○黒岩宇洋君 要するに私が今の
質問をあえてしたのは、この後、第三条の十号の条文との関係があるんです。今の
局長のお話では法技術的なということだったんですが、実は違う
観点を私この後申し上げますけれ
ども、ちょっと後に述べさせてもらいます。
この十号では、一号から七号までに該当する者が、法人の役員等と言っていますが、役員に名を連ねる場合は、その法人は
警備業を営んではならないと記されています。私は、これは明らかにおかしいと思っております。
そもそも、
警備業法に
障害者に係る
欠格条項が設けられている
趣旨は、今日何度も出ていましたので、
生命、
身体、
財産云々ということなんですけれ
ども、私は、このことは当然理解はできます。しかし、これは個人についてです。考えてみてください。普通の法人、例えば会社ですね、会社で、じゃ取締役の中に一人でも
精神に
障害がある方がいると、それだからといってこの会社が
警備業や
警備に関する適切な
判断力が失われていると思われますでしょうか。私は、そんなことは絶対にあり得ないと思っています。
ともすると、ここの法の
趣旨の、
判断力の有しない者が直接
業務に携わる者を指揮監督する場合にはというところで、取締役がその指揮監督する者と言いたいのかもしれないんですけれ
ども、取締役は別に
現場で指揮は普通取りません。仮に取るとしても、そうなるとその取締役は
警備員となります。法人は
警備員の名簿を公安
委員会に提出しますから、そうなると法人役員云々ということではなく、
警備員としての
欠格条項だけで事足りるはずだと私は思います。
これは
アルコール中毒者についても言えます。
アルコール中毒者が一人でも役員にいたからといって、その法人の
判断力自体が失われるとは私には思えません。もしそうなら、
警備業云々というよりは、会社として存続がもうできないと、そう思います。
片や、一号はともかく二号から五号までに該当する者、そして六号の
アルコール中毒者以外の者、これらの者には共通点があります。それは反社会的な人間又は反社会的な行為を行った人間です。このような人間を私は一人でもやっぱり役員に入れている会社というのは、確かに会社としてある
意味その
判断力を疑われても仕方がないと思います。
警備業というものを営んではならないというのも、まあむべなるかなと思います。ですから、このことと
アルコール中毒者と
精神障害者は、私は全くの別の問題だと思っております。
私は、この六号と七号の区別
基準にこだわったのもこの点にあるんですけれ
ども、
アルコール中毒者をむしろ六号から切り離して、法人の役員についての号では
アルコール中毒者と
精神障害者については別の
基準、例えば役員の中の何分の一以上にその人間が該当するとか、こういう法人は
警備業を営めないとするべきだと私は考えております。
現行法だと、
警備業の公安
委員会への認定申請の際に全役員の医者の診断書を添付するわけですけれ
ども、その中に
精神障害の診断が下された方がいれば、その人間を首にするとか又は取締役から降格されるとかという事態が起こるかもしれません。たった一人のためにその会社が
警備業務を営めないわけですから、そういう結果は私は起こると思います。
障害者の法定雇用率を定めて
障害者の生活の自立を促進している
障害者基本法の理念にも背く話だと私は思います。第三条のこの十号の
規定によって、
障害者の、
警備業というより、むしろ企業経営からの排除にもつながるのではないかと私は大変危惧しております。
この点についてはいかがでしょうか。