万円という仕切り書ができるわけです。  今回取りざたされているのは仕切り書の改ざんという事件でございまして、これは業界用語で減仕切り、増仕切りという二つの種類があるようです。減仕切りにつきましては、単価五千円で競り落とされたんですけれども、四千五百円で競り落とされたというような仕切り書にする。それから、増仕切りにつきましては、五千円で卸されたやつを五千二百円なり五千三百円、要するに卸された単価より高い単価で原票を作成する。その中に利潤若しくはマイナスが出てくるわけであります。  今日は時間がございませんから話をはしょりますけれども、特に問題になるのは減仕切りであります。この場合に不当利潤というのが出てくるわけでして、この不当利潤は何かということですが、当然これは出荷者を通じて生産者に払わなければならないお金であります。  これが、このようなことがなぜ起こったのかという問題がありますが、この仕切り書の改ざんが、いろいろお話を聞きますと、二年半ぐらいにわたって、あるいはそれ以前からやっていたかもしれませんが、やっていた可能性があると。少なくとも二年半に関して三分の一ぐらいがこの仕切り書の改ざんがあったという御説明ではあったかと思いますが、の三分の一ぐらいの仕切り書の改ざんが行われていた可能性があるという御説明だったと思うんですが、この仕切り書の改ざんがなぜこんなに簡単にできるのか、チェック体制ということについてどのようになっていたかということをちょっと御説明願いたいと思います。
  115. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 先生指摘のとおり、中央卸売市場の卸売業者の業務において確実な仕切りを行うということは、当然市場信用確保の観点から極めて重要なことでございます。  当然、私どもこういうことから、かねてから卸売業者内部でのチェック機能が働くように、先ほど先生から御説明がありました販売原票と売買仕切り書は異なる部署で作成して、かつ相互の記載内容が一致しているかどうかを更に他の部署が照会、点検するという体制整備するよう、開設者を通じてかねてから指導してきております。  また、私どもあるいは開設者が実施する立入検査においても、適正な仕切りが行われているかどうかを検査の重点項目の一つとして対応してきたところでございます。しかしながら、今回こういうような状況が生じているわけでございます。  今後とも、このような措置、検査の体制及び内部での監査体制を通じて適正な対応ができるよう対処してまいりたいと思っておりますが、特に今回の事案を受けて、今までも情報提供に努めているところでございますけれども、改めて関係者に対してチェック体制強化を図るよう、再度周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。
  116. 平野達男

    平野達男君 今の御答弁ではチェックは内部でやっているというお話でしたね。今回の場合は、その内部でやっているはずがやっていなかったということだろうと思います。  特に、卸売業者につきましては、市場では一社か二社、複数あるわけではない、競争ができるような状況ではなくて、出荷者が卸売業者を選択する幅があるわけでもないんですね。そうすると、何か大体あそこで変な不正経理をやっているんじゃないかといううわさが来たとしても卸売業者を選択できない、逆に言えば卸売業者はそれだけの特権を与えられているわけですね。  ですから、本来であれば、局長おっしゃるように自己できっちりとチェックをするということは当たり前なんですけれども、できていないという事実があるとすれば、このチェック体制については相当の、要するにそこに任せるという形ではなくて、開設者なりあるいは県なりがチェックをするという仕組みの導入が是非必要だと思います。  これはちょっと時間がないので次の質問に移らしていただきますけれども、今回問題になるのは不当利潤なんです。これがどこへ行ったかということでありますね。これは恐らく収支決算書にも出てこないし、当然のことながらバランスシートにもこれは出てこないと思います。  これが、先ほどの繰り返しになりますけれども、本来生産者に戻るべきお金であります。これを、だれがどのような責任を持ってこれを明らかにするか。これずっと追及していきますと横領というにおいもしてくるわけですが、そこまで行きますと、行政の手段ではなくて、もっと司直の力をかりなくちゃならないような話になってきますので、そこに行く前に、まず行政として、だれがどのような手段でもってこれを確認するか、農水省にちょっと御見解を伺っておきたいと思います。
  117. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 若干経過的にもなりますけれども、今回、私ども、昨年九月の立入検査で、売買仕切り書が適正に作成されていない疑いがあるということで売買仕切り書の提出を求めましたところ、先生指摘がありましたように、平成十一年の四月以降、全体の取引のほぼ三分の一に相当する事案について関係がはっきりしないということで、当事者に言わば確認をするようずっと命令をしてきたわけですが、それが実行されない形で今回来ているわけです。  私どもも岩果に対して、関係者、関係する出荷者の取引内容を改めて通知して、未払金があるか否かの確認を求め請求があった場合に支払うと、そういう改善命令をしてきたところでございますが、それが現在従われない状況にあって、正に先生指摘のとおり、支払金の有無及びそれが確定できない状況に私どもございます。  また、先生先ほど冒頭御指摘がありましたように、株式会社岩果は昨日、盛岡地方裁判所に対して自己破産の申立てを行ったと承知いたしております。今後、盛岡地方裁判所が株式会社岩果に対して破産宣告を行うか否かの判断が行われることになると思いますが、仮に破産宣告が行われた場合、正に破産法に基づき管財人により未払金を含め岩果に対する債権の確定、それと保全された資産からの配当の支払が行われるという状況になると思っております。  私ども、この間の状況をやはり関係者に周知徹底して情報提供をしていくと、かつ盛岡市にも要請をして相談窓口を開設していただいて言わば関係者に対する情報開示、そういうことに努めている状況にございます。
  118. 平野達男

    平野達男君 是非そういうことで進めていただきたいと思います。  そこで、三番目の質問に入りますけれども、先ほどの質問にもしましたけれども、仕切り書の改ざんを何でチェックできなかったのかという根本の問題があると同時に、今回の場合は、債権比率でしたか、要するに非常に借金が多い、バランスシート上非常に問題が多いということをもう一つ指摘されていますね。そういったことがなぜチェックされてこなかったのか。  それから、私が聞くところによると、やっぱり卸売業者が不正経理をしているんじゃないかということはうわさとしてあったという話も聞いております。そういうことがなぜ放置されてきたのか。それは検査体制との関係もあるかと思いますが、ここの問題につきましては、卸売業者の、これは私は半分公共性のある組織だと思っているんですが、そういった性格にもかんがみ、この間の経緯については、ちょうど農水省がBSEの問題でああいう報告書を出しましたけれども、あれに準ずるようなものを、それは開設者がやるのか県がやるのか農林省がやるのか分かりませんが、第三者組織にゆだねて、今回の経緯はやっぱりきっちり明らかにしておくことが必要ではないかというふうに思うんですが、これは大臣でも西藤局長でも結構ですが、御答弁をお願いしたいと思います。
  119. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 先生から御指摘を受け、正に私ども、株式会社岩果に対する私どもの立入検査あるいは開設者の立入検査、過去にも指摘する事案は幾つかございました。その後、私ども、指摘した事案について開設者を通じて集中的に特別検査ということで平成七年、八年にかけて検査をし、その後も検査を実施してきました。しかし、結果的には残念ながら、昨年度の私どもの検査の中でこういう事案が出てきました。  今後、その債権債務関係、実態、先ほど申しましたように法的な手続が取られる状況になってきているものですから、その状況の推移も見守りながら、私ども、いずれにせよ、今回の事案の私どもが取り得る限りの情報を関係者に開示することによって、言わば市場関係者に対する今後の管理体制充実に生かしていっていただきたいということで、情報開示に努めていきたいというふうに思っております。
  120. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 岩果の問題につきましては、今、平野委員からお話を、質問を受けておりますが、卸売市場が不公正であってはいけません。また、不透明であってもいけません。これを機に、もちろんこの原因、そして経過というものを私どももしっかり分析しながら、そして二度と起こらないようにしていかなきゃならぬ、そのための何ができるかということをしっかりと受け止めて考えていきたい。この問題だけを処理すればいいというふうなとらえ方ではなくて、そういう思いでこの問題に対応してまいりたいと、こう思っております。
  121. 平野達男

    平野達男君 実は冒頭に申すべきことでありましたけれども、今回の処分に関しまして市場が非常に混乱するんではないかというふうに心配したんですけれども、この点に関しては、開設者、農水省等の御努力で、もう一社、丸モという会社があるんですが、そこが全部卸を荷受けするという形で、今の段階ではほとんど混乱がなくなっているということについてはもう本当に敬意を表したいと思いますし、感謝も申し上げておきたいと思います。  いずれにせよ、こういったことが本当に起こらないように、原因をとにかくはっきりして再発防止に努めていただきたいということを改めてお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、ここに来て法案の質問をしないと怒られてしまいますので、一問、大臣に御質問をさせていただきたいと思います。  先ほどの同僚委員の御質問にもあったかと思いますけれども、ペイオフの完全実施の延期についてでございますが、これは今の内閣は政策強化だと言っておるのでありますけれども、御承知のように、本来であれば来年の四月に完全実施ということはこれは言わば公約であったわけです。ところが、今年の四月から定期性預金につきましてはペイオフの実施がされたんですけれども、その後の動きを見ますと、業態別に見ますと、地方銀行から、地銀からいわゆる大手銀行へ、それからあるいは定期性から流動性預金への預金シフトがかなり起きていました。これはもう言うまでもなく、金融システムがそれだけ不安定だったということの証左だと思うんですが。  単純な質問は、今、金融担当大臣等は、不良債権処理の加速があるから金融システム安定をそれはさせるためにペイオフは延期した、だから政策強化だと言っていまして、これは先般の本会議でも言いましたけれども、これは明らかに、私に言わせれば、手段と目的、結果と原因を取り違えているんじゃないかと。要するに、ペイオフの実施ができないから不良債権の処理を加速させるのが本当の筋、説明するところであって、もう完全にここは言い換えがあるんじゃないかなという感じがするんですが、これはもう財政金融委員会でやらせていただこうと思っておりますが、要は大臣見解として、来年の三月、ペイオフの完全実施ができる状況にあったかどうかということだけを最後に大臣にお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  122. 大島理森

    国務大臣大島理森君) それは全体金融の中での御質問ではないかと思いますが、不良債権の状態が決して改善していなかったということの事実を考えますと、今私どもが御提案し御審議していただいている方策というのは一つの道と、こう思っております。
  123. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 農水系金融機関ペイオフ延期について質問します。  これまでのほかの議員の質問にも多少重複する部分もあるかと思いますが、私なりに質問します。  不良債権処理というのは、厳格な査定、十分な引き当て、経営責任追及、この三原則がなければ進まないわけなんですね。結局ペイオフ解禁を延期せざるを得なくなってしまったというのは、これら三原則を回避したために不良債権処理が進まず金融不安が解消されなかったことだというふうに私は考えています。そうしますと、これまで柳澤前金融担当大臣、そして森前金融庁長官が国会で繰り返してきた答弁、ペイオフの完全解禁に一切の問題はないと言ってきたわけですけれども、結果としてこれはうそだったということになるわけですね。  二年延長ということになりましたから、これはもう明らかな政策転換だということになります。この政策転換をした機会に、私はこれまでのうみというものを徹底的に摘出しなければいけないと思います。当然ながら、JAバンク、JFマリンバンクという農水系金融機関についても、多かれ少なかれバブルに踊ったわけですから、粉飾決算とか迂回融資、あるいは暴力団との関係、そういう後ろめたいことがあると思うんですよね。これを清算して再出発しなければならないということだと思います。もしそれがちゃんとできないと、また二年後にペイオフ解禁の延期法案というのが必要になってしまうということですね。  そういう観点から大臣質問しますが、農水系金融機関についても農水省はペイオフの完全解禁に一切の問題はないと認識していたはずなんですね。それで、なぜこのペイオフ解禁を延期するのか。つまり、農水系金融機関にも査定の甘さや引き当ての不足など、こういう問題があったということなんでしょうか。
  124. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 今、中村委員から御指摘いただいた系統資金の諸問題、そのときに不良債権の、こういう人たちが借りて借りてと。まず、非常にそういう意味で、バブルの後遺症の処理として住専問題がございました。そのときに、今指摘されたような問題が露呈され、そのことについて政治的に非常な痛みを持ちながらも対応をさせていただきました。それ以後、系統金融改革というものを行い、今言われている市中銀行と比べた場合の不良債権というのはシェアから見ると少ないというのは事実でございます。  しかし、じゃ、なぜこのペイオフを他の市中銀行と同様にやるのかという意味におきましては、先ほど申し上げましたように、不良債権処理をしなければならないものもまだ私どもにございます。ございますが、それと同時に、やはりセーフティーネットを作るという意味でイコールフッティングにしていかないと、そこに資金の流動、資金の移動というものが起こり得る可能性もあるという意味で、金融機関の機能として同じく果たしている役割ということの中でセーフティーネットを作るというならば、そこはイコールフッティングにしておくべきだという観点で今やるところでございます。
  125. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 続きまして、経営局長水産庁長官質問します。  農水系金融機関の債権状況について、一般の金融機関における自己査定区分、これに直すとどうなるのか。JAバンク、JFマリンバンク、それぞれについて、破綻先、実質破綻先、それから破綻懸念先、要注意先、正常先、この各々の金額を示していただきたいんです。
  126. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) まず、農協について申し上げます。  十三年度末におきます貸出し債権の総額は、農協におきまして二十一兆五千億円になっておりますが、このうちディスクローズされておりますリスク管理債権ベース、これの不良債権の額について申し上げますと、農協が一兆三千四百億円ということでございます。この内訳は、四種類ございますが、破綻先債権が千三百三億円、延滞債権が七千百三十五億円、三か月以上延滞債権が二千百八億円、条件緩和債権が二千九百六億円、こういうことでございます。  今、先生の御指摘の自己査定の正常先債権、要注意先債権それから破綻懸念先債権、実質破綻先債権、破綻先債権、この額につきましては他の金融機関も含めてディスクロージャーはされておらないわけで、正確なデータではございませんが、あえて農水省の推計値として申し上げたいと思います。  農協の正常先債権といたしましては十七兆三千四百億円、それから要注意先債権といたしましては一兆六千三百億円、それから破綻懸念先債権としましては二千二百億円、実質破綻と破綻先債権を含めまして三千四百億円、こういう状況になっております。
  127. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 水産関係についてお答えを申し上げます。  十三事業年度末におきます漁協の貸出し総額でございますけれども、約四千億円でございます。  この中で、漁協につきまして各金融機関共通してディスクローズされているリスク債権でございますけれども、総額で六百四十二億円でございます。破綻先債権が二百十二億円、延滞債権が百七十二億円、また三か月以上延滞債権が百五十七億円、そして条件緩和債権が百一億円でございます。  また、先ほど経営局長が述べましたように、ディスクロージャーされておりませんけれども、そういう意味で正確に把握しておりませんが、私どもの推計値としてお答えいたしますと、漁協の正常先債権が三千百億円、要注意先債権が千百億円、破綻懸念先債権が三百億円、そして実質破綻・破綻先債権が四百億円、以上でございます。
  128. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 要注意先というものの区分というのはかなり難しい部分はあるかと思いますが、マイカルもそごうも要注意先だったと。それなのに破綻したわけですよね。そうした危険水域というものはどういうふうに考えているのか。お二人、簡単にお答えください。
  129. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今申し上げたような状況でございます。ただ、最近の状況はかなり改善を見ておりまして、他の金融機関に比べましても遜色のない状況にはなっていると思います。  そういう状況でございますが、今後とも健全性確保という意味では不良債権の処理を積極的に進めていく必要があると考えております。
  130. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 私ども、漁協系統でございますけれども、本年四月のペイオフ一部解禁に向けまして整理をしてきているところでございます。私ども、前通常国会で成立いたしました法案を受けまして、単位漁協の最低出資金額の引上げあるいは農林中金指導の下でリスク管理債権の処理を加速させるために必要な措置を講じたところでございます。  今後とも、適切な債権の管理、回収を行う等によりまして信用事業の健全性の確保に努めていきたいというふうに考えております。
  131. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 不良債権処理には自己査定区分というのは徹底的にやらないと、これは本物の仕事にならないんですよね。そのことを一層積極的にやっていただきたいと思います。  経営局長水産庁長官にもう一つ聞きますけれども、JAバンク、JFマリンバンクそれぞれについて、組合員以外のリスク管理債権の金額、それからリスク管理債権に占めるパーセンテージを明らかにしていただきたい。  また、リスク管理債権の大口貸出先にはどのような業種が多いのかということを示してほしいんです。
  132. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 組合員以外のリスク管理債権の関係でございますが、農協リスク管理債権、これは先ほど言いました一兆二千三百六十億円のうち、農業融資に係るものは一一%、千三百五十七億円でございます。したがいまして、残りの九割、一兆一千三百億円が農業融資以外のものでございます。  そして、大口の貸出先の関係でございますが、これにつきましては、恐縮でございますが、ディスクロージャーをされておりませんで、全国集計を行っておりません。そういう意味で正確な把握はできておらないわけでございますが、ただ、最近の農協の破綻事例等を見ますと、不動産関連の融資、こういうものが目立っておるということは定性的に申し上げたいと思います。
  133. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 漁協のリスク管理債権、先ほど御答弁申し上げました十二年度、九百四十三億円でございますけれども、この中でいわゆる員外貸出しでございますけれども、信漁連が一八%、それから単協段階の漁協でございますけれども、一三%という点でございます。
  134. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 不良債権で一番多いのは、やっぱり本業以外のところで、ゴルフ場とかリゾート開発とか、そういうものにぼんぼんぼんぼんバブル的にやって、またそこが非常に黒い勢力と結び付いているというような部分が強い。これが実は不良債権処理が進まない大きな理由になっているわけですね。  農水系金融機関には私はまだまだ不良債権が隠されているんじゃないかなという疑念も持っているんですよね。自己査定区分というのは適正な償却、引き当てを行うための準備作業ですから、これをしっかりやらないと、なかなか不良債権の問題が解決できないと。もう大丈夫だというふうに明言できることはないと。この自己査定区分について、やっぱり一般金融機関と同様にもう少し明らかにした方がいいんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  135. 大島理森

    国務大臣大島理森君) まず第一に、系統金融には委員がまだ不良債権隠されておるんではないか、自己査定基準をもっと明らかにした方がいいんじゃないかというお話でありました。私ども、何回も申し上げて恐縮ですが、あの住専の問題というものを系統金融も忘れてもらっては困るわけでございまして、その管理監督、そういうふうな立場から、一層系統金融に対する信頼をかち得るために、今の様々な御意見をちょうだいしたことも踏まえつつ、しっかりやっていかなきゃいかぬという思いでございます。
  136. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 終わります。
  137. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  138. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 農薬取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。大島農林水産大臣
  139. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 農薬取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農薬につきまして、販売段階での登録を義務付けるとともに、表示のない農薬の販売を禁止すること等により、その品質の適正化と安全かつ適正な使用の確保を図っているところであります。  しかしながら、昨今、輸入代行業者を介した個人輸入の増大、輸入業者による違法な輸入等により、登録を受けていない農薬が流通し、使用されている実態が明らかとなり、国民の食に対する信頼を損なう大きな問題となっております。  こうした中で、国民の食に対する信頼を回復するため、水際の監視の徹底等農薬の流通、使用の各段階で厳格な規制を行うことが喫緊の課題となっております。  このため、登録を受けていない農薬の製造、加工及び輸入並びに使用を禁止するとともに、輸入の媒介を行う者が農薬の有効成分の含有量等に関する虚偽の宣伝を禁止する等の措置を講ずることとし、この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、登録を受けていない農薬の流通を未然に防止するため、農林水産大臣の登録を受けなければ、農薬を製造し又は輸入してはならないこととしております。  第二に、農薬の輸入の媒介を行う者は、農薬の有効成分の含有量等に関して虚偽の宣伝をし、又は登録を受けていない農薬について登録を受けていると誤認させるような宣伝をしてはならないこととしております。  第三に、登録番号等の真実な表示のある農薬等以外の農薬の使用を禁止するとともに、使用時期及び使用方法等の基準に違反して農薬を使用してはならないこととしております。  第四に、違反行為に対する抑止力を高めるため、農薬の製造、輸入又は販売に関する規定に違反した者に対する罰則を、自然人については三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に、法人については一億円以下の罰金に引き上げる等罰則を強化することとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  140. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会します。    午後一時四分散会